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1958-10-23 第30回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月二十三日(木曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 鈴木 善幸君    理事 内田 常雄君 理事 亀山 孝一君    理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 吉田 重延君 理事 川村 継義君    理事 中井徳次郎君 理事 門司  亮君       相川 勝六君    天野 光晴君       飯塚 定輔君    加藤 精三君       金子 岩三君    田中 榮一君       高橋 英吉君    津島 文治君       中島 茂喜君    西村 直己君       森   清君    山崎  巖君       太田 一夫君    加賀田 進君       佐野 憲治君    阪上安太郎君       北條 秀一君    矢尾喜三郎君       安井 吉典君  出席国務大臣         国 務 大 臣 青木  正君  出席政府委員         自治政務次官  黒金 泰美君         総理府事務官         (自治庁行政局         長)      藤井 貞夫君  委員外出席者         議     員 小沢 貞孝君         総理府事務官         (自治庁行政局         振興課長)   吉浦 浄真君         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 十月二十一日  公衆浴場業固定資産税軽減に関する請願(堤  ツルヨ君紹介)(第八七四号)  特別区の組織及び運営に関する請願杉山元治  郎君紹介)(第八七五号)  地方交付税率引上げに関する請願羽田武嗣郎  君紹介)(第八七六号)  地方財政再建等のための公共事業に係る国庫  負担等臨時特例に関する法律有効期限延長  に関する請願小沢貞孝紹介)(第八九四  号)  同(中澤茂一紹介)(第八九五号)  同(松平忠久紹介)(第八九六号)  地方公務員居住地手当制度の創設に関する請  願(小沢貞孝紹介)(第八九七号)  同(中澤茂一紹介)(第八九八号)  同(松平忠久紹介)(第八九九号)  深夜喫茶取締りに関する請願金丸徳重君紹  介)(第八〇〇号)  同(加藤鐐造君紹介)(第八七三号)  中小企業事業税撤廃に関する請願外二件(春日  一幸君紹介)(第八〇三号)  同(千葉三郎紹介)(第八〇四号)  同(天野公義紹介)(第八七七号)  同(植木庚子郎君紹介)(第八七八号)  同(江崎真澄紹介)(第八七九号)  同(加藤精三紹介)(第八八〇号)  同(金丸信紹介)(第八八一号)  同(簡牛凡夫君紹介)(第八八二号)  同(塚原俊郎紹介)(第八八三号)  同(林唯義紹介)(第八八四号)  同(福田篤泰紹介)(第八八五号)  同(三和精一紹介)(第八八六号)  地方公共団体風水害対策費起債特例に関す  る請願松永東君外十一名紹介)(第八〇五  号)  地方税法の一部改正に関する請願武藤武雄君  紹介)(第八〇六号)  新町村育成強化に関する請願武藤武雄君紹  介)(第八〇七号)  消防施設費国庫補助増額に関する請願武藤武  雄君紹介)(第八〇八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  新市町村建設促進法の一部を改正する法律案(  内閣提出第二三号)      ————◇—————
  2. 鈴木善幸

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き新市町村建設促進法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。安井吉典君。
  3. 安井吉典

    安井委員 新市町村建設促進法の一部を改正する法律案の趣旨につきまして、先般御説明を受けたわけでありますが、その内容の第一点は現在都道府県知事勧告済み合併計画で、さらに未合併分を明年三月末までの間に態様調整をするというようなお考えが、第一点にあげられているようでございます。そこで、ちょうど青木長官が御出席になりましたので、まず初めにお尋ねを申し上げたいのでございますが、今日この段階までお進めになるにつきまして、自治庁が一生懸命にいろいろな面から御努力をされましたことを多とするわけでございます。しかしながら、その間におきままして、だいぶ行き過ぎがありましたり、あるいはまた、客観的に見まして不十分な面もあったりして今日に及んでいるわけでございますが、いよいよ最後のこの段階におきまして、これらを合理的に処理をしていくためにはどうすべきか、また住民の納得を得るような措置が必要であるわけでありますが、それにつきまして、はっきりした自信をお持ちになっていらっしゃるのか。と申しますのは、先般も近県の合併等におきまして、国務大臣も、自分の身近な問題もありまして、だいぶよろめかれたというお話も聞くわけでございます。そういうようなことでありましては、また三月末になりまして、これじゃまたもう少し延長しなければいけないとか、そういうようなことにならないとも限らないわけでございます。この際、どのような決意を持ってお進めになるか、一つお伺いをいたしたいと思います。
  4. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 町村合併の今後の進め方についての決意の問題でございますが、従来、町村合併を進めて参りまする段階におきましては、いろいろの問題がございました。特に、住民機運が熟しておるものについてはさほど問題がなかったわけでございますが、そうでない部分につきましては、住民の間にそういう機運を盛り上げる点につきまして非常な困難があった面が多かったのであります。しかしながら、全国的に見ました場合においては、曲りなりにも所期の目的というものは大体達成できてきておるのではないかというふうに思うわけであります。ところが、現在なお残っておりまする未合併町村合併問題というものは、いずれもきわめてむずかしいものばかりでございます。従いまして、この進め方につきましては、よほどの合理性決意をもって当って参らなければならぬというふうに考えておるのでありますが、それとともに、今までの合併計画というものが進まないということにつきましては、中には、合併計画自体にある程度の無理があったものもなきにしもあらずと思われるのであります。そういうような点につきましては、その後の情勢によりまして、県当局においても、県の審議会等々といろいろ相談になり、または地元の意向も十分に参酌をいたしました結果、あるものについては、合併計画について変更を加えることによって、問題のよりスムーズな解決が促進されるのではないかというものも出ておりまするし、また中には、この際は、全国的な平均から見ましても、合併計画からはずしてもさほど悪影響もない、また当該町村についても、まず相当自立能力を持っておるのではないかというふうに思われるものもございます。そういうものについては、思い切ってこの際合併計画からもはずしていく。しかし一面、どうしても合併していただいた方がいいというものにつきましては、方針を確定いたしますれば、その線に沿って合併が円満に実現ができるように努力して参りたいと考えておるのであります。そこで一応合併計画変更をいたしまして、勧告の仕直しをやるという時期を、来年の三月三十一日までに予定をいたしておるのであります。われわれといたしましては、先般もちょっと触れましたように、気持といたしましては、来年の三月三十一日を待たずに、できるだけすみやかに解決をいたしたいと思っておるわけでありますが、しかし、中にはどういたしましても勧告期限が過ぎまして、勧告はやりましたけれども勧告に基く合併というものが三月三十一日までにはどうしても終らないというものもあるいは出てくるかもしれないというふうに思うのであります。しかし全般的には、やはりこの際、未合併町村合併ということにつきましては、今年度内に大体のめどをつけまして問題の処理に当りたい。大体本法律案成立後、見通しがつき次第、われわれといたしましては、その線に沿ってできるだけの努力をいたしたい、かうよに考えておる次第であります。
  5. 安井吉典

    安井委員 私が今お尋ね申し上げましたのは、もちろんそういったような技術的な進め方の問題もございますが、今、局長の御答弁の中にありましたよほどの決意が、ということであります。その御決意のほどを大臣からお伺いいたしたい。
  6. 青木正

    青木国務大臣 先般の当委員会で私、率直に申し上げたのでありますが、御承知のように、この町村合併促進法が制定されて五年にもなり、ただいま局長も答弁したごとく、おおむねその目的も達成したという事実、それからもう一つは、私はどう考えましても、いつまでもこの問題に取り組んでおりましては、自治庁あるいは府県において、本来の町村建設仕事等について全力を尽すことができないということばかりでなく、関係住民方々立場考えますと、これはもう全く関係住民になりますと、密接な利害関係等があり、また感情問題等もからみまして、ために、この問題で非常に関係方々が御苦労なすっておる。こういう状態をいつまで放任しておくことは、これは非常にお気の毒でもありますので、何とか早くこれは解決しなければいかぬ。そう考えますので、私ども全力を尽しますが、関係住民方々にもそういう気持になっていただきまして、早くこれはもう切り上げる。できるものは、われわれ努力もし、関係方々にも再考を促してやっていただくし、それを無理に、できそうもないものにいつまでもかかずらっておるということになりますと、住民方々も御迷惑でありますので、やはり私は、年度内ということを一つの目標として、われわれもその気持全力を尽すし、関係住民方々にも、そういう考えで御協力を願って、ぜひとも年度内終止符を打つ。こういうかたい方針のもとに進んでいきたい、かように考えておるのであります。     〔委員長退席亀山委員長代理着席〕 しかし、もとよりこれは私どもだけの力でできるものではありませんので、住民方々、その他関係方々にも、ぜひともそういうお気持になって、年度内終止符を打つように御協力をお願い申し上げたい、かように考えておるわけであります。
  7. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、また再延長再々延長といったような御措置考えていらっしゃらないと解してよろしゅうございますか。
  8. 青木正

    青木国務大臣 私、今のところさような考えは持っておりません。この法律通りいきたい、かように思っています。
  9. 安井吉典

    安井委員 それでは次にやり方にいろいろな問題があるわけでございますが、それに移りたいと思います。今の調整の方法でございますが、都道府県の方は、今までだいぶいろいろ苦労を重ねまして計画を作り、その計画を推進してきたものだと思うわけでございますが、もう一度同じ府県にやり直しをやらせるということでございますか。
  10. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 大体この法律案提出をいたします決意を固めまする動機といたしまして、最近の機会に、われわれといたしましては、事務的に各府県別の打合会を個別に開きまして、そこで現在未合併町村とされておりまするもののいろいろな具体的事情を聴取をいたしたのであります。そこで出て参りました結論といたしまして、この際、未合併町村合併について、できるだけ切りをつけていくというためには、現在勧告がかかっておりまする大体五百余の未合併町村の実態に応じて、今までの計画一点張りということでなくて、時としては、やはり実情に応じてこれを再検討をしていく方がかえっていいのじゃないかというような線も実は出て参ったのであります。これはわれわれ自身が考えておるだけではございませんで、関係県当局におきましても、従来勧告はしてみたけれども、その後の情勢の変化に応じて、やはりもう一ぺん再検討した方が、かえって合併がスムーズにいくのじゃないかというふうな感じ方をしておるものも出てきておるのであります。そういうような点から、この際、やはり計画について、一たん勧告をかけた以上はこんりんざいこれは絶対に動かさぬという態度をもう少し緩和いたしまして、実情に合うように再改定をいたしまする道を開くということを考えてみたのであります。従いまして、資料にもございますように、大体われわれの見通しといたしましては、今勧告がかかっておるものについて、合併計画全部を再検討するというわけではもちろんございません。大体におきましては、今までの計画というものは、県において検討を加え、審議会審議を経まして決定をいたしたものでございますので、その目立って不合理なものもないわけであります。従って、そういうような点からいたしまして、そう全体にわたって計画変更するというものではございませんで、お手元に御配付申し上げておりまする資料の六ページにございますように、合併必要性が顕著であって、どうしてもやはりその通りにやってもらわなければならぬというふうになろうと思われますものが約三〇%、それから合併計画方向というものを大体示して、それを、合併というものについて強行措置をとらないでいいと思われるものが五八%、こういうふうに大体考えておるのでありまして、そのうちで、計画と異なる合併を希望して、それを認めることがやむを得ないと思われるものにつきましては、そうたくさんないわけであります。しかしながら、中には、計画自体変更いたしましたことによって合併がスムーズにいくというものも出て参るわけであります。従いまして、形式的には、現在の未合併町村についての合併計画というものをもう一度再検討はいたしますけれども、それによって従来の合併勧告というものを本質的に変更していくというもののパーセンテージは、そうたくさん出てくるわけのものではないというふうに考えております。
  11. 安井吉典

    安井委員 今回残っております五百幾つの町村というものは、おそらく今まで残っていたのですから、もうこじれにこじれてどうにもならないといったようなものがだいぶ多いのじゃないか、そういうことで、これは思い過ごしになるかもわからないわけでございますが、今までは、とにもかくにも知事勧告中心といたしまして、これはどこへ合併すべきだとか、あるいはしない方がいいとか、こういうふうにいろいろやってみましたのが、ここでもう一度最後的な変更を迫られてきておる。それによりまして、Aの市町村は、自分の思いがかなったということで喜びますが、Bの市町村は、今日までそのつもりで一生懸命に努力をしてきたその期待が裏切られた。かようなことになるわけでございまして、こういうようなことで、今まで努力をしてきた知事立場を悪くするというふうなおそれはありませんか。その点、どういうふうに考えになっておりますか。
  12. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 やり方によりましては、今御指摘になりましたような事態も起り得る可能性があると思うのであります。われわれといたしましては、そういうふうに他の町村悪影響を及ぼしましたり、あるいは知事が今まで進めてきた態度変更いたしますることによって、従来の知事勧告通り合併をいたしました町村という立場から見て、非常に知事方針がおかしいじゃないかというようなことで、新市町村というもののあり方についても、なお疑問が生ずるというようなことになっては困るわけでありまして、われわれの考えておりますのは、そういうような悪影響を来たさないという範囲内におきまして、県もこれを認め、県の審議会もこれを了承し、なお関係町村においても、まずまずやむを得ない、あるいはむしろ計画変更した方が、当該合併を全体として進捗せしめるのに好都合であるというようなものが、結論といたしましては、計画改定の対象になるというふうに考えておるのであります。
  13. 安井吉典

    安井委員 資料の六ページに、今のその三つグループ分類を一応お示しになっておられるようでございますが、具体的に、この三つグループに分ける基準といったようなものはどういうところにあるか。
  14. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 三つグループAグループと申しますのは、町村合併必要性が顕著なもの、それからグループと呼んでおりますのが、合併不能町村または適正規模町村に準ずるもの、これの御説明を申し上げることによりまして、そのほかのものがBグループということになるわけだと思います。Aグループの、町村合併必要性が顕著なものと申しますのは、具体的な例をとって参りますと、たとえばある新市町村の中に飛び地ができておる。周囲が、合併計画に従って全部合併したけれどもまん中に入っておる町なり村なりが、いろいろな都合で合併に踏み切らない、そういうような場合でございます。これは地域的に申しましても非常に不合理でございます。従いまして、そういう飛び地とか、これに準ずるような地域が不整であるというようなものは、これはやはりぜひとも合併をやってもらわなければ、その関係地域の合理的な行政運営を確保するゆえんではございませんので、こういうものはどうしても合併必要性が非常に顕著であるというグループに入ると思います。それからさらに第二の具体的な例といたしましては、ここにかりに五カ町村ございまして、まん中に町があって、その周囲に四カ村がある。その四カ村は、それぞれまん中の町に合併をしたいという熾烈な要望を持っておる。これについてはほとんど何ら異議はない。ところが、まん中の町、かんじんの中心になる町におきまして、いろいろな事情によって——その事情も一ではございません、いろいろございますけれどもまん中の町におきまして、合併をどうしても踏み切らないというような事態がございます。こういう場合は、関係の四カ村が合併をしたいにもかかわらず、現実には合併ができないために、未合併町村の取扱いを受けるということになりまして、まん中A町のために、周辺四カ村が迷惑をこうむるというような事例でございます。こういうようなものにつきましても、やはり合併必要性は顕著であるというふうに認めなければならぬじゃないかと思うのであります。大体町村合併必要性が顕著であるというふうに認めておりますAグループに属するものとしては、大体今申し上げました例ないしはそれに準ずるようなグループがこれに入るものであるというふうにわれわれは考えておるのであります。それからCグループの、合併不能町村または適正規模町村に準ずるものと申しますのは、県の合併計画において、非常に山間の村がございまして、それは当初の計画では、山間の村といえども、これは人口も非常に少いし、この際隣接の村と合併した方がよかろうじゃないか、それでもって適正規模人口も確保できるというようなことで勧告をかけたのでありますが、勧告をやってみて、しかも合併をしてみても、当該地域においては、それほど目立った行政運営の改善というものが見られないのではないか、町村合併の効果がそれほど上らないのではないかというふうに認められるものも中にはあるわけでございます。なお、全国的に見ましても、ある県におきまして不可能町村というものにすでに落してしまっておるものとの比較をいたしましても、別に不可能町村に落してもおかしくないというようなものがこれに入ります。また同じような理由で、合併勧告をかけておりますが、その勧告を受けておりまする町村規模が、人口段階におきましても八千に近い、あるいは八千をこえておるというものについては、やはり合併をした方がよりよいのじゃないかというふうな意味合併勧告をした。しかし、いろいろやってみるけれども、一方は、十分に自分たち自立できるんだというようなことを主張しておる。事実それに類するような適正規模町村もほかにはあるというような場合に、これを適正規模町村に落して勧告からはずしても、他の町村悪影響も及ぼさないし、そうりっぱな形ではないけれども適正規模町村に準じて自立が可能であるというふうに認められるものも、勧告をかけたものの中にはあるわけであります。そういうものは、この際思い切って合併不能町村なり、適正規模町村に準じたものとして、これを計画からはずしていくということにしてはどうかという考え方でございます。AとCの考え方は大体そういうことでございまして、中間のBの分類に入りますものといたしましては、AとCを除いたものがこの範疇に入ってくる。中間的な地帯に存在するものということになるわけであります。そのBグループに属しますものの中で、特に今回の計画改定関係のございますものは、今までの合併計画は、ABの両町村合併をすべきものであるという勧告が出ておった。しかしながら、むしろその組み合せを変えて、BCということにいたしますることによって合併がスムーズに進む、しかもそれが地形その他からいっても別に不合理なものでもないというようなものは、この際合併計画変更して、変更した計画に従って合併を進めていくということにすることによって合併の達成を期したい、かように考えておるのであります。大体分類基準としては、われわれとしてはそのようなことを考えておるわけであります。
  15. 安井吉典

    安井委員 大体の傾向としては一応了解できるわけでありますが、具体的には、今のようなお話ですと、それぞれが自分の思うようなふうに問題をとるというようなおそれがあるんじゃないかと思うのですけれども、具体的にその基準を文書化したといったようなものはないのですか。
  16. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 特別に文書化いたしものはございませんが、先般ブロック会議を開きました際に、各県にお示しをいたしました基準といたしましては、今、私が大体御説明を申し上げたような基準をお示しをいたしまして、それに基いて、各県においてはいろいろ事務的な検討を加えて、大体こういうふうにやっていったらどうかというようなめどをつけておるのであります。ただ、今お話しになりましたように、思い思い勝手にというようなことは、これはもちろんないわけであります。住民意向というものは十分参酌しなければなりません。しかしながら、そこにはやはりおのずから合併計画合理性というものは、どうしても一本筋を通して参らなければならぬわけでありまして、その点は、県当局におきましても、また県の審議会におきましても、十分配慮されることを期待をいたしておりまするし、また、われわれといたしましても、そういう方向で今後指導をいたして参りたいと思っておりますので、そう、どう考えても合理的でないような、ただ住民気随気ままにというような形になって合併計画変更が行われるというようなことは、万々ないものとわれわれは考えております。
  17. 安井吉典

    安井委員 もっと具体的にお話しが願えればよくわかるわけでありますが、私も北海道でございますけれども、ほかの県はよくわかりませんが、たとえば北海道は二十四くらい残っておるようでありますが、それは大体どういうふうな分類に今なっておりましょうか。
  18. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 実はこの分類と申しましても、先般のブロック会議の席上、あるいはその後における各府県当局との連絡ということで、われわれとしては、大体こういう見通しになるんじゃないかというめどをここに掲げておるにすぎないのでありまして、この点は確定的には、本法律案成立をいたしました暁におきまして、県においてもう一ぺん具体的に再検討し、さらに県の審議会に諮りまして、その意見を聞いて、計画がもう一度確定的なものになるという点を一つ御了承を賜わっておきたいと思うのであります。そういう見込みであるという意味で御承知おきを願いたいと思うのでございますけれども北海道におきましては、やはり道当局といたしましては、かなり現在の合併勧告自体が、他府県と異なった非常に地域が広大であるというふうな事情がございますために、そもそも合併計画自体相当のいわゆる緩和措置と申しまするか、他の府県ほどの措置はとっておらない。もともと適正規模なり、不可能町村と思われるものは、相当落してしまっておるという考え方に立っておりまして、現在勧告が出ておるものにつきましては、相当ぎりぎり煮詰まったものであると考えられておるわけであります。われわれも、大体こういうような考え方には同意を表しておるのでありまして、北海道につきましては、それほど大きな計画変更という措置が講ぜられないのではないかというふうに予想をいたしております。
  19. 安井吉典

    安井委員 この分類では三つに分けてありますから、二十四はどれかに入っているわけですか。今ここでは御発表を願えないということですか。
  20. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 その点は、ちょっと具体的に発表いたしますと、それぞれの県において、具体的に自分の方のブロックはどういうふうな分類の中に入っておるだろうかというようなことになりまして、特にまだ未確定の状態において、しかも法律が今審議中の段階におきまして、そういう具体的な線が出て参りますことは、全般的に非常に影響を来たすことが多いのじゃないかというふうに考えておりまして、その具体的な表は一つ差し控えさしていただく方がいいのではないかというふうに考えております。
  21. 川村継義

    ○川村委員 ちょっと関連して。今六ページですか、資料AグループBグループというような関係お話がありまして、そこの未合併町村数の四百八十四というような数字で表わしてありますが、そのAグループBグループというものの小計になっておる四百八十四というようなものは、今だんだんお話を聞いてみて、今後減少見込みの町村数、こう考えていいのですか。
  22. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 これは減少見込みではございませんで、未合併町村数をそのまま掲げてあるわけであります。従いまして、減少町村はこの中で幾らになりますか、ちょっと私資料を持っておりませんが、減少町村数は、さらにこれから下回るわけでございます。これは関係町村を全部掲げてあるわけであります。
  23. 川村継義

    ○川村委員 それでは資料の第一ページに書いてある町村合併関係のところにある資料をあげてありますが、今後減少予定の町村数として、都道府県合併計画によるものの中に四百四十一とありますが、それと今の六ページのA及びBグループの四百八十四というものの関係はどのようになっておりますか。
  24. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 第一に御参考に申し上げたいと思いますことは、一ページにありますものは、これは資料関係でごく最近のものが入手できておりまして、これは十月一日現在でございます。それから六ページの未合併町村分類見込みというのは、これは先般ブロック会議等をやりました際に、一応われわれの資料として、想像できまするものによってまとめてみたものでありまして、これは七月三十一日現在ということになっております。若干その間ずれがございますことを御了承賜わりたいと思うのでありますが、一ページの四百四十一カ町村というものと、それから六ページの五百五十七、全体の未合併町村数というものとの関係でございますが、減少予定の町村数というものは、これは御承知のように五百五十七の未合併町村の中で、それぞれブロックごとに、あるいは三カ町村合併あるいは四カ町村合併ということになりますと、三カ町村合併の場合は一つ残って二つ減る、四カ町村の場合は三つ減って一つ残るというような関係になりますので、それぞれについて積算をしてみましたものがこの数字でございまして、未合併町村は五百五十七である。その中で今後減少予定をいたしておるものが四百四十一、かように相なるわけでございます。
  25. 川村継義

    ○川村委員 わかりました。ただ未合併町村の数のとらえ方でありますが、五百五十七となっておりますが、三ページを見ると未合併町村数が五百四十八となっておりますが、これはやはり期限のずれということになるのですか。
  26. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 期限のずれの問題でございます。
  27. 川村継義

    ○川村委員 さっきのお話で、その資料の作成の上から考えて、三十三年十月一日と七月というようなことがありましたが、ことしに入ってからも相当数減少したということになりますね。
  28. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 本年度に入りましても、高低はございますが、逐月相当減少をいたしております。
  29. 天野光晴

    天野(光)委員 藤井局長の今の答弁を聞いておると、ちょっとおかしいのですが、合併計画自治庁で立てたのですか、これは各府県で立てるわけではないのですか。何か具体的な案があるように今答弁されておられるのですが、現在までの段階では、来年の三月三十一日まで、現在の法律を改正するとまた合併を推進することができる。あるいはまた現在の計画からはずして、未合併町村あるいは独立していける町村可能性のものがあるから、そういうふうにされることが望ましいということが各単位県の方から出てきておるから法律改正になったのだというふうに私は承知しておるのだが、どうもさっきからの質疑応答を聞いておると、何か自治庁の方で考えておって、具体的の数字も今あるぞ、あるけれども、それを発表するとほかの方に影響するから発表できないのだというふうなお話があったのですが、ちょっと話が違うように思うのですが……。
  30. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 言い回し方が無くて、あるいは誤解を生じたかわかりませんが、もちろん合併計画自体は、これは県が作るものであります。その間におきまして、私たちの方も計画を確定いたします際には協議を受けることになっておるのであります。方針を立てまする際に、やはり県の一般的な事情というものを知っておく必要もございますので、先般ブロック会議を開いたわけであります。その際に、県の事務当局案としては、われわれの方に案を持ってきておるのであります。その案を、われわれの方といたしましてはそれぞれ検討いたしまして、県の方とも一応事務的には相談をして、まずまずこうなるかもしれない、予想としてはこういうものであるというような推計表を持っておるという意味で申し上げたのであります。従いまして、今これを具体的に発表するということになりますと、まだ手続は全然済んでおらないわけであります。府県において今後確定的に手続を進めなければならない段階において、いろいろ申し上げますことは、これはむしろ不適当である。県の審議会立場に立ちましても、われわれに何ら相談もなくて、というようなところも出てくるわけであります。そういう意味からいたしましても、われわれといたしましては、具体的な数字あるいは具体的な内容について、ここで——事務的には資料を持っておりますけれども、発表するような筋合いのものでないというような意味で申し上げておるわけであります。
  31. 安井吉典

    安井委員 三つグループのうち、第一のグループに属するものは、三月三十一日までに合併必要性顕著というわけですが、この期日までにどうしてもできなかった場合は、どういうような御措置がとられるわけですか。
  32. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 なるべくわれわれとしては三月三十一日までに合併の完結をしたいというふうな希望を持っておりますが、できません場合は、これはいたし方ございません。法律が三十六年の六月までございますから、その間において、なるべくすみやかに合併を完遂するようにさらに努力を重ねていくということに相なろうかと思います。
  33. 安井吉典

    安井委員 それと同時に、第二のグループは、今後合併の実現を期待するものということになっているわけでありますが、その期待というのは、いつまでを期待するというお考えですか。第一のグループのものもあわせてお考えになるのか。それはいつごろまでにというめどをどういうふうに立てておるのでしょうか。
  34. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 今後に期待するということでございまして、勧告がかかって参りますならば、その方向でできるだけすみやかに合併ができることをわれわれとしては希望するわけでありますが、ただ、合併を推進するその方途なり何なりにおいて、おのずからニュアンスが出てくるということに相なるのであります。従いまして、われわれといたしましては、この分については、三月三十一日までには是が非でもというような考え方は持っておりません。他の新市町村の建設状況ともにらみ合せて、住民世論の育成に努めて、そういう方向において機運が熟した際に、合併考えたいということになれば、これは一つ方向だ。こういうような方向合併考えてもらったらいいじゃないかという意味勧告ということにしておきたいと思うのでありまして、従いまして、この分につきましては、来年三月三十一日までに云々というような期限付の考え方は持っておらないのであります。
  35. 安井吉典

    安井委員 では、いずれにいたしましても、一応第一のグループも第二のグループも、総理大臣勧告はするわけなんですね。
  36. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 率直に申しまして、私たちの今の考え方といたしましては、総理大臣勧告は、Bグループについてはただいまのところは考えておりません。Aグループの中で県の方から申請があったものについて、緊要と認めますならば、これを中央の審議会に諮って勧告を出すというふうに考えております。
  37. 安井吉典

    安井委員 それから次に、今度の法の改正案によりまして、第二次合併とでもいいますか、そういうようなものに対しても新市町村の扱いをするというふうな問題があるわけでございますが、その場合に、建設計画費に対する補助は、この前質問がありました際にも、もう一度、二度目のものに二回ダブって助成を出すとか出さないとかいう問題がありましたが、その点をもうちょっと御説明願いたいと思います。
  38. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 いわゆる計画調整費、それから施設整備の補助金というものにつきましては、同一市町村に対して二回ダブって交付するということは、補助金の建前上からも考えられませんので、そういうようなダブるような補助金については、新市町村についての取扱いをいたすことはない。二重に補助金を交付する考えはないということです。
  39. 安井吉典

    安井委員 その場合、ただ今すでにできているところに新しく入ってきた町村は、一度ももらっていないのですから、そういった恩恵に浴する。そういう面で、計画そのものは新しく立てられるのですから、ダブってもいいということも考えられはしないのか。
  40. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 そこで申し上げましたのは、ダブってというのは、そういう意味でありまして、同一地域についてはダブらない。従って、ここに新市町村というものがありまして、そこに計画外の合併が行われたという場合には、その区域につきましては、これはやはり実質上の取扱いとして計画調整も行われるわけでありますから、そういう分については、いわゆるダブらない範囲内において、事柄の処理というものは当然進めて参らなければいかぬというふうに思っております。
  41. 安井吉典

    安井委員 新市町村と新市町村同士の合併という場合と、それから新市町村と新市町村でも何でもないものとの合併の問題で、この補助の取扱いについて若干ニュアンスがあるのですか。
  42. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 その通りでございます。
  43. 安井吉典

    安井委員 それから地方交付税の配分につきまして優遇措置があるわけでありますが、交付税そのものの総額がずっと上ってきておる今日、割合にそういったようなものが薄くなってきておるような気がするのですが、どうでしょうか。
  44. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 特に薄くなってきておるとは考えておりません。と申しますのは、合併のために臨時に必要となるものにつきましては、特に財政需要を考えておりますし、その単価につきましても、毎年度総額の範囲内におきまして単位費用の改定というものも行なっておるわけでありまして、漸次その面についても増高を見ておるのであります。
  45. 安井吉典

    安井委員 建設計画の助成につきまして、事業種別別のワクが非常にかたく守られておるが、それをもう少し緩和してもらいたいというような要望があるようですが、お聞きになっておりませんか。どうお考えでしょうか。
  46. 吉浦浄真

    ○吉浦説明員 新市町村建設促進法の第十二条の規定によりまして、自治庁といたしましては現在補助金を交付いたしておるわけでございます。従って、十二条の法文上読めるものにつきましては、できるだけ補助金を交付いたしておりますが、十二条の規定によってどうしても読めないものにつきまして、特に関係各省で何らかの補助金をつけておるという施設につきましては、これは自治庁自体といたしましては、補助金をつけないというふうな考え方をとっておるわけであります。
  47. 安井吉典

    安井委員 新市町村に対する財政措置その他につきまして、建設計画に対する政府の援助につきまして、どうも熱意が疑われるような今日までの財政支出でしかないというような点につきまして、この前の委員会において、いろいろと検討をされたわけでありますが、その中におきましても、自治庁以外の文部省でありますとか、運輸省でありますとか、あるいは各公社でありますとか、そういったものの対策というものがきわめておくれておるように思うわけでございますが、その状況はどうか。またそれに対する対策を一つお聞かせ願いたいと思います。
  48. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 新市町村育成のためのいろいろの財政措置の中で、自治庁関係以外の各省関係措置でございますが、これは新市町村を育成していくということのために考えられておりますのは、文部省関係では、小中学校の統合のための校舎の新築、改築あるいは増築に関する経費の助成であります。     〔亀山委員長代理退席、委員長着席〕  これは三十一年度から始まったのでありますが、三十一年度は三億、それから三十二年度は七億一千四百万、三十三年度は十億一千万ということで、逐年若干ずつは増加をいたしております。また農林省関係では、新農山漁村の建設関係の補助でございまして、これは三十一年度が十四億五千万、三十二年度が二十八億七千八百万、三十三年度が三十四億三千三百万ということに相なっております。郵政省の関係では、いわゆる郵便局の統合に要する経費がこれに当るわけでございまして、これは三十一年度が四億七千万、三十二年度が九億六千六百万、三十三年度が十三億九百万ということで、これまた逐年増加をいたしております。次に電信電話公社の関係でありまして、これには電話局の統合と無電話部落の解消、この二つがあるわけでありますが、電話局の統合につきましては、三十一年度が十億、三十二年度が二十九億六千五百万、三十三年度が三十億。それから無電話部落の解消について、三十一年度が一億、三十二年度が二十五億、三十三年度が三十億ということで、相当努力はしてもらっておるというふうに考えておるのであります。しかしながら、これらをもってなお十分であるというふうにはもちろん考えられません。文部省関係の中小学校の統合のための施設の整備費にいたしましても、あるいは郵政省、電信電話公社関係の件につきましても、関係市町村の方からは、絶えずさらにもっと増額をしてもらいたいという要請が、われわれの方にも届けられておるのであります。われわれといたしましては、そういうふうな要望の線につきましては、中央にございます中央審議会の幹事会を通じまして、あるいは直接に各省関係を通じまして、それらの増額措置について絶えず努力はいたしてきておるつもりでございますが、なお今後とも、この点の増額のためには一そうの努力一つやって参りたいと考えておる次第でございます。
  49. 安井吉典

    安井委員 やはり下部の市町村立場からいいますと、郵便局も一緒にしてくれというのがなかなかしてくれないとか、そういったようないろいろな問題が、中央の段階と違いましてごく身近な生活問題だというだけに、深刻なようであります。ですから、今後とも新市町村建設を一そう促進するという先ほどの大臣の御決意を伺ったわけでありますが、そういう御意図が、やはり具体的に財政の強い支援、あるいはまた自治庁だけがさか立ちしたって、全体的な完成ができるわけじゃないのですから、政府が全力をあげてこれに当るというふうな、そういう御決意を実際に移していただかなければ、この前も言われましたように、一体やる気があるのかないのかといったような批判が出てくるわけであります。この上とも一そうの御努力を要望いたしたいと思うわけであります。  それから次に、この建設助成の運びにつきまして、今でもまだまだ進まないのだが、今後新市町村に対して一体化を促進するために、第二次の建設助成費を計上するように進めてくれといったような、全国町村議長会の要望書もあるようでございますが、これについてはどうお考えになりますか。
  50. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 現在のところは、いわゆる一体化の施設助成費として、本年度まで三カ年度間合計いたしまして、対象市町村千四百二十カ市町村というものに対しまして、助成の措置を講じて参っておるのであります。われわれの考え方といたしましては、一体化というものは、新市町村建設の基礎的な最も手始めに整備しなければならぬ問題でございますので、他の残っております新市町村につきましては、来年度において、できる限りこれは全部を対象として一体化の施設整備というものは完了いたしたいという心がまえで、現在予算折衝等を続けておる段階でございます。第二次の建設助成というような点について要望のあることは承知をいたしておりますが、私たちといたしましては、まずそこに参ります前に、一わたり新市町村について基礎的な整備を終らせたいということが、第一階梯として取り上げられて参らなければならぬ問題であるというふうに考えております。  それともう一つは、市町村の事務処理というものをもう少し合理的に、特に一般の住民と密接に関係をいたします事務処理機構でございますだけに、それらの事務運営の能率化、合理化というものをすみやかに促進をしていくということに努力を払いたい。特に窓口事務等におきましても、窓口が何ぼにも分れておる。たとえば、赤ん坊が生まれたというような場合に、いろいろ手続が要りますが、それが今のような窓口でございますと、戸籍係に参りましたり、住民登録の係に行ったり、あるいは配給台帳の問題があったり、母子手帳の問題があったり、健康保険の問題があったりということで、窓口を二つも三つも行き来しなければ手続が済まないというような不合理は、たとえば住民係なら住民係というところで一本の申請書を出せば、全部の手続が一貫して終って、そして全部済んでしまうというような、少くとも目に見えて効果のあがるようなところから手をつけて、一つ合理化を促進をして参りたいというふうに考えておるのでありまして、そのための施策というものを来年度から一つ実施に移して参りたいということを、現在新しい施策としては考えておるのであります。今後第二次のものが必要であるかどうかというようなことにつきましては、第一次の現在の新市町村の一体化の施設整備というものが全部終りましたときの情勢に応じて、なお特別の措置が必要であるかどうかということは慎重に一つ検討を加えたい、かように考えております。
  51. 北條秀一

    ○北條委員 関連して。同僚の安井委員から、今、第二次建設助成費交付についての全国町村会議長会長須川勝造氏の要望に基いてお話があったのでありますが、これは十月の十日に出てきたものでありまして、九月の十五日にも、同全国町村会議長会長から七項目にわたる要望が出ておるわけであります。これは自治庁に出ておると思いますが、これは非常に関連するものであります。昨日来藤井局長は、新市町村の建設については、住民の要望をなるべく全面的に受け入れて、それが達成できるようにして差し上げるのが自治庁方針だということを言っておられました。これはもとより行政当局の方針、すなわち青木国務大臣の強い御方針であろうと私は思う。従って、今の安井委員の質問に関連いたしまして、ことしの九月十五日に、今言いましたように七項目にわたる要望書が出ております。これは煩を避けてそちらに差し上げますから、この際、一つ一つ大臣からどういう御方針であるかお示しを願えれば非常にけっこうだと思います。私は、この問題は、実は一昨日から事前に質問の要旨を書いて青木大臣のところに提出しておいて、そしてきわめて自信のある御回答を求めたいと思ったのでありますが、そのひまがなくて、今緊急に出したわけでありますが、もし青木大臣の方で自信のある回答ができないならば、暫時休憩して、その間に御協議願ってもけっこうであります。
  52. 青木正

    青木国務大臣 一応現段階の事務的なことを藤井さんから説明して、あと私から締めくくりを申し上げます。
  53. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 お答えをいたします。第一は、「政府関係各省庁は一体となり、新市町村の総合的一定行政水準を設定して、新市町村の組織及び運営の合理化を促進すること。」というのでありますが、これは今までの当委員会審議の過程においても、各委員から御質問のあった点でございます。新市町村の建設を促進いたしまするためには、関係各省が一体となってこれをやらなければならぬことは当然でありまして、そうでなければ効果は十分上りません。われわれ自治庁だけが新市町村の建設をやっていくんだというようなことになりましては、事柄の十分な成果は期待し得ません。それとともに県の段階におきましても、地方課だけがこの仕事に全責任を負っているというような態勢では困るのであります。このことは御指摘の通りでありまして、今までも相当努力をして、関係各省庁間の連絡は確保しております。特にその連絡の場所としては、中央審議会の幹事会あるいは中央審議会がございまして、この席上を場といたしまして、一体的な態勢がとれるように努力をしておるわけでありますが、今後とも、これらの点についてはさらに積極的な努力をいたすつもりでございます。なお、新市町村の総合的一定行政水準を設定するというような点につきましては、これは重要なことでありまするとともに、また一面、きわめて合理的な水準というものを設定すること自体がむずかしい問題ではございます。しかし、この点は交付税の算定基準といったような、そのこととももちろん密接な関係はございますけれども、そのことだけで解決のつく筋合いのものでもない。また一面、わが国の経済力なり財政力というものを無視して、ただ単に理想的な水準というものだけを設定をしてみましても、これは実行性ということにおきましていろいろ問題のある点でもございます。実行可能ということを考えながら、しかもやはり一歩々々前進をして、一つの目標というものを掲げていくという意味における総合的な行政水準の設定ということは、これは十分考慮に値する事柄であろうと思っておりまして、この点につきましてさらに検討を加えたい、かように考えます。  それから第二は、「新市町村建設助成費は、三十四年度をもって完了するよう既定額は確保すること。」とございますが、これは今申し上げましたように、この線で今予算要求もいたしておりますし、われわれといたしましても、ぜひともこのような方向において措置をするように今後とも一そうの努力をいたすつもりでございます。  第三は、小中学校の統合整備のために施設整備の国庫補助率を引き上げをすると、それとともに全体としての補助額を大幅に増額せよということでございます。これにつきましては、所管が文部省でございますが、先刻来申し上げておりますように、このようなことができますことが、やはり新市町村の一体的な運営を確保するゆえんでもございまするので、私たちといたしましても、非常に大きな関心をこの問題については持っておるのであります。しかしながら、事柄は国の財政ということとも直接に関係をいたしまする問題でありますので、文部省とも、この点については打ち合せをいたしまして、万全の措置を講じたいと考えます。  それから四は、道路、橋梁、水道等の事業費に対する補助金は、三十三年度よりも大幅に増額をしてもらうとともに、必要な地方債は優先的に許可をしてもらいたいということでありますが、補助金につきましては、文部省関係のことと同様でございます。できるだけ各省とも連絡をとりたいと思っておりますが、必要な地方債につきましては、最近は公営事業ということについて特に起債の重点配分を配慮いたしておるのであります。また将来とも、この方向は漸次強化をして参るというのが自治庁方針でございます。  それから五は、新市町村の基本財産が造成等のために、国有林野の払い下げ等の点をさらに強化をしてもらいたいということでございますが、これは、われわれといたしましてはさらに努力をいたします。まだ十分の効果は上っておりませんが、漸次国有林野の払い下げ等につきましても成果が上ってきております。林野庁当局も、この点については、相当熱心に本腰を入れて研究をしてくれておるように思っておるのでありますが、なおさらに積極的に努力をいたしたい。それととともに、公有林野の保全整備に必要なる資金の導入等その養護措置をはかれということでありますが、これが実はまだ政府としてはっきりと成案を得ておるわけではございませんが、われわれの方も、この問題について関心を持ちまして、このことができますることによって、やはり新市町村の財政規模の確立に幾分でも寄与し得るという立場から現在研究をいたしております。その方法としては、いろいろございますけれども、非常に公有林野の撫育、管理の面がおくれておりまして、放置されておるという向きも大へん多いのではないかというふうに考えております。そのためには、どうしてもやはり長期低利の資金を融通をしてやらなければ、思うにまかせないというような点がございます。そのために先だつものは、やはり資金の導入ということが一番先決の問題ではあるまいか。その方法といたしましては、農林中金あるいは金融公庫等の関係もございますけれども、われわれの方の考え方といたしましてば、一応公営企業金融公庫等もすでに発足しておる関係でございまするので、それらの資金のワクというものを拡大する方途を講じて、これらの所要資金を調達をする道を開いていってはどうかということで、現在研究をいたしておるのであります。  それから六につきましては、郵便、電話、電信関係の統合整備のための資金の確保、これは先刻申し上げた通りでございます。  なお、七の不可能町村並びに適正規模町村で、行政水準を確保し得ない町村についても、国において最も適切なる助成措置を講じて参りたい。特に合併不可能町村等につきましては、みずからの意思にかかわらず合併ができないという町村でございまして、そのために未合併町村として、より不遇な財政処遇を受けるということは、これらの不能町村の行政水準を確保するゆえんではございませんので、この面については、われわれとしては特段の留意をいたして参りたい、かように考えております。
  54. 北條秀一

    ○北條委員 もう一つ、今のに関連して行政当局に質問したいと思います。このうちの一番眼目になるのは、総合的な一定の行政水準を設定したいということであります。今の局長の御説明では、なかなか理想を掲げても、実行不可能なものならば、これは絵に描いたもちだ、こういう趣旨であったと思う。さきの特別国会において、当委員会の冒頭に、同僚の門司委員から、自治庁は行政水準ということを一つ覚えのように言うけれども、今自治庁考えている行政水準とは、すなわち現状維持だということを強く門司委員が言われたと思うのです。そういうことで、結局、総合的な一定の行政水準というものを自治庁は確信を持って持ち、それを、また一つの理想であるかもしれませんが、示すということが非常に私は必要だと考えるわけです。今、お話を聞いておりましても、必要は必要だけれども、出したところでしょうがないじゃないかということですが、そこにやはり私は、今日の末端町村の不幸の原因があると考えるのであります。従って、重ねて恐縮でありますが、青木国務大臣の御答弁のある前に、藤井局長から、行政水準を設定するということがどうしてできないのか、ということについて御答弁願いたいと思います。
  55. 加藤精三

    加藤(精)委員 関連。私も、長年地方行政委員会でそういう質問をしたいと思っておったのですが、そういうふうなまでに観念がまとまらぬでおったのです。ここ五、六年の間、夢にも忘れたことはない。衆議院、参議院の委員会でも、そういう問題があるときは、私は傍聴に行っておりましたが、そして自治庁の十年祝賀式典に伴うえらい冊子を得まして、そうして大体地方行政の水準向上の目標点について、各省のおえら方が全部筆をそろえております。しかしながら、問題は、大蔵省がどういう認識をするかということと関連してくるのであります。そうして大蔵省に対してどれだけの説得力が自治庁にあるかということに関連してくると思うのでありますが、私、最近考えまするのに、私、市町村長をやったときは、ちょうど終戦直後でございましたが、そのときの地方行政施設の荒廃、河川の堤防とか、道路とか、あるいは汚物掃除の状況とか、すべての面から見て、哀れなる祖国というような感じがしたのであります。もっとも三年間戦地におって、復員したあとでありましたが、それが今日非常な速力を持って、よほどよくなっておる。そうして相当りっぱな行政施設が、農村をずっと半日ドライブしても、一日ドライブしても、たんたんとして、ほぼ理想に近い行政施設が生まれてきたのである。(「だめだ、だめだ」と呼ぶ者あり)いい面を肯定するということも必要なことであって、何も反対せんがために反対し、悪口を言わんがために悪口を言う、そういう態度は良識のある政治家のとるべきことじゃない。いい点はどこまでも認める。町村合併のいい点は認める、地方財政再建のいい点は認めるというのでなければ話にならぬと思うのであります。不規則発言に対して一矢を報いながら、さらに論旨を進めてみたいと思います。  そこで私の到達しました点は、社会経済は戦後非常な勢いで進んでいる。西ドイツと、それから極東における日本が、経済成長率においても一番高いということは、これは隠れもない事実なんです。ソ連や中共は、非常に経済成長が早いとか何とかいいますけれども、これは鉄のとびらの中のことで、実際はわからぬ。わからぬし、また、現に最近われわれの手に入った情報によれば、中共は第二次五カ年計画の樹立さえできないほど苦境に陥っている。そして、中共の一流の経済学者である統計局長が、第一次五カ年計画の不均斉な、経済各部分における成長が非常に不ぞろいであって、そのために、統制経済なるがゆえに非常な苦境に入っているということを発表したために首になった。そしてまた、北京大学の中共一流の経済学者も、同じ議論をしたために粛清にあっているというようなことを見ても、決して社会党の諸君が考えられるほど中共やソ連はよくない。われわれの政党の当時の責任者の池田蔵相が、ルードウィッヒ・エアハルトと西ドイツで会いまして、減税をしながら、しかもこれだけの経済建設をしたじゃないかと言うていばったということは、私は、彼池田勇人は政治家であると思ったのであります。そういうようなことにおいて、われわれは明るい面をも、これは否定せずに肯定して考えていきたいと思うのでありますが、さて行政水準という言葉になります。行政水準という言葉は、自治庁のある非常な秀才の課長が作られた言葉でありまして、この言葉か大蔵省の予算削減の防波堤になったというこの功績は非常に意味が高いと思うのでありますが、私は、さらにそれに加えまして、結論として申し上げますれば、行政水準——市町村の行政の成長率が、社会経済、わが国全体の社会経済の成長率と並行して進むように、べらぼうにりっぱな近代工場がそこにある、そうして、実に世界のどこの国に輸出しても負けないような精密な製品を出すけれども、道路がごつごつ、非常にでこぼこが激しくて、製品が車の中で動揺が激しくて、それが使いものにならなくなるというようなことがもしあるとすれば、これは行政施設であるところの道路のりっぱに改善されていく速度がおそいということになる。それには、経済成長率が四・五であるならば、行政水準の成長率も四・五であるべきでないか。ただし、ここに注目を要するのは、一般に大蔵省の地方自治に対する理解が非常に不十分なために、現段階までの間において、すでに一般の社会教育、一般の社会経済施設よりも、政府の行政の中における施設の水準が低かった。すなわち、どろぼうが長距離電話で通報する、あるいは無電を操作して情報を交換しておるのに、警察電話はそれよりもはるかにおそいとか、そうしたような点が、これは社会経済の水準に追いつかないのだというような面がありますから、それをまず社会経済の平常水準、均等のスタートまでにして、それから先は、わが国の経済成長率というものに比例して、行政成長率というものを進行さしていく。その点に基準を求めれば、私は、町村合併、新市町村建設等の一つの目標水準というものも立つのじゃないかということを考えるのでございます。  それから、ついででようございますが、私は、非常に今感心したのでありますが、ただいまの何項目目かの小中学校の統合整備の補助金の比率の問題でございますが、これはその合併町村だけに対して、あるいは二割とか、二割五分とか、一割とか、そういう補助率を引き上げるという北條さんの御意思であるかどうか。すなわち、現在は一般の公立文教施設の補助率は二分の一でございまして、不正常と危険校舎だけが三分の一でございますが、不正常と危険校舎だけを三分の一を二分の一にするという意味でございますか。それとも全般の補助率を、合併町村に限り、新市町村建設中のものに限り、一割とか、一割五分とか、二割とかの補助率の引き上げというか、補助率のアップという意味でございますか、それを承わりますと、われわれが政策を立てる上に非常に参考になりますので、その点を伺いたいと思います。長時間どうも申しわけございません。
  56. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 最初に、私かわりまして、先刻の義務教育諸学校の施設整備費の関係について、これはそんたくになるかもしれませんがす申し上げますと、これは新市町村関係の要望書でございますので、新市町村についてだけいっておると思います。もちろん、そのほかの町村一般についても、こういうようなことは、希望としてないわけではないというふうに考えるのでありますが、ここでいっておりますのは、新市町村関係について、施設整備費の国庫補助率は、一律に二分の一の制度にしてもらいたいということのようでございます。なお、従来からの要望の中には、土地の購入費も、やはり補助の対象にしてもらいたいというような趣旨も織り込まれておるように承知をといたしております。  行政水準の問題につきましては、私としても、そういうことはやったって全く無意味だとか、あるいは全然不可能であるとかいうふうな意味で申し上げておるつもりはないのであります。やはり、新市町村というものの計画的、合理的な進展、伸張をはかって参りますためには、一つめどというものがなければならぬ。地方自治でございますから、もちろんそれぞれの市町村特有の条件もございまして、その土地その土地に応じた建設計画を進めるということが、基本的には必要でございますけれども、一面、新市町村として、みずからの公共事務をやり、また県なり国の委託事務というものも共通的に処理して参らなければならぬものといたしまして、また新しく年々制定せられまする法律を、全国一律的にこれを実施して参らなければならぬ部面もあるというような点から考えますると、新市町村のあるべき行政水準というものを設定をしていくことは、何とか考えてみなければならぬ段階にきておるのではないかとは思っております。そういうような線から、なかなか作業としてはむずかしくて、まだ成案の段階には至っておりませんが、今、自治庁当局といたしましては、手始めに、市につきまして、それぞれの業態の市を分類をいたしまして、その業態に従って、商工都市とか、商工、農業の総合都市とか、あるいは工業だけの地帯、住宅地帯というようなことで分類をいたしまして、それぞれに特有の要素を加味しつつ、新市の標準行政水準というものを発見するための作業を現在進めておるのであります。まだ町村段階に入っておらないというふうに考えておりますが、そういう努力はやっておりまするし、またやっていかなければならぬ。それによって第一次的には標準的な行政規模、あるいは交付税の単位費用の計算なり、財政需要なりというものを、さらに合理的なものに積み上げていく。そういうことに結びつけていく必要もあるのじゃないかというふうに考えておるのであります。しかし、これはなかなか困難な、しかも実にむずかしい問題であるということも、率直に認めざるを得ないのであります。しかしながら、財政関係だけを頭に置いておりまして、いつまでたっても困難だ、とてもできないというようなことでは、市町村行政の進歩発展ということはあり得ないわけであります。それらのにらみ合せをしながら、一つの目標というものを立てていく意味において、総合的な行政水準というものを描いていくということは必要な事柄ではないかと考えておりまして、困難であると思いまするけれども、なおわれわれとしては、自治庁をあげてこの作業に今後とも努力をして参る所存でございます。
  57. 中井徳次郎

    ○中井(徳)委員 大へんどうも脱線をするようで恐縮でありますけれども、今加藤先生からの御発言、私、半分非常に傾聴いたしました。それは経済の成長率に応じて地方自治体も成長すべきものであるというふうな根本原則については、私はその通りだと思います。しかし前半で、これは非常に重要であろうと思いますので、私は政府の見解を伺いたいのですが、そういうことではありますけれども、この地方行政委員会におきまして、過去十年間いろいろと論じられておりましたことは、何といっても敗戦後の日本の経済復興、産業復興といいますか、国家の興隆といいますか、文化国家、福祉国家ということでやってきた。そして地方財政、地方行政というものも、一応表面だけはそういう形が出ているが、こういうものの犠牲の上に立って、そのことが今日七千億の地方債の形になって出てきているということ、すなわち、そのスタートにおいて非常におくれをとっているということです。そこでこのスタートを、せめて一線にそろえてもらいたいというのが、私どもの十年間の願いであったと実は考えております。そのスタートが一緒であるならば、加藤先生の御意見ごもっともだと思いますが、今、私どもはそういう認識に立っておりません。そこが非常に重要だと思うのでございます。その点においては、おそらく加藤先生は言い落されのじゃないかと思いますが、この際、私は政府の見解を伺っておきたい。われわれといえども、ただ市町村がかわいい、府県がかわいい、従って国はどうしてもいい、他の産業はどうなってもいいというふうな認識のもとで、この十年間論じてきたのでは断じてありません。現実の姿を見ました場合において、まことにどうも国民生活に直結するところの府県市町村のあり方というものが非常におくれている。押えられている。だれが押えたか、こういうことについては、われわれの方も十分の主張を持っているわけですが、やはり現実というものをながめてもらいたい。それに目をおおって、来年は四・五%ならやはりこっちも四・五%、再来年も四・五%ということになれば、いつまでたってもこの間隔は追いつきません。たとえば、補助金の率の問題が今問題になっておりました。あるいは交付税の率の問題等につきましても、何も交付税心々々と言うわけじゃありませんが、ただそのスタートが合うまではせめて何とかしてくれというのが、私は、この委員会の根本的な態度ではなかったろうかと思いますので、その点について、加藤先生の御意見を同じ委員で伺うわけにいきませんから、私は、政府の率直な見解を伺っておきたい。将来皆さんが財政当局と折衝なさる場合の心がまえとして、これは基本的にきわめて重要な問題であろうと思いますので、横から質問して恐縮でありますが、一言お尋ねいたしておきい。
  58. 青木正

    青木国務大臣 ただいま北條委員また加藤委員、中井委員からのだんだんの御発言であったのでありますが、私も基本的な考え方を率直に申し上げてみたいと思うのであります。  先般、三十二年度の地方財政の決算の数字が発表されたわけであります。御承知のように、あの総額が一兆四千幾ら、こういう数字になっております。同じ年度の国の予算は、一兆三千幾らであります。地方財政の額の方が多いのであります。この事実に立って考えてみますときに、私は非常に寡聞でありまして、世界のこと全部を存じているわけではありませんが、私の知る限りにおきましては、地方財政規模が国の財政規模よりも多いという国は、私は、日本だけだと承知いたしておるのであります。私の寡聞のために誤解があったら、これは訂正いたしますが、私が現在まで承知している限りにおきましては、日本だけが地方財政規模が国の財政規模よりも多い、こういうことなんであります。しからば、地方財政規模が多いという原因はどこにあるか、これは私は決して市町村あるいは府県の当局がむだづかいをしているとかどうかというふうに考えないのであります。なぜ一体地方財政が多いかということは、ただいま中井委員が申されておりましたごとく、市町村あるいは府県のやる仕事は、住民の生活に密接する仕事を担当いたしておるであります。たとえば文化施設にいたしましても、福祉施設にいたしましても、実際にこれを担当しているのは府県市町村であります。ところが、日本におきましては、戦争の影響もあったでありましょうが、本来府県市町村がやらなければならない仕事、それが非常におくれている。おくれておればこそ、何も府県市町村は好きこのんでたくさんの金を要求しているのじゃないのでありますが、やらなければならぬ仕事がおくれているために、どうしても地方財政規模は大きくならざるを得ない。たとえば道路にいたしましても、現在府県道の舗装率はわずかに六%でありますか、その程度、あるいは橋梁にいたしましても、府県の橋梁でいわゆる重量制限を加えておる橋梁は二四%もある。あるいはまた上水道にいたしましても、あるいは下水道にいたしましても、当然上水道を作らなければならぬところ、あるいは簡易水道を必要とするということはわかっておりましても、それがまだ完成の域に至っていない。私は、このこのことは、日本が文化国家、福祉国家としての近代国家を建設する——お題目はまことにけっこうでありますが、現実にこれを担当するのは、何といっても文化施設、福祉施設は、これは府県市町村が実際にこれを担当してやっていきますので、そういう日本の近代国家としての建設という面から見ましても、また外国におきましては、すでにそういう施設がほぼ完成の域に達しておるために、地方財政というものはそれほどの規模を必要としない。ところが、日本はこういう膨大な規模を必要とするということは、それだけ立ちおくれておる。このことは、私どもは、どういたしましてもこのおくれを取り戻しまして、少くとも外国並みに、地方財政が国の財政よりもべらぼうに多くなければならぬというふうな状態でなしに、もっと少い額で間に合うところまでまず持っていく必要があるんじゃないか。そこまで持っていき、外国並みのところまで地方としてやるべきことを進めることがまず先決問題だ。それをやってからは、今度はそれをさらに維持し発展させるということに力を尽さなければなりませんが、この段階におきましては、もちろん国民の経済生活に対応するように伸ばすことも一方にやっていかなければならぬことも当然でありますが、同時に、おくれを取り戻すことに全力を尽していかなければならぬのじゃないか、私自身としてはかような考えを持っておるのであります。  それからただいま北條委員の御質問のこと、現在自治庁におきまして考えておる点について藤井局長から御説明申し上げたのでありますが、この町村議長会の方々のお考えの各項目につきまして、私ども自治庁としては、考え方としては全く同じであります。大体こういう方向につきまして、われわれも従来も力を尽しておりますし、今後もその方向で力を尽して参りたい。もちろん国家財政の関係もあり、また他の省にわたる問題もありますので、なかなか困難の問題もあると思うのでありますが、自治庁といたしましては、先ほど申し上げましたような基本的な考え方に立ち、またそういうような現在の地方の状態から見て、一体だれが国会において、あるいはまた閣議等において、地方の要望を主張するかということになりますと、これは何と申しましても、自治庁こそ一番大きな責任がある。かように考えますので、私どもは、常にそういう立場に立ちまして、国会の皆さん方にも非常に御協力願って、府県市町村の要望を実現すべく——これは府県市町村の要望というよりは、むしろ私は住民の要望と思うのであります。その住民の要望をできるだけかなえることができるように最善を尽したい、かように思っておるのであります。  この中で、先ほど行政局長が申しておりましたごとく、行政水準の問題これはただいま申し上げましたような、日本の地方公共団体のやらなければならない仕事がおくれておる、これを取り戻す問題ももちろんやらなければなりませんし、同時にまた、今後の府県市町村の行政として、どの程度、どういうふうにやっていくべきか。これは先ほど藤井局長も申しておりますように、なかなかむずかしい問題と思うのであります。むずかしい問題とは思うのでありますが、自治庁内部におきましては、いろいろ研究はいたしておるのであります。どの程度の水準といいますか、あるべき姿——一応交付税の基礎となる基準財政需要というものを算定いたしておるわけでありますが、しかし、あれが果していいのかどうか、これはもちろん十分検討しなければならぬ問題であり、しかもあの基準財政需要のきめ方が、一番初め、ある年の年度をとって、それから伸び方を加えていったようなことから出発しておるわけでありますが、もっと根本的に検討していく必要があるんじゃないか。またこまかい問題になりますれば、たとえば民間のいろいろな事業会社等は、相当近代的な事務組織をやっております。ところが府県市町村になりますと、なかなかまだそこまでいっていない。やはり、もっと能率的な事務組織というものも考えていく必要があるのではないか、そういう問題もありますし、また、その他行政施設としてやるべき水準をどこに匿いて、どういうテンポでおくれを取り戻し、さらに向上させていくか、こういうふうないろいろな問題がありますので、これを具体的にきめていくのは、なかなか困難な問題とは私ども覚悟はいたしておるのでありますが、しかし、いかに困難でありましても、ただ漫然と行き当りばったりにやっていくというべきものじゃないのでありまして、やはり一定目標と申しますか、目安を定めて、その目安を実現するように努力していくということでなければならぬのじゃないか、かように私ども考えておるのであります。大へん抽象的なことを申し上げましてまことに恐縮でありますが、気持としてはそういう考え方に立ち、そうしてさらに先ほど藤井局長が個々の問題について申し上げましたように、個々の問題につきましては、大体町村議長会の御要望の線の諸問題につきましても具体的に検討をいたし、できるだけ御要望に沿うことができるようにやっていきたい、かように考えておるわけであります。
  59. 中井徳次郎

    ○中井(徳)委員 今大臣からお話がありましたが、冒頭の、去年あたりは国の予算よりも地方の予算の方が多い、それは世界でも日本が初めてだというお話でありますが、私は、これは非常に誤解を伴いますから申し上げてみたいと思うのであります。そういうことを言われましても、地方自治なんというものは、世界各国によっていろいろ事情が違います。アメリカは、ああいうステートのような格好で連邦になっておりますし、ドイツも、州という制度で、バイエルンとかなんとか非常に多いし、イギリスはイギリスで、昔から非常に複雑な行政になっておりますが、そういうことでもって、日本は地方財政に十分力を入れておるのだというふうなゼスチュアを示されるということは、非常に危険じゃなかろうかと私は思う。その国々の予算の組み方によると思う。私は、そういう議論になりまするならば、むしろ税収入の面において、日本はいまだに地方税が三であり、国税が七である。この七の国税が回り回って地方に還元される、補助金だ何だという形で還元される。ここに私は一つの盲点があると思う。  それからあなたは、国の財政よりも地方の財政の方が大きくなったとおっしゃるけれども、それじゃ戦前の姿はどうであったかといいますと、昭和五、六年のときには、国が一〇〇で地方は一二五であります。満州事変前後にばそういう形である。しかもそのときの実態は、府県は官選の知事を擁しておる。そういう中にあっても、やはりそういう事情でありました。これはやはり追いつくまでは——先ほど言いましたように、スタート・ラインがどだい間違っておる。国民主権になり、福祉国家になった場合に、依然として昔の形のもの、しかも、それよりも現実は少いというところに私は問題があるというふうなことをもう一度指摘申し上げて、これについての大臣の一段の努力を促したい、こう思うのであります。
  60. 青木正

    青木国務大臣 中井先生、私の説明が下手で誤解なさったかもしれません。私の言った意味は、そういう状態になっておるということは、府県市町村のやるべきことがおくれておるためにそうなっておるのだ。だから、こういう事実から見ても、われわれはもっと府県市町村の仕事というものを積極的にやらなければいかぬ。私、そういう意味でわかりやすい一つの例として申し上げたのでありまして、基本的な考え方は同じなんであります。
  61. 中井徳次郎

    ○中井(徳)委員 了解しました。
  62. 北條秀一

    ○北條委員 関連質問ですが……。
  63. 鈴木善幸

    鈴木委員長 北條君に申し上げますが、あなたの持ち時間がありますから、関連質問は簡単に願います。
  64. 北條秀一

    ○北條委員 関連質問ですが、先ほど藤井局長の話で、最近行政水準を上げる作業を進めるという話があったが、町村についてはどう考えておるかわかりませんが、この際、青木国務大臣に特に私は要望申し上げておきたい。そうして御回答願いたいと思うのでありますが、過去十年間も、行政水準をどうするかというので困っておるのですが、この際、あなたの在任中に、市はもとより、町村の行政水準を一応立てるという決心をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  65. 青木正

    青木国務大臣 町村合併促進法についでの新市町村建設促進法で、その問題に私ども終止符を打ちたいということをしばしば申し上げておりますのは、やはり基本的にはそこにあるのでありまして、この合併問題ばかりに頭を費やしておりましても何ですから、これからの新市町村建設、というよりは全般の市町村の今後のあり方、そういう行政水準の問題等をここで真剣に検討せんければいかぬ。そのためには、一日も早く合併問題に終止符を打って、そのでき上った町村というものを基礎にして、今後の町村としての行政水準というものをどこに置き、どういうふうにこれが実現に当っていくか、こういうことを検討せなければならぬと私ども考えております。そこで先ほど藤井局長が申しておりましたごとく、自治庁といたしましては、着々そういう準備的な検討に入っておるのでありまして、私も、できるだけこの新市町村の問題に終止符を打つと同時に、その方の建設問題に全力を尽して、お話のような行政水準の確保の問題等につきましての目標と申しますか、今後のあり方、そういうものにつきまして確固たる方針を立てるようにして参りたい、かような考えのもとに全力を尽す覚悟であります。
  66. 安井吉典

    安井委員 だいぶ話が大きくなりましたので、今度は地方自治の一番小さなところに引き戻しまして、弱小町村の問題でありますが、この前の委員会におきましても、今回の合併措置から最初から取り残された町村、あるいは今度の措置でまた除外になろうとしておる町村、日の当らない場所といいますか、これらほんとうに谷間の奥の底の方に残された町村相当出てくるんじゃないかと思うのです。こういうものに対する措置につきまして、十六日の委員会におきましては、天野委員の質問に対しまして、藤井行政局長は、その取扱いについては、今後財政的な取扱いについて不利を与えることのないようにするのは当然だというふうにお答えになっておられますが、これはその通りですね。ところが一方、その前の御答弁の中では、本年度から、地方交付税の配分については、人口八千というところに引き上げてきて、それ以下のものについては自然にやはり不利にならざるを得ないというふうな取扱い方、と申しますよりは、八千以上のものについては優先的ないろいろな有利な取扱いができるよう措置を講じて参るわけでありますと、かような御答弁をされております。これは何か矛盾するように思うのですが、どうですか。
  67. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 これは敷衍して申し上げますと、こういうことでございます。標準規模段階というものは、これはやはりだんだんと上げて参らなければならぬというふうに思っておるわけであります。従いまして、黙っておる場合においては、標準以下の人口段階しか持たないところでは、総体的には不利な取扱いを受けざるを得ない、これはその通りであります。ただ、今御指摘になりましたような、いわゆる弱小町村というものについては、これは本人が合併したいというような意思を持っておっても、合併の相手方もない。また、合併してみても合併効果があがらないというような町村でございます。こういうものにつきましては、形式上今の論理を当てはめて参りましては不利になるわけでありますが、しかし弱小町村であるために、これは当初から合併計画からはずされ、また今回の措置でもはずされるかもしれないところであります。従って、それらの弱小町村の責任ではございません。従って、これらに対しましては、標準段階では八千ということにしてありますけれども、それ以下のものでありましても、それらのいわゆる不可能町村につきましては、交付税の上におきましても、いわゆる逆補正と申しますか、人口が低くても、順位費用について補正係数をかけまして、それを有利な取扱いに引き上げていくという方法を、交付税法上も取り扱って参りたい。なお、起債その他についても、他の町村並みの行政水準が維持できるようにしたい、こういうふうな意味で申し上げておるのであります。
  68. 安井吉典

    安井委員 起債の関係につきまして、小さな村の村長さんが来てこぼすのですが、起債の面についても、あまり自治庁の方はめんどうを見てくれないというような言い方をしております。これはたとえて申しますと、義務教育の整備費でありますとか、あるいは災害復旧の補助事業、こういったようなものに対しまして、それについての地元負担に対する起債額は、百万円で一つの線を引いているように聞いております。この関係でございますが、大きな市町村の場合は、大体においてその事業総額が大きいわけです。ですから、地元負担分も従って百万以上というふうに、一つの網の目の上に乗るわけです。ですから、大市町村においては割合起債がつけやすい。ところが、小町村の場合では事業額が、町村規模が小さいものですから割合低いわけです。従いまして、たとい補助金はついても、自分の持ち出し額が百万円以下だったという場合が多いわけで、従って起債制限の網から落ちてしまうわけであります。財政規模が大きくて比較的やりくりのつくような、そういった大町村の方が助かって、地元負担が九十万とか八十万とか、こういったような額でも、これの支出には大へん苦労をするというような弱小町村が突っ放されているというような現状があるじゃないか、かように思うのでありますが、どういうふうにお考えになっておりますか。
  69. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 起債は、毎年のワクというものがございますために、個々の町村等につきましては、その要望通りに参らない。それが弱小町村なるがゆえに特に与えられておる不利であるというようなことでもないかと思うのでありますが、ただ具体的の問題になりますと、そういうような点も全国には相当あるというふうに考えられるのであります。そこで、それらの取扱いにつきましては、私、先般も申し上げましたように、弱小町村に対する取扱いということが、実は合併の進渉段階でもございましたので、確定した方針を打ち出しておらなかったということにも基因をいたしておるのであります。従いまして、私の方の今の考え方といたしましては、来年度から、これらに対する対策というものを一連の措置として総合的に考えまして、交付税の問題、起債の問題、その他の補助金の交付の問題、それらをあわせて合理的な一つの対策を打ち出したい、かように考えております。
  70. 安井吉典

    安井委員 これは合併がすっかり終ってから、ゆっくり立てるというようなことじゃ間に合わない弱小町村が現在すでにあるのです。去年もあったし、一昨年もあったのです。それがみな同じような扱いを受けておるというような状態であろうと思うのであります。ですから、たとえば零細な起債を許すというのは、技術的ないろいろな問題もありまして、それが今の取扱い方をそのまま維持されるとしても、人口の少い町村とか、あるいは財政需要額の比較的少い町村、何か一定の限度をきめて、それ以下の市町村については、原則は百万が起債の網であっても、限界以下の町村は例外的に、たとえば五十万までは認めるとか、そういったような措置はできないわけはないと思うのです。これは別に大きな財政措置も何も要らないと思うのです。やろうとすればすぐできるのですが、こういう点どうですか、すぐやっていただけませんでしょうか。
  71. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 百万円の限度等につきましては、今までいろいろないきさつがあって一応ああいうことになっておるのであります。ただ弱小町村等については、お話しになりましたような問題点が確かにあると思います。規模自体も少い、施設事業費自体も少い。従って自己負担分も非常に少額になっておる。それがゆえに全部一般歳入によってまかなわなければならないということになりますと、弱小町村なるがゆえに特にその点は苦しいというような事情は、私もよく了解ができるのであります。この点につきましては、財政当局ともなお検討をいたしたいと考えております。
  72. 安井吉典

    安井委員 来年からはできませんか。来年から必ずやる……。
  73. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 ちょっと私の立場といたしまして、必ずやると言うことは困難でありますが、財政当局と至急に打ち合せをいたしまして、合理的な解決方法に導くように努めたいと思います。
  74. 安井吉典

    安井委員 次に、新市町村の職員の問題につきまして、ちょっと触れてみたいと思うわけでありますが、これまでの新市町村の建設が一応の成果をあげて今日に至ったというのは、市町村長や、あるいはまた市町村議会の人たち、住民の理解の上に立っての努力の成果だということはもちろんであります。しかしながら、それの実質的な苦労は、市町村職員が縁の下の力持ちでやってきたと思うのです。今日までの地方自治が発展をしたということにつきましても、これらの人たちが黙々と働いてきた結果であろうし、あるいはまた合併につきまして、めんどうな手続、あるいは建設計画といったような厄介な書類の作成、こういうようなものを徹夜で進めてきたのも、それらの人たちであったはずであります。大体におきまして、日本の役所は、紙類の膨大な消費量を特徴としているわけでありますが、いずれにいたしましても、そのような努力、そしてまた今後新市町村をどんどん盛り上げていく困難な仕事、これの推進力としての下積みの努力も、これらの職員の人たちに期待をしなければいけないわけであります。ところが、聞くところによりますと、新市町村における職員の給与水準はきわめて低水準にある。しかも、内部的にも相当アンバランスがあるというふうな事情があるようでございますが、自治庁として、どういうふうにつかんでおられますか。
  75. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 市町村、なかんずく町村段階におきましては、給与水準というものが一般的に相当低位にある。これは全国軒並みというわけではございませんが、一般的に申しまして低位にあるということは事実でございます。こういうふうになっておりますには、いろいろ沿革、地方における他のいわゆる民間の従業者の賃金べースとの関連性、いろいろ事情がありまして今日のようなことに相なっております。さらに財政状況等も加味されてきておるわけでございますが、これらの点が、われわれといたしまして、それでいいというふうに考えておるわけではございません。従来も、当委員会におきましても、いろいろそういう点の御指摘を受けておりまして、給与べースの改定その他の場合におきましては、国の措置に準じてやるように、強力に指導して参ってきてはおるわけでありますが、まだまだこういう点には至っておらないところもかなりある、これは事実でございます。現在、本年の七月一日現在をもって、第二次の全国的な地方公務員の給与実態調査を実施をいたしております。現在集計に取りかかっておる段階でございますが、この実態調査によりまして、全国の地方公務員の給与の実態がはっきりと把握できることに相なるのではないかと思うのであります。その実態が明らかになりました上で、われわれとしては適切な措置を講じたい、かように考えております。
  76. 安井吉典

    安井委員 私どもいろいろ聞くところによりますと、農協だとか、漁業協同組合等の職員と比較されて、低賃金の給与改定がなかなかできないというふうな事情のあるところもあるようであります。平均が七千円足らずだとか、二十年勤続で一万円以下といったようなところもあるようであります。あるいはまた暫定手当などの支給町村は比較的少くて、扶養手当につきましても、二人までとか、三人までということで打ち切りだとか、その他の各種の手当類も、こういったような状況では、完全に支給されておるかどうかも疑問のように思います。あるいはまた、旧給与がそのまま新市町村に引き継がれたものも多くて、合併の際のいろいろなどさくさもあったりして、アンバランスのままに放置されておるとか、こういったような事情もあるようであります。あるいは定期昇給の完全実施だとか、そういうようなものも非常におくれているために、基本給が次第に低くなってきておる。こういうふうな事情もあるようです。そのほか市町村内部のいろいろな事情もあるようでありまして、給与条例もないというふうなところもあるとかいう話もあります。たんぼ何反以上持っておる人は扶養手当を出さないとか、あるいはまた極端な例を申しますと、小使さんを雇うのに、希望者がたくさんいるものですから、大体幾らの給与であなたはやれるかということで入札をいたしまして、低い人を採用したというような例も、これは笑い話かしれませんがあるように聞きます。初任給の低いのも、たとえば高校新卒で三千円くらいだとか、そういうようなことで切りかえがつかないというふうな事情もあるようであります。こういったようないろいろな事情がありますが、これらにつきましても、その同じ町村にある国の出先機関に勤めておる人たち、あるいはその町村からどこかへ通勤しておるような人たちは、どんどん給与の改定が行われておるのに反しまして、そうやって取り残されておるわけであります。これは財政が非常に困難だったり、あるいは今年は災害があったり、学校を建てる、だから昇給は待ってくれとか、そういったような事情で延び延びになっておりますところ、特に再建団体等は多いようであります。これらの事情を、今十分に御調査もされるということでありますが、一つそれらができましたら資料を御提出願いたい。それによって私どもも一そう検討を進めなければならないと思います。この原因は、いろいろあると思いますが、国の財政措置が不十分だというような面、これは非常に大きな原因になっておると思いますが、その点はいかがですか。
  77. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 地給実態調査の資料につきましては、これは全国悉皆調査でございまして、最後の集計をやりますには、時間的にひまがかかります。今の見通しでは、大体本年一ぱいはかかるのではないかという統計局との連絡に相なっておりますので、今の段階では、ここしばらくは、集計のできますまでお待ちをいただきたいと思います。  それから町村の給与が一般的にいって低位にあるということの理由につきましては、いろいろお述べになりましたような事情があると思います。私としても、いろいろ聞いております。ただ、今の入札の方法を用いるとか、あるいはたんぼの大きさによってどうこうするとか、そういう話は私は承わっておりません。これはきわめて不合理きわまることでありまして、そういうことがかりにあるといたしますれば、その是正措置というものを当然にはかって参るべき筋合いのものであろうと考えるのであります。  財政措置の問題につきましては、実は交付税の関係については、そう低位でないものを実は単位費用としては見積っております。一般の職員構成なりその他にもよりますけれども、これは一応の単位費用というものを、国家公務員の水準なり、府県の水準なり、さらには前回やりました三十年の給与実態調査の結果に基きまして、算定をいたしております。それからそれぞれ給与べースの改定がございますれば、その給与引上率、昇給率も見込んでやっております。従って財政措置自体、特に交付税関係では、それほど低位にあるというふうにはわれわれ考えておらないのであります。ただ全般的にいって、財政措置が十分でないために、給与費に充てられるべき筋合いのものが他の財政支出の方に回っておるではないかというような点は、確かにこれはあるのじゃないか。そのために合理的な水準が確保できておらないという面は、確かにあり得るというふうに考えておるのであります。この点につきましては、われわれの関係といたしましては、できるだけやはり国の単位費用というものに見合う是正措置を講じてもらうように指導を強化いたしますとともに、一般的には、やはり財政関係措置というものをさらに徹底して十十分にしていく努力というものを不断に進めていくということが、問題の根本的解決に資するゆえんであろう。その点は私もさように考えております。
  78. 安井吉典

    安井委員 一応財政措置はされておるということでございますが、その反面現実は低いのです。ですから、それらの金がどこかに使われておるということだと思います。これは結局、一般的な市町村の財政需要に対する国の財政措置そのものがおくれておるということで、それのしわが結局給与の方に寄ってしまっておる、こういうことじゃないかと思います。つまり、建設計画も、二分の一補助も、起債も十分に認められていない。だから、どうしてもそれに持ち出しが必要なわけであります。だからその際において、当然昇給したりあるいは改定しなければならない給与をそのままにして、自分の金を持ち出して事業に充てておる。こういったようなことに原因があるのではないかと思います。その点どうでしょう。
  79. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 そういうような部面も確かにあろうということは、先刻御説明を申し上げております点によって御了解を願いたいと思います。
  80. 安井吉典

    安井委員 ですから、結局給与水準の問題も、新市町村建設に対する補助率の引き上げだとか、あるいはまた補助額の増加だとか、そういうようなことで市町村の持ち出しというようなものをできるだけ少くするような御措置というものが先行されなければいけないと思います。あるいはまた起債も認めるとか、そういうようなことが必要なわけで、初めのうちは、十カ年で一千億も出すというふうなえさで市町村合併をつって、この計画を始めたというふうな事情が、この約束はもうほんとうのほごになってしまいまして、ほんのわずかの金しか現実には出ていないわけであります。ですから、何よりもまずそういうふうな給与に対する直接な財政措置、それとともに市町村の新しい建設、それについての財政措置を十分にしていただく。かような方向一つ進んでいただかなければならない、こういうふうに考えるのです。  それから市町村の職員については、これは人事委員会もないわけです。ですから、その給与改善というものに対する勧告者はいないということです。ですから、自治庁がそれになったつもりで、一つしっかり行政上の給与に関する指導をやっていただかなければいけないと思います。現在までの状況や、今後の進め方についてのお考え方一つお聞かせを願いたいと思います。
  81. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 町村段階においては人事委員会がございません。その点につきましては、お述べになりましたように、自治庁かあるいは県が実質上指導に当って参らなければならぬ、そういう役割は持っていると思います。自治庁におきましては、国においていろいろな給与改定措置が講ぜられるということに相なりますると、即刻その趣旨を地方に流しますとともに、関係県当局の地方課の係を呼びまして、その趣旨を徹底をし、これを各市町村の方に周知徹底をさせるという方途を今までも講じてきておるのであります。最近は、だんだんとその点軌道に乗りつつあるようには思うのでありますけれども、従来、戦前におきましても、給与自体、特に町村の給与自体があまり合理的な線に乗っておらなかったというような線もありまして、このために、一般の水準にまで高めて参ることについては、なかなか困難な事情も、これは率直に申してございます。しかしながら、放置ができない事柄でございますので、今後におきましても、その点につきましては、行政指導に一つ万全を期して参りたいと思います。
  82. 安井吉典

    安井委員 具体的に、たとえば給与条例でありますとか、初任給の昇給や昇格の基準を設けて、そういうふうなものを下におろすとか、少くとも交付税や基準財政需要額の中の財源明示だとか、そういったようなことはできるのではないのですか。
  83. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 給与改定がございますと、細目の町村等についての準則等はこれは示しておりません。非常に千差万別でもございますし、一つの準則でもってやるわけには参りませんので示しておりませんが、しかし県当局に対しましては、一般的な準則案というものを示しまして、それを各町村の実態に合うように指導をすべきであるというふうに今までやってきておるのであります。  なお交付税の問題につきましては、これは算定基準といたしましては、いろいろ単位費用の問題がございますけれども、しかし交付税自体は、これは一種の一般財源でございます。そういう意味合いでもって、この分は単位費用にこれだけ見ておるから必ずこれだけは使わなければならぬというふうに、法律的に強制するということも、地方自治の建前からどうかと思うのであります。ただ、給与改定等に当りまして、一応これだけは単位費用に見込まれておるというふうなことが、これは県当局も知っておりますし、そういう基準のもとに、それぞれ給与改定等が行われます際におきましては、それに準じた措置を講じますように指導をいたしておる次第であります。
  84. 安井吉典

    安井委員 少くもすぐにできますことは、明年度の地方財政計画をお作りになる際に、諸給与の算定基準につきましては、それの単価と人員を地方の実情に合ったものとするようなふうに、これはすぐ来年度からできることだと思いますが、これについてはどうでしょう。
  85. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 これは今も申し上げましたように、単位費用の見方自体といたしましては、そう無理な見方をいたしておりませんのです。ただ、それが結局現実に給与の改定の面に現われてこないということには、やはり他の原因がある。一般的な町村財源の貧困ということに原因があると思います。従いまして、そういうような改善の措置というものを他面において本質的に講じて参りますとともに、われわれ給与関係の担当者といたしましては、やはり給与そのものの合理的な引き上げ、あるいは改善ということについても、一面において努力をやっていくつもりでございます。
  86. 安井吉典

    安井委員 時間がありませんので、最後に一つだけ伺いたい。最低賃金法案が今度出ておるわけでありますが、政府提案につきましては、私ども納得しがたいものを感じておるのであります。ただあの中において業種別賃金ですが、これは国家公務員については法律できめられますが、地方公務員の場合は、最低賃金法に関連してどういうふうなお考え自治庁はお持ちですか。
  87. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 地方公務員については、これは基準地方公務員法にきまっておりまして、国家公務員の給与、それから他の地方公共団体の公務員の給与、それから民間事業の従事者の給与、その他いわゆる所得水準その他の諸事情を勘案して、当該地方公共団体において条例でもって定める、かように相なっておるのであります。従いまして、業種別賃金その他の考え方は、ここには取り入れる余地は私は少いのではないか、かように考えておりまして、一応の基準というものは、国の措置に準じてやるということに法律の建前が相なっておりますので、最低賃金法というものとは直接に関係がございません。
  88. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、法律的なはっきりした保護はどうなるんですか。
  89. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 この点につきましては、自治庁なり各県において、一般的に行政指導の任を果しておりますし、なお給与改定という場合に、そういう措置が講ぜられないということになりますれば、この点については、法律的には、いわゆる公平委員会あるいは県の段階においては人事委員会等がございまして、措置の要求、その他の方法によってこれを保障していくという建前でございます。
  90. 安井吉典

    安井委員 行政的な措置はわかるが、法律で、はっきりどこまで最低だというふうな押え方、その措置は要らないのですか。
  91. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 法律的な措置は、今の公平委員会なり人事委員会に対する提訴ということを通じて保護される建前に相なっております。
  92. 安井吉典

    安井委員 時間がありませんので、一応ここで打ち切ります。
  93. 鈴木善幸

    鈴木委員長 この際、暫時休憩いたします。  午後は一時四十分より再開いたします。     午後零時四十三分休憩      ————◇—————     午後二時八分開議
  94. 鈴木善幸

    鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  新市町村建設促進法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。太田一夫君。
  95. 太田一夫

    ○太田委員 新市町村建設促進法の一部を改正する法律案につきまして、過去と現況の大体の大づかみな見方、その上に立ちまして将来の展望を明らかにするということも必要じゃないかと思うわけで、ダブっておる点があるかと思いますが、具体的な問題につきまして少しお尋ねをいたしたいと思います。  まず町村合併の問題に関しまして最初にお尋ねいたしますのは、政府は、この九月三十日に、埼玉県の元狭山村の問題につきましては、これを二つにお分けになって、東京都の瑞穂町と埼玉県の武蔵町に編入することにされた。それから福井県の石徹白村も二つにお分けになって、岐阜県の白鳥町と福井県の和泉村に編入された。それから長野県の神坂村は、これも岐阜県の中津川市と長野県の山口村にお分けになったのです。それから栃木県の菱村、これは群馬県の桐生市に編入することになりまた群馬県の矢場川村と栃木県の足利市との合併問題につきましては、関係者の意見を調整するという処分に相なったように聞いているわけです。このうち、今回のこの促進法の改正によって今後適用をされ、何かしら動くという見通しのあるものは、矢場川と足利市のみだということになるような気がするのですが、その点について一つお尋ねをいたしたいと思います。
  96. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 県境にまたがる一部の境界変更の問題でございますが、これは今度の改正法案によりまして、あるいは状況によっては具体的に調整等の措置を講ずることに相なりますことが予想されますものは、当面矢場川と足利市の関係ということに、われわれとしては考えておる次第でございます。
  97. 太田一夫

    ○太田委員 そうなりますと、この一件だけが残りましたものと考えますと、たとえば三重県と愛知県との関係にあります木曽岬村の問題はどういうことになりますか、一つ見解をお尋ねいたします。
  98. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 三重と愛知、それから三重と奈良との関係について、いわゆる全村合併の案件が二件係属をいたしておったわけであります。この二件につきましては、いろいろ問題もございましたが、諮問をいたしました中央審議会におきまして、いろいろ慎重な調査、検討をいたされました結果、合併はその機にあらずという見解が示されたのであります。われわれといたしましては、審議会答申尊重という基本原則に従って、本件については処分を行わないという措置をとった次第でございます。ただ、これによって問題が全面的に終結を見たかということになりますると、遺憾ながら、そうでない面も残っておることは認めざるを得ない現況でございます。なかんずく木曽岬等につきましては、合併を賛成いたしておりまする区域、住民において、自治村的な動きも見られておりまして、事実行政全般において相当の混乱が今なお続いておるという事態は、われわれ承知をいたしておるのであります。この事態をどういうふうに終息をして参るかということについては、なかなか問題もあるとは思いまするが、ただ、合併以外に何か施策面その他において措置を講ずる余地がないのかどうか、あるいは交通関係においても、名四国道の開通によりまして、それらの事態に何らかの変更が徐々に生じてくる可能性があるのではないかどうかというような点も、十分に考慮していますが、今のところ、私自身としては、具体的な対策というものを持ち合せておりません。しばらく処分が行われないということになりました事態を起点といたしまして、今後を見守って参りたいと考えております。その事態の推移に従いまして、なお検討を要する段階に相なりますれば、いろいろな角度から事態の平静なる終結ということについては、今後とも努力をいたさなければならないのではないかというふうに考えております。
  99. 太田一夫

    ○太田委員 大体御趣旨はわからないわけではないのですが、木曽岬の自治村はでき上ったわけで、その代表者は加藤誠一という方だと思うのです。そこからは非常に激烈なる要望なり声明なりが出されておるわけですが、特に要望の中に、多数の住民が望んでいるのを、少数者の意思によって曲げられたということに対して、非常に中央政府に対して不信の感を持っているわけです。忠実な住民の意思を抹殺するということになっては……。その点、中央政府はどう考えられておるかというような、非常な中央政府に対する反駁があるわけなんですが、この点につきまして、今回の越県町村合併の対象事案とならないということになりますと、この自治村に対しましては、将来に非常な暗影を投ずるわけでありますが、この件に対して、今のままの考えで、成り行きにまかせようということで、ほんとうに解決する日が近き将来にあると見通されておるかどうか。この点についてもう少し突っ込んだ御見解を承わりたいと思います。
  100. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 ただ成り行きそのままにまかせておけば、自然に解決するというような、安易な考え方は私たちとしても持っておらないのであります。ただ何分にも、問題が問題だけに、住民感情というものも非常に高まった問題でございます。そういう点で、一応総理大臣処分は行われないという結論が出たわけでございます。その後におきまして、やはり経過を長くたどっておりますだけに、その終息というものも、急にぱっとおさまることはなかなか望み得ないのではないかというふうに考えておりますが、それかといいまして、さらに問題を、法律的にもこれを延長して取り扱うということになりましては、さらに不安定な状況を長きにわたって存続せしめるというようなことも考えなければならぬと思うのであります。法律のけじめといたしましては、一応九月三十日でその期限が切れておりますので、われわれといたしましては、この一段階を画したその後の情勢については、しばらく静観の態度をもって臨みたい。なお問題が終息しない場合におきましては、われわれ自身も、やはり県当局とは十分連絡をとりつつ、その他の事態平穏の策というものは何か考えられないかというような点についても、さらに突き進んだ検討を進める時期がくるのではなかろうか。そういう場合においては、われわれといたしまして、この問題にさらに入って参ると申しますか、事実上あっせん、調停の労をとるということについては、やぶさかでないという態度で進んで参りたいと思っておる次第であります。
  101. 太田一夫

    ○太田委員 ただいまのお言葉の中に、いつかは何か考えるときがくるのではなかろうか。これは県知事に対しましても、そういう何かしら自治庁としての示唆をお与えになるようなお話のように承わりましたが、果してそれはいつごろまでに、たとえばこの法案の期限は来年の三月三十一日ですから、それまでの間に何か考えられないかという一つの提案を、自治庁としてはなさるつもりか、あるいはそれが過ぎてしまってからおやりになるつもりであるのか、その点いかがですか。
  102. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 私は、その時期についてはいましばらく推移を見たいというふうに思っておりますので、ここで三月三十一日までの間に何らかの示唆をするということについては、お答えをする段階ではない。遺憾ながら、そういうふうにお答えいたすより仕方がないのじゃないかと思います。ただ木曽岬の場合におきましては、これは太田委員もよく御承知でありますように、両方川に囲まれた島でございますので、これはどちらに処理をするにいたしましても、これを分村するということは、いかにも不合理なことではないか、こういう考え方もわれわれ基本的にはあるわけであります。そういうような点から、分村問題をもって処理することは、やはりどうしても不合理であるとすれば、何かもっと本質的な問題で、地元の住民が新しい村作りということに協力していく態勢というものを整えられる基盤が何かあるのじゃないだろうか。その点、具体的に申し上げる段階ではございませんが、たとえば弥富の方では、これは用水関係が非常に不足いたしております。塩害関係その他でございまして、非常に用水に不自由をいたしております。この点は対岸の弥富についても同じようなことがいえるのであります。そういうような点について、用水確保対策というものを両県の話し合いで何か考える、そういうような方法において、問題の実質的な基礎条件を整備するということも一つ考え方ではないか。それに限ったことではございません。また、今の用水確保問題だけが、本問題解決の要点であるというわけではございませんから、たとえばの話でお聞き取り願いたいのですが、そういうような点も一つ考え合せていくことが、適当なことではないかという意味でございます。
  103. 太田一夫

    ○太田委員 ただいまの点ですが、本質的に問題の解決がなされるときがいつかはくるであろう、それはそういうふうに見ていきますと、そういうやり方もあると思います。それは先ほどの静観という方針だと思いますが、木曽岬におきましては、非常に村内の対立を来たしたのは、地方上級政治機関の政治的な圧力だ、こういう断定を持っておるわけです。これは県当局に対しますところの住民の非常な憎しみといいますか、怨嗟なんです。住民の怨嗟が自分のところの県当局に対して向けられておる。こういう状態をしばらくほうっておきました場合に、これは三年や五年で解決のできる問題でない。感情が起きておる。最初は全村一致してこの越境合併をいっておりましたけれども、途中から上級政治機関、大体県当局の圧力によって、これが二分化されてきておって、分村の形に村内の世論が二つに分れたというわけでありますが、こういう状態にある中で、自治庁当局としては、県のいろいろなやり方が誤まっていたならば、あなたたちのやり方は誤まっていないか、基本的に住民の意思を無視してはいないかということについて、もう少し大所高所の御指導があってしかるべきだと思う。ことに上級政治機関の誤まった政治的圧力ということをお考えになら、あるいはお感じになったことがあるかどうか。この点について、一つあなただけの御見解でけっこうですから、お伺いをいたします。
  104. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 県当局の不当な圧力が加わったかどうかということについては、これは地元側からもいろいろな要望が私どもの方に参っておりまして、事実の報告は受けております。ただ、それが不当な圧力というふうに断定できるかどうかということについては、この点はなかなかむずかしい事柄ではないかと思うのであります。ただ事態が非常に高潮して参りました際に、両者の立場にあります人が、ああいう小さなところに入り込んで、入りまじって、いろいろ紛糾を激化するというような事態が見えて参りましたときにおきまして、われわれが数度にわたりまして、事態の平静な秩序維持、行政の円滑な運営の確保ということにお互いに平静に対処してもらいたいという注意喚起はいたしたのでございます。
  105. 太田一夫

    ○太田委員 そういうことに対しまして、今度の改正案が効力なり適用なり作用なりを及ぼさないということに対しては、まことに残念だと思うわけですが、その三重県の問題は一応打ち切りまして、その他に、木曽岬村と同じようなケースをたどって、非常な紛糾の種を残しつつ見送られて、今度の対象にならないというところはどれだけあるのですか、ちょっと念のために承わっておきたいと思います。
  106. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 この件は、一つは群馬県の矢場川村というのがございます。矢場川村につきましては、県境を越えまして栃木の足利市に合併をしたいという要望がございまして、これまた県境合併問題の一つの案件といたしまして申請が提出をされておったのであります。ただ、この案件につきましても、中央審議会において御審議がありまして、答申がございました。全般的には、やはり相当密接な関係を有するということは認めるけれども、その時期ではないという答申を得たのでございます。われわれといたしましても、さらにこの答申の趣旨を尊重しつつ検討いたしました結果、総理大臣勧告は行わないということにいたしたのであります。ただ本件につきましては、審議会の答申自体において、足利市に近接をいたしまする矢場川地帯と申しまするものには、いろいろな関係から見て非常に密接な相関関係がある。さらに地域関係住民においては、熾烈なる足利市への編入を希望する意思というものが見える。従ってこれについては関係機関の、あるいは関係住民調整をはかって、しかるべき境界変更措置を講ずることが望ましいという線が出ておるのであります。われわれといたしましては、法律上の調整自体の措置を講じますることは、これは最後の手段であるというふうに考えておりまして、今直ちにこの手続をとる必要があるとは思っておりませんが、それまでに当事者間の円満な話し合いによって、自主的に、地方自治法の第七条の規定に従って本問題が解決されることを実は期待をいたしております。今まで数回にわたりまして、関係当局との間に話し合いを重ねてきております。今後もさらにこの話し合いを進めて参りたいと思っておりますが、本案件については、あるいは最終段階といたしましては、法律的な調停の制度を活用しなければならぬという事態に至るのではないかと思っております。この案件が一つございます。  そのほかに、今すでに懸案になっておりまするものといたしましては、他に三件ございます。一つは、栃木と茨城との関係で、栃木県の桑絹村の一部を結城市に編入したいという案件が第一、第二は、岡山県の日生町の福浦地区というものが兵庫県の赤穂市に入りたいという問題、それからさらに第三といたしましては、これはずっと長い間係属いたしておりまする問題といたしまして、神奈川県と静岡の問題、いわゆる熱海の泉地区というのを湯河原に編入する問題、この三つが現在懸案として残っておる次第でございます。
  107. 太田一夫

    ○太田委員 そうしますると、矢場川の問題は、来年三月三十一日までの間に一応の調停なりあっせんの対象になるとしまして、他の三件につきましては、木曽岬を含めまして四件というのは、いわば静観、放任ということに相なるものであると理解してよろしいのですか。
  108. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 最後に申しました三件、なかんずく岡山と兵庫の関係、それから栃木と茨城との関係、これはすでは前の規定に従って調停、あっせんに付されておる案件でございます。これは現在係属中になっておる問題でございます。従いましてこの点は木曽岬の問題とは取扱いが別でございます。なお、熱海の泉地区というものについても同様、木曽岬の問題とは別個の処理を要する問題でございます。
  109. 太田一夫

    ○太田委員 そういうことになるといたしますと、今回の法改正によりまして、二十七条の十三項を改正されましたが、この「昭和三十四年三月三十一日までの間において、」を挿入されまして、期限延長をされたことに対しましては、非常に対象を限定して、ほんのわずかだけの問題を対象としてこれを特に改正された、こう理解してよろしいですか。
  110. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 趣旨としてはその通りでございます。
  111. 太田一夫

    ○太田委員 それにいたしましても、非常に越県合併の問題につきましては感情的になっておるところが多いのでございますが、それがあるために、提案理由の説明の要旨の中にもこれは除かれておる、これが書いてない。特に越境合併につきましてこうするんだということで書いてないのは、そういう意図があって、あまり刺激したくない。越境合併の問題につきましては、これからはあまりやらないんだ。今までのやり方で、九月三十日で打ち切ったんだ。こういうわけで提案説明の中に書いてないというふうにわれわれは理解することになると思いますが、その点どうでしょうか。
  112. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 特別に、刺激をするからそれを避ける意味で、提案理由の説明から直接除いたつもりは持っておらないのでありますが、対象が今のように非常に限られておるという点もございまするし、これは同じく、やはり県境だけではなくて、町村合併に伴ういわゆる分村関係処理の問題ということで、一貫して一般的に説明をいたしたという形にいたしたのでございます。
  113. 太田一夫

    ○太田委員 それでは、今度は未合併町村合併計画変更問題につきましてお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、未合併町村に対しますところの促進法の二十八条にあります都道府県知事合併勧告、この合併勧告のその計画が適当でなかったために、今まで合併の実現を見るに至っていない。そういう町村に対しまして、来年の三月末日までを限って、新しく計画を練り直して合併勧告をすることにしよう。これが第二十九条の意図だと考えるわけですが、これは時間的に見ますと、あと五カ月くらいしかないわけであります。これに対しまして、自治庁としての自信がおありと思いますけれども、その自信のほどを、いかなる自信をお持ちになっているのかをお伺いいたしたい。
  114. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 この点につきましては、事務的に出して、今まで各県当局と大体の見通しについて話し合いをしてきておるのであります。県当局といたしましても、大体の腹づもりをすでに固めておる段階でございます。もちろん正式の手続といたしましては、本改正法案が幸いにして成立をいたしました暁において、県知事が県の審議会に諮りまして、計画改定の方途を講じて参るわけでございます。その点は、手続としては、割合と早く進み得るのではないかという見通しを持っておりまして、われわれといたしましては、来年の三月末日ということに目途を置きますれば、大体においてやり得るという確信を持っておる次第でございます。
  115. 太田一夫

    ○太田委員 やり得るということでありますが、実際上その自信がおありになるとすれば、それぞれの県の具体的な問題の内容につきましては御検討済みだと考えますが、大体において五百件、約四百何十件あるわけですね。これにつきまして、実際上あなたの方でしごく簡単に各県と話し合って、腹づもりの上では何月ごろまでに解決する、あるいはこれはすぐに解決する、あるいは少々むずかしいが解決するであろう。こういうような可能性のある分類について、どれくらいの数字的な分け方をしていらっしゃるか、見方をしていらっしゃるか、それを一つお聞きいたしたい。
  116. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 今度の分類では、大体処理方針として三つに分けます。合併というものを進めますることが緊要なるものと、そうでないものというものを分けてみたいというふうに考えておるのであります。その内容につきましては、大体合併必要性が顕著なものと考えておりまするのは、未合併町村数といたしまして全体の約三割でございます。この三割につきましては、率直に申して、私たちは年度内、あるいは若干年度以降にまたがるかもしれませんが、このうちの八、九割までは何とか合併が終結する段階にいくのではないかという見通しを立てておる次第でございます。
  117. 太田一夫

    ○太田委員 三割の八、九割、二割少少ですな。従って、まだあと相当に残るわけなんですが、各県の内容が、別冊という資料をいただいたのですが、どこの県にどれくらいあるか、こういうこともおわかりになっていらっしゃると思うのですが、そういう点につきましては、今の三割の八、九割の内容というものは、具体的につかんでいらっしゃるわけですか。
  118. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 大体の見通しとしては、われわれつかんでおるのであります。ただ午前中に申し上げましたしように、この計画自体は、法律通りましてから、各県でもって知事の責任において県の審議会と相談をいたしました結果、策定をされてくるものでございます。それを、われわれとして一応のめどは持っておりますものの、これを各県別にここはこう、ここはこうということになりますと、事態は、われわれとして越権のさたでございます。そういうことでございますので、具体的にここはこうだ、ここはこうだというような見解の発表は差し控えさせていただく方が適当であろうと思うのであります。
  119. 太田一夫

    ○太田委員 なるほど、そうしますと、各県別の内容については発表されると都合が悪いから、越権のさたになるから申し上げられない、こういうお答えですね。それはほんとうをいいますと、この委員会で御発表になっても、今回の法案の改正の御提案がありました積極的な心がまえから申しましても、適当じゃないかと思うのですが、差し控えるとおっしゃれば、私としましては、それで差しつかえないと思いますけれども、それでは少し日程についてお尋ねをしたい。  変更計画による勧告をするということなんですが、それでも当該の市町村からのそれに対しまする応諾の申請がないというときは、これは三割の八、九割はあるという、相当数これによって完成しようという方針から見まして、相当いい変更計画考えられる。ところが、関係市町村がそれに対して応諾しないというような場合には、どうなさるおつもりですか。
  120. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 計画自体というものは、現在勧告をいたしておりますものが、いろいろ検討した結果出されたものではございます。しかし、それが勧告通りに進まないという原因を探究をしてみました場合に、やはり計画変更した方がいいのではないかというものが相当に出て参っておるわけであります。そういうものにつきましては、それぞれ県が、従来のいきさつから申して、大体にそういう動きというものを承知をいたしております。そういうような動きというものを頭に入れながら計画変更をやって、合併をできるだけ進捗せしめたいということでございまするので、大体見通しのついたものについて、計画変更が行われて参るということに相なろうかと思います。
  121. 太田一夫

    ○太田委員 そういうことになって、見通しのついたものだけ計画変更をなされるとなると、三割の八、九割も危なくなってくるような気もするのですけれども、たとえば今の場合、都道府県知事が、その区域内の選挙人の投票によってやろうというわけで、当該市町村の選挙管理委員会に申請をするとします。そうすると、そういう取扱いの手続までかりにいくようになれば解決するだろう。こういいますると、計画変更をいたしますところの勧告が出ましてから三カ月という大体時間が要るわけですね。三カ月という時間が要ることになりますから、従って今回の場合に、これが十一月に通りまして、知事勧告が十一月中に出されたといたしましても、投票の申請というのは、来年の三月に入ってからということになりますけれども、こういう点について、三月三十一日までに解決し、上げてしまおうという見通しに——この条文の段階的ないろいろな条件、こういうものをにらみ合せまして、あなたの方としては、いやそういう三カ月なら三カ月という期間が要るけれども、しかし、ちゃんともう腹づもりができておるのだから、これが通りさえすればとんとんといってしまうのだ、こういうようにお考えになっていらっしゃるか。それとも三月一ぱいになっちゃって、投票というようなやり方ではこの問題をやるということは考えておらないと考えていらっしゃるか、その辺のところを伺いたい。
  122. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 中には投票をもって問題の解決をはからなければならぬものもあるかと思います。従来もそういう事例がございます。しかし、建前といたしましては、なるべく投票というような措置を講じないで、全体の啓発宣伝というものを十分にやりまして、住民の支持を得てやっていくという趣旨で大筋は進んできております。今度の場合でも、そういうような方向でもって問題の解決をはかって参りたい。しかし、中には住民投票でもって決をとらなければならぬという事態も起って参ると思いますが、それは数がそう多くはない、むしろ少いのじゃないかと思っております。そこで問題といたしまして、三月三十一日といいます場合に、法律で規定いたしておりますのは、計画変更して勧告を出す時期の終結点であるわけであります。その問題と、合併が現実に進むという時点とは、若干その間に時間的にはズレが起ってくることは当然でございます。ただ、そのズレにつきましても、われわれといたしましては、最終の勧告期限は三月三十一日に置いておりますけれども、できるだけすみやかに勧告の線というものははっきりと打ち出す。本年一ぱいには大体勧告の線というものを打ち出していく。こういうことの指導方針で進むことによって、できるだけすみやかに大体の見通しを得たい、こういう考えでおります。
  123. 鈴木善幸

    鈴木委員長 この際休憩し、本会議終了後再開することといたします。     午後二時四十一分休憩      ————◇—————     午後四時十六分開議
  124. 鈴木善幸

    鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。この際、委員外議員の出席発言に関してお諮りいたします。小沢貞孝君から、本案について質疑のため出席発言をしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 鈴木善幸

    鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって許可するに決しました。小沢貞孝君。
  126. 小沢貞孝

    小沢貞孝君 貴重な時間を拝借いたしまして、委員外発言を許可いただきまして大へんありがとうございます。提案されております二十七条十三項の越県合併の問題に関連いたしまして、長野県と岐阜県の県境にあります神坂の問題について若干質問いたしたいと思います。その前に当って、青木国務大臣を初め局長さん、大へんこの問題について御尽力いただきましたことを、心から感謝を申し上げる次第であります。  実は昨今、だいぶ県内の新聞をにぎわしておりますが、三十日にああいう処分をしていただいた以後、十月三日に子供の通学の問題について、岐阜県の教育委員と長野県の教育委員が話し合いをしたわけです。というのは、財産問題等もあったり、いろいろのこまかい協議ができない間、来年三月三十一日までは現状のまま子供を今の神坂の小中学校に通わせる、こういうような打ち合せをいたしましたところが、両県教委はよろしい、こういうことになったわけであります。ところが、十月十三日に至りまして、中津川の市議会において、神坂の財産は全部中津川市が引き継ぐ。新聞の報道によれば、こういう議決をやったようであります。そのあと、長野県の教委と岐阜県の教委が話し合ったところ、こういう工合になっておるようです。岐阜県側からの発言によると、中津川市が十三日の市議会で、小中学校を含めた神坂村の財産を引き継ぐとの議決をしたため、十五日から、小中学校の設置者は中津川市になろうとの見解を述べ、そうなると教職員も岐阜県で身分を保障することになるであろうという見方を説明をして、この間の話し合いはだめだ、こういうことになったらしいのです。その後毎日、新聞をにぎわしておりますが、きょうも長野県側の賛成側の者は学校へやらないとか、そういうことになれば長野県側では、長野県の教職員の身分だけれども、全部引き揚げてしまうということでトラブルが起って、休校しているということで、十日間ばかり休校して今日まで参ったわけです。ところが、きのうの新聞にあすとありますから、おそらくきょう午後一時に中津川市のその神坂の小中学校は開校式をやって、馬籠、荒町、峠ですか、長野県側で岐阜県に賛成側の父兄の子供は登校さしてもいいけれども、長野県に残りたいと言った父兄の子供は登校させない、こういうようなことで、きょう開校式が行われた。こういう事態になってきておるわけです。こういう大体の経過でありますが、それと関連いたしまして、この法律案はなかなかむずかしくて、私もよくわかりませんので、若干事務的なことからお尋ねをいたしたいと思うわけです。総理府の告示によると、峠、馬籠及び荒町の区域を山口村に、それから神坂村を廃止して、その区域を岐阜県中津川市に編入するということで、湯舟沢をあくる十五日の日に岐阜県へやるということに告示になったわけです。ところが、所番地等こまかい境界線がないわけです。だから神坂村及び中津川市はおもな境界線をきめて議決をし、長野県のうちの山口側においては、少し向うへ出っぱるような、向う側がこっちに少し出っぱるような、それぞれ議決をしたわけです。こういうような議決をし、長野県知事は長野県知事らしい境界線の告示をしたわけです。こういうことになってくると、一体これは今度提案になりました二十七条第十三項による越県のトラブルということで、この項目が発動になるのかならないのか、こういう問題についてはどういうように処理するか、十人か二十人のわずかな人員のことだと思います。境は五百メートル、千メートルと違わないと思うのです。あの裁定のときに明確でなかったので、そういう問題が起ってきたのです。こういう問題はどういうように処理されますか、事務的な問題をまず第一点にお伺いします。
  127. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 十三項の適用対象のことでありますが、これは先般太田委員の御質問に対してお答えを申し上げましたように、神坂の問題につきましても、これはまるまる合併の問題であって、すでに総理大臣裁定が出ておるわけであります。この問題について、さらに紛争ありといたしまして、本件の適用を考慮することは全然考えておりません。
  128. 小沢貞孝

    小沢貞孝君 その場合に、岐阜県側つまり中津川市の議決と、長野県側山口村の議決と、それぞれ境界線が違う。長野県知事は長野県側に都合のいいような議決によって告示をし、岐阜県側は中津川市が都合のいいような境界線の議決をした。そういう場合に、事務的には、一体長野県知事の告示というものは優先するかどうか、その辺をお伺いしたい。
  129. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 裁定の線が、御承知のように神坂につきましては峠、馬籠及び荒町地区、これは長野県に残置するという方針を打ち出したのであります。これはわれわれの考え方といたしましては、要するに、部落としてそういう地区は観念上も地域的にもきまったものとして考えて、そういう線を出したわけです。ただ具体的の、この土地の部分はどうかというような点については、争おうと思えば争いになる。不明ということで両方が主張すれば、争いの対象になることはあり得るわけでございます。この問題は、神坂だけではございませんで、ほかのいわゆる福井の関係の石徹白の問題もそういう点がございました。また埼玉の元狭山村についても同様な問題が現在あるわけであります。そういうような点につきましては、これは私たちといたしましては、まず第一次的には、一応方針がきまった限りにおいては、関係当事者の話し合いによって円満にその線を確定をしていただきたいという希望を持っております。第二次的には、県も中へ入ってその話をつけてもらいたい。第三次的には、それでもなお話が十分にまとまらないという場合におきましては、自治庁におきまして事実上のあっせんを行いまして、ここでもって境界線を御了解いただくという措置を講じたい、こういう工合に考えております。石徹白村につきましては、機運がその後熟しまして、先般、私の方からも、現地の要請に応じまして事務官を派遣いたしまして、同事務官立ち合いのもとにくい打ちを了しまして、区域の問題につきましてははっきりと話し合いがついたのであります。神坂村の問題につきましても、そういうような点がございますならば、解決しなければならぬことでございますけれども、まず非常に感情が高ぶっておるというような点もございますので、第一次的には、われわれすぐにそこに乗り出して、問題の処理を終局的につけてしまうというようなことをやりますよりも、若干の感情の沈静を待ちまして、お互いに両者が冷静に話し合えるところまでいって、まず第一次的には当事者問で話し合いを願い、さらに県当局の方も、大乗的な見地からこの話に加わっていただくということでまとめていただきたいという希望を持っております。なおそれでもまとまらないという場合には、自治庁におきまして、責任を持って中へ入って、両者の言い分を聞きつつ御了解を賜わるというふうにして境界線の確定をはかりたい、かように思っております。
  130. 小沢貞孝

    小沢貞孝君 第一次的には当事者、第二次的には県、第三次的には自治庁ということですが、自治庁で第三次的にあっせんに入るということは、二十七条十三項の改正には関係ないということですか。つまり自治法の九条によってやろうということだろうと思いますが……。
  131. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 二十七条第十三項の規定には全然関係はございません。
  132. 小沢貞孝

    小沢貞孝君 それでわかりました。それでは次に、峠、荒川、馬籠の各都落について、県境を越えるというような裁定がこれから後もしありとすれば、これについては自治庁は二十七条十三項を発動をして、この改正によってやるかどうか。こういう点を一つ実はお尋ねしたいと思うわけです。というのは、私は政治的にも、大臣の裁定によってやられたことが、また大臣の裁定のところに戻ってくるというような二重なことになって問題が出てくるだろうと思いますので、馬籠なら馬龍、あるいは荒町なら荒町という部落が、今度は部落単位でやり、それでもし紛争が今後出てきたとすれば、十三項を発動してやられるかどうか。そういう改正になっているかどうかという点を、一つ神坂の例で具体的に御説明いただきたい。
  133. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 神坂の問題は、今お話にもございましたように、全村合併問題といたしましてすでに総理大臣の裁定を下したのであります。従って、本件の紛争が今後若干継続するといたしましても、われわれといたしましては、さらにこれを取り上げて、二十七条十三項を発動するということは考えておりません。
  134. 小沢貞孝

    小沢貞孝君 今の局長の全村というのは間違いでしょう。分村ですね。
  135. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 分村という意味ではなく、一部境界変更処理方針としてではなく、いわゆる全村合併問題として処理したわけであります。その裁定の際に、条件として、三部落については自主的に合併をしていただきたい、その議決をしていただきたいという調停案を出したわけであります。問題の処理としては全村合併処理でございます。三部落を除いた神坂全村を岐阜県に入れるという処分であったわけであります。
  136. 小沢貞孝

    小沢貞孝君 そういうような問題が出てきても、今度の改正の二十七条十三項とは無関係であるということか。いま一度念を押しておきますが、それには関係はないわけですね。
  137. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 十三項の発動は考えておりません。
  138. 小沢貞孝

    小沢貞孝君 それでは、もし今後そういう問題が出てくれば、一体自治庁はどういうような方針処理されるか。この二十七条十三項と関係なしに、そういう問題については、まだ自治法上定められたことがいろいろあると思いますが、そういうものも使う意思がないか、そういうものは使えるのか、その辺の事務的なことなんですが、伺いたい。
  139. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 法的には、今後それが処置を受けようといたしますれば、自治法の本来の姿に戻ります。従いまして今度の場合は、長野県の山口村自身において、たとえばある部落を分村するという議決をする、中津川がその受け入れの議決をする。さらに両県当局、すなわち長野県及び岐阜県において同様の議決をする。かくしてわれわれの方へ申請が出るという場合に、初めて行われることである。
  140. 小沢貞孝

    小沢貞孝君 わかりました。それでは次に財産の処理の問題について、今の通学の問題と関連して今非常に問題になっているこの点の御見解を承わりたいと思います。財産の処理については、何の協議も協定も調停もないわけです。ないわけなんだが、先ほど私が新聞を読み上げましたように、十五日に中津川に行くというその二、三日前に、中津川でもって、神坂村の財産は中津川で引受けるというような議決を市会がやったそうであります。その議決が有効だという見解に立ったのかどうか、神坂小学校、中学校は中津川のものであるという見解に立っているようです。こういう見解が正しいかどうか。私の考えでいえば、何条に相当するか知りませんが、これば協議をして、その財産の区分けをしなければならないものだ。こういうふうに私は考えるわけですが、どちらの見解が正しいでしょうか。
  141. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 関係地方公共団体の協議によって問題の処理をはかる手続に相なっております。従って、一方的にやりましても、それは一方の側の当局の一つの希望あるいは意思表示ということになるわけでありまして、それと相手方が同じような議決をしない限りは、それは協議として有効な法律効果を生じないということになります。
  142. 小沢貞孝

    小沢貞孝君 私もそうだろうと思います。大へんけっこうな御答弁だと私は考えるわけです。ちょうどこういう現象が今起っているわけです。その議決は有効であるという見解に立って、山口村に残った子供をその学校に入れないようにするということは、私は違法だと思うのですが、そういう見解でよろしゅうございますか。
  143. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 その点は、違法とかなんとかいう問題ではなくて、財産処分の問題につきましては、いろいろやはりこまかくやっていかなければならぬ問題でございます。ただ、ああいうそれぞれの学校で騒然とした空気の中で問題処理をはかったものでございますので、財産処分のこまかいところまではとうてい協議がととのわないという情勢であったわけです。そういうことで、一応区域関係としては処分をいたしたわけでございますが、財産処分の関係につきましては、今後両当事者の話し合いを待ちまして、だんだんきめて参りたいと考えております。この進め方につきましても、先刻区域の点で申し上げましたように、まずは当事者で話をしていただくことが一番望ましいのであります。その次には、やはり県も大乗的な見地から、その協議に努力してもらって、その達成に努力してもらって、さらにそれで話がつかない場合におきましては、自治庁当局においてあっせんの労をとって、お互いに了解をしてもらうという手続をとりたいと思っておるのであります。あの地区の教育関係は特に問題が重要であると思います。私たちの考え方といたしましては、やはり残存部落というものの子弟は、当分の間は当該学校にやはり預けて、法律上の形式としては委託ということになりますが、それでもって処置をしていくということが最も適切な、また合理的な解決方法ではないかというふうに考えておるのであります。ただ、今の段階において、すぐそれをわれわれの方から打ち出す段階ではないというふうに考えております。もちろん地元の子弟にとっては非常に迷惑でありまして、一日も早く、そういうような不正常な状況はこれを解消しなければならぬというふうには考えておりますが、その問題を打ち出す時期については、もう少し地元の状況の推移ともにらみ合せて措置をしたい、かように考えております。
  144. 小沢貞孝

    小沢貞孝君 今局長さんは、委託という言葉を使われたのですが、実はその財産について、まだどちらのものであるとか、そういう協議がととのっていないわけです。だから長野県側が委託と見るのか、中津川側が委託と見るのか、そういう点がまだ私ははっきりしていないと思うのです。だから、あの学校はまだ両方のものである。これから分け合わねばならないものであるという見解でいいわけですか。
  145. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 これはどちらのものであるというよりも、帰属がまだきまっておらぬという問題であります。ただ原則といたしましては、地区が変りますれば、その地区内にある施設というものは、原則的には地区が変りましたところに所属すべきものであるというふうに考えられるのであります。その他の一般の山林その他の財産等の処分は、これはおのずから異なりますけれども、いわゆる公共用の財産といったものにつきましては、おのずからやはりその地域と使途の関係から、地域が移ればそちらにいくのが原則でございます。しかしその点は、なお両当事者間の協議によってきめなければならぬということであります。そういう意味では、私が委託と申しましたのは、若干先走るかもしれませんが、法律的には、なおその当該学校は所属が未定の状態であります。従って、将来中津川にその学校が正式の協議によって移った場合において、当該三地区の子弟の通う学校はすぐできるわけのものではありませんので、小さな分校を作りましても、学校の経営もまことに困りますし、また教育施設等の内容につきましても十分なものがございません。そういう意味から、暫定的には委託方式をとることもやむを得ないという見解であるということを御了承賜わりたいと思います。
  146. 小沢貞孝

    小沢貞孝君 私も確かにそうだと思います。法律的にはいずれのものか未定という状態だと思います。ところが、きょうかあすか、近日中にこういう事態が起る可能性が起ってきているわけです。中津川神坂小学校、中津川神坂中学校ですか、湯舟沢小学校、湯舟沢中学校という名前にしますか、そういう看板をすでに二つ掲げてある。長野県側は、法律的には、いずれのものか未定だ、協議がととのっていないからだれの所有か未定だという立場に立って、長野県山口村馬籠小学校、馬籠中学校という、同じ学校に四つの看板がかかるという事態が二、三日じゆうに起る可能性があるわけです。これは児童を紛争の中に巻き込んでしまうので、長野県の教育委員会としては、それをやりたくないという先ほどの電話連絡でしたが、どうも興奮してくると、そういう事態になりかねないのです。今のような局長の答弁によりますと、法的には、まだどちらのものかわからないので、この設置者の問題になるわけでありますが、設置者が中津川であるという立場には立てないわけです。設置者は、そちらの学校ときまれば中津川が設置者ということになるわけですが、長野県側となると、山口村が設置者ということになりますから、まだ設置者はどちらのものかということがはっきりしないわけです。法的にはこういうふうに解釈しておりますが、その法的な解釈はそれでいいかどうか。
  147. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 施設自体の設置者ということに相なりますと、これは財産の処分自体、帰属自体がはっきりしておらないわけでありますから、今お尋ねのような意味においては、法律的には、当該学校施設の設置者がどこであるということは、最終的には確定はしておらないわけでございます。
  148. 小沢貞孝

    小沢貞孝君 だいぶ明確になって参りました。そこで問題をなるべく円満に解決したいと思うわけですが、きょうおそらく開校式をやっていると思いますけれども、長野県の残存派の子供を入れない——これは文部省の方に問わなければいけないのか、自治庁でいいのかわからないが、入れないということになった場合には、入れないという工合に拒否することができるのか。両県教委では、そこの学校はどちらのものかわからないから、こうやってもとのまま教育をやっていようということがきまった。ところが、中津川の方では、おれの方は財産は引き受けたぞといって議決したから、おれの方のものだということを言い出したので、トラブルが起きてきてしまったわけです。そういう議決は有効ではないと思いますけれども、今この設置者が明確にきまっておらないから、両方で当分このまま教育をやっていようという両県教委の意見さえ一致すれば、そのままやっていなければならないけれども、それを拒否すればできない。こういう見解に立つが、それでよろしゅうございますか。
  149. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 拒否するかしないかというのは、事実上の問題だと思います。問題の処理方針といたしましては、今お述べになりました両県の教育委員会考えております方法が、私は、現実の問題処理としては正しい方法ではないか、そのように考えます。
  150. 小沢貞孝

    小沢貞孝君 これ以上どういうふうに解決を進めていったらいいかわからない。地域は、中津川の方に学校がある。長野県は、その学校の設置者がきまってないから、こちらも通学できる権利があるという解釈に立つと思います。岐阜県は、地域は議決したからというゆがんだ解釈かどうか知りませんが、長野県の者は入れないという見解に立てば、この解決はできないと思います。だから県なんかの言っているように、何とか立ち入り禁止の仮処分か何かやらなければならないということを考えておるのですが、そういうことをやるほかに解決の方法がないかどうか。政治的には別として、事務的に解決の方法はないかどうかという問題です。
  151. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 この問題は、ああいうような非常に激成された感情のしこりというものがなお残っておって、そういう問題が派生的に生じてきておるのであります。こういう問題については、やはりもう少しお互いに冷静さを取り戻して、従来の行きがかりを捨てて、大局的な見地からやはり話を進めてもらう状況になりませんと、問題の円満な解決というものはとうてい期待できないというふうに考えるのであります。それで今そこまで事態がいっておりますことは、実は私、初めて小澤委員から伺って承知いたしたような次第であります。そういうような事態が、特にこれは関係の子弟にとっては非常に不幸な事態で、そういうことのあおりを食らって、事実上子弟が教育を受けられないというようなことに相なりますことは、まことに不幸な事態でございますので、その点につきましては、私どもといたしましては、さっそく両県の方にも連絡をとりまして、事、教育に関しては少くとも一つ円満な解決をはかるようにという点と、第二次的には、財産処分をだんだんと話し合いによって一つ合理的に進めるように処置をしてくれということをまず第二次的に要請をしたい、かように考えております。
  152. 小沢貞孝

    小沢貞孝君 そういうような方法しかないと思いますが、差し迫って困るわけです。長野県側としては、ここに小学校があるというように考えれば、学校教育法第二十九条ですか、いわゆる「市町村は、その区域内にある学齢児童を就学させるに必要な小学校を設置しなければならない。」これは長野県としては、あそこに学校があるのだという見解に立つし、中津川市としてもこういう見解に立つと思う。そこで両方がそういう見解に立って、片方が学童を入れないということになれば、これは学校教育法違反になるというのもおかしいですが、公務執行妨害罪だとかなんとか、最近はやるそういうようなことと関係があるのか、法的にはどういうことになるのでしょうか。
  153. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 学校教育法の関係でございますし、私がここで責任を持って御答弁を申し上げることは、むしろ差し控えておいた方がいいと思うのでありますが、この問題は、やはり法律違反とかなんとかいうようなことを前面に出しますと、さらに問題を感情的に硬化させるような要素も多分に含んでいるのではないかと思うのであります。大局的には、それぞれ進むべき方向、おさむべき方向というものは、大体当事者の中にはあるというふうに私は確信をいたしております。その確信なり良識というものを信頼いたしまして、その発動をこの際促進せしめる意味におきまして、われわれの方も、そういうような事態の早急なる解決方法ということについて、一つ県当局と積極的に連絡をとりたい、かように考えております。
  154. 小沢貞孝

    小沢貞孝君 了解しました。
  155. 鈴木善幸

    鈴木委員長 暫時休憩いたします。     午後四時四十三分休憩      ————◇—————     午後四時五十六分開議
  156. 鈴木善幸

    鈴木委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を継続いたします。太田一夫君。
  157. 太田一夫

    ○太田委員 引き続いてお尋ねをいたします。新しく第二十九条の二が設定をされましたことに伴いまして、その第二項の適用の問題を先ほどお尋ねいたしました。その場合に、藤井局長から、時間ずれはあるだろうけれども、なるべくすみやかにいたして、本年一ぱいぐらいにはけりをつけていきたいという基本的な指導方針が、計画変更によるところの合併勧告にはあるのだ、こういうお話がございました。そういうことから考えてみますと、第二項というのは、実は準用規定というのはあまり必要がないような気がするのです。しかしまた、なおこういう場合もあり得ると想定をされまして、二十八条の二項から五項までと、二十九条の一項から七項までの規定の準用適用の問題があるので、これがある以上、一応そういう場合を想定をして考えてみますと、二十九条の第一項の規定を適用するという場合、いわゆる変更計画による勧告をいたしまして、後において——二十九条第一項は総理大臣の勧告でございます。四カ月以内に町村合併を行わないものがある場合において、内閣総理大臣は、中央審議会の意見を聞いて勧告することができる、こういうのでございます。この四カ月というのも、やはり四カ月という期間を変えるわけには参りませんから、そういう点から見ますと、この四カ月の期間がたってから勧告をするという総理の勧告というものは、実は三月が過ぎてしまうというふうに考えられるわけです。こういう場合は、実際はないと考えていいのでありますか。それともそういう場合は、三月を過ぎても引き続いていることだからやろうとお考えになっていらっしゃるか、その点を一つお伺いしたい。
  158. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 なるべく早めに計画改定ができ、諸般の手続が済むように指導して参りたいと思っておりますが、県内情勢の問題、当該町村関係等、諸事情がからみ合います場合におきましては、場合においては、来年の三月三十一日以後にも、そういう申請が法律的にはあり得るというふうに考えております。
  159. 太田一夫

    ○太田委員 従いまして、二十九条の第三項によります内閣総理大臣の町村合併の処分、こういうのは普通だとないと考えられるのですが、そういう事例も出てくると予想しておっていいわけなんですか。
  160. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 二十九条の第三項の事例というものはほとんどございません。これは勧告をかけて、勧告通り関係市町村の方から申請が出て参りますにもかかわらず、県の方でこれを議決しないという場合でございまして、事例といたしましてはまず希有でございまして、ほとんど想像することはできない規定でございます。
  161. 太田一夫

    ○太田委員 考えられないということですね。それでは二十八国会におきます議決の内容と、今度の法案の提案理由との関係についてお尋ねいたしたいのでありますが、第二十八国会における一部改正に関します議案の提案説明ないしその要旨について考えますと、これは新市町村建設促進法の一部を改正するということで、越境合併に関する内閣総理大臣の処分権について、本年の九月三十日まで期限延長するということが主眼であったわけです。またその場合に対象が大体二件というように御説明になっていたと承知いたしているわけですが、そういう考え方からこれをずっと見ますと、その当時の議決通りに本年九月末をもって十分目的を達しておるだろうということも、たった二件だけで想像されるわけです。ところが、実際はそうでなかった。そのために本国会におきまして、政府におきましては、さらに一そうの飛躍をいたしまして、未合併町村に対しますところの都道府県知事合併勧告について、従来の計画変更して、新市町村建設方向をさらに新しく推進しようということになった。こういうことになったわけですが、二十八国会の提案の場合の考え方と、今回の考え方とは、そうしてみると方向が違うと思うのですが、前のは、二件あったものを処理するために越境合併中心としておやりになり、今度は、未合併町村中心にしておやりになる。今度はごたごたしておるところをさらに新しくやろうということになるのか。その都度その都度の考え方で焦点が変っていくというふうに考えられますが、前回と今回と、これに対して何か脈絡はあるのですか。ないとするなら、今回また新しい焦点をお作りになった積極的理由について、もう少々お伺いしたいと思います。
  162. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 二十八国会の改正と今度の改正とは、直接の関係は別にございません。と申しますのは、先般の国会で改正をお願い申し上げました件は、今御指摘になりましたように、県境にまたがる合併の問題につきまして、実は本件の規定が去る三月三十一日をもって失効する、法律の規定自体がなくなるという法律の建前になっておったのであります。ところが、他の県境合併関係につきましては、三月二十五日になって中央審議会の答申があったのであります。ところが当時、関係町村間の議決があってこちらに出て参りました案件といたしまして、栃木と群馬にまたがる二件が出てきておったのですが、これを取り扱います四カ月の期限というものが、たしか三月二十七日になる案件が一つございました。そういたしますと、他の案件につきまして審議会審議相当長くかかっておりますものを、三十一日までということで、たかだか三日や四日で結論を得るということは、審議会自身としてもとうてい困難である。しかしながら、せっかく問題として出てきておる事柄でございますので、これを全然時間切れにしてしまうというのもどうであろうかということもありまして、これを六カ月延長する措置を講じただけであります。これは、当時県境にまたがる町村合併の案件について二件の処理を可能にいたしまするためと、他の中央審議会において答申をいただきました合併案件についてなお調整をはかる必要性、この両者をからみ合せまして六カ月の延長を認めたという趣旨のものであったのであります。今回の改正案は、主たるねらいは、いわゆる県内合併の終結方策をこの際立てていこうということがねらいでございます。要するに未合併町村として残っておりますものが五百程度、これをできるだけすみやかに終結をしたいというために、計画変更の道を開こうということが主たるねらいでございまして、建前といたしましては、先般の一部改正と今回の一部改正との間には、直接の脈絡というものはないと考えております。
  163. 太田一夫

    ○太田委員 そういうことだろうと思いますが、そうなれば、先回の二十八国会の越境合併のときの問題は二件だったが、実は、その後越境合併問題の処理も十分行われておらないという点もありますので、今回については、あまりそれを積極的に打ち出してはいらっしゃいませんが、さらにこれも年度末までには完結しようとする御意思が、三月三十一日まで延長する中にあるというふうにも思いますけれども、それをできるならば積極的に打ち出していただきたいと思っているのですが、先ほど来のお答えでは、越境合併の問題につきましてはあまり力を入れたくない、静観でいきたい、こういうようなお話であった。この点についてはあとでまた御要望申し上げたいと思いますが、統計によりますと、今まで非常に成果をあげたように書いてありますけれども、たとえば二十六条、二十七条、二十八条、二十九条の各項目別に分類をいたしまして、今まで、この合併促進法ができましてからどれくらいの件数の成功があったのかということにつきましては、まとめた資料がございますかどうか、その点をお尋ねいたします。
  164. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 その点につきましては、大体お手元に御配付を申し上げております「町村合併及び新市町村建設に関する資料」というものの中に、町村合併の進捗状況の調べでございますとか、あるいは町村合併に伴う争論の処理状況でございますとか、その他われわれの入手し得る限りの資料につきましては、ここに用意をいたしまして、御審議の参考に御提出しておるつもりでございます。
  165. 太田一夫

    ○太田委員 それも概括的にはあの資料でわかると思うのです。たとえば二十六条の三項によって解決したのが何件、六項によって解決したのが何件、二十七条二項に基きまして解決したのがどれだけ、四項、五項がどれだけ、やはりその解決件数が条文の各項目ごとに分れますと、町村合併が今までに非常にスムースにいったとか、あるいはだれが一番そこで苦労したのかよくわかるわけです。こまかく分けるということは非常な労苦だと思いますけれども、あれでは不十分だと思いますので、それをこまかくほんとうに分けた統計はありますかないのですかということを、もう一回お尋ねいたします。
  166. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 今お尋ねになりましたことにぴたっと合うかどうかは私も若干疑問でございますが、七ページに、たとえば「境界変更に関する争論の処理状況」というものをあげておりますが、その中にそれぞれ分類しております。これがそれぞれの条項に当てはまって参るものでございまして、あっせん調停に付したものが何件、成立したものが何件、あっせん調停の打切りをしたものが何件、あっせん調停中の件数は何件であるかということを、ここに一応の分類はいたしておるつもりでございます。なお、第二の点といたしましては、八ページにございますように「事業所の位置、財産処分等に関する争論の処理状況」ということでございまして、この関係につきましても、あっせん調停に付した件数と、その中で、それぞれ名称に関する争論、それから事務所の位置に関する争論、財産処分に関する争論、その他。なお、左のうち解決したものあるいは未解決のもの何件というふうに、一応の分類はいたしておりまして、ぴたっとは合わないかもしれませんが、大体の御見当はおつけいただけるのではないかと思っております。
  167. 太田一夫

    ○太田委員 それでは、もう一回念のために統計の数字の確定をいたしたいと思いますが、二十八条第一項によりまして、今まで勧告によって町村合併が成功いたしたものと、失敗をいたしたものとは、二つに分けまして何件と何件でございますか。
  168. 吉浦浄真

    ○吉浦説明員 お答えいたします。今の資料の三ページに、合併勧告状況に関する調べが載っておりますが、全国的な数字で申し上げますと、合併勧告をいたしたものの件数が五百五十二件、その中に含まれております未合併町村の数が八百六十一町村、そのうち十月一日までに合併を完了いたしましたものの件数は百九十六件、減少いたしました町村数は三百十三、なお差引いまだ合併をいたさないで残っておりますものの件数が三百五十六件、未合併町村の数にいたしまして五百四十八町村ということになっております。
  169. 太田一夫

    ○太田委員 そういたしますと、計画変更の対象になりますのは三百五十六件と確定いたしてよろしゅうございますか。
  170. 吉浦浄真

    ○吉浦説明員 その件につきましては六ページを開いていただきますが、未合併町村分類の見込みという調べがございまして、その中のまん中辺に、「町村合併方向示し今後合併の実現を期待するもの」というものの内訳の第三番目に「計画と異なる合併を希望しそれを認めることがやむを得ないもの」といたしまして、勧告件数にいたしまして二十六件、未合併町村の数にいたしまして三十二町村が一応該当するわけでございまして、計画変更をすれば合併できるであろうという見込み町村は、現在のところ一応三十二町村ということになっておるわけであります。
  171. 太田一夫

    ○太田委員 振興課長にお尋ねしますが、そうしますと、二十九条の二を作りまして、これによって解決しようとするのは、わずかに二十六件にしかすぎませんか。
  172. 吉浦浄真

    ○吉浦説明員 なお引き続いてお答えいたしますが、同じ未合併町村分類の見込みに関する調べの第三番目のランクに「合併不能町村又は適正規模町村に準ずるもの」として、今回の改正案が通過した暁におきまして、現在の合併計画から完全に除外する可能性のあるものが七十三件ございまして、町村数にいたしまして、合併不能町村に準ずる取扱いをいたしまして除外するものが三十町村適正規模町村に準ずるものとして計画から除外しようといたしますものが四十三町村、全体の未合併町村の中の一三%に当るわけでございます。なお敷衍して申し上げますと、それらのものを除きました大部分の町村が、必ずしも合併計画変更しなくても、そのままの態勢で押していったらいいということになるわけであります。
  173. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると、そのままの計画で押していけばいいとしますと、二十九条の二というのを作りまして、新しい計画変更をやろうというのは、実はほんのわずかの件数町村に対してこれを作ったわけなんですね。そうしますと、現在十分にいかないのは、計画実情に合わないからいけないのだ。だから計画を、事情の変遷に伴う実情に合わせるために、計画変更して、町村合併を促進しようという提案理由の御説明とはだいぶ違ってくるように思いますが、いかがですか。
  174. 吉浦浄真

    ○吉浦説明員 今申し上げました計画から除外するものが一三%、それから計画変更することによりまして合併が可能となります町村が三十二町村あるわけでございますが、今回、その計画変更の道を開いたということによって、これだけのものが合併計画から除外され、あるいは自分の思うところに合併できるということになるわけでございまして、すべて計画変更しなければ合併できないというふうに申し上げておるわけではございません。
  175. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると、先ほど藤井局長さんのおっしゃった約四百何十の三割の中の八、九割は見通しがある、こうおっしゃったわけですが、その三割の中の八、九割の見通しというものは、現在の計画のままでいくものも含め、変更をするそのわずかのものも含めての話でありますか。
  176. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 先刻申し上げましたのは、この六ページの「町村合併必要性が顕著なもの」これについては特にその八、九割は期待ができるのではないかという意味で申し上げたわけであります。
  177. 太田一夫

    ○太田委員 それでは、あと最後の質問をいたしたいと思います。今日、新市町村の建設をほんとうに促進するには、町村合併は行われたけれども、なお分村等の争論が残っておるというところに一番問題があるのじゃないかと思うのです。これをすみやかに解決して、新しい村作り、町作りをいたしませんと、これはもう毎日の町村民の生活はまことにじめじめしたものに相なります。特にこれは感情が対立いたしまして、分村だとか分離だとかいうことになりますと、お互いに親戚同士の間でもかたき同士と相なるような実情があるわけです。それが幼い子供にもそういう影響を与えておるわけなんですが、そういう点について、この法案の中では解決方向を触れておられません。たとえばこの七ページの争論の処理状況の一番しまいに百十四という数字があるわけです。これはなお係争中の件数ですね。これをすみやかに解決するということに一番重点が置かれませんと、大へんな暗さというものを残すわけですが、それを、あなたたちはあなたたちでもう勝手にやりなさいとほおり出されたのでは、新市町村の建設ということに一つのブレーキというか、暗いものができるわけでありますが、その点についてお考えはいかがですか。
  178. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 その点は全く御説の通りでございまして、境界変更に関する争論等につきまして、それらの紛議をできるだけ終結をいたしませんと、円満なまた合理的な村作りということはできませんし、一体性の確保ということにも非常に欠点が出て参るということで、全体としての調和のある発展が期待せられないのであります。われわれといたしまして、この問題の解決に対して、全然放置して顧みないという態度でやっておるのではございません。これにつきましては、やはり一一県当局とも相談し、地元の住民の要望等も聴取いたしまして、その促進に努力いたしております。現在、法的の手続といたしましては、あっせん調停の手続がございまして、場合によりますれば、住民投票というようなこともやっております。さらに住民投票といたしましても、市町村段階において行い得ない場合におきましては、県の代執行というような規定も時としては発動いたしまして、問題の処理に当っておるのであります。しかしながら、なお全国的にいって相当数の未処理件数が残っておりますことは事実であります。しかも、この問題を早期に解決しませんと、全体としての落ちついた形が出てこないということも、事実問題として、これははっきりとわれわれは認識をいたしております。今後とも、この点の早期解決ということにつきましては、特段の努力を払いたいと考えております。
  179. 太田一夫

    ○太田委員 それは、境界変更に関するあっせん調停投票の問題は二十七条の問題ですが、この二十七条の問題につきまして、ずっとやっていきますと、これから先、新しくあっせん調停、投票ということをやり得る可能性は出てくるんですか。
  180. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 これは法的手続といたしましては、去年の三月三十一日までにそれぞれあっせん調停の手続にみんな付しておる条件でございます。それがなお係属して今日に尾を引いておるという問題になっておるわけでありまして、それらの問題の処理については、本法の規定に基いてそれぞれ処理が行われて参るわけでございます。
  181. 太田一夫

    ○太田委員 従って昨年の三月三十一日までの間にあっせんないし調停に付されていた案件というものが、今日なお尾を引いている、これが百十四件あるんだ、こういうことですね。しかし、昨年からことしと、もう一年半過ぎましたけれども、百十四件というものはほとんど一歩も進んでおらないじゃないか。従って、この百十四件がもし今日ずっと係属しておるものとするならば、自治庁といたしましては、これを解決する見通しはどの辺に置いていらっしゃいますか。
  182. 吉浦浄真

    ○吉浦説明員 実は昨年の三月三十一日が町村合併調整委員のあっせん調停に付する最終期限でございまして、その後任命された町村合併調整委員は、いずれもここに経過が書いてありますように、大体片づけるような状態で参ったわけであります。現在百十四件がまだ片づいてないわけでありますが、これも大部分は片づける一歩前に来ておるわけでございまして、そう問題を長く手元においてやって参るわけにはいきません。ただいろいろな状況から、そのままおさまるかもしれないというふうなものもこの中にはだいぶございますので、この際、はっきりと住民投票その他によって解決するというところまで踏み切れないでおるものもだいぶ中にまざっておるわけであります。
  183. 太田一夫

    ○太田委員 振興課長から御答弁いただいてもいいんですが、希望的な観測のような気がするんです。実際一年半たって何ともならないこの百十四件が、一歩手前に来ておる。一歩手前だということになりますれば、もう一挙手一投足の労で、投票なりなんなりの処分が行われることになる可能性があるようにわれわれは印象づけられるんですけれども、実際そのように甘い条件ではないと思うんですが、どうなんですか。
  184. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 昨年の三月三十一日までに発生をした争論の中で、あっせん調停に付したものは二百八十件でございまして、われわれとしては満足すべき成果が上っておるとは思いませんが、今残っておるのは百十四件でございますので、全国的に見まして百六十六件というものがすでに解決を見ておるのであります。問題が問題だけに、きわめてむずかしいところでございますけれども、なおあっせん調停中のものにつきましても、解決見通しが出てきておりますものもかなり出てきておるわけでございまして、われわれとしては、そう悲観的に物事を考えておらないのであります。
  185. 太田一夫

    ○太田委員 それでは具体的に、もう少し焦点をしぼりまして、この七ページ百十四件の中で、愛知の三件が残っている。この三件はどことどことどこでしょうか。
  186. 吉浦浄真

    ○吉浦説明員 今、どことどことどこというふうにお尋ねになったのでございますが、ちょっと今、私も具体的な名前を覚えておりませんが、その中の一件は、先だって住民投票の結果問題の終息ができたというふうに聞いております。なお残る二件につきましても、調整委員の中にやはり意見が対立しておりまして、県といたしましても、早急に解決いたしたいというふうな意向で、われわれの方にも何回も連絡が参っております。場合によっては、調整委員の人選をやりかえてでも問題を終息に持っていくかどうかという間際まで現在来ておるわけでございまして、大体方向は出ておるのでございます。御承知通り町村合併調整委員の意見は、全員一致によらなければできないということになっておりますが、その中の一人がどうしてもがえんじないという状態に入っておりますので、大へん困難をきわめておるわけでございます。
  187. 太田一夫

    ○太田委員 課長さんですから、これは百十四を暗記なさることは大へんだと思うのですが、三件について何か資料はありませんか。そうしないと、議論がしにくいような気がするのです。一件が済んだといいますのは安城市と碧南市の問題ですか。
  188. 吉浦浄真

    ○吉浦説明員 その通りでございます。
  189. 太田一夫

    ○太田委員 だったらあとの二つは何でしよう。
  190. 吉浦浄真

    ○吉浦説明員 私は一件が済んだと申し上げたわけでございます。そうすると、あなたが三件と言われたので、私は残りは二件であろう、こういうふうに……。(「どことどこだ」と呼ぶ者あり)どことどこかと言われても、今ここでちょっと手元に資料を持っておりませんので……。
  191. 太田一夫

    ○太田委員 私は皆さん方の町村合併促進についての腹がまえということを一つ伺いたいと思っていたんです。だから、過去と現況についてと、将来はこうなるんだという全貌をつかみたいと思うという私の意見を冒頭に申し上げたわけです。たとえば今のように、計画変更によるものではない、だからあっせん調停中のものだとおっしゃって、それは一歩手前だとおっしゃるけれども、それくらいの甘いものじゃないだろうから、こちらに相当関心があってよさそうだと思います。実際現実に残っておりますものは、その一歩手前のようなものじゃないのです。非常にむずかしいものになって残っておる。しかもその問題は、一つ誤まれば、投票といっても、今日になってうっかり投票いたしましたとぎには、やはり基本的な人権に関するようなものもある。たとえば分市なら分市という問題を持ち出して、この何部落だけは分市するんだ。こういうことになりまして、その分市を言いました部落の中で、分市に反対をする者には村八分の取扱いをしているところが多数あることは御承知通りですね。これは人権擁護委員会でさえも非常に問題にしておるわけなんです。そういうのがずいぶん何年と続いている。何年も続いて、そういうこちこちになってしまったものを、ここで自治庁がこの際思い切って解決できるような、一歩手前なら一歩手前で、円満に解決するように、こうなんだからこうするんだということは、一件々々について、十分県の意向なり調整委員の意向なりをまとめられまして、確信を持っていただくときだろうと思うのです。ですから、たとえば百十四件全部一々説明してくれというわけではなくて、愛知なら愛知の三件があるが、その三件について一件片づいた。あと二件はどこだろう、それに対してどういう見通しがあるだろう、こういうお尋ねをしたわけですが、その材料がなければ、別にお答えをしていただかなくてもけっこうだと思います。思いますけれども、たとえば市民税などをずいぶん長い間たな上げされちゃって、何百万円、何千万円という税金がたな上げされちゃって、これはもう市の金庫には納まらないわけですね。そうして、場合によっては、こちらはこちらだけで役場を作るぞ、こういうことを言って、非常に横車を押しておる。合併に反対して、何とかして分村しようとかなんとかいうことを考えております者に対しまして、円満なる終結をはかろうとすることは並み大ていのものじゃないと思う。実際市民税などは、もう何年もたな上げされておりますし、これはもう凍結されちゃっておりますから何ともならない。それなら差し押えすればよろしいじゃないかというけれども、差し押えするような強硬な手段をとりましては、新しい市の建設ができません。こういうわけなんです。ですから私は、そういう点につきまして、皆さん方が、複雑微妙な点があるから十分回答できないとおっしゃるならば、皆さん方の常識におまかせしておいてもよろしいと思いますが、信頼をしてもよろしいと思いますが、できる限り、新市町村建設の有終の美をぜひ一日も早くあげていただきたいと思うのです。  その件につきましては以上で終りますが、先ほど最初の方で申し上げました木曽岬村などは、全村一致弥富町合併の決議をいたしました。あの木曽岬の住民が最近声明書を出しまして、この声明書は自治庁当局に行っておると思いますが、特に最初と最後だけは申し上げまして、一つぜひ局長さんも肝に銘じておっていただきたいと思うのですが、「去る九月三十日付政府の発表した処置は、村民と直結した村議会の議決を無視し、合併促進法の本旨にももとるものであって、私達は到底順応し難く、今後一層団結を固め自的達成に邁進する方針にいささかも狂いのないことを内外に宣言いたします。」以下ずっと内容を中略いたしまして、「今後村内に無秩序な不祥事態が発生することは挙げて三重県当局の責任であって、私達は初期の方針通り、益々団結を固め合併実現に邁進することを声明します。昭和三十三年十月 自治村執行部」こういう声明書が配られておるわけですね。ここまで来ますと、この法案の中からは積極的解決の手がかりがないようですけれども、しかし最初に御説明なさいました気持の中から、本件に対しましても、何らか自治庁当局では、ほっておくのではなくて、円満な解決のできるように、これも積極的な努力を——静観でなくして、なさるようなことを特に要望したいと思いますが、何か御感想がありましたら一つ……。
  192. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 県境合併の予定の処理の問題等含めまして、一連の紛争解決の問題につきましては、御説の通り、これをできるだけ終結に導くという努力をいたさなければならないことは当然でございます。われわれといたしまして、特に県境の問題は、この間裁定が下った点でもございまするし、今すぐにどうこう申しましても、さらに現地における風波を高めるのではないかという危惧も持っておる意味で静観という言葉を申し上げたのでありますが、全くこれを将来ともに全然放置しておくというつもりで申し上げたのではございません。紛争解決の問題につきましては、今後とも一つ誠心誠意努力して参りたいと思います。
  193. 鈴木善幸

    鈴木委員長 北條秀一君。
  194. 北條秀一

    ○北條委員 私は、午前中に青木大臣のところに質問の要旨を通告しておいたのですが、二つの点でなるべく簡潔にやりますから御了承いただきたい。  政治の運営は常に親切であり、かつ同時にまた勇気を持って推進するのが当然だと考えますが、今回の法律の改正は、ここに書いてありますように、九千八百の市町村が三千六百になり、二千四百の新市町村が生まれた。それでほとんど大半は解決をして、あとわずかに五百足らずの未解決市町村合併が残っておるのだ。こういうことで世紀の大事業をなされた、完成した。そこで残るところは、新市町村町村合併に残された落ち穂拾いだということなんで、これから一つ新しい建設に決心を新たにしていこう、こういうことであります。そこでことしの九月三十日は一つの大きな山であったと私は考えるのです。その山を越して、これから新しい方向に向っていく。すなわち建設と銘を打たれておりますが、山を越して新しい方向に向うときには、既往の実績についての検討を十分にやっていかなければならぬということは当然のことであります。そこで私は、現在九月三十日の山を越した自治庁としては、青木国務大臣としは、過去のもろもろの問題についていろいろと検討もされ、反省もされておると考えるのでありますが、その反省されておる内容について御所見を承わりたいというのが第一の問題。なぜそれを言うかといいますと、自治庁におかれましては、市町村の希望通りにして差し上げることが自分たち考えだ。こういうことを常におっしゃっておるのでありますが、九月三十日最後に残された越境合併の例の四件を見ましても、私は、必ずしも関係町村住民の希望通りにしてあげていないというふうに言わざるを得ないのであります。もちろん、大臣を初めとして行政当局も、最善を尽されたことは、私はよく考えます。しかしながら、最善を尽しても、結局住民の意思をかなりのところにじゅうりんされておるというのが事実であります。だれが一体そのじゅうりんさせるというような原因を作ったかといいますと、結局関係の県あるいはその県選出の国会議員あるいは県会議員、こういうような人たちが、俗にいう圧力をかけた結果、当該町村住民の意思をじゅうりんする結果になった。私はそういうふうに判断するのであります。しかも、それらのいわゆる圧力が、当該町村住民の圧力でなくて、その町村外の人たちの圧力によってこういうことが行われておるのであります。従って町村の希望通りして差し上げるという御方針が、非常にこの言葉はきれいでありますけれども、実際はそうではない。こういう状態でございますから、これらの町村については、今後一体どういうふうにしてこれらの住民の希望を達成していこうと考えられるか、こういうことを一つまず冒頭に聞きたいのでございます。  さらにそれに関連して言いますならば、御承知のように、先ほど太田委員からもお話がありましたように、埼玉県の元狭山の問題、あるいは長野県の神坂村の問題もありますが、総理大臣の勧告が出ましたあと、町村に紛争が起きております。元狭山のごときは、十月十日か十一日に、受け入れる側の武蔵町の町長あるいは助役が脅迫をされたとか、あるいは殴打されて十日間の負傷を受けたとか、従って警察当局がこれに手入れをしておるというふうなことが新聞に伝わっております。私は、こういうことがありますと、将来長く関係町村にしこりを残すことは当然だと思います。このしこりを残しておったのでは、日本の政治は泣くと思います。でありますから、こういうようなしこりについては、今こそ当該大臣たる青木大臣は、これらの町村あるいはこれを所管しておるところの警察にお出向き願って、将来にしこりを残さないようにやっていただくことが、私は、最も望ましいと考えるのであります。ところが、実際には政府はそういうふうに動いておらないというところに、私は非常に遺憾の意を表せざるを得ないのであります。  いろいろ申し上げましたが、以上の点を総合してお考え願いまして、今日まで大きな仕事をやられたのでありますが、それについていろいろ検討の結果、相当に反省されておるのではないかというふうに考えますから、その反省の上からこの法律を改正して、そして次の段階に移ってもらいたいし、またもらうべきだ、こういうふうに考えますので、第一の問題として大臣にこれを出して、御意見を承わりたいのであります。
  195. 青木正

    青木国務大臣 先般裁定を下しました越県合併の問題につきましては、関係住民方々にも非常な御心労を願い、また御協力を願いまして、私どもまことに感謝にたえぬ次第であります。なお、これは決しておせじで申し上げるのではないのでありますが、当委員会方々、特に北條委員には、いろいろこの問題につきまして非常な御尽力をいただきましたことを、私は、この機会に心から厚く御礼を申し上げます。  この合併の問題につきまして、私ども静かに考えてみて、われわれといたしましては、裁定を下すに当りまして、関係の当局とずいぶん悩み、そしていろいろ諸般の情勢を判断して、われわれとしてはこれよりほかにないと、最良の案とは申し上げられませんが、われわれとしてはこれ以外にない、こういうことで裁定を下したのであります。しかしながら、われわれとしてはこれ以外にないという考え方に立ったと申しましても、やはりその案に対しましては、関係住民の皆さん方の御納得を完全に得ることができなかったこと、私もまことに残念にも思い、また遺憾に申しわけなくも存ずる次第であります。特に、その後におきまして、なお紛争が尾を引いておるというような事態を見ますときに、私どもといたしましては、まことに申しわけなく存じておるのでありますが、ただしかし、私どもの念願といたしましては、われわれの気持の存するところも御理解を願いまして、そうしてまああれ以外に道がなかったという気持を御納得いただきたい。同時に、私どもといたしましては、その間に相当の無理もあったこととも考えられますので、われわれといたしましては、でき上った新しい村、また残されたところが他に合併した村、こういうところの建設と申しますか、今後の一体性の確保あるいはまた今後の発展の計画、こういうことに対しましては、われわれとしては、できるだけの御協力を申し上げまして、われわれの力の至らなかった点、そういうところを何とかごしんぼうを願えるように御協力を申し上げていきたい、かように存ずるのであります。  なおまた越県合併の問題につきまして、御指摘のように、私ども基本的に考えまして、町村合併というものは、言うまでもなく住民の意思というものを最大に尊重しなければならぬことは当然であります。しかしながら、越県合併という問題がああいう特別の手続をとっておるということは、同時に越県合併という問題は、単に住民の自由意思ということばかりでなしに、関係両県あるいは都府県と申しますか、行政の運営という面も全体の見地から考えなければならぬというところに非常にやりにくい点もあり、また関係住民方々に御迷惑をおかけする点も多々あったと思うのであります。しかし、また都府県の行政の面も自治庁としては考えなければなりませんので、われわれは、決して住民の意思というものを尊重しないという気持では毛頭ないのでありますが、同時に都府県の行政という面も考えなければなりませんので、そのために県内合併の場合と違って、よけいに関係町村方々に御苦労をおかけしたと考えるのでありまして、越県合併の場合は、まことに私どもも申しわけなく、あるいはお気の毒とも考えるのでありますが、その点は一つ御了承をいただきたいと思うのであります。いずれにいたしましても、九月三十日をもって越県合併の問題は、ともかくここで皆さん方の御協力とごしんぼうをいただきまして、終止符を打つことができましたので、このできた新しい村の建設ということにつきましては、特別に私どもとしては力を尽していかなければいかぬ。なお、できました村に対しまして、私どもも出向いて、いろいろそういう面について直接相談相手にもなり、あるいは感謝といいますか、そういうところを述べなければならぬということも私わかっておるのでありますが、ただしかし、まだ合併が実現した直後でありますので、いろいろ問題も残っておることであり、私は適当な機会がありますればいろいろ御迷惑をおかけした関係町村方々に参りまして、お礼も申し上げ、皆さんの御協力に感謝もいたしたい、かような考えを持っておる次第であります。
  196. 北條秀一

    ○北條委員 非常に小さなことで恐縮でありますが、先ほど申し上げたのでありますが、大臣に徹底しなかったから重ねて申し上げますが、埼玉県の元狭山村が十月十日にあの紛争を起して、そして傷害事件となって、警察がこれを何人か逮捕しておるわけです。これをそのままやっていくと、後にしこりを残すゆえんでもある。そこでこれは小さな問題でありますけれども、こういう問題こそ、大臣みずから行かれなければ、政務次官なりあるいは局長が行かれて、警察当局あるいは関係町村当局と話をされて、しこりを残さないように、この際円満に解決すべきじゃないか、こういうことを考えてこれを申し上げたのであります。それをおやり下さることが親切だと私は思います。いかがでしょうか。
  197. 青木正

    青木国務大臣 北條委員のお話の点、私は、気持は全くその通りであります。ただしかし、そういう事件になっておりますので、この委員会の席で私がどうということは申し上げかねる次第であります。同じ気持で、私は、私の気持県当局等にも連絡はいたしております。
  198. 北條秀一

    ○北條委員 きわめて適切なお話でありますが、どうか善処していただきたいということを申し添えて第二の問題に移ります。  第二は、すなわちこの法律が改正された後に、今後三千六百の新市町村と、さらに今後落ち穂拾いの中に入って合併すべき新市町村、これらの建設に邁進されるということでありますが、この委員会において御当局のお話を聞いておりますと、建設ということをよく言われるのでありますけれども、建設の目標は一体何か、建設の内容は何か、内容はちょっともないわけです。今まで青木大臣の御説明の中から拾っていきますと、近代的新市町村、こういうことを言われるのでありますが、近代的新市町村というけれども、その内容は一体何だ。これは午前中もお聞きしましたが、行政基準ということさえもなかなか容易に決定しかねる、作業しかねるということでありますから、近代的新市町村ということになりますと、これは相当に内容を持ったものをすでに検討済みであろうかと想像できるのであります。午前中加藤委員のお話もありましたが、少くとも建設するのだといえば、目標がなければならぬ。こういうことをやるのだ、こういうところまで新市町村を育成していくのだという目標がなければ、これは何もならぬわけであります。午前中の話の蒸し返しのようになりますけれども、堂々とこれからは建設に向って進んでいくのだというふうに言われておりますから、その内容は、どういうふうなことを考えているのだということについてお示しを願いたいと思うのであります。  ところが、たまたま十月二十一日の朝日新聞の投書欄に「実益のない町村合併」という題で、長野県の谷村佳子という農家の御婦人からの投書が出ております。これを念のために読んでみます。「数年来、町村合併が進められてきたが、一度合併して再び分裂するなど、合併にからんでの紛争は絶えない。なぜ住民の不平不満を押し切ってまで、町や村が合併しなければならないのだろう。それほど大きい意義があるのだろうか。私にはわからない。私の村も三年前に合併して町になった。それから今日まで私たちの生活は別によくなったと思わない。新しい庁舎や病院が町の中心部にできたが、辺地はかえって中央に遠くなり、道も昔のままだし、ただ税金が高くなっただけと嘆く声さえある。町の中央にりっぱな病院があるから無医村とはいえないかもしれないけれど、私たち旧村地区には医者が一人もいないから無医村も同じである。遠い道をバスで通うのだが、そのバスも一・五メートルの雪に埋もれる冬になれば通らない。病気になれば、八キロの雪道を歩いて通わなければならない。ただ名前だけが市になり、町になったことで、無医村が解消し、みんなの生活が向上したと思われてば、辺地の住民は救われない。」こういう投書が出たのでありますが、あえてこの文章を読みましたのは、私は、これを神の声として自治庁は聞くべきである、われわれ政治家も神の声として聞くべきである、こういうふうに思うのであります。声なき民の声を聞くのが政治の要諦だというふうに昔からいわれておりますが、これは声なき民の声ではない。まさに声ある民の声なのでありますから、神の声として聞くべきである。私は特にそういう意味でここに申し上げたのであります。  そういうことでございまして、あらためて申し上げますが、新市町村の建設で大きく転換をはかるべき段階にきた。しかもそれが建設だということなんでありますが、建設ということは非常にやさしい言葉で、たった二字でありますけれども、この建設ということについてどういう大方針を持っておられるか、これを一つこの際明らかにしていただきたい。こういうふうに思いますので、御所見を承わりたいと存じます。
  199. 青木正

    青木国務大臣 抽象的な言葉ばかりを申し上げておりましてまことに恐縮に存ずるのでありますが、また建設というと、言葉それ自体はまことにりっぱでありますが、しかし、その内容は何かという御質問まことにごもっともと思うのであります。かけ声ばかり建設々々と言ってみたところで、実際にその内容を伴わないようなかけ声だけの建設であってはならぬことは当然であるのであります。私ども、午前中も申し上げたのでありますが、新市町村の建設の補助金の問題、これが大体明年度で残ったところを全部完了いたしまして、そうして今度はそういう新市町村建設に伴う補助金というような考え方でなしに、新しくでき上った新市町村全体を対象として、今後の日本の町村というものがいかにあるべきか、こういう観点から今後の町村建設に当っていかなければならぬと思うのであります。  そういう意味で午前中も藤井局か長ら、そのうちの若干の問題を申し上げたのでありますが、たとえば行政水準の問題にいたしましても、具体的には一体どういうところに目標を置いてやるべきか、非常にむずかしい問題であります。抽象的には、行政水準の目標を立てればいいじゃないかと考えられるのでありますが、具体的にこれを現わす内容を盛るためには、なかなかむずかしい問題であり、また新しく現在発足しておりまする新市町村というものの実態につきましても、さらに検討を加える必要があると思うのであります。  それからまた従来の町村のやって参りました事務的な面におきましても、さらに近代的な姿にするためにはどういうあり方にするのが最も適当であるか。たとえば一つの具体的な例をとって申し上げますれば、米沢において、御承知のように新しい事務処理方針が立っております。しかし、あれは米沢市においても、果して適当であるかどうか、検討を要する点があるばかりでなく、単に抽象的に、あるいはまたわれわれが机の上だけで考えてきめるべき問題でないのでありまして、たとえば新しくテスト・ケースと申しますか、一つの試験町村と申しますか、そういうものも、場合によったならば明年度若干各市町村にお願いいたしまして、そうして今後の町村の事務処理のあり方はこういう方式がいいんじゃないかという、われわれとしても、一応の自分でも確信を持ちまして、そうしてそういうふうな方針を立てて、全国の町村もそれにならっていくようにしていきたい。  それから行政水準の問題につきましても、先ほど加藤先生あるいは中井先生からお話がありましたが、私も全く同感でありまして、日本の町村というものが、やらなければならぬ仕事がたくさんあるのに、現在までやれなかった。これを何とかしてやれるようにしていかなければなりませんので、もちろん国の財政の問題もありますが、国の財政の問題があるから、ただ財政に左右されるということでなしに、やはり一応の目標を立てまして、これが完成のために一定の計画を持たせていかなければならぬのじゃないか。具体的に申し上げますれば、都市について申し上げますならば、下水の問題がまだ残っておる。しかし、この下水を一体いつまでに完了するのか。こういうこともやはり目標を立てて、漫然と補助金がきまった、起債がきまったからそれに応じてやるということじゃなしに、私どもも、できるとすれば、やはり下水問題にいたしましても、対象の人口がこれだけある。この対象の人口に対して何年くらいで下水問題を解決していくかというようなこと、いろいろな面から、今後市町村としてやるべき仕事、しかもどうしても当然やるべき仕事でありながら現在まだ残っておる仕事、こういうものを具体的に検討して参りまして、やはり建設の目標としていく必要が私は当然あると思うのであります。そういう作業を自治庁関係各局におきまして現在も着々やっておりますが、さらに一そう真剣に、またスピードを上げまして計画を進めていきたい、かように考えておるわけであります。
  200. 北條秀一

    ○北條委員 これで私は終りますが、残された四百九十四の未合併町村、これを算術的な一プラス一イコール二だというふうなやり方、あるいは三マイナス一はイコール二だというふうな、まるでもちを切ったりつけたりするようなやり方じゃなしに、実際繰り返し言っておられますように、住民のこうしてほしい、ああしてほしいという希望を達成させてやるという強い考え方で、今後の問題については処理していただきたい、こう思うのです。それだけ申し上げます。  最後に藤井局長一つ聞きたい。過去にたくさんの新市町村が生まれたわけでありますが、そのうち自治庁考えて傑作だと思われる市町村がありましたならば、一市、一町、一村、一つあげていただきたい。私は、それを一つ調査して、今後の建設の資料にしたいと考えますから、それだけをお伺いいたしまして、私の質問を終ります。
  201. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 これはいろいろございまして、ただ単に一市、一町、一村をあげるということになりますと、私も、全部が全部について、その内容を確実に把握して認識を持っておるわけじゃございません。これは正直に白状いたしますが……。そういうことで、私がここでこの都市がよろしい、この町がよろしいということになりますと、他の相当重心を持っておるところが、自治庁はどういう基準でその一市、一町、一村をあげたのかということで、かえって全般の建設の意欲を阻害するようなことになってもいかがかと存じますので、その点は、一つ差し控えさせていただきたいと思います。ただ一般的に申しますならば、毎年われわれの方で、内閣総理大臣表彰なり、自治庁長官の表彰なりをやっております。昨年はちょうど記念日にも当りまして、相当大々的に行いましたが、毎年この表彰の行事を続けておるのであります。その対象に上っております市町村というものは、いずれもりっぱな成績をおさめておるということを確言できる市町村ではないかと思っております。
  202. 鈴木善幸

    鈴木委員長 佐野憲治君。
  203. 佐野憲治

    ○佐野委員 おそくなっておりますけれども、大臣もお見えになっておりますので、簡潔に二、三質問をいたしたいと思います。  まず町村合併の進捗につきましては、大臣から、それぞれ国の計画に対して一〇四%、県の計画につきましては九四%と、非常に成果をおさめておるし、かつまた関係当局の熱心な御援助のたまものだと、このように言っておられるのであります。かつまたこれからは新しい町村の建設だ。こういう工合に大臣は非常に力んでおられるわけでありますけれども、私は、これに対して非難しようと思うわけではありませんけれども、地方自治の本質と町村合併促進法目的という観点から照らして、これまでの町村合併は一体どうであったか。私は、厳粛な自己批判を必要としておる段階ではないか、かように考えるわけであります。この点につきまして、私も、地方にあって地方議会に参与し、かつまた地方における住民としてこの問題に取り組んで参りました者の一員として、私自身も深い教訓を受けておるわけでありますが、自治庁といたしまして、新しい町村合併の問題と、町村建設の問題と取り組まれるにいたしましても、やはり内部において、どういう性質をもって、どういう方向をもって、どういうあり方をもって町村合併が進められて参ったか、こういう点に対しての自己批判が必要でなかろうか、かように考えるわけでありますが、大臣としては、この点に対して、どのように考えておられますか、お伺いいたしたいのであります。
  204. 青木正

    青木国務大臣 町村合併が国の目標に対しまして一〇四%、あるいは県の目標に対して九四%の進捗を見たという表の数字だけを見て、私どもは、これで成功だというようなうぬぼれた気持になってはならないということは、私も同感であります。ことに町村合併に実際に関係なされました地元の住民方々、あるいはまた府県審議会方々の御努力、また県当局の御努力等に対しましては、私ども全く感謝にたえないのであります。私自身も、自分町村合併問題につきましてずいぶん苦労した経験を持っておるのでありますが、率直に申し上げまして、今回の町村合併というものは、住民自体が合併したいというような自発的意思に立って合併が行われたというよりは、国として、新しい近代国家としての日本を建設するためには、その基盤としての村作りをしなければならない、こういう考えに立って、むしろ国の方針として住民方々合併を無理に——と言うとあるいは語弊があるかもしれませんが、一つ合併してくれということでお願いした合併であります。従いまして、町村民の気持から申し上げれば、いろいろとその間に御不満もあったでありましょうし、また、忍ぶべからざることを忍んで、国の方針に従って合併したという点があることは、私どもも重々心得ておるのでありまして、その点は私どもまことに関係住民方々に感謝にたえないと同時に、またわれわれといたしましては、そういう気持で国の方針に従って合併に踏み切ってくれた住民方々に対して、やはりこれに報いるだけのことをしなければならぬ。そういう考え方に立って、今後の建設の問題あるいは町村の育成の問題、そういう問題を取り上げていかなければならぬと思うのであります。また同時に、そもそも町村合併というものは、私、しばしば申し上げます通り、これは全く目的ではないのでありまして、町村合併はあくまで手段であり、目的するところは町村がりっぱな行財政能力を持つ。そのことによって住民の福祉を増進するということが目的でありますので、その目的が達成できまするように、私どもは、今後一そうの努力を傾注していかなければならぬ、かように考えておるわけであります。
  205. 佐野憲治

    ○佐野委員 私は、地方自治の本質と町村合併促進法目的という観点から問題を考えておるわけでありますが、その意味から考えて参りますときに、特に地方自治の本旨から考えて参りますと、非常に問題があったのではなかろうか。特に、町村合併促進法目的並びにその場合における国の行政の関与、この点を考えて参りましても、非権力的な行政関与としてこの法律が成り立っておる。しかも時限立法として法律が提案され、国会を通過しておる。こういう意味から考えましたならば、国の行政は、あくまでも非権力的にこれを進め、援助、助言をする。こういう立場を堅持するのが当然でなかろうか、かように考えるわけであります。私の一番おそれますことは、法律がひとり歩きをするということがよくいわれております。だからこそ、ここには目的が明確でなければなりません。明確なる目的の規定のもとに行為が許される。しかるにかかわらず、町村合併におけるいろいろな態様を見て参りますときに、おそらくだれよりも自治庁の皆さんが御承知通り、いろいろな紛争ができて参った。画期的にわずかの期間において町村を減少した。その反面に、大臣が今言われましたように国家の意思が働いておったのだ。しかしながら、町村合併法律を読んで参りましても、国家が権力的に進めるということは許されないものだと私たちは考えるわけです。しかしながら、実際やられて参りましたことを見て参りましても、いろいろ再建団体の内容を見ましたときに、町村合併をするために数百万円の金を使っでおる。村の三役あるいは地方有力者に、買収という言葉が語弊があるといたしますならば、いろいろな意味で使われておったことが明らかになって参っております。  第二に考えられますことは、やはり自治庁の意思あるいは県の方針、国家の方針、こういうことが強く打ち出されて参っておる。ですから、現在の予定しておる起債を取り上げる、あるいはまた町村合併のあれは六条、十三条、十五条、こういうのを悪用、拡大解釈いたしまして、特に補助金をやらないとか、あるいはまた交付金におきましても、これに対して考えがあるのだ、あるいはまた起債にいたしましても考えるのだ。こういう威嚇的な言辞のもとに町村合併というものが進められて参った。これも事実であろうと思うのであります。  第三として、やはり県当局あるいは村当局なりが、いろいろめんどうになって参りますと、国家警察権力を動員いたしまして、町村合併を一気に押しやる、こういうためにいろいろな問題が起きて参っておることも御承知通りだと思うわけであります。こういう形をもってしたからこそ、画期的に町村合併ができたのだとも逆にいえるのではないか、かようにも考えるわけであります。しかし、私の一番おそれますことは、地方自治の本旨から考えて参りますならば、少くとも先ほど大臣がお述べになりましたごとく、住民の自主的、自律的な精神に基いて運営されねばならないし、そういう形において町村合併は進められなければ、組織運営を能率的にするという本来の目的から逸脱するということにもなるわけでありまするし、この点につきまして、私は、非常に遺憾だった。かように考えておるわけであります。と同時に、そういう結果として、町村合併が進められた場合において現われてきた問題につきまして、たとえば行政局長は、町村合併をやって表彰を受けたところはすべてよくいっておるのだということがありましたけれども、富山県の場合におきましては、まっ先に県自体が全国の表彰を受けておる。各町村長はみんな表彰を受けておる。非常にすぐれたところなのでありますけれども、たとえば出て参りました一つの郡があります。ここには二十幾つの町村があった。しかも漁業と山林と、非常に平和な富山県の北海道といわれるような一角があったわけでありますが、この一郡が全部市になってしまった、一体こういうことが果して住民の意思であったかどうかと考えられると、よくおわかりになるだろうと思うのであります。そこで問題として出て参りますことは、そういう原始産業を中心とした純然たる山村部落を無理やりに一郡全部一市にしてしまう。こういう行き方が表彰に値する模範的なところだといわれるわけでありましょうけれども、しかしながら、その場合におきまして、市民税の問題がいろいろ問題になっております。その部落におきましても、非常に裕福な部落もあったし、山村五、六カ村を合併いたしますならば、優に自主的に運営ができるという条件にあったにもかかわらず、全部やってしまった結果として、氷見市は赤字団体になった。それはそれといたしまして、たとえば市民税の五つの方式のうち、氷見市も、やはり第二方式のただし書きをとっておるわけでありますが、このただし書きをとっております結果といたしまして、同じ市である高岡市とこの氷見市の住民税にどういう関係が出て参っておるかと申しますと、たとえば二十五万円の所得のある人が、第二方式のただし書き、扶養家族三人として、氷見市の場合は三千九百十円であり、隣りの高岡市は四百円である。こういう地域的な不均衡が出て参っておるわけです。あるいはまた三十万円の所得のある人の五人扶養家族を見て参りましても、氷見市の場合は五千四百七十円、高岡市の場合は五百四十円。同じ土地で隣接の同じ市がこういう状態になっておる。しかもここにおいては、農民、漁民を中心にした零細な人たちの集まりであるわけでありますけれども、こういう過酷なる徴税方式をとらなくちゃならないといたしますと、非常に問題が出てくるのじゃないか、かように考えるわけであります。  私は、町村合併の中においても、こういう問題がやはりずいぶんあるんではないかということと、もう一つ関連いたしまして、この町村民税の徴収に対する五つの方式、地域的にこのような不均衡をもたらすところの方式に対しまして、どのように考えておられるか。それがまた県民税にもこのまま反映して参りますから、非常に不均衡が拡大されるというのが現状となっておるわけでありますから、これらに対する御意見をお聞かせ願いたいと同時に、私は、税の問題に触れましたので——自治庁の見解としてとっておられる現在の地方税は、租税受益説を中心として構成しておられる。租税受益説という学説は、資本主義の初期においては、世界各国で論議されたかもしれませんけれども、もはや今日の段階においては、古くかびた理論となってしまっておる。こういう理論に基いて、地方における自主財源を与えるという名目のもとにこれを拾い出してこられた。ですから、租税受益説は当然応益原則というものを作り出してくるわけでありますし、応益原則のもとにおきましては比例制をとる、こういうふうになって参るわけであります。こういうことが非常に多くの矛盾を来たしておるのではないか。そのために租税公平の原則すらも逸脱した今日における地方税のあり方が示されて参っておるのじゃないか。こういう点についても、自治庁の方の御見解をお聞きいたしたいと思うわけであります。
  206. 青木正

    青木国務大臣 各方面にわたってのいろいろな御高見を承わったのでありますが、まず第一の、町村合併町村の自治体の自治の本旨をじゅうりんしておるのではないかというお話であります。この法律制定に当りまして、私もその当時、当初は地方行政委員会の一人であったのでありますが、お話のように、憲法で保障されておる自治の本旨、これはあくまでも守らなければなりませんし、その点におきまして、この町村合併促進法を制定するに当りましては、あくまでもその憲法の考え方をじゅうりんすることのないように十分配慮いたしたものと私ども考えておるのであります。しかし現実問題として、御指摘のように住民の意思に対し何かこれを制肘すると申しますか、いろいろ意に満たないような点のあったことも、私どもはこれが全然なかったとは決して言い切れないと思うのであります。また同時に、自治の本旨は尊重しなければなりませんが、私どもは、町村というものが、やはり何といっても住民の福祉を増進することを大きな使命といたしておりますので、町村といたしましては、やはりあくまでも住民の福祉を増進することができるような行財政能力を持つということも、私は、町村として当然せなければならぬ問題と思うのであります。そういう立場に立ちまして、自治の本旨を尊重しつつ、また同時に住民の福祉を増進することができるに足る行財政能力を持つような町村規模にするということも、私は、町村の使命としてやるべきことと考えるのでありまして、そういう両方の面から今回の町村合併促進法というものは考えられ、そうして今日までそういう考え方に立って実行されて参ったことと私ども考えておるのであります。  それから税の問題につきまして、住民税の方式につきましての御指摘のこと、私ども、この問題につきましてはいろいろ不合理と申しますか、なかなかむずかしい問題を含んではおりますが、確かに御指摘のように、ある町、ある市と、住民税がああいう方式であるためにいろいろ違った形において課税され、それがその結果としてアンバランスのような形になっておる。しかし、これはいろいろ沿革もありますし、またそれぞれ市町村事情等もありますので、急激に今これを変えるということは、なかなか困難もあろうと思うのでありますが、私どもは、やはりこれはできるだけ是正する方向に向って検討していかなければならない。こういう考え方に立ちまして、内部的には、はっきり申し上げますと検討もいたしておるのであります。何とかこういう不合理のないようなあり方に持っていかなければならない、かように考えておるわけであります。  それから自主財源の問題、今後の町村財政、税制の問題、このことにつきましては、確かに現在の町村財政というものを考え、現在の税法を見るときに、私どもは、やはり何といっても、できるだけ自主的な財源を町村に与えるという方向に向って今後も特段の努力を続け、また制度の改正等が行われます場合に、その方向に向って私ども全力を尽していかなければならない、かように考えておる次第であります。
  207. 佐野憲治

    ○佐野委員 ただいまの質問は相当議題とそれておりますし、また別の機会にこの問題に対していろいろ質疑をいたしたいと考えるわけでありますが、ただ私は、やはり民主主義国家の基盤である地方自治、この地方自治において、大きな試練である町村合併が、住民の積極的な参加、自発的な討議、この中から建設されたのではなくて、やはりでき過ぎたもの、村の秩序、国家の意思、こういう古かびた言葉の中に町村合併が進められたことが、果して将来どういう効果を生むのだろうかということに対する私の心配のために一応お聞きいたしたのです。  税制の問題につきましても、自治庁の、税制の現状と運営という膨大な資料をいただきましたが、この資料を読んで参りますと、個々の税に対するところの研究がよくなされておると思うのです。しかしながら、個々の税金が相互補完的な関連を持って、どのような作用をなしておるか、こういう点に対する分析がほとんどなされていないんじゃないか。あるいはまた国民所得に対する租税の割合とか、間接税と直接税の比較とか、こういうのは出ておるわけでありますけれども、これではほんとうの税体系というものは把握できないんじゃないか。かようにも考えますし、そういうことを申し述べますのっも、農林省の大臣官房の調査課から出しておりますところの農家経済の現況とその問題、この資料を見て参りますと、私、非常に考えさせられますことは、なるほど国税の場合におきまして、いわゆる一つの累進的な方向をたどっておる。そうして国におきましても、その結果といたしまして、低所得者に対するところの減税をなさなければならない、こういう一つの限界にぶつかっていることを明らかにいたしておると思うのです。ですから政府も、減税々々といわれますものの、すでに直接税の場合におきましては、低所得者に対する限界にぶつかっていることを認めざるを得ないところに追い込まれておる。しかしながら地方税の場合はどうか、低額所得者に税金がおおいかぶさって参っておる。特に農村の場合においては顕著に現われておる。こういうことが農林省の調査課から発表しておるところの資料に出ておるわけであります。こういう点を考えてみますと、個々の税金、事業税あるいはいろいろな固定資産税に対する皆さんの見解はわかりますけれども、これは中央地方を通ずる租税体系として考えて参りますと、地方税の場合は非常に逆進税をとっておる。国の所得の場合におきましては累進税をとっておる。こういうおかしな関係になって参りますし、二つを総合して参りますと、結局所得のある者は少くて、所得のない者が多く出さなくちゃならない、こういうことも数字の上に出て参っておるわけであります。     〔委員長退席、丹羽(喬)委員長代理着席〕 これらの点につきましても、いずれまた地方財政の問題につきまして、いろいろと御意見を承わりたいと思います。  こういう点から考えて参りますと、私のおそれますことは、町村合併をやった結果といたしまして、今、いろいろな地方財政計画を見ましても、あるいは国の施策を見ましても、非常に多くのものが地方に押しかぶさってくるのではないか、こういう点を考えるわけだし、町村合併前よりも後において、一体どういう状態を示して参っておるか、こういう点に対して地方住民としては非常に不安に思っておるのではないか、こういう点を私は指摘いたしておきたいと思います。と申しますのは、ことしになって、鉄道事業債のようなものが町村におおいかぶさってくる。あるいはまた国庫補助負担職員に対する点を見ましても、付加給と申しますか、これらのものはほとんど町村におおいかぶさってきておる。あるいはまた補助金にいたしましても、三千億円の補助金でありますけれども、やはり町村は、地方自治団体は三千億円近いものを負担しなくちゃならない。こういう形に出て参っておりますし、国のいろいろな委任事務あるいは義務的な事務が地方自治団体におおいかぶさって参る。こういうことになって参りますと、ますます固有事務をやる余地がなくなってくるんじゃないか、こういう点をおそれるわけであります。こういう点につきまして、自治庁としてどういう見解を持っておられるかをお伺いいたしたいと思いますが、たとえば交付公債を見て参りましても、一般の起債は六分三厘の預金部資金を借りて参っておる。しかしながら、国の税金から、一時直轄事業に対するところの地方負担分に対しまして、これを六分五厘の利息をもって逆に借りていなくてはならない。われわれの納めた税金をもって交付公債を借り出さなくちゃならない。しかも利息が預金部資金よりも逆に高い、こういうむちゃなことが地方に押しつけられております。あるいはまた地方財政計画で、投資的経費と消費的経費という工合に分けておられる。しかしながら、消費的経費、投資的経費という分け方そのものがおかしいのじゃないか。公債費を見て参りましても、建設的ないろいろな事業が公債費の中に入って参っておりますし、あるいはまた人件費にいたしましても、公共事業の中に含まれておるところの職員費も人件費の中に含まれておる。この区分は非常にややこしい。そういうときに、消費的経費を節減するんだという形をもって、人員を中心とするサービス行政の地方に対する経費負担がおおいかぶさってくるのではないか、こういう点が案じられて参っておりますし、現実的にそういう面が出て参っておるのではないか。ですから、新しく合併いたしまして発足したものを見て参りましても、合併前までは町村でやっておったところの仕事が、どんどん部落へ押しやられて参っておる。たとえば小さな話でありますけれども合併前におきましては、街灯あたりも当然予算から支出しておった。しかし、これが合併して参りますと、とたんに部落の負担になってくる。部落には、水利あるいはPTAあるいは消防、次から次へと経費がやってくる。部落協議会の経費はますます大きくなっておりますし、地方自治団体の一単位のような印象すら与えておる。そこに自然に村が発生して、区長が選ばれたり、あるいはそこには税によらない徴収が行われておる。そこにおいては均等割を中心にした形をもってとられておる。合併前におきましては、これらのものの一部分は、当然自治体の仕事としてやられたものがおおいかぶさって参っておる。こういうのが現実じゃなかろうかと考えるわけであります。そういう点をも十分一つ検討願いたいと思います。  私は、本日の本会議におきまして、地方財政審議会委員の任命を聞きながら考えたのでありますが、自治庁見解、自治庁の解釈、こういう工合にいわれておる人たちが、地方財政審議会委員とか、地方制度調査会委員に選ばれておるわけであります。そういう意味におきまして、今日における町村合併も、あるいは再建促進の特別措置法にいたしましても、これは中央の支配を強化するものである。と同時に、地方における経費を削減するものである。こういう意図のもとにこういう法律が出されたんだ。中央集権化の一つの過程として出されたのではないか、こういう点をいろいろな意味から立証いたしております。たとえば京都大学の島教授にいたしましても、立教大学の藤田教授にいたしましても、いろいろ具体的な町村合併後における現象をとらえて、政府にそういう意図があるのじゃないか、そして政府機関の下請機関としての立場に追い込もうとしておるのではないか、ということがいわれておるのでありますけれども、私は、こういう学者をもやはりそうした委員に任命されて、十分今日における地方自治体の問題、財政の問題、行政の問題に対する討議をされることを期待いしたしております。そういう意味から、私は非常に残念だと思いますことは、教育委員会あるいはまた地方警察、自治体警察、こういう形をもって日本の地方分権と地方自治ができて、民主主義の基盤であるといわれましたのが、御承知通り、地方教育委員会は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律によって、ほとんど中央集権化を余儀なくされた。警察の場合におきましても、あのような騒ぎのものとに自治体警察がなくなってしまった。そうしてまた、現在におけるところの地方自治団体も、町村合併あるいは新市町村建設促進法、あるいは地方財政再建促進特別措置法、こういう法律によって地方分権なり地方自治が侵害されるんじゃないか、こういう点を非常に危惧いたしますので、これらに対する見解をも承わって、私の質問を終りたいと思います。
  208. 青木正

    青木国務大臣 ただいまのだんだんのお話を承わっておりまして、前段の方の問題は、地方財政全般に対する御意見、また御要望等を含めたお話であります。その中で、私どもも、大体の考え方は決して違っていないのでありまして、たとえば交付公債の問題にいたしましても、税外負担の問題にいたしましても、あるいは鉄道利用債の問題にいたしましても、それから補助金に対する地方の負担の問題、また国のいろいろな委任事務についての職員の問題等、やはり地方の立場に立っての考え方は、大体私どもも同じような考え方に立っておるつもりであります。そこで、たとえば交付公債の問題にいたしましても、あるいは税外負担の問題にいたしましても、私どもといたしましては、できるだけ地方の立場に立ちまして、御指摘のように、地方の住民立場を守る、また自治体としての自治の本旨を生かす。そうして地方の町村というものが自主的に財政の運営をやっていけるように、しかも十分に住民の福祉を増進することができるように不断に努力を尽していきたい。私どものやっていることにつきまして、いろいろ御不満のあることもよくわかります。また、なかなか一挙に解決でき得ない問題もありますので、御期待に沿うことができないことをまことに残念に考えております。しかし、考え方といたしましては、御指摘のような方向に向って、私ども全力を尽しておるつもりであります。それからまた、自治関係のいろいろな問題を検討するに当りまして、広く各方面の意見を聞けということもごもっともでありまして、われわれもそういう気持で今後やっていきたいと存じております。  また、地方分権が侵されるんではないか、中央集権になるんじゃないかというようなお話もあったのでありますが、私どもは、やはり何と申しましても、町村というものは、日本の基礎的な自治体として、どこまでも育成していかなければならぬという基本的な考え方に立ちまして、今日までやって参ったのであります。今回の町村合併考え方も、決して中央集権というような気持でなしに、むしろ逆に、町村の力というものをもっとつけまして、町村がりっぱにやっていけるようにすること、そのことが自治の本旨にかなうゆえんであるとも考えられるのでありまして、今御指摘のような方向に向って、中央集権にならぬように、そうしてまた、地方の行財政能力をできるだけ向上することができるように、今後もあらゆる機会に努力して参りたい。  なお、税その他の詳細な点につきましては、また機会を改めてそれぞれ事務当局等から詳しく御説明申し上げたいと存ずる次第であります。
  209. 安井吉典

    安井委員 関連でございますから簡単にいたしたいと思いますが、ただいまの佐野委員の御発言の中に、非常に重要な問題があったと思います。といいますのは、町村合併によりまして、行政の能率化だとか、あるいは負担の軽減だとか、そういったようなことが一つのうたい文句になっていたのにもかかわらず、ところによりましては、それと逆の傾向が出ております。いろいろあると思いますが、市町村の区域が広大になったということから、その行政が、住民からいいまして身近ではなくなった。たとえば市役所や役場がずっと遠くになりますし、議員の数も減ってくるわけです。そういったような問題がありますと同時に、今佐野さんがおっしゃったように、上の機関が身近ではなくなったものですから、結局、旧市町村を単位とした協議会だとか町内会、部落会、防犯協会とか、いろいろな名前でそういった組織ができまして、それぞれ昔の自治体と同じような、税にかわる寄付金だとか負担金といったようなものを取って、一つ住民の意思機関が別にできているというふうな現状です。     〔丹羽(喬)委員長代理退席、委員長着席〕 そういうことになりますと、能率化の反対の非能率の動きになるし、負担が減るどころか、逆に市町村税のほかにそういったものの負担がプラスされる。そういう新しい負担の問題と、末端にできる特別の機関に対する対策はどういうふうにお進めになっておりますか。
  210. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 あまり地域が広大に過ぎましたりいたします際に、市町村から末端に至ります行政指導の度合いをカバーするという意味で、今のような事実上の組織が生れてくる。これは数は多くないと思っておりますが、若干のところにそういう動きがあるということは承知をいたしておるのであります。これは全く自治的な話し合いの場、すなわち、従来ありましたような意味の純然たる部落会とか、あるいは町内会にかわるべきものとして生れておりますれば、とやかく言うべき筋合いのものではないと思いますが、事実上旧町村を区域といたしまして、旧町村の末端の事務を処理する代行機関としてそのようなものが生れてきており、そのためにいろいろ負担がかかっておるという事実がありますれば、これは好ましい考え方とは思いません。またそれだけに、そのようなことにならざるを得なかったという原因については、十分討究をしてみる必要があろうかと思うのであります。新しくできました新市町村行政運営やり方自体に問題点が存するのではないかという感じがいたします。末端に至ります連絡組織等につきましても、われわれといたしましては、連絡員の設置なり、職員の巡回制度の設立なり、さらには部落電話、有線放送というようなことで、そういう欠陥はなるべく補てんしていくという措置をして運営していくように指導をいたしておるつもりであります。しかし、そういうような点について十分でない点がありますために、そのような具体的事例が起ってくるのではないかというふうに考えております。そういうような点につきましては、さらに実態をよく調べました上で、善処いたしたいと考えております。
  211. 安井吉典

    安井委員 非常に重要な問題だと思いますので、十分御調査を願いたい。それによりまして対策をお立ていただくことを要望いたしておきます。
  212. 鈴木善幸

    鈴木委員長 門司亮君。
  213. 門司亮

    ○門司委員 簡単に二つだけについて要求しておったのですが、一つは、一昨日でしたか、資料をお頼みして、きょうその資料を拝見したわけであります。そこで、この資料についてちょっと聞いておきたいと思います。  この資料を見てみますと、町村合併された後における歳出といいますか、予算構成が非常に変ってきているのが目立ちます。特に私どもが注意しなければならないのは、ここに五つあげられておりますが、この五つの合併町村のうち、会議費のふえたのが二つ、減ったのが三つ、役場費等本来減るべきと考えておりましたが、この表を見ると、ふえたのが四つで、減ったのが一つしかない。警察消防費は、二十八年、二十九年に制度が変りましたので、減ったことは当然だと思いますが、土木費は二つの町村がふえて三つ町村が減っております。教育費におきましても、二つの町村がふえて、三つ町村が減っておる。社会労働施設、あるいは健康保険の費用というような面は、大体社会及び労働施設費がふえたのが三つで、減ったのが二つしかない。保健費、衛生費は、これは国民健康保険の関係だと思いますが、全部ふえておる。その次に問題になりますのは、産業経済費が一つしかふえないで、四つが減っておるという事実であります。それから、もう一つどもが注意して見なければなりませんのは、公債費が、全部五つともふえておる事実であります。こういうことをずっと考えて参りますと、財政はきわめて不健全になっておる。そうして、仕事はほとんどしておらない。これでは合併をした効果というものは私は何もないと思う。これは数字が明らかに物語っておる。一体こういうことについて、自治庁は真剣にどう指導しようとされておるのか、その点を一つこの際はっきり承わっておきたいと思うのです。
  214. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 御指摘の点は非常に重要な問題でございまして、われわれも種々検討をいたしておる問題でございます。個々の新市町村の財政構造の実態というものをしさいに検討をいたしてみる時期というものは、すでにおそいかもしれませんが、われわれ真剣に取り組むべきときに来ておるのではないかという気持がいたします。門司委員から資料要求がございましたので、一応手元にありましたものについて、サンプル的に抽出いたしましてお手元にお届けをいたしたのでありますが、大体、今お述べになりましたような傾向の見えることは事実でございます。ただ、われわれとして通観的に見ますときに、たとえば役場費というようなものについて、若干ふえておる傾向もございます。また、時によっては、かなりそれが大幅に増高いたしておりまする年度もございます。こういうことは、これは一つの言いわけになるかもしれませんが、臨時の施設費、いわゆる役場の新築費、増築費というような面が入ってふえたところもございまするし、さらにその後におけるべース・アップなり、給与改定の問題が組み込まれております。もう一つは、建設的な面といたしましては、新市町村になりまして、全体の財政規模が若干伸びて参りました結果から見まして、特に産業土木関係の技術職員というものを市町村自体でかかえるという傾向が出てきたというような点を指摘することができるのではないかというふうに考えるのであります。教育費等につきましても、臨時の施設がございまする場合、さらにはベース・アップの関係がここに影響をして参るのではないかという感じがいたします。公債費の増高等につきましても、これは引き継ぎの公債費の償還年次が参ったというような点等もございまするし、さらには合併直後において、いわゆる合併条件というものを履行いたしまするために臨時施設を行う、そのための起債というものが公債費の中に上ってくるというような要素も考えてみなければならぬと思うのであります。大観いたしまして、われわれが現在考えておりまするのは、合併をいたしました次の最初の年度というものは、どうしても財政構造自体がそう健全な姿にはなって参らないということであります。ただ、それが二年、三年とたって参りますると、だんだん合併計画調整も進んで参りまして、計画自体の遂行というものが合理化されてくる機運というものを十分看取できるのではないか、こういうふうに考えられます。ここで消費的経費と投資的経費というものを、さらに再分類をして集計をいたした数字は出しておりませんが、よくいっているところでは、大体やはり消費的経費が減って、その分が投資的経費に回っていくというような現象は、これははっきり看取し得るのではないかというふうにわれわれとしては見ておるのであります。いずれにいたしましても、もう少し顕著に合併の効果というものが財政構造の上においても現われなければならぬということは、私たちもその通りであるというふうに思う次第でございまして、今後は、それらの点につきましては、さらに個々具体的な指導なり——それがあまりにも干渉がましいことになっては困りますけれども、財政運営のあり方自体というものにつきましては、合併計画の遂行との関連上、各種のむずかしい問題もあろうかと思いますけれども、できるだけ合理的な財政構造に持って参るように、今後とも注意を払って参りたいと考えております。
  215. 門司亮

    ○門司委員 今そういうお考えだという。そのお考えでよろしいかどうかということは、今後の検討に待たなければならぬと思いますが、減り方にしましても、土木であるとか、教育であるとかいうようなものが減って、役所費あるいは議会費というようなものがふえてきておる。従って私は、先ほどからも同僚の質問がありましたように、おそらく税外負担というようなものがだんだんふえてきて、これがまかなわれてきておると考える。そうだといたしますと、住民期待というものは非常に大きく裏切られて、やがてまた分村運動等が起るような結果をここから生じてくるというような結果が私は出てくると思う。これ以上きょうはおそいから申し上げませんが、もう一つお願いをいたしておきたいことは、これについて歳入構成をあわせて資料として配っていただきたい。そうすることによって、私どもは、やはり新しい町村の将来への方向というようなものについても、財政的に見て参りましても、あるいは行政の指導の面に見て参りましても、これは十分気をつけなければならぬことだと思います。せっかく国が政策を立てて、地方のしかも健全化のためにやった仕事が、かえって住民の不幸を招くというようなことになりますと、やはり町村合併は失敗だったというような結論が出てくるかと思いますので、そういうことのないようにぜひ注意をしてもらいたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、これと同時に、歳入構成の面についても一つ何らかの資料を出していただきたい、これをお願いいたしておきます。  それからもう一つこの機会に聞いておきたいと思いますことは、これは自治庁が何か考え違いをしておるのじゃないかと思いますが、そのことは私が言うよりも、自治庁の方がよく御存じだと思いますが、「自庁総発第五一〇号 昭和三十三年八月二十六日 自治庁官房総務参事官 各都道府県人事主管課長殿」と、こう書いてあります。そうして「昭和三十四年度地方公務員幹部候補者の採用試験について」と書いて、そうして自治庁が指令を出しまして、自治庁で試験を受けさしておるということが通達によって明らかになっております。今日の地方公務員法をごらんになるよりも、むしろあなたの方がくろうとだからおわかりだと思うが、地方の自治体の職員については、大体地方で試験をするなり、あるいは選考採用をするなりというようなことで募集をすることができるようにちゃんとできておるはずである。私はなぜそういうことを言うかといいますと、自治庁がこういうことで地方公務員の幹部の候補生の試験をやるのだ、いわゆる「地方公務員幹部候補者の採用試験について」と、こう書いてあるこの事実が、どういう形で地方に反映をしておるかといいますと、もう時間がおくれておりますので多くを申し上げませんが、中央で、こういう形で採用された職員が地方に出る場合に、地方の都道府県あるいは市町村の試験を受けて採用される場合、同じ大学を同期に出て、同じような、国家試験、地方試験の差であって、採用試験に合格した者が、どういう姿になって現われてくるかということであります。自治庁は本省であるという昔の考え方のもとに、ここで採用された者が、いわゆる地方公務員の幹部の候補者であるということを印象づけられて参りますと、かつてのいわゆる高検を受けて出たような気持が当然出て参ります。地方公務員の試験を受けた人が一段下だというような感じが出てくることは当然です。従って、これは具体的には、同期に大学を出て、自治庁に採用された人と、地方に採用された人が、どういう形になってくるか。地方におれば係長くらいのときに、中央に採用された人は、その都道府県市町村に対しては課長というような名前で転出が容易になってくる。昔の内務省を今日の自治庁はこしらえようと考えているのじゃないかと思う。これは官僚の最もおそろしいところだと思う。しかも、こういう形で中央で募集をして地方に派遣した者のリストができているというのでしょう。今日の自治庁は、こういう出過ぎたことを一体どうしてやるのですか。人事権を握って、そうして地方の自治体を支配しようというようなものの考え方、これは一体どうしてこんな書類を出したのですか。私の手元にある資料は間違いないと思っているのです。こともあろうに「地方公務員幹部候補者」と書いてある。これでは、どんなに自治法が新しい憲法のもとに地方の住民自治の形を打ち出しておっても、中央に人事的な支配権というものを握られてしまうことになる。財政的にも中央に握られてしまう。昔の内務省とどこが違いますか。同じことでしょう。なぜ一体こういうことをしなければならぬのですか。これは自治庁が、国家公務員試験によって採用して、それらの諸君と地方との交流も、必ずしも悪く言うわけではございません。しかし、ことさらにこういう地方公務員の幹部試験をするのだということでとっておいて、地方に閥をこしらえようというものの考え方——これは府県で公示されたからみんな知っているのですよ。自治庁からこういう通知が来たからどうだということで出ている。これは私はゆゆしい問題たと思うのです。どうして一体こういうことをされたのですか。その意図を一つ明らかにしていただきたい。
  216. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 私の所管でございませんですが、便宜上一応私から知っておる限りのことで申し上げたいと思います。これは実はことしから始まったことではございませんで、なおさら悪いとしかられるかもしれませんが、従来からずっと引き続いてやってきておるのであります。そのねらいといたしましては、今門司委員も仰せになりましたように、人事交流のある程度の円滑化をはかりたいというねらいが一つでございます。それと、これも地方団体側からいいますれば、地方団体自体で採用いたします職員というものとの均衡からいってけしからぬじゃないかという御批判もあるかと思うのでありますが、地方団体側からそれぞれ希望がございまして、本年は一名そういう職員をもらいたい、私の方は二名よこしてもらいたいというような依頼が実はあるわけでございます。これは実は国家公務員試験を合格いたしました者は、何といいましても、その道については一つ基準でございまして、優秀な人も多かろうかと思うのでございます。そういうような人を試験でもってとりたいという県があるわけでございますが、いろいろ地理的な関係、場所的な関係から申しまして、そういう人だけを優先的に取り扱うというようなことがなかなか困難であるというような事態もあるわけでございます。そこで県の方から、毎年何名ほしいということで依頼が参ります。これは私どもで別に強制をしてやっておるわけではございませんので、県の方から推薦を願いたいという依頼が参ります。その依頼が参りました際に、大体その人数との見合いにおきまして、自治庁といたしましては、国家公務員の試験に合格をいたしました者の中から志願者を募集いたしまして、これについて口頭の試問その他の方法によって、その適性を検査いたしまして、その結果、合格をいたしました者を決定して、これを本人の志望その他ともにらみ合せまして、地方に御推薦を申し上げておるという制度をとっておるのであります。従って、この点は採用自身も地方の随意でございます。こちらから発令するわけでもございませんし、こちらが押しつけるというわけのものでもございません。それぞれ御推薦を申し上げた者について、各県において適当と認めた者につきまして、吏員としての採用を発令いたしておるということでございます。われわれといたしましては、別にまた旧内務閥をもう一ぺん復活するとか、そういうような意図を持ってやっておるものではさらさらございません。もっぱら地方と中央との人事交流ということについて、一つのスムーズな道を開いておく方がいいのじゃないかというような点と、地方からの要請にこたえて、そういうう道を講ずることも適当なのではないかというような見地から、本制度を採用いたしておるものというふうに承知をいたしておるのであります。
  217. 門司亮

    ○門司委員 そういう説明をされておりますが、これはすなおにいけないことはいけないと申された方がいいのです。昔の高文試験を受けた人たちのリストみたいなものができておるのです。今お話ですけれども、この書類を読んでごらんなさい。見出しは「昭和三十四年度地方公務員幹部候補者の採用試験について」と書いてあって、それからなお備考のところにおもしろいことが書いてあるのです。「合格者は、当庁関係地方公務員幹部候補者として道府県又は自治庁に採用される。なお将来本人の希望等によって道府県庁と中央官庁間及び道府県庁相互間において人事交流が行われる。」こう書いてある。「試験に関する問合せ等は、長官官房総務参事官室(人事係)あてにすること。」と書いてある。こういうようにちゃんと断わり書きを書いて御丁寧に備考がつけてある。私は、まさかこういうことはしていないと考えておりましたが、これは昔の内務省とちっとも変らないのですね。これでは私は、自治庁の性格自身から議論をしなければならぬようになってくると思うのです。どうして一体こういうよけいなことをされるか。私はさっき申し上げましたように、国家公務員として自法庁に採用される人は、これは人事交流はあるかもしれない。私は、人事の交流を絶対にしてはいかぬとまでやかましいことを申し上げませんが、こういう形にしてやられると、同じ年に大学を出た人で、中央に採用された人と地方に採用された人は、そこに非常に大きな将来の差ができてくるわけであります。地方で採用された人は、いつまでたってもやっとこさ地方の部長くらいまでしかしれない。この採用される人は一応要職につく人なんです。幹部候補者の資格を持っているのですからね。今度の地方公務員法でも、そういう取扱いをしてはいけないのじゃないですか。そんなことがいえるのじゃないですか。公務員法を見てごらんなさい。そんなことが一体できる道理がない。ちゃんと法律ができているのでしょう。だから、これは一つ大臣に率直に御答弁を願いたいと思うのでございます。これは「長官官房総務参事官室」と書いてありますから……。
  218. 青木正

    青木国務大臣 私まことにうかつで申しわけないのでありますが、そういうことを、実は正直に申し上げまして承知いたしておりませんので、よくまた事務当局の意見も聞きまして、どういう考えでそうやっているのか、またどういういきさつがあるのか、よく私も検討してみたいと思います。しかし、おそらくサービスの気持と申しますか、どういう気持でやったものかわかりませんが、なおよく調べてみます。
  219. 中井徳次郎

    ○中井(徳)委員 今門司さんのお話なんですけれども、実は、数年前から私はこういうことを気づいておりました。しかし、いろいろ御事情もあろうかと思ってあまり取り上げる気にも、実は半分なったりならなかったりということでございましたが、今問題が出ましたので申し上げますけれども、かりに百歩を譲りまして、自治庁が人をとる。そしてそういう人が見習いの期間地方で勉強する。これは必要だと思うのです。それならばなぜ、たとえば京都市だとか、名古屋市だとか、あるいはいなかの舞鶴だとか、そういうところへ若いときに出さないのですか。行くところは県にきまっている。二十七、八才でどこかの課長になる。そういうことだから自治庁の御見解でも、はっきり申し上げますが、私の方の北山君初め私どもは、市町村をやってきましたから、皆さんと議論したらすぐ勝つでしょう。あなた方は県のことならわかっているけれども、何も知らぬじゃありませんか。それではほんとうの自治体を運営するに足る人物の養成とは、私は思えない。私が言いたいのは、そういうところに旧態依然たる考え方がある。ですから、この辺のところは、新しい憲法に基いて、すなおな気持でやってもらいたい。そこで私は二、三年前からも、たとえば恩給の通算の問題等にいたしましても、こういうことがあるから、県と政府の間は前からできておりますが、市との間はできていない、町村との間はできていない。それはいかぬということを強く言いました。また、学校の先生方でもそういうことがあります。そこに基本的にやはり問題がある。この間、私は兵庫県の市町村を一週間ほど回らしてもらったが、実際みじめな待遇でございます。そういう給与体系に至るまで、皆さんはまるで気づかれないのです。だから、自治体の方が国家公務員より給与が上だと思い込んで調査したとたんに、まるで低かったというようなことが、ことごとく出てくるわけです。だから皆さんのお気持をすなおに出していただきたい。やはり多少こだわっていらして、そんな小さなところに行くのはいやだという非常に世俗的なものがまだ残っております限りは、ほんとうの姿を自治庁はつかめぬと思います。これだけ一つ、忠告と申しては失礼ですが、申し上げておきます。もしおやりになるならば、幹部とかそんなことをおっしゃらずに、堂々と御採用になって、そうして見習い奉公に出されるがいい。藤井さんは、先ほどからもらいにくると言いましたが、それにはみな裏があることくらいわかっておるでしょう。そういうことをぬけぬけとおっしゃるものじゃございません。もっとすうっとしておやりにならぬと、自治体はよくならぬ。これだけ申し上げておきます。お気をつけて下さい。
  220. 鈴木善幸

    鈴木委員長 他に御質疑はありませんか。——他に御質疑がないようでありますから、本案に対する質疑はこれにて終局することにいたします。  次会は明二十四日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後七時四分散会