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1958-10-22 第30回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月二十二日(水曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 木村 守江君 理事 佐藤虎次郎君    理事 瀬戸山三男君 理事 二階堂 進君    理事 上林與市郎君 理事 中島  巖君    理事 三鍋 義三君       逢澤  寛君    大久保武雄君       久野 忠治君    島村 一郎君       砂原  格君    橋本 正之君       服部 安司君    林  唯義君       村瀬 宣親君    石川 次夫君       兒玉 末男君    塚本 三郎君       武藤 武雄君    山中 吾郎君       山中日露史君  出席政府委員         総理府事務官         (首都圏整備委         員会事務局長) 樺山 俊夫君         建設事務官         (計画局長)  美馬 郁夫君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君  委員外出席者         建設事務官         (河川局次長) 曽田  忠君         専  門  員 山口 乾治君     ――――――――――――― 十月二十二日  委員小西寅松辞任につき、その補欠として久  野忠治君が議長指名委員に選任された。 同日  委員久野忠治辞任につき、その補欠として小  西寅松君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十月二十日  国道三次、尾道間舗装に関する請願永山忠則  君紹介)(第六三九号)  災害対策基本法制定に関する請願石山權作君  紹介)(第七三二号)  宅地建物取引業法の一部改正に関する請願(加  藤鐐五郎紹介)(第七三三号)  同(新井京太紹介)(第七七七号)  同(荒舩清十郎紹介)(第七七八号)  同(内海安吉紹介)(第七七九号)  同(久野忠治紹介)(第七八〇号)  同(櫻内義雄紹介)(第七八一号)  同(中島巖紹介)(第七八二号)  同(中村梅吉紹介)(第七八三号)  同(武藤武雄紹介)(第七八四号)  芝川改修事業促進に関する請願(纐纈彌三君紹  介)(第七三四号)  荒川左岸下流地域水害防除に関する請願(松  永東君外二名紹介)(第七八五号) 同月二十一日  芝川改修事業促進に関する請願板川正吾君紹  介)(第八五一号)  道路整備促進に関する請願丹羽兵助紹介)  (第八五二号)  二級国道新潟平線改修に関する請願武藤武雄  君紹介)(第八五三号)  災害復旧促進法制定に関する請願小澤貞孝  君紹介)(第九五八号)  同(中澤茂一紹介)(第九五九号)  同(松平忠久紹介)(第九六〇号)  南佐久郡下の災害復旧工事促進に関する請願  (羽田武嗣郎紹介)(第九六一号)  中央自動車道早期実現に関する請願小澤貞  孝君紹介)(第九六二号)  同(中澤茂一紹介)(第九六三号)  同(松平忠久紹介)(第九六四号) の審査を本委員会に付託された。 十月十七日  岡山市の都市計画施行に対する監督命令に関す  る陳情書  (第二三一号)  下水道施設整備促進に関する陳情書  (第一四五号)  県道飯野加治本線及び水俣栗野線国道編入に  関する陳情書  (第一六〇号)  都市改造事業に対する国庫補助増額等に関する  陳情書  (第一六一号)  昭和二十四年度以降建設公営住宅譲渡処分禁  止解除等に関する陳情書  (第一六二号)  道路公団の組織及び運営に関する陳情書  (第一六三号)  私設道路規制措置に関する陳情書  (第一六四号)  都城市、鹿屋市及び指宿市間の県道を二級国道  編入に関する陳情書  (第一六七号)  鹿屋市、吾平町及び佐多町伊座敷間の県道を主  要地方道指定に関する陳情書  (第一六八  号)  二級国道垂水町、串良町間の舗装工事実施に関  する陳情書  (第一六九号)  新潟海岸保全事業わく拡大に関する陳情書  (  第一七九号)  東京、名古屋間の高速自動車道建設促進に関す  る陳情書(第一  八一号)  二級国道松山高知線及び高知徳島線の一級国道  編入に関する陳情書  (第一八二号)  都市不燃化のための中高層建築助成等に関する  陳情書(第一九  二号)  山形県下の一、二級国道完全舗装等に関する陳  情書(第一九六  号)  河川法の一部改正に関する陳情書  (第一九七号)  矢作川上流ダム建設に関する陳情書  (第一九八号)  香川、岡山間橋梁架設に関する陳情書  (第二〇〇号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  河川法の一部を改正する法律案内閣提出第二  九号)  首都圏既成市街地における工業等制限に関  する法律案内閣提出第三〇号)(予)      ――――◇―――――
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 これより会議を開きます。  河川法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本案につきましては、前回の委員会において、建設大臣より提案理由説明を聴取いたしたのでありますが、本日は、まず補足説明を聴取することにいたします。山本河川局長
  3. 山本三郎

    山本政府委員 先般提案理由説明がございました河川法の一部を改正する法律案につきまして、逐条的に御説明を申し上げます。  まず第十七条の二の土石採取許可における規定の新設でございます。これは、現行法におきましては、第十九条の規定に基く都道府県規則によって規制されることになっておりますが、提案理由説明でも申し上上げましたように、土石採取は、河川の治水、利水に重大な影響を及ぼす行為でございますので、これを改めまして、都道府県知事許可を要することに法律上明定いたしたのでございます。本条の許可は、一面では、公物における制限解除の意味を持つものであると同時に、また採取者に、掘採した土石を取得する権利を付与する特許性格を持っていることになります。  次に、第四十二条の改正でございますが、十七条の二の規定による許可が、掘採上石取得権を付与する特許としての性格を持っている関係上、その特別の権利を付与したことに対して、許可者たる都近府県知事において土石採取料を徴収できることを規定したわけでございまして、二の性格は、流水古川料敷地占用料等と同じであります。現行法におきましては、上石採取特許と考えず、採取した砂利は、河川生産物払い下げという私法上の契約に基く収入として取り扱っているのでありますが、今回の改正により、公法上の収入として徴収することとし、必要があるときは、第五十五条の規定により、強制徴収することもできるものといたしました。土石採取料府県収入に帰属する点は、現行法と同様でございます。  第五十八条以下の改正規定は、罰則に関するものでありまして、現行法においては、第五十八条の委任規定に基き、政令省令都道府県規則でそれぞれ必要な罰則規定しているのでありますが、罰則をできるだけ法律規定上明確にするとともに、その限度、種類についても、社会事情変動等を考慮いたして、整備をはかったのであります。すなわち第五十八条は、河川法許可を要する行為のうち、許可を受けないで工作物を新築、改築、除却し、土石採取し、または流水を占用した者に対する罰則規定でございまして、海岸法その他の公物法規との均衡を考慮して、これを一年以下の懲役または十万円以下の罰金に処するものといたしました。  第五十八条の二は、許可を受けないで河川敷地を占用した者、または都道府県知事が、河川工事のために堤外地等に立ち入り、その土地にある工事障害物を除去するのを拒み、または妨げた者に対する罰則で、六カ月以下の懲役または五万円以下の罰則に処することにより、それぞれ河川敷地の適正な利用の確保と、河川工事の円滑な遂行を担保することといたしました。  第五十八条の三は、第四十三条の許可を受けないで、舟筏から通航料を徴収した者に対する処罰規定でございますが、現行法では、政令によって三カ月以下の懲役または五十円以下の罰金となっておりますが、現在の刑罰体系から見て、自由刑をもって担保すべきほどの可罰性のある事項とは考えられないので、五万円以下の罰金刑のみにとどめることといたしました。  第五十八条の四につきましては、第五十八条から前条までに規定されている行為は、法人がその業務として行い、あるいは使用人が業主のために行う等のことも少くないわけでございますが、現在の刑罰理論では、法人には犯罰能力がないとされており、これらの場合、具体的違反行為者のみが罰せられることになるにすぎません。しかしながら、これでは違反行為取締りの徹底を期することができないので、そのような場合には、当該法人業主に対しても罰金刑を課することとしたのであります。  第五十八条の五第一項は、罰則委任でございまして、現行法では、広く河川法に基づく命令一般に対して罰則委任し、これを河川法施行規程によって制限していたのでありますが、今回は罰則規定することができるのは、第十三条、第十六条、第十九条、第四十三条第二項及び第四十七条の規定による命令に限定されることを法律で明確にいたしました。  次に、第五十八条の五第二項は、前項により命令罰則規定する場合において、政令省令都道府県規則の別に従い、それぞれに規定されるべき事項との均衡を考慮して規定すべき罰則最高限を定めたものであります。ただし書きにつきましては、第五十八条の三の規定で、通航料徴収に対する自由刑を廃止したこととのつり合い上、罰金刑のみとしたわけでございます。  次に、附則について御説明申し上げます。附則第一項は、改正法律施行期日に関するものでありまして、公布の日から施行することとしたものでございます。  附則第二項は、この法律施行の際、現に改正前の第十九条に基づく都道府県規則により許可を受けて土石採取している者は、改正法による許可を受けたものとみなし、当該許可が有効である間は、あらためて許可を受けることを要しないこととしたわけでございます。  附則第二項後段につきましては、改正前における土石採取料に当るものは、私法上の払い下げ契約によって収納されていたわけですが、本項前段により、改正法による許可とみなされた許可にかかる土石採取料のうち、改正時以後の採取に対するものについては、改正法規定による公法上の収入として徴収できることとしたわけでございます。  附則第三項は、従前河川法第十九条に基く土石採取について、都道府県規則制定されていなかった場合、または都道府県規則制定されていても、許可制度をとっていなかった場合等におきまして、それまで適法に土石採取していた者についても、この法律施行と同時に、すぐさま許可を受けなければならないこととなるわけでございますが、この間の円滑な移り変りをはかるために、その者が従前と同様の条件によって土石採取を続けるときに限って、三十日の猶予期間を置き、その間に必要な手続を行わせるものとしたわけでございます。  附則第四項は、この法律施行前に行なった違反行為に対する従前罰則の適用は、この法作施行により消滅させるべきではないので、なお従前の例によって処罰することといたしました。  以上上、河川法の一部を改正する法律案についての逐条御説明を終ります。
  4. 堀川恭平

    堀川委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告があります。順次これを許します。塚本三郎君。
  5. 塚本三郎

    塚本委員 ただいま提案せられております改正の中で、土石採取について、業者地方行政庁許可を受けなければならないということになっておりますが、許可を受けるその許可内容というものは、どういうふうな形になっておるのか。たとえば、ここからこの地点までをとっていいとか、あるいはどこまで掘るのかという深さとか、そういう関係は、どういうふうな程度許可ということになっておりますか。その点をお伺いいたします。
  6. 山本三郎

    山本政府委員 許可を受ける際に、どういうふうな書類を出して知事のところに申請をするかということの内容だと思いますが、もちろんその中には、どこからどこの地点までに、どれだけの幅で、どれだけの深さで、どれだけの量をとるということを具体的に図面または書類をもって内容をきめまして、許可申請してくるわけでございます。
  7. 塚本三郎

    塚本委員 そうしますと、今度は許可を必要とするということですけれども、現在まで全然無許可でやっていたものなのか、砂利採取法によると、許可が要るということが出ておると思いますが、そでの点、現在までは大体どういうようなことになっておったか、御説明願います。
  8. 山本三郎

    山本政府委員 ただいま申し上げましたのは、現在行なっておる許可申請につきましての内容を申し上げたわけでございます。ただ現在の規定によりましては、都道府県知事規則を作りまして、それによりまして知事許可を受けさせることにしております。今回は、規則を作らないで、法律知事許可を受けさせるようにしようというのが、今回の改正のねらいでございます。
  9. 塚本三郎

    塚本委員 そういたしますと、法でそれを規定するということになると、監督して、これを許可範囲から逸脱しておるとか、あるいはまたその許可内であるとかいうことに対して、一々罰則規定が載っております以上、それをはっきりとどれくらいとっていいとか、どれくらいの地域だとかいうことについて監督者というものがつくものか、つかないものか、おそらく罰則規定ができると、監督する者がなければならぬと思いますが、もし作るとすると、どういう形で監督するか、現在までは、それをどういうふうに監督しておったか、この点の具体的な実例をあげて下さい。
  10. 山本三郎

    山本政府委員 許可申請によりまして、とる量なりとる位置がきまっておるわけでございますから、それを、具体的に現地におきまして、その通りやらせなければいかぬわけでございます。その方法といたしましては、県におきましては土木出張所がありまして、河川監視をいたす係がおります。それが現地を回りまして、具体的にどういうふうにやっておるかということを監視するわけでございます。それから特に多量にとっておる場合におきましては、砂利採取監視員常駐させまして、監督させております。以上のように、具体的に河川管理者である知事は、自分の職員を使いまして、現地監督させておるというのが実情でございます。
  11. 塚本三郎

    塚本委員 すでに常駐で専門の監督、者を置いてある県もある、こういうことになるわけですか。
  12. 山本三郎

    山本政府委員 特にたくさん砂利をとるというようなところにつきましては、常駐の見張りを作りまして、監視員を置いております。
  13. 塚本三郎

    塚本委員 それに違反して今までとっておったから、こういうふうな改正法が出されたのだと思いまするが、現在まで違反者とか、そういうものは相当多量にあったのかどうか。そういう都道府県規則によってきめられたものに違反する者に対する罰則、こういうものについては、大体どんな程度まであったか、あるいはパーセントからいって、許可した者と違反者との割合、そういうようなものの程度というものは、特定の県を出していただいてもけっこうですけれども、そういう具体的な実例を、もう少し詳しく説明していただけませんか。
  14. 山本三郎

    山本政府委員 まず、砂利採取許可を受けた量よりもたくさん取る、あるいはその結果非常に深く取ってしまって、河川影響を与えるというような例があるわけでございまして、ところによりましては、許可数量の三倍も取っておるというよな例が、東京の近郊にはあるのでございます。それから許可を受けないで取っておるというのがたくさんあるのは、おもなる例は大阪付近の川でございますが、許可を受けないで取っておるのがありまして、それを注意を与えますと、そのときは取らないようにするけれども、また監規員のいなくなった夜等に参りまして取るというような実例がございまして、その取締りに非常に片心しておるわけでございます。罰則は、現在違反した者に対しましては、二千円までの罰金が課せられることになっておりますので、そでれが非常に低いために、二千円出しても、砂利をよりい取れば、その方が得だというような観念から盗掘が非常に行われておる。あるいは量がよけい取られておるというのが実情でございます。
  15. 塚本三郎

    塚本委員 どうですか、その場合、罰則を重くするというふうなことに、改正の五十八条でなるわけでございますけれども、その許可を得なくて取ったり、あるいは許可範囲から逸脱して多量に取る。ところが御承知通り、この砂利というようなものは、相当高価なものに最近なりつつあるということは、御承知通りと思います。そうなると、その罰則規定を重くするということによって目的を達することができるかどうか。それよりも、もっと監督機関を強くする方が大事じゃなかろうかというような感じもいたすのでございますけれども、そうすると、人件費問題等も出てくるのではないかと思いますが、この点、今までも相当あるという話ですが、割合から言いますと、許可を逸脱して取る者が大体どれくらいの割合あったか、あるいは無許可で取る者が全採取量の中でどれくらいの割合あったか、こういう点、何か御検討なさったことがあるのでしょうか。
  16. 山本三郎

    山本政府委員 先ほど申し上げましたように、場所によりましては、許可数量よりも三倍も取っておるというような場合がございますし、また場所によりましては、取ってはいけない堤防のすぐそばから取っておる、それが、従来取っていないものですから、砂利の質が非常にいい、しっかも、それを幾ら追い払っても盗みにくる、人のいないときに取るというような事態で、非常に因っておるわけでございます。許可を受けないで取るという量は、全体の採取量から比べますと、そう大した量ではございませんと思いますけれども場所によりましては、非常に困っておる実情でございます。  それから、人間をよけい置けば取締りができるじゃないかというようなお話でございますが、それも、もちろん必要だろうとは思いますけれども、兵庫県等の例によりますと、人間がおっても、けんかづくで取っていくというような例もございまして、そういう場合には、別途の取締り罰金刑を重くした等の取締りをやらないと、どうしてもこれが処置できないという実情にあるわけでございます。
  17. 塚本三郎

    塚本委員 私がこんなことを申し上げなくても、十分御存じだろうと思いますけれども、今日の砂利重要性というものは、おそらく一切の工事において、セメントと並行して、さらにまた近代的な建築、また道路あるいは地下資源等を発展させるために、これが不可欠のものであり、さらにまた、今後ともその重要度は、日本の国家が近代的に進めば進むほど、それと並行して重要度を増してくるものだろうと思うのです。ところが御承知通り砂利を取りたいという都会の近くの河川では、もはやなくなってしまっておるのじゃなかろうか。さらにまた取ってほしいような上流や、要らないところでは、ほとんど運賃その他で単価が高くなってしまう。こういう現象等も出てきておると思うのです。そうすると、今後たとえば五年なり十年なりま、日本建設計画というものを考えてみて、さらにそれと今日の河川の中におけるところの採掘可能な砂利埋蔵量というもの、こういうものが比較せられて、もちろんこのことは、河川の損壊を防止しなければならぬという大前提のもとでやることは当然でありますが、そういうことを阻害することなく、建設工事促進ということを考えてみて、採取可能な埋蔵量はどれくらいであるとか、こういうような点についての御検討をなさったかどうか。もしそういうことがわかっておりましたら、大よその見通しについて御説明願いたいと思います。
  18. 山本三郎

    山本政府委員 お説のように、砂利がわが国の建設工事にとって最も重要なものであるということは、私ども承知しておるわけでございます。今回の法律規定は、そういうふうな砂利採取を禁止しようということではなくて、砂利を盗んで取る者を取り締ろうということでございますので、健全な砂利採取は、そのためにかえって育成されることになるというふうに考えておるわけでございます。  それから、今お説の通り砂利需要地に近いところの河川等は、非常に砂利の値打があるわけでございます。これに主として問題があるわけでございまして、少し遠くに行きますれば、お説のように、たくさんの砂利があるわけでございます。これを持ってくれば需要をまかなえるわけでございますけれども、値段の点、主として運賃の点で非常に困ってくるということがございます。そういう点につきまして、運賃をなるべく安くしていくような方法、あるいは需要地の振りかえ等の方法も考えてみなければいかぬと思います。一方、砕石等の問題も具体的に考えてみて、砂利の総需要量をそういう面でまかなうというようなことも考えてみなければいかぬと思います。それから私どもも、別して川に支障のない分まで砂利を取り締ろうというわけではございませんで、なるべくその川におきまして施設をやらなくても取り得る量はふやしてやろう、しかも、もっと徹底いたしますると、何らかの施設をやりますれば、たとえば用水せき等を、上流にしっかりしたものに改築しますれば、河床がある程度下りましても、用水支障のないという場合も生じてきますから、そういうような方策をとりまして、今後におきましては、もっと砂利需要が逼迫して参りますならば、そういうふうな方法も考えなければいかぬということで、各県に対しつましても、研究するように申し伝えてございます。特にこの付近東京、神奈川あるいは阪神地帯河川につきましては、そういう考慮が必要だと思いまして、いろいろと計画を立てつつあるところでございます。
  19. 塚本三郎

    塚本委員 三十一年にできました砂利採取法説明のときに言っておりますが、年間七千万トン、金額にして四百億という膨大な金額に上っておる。これは、おそらく今日になりますると、それから何割かふえてきておると思うんです。そういうときに、今後必要と、あればという今局長さんからのお話がありましたけれども、現実においては、先ほど御説明がありましたように、夜盗んででも取っていく、あるいはまた監督者とけんかをしてでも持っていくということで、相当重大な問題だと思うんです。しかも当時より比べてみて、なお金額的には年々増大しつつあると見るならば、その砂利自身が財産だということになるのじゃなかろうか。こういう問題に対して、見通しというものがなければいかぬじゃなかろうかと思いますが、先ほど御質問申し上げました通り、大体ここ五年なり十年なりの見通し年間どのくらいとっても河川としては相対的に見て大丈夫なのか。その場合の砂利単価の上りはしないという見通し、あるいは建設工事に必要な金額、こういうことの割合からいって、大体どれくらいまでは現在のままでいいとか、あるいはこういうふうな法律を設けることによって、大体これくらいまでいけるのだとかいう、そういうある程度見通しの上にこういう改正案が出されたと思いますが、そういう採取に対する見通し年間どれくらいの状態がいいのか、こういう点なんかどうですか、具体的に言いまして……。
  20. 山本三郎

    山本政府委員 全般的のお話でございますが、非常に問題となっておる河川、たとえば相模川等の問題につきましては、現在の状況におきましても、現在川に何も施設をやらなくても、このくらいの程度はよろしいだろうというふうな見当はついております。ただ全般といたしまして、今お話しのように七千万立米とっておるけれども、それを年間どれくらいまでしていいかというようなことは、具体的の河川に落してみないと出て来ないわけでございます。これはやはり砂利のり業者とか、あるいは砂利需要等の面から総合的に考えなければならぬと思いますので、現在の状況、あるいは将来の需要状況等を勘案いたしました、先ほど申し上げましたように、現在の状況におきましてはどのくらいとれる、将来なお川にいろいろの方策を施せばどのくらいとれるかというようなことは、早急方針をきめたいというふうに考えております。
  21. 塚本三郎

    塚本委員 そでういたしますと、これは、業者と相当利害の相反する形になる問題だと思いまするが、直接そういう採取業者と話をなさってこういう改正案が出たものか、それとも河川の補修ということだけ、そういう立場からだけで出されたものなのか。おそらくこれは、採取業者とある程度の話し合いをした上でこういう改正正案が出されたと思いますが、その点、業者との関係はどういうふうになっておるか、お伺いしたい。
  22. 山本三郎

    山本政府委員 この法律は、先ほども申し上げましたように、砂利採取を禁止しようとか、あるいは砂利業者を圧迫しようという点からできておるわけでございませんで、盗んでとっていたり、法律上の手続を踏まないでとっておるものを取り締ろうということでございまして、善良なる砂利業者を圧迫しようとかいうわけでは決してございませんで、むしろ盗んでとっていったり、あるいは許可を受けているところから盗掘していくというようなことを取り締ることでございますから、砂利業者は、むしろこのために安心して仕事ができるということでございますので、その点の心配はないというふうに考えております。
  23. 塚本三郎

    塚本委員 今局長のおっしゃったのは、河川補修の立場、そういう正当な立場でそういうふうにおっしゃったのだと思いますけれども、現実に心配ないということですが、業者自身から、そういうことをやってもらった方がかえって健全な業者にとっていいんだ、こういう声が具体的にあるものなのか、あるいは業者としては、やはりそうやられては困るという考えなのか。局長さんの立場では心配ないというふうにおっしゃるのですけれども業者自身が何かそういう法律をたてにとって、より採取がむずかしくなってくるというそういう恐怖感といいますか、心配を持っておりはしないかという感じがするのでございますけれども局長さんの立場でなくて、現実に健全な業者もそう言っておるかどうか、その点、どうでしょうか。
  24. 山本三郎

    山本政府委員 その点、砂利採取法は、砂利業者を育成する立場に立って作った法律でございます。従いまして、通産省側ともよく話し合いまして、賛成をいただいておるわけでございますので、健全なる砂利業者は賛成であるというふうに考えております。
  25. 木村守江

    ○木村(守)委員 関連して。ちょっとお伺いしますが、砂利採取料は都道府県に帰属することになっておりますね。砂利採取料というのは、どういうような基準できめるのですか。
  26. 曽田忠

    ○曽田説明員 お尋ねの砂利採取料の問題でございますが、これは、基準と申しますか、大体の性格といたしましては、一応鉱物の使用料といいますか、手数料というか、そういう性格のもとに考えられておるものでございます。従いまして、河川法制定当時の砂利採取料といいますものも、昭和の初年ごろで、東京あたりで大体一立米当り十一銭になっておりまして、現在が大体五十円程度になっておりますが、性格は、先ほど申し上げましたように、手数料的な性格であるというふうな考え方を持っております。また基準でございますが、これも都心地に近いところとか、あるいは遠いところ、いろいろございまして、一般的な基準はございませんで、たとえば、ある県内におきまして、県の僻陣地にあるところは若干安くしており、大体都会地に近いところは高くする、そういう程度の基準になってございます。大体の砂利年間収入は、二億円程度でございます。
  27. 木村守江

    ○木村(守)委員 この砂利採取料の公定は、今塚本君から言ったような、いわゆる業者を千圧迫するような結果が出てくるのではないか。それから都道府県にまかしておく、都道府県のいろいろな違った考え方から、非常に採取料に不公平があるのではないか、そういう点はありませんか。
  28. 曽田忠

    ○曽田説明員 先ほども申し上げましたように、大体砂利の価格といいますものの四、五割は運賃じゃないかと思っております。従いまして、砂利採取料砂利の価格に占めます値段といいますものは、数%程度と思っております。先ほど申し上っげましたように、大体の採取料の性質といいますものが、鉱物の使用料的な手数料的なものであるという関係におきまして、そう大きな差をつけることはできないじゃないかと思います。消費地と採取地との現場の距離関係におきまして、若干の差はあるいはついておると思いますけれども、いわゆる砂利販売価格を考えまして、それに見合うように砂利の値段を上げるとか、そういう問題は、今の採取料といたしましては適当じゃないのではないか。大体今のところ東京が五十円程度で、大阪あたりが三十円程度でございますから、二十円から五十円程度範囲になっております。
  29. 木村守江

    ○木村(守)委員 変なことを聞くのですが、どうも砂利採取の不正な行為を防止するために、常駐監視員を置くことがあるということになりますと、これは、きわめて低廉な砂利採取料で常駐監視員を置かなくちゃいけないということになりますと、国家財政からいっても、非常に思わしくないような状態になるのではないかというふうな考え方もされますし、また砂利採取ということが、一面からいえば、これは鉱物資源の開発ということになるから、正しい砂利採取は、河川の保全という点にも役立つと思う。しかし不正なる砂利採取は、あるいは橋梁、あるいは築堤等を、破壊するような、非常に国家的に不利益な状態を招くというようなことから考えますと、非常に矛盾したような格好になりますが、砂利採取ということだけに監視員常駐させなければならないということになりますと、少くともこの砂利採取監視員というもつのは、砂利採取料によってまかなえるような状態でなくちゃならないのじゃないかと思うのですが、この辺の矛盾は、どういうふうにお考えになりますか。
  30. 山本三郎

    山本政府委員 砂利採取に対する専門の監視員を置くというのは、ほんとうに特定な例でございまして、これは、もちろん県の職員がおるわけでございますけれども年間で百万立米以上も取るような河川、あるいは業者がたくさん人っておりまして、くつわを並べて取っているというような特定な河川でございまして、この付近で申しますと、多摩川とか相模川とかいうものでございます。従いまして、それらの河川から上る収入は、監視員をまかなって十分余りがあると思います。その他の小規模に取っておるようなところにつきましては、土木出張所の職員がときどき見回りをするということでやっておるのであります。
  31. 砂原格

    ○砂原委員 関連して。この法律改正せられますに当って、これに最も関係の深い——これは、全国的にあるかどうかということは、私もよくわかりませんけれども、私の地域等では、内水面の漁業の問題とからみ合って、砂利採取の問題が非常に複雑な問題を起しておる。局長も御存じだと思うのでありますが、今太田川の改修をやっておりますのに対しても、太田川漁業組合というものがありまして、それが七千万円か八千万かの補償を払えというので、がらがら言っておるような状態でありまするが、砂利採取権の許可をとりまして採取をしておる上に、漁業権の方の補償を払わなければならぬ、その際には、漁業補償の方が砂利採取料よりも高率な補償要求をされておるという事実があって、こういうような問題が、あるいは他の地方においてもからみ合っておるのではないかと思いますが、こうした漁業権の問題に対しても、この法律を改せられますに当って考慮を払われた事実があるかということを、お尋ねしておきたい。
  32. 山本三郎

    山本政府委員 お説のように、内水面漁業が設定されておりますと、そこで砂利を取ったり、あるいは工事をやる場合に、漁業の補償という問題が起きて参りまして、従来の例によりますと、非常に大きな要求額を持ってくるというような点で非常に困っておる例がございます。しかし、非常に大きな要求を持って参りますけれども、終局的には、やはり妥当なところでまとまっておるのが実情でございます。しかし、そのために、砂利採取等に非常に支障を来たしておる、あるいは工事をやる場合に、非常に支障を来たしておるというような実例があるわけでございます。私どもといたしましても、その点につきましては何とかしなければいかぬというふうなことは考えておるわけでございますが、今回の改正につきましては、砂利の盗掘、あるいは許可以上に取っておる者等の取締りだけを一つ法律改正していこうということでございまして、その点まではまだ行っておりません。
  33. 砂原格

    ○砂原委員 今回は、それまで行ってないということはよくわかるのですが、将来にこの問題も、建設省としては何とか善処する方法も用意をお持ちであるかどうかということを伺いたい。
  34. 山本三郎

    山本政府委員 河川法改正等の場合におきましても、そういう点も考えなければならぬと思いますけれども河川法等におきましては、公物を管理しておりますが、それらの点は、一つの民事的の問題とも考えられますので、将来とも研究して参りたいと思っております。
  35. 山中日露史

    山中(日)委員 関連して。都道府県知事許可を得ないで土石採取した場合には、この河川法規定によって、それぞれ罰則の適用を受けるわけですが、同時に、これは窃盗、いわゆる犯罪も構成するだろうと思うのですが、許可を得ないで土石採取した場合には、河川法罰則の適用を受ければ、もう刑法上の責任はないという趣旨に解釈していいのか、その点、ちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  36. 曽田忠

    ○曽田説明員 実は、河川砂利を無許可採取いたしました場合に、刑法の窃盗罪の適用があるかどうかという問題でございますが、実は過去におきまして、現在の砂利の盗掘の罰則が、御存じのように二千円以下の罰金であるという関係もありまして、非常に少いというような関係上、窃盗罪といたしまして、若干の県におきまして告発したこともありますが、これは、結局昨年の十月の最高裁の判決によりまして、河川におきます砂利の盗掘は、窃盗罪を構成しないという判決が出ております。これは、結局ああいった広い範囲砂利があるわけでございますが、それに対しまして、所轄の地方行政庁におきまして、管理あるいは占有につきまして、特別の措置を講じていない。すなわち、たとえばさくを設けまして、はっきりとその砂利都道府県知事が管理、占有しておる、そういう事実がない限りは、窃盗非を構成しないというような判決が出ております。今回砂利罰則河川法改正で強化いたしました理由も、結局砂利の盗堀につきましては、窃盗罪の適用もないというような関連も実はあったのであります。
  37. 山中日露史

    山中(日)委員 そういたしますと、採取料をた支払って土石採取をした場合には、首に採取した土石そのものについて、国との間の売買というような私法上の契約関係というものがなくても、つまり採取料さえ払えば、当言それが採取権者のものになる、こういう観念になっておるのかどうか。採取料を支払って採取する権利は獲得するけれども、同時にその所有権は、国と採取業者との間のいわゆる売買的な要素が含まれて、それで初めて所有権というものが採取者に帰属するのか、その点の考え方は、どうなっておりますか。
  38. 曽田忠

    ○曽田説明員 今回の改正によりまして、都道府県知事許可がありますれば、許可内容になっております採掘の量につきましては、その範囲内で取りました量につきましては、当然所有権も採取業者が取得するということでございます。
  39. 塚本三郎

    塚本委員 関連して。先ほどの説明で、最高裁では、犯罪を構成しないという判決があった。その理由としては、所有権としての管理ができてないからだというような理由のもとに、犯罪を構成しないというふうな判決があったという説明がありましたが、そういたしますと、今後は、そういう重い罰則規定改正するということになると、当然何らかの形で具体的に管理する形態をとらないことには、罰則規定の適用が不可能になりはしないか、そういうふうな気がするわけですが、具体的に、今後どのようにして法を守るように処置をなさるかということと、もう一つ、許可に当りまして、各地方に行きますと、非常にいまわしい風聞を聞くわけなんです。といいますのは、だれだれの業者に対しては、あの県当局とはこういう悪いつながりがあるから許可したんだとかいうふうな、採取業者との間の許可について、スキャンダルのような風間が世上にはよく立つわけです。従って、これは河川の保存ということから考えて、許可許可という問題が出てくるといたしまするならば、この河川についてはどのくらいとってもいいとか、この河川はだめだということを、客観的に科学的にある程度の基準とか、そういうものが明示せられなければ、そういう許可に対する公正妥当なものが出せないのではなかろうかというふうに考えるわけです。そういうことに対して、各河川ごとにある程度許可に対する基準が設けてあるのかどうなのか。どういう形でそういう基準というものをきめたか。この二点について御説明願いたい。
  40. 山本三郎

    山本政府委員 河川が正常な状態に保たれるべき計画を作っておかなければ、取締りができないじゃないかというお話でございますが、これは、もっともなお話でございまして、重要な河川につきましては、どこまでの河床に下げていいか、あるいは堤防の前はどのくらいまで掘っていいかというような計画は、作ってございます。これは、改修計画で、洪水を疎通するのに必要な川幅をきめまして、将来の河床の維持には、こういうふうな高さに維持するのがいいという計画床線というのを作っておきまして、あるいは計画の川幅を作っておきまして、それに準じて取締をやっていくという方針をとっております。ただ先ほどもお話がございましたように、需要の多い川につきましては、改修計画よりもさらに掘っていいような場所もございます。非常に川幅の広いときには、洪水を流すために必要な量を掘るよりも、さらに掘っていいような場合もございます。これらにつきましては、さらに掘っていいような法線をきめまして、その範囲内で掘るというふうな方法をとっております。
  41. 塚本三郎

    塚本委員 許可に対する基準の点は、わかったわけですけれども、管理の問題で、管理の方法というものが、従来の状態では、砂利を黙って許可なしでとっていっても、管理を十分にしてないから窃盗とみなさないという最高裁の判決があったとするならば、今後より重い罰則を設けられても、今の管理の状態では、同じような判決が下る危険性があるのではないかと思う。従って、罰則規定を重くすることによって河川の保存をしようとするならば、やはりこれが犯罪を構成するという判決を出させるような建前にするために、ある程度河川管理というものを、今までと違った、具体的なこういう管理のもとに置いたのだが、それでも持っていったんだから窃盗になるんだ、こういうことで、犯罪を構成する理由にするべき管理の方法というものを、とる必要があるのじゃないかと思いますが、その点、どうですか。
  42. 曽田忠

    ○曽田説明員 最高裁の判決でございますが、これは、要するに刑法上の窃盗罪の構成要件であります管理、占有というものにつきましては、たとえば先ほど申し上げましたように、特定のさく等を設けましてそういう具体的な占有の措置を講じてなければ、刑法上の窃盗罪の構成要件にはならない。そういう意味の判決でございます、従いまして、ここに河川法関係その他交通管理の関係罰則というのは、これはいわゆる行政罰でございまして、直接には、刑法の格条文の界とは関係ないわけでございます。しかしながら、それは別といたしまして、ただいまお尋ねのように、河川の管理者が、この河川につきましては、砂利採取してはいけないというような何らかの表示をしておくとか、あるいは常時巡回をする、そういうことにつきましては、刑法の窃盗罪とか、そういう問題とは別に、一般に対する関係もございますので、そういう方面の措置は、今後十分やっていかなければいけないと考えております。
  43. 堀川恭平

    堀川委員長 兒玉委員
  44. 兒玉末男

    ○兒玉委員 二、三お伺いをしたいと思いますが、第一は、この新しく追加されます十七条の二の河川の区域というのは、どの程度の区域をさして言っているのか、その表現がきわめて抽象的であるわけでございますが、その区域の限界について、まずお伺いをしたいと思います。
  45. 曽田忠

    ○曽田説明員 ただいまお尋ねの第十七条の二の河川の区域の問題でございます。にれは、河川法の適用を受けます河川は、河川法の第一条によりまして、主務大臣が認定するということになっております。これは、要するに河川の縦の区間を第一条で建設大臣が認定する、第二条におきまして、「河川ノ区域ハ地方行政庁ノ認定スル所ニ依ル」この規定によりまして、河川の横の区域、これを地方行政庁が認定する、このように、第一条並びに第二条におきまして、主務大臣あるいは地方行政庁が認定しました区域、これが第十七条の二のり河川の区域でございます。
  46. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この改正の目的というのは、罰則の強化と、被害の防止ということにその目的が置かれておりますが、被害の防止という点から考えますと、現在までの法律の実施によって、どの程度の被害というものが起きているのか、この点の状況について、もし具体的な数字等が現われておりますれば、その点をお伺いしたいと思います。
  47. 山本三郎

    山本政府委員 ただいま手元にあります盗掘の事例が、全国で三十四、五件から実例が参っております。そのうちには、重大なる支障がないものも若干含まれておりますけれども、たとえば山形県の最上川におきましては、盗掘のあったために、河床が非常に不安定となりまして、川の流れが非常に乱流いたします。そのために、従来あたりでなかったところの堤防に水が当るようになりまして、護岸がないところに水が当るようになったり、そのために堤防が非常に不安定になったというように実例がございます。その他各府県からの報告によりますと、砂利を川の中で非常によけいとりましたために河床が下りまして、用水の取り入れに困るようになったり、堤防のすぐ前からとりましたために、堤防自体にも非常に危険が生じて、堤防から漏水するようになったというような実例がございます。特にひどいのは、この付近にありましては神奈川県、それから東京、京阪地帯におきましては大阪、兵庫等がひどい実例を示しております。
  48. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この河川法の十九条と新しく追加される十七条ノ二の関係でございますが、十九条の条文から判断をしますと、新しく追加されるところの十七条ノ二というのも、この十九条の規定するところによって十分補われるのじゃないか。そういう意味から考えますと、十七条ノ二というのは、新しく追加する必要性がないのじゃないかということも考えるわけですが、十九条と十七条ノ二の関連性についてお伺いしたいと思います。
  49. 曽田忠

    ○曽田説明員 お答えいたします。今お尋ねの今の十九条の規定と十七条ノ二の新しい規定との問題でございますが、これは、お説の通り、現在までは十九条によりまして、都道府県規則によって砂利採取の規制をしてきたわけでございます。またそれに関連いたしまして、罰則関係は、都道府県規則に基きまして二千円以下の罰金に課する、そういうような経過になっております。今度新しく十七条ノ二を設けました理由は、まず今までの十九条の規定によりまして都道府県規則にまかせておりますのを、法律ではっきりとまっ正面から都道府県知事許可にした。それに伴いまして、罰則も一年以下の懲役に上げたということでございまして、裏の意味から申し上げますと、今までの罰則の二千円以下という程度でございましたならば、都道府県規則にまかせておってもいいわけでありますけれども罰則を一年以下の懲役ということにいたしますためには、これは、法律におきまして明確に規定する必要があるんじゃないか、そういう重い体刑につきましては、法律におきまして明確にきめるべきじゃないか、そういう関連もございまして、新しく十七条ノ二という規定を設けたわけでございます。
  50. 兒玉末男

    ○兒玉委員 ただいまの御回答でよくわかったわけですが、結局罰則の強化ということを許可ということについて、法律上明確な系統立てをしたということでございますが、そういういわゆる罰則許可に対する制限というものを強化したというそのことと並行的に考えられますことは、先ほど塚本委員の質問と多少重複する点もあろうかと思うのですが、やはり一方的な制限では、この改正の趣旨というものが十分に徹底しないのじゃないか。やはり並行的に監督機構というものを強化するというものを強化するということが、最も必要じゃないかと考えるわけです。重複の点もあろうかと思うのですが、この点についての御見解を伺いたいと思います。
  51. 山本三郎

    山本政府委員 お説の通りでございまして、監督機構も強化いたしますし、またこのために、砂利業者が圧迫されるというようなことは企図してはいないわけでございますが、そういう結果になって、砂利を当然とってもいいようなもの、あるいは需要の非常に多い要求に応ずるために、砂利採取影響を及ぼしてはいかぬという点はございますので、監督の強化をいたすとともに、砂利の生産につきましては、積極的に指導いたしまして、支障のないようにしたいと考えております。
  52. 兒玉末男

    ○兒玉委員 最後にお伺いしたいのは、先ほど河川局長の御回答にもありましたが、被害の実態というものについて神奈川県、それから京阪神の東京、大阪といった大都市周辺が乱掘の状態にあり、被害も非常に多いということでありますが、特に砂利、石等の利用度というものは、都市周辺ほど多いと思うのでありますが、今度の法律改正によりまして、あるいは罰則の強化によって、都市周辺の採石事業というものが相当制約されるのではないか、その結果、需要度の高い都市周辺における砂利とか、あるいは石等のコストというものが高くなるのではないか。それによって、やはり建設部としては非常に重大な影響を持つと考えるのですが、この点の対策について、どのような見解をお持ちですか。
  53. 山本三郎

    山本政府委員 お説の点につきましては、非常に需要地の近いところにおきましては、砂利の採集量も非常に多いのでございます。それに比例いたしまして、盗掘であるとか、あるいは量をよけいとるというようなものもあるわけでございます。しかし、この法律を作りました趣旨は、正当にとるものを圧迫しようというようなことではございませんし、また一方、砂利需要は非常に重要なものでございますので、できるだけ砂利のとれるような考え方に河川をするという立場で、これから考えていきたいというふうに思っているわけでございまして、特に砂利需要の多い府県には、それらにつきまして、具体的の案を作るようにただいまお願いして、案を立案中でございます。
  54. 武藤武雄

    武藤委員 関連して。先ほど採取料金は二億円くらい入ると言われたのですが、それは都道府県に入るですか、国庫に入るのですか。  それからもう一つは、私特に山奥に入った方の河川に行ってみたのですけれども、先ほど運賃が九〇%と言われましたが、運賃が高く、それに採取料金がだいぶ高くて採算に合わないというので、業者がだいぶ減ってきているということを聞いた個所もあるのですが、川底が上ってしまって、それを下げるためにも当然砂利をとった方がいい、また鉱物資源の確保という点からいっても採取した方がいい。こういう状態であるのに、採算が合わないような料金がかかるという話ですが、こういうことについて、建設省なり何なりがある程度監督できるような立場にこの法案ができればなるのか、あるいは従来通りなのか、お聞きしたいのです。
  55. 曽田忠

    ○曽田説明員 最初にお尋ねの砂利採取料収入の問題でございますが、これは、第四十二条によりまして、都道府県収入になっております。  それから第二の御質問の、砂利採取料砂利の価格に、たとえば山奥の方で非常に影響を及ぼすというようなお話でございますが、先ほど申し上げましたように、一立米当り現在二十円から五十円くらいの問題でありまして、砂利採取自体が砂利の価格に非常に影響を及ぼすというふうには、考えられないと思うのであります。
  56. 堀川恭平

    堀川委員長 山中吾郎君。
  57. 山中吾郎

    山中(吾)委員 今度の改正は、許可については、特許性格を持っておると御説明があったのですが、現行においては、禁止の解除という性格のものを、局長は、権利の設定行為として特許性格を持たしたと御説明があったところに、砂利採収について、大きな思想の変革があるのではないかと思います。そこに、建設省の河川法に対する思想がむしろ変ったとさえ私は考えるのですが、特許性格を持っているという御説明ですが、特許性格に変えた目的、理由を御説明願いたいと思います。
  58. 曽田忠

    ○曽田説明員 ただいまのお尋ねの点でございますが、河川流水の占用の許可とか、あるいは敷地の占用の許可、こういうものは、現在におきましても、制限解除と同町に、特に権利を付与するというような考え方で進んでおります。また今回の改正におきまして、土石採取につきましても、これは非常に治水上に大きな影響を与える、そういう観点に立ちまして、単に制限解除ということのみにとどまりませず、はっきりと権利を付与したというようにいたしまして、一般的にその現制をはっきりと他の重要な流水の占用あるいは敷地の占用と同じように考えて参りまして、かたがたそれによります砂利採取料収入、これも公法上の収入と考えまして、今までと違いまして、滞納がありました場合におきましては、国税滞納処分の例によりまして強制徴収できる。かたがた今までの私法上の問題でございますと、砂利払い下げ料につきましては、そういう滞納の場合におきましては、民事上の訴訟とかいろいろな手続が要るわけでございますが、これを公法上の問題といたします関係上、滞納の場合におきましては、国税滞納処分の例によって措置できる、そういうふうな点も考えまして、公法上の権利を与えたのだというふうに考えております。
  59. 山中吾郎

    山中(吾)委員 意図は、ほのかにわかってきたのでありますが、今までの国の河川に対する考え方は、災害防止という立場から、一般の国民が砂利を取ることによって、災害の危険を来たすということのために制限をしてきた。従って、そうでない場合には、砂利というものは、一般の国民が利用できるように開放されておったというような考え方であったけれども、そうでなしに、何か国の河川砂利に対する所有権思想がはっきり進化して、そして、制限をしておった災害防止ということの目的以外に、砂利で財源を獲得するというふうな、財産所有者あるいは営業的なというか、そういう思想というものをここに織り込んでしまったのですか。
  60. 曽田忠

    ○曽田説明員 お答えいたします。先ほど申し上げましたように、流水の占用とか敷地の占用とか、河川に関しますいろいろな制限がございます。それと同じように、治水の面から考えますと、土石採取という地位も同じではないか、そういう考えが基調になっておるわけです。
  61. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私は、特許という局長説明があったので、これは、砂利採取についての政府の考え方が変革したのだと受け取ったのですが、簡単に、もっと管理をよくして災害に危険を与えるようなことのないようにというふうな考え方以外に、何かあるのではないか、その辺を一つはっきり聞きたい。
  62. 山本三郎

    山本政府委員 これは、先ほど来御説明申し上げましたように、河川の水の利用とか、あるいは敷地の利用等につきましては、今回土石について取ろうという処置をとって参ったわけでございまして、土石採取も、堤防等あるいは河川工作物に対して、最近その量がふえて参りまして、非常に影響が多いわけでございますので、その流水の占用あるいは敷地の占用等と同じように扱おうということでございまして、決してこれをやって財源をふやそうとかいう点は、考えておるわけではございません。
  63. 山中吾郎

    山中(吾)委員 占用というのは、継続的な状態だものですから、そこに権利付与というようなことがあると思うのですが、砂利を取るだけの話です。全然違うように思うのですが、どうですか。
  64. 曽田忠

    ○曽田説明員 考え方は、先ほど申し上げたわけでございますが、具体的に今までとどう違うかということも、一つの御参考になろうかと思うのでございますが、今までは、単なる行為制限解除というだけであったわけでございます。従いまして、その取りました砂利の所有権はなかったわけです。それは、依然として地方行政庁のものになっておった。それを、今までは払い下げておった。それによって相手方は所有権を得た、そういう関係になっておったわけでございますが、今度は、そういうあれはなくて、許可によりまして取りました砂利は、直ちに採取業者に所有権がいく。そういう点では、違ってくるかと思いますが、まあ根本的には、先ほど申し上げましたように、その重要性から特許ということを考えまして、派生的に、そういう砂利採取料を、国税滞納処分の例によるとか、そういう問題になってきたと思います。
  65. 山中吾郎

    山中(吾)委員 まだ十分理解できないのですが、河川に対する国の所有権思想とかいうものについて、何か変革してきたのじゃないかというふうに私はとらざるを得ないのですが、なおあとでお聞きします。  それから権利を設定した特許性格という意味の中に、砂利採取に対して権利を設定した場合には、その砂利採取の仕方について、いろいろとよろしくない点があっても、取り消すことはできなくなるのじゃないかと思うのです。現行の場合には、制限解除をして、そうして採取をやらしても、そのやり方について、どうもよろしくないという場合には、常に、取り消すことができたが、今度はそれができなくなって、従って、災害防止上よろしくないような採取の仕方をしても、すでに国はどうすることもできないという結果が出ないでしょうか。
  66. 曽田忠

    ○曽田説明員 お尋ねの問題でございますが、これは、他の場合と同様でございいまして、第二十条に、許可を取り消すことができる場合を列挙してございます。その中に、たとえば「河川状況ノ変更其ノ他許可ノ後ニ起リタル事実ニ因リ必要ヲ生スルトキ」とか「公益ノ為必要アルトキ」とか、そういうふうな場合におきましては、許可の取り消しができる。これは、他の場合とも同様でございますが、そういう規定はございます。
  67. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それじゃ権利の設定という言葉ですから、別に砂利採取権というものが付与されたというふうに私は解釈しますが、そうじゃないですか。それならば、取り消すことができなくなる。いわゆる二十条の適用はできなくなるのじゃないですか。
  68. 曽田忠

    ○曽田説明員 お答えいたしますが、これは、いわゆる民法上の私権ではございませんで、行政上の問題でございまして、ほかの場合と同じように、取り消しできるというふうに考えております。
  69. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それから五十八条の二について、一号の「第十八条ノ規定ニ違反シテ河川敷地ヲ占用シタル者」という場合、この河川敷地についてはっきりとしておかないと、いろいろな問題が出ると思うのです。この間青森に災害状況を見に行ったときに、今まで田になっておったものが流されて、完全に河床になっている、そうして水が流れておるわけです。そういう場合には、流水の下に田があるという格好になるものですから、その農民の所有権というものが存続するとすれば、河川敷地というようなことにはならないと思うのですが、今まで個人の私有地であった田畑が、こういう水害その他を通じて河床になってしまった場合、そのままそれをその農民が法的に占有しておる状態がずっと続く、その場合に、いろいろの利用の仕方を自由にすることは、こういう条文の適用外かどうか、それをお聞きいたしたいと思います。
  70. 曽田忠

    ○曽田説明員 原則的に申し上げますと、河川敷地は、私権の目的となることができません。従いまして、逆に言いますと、現在私権があります場合につきましては、それを消滅しなければならない。たとえば国が買収するとか、そういうふうに、私権を消滅しなければ河川敷地にはならない、そういうふうに考えております。適用河川につきましては、もちろんこの通りございますが、準用河川につきましては、河川敷地は、私権の目的になってもいいというふうに従来解釈されております関係上、あるいは具体的には、そういう問題が起るかもしれないと思いますけれども、現実問題におきましては、河川敷地に所有権がある場合におきましては、それを国等が置収いたしまして、河川の区域にするというのが建前になっております。
  71. 堀川恭平

    堀川委員長 瀬戸山君。
  72. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 この改正案については、多くの委員各位からほとんど論じ尽されましたので、やや重復しますけれども、ただ二、三点だけ、いわゆる建設省の考え方を確かめておきます。先ほど特に塚本委員からもそういう問題を取り上げられましたが、この河川法、あるいは今度目的としておるこの一部改正案に関する問題でありますけれども、これは、主として河川の維持、そういう面から考えておるわけであります。そこで、先ほどもお話に出ましたが、土石と申しますか、砂利というものは、非常に大切なと申しましょうか、有用な、国民全体の公物資源であります。でありますから、これは、必要に応じてとらなければならないのであります。ただ、それと河川の維持との関係をどう調節するかということが、この法律の出てくるゆえんであります。  そこで、私が確かめておきたいというのは、ただ河川を現状のままに置いて、あるいは改修する形態において維持するという考え方だけで、せっかくの主として河川にある鉱物資源と申しますか、国土の資源を有効に利用することができない、こういう立場をとってはならない、こういうように考えておるわけです。建設省だけの考え方といたしますれば、河川をりっぱに維持して、その水を完全に利用する、これだけでいいわけでありますけれども、今申し上げましたように、鉱物資源を利用する一面からいうと、また別な立場でこれは考えなければならない。そこで、建設省は、今日までそういう点を考えておられると思いますが、たとえば河川改修等について、砂利も鉱物資源としてきわめて重要なんだから、これは相当とらせるという考え方で、それに応じた河川の利用ができるような改修計画等をすべきだと私は思うのですが、その点はどうですか。
  73. 山本三郎

    山本政府委員 ただいまの点は、砂利の問題は非常に重要な資源でございますので、これを積極的に利用できるような形態に持っていかなければならないということは、考えておるわけでございます。従いまして、河床が高いような河川につきましては、河川工事でそれを掘りまして、運搬は、一応砂利を利用する側にしてもらうというような方策を講じて、積極的に利用しょう、そういうことをいたしますならば、多少でも掘る費用が安くなりまして、運搬賃等をカバーできるようなことにもなる、そういうような方法も考えてやっているところもございます。それからまた、都会の近くにおきまして、砂利を現在までに非常にとりまして、しかも将来も非常に必要だという川につきましては、河川の改修の立場よりも、さらに川に支障のない程度にはできるだけとってもらおうじゃないか、あるいは今後の問題に多くは属しますけれども砂利をとっても支障のないような何かの工作をするならば、さらにとれるのじゃないかというふうな点も、今後におきましては研究いたしまして、積極的にやっていこうというふうに考えております。
  74. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 そういうふうにやってもらいたい。先ほどもお話に出ましたが、申し上げるまでもなく、いわゆる砂利というものは、将来ますます多量のものが要るのは当然であります。そういうことで、ただ河川を維持するという考え方だけでやりますと、せっかくの鉱物資源を最高度に利用するということが、その立場で制限を受ける。そういうことになりますれば、一面において、砂利を必要とする建設工事というものが、制限を受ける。これは、国家全体の利益を考えると、決して妥当ではないと思います。  そこで問題は、大都会近傍の河川が、常に問題になるわけでございます。たとえば、先ほどお話しになりました多摩川であるとか、あるいは相模川であるとかいうことが問題になりますが、そういうところにおいて盗掘が行われ、多量の砂利採取される。従って、河川の維持が非常に困難である。こういう一つのジレンマが起っておる。しかし、砂利は必要であるから、需要があるからとるのだ、こういうことであります。そこで、砂利の国民全体の経済効果と申しますか、経済効率と、それをとらして、なおかつ高度な河川改修をするのに相当な国費が要るわけでありますから、それとの比較をして、相当な国費をつぎ込んで高度な河川改修をしても、なおかつ多量の砂利をとらしてもいいかどうかという、そのバランスを考えてやるべきものだと私は思います。ただ、砂利をとると川が維持できない、そういう簡単な考え方でやるべきものではない、こういうふうに考えますので、その点は、一つ専門的に御検討願っておきたいと思います。  もう一つは、これも先ほど問題になったのでありますが、今ほとんど大多数の川は、御承知のように天上川になりつつある。河床がだんだん上ってきて、各地に問題が起っておるわけであります。そういうところは、大いにとらなくちゃならない。とらなくちゃならないが、輸送費その他の関係で、実際はとれない。手近なところからとるということになる。一面においては、とらないから川を浚渫をしたらどうかという議論もありますが、さてその浚渫をした土砂の置き場所がないというのが現状であります。そのために、河川が非常にはんらんをして、御承知のように大災害が起っておる。この問題は、非常に困難な問題でありますが、しかし、相当な努力をして解決しなければならない。堤防を幾ら作っても、その堤防はだんだん針状になってくるという現状を来たしておる。そこで、これは今建設省だけの考え方で直ちに解決ができるとは思いませんけれども、国全体の問題として、あるいは役所関係でいえば、通達省あるいは運輸省等の関係があると思いますが、国全体の採算の上から相当遠隔の地の、しかも、とらなければ河川の維持ができなくて、国家全体に大きな災害を起す、こういう状態でありますので、その点を検討されて、輸送費等は相当下げて遠隔な、そういうきわめて悪い状態になっておる河川砂利もとって、この鉱物資源を国民のために利用する、こういうことが政府あるいは国全体が考えなくちゃならぬ問題だと思います。その点について、何か検討されておるか、あるいは検討される考えがあるか。
  75. 山本三郎

    山本政府委員 お説の通りでございまして、需要地から非常に遠いところに、先ほどのお話のような天上川が多いわけでございまして、たとえば近くの駅まで出すにも非常に距離が遠いというようなところ、それからまた駅から需要地までの距離が非常に遠いというようなところでございまして、たとえば砂利を川の岸まで上げてやっても、なかなか運んでいかないというような実例が、富山県あたりでは多いわけでございまして、この点を何とか考えてやるならば、あれだけのたくさんな砂利資源を持っておって、それが需要地に遠いために利用できないというような点でございますので、従来におきましても考えておったわけでございますが、今後におきましては、砂利需要の増進ということも考えられるわけでございますので、積極的に考えてみたいというふうに考えております。
  76. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 今の問題は、非常にむずかしい問題でありますが、国全体としては、よく真剣に検討すべき問題だと思いますから、各省とよく検討していただくようにお願いしておきます。  もう一つは、これは非常に小さな問題でありますけれども河川行政に当られる建設省に申し上げておきたいと思う。今申し上げましたように、この法律は、砂利制限するわけではありませんけれども、間接には、一面においてこれは制限することになる。しかも、一面においては砂利は非常に必要なものだ、こういうことで砂利をとるわけですが、そこで、許可を受けてとる場合でも、部分によって河床が非常に下る。一面においては、河床が下るので、先ほどお話が出ましたが、たとえば灌漑用水路の取水口が浮き上って、灌漑用水が利用できない、こういう実際の姿が各所にあるわけであります。その場合に、河川行政をあずかっておる都道府県はどういうことをしておるかというと、これは、砂利をとったから低くなったので、やむを得ないという態度をとっておるところが相当に多い。そうなると、農民との争いが深刻になって参る。農民の方は、水をとる施設をしておったけれども、一面において、砂利は、御承知通り質の問題がありますから、同じ川ならどこでもいいというわけにはいかない。だから、たまたまそういう灌漑用水路の取入口付近砂利をとらなくちゃならない。そうすると、今申し上げたように、取水口が浮き上ってしまう、そういうところが相当にあります。その際に、その取水口を守ってやる工作がなかなかされないのです。これはぜひ考えてもらいたい。河川を維持するという立場と、水を利用するという立場は、私は同じ考え方でいくべきものだと思います。そういう際には、多少金はかかりますけれども、やはり川を利用する人たちの立場も考えてやって、そこに床どめ堰堤を作ってやって、そこに砂利をとめてやる。こういうことをやらないで過ごしておるところが相当にあります。こういう問題は、ぜひ取り上げてもらいたい、これだけを申し上げて、私の質問を終ります。
  77. 山本三郎

    山本政府委員 今のお話は、所々にそういう問題があるわけでございまして、さりとて、砂利をとっている方が非常に多い場合には、だれにやらせるというわけにいかないものもございます。従いまして、用水の取り入れに困っておるというような具体的な問題がありますので、河川工事といたしまして、あるいは砂防工事等といたしまして、そういうものをできるだけ早く作ってやりたいというふうに考えております。     —————————————
  78. 堀川恭平

    堀川委員長 次に、首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律案を議題といたしまして、審議を進めることにいたします。  本案について、前回の委員会において建設大臣より提案理由説明を聴取したのでありますが、続いて本案の補足説明を聴取いたします。首都圏整備委員会事務局長樺山俊夫君。
  79. 樺山俊夫

    ○樺山政府委員 首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律案につきまして、逐条説明を申し上げます。  第一条は、目的を規定しておりますが、すでに提案理由説明の際申し上げた通りでありますので、説明を省略させていただきます。  第二条は、以下の条文に出て参ります「既成市街地」、「作業場」、「教室」、「制限施設」、「基準面積」及び「学校」の定義をいたしたものであります。   第一項は、既成市街地の定義でありますが、これは、首都圏整備法第二条第三項の既成市街地の概念と同じものといたしております。すなわち首都圏整備法第二条第三項におきましては、既成市街地とは「東京都及びこれと連接する枢要な都市を含む区域のうち、政令で定める市街地の区域一と定められております。この規定によりまして、東京都におきましては、特別都市計画法第三条の規定により緑地地域として指定された区域を除いた二十三区の全域、武蔵野市及び三鷹市についてはその大部分の区域を、横浜市、川崎市及び川口市におきましては、その相当部分の区域を既成市街地と定めております。   第二項の「作業場」とは、物の加工業を含み、政令で定める業種に属するものを除いた製造業の川に供する工場の作業場をいうことといたしております。政令で除外する業種としては、新聞業、出版業、市乳製造業、製氷業、生コンクリート製造業等を予定しておりまして、住民の生活上、製品の性質上等により明らかに制限区域内に立地せざるを得けない業種にのみ限定していく考えであります。  第三項の「教室」とは、学校教育法第一条に規定する大学のうち、政令で定める大学を除いたもの及び同法第八十三条第一項に規定する各種学校のうち、政令で定める各種学校を除いたものの教室をいうことといたしております。  大学または各種学校のうち、主として制限区域内の住民を対象としているような施設、たとえば勤労者を対象とする夜間学校は、政令で除外して行きたいと考えております。また「教育」とは、いわゆる講義室をいうのでありまして、実習室、実験室等は除外しております。  第四項の「制限施設」とは、作業場または教室で、一の団地内にあるものの床面積の合計が、次に御説明申し上げます基準面積以上のものをいうことといたしております。  第五項の「基準面積」とは、作業場につきましては、工場の種類に従って千六百平方メートル(約五百坪)以上で政令で定める面積とし、大学の教室につきましては二千平方メートル(約六百坪)、各種学校の教室につきましては千平方メートル(約三坪)と脱走したものであります。  作業場につきましては、中小企業に与える影響を考慮いたしまして、作業場床面積千六百平方メートル、約五百坪を最低基準とし、従業者百人程度以上の規模の工場を目安として、業種別に政令で基準面積を定めるにことといたしたのであります。また、大学及び各種学校につきましては、小規模のものは主として制限区域内の住民の子弟を対象としたものでありますので、おおむね学生または生徒数が千人程度のものを制限の対象といたしまして基準面積を定めたものであります。  第三条は、工業等制限区域を規定いたしております。すなわち前条で説明申し上げました既成市街地のうち、特に人口や産業の集中のはなはだしい東京都の特別区、武蔵野市及び三鷹市の区域を工業等制限区域といたしたのであります。  また、東京都の特別区に属する海面埋立地のうち、工業用地として埋め立てられた区域については、政令制限区域から除外いたしたいと考えております。  第四条は、要許可行為となる制限施設の新設の内容を明確にするとともに、制限区域内においては、制限施設の新設を原則として禁止し、ただ例外的に東京知事許可を受けた場合にのみ新設し得る旨を規定したのであります。  制限施設の新設の内容としては、次の三つの場合に分けて考えております。すなわち第一に制限施設の新設としては、さらにその作業場または教室が基準面積以上の工場または学校を新築する場合であり、本条第一項で制限施設の新設といっているのは、この場合をさしているものであります。  第二に、制限施設以外の施設、たとえば倉庫、事務所等の用途を変更したり、何らの用途に供されていない施設を利用して、基準面積以上の作業場または教室に使用しようとする場合も、制限施設の新設とみなすものであります。  第二項第一号で規定しておりますのは、このことをさしておるのであります。ただこの場合、以前に制限施設であったことがある施設については、それが現在地の用途に使用されていても、それを再び制限施設として使用することは、許可を要しないことといたしました。これは、製造業につきましては、経済情勢の変動により、工場を長期間閉鎖し、またはこれを一時他の用途に転用した後、工場を再開するような事例も多く見られ、この場合一々工場の再開のたびごとに、許可にかかわらしめる必要がないと考えたからであります。  制限施設の新設の第三の場合といたしましては、最初に規模の小さな作業場または教室を作り、その後同一の団地内において逐次増設する場合、すなわち、作業場や教室を新築したり増築したり、または作業場や教室以外の施設の用途を変更したり、あるいは遊休施設を工場や学校に利用することによって、作業場や教室の全体の床面積が基準面積以上のものになる場合も、制限施設の新設とみなすことにいたしたのであります。  第二号の規定は、この第三の場合を規定したものであります。  第五条は、第四条第一項ただし書きの許可を受けて、制限施設を新設した者は、その後に行う増設については制限を受けないこととした規定であります。  知事制限施設の新設の許可をいたします場合には、あとで御説明いたします許可の基準に従って、真にやむを得ないもののみを許可することといたしておりますので、一度許可を受けた事業については、それが、その後の情勢の変化に応じて増設せざるを得なくなる場合であっても、再度の許可手続を省略することといたしたのであります。  第六条の規定は、一の地域制限区域となった際等における経過措置であります。すなわちこの法律施行前からある既存の工場または学校や、工事中の工場または学校について、あるいは今後制限区域が拡張される場合に、既存の権益を保護する必要がありますので、本則に、かかる措置を規定したものであります。  第一項の規定は、一の地域制限区域となった際、現にその区域内において施行されている工事にかかわる制限施設の新設については、許可を要しないこととしたものであります。制限区域となる前から遂行されていた工事につきましては、他の立法例にもならい、これを救済することといたしたのであります。  第二項の規定は、一の地域制限区域となった際、現に存した作業場または教室についての経過規定でありまして、既存の施設について制限を緩和しております。すなわち、第一に、作業場または教室について、その業種を変更することによって制限施設に該当することとなった場合は、許可を要しないこととしたものであります。また、これらの作業場または教室の用途を廃止した後、これを、そのまま制限施設に該当する作業場または教室に利用いたします場合にも、同様な取扱いをいたすこととしたものであります。  第二に、一の地域制限区域となった際における既存の作業場または教室を拡張して、同一団地内においてその床面積を増加させます場合には、もとからの作業場または教室の床面積は除外し、新規に増加させる部分のみが基準面積に達するまでは制限しないことといたしているのであります。これは、第四条第二項の規定の特例であります。  第三項の規定は、一の地域制限区域になった際、現に工事中の作業場または教室につきましても、既存の作業場または教室と同様に、第二項の規定について述べましたような制限緩和の取扱いをしたものであります。また一の地域制限区域となった際何らの用途に供されていない施設であって、以前に製造業または学校の用に供されていたもの、たとえば、あき工場等につきましても同様の取扱いをしたものであります。  第四項の規定は、一の地域制限区域となった際、現にその区域内において作業場または教室を、製造業または学校の用に供していた者の事業経営に与える影響を十分勘案いたしまして、その地域制限区域となった言から起算して六カ月以内に知事に届け出た場合は、その団地内におけるその後の増設を制限しないことといたしたのであります。  第五項の規定は、一の地域制限区域となった際、作業場または教室について工事施行中のものにつきまして、前項と同様に取り扱ったものてあります。  第六項の規定は、政令改正により制限施設範囲が変った場合の経過措置であります。  政令改正により制限施設範囲が変る場合としては、第二条第二項及び第三項の規定に基く政令改正されて、今まで制限施設でなかった工場、学校が制限施設となる場合、並びに第二条第五項の規定による作業場の基準面積を定める政令改正された場合が考えられます。  かような場合には、前五項の規定に準じて必要なる経過措置を政令で定め、既存権益を保護することとしたのであります。  第七条は、許可申請手続についての規定であります。申請書に記載すべき事項を、第一項において規定いたしますとともに、制限施設にかかわる敷地及び建築物の配置図その他許可の基準に該当するかいなかを判断できるような資料を、政令で定めて添付すべきものといたしたのであります。  第八条は許可の基準を定めております。すなわち「知事は、第四条第一項ただし書の許可申請があったときは、次の各号の一に該当する場合でなければ許可をしてはならない。」こととしているのであります。  第一号は、当該制限施設の新設が制限区域内における人口の増大をもたらすこととならないと認められるときであります。これは、この法律の目的から見て当然であり、たとえばすでに基準面積以上の作業場を設置していた者がこれを取りこわして他の場所に移転するような場合で、そのために従業員数が増加するものでない場合等がこれに該当すると考えております。  第二号は、当該制限施設の新設によって、制限区域内における住民または他の事業者が、その生活上または事業経営上現に受けており、または将来受けるべき著しい不便が排除されると認められるときであります。これには、主として制限区域の住民のために技術修得のための各種学校の新設がぜひとも必要である場合、制限区域内の既存工場のための維持補修の工場が必要な場合等も考えております。  第三号は、制限区域外において申請者が当該申請にかかる事業を経営することが著しく困難であると認められるときであります。これには、制限区域内にある親工場に主として依存し、制限区域外に立地することが著しく困難な下請工場の新設等を考えております。   第四号は、その他政令で定める場合に該当するときであります。これは、前三号に該当しないが、制限区域内に立地することがやむを得ないもの、たとえば既存の大学の学部、学科の増設等で学生の利便等を考嘱して、必要やむを得ないものと認められる場合等を考えております。  第二項は、知事がが処分をするに当って産業政策及び文教政策との調整をはかり、処分の適正を期するため、申請にかかる製造業または学校を所管している関係行政機関の長の承認を受けることを規定したものであります。  第九条は、許可または届出の承継の規定であります。すなわち制限施設の新設についてその許可を受けた場合、または一の地域制限区域となった際、現にその区域内において作業場もしくは教室をその事業の用に供している者が、知事に届出をした場合において、これらの施設を事業または学校の譲り受け、相続、会員等の包括承継により承継した者があるときは、その者が、その行為が行われ、またはその事実があったときから六カ月以内に知事に届け出たときは、許可を受け、または届出をした者の地位を承継することとしたのであります。  第十条は許可の取り消しについての規定であります。第四条第一項ただし書きの規定によって制限施設の新設の許可を受けた者はすみやかに工事に着手すべきものであることは当然でありまして、正当な理由がないのに一年以内に工事に着手しないときは、知事はその許可を取り消し得ることといたしたのであります。この場合におきまして、許可の場合と同様に、あらかじめ関係行政機関の長の承認を要するものといたしたのであります。  第十一条は、違反に対する措置に関する規定であります。本法制定の趣旨にかんがみまして、違反に対する措置としては、制限施設のうち、基準面積を越える部分の使用制限命令を出し得るようにいたしたものであります。  第十二条は、立ち入り検査に関し必要な規定を設けたものであります。すなわち知事は、第六条第四項に規定しております届出があった場合、及び前条の規定によりまして違反に対する措置として制限施設の使用制限を命じようとする場合、以上二つの場合に限り、立ち入り検査を行うことができることとしたのであります。  第十三条は、聴聞の規定であります。すなわち知事が第十条第一項の規定または第十一条の規定によりまして、許可の取り消しまたは違反に対する措置を行おうとする場合に、事前に公開による聴聞を行うことを要する旨を定め、もって、これらの処分の公正を期し、関係者の権利、利益が不当に侵害されることのないようにいたしたのであります。  第十四条は、訴願の規定であります。すなわち本法の規定による知事の処分に対し、不服のある者の救済措置といたしまして、この法律の主務大臣である内閣総理大臣に訴願を提起し得る道を開いたのであります。内閣総理大臣がこの訴願を裁決しようとするときは、首都圏整備委員具会及びその他の関係行政機関の長の意見を聞かなければならないこととし、裁決の公正を期することといたしたのであります。  第十五条は、国に対する適用を明示した規定であります。国がみずから製造業の用に供するための工場の作業場または学校の教室を新設する場合も、国以外の者と同様に本法の適用を受けさせることは、この法律の目的に照らして当然でありまして、本条は、この旨を特に明確に規定したのであります。  第十六条は、他の関係法律の適用についての規定であります。第四条第一項ただし書きの許可の対象となる制限施設の新設に関しましては、建築基準法、学校教育法、火薬類取締法等の他の法会において、本法とは別の観点から、行政庁の許可認可等の処分を要することとなっているものもあります。本条は、このような他の法令と本法とが並列的に適用されるものであることを法律上明確にしたものであります。  第十七条から第十九条までの規定は、本法の施行に関し、必要な罰則規定したものでありまして、他の法令の類似の規定罰則均衡をとって定められたものであります。  附則第二項は、本法の施行に関する事務を、首都圏整備委員会事務局をして行わしめるため、首都圏整備法について所要の改正をなすものであります。  以上でございます。
  80. 堀川恭平

    堀川委員長 本案に対する質疑は次会に行うことといたします。
  81. 中島巖

    中島(巖)委員 今回の通常国会は、最初の予定としましては、この災害に関する問題を大きく扱っておる。それで、政府も補正予算を提出するということに意見が一致しておるというように聞いておるわけであります。この災害に関するところの補正予算は、当委員会関係が非常に多いのでありまして、従って、政府の決定以前に、政府の意見を聴取し、そして当委員会といたしましても、聴取した結果によりまして、政府の考え方をただすと同時に、当委員会としての考えも十分政府に伝えねばならぬ。こういうような見地から、早急に大蔵大臣を当委員会へ呼んで、十分その点に対して政府の意見を聞いたり、当方の意見を政府に伝えたりする必要があると思いますので、次会、すなわち金曜日の委員会に、大蔵大臣を当委員会に呼ぶことを提案するわけでございます。
  82. 堀川恭平

    堀川委員長 中島委員の御提案に対しましては、ごもっともと存じまするが、次回の委員会理事会で一つ御決定いただきたい、かように存じます。  次会は、明後二十四日午前十時より開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十九分散会