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石橋(政)
委員 今も申し上げたのですが、
日本側の
立場は、この
改定交渉に当ってあくまでも
自主性と
双務性を確保するにあるのだ、こういうことになりますと、時間がございませんから私の方で指摘いたしますが、具体的な問題の提起の仕方としては、大体六つばかりあるのではないかと思います。まず第一に
米軍の
平時駐留をやめさせることができれば
一つの
進歩であります。それから
日本国内における
内乱騒擾に
米軍をわずらわさないということが明確になるということも
一つの
進歩でありましょう。それから
核装備を含めまして、
装備とか配備とかいうような問題について、すべて事前に
日本側と協議をする
態勢をとられる、しかもこれは権威のある
日本側の拒否権のような形のものでなければならない、こういうことが生かされてきても
一つの
進歩になるでしょう。それから
在日米軍の使用、これは従来
日本区域における使用の場合には
事前協議をなすようなことになっているようですが、これをさらに広げて、あらゆる場合に
在日米軍の使用はこれまた事前に
日本政府と協議してもらいたい、こういうことが生かされてくることも
一つの
進歩でしょう。それから
条約に期限を設ける、これも
一つの条件であり、もう
一つは今の
条約で不明瞭でありますところの
米軍による
日本防衛の
義務をはっきりさせるということも
一つの
方法でございましょう。洗っていきますと大体こういうふうな要求が
日本側から出されてこなくちゃならぬ。
自主性を確保しよう、
双務性を確保しようということになれば、今指摘したような問題が当然
日本側から提起されておると私は理解いたします。さらにそのほかにもございましたら、ここではっきり
国民の前にお示しを願いたいと思うわけであります。それが第一点でございます。
ところで
日本側から、以上私が申し上げたようなことを、あるいはそのほかにあるかもしれませんが、そういうようなものが持ち出されて参りますと、今度は
アメリカの側から逆に、それではあまり
日本側に都合がよ過ぎるじゃないか、こういう逆の提案がなされてくることも想像できるわけです。そうしますと、米側ではそういうことを
日本側が持ち出していけば、当然どんな問題を持ち出してくるだろうかということを
考えなくてはなりません。そしてそれについての
政府の
見解をやはり聞いておかなくては、安心がいかぬと実は私は
考えるわけです。そこで
考えてみるわけですが、
アメリカがそのかわりにそれではおれ
たちの方も要求があると言って持ってくる第一の問題は何だろうか、こう
考えていった場合に、やはり共同
防衛地域を広げる、
防衛の
範囲を広げる、こういう問題になってくるのじゃないか。この点についても、
総理の
ブラウン記者との対談の
内容、あれが事実であるとするならば、非常に広げられるおそれがあるような感じがするわけです。ひょっとしたら、台湾や韓国にまで広げられるのじゃなかろうかというような気持もするわけですが、これは
憲法上の
制約もありますし、なかなか困難だということにもなるかもしれませんけれ
ども、最小限度見積った場合に、沖縄と小笠原を共同
防衛地域に指定いたしまして、この地域における攻撃は、
日本に対する攻撃とみなすという、かつての
総理の言明があるのを幸いに、これを共同
防衛地域の中に含めていってもらいたい、こういう強い要求が出てくるのじゃないか。昨日の外務
委員会におきます藤山外務大臣の答弁を聞いておりましても、あるいは
適用範囲というものが広げられて、沖縄、小笠原が含まれる
可能性なきにしもあらずというような答弁がなされておるのでございますが、これは私
ども非常に重大だと思う。なぜ重大かといいますと、まず第一に、今
アメリカは韓国との間に相互
防衛条約を持っている。それから台湾との間に持っている。これと同じような形が今度は
日本との間にとられる。そういたしますと沖縄というものをかなめにして、実質的ないわゆるNEATO結成というものに発展していく。沖縄が攻撃された場合には、韓国もみずからの国が攻撃されたものと
考え、台湾もそう思う、
日本もそう思う、こういうような形になってくる。直接沖縄に攻撃が先にきたのではなくて、かりに韓国に攻撃が加えられる、台湾に攻撃が加えられる場合にも、結果的には沖縄から
米軍が動き出した場合には、ここが攻撃されてきて、実質的にまた
日本も共同
防衛という
立場で動かざるを得ないような
状態になってくる。これでは日・韓・台の三国の間に
一つの
条約機構というものが作られたと同じ働きをなす。今まで
総理は再三否定しておられたけれ
ども、かりにNEATOというものが作られなくても、今言ったような
意味で沖縄を含めた共同
防衛地域でもって、そういう
日本と
アメリカの間の相互
防衛援助条約というものが作られれば、NEATOが作られることと
一つも変らぬじゃないか、これが第一なんです。これにわれわれは危険を感ずるわけです。
それから第二は、これも
総理の従来の発言をお聞きいたしておりますと、
核兵器は絶対に
日本の
自衛隊は持ちません、
在日米軍にも
持ち込みません、こう言ってきておるけれ
ども、沖縄については事前に相談がない限りやむを得ない、これはどうすることもできないという言明をあえてしておられる。そうしますと共同
防衛地域に沖縄が含まれてきたときに、ここに
核兵器が来ておる。今後来るというような事態になって参りましたら、従来の
政府の
核兵器持ち込み反対、
核装備反対という基本線がぐらついてくる。大きな問題をあげてみただけでも、この二つの問題で非常に重大な影響を与える。ここに
国民の最大の関心と危険だという気持があるわけでございますが、一体
アメリカがこの沖縄、小笠原というものを共同
防衛地域に入れてもらいたいと言ってきたときに、これをはっきりとお断わりするつもりであるかどうか、ここのところを
一つ明確に
日本政府の態度を明示して、
国民の不安を一掃してもらいたいと思うのでございますが、いかがでございますか。