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野村吉三郎君 私は、
外務大臣に
安保条約について二、三のお尋ねをしたいのであります。もうすでに詳しい
質疑応答があったのでありまして、私は
交渉の
内容を伺おうというのではなくて、
外務大臣は私のただいまお尋ねせんとする点について、どういう腹がまえでいらっしゃるかということを伺いたいのであります。
条約改正は戦後十三年、国情の変遷に伴って
改正の必要を認むるのは当然だと私は思います。まあ馬祖島あるいは金門湾の事件がある、ですからして
考えられる点もありますけれども、反対する理由はないと思っております。
わが国は自由国、民主国となっておりますが、私はこれは別に自由民主党の国だというのではなくて、九千万人の
国民の国であるというふうに思っております。こういう点で、私は元来からして
日本丸に乗っておる九千万人は、大和一致して超党派外交を推進すべきものだということを思っておりますが、それがなかなかまだ年所を必要とするのではないかと思っております。今の
政府のとっておる方針は国連中心主義であって、
世界の平和維持に努力しておるし、
防衛は
日米安保条約によって国の安全を保つのに努力しておると私は思っております。
安保条約の
改正に当って、外交上の慣例において平等の観念、あるいは双務的の点を
考えることは当然だと思いますが、先ほどもいろいろ
お話があったように、その目的の根本は、やはり双務
安全保障、すなわち軍事
協定であると思うのであります。現在、
日本の
防衛力は、いろいろ
お話がありましたのですが、私らの見るところでは、現下の国際環境に対しては非常に微弱なものである。海航方面を見ても駆逐艦の十隻ぐらい、あるいは新しい飛行機は数十機というような
状況で、非常に貧弱である。この四つの島を守るのには、私らの見るところでは、とてもこれでは足りない。
防衛隊の人はその少しの兵力をもって大きな任務を果しておるというふうに私は見ております。そうだからして、これを
日米間の
安全保障条約によって補足していくということは、当然だと思うのでありますが、この点について
外務大臣はどうお
考えになっておるか、自分の国の
自衛力は
独立独歩でいける、そこへ錦上花的に
日米保障条約でいくというお
考えであるか、私は
日米安全保障条約なければ、
日本の現下の国際環境に対して、自衛はできないというふうに思っております。この点をはっきり伺いたい。
日本は
憲法の
制約もありますし、
海外出兵はできなくなっておりますが、先ほど
羽生委員のお尋ねになった沖縄、小笠原島の問題であります。この
外務大臣の
お答えも承わったししますが、これは
日本の領土であって、潜在主権も確認されておるからして、
安全保障の適用には、これはどうなされるようにお
考えになっておるか、これは今答えられぬという御答弁になっておりますが、何というても
日本の領土でありますし、
日本の今の小さい
自衛力をもって沖縄を守ろうということは困難だということは
承知しておりますが、これはあくまでも
日本の領土であるという見解のもとに立って、そうして
日米安全保障条約でこれを守ろう、
日本はこれに対して無関心でいるのではないというところは、はっきりお
考えになっておると思いますが、こういう点について、あまり突っ込んで
お答えを伺うわけにはいかないでしょうが……。それから
改正に当って、はっきり米国が
日本の
防衛の任務を分担するということを明記せられることは、これはやっぱりいろいろ外交専門家からも聞きましたが、あの条文でははっきりしないからして、望ましいと思います。これに対する
——日本を守る責任を分担する上において、反対ということはどうかということ。これは私はやっぱり外国語で言っておるロジスティック
——、兵站及び補給をもってやるということと、
基地の使用となると思うのですが、
基地という問題に触れるというと、
アメリカのための
基地だということが
日本人の頭の中にあって、砂川事件のようなことが起っておるのですが、これは
基地は
日本の
防衛上にも不可欠のものであって、飛行機がだんだん発達すれば、いろいろの機械もこれに応ずることをやるでしょうが、ある時期には飛行場を拡張するということの必要なことは、これは言うまでもないことであります。こういう点についても、
日本国民に対して、はっきりと
日本の国防上、自衛上必要なんだ、そうして
わが国の安全を
保障せにゃならぬのだというようなところを、はっきり
国民に了解させたら、そうけんかを起さぬでもいいだろう、私はそう思っておりますから、
日本の国防は
日本人の手でやる、しかしながら、今の
国際情勢では力が足らぬのだからして、よその力も利用する、これは決して恥でも何でもないのだ、イギリスしかり、ドイツしかりですね。むしろ彼等は駐兵を望んでおるという
状況ですから。そこで、社会党のお方と
考えが少し違うかもしれませんが、それは同じ
日本丸に乗っているのだから、その点
一つ超党派外交ができる時期に、すみやかに到達することを私は
ほんとうに熱望しております。