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1958-09-10 第29回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年九月十日(水曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————   委員の異動 八月十八日委員田中茂穗辞任につ き、その補欠として谷口弥三郎君を議 長において指名した。 八月二十五日委員谷口弥三郎辞任に つき、その補欠として鈴木万平君を議 長において指名した。 九月九日委員雨森常夫君、鈴木万平君 及び梶原茂嘉辞任につき、その補欠 として田中茂穗君、青山正一君及び森 八三一君を議長において指名した。 本日委員安部キミ子辞任につき、そ の補欠として片岡文重君を議長におい て指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     関根 久藏君    理事            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            東   隆君            北村  暢君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            伊能 芳雄君            塩見 俊二君            重政 庸徳君            仲原 善一君            横川 信夫君            大河原一次君           小笠原二三男君            片岡 文重君            河合 義一君            清澤 俊英君            北 勝太郎君            島村 軍次君            森 八三一君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    文部省初等中等    教育局職業教育    課長      安養寺重夫君    農林政務次官  高橋  衛君    農林省農林経済    局農政課長   小林 誠一君    農林省農地局長 伊東 正義君    農林省振興局長 増田  盛君    食糧庁業務第一    部長      諫山 忠幸君    水産庁長官   奥原日出男君    通商産業省通商    局輸入第二課長 中西 申一君    建設省河川局防    災課長     山内 一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (韓国ノリに関する件)  (小中学校学習指導要領と林業に関  する件)  (災害に関する件) ○派遣委員の報告     —————————————
  2. 関根久藏

    委員長関根久藏君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初に、委員の変更について御報告いたします。  昨日、雨森常夫君、鈴木万平君及び梶原茂嘉君が辞任され、田中茂穗君、青山正一君及び森八三一君が選任されました。     —————————————
  3. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 韓国ノリの件を議題といたします。  この件につきましては、秋山委員その他の委員から質疑の御要求がありますので、この際、順次御質疑を願うことといたします。  なお、この件について、政府側からの出席は、ただいま農林政務次官高橋衛君、通商産業省通商局輸入第二課長中西申一君、水産庁長官奥原日出男君でございます。
  4. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 韓国ノリ輸入につきましては、従来もしばしばいろいろ問題を起して、当委員会におきましても、その取扱いについて決議までいたしておるわけであります。御承知通り昭和三十年におきまして、韓国ノリ輸入は、国内産業すなわち最近非常に窮迫しております沿岸漁業保護育成というような面から、政府といたしましても、沿岸浅海増殖の問題は大きく取り上げて、政策として進めておるわけであります。そのうちでも、ノリ増殖というものは、全国にわたって農林省が奨励し、今日まで着々その成果を上げつつあるわけでありますが、そこへもってきて、韓国ノリをどんどん輸入するということになりますと、価格の点において、また、需給の面において、国内の芽ばえておるところの浅海増殖の仕事を非常に圧迫してきて、さなきだに困っておる沿岸業者を、さらに苦しめるということになりますので、われわれ当委員会におきましては、韓国との貿易関係もありまして、全然この輸入を阻止するというわけにも参りません。本来からいいますと、阻止したいのでありますけれども、国の貿易上の問題もあることを考慮いたしまして、年に一億枚を限って輸入することを認める。しかし、この輸入方法等につきましては、生産者、そうしてこれを販売するところの商社、輸入業者、この二者が、いわゆる需給調整協議会という会議を持ちまして、その会議によって話し合いをして輸入をしていく、そうしてまた、これを販売していくという原則を打ち立てまして、決議をしたことは御承知通りであります。しかるに、昨年度におきましては、ついに、いろいろの関係から、この輸入はできなかったのであります。そのうちに、われわれの申し入れをしております四月から九月までの間に輸入すべきものは、時期を失しまして、とうとう輸入する時期に輸入ができなかった。それで、本年の四月以降におきまして、これが大体一億に近いものが輸入されたわけであります。ところで、最近におきまして、国内に、保税倉庫にありましたところのノリの中から、二千百万枚というものが通関された、輸入されたということにつきましては、われわれとしては非常に驚いたのであります。まず、この二千百万枚というものは、昨年の一億というものが本年輸入され、その上にプラスして輸入された格好になっております。先ほども申しましたように、われわれといたしましては、国内産業保護育成という立場に立っております限りにおいては、年に一億枚を限って輸入するということが原則であります。従って、これがいろいろな事情があるにいたしましても、その一億をこえて輸入するということは、われわれとしてはどうしても承服できない。しかしながら、これを需給調整協議会において、お互いがこれは国内情勢その他から勘案して、それくらいのものは輸入してもいいという話し合いの上で進んだものならば、これはあえて私どもはとやかく申しませんが、生産者といたしましても、これに対しては非常な異論をもっておる。そこへもってきて、需給調整協議会話し合いの結果を待たずしてこれを通関したということに対しましては、通産省は、どういう趣旨でこれをやられたのか、われわれがかねてからきめておりますところの、年に一億というものを、昨年一億を入れなかったから本年は二億入れてもいい——本年の分と昨年の分と二億入れてもいいという考え方からやられたのであるかどうか、この点をお尋ねいたします。  なお、この二千百万枚の輸入に関しましては、農林当局水産庁でありますか、これはある程度の了解を与えているということによって、通産省はこれを輸入したという話でありますが、水産庁当局は、二千百万枚を入れるということは、どういう趣旨でやったのか、来年の輸入を先に前受けをして輸入すると、すなわち、来年の一億枚というもののうちから、本年二千百万枚を入れて、来年は七千九百万枚にするという趣旨であったのか、その点を水産当局からまずお尋ねいたします。
  5. 中西申一

    説明員中西申一君) 先般二十一万束の韓国ノリ通関されましたのですが、その間の経緯について御質問がありましたので、お答えいたします。  この間の経緯は、本年の四月早々、昨年度割当分韓国ノリ約九千六百万枚が輸入されたわけでございます、通関したわけでございます。それに引き続きまして、二十一万束が相当前から在庫として残っておりました。一面、今年度は需給が非常に逼迫しておるという声も聞かれておりましたので、今年度につきましては、需給上の特別の配慮から、こういったものを特別に輸入できないものかどうかということを韓国ノリ需給調整協議会に諮問し、かつ水産庁にも協議をしたのであります。その結果、水産庁の方からは二十一万束、二千百万枚についてはとりあえず同意するという回答が参りました。品物がかなり古いものでもありますし、保管料も相当かさんでおる関係から、一応通関を認める、こういうふうになったのであります。
  6. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 通産省お話と、私の申し上げます話との間に、若干の解釈の食い違いがあるのは、これは立場上やむを得ないものと思うのであります。この四月に入れました一億枚の輸入が決定いたしましたのは、昨年の十二月の末に抑留漁夫の帰還の話がとにかくまとまりましたあと、一月ごろであったかと思うのであります。しかし、これを輸入することに関しましては、当然国会でも方針として示され、また、需給調整協議会内部におきましても生産期輸入することについて議がまとまらず、そこで、非生産期の四月に持ち越しまして一億枚の輸入をいたしたのでございます。  そういう経緯で入りました一億枚を、三十二年度のものとして考えるか、三十三年分のものとして考えるかと、こういうことに関しましては、私は、その外割ワクが三十二年度であったから三十二年分であったというふうには、きめるわけにはいかないと思うのでありまして、これは、あくまでも需給調整協議会においてどういうふうに扱っていくかということを、率直に話し合ってきめていくべき問題であろう、かように考えておりました次第であります。その矢先、今年五月に、通産省の方から二千百万枚をワク外として特別に輸入することについての協議を受けたのでございますが、われわれといたしましては、需給調整協議会できめまする将来のワクの一部として、特別輸入ではなしに、ワク内の輸入として、そのノリが非常に品いたみを生じていると、そういう事実にかんがみまして、これの輸入通関を承認いたしたのであります。しかし、それはあくまでも需給調整協議会にこれが取扱いについては話し合っていただく、こういう趣旨において、われわれも合意をいたした次第であったのでございます。
  7. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ただいまのお話を聞きますというと、水産庁考え方と、通産省が受け取った受け取り方に、ある程度の開きがあるように私には聞こえたのでありますが、通産省といたしましては、そのワク内における処理という問題を簡単に考えたのではないか。水産庁がそのきめられたワク内において処理をするという腹の中に、三十二年度の輸入のものが三十三年度にいって輸入された、そうすると、三十三年度に輸入さるべきものは相変らず三十三年度に入れてもよろしいというお考えのもとに、その一億の内訳として承認をされたものであるかどうか、その点をお伺いしたい。それは農林省といたしましては、国内産業保護育成という立場に立っておるならば、さような考え方はないのじゃないか、毎年一億枚を入れることは国内産業に対する圧迫も比較的少いのであって、この程度ならよかろうという考え方のもとに立っておるとするならば、たとえズレたにいたしましても、ある年度においてその倍の二億枚を入れるということは、どうしても国内産業保護育成立場に立っておる農林省としては、考えられない問題じゃないか、かように考えますが、今二千百万枚というものの輸入に賛意を表したというその根本の考え方、これを一つ伺いたい。
  8. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 四月に入りました一億枚の取扱い経緯につきましては、先ほど申し上げました通りであるのであります。そこで、これを三十二年分としてさらにもう一億枚三十三年分を考慮するか、あるいは三十三年分としてもう全然一枚も入れないか、こういうことは、ノリ生産事情あるいはノリ価格状況等を実態的に見て、そして需給調整協議会において相談をしてきめるというふうなことで取り計うということが、やはり話の流れとして私は一番自然なのではないか、かように考えておるのでございます。従いまして、私は、そこにおきましてこの問題及び二千百万枚についての話し合いというふうなものが、円滑に行われるということを期待をいたしまして、ただいま申し上げましたような文書をもって通産省農林経済局長名をもって回答いたした次第でございます。
  9. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ところが、今お話を伺いますというと、需給調整協議会話し合いができた上で、二千百万枚は入れてもよかろうという水産庁長官の御意図であったように承わったのでありますが、実際は、その調整協議会の話がまとまっていないことは御承知通りであります。そうした場合に、水産庁としては、これをどうお考えか、あなた方の考え通りにならずに、これが通関され、輸入されたことにつきまして、水産庁長官として、どう考えられますか。
  10. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 需給調整協議会が、まあ会長が不在であったとかいうふうな事情もあったのでございましょうが、とにかく会合を開かれることなしに、八月に入りまして、二千百万枚についての輸入の公示がなされたということに相なりましたのは、これはまことに当初のわれわれの意図に反しました遺憾なことであると、かように考えております。
  11. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 通産省にお尋ねいたしますが、ただいま水産庁長官の御答弁、お聞きの通りでありまして、ただ野放しに賛成したものではない、需給調整協議会意見によってならば、その数量のものを入れても差しつかえない、また、これを拡大解釈しますならば、その需給調整協議会がきめるならば、さらに多くの数量輸入してもよろしいといったようなふうに、水産庁意図はうかがえるのでありますが、通産省といたしましては、この需給調整協議会意思の決定といいますか、答申といいますか、何もないのに、それを強行されたというお考えについて、どういうふうな考えのもとに処理されたのでありますか、その点をお伺いいたします。
  12. 中西申一

    説明員中西申一君) 農林省から二千百万枚につきまして同意するという回答をいただいたわけでございますが、その文面には、一応農林省責任においてと申しますか、需給調整協議会が事実上非常に難航しておる、それから輸入の時期その他が梅雨時を基準にいたしまして、ある程度さらに品質が低下するという問題がございましたので、なるべく早くしたいということも、まあ御承知であったと思いますが、その点を判断いたしまして、需給調整協議会答申を待っておったのでは間に合わない、従って、農林省責任において、とりあえず二千百万枚につきましては、大した影響はあるまいから、農林省責任において差しつかえないという回答をいただいたものと、さように私たちの方では了解しております。
  13. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ただいまの回答は、まことに私どもとしては重大だと思うのです。各省がなすり合いのような格好になりまして、一体それはどうするのか、農林省責任において輸入したのだということになりますと、農林省は、どういう責任をおとりになりますか。これはそれでもよろしいのだ、あるいはそういう考え方でいきますならば、また今後も、あるものが輸入されるのじゃないかというおそれも、多分に生産者としては持つわけであります。水産庁といたしましては、日ごろ奨励をし、育成をしておる沿岸漁業者を守っていくという立場に立っておられるのでありまして、それが非常な苦境に立つような行政は行うべきでないはずである、それを今通産省は、農林省責任においてこれを通関したのだということを言われますが、その責任農林省はおとりになりますかどうか、その点を伺います。
  14. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 私は、需給調整協議会意見を尊重して、韓国ノリ輸入の問題を進めていくということは、これはこの問題の処理に一貫しておる一つ前提である、かように考えておるのでございます。従って、将来のワクとして輸入することを承認するという態度を、特別輸入としてでなく、一般輸入として、将来のワクの一部としてならこれを了承するという態度を、農林省が表明いたしました場合におきましても、やはりワクをどういうふうにしていくのか、一体そのワクの中で二千百万枚をどういうふうに配分していくのかというふうなことは、これは当然その際において解決されなければならないのでございまして、従って、そういう意味におきましては、やはりわれわれとしては需給調整協議会に当然諮ってきめられた上でというふうに期待をいたしました次第でございます。
  15. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ただいまの水産庁長官の御期待はよくわかります。しかし、単に期待しただけであって、そういうことが回答の中に盛られていなかったのである、それが盛られておるならば、ああいうことはなかったと思うのですが、それが盛られていなかったために、通産省通産省なりの、農林省同意があったからやったということで、どこまでいってもこの点は一致せない点が入ってくる。そこで、私はもう一つ伺いたいのは、今後この需給調整協議会が、今度は会長もきまったようでありますが、そういう問題について話し合いがまとまらないというような場合には、通産、農林両省十分あっせんをして、そのまとめをしていくべきじゃないか、この話し合いがつかなかったならば、一切輸入をしないのか、あるいはそれを無視して通産省考え方一本で輸入していくのか、その点のお考え方はどうでありますか。私どもとしては需給調整協議会というものが、これは生産者販売業者輸入業者も、三者の利害はある程度違っておりましても、話し合って一億のワク内において輸入するということの原則を打ち立てているのでありますから、この需給調整協議会意見に従ってやっていくのが両省責任であろうと、こう考えておりまするけれども、今のように需給調整協議会というものが意思表明ができないという場合には、両省はどういうふうな態度をおとりになるのか、その点をまず伺います。
  16. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) われわれといたしましては、あくまでも需給調整協議会の場において話をまとめるということを期待いたし、そのために時々必要に応じまして、それぞれの関係のものとも、個別的に、裏面的な話も実はいたしている次第でございます。
  17. 中西申一

    説明員中西申一君) 通産省におきましても、需給調整協議会意見が円滑にまとまり、完全に話し合いがついて輸入が行われるということが非常に望ましいことだと思います。ただし、需給調整協議会意見が出ないという場合におきましては、これは生産需給責任官庁である農林省の御意思を尊重して措置せざるを得ないわけです。
  18. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連。今の秋山委員の経過的な問題についての質疑を承わっていると、どうもわれわれわからない点がある。それは、その二千百万枚というものは、三十三年度に輸入せられる一億というワクがあるということを前提として問題になっておるのか、そうでないのか、この点がどうもはっきりしない。  それから第二の点としては、需給調整委員会意見が出ない、出ないから農林省意見を尊重して通産省当局輸入をきめた、こういう御意見なのですが、この点も農林省意見とは違うので、納得いかない。われわれ国会立場で、国民を代表して、皆さんにお尋ねしているのは、通産省がどうであるとか、農林省がどうであるとか、そんななわ張りなどのことを言っておるのじゃない。行政一体性ということからいって、この種の措置が妥当であったかどうかということを問題にしている。だから、ここでお互いがあけすけに意見の違うことをおっしゃられることもいいだろうけれども、そんなことなら、われわれとしては責任を追及するという形をとらざるを得ない。そういう建前でお尋ねしますが、三十三年度の一億あるかないかというようなものは、どこできめるのかということになれば、それは需給調整委員会がきめるならきめることになるということだろうと思いますが、これは両者よござんすか、それで。お返事を願いたい。
  19. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 私はさように考えております。
  20. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 通産省はどうです。
  21. 中西申一

    説明員中西申一君) 需給調整協議会できめた線を尊重していくのが妥当であろうかと思います。
  22. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、需給調整委員会は、内部事情があって、これは利害打算という問題もあるか、それは知りませんが、今日の段階においては、今年度のワクというものは決定しておらない。そうしますと、二千百万枚というものを通産省が入れたいということは、今度は通産省独自の見解としては、やはりそちこちでおっしゃっておるように、三十三年度は別に一億のワクがあるのだという前提に立っておられますか。そうしてこういうことをお考えになったのですか。
  23. 中西申一

    説明員中西申一君) 三十三年度の輸入量というものは、基本的には四月以降通関を全部きめて考えるべきと思います。ただ、今年は、昨年の暮れ以降の作柄からいいまして、需給が非常に逼迫していると聞いておりましたので、ある程度特別の考慮ができるのではないかということを、需給調整協議会にも諮問し、農林省とも協議をしなければならないということを申し上げたわけであります。
  24. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の質問しておることには、まともに答えられない。私の質問しておるのは、この二千百万枚というのは、将来きめられるべきであろう三十三年度の一億とか八千万とか、どうなるかわからぬが、そのワクの中にこれは入るものである。四、五月に入ったものは三十二年度分である、こういう御認識のもとに、一応この程度のものは今入れておいても将来においては計算上はその中になる、こういうお考え方かどうかということを聞いております。
  25. 中西申一

    説明員中西申一君) 農林省協議をいたしましたときの経緯並びに回答文書からいたしまして……
  26. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや、あなたの方、農林省の方はあとで聞きますから、あなたの方で、最初から二千百万枚を問題にしたときは、そういうお考えだったのか。
  27. 中西申一

    説明員中西申一君) これは先ほども申し上げましたように、需給対策上の一つ措置として考え得るのではないかということは考えた次第であります。
  28. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから、その需給対策上の措置として考えたものも、将来は、計算上は、三十三年度のワクというものがきまる中に入るのだ、こういう前提ですか。
  29. 中西申一

    説明員中西申一君) 三十三年度におきましては、回答文面から見まして……
  30. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや、農林省回答でなく、あんたが農林省に伺っていった、そのときの態度ですよ。
  31. 中西申一

    説明員中西申一君) 昨年度割当分の九十六万束が四月以降にある程度通関しておったということは存じております。従って、二十一万束につきましてこれを入れますならば、三十三年度の輸入量というものは一億枚をこえるということになるということは承知しております。ただ、その措置が、需給対策上あるいは考慮できる余地があるのではないかというふうに考えております。
  32. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、はっきりしたわけだ。そうすると、あくまでもこれは特別ワクであって、三十三年度は、五月の九千なにがし入れた以外に入り得べきワクはない、そういうことははっきりしました。  それでは、水産庁長官の方に伺いますが、将来きめられるべきワクの中のものとして二千百万枚を考えるならよろしい、ということは、水産庁の方は、五月の九千何故というのは、それは三十二年度のものであって、二千百万枚は、三十三年度の将来きめられるワクの中のものと措置せられるという限りならいい、こういう解釈のようにとれるのですが、いかがですか。
  33. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 四月に入れましたものを、これを三十二年度のものとして扱うか、あるいは三十三年度のものとして扱うか、そこら辺は、これは話の行き掛りのあった問題でありますから、需給調整協議会において相談をしてきめたらいいのではないか、こういう考えを一方において持っておったのでございます。従いまして、われわれは、あるいは三十三年あるいは三十四年ですね、そういうふうなワクの中の一部としてこれを入れることを、形式的に詰めていけば・結局は了承したということに相なるのでありますが、これは規格外品で、非常に品いためしているというような通産省の御説明でもありましたので、そのままにしておくのもいかがかと存じて、とりあえず同意回答を出した次第であります。
  34. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、需給調整委員会がきめるという民主的な手続に水産庁はゆだねるのだ、そのワクの問題は。そういう考え方で、聞き取ったところは非常にごりっぱな御態度のように聞き取れるが、しかし、水産庁行政責任として、国内需給のバランスその他を考えた場合に、この五月に入ったものは、三十二年度のものとして措置せられるのが望ましいか、三十三年度のものとして措置せられるのが望ましい現状であるかということについては、あなたの方で、はっきりした態度を持っておる責任があると思う。そういう意味では、これはどっちですか。
  35. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) われわれは、一方において日韓間のその段階における交渉の問題、国交の問題というものを頭に描かなければならない。ちょうど五月ごろに日韓交渉がまさに全面的に再開されるのが間近い、こういうような状況にあったときであるのであります。それから一方におきまして、国内におけるノリ生産者事情というものを見届けなければならないのでありまして、われわれといたしましては、今の沿岸漁業の振興というのが水産行政の最大の眼目でなければならない。沿岸漁村の唯一の明るい面というのは、これはノリなんかがその主要なものだと、こういう実態にある次第であります。従って、これに対して不利な影響を与えるということは、これは厳に回避していかなければならない次第であるのであります。そこでまた、一方において国内生産事情ノリ国内における需要が、供給よりもどの程度一体過剰であるかというようなことも、これも判断をしなければならない問題であるのであります。従って、われわれとしてもそういう問題について一応のデータは十分持っておりますけれども需給調整協議会で、直接そういう問題に利害を感じているものの間の話し合いを、われわれとしましても尊重するという態度に出た次第であるのであります。
  36. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 日ごろの水産庁長官の言うことなら、私はお説ごもっとも、まことに該博なるうんちくを傾けられての御答弁というふうにお聞きするけれども、本日はどうもおかしい。それは、日韓間の交渉の問題がある、そのことが二千百万枚のノリ輸入の問題と引きかえになるような、それほどの程度のものか、われわれはそうは考えられない。政治的なこれは判断としてです。また、そういう判断を水産庁当局がする必要もない。それは政府がやることであって、行政当局がそういうことをそれほどまで深刻にお考えになる要はない。お考えになるとすれば、やはり国内生産者の問題、あるいは消費者の消費の問題、品不足で困るとかいうような消費の問題、バランスの問題、そういうことはあなたの方の責任なんです。だから、そういう角度から推算するならば、これは五月に入ったものは、これは三十三年年間のものとしてよろしい、新たに三十三年度は一億枚を入れる必要はないとか、あるとか、そういう計数については当ってみて、見通しはお立てになっておられるべきだと思う。そうして、需給調整委員会が何をいかようにきめようとも、消費の問題としてノリ不足ということになるなら、それはどこからでも水産庁は入れる措置を通産当局と協議しなければならない。なぜなら、需給調整委員会は三者の団体であって、消費流通面についてはこれは当面の問題として考えるところではない、大体が。それは価格の問題で、第二義的には考えられるでしょうけれども。だから、何といっても水産庁当局の問題なんです。だから、私はそういうようなものは今の場合抜きにして、あなたの方の行政責任としては、この五月の九千何がし入ったものは三十三年度のものとして入れるのか、三十二年度のものとして入れるのか、これは、今九月なんですから、もうそのことについてはお見通しは立っておられなくちゃいかぬのです。どっちなんです、これは。
  37. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 私は、本来の筋としてはこれは当然三十三年の四月に入ったものでありますから、三十三年度の一億枚として考えるのが本来の筋であると思う。しかし、この輸入については経緯がある。そういう経緯もあり、また、日韓関係はお前の心配することではないとおっしゃいますけれども、これは実は私も抑留漁夫の問題で、しばしば懇談会にも出席して、先方からもそのたびごとにノリの問題の話等も聞かされておるような事情もありまして、それもまた必ずしも私の考慮すべき事項外とも実は思っておらない次第であります。それやこれや、いろいろな点がございますので、ただいま申しましたようなニュアンスをもってお答えを申し上げた次第でございます。
  38. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いろいろなニュアンスのようでございますけれども、これは建前としてははっきりすべきであろうと思う。そうはっきりしなかったら、やはり将来ともに混乱が起るのですから、あなたの方で、私は、はっきりせられるべきものだと思う。大体がこれは食べものなんです。三十二年度に入れないで済んだものを、三十三年度に時期的には入れたものを、それは三十三年度のワクだとして年間二億なら二億を入れなくちゃならぬという、その需給上の関係があるのかないのか。もしもありとするなら、こういう場合はあるでしょう。三十二年度入れないで済んだというのは、前々年度から逐次繰り越しになっている分もあって、それでまかなってきたのだ。それで三十三年度は五月分だけ入れたなら、すっきり使っちまって、将来の生産なりあるいはストックなりという問題で、在庫の問題でいえば、それでは足りない事態になるかもしれない。だから、そういうものは将来においてどうしようかというようなことは、新たに考えられることはあるでしょう。しかし、技術的に、書面の上でこれは三十二年の分のものでござい、従って、三十三年度のものはまだあるのだというようなことで、そうして入れてこようという、そういう措置は、私は、行政上望ましい措置だとは思われない。いかがですか。米のようなものを、たとえば米をビルマから去年これだけ入れようとしたが、価格が折り合わぬで今年になってきた。だから今年ぜひとも入れる。入れたものはそれは前年度の分になっている。本年は別に入れるのだ。こんなことをやりますか。その年間で、もう、そのものを私なら私が、これは去年のものだから、去年のもので一つ食ってやろうというようなことはないんですから、そういう意味合いでは、私は、すなおに——外貨の関係からいってもあるいは輸入した時期からいっても、すなおに五月のものは、九千何がしのものは三十三年度のものなんです。三十二年度はそれで済んだ。処理されておるのだ。こういう建前をきちっととらなければ、今後の問題は処理できないというふうに思うのです。そういう意味で、しつこく聞いているんです。どうですか。従来の経過があったからということで、すぐ二千百万枚にひっかけるから問題がおかしいので、二千百万枚というものは考えないでおいて、それはそれできめて、二千百万枚は二千百万枚として問題が処理されるという方向に指導すべきはずではないですか。それが将来のワク云々という問題ではないのですか。
  39. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) だんだんおしかりをいただいた次第であるのでありますが、水産庁も、これは、三十二年のワクのものだとかいうふうなことで、文書回答をしておるわけでは毛頭ないのであります。われわれといたしましては、将来きめられるワクの一部として、特別輸入としてでなしに、通常の輸入として入れるべきものである。こういう趣旨において回答しておるのでございまして、従って、形式的に、われわれが、三十二年度とか三十三年度とかいうふうに文書の上ではっきり回答したというふうにはおとりいただかないようにお願いをいたしたいと思うのです。  ただ、実際問題として、それでは一体今年度の輸入ワクはどう考えるのか。こういう御質問であろうかと思うのでありますが、今年度におきましては、前ノリ年度と申しますか、この三十二年から今年の三月にかけましてのノリ生産は、暖冬異変のために非常に不漁であります。十四億五千万枚くらいであろうかと思います。その前のノリの年度におきましては、十九億枚の生産があった次第であります。しかしながら、われわれとして考慮いたさなければならないことは、そのために価格が高くても、ノリ生産者は、生産数量が減ったのでありますから、従って、価格の高いのが当然である。従って、この数量だけで今直ちに今の需給事情としてもっと入れることは差しつかえないのだと、こういうような簡単な私は結論を出すわけには毛頭参らない。まあそういうこともございますので、十分生産者側の利益をも反映さして、需給調整協議会で話をさせる。こういう考え方を申し上げた次第であります。
  40. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう一点。それで、まず水産庁長官の心根も、何と申しますか、形式処理で、三十二年度は入っていないのだから五月分が三十二年度で、別に本年一億のワクがあるのだという考えではないということは、明らかになったので、この事実関係だけはそれでいい。  ただ、あなたが今おっしゃったように、第二の問題として私お尋ねしたいのは、この需給調整委員会が不幸にも二千百万枚についても諮問に答申できなかった。むろん前提としてワクもきまらない。従って、答申もない。それで通産当局と農林当局責任においてこれが措置されるという結果になってきた、こういう場合においては、通産省当局は、それは輸出入だけが当面の所管問題であっても、事これまでの経緯から、問題を幾つか残しておる。そして国内生産者の利益を守る、この生産を伸ばしていこうという建前が一つ原則だ。この問題については、このことも御承知である。そうなれば、従来問題になっておる国内ノリ生産期にこの輸入の問題が起ってくることについて、業者団体から異論が起っておる。そういう実態からいえば、二千百万枚を自分の権限で、自分の責任で入れるとかりにきめる場合においても、いつ入れるかということについての考慮は、十分国内生産者立場に立って考えられるのが親切な行政でなくちゃならぬと思うのです。私はそう思うのです。それで、八月の何日かに突如として通関さしたというようなことは、十分その点の考慮が払われ、農林当局国内生産の問題突き合せた上で、そういう措置をおやりになったのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  41. 中西申一

    説明員中西申一君) 二千百万枚の輸入の時期につきましては、農林省協議いたしました。時期の問題からお話しいたした方がわかりやすいと思うのですが、実は五月の初めに通産省といたしましては大体入れるならば早いほど生産者に対する影響が少いのではないかという気持を持っておったわけでございます。その後、まあ入れるということについて農林省同意を得たわけでございますが、実は、値段の問題につきまして、日本側の業者と韓国側の業者との間でまだ完全に話し合いがついていなかった。従いまして、まず話し合いをして大体の線をきめて輸入が可能になるというころ合いを見計らって輸入発表をするのが適当である、かように考えまして、話し合いをいたしまして、それが二カ月ほどたちまして意見の一致を見るに至りましたので、その直後におきまして輸入発表をいたしました。
  42. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 実はこれが取扱いに関しましては、通産省におきましても、また、われわれはもちろんのこと、やはり需給調整協議会の議を経なくちゃならない、そういうことで、需給調整協議会会議をこの問題について持とうというふうなこともあったのであります。ただその際、生産者の差しつかえで会議が流れたというふうな情報もわれわれ受け取ったこともございましたのでありますが、とにかく会議を持とうということで進行しつつある状況でありましたので、われわれも、会長問題等でごたごたいたしてはおるが、そのうちその会議の組織された上においてこの問題が議論されるだろう、こういう期待を持っておったわけでございます。その間に多少確認が不十分であったという事務上の不連絡については、われわれとしてはおわびを申し上げなければならない、かように思うのであります。従って、われわれとしては、実は八月に輸入についての公示がなされましたときには、われわれとしては、実は予期をいたしておらなかった。これが事実である次第でございます。その時点を予期しておらなかったのでございます。
  43. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私、関連ですからこれでやめますが、一つ結論的に言いますが、先に第一点でお尋ねしたことから言えば、需給調整委員会ワクをきめるということをやろうとしても、三者の会合による需給調整委員会ですから、三十三年度には一億のワクがないんだ、建前からいえばこういうことにもう明らかになっているのですから、その場合に、生産者側はもうワクはないのだ、だから二千百万枚は認められない。こうなったら、あとの二者がとやこうこれを言おうが、これは原則上認められない。これは二千百万枚は、建前はそうなってくる。だから、需給調整委員会が開かれないという事態になって、なおかつ通産当局なり農林当局が合意の上でこの二千百万枚を入れなきゃならぬということになったら、なお特段に、生産者団体において了解が取りつけられ、その時期もはっきり協議が遂げられて、納得が得られて、初めて入れてやってくれと、こういう形で、これが進まなければならぬ筋だと思う。それを通産当局の方は輸入業者、この方にウェートを置いて、価格の問題に頭が一ぱいで……。ところが、今、表などで見ますと、価格の問題などは、こういう価格で入れても四六%も輸入業者の利潤があるという計数が出ておる。それが価格の問題でもみぬいて、そうしてこの最悪の時期に入れる。しかも、生産団体とは何らそのことについて了解を取りつけようともしない。そうして、また、八月に公示して、また通関のライセンスを渡してやった、その時期等においても、われわれは不満足な点がある。これはあとでお尋ねしますが、どうして生産者団体に了解を取りつけるという努力を、農林当局も通産当局もやらなかったのか。その委員会が開かれなければ答申がないものと認め、われわれの権限だからわれわれがやる。こういうやり方が、今回のような混乱を引き起した最大の原因でないのですか。行政運用が悪いのじゃないか。これは水産庁長官に特に私はお尋ねしますが、生産者団体の了解を得られる——了解しないは別ですよ。けれども、そういう努力をする。そういうようなことがあってしかるべきでないか。何か話があったのですか。もうそれだけ聞いておきます。
  44. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) われわれは需給調整協議会話し合いの上で輸入されるものであると、かように了解をいたしておった次第であります。その点は、確認が足らなかった点は、おわびをしなければならないと、かように存じますが、生産者団体につきましては、私直接ではございません、担当の者から団体の担当の者に話をいたしたということは、報告を受けております。
  45. 中西申一

    説明員中西申一君) 通産省といたしましては、水産庁同意書が参りました際に、いろいろ問題はあろうけれども生産者に対する一応の話はついているものと、かように了解したのであります。
  46. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私だけが長い間時間をとることはいかがかと思いますが、最後にお尋ねをいたしますが、この需給調整協議会というものは、今後の輸入の問題につきましても、常にスムーズに意見がまとまるものとも考えられない点があるのであります。将来におきましては、いろいろ利害関係の点から、なかなか一致を見ないで、場合によっては、時機を逸するようなこともあり得るかと思いますが、その際においては、先ほどもお尋ねしたように、通産農林両省が、一般生産状況、消費の状況その他十分考慮の上で協議をして、そうして決定をするということでなければならないと思うのであります。その点が今回の場合にしっくりいっていなかった。お互いに自分の考えだけをもってこれをやって、その考えが向うに通じなかったためにかような混乱を巻き起したということは、私は、まことに遺憾であると思います。この点は、将来においてまたかような場合が必ず出てくるように私は考えますので、今後、かような手落ちのないような処置を十分考えていただきたいと思うのであります。  通産省にお尋ねいたしますが、今、二千百万枚のノリは、一体、いつ日本に入ってきたものであるか、どういう経路で入ってきたものであるか、また、その輸入は、保税倉庫に入っておって、通関しなければ輸入にならないのでありましょうが、保税倉庫には勝手に業者が持ち込んでいいものか。まあ、一ぺんにお尋ねいたしますが、もし、そういうふうに日本の国内通関をしなければ輸入でないから保税倉庫にあるんだということになりますと、いろんな場合に販売業者はあれを何とかして販売したい、輸入業者輸入したいという意思の動くのも、これは人情であるのであります。しかし、これは何かのはずみでそういうものが入ってきて、今までとまっておったものであるかどうか、その輸入の状態、今の二千百万枚はいつ入ったものであるか、もうそういうものはあるのであるか、ないのであるか、もしあるとすれば、今後はどうするかといったようなことをお尋ねいたします。
  47. 中西申一

    説明員中西申一君) 二千百万枚の、まず入ってきた、発生した経路と申しますか、それは、いろいろと、まあ韓国側とも打ち合せなど、なにしてきたんですが、やはり、われわれの解釈をしておるところでは、日本側の輸入数量と、それから韓国側の、ある正規の輸出機関と申しておりますが、それとの積出量の連絡不十分によるそごというものから、毎年、ある程度の残量と申しますか、そういうものが従来あったようでございます。それにつきまして、従来、韓国側は、ある程度残ったものにつきましては、翌年度の輸入数量を見届けまして、それから差し引いて持ってきたようでありますが、たまたま昨年度につきましては、二十一万束程度残っておるということを承知の上で、さらに一億枚持ってきたというところから、ことしに繰り越して問題を残した、まあ、このように聞いておるわけであります。  それから、二千百万枚につきましては、一昨年の七月に入ったものと、それから、昨年の九月に入ったものと、この二通りございます。それから、その生産の時期も多少のなにがあるようでありますが、これはまだはっきり把握しておりません。大体、日本に持ってきた前年度に生産されたものと、このように聞いております。  それから、これと類似のものがあるかどうかという点につきましては、先般、税関部に照会して調べたところによりますと、その韓国側の正規の輸出機関が、まあ正規の対日輸出として持ってきたもの以外に、かなりの数量が各税関にあるやに聞いております。これにつきましては、韓国側の方も、これは密輸出品であるから、日本側で輸入を認めてもらっては困るということを希望しておりますし、通産省といたしましても、やはり一億枚の数量輸入するということになりますれば、正規の輸出品をもってこれを充当したいと考えておりますので、一切、救済的措置はとらないというつもりでおります。
  48. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 どれぐらいありますか。
  49. 中西申一

    説明員中西申一君) これはちょっと、まだ少しそごがあるようでございまして、正確な数字につきましてはなお税関の方とも打ち合せ中でございますが、一千万枚か二千万枚ぐらいあるんじゃなかろうかという………。これは、まとまったものではございません。こまかく分れたものを集計いたしますと、そのくらいあるんじゃなかろうかと推定いたしております。
  50. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私はこれで終ります。
  51. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連で一口。今、だいぶ問題になっているが、保税倉庫に入っている現在の数量を資料として、この次の臨時国会の始まる前に出してもらいたい。何年度にどれだけのものがどこに入っておるか。その中に密輸入も入っているはずだ。
  52. 東隆

    ○東隆君 先ほどからの話で非常に疑問があるわけですが、通産省の方は、水産庁の方に協議をしてと、こういうお話ですが、その公式文書はそうではなくて、通産省の方から農林経済局長の方に協議をしておるやに聞いておりますが、そうして水産庁と経済局長の間でもって話し合いをしておる。従って、その問に非常に食い違いが起きてきておる、こういうふうに考えるわけですが、その経過はどういうふうになっておりますか、両方からお聞きいたします。
  53. 中西申一

    説明員中西申一君) 先ほど農林省協議をいたしましたということは、正確に申しますと、ただいま御指摘のありました通り通産省の通商局長から農林省の農林経済局長あてに照会いたしております。これは、従来、通産省農林省との事務的な連絡の取りきめといたしまして、各原局に一々個別に当るのは非常に間違いやすい点もあるし、それからさらに農林省の中でも調整すべき点もあるということで、一応輸入に関する協議は、すべて経済局長を通じてこれを行うという約束になっておりますので、その方法で協議をいたしております。
  54. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) ただいまお答えのありました通りでありまして、水産庁から経済局長あてに回答いたしましたところによって、経済局長から通商局長あてに回答いたしております。その間には、若干てにをはの違いがございますが、趣意においては少しも回答に違いはございません。
  55. 東隆

    ○東隆君 私は、書類が必要だろうと思うのですが、その際に、水産庁長官から農林省経済局長に対してお答えになった内容は、先ほどお話のあった内容のものとは違うような気がする。公文書の中味はきわめて簡単で、将来きめらるべき輸入ワクの中において二千百万枚は処理されたい、将来輸入さるべきワクの中で処理されたい、こういうふうにお答えになっているように私は聞かされておるわけですが、そうすると、先ほど通産省の方でだいぶ憶測をされて、そうして善意に解釈されて輸入されておる、そういう問題が出て参ると、その辺はどういうことになりますか。水産庁の方からお答え願いたいと思います。
  56. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 水産庁から回答いたしました回答文には、将来きめらるべき輸入数量ワク内において処理されるよう取り計らわれたいということとあわせて、通商局長より申し込された特別輸入、要するにワク外輸入とすることに賛成することはできない、こういう回答をしております。ただ、表現として、将来きめられるワク内での輸入量ということになれば、それは当然特別輸入ではないということに相なるわけでありまして、思想的に経済局長の回答が、われわれの言わんとしているところを要約はしておりますけれども、食い違いは全然ないと、かように考えております。
  57. 東隆

    ○東隆君 水産庁の方では、需給調整協議会を開催をされておるようでありまするが、その際に、生産者が中に入っていないままに開催をされておるように聞いておりますが、その辺はどうなっておりますか。
  58. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) この二千一百万枚の取扱いに関しまして、この回答がいきましたあとであったと思いますが、需給調整協議会を持った次第であったのでありますが、その際に、生産者側が差しつかえて欠席した、こういうふうに聞いております。そこで、その会合の際におきましては、需給調整協議会の結論は出なかった。従って、それはさらに生産者出席も求めて、三者そろった上で、あらためて協議をされる筋合いだろうとわれわれは当然考えておった次第であります。
  59. 東隆

    ○東隆君 生産者側の方では、需給調整協議会を五月末日ごろに開いてほしいと、こういう要請をされておったと聞いております。ところが、それは生産者のいない場合に、その以前に開催をされて、しかも二千百万枚に対する問題は不問にされておる、こういう形になっております。で、協議会に対して、農林省の方は、協議会の意見を聞くという意思がなかったのじゃないですか。どうなんですか。その点、お開きになって、そして意思を聞いて、しかる上に水産庁は返事をすべきじゃなかったですか。
  60. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 水産庁は、需給調整協議会を無視してこの問題を取り運ぶ意思は毛頭持っておりませんです。あくまでも需給調整協議会の場において相談をするべきである、かように考えておった次第であります。ただ、この需給調整協議会は、水産庁が単独で招集する筋合いのものでもございません。もちろん場合によれば、通産も出、われわれも出て、いろいろ臨席して、いろいろ話し合うこともございますが、水産庁が単独で招集する、単独でどうこうするという段取りではございません。
  61. 東隆

    ○東隆君 私は、この参議院の農林水産委員会できめてあることと非常に違ったことを水産庁の方でなさっておる。それで、私どもの方では、最高一億枚、これがワクなんです。そして過去における輸入の実績を見ましても、昭和二十九年度には一億枚のうち六千五百万枚。それから三十年には四千三百万枚、三十一年には、これは一億枚、三十二年は入っておりませんが、この実際に輸入した量が少いのですが、これはやみで入ったものを計算に入れられたから、こういうような数字が出ておる、こういうふうに理解をしておりますが、この点はどうでしょう。
  62. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 輸入数量のことにつきましては、私、直接の主管でございませんので、よく存じないのでありますが、これはなかなか複雑でございまして、前年度ワクを出しておって、それが持ち越されたものが、後年度の計算に入るものもありますとか、あるいは韓国側でキャンセルをいたしましたものを繰り越したものがあるとか、あるいはその年に新しく外貨の割当をしたものもあるとかいうふうなものを合せまして一億枚、そういうふうな数字に相なるのでございまして、従って、年によりまして、統計の上では、その年、外貨割当をしたものが一億枚に達しないというふうな統計の出てくる年もあろうかと、かように存ずるのであります。
  63. 東隆

    ○東隆君 一億枚という数字については、水産庁の方ではこれは最高であって、そうしてこの範囲内において、需給調整協議会でもってきめるのだと、こういうふうにきめなさいと、参議院の農林水産委員会政府に申し入れをいたしておりますが、この点はどういうふうにお考えですか。
  64. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) その通りに了解をいたしております。
  65. 東隆

    ○東隆君 そうすると、ことしのその輸入した量というものは、昨年の二十二年の持ち越しのやつが九千九百六十万枚、あと四十万枚しか余地がないわけですね、それにもかかわらず二千百万枚入れた。この形はどういうふうにお考えになりますか。参議院が政府に申し入れをして、そうしてそのワクを一億枚と、こういうふうに限定をして、これは最高限で、その範囲内において需給調整協議会として決定をしてもらいたい、こういう申し入れをしているわけです。ところが、これは三十三年度において、一億枚を超過すること二千六十万枚、これだけ超過している、これはどういうふうにお考えですか。
  66. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 私は、本筋といたしましては、この四月に入れました九千九百万枚は、三十三年度のワクとして考えるのが本筋だと思う。ただ、先ほどもお答え申し上げましたように、これを輸入するに至りますには、いろいろないきさつがあるのでありまして、そこで、需給調整協議会の場で話し合いができれば、このワク取扱いについては、今年度はその話し合い経緯等から見ましても、若干弾力性を持ち得ると、こういうふうにも思われるのでありますが、問題は、需給調整協議会でどういうふうにお話が一致するかということにかかっている、かように考えている次第であります。
  67. 東隆

    ○東隆君 輸入の影響ということは、これは一体、昨年の日本で生産をされたものが影響するのは、今年度入れたものであって、これからずっと入るのですから、今入ったものについて調整をされていっているわけです。だから、一つ食い違いになっているのではないですか。昨年は入りませんから、これは問題がなかった。だけれども、去年の暮れから生産をされたものについては、これは非常に影響するわけです、今度入るのだから。だから、当然一億万枚という制限をあるいは減らさなければならぬ。ことしも生産は少ないと、こういっても一応そっちに影響する。前年度に生産されたものが輸入されることによって大きな影響をする。しかし、輸入する骨子は、その次の生産期間にぶつかっては困るから、こういう意味でやっておるのですけれども、影響するところは本年の冬、春にかけて生産をされたものに影響するわけですから、現実には。その場合に、一億万枚の輸入というのは、これは相当生産者に諮ってそうしてきめなければならぬ。それを限度を超過して輸入をしているのですから、これは非常に問題になってくる。そう思いませんか。
  68. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) この三月までの生産期におきまして生産いたしましたノリの売りさばきというのは、もちろん生産期でも若干はしりが出ますけれども、四月以降であるのでございまして、従って、そういう意味におきましては、四月以降に輸入いたしましたほしノリの影響というものは、われわれとしても深甚なる関心をもって見通さなければならないと、かように考える次第でございます。そうであればこそ、実は、先ほど来るる申し上げまするように、需給調整協議会の場において、ワク取扱いについての協議を求める、こういう態度でいかなければならないということをお答え申し上げておる次第でございます。
  69. 東隆

    ○東隆君 もう時間がないのでなんですが、農林省と、それから通産省の間に取りかわした書面ですね。それから需給調整協議会との関係、それはどうもお逃げになっておるようですから、その関係をもう少し明らかにされて、それから水産庁としてお答えになったことによって、通産省の方ではそれを御自分の方の都合のいいような解釈をされて輸入をされておる。  そこで、その解釈課長のお答えなんでありますが、私は通産省の局長に、これはもっと大きな問題が伏在しておるようですから、局長その他からあらためてもう一度聞きたい、こう思います。そういう機会を作っていただきたい。こう思います。そうして関係の資料を一つお出しを願いたい。こう思うのです。委員長、ようございますか。
  70. 森八三一

    ○森八三一君 今まで各委員からいろいろの点で御質問があったのですが、ほしノリの問題の経過を考えてみますると、昭和二十九年からこの委員会では取り上げまして、十数回にわたって論議を尽しまして、昭和三十一年の五月十日に一応委員会としては結論を得て、両省に申し入れをいたしました。その申し入れの趣旨を十分に一体理解されておるのかどうか、今までのお話を聞いておると、三十一年五月十日の申し入れというものは全く顧みられておらぬ。勝手に措置をされておるというようにしか理解ができない。一体通産省はこの申し入れを十分御承知なんですかどうですか。その点をまず聞きたい。
  71. 中西申一

    説明員中西申一君) 十分承知いたしております。
  72. 森八三一

    ○森八三一君 この申し入れについて十分承知しておるという御解答は当然であろうと思う。それは、その当時大臣なり通商局長は、この申し入れに関しまして発言をされておる。速記録を見ますると、その趣旨によって十分善処をする、その趣旨通りにやるということを発言されておる。その趣旨から申しますと、ことしの四月に一億枚弱ですか、通関手続をされておる。それはどういう根拠によって通関手続をなさいましたか。どういう根拠ですか。この申し入れについては十分了承をしておるという限りにおいては、最初の一億枚弱のものを輸入した手続、その根拠はどういうことですか。
  73. 中西申一

    説明員中西申一君) この四月に約九千六百万枚でございましたか、通関いたしましたのは。実は、先ほどから水産庁長官からもお話がありましたように、昨年度の九月末までに入れるべきであったのであります。ところが、商談がまとまりませんために、十月に入りまして、従ってノリ生産期を避けるという趣旨から三月末日までとにかく通関をさせない、それで四月に入って早々に通関を認める、こういうことになったのでございます。
  74. 森八三一

    ○森八三一君 重大な発言なんで、それは、三月末までに通商局は通関手続を完了したいという方針で臨まれておった。これは、その当時の大臣の前尾さんが、予算委員会で私が尋ねたときに、すでにこれは閣議了解を得ておりますので、三月末までに通関手続はやりますということをはっきりおっしゃっておる。  そこで私は、これは重大な問題だというので、岸総理に直接私は質問している。それはおかしいと、国会に対する約束を政府はじゅうりんなさるのか。しかもその裏面には、私はそれを信じたくございませんが、いろいろな問題が世間では流布されておった。あなたは汚職を追放するということをほんとうに取り上げておやりになるというのに、真偽は別にして、そういうようなにおいのするものを何がゆえに約束を破って三月末までに通関手続をおやりになるのか、これは即刻おやめになるべきであるということを強く主張いたしまして、幸いに総理もその点十分勘案された結果として、三月末までには入れなかった。  そういたしますと、四月以降は新年度になるから、この申し入れというものを十分了解しておれば、需給調整協議会の議を経ずしてやるという行為は存在しないのです。申し入れば十分承知しております、それは履行しますと言って、履行しておらないじゃないか。それはどういうことですか。
  75. 中西申一

    説明員中西申一君) 九千六百万枚を三月中に通関をせしめるという方針をきめたかどうかというお話でございますが、この趣旨は、この問題が韓国側との問題になりまして、そのために向う側が、ある程度の報復と申しますか、反対に日本側に不利になるようないろいろな行動をとるというような関係もございまして、通産省といたしましては、決裁だけはなるべく三月中に完了するようにいたしたい、そのように考えまして、一応手続は三月中に始めまして、現物は、生産期をはずして、四月以降に受け渡しをするように行政操作をする、このような方針で進めて参ったのであります。
  76. 森八三一

    ○森八三一君 事務当局がそういうことをやっておるから、それはいけないのだということを予算委員会で私自身が発言をして、政務を主宰している総理がそれを了解されたから、三月一ぱいにあなた方が通関しようとしたのをやめたでしょう。私が申さなければ、三月一ぱいに通関するということがはっきりしておった。それを前尾君が、私が何べん聞いても、これは了解を得ておるからやります、あなたが何とおっしゃってもやりますということを発言しておる、それはいかんというので、正式の場において質問をした結果が、なるほどということで、あなた方が考えていらっしゃるその手続というものはストップせられた。四月以降に延びたでしょう。四月以降に延びれば、当然その覚え書を了承している、申し入れを了承している限りにおいては、この手続を踏むべきではありませんか。なぜお踏みにならん。そういうところに問題があるのですよ。なぜお踏みになりませんか。水産庁長官ははっきりおっしゃっておる。輸入数量については、年度別に需給調整協議会の議を経なければいかん、そういうように了解しておる。通商当局もそう了解しておる。それをなぜおやりにならん。しかし、三者の協議でございますから、その協議の整わぬ場合もあり得ると思う。そういう場合には別途の措置がとられます。そのためにこそ、この申し入れには、「本要領と異る措置をしようとする場合は予め当委員会協議せられたい。」ということをちゃんと前文に書いておる。そしてそのことも当時の大臣なり、通商局長は、その通りやりますとおっしゃっておる。それは速記録をごらんなさい。その通り発言されておる。その手続をとらず、勝手におやりになった根拠を求めておる。どういうことですか。
  77. 中西申一

    説明員中西申一君) 需給調整協議会意見を求めて今年度の輸入額を決定するという点につきましては、農林省とも相談いたしまして、需給調整協議会に対して、五月初めでございますが、諮問をいたしました。それに対しまして、需給調整協議会の方から、五月の中旬に返事がございまして、即刻委員会を招集したけれども、一部の委員が欠席したために、要するに結論を出すに至らなかった。引き続いてやりたいと思う。こういう中間連絡があったのでございます。で、私たちの方も、農林省同意を得られた後にそちらの答申もできればこれは得たいというつもりでいたわけでございますけれども事情を聞いてみますと、会長問題その他をめぐりまして、事実上活動不能といったような連絡も受けまして、従って、ことしの特別措置といたしまして、需給生産の総合省たる農林省意見を聞いて、それで措置していきたい、かように考えております。
  78. 森八三一

    ○森八三一君 その答弁では、私の質問にお答えになっていないのじゃないですか。申し入れば十分了解しておる。その申し入れば年度別に数量をきめるのだ、そうして特に明示をして、年間輸入数量は、昭和三十年度に予定されておる一億枚を最高限度として漸次減少すること、これが申し入れの第二項に明示されておるのです。九千七百万枚というものは一億枚の以内だとかりにいたしましても、需給調整協議会の議を経なければいかんということがはっきりしておるのでしょう。あなたは、需給調整協議会を開くように指示をした、開いたが、委員の欠席その他によって議はまとまらなかった、がしかし、国内における需給事情考えると、早急に入れなければならぬから、需給調整協議会の議を待たずにやった、こうおっしゃる。そういう措置をおやりになるならば、この申し入れというものを完全に了解しておる限りにおいては、「本要領と異る措置をしようとする場合は予め当委員会協議せられたい。」というのをなぜおやりにならない。そういうように了解しておると言いながら、了解しておることをじゅうりんをして、勝手なことをおやりになるところに問題があるのですよ。そうでしょう。それでもあなたは当然の措置をしたとおっしゃいますか。決して申し入れの趣旨に反しません、通商局のとった通関手続は間違いないものだということを抗弁されますか。どうですか。
  79. 中西申一

    説明員中西申一君) この問題は、一億枚のワクをこえるに至ったということ、あるいは基本ワクそのものがきまらないうちに輸入をしたという点につきましては、いろいろ先ほど来申し上げましたような時期的な事情とか、需給調整協議会の活動機能がああいう状態だったということで、われわれといたしましては、御趣旨の線に沿って、その線に背反しないようにやるつもりであったわけでございますが、結果といたしまして、需給調整協議会の最終的な結論を得るに至らなかったということにつきまして、当委員会の方に連絡が不十分だったことは、大へんに遺憾だったと存じます。
  80. 森八三一

    ○森八三一君 そうすると、通産省は、国会に対する約束を間違いましたということをはっきりお認めになりますか。国会に対して約束しておったことを間違ってやりましたということをはっきりお認めになるかどうか。
  81. 中西申一

    説明員中西申一君) 実は、二十一万束を入れるにつきましては、そういう問題があったわけでございますけれども、この点につきましては、実はいろいろといきさつなり、品物が古いとか、保管料がかさんでおるとか、そういう問題もございましたので、一応農林省の方の行政的の手続をもって済ましてしまったということにつきましては、参議院の申し入れの線に沿わなかった線もあったわけでございます。この点は、はなはだ遺憾でございます。
  82. 森八三一

    ○森八三一君 二千百万枚の問題ではないのです。私の聞いておるのは基本的な問題なんだ。一億でも五千でも三千でも、年度のワクというものは、需給調整協議会にはかってきめるのだということが大前提なんです。その手続をやらずに通関手続をなすったということに手落ちがあったとは、お認めにならぬのかどうか。もし需給調整協議会の議が整わぬ場合には、そういうこともあり得。だろうとわれわれは考えたから、そういう場合には、当委員会協議して、便宜の措置をとる場合もちゃんと道があけてあるのです。そういうこともおやりにならずに、勝手におやりになったということについて、何ら通商局の通関手続は間違いのないものであったと、あくまで抗弁されるかどうか。そのいきさつをかれこれ聞きたくないのだ。この申し入れというものは理解しております、その通りにやりますと、こうおっしゃっておることに、おやりになった行為は、行政措置は間違っていなかったと思っていらっしゃるのか、間違っておったとお考えになるのか、どっちかということをはっきり一口で言ってもらえばいいのだ。
  83. 中西申一

    説明員中西申一君) 九十六万束が四月以降に入りました点につきましては、実を申しますと、私どもは、一億枚の以下の問題であり、それから昨年以来のいきさつから、引き続いて四月に繰り越していけるということについては問題はないのではないかと、実は考えたような次第でございます。それから二十一万束が次に引き続いて入ってくるということになりまして、九十六万束と合せまして、一億枚はこえるかどうか、一億枚をこえることになるかという点につきましては、確かに問題としてあるということは考えたわけでございますけれども、昨年からの経緯並びに二十一万束の品質その他から見まして、一応水産庁協議をせんで、需給調整協議会生産者側もある程度了承しておると考えますわけで、これを無視するという気持はなかった次第であります。
  84. 森八三一

    ○森八三一君 おかしいじゃないですか。年度の数量は、一億枚を限度として漸次減少するという方針によってきめるのだ、そのきめられるべき数量は、需給調整協議会の議を経て決定されるものである、こういうことでしょう。一億枚というのはよろしいということじゃありませんよ、この申し入れは。一億枚以内なれば通商局が通関手続をすることは自由である、というように申し入れをしたものではないのだ。かりに三千万枚であったといたしましても需給調整協議会の議を経なければ、その年度の数量ワクというものはきまらないのだ、こういうことがその趣旨なんです。その趣旨を了解されておるのでしょう。そういう趣旨で当時の委員会関係大臣の、あるいは局長の発言を受け取っておる。間違っておれば速記録をごらんなさるがよろしい。繰り越しなんという問題も当時の通商局にあったのです。それはいけません。先ほど小笠原委員の御発言があったように、さかのぼって食うわけにいきませんからそういうものは打ち切りだ、年度ワクというのだというものは年度内できめるのだということで、その通りでございますという発言をなさっておるのです。あなたが想像して一億枚以内ならばよろしいというものではありませんよ。そう理解されたことはこの申し入れをじゅうりんしたということになりませんか。そういう需給調整協議会の議がまとまらない場合があり得るだろうから、そういう場合にいたずらにほうっておくわけにいかないから、そういう場合には当委員会協議されたいと判断のゆとりを与えているのです。そういう手続をすらおとりにならずにおやりになったことは手落ちではございませんか。それをいきさつがどうとか何とか、いきさつは予算委員会における三月末の総理と私の質疑応答を通じまして、それは明瞭にそこで切れておるのです。繰り越しがどうだの、三十二年度分が不実行に終ったと、そんなことは切れているのです。そんなことを聞きたくない。三十三年度分は三十三年度分として処理されるべきである。その処理される数量は、この申し入れの趣旨によってその趣旨を理解しておると言いながら、実行されなかったという結論に至ったことについては肯定なさるのか。あくまで経過がどうであった、こうであったということによって当然な措置をしたとお考えになるのか。……おそらく私の今の質問にはお答えができないと思う。それは頭を下げるとその次にどういうような問題が出てくるかわからぬと、こうお考えになるから何とかここは糊塗して言いのがれをしようとすることだろうと思う。それではいけませんよ。そういうもやもやした態度をおとりになることはいけない。非は非として率直に反省すべきであり、改めるべきであり、いいかげんな言いのがれを許しません。ほんとうに間違った行為をやっておらぬということなら、それは間違っておらぬとおっしゃるがいいし、手落ちがございますれば手落ちがございますと、これは率直にお認めにならなければいけませんよ。
  85. 中西申一

    説明員中西申一君) 今年度に入りまして、まあ四月に入りまして九十六万束、それから八月に入りまして二十一万束、二つが今年度に入ったわけであります。このうち九十六万束につきましてはいろいろ見方がございますが、われわれといたしましては昨年度の需給調整協議会において一応輸入するということにきめまして、その後問題がありまして、十月に入りまして問題は主としてこれを三月中に、引き延ばしてはいけないということに問題が集中されておったわけでございます。一応三月中は見送って四月に入れる分については、需給調整協議会の一応議を経ている、というふうに単純に考えておったわけであります。
  86. 森八三一

    ○森八三一君 単純に考えておったことは適当であったとお考えでございますか。単純に考えられたことに間違いがあったとお認めになりますか、なりませんか。前年度の繰り越しというものは三月末で打ち切られるのだ。あなた方はそう考えられたから繰り越しができないと考えたから、三月一ぱいに通関手続をやろうとして非常な努力をやろうとしたのではありませんか。それはいけませんということを申し上げて、政府もそういう措置をしたのです。だから前年度の繰り越しなんという話はもう切れておるのです。新しい事態として考えなければならぬはずなんで、それを考えなかったということは、前年度の繰り越しだというようなことでごまかされる筋合いのものではないと思う。いいかげんなことをおっしゃらんで、もし前年度の繰り越しということであれば、この委員会で当時の通商局長が、初めは二億枚というものを提示されておるのだ。通商局の文書が出ておるのです。年間を二億枚にしたい。それはいかぬということで、そこで通商局長は一億枚ということの限度にきめられたが、しかし実行ができなかった場合には、そいつは翌年度へ繰り越さしてくれという発言があった。それはいけませんということで、最後は両省とも了承されて、一億枚を限度として漸次圧縮をしていくという方向のもとに、年々の輸入数量については年度ごとに需給調整協議会の議を経て決定をいたします、ということを約束されておるのだ。その約束を破ったということについて非をお認めになるかならぬかという問題なんです。
  87. 中西申一

    説明員中西申一君) 九十六万束の分に限定いたしまして、四月にこれを通関いたしましたことにつきましては、われわれの方はこれは参議院の申し入れに実は反するものであるとは考えていなかったわけであります。しかし、御指摘の点によりますと、そういう場合にはやはり改めて、これは異例の措置ということに該当するのであるというお話を承わったのでございますが、実は私たちの方はそうは考えていなかったのでございまして、その点についてははなはだ遺憾であったと存じます。
  88. 森八三一

    ○森八三一君 それで私は了解しましたが、考え違いをしておったということであり、はなはだ結果的には遺憾であったと、——わかりました。そこでそういう遺憾なことをやりながら、またその一億という一応のワクらしきものがあったのですけれども、これは固定したワクではないのです。あくまでも圧縮していくということがちゃんと書いてあるのですから、そういう趣旨からいえば、その上に二千百万枚なるものを入れるということは、これは全く異例な措置なんで、そういうことについて需給調整協議会の議も経ず、当委員会にも協議されずに措置をされた。それは農林省の方に打ち合せをしたら、農林省の方は将来きめられるべきワクの中で措置をするということにおいて了解を得た。その了解は、当然需給調整協議会の議を経て農林省回答したものであろう、と了解をしたというような趣旨のように聞こえる御発言をなすっておるが、農林省需給調整協議会の議を経ておらぬので、当然成規の手続によって将来ワクがふえた場合にはよろしいが、ふえない場合にはいかぬ、こういう趣旨であると言っている。そいつをあなたの方は私の申し上げたような了解であったかのごとき考えのもとに、二千百万枚というものの通関手続をしたということは、ますますこの申し入れに対する挑戦的行為だというようにも見えるのですよ。言葉の上では非常にいろいろ言っていらっしゃいますけれども、結論的にはこれは法律行為ではない、だから行政措置として政府はいかなる措置を講じてもそれは差しつかえないものだ、という感覚に立ってやっていらっしゃるようにしか見えないのです。どういう感覚のもとに二千百万枚の通関手続をさらにその上に行われたか、という気持を聞きたい。
  89. 中西申一

    説明員中西申一君) 二千百万枚を入れましたいきさつにつきましては、実はこれは韓国側の申し入れ、それから通産省農林省との考え方経緯その他からいたしまして、韓国側はこれは向うの立場上当然一億枚を入れてもらいたい。新たにさらに二千万枚は別ワクでことし一億二千万枚入れてもらいたい、こういう要望があって、それに対しまして通産省といたしましては、四月に通関しておるということから当然一応問題になる。ただ反面需給状況がことしはかなり逼迫しておるというように聞いておりますので、その点からことし限りの特別措置として、あるいは追加輸入——九十六万束を入れますと二億枚近い数になりますけれども、できる余地があるのではないかというような考えから、農林省の方に協議した次第であります。それで九十六万束が今年度ワクであるか、昨年度のワクであるかどういうように考えたか、その辺の経緯につきましては先ほど水産庁長官の方からいろいろとお話を申し上げた通りであります。
  90. 森八三一

    ○森八三一君 だいぶ時間がたっておりますがまだ釈然といたしません。この程度にいたしましていずれこの問題はさらに継続して十分本質をきわめて、将来に禍根が残りませんようにしていただきたいと思います。  そこで最後に伺っておきますが、両省とも今後韓国ノリ取扱いについて昭和三十一年五月十日の申し入れを順守されますかどうか、その後相当の時間も経過しておりまするので、こんなものはほごにして別個の感覚で処置をするという態度をおとりになるのか、そのことをお伺いしたい。
  91. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 昭和三十一年五月の参議院当委員会の申し入れに関しましては、今日までその趣旨によりまして韓国ノリ輸入配給を運営して参ったわけでございますが、ただその間事務連絡の上におきまして遺憾な問題が若干起りましたこと、これをおわび申し上げます。今後ともあの申し入れの趣旨によりまして実行いたして参る考えであります。
  92. 清澤俊英

    清澤俊英君 議事進行に関して。時間も非常におそいですからこの問題はこれで打ち切りまして、そうして日程を見ますと明十一日の午前蚕糸と調査報告の件と二つありますが、この蚕糸を終えたあとで時間がありましたらこれを継続して審議することを、明日の理事会で諮っておきめ願いたい、こういう提案でございます。それができますれば、ただいまいろいろ質問をお伺いしておりますと、全く数字において、時期において混迷に入っております。何が何だかさっぱりわかりませんので、従って三十二年度に入りましたものが混乱しておりますということは、これを使わないで三十三年の四月まで輸入のことを決定しないということはわかっております。その数量がどれくらい、何日に入って保税倉庫にそのままになっておった、それをいついっかに今聞きますとこれを輸入通関処置をせられた。それはいついっかにとられたか。何か聞きますとまたそのあとで何か入ってきたような、お話を聞いておりますと四百六十万束入ってきたようなお話もある。なければないでいいですから、だからそういうふうにして保税倉庫にいつどういうものが入ってきたか。それを通関いつしたか。現在までどう。それでなおこれはそのほかにやみでもって保税倉庫に残っているかどうか、残っているものは必ずあるはずです。それを数量をできましたら明日まではっきり知らしてもらいたいと思います。どうも今の説明聞いておりますと、先ほどは二千百万枚は一昨年三十一年度の七月の輸入通関の分、それからあとは昨年三十二年度の九月保税倉庫に入ったそのうちから二千百万枚出している。こういう御答弁に先ほどなっている。ところがそこのところが一つずつ一ぺんごとに変っているようですから、一つ資料で動かぬもので一つ出していただきたいと思う。これでは何が何だかわかりません。さっぱりわからぬ。本日はこれで打ち切り……。(「答弁々々」と呼ぶ者あり)
  93. 中西申一

    説明員中西申一君) 三十一年五月の参議院の申し入れにつきましては十分これを尊重いたして参りたいと思います。新しい問題が起りました場合はまた改めて御相談申し上げることにいたしたいと思います。
  94. 森八三一

    ○森八三一君 清澤君の御発言もあり、私の申し上げましたように非常に複雑な問題ですから、きょうはこの程度で他日にしたいと思いますが、ただいま両省の御発言になりました五月十日の参議院申し入れについては、間違いなくこれを順守する。この趣旨によってやるということをはっきり御励行を願うように希望します。今日までも励行されておらない事実が、これは一項目々々々論議をいたしますと非常に多い。この申し入れをしたときの通商局の御発言には私ども非常に疑義を持つのでございますので、この各項目をよく一つもう一ぺん反復理解をせられまして、いやしくもこの申し入れに反する行為がないようにしていただきたいと思います。さらにほかの点は機会を改めて申すことにいたしますから、きょうはこれだけの希望を申し上げまして一応質疑を中断しておきます。
  95. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 本件については本日はこの程度にいたします。     —————————————
  96. 関根久藏

    委員長関根久藏君) この際委員の変更について御報告いたします。  本日安部キミ子君が辞任され、片岡文重君が選任されました。  午後は一時四十分から再開いたします。暫時休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      —————・—————    午後二時六分開会
  97. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 委員会を再開いたします。  派遣委員の報告を議題にいたします。  先般、当委員会より農林水産事情調査のため第一班長野、愛知及び岐阜、第二班新潟、山形及び秋田、第三班北海道に委員派遣が行われたのでありまして、ただいまからその御報告を願うことにいたします。第一班藤野委員
  98. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 第一班の御報告を申し上げます。  第一班は大河原委員、北條委員と私の三人で、八月四日から九日までの六日間、主として長野県の養蚕事情、木曾国有林の現況、愛知用水事業の施工状況、及び岐阜県における内水面漁業の実情について関係当局との懇談、あるいは実情調査等の方法により調査いたして参った次第であります。その概要を順次御報告いたします。  まず長野県の養蚕事情について申し上げます。本県の蚕糸業は古くから農家経済の中核をなして発達し、県経済の消長にきわめて大きい影響を与えてきており、昭和五年に至り最高の発達を示し、すなわち当時の全国産繭額の一二・二三%を占めていたのでありますが、戦時中の食糧政策のために、米麦の作付強制の実施と、戦後の経済的、社会的事情の変転がきわめて激しく、蚕糸の生産も逐次低下し、昭和二十二年度においては昭和年代の最低線を示したが、国内経済再建の必要性から、外貨獲得の見返り物資として蚕糸業の存在が重要視され、年ごとに生産が向上し、昨年度においては養蚕戸数十一万四千五百七十戸、産繭額四百五十四万九千百九十貫、桑園面積三万七百三十二町歩となり、全国総数に対してそれぞれ一五%、一四・三%、一五・七%を占めておりますが、昭和五年のそれらに比較すると隔世の感があるのはいなめないのであります。しかし養蚕戸数を見ますと、減少の度合が桑園面積、産繭額等に比べて非常に少く、県下の農家の半数以上が依然として自家の経済を養蚕に依存しているということであり、本県においては現在のところ養蚕にかわり得る適当な収入減を見出だすことが困難であることがうかがえるのであります。しかしながら国内の生糸の需給事情は、内外の経済情勢と昨年の夏秋蚕の豊作に引き続き、本年春蚕の作柄が良好であったことなどが重なり、生糸の供給が著しく増加する事態となり、相当量の政府買い入れとなり、以上の推移にかんがみ、先般成立いたしました臨時措置法の発動となった次第でありますが、本県におきましては春繭の最低価格が保証され、取引も平常に復しましたが、その対策は当面の春繭に限られており、夏秋蚕の出回りを前にしてはなはだ不安を訴えている次第であります。関係者の要望されるところでは、その成り行きに対処するために、養蚕者としては春繭に引き続き、繭糸価格の安定に関する臨時措置法による乾繭共同保管によって最低繭価の維持の要望と、二割生産制限の犠牲となった養蚕家に対しては、すみやかに補償措置を講ぜられたい旨の要望と恒久対策確立の要望が強くなされたのであります。養蚕関係の実地の視察については、県及び関係者の御好意により、上田市の諏訪倉庫上田支店の乾繭倉庫、信州大学繊維学部の倍数体栽桑試験の概要及びその実験成果について見聞いたしたのでありますが、詳細は省略させていただきます。  次に、木曾国有林の現況について申し上げます。長野営林局管内の国有林地は、全国国有林七百五十万町歩に対し三十六万四千町歩でほとんど長野県に位しており、二十一営林署と百十七の担当区よりなっており、職員は定員内職員千二百五十六名、常勤作業員千百五十名、常用作業員千名その他雇いが若干名という現況であり、その林地は総数三十六万四千町歩中、普通林地は十三万三千町歩、制限林地は十七万六千町歩で、林木の蓄積は五千五百立方メートル中、普通林地千八百立方メートル、制限林地三千七百立方メートルであり、人口林は約六万町歩で、他はほとんど天然林であります。その天然林の約八六%はいわゆる木曾の五木と称せられているヒノキ、サワラ、アスナロ、コウヤマキ、ネズコ等で、ナラ等の広葉樹は約一四%であります。私たち一行は上松駅より森林鉄道に乗車し、車中において上松運輸営林署及び上松営林署管内の概要の説明を聴取し、左右の国有林の実情を見聞しながら赤沢事務所におもむき、翌日は赤沢周辺における集材機の活動状況を視察し、再び森林鉄道により王滝営林署管内の状況を見聞いたした次第であります。  次に、三営林署の業務内容は、王滝及び上松の二営林署は、いわゆる木曾国有林の生産事業が主体で、造林、種苗、治山、林道事業を行い、上松運輸営林署については前記二営林署のほか、木曾谷で生産され、年間六十万石の素材が同署に転換され、販売事業を行い、その他素材及び民材の森林鉄道輸送、東京、大阪、名古屋各営林局に対する保管転換材の鉄道輸送、林野加工品の売り払い、鉄道の保線、事業用電話の維持、修繕及び林業用機械類の製作修理工場の経営を行なっているのであります。  次に、木曾国有林で働く作業員の人人は、十二月二十一日より三月三十一日までの間は積雪等により事業が休みとなり、失業保険を受けることとなっておるのでありますが、同じ国からの予算でまかなわれている点において一考の余地があるのではないか、という点について要望があったのであります。  次に、愛知用水事業の施行の状況について申し上げます。本事業は総事業費三百三十一億円をもって、国土総合開発の一環として木曾川の水資源を高度に利用するため、犬山市から名古屋東部、知多半島全域に至る総面積三万三千町歩の地域に農業用水を補給して、土地改良事業を推進することにより、米麦約二十七万石の増産、その他の農産物の増産をはかり、農業経営の合理化を推進するとともに、関連事業として発電所の新設、既設発電所の電力の増強をはかるほか、同地域と近辺の上水道、工業用水を供給するものでありまして、すでに全面着工にとりかかっており、以下視察いたしました順を追うてその概要を申し上げます。  本用水の起点の牧尾ダム工事は、去る七月二十五日の豪雨で、ダム地点の王滝川の仮締め切り工事が流失いたしましたが、その工事も八月二十日ごろには完成する予定であり、七月三十一日現在の資料によりますと、ダム工事全体としては約八%の進度で、その内容は仮締め切り盛土は六五%で、私などが参りましたときはあと二、三日で完成の状態であり、仮排水路工事はすでに完成しておりました。また余水吐掘さく、ダムサイト左岸及び二子持土取場は相当進捗の跡が見えた次第であります。  公団当局の説明によりますと、計画通り進めば本牧尾貯水池は三十六年二月に貯水を開始し、同年の灌漑に十分間に合うとのことでありました。ダム補償工事も七一%進捗しており、すなわち県道改修工事は百パーセント、県道及び森林鉄道一時付けかえ工事は百パーセントで、右岸道路及び森林鉄道の付けかえ工事を残すのみであります。  次に、愛知県西加茂郡三好村の曲り池ダムについて申し上げます。本ダムは、境川左岸一帯の灌漑用のために設けられているもので、昨年の十一月五日着工、工事期間は十五カ月間で、ダム形式は中心コア式アースダムで、現在が土堰堤の作業の最適の時期で、五〇%進捗の跡がうかがわれました。本ダムは工事期間がきわめて短期間であること、すなわち普通の国営工事ならば五年は費すといわれることと、完全な機械化施工であり、水を落さないで旧池を貯水したまま田植えにも水を使いながら施工、という困難な工事をその特徴とするものであります。  次に同県大府町の畑地灌漑実験農場について申し上げます。  畑地灌漑事業は、本事業の重要な目的の一つで、この計画をより適切に効果的に実施するためには、土、水及び作物の関連性を研究するとともに、灌漑に関する種々の新しい技術すなわちいかに水を使用するかの問題を実験研究いたしており、陸稲等のその実験過程、灌漑中の散水器の種類等について見せていただいたのであります。  次に木曾川の水を用水に取り入れる岐阜県兼山の取り入れ口、兼山トンネルについて申し上げます。本年一月着工され、工期は二年七カ月の間で、三十五年七月完成を目指し、総工費八億五千万円で、幹線水路工費の約一割を占める大工事で、地質がきわめて複雑なため、入口と出口それぞれから掘り進む単純な工法をとっていたのでは能率が上らないし、段取りなどにも不便を来たすので、全体を四つの工区に分けて中間に横坑を二本を設け、四カ所からそれぞれ適当した工作で掘り進んでいく工法をとり、一日に約六メートル掘り進み、すでに約二五%進捗いたしておりました次第であります。  以上が私たちの見て参りました本事業の概要でありますが、大津副総裁の言によりますと、本年及び来年度が本事業のおくれを取り戻す重大な時期でありますので、来年度予算については、本年に比べて二十五億五千万円増の百二十億円を要求いたしたいとのことでありました。  次に岐阜県の内水面漁業の実情について申し上げます。本県の漁業は内水面に限られ、その水面積は木曾、長良、揖斐の三大川を初め七水系五十有余の河川と南濃地方の沼沢地帯を含めると、琵琶湖とほとんど同じでありますが、その生産は河川の水系がいずれも中央山岳地帯に発しており、その流域の大部分は風化崩壊度の少い古生層を形成し、幾多の支川を有し、森林状態も比較的良好で、清流急湍、屈曲多く、アユ、マス、ウグイの生息に適し、特に上中流部にはアユの嗜好する珪藻及び藍藻の繁殖度が高い等の理由より、その生産は琵琶湖を上回り、漁獲貫数は放流の約十倍になるといわれているのであります。なお本年の放流は九百二十万匹とのことであります。  従来優秀な生産力を有していた本県漁場も、近代文化発展に伴い他産業より絶えず被害を受け、すなわちダム建設無放水、工場設置に伴う汚濁水の排水、河川改修工事による産卵場の失われること等で、年々漁獲は減少しており、今後の内水面漁業は増殖以外に生産期待できない現状ゆえに、本県として相当な増殖予算を計上し助成しておる状態であります。現在の問題点並びにこれが対策といたしましては、第一に増殖意欲の高揚であります。増殖の全責任を零細漁民にのみ負担せしむることは困難でありますので、現段階においては補助育成して漁民の増殖意欲の高揚をはかる必要があるのであります。なお、県下の大組合では組合員一人が年間二千円の放流費を出しているとのことであります。第二に、長良川の保護方策であります。本河川が漁業並びに観光の面より本県に貢献するところが大きいので、水産庁の援助のもとに、保護河川として将来長く長良川の水産資源を維持すべき点であります。第三には、冷水魚養殖試験場の設置及びアユ苗生産試験を実施し、品種の改良普及等アユ苗の自給に努力する点であります。  最後に漁業協同組合の運営についてでありますが、河川漁業の資源維持のため、一河川一漁業権の理想のもとに組合を指導しているが、これら組合の実態は、組合地区は数カ町村にわたり、あるいは組合員数千人をこえる組合が少くないのでありまして、かくのごとき組合において総会を開くことは、距離並びに会場等の関係上、実際的には開催が困難であり、あるいは必要以外の予算を使い開会するため費用の無駄が生じ、往々にして問題を惹起し組合弱体の因をなしているのであります。かかる観点より、河川組合においては総代会をもって総会にかわり得るよう、水産業協同組合法を改正されたい旨の要望が出されたのであります。  以上が本県の内水面漁業の実情であります。  なお、県当局及び関係者の御好意により、大垣市の岐阜県水産試験場及び岐阜市内の年産五百万羽の後藤孵卵場を見せていただき、種々有益な御高説を拝聴いたした次第であります。  最後に、本調査の主題ではありませんが、長野県からは特に乳価安定の問題について、また岐阜県からは七月二十五日、二十六日の豪雨による水害対策について種々強い要望が出されたのでありますが、これらについては今後の委員会においてそのつど意見を開陳いたすことといたしまして、第一班の報告を終ります。
  99. 関根久藏

    委員長関根久藏君) どうもありがとうございました。続いて第二班、秋山委員にお願いいたします。
  100. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 第二班の報告を申し上げます。  第二班は清澤、梶原両委員と私の三人で、八月三日から九日までの七日間にわたり、新潟、山形、秋田の各県を視察して参りました。  八月三日上野出発、新潟県新津において、新潟県の七月水害の被害状況を県当局並びに新津市及び関係町村より簡明に説明を受け、あわせて災害対策についての陳情を聞きました。  その後新津市を出て阿賀野川川口近くの新井郷機械排水場を視察いたしました。この施設は、国営阿賀野川農業水利事業計画により国によって施行されたもので、昭和二十九年排水機六基の据付を終っております。事務所において土地改良区理事から事業の概要を聞きましたが、今回のような降雨量をみると、なお計画中の未設置のポンプ三台の増設と、これに伴う排水所までの排水路の拡張工事を実施しなければ、排水の目的を達し得ないとの話がありました。  次に水害の現場である北蒲原郡の佐々木村におもむき、福島潟の増水はんらんによる家屋の浸水で避難収容されている農民を佐々木村小学校に見舞い、続いて収容農民の部落である鳥穴、砂山の水害状況を視察いたしました。両部落の床上浸水七十八戸、救難収容人員三百二十五名でございました。さらに福島潟のはんらんにより、八月三日現在なお湛水状態にある稲作を巡視いたしました。佐々木村の水田の冠水面積は三百七十二町歩、浸水面積四百六十八町歩で、浸水期間一週間以上に及び収穫全く不能と見られるものがあり、家屋の床上浸水百六十三戸で、農業倉庫の浸水があったとの報告がございました。  次に豊栄町に入り、いまだ湛水中の水田及び浸水後の根腐れを起している水稲の被害、排水ポンプ場、用排水路の現状等を見ながら町の災害対策活動の模様を聴取いたしました。この辺は低湿地が多く、堤防上に構築された土のうの延長十八キロ、俵数約十六万俵に及ぶとのことでございます。豊栄町の被害面積は、町の調査によると、水稲の冠水五百七十三町歩、浸水二千四百六十三町歩等であります。現地の視察を終り豊栄町公民館において、災害復旧対策に対する国の援助、助成措置に特別の配慮を希望する要望がございました。  翌四日は、新潟市より村上市経由、岩船郡朝日村の下中島における三面川の三百二十メートルにわたる堤防決壊箇所を視察いたしました。すでに建設省の応急対策工事で水路の堆積物の排除作業が行われておりましたが、決壊箇所より水田に河水の貫流が続いておりました。朝日村の被害は、田の流失と土砂流入が百十八町歩、冠浸水が千二百四十町歩で、水稲の減収見込み一万五千石に達し、農作物一億九千万円余、林産物二百六十六万円余の被害見込みで、そのほか道路、堤防等の決壊損失約百カ所余りであるとの説明でございました。  今回の七月水害は、すでに御承知のごとく、台風十一号の通過に伴うその後の停滞前線の活動によるものでありまして、東北、北陸地方に大量の降雨があり、新潟県では七月十九日から二十八日にわたり、下越地方中心に最高約六百八十三ミリの雨が記録され、特に阿賀野川、加治川、三面川をはじめ、平野部の中小河川がはんらんし、穂ばらみ期に当る水稲その他の農作物、耕地、農林業用施設等に大きい被害を発生しております。県の調査による新潟県全体の被害状況は、水稲作付面積十七万町歩余に対し、流失埋没二百三十八町歩余、冠水面積一万三千町歩余、浸水面積三万町歩余で、減収見込み石数約三十三万石余、しかして耕地二千八百万円余、農業用施設四千二百万円余、林業用施設四千五百七十万円余等を合せて約三十五億円余の被害見込みでございます。土木関係では、堤防決壊三百十二カ所を含み五億円余等でございます。県では七月二十七日災害救助法を佐々木、笹神、豊浦の各村に適用し、救助活動を実施したとのことでございます。  被害の大要は右の通りでございますが、視察の町村からはもちろん、そのほか被害のあった西蒲原郡村上市、岩船郡荒川町等からそれぞれ災害対策についての諸措置を要請する陳情がありました。  なお新潟県当局からは、総括して農林水産業施設の早期復旧と高率補助の適用、病害虫防除対策、特に農薬散布機に対する助成、収穫皆無地の救農土木事業による現金収入対策、被害農家に対する自律農維持創設資金の貸付、天災融資法による資金の融通、農業災害補償制度の活用、食糧対策、植物防疫及び土のう等災害防除機材に対する特別助成等について、それぞれ特別の援助がほしい旨の要望がございました。  次に山形県でありますが、四日午後山形市に着き、県庁において知事はじめ関係課長から、県内農林水産事情について説明を聞きました。  山形県の農業は、水稲を主軸として最近飛躍的な生産力の伸展が目立ち、積雪寒冷地の立地条件にかかわらず、よく三十年産米以来平均反収三石を上回り、東北の最高反収を示しております。この生産力の伸びは、農政諸施策の浸透と、農業技術の発達に負うところがもちろんであります。  食糧管理事情についてみますと、水稲作付面積九万八千町歩、三十二年産米生産高二百九十七万石、供米実績百八十六万石で、予約申込に対し一〇四・二%の達成率であり、三十三米穀年度の県内需要四万三千六百トン(二十九万石余)、配給辞退を見込んだ有効需要量を七四・四%と推定し、残り二十一万トン(百五十四万石余)を県外搬出に充てております。県における平均受配率は、右のように七四・四%の推定でございますが、最近六月までの実績で置賜、最上両地区はそれぞれ五二%、三六%という低調で、受配率五〇%以下の小売業者が約二〇%に達すると推定され、卸売業者の六月までの米穀購入状況は所要量の六一%の低率であります。以下のことは生産県における配給辞退の深刻な実相を如実に示しておりまして、予約集荷対策とともに配給面の問題の深刻さを思わせ、食糧管理制度の基本的問題の一端を提示しているようでございます。  県における積寒地農業の振興策は、各般にわたり県独自の諸施策が進められておりますが、国の助成に基く積寒対策事業、新農山村建設総合対策事業その他による振興、改良事業が各地区で実施されているのが見受けられ、相当の効率的運用が行われておるようでございます。積寒法による農業振興総合施設助成の対象地域は三十二地区に及び、二十八年より三十年までの事業実績は、国の補助二千五百万円、事業費総額約七千万円で、団体営土地改良事業は、灌排水、客土、農道その他について実施され、計画による事業費一千百万円余で、その達成率は三十二年度までに二九%でございます。要事業量に対し国の助成の増額が必要と認められるのでございます。  海岸砂地地帯農業振興臨時措置法に基く事業は、防災林五町歩の設定、畑地灌漑、客土等百六十町歩が実施され、このほか新農山村建設事業その他の振興策も積極的に行われているようでございます。  なお山形県における七月の水害は、新潟県等と同じく七月十九日より二十九日にかけて豪雨を見て、鳥海山系で八百ミリの降雨があり、最上川中下流、東田川、飽海地方で被害が大きく、農作物関係で水稲の冠浸水二万二千町歩余、畑地の冠浸水二千八百町歩余で、その被害見込金額五億七千万円余、耕地関係一億六千万円余、その地の農林水産関係の被害を合せて八億三千万円余に見込まれるとの説明がありました。  災害救助法の適用は最上郡戸沢村、飽海郡遊佐町の二カ町村であります。被害に対して山形県当局から農林水産業施設災害復旧対策についての早急な助成措置、被害農家対策としての農薬に対する助成、及び営農資金対策の特別な配慮等について、国の援助が要望されました。  右の説明の後県庁において県内農林関係団体から次のような要望がありました。米穀予約売渡制度の強化、酪農経営安定、夏秋蚕調整と補償、新農山村建設対策要綱に基く共同利用施設の不動産取得税及び固定資産税の免除、余剰米対策及び配給米価格の時期別格差の設定、開拓地干害農家に対する災害資金の融資等であります。  翌五日は、山形市南山形地区の積寒法による水田の区画整理事業を視察し、続いて天童町の成生地区の畑地の交換分合の実態と営農状況を見ました。町役場で関係者より事業実施上の問題点、希望等を聞きましたが、この種事業には関係農民に対する啓蒙運動と趣旨徹底が成否の分れ目であり、交換分合実施後の登記について、換地計画処分的取扱いができないものであろうかと希望意見が述べられ、この地区は新農山村建設事業の特別助成を受けたが、その助成の増額を要請するとの希望がありました。  その後東根の山形県の総合種畜場、尾花沢の冷害試験地、新庄の農林省農業総合研究所積雪支所、同農村工業指導所を視察して、それぞれ所管業務の内容及び運営状況を調査いたしました。続いて萩野にある昭和開拓地に参りました。この開拓地は昭和二年入植が行われすでに三十年余の歴史を持っておりまして、陸稲、トウモロコシその他の作物が見事に成育しております。私たちはトラクター耕耘による試作圃を見学しました。  ついで最上川に沿い一帯の稲作の作況を見ながら、川の中流部の最上郡戸沢村の水害事情を村長の案内で視察いたしました。この村は最上川沿いで流域の一番狭隘な所で水害の常襲地帯の様相を強く認められ、恒久対策を実施する必要があるようであります。  六日は午前酒田市及び市周辺の水害状況及び酒田市西荒瀬宮の海砂丘地帯の畑地灌漑の実施状況を見ました。宮の海畑地灌漑施設は、西荒瀬土地改良区が国の助成を受けて二十八年及び二十九年の二カ年で施工し、その関係面積三十五町歩、給水源タンク三カ所、五反歩ごとの放水栓が七十七カ所に設置され、砂地地帯でもナガイモ、ナス等の蔬菜類までりっぱに生育し、類似地帯に対する畑地灌漑の必要性をよく認識されました。  この後庄内平野の中心地に位する米穀保管倉庫である国立の庄内倉庫及び庄内経済連の歴史ある山居倉庫を視察し、最近の米穀の集荷、保管、収容事情を食糧事務所長から伺いました。  現地の視察を終り、酒田市役所において市政の概要を聴取いたしました。その際酒田市袖浦地区の砂地地帯改良について、東北開発のうちに採択願い、果樹園五町歩未満までの国の助成措置を要望する土地改良区の陳情がございました。  六日午後秋田市に着き、県庁において県内農林水産事情を県及び関係機関から伺いました。  八郎潟の干拓は秋田市に農林省の八郎潟干拓事業所が設けられ、事業の推進がはかられております。この干拓事業は御承知のごとくオランダの干拓専門家ヤンセン等の調査を契機とし、ネデコと技術援助契約を結び、昭和三十二年着工の運びとなったものであります。八郎潟は面積二万二千町歩で、そのうち干拓造成面積一万七千町歩、造成耕地一万四千町歩で、入植農家四千七百戸と四千三百四十戸の地元増反農家を予定し、年間米三十四万石、麦一万一千石の増産が計画されて、昭和三十九年度まで向う七カ年の建設計画で着工されております。水深きわめて浅く、最深部で四、五メートルにすぎず、湖底は平坦で潟の流域も潟面積の三倍程度で、干拓適地として代表的であり、建設工事費も反当り十二万円余りであります。  次に秋田県の食糧管理事情について申し上げますと、いわゆる米産地特有の事情が強く支配し、公定価格を自由価格が下回る等の現象が見られます。昭和三十二年産米の作付面積十万七千町歩、生産数量三百三十一万石、政府に対する売り渡し数量二百六万石であり、このうち百五十万石が県外搬出数量で、残りが県内需要となっております。集荷画では軟質米の規格外買入れの問題があり、県においては産米改善運動を昭和三十一年より実施して品質の向上に努めているとのことであります。配給の面では全国でも有数の配給辞退の多い県でありまして、卸し売り業者の販売実績を見ますと、十一月より三月までの間の時期において、所要量に対する売却の比率は三〇%から四〇%、配給日数四日から五日余りであり、需要期に入った六月の実績でそれぞれ七九%、十一日程度の実情であります。  国有林事業について見ますと、秋田営林局管内でも秋田杉の中心地は米代川中上流の流域一帯に広がっていて、搬出された木材の製材、加工は能代市で盛んに行われているようであります。秋田県の国有林野面積は三十九万一千町歩、民有林四十一万町歩で、その合計八十万一千町歩、森林蓄積総数は二億五千万石で、全国比は面積において三%、蓄積で四%に達し、府県別にも重要な部分を示しております。  私たちは翌七日、秋田市より約二十キロの八郎潟まで直行し、船越において西部干拓の現況の説明を受け、サンドポンプによる堤防構築工事を視察しました。さらに潟の東部沿いに馬場目川を渡り、干拓計画の東部承水路の中ほどに位置する三倉鼻高台より八郎潟の全景を展望して、干拓計画の全貌を概観しました。干拓に伴う漁業補償については、昨年暮に二千七百戸の漁民との話し合いもつき、財産補償を合せて総額約十八億円の補償金が今後三カ年の間に支払われる計画になっております。  続いて能代市経由米代川に沿ってさかのぼり、正午すぎ二ツ井の七座営林署に着き、管内の国有林の現状を伺いました。なお、その際二ツ井町長等より現在のまま営林署を存置してほしい旨の陳情を受けました。  その後大館市におもむき、市役所において当地区の米の配給辞退の実情を市長初め関係団体から聴取しました。秋北地区は大館市、北秋田及び鹿角の両郡の地域でありますが、米の受配率は最も悪い一月期は三〇%余り、十月より三月までの平均は四七%でありまして、需要期の四月から六月に至り九五%に達しますが、しかし配給辞退の深刻さを示し、辞退の多いころは公定とやみ米の価格差一升につき三十——二十円、八月に入ってもなお十円余りやみ米が格安で辞退の原因になっています。この地区は産米四十四万石に対し政府売り渡し米十八万石で、その残りの農家保有米に余裕を持っているようで、なお余剰米の集荷の必要を感ぜられ、産米の課税対象の適正、検査買い入れ制度の検討、農家の封建性による家族の安売りの対策措置を講じてもらいたい等の、食糧管理制度についての改善策の要望があり、また小売業者に対する生活の保障、援助をお願いしたいとの陳情がございました。なお県からも余剰米対策を強く推進し、集荷を積極的に行い、可及的多くの米を食管ルートに乗せることがその根本策であるので、これに対する国の施策の再検討と制度運営の改善を要望するとの話がありました。  ついで翌八日は、十和田湖畔の水産庁十和田湖孵化場でヒメマスの孵化事業の施設を見ました。三十二年度の成績は採卵二百八万粒、分譲四十万粒で、放流されているものは百二十七万尾、採卵用親魚の漁獲は約三千尾で組合員五十九名によって行われています。この施設は事務所を除き和井内貞行氏より水産庁が年間三十万円あまりで借用しているもので、地元からは国の買い上げを希望し、あわせて施設の拡充を望む旨の話があるそうであります。  視察を終り、和井内より十和田南を経て大館に着き解散をしました。  右、視察の概要を報告申し上げます。
  101. 関根久藏

    委員長関根久藏君) ありがとうございました。続いて第三班河合委員よりお願いいたします。
  102. 河合義一

    ○河合義一君 北海道班の視察報告を行います。  北海道班は関根委員長、雨森委員と私の三人で八月三日上野を出発し、十日まで八日間現地を視察して参りましたが、現地では東委員の御参加もあり、御案内いただく等大へんに好都合でございました。  五日午前、道庁において道内の農林水産事情について説明を聞いたのでありますが、御承知のごとく、北海道の開発は明治以来農業を重点に国策として推進せられてきましたが、戦後なお七万町歩に上る未開発資源を有し、これが開発は今後の日本経済の発展に重要な役割を果すことが期待され、また北海道経済の発展は第一次産業によるところきわめて大であるので、道としてもこれらの開発に積極的に意を用い、昨年より第二期開発五カ年計画を実施し、着々その成果を上げつつある現状であります。また一昨年はまれにみる冷害でしたが、本年は昨年に引き続いて良好な作況とのことです。  道庁としての要望のおもな点を申し上げますと、北海道は気象条件がきびしく、土地条件が劣悪であって、絶えず冷災害に悩まされる特殊地帯であるから、農業については寒冷地の不安定農家の営農改善計画に対する行政指導の強化、及びそれに必要な長期低利資金の貸付につき、さらに農家負債の整理促進について特別な立法措置を講ぜられたい。乳価安定対策及び畑作振興のため農産物価格安定対策について特別な配慮を願いたい。開拓については、新規入植者にはすべて。パイロット・ファーム方式でやってほしい。既入植者の営農安定について追加金融措置等を講ぜられたい。自作農維持資金、土地改良事業の推進について特別の配慮を賜わりたい。林業については、農林漁業金融公庫法による造林事業資金の据置期間の延長、治山事業の拡充強化をはかられたい。水産業については沿岸漁業振興資金助成法、漁家負債整理促進法等の制定、漁港の整備促進について配慮されたい等それぞれ要望がありました。  さらに道の農業団体からも大体同趣旨の要望がありました。  道庁を辞し、札幌市において開催されておりました北海道博覧会を視察し、午後石狩平野を通り、篠津泥炭地域の機械開発事業を視察いたしました。  まず、当別町にある開発局の工事事務所において、所長より開発事業の概要を聞き、次いで現場を視察いたしましたが、この地域は石狩平野の西南部に位し、江別市ほか三カ町村を含む総面積一万六千三百町歩で、その中央部はほとんど泥炭地であります。  開発事業としては、この地域のうち用水補給に二千七百二町歩、畑未墾地の開田に九千二十八町歩、あわせて一万一千七百三十町歩を開発し、米に換算して十九万二千二百石の増産を行おうとするものであります。  これに要する工事のうち、灌漑計画は篠津地区の灌漑排水の大幹線ともいうべき篠津運河の改修、石狩川頭首工の工事、及び当別地区の貯水池の新設、その他延長三百六十キロに及ぶ用水路工事等で、排水計画としては篠津運河及び篠津川を幹線として延長百五十八キロの支線、面積七千二百町歩の暗渠排水の工事、客土計画は六千百四十七町歩の客土を行う等が工事のおもなものであります。工期は昭和三十年から三十六年までの七カ年、総工事費百二十五億円、そのうち土地改良事業に約七十四億円、開墾建設事業に約十二億円、土地改良事業補助に約二十億円、付帯事業に約一億円、関連事業に約十六億円が予定されております。  今日まで行われている工事は、篠津運河の改修工事用排水路の整備等根幹工事が中心でありまして、現在ポンプ船、エキスカー、ブルドーザー等による大工事が行われておりますが、これらの工事の半ば程度がようやくでき上った程度でありまして、二、三年前までは一面湿地帯であったそうですが、今はすっかり乾いた土地になっておりました。  客土は運河の掘さくによりできた土砂及び付近の丘陵地帯から持って来るそうですが、ごく一部を除いては行われていないような状態でありまして、三十三年度までの工事費は約二十九億円であります。  なお、この地域における関係農業団体から事業の早期完成、地元負担額の軽減、運河を国営管理にしてほしい等の強い要望がありました。  篠津地域の視察を終り、直ちに美唄市の空知支庁に参り、管内の農林事情を聴取した後、関係団体の陳情を聞きました。  この地においては、改良を要する特殊土壌の面積及び開拓可能地の面積は約十八万町歩に及んでおり、現在とりあえずその六割に当る十一万八千町歩を土地整備し、玄米六十万石の増産を目途としているが、国営及び補助事業について、その促進方を配慮されたい、泥炭研究室の施設を整備拡充されたい、またこの地方は、石炭鉱業の盛んな所で、石炭を洗った汚濁水が水田に入り、稲作に悪影響があるので、水質汚濁防止法を至急制定してほしいとの要望がありました。  翌六日朝釧路市に到着、直ちに釧路支庁を訪問、管内の農林水産事情を聴取した後、支庁長を初め、関係農業団体から陳情を受けました。  この地域は、辺境、寒冷、濃霧、特殊土壌等のため穀菽主体農業の安定は期しがたく、どうしても酪農中心の農業の確立が必要であり、昭和三十三年度から実施されつつある北海道畑作営農改善対策事業の一そうの拡大強化をはかるとともに、経営安定促進の立法措置を講じられたい、また釧路地方の漁業は、沖合漁業への転換により著しい発展を示しているが、管内指定漁港のうち施行中のものは五港で、完成されたものは全くないので、とりあえず施行中のものを早く完成されたいとの要望でありました。  次いで釧路港を視察しましたが、この港は、重要港湾の指定を受けた東北海道随一のもので、背後における生産量二百万トンに及ぶ石炭の積出港として、あるいは製紙工場、ビート糖工場の進出等、臨水工業の発展も急激なものがあり、将来が大いに期待されている。また一方漁業基地としても、北洋漁業の発展に伴い重要性を増し、漁港施設の整備も着々進行中であります。  翌七日帯広市に向いましたが、途中士幌村に立ち寄り、士幌村農協直営の大規模連続式馬鈴薯澱粉工場を視察いたしました。  この村は、かっては十勝管内でも最下位に属する貧村でありましたが、組合員農家が一致団結して、緑肥と畜産の改良に努める一方、土地改良に専心し、耐寒作物である馬鈴薯の生産を中心に、農作物の増収をはかり、澱粉製造工場等加工事業に着手した結果、現今では道内屈指の有力農協となっているようであります。馬鈴薯は、派手な値動きの少いかわりに、冷害等に無関係という長所を持っておりまして、北方農業における安定作物の一つとして重要なものとなっており、村内における生産高は、年間四十万俵、このうち三十万俵が澱粉加工用に出荷されておりますが、従来の小規模工場では、品質、歩どまり等種々の欠点がありますので、それらの小工場を買収し、組合直営事業とするなど、長年にわたる苦心の結果、今日の高度に合理化された工場の設立をみたのであります。  この工場は、その施設、内容、規模等においてわが国最初のものであり、工場敷地約一万坪、原料倉庫、摩砕工場、乾燥製粉工場等すべて最新のものであり、日産能力約五万八千五百キログラム、澱粉回収率九四%、品質や経費も、従来の人力による方法に比して著しくよい成績をあげているとのことでした。なお、当工場の事務所において、士幌村及び関係団体から、土地改良事業等に関する陳情を聞きました。  士幌村を辞し、帯広市に入り、日本甜菜製糖株式会社の製糖工場に行き、関係者より、甜菜は冷害に強く、牛その他の家畜の飼料等にもなるため、非常に幅広い効用を有し、諸外国においても重視され、工業化されており、わが国においても、昭和二十八年甜菜生産振興臨時措置法が制定され、将来の発展が期待されており、現在北海道の栽培農家数五万戸、耕作反別は約二万五千町歩、この工場の砂糖年産能力約二万四千トンとの説明がありました。  目下のところ、工場は休業期でありましたので、精巧な模型により操業状況の説明を聞きました。  次いで北海道農業試験場十勝支場を訪問、場長より試験場の概況及び当地方の農業について説明を聞きました。  この管内の耕作面積は約十七万八千町歩で、その八割が火山灰土壌であり、地力に乏しく、年々減少の傾向にあるので、その対策研究が重要であり、国立畑作試験研究施設の設置が決定されているのであるが、早急に整備拡充を願いたいとの要望がありました。  次いで十勝支庁を訪問、支庁長より管内の農林水産事情について説明を聴取した後、関係市町村を初め団体から陳情を受けました。  十勝管内の農業は、火山灰土壌が多く、変化に富み、かつ冬期に雪少く、晴天の多い気象条件により、豆類等の雑穀を中心とした畑作が多く、最近の冷害不作の対策として有畜経営の拡充強化が推進されております。牛の頭数を見ましても、昭和三十一年一万六千九百頭、三十二年には二万一千五百頭と、相当の増加を見せておりますが、なお経営は不安定で、畑作営農改善について、特別法の制定をされたいとの要望がありました。  また、全耕地の約五〇%が豆類の作付であってみれば、豆類の価格安定にも特段の注意を用いられたいとの要望がありました。管内産乳量も、昭和二十六年六万九千石、三十二年二十二万石と、約三倍強に増加しており、乳価の安定のため法的処置をとられたいとの要望がありました。  翌八日帯広を立ち、滝川市に向い、滝川種畜場を視察いたしました。この種畜場は、従来綿羊の改良増殖及び技術指導の中核でありましたが、昭和二十八年以降の冷害を契機として、道の有畜多角経営を強力に推進することが要請され、本年四月、北海道立滝川種畜場設置条例が制定され、綿羊ヤギ以外に、種畜特に鶏、豚等の中小家畜、家禽等までも含むことになり、本道の中小家畜の育種、改良、増殖、配布のセンターとなっております。用地の総面積は、採草地、放牧地等約九百町歩、綿羊千三百頭、ヤギ百六十頭を初め鶏、畜牛、耕馬及び、ミンク等がおります。特に綿羊とミンクの飼育状況を見ましたが、綿羊については、最近食肉用の家畜として再認識されているとのことです。ミンクは、現在非常な高値を生んでおりますが、不安定なため一般農家には勧めがたいとのことでありました。  以上をもって北海道における調査日程を終了し、帰途につきました。  以上御報告申し上げます。
  103. 関根久藏

    委員長関根久藏君) どうもありがとうございました。本件はこの程度にいたします。     —————————————
  104. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 小中学校学習指導要領と林業の件を議題といたします。  この件につきましては、北村委員から質疑の御要求がありますので、この際御質疑を願うことにいたします。なおこの件について、政府からの出席は、文部省初等中等教育局職業教育課長安養寺重夫君、林野庁指導部長茅野一男君。
  105. 北村暢

    ○北村暢君 まず文部省の職業教育課長に御質問いたしたいと思いますが、今度の教育課程の改訂に当りまして、特に農林関係の分についてだけ御質問いたしたいと思いますが、この今度の改訂の趣旨からいきまして、特にこの科学技術関係の教育を強化する、そういう観点からして今度の改訂がなされるというふうになっておるようでございますが、その中で、農業関係の中から、従来の農業関係の中に林業関係と造林関係と、それから養蚕関係が含まれておったのですが、今度の改訂によりまして、教育課程の中から林業と養蚕が落されているようでございます。きょういただいた資料によりますというと、全然落されているようでございますが、この林業と造林と、それから養蚕を落すに至った経緯なり理由をまず承わりたいと思います。
  106. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 今お話のように、今回の教育課程の改訂は、いろいろ大きな筋に立っておるのでありますが、そのうちに科学技術教育の強化、科学技術の指導の強化ということをうたい込んでおるわけでございまして、今御指摘の農業の関係の中から、たとえば造林でございますとか、養蚕というものが落ちておる理由というお話でございますが、お手元に説明資料としてあらかじめ配付いたしてございますが、現行の職業・家庭科というものは非常に複雑でございますので、若干その説明をくどいようでありますが申し上げまして、それから御質疑の点について申し上げたいと思います。  現在中学校の教育課程の中に職業・家庭科というのがございます。これは、名前は一つでございますが、内容的には、必修教科である職業・家庭科と、選択科目である職業・家庭科と分れております。ただし学習指導要領の示し方としては、どこまでが必修でどこまでが選択だということは、特に一部を除いては示していないわけでございます。必修教科が三ないし四時間、選択教科が三ないし四時間というふうに、時間数は示してございます。従いまして、特に百七十五時間につきましては、お手元の資料の二の方の最後のページでございますが、備考欄に〇を打ってございます、百七十五時間、これがまあ必修の職業・家庭科としてともかくやらなくちゃならぬ数字でございます。その他は必修においても何を入れようかということは、学校の方の指導計画作成にゆだねておる。選択教科につきましても、学校の方の指導計画で作っていただく、こういうようなことになっておるわけです。もちろん、この各項目の内容は、学習指導要領に骨組みは書いてございます。たとえば、造林ならばこういうことをやるんだということは、大綱は示しておるわけでございます。このたびの職業・家庭科の改訂につきましては、必修においてこれを改訂して、技術・家庭科というような形に持ってゆく、選択教科としましては、農業、工業、水産、商業、家庭——農工商、水産、家庭の五つの教科にそれぞれ独立の教科として選択教科を作ってしまう、こういうような考え方をいたしまして、特に必修の技術・家庭科につきましては、科学技術教育の強化ということから、内容は二つに分れておりますが、男子には主として工的な内容を教える、女子には家庭科的な内容を教える、そこでまあ農的な要素というものが必修の方の技術・家庭科からはやや現行よりも後退する、選択の方につきましては、これは文字通り選択でございまして、現在は外国語と職業・家庭科と、二つだけの選択教科というのがあるわけでございます。改訂いたそうとしております案によりますと、これが農工商、水産、家庭、それから外国語を数学と音楽と美術、これだけが選択教科でとり得る。特にこの農業科の内容でございますが、これは、職業関係あるいは家事従事、こういうようなもののために準備的な教養を与えるという意味から、学習指導要領の示し方としましては、大体全国共通的に教えることのできるようなものを示す、その他につきましては、適宜内容に示されていない部分についても、地域の事情等によって、あるいは生徒の必要に応じて、各学校なり教育委員会の指導計画作成にゆだねよう、こういうことになったわけであります。従って造林につきましても、そういう考え方から、全国共通で農業科をやるとなれば、どこまでもこれだけのことはやりなさいというものの中からは一つ落してもいいんじゃなかろうか、こういうようなことを考えて作業をしておったようなわけでございます。現在まだ中間的に先般発表いたしまして、各関係者から意見を求めておる状態でございまして、なおいろいろの部分についてさらに検討を加えたい、こういうようなことになっておるわけでございます。いろいろと状況報告をただいまつけ加えて説明さしていただいたわけでございます。
  107. 北村暢

    ○北村暢君 今の説明ですと、必須科目から農業自身が若干はずれるような形になり、しかも、農業の中でも林業、養蚕というものは全国普遍的なものから落してもいいのではないか、こういう判断に立って落したと、こういう説明でございますが、これは、そういうことをきめるのは教育課程審議会の答申か何かに基いてやっておるようでございますが、その判断をするに至ったのは、文部省自身でそういう判断をされたのか、農林省その他に協議をされてそういう結論が出たのかその点ちょっとお伺いいたします。
  108. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) この二月十五日に——かねてそれ以前に文部大臣から、小、中学校における教育課程の改訂についてという答申を求めたわけです。三月十五日に教育課程審議会から答申が出て参ったわけでございます。それに基いてわれわれ現在事務的な作業をしておるわけでございます。なお、農林省等との関係というようなお話がございましたけれども、特にどの項目についてどこどこの省に相談をしているというようなことはございません。
  109. 北村暢

    ○北村暢君 そうすると、答申に基いているだけで、この農業の教育の面については、農林省には相談をしていなかったと、こういうことですか。
  110. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) とりあえずわれわれとしましては、教育課程審議会の基本的な線に沿いまして、この教育課程審議会が答申を出したあと、さらにその細部を検討するために、現在文部省の中に教材等調査委員会というのがございまして、これが小、中学校の各教科ごとにそれぞれそういった現場の先生が主体となりまして、いろいろ細部の検討をしていただくような機構ができております。この技術・家庭科なり、職業関係の選択教科につきましても、それぞれその関係委員会に諮りまして、一応文部省としてこういうふうな中間的な意見がまとまったというので、外部に発表いたしまして、それによって今度は、教育委員会、大学その他関係方面の御意見を承わると、こういうような段取りにしておったわけでございます。
  111. 北村暢

    ○北村暢君 そうすると、今答申に基いて一応の案が出されて、それを発表して、各界の意見を聞いている。そうすれば、農林省意見はこれから聞くのですか。
  112. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 中間発表をいたしまして、お話農林省の方は、直接御関係の林野庁の方からも御意見をちょうだいいたしておりますし、林業関係の研究団体、あるいはその他の関係団体からも、われわれ現在手元に意見をちょうだいしております。これはよく検討いたすというようなことになっておるわけでございます。
  113. 北村暢

    ○北村暢君 検討いたすというのですがね。もうすでに文部省の政令が八月二十八日付で出ているのじゃないですか。この教育課程の問題について政令として出ているように伺っているのですが、どうなんですか。
  114. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 今のお話は、学校教育法施行規則という文部省令のお話と思いますが、先般八月の末に出しました省令は、中学校の教育課程はこうこういう教科ででき上るのだというところまで申しまして、中身については全然触れていないわけでございます。
  115. 北村暢

    ○北村暢君 政令の中では中身については触れていないというのですけれども、農業の中で、一年から三年まで通じて七十時間ずつ二百十時間、こういうことが時間できめられておりますわね。そうしますと、今後その農業という中で、今意見を聞いて、もし農林関係のことを入れるということになると、この時間の範囲内でやるという結果になる。だから、政令で内容は示してないけれども、時間のワクというものはきめておるわけですから、そういう中で、政令との関係からいって、内容的に協議をして、なおかついじることができるのか、できないのか。
  116. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) お話の省令には、確かに各教科の最低配当時間数というものを示してございます。これは最低でございまして、これがきまったからどうこうという今のようなお話は、そう深く、そのようにしなければならぬというようなことは、われわれとしては考えていないわけでございまして、二百十時間というのは、選択教科につきましては標準的な考え方だろうというようなことで、お手元の資料には、これは中間発表いたしましたときの内容の頭だけ出したわけでございます。見当といたしましては、この中なり、あるいは時間数のやりくりというような内容を示すときには、詳しく書き入れるわけであります。これは、現在各界からいろいろな御意見をいただいているのを消化する共通の問題と考えております。
  117. 北村暢

    ○北村暢君 そうすると、いただきました資料の中で、農業関係の目標、内容その他書いたのがございますね。その内容の中に、養畜、農耕、園芸、農産加工と、この四つで大体標準の時間の割当がなされているわけですが、今の説明を聞いておりますと、林野庁からそういう要望もあったので検討中だということですが、どういうふうにこの内容を改訂する考えなのか、この点について伺いたい。
  118. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) いろいろ御意見を承わっているのは、農業だけではございませんで、いろいろな面から出ておりまして、これは共通の問題でございます。従って、文部省としましては、先ほど申し上げました教材等調査委員会、これの関係の小委員会に各界の意見を御紹介いたしまして、そこでなお専門的に御検討をわずらわしたい、こういうふうなことでおるわけであります。
  119. 北村暢

    ○北村暢君 そこで、農林省にお尋ねしたいのですが、農林省は、従来研究、普及関係の仕事を、振興局あるいは林野庁等でそれぞれの研究、普及を相当力を入れてやってきているわけなんですが、こういう小、中学校の教育課程の中において、そういう一般的な教育というものと、今後の農業の関係の普及というものとの関連において、非常に密接な関係を持っておると思うのです。それで、たまたま政務次官見えておりますので、政務次官にまずお伺いしたいのですが、現在一応示されておる文部省の案に対しまして、担当の農林省として、この農業教育についての従来の内容と変ったものが出ているのに対して、どういう意見を持っておられるのか、これを一つお伺いしたい。
  120. 高橋衛

    説明員高橋衛君) 私、本件につきましては、事前にあまり勉強していませんでしたので、的確なお答えを申し上げることが、あるいは満足な御答弁を申し上げることができないかと思うのでございますが、しかし、ただいま御指摘の点は、農業関係についてのいろんな技術的な方面について十分に、何と申しますか、十分に下部に徹底させるというような点から申しましても、また将来の農村の中心人物を育成するという面から申しましても、非常に重要な点でございまして、かねがね、御承知のように、振興局の普及部におきまして、非常な力を入れて参っておる次第でございます。本件につきましては、いずれそのうち審議会が開かれることであろうと存じますので、それまでに十分に検討いたしまして、いよいよこの新しい指導要領がきまりますまでに遺憾ない処置をせひ講じていきたい、かように考えておる次第でございます。
  121. 北村暢

    ○北村暢君 そういうことでなしに、現に文部省の一応示されている案によると、造林というものと養蚕というものが指導要領の中から落ちているわけなんです。ですから、落ちたことに対して今後復活さしていくのか、あるいは私どもの積極的な意見あるいはこの林業の団体等の要望からいくと、この農業の中の造林という取り上げ方でなしに、積極的に、水産と同じように、一つの項目を設けて教科の内容に盛り込むべきだという積極的な意見もあるわけなんです。それまで一気にいかないまでにしても、今まであったものが、まあそういう積極的な意見のあるにかかわらず、今まであったものさえ消えてなくなっちまうということでは、これは非常に遺憾だと思う。こういうことでもって関係団体も、非常にあわてて文部省に陳情し、林野庁に陳情に来ておる、こういうことだと思う。ですから、そういう養蚕と造林という点について、落ちていることに対して、今後入れていくというように考えておられるのか、適当に考えると、こう言われても、そこらのところ、はっきりしませんのでお伺いしておるわけです。
  122. 高橋衛

    説明員高橋衛君) ただいまの点は、先ほど文部省側の方から御説明がありました通りに、選択科目として十分にその目的が達成できるかどうかという点について、なおよく検討いたしまして、その上でわれわれとしては考え方をきめたい、かように考えておる次第でございます。なお、御指摘のように、林業または養蚕につきましては、ことに林業につきましては、山村等におきましてはどうしても必要な事柄であり、また養蚕につきましても、地域的に非常にウェートを持っているという面もございますので、必ずしも全国一律に必修としてやることが妥当であるか、あるいはまた選択的により稠密にやっていくという方向がいいか、その辺のところは、十分これから検討して、いよいよ決定までには遺憾のない方策を立てていきたい、かように考えております。
  123. 北村暢

    ○北村暢君 そこで、今後、遺憾のない措置をするためには、文部省の審議会ですか、どういう会か、ちょっと知りませんが、農林次官の出ている、事務次官の出ている会議があるわけですね。そういうものはないのですか。
  124. 高橋衛

    説明員高橋衛君) あります。
  125. 北村暢

    ○北村暢君 それは何という会議ですか。
  126. 高橋衛

    説明員高橋衛君) 中央産業教育審議会であります。
  127. 北村暢

    ○北村暢君 中央産業教育審議会ですか。その審議会に農林次官が出ることになっているというふうに承知いたしておりますが、その場合、大体出るのは振興局の普及部あたりから出ていくというふうに伺っているわけです。ところが、農林省の中のこの普及関係行政をつかさどっている中で、農業関係はこの振興局の普及部でやるのですが、林業関係は林野庁の指導部でやるわけです。そこで、われわれ聞いたところによると、今度の教育課程の問題の決定に当っても、振興局の普及部には意見を若干聞いてきたようなふうもあるようです。あるんだが、その場合には、農業だけのことをやって、林業関係については、林野庁の指導部には連絡がなかった、それで実際の案ができてから措置をする、こういうようなことで、内部行政の連絡という点について非常に悪い、こういうふうに見受けられる。ですから、そういう点については、これは十分留意をしてやらないと、私は、農林省を代表してたった一人しか出ない次官が片方を忘れるようでは、農林省の代表にはならないというように感ずるのですが、そういうことのないように、一つ注意していただきたい。この点、次官が見えておるのですから、一つはっきりその点を説明していただきたい。
  128. 高橋衛

    説明員高橋衛君) 御指摘のように、今回の場合、何か内部の連絡が少し悪かったように聞いておりますので、今後そういうようなことがないように十分に連絡をして、単に普及部関係のみならず、林業関係の指導部関係の双方をとりまとめて、次官として代表してこの委員会に出るようにしたいと考えております。
  129. 北村暢

    ○北村暢君 最後に一つお伺いいたします。  今のその農林、養蚕の面について検討して、遺憾のないようにしたいということのようですが、ぜひそういうふうにやってもらわなきゃならないが、希望としては、先ほども申しましたように、六つですか、選択科目の中で六つがあるうちで、農業、工業、商業、その他あるわけですが、水産というのが一つありまして、水産というものが別になっておるわけなんですね。ですから、教育の普遍性という面からいっても、林業というものについての認識というものが私は非常に教育的にもおくれていると思うのです。いろいろ文部省あたりの意見をお伺いしても、水産が単独で出ているというのは、単科大学があるとか、先生がどうかというような意見もあったように聞いておりますが、しかし私は、農業関係の養畜なり、あるいは耕作の問題、あるいは養蚕、こういう面においては相当技術も進歩して参りましたし、普及の程度も非常に成果をあげていると思うのですが、非常におくれているのは、やっぱり林業がおくれている。率直に言ってそういうふうに思うのです。ですから、今後の普及関係においても、私は林業関係の普及というものは非常に大事だ。まず産業という部面までいかないくらいに粗放なやり方をやっているというのがずいぶんあるわけです。ですから、今後の教育によって林業を近代化し、近代産業としてやっていくという面については、相当力を入れていく必要があるのじゃないかと、こういうふうに感じているのです。従って、おくれている面を取り返す意味においても、選択科目として、水産と同じように、別途に科目を設けてやっていく、こういうことがやはり産業教育振興の意味において私は当然じゃないかと、こういうふうに感じているのです。そういうような積極的な意見すら持っておるのでありますから、また、いろいろ関係団体の要望もありますし、従来も、緑化推進委員会というような形で、文部省も相当力を入れて緑化思想というものを普及しようと、こういう考え方もとってきておるのですから、これは、そういう思想が相当の位置に達していればそういう必要がないので、国民的な運動にまで持っていって緑化思想を高めようと、こういうことですから、青少年の教育課程というものについてこれを取り入れるのは当然だと、こういうふうに感じているのですが、従って、そういう積極的な意見もありまするので、今回はまあ政令等出まして、時間の割り振り、最低時間までもうきめられておりますから、そのワク内でやるより私はこれは実質の問題として今回は不可能だと思うのです、政令で選択教科の時間の割り振りが出ているのですから……。そういうふうに思いますから、今後の、まあ来年になるか、再来年になるか知りませんけれども、今後の教科の改訂のときにはぜひ一つ、造林ということだけでなしに、林業という面を私は選択科目として単独に一つ設けるような方向に持っていっていただきたい、こういう要望をしておきたいと思うのです。それで、こういう要望があるのですが、とにかく今回は間に合いませんので、少くとも今後の学習課程の決定に当っては、従来ありました線よりも消極的な形にならないようにぜひ努力をしていただきたい。このことについて農林省とそれから文部省が努力されるのかされないのか、その可能性等についても最後に意見を承わっておきたい。
  130. 高橋衛

    説明員高橋衛君) ただいま学習指導要領に選択科目として林業を特に水産等と同じように特定することが当然ではないかという御趣旨でございます。林業の重要性につきましては、私も、ただいま北村委員の御指摘の通り、きわめて重要な事柄であると考えている次第でございますが、ただいまも御指摘の通り、今年度は一応政令がきまった後でございますので、農業の内部において、できるだけただいま御趣旨のような点を取り入れていくという方向で、ぜひ考えていただくようにただいま考えている次第でございます。ただし、今後学習指導要領が改訂される場合に、次の機会におきましては、必ずただいま御指摘のような線に向って、農林省としては強く要望をいたしたいと考える次第でございます。ただ、申し上げておきたいと思いますのは、水産はきわめて特殊なものでございますが、農業、林業、畜産、養蚕等はそれぞれ相関連する点が相当あるであろうとも思うのでございます。これは、もちろん時間の割り振り等とももっとも関係して参る次第でございますが、そういうふうな関係もあり、また、中学校の課程でもありますしいたしますので、そういうふうな点も十分勘案いたしまして、地方的に特殊性を出し得るような方向に、また国民全般としても、常識として林業の重要性をある程度認識し得るような方向に、農林省としては推進していきたい、かように考えている次第でございます。
  131. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 今お話しございましたように、文部省としましても、いろいろこういった関係の教育は必要だというようなことから、たとえば学校植林なり、環境緑化というようなことで、相当力を入れているわけでございまして、教科の編成等につきましては、現在の実態をさらに検討を加えましたり、教員養成のような条件も勘案いたしまして、今後さらに検討いたしたい、このように思っております。
  132. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 職業教育課長さんがおいでになっているところですから、ちょっと今のことで関連してお尋ねしますが、この職業を戦前のように分科して、五つの分に、戦前の職業指導の面を加えて六つになっているような形ですが、それで必修と専科に分けておられますが、この必修の場合のねらいは、主としてこれはどういうところできめられたのですか。
  133. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) これは、教育関係審議会の答申の重要な一つの柱といたしまして、義務教育の段階における科学技術教育の教科、これは、現在の世界の段階から考えまして、当然必要であるということからそういうことは言われているわけでございます。その一つとして、技術・家庭科というような、中学校における必修教科を設定しよう、この科学技術教育の振興というものにつきましては、単にこの教科のみならず、理科の教育あるいは数学の、教育というようなものとも深く関連をいたすわけでございまして、主たるねらいは、科学技術教育の指導を強化するという点にあるわけでございます。
  134. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私のお尋ねしておったのは、そこも大事なことですが、農業、工業、商業、水産ですね。この方面での一般教養としてねらっておる部分は何か、聞いておきたい。必修でねらいとするもの。
  135. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 直接お手元にお配りしました資料に即して、この教科だけの問題で申し上げますと、必修の方は、技術・家庭科というような考え方で、ただいま申し上げましたような考え方で内容を編成する。現在ございます職業・家庭科というものの必修の部分をそういうふうに改訂いたすわけであります。現在同じ名前で選択教科というのがございます。これが中身は、やはり一群、一群、三群、四群、五群、六群という名前がついてございますが、内容は、農、工、商、水産、家庭、さらに職業指導というような関係の分野の六つに構成されておるわけであります。一わたり必修の方はそれがふえるわけでございます。選択は、そのいずれかを、それぞれ学校の必要な地域の事情によって設定されておる。今回そういった行き方を改めまして、選択教科である職業・家庭科は、それぞれ職業に関する一つの教科としてまとまった内容を示した方がいいんじゃなかろうか、現在中学校を卒業いたしまして、直ちに社会へ出まして、職業につくなり、家事に従事するという子供の数が、大体進学と比べて半々になってございます。どうしてもそういった関係から、職業生活の準備的な教養というような面の指導を強化した方がいいんじゃないか、こういうところに趣旨を持っておるわけでございます。
  136. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは、今のお話のようですと、選択の方が職業的な準備ということで強化されるということであれば、必修の方は、一般教養として何をねらったのか。たとえば、栽培における農耕、園芸、このことを子供にどうして訓練をしていくか、何をねらったのかということを私聞いている。それは結局、形式的な陶冶といいますか、技術の訓練もありますけれども、職業準備として、あるいは一般教養として、意思の訓練に充てるとか、何とかかんとかというねらいがあるわけでしょうが、内容を徹底させていくということにねらいがあるのか、この農耕なり園芸なりという、そういう労作作業を通して子供の意思を訓練していく、そして職業的な素地をつちかう、そういうような考え方なのか。そのいかんによっては、やり方は、生産教育というような形が重点になったり、職業的な陶冶ということが重点だ、訓練が重点だというような考え方になったり、やっていくやり方に実際上は大きな開きがあるだろう。戦前において経験しているのです。今新たにこういうものをやっているのは、何をねらっているのかということをお尋ねしておる。
  137. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 一つは、必修教科の問題でございますが、これは、国語、社会、数学、理科等と全く同様に、一般的に人間性の陶冶というわけでございまして、やります材料は、いろいろ教科によって違うわけでございます。科学技術教育というような点が理科なり数字において重要なる部分を占める。と同時に、技術・家庭科においては、実際物を作る、そうして作った、創造する喜びというものを体験させる、加えてこれが近代技術というものの基礎的な陶冶をいたそう、こういうような考え方で、内容を系列的に配置をいたしておる、こういうふうな考え方に立っておるわけです。選択教科に関する農、工、商、水産、家庭科につきましても、ただいま職業の準備とおっしゃいましたが、職業の準備的な教養を与えるということが考え方の眼目でございまして、それぞれの各教科の内容は、資料にも項目だけは出しておいたわけでございますが、これは、各教科に実際に目標というようなことを掲げまして、たとえば農業でございますと、農業に関する基礎的な知識と技能を修得させる、農業技術の科学的な根拠を理解させまして、これを実際に活用するような能力を啓発していく、そういうふうなことをねらいにしていく、実際の学習活動においても、そのような形でこれを指導していく、このように考え方として思っておるわけでございます。
  138. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあ別にあらためた機会でお尋ねしてもいいことですから、私はもうやめますが、こうして私ぽつぽつ聞いているのは、選択と必修と分けて、選択は職業的な準備としてこれを深く掘り下げ、多くの時間をさいてやらせる。義務教育の一般教養の必修となる部分は、三十何時間なりで、浅く何か一つとっつかまえてやるべきであるということを義務づける、そういう形の選択、必修という形で、こういう職業的な陶冶ということが義務教育の中で考えられるということそれ自身に問題を持っておる、義務教育ですから。そしてまた一面は、高等学校に行かない者については、それは完成教育ではありますけれども、やはり青年前期としての心理の上に乗った義務教育を中学校がやるわけなんですから、そういう点からすれば、そういう技術というようなことだけで、工業学校なり商業学校なり、昔の補習職業学校のような、そういう形態で、義務制の中学校が職業教育をやっていいかどうか、そういう点にわれわれはわれわれの考え意見がある。こういうことを、きまったことはきまったこととしまして、そういう点は、十分過去の経験を生かして、はっきりした建前で考えられているのか。われわれ予算委員会で、こういう形になれば、結局進学学級と、それから進学せざる職業学級と分れる、そして同じ子供の中に、別建な学校経営というものが行われてくるということが、義務教育の中でどういう問題になるかということは、松永文部大臣に質問もし、追及もした。そうしたら、そういうようなことはやらないと言う。わざわざ岸総理にまでこの質問は超党派でやった。その場合に、岸総理は、聞いてみるとこれは非常に重要である。義務教育で、憲法における子供に教育の機会均等を保障する、そういう建前からいって重要な問題を含んでおる。だからこれは慎重に検討することに私の責任でいたしますという答弁があった。そうしたらそれがあってから幾ばくもたたないで、こういうケースが出てきた。そしてこの点については問題がある。まだこなれきらない問題が残っておるのじゃないか。いわゆる戦前における進学組と職業組というものの中で、学校の経営なり教育の精神なりがゆがめられた実態はどういう点で解消していくか、この保障があるかという点。それから実際上、こういう職業教育をやる教育者それ自身、人を得られるのかどうか。こういうような点等で、われわれは疑点を持っておったのであります。それであなたにお尋ねしていてもあれですから、一応こういう建前で進められる場合に、われわれが危惧しておるような点が十分慎重に検討されるということを私は望んでおる次第であります。  それからもう一つは、これは職業的な問題、技術教育の問題、産業教育の問題だから職業教育なんだという考え方は私はとらない。あなたがおっしゃったような義務教育の中の理科やその他一切を引っくるめた全人教育の中に一般教養が与えられるのですから、そういうものとして職業科と申しますか、技術家庭科というものを考えなければならない。そう思う。それをあまりに職業教育ということで分野を掘り下げて進めるというと、学校の全体の経営の中では、一つのアンバランスな経営、そういうものがきっと行われる。そこで戦前において農業教育で有名校だというとカンランをりっぱに作るとか、何がりっぱだという、そういうものを見せる、そういう技術の——それが子供の技術でない、何人の力を借りてでもいいが技術を伸ばす。水産というと漁撈、加工、こういう方面の施設や何かが完備しておる、こういうふうにやっておる。そういうことの競合が起ってくるというようなことは教育の邪道ですよ。そういう意味で、私はこういう点は一つワクの中であまりに分野を画然として義務教育の中で扱うということについては疑義がある。この点についても文部省としては慎重に考えてやってもらいたい、こう思います。
  139. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 本件はこの程度にいたします。     —————————————
  140. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 災害の件を議題にいたします。  水害について清澤委員から質疑の御要求がありますから、この際、御質疑を願うことにいたします。  なおその他の災害についても御質疑の向きはこの機会に御質疑を願うことにいたします。  なお、政府からの出席は、ただいまのところ、農地局建設部長清野保君、農林省農地局長伊東正義君、災害復旧課長櫻井史郎君、振興局長増田盛君、農林経済局農政課長小林誠一君、食糧庁業務第一部長諫山忠幸君、林野庁指導部治山課長若江則忠君、建設省河川局防災課長山内一郎君。
  141. 清澤俊英

    清澤俊英君 まず伺いたいことは、いろいろ陳情もいっておりますので、各関係別の大体今まで方針のきまった範囲のものを先お伺いしていきたいと思います。時間も非常におそくなっておりますので、なるべく簡単に、どういうものはどういう方針で進んでおるというくらいの格好でよろしいですから……。
  142. 小林誠一

    説明員(小林誠一君) それでは台風十一号及び七、八月の豪雨等に関しまして、これまでとりました措置及び今準備しております点につきまして、概略御説明いたしたいと思います。  まず被害農林漁業者に対します天災融資法の関係でございますが、これは島根、広島、それから十一号台風及びその後の豪雨、それから十七号台風も含めまして、それから早害でございますが、それを含めまして、政令指定をすべく目下準備中でございますが、大体あと一週間か十日で政令が公布になるというふうに予定いたしております。まだ、今手続中でございます。今明日に法制局で審議していただく段階になっております。それから被災農家に対します共済保険金の仮払い概算金につきましては、これは被害状況、共済金及び保険金の仮渡し計画、それから再保険の概算払いの必要なもの等についてすみやかに報告をとって措置するように現在やっております。  それから災害復旧の関係でございますが、現在のところ十一号台風までの分を緊急査定をやっておりまして、十七号台風は今月下旬から緊急査定に入る予定でおりまして、それができますれば、予備費要求等も要求いたすことで準備をいたしておるわけでございます。現在までのところ一億五百万円、これは七月上旬の島根、広島の水害までの分につきまして、閣議で決定をいたしておりますが、その後の分につきましては、緊急査定を了しました暁におきまして、早急に手続をとりたい、かように存じておるわけでございます。  それから救農土木、主として早害でございますが、早害、水害等につきまして救農土木をやれという御要望が相当強いのでございますが、そのことにつきましては、目下その被害の村別の状況を統計調査部で調査をしておりますので、その結果を見まして善処いたしたい、かように存じておるわけでございます。  それから特に早害関係でございますけれども、被害農家の食糧不足に対しましては、麦または外米を知事を通じて売却いたしますとともに、その代金の延納を認めることにつきまして、大蔵省と協議の結果、直ちに実施することにいたしたい、かように存じております。  それから早魃の関係でございますが、これは杉のアカダニ等の防除に対して補助金の問題でございますけれども、これにつきましては、とりあえず既定予算の突発害虫駆除費の使用並びに松クイ虫の駆除費からの流用によりまして補助金一千三百五十七万円の交付を行いまして、スギハ虫、千八百町。スギハダニ、六千六百七十町について、重点的に防除を行うことにいたしております。  それから自作農の資金のワクの拡大の要望がございますが、現在のところ保留いたしております分がございますので、それによりまして、このような災害によりまして、自作地を売却する等、農業経営に支障を来たすことなしには資金を調達することができないものに対しましては、自作農の資金を貸し付けまして、農地を手放さなくてもいいようにということで、手持ちのワクから追加割当もいたしたいと、かように存じております。  それから早魃関係につきましてでございますが、これにつきましては、先に早魃の対策としましての助成要綱をきめたわけでございますが、それを実施いたしますとともに、これらのものにつきましては、後作等にもこれを適用しろという御要望もございますので、これについては大蔵省と折衝中でございます。  以上大体簡単でございますが、これまでとりました措置、それから現在考えております早害及び風水害関係の対策の概略についての御説明を終ります。
  143. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいま御説明をいただきました範囲のものは、大体法律、基準としてのものを取りそろえているのでありますから、なるべく早く御決定を願いたいと、こうお願いしておきます。  これからお伺いしますことは、いつもこれ問題になるのですが、御承知のような水田地帯におきまして、農産被害といいますか、だけで三十四億、従ってほとんど収穫皆無地並びに皆無に近い地区が非常にできておりますので、そこで第一番に問題になりますのは、予約売り渡しの契約をいたしました概算金の問題になるのですが、売り渡しの米を持たないで、これを返済する場合、いかなる処置を考えておられるか。できますならば、われわれはこれを延納の処置をとっていただきたいと思いますし、これはまあ収穫皆無の場合ですが、また収穫皆無でないとしましても、かりに百俵予約しておったが、現在実際予約米として、政府売り渡しの実行できるものは、二十俵だとする、二十五俵だとする、こうなりますと、今までの例でいきますと、予約概算金、前渡し金は、全額その額の中から引かれますので、従って手取りというものが非常に少くなる、こういう結果が出るわけです。そうしますと、結局そういうことになれば、事実において困りますので、まあここまできたのだからというので、十五俵ぐらいちょっと隠して横流ししてしまって……これは実際問題です。五俵ぐらい納めておく、こういう心理状態が出やすい格好になってくる。これらに対しましては何らかの処置を考えていられるのか、また考えていただけないのか、一つお伺いしておきたい。
  144. 諫山忠幸

    説明員(諫山忠幸君) お答えします。第一点の問題に関しましては、御承知のように、一昨年北海道の大災害がございましたときに、概算金に対しまして返納するまでの利子を加算をいたしておるのがございましたのですけれども、それの利子の減免につきまして特別の法律でもっていたしたわけでありまして、その後災害が出る場合を予想いたしまして、去年からは契約の中に利子の減免に関しましては災害の程度におきまして概算金は返納はしていただきますけれども、利子は減免する。先ほどおっしゃいましたように、収穫皆無になるというような場合になりますと、これは利子は全部免除になる、こういうようなふうに条件を変えまして災害の対策を、すでに初めからの予約の面の売買条件に織り込みましていたしておるわけであります。そういう意味では現在利子の減免に関しましては、そういうそれぞれの被害の状況に応じまして、三分五厘なりゼロなりに減免される、こういうふうにいたしております。ただこの延納の問題を今御指摘になりましたけれども、これに関しましてはもちろん特別の法律がありますし、現状におきましては、またその災害の程度も十分に判明をいたしておりません関係もございますし、まあ北海道のような相当広範囲にわたりまして、県下全体で四割程度の減収とか、そういうようなときにだけ、これはやるべきものである。その後山口県の災害あるいは佐賀の災害その他ございましたけれども、延納の処置は現在まで北海道の大災害以外にやっておりませんので、今年もこれまでの実情ではそこまで大きな事態にはならぬのではないか、こういうふうに考えております。私どもの方はもともとそういう災害がございますので、農家からじゃなくて、返納ができない場合におきましては集荷業者から、かわりまして概算金を返していただく、こういうような処置を初めから考えております点は御承知通りであります。  それから今の、災害で全部とれないということでなくて、一部を供出しました場合には、御承知のように二割までの分につきましては、概算金を出しておりますから、予約数量の二割までのものについては概算金の返納になって、金が本人に渡らない結果になる点は、これは現状におきましてはやむを得ないのじゃないかと思います。できるだけ農家の方に一つ御協力を願いまして、そういうものを横流しすることのないように指導して参るより手がない、こういうふうに現在考えておるわけであります。何といいますか、これは米の代金を一部でも政府が出しておるというようなもともとの性質でございますので、金融の面なんかは別途災害対策としてやっていただきまして、食糧管理の面におきましては別途の特別会計でやって参っておりますので、契約の通り一応やっていくのが筋じゃないか、こういうふうに考えておりますので、現在は、今きめております程度のことで実施いたして参りたい、こういうふうに考えております。
  145. 清澤俊英

    清澤俊英君 何かこれは貸付とか何か別な方法を考えなければいかぬと思うのであって、災害が起った場合に、全体が広範囲において災害があった場合は云々と、こういうお話ですが、災害自身は個人が中心となると思う。広範囲だろうと小範囲だろうと、深刻なる災害を受けて農業経営の上に立つべからざる打撃を受けるということは範囲の大小ではないと思うのです。その力が広範だから助ける、狭い範囲だからこれを見逃す、どうもこれは不公平な取扱いではないか。私はやはり災害自身の深度によって、同一の取扱いをしていただくことが、これが正当なものじゃないかと思うのですが、その点についてどう考えておられますか。払わされないということは広い範囲に災害がわたった、だから払わされない、狭い範囲だから払わされるというようなことは、まあこれは極端な面になりますと融通の面なんかに出てきますけれども、少くとも今度起きた十一号台風のときにおいてはちょっとそういうことは考えられないが……。
  146. 諫山忠幸

    説明員(諫山忠幸君) お答えいたしますが、農家の個々の立場に立ちますと、あなたのおっしゃるような点もあると思うのであります。ですから私どもはそういう個々の農家までに、小さい災害までも国の関連において全部やれれば一番これは万全でございますけれども、まあいろいろ予算の、従来のあれもございまして、県の範囲あるいは集荷団体、これは一番最後は、その概算金の問題は集荷団体から私どもはもらいますから、農協の組織の問題とも関連して参ると思います。それで一応ワクといいますか、災害の程度をきめておきまして、この程度のものであれば県の力あるいは系統機関の力なりで、ある程度の相互扶助的なことが内部的にやれるのではないか。その力を越えますものだけを国の力で保護する必要がある、こういうふうな考え方から大蔵省ともいろいろ折衝いたしまして、災害の程度等をいろいろ勘案いたしまして現在やっておるのでありますが、個々の農家にとりましてはそういう感じがやはり出ると思いますが、これはやはり系統機関なりの指導その他によってそういう場合にはそういう農家は助からぬというのではなくて、ある程度相互扶助によってやっていくような体制はできるだけとっていただくように、県当局なり系統機関なりにわれわれからお願いしておりまして、一部の県におきましても従来からそういう努力をして参っておりまして、農家の負担を軽くするというような結果がある程度あちらこちらで出ておるわけであります。そういう考え方を特に県なり、内部的な県だけの、系統機関だけの力でやれないという工合に認めます場合だけ国は乗り出していく。こういう考え方で現在進んでおります。
  147. 清澤俊英

    清澤俊英君 かりにそういう場合、単協が貸付けて、そしてこれを何年か年賦ということにしておることができる範囲ならいいのですけれども、できない場合にどっかへ持っていってその融通の道を便利にしてもらうような方法があるのですか。
  148. 諫山忠幸

    説明員(諫山忠幸君) それが今の郡単位でほぼ二割の減収になる、それからその中でさらに旧市町村単位で三割以上の減収になる地帯、まあ一応そういうようなめどをきめておりまして、そしてそれ以内のものは、やはり系統機関とかその他でやり得る範囲ではないかという、一応、まあはっきりいたしませんけれども、個々の農協によって違う場合ももちろん出てくると思いますけれども、そういうように考えまして、一応の線を引いている、こういうことであります。
  149. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは全く小さい場合になればなるほど深刻です。大きい場合はだれかかばってくれるのです。小さい台風とか何とか言われるような場合に半分くらい、全部取られるというようなことがあるのです。非常にせつながっておりますね。だから、それに対して加減するような問題も出てくるのです。わずかなものですから、私は何とかこの点について考えらるべきだと思うのですが、農林次官どうですか。わずかな金です。わずかであって実際農民がこうむる痛手は深刻なんです。災害という名前がつかない場合がなお深刻なんです、全部取られるのですから。しかるに十五俵とか二十俵、三十俵くらい納めておる者は、変なことをすると、何にももらえないということが出てくる、金は使ってしまったが……。これは供米代金というものは何も入らぬということになってきたら、ここへきての農民の苦しみは実際予約契約に対する一番の私は難点、問題点だと思うのですが、これは一つ考えていただきたいですね。市中の金を回すとか何とか少しの間待たれるような考えは持たれないのか。
  150. 高橋衛

    説明員高橋衛君) ただいま清澤委員の御指摘の点は非常に困難な問題でありまして、何らかの処置によってそういうふうな事態が起らないようにしていくことは当然のことであろうと存じます。ただこの際に申し上げておきたいと存じますのは、食糧管理の仕事は政府の仕事でございますから、もちろん普通の商売のような考え方ではいけないのでございますけれども、また独立採算という建前をとっております関係上、そういうような救済的な面はできるだけ一般会計の面において一般的に処置するという考え方で、食糧管理の面でカバーする範囲はおのずから限界があると、こういうふうにしておくことが制度の建前上いいのではないかと、こういうふうに考えます。従って先ほども第一部長が御答弁申し上げましたように、単協または系統金融でもって何とかカバーしていただけるような方途を講じていただきたい。またそういうような方法によって困難な場合においては、それぞれの関連の機関もあるのでございますから、それらの方面から力を差し伸べて、そしてその事態を克服して行って、そして翌年度においては再生産に邁進していけるというふうに持っていくようにすべきではないかと考えております。
  151. 清澤俊英

    清澤俊英君 この問題はただ単に農家救済という建前ばかりでなく、食糧管理制度を維持する上において横流れの原因になるということに重点があると思う。従って今も、言われる通り、全部を食管の中で操作しろと言うんでなく、一応取るものは取るが、同じ取るものでも一応金を貸して取るという形でやっていくのは問題は別だと思うのです。だからそういう形で十分の御考慮を願いたいと思います。第二番目には何かこれはさっきの利息を免除する場合は郡単位か何かに区域はきめておるのですか。
  152. 諫山忠幸

    説明員(諫山忠幸君) 先ほどちょっと申し上げましたが、郡で二割の減収になるというところで、その中でさらに旧市町村単位で三割の減収になる地帯だけを対象として、はっきりこういう区域を出しております。そういう問題は従来全然そういうことがなかったものですから、二年前に特別にそういう法律を作ったわけでございますけれども、それを去年あたりから中の契約を入れまして、その程度の災害を受けておるものは当然に利子の減免を受ける、こういうことにいたしておるわけであります。
  153. 清澤俊英

    清澤俊英君 これを町村単位にしてもらいたいということですがね。三割以上になればやれるのですか。
  154. 諫山忠幸

    説明員(諫山忠幸君) ええ……。ことしも町村単位にする面その他を十分に大蔵省とも折衝いたしたわけでございますけれども、町村単位にいたしますというと非常に拡大をされて、相当財政負担の面も出て参りますので、郡の二割という線は何とかことしも補助したい。こういう考え方から相当議論いたしまして、やはり郡の二割というものを残しておりますので、ちょっとこれをすぐ町村だけにしておくということは相当大きい問題であろうと思いまして困難じゃないかと、こういうふうに考えております。
  155. 清澤俊英

    清澤俊英君 あとのところをちょっとはっきり……。
  156. 諫山忠幸

    説明員(諫山忠幸君) 町村単位にいたしますことは——町村単位だけで郡の立場をとってしまうということはむずかしいのでございます。
  157. 清澤俊英

    清澤俊英君 その次に一つお伺いしたいことは、いつも問題になるのですが、農薬の問題ですが、どうです、補助は。農薬農機具の補助。大蔵省にきょう来てもらおうと思ったのですが、見えないのですが、何か聞くとだいぶ形勢はいいということを聞いております。朗報を承わられますか。
  158. 増田盛

    説明員(増田盛君) これは水害の問題に関してだと思いますが、水害の問題は十七号台風の分まで含めて交渉したいというので、現在県庁から十七号台風の事業実施の状況を取りまとめております。まだ完成しておりません。そこで問題は農薬の問題でありますが、私の方は正式に大蔵省とまだ折衝に入っておりませんが、大体現在の考え方では病虫害の防除に対して国庫補助をするという方向で要求いたしたいと考えております。
  159. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは大蔵省がそう考えておるのか、そういう方向に向いたのですか。
  160. 増田盛

    説明員(増田盛君) 大蔵省でまだ全体の数字がわかりませんので、正式に文書で折衝する段階になっておらないわけでございますが、私の方の振興局内部考えている線としましては、病虫害防除、駆除の補助をするという線で強く要求したいということに内部では固めておるわけであります。
  161. 清澤俊英

    清澤俊英君 固めただけではわからない。大蔵省問題にならぬ。  これはなんですね、高橋さん。これはあなたからよく……大蔵省の関係に深い人ですから話しておくが、一体大体大蔵省というのは考え方がおかしいんだ。だから作物を作るために自分の農薬を使ってよくするのは当り前だと、こう言うのですけれども、しかしながら、それをやりまして、これは通常どれくらい入れるということは大体きめておる。それに災害であるとか、いろいろな問題が出て超過したものをどんと入れる。入れることによってかりに収獲が増大したとしたならば国家の利益は偉大なものだ。それくらいの補助を与えるのは当り前だ。ことに病虫害の補助に対しまして、これは今度は病虫害が出てくるから二回する三回するという場合、これに対し補助がないということはこれは全く考え方はむちゃだと思う。  一体流行病というのをこの前も相当議論せられたことです。三十年の場合はこんな話も出た。流行病が出れば、人の場合でも国が金を出して流行病の予防をしてその蔓延を防ぐ、これが流行病の実態です。それがこれからどんどん蔓延してから予防します。全滅に瀕するからこうやりますといってやるより、国が進んでやるというのがほんとうだろうと思う。人間も植物も同じことだと思う、予防という……。そういう場合でも何か理屈言っているのですからね。これは幸い大蔵関係の次官をわれわれは迎えたことは、朝野に対する理解を得るために非常な幸福だと考えていますが、ぜひこれは一つ喚起をするように高橋さんから御尽力をお願いします。  その次にお伺いしますのは、問題はちょっとむずかしくなりますが、この水害による予防施設、機具、資材の問題ですが、これが何か、水防法等の規定はありますが、資材がたまたま政令にないというので約五十二万—これは五十二万と書いてあるのですけれども、十二、三万俵使っているのですね。金額にして二千百万円くらいの俵、カマス等を使って防災をやったんです。これに対する補助に対して特別の何か御考慮を願えないですか。建設省関係において。御見解をお伺いしたいと思います。
  162. 山内一郎

    説明員(山内一郎君) ただいま水防に要する経費の補助のお話がございましたが、水防に要する経費にはいろいろございまして、現在建設省として補助を出しておりますのは、水防の倉庫—水防資材とか機械を入れます水防倉庫、それから水防に必要な無線機の購入に要する補助、この二つの点について現在補助を出しております。  ただいまお話の土俵とかそれに必要な、くいの問題でございますが、その点については現在建設省としては、補助するということは当分の間現在のところやっておりませんですが、過去の実績を見ますと、二十八年の非常に水害の激しかったときには土俵まで補助をいたしておるという前例はございます。現在本年の台風とかその他の水害につきましては、地方の公共団体の方から正式にそういうお話もございませんので、事務的には取り扱っていないというのが現状でございます。
  163. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいまのところ、あなたのところに水防の資材並びに排水に要した燃料費ですか、電気料、そういうようなものに対する何か支給の要求は出ておりませんですか。
  164. 山内一郎

    説明員(山内一郎君) 現在のところ、本年の災害につきまして、地方公共団体の方から正式に、具体的に幾ら、何俵分について補助をしてもらいたいという要求は全然ございません。
  165. 清澤俊英

    清澤俊英君 こういう要望書というのはいっておりませんですか、あなたのところへ。
  166. 山内一郎

    説明員(山内一郎君) 私の方ではいただいておりません。
  167. 清澤俊英

    清澤俊英君 農地局の方にはいっておりませんですか。
  168. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) まだ私見ておりません。
  169. 清澤俊英

    清澤俊英君 それじゃ、いっておりませんなら問題になりませんが、私のまあこれはつけたり的な考え方になるかもしれませんが、大体水防法ですかあれを見ますと、河川等が常に大洪水等によって破壊する。そういう危険がある。それに対する予防施設としていろいろやることに対して今のところ規定してあるように見えます。その場合見ますと、今度こっちにきまして、水防施設費国庫補助規則という第二条を見ると「水防に必要な器具、資材及び設備をいう。」こうなっておるのですが、これを補助すると、こういうことになりますが、たとえば私どもは信濃川の沿岸で生れて、大河津の分水が完成する以前は年に一度くらいはどこかが破堤する。こういうような危険にさらされますと、半鐘を打って、そして臨時に俵を集め、前から用意しておった一応のものを持ち寄ってこれを防ぐ。そういう場合でも大体二十間か、三十間だったと思いますが、亀裂を生じているとか、土手の裏側に水が滲透しているとか、一つの、渦を巻いて危険を感ずるとか、こういうような場合ですから、従って土俵などというものは、実際使っていない土俵などというものは考えられない、こう思います。ところが、このたびの水害はたまたま中小河川に入っております、周囲約三里ですか、もっとありますか、福島潟であるとか、鎧潟が溢水した。こういうのであります。これはもうあらかじめこれが溢水するからというので、資材を集めているばかもありませんし、そんなばかげたことも考えられない。たまたま五百ミリというような大降雨に襲われて、必死に守るために、これには百五十二万俵とここに書いてありますが、私のいま一つもらった資料を見ますと数十万俵、新潟県だけでこれが集まらないで、山形、秋田付近からもこれを集めて、昼夜兼行でその潟の回りを全部二尺か三尺俵を積んで、必死に守って、そうして守りきれないでなお溢水してしまって収穫皆無である。今も言う通り、一千数百町歩、総災害地一万何千町歩、こういうものができ上っている。これはもう非常な形でありまして、従って何らかのことを考えていただく性質のものと思っておりますが、まだそういう要求が出ておらぬとしまするならば、はなはだ県も怠慢のことでありますから、すぐ言うてやりまして、その処置をとらせます。この場合はただ単なる水防法という範囲の考え方を越して、一つ考えできるのかどうか。これは農地局長もこういう問題に対して、ある場合においては……。私は詳しく見ましたからね。建設省が、潟の堤防とあるいはその前にできておる干拓地の堤防とごっちゃになっているところもある。なかなかそれは見境いのつかんものもあろうし、それを一々区別してやっておりましたら、これだけの災害は、これは小河川だからどうとか、これはあなた方の持たれておる、農林省、農地局の関係の用排水である。こういうようなものを区別していたら、これは区別しきれないと思うのですが、そういうものをやはり一つの大きな災害の中に考えて処置をとられる考え方はありますか。
  170. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 今の御質問の点でございますが、農林省関係のことで予防に使った施設の費用について、何か補助が出るかというお話でございますが、われわれ、今まで台風関係でやっておりましたのは、御承知のように、法律に基きまして施設の災害の復旧、農地災害復旧という、災害がありましたものの復旧ということで、今まで大蔵省と協同査定をして、今、予備費の要求をしておるというようなことでございまして、先生の今おっしゃいました、予防的に使ったものにつきましては、われわれとしましてはこの際は補助政策はとらんで、そういうものには補助はこの際は出さぬ方針で参っております。
  171. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは重大問題と思うのですよ。これを考えていただかなかったら。それは二千百万円でしょう。約二千万円からの経費を使って、そうして昼夜兼行で、収穫皆無になっている。そういう収穫皆無地が、そういうものをもっていけるでしょうか。かつては、二十八年の和歌山水害かなどには、特別の処置でそういうものが出たという例もある。そういう例もある。また新潟県におきましても、そのちょっと前あたりに一、二あります。もらっていることもある。そういう例はなきにしもあらずなんで、それはやはり建設省と話し合いして、これはやはり相当考えていただく余地があると思うし、あなたの方でも調査にいっているんでしょう。災害のあとを。その際、何か聞いてこないですか。そういう現状も見ておられると思うのです。あっさりしたことじゃかなわんと思うのですが。
  172. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 今の御質問でございますが、調査は私の方、事務局を中心にやっております。今お話になりました、過去に出ているじゃないかというお話でございますが、これは農林省関係で予防に使ったものに出したということは、ほかの省関係は知りませんですが、ございませんです。
  173. 清澤俊英

    清澤俊英君 福島潟あたりにあります。やはり用水路がやられているのがあります。そういうそれはあります。温水を防ぐためにやったのはあります。大体あなたの方、だれか調査に行きますでしょう。水害のあった地区に。
  174. 山内一郎

    説明員(山内一郎君) 災害の直後、新潟県にも調査に参りました。
  175. 清澤俊英

    清澤俊英君 その際に、何かそういう陳情がありませんでしたでしょうかね。
  176. 山内一郎

    説明員(山内一郎君) その調査員の報告によりますと、公共土木施設の被害の状況とか、それを復旧する方法についての詳細な報告はございましたが、ただいま先生のおっしゃいました、水防に用いた俵の補助費というのは全然ございませんでした。
  177. 清澤俊英

    清澤俊英君 ないとすればしようがないから、これ、早速させますがね。これはやはり一つ高橋さん、特別考えていただけませんかね。大蔵省と相談して、二十八年並みにやってもらいたいと思うのです。小さなところで、この場所が全部が収穫皆無地ですよ。収穫皆無地が大体十何万俵昼夜兼行で積むだけでも大したものなんです。それだけの金をくれてくれというのじゃない。積んだものの経費くらいはもらいたい、見ればわかるのですから……。農林大臣は見てきているはずです。この間行って、その場所は見てきているはずです。これはやはり二十八年並みに一つ取り扱ってもらいたい。いずれ、それならすぐ手回しして陳情させますし、写真も持ってこさせますし、もし何だったらそこに行ってもらえばわかります。
  178. 高橋衛

    説明員高橋衛君) 私、二十八年のときの経緯承知しておりませんので、その点は十分前例も調査いたしまして、これについては善処いたしたいと思いますが、主たる問題は、牛はり先ほど来、清澤先生も御質問の中で申し述べられましたように、建設省との関係が主体になるかと思いますので、その方面とも一つ十分連絡することにいたしたいと思います。
  179. 清澤俊英

    清澤俊英君 防災課長一つあなたにお願いしますが、ただ河川という概念を捨てて——普通の河川の破堤その他の水防じゃない、常に切れたことのない潟一面があふれて、十何万俵防災の俵を積んだなどということは、おそらく前代未聞で、例はないと思うのです。異例の事実ということを中心にして、もし要求がありましたら、一つ特別な人を派遣されるなり何なりして、調査していただいて、建設省としては、大蔵省と折衝を強力に一つなさって下さることを課長によくお願いをしておきます。  水害の問題は、時間がないですからこれぐらいでもうやめますが、最後の問題として、これは衆議院でも一ぺんあったのですが、大体福島潟の干拓という問題は、非常に古い問題なんです。ところが何か、聞きますと、まだ福島潟の地積の買収において、例の天王の市島との間に価格折衝ができないで、工事が進められない、こういう話を聞いているのですが、そういう関係上や、また当初の設計が中途において変ったこと等のために、現に安野川のごときは、初め水原町の構内を通して阿賀野川へ排水する、こういう設計であったのです。それがたまたま水原町の人たちが、町のまん中にそういう高い土手を作られたらまことに困るからというので流域変更をしたのです。それがもつれて、まだその地区は解決しておらぬと思うのです。結局、そういうような設計の変更等、これは一つは当初計画のまずさだと私は思うのです。そういうような問題がからみ合って、結局すれば完全な潟の開発というものが総体的に私はおくれているのじゃいかと思います。そういう建前をとられましたからして、新郷川の浚渫水路については、まだ行われていない、ですから川下に設けられた東洋一の排水施設といわれているものが、九台の排水機をつけるべきものが、まだ六台しかついていない、こういう格好になっている、川を狭めてしまったわ、ふさいでしまったわ、排水の機械は全体の三分の二しかついていない、こういうようなことがやはりこの水害に大きな影響をもたらしていると思う。そこでこれは、結局すればそういったようないろいろな条件が加味された、これは人災ではないかということを、衆議院で誰か言いましたところが、安田局長が、これは人災じゃない、予算災だというようなことを言われまして、新聞に出て、だいぶ私らの方を賑わしているのですが、一体そういう中におきまして、あのまま放置すれば、今後ともああいう災害がないとも考えられないが、そういうものに対してこれからどうしていただけるか。  それと、同じこのたびの災害で鎧潟がやはりやられているのです。今度鎧潟の干拓等の問題が出ておりますが、地元における意向としては、なかなか一部の人が言うようなそう簡単なものじゃありません。水利の問題とかいろんな問題でいろんな意見がある、そういうようなものを一つよく調べてから、かかられましたら、ああいう場所は三年でやるとしたら、ばたばたと三年でやる、始めてから十年もかかられたら、必ず問題が出る。一つそういう慎重な態度で私はやっていただきたい、こう思っております。
  180. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 今いろいろ御質問がございましたが、最後の工期の問題につきましては、お話通り長年かかります。これは非常に問題でございますので、特別会計ができまして、特に干拓につきましては全部特別会計でやりまして、七年で完成するというようなことになっておりますので、法規の点については十分注意いたしたいと思います。  それから今までの潟が、遊水池としていろんな役目をしていた、今度干拓する場合には、従来の機能を十分に調査してやれというお話だと思うのでございますが、われわれはまことに同感でございまして、潟が従来いろんな洪水その他の場合に遊水池としての機能を果したことは、これは先生のおっしゃる通りでございますので、計画を作ります際には、お説の通り十分慎重に検討いたしました上で作ります。  それから第一番目の福島潟の問題でございますが、これは実はあの地区におきまして、水路の用地買収について、そこの所有者が、いろいろその計画の買収に応じていただけぬということは、今、先生おっしゃったようなことがございまして、なかなかあそこの問題が進行しないものがあるということは、先生のおっしゃる通りでございます。われわれとしましても、あそこは計画通り実施していきたいというふうに考えているのでございますが、今、先生のおっしゃいました水路の用地買収の問題一点で非常におくれておりますので、われわれも土地改良区その他の中で早く話し合いをつけてもらって仕事を進めたいと思っておりますので、先生にも一つよろしくお願いいたします。
  181. 島村軍次

    ○島村軍次君 振興局長おいでになっておりますし、なお、目下予算の要求前でありますから、特に希望を、政務次官にあわせて申し上げたいと思います。  いろいろ地方の事情を承わりますと、例の農業改良資金、これが非常に要求が多いわけです。それで従来の取扱いでは、改良資金はまあ一つの株がありまして、従来やっておった補助金のものをそのまま肩がわりしたものについてだけ改良資金を出している。しかし農業の進むに伴いまして、施設をやらにゃならぬことはたくさんあるわけです。で、零細な農業改良の仕事をやる場合には、その改良資金が一番有効に使われておる。これは私詳しく申し上げたいのですが、そこで来年度の予算の編成に当って、新しいケースのものを加えて、相当増額の予算要求をされるか、あるいはまた現状のままでやるか、私の希望は、相当資料はあろうと思うのですから、積極的にこの改良資金の大幅な増額を要求されることは、近代農業にふさわしい農林省の振興計画に私は非常に役立つものだと、こう思うのです。一例を申し上げますと、本年度で近ごろ御案内のビニール栽培が非常に盛んになっておる。ところが、従来ビニールの栽培に対するワクがなかった、ある程度まで流用で処置されておりますけれども。ところが全国的に相当な幅の栽培が満遍的に起って参りまして、急にビニール栽培をやろうという熱が盛んであるし、かつ、地方ではこれの連合会等を作ってやっておる。私の県で申しますと、全体の改良資金のワクのうちから一部分をその方に出してもいい、しかし、なかなか農林省が御承認にならぬ。同時にそのビニール栽培に対する資金の要求は四百万円かに上っておる、しかし資金はほとんどない、こういうことなんです。それから見ましても、これは農業改良の上では非常に重要な今後のポイントに私はなるのではないか、その関係でありますので、予算増額に関して、局長おかわりになったばかりでありますが、特にその点に対しては十分な関心と努力を重ねてもらいたい。そこで予算要求の増額に対して、そういう考え方をお入れになっておるかどうか。また、今後の折衝については政務次官も一つよく頭に入れていただいて、大蔵省との折衝段階には特に注意していただきたい。簡単に一つお答え願いたいと思います。
  182. 増田盛

    説明員(増田盛君) 農業改良資金の来年度の予算要求は、正確な数字をただいま持ってきておりませんが、農林省内部の数字を取りまとめまして目下大蔵省に提出中であります。大体本年度の倍額に近いものを要求する、内容に関しましては府県庁の要望の強いものを重点的に取り上げて新規事項として組み入れております。ただいま例示としてあげられたものが果して中に入っておるかどうか、私まだ承知しておりませんが、いずれ後日調べてみますが、大体新規構想を相当入れておりますので、御要望の線に沿えるのではないかというふうに考えております。
  183. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 本件はこの程度にいたしまして、本日はこれをもって散会いたします。    午後五時五分散会