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1958-10-15 第30回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月十五日(水曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 木村 守江君 理事 瀬戸山三男君    理事 二階堂 進君 理事 南  好雄君    理事 中島  巖君 理事 三鍋 義三君       逢澤  寛君    井原 岸高君       川崎末五郎君    島村 一郎君       橋本 正之君    村瀬 宣親君       兒玉 末男君    塚本 三郎君       武藤 武雄君  出席国務大臣         建 設 大 臣 遠藤 三郎君  出席政府委員         建設政務次官  徳安 實藏君         建設事務官         (大臣官房長) 柴田 達夫君         建設事務官         (計画局長)  美馬 郁夫君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (道路局長)  佐藤 寛政君  委員外出席者         建 設 技 官         (河川局防災課         長)      山内 一郎君         建設事務官         (住宅局長)  鬼丸 勝之君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  首都圏既成市街地における工業等制限に関  する法律案内閣提出第三〇号)(予)  台風第二十二号による災害対策に関する件      ————◇—————
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 これより会議を開きます。  まず一昨十三日に予備審査のため付託されました内閣提出首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律案議題として審査を進めます。まず本案に対する提案理由の説明を聴取いたします。遠藤建設大臣。     —————————————
  3. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 ただいま議題となりました首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明いたします。  この法律案は、首都圏既成市街地中特に人口増加の著しい東京都区部武蔵野市及び三鷹市の区域工業等制限区域として定め、この制限区域内において、人口増大の主たる原因となる大規模工場大学及び各種学校新設制限し、これらの地域への産業及び人口過度集中を防止することを目的としたものであります。  もともと、首都圏整備法第二十七条におきまして、「工業等制限区域内における施設新設又は増設制限に関し必要事項は別に法律で定める。」と規定いたしておるのでありますが、本法案は、この条項に暴くものであります。  東京都区部におきましては人口増加がきわめて著しく、最近においても、年間三十数万人の増加が見られるのでありますが、このうち約七割は他の地域から流入してくる人口でありまして、このまま推移すれば、近い将来において、その人口は千二百万人に達し、その結果、市街地の無計画膨張発展居住環境悪化公共施設の不備、交通条件悪化等、幾多の過大都市としての弊害が深刻となり、都市機能の混乱を招くおそれがあるのであります。  東京都を首都として十分にその政治、経済、文化等についての機能を発揮させますためには重要都市施設整備を推進する一方区部並びにこれに連なる武蔵野市及び三鷹市の人口適正収容考えられる八百八十五万人程度に抑制する措置が必要なのであります。このためには、市街地開発区域整備し、ここに産業及び人口を吸収定着させる方策と相待って、人口増加をもたらす主たる原因考えられる大規模工場大学等施設新設制限する要があります。  以上がこの法律案を提出した理由でありますが、以下その要旨について御説明申し上げます。  第一に制限施設といたしましては人口増大原因となる各種施設中、首都指向性のきわめて強い産業に属するものはこれを除外し、人口増大の主たる原因となり、かつ必ずしも制限区域内に立地することが必要でないと考えられる製造業の用に供する工場大学及び各種学校を取り上げ、しかも、中小企業等に与える影響を考慮し、それらのうち大規模なもののみに限定したのであります。また、第二に制限区域としては既成市街地を形成する東京都区部武蔵野市、三鷹市、横浜市、川崎市及び川口市のうち、人口産業集中がはなはだしい東京都区部武蔵野市及び三鷹市に限定したのであります。  第三に、制限区域内においては制限施設東京都知事の許可がなければ新設することができないものとし、知事はその制限施設新設人口増大をもたらさないと認めるとき、制限区域内の住宅または既存事業者に必要やむを得ないと認めるとき、または制限区域外では事業経営が著しく困難と認めるとき、その他やむを得ない場合にのみ許可するものといたしたのでありますが、なお、知事が処分をいたします際に、制限対象となる企業学校の立場をも十分考慮する必要があるので、関係行政機関の長の承認を受けることとしたのであります。  第四に、既存営業に与える影響等を十分勘案して、本法施行前からの既存工場学校等については、その団地内の増設は一切制限しないこととし、新設に準ずるような増設すなわち団地外において一定規模以上の建物を増新設する等を規制することにいたしております。  以上が、首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決されるようお願いいたします。
  4. 堀川恭平

    堀川委員長 本案に対する質疑は、次会より行うことといたします。     —————————————
  5. 堀川恭平

    堀川委員長 次に、台風二十二号による災害対策に関する件につきまして、調査を進めることにいたします。  質疑の通告がありますからこれを許すことにいたします。武藤武雄君。
  6. 武藤武雄

    武藤委員 災害問題について、若干質問をいたしたいと思いますが、最初に建設大臣考え方お尋ねいたしたいと思います。  災害発生が毎年のように行われまして、特に今年度のような集中的な災害被害を受けますと、繰り返して治山治水その他の基本対策がいつでもいわれるのでありますけれども、実際にそれが、平常政治の面でどういうことが行われるかということになりますと、問題があると思うのであります。まず第一に、政府は、三十四年度の建設省としての治水計画をこの前新聞に発表してあります。もちろんこれは建設省として大蔵省に対する明年度予算要求でありましょうが、その内容を見ますと、新治水事業緊急五カ年計画といたしまして、総額三千五百億円、三十四年度着工分として、治山治水対策に五百五十三億、政府資金として二十二億円を計上いたしまして、なお災害対策費として二百六十一億円、二十八、九年の災害復旧は、三十四年度中に完成するという案のようでありますが、三十一年度以降の災害については緊急三カ年計画で完了する、こういって七百九十一億の治水対策費要求しておるようであります。これは従来から見れば、相当思い切った進歩をしておるとわれわれも思いますけれども、しかし前々回委員会でも御指摘になりましたように、これはあくまでも予算要求でありまして、結論的にはどうなるかわからない性質のものだ、大臣は、前々会では、からだを張ってまでも戦う、こう言っております。ところが、今回の二十二号台風が、また公共土木関係に莫大な被害を与えております。そういたしますと、前会の資料でも四百億程度被害だ、こういう発表をされておりますけれども、これは十月六日現在の集計でありまして、実際にはこれ以上ふえるかどうかもわからぬ内容だと思います。そうすると、来年度の治山治水計画にもまた再検討を加えなければ、来年の作付その他等に対する緊急の対策もなかなかとれないのではないかと思います。従って、前会発表いたしました建設省の来年度予算要求に対して、相当大幅な修正がされなければならぬ、こう思うのであります。これは建設省要求しておる予算全体から見、また来年度予想される政府の全体の予算内容から見て、そのほかの道路やいろいろの問題との関連をどう考えるか、その点を一つ大臣にお伺いしたい。
  7. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 治山治水の基本的な計画につきましてはただいま大蔵省要求しておりますことは、今お話し通りであります。この基本計画は二十二号台風のようなものがやってくることをあらかじめ予想しておったのでありまして、ことし来るかどうかは別として、必ずこういうことが来るだろうということを予想して基本的な計画を立てておりましたので、大きな構想として、変えないでいく考えであります。三千五百億計画というこの構想は、変えないで進めて参るつもりであります。ただ具体的な年次計画の中には多少今回の災害の実情から、修正をしていかなければならぬものも出てくるかと思いますけれども、ワクとしては、この程度でもってよろしい。これは、同時に財政規模をもにらみ合せて作ってきた基本計画でありますから、基本方針というものは変えないでいくという考えでございます。  なお二十二号台風について、大体四百五十億円程度損害があったのでありますが、これも、まだ多少変ってくるかもしれません。今現地で査定しておりますが、その査定集計が、全部まだ整っておりません。おそい分が、少しおくれているものもありますから、それらを合せますと、多少数字は変ってくるかとも思いますけれども、大体において四百五十億円内外だ、こういう見当がついて参りました。この四百五十億円の損害に対する復旧事業については別途補正予算でいく。予備金で間に合うものは、予備金でやって参りまして、不足分は、補正予算でいくという考えを持っておりますので、基本計画全体に対しては、あまり変更を加えなくてもよろしいという考え方を今持って進めているような次第でございます。
  8. 武藤武雄

    武藤委員 そうすると、三十四年度の災害関係復旧費として計上しておる二百六十一億円の考え方については今回の場合は補正予算予備費でやると言っておりますけれども、おそらく、そのうちの何分の一かになると思うのですが、二百六十一億円の災害復旧関係のあれは、二十八、九年度分のものをまず完成するという考え方そのままでいくというのですか。
  9. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 その点は、今年度の災害の中で今年中に金を出したものについては、大幅な金を出してこれを進めていく考えであります。従って、来年度に残る分が出て参ります。御承知のように、三カ年間にやるものと、二カ年間にやるものがありますので、来年度に残る分があります。それは、災害復旧費の方が来年度の予算で多少ふえていく、こういうことになります。
  10. 武藤武雄

    武藤委員 その次に、これも基本的な問題になると思うのですけれども、今大臣お話を聞いて、治水対策については、相当積極的にやるということを就任して以来言っておりますし、また今次災害についても、そういう点を強調しております。ぜひそういう方向を続けてもらいたいと思うのですけれども、どうも前々回委員会でも指摘をされたように、政府治水対策の中には多少口が過ぎますかわかりませんけれども、怠慢とも思われるような節が、いろいろな面であったのではないかという疑惑が国民の間にある。また新聞等の報道その他等においても、そういう点がたまたま指摘をされておるのであります。たとえば今回の大被害の中心である静岡の狩野川放水路問題等についても、二十六年の着工以来進んでいないという批判があるようであります。ところが実際には、予算がとれないということ、あるいは土地の補償問題があまり進まなかった、あるいは放水路の新河口に対しての漁業関係の反対、補償問題があってなかなか進まなかったとか、いろいろいわれておりますけれども、ややもするとそういうことに名をかりて、工事の進捗をサボるようなことがあったのではなかろうかというような批判がだいぶあるようであります。そういう点について、一つ質問をいたしておきたいのです。これは、大事なことであろうと思います。その点、一つお伺いします。
  11. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 過去における治水事業費配分の問題でありますが、政府が怠慢ということは当らないかもしれません。政府としては大いに努めてやっておったのでありますけれども財政事情その他で、あまり進まなかった。これは、はっきり認めていいと思うのであります。狩野川放水路問題等につきましても、二十六年に着手いたしましてから、大体六億円程度投資をしたにすぎないのであります。それは、もちろん補償問題の争いだとか、あるいは用地問題とか、いろいろありましたけれども、もっと金を出せばやれたに違いないのであります。しかし、財政事情その他からやれなかったという事実、まあ五、六億円程度しか投資ができなかったという点については、確かに少かったという事実は私ははっきり認めていきたいと思うのであります。従って、今後はこういう事情のためにおくれることがないように、治山治水基本計画も、そういう趣旨から出ておるわけでありますから、今後は大いに努力をして、地元要望にこたえるような決意をもって予算措置等も講じて参りたい、こう考えております。
  12. 武藤武雄

    武藤委員 前々会の同様な内容に対する大臣のお答えとして、確かにそういうことについては、責任を感じておったようなお話があります。ただその際に、同様な状態にある河川が何本か全国にあるので、それとのかね合い上、なかなか一本の問題に集中することについて問題があるというお話がありましたが、これは、私は非常に危険なお考えだと思います。やはり全体のそろばんを見なければならないから、どうしてもやらなきゃ大へんだというようなものがあるならば、これは、重点的にそれを取り上げて促進するということでないと、全体のかね合せかね合せということで投げておいたのでは、結局使った金が生きてこない。そして必要以上の大災害を繰り返すというイタチごっこになるのじゃないかと思うのです。そういう点は、一つ特に御考慮を願っておきたいと思います。  次に、この前の災害視察、あるいは国政調査のときに出た問題でありますが、これはあまり内容に触れることは好ましくないという御意見もあるようでありますから、抽象的に触れておきますけれども、特に大利根流域の問題でありますが、この前竜ケ崎その他の小貝川付近の皆さんにお会いしたとき、われわれはもう心配でほんとうに夜も眠れないほど心配しておった、利根上流改修が着々進んできて、結局流速がだんだん早くなってきて、しかも下流地帯治水計画が実施に移されないために、非常に危険な状態にわれわれはおののいておる、従って、特に利根川下流小貝川付近等治水対策一つ早くやってもらいたい、それと同時に、今度は大利根治水基本計画がきまっておるわけであるから、それを、一つこの際政府は、責任をもって進めるように万端の努力をしてもらいたい、こういう要望があったのであります。これらについて、一つ考えを伺いたいと思います。
  13. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 ただいま大利根治水事業についてのお尋ねでありますが、あの治水計画が、大洪水になかなか耐えないような事情も、よくわかっております。私どもは、一刻も早くあれは完成をしていかなければならぬと思うわけであります。ただ、そういう同じような条件の川が幾つもある。今の狩野川の問題でも、豊川の問題でも、広島の太田川の問題でも、洪水がありますと、うっかり寝てもおれないような川がたくさんあるわけでありまして、これらを一斉にやらなくては、国民の不安を解消することができないわけであります。特に利根川の問題については近いうちに利根川上流部の方に参りまして、電力用水農業用水工業用水飲料水等の水の配分の問題を兼ねて、洪水対策基本策を進めるべく、私は利根上流地帯を一度見て歩きたいと思っておりますが、でき得る限り地元の方々の要望に沿うように、一つ努力して参りたいと思っております。
  14. 武藤武雄

    武藤委員 実際回っておるうちに、今度の災害は非常に局部的に荒した割には、平地に雨の重点があったために、割合大きな河川がはんらんをしなかったというところが不幸中の幸いであったと思うのです。かりに今回降ったような雨が、関東周辺のあの奥地の方に降ったとしたら、一体どのくらい大きな災害になったか。たとえば、私二十七日の朝に取手から車で都内に入ったのでありますが、水のためにどうしても歩くことができなくて、荒川堤防を上って道路も何もないところを通ってきたのでありますが、あの当時の洪水状況を見てみますと、かりにもう少し荒川上流地点に雨が降って、洪水の量がもう少し多くなって、しかもそれが満潮時の水位と重なった場合、一体どんなことが起きるだろうかと、りつ然としてあそこを歩いてきたのであります。かりにあの堤防が切れた場合に、東京はどういうことになるか、おそるべきものだと思いますけれども、こういう例がたくさんあるのではないかと思います。福島周辺を見ましたときにも、あそこにも三、四本の小河川がありますが、見てみると、ほとんど堤防らしい堤防は全然ないといっていいくらいない。たまたま堤防があるのを見ると、堤防の上を越すことを条件として堤防ができておる。しかも、大きな洪水になれば、そのまま阿武隈川の堤防の内側の福島市内に全部流れてくるというおそるべき状態になっておる。こういう例がたくさんあると思います。また荒川上流の埼玉県の美笹付近堤防決壊して、自衛隊が出動して幸い食いとめておりますが、かりにあれが破れたということになれば、それこそ川口なんか、冠水状態ではなしに、大へんなことになったのではないか。土質を見ると、川の底から上げた砂地であります。とても原形復旧程度では、おそろしくていられないんじゃないかと思いますけれども、そういうのがたくさんございます。従いまして、やはり今後の治水対策については大臣の熱意も考え方もよくわかりましたけれども、もっと根本的な問題の対策を、政治の面に大きく出していかなければならぬ、こう要望いたします。  それからその次に、今度の災害で、特に前々回報告の中で指摘をされましたように、非常に小部分災害が多いわけであります。たとえば、われわれの回りました福島県の浜通り災害です。災害救助法が二市三カ町村に発動されまして、非常に荒れています。そこに、ある川なんか、十三本も十四本も橋が流されておる。結局問題は橋の面に関しましては地方民の声としては原形復旧だけではどうも困る。もちろん予算がないから、全部永久橋にしろということは困難だろうけれども、どうしても橋梁ぐらいは、一つ鉄筋にしてもらわぬと、結局上の橋が一つ流れれば、全部流されてしまう。これは、この前青森県の岩木川の橋が、下流から上流まで全部流れたことも出ておりましたけれども、こういうことを、何とか一つ実現をしてもらえないか、こういう要望がございます。  それからもう一つ前々回報告にもありましたように、今回は非常に小部分災害がたくさん続発している。ある川によっては、一つ河川で、七十カ所も堤防がこわれておるというようなところもございます。従いまして、十五万円以下の小災害に対する救済の措置を、この際ぜひ考えてもらいたい、こういう声が非常に強いのですけれども前々会報告にもありましたが、これに対して、政府としてどうお考えになっておりますか。
  15. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 ただいまお尋ねのように、三十三年度の災害は、非常に小河川に多かったのであります。大河川は、ほとんど決壊がなかった。しかし、局部的な豪雨が続いたものでありますから、至るところ小河川がはんらんしたのであります。今回治水事業五カ年計画改定をして参ります趣旨も、小河川改修に力を入れなければならぬような状況が、はっきり出て参りましたものですから、そういうことも加味して、五カ年計画改定をしていくという考え方に出たのでございます。これから小河川改修問題にも、大いに力を入れていきたいと思います。  お尋ねの第二点の、永久橋の問題でありますが、これもお話し通り永久橋がかかっておったところだけは残って、その他の木橋はことごとく流れておる。これは、でき得れば全部永久橋にしたいと思います。けれども予算都合もありまして、なかなか一挙にそれを永久橋にかえてしまうこともできませんので、最も急を要するようなところから、でき得る限り永久橋を作っていくような、そういう指導方針で参りたい、こういう考えでございます。  それから第三点の、小災害の問題でありますが、この二十二号台風等に関連して、小災害についての、十五万円以下の災害について特別な措置を講じなければならぬという要望が、非常に強く出ております。私どもも、これは、特別の措置を講ずる必要があると思います。しかし、いろいろな財政都合もあり、技術的な査定の方の問題の困難性もありまして、そういう問題は、今せっかく検討している最中であります。まだその十五万円以下の小災害地に対して、どういう態度で臨むかという結論が出ておりませんけれども、できさる限り、その趣旨に沿うように努力していきたいと思っております。
  16. 武藤武雄

    武藤委員 それから前々会にも出ましたように、非常に道路砂利の流出が至るところ多いのでございます。あれは、非常な額に上ると言っております。われわれの見た範囲でもそうでございます。従いまして、国の補償の対象に今まではなっていなかったということでございますけれども、これらの問題も、一つ特別に考えてもらう必要があると思います。  私ども結論として言えることは、今度の災害についてはいろいろ問題はありましょうけれども、二十八年の台風のときのように特別法を制定して、これを救済する以外にないのではないかと思うのでございます。昨日の委員会で決議がなされたようでありますけれども、これに対して大臣として、わずか一日しかたっておりませんけれども、どういう構想でこれを国会の中に生かしていくかということについて、考えがあったら聞かしていただきたい。
  17. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 ただいまお尋ねの第一点でありますが、道路の上にある砂利の問題でありますけれども、実は今までは、これは県費で負担をすることになっておったのであります。しかし、今回の災害では非常に大きな県の方の負担にもなって参りますし、何か考えなければいかぬじゃないかということで、一応その予算災害復旧費の中に入れていくことについて、今大蔵省と相談中であります。もうしばらくたちますと、どうなるか結論が出てくると思いますので、これも、できる限り災害復旧費の中でまかなっていくようにしたい、こういう考えでおることを、一つ御了承願いたいと思います。  それから特別立法の問題につきましては、実は昭和二十八年の際には、あの災害対策として特別立法をしたのでありますが、これは大体二十三法律出ておるわけです。三十三の項目について、それぞれ別の法律を作りまして、二十三法律出ておるのでありますが、三十八年の災害の場合と今回の災害の場合と、いろいろ事情も違っておるところがございます。でありますから、今回の災害には今回の災害らしい復旧をやらなくてはならないということで、項目ごとに、たとえば住宅問題についてはどういう立法が必要である、あるいは地すべり、決壊等の問題についてはどういう立法が必要である、そういうふうに個々の問題ごとに今検討しておる最中であります。今まで結論が出て参りましたすのは、住宅問題あるいは農地の復旧等についてはやらなくてはならぬのではないかというような結論が出てきておりますが、これは、あわせて全部検討して参りまして、どの程度まで特別立法が必要であるかということの緒論を出していきたいと思っております。現在では、そういう段階でございますから、御了承願いたいと思います。
  18. 武藤武雄

    武藤委員 特別立法の問題と関連して、一部建設委員会の中にも議論があると思いますし、政府部内にも意見があるようですけれども、この特別立法を特定の地域だけに限定する、たとえば静岡地方にだけ限定するというような御意見もあるようでありますけれども、これは、もう実際に災害地を回ってみて、全体の規模としての災害は静岡県がずば抜けてひどいけれども、個々の災害を見てみると、人的被害やその他は別でございますが、個々の災害の場合には決して変らない。そういう意味で、私どもとしては、そういう特別の措置法律考える場合においても、やはり個々の災害の実態に対して考えるべきであって、一地方に限定することは間違いである、こう思っておるのですけれども、それらについてのお考え一つ
  19. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 その点については、もう御意見通り、私も全く同意見でございます。静岡だけ特別立法するというふうな考えはございませんし、同じような条件の府県に対しては、同じに扱っていく。たとえば標準財政、標準税額の基準をとる場合に、同じような県は同じにとっていく。それから災害の金額等についても、静岡なら静岡の県がこれだけで、町村がこれだけで、同じ条件ならほかの県も同じようにとっていく。ただ今回の災害には、十一号台風、それから七月下旬の豪雨、十七号台風、二十一号台風、二十二号台風というふうに、たくさんの台風あるいは洪水が出ておるわけでありますが、それをどの程度で扱っていくか、その台風についてはどの程度のものを扱っていくかという問題については、これまた議論があると思います。それらの議論も今やっておりますけれども、いずれにしても、同じ条件災害状況のところには同じ取扱いをしていく、そういう原則で間違いなくやっていきたい、こういう考えでおります。
  20. 三鍋義三

    ○三鍋委員 この特別立法処置に対しましてはきのうも当委員会において、全会一致で決議されたわけでありますが、大臣の御答弁によりましても、どうしてもその必要性を痛感しておられるようであります。目下どのようにこの問題を処理していくかということを、御検討中であるようであります。これは早急を要する問題であるとともに、慎重を期さなければならないことは、十分了承しておるのでありますが、私各当局に、河川住宅、あるいは道路計画、こういった局長さん方にお尋ねしたいと思うのであります。たとえば今度の災害は二十九年災害と大体同等の規模災害であるといわれておるのでありますが、それはそれといたしまして、昨年の長崎、その他北九州におけるところの災害関係、みんな局地的には大きな被害を受けておるのでありまして、そこで、実際当局といたしまして、この災害問題を処置されていく上において、現行法において、あるいは行政処置において何とかまかなってきておられると思うのです。それがまた、実際において成果を上げておると思うのでありますが、いろいろの問題もあるようであります。こういった問題を総合いたされまして、今度の静岡を中心とする東北その他二十一、二号台風災害に対する処置は特別立法処置によらないで、行政処置、あるいは現行法の解釈によってどれほどまでに地元の希望を満たしてきておられるか、この点はどうしてもできると思っておったけれども、なかなか特別処置をしないとできないといったような問題があるのか、ないのか、これは今度の特別立法処置をされる上において、非常に重要な資料となると思いますので、これらに対して、各局の御所見を一つ承わりたいと思うのであります。それによりまして、今御検討中であると思うのでありますが、私たちも、やはりそういった問題を参考にいたしまして、今後の立法処置を、できるものか、できないものか、できなくても済むものだったら、繁雑なことをする必要はありませんから……。それから今度の問題だけを取り上げていいものかどうなのかということも考えられますので、こういう点も、少し詳細に各局長さんから御答弁を願いたいと思います。
  21. 山本三郎

    ○山本政府委員 それでは河川局関係の問題につきまして御説明申し上げます。  河川局関係といたしまして、公共土木施設災害復旧の問題でございまして、これにつきましては御承知のように、二十八年におきましては特別立法をいたしまして、補助率の引き上げをやったわけでございます。ところが、今回の災害につきましての問題点と申しますか、特別立法をそのまま二十八年の通りにやるというようなことにいたしました場合におきましては、先ほどもお話がございましたように、県の工事といたしますと、長崎県などは去年相当の被害を受けております。たとえばその年の基準財政需要と比較してみますと、去年の長崎はことしの各県の場合よりももっと状況が悪かったというような点はございます。ただ公共団体といたしましても、県だけの勘定はそういうふうなことになりましても、市町村につきましてはまだ詳しい災害の額がはっきりいたしませんで、中には、地方の町村あたりでは、財政事情に比べまして、災害額が非常に多いようなところがあると思います。それらの点につきましては数字をはっきりいたしまして、非常に困るようなところは補助率の引き上げをやるか、あるいはほかの面が、特別交付税というような点で考えるような方法も考えて見なければならぬというふうに考えております。  それからもう一つ、小災害の問題であります。県なら十五万円以下の問題、それから市町村なら十万円以下の問題でございますが、これは、二十八年の特別立法の場合におきましては、県におきましては、十五万円ないし十万円の災害につきましては起債の特例を作りまして、それで全額起債、しかも全額元利補給したというような実績がございます。こういうふうな方法をとらなければならぬような市町村の公共事業の被害が多いものも、あるではないかというふうに考えております。起債の特例でいくか、あるいはそれらの小さいものを補助の対象にするかというような問題があるわけでございますが、事務的に申し上げますと、非常にこまかい災害を一々査定をしまして、小さい部分は金がさは割合少いわけでありますけれども、数が非常に多つくなるわけであります。それで、維持工事と区別のつかないようなものもございますので、査定を一々するということはなかなか繁雑になりますし、あとで処置に困るというような点もございますので、財政措置の方で二十八年のように考えるならば、まあその点は、スムーズにいけるのではないかというふうに考えております。  その他河川局の関係といたしましては、水防資材を補助してくれというような問題もございます。これは立法がなくても、財政補助で出したのもございます。ですから、そういうような方法でいけるならば、これは法律がなくても、財政措置でできるのではないかというふうに考えております。  それから緊急砂防の問題でございますが、この問題も、早くやってくれというふうな意見はあるし、同時に、公共土木と同じように、補助率を高める必要があると思う問題もございますので、補助率を高める問題は、先ほど申しました公共土木施設災害復旧と同じ問題でございます。それから早くやれという問題につきましては、これは、補正予算なり予備金の問題でございますので、行政措置で十分努力はしていかれるというふうに考えております。  以上、落ちがあるかと思いますけれども、私どもの関係の大略の問題はそんなところでございます。
  22. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 道路関係の事情を御説明申し上げます。  道路、橋梁の災害復旧につきましては御承知のように、大部分のものは公共土木災害復旧によりまして、復旧事業が実施されるわけでございます。これらにつきましては、ただいま河川局長から御説明があったことによるわけでございますが、そうした災害復旧査定に取り上げられないようなもの、しかしながら、その被害程度は相当大きなものであって、従来のように、県なり市町村の単独の処理にまかしておいては復旧が非常に困難だ、こういうふうに思われるものが、ことしのような場合には相当ございます。それからまたもう一つは、災害復旧事業査定を受けましても、たとえば橋梁の永久橋のような場合でございます。木橋にしてもそうでございますが、そういうものをほんとうに工事をいたします際には、この際災いを転じて福となすという考え方から、木橋の査定がかりにあったとすれば、これをできるならば永久橋にしていきたい。永久橋原形復旧の方針で査定を受けたものに対しまして、必要ならばある程度の拡幅をしていきたい。これは、橋梁ばかりでなく、道路にもそういう場合がございます。そういうようなために必要な経費、これにつきましても、本年度のごときはこのまま放置しておくことはできませんので、道路といたしましてはいろいろ研究いたしまして、まず第一段の措置といたしまして、ただいま実施中の本年度予算のやりくりで都合がつくものは、とりあえずのところ、わずかでございますが、これは処置いたしたものがございます。しかしながら全体に対しましてはこういうような手段ではとうていまかない切れませんので、そういうようなものに対しましては、若干の特別な予算措置をいたすように考えたい、こう思いまして、ただいま省内で研究いたしておる次第でございます。そういうような措置によりまして、災害復旧査定にかからない比較的大きな復旧事業に対しては、関係府県、市町村を御援助して、できるだけ早く復旧完了いたさせたい、こういうふうに考えて、ただいま研究いたしておる状況でございます。
  23. 美馬郁夫

    ○美馬政府委員 私どもの方の所管の都市施設災害でございますが、これは総額にいたしましても、今回までの公共土木の災害と違いまして、比較的数字も少いのでありまして、全国で約四億程度被害額が出ております。おもなるものは、都市の下水道であるとか、あるいは都市の水路、あるいは公園その他いろいろありますが、こういうものの復旧は従来負担法にはよりませんで、財政補助でやっておりまして、今度もこの財政補助の形でやっていきたいというふうに考えております。  この中に特に変ったものとしまして、静岡県の伊東地方の市街地が泥に埋まりました、いわゆる排土事業というのがございますが、これが相当金額が大きいのでして、予算補助で参りますと、私どもの方の前例は大体二分の一になっておりまして、多少負担法に比べて悪いのであります。金額が大きいので、地元に対してはなかなか困難な点もあるかと思いますが、都市災害の立場から申しますと、やはり財政補助というようなことになっております。  そのほか、一つ変った問題がございます。これは住宅局とも関係がございますが、特に市街地内の宅地を中心としました、がけくずれの問題でございまして、このがけくずれに対しましては住宅局の方では、いろいろ金融公庫の融資の問題等考えておりますが、それをはみ出した問題に対して補助をしてくれぬかという要望が、都内とか、あるいは横浜市等からございますが、これは、従来特に個人の宅地に対する問題が非常に多いのでして、公共用地にはなっておりませんし、従来補助をした前例もございませんし、どういうふうにすればいいだろうか、制度としてなかなかむずかしいのでありますが、今いろいろ検討しているような状況でございます。
  24. 鬼丸勝之

    ○鬼丸説明員 住宅災害対策につきましては御承知のように、公営住宅の建設、それから災害公営住宅として特別な建設をやっていく住宅金融公庫によります災害復興住宅の融資、なお同じく住宅金融公庫によります、一般貸付からの特別ワクで融資をするという三本建の対策でやってきておるわけでございます。現行制度のもとにおきまして、諸般の措置を進めておるわけでございますが、公営住宅につきましては、災害用といたしまして、八百戸の保留がございますので、このうちから、地方団体の要望を十分にまかなえるものと考えておりまして、今建設の計画を進めておるところでございます。  それから住宅金融公庫の災害復興住宅制度につきましては資金が約十二億円用意いたしておりますので、これまた罹災者の方々の御希望には、資金の面では十分に沿い得ると考えております。なお一般貸付の特別ワクとして住宅公庫から融資する計画といたしましては、五百戸分用意いたしております。これも、戸数としましては、必要にして十分なものであろうと考えております。ただ制度の問題といたしまして、災害復興住宅制度につきましては三鍋委員も十分御承知の通りでございますが、過去一カ年半の運用の実績と、また罹災者の方のいろいろな要望意見等を見てみますると、現在の制度で必ずしも十分に罹災者の方の要望に沿い得ない面もございます。特に災害復興住宅の家屋の規模の問題、現在は御案内のように、二十坪までの家屋について九坪分、内地の場合、二十五万円というのが融資額の限度になっておりますが、この対象家屋の規模を引き上げたらどうか、従いまして、規模だけを引き上げたんでは意味がありませんので、同時に貸付限度の金額を引き上げたらどうかという問題、そうしますと、金額を上げますと、これに伴って償還年限もある程度延長する、こういう問題がございます。さらにこまかい点ではいわゆる店舗等の部分を、貸付対象の家屋の規模から別にはずして考える、そうすれば、もっと大きな規模の家屋が対象になる、こういうような問題でありますとか、御案内の補修の場合の貸付基準をもう少し緩和いたしまして、損害の額の程度が二割程度——現在は三割になっておりますが、二割程度まで引き下げて処理するというように、これらの諸点につきまして、現在具体的に検討中でございます。
  25. 三鍋義三

    ○三鍋委員 どうもいろいろとありがとうございました。これから冬の季節に入っていく。これらの罹災者の立場をよく御理解願っているとは思いますが、できるだけいろいろな問題を迅速に処置していただくように、お手抜かりはないと思いますけれども、この上とも御要望申し上げます。  なお、ただいまお聞きするところによりますと、なかなか現行法その他行政措置では、困難な問題もあるように承わりました。こういった問題につきましては私たちも十分研究いたしまして、これこそ超党派的に、その災害における地域的な不公平とかいうようなもののないように、立法措置を相ともどもに協力して作っていきたい、考えていきたいといったような気持を持っておりますから、この点を政府当局も十分一つ御協力、御理解を賜わりたい、このように考えます。
  26. 武藤武雄

    武藤委員 最後にもう二点ばかりお伺いいたします。今回の災害を通じまして、風浪による海岸の侵食が非常に多いようであります。護岸の決壊が相当数に上っております。ところが実際に被害のあったところを見て参りますと、よくよく貧しい漁民地帯がほとんどのようであります。従いまして、これらの復旧等について、これは今次災害にかかわりのない普通の侵食、決壊もあるわけですが、これらについては護岸工事をしてもらうことによって住民の安定がはかられるのですけれども、それによって別に生活の向上になるという問題ではない性質のものであるし、これらの海岸地帯の護岸の工事に対しては地元民に負担をかけることのないように、今後何とか一つ考慮してもらいたい、こう思うのですけれども、これらについてお考えをお聞きしたい。  それからもう一つは、今次災害について緊急査定をずっとしておられると思うのです。それがどの程度に進んでおりますか、ちょっとお聞きしておきたい。
  27. 山本三郎

    ○山本政府委員 海岸の侵食、あるいは海岸堤防等の築造につきましての地元負担金の問題でございますが、これは、国の負担率は法律で定められておりますが、県工事に対して県が持ち前を出す場合に、地元負担をかけておるところがあると思います。これは、地元財政力以上に持つところにおきましては、非常に困るわけでございますので、県とよく相談いたしまして、善処したいというふうに考えております。  それから査定状況は、詳しいことは防災課長がおりますから、お話し申し上げます。
  28. 山内一郎

    ○山内説明員 災害復旧査定の問題でございますが、被害が激甚の場合には全部一度に査定するということではなく、これは予備金の支出の関係もございますが、重要な個所だけ緊急査定をやっております。その緊急査定につきましては台風十七号まで緊急査定を完了いたしまして、その分の予備金についてはすでに出ている分と、この次の閣議で出される予定のものもございます。従って、十七号台風について、緊急査定を完了して、予備金は全部出るということになっております。  それから、現在やっておりますのは二十一号台風、二十二号台風の緊急査定でございますが、その分につきましては大体今月末をもって完了いたします。それから残りの少い分につきましては、あわせて本査定も並行してやっております。現在そういう状況であります。
  29. 武藤武雄

    武藤委員 いろいろ非常に広範囲にわたるので、なかなか困難だと思いますけれども一つ早く査定を終って、一日も早く対策を始められるように、格段の御努力をお願い申し上げまして、質問を終ります。
  30. 堀川恭平

    堀川委員長 兒玉末男君。
  31. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣並びに河川局長お尋ねしたいと思っておりますが、特に今回の第二十二号の災害の経過から考えますと、今後の災害対策あるいは治水対策というものは全体を通じて総合的な計画と、それから今までの台風等によって起されました災害復旧の促進ということと、予防対策ということが私は非常に重要だと考えるわけでございますが、政府の方で、昭和二十八年の大水害を契機として立てられました、いわゆる治山、治水基本対策要綱によるところの予防対策が講じられることになっておりますし、その事業の総額は一兆八千億、うち国費として一兆一千七百億が予定をされて、その事業が着手されておりますが、三十二年度までの四年間に計上されました予算というものはわすかにその総額の一一%、一千百三十六億円に過ぎないのであって、きわめて進捗の状態というものが低調でございますが、この原因は、一体何でこのようになっておるのか、この理由について、まず第一に御質問いたしたいと思います。
  32. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 ただいまの御質問でありますが、先般来しばしば申し上げておりましたように、災害等の復旧並びに治水基本計画が非常におくれておったことは事実であります。その理由はいろいろあると思いますけれども、やはり財政事情に一番大きな原因があったと思うのであります。これは、私どもも率直にそれを認めて、そうして財政の許す限り、今後はこういうにがい経験を再び繰り返さないように大いに努力をして、河川の積極的な予防改修計画を進めて参りたい、こういう考えでございます。
  33. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それで、この基本対策要綱に関連しまして、今までの災害復旧状態を、建設省から出されておりますこの資料で見ましても、まだ昭和二十七年の災害が八九・四%、二十八年が七九%、三十年が八四%、三十一年が六四・五%、三十二年が二五%と、非常に災害復旧は遅々として進んでいないわけでございますが、建設省としてはこのような過年度の災害復旧についての目標、あるいはこれに対する具体的な年度別の予算措置、こういうようなことについて、どのような計画をお持ちであるか、その点をお尋ねいたします。
  34. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 実は三十三年度の災害復旧予算は大体二百二十億円程度計上してございます。しかし過年度の災害分として約百四、五十億円残っておりますので、これは三十四年度にはどうしても全部解消してしまう、こういう計画で、三十四年度の予算にこれを要求しております。この百四、五十億円程度の過年度の災害復旧は三十四年度で大体完了する見込みでございます。またそれをそうさせなければいかぬ、こう思っております。その後の災害の問題についてはそれぞれ別途年次別の計画になっているものもありますし、それから今回の災害について、予備費その他でとっていくというような問題もありますので、一応過去の分だけはきれいに清算をしてしまう、こういう考えでございます。
  35. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは、河川局長にお伺いしたいと思うのでございますが、公共土木施設災害の未復旧個所に対して、災害復旧されないうちにまたさらに災害が発生する。これも、同じ建設省から出されているこの資料によりましたのですが、そういう未復旧地に対する災害の増破といいますか、この統計を見ますと、これも、昭和二十六年が九・五七%、二十八年が一二・七五%、三十年が一七・六%、こういうふうに、災害復旧の遅延に伴なって、さらに災害の発生する増破率というものが非常に急カーブを描いておるわけです。この点は先ほど大臣が回答されて、過年度災害については三十四年度でほとんど完成するという希望を述べられたわけですが、こういう点から考えますと、やはり平常における河川関係の維持費ということも、私はきわめて重大な関連を持っておるように思うわけです。それで、昭和二十一年から三十二年までの平均を見ますと、この増破率の平均値から割り出しますと、大体昭和二十九年度が、平均的な数字として約三十八億という増破率に対する予算が必要になっておるわけです。ところが一般の直轄河川、あるいは都道府県の平常の河川の維持費というものも、平均が大体三十四億という数字を示しております。このような関係から考えますと、平常の河川の維持費の額というものが、ちょうど数学的に増破率によって生ずる平年度の損害率と一緒だという点から判断しますと、やはり河川の維持費というものを、いま少しふやす必要つがあるのではないか。その内訳としましてはいわゆる地元負担を減らして国庫負担の増額、それから全般的な維持費の増額、この二点にもう少し重点を置くべきじゃなかろうか、このように私は考えるわけですが、局長としてはどのような見解を持っておるか、お聞きしたい。
  36. 山本三郎

    ○山本政府委員 先ほどお話の中にございましたように、災害復旧されないままに放置されておった場合におきまして、また次の災害が参りまして増破するという点は、私どもが具体的に調べたものが、先ほどお話のありましたような数字になっておるわけでございまして、この点に関しましては、平素これを大破に至らない前に修繕しておくということと、それから災害が起きたらば、できるだけ早く復旧するという二つの方法があるわけでございます。災害の起きたのを早く復旧するという点に関しましては従来、三十年以降につきましては法律に定められまして、緊要工事は三カ年で復旧するということに相なっておりますので、その通りにやっておりますが、その前の災害につきましては、お説の通り災害復旧がおくれまして、そのために増破を受けたというようなものが多いわけであります。従いまして、これを早く復旧しておきさえすれば、被害が増破しないで済んだという点が明らかでございますので、緊要工事につきましては増破のおそれのあるものにつきましてはできるだけ早く復旧するように処置するということで進めておるわけでございます。  次に維持費の問題でございますが、これは従来におきましてはしばしば府県におきましてできるだけ多くの維持費を投入いたしまして、災害を未然に防止していただくようにという処置をお願いしておるわけでございますが、府県の財政が非常に悪いためもありまして、この方面に投下する金が非常に少かったのが実情でございます。建設省といたしましてはこれを完全にいたすために、直轄で行なっておる維持河川につきまして、これを増額すると同時に、府県に対しましても補助金を出しまして、ひもつきの維持をやってもらうということを、来年度は強力に要求したいということで進めておる次第でございます。
  37. 二階堂進

    ○二階堂委員 ちょっと関連して。もうすでに社会党の委員の方から質問があったかどうか存じませんが、実は今回の災害被害が非常に大きいし、特に直轄河川その他中小河川等において、災害が非常にひどかったところもあるわけであります。そういう個所は政府におかれても、できるだけ早急に堤防を作るなり、あるいは災害を未然に防ぐという措置をおやりになるということを承わっておるわけであります。これは特に私は来年度の予算—の編成とも関連いたしまして、大臣一つこの治水対策については、うんと強い態度でもって予算要求もしてもらいたいと思っておりますし、さらにどうしても今まで災害復旧がおくれておった個所、特に全国的にも何カ所かあると思っておりますが、そういうような個所についてはやはり別途の財政的な裏づけをもって、早く災害復旧あるいは災害を未然に防ぐという仕事を行なっていただきたい。特にまた今回の伊豆地方における災害狩野川流域の災害は私も行ってみましたが、大へんなものだと思っております。従って、狩野川改修の問題はこれは社会党の同僚委員からも質問があったし、また非常な熱望もあるわけでございますが、この狩野川復旧はたとえば放水路のごときも、五カ年計画というようななまぬるい計画でなくして、大臣は現地視察の際には三カ年くらいである放出路も仕上げたいというようなことであったようでございますが、これも、二本の放水路では、私はだめだと思っております。できれば三本の放水路にしていただきたい。それも、五年や七年かかったらば、来年また災害があったら、この責任はだれが負うのですか。そういうこともございますので、この計画は、一体どういうふうにしておやりになるつもりか。政府は、災害のあったときには、なるたけ早くやると大臣みずからもおっしゃるのでございますが、静岡県の狩野川に例をとってははなはだ恐縮でございますけれども、この狩野川災害復旧については、どういうような御計画で、またどういうような措置を現在しておられるのか、この点を、一点だけ伺っておきたいと思います。
  38. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 治水事業そのものについての相当計画的な大規模な事業の促進についてはこの委員会の席上しばしば申し上げておりました通りでございます。狩野川の将来の大きな治水計画の問題についても、十分御意見のあるところを実現して参りたいと思います。  私は、この際この委員会を通して申し上げたいのでございますが、狩野川は、直轄河川でありまして、直轄河川堤防の破壊されたのは、今回の災害におきまして、狩野川が一番大きかったのであります。この狩野川堤防をすみやかに復旧いたしませんと、少さな洪水が出ましても、また再び大きな浸水に襲われるような結果になって参りますので、この復旧を急速にやりたいということで、大蔵省ともいろいろ話をしておりました。大体直轄河川部分災害の金額が、七億程度になっております。そのうち、今年度中に七割を復旧してしまう、すなわちこの次の洪水時期までに、普通の災害では絶対に心配がないような工事を今年度中にやってしまおうという計画で、大蔵省と相談をしておったのでありますが、幸い大蔵省も了承してくれまして、四億九千万円の予備費をとることに大体意見が一致しました。これ、この次の金曜日の閣議に私は提案をいたしまして、決定をしていただきたいと思っておるわけでありますが、大蔵省も、大体これを了承してくれましたので、狩野川の沿岸の諸君にも、安心していただくことができるのじゃないかと思うのであります。この四億九千万円の予算を大体とる見通しがつきましたので、これをもって直ちに工事を促進して参りまして、そうしてこの次の洪水の時期までに絶対心配のないような、工事を完了したい、こういう考えでおりますから、一つ御了承いっただきたいと思います。
  39. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣にお伺いしたいのでございますが、今るると御回答いただきましたが、こういう関係から考えますと、今度の災害を契機としまして、昭和二十八年に立てられましたところの基本対策要綱等についても、多少その内容というものを変えていく必要があるのではないか、それから経済自立五カ年計画の一環として立てられておりますところの治水事業五カ年計画の策定の内容から見ましても、三十一年、三十二年度で大体二カ年間の計画量の二分の一つしか、この特に緊急を要する治水事業というものが実施をされておらない、こういうような点も考え合せてみます場合に、やはりどうしてもこの緊急を要する治水五カ年計画についても、あわせてここで根本的な改革をする必要があるのではないか、こう言うのは五カ年間というそういう長い期間でなくて、もう少し期間を短縮して、そうして早急な治水対策というものに政府としては力を入れるべきではないかという点から、この基本的な対策である対策要綱と、治水五カ年計画の変更について、大臣は御見解を持っておられるかどうか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  40. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 昭和二十八年に策定いたしました治水基本計画、これは、お示しのように一兆八千億に及ぶ大計画でありますが、この大計画はわれわれの進んでいくべき方向を示したものでありまして、この大計画を変える必要はないと私は思います。これをいろいろな角度から早く埋めていく、この計画を実現していくということでありますので、その実現の仕方について、先ごろ治水五カ年計画というものを立てて参ったのでありますが、その五カ年計画もその後の情勢の変化によりまして、たとえば今年度の災害は、小河川に非常に大きく集中的にきた、あるいは旱魃のために、潮どめ施設というものが必要になってきた、あるいは多目的ダムの重要性がますます強調されてきたとかいうような新しい情勢とにらみ合せて、新しい情勢に対応できるような多少の修正を五カ年計画に加える必要があるということで、修正した五カ年計画を三十三年度からやっていきたい、こういう考えでございます。ただいま本委員会で説明をして参りましたあの五カ年計画は、そういう意味の修正をされた五カ年計画でございますが、私は、この五カ年計画をとにかくこの五カ年の間に実施をしてしまう、一挙に一兆八千億の計画を実施することは、日本の財政事情からいいましても、容易にできることではございませんので、やっぱり年次を追うて、しかもその五カ年計画というものは政府の国策としてはっきり裏打ちをする、願わくは、私は法律に基礎を持った五カ年計画にして参りたい。通常国会までに、私は治水事業促進法を立案をいたしまして、そうして本委員会に御審議を願いたい。その治水事業促進法の裏打ちのもとに、治水五カ年計画というものを年次別にやって参りたい。そうして参りませんと、そのときそのときの財政都合で、いつもその予算を取り上げられてしまうようなおそれがありますから、五カ年計画というものをきめて、もうそれは動かさないのだ、その裏打ちに法律がちゃんとあるのだというような形に私は持っていきたい、こういう考えでございます。
  41. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは多少要望にもなろうかと思うのですが、二、三日前でございますか、自民党としては、警職法の強行成立を目ざして、代議士会の終了後、砂川等のあの混乱した状態のニュース等を映写して、盛んに気勢を上げているわけでありますが、今政府がやるべきことはそういう乱闘の情景等を見て気勢を上げることじゃなくて、われわれが朝日ニュースなりその他のニュースで見たように、今次の災害の伊豆半島の、遠藤大臣も陣頭に立っておられましたが、あのようななまなましいニュース等を持ってきて、今後建設省がいろいろ災害復旧等に要する予算獲得にも、全代議士がもう少し奮起するような方向に持っていくのが正しい行き方ではないか。このような立場から、大臣としても、そういう災害関係のニュースをどしどし一つ持ってきて、なまなましい実情を全代議士に理解させて——本日のこの状態を見ても、自民党の代議士がわずかに三名しか出席しておらない、こういう状態だから、今大臣が一生懸命お答えになったことも、なかなか私は通らぬと思う。そういう点から、ことに私は、今度の伊豆方面のなまなましい災害のニュース等を持ってきて、いま一段の奮起と、特に大蔵当局に対するハッパをかけていただきたい、こういうことを要望して、私の質問を終りたいと思います。
  42. 堀川恭平

    堀川委員長 中島委員。
  43. 中島巖

    ○中島(巖)委員 各委員からいろいろ質問が出て、大体わかったことでありますけれども、もう少し具体的にお伺いしたいと思います。結局災害復旧の今次の問題については予算関係の問題と立法措置の問題と、それから今後実施する上においてどういう計画を立てるか、この三つであると思うのであります。私の党の方でも、これにつきましては立法措置を現在いろいろ研究いたしておりますので、それに関連することのみについて、政府の御方針をお伺いいたしておきたいと考えるわけであります。そこで、予算の関係でありますが、結局予備費不足分に対しまして、補正予算を組まんならぬ。この補正予算につきましてはいろいろありますけれども、私は、この災害の問題のみに限って質問するわけであります。現在の政府全体といたしまして、たしか八十億の予備費だと思いましたが、現在どのくらいそれが残っておるか。それから災害は、建設関係だけでなしに、農林関係その他各省にわたるものでありますけれども、これは法律できめたるもの、あるいは財政措置等を行うものなどいろいろあるわけでありますが、補正予算を組まんならぬ額は大体どのくらいな額であるか。その二つの点と、それから、これはわかっておるような問題でありますけれども、過年度災害はその年の予算に組んであるわけでありますけれども、あるいは本年度災害に対しまして、予備費的の性質で、建設省で手持ちのある金があったのであるか、あるいは全然なしで、全部八十億の予備費からくずして災害に当てておるのか。この三つの点についてお伺いいたしたいと思います。
  44. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 ただいまのお尋ねの第一点でありますが、予備費は、この間の閣議のときの予備費までで、大体三十九億程度残っております。その三十九億を、先ほど申し上げました約四億九千万円ばかり今度の緊急の災害復旧に使っていくという話が大体まとまって参りましたから、今週の金曜日ごろになりますと、三十四、五億になる、そういう状況でございます。  それから補正予算の金額の問題でありますが、補正予算は、各省それぞれ数字をまとめまして、そして大蔵省と話し合いが始まったところもありますし、まだ始まらないところもあるようであります。私の方の建設省の関係では、一応の事務的な数字がまとまりましたので、私は、きょうこれからそれを検討してみたいと思っております。大蔵省に出す以上、責任を持って筋の通るものを出さなければなりませんので、それを検討してから、建設省補正予算要求は、大体この程度だということを申し上げたいと思います。ただいままだこの程度ということを申し上げる段階にきておりません。それから建設省予備費的なものがあるかないかというお話でありましたが、実は今の予算の建前上、建設省には予備費的なものは持っておりません。予備費は八十億持っておったあの予算全体から出てくる予備費をあげて使っておる、こういう建前でございます。
  45. 中島巖

    ○中島(巖)委員 時間も十二時過ぎになっておりますので、いろいろ一度に御質問いたします。  次には立法措置でありますが、これはたしか公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に、建設省関係はよるものと思いますけれども、先ほど都市計画課長の話では、都市計画の方では、あまりこの項目に入っておらぬらしいようなお話でありました。最近きまりました下水道関係なんかは、そうだろうと思いますけれども、都市計画におけるところの街路事業その他の問題は、この公共土木災害に対する国庫負担法を適用されるものかどうか。さらに建設省といたしましてはこれらを統一せねばならぬ。従いまして、かりに下水道なんかが入っておらないといたしましても、あるいはただいま申し上げた街路事業なんかがかりに入っておらぬとしても、これは当然法改正をいたしまして入れるべきものである、こういうように考えるのでありますが、これに対して、建設省はどういう方針を持っておるか、官房長あるいは計画局長からでけっこうでありますから、御答弁を願いたいと思います。  それから、先ほどから申し上げました、そしていつも問題になっておる単独災害もしくは小災害と申しますか、十五万円以下あるいは十万円以下の問題でありますが、これは昭和二十八年の例の特別立法と申しますか、九州地方の問題が起きたときに、臨時立法は先ほど大臣の言われました通り、二十三かのいろいろな法律ができておるわけであります。そこで、建設省関係のこの臨時立法を見ますと、各地方公共団体の税収入によって災害の国庫負担の率が変ることになっておるのを、それを法律にした、こういうことだと思います。ところが農林漁業施設災害復旧に対する例の国庫補助の臨時措置令ですか、あの農林省関係の法律によりますと、その小災害を、十万円を三万円までに引き下げておる、こういうことになっております。私は、この建設省の方の、地方公共団体の税収入を標準としたこの立て方の方が非常にいいと思います。しかし、そこでさらに突っ込んで考えなければならぬことは、この税収入と同時に、いわゆる地方公共団体のまかないと申しますか、標準財政需要額というようなこともさらに勘案いたしまして、立法すべきものじゃないかと思う。それを別といたしまして、農林省関係が三万円に引き下げ、建設省は地方公共団体の税収入を基準にする、政府の中で、その省が分れておることによって、こういうようなまちまちの立法を作るということは、好ましくないじゃないか。もっとも農林関係の災害関係の法律は、公共事業でなくして、個人の事業に対しましても適用されるのでありますから、一律には言えませんけれども、なんとか各省間の連絡をとって行うべきである、こういうように考えるわけでありまして、この小災害に対して、基本的の問題として、率を引き下げる考えがあるのかどうか、あるいは従来のような標準税収入によって行うのであるか、それからまた一つの方法として、起債を優先的に法律で規定して認める、この三つの方法があると思うのですが、これに対しまして、今回の災害に対してどういうお考えを持つか、この点につきまして、大臣でなくて、関係局長でもけっこうでありますので、御答弁を願いたいと思います。  それから次に、これは大臣に御答弁願いたいと思いますが、これらの大きな災害があったたびに臨時立法をするというようなことはなくして、一定の、たとえば町村における税収入に比較してどれだけの災害があった、あるいはその他の方法もあるでしょう、そういうものを規定しておいて、総理大臣が発動できるような立法措置をしておけば、災害のあったたびに、こうしたがたがたしたことをしなくてもいいのだから、災害に対する根本的な立法をすべきものじゃないかと思うのです。これに対して、大臣のお考えはどうであるか。  それから、これはちょっと災害とは関連してはおりませんけれども、昨日河川法の一部改正案が出たわけであります。これは差し迫った問題で、河川法を全般的に改正する時期に来ておるわけであります。そこで、大臣にお伺いいたしたいことは、現在建設省の所管の中にあるところの河川法だとか、都市計画法だとか、あるいは道路法にもあったのじゃないかと思いますけれども、ある規定について河川局は河川局、計画局は計画局、そういうまちまちの法解釈をとっておるという実例があるのです。それで、いやしくも一つ省の中にはそれらの法解釈に対して統一した見解をとらねばならぬ、こう思うわけでありまして、この問題につきまして、いずれ具体的の例をあげてお尋ねいたしたいと思いますけれども、基本的の大臣考えとして、私の申し上げたような事例があるとすれば、建設省内だけは統一した見解をとっていただきたいと思いますが、これに対するお考えはどうか。以上、立法措置について四点お伺いいたしたわけであります。
  46. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 ただいまの最後の御質問でありますが、関係局によって同じ法律の解釈が違っておるようなことがあるとすれば、それは間違いでありますから、私が責任を持って統一して参ります。もしそれがため必要ならば、はっきりさせるための法律修正等も、あえて辞さない考えであります。あくまで建設省は同一体として、同じ方針で動くということについて、私は責任を持ってやって参りますから、御了承いただきたいと思います。  それから災害対策立法の問題でありますが、あなたのおっしゃるような意見を持っておられる方が相当多いのであります。恒久的な立法をしておいて、災害事情を見て、直ちに総理大臣命令等によってそれを発動させる、そういう仕組みが必要であろうというような意見が相当多いのであります。かって災害対策についてはそういう法律を持っておった時代もございます。今日において、は御承知のように、今のような法体系になっておるのでありますが、これも、今後の問題として、私は考えてみなければならぬことの一つだろうと思うのです。災害のあらゆる場合を想定するという困難な問題がありますので、慎重にやらなければならぬと思いますが、十分一つ私の方でも検討してみたいと思います。
  47. 美馬郁夫

    ○美馬政府委員 先ほどのお尋ねの都市災害でございますが、街路の災害は、これは道路といたしまして負担法の対象になっておりますから、問題ございません。  それから下水道関係は下水道法の適用を受ける分は、そちらで参りますから、これも法律にございます。そうすると、都市施設のうち何が残るかと申しますと、下水道法の対象にならない一般の都市水路であるとか、あるいは公園施設であるとか、そういうものが対象になるのでございまして、これは、従来負担法の対象にしたらどうかというような意見がございまして、法律改正のときにもいろいろ問題になりましたが、ただこの問題は、臨時立法の問題ではございませんで、恒久立法の問題になりますし、今度の災害による被害等も、目下いろいろ調べておりまして、あるいは立法事項にするか、予算事項にするか等については、ただいま検討中でございます。
  48. 山本三郎

    ○山本政府委員 公共土木施設の国の負担率をきめる場合におきまして、標準税収入によるのがいいかどうかというお話でございましたが、私の方といたしましては、こういう観点からやっていくのがいいではないかというふうに考えております。  それから小災害の処置をどうするかという問題で、御意見が二つあったわけでございますが、金額を引き下げるか、あるいは起債によるか、こういうことでございますが、引き下げるということになりますと、おそらくこれは、恒久立法でやらなければおかしいという観点が出てくるかとも思います。二十八年度におきましては起債で処置したわけでございまして、先ほども御説明申し上げましたように、金額を引き下げますると、非常に査定の事務もふえますし、また維持工事との区別がつかないということで、事務的には非常に繁雑になるわけでございます。今後地方の町村等の被害状況が判明いたし次第、いずれかの処置はとらなければならぬという気持ではおりますけれども、二十八年の例によりまして、起債等によって処置されるのが、今度の臨時的処置としてはいいのではないかというふうに私ども事務当局は考えておる次第でございます。
  49. 中島巖

    ○中島(巖)委員 今計画局長は下水道は公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法で行う、こういうふうな御答弁でありましたが、この国庫負担法は第三条に規定されて、七つまで出ておるのですが、この項目のどれに下水道を当てはめてやるわけなんですか。
  50. 美馬郁夫

    ○美馬政府委員 下水道は災害負担法ではございませんので、下水道法の中に、災害の場合の補助という規定がございまして、そちらでやることになります。
  51. 中島巖

    ○中島(巖)委員 もう時間もありませんので、それ以上の質問はいたしませんが、これも、やはり建設省関係の事業でありますから、この中に入れた方がいいのではないか、こう私は考えるのでありますが、これらについては、いずれ他の機会に御質問いたしたいと思います。  そこで、予算関係、立法措置質問は以上をもって終りまして、今後の建設省復旧に対する施工方針と申しますか、そんなようなことについて二、三お伺いいたしたいと思う。  先ほどから大臣からもお話がありましたし、その他の各委員からもいろいろお話があったのでありますが、ここ二、三年来の災害の特質といたしまして、小河川被害が非常に多いわけです、大河川はあまりないわけであります。これは、梅雨前線やいろいろな関係もあると思います。そこで、旧来の建設省治水政策と申しますか、河川改修計画におきましては直轄河川が相当膨大なものになって、これに力が注がれているということ、それから中小河川改修が行われているということ、私は、内容はよく知りませんけれども一つ河川の工事費が五千万とか八千万円以上とか、こういうようなワクを占めているわけです。その他の河川改修につきましては、局部政修でありまして、実際問題といたしまして微微たる金で、一河川五十万か百万、最高でも三百万、こういうようなワクであります。中小河川改修は各年に三本か五本のごくわずかなものでございまして、現在まで、小河川改修が全くなおざりにされておった。この梅雨前線の局地降雨のような関係が、大きな関係ではありますけれども、それと同時に、この治水面の小河川改修がおくれておったということも——今回の伊豆の例を見ましても、上流地方の小河川改修ができておらなかったから、あの大災害をもたらしてきた。先ほどから放水路の問題が非常に出ておりますけれども放水路から下の方はそれほどではなくて、それ以上があの災害が最もひどいところであった。そこで、これは当然小河川改修に重点を入れねばならぬ、こういうように考えておったところ、幸いに建設省としましては先ほどの御答弁から見まして、小河川改修をやる、こういうようなお話がありました。これはもちろん大蔵省その他との折衝も必要でありますから、まだ結論は出ておらないと思いますが、小河川改修に対して、具体的に現在建設省の持っている構想はどういう構想であるかということが一点。  その次に、小河川改修と申しますか、小河川災害に対して最も必要なのは、その上流地帯の緊急砂防で、これは、今度の小河川災害復旧とは、切っても切れぬ形になっている。ところが、これは災害復旧ではなくて、新設になるわけです。従って、緊急砂防費というものは、一般の経営費から出るのか、あるいは災害復旧費の一部から出すことができるのであるか、さらに来年度、これらに対しての予算構想は、どういう構想を持っているか。  この二点について、これは大臣おわかりであれば、大臣にお願いしたいのですが、おわかりでなければ、河川局長あるいは防災課長でけっこうであります。御説明願いたいと思います。
  52. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 あまり詳しいことはわからぬですけれども、大きな考え方としましては小河川改修については、再々申し上げましたように、新しい五カ年計画においても、特に力を入れるという意味で、計画改定をしようといったようなことになっているわけでありまして、具体的にどこの河川にどれだけの工事を進めるということについては、また事務当局の方から答弁することにしまして、方針としては小河川の方に力を入れていく、こういうことであると、一つ御了承願いたいと思います。  それから上流地帯の緊急砂防の問題でありますが、今回の狩野川のはんらん等についてみましても、最上流地帯の土砂の崩壊、山腹の崩壊等が一番大きな原因になっておる。従って、この砂防については徹底的にやらなくてはいかぬ、こういう考えを持っております。その緊急砂防の予算は今回補正予算に出す考えでございます。そして、この小さな河川上流部の砂防を、これまた急速に進めていく、こういう考えでございますから、御了承いただきたいと思います。
  53. 山本三郎

    ○山本政府委員 先ほど直轄ばかり力を入れておって、小さい川をやらぬ、こういう話でありましたけれども、直轄に力を入れたから十分ということではございませんで、先ほどから出ております狩野川等は、直轄の河川でございますから、これが力を入れ過ぎたということには、決してなってないわけでございますので、その点、まず御了承いただきたいと思います。  それから小河川の問題でございますが、お説の通り、このごろにおきましては局地的の豪雨がございまして、今まで手をかけていなかったような小河川が、非常に痛めつけられておるということでございまして、従来におきましては非常に災害の多い場合につきまして、関連事業をつけ加えまして改修をやったのでございますけれども、関連事業では、災害をあわせても改修ができないというのが、たくさん残っておるわけでございます。それらを取り上げて小河川改修をやろうということで、先ほど大臣からお話がございましたように、五カ年計画に組み入れまして、これも促進していこうということでございます。それでは、現在どのくらいあるかということでございますが、この点については今後におきまして、災害状況等も勘案いたしまして決定しなければならぬと思いますけれども、全国で約千本くらいは早急にやらなければならぬものがあるということでございますので、それらもいろいろよく調べまして、それらの中には、おのずから軽重があると思いますから、五カ年内におきましてはできるだけその中で半分程度まではぜひやりたいというふうに考えておりますが、この本数につきましては今後災害等の状況等も勘案いたしまして、決定していきたいというふうに考えております。  それから緊急砂防という問題でございますが、これは災害にかんがみまして、すぐ砂防をやらないと河川復旧もできないというようなものがございますので、御承知のように、当年の予算にも、緊急砂防費というのは予備金的にとってあります。金額といたしますと、国費にして一億でございますが、それが不足する場合におきましては、従来におきましても、予備金等で補ったことがございます。ことしはこれをぜひ補正予算で増額いたしまして、緊急の処置をしたい。それから来年度以降につきましては砂防費を増額いたしまして、なお残っておるものを処置するというふうに考えております。
  54. 中島巖

    ○中島(巖)委員 今の問題に関連して、河川局長お尋ねします。小河川改修費というものは、おそらく一つ項目建設省にあると思いますが、中小河川改修費、それから小河川とは言わなくて、局部改修費とかなんとかいう名目であるだろうと思います。そうすると、三十三年度の局部改修費はどのくらいの金額になるか、来年度は名前が変って、小河川改修費となるか、あるいは局部改修費となるか知りませんが、どのくらい要求されるお考えか、その金額について伺いたい。
  55. 山本三郎

    ○山本政府委員 三十三年度におきましてはお話しのように、河川改修費といたしましては直轄河川改修費と中小河川改修費と局部改良と三本建になっております。そうしてお話しのように、中小河川では大体七、八千万円以上の全体事業費のかかるものを取り上げておったということで、たとえば五千万円程度の事業費のものが局部改良でやっておられ、しかも金が少いものですから、それが進展しなかったというようなことでございますので、その間に予算項目に穴があったというような点でございまして、全体事業費が五千万円とか二千万円とかいうような程度のものは小河川でやっていきたいということで、小河川改修費というのを折衝しようというふうに考えております。来年度は初年度でございますが、国費にして十億、事業費で二十億くらい程度の事業をやりたいということで、大蔵省要求中でございます。
  56. 堀川恭平

    堀川委員長 本日はこの程度にとどめまして、次会は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。     午後零時三十六分散会