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1958-11-04 第30回国会 衆議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十一月四日(火曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 天野 公義君 理事 簡牛 凡夫君    理事 木村 俊夫君 理事 堀内 一雄君    理事 土井 直作君 理事 正木  清君       宇田 國榮君    川野 芳滿君       菅家 喜六君    小枝 一雄君       高橋清一郎君    前田  郁君       三池  信君    伊藤卯四郎君       久保 三郎君    島口重次郎君       杉山元治郎君    館  俊三君  出席政府委員         運輸政務次官  中馬 辰猪君         運輸事務官         (鉄道監督局) 權田 良彦君  委員外出席者         外務参事官   三宅喜二郎君         農 林 技 官         (水産庁生産部         海洋第二課長) 中村 正路君         通商産業事務官         (重工業局自動         車課長)    本村 庄一君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  八木 利眞君         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公献君         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     岩崎  清君         海上保安官         (海上保安庁警         備救難部長)  松野 清秀君         海上保安官   苛原しょう君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         日本国有鉄道常         務理事     我孫子 豊君         日本国有鉄道常         務理事     久保 亀夫君         専  門  員 志鎌 一之君 十一月一日  委員宇田國榮君、高橋清一郎君及び原健三郎君  辞任につき、その補欠として北村徳太郎君、小  坂善太郎君及び森下國雄君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員北村徳太郎君、小坂善太郎君及び森下國雄  君辞任につき、その補欠として宇田國榮君、高  橋清一郎君及び原健三郎君が議長指名委員  に選任された。 十一月一日  国鉄との連絡運輸車扱貨物運賃計算制度の変更  に関する請願簡牛凡夫君紹介)(第一四二四  号)  中央線列車運転区間延長並びに接続時刻改正に  関する請願増田甲子七君紹介)(第一四二五  号)  常磐線の複線及び電化促進に関する請願(齋藤  邦吉紹介)(第一四六一号)  南千住駅北口設置に関する請願天野公義君紹  介)(第一五一四号)  磐越東線の輸送力強化に関する請願木村守江  君紹介)(第一五一五号)  アルミ舟艇各省所属艇に採用の請願安倍晋  太郎君紹介)(第一五七七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運及び海運に関する件      ————◇—————
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。先般閉会中において陸運海運空運、観光及び気象に関する調査のため、各地方に委員を派遣いたしたのでありますが、その調査報告書委員長の手元に提出されております。これを会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 塚原俊郎

    塚原委員長 それでは、さよう決定いたしました。
  4. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより陸運に関する件について調査を行います。  自動車に関する件について質疑の通告がありますので、これを許します。土井直作君。
  5. 土井直作

    土井委員 政府が前国会において神風タクシーによる事故激増に対し、タクシー走行キロ数制限を行い、また業者経営合理化運転手労働条件改善などを実施するという抜本的な対策を講じたが、これは神風タクシーに対する強い世論にこたえたきわめて適切な処置であり、この強力な実行によって漸次事故防止に効果を現わしてきたと思うが、言うまでもなく事故激増は一朝一夕によって処置することができるものではなく、長期にわたって、かつ徹底した対策をもってこれに当る必要があると思うのであります。言いかえれば、走行制限は一たんきめた以上あくまでこれを徹底させ、同時に経営合理化あるいは労働条件改善の面でたゆまない努力を尽すべきことであります。むしろ問題は今後にありとさえ言い得ると思うのであります。そこで、この神風タクシーの問題のその後の状況について二、三問題を取り上げて政府の見解をただしたいと思うのであります。  第一に、制限が実施されましてから後において、これが厳守されておるかどうかという点についてお伺いをしたいと思うのであります。
  6. 山内公献

    山内説明員 東京並び横浜横須賀地区におきましては、東京では三百六十五キロ横浜横須賀地区では三百七十キロ最高制限キロ数をきめたわけでございます。その後の東京陸運局監査の結果の報告によりますと、大部分は大体守っておるわけでございますが、一、二まだ徹底しないところもありまして、監査を通じまして事業者に厳守するように現在指導いたしておるわけでございます。
  7. 土井直作

    土井委員 キロ数制限によりまして、大体関東方面においては業者の間で相当に厳守されておるということでありますが、厳守されておらない部面等もあるということがただいまの答弁ではっきりいたしましたが、そういう場合における罰則規定というものは今日においてはないのではないかと思うが、これに対するところ具体的処理は一体どういうふうにされるつもりか、この点をお伺いしたいと思います。
  8. 山内公献

    山内説明員 先般作りました運輸規則の点でございますが、これは従来の行政処分の方法によりまして行われるわけでございまして、監査の結果実情の非常に悪いものにつきましては、法の命ずるところによりまして処分をする予定でございますが、現在まだ処分した例は東京陸運局においてはございません。
  9. 土井直作

    土井委員 さらに走行キロ数制限によって事故防止をするという目的であったわけでありますが、実際上の問題として、実施されましてから後において事故防止関係が具体的にはどういう数字で現われておるか、もし数字がおわかりであったらこの際お示しを願いたいと思うわけです。
  10. 山内公献

    山内説明員 大体の傾向といたしましては、従来より事故の件数が減ったという報告を聞いておりますが、現在まだ正確な書類をここへ持ってきておりませんので、後ほど調査いたしましてお知らせいたしたいと思います。
  11. 土井直作

    土井委員 事故防止に対して一番問題になっておりましたのは走行キロ数制限でありますが、その走行キロ数制限するという大なる目的は、過労によって事故が発生するのを防止することであって、走行キロ数制限するということが目的ではなくて、むしろ運転手のオーバー・ワークによる疲労によって生ずる事故であるという認定の上においてのかなりのウエートがあったと思うのであります。従ってこれに対するところ労働条件の問題、それから仮眠施設問題等が当時論議されたと思うのでありますが、労働条件の問題につきましては、これは直接的には労働省の管轄にもなるのではないかと思うが、自動車業者に対し、あるいは運転手に対する労働条件等については運輸省でどの程度の権限を持ってこれを取り扱うことができるか、この点をちょっと聞かしてもらいたいと思います。
  12. 山内公献

    山内説明員 その点につきましては、私の方では安全という見地から運輸規則にそういう規定を取り入れているわけでございまして、労働条件の中でも賃金そのものにつきまして規制するということはできないと思います。これは行政指導でいくということで、事故防止対策委員会でもそういう方向でやっておるわけでございますが、ただ安全という面から見ますと、従業員休養施設でありますとか、あるいはノルマの強制の問題でありますとかというようなものは安全という見地からわれわれの方の運輸省でも取り上げられる限度であろうということで、先般の運輸規則においては取り入れたわけでございます。その意味から言いまして、疲労防止という先ほどの仰せの通り見地から、元来は最高制限というようなものは好ましくないわけでございますが、抽象的な疲労防止ということではなかなか実行は期しがたいという点から、数字的な最高乗務距離制限というものも置いたわけでございまして、運輸省で取り扱っております面は交通の安全という面から規定をいたしておるわけでございます。
  13. 土井直作

    土井委員 実は走行キロ数制限によりまして実質的には運転手実収賃金というものが非常に下っておるというのが大体現状であります。たとえば一例をあげますと、従来水揚げが月に十万円あった場合において、約三万円程度の収入があったわけでございます。ところが今の面から見ると、固定給料平均東京で約八千円だそうでありますが、それに歩合その他を加えたり、あるいは精勤とかいろいろなものを加えても十二万キロを走らなければ、実質的には従来の十万キロ走った当時の給料にはならないということを言われておるわけであります。それからもう一つは、運転手がたとえばキロ当り二十円以上にならないと歩合関係がほとんどもらえないというようなシステムを持っている会社等もあるやに聞いておるのであります。これは勢い、安全を確保するという立場から運輸省行政的な面の指導をしておるのでありますが、実質的には賃金が下るということによって短距離の方はやるが長距離はやらない。たとえば東京から熱海へ行ってくれというような場合において、運転手が六郷を越すころになると、車を乗りかえてくれという。あそこへ行くには約二百キロあるそうでありますが、二百キロで実際においては帰り道はただで、からで帰ってこなければならぬというような状態だから、従って長距離というものが合わなくなる。短距離だけを走って、それでキロ数をオーバーしないようにする、キロ当り賃金が二十円以上になるようにしなければ歩合をもらうわけにはいかないというようなことで、勢いそれが運転手の走る上において危険率を多く伴う場合が生ずるのじゃないか、こういうことがいわれておるのでありますが、この点について何か運輸省として御承知であれば聞かしていただきたいと思います。
  14. 山内公献

    山内説明員 私どももそういう話を聞きまして、一、二調査をいたしたわけでございます。これは都自協調査によるわけでございますが、改定前と改定後と従業員の手取りの賃金がどの程度減ってきたであろうかということでございますが、われわれの方の調査は一部でございまして、これが全部とはいえないわけでございますけれども、普通の相当程度規模でやっておりました会社調べますと、あの三百六十キロ制限をきめました前後から給与改定交渉が行われておりまして、そういう相当程度規模ところでは、われわれの調査ではかえってふえておるところも出てきております。ただ非常に小規模でございまして、運転手休養時間をさいて運転をしておる、結局四百キロ以上も従前走っていたような会社におきましては滅ってきておるということはいえるわけでございますが、ただいま御指摘になりました、たとえば熱海に行くという場合には、この辺で申しますと東京地区は三百六十キロ神奈川横浜地区の辺は三百六十五キロ制限地区でございまして、それ以外のところでは指定をいたしておりませんので、その場合には勤務時間からそれは除いて計算をすることになっておるわけでございます。と申しますのは、郊外へ行きますと東京都内で走るよりもやはりスピードが一般交通の取締りの限度まで出せますから走れるということで、そういうところ東京並み制限をしない、時間的にそれを除いてしまうということでやっておるわけでございまして、そういう乗車拒否というような点につきましては特にふえているとわれわれも考えていないわけでございますが、またそういうこともあり得るということも考えまして、業界でも指導委員会を通じましてそういう点については特に指導をいたしておるわけでございます。
  15. 土井直作

    土井委員 そうしますと、ただいま局長さんの御答弁によると、東京都内神奈川県を除くその他の地区に行った場合において、走行キロ数関係制限されておらない。従ってそれはたとえば一日三百六十五キロですか、それから除外されるという何か特別な処置が講ぜられておるのですか。会社の方へはやはり全体の走行キロでもってくるらしいのです。キロメーターに出てきますからね。三百六十五キロ以上を走った場合において、実質的には会社がそれだけを控除するという処置はとられておらないのじゃないですか。そういう行政約な関係あるいは業者間と運輸省との関係においてどういう取りきめなり話し合いなりがあってそういうことを言われるのか、この点はいかがですか。
  16. 山内公献

    山内説明員 東京の例で御説明いたしますと、ただいまの乗務距離最高限度届出書というものを受理いたしまして、東京陸運局がそれを認めて、三百六十キロというものが最高制限として成立をいたすわけでございますが、その届出書の算出の基礎というところに、特別区内を正常な状態において走行する場合という条件をつけまして、それで三百六十キロという届出をいたしております。これは東京における特別区内だけの制限である。ですから、神奈川方面へ行きますと三百六十五キロということになりまして、土地土地において違ってくるわけでございます。そうしますと、ただいま言いました、そういった陸運局長指定をされていない地域、これは一般の法規の範囲内において走行いたすわけでございまして、それは運転手がその点をはっきりとしておれば違反にならないということでございます。
  17. 土井直作

    土井委員 私に違反の問題を今議論しているのじゃないのですよ。ただ会社の方としては三百六十キロという制限範囲でやっておるわけですね。ところが、かりに熱海へ行くという場合においては、実際はそれはキロ当り二十円以下に下ってしまうわけです。そうなってくると。会社の方では二十円以下の場合には歩合その他のものをよこさぬということになる。そういう制度がしかれておるのです。従ってその場合において運転手長距離を走りたくないという結果ができてくる。そこで今、局長が言われるように、たとえば都外を走った場合における走行キロ数は全部控除してくれるというならば、これは問題ないのです。しかしそれはメーターにちゃんと出てくるのだから、会社システムの中では三百六十以上走っていることになる。あるいは三百六十五という形が出ても、全体の中でそういう制限が行われるということになるのですね。その点が問題になってくる。それが労働条件の低下に影響してくるということで、その点はどうかということを私は聞いておるのです。その違反事項という問題とはおのずから内容的には別個だということです。
  18. 山内公献

    山内説明員 ちょっと私理解できない点がありますのは、キロ当り三十円以上取らないと手当がつかないということでございますが、われわれの方でこういう点を問題にいたしました場合は、そういうことのないようにということを盛んに問題にいたしておったわけでございます。給与全般の問題になりますが、こういう仕事でございますから、ある程度出来高払いということは仕事の性質上やむを得ないであろう。しかしその出来高を非常にたくさん走ってもうけるというようなことのないように、なるべくそういうノルマをつけるようなことはやらないで、それで出来高払いもそう刺激的でないようにというのがわれわれの趣旨でございまして、実は私不勉強でございまして、キロ当り二十円をこさなければそういった手当がもらえないという制度はまだよく存じておりませんので、一つよく調べましてお答え申し上げたいと思います。
  19. 土井直作

    土井委員 念のため申し上げておきたいと思いますることは、たとえば熱海へ行きますと往復概算で二百キロだそうですよ。そうしますと片方はからで走ってくるわけですね。行きだけが料金をもらえるということになると、そのキロ料金というものは非常に少いものになる。一応朝二百キロ走って帰ってきたとすると、それから都内で走るでしょう、そうするとあと残っているのは百六十キロしかないわけです、時間よりも走行キロが。そうすると、その場合に百六十キロではキロ当り料金が二十円をこさないことになっちゃう。そこで、どうも熱海のようなああいうところ長距離で行くのはばかばかしいことだからこれはお断わりする、こういういわゆる乗車拒否事情ができてくる、好まない。だから六郷くらいまで行ったらば車を乗りかえて下さいということを運転手が言う場合があるということなのですね。そこで一キロ当り二十円以上にならなければ歩合を出さないという事柄についての行政的な面における指導が、たとえば労働条件改善の面でどういうふうに運輸省処置できるのかということを私は聞くのであって、局長の方ではまだお調べでないというから、お調べになってからそういう事実に対して行政的にはどういう取扱いができるかということをお考えになっていただいてけっこうだと私は思います。これは特に答弁を求める必要はないと思いますので、なお一つ調査を願いたいと思うわけであります。  その次にお伺いしたいのは、実は先般開かれた委員会において、たとえば盆とかあるいは歳末とか正月とかいう場合には特例を設けて、便宜処置をとるというお説があった。このことは利用者に対する便宜をはかるのだという面から当然であるとは私は考えておるのでありますが、特にこの機会にお聞きしたいと思いますることは、私の調査したところによりますると、横須賀地区では業者間において結託しておるのか、あるいはどうかわかりませんが、艦隊入港しておりまする期間は四百二十キロまで走ってよろしいということを言って、運転手に対して業者がその走行キロをオーバーすることを公然と要求しているということを聞いているのでありますが、これは業者間だけの申し合せであるのか、あるいはまた特にこれに対して所轄の陸運局の方でそういうことを暗黙のうちに認めておるのかどうか。またそういう事実があることを本省の方では十分御存じであるかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
  20. 山内公献

    山内説明員 その点につきましては、現在業者間が艦隊が入ったとかあるいは船がたくさん入ったという場合に、年末あるいはクリスマスのときに準じて取り扱ってほしいという希望があることは聞いておりますが、まだ具体的に役所の方に正式に書類としてそういうものは届け出てきておりませんし、また陸運局はそれを認めたという事実もまだございません。それで実情を今調べているところでございまして、確定的なことをまだ申し上げられないのでございますが、実際においてそういうものの届出があれば、特殊事情がほんとうにそういう最高限度を延伸しなければならないのかどうかということを十分取り調べ処置をしなければならないのでございまして、現在まだそういったことが認められておらないので、やはり現在通りキロ数でやるべきものであるというふうに私は考えております。
  21. 土井直作

    土井委員 実は本省の方に対してそういう許可申請というか、そういうものが出ている出ていないという事務的な手続の問題はしばらく別にいたしまして、現にそれが行われておるということ、それからことに駐留軍給料日、月二日間においてはそういうことが実施されておる。業者間においては四百二十キロ走ってよろしいのだ、だからそれまでは走ってこいということを強制している面があるのです。これは当局暗黙のうちに認めているのかどうかということ、それから業者間で結託してやっておるのかどうか。事実の問題についてはきわめてデリケートな面があるのではないかと思うのでありますが、今言ったようなことを運転手に強要するという面が現われてきております。  それから、艦隊入港するという場合、入港したときあるいは入港中ということになると、これは御存じ通り入港停泊期間いつ幾日であるかということは未知数であり、従って走行キロ数制限をしたことは意味をなさなくなる。横須賀のような特殊な場所においては、年じゅう艦隊入港している、あるいは駐留軍給料日があるというようなことで、走行キロ数制限ということが行われないで、依然として神風タクシーの形のものが行われるということになれば、当局の意図するところと全く相反する結果が生ずるのではないかと思う。この点についてはいかがでしょうか。
  22. 山内公献

    山内説明員 艦隊入港するということは結局量の問題でございまして、艦隊といいますから一隻ではないわけでございますが、それが非常にたくさん入りまして、現在の保有台数ではとうていまかなえないという特殊な事情があればもちろんでございますが、たとえば横浜横須賀地区最高走行距離制限というものは一応そういう常態的なものを入れて考えておるのは御指摘通りでございます。それで特殊の場合にどうするかという問題になると思いますので、それらの問題につきましては実情を十分調査いたしました上で東京陸運局処置をいたしたい、そう言っているわけでございます。一隻でも二隻でも入れば艦隊入港しておるということでは、御指摘通り最高走行距離制限をいたしましても無理でございまして、そういう通常の場合でない特殊の場合はどうするかということが議論の対象になるわけでございます。給料日でございますとか、そういうことはわれわれ常識的に考えましてもあまり特殊の場合にはならないのじゃないかというふうに考えます。
  23. 土井直作

    土井委員 そういう艦隊がたくさん入ってきた場合とか、あるいは一、二隻の場合とか、入った当日とかあるいは入港中におけるところ関係処置というものは、もとより状況の判断に従って当局が指示されることだと思いますが、ただそういう名目によって現にそういうことが行われているという事実、その場合における当局処置行政的には何かとれるのですか、具体的にどういう処置をとるお考えであるか、それをお聞きしたい。
  24. 山内公献

    山内説明員 実情をよく取り調べまして、その際に横須賀地区でございますと三百七十キロを全部の業者がオーバーしておる、あるいは一部の業者がオーバーしておるという場合にはやめさせなければならない、どうしてもやめないものは処罰をしてもやめさせなければならないということになると思います。
  25. 土井直作

    土井委員 どうしてもやめない場合には処罰するというのは、営業の取り消しか何か、そういうことができるのですか。
  26. 山内公献

    山内説明員 それは道路運送法の四十三条に「この法律に基く命令」に違反した場合においては「六箇月以内において期間を定めて輸送施設当該事業のための使用の停止若しくは事業停止を命じ、又は免許を取り消すことができる。」こういう規定があるわけでございまして、これによって処分をすることになります。
  27. 土井直作

    土井委員 そこで具体的な面で申し上げてみたいと思いますことは、横須賀に第二岡タクシーというタクシー会社がある。これが事実の上において運転手にそういうことを強要しているということと、それからこの岡タクシーというものは、これは労働大臣の所管に属する問題ですが、労働組合を結成しましたことについて、これを抑圧するとか弾圧するとかいうようなことできわめて不当な処置をとっているという事実がある。そこでこれらの従業員の諸君は、不当労働行為といたしまして救済を地労委に申し立てているという現状であります。この会社の実質的な面から考えてみましても非常に過労であると同時に、たとえば運輸省指定しております仮眠施設の問題についても、例をあげて数字的に申しますれば、大体東京乗用自動車の協会が調査したところでは、一人当りが一・〇四畳になっているわけでありますが、岡タクシーの場合は〇・七畳という数字で、これは当初運輸省の計画したものから見てはるかに低い仮眠施設しか持っておらないということであります。こういう点については十分に当局がその施設の実行をするように努力していただかなければならぬと思いますが、この仮眠施設というものについても行政的には当局の指示したものがなければいけないということになると思いますが、これらに対する処置は現在どういう形で行われているか。たとえば特別監査というようなものがそれぞれありまして回っておられると思いますが、特別監査員なんかからの報告がこういうことについてございませんかどうか、またそれについての処置をどうされるか。
  28. 山内公献

    山内説明員 御指摘の第二岡タクシーにつきましての特別監査は、三十三年の七月七日に施行いたしております。御指摘通りこの施行の結果につきましては、仮眠施設が二畳足りないということが監査の結果明らかになっております。これらにつきましては東京陸運局におきまして、仮眠施設の不足と並びに衛生環境が悪いから改良をするようにということで勧告をいたしておりまして、目下会社は改築をいたしております。まだ完成はいたしておりません。
  29. 土井直作

    土井委員 二畳ですか。一人当り〇・七畳ですよ。
  30. 山内公献

    山内説明員 二畳足りないのでございます。従業員全部に対しまして不足のスペースが畳二畳分足りないという監査の結果を出しております。
  31. 土井直作

    土井委員 それは第一タクシーかなにかのあれじゃないですか。第二タクシーのあれとは内容が全然違うのじゃないですか。
  32. 山内公献

    山内説明員 全体の数が、従業員が十人でございまして、八畳の休憩室しか持っておりません。それで少くとも一人一畳ということで第一段階に整備をざせることになっておりますので、二畳足りないことになっております。従業員はまだおるわけでございますが、常時そこに泊る者が十人ということになっております。
  33. 土井直作

    土井委員 岡タクシー労働条件関係等につきましては、実際的に見まして、これは運輸省の所管ではございませんが、参考のために申し上げますと、月間の水揚げが約十万円の場合に、勤続二年の運転手で平均給与が約二万円という数字を示しております。ところがこれを他の横須賀市内の数社の調査で見てみますと、同じ条件の場合でも二万九千円以上になっている。それから東京乗合自動車の協会が調べた約七十九社の平均が約二万八千円という数字を示しておる。それから当局による東京都内の特別監査の百五十九社の平均が二万八千八百五十円という数字を示しておる。ところ岡タクシーの場合では同じ条件のもとにわずか二万円という、こういう数字しか出ておらないということ、しかも仮眠施設の問題にしても、あるいは走行キロの問題も四百二十キロを走れということを強制しておる。また労働組合の結成に対する圧迫を加えておるといういろいろな条件があるわけであります。いずれにいたしましても、これらの問題は当局の意図するところと相反する内容等がございますので、十分に一つ調査し、研究していただきまして、適当なる対策を講じていただくことをこの際希望いたして、私の質問を終ります。
  34. 塚原俊郎

    塚原委員長 川野芳滿君。
  35. 川野芳滿

    ○川野委員 私は質問の点が非常に多いのでございますが、きょうはあとに質問者がおられるようでございますから、二つの点についてお尋ねを申し上げてみたいと思います。今日外貨獲得という問題はまことに国策として重要な問題でございますから、こういう点からお尋ねをいたしてみたいと存ずるのであります。  わが国の自動車も近ごろ非常な優秀品ができまして、外車に比較いたしましてそう品質等において劣りがない、こういう先般の説明でございました。しかし値段が高い、こういう御説明でございます。私もそうであると存じております。そこで、近ごろわが国の乗用車が外国にだんだん輸出の台数が増して参っておる状況でございますが、まことに喜ばしい次第でございます。しかし先ほど申しましたように外車に比較して値段が高い、こういう点でございますから、さだめし外国で売る場合にはある程度の出血輸出をしておるのではなかろうか、かように私は想像するのでございまするが、価格の点においてはどういうことになっておりますか、内地の業者の価格通りで外国においても売れておるのでありますか、その点をまず第一にお尋ねいたします。
  36. 本村庄一

    ○本村説明員 先週の委員会で簡単な数字を申し上げましたが、最近アメリカに輸出が盛んに出ておりますトヨペット、ダットサンというような自動車のアメリカにおきます小売価格は、トヨペットが約二千二百ドル、それからダットサンが約千九百ドルくらいということでございます。それの前提になりますFOB価格やなんかは正確な数字は私の方でもわかりませんが、国内の販売価格から物品税相当額、それから販売業者のマージンというようなものを引いた価格よりかなりきつい価格で出しておるように聞いております。それが製造原価を割っておるかおらないかという問題につきましては、これは正確な資料がありませんが、製造原価を大きく割って出しておるというふうには考えておりません。
  37. 川野芳滿

    ○川野委員 物品税その他の税額分だけ安くなることはこれは当然でございます。さらにマージンがある程度薄利で売りますことも私は当然であると思います。しかし原価を割っておるかどうか、この点が実は問題なのでございます。原価を割っておるかどうかということくらいは、これは監督官庁とし御調査になって、そうしてもし原価を割っておるとするならば、国家といたしましてもこれに対して相当な援助策をとられるのが適当でなかろうか、かように考えるわけでございますが、現在自動車の輸出に対する援助政策というものがございますならば、一つお示しを願いたいと存じます。
  38. 本村庄一

    ○本村説明員 現在輸出されております乗用車が製造原価を割っているかどうかという点、これは製造原価の正確な資料というものを通産省の方でとることが現在できません。これは大体計算上出て参ります数字から検討いたしまして、おそらくほとんど製造原価ぎりぎりで出しているというふうに考えられますが、この問題は、トヨペットにいたしましても、ダットサンにいたしましても、現在まだ輸出が大量にスタートいたしたばかりのところでございまして、今後、どちらの車種にいたしましても月間五百台以上というような輸出の目標を目ざして努力いたしております。大体そういう数字で輸出が行われるような形勢になってきておりますので、そういう状況で生産が上っていくことによりまして、現在ぎりぎりの価格がなお若干マージンを生み、あるいは輸出価格を下げるというような状態に将来持っていかなければならないということで、会社も現在はまず利益のない輸出をやっているが、市場開拓という意味で大いに努力をしている、そういう考え方で私の方もいるわけでございます。  輸出に関しまして、特別に自動車の輸出だけにつきましての輸出振興の措置といいますのは、先週も申し上げましたように、コストを下げるためのいろいろな措置ということで努力をいたしておりますが、そのほかに、税制関係、金融関係というような一般的な輸出振興の措置は極力利用させております。今申し上げました中に入りますが、乗用車の輸出をプラント輸出の扱いをして金融面の優遇もするというように、現在の一般的な輸出振興の措置を広く取り入れられるように指導いたしておるわけであります。
  39. 川野芳滿

    ○川野委員 私がかつてシリアに参りましたときに、日本の会社のトラックを三百台シリア政府で買うということに大体話がまとまっていた、ところが、日本のある会社が横合いからやはりトラックを売るように話をしむけまして、従いまして日本の二つの会社間において値段の競争が始まった。そういうわけで、当時におきましても、これは妥協はしましたが、非常な出血輸出を余儀なくされた、こういうような話を私は当時シリアの大使から聞いたのでありますが、こういう点から考えますと、今後自動車の輸出に対しましても一つの統制あるところの援助政策というものをとる必要があるのではなかろうかと思う。かつて、肥料におきましても出血輸出を肥料界がやっておったのでありますが、昭和二十九年に硫安輸出調整臨時措置法という法律が作られ、そうして輸出株式会社を作って輸出の統一をやって、円満なる硫安の輸出が現在行われている、こういう実情でございます。さらに承わるところによりますと、その硫安の輸出会社を近く半民半官の会社にまでして、そうして政府は強力に硫安輸出を支援する、こういう情勢下にあるということを私は承わっているのでございまするが、こういう点から考えまして、自動車の輸出ということは外貨獲得の上におきましてもまことに大きな問題でございますから、こういう点について政府はお考えになる余地があるのではないかと私は思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  40. 本村庄一

    ○本村説明員 自動車の輸出は最近急速に大きくなって参りましたが、先生の言われますような過当競争というような問題が、今までも御指摘の例のような場合がございましたし、今後も起る可能性があるので、この点は十分に業界にも考えていただきたいということを申し上げておるわけでございますが、現在のところなお各社それぞれに非常に努力をいたしておりまして、話し合いをするというような雰囲気がようやく現在生まれようとしておりますところで、実際に成功をおさめるというところまではまだいっておらないと申し上げなければならないのが非常に残念でございます。逐次そういう線で話し合いをするような雰囲気が生まれつつございますし、それから輸出入取引法の改正というような問題点ができましたら、協定といいますか、輸出に関するそういう価格面の話し合いというものを、法律でできる範囲内で役所の方も指導して参りまして進めるようにしたい、そういうふうに考えております。
  41. 川野芳滿

    ○川野委員 農林物資につきましては農林省は非常なる援助政策をとっておりますことは御承知の通りであります。しかし農林物資以外のものについてはどうも援助政策が非常になまぬるいと私は考えておる。そこでこれは非常に大きな問題でございますので、あなたの御答弁では無理かとも考えますが、どうかお帰りになったらこういう問題を大きく取り上げていただいて、そうして自動車等におきましては、外貨獲得ができるということになりますと非常に莫大な数字にも上りますから、どうか一つ輸出の面にうんと力を入れて、援助政策もとっていただきたい、かように希望を申し上げておく次第でございます。  それから第二点でございますが、現在外国の自動車が日本に何台入っておりますか。さらに軍人軍属を通じて入った自動車が何台ございますか。ここ二、三年間の数字をお示し願いたいと思います。乗用車だけでようございます。
  42. 本村庄一

    ○本村説明員 数字がこまかくなりますが一応申し上げます。総数で申し上げますと、昨三十二年の乗用車の輸入が一万二千六百二十二台ございます。そのうち有為替、為替の割当をいたしまして輸入いたしましたのが八百二十三台、それから無為替輸入、この中に駐留軍関係のものが入るわけでございますが、その合計が一万一千七百九十九台。有為替の八百二十三台は、為替の割当をいたしまして、報道用、観光用ということで輸入される外国自動車でございます。無為替の一万一千七百九十九台の内訳を申しますと、駐留軍人軍属関係で無為替輸入を認めておりますものが今の数字のうち一万五百九十一台、そのほかの数字は結局携帯貨物とか引っ越し荷物とかいう駐留軍以外の無為替で入ります乗用車でございます。同様の数字を一昨年について申しますと、為替の割当をしまして輸入いたしました有為替の乗用車が三百三台、それから無為替の輸入、これも駐留軍人軍属関係その他を合せましたものが一万二千六百十一台で、その合計が一万二千九百十四台になります。一万二千六百十一台のうち駐留軍人軍属それから在日外国軍隊自身の輸入、軍関係で無為替輸入されましたものが一万千四百三十三台ございました。その残りが携帯引っ越しその他の無為替輸入ということになります。
  43. 川野芳滿

    ○川野委員 そうしますと、毎年軍関係あるいは駐留軍関係、あるいは軍属関係で日本から持ち出す自動車の台数、これがわかっておれば一つ御説明願いたいと思います。
  44. 本村庄一

    ○本村説明員 これは統計がございませんので持ち出す数字ははっきりわかりませんが、毎年約一万台くらい入りますもののうち、国内に出て参りますものの数字だけはわかっております。それで結局その残りは軍隊内で引き続いて使用されておりますもの、これは保有台数の方の統計で大体のところが出ております。その差額が国内で廃棄もしくは持ち帰っておられるものであります。
  45. 川野芳滿

    ○川野委員 国内に持ち出すものは。
  46. 本村庄一

    ○本村説明員 駐留軍人軍属あるいは軍隊から国内の一般の需要者に譲り渡されます台数を申し上げますと、昨昭和三十二年が四千五百七十七台、一昨昭和三十一年は四千六百二十一台です。
  47. 川野芳滿

    ○川野委員 駐留軍関係は持ち込むときには譲り渡しができないということの条件のもとに持ち込みを許されておると私は聞いておりますが、どうですか。
  48. 本村庄一

    ○本村説明員 駐留軍人軍属関係の輸入は、行政協定の関係で一応駐留軍で使います、あるいは駐留軍の軍人軍属の使用に供しますということで無為替輸入を認めておりますが、これがある程度年数がたって参りますと、軍人軍属で買いかえを希望する者もございますし、それから駐留軍関係のもので国内の特殊な用途に払い下げ、国内の側からも希望が出ますし、駐留軍側からも承認して払い下げようというものもございますので、その軍関係からの払い下げは通産省で一々内容を聞きまして承認をしております。それから駐留軍関係の軍人軍属からの一般国内人への譲り渡しに関しましては、日米合同委員会の下部機構でいろいろ相談をいたしまして、その駐留軍人軍属が国内に持ち込みましてから一年以上使用いたしましたもので、型式が三年以上古いもの、三年以上といいますと、今年は一九五八年、つまり五八年型、五七年型は除きまして、五六年型以前の古いもの、それから譲り渡そうとしております駐留軍人軍属が過去三年間日本人に自分の乗用車を譲り渡したことがないというもの、この三つの条件を満たすものにつきましては一般の日本人への譲り渡しを認めるということで軍当局と話し合いができております。従いまして、そういう条件一般国内需要者に毎年譲り渡されて出て参りますものが大部分をなしまして、先ほど申しました毎年四千数百台というものが国内に出てくるわけであります。
  49. 川野芳滿

    ○川野委員 そういたしますと、先ほど御報告になりました昭和三十一年度が四千六百台、三十二年度が四千五百台というものは、正規の手続を踏んで民間に売り渡したものである、こう了解して差しつかえないのですか。
  50. 本村庄一

    ○本村説明員 今おっしゃられました通りであります。
  51. 川野芳滿

    ○川野委員 実は私の伺っておるところによりますと、こういう自動車が約一万台あるであろう、こういう話を承わっておるわけであります。そういたしますると、かりに一万台と仮定いたしますと、やみで流れる自動車相当あるのではなかろうか、かように私は想像するわけでございます。また、ちまたのいろいろな事件から想像いたしましても、そういう自動車相当あるものと考えなければなりません。そこで私は、そういう不正ができないように、実はこういう自動車等につきましては特殊なナンバーを作って、そうして所在を明らかにされたらどうだ、こんな意見をかつて通産省あるいは運輸省にも申し上げたことがあるのでございます。こういう問題について一つ御検討を願って、そうして密売と申しまするか横流しを防ぐ、こういうことにされたらいかがかと私は考えるのであります。さらにこの横流しの自動車のやみ価格は非常に高い、これはもう正規の自動車価格のほとんど数倍に達しておる、こういう現状から考えますと、外国からの日本に対しての輸入自動車の台数があまりにも少い結果でなかろうかとも私は考えるのであります。こういう点についてどうお考えになっておりまするか、御説明を願いたいと思います。
  52. 本村庄一

    ○本村説明員 外国自動車が国内で横流しされます場合に、相当高額な値段で取引されておるという状況は現在もございますが、その価格はかつてに比べますとかなり低くなってきておるというふうに聞いております。外国自動車が非常に高額で横流しされます点と、為替を割り当てまして正式に輸入いたします外国自動車の数との関連はあると思いますけれども、たとえば有為替の輸入をどの程度にすれば横流しの外車の価格が非常に下るかというような、それほど明確な関連があると申しますよりは、これは外国自動車の特に高級車を利用いたします特殊な層の人々の問題でございまして、今の外国自動車の横流しを取り締るといいますか、行われないようにいたしますための措置は、有為替の割当をふやすということではなくて、先ほど先生も言われました特殊ナンバーにするとか、いろいろなほかの抜け道を別の手段でふさぐようなことを考えて行いたいというふうに考えております。
  53. 山内公献

    山内説明員 ただいまのに関連いたしまして…。特殊のナンバーの話がございましたが、軍人軍属が私用に持っております車は「3A」という表示で特別にグループを作っております。それから身分を喪失いたしますると軍人軍属でなくなるわけでございますが、この場合にも、ただ日本のナンバーにいたしますと転売ということがすぐ行われまして、関税定率法の適用その他を考えなければなりませんので、特別にひらがなの「よ」というグループを作りまして、その辺の規制をするように今特殊のナンバーをやっております。
  54. 川野芳滿

    ○川野委員 もちろん私は輸入業者の問題を値段ばかりの点で言っておるのではございません。今貿易によらざる外貨獲得、こういう問題を非常に大きな問題として取り上げておりまして、あるいはジェット機の問題にいたしましても、あるいはまた太平洋船舶の問題にいたしましても、これは観光を中心としてそして貿易によらざる外貨を獲得する、こういうことで実は政府は外貨獲得のために努力をいたしておる現在の実情であります。そこでまた自動車による外貨獲得、こういう問題から考えましても、実は外人が日本内地に参りました場合に、りっぱな自動車が非常に少いというので、外人が遠乗りをしないという現況から、昨年の六月でございましたか、観光審議会において観光自動車部会という小委員会まで設けて御検討になった。その結果、実は毎年の輸入自動車量は二千台くらいが適当であろう、こういう小委員会の答申になり、さらにまたこれを観光審議会の総会にかけまして、観光審議会においても満場一致の決議をもってこの小委員会の案が可決された。さらに日本の国内自動車工業会の淺原会長もこれに賛意を表せられた。こういう実情でございまして、輸入自動車の台数を何台にするかという問題は非常に大きな問題でございます。国内自動車工業の振興という点から申しますと、ある程度少い方がよかろうとも考えます。しかしまた一方外貨獲得、こういう点から考えますると、ある程度の台数を輸入してもしかるべきではなかろうか、かように考えられるわけでございます。しかしこれを何台にきめるかということは大きな問題であると思いまするが、観光審議会において二千台くらいが適当である、こういう答申を得、さらに国内自動車工業会の会長であられる淺原氏もこれに賛意を表せられた、こういう点から考えますと、今日日本の外車の輸入数量は、審議会が答申したように二千台くらいは輸入されてもいいのではなかろうか、かように私は考えるのでございます。この点について一つ答弁を願いたいと思います。
  55. 山内公献

    山内説明員 ただいまお話のように、観光用としての必要量は、大体従来あります日本の古い車の代替、それから必要量を充足するということになりますと、大体現在では二千両くらい入ってくればその目的が達せられるということになっておりますが、また国産自動車というものを発達させなければいけないという要請も強く、かつまた現在国産自動車でもプリンスのスカイライン、トヨペットのクラウンデラックスというように非常に優秀な車も出て参ったわけでありますが、性能的にまだ外車に及ばないというような点もございまして、外車の輸入を国産車に全部置きかえるということはむずかしいのではないか、それで昭和三十一年度には観光用といたしまして約五百六十台、三十二年度には六百八十台という程度を割り当てたわけでございます。ただこれで満足な数字でないということは、ハイヤー事業者が無為替の放出車を購入しておりますのを調べますと、三十二年、三十三年の前半で約百五十両程度無為替の放出車を買っておりますので、その方面のものもまだ十分でないということは言えるわけでありますが、また一方外貨事情というものもございますので、われわれはそういう点でいろいろ総合的に考えて、通産省とも相談をいたしまして毎年の両数をきめておるわけでございます。
  56. 川野芳滿

    ○川野委員 かりに二千台の輸入車両が認められるといたしますると、その輸入金額は五百万ドルでございます。一方わが国の自動車の輸出を調べてみますると、三十二年度が二千五百八十二万四千ドル、三十三年度すなわち本年は三千二、三百万ドルになろうという話でございます。日本が外国に輸出いたしまする金額はただいま申しました数字でございまするが、そういたしますると、外国から輸入いたしまする自動車も今日のわが国の実情、すなわちやみ自動車の動く実情あるいは外人観光客が非常に不便を感じておる実情から考えますると、かりに二千台までいかないにいたしましても、相当量台数をふやすことが当然ではなかろうか。外貨をふやしますことは一面それだけ日本のドルが少くなるということにもなりますが、しかし観光客がこの自動車を利用いたしますと、さらに数倍のドルかせぎという結果に私はなろうかと考えますから、こういう点からもう少し—国内自動車工業の振興をはかることはもとよりでございます、しかし一面ある程度の外車を入れて、そうして競争させて品質改善をやり、さらに日本の自動車工業の発展を期するということも必要ではなかろうかと考えますから、昭和三十三年度におきましては、観光審議会が答申した線までいかないにいたしましても、ある程度の外貨を一つ輸入自動車にも割り当てていただくよう希望申し上げまして、私の質問を終ります。
  57. 堀内一雄

    ○堀内委員 ただいまの外車の輸入につきまして、運輸当局としても非常に慎重にやったということは私は非常にいいことだと思いますが、このことにつきましてはまた別の機会に検討いたしたいと思っております。とにかく輸入外車についても今日までいろいろの問題があり、それに関して運輸当局としてもそれが横流れしないようにということでいろいろ対策を講じられておることを私も聞いておるのでございますが、それで今度この輸入会社の保有のものに対していろいろな、たとえば今までのところでは輸入外車を業者に分ける。そうするとその分げたものがいなかへばらばらになってしまう。従って団体が来たような場合にそれが集まらない。そういうような事柄を、言うなればいなかへ入って花嫁さんの御祝儀の車になってしまっておるというような弊害を除くために、またディーラーの利益に陥ってほんとうに使われないというような各般の非難があるので、それに対して運輸省としては何かいろいろな組織を作って今度やるというような話を聞いておるんですが、その組織はどんなものであるか、そして現在どこにそういう組織ができておるかということについてちょっとお伺いしたいと思います。
  58. 山内公献

    山内説明員 外客が一時に大ぜい参りますと、その輸送需要に対しまして現在持っておる車で応ずるということは、個々に運用いたしましてはなかなか困難な場合が出て参ります。それで配車を円滑に行いますために、全国並びに各都道府県のハイヤー業者の団体に配車をあっせんするために、中央と地方の機関を作らせて、これにそういった場合のあっせんをさせるということにいたしまして、現在業界を指導いたしておるわけでございますが、現在東京都について言いますと、東京ハイヤー観光委員会というものが設置されておりまして、ここへ申し込めばそれぞれごあっせんを申し上げるというふうにいたしておるわけでございます。大阪でも現在それに見ならいましてそういった組織を作るように勧めておるわけでございます。
  59. 堀内一雄

    ○堀内委員 今できておるのは東京と大阪だけでございますね。
  60. 山内公献

    山内説明員 現在できておりますのは東京だけでございまして、大阪、京都方面、いわゆる関西地帯は現在作りつつある状態でございます。
  61. 堀内一雄

    ○堀内委員 そうすると、東京委員会のやっておる車を集め得る範囲はどのくらいの行政区画の範囲になりますか。
  62. 山内公献

    山内説明員 業者の持っております外車を全部対象にいたしております。ただ外車全部といいましても非常に年式の古いものもございますので、全部が全部は使用できないわけでございますが、今大体二千両ございまして、内三分の—六、七百両くらいがあっせんの対象になり得る外車だと考えております。
  63. 堀内一雄

    ○堀内委員 その委員会の統制し得る行政区画の範囲はどのくらいになっておりますか。
  64. 山内公献

    山内説明員 大体この辺でございますと外人の来られまして泊るのは東京都内でございますので、今申しました団体は東京都内行政区画として協会を作っております。
  65. 堀内一雄

    ○堀内委員 御承知のように今日まで観光という名前で自動車を入れて、その自動車を各所に配給させる。そうしてその自動車が各所において真に外人の観光のために使われずに、極端に言えば結婚式用に使われ、年限がくるとよそへ流されるというようなことがこの自動車問題に対する非難の最も大きいものでありますが、昨年度において運輸省でもっていわゆる外貨割当によって輸入した自動車はどんなふうな基準によって、どういう地域に分けておるか、それをお聞きしたい。
  66. 岩崎清

    ○岩崎説明員 昨年度の配分につきましては、従来とかくの話もございましたので、できるだけ観光地域に重点的にやるという方針にのっとりまして、観光審議会あるいは五カ年計画で観光施設の整備地域として指定されてある地域に重点的に配分するということにしてやった次第であります。
  67. 堀内一雄

    ○堀内委員 それでは、その地域外で外国人のために車を必要の際にまとめてやるということにつきましては、どんなことになっておりますか。
  68. 岩崎清

    ○岩崎説明員 この配車のあっせんにつきましては、各府県の業者団体が中心となりまして、そこが責任母体となって傘下の業者を動員するという体制にするように指導しております。これは全国の業者団体の方からも、役所の方からもそういう指示ないし指導をやっておる次第であります。
  69. 堀内一雄

    ○堀内委員 私は外貨獲得、その反面外貨を外に出すという点は、日本としても非常に自粛しなければならぬと考えておるのでございますが、そういう意味から、必要な外車を入れるのはいいが、それが当然日本の車でもいいような、国産車でもって間に合うようないなかの方にいってそれが使われておって、しかも相当大きい団体などの、たとえて言えば、この前イランから来たときなどもそうですが、車を集めようとするが、車は集まらぬ。そうして外車としてもえらいオンボロばかり集まってきて、かえって恥をかくといったような状態が現実に御承知のように起っておる。そういうようなことで、いろいろ対策を講じておられると思いますが、観光という名前によって外車を輸入して、その輸入した外車が観光のための外人用に使われずに、地方にいって、いたずらに国産車で当然間に合うようなところに使われておるということが非常に多いのでありますから、そういう点から考えて、この外車の輸入に対しては最も慎重に、そうしてその輸入したものが真に観光における外貨獲得に使用されるような組織と方法を講じていただかぬと、いたずらに一部の人たちの策に乗るようなことになっては大へんでございます。だからその点で特に政務次官にお願いしておくのですが、従来昨年までの経験においてそれが非常に多いので、私ども自由民主党の観光事業特別委員会としては反対しておるのです。それが観光審議会というような方面から盛んにたくさん入れろというような勧告等もあるのですけれども、この点をよく考えないと、観光を売りものにして外車を入れる、入れてたくさんの外貨を使う、そうしてしかもそれが日本の一部のいなかでもって、まるで結婚式用になったり、重役用になったりというようなことになってしまっては、これは非常に困りますので、それに対しまして、運輸省としても転売までの期限を延ばすとか、いろいろなこともやっておられるようですし、今度運輸省で必要の際には外車をまとめて使うというようないろいろなことを考えているようですが、その点について一つ十分考えていただかぬと、たとえば審議会の勧告といえどもよほど慎重に考えないといかぬと私は思いますので、この点ぜひお願いいたしたいと思います。
  70. 久保三郎

    久保委員 関連して。通産省にお伺いしますが、先ほどの御答弁の中で、駐留軍人あるいは軍属、そういうような者が持ち込んで放出した車両が年間四千五百両もある、なおその他に横流れもあって、約一万両くらいの外車が流れている、こういうことでありますが、横流れの問題は別にしましても、四千五百両の放出車両、これにはもちろん関税あるいは関税に類するものはかかっていないわけですか。
  71. 本村庄一

    ○本村説明員 駐留軍人軍属が無為替で入れましたものを一般日本人に譲り渡します際には関税は徴収いたしております。
  72. 久保三郎

    久保委員 国内自動車産業の問題で先ほど来御意見が二つに分れているようでありますが、いずれにしましても、問題が大へん多いと思う。それで、率直に申し上げて、そういう取りきめはこの際相当大幅に修正する必要がある、こういうふうに私は思うんです。通産省あるいは運輸省内部にそういうお考えが現在あるかどうか、お聞きしたい。
  73. 本村庄一

    ○本村説明員 先ほど申し上げました駐留軍人の使っておりました中古車を日本人に譲り渡します場合のいろいろな条件に関しましては、日米合同委員会の下部機構におきましてかなり長期問いろいろと協議をされました結果でき上りましたもので、これを現在改正するという意見は正式には起っておりませんけれども、通産省といたしましては、その当時ももちろん主張いたしましたわけですが、これをある程度、たとえば今の一年保有というのを二年にしたいとかいうふうな希望は持っておりますが、まだ正式に交渉するというような動きはいたしておりません。この問題につきましては、申し上げましたように、日米合同委員会で話し合いをいたさなければならない問題でございまして、自動車課長だけで意見を申し上げるということはちょっとできませんので、御了承願います。
  74. 久保三郎

    久保委員 運輸省は、政務次官もおいでになるから、私の意見を端的に申し上げます。軍人であった者が除隊になって日本にそのまま在留するという場合以外は、これは当然持ってお帰りになるというのがほんとうだと思う。それで、外車輸入の問題はそういうものをきれいに切ってからでないと、これは混乱します。だから、これは日米合同委員会に向って、政府当局はこの次には早い機会にこういうものは改定してもらう—安保条約も改定してもらうというこの世の中に、そういう対等でない—双務性ということを岸総理は大へん言っておりますが、自動車をとっても双務性は一つもない。こういうものをそのままにして双務性と言ったって話にならぬ。四千五百両も正式に放出されて、その他を含めて一万両もあるという与党委員のお話ですが、それで外車二千両入れるかどかで意見が二つに分れるというのは、不届きしごくだと思う。私はこういうものは屈辱的な協定であるから、当然日米合同委員会において早急に改定するよう強く要望しておきます。
  75. 塚原俊郎

    塚原委員長 午前中の会議はこの程度にとどめ、午後一時半より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十分休憩     午後一時五十七分開議
  76. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより再開いたします。  陸運及び海運に関する件について調査を行います。  質疑の通告がありますので、これを許します。島口重次郎君。
  77. 島口重次郎

    ○島口委員 国鉄の五カ年計画に関連して運輸収入の面でお尋ねしたいと思います。本年度の予算を見ますると、旅客、貨物入れまして百四十一億の収入増加を見ておるようであります。ところが私らの聞きます範囲におきましては、デフレ経済が影響いたしまして、貨物運送が相当収入減である、こういうことを聞いているのであります。そこで本年度の予算に対する比較、昨年度に対する比較の状況が十月末なり—十月で不明であるとするならば九月末現在の状況をお知らせ願いたいと思います。
  78. 久保亀夫

    久保説明員 収入についてお答えいたします。昨年の予算に比べまして百四十億増加計上いたしたのでございますが、御承知のように昨年の下期特に本年の一月から経済情勢が悪くなりまして、今年の上半期で、大体純収入が確定しておりませんので、それからまた予算の月割りというものが必ずしも正確と申せませんので、概数で申し上げましてやはり七十億余り、あるいは七十億と八十億の間くらいのところ上半期悪いのではなかろうかということで、かりにこれを一年間に伸ばしてみますと約百四、五十億になるかと思います。ただ下期につきまして最近貨物収入が若干よくなっておるような状況もございますので、決定的なことは今日申せませんが、上半期の実情はさようなふうでございます。
  79. 島口重次郎

    ○島口委員 貨物と旅客の内訳はどういうふうになっておりますか。
  80. 久保亀夫

    久保説明員 これは減収のほとんど全部が貨物収入でございまして、旅客収入は大ざっぱに申し上げますと大体予算ととんとんというところでございます。
  81. 島口重次郎

    ○島口委員 それでは次の問題をお尋ねいたしますが、本年度は全国的に非常に災害が多い年であります。政府一般会計におきましても八十億の予備費が足らなくて九十億の補正予算をやっておるという実情でありますけれども、国鉄の方では今度の災害復旧費はどの程度になっておるか、それをお尋ねいたしたいと思います。
  82. 久保亀夫

    久保説明員 今回の災害は、最近のは二十一号、二十二号でございますが、ことに二十二号の方は大きいのでございますが、両方合せますると約三十億、このうちに応急費と復旧費、つまり経費で落します分と工事費になる分とありますが、両方合せて約三十億と今のところ推算いたしております。
  83. 島口重次郎

    ○島口委員 私、一年生ですからよく予算の内容がわからぬのですが、災害復旧費などは予備費から出しているわけでありますか。
  84. 久保亀夫

    久保説明員 予備費が五十億でございまして、大体とりあえず予備費から出すというわけでございます。
  85. 島口重次郎

    ○島口委員 それでは昨年度の予備費が二十億のようでございますけれども、本年度五十億にしておる理由はどういうわけなんですか。
  86. 久保亀夫

    久保説明員 お説のごとく従来予備費は二十億でございまして、実際の災害が通常の年でやはり三十億か三十五億、やや多くなると四十億くらいになりますので、従来から予備費の増額を大蔵省にお願いいたしておったわけでございます。昨年度ようやく私どもの要望をいれていただきまして、予備費を五十億ということにしてもらったわけでございます。それで本年度はまずその五十億の予備費から災害復旧費を出していく。従来はどうしておったかと申しますと、予備費で足りない分は通常の修繕費と申しますか、平常の維持修繕費をいわば食うというような格好で処理しておったわけでございます。
  87. 島口重次郎

    ○島口委員 それでは現計では予備費から三十億よりも使っておらないという状況でありますから、今年度におきましては予備費に対する補正予算がなくてもよろしい、こう解されますね。
  88. 久保亀夫

    久保説明員 私はただいま御質問のございましたことだけに実はお答えを申し上げておったのでございますが、二十一号台風までにもやはり夏以来水害その他がございまして、二十億前後の災害復旧費がかかっておるわけでございます。それで予備費のほとんど全部を災害が食っておるというようなことで、全体の経理といたしましては、先ほど御指摘のございました収入の減に対してどういうふうにやるか、もちろん収入の減がございますれば輸送量が減る、経費がある程度減るということもございまして、それと工事費の全般とにらみ合せて経理を執行しておる、こういうことでございます。
  89. 島口重次郎

    ○島口委員 結論的には本年度予備費は補正予算を組まなくてもよろしい、こういう見通しでおるわけですね。
  90. 久保亀夫

    久保説明員 その点はただいまも申し上げましたように、今日ただいまでは補正予算をしなければならぬとも、あるいはしなくて済むという決定的な結論でもございませんで、災害の経費と予備費のにらみ合せ、それからもう一つは収入の減をどういうふうにしてカバーしていくか、これは工事費を若干減らすというようなこともございます。そういうこととにらみ合せて、どれだけ年度内に処理ができるかどうかということを、なお今後の収入の状況も見ながら検討して参るということで、今日ただいまでは補正予算を出さなくてもいいときまっておりますとか、また必ず出さなければならぬということも今日ではまだ尚早ではないか、こういう状況でございます。
  91. 島口重次郎

    ○島口委員 約百四十億内外の予算収入が減収の見通しだ、こういう立場に立ちまして本年度の建設事業、工事事業等がしわ寄せをされまして促進の状況が思うようでないというような気配があるかどうか、お尋ねしたい。  さらにこれに関係いたしまして、建設五カ年計画の工事を促進いたします立場から考えまして、五カ年計画を立案いたしました当時から考えて、その後における収入減、たとえば財政投資の問題やら、それらが少くなったと思われる点がありましたらその点をお聞きしたい。  さらに昨年の春闘以来ベース・アップが四%ですが、決定いたしまして、それらのために予想外の支出が出てきた、そういうこと等が山積をいたしまして五カ年計画に影響されておる事情がありましたら、それらの詳細を申し述べてもらいたいと思います。
  92. 久保亀夫

    久保説明員 ただいまの最初の御質問の百四、五十億になろうかと思われる減収に対する処置あるいは工事計画との関連ということでございますが、私どもも収入の大幅の減収、あるいは一方の見方によるますと輸送量の伸びが若干鈍化した、こういった二点を勘案しまして、実は年度当初上半期の状況を推察いたしまして約七十億ばかり工事費を実行計画から留保してスタートしたわけでございます。私どもとしては、収入の状況によりましてはこれを取り戻したいというふうに考えておったことが、必ずしもそうは参りませんで、若干のズレ——と申しますよりも、それに相当する金額を来年度初めの予算外の国庫債務に回すというふうな工夫をいたしまして、事実上工程のずれないような資金計画を立てて進んで参っておるわけでございます。さらにそれ以上若干の収入減が生ずる予想もございますので、さらに工事別に検討いたしまして、できるだけ予算外契約に振りかえるとか、あるいは一時借入金でつなぐとか、そういう工夫をいたしたいということで検討いたしておりまして、事務的にも大蔵省、運輸省とも検討をいたしておりますが、多少のズレをできるだけ少くするという努力を資金面でいたしておるわけでございます。それから全然影響がないということは、これは申せないかと存じます。それから昨年度以来のことでございますが、五カ年計画を立てて昨年度スタートいたしまして、去年、今年と予算を盛って参ったわけでございますが、昨年度は財政投融資の繰り延べということもございますが、結局におきましては、これは政府の方で復活していただきまして、結局昨年度下期の収入の減、人件費の増加ということで約百億ばかり資金的な減少をする結果になりました。これもできるだけただいま申し上げましたような操作で、予算外契約に回すというようなことで、三月竣工の工事を四月にする、現に宇都宮の電化等も四月十五日に開業するというようなことで、時日上ずれないように極力資金の操作をやって参ったわけでございますが、ただいま申し上げたようなズレが若干起っておる、こういうことでございます。
  93. 島口重次郎

    ○島口委員 それでは五カ年計画は、大局的には若干のズレがあるけれども、計画通り促進されつつある、こう理解してよろしいですか。
  94. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 五カ年計画は、私ども真剣に取り組みまして、ぜひ達成いたしたいと考えておりますが、第一年度の三十二年度、それから第二年度の三十三年度、この二カ年にわたりまして資金の不足が生じて参ったのでありまして、その資金の不足は大体四百億近くございます。それでそれをぜひ三十四年度の予算において何がしかを回復していただきたいということで、実は要求予算を組んでございます。それで三十四年度にぜひ予算的措置を講じていただいて、今までの多少のズレを回復して参りたい、こう考えておりますが、しかし資金の充足につきましては、予算査定の関係もございましょうし、どうしても期待通りに予算が組めない場合には、五カ年計画を大体において達成いたしますが、ものによりましては長期の大工事といったようなものが多少ずれることも考えなければなるまいかと思っております。ただいまの段階では、五カ年計画はまだ第三年度に足を踏み入れておりませんので、今後私ども予算要求その他に努力いたしまして、できるだけ達成して参りたい、こういう覚悟でおります。
  95. 島口重次郎

    ○島口委員 ただいま小倉副総裁の説明では、長期の工事が多少ずれるかもわからないけれども、他の面では促進していく計画だ、こういう御答弁ですが、長期の工事とは何ですか、御説明願いたい。
  96. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 長期の工事と申しますのは、線路増設でありますとか、あるいは大きな隧道の工事でありますとか、あるいは場合によりましては電化も多少ずれるかもしれない、かように考えております。
  97. 島口重次郎

    ○島口委員 長期の工事というのに、本州と北海道を接続いたします青函トンネル、これらも含みますか。
  98. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 それは全く別の観点から建設でいたしておりますので、今後その青函の隧道のごときはどう予算的措置が講ぜられるかと申しましたのは、ただいま私が申しております五カ年計画と別のワクになっております。
  99. 島口重次郎

    ○島口委員 私らといたしましては、だたいま副総裁が説明されましたように、三十年度におきまする四百億の不足財源を、何らかの措置によりまして政府から財政投融資を受けて計画通り促進してもらいたい、こう考えております。これに対する国鉄の明確な見解をお聞きしたいと思います。さらにこれは国鉄がいかに要求いたしましても、国鉄だけでは解決される問題ではないと考えます。従いまして政務次官に、運輸省の見解といたしましてはどういう見解かをお尋ねしたいと思います。
  100. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 ただいま副総裁からお答えがあったように、長期の計画については若干ズレがあるのではなかろうかという心配から、むしろ思い切ってこの際五カ年計画といってももうすでに二カ年で二百億円の収入減を来たしておりますから、この際改定したらどうかという意見も一部にあるように思います。しかし五カ年計画の中で、わずかに二カ年を経過したのみで早くも五カ年計画の策定を変えるということは重大な問題でありますので、私どもはただいまのところ五カ年計画を練り直すという考えは持っておりません。ただ重点的に一つ今後仕事をしなければなりませんので、できるだけ経営改善、内容の合理化等をはかりまして、予定の収入をはかり、五カ年計画が円満に遂行できるように考えて、目下国鉄当局ともいろいろ相談をいたしまして、残る三カ年間で少くとも今日までの二百億円の赤字というものをカバーし得るような態勢に持っていきたいということを強く考えて、目下努力をいたしておる最中であります。
  101. 島口重次郎

    ○島口委員 ただいまの政務次官のお話では、残る三カ年におきまして何とか企業の合理化をはかりまして二百億の赤字を充当する、計画通り促進したい、こういう御答弁ですけれども、国鉄の方ではそれが可能性があるかないかということを副総裁にお伺いしたいのであります。
  102. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 私どももできるだけ工事単価の引き下げあるいは経営の縮減等をはかりまして、極力工事の促進を考えて参りたいと思っております。ただ資金が十分でございませんと、どうしてもある程度の工事にさわって参りますので、今後できるだけ予算面におきまする投融資のごあっせんもお願いいたしまして、資金を充足の上五カ年計画を達成して参りたい。言いかえますれば、今後資金の充足が期待通りいきますれば、この五カ年計画は十分に達成できると確信いたしております。ただ予算のことでございますから、どういう査定を受けるかわかりませんで、御承知の通りに三十四年度の要求予算もまだ大蔵省の査定が始まっておりませんので、私ども何ともその辺は申し上げかねる次第でございます。
  103. 島口重次郎

    ○島口委員 今度は青函トンネルの問題でお尋ねしたいのですが、例の洞爺丸の事件がありましてから、二十四、五メートルの風で青函連絡船が欠航しておる状況であります。それで一年間約一万四、五千人のお客さんが足どめをされる、そのたびごとに列車のホテルを開設するやら、あるいは鉄道の従業員が旅館のあっせんをする、あるいは途中下車をする手続をしなければならないという状況から、全く忙殺をされつつあると考えております。要するに、二十四、五メートルの風で欠航しなければならないというのは当然でありまして、これを解決いたしますには、やはり海底トンネルの完成を待つ以外にない、こう考えておるのであります。従いまして、国鉄の方でも海底トンネルに対しましてはよほど調査が具体的に進みつつあるということを聞いておるのでありますけれども、その状況がどういう状況になりつつあるかをお尋ねしたいのであります。
  104. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 お答え申し上げます。三十三年度には海峡隧道の調査費といたしまして一億ちょうだいしまして、これによりまして鋭意調査をいたしました。調査の内容につきましては、海底の地質調査、それから両岸の地形の調査その他をいたしております。少し詳しく申し上げますと、この海峡隧道は昭和二十一年度以来調査を続けております。それで各年度別に調査費を決算いたしております額が、三十年度までに八千九百万円調査費として使っております。三十三年度本年度には調査費を一躍一億にふやしていただきまして、それに基きまして工事着手の前提としての調査をいたしております。その内容は海底部の地形調査、それから地質の確認調査、それから水深の測量、海底部岩石の採取、弾性波の試験、湧水量の調査等をいたしました。それで、三十四年度におきましては、なお引き続き徹底的な調査をいたしますために、三十四年度の調査費として五億の予算要求をいたしております。
  105. 島口重次郎

    ○島口委員 今までの調査の段階では、本州、青森県の方から申しますと、津軽半島から工事するのですか、それとも下北の方から北海道に渡ることになりますか。
  106. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 まだそこまでは、工事の着手の段取りまではいたしておらないかと思います。ただいまは調査を進めておる段階であります。
  107. 島口重次郎

    ○島口委員 私の聞いている範囲では、下北半島から持って参りますると深さが二百五十メートルある、津軽半島から北海道に渡ろうとする際には百四十メートルよりない、従いまして、地形上から申し上げましても、地質学上から申しましても、津軽半島から持っていくのが理想的だ、こういうことが今までの国鉄の調査で明確になっておる、こう聞いておるのでありますが、皆さん方の受けております報告はどうなっておるか、お尋ねしたい。
  108. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 調査につきましては、津軽半島の方から順次調査をいたしておるようでございます。ただ着工いたしますまでには、あそこは非常に深い隧道でございまして、日本の技術といたしましても非常に高度の技術を要する、また従来にない難工事である、一たん隧道に着手いたしましてから、湧水あるいは水圧のための破壊等がございますると非常に大きな災害や工事の手戻りがございまするので、そのためには慎重に慎重を重ねて工事に着手しなければならぬということで、工事の方法なども幾通りかあるように聞いておりまして、そういう点につきましてはまだまだ調査の時代でございます。従いまして、ただいまの調査は津軽半島からいたしておりまするが、どういう工法で、両端からやっていきますか、片側からやってきますか、そういう点の工事の具体的方法まではただいまのところはっきりしておらないように私は聞いております。
  109. 島口重次郎

    ○島口委員 予算の裏づけも関連いたすと思いますけれども、ただいまの説明では、三十四年度におきまして五億の予算請求をしている、こういう説明ですが、その五億の予算が全部いただけるとするならば、いつまでの段階で調査を完了するか、いつごろから着工できる見通しであるかということをお尋ねしたいと思います。それからさらに、先ほど長期の工事とは別個に考えている、こういうお話でありましたが、そういたしますると、この五億なり一億の支出をいたしますのは、支出科目はどの面から出してもらえるかを説明願いたいと思います。
  110. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 隧道につきましては、工事自体は着工いたしましてから約十カ年くらいかかる予定でございます。しかし調査が完了いたしますのは、ことしできるだけの調査の促進をはかって参りますが、なおそれで調査が完了いたさなければ、引き続いて調査をいたさなければならないので、ただいまのところ非常に大きな、前代未聞の工事でありますからして、そういう着工の時期、方法というところまでは遺憾ながらきまっておらないのでございます。それから調査費は建設費支弁で組んでございます。
  111. 島口重次郎

    ○島口委員 いつから着工ということはまだ決定的でないというのはごもっともだと思います。そこで、三十四年度におきまして五億の予算を裏づけされまするならば、大体三十四年度で調査の段階が完了するという見通しなんですか、その点をお尋ねしたいと思います。
  112. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 実はあの隧道につきましては湧水が意外に多いのではないかというような懸念も起って参りまして、そのためには相当大きな縦坑等をも作ってみないとなかなかはっきりわからぬ、それから地底の地質につきましてもなお詳細にデータを取りそろえたいというような技術方面の意向でございまして、五億の金で調査が完了しきるやいなや、そういう点はまだはっきりいたしておりません。とにかくことし一億ちょうだいしまして調査をいたしましたが、引き続き来年度は五億の調査費をもちましてできるだけの調査をしてみないと、次の段階ということはただいまのところお答えいたしかねる段階でございます。
  113. 島口重次郎

    ○島口委員 国鉄では五億の予算要求をしているそうでありますけれども、東北開発審議会では十億の調査費が必要だとして決議をいたしまして、国鉄の方にも要請する、大蔵省の方にも要請するというような決定をしたそうですが、それを御存じですか。
  114. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 私は承知いたしておりません。
  115. 島口重次郎

    ○島口委員 東北開発審議会の方との横の連絡はないわけですか。
  116. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 正式の機関として連絡会のようなものは設けておりませんが、いろいろな点で意見の交換等はあると思っております。
  117. 島口重次郎

    ○島口委員 国鉄の方では五億でよろしい、東北開発審議会の方では十億なければならない、ころいうことが公けに出ているということであれば、どうも納得いかない点がありますので、国鉄の方でも調査をしてもらいたいと考えます。それから先ほど海底トンネルが約十年間の年月で完成する予定だという答弁がありましたが、経費はどの程度かかるか、調査の段階でおわかりになっておるとするならば説明願いたいと思います。
  118. 久保亀夫

    久保説明員 これも調査の段階でございますが、現在では約六百億という予想を一応立てております。
  119. 島口重次郎

    ○島口委員 この問題はこの程度にして、なるべく五億なり、できるならば十億でももらいまして、速急に調査の段階を完了して、着工の面を促進してもらいたいということを要望申し上げまして、この問題における質問は終りたいと思います。  それから国鉄の機構問題です。この支社制度ですかができましたのは二十五年の年だと考えておりますが、支社制度の運営を通じまして、国鉄が考えているような成果が上っているかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
  120. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 支社制度につきましては、私どもまだ不十分な点はございますが、できるだけ強化していきたいと考えております。それは行政管理庁あるいは監査委員会等の方からも地方に権限移譲をして分権化をするのが至当であるというような御意見もございますので、この線に沿って考えて参りたい、こう思っております。  その成果につきましては、今まで権限も移譲しましたので事務も簡素化いたし、また地方の事情に即応した工事も支社限りでできるようになりまして、その点では従来に比較して仕事がやりよくなったように考えております。
  121. 島口重次郎

    ○島口委員 出発する際の構想では、大幅に支社の方に権限を与えて、なるべく中央集権から地方分権にするという建前であったそうでありますけれども、その後の状況を見ますと、何一つやるにいたしましても本省に来て決済をとらなければいけないというような状況で、全く非能率の状況だということを聞いておるのであります。そういう面から、むしろ昔の機構の方が合理的で能率的じゃないか、こういうような声を聞いているのでありますが、その点に関する御見解をお聞きしたいと思います。  さらにこの機構の問題で、青森市に駐在部長制があるのでありますが、駐在制をとっているところは全国に何カ所あるのですか。
  122. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 先ほども申しましたように権限移譲はまだ決定いたしておりませんので、仰せのような不便な点があるかもしれませんが、かえって前よりも不便になったということはございません。と申しますのは、権限移譲をいたしましたものが相当ございますが、その点につきましては本社へ伺わなくて支社でできるようになっておりますから、その点から見ましても便利になっておる、こう考えます。現在の支社は関東、中部、関西、それから西部、西部は門司でございます。それから東北、北海道、この六支社でございます。
  123. 島口重次郎

    ○島口委員 大幅に権限を移譲したという説明でございますけれども、どういう権限を移譲したか教えてもらいたいと思います。さらに先ほど私が質問いたしました通り、青森市にある駐在部長制というのですか、その制度が全国で青森一カ所であるか、それともその他にもあるかどうかを説明願いたいと思います。
  124. 久保亀夫

    久保説明員 支社長に権限を移譲しておりますごく大きな例を申し上げますと、たとえば改良工事をいたしますのに三千万円以下の工事はすべて支社長の権限にしている。たとえば関東支社長には本年度は十億なり十五億なり使ってよろしい、それを一件三千万円以下の工事なれば、跨線橋を作ろらがあるいは停車場を直そうが、線路を直そうが、それは随意であるということで、三千万円というのは相当大きな金額であると思いますが、それを全く自由に総ワクだけきめて移譲しておる、これは戦後いわんや戦前に比べますと非常に大きな権限の移譲でございます。それから、たとえば予算にいたしましても、修繕費を幾らとかそういうことを言いませんで、総額これだけの利益を上げろ、関東支社は百億の利益を上げろ、あとはどういう使い方をしてもいい、もちろんできるだけ経済的に利益を上げろというようなことで、こまかいことは一切指定しておらないというようなこと。また別の例を申し上げますと、以前はたとえば支社管内のローカル列車一本増発するにも、全部本社で承認を得ていたしておりました。ところが現在では臨時列車はもちろんのこと、各支社間にわたらないものは、自由に自分のととろで車両と人の運用さえつけば動かしてもいい。また人事権その他あらゆる面について大体同じような歩調で相当大幅に移譲しておりまして、支社制度のできる以前もしくは戦前のいわゆる鉄道局とは格段の、こまかくあげると切りはございませんが、大体そういったレベルにまで権限は移譲いたしております。それからもう一つ、青森の駐在部長制でございますが、あの制度は、こまかいものは若干ございますが、あの程度のものは青森一カ所でございます。
  125. 島口重次郎

    ○島口委員 青森だけに駐在部長制を置くというのは、どういう理由なんですか。
  126. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 青森にはただいま青函管理局がございます。これは青函の船舶の運用及びその両端の列車との接続等を主とする管理局でございますが、これは他の局と少し行き方が違っておりますので、前々から青森の地元の方からぜひ普通の意味における管理局を設置してほしいという御希望がございましたが、管理局の設置までは私ども踏み切れませんので、輸送上の御不便があるということでありますれば、できるだけその御希望に応じて輸送の円滑化をはかろうという意味合いで運輸部を設置している次第でございます。
  127. 島口重次郎

    ○島口委員 私は青森県ですから、わが田に水を引くというような解釈をされやすい点もあるかもしれませんけれども、そうでなくて、大局的な面から申し上げたいのですが、従来鉄道省時代管理部は当然青森市にあったわけであります。ところが例の機構改革によりまして管理局制度になった。その際青森県は三分されたのであります。秋田管理局、盛岡管理局、青函管理局と、こう分断されたのでありますけれども、私らの常識から申し上げますと、青森市は日本海海岸の東北本線の終着駅であり、始発駅であります。さらに本州と北海道とを結びます重要な地域だと考えております。そういう面から考えますならば、駐在制度とかそういうことではなくて、むしろ盛岡、秋田にまさる地理的な要地でございますから、青森市に管理局を置くのが妥当だと考えておりますけれども、副総裁の見解をお尋ねしたいと思います。
  128. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 管理局は元管理部が管理局になりました際に、従来の管理部所在地にありましても管理局を設置しなかったところ相当ございまして、そういうところでは地元の方からぜひ管理局を設置しろというようないろいろの御要望もございます。また青森についてはただいま仰せの通り特殊事情がございますし、またほかの地区におきましてもいろいろ地元の方のお話にも納得のいく点も相当あるのでございますが、ただ管理局を増設するというようなことは相当むずかしい問題でございまして、そういう点から慎重に研究もいたさなければならぬ、こう考えておる次第でございます。
  129. 島口重次郎

    ○島口委員 これから青森だけに管理局を作るということは、ただいまの答弁にある通り相当めんどうな問題だと考えております。そこで作る作らぬという論理でなく、第一番には、私の考えでは盛岡、秋田よりも鉄道的な地理的な要害として青森の方が重大なんだ、こう考えるのでございますけれども、副総裁の見解はどうでしょう。
  130. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 大へんむずかしい御質問でございまして、すぐに御答弁いたしかねるのでございますが、現在管理局を置いておりますのはそれぞれの理由がございまして、一つの理由を取り上げれば甲よりも乙の方が必要性がある、しかしまた別の観点から見ますれば乙よりも甲の方が必要性があるというようなことで、一がいには割り切ってどちらよりもどちらの方が大切だということは言い切れないのではないかというように考えます。
  131. 島口重次郎

    ○島口委員 副総裁の言っていることももっともだと思います。まあいろいろな角度の見解の相違でそういう結論が出てくるのも当然だと思います。ただ鉄道の動脈的に、大局的に考えますと、やはり東北本線にいたしましても奥羽本線にいたしましても、青森は始発駅であり終着駅なのであります。さらに本州と北海道を結ぶ青函連絡の発着駅であります。そういう面から考えますと、秋田にいたしましても盛岡にいたしましても、単なる東北本線あるいは奥羽本線の主要な地だけである。こう考えますと、私の主観があるかもわかりませんけれども、客観的に考えて私の言うようなことももっともだという解釈が無理ではないと考えるのであります。別個な観点から見るならばそうでもない、こういうお話でありましたから、どういうような角度から見た場合、青森よりも秋田あるいは盛岡の方が管理局を置かなければならないという意見が出てくるかをお尋ねしたいと思います。
  132. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 ただいま秋田と盛岡と青森との比較を論ぜよという仰せでございまするが、これはいろいろな影響もございますので、今どちらがどういう角度からどれだけの重要性があるかということはとっさの間に申し上げかねますので、御容赦願いたいと思いまするが、ただいまの御質問のように、青森は東北線の終端駅でございますし、青函連絡という重大な連絡航路を持っております。そういう点から見ますれば、その管理局設置という地元の方々の御要望も十分納得ができるのでございまして、私どものところにも御陳情が始終参りまして、いかにもごもっともな仰せではありまするが、国鉄の内部のいろいろな問題、と申しますると、ほかの方にもそういうふうな御要望のあるのがたくさんございますので、そういう点もにらみ合せ、国鉄としましては、局を増設いたしますのは局の分界をいじるということになりまして、すべての諸機関に非常に大きな変革がくるのでございますので、そういう点は将来の問題として十分地元の御要望を頭に入れつつ研究して参りたい、こういうふうに申し上げておる次第でございます。
  133. 島口重次郎

    ○島口委員 どうも副総裁はあまりあたりを考え過ぎて、あまり率直に言うと秋田、盛岡の方にさわりが出てくるから言えないというような答弁に聞えるのであります。そういう政治的な配慮でなくて、純事務的な立場から、私らの考えでは、盛岡、秋田よりも青森の方が管理局があるのがほんとうじゃないか、こう考えておるので、純事務的な面で御答弁願いたいと思います。
  134. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 ただいま申し上げましたように、事務的に考えますと、もちろん青森は終端駅でございますが、秋田は裏日本の交通の要衝で、昔からいろいろな業務機関もございましたし、また盛岡は東北線、あるいは常磐線も引き受けておりまするが、東北線の交通の中心地でございまして、分岐の路線もございますし、従来ども業務機関も多数集合いたしております。そういう点を見ますと、盛岡、秋田、青森、いずれも交通の重要な地点だと私どもは考えております。
  135. 島口重次郎

    ○島口委員 くどいようですけれども、秋田も一つの重要な地点であることは私も了承します。けれども奥羽線一本の主要な地点である。盛岡にいたしましても東北本線一本ということに限定された重要な個所である、こう考えます。ところが青森に至りましては、東北本線、奥羽本線、さらに北海道と結びまする青函連絡の発着所、こういう二重、三重の重要性から考えますると、当然盛岡、秋田よりも青森に優先的に置かなければならないのが鉄道行政のあり方ではないか、こう私は考えるのであります。それをどうもあなたの答弁を聞いていると、何の理由ではっきりできないのか、その裏づけとなる理由が納得できないのであります。従いまして、もう少し私の納得のできるような説明を願いたいと思います。
  136. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 私のお答えがまずいものですからおしかりをこうむりましたが、元来国鉄の輸送は船舶航路区間がいつも隘路になっております。昔国鉄の輸送の隘路と申しまするのは、青函の速絡、それから九州、四国の連絡、こういう船舶の輸送が鉄道、陸上輸送にマッチするかどうかというところが国鉄の輸送といたしましては一番の問題でございました。幸いにただいまのところは、関門は隧道が抜けましたために船舶の連絡ということがなくなりました。しかし依然として青函の連絡と宇高の連絡というのは残っておりまして、これは国鉄の輸送から見ますと非常にむずかしい輸送でございまして、陸上と船舶の輸送が勢力が匹敵すると同時に、コンビネーション、組み合せがうまくいかないと非常な障害になるのでございます。従いまして、私どもは始終青函の連絡ということを考えております。そうしますると、函館と青森とをくるめまして船舶と陸上輸送の融合ということを念に入れますると、あるいはただいまのような青函管理局というので、両方の陸上と海上とを総合した管理局を作ったのでございます。つまり青森におきまする陸上輸送も海上輸送も、それをもって全部総合的に見させようということでできたのでございますが、それでは青森の地元の方がただいまのところ仰せのようにいろいろ御不満でございまして、陸上の管理局を作れというお話もございまするが、それにつきましては青森ばかりではなく他の地区にも相当問題の地方がございまするので、そういう点は十分総括的に考えていかなければならぬ。それで先ほども申しましたように、局の所在につきましては行政区域と輸送区分をどういうふうにして分割していくか、あるいは合せていくかというような重要な問題もございまするし、また業務機関の廃合整理といった問題もございますので、そういう点でいろいろ慎重に研究いたさなければならぬ、こう申し上げた次第でございまして、決して青森が重要地区ではない、ほかよりも見劣りがするなんて申し上げているわけではございませんで、重要性は十分考慮いたしておりますが、ただいまのところすぐに青森において管理局を設置するというところまでは踏み切れておらない、今後鋭意調査研究をいたして参りたい、こういうことでございます。
  137. 島口重次郎

    ○島口委員 だんだん聞きましたら、青森もすこぶる重要な個所なので管理局を作りたい、けれども青森だけをいじるわけにいかない、全体に影響するので考え、検討中である、こういう答弁だと解釈したのでありますけれども、その通りに解してよろしいですか。
  138. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 全国の各問題の地点の今後の組織についてはいろいろ総合的に考えて参りたい、こう考えます。
  139. 島口重次郎

    ○島口委員 それでは国鉄本省としては当所の機構改革をやることを予想しているわけでありますか。
  140. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 機構につきましては私ども始終いろいろな調査をいたしておりまして、現在どうということはございませんが、いろいろな組織上の問題はたくさんございまするので、組織あるいは先ほどのお話の権限の移譲その他につきましては常々努力して調査いたしております。
  141. 島口重次郎

    ○島口委員 小倉さんが副総裁になってからのことかどうかわかりませんけれども、国鉄本社といたしましては非常に青森県を冷遇している、こう私は解釈しているのであります。私の解釈が間違いであるかもわかりませんが、その理由といたしましては、例の二十五年の支社制度が施行されまする際に、だれから見ましても青森市には管理局を置くのが妥当であるということで、発表いたしまする前日まで、青森には管理局ができるのだ、こう決定してあったそうであります。ところが、政治的な力関係と申しますか、あけてみますると盛岡、秋田に決定いたしまして青森にはない。このことが政治問題となりまして、いろいろ国鉄本社の方にも陳情もしくは要請をしてきたのであります。そこで国鉄といたしましては、盛岡、秋田のような管理局はないけれども、それ以上の権力を有するー東北では総支配人と申しますが、その方を仙台に置く、そして青森には副総支配人という東北で二番目にえらい方を置くのだから、管理局がなくても決して御迷惑をかけませんということで副総支配人を置いたはずであります。ところが、いつの間にかその副総支配人制度が廃止をされまして、今度は秋田管理局の支店と申しますか出張所と申しますか、駐在所に切りかえたりしている。こういうことから見ますと、口では青森県を重要に考えかつ今後の対策考えていると言いますけれども、今までやってきた歴史を見ますと逆であります。こういう面から小倉副総裁の答弁だけ聞いて、はいそうですかと参らぬわけであります。私らの考えといたしましては、青森県だからそう言うのではなくて、本州の鉄道行政の大局的な見地から考えまして、秋田、盛岡よりも確かに青森が管理局を置くには妥当であると考えたのであります。従いまして、そういう点も、何も飾らないで、なまのままで答弁をしてもらいたい。さらに今後におきましても、青森県にとりましては、例の駐在のような何ら権限のないものならあってもなくても同一でありまして、あるならばあるような効果なり成果の上る制度を置いてもらわなければならないと考えますから、それに対する見解をお尋ねしたいと思います。
  142. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 たびたび繰り返して申し上げまするが、青森が日本縦貫あるいは東北線の終端駅として非常に重要な地点であるということも十分認識しておりまして、しかも青函連絡という船舶と鉄道との接合点になっております意味からいたしましても非常に重要でございます。そういう点から船舶と鉄道との連絡機構ができておる次第でございます。実はただいま仰せになりました前回の機構改正で青森に置かるべきものが落ちたということは私の前でございまして、そういう点は私よく承知いたしておりません。そういう事実があったかどうかもよく承知いたしておりませんが、繰り返して申し上げまするように、重要な点であるということは御指摘を受けるまでもなく私どもは十分考えておりますので、それらの点で今後調査研究の対象といたして参りたいと思っておる次第でございます。
  143. 島口重次郎

    ○島口委員 調査研究をして参りたいという答弁なのですけれども、この問題は何も今始まった問題ではなくて、もう五年も七年も経過している問題ですから、とうに調査終了段階で、これに対する国鉄の見解をはっきり意思表示できる段階だ、こう考えたのであります。従いまして、私に御答弁されましたように、青森はあらゆる角度から検討して管理局があってよろしいと思うのであります。副総裁はこれに対してどういう見解か、あってもよろしいと思うけれども時期的には今やれないということなのか、置く必要がないというのであれば議論がないのであるが、盛岡、秋田に比較いたしましてあってもよろしいと解釈しておるならば、時期がいつごろになるのでしょうか、その二点をお尋ねしたいと思います。
  144. 塚原俊郎

    塚原委員長 島口君に申しますが、国鉄の機構の問題、支社の問題、局の問題等については当委員会としても一度総括的にやってみたいと思いますので、なんでしたらそのときに譲ったらいかがでしょうか。
  145. 島口重次郎

    ○島口委員 今これで終りますから……。
  146. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 局の問題は実は輸送ということばかりでなく、そのほかのたとえば業務機関の整理統合、あるいは職員がどうなるかということ、それからほかの方の御陳情のある地点との関係というようなことを総合的に判断いたしまして、国鉄としましては管理局を新設するかどうか、こういうことでございまして、単に重要だと考える、それなら局を設置するのだな、そういうふうにお話がありましても、実は総合的な判断をいたさなければできないのでございまして、そういう点につきましては、実はまだ国鉄の部内としての思想統一なり、あるいは必要な会議の決定なり、そういうものができておりませんので、私からこの場限りで公けの席上でどうするということまでは私としては申し上げかねるのでございます。しかしながら、そういういろいろな組織の面につきましては、十分今後も地元の方々の御意見も聞き、また全体の国鉄のあり方というようなことも考えまして、十分研究して参りたいと考えます。
  147. 島口重次郎

    ○島口委員 次に管理所のお尋ねをしたいと思います。私のわかっている範囲では仙台支社の地域内におきましては仙石線、さらに最近出発をしようとするところでは下北線、さらに津軽に参りましては五能線、こうなっておるようであります。国鉄の独立採算制という面からいろいろ苦肉の策であることは了承いたします。     〔委員長退席、簡牛委員長代理着席]  だけれども、あれを徹底的に促進しますことによりまして、地方の後進性ということが非常に問題になっております。そうでなくとも交通、文化の面で後進地域でありまして、何とか向上対策を立てなければならないというところに、今度は管理所方式をやられますと、無人駅が出てくる、無貨物駅が出てくる。こうなりますれば、その地域における経済的な問題あるいは文化上の問題で、そう後進性が濃厚になります。こういう面から私といたしましては、国鉄はやはり公共団体でありますから、単に営利的な面だけからあの問題を処理してもらいたくないと考えております。もう下北線においても、あるいは五能線の地域においても、随所に市町村あるいは関係者が集まりまして、あの管理所方式に反対の声が相当に根強いものがあるのであるが、これに関する副総裁の見解はどうであるか、お尋ねしたいと思います。
  148. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 国鉄におきましては経営合理化ということが各方面から強く要請されておりますので、その方向に向って努力をいたしております。しかし合理化と申しますのは、決してお客様や荷主さんに御不便をかけるということではございません。ただ業務を簡素化し、また浮いた職員をさらに他の重要な部面に配置をするというよろなことによりましてそこの線の収支をよくして参りたい、こういうことでございます。それで管理所方式につきましても、ただいま御指摘のように、たとえば駅員無配置駅だとか、業務委託駅というものもこしらえるのでございますが、これとてもディーゼル化が前提でありまして、ディーゼル化いたしますればちょうど電車と同じでございまして、乗降客の少いような駅にはディーゼル・カーの中の車掌が切符の取扱いをすればよいのでございまして、一日じゅう駅員をむだに配置する必要もないので、お客様は決してそれで御不便は受けな、で、都電や地方鉄道の電車と同じようなことでございます。それから業務委託駅にいたしましても、これまた委託者がございまして、鉄道の意をくんで業務をいたしますので、お客様や荷主ざんに対して不便をかけることはございません。しかもディーゼル・カーになりますれば、いろいろな点において今までの煤煙の列車あるいはそういういなかのところでは混合列車なんかもやっておるかもしれませんが、そういう点から申しますと、輸送の改善という意味におきまして、地元の方々に歓迎を受けるのではないか、こう考えております。
  149. 島口重次郎

    ○島口委員 お客さんに不便をかけないという前提に立ちましてやっている、現実は必ずしもそうでもないと思います。副総裁がそう言うならば、私も幸か不幸か、私の付近で管理所方式が行われようとしておりますので、その面でマイナスの面がありまするならば、その際再び質問申し上げようと思います。きようはこれで終ります。
  150. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長代理 久保委員
  151. 久保三郎

    久保委員 海上保安庁にお尋ねします。これはたしか二十六日夜の北京放送だと思うのですが、保安庁でもこの放送は聞かれておると思うのであります。日本の漁船が中国側に拿捕されました。そのうち二名が中国側において、簡単にいえばスパイ行為をしたというようなことで、抑留されたわけです。最近の北京放送によりますれば、新聞にも出ていますが、この二人は日本漁船の姫島丸と美島丸、この二つの漁船ですが、この漁撈長の木下という人と、通信士のやはり木下、この二人がおのおの上海市の中級人民法院で三年あるいは四年の懲役ということで判決が出た。さらに二はいの漁船は没収ということになったそうであります。この内容は新聞並びに放送が伝えるところによりますれば、中国の海域に侵入して、日本の海上保安庁の指示に基いて、中国の艦艇あるいは飛行機の動き、それから沿岸、沿海諸島の軍事施設及び海岸付近の水深、潮流等の状況を探った。探ったそのものを、証拠書類によると、海上保安庁に提出して、海上保安庁は米軍に情報として提供した、こういうふうに概要を報道されているわけです。そこでお尋ねしたいことは、海上保安庁の業務の中で海象観測というのがあるが、この海象観測というのはどういう範囲でだれが行うことになっているか、これをまず第一にお答えいただきたい。
  152. 松野清秀

    ○松野説明員 私、警備救難部長でございますが、この水路業務法の第十一条に、ただいま御質問にありましたように、「海上保安庁長官は、特に必要があるときは、船舶に対し、水路図誌の編修に必要な報告の提出を求めることができる。」こういう条文がございます。ですから、たとえば一般商船あたりが、水路図誌の編修等に参考になるようなことにつきましては船長がみずから海上保安庁に対して報告もできますし、これによりますと海上保安庁長官がまたそういうような報告の提出を求めることができる、こういうことになっております。
  153. 久保三郎

    久保委員 一般漁船などにそういう海象観測を指示というか、依頼をする場合が多いのですか。
  154. 松野清秀

    ○松野説明員 その方は水路部が担当しておりますが、しかしそういうようなことを依頼したことはないと思います。なお今連絡しておりますから、後ほど答えたいと思います。
  155. 久保三郎

    久保委員 それでは担当の来る前に、先ほど私が申し上げた中国側に拿捕されて裁判にかけられたという事実は、事実というか、そういう放送なり報道は御承知でしょう。
  156. 松野清秀

    ○松野説明員 ただいま御質問になりました、これはたしか二十五日と三十一日の北京放送だと思いますが、その北京放送の内容につきましては私どもも存じております。なおその放送の中で海上保安庁に関することがいろいろ述べられておることも承知いたしております。しかしそこで述べられております点につきましては、いずれの点につきましてもそういう事実はございません。
  157. 久保三郎

    久保委員 あなたの所管外だと思うのでありますが、今年の六月まで民間漁業協定が中国との間にあったわけです。今は失効しているから別ですが、そういう区域については、今あったとすればそういう区域を侵して入っているものが最近多いのか、その点はどうでしょうか。
  158. 松野清秀

    ○松野説明員 海上保安庁におきましては、やはり海難救助等の関係もありますので、できるだけあの方面に出漁する漁船の出漁状況等につきましても関係業者等と連絡しまして、できるだけ知りたい、こういうように考えておりますが、しかし個々の漁船につきましてその行動がどういうふうになされておるか、あるいはそういういわゆる協定線なるものを越えて入る漁船がどれくらいあるかという点につきましては、私どもではよくわかりません。
  159. 久保三郎

    久保委員 六月以前においては、その協定区域を侵さないような指示はあなたの方からはいたしておられないのですか。
  160. 松野清秀

    ○松野説明員 日中漁業協定は民間協定でありますし、私どもの立場としては、その線に入るなとか、あるいはどの辺で操業せよとか、そういうような具体的な指示は何もいたしておりません。
  161. 久保三郎

    久保委員 それでは、最近九州に送還された漁船並びに漁船乗組員がたくさんございますが、これはどういう理由で拿捕されあるいは抑留されたか、そういう点についてお尋ねになりましたか。
  162. 松野清秀

    ○松野説明員 私どもの方は、たとえば拿捕事件が起りますと、どの辺でいつ拿捕されたかというようなことにつきまして関係の船主から報告を受けるだけでありまして、当時の真相というか、そういうような点につきましては、はっきりいたしておりません。
  163. 久保三郎

    久保委員 報告を受けるだけで、当時の状況、真相はよくわからない、こう仰せられるのですが、少くとも海上保安庁の任務の一つには日本国民を保護するということもあるわけですね。いかがですか。
  164. 松野清秀

    ○松野説明員 抑留漁夫が帰されて参るような場合には、私どもとしては、できれば任意に帰った人から当時の状況は聞くようにいたしております。ですけれども、今度の場合はまだそういうような点について何にも報告は受けておりません。今度の場合は特に現地の方でも若干の方にお尋ねはしておるようですが、いずれも答えがないということで、はっきりしておりません。
  165. 久保三郎

    久保委員 拿捕された地点ぐらいはおわかりになっているでしょう。
  166. 松野清秀

    ○松野説明員 はっきりしておりません、私どもには。
  167. 久保三郎

    久保委員 拿捕された地点がわからぬで、帰ってきたからそれでいいということなんでしょうか、どうも私には理解できないのですが。それではあなたの方の所管でなくて、外務省あたりでやることですか、あなたの御見解はどうですか。
  168. 松野清秀

    ○松野説明員 水産庁の方も直接報告は受けておられると思いますが、拿捕された地点につきましては、ただいま申し上げましたように、今度の事件に関しましては帰られた方々に伺っておりますが、お答えがないということで、結局これらの拿捕船につきましては、拿捕された当時に私たちが船主の方から連絡を受けておりますので、私どもとしてはそれ以外には拿捕地点につきましてははっきりした何らの資料はない、こういうことでございます。
  169. 久保三郎

    久保委員 それでは、拿捕された当時船主から報告を受けたその地点は、六月まであった漁業協定の範囲外であったのですか。
  170. 松野清秀

    ○松野説明員 全部で十六隻あったと思いますが、そのうちの十二隻は大体いわゆる日中漁業協定によります協定の線の付近であります。他の四隻はいわゆる軍事作戦区域と称されておる区域でございます。
  171. 久保三郎

    久保委員 それでわかりました。  それでは、先ほどお尋ねしたことに関連しますが、海上保安庁は自衛隊法によって常時協力を求められておると思うのですが、どういう点で協力を求められておりますか。
  172. 松野清秀

    ○松野説明員 たとえば自衛隊の航空機に事故があるとかいうような場合には、これの救難等につきまして協力は求められております。むろん御協力がなくてもこれは私の方のやることでございますが、その他の点につきましては、ほとんど平常時にいろいろ協力を求められておりますようなことはございません。
  173. 久保三郎

    久保委員 この間、予算委員会に話が出ました練馬の陸上自衛隊の第二部の分室というのがあります。そこへ海上保安庁から出向していた、あるいは連絡をとっていることがありますか。
  174. 松野清秀

    ○松野説明員 あの方は私の方とは全く関係がございません。出しておりません。
  175. 久保三郎

    久保委員 それからアメリカの駐留軍に対する協力ですか、そういう面はございますか。
  176. 松野清秀

    ○松野説明員 別にございません。
  177. 久保三郎

    久保委員 行政協定の第八条の条項等は、海上保安庁は全然関係がないのでしょうか。
  178. 松野清秀

    ○松野説明員 ございません。
  179. 久保三郎

    久保委員 委員長に伺いますが、出席されている関係当局は、海上保安庁だけですか。
  180. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長代理 水産庁と外務省アジア局です。
  181. 久保三郎

    久保委員 それでは外務省にお尋ねいたします。最近というか、去年は一つもなかったようですが、ことしになってから、中共に拿捕される船あるいは人員が三十三年に入ってからかなり多くなっているわけです。これは向う側には向う側の理由はいろいろあると思うのです。今まであなたがお聞きになって、今私の質問でお聞きになっている範囲では、中国側が発表したいわゆるスパイ、軍事施設の機密、そういうものを撮影したり何かして、情報を提供したというかどでこれは懲役になっているのです。こういう問題の扱いは、外務省としてはどういうふうにやるのでしょうか。
  182. 三宅喜二郎

    ○三宅説明員 御承知のように、日本は中共政府を承認しておりませんし、外交関係もないのでございます。日本側が調べまして、それが不当な拿捕である、不当な処分であるということがはっきりいたしました場合におきましても、正式のルートはないわけでございます。しかも先ほどもお話のように、日中間のいわゆる民間協定ができましてからは一隻も拿捕されなかったのであります。ことしに入りましても、五月まではなかったのが、突然五月初めに例の貿易協定がこじれ、国旗問題等を契機として、実に十六隻の船舶及び百九十四名の漁夫が拿捕されたのであります。中共側が、これは推測でありますが、政治的なプレッシャーをかけるという意図をもってこういう措置に出たのじゃないかと思われるのであります。従いまして、この事件だけを取り上げて解決してはどうかということも、一応考えられないことはないのでありますけれども、しかしそれは有効ではないと思われます。ことに今回のように、処分してしまいました直後に抗議等をやってみても、それがいい結果が得られる道ではないと思われますので、日中関係全般の今後の推移ともにらみ合せまして、ほかの懸案がいろいろとございますから、いい時期がくればこういう問題も一環として善処するのが適当であるというふうに考えております。
  183. 久保三郎

    久保委員 政治的なプレッシャーの関係で多くなっただろうという外務省の御見解ですが、そういう御見解もあるいはあるかもしれません。たとえば御承知のように、六月まであったところの漁業協定の線すれすれ、そういうところで拿捕された件もあるし、それから軍事区域、そういうものに四隻も行っておる、こういうことなんですね。そうなりますと、必ずしもあなたのおっしゃるように、政治的なプレッシャーという意味でばかりやっているのじゃないだろうと思う。むしろこれは水産庁の方の仕事になるかと思いますが、日中の漁業協定はなるほど失効しましたが、一応の協定が今日まで連続してきたから、無協定状態になってもせめてその線を守らせて存続させるという方向に指導されるのがほんとうではないか。今、海上保安庁からの答弁によりますれば、繰り返し申すようでありますが、結局線すれすれというのは認定の問題でありまして、非常に観念上むずかしいのではないか。だから外務省が言うような問題はない。事実認定すれすれのところでありますから、そういうところでひっかかって拿捕されたというのが多いのではないかと思います。そういう指導をされる方がまず第一に適当ではないかと思いますが、現在はどういう指導をされておるのか、これを伺いたい。
  184. 中村正路

    ○中村説明員 日中の民間漁業協定が失効してから後の指導でございますが、民間協定ができましてから非常にいい成績を上げておりまして、これがことしの六月十二日をもって失効したことは遺憾に存じております。業界もやはり同じ気持でおりまして、協定失効後も、協定があるのと同じように日本側の漁船は行動しようではないかという申し合せもしております。私の方といたしましても非常にけっこうなことだと思いまして、そういう申し合せをよく順守するようにしてほしいということを関係の漁業団体並びに地方長官に通達してございます。  なお、民間協定があった場合と同じように禁止区域の線を守ろうという点につきまして、ただいま御指摘のように、位置の測定の誤まり等も万一あってはいけないというので、自主的に定めております線は、禁止線すれすれでなしに、それより若干のゆとりを置いて操業するということで、大体十マイル程度のゆとりをもちましてその外側で操業をしておるような状態でございます。
  185. 久保三郎

    久保委員 それから外務省にお尋ねしますが、今の見方は違うようでありますから、もう少し考えていただきたい。というのは、これがほんとうにスパイ行為ならこれは問題が大きいと思います。そうでないという政府の見解なら、外務省は外国に対して唯一の窓口だから、こういう懲役にあっているというのは大へん気の毒な話だから、抗議するか釈明するかは別として、やはりやるべきだ。これがスパイ行為か何かわかりません。北京放送から参りますれば、現実にそういうことになる、こういうのですね。拿捕された区域は、先ほどのお話の通りということになるのです。そこで、これはことしの三月と四月に、すでに条文に設けた日本の船員が中共沿岸の軍事施設を撮影して日本の海上保安庁に渡した、こういうのはわれわれはどういうことに解釈すればいいのか、これを一つお伺いしたい。
  186. 松野清秀

    ○松野説明員 ただいまの御質問にありましたような、写真等を海上保安庁が受け取った事実はございません。
  187. 久保三郎

    久保委員 この船員というものは、正規の漁船なら漁船の漁業をやる船員だけ乗り組むのでしょうか。そのほかに何か特別の任務を帯びた者も漁船に乗せていくことは差しつかえないのですか、どうなんでしょうか。     〔簡牛委員長代理退席、委員長着席〕
  188. 松野清秀

    ○松野説明員 漁船にそういったような人が乗ることはないと思いますが、船員手帳を取れば乗れないことはないと思います。
  189. 久保三郎

    久保委員 それでは水路部にお伺いします。日本漁船が中国に拿捕されて、軍事情報を探ったというかどで懲役になったことでお尋ねするのですが、その中で、大体中身は御承知と思うのですが、海象観測というのがございますね。海象観測は、日本の領海はもちろんですが、公海ではこれは自由にやれることになっておるのでしょうか。
  190. 苛原しょう

    ○苛原説明員 海象観測は公海である以上どこでもできることになっております。海上保安庁では公海の至るところへ行って海象観測を実施しております。
  191. 久保三郎

    久保委員 至るところで観測するというお話ですが、そうしますと国交回復してないような国、それから領海にもいろいろ説がありまして問題がありますが、そういう場合には領海と公海の区別はどういうふうにおきめになってやっているのでしょうか。
  192. 苛原しょう

    ○苛原説明員 大体他国の領海に近いところ、そういうところまでは今のところ行っておりませんが、国際地球観測年のような、国際的にきめられた海域では、そういう分担区域が領海に近いというようなところは大体少いですが、南方へ行ったり北方の海洋に行ったり、あるいは百八十度に近い太平洋のまん中の方まで行って観測しておるわけでありますが、それは大体そういうような赤道の環流を調べるとか、あるいは南方の赤道海流を調べるとかいうような目的に従ってやっておりまして、特に他国の領海付近をやるというようなことは今のところやっておりません。
  193. 久保三郎

    久保委員 それでは中国沿岸の魚山、韮山、東福山、それから童島、こういうところの付近の海象観測は手に入っておりますか。
  194. 苛原しょう

    ○苛原説明員 今のところ入っておりません。
  195. 久保三郎

    久保委員 この懲役の問題では、まあ海上保安庁が問題になるのですが、あなたの方に全然関係ない——もっともあるとも言えるかもしれませんが、全然何らの関係もなくてこういうふうになることは、あなたはどういうふうに御推察なされますか。
  196. 苛原しょう

    ○苛原説明員 こういうふうになるというのは……。
  197. 久保三郎

    久保委員 こういう船が拿捕されて軍事報情を探ったというかどで懲役になったという——その資料は全部海上保安庁を通じて米軍に提供した、こうなっておる。ところがあなたの方ではそうじゃないと、こういうふうにさっきからおっしゃっているのだが、あなたの方の推測ではどういうふうに考えておられますか。
  198. 苛原しょう

    ○苛原説明員 水路部では国際地球観測年というような国際的にきめられた観測の成果、あるいは日米加の共同観測というものを一九五五年、三年ほど前にやりました。そういう資料以外には特にほかの国へ提供するというような観測もやっておりませんし、そういうこともないはずであります。
  199. 久保三郎

    久保委員 この新聞、これは放送の記事ですが、証拠書類によると、ことしの三月と四月に情報任務を帯びた日本の船員がさっき申した島の軍事施設を撮影して海上保安庁に提供した、とういう証拠があるというのですが、そういう船員が乗っていたこと、そういう疑わしいような船員が乗っていたことを今までにお知りになっていないのですか。
  200. 苛原しょう

    ○苛原説明員 そういうことは全然聞いておりません。
  201. 塚原俊郎

    塚原委員長 苛原君に申し上げますが、発言の許可を得てから発言して下さい。
  202. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、これは海上保安庁としても重大な問題だと思うのですが、これに対してあなたの方ではどういう措置か、とるお考えはあるのですか。
  203. 松野清秀

    ○松野説明員 先ほども申しましたように、この放送の中にいろいろ海上保安庁に関係したことはございますけれども、ここにありますような点につきましてはいずれもそういうような事実がないわけでありまして、こういう点につきましてはこういう事実はないということは私ども外務省の方にも連絡をいたしておりまして、海上保安庁自身としてはこれに対してどうというようなことはただいまのところ別に考えておりません。
  204. 久保三郎

    久保委員 それでは一般的な事項ですが、海象観測を一般漁船等に依頼しあるいは指示する場合もございますか。
  205. 苛原しょう

    ○苛原説明員 特に区域を指定して漁船等に依頼する場合もございますけれども、普通は依頼しておりません。
  206. 久保三郎

    久保委員 中国に拿捕された漁船などには今までかつてそういう依頼はしたことはないのですか。
  207. 苛原しょう

    ○苛原説明員 そういうことは絶対にありません。
  208. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても、これは二人の船員のことであるといえばそれまでですが、非常に微妙な関係にある両国の問題でもあるし、扱いは慎重にやらなければならぬと思う。しかし、真実に日本の政府かあるいは政府機関がこういうことをやっておらぬということなら、これはやはり新しい対策を立てねばいかぬと私は思うのです。ところが、今まで外務省あるいはあなたの方にお聞きしても、あまりどうもぴんとくるようなお話はないので、どうもこれは疑われても実際反証をあげるわけにはいかないのじゃないかと思うのです。あなたの方では外務省なり何なりと、こういうものの扱いについて今までお話し合いをしたことはないのですか。
  209. 苛原しょう

    ○苛原説明員 そういうことはございませんし、実際に漁船の海象観測ということはーー海象観測をやりますには相当専門的な測器が要るわけでございます。そうして、漁船に海象観測を依頼いたしましても、実際にやれる技術者もいないし、測器もないというので、精度が悪いので、漁船の海象観測というものは全然問題にできないのであります。そこで海上保安庁といたしましても、漁船に依頼するということは今のところやっておりません。
  210. 久保三郎

    久保委員 それでは別にお尋ねしますが、海上自衛隊からあなたの方へ海象観測の資料等を提供してほしいというようなことは、しょっちゅうあるのでしょう。
  211. 苛原しょう

    ○苛原説明員 それはたまにございます。それは、古い資料を持っておりまして、そういう資料がないかということで聞かれる場合もございます。それ以外には、毎年海象観測の成果を印刷しまして公開しておるわけであります。それをやっておるだけで、それ以外に特に提供するということはやっておりません。
  212. 久保三郎

    久保委員 いずれ私も別な方面から調査をいたしますけれども、そういうふうに皆さんの方で御関係がないというのなら、今度帰ってこられた漁船あるいは船員、そういうものについて事情をやはり聴取しておくべきではないかと思うのです。事情を聞くことは一向差しつかえないでしょう。いかがですか。
  213. 苛原しょう

    ○苛原説明員 もちろん差しつかえないと思います。
  214. 久保三郎

    久保委員 外務省に申し上げますが、外務省は、外務省直接の関係じゃなくて、出された結果についてあなたの方は処理するということになろうかと思います。先ほどのような御発言もありましたが、それは政府の御見解かもしれませんが、われわれはそういう関係ではなさそうにお話を聞きました。そういう観点からばかりでなくて、公正に見て日本国民を保護するという立場からやはり正当なら正当のように主張すべきだと思います。しかしそれがそうだということになれば、あなたも政府の機関の一人として、政府内に不都合があればこれは正していかなければならぬと思います。それから水産庁にもお願いしますが、これは先ほど言ったように、海上で拿捕されたときの状況からいって拿捕する理由もあるわけです。ただし、それ以外の問題はここでちっともわかりません、軍事情報をどうしたこうしたということは……。しかしそういうことが全然なくて、ただ政治的に圧力をかけるのだということでやったとはわれわれは思えない。二人ばかりの船員をつかまえて懲役にしたところで、これは実際は大した問題じゃないと思ろ。まだ抑留されておる人間もたくさんおるのですから、そういうふうな大げさに考えないで、これは問題が問題ですから、あなたが知らないうちに何かまぎれ込んでやっておるかもしれない。それから不用意に航海日誌にどこの島影に軍艦が二隻来たとか、どっちに走ったとかいうことを書く場合もあるのじゃないですか。そういうことになれば一つの証拠物件となるのじゃありませんか。そういうこともあるので、よほどあなた慎重に調べませんと、あまり関係がありませんといっても、意外なところ関係があるかもしれません。十分注意をされるように要望いたしておきます。いずれまた、調査をしておりますから、聞く機会もあると思います。
  215. 塚原俊郎

    塚原委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十五分散会