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園田委員長 小林君の質問に関連をして、
委員長から総裁並びに常
務理事に申し上げます。衆議院規則第六十六条、
委員長は
委員会の議事を整理し、秩序を保持するという責任から、
委員の質問、言論並びに
政府委員の答弁の言論を保護する権限はございますが、その内容を批判し、または擁護する義務はございません。従ってその意味において小林
委員の質問を擁護する意味でもなく、批判する意味でもなく、また
政府委員の答弁を批判する意味でもなく、公正な
委員長の立場として二つだけ申し上げます。
その一つは、本日小林
委員から質問された事項は、先般の
社会労働委員会でほとんど同様の質問をなされて、しかも国鉄の総裁並びに
関係係の出席は、その
委員会の散会直後要求してございます。小林君の質問が事実であるか、あるいは見当はずれであるかということは、
委員会で展開される
議員の質問、及び直実を
調査して事実を並べられて、自分の所見とともに開陳をせられる
政府委員の答弁とともに、両方照合して、おのおの結論が出てくるし、見解の一致を見ないものは国民の批判によってこれが出てくるものと
委員長は解釈をいたします。そういう意味において、このような
委員会の大きな問題となり、しかも
労働大臣に質問をされた事項については、今後さらに国鉄当局においては事前
調査をして、準備周到にして出席をし、
議員の質問に的確に答弁されるよう
委員長として要求いたします。
次にもう一つは、先般小林
委員の質問に関連をして、新潟日報九月三十日付の新聞に、事実を曲げた中傷という見出しで、河村新鉄局長が小林発言に反駁をいたしております。これについては
吾孫子常
務理事も先ほどの答弁の中に若干触れられた模様であります。この新聞をお読みになったかどうか、あるいは総裁にお見せになったかどうか、それはお伺いはいたしませんが、少くともこれは新潟鉄道局の労働争議に対する不当干渉であるかどうかということとは別個の問題として、国
会議員の権威に関する重大な問題でございます。この内容は読み上げませんが、まず新鉄河村局長が言っていることは、小林氏は故意に事実を曲げて中傷しておる、国
会議員としてあるまじき軽率な態度だということから言い始めて、小林
議員の質問に対し否定的な事実を並べ、その中で、しかし新潟地本をつぶしたいというのはなるほど私の持論であるが、こういうことを言って、一番最後の結びには、いやしくも国
会議員として軽率きわまる行為といえよう、こういうことで結んでおります。もちろん
吾孫子常
務理事は、これは談話でもなければ声明でもないと言っておられまするが、いやしくも国鉄局長の地位にある者が役所で、一人であろうと二人であろうとも、新聞記者に向って語る談話としてはきわめて不謹慎であるばかりでなく、国
会議員の権威に関する重大な問題であります。憲法五十一条には「両議院の
議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。」これは国
会議員が無責任であるという意味ではございません。審議並びに討論について、国の最高議決機関として権威ある自由なる討論を与えるために憲法で保障された国
会議員の唯一の基本的な保障であります。今日まで
委員会において某
議員が
政府委員に質問をした際、その
政府委員がその質問に答弁しないで、
議員の質問が不当であるかのごとき印象を与え、あなたはそういう質問をしたが、日本国の
現状はこうであるということは御存じかと逆質問をした例があります。その際、
委員長は直ちに
政府委員の発言の中止を命じ、
政府委員には、出席をして国
会議員の審議、質問に応じて答弁する権限はあるが、国
会議員に質問する権限は与えてないと、非常に厳重な抗議をしたことがございます。これもともに国
会議員の言論に対する権威の保持からきたことでございます。そういう意味において、これが事実であったかなかったかということは、国鉄と新潟日報の対決すべき問題でありましょう。しかしながらいやしくも公器たる新聞に載せられた以上、河村新鉄局長の談話が事実であるかどうか、小林
議員がゆかたがけで河村局長と対談されたことについては、
委員長は論外であります。いやしくも
委員会において発言した内容について一公務員が、たとい
大臣といえ
ども総理
大臣といえ
ども、自分の職務上院外においてこれに批判を浴びせ、これに対する権威について語るということは、国
会議員として許されるべきことではございません。従って、新聞を調べてみたらそういう事実でなかったということでお済ましになるわけにはいきますまい。これは当然社会労働一
委員会の問題ではなくて、国会の問題として当局長を招致し、これに対する取調べがあることは当然のことであると考えております。後日にその問題は取り残されます。なおそういうわけでございますから、今後ともこういうことについては総裁も常
務理事も特に注意されて、しかも政治的に申しましても、理論的に私が申した
通りでありますが、こういう問題になっている
事柄の事実を
調査し、反省すべきことは反省して、円満に労使の協調に持っていくことは総裁の持論でもあるし、これはまた当然のことであると思います。それを一局長がみずからこれに反駁を加えて、ことさらに紛糾を来たすがごとき言論は、政治上から見ても適当でなかろうと私は判断をいたします。どうぞこういうことについては今後十分御注意あるよう、
委員長としてここに発言しておきます。
なお、ただいま小林
委員から提案がありましたが、この提案については、
社会労働委員会に属する問題でございますから、これは与野党の
理事に諮って後日この問題を決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後六時八分散会