運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1958-10-17 第30回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月十七日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 木村 守江君 理事 佐藤虎次郎君    理事 瀬戸山三男君 理事 二階堂 進君    理事 南  好雄君 理事 上林與市郎君    理事 中島  巖君 理事 三鍋 義三君       逢澤  寛君    井原 岸高君       川崎末五郎君    砂原  格君       橋本 正之君    村瀬 宣親君       兒玉 末男君    東海林 稔君       塚本 三郎君    武藤 武雄君       山中 吾郎君    山中日露史君  出席国務大臣         建 設 大 臣 遠藤 三郎君  出席政府委員         建設政務次官  徳安 實藏君         建設事務官         (大蔵官房長) 柴田 達夫君         建設事務官         (計画局長)  美馬 郁夫君         建設技官         (河川局長)  山本 三郎君         建設技官         (道路局長)  佐藤 寛政君  委員外出席者         建設事務官         (住宅局長)  鬼丸 勝之君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 十月十七日  委員山中日露史辞任につき、その補欠として  山口シヅエ君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山口シヅエ辞任につき、その補欠として  山中日露史君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 十月十六日  福島県の台風による災害救助等に関する請願(  木村守江紹介)(第五三六号)  国道三次、尾道間舗装に関する請願永山忠則  君紹介)(第五五四号)  二級国道新潟平線改修に関する請願木村守江  君紹介)(第五五五号)  米子市内国道路線変更に関する請願足鹿覺  君紹介)(第六一八号)  伊勢市内国道二十三号線度会橋の拡張に関する  請願濱地文平君外一名紹介)(第六二二号)  荒川改修事業促進に関する請願高石幸三郎君  紹介)(第六二三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  台風第二十二号による災害対策に関する件  道路に関する件      ————◇—————
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 これより会議を開きます。  台風二十二号による災害対策に関する件につきまして、前会に引き続き質疑を続けます。塚本三郎君。
  3. 塚本三郎

    塚本委員 今回の災害に対しまして、私も、各被災地を三日ほど連続して見て参りまして、正直のところ、どこへ行きましても同じような苦情が出ておりまするが、特に私は、関東地方を回りまして一番大きく感じたことでございますが、都市が、満潮時において水面より低いところにありまするから、どうしようもないという形になっているところ、たとえば川口市であるとか、あるいはまた江戸川、足立、葛飾、そういうふうなところをずっと回ってみまして、水を流そうといたしましても、水面の方が高い。だから、自然と上から流れてきた水が流れることなくして、そこが貯水池のような形になっておる。こういうふうな状態をながめてみますると、今後こういうふうな形で、どうどんとそういう水面下にあるようなところに家が建つ、あるいはまた工場ができるということをそのまま放置することになりますると、やはりこれも、自然の力学的な法則に反した形で都市ができてきておりまするので、これに対しては、よほど考慮する必要があるのじゃなかろうか。このことは、都市計画の問題であり、あるいはまた東京においては、首都圏の問題かしれませんが、何かこれに対して、たとえば建築に対する制限とか、あるいは対処する方法とか、そういうことに対して考えておいでになるのか、少し聞かせていただきたい。
  4. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまのお説、まことにごもっともでございます。実は地盤沈下場所も相当ございまして、果してこのままで、ただ防壁みたいなものを作って、そうしてその地域を守るということだけでなしに、将来そこに、今お話のような工場建設であるとか、あるいは生産関係のものを他に移すとか、将来は、そういうものを何とか考えなければならぬ時代にもきておると思うのです。江東地区のごときにおきましても、年間大へんな生産力がある、これは、放ってはおけないという議論もあるようでありますから、ただいまのものを守るということも必要でございますけれども、将来果してこれはこのままで守り得るかどうかということは、自然沈下という問題とにらみ合せて、非常に大きな問題でございまして、おそらく東京都におきましても、あるいは隣接した各府県におきましても、今後の問題は真剣に考えられると思いますから、私どもの方も協力いたしまして、そうして、そうした問題が根本的に解決する策は、今すぐ見当らぬにいたしましても、一体このままでいいのか悪いのかということについては、今申し上げた通り、このままではいけないと思いますから、何らかの制限をつけますとか、あるいは転移を考えますとか、真剣に取り組んで考えてみたい、かように考えまして、ただいまそうした準備をいたしておりますから、御了承いただきたいと思います。
  5. 塚本三郎

    塚本委員 これは首都圏では都市が膨大になり過ぎるとか、それから交通の問題とか、災害対策として、地盤が低いということを根本的に考えて、その対策の上からも対処する方法を考えていただかぬと、どこへ行ってみましても同じような苦情で、水が流れてきて、その水をはくことに対してやりようがない、こういう状態だと思う。これは、もはや自然現象に反しているんだから、首都圏なんかで工場が多くなる、交通その他人口政策ということじゃなくて、災害対策ということからも、地盤が低いところは、特にその考慮を払っていただく必要があるのではなかろうか。  それからもう一つ道路の問題でございますけれども道路だけでも高くする、こういうふうな意見が非常に強く出ておる。と言いまするのは、大体道路が高ければ、せめて避難の場所道路を選ぶことができるとか、さらにまた道路が高かったならば、救援物資がある程度まで入ってこれたのではなかろうか、これは江戸川江東地区でそういう意見が相当強うございます。そういう点、道路だけでも高くするということができないものなのかどうなのか、この点、お伺いしたいと思います。
  6. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 御質問の道路の点について御説明を申し上げます。道路は、御指摘のように構造からいいまして、できるだけ高く築造するのが非常に望ましいことであり、また本来そういうことになっておるのでございます。申すまでもございませんが、英語でハイ・ウェイと申します。これは相当盛土をやって高くする。高くするということは、道路路床構造上の点からいいましても、その方が望ましい。それから御指摘のように、多少の出水等があっても、そこだけはちゃんと出ているということが大事なので、そういうことを建前として設計をやるようにしております。ただ問題は、市街地等におきましては、沿道人家等関係も考えなければなりませんので、特に沿道関係から高くしようといたしますと、いろいろまた批判、反対というようなことがございまして、沿道のことを考えますと、理想ではあるけれども、必ずしもそうするわけにはいかない点がある。そこで市街地につきましては、おおむね両側の宅地とそう高さが違わないように、不便になるような市街を作らないようにいたしております。市の外の地方地区でございますが、これに対しましては、ただいま申しましたように、できるだけ基盤を高くするように計画し、築造するようにいたしております。ただこれとても、経費等関係がございますので、一定の限度はございますが、道路構造令の上からいきましても、地下水の高さより、たしか数字の上では四十センチ以上の高さにするというような規定になっていたかと存じますが、そういうような考え方で、できるだけ高く道路を作るように考えておる状況でございます。
  7. 塚本三郎

    塚本委員 今日の水害あとで、復旧ということに対してはもちろんでございますけれども、今後今局長さんが言われたような、そういう都市において反対があるということに対してはこれはやむを得ない点もあると思いますが、水害地においてそれらを望んでいると思うのです。その点、補正予算水害に対するいろいろな復旧の問題が出てきまするが、その道路を高くするということについて、具体的に当面ああいう水害地のところだけでも高くする予算が組んであるかどうか、あるいはそういうことは不可能なのかどうか、その点、もっと詳しくお伺いいたしたい。
  8. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 道路復旧に際しまして、公共災害国庫負担法、あの災害査定でとれます場合には、その設計をいたす際に、そういうことを十分考えております。それから災害査定にかからないようなものに対しましては先般も申し上げたかと存じますが、できるならば既定予算、あるいは特別の予算措置を考えまして、道路復旧いたします際に、ただ幅だけでなく、高さにつきましても、先生が御指摘のように、また先ほど私が申しましたように、できるだけ高さの十分な道路を作るような考え方で処理いたすつもりでおります。
  9. 塚本三郎

    塚本委員 そうしますと、現在水害地あたりでは、あとの水が引いてしまえば、そんなに舗装してないところでしたら、そのままでまた打ち過ぎる危険性があると思います。この点に対してよく聞いてみますると、あの地方は、二、三年ごとに一回ずつくる。だから、たとえば救援ボート等も、台風警報が出ると同時にいち早く確保したというくらいに、水防に対しては訓練ができておるといってもいいくらいに、二、三年に一度は、必ず三割ぐらいは出水するという話を聞いておりまするが、こういうところなどは、引いてしまえばまたもと道路であるのだからというふうなことでほうっておかれると、いつまでたってもそういうことが続くのでありまするが、そういう地区道路だけでも高く——さっき四十センチという話がありましたが、せめてそのくらい完全にやっていただいたならば、道路に荷物を持ち出して被害を最小限に食いとめることができ、あるいは救援物資も、早急に回るということになるのじゃないかと思いますが、現在常時そういう被害を受けるべき低湿地帯道路に対する処置に対して、もう少し詳しく言っていただきたいと思います。
  10. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 その道路が特に低湿地帯を通っておる場合には、通常の出水によって交通が途絶することがないように、特に留意いたしたいと存じます。実際の築造にいたしましても、相当高いものを作りまして、一方におきまして道路を高くいたしますと、また通水のじゃまになる。それから出水があったときに、道路が高いために、よく片側に湛水いたしまして、やはり災害を起す原因だというような御非難を伺っておるのでございますが、低湿地道路を相当高くしなければならない場合には、排水管通水官等を築造いたしまして、ただいま申しましたように水が片方に、たまるようなことがないように、つまり地元の方にも、道路を高くしたために御不便がないようにいたしまして、一方交通等には、多少の出水にも差しつかえないように、その点を相当研究いたしまして、道路施工高施工基面をきめるようにするつもりでございます。
  11. 塚本三郎

    塚本委員 それから地盤沈下の問題でございますけれども、聞くところによると、一年間に、江東地区では七センチずつ地盤沈下をしておるというふうに聞いておりますが、そうすると十年間に七十センチ、これはおそるべき状態だと思うのです。これに対して、何か地盤沈下をこうするとかいう具体的な方法、あるいは今建設省が持っておいでになる対策をお伺いしたいと思います。
  12. 山本三郎

    山本政府委員 東京あるいは大阪、あるいは新潟等地盤沈下が起きまして、工場あるいは建物等の敷地が沈下すると同時に、堤防等沈下にも影響いたしております。そのために、従来考えられなかったような湛水を起しますし、また高潮等の場合に非常に危険であるということで、それに対する対策は、私どもといたしましては、現状で下っておるものにつきましては、高潮等の入らぬように工事をするということでございますが、お説のように、まだ沈下は進んでおるというような地方が多いわけでございます。これにつきましては、その原因を突きとめまして、この原因を除去することがまず必要なことでございます。東京都の方面におきましても、そういう問題をいろいろ調査いたしまして、大体におきまして、その沈下原因は、やはり地下水をくみ上げることが非常に大きな原因ではないかというふうな大体の結論が出ております。ほかの地区におきましては、まだ問題はございますけれども地下水をくみ上げないようにできるだけしなければならぬ。そのためには、やはり地下水のかわりになるような工業用水なり、あるいは暖房用水等をほかの方法でとる、地表水をとる。それから地下水をくむにいたしましても、なるべく循環してその水を使って、よけいとらない方策にしようというようなことが考えられるわけでありまして、東京都におきましても、一ぺん使った水を何回も使うような処置をして、地下水所要量を減らす。それからさらに進んでは、地表水から水をとるようにいたしまして、工業用水なり暖房用水地下水をとらないような方策を進めてもらうということで、それぞれ具体的な方策を立てまして、逐次やってはおります。しかし、お説の通り、まだ沈下は若干ずつございます。その沈下をなるべく早くとめると同時に、沈下したもの、あるいは将来、地下水処置をいたしましてもさらに沈下するものにつきましては、やはり高潮等を防ぐ工事をやると同時に、中にたまった水は、ポンプ等によって排出するような方法を考えなければならぬということで進んでおります。
  13. 塚本三郎

    塚本委員 工業用水等地下水をくみ上げるという原因がわかっておるところは、そういう方法もあると思いますが、特に江東地帯は、歴史的にながめてみますと、昔は海であったり、あるいは沼地であったものが、はんらんその他で押し寄せてきたものによって埋まって土地になったというところで、元来がすでに立地条件そのものがやわらかいところではなかろうか。それがだんだんと踏み固まるに従って、次第に沈んでいく、こういう形も非常に多いと思います。言ってみるならば、埋めて下が押えてないという形、そういうところですから、だんだんと下ってくるので、地下水をくみ上げてそれで下るということだけははっきりしておりますが、そうではなくて、だんだん時がたつに従って、十分締まってないところが急速に膨張してきたから、昭和の初めまでは見渡す限りの沼地であったものが、見渡す限り住宅地帯になり、あるいは工場地帯になっておる。これらのものに対しては何とか科学的に考えて、それに対処する方法がないものかどうか、この点を御研究になっておいでになるかどうか、それをもう少し聞かせていただきたい。
  14. 山本三郎

    山本政府委員 確かに江東方面は、お説の通り、利根川とか荒川が、従来はあの地区に流れ込んでおりまして、その沖積によりましてでき上った土地であります。そのために、もとから陸地であったところよりも、今おっしゃるような危険性は多分に包蔵しておるわけでございます。しかし、それによる沈下というものは、たとえば大阪等において調べたところによりますと、地下水を終戦直後はほとんどくまなかった、そのときは非常に沈下がとまったというような事実からいたしますと、沖積地帯が下るというところは、場所によって違いますけれども、相当古い時代に作られたものは、今になって急激に沈下するようなことはないというふうに考えております。ただ最近埋め立てたようなところとかにつきましては、やはり埋立地が締まったり、あるいは荷重を上に乗っけると下るというような危険がありますので、それらの点については、それに応じて十分な措置をとらなければならぬというふうに考えております。
  15. 塚本三郎

    塚本委員 それに応じてという、その応じてという具体的な対策が何かあるのでしょうか。といいますのは、各地において沼地を今埋めるとか、あるいは琵琶湖等も、ある程度干拓の仕事をしております。そういうふうに、各地でまたそういうところをどんどん今作ろうとしておる、あるいは海岸を埋め立てていくとかいう問題が、これからたくさん出てくると思うのです。だから、根本的に天然現象で下るということは、自然の状態を無理して膨張しているのです。湖や沼地埋め立てて、そして国土を広くしようとしているときですから、何かこれに対してしなければならぬということだけでなしに、具体的にそれに対する方法というものは、いまだ見つけておらないものなのか、あるいはそれは、方法はあるのだけれども予算が伴わないのかどうか、その点、もう少し詳しく言っていただきたいと思います。
  16. 山本三郎

    山本政府委員 埋め立てをしまして、そのところが沈下する、そういうものに対して、対策をしていないかというようなお話でございますが、いろいろと試験をいたしましたり、あるいは従来埋め立てをした実績によりまして、こういう地盤ならこれくらい沈下するだろうとか、あるいは盛った土地がこれくらい締まるだろうというようなことは、あらかじめ検討いたしまして、それだけの余裕は持って工事をやるようには考えるわけでございます。ただ何年間に一回くるような高潮に対しまして工事を万全にするには、なかなか金がかかるのですから、見当はつきましても、工事費の点から、具体的にいいまして、それに応ずるような構造物にできていないといようなところはあると思います。しかし、技術的に申しますと、こういうようなところに埋め立てすれば、どのくらい下るであろうというような見当、いろいろな資料をもとにしましたり、また地質調査等をいたしますれば、見当はつくわけでございますから、それに対して十分な措置をとっていきさえすれば、安全であるということの見当はつくわけでございます。
  17. 塚本三郎

    塚本委員 地盤沈下のところは、もっとこれから根本的に考えていただかなければならぬと思います。  もう一つ、やはり地盤が低いという問題なんですが、関東地方で一番問題になっておりますのは、地盤が低いというところから、今回のような非劇が——これは静岡は別でしょうけれども、出てきたと思うのでございますけれども、たとえばその場合に、水が溢水して一ぱいになってしまった、そしてはけ口の方が水が高い。そうすると、もはや今日の段階では、ポンプでくみ出すというよりも、くみ上げるという形以外にないのじゃなかろうかと思うのです。補正予算の中で、災害復旧に対しての考え方は非常に強いのですけれどもポンプをたくさん増設をしてくみ出さなければならない。さらにまた別の放水路を作って、一カ所の川だけでなくて、幾つかの計画ができておるようですけれども、そういうものに対する河川改修工事、あるいは新しく放水路を作る、こういうことに対する予算という点、この災害復旧の中でも見込まれるものか、あるいは見込まれないとするなら、来年度の予算の中で、大幅にこれを取り入れてやらないといけないのじゃなかろうかと思いますが、その点はどうでしょうか。
  18. 山本三郎

    山本政府委員 お話のごとく、たとえば芝川のごとく、大河川に注流しておる小河川がございますが、それは宿命的といいますか、大きな川に大出水がある場合には、その小さな川の水がはけない。従いまして、その小さな川の沿岸に非常に湛水を来たすという結果から、今回の川口市のごとき問題が発生しておるわけでございます。この点に関しましては、従来もああいうふうな被害がたびたびありましたので、その芝川をどうしようかという計画は立てております。お説のように堤防だけ作ったり、あるいは川だけ作ったのでは、出口の水が高いのですから、水がはけないわけでございます。従いまして、荒川の本川が高いときはポンプを併用いたしまして、中の水をくんでやらなければいかぬということが必要になってくるわけでございまして、最近の河川改修工事におきましては、排水ポンプを併用いたしまして、堤防等改修とあわせまして、万全の効果を発揮するように考えております。芝川においても、放水路を作ると同時に、ポンプを作りまして、両方あわせて効果を発揮しようという計画になっておるわけでございます。そういうわけでございまして、今までも、芝川工事はやっておりましたけれども放水路等が完成しない前に、ああいうふうな大降雨がございましたので、大被害を受けたわけでございますが、これらの問題につきましては、災害ではもちろんとるべき性質のものでございませんので、改修工事によりまして、これを促進していきたいというふうに考えております。
  19. 塚本三郎

    塚本委員 その促進の問題でございますけれども、実は非常に遅々として進まないのですね。これは、もちろん予算の点がありましょうけれども、今局長さんの方から例が出ました芝川のあの状態をながめてみて、この地方の人は何と言うかといいますと、実は荒川放水路ができたおかげで、おれたちはこういうふうになるのだということを盛んに言うわけです。といいますのは、かつて隅田川だけであったわけですね。隅田川の当時は、隅田川はんらんしますると、東京が水びたしになるということで、そうして荒川の方へ流すために、自分の手前で放水路を作られ、しかも高い土手にして、そうして荒川の水位が高くなっておるから、もし昔のような状態荒川放水路がなければ、これは隅田川の方へ流れていって、下の方ではんらんするから、おれたちには差しつかえはなかった、こういう意見を出してくるのです。これは、向うの現地の諸君の言っておる勝手な意見かもしれませんけれども、考えてみますと、とにかく荒川はんらんしてない、普通の通り流れておって、一ぱいになって満水しておるというだけです。それだけによって、自分たちの方が被害を受けなければならないという形ですし、これは、やはり東京犠牲になって埼玉県等が被害を受けておるという事実は、ある程度認めてやらなければならないと思うのです。そうだとするなら、やはりよほど犠牲を払ってでも、たくさんのポンプを設けるようにしないと、今までのような形でぽつりぽつりやっておりましたら、またこれで二、三年のうちにそういうふうなことになると、大へんな問題が起きてくるのではないか。いってみれば、向う側の堤防を切るというようなことが昔はよくあったそうでございますけれども、そういう感情というものは、非常に強いと思うのです。だから、これに対しては、よほど思い切って予算化の問題に手をつけていただかなければならぬと思いまするが、やるとおっしゃっても、予算の方で相当問題があると思いますが、その点、具体的に予算の点はどうでございますか。
  20. 山本三郎

    山本政府委員 荒川放水路ができたために埼玉県が迷惑を受けたというようなお話は、これは、もしあれがなかったとすれば、今回の水によりましては、東京都はもちろんでございますけれども芝川の辺の大はんらんをおそらく起したというふうに考えておりまして、あの工事が大局的に役立っているということは、これは、間違うことのない事実だと思います。しかし芝川の問題は、あれだけの具体的な被害を起しておりますので、これを促進しなければいかぬということは、私どももかねてから考えております。それから県におきましても、これを重要工事として取り上げております。ただ今までにおきましては、用地等の交渉で、私どもがもっと金をつけようと思いましても、できなかったような事実がございます。しかし今後におきましては、あれだけの被害を受けておりますので、その点も非常に好転するだろうと思います。そういうふうな条件がそろうことを前提といたしまして、来年度からは大幅に費用をふやしまして、完成を早くはかりたいというように考えております。具体的の金額等は、これから大蔵省と折衝いたしましてきめなければいかぬものでございますから、幾らになるということは、ただいまは申し上げられない次第でございます。
  21. 塚本三郎

    塚本委員 もう一つ、これは堤防のことでございますけれども、私、現地に行ってみまして、もはや過ぎたあとでありましたので、写真等を見せてもらいまして痛感したことですが、水が一ぱい堤防にぎりぎりになってきますね。あふれ出ますと、裏側からくずれていくのですね。こちらの水圧で押し倒すのじゃなくて、やはりあふれることによって水が出てくる。そうして、その水によって裏側が溶けていきまして、そうしてくずれていった。向うからぜひ持っていって何とかしてほしいという依頼がありましたので、こちらにそのことを裏書きしておる写真を持ってきておりますが、そういう問題は、やはり堤防の裏側を、これは何か海岸の場合には、多く台風あとには、裏側もセメントを張るとか、こういうことで、裏を洗われることによる護岸の決壊を防ぐということが、最近行われているようでありますけれども、従来までありますところの大河川堤防の中には、裏側に対しては、そのままになっておるのではなかろうか。そういうときに溢水してきますと、そのあふれた水によって裏を洗う、こういうことでもって、大幅に堤防が溶けてくずれていく、こういう危険性があって、ちょうどその危険寸前の写真、あるいは溢水している写真を今ここに持ってきておりますが、そういうふうな状態は、何とかやはり裏をセメントを張るとか、そういうふうな工夫に対して、これからの堤防は、おそらくそういう措置が講ぜられると思いますが、今あるところの大河川堤防等について、そういう処置等については考えておいでになるかどうか、そういう点についてお伺いしたいと思います。
  22. 山本三郎

    山本政府委員 堤防の切れ方の問題でございますが、ただいまおっしゃるように、上を水が越しますと、裏の方からやられていく例もございます。それから上流地帯の方の荒川でございますと、やはり前から欠けていくというのがだいぶ多いわけでございます。最近におきましては、お説の通り堤防の上を越した場合には、やはりうしろから切れる場合が多いので、全部石張りにするなり、コンクリートにするなり、小さい堤防だと、そういうふうな処置をとらなければいけないということで、そういう処置をとっております。ただ、荒川とか利根川とか、全国の大きい堤防に全部コンクリートを巻くということになりますと、非常に大きな費用がかかります。しかし、重要な部分につきまして、あるいは水の越すおそれがあるようなところにつきましては、やはり越しても堤防が裏からやられないという方策をとる必要があると思いまして、そういうふうな具体的の処置をしているところもございます。
  23. 武藤武雄

    ○武藤委員 ちょっと関連して。きのう私ちょっと触れたのですけれども埼玉県の美笹村ですか、川口の奥で、堤防を自衛隊が直したのがありますね。決壊を始めまして、半分ぐうい決壊して、そうして自衛隊が出動して土俵を積んで直したことがありましたね。あそこなんか、完全に川底の砂をあげたやつですね。ですから、ああいう長期の雨が降ると、ぐずぐずになって、堤防の外から水が出て、決壊する。こういう点は、やはり今の質問とからんで、そういう点も考える必要があるのじゃないか。あそこが切られたら、これは大へんなことになる。  もう一つは、これは先ほどの質問の中にもあったのですけれども、日本でも例のない横堤ですか、何本かの横堤が荒川の上流にあって、そこで、下流の水の調節を膨大な地域にわたってやっているわけです。埼玉県側の方からたくさんの人がきましたけれども、結局われわれの方の用地を膨大に犠牲にして、そうして下流の工業地帯、都市地帯の水の調節をわれわれはやっておるのだ。それを越えてやっておるのだということを盛んに言っておりました。私ども見てみましてなるほどと思いましたのは、あの堤防の中に、約三十町歩をこえるりっぱな耕地がありますので、行ってみると、とても堤防なんかどこにあるのかわからぬような中に、広大な耕地がある。従って、これは農林省との関係がもちろん大きく出てくると思うのですけれども、そういう埼玉県側の、下流の洪水を自分たち土地犠牲にして防いであるのだという感情とからみ合せて、あの広大な土地を、まあ十年に一回とか五年に一回とかくる大洪水からはもちろん防げませんけれども、通常の水のはんらん程度では、その中の耕地が安全に耕せるように、いわゆる小堤防をあの中に築いてやることによって、五年間のうちに四年間、あるいは十年間のうちに七年間ぐらいというものは、安全に耕作ができるのじゃないかと思うのです。そういう点を、あそこを回ってみて、こんな肥沃な眠れる国土を放置しておく手はないのじゃないか。しかも埼玉県側にそういう感情が強いとすれば、なお真剣に取り上げて考えてやる必要があるのではないか。それは、水がたまりさえすればいいのですから、中に堤防を築いて農作物を保護してやるということは、一向差しつかえないのじゃないか。これは、もちろん農林省と関連があると思いますけれども、そういう点についてお伺いしたいと思います。
  24. 山本三郎

    山本政府委員 本年の荒川出水によりまして危険であった堤防がある、このところは補強しなければならぬじゃないかというお話でありますが、御承知の通り、あの危険だった場所は、元の川の敷地を締め切ったところでございまして、土質も恐かったわけでございます。従いまして、今後におきましては、ほかのところよりももっと強くしなければならぬという点は痛感しているわけでございますので、そういう処置をしたい、こういうふうに考えております。  それから荒川の堤外地の問題でございますが、これはお説の通り、あそこで相当の遊水をいたしまして、下流の方の流量を調整しているわけでございまして、あれがなかったとするならば、やはり東京都の中におきましては、もっとずっと大きな川を作らなければならぬというふうな結果になりまして、ああいうふうなことにしてあるわけでございますが、ただ、あの耕地が、おれたち犠牲になっているというお話もございますけれども、別にあの耕地が、従来堤防の中にあったのを外に出したという関係ではございません。ただせっかくあれだけの大きな土地があるのだから、将来もっと利用するような方法を考えなければいかぬじゃないかという点につきまして、これは、私は考えなければならぬ問題だと思います。ただどのくらいの金がかかるか、あるいは小さい堤防を作りますと、出水のためにそれがやられまして、また従来よりももっとひどいような大きな災害を受けるというような心配も出てくるわけでありますので、それらの点も考えて、どれだけ利用度が上るか、あるいは維持費等にどれだけの金がかかるかというような点も相互勘案して決定していかなければならぬ。もう一つは、農地の高度利用の問題でありますから、農林省とも打ち合せてやっていかなければならぬ問題だ、こういうふうに考えております。
  25. 塚本三郎

    塚本委員 鶴見川の場合、こういうことをいっております。直轄河川にしていただいて二十年たっておって、そうして全計画の五分の一がようやくらしいのです。そうすると、これは百年河清を待つという言葉が支那にありますが、全く全計画をやるのにちょうど百年かかるという計算を、ずっと数字をもって示してくれたのでありますけれども、直轄河川にいたしまして国家の力でやった方が、自治庁がやるよりも早く工事促進して安全だと思って、一応直轄河川にお願いした。ところが、そうしたら工事がよけいおそくなってしまって、県等がやっておった当時の方が、率からいきますと実は進捗しておった計算になるのでありますけれども、直轄河川になりましたのは二十年前、昭和十三年だといっておりましたが、そうすると、二十年たってから全計画の五分の一、こういう計算をしてみますと、いかに河川に対する予算が貧弱であるかということになるのですけれども、そのことが、実はりっぱな計画はありますかと言ったら、すでに昭和十三年のときに直轄河川にしていただきまして、もうすでに以前の水害でそれがいわれておった、だから、こういうふうにきちっと改修計画がりっぱにできております、ところが途中でストップして、わずか年間二、三千万円ずつしか金が来ない、こういうことから、このままいくと、まだ八十年かかりますと、こういう話を聞いてきてあきれたわけで、いささか私どもが責任を感じた形ですけれども、これらは、災害復旧費とは別に、改修費を出さなければならぬと思いますが、これに対して、早急にこれを進めるような見通しが予算の上であるのかどうなのか。  もう一つ、これはばかなことをしてあると思うのですけれども堤防の下を道路にして通してあるのです。橋の上を向うまで続けていけばよいのですけれども、途中で、川が常時流れておらない関係だと思いますが、堤防の中が通路になっておるのです。だから、これは水が出たときには、当然その下をくぐって水がいってしまうということで、堤防の用をなしておらない、これらも地元の人があきれておったのですけれども、こういう珍しいはんらんはそうたびたびないものですから、そのときにならなければ騒がないのですけれども、よく考えてみますと、堤防に穴をくり抜いて、そうしてそこをトラックが平気で通っておる。これは普通は道路にしてしまっておるのだから何ともしかたがない。こういうのを黙って放置しておくということは、これは、常識から考えてもないと思いまするが、この点、何とかしないと、ちょっと私どもの普通の常識から考えましても、堤防のところが道路になってしまって、そうして通り抜けて、水門一つできていない、こういうことになっていますが、その二つの点を、もう少し説明していただきたいと思います。
  26. 山本三郎

    山本政府委員 鶴見川の改修につきましては、非常に速度がおそくて長年月を要するということは、お説の通りでございまして、あれだけの大被害を生ずる原因も、そこにあったわけでございますので、これが促進につきましては、先ほど芝川等について申し上げた通り計画を立てまして、促進をして参りたいというふうに考えております。  それから堤防の一部が道路で、その部分が低かったために、そこから水が入ったという点も、そういう事実がございます。しかし、この橋は、それらのほかにもいろいろ橋がございました。そういうふうな種類の水門等もございました。それで逐次片づけていったわけでございますが、たまたま残っておったやつが、そういう式でやられたわけでございまして、これは、今年から着工することになっていたわけでございます。できるだけ早く仕上げるように考えたいというふうに考えます。
  27. 塚本三郎

    塚本委員 鶴見川の改修の件ですが、極力というお話ですが、大体見通しとしてどれくらいな—これから八十年というようなことにはならないと思いますが、近々のうち大体どれくらいでできるか、おおよその予算に対する見通しというものを、もう少し具体的に御説明していただけませんか。
  28. 山本三郎

    山本政府委員 これは、予算の問題でございますので、今後の折衝を要するわけでございますが、私たちの希望的と申しますか、考えといたしましては、今回の大被害原因をなしました川崎、鶴見の重要部分を守る部分は一つ五カ年くらいで仕上げてしまいたいというふうに考えております。
  29. 塚本三郎

    塚本委員 もう一つ、これは最後ですけれども、池上のところに国道を横切っておる川がございますね。下がサイフォンで通してあるのですが、御存じないでしょうか。それが、実は非常に細くって、当然これはだれが考えても、もう下が通り切れるものではないというところを、建設省がずっと以前らしいのですけれども、これで科学的にいって大丈夫だということから、やむなくそういうふうにさせられてしまったがために、実はそれが通り切らなくて、国道の上をざあっときてしまった。だから、これは早急に一つ暗渠排水ですか、下をくぐるのをもっと大きくしてほしい。しかも、これは第二京浜国道だというのです。そのために国道がとまってしまったという話があります。もう一般の常識では、そんなことは無理だということをみんなが言ったらしいですけれども、これは科学的に大丈夫だというようなことから、やむなくそれを認めた。ところがそういう形になってしまった。そういう点、建設省は非常に科学的な形を主張したけれども、現実にはこういうふうなみっともない形になってしまったということで、半ば地元の人たちに科学的な形を主張しながら、常識の方が勝ったのだというふうな言い方をしておりまして、それがために重要な国道自身がとめられてしまったということまでございますけれども、その点、早急にもっと太いパイプを通すような形にするというような点を考えていただきたいと思います。  最後に一つ、これは、私も初めてそういう災害等を見て参りまして痛切に感じて、三日、四日回ってきて、各地とも非常に大きなそういう希望がありますので、これに対しても、早急に地元民が納得のいくような対策を講じていただきたいと思います。一つお願いします。
  30. 山本三郎

    山本政府委員 東京都内の河川につきましては、今回の出水にかんがみまして、全般的に一つ計画を検討し直してくれという話をしております。従いまして検討中でございますが、従来の河川の処理につきましては、私どもは、将来はんらん等の事実が起らぬようにということで、できるだけ計画を大きくする考えで進んでおりますけれども、今のお話のように、地元で大きくしてくれというような話をしたことは、私は聞いたことは一度もございません。地元は、そんなに土地がつぶれては困る、家がつぶれては困るというので盛んに抵抗してきます。ですから、今のお話は逆ではないかと思っておりますが、なお調べまして善処したいと考えております。
  31. 武藤武雄

    ○武藤委員 災害関係で関連質問。これは、この前災害視察に行ったときも市町村から大へん出まして、それから昨日自民党の災害関係の臨時の委員会のときにも、若干自民党の方からも出たそうですけれども、市町村の小災害は非常に数が多い。この救済を一々査定するにしても大へんなことなので、それで、何とか市町村が一括して工事ができるような方法はあるまいかという意見がだいぶ出たのです。昨日の意見では、市町村のそういう小災害をすべて一括起債の格好でやらして、特別交付金か何かであとで救済をしてやるという方法がいいじゃないかという議論がだいぶ出たようですけれども、こうなれば、小災害の救済には一番好都合になるのじゃないかと思うのです。しかし、実際に金を支出する場合に、そういう方法が可能かどうかということが、これまた問題になってくると思うのですけれども、可能性があるとすれば、これは、ぜひ今回はやった方がいいと思うのです。その点を、一つ技術的にお聞きしたいと思っております。  もう一つは、この前の二十八年災害ですか、農林関係は、五十メートル以内における災害は、一件の災害として、これを査定をして救済したという。そのときも、建設関係も、今二十メートルというのを五十メートルにしたらどうかという意見がだいぶ強かったのだが、そのままになったというお話ですけれども、これは、恒久的な今の災害国庫負担法の問題になると思うのですけれども一つこの際、今回の災害の経過から考えて、二十メートルというのを五十メートル以内というふうに引き上げる方がいいのじゃなかろうかと思うのです。そういうことを考えておるかどうか、一つお聞きしておきます。
  32. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまのお説は、わが党でもまた社会党方面からも、そうした意見が相当有力に唱えられておりますので、政府で今研究中でございます。もうやがて結論が出ると思いますので、しばらくお待ち願いたいと思います。
  33. 武藤武雄

    ○武藤委員 それは二つともですか。
  34. 徳安實藏

    徳安政府委員 二つともです。
  35. 堀川恭平

    堀川委員長 東海林君。
  36. 東海林稔

    ○東海林委員 私は、災害問題のうち、特に住宅関係につきまして数点お伺いしたいと思います。  御承知のように、今回の災害で、住宅関係にも非常にたくさんの被害がございました。住宅は、一日もなくては困る問題でありますし、さらに寒さを前にいたしまして、罹災者が非常に心配しておる問題でございますので、これについては、急速に十分なる施策を講ずる必要があると思うのでございます。そこで、まず第一点に伺いたいのは、公営住宅の関係でございますが、水害で家が流された人は、単に住宅が流されたというばかりでなしに、家財道具、あるいは商売道具や商品も一緒に流された人が大部分だと思うのでございます。従って、各種の災害のうちでも、その被害は、特に罹災者にとっては経済的に因る問題だと思うのであります。従って、住宅については、できるだけ公営住宅を急速にたくさん建てる必要があると思うのでありますが、しかし、一面県にしましても、あるいは市町村にしましても、罹災地におきましては、常平生でさえ財政状態が豊かでない上に、この災害対策のために経費が非常によけい各方面に要るわけでありますので、公営住宅にのみそう多額の経費を注入することは、容易でないと思います。そこで、どうしても国としてこれに積極的な援助を与える必要があると考えるのでございます。  まず第一点にお伺いいたしたいことは、そういうような見地からいたしまして、公営住宅法の第八条による補助率をさらに引き上げる考えがないかどうかということと、それに伴う積極的な国庫補助の計上の考えがあるかないか、この点をまずお伺いいたしたいのであります。  第二点は、公営住宅の家賃の問題でございますが、現在の状況から見ますと、公営住宅に入居を希望しても、なかなかなかじが当らぬというような現状でございます。第十二条の三でございますか、あそこに規定してあります減免条項の適用ということは、現在の日本では、ほとんど行われておらないのでありますが、しかし諸外国の例をうかがいますと、公営住宅は、大衆に対して人間らしい住居を与えるのだというような建前からしまして、貧乏人でも入れるのだというような考え方が相当強いそうであります。この前の委員会で参考資料として配付されました「住宅」の九月号の中にも、イタリアの公営住宅の例が出ておるのでありますが、夫婦一室、子供は男女各別で三室ありますが、貧乏人でも入れるんだ。貧乏人には、家賃が払えない場合には、これを安くしておいて、だんだん収入がふえると、普通の家賃をとるようにするんだ、こういうようなことが書いてありますが、日本においても、そういうような考え方がぜひとも今後必要じゃないかと私は思うのでありますが、少くとも今回のような災害に当って、特に罹災程度が著しくて、しかも差しあたって収入がないというような人たちに対しては、この十二条の三項の減免規定を大幅に活用する必要があるのじゃないか。国で高額の補助をやると同時に、そういう減免規定についても、実際にこれを行うように、条件をつけて補助することが必要じゃないか、このように考えるのでございますが、まずこの二点についての御見解を伺いたいと思います。
  37. 鬼丸勝之

    ○鬼丸説明員 災害公営住宅の建設は、御承知のように、その費用の三分の二を国が補助いたしまして、市町村なりあるいは県がこれを建てて管理するというものでございますが、お尋ねの第一点の補助率の問題でございますが、公営住宅法が施行されましてから、災害の場合は、通常三分の二を補助いたしております。ただ二十八年の災害のときの場合にのみ、特例として高率補助が適用されたわけであります。従いまして、過去の災害の実情から考えましても、あるいは他の公共土木施設の補助率とのかね合いということから考えましても、ただいまのところは、現行の補助率で建設の計画を進めておるような次第でございます。  それから第二点の公営住宅の家賃の問題でございますが、特に災害の場合に供給されます公営住宅の家賃の減免につきましてお尋ねがございましたが、これは、ほんとうに家賃の負担能力がない、あるいは災害のような場合には、一時的に負担能力が非常に落ちるということも考えられますので、これは、それぞれの入居者の実態に即しまして、各事業主体がこれを適切に減免する、こういうことで従来指導いたしております。ただ私どもの方で、必ずしも減免しなければ建てさせないというような強い条件をつけるというわけにも参りませんので、これは、それぞれの市町村なり県が、自分のところの県民なり市町村民のための住宅を管理するわけでございますから、事業主体の良識ある判断によりまして、適当に必要な人には減免をする、こういうふうに措置させておる次第でございます。
  38. 東海林稔

    ○東海林委員 今補助率を引き上げる考えはないというお話でありますが、私もう一つ伺ったのは、補助率の問題と、予算の積極的計上についての考え方をお尋ねしたのでありますが、その点に対するお答えがございませんので、その点をお答え願いたい。  それから第二点の問題で、減免規定は法律にもあるので、従来でも事業主体の良識にまかしてあるわけですが、さっき申しましたように、従来の実績は、ほとんど活用されていないという点を私は指摘したいのです。そういう意味において、補助条件の中に、そうしなければ建てさせないという意味の補助条件でなくても、これを活用させる意味において、適当な補助条件を付したらどうかという見解なんです。その点に対するお答えを願いたいと思います。
  39. 鬼丸勝之

    ○鬼丸説明員 公営住宅の家賃の減免の問題につきましては、実は災害公営住宅だけでなく、全体の家賃のとり方の問題といたしまして、いろいろ今検討しておる点もございます。これは、一面相当負担能力のある人には、応分の負担をさせたらいいじゃないか、こういう意見もだんだんございますので、そういうこととにらみ合せまして、他面減免の方を、ほんとうに低額な所得者で負担能力のないという人には、もう少し徹底してやるように指導いたしたいと考えておりますが、これは、公営住宅家賃全体の問題として検討中でございます。  予算の問題につきましては、本年度の災害に対しまして建設する公営住宅の予算は、今年度保留分として現在的八百戸ございますので、このうちから、あるいはすでに一部建てたのもありますけれども、二十二号台風に対する公営住宅の建設は、十分まかない得ると考えておりまして、この八百戸の範囲内で、現在建設計画を進めておるような次第であります。
  40. 東海林稔

    ○東海林委員 次に、住宅金融公庫からの融資関係についてお尋ねしたいのでありますが、まず最初にお尋ねいたしたいことは、今回の罹災住宅の復興について、特に罹災が激甚であるという点からいたしまして、貸付限度の引き上げ、利率の引き下げ、さらに償還期限の延長等の問題が研究されなければならないと思うのでありますが、そういうような点について、建設当局としてはどのように考えておられるか、これは、大蔵省とも関係があるかと思うのですが、建設省のお考えをまず承わりたいと思うのでございます。  それからもう一つ、貸付対象の問題でございますが、用地関係については、一応用地取得を対象にいたしておるようでありますが、今回の災害においては、がけくずれ等によって相当屋敷が被害を受けておる。その整地のために相当の金がかかるというような場合が考えられると思うのですが、いわゆる整地費というようなものを貸付対象にしたらどうかと思うのでありますが、この二点についてのお考えを承わりたいと思います。
  41. 鬼丸勝之

    ○鬼丸説明員 住宅金融公庫の災害復興住宅の融資の条件につきまして、どのように検討しておるかというお尋ねでございますが、御承知のように、昨年の第二十六国会におきまして、初めて災害復興住宅制度というものができたわけでございますが、その後の経験の結果をいろいろ検討いたしましたり、あるいは今回の災害等に伴う地元の罹災者の方、関係者の御意見等もいろいろ伺いました結果、償還期間の延長、これは貸付金額の限度を引き上げることに伴いまして、償還期間の延長を法律上改定することか適当ではなかろうかということで、現地検討中でございます。ただ問題は、一番実のあるのは、貸付金額を、現在内地では二十五万円ということになっておりますのを引き上げるということが、実質的に実のあることでございますが、これは、大蔵省方面ともただいま折衝中でございまして、まだ大蔵省との話し合いがついておらない状況でございます。なお今後努力いたしまして、できればこの金額の引き上げを——これは政令の事項でございますが、これを改正いたしまして、これに伴って法律の改正ということを取り上げて参りたいというふうに考えております。  それから次の第二点は、御承知のように、またただいまお話がありましたように、今回の災害で敷地のがけくずれ等がかなりございます。これにつきましては、住宅金融公庫の融資の道が現在はないわけでございますが、災害住宅の新築なりあるいは補修とあわせまして、敷地の取得のほかに、がけくずれ等を含む整地費を融資することが適当であろうというふうに一応考えておりまして、これは、新しい制度をつけ加えることになりますので、これも、大蔵省当局と目下折衝いたしておる段階でございます。
  42. 東海林稔

    ○東海林委員 ただいまのお答えのうちに、貸付金額の限度を引き上げるということで、大蔵省と折衝しておるという話がありましたが、金額の引き上げの問題もあるのですが、私は、この限度を考える場合に、建設費に対する割合の問題をあわせて考えてもらわないと不十分だと思うのであります。その点もあわせてお考え願いたいと思いますが、その点、何かお考えですか。金額だけですか、割合の点も……。
  43. 鬼丸勝之

    ○鬼丸説明員 金額を引き上げると申しますのは、結局建設される住宅の坪数の点もあわせて引き上げるというふうに考えておりまして、現在内地の場合に二十五万円と申しておりますのは、九坪分で、建築基準法に適合する程度の建物を建てる九坪分を融資するということでございまして、今度できれば三十万円くらいにして、これは、大体十一坪から十二坪くらいの建物が建つわけでございますが、これを含めまして、建物全体の規模も引き上げたい。十二坪やそこらの建物では、なかなか実際の用に間に合いませんので、融資をする金で建てる部分と自分のお金で建てる部分と含めまして、現在はそれが二十坪までの建物を対象にしておりますが、これをもう少し引き上げて参りたいということを考えております。さらにこの場合に、店舗等ははずして考えたい。ですから、店舗等を自分の資力で、あるいは他の融資の金で設備いたしました場合は、今の住宅の坪数からはずして考える、こういうふうにいたしまして、貸付対象の家屋をもっと大規模なものに考えていきたいと、あわせて研究いたしております。  それから割合というお話がございましたが、補修の金を貸す場合に、災害でいためられた住宅の修繕補修の金を貸すという道が現在もありますが、この場合に、従来は、被害を受けます直前の値段から判断いたしまして、大体価額の三割以上の損害があった場合に、それに補修資金を貸し付けるということにいたしておりますが、この点をもう少し引き下げまして、二割くらいの被害程度のものでも貸すようにするということにいたしますと、家屋のおもな構造の部分がやられたものは、大体この補修資金で修繕ができる、こういうふうになりますので、この点もあわせて検討中でございます。
  44. 東海林稔

    ○東海林委員 この住宅復旧の中で、特に私は、農家住宅の問題をお伺いしたいのでありますが、少し前でありますが、私は、こういうことを聞いたことがございます。県営の分譲住宅の中に、農家住宅の改良を考えて、標本的なものを作らせたいというようなことで、あの中に、特に農家住宅に対する特別のワクを設けて、各府県にそういう指導をしたが、ほとんどこのワクが消化されない、こういうようなことを、一昨年でございましたか、聞いたのであります。そのとき、私は考えてみたのでありますが、どうも農家住宅を考えた場合に、ただ設計だけを考えただけでは不十分であって、やはり面積と、それに対する融資の率との関係をもう少し考えないと、実際は、あれは実用的でないじゃないかというような感じを持ったわけでございます。今回の災害におきましても、相当多くの農家の被害があると思います。従って、もし私が考えておるようなことであったとすれば、今度の農家の被害家屋の復旧について、この資金の利用ということがなかなか容易じゃないのじゃないか、困難じゃないかということが考えられますが、そういうような点について、建設当局は何かお考えがありますかどうか、その点を一つお伺いしたい。
  45. 鬼丸勝之

    ○鬼丸説明員 ただいまお話しのモデル住宅の融資をやったらどうかということは、住宅金融公庫で、去年ございましたか、一部やりましたが、今回の災害の場合も、先ほど申し上げました災害復興住宅のほかに、普通の一般貸付の中から、特別ワクとして融資する分を用意いたしておりまして、これでございますと、御承知のように三十坪までの住宅につきまして、現在の運用では十五坪分を融資いたしております。ただこれは、標準建設費の七割五分のお金でございますので、農家では、相当な面積の建物を建てることになりますと、実際問題としましては、相当の頭金と自己資金が要るわけでございますが、まあ公庫の制度といたしましては、特に農家の方に、全面的に特別な条件で融資するということも、現在の建前としては、ちょっとむずかしいものですから、特別なワクをして、そのワクの中から、普通ですと相当な申し込みの中から抽せんをいたしますが、そういうことを省いて、特別にお貸しするという措置だけをとっております。もっともこの場合は、やはり三年の据え置きを認めまして、償還期限が四年目から始まるというふうな措置もあわせて講じております。現在は、その程度の措置を考えておりまして、公営住宅等につきましては、これは、まあ公営の貸家でございますので、規模、坪数も不十分でございますけれども、これを、なるべくいなかの方では働く方々の便利な地点に建てるというふうな計画を、具体的に進めておるわけでございます。
  46. 東海林稔

    ○東海林委員 最後に、実はこの金融公庫の貸付の手続の問題ですが、これは、お願いとしては、親切に手続を簡素化してくれということになるのですが、実は私も経験があるわけなのです。なかなか抽せんに当らない。やっと当ったが、途中で、あまり手続がめんどうなんでやめたという例を、私はだいぶ知っております。一応最初の説明会から貸付決定までに、私は土木出張所並びに住宅金融機関に足を運んだことが十四回ございました。御承知のように、実際金を貸すには、その後三回の現場調査があり、三回に分けて借りるわけですから、金を借りるまで都合二十回も足を運ぶ。私なんかは、幾らかそういう仕事になれておる関係があるのですが、それでもずいぶん途中でいや気をさすようなことがあったのです。まして住宅金融機関から離れておるようなところでありますと、これは、大ていいやになるのが普通だと思います。それに関連して一つお伺いしたいのでありますが、住宅金融機関が、この二十三条かに規定してあるわけですが、従来の実際を見ますと、やはり地方における有力銀行ということになっておるのです。そうすると、これは、金融公庫としては間違いないということかと思うのでありますが、一般の庶民からいいますと、有力銀行とは事実上あまりおつき合いがないのです。金融公庫のお世話になるのは、大体中流以下の方でございますから、そういうところとあまり行き来していない人が行くという点で、なかなかなじみがないのです。そこで、私、できるだけ住宅金融機関についても、一般の信用金庫とか、最近の労働金庫というようなものを、あまりむずかしく言わずに指定していただきたい、このことをお願いしたいわけです。特に労働金庫の問題でありますが、この問題につきましては、私も住宅金融公庫に行って話したことがあるわけでありますが、これは手数料が少いので、あまりもうけになりませんよということを言うのですが、労働金庫は、決して手数料をもうけたいために指定してくれということを申しているわけではないのでありまして、あくまで一般労働者に対するサービスという考え方から、そういうことを言っておるわけです。ところが昨年になりまして、若干の指定がありましたが、特に一昨年ごろまでは、非常にこのことに対して消極的でございまして、現在でも、各府県にほとんど労働金庫ができておるのでありますが、おそらく十県程度が指定されておるかどうかという程度だと思うのであります。こういうような点は、非常に私ども、単に住宅金融公庫が、確実であればいいという建前からのみ住宅金融機関を指定するのでなしに、もっと利用者の利便という点からも、この点を考えてもらいたいと思っておるわけですが、この点を、まずお伺いしたいのであります。  もう一つ、このお金を借りる際には十二割の火災保険に入ることは、御承知の通りでありますが、現在は、各会社が共同でこれを引き受けて、代表の会社が契約をしておる、こういう形でございます。契約金につきましても、従来の会社の一般の契約高よりは、幾らか掛金が安く割引されているのは事実でございます。しかし、それにいたしましても、従来の保険会社の保険料というものは非常に高いのです。私群馬県でありますが、調べてみますと、大体十万円について五百円から、伊香保のようなところでは千二百円も取っておるようなわけです。従って、この金融公庫の場合の火災保険料も、大体四百円から五百円程度のものが一番多いと私は見ておるのでありますが、しかし最近各生活協同組合等で共同の事業として行なっております火災共済の掛金は、全国的に見ると、一番安いところで十万円について百五十円、高いところで三百円、一番多いのが二百円ないし二百五十円になっております。そういう点から見まして、これは、ああいうふうに、従来の保険会社にのみ契約を独占させるということなしに、せっかくこういう大衆的な共済機関ができておるのでありますから、ぜひともこれを活用さしてもらいたい、このように思うのであります。実際に自分が火災共済に入っておって、そうして保険証書を持っていきましても、これは、住宅金融公庫の規定とは別だからだめだ、こういうことをおっしゃいまして、それで、向うからの言い分はそういうことを承知の上で申し込んだはずだ、こういうことでありますから、一応そういうことになっておるわけでありますが、しかし、こういうことは、非常に私は不十分なことではないかと思うのでありまして、ぜひその点を考えてもらいたいと思うわけであります。その点についての御所見を承わりたいと思います。
  47. 鬼丸勝之

    ○鬼丸政府委員 お尋ねの第一点の、手続の繁雑である、あるいは非常に手数がかかるという問題につきましては、従来からもそういう非難の声もございまして、だいぶん合理化いたしましたので、現在は、お金をお貸しする以上は、必要な手続は踏んでいただくということは考えておりますが、現在の手続は、特に繁雑であるものとは考えておりません。ただなお一そう窓口の面で親切にする。この点は、今後十分注意して指導して参りたいと思っております。  第二点の、住宅金融機関の問題につきましては、一がいには申されませんが、やはり地元の公庫の取扱い件数の分量がどの程度かということを見まして、地元で住宅金融機関に指定しましても、ある程度まとまった仕事の量があるということでございませんと、やはり初めは、費用なんか問題でないということで指定を希望されましても、現実には手数料が非常に少い。仕事が量的にございますと、ある程度現在の手数料でも、赤字を出さずにやっていけるということでございますから、仕事の分量がどの程度あるかということを検討いたしまして、御希望の向きには、逐次新しく指定をいたしております。労働金庫につきましては、一昨年あたりからですか、若干指定をしておりますが、必要なところには、今申し上げましたように、具体的に検討いたしました上で考えて参りたいと思います。  第三点の、火災保険料の問題と、それから火災保険の会社のみならず、他の機関も公庫の火災保険の指定機関にしたらどうかという御意見でございますが、保険料の引き下げにつきましては、今までも公庫側と保険会社の間で、建設省が中に入りまして、二、三引き下げております。一般の保険料金に比べますと、正確な数字を今覚えておりませんが、かなり低率なものになっております。  現在の火災保険会社のほかに、他の共済機関等も新たに加えるかどうかにつきましては、なお一つ慎重に検討させていただきたいと思います。
  48. 東海林稔

    ○東海林委員 今のお答えのうち、二点ばかりちょっと申し上げたいのですが、まず住宅金融機関の取扱い件数の問題、これは、銀行等であれば、その点が非常に問題になると思うのです。しかし、従来労働金庫の場合には、みずからの自己資金において、住宅資金の融通をやっているわけなんです。従って、住宅金融公庫の件数が少いから、めんどくさいからやらないとか、そろばんに合わぬとか、そういう考えで労働金庫の仕事をやっているわけではないのです。もしそういう考えであるとすれば、局長さん、認識が不足だと思う。その点は改めていただきたい、こういう希望を申し上げておきます。  それからもう一つ、最後の保険の問題でありますが、生活協同組合等については、まだ信用度の点がどうかというような御懸念があると思うのでありますが、現在の生活協同組合の火災共済事業につきましては、法律的には、府県知事の認可事項になっているのですが、実は政府では、府県知事にまかせませんで、厚生省の方で、局長通達によって厳重な監視を行いまして、厚生省がうんと言わなければ、実際は認可していない。従って、政府機関などで非常な厳密な審査をし、その後の監督もやっておって実施されているので、これは、十分信用されていいのではないかと思います。先ほど局長も、従来の会社の場合においても、ある程度軽減しているとおっしゃいました。私も、それは知っております。それにいたしましても、現在約倍額程度の掛金に実際なっているわけです。非常に不合理なんです。そういう点をとくと御検討願いまして、われわれの期待に沿うような結論にいくように御努力願いたいということを申し上げまして、質問を終ります。
  49. 堀川恭平

    堀川委員長 ただいまの住宅関係に関連いたしまして、砂原委員
  50. 砂原格

    ○砂原委員 私が申し上げることは、質問というよりも、むしろ陳情というような形になるかもわかりません。私の地元で、広島市の基町公園という中に、現在市が計画の一部変更を願って、現在の住宅を鉄筋で建設を一部やっておるのであります。これは、私が申し上げるまでもなく、御承知のように、広島市が原爆によって、その後輜重隊あるいは衛戌病院等の敷地の跡に、広急措置として住宅の建設をやったわけです。その建設をやったために、次から次へやみ建築も入ってきて、現在では、戸後にして約五千戸近く建設をいたしておるのでございます。現在鉄筋の高層建築物を建てますのは、まだ市あるいは公団等によって、一時建設をやったものの地域に建設をいたしておるのでありますが、この建設をやりましても、実際は現在のでは、二千円、三千円以上も家賃を払わなければ入居できない。その地域に住まいしております者は、終戦直後から取り扱った家賃でありますから、わずか百五十円あるいは二百円、三百円程度の家賃のものに入っておった者が、急に二千五百円も三千円も払わなければならぬというので、地元の居住民とトラブルを起しておりまして、先般来の建設をするなら、すわり込みをするというような問題まで引き起しておるのであります。けれども、これはどうしても解決をさせなければならない問題でありますが、特に市が経営をいたしておるところの住宅であるとか、あるはい公団関係のものであるとかすれば、これの救済方法は何とかつくわけであります。やみ建築で入ったものを、これから処理していかなければならぬけれども、これらは、追い立てるだけであとは知らないというわけにはいかないので、やはりニコヨン生活をする者がたくさんおるのであります。これらを何とか処置をしてやらなければならない問題でありますから、住宅政策において、広島市は原爆から起った問題でもありますし、こうしたものに対して特別な処置をとられて、安い家賃で国がこれを建設してやるとか、何とかその救済の方法をお考え願いたいと思うのでありますが、これに対する御意見を伺いたいと思います。
  51. 鬼丸勝之

    ○鬼丸説明員 ただいまお話しの広島市の中央住宅密集地の問題は、私もある程度承知いたしております。この種のやみと申しますか、不法建築が相当密集しておる、そういう地区が、全国の戦災を受けました大都市にはかなりございまして、これをどう処置して参るかということは、各市とも相当悩んでおります。私どもといたしましても、これはなるべく早い機会に建てかえまして、りっぱな住宅地なり、あるいはその他の都市施設も行ないまして、りっぱな市街地にする必要があると痛感いたしておりますが、現在までには、先生御承知のように、徐々に公営住宅なりあるいは公団の住宅を建設して、少しずつ建てかえていっておりますが、ただいま御発言がございましたように、これからだんだんむずかしくなりますのは、そういう地区に住んでおる人たちは、所得の低い人たちが非常に多いということであります。この人たちを安い家賃で入れるような住宅を建てて参らなければなりません。公営住宅の第二種のものは、比較的安い家賃でありますから、これを重点的に建てますとともに、なお今後は、特に二種公営住宅の中でも、鉄筋の四階建のアパートを原則に考えて、これを、千円程度の家賃で入ってもらえるようなものを今後計画的に建てて参りたいということで、来年度の予算編成の問題としても、大蔵省に今要求中でございます。こういうことを今後力強く実施して参りたい。ただそういう地区に住んでおる方でも、相当家賃の負担能力のある方もある、そういう人には、やはり応分の負担をしてもらわなければならぬと考えております。
  52. 堀川恭平

    堀川委員長 兒玉委員
  53. 兒玉末男

    ○兒玉委員 計画局長にお伺いしたいと思います。十月の初めだったと思うのですが、新聞の報道によりますと、建設省が土地収用法の活用というものについての通達を出されたということですが、その通達を出したのは事実かどうか。もしこの土地収用法の活用ということがあまり半強制的に行われますと、かつて戦時中に行ないましたように、いわゆる国権によるところの強権発動的な一つの取扱いということも懸念されるわけでございますが、現在道路の拡張問題、その他全般的な問題を通じて、用地の買収ということについて相当困難を来たしておるし、これに関して、土建業者等が、この土地収用法についての改正というような意見まで出されておるやに報道されておるわけでございますが、まず第一点については、この土地収用法の活用通達を出した意図は何であるのか。それから活用通達に対して、業者等から、相当建設省当局が圧力をかけられておるのじゃないか、このようなきらいもないではないのでありますが、この二点について、まずお伺いしたいと思います。
  54. 美馬郁夫

    ○美馬政府委員 お尋ねの土地収用法の活用の通達でございますが、これは、ことしの九月八日に、建設事務次官から各県知事、各地方建設局長に出しております。公共事業の実施促進に伴う用地の取得について、こういう表題で出しておりまして、その目的としておりますところは、ただいまお話にありました業者関係からの圧力とか、そういうことでは全然ございませんで、最近特に河川道路災害復旧事業も当然でございますが、こういう公共ないしは公益事業の進捗が、用地取得のために非常におくれております。建設省の公共事業で申しましても、毎年約予算の一割近くの経費が、主として土地取得のために繰り越しを余儀なくされておるというふうな事態にございまして、こういう事業の面から、一部には、現在の土地収用法を改正したらどうかというふうな意見も、事業者の間からいろいろ出ております。しかし、私ども担当の局といたしましては、現在の土地収用法が事業者ないしは各府県等に間にあまり理解されておらないために、非常に混乱を起したり、運用がスムーズにいかないというふうな事態もございまして、そういう面から、この土地収用法の正しい意味の解釈を与えたのであります。たとえて申しますと、事業に着手する場合に、いろいろ計画を立てるのでございますが、その場合に、お話しのように、任意交渉でいくところは、それで当然やっていいところでございますが、やはり何と申しても、いろいろ困難にぶつかるというふうな場合には、当初から予定いたしまして、収用法に規定したいろいろな手続を踏んでやっておりますと、年度内に事業の完成もできるのでございますが、それが、ぎりぎりまでに折衝して、最後に土地収用法をかけていくというふうな事態の場合が多いのでございまして、こういう場合は、最初に事業主体としては計画的にいろいろ事業を進めていく。任意交渉でいくところはそれでけっこうでございますし、どうしてもそういう事態が起るというふうな場合においては、最初からこの法に予定しておりまする事業認定の手続を踏んで、収用法の手続をもっていくということが現在なかなか行われておらないのでございます。その他各地方土地収用の委員会等がございますが、これが、なかなか思うようには動きませんで、そういう意味で、正しい動き方をするような意味の通達を出したわけでございます。先ほどおっしゃいましたような事業者からの圧力とか、そういう意味じゃございませんで、むしろ現在の公共事業の進捗が、用地難のために非常におくれておりますので、それを、正しくルートに乗せるためにこの通牒を出したというのが、真相でございます。
  55. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは、勉強不足でよくわからないのでございますけれども、収用法の第五条による「権利の収用」というところでございます。現在非常に借家住まいが多いわけでございますが、道路拡張等の場合に、借家に住まっておる人が、いわゆるこの収用法の適用によって、そこの住居が取り除かれる。その場合に、所有者は別としても、借家住まいしている人については、全然補償の適用がないのではないか、このように私理解しているわけですが、このことで、全国でも相当問題が起きておるようでございますけれども、借家住まいの、いわゆる借家権を持っている人の補償は、第五条によって収用する場合に補償されるのかどうか、この点について、御見解を承わりたいと思います。
  56. 美馬郁夫

    ○美馬政府委員 この点につきましては、私ちょっとここで記憶いたしておりませんから、後ほど調べましてお答えいたします。
  57. 逢澤寛

    ○逢澤委員 関連質問。ただいまの質問の中に、私どもちょっとこの機会に、当局の方針なり意見を聞いておく必要があると思いますのは、土地収用法を強制的にというようなお話が今あった。それで私どもは、ある場合には、現下のいろいろの法規の上から、強制収用ということは困難だと思います。これはできぬ。しかし、これは、特にここにおられる建設委員の方々は、一番よくおわかりだと思う。それは、いろいろな事業をやる、たとえて言えば、道路の建設をやるという場合に、大部分の者はおそらく土地の提供をする。しかしごく少数の人が、軒数にして一軒か二軒でも承諾してくれなければ、莫大な費用を投じてやった道路というものは、使うことができない。この例はたくさんある。せっかく国家の貴重な金を莫大に投じて、一軒か二軒が解決すれば、この道路が使用できる、それを、一人の権利を主張するために解決しない事例が、全国にたくさんある。こういうような場合に対しては、これは所有権に関する問題だから、軽々に取り扱うことはできないけれども、何か適当な措置を講じて、公共の福祉のためにすみやかに利用できるようにしなければいかぬ。おそらく建設当局は、これに対して非常に頭を悩ましている点がたくさんあると思う。こういうことに対しては、今質問の内容から見れば、これらのものとはだいぶ事態が違うと思う。一般の土地収用をする場合に、強制力をもってやるということについては、私ども反対だ。反対だけれども、いやしくも道路の建設をやってくれ、あるいは河川改修をやってくれといって陳情をする、猛烈な陳情をしてやってくれと言っている。しかるにいよいよ実施しようとすれば、所有権を主張して買収に応じないという人がある。これらに対しては——繰り返すようであるが、それがために、せっかく利用できるものも利用できないことになり、国家としてもまた国民としても、非常な損失を招かねばならぬ。ある一戸のきわめて少数の権利を主張するために、そういうようなことが出てくる事態がある。だから、こういう者に対しては、法律によって云々ということも非常に困難だろうが、何かの措置を講じて、あるいは委員会に付託して——価格が気にいらぬというのなら、適当な価格を見つけるのには、これは委員会に付託して、その委員会の決定によって価格を定める。個人間では定まらぬ場合には、そういうふうなことにする。何か適当な方法によって工事の進行をする、そして利用はさす。けれども、その価格の点については、後日でも適正な価格を支払いができるような措置を講ずる。たとえて言えば、そういうようなことによって、事業の遂行には支障のないようなことは、政府においても考えるべきだと思います。これに対して、何かそういうようなことを考えられておることがありますか、ありませんか、それをちょっとお尋ねいたします。
  58. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 土地収用法に関連して、ただいま両委員から問題を提起してあるわけでございますが、実は公共事業を、あるいは道路といい、あるいは河川工事といい、相当大規模に実施する段階になって参ったのでありますが、今御指摘のように、一、二の者が非常にがんばっておるがために、大事な工事が中途でもって進まないというような事態が少くないのであります。この事態を何とかして解決していかなければならぬということが、建設省としての非常に大きな悩みでありまして、そこで、私は、一体土地収用法の運営がどういうふうに行われておるか、実態を調べさせておったのでありますが、いろいろ調べてみますと、土地収用の手続に入りましてから、従来の例によりますと、平均して二十五カ月ないし二十六カ月かかっておる。しかし、二十五カ月や二十六カ月というのは、あの法律の趣旨でもないし、どういうことでおくれておるか、もう少しそのおくれている原因について調べてみなさいということで、詳しくそれを追求しておったのであります。そうしますと、法律の趣旨がよく理解されておらない。もう少し法律を適正に運用していけば、そういう問題がある程度解消されていく。できれば私は、土地収用法の改正等の問題にまで触れないで、運用をうまくやることによってこの問題を解決していくということができれば、それが最も理想的だというふうに考えて、とにかくとりあえず運用を適正にやってみなさいということで、次官通牒を私は出さしたのであります。その運用の結果を、もう少し見守っていきたいと思います。しかし、私の感じといたしましては、公共事業をやっていく場合に、みだりに土地収用法を使うということは、慎しまなければなりません。あくまで話し合いでいくという考え方を基礎にしなければなりませんが、お話しのように、一、二のものががんばって、たとえば長良川のごときは、たった一人の人ががんばって、何カ月も動かない、橋をかけることができない。あるいは国道一号線の、私の選挙区にありますけれども、吉原市のあのバイパスを作ろうと思ったところが、一軒の人ががんばっておって、最後になってもどうしてもだめだ、話し合いを全然受け付けない。これは、公共のためにある程度犠牲になってもらわなければいかぬ。しかし、犠牲になる場合には、相当の補償もし、客観的に見て、これは無理もないだろうというようなところで、話し合いと同じような結果になるような収用手続を進める以外には、方法がないだろうというふうに考えてやっておったのでありますが、いずれにしても、収用法が少し——二十五カ月もかかるようでは、これは、今の忙しい時代に間に合わない。大体個人の権利も尊重しなければなりませんので、そうして広く一般的な常識で納得できるような価格その他の対価も支払わなければなりませんし、関係者の生活の将来のことも考えなければなりませんので、まあ三カ月くらいの期間をそれに置いて、三カ月くらいの間には解決できるような、そういう措置を講じていかなければ、今の時代の要請に合わないのではないかというふうに考えて、今の法律のもとにおいて二カ月くらいでやれないかどうか、あるいは三カ月ということを、厳格にきちっと九十日というふうにきめる必要はございませんけれども、三カ月ないし四カ月くらいでもって解決するようなことにはならぬか、もしならぬとすれば、これは収用法の改正の法律案でも出して御審議を願うことにする以外には、仕方がないじゃないかといったような気持を実は持っておるわけであります。今収用法の適正な運用をやらせるように通牒を出しまして、その推移を見ておる段階でございます。ただいま私どもの考えておる気持は、そういうところにありますので、一つ御了承いただきたいと思います。
  59. 堀川恭平

    堀川委員長 ただいま台風に対する災害の審議をやっておるのです。今兒玉君や逢澤君の御発言は、関連があるといえばあるので、とにかく非常にけっこうなことだとは存じまするが、この程度でこの件は一つおいていただきます。  次は、緊急質問が中島委員から出ておりますから、これを許すことにいたします。簡単にお願いいたします。
  60. 中島巖

    ○中島(巖)委員 本日の当委員会の議題は、ただいま委員長の言われた通り災害対策でありますけれども、私の質問はこれとはずれておりますので、あらかじめ緊急質問でお許しを願ったわけであります。  そこで、基本的の問題といたしまして大臣のお考えを伺うのでありますが、政府並びに国の官吏は、法律を守り、そうして法律の趣旨がどこにあるかということについてやはり協力せねばならぬ、こういうような義務があると思うのでありますが、この点について、大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  61. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 おっしゃる通りでありまして、毛頭異議はございません。
  62. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そこで、実は国土開発縦貫自動車道建設法の中の中央自動車道の関係について質問いたしたいのでありますが、大臣は、就任早々でもありますし、おわかりにならぬ点があると思いますので、担任の局長の御答弁でけっこうでありますけれども、もし大臣の意思に反したような答弁がありましたら、大臣より訂正を願いまして、政府委員の答弁は大臣の答弁だ、かように了承するので、あらかじめ御了解を得たいと思うのであります。  そこで、この緊急質問をする理由は、実は私長野県の飯田でありますが、地方の新聞を見ると、今月の十五日からこの中央自動車道の調査に東大の今野教授、それから早稲田大学の河辺教授などが現在入っておるのであります。そこで、これらの方々は政府で依頼したのであるかどうか、そうして、どういう調査をしておるのであるか、どういう目的のために行っておるのであるか、この点につきまして、この縦貫道関係の事務局長と申しますか、幹事をやっている道路長にお答えを願いたいと思います。
  63. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 ただいま国土開発縦貫自動車道、中央自動車道の路線につきまして調査のため現地へ入ろうといたしておりますその目的は、東京——小牧間の同自動車道路の経済調査のうち、特に輸送需要分析に関する調査を、実地について資料を集め、この計画をまとめるために現地へ入っておることと推察いたします。その機関は、建設省といたしまして、その調査を早稲田大学生産研究所へ委託いたした次第でございます。そこのどなたが現地へ行くか、私は存じておりませんが、その研究所に委託いたしました。この調査の主体は伺うところによりますと、同大学の教授の河辺氏が担当  されるように伺っておりますから、おそらく河辺氏を主体として、数名の調査団が入ることと存ずるわけであります。
  64. 中島巖

    ○中島(巖)委員 重ねてお尋ねいたしますが、ただいま申しました早稲田大学のそういう者に建設省が調査を依頼した、こういうことははっきりしたわけでありますが、これを選定するについては、どういう理由で選定されたのか、それをお伺いしたいと思います。
  65. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 この調査を実施いたしますに当りましてまず私どもの考えましたことは、建設省が部外の、こういう調査に関しまして最も信頼もあり権威もある機関に調査をお願いいたそう、こう考えたわけでございます。その際考えました調査機関といたしましては、当時八つほど考えました。それぞれその調査機関にこの調査の目的、規模等を説明いたしまして、連絡交渉いたした次第でございますが、いずれも他の機関は御都合が悪いような結果になりまして、最後に早稲田大学の生産研究所が引き受けて下さる、こういうことになりましたので、そこへ委託をいたした次第でございます。
  66. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そこで、この国土開発縦貫自動車道建設法は、四内閣、五国会にわたってもみ抜いて昨年の五月成立した法律であることは、これは、私が申しあげるまでもないことです。この法律が成立後におきましても、規在調査に向われておる東大の今野教授、それからただいまお話のあったこの調査の調査団長格である河辺教授——これは、昭和三十三年二月十五日のエコノミストでありますが、これに「道路建設の経済的意義」という題で、今野教授が執筆いたしておりますし、「高速自動車道問題の焦点」ということで、河辺教授が執筆している。これは、いずれも中央道に反対だということをはっきり書いてある。それから鋼材倶楽部において、わが国道路の現状——これには建設省の各課長さんたちも出ておるけれども、この中における今野教授の講演要旨というものが出ておる。南アルプスの山中に一キロ当り五億円、六億円もする高速道路を建設することは、ほとんど経済学者として考えられないことであり、むしろ東海道、瀬戸内海に沿った地域に、すなわち最も日本の工業化に適した地域を選ぶべきである、こういうふうに結論を出して、中央道はだめだと言っている。それから中部日本の三十三年三月四日の記事に、「名古屋商工会議所は三日、東大教授、道路審議会委員今野源八郎氏を招いて、高速自動車道路に関する懇談会を開いた。今野氏は東京—名古屋間の弾丸道路についてつぎのように語った。山岳地帯を通る中央道案は建設費も多くかかり、技術的にも困難な点が多い。世界的にみても高速道路はすべて平地を選んで建設されている。また経済効果も大都市をつなぐ東海道案の方がずっと大きい。少なくとも現在では東海道案の方が有利であり、私としては中央道に反対である。」こういうふうに各雑誌、講演会、新聞記者のインタビューに、中央道に対しては絶対に反対であるという、こういう幾つかの文献を著わしておる者を頼んで——中央道が国会できまって、政府や皆さんがこれを守らなければならぬ立場にあるその者が、いろいろな文献でもって中央道に絶対反対を唱えておる者を調査員として委託して、現在調査をさしておる。従いまして、建設省の意図が那辺にあるかということを、われわれは疑わざるを得ないのです。こういうようなはっきりと絶対反対であると表明しておる人の資料をとりまして、その資料を基礎としていろいろの案を考えるお考えかどうか、この点を一つお伺いしたい。
  67. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 これらの先生は、いろいろな機会に、そういう御意見の発表もあったようでございますが、こうした調査に対しましては、私は、東大の今野教授が御関係になっておるかどうかは存じませんが、早稲田の河辺教授にいたしましても、御指摘の今野教授にいたしましても、交通経済の第一人者と考えてしかるべきかと存じます。そういう方でございまして、実はこの調査をお願いいたしますときには、河辺教授などのお話を伺いますと、御自分はいろいろそういう発言をしたことはあるけれども、実際調べてはいないのだ、いろいろな従来の資料から総合判断の上、そういうような見解を持っているのだが、この問題は、もっと具体的に掘り下げて調査してみたいのだという強いお気持を持っておるようでございます。そこで、私どもといたしましては、早稲田大学という学校並びに生産研究所という機関の権威をもって、どういうことになるか一つ御調査願いたい。これは、先ほど申しましたように、他の、たとえば三菱の経済研究所、それから国民経済研究協会、その他八カ所ばかり選定いたしましていろいろ交渉したのでございますが、なかなかお引受けいただけないことと、そういう方々が交通経済の権威であられるので、純学術上の立場から、また学校のお立場の権威にかけて、一つ公平な調査をいただくことをお願いいたしまして、依頼した次第でございます。
  68. 中島巖

    ○中島(巖)委員 今道路局長は、公平な調査をするように依頼した、こういうお話でありますけれども、幾たびかこういうふうに中央道には絶対に反対だということを言う人に頼んで公平な調査ができるかできぬか、これはしろうとが考えてもわかることです。全く局長の言は、詭弁だと僕は思う。それより、なぜ建設省部内で調査をしないのですか、その点をお伺いしたい。
  69. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 この調査につきましては、過去におきまして建設省で幾たびか調査いたしまして、その結果をまとめましたことはございます。しかし、これを発表いたしますと、過去の場合におきましては、おおむね建設省は中央道に反対しているのだ、東海道をやりたいものだから、建設省は中央道に反対しておるものだから、こういう数字を出すというおしかりを過去において何回か受けて参りました。これは、過去私もそういう御批判、おしかりを受けたことを覚えております。そういう関係がございまして、私どもの調査をいたしました場合に再びそういうような御批判を受けるようでもいけない。なおまたもっと権威のある、専門的に交通経済そのものを、それだけを専門に深く掘り下げておるオーソリティにこの際調査をしていただいた方がよかろう、こういうように考えまして、むしろ建設省といたしましてはこの調査団が自由闊達、十分公平に御調査ができる手先となってお手伝いをする程度にとどめ、差し控えるようにいたしたわけであります。
  70. 中島巖

    ○中島(巖)委員 どうもその答弁はおかしいですね。結局、この法律が成立する以前なら、公平だとか、いろいろな角度から調査をしてということがありますけれども、私の考えは、ただいま局長の言われることは、法律が成立する以前の調査のことをあなたは言っておられる、法律が一たん決定した以上は、この中央道をどうしてもあげなければならぬのだから、従って、中央道に賛成する者もしくは国の法律を順法せんならぬ立場にあるところの政府であるとか、官吏のあなた方であるとか、こういうものが調査に当るべきであって、はっきり中央道に対して反対であるという意思表示を講演会その他の文献によってなしておる者に調査を依頼する、これは非常な大きな間違いだと思う。従ってこの調査結果の報告などの発表なんかに対しては、私は反対であるし、そうして法律の精神そのものを建設省自体がじゅうりんしておるのであるから、こういうものは取り消すべきであると私は考えるわけでありますが、大臣のお考えはどうか、お伺いしたいと思います。
  71. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 実は、私は詳しい事情は知らなかったのですが、今道路局長から答弁がありましたけれども、私は、こういうふうに考えております。この委員会の席上におきましても、二回か三回、私ははっきり言明してあるわけですが、政府の方針がきまり、法律で確定しておるものでありますから、私は、責任をもって中央道をやります、こういう態度を表明しておりましたが、その態度は、現在も変えておりません。またこれをやる考えでございます。ただ具体的な調査の問題につきましては、どういういきさつで調査をするようになったか、それも、私詳しく聞いておりませんが、なおよく聞いてみまして考えてみたいと思います。その道路が必要なりやいなやの決定の材料を整えるための調査であるなら、それは要らないと思います。しかし、今後中央縦貫道路を作るために、どういう規模で、どこからどこまで、幅員はどうするかというようなことであるとすれば、そういう経済調査は必要だと思いますが、そこらの事情を私はっきり知りませんので、至急調べてはっきり態度をきめて参りたいと思います。
  72. 中島巖

    ○中島(巖)委員 今の大臣の御答弁は筋が通って、それでけっこうだと私も満足いたします。しかし、絶対反対だというような意思表示をしておる者を調査に向けるということについては、これは、大臣もお知りがないというお話でありますので、何らか一つ御考慮をお願いしたいと思います。  それから次に伺いますことは、この審議会の関係のことでありますが、これは、大臣も御就任間もないことでありますし、それからこの会長は総理大臣でありますから、当然総理大臣に答弁を求めるのが順序でありますけれども、建設大臣は副会長をしておられ、そして道路局長が幹事といたしまして事務局長の立場にありますので、おわかりだと思いますので御質問いたしたいと思うのであります。実は本年度の予算にも、外資導入が四十六億計上してあったことは、これは私が説明するまでもなく、起案者である建設省が御承知だと思います。私も審議委員をいたしておるのでありますけれども、この審議会の委員を路線部分と資金部会と二つに分けてあるわけであります。ところが資金部会は、今まで一回も会合を開いておらぬ。そうして半年か一年前に——私も期日は忘れましたけれども、資金部会の委員会を開くという通知に接して、そしてすぐそれが関係大臣の都合で取りやめになって、現在までおるわけであります。そこで、この国土開発縦貫自動車道建設法の第十二条の三項には「建設線の建設に要する資金の調達及びその融通のあっせんに関し調査審議すること。」、こういうふうに法律で規定されておる。ところが、この資金部会には一回もかけず、そして小牧から向うの金が七百数十億要るということは承認を得ておる。しかし、資金調達の関係については何らの報告もない。この縦貫自動車法の十二条にはっきりと規定してある。それを一回の資金部会も開かず、また会議にもかけてない。これは局長の答弁でけっこうですが、どういうふうに考えておるのか。われわれは建設省のいろいろな事業に賛成いたしておりますので、こういうような法律的のことをあまりつつくことはいやだから遠慮しておる。たとえば道路整備繁急措置法においては、第二条において、五カ年計画の事業の種類や量は閣議の決定を経なければならぬ、閣議の決定を経た後は、直ちに都道府県の知事に通知しなければならぬ、こういうように、あなた方が出してわれわれが審議して決定した法律ではなっておる。ところが三十三年度は、一千億近い事業を進めておるけれども、閣議の決定もないし、もちろん都道府県知事への通知もない。こういうような法律違反をして、現在道路事業を進めておるわけだ。従って、この十二条に対する法律違反は何ともないというお考えであるかもしれませんけれども、いかにわれわれが道路政策その他の建設事業に賛成であるといたしましても、あまりにも法律無視をされるということになれば、われわれとしても一言言わざるを得ないという立場におるわけです。いろいろ横道に入りましたけれども、どういうわけで資金部会を開かれなかったか、開かない方針か、その点をお伺いしたい。
  73. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 資金部会の開催がおくれておりますことは、大へん申しわけない次第でございます。実は私の考えといたしましては、資金と申しましても、外資導入関係の問題などもございますが、ただいままでにその話も特別に進展しておりませんから、もう少しその様子がわかったならば、その際に資金委員会を開いて、委員の方方の御意見をよく伺って、その方針を御検討願い、御決定を願うというふうに考えておりますのが、ことしの春から順々に延びて参りまして、御指摘のように、調べてみますと、以前に一回開催するように御通知を出したのを、あとでとりあえず延期したようでございます。その後開催されておりませんので、あるいは中間報告、現在の状況の御報告などはいたさなければならぬかと存じますので、できるならば、近い機会に資金部会を開催していただくように相談してみたいと考えております。
  74. 中島巖

    ○中島(巖)委員 これ以上質問いたしませんけれども、この法律にも、「資金の調達及びその融通のあっせんに関し調査審議すること。」ということになっておる。局長の今の答弁を聞いておると、あたかもあとで報告すればいいようなお考えであるけれども、それは大きな間違いだから、それ以前にどういう方法でやる、こういう方法でやるということをかけて決定しなければならぬ。それをすでに本年度予算に四十六億を計上して相談せぬということは、全く役人が法律を拡大解釈して、審議会を有名無実なものにしようという魂胆でやっておるというように解釈せざるを得ぬ。これは、大いに注意していただきたいと思います。
  75. 堀川恭平

    堀川委員長 本日はこの程度にとどめまして、次会は公報によって通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十九分散会