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1958-10-29 第30回国会 衆議院 農林水産委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月二十九日(水曜日)     午後二時二十一分開議  出席委員    委員長 松浦周太郎君    理事 大野 市郎君 理事 吉川 久衛君    理事 丹羽 兵助君 理事 赤路 友藏君    理事 石田 宥全君 理事 日野 吉夫君       安倍晋太郎君    秋山 利恭君       五十嵐吉藏君    佐藤洋之助君       内藤  隆君    永田 亮一君       松岡嘉兵衛君    八木 徹雄君       保岡 武久君    角屋堅次郎君       神田 大作君    栗林 三郎君       中澤 茂一君    中村 時雄君       西村 関一君    芳賀  貢君       松浦 定義君  出席政府委員         農林政務次官  石坂  繁君         食糧庁長官   渡部 伍良君  委員外出席者         農林事務官         (振興局長)  増田  盛君         農 林 技 官         (食糧庁業務第         一部長)    諫山 忠幸君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 十月二十九日  委員赤路友藏君及び神田大作君辞任につき、そ  の補欠として永井勝次郎君及び田万廣文君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  農産物に関する件  昭和三十三年度産米の時期別格差期限延長に  関する件      ————◇—————
  2. 松浦周太郎

    松浦委員長 これより会議を開きます。  農産物に関する件についてり調査を進めます。  本年産米出荷問題について発言の通告がありますので、この際これを許します。石田宥全君
  3. 石田宥全

    石田(宥)委員 昭和三十三年度産米の集荷に関しまして、本年度は御承知のように異常な気象状況のもとにおきまして全国的に各種の災害が起ったのでありますが、特に収穫期に入りまして長雨被害が続出いたしたわけであります。それがために早場米については第二期並びに第三期についてそれぞれ五日ないし三日の延長が行われた次第であります。しかしながら、第四期について、もはやあと三日を余すのみでございますが、現在のところ東北北陸等地域においては特に出荷が遅延をいたしておるのでありまして、こういう状況のもとにその期日を十月三十一日に切りますことは、結果において農民の方が時期別格差の差金についての関係から無理な出荷をすることに相なるのでありまして、すでに水分含有量については十九県に及んで二%程度含有量の上昇を認めて検査をいたしておるのでありますが、水分含有量を二%程度も上げた上に、さらにその期日にこだわって無理な供出をいたしますることは、結果においては、米質の点において特に水分の多いということは今後の保管、管理の上にも支障を来たすところが大きいであろうと考える次第でございます。こういう意味において、本委員会におきまして第四期の期別期限延長するように決議をいたしたいと存ずる次第でございまして、ここにその動議の提出をいたします。  以下案文を朗読いたします。    昭和三十三年度産米の時期別格差期限延長に関する件   政府は、三十三年度産米の時期別出荷の現況にかんがみ、早場米第四期の売渡期限つき、今明日中の気象状況を勘案の上適宜延長措置を講ずべきである。   右決議する。    昭和三十三年十月二十九日       衆議院農林水産委員会  案文は以上の通りでございますが、先ほど申し上げますような実情にかんがみて、満場御賛同を得まして、すみやかに御決議あらんことを切望いたします。
  4. 松浦周太郎

    松浦委員長 それでは、お諮りいたします。石田宥全君より提案せられました昭和三十三年度産米の時期別格差期限延長に関する件を本委員会決議とするに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松浦周太郎

    松浦委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、ただいま決定いたしました決議関係当局への参考送付等手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松浦周太郎

    松浦委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  次に、ただいまの決議に対する政府の所見を求めます。渡部食糧庁長官
  7. 渡部伍良

    渡部政府委員 ただいま御決議をいただきました点につきましては、決議の趣旨を私の方でも十分尊重いたしまして善処いたしたいと存じます。     —————————————
  8. 松浦周太郎

    松浦委員長 次に質疑に入ります。質疑通告がありますので、これを許します。石田宥全君
  9. 石田宥全

    石田(宥)委員 政府明年度の米の配給日数を十四日を十五日にするという目標のもとに集荷数量の引き上げを計画されたようであります。これは豊作であります今年の状況から見て消費者配給日数をふやしてやることは当然の措置であると思うのでありますが、その中で特に委託精米紙袋使用の問題が取り上げられておるようであります。紙袋の問題は数年前からの大きな問題でございまして、私どもは、今日六十キロのわらで作った米俵というようなものを操作するということは、これは時代おくれの感もいたすのでありますが、しかし、翻って考えれば、農家俵代収入が約六十億程度になると思いますが、六十億程度農家所得に影響をするという点で、今日まで紙袋使用に反対をいたして参ったのであります。しかし、本年の長雨等被害、特に東北北陸地方降雨状況の深刻な地方におきましては、わらの質が著しく悪化いたしまして、俵の資材とするわらにも不足を来たすような地方も出て参っておりますので、そういう点から見て、特別に集荷量をふやすために紙袋を使うというその考え方に対して反対するものではないのでありますが、一面から考えると、これはすでに数年前から製紙会社等が非常な猛烈な運動をやって参った問題でもあり、また、今申し上げますように、農民所得の上で六十億程度もの所得が減るということになりますと、大きな問題であろうと思うのでありまして、この紙袋使用というものを、単に一時的な、本年度における今後の集荷の緊急的な臨時措置としてお考えになっておるのか、あるいはまた、今後においてもこれを使用をするというお考えのもとに今度の集荷紙袋をお使いになるのか、この点伺っておきたいと思うのであります。     〔委員長退席丹羽(兵)委員長代理着席
  10. 渡部伍良

    渡部政府委員 米の容器紙袋使用するということにつきましては、数年前から各方面から要望があるのであります。これについては、まず第一点は、玄米供出は一俵ごとに検査をしておる。従いまして、工業生産と違いまして、ある一定の規格のものをどんどん紙袋に入れる。そうして一定の品位を保つことができない米につきましてはどうしても一俵ずつ検査をしなければならない。これはやむを得ないのであります。そうしますと、紙袋でありますと、現在の検査では、さしを入れますと袋に穴があく。俵でありますれば、さしを入れて出したものを検査して返す、そうしてその穴をつまんでおけばそれでいい。紙袋でありますと、穴をあけますと、その穴をふさぐことが非常にむずかしい。セロテープとかいろんなのもができておりますが、まだ長距離を輸送するような場合にはそこから破袋の原因になる、こういうようなことがありまして、現在のところではまだこれを全面的に玄米包装容器として取り上げるというところまでは結論を出しておりません。ことしも、御指摘のような状況で、来年の俵を作るにもわら不足するというようなことを御指摘をいただきましたが、よく研究いたしまして、どうしても容器が足りないということになれば、今の検査の不便はしのんでも使わなければならない場合が出てくるかもしれません。この点はさらに今後の検討結論を出したいと考えます。ただ、ことしは、御指摘がありましたように、昨年に比べましても四百万石の増産になっておる。それから、現在のやみ状況は、農家経済調査で言えば、農家売り渡しの三割が全国平均するとやみになっておる。都会地の家計の調査を見れば四割がやみの米に頼っている。こういうふうな状況から見ますと、千五百万石あるいはもっと多くのやみ米がある。こういうことでは食糧管理制度が持ち切れないし、少くとも増産分だけでも、農家増産の喜びを消費者に分つのは当然だと思いまして、代表者売り渡し制度等、そのほか可能な手段を講じて、増産分を増配に回したいという希望でいろんな施策を講じておるのであります。その中に、一つ容器不足増産した分の供出ができにくいという地方もあるようであります。従って、それらについては、古俵、古かます等使用も大いに認めておりますが、さらに、地方の畜産の振興等建前から委託搗精希望が非常に出てきております。それは、一方からいきますと、古俵で都会まで送ることによるいたみを受けずに、次の売り渡しのために使う古俵があく。と同時に、委託搗精いたしますと、ぬかが落ち、いい精米ができますから、これを消費者に向けるのであります。検査玄米検査とは違いますから、この際紙袋希望なら使わそう、こういう道を開いております。今度の措置はあくまでも応急措置でありまして、紙袋使用につきましては、先ほど申し上げましたような事情で、さらに検討を必要とする、こういう考えです。
  11. 石田宥全

    石田(宥)委員 この委託搗精の問題は多年の農家要望で、特に最近のような飼料の値上りの時代においては、脱脂米ぬか等は非常に農家にとって貴重なものでありまして、できる限りその幅を大きくして農家要望にこたえるようにしていただきたいと思うのです。  この紙袋の問題ですが、今のお話ですと、検査手数の問題、これは以前にも問題になったことがありまして、現在、たとえば紙袋を使う場合にはミシンが簡単にかけられるので、共同集荷場でやればきわめて簡単だということもほぼ結論が出たように実は承わっておるわけなんです。ですが、今の長官の答弁だとその点まだはっきりしないようですが、精米だから検査さしをささなくともいいというわけにはいかないと思うので、紙袋であろうが何であろうが、米そのものを、くず米だか満足な米だか見ないで買い上げるわけじゃないでしょうから、やはり検査があるわけなんで、それはどういうふうに検査手続をされるつもりか。
  12. 渡部伍良

    渡部政府委員 これは、精米所委託搗精所を指定しますから、そこへ行って検査する。従って、そこに来ている玄米を見れば、精米でどういうものが出るかということがわかりますから、玄米検査より簡便にできる。それでも紙袋では今までの検査建前から言うと手数がかかるということには相違ない。それから、ミシンかけの問題でありますが、麻袋でありますとこれは農家で手縫いでやれる。ところが、紙袋だとどうしてもミシンが必要であります。従って、御指摘のように、ある特定のところに集めて集団検査を受けて、そしてそこでミシンかけするというようなことになりますれば、そのものについては検査手数は比較的省かれる。しかし、特定の場所へ特定の日に検査官をどうしても連れてこなければならぬということになりますと、限定されるわけです。そういう問題があると思いますので、それらの点もさらに検討いたしたいと思います。
  13. 石田宥全

    石田(宥)委員 私は実はこの問題は今度の特別集荷臨時措置だけで質問しているわけじゃないので、さっき申し上げたように六十億程度俵代収入というものもありますけれども、近時水田がだんだん老朽化して、それには有機質肥料の欠乏というようなことも考えられるので、果してその俵代所得というものとそういう老朽化田の防止というようなものとの比較検討がどの程度に進んでおるか、これも行なってもらわなければならない問題だと思うのです。  それから、同時に、さっきもちょっと触れたように、いつまでも六十キロのあのいじりにくい俵を使うかということです。最近新潟辺平場地帯の青年から、一日も早く三十キロ程度紙袋使用ができるようにということの希望も実は聞いておるわけです。しかし、今までの経過から見ると、これは独占資本である製紙会社との関係や複雑な事情があって、われわれもこれには賛成しかねて参ったのでありますが、しかし、やはり、現在の段階に来ると、もう少し進歩的な容器考え段階に来ているのではないか、こういうことを考えるのです。ただ、考えられることは、初めから全面的に紙袋使用するということはどうかと思われるので、やはりそれは任意にしなければならないのではないか。あるいはまた、政府の買い上げの部分については、どうせ俵代を出すのだから、紙袋にした場合には政府がこれを支給するという建前をとらなければならないことになると思うのです。そういうようないろいろな点がございます。消毒等についても、すでに二重の紙袋消毒が十分可能であるという結論も出ているということも承わっておるのでありまして、そういう点をあらゆる角度から勘案されて、この容器についての将来の方針について十分なる検討をしておいていただきたい、こういう意見を実は持っているので、この機会にせっかく紙袋をお使いになるということでしたら、それをお使いになることが臨時的な措置であっても、やはり根本的な問題について今後十分検討を進めていただいて、来年度なり再来年度なり、もしそれが適当であるとするならば採用することのできるような準備をお願いしたいと思って、実は質問をしたわけであります。
  14. 渡部伍良

    渡部政府委員 お話がありますように、土地に有機質を返す見地から言えば、俵を使うよりも紙にした方が、長年の地方維持のためには有効であるにとは認めておるわけであります。そういう見地から、本年から紙袋を使っていけないという理由はどこにあるかということを検討いたしますと、今までの検討では、貯蔵中の問題、あるいは輸送中の問題、そういう問題はほかの容器に比べて一長一短があってあまり変りない。ただ、検査さしを入れて検査することがほかの容器と非常に違う。これはしかし、検査官手数をいとわなければ、さしを入れたあともていねいにやるとか、あるいはさっきのように集団的にやるとすれば、方法はないわけではないのです。しかし、まだそこまで踏み切っていくまでの結論を出していないのでありまして、これらはさらに検討を進めておりますから、技術上、実施上の問題点がなくなると、あとは、お話がありましたわら工品生産者収入との相剋という問題になります。その点は次の段階で解決せねばいかぬ問題だ、こういうふうに考えております。
  15. 丹羽兵助

  16. 角屋堅次郎

    角屋委員 ただいま決議された本年度早場米中心にした集荷時期の延長の問題に関連いたしまして、ちょうど食糧庁長官が御出席機会でありますので、過般来その質問機会を得たいと思っておる問題について簡単にお尋ねをいたしたいと思います。  それは、毎年北海道あるいは東北北陸等中心にいたしました早場米集荷時期に問題になります食糧庁職員検査繁忙期対処の問題でございます。私がかって農林省に籍を置いておった時分には、いわゆるそういう繁忙期における超勤に必要な予算確保すべきであるという考え方中心になりまして、政府善処、直接的には食糧庁長官善処を要請するという形の性格でございましたけれども、御承知のように、北海道あるいは東北北陸、特に北陸等早場米最盛期における現場の検査員繁忙状況というものは、日曜、祭日もなく、あるいはまた一日の検査数量がとにかく二千俵近くにまでなるというふうな状況の中で検査をしなければならぬ、こういう実態にも相なって参るわけでございまして、従来は検査員職責に徹してそういう労働強化にも耐えながらやって参ったわけでございます。しかし、こういう問題については、基本的にはやはり定員増加によって解決するのが本筋であるわけでありまして、そういう検査時期における超勤完全支給という問題と関連をしながら長年にわって要請されて参ったことは、食糧庁長官も御承知通りだと思うわけです。本年度の場合におきましては、従来と考え方を異にいたしまして、いついつまでもそういう予算等完全支給という形においてやられておったのではいわゆる定員増加という形にこれは必ずしも反映されてこない。従って、本年度は、そういう従来の立場を変更いたしまして、正規に八時間労働でもって検査をして、それに必要なる定員確保というところに前提を置きながら本年度のいわゆる食糧庁に対する善処が要請されたことは御承知のところであろうと思うわけです。元来、農林省関係は、従来から、定員法等の問題におきましても、いわゆる正規職員以外に常勤労務者その他多数の臨時職員を抱えておりまして、そういう多数の臨時職員カバーによって農林省全体の職責を遂行するという形に相なっておるわけでございますけれども、本年度冒頭における二十八国会の審議の過程におきまして、御承知のような定員法の一部改正が行われたわけでございますけれども、そういう一部改正の場合においても、完全にこれが定員化されたわけではありませんでして、いわゆるいまだ相当数常勤労務者ないしは臨時職員というものが山積をしておるわけでございます。申し上げるまでもなく、いわゆる食糧検査という検査官の問題については、これはやはり権威をもってなされるべきものでございまして、当然建前としては定員法に示される正規職員がやるべきが本筋であろうと思うわけでございますが、今日の検査実態からいたしますと、これにやはり常勤労務者等を加えて検査をやっておるのが実態であろうというふうに承知しておるわけでございます。この問題に関連をいたしまして、本年度最盛期におけるこういう労働強化実態、あるいは定員増の要請に対して、食糧庁としてどう対処してこられたか、この点について具体的にお伺いをいたしたいと思います。
  17. 渡部伍良

    渡部政府委員 ただいまの米の売り渡し時期の検査員状況であります。これは角屋委員のすでに御承知通り機関定員の中の検査員臨時職員でやっております。これは、どうしても、検査が一時的に集中いたしますから、一時的に仕事の多いときの労務を基準として定員を置くわけにはいかないのであります。従いまして、機関検査員定員化は努力しておりますし、昨年度の非常勤の定員化も相当やりましたが、今正確な数字を持っておりませんが、まだ多少残っております。しかし、臨時補助検査員はどうしても必要であります。従いまして、これを全部定員化することはできません。その残りはやはりどうしても補助員を使う。補助員を使っても、予定通り農家が売り渡すというわけにはいきませんから、政府は無制限に買い入れなければならぬのでありますから、手が足りぬから断わることは政府としてはできません。従いまして、どうしても超過勤務という問題が起るのであります。その際には、超過勤務をした者に対しては超過勤務手当を十分に払っていくという建前は講じております。
  18. 角屋堅次郎

    角屋委員 長官はまだ就任早々でございますから、数字等の問題は非常に抽象的に答えられたわけでございますけれども部長等もおられますので、さらに若干具体的にお伺いをしたいと思うのでございます。  本年度あたり状況をわれわれが承わっておりましても、毎年最盛期においてはこういう問題が起るということから、既定の経費の中の超勤予算を一部リザーブをして、こういう早場米集荷対策のときにおける予算措置に備える、こういう形で当面を糊塗するというふうな傾向が、従来もあったし、今年度の場合においても、そういう傾向の中で最盛期の急場を乗り切ろう、こういう考え方が強いんじゃないかというふうに私は考える。冒頭にも申し上げましたように、今長官は、こういう一時のピークに対して、これをノーマルの形における正規職員化することはできないということを言われましたけれども、問題は、正規職員にする限界といいますが、範囲、程度の問題をどこの線で引くかということがなかなかむずかしい問題であろうかと思いますけれども、しかし、単にこの問題は一時的なピークの問題として看過することはできないんじゃないかというふうに考えるわけです。これは単に食糧庁のみにとどまらず、その他の関係の部局においても言えることでありまするけれども正規職員臨時職員状況について、どこに正規職員限界を置いてきめるかということがなかなかむずかしい問題でございます。ややもすれば、政府あるいは農林省考え方としては、定員法定員というものは必要であっても最小限にとどめて、そうして臨時職員でその仕事カバーを大幅にやっていこう、こういう考え方に立っているんじゃないかという感じが、私どもの経験を通じてでも考えられるわけでございます。  そこで、まず具体的な問題の一つとして、本年度も依然として超勤支給という形で糊塗されたと思うのでございますが、この超勤支給ということで糊塗された具体的な対処方法はどういうことであったかということを、一つ事情をよく知っておる部長等からお答えを願いたいと思います。
  19. 渡部伍良

    渡部政府委員 ことしは超勤を三十三時間用意しまして、例年いろいろなごたごたが起りましたのにかんがみまして増加しておりますので、一、二の地域ではそれでも足らぬということを言っておりましたけれども、うまくやっていただいております。
  20. 角屋堅次郎

    角屋委員 最盛期における検査の問題については、冒頭に申し上げましたように、従来からいろいろ検査に従事しておる職員と直接責任のある当局との関係の中で長年にわたる問題でありますが、本年度の場合には、特に災害が続出しておりまして、天候その他の関係から農民集荷の時期というものが非常に集中的に現われる。そういう形の中で、冒頭に申し上げましたように、従来のいわゆる行政の仕方では根本的に解決をしない。こういうように時期的には悪い時期であるけれども、あくまでも八時間労働を基調にした正規定員確保ということで進まざるを得ないということで問題を推し進めましたために、いわゆる最盛期早場米地帯においていろいろ問題が起ったことも御承知通りでございます。その際に、私どもが聞いておりますと、ややもすると、食糧庁の方では、大臣訓令あるいは食糧庁長官のお達しなどで、力をもって、労働強化を押し進める、こういうふうな形の中で、依然として従来の考え方を変えてないんじゃないか、こういう感じが強いわけでございますけれども、今後の問題といたしましては、三十四年度予算要求の時期にもなっておりまして、こういう早場米地帯における正規定員確保という観点から、今後の問題についてどういうふうに腹案を立てておられるか、こういう点についてもお伺いをいたしたいと思うわけでございます。
  21. 渡部伍良

    渡部政府委員 最初に申し上げましたように、どうしても、検査事務は、ことに早場の格差をつけますと、格差の切れ目の集荷期には検査が集中するのはやむを得ない。だからといって、それをもとにしてそれの八時間労働ということは私どもの方では言えないわけであります。——無制限に買い入れる義務があるわけでありますから。従って、検査職員にも、必要な超勤料は払いますけれども、正式にやっていただくことをお願いしておるのであります。  今大臣訓令お話がありましたが、これは、日曜がたまたま締め切りの時期に当りますれば日曜出勤と平日の出勤を振りかえますが、日曜に出ていただくと別の普通の日に休んでいただく、こういう訓令であります。これも、検査の途中でいろいろ事故が起ったような場合にはあとの処置がむずかしいという点からいたしまして、訓令を出した方がかえってスムーズにいくんじゃないか、こういうふうに考えております。  来年度の計画につきましては、ことしの状況等も見まして、また改むべきことは改めていきたい、こう考えます。
  22. 角屋堅次郎

    角屋委員 政府機関職員の定数の問題をどういうふうにきめるかという問題は、従来からそれぞれの関係委員会でもずいぶん大きく問題になるところでございますけれども、私は、あといろいろ議案等もあります関係上、これらの問題については昭和三十四年度予算等の問題と関連をして後ほど具体的に機会を得てお尋ねをいたしたいと思うわけでございますが、すでに早場米最盛期等の問題については時期的には末期に来ておりまして、もう少し問題のある時期に具体的にお伺いするのが筋道だったかと思うのでございますけれども、この機会に私は最後に希望を申し上げておきたいと思うわけです。農林省の各部局における定員実態というものを見ました場合に、依然として常勤労務者ないしは非常勤職員等がずいぶん山積をしております。しかも根本的に定員法の中で解決せられない、こういう問題が多いわけでございます。最近における岸内閣の労働政策等から見まして、ややもしますと、たとえば早場米最盛期における集荷あるいは検査等の問題についても力をもって押し切る。これは事務当局としてはやはり職務の遂行を実際に合理的にやるという立場から考えるべき問題を、大臣訓令その他通達等をもって力をもって押し切る、こういう傾向が強いんじゃないかと思うわけでございます。今後の予算検討の場合においては、科学的、合理的な検討の上に立って、どういうふうにノーマルな職員を配置することがいいか、特に毎年問題になる北海道あるいは東北あるいは北陸等における最盛期のこういう定員不足ということに対処する問題等については、十分検討して、そういう問題がいつも毎年時期々々に起らないような措置を講じていただくように要請をいたしまして、本日の段階ではこの辺で打ち切りたいと思います。
  23. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 栗林三郎君。
  24. 栗林三郎

    ○栗林委員 私は、食糧庁長官出席されたこの機会に、一言米価の算定方式についてお尋ねしておきたいと思います。  実は、この米価の算定方式につきましては、大臣は農民やその他の各団体が要求しております生産費及び所得補償方式について具体的に検討をするという言明をこの委員会でなされておるわけでございます。従いまして、この生産費及び所得補償方式についてどのような具体的な検討をされておられるか、そういう作業の内容について承わりたいと思います。
  25. 渡部伍良

    渡部政府委員 先般の米価審議会で御決議がありましたので、この次の米価の決定までに——いずれの結論になりますか、結論を出すために、今米価算定に関する委員会というものを食糧庁の中に持ちまして、大学教授なりその他の学識経験者を入れまして、各方面から意見を承わっております。これまでに数回開いておりますが、まだ、これから引き続き検討を重ねて結論を出したい、こういう状況であります。
  26. 栗林三郎

    ○栗林委員 学識経験者やその他の専門家を入れていろいろと検討されておるという御答弁ですけれども、それならば、もっと具体的に、どういう学者を呼んで、またどういう人方から御意見を伺っておるか、その点、全部でなくてもよろしゅうございますから、まず代表になるべき四、五人の方々のお名前を御発表願いたいと思います。
  27. 渡部伍良

    渡部政府委員 この生産費方式の問題は非常にむずかしい問題があるわけです。生産費を構成する各要素のとらえ方、それから、生産費をいかにして調査するか、調査対象の選択の方法、それから、将来の価格の基礎にする生産費でありますから、過去の実績だけではいかぬわけであります。なぜなれば、過去の生産数量と将来の生産数量とは必ず違うわけであります。そういうことを、一々の項目につきまして、     〔丹羽(兵)委員長代理退席、委員長着席〕 その一定の、万人が納得する一つの方式の中に入れていかなきゃいかぬわけです。それらにつきまして、私の方で、この項目についてはこういうふうにしてこう調査したらどうだらうかという一つの案を持ちまして、それをたとえば一橋大学の馬場教授、伊大知教授、慶応の中鉢教授、宇都宮の井上教授、それから総研の加用次長、それからあとはわれわれ役所の担当官で、こちらから案を出しまして、その人に、これはどうするのだ、これはどうするのだということで聞いた上で、私の方で最後の結論を出さなければいかぬわけであります。そういう段階であります。
  28. 栗林三郎

    ○栗林委員 今の御答弁を聞きますと、各大学の教授その他専門家の方々にそれぞれ意見を徴しておられるという具体的な御説明がありましたが、実は、この前の特別国会のときの当委員会におきまして、私はこういう質問を大臣にしておるわけです。具体的な検討をする、従って具体的にどうするということになりますと、調査会のようなものを設けるだろう、その場合に、その調査会を米価審議会の中に設けるのか、それとも農林省部内に設けてやるのか、こういうように私お尋ねいたしました。それに対して大臣は、米価審議会の中に設ける意思はありません、こう御答弁されたのであります。従いまして、私は、こういう審議会の中に設けられなくても、部内に設けるにしましても、やはりはっきりした調査会のようなものを構成されて、そこで御検討されておられるものと期待をいたしておったわけです。ところが、今の御答弁によりますと、随時そのつどそれぞれの学者に聞いておる、こういうような御答弁ですが、これではほんとうに真剣な調査検討にはならないと思うのです。やはり、部内でもよろしゅうございますから、そういう学者なり専門家を構成員とする調査会のようなものを設けられて、その中で一つ具体的に御検討される、こういうのでなければほんとうの意味の調査検討ということにはならないではないかと思います。今の御答弁ですと、今まで農林省がやってこられた方針と何ら変りがないと思うわけです。この点はいかがですか。
  29. 渡部伍良

    渡部政府委員 米価審議会その他米の生産費、所得方式に関する検討は、今までもう長く繰り返されておるわけであります。その経過を見ますと、結局議論がぐるぐる回っておる。それで結論が出ていないわけであります。そういう状態で、新しく調査会を開きましても同じ状況を繰り返すので、そういうことにならないように、もし調査会を開くのであれば、問題点を整理いたしまして、その上で調査会なら調査会を作る、こういう方がいいのではないか。従って、新しいフォーミュラを作る前提として問題点を整理しておる、こういうのが現在の段階であります。
  30. 栗林三郎

    ○栗林委員 今の御答弁によって、調査会は作るのだが、しかし、今までのような調査会ではまた堂々めぐりをしながらなかなか結論を得られない、そこで、今回は具体的な問題をしぼって、それをしぼった上で適当な委員会を作って、そして最後に結論を出す、こういう御答弁に承わったわけであります。それならば、いつごろにその調査会を設けられるか、一応その見通しを承わりたいと思います。
  31. 渡部伍良

    渡部政府委員 私のところでは、ただいま、年内に、今の学者の意見を伺いまして、それをもとにしまして、将来調査会を開くか開かないか、開くとすればどういう形式にするか、そういうことをきめたい、こういうふうに思っております。
  32. 栗林三郎

    ○栗林委員 これは正式発表かどうかわかりませんが、実は私どもこういうことを情報として受けておるわけです。政府も農林当局も、所得方式は採用しない方針だというようなことを内定しておるというのですが、その点はいかがですか。
  33. 渡部伍良

    渡部政府委員 まだそういう調査段階でありますから、私の方であらかじめ結論を出してどうやるというようなことは絶対いたしておりません。それぞれ担当官の気持は、とても手が出ないとか、あるいは、こうやったらいいとか、いろいろ個人的な意見はあると思います。役所としてはこれからの問題だと考えております。
  34. 栗林三郎

    ○栗林委員 最後にもう一つお尋ねしたいと思いますが、年内に各学者等の意見を聞いて、そうして年があければ調査会を作る、こういう御答弁ですが、この際に、その調査会を作られる場合には、その構成員になられる調査委員ですか、そういう方々の人選の場合、これはこの農林水産委員会においてもみんな同一意見であったのですから、みんなも非常に心配されておることでありますから、従ってこの調査委員を選考される場合に、一つ松浦委員長を通じて当委員会の意見も十分反映されるような人選を御考慮される用意がないか、この点ちょっと伺っておきたいと思います。
  35. 渡部伍良

    渡部政府委員 これは、何と申しますか、生産費の算定というようなものは純技術的な問題であります。最後の米の値段をきめるときにはいろいろなファクターできまると思いますけれども、もとのデータがぐらつくようなことがあっては意味をなさないわけでありますから、従いまして、もし調査会を開くというようなことがございましても、従来先生方の意見は承わっておりますから、それは十分参酌することは当然でありますけれども、果して委員会におかけして御許可を得るか、そういうことはちょっと今私はお答えできないと思います。
  36. 栗林三郎

    ○栗林委員 私の言うのは、この委員会にかけてやれ、そういう強い意味で言うのではないのです。実は、その調査委員を選考するに当って、私どもがその選考の中に入りたい、そういう意味ではないのです。つまり、この委員会で満場一致で推薦するということになりますと超党派になります。従いまして、われわれのこの委員会で、あの人ならそれだけの学識経験を持っておられる人だからという、そういうような人を人選することができると思うのです。ですから、調査委員を選考する場合には、一つ松浦委員長を通じて農林水産委員会が一致して希望する幾人かの人を調査委員に採用する、こういうお気持を持っていただきたいのです。これは無理じゃないでしょう、どうです。その中に一人か二人、当委員会から委員長を通じて、その人ならばどうだ、よろしい、といって、みんなの意見が一致できるような人を——これは私ども委員会が推薦して特におかしいということなら、それで私は委員長を通じてと言っておるのです。委員長の方から、これならいいではないかというような場合には、それくらいの政治的な御配慮があっていいのではないかと思います。そうでなければ、私、端的に言えば、こうなんです。何ぼ食糧庁で公平に人選をすると言ったって、今までの行きがかりが行きがかりだから、やはり農林省は自分の都合のよいパリティ方式にこだわる学者ばかり呼ぶだろう、こういうような疑いの目は、今までの行きがかりから言いますととれないのです。そういう点を払拭するためにも、松浦委員長を通じて、こういう人ならいいじゃないかという人選を考慮するということが必要だと思う。重ねて、私ども要望をいれていただけるような御答弁をお願いしたい。
  37. 渡部伍良

    渡部政府委員 でありますから、先ほど申し上げましたように、十分先生方の御意見は常日ごろから承わり、今後も承わることでありますが、今のようにあらたまって言われますと……。役所としては形式的にそういうことをしてはいかぬということじゃないかと思います。ですから、そのほかには、先ほど申し上げましたように、そちらの御意思を無視するわけにいかない、尊重しなければならぬわけですが、それ以上のことはちょっとできないと思います。
  38. 栗林三郎

    ○栗林委員 食糧庁長官の立場では答弁ができない、こういうのですから、それでは一つ政府を代表して政務次官の御答弁を伺いたい。
  39. 石坂繁

    ○石坂政府委員 重ねての栗林委員のお尋ねでございますが、問題は、委員会を作るか作らないか、作ればどういう人をその委員にお願いするかというようなことで、かような人事の問題を、当委員会にお諮りをいたしましてその上で決定しますということはいかがなものであろうか、その性格上私もにわかに同意いたしかねるのでございます。いろいろ機会あるごとに皆さん方の御意見につきましては十分に傾聴いたしておりますが、役所といたしましては、ただいま長官からお答えいたしました通りでございます。この段あしからず御了承願います。
  40. 栗林三郎

    ○栗林委員 私は形式論にとらわれた意見を申し上げておるわけでもないし、そういう御答弁を私はいただきたくないわけです。それですから、これは一つ委員会の意見をまとめて、そうして松浦委員長から、こういうような人ならば適当ではないかという一つ御推薦をいたしたいと考えております。これは皆さんが賛成するかしないかわかりませんが、その場合は特にそういう点を御配慮願いたい、こういう強い希望委員長に申し上げて、終りたいと思います。
  41. 松浦周太郎

    松浦委員長 希望は承わっておきます。  中澤茂一君。
  42. 中澤茂一

    ○中澤委員 今も四期の延長決議がされましたが、実は、四期の延長を政策的に考えろという問題は、僕が政策的に考えろと主張したのは、今の日本の国に食糧管理事務はあるが食糧政策はないと私は言いたい。それはどういうことかというと、千五百万石もやみ米に流しておいて、これで一体食糧政策があると言えますか。私は言えないと思うんですよ。そこで、私は、四期を延長しろというのは、もっと大きな含みがあるのです。ということは、これは一体どれだけ集められるかということで、全力を上げて集めて初めてよい食糧政策というものが出てくるのです。だから、私は、それにからんで第二次予約というものを政府考えるべきであると思う。ところが、西の地帯へ行けば、第二次予約をやってくれという声が非常に高いのですよ。きょう佐賀の人にちょっと会ったのですが、佐賀では、二十万石第二次予約をやってくれれば出せると言っておる。だから、この四期を延長して、第二次予約をやって、どれだけ集められるか、徹底的にやみ米吸収をやってみればいいのです。それをやらぬ限りは、石坂政務次官がいかに大政務次官でも、食糧政策があるとは言わせませんよ。そういう点について、一体政府はどう考えているのか。このまま食糧管理事務だけで行くつもりか、それとも将来は食糧政策というものをほんとうに米を中心にしたものを確立するという考え方を一体お持ちなのか、その点を一つ大政務次官の方から御答弁を願い、なおかつ、これに続いて、食糧庁長官の方で、技術的にどうやればいいとか——食糧政策をやるとするならば、食糧庁長官としては、技術的にこういう道もある、ああいう道もあるという手は考えられると思う。もしそういう御意見が述べられたらお聞きしたいのです。
  43. 石坂繁

    ○石坂政府委員 第二次予約の問題についての中澤委員の御質問でありますが、なるほど、お話のうちにありました通りに、九州、ことに佐賀県におきまして要望の強いものがあることは私も伺っております。先般当委員会におきましても、井手委員からその点の御指摘がございましたが、しかし、一がいに九州と申しましても、必ずしもそれに賛成しておる県ばかりでもないのであります。それは私どもも九州全体を見通しまして十分その点は伺っております。しかるところ、この本年度の予約につきましては、政府は当初から、第二次の予約はいたしませんと、こういうことでやって参っておりまして、その指導あるいは実務に当った人たちは、その政府の線で強く農民の方々に呼びかけております。しかるに、九州の方々は、その政府の方針を十分に御了解いただきまして、今日予約は相当数量の成績を上げておる段階であります。もっとも、本年九州の数県下におきまして七月、八月までに大へんの旱害があったことも皆様方御承知通りでございまして、さような旱魃の時期でありまするから、秋の収穫高がどれほどあるかという予想もつけかねた向きもあるのであります。従って、第一次予約に踏み切りがつかなかった面も多々あろうと存じますが、さような点も私どもも推察はいたしておりまするけれども、とにかく、第二次の予約をやらない、この方針のもとに進んで参った今日でありますから、その線をにわかに崩すわけには参らないであろう。いろいろ私も、大臣ともその点を相談し、事務当局とも十分にその点を検討考慮したのでありまするけれども、今日まで私ども考え方は、第二次の予約はいたしかねる、こういうことであります。しからば、この後の予約制度について全然反省の余地はないか、あるいは改善の余地はないか、こういう問題になれば、問題はおのずから別個の問題になるのでありまして、さような点につきましては十分に研究いたさなければならぬと思います。そこで、これで政策はないじゃないかと言われれば、あるいはそうかもしれませんけれども、この後につきましては十分検討いたすつもりでおりますが、まだここで明確にその点をお答えする段階に至っておりません。
  44. 中澤茂一

    ○中澤委員 いや、それは今具体的に案のないこともわかっていますよ。しかし、実際これをずっと見ていても、食糧政策というものが全然ないのですよ。これは、食糧管理事務的政策と申しますか、そういう複雑怪奇なものはあるが、どう考えたって、千五百万石——ことしなんかうまく集めたら三千万石以上大体四千七、八百万石の米は集められると思うのです、ほんとうに食糧政策があるならば。そういう面について、来年のことは豊作か凶作かわからぬが、今から食糧政策というものを、大政務次官だから立てたらどうですか。いつも場当りみたいなことをやってないで、ほんとうに日本の国民食糧は、食糧庁なり政府にまかしておけば、われわれは安心して十五日のところは二十五日の米が来るんだ、こういう体制を作れば、消費者にも食糧政策、農民に対しても食糧政策である。政府は失業者の救済が困るからやみ屋を温存するお考えでやっておるんだ、こういうお考えならそれでいいんですよ。一体日本の国では食糧政策というものがないんですよ。だから、そういう点について、来年度あたりから、あなたは大政務次官なんだから、ここで一つ金字塔を立てましょうよ。ほんとうに日本の食糧政策、米だけ全部食糧庁が吸い上げて、そうして消費者の十五日のを二十五日に延ばしてやるとか、そういうものを具体的に立てない限りはどうにもならぬですよ。だから、今の段階で、政務次官は将来大農林大臣になるんだから、今から大いに根本的に取っ組む問題を考えておいてもらいたい。今だってそう言うけれども、私に言わせれば場当り政策ですよ。それで、機会があったら一つおっぱがしてやろうかという考え方がある。そういうことじゃいかぬから、自給体制が完全にできるまで食糧政策というものはこう行くんだ、これをぶち立ててもらいたいということを言っておくんです。あなたはすぐ、言質をとられておれに第二次予約について食いつかれやせぬかと思って、第二次予約にばかり予防線を張るけれども、むしろ第二次予約は技術的に一つ考え方として、どれだけ集められるか集めてみようじゃないかという政府の腹がまえがきまればよいのです。食糧政策の第一歩というものは、どれだけ集まってくる、この見通しだと来年からこういう方式でやれば四千五百万なり四千八百万の米が集められる、そうなれば今の消費者配給というものを十五日を二十五日に延ばせるという具体的なものを立てないと、消費者にも迷惑をかけているし、農民も、やみ売りしているというけれども、決してやみ売りじゃないですよ。その価格だって高いかといえば高くないですよ。むしろ、僻地に行けば、ことしなんか、もう百円を割って農民が売ってるんですよ。だから、そういう農民のためにも、一つの食糧政策の基本線が通ればいいのです。ただ、お気の毒なのは、今かつぎ屋をやってるあの人たちが、ほんとうにそういう政策を立てられればかつぎ屋がもうからぬという欠点は出てきますよ。それ以外には大政務次官、もっと基本的に考えるべきだと思うんです。これは課題としてあなたに申し上げておきます。  それから、久しぶりに長官にお目にかかったから、一つお願いやら質問やらなんですが、具体的な困っている問題があるんです。豪雪地帯、少くともニメートル以上の雲が降る、しかも、北海道のようにすぐ固まる地帯ならいいけれども、長野県の北部と新潟の高田からあの一帯にかけて、大体毎年三メートル、去年なんか累積積雪量が二十九メートル、三十メートルちょっとこえたぐらいです。それで、道が寸断されたりして、出すのに非常に困ってるわけなんだ。それで、これは雪が十一月の十日ごろから降っちゃうわけなんです。そうすると、どうしても納期までに納まらないんだ。それを無理に納めろというので、村中で出て雪を分けてそりでやっているんだ。この豪雪の特殊地帯だけ何とか納期を来年の雪解けまで延ばせないかという陳情は豪雪地帯に非常に強くあるんです。富山の一部にもこういう地帯があるということも聞いています。富山の何郡でしたか、山の方の郡にそういうところがあると聞いております。だから、全国でも、長野県の北部の下水内郡、下高井郡の一部、新潟の高田を中心にした一部、富山の一部くらいが私の聞いてる範囲ですが、それを何とか雪解けまで待ってもらえないか。これは食糧庁の方へも食糧事務所長から言ってきてるはずだから、何とか納期を来年の雪解けまで待ってやるということは、わずかの地帯なんだから、考えられないか。私は食糧事務所長に会って聞いたら、実は私の方からも食糧庁の方へ何回か頼んでるんだ、しかしそうならぬで実際地元にいる皆さんを見て気の毒に思っているんだ、こういう話を事務所長も言っていましたが、わずかな地帯ですから、これは長官考えられないものかどうか。
  45. 渡部伍良

    渡部政府委員 それは具体的に検討させていただきます。     —————————————
  46. 松浦周太郎

    松浦委員長 次に、雑豆及びビートの問題について質疑通告がありますので、これを許します。松浦定義君。
  47. 松浦定義

    松浦(定)委員 私は先週の当委員会で本問題についてはいろいろ政務次官以下関係の各位に質問をいたしたのであります。そのときには農林大臣並びに官房長官等に対する質疑は保留しておいたのであります。本日はやはり予算委員会関係でここへ大臣は御出席ができませんので、その後政務次官が私の質問に対していろいろ大臣にも伝える、そのことについて検討するという御答弁があったのでありますが、その後の経過を政務次官から一応お聞きいたしたいと思います。
  48. 石坂繁

    ○石坂政府委員 松浦委員の御指摘通りに、前回、松浦委員の御質問に対しまして、検討するということを確かに申し上げております。その後さっそく雑豆を安定法の中に入れるか入れないかという点につきましていろいろ事務当局とも検討してみたのでありますが、なお今日までの段階におきましては、前回私が申し上げましたように、これはいろいろの面から十分に検討を必要とするのでありますから、なお検討させていただきたいと思います。
  49. 松浦定義

    松浦(定)委員 前回の委員会でも検討という御趣旨は発表されておりまして、その際における私の質問は、特に後段において、政治的な問題も相当配慮せられなければならない実情である、こういうふうに申し上げたのであります。なぜ私が赤城官房長官出席を求めるかということについては、当時北海道長官が行かれた場合、総理と一緒に回られた場合のことをその際申し上げたのであります。そのことについては政務次官は何ら意見を聞いておらぬということでありました。大臣はあるいは閣議の席で聞いておるかもしれないという話でありましたので、そういうような点についても話し合いをしながら、その点がもし政治的な配慮を必要とするということなら、今申されたように当然検討するといったような、たとえば価格安定法の問題だけに触れないで総体的に検討があるべきだと思います。そのときに大臣はたとえば官房長官なりあるいは総理からの何か話を聞いたかということについて、政務次官はお聞きになりましたか、その点をお聞きしたい。
  50. 石坂繁

    ○石坂政府委員 その点は前回にも私はお答をいたしたように記憶しておりますが、大臣から私が直接に承わると承わらぬとにかかわりませず、これは当然検討しなければならぬ問題でありますから、役所としては検討いたしております、こういうことであります。それで、あらためて岸総理からわれわれの三浦農林大臣がお聞きになりましたかどうかということは、実は私は確かめませんでした。
  51. 松浦定義

    松浦(定)委員 どうしてそのくらいのことをお聞きにならないのですか。それを聞かないで、別なことで何か指示でもされて検討されておるというようには私は考えられないのでありますが、その点くらいは何とか聞いていただくことがこの話を進める場合においては非常に誠意がある態度でなかろうかと思うのであります。従って、私ども、部内においていろいろ検討されておることはよく承知しておるのであります。しかし、その段階では、たとえば価格安定法に入れる場合には、前回の委員会においても、これはかえって不利でなかろうか、この段階においてはなかなかめんどうであるということでありますので、私どもも、次期通常国会におきまして検討されるということについては一応了承いたしまして、今日の段階ではそれではどういう方法があるかということをお聞きしておるのであります。あるいはまた、その後におきまするいろいろの現地からの要請等の向きについても、そうであるならば他に何か方法はないか、現在の農林省は畑作振興という大きな看板を掲げておる、特に、地方的ではあるけれども、大きなウェートを持っておる北海道の雑豆に対する処置としては、時期的に非常におくれておるということを前回も申し上げておるのでありますが、そういうことをちゃんと聞いておりながら、政務次官として、——私は事務次官ならそういうことはただしませんよ。少くとも政務次官というものはやはり政府のあれであるわけでありますから、特に多数の与党を持っておられ、あるいは現地にも相当関係のある与党の諸君もそういうことについては熱心な方もおられるのでありますから、そういう人の意見も聞きながら今出ましたような結論であるなら、私はある程度やむを得ぬと思うのでありますけれども。そういう配慮が私はあまりなされていないと思います。特に、今申し上げましたように、農林大臣は、この問題について、一番最初の委員会で私が畑作問題の振興についてどう考えるかということを聞いたとき、相当大きな構想を持っておられたように私は承わっておったのでありますから、少くともこういう現実が出て参り、しかも、くどいようでありますけれども、総理以下相当の各位が現地へ参られましてそれらの事情をよく知っておられるのであります。でありますから、農林大臣としては、あるいはまたそれを助ける政務次官としては、私があれほど言ってやっておるのでありますから、少くとも政治的に解決をしなければ事務的には進まない、この程度くらいのことは私は御認識があると思うのであります。そういうことについては、私があれほどまで申し上げておるにもかかわらず、農林大臣にまだ話していないんだ、事務的にはなかなかめんどうであるが検討しているということでは、それでは現地の問題はどうなるかということになります。私はこれは重大な問題であることをすでにその当時申し上げておるのでありますから、その程度の答弁では、非常に誠意があるというふうには、はなはだ失礼でございますけれども、理解ができないのであります。しかし、事ここに至りましては、これをこのまま放任することはでき得ない状態でありますので、本日もぜひ農林大臣に出ていただいて、そうした政務次官の意のあるところも相当考慮した大臣の発言を求めたいということであったのでありますが、このようなことでは、たとえば大臣が出ましても、やはり政務次官の範囲内以外のことは発言できないような状態であろうかと思うのであります。そういうことでは、何回委員会を開いても、あるいはどのような会議をいたしましても、問題の解決はできないと思うのであります。一例を申し上げますならば、本日問題になりました米の問題についても、やはり立法措置によってこういう保護を受けておる限りにおいては、もう農民が言うと言わずにかかわらず、相当本委員会としてもあるいはわれわれとしても事態を大きく取り上げてこの問題について善処いたしておるのであります。ひとり畑作問題でそういう法律の保護を受けていないものについては、これはたとえば雑豆問題だけではないのでありまして、木炭についても野菜についても、その他たくさんあろうかと思います。しかし、集団的に北海道のようなああいう地帯におきましてこれだけの生産をして、そうして今日努力をしておる農家の集団というものは、あまり他にないと思うのであります。特に、御承知通りに、終戦後における北海道の開発ということは、政府自身としても重要であるということで特別立法まで作ってやっておるのだ。そのうちでも農林省の担当するのはやはり農業開発であると私は思うのであります。その農業開発のうちでも、水稲の問題については、全国一律でもって払っておっても、これは失礼な話でありますけれども、たとえば、声はそんなに高くしなくても、ある程度の基準によって農家は守られておると思う。幾ら言っても守られていないのがこの畑作の農家ではなかろうかと思います。こういう点はやはり相当私は考えていただかなければならぬと思うのであります。でありますから、そのことを強く申し上げておるのでありますけれども、今のような形では、私は進んでいないということを認識いたしますので、政治的な配慮を必要とする。その場合には、少くとも岸総理の八月参りました問題については、与野党ともにこれは認めておるところでありますから、これによって農林省の話し合いが一歩前進していくであろうことを私は期待してそのようなことを申し上げたのです。にもかかわらず、政務次官は何ら大臣にも言わないで、今のようなお話では、私はもう全然了承できないのであります。かといって、今日もう出荷最盛期に当って、換金しなければ負債も整理できないという地帯、また、御承知通りに、すでにもはや畑地まで雪が降らんとしておるような地帯における農民の実情というものをお考えになったら、八月の暑いさ中に避暑的だと言われるようなときに行った場合のことと、今日行ったのとは格段の差がある。そういうことが全然ここで議題にならないというようなことでは、政治などというものはどこにあるか疑いたいのでありますから、こういう点について、もう少し、検討検討として私は理解するといたしましても、それじゃどういう方向に持っていこうという検討をされておるのか。幸いきょうは政務次官ばかりでなく関係の方も来ておられますので、それぞれの立場から現在の実情を一つ御説明願いたい。
  52. 石坂繁

    ○石坂政府委員 前回の松浦委員の御質問のうちで、岸総理その他が北海道に行かれたときのいろいろのお話伺いましたが、しかし、質問の骨子、要点は、北海道の雑豆を農産物価格安定法に入るかどうかという問題のように私は伺ったのであります。私の受け取り方が間違っておればまことに恐縮で申しわけありませんが、私はさように受け取りましたので、今までその問題を中心として御答弁を申し上げておきました。しかるに、畑作振興の問題につきましては、ひとり松浦委員のみならず、政府といたしましても大きく取り上げておる重大な施策でございますが、さて北海道の畑作振興の具体的の方策いかんという問題に入っていかなければならないと思いますが、その点につきましては、振興局長食糧庁長官もおりますから、一応これらの方から具体的方策についてお聞き取りを願います。
  53. 増田盛

    ○増田説明員 雑豆の対策に関して現在北海道の農業協同組合の関係者から要望のありますのは、農産物価格安定法に入れろ、こういうように承知しております、ただし、その過程におきまして、これを自主的に協同組合が集荷販売をする場合におきまする資金の利子補給なり金利、倉敷に対して、政府が助成できないか、こういうお話もあったのでありますが、こういう事柄が自主的に農業協同組合の経済行為として行われることはまことにけっこうなことでありまして、それに対しては援助を惜しまないのでありますけれども、ただし、こういう事柄に対して政府の助成を得るかどうかという点は非常に問題がありまして、私は、ただいまのところ、助成という点は考えにくいのではないかというふうに考えております。
  54. 松浦定義

    松浦(定)委員 振興局長の御説明は、理論的にはうなづけるわけなんであります。しかし、先ほどからいろいろとそちらから御答弁願っておるように、価格安定法に入れるということは、農民を救うためには必要なことであります。しかし、そのことは非常にいろいろ問題もありますので、現在の立場においては、先ほど申し上げましたように、ぜひ一つ通常国会を目途にして御検討願いたい。しかし、ただいますぐ間に合うためにはどうするかということでありますが、そのためには、たとえば、今局長が言われましたように、農協が農民のためにできておるのであるから、そのことの経済行為の中で自主共同販売制度を確立してやることは異議がない、そのために金利、倉敷等を政府で補填するのはめんどうだという御説明でもあるのですが、そのことも私どもはうなづけないわけではないのであります。そこで、今のような話で参りますと、価格安定法にもなかなか入らない。自主的にやる場合にも、金利、倉敷というものは相当かかるのでありますから、これに対するものが生産者にしてみればそれだけ価格が安かったという結果になってしまうのでありますから、こういう点をどういうふうに協同組合を指導していくかということで、政府の責任という立場から、ただ口先だけで指導と言うのではなく、何らかの形でこの配慮ができないかという、積み上げ的な方式でもってお願いをしておるわけでございます。しかし、それもだめだということになりますならば、それでは政府はどうするか。協同組合がやる行為については賛成であると言うけれども、われわれはどうしたらいいかという質問が今現に出てきて参っておるわけであります。そういう点を政治的に配慮されるということも考慮して今後の結論を出していただきたい、こういうふうに実はお願いをしておるわけであります。先ほどからの政務次官のお話でありますと、そうであるけれども検討しておる、こういうことであり、また、今のような局長の話では、これはもう、現在農家は降雪期を前にして、しかも負債の整理をする期間を目の前にしてそういう制度をやっておるのでありますが、だんだんそのことがくずれてくる。このくずれてくるということは、政府が、かけ声だけはいいけれども、現実の面に、農家をふるい起すような、あるいは農家が自信を持てるような現実が与えられないというところに問題があろうかと私は思うわけであります。そういう点について、もう一歩前進をした対策というものをやはり政府自身が打ち出してもらわなければならぬ、こういうふうに思うのでありますが、こういう点についてどういうふうにお考えになっておりますか、お尋ねいたします。
  55. 増田盛

    ○増田説明員 ただいまの御意見によりまして、まことに私どもといたしまして答弁に苦しむのでありますが、やはりもう少し経済行為が完全に行われるように希望するのでありますが、その辺どういう事情で共同の行為が行われにくいのか、そういう点の具体的な問題の取り上げ方におきましては、助成以外の方法によってわれわれのなすべき点がありましたならば、努力いたしたいと思います。
  56. 松浦定義

    松浦(定)委員 先ほどから再々申し上げますように、初めてやります共同行為であります。従来は相当凶作続きでありますから生産物が消費から見まして非常に少かった。でありますから非常にその点についてはよかったわけでありますが、今年は、そういうわけでなしに、先ほどから申し上げておりますように非常に豊作であるというような実態でありますから、生産、消費の間について非常にめんどうな問題が出て参っておるわけであります。その対策として、政府としては、輸入を調整するということについては、これはもう一番でき得ることでありますから、このことについてはある程度の決定はなされておるようでありますが、今後行う場合においてそういう点が非常に問題でありますから、やはり今年初めて行うような制度に実はなっておるわけであります。でありますから、今ここで局長が言われますように、どういうことをしてどういうふうにした、その結果において考えるといいますけれども、これはやはりやってみなければわからぬわけであります。たとえば、こちらが今最低価格というものを自主的にきめましても、それだけで全部来年の八月までにこれが消費されるかどうかということの見通しもつかないわけであります。あるいはまた、計画的に生産をするといいながらも、その上地条件によってはやはり従来ある程度消費に見合わないようなものまで増産しておるようなものも中にはあるわけであります。一例を申し上げますならば、やはり菜豆類の中でも手亡という種類のごときは、ほとんど今年は国内において前例から見ますならば消化し切れないであろう、こういうようなものについては、やはり従来からでも戦前については相当輸出をしておったものでありますから、その中で相当輸出しなければならぬ。しかし輸出する場合には、外国品と見て相当の値開きがあるから、これは出血輸出というようなことにもなろうと思うのでありまして、そういう場合において政府はどう考えるかというような問題等も出て参るのでありますから、そういう点はこれからやってみなければわからぬのであります。しかしながら、そのやる段階として、やはり現在の農業協同組合が農民の生活を守るという立場に立って最善の努力をするし、あるいはまた、農民としても、これ以外にないという、そういう共同の精神にのっとって今度はやろうとしておるのであります。多少いろいろの関係から業者の方へ流れるものもあるでしょう。これはいろいろ事情があってやむを得ぬと思いますが、そういうものを排除してやるということになれば、これは全然できないのでありますから、これは、協同組合の本旨にのっとって、そういうものを全然考えないというわけではありませんけれども、認めながらこの制度を生かして、そして次にくる価格安定法の中へ入れる、自主調整の前提を作りたいというのが目的であるのでありますから、今申し上げますように、今こうこうこういう方法を示して、それでもなおかつこうだということの理論的なものが出たということになりますならば、一番最初お願い申し上げておったような、たとえば金利、倉敷等についても考えてやるということが具体的に出てこない限り、この問題は解決できないと私は思うのでありますから、今の段階といたしましては、そういうふうにこれから進める過程においてどういうような事態が起るかもしれないが、それを十分政府当局で見ておりまして、消費の価格と生産の価格がアンバランスにならぬように、これをある程度調整する責任をとっていただくというような方法が当然出てこなければならぬと思うのであります。  そこで、先般もそういう話はずいぶん具体的に私もお聞きいたしましたし、くどいようでありますけれども、やはり政治的な配慮がない限りこの問題の決定は最終的には実を結ばない。もし不調に終りまするならば、少くとも畑作農業を中心としております協同組合そのもの自体が破壊してしまう、ひいては農民が非常に苦しむということになるのでありますから、そのときになりまして指導上の責任を感ずるということで農林省がいかにいろいろの手を打たれましてもおそいのではないか、こういうふうに考えまするので、今度の実態は、やはり農家も責任がありますし、むろん協同組合としては北連等は責任はありますが、その上に立って農林省がやはりもっと積極的な指導をやってもらうという以外に私はないと思うのであります。  でありますから、結論的に申しますならば、今までの意見を総合して見ますると、やはり協同組合を中心として農家が団結するのはこれ以外にはないのだ、であるから、それを実施した結果において、もしそのような問題が出たときには農林省はこの責任を負う、あるいはそのことについてはこうするといったような面の指導というものをはっきり打ち出していただくということでなければ、これは成功は全然しない、このように私は考えておるのでありますが、これは農林大臣が責任上から発言さるべきものでありまして、事務当局からの問題ではなかろうと思うのであります。最終的には農林大臣としてやはりあくまで腹をきめてもらう必要がある。そのためには、事務的にはこれ以上方法がないといったような、そういう理論づけの説明を一つ農林大臣にも話をしていただかなければならぬと思うのであります。今私が申し上げますることは、やはり最終的にはそういう形でなければならぬというふうに私は考えるのでありますが、政務次官としてはどのようにお考えになるか、お伺いいたしたいと思います。
  57. 石坂繁

    ○石坂政府委員 本年度の雑豆の集荷目標は、たしか私の承知いたしておりますところでは二百三十四万六千俵ということで、大体北海道の雑豆の八〇%だといわれておりますが、このうち単協との間にすでに契約済みは七〇%ということであります。一方、先ほど松浦委員お話もありました通り、外国産の豆類の輸入につきましては、これは需給調節をはかっておりますが、ここの農協の自主調整をやっている問題について、金利、倉敷を見るように、こういう御要望でありますけれども、この点につきましては、先ほど振興局長からお答え申し上げましたように、今日の予算技術の上から申しますと、これは不可能ではないか、かように私は思っております。そこで、政治的解決の方法がないから大臣さよう伝えろという御趣旨でありますけれども、政治的解決ということが一体どういうことを松浦さんは含んで言われておるのでありますか、不敏にいたしまして私は十分了解できないのであります。松浦さんの質問の御趣旨は十分に伝えますけれども松浦さんのお言葉通りに政治的解決にあらざれば解決の方法なしということは、私としてはさような表現で大臣に報告したくはないのであります。
  58. 松浦定義

    松浦(定)委員 私は、できればこういうことは政治的な解決をしたくないのであります。でありますけれども、そういうことをしなければできないというような段階であろうかと思いますので、そういう発言を私はいたしておるのでありまして、もし私の言っておることをだめだと言うならば、一つ事務的にも理論的にもそちらからお伺いをいたしたいというくらいであるわけでありますが、もし先ほど申されました私に対する政治的な発言をということであるならば、前回申し上げておりますように、むしろ私は聞きたい。だから、私は大臣にそれをお聞きしたいのでありまして、私は何も与党の幹部でもなければ政府のあれでもありませんので、もしそういうことを言われますならば、前回申し上げましたように、北海道へ岸総理が行った場合において、寒地農業の確立、あるいは農家の負債整理、あるいは当面農産物の価格の問題は特に重要である、こういう問題を言って、多数の方々にそういう印象を与えておる。このことは政治的の解決の端緒にならないかということを私は指摘している。そういうことは何ぼ言っても言いっぱなしでいいんだ、ただここで事務的にできないことをやれというのは政治的にどうやれというのだ、そういうことを聞く前に、そういうことを私は言っておるのでありますから、これはむしろ政務次官との一問一答でなしに、だから私は、官房長官に来てもらいたい、こう言っておるのであります。ここで私は松浦委員長にちょっとお伺いいたします。松浦委員長は当時随行されておったのでありますから、これは失礼な質問の仕方かと思うのでありますが、どうも私がこうしていろいろお聞きをしておりましても、政府段階においてはこれ以上一つも進展してこない。当時の官房長官が、いろいろ新聞記者発表、あるいはまた、意識的に、いろいろな会場に行って、北海道の総合開発というものはどうしてもやらなければならぬ問題だ、であるからその中心としてこうだといういろいろ含みのある言葉の中から察知をされまして、私がこうして農林省に言っておること、あるいは農林省がこの程度しかやらないと言った場合において、与党の立場から、あるいはまた、当時随行され、しかもまたこの農林行政の両党の仲を取り持って問題の解決をしなければならぬ委員長という立場等から考えまして、やはりどうも僕の言っておることは、政治的な解決をしろと言ってもだめなんだ、いかに官房長官が、総理がどう言おうとも、そのときはそのときだが、なかなかめんどうだということで、これは仕方がないというふうに、お考えになるかどうか、こういう点も、ここまでくればこの際やはりある程度発言をしてもらわないとおさまらぬのではないか、こう思うので、あまり政治的な発言でなしに、これは一つ少し話の進むような工合に、与党にも責任がないわけじゃないんだから、急速にこの問題は解決するとかなんとか、いろいろ御発言の要旨はあろうかと思うのでありますが、一つ御意見を承わりたいと思います。
  59. 松浦周太郎

    松浦委員長 どうも委員長が答弁していいか悪いかわかりませんけれども、そういう御質問があれば、岸総理が北海道の道民に向って代表的におっしゃったことは、こまかいことは一々申しませんが、北海道の総合開発の推進ということは不退転な決意をもって推進するということは、ラジオでも、新聞を通じても、はっきり答えられましたから、そのことは申し上げておきます。
  60. 松浦定義

    松浦(定)委員 その大きな構想は確かにそれで私はいいと思うのです。それじゃ私は、当時のことを言っておるのがここにあるから申し上げますが、ずっと回っていって、そして北見や帯広などでは、ビート主体の酪農振興などを初め、寒地農業対策については相当な時間をさき、かんで砕くような演説をした、こういうふうに言っておるわけです。そうしますと、今委員長が言ったように、そんなに、北海道の開発は重要なものだということで、どれだけこういう問題を含んでおるかわからないというのでなしに、北見や帯広に行っては、ビートを主体とする寒地農業開発というものは非常に重要なものである、かんで砕くようにこまかく言ったというのでありますから、この内容は、今私が指摘しておるようにこれは御了承願ってもいいと思うのであります。委員長もその程度しかお答えになれないとは、私は今了承するとしても、この問題はやはり、総理が出られなければ官房長官——今非常に大きな問題でありますから、百歩譲って私は官房長官と言っておりますが、そこまで委員長は相当大きくは認めた、こういうことでありますから、次回にはやはり岸総理にぜひ一つ来ていただきたい。そういうことで、この政治的な発言等の問題の解釈についてはその後に譲りたいと思うわけであります。  そこで、最後に、これはやはり何としても事務的に検討してもらわなければ、政治的な解決も不可能である、私はこう思います。総理がいつ出ますか、農林大臣がその意を得てどういうふうな解決をされるかわかりませんが、少くとも事務的段階においては、やはりあまりむずかしく考えないで、これまで総理も行き、あるいは官房長官も農林大臣もその責任をとるということであるならば、どんなことをやられてもほかの例にならないと私は思うし、たとえば、いい例なら、そういう例を作ることこそ農業対策の振興だと思うわけであります。たとえば、ほかに例ができるから、これはやらないと言っておったら、いつまでたってもできないのでありますから、これは別だと言って、これをやっていいことであったら、全国共通に、ほかの問題にも関係したものとして処置されることがいいと私は思うのであります。でありますから、そういう意味合いで、この問題は、少くとも政務次官が政治的な問題についての解釈をお聞きになりましたので、この次に岸総理に来ていただいて、この政治的な解決を私はいたします。農林委員長もこれはむろん御異議がなかろうかと思いますから、こういうことで一つこの問題を進めることにいたしたいと思います。事務的段階においては、少くとも政務次官はやはり大臣を助けながらおやりになるのでありますから、そういう場合における処置として、大蔵省ともいろいろ話し合う機会もあろうかと思いますから、こういう点を十分御検討あらんことをお願い申し上げまして、この問題を一応本日はこれで打ち切っておきます。
  61. 松浦周太郎

    松浦委員長 芳賀君。
  62. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま同僚の松浦委員からるる御質問がありましたが、そこで、政府にお尋ねしたい点は、今年の豆類の価格安定を具体的にはどういう態度でやっていただけるか、御説明願いたいと思います。
  63. 増田盛

    ○増田説明員 雑豆に関する北海道の農業協同組合の集荷販売計画は、先ほど政務次官からお話があったのでありますが、大体集荷目標を生産量の八〇%、そのうち、私ども承知しておるところでは、単協との契約がすでに七〇%程度できておる、かように聞いております。本年は確かに豊作でございますけれども、しかし、来年度の需要をまかなうためには、全国的な需要量から見ますと、なお生産量あるいは出回り量は下回るのでございます。従いまして輸入が問題になってくるわけでありますが、今年度におきましてはすでに下期の輸入量を全部輸入しないということになっております。さらに、来年度の輸入計画に関係してでございますが、上期におきまして現在と同じような状況が予想される場合におきましては、上期におきます輸入量に関しましても調整をする必要が起るだろうと思うのでありますが、それはその事態になって考えていきたい、かように思っております。
  64. 芳賀貢

    ○芳賀委員 増田さんは一口に雑豆と言われるが、雑豆というと何か要らない豆のように聞えますが、そうでない。俗称雑豆と言っておりますが、これはあるいは小豆類とか菜豆類と分類できるわけです。そこで、今年は豊作年ということが言えますが、これを大別して国内の需給関係考えた場合において、すべての豆類が国内で充足が可能かどうかということ、あるいはまた一部過剰傾向のものが中にあるかどうか、そういう検討をやっておられるか。たとえば、需給推算から見て、ある豆についてはどのくらい輸入して調整しなければならぬか、そういう大まかなものを持っておられると思いますから、参考までにお示し願いたいと思います。
  65. 増田盛

    ○増田説明員 これはいろいろな種類がございます。雑豆と申しますが、実は非常にたくさんの種類がございます。しかも、輸入品の中には、やや日本品に似ているものから、相当形態も格好も違う、しかし用途は代替品を含めて大体こういう用途にするのだということで、非常に複雑でございます。従いまして、これに対する個別品目別、銘柄別に私の方でとうてい検討できないわけでございますが、全体の需給関係を大ざっぱにつかみまして、それで輸入の調整に関しまして私の方の農林経済局を通じて通産省に申し入れる、こういうことになっております。
  66. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その点は後日資料をお出し願いたいと思います。今お話のあった、輸入調整を行なって、それによって国内の価格の調整をはかりたいというような説明でありましたが、たとえば本年度下期の輸入については、これは輸入計画を変更して輸入を行わない、あるいは明年度の上期については今から調整の用意をするということでありますが、振興局長の言明は、政府としての豆類に関する輸入計画等の不変の態度であるかどうか、その点はいかがですか。
  67. 増田盛

    ○増田説明員 本年度の下期に関しましては、大体輸入しないということにきまっております。しかし、来年度の上期に関しましては、まだ態度を決定したわけではないのでございまして、その当時の事情を見まして、上期の輸入の割当がある場合の状況に応じて検討するわけでございます。従いまして、そのときにつきましても、私どもだけじゃなしに通産省まで含めて全体で協議をしてきめる、こういうことになろうかと思います。
  68. 芳賀貢

    ○芳賀委員 問題は、明年度上期に対する政府の態度というものが相当明確になっていないと、それはやはり一つの思惑となって市場を支配する大きな原因をなすわけです。ですから、このことに限っては速急に態度をきめる必要があると思うのですが、これはいつごろまでに上期の輸人計画に対して政府の態度を決定できるか、その点を一つ伺いたい。
  69. 増田盛

    ○増田説明員 来年度の上期の外貨予算の編成は大体三月ごろ行われるだろうと思うのであります。御存じの通り、外貨予算の編成は、上期と下期と年に二回行うのでございます。その当時の状況によって判断してきめる、こういうことになろうかと思います。
  70. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、お尋ねしますが、この雑豆等の輸入割当は、今はたとえば行政的にあるいは法律的にどういう根拠で政府として権威を持たしてやっているのですか。
  71. 増田盛

    ○増田説明員 雑豆関係の外貨の割当は特別外貨割当制度になっているのでございまして、その割当をする場合に国が割当をする、そういう制度です。
  72. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この問題はいずれ通商局長等にも来てもらって明らかにしてもらいたいと思います。  次に、国内の価格安定について、先ほど松浦委員からの質問もありましたが、たとえば、石坂次官のお話を聞いても、価格安定法の中には入れがたい、あるいは政府として自主調整案等に対して金利、倉敷等も出しがたいというようなことでありますが、そうすると、行政的には豆の価格安定に対し政府としては何ら具体的にこれを保護するという考えは現在のところないのですね。この点はいかがですか。
  73. 石坂繁

    ○石坂政府委員 できるだけ需給を調整することによって、つまり需給のバランスを保つことによりまして価格を安定していきたい、こういう態度でございます。
  74. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは、たとえば外国からの輸入品との競合の場合には、今振興局長の説明で尽きておる。しかし、これだけで完全だということは言えない。むしろ外国から輸入を要しないで豆類等における国内の需給調整をやっていく、そのことによって価格安定の成果を上げるということになれば、それをどういう形でやるか。政府として何ら具体的な策を講じないで、ただ協同組合だけにそれをやりなさいということだけでは、私はことしのような年柄は十分な成果は上らぬと思うのです。農協としての今の力というものは、やはり限界があります。ですから、そういう農協だけでは十分やりがたい点を政府の行政面において幾分でもカバーしてやるということになって、初めて協同組合を主体とした自主的な需給調節あるいは価格安定の成果が上るのではないかと思う。ですから、政府の行う部面というものが何であるかということをもう少し明確にしていただきたい。もちろん農協の事業を中心にするということは前提に置いてもいいのですが、しからば政府としてはどのようなことをやってやるか、その点です。
  75. 増田盛

    ○増田説明員 政府として現在やり得ますのは、需給調整のために輸入量を調節するということでございます。それ以外に、あとうべくんば輸出の問題をいろいろ手がけたいのでございます。これは戦前には欧州市場その他に対する相当の輸出があったのでありますが、最近は外国製品とのコストの競争上ほとんど輸出が行われていない、こういうことでございます。この点は現在政府としましていかんともできないわけでございます。ただし、今後はいろいろな面で研究しなければならぬのじゃないか、かように思っております。
  76. 芳賀貢

    ○芳賀委員 輸出振興の問題はあとでお尋ねしますが、この場合、協同組合の事業を主体にして今年度の豆類の需給調整あるいは価格安定を期待するという場合に、政府として具体的に輸入調整以外に何ら方法がないというのも、ちょっと物足らぬと思うのです。私はそれでわかるのですけれども、たとえば全国の生産農民の側から見ると、せっかく農林省という役所がありながら、適地適産とか畑作振興を奨励しておいて、そして苦労をして収穫を上げて豊作であるという場合に、何らなすところがないというのは、これは岸内閣として残念だと思う。ですから、何か構想でもいいから、こうやればさらに効果があるという、そういう問題はないのですか、石坂さん、いかがですか。
  77. 石坂繁

    ○石坂政府委員 松浦委員からるるお尋ねになりましたことも、せんじ詰めればそういうことではないかと思います。結局、今日の経済の状況におきましては、本年は大巾に増産いたしておりますから輸入の必要はない。なお自主調整に期待しておりますが、自主調整によって不利益をこうむるものは取引所関係ではないかと思うのでございまして、その点につきましては、価格の設定の方法いかんによりまして、この問題の解決の余地があると思っております。なお、農産物価格安定法の方に入れるかどうかということは、たびたび申し上げております通りに、いろいろ検討をいたしておる段階でございます。しかし、対策いかんということは、こういう問題までも含めまして検討いたしておるような次第でございます。
  78. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、結局、協同組合の自主的な販売の努力によってしっかりやって下さいということになると思うのです。ただ、問題は、現在の協同組合——たとえば北海道の北連を中心にした組織、あるいはまた全販連を中心にした全国的な農協の組織だけでこの問題の解決はできないと思う。これができれば何も問題はないと思うのです。ですから、たとえば北海道においても出回り予想の七〇%程度を自主販売体制の中に入れることは可能であるということにして出発するといたします。その場合、その数量の把握は最後までうまくいくとは限らない。たとえば、一方においては穀物取引所等の機構があって、そうして毎日のように相場の変動がある。ですから、農協以外のもう一つの取引関係の力は、これが意図的に作為的に能動的に働く場合においては、切りくずしということは可能であると思う。たとえば、協同組合が、年間の販売の一つ中心価格と言いますか、安定価格をきめて、それによって自主的な販売を行う、月別の計画を立てて需要に見合った販売を行うという場合においても、一方の経済力がこれをこわそうというようなことをやれば、やはり目前の利害を追求する農家の場合には、将来のことよりも現在少しでも農協が扱う価格よりも高く売ればその方が有利だということでそっちへ流れる場合もある。これも幾たびも経験した苦い実情なのです。ですからこういうことになるわけです。最初の出発は相当強力な体制で勇ましく進んでいっても、途中で切りくずしにあうということになると、協同組合だけががんばっても、構成員の農家の方からくずれるという場合がある。また、批判も受けるということになれば、かりにこれは成功すればいいし、また組合員全体がその農協を通じてのかかる努力を認めればそれでいいわけですが、それを認めることのできないような低い水準の農家もあるのです。そういうことになると、これは農協の事業としてもやはり相当将来の販売事業なら販売事業についての盛衰に関するような問題も出てくると思う。ですから、こういう点に対しては、やはり政府として、協同組合を指導育成し、あるいは協同組合を通じての共販ということでいくべきであるということをあなた方が指導しておるのですから、協同組合に十分それを行わしめて、そうしてそれを援護してやる。しかし、それだけで見ておるというのじゃなくて、結果に対してもある程度政府としては十分の親心を加えるというか、今そういうことが言明できないとしても、当然それを配慮する、最終段階におけるいろいろな事態に対して政府が考慮しなければならぬ責任を感ずるということは当然なことであるというふうに思われるわけなんですが、そこまでお考えになって、協同組合で今年は全力をあげてやってもらいたいということなんですか、その点はいかがでしよう。
  79. 石坂繁

    ○石坂政府委員 いろいろ検討すべき問題もあろうかと存じますが、それらの問題をすべてひっくるめまして十分検討いたしておる段階であります。
  80. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だいぶ話が違うのですが、先ほどから、現在の政府の判断では農産物価格安定法の対象にはしがたい、それから、協同組合の共販等については、たとえばその調整保管した数量等に対しても金利、倉敷は出しがたいというようなことを言われておるわけですね。そういうようなことはわれわれとしては遺憾にたえないわけです。今の政務次官の御答弁によると、そういうようなこともすべて含めて現在検討し考慮中であるというようなことであれば、また模様が違ってくるわけでありますが、いかがですか。
  81. 石坂繁

    ○石坂政府委員 言葉が不十分、不適当で、はなはだ恐縮に存じますが、今まで検討しておると申しましたけれども予算技術上むずかしいと申しました問題はその通りであります。ただ、新たに芳賀委員より、いろいろ親心をもって検討しなければならぬ問題があるのじゃないか、こういうことを言われましたので、それらの問題もあろうかと存じますから事務当局といたしましてはいろいろな問題について検討しておる、こういうふうなことを申し上げましたわけで、前後矛盾撞着はいたしておりません。ただ私の言葉が不十分であったということで御了解を願いたい。
  82. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは具体的な事例を一つあげて申し上げますが、たとえば小豆を自主販売の対象にした場合、大体協同組合としては四千円なら四千円というものを一つの自主的な最低価格にきめて、そうしてこれ以外には売らないということですね。それで販売を進めていくという場合に、それが順調に行けばよいわけです。しかし、出発する当初は金利も倉敷もかからないから四千円でよいが、来年の二月になり三月になると、それはやはり最低目標価格に金利、倉敷というものが加算されていかないと、最低の一定限の実質的な手取りというものを確保することはできなくなるわけです。それが協同組合あるいは北連あるいは全販が全国の出回りの小豆をとにかく九〇%以上掌握して計画的に良心的に売り出していくということであれば大体所期の目的が達成できると思うのですが、しかし、協同組合の力で掌握できなかったものの動きによってこれがくずされていくようなことになるということもあるわけです。ですから、それがだんだん先の方に行って非常に動揺が出たり混乱が生じたり、あるいは期待通り進まぬというような事態も起きないとは限らないわけです。しかし、その場合であっても協同組合は最後まで全力を尽して努力していくわけなんですが、結末においてこの共販事業がうまくいかなかったということにもしなるような場合においては、これは協同組合の経営の不手ぎわであるとか、これは君たちのやり方がまずかったのだからやむを得ぬということだけでは相済まぬと思うのです。政府はせっかく無為無策の中にもつ農協を中心としてやるべきであるという方針を示しているのですから、そういう場合にやはりこれは考える必要があると思う。もし行政的にできないということであれば、それはこれを行政的にやるべき根拠がないからできないということになるのですね。ですから、行政的にやれないとすれば、やはり行政的にやれる根拠というものを作ってやる必要も出てくると思います。そういう点は、ずいぶん前からわが党の松浦委員が特に豆議員とまで言われるほど一生懸命やっている。今ここで初めて質問していることじゃないのです。その間何ら具体的な答弁がなされぬということは、政府としてもまことに不信行為だと思うのです。もう少し責任のある具体的な答弁をぜひお願いしたい。何も大臣がわざわざ来て答弁される必要はないと思うのです。政務次官でも、あるいは食糧庁長官でも振興局長でもいいと思う。政府を代表して答弁願います。
  83. 石坂繁

    ○石坂政府委員 北連と生産者との間に協議の結果成立いたしました最低価格、すなわち生産者の農家の手取り価格は小豆は四千八百円だと承知いたしております。その他の問題につきましては事務当局から答弁いたします。
  84. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは何千円でなくちゃいかぬと言ったのではない。たとえば小豆という豆を四千円ということに仮定して共販を進める場合におけるということで、何も私は四千円とか四千八百円とかいうことを頭に入れて言っているわけじゃない。共販事業の将来に対して、その結果いかんについては政府として何らかの行政的な配慮というものを今から講ぜられてしかるべきだと思う。確約とまでいかぬでも、結果については当然考えなければなりませんというような答弁があってしかるべきだと思うのです。その答弁もできないようならば、これはいつも言うようですが、農林省は要らぬということになるのですが、いかがですか。
  85. 増田盛

    ○増田説明員 同じことを繰り返すようでございますが、私は、雑豆の場合には、出回り品の大半が北海道でございますし、御指摘のように、これを担当する農業協同組合の集荷量並びに販売がうまくいけば全体としてうまくいくというように考えております。それ以上の問題に関しまして政府が直接行政的にタッチをして財政的な援助をするということは、どうしても考えにくいというように存じます。
  86. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、結局協同組合が自主販売でことしの価格安定に最大の努力をするのが最善の方法だということは認めておるわけですね。そうなると、これは農林省の責任において、全国の協同組合に対して、法律等に示されていない雑穀とか豆類等に対しては、この際協同組合の力を結集して、そうしてこういう形でやりなさいという指導は当然おやりになるわけですね。その点はいかがですか。
  87. 増田盛

    ○増田説明員 この問題は全く自主的な問題として起っておるわけでありまして、むしろ細部のいろいろなテクニック等に関しましては係官等が随時相談に乗っているはずでありますから、趣旨は自主的にやっておるということであります。
  88. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農協の事業ですから、これは自主的にきまっておる。ただ、そういう形でやりなさいという指導はおやりになれるでしょう。それは何も金、がかからぬではないですか。
  89. 増田盛

    ○増田説明員 もちろん、私のところに協同組合関係の人が来た場合におきましては、自主的にやったらどうですかということは申し上げておるのであります。しかし、文書等をもって正式に、この問題に関してはこう処理しろというような点は、私の方から全然申しておりません。
  90. 芳賀貢

    ○芳賀委員 振興局は農協関係の所管でないとすれば、経済局長からその点を……。
  91. 石坂繁

    ○石坂政府委員 農協にわれわれ期待いたしておるところは、どこどこまでも自主調整、農協の自主的な立場からやってもらいたいということであります。先ほど局長からいろいろ申し上げましたように、関連は持っておりますけれども、さらばと申しまして、こちらの方から書面でいろいろのことを申してやるとかいうことは、取りようによりますと力で指導するような印象を与えたりいたしますことも適当でない場合も出てくるのであります。どこどこまでも自主的調整に期待いたしておるような次第であって、その趣旨は先ほど増田局長から御答弁申し上げましたと同様の趣旨でございます。
  92. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の表現が下手かもしれませんが、私の言うのは、協同組合では自主共販でやっていく方針がきまっておるのです。ただ、問題は、ことしの場合は無条件委託販売ではないわけですね。一応生産者に対しても最低この目標で処理しますということを示して、そうして七〇%の集荷が行われたというような経緯なんです。全然価格を示さないで無条件で委託されるような販売である場合においては、これは協同組合側としても荷が軽いかもしれませんが、一つの販売に対する目標をきめてかかっているわけです。これもやはり自主販売の範疇には入ると思いますが、とにかく、協同組合を強化する場合は、販売事業の面に対してはあなた方勝手に自主的におやりなさいということではないでしょう。あなた方の答弁はどうなんですか。あなた方がやるのだから、勝手にやるのはこちら側から見つると自主的なんだから勝手にやれ、こういう意味の自主的販売に期待しているということなのか。農協本来の販売事業というのはもちろん自主的にやらなければならぬのです。自主共販の体制ですね、そこで勝手にやれという意味の自主的か、今まで政府が長年指導して農協を育成された、その中の千販売事業の行き方として、自主的な共販体制であくまでもこれはやるべきだ、そういう意味ですか、どっちですか。
  93. 増田盛

    ○増田説明員 勝手にやれということではないのでございます。私ども考えます販売は当然価格がその中に含まれておるので、ございまして、価格をどうきめるかということと共同的な集荷販売行為とは一体だと考えております。従いまして、自主的に集荷販売行為をやるという場合におきましては、価格も、協同組合が、関係市場その他いろいろな意見を参酌する場合もあると思いますが、そのときの情勢で最も妥当とする価格をきめて、それで経済行為をやられるということがよいというように考えております。
  94. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、たとえば豆類は北海道が生産地ということになっておりますが、その場合、これは主産地の北通なら北連だけが中心というのはうまくないと思うんです。ですから、これはやはり、全国組織の全販連の販売事業との関連のもとにおいて、北連と全販連との相互協力関係の中においてこの大きな問題を乗り切るように指導をなさったらいいのじゃないかと思いますが、その点はどういうふうに考えておりますか。
  95. 増田盛

    ○増田説明員 御意見まことにごもっともでございますが、全販連との関係に関しましては、農業協同組合の系統幾関の内部の問題でございまして、実は私直接承知しておりません。しかし、必要ならば全販連が北海道の協同組合をバックしてやることも必要だろうと思います。
  96. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、たとえば農産物価格安定法の場合は、生産者団体が調整保管する農産物等については保管の資金あっせん等を行うということになっておる。豆類は何も法律的な根拠はありませんが、強力に共販事業を推進していくというためには、たとえば問題になった金利とか倉敷という問題がその時期別の販売代金の中へ食い込んでくるわけですね。ですから、この場合最も金利のかからない資金を生産者にも融通あっせんできるような体制になると、これは非常に順調にいける面もあると思うのです。もちろん協同組合の系統融資の流れもありますが、この際やはり政府として、特に政府資金とまでは害わないけれども、系統内における共販事業に対する金融の流れ等については、やはり同じ金利の中においても特に事業の大きな目的を達成できるような意義を持った資金が流れるように、政府としても大いに指導する必要があるのじゃないかと思いますが、その点はどういうふうに考えますか。
  97. 増田盛

    ○増田説明員 系統資金の問題に関しまして、もし御要求があれば、あるいは農林中金等に私どもの方からお話し申し上げる機械もあろうかと思うのでありますが、コストの安い低金利ということになりますと、実は特定の国家資金以外には考えられない状態でございまして、しかも、こういう農業協同組合等の行う経済行為に系統資金以外に国家資金をしかも低金利で出すということに関しては、今の農林金融体系全体の問題でございまして、現在はそういう制度がないのでございます。そういう点で、そういう要望に対しては私ども実は考えることが非常に困難な状況にあるわけでございます。
  98. 芳賀貢

    ○芳賀委員 別に政府資金を流せというのじゃないですよ。政府が指導できる範囲内において、たとえば中金なら中金等の資金を最低の金利で流させる。それは、こういう大きな共販事業等をやるような場合において、この事業の成果を最大ならしめるために、そういう安い金利の流し方というのは、これは系統内部においても検討してできると思うのです。そういうことを政府として命令はできないにしても、こうやったらどうかという勧奨ぐらいはできると思うのです。その辺はどうですか。今までもやっているのだから、できないことはないと思うのだが。
  99. 増田盛

    ○増田説明員 私、不勉強でありまして、実は所管も違う関係上、つぶさに系統資金のいろいろな由来を存じませんが、大体、系統資金は、御指摘のような共販行為とか、こういうことに使われるものが大部分じゃないかと思うのであります。従いまして、その場合にその中で差別をしまして特に金利を安くするということは非常に考えにくいのじゃないかと考えております。この点は私の所管でございませんので、またさらに研究をいたしたいと思います。
  100. 芳賀貢

    ○芳賀委員 とにかく、中金は一千億くらい資金がだぶついて、系統外に流れておる。そういうふうな膨大なだぶついた資金を包蔵しておるわけなんだから、これは内部的に複雑な事情があるかもしれませんが、農林省としても、こういうことが最も効果的だとすれば、安い金利で金を貸すのも、政府が一部利子補給をするのも、結果的には農民としては同じなんですよ。だから、こういう点は十分御検討になって、できるだけ効果の上るようにされたらいかがかと思いますが、政務次官、どうですか。
  101. 石坂繁

    ○石坂政府委員 芳賀委員のただいまの問題はごもっとものように思います。ただ、私もはなはだ面目ないことでありますがこの点勉強が足りませんので、なおお言葉もありましたからこの点は十分勉強いたしいたと思います。
  102. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは先ほど振興局長からもお話がありましたが、輸出問題ですね。たとえば国内における農産物の中でも澱粉等は過剰的な傾向になっておりまして、あるいは特産物等では北海道のハッカとか、そういうものもやはり輸出しなければいけないとか、そういう性格を持っておりますね。それで、この際輸出農産物に対する輸出振興の基本的な方策というものが必要だと思います。それは外貨獲得の場合でもささたるものであると言えばそれまででありますけれども、国内で充足されてなお余りあるものを海外に出して外貨を獲得するというようなことも、やはり特殊農産物に背負わされた課題であるというふうにも考えられるわけです。それで、振興局長からもちょっとお話がありましたが、たとえば豆類の中でも、中には今年の豊作によって国内で消費して余りあるというものが出てこないとは限らぬと思います。そういう過剰になったものはどう処理されるかという一つの見通しがつかないと、それが国内の価格圧迫の一つの材料になりますから、そういうものが生じた場合にはこれをどういうふうにして過剰傾向からの圧迫を排除するかということも、できるだけ早急に方針を立ててもらいたいと思います。ですから、そういう点に対する農産物輸出振興について今まで具体的な御検討をなすっておれば、この機会に述べていただきたい。
  103. 増田盛

    ○増田説明員 当面の豆類の輸出対策に関しましては、いろいろ研究してみたのでございますが、結論としましては非常にむずかしいのでございまして、やはり海外の価格とのバランスがとれていないという面で非常にむずかしいのではないかと考えておりますが、戦前には良質なものを輸出した例がございますので、あきらめずに続けて研究して参りたいと思います。  なお、お尋ねの中にあったと思いますが、農産物全般の輸出対策についてでありますが、これははなはだ広範多岐にわたる問題でありまして、一品目々々具体的な内容が異なってくるものがあると思いますが、現在振興局の内部に、非公式なものでございますけれども、園芸調査会を設置いたしまして検討を続けております。明年度予算要求もしておりまして、引き続いて三十四年度にまたがりまして具体的に検討して参りたいと考えております。
  104. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最近農産物は外国に出す場合においてはむしろ外国の農産物の方が格安になっておるから、ただそのままの形では引き合いは困難だということになるわけです。しかし、政府がこれに対してあまり積極的に保護助成というようなことをやり過ぎれば、ガットの関係も出てくると思いますから、何か適切な調整幾関のようなものを設けるとか、あるいは国内で過剰になったりあるいは輸出目的の農産物等に対しては、直接的にできないとしても間接的にこれをカバーしてやるという、そういう方策は当然必要だと思うのです。きょう直ちに結論をお聞きしたいとも思いますが、これは近い機会にもう少し具体的な方針をきめて明らかにしてもらいたいと思います。政務次官はいかがですか。
  105. 石坂繁

    ○石坂政府委員 輸出、ことに農産物の輸出を盛んにすべしということは私ども全然同感であります。ただ、先ほども局長からお答えいたしました通りに、農産物と申しましてもまことに複雑多岐であります。一つ一つの品物等につきましても、その性格なり輸出仕向先等につきましても検討を要することでございまして、幸い芳賀委員も本日具体的の問題についての即答は必ずしも要求しておられないようでありますから、これはできるだけすみやかに方策を樹立いたしたいと思います。
  106. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、この問題に付随してでありますが、たとえば共販事業の中で豆類の最低価格目標をきめて強力にこれを実行に移す。そういう行為に対して、取引関係の業者とかそういう方面から、たとえばこれが独禁法違反だとか、そういう妨害の管が一部に出ておるようにも私は聞いておるわけです。こういうことは農協本来の自主的な事業でありますから何ら意に介する必要はないと思いますが、そういう声が逆作用をするようなことも考えられますので、そういう場合には、政府として農協の事業に対する明確な判断をして、無用の摩擦等が起きないようにした方がいいのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  107. 石坂繁

    ○石坂政府委員 独禁法との関係におきましては、御心配のような点は出てこないと思います。
  108. 芳賀貢

    ○芳賀委員 政府としても独禁法の改悪さえやるつもりでおるのだから問題はないと思うのだが、しかし、一面において、今度独禁法が改悪されて資本の独占化が進んで経済支配が行われるような状態が起れば、協同組合の置かれる立場というものは非常に今までよりも困難になると思うわけです。この問題は以前渡部長官が畜産局長時代にも触れた問題ですが、たとえば農協法の一部改正、十九条二項に改正等についてもこの際むしろ検討すべき時期じゃないかと思うのです。独禁法の改正が通るとわれわれは考えませんが、そういう傾向政府の方針として出されておる。そういう中から農協を守るというようなことになれば、やはり農協を中心にして農民が経済的にさらに一そう強固な体制を整えなければならぬということにもなると思うわけです。むしろ独禁法に対抗する意味において、農協法の改正等について農林省内部で検討しておるわけですか。
  109. 渡部伍良

    渡部政府委員 協同組合法十九条の二項の関係お話関連して、私の名前が出ましたのでお答え申し上げます。あれは私の方では十九条二項を改正したい、こういう希望であったのであります。むしろ協同組合、団体の方から反対があったのであります。従いまして、それと独禁法の改正とは直接結びつかないのであります。むしろ私は先生の御意見と同様に協同組合の共販体制を強化する方向で協同組合組織を強化したいという考えであります。
  110. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最後にお尋ねしますが、冒頭お話があった通り農産物価格安定法の中に入れることができないか、あるいは検討するという問題ですが、どうして豆類の安定が必要でないかという点について当局の意見を聞かしていただきたい。
  111. 石坂繁

    ○石坂政府委員 豆類の価格の安定が必要でないということは考えていないわけでございます。ただ、安定法のうちに入れるかどうかという点につきましては、豆の種類なりあるいは豆類の持つウエート等を考えまして十分に検討して措置いたしたい、こういうふうな考え方でございます。
  112. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは、たとえば国民経済の上から見ても、小豆にしても菜豆にしても不可分の関係にあるのですね。ですから、消費者側の立場から見ても、不当に高い価格あるいは不当に安い価格でそれを買い取ろうという意思はないと思うのです。従って、生産者の側から見ても、消費者の側から見ても、あるいは需給関係から見ても、適切な価格の基本線というものは必要だと思うのです。これは農産物全体に通ずる問題なんです。ですから、そういう角度から考えた場合においては、ただ地域的にこれが偏在して生産されるとかいうようなことだけではなくて、その地域ではその農産物以外に生産されないというような悪い条件に置かれておるわけです。ですから、この重要度というものをそういうところに置いた場合においては、当然これは価格安定法の対象として取り上げる時期にもうすでに来ておると思う。しかもこれは澱粉と違って必ず毎年買上措置を講じなければならぬという筋合いではないわけですね。むしろ、農産物価格安定法の対象にしたということによって、やはり政府が試算する一定の基準価格、あるいはそれに対する協同組合の調整保管行為とか、一連の経済行為が順調に回転できると思うのです。ですから、そういうことから考えた場合においては、この買い上げがだんだん重なって始末に困るとか、政府の買上数量の滞貨が増大することによってそれがまた次の年度の価格に逆作用するというようなことにはならないと思う。対象にすることによって、あるいは輸入調整も十分行われるということにもなると思いますし、これは政府としては当然踏み切ってもいいと思うのです。この点については、きょうはもう時間があまりありませんから、この次の機会に農林大臣等にも出てもらって、もう少し真剣に論じてみたいと思います。ただばく然として、出す意思がありませんとか検討中でありますとかということだけで、出先へ行くとうまいことを言って、いかにも安定法に入れてやるとか、ことしは値段を下げませんなんということを総理大臣なんかが勝手に放言する。こういうけしからぬ行為が行われて、それで、国会へ来てみれば、何にもそういう意思がありませんということなんです。これは国民をばかにしているでしょう。選挙でもあれば、投票を集めるために出かけていって総理大臣がでたらめなことを言って、そうして善良なる農民をたぶらかして、何らやる意思がない。そういう不信行為というものが国民の政治に対する不信感とか反感を増大することになると思うのです。ですから、これは石坂さんのようなりっぱな方にそう言う気はないのですよ。総理大臣がいないから、私はいればちょっとここで直接言うのですが、そういう一国の総理の軽はずみな言動がこういう結果にもなると思う。ですから、たとえば全く考えていないような甘言であっても、やはり一応表明したことにはどこかで責任を持って跡始末をする必要もあると思う。そういう意味においても、この次の機会までに安定法に対してこれを取り上げるかどうかという問題についてはぜひ十分御検討をしていただきたいと思います。  それではきょうはこの程度にしておきます。
  113. 松浦周太郎

  114. 松浦定義

    松浦(定)委員 だいぶ時間もおそくなりましたが、予定の問題だけはどうしても伺っておきたい、このように実は考えておるわけでありますが、ビートの問題についてお伺いいたしたいと思うわけであります。この点についても、やはり農林大臣が出て参りましてから、現在の日本における糖業政策というものをどう考えているかということを順次お聞きしたいと思ったのですが、そういう点は後刻また農林大臣に対してお伺いすることにして、現在起きておる当面の問題等について、これは幸い振興局長もおいでになりますし、政務次官もおることでありますから、お伺いいたしたいと思うのであります。  現在北海道中心としてビート糖業が非常な勢いで浸透しておる。これは寒地農業の確立上から言ったらこれはど喜ばしいことはないわけでありますが、その構想自体について政府が今日まで進めて参りました経過と、あるいはまた実際これが現地における行動というか、たとえば工場建設にしてもあるいはビートを耕作する農民に対するいろいろな保護政策等の上から見ても、決してこれは統一した問題として処理されていない、こういう点について非常に問題が多い、かように考えておるわけであります。従って、まず第一に振興局長にお伺いいたしますが、現在の糖業政策の上から言って、北海道中心とするビート糖業の振興というものについてはどのようなお考え方で進めておられますか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  115. 増田盛

    ○増田説明員 大体の方針はすでにテンサイ糖業の振興法にうたわれている通りでございまして、寒地における農業経営の合理化とあわせまして国内砂糖の自給度の向上ということでございます。振興局といたしましては、特に農家経済あるいは農業経営の合理化、こういう面を第一番にして取り上げて参りたい、かように考えております。今やっておりますいろいろな作業もそういう点に力点を置きまして進めているわけであります。
  116. 松浦定義

    松浦(定)委員 なるほど、今局長が言われましたように、てん菜生産振興臨時措置法の目的を御説明願ったわけでありますが、私は目的は確かにその通りだと思うのであります。しかし、目的にもいろいろねらいがございまして、やはり、それを中心とする工場を経営するものと、あるいはまた、それに対する原料を生産してそのためにやはり農業の合理化を進めよう、こういうものとあるわけでありますが、そういう点の中心について農林省のその後の法律に対する具体的な進め方としていろいろ指導上に問題があろうかと思うのであります。そこで、この点は相当詳しく今後何回となくお伺いをしなければならないと思うのでありますが、今の御説明のような形で、今日までの工場の設置あるいはそれに伴うビート耕作に対する指導とか、そういう面については万遺憾のないような形で進めておる、こういうふうに私は考えられないのであります。しかし、百歩譲って、昨年までの経過あるいは今日決定しておるものについては、これはもう一応現段階においては当然決定された問題として多くを語ろうといたしませんが、今日起きておる問題で、これからの問題について、今局長が言われましたようなてん菜生産振興臨時措置法の目的に準じてこれが進められるような形であるかどうか、こういう点では相当私は問題があるであろうと思うのであります。  従って、北海道中心として現在行われておる会社の数は、御承知通りはっきりいたしておると思うのでありますが、三十四年度以降において新しく北海道に工場を設置したいというものについても相当たくさん実は出て参っておるわけであります。私どもが聞く範囲内で、あるいは新聞紙上等で日々見ておる面で見ますると、やはり私ども耕作農民の立場からすれば、これは決して好ましい状態ではないという面も実はあるわけであります。そこで、相当英断をもってこの処置に当らなければ、今この振興法の目的だけを表面にかざしてやっておりましても、現実の問題はこれを無視して、やはり工場の設置側と生産者との間には相当な開きのあるような形でこれが進められようといたしておるのではなかろうか、このように見ておるわけでありますが、今年から以後において現在農林省へ新設を申請しておりまする会社、あるいはまた年次、地帯、そういうものについて、一応御説明を願いたいと思います。
  117. 増田盛

    ○増田説明員 現在すでに設立しておるもの、及び設立を認めておるもの、これは御存じの通り七工場でございます。それ以外に現在までに申請をいたしております会社がございます。いずれ御要求がありますれば一覧表を作りましてお手元に差し上げたいと思いますが、簡単に申し上げますと、今後設立を希望するものが八工場ございます。八工場のうち、日甜、台糖、それから芝浦は、工場の増設です。それから、新設会社としまして全然新しく工場を設立したいと言ってきているのが大日本製糖、明治製糖、名古屋精糖、大阪製糖、日新製糖、これだけございます。それで、場所を逐次申し上げますが、日甜は帯広の工場の拡張、明治製糖は十勝の池田町、大日本製糖は中川郡の本別町、名古屋精糖は十勝の芽室、台糖は空知郡の富良野、大阪製糖は十勝支庁の浦幌、芝浦製糖は室蘭本線沿いの適当なところということでまだ具体的な場所がないのであります。それから日新製糖は十勝の幕別町、これが現在申請しております状況でございます。
  118. 松浦定義

    松浦(定)委員 今お話しのように、三十四年度までの操業が七工場、さらにそれに対してこれから八工場現在申請がある。そうしますと、大体十五工場くらいのものが一応できることになるわけでありますが、製糖業が現在まで進められておりまする過程において急速に来たというのは、農家がやはり北海道の寒冷地帯における特殊作物であるということのために相当努力をしてきた画もあろうかと思いますけれども、これにはもう限界があるわけであります。今日までの七工場についても、現在私どもが見ておりましても、大体一工場六千町歩くらいのものは要る。そうしますと、四万二千町歩というものが現在要るわけであります。今日の段階では、本年度でも三万五千町歩くらいのものが作付をしておりますが、あとまだ一万町歩か一万五千町歩くらいのものは既設の土地から可能であろうかと思うのであります。ところが、これから八工場ということになりますと、これから四万町歩以上のものを同時に作付を増加しようということになれば、これは容易なものではない。それだから、農林省としてはそういう点についてはいろいろ御計画があろうかと思いますから、これらについては、やはり、先ほどもお話がありましたように、この工場の現在報告になりましたような問題と、それぞれの会社が一応その計画を持って申請しておると思うのであります。土地の高にすればどうであるとか、いろいろありますから、そういうものを資料として至急出していただきたい。  そこで、私は端的にお伺いいたしますが、そういう形で一工場約六千町歩くらい必要といたしますので、今後これが十五工場かりに完全にできるといたしますと、これは大へんな数になるわけであります。少くとも私の今日までの体験からいたしますと、こういうべらぼうな工場の設立なんというものはほとんど不可能である。工場というものは、御承知通りに、ほかの産業と違いまして、ビートの原料の増産とにらみ合せていかなければならない。それから、今日まで長い間北海道の寒地農業推進のために道庁としてもいろいろな要請をしておろうと思いますし、農林省も特段の配慮をなされておろうかと思いますけれども、やはりこれらの土地に対する投資が非常に不完全であるということから、たとえばこういう現在有利である作物だとしても、なかなか飛びついてそれを増産することができないのでありますから、こういう面をあわせて、一つ資料の中ではぜひ今後五年なり八年なりの長期計画の中で出してもらいたい。これも一つお願いしておきます。  そこで、私が今申し上げましたように、一工場六千町歩どうしても必要であるという経過から考えて参りますと、私の考えでは、どうしても十二、三工場以外には北海道には工場が設置できない、こういうふうに実は考えるわけであります。もしこれ以上できるとするならば、やはりビートの処理能力をずっと落していくとか、あるいはまた反当平均収量を現在の四千斤を五千斤にするとか、こういうことがない限り、そういう工場というものはできない、このように私は思うのでございますが、現在の農林省考えとしては今八工場申請がきておる、最低見ても十五工場という一応の要請に対して、どのような考え方でおられますか、この点を一つ伺いいたします。
  119. 増田盛

    ○増田説明員 まず計画についてでございますが、御指摘通り農林省は新長期経済計画で三十七年度に四万三千町歩にする、こういう計画を持っておるわけでございます。しかし、その後実施の状況を見ますと、三十三年を特に見ますと、予定よりも五千町歩ほどオーバーしている、こういうことが言えるかと思います。しかしながら、過去の推移を見、今後の行く先を考えましても、ここ二、三年来急激に伸びてきたこの比率でビートの作付が伸びるかどうかははなはだ疑問でございます。従って、全体的に現在検討中でございますが、大体の要点を申し上げますと、工場の設置の前提になりますビートの作付適地、いわゆるビートの適地というものをいろいろ考えます場合に、今後数年間で開拓いたします土地を含めましても、せいぜい四十五万町歩くらいではないか。現在北海道の畑の総面積が六十三万町歩あるのでありますが、やはりビートの作付に不適な土地がたくさんでございます。この問題は土地改良の問題ともからんでくるわけでございますが、概観しますと、大体そういうもので四十万町歩、開拓でこれにまた加わってくるものが五万町歩、四十五万町歩くらいじゃないか、かように考えております。従って、これが農家の規模によりまして五年輪作あるいは七年輪作ということになると思います。五年ないし七年の輪作が普通だと思いますが、こういうことを考えてみますと、大体一年間の作付面積が七万町歩程度になる計算になります。そうしますと、先ほど御指摘の一工場六千町歩ということにいたしますと、大体十二、三工場くらい、こういう計算になります。これも、実は私どもが奨励いたします場合に問題となるのは、この面積の大小を決定するのは、一つは土地改良でございます。あるいは土壊改良でございます。土地改良なり土壊改良の予算の裏づけないしこれに対する農家の実施というものがどうなるかということを考えなければならぬと思います。もう一つは、やはりテンサイ作導入によります営農形態の変化でございまして、換言すれば酪農の導入でございます。牛がふえてくる。これは、現在畜産局で立案しております酪農計画、こういうものとのからみ合いも考えなければ私はいかぬのじゃないかと思うのであります。そういう点で、現在私ども北海道庁等に対しまして非常に細密なプランニングをしているのでありますが、大体現在言えますことは、これは全く御指摘通りせいぜい十二、三工場ではないか。従って、申請してくるのは既築と合せて十五工場でございますが、私は、この十五工場が今のままで直ちに入るということはなかなか困難ではないか、かように考えております。  それから、これも御指摘になったのでございますが、もしかりにこれが可能とすれば、やはりそこには反当収量の増ということと、歩どまり、単位含糖量の向上、これ以外にはないわけでございます。しかもこの面は試験研究並びに育種技術の発展に待つより仕方がないわけであります。私どもといたしましては、この面に関しましても並行して進めて参りたいと考えます。しかし、ここ四、五年あるいは五、六年の先を見ましても、なかなか申請通りの工場の設立がむずかしいのじゃないかと考えます。  なお、これに対して、お尋ねの工場の設立の方針でございますが、これもそういうこととあわせて検討中でございますが、大体今のスピードでいきますと、三十五年以降は一年に一工場程度が適当ではないか、しかも、これを決定する場合には、工場建設の期間等ともからみ合せまして、工場建設に一番近い年の作付の状況、現に農家が実際に作付をする、こういう状況を見なければならないと思うのであります。こういう時期は、私ども考え方といたしましては、耕春期におきます三、四月におきましてビートの種子を配付するわけでございますが、そういう時期にかなり具体的に農家要望というものが出てきますので、そういう時期に判断してきめる、これが一番いいのじゃないか、かように思っております。
  120. 松浦定義

    松浦(定)委員 ただいま局長が御説明になりました点は、実際これは実行されなければならない問題だと思うわけであります。私ども現にずっと三十年間ビートを作っておるわけですが、その体験からいきましても、やはりせいぜい今局長が云われたような形で今後の設置の個所あるいは年次というものが進められない限り、これは大へんなことになってしまうというふうに実は考えるわけでありまして、私の体験からいたしますと、やはり、現在六十二、三万町歩ある中で、少くとも十度以上の傾斜地とか、あるいは泥炭地、あるいは酸性土地帯とか、重粘土地帯といったものは相当多いのであります。それから開拓地の問題は今お話がありましたが、開拓地というものは少くとも三年くらいはビートを作ってもこれは絶対に経済作物としては成り立たないというくらいのものであろう。これは、パイロット・フアームのように膨大な金をかけて、一年に普通の三年分くらいにするような、そういう施設が全部の既存農家に与えられるならば別でありますが、従来の行き方をしますれば、やはり三年くらいは、ビートを作ると、これは他の作物かう見たら問題にならないくらい減収するということでありますから、私は、その開拓地というものが自然に出てくる数字のパーセンテージというのもは採用できますけれども、現在ある土地の条件から言ったならば、それをあまり計算の中に入れるということはちょっと危険ではなかろうか、こういうふうに考えまして、やはり四十万町歩以上にはならない。そうしますと、現在四万町歩近いものが今までの長い間のあれからいきまして少くとも作付は可能であるが、これからの四万町歩を現在の四千斤の反収を得られる土地にするには容易ではない。これはもう農家個々に対してもよくわかっておるわけでありますが、ビートを作ることが、他の作物を作ることに匹敵いたしますならば大体五倍くらいの労力なりいろいろものがかかるわけでありますから、五分の一しか作れない、こういうことに実はなるわけであります。全耕作面積からいきますと、大体一割から一割五分ということになりますと、おそらくその農業形態は労力の工合からいったらこれはもう破壊されてしまうということでありますから、その程度から換算いたしましても、現在申し上げました可能適地から言っても、やはりその四十万町歩というもの以上は出ない。さらに、年次の作付の計画からいきましても、現在の四万町歩可能地というものをさらに八万町歩ないしその程度にするには、やはり土地改良というものをやって、増産対策を立てない限り、これは農家が好んでこれを作ることにはならないわけであります。そこで、やはりいろいろな面から見ますと、三年輪作くらいでも可能だということを言っておる向きがあります。これはやはり、ほんとうに適地地帯といいますか、その土地の方が他の作物よりいいという地帯、やはり北海道では網走地帯、さらに上川の富良野の地区というようなところは、やはり三年くらいやっておるところもあろうと思います。しかし、これは投機的な考え方でやっておるわけでありまして、実際指導上からいけばそういうことは許されないことだということからいきますと、やはり最低五年輪作が通常である。そうしますと、やはり五年輪作では四万町歩というものを作っておるのには二十万町歩の耕地が要るわけであります。現在、二十万町歩程度のものは、今までの指道上からいきましても、それだけの適地はできておるわけでありますが、これからの二十万町歩を作る場合には相当の努力をしなければならぬ、こういうふうに実は考えるわけでありますから、このあとの残された二千万町歩を前段の二十町歩に匹敵する平均反収四千斤とれる土地にするにはこれはどのくらいの反当に対する土地改良なりその他やらねばならぬか、今日まで投資しておる面からいきましてもこれははっきりわかると思うのでありますが、そういうふうなデータ等がありましたら、一つぜひ出していただきたい。  私が実際自分の土地からやりました場合においては、少くとも反当七、八千円かかるわけであります。トラクターでもってそれを深耕しなければならぬとか、あるいは酸性の矯正、いろいろな明暗渠、客土というものも徹底的にやらなければできないことでありますから、そういう点になりますと約七、八千円くらいかかる。しかし五年に一回しかビートは作れない。あとの四年はほかのものを作りますから、必ずしもそれを全部国の負担ということはないのでありますから、最低限度半額国が見るとしても、反当四千円というものは国が助成しなければビートは作ることはできない状態のものであるという点を一つよく御検討を願わなければならないと思うわけであります。従って、反当四千円でありますなら、二十万町歩ということになりますと八十億かかるわけであります。五カ年計画でやりますから、毎年十六億ずつ投資してようやく現在工場を建てようという会社が一応計画しておるところの可能反別ができ上るわけでありまして、たとえば工場を建てても煙突から煙が出るという状態になるわけであります。  その工場設置に対するいろいろなトラブル等について、昨年までの経過等についてよく知っております。しかし、そのことを追及しようとはしないのでありますが、少くとも、先ほど局長が言われましたように、北海道の寒地作物のため、あるいは今後東北にも相当伸びて参りすまし、あるいは逆に暖地ビートという研究も相当なされておるようでありますから、日本の糖業政策上から言っても、少くとも現在適地としてそのウエートを持っておるこの北海道のビート糖に対するところの工場設置については、過去に行われておるようなそういう形でやっていただきたくない。今局長が言われましたように、適当なところに適当な工場が十二、三工場必要である、私どももやはりその程度は入れてもらいたいと思う。しかし、そのためには、今のような土地改良の資金を出すということを国が考えない限りできないのでありまして、そういう点を明確に計画的にやってもらいたいというのが私の質問の要旨であるわけであります。  従って、そういうことが漸次具体化されまして、何年次にはどこで工場を建てる、あるいはどこの工場が正しいかというようなことをやらないと、八工場も右往左往して申請をしておって、聞くところによると、二、三工場が現在すでにあすにも許可になるようなことを現地では言っておるのであります。しかし、そのところの計画を見ますと、二重にも三重にも農家の土地を自分の計画の中に入れておる。実際、そういうようなことでは、私はテンサイ産業振興指導上あまり好ましいことではないと思いますから、今私が申しましたような形で今後進める場合において、農林省は特に土地改良等について、過去においてもずいぶん努力はしておったけれども、これだけの工場の設置を目途として計画的に増産せしめるためには、最小限度反当四千円程度のものは助成措置をし、強力に推進してもらう。これは何も新しいことことやるのではなくて、今までの土地改良費あるいはその他の助成措置等を特に考慮をしていただければそれで事足りることだ、このように考えておるのでありますが、こういうふうな考え方で今後進められる意思があるかどうか、これをお伺いいたしたいと思います。
  121. 増田盛

    ○増田説明員 現地における貴重な御意見を拝聴いたしまして、ありがとうございました。できるだけ御趣旨に沿いまして今後取り進めたいと思っております。特に御指摘がありました土地改良という面はきわめて大事であると思っております。従いまして、現在、たとえばトラクターのお話がございましたが、これは国有トラクターの貸与によって心土耕あるいは混層耕その他いろいろ施設をしております。このトラクターは道有のものもあります。あるいは組合有のものもあります。こういうものが今後先行きどの程度できるか、これの伸び等も検討をする必要があると思います。さらに、これまでやって参りました土地改良等に関しましても、国家資金の投入の見通し等もあろうと思います。また、反当四千斤が農家の目標のように聞いたのでございますが、この点に関しましても、私も全く同感でございます。大体四千斤程度のものはとれる。そういうことを目標にいたしましてやらなければならぬと思うわけであります。そういう点で具体的に金額その他で私ただいま答えることができないのでございますが、いずれ、検討中でございますから、あらためて作業が済み次第お答えいたしたいと思います。
  122. 松浦定義

    松浦(定)委員 大体そういう方針で今後の指導をされ、あるいは工場の建設についても許可その他の方針をとられるのであるならば、決して私は問題にはならぬと思います。しかし、多くは、今までそういう考え方はあったといたしましても、なかなかそうはいかないような動きをしておりまして、俗に言う政治的な配慮とか行動というものが先に進んでしまうということが、今までとかくいろいろな問題があったわけであります。しかし、私は、先ほど申しましたように、今日起きている問題を直ちにその線に戻さなければ、今言われましたような方針にはいきませんし、私の期待するような形ではこの結果が出てこないと思います。先般の委員会で、山口開発庁長官が現地に参りましていろいろ問題を起したということで指摘したことがあったわけであります。これはやはり、工場新設に対する権限が農林省にあるか、あるいは開発庁にあるか、大蔵省にあるかという問題等もありまして、農林省、大蔵省の問題であるというふうな指摘に対しては率直に答弁されておりましたが、その後私どもが見ておりますと、やはり依然として特定の地帯に対して特定のものとの話し合いがずいぶん進められておる。しかし、私は、そういうことをわれわれがここで指摘しなければそういうことができないという現在の政治情勢は遺憾だと思います。従って、そういう点については、少くとも現在北海道でどのような動きをしておるかということについては、私どもよりもむしろ農林省部内において毎日のようにいろいろ各会社あるいはまたそれぞれの者の意見を聞いておられると思いますから、今日までやっておるところは一応白紙というわけには参りませんけれども、やはり農林省の方針というものを明確に打ち出してもらって、その線に沿って進めるというような、そういう基本的な考え方に立ってもらわなければ、私どもはたとえば当委員会においてこういうものを検討することすら許されないような状態にあるわけであります。従って、こういう問題を当委員会が取り上げたということだけでも相当大きな問題があろうかと存じますけれども、今農林省考えておるような正常な形にこれを取り戻し、さらに、私ども現地で実際その衝に当っておる者から見まして、やはり農林省考えておることは妥当であるということを理解いたしますならば、政治的な配慮等についてもこれはある程度規制すべき点があろうかと思います。しかし、私は、その規制においても、適当な地帯で適当な年次にこれを設置し推進するということについてはやぶさかではないのであります。従って、先ほど局長が言いましたように、大体三十五年度以降に年間一工場ずつくらいというのは、やはりその進捗状況から言ったら当然であります。私は現在の三万五千町歩が来年度四万町歩になり、さらにまた五万町歩になっていくというのは、大体初年度から四、五年くらいは二割くらいの増加の率でいこうと思いますが、その後になりますと、一割に下り五分に下るということでずっと下ってくる。そういう形で、終局的には、八年後の四十一年くらいにはそれが行き詰まってしまう、そのときが大体八万町歩くらいであるというふうに理解しておるわけでありますから、そういう点をよく考え、工場も二十五億も三十億もかかるのでありますから、むだな投資をすることは、かえって逆に原料製品が安くなるというようになろうかと思います。そういう形で、今後の進め方については、十分監視監督をしてもらう立場からも明確な線を打ち出して、一日も早くこの八工場に対してそれぞれ年次なりあるいはまた場所なりを指定して、相互間において話し合いをすべきであると思うわけであります。勝手にそれぞれやられますと、それぞれの地帯においては、今日、農民の要求しておるよりも、むしろ町村財政の苦しい立場から、やはりわれわれの町村にということで、ほんとうに将来可能でないような、そういうところもこれを出してくる、そういうような実情が非常に多いということであますから、これは政府の責任がないわけでもないわけであります。そういう点を今後よく会社間においても話し合いをしてもらうためには、やはり当委員会等においても十分これを検討する必要がある。当委員会の意見も全然聞かないで、あるいは別に政治的にやったことが過去においてずいぶんあったと思いますが、今後こういうことが次々に起るということになりますれば——これは農業政策の差本的な大きならウエートを占めておる問題だと思いますので、こういう点は一つ今後明らかにし、一日も早く農林省の方針を出してもらうと同時に、さらに、今後拡大される点からいきますと、それぞれの地区における都道府県の責任ある立場からいたしましても、これらがやはり県内あるいは道内における諸情勢を勘案いたしましてそれぞれお互いに計画を持っておると思うのであります。これらも、今日の段階では、たとえば北海道庁がこの問題について責任ある立場からいろいろ検討した問題を出そうといたしましても、政治的にその問題が制約されてしまう。でありますから、なかなかそれを出そうとしないところに、そういう問題が優先してしまうという点がありますが、これはやはり、そういう点についても、農林省の指導よろしきを得て、その地帯々々の意見は即刻出してもらう、あるいは北海道庁の考え方東北における岩手県等の意見等を農林省が積極的に今後指導して取り上げてもらう、そうしてそういう報告等についてもこちらに出してもらうというようなことにしないと、いろいろ過去におけるようないまわしい問題の中でこういう大きな問題が処理されていくということは非常に遺憾であると思いますから、そういう処置を今後していただきたいと思うわけであります。  なお、こういう面から、今日農林省としては、先ほど局長のお話では、増設の問題も二、三カ所あるし、新設の問題もあるしというようなお話でありますが、とりあえずそれは今後どういう方針で進むことの方が今の計画の中から妥当であるというふうにお考えになりまして、それぞれの素案等がありましたら、この際一つ伺いたいと思います。
  123. 増田盛

    ○増田説明員 工場新設申請に対する認可といいますか、これの設立の指導方針に関しましては、今のところ検討中でございますので、私どもは申し上げられないことを御了承願いたいと思います。
  124. 松浦定義

    松浦(定)委員 そういうような傾向でありますから私は心配いたしておるのでありまして、もしそういうような発言でありますと、勝手に会社は現地でいろいろ土地買収の問題まできめてくる。農地転用の許可さえ農林省が出せばいいんだ、そのことは政治的にやる、そういうようなケースでもって今日二、三カ所進められておるわけであります。私はその努力は多といたしますけれども農林省として、結果的にはそれができたところは非常にいいけれども、できなかったところをどうするかというような問題も出て参りますが、でき得るならば、そういう点についても一つ今後急速に、先ほど申しましたように、数字的に計画に準じてこれが妥当である、この点はもう何年次に回すというようなことを一つ出していただかないと、なかなかそれらに対する話し合いが進まないのではなかろうか、このように考えますので、今ここで急速にそのことをどうこうということは発表できないこともよくわかるのであります。こういうことにしてやっていただきたいと思うのであります。  なお、今申しましたように、現地の事情は非常に逼迫しておるというような形で進められておりますから、この問題はまだ相当たくさんお聞きしたいことも実はあるわけであります。しかし、本日は時間の関係等もございますので、委員長に一言だけ伺います。こういう問題は、従来もずいぶんここで指摘されておるように見ておるわけでありますが、当委員会が、これはもう政党政派というものではないわけでありますから、こういう問題を取り上げるように、もう少し積極的な処置をされてもいいのではないか。もし今のような形でありますと、私どもが心配しておる通りのように行ってしまう。そういうことでありますから、ほかの問題等についてもそれぞれ十分なる検討をするための特別小委員会等の問題もあろうかと思いますが、このテンサイに関する特別小委員会といったようなものを当委員会の中に持って、じっくり一つ農林省なりその他の関係の方の意見を聞いて、三十四年度以降の糖業政策あるいはビートの増産対策はこうあるべきだといったような、つまり国会の意思というか、お互いにいろいろ考えておることを十分一つ検討する機会を持っていただきたいということを私は委員長希望いたしまして、今後またそれぞれの機会に農林大臣なりその他の関係の方々への質問は保留いたしまして、本日のところはこれでもって打ち切ります。
  125. 松浦周太郎

    松浦委員長 ただいまの御希望に対しましては、近い理事会において相談いたしまして善処いたしたいと思います。  中村君。
  126. 中村時雄

    ○中村(時)委員 ちょっと、質問をする前に資料の提供を要求したいと思いますが、まず第一に、英、米、西独が砂糖法を作ってテンサイ糖の保護政策をとっておるわけですが、それに基いた一つの資料を提出していただきたい。同時に、これらの国々が関税問題をどういうふうな方法で取り上げておるか、その問題も一つお願いをいたします。もう一つ別の資料を出していただきたい。それは、三十二、三十三、三十四年度において、北見を中心に、日甜、芝浦、北連——北海道経済農連、その三つの申請しました当時の耕作面積と、そのときに出された需要給供の度合い、それと現在の状況、その変化、そういう資料の提出を願いたいと思います。以上資料の要求であります。  それから、実は、本日、農林大臣、それから振興局長食糧庁長官、畜産局長、経済局長、これらの方々の出席を要求して、いろいろ砂糖の問題の一連として取り上げてみたい、こう思っておったのでありますが、本日はどういう都合かそれがだめになりました。そのことはまあいいですが、この次には必ずこれを議題にして取り上げてもらいたい。これは要求でありますが委員長にお願いいたします。  この問題を取り上げる前に、砂糖の問題といたしまして、その砂糖の一環として北海道のビートの問題、あるいは角度を変えまして北海道の営農としての問題の取り上げ方、それらによっていろいろ角度が変ってくるわけなのでありますが、たとえば砂糖行政の一環となるとなれば、その消費の問題、すなわち国民に安定した安い価格でこれが給供できるような値段を私たちは考えるわけなんです。また、第二点といたしましては、外貨の割当によって超過利潤の発生を防ぐために、この問題が取り上げられなければならない。第三点といたしましては、国内の競合農合農産物の価格との問題を考えていって、このビートの問題を取り上げなければならぬ。このように考えられるわけです。だがしかし、きょうは総合的な問題は一応抜きにいたしまして、先ほど同僚松浦議員からいろいろお話をしておりましたので、私もそれを中心に、二、三お聞きをしてみたいと思う次第です。  御存じのように、昭和二十七年にてん菜生産振興臨時措置法が作られてから、ほとんど日甜の独占事業で行われておったわけなのであります。ところが、昭和三十二年度におきまして、御存じのように、その当時日新製糖と台湾製糖とが南部地方に申請を出しておった。ところが、いろいろな実情がありまして、一応それが取り下げになり、その後芝浦製糖と北連とが北見の方に出てきたわけなんです。その結果、日甜の今までの独占的な体制がくずれまして、今度は、御存じのように、先ほど局長がおっしゃいました新しい新設工場として、日新製糖、大阪、名古屋、明治、大日本、こういう新設工場の要請が出てきた。そこで、それらの新設のお話を聞いておりますと、ほとんどが十勝平野を中心にした地方に集結をしておるようでありますが、そういうようなことを考えた場合に、なぜ本年度になってこのように多くの大手筋がとたんに申請しなければならぬようになったのか。今まではほとんどなかった。ただ日新製糖と台糖だけが南部の方でやろうと言っておった。ところが、芝浦と北連がそこに出向いて参りました。と同時に今年度に入りますと、競合するように、このような会社、特に大手筋ですが、それらがそのあといろいろな人を通じてやっています。このことはまた次の機会に話をするといたしまして、これが一ぺんにとたんに申請しなければならぬような状態になったのはどういう理由か、その理由がおわかりであったらお聞かせ願いたい。
  127. 増田盛

    ○増田説明員 昨日作業の締め切りまでで八工場でありまして、実は私どももその原因が果して那辺にあるか了解に苦しむのでございます。これは確実なことを申し上げるわけには参らぬのでございますが、大体来年関税の改定が行われるということに関連してこういう急激な申請があったように私は大体担当の者から聞いておるわけであります。
  128. 中村時雄

    ○中村(時)委員 テンサイ糖の振興法というものは、大体いつごろ期限が切れるのですか。
  129. 増田盛

    ○増田説明員 これは、法律に書いております通り、三十七年に失効する予定であります。
  130. 中村時雄

    ○中村(時)委員 三十七年に切れるとすると、もう幾年もないわけですね。そう考えました場合、これは以前の農林委員会で私ども追及したことがあるのですが、たとえば農林委員会の連中が北海道に出向いていったことがある。一昨々年です。その際、北海道の新聞がこういう書き方をした。農林委員会が、これは名前が出ていたのですが本名代議士を通じ、日甜の手足となって、日甜の工場だけを見学していったというようなたたかれ方をしたのです。その当時、よく調べてみましたら、社会党の連中も出張員がわずか三名。ところが、行ったのが七名ということで、私たち、しょうがない、これは大へんなことだ、けしからぬじゃないかということで、われわれのポケットマネーをみな出し合って自費で渡っていったことがあるのです。その際、私日甜の社長にお聞きしたのですが、一体テンサイ糖というのは幾らもうかるのですかと聞いたところが、これは国策で、いつも損をして、もうかりません、もうからぬからこそ下関に工場をいただきまして、その黒字によってこれを補填しておるのです、こう言う。他の農林委員の先輩の方々は、みなその内容をよく御承知であったので笑っておった。私は若いので、それはおかしいじゃないか、日甜さんのその当時の原糖の割当はこれだけだ、にもかかわらず、これだけの配当、これだけの収益を得ておるのはどういうわけだという突っ込み方をしましたところ、実は二割もうかっておりますと言う。ということは、テンサイ糖は保護されておる以上もうかっておるということであります。そこで、なぜ今年度にこういうことになるかというと、この法律がある間に工場を作って、そして減価償却を早くやってそこの利潤を得ようということが私は本質であろうと思うのです。そういうところから、この大手筋が、とたんに、いろいろなところを通じ、あるいは農林省、あるいは代議士の方々、あるいは地元の方々、特に北海道の代議士の方が多くなるでしょうが、そういう関連性に基くいろいろな運動が出て、今の松浦委員がいろいろ心配をしておる、私はこういうふうに見るのがほんとうではないかと思う。その一つの証拠は、たとえばこれは日甜の人たちの一つのうわさではありますけれども、今政府買い上げなんか必要ない、こう言う。何なら自由にしてもらいたい。これはどうしてかといいますと、すでに減価償却がある程度できておるということなんです。新しく新設されるものと競合する場合には、少くとも自分たちの方が有利な立場にある。そこで、それを自由にしてもらうと、より以上利益が上るということなんです。そういうふうに見たとき、この新設工場の出し方などに、当然松浦委員の心配される問題が現われてくるであろう、このように考えられるわけなんです。そこで、松浦委員の補足をするような格好になったわけなんですが、そういう点を配慮しながら進めていっていただきたい、こう思う次第であります。  そこで、重複するような格好になりますが、工場の耕地面積の基準ですね。先ほどあなたがおっしゃっておったのは、一工場に対して六千町歩くらいが妥当ではないかとおっしゃる。その基準をちょっと知らしていただきたいと思います。
  131. 増田盛

    ○増田説明員 六千町歩のあらましの根拠は、一日の原料の処理能力が千二百トン、これを基準にしまして、操業日数が大体百二十から百三十日程度、こういう非常に大ざっぱな考え方でございます。従って、先ほど申し上げた通り、反当収量の問題で予期した通り上ると、この面積に若干の変化が出るということになります。
  132. 中村時雄

    ○中村(時)委員 この前日甜、芝浦、北連が行われた場合、当然その六千町歩の証拠はないわけなんです。北見でやっておる配分というのは、耕地面積は二千数百町歩のはずです。にもかからず、一工場ふやすことは、採算がとれるということの建前で、あの狭い地区に三工場ができ上ったわけです。ところが、増設を申請しているところの人たちを見ると、その約束と反しているのですね。そのままでできるからといって申請して、別にまた作らしてくれと言う。それは、今言ったように、町歩が足らなくて、実際の能力がうんとふえておる。ちょうど砂糖施設の割当をやったときに遊休資材が出てきたというのと同じやり方をやっている。それは一考を要する問題だろうと思う。当時許可されましたときに、基準は大体千トン工場として、十月の終りから二月一ぱい、今あなたがおっしゃった百二十日間を基準にとりまして、一工場あたり二億万斤、そういうようなところから、一反当りの生産量四千斤と推定して、大体五千町歩という線であのときはしいたわけです。これは当委員会で芳賀委員を初めみんなから質疑応答をやったわけです。その結果が出ておりますので、先ほどの資料要求はそれに基いてこれを勘案していきたい、こう思ったわけなのです。  そこで、その取り上げ方ですけれども、その取り上げ方に対しまして、五千町歩といいますか、あなたのおっしゃったように六千町歩といいますか、非常に大きな格差が出てくるのです。そうすると、先ほどの四十五万町歩に対しましても、これから基準をとっていきますと非常な格差が出ますが、その点も十分御注意をしていただきたいと思うが、どうでしょうか。
  133. 増田盛

    ○増田説明員 六千町歩と申し上げましたのは非常に大ざっぱな数字でございまして、五千町歩との間に相当の開きがあるのでございますが、現実に計二画いたしました反当収量と実績と比べてみましても、計画的な反当収量が果して現実に上るかどうか、しかもこれに対しては大なり小なり豊凶という問題がございます。従いまして、私どもが奨励する以上は、安全を見ていった方がいいのではないか、このようには考えております。
  134. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そう思ったから、補足説明みたいに先ほどの北見を中心にした反当収量の問題を参考資料に出してもらいたいのです。  それから、もう一つ、その内容に関して、今の工場の立地条件、あるいはほんとうを言えば各会社の営業状態、資本金、あるいはできれば人名等も必要になってくるわけなのですが、それはまた後段に譲るといたしまして、暖地ビートの問題です。  暖地ビートの問題に関しては、たとえば岡山の試験場あたりでは非常に優秀な実績を上げているように聞くのですが、そういう問題に関して、暖地ビートに対する考え方、それをちょっと知らしていただきたい。
  135. 増田盛

    ○増田説明員 暖地ビートに関しまして、現在われわれのやっておりますことは、全く試験研究、しかもきわめて小規模な程度で各府県でばらばらに行われておる試験でございまして、せいぜいそれを連絡試験の段階に移すかどうかという非常に小規模なものでございます。しかし、暖地におきます水田の裏作の問題、何を作付するかという問題、それから御承知通り畑作の問題、こういう問題が実は真剣に論じられている段階でございまして、営農改善の面からビートが入るならこれに越したことはないのでございますが、われわれといたしまして、これに対する見通しということはまだなかなか確言できないのではないか。むしろ、今われわれとして考えますことは、暖地ビートに関する試験を、特に日本に合った品種、いろいろなものを欧州等から持ってきまして模索的に作付をやっておりますが、やはり日本の現実の状態に合っておりません。従いまして、日本に適した暖地ビートの育種をやる、新しい品種を早急に作り上げるということが大きな問題じゃないかと思います。こういう点に関しまして試験研究の拡充が実は望まれるわけでございますが、全体の体制がどういうふうになるか、なかなかわからぬのでありますが、今私の方で来年度予算として要求するために検討いたしております。
  136. 中村時雄

    ○中村(時)委員 その暖地ビートの問題でちょっと注意をしておきたいのは、技術的にはいろいろの問題ができ上ってくると思う。ところが、気象条件の上から言って、特に九州、四国、中国、岡山の試験場で特によくやっておりますが、それらは、一つのいい時機をよく勘案されてそういうふうな場合には組み合せていただきたい、これはお願いをしておきたいと思います。  もう一つ、これは政務次官にお聞きしておきたいのですが、きょうは質疑応答はやりませんけれども、きょうはおそらく団体に対する砂糖の割当の会議をやっておったはずです。そこで、その結果の報告をここでしておいていただきたい。これは政務次官に要求をいたす次第です。  それから、もう一つ、これは大きな、むずかしいかもしれませんが、沖縄あるいは奄美大島等における分みつ糖の問題です。この問題については、北海道におけるテンサイ糖の保護政策をとっておきながら、沖縄あるいは奄美大島における黒糖の問題に関しては何ら手を打ってないはずです。そこで、これらの問題に、その地区から出ていらっしゃる代議士の方々が非常に力が弱いと言っては語弊がありますが数が少く、とかくないがしろにされがちなんですそういう点をよく勘案されて、これと並行的にいろいろな問題を省内において促進していただきたい。これは御正要求しておく次第です。  それから、振興局長に一言、これはある意味では注意にもなりますけれども、たとえば今いろいろ出されているところの製糖会社の申請の裏面というものは御存じの滞りであります。それは、各役所の中に——それはけっこうですよ、代議士や地元の人から頼まれて地方の発展のためにやられるのはけっこうであります。しかし、そのことが非常に無理をしておるということは、先ほどの質疑応答にあった通りです。そこで、どういう無理になってそれが現われるかというと、あるところに参りますとこういうことすらあるのです。今の農林大臣や事務当局の連中なんかはどうでもいいのだ、要するに政治の力さえあれば、政治力のある者によって強引に勝てるのだ、こういううわさが乱れ飛んでおる。そこで、お聞きをしておきたいのは、今政府の方の御答弁を聞いておりますと、まだどこにどうとかいうような考え方を持っていらっしゃらぬと思う。これからほんとうの基本を示しながら十分配慮をして勘案をしていきたい、こういうことが私は真実であろうと思う。それが、実際にそうなのか、あるいは政治の力に屈して今言ったようにわけのわからぬものができるのかということは、今はっきりとした答弁をされておいた方がいいと思う。そういう建前に立って、何らか今のほんとうの考え方を、政府を代表して政務次官、事務局を代表して局長から御答弁を願いたいと思う。
  137. 石坂繁

    ○石坂政府委員 その前の中村さんの御要求でありますが、本日砂糖の会議をやっておることは私承知をいたしておりませんでしたので、御要求の資料は提出いたします。  なお、奄美大島の分みつ糖の問題につきましては、地方から陳情は受けたこともあります。それから、私は二、三の方にこの問題は大きく取り上げてやりましょうということを話したことはありますが、役所全体としてこれをどうするかという相談もまだいたしておりませんが、御注意の点は十分に私どもも取り上げて参りたいと思います。  最後の北海道におけるテンサイ工場設置の問題でございますが、先ほどから松浦委員なり中村委員お話もございまして、私どもといたしましては、十分に実情をつまびらかにいたしまして、日本の糖業政策全体の見地から遺憾なきを期して進めて参りたい、かように考えております。
  138. 中村時雄

    ○中村(時)委員 事務当局の方もそれと同一だという考え方を持っていいですね。——それではそういうふうに了解いたします。  それから、政務次官、今そういうふうにきれいに、あなたはまじめだからきれいなお言葉を吐かれるのですが、あなた自身もうその内容を検討している時期はほんとうは過ぎているのです。私が一工場だれがという名前を出してもいいのです。あるいはどこでどうしたということも知っているのです。しかし、あなたがこれから調査をされて、その調査を一応ここで発表もされるでしょうから、あなたのようなまじめな方がそういう間違いのないようにして下さると思いますから、私の方は差し控えます。  そこで、たとえば北海道に旅行される方、特に私の方の地元にも代議士がいらっしゃいますけれども、そういう方々が北海道へ行かれますと、おれが引き受けてやったぞ、その工場はここへ作ってやる、もう心配するな、あいつらが何を言おうとけっこうだ、おれがちゃんとしてやる、こういう放縦な発言をしている方があなた方の党内にいらっしゃるのだ。そういうことはあなた方の関知しないことで、あなた方自身がはっきりと糖業政策を打ち立てて、今の工場設置の問題、そういうよらな問題を検討し、結論をつけることができますか。
  139. 石坂繁

    ○石坂政府委員 含みがあるような話でもあり、私も中村さんの御質問の真意が把握しかねる点もございますが、この工場設置の問題につきましては、先ほどからお答え申しております通り考えで進めて参りたいと思っております。
  140. 中村時雄

    ○中村(時)委員 把握しかねると言えば、あなたが知らぬということだから、これは知らさなければならぬということになりそうなんですよ。たとえば先般山口さんが北海道へ行かれた。どういうことを言っていらっしゃるか。そういうこともそれじゃ御調査を願いたい、こう言っておきましょう。あるいは明治製糖にはあなた方のところはどういうふうな方法でだれが行かれておるか、あるいは日糖、名古屋、大阪各会社においてはそれぞれの名前が上っております。それぞれの方々の調査をよくしておいていただきたいというのですよ。もっと具体的に言ったら、どこでだれが会って、どういう相談をして、どういう結果が生まれてくるかということまでの調査をしておいていただきたい、こう言うのです。
  141. 石坂繁

    ○石坂政府委員 調査のできることもありましょうし、できないこともあろうと思います。
  142. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それで、今言ったような、この政治的な問題というものはそれほど根が深いのです。これは特に局長あたりは以前からの関連でよく御存じだと思うのです。というのは、砂糖と名がつきましたら、御存じのように、非常にもうかる仕事なんです。そのもうかる仕事なるがゆえに、いろいろな人たちがいろんな問題を起しておる。現実に東洋精糖にいたしましてもいろんな問題を起しておるでしょう。以前には農林省の一課長が大阪製糖のために首をくくって死んだことも知っていらっしゃるでしょう。そういうようにいろいろ問題があるのです。そのことはどこにあるかと言えばまず第一に、外貨の割当を中心としたところに問題があると思う。すなわち、それはどういうことかと言えば、今の既設設備に応じて外貨の割当をしていらっしゃる。そこで、外貨を割り当てる者が、設備を大きくすればよろしいというので、現在、百五十万トン内外入ってくるところの砂糖の原料を溶糖するための設備が二百万トン以上ある。そういう状態になって遊休設備が非常に多いのです。そこに一つの大きな原因がある。そこで、私たちは以前から、AA制を取り上げるか、あるいは砂糖行政というものは食管制度に持っていくか、そういうふうな意見をもう三年以前から皆さんに訴えているのです。ところが、これは非常に慎重にしなければならぬ大事な問題ですからと言いながら、なかなか結論を出さない。せめて政務次官なり、りっぱな大臣がいらっしゃるのですから、ここらあたりでもう腹を据えて、ほんとうに消費者、国民のためにも、あるいは今言ったビート工場という設備を通じたところの農民自身の農業経営のためにも、ここらあたりで締めくくりをされてはいかがかと私どもは思うのですが、そういう点に関しましては政務次官はどういうお考えを持っていらっしゃいますか。
  143. 石坂繁

    ○石坂政府委員 よく事情をつまびらかにいたしまして、全体から判断いたしてやりたいということを先ほどから申しておりますが、その方針で進んで参りたいと思っております。
  144. 中村時雄

    ○中村(時)委員 政務次官、あまりほめたからといって、ずるく逃げたらいかぬですよ。今言ったそのことよりも、あなた自身がつまびかにすると言うことは、つまびらかにしていないということです。このことはもう五年以前からの問題ですよ。政務次官は忙しいから砂糖なんかはなるべくなら寄りつかない方がいいとお逃げになっているのかもしれませんが、これはだれも寄りつかないからこそ、あなた方のような人が出てきて、ほんとうにがっちりと四つに組んで方針を打ち立てて下さいと言っておるのです。それほどあなたを高く評価しておるのです。だから、一つここいらあたりで腹を固めていただきたいことを要望しまして、いずれこの問題はあとで十分時日をかりましてお聞きすることにいたします。この点は委員長にお願いしておきます。     —————————————
  145. 松浦周太郎

    松浦委員長 この際、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。  目下商工委員会において審査中の、内閣提出、公共用水域の水質の保全に関する法律案、工場排水等の規則に関する法律案、及び赤路友藏君他四十六名提出の水質汚濁防止法案の三案は、いずれも農水産物の保護増殖に重要な関係を有するものであります。つきましては、この三案につき商工委員会に連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 松浦周太郎

    松浦委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、開会の日時等につきましては、商工委員長と協議の上決定し追って御通知いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  147. 松浦周太郎

    松浦委員長 なお、この際お諮りいたしておきます。  すでに本委員会には農物産価格対策に関する小委員会、農林漁業災害対策に関する小委委員会及び酪農に関する小委員会を設置いたしておりますが、委員の異動等に伴いこれら小委員及び小委員長に欠員を生じました場合は委員長において適宜補欠を指名いたしたいと思いますが、これに対して御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 松浦周太郎

    松浦委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時五十七分散会