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1958-06-30 第29回国会 参議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月三十日(月曜日)    午前十一時六分開会   —————————————   委員の異動 六月二十四日委員後藤文夫辞任につ き、その補欠として田村文吉君を議長 において指名した。 六月二十七日委員市川房枝辞任につ き、その補欠として八木幸吉君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     泉山 三六君    理事            伊能 芳雄君            小幡 治和君            剱木 亨弘君            迫水 久常君            佐多 忠隆君            中田 吉雄君            松澤 兼人君    委員            石坂 豊一君            大川 光三君            小山邦太郎君            塩見 俊二君            下條 康麿君            高橋進太郎君            館  哲二君            鶴見 祐輔君            苫米地義三君            苫米地英俊君            一松 定吉君            本多 市郎君            安部キミ子君            岡田 宗司君            亀田 得治君            坂本  昭君            鈴木  強君            曾祢  益君            高田なほ子君            戸叶  武君            矢嶋 三義君            吉田 法晴君            加賀山之雄君            千田  正君            八木 幸吉君   国務大臣    内閣総理大臣  岸  信介君    法 務 大 臣 愛知 揆一君    外 務 大 臣 藤山愛一郎君    大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君    文 部 大 臣 灘尾 弘吉君    厚 生 大 臣 橋本 龍伍君    農 林 大 臣 三浦 一雄君    通商産業大臣  高碕達之助君    郵 政 大 臣 寺尾  豊君    労 働 大 臣 倉石 忠雄君    国 務 大 臣 青木  正君    国 務 大 臣 三木 武夫君   国 務 大 臣 山口喜久一郎君   政府委員    内閣官房長官  赤城 宗徳君    内閣官房長官 松本 俊一君    内閣官房長官 鈴木 俊一君    法制局長官   林  修三君    総理府総務長官 松野 頼三君    警察庁警備局長 山口 喜雄君    経済企画庁調整    局長      大堀  弘君    外務省アジア局    長       板垣  修君    外務省アメリカ    局長      森  治樹君    外務省欧亜局長 金山 政英君    外務省条約局長 高橋 通敏君    大蔵政務次官  佐野  廣君    大蔵省主計局長 石原 周夫君    大蔵省主税局長 原  純夫君    大蔵省林局長 酒井 俊彦君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    農林省蚕糸局長 須賀 賢二君    食糧庁長官   小倉 武一君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    行政管理庁行政    管理局長    岡部 史郎君    日本電信電話公    社総裁     梶井  剛君    日本電信電話公    社経理局長   秋草 篤二君    日本電信電話公    社建築局長   中田 亮吉君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○予算執行状況に関する調査の件  (予算執行状況に関する件)   —————————————
  2. 泉山三六

    委員長泉山三六君) これより委員会を開きます。  まず、委員の変更について御報告いたします。  六月二十四日後藤文夫君が辞任し、その補欠として田村文吉君、六月二十七日市川房枝君が辞任せられ、その補欠として八木幸吉君が選任されました。   —————————————
  3. 泉山三六

    委員長泉山三六君) これより予算執行状況に関する調査を議題といたします。  議事に入るに先だちまして、委員長から申し上げます。  本委員会開催につきましては、再三委員長理事打合会開催して協議いたしましたが、去る二十三日左の通り申し合せ決定をいたしましたのでこの際御報告申し上げます。すなわち  一、本委員会開催は、六月三十日、七月一日、七月二日、すなわち月火水の三日間のうち連続二日間とし、具体的の決定はこれを委員長に一任する。  委員長は、当院を初め衆議院並びに政府側事情等を聴取し、とくと勘案の上、月火の両日を適当と認め、さよう決定して、翌二十四日この旨各会派理事諸君に直ちに連絡いたしました。  一、質疑時間は総計三百分とし、各会派の割当は、社会党百五十分、自民党八十分、緑風会五十分、無所属クラブ、第十七控室各十分とする。  一、発言の順序は慣例に従い、社会党自民党緑風会無所属クラブ、第十七控室順序として、順次これを繰り返して行う。  以上の通りであります。  委員長は、右理事会の申し合せに基き、本委員会運営をはかりたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 異議ないと認めまして、さよう決定いたします。   —————————————
  5. 泉山三六

    委員長泉山三六君) これより質疑に入ります。質疑の通告がございますので、順次これを許可いたします。
  6. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は不況対策、特にオープン・アカウントの問題を中心にする不況対策、並びに予算の効率的な使用の問題と関連して、電電公社の問題を、取り上げ、時間が許しますれば、農業及び文教の問題を取り上げたいと存じます。  まず、その前に岸総理に、佐藤大蔵大臣を任命されましたことに対し、国民の間に不安と不信がありますので、このことについて御心境を承わっておきたいと思うわけであります。申すまでもなく、政治国民信頼の上に成り立つと思うわけであります。私は佐藤さんが総理の御令弟であるということによって、能力があってもそれが閣僚に入れないというようなことがあってはならぬと思います。しかし御案内のように、造船疑獄に関連しまして、党の要職にあった佐藤さんが指揮権発動で危うく難をのがれたことは、国民記憶に新たなところであります。もちろん佐藤さんが私腹を肥やされたのではないことは周知のことであります。分派自由党の他党派工作のためになされたということも周知の事実であります。しかし、強権発動があったということも事実であります。それが金に最も関係の深い大蔵大臣、単にそれ、だけではなしに、農林、運輸、建設というような膨大な予算官庁をいわゆる岸派で占められ、さらに法務大臣を同様な措置がとられたというところに一まつの不信があると思うわけであります。またしても指揮権発動がありはしないか、ないにしても捜査過程でもみ消されるようなことはないか、こういうことは法の威信にも関することでありますし、また岸総理とされても、そういう誤解を解いておかれることは大切だと思うわけであります。この国民の不安と不信をぬぐい去るためにも、この組閣を流れる基本方針に関する岸総理の御所信を承わっておきたいと思うわけであります。
  7. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 総選挙の結果、さらに国会におきまして私が首班を指名をされました。第二次岸内閣の組織に当りましては、私がかねて申しておりますように、私は党内における最も適材を適所に配置して、そうして政治に当ることが必要であるという考えのもとに、各大臣の選任に当りましても、特に私としてはあらゆる面から検討をいたしまして、今申した方針に即してこれが任命をいたしたわけであります。従いまして、この点に関しましては、私自身真に内閣首班といたしまして、全責任をもって国民に対しておる考えでございます。  従来党内にいろいろな派閥があり、いろいろな系統があるというようなことが言われております。今、中田委員のお言葉のうちにも、重要なポストに対していわゆる岸派の人、あるいは直系の人々をもって充てた云々という言葉がございましたが、私は今回の組閣の自分の心事といたしましては、何らそういう考え方にとらわれたことはないのでありまして、全く国民信頼と期待にこたえて、われわれが公約をし、また国民から負託されている重大な責務を遂行するに最も適当な人平である、かように考えまして、先ほど申しましたように、党内における有能の士を適材適所に配置するという心がまえで行なったわけでございます。
  8. 中田吉雄

    中田吉雄君 時間がありませんので、私はまず最初に電電公社の問題を取り上げてみたいと思うわけであります。  最近電電公社の問題が、国会でもいろいろ取りざたされており、政治献金の問題もうわさされています。申すまでもなく電電公社は三十二年度で終りました第一次五カ年計画あとを受けまして、ことしから第二次五カ年計画が発足し、四千二百億という膨大な資金計画を持っているわけであります。従って私は公社の健全な発達のためにも、また予算の効率的な使用のためにも、ここで問題を取り上げておくことが大切ではないかと思うわけであります。ただ昨今人事に関することがうわさされていますので、私はそのことについては全く関心を持ちませんので、そういうことを警戒しながら、もっぱら予算委員会を通じて得ました正規の資料に基いて、予算委員会専門家等の参加を求め、分析した結果に基いて本問題を取り上げてみたいと、そうして本日は時間がありませんので、次の臨時国会通常国会において本格的に取り上げることを申し上げ、ここでは二、三の重要な問題に限定したいと思うわけであります。  そこで、まず私は特に申し上げておきたいことは、提出されました資料に基いてこれを結論づけ得ますことは、電電公社建設資材施設等契約が極端に特定の会社集中発注をされているということであります。この背後官界政界等のあることも十分予測されるわけであります。そこでまず建築関係から梶井総裁にお尋ねいたしたいのですが、電電公社との関係で最も複雑怪奇なのは、満州太郎ともいわれますところの山下太郎氏を中心とする公共建物株式会社でございます。まず私はこの会社設立の経過、設立の発起人、役員構成公共建物がやった電電公社局舎契約の方式、工事額等について承わりたいと思うわけであります。
  9. 梶井剛

    説明員梶井剛君) お答えいたします。  電電公社第一次五カ年計画を始めます際に、局舎を新築しなければ一名の加入者も増設できないという局が五百局ございました。従って限られた予算範囲内において、できるだけ公衆に早く電話をつけるというためには、何とかして私ども民間資金が利用できるということがありましたならば、予算をできるだけ電信電話施設に投ずることによって、一名でも多く電話がつけられるというふうに考えておった次第であります。ことに電話局建設敷地というものは、一つ加入区域中心地に選定しないと、ケーブル配線等のために著しく不経済になるのであります。従って局舎敷地選定というのはとかく市街の中心地付近にこれを求めなければならないのであります。でありまするから、従来電話局舎建設いたしました結果、繁華街におきましては、その町の繁栄をさびれさせるという非難もあったのであります。でありますから、私どもとしましては、できるなら、ばさような繁華街建築をしなければならぬ場合におきましては、その周囲の人にできるだけ迷惑をかけないようにしなければならないという観点から、私どもはさような場所におきましては、いわゆる合同局舎と申しますか、一部分民間の人がその局舎を使うことによってその土地繁栄を妨げないようにしたいという考えを持った次第であります。従ってそういう意味におきまして、そういう場所局舎を建て、そうしてその町の人々に貸して、かつ、なるべくならば電話局としましては一階などを使いませんで、高層建築を作りまして、上の方を使うという方法をとりますならば、今申しました趣旨に沿うのではないかということを考えてきたわけであります。ただいま申しましたような趣旨をもちまして、今日まで合同にして建てました局舎は、小樽福島神戸三ノ宮、東京におきましては料金局庁舎でありますところの大手町、並びに霞ケ関電話局であります。そのうち小樽は、小樽商工会議所の協力を得まして合同局舎になりまして、一階二階はデパートになっておるのであります。また福島はちょうど繁華街中心でありますために、そこに商店を持っておられる人々が組合を作りまして、一階を従来の商店が使って、二階以上を電話局が使うという制度にしたのであります。また神戸三ノ宮も、これは駅に非常に近いところでありまして、従って電話局のほかにいわゆる貸事務所的なものを一緒に併用して作ったわけであります。また大手町も同様であります。また霞ケ関はこれは電話局そのものでありますけれども、その前に本社建築ができ、しかも本社合同局舎になりますために、関連的にこれも公共建物が建てることになりました。ただいま申しました五つのうちで三つが、神戸三ノ宮大手町及び霞ケ関公共建物建築されたわけであります。ただし公共建物はみずからが建築業者じゃないのでありまして、資金作目まして、そうしてそういう局舎を作って、私どもとしましては、予算の許す範囲内においてこれを年々買収して自己のものにするという建前になっております。その他の部分につきましては、公共建物がこれを貸事務所なり、その他に他に貸しておるのであります。その場合に敷地はみな公社のものでありまするから、その地価に応じまして適切な地代をわれわれはもらっております。そういうわけで今日まで来たわけでありまするが、このことにつきましては、私どもは他にもこういうことをやっていただく方がないだろうかということも検討して、三井三菱等にもかけ合わしたのでありまするが、私どもの望むような条件が合わないために、公共建物が現在それをやっておるという事態になっておるわけであります。
  10. 中田吉雄

    中田吉雄君 藤山さんもたしか大臣になられてからやめられたと思いますが、この会社設立当初には重要なメンバーのように延設省には登録されていますが、承わりたい。
  11. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 多分昭和のような公共建物を作るという話を私は聞いたわけであります。そのときに私も民間におりまして、ただいま梶井総裁の、言われましたように、まあステーション会社というようなものもあって、ステーションの改善をやる、官庁関係の仕事でも民間で一時やって、それを適当にやれば、それはやはり経済機能その他を発達させる上において必要なことであって、というふうに私も考えました。しかし私は当時非常に忙しい身分でありましたために、役員等になることはお断わりをいたしたのでありますが、まあぜひとも名前だけ出しておいてくれ、こういうことであり、また当時の役員の同僚の顔ぶれを見ますと、まず相当の方々が並んでおられますので、私としては別段そんたくが行われるとも思われませんので、当時よくあったことでありますが、名前だけ出しておけということで、そういうわけで実は取締役として名前を出したわけであります。そうして大臣になりますときによしたのであります。しかしそういうことでありましたので、私は実は記憶を振り返ってみましても、ほとんど重役会議等に出席しておりませんので、むしろ公共建物に対してははなはだ失礼をしたという感じを持っておるわけでありますが、そういう事情でございます。
  12. 中田吉雄

    中田吉雄君 そういう軽い気持だと思うんですが、なかなかそういうネームヴァリューというものは、この会社が後々申し上げますように、工事をとるのに少からぬ影響をいたしているわけであります。建設省営繕局に調べてみますと、これはトンネル会社として、まあ建設省では相手にしないというはなはだ不評の会社である。私も営繕局に行って公平な登録をしている会社調査をいたしているわけであります。建設省登録と最近いただいたのとは重役陣メンバーが変っているようですが、一体、事務当局でけっこうですが、最新の重役のスタッフはどうなっていますか。
  13. 中田亮吉

    説明員中田亮吉君) お答えいたします。公共建物株式会社役員は、取締会長といたしまして青木一男さん、常務取締役山下源太郎さん、そのほか取締役といたしまして石坂泰三さん、それから山下太郎さん、渡辺甚さん、庵原鶏さん、監査役といたしまして柳田誠二郎さん、取締役山本為三郎さん、以上の通りであります。
  14. 中田吉雄

    中田吉雄君 公共建物は、総裁も申されましたように、二十八年の四月十一日に設立されて、直ちに三ノ宮電話局の四億三千、御案内のように工事を受ける際には、その会社業績を見て、工事業績、経歴を見て、これなら安心だというようなことに基いてやるのが手がたい方法であります。だのに、直ちに霞ケ関あるいは千代田と十億近い公社を、しかも専属的に請負いさせている。総裁は今三菱三井等に当って見たと言われたが、しかしああいう条件ほんとうに公正な競争入札にでも出してやったのならなお了解できますが、もう公共建物にやることを予測して、他の会社を拒否する手段として、一応の相談をかけることは、どこでもやることで、私が、いろいろ聞いたところでは、先に申されましたような、この背後にはなお顧問として賀屋興宮氏その他も関係しておられるということで、こういう山下太郎氏を中心とする政財界の大きな背後勢力というものがあって、初めてこの政府関係機関予算債務負担行為弾力条項最高度に援用、拡張解釈いたしまして、これはやっていることはもう明らかであります。そうしてこれが果して、そういういろいろな総裁の申されるような御事情もあったことはわかりますが、私大蔵省主計官電電公社の係の人に聞いてみたが、このことがほんとうに電々公社の損にならぬかどうかということは、詳細なコスト計算を見ないと、原価計算を見ないとわからぬ。伝え聞くところによると、日歩三銭というような高い利息等でいろいろな措置もとられているということを承わっているわけであります。われわれとしてはそういう形も了承いたしますが、それには三菱地所であるとか、あるいは三井不動産であるとか、東急不動産、あるいは公共建物というようなものの公正な競争過程でしぼられてくるのならわかりますが、もう当初からこの公共建物電電のおかかえの専属のものとしてできて、これが最も大きな建物随契で受けているというところに問題があると思うわけであります。私は時間がありませんから、一つ三ノ宮霞ケ関千代田庁舎原価計算一覧表を将来田されることをお願いしておきたいと思うわけであります。そこで、お伺いしたい点は、三十三年度の債務負担行為のついている局舎はどことどこであるか、本庁舎はどうなっているかという点であります。
  15. 泉山三六

    委員長泉山三六君) すみやかに御答弁願いますよ。
  16. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) お答え申し上げます。三十三年度の局舎関係債務負担行為額は八十億でございまして、その内訳につきましては、予算説明資料として大蔵省に提出しておりますが、ただいまその内訳資料は持って参りませんので、後ほどすみやかに御提出申し上げたいと思います。
  17. 中田吉雄

    中田吉雄君 本庁舎はどうなっていますか、本年度債務負担行為がついているかどうか。
  18. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) 霞ケ関に将来建設すべき本庁舎債務負担行為は、全然まだ計上いたしておりません。
  19. 中田吉雄

    中田吉雄君 私、昨日見てきたんですが、帝国ホテルの横、勧業銀行に向って左横に、公共建物株式会社が現に膨大な工事を始めているのは何です。債務負担行為はついているのですか、何ですか。
  20. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) これは今までの三ノ宮大手町建設とは全然違うのでありまして、私ども土地を提供して、将来ここに建物を建ててもらうというだけでありまして、これは全部公共建物資金調達をいたしまして、そしておそらく昭和二十六年だと思いますが、この完成の暁私どもはそこにたな子として入るというだけでありまして、ここにまだ債務負担行為の存在する何らの理由も出ておらないのであります。
  21. 中田吉雄

    中田吉雄君 これが一番問題だと思うわけであります。二十六年と言われたが、おそらく三十六年だと思います。あれは電電公社敷地ですが、一体公共建物株式会社が、あとで申しますが、五十億近い基礎建築を始めているというのは、一体どういう電電公社総裁との契約があるのか、どういうことですか。すでに膨大な基礎建築を始めて、そうしてこれは白石基礎建設株式会社、私、昨日うわさが向いので調べてきましたが、すでに工事を始めている。そうして本年の五月二十日ですかから来年の五月三十一日までのようなことになっていますが、一体これはどういうことですか。
  22. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) 公共建物とは、私ども所有地だけは提供することは明快な契約をもって取りきめております。ただこの建物建設します出合に、前のように、将来三年なり五年なり予算範囲内において買収するという約定が今までの三ノ宮大手ビル契約の大きなやり方であったのでありますが、目下のところそういう予算措置も見通しもありませんし、今度だけは全部公共建物資金調達によっ、て、あくまで完成した暁にはこのビルにわれわれは入る、そうしてたな子になって家賃を払う、こういう建前になっておるわけであります。
  23. 中田吉雄

    中田吉雄君 私が聞いたんでは、人体四十八億の建設費ででき上ったら三十八億を電電が買う、あとの十億を電電の指定する会社が入る、こういう条件でなされているということであります。そしてこれができるころに債務負担行為をつけて、建設勘定のところに頭を出して、債務負担行為をつけてやることは明らかであります。それはこういう五十億の建築を始めるのに電電公社総裁の何らかの証明等がなければ、金融機関だって資金調達を許しません。明らかにこれは三十三年度の政府関係機関債務負担行為郵政大臣承認事項である弾力条項三ノ宮千代田霞ケ関をやったと同じ方法でやることは明らかであります。大体私の伝え聞くのでは、二千四百坪あって四十八億で、地代を一坪たった二千円、公共建物に貸しているようなうわさも伝わっている。一体どういう契約になっているのか、私は一昨日大蔵省に参りましたが、明らかにそれをエスケープして違法性を阻却するような行為をとって公共建物がやるという——主計官の人に絶対そういうことはありませんということを、井上主計官からも明細表を見せてないことにしておいて、公共建物建物ができたようになってから予算費目の頭を出して、そうして債務負担行為をつけてずんずんと買っていくというような措置を私はとるんだと思うわけであります。こういうことが一体いいかどうか、私は一つ郵政大臣は就任後早々でまだ御案内でないかもしれませんが、私は電電公社の健全な運営、発展のために、予算の効率的な使用のために、こういう債務負担行為弾力条項を拡大解釈してルーズなことをやることはよくない。電電公社電話需要に応じられようとする意図はわかりますが、それはオーソドックスな方法でやるべきで、これは先にあげたような青木一男民、参議院の青木さん、その他官界、財界の大物がついていなくてはこういうことはできないわけであります。この点について特に建設省においては、トンネル会社として悪評さくさくたるものです。これは実質上の財政法違反だと思う。やはり官紀をきびしくし、予算の効率的な使用の面からもこういうことは許されぬと思いますが、洋総裁はどういうふうに、こういう四十八億という膨大な庁舎公社の美名に隠れてやることがいいかどうか、この点についてお伺いしたいし、寺尾郵政大臣一つよく御調査になって、私の言うことが巷間の浮説に基くか、十分な調査をしていただきたいと思うわけであります。
  24. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) お答え申し上げます。契約の締結に当りまして、公正妥当を旨とするということは、私が申し上げるまでもないのであります。御指摘のように、私はまた公社契約の現状について詳細調査はいたしておりませんが、中田若御指摘のようなことがあり、これが不当であるということでありますならば、調査の結果に基きまして、早急に善処いたす決意でございます。
  25. 中田吉雄

    中田吉雄君 内閣総理大臣とされて、これは明らかにトンネル会社で、これは政府関係機関のこの予算債務負担行為郵政大臣の権限である弾力条項を見ても、これはもう予算がないので建てられないから、十分電電公社当局と打ち合せして、そして公共建物株式会社に建てさしておいて、でき上るころをもって建設勘定予算を出して債務負担行為でやっていくという、そういうことが一体許されるでしょうか、財政法上です。私はこういうことは実質的な違反だと思うのですが、いかがでしょう。
  26. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 技術的な点につきましては、私からお答え申し上けます。御承知のように、電電公社公社に相なっておりまするから、財政法、会計法につきましては、正面から申し上げますと適用がございません。しかしながら、その経理のやり方につきましては、財政法あるいは会計法上合理的にして適正な経理ができるように、これは実行上当然やっていくべきだと思っております。
  27. 中田吉雄

    中田吉雄君 一体こういうことが現実にあるのです。私は井上主計官におととい尋ねましたら、断じてあそこに建てることは大蔵省とは了解がついてない。太鼓判を押すということを言っておる。まさに主計官としてはそうだと思う。私も公社の皆さんが建物を急がれるということはわかりますが、五十億の建物を、公社会計にもないものを、でき上るころに三十三年度の政府関係機関予算案のようなものに乗してきて、そしてやるというようなことが一体許されるかどうか。実質的な財政法の違反だと思うが、どうですか。
  28. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) お答えを申し上げます。ただいま申し上げましたように、財政法、会計法上の正面の適用がございませんが、どういうふうにして適正な経理のやり方をするかということにつきましては、公社当局においても十分に介意をしてやっておることと思います。ただいまお話のございました、経理局長の先ほどの御答弁によりますると、年賦金であとは払うというようなことでありまするが、もしそれが予算の範関内で年々その予算をでき上ったころをみまして年賦金で払うという契約がございますれば、それは一つ契約として毎年々々の予算が成り立ちましたあとでの話になりまするから、その全体につきましてのいわゆる国原債務負担行為というようなものは、必ずしも必要ではないという議論に相なるかと思います。
  29. 中田吉雄

    中田吉雄君 総裁にお尋ねしますが、まあ坪二千円というようなことで契約されておると、もし建物を建ててしまって電電公社にくれないというようなことになると、永久的な建物ならば四、五十年どうにもならぬことになってしまいますが、どういう契約がなされているのですか、その点お伺いしたい。
  30. 梶井剛

    説明員梶井剛君) お答えいたします。ただいまのところは坪二千四百円であの土地使用することを約束しております。現在建築を始めたばかりでありまするから、これが完成するまでには少くとも二年余はかかると存じます。その上で私どもはその建物に入るという考えでおります。その後においてこれを買収するやいなやということになりますれば、予算上それを計上して手続を踏んでやるというわけであります。それ以外に契約はございません。
  31. 中田吉雄

    中田吉雄君 それではでき上った後には買ってやるという、そういうはっきりした契約になっておるのですか、そういうことが公社法その他で一体やれるのですか。
  32. 梶井剛

    説明員梶井剛君) お答えします。でき上ったあとにこれを買うという契約は、一つもございません。そうして、できますれば、われわれとしては、資金をできるだけ電話局舎に使いたいという考えでありまするから、将来におきましても、借りられるならば借りていこうという考えでおります。
  33. 中田吉雄

    中田吉雄君 とにかく公共建物株式会社という、建設省の所管省においても最も評判の悪いものに建てさして、買ってやる。一体こういうことが政府関係機関として許されるかどうかということは、法的にも十分私は問題だと思うわけであります。公社を建てることを急がれること、サービスをよくされようということを急がれることはわかりますが、私はやはりオーソドックスな方法で、しかもそういう同じことをやるのでも、もっと三菱とか、三井とか、東急とか、あるいは他のしにせの十分信用のおける会社にやらしたらいいと思うのですが、全く公共建物というようななかなか潜越な名前をつけて、そうして電電公社おかかえでやっているというところに、これはそのコスト計算原価計算等を見、その賃貸契約等を見て、十分これは検討に値する私は問題だと思うわけであります。しかし、時間がありませんので、この点はその程度にして、私は次期国会には、その契約書等も見せていただき、原価計算等も詳細に示していただいて、折り目のついた財政法その他一点非の打ちどころのない方法によって私はなさるべき、だということを指摘しておきたいと思うわけであります。
  34. 亀田得治

    ○亀田得治君 関連……。
  35. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 御発言中ですから……、よろしゅうございますか。それでは簡単にお願いいたします。
  36. 亀田得治

    ○亀田得治君 ちょようど中田君が聞きましたから、私から簡単に一、二点お聞きしておきますが、この建物に三十六年度から電電公社が入る予定だとそういうことになっているようですが、そこに入る条件ですね、これはどういうふうになっているのですか。契約書に明記してあるのかどうか、その点。それから、賃料は一応坪二千四百円ということのようですが、この賃料の改訂条項というようなものがきまっているのかどうかというのが第二、きまっておったら、その点お知らせいただきたい。それから第三点は、相当膨大な予算のかかる建物のようですが、公共建物自体がやっておる、こういうふうに御答弁になっているが、この建物公共建物が建てるにつきまして、これは相当金融面の措置が必要だと思うのですが、そういう問題について総裁が保証なり何らかの方法で援助しておることは絶対にないかどうか、この点について総裁からお答え願いたい。
  37. 梶井剛

    説明員梶井剛君) お答えいたします。ただいまお尋ねの契約その他につきましては、事務当局からお答えいたしますが、金融面について私どもは保証は一際しておりません。援助もしておりません。これは私どもが金融に対する何らかの力を持つわけではありませんから、援助も保証もすることはできないのであります。
  38. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) 将来できるであろう建物の賃借料でございますが、これは建設コストの出来高いかんによって左右されるものだと存じます。従いまして、先ほど申しましたように、建築費の絶対額というものが全然まだ未定でございますので、賃借契約の一坪を幾らで措りるかということは契約いたしておりません。ただし将来この問題は大きな要素になりますので、それなら無制限にこの建物を高価なものを作ったり、あるいは非常に安いものを作ったり、いろいろな考え方もありますので、私どもとしましては、基本的な契約の条項の中に、全体の坪数、それから坪単価二十万以上あっては困るとか、それから基本的な設計仕様については私どもの指示を受けてくれ、これは私どもが入る建物でありまして、買収することはございません。ございませんけれども、家賃の内容に影響いたしますので、その程度の拘束はするということを契約書に一方的につけてございます。  それから地代でございますが、これは二千四百円でございまして、これは各方面の権威のある方々の評価を見ましてきめたのでございまして、この問題は、将来地代が非常に市価その他の変動によって高騰いたしますれば、当然この地代も将来上更改することができるということは、三ノ宮におきましても、大手の場合においても、同じであります。
  39. 亀田得治

    ○亀田得治君 今の最後の点ですが、そういうことが契約の中に若いてあるのですか、当然そうなるということなんですか、その点を明らかにしてほしいのと、それから契約計は、先ほど中田委員からも直接請求がありましたが、本日中に資料として一つ提出さしてもらいたい。
  40. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) 土地だけの賃貸借契約につきましては、その値段の更改の点は規定されておりません。
  41. 亀田得治

    ○亀田得治君 資料はいいですか、きょうじゅうに……。
  42. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 梶井さんどうですか、なるべく要求に沿うて下さい。
  43. 梶井剛

    説明員梶井剛君) なるべく仰せの通り資料を出すように努力いたします。
  44. 亀田得治

    ○亀田得治君 きょうじゅうに、あしたは予算委員会済んでしまうから……。
  45. 梶井剛

    説明員梶井剛君) 問に合うかどうかわかりませんが、できるだけ出すようにいたします。
  46. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ちょっと関連して……。
  47. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 簡単にお願いします。
  48. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今の御答弁では、将来その建物を買うことはわからない、それから、多分借りることになるだろうが、借りる場合吉の賃貸料その他はまだ何らきめてないと、地代も非常に不合理なきめ方をしていると思うのですが、いずれにしても、何ら将来借りることについても確たる決定はなされていない、将来の問題である。そういう状態にあるときに、政府関係機関が自分の所有しておる土地を賃貸をすると、そういう目的がはっきりしてないのに、確定をしてないのに、そういうものを賃貸して提供し得るというようなことは可能なのかどうか、どうも大蔵当局はそういうことは不可能だということを言い切っておるという答弁なんですが、そこの御答弁は何らないのです。一体可能なのか、そういうことは不可能なのか、その点大蔵大臣一つ御説明を願いたい。
  49. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 技術的な点でございますから、私からお答えを申し上げます。ただいまのお尋ねの点は先ほど申し上げましたように、財政法、会計法の適用がございません。従いまして、公社総裁が広い権限を持っておりまして、もちろん予算の拘束あるいは国庫債務負担行為の制限はございます。しかしながらその範囲内におきましては、公社総裁の裁量によりまして処置をせられるというふうに相なっております。
  50. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 予算がきまって、予算範囲内の実施の問題であれば問題はないのです。予算も何もまだきまっていない、しかもそれを買うかどうか、あるいは借りるかどうかということも確定はしてないんです。そういう問題についてそういう自由裁量、自由実施の権限があるのかどうかという問題を聞いている。これは一つ大蔵大臣に……。
  51. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま事務当局から御説明をいたしましたように、総裁の裁量の問題であります。
  52. 中田吉雄

    中田吉雄君 たとえば昭和三十三年度政府関係機関予算という欄の局舎建設費というところに頭が出ておって、そういう際に弾力条項を適用して郵政大臣の、承認を経てやるというのならわかりますよ。そういうことが全然ないんだ。それは大蔵省にこの予算編成のときに持っていって、そして国会で承認を経た条項にはもうないんです。井上主査もはっきり言って、断じてあそこには建てない、おそらく建てるとすれば数年先のことです、太鼓判を押す、ということを主査がおとつい私に言っているわけであります。しかもこれは承認を経たと同じようなことをすでにやっておられるわけであります。一体こういうことがいいかどうか。あまりにも債務負担行為弾力条項等、あるいは勘定が膨大ですから、あまりにも拡張解釈といいますか、少しルーズになっているように思うのです。
  53. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 総裁の裁量の問題であることには変りはございません。しかしながらこうしてお話が出ております以上、十分私ども調べまして、よくこの処置も考えてみたいと思います。
  54. 中田吉雄

    中田吉雄君 総裁の裁量ではありますが、そういうことをやるのは、郵政大臣のやはり承認を得るように総則ではなっているわけであります。ですから私はこの点は、時間がありませんので、とにかくわれわれが聞くのは、この会社は事実上山下太郎氏が主宰してるのだ、その背後には賀屋興宣氏を始め、どのグループに属するか知りませんが、官界、政界、財界の背後勢力があり、建設業者すら、こういう本、それたことはそういう政治力なしには不可能だということをはっきり言っておるわけであります。とにかくその点を指摘して、この点は明日出された資料等ではっきりすればさらにやりますし、とにかく公共建物公社オンリーで、そうしてわが党を乱闘国会等で告発して、いろいろなことをやっている青木一男氏が中心になって、そうして資金計画、国家資金をいわば食い物にするような、ということは、われわれとしてはまことに許しがたい。はっきり建設省ではトンネル会社で、建設省としてはきわめて信用がないということを酷評いたしておるわけであります。これは責任ある当局が言っておるわけであります。  時間がありませんので、建築問題はその程度にしまして、もう一つ指摘し得ますことは、電電公社はなかなか膨大な事業公社ですが、さきに申しましたように、建設等では公共建物が最大の大口である、山下太郎氏と最も親心のある津田竜三氏の日本通達、協和建設、資材では、線材では住友、機材でも同じく住友系の日本電気に集中発注をいたしておるわけであります。たとえば三十二年、住友に対しては線材で十八億、同じく住友系の六十九億、もう他社をぬきんで、合計では九十億近い集中発注をいたしておるわけでありす。これは幸か不幸か電電公社の総難の出身地は、御出身は住友本社であり、日本電気であるわけであります。これは一体偶然の一致か、どういうことか、膨大な集中発注がいいかどうか、そうしてこの総裁が就任されるときに横田氏ですか、業界の出身者が総裁になられることはゆゆしいことだということを言って反対し、彼は大阪に冷飯を食って左遷されたことは間知の事実であります。このことが今や明らかにはっきりしているわけであります。どうしてこういうふうに山下太郎氏といい、津田氏の日本通建と協和建設、それから資材では住友日本電気に集中発注をなさねばならぬか、このことがやはり伝えられる政治献金、その他と深い関係があると思うわけであります。一体総裁の出身地だから、出身会社だからそうなったのか、あるいは特殊なことであるのか、そのことについてお伺いしたい。
  55. 梶井剛

    説明員梶井剛君) お答えします。一身上のことに言及されましたので一応申し上げます。  私は仰せの通り、住友本社におりました。また日本電気の社長をしておりました。しかし私はそういうことにつきましては、十分自分としても承知しておることでありますから、当初日本電信電話公社ができまして、そうしてその総裁になるようにお話がありましたときに、かたく御辞退を申し上げましたが、再三再四のお勧めをされましたが、私自身はさような業界にかっておったのであるから、従って私はそういう職務につくべきでないということをかたく信じておったわけであります。しかし何としましても、その当時電通大臣佐藤さんから、どうしても最初やってくれというお話がありまして、いかにお断りいたしましてもお断りができなかったために、できれば私は短期間だけお務めをしようとお答えして、公社総裁になったのであります。しかるに、それが今日までえんえんと長くなって参っておるということは、私自身としてもはなはだ心苦しいのでありまして、機会があれば辞任をたびたび申し出ておるのでありますけれども、いまだにお許しが得られないという実情であります。従って、ただいまのお話のように、住友関係会社に特に集中発注をするというようなことは当然私自身が慎まなければならぬ。さような事実は絶対にございません。またそれはむしろ私自身としては、そういう会社には他の会社よりもむしろつらく当るというような形にならざるを得ないのでありますしかし、ただいまお話のありました住友電機工業株式会社が幾ら幾らというお話でありまするけれども、住友電機、工業と古河電気工業とかはケーブルを製造する会社の中で最も大きな、最も優秀な技術を持っておりますから、この二つが大体同じような受注をしておることと思います。また日本電気株式会社は、これはその他の会社と違いまして、あらゆる通信機材を生産しておる会社であります。たとえば沖地気株式会社のごときは自動交換機とそうして電話機が主体になっておりまして、その他マイクロウェーブその他のものは作っておりません。そういう関係上、自然品物によってさような結果が生じたのでありまして、たとえば日動交換あるいは電話機のごときは、むしろ日本電機よりは沖電気の方がはるかに多く受注しておるのであります。これは電通省時代からいわゆる発注の割合というものが大体習慣的にきまっており、かつまた実際に会社の実力を調査いたしまして、そうしてこの会社がこういうものを生産するのに適する、またこういう会社が技術的に十分の能力を持っておる、資力も持っておる、機械設備も持っておるというようなことを全部調査いたしまして、発注の比率を資材局で作って、原案を幹部で協議してきめるのでありますから、私がさような出身であるがゆえに、さような処置をするということはとうていできない筋であります。またただいまは横田理事のお話が出ましたが、横田理事が、さようなことを言ったとは私は信じません。あるいはその他の人がさような宣伝をしたのかもしれませんが、もしお疑いであれば、横田理事にお聞きを願います。
  56. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は梶井総裁が清廉な人格、識見ともすぐれておるということは、あっちこっちで聞いています。しかし総裁はそうかもしりませんが、やはり総裁の意を迎えるというかそんたくするというか、私もこれだけの発言をするからには通産省に参りまして、関連産業の調査も十分いたしました。しかし何といっても、とにかく住友並びに住友糸の日本電気に九十億の集中発注が第一次五カ年計画を通じてなされておることは事実であります。それなら、特殊な技術と言われるが、共済組合資金の預託はどうですか。三十二年におきまして、出された資料で定期頭金が四億九千、貸付信託が四億二千五百万と、九億預託されているのは、住友だけであります。住友が特別荷い利子を出して、他の市中銀行に比べて特別な安全投資であるという証明がどこにありますか。さらにそれだけではなしに電話料金の公納銀行としても最もたくさん入るところが住友になっているのは一体特殊な技術と称することができますか。ですから私は、電気通信事業は今後ますます発展すると思います。そういう点からいきまして、関連産業を相当育成することが必要だと思いますが、こういうような実績を、業界の民主化をうたうと、直ちに左遷されないという保障はどこにもないので、これは非常に問題だと思うわけであります。とにかく共済組合積立金の預託でも、最も優遇されているのが住友銀行、住友信託であります。このことをもって見ても、高度な技術が要るマイクロウェーブとその他というような特殊性を主張するということは、全然理論的な根拠が薄弱であります。とにかく町間がもう参りましたので、私は申し上げませんが、決して梶井総裁にやめて下さいとは申しません。信任を受けてやっておられるのですから、御健在でますますやっていただきたいと思いますが、とにかく五年間に四千五億という膨大な資金計画を持ち、私は国鉄のようなことになることをおそれるわけであります。公社がいい家風を作って、清潔な運営をやっていただくことを、私は電電公社当局に一ぺん言っておくことが大切だと存ずるわけであります。それで無電話部落を解消してくれという問題で言っただけでありまして、全然事業会社にも関係ありません。そういう点から私はやはりそういうことを十分戒心されて、特に私は公共建物についてはその背後官界、財界その他の関係、それはもう建設会社でそういう条件なら幾らでもやるところはざらにあるのです。清水だろうが鹿島だろうが大林だろうが竹山だろうが、私の聞いたところは、そういう条件ならやるという会社は幾らでもあるのです。競争入札にして私はやられるべきではないかと、こういうふうに思うわけであります。  なお、時間がありませんので申し上げませんが、伝えられるところによると、日本電気、東洋電機通その他数社から、かなりの政治献金をなされたといういろいろなことが私のところには入っております。名前のはっきりした人もおります。従って私は、今国会は時間がありませんのでこの程度にして、予算の効率的な使用公社運営の厳正を御期待申し上げて終りたいと思いますが、米国会におきまして続きを私はやって、本格的にこの問題と取り組んでいきたいと思うわけであります。  なお、これから不況の問題に入りたいと思うのですが、時間がありませんので簡単に質問したいと思います。高碕通産大臣はオープン・アカウントの問題、輸出代金の延べ払いの問題等を最近うたわれております。東洋経済新報の最近号は、延べ払い大臣、マーチャントとしてはいいかもしれませんが、ステーツマン通産大臣としては問題だということを指摘しているわけであります。私はオープン制度を取り上げる前に、日本を取り巻く内外の経済情勢を検討され、経済計画等との関連で検討され、そうして輸出振興の総合対策の一環として打ち出されるような仕方をされるべきだと思うのですが、そういうことは不問に付されて、いきなり延べ払いとオープン・アカウント制度の創設を通産省が強く主張されることの理由がわからぬのであります。私は政策の貧困をこれほど物語っているものはないのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  57. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お説のごとく、延べ払いなりオープン・アカウントというものは、これは正常な経済のもとにおきましてはとるべき策でないということは固く信じております。しかし御承知のごとく、今日日本の経済を正そう発展せしめるためには、輸出を振興するということが第一義であると私は信じております。このときに際会いたしまして、世界の経済の大勢を見ますというと、どの国にもドルあるいは硬貨が偏在しているということも事実であります。しかるに一方におきましては、外貨は持っていない、ドル貨は持っていないけれども、未開発の天然資源をたくさん持っているところがある、そういうところに向いましては、日本経済の許す範囲におきまして、これに対する延べ払いなり、あるいはオープン・アカウントというものもすでに既存の事実もあるわけでありますから、この方につきましても十分検討いたしたいと、こう存ずるわけでありますが、要は延べ払いなりあるいはオープン・アカウントについて焦げつきが起るということが最もおそれるべき点だと思いますから、その点は川手国の政情、相手国の経済状態等を十分検討いたしまして、これを実行することが必要だと思います。しかしながら冒頭おっしゃったごとく、これを実行いたしますにつきましては、世界経済の全体をよく検討いたしますと同町に、また日本の経済の負担力はどの辺にあるかということもよく検討いたしまして、その点を総合的に検討した上で実行いたしたいと存じております。
  58. 中田吉雄

    中田吉雄君 この問題は実は前国会でもうオープン・アカウントは終止符を打たれているはずであります。所管の佐藤大蔵大臣から政府の統一的なこれに対する見解をまずお伺いし、そしてオープン・アカウント地域の焦げつきの現状を一つ承わりたい。
  59. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま中田さんのお話のように、オープン・アカウントについては、大体議論は終了いたしております。ただいま通産大臣からお話のありましたごとも、これは御承知のように、最近輸出振興ということを特に申しておりますが、ひとりわが国だけではないのでありまして、世界各国とも貿易についての競争はまことに激甚でございます。その意味において、相手国に対して有利な条件を次々に考案しておるような次第であります。従いましてわが国の貿易を増大するという上におきましても、危険を伴わない範囲において各国との貿易競争、輸出競争に遅れをとらないような処置を講じたいという気持は、これはひとり通産大臣だけではなく、政府全体としてそういう考えのあることは、この際申し上げて差しかえないと思います。  そこで問題はオープン・アカウントの問題でございますが、このオープン・アカウントを行うことによって、焦げつき債椎ができるとか、あるいは不当に荷い品物を買わされたとか、こういうようなこと、いわゆる日本経済の健全な発達の上からいきまして、遺憾な結果を招来するようなことについては、私どもも避けなきゃならない、かように考えておるのであります。本来から申せば、オープン・アカウントは正常な貿易状況ではない。これはもう御指摘の通りであります。しかしただいま申し上げるように、世界経済の情勢は各国とも激甚な輸出競争をしている。そこで相手国に対しましていろいろ緩和した条件等を提供している。この間におきましては、わが国におきましても相当工夫を要する問題であり、このことを通産大臣も申された、また政府としてもそういう意味で意見は統一されておると思います。  そこで、今日まで日本がオープン・アカウントで貿易をいたしております国はただいま六カ国だけあるのであります。この六カ国はブラジル、中国、エジプト、ギリシャ、韓国、トルコ、この六ヵ国でございます。そこでただいまお話しにございました勘定の面で貸し越し残高がどうなっておるかということであります。中国に対しましては千六百四万ドルでございます。それからエジプトは四百三十万ドル、端数はありますが、これは省略いたします。韓国は四千六百三十三万ドル、アルゼンチン、これはただいまはもうすでにオープンではございませんが、従来の焦げつきの関係で九カ年間に支払う約火になっておる、その残高がただいま四百九十万ドル、以上四カ国でございます。で、中国——台湾、中国に対しましては、スイング一千万ドルでありますので、金額といたしましては、た、だいま僅か超過いたしておるだけでございます。で、最近この方は輸入も相当進んで参りまして、かって昨年の十一月時分には三千万ドルをこしていたのでございますが、ただいま申し上げたように、金額は激減、三分の一に変わって参っておりまして、スイングの超過額の焼金払いについて両国間で交渉中でございます。エジプトは当方にスイング条項はないのでございますが、これは最近の貿易状況から見まして、この金額は減少する見込みでございます。本年の六月の二十日にはすでに百七十四万ドルに減じております。また韓国に対しましては、この金額は相当古いものでございます。これは二十九年以来残っている金でございますが、三十年二月以降韓国におきましては、輸入権制度という——輸出をしたものに対して輸入の権利を与える制度を設けたのでございますので、その後は金額はふえておらない、横ばいの状況でございます。アルゼンチンはただいま申し上げますように、すでに両国の間に話し合いができまして、西欧諸国同様、今後九カ年の年賦払いということで大体将来の見通しも立っている次第でございます。
  60. 中田吉雄

    中田吉雄君 もちろんインドネシアの焦げつきを含めて、一時三億ドルもオープン・アカウント地域の焦げつきがあったということだけで、あつものにこりて、貿易振興になるのになますを吹くようなことをしては私はいけないと思うわけであります。しかしいろいろ検討してみて、あとでこのオープン制度の功罪についてはもう少し大蔵大臣にお尋ねしたいと思いますが、私は日本の輸出振興で最も重要な問題は、対米片貿易の是正をやらずして、オープン・アカウントあるいは円借款その他をやることは、日本の対米隷属外交貿易政策の失敗を国に肩がわりして救済するようなことになるおそれがあると思うわけであります。特に三十一年三十二年を比較しまして、対米片貿易の度合いが、非常にアン・バランスの度合いが強くなっていると思うのですが、一体三十一年、三十二年の対米貿易のバランス・シートはどうなっていますか。
  61. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 詳細な数字は今私手元にありませんが、大体におきまして片貿易の度合いが増加しつつあることは事実でございます。今日におきましては、かれこれ六億ドルの輸入超過になっているということは事実でございます。これはどうしても是正するということの考えでおることはもちろんでありますが、しかしこの輸入は相手国をどちらに切りかえるかということが問題でございまして、それは通産省といたしましていろいろ検討いたしておりますが、なかなか切りかえることが困難な状態にあるわけなんであります。しかしながら多少高くても日本の物を買ってくれる相手方からこれを買うということにすれば多少切りかえができるだろう、こう存じておるわけでありますが、これにはやはり最恵国条約のきずなもあるわけでありますから、そういうふうな点から考えまして、にわかにオーブン・アカウントを変えるということもまた困っているというような現状でございます。
  62. 中田吉雄

    中田吉雄君 この数子をはっきり。私は、三十一年よりか三十二年は十億ドルぐらいもアン・バランスになっておるじゃないかと思うのですが、どうなんでしょうか。
  63. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 一九五七年のバランスは、ただいま御指摘のように、十億二千百二十四万ドルということになっております。
  64. 中田吉雄

    中田吉雄君 輸出入をちょっと言って下さい。
  65. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは、一九五六年を申しましょう。一九五六年は、輸入十億六千四百十二万一千ドル、輸出五億四千百十二万一千ドル、バランスは五億二千三百万、それから一九五七年は、輸入十六億一千七百九十三万六千、輸出五億九千六百五十九万一千ドル、バランスは十億二千百三十四万五千ドル、これはちょっと御説明申し上げなければならないかと思いまするのは、この一九五七年の輸入の非常に多かった、これは御承知のように、特に輸入が旺盛でありまして、そのために昨年緊急措置をとった、そういう異常輸入の状況であった、この点を御指摘いたしたいのであります。昨年は、ただいま申すように、千億ドル以上の輸入超過でございますが、この点は、最近の数字はだんだん変って参っております。ただいま通産大臣が言われますように、五、六億というところが通常の貿易年度の姿である、かように御理解をいただきたいと思います。(「今年の今までの実績」と呼ぶ者あり)
  66. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 数字でございますから、私から申し上げます。最近のアメリカに対する輸出でございますが、これは一月から四月までの合計でございますが、これは、アメリカに対しまして一億七百万ドル輸出、それから輸入が二億六千八百万ドル、これは一月から四月までの累計でございます。バランスといたしましてはマイナスの六千百九十万という数字が出ております。
  67. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは、私も大蔵省の通関統計をきのう写したのです、日曜ですが。ちょっとそれは違うのですがね。まあそれはいいです。それはいいとして、傾向としまして、通産大臣、昨年は十億ドルですよ。特殊な事情もございましょう。特需が五億ドルあるとしましても五億ドルです。特需をのけても五億ドルのアン・バランスをほっておいて、オープン・アカウントの創設や、そういうことに日本の貿易振興を求めることは、基本的な問題として、これはやはり国民の信任を受けられた第二次洋内閣としては、対米貿易のアン・バランスの調整ということをされなくては、日本の貿易振興は、結局国が肩がわりして救済するような措置しか、あるいは国内の景気を押えるか何かの措置以外にはないと思うわけであります。そういう点で、私は、やはり経済外交としても最も重要だと思うのですが、藤山外相も渡米されるやに聞きますし、通産大臣、外務大臣として、この対米貿易のアン・バランスの是正ということに対する御見解を承わりたい。
  68. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 昨年のバランスは実に十億になっておったということはまことに重大な問題だと存じますが、これはテンポラリーの問題でありまして、大体バランスは五億ドル前後の輸入超過になっておると思うのであります。三十三年度におきましては、大体バランスはやはり五億ドル程度にならんとしつつあるわけであります。昨年は異常でございまして、輸出の方は、三十三年度におきましても、対米輸出は、昨年の五億九千六百万ドルに対しまして、これは六億五千万ドルぐらい予想として出ておりますが、さらに、アメリカから輸入するものを減すということよりも、アメに対しての輸出、対米国の輸出を増進するということがお説のごとく最も急務でありまして、通産省といたしましても、この輸出増進につきましては、いろいろな方法について検討し、また実行に移さんとしている次第であります。
  69. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 対米貿易のアン・バランスの是正ということは、外務省としても、当然最も重要に考えてやって参らなければならないのであります。従いまして、アメリカに対して日本から輸出を十分円滑にして、そうして輸出量を増大するということ、このことが日本貿易全体の拡大の上からも必要なんでありまして、やらなければならぬことだと思っております。従いまして、ワシントン政府に対して、常時私どもそういう日本の実情について説明いたしております。さらに、日本の対米輸出は中小企業の製品が主でありますから、日本の全体の貿易バランスばかりでなく、中小企業者の生活問題にもつながっておりますので、それらの実情等についても十分アメリカに説明をいたしまして、政府はもちろん、民間有識者の間でもその認識を高めてもらわなければならぬと思っております。また、起ります問題等につきましても、これは問題が起りましたときに取り上げるだけで、なく、常時からやはり問題の所在を探しまして、そうしてそういう問題が今日のように、次から次に起って参りますので、やはり将来を見通しながら、できるだけそれに対処もして参らなければならぬと思います。また、問題が起りました際には、若干の予算も最近はいただきましたので、また議会の公聴会等に参りますときは、弁護士あるいは専門家を雇って、そうして日本の輸出一商品の十分な説明をいたして参らなければならぬと思っております。なお、外務省といたしましては、市場調査その他の問題についても、十分できるだけの努力をいたしまして、そうして通産行政の上に参考になるようにやって参らなければならぬのであります。私ども経済外交を担当しておりまして、やはり一本品の性質がだんだん高級品に変っていく状況、また、そういうものであれば、輸出力が出てくるというような何もあります。また、そういう点について十分な資料を集めまして通産当局にも出さなければなりませんし、また、外交をやっておりまして感じますことは、先ほど通産大臣も言われました輸入仕入地の変更ということが、これは対米外交ばかりでなく、対東南アジアその他を考えてみましても、同じような生産物を出している国があるわけであります。それらに適当に、やはり、府内需要、品質の関係もございます。あるいは現在の国内の設備の関係もございまして、いろいろ困難はあろうかと思いますけれども、それらに対して十分留意していただく、また原料等の関係によっては将来のことも考えて、国内設備等の改善もはかっていきたいということによって、原料輸入地の変更というような問題も必要かと思いますので、それらについてもできるだけ通産省、あるいは農林御当局等に十分説明をし、資料をあげなければならぬと思っております。  そういうようなことで、全体として輸出貿易の振興という問題、特に対米貿易の問題については、十分に努力をいたして参るつもりでございます。
  70. 中田吉雄

    中田吉雄君 今年の一月からは、明らかにアンバランスが調整されることはけっこうですが、とにかく正常でも、五億。私は、何よりも岸内閣とされては、総力をあげて、まず、対米貿易の是正をやられることが、オープン・アカウントの前に。それは手ごろな問題から解決されることも大切でしょうが、そういうふうに思うわけであります。  もう一つ、共産圏貿易の問題であります。これは、私の党の吉田委員が、明日これだけを質問されるので、申し上げませんが、ニューヨーク・タイムスによりましても、共産圏諸国は、面積で三割、人口で三割八分五厘、この膨大な面積、資源、人口を持つ、しかも計画経済をやっておるから景気変動に対して非常に安定しておる、この市場をネグレクトして世界経済の安定はない。ウォルター・リップマンのごときも、先日もそういう論文を発表しておりますが、やはり私は、アメリカ貿易の是正とともに、人口の三割八分五厘、面積の三割という膨大な共産圏との置場も、本格的に検討してみられる必要があるのではないかと思いますがいかがですか。
  71. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お説のごとく、対中共との問題につきましては、地理的関係から申し上げましても、わがとしては非常に重大なるファクターを持っておる貿易の相手国であります。過去におきましてもすでに六十万ドルの輸出をし、本年度におきましても一億ドルの輸出をせんとしておったようなわけであります。非常な重要性を持っておりますが、ただ、戦争前に日本が中国との貿易関係があった、あれくらいの大きな期待をすることは、これは無理だろうと存じておりますが、しかしながら非常な大きなファクターがあるものと存じまして、十分な検討を加え、一日も早くこの間との国交が正常化いたしまして、貿易ができるように期待いたしておる次第でございます。
  72. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 中田君、時間が参っておりますから……。
  73. 中田吉雄

    中田吉雄君 そこで、通産大臣に伺って、あと三木長官に少し尋ねたいと思いますが、オープン・アカウントですね、これはなるほどオーブン・アカウントは一種の延べ払いですから一割くらい高くなって参ります。焦げついても国が持ってくれる。それから今の通産省の機構からすれば、私はオープン制度を、あちらが輸入信用状等を乱発したりすると、これはもうアルゼンチン、インドネシアの例を見ましても、商社と結託したのではない、善意であったのでしょうが、防ぐことは、今の官僚機構としては、少くとも業者の意向をくむに非常に厚い通産百僚をもってしては、オープン制度の持つ、この欠点を是正することはできない。大蔵省の為替局を中心にして、過去の前科からしても私は防ぎ得ないと思います。その点を心配します。そしてたとえばブラジル等でやられると、必要もないコーヒーをまたたくさん興ったりしなくちゃならぬでしょうし、私は、あまり効果がないと思うんですが、もう終止符は打たれているように思いますが、まだ御執念ですか。
  74. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 御説は私はもっともと存じますが、しからばオープン・アカウントによっての焦げつきを防止することができないか、こういう問題でありますが、これは輸入の先行きを必ずやらせる。これは現在ブラジルと話をせんとしつつあるのでありますが、先に向うから物を取ってしまう。その範囲におきまして、日本が輸出するということをやれば、これは防げると思います。  第二には、現存韓国でやっておりますように、そのもの自身についてバーターをはっきりする。これだけのものを買ってくれれば、これだけのものを売るということをほんとうに実行していけば、これは私は防けると思います。  もう一つは、少し手きびしいでしょうけれども、ある一つのスイングがあれば、そのスイングを超過したら、これは輸出を停止する。輸出免許を取り消すということの措置をとっていけば、これは防止できる思いますが、それは十分努力したいと思います。過去におきまして焦げつきがあったこの経験をもって、再びこれを繰り返さないようにすれば、私はできると思います。
  75. 中田吉雄

    中田吉雄君 それでは三木長官に少しお尋ねしますが、政府はたな上げ資金関係法案の通過を非常に急いでおられる。そうして最近国内の有効需要を促進するような手を打った気配もない。われわれはアメリカを中心とする世界景気の後退等から見、またわが国経済の特異体質と申しますか、そうこれ以上外貨保有を第一にして、それだけで押し切るということは、外貨保有を十分従前のように回復するということだけでいいかどうか。世界景気の見通しと関連し、私は先ほど申しましたような日本の経済の特異体質等からして、景気の自動回復は困難である。やはりここ当分の間、十分な検討をされて、やはり過剰投資にならぬように、わが国の中小企業、農業等、おくれた分野の二重構造を是正するとかいう経済の根本にさかのぼったこの対策を立てられる必要があるのではないか。三木長官は景気の自動回復を待っていいか。われわれは時間がありませんので、その論証はいたしませんが、なかなか困難じゃないか。景気のオートマチックな回復に待つことは困難ではないかと思いますが、いかがですか。
  76. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) お答えをいたしますが、国際収支の黒字の範囲内において有効需要を喚起する必要がある場合にはやるべきであります。ただ政府は、御承知のように、行き過ぎた日本の経済一つの調整期に入っている。在庫あるいは生産、そういう面においてこれを是正することが、日本の経済の健全な姿に返ることが必要である。そのために、御承知のように、一月ごろから作庫の調整、在庫の整備、生産の調整が始まって、大体今日においては、出荷などにおいては生産を上回るような傾向も出てきておる。しかしものによっては九月ごろまでもかかりましょう。産業自体によっていろいろ事情が違いますから、そこで、やはり需要と生産というものとがある程度均衡のとれるような状態が出てくるのではないか。ものによっては七月、あるいは九月、多少のこれは時期的なズレもありましょうが、そういうふうな見通しも持っておりますから、この際は、こういう調整期において、有効需要を興起するような方法をとって、日本経済のアク抜けと申しますか、そういう状態を人為的におくらすことはよくない。もう少しその状態を眺めて、必要があったならば、お説の通り、有効需要を喚起する政策を取ることも当然であります。取っていきたい。ただ人為的ということでございますが、その間において政府は拱手傍観するのではない。輸出の増進などに対しては、あらゆる——今対米に対していろいろ御指摘になったような、アメリカとの輸出入の不均衡を、これは準正していかなければならぬ。そういうあらゆる手を打って、輸出の増進策も講じていきたい。また国内においても、今申したよろな景気の動向も政府は観察もして、適宜に措置を誤らないようにしていきたい。こういうことで、ただ景気をそのままに放置しておいて、世の中の、世界景気が直ってくるのを待つのだということではありません。それでは政府の使命は果せないわけでありますから、今言ったような適切な景気対策というものは、しょっちゅう考えておるのだが、今はその時期でない。ことにまた世界景気の動向に対しても、アメリカ等に対して、IMFの出資を増加すべきである、このままでいけば世界の貿易は縮小均衡の方向になっていることは、自由世界の団結のためにも好ましくないということが大きな問題になっている。また第二世界銀行の構想も止まれてきて、世界の後進国の一つの政策というものに対するコマーシャルベースのまねではだめだ、もっと輸出条件を緩和したような、それが第二世界銀行の構想にも出ておることは、御承知の通りであります。だかへ世界景気も、今日の資本主義か、やはりてこ入れをすることをおぼえたところに、新しい資本主義があると思う。そういうことで、やはり世界においても、このままでいけば、世界のこの経済が縮小均衡の方向になる、これはやはり全体のいろいろ国際政治の面かへいっても好ましいものではない。何らかのてこ入れをすべきだという世界的な世論が行われているわけで、われわれ日本としても、当然に日本直接の利益はともかくとして、世界の拡大均衡にいかなければ、人口が増加していく世界経済、この方向から見ても、これはやっていけるわけではないのでありますから、われわれも、そういう世界の世論は大歓迎であります、そういうことが実現されることに、日本は日本の外交を通じて促進しなければならない。こういうふうに、ただ経済の怖れをじっと見ているのではなくして、内外ともに政府は周到な準備を持ちたがら、そして景気をこれ以上進めない責任と努力を政府は取りたい。
  77. 中田吉雄

    中田吉雄君 経企庁長官のところから出しておられる経済月報の在庫調整等を見ましても、製品在庫の指教なんかを見ましても、あるいは鉱工生産の指数等を検討しても、貿易にそう期待することも困難である。在庫調整だけに待って、オートマチックなアシャストメントだけに期待することは私は下さぬと思う。それは政府としても検討される必要があろうと思うから、私は臨時国会等においては、やはりそういう不必要な消費景気の進行をお訴え守るわけではないのですが、やはり通行の措置をとらるべきだと思うのですが大蔵大臣、これはいかがでしょうか。特に経済基盤確立の強化資金の担当大臣としていかがでしょう。
  78. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど経済企画庁長官がお話した通り考え方をいたしております。
  79. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 関連して。何か企画庁長官のお話だと、非常にやってるのだ、無為ではないのだという、しかも縮小均衡を非常に警戒をしなければならないし、絶対に縮小均衡にもっていってはならないのだということを強調された。まことにその通りだと思うのですが、すでに日本経済は明瞭に縮小均衡に入ってるのです。それをまずはっきり認識をされることが必要だと思う。非常にごまかしておられるけれども、生産の面からいっても、あるいは貿易の面からいっても、縮小均衡に入ってることは明瞭なんです、すでに。しかもその縮小均衡が本年度中に今のままでいくならば、自動的に是正をされるという見込みは全然ない。それならばあなたが今強調されたように、拡大均衡の諸方策をもうやらなければならない時期なんです。たとえばこの輸出入から見ても、あなた方は、まだもう少し事態を見たいと言っておられるけれども、今のままならば三十一億五千万ドルというものは絶対に実現不可能だということも、これも常識になっておる。二十八億ドルか二十九億ドルか知りませんが、縮小することは明瞭なんです。しかもその縮小の場合に一番われわれがおそれなければならないことは、輸入が予想以上に非常に低いという点、そこであなた方は、よく国際収支の均衡を見て、それの許す範囲においてとおっしゃるが、今のままでいけば、三十億ドル、二十九億ドルなり二十八億千万ドルの輸出のときでも、国際収支は一億五千万ドル以上黒字になることは、明瞭なんです。しかもあなた方のおっしゃるように、輸出がもっと伸びるとすれば、国際収支は、あなたが予定をしておられる一億五千万ドルを簡単にオーバーしてしまうことは、もう今でもはっきりしておる。それならば国際収支の範囲においてという一億五千万ドルをめどにして、今からもっと大胆率直に積極的な施薬がなされ得るし、なされなければならない。それをあなた方は、そういうことをすることは、安易な景気政策であるというような宣伝をやって、しかも金融資本家その他のあの呼び声に追随をして、銀行協会その他では安易な刺激政策は取らないのだという、安易なということでごまかして事態の真相を見ようとしていない。もう少し事態の真相をはっきり見て、安易な、無為な政策を取るのでなくて、ここに勇敢に積極的な政策を取らなければならない、直ちに取らなければならないもう段階にきておる。そういうふうにお考えにならないのかどうか。国際収支の範囲内における縮小均衡をどうお考えになっておるか、その点の明瞭な御答弁を願いたいと思います。
  80. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) その点では社会党の諸君と政府の見解は異にしておる。それは何かといえば、これは一つ昭和三十一年以来行き過ぎの日本経済、これが調整期に入っておるわけでありますから、どうしても在庫はノーマルな状態に返り、小産と需要というものがマッチするような状態に持っていくことが必要なんです。その整理期をここで有効需要を喚起して不徹底な状態に置くことが、長い日本経済の発展のためには好ましくないのだ、政府は必要があったら、それは今申したように、日本の景気をある程度の水準を維持することは政府の責任でありますからやるのだけれども、現在においてやることは、将来の長い目で見れば、日本経済のためによくないのだ、今は調整期でありますから、日本の経済というものがいろいろな統計の面において、これは非常に水準が低くなっていくことはやむを得ない。しかしそれがノーマルな状態に、私は先ほど申したように、あるいはものによれは七月とか九月とか、時期はずれるけれども、その状態になってくる、大体ノーマルな状態になるのではないか。現在は、調整期はある程度やむを得ない、そういうことでありますから、その後において政府としては適宜な政策を考えるべきであって、今調整の過程でやるべきではない。しかも将来においては、今申したように、いろいろな世界の景気の面においても人為的ないろいろな世界の世論も起っておるでしょうし、そういう世界の景気の動きを待つのではなくして、日本自身としても輸出の振興に対しても努力をするし、下半期になりますと、御承知のように有効需要の面においても、消費水準というものはやはり二・一%ですか、三、四月と比校しても上っておる、ある程度消費面において底固いものがある、そういうことで、あるいは財政の面においても下期の方の支出が多いことは御承知の通り、あるいは輸出の面においても、例年やはり下期の方の輸出が多いと、こういうことで、必ずしも先の日本の有効需要というものが次第に落ち込んでいくのだというふうには考えていない。そこで今申しましたように、現在の調整期においては、そういう鉱工業生産その他の面において水準が低くなっていくことはやむを得ないのだと思う。しかしその間多少の調整川の時間を経て、日本経済の発展をはかりたいのだと、しかもその間に政府は、経済の動向をにらんで、必要があったならば適切な処置をとっていきたい、こういう考え方でありまして、今すぐ何らかの有効需要を喚起せよという社会党の所論には政府は賛成いたしておらないのであります。
  81. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 問題は有効需要の問題ですが、有効需要の見方について個人消費はなるほどあなたのおっしゃる通りに底固いものがある。しかしこれも最近のデパートの売れゆきその他から見て、決してこれが急激に上るというようなことは考えられない。少くとも物価が上昇に転じない限りは、そういう信頼を置いていいと思う。しかも物価の見通しは、あなたがよく御存じの通りに、今のところは上昇というよりも弱含みの推移。そうならば個人消費がにわかに大きくなるという心配をなさる必要はない。問題は、それではさらに投資需要がどうなるかということと、輸出がどうなるかという問題、しかしその輸出も今までにるる説明いたされているように、あなた方の考え通りの三十一億何がしというものはほとんど絶対と言っていいくらいに不可能な状態に置かれておる。それならば投資需要はどうかといえば、投資需要もこれまたあなたがむしろよく御存じの通りに、これから急激に減っていく傾向にあると思う。今までは継続工事その他がなされていたから表だ相当強いものがあるかもしれないけれども、これからは相当急激に減ると考えなければならない。そうであるならば、需要喚起という問題を今から具体的に積極的にお考えにならなければならない。しかも国際収支のしりの問題は、今申し上げたようにむしろ縮小均衡、しかも輸入が非常に減っているということに大きな問題がある。この対策をむしろ今は考え、なければならない問題でもある。それならば、国際収支にあまり影響を及ぼさないで、しかも有効需要を喚起する方法を、財政支出その他の面として今は考えなければならない。あなた方は非常にお得意の心路あるいは港湾等のことを考えておられる。それならばそれをもっと積極的に財政支出を考えるということを今からお考えにならなければならない時期なんだ、事実認識において。われわれのその認識は、何も社会党の独自の認識ではなく、て、むしろあなた方の御発表になっておる数字をたんねんに、ごまかしなく判断をすれ、ばそういうことが出てくると思う。それならば、そこから出さるべき政策はおのずから明瞭なんだ。それをやられないのは、かつてわれわれが前の、去年の国会のときに、非常に危険だからあの過剰な歳出の問題を考えられたらどうだ。交えられたらどうだと言ったときに、無理に、強引に押し切ってしまって、そして国会が済んでしまったら急激に縮小の方へ持っていかれた。そのために非常な混乱をやった。今度も同じことをやられる意図としか思えない。そういう政略的な考え方でなしに、社会党がこう言うからそれに追随するのはどうもみっともないから、というようなけちな考え方ではなくて、もっと大所高所からわが党の正確な判断と方策を取り上げてやられることが、今絶対必要だ。それをどう考えるか。
  82. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 社会党の提案だろうが、いいことはこれは拝借をいたしましてやることはやぶさかでない。何でもそういうことはやっておるわけであります。しかしこの問題については、やはりよほど考え方が違っておると思うのは、ある程度日本経済というものはアジャストメントしなくてそれを中途半端で終ることが将来の日本経済のために好ましくないのではないか。今お説によると、たな上げ資金なんかも今使ってしまえ、こういうお話でありますが、そういうふうには事態を考えない。このアジャストメントの基間も、これもそう長い期間ではないのでありますから、数ヵ月のこのアジャストメントの期間を終れば、その後の、たとえば公定歩合の引き下げなどによる企業金融側の反応、企業努力によって輸出の伸び、こういうもの、あるいは世界景気の動向などもにらみ合して、政府はあやまちなき経済政策をやりたい。じっとしておるのではない、今すぐやらないのであります。それだけの違いであることを御了承願いたいと思います。
  83. 泉山三六

    委員長泉山三六君) これにて午後二時まで休憩をいたします。    午後一時六分休憩    ————・————    午後二時二十九分開会
  84. 泉山三六

    委員長泉山三六君) これより委員会を再会いたします。午前に引き続き、質疑を続行いたします。
  85. 千田正

    ○千田正君 私はきわめて短い時間でお尋ねいたしますので、重点的にお伺いいたしますから、御誠意のある御答弁をいただきたいと思います。  一つは、先般の選挙におきまして、岸総理は選挙に当りましては十分に公明選挙でいく、しかも、選挙に対するところの違反者等に対しては厳重に処分し取り締る、こういうことを声明されたのでありまするが、このたびの選挙に際しまして、政府の発表をいたしておりますところの法定費用が平均七十万円程度である。ところが、自民党におきまして公認されました候補者に対しては、公認の応援費用として一人当り百万円を出すというようなことが新聞に載っており、実際においてあるいは百万円を公認候補者に対して自民党本部から出されたかどうかわかりませんけれども、そう新聞には報じられてあったのであります。ところが、法定費用が全国平均一人当りが七十万円、自民党から出すところの公認された候補者に対しては、費用として百万円、こうなるというと、少くとも法定費用を上回った金を、自民党としては一運動費として本部みずから出したということになりますが総理大臣といたしましては、それはあなたが国民に公表された公明選挙という問題からいうというと、実際においては法定費用を上回った、いわゆる選挙運動がなされたのじゃないかと、こういうふうにもわれわれはとられるのであります。今日において選挙違反者が一万件をこえる数に上っておる。こういう問題につきましては、どういうふうにあなたはお考えになって、また選挙の違反者に対しては、どういう処罰をなされていくか、この点について御所信を承わっておきたい。
  86. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私はかねがね、民主政治を明るくきれいなものにしていくのには、そのもとである選挙を公明ならしめ、選挙に、本来多額の金の要らないような選挙制度を考えていかなきゃならない。金がかからないと同時に、あくまでも選挙運動が公明な方法によってやられるということが、民主政治の源をきれいにするゆえんであって、ぜひやらなきやならないということを念願をいたして参っておるものであります。しかるに、現実の選挙の姿が、それではそう理想通りいってるかというと、残念ながら、私は私の考えておるものから見るというと、なお遠いものがあると思うのであります。この公明選挙を徹底するにつきましては、やはり平素から公明選挙というものを十分に徹底し、国民全体が選挙に対する認識なり、あるいは選挙に対する態度というものを、平素から十分に一つ宣伝啓蒙し、国民の協力を求めていく必要が一面においてあると同時に、一面におきましては、政党におきまして、この公明選挙を徹底するような方法をとっていく必要がある。しこうして遺憾ながらその選挙の法規その他に違反して、いわゆる選挙違反を生ずるような者があれば、これは将来の選挙を粛正し、公明ならしめる途上の犠牲としてやむを得ないから、これに対しては峻厳な方法で臨んで、そして将来に対する十分な戒めとしたいと、こういう心がまえで実は選挙というものに対して臨んでもおりますし、また、将来も臨んでいきたいと思います。  なお、お尋ねになりました政党の公認料という問題につきましても、これはいろんな考え方があると思うのです。考えようによっては、公認料を公認してもらう人から出してもらって、そうして公認をすべきであるという考え方も私は成り立つと思うのです。しかし、従来におきましては、これはやはり選挙において十分な有効な選挙方法を通じて選挙に立つという意味におきまして、ある程度の公認料を出すという習慣もございます。従いまして、その額等につきましても、これはいろんな見方がありましよう、法定費用というものも御承知の通り選挙区によっても違いますし、選挙に臨む人のいろいろ平素からの力というようなものもありまして、いろんな見方があると思います。もちろん、選挙は法規によりまして、法定の費用において法定の運動というものをやらなければならぬことは言うを待たないのであります。しかし、今日の選挙法においては、法定費用として掲げられている中に包含さしていいものと、本来やはり選挙運動に関連して政党に要る費用というものがことごとく入っておらない部門もあると思う。たとえば運動用の自動車の費用というものは、たしかに入っておらないと思います。そういう点もありますので、必ずしも公認料が法定選挙費用の範囲でなければならないとか、金など渡してはならぬとかいうようなことは、これは私実際問題としては言えないと思います。いかなる意味においても、先ほど申しましたように選挙を公明ならしめる、また、選挙そのものに掲げられておるところの選挙運動の内容というものが、それぞれ定められておる法定費用のうちでやらなければならないという建前を私はくずすという考えは、毛頭持っておらないということだけを申し上げます。
  87. 千田正

    ○千田正君 この問題は、とにかく明朗な選挙を推進する意味からいいましても、十分に趣旨の徹底するような行き方をやっていただきたいと思います。  次に、昨日の新聞に報じておりまするが、アメリカの政府が三十九億四千二百万ドルを対外援助支出権限の一部として出されるということを報告しておりますが、そのうちに日本の援助資金が相当の額、昨年よりずっと上回った額を対日援助資金として出すということを報じております。しかも、それは防衛対策に関する援助資金である、こういうことを報じておりますが、大体日本の政府としましては、このアメリカの政府の三十九億四千二百万ドルのうちの、どれくらいが日本政府が援助資金を得られるのか、また、援助資金の内容であるところの防衛対策の軍事費というものに対する内容が、一体何を重点にして、昨年より増額されておるのか、この点を伺っておきたいと思います。
  88. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御承知のように、アメリカの対外援助資金は、ただいま。議会にかかっております。その中で、いわゆる経済援助あるいは軍平援助になっておりますものについては、ただいま議会では上下両院で、それぞれ政府と違った意見を持っておるようでありまして、政府は三十七億幾らを出しておりますが、多分下院は二十九億ドル、上院がちょっとそれと二千万ドルくらい違った数字かと思います。上下両院の合同協議会でもって意見が合いませんで、さらに下院に回付されておるように思いますが、従いまして軍事援助そのものの内容については、何も決定しておらぬと思います。なお、軍事援助の関係のアメリカ議会の政府の公聴会、政府の人が出ましてやる……、これにつきましては、秘密会になっておりまして、政府がどういう証言をしたかはっきりしません。最後的には秘密会でありますけれども、ある程度要約したものが出てくることになりますので、新聞紙上等でただいまお話しのような日本の対外援助が増額されるということが電報で打ってきておりますけれども、そういう意味において、上下両院が具体的に公聴会の内容等も発表いたしておりませんので、私どもとしては、そういう事実についてはっきりした数字的なことを申し上げる段階にないのであります。
  89. 千田正

    ○千田正君 岸内閣が大体成立されてから、岸首相もたびたび所見を表明されておるように、おそらく外交面においては、経済外交を主体として進まれると思うのでありますが、最近におけるところのアメリカの状況は、われわれが憶測したばかりでも、容易ならない状況に経済の問題が行き詰まってきておる、こういうふうにわれわれは考えるのであります。それで特に日本の輸出の問題に関しましては、先般アメリカの下院におきましてはキング法案なるものを、いわゆる冷凍マグロの輸入制限というような問題が、アメリカの下院にかかっておる。これなども将来の日本の貿易にとっては、大きな問題である。この点の打開策並びに最近御承知の通り日本の農家の繭の問題、養蚕の問題を通じまして、外国輸出にわたるところの糸価の安定の問題、百億の資金を日本の国内においては融通して、一応糸価の安定策をとった。ところが、糸価は御承知の通り十九万円で買い上げる、ところがアメリカにおけるところの生糸市場が、日本のこの糸価安定に基く金融によって、大体十九万円と測定された問題が中心となって、アメリカ側においては日本の生糸を買い進めるという状況を、さらに停頓させるという状況に立ち至っております。この問題等の打開策という問題は、相当今度外務大臣がおいでになりましても、対米輸出という問題に対しての重大な問題にぶつかると思いますが、所信をお持ちでありますなら、その問題の解決の所信を伺いたいと思います。
  90. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ただいまアメリカの議会には、五つほどこういう関係の法案が出ております。そのうちの、まあただいま御指摘のキング法案というものは、最もトップになるかと思うのでありますが、冷凍マグロ並びにマグロのカン詰に対して輸入制限をし、あるいは関税を上げるというような問題が論議されております。これらの問題は、他の漁業関係とも関連がございますかとも思いますが、なかなかむずかしい問題かと思います。決して通らないという楽観を許すわけにいかないのでありまして、私どもとしては最善を尽して、その阻止運動をやらなければならぬと考えまして、常時お願いしております弁護士等にお願いしまして、公聴会等に働きかけてやっております。また一方、業者の方でも、かってマグロの問題の解決は、千田さんも御承知のようにアメリカの消費を増すということも非常に大きな必要だということで、アメリカの業者と日本の業者との間で、宣伝活動等を一緒にしようじゃないかという話もあったのでありますが、必ずしもこれが協調できないような点にもなっております。しかし、日本の業者としてはアメリカにおける消費活動の宣伝その他を自分でもやっております。そういうようなものもわれわれできるだけ援助してやって参らなければなりませんし、また、私がアメリカに参りますれば、当然これらの問題につきましては、日本の立場というものを十分説明してみたいと存じております。  また生糸の問題につきましては、御承知のようにこの春以来、アメリカの綿業協会等もいろいろな意見を出しております。ウイーンでありましたか、ウイーンで絹業団体の会議がありまして、そこいらで日本の牛系もしくは絹織物の輸入禁止という話し合いも出たように聞いております。従いまして業者の会合でありましても、そういう話し合いが出ることは困るのでありますから、それらについては民間の方と一緒になりまして、できるだけ手を打っていかなければならないと思います。たまたま、その際には御指摘になりましたような牛系価格の暴落というような問題がございまして、生糸の問題は、やはり織物で増額していくという必要も、一方では考えることが、適当な日本の生糸輸出の対策だと思うのでありますが、同町に、生糸そのものもやはり出していくということについてはやって参らなければならぬのであります。ああいう暴落がありましたために、アメリカの絹業者の中には、どうも日本の生糸というものは糸価が安定しないので、これに依存しているということは困るというような機運も出ておりますし、また、そういうことのためにいろいろな問題も派生しかねないと思うのであります。そういう点については、十分留意して参らなければならぬと思っております。また、そういう事情につきましては、農林省、通産省その他関係官庁に、アメリカ側の実情について十分材料を提供してお考えを願っておるわけでございます。
  91. 千田正

    ○千田正君 総理大臣にお伺いいたしますが、先般日中貿易の問題については、衆議院の予算委員会等においても、いろいろお話があったようであります。この日中貿易の問題は、単に私は国内における自民党であるとか、社会党であるとかという党派的な問題じゃなくて、超党派的に日中貿易の問題は解決しなければならない、われわれはそう考えるのでありまして、ことに、貿易のみならず、日中漁業の協定においては、六月十二日をもって第三次の協定は打切りとなった、第三次からあとの第四次の漁業協定というものは、何ら結ばれることなく、しかも南支那海等においては拿捕事件等が起きている。これはどうかしてこの問題は、将来ともに日本の大きな経済界に及ぼす影響があると思いますので、先般来各委員から質問されておるようでありますが、総理大臣は静観を持すと、こういうお話をしておられました。しかしながら、ただ静観のみであってはならないのであって、何かしら、そこに打開の施策を講じなければいけないのではないか。特に私は、国内においていろいろな論をなされると、最近に至っては、川島幹事長は自民党の中におけるところの六役の話し合いによって、国会内に置かれておるところのいわゆる日中貿易議員連盟の解散をしたいというようなことを発表したために、非常ないろいろな誤解もされるような混乱が起きておる。われわれは日中貿易議員連盟というもののあり方については、いろいろな考えもあるし、また批判もあるでありましょう。私のように自民党にも属さず、また社会党にも属しておらない立場から考えましても、日中貿易の促進というものは日本の一つの大きな今後の課題として解決していくべき問題であるので、しかも、国会内における議員諸君がともに話し合って、この日中貿易の促進の強化をお互いにはかっていこうというのを、みずからそれを解消するというようなことは、私はどうも岸首相の常々おっしゃっておられるような静観をして、静かに徐々に日中貿易の効果をはかろうという面からいうと、矛盾した行き方ではないかと私は考えますが、総理はこの点いかがにお考えになりますか。
  92. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 日中関係の現状が非常に両国にとり、また、日本の側から見ましても望ましくない状態であることは、言うを持たないのであります。これが改普されることは、私どももこれを心から望んでおるものであります。今日の状態をそういうふうに改善するのに、どういう方法を講ずべきか、どういう手段なりあるいは方策で臨むべきかということは、これはよほど慎重に考えないというと、いたずらに事態を紛糾せしめるようなことがあっては、これはならないと思います。私どもが、この際は静観していることがいいのだということを申しておるのは、そういう意味においてでありまして、いたずらに誤解を招き、もしくは不必要な刺激をし合うようなことが万一にもありとするならば、事態をわれわれが望む方向に解決する点からいって役立たないのみならず、むしろ害をなすと、こういう意において、慎重にやるべきであるということを私ども考えて、そして静観ということを申しておるわけであります。この問題は、言うまでもなく、私は、それは政党におきまして、いろいろな中共に対する考え方というものについても、根本的に違っておるところもありましょう。しかし中共との関係、現在の状況を望ましくないものとして、これを改善して、少くともああいう今日の行き詰まった事態が改善されて、貿易なりあるいは文化交流なりあるいは漁業の問題等が、少くとも友好的な基礎において解決されるような状態を作り出していかなければならないということは、一致した超党派的な日本国民考え方である。そういうときに当りまして、私どもが今一部において、いろいろ、こういう方法をとったらいいじゃないか、ああいう方法をとるべしだというような議論もございますけれども、それを直ちにそういうようなことに手をつけることがいいかどうかにつきましても、慎重に考慮中である。しかし決して静観ということが、いたずらに手をこまねいて事態の推移にまかし、時が解決するというふうな消極的な考えでおるわけではないめであります。  なお、今御質問のありました議院内における議員連盟の解消の問題について、自民党内における幹事長の六役会議における発言等が新聞に伝えられて、問題をなしておりますが、私はこの議員連盟のあり方等につきましては、相当党として従来の何に対して反省もし、また、将来の日中関係を今いったような意味において、改善する意味において、そのあり方を検討するということは聞いておりますが、今直ちに解消するとか何とかという問題については、私自身は明らかにいたしておりません。従来のものをそのまま存続するかどうかにつきましては、従来党内にも議論がありますし、私も相当に改善を要する点があるのじゃないかという意見を持っておりますけれども、結論的に、今日解消するということについては、まだ考えておりません。
  93. 千田正

    ○千田正君 この問題は相当影響することは大きいと思うのであります。ただいま総理大臣のおっしゃっておられる通り、あるいは日中議員連盟のあり方そのものが、いろいろな反省をしたり、あるいは話し合いをして改善しながら、とにかく日本の国会においては、日中貿易というようなものは日本の一つの国家として将来軌道に乗るようにと、これはみんな望んでおることでありますから、そのときに解消するとか解散するとかという、そういうむだな刺激をして、かえって日中貿易の促進に役立たない方向に進むということは、私は非常に遺憾である。こういう点においては、十分お考えおき願いたいと思います。  それで次にお尋ねしますが、高碕通産大臣がお見えになっておりますからお伺いしますが、今、日中貿易が第四次協定があのまま進展しないでストップになった、それによってこうむるところの中小企業団体の損害というものは、相当大きいものであると思う。これに対しまして、政府としましては、何かそうした人たちに対する援助対策というものをお持ちになっているかどうか、その点を通産大臣の立場からどうお考えかお尋ねをいたします。
  94. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。現在日中貿易停頓のために起っております損害の見方はいろいろございまして、あるものは三百七十億というふうなことをいわれておりますが、これは約一億ドルを輸出するものとしての取引の全体の数量でありまして、中には中共以外に向かないものを作っている製造家もありましょう、また、市場転換することによって、そんな大きな損害でなくて済むものもあると存ずるわけでありまして、そこらの点は政府としては目下詳細に調査しているわけなんでございますが、従前の慣例から申しますと、そういう場合に起った損害は、これは保険制度において補うということが原則になっておりますが、今回の部分につきましては、そういうふうな点につきましても、何とか別途の考慮をいたしたいと思って、研究いたしている次第でございます。
  95. 千田正

    ○千田正君 午前中に社会党中田委員からの質問に対しまして、高碕通産大臣のいわゆるオープン・アカウントに関する問題、おそらく岸内閣の最大の課題であるところの貿易振興策、この基本的方針としましての行き方としまして、午前中はオープン・アカウントのシステムを一応やっていこう、こういう考えであります。私は、これは果していいかどうかは疑問として、現在岸内閣としては、初期に国民に声明したところの三十一億五千万ドルのあれに達するまでの努力として、それ以外にないとすればやむを得ないとしまして、従来の大蔵省のとってきている態度というものは、おそらくオーブン・アカウント制度に対しては、徐々にではなく、むしろ廃止しようという傾向にずっときていると思いますが、大蔵大臣としては、これはやはり高碕通産大臣と同じように、このシステムをどこまでもやっていく、こういうお考えでありますか。
  96. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまオープン・アカウントを実施している国は六カ国でございまして、きょうも午前中にいろいろお話申し上げたのですが、最近の傾向といたしまして、輸出競争は各国とも激甚な状態で、いろいろ工夫をいたしている状況でございます。従いまして、わが国が今日結んでおります六カ国のオープン・アカウントの相手国に対しましても、在来の方針はともかくといたしまして、今日輸出競争の観点に立つと、各国がそれぞれ相手国に対していい条件を提出しておりますので、これにひけをとらないように工夫をしていかなければならないものもあるかと思います。しかし、ただいま締結している国は六カ国であり、これをふやす考え方はもちろございません。今日オープン・アカウントをやっている国につきまして、それぞれの事情について、ただいま申し上げた輸出競争にひけをとらないように工夫をしていく、というような結論でございます。
  97. 千田正

    ○千田正君 この問題は、よほど慎重に御研究になっていただきたい。過去の外交折衝の際におきましても、そういうような取り立て不能になった債権に対して棒引きというような問題があって、しばしば当委員会におきましても、当時の外交を中心にしまして、大きな問題になったのでありますから、大蔵省としては、この点は十分考えておられると思いますけれども、慎重に考えていただきたい、こう思うのであります。  時間もありませんので、最後に国内的な問題としまして、特に最近著しくわれわれは不満に思うのは、米価審議会を中心としまして、三十三年度産米におけるところの米価を決定するに当り、最近の状況に対しては、まことにわれわれは遺憾と思わざるを得ないのであります。そこで、当初予算を作ってわれわれに明示しましたときの大蔵省の案は、一万二百円としての当初予算であり、かりにこれは、かりにではない、今度は二万三百二十三円というものが政府提案のごとく、米価審議会も了承し、あるいはそれが政府買上米として決定したとしますれば、食糧会計におきまして当初調整金として考えておったのは十一億、一万三百二十三円となりますと、三十六億五千万円くらいに増加すると思いますが、そうした面におけるところの調整はどうやられるか。
  98. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 御承知のように、最近は外国から入って参ります食糧が相当値段が安くなっております。また船運賃等も値下り等をいたしております。大体三十億前後のまず値下りといいますか、そういうことが一応考えられますし、そうして不足分については、ただいま御指摘になりました調整金としての残十一億円でございますので、ただいま今回の米価決定におきましても、直ちに補正その他の処置をとらなくとも、一応数字勘定は合っていくのではないかと思っております。  なお米価は一応決定されましたが、実際にどういうような状況で予約その他の買付が進んで参りますか、十分注意しておかなければならないと思いますが、ただいまの段階では直ちに補正その他の編成を必要とはしないように考えております。
  99. 千田正

    ○千田正君 三浦農林大臣にお伺いしますが、先般農林委員会であなたのお答えは、私は本年度の二千九百万石が三十三年度の政府買上米として一応達成できる、というお答えであったわけであります。最近の状況ではどうも気象庁その他の発表によると、この天気が当分続く、早魃地帯はますますひどい状況に陥っております。これでも十分に二千九百万石の当初予定しておった米の買上げができるかどうか。  もう一つは、米価審議会において、またあなた方が今日まで御苦労さんで、一応決定しました一万三百二十三円の米価に対しまして、農民の要求というのはそれの原価に対する割増し、あるいは俵の、包装代に対するところの割増しを要求しておるようであります。こういうものを合わせますと、ことしの秋の産米は政府の当初の買上げの予定の通り入るかどうかということと、農民の要請しておりますところの基礎米価に対する値上げの問題、俵代の問題等に対してはどう考えておるのか、この二点まずお伺いします。
  100. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) お答え申し上げます。ことしの旱害は相当範囲も大きくまことに心痛に堪えないのでありますが、最近の情勢を見ますると、大体旱害によって被害を受けておりますのは約九万町歩でございます。うち約二万町歩は植付が不能である。それから約八万町歩近いものが用水の不足によって減収を予想されておる。それからさらに一千数百町歩のものは植付できましたけれども用水不足のために枯れてしまう。こういう現況でございますが、当初予定されましたものよりも、東北地方その他で雨が降りましたために好転もした事情もございます。一面におきましては、当初予想されなかった関西地方におきまして、若干の旱害の徴候が出て参っておりますから、この事情はしんしゃくしなければならぬと思います。しかしながら、今年度出来秋におきまして集荷量は大体二千九百万石と予定しておりまして、これは異常な凶作等になりまするならば別段でございますが、今の早書の程度、同時にまたその推移の事情を見ますると、あながち不当な計画じゃなかろうかと思っておりまして、この点は特に早場米地帯、東北、北陸等に対しましても、相当に時期洲格差等を設けておりまして、集荷等につきましても役立つものと考えまするがゆえに、二千九百万程度の割当等は、従来の実績並びに今後の計画等を推進する上におきまして、御指摘のように非常な不安はなかろうと、大体において大体初期の目的を達し得る見込みでございます。
  101. 千田正

    ○千田正君 最後に、重点的に、時間もありませんから三点お伺いします。  それはまず、農林省の対策として、あるいは岸内閣のいわゆる農民対策としましての、農家経営の基本的な立て方として酪農を奨励してきたのでありますが、最近の乳価を見ますと、メーカーに牛耳られちゃって、すでに四十円を割らなければ五大メーカーは買わない。四十円を割ってしまったならば、もう日本のいわゆる農業地帯は、北は北海道から南は九州に至りましても、この乳価対策ではとうてい生計は立たない。これに対する何かの手を打たなければならない。これに対する対処方針一点。  もう一つは、きょうも漁民が大会を開きまして、本州製紙を中心としました例の汚水処置の問題から、非常な怒りをもってこの汚水防止法に対するところの要求を掲げております。これに対する問題は、今まで何回となく行われておったにかかわらず、従来も各地において、おそらく集計すると一千五、六百件こういう問題は起きておる。これに対する対処方針一つもきまっておらない。そこで法律やその他を制定してくれという声もあるし、一体どうした方針をもってこういう問題を解決していくか。先般来聞きますと、企画庁において基本法を制定したい。内容はどうかわかりませんけれども、従来から見ますというと、これは常に農林省あるいは厚生省のいわゆる被害の立場に立つ方の監督官庁と、加害の立場にあるところの通歴省及び建設省との間に、幾多のセクショナリズムのために、従来法律というものは水に流されておった。こういうことであっては漁民の生活の安定も農民の生活の安定もあり得ない。そこで、この汚濁防止に関するところの所信を承わりたいと同時に、企業庁長官から基本法を制定するとするならば、どういう案をもってこれを制定するか、この点の御説明をお願いしたいと思うのであります。  もう一つは、先ほどお尋ねいたしました繭糸価の問題でありまするが、これはさっき外務大臣に私はお尋ねしましたけれども、国際市場はそう安易な状況ではない。しかも日本が十九万円の糸を買い上げたとたんに、中国においてはそれを十六万円で国際市場に売り出しておる。そういうような国際マーケットの上におけるところのある程度の競争というものは、激しい行き方をするであろう。そういう場合において、国内における蚕糸対策あるいは農民に対するところの養蚕対策をどう考えておられるか。これは三浦農林大臣、並びに高碕通産大臣から、将来の生糸貿易に対する見通しと、それに対する対策をお伺いしたいと思います。時間がありませんから、以上まとめて一つ一つお伺いしたいと思います。
  102. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 第一に酪農に対する問題でございますが、地方によりまして若干の差異のございますことは、千田委員も御了承の通りであります。たとえば、北海道の酪農地帯等におきましては、今は北海道の開発計画が進められておりまして、徐々にはその緒についているとは申しながら、広大な地域でありますから、特に輸送費等に非常に困難しておるという事情もあることはもう御承知の通りであります。従いまして私たちの今後の行き方としましては、生産過程におきまして、できるだけ生産費の低減をはかる方策を講じて参りたい。ことに集荷に相当に経費を要しまするから、その面につきまして関係者の団体である、あるいは農協、あるいは酪農組合等の、逐次資金等も出しておりますが、これをもう少し徹底さして、その方面の解決をはかって、乳価を安定したものにして、そうして応じ得るような態勢を講じて参りたい。それから同時に、飼料対策につきましても、まだ十全を期しておりません。従いまして、この面とあわせて生産者方面が乳価に対応できるような生産の合理化をはかって参りたい、これが第一点であります。それから流通過程でございますが、これはもう御指摘の通り非常に困難な問題でありますが、日本の状況は、生産は増強しますけれども、遺憾ながら消費がこれに追従して参らぬ、こういうことが最も困難な点であります。従いまして、一般消費の増進のために、やはり宣伝もし、啓蒙もいたさなければならぬと思います。同時にまた、業界方面にも、先般来酪農審議会等を開きまして、そうしてこれは連帯してやはり改善に資せなければならぬものでありますから、この方面につきましても、寄り寄り具体的な方策を協議中でありまするし、またその方面の協力も得られるだんだん態勢になってきておると思いますが、その方向も進めて参りたい。しかしながら、経済面のことでございまするから、直ちに所要の行政措置だけでは足りない、あるいは法的措置というふうなものも考えられるわけでございますが、ただいまのところそこまではいっておりません。従って支持価格等を用いまして、そうして行政的な措置を講ずるというところには、ただいまのところはいきかねております。しかし、消費面の問題でございますが、やはり大都会における工場の関係であるとか、あるいは学校であるとか、ことに中小学校に牛乳を給食するという問題は、国民生活の改善の上から、同時にまた児童たちの体位向上からも、相当の施設でございますので、これを逐次増強して参り、そうしてこれに対応させて集団的の消費を増進させまして、そうしてこの方面の消費も拡大していく。  第三の問題といたしましては、生産方面の問題といたしましては、共販体制と申しますか、こういうふうな面を強化していくと同時に、経済の変動に応ずる措置は講じて参りたい、かような措置をとって逐次好転させるようにいたしたいと考えておるのでございまして、酪農の問題はさような線に沿うて極力努力して参りたいという考えでございます。  第二番目の汚水の防止の問題でございますが、当局といたしましては、関係庁の協調を得て、そうして立法的措置をも講じて、そうして漁民その他の方面を保護して参りたい、こういう所存で関係庁と今鋭意折衝中でございます。  第三段の糸価の問題でございますが、昨年の秋以来非常な豊作でございまして、引き続き本年の春も豊作、こういうことで平年時より三百万貫近い増産が繭の面に出て参りました。これが一つの因をなし、同時にまた製糸、糸の方面におきましても、需給事情のアンバランスになったために、糸価の低落を来たした、こういうことでございますので、このたび御提案申し上げました通り、繭糸価の維持に関しまする臨時措置法によりまして、そうしてこれを維持して参りたい。そうして今だんだん市場の足どり等も順次好転して参りました。それから同時に、先物等につきましてもだんだん上昇の線になっておるのでございますが、かように安定して参りますと、アメリカ方面のことでもございますが、アメリカの絹糸業界では、値段の特に安いというよりも、安定したものでこれを入手したいというのが非常に強い要望でございますことは御承知の通りであります。従いまして、やはりアメリカにおきましてもこの生糸の需要は綿業方面でも相当の分野がありますから、安定したものを受け入れる、これが要望が強いわけでございまして、養蚕家を保護し、同時に糸価を安定させるということが、相当の効果を持ってきて、そうして糸価が十九万円程度に安定しますならば、将来の需要がアメリカ等にも喚起される、こうまあ考えておる次第でございます。  なお、中国の糸の問題にお触れになりましたが、これは中国ではいかようの操作をしておりますか、まだわれわれはその内容をつまびらかにするわけに参りませんが、ただ糸そのものが、やはり内地産の糸の方は品質が均一であって整斎を保っている、これがつまり優秀な点でございますので、今申し上げました通り、糸価が安定し、そうしてアメリカ等の絹業界でこれを受け入れる情勢ができまするならば、必ずしも中国の低めに出しておる糸との関係におきまして非常な悪い影響を持つものではない、安定した方向に進み得ると、こう考えておる次第でございます。  最後に、この生糸の消費の増進の問題でございますが、これはどうしても織物方面に特段の消費を求めなければなりません。この方面につきましては、通産省とも過般来連絡をとりつつ方策を進めているのでございますが、なお通産大臣等からもお話しを申し上げたいと思います。
  103. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 近時千田さんの御指摘のように、工業用水の問題が大きな問題になり、これが汚染問題を中心として、各地に大問題が起っておることははなはだ遺憾のことであります。私も企画庁長官に腕任して、これが企画庁の管轄であること、今までいろいろいきさつがあったけれども、法案の設定を目ざしてできなかったいきさつを聞いたわけであります。しかし、これは各省にまたがるのでありますが、こういう法律が、各省のセクショナリズムによって成立を妨げられることは非常に遺憾だ、国民生活の上にも非常な不安を与えるわけでありますが、最も近い機会に水質の汚濁防止法を制定いたしまして、各河川に対する水質の基準を設けて、それ以上汚濁するような場合については適当な処置をとれるようにしたい、こういう考え方のもとに、産業の発展も大事でありますが、一方において、漁民、農民、こういうものの保護も重大でありますから、そういう立法によって、こういう紛争を大問題に至らないで解決するような措置を講じたい、各省間の調整を早急にやりたいという考えでございます。
  104. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。先ほど三浦農林大臣からお答えした通りでございますが、さしあたり生糸の問題につきましては、価格を安定せしむるということが先決問題であります。日本の生糸の特異性から考えまして、これを必ずしも価格を下げたからといって、多数いくものでないと思います。こういうふうな私は観点を持っているわけなんでございますが、しかし、最近の中共の出方、その他の化学繊維の出方等も見まして、さらにいかなる値段が適正であるかというふうなことは別途に考慮いたしておる次第でございますが、さしあたり価格は安定する方針で参りたいと思っております。また、生糸の輸出は、過去におきまして、三十一年度は四千百万ドルに対し、三十二年度は三千七百万ドルに減っております。それに比較いたしまして、絹織物の方は、三十一年度が二千七百万ドルに対して、三十二年度は約三千二百万ドルにふえる、こういうふうな情勢でございまして、本年度私どもの予定といたしましても、生糸の方はそんなに大きくふやすことはできませんが、絹織物は四千万ドルに持っていきたい、こういう考えで、漸次、生糸で輸出するよりも製品として輸出するという方向に持っていきたいと存じております。
  105. 千田正

    ○千田正君 最後に、一点だけ。今、三浦農林大臣も通産大臣も、価格が安定さえすれば需要が相当出てくるんじゃないかというお見通しのようでありますが、そうアメリカあたりの経済界はなまやさしいものじゃないと私は思うのです。私も、いささかアメリカに学んだ一人としまして、向うの問題を常に調査いたしておりますが、アメリカ国内におけるところの繊維業の庇護という問題、それから対日感情の問題、いろいろな面によって考えますというと、決してそう安易な道を私どもは歩まれるとは予想できないのであります。ただ、問題は、そういうふうになった場合において、国内において、生産者であるところの農民であるとか、あるいは中小企業者に打撃の来ない前に、真剣な対策を立てておかなければならないのじゃないか。私は、その点で強く、お二方の慎重な態度をもって今後臨んでいただきたいということを特にお願いします。  それから、今、企画庁長官から基本法の設定の御意思を伺いましたが、非常なけっこうなことでありまして、ぜひやってもらいたいと思いますが、基本法だけを、一つ本筋の柱だけ建てましても、あとの実施の面において各省、通産省なり、あるいは建設省、あるいは農林省、あるいは厚生省という分割された面にその実施の面が行っておりますので、また末端において、基本法は別としまして、自分らのなわ張りの面において争いを続けるようであっては、せっかくでき上った基本法も単なる形式的な法律にしかす、きないということになってはいかぬので、これはどうしても抜本的に、強い力をもってこの問題の解決のための真剣な法律を作っていただきたいというのが、国民の声であります。われわれは立法機関としましても、この面においては慎重に審議をして、今後かような不幸な問題の起らないように研究したいと思いますから、その点を特に要請しておきます。  以上で私は終ります。
  106. 八木幸吉

    八木幸吉君 世間では、愛知さんが法務大臣におなりになったことを、非常に意外に思っております。それで、官房長官として非常に忠実であっただけに、指揮権発動の前例もあり、不安一掃のために、総理に選任の事情と、法相に心がまえを承わりたいと思います。
  107. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 午前中、中田委員の御質問に対しましても、私が今回総選挙後首班に指名されまして、組閣を何しました心がまえにつきましては、すでにお答えを申しております。法務大臣は、言うまでもなく、これは非常に——どの大臣も大事でありますが、特に一面においては人権に関係することであります、一面においては法律の正しい施行に関係を持つわけでありますので、私としては、慎重に考慮いたしまして、適任者を適所に置くという午前中にお答え申し上げました意味において、愛知君が法務大臣として最も適任であると考えて、その地位につけたものであります。他に何らの事情もございません。
  108. 八木幸吉

    八木幸吉君 次に、減税と国民年金の具体的な年次計画と金額、並びにその財源を、大蔵大臣に伺いたい。
  109. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 自由民主党の公約事項につきましては、これが実現をはかることにあらゆる工夫をいたしたいと、かように考えております。ただいま年次計画をということでございますが、もちろん、まだその段階には達しておりません。ただ、私どもこの機会に申し上げ得ることは、自然増収分をただいま言われますような面に充てるということを一応考えておりますし、また、これが公約事項の実現につきましては、ただいま申す自然増収分並びにその他の点におきましても、一そうの工夫をしてこれが実況を期して参りたいと、かように考えております。
  110. 八木幸吉

    八木幸吉君 逆になりますが、総理に少し具体的の金額をお示しを願いたいと思います。減税と国民年金、財源。
  111. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 大蔵大臣、お答えになりますか。
  112. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま申し上げた通りでございますが、具体的にとおっしゃいますが、減税の面におきましては、所得税の軽減を第一に考えておりますし、また、地方税の面におきましては、事業税等につきましても減税を工夫して参りたいと思っております。  また、養老年金制につきましては、すでに当時発表いたしておりますように、養老年金の実施について特に工夫をし、これが実現を期して参りたい、こういう考え方でございます。
  113. 八木幸吉

    八木幸吉君 考え方でなしに、具体的に数字を伺っておるのです。
  114. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど来申しますように、数字はただいま申し上げる段階でないように思います。
  115. 八木幸吉

    八木幸吉君 公約にあるのですから、その数字くらいのことは、大体の数字はわかるはずだと思うのです。
  116. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 公約といたしまして発表いたしましたものは、所得税について月収二万五千円までを無税にしたいということであります。また、事業税等を合わして、平年度七百億円という程度のお話はいたしておるかと思います。しかし、この数字は、いよいよ実脱するに当りましては、さらに精査しなければならないと、かように考えております。
  117. 八木幸吉

    八木幸吉君 非常に私は不満ですけれども、時間がないので、次に移ります。  公約に行政整理がありますが、施政方針演説には一言もこれにお触れになっておらない。これをおやりになるおつもりであるかどうか。
  118. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今回の特別国会における私の施政の所信につきましては、私が考えておる全部にわたって詳しく申し述べておりません。従って、あの所信表明のうちになかったものはやらないというような意味では、もちろんございません。行政整理の問題につきましては、これは、私はぜひこれをやりたいつもりでおりまして、従って、従来の例に見ましても、この問題は相当な広範な関係がありますし、また困難もございますけれども、行政管理庁におけるこのいろいろな今までの実績等も考え、ぜひ行政整理の問題は、中央、地方を通じてこれをやりたいと、かような考えであります。
  119. 八木幸吉

    八木幸吉君 おやりになる順序を伺いますが、昭和三十一年の二月から行政審議会は開店休業の状態になっております。これを再開する方法一つ。それから、あるいはアメリカのフーバー委員会のように、もっと金と人を使って、根本的に積極的におやりになるということ、これが一つ。あるいは従来の幾多の提案を直接行管に移して直ちにおやりになるか、これが一つ。  それから、もう一つ伺いたいのは、かつて、自由党でも改進党でも、行政改革の特別委員会というものがあって、これを推進しておりましたが、今回は公約の線に沿って党内に旧民年金対策委員会、臨時税制調査会、財政経済調査会、こういつたような特別委員会ができておりますが、行革の特別委員会はなぜお作りにならぬのか。これにあまり熱がないというふうに考えるのですが、いかがですか。   〔委員長退席理事小幡治和君着席〕
  120. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 先ほどもお答え申し上げましたように、この行政機構の全般に関する問題につきましては、従来、行政審議会及び行政管理庁におきまして、いろいろ全体の問題を調査もいたしておりますし、いろいろな資料等に基きまして、私ども考慮いたしていきたい。行政審議会の活用の問題につきましても、行政管理庁と、十分長官とも相談の上、これを活用して参りたい。  党において、このいろいろな問題につきまして、特に党として審議するための機構を設けたようでございますが、行政整理の問題につきましては、一応政府部門におけるこれらの機関を活用して、私は一応の考え方を取りまとめていきたい、かように考える次第であります。
  121. 八木幸吉

    八木幸吉君 総理は福祉国家の建設をお述べになっておりますが、これには多額の費用を要すると思います。自衛隊の廃止を主張する社会党と違って、保守党としては、どうしても「安上りの政府」を作らなければならぬと思います。行政改革はむろん強い政治力を、要しますし、長期安定政権を目ざす現内閣は、まず最初にこの困難にしてしかも絶対に必要な問題を取り上げるという強い決意をお持ちを願いたい、かように考えますが、重ねて、いかがですか。
  122. 岸信介

    国務大臣岸信介君) もちろん、行政機構の問題、これを合理化し能率的ならしめるということは、最も重要な私の考えのうちの一つであることは言うを待ちません。先ほど来、選挙において公約をした事項の実現につきましては、その政党を代表するわが岸内閣としては、誠意をもってこれを実現したいと考えておりますが、その間においていろいろな順序もございます。また、私自身も、これらのいろいろな複雑な問題や、あるいは相当な調査、研究を、要するかいなかというような問題もございまして、それらについてはもちろん私としては十分慎重考慮した上で実況するということにしたいと思います。今、八木委員のお話のように、行政整理がむしろ前提であり根本であるから、これを第一にやれという御意見につきましては、御意見として十分私は承わっておきますけれども、私としては、すでに具体的になっておるものについてはこれをまず実現していきたい、行政整理の問題はもちろん強い決意をもって当っていかなければならぬ、かように考えております。
  123. 八木幸吉

    八木幸吉君 行政のつぼを押えるにたんのうの官僚出身の人が現内閣には多いのですから、ぜひ一つやっていただきたいということをお願いします。  次に、行管では審議会、調査会を整理すると、こういうお考えのようでありますが、法律に暴くもの、閣議決定のもの、各省限りのもの、数はどのくらいでどういう基準で整理するか、これを伺いたい。
  124. 山口喜久一郎

    国務大臣山口喜久一郎君) お答えいたします。現在各省庁に設けられています審議会、協議会等は、法律に基くものが二百三十七、閣議決定に基くものが十四であります。これらの審議会等は、行政機関が施策を決定するに当って、広く学識経験者の意見を聞いて独善専恣等に陥らないように、こういう用意のためにも今日まで多くの審議会が設けられておるのであります。
  125. 八木幸吉

    八木幸吉君 各省限りのものは、かつて六十数個ありましたと思いますが、これを整理されますか。
  126. 山口喜久一郎

    国務大臣山口喜久一郎君) 各省限りのものですか。——各省限りというものは、制度としてはないようでございます。
  127. 八木幸吉

    八木幸吉君 六十五ばかりあったわけなんですがね。岡部局長にでもお聞きになって下さい。
  128. 岡部史郎

    説明員(岡部史郎君) お答え申し上げます。各省で任意に設けております審議会につきましては、数年前にこれ整理いたしまして、その必要なものにつきましては、法律に基く審議会とし、あるいはまた閣議決定の審議会に移したこともございまして、現在におきましては、各省限りで設けられている審議会はもう存在しないことになっております。
  129. 八木幸吉

    八木幸吉君 少し納骨できませんが、次に移ります。  蚕糸対策。農林大臣、現在の保管繰り越しの生糸の俵数と、百五十億円で質える生糸換算の俵数は幾らですか。
  130. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) ただいままでに政府が買いました糸は、五月末で約四万六千俵でございます。それから、今回の措置によりまして百五十億円で買い上げまする糸の俵数は、糸に換算いたしまして七万五千俵であります。
  131. 八木幸吉

    八木幸吉君 繭と生糸を百五十億円で買って、春繭は幾ら残りますか。
  132. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) 今年の春繭は大体千五百万貫程度とれる見込みでございますので、七万五千俵をかりに買い上げたといたしますと、あとに残りますものは約七万五千俵程度になるわけでございます、繭で七百五十万貫。
  133. 八木幸吉

    八木幸吉君 夏秋蚕は幾らですか。
  134. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) 夏秋蚕は、去年は非常に豊作でございまして、去年の夏秋蚕は千七百五十万貫程度生産をされておりますが、今年は、先般米今年の糸価安定対策を取りきめます場合の考え方といたしまして、夏秋蚕につきましては二割程度主席を抑制してゆく方針をとっております。その通りになりますと、本年の夏秋蚕は千四百万貫くらいの生産額になる見込みでございます。
  135. 八木幸吉

    八木幸吉君 買い上げた春繭の残りと夏秋蚕の合計二千百五十万貫は、生糸の相場が十九万円を割った場合はどうされますか、農林大臣
  136. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 生糸にして約五万俵、それから乾繭にして二百六十万程度を、これをたな上げいたしますから、十九万円程度の糸価は維持できると思っております。
  137. 八木幸吉

    八木幸吉君 できない場合はどうされますか。
  138. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) できない場合という御想定でございますが、私たちはこの繭糸の事情を精査いたしまして、そして今回の対策を打ち立てたのでございますから、すでにまた糸価等も順次目的にして、おります線に沿うて安定して参りましたから、私たちは可能だと、こう信じております。
  139. 八木幸吉

    八木幸吉君 目先千四百円の繭の値段は、養蚕家は喜ぶでありましょうが、夏秋蚕の保証がない。二割減産を強行したら、結局現金収入が減って、困りはせぬかと思いますが、どうでご、ざいますか。
  140. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 御承知め通り、昨年米の繭価の小安定など、今年のまた春蘭の豊作に伴います不安定など、これがつまり現在の最大の課題でございまして、この問題はさしあたり今度の臨時対策をもって解決し、そうして養蚕家に安定をさしてやりたいというのが今回の趣意でございまして、夏秋蚕につきましては、自発的にやはりこの際生産作調整をするということで、その方面に呼びかけておる次第であります。これは養蚕家といえども、この際の非常事態に備えまして、自衛的な調整をするということでございますので、この効果が期待し得まするならば、ただ単にその調整したというだけでもって養蚕域が破滅に帰すると、こう考えておりません。むしろく今の効果を上げて、そうして安定の域に達する、これがつまり焦眉の急に処するゆえんだと脅えて、この施策を展開しておるわけでございます。
  141. 八木幸吉

    八木幸吉君 繭や生糸の買い上げの実際的の順序はどうされますか。
  142. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) 繭につきましては、本年の春繭につきまして、現地で乾繭共同保管に持ち込みますものと、通常の方法によりまして製糸管理に引き渡すものとが、もう現段階においてほとんどそれぞれ仕訳ができ上っております。それで乾繭共同保管に持ち込みますものは、大体現段階で二百六十万ほどございます。これはそれぞれの手続をいたしまして、共同保管に持ち込まれるわけであります。  それから、五万俵の生糸の買い入れでございますが、これは今回の生糸の買い入れは、糸価の維持をいたしますと同時に、農家に繭収入を確保するということが大きなねらいになっておりまするので、七月以降の買い入れにつきましては、現在団体協約で製糸に持ち込まれておりまする繭につきまして、最低原価以上の価格を支払うということを約束をしていただきたいということと、一方、現在製糸で生産制限、操短をやっております、これを確実に実行していただく。この二つの条件をつけまして、この条件を守っていただきまする製糸家からは、申し込みによりまして買い入れをして参る手順で現在進めております。従いまして、今回の買い入れにつきましては、いわゆる業者別のワクを作りまして、あるいは毎月の買い入れ限度数量をあらかじめきめまして、その範囲内で興うというようなことはいたさないつもりでありまして、従来の経験からいたしますと、そういう方法は糸価維持の面にあまりいい効果を出しておりません。今回は、先ほど申し上げましたような二つの条件をつけまして、申し込みに応じて買って参るわけであります、
  143. 八木幸吉

    八木幸吉君 生糸が、将来下ると見るのと、上ると見るのとで、非常に根本の考え方が違ってくるのですけれども、千五百万貫の春繭で七百五十万貫は手当ができたと、ところが、それならば、十九万円ならば採算が合いますから、全部政府に光り渡したいと製糸家は思うでしょう。ところが、製糸家としてはあとの七百五十万貫は千四百円で値ぎめしても先が非常に不安になる。だから、買い上げられる小糸とそうでないものは、非常にそこに不公平ができる。それを公平にされるにはどうするかということを伺っているのです。
  144. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 先ほど来御説明申し上げました通り、約半数に近いものをたな上げすると同時に、この施薬を進めるために、製糸業界におきましても自発的に政府の指導によりまして生産調整等をいたしておりますから、生産も勢い下回る状況になるわけでございます。こうすることによって現状を打開して参る、そうして糸価を維持しつつ繭価の安定に審与する、こういう方策を進めて、いるわけであります。
  145. 八木幸吉

    八木幸吉君 それでは、観点を変えますが、農林省の長期経済計画では、ことしの繭の出来高が三千二百五十万貫、それから経済企画庁の新長期経済計画でも、三十七年の繭の産額が三千六百六十万貫。先ほどは、去年とことしが非常に豊作だから云々と言われましたもけれども、長期経済計画と同じだけとれております。それであわてふためいて百五十億出すということは、長期経済計画そのものが非常に間違っていると言わなくちゃならぬ。そこで、この長期経済計画をどういうふうに変えるかということを承わっておきたいと思います。
  146. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 長期の計画におきましては、年々百万貫程度の増収を見越して、そうしてそのめどをもって蚕糸対策を立てていると、こういうことでございまして、しかるところ、昨年の秋並びに本年の春におきまして、その予想以上の事態が出てきたものでございますから、この際臨時措置をとった次第でございまして、今後いかようのこの調整をとるかという問題は、各般の事項を再検討した上に、さらに打ち立てらるべきものと考えております。
  147. 八木幸吉

    八木幸吉君 三十二年度の生糸の需給は、四万二千九百俵すでに供給過剰が起きておる。それをこのごろになってやかましく言うというのは、怠慢ではないかと思うのですが、いかがですか。
  148. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 昨年の秋以来の異常なこの事態に処しまして、この春以来の対策をとり、それが四万数千俵の買い入れということになったのでございますが、これは事情の変遷に伴います措置を講じたことでございまして、怠慢というおしかりは必ずしも当らないと、われわれは事態に処して最善の措置をとっておる、こう考えてわるわけであります。
  149. 八木幸吉

    八木幸吉君 異常じゃないのです。三十二年度、三千二百五十万貫というのは、農林省の計画なんです。計画通りできて、あわてているというのが現状なんです。これ以上その問題は触れませんが、そこで私は、問題の根本は爾の値をできるだけ安くすることが先決である、こう思います。ところが、三十年前と現在では、反当収量は少しもふえていない。そこで、どうしても能率の悪い桑園を整理するというのが根本だろうと思います。糸が十七匁で反当収繭量が二十貫であれば、十五万町歩で三十二万俵程度の生糸ができるわけです。そこで、桑園の整理はこれを目標として考えるのがいいと思うのですが、立地条件や現金収入の関係から、損でも繭を売らなければならぬという農家があるわけでございますから、これらは別に収入の道を考えてやるということが根本ではないかと思うのですが、これらに対して何か農林省でお考えがありますか。それとも、やはり年々桑園をふやしていって、三十七年では二十万町歩にすると、余った生糸を持って困るといったようなことになるのではないかと思いますが、どうですか。
  150. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 農業上の立地から考えまして、同時にまた地方の経済事情に応じましては、養蚕を特に見てやらなければならぬ地帯がありますことは、御承知の通りであります。従いまして、こういう地帯におきましては、やはり養蚕の農民を保護するという考え方を持たなければいけまいと思っておりますと同町に、他に転換し得る立地条件を持つもの、あるいは経済上ありますものにつきましては、今後その立地条件なり地方の特殊性を勘案いたしまして、そうして畑作の転換、あるいは作物の転換等も考えまして、そうして取り進めていきたいと考えるのでございますが、今のところ、これは今後の問題としまして、各地区別に、またその地区が打つところの特性を十分見つつ、再検討した上で根本対策を取り進めたいと、こう考えております。
  151. 八木幸吉

    八木幸吉君 生糸と他の繊維との価格の関係でありますが、現在アメリカでは生糸が人絹の五倍以上しております。内地では八倍の値段になって、おります。ところが、先般十六万五千円で非常に引き合いが活発だということは、これを米貨換算三ドル五十セント、比率にいたしまして約四倍、内地では今八倍になっておりますけれども、五対一くらいならば相当需要がふえるだろう、こういうことを言われておるのでありますが、こういう割合で消費の分野を開拓するというお考えはないのかどうか。養蚕家保護だけでなしに、結局アメリカに売らなければだめなんですから、そういうお考えがないかどうかということを伺いたいと思います。
  152. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 昨今の生糸需要の実情は大体変遷を重ねまして、従来でございますと、アメリカが最も生糸として多かったのでございますが、昨今は内需の方が多い。しかしながら、相当の部分はアメリカに依存しておりますことは御承知の通りであります。しこうして、アメリカにおきましては高値とか低値というよりも、安定した価格をもって取引したい、こういうことが強く要望せられており、同時にまたアメリカの絹業界等を見ましても、相当の部分におきましては、やはり生糸を需要するという面でこの要望があるものでございますから、私たちは、このアメリカの生糸に関しまするこの関心、すなわち、安定したもので供給するということを基本的な考え方としまして、そうして安定したものの上に相当の実需に応じ、同時にできる限りその消費面をも拡大を期持する。同町にまた、先ほど通炭大臣等からもお話がありました通り、農林省といたしましては、その面におきまして、新しい分野を開いて、そして消費の拡大をもはかりたい、こういう所存でございます。
  153. 八木幸吉

    八木幸吉君 今度は大蔵大臣に伺いますが、この十二万五千俵の生糸の買人れ資金、それから繭、生糸の保管料、その他の君がかり、それから種蘭の買上げと売り払いの差損金等を合計して、国庫の負担が幾らかかるというお見込みですか。
  154. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 生糸について百億、繭について五十億、この金を計上いたしまして、ただ、ただいま御指摘の種繭で一億ちょっとだろうと存ずるのでございますが、その他金利、倉敷料、十億前後のものがかかるのじゃないか、かように思います。
  155. 八木幸吉

    八木幸吉君 そこで総理に伺いたいのですけれども、繭や生糸の値段を不当に上げて、消費分野を狭めることに十億近い国費を浪費するよりも、消費分野開拓のために宣伝費に金を使う方が有利じゃないか、国際絹業協会は百万ドルを希望しているというのでありますが、この宣伝費、どういうふうにお考えになりますか。
  156. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 生糸の輸出面におけるところの需要を増進するという意味において、啓蒙宣伝が必要であり、それを大いにやらなければならないという考えは、私どもそう思います。従来も相当にやっていると思います。ただこの問題は、繭、生糸に関しての問題は、御承知の通り、一本の農村における農家の特別の地方におけるいわゆる兼業農家の立場というものも政治上重要に見なければなりませんから、これが保護のためにある金を使うということも、これももちろんやらなければならぬ。だからといって、宣伝の場面の方をやらないでいいということもありませんし、宣伝さえやればいい、保護の方を考えなくてもいいというわけにも私はいかないと思います。要は、一面においてはそういうことから、この繭価が非常に下ることによって損害をこうむり、経営上困難にあるところの農家経済に対する保護を加えるとともに、また日本の輸出増進の意味において、特にアメリカ市場における従来ある啓蒙宣伝機関あるいはその他商権を拡大していく方向について、積極的にできるだけの努力をしていくということであろうと思います。具体的に絹業協会からの百万ドル云々ということは実は私、承知いたしておりません。従いまして、御質問のお答えはいたしませんが、一般的な方向としては、今申しましたように政府としては考えて参りたい、こう思います。
  157. 八木幸吉

    八木幸吉君 蚕糸対策の根本についてもう一ぺん総理に伺うのですが、この生糸一俵十六万五千円くらいが実勢相場である、他の繊維の価格から比較いたしましても、不当に高いのが現状であります。そこで、この三千二百万内外の年収のうちで、千三百万貫一近い、ざっと四割見当を滞貨としてたな上げをする、こういうやり方です。ところが春繭だけで七百五十万貫買いましても、これはあとは下るにきまっているので、十九万円というのは無理につり上げた相場である。こう実は考えるのです。そこでこの際、むしろ支持価格を実勢価格に近い十六万円見当に下げて、そうして他の繊維の動向を見て対策を考える。同時に養蚕家に対しては、桑園の整理と作物転換の金を出して恒久対策を考えてやるという方が、長い目で見て養蚕家のためではないか、こういう一つ考え方々を持っておりますが、いかがですか。
  158. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 一応政府としては、繭として千四百円、糸で十九万円を維持するという建前をとっております。根本的に、八木委員の言われるように、一体、日本の繭業また生糸、さらに織物を通じて根本的に検討するという要素があるのではないかというお考えにつきましては、私もこの繭業については根本的に各種の事情を検討する必要があると思います。ただ、今の千四百円、十九万円が、今日はその価格を維持するというわれわれは方針をとっておりますが、果して永久に正しい値段であるか、あるいはいろいろな事情からこれが修正を要するものであるかというような点は、今申しましたように、根本的に考えてみる必要があると思います。ただ、生糸自体が持っている特別の性質からいって、直ちに他の化学繊維やその他のものとの値段とどういうように比較するかという点につきましては、相当にむずかしい問題が私はあろうと思います。だから値段を直ちにどうだという——割安だ、割高だということをすぐ言うのはなかなかむずかしいのじゃないか。特に日本の生糸は、外国市場におけるところの、アメリカ市場におけるところの一般の需要の傾向とも非常に重大な関係があるのですから、そうしてアメリカの市場が今の十九万円は高過ぎて、これでは需要がないという性質のものであるか。最近の市場は何か非常に激変している、安定していないということが輸出をはばんだ大きな理由であろう、私はそれが一番大きな理由だと思います。だから安定するということがこの際は必要だと思いますが、しかし将来にわたって、今申しましたような意味で、やはり価格というものについては検討してみる、そうして合理性のあるところへ持っていくということが望ましいと考える次第であります。
  159. 八木幸吉

    八木幸吉君 昔は三対一という人絹との比率、今ではアメリカは四対一、国内では五対一といわれておりますが、結局、今のお話を伺ってみますと今年の繭三千が貫のうちで、春繭は七百五十万貫はとにかくたな上げする。あとの七百五十万貫はどうしても値をくずさせないようにするというなら、結局、繭の政府管理をして、二重価格制度をとらなければ、養蚕家に対して千四百円を確保することができない、そうするといたずらに今より以上に——今でも年に十億ぐらい金が要るのですが、将来ますます生糸の消費を減じて国費の乱費を来たすだけである。だから、むしろこの際、高値を維持するという政策を捨てて、今度は行政面の問題になりますが、農林省は、養蚕技術とその生産費を下げることに専念し、製糸工程以下牛系貿易の部門は通産省に移管する、そうして世界の情勢を見てこの対策を講じるということがぜひとも必要であると私は思うのです。生糸検査所は、輸出生糸が五十六万俵あった町分——昭和六年ですが、その時分から見て、今人員は四割三分減らしております。ところが、蚕糸局は一割六分人がふえており、繭の試験場に至っては、五十万俵出た当時と比較して、繭厚額では三分の一になっておるのですけれども、人間は倍にふえています。こんなにふえて、それじゃ生糸貿易が非常に進出しているかというと、今申す通り、衰退の一途をたどっている。これは養蚕家偏重の農林省がこれを全部やっているからであって、どうしても私は、貿易事務は通産省に移管することが必要じゃないかと思うのですが、総理いかがですか。
  160. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私も古く農商務省に役人をいたしておりまして、その当時から養蚕と製糸の行政機構をどういうふうにするかということは、ずいぶん長い間関係者の間においてまた専門的な見地から検討をされた問題でございます。その結果として、今八木委員のおっしゃるような議論は、当時からもそういう主張があったことは事情であります。   〔理事小幡治和君退席、委員長着席〕 これに対して、やはり日本の農家経済特に養蚕地方というものは、他の農業経営に転換することが非常にむずかしい事情の所が多い。ことごとくとは申しません。そういう事情のために、養蚕農家というものが特殊の地位を持っており、それが相当に農家の中におきまして数もあるというふうな特殊の関係から、やはり生糸行政まで一貫して持つことがこれは適当であるという見地のもとに今日に至っておると思います。今八木委員のおっしゃるような議論を、私は当時、三十年も、もう少し前にも聞いたこともございますが、そういう結果になっておると思います。しかし、先ほど最初に申し上げましたように、行政機構の整理というような、合理化、能率化というような見地から、この問題は、やはりあらゆる点から検討すべき問題である、結論として、私は、そういう長い歴史を持っており、そうしてこの問題に関して各方面から論議された結果として今の制度ができておるのでありますから、軽々にこれを変えるという考え方は実は申し上げるわけにはいきませんけれども、やはり検討は一般の行政方面と同様にすべき問題である、こういうふうに考えております。
  161. 八木幸吉

    八木幸吉君 最後に、貿易の問題を二、三点伺って、私の質問を終りたいと思いますが、第一点は、アメリカ不況の見通しはどうであるか、あるいは対米輸出に及ぼす影響はどうであるか、こういう点を伺いたいと思います。というのは、国連の経済委員会の報告では、アメリカの輸入は、量において一割、価格において一割五分減退するだろう、こういっておるのですが、これが後進諸国の対米輸出の減少を来して、やがては外貨不足に拍車をかけて、これら諸国に対する我が国の輸出に悪影響を及ぼすと思うのですが、これの見通しはどうであるか。  それから第二点は、これは藤山外務大臣に伺いたいのですけれども、一定の基準を立てて、毎年経済協力基金の積み立てをやり、また各省にわたる行政面における機構の統合拡充のお考えがあるように新聞に報じられておりますが、もし御構想がまとまっておりましたら承わっておきたい。  この二点を、まず外相にお伺いします。
  162. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 八木さん、どなたに。
  163. 八木幸吉

    八木幸吉君 外相でも通産相でも、どちらでもけっこうです。
  164. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) アメリカの景気が、引き続き昨年以来悪いということは御承知の通りであります。これがどうなっていくかという観測は、相当に困難な点もございますけれども、今の世界的な情勢から見まして、また、アメリカ自身が必ずしも景気が最終段階に入っているとも見られない点がございますので、まだ若干弱くなる、弱含みで行くのではないかというふうに見るのが適当ではないかと思っております。従いまして、そういう状態に対応いたして参りますためには、やはりただいまお話のありましたような、世界的なドル不足というような問題を基本的には考えていかなければならぬと思うのであります。われわれとしては、そういう点には十分注意して参りたいと思うのであります。ただいま御質問になりました、何か基金を置いて外務省の機構を改善するというような御質問だったかと思うのですが、別段基金を置いて外務省の機構を改善するというような、そういうことでなしに、私は、外務省に就任以来一年外務省の仕事を見ておりまして、機構面において相当やはり改善を加える点があり、また、充実をさせなければならぬ、お話のように、行政整理の一環として、十分縮小されなけばならぬところもあるかとも思いますけれども、やはり呪符、戦後約十年ぐらい外交活動が十分でなかった時代を受けておりまして、人的にも、あるいは機構面にわいても、今日のように、世界の国際社会に日本が復帰しております。この時期には、やはり外務省の機構としては、もう一ぺん再検討をする必要がある、そうして一つ計画を持って、充実の案を作っていったらどうか、私は、財政上の問題もありますから、急に充実させるわけにもいかぬと思いますので、何年かがかりで徐々にやっていく、それを私は三年ぐらいの間に完全な充実をやってみたいというような気持でおるわけです。
  165. 八木幸吉

    八木幸吉君 経済協力基金。
  166. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 経済協力基金、四百三十六億に入っている五十億の問題ですか。
  167. 八木幸吉

    八木幸吉君 基金を毎年国民所得に一定の割合で積み立てをしていく。
  168. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私はそういうことを考えておったわけではないのでありまして、日本が東南アジアに対してそれぞれ貿易の伸張をはかると同時に、経済協力というものをやっていかなければならぬのではないか、また、東南アジア方面では、さきにインドが五千万ドルの円借款を申し込みましたように、いろいろ各方面からそういう希望もあるわけです。しかし、外務省としては、やはり日本の財政上の立場も考えなければなりません。従いまして、何かこの程度のものは財政規模の中で協力して、一年延べ払いなり、あるいはやはり若干の借款というようなものに経済計画の上で使えるような見通しの計画を一ぺん立ててみたらどうだろう、そういうことで、なかなか今の財政ではどうもいかぬということになりますのか、あるいは立ててみれば、若干の、金額は少いけれども、この程度のものならやって、いける、援助をできるじゃないかというふうな金額の見逸しが立つんじゃないか、今日までそういう数字的な仕事をいたしてみたこともないわけでありますから、そういう数字的の仕事をやはり外務省としてもやってみる必要があるのではないか、そうしてそういうものを財政当局なり、あるいは企画庁なり、大体外務省の考え方がまとまりますれば、お見せしてみたらどうだと、そういう意味での考え方を持っているのであります。今そういうふうな調べをさしております。従って、現在具体的にそういう基金の案とか、それができたわけでも、またその構想が固まっておるわけでもございません。
  169. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいま外務大臣がお答え申し上げましたと同様でございます。アメリカとの政府につきましては、アメリカの景気はいろいろ見方はあります。現在の日本のアメリカに輸出しております商品につきましては、アメリカの景気がそんなに大きく影響するとは私は存じておりません。それは大体中小工業の製品でありまして、日用品であります。ただ先方におきましても、製造しておる人たちが中小工業者が多いとか、ちょうど来年はアメリカの改選期になっておりますから、国会を通じて猛烈な運動がありますから、相当声は大きいようでありますが、これはよく対処していけば大体防止できるかと考えております。
  170. 八木幸吉

    八木幸吉君 それから後進国に対する影響を通産大臣から。
  171. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) それは相当、アメリカの景気の減退は大きく影響をいたすと存じております。現在におきましても、後進国はドルの不足をしておる。また、アメリカの景気によって、原料の購入がだんだん減退して参りますから、その結果、原料品の生産をしておる後進国はますます深刻になるだろう。そこにおきまして、わが国といたしましては、後進国の経済状態は、アメリカの経済の状態によってもっと悪くなる。こういう前提のもとに考えていきたいと一存じております。これはいわゆる後進国との経済協力、あるいは延べ取引というような、そういうような問題を考えておるゆえんであります。
  172. 八木幸吉

    八木幸吉君 最後にもう二点ほど伺って私の質問を終ります。  第一点は、中共の経済攻勢が、わが国の輸出市場に非常に重大な脅威を与えている、こういう問題であります。たとえばインドネシアに対する日本の綿布の輸出状態は、昨年は一昨年に比して減少いたしまして九千五百万平方ヤード。ところが 一方、中共は一昨年に比較して、昨年は倍になって約二億平方ヤードに上っておる。さらにこのインドネシアに対する中共の長川低利の四千万ドルの借款で、七千二百万ヤードの綿布と、二万トンの米を買って、なお紡織工場もここに建てさせるということが伝えられております。このような中共の綿布が進出したということは、わが国の綿布輸出を非常に困難にしておりますが、そこで、これには一体どういうふうな対策をお持ちになっておるか、これが一つと、もう一つは、中共の経済攻勢は、値段も安いし、金融の便利もはかるし、窓口が一本化されておるし、リスクも保証してあるといったような、いろんな点があって、いわゆる国家貿易の利点を極端に利用しておる、こういう状態でありますので、政府のこれが対策を承わりたいのと、もう一つはインドネシアでは賠償物資の中で、三百万ドルぐらいは織物等消費物資をもらってもいいと、こう先方が言っておるが、この点はどうだろうか。これを通産大臣に伺いたいのであります。  それから中共やソ連が後進国に非常に借款その他を、十三年、二分、五厘ぐらいで、有利に与えておる。アメリカの国務省の調べでは、ソ連が十九億四千五百万ドル、中共が四億一千三百五十万ドルというふうに伝えられておるのですが、こういう中共、ソ連等共産圏の世界的の経済攻勢がますます激化しておるのですから、これの対策として、私は総理と外務大臣に申し上げたいのですけれども、日本はアメリカと戦略的に共同防衛の立場にたって非常に軍事的には密接な関係を持っておる。しかし、経済的に日本が困ってくれば、幾ら両国が軍事的に密接な関係を持っておっても、長くこの関係を続けるということは困難でありますから、世界経済会議といったような構想もあるようでありますけれども、広い意味における日米の共同貿易の体制を整える、その一環としての経済協力を強く推進するという意味合いで、日米安保委員会と同じように、トップ・レベルの日米経済協力委員会というようなものを設置をして、日本の対米輸出であるとか、あるいは後進国に対する中共その他の経済進出の問題であるとか、あるいはまた、アメリカの資本を日本に持ってきて、そうして日本は中継的に東南アジア等に資本的の援助をするというふうな、ごく高い意味での対共産圏政策をここで取り上げるということが、私は今の日本としてぜひ必要じゃないか、こう思いますので、総理、外務大臣並びに通産大臣に、この日米経済協力会議の構想についても御意見を拝聴したい、こう思うわけであります。
  173. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申します。第一の御質問の中共の経済進出につきましては、これは実は容易ならぬことだと存じております。先方はお話のごとく、政治と結びついてやっております関係上、日本の商品よりも値段において何刷何分安く売る、こういうわけですから、価格をもって競争するということはできない。それはひとり綿製品ばかりでなくて、あるいは万年筆であるとか、あるいは陶磁器とかいうようなものにまで及んできてわるわけであります。これが対策としては、もっと根本的に対米と一折衝等によってあるいはアメリカの余剰農産物の問題等ともからんで別途の方式を考えなければならぬかと私は任じております。  それから第二の御質問の賠償に繊維物資を加えろ、こういうお話でございますが、これは賠償というものは現在キャピタル・グッズをもってやっておりますけれども、一本の消費物資で外貨の負担率の少いもの、たとえば綿製品のごときは、半分ぐらいは外貨の負担によってやっておりますが、化学繊維のようなものは外貨の負川率はたいものですから、そういうものは相当これにつけ加えたい、こういう所存でございますが、これは先方の意向に上りてきめなければならない。こちらから押しつけるわけにいかない。しかし、そういうことができれば、希望があれば、外貨の負担率の少い消費物資をもってある程度充実していきたいという所存でございます。  第三の、最近における中共及びソ連の経済借款の問題でございますが、現在私どもの手元にあります資料によりますというと、ソ連が中共に与えております借款は四億三千万ドルという数字が出ております。それは年ではわずか一分でありまして、十年の期限を持っております。それからソ連がそのほかの国に与えております借款は、かれこれ三億六千万ドルぐらいになってわります、私ども調査によりますというと。それでその中では、ある種のものは、国によりまして違いますが、二分五厘、そうして十年年賦、三年据置ということをやっております。ある国によれば二分という金利を取っておるようでありますが、中共に対しては非常に優遇しておるようであります。これがただいままで私どもの手元にあります数字でございます。
  174. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) アメリカと日本の経済問題で、何か委員会を作って、そうしていろいろ相談したらどうだという御質問だと思います。日米経済関係につきましては、われわれ常時外務省の機構を通じてやっておりますし、また、民間の方々がそれぞれお話し合いになりまして業者間の理解を得るということについてお勤めもし、また、側面から御援助もいたしておるわけであります。そういう意味において、日米関係経済上の問題についての話し合いというものは相当に行われておると思います。何か特別な委員会を作ってというのでありますけれども委員会を作りますことによって、長所もありましょうが、また欠点も起る場合もあろうかと思います。従いまして、現在そういうことを考えておらないのであります。御意見として参考に承わっておきます。
  175. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの数字をちょっと訂正させていただきます。  ソ連が中共以外に与えております借款は三億六千万と申しましたが、これは八億百万でございます。それで期限はもっと長いのです。十三年というのもあるようであります。
  176. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 日米の間の経済協力を一そう友好に進めるために、両国の最高レベルの間の、ちょうど安保委員会に類似したような、委員会を作ったらどうかという御意見であります。  私は昨年アメリカに参りましたときに、日本品に対する関税の引き上げであるとか、あるいは日本品の輸入制限というような問題は、日米両国の間の親善関係の上からいって非常に望ましくない事態であって、そういうことをなくさなければならないし、また、一本の方において、それについて特に措置すべきことは措置して、ああいったことをなくす。なお、ここでも問題になりましたように、日米の間の貿易が非常な片貿易のような状態である、それを改害しなければならぬ。こういう問題に関してのいろいろ経済界の人や政治界の人等の意見を聞いたときに、実はそういう問題が具体的に起る前に、いろいろ両方で話し合いをする必要がある。カナダとアメリカとの間に同様な問題が起ったとき、商工会議所の中に両岡の有力な経済人の委員会を作って、そうしてそれを調査し、そういうことを未然に防いで、相当な効果を得たという経験があるというふうな話がありました。帰って参りまして、ぜひそういうものを日米の間に作って、少くとも日米の貿易関係における諸問題を、できれば未然に防ぎ、また事態が起ったならば、それに対する対策というものを早く適切なものを立てて実行するというふうにいたしたいということを話しまして、そういう問題に関しては、実は委員会ができたというまだ形じゃありませんけれども、両方の話し合いが進んでおると思うのです。いろいろの実業人の間、財界人の間の話……。  しかし、それよりも、さらに今の八木委員のお話は、もう少し高いレベルにおいて、もう少し広い問題をとらえていけというお話だろうと思います。私は、十分一つ御意見として承わっておきまして、できるだけ、日米の間の経済協力を進めるというのが、両国間の問題だけでなしに、さらに国際経済界の問題にも触れて考えなければならぬ問題であります。特にアメリカにおけるドルの偏在というようなことが、自由主義国一般の購買力の支障などになっておるというような事態を改善する必要があるというような意味におきましても、その問題についてはなお十分、一つ検討をいたしたいと思います。
  177. 亀田得治

    ○亀田得治君 私は、本日は、全司法並びに日教組に対する不当弾圧の問題について、主として質問をいたしたいと思っておりますが、その前に、米価審議会の問題について若干御質問をいたしたいと思います。  米価審議会は、御承知の経過をとりまして、本日早朝、結論を出して、政府に対する答申をいたしました。これに対して、農林大臣並びに総理は、どういう扱いをしようと具体的に考えておるか、この点をまず二人からお聞きをしたい。
  178. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) ただいまお尋ねの通り、米価に関しまする答申案は、昨夜深更政府に答申せられました。この答申の要旨は、基本米価に関する問題あるいはまた包装費に関する問題、同時にそのほかに、基本米価算定に関しまする諸方策等に対しまする答申でございまして、いずれも重要な要素を含んでおりまして、私たちが諮問をいたしました以外にも重要な事項が取り上げられておるものでございますから、これに対しましては審議会の答申をよく重んじまして、そうして慎重に検討を加え、最終的な取りきめをいたしたいと、かように考えておる次第であります。
  179. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 米価審羨会の答申の扱いにつきましては、ただいま農林大臣がお答えした通りに取り扱っていきたいと思います。
  180. 亀田得治

    ○亀田得治君 農林大臣は、昨日、この答申案が決定された直後、政府としてはこの答申を十分尊重する、単なる尊重ではなく、十分尊重する。そういうふうに話をされておりますが、ただいまの表現は、若干違いますけれども、答申案の内容を基礎にして、そうして、政府の諮問原案というものを変える、こういうふうに理解していいかどうか、お答えをお願いいたします。
  181. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 諮問原案をこの際変えるということは、やや語弊があると思いますが、政府の諮問原案に対しまして、米価審議会から、これに対して答申をいただきました。この内容を十分に検討するということでございます。
  182. 亀田得治

    ○亀田得治君 政府の諮問原案を変えなければ、幾ら尊重してみたって、尊重の結果というものは出てこないわけなんです。どの程度変えるかは問題が若干あるかもしれませんが変えることだけは、私ははっきりしておると思うのです、十分尊重するんですから。それくらいのことすらが明確になっておらないて、どうして十分厚重するといったような言葉をお使いになったんですか。
  183. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 答申の内容を検討しますと、算出に関しまする問題もありますし、具体的に計数を別にあげておらぬ点もございます。さすれば、これらを十分に分析し、検討するということは、当然の措置であろうと考えるのであります。
  184. 亀田得治

    ○亀田得治君 米審としても、これは十分検討をして出しておる結論なんです。これは、農林大臣自体が米審に出席をして、よくごらんになっておる通りなんです。で、しからば、もう少し具体的に聞きますが、政府は、この米価決定をいつまでにやろうと考えておるのか、せんだっては麦価の答申を出した翌日、尊重するといいながら、ちっとも尊重しないで、政府原案で押し切るような決定を翌日やっておる。きわめて早い。しからば今回、米価の問題ですね、米価決定の時期もこれは急いでおるわけです。農民の立場からすれば、たとえば予約概算金の前渡しとか、こうい、たような問題作もあり急いでおるわけです。私は一日も早くこれは決定すべさだと思う。これは最後にはもちろん閣議できめるわけですが、総理大臣としてはいつこれをきめる腹づもりでおられるかお聞きしたい。
  185. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) まず主管大臣からお答えいたします。近く決定する見込みでございます。
  186. 亀田得治

    ○亀田得治君 近くではわからない。これはこういう風説が流れておる。どうも腹の中では政府は答申案をあまり尊重しないのではないか、しかし国会中にそれをやったのでは麦価で農民を裏切り、ここでまたいいかげんなごまかしをやった、こういうことになっては大へん、だというので、国会が終了するまで延ばすのではないか、こういう憶測も行われておるくらいなんです。非常に急いでおる問題ですから、この段階で、近くといったような抽象的なあいまいなことではよくない、いつの閣議にこれを諮ってきめるのか、そんなことは大体主管大臣としての考えがきまっておらなければならない。また総理としても、諸般の情勢を検討すれ、ば、これは一日も早く決定すべきだ。総理としても、この問題はどういうふうにお考えになっておるか。お二人の一つ決定の時期をもう一度はっきりお答え願いたい。
  187. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 私としましてはこの次の閣議にお諮りをいたしたいと思いまして、ただいま急速に準備中でございます。
  188. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 米価の決定の問題はきわめて重要な問題であります。その時期的に申しましても、これは押し迫っておることは事実でございます。しかし、先ほど来主管大臣である農林大臣がお答えしておるように、台秤の重要な問題を答申のうちに含んでおりますので、これらを十分検討した上において政府としては筋の通った決定をいたさなければならない、ということは言うを待たないことでございます。私まだいつこれをどの閣議にかけろということを決定はいたしておりませんが、主管大臣である農林大臣ができるだけ早くと今申しておるように、閣議にかけるということですから、そうすれば決定をいたしたい、かように考えております。
  189. 亀田得治

    ○亀田得治君 主管大臣はできるだけ早くという言葉を少し具体的に言って、次の閣議に提出したい、こう先ほどおっしゃった。私はそこでおそらくその案というものの提案がなされてくると思う。従ってあとの扱いは岸総理の一存にかかってくるわけです。だから次期の閣議にそれが主管大臣から出されたら、その日、これは急いでおる問題ですから、優先的にきめる、こういう覚悟がおありかどうか、もう一度お伺いしたい。
  190. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 御承知の通り、先ほど私申し上げました通り、実は審議会の答申の検討ということについての具体的の内容については、まだ農林大臣から何ら私報告を受けておりません。従いまして、先ほど申しましたように、農林大臣が閣議の決定を求めるならば、もちろん閣議できめるということになっておりますから、筋の通った形において決定をいたすということを申しておる次第であります。決して今亀田委員の前提とされておる、何らかここに政治的意図で延ばすのではないか、というようなことは一切考えておりません、あとは今中しましたように重大な問題でありますから、十分内容を検討いたしまして、ちゃんと筋の通った原案として閣議に提出されれば、閣議がこれを決定すべきことは当然であり、また閣議においては重要な問題でありますから、十分にその案のできたゆえん等につきまして、検討を加えるべきことは当然でありますから、そういうことを申し上げただけでありまして、今亀田委員が前提とされているように何か、閣議に出てもそれを延ばすのじゃないかというふうな、無責任に延ばすようなことは絶対にいたしませんつもりであります。
  191. 亀田得治

    ○亀田得治君 それでは農林大臣からぜひ次の閣議に、先ほどのお話の通り出してもらいたい。総理大臣の力でもこれを延ばさないで、一つきめてもらいたい。しかもこれは筋の通ったきめ方をするというお話ですから、ぜひそういうふうにありたいと思うのです。  そこで、二、三点内容的に農林大臣に確かめておきたい。それは基本米価につきまして、答申案によりますと、基準年次のとり方が一年ずつ、ずれております。その結果政府原案よりも石当り六十五円増になります。これは答申の成文には載っておりませんが、そういう内容のものであるということは、農林大臣も答申者から十分お聞きになっておるはずです。このことは米価審議会の自民党委員の諸君も、筋が通っておる計算の方法だということで、満場一致結論が出ておる。この経過は農林大臣も十分御存じだと思いますから、あなたが閣議に出されようとする原案、それはおそらくこの答申案の一当り六十五円増というものが加味されたものになる、と私は解釈をしますがいかがでしょう。
  192. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 基準年次のとり方でございますが、政府の考え方としましては、これは答申におきましても、現段階では数字のとり方として、政府の従来やり来たっておりましたいわゆるパリティ方式もやむを忍ないというふうに、われわれは御答申の遡行もそうだと思っておりますが、それにつきまして、も基準年次のとり方は、政府原案におきましては二十九年、三十年、三十一年の基準年次をとるということが相当である、ということをもって提案いたしたのでありまして、これに対しまして今御指摘のような基準年次のとり力につきましては、異なった御意見がありましたことも事実であります。しかしながらこの問題は、その当時におきましても政府からるる政府原案のむしろ正当であるということを、いろいろお話したのでございますが、遺憾ながら委員会の方におきましては、その説はとり上げられなかったのでございます、率直に申し上げて。しかしながら、これは厳密に検討いたさなければならぬことでございまして、パリティ計算をとります場合には、その基準年次をいかようにとるかということは、これは重大なことでございまして、私たちとしましては、その問題についてさよう再検討いたすの必要ありと感じておる次第でございますから、ただ単に、御指摘になりました六十五円上りということを、自民党が満場一致できめたからなどということもございませんし、われわれこれをさらにさよう検討いたしたいと考えておる次第であります。
  193. 亀田得治

    ○亀田得治君 米価審議会は満場一致できめておるですよ、自民党委員も参加して。違いますか、それは。私はそういうふうに聞いております。
  194. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 米審の委員会では満場一致という形で御答申になりました。
  195. 亀田得治

    ○亀田得治君 その点を申し上げている。皆さんを代表されておる方もそこに加わって、いろいろ意見はあったけれども、結論としては退場等のことなく、満場一致でこれはきまっておるわけなんです。だからこれを否定するというようなことになれば、自民党という党は一体何だろう、こういう批判を受けますよ。そういうことにならぬように十分、農林大臣としての閣議提出の原案というものを、慎重にやってもらいたい。  それからもう一点包装費ですね、これも低過ぎということは、もうほとんど一致した結論です。農林大臣としては、この点について具体的にどの程度のことを考慮されておるか、お聞きしたい。
  196. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) ただいまお尋ねの包装費につきましては、なお低きに失するから実情に即し適正化すべきであると、こういう抽象的な表現でございます。従いまして、この適正化そのもののなには、私たちとしまして、諮問申し上げた原案といかように調整するかは、やはり厳密な検討をやる要ありと感じておるのでございます。
  197. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあ検討はよろしい、皆さんが原案を出して、それに対して修正といったようなことになっているのだから。ただし、何回も、十分尊重するということを農林大臣が内外におっしゃっておるわけですから、その精神を忘れないように一つこれは処理をしてもらいたい。  もう一点、この点でお聞きしておきますが、三十四年産米から生産費並びに所得補償方式で米価算定をやってもらいたい——これは今度の米価審議会でもきまりましたし、昨年も一昨年も、同じ方式の要求を審議会としては繰り返してやりてきておる。来年から果してそういう計算方式に変えて新しい方向に移行できるかどうか、この点の見通し等をお聞きしておきたいと思います。
  198. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) いろいろこれにつきましては沿革がありますことは、亀田委員の御指摘の通りです。今回の建議の要旨は、いわゆる所得補償方式確立のため、未確定部分の究明を行い、昭和三十四年産米より生産費及び所得補償方式を実施すべきであると、こういうふうに書いてございまして、早くこれを進めろということと、未確定部分の究明を行えということの川語が使われておるのでございます。われわれとしましては、この生産費及び所得補償方式の確立につきましては、なお検討を要すべき重要な要素が含まれておる。従いまして、この問題については、なお究明を重ね検討をして、そして一つの成案を得たい。そのためには努力いたしたい考えでございまするが、三十四年より直ちにこれを実施するということの御要請は、この文句からだけでは参りませんし、ただいまのところ、三十四年度からこれを実施することを確約するという段階には参っておりません。
  199. 亀田得治

    ○亀田得治君 そういう考え方で今後農林省が努力するということは、はっきり言えると思うのですが、いかがでしょう。  それともう一つは、この未確定部分の検討と、農林省としてはどういう点にそういう問題があるというふうに考えておるのか、二点を別らかにしてほしい。
  200. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) この問題につきましては、第一前提条件として生産費の計算が重大なものでございまして、現在すでに打ち出されております方面のものを検討いたしましても、その間に非常な差異があるのでございます。さらにまた、これはいわゆるバルク・ライン方式なるものをとるのでございまするが、このバルク・ラインをいかなる点にとるかも、これはまだ学問的にも実際的にも円熟した結論には達しておりません。かようなことでございまするので、年産費の調査といい、さらにまたバルク・ラインをとるという点におきましても、さらにまた都市の労働者の労賃との均衡を得させるということが一つの要素でございまするが、これらの問題につきまして、実効的な落ち着いた案というものがなかなか得られないものでございますから、これらの問題はさらに究明を重ね検討を重ねて、そして十分な成果を得たいとこういう考えでございまして、直ちにこれをもって採用するというわけには参らぬ点を申し上げたいと思うのであります。
  201. 亀田得治

    ○亀田得治君 ただいまの大臣の説明を聞いておりましても、そんなに私はこれは長くかかる問題であるとは思わない。たとえば都市の労働者との労賃の比較の問題、あるいは米の生産費が各地で相当違う、農家によって違う、そういうことの調査はほとんどこれはできておる。また足らぬ点は多少あるでしょう、それは農林省の現在の機構をもってすれば、そんなことは十分やる気ならできますよ。従って残るのはそういう資料を基礎にして、たとえばバルク・ラインの問題でも何十パーセントのところをとる、そういったような結論といいますか考え方、ある意味では自分たちの腹ですね、そういうものがきまるかきまらぬかのこれは問題なんです。基礎的なものはほとんどこれはありますし、なければ補充はできます、簡単に。だからほんとうに答申案の線で来年からやろうという気になれば、私は十分事務的に間に合う、間に合わぬのは政府の腹だけですよ。だから事務的には十分私は間に合うと思うのですが、ちょうど食糧庁長官が来ておるから、その点だけちょっと確かめておきたい。政治的な問題じゃなしに事務的に、そんなに私はこんな簡単な問題が、資料の不備だとか、来年になってなおかつできないとか、そんな問題じゃないと思っているんですがどうでしょう。
  202. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) ただいま大臣から生産費及び所得補償方式につきましての問題点と申しますか、亀田委員の御質問の点につきまして、一、二の重要点について申し述べたわけでございますが、なお補足的に申し上げます。  生産費及び所得補償方式によります際に、根本的な難点は、生産費なるものの的確な把握が非常に困難である。これがまず第一点でございます。お説のように、大正時代から農林省は米の生産費をやっております。従いまして、そのやり方その他についてはいろいろ工夫をこらしまして今日になっておりますので、そう幾多未解決の問題は残っていないわけでございますが、これはしかし、調査農家をどういうふうに選定をするか。それからどういう集計をするか、どういう評価をするかということによりまして、非常にまめに正確にやりましても、やる主体によって違う、たとえば農林省がやっております米の生産費調査と、農業協同組合中央会がやっております調査、あるいは農業会議所がやっております調査と相当な開きがございます。それが一%、二%の程度ではなくて、八%なりあるいは十何パーセントという違いが同じ年度の産米についてあるわけでございます。これは農林省の調査が正しい、中央会の調査が間違っているという問題では必ずしもないかと思います。そこで生産費調査において、ある程度開きがある今日において、すぐさま採用し得るかどうかという問題が第一点であります。  第二は、生産費調査が的確に把握できるといたしまして、しからば先ほど大臣がお話をいたしましたように、どの生産費をとるか、すなわち平均でとるのか、あるいは八〇%でとるのか、あるいは戦前よくバルク・ラインということで、公定価格を作る際に行われました七五%という線をとるか、そこら辺はなかなか一義的にはきまってこない問題もございます。これを大方の方の納得のいくようにどの点できめるか、相当の研究を要する問題だと思います。これはもっと食糧管理の米の需給、そういうこととあわせて考えなければおそらくなりませんし、毎年必ずしも一定ということにいくかどうかということも果して問題でございます。さらにたとえば八〇%ときめたといたしまして、その八〇%のところが年々変動いたすのでございます。平均生産費をとりましても、年々変動することは当然でございます、収量その他が変りますから。ところが、その平均生産費変動以上に、八〇%に該当する生産費というものは変動するわけでございます。平均生産費以上に変動するバルク・ライン生産費の変動が、果してしかるべく変勤であるのかないかということがさらに問題になるわけでございます。  それから、さきに大臣も申し述べました都市の労賃と均衡をはかるという意味で、しからば都市の労貸とはいかなるものか、統計的に一義的にいろいろな価格の算定を経なければ都市と均衡を得た農村の賃金というものでて参らないのでございます。かりに出で参るといたしましても、都市の賃金のどこをとるのか。全体の平均でとってしかるべしというのが、大体従来の考え方であったようでありますが、一昨日昨日の米価審議会等におきましても、全製造工業の平均賃金をしるのもどうかという議論も出ております。たとえば五人以上の製造工業の規模の賃金をとるべきではないか、こういう御意見もございます。従って都市の賃金に置きかえるという場合におきましても、ちょうどバルク・ラインと同じように、いかなる都市の賃金をとるかという問題があるのでございます。  いろいろ細目について申しますと、亀田委員もよく御承知の地代の許価というようなことになりますと、これまた問題になりますが、そういう重大な問題を除きましても、なお今申しましたような問題が私どもの当面いたしておる問題でございます。すぐさま事務的に必ずしも片がつくという問題ではない、こういうように考えておる次第でございます。
  203. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあこの問題であまり時間をとるわけには参りませんから、この程度にしたいと思いますが、ただいまの小倉長官の説明をお聞きしましても、もう資料はそろっておるのです。これはどんな調査をやってもそれは全部違います、調査は具体的ですから。ですからその出た、地代の問題、労賃の問題、あるいは個々の生産費の問題、これを全部資料にして来年の米価審議会に出して、そうしてどの線をとるべきか、それ自体を審議会にかけて行けばいいのです。来年決定して、どうもこの決定の仕方があとから見て不公平であったということになれば、またその次の年にこれは変えたらいいのだし、皆さんがそういう調査を出せば、農業団体なりいろいろなところから意見がまた出るでしょう。その意見が筋が通っておれば訂正すればいいわけですし、だから何も問題はないじゃないですか。だから結局は腹だけなのですよ。皆さんだけが調査資料をあれも違うこれも違うといって、そんなものをいくらかかえて思案しておっても、いつまでたってもきまりませんよ、これは。だから私はまあただいまの長官の答弁自体からも、これは準備はできているのだという感じをはっきり受けるのです。どうかそういうことですから毎年々々同じ答申をつけられるのですが、来年は必ずこの新しい方式で一つ米価の問題と取り組む、こういう方向で進んでもらいたいということを、総理並びに農林大臣にこれは要請をして、一応この問題は打ち切っておきます。  そこで次に不当弾圧に入るのですが、ちょっと私委員長に聞きたいことがあるのですが、これはちょっと時間外にして下さいよ、質問ではないのですから。私はきょうは全司法の問題について、特に最高裁の長官の出席を実は求めておりました。ところがどうもいろいろ聞いてみますと、かわりではどうか、こういうふうなお話が出ておるようでありますが、私はこれははなはだ遺憾だと思うのです。というのは、三権分立ということは私も必然これは考え、尊重もしておりますが、国会は憲法六十二条に基いて広い国政調査権を持っておるのです。国会法の問題以前の問題です、これは。この憲法六十二条の国政調査権には、どこまでを含むかという問題も、これは憲法法学者の間で議論があります。しかし議論のあるのは裁判に干渉するような国政調査はよくない、大体こういう立場からの議論なんです。これは私ごもっともな点があると思います。ところが私が今聞きたいと言っておるのは、裁判所が、われわれから見ればはなはだ不当な理由で、十九名の裁判所関係の人を懲戒処分に付した、こういうことは間違った司法行政だ、こういう立場からこれはお聞きしようとしている。裁判にとっては全然これは関係のないことなんですね。だからそういう問題ですから、私は当然首切りをした御本人がこれは進んで出てきてもらえる、こういうふうにも思っていたわけなんです。それがこられない。代理でどうであろうか、こういう話なん、ですね。私は首切った人に聞かなければ、代理ではそんなことは、はっきりその人がどういうつもりでやったかわかるものじゃない。形式的なおざなりの質疑はしたいと思っていない。この十九名の首切りに関しては、例の裁判香の問題が根拠になっているのですが、これは重大な問題があるのです、川法行政としても。そういう立場で私は田中長官の出席を求めておるのですが、ただその六十二条の持つ調査権を行使する方法ですね、方法には問題があるでしょう。一般の行政関係であれば、憲法上国務大臣として出席の義務がはっきり規定されておる、だからこないというわけにいかない。ところが裁判所関係には、あちらからいえば辛いかもしれませんが、幸いそういう規定がない。国会法の規定が若干その点では不備な点がある。そこをいいことにして代理をよこして済まそう、私はこれははなはだけしからぬと思うのですよ。そういう問題については最高裁は答えない。こういうことならそれも一つの見識でしょう。ところが答えましょう、説明しましょう、こうおっしゃっている。同じ説明するなら本人に聞きたい、こう私は言っているのです。無理じゃないでしょう、委員長委員長はよくそういうことは理解があるはずです。なんでそれをもっと強く言ってくれないのか。そうして国会議員の私どもの方の持つ調査権を押えるようなことをおっしゃるのは、ますますこれはあなた、裁判所の方は、もうこんな問題については今後はねておけばいいのだ、ますますそういうことになりますよ。大体田中長官はときどき法務委員会等で出席を求められておる、衆参を問わず。来たのは一回きりなんです。それも自分の方の最局裁の機構改革について衆議院の模様が悪い、空気が。それで自分の考えを司明したい。自分の都合のいいときだけ一回来たきりだ。こんなことはかしからぬですよ。ほんとうに司法行政なんかの問題については、最高機関の方から出席を求められたら、国会法の規定なんかにとらわれないで、むしろ憲法六十二条の精神というものを重んじて、長官が出て来て親切に答弁をされるのが、私は当りまえだと思う。どうなんです。言いたいことは私はたくさんあるのですが、私は委員長の方でもう少しこうちの方を向かないで、あっちの方を向いて一つこの問題を処理していただきたいと思うのですが。
  204. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 御希望でございますか。
  205. 亀田得治

    ○亀田得治君 委員長の御見解を一応聞きたい。
  206. 泉山三六

    委員長泉山三六君) それではせっかくのお尋ねでございますので、丁重にお答えを申し上げます。  亀田委員からただいま御発言の通り、田中最高裁判所長官の出席を要求しておりました。しかし私は委員長といたしまして、憲法理論あるいは国会法がどうというようなことよりも、第一に考えますことは、本委員会の円満なる運営とその遂行であります。しかるに先般同様の問題につきましては、衆議院の予算委員会におきましても、同じく社会党の某君から同様の要請がありました。これは最高裁判所側からは、横田事務総長をもって御答弁をいたし、そのまま円満に経過いたしております。なおまた本日は当院におきまして、法務委員会において、これまた同様の問題が発生いたしました。しかるところ、各党の間の話し合いによって、これまた事務総長をもって代理をする、かようの事実がございまするので、私は、本日のことにつきまして、そこで私から亀田委員に対しまして、さようの事実に基いて、実は何と申しますか、議事の円満なる遂行と、この一点からお願いをいたしておったのであります。しかるところ、せっかくのお尋ねでありまするので、一言申し上げますれば、私は、おかげで大へん勉強になりましたが、国会法第七十二条第二項、これは「その要求により、」と、本人の要求に基いてとありまするが、しかし、本院では慣例といたしましては、むしろ政府委員に準ずる者と、こういうようなことで円満に最高裁判所側の説明を求めておるのが先例であります。従いまして、その先例に基いて横田君ほか関係局長二名の出頭を求めておるような次第でありますので、右御了承願います。
  207. 亀田得治

    ○亀田得治君 委員長がみずかへ国会法の条文をお示しになっわけですが、大体この国会法の条文自体に、これは問題があるわけなんです。問題があるのです。国政調査権が憲法上認められておりながら、それを行使する手続をきめる国会法、この規定が、裁判所の立場を重んじ過ぎて、少し適切ではないのではないかと、こういう疑義がずっとあるわけなんです。それで、先だって参議院の法制局の方にその点をお聞きしましたところ、実は昭和二十九年、このときの国会でも問題にになった、あっちが出てこないものだから。そこで、この国会法の今お示しになった裁判所が出てこない唯一の根拠にする条文ですね、これ修正しようじゃないか、修正してそうして七十二条の一項と同じようにこれをしようと、ただし個々の裁判事件についての説明は拒むことができると、こういうふうにして、あちらに出席の義務だけは負わすようにしようじゃないか、裁判の中へ入らなければいいのだから、その点は保障してやろう、こういうことが具体的に相当議題になったのです。私は、先だっても法務委員会でそういう問題をこちらから提起して、問題が行き詰まってしまったものですからお聞きしますと、そういう経過があったくらいなんです。ところが、こういうものができますと、最高裁は困るものですから、それでちょっと待ってもらいたい、しかるべく善処するからということで、しからばということで現状のままになったように、私どもは大体聞いて、おるのです。私はまあその辺の政治的な解決も一つのやり方だと思います。思いますが、そういう点にかんがみても、私は、まあたまにしかこの最高裁長官の出席なんというのは、これは、要求しないわけですからね、重大問題で符に問題を指定して要求した場合には、出てきてもらうのが当然だと思う。そういういきさつを委員長考えになって、もう一度最高裁長官に対して督促をしてみる御意思はないでしょうか。そういう歴史を考えれば、断然これは名委員長は、そこを御努力願えると私は思うのですが……。
  208. 泉山三六

    委員長泉山三六君) お答えを申し上げます。ただいま亀田委員のお話、特に法律」」の該博なる見解については敬意を表しますが、本委員会運営につきましては、私、前段申し上げた通りであります。ただし、亀田委員のせっかくの御意見並びに御希望の点については、すでに本委員会の速記に残りますことが一つ、のみならず現に責任者で、ある横田務総長が見えておられまするので、これは十分その筋にも惨透することに私は了解をいたしますので、本日の議事の進行につきましては、どうぞ私先ほど申し上げましたようにお願いをいたします。
  209. 亀田得治

    ○亀田得治君 これは国会と政府、あるいは国会と裁判所という関係で、非常に重要な問題なんです。これは何も社会党だからわんわんやかましく言っているわけでも何でもないのですよ。私はそういう意味で、総理のこういう問題についての見解ですね、これは衆議院でも起きて未解決、こちらでも未解決になっている。どういうふうにあなたはお考えになりますか、この問題どういうふうに処理した方がいいか、参考までにお聞きしたい。
  210. 泉山三六

    委員長泉山三六君) ちょっと亀田さんに委員長から申し上げます。ただいまの御見解についてはよく承わりました。亀田委員御指摘の通り、法そのものに対しましての御意見はその通りでありましょうが、まだ疑問の余地が多々あるやに委員長は拝承いたします。つきましては、これは法律上の問題、かように考えまするので、本日は、当委員会予算執行の調査と、こういうわけでありますから、なるべくなら時間の方で御発言願って、そういうように円満に一つ御進行願います。
  211. 亀田得治

    ○亀田得治君 私は、まあ泉山委員長には非常に協力している方なんですが、これはこういう問題が起きて、そのまま国会の力が引き下がると、引き下ったこと自体によって、もう一つの前例ができてしまうのです。問題が起きておらぬときなら、もう少し適当な時期を待とうかというわけにいく。先だって法務委員会で横田事務総長が来られて、私からそういうことを言われて、じゃそのことを長官にお伝えすると、こら言うておって、したのかせぬのか知りませんけれども、やはりきょうだって出て来ない。同じことなんです。この瞬間に裁判やっているはずないし、出てこられるはずなんですよ。ところが、おれだけは、天下広しといえどもおれだけはそういう所に行かぬでもいいのだ、こういう誤まった自尊心を持っておられるようです。どうも私はそういうことはいかぬと思う。  そこで委員長に要求しますが、この六十二条の国政調査権行使の方法は、大まかにいって二つあるわけですね。一つは各関係者に来ていただいてこの質疑をする。もう一つは証人の問題です。この証人として呼ぶということについては、何らの法律上制限はありません。ないから、私は、田中最高裁の長官一つ証人として呼んでもらたい。これは拒む理由がありません。これはもう必ず来なければいかぬ。ただし内容について拒みたいという場合には、証人に関する法律によって内容的には証言を拒めるのがあるだけです。この二つしかないのですから。ところがそういう手荒なことまでしなくても済むようにということで、これが政治的なやはり配慮なんですよ、最高裁長官自体への。それがなくて国会法七十二条の二項のような、これは国会が裁判所の立場というものを重んじてああいうやわらかい書き方をした、そこに便乗して、おれは行かぬでもいいのだという、こういう態度をとって、国会の六十二条の調査権というものを空文にするようなことをされるのであれば、私は、これはもう証人として喚問することを一つ委員長にこの席から要求します。これは御審議願いたいと思う。
  212. 泉山三六

    委員長泉山三六君) お答えいたします。問題は、証人としてと、こういうような御発言までございましたが、その前に、先般も別席におきまして、同様の問題について亀田委員から御発言があったことをただいま御発言がございました、と同様の、つまり本日は、同じ意味合いの場合であろうかと存じます。問題は、本予算委員会の性格にある、かように委員長は解釈をいたしております。その間に解釈上の疑義があるやに私もただいま初めて知ったわけでありますが、これは別席で(笑声)論ずべき問題であって、私は、ただいまお話の点については、十分お話し合いも願い、何とぞ円満に進行をしていただきたいと思います。
  213. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 議事進行について。  委員長のおっしゃるように問題がありますし、これは十分に検討しなければならない問題と思います。従って、その別席においての論議も私たちは拒みませんが、ただ、今、亀田君がすでに総理に、政府はどういう見解を持っているかということを聞いておるのですから、この質問だけは許して、しかる上で、さらに筋を通して、審議の仕方を別にお取り計らいを願いたいと思います。
  214. 泉山三六

    委員長泉山三六君) それでは特に発言を許します。岸内閣総理大臣
  215. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 憲法の規定の趣旨は、私はやはり裁判そのものについてのなにはありませんけれども、司法、行政の問題については、国会の審査権というものはあるだろうと思います。ただその場合に、要求によって出てくる義務があるかどうかという問題になってくると、国会法の今の規定は、その点については国会と裁判所との間に話をして、事を処するというようなことになっていると思うのです。従って、普通のわれわれの立場とは違った国会法の規定になっております。政府としては、やはり国会と裁判所と一つうまく話し合いができて、(笑声)実際上の国会の持っておられる審査権の実を上げる上において、適当な方法を講ぜられることが望ましいのである。今お話のように証人として呼ぶとかいうふうななにでなしに、あるいは政府委員に準ずるような事務総長が来て説明して、それで事態が明らかになるか、あるいはそれじゃどうしても明らかにならないというような場合において、さらに長官によく話をしに出てもらうというふうな処置が、事実問題としては適当なのじゃないか、かように考えます。
  216. 泉山三六

    委員長泉山三六君) それでは亀田君御進行願います。
  217. 亀田得治

    ○亀田得治君 ああいう答弁、最後の方がどうも悪いですね。初めの方はなかなかそつのない答弁だと思っていたのですが、最後がああいう取扱いではだめなのです。私どもしょっちゅうそんなことを要求しているわけじゃないのです。これは今度の処分に関連した裁判というのは、とにかく全司法に勤めておる人たちの重大な問題なのです。事務総長は最近公取からこちらに来られた人だし、そんな人に以前からあった問題について聞けるものじゃない。私は裁判所の立場を尊重するからこそ、むしろ最高責任者とこの問題を真剣に話し合っていきたい、そう思っているのです。だからこれは大へん残念ですが、今晩一晩一つ委員長に大へん御苦労ですが御努力願って、そうしてどうしてもそこがうまくいかないということになれば、そのときには私もそこまで強情ではありませんから、あるいは若干考えるかもしれません。しかし、少しもその点を努力もしないで、まあまあということでは、ちょっと私は、はなはだ後世に汚点を残すと思うのです。どうかそういうことで、一つなんでしたら次の質問者の方にやってもらって、この問題を解決して、一つ私の質問に入るようにしてもらいたい。
  218. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 亀田君にお答え申し上げます。  ただいまのお話は、私承わりましたが、せっかく横田君初め、総務局長、人事局長が見えておられます。まだあなたから内容的なお話を承わっておりませんので、だんだん内容を承わった上でのことにすることに一つお願いいたします。
  219. 亀田得治

    ○亀田得治君 それは内容的には、もうあちらもいろいろな説明書を出されておるし、私どもも十分たくさんの資料を拝見しているのです。内容的には、そんな事務的にごちゃごちゃ説明してもらうような問題じゃない。端的に最高責任者と、ポイントについてどうかというふうにやり合わなければならない問題なんですこれは。かいもく事務的にこまかいことなどもわかっておらないというなら、これは事前に、委員長がおっしゃるように、説明を求めて、それから次に進むというのが段階でしょうが、そうでない、この問題は。先だって法務委員会でも皆さん来られたわけです。しかし、もうこまかい説明は、私は聞かぬだってこれはわかっているのだ。あとはどういう考えが正しいのかというそういう判断が残っているだけなんです。決定書も全部私は見ておりますし、そういう問題なんですから、一つこれはぜひ長官が出られるように、そうしてこれを機会に、最高裁と国会との関係というものを、もう少し私は正常化してほしいと思う。(「ちょっとこのまま休憩しましょう、別席でなくてもいい」と呼ぶ者あり)
  220. 泉山三六

    委員長泉山三六君) せっかくですから、少しお進みになったらいかがですか。(笑声)
  221. 亀田得治

    ○亀田得治君 困るという人に聞くわけにいかぬじゃないですか。聞けば、それを認めたことになります。
  222. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 私から申し上げます。  先刻申し上げた通り、これまで衆議院の同じく予算委員会におきましても同様の甲案につきまして、横田君から御答弁申し上げておるのです。こういう現実もございますので、少くともその範囲のことは御発言になっていかがでしょう。
  223. 亀田得治

    ○亀田得治君 それはわかっておるのです。私はむしろ衆議院がそういうことをおやりになることに実は不満を持っている。そういう問題こそこれは参議院というものがやはり別になって、そうしてじっくりと良識を発揮していくのが、私は参議院の使命だと思う。こういう問題についてこそ。あっちがやったから、それと同じ間違った軽率なことをやれ、そんなことを言われては、参議院の存在価値をみずから否定するようなものです。これは十分一つ委員長に大へんこれは御苦労なことですが、重大な問題として一つ御善処を願いたい。
  224. 泉山三六

    委員長泉山三六君) なお、念のために亀田君に伺いますが、ほかの問題については御質疑はございませんか。(笑声)せっかく労働大臣、文部大臣、警察庁長官等がお見えになっております。
  225. 亀田得治

    ○亀田得治君 ちょっと、ほかにないことはもちろんないのですが、大部分を私は全司法の問題に質問を充てているわけなんです。もちろん文教問題についても最初申し上げたようにあります。しかし、全司法のやつをやって——やはりこれは聞く方だって順序があるわけですから、(笑声)それは一つコースを狂わさぬようにお願いいたします。   〔松澤兼人君「このまま休憩したらどうですか。」と述ぶ〕
  226. 泉山三六

    委員長泉山三六君) では、暫時休憩をいたします。    午後五時二十一分休憩    ————・————    午後五時四十二分開会
  227. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 委員会を再開いたします。  委員長から亀田委員に申し上げます。亀田委員の御要求につきましては、委員長においてとくと考慮をいたしまして、貴意のあるところを十分伝えまして、できるだけこれが実現をはかりたい、かように申し上げます。ただし、この際、亀田委員にお尋ねを申し上げますが、先刻委員長が申し上げました通り、亀田委員の要求大臣は、なお倉石労働大臣灘尾文部大臣、愛知法務大臣、かように並んでおりますが、特に文部大臣につきましては、なるべく本日に御質疑を願いたいということを委員長からお願いをいたしておりましたわけでありましたが、念のためお伺いいたしまするが、あなたの文部大臣に対しまする御質疑については、文教委員会において、目下問題の焦点になっておりまする問題ではございますまいかどうかを、念のためお尋ね申し上げます。(「委員長、そういうことはおかしいじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)亀田君にもう一度申し上げますが、(「それは委員長理事打合会でやるべきだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)御静粛にお願いします。皆さんお聞き取りを願います。私から亀田委員に、なるべくきょうのうちに御発言を願いたいと言ったのは、最初から用田委員の要求大臣には文部大臣がございました。しかるに明日に相なりますると、御承知の通りの状態であまするので、なるべくきょうの間にお願いをいたしたいとい、うのが委員長の念願であります。従って理屈ではありませんので、こういう意味合いから、老婆心ながらお伺いいたしたわけでありますが、そうして、もし(「そういうことは理来会に列席してやるソ)とだよ」と呼ぶ者あり)もしもそういう点につきまして、私が配慮をいたすような問題に関係がありますならば、せっかく文部大臣御多用のうちを御臨席でありますから、それがございませんでしたら、これできようは散会いたしたいと思います。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  228. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 議半進行。質問者にそういうことを一々注文をつけることはいかぬですよ。委員長は大へん老婆心でいろいろなことを心配されておるようでありますけれども、しかしそれは、ある程度質問者の自由にまかしていただかなければ、特定の問題について質問するということであるならば、ほかの委員会との関連があるから困るというようなことを言われて、そうしてきょうやれとか、あしたにしてもらっては困るとかというようなことを委員長として発言されるということは、質問者に対して、自由の制約になると、こう考える。私は、亀田君にそういうことを答弁させるということは、少し酷じゃないかと思います。そういう問題は、やはり理事会において、あしたの進行状況、鶴田君の持時間がどのくらいなんだ、最高裁の長官が出て来るとか、出て来ないとか、そういうことをにらみ合せて日程を決定したらいいことじゃないかと、こう思うんです。
  229. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 松澤君にお答えいたします。あなたの御発言は、委員長の発言を誤解しております。私は決して要請をいたしておるものではありません。私から、本委員会運営について、いかにこれを円満にと、かようの念願で、お願いをいたしておったのであります。この点誤解のないようにお願いいたします。
  230. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 議事進行。それでは、私がもし委員長の真意を誤解しておったとすれば、これは私訂正いたしますけれども、しかし、これから後の議事は、あらためて理事会において相談をいたしましてからやっていただいて、本日は、これで散会していただきたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  231. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 亀田君に申し上げます。私のただいまお尋ね申し上げました点につきまして、お答え願えませんか。
  232. 亀田得治

    ○亀田得治君 せっかく理事の方がああおっしゃるわけでありますから、それは委員長理事の打ち合せで、しかるべくお願いいたします。
  233. 泉山三六

    委員長泉山三六君) それでは本日は、都合によりまして、これにて散会いたします。  明日は、午前十時から開会いたします。    午後五時四十七分散会