○遠藤国務大臣
土地収用法に関連して、ただいま両
委員から問題を提起してあるわけでございますが、実は公共事業を、あるいは
道路といい、あるいは
河川工事といい、相当大規模に実施する段階になって参ったのでありますが、今御
指摘のように、一、二の者が非常にがんばっておるがために、大事な
工事が中途でもって進まないというような事態が少くないのであります。この事態を何とかして解決していかなければならぬということが、建設省としての非常に大きな悩みでありまして、そこで、私は、一体
土地収用法の運営がどういうふうに行われておるか、実態を調べさせておったのでありますが、いろいろ調べてみますと、
土地収用の手続に入りましてから、従来の例によりますと、平均して二十五カ月ないし二十六カ月かかっておる。しかし、二十五カ月や二十六カ月というのは、あの法律の趣旨でもないし、どういうことでおくれておるか、もう少しそのおくれている
原因について調べてみなさいということで、詳しくそれを追求しておったのであります。そうしますと、法律の趣旨がよく理解されておらない。もう少し法律を適正に運用していけば、そういう問題がある程度解消されていく。できれば私は、
土地収用法の改正等の問題にまで触れないで、運用をうまくやることによってこの問題を解決していくということができれば、それが最も理想的だというふうに考えて、とにかくとりあえず運用を適正にやってみなさいということで、次官通牒を私は出さしたのであります。その運用の結果を、もう少し見守っていきたいと思います。しかし、私の感じといたしましては、公共事業をやっていく場合に、みだりに
土地収用法を使うということは、慎しまなければなりません。あくまで話し合いでいくという
考え方を基礎にしなければなりませんが、
お話しのように、一、二のものががんばって、たとえば長良川のごときは、たった一人の人ががんばって、何カ月も動かない、橋をかけることができない。あるいは
国道一号線の、私の選挙区にありますけれ
ども、吉原市のあのバイパスを作ろうと思ったところが、一軒の人ががんばっておって、最後になってもどうしてもだめだ、話し合いを全然受け付けない。これは、公共のためにある程度
犠牲になってもらわなければいかぬ。しかし、
犠牲になる場合には、相当の補償もし、客観的に見て、これは無理もないだろうというようなところで、話し合いと同じような結果になるような収用手続を進める以外には、
方法がないだろうというふうに考えてやっておったのでありますが、いずれにしても、収用法が少し
——二十五カ月もかかるようでは、これは、今の忙しい
時代に間に合わない。大体個人の権利も尊重しなければなりませんので、そうして広く一般的な常識で納得できるような価格その他の対価も支払わなければなりませんし、
関係者の生活の将来のことも考えなければなりませんので、まあ三カ月くらいの期間をそれに置いて、三カ月くらいの間には解決できるような、そういう
措置を講じていかなければ、今の
時代の要請に合わないのではないかというふうに考えて、今の法律の
もとにおいて二カ月くらいでやれないかどうか、あるいは三カ月ということを、厳格にきちっと九十日というふうにきめる必要はございませんけれ
ども、三カ月ないし四カ月くらいでもって解決するようなことにはならぬか、もしならぬとすれば、これは収用法の改正の法律案でも出して御審議を願うことにする以外には、仕方がないじゃないかといったような気持を実は持っておるわけであります。今収用法の適正な運用をやらせるように通牒を出しまして、その推移を見ておる段階でございます。ただいま私
どもの考えておる気持は、そういうところにありますので、
一つ御了承いただきたいと思います。