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1958-10-31 第30回国会 衆議院 文教委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月三十一日(金曜日)     午後二時五十九分開議  出席委員    委員長 坂田 道太君    理事 臼井 莊一君 理事 加藤 精三君    理事 木村 武雄君 理事 永山 忠則君    理事 原田  憲君 理事 小牧 次生君    理事 櫻井 奎夫君 理事 辻原 弘市君       小山 長規君    清瀬 一郎君       藏内 修治君    鈴木 正吾君       高橋 英吉君    竹下  登君       谷川 和穗君    古川 丈吉君       増田甲子七君    松永  東君       八木 徹雄君    山本 勝市君       西村 力弥君    野口 忠夫君       長谷川 保君    松前 重義君       本島百合子君    山崎 始男君  出席国務大臣         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         文部政務次官  高見 三郎君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤誉三郎君         文部事務官         (大学学術局         長)      緒方 信一君  委員外出席者         専  門  員 石井  勗君     ――――――――――――― 十月二十九日  委員堀昌雄辞任につき、その補欠として赤松  勇君が議長指名委員に選任された。 同月三十一日  委員木村守江君、福井順一君、福田赳夫君及び  河野密辞任につき、その補欠として小山長規  君、藏内修治君、古川丈吉君及び松前重義君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員藏内修治君、小山長規君及び古川丈吉君辞  任につき、その補欠として福井順一君、木村守  江君及び福田赳夫君が議長指名委員に選任  された。     ――――――――――――― 十月二十九日  教育予算増額及び教育財政確立に関する請願外  三件(淡谷悠藏君外一名紹介)(第一二五六  号)  教育予算増額に関する請願岡田春夫君外一名  紹介)(第一二五七号)  同(館俊三君外一名紹介)(第一二五八号)  同(永井勝次郎君外一名紹介)(第一二五九  号)  同(森三樹二君外一名紹介)(第一二六〇号)  同(山中日露史君外一名紹介)(第一二六一  号)  同(横路節雄君外一名紹介)(第一二六二号)  児童文化施設特別助成法制定に関する請願(河  野正紹介)(第一二六三号)  同(佐藤虎次郎紹介)(第一三〇五号)  小中学校統廃合に対する国庫補助等に関する請  願(佐藤虎次郎紹介)(第一三〇六号)  教育公務員へき地住宅確保等に関する請願(  下平正一紹介)(第一三〇七号)  スクールバスを運行する市町村への国庫補助に  関する請願下平正一紹介)(第一三〇八  号)  国立信州大学工学部工業化学科新設に関する請  願(下平正一紹介)(第一三〇九号)  国立信州大学農学部畜産学科増設に関する請願  (下平正一紹介)(第一三一〇号)  公立学校施設整備費予算増額に関する請願(  下平正一紹介)(第一三一一号) の審査を本委員会に付託された。 十月三十日  山根小学校へき地集会室建築に関する陳情書  (第  二七四号)  公立学校建築基準坪数引上げ等に関する陳情  書(第二  九九号)  岡山大学に理工学部設置に関する陳情書  (第三〇一号)  小、中学校における林業の学習指導に関する陳  情書  (第三〇二号)  公立医科大学に対する国庫補助等に関する陳情  書  (第三一七号)  早害被災農家学童の救済に関する陳情書  (第三一九号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  学校教育法等の一部を改正する法律案内閣提  出第七号)  学校教育法等の一部を改正する法律施行に伴  う関係法律整理等に関する法律案内閣提出  第八号)      ――――◇―――――
  2. 坂田道太

    坂田委員長 これより会議を開きます。  学校教育法等の一部を改正する法律案及び学校教育法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案一括議題とし、審査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。西村力弥君。
  3. 西村力弥

    西村(力)委員 この前私が質問申し上げたときには、初等中等教育局長もしくはその担当者、そういう方々にぜひ出てもらわなければならぬ、こういう工合に申したわけでございますが、本日は出席しておりますか。
  4. 坂田道太

    坂田委員長 ただいま参ります。
  5. 西村力弥

    西村(力)委員 それではこの前の繰り返しのようになってはなはだ恐縮でございますが、最初に、第二十八条に、実際は学校におるのでございますけれども、法規上明文化されていなかった養護助教諭講師、そういう人々を今度明文化したその理由というものはどこにあるか、こういうことでございますが、これに対する解明がはなはだ不明確でございました。あらためて一つ答弁願いたいと思います。
  6. 緒方信一

    緒方政府委員 これは私は前回も申し上げたと思いますけれども養護助教諭講師につきましては、従来は二十八条のその他の職員で呼んでおりましたけれども学校実態としても二十八条にはっきりと規定した方がよろしいということで、養護助教諭講師を二十八条に入れてはっきりいたしました。こういう趣旨でございます。
  7. 西村力弥

    西村(力)委員 その実態に即して明文化する、こういうことでございますが、講師はこれは小学校中学校教育の必要上やむを得ないでしょうけれども、将来にわたっては助教諭もしくは養護助教諭というものはいろいろな方法でもって解消していく、こういうことであると思います。この点については異議がないと思うのです。だから、今まで明文化していなかったことを今するということは、今後相当期間にわたってこの解消は不可能である。またあまりそういう努力をする気持もない。こういう点から明文化したのではないか、こういう疑いがある、そんなことを私は感ずるわけであります。そういう点はどういう考えでおられるか。それからもっと実態に即すれば明文化する必要のある職員小中学校にいないのかということです。ものの考え方によれば、たとえば学校給食の係りの者、あるいは使丁にせよ、これは学校教育上非常に重要だという工合に、そういう考え方をとらないと、ほんとう学校教育というものはできないのだ。学校使丁子供教育に与える影響というものは実に重大である。また給食の問題だって、これは学校給食法が作られておるような工合に、これは相当重要な任務を私たちは期待しなければならぬ。そういう人々影響というものは教育に相当重要なものを持つのです。ですから、そういうものを明文化するという方向に将来は進むべきではないだろうか、こう思っております。校長教諭とそのほかの事務職員養護教諭、そういう者だけで学校教育が万全を期せられる。あとはほんの下働きであって、学校教育にはさしたる影響がないという考え方、身分的に言えばそれは低い者という従来の考え方、そういうものが根底にある限りにおいては、ほんとう学校教育というものは不可能である。それについてはどう考えておるか。その二点について御答弁を願いたいのです。これからの持っていく方向として大臣見解一つ示していただきたい。
  8. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 今回のこの条文を改正いたしました趣旨は、ただいま局長が申しました通りでございます。学校教育中核をなすような職員につきまして、実態に即してこれを書き改めたようなわけであります。その点については御了承いただきたいと思います。なおそのほかの職員について御意見がございましたが、さような点につきましては今後十分検討さしていただきたいと思います。
  9. 西村力弥

    西村(力)委員 大臣には申し上げるまでもなく、法律明記する限り、法益というものがやっぱり予定されていなければならぬのではないか。ただ実態に応じてこれを明文化した。これだけの理由法律条文が作られるということは、これはおかしいじゃないが。明文化する上においては、この法益を何と考えるのかということを私はお聞きしておるわけです。ただ実態がそうだからこれを明文化したのだ、これだけの理由ではあまりに法律条文明記することに対する理由が薄弱きわまるではないか、こういう考えを持つのです。
  10. 緒方信一

    緒方政府委員 繰り返して申し上げますが、従来の規定は、校長教諭、それから養護教諭、それからそのほか助教諭を置くことができるという規定でございますけれども、それに今度養護助教諭講師をつけ加えたわけでございます。そのことは、御指摘のように学校にはそのほかの職員を置くこともできますが、しかし学校教育中核になる教員としては、少くともこの二つのものははっきり学校教育法規定した方がいいではないか、かような考え方でございます。もちろんそのほかの教員もございまするけれども、これは法律といたしましては、そのほかの職員ということで今後もやっていきたい、そういうことを考えておる次第でございます。
  11. 西村力弥

    西村(力)委員 初中局長が来ましたので、再度のお尋ねのようになりますが、第二十八条に今まで明文化されていなかった養護助教諭講師明記していますね。それはどうかといいますると、緒方さんのお答えでは、実情がそうなっているのだから、ただ実情を明確にしただけだ、こういうのです。しかし、私たち考えるに、今法律明記する限りにおいては、だれかにどこかにその法律利益というものがもたらされなければならない、こう考える。ですから、考えようによっては、明記したということは、養護助教諭というような人たち、あるいは講師という立場の人、そういう人々を将来は解消していきたい。そうして本資格の者だけでやっていきたいという気持があるけれども現実に今早急にそういうことはできないというような立場から、これは明記していくということになれば、そういう養護助教諭講師という人々学校教育中核的な立場であると今仰せられたが、そういう立場をそれらの方々自覚して、そうして職務に専念するようにするために、そういう法律利益を求めて明記したのだ、こういう工合になるか、いろいろあると思うのです。私たちから考えますと、養護助教諭、あるいは講師講師というのはちょっと違いますけれども助教諭という資格人々は将来解消するのだから、明記をしないで早急に解消努力をする、こういうふうにいくのがむしろ文部省行政としては正しいではないか、こう考える。なぜここに明記をしたかということについて非常に僕は疑義があるのです。何の理由でそうやったか、別な言葉で言えば、明記することによって法益をどこに求めているか、それをこの前から質問しているのですが、なかなか明確にならないので、あなたに聞きたい。
  12. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 養護助教諭お話でございますが、すでに学校教育法でも教諭助教諭明記されておるわけでございます。ですから普通の教諭助教諭との関係におきまして、養護教諭だけしか現在ないというのは法の片手落ちではなかろうか、現実養護教諭養護助教諭がおりますので、この点を明確にした、これだけのことでございます。
  13. 西村力弥

    西村(力)委員 養護助教諭は他の教諭助教諭という打ち出し方との均衡のためである。では講師はどうですか。
  14. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 講師につきましても従来明確でなかった、現実講師がおりますし、特にこれは国庫負担法の対象でも見て参りたいと考えておりますので、講師も明確にした。要するに学校教育法学校体系の中における職員地位を明確にした、こういうことでございます。
  15. 西村力弥

    西村(力)委員 職員地位を明確にした、こういう言葉で大体ケリがつくようですが、私はそれだけではまだまだはっきりしないのです。そうすれば、ただ均衡をとる、条文の表現上の均衡をとる、こういうことはそれはあり得るかもしれませんけれども、何ら益するところはない。その法律条文明記したって益するところはないのです。また講師自体も実際あるから明記しただけでは、これも益するところは何もない。ここに明文化されなくてもその人の地位とか給与とかそういうものは変らないはずなんですからね。益するところは変りないということだ。それだけでなくて、もっと慎重に、こういう法律条文に盛るという限りにおいては、その条文に盛ることによって何かプラスする、あなた方はそれを解消することができないから当分明記してその人たち地位自覚を求めよう、こういう益を求めているかもしれないわけですが、それでもまたやむを得ないと思います。そういう点が、何ら顧慮せられずに、ただ技術的な観点においてだけ行われることに対してはどうも私は納得できないわけなんです。まあそれだけの理由で出されたとするならば、あまりとがめるまでもないけれども、明文化しなければならない、それほどまでにこんなことに神経質にならないでもいいのじゃないか、むしろ文部省方針はこうだということを出してもらいたい。助教諭養護助教諭というものは解消するのだ、こういう方針を出してもらわなければならぬ、それこそが正しい方向であると私は思うのです。  それでは次に、その他の職員の中には使丁とかあるいは給食のまかない婦とか、そういうものも入るのですか、そういうものの評価が、文部省においてはやはり中核をはずれるものというふうに考えている。しかし学校教育実態からいきますと、子供たちの心理からいきますと、そういう工合考えさせること自体がいけない、あれは小使だなんて考えさせることはいけない。そしてまた使丁教育上の影響というものは実に莫大なものです。ですからこういう点からいうと、この職員の中に、給与はどこで出そうとも、やはりそういうものは明記しておいて、学校教育上における彼らの自覚を刺激する、こういう方向に行くべきが正しい。そういうものを全部列挙することに私は賛成するのです。それこそほんとう教育効果法益のねらいが生きてくることになる。そういう工合に将来いかれるお気持文部省としてはないのですか。
  16. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 これは法律の立て方と思いますが、ともかく現在の学校教育法では学校教育に直接従事するものを列挙してございまして、今お話しのように学校運営全体に奉仕する人々、たとえば今お話し小使さんもそうだと思いますし、また炊事婦もそうだと思います。いろいろおるわけでございますが、こういうものは必要な職員としての地位を与えているので、私どもは現在のところそこまで前記する必要はないと思っているわけでございますけれども一つの御意見として十分検討さしていただきたいと思います。
  17. 西村力弥

    西村(力)委員 普通の官庁なんかにおけるそういう人々は、単純労務者として行政事務に大した影響はないかもしれない。しかし学校教育のその場におけるこれらのポストについている人々というのは、やはり教育上の影響というものは、他の官庁単純労務者と全然違う影響力を持つ、こういう工合考えていかないと、教育ほんとう効果というものは正しく期待できないということになります。その点は十分に考えていただきたいと思う。そういう考え方をしないから、小使さんはつまらない部屋に閉じ込められて、職員から高飛車な言葉をかけられたりする。あるいは学校給食婦は、月に二千円か三千円でほんとうに未亡人の人々が苦労惨たんして勤めさせられている。自分の健康に留意することもできないような苦労な生活をしなければならないということになっている。皆さん考え方がそういうところにあるから、そんなような待遇に追い込んでしまうということになる。私は学校教育ほんとうの姿からいって、この考えをまず改めなければならぬじゃないかと思う。私の意見に賛成できませんか。
  18. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 先ほど来申し上げますように、公務員範囲明記すべき立法論として、直接教育事務に従事するものをここにあげた。ですから補助的な役割、給食をするとか、こういうものを出してきますと、相当たくさんございますので、一々列挙をしないで、事務職員その他必要な職員でくくっているわけなんですが、学校における実態は相当複雑なんでございまして、それを全部あげることが適当かどうかという問題がございますので、さらに検討さしていただきたいと思います。
  19. 西村力弥

    西村(力)委員 あげるあげないよりも、そういう人々教育に及ぼす影響というものを考えて、単純労務者的なそういう地位から、仕事そのものはそうかもしれないけれども評価の仕方を、最も教育影響を持つのだという考え方で事を処し、また進めていく、こういう工合にできないか。列挙することに対してどうかということを僕は言うているのではない。それに関連しますが、事務職員という立場の人は教育公務員じゃないはずだと思うのですが、現在これなんかは直接教育に携わるし、児童生徒から見れば、事務職員だってやはり先生なんです。だからそういう点からいって、法の体系とかなんとかいうさまざまな技術的なものはあるかもしれませんけれども教育効果、どうした方が児童によい影響を与えるか、教育効果を求められるかということにおいては、事務職員もやはり教育公務員にする。先ほど申し上げたまかない婦なり使丁なんかも教育影響力を持っている、こういう一連の考え方に立てば、事務職員なんかは即刻教育公務員という工合にやる、それで初めて学校職場内における全体の職員構成教育という面に向って集中される客観的なあるいは主観的な条件が備わるのだ、こういう工合考えざるを得ない。その点についてはいろいろあるのでしょうけれども、将来の方向としてはどうです。教育効果というものを最大に考えないで、やはり文部省教育行政という立場だけを考える、この考え方ですね、そういうところに文部省教育行政というものが、形は整っても実際は弊害を伴うということがたくさん出てくることは、こういうところにあると思うのですよ。その点について……。
  20. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 事務職員までを教育公務員の範疇に入れるかどうか、私どもは実は非常に疑問を持っておるのであります。と申しますのは、教育公務員としては、少くとも教育免許状が必要なんです。だれでもが子供教育をするというわけには、学校教育においてはするわけに参らぬ。ですから、学校教育における教員範囲というものは限定されているわけなんです。そういう考え方から申しますと、事務職員教育公務員に入れることは私どもは適当でないと思う。しかしお話のように、それじゃ事務職員教育的な感化がないかというと、これは私はあろうと思う。しかし学校教育に直接責任を負っていない立場の方なんですから、その辺は私別だと思っております。
  21. 西村力弥

    西村(力)委員 文部省としてはそう仰せだろうと思うのですが、しからば教育に対する事務職員影響というものを考えたら、免許状は持たないにしても、研修や何かでもって仮免許なら仮免許というものを授給するというような方向をとられてもいいではないか、何らかの研修の機会を与えて、そうして教育公務員という格づけをもって、全体の職員構成をすっきりするということが、これは教育に対する影響というものを最もよからしめる道であるのだ、こういう工合考えるのです。そんな考え方はどうです。文部省的な見解では受け入れられませんか。
  22. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 それは事務職員教育公務員との区別を混淆することになろうかと思うのでございます。もし教育者として適当な者は、教育免許状をおとりになって、そして教壇に立っていただきたいと思うのです。もちろん学校事務をやっておることですから、教育に関する深い理解と協力の態度かなければならぬと思いますけれども、その辺のところはやはり身分は混淆しない方がいいんではなかろうかと思います。
  23. 西村力弥

    西村(力)委員 それではお聞きしますが、そういうあなた方の見解をとられるとするならば、一般教員に課しておる雑務というものを全部排除すべきである。一般教員でありながら雑務に追い回されて、事務職員と同様の仕事をさせられておる人もたくさんおるのです。そういうものを完全に払拭し、すなわち事務職員を完全配置して、そうして雑務というものを全部払拭させてしまわなければ、あなたのおっしゃるような理屈は立たない。一方ばかり言うて、一方のふたをしておったのでは、それは話にならぬですよ。一体そういう努力を現在はどの程度進められておるのか、将来の計画はどうか、この点について伺いたい。
  24. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 できるだけ私ども学校教職員雑務をさせたくないと思っておるのであります。しかしながら教育の関連から見ますと、どうしてもある程度は校務がございますので、その校務の分掌は教職員として当然やっていただかなければならぬと思う。しかしながら純然たる事務は、できるだけ事務職員に肩がわりさせるように指導しているわけです。そこで先般の公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律案の中でも、とりあえず小学校は十八学級以上、中学校は九学級以上には事務職員が配置できるように措置いたしたわけです。これによって相当数増員もできるだろうと思います。さらに私どもは、この標準の守られた上は、事務職員増員をさらに考慮いたしたいと考えております。
  25. 西村力弥

    西村(力)委員 現在小学校は十八学級中学校は九学級以上だと言いますが、校務学校の大小にかかわらず一定量があるはずですから、今仰せられたことによってある程度解消するということでありますけれども、むしろ早急に救済しなければならぬのは、少定員学校だという工合考える。常識的にいえば、大きい学校から配置していくということになりますけれども実態から見ますと、逆に急がなければならぬのは少定員学校だと考えます。そういう点からいいまして、今私が答弁を求めました今後の充足計画については、可能な限り努力するという言葉だけでありますが、そんなことではうまくない。その計画は現在ないのですか。なければどういう工合に立案するというのか。そういうような計画を持っておられるか。そういう真摯な努力について私たちは聞きたいのです。変なところに力んで勤務評定なんかやるのはやめて、そういう文部省本来のところに最も真剣に努力するのが当然であります。文部省設置法にせよ、地方教育行政の組織及び運営に関する法律を見ましても、あなた方の職務の重点はあるはずですよ。小言みたいになって済みませんが、どうですか。
  26. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 ですから、私どもも大へん努力いたしまして、皆さん方の御協力、御審議をいただきまして、公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律が制定されました。この法律を完全に実施するためには、約一万人の増員が必要であります。これを五カ年に分けて充足していく。ですから、事務職員につきましても、十八学級ないし九学級以上はすみやかに充足いたしまして、今後さらに充足すべく努力いたしたいと申し上げたのでございまして、実はもう一つ学校統合が一面起きております。学校統合といたしましては大体十八学級標準にしておりますので、一面において学級統合を推進し、一面においては教職員定数を確保して学校教育の充実をはかって参りたいと考えております。
  27. 西村力弥

    西村(力)委員 大へんけっこうな話で、ことしから全部一万人になるんだろうと思ったら、五年間過ぎてからやると言う。あなたは次官くらいにはなるかもしれませんが、そのときには本気になってやられるかもしれませんが、来年のことをしゃべると鬼が笑うというが、五年後の努力を今誓ってみたところでどうにもならない。私はそれではしょうがないのではないかと思います。そういう工合で一方はまるで遅々たる状態に置きながら、一方においては事務職員仕事一般教育公務員におっかぶせる、こういう状態では、なかなかほんとう教育効果を上げる行政というものになり得ないのではないかと思います。  ところでいろいろ文部省の使っておる法律用語あるいは答弁用語などを聞いてみますと、どこまでがどういう工合か、ばくとして観念的には理解ができるが、よく理解できない。教科に関する事項というのは何が何やらわからない。職務の内容範囲というようなものも、もっと明確にしなければならぬ。それから雑務校務、そういうものの限界はどうですか。それは文部省において明確になっておりますか。それを一つ示してもらいたい。
  28. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 ちょっと私御質問の意味がわかりかねたのですが、先ほど私が申しました一万人と申しますのは定数基準の点だけでありまして、このほかにすし詰め学級解消の分がございますので、それが大体四、五万を要するわけであります。ですから年間として毎年一万人くらいの増員が必要なわけであります。この点は誤解のないようにしていただきたいと思います。  それから教科に関する事項のお尋ねがございましたが、教科というものは学校教育法規定されておるところでございまして、教育内容一般というふうに理解しておるのでございます。これはすでに前の国民学校令あるいは中等学校令等におきまして、教科という表現は教育内容全部を扱っておるわけなのであります。ですからその規定を受けまして、学校教育法施行規則では教科に関する事項として教育内容全般を扱っておる、こういう趣旨であります。  それから今お尋ねの校務お話でありますが、校務学校事務でありまして、この事務はいろいろあるわけでございます。たとえば学級の編制をどういうふうにするとか、あるいは学級経営をどういうふうにするとか、あるいは子供たち評価をどうするとか、学校教育上必要な事務一切を含んでおるわけなのであります。具体的に列挙しますと、今申したようなことが大きな点でございます。
  29. 西村力弥

    西村(力)委員 そういうようなことはやはり大ざっぱに言ってすらすらと受け入れられそうですけれども学校教員雑務が多いという場合には、文部省としてはそれを認められたならば、雑務というのはどういうものかということになると、具体的に言うとなかなかはっきりしない場合が非常に多いのではないか。今教育一般に関する事務と言われましたが、そういうことになりましたら、それは言いようによっては全部入る。そういうことになるからはっきりしない。それはあなたの方で一々ずっと列挙して、これは本来の業務でない雑務である、これは本来の業務の校務である、それが学級経営とか教科配当とか、そういう問題ならこれははっきりしますけれども、明瞭でない場合が非常に多いと思うのです。そこで文部省としては教職員雑務実態というものを調査したことがございますか、どうですか。
  30. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 教職員事務実態は調査しております。
  31. 西村力弥

    西村(力)委員 その際の資料はございますか。
  32. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 資料はございます。
  33. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは、直ちにと申しましても何ですが、その中で調査される項目をずっと細密に検討していけば、これが校務本来のものである、これが雑務であるという区分けができるだろうと思うのです。それは雑務校務に限らず、予想される事務一切についてずっと調査したわけですか。御記憶にあるそういう調査項目はどういう状態なんですか。
  34. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 これは、教員の勤務量の負担を調査いたしました。その勤務量負担調査の中に列挙されております。
  35. 西村力弥

    西村(力)委員 参考のためにそれを一度資料として御提出を願いたい。委員長、お手配を願いたい。
  36. 坂田道太

    坂田委員長 資料を出すようにお願いします。
  37. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 承知いたしました。
  38. 西村力弥

    西村(力)委員 そういう工合に、本来の業務であるかどうか、雑務であるかどうか、そういうことの区分が非常に不明確なままにある、その学校教員職務というものをそのまま投げやりにされて勤務の評定をするというところに、非常に問題があると私ども考えておるのでありますが、この点は、大臣が来てから今のことに関連していろいろお尋ねをしなければならない点であります。  それでは次に、この前問題になりました第四十五条の二ですが、「高等学校の定時制の課程又は通信教育の課程に在学する生徒が、技能教育のための施設で文部大臣の指定するものにおいて教育を受けているときは、校長は、文部大臣の定めるところにより、当該施設における学習を当該高等学校における教科の一部の履修とみなすことができる。」こういうふうに新しい条文が起されて参ったのであります。この点につきまして私の問題とする第一点は、技能教育のための施設の指定を文部大臣がやるというのは、本来都道府県教育委員会が持っている権限に対する侵略である、侵犯である、こういうことなんです。高等学校教育については都道府県教育委員会が、私立学校はちょっと違いますけれども、所轄なわけです。そういうのにかかわらず、定時制の高校の教育の一環であるこういう技能教育の施設を指定する場合には、文部大臣がじかに個々の施設を指定する、こういうことになる。私たちが了解するところの見解は、文部大臣の権限というものは、その施設指定に至る基準の設定であり、これは文部大臣がなすべき当然のことであり、またそのことは認められるだろうと思うのですが、個々の施設まで指定してくるということは、都道府県の教育委員会の権限に対して文部省が介入することである、もしくは行政系列を著しく乱すものである、こういうことです。これに対する答弁をこの前も求めましたが、あなたがいらっしゃらないものだから、どうしても納得できないまま二時間近くも私はごてごてとやったわけですが、あなたの明晰なる御頭脳で一つ答弁願いたいと思います。
  39. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 お話のように学校教育自体の中に文部大臣が入っていきますれば、これは侵犯と言われると思いますけれども、これは新しい権利を規定したわけでございます。と申しますのは、今御承知の通り日本の勤労青少年教育は非常に重要だと思うのです。そこで全日制の学校でやっていることも大事でございますけれども、同時に夜間や定時制で勉強している人たちの負担をできるだけ軽くしたい。ところが技能者養成施設で相当な施設、設備、教員組織、教育内容を行なっているところでは、この部分はせめて高等学校の単位を履修したものとみなすような方向をとることが、勤労青少年教育の上から喫緊の要務であると考えるわけであります。そこでこの場合に技能者養成施設にはピンからキリまであるが、これを各県におまかせした場合に高等学校教育の水準がまちまちになってはならぬと思うのです。そういう点で、実態をよく見て、もちろん都道府県の教育委員会の御協力を仰いで、大体これならいいということを都道府県の方からも御申請いただくわけなんです。その点を見て全国的に統一していきたい。たとえば大阪府は非常に甘い指定をしたが、お隣の兵庫県は非常に厳重にやった、こういうことになりますと、教育の機会均等の面から考えましても、高等学校教育の水準の維持という点から考えましても、適当でなかろうと私は考えておるのであります。そういう趣旨でございまして、決して都道府県の教育委員会を無視しようという考えではなく、都道府県教育委員会の申請によってその意見を十分尊重していきたいと考えております。
  40. 西村力弥

    西村(力)委員 一つは、新しくできた条文であるから、これは新しい考え方に立ってよろしいという考え方はいけないと思う。教育行政体系というのは一貫してあるのだから、これをくずすということは、新しく条項を起し、そういう教育計画というか、そういうものを起すにしましても、その体系というものを乱していいという理屈はないと思う。これを乱すか、乱さないかということ、これが一つなんです。  それから都道府県教育委員会の指定によっては、教育の水準が高に維持できないというような言い方、そういう評価の仕方は正しいかどうか、私はあなた方がどれほどのスタッフをそろえておられるか知りませんけれども、こういう問題については労働省の基準局関係人々よりはぐっとあなた方はレベルが低いと思う。実際問題としてむしろ労働省基準局関係の方がその点は高いと思っている。都道府県教育委員会にせよ、あなた方がこういう新しい分野を新設する——新しいから新設するというのだが、この言葉はちょっとおかしいですが、そういうことをなさるには私はどっちも五分々々だろう、こう思うのです。だからあなた方がやられるのは、新設するために高等学校教育が混乱を起したり、レベルがダウンしたりすることを阻止するというところにほんとうの目標を置いてやるべきだ。だからそういう基準さえはっきりきめてくれれば、そういう心配は解消することはできる。それを一々あなた方が地方に御出張遊ばして、九州の工場に行って、養成施設に行って可であるとか、否であるというふうにやらなければレベルが落ちるなんという考えは少し思い上り過ぎる。都道府県教育委員会を軽視し、無視するのじゃないというけれども、これは明らかに軽視である。軽視よりも重大なのは教育行政系列を乱す文部省の不当介入である、こう私どもは言わざるを得ない。それではあの職業訓練施設を認可する場合に、これは単独の工場において認定施設を持つ場合、共同施設を持つ場合、いろいろありますが、労働省はどこまでやっておるか、あなたは御存じでしょう。労働省は基準だけ示して、あとは都道府県知事が認定しておるのですよ。それで中央官庁の役割というのは十分に果せる。一々出張費を使って出かけていって、大したスタッフを持たないにかかわらず、俺たちがやることがすべて正しいのだというような考え方は、文部省は捨てなければならない。労働省もはっきりそういう工合にやっていますよ。最後の認定権は都道府県知事にあって、何らそこに不都合がない。これはあなた方の言うことはまことに善意念であるがごとく、水準を落さないために俺たちがやるのだ、あるいは全国的なアンバランスをなくするためにやるのだ、こう言われておりますけれども、しかしそういう善意にかりに出たにしても、教育行政系列を乱すがごときは断固としてあなた方は自粛しなければならぬ、こう思う。そうでなければ地方教育行政の組織運営に関する法律なんというものは不要です。あなた方に許されておる範囲は指導、助言とか、そういう限界にとどまっておるはずです。文部省のやることはオール・マイティーだという考え方が、あなた方の頭脳の全部を支配している。そういう方向に今文部省はきているのです。そこに一番われわれは戦後の教育の大転換、教育の危機を考えている。文部省のやることがすべて正しいのだ、オール・マイティーだという考え方、こういう考え方は一歩下って、そして本来の教育はどこにおいてほんとう教育が行われるかという——政府が指導した教育というものは、明治以来どうだ、いかなるよいことをやり、いなる罪悪を犯したかということを考えて、こういう教育を民主教育という名のもとに、非常によろしいとわれわれは考えてきた。その点あなた方の立場が全部いいのだという前提に立って言う前に、法の精神からいうてどうであるかということを、ここではっきり私は示してもらいたい。そうでなければかくかくのゆえに法の精神に反しないという、そういう立証をやって下さい。
  41. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 文部大臣の権限として、指導助言の権限もございますし、基準設定の権限もありますし、全国的な教育水準を維持する責任があろうと私は思うのです。そういう意味で文部大臣はやはり国民に対して、教育上の最高責任を負わなければならぬ立場でなかろうかと思うのです。今回の規定学校系列中に立ち入っておるわけではございません。ですから技能者養成施設を全部認めるという形になりますれば、これは私は問題ないと思います。技能者養成施設というものは、工場内、企業内における一つの職業訓練なんです。その職業訓練の組織というものの中で、高等学校教育と大体同等あるいはそれ以上のものを見つけて、それとの連携をはかっていくわけです。ですから今日までそういう制度をとらなかったのは、その指定が非常にむずかしいことと、そしてまた事実上千差万別であるので、なかなかそこまでいかなかった。しかし私どもはその線を一歩踏み越えて、できるだけ勤労者教育あるいは勤労者における職業技術教育というものの重要性を考えまして、さらにその線を越えていく、その線を越える場合に、それが乱用されては非常に相済まぬと思う。ですから普通の全日制高等学校と実力においても、またその他すべての面において同じでなければならぬ。世間の評価がもし違いますと、全日制の高等学校を出たものは非常にいい。そうでない者は悪いというような結果にもなろうかと思うのです。できるだけ全国的な水準を維持したい、こういう考え方から技能者養成施設のうち特定のものを指定する、こういう考え方をとったのであって、学校教育の系列をこれによって乱そうというようなことは毛頭ないのであります。
  42. 西村力弥

    西村(力)委員 毛頭ないとあなた方は言われるけれども、事実としてはやはり乱しておることにならないかということなんです。工場における教科の履修を高等学校における教科の一部履修と同一のものに見なしていく、このやり方、俗的に言えば定時制高校の分教場、もしくは実習場というものをそこに設けるのだ。そういう場合にたとえば定時制は文部大臣が一々指定しなければ、全国的に水準が保てない。あるいは工業系統の定時制高校であって実習場を設けた。それを文部大臣が一々認定しなければ全国水準が保てないというようなことはない。そういう所論で言えば、さっき言った職業訓練法に基くあの養成所にしたって、労働大臣がじかに全部指定しなければだめなんですよ。そういうことになるのではないか。そんな理屈はおかしいじゃないかと思うのです。今申したように一つの分教場的な、あるいは実習場的な、そういう場所をきめるのですから、これはやはりその高等学校教育を所轄する都道府県教育委員会が、本来的な権限として持つものである。こういう工合考えていかなければおかしいじゃないか。高等学校教育のある一部は文部大臣がやって、こっちの方は都道府県の教育委員会がやるということで、ここに一貫した教育の中のある一部を文部省が自分の分野だととってしまうということになってしまう。どうもその点は私としてはまだまだ十分に納得したという工合には参らない。十分にどころか、全然私はそれを納得するわけには参らぬ。あなた方が言われることは、まことに心配して、よかれかしと願っているような工合に言うておるけれども、そのことと、法律の持っておる系列というもの、あるいは行政系列などというものの判定とは混同されるべきものじゃないわけです。これは当然のことだと思う。だからそのことをやることは文部大臣の越権行為ではないのだというれっきとした証拠を、法的にも何にしてもはっきり示してもらうと私は納得するのです。
  43. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 労働大臣が今技能者養成施設を指定するということは、企業内における職業訓練を推進するのですから、別に労働大臣が指定する必要はない、できるだけ大いに奨励助長したらいいので、ここには何ら資格かないわけです。ところが学校教育の形態の中で、高等学校の少くとも卒業認定をするわけです。高等学校という施設も、教員組織も、教育内容もしていないところで、それと同等の程度を認定するということは、私は非常にむずかしいことだと思う。今お話の分教場とか実習場というものは、これは学校教育計画を立てるわけです。     〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕 ところが今問題になっている技能者養成施設は、工場自体が職業訓練をするのですから、それとの関係でございまして、しかもそれの一部を高等学校教育と認定して単位を与えるわけですから、この点はやはり私は全国的な水準というものを考えなければならぬのじゃなかろうかと思います。
  44. 西村力弥

    西村(力)委員 技能者養成は工場内の問題であるからと言いますが、しかしそれは工場内の問題であるから工場の自主的な立場でやれという工合には投げておかないで、やはりはっきりした基準を示しておる。そしてそれをやるのはだれかというと、工場主ではなくて、都道府県知事が認定をしておる。そこははっきりしている。基準を示すまでは大臣の、本省の権限にして、それからその基準に従って認定するのは都道府県知事という工合にちゃんとなっておるのですね。だから文部省の場合においてもそれは同じことではないか。ことに教育の場合においては、労働省の今言うた職業訓練の問題とは違った意味の、今貫かれておる教育の地方分権という大思想、大筋があるわけです。つまりもう最大限注意して、地方の教育権限というものに介入しない、侵犯をしないというところに地方分権の趣旨があるわけです。労働大臣が個々の職業訓練の事業場を認定しても、そういう場合においては、僕は、地方分権なんかの問題、そんなことはない、それはいいかもしれないと思うのです。しかし教育の場合はそれ以上に、第一に教育の自治とか地方分権というものが、戦後教育の大宗を貫いているわけです。だからなお一そうあなた方がそこに警戒をしなければならぬ点が出てくる。われわれはそれを要求し、法律はそれを要求している。だから、そういう言い方ではますますおかしいではないかと思うのです。  そしてまた、分教場とか実習場とかいうものは、その学校自体が認定するという工合だとするならば、やっぱりその学校長の権限にすべてをゆだねたらどうですか。学校長が、あそこでやる教科の教育は、おれの学校のこの教科の教育の何時間の実習と認めて差しつかえないというふうに、これは学校長の責任でやれることなんです。こういう点を一つ、理屈をあちこちに飛ばさないで明確にしてもらわなければならぬと僕は思うのです。私がこういうことをくどく言うのは、今言ったように、教育自治とか教育の地方分権という、今貫いている大宗というものが、あなた方が出されておる今度の簡単な法律で蚕食されつつあるということは重大な問題であると考えるから、こういう工合にくどく言っておるのです。だからそういう大宗をくずすのではない、こういう趣旨からこうした方がいいのだと幾ら言ったって、あなた方のいいということはあまりよくないことが多いのだ。このごろことに文部省のやり方はよくない。教育の本質を乱しておる。だから、いいのだいいのだと幾ら言ったって、はいそうですか、それほど善良な国会議員ではないのです。
  45. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 今お話の単位の認定は学校長がやるわけですから、その点は御心配がない。それで、どこの工場とも連携ができれば、その工場における何時間分を何単位とする、こういうことは校長がするわけです。ですからその点は問題がないわけです。  今指定の問題だけが問題になったわけですが、指定については大部分が大企業なんです。実習の設備にしても教員組織にしてもあるいは教育内容にしても、高等学校と同程度あるいはそれ以上の施設、設備をしているようなところはほとんど大企業が中心でございます。この大企業が中心の場合に、たとえば三菱重工か神戸のものが指定されて東京のものが指定されない、こういうようなことのないように、全体的の調整をとっていきたい、こういう意味でございまして、別に地方分権を云々しようという考えは毛頭ないのであります。
  46. 西村力弥

    西村(力)委員 警職法についても、人権を侵害する意図は毛頭ございませんと盛んに岸首相以下青木国務大臣は言っておる。毛頭ございません、ございませんと言ったって、実際やってみると毛頭あるのだ。あなたは今技能者養成施設は大企業が中心だなんていうことを言われますか、そんなことは明らかに認識不足だ。そんなことで青少年の教育実態がわかっているとは言えません。現在職業訓練をやっておる施設の全体を調べてみますと、単独でやっておるのは十人以下の工場が三三%、小さい工場、中小よりも零細の工場か集まってやっているのが九〇%あるのです。それを大企業だけしかやっていないようなことを言われるのは実態を知らないにもほどがある。それではもう話が初めから違う。そういう実態を十分調査し、労働者の職業訓練というものに負けないで、それと提携して——文部省はどうも外部にいくと弱いが教員なんかに向ってはえらい強い。内部的に強くて外部的に弱いというのではなっておらぬと思うのです。そういう実態を十分に把握せられないでやるということはとんでもないことなんです。だから大企業云々だからそう大したことはないということを言われますが、その前提から誤まりなんです。私はあなたの教養の点に関する発言をいたしましたが、それに対して反論がありましたら言って下さい。
  47. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 私は今お尋ねの技能者養成施設の規模について申し上げておるのではないのです。高等学校と、施設、設備、教員、組織すべて同等以上のものというのはそう数があるわけではございません。技能者養成施設の全体についてお話のような事態のことは私もよく存じておりますけれども、高等学校と同程度だ、これを問題にしている。これは数か少いと申し上げているわけです。
  48. 西村力弥

    西村(力)委員 あるいは実態はあなたの仰せられた通りだと思う。お知りでしたなら、私が今ちょっと何かあなたの教養をけなすような発言は、これは誤解のないように願いましょう。ところで、どうしてもまだ私としては文部大臣がそこまで飛び出していく権限というのは、どういう法律的な裏づけを持ってこれを認められるかということについては、今までずっと経過しましたけれども、いささかもあなたは触れていない。それはどうなのですか。
  49. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 この法律によって文部大臣に授権されるわけでございます。私どもとしては先ほど申しましたように高等学校教育を相当推し広めるわけです。一般の技能者養成施設の一部までも高等学校教育として認定する。こういう場合に特に全国的な水準というものを考えて、これが質の低下を来たしてはならぬと思う。せっかく指定いたしましても質の低下を来たしますと、かえって世の不信を招くと思う。     〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕 そういう意味で当初において厳重にこれは指定していきたい、かような気持を持っておるのでございます。
  50. 坂田道太

    坂田委員長 西村力弥君、ただいま大臣が参りましたから、予算総会の関係もありますから、できれば集中的に大臣に御質問を願いたい。
  51. 西村力弥

    西村(力)委員 継続しておるから、あちこち飛んで上手にはできません。  そこで今仰せられたことですが、この法律によって大臣がここまで出てくることが認められるのだ。それは法律を作れば、俗にいわれる男を女にすることはできないけれども、そのほかはできるといいますから、それでいいかもしれませんけれども、この法律ができればこれによって認められるのだという前に、やはり一つの権限のチェックや何かを規定している、そういう基本の法律、これにまず私たちはやはり沿うておるかどうかということをしなければいかぬじゃないか。その大宗は憲法です。まだここまでには憲法を持ち出すまでには至りませんけれども、しかし大宗は憲法に抵触するかいなかということを考える。その次は基本の法律に抵触するかどうかということを考える。そしてこれらの一切に抵触しないという場合に新しく文部大臣の権限を作り出すということもこれは許される。だが私が言うているのは、この法律によって権限が生まれるから、お前らそれでいいではないかというような言い方を今言うているのじゃないか。そういう権限を与えることをよろしいとする、認める基礎的な立場を持つ、基礎的な法律はどこだ、こういう工合に質問している。それをこの法律によって権限ができる、こういうようなことでは何をか言わんや。これは民主主義でなくて、フアッショだ。そうでしょう。多数の力で何でも法律を作っていったら——憲法に抵触しようと基本法に抵触しようと何でもかまわずに法律を作ってどんどんやっている。それではおかしい。だからその法律を立案し、これを通過せしめて、新しい文部大臣の権限を付与するというか、作り出す。これでよろしいとする基礎の法律はどこだ、これを私は質問している。
  52. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 法律は全部平等でございますので、別にこの上に法律というものは私はないと思うのです。ですから結局これが妥当かどうかという問題になると思うのですが、たびたびお話ししましたように、この条文は高等学校教育に対する監督をしておるわけではないのです。高等学校教育そのものではなくして、技能者養成施設について、この中では相当低いものから程度の高いものまである。しかもこれが高等学校教育と認定できるというところに問題がある。施設、設備、教員組織、教育内容等について高等学校と同等以上だという認定をするわけです。これが全国的にばらばらになりますと、高等学校教育の低下を来たしますので、その上でこの維持と向上のために私どもは文部大臣が指定した方かより適当である、こういうふうに判断したからでございます。
  53. 西村力弥

    西村(力)委員 だいぶ戦闘的な御答弁になって参りましたが、そんな言い方をしたらこれはおかしい。法律に上下がないとか、基本も分脈もない、こういうようなことはおかしいではないか。今の内藤局長の言われることはちょっと許せない言葉ですよ。それでは私たち法律考えるときに、第一番に憲法に抵触するかいなかということを考えては悪いのか、また教育一般に関する法律考えるときに、教育基本法というものにこれは準ずるかどうかということ、そういうことを考えては悪いのか、そういう大宗から、根本からすべて生まれてそれに反しない限りにおいて法律は有効だというように持っていかなければおかしいではないですか、今の言葉は言い足りないならば言い足りないと言ってもらわなければならぬ。それは大へんなことに私どもは思うのです。だから私があなたは相当戦闘的な答弁になってきたというのはそこなんです。この法律が妥当である、合法的である、こういうような言い方をすれば、その基礎になる法律のどっかにそれを裏づける法律の条項がなければならない、あるいは他の法律と相反しない、そごしない証明がなされなければならぬですよ。これを私は先ほどから質問しておるが、一つも出てこない。法律には上下がない。この法律を作ればそれによって文部大臣の権限が出てくるじゃないかというような、俗的な言葉でいえばそういう言い方、それでは国会も何もありはしない。そういう言い方をすれば、民主主義ではない、暴力だというのです、フアッションだというのです。どうです。
  54. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 憲法はあらゆる法律の上にあります。ですから私は憲法のことを言っておるのではないので、この法律か他の法律の規制を受けるということはないと思う。この規定は現行法律と別に矛盾しておるとは私は思ってない。ですからこの法律によって権限が授与される、こう申し上げておるのであります。
  55. 西村力弥

    西村(力)委員 それではこれは地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第三章の教育委員会職務権限、第二十三条ですか、ここの第一号を見ますと、「教育委員会の所管に価する第三十条に規定する学校」これは高等学校も入るわけですね。「その他の教育機関の設置、管理及び廃止に関すること。」こういう法律が明らかに都道府県教育委員会職務権限として規定されておる。これに反しないかどうか。
  56. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 これに反しないと考えております。技能者養成施設は学校ではございませんので、この規定範囲外であると考えております。
  57. 西村力弥

    西村(力)委員 もちろん学校ではないのですが、これを学校教育の一環とするという場合における技能者養成のこちら側の対象としての姿は、やはり学校教育の一環と見なければならぬ。それは技能者養成という範疇における施設、それだけの観点から見た場合においてはそれは学校教育ではないわけですね。けれどもそこにおける実習とかそういうものを教科の一部履修するのですから、そういう観点から見た場合においては、その範囲内においては学校教育機関の一部というふうになってくる。技能者教育養成施設という立場から見たら、やはりそれだけのことだ。しかし今高等学校教育の一環としてそれを見る場合においては、それはやはり教育の施設ですよ。こういう工合にそういう対象としてながめなければ判定も何もできやしないじゃないですか。
  58. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 技能者養成施設は別に教育委員会の所管にも属しておりません。これは明瞭だと思います。ですからこの法律が必要なゆえんであります。この法律に基いて連携ができて初めて学校教育の一環となるわけでございます。ですからこの法律は矛盾していないわけであります。
  59. 西村力弥

    西村(力)委員 それはその通りですよ。所管はもっと別なものか持っている。それはその通りだ。それならば根本的にこういうやり方をはっきりやめたらいい。教育の機関と見て初めて教科の一部履修というものを認定することができるんですよ。そういう見方をしないで教科の一部履修という工合に見るわけにいかぬのですよ。そこで、高等学校教育同様及びそれに準ずる教育を行なっている機関であるという見方をしなければ、そんな認定はできないのだ。それならこういう計画は早くからやめたらいい。あなたが言うようなことを言ったら——そうしてもっと根本的に言えば、大企業におけるそういう養成施設は全部高等学校と同等の施設を持つように勧奨し、これを助成する。中小企業が共同でやるそういう技能者養成教育施設は高等学校と同等のレベルを持つものに仕立て上げるというところに一番いい解決がある。それで初めてできる。そんな便宜的な、こっちでやったのをこっちの教科に入れるとかでやっていたら、そんな糊塗するようなやり方よりも、どこの技能者養成施設でも全部高等学校の水準を持つという工合になるように助成し、勧めて、中小企業が日本の工業の実態であるから、それに共同でやる大きな施設を持たしてやるような方向をとれば、それで万事解決なんだ、こんなめんどうくさいことを言わなくても、そういう方向にいくのが一番正しい解決なんです。あなたが言うような工合に、それは職業訓練の施設であって、全然別個のものが管理しているのだから教育機関ではないのだ、こういうような言い方をすれば、そこでやられている教育を認定すること自体が自律背反的な行動じゃないか。そういう工合になるのですよ。明らかに自己矛盾です。そんなものは教育施設じゃない、しかしそこでやったものは教科の一部履修と見るのだ、教科の一部履修がそこで行われる限りにおいてはやっぱり高等学校教育の一環がそこにある。そこはその限りにおいては教育機関だ、こう受け取らなければ一部履修の認定はできないのだ。
  60. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 だから私もこれを教育機関でないとは申し上げてないのです。教育委員会の所管に属するかと言われたら所管に属しない教育機関だ、こう断ぜざるを得ないのです。
  61. 西村力弥

    西村(力)委員 委員長、はなはだくどいようですが御了承を願いたいと思うのです。今教育機関でないということは言わないと言われるが、そうするとまた先ほどの答弁がおかしくなってくるのです。そうして今度は教育機関であるんだ。——私がへ理屈を並べたことを認められたと思いますが、そうすると教育機関ではないんだと言う。しからば地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第二十三条の第一項はどうなっているかというと、教育機関の設置、管理及び廃止に関することというのは都道府県教育委員会職務権限としてこれは固有のものとして法定されておる。
  62. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 ですから私が最初から申し上げておりますように、都道府県教育委員会の所管に属する第三十条に規定する学校その他の教育機関の設置、廃止に該当しない。また都道府県教育委員会の所管に属する教育機関ではない。あなたの最初のお話で、私は教育機関であるということを否定しているのではない。都道府県教育委員会の所管に属する教育機関でないということを申し上げたので、私は答弁は食い違ってないと思います。
  63. 西村力弥

    西村(力)委員 あなたはそう言われますが、それはあなた方が行政の専門家でありますからあれこれと私たちにおっかぶせるような答弁をして、それで任務が完了したとは私は思わないのですよ。私たち法律ほんとうに適正であるかどうかという立場から審議しているのです。あなたの個人的な強引な答弁を聞こうと思ってやっているのではない。あなたたちがどんなに私たちをおどそうと、おっかぶせようと、私たちは、あなたたちの言う通りに、はい、そうですかと、すぐ聞くわけはない。事を分けてあなた方が行政の責任者としてほんとうのことを言ってもらわなければだめなんです。都道府県の教育委員会に属しない教育機関だと言うが、それじゃどこの教育機関ですか。第三十条に規定する学校というのは何です。それは別な学校ですか。内藤さん、私はあなたの答弁の態度に対しては不満ですよ。
  64. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 この教育機関というのは企業内の訓練でございますので企業内における教育機関です。都道府県の教育委員会の所管に属する教育機関でないということを申し上げたのです。
  65. 西村力弥

    西村(力)委員 その点はその通りだということを私は言っているんです。しかし高等学校の教科の一部を履修する、こういう場合におけるこちらのそれの見方というものは、やはり高等学校教育教育機関の一環として見なければならぬと思う。こんなものを全部なくして、教育をやる機関だ——そんなことはきまりきっている。そのままの姿以上に発展しなければそれでいいのです。高等学校の教科の一部の履修と認める機関ということになったのだから、どうしてもやはりこれは第三十条に規定する教育機関ということになる。
  66. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 それなら、西村委員お話なら別に新しい法律は要らないと思うのです。新しい法律は全然別系統なんです。その橋渡しをする法律なんです。ですから私は全然別個のものと考えておる。連携をはかるにすぎない。単位の履修の点だけが関連をしてくるだけなんです。
  67. 西村力弥

    西村(力)委員 連携をはかる場合において、今高等学校教育の教科の一部履修という工合に認定するのは主体はどちらですか。これは明らかに学校教育の振興上、青少年教育の振興上、定時制高校の教育の振興上、主体はこちら側におって、そうしてそういう工合に認定していくんですよ。そんならこっちに主体がない。高等学校にそういう目的意識を持たないで、ただ連携するんだ、こう言ったら、わしがこれだけ出します、はい、受け取りますと言う、教育機関ではこの子供はこれだけの学科の履修をしたんだから受け取って下さい、はい、受け取りましょう、これだけのことじゃないですか。連携だったらそんなものは教育とは言えません。これはこういう場合においては明らかに主体は高等学校にある。それを認定するんだから、認定することなく、わしの方はもらったものを授受するような工合に受け取るとするならば、全然別個の教育機関だ。向うではこれだけです。それで報告したものは、はいといって学籍簿に記入する、こういうことならばそれでよろしいかもしれない。これはそうじゃないんですよ。そうして最初言われたように、明らかにそのことによって高等学校教育の水準の低下というものを非常に警戒しなければならぬ、だから基準を作るときには厳正にしなければならぬ、こういう工合に私が要求したら、緒方局長はその通りだと言う。その通りです。それは大賛成です。厳重に警戒をしなければならぬと私は思うのです。だからその点をもう少し明瞭にしてもらわなければ、はっきり納得したとは絶対に言えないですよ。
  68. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 この教育は技能者養成施設が主体性を持っているわけです。ですから、その場合に一体何単位に相当するかどうかというようなことは学校側の認定の問題にかかってくるのです。学校側の方からああしろ、こうしろという指図はできないわけなんです。技能者養成施設は独立の機関です。その独立の機関の技能者養成施設の中でどの程度の単位に認定をするかということが今度学校側に課せられた任務です。ですから、学校の機関でしたら、学校教育内容はこうしろあるいは教師はこうしろといろいろ指図ができるわけなんです。それができないところに新しい法律を立法する必要があるわけです。ですから、教育とは全然別個だ、それをどう取り入れるかという程度の問題にかかってくると思う。それだけに認定は慎重にしなければならぬと思っております。
  69. 西村力弥

    西村(力)委員 私が幾ら質疑をやっても、立案者としての立場を固執せられるので、話はなかなかこれじゃケリがつかないと思う。それで一応休憩して理事会でも開いていただいて——この問題は何も私はいたずらに事を延ばそうとか、からもうとかしているわけではございません。ですから、この扱いについては、暫時休憩して、理事会を開いて御協議を願わなければならぬじゃないか、こう思うのです。
  70. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 西村さんにお願いしますが、ただいままでの御論議を私ずっと心を平らにして拝聴しておりましたが、問題の要点は、学校以外の技能教育施設における学習を高等学校の教科の履修とみなすことに関しまして、その学校以外の技能教育施設の指定を文部大臣がやるか、府県教育委員会がやるかということに関連しておるようでございます。それで、御理解に便ならしめるために、私一つの例をとって申しますと、たとえば山形県の中に比較的大きな工場がある、それで現在考えられておりますような三年程度の、年間一千時間くらいの技能教育施設がある、そうしてそこには高等学校卒業程度の教員がおる、相当しっかりした学校以外の技能教育施設があるという場合に、それを文部大臣が指定してもいいかということをきめまして、文部大臣が全国の均衡を見て、それを高等学校の教科の履修とみなす場合におきましては、その生徒さんはその学校以外の技能教育施設のみなされたる時間数と、定時制高等学校において学びましたる時間数、これは単位になっていましょうが、それを合せて一本でとにかく大学に入学する資格も取るわけでございます。そういう場合に、府県が、技能教育施設の認定の程度をかなり情実に流れたりして低くしたり、あるいは誤認したりしてもいけないと思いまするし、そうした関係で、ちょうどこれは昔の制度でいえばおわかりやすいと思いますが、専門学校入学者試験検定の場合に、個々の学校資格があるやいなやということを調べるときには、文部省で統一して専門学校入学者無試験検定の学校を指定していたわけでございます。それで、そうすることの意味は、山形県なら山形県で無試験検定の学校を卒業した者もこれは中学校を卒業したとして、これが今度は高等学校や専門学校に入れることになるわけでありますが、それを各府県で専検の検定を指定をさせました場合には、それが県によって標準が違いまして、相当な者をとったつもりで高等学校で入学を許可しますと、それだけの力がなかったというようなことになる。今回の場合も、ある技能者養成施設での履修が高等学校の履修と認められるわけでありますから、それが山形県であまり内容のよくない者があった場合に、他府県においてその生徒を採用する、また他府県でその生徒を卒業後学校に入れる場合、遠いところでございますと、実際力のなかった者を力のあるものと誤って認定することもあるわけでございます。すなわち取引の安全上文部大臣がその施設を指定することの方が、その生徒のためにもよし、また一般の取引の安全の上にもいい、そうして技能教育施設で授業を受けまして、その授業時数が高等学校の授業時数とみなされて、そうして卒業した者も普通の高等学校の授業時数を履修した者と同じだけの権威があるということになれば、全国至るところへ行って同じだけの権威があるということになりますれば、その生徒も非常に信用されて仕合せになるわけですから、そういう意味におきまして、こうした技能者養成施設、学校以外の技能教育施設の指定ですね、このみなす場合における指定は、何といいましても文部省の方で統一してやるのが穏当だろうと思いますし、従来の長い経験から見ましても、取引の安全ということから見ましてもいいことであり、生徒自身の幸福のためにもなると思うのでございます。そういう意味では御論議の重点が少し他にそれて——文部大臣が指定した方がいいか、府県の教育委員会が指定した方がいいかということに西村さんの最初の論議の中心があったように思うのですが、それから多少それていかれたので、本論にお戻りになりまして、加藤委員が述べたように、その方が取引の安全のためによりベターであり、生徒のためにもより幸福であるということを御理解いただくならば、ありがたいと思ってお願いしたわけであります。
  71. 西村力弥

    西村(力)委員 加藤委員には同郷のよしみで御教示を賜わりましたが、あなたが言われる戦前と戦後の教育を比較されるのはおかしいと思う。それかまず第一点。戦前は文部省がすみからすみまで掌握した教育だった。しかし新しい教育というのはそうでないことは私が申し上げるまでもないことなんです。それから今の御所論はやはり便宜主義以外にいささかも出ていない、私はそう思うのです。効果評価から申されるけれども、それは主観的なものです。文部省がやることがいいか悪いか、都道府県がやることがいいか悪いか、効果評価の問題で、これは主観的な問題だと思う。都道府県の教育委員会がやるとそれは文部省がやるよりも水準が落ちるという断定の仕方が、現在の教育の基本というものを全く無視した言い方です。それだったら教育委員会は全部やめてしまったらいい。そうしてあなたのおっしゃることは小学校設置基準、中学校設置基準、高等学校設置基準なんてきめて、全国的なアンバランスを防ごうとしている、そういうことが全部否定される考え方なんです。それは全国的な小学校の水準を保つために設置基準によってアンバランスを防ごうとするのです。だからその場合においては設置基準、指定基準というものをはっきりすることによってそのアンバランスは防ぎ得るはずでございますし、そこにとどまることこそ現在の教育行政の筋というものを明確にすることだと思う。それを便宜主義で新しく法律を作るのだからというような、そういう論陣を張られることが、大体戦前の例から引いて言われることこそおかしいのですが、これは同郷のよしみですからやめておきます。
  72. 坂田道太

    坂田委員長 それでは一つ政府のこれに対する統一した御説明を願いたいと思います。
  73. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 本条の場合、文部大臣が指定するのは高等学校自体を指定するのではなく、高等学校定時制課程と連携することが可能な技能教育施設を指定するものであって、連携をはかるかどうかについては高等学校ないし設置者が学校の事情に応じて適宜決定すべきものである。また連携をはかった場合において、技能教育施設における学習に対し範囲を認可するかどうかについては、学習の成果を満足に上げているかどうかについての校長の判定によるのであって、そこまで文部大臣が立ち入るわけではございません。
  74. 西村力弥

    西村(力)委員 今のこともやっぱり僕は同じだと思う。都道府県教育委員会がやったって、これは連携の可能なる施設をやはり都道府県教育委員会が指定するのですよ。それをはっきり連携してどの教科をどうということになれば、これは学校長が自分の教育原理に基いて、また実態を十分に調査してやることだろうと思う。だから今仰せられることは都道府県がやったって文部省がやったって、どちらにしたって同じことじゃないかと思う。これは職業教育と高等学校教育との連携を保つことの可能なる施設というふうにしまして、都道府県教育委員会でもこの学校とこの学校を結びつけるなんということまで指定はできませんよ。まあ今は大へんいいような法的解釈のように見えましたけれども、それは同じことです。ですからそれは理由になりません。
  75. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 先ほど来申しましたように、全国的な水準を維持したい、かような観点から、文部大臣の方がより適切であると判断したのでございます。
  76. 西村力弥

    西村(力)委員 そういう思い上った立場教育行政の系列にひびを入れていいのかということが、私の今質問している中心の考え方です。おれたちがやることはいいのだ、文部省の方がすべて正しいのだという考えかあなた方の心の中にどんどん出ているのだ。(「それだけの自信がなければいけない」と呼ぶ者あり)自信はいいのだ。自信はいいけれども、その自信は法律に忠実なる範囲内において、しかも法律に忠実なといえば教育条件の整備拡充というそのところにこそほんとうに行くべきが、あなた方の一番大事な仕事なんですからね。だからこの方がいいと思うからやるのだ、これだけで許される問題ではないと私は思う。これはどうしても私は納得できません。
  77. 坂田道太

    坂田委員長 ちょっと速記をとめて下さい。     〔速記中止〕
  78. 坂田道太

    坂田委員長 速記を始めて下さい。  質疑を続行いたします。先ほどの西村委員の質疑に対し、灘尾文部大臣の発言を許します。
  79. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 技能教育施設の指定につきまして、文部大臣が直接指定するよりも、都道府県の教育委員会が指定する方がよろしくはないか、こういう御趣旨の御質問が西村君からあったわけでございます。それに対しまして、政府委員の方からお答えを申し上げておった次第でございますが、この際私から政府の見解を申し上げたいと思います。  この問題に対する西村君の御意見も、確かに私は一つの御意見だと思いますが、ただ、政府といたしましては、御承知のようにこの技能者教育施設がその種類も非常に多く、また程度にもかなり段階があることでもございますし、設置地帯につきましても、公立あり私立あり、いろいろ分れておるような状態でありますので、これと高等学校と連携をはかるものにつきましては、地方で、何と申しますか、ばらばらになりますよりも、むしろ全国的視野に立って文部大臣が指定した方が適当ではないか、かような考えのもとに、今回立案をいたしたような次第であります。西村君の御意見も傾聴すべきものがあると考えますが、政府といたしましては、この御提案申し上げている行き方の方がより適当ではないか、かように考えておる次第でございますから、どうぞ一つ御了承願いたいと思うのであります。
  80. 西村力弥

    西村(力)委員 今の大臣お話ですと、まあその方が適当であるだろうという一つ文部省の政策的な立場からとられておるということになるわけですが、しかし私言葉の端をとらまえるのではないのですが、文部省が指定する方がいいではないかというお話をしたのではなくて、それがいずれが法律的に正しいかという論議をやってきたわけでありますから、その点は今後十分に解明されなければならないし、またいやしくも現在の戦後の教育が住民に対する直接の責任を負うという立場から、地方分権ということが大宗になっておるということ、この方針については文部省においても絶対に夢おろそかにしていただきたくはない、かような希望を強く持つのです。そこで私は了承したとは申し上げられませんけれども、一応こういう大臣見解もありまして、その点の論争については一応終止したいと思う。  それでは終止しますが、文部大臣がさような教育レベルの低下を憂えあるいはまた全国的な不均衡を阻止しようという気持がおありになる、そのことはいろいろな形に現われてこなければならぬじゃないか。施設を指定するという、そういうことでなく、そのほかについてもいろいろな形に現われなければならぬじゃないか。第一番目には職業教育の施設といいましても、これは本来的に経営者と労働者というものは不可避的な矛盾をはらんでおるものである、現状においてはその通りです。そういう面からくる経営者のいろいろな強引な圧迫や何かが労働者に加えられてくる。今の教科の履修という問題にしましても、なかなかいろいろな点にこういうことが現われてくるのではないかと私は心配されるのです。かって戦争中あるいは戦前なんかは、兵隊に行ってから青年学校の履修が悪いとこうなるからというおどしをもって、青年学校教育というものは強制的に押しつけられてきた。そうしないと兵隊に行ってから悪いとか何とかいうてやられましたが、そういう言い方をして職業教育をやる施設における教育者が、そういう意味から相当労働者を圧迫する。お前はここで相当がんばらなければ定時制高校の教科の履修の認定に有利なような申請をしないとかなんとか、そんな言い方をした圧迫やなんかも現われるのではないだろうか。こういう点であります。これは雇用主の無理解からそういうことが起きるのではないだろうかということを心配される。それからまたそういう無理解から定時制高校に行くことを相当時間的に制約したりする、そういう事態も起きてくるのではないだろうか。それに対して文部省としてはどういう責任ある規制の仕方をするか、こういう点が一つです。  それからほんとうはこの定時制高校で学習したその学習の一部を、職業教育をやる施設における学習の一部と向うに認めさせる、こっちが認めるのではなく、定時制高校で、工場の技能者養成施設でやったものを認めるのではなくて、逆にこちらの教育を向うに認めさせる、こういうような方向に行かせるような努力考えられないか。それよりももっと根本的にいえば、技能者養成の施設すべてが、高等学校教育とみなすことができる水準を持てるように、文部省、労働省提携してそれを推進するという国の方針、政策というものを打ち出すという方向考えはないか、そういうことなんです。  今私が言ったことはちょっと明瞭を欠くようですが、一つは企業の要求というものが、この定時制高校と技能者養成施設の提携という面において、非常な強さを持って、彼らの欲する方向にこれをゆがめてこようとするのをどうチェックするかという問題。それからもう一つは、そういう現状を救済するという策以上に、全面的にそういう勤労青年の教育というもの、技能者養成施設における、その場における教育自体が高等学校教育という工合に引き上げる方向というものを考えられないか。考えるとするならば、具体的にどういう工合にこれを持っていくか、そういう点については今いろいろな疑義を持ちながらも、指定するという方向に踏み切られる文部省立場から見ても、当然これは考えられるべきであろうと思う。その二点について大臣の所見を一つ承わりたい。
  81. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この改正案は申すまでもなく学校教育法の改正案であります。従って定時制高校本位にものを考えておるわけであります。ただ定時制高校に通学しておる諸君の負担を幾らかでも軽くしよう、便宜を幾らかでもはかっていこうというような意味合いにおきまして、技能者養成施設との連携をはかろということにあるわけでありますので、自然規定の仕方がこういうふうになっているということは御了承いただけると思うのであります。向うの立場に立って考えれば、またいろいろあろうかと思うのでありますが、本来技能者養成施設と定時制高校とは、やはり性格も違っておりますので、これが同じような形に進んでいくというわけにも参らぬかと思うのであります。ものによりますれば共通しておりまして、共通しておる部分についてはお互いにその点を認め合うということは、適当なことだと思うのでございますが、すべてがそういうふうにいくかというと、そうも参らぬ点があるかと思います。要はいずれにいたしましても、勤労青少年の教育を充実していくという意味におきましては、定時制高校の側におきましても、また技能者養成施設の側におきましても、十分なる考慮と努力を払って参らなければならぬ。この点につきましては私どももさように考える次第であります。
  82. 西村力弥

    西村(力)委員 私が言うのは、この要求はいろいろな面から出ているでしょうけれども、一番強く出ているのはやはり企業経営者の方からであろう。これはこの間の公述人に公述を求めた場合においても、日経連の代表である児玉氏といいましたか、あの人が相当強く、定時制高校において三日ですか、それから技能教育において三日くらいまでという、こういう言い方をしておるのです。そちらの方から強くきておる。それを受けてやられておる。そういう点からいいましても、企業の要求というものは、このやり方に相当強く影響を与えてきて、要求を強めてくるに違いないと私は思う。そうすれば学校教育本来の姿というものは相当ゆがめられてくる可能性を私ども考える。ですからそういう点からいうて、文部省がこの制度に踏み切られた、しかもこういう施設を大臣の責任において指定する、こういうところまでいかれたわけですが、学校本来の教育のあり方をゆがめないという立場に立って、企業要求というものが強引に押しかぶさってくるのを何とかこれを押えていくという御決意と方法というものを、ぜひ承わらねばならぬという工合考えておるわけです。それを強く要望しておきたいと思います。  それとともに定時制高校の心身過労を回復するために、こういう便宜的な方法をとられるとともに、今考えられている定時制高校の学校給食の現状はどうなっておるか。これだって同じ立場から、定時制高校の生徒が胃腸障害を起したりさまざまな身体上の影響を受けておるわけですね。そういう点からいうて、学校給食というものは、定時制高校においてはそれを救済する相当大事な仕事なんです。その実施状況はどうなっておるのです。それを拡充するにはどうするか。これもやはり同じ問題として、同じ目的を持つものとして、定時制高校生徒の身心過労を防ごうという同じ意味をもって、同時にこれも推進されなければならないと思う。これはどうですか。
  83. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 定時制高校の学校給食につきましては、国におきましてもこれの施設、設備に対する財政援助を行うとともに、給食の物資の配給等についてもいろいろ努力いたしておるところであります。
  84. 西村力弥

    西村(力)委員 それだけの答弁では、これは答弁という工合には言えないでしょう。大体内藤さん、もう少し真摯に答弁してもらわなければいかぬ。先ほどから私がちょっと大きい声を出したのはどこにあるかをあなたは考えなければならない。そんな答弁答弁になると思いますか。重大であるから努力しなければならぬと思います。これだけの答弁が、その責任ポストの局長答弁として許されるものかどうか。そういう答弁は私は受け取れません。
  85. 坂田道太

    坂田委員長 西村さん、ちょっと申し上げたいのですが、直接担当の局長が今ここに参っておりませんので……。
  86. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 全国で学校数で千八百十一校ございますが、完全給食をしている学校か百二十三校ございます。補足給食しているのが九十二校、計二百十五校が給食設備をしておられる。私どもとしてはこれに施設、設備の国の補助、同時に物資の配給について今後も努力を続けて、できるだけ定時制高等学校の生徒たちが、栄養の点において、あるいは修学の点において支障のないように努力を続けて参りたいと考えております。
  87. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは、その件に関する明年度の予算要求はどのくらいあるのですか。
  88. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 今日までの実績は、年間に大体施設、設備の補助として一千三百万程度補助しております。来年度の要求については今ちょっと数字を持ち合せておりませんので、後刻御連絡いたします。
  89. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは、委員各位に御迷惑をかけたようですが、その点は一応そのくらいにしまして、先ほど保留しておきました、教師本来の校務雑務という問題について……。  雑務に追いまくられている教師の実態というのは文部大臣においても認められると思うのです。そういう雑務校務のいずれが本来の職務内容であるかということまでもはっきり区分けすることができないような職務事情に教職員があるのです。しかしいずれにしましても、事務職員を充足してどんどんやっていけば、これは相当程度に解消するでしょう。けれども、それでもやっぱり本来の教育をつかさどる仕事範囲と、本来の方からはずれた雑務とのけじめはなかなかつかないではないだろうかと思うのです。文部大臣にお聞きしますが、地方公務員法にある職階制というものを実施できないという工合に今放置されておる。これはどういうわけで実施をなさらないのか。文部大臣は、法にあるからやると常におっしゃるが、しからば地方公務員法の第何条かにある職階制の実施をなぜやらないのか。今言ったような、校務雑務の区切りがつけられないというようなところからくるのか。職務の内容とか種類とか責任とかいうものがどうも判定しかねる、こういう点からやれないのか。なぜやらないかという事情を一つよくお話しいただいて、あなたの考え方を説明してもらいたい。
  90. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 地方公務員の職階制のお尋ねでございますが、国家公務員につきまして人事院がまだ職階制をしいておりませんので、国家公務員の例に準じて地方公務員の場合は措置したいと考えております。
  91. 西村力弥

    西村(力)委員 人事院においてもなかなかそれはむずかしいが、しかし級別定数とかその他のことを見ますと、ある程度職階制を実施しておるという工合に言えるのですね。ところが地方公務員においてはそういうことはできない、特に教職員に関しては職階制の実施はできないという事情にあるわけですね。だからそういう初歩的なものでさえも何ら手を打ち得ないというのですが、教職員に限ってそういうことはできないのか、やらないのか、そういうところを少し明確にしてもらわなければならぬのではないかと思います。
  92. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 国家公務員につきましても、明確な意味における職階制は日本でまだできていないわけでございます。職階的なものとして次官、局長、課長あるいは課長補佐というようなランクは設けております。同様な程度のことは教育公務員につきましても、校長教諭助教諭というようなランクを設けて、またそれに必要な給与体系をとっておるわけであります。完全な意味におきまして、国家公務員あるいは国立学校教員についての職階制は人事院がまだ明示しておりませんので、地方の教職員につきましてもまだ実施しておりません。いずれ人事院において国家公務員につきまして職階制を明示いたしまして、それに準じて地方公務員におきましても職階制について努力いたしたいと考えております。
  93. 西村力弥

    西村(力)委員 いろいろ問題を内在しておるものだから、職階制の実施はなかなかできない、こういうことですね。ところが常識的にいって、職階制というものが職務内容、責任というものを明確に規定して、その規定に照らして、その責任をいかように果しておるかという勤務評定というものがその次に出てくる。それが前提にない勤務評定というものは人物評価以外にないというように私たち考える。だからその点からいくと、今回の勤務評定を強行せられる文部大臣立場というものは、実に論理的におかしいではないか。また法的にも、一部法に規定されている職階制というものに対してはあまり積極的な努力をせずに、別の方の勤務評定についてだけ強く法にあるからというような態度をとられることは片手落ちである、こういう工合に私たち考える。法治国という思想は、言うまでもなく、専制君主に対して法律によって人民を守っていくという意味からいいかもしれないけれども、今に至ってはやはりもっと法治国という考え方を相当考えていかなければならぬ段階にきているのではないかということを考える。これは相当この問題から離れるようでありますか、ただ一つ、この間も十一月号の中央公論を見ますと、勤務評定の結果が愛媛県において調査せられておる。この内容を大臣はごらんになられましたか。
  94. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 まだ承知いたしません。
  95. 西村力弥

    西村(力)委員 勤務評定を実施した結果がいかような形に現われておるかということが出ておるのですが、「あなたの学校校長さんにつぎのようなことはありませんか。教委や権力者の顔色をうかがう二三・二%。校内をよく見回る二七・六%」これが最高なんです。こういう現われ方をしておる。それから「環境整理や「くもの巣」をみつけてのけるなど、かたちの上でとくに熱心である」というのが一六・二%、このような現われ方をしておる。あるいは「あなた自身、あなたの学校全体をふりかえってみて、子供の指導という面で」こういう質問に対して「形式的な週案や日案そのほか雑務の量が多くなり、生きた教材研究の余ゆうがない」というのが四二・八%、これが一番最高に現われてきておる。それから「教員の基本的権利が一つ一つもぎとられていると云う声があります。あなたがたの場合は、どうですか。」こういう質問に対して「年次有給休暇が、とりにくい」というのか二九・八%、「病気になっても休みにくい」というのが三二・〇%、「何となく身分について不安感がある。いつどこに転任させられるかわからない」というのが二九・ ○%、こういうような形に勤務評定の結果が現われてきている。そうして愛媛県においてはある地教委のいわく、この勤評に反対する組合活動に熱心な先生はとてもいい先生で、それを僻地に飛ばすのは全く困ったことだ。しかしよい先生が郡部に集まるのは皮肉なことだがうれしい、こんな述懐があります。こんなことがずっと書いてありますが、これは本格的な勤務評定を実施したあとの一番権威あるその影響調査であると思う。ですから今までも愛知県とか何かでやったとかいうことをいわれますが、その結果についての確信ある結論というのは文部省にはないのですか。こういう結果を必要ならば文部省自体において調べ上げて、そうしてこんな結果が出るとすれば、これはとんでもない教育のマイナスでありますので、その結果にもっと謙虚な気持で対処して勤務評定の強行ということをちょと待つという方向にいくべきである、こういう工合に私は考えておる。そういうことをあまりこだわりなく純粋に考えられて、日本の教育の将来を考えて、この際そういう立場をとられることを私は強く望みたい、こう思うのですが、文部大臣は今の私のお話をどう受け取られましたか、お考えを示していただきたいと思います。
  96. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 ただいまお述べになりました中央公論のなには私は見ておりませんので、何とも申し上げかねるのであります。またどういうふうな権威ある勤務評定というものを仰せになりましたか、それも何とも私は申し上げかねる。勤務評定の実施の結果ということにつきましては、私どももちろん関心を持つわけでございます。実施の結果につきましては十分検討するにやぶさかではございませんし、われわれのみならず地方の教育委員会におきましても、その実施の結果に徴して十分検討すべきものは検討すべきである、かような考え方をいたしておる次第でございます。今日の段階におきまして延ばすとか、延期するとかいうようなことについてのお尋ねにつきましては、しばしばお答え申し上げております通りに、私はこのまま進行してもらいたいと思っております。結果につきましては、われわれもまた地方の諸君も十分検討して、まずい点があればもちろん将来直していくということについては何らやぶさかではございません。
  97. 坂田道太

    坂田委員長 次に松前重義君。
  98. 松前重義

    松前委員 私は専科大学について少しお伺いしたいのであります。専科大学に対する御説明を私は聞いておりません。この委員会からちょっとほかに出かけておりましたので知りませんから、あるいはすでに説明された部分についても触れるかもしれませんが、その点は一つかんべんしていただきたいと思います。  専科大学というのは、その目的は大体短期の科学技術教育を目的としておられるのですか、それとも商科とか、経済とか、法科とか、こういうことも対象に置いておられるか、その点を承わりたいのです。
  99. 緒方信一

    緒方政府委員 専科大学の目的につきましては、今度の新しい法律に書いてあるわけでありますけれども、目的は職業ならびに実際生活に必要な能力を育成することを目的とするという規定をいたしております。ただ科学技術のみならず、今おっしゃいました商科そのほかの学科にもわたることでもございますし、さらにまた実際生活に必要な能力を育成するということでございますので、いわゆる女子教育の面もこれに包括していく、このような制度にいたしております。
  100. 松前重義

    松前委員 大体わかりましたが、専科大学の修業年限が大体二年ないし三年となっております。二年という短期間にしかるべき教育を授けてやるということは非常に困難である。三年になれば何とか一応ものになりはしないまでも、それに近づくことができるのではないかと思いますが、ことに商科とか経済というような方面はあるいは可能であるかもしれませんが、少くとも実業界、財界等から要求されてお作りになったらしいところのそういう要求というものは、大体科学技術系統の学術を授けてくれ、こういう要求であったろうと思うのであります。でありますならば、この二年なんかでできるはずはないのでありまして、この点はどういうふうにお考えになるか。
  101. 緒方信一

    緒方政府委員 確かに科学技術の教育を充実し、振興しなければならぬという要請がございました。それに応ずるという意味もこの中に含んでおります。またそのほかこの制度の考えられましたいきさつから申しますと、現在の短期大学の制度に対しまするいろいろな批判もあり、それからさらにこの短期大学が現在暫定的な制度として四年制大学に対しまする修業年限だけに関する特例だ、こういうことでございますので、それを、この際相当な短期大学の数もできております。今日その実態の上にこれを恒久的な制度にしたい、こういうねらいも実はあるわけであります。そこで短期大学制度を実体的にふまえましての改正でありますので、その専科大学の修業年限は二年または三年、こういうことに原則としてはいたしておるわけであります。  今お話のように特に科学技術の面につきましてはさらに充実した教育が必要だということでございますならば、その目的に応じますためには、その下に高等学校教育に相当しまする三年をくっつけまして、五年の一貫教育をすることができる、かような規定も設けておるのでございまして、必要な向きにおきましては前期三年、後期二年という五年一貫の専科大学を作りまして、それによりまして充実した教育をすることができるようにいたしておるわけでございます。
  102. 辻原弘市

    ○辻原委員 関連して……。大へん恐縮ですが、ちょっと今の点は非常に重要なことでございますから、御質問申し上げたいのでありますが、今松前さんからお話のありましたように、科学技術教育を施すには二年あるいは三年という考え方では不十分ではないか、こういう質問に対しての今のお答えの中に、そういう点をも考慮した一つのシステムとして特別の場合はその下に三年の前期を設けるようにできている、とこういうお話であります。そこで私どもはこの法案を見て、今までの審議の中でもまだはっきりいたしませんことは、前期三年というのはこの改正法律案では高等学校に準ずる教育規定しておりますが、高等学校に準ずる教育というものを、言葉の常識的な解釈でもっていたしました場合は、いわゆる学年進行は続いておるけれども、本来前期そのものの教育は高等学校教育なんだ、こういうふうにわれわれは理解すべきだと思うのです。あなたが今言ったように、科学技術教育というような一つの修業年限に関係して、それが高等学校とくっつけることによって普通の二年なり三年という場合とはかなり違った教科内容あるいはカリキュラムというものが組まれるということになれば、その前期の教育内容というものは、普通の高等学校とはやはりやや内容において異ってくるという印象を受けるのです。そこの点は一体どうなのか、高等学校に準ずる教育というのはどういうような教育か、それは本来の高等学校教育か、この点をもう少し明らかにしてもらいたいと思います。なぜそういうことを言うかといえば、これは今まででもそうでありますが、高等学校の指導要領等には、高等学校というのは高等学校それ自体でもって一種の完成教育だと明らかに規定しておる。そうした場合に前期もそれ自体高等学校に準ずるということであれば、それ自体において完成教育でなければならぬのではないか、こういうふうに考えられるわけです。さらにもっと具体的に言えば、その高等学校を出たことによって高等学校終了の卒業免状が与えられ、自由にそこからまたほかへも行けるというようなことも考えられなければ、いわゆる高等学校としての完成教育じゃないのじゃないかということにもなってくるわけであります。その場合の前期教育というものは、一般の高等学校と比較して一体どこに相違が生まれるのか。それは常識的に言う場合は、学校が一緒で同じところで教育をするのだからその妙味はある。こういうことは常識的に考えられる。それから同じような施設が活用される、これも確かであります。しかしそういうことではなしに、教育内容、教科編成、カリキュラムそのものにおいて一体違いがあるのがどうか、異った形においてそれをやろうとするのかどうか、この点を一つ明確にしてもらいたいと思うのです。  それをさらに明確にするためにはこの点を明らかにされなければ、私はやはり問題がはっきりしないと思う。それは私どもの聞くところによれば、短期大学の研究協議会ですか、ここの分科会等において、五年ないし六年の学年進行を持つ今後の短期大学の単位配当について、もうすでにかなりの検討が行われているということを聞いているわけです。現在の過程において結論が出ていなくとも、その過程で一体どういうような単位の取り方をそれぞれの前期一年、二年、三年にわたって配当しておるのか。それと比べて現在の高等学校の教科課程における時間配当、一般教養あるいは外国語、それから体育、その他の選択科目、こういうものの配列と比較した場合に、変らない内容のもとにおいて検討されておるのか、その点はかなり単位の取り方において変ってくる。もう一歩突っ込んでいえば、いわゆる前期三年の場合は一般教養、外国語、大体そういった普通高等学校の完成教育としてやる場合よりも、そういった部面が減って、そうして先ほどから松前さんが指摘いたしましたように、いわゆる本来の二年ないし三年を補うためのいわゆる技能教育、技術教育というもののいわゆる専門教科の時間をかなり多く配当しようという考え方であるのか、その時間配当の考え方によって私は前期三年というものの性格が定まってくる。その定まった性格と一般高等学校とを比較してみたら一体どういうことになるのか、この点は私は非常に重要な点だと思うので、一つ具体的はお話を願いたいと思います。
  103. 緒方信一

    緒方政府委員 お話の中の短期大学教育課程研究協議会でありますが、ここでどういうふうな研究をしているかという点でございますけれども、実際はいたしております。これは主として短期大学の関係者、そのほか学識経験者にお集まりいただきまして、そうしてこれを一貫教育とした場合にはいかように能率的な教育課程が組めるかという研究を実はいたしておるわけでございますけれども、しかしこれはまだ本格的なものじゃございませんで、まだ研究の段階でございますので、ここで時間の配当までにわたって申し上げることはちょっと差し控えさしていただきたいと存ずる次第でございます。この法律が成立しました上におきましては、五年制の専科大学の教育課程を正式に研究し検討したいと思っておるわけでございます。そこで御質問の前期教育内容は、これは高等学校教育に準ずると規定をいたしておりまして、これは高等学校教育そっくりそのままではございませんけれども、その専科大学の目的に応じまして、その進学のために必要な知識、技能を与える前期課程はそういうふうな法律の上でも規定をいたしておるわけでございまして、その専科大学の目的、性格に応じまして相当専門的な教科も高等学校の前期の段階に強くやっていけるのじゃないか、かように思う次第でございます。御承知のように現在の高等学校教育課程におきましてもいろいろと選択科目等の幅もございますので、たとえそういう幅の活用によりましても、その専科大学の本来の専門の目的に沿うような教育課程が前期の課程において組まれると考えるわけでございます。今お引きになりました、たとえば外国語等におきましては、むしろこれはふやしていけるじゃないかということを私ども考えております。それから体育あるいは一般教養等におきましてはこれを減少するという考え方はとられないのじゃないかと思います。それから専門教育を高めることができるだろう、基礎になる教育を深めることができるだろうということを申しましたのは、たとえば今の高等学校教育におきまして物理、化学、理科におきまして科目か御承知のように四つございますが、特に工学関係の専科大学でございますならば物理、化学というような面も前期の課程におきまして相当基礎知識を与えるという観点におきまして強化していくことができるのじゃないかと考える次第でございます。  繰り返して申し上げますが、高等学校教育に準ずる教育でございまして、高等学校そっくりそのままじゃございません。しかしその程度の段階の教育を与える、こういうことであります。ここを卒業しました者は後期の課程に進むことが原則になると存じます。しかしもしここを出まして一般の大学に進もうとする者、あるいはほかの専科大学に進もうとする者におきましては、それぞれの大学の方で高等学校卒業と大体同じような学力があると認めますならば、大学にもこれを入れることができると現在の建前もなっております。もしも例外的に志望の変更等によりまして一般大学に進むという者はその道が開かれる、かように考えております。
  104. 辻原弘市

    ○辻原委員 単位の点は、ちょっと私設置基準その他から拾ってみたのでありますが、現行の指導要領で、高等学校教育の場合に三十二時間から大体四十四時間が一般教育、それから外国語が三ないし十五、これは第一次の方です。第二次が二ないし四、体育が七ないし九、専門教科が三十時間、大体教育課程研究協議会で検討されているという一つの試案を私ども調べてみたのですが、それによりますと、一般教育は大体四十八、外国語が十四、体育が九、専門教科が三十四、こういうふうな単位になっているわけです。それを見ますと、これは最終案でありませんから、そのほかにまだ選択で動くと思いますから多少のあれはありましょうけれども、今の試案によれば大した差はないわけです。それを大した差をつけるということになれば、一つの問題は、今あなたの言われた通り、原則は後期に進むのだけれども、自由に大学に行ける道を開いておる、その意味において完成教育である高等学校教育に準ずる教育だ、こういうふうに、これは結局非常に中途半端なものになるわけですね。その点を私は非常に心配をするわけであります。前期教育が、大体教育研究協議会等で考えられているような構想で、そういった単位の取り方でいけば、これは大体今の指導要領の単位と大同小異だ。これは別の大学に進むというような場合には、これは準ずる教育で、完成教育だといっていいと思います。ところが、これをあとの後期の二年の技術教育に非常に結びつけて、大幅に専門教科をふやしていくという考え方に立つならば、一般大学への進学ということが非常に私は形の違ったものになっていくと思う。だから、その方向をどちらにウェートをかけられるかということは、この際私はやはり明瞭にあなたから答弁を得ておきたい、明瞭にしておく必要があると思います。
  105. 緒方信一

    緒方政府委員 これは法律規定にもございますように、前期の課程は後期の課程に進むために必要な知識、技能を与えるということが明瞭に書いてございますから、性格といたしましては、後期の課程に進む、いわゆる進学課程だ、かように考えてよかろうと思います。でございますので、私どもこれから十分検討いたしますけれども、十分進学課程としての目的を達し得るように教育内容も編成せられなければならぬと考えます。それからもう一つ、一貫教育をするための利点でございますが、これはただいまの御議論は前期の課程についてでございますけれども、これはずっと一貫して後期の課程に進みますと、後期の課程の内容がずっと専門化してくることができる、かように考えます。現在別個の一般四年制の大学にいたしましても、高等学校と別な学校制でもございますから、四年制大学に入ってくる者はいろいろな、あるいは工業高等学校とか、商業高等学校とか、あるいは普通課程——普通課程が多いのでございましょうが、いろいろな高等学校から入ってくるわけであります。そこでいろいろなレベルの教育課程の者がそこに入ってくるということになります。でございますので、たとえば法科の関係にいたしましても、もう一ぺん一般教育はもとよりでありますけれども一般教育は四年制の一番最初の段階で今各大学でもやっておりますが、一般教育もダブりますし、それからさらにまた専門教科にいたしましても、たとえば工業高等学校を出てきた者も普通課程を出てきた者と同じレベルから出発しなければならぬ、こういうふうなことがあるかと存じます。たとえば工業高等学校の者は製図を相当やっている、しかし普通課程の者は製図はやってこないということがございますから、そこのところの足並みが違っておりますから、その大学の専門教育も相当変ったものになる、しかし一貫して参りますれば、それがそろって教育ができますので、後期の課程における内容につきましては相当専門的に充実したものができるじゃないか、かように考えます。
  106. 辻原弘市

    ○辻原委員 もう一点だけ。そういたしますと、一貫教育ということは、この法律のあれでは原則にはなっていないわけですが、この間児玉公述人もその点を非常に強調されて、五年制一貫教育を本体とすべきであると述べているし、あなたも今一貫教育という形において妙味があると言われている、そうすると、私どもは原則が五年制にあるような印象を受ける。われわれは前期というものは、準ずるとはいえ、それ自体完成教育であるという理解に立っているわけです。それ自体完成教育である。その完成教育ということを一つ教育施設でもってうまく教育をしていく、一つ教育機関でうまく活用してやっていく完成教育というふうに理解しているわけです。従って制度的にはこれは前期と後期と一つのつながりがあるかというと、これは私は直接にはないと思う。ところが一貫教育を強調されますと、全体を通じてのカリキュラムの編成というようなことまであなたは考えられておるのかどうか。私は前期、後期という観念には全然立てないと思う。その点は一体どうなのか、もう一回明瞭にしておいてただきたい。
  107. 緒方信一

    緒方政府委員 それは一貫的なカリキュラムも考えなければならぬと思います。先ほど申しましたように、前期の課程は進学のための教育を与えるわけでありますから、高等学校程度の、それに準ずる教育ではございますが、しいていえば完成教育じゃない、進学のための教育だ、こういわなければならぬと思います。
  108. 松前重義

    松前委員 辻原委員の御質問でだいぶ明瞭になりましたけれども、実は新制大学の四年間の教育で、高等学校を出た者を収容して、四年間に科学技術教育を授けるということは、現在のところ非常に荷が重いんです。学生にとっても四年間でやるのには非常に荷が重いんです。それで学生はひまなんというものは全然ありませんし、青くなって勉強しなければいかぬ、こういうのが現状でございまして、これは私自身が体験しているところであります。もう一年くらいこれは延ばさないといかぬのじゃないかという感じがしている次第であります。過去における旧制大学と比べて、その程度が多少落ちていると一般に言われているのはそこにある。とにかく科学技術というものは、人間の歴史がだんだん積み重なっていくに従ってだんだん複雑化しまして、勉強しなくてはならぬことがだんだんふえていく、こういうのでありまして、またそこに到達しなければものになる人間はできない、こういうのでありまして、これを専科大学二年くらいでもって——まあ三年までと書いてありますけれども、私はこれはちょっと魔術でなければできないと思うのですが、どうでしょう。この点、できるとおっしゃるけれども、どうも実際上私はできないじゃないかと思っております。でなければ、朝の六時ごろから夜の十一時ごろまで教育すれば別問題でありますけれども、とにかく大へんなことだろうという感じがするんです。具体的にこれらの内容を伺わないとわからないですけれども、感じとしてはほとんど不可能じゃないかという感じがしますが、いかがですか。
  109. 緒方信一

    緒方政府委員 この技術者でございますが、一口に技術者と申しましても、いろいろのレベルの者を養成する必要があるのではないかということを考えるわけでございまして、四年制大学を出た者に期待するものと、それからもう一つ修業年限の短かい課程で育成いたしました技術者に期待するものと、これはいろいろ段階があっていいじゃないかと思います。現在高等学校にも工業高等学校あるいは農業高等学校、職業高等学校等があります。その学校を出まして初級技術者が養成されるわけでございますけれども、大学を出ました技術者と戦後の高等学校を出ました技能者と申しますか、その中間のものも、産業界の受け入れ側としましては相当要望かあるように私ども聞いておるわけであります。そこで二年では今おっしゃいますように四年の大学を出た技術者に期待するようなところまではいかぬかもわかりませんけれども、それ相当なものを養成するということでは意味があるのではないか。特に現在の短期大学の実態を見てみましても、非常に学科が分科いたしております。たとえば自動車の工業のための短期学科というのがございます。そういうふうな特に分科いたしましたものにつきましては、科学技術の新しい最高の学問をこれでもちろんできるというわけじゃございませんけれども、しかしそのための技能者というものを養成するためには、やはり現在の二年の短期大学でも相当な役割をしている、これを土台にいたしまして専科大学というものを作って、技能教育をそこで強化していきたい、かような考え方であります。
  110. 松前重義

    松前委員 先ほど来伺っておりますと、前期といいますか、高等学校の三年間というものと、大学の二年か三年、この二つに分けて考えられますけれども、これを二つ一緒にして、一つの高等学校と大学がくっついた専科大学と申しますか、これのくっついたもの、これで二年間は短かいから、何とか下の方で補いをつけよう、こういうお話がございました。そのお気持はよくわかりますけれども、これは過去における専門学校のようなおつものでこういう案をお出しになったのでありますか。
  111. 緒方信一

    緒方政府委員 ただいま私が申し上げました大学を出た段階のものと、それから高等学校を出た段階と、その中間のものという意味におきましてはさようなことに相なるかと思うのでありますが、旧制におきましても大学があり、また専門学校がありまして、そうしておのおの違った段階の技術者が出ておった、その意味におきましては、この五年制の特に技術に関します専科大学ができますならば、前の専門学校に類するような教育ができるのじゃないか。一貫教育によりますので相当内容も充実できるのじゃないか、かように考えております。
  112. 松前重義

    松前委員 そうすると何だか割り切れない気がします。というのは、昔の専門学校は五年間の中学を出て三年間教育を受けた。言いかえると小学校を出てから八年間教育を受けた。今度は小学校を出てからやはり八年間で、大体専門学校程度だというわけなんですね。けれども先ほど来お話がありました高等学校のところで問題になりますのは、ある程度予備教育を施して大学の方に入れる、こういうことです。ところが、他の一般の高等学校からもこの専科大学のあとの二年の課程には入れるのでございますか。
  113. 緒方信一

    緒方政府委員 これは原則といたしまして前期と後期と設けるわけでございますから、前期の課程を経た者が後期の課程に入る、これが原則だと存じます。(「原則として設けるのじゃないだろう。法律はそんなことになってない。原則じゃないですよ」と呼ぶ者あり)いや、そういうことじゃありません。前期の課程を経た者は原則として後期の課程に入る、そういうことを申し上げようと思ったわけです。それから今のお尋ねは普通の高等学校を出た者がそういう五年制の後期の課程に入れるかというお尋ねでございますけれども、これは実際には非常に入りにくいと思いますが、道は開いているということでございます。高等学校を出た者が後期の課程に入るということも、道は開いてございます。しかし実際には非常にむずかしいことでございます。
  114. 松前重義

    松前委員 そうすると専科大学は前期の高等学校課程の三年、それとあとの専門的な二年、これをくっつけたものそのものが専科大学であるとおっしゃるのですか、それであとの二年だけでは専科大学ではないとおっしゃるのですか、ちょっと伺いたい。
  115. 緒方信一

    緒方政府委員 それは両方くっつけたものが専科大学でございまして、前期の課程、後期の課程というふうに分けたのでございます。
  116. 松前重義

    松前委員 そうすると今度は文部行政として重要な問題は、現在の短大がございますね、短大というものは専科大学に切りかえさせようという御意図でございますか。
  117. 緒方信一

    緒方政府委員 これは現在正確に申し上げますと三十四年三月三十一日までに認可を受けた短期大学は当分の間そのまま存続することができる、こういう取扱いにいたしておるわけでございます。ただこの専科大学の趣旨は先ほど申し上げましたように、現在の短期大学の改善というところから出発しておりますし、短期大学の実態を基礎にいたしましてこういう制度を作っておるわけでございますので、漸次現存いたします短期大学も専科大学に転換するであろう、こういうふうに期待をいたしておるわけでございます。ただ今のお尋ねで、五年制の専科大学に転換するということは、これはそのままわれわれは考えておりません。専科大学というものは原則的には修業年限は二年または三年でございますから、現在の二年または三年の修業年限である短期大学がそのまま転換するとすれば二年または三年の専科大学になるということでございます。
  118. 松前重義

    松前委員 これは非常に重要な問題になりますね。何となれば現在短期大学をやっている学校はたくさんあります。その短期大学はまあ当分の間というお話ですけれども、いずれはこの専科大学に転換しなければならないように指導されるのでしょう。指導されるとするときは、当然これに前期といいますか、高等学校課程のところをくっつけなければならない。くっつけるには予算を伴い、いろんな点において問題が起ってくるので、この点についてはどういうお考えを持っておられますか。
  119. 緒方信一

    緒方政府委員 法文に即して申し上げますと、専科大学の修業年限は原則として二年または三年でございます。ただ必要がある場合、先ほど例にお引きになりましたような科学技術教育を十分しなければならぬというふうな必要のある場合には、五年または、六年の課程にすることができる、こういう制度にいたしております。五年または六年の課程にいたしました専科大学には前期の課程と後期の課程があるわけでございます。しかし原則といたしましては専科大学というものの修業年限は二年または三年でございます。(「御説明が違いますね、訂正ですか」と呼ぶ者あり)ちょっと私の申し上げ方が悪かったかもしれませんが、訂正ではございません。法文の立て方かそうでございます。
  120. 松前重義

    松前委員 そうするとさっき私が質問したのか問題になってくるのです。一般の高等学校からも入れるということになる二年の専科大学ができますね。そうすると一般の高等学校から募集しなければどこから募集しますか。すなわちプリエデュケーションというものはできない。それはどうなさるおつもりですか、たった二年間に、それで一体足りるのかどうか。
  121. 緒方信一

    緒方政府委員 私先ほどあるいは御質問を取り違えてお答えしたかもわかりません。その二年または三年の普通の専科大学に対しまする入学は、普通の高等学校からもちろん入れます。普通の高等学校からも、あるいは工業高等学校、その他商業高等学校からも入れるわけであります。  そこで今のお尋ねは二年間で充実した科学技術教育ができるかというお話でございますけれども、それはやはり先ほど御説明いたしましたように、その程度の中級の段階の技術教育は、特に専科大学は学科も相当専門化しますので、その程度のものは養成できるだろうという考え方になっております。
  122. 松前重義

    松前委員 どうもだんだんむずかしそうな点が出て参りました。と申しますのは、先ほどは前期三年である程度大学の予備教育をやるから、あとの二年で大体よろしいというお話があったのでありますが、今度は二年だけでも十分だ——どっちがほんとうでしょうね。そこのところを一つ
  123. 緒方信一

    緒方政府委員 終業年限二年または三年の専科大学は、一番最初にお尋ねがありましたように、技術教育だけを目的としているわけではございませんで、相当幅が広いわけでございます。技術教育も含み得るわけでございますが、さらにお尋ねがありましたような商業関係とか、あるいは法律関係とか、あるいは女子教育、こういうものも専科大学の目的として取り入れておるわけでございます。ただ特に必要があるものについては五年の制度にすることができる、従いまして相当高い程度の科学技術教育、中級の科学技術者を養成しようという必要があるならば、高等学校教育と一貫します五年の制度を立てることができる、こういう制度でございます。
  124. 松前重義

    松前委員 しからば特殊なものについては五年ないし六年の専科大学を作る、こういう話ですね。特殊なものとは何でしょう。科学技術教育をさされるのですか、あるいはその他のものもさされるのですか、具体的に説明していただきたい。
  125. 緒方信一

    緒方政府委員 これはいろいろなものができていいと思います。たとえば科学技術教育のごときはまさに適当ではなかろうかと存じます。そのほかの教育におきましても五年間の一貫教育で充実した教育をして、充実した学力の卒業者を出したいというものはこれをいたしてもよろしいかと思います。特に今関係者の間で研究されておりますことは、やはり力を漸次積み上げていくような教育、たとえば芸能教育、音楽教育等につきましてもこの一貫教育が適当ではなかろうか、こういうふうなことをいわれております。
  126. 辻原弘市

    ○辻原委員 関連して。どうも今の点は、私は局長の御答弁の中で一貫教育の五年制というのがどうも中核になっているような印象を受けていたし方ないのです。はなはだ失礼ながら、法律と御説明がどうも合わないような印象を受ける。それはどういうことかというと、今お答えになった趣旨からいいますと、それを裏を返してみるとこういうことになるのじゃないかと思う。もしそうであるとすればはっきりそうであるというふうにおっしゃっていただきたいと思います。というのは、前期三年をやることによって、結局統一した五年なら五年、六年なら六年の間でやるところに、いわゆる科学技術教育の中級者を養成できるという妙味があるのだ、ところが法律は二年ないし三年をもって原則とし、それに目的をかぶせている、そうすると、あなたとしてもいや二年でもできますという答弁をしなければならない。今お話のように二年でもやれる、ところが二年ではいかにも少いじゃないかということに対して先ほどの答弁では、若干少いから前期で補助する、こういう一連の御答弁から察すると、あなたの頭なり、この法律を作ってこれから生まれる専科大学の構想、短期大学との関係というものはこういうふうになるのじゃないかと私は想像するのです。それはいわゆる科学技術、特に理工科に関する部分については、五年制をもってそれを一つの短期大学とする、その他——あなたは先ほどこの法律は非常に多岐にわたっておってそればかりじゃないと言われましたね。そればかりじゃないということは、たとえば芸術に関するような、そういった二年ないし三年の短期大学が現在あるわけです。その他花嫁学校に類するものもある。そういうたくさんバラエティに富んだ現在の短期大学からこれを五年制に移しかえる場合には、極端にいえば科学技術、理工科に関するものであって、その他のものは二年くらいでよろしいのだという考え方ではないか。はっきり申せば私はそういうふうに受け取ったのです。それならばそれで理屈は一つの筋が通ると思います。しかし法律上の筋は通りにくい。法律上の筋は何かといえば、書き方はたびたび申し上げるように、「二年又は三年とし、あわせて高等学校に準ずる教育を施す必要があるときは、」云々となっているわけですからね。原則はあくまで二年ないし三年でもって、七十条の二の「専科大学は、深く専門の学芸を教授研究し、必要があるときはあわせて高等学校に準ずる教育を施し、職業又は実際生活に必要な能力を育成することを目的とする。」いわゆる養成することができると、こういうふうにロジックを合せているわけです。だから目的がそこにある。制度の本質が二年ないし三年でもってということになれば、これは二年で科学技術教育はやれないのだということじゃなしに、やれるのだという前提に立っておるわけです。そうすると何がしか私はあなたの御答弁を先ほど来聞いておると、どうもそれで非常に迷う。しかし目的は、一応そういうような経過があるが、率直にいえば、今ある短期大学の中で将来これを指導によって移しかえるのだ、その場合に理工科に属する部面は、これは私立の場合もできるだけ指導をして前三年をそれにつける、そうして五年制あるいは六年制を作る、その他女子に関するような一般教養、そういう花嫁学校その他技芸に関するようなものは二年くらいで置いておこう、こういうふうな考え方が実際の考え方ではないかと私は勘ぐっておるわけです。それは率直にいって一体どうなのか。そうなるとまた一つの疑問は、こういうことになるのです。それならば現在の短期大学の中で法律上、制度上みなし得るものは専科大学にみなす、みなし得ないものは短期大学として存続しておっていいのじゃないか、こういう議論になる。それをなぜ法律はこの制度を考え方としてなしにしようという前提に立っておるかというところに問題がある。それらの点のロジックはどうも合いかねる点があると思う。そこの点を率直に——これはやがてこれによって作っていかれるから、だから実態と合うような法律でなければならぬと思う。その点の本音をはっきり一つおっしゃっておいていただきたい。すでに各地でも設置運動が起っておるやさきですから、一つ学校を作るときに、将来についての構想がはっきりしない法律じゃ困るので、その点はやはり明瞭にしておく必要があると私は思う。
  127. 緒方信一

    緒方政府委員 私、最初松前委員の御質問につきまして、科学技術の話が最初に出ましたので、全体の構想はすでに私も十分自分ではわかっておるものでございますから、その点だけを先に御説明しましたものですから、ちょっとこんがらがったような感じを与えましたけれども、はっきり申しまして、今お話の通り、修業年限は二年または三年が原則でございます。そうしてこれは科学技術から女子教育までを全部含んでおります。現在短期大学におきましても工業関係等がございます。工業関係とかあるいは男子教育の分につきましては、経済もありますし、法科の短期大学もあります。そういうものを全部含んで二年または三年の専科大学を考えておるわけです。そこでその工業につきまして、特に二年で足らぬじゃないかというようなお話もございましたけれども、しかし現在の短期大学におきましても、先ほど私が例を引きましたように、全体的に相当分科をいたしておりまして、たとえば特に自動車なら自動車という関係の学科が置かれております。そういうものにつきましては専科大学としましても二年の課程で相当教育かできるのではないか、こういうふうに申し上げておるわけでございます。特に必要なものにつきましては特別な制度ができる、特に必要なものということは今お話の通りであります。原則はあくまで二年または三年、これはもうはっきり始めから申し上げておるつもりであります。
  128. 松前重義

    松前委員 少しあいまいな点はやはり残ります。残りますけれどもあまり申し上げません。しかし一言だけ伺いたいのは、二年と三年、これはあと一年の差というものは教育期間としては大へんな差なんです。この二年と三年というのをなぜお分けになったか、たとえば私が例を申しますれば、高等学校とくっついた大学ならば二年でよろしい、すなわち前に高等学校的なところであらかじめ教育をするから、こういうことも一応言える。単独のやつならば三年、これは特に科学技術の場合ですよ。これは大体科学技術を中心にしておそらくこういう問題が出てきたのだろうと思うから、私はお伺いするのです。そういうお考えであるか、この辺のところを二つ、正直なところを伺いたい。
  129. 緒方信一

    緒方政府委員 この二年または三年と申しますのは、どういうものが二年でどういうものが三年という予定をしておるわけではございません。全く二年または三年というそのものの規定でございます。現在の短期大学も二年または三年という規定になっております。三年のものは実態としては少うございます。これはまた旧制に例を引きますと、旧制の専門学校も三年以上となっておりまして、御承知のようにこれは四年の修業年限のものもございました。そういうふうなことでございまして、二年または三年というのは別にこれこれのものをという予定をしたものではございません。これは適当に設置者の方できめ得るものと考えております。
  130. 松前重義

    松前委員 この問題はこの程度にいたしましょう。  その次にお伺いしたいのは、三年という専科大学になりますと、新制大学に行くのもたった一年の差です。どうもそこに何だか不必要な中途半端なものが現在の一連の教育体系の中に入ってきたような感じがしているわけです。ほんとうにあとたった一年です。その一年のところでいわゆる学士さんになれるかなれないかの境ということになるので、その辺のところはどういうふうにお考えですか。
  131. 緒方信一

    緒方政府委員 これはただいま申し上げましたように、現在の短期大学を基礎にしましてこの制度を考えましたので、現在の短期大学の修業年限が二年または三年になっておりますので、専科大学につきましてもさように考えたわけであります。ただ一年の違いでありましても、学校の目的というものは違う。今お話のように四年制の大学は五十二条のものでありますし、この専科大学は三年のものでございましても、職業教育、実際教育の機関だ、ここではっきり分れておると思います。
  132. 松前重義

    松前委員 時間がたちますから一応伺って、あとで二、三の点を御質問したいと思います。  その次に伺いたいのは、専科大学というのは総合大学の中に設置されるものであるか、それとも総合大学外に単独な学校として設立されるのか、私学ならば学校法人として設立されるのか、この点を伺いたい。
  133. 緒方信一

    緒方政府委員 これは学校制度としては独立な制度を考えているわけでございますけれども、現在国立の大学におきまして短期大学を併設をいたしております。そのような形も取り得るということと存じます。
  134. 松前重義

    松前委員 その場合にこの専科大学を卒業した卒業生は、新制大学に入る権利かありますか。
  135. 緒方信一

    緒方政府委員 これは五十五条の二という新しい条文を作っておりまして、この専科大学を卒業した者が四年制の大学に入ります場合には、監督庁の定めるところでその修業年限を通算をすることができる、こういう規定を作つております。その入る方の大学におきましてそれを認める場合に入ることができるという規定を作っております。
  136. 松前重義

    松前委員 もっともこの専科大学に入る人は、新制大学に進学しようと思って入る人は初めはいないでしょう。けれども、あとにおいてこれが出る可能性がある。そうして行く道は与えられておっても、その道はふさがれてなかなか入れないでいる過去の事実があります。その点から見ても、私はこの専科大学の卒業生はおそらく新制大学に入れないだろう、道がふさかれるだろうと思う。この点は非常に重大です。私は実は昔の専門学校、今でいえば専科大学かもしれぬけれども、家が貧乏だったから行けなくて、専門学校の卒業生です。それで私は東北大学を受けるときは、傍系ですから、高等学校の人は無試験で入るが、われわれはむちゃくちゃにむずかしい試験を受けなければならなかった。今東大の学長の茅誠司君も専門学校を出たものだから、東北大学へやはり同じようにして無理やりに入った。幸いにして東北大学には沢柳政太郎という最も民主的な学長がおられたものだから、専門学校からも入れてくれたのですね。元文部次官だった人です。そういうことでありまして、これは進学の道がほんとうに民主的に開かれなければ、これに入る人もなかなか優秀な人は来ないのじゃないかという感じがするのですが、その点はどういうお見通しですか。
  137. 緒方信一

    緒方政府委員 これは現在の短期大学から四年制大学に進む場合にも大体同じようなことでございまして、規定は同じ規定を作っております。そこで実際は短期大学卒業者の一割くらいが進学をいたしております。その進学の仕方はやはり入る学校の方の認定によりまして、短期大学の修業年限をそのままそっくりとっているところもありますし、その二年間を二年間に計算しないところもあります。もっと下の方に入れているところもあります。これはやはり入る方の大学がきめるということにならざるを得ないと思います。今のお話でございますけれども、現在大学の入学資格は高等学校卒業でございますが、高等学校の中で職業高等学校を出た者、これは実際はなかなか入りにくいのです。しかしこれは道は開けておる。しかしたとえば工業高等学校を出て四年制大学に入る場合にはやはり相当自分が努力しなければならぬという実情かあると思います。この点は私はやむを得ないことだと存じます。専科大学というものはこれで完成教育として学校制度を作るわけでございますので、その上にさらに進むという者は、その個人の努力をそれに加えなければならぬ、これはやむを得ないことだと存じております。
  138. 松前重義

    松前委員 この点には一つ問題があると私は思います。まだたくさありますが、これ以上申しません。これはたとえば専科大学を私学が設置しようという場合を考えるとき、現在では文部省に大学設置審議会というのがございますね、あそこで委員を選んでいろいろ審議なさる。これも同じようにその大学設置審議会によって、その答申を中心にして文部省としてはしかるべく認可なり何なりをなさるのですか。
  139. 緒方信一

    緒方政府委員 そのような規定にいたしております。
  140. 松前重義

    松前委員 この学長なる人は大学教授の互選によるのですか、それとも任命になりますか。
  141. 緒方信一

    緒方政府委員 これは現在の大学と同じ規定を準用いたしております。この関係法律の整理の法律を作っておりまして、教育公務員特例法の改正をいたしまして、専科大学に大学の教員の選考、任命、これと同じ方式を適用いたしております。
  142. 松前重義

    松前委員 専科大学と申しましても高等学校部といわゆる大学部と二つつながっておりますから、その高等学校部に対してはどういう考えですか。
  143. 緒方信一

    緒方政府委員 これは現在の国立の高等学校等と同じ任命の方式をとっております。
  144. 松前重義

    松前委員 もしそうであるならば、先ほど来西村さんが問題にしておりました、いわゆる教育委員会文部省関係はやっぱり問題に残りますね。
  145. 緒方信一

    緒方政府委員 公立につきましては、所管は都道府県知事にいたしております。
  146. 松前重義

    松前委員 国立の場合はどうなりますか。
  147. 緒方信一

    緒方政府委員 国立の前期の課程の教員の任命につきましては、これは文部大臣でございます。公立の場合は府県知事でございます。私立の場合は、これは私立学校でございますから、学校法人の任命でございます。これは普遍の私立学校の原則でございます。
  148. 松前重義

    松前委員 任命の問題ではなくて、監督指導はどこが当るのですか。
  149. 緒方信一

    緒方政府委員 これは大学と同じように文部大臣が所轄をいたします。それから設置、廃止につきましては文部大臣の認可を必要とする、これは大学と同じ規定であります。
  150. 松前重義

    松前委員 その次には通信教育の定時制課程、技能教育についてはだいぶ先ほど論議がありましたか、この技能教育の認定問題はやっぱり非常に大事だと思うのですが、何か文部省がこれを認定するというお話のようですね。そうなれば、いろいろな種類の技能教育があります。そのいろいろな種類の技能教育に対して何か具体的な、たとえば大学設置に関しては大学設置審議会があって、そこに一応諮問して、その答申に応じて認可するとか、いろいろやっておられる。そういうふうな民主的な考え方をお持ちであるかどうかを伺いたいと思います。
  151. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 認定につきましては、基準を政令できめて参りたい。個々の認定につきましては、都道府県の教育委員会あるいは労働省の意見を十分聞いて、文部大臣の責任において認定したいと考えております。
  152. 松前重義

    松前委員 都道府県のあれを聞いてどうのこうのという話がありましたが、私が承わっておるのは、いろいろな専門課程に分れますから、その分化されたその内容について一々文部省さんが御存じのはずはないのです。それは御存じあるかもしれません。お一人で十分の知識をお持ちであるかもしれません。けれども、大体ありませんね。だからして、それはやっぱり専門家の集まったそういう審議会のようなものを作っておやりになるのか、また教育委員会は同じようにその地方におけるそのような専門家を集めて、そこで審議さしておやりになるのか、この認定の問題は非常に大事な問題です。だから、その辺のところをどちらにすべしということを私は今質問しているのではないのです。教育委員会でやるべし、文部省でやるべしという問題は、先ほどの議論で済んでおりますから、私は、この問題は一体どうやってこの具体的な行政指導をしていかれようとしているのか、これを伺いたい。
  153. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 今お尋ねの点は、高等学校と同程度だという認定の問題でありますので、お話のように技能者養成施設そのものは程度も違いますし、種類も違いまして、千差万別でございますけれども、その中で高等学校程度あるいはこれと同程度以上という認定をできるのは、これは教育内容の面、あるいは教員組織の面、あるいは施設設備の面、こういう点が重点でありますので、審議会を開かなくても、都道府県の教育委員会あるいは労働大臣の御意見を伺って指定できるものと考えております。
  154. 松前重義

    松前委員 それは私は非常に大へんなことだと思う。大学は設置審議会を作って非常に厳密におやりになっておる。これは非常にけっこうだと思いますけれども、この技能者教育の面は非常に千差万別なんですね。たとえば工場内でやっておるのを適当にごまかしてやっておっても、形式さえそろっておればそれでよろしいのかどうか。その具体的な問題については、非常に困難な問題だと思っております。先ほど来問題になっておるのは、私は当然だと思います。これに対して簡単にちょっと見ればわかるとおっしゃるけれども、それはそう簡単なものではありませんよ。その辺のところについて、ただその担当者の適当な認定でもってやるというようなことは、危険千万だと実は思うのです。非常な不公平が行われます。非常なお手盛りが行われます。これはきまっています。その辺に対して文部大臣はどういうふうにお考えか。
  155. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この指定はもちろん慎重にやらなければならないということは当然のことだと思います。ただいま局長がお答え申し上げましたような考え方をいたしておるわけでありますが、ただちょっと見て指定するというふうな簡単なものではないことはよくわかるのであります。十分慎重にやらなくちゃならぬと考えております。
  156. 松前重義

    松前委員 それは慎重過ぎた御答弁で困るのですが、もう少し具体的に伺いたいと思います。
  157. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 高等学校につきましては高等学校の設置基準がございますので、その基準は詳細に規定されておるわけであります。これを一方的に認定するわけでございませんので、その高等学校の設置基準に合せまして、政令によって同程度以上という指定する場合の基準を作るわけでございます。ですから、その基準に当てはめまして、これが適当であるかどうかということを慎重に審議して決定するわけでございます。その際、私どもとしては教育委員会、知事あるいは労働省の御意見も十分承わりまして、その基準の適用については慎重に考慮したいと考えております。
  158. 松前重義

    松前委員 大学も大学設置基準があります。高等学校もあるでしょう。しかしきめるときには民主的におきめなさい、私はこう言っているのです。それは民主的にきめる必要はありません、基準がありますからというのでは、これは当らないと思う。これは大臣どうでしょう。
  159. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 大学との関係を申しますが、大学は設置審議会がございます。しかし、高等学校については設置者か文部省の基準に従ってきめているわけでございまして、別に審議会等を設けておりませんので、それに準じたいと考えております。
  160. 松前重義

    松前委員 こういうふうなどっちにでもとれる、適当に何かあそこで技能者教育をやっておる、あるいは一体これは基準に合うのか合わぬのかという問題につきましては、これは大学設置基準よりももっと実はむずかしいと思うのです。これほどむずかしいものはありません。これはずいぶんお手盛りが行われますよ。だからこれにはよほど注意なさらなくちゃ私はいかぬと思うのだが、大臣は慎重にやりますと言われたが、あなたのお返事はちっとも慎重じゃない。一ついかがですか、これは非常に大事なことですよ。
  161. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 大臣の仰せの通り慎重にやります。
  162. 松前重義

    松前委員 そこで今度は総合的に最後にけじめをつけたいと思うのですが、これは大臣にお尋ねしたい。先ほどの質疑応答を聞いておりますと、専科大学二年ないし三年というものは、その前に三年間の高等学校的な課程をくっつけたものと二種類ある。その二種類ある中で、答弁の中から的確につかめなかったのですれども、大体想像されるところでは、むずかしい学問で年限が二年なら二年では多少不足だと思われるものは、高等学校的なところからだんだん予備教育をやってやろうというようなおつもりじゃないだろうかというふうに推察をされた。けれども先ほど来質問しましたように、二年なら二年の専科大学というものは単独にも存在し得る、下の方に高等学校課程がくっつかぬでも存在し得るというならば、これにも今度は一般の高等学校から入ってくる、それでこれも二年でがまんして何とか仕上げますというお話なんです。ところがこれで足らぬから今度は下の方にくっつけてそういうむずかしい学問はやる、こういうふうなことで、どうもどっちがほんとうかわからぬようなあいまいな結論がここに出ております。それに対しまして、この専科大学というものがもう少し明確な目的と明確な教育方針をもって打ち出されなければならないという感じがしたのでありますが、これらのあいまいな点についてはどういうふうな感じをもってこれをやられるか、何かもっと足りない部分がある、もっと基本方針においては足りない部分があるというようなお感じをお持ちになったかどうか、これを伺いたいと思います。
  163. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 今回の専科大学の構想は現在の短期大学を基礎としまして、それから出発して考えましたもので、従来の短期大学は御承知のように法律五十二条の目的のもとに二年、三年の教育をやるというふうになっておる。実際問題からいいますと、設置基準等においてかなりそれをしぼっておるように思うのでありますけれども、そういうふうな状態になっておるのでございまして、今回の専科大学案におきましては従来の四年制大学の目的通りでなくして、違った目的を書いたつもりであります。従いまして、大学の性格というものははっきりしてきた、かように私は考える次第であります。  それから二年あるいは三年の課程だけの専科大学と、先ほど来お話のありましたように、前期をくっつけた専科大学、この両方の考え方が出てきておるわけでございますが、一般的に申し上げますれば、二年ないし三年の専科大学を中心にこの法律はできておるわけでありますが、二年ないし三年の専科大学だけとするよりも、さらに三年の前期をくっつけた方がよりよろしいというか、そういう必要があるというふうなものについてはこれもできる、こういう形になっているわけでございます。今どういう種類の学科については五年ないし六年制にするかというふうなことをはっきりきめているわけでもなんでもございませんので、必要に応じましてはそういう格好の形態をとってもよろしい、こういうふうな形で作っているわけでございます。別段特にこうというふうな意図を持っての規定ではございません。
  164. 松前重義

    松前委員 これは実業界等からいろいろの要望があってということをここに書いてありますけれども、その要望の原因となるところは、現在日本における工業高等学校あるいはまた実業高等学校が非常に少い、一般高等学校ばかりであって、ほとんどわずかしか各県にない。これでいわゆる前線の技術者を得るのに非常に困難をしているということが相当な声として聞えて参った。それから第二は、新制大学にしても卒業生の数が、ことに科学技術系統は非常に少い、この点で各社とも、ことに中小企業は非常に困っております。採用しようと思っても来手がない、こういう状況にある。だからして少くともこういういずれかの方法によって技術者を獲得したいという教育が今行われている。最近は特に行われております。こういう状況にある。これに対してこたえるのに、この専科大学をもってする前に、私は工業高等学校の思い切った増設、最近少しおやりになっているようですけれども、あのぐらいではまだ足らぬ、それのもう少し思い切った増設、それから理工科系統の大学の学生の数を思い切ってうんとふやす、こういう点が第一義ではないだろうか、それには今度短大を専科大学となされるときに、ここにまた高等学校的な三年課程をくっつけるということの相当の予算措置も要るのであります。そんな予算を使うぐらいならば、今までのやつをもう少し増強したらどうかという感じを持つのですか、それに対しては大臣はどういうふうなお考えを持っておりますか。
  165. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私はそのどれも必要だと考える。工業高等学校の増設もけっこうだと思います。また現在の大学の内容をさらに拡充いたしまして、養成人員をふやしていくことも必要なことだと思います。同時にまた、今回の専科大学案によりまして、いわゆる中級技術者を養成するという方面にさらに一歩を進めていくということも同時に必要なことではないか、いずれもあわせて考えなければならぬ問題でございます。松前君の御期待通りにはなかなかいかないし、われわれもまた希望する通りになかなかいかないのでやきもきしておりますけれども方向といたしましては、どれも考えていくことが一番大事なことではないかと考えております。
  166. 松前重義

    松前委員 もうこれ以上質問いたしませんが、とにかくこれは自然科学の卒業生が足りないというところから出てきていると思います。それを専科大学に結びつけて、短大の行方を一つ決定しようというおつもりかもしれません。しかし私が非常に心配するのは、現在でも短大の卒業生諸君はなかなか就職か困難でありまして、この点はせっかく専科大学をお作りになりましても、これは特殊な自動車なら自動車だけの専科大学なら別問題といたしまして、今までのような行き方による短大的なものを作るとするならば、やはり同じような悩みが、この卒業生諸君に生涯こびりついてくるだろうと実は思っております。そういう点で、この法案に対して私は相当な疑問を持ってこれを拝見しているのであります。とにかくこういう法案が提出された暁において、短大をどうするかという基本的な問題、短大の下に高等学校をつけなければならないかどうか、こういう基本的な問題、これに伴う予算措置、こういう問題についても少し伺いたいと思いましたけれども、きょうは時間もないようでありますから伺いません。もしお答えできるならば一つ予算措置についてお答えいただきたいと思います。
  167. 緒方信一

    緒方政府委員 これは国立のものにつきましてはそれぞれ考えているわけでございます。必要の範囲におきまして国立につきましては十分努力していきたいと存じます。ただ公立、私立につきましては、この制度そのものについて直ちに予算措置を伴う性質のものではなかろうかと存じます。新たに公立等におきまして、特に先ほどお話しのような科学技術等の専科大学を作ります場合には、やはりそれぞれの地方公共団体の財政に応じまして、これを作ることを考えておる次第でございます。
  168. 松前重義

    松前委員 国立の予算はどのくらいになっていますか。
  169. 緒方信一

    緒方政府委員 この法律に直接関連をいたしまする予算はございません。そしてこれは学校制度といたしましてはこの法律が成立いたしましたら、公布の日から施行されますけれども、専科大学の設立は、実際に設立日といたしましては三十五年の四月一日からでございます。
  170. 松前重義

    松前委員 これ以上私追及しませんが、とにかく短大の行方を明確にしてないというところに多少題問があると思うのです。それから短大が持っております悩み、すなわち卒業生の就職、これらの問題について、これに対する社会の処遇、これらの諸問題は、なおこの法案以外に残っている大きな問題だと思うのです。こういう点もあわせて一応注意を喚起しまして、どうも割り切れない中にこの質問を終らなくてはいけないことは残念でありますが、これで終ります。
  171. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 関連して。今の五年制の専科大学ですが、私もこういうような計画があることを伺ったので、先ごろアメリカでそういう方面のことを少し調べました。アメリカでは五年制のそういうものはだめだということでやめてしまっております。これも文部省ではずいぶんお調べになったと思いますが、その実情をどういうようにお調べになっているか、またそういうようにやめてしまった理由等についてどう考えているか、この点お調べになったところを、またその結果としての文部省のこれを今後どうやっていこうという結論を伺っておきたい。
  172. 緒方信一

    緒方政府委員 ただいまのお話のアメリカでは五年制をやめたという実情は、実は私はただいまここによく存じておりませんけれども、各国の教育制度を調べてみますと、これはいろいろな必要に応じまして、いろいろな職業専門学校等があるようであります。必ずしもいわゆる単専科だけではなく、必要に応じましていろいろな変った修業年限を持つ学校が作られておるようであります。これは資料としては私ども準備いたしておりますが、今すぐここで詳しいことを述べることは省略させていただきたいと思います。
  173. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 しかしアメリカの事情もずいぶんお調べになったのでしょう。日本の学制はアメリカのをとっておりますから、ずいぶんお調べになってこういう考え方が出たものだと思いますけれども、お調べになったでしょう。
  174. 緒方信一

    緒方政府委員 アメリカにおきますいわゆるジュニア・カレッジの調べはございます。
  175. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 しかし今申しましたように、ジュニア・カレッジは御承知のように二、三年でやっております。しかし今のような五年制のがずいぶんあったのですけれども、みなそれをやめちゃった。やめたのにはそれ相当の原因があった。だからこういうものを文部省がお出しになる以上は、私はそういうものを調べておかなければならぬと思う。十分お調べになって、どうしてアメリカではやめてしまったかという理由が、当然調べられていなければならぬと思うのです。そういうこともみな調べた上で、こう新しい制度というものを考えていかなければならぬと思う。戦前の科学技術というものと、今日の科学技術とは、松前さんが言ったようにずいぶん変ってきている。戦前にあったからまた今からやるのがいいのだということには簡単にはならないと思う。だからそういう点を十分お調べになっていなければならぬ。お調べにならずにこういうことをやったのはずいぶん軽卒だと思うのです。
  176. 緒方信一

    緒方政府委員 アメリカの今の五年制をやめたというのはいつでございますか、私はまだよくわかりません。しかしジュニア・カレッジにつきましては十分調べた資料を持っております。それから各国につきましても、相当最近いろいろな学制改革が行われておるようでございますし、これらの資料につきましては十分研究いたしております。
  177. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 驚くべき言葉です。文部省がそういうような調査もせずにこういうことをやったということは驚くべきことです。私はそういう軽卒なことに対してまことに了承できません。なぜそういうことをやったのですか。文部省は大きな研究機関を持っているのですから、当然そういうことをやるべきです。
  178. 緒方信一

    緒方政府委員 ただいま特に御指摘のありましたアメリカが五年制度をやめたことは知っておるかというお話でございますから、私はその点までは存じません。私の調べたところでは、最近そういうことはなかったのではないかと思いますけれども、これはなお調べてみたいと思います。ずっと前のことでありますればわかりませんが、最近は聞いておりません。
  179. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 関連して一点だけ。この専科大学の制度ができますと、内藤さん、さっそくあなたは職員に対して勤務評定をやられる。この場合に、先ほど辻原君からいろいろお話があったようでありますが、一応短期大学教育課程等研究協議会で一つの試案を持っておりますが、この試案を見ますと、これは五年制、前期三年、後期二年という形の大学に対する試案のようですが、この試案による時間配当を見ましても、前期の一、二、三、これは高等学校に準ずるというので、大体高等学校のような課程をとっております。後期の三年は、一年が一般教育七時間、外国語が八時間、体育が二時間、専門教育二十二時間、二年になると、ほとんど一般も外国語も体育も何もなく、専門教育だけ三十九時間という配当になっております。こういう時間配当の上からいっても、このような学校制度ができますと、この教員組織は相当前期と後期がダブった形の教員組織にならざるを得ないと思います。そうしますと、やはり教授兼前期課程の講師であるとか、前期の教諭、本職は前期にあって、兼大学の後期の助手、こういう形の教員配当が現実の問題として出てくると思います。これは定員がきまっておりますから、当然そうなると思います。こういう系統の中で勤務評定をやる場合、大学教授には今勤務評定をやってないでしょう。その場合一体どういうような勤務評定をなさるか。前期教諭兼後期助手あるいは教授兼前期の講師、こういう形が必ず出てくるのです。そういう場合にどうなさるか。どこを標準としてやりますか。
  180. 緒方信一

    緒方政府委員 これは原則といたしまして前期の課程の教員は、高等学校教員免状を持たなければならぬということにいたしております。後期の課程は別の方法を考えております。それぞれ資格を設置基準によってきめられると存じます。ただ今お話のような実態は、特に前期の課程の職業教育、専門教育等の部分につきまして、前期の課程の教員が得られない場合に、後期の課程の教員が兼任できることになっております。その場合、今の勤務評定の問題でありますが、後期の課程の教員につきましては大学の方法をそのまま準用いたしております。従いまして今のようなものにつきましては、後期の課程の身分の差であるから、それを基本としてやっていくわけであります。
  181. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 身分が後期の方にある人は、たとい前期に関係があっても、その人は勤務評定から除外されるという考え方ですか。それははっきりしておかなければならぬ。
  182. 緒方信一

    緒方政府委員 これはやるわけであります。後期の課程の身分においてやる、こういうことを申し上げたのであります。
  183. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 後期の課程は大学でしょう。専科大学の大学課程といっては悪いが、いわゆる短期大学の大学に当るものだ。そういうものに対して勤務評定をやるのですか。
  184. 緒方信一

    緒方政府委員 除外されておるとは申し上げておりません。その方法につきましては、大学と同じ方法を準用しておる、こう申し上げておるのです。
  185. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 大学と同じ方法でやるということですね。前期の方については、たとえば付属の小中学校、これに準じてやる、こういうことになりますか。
  186. 緒方信一

    緒方政府委員 その通りであります。
  187. 坂田道太

    坂田委員長 以上をもって両案に対する質疑は終局いたしました。  これより両案を一括して討論に付します。本島百合子君。
  188. 本島百合子

    ○本島委員 私は日本社会党を代表し、学校教育法等の一部を改正する法律案及び学校教育法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案に対する日本社会党の態度を明らかにするものであります。  そもそも今般の法律案が国会上程を見るに至るまでには、戦後の新しい教育は長い期間を経過しています。すなわち、日本国憲法及び教育基本法に明示された国民教育の大道に沿って、昭和二十二年三月三十一日、法律第二十六号として学校教育法が制定され、六、三、三、四制に基く学校教育制度が確立されて以来、国民はその完成のため全力をあげて努力してきました。義務教育の充実は当然のこと、高等学校、大学の完成のため、国民の払った努力はなみなみならぬものがあるのであります。特にこの中にあって、高等学校定時制の普及と拡充によって、勤労青少年に対し、学校教育による全人教育を保障することかできましたことは、新しい教育に対する全国民の努力の中心点となっており、画期的なことといわざるを得ません。大学教育を広く青少年に開放し、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によって、文化の創造と発展に貢献する人々を大量に育成し得たことも、皆さんがひとしく御承知のところであります。私どもは、学校教育法等の一部を改正する法律案及び学校教育法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案に対し、その態度を表明するに当り、この国民の努力と期待を尊重しなければならないのであります。このことはあらためてお互いが確認しなければならないことだと存じます。  今般二法案による学校教育法の改正においては、専科大学制度の創設と、勤労青少年の教育制度に対する改革に重点が置かれており、学校教育制度に抜本的な変革を加えるものであることは、提案趣旨及び法律案条文中にこまかに現われています。これか国民の注視の的になっていることも、当然でありましょう。以下その問題点を指摘したいと思います。  法律案学校教育法等の一部を改正する法律案——以下改正法案と申します。その第一条、学校教育法の一部改正において、百九条第一項にただし書きを加えることにより、現行第五十二条「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」及び現行附則第百九条「大学の修業年限は、当分の間、第五十五条第一項の規定にかかわらず、文部大臣の認可を受けて、二年又は三年とすることができる。」ことになっている大学、いわゆる短期大学については、昭和三十四年四月一日以降の新設を抑止することを規定しています。このことは短期大学の普及により、大学教育を広く国民に開放することができたのであり、なかんずく女子に対し大学教育の機会均等を実現させたことの功績を無視するものであり、この短期大学の成果を基礎として四年制大学に拡充強化し、広範な国民をして学芸の深奥をきわめさせ、民主的な社会人にふさわしい知的道徳的能力を展開することを抑圧、制限するものであります。またこのことは、他面私学経営の自由をも抑止するものであって、国民世論のひとしく容認し得ないところであります。  新制度創設が意図されている専科大学は改正法案第一条中の第二節専科大学、第七十条の二「専科大学は、深く専門の学芸を教授研究し、必要があるときはあわせて高等学校に準ずる教育を施し、職業又は実際生活に必要な能力を育成することを目的とする。」とあることは、現行第五十二条に規定する大学及び短期大学と質を異にし、目的を異にするものであり、大学にあらざるものであります。このことは、四年制大学へ短期大学が自然に拡充移行さるべきであると予定されたものとは、全く性格を異にするものであります。そればかりでなく、第七十条の三「専科大学の学科に関する事項は、前条の規定に従い、監督庁が、これを定める。」とあって、現行第四十三条「高等学校の学科及び教科に関する事項は、前二条の規定に従い、監督庁が、これを定める。」と類似の規定であり、現行第五十三条に範をとり、「専科大学には、数個の学科を置くことを常例とする。但し、特別の必要がある場合においては、単に一個の学科を置くものを専科大学とすることができる」と規定していないことに見られるように、大学ではなく、高等学校に近い性格を持ったものであることは明らかであります。このことは、専科大学卒業者の四年制大学編入に当り、第五十五条の二「専科大学を卒業した者が大学に入学する場合においては、監督庁の定めるところにより、その卒業した専科大学における、修業年限(前期の課程の年数を除く。)を入学した大学の修業年限に通算することができる。」と規定し、現行附則第百十条のように「文部大臣の定める基準により、」通算する基準尺度が設定できないことを暴露した点からも確認できるのであります。短期大学が大学にあらざる専科大学に強制切りかえが準備されておることは、大学の格下げとみなければなりません。さらに学生の立場に立つとき、専科大学卒業者の大学進学の自由が大幅に制限されることも明らかであり、教育を自由に受ける権利に対する侵害といわなければなりません。  そればかりではありません。改正法案附則第三条、文部省設置法の一部改正に専科大学における教育を大学教育に含めていることは、専科大学をあたかも大学のごとく見せた欺瞞あります。大学関係者がこのことと第七十条の三とをあわせ考慮し、学問と思想の自由、大学にとっては欠くことのできない研究と教育の自由と自治に対する重大な制限と干渉と感ずるのも、至って自然なことであります。十月二十四日日本学術会議の発した声明と警告もこれを憂慮したことは明らかであります。私どもは改正法案が大学の格下げと大学制度の破壊の第一歩であり、国民への大学開放を抑圧するものであることを指摘しなければなりません。  第七十条の五「専科大学の修業年限は、二年又は三年とし、あわせて高等学校に準ずる教育を施す必要があるときは、五年又は六年とすることができる。修業年限を五年又は六年とする専科大学の課程は、三年の前期の課程と二年又は三年の後期の課程とする。夜間の課程については、その修業年限及び前期又は後期の課程の年数は、前二項に規定する年数をこえるものとすることができる。」及び第七十条の六「前期の課程においては、高等学校に準ずる教育を施し、後期の課程に進学するために必要な知識技能を授けるものとする。前期の課程の教科に関する事項は、第七十条の二及び前項の規定に従い、監督庁が、これを定める。」と規定しています。このことは、六・三・三・四制の精神とは相異なる学制の創設を目ざしているものであり、それ自身完成教育である高等学校教育を専科大学の予科教育として従属させ、他方では、大学教育の教科に関し国家基準を強め、監督庁の権限を拡大し、教科課程、内容、程度について介入の道を開くものであります。さらに、専科大学において学生、生徒の教科履修の方法が、単位制によらず、学年制によるものであることを考慮するとき、私どもは、教育基本法の目ざす、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希望する人間の育成、普遍的にして個性豊かな文化創造を目ざし、自主的精神に満ちた国民の育成とは、明らかに反する教育が企てられていることを意味していると思います。前期課程修了者の大学への進学も制限されており、中学卒にして、一生の職業選択と進学コースが固定され、片寄った教育発生の起因となることも明らかであります。専科大学設置基準の案またはその大綱が示めされておらず、制度の創設と専科大学設置の基準の内示とを切り離し、法運用が大幅に行政機関にまかされていることは、行政機関の権限強化をきわめて意図的に行なっていると考えざるを得ません。警察官職務執行法改悪と同じく、末端官僚に至るまで国家権力を振りかざし、学校教育の権力支配をはかるものといわなければなりません。  改正法案第一条、学校教育法の一部改正において、第四十五条の二「高等学校の定時制の課程又は通信教育の課程に在学する生徒が、技能教育のための施設で文部大臣の指定するものにおいて教育を受けているときは、校長は、文部大臣の定めるところにより、当該施設における学習を当該高等学校における教科の一部の履修とみなすことができる。前項の施設の指定に関し必要な事項は、政令で、これを定める。」という規定を設けています。このことは、学校教育法に基く組織運営が行われていない施設におきます技能修得を、教科の一部履修とみなすことであり、高等学校におきます自主的な学校運営を阻害し、定時制高校の性格が職業中心の形に変革されることであります。高等学校学習指導要領にも明記されている全日制、定時制、通信教育が、ともに地方教育行政の組織及び運営に関する法律に定められた地方教育委員会の権限を侵す文部省の越権であり、高等学校における自主的な学校運営を侵害するばかりでなく、学校教育法二十八条に定められた教諭教育権をないがしろにするものであり、新しい教育の精神を踏みにじるものであるといわざるをえません。またこれは、学校教育法に基かない施設におきます教科を学校内に持ち込むことによって、学校教育を混乱させるばかりでなく、定時制高等学校か使命とする一般教育を、単なる技能養成と同一視し、学校教育法四十二条に定めます教育目的を軽視し、「社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、個性の確立に努めること。」という重要な事項を、有名無実にするものであるといわざるをえません。そればかりでなく、文部省学習指導要領に明記した、全日制、定時制、通信教育が、ともに高等学校としては同一目的、同一目標を持つ教育基本法の真髄を破壊するものであります。これは、同様のことを全日制の通常課程においても適用することにした場合、どのような反響が予想されるかを考えてみれば、定時制軽視の具体的な証左であることが明らかであると思います。これは生徒の二重負担を軽減し、中途脱落を防ぐという美名に籍口して、定時制高校の教育を、技能者養成を通じて企業に従属させようとし、学校教育全体に重大な影響を及ぼすものといわざるを得ません。  第七十条の十の第三項「第四十五条の二の規定は、夜間の課程又は通信教育の課程の前期の課程に、これを準用する。」という規定により、専科大学にも拡大適用されることは明らかであり、専科大学制度の創設が、財界、実業界の差しあたりのきわめて無計画な要求から提案されたことの一端を明示しているところであります。第四十五条の二は学校教育の特質を失わせ、この運営のため、文部省、都道府県教育委員会、技能教育施設、高校の四者から成る機関を設け、これに必要な事項一切を決定する権限を与えることが当然予想され、学校教育へ企業が介入する道を大幅に開くものと考えられるのであります。このことは、労働時間の短縮、便宜の提供によって、企業及び国家が、勤労青少年の高等学校就学による全人完成教育を施す責任を回避するものとして、私どもは厳重な警告を発しなければなりません。  改正法案第一条、学校教育法の一部改正において、第二十八条第二項中「助教諭」の下に「、養護助教諭講師」を加え、同条に次の二項「養護助教諭は、養護教諭職務を助ける。」「講師は、教諭又は助教諭に準ずる職務に従事する。」を加える改正を施しています。ここで講師を事新しく取り上げたことは、技能教育施設、企業等の職員教員として任用する道を開き、他方では、仮任用方式による臨時教員の採用により、教員定員の不足を糊塗しようというきわめて学校教育を軽視する考えが秘められていると思います。さらに専科大学にもこの規定が準用されることが明らかにされています。五年または六年を修学年限とする専科大学にあっては、このため、後期課程教官が前期課程教官と兼務することが強制され、研究の機会は抑圧され、労働強化と、専科大学の教育内容の質的低下を生ずることは明瞭であります。条文整理法案第十六条三項は、このことを具体的に規定しています。そればかりではありません。専科大学後期課程において一般教育は圧縮され、非常勤講師による教育にまかされ、全人教育は無視され、短期大学の専科大学への切りかえに当り、一般教育教官の出血が予想されることも火を見るより明らかであります。これこそ教育の質向上を口にし、安上りの職人教育を目ざしている明らかな現われであります。  以上要約しますれば、二法律案は、一、大学制度の破壊、二、高校制度の多線化による崩壊、三、大学、高校への文部大臣の権力浸透と国家基準の強化、四、企業内実習、職業教育への学校教育の従属、五、大学への教育課程の導入と大学自治の破壊、教員養成制度改悪の布石を目ざしたものであり、日経連の意を受け、教育の権力支配をねらうものであることは明らかであります。  私は以上の理由によりまして、日本社会党を代表し、民主教育を守るため、学校教育法等の一部を改正する法律案及び学校教育法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案に反対を表明するものであります。
  189. 坂田道太

    坂田委員長 加藤精三君。
  190. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 自由民主党を代表いたしまして、学校教育法等の一部を改正する法律案並びに学校教育法等の一部を改正する法律案施行に関する法律案につきまして、賛成の意見を表示せんとするものでございます。  端的に申しまして、わが国の現在の大学その他の高等諸学校の卒業者の就職難にも見られますごとく、わが国の社会経済の構造と、わが国の学校制度の構造と、その発展がマッチしているかどうかということにつきましては、これを否定する意見の方が大部分でございます。これを分析して申しますれば、法文系統、政経系統の学生、それから理工科方面の学生との比率というような問題もございます。またこれを技術者の需要に関して申しますれば、高級技術者と中級技術者と下級技術者とのピラミッド型の構成を必要とするのにかかわりませず、その点がうまくいっているかという点等につきまして、幾多の改善を要すべきものがあると思うのでございます。新しく生れましたる専科大学制度は、深く御専門の学芸を教授、研究し、そうして職業並びに実際生活の能力を育成するとしてございますが、もしこの制度が実施になりましたならば、われわれは、戦前の専門学校教育を卒業した者よりも決して劣らない卒業生を輩出いたしまして、ただいま私が申し上げましたように、今の制度上の欠陥の一部を補うのに効用があると考えるのでございます。  なお私ども学校教育の現在の通弊といたしまして、学校に入って、学校を卒業してその資格をとればいいというような安易なる考えの者がかなりあるのでございますが、年少のときから労働と技術のとうとさをよく体験し、そうしていたずらに哲学、学術等というものに、幻想に迷わされて、人生にそう重要でない方面に没頭するというようなことがないようにすることが必要なことじゃないかと考えるのでございますが、これはたとえてみれば、本日実に明快な質問をされました松前重義博士も、戦前の専門学校の御出身だそうでございます。また一昨日の公聴会におきまして実にりっぱな本法案に対しての御理解を示されました児玉寛一社長のごときも、旧制の専門学校の御卒業だそうでございます。また本日承わりますれば、東大総長の茅博士のような優秀な方も専門学校を御卒業だそうでございます。そういうことからいえば、専科大学制度は、先ほど安上りの職人を作るという社会党の代表のお言葉がございましたが、決して松前重義博士も茅博士も児玉寛一社長も安上りの職人にはならなかったのでござまして、社会党の考えられることは、とかく哲学的過ぎまして、実際に合わない議論が多いのでございす。その他非常にたくさんの点におきまして定時制、通信教育等を生かす道とかあるいは就学義務の規定とか、あるいは国立学校の授業料の減免とかということにつきましても、この学校教育法などの一部改正法律案の中に適切な改正が加えられており、七つばかりの関係のある法律につきましては整理の法律案によりまして所要の改正を加えておりまして、それらはことごとくわれわれの賛意を表するものでございます。  以上をもちまして賛成の討論を終ります。
  191. 坂田道太

    坂田委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより両案を一括して採決いたします。両案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  192. 坂田道太

    坂田委員長 起立多数。よって両案は原案の通り可決するに決しました。  ただいまの議決に伴う、委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 坂田道太

    坂田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  194. 坂田道太

    坂田委員長 この際お諮りいたします。去る十月十七日当委員会におきまして社会教育に関する件、日本オリンピック後援会の運営問題等について調査をいたしたのでございますが、先ほどの理事会における協議に従い、直接の関係者を参考人として招致し、意見を聴取いたしたいと存じます。これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 坂田道太

    坂田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお参考人の人選、その他招致の日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 坂田道太

    坂田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次会は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。     午後八時十分散会      ————◇—————