○
三田村
委員 申し上げるまでもないことでありますが、
司法制度の問題は、要するに
国民の
信頼度の高い
司法制度にするということであります。今、
法務大臣から
お話がありましたが、私も
最高裁判所機構改革問題が出てきた当時と比較して、その
処理状況が非常に
能率的と申しますか、進捗してきておることは
承知しておるのです。しかしながら、また一面、十ば一束、門前払いの
裁判だという批判もあるのであります。ほとんど
上告棄却という形で、十ぱ一束、門前払いしてしまえば、
処理件数はどんどん進むのでありますから、そういうことは必ずしも
司法に対する
国民の
信頼度を高めるゆえんではない。しばしばこの
委員会でも議論されたのでありますが、戦後すでに十三年、
司法制度が整備されたと申しますか、新しい
司法制度ができまして、昨年すでに十周年の記念を行なったのであります。そういう
観点から申しますと、当
委員会における
諸般の問題を論議する際いつも気がつくのは、
日本の
司法制度の中に残っておる古いものと新しい
制度といいますか、これを
専門的な
立場から申しますと、大陸法的な
制度機構と英米法的な
制度機構の
チャンポンがいろいろなところに出てきている、こう思われるのであります。でありますから、せっかくここで
司法試験制度を変えられて、よりよき
人材を
司法部に求めるという御
提案がありますならば、同時に
司法制度そのものをより効率的な、より
信頼度の高いものにすることが必要だ、こう思うのであります。もちろんこの点については
法務省当局はせっかく御苦心を払われて、全般的な総合的な
研究も進めておられるようでありますが、何と申しましても
民主制度の中において一番大事なことは、
司法に対する
国民の
信頼であります。法の秩序とか法の
権威とかいいますが、それは単なる
抽象的表現であってはいけないので、一審の
裁判でも、
判決が下った場合に、これを
国民が
信頼し、納得し、これに服するという、
裁判に対する
信頼と
権威というものが高まってきませんと、
幾ら試験制度を変えていい
人材をとるといっても、それだけでは
司法制度に対する
目的は達し得られないと思うのです。でありますから、この
機構制度というものと
試験制度というものは、やはり不離一体であります。しばしば当
委員会でも言われます
在野法曹からの
人材吸収ということも単なるせりふに終ってしまって、いまだかつて所期の
目的を達したことはないように私は思うのであります。
司法制度も、ただ
試験制度を変えてみたが、結果は同じだということでは何のことかわからぬということを、率直に私は申し上げたいのであります。そういう点も十分御
検討のことと思いますが、特に
田中長官のあの
訓示か、
所見の中にありました
判決前の
調査官制度というものが一体どういう役割をするのか、
法務当局はいわば
検察行政の
裁判を起す
段階における
責任官庁でありますが、同時に
制度機構の上においてはすべての
提案着たる
立場にあるのでありますから、そういう
観点からも私は御
意見を伺っておきたいのでございます。今、
法務大臣は、
田中長官発言に対しては
十分検討を加えていくという
お話でございましたが、これはその面の
専門の
調査をやっておられる
調査部長もここにおられますが、私は別な
機会に
最高裁判所、
裁判所関係の人の御
出席を求めて、十分その
立場なり具体的なお
考えなり伺いたいと思います。
機構制度の面で
国会に
責任を持たれるのは
法務当局である。案として出てくる場合はやはり
法務省でありますから、
田中長官がああ言われたことが
新聞に出ておりますが、なかなか影響は大きいのです。何か
裁判官以外のものが
裁判に加わるのではないか、これは非常にいいことならいいのでありますが、掘り下げていけば、今の
裁判制度のどこかに
欠陥があるのじゃないか、
欠陥があることを
最高裁長官がみずから認めたということも、裏返せば言えるのであります。そういう点における
法務当局のお
考えを私は重ねて伺っておきたいのであります。
もう少し掘り下げて申しますと、一
審強化ということはしばしば言われるのでありますが、どうしたら一
審強化ということになるのか、
最高裁まで行って、十ぱ一束、玄関払いで
事件処理の
能率を上げるよりも、
国民の
立場からより好ましいことは、一審の
裁判を
信頼するということであります。
検察の面においても、
裁判の面においても、一審の
裁判を
信頼するということでありまして、一審の
裁判を
信頼すれば、従って
控訴審も減るし、
上告審も減るということになります。そういう面から、ただ
試験制度を改めてよりよき
人材を求めるということだけでなくて、
幾らいい
人材がたくさん集まってきても、
司法制度の上に
欠陥があるなら、何にもならぬということも言えるのであります。そういう点について具体的にどういうお
考えをお持ちか、今
大臣は前
国会まで当
委員会で
審議されました
最高裁判所機構改革の問題についてもいろいろの
意見が多くて、なかなか公正にして妥当な
結論が出にくい現状である、従って、
角度を改めてもう一ぺん再
検討を加えたいという御
意見のようでありました。私もそうだろうと思いますが、それならどういう
角度から再
検討を加え、どういう
機構制度とこの
試験制度をマッチさせていくかということも当然御
研究のことと思います。せっかく
試験制度を改めていい
人材を多く求めようとするのでありますから、たとい
人材を求めても、
機構制度に穴があれば同じことだということを私は
考えざるを得ないので、その点を重ねてお伺いするのであります。今、
法務大臣のおっしゃいました
最高裁の
処理状況も非常に
能率的だ、その
言葉だけ裏返すと、従って、
裁判所機構改革の問題は当分見送ってもいいのじゃないか、こういう
意見も成り立つのであります。しかしながら、それだけでは私は納得がいかない。いろいろ現在の
裁判の実際のあり方を見ましても、われわれ割り切れない問題がたくさんある。そういう点についてもあわせて、この問題に対する御
所見を伺っておきたいのであります。