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1958-06-20 第29回国会 参議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月二十日(金曜日)    午後一時三十二分開会     —————————————    委員の異動 六月十二日委員森田義衞辞任につ き、その補欠として島村軍次君を議長 において指名した。 六月十三日委員戸叶武辞任につき、 その補欠として小林孝平君を議長にお いて指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重政 庸徳君    理事            柴田  栄君            藤野 繁雄君            東   隆君            北村  暢君            梶原 茂嘉君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            関根 久藏君            田中 啓一君            田中 茂穂君            仲原 善一君            堀  末治君            堀本 宜実君            大河原一次君           小笠原二三男君            河合 義一君            清澤 俊英君            島村 軍次君            千田  正君            北條 雋八君   政府委員    農林大臣官房長 齋藤  誠君    農林省農地局長 安田善一郎君    農林省振興局長 永野 正二君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    農林省農林経済    局統計調査部長 藤巻 吉生君    建設省河川局治    水課長     川村 滿雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (農作物旱害雨害及び霜雪害に  関する件)     —————————————
  2. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  農作物旱害を議題にいたします。  この件については、すでに委員会の問題になり、政府の善処が求められてありますが、本日は、まず、被害状況及びその対策等に関し、最近の事情について、当局の説明を求めます。  なお、この件につきまして、ただいま安田農地局長清野建設部長花園農政課長藤巻統計調査部長建設省から計画課長治水課長が出席いたしております。
  3. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 今年の最近におきます農作物各種被害については、追って官房長が出て参りまして申し上げますが、委員長の御指図で、旱魃につきまして先に申し上げます。  旱魃被害状況につきましては、資料を御配付を申し上げたつもりでございますが、六月十五日現在の横刷りの紙でございます。被害面積で申し上げますと、六月十五日現在では二十四万七千町歩余被害を見ておりまして、その後は降雨等、また農民の御努力関係官庁手配等によりまして、相当減少を見ておりますが、その最近の状況は、追ってまた申し上げます。  関係県は、最初は青森から東北大県、最近は青森旱魃状況は解消いたしまして、岩手ほか五県、東北は五県になっておりますが、さらに茨城栃木群馬埼玉千葉、東京、神奈川という関東にわたり、また、東山地方の山梨、長野、それから静岡初期愛知でも一部その被害を見ましたが、愛知は現在解消いたしております。また、北陸地方の一部、特に新潟被害相当見ております。岐阜等においてもある程度被害状況を示しておるのでございます。  水田面積は、関係県におきまして、青森愛知等を除きまして、岩手五県、関東東山静岡新潟岐阜を含みますが、百三十九万七千町歩余水田面積がございますが、被害種類に応じて申し上げますと、被害面積二十四万七千町歩余のうち、植付不能が八万三千八百町歩余用水不足が十四万四千六百町歩余植付後に枯死または枯死寸前に陥った、こういうものが一万八千四百八十町歩余でございます。これに対しまして、旱害応急対策事業も、県の努力建設省連絡をとり、協力をしました私ども努力、特に農民努力によりまして、また、その後、一部降雨がありましたことによりまして、それぞれ好転しておりますが、これらの旱魃状況を招来いたしました原因につきましては、地方の現地とともに、私ども建設省とともに気象台その他と連絡をとりまして、検討をおおむね了しておるのであります。  まず第一に、気象状況旱魃最大原因でありますことは申し上げるまでもないととろでございますが、東北地方関東地方を通じまして、との冬が、まず第一問題の気象でございまして、一、二月は降雨量共に平年よりやや多いくらいでありまして、場所によりましては降雪も平年よりは多いくらいでございました。降雪量で申し上げますと、東北で二百二十一ミリ、関東で約百九十、ミリ、平年よりは若干多い。ところが、気温が相当高くございまして、暖冬異変ともいうべきものでありましたので、温度としましては、平年より一・五度−一・七度程度の高さ、関東ではより高いのでございます。そとで、麦で、御承知のように暖冬異変被害が出ておりますが、これが稲作旱魃にも響きまして、と申しますのは、温度のために融雪が促進されまして、季節はずれに洪水と申しますか、水の流出が早くございまして、そのあとにおきまする気象、特に降雨量が非常に少くございましたので、その影響が最も甚大でございます。  その状況を申し上げますと、三、四月の降雨量は、東北でも平年の八五%ないし九五%でございまして、関東におきましても六割から六割五分の程度でございます。関東では三月は八五%くらいでございました。それが五月になりましては、達観しまして、平年の約半分程度のところでございまして、東北五七%、関東においては六割から六割五分、こういうのが平年の降雨量との比較でございます。その他の地域も同様でございます。そこで、一方関東におきましては、茨城等では早期栽培がかなり進みまして、水田面積の二〇数%は早期栽培普及しておる。また千葉県におきましては、水田面積の約半分が早期栽培普及を見ております。健苗育成措置等と待ちまして、田植の面積が、一般にその割合でふえておるのであります。従前の作付方法及び時期によりまするというと、関東ではもう少しおそく植えても稲作そのものは、反収程度その他は別といたしまして、可能でございますが、それらの普及状況と異常な五、六月の渇水、降雨量の寡少ということと関係相当ございます。東北北陸あるいは長野岐阜等のいわゆる高冷地でありますが、夏は相当温度の高い、稲作反収も高いという所もあわせまして、早場米の地帯でいわゆる早期栽培といって、昔から早植えの所、それが、平年の水量との比較におきまして半減しておる降雨量に対しまして、また冬期の降雪が早く解けましたことによりまして、影響が甚大でございました。また、この水量が山に少く、雨量が少なかったことからしまして、河川の水も、勢い農業用水取水もむずかしいことになっておるのです。その少くなっておることと加えまして、利根川とか常陸川の一部とかにつきましては、特に大きな川の下流と海との関係からいたしまして、河川が逆流する場合が、従来よりひどくございました。利根川で申しますと、昨日本委員会の諸先生千葉等を御視察下さいまして、私どもあわせて感謝を申上げておるのでありますが、佐原よりも上流の方に海潮が逆流いたしまして、特にまた水量との関係をもちまして塩分が非常に多くあります。六月の三、四日前後、もう少し前から六月の十五日ごろまでにおきましては、稲作に害を与えまする塩分濃度〇・三%弱、それをはるかにこえまして、佐原でも〇・五とか〇・七、さらには下流大利根付近利根川付近では二%をこえて三%に近い、海水そのものに近いという状況を呈したので、すでに早植え等の関係からいたしまして、田植えをしましたものも、稲がまっかになるほど、また河床そのもの塩分が非常に多い等の被害を来たしました。初期におきましては、例をこの利根川について申し上げますと、茨城千葉両県を通じて、水不足のために塩分相当濃いものもあわせて取水したようなこともありましたが、その後、各種措置を講じまして対策を講じたことは、あとで申し上げます。  六月三日に衆議院に千葉県のお方が数十人ばかりおいでになりまして、その状況を御報告になりますと同時に、私ども農林省建設省と相協力することを約しまして、直ちに連絡会議設置いたしまして、六月六日には建設省協力を求めて、農林省対策の方針を閣議に出しました。これは、事が旱魃でありますから、天候に応じまして刻々に急ぐことであるから、むしろ万全を期するよりは、やるべきことを早くやればいいという考えに出たのでございまして、自後、被害状況の判明とともに、この対質を補正するつもりでとった措置でございます。  六月六日に農林省対策建設省とともにきめますると同時に、閣議報告しました内容は、次の通りであります。とりあえず関東地方においてまず手を打とうということでございました。その一部の対策につきましては、東北北陸等、当時状況が必ずしも明瞭ではございませんでしたが、降雨量と冬季の以上申し上げました気象原因等に応じましてそれらの地帯にも対策ができるようにというものをきめたのであります。  御配付をしました資料の三ページにそのまま書いてございますが、第一段はまず利根川流域につきまして、埼玉県、千葉県、群馬県、茨城県等の御協力を求めた利根川水系水利調整水利権確保されておる範囲内のことでありましても、上流下流を救い、中晩稲地帯早場地帯を救い、同じ関係地域でも、少しでも上流等は、取り入れ口水利等関係を、動力の動員をあわせまして、協力し合うことがその第一でございます。と申しますのは、当時利根川上流にありました藤原ダム五十里ダムの二つの大きなダムがございますが、五十里ダムはすでに水がほとんど枯渇をいたしておりましたので、それほどの機能を持つとは思われません。藤原ダムは千百トンの貯水量でございました。東京電力の水利権があるのでございますが、実情に即しまして、直ちにこれは建設省、東電の協力を求めて、追加放流をしてもらう尽力を約しまして、その翌日から、従来出ておりましたものに追加して、毎秒十トンの放水をすることにいたしました。その他は、埼玉県の見沼代用水あるいは備前渠その他八地区農業県営クラス程度取水がございますが、いずれも水利権範囲内で水を取っておりましたが、千葉県の早植え等、被害状況に応じては、節水してもよろしいという判断に基きまして、県知事さん及び土地改良区その他の関係農民の大方の同意を得まして、協力を求めまして、千葉のまた要請に応じまして、八つ取り入れ口を、約七十トンだったと思いますが、取っておりますものを、それ以上取らない、二週間の間正午から六時間は肺門を閉鎖する措置を強力にとっていただくことにしまして、完全に実施をしまして、下流に毎秒七十トンの水量増加をはかりました。それによりまして、それ以降の下流手配をする用意が必要でございますので、江戸川は当時水を取り入れておりましたもの以上は取らない措置とか、霞ケ浦で何とか塩分のない水を下流に出せないか等の研究をいたしましたが、御視察も願いましたように、北利根の分は河川の逆潮がひどくて、霞ケ浦利根川本流に直ちに流しますと、よけい常陸川、北利根等塩分が濃くなりますので、事態を一応見送ることにいたしまして、千葉県はこ三二年間塩害が若干ずつ生じておりましたが、利根本流沿岸につきまして、ことし初めて生じましたような小見川地区あるいは佐原地区佐原地区両総用水地区でございますが、これらに早く手を打つことによりまして、なるべく上流から水を送ることにいたしまして、今申しました藤原ダム放流江戸川その他その上流埼玉県の八つ用水節水等を加えた効果を、佐原上流布川付近から小見川救済に回しまして、本流水量増加とともに、なお水不足で非常に困難でございましたが、官民一体努力で、約二十万トンの水を小見川地区に取り入れまして、千三百町歩ばかりの枯渇寸前ともいうべき状況を呈しておりましたものを、植えかえするように手配をつけたのが端的な効果でございます。しかし、下流の六千町歩余にわたります大利根地区は、本流塩分の多いこと、水の少いこととあわせまして、自然の降雨に待つより手はない状況でございます。そこで、その問に、農地事務局にあります百八十台の災害復旧用ポンプを、関係地方で、東北も加えまして百三十台動員しまして、また、建設省に依頼しまして、浚渫用サンドポンプ利根川下流から津の宮の方に上げまして、津の宮はさらに下流の方に下っていただきまして、淡水の水田への取水を緊急やってもらったわけでございます。なお、利根川下流には黒部川という支流もございまして、黒部川には、防潮閘門建設省の手において完成をいたしております。その対岸の常陸川は、計画中でありますが、同種防潮閘門が着手されておりません。これを早くやれとか、あるいはそれをやめて、利根本流比較的なお上流同種のものを大規模に作ることについては、いろいろ技術的にも検討する要があるということでございまするが、地元要望や私どもの見解も添えまして、両省で、特に建設省で、急ぎ恒久対策として研究したいということになっております。その後、建設農林両省は、随時被害に処する道を連絡して、県知事とともに努力をいたしておるのでありますが、十三、四日に至りまして若干の雨量がございまして、それと、その他の措置とを待ちまして、被害面積はかなり——きょうの午前中の調査によりますと、まあ正確はまだ期しがたいのですが、半減以上に減少しておるように思われます。その間にとりました措置は、関東地方から東北北陸、その他の県と逐次連絡いたしまして、本省からは関係官を派遣、駐在いたしまして、関係被害県全体では、河川排水路湖沼等に水のある場合とない場合とに応じまして、なお、上流の宮城県等被害の多い県でございますが、ダムのある所はダム緊急放流もいたしまして、ある程度の水があります所では、ポンプ措置、仮水路措置、緊急掘さく措置、あるいは上流取り入れ口の一時閉鎖を、利根川と同じようなふうに措置をできるだけいたしてもらいまして、水のもとが、上流のみならずその下流被害水田付近にない所に応じましては、既設の水路はもちろん、深井戸浅井戸を、県市町村の緊急臨時県会等開いてもらいまして、対策を講ずることをきめていただきまして、農民をバックにそういう措置をとってもらいまして、その結果、井戸を掘り、ビニール管水管をつける、また、ポンプ動力機購入または賃貸する等の措置をある程度とってもらいます。これは当然に国におきまして、この指導措置と、地元要望に応じた措置において、さらに対策を強化してきめることを、内々まあ腹で持ちまして、関係十六県ばかりの県知事会議等も開きまして措置をとってもらうことになっております。跡始末は、必要なものは国が行うべきであるということにもなります。そこで、ただいま申し上げましたような措置のほかに、とりあえずの措置としまして、農林漁業公庫から緊急融資をする、その融資対象は、主としてポンプ動力機等でございますが、井戸の掘さく施設等についてもそれでよろしいという措置農林省できめまして、公庫県知事地元に通達をしまして、現在まで約二億余の融資要請もございまして、地元で、信連等で貸与していただいた方もありますが、追って公庫からいただく、その他の措置を合せますと、その公庫融資と、たとえば予算措置との間で、これが相殺をされる。そういう考えであります。そこで、自民党でも社会党でも御対策を御研究中で、御決定になりました分もありますが、政府側に対する要望が、正式にごく最近出ましたこととも照応いたしまして、農林省といたしましては、関係庁と打ち合せ中でありますが、遠からず旱害対策の、すでにとりました緊急措置のほかに、応急対策でも予算措置等を講ずるもの、従来手を打ちました水利上の水利調整、あるいは水を確保する上におきまする水路、あるいは取り入れ口の緊急掘さく小見川等で毎日五百人動員しまして、五品間で約七つの取り入れ口の緊急拡充掘さくをいたしましたが、それらの点がよその県でもございますが、それらの点についての融資地方の援助による自主的な努力を裏打ちするがごとく、第一には、早書塩害を防止するための揚水機——動力機を含む——設置、あるいは研究中でございますが、その移動設置——移動ということでございますが、すでにあるものの移動、また、動力用燃料、電力の購入等においても何か考えなければいかぬだろうということを含めまして、ポンプ動力機、それから深井戸浅井戸その他用水確保水路等措置について、予算措置を講じたらどうだろう、補助措置を講じたらどうだろうと思っております。第二点は、先ほど申し上げましたものを、さらに確認拡充する意味で、農林漁業公庫等のそれらに対する資金融通措置を講ずる。また、第三として、私は農地局におりますが、農地局以外といたしましても、被害に伴いまする種苗確保技術指導上の措置について、予算措置も必要かと思っておりますし、第四点としまして、植付不能農家に対しまして、農業災害補償法に基く再保険の概算払い、または共済金の仮払いを迅速に行い得る措置を講ずるようにしたいと思っておりまして、関係省との話を進めておりますが、進み次第、閣議決定に持っていって、地方農民の御努力措置に報いたいと思っている次第でございます。過去において、旱害において、予算措置がとられた実例は、ごく最近にはないのであります。ありましても、この考えは、七月、八月の田植え期を過ぎた以後の旱魃に対する対策の方がおもでございまして、本年度も田植え時期がこのようでありますし、気象長期予報が、梅雨も必ずしも水量の多い梅雨ではないし、梅雨期が過ぎればまたそう雨は多くないという見通しが一般でございます。今後の七、八月分の旱害についての、今からの用意も必要かと思われます。過去におきましては十四年、十九年、二十二年に、今回のとろうとしておりますような対象に対しまして、五割から六割五分の国の補助をした例がございます。二十二年等は被害面積が二十七万町歩ございまして、それに対してとった措置でございますが、ことしは、今日ではかなりそれよりは減っておる状況でございます。  また、恒久施設としては、国会の先生方地方からのいろいろの要望も出ておるのでございまして、関係県の知事会議からも決議をもって要請がございます。その他の政党等においても御研究がございますが、やはり水源地におきまする保水対策として、造林砂防措置とか、ダム利根川等においては、まあよそでもそうですが、確保が足りないし、それの水の利用時期を、農業の需要、言いかえますと栽培の時期等において、従来より差ができておりますものを、もっと利水を調節する。次いでは、地下水利用計画をもっと立てて万全を期する。塩害を生じておる所は、実に被害も甚大でございますから、建設省に主としてお願いしたいと思いますけれども、場合によっては農林省においても緊急必要なものはやってもいいと思っておりますが、その前段の研究を、第一に緊急に行う要があると思いますが、防潮のための逆水防止施設をもっと完全にすること、河川の改修の仕方など、水路のまん中を特に深く掘り下げる等の措置等が、最近の行われておる技術でございましょうが、洪水調節の点と、五、六月等の永利、特に農業用水との関係では、しかるべき調整がなお要るかと思うのであります。また、水利権が水の利用者個々ごとにありましたり、県ごと県知事権限下にありますこと、また、農業用水では、水利施設を主として、土地改良区が土地改良ごと維持管理、運営をいたしております等についても、今回のような被害が生じましたときの水利調整は、水利権範囲内でお互いに助け合い、水を使い合うことが要点でございますので、これらについても実際上の措置とか、あるいは将来、制度上の措置研究する要があることについて、外部からの御要望、御指摘とおおむれ意見を同じうしておりますので、旱害恒久対策として直ちに引き続いて研究をいたすことにいたしておる次第でございます。  簡単に御報告を申し上げますと、以上の通りでございます。  なお、ごく最近の報告——けさ農林省に集まりました報告でございますが、毎日報告を最近はさせておるわけでございます。関係県で報告のもとである時期とされておるのが、多少時期がばらばらでございますので、集計についてはなお検討を要しまして、先ほど申し上げましたように、これで十分な統計とは思っておらないのですが、概観を申し述べますことにおいて御了解をお願いしたいと思います。けさ報告の取りまとめによりましては、早害の被害面積は、先ほど二十四万七千町歩と申し上げました関係県につきまして、同様の県について見ますると、八万三千五百町歩になっております、御理解しやすいかと思いますが、千葉で例をとりますと、六月十五日では、被害面積は三万八千六百七十一町歩を示しておりましたが、けさでは三千七百十一町歩までなっております。これは、いろいろな措置をすでに講じたり、田植えを仕直したり、そういうことでありますが、前に被害を受けたことはもちろん受けた、その後、田植えは一応時期をおくらしたけれども、いろいろな努力をして、その後植えた、こういう意味のそういう措置がまだとられない残りの面積という意味でありまして、今まで被害を受けなかった面積とは違うわけでございます。  以上でございます。
  4. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) なお、官房長から雨害及び霜雪害について、被害状況及びその対策等に関し、最近の事情について説明を求めます。——それでは、被害状況については統計調査部川長から説明を願います。
  5. 藤巻吉生

    説明員藤巻吉生君) 三月以降、農作物にいろいろな種類被害が生じております。現在までに取りまとめた状況を申し上げますと、霜雪害につきましては三月末、四月の十五日、二十日、五月の五、六日、それから五月の十三、四日、こういうふうに、何回も霜雪害が起っておりますが、四月二十日現在の調査におきましては、総額三百十四億円に上っておりましたところ、五月一日現在では、これがだいぶふえまして三百四十二億円というふうに見込んでおりまして、その後、五日下旬の高い温度と日照りの多かったことによりまして、特に関東地方におきましては、麦、菜種等補償作用と申しますか、被害回復がございました。六月一日現在では被害総額は二百九十五億円に減少をしております。ただし、この数字は麦、菜種回復だけを見込んだものでございまして、それ以外の農作物につきましては、ただいま調査中でございます。  それから第二番目にひょう害でございますが、五月二十四日と二十八日に、茨城栃木神奈川長野岐阜静岡愛知の各県にひょうが降りまして、麦類菜種等被害を与えております。被害額総額で千三百万円ばかりに上っております。なお、バレイショ、雑穀、野菜、果樹、工芸作物、桑、茶等につきましても被害がございましたので、目下集計中でございます。  それから長雨の害でございますが、本年は西日本、特に四国、九州地方は、四月の下旬から五月の中旬にかけまして非常に雨が多く、しかも温度が高くて蒸し暑い日が続いたわけでございます。そのために、その当時ちょうど穂の出る期間、あるいは登熟期間に当っておりました麦類には、赤カビ病が例年よりも早目に発生いたしまして、これが急激に蔓延をいたしまして、さらに土がしめりけを持っておりますために、根ぐされ病あるいは穂の腐敗等が起ったり、あるいは場所によりましては、冠水等が起っておるわけでございます。また五月下旬の天候が急激に回復いたしまして、晴天が続いたために、いわゆる枯れうれの現象を呈しまして、かなりの被害をこうむっておるわけでございます。これの被害は、一般には穂の出ることの早い裸麦の方が、小麦よりも被害が多くなっております。また、四月中旬までに穂の出ましたものは、四月下旬に穂が出たものよりも被害が多くなっておりまして、また田麦の方が畑麦よりも被害が多いと、こういう傾向が出ております。この長雨によります被害を、過去五カ年の被害と比べてみますと、三十一年に次ぐ被害の額になっております。しかし、三十一年には被害の出ました地域比較的広い範囲に広がっておりましたものでございますが、本年は、四国、九州等の局地に集中して起っておる、こういうことが特徴になっております。  なお、菜種もちょうど登熟の期間相当いたしておりまして、雨害、湿害あるいは冠水等の風水害をこうむっております。私の方でただいままでに集計いたしております数字が、お配りしてございます表に載っておりますが、長雨の害の場合は、被害面積で申しますと、九十二万町歩、金額にいたしまして百億を突破しております。被害の量は、麦で申しますと、約二百万石に近いということになっております。なお、赤カビの出方あるいはその被害としての見方につきまして、県別にいろいろと検討いたしておりますので、まだ府県別の数字は出ておりませんが、全国概略の数字は、大体以上申し上げましたような数字になっております。
  6. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) それでは、私から霜雪害に対する対策並びに今後の長雨等に対する対策考え方について、これまでとった措置並びに今後どういうふうな考え方で参りたいということにつきましての概略を申し上げてみたいと思います。霜雪害対策につきましては、当委員会におきましても、いち早く対策について御要望もございまして、すでにその概要の一部につきましては、申し上げたかと存ずるのでございますが、農林省としましては、この霜雪害被害が、近時まれなる甚大な被害である。その後におきまして、当時よりも多少補償されるに及びまして、回復した部分もあるのでございますけれども、いずれにしましても、稀有な被害といたしまして、できるだけの措置をわれわれとしてはとりたい、それによって農家に不安をなからしめたいということで、われわれとしては、今までにとり得る措置としては相当とったと考えているのでございます。  その対策の内容は、すでに御承知の通り、四月十八日に霜雪害対策要綱というものを閣議決定いたしたのでございまして、その対策要綱に基きまして、できる措置をすべて実施に移す、こういうことで、時を待たずに適切にやっていくということが、災害対策については巌も必要であると、かように考えまして、対策要綱の中に、実施に移し得るものはどしどしと実施して参りたいと、こういうことで措置して参ったのでございます。  その概要は、すでに御承知のことと存じまするので、ごく簡単に申し上げておきますが、一つは、今次の災害を受けた農家に対する所得税等の減免措置でございますが、これにつきましては、四月の二十八日に、国税庁長官より各税務署に対して、特別の取扱いをするように通達を出していただいたのでありまして、それによりまして、今回の減税の措置については簡易な手続でやる、しかも末端におきましては、農業関係の団体等とも十分打ち合せて、いたずらに手続に時間を要して、時期を失するということがないように、簡便な方法で措置するようにする、こういったような内容の通知を出してもらったのであります。従いまして、各農村、各被害農家から減額承認の申請があれば.おそらく簡易な手続によって承認が行われているものと、われわれは期待いたしているのであります。  第二は、農業災害補償法に基く保険金等の概算払いあるいは仮払いの措置でございます。これにつきましては、従来、御承知のように概算払いをいたします場合におきましては、被害が九割以上の場合に限るということにいたしておったのでございますが、これも当委員会からも御要望もあり、特に今次の場合におきましては、麦の被害が非常に大きく、しかもそれに対する措置といたしまして、結局、共済金を活用するということが最も適切なる措置であると、かように考えまして、農業共済の概算金支払いの基準を、従来の九割を七割まで下げると、こういう措置をとりまして、また概算金支払いの総額につきましても、従来連合会に支払う再保険金の見込み金額の二分の一をこえてはいけないということにされていた制限を、三分の二ということにいたしまして、いずれにしても概算払いの支払いの制限につきまして、緩和の措置をとるということにいたしたのであります。また、霜雪害に伴いまして、麦作を途中で青刈りして、田作物の方へ転換するといった場合におきましては、あとにおいて損害評価等の問題も起りますので、それにつきましては、すでに田作物ヘ転換するとか、あるいは青刈りにして飼料に向けるとか、こういったような場合におきましても、その損害評価につきましては、試験場なり統計調査事務所等との調査をそこで行いまして、この評価による被害程度をもって、最終決定の扱いにするといったような措置をとることにいたしたのであります。で、これもできるだけ早くやるということが必要であると、こういう考え方に基きまして、五月の三十日付でその省令を改正公布いたしまして、現在までに約十一件程度に概算払いが行われているというように承知いたしているのでございます。  次は金融措置でございますが、天災法に基く営農資金の支払いにつきましても、共済の概算払いと同様、これも時期を失せず早くやることが必要である、かように考えまして、霜雪害被害対象県に対しましては、天災法の地域指定を行うことにいたしまして、天災の指定を行うことにつきまして、五月三十日にその政令の公布をいたしているのでございます。現在この政令によって考えておりますところの対象ば、大体、五月の中旬までにおける降雪、降霜、低温等による被害ということにいたしております。一応、貸付の総額といたしましては、四十五億ということにいたしておりまして、大体、現在まで各県の御要望等に基いて判断いたしますならば、四十五億で十分まかない得るのではなかろうかと、かように考えておる次第でございます。なお、この天災の貸付限度につきましては、今回は、今回の被害に応ずるように、特に麦のほかに、凍霜害の被害作物といたしましては、果樹が相当被害を受けておりますので、これらに対しましては、従来の限度を相当に拡大する必要もあろうということで、貸付限度額につきましては、相当の緩和をはかることにいたしまして、たとえば連年災害を受けた特別被害農家でありますならば、法律上の満度十五万円までは貸付を行うというように、限度拡張の措置をとることにいたしたわけでございます。また、これと関連しまして、当時各県から要望のありましたのは、災害農家に対する自作農資金に対する融通措置でございますが、この資金につきましては、御承知のように本年度七十五億という前年度に比べて二十五億増の資金ワクが計上されておるのでございますが、当時まだ割当を行なっていなかったのでございますので、そのうち、とりあえず五十二億円につきまして、霜雪害等による被害状況をも加味して、各府県に割り当てるという措置を講じたのでございまして、これによって、そのワクの中からそういう被害農家に対して、自作農創設資金に該当し得る農家につきましては、融通の道がこれによって確保できておる、かように考えておる次第でございます。  それから実施要綱におきます助成措置でございます。これは樹勢回復のための肥料あるいは農薬の施用、それから特に今回におきましては、青刈りで飼料に向けられる場合も相当あろうということを予想いたしまして、これに対する措置としてトレンチ・サイロの設置、それから霜雪害に伴う今後の営農指導に対する技術指導の強化費、あるいは種子のあっせん費、こういったものに対する助成措置をとることにいたしたのでありまして、一応、対象作物といたしましては、果樹、桑、茶、菜種、麦を対象とし、今申し上げましたような肥料、農薬それからトレンチ・サイロ、それから技術指導、種子あっせん指導費等に対する助成措置をとるということにいたした次第でございます。  なお、今回の被害に伴いまして、相当のきず麦、等外麦が出てくるということも予想されましたので、例年は買い上げを決定するのは相当おくれてきめたのでございますけれども、本年度は早くから等外上につきましては政府で買い上げをする、こういう取扱い方針もあわせてきめた次第でございます。  なお付言いたしますと、開拓地関係につきましては、助成の基準なりあるいは天災法の融資等のみでは、一般の市町村と同じように扱ったのでは、必ずしも救済されない場合もあり得る、そういうふうなことで、これも各県あるいは団体の方からも、そういうことについての御要望が非常にありましたので、開拓地関係につきましては、この天災法の融資、あるいは助成について特別の扱いをするということにいたしまして、たとえば天災法の関係でありますならば、かりに災害営農資金の貸付を受けた者で、既往の債務との関係でどうしても天災法の条件では償還が今後困難になる、こういった開拓農家につきましては、実態に応じまして、御承知のような開拓営農振興臨時措置法に該当する被害開拓農家でありますならば、その振興計画承認の日から十年以内の期限で営農改善資金に借りかえするという措置をもとろうということにいたしているのであります。  それから助成につきましては、これは被害町村なり被害県なりを一律の基準でやりました場合におきましては、開拓地は集団的であっても非常に被害程度が高い、しかし、市町村なり県なりを、一般的な被害基準で対象県をしぼった場合におきましては、必ずしも該当しない。たとえば三割以上の被害農作物である。そしてそれらの作付面積が県の平均面積の一〇%以上、あるいは村であれば二割以上、こういった基準でありますると、必ずしも開拓地にはそのまま適用しにくいというような地帯がございますので、そういうことを考慮いたしまして、開拓地については助成の基準につきまして特別の取扱い方法をとる、かような措置をとったのでございます。  なお、そのほかにおきましても、たとえば非常に被害の激甚地であって、救農土木等もやらなければいかぬというようなことも起り得るような地域につきましては、特別に林野の方からは林野関係の仕事で、そういう被害農家の活用の道も考えてもらうというような指導もいたしているような次第であります。  今の開拓の、ちょっと付言いたしますと、開拓営農振興臨時措置法に該当する被害開拓農家が、天災法で今回融資を受ける、しかし、天災法の償還期間内においては、従来の債務との関係で、償還が困難である、こういった場合におきましては、十年償還期限の資金に借りかえの道を講ずる、こういう措置をもとった次第でございます。  以上が、霜雪害に関する対策の概要でございます。先ほど統計調査部長から、その後に起りました被害の概況について説明があったのでございますが、その後における被害の最大のものは、先ほどの説明通り、九州、四国地方におきまする長雨に対する被害でございます。これも今回の被害が、相当地域的には限定されておりましても、被害程度としては相当程度に上っている、しかも、今回の長雨に伴う被害が、赤カビの発生を引き起しているということに伴って、これらの取扱いにつきまして、いろいろの問題が残っておるわけでございます。われわれといたしましては、すでに長雨の結果として起った被害でございますので、これを霜雪害と同じような対策を今後行なって参るということについては、すでに相当の勝負のついたあとでございますので、結局、今後における措置としては、第一に天災法の融資をこれらの雨害被害農家に対しても行うような道を講ずるということが第一であろうと思うのであります。この点につきましては、厳密に申し上げますと、雨害と赤カビとの因果関係はもちろんあるわけでございますけれども、この雨害に伴う病害の発生が、実は七割以上も占めておるというような状況で、従って、天災法の融資対象にするということについて若干の疑義があるわけでございます。しかし、今申しましたように、雨害と赤カビとの被害相当の因果関係がもちろんあるわけでございまして、広義の意味におきましては、やはり雨害に違いないのでありますので、農林省といたしましては、これを特別の被害、天災ということにいたしまして、天災法の指定につけ加えたい、こういうことで目下関係省と協議中でございますが、われわれとしては、今回の長雨に対する被害といたしましては、これを第一に実行いたしたい、ぜひとも実施いたしたい、かように考えて、今準備をいたしておる次第でございます。  そこで、ついでにこれに関連しました問題の一、二を申し上げておきますと、赤カビ病に伴う取扱いにつきまして、いずれ御質問もございましょうが、御承知のように、この赤カビについての食糧庁の買い入れについての取扱いは、一定の規格を設けて買っておることは御承知の通りであります。他面、また農業共済におきましてこれを取り扱う場合におきましても、赤カビの混入の度合いに応じて、何と申しますか、混入しておるからといって、それをすべて減収とすると、こういうことにはいたしておらないことも御承知の通りでございます。ところが、今回の赤カビの発生につきまして、非常に混入したものについては有毒性があるために、この選別が必ずしもうまくいかない。従って、選別がいかないものについての取扱い上、これは減収と考えるべきではなかろうかというような御要望が、各被害県からは相当出て参っておるのでございます。しかし、われわれといたしましては、この問題は確かにことしの特殊な事情に基く被害でございまして、何とかそこに解決の道はないだろうかということで、ともかくもその取扱いにつきまして、どういう適切な方法をとるべきかということにつきまして、目下検討いたしておるようなところでございます。いずれこの問題について、はっきりその取扱いがきまれば、御承知のように食管の買い上げの問題あるいは農業共済の取扱い等におきまして、これらのものを処理して参りたいと、かように考えておるところでございます。  以上が、大体われわれとして考えておりますところの災害対策の概要でございます。
  7. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまの説明に対し、御質疑の向きは御質疑を願います。
  8. 田中茂穂

    田中茂穂君 ただいまの官房長霜雪害並びに長雨に対する緊急措置につおいての話があったのですが、一応、霜雪害に対する緊急措置は、十分満足とは言えないけれども、一応の措置をおとりになったことについては、敬意を表します。しかしながら、最後に言われた長雨の問題、これに対してまだほとんど措置はとっておられないと思うのですが、目下研究中であると。たとえば天災法のワクに入れることについても疑義がある、こういう御意見のようですが、この天災法の立法の趣旨からいっても、当然この赤カビ病もさることながら、その原因は天災なんです。これは雨に基く病害虫の発生、こういうことに解釈して、当然この法の適用に入るべきものだとわれわれは考えておる。そこで、まず最初にお伺いいたしたいのは、長雨に対する被害について、まだ緊急措置はおとりになっていないと思うのですが、その点まずお伺いいたしたいと思います。
  9. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 御指摘の赤カビ病を含んでおるということによって、天災法の対象にするかどうかについて疑義がある。従って、これに対しては農林省でまだ十分の準備を進めていないのではないかと、こういう御指摘でございますが、これは、あるいは言葉が足らなかったかと思いますが、厳密に申しますと、雨害、湿害、病害と、これが広義の雨害ということになるわけであります。先生もよく御存じの通りでございまして、雨害、雨の因果関係なしには、赤カビ病というものもないわけでございます。従って、農林省としましては、いずれにしても被害の農家に対して、何らかの救済を考えたいという基本的立場においてこの問題を取り上げておりますので、農林省におきまする限りにおきましては、これは雨害、従って、当然天災法の対象になり得べきものである、かように考えて、今政令案並びに資金総額等を関係省と折衝しておるところでございます。天災法の中に入れるということ並びに入れてこれを実施したいということにおいては、農林省は方針をきめておるわけでございます。
  10. 田中茂穂

    田中茂穂君 先ほどの御報告の中で、霜雪害に対する緊急措置の中で、追肥並びに農薬の時期、四月末までの分についてこの助成をするのだから、五月以降の追肥の分であるとかあるいは施した農薬についての分は考えないというような達しが、各都道府県にきておったと思うのですが、この点どうですか。
  11. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) われわれが各県に出しました助成では、そのようにはなっておらないのでございまして、たとえば肥料について申し上げますと、被害直後から果樹であれば七月十日まで、それから茶であれば五月三十一日まで、桑であれば七月十日まで、それから病害虫の防除の場合でありますと、麦でありますと被害直後から六月三十日まで、菜種でありますと四月三十日まで、果樹は八月三十一日までというように、技術的に可能なところで押えてやっておるわけであります。
  12. 田中茂穂

    田中茂穂君 その点了解しました。先ほど来申しまするように、長雨に対する考え方をこの際はっきりとしていただいて、ただいまの官房長の御答弁で一応了といたしますけれども、まあ問題は大蔵省との話し合いになってくるのだろうと思うのですが、できるだけ農林省の今の官房長の御意見を十分一つ納得してもらうように、できるだけ早い時期にこの話し合いがついて、そしてあくまでも長雨もほかの霜雪と同じような天災であるということを、この機会にはっきりしておいてもらいませんと、特に九州、四国あたりは昨年もそうであったし、一昨年もそうであったし、毎年雨の被害のことで非常に天災法の解釈で農林省の事務官となかなか解釈がまちまちなんですね。ですから、その点恒久的な一つ考え方というものをはっきりして、これを一般の天災と見るのだというふうに、この機会に早く一つお取りきめ願いたい。これを申し上げまして、一応、私の質問を終ります。
  13. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 今、田中君から要望があったようでございますので、重ねて申し上げませんが、政令の中に、長雨の被害というようなものは天災法の中で何々等ということになっておるようでありますので、今後、明確に入れていただきますよう、私の方からも重ねてお願いを申し上げておきます。  それからもう一点でありますが、赤カビ病の取扱いで、被害麦の問題でございますが、これも食糧庁の検査によりますると、百粒の中で一粒赤カビ病があれば、これは食糧としては不適格なものであるということになるのであろうと考えられておりますが、その点はどうでございましょうか。
  14. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 堀本委員並びに田中委員からの天災法の取扱いにつきましてもう一言申し上げておきます。  われわれとしては、雨害の中に入るか入らぬかというのは、まあ技術的な考え方でありますので、この解釈自身については、農林省がそういう解釈をとれば、ほかの省についてはおそらくそれに対する異議はなかろうと考えておりますので、大体これは既定の方向で進むことが、日ならずできるだろうと、かように考えております。  それから今の赤カビの被害麦についての混入度の規格の問題であります。従来、食糧庁における取扱いといたしましては、一%、一リットル二百五十粒ということで従来の扱いとしては一なっておるのでございます。
  15. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 そういうような関係で、これが検査というものと、それから生産量調査というものと、それから災害補償法による今後の措置、これが三つの関連を持ってくるわけであります。政府が買い入れられないようなものが、収穫された量の中に見込まれるかどうかということが問題となると思いますので、これらについては重ねて多くは申し上げません、よくおわかりになっていることだと存じますから。どうか食糧庁並びに農業災害、あるいは統計調査等が緊密な連絡をとって、おのおのの観点が、それぞれの立場によってその収穫量が違うということになりますると、この統計調査というものの計数は、やがて所得税にも影響するし、あるいは地方税にも影響して参ります。慎重に取り扱っていただきまするように要望を申し上げておきたいと思います。  もう一つあります。これはさきに早害の応急対策あるいは恒久対策等について御報告がございました。これについてお願いを申し上げておきたいと思うのでありますが、農業用水がないという立場に立ち至りますと、その生産費だとか、あるいは揚げ水に対しまする経費等を考慮しないで、その生産したものが計算に合うとか合わぬということでなしに、農家というものは自分の使命達成のために努力をすることが常なのであります。そういうものなのであります。そこで、計算外の、今回のこの早魃地帯におきましては、みずから水揚げの経費を多額に支出をいたした向きがあるようでありますが、これらの揚げ水に対しまする、たとえば最も零細な形で申し上げまするならば、井戸を掘った、あるいはそれによるポンプの付設、あるいは電気導入の経費等、多額にかさみまして、農家といたしましてはこれを今後いかにして支払うか。どうせ作らなければならないという天命を持っておるのだから、やることはやったけれどもあとの始末に困るというような状況が、多数旱害地帯に見受けられるのでありまするが、これらに対します直接の助成、資金を貸すという立場でなしに、助成をしてやるというような考え方がございますか。
  16. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 先ほど説明の中でも申し上げましたが、とりあえず井戸の掘さくポンプ動力機手配、これは買う場合と借りる方法もございます。あるいはビニールにより水路を継ぎ足して応急措置をする、緊急掘さくをする、そういうこと等がございますが、それらに応じましては、知事会等では八割の補助を要求する。また他方、法律の補助という御要望もあります。私どもは、農民努力が食糧増炭、生産加工にまで非常な御尽力をされて、経費増になっている、その農民負担の救済をすべきであるという立場に立ちまして、過去の例をまた探したのであります。昭和二十三年以降には、旱魃の手当についてそれらの農民負担を、軽減し、緊急とられた措置に対する助成を、国がしたことはございません。しかし、それ以前におきましては、施設的なものについて国費が五割をもって補助をするという制度をとったことがあります。この場合は、動力費とか燃料費とかというものについて二割ぐらいの補助をとった例を実は探し出して持っておるのであります。その後、燃料代、電気代等については、国の補助をした制度が消えております。逆に二十七万町歩被害があったときでありますが、施設に対しては六割五分の補助がされております。まあこれらは両者を勘案しまして、当時それぞれの事情に応じて一定の考えを持ったせいだと思います。私どもは、この例を下らざるところにおきまして、目下大蔵省と折衝しまして、場合によりましたら、当時の措置補助を受けましたあとポンプとかモーターとかいうものの使用状況がその後悪いとか、極端な場合は補助を受けたものをすぐ売り払ってしまったという弊害が非常に出たそうでありますが、まあそれで将来のことも考えまして、国または国が委託しているような県市町村購入しましたり、購入して賃借料を農民に負担させる程度のような措置とか、まあそれも助成対象になるかならぬかということはありますが、将来のことも考えました旱魃措置を一つあわせて考えたいというので、若干おくれておるわけであります。最近雨が若干降ったことと、農民努力をあわせまして、また被害を今まですでに受けたことがあるのに、田植えができたというと、さっきのように面積が減りますので、そこらの点でも、大蔵省が削らないように努力中であるわけであります。これは、まず計数以前にとるべき措置を、閣議決定でお願いしたいと思っております。三浦農相が秋田に行っておりますので、お帰りになりましたら、早々にお願いするように手配中でございます。
  17. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 最後にもう一点。今の問題は、せっかく努力中だと言われますので、了承いたしまして、なお一そうの御努力をお願いしたいと存じますが、用水確保いたしまするためには、最近多目的ダム等の様式によりまして、電気用水と農耕用の水を同じ水路によりまして取っておる場合が多いのであります。しかるところ、これは目的が違いますために、植付期に臨みまして、電気会社があるいは電気事業者が、水路を直す。現に新潟県でもそういう例ができておるのでありますが、水路を直すために植付ができない。それがために支障を起して、そうして植付不能の場所ができた、こういうことなのであります。結局そういう多目的ダム用水確保しようとする場合の相互の関連性というものを十分に考えて、田植え期になる直前に水路工事を開始するというような矛盾をしたことのないように取扱いをしなければならないと思うのでありますが、これは農民と個々の施業者・起業者との間で当然話し合うべきもののようには思われますが、農林省としましては、将来そういうことのないように、通産省とともに相談をして、そうして用水確保の万全を期するという処置を、今後講ずべきではないかと思うのでありますが、どういうふうにお考えになりますか。
  18. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 堀本先生の御意見、御質問、ことごとく私どもは同様の考えを持っております。ただ、現状あるいは過去においてそういうことがなかったかといいますと、二点、特に目立ったことがあると私どもは思っております。  一つは、この多目的ダムをもって共用の施設——ダム水路をもって水源資源の開発をいたしますことは望ましいと思いますので、これは共同して進めたいと思いますが、その間におきまする新しい事情でありまする発電用、工業用、飲料水用あるいは下水道用そういうものの水は、従来慣行をもって、ある種の権利的なものを持っておる。また、最近河川法等で農業用水水利権をもらっておるものとの農業の営み方で問題を生じておる。まあこういうことで、時期別の水利調整——年間総体の水路水量の分け方は計画的にやっておるようでありますが、時期別に相当問題が生じておる。また、災害が起きて、急に水路ダム等の補修をするときの工事の問題で、時たまたま灌漑排水期に当っておるときに、農業用水確保に支障を来たす、こういう問題が出ておるわけであります。その時期別調整は、やはり水の操作規定、水利権内か、あるいは水利権外の調整、または水利権の変更と、両方ありますが、これは需要者側の声として、もっと強く農林省あるいは関係庁農民の団体から発言をして、よく調整をしてもらいたいと、また、そういう方針でおりまして、過般多目的ダム整備法の制定とこれに伴う河川法の改正でも、多目的ダムでは従来以上に農林大臣、県知事等が農業の立場からそういうふうにするように権限もはっきりさせ、河川法一般の水利権についても、農林関係は従来無権限であったものを、正式な協議を経て受けることに、協議してきめてやっていただくように、これは国会で御審議いただきました。あとは運用でございますが、これについては、新潟の御指摘の側を私まだ聞いておりませんが、特殊の災害復旧でない場合は、よく考えていただくようにしたいと思います。その点が、旱魃で、事態が権利調整ばかりではなしに、権利外の運用で、特に農業用水は季節性が強いのでございますから、確保しなければならぬという問題に気がつきましたので、六月四日からは——今後も続けるつもりでございますが、あとは農林、建設連絡協議会を開きまして、建設省も地建等に敏速に措置をとられまして、それがたとえば先ほど申しました東京電力の水利権を持っているダムでも、すぐその翌日から放水をする、こういうことにしていただきましたが、その例を全県に逐次徹底して行いたいと思います。  もう一点は、多目的ダム、その他あるいは発電と下流農業水利である、こういうような場合の、計画を立てることから工事を完了することが、実は非常にふぞろいである。せっかく山における水源の確保が、農繁期の灌漑用水期にできるように設計されましても、それに続く農業用水の施設がまことにおそく、また、だらだらと長い。今年もすでに企画庁に、事業間の調整の速度を合せて、一歩でも進めるという意味で、調整費というのが五億ございますが、この過半は農林省側にいただきまして、おくれている農業水利の事業の促進をはかっておりますが、なお十分でございませんので、何しろ事業費も要ることでございますから、計画面において歩調の合うことと、事業を促進することに今後努めたいと思っております。なお、これは十分にまだできておりませんので、来年度予算の編成とかその他に、ぜひやりたいと思います。一部灌漑の応急対策としましては、たとえば千葉では両総用水効果がことにはっきりしておりますが、両総用水の内部において施設の差がひどいので、実は逆に問題があることと思いますが、もう少しこの水路をつける費用が今年度ありましたならば、被害はもっと少なかったとか、事業費の問題が、もし知事が決断をされまして、県会の同意を得られましたならば、災害対策として一応仕越し工事をやりまして、来年度予算で国が裏打ちすることができないかと思いまして、県及び中央の関係方面と折衝中でございます。本年度予算の保留額のうちから、小見川地区では百二十万円出しましてやっておる次第でございます。
  19. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 霜雪害に対する手当は、早急にしていただいたということは、まことに感謝にたえないのでありますが、続いて起った長雨の問題は、すでにお話があったから繰り返して言いませんけれども霜雪害の場合においては、自作農資金が七十五億のうち五十二億出ている、こういうふうな数字でありますが、今統計調査部長の話によって見ますというと、長雨の被害が約百億、こういうふうなことになるといたしましたならば、この被害を受けた農民を立ち上らせるためには、どう見たって、ある一定額の自作農創設資金を増してやらなければできないのじゃないかと、こう考えますが、百億の被害に対し、自作農創設の資金はどのくらい増される計画であるか、お尋ねしたいと思います。
  20. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 先ほど申し上げましたように、自作農資金につきましては、六月上旬に一般分として五十二億割り当てた次第でございます。この五十二億の中には、各県に通知をいたしました中におきまして、霜雪害等の被害も含めて考慮してもらいたいと、こういうことを申し上げているわけであります。長雨による被害農家につきましても、その結果非常に営農資金に事欠き、かつまた、農業経営上も重大な支障を来たすおそれがあるような農家に対しましては、五十二億というのは一年間の割当分でもございますので、その中からまず優先的にお使いになるということができるようなことを考えて善処したいと、かように思っております。
  21. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) ちょっと補足をして申し上げます。自作農維持資金は、従来手続繁雑で、これを年四回または二回、二回の場合は、前半後半同額程度に資金割当をしてやっては、融資の目的に沿わない、こういうことがございますので、被害が起きつつありました状況で、幾らの金額を他の資金、たとえば天災法の融資資金、農業保険の保険金等とにらみ合せまして、自作農資金を被害のひどい零細農等において予定するかが判明いたさない時期でございましたが、両者をあわせ考えまして、一般的な自作農資金を早く開放するということと、その中で、今回の被害に対しては、被害農家の自作農を救済するという分とあわせまして割当を行なって緊急措置をとったわけであります。そこで、五十二億の配分に当りましては、一般自作農の転落防止等の措置の割当でありますが、県知事がこの中で被害農家に被害救済用として優先割り当てましたものは、本省に報告をしてもらう措置をとっておりまして、それは資金ワクの可能な範囲内におきましては、あとで埋めるつもりであります。埋めるつもりでありますが、開拓者の個人債務に関する点とか、海外移民に出て行かれる場合の元の農家の資金等もありますので、今後は、埋め得る限度は、年間の額が七十五億である限りにおきましては、十億前後、その際に、秋の風水害がこの前起きまして、それに対して同様なことが必要かどうかについて、いささか不安に思っているのが実情でございます。
  22. 東隆

    ○東隆君 今、自作農創設資金のことでお聞きをしようと思っておったのですが、お聞きになったのでわかりましたが、まだはっきりしないのは、これは七十五億のうち、五十二億、これがお話によりますと、普通のときだと半分くらい、二回にやるのだと、こういうお話でありましたが、七十五億だと、大部分のものが減るようになります。従って、災害関係のお見込みになっておる、それを十億程度でもって埋め合せをされると、こういう計算をされても、まだだいぶ、せっかく七十五億にふえたにかかわらず、一般のものは非常に減ったのではないかと、こういうふうに考えますが、何とかこれをもう少しふやす方法はないのですか。
  23. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 目下の考えを申し上げますと、七十五億は次のように概定しております。決定的なものではございませんが、五十二億を一般的配付で年度初めにかなり多く配って、敏速処理をしたいという考えで、被害状況がわかったら、そこで相当分は、私どもの方からの通牒と方針に従いまして、県知事の方で被害農家に回されるだろうと思って五十二億、開拓営農振興法の個人債務関係に回すワクといたしまして一応五億を用意して、海外移民関係として一億を予定しておりますが、これは関係方面からの要望と、前々国会からの、衆議院を含めました国会の御要望に沿うたもので、これを合計いたしますと五十八億、七十五億から五十八億を引きますと十七億でありますが、風水害も七十五億の中から予定しなくてはならぬから、五十二億の中で幾ら災害資金が使われるかは別でありますが、災害の資金に多く回されて、一般の自作農維持資金が——従来の法律に基く相続その他の場合でありますが——非常に減っては、少くとも七十五億配分の府県間のバランスもとれませんので、十七億中十五億くらい調整すればどうかという、これはまあ概定の、一つのわれわれの行政の勘であります。しかし、七億というのは、通常の場合の風水害の災害対策の自作農資金を含んで、必ずしも多くありません。そこで、公庫全体の運用上等で、年度末においてはまた増加確保もいたしたいと思っております。
  24. 東隆

    ○東隆君 私は、これは例年の一般の自作農創設維持の関係のものは、固定的なものとお考えになって、そうしてそれに要望が非常に大きいのですから、その分を加えたものを一定のものにして、災害関係は加えたものにしなければ問題にならぬと思う。災害が起きたときにはどういうことになるかというと、災害の起きた所はこれで非常に助かるかもしれませんけれども、災害の起きない所で、一般的な自作農創設維持をやろうとする所で、非常に迷惑である。そのために資金ができているのですから、本来の目的から離れてそういうようなことを考える必要はないのであって、従って、その点は当初計画をされたときの一応の考え方があろうと思うので、それを一つ当てにして、増額をこの際やってもらわなければ、迷惑をこうむる県がだいぶあると思うので、その点はどういうふうにお考えですか。
  25. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 基本的な考え方は、自作農維持資金の運用及びそのワクの確保に当りましての考え方でございますが、東委員のおっしゃる通りであります。北海道で冷害が起きましたときに、約十億だったと思いますが、北海道にこの資金を、要望に応じまして、国会の御意向もありまして、回しまして、内地で迷惑を受けたことも、御承知の通りであります。それに応じまして、対前年比五割増の七十五億になりましたが、それでも、本来この資金は、他の金融補助その他の措置を講じても十分でない農地改革後の自作農の維持をはかり、進んでは創設の拡充の方に向うための資金でございますが、農地法の適用によりまする農地のどうも望ましくない移動のものを防止しようとしますと、二百億は要ると思います。逐次努力をいたしておりますが、まだ七十五億までしかいっておりません。そこで、ワクの範囲内では、去年の五十億からふえた分のところが他の用途に使われるべきものではないか、二十五億の範囲内であるべきではないか。いずれもそうするとみな少くなるわけであります。しかし、本来災害金融は、天災に基く融資法等がありましたり、その他の措置がありまして、あるいは家畜を入れる場合には有畜農家の融資法がありましたりいたしまして、基本的には別に農林漁業公庫の資金もあり、一般には農協資金もありますが、この資金を出さないと、開拓地を含めての農家が、農地を手放すであろう、その手放すのを資金供給でとにかく防止していこうというところの条件を、単なる災害金融というだけでなしに、その条件を加えて災害の場合の自作農資金は使うべきものと思います。一般の災害のために要する資金は、営農資金その他を、天災法で確保していくべきであり、農業保険その他の金も考えていただきたいと、こう思っているわけです。
  26. 東隆

    ○東隆君 私は、二百億必要だというそういう要請は、これを一つ実現するために、今年度中に努力していただきたいと思う。これは決して無理な要求じゃないと思う。農地局長の方でお認めになっているのですから。これの実現を一つ強力に、応援をいたしますから、実現をお願いいたしたいと思います。  それから長雨と赤カビの関係ですが、これは北海道が経験者です。馬も食わない、人間ももちろん食えない、こういうようなものを収穫の中に入れてみたっていたし方がないですから……、そいつを北海道はやられてきたわけです。それでこの際、非常に広範な範囲で行われておりますが、この機会に一つ、人間の食べられない、馬にも食わすことのできないようなものを食糧庁が収穫量の中に入れるという、そういう考え方ですね、それから同時に統計の方面にそういうようなものを収量の中に算定をする考え方、これは私は非常に間違った考え方だと思う。これをこの機会に一つ是正をしなければいかぬと思いますが、この点、覚悟はございますか。
  27. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) お話の通り、赤カビに伴う被害額につきましては、いろいろの角度からこれを問題にすることができると思うのでございます。ただ、建前といたしましては、今お話の中にもありましたように、これが有毒なものであるということでありますならば、食糧管理法の建前は、名前の通り食糧に供するものを買うという建前でございますので、これには商品価値として当然一定の規格を持って扱うということにならざるを得ないと思います。従って、その面におきましては、必ずしも統計上の取扱いというものと食糧庁の取扱いというものが、当然そこに差異が出てくるのはやむを得ないのでございまして、商品価値という面から見ますると、逆に統計上では、くず米とかあるいは減収に上ってくるようなものでも、一部混入されても、商品上は一定の不整粒が混入しても、規格内の取扱いをするというようなこともございますので、食糧管理法の建前というものと統計上の収穫の把握についての建前と異なるのは、これはやむを得ないと思うのでございます。ただ問題といたしましては、その混入した結果によって、それが被害粒になるということは、これは当然なことでありまして、統計でもそのような扱いをいたそう、こういうことになっております。問題は、混入しているものについてのなかなか選別ができにくいというところに問題があるようでございまして、初めからそれを調整してふるい分けができるようなものでありますれば、今申しました取扱いで十分いけるわけであります。しかし、現実問題として、そこの調整がなかなかできにくいということであるようでございますので、それらの点につきまして、何らか適切な方法がないだろうかということで、今研究いたしておるのでございます。
  28. 東隆

    ○東隆君 私は、記憶していただきたいと思うのですが、これは一昨年の北海道の冷害のときに、実は麦が非常に不作でありまして、もちろん赤カビその他でもって非常に収量がなかったわけです。そのときに農家が要望をしたのは、どうせとった麦は食べると腹痛を起します、馬にも食わせることができない、だからはなはだなんだけれども、黄変米を配給してほしい、こういうことを言っておるわけです。私どもは、それを聞いたときに、初め笑ったのです。これは、農民大会でそういう話が出ましたが、初め笑ったのですが、しかし深刻な度合いがそれでわかって、非常にびっくりしたのですが、そのことをこの会場でも話したときに、皆さんお笑いになった。私は、そういうことを今まざまざと思い起すのであります。それで、そういうふうな馬も食わない、人間も食べられないようなものを収量に入れて、そうしてやるというのは、そもそもおかしな話なんで、商品になるものはみな商品として売り出しますから、家に残っているものは今申したようなものである。それを収穫量の中に入れるという、そういうむちゃな話はない。そういうことをおやりになっておられるのですから、これは食糧事務所の方も、食糧庁の方も、それから統計の方も、それから災害によっていろいろ対策を講ぜられる方面も、これは十分に考えてもらわなければならぬ。今回は九州、四国の方面にこれが起きたのですけれども、しかし、私どもは前に経験を持っておりますから、この際、一つこういうような不自然なものをはっきりと割り切っていただきたいと、こう思いますので、これは一つしっかりがんばっていただきたいと思うわけです。
  29. 島村軍次

    島村軍次君 ただいま各種の災害に関する詳細なる御説明がありましたが、私は、この法律の解釈上の問題について、天災融資法の第一条に項目があがっておりますが、その一条の、「暴風雨、豪雨」云々、「低温又は降ひよう等の天災によつて」と、こう書いてある。その等の中には旱害も含んでいるのかどうかということは、農林省では法律上の解釈をどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  30. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 若干不分明なところがあるので、はっきりしてもらいたいと私どもも思っておりますが、旱害によって作物が被害を受けますれば、これば明らかに入ります。田植えをおくれても、し終えて、その前の諸条件の方で被害を起したのは入らないという解釈が一般のようであります。私は、田植えがおくれた場合で、その田植え条件、水利その他の条件を変更するという、異常な、普通じゃない措置をとらなければならなかった、こういう場合は天災法で融資していいじゃないかというので、実は原局的立場で折衝中であります。旱魃地帯の中に天災法の適用を受ける所はないかと言えば、あると思います。全部がそうかと言えば、そうでない所があるという解釈であります。
  31. 島村軍次

    島村軍次君 そこで、昨年新潟を主体とした例の大きな雪の被害、大降雪ですか、これに対しては、降雪後における——ちょうど旱害の場合と同じだと思うのですが、稲作をやるのに、栽培条件が、六月の初めに田植えをすべきものが、旱害の結果植えられない、こういうのと、それから雪が降って、それに対する措置が行われなかったために非常な減収を来たすという前提で、昨年予備金の支出ですか、相当額出された。今回の旱害等の各府県の要望事項を見ますると、最も多く要したのは、いわゆる事前の経費に対して、灌漑をするために井戸を掘るとか、あるいはポンプ購入するとか、その費用が相当多額である、知事会議は、それに対する八割の補助を要求しておる。雪の害の場合も大体そういうことで、いろんな融資施設や、それから補助施設を行われたのですが、今回、まあ解釈上の問題は今後農林大臣がお帰りになってから、内部で事務的に御検討その他になると思いますが、私の伺わんとするところは、前年の例と、二十三年以降の施設に対する補助をお出しになっておるのは御承知の通りですが、それとの解釈上の関係について、これはやはり相当はっきりした見解を下しておきませんと、世の疑惑を招く、疑惑はないにしても、その限界がちょっとはっきりせぬということのための誤解を招くおそれがあると思うのですが、それに対して、昨年の例にかんがみて、省内では相当研究になった問題だと思うのですが、その点はいかがでしょうか。これは官房長からでもけっこうです。
  32. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) お話のような御意見につきましては、われわれとしても全くごもっともと考えるふしがあるのでございます。ただ、この解釈の問題といたしましては、天災でございますから、旱魃とかあるいは強雨とか、そういうこと自身は天災に入るのだろうと思いますけれども、私も、まあここで思いつきを申し上げて恐縮なのでございますが、むしろ、法律の全体の建前が、天災によって損失を受けた農民、漁業者、つまり損失を予定しておるわけです。天災融資対象となる場合におきましても、被害が三割以上、その損失が年収の一割をこえる場合、あるいは五割をこえる場合ということで、天災法としては、その天災によって受けた損失の発生状況をもあわせて考えておるわけであります。今お話になりました、つまり、それに対して人為的ないろいろの防衛措置を講じた、それに伴っていろいろの支出ができた、結果において損失が非常にそれによって軽減されたという場合における事前のいろいろの自己資金あるいは防除措置等についての対策をどうすべきであるか、こういう御質問、御指摘ではなかろうかと聞いたのでございますが、これは、一般的な融資なり、あるいは、たとえば苗なら苗についての確保策をどうすべきか、それに対する助成をどう考えるべきかというようなことについての措置は、その措置考えられるわけでございますが、今のお話だけでは、事前の措置に対する相当の支出に対して、やはり天災なかりせばということで、この天災法の解釈を拡張してやるということにつきましては、ちょっと法文の建前を見た限りにおきましては、若干困難ではなかろうか、かように思うわけです。なお、しかし御指摘になった点自身としては問題になる点でございますので、検討さしていただきたいと思います。
  33. 島村軍次

    島村軍次君 そこで、昨年の雪害に対して出されたのは、法律からいえば何によられたわけですか。
  34. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) この場合におきましては、天災法の適用はもちろんやっておりませんが、予算上の措置として、行政措置として、助成の方法をとったわけでございます。
  35. 島村軍次

    島村軍次君 現在の法律の範囲では、御案内の通り災害復旧と、それから天災融資のものと二本建になっておると思うのですが、そこで、行政措置という、この法律以外によれば、行政措置によらなければならぬ。しかし、実際の被害及び農家の立場で増産を期して、それに伴う施設をやってきたということになれば、現在のところでは、たとえば多数の旱害府県が要求されておる補助施設については行政措置で、あるいは予備金の支出等でやられる予定で御進行になっておるのかどうか、それを一つ承わりたい。
  36. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) お話の通りでございます。
  37. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 くどいようですが、私わからぬから赤カビの問題でまた尋ねますが、どうも疑問があるとかいうことではっきりしたお答えがないようで、今後研究して結論を出すということで、要望が出ておるようですが、減収とみなさないということは、じゃ赤カビの発生した麦の生産というものは、これは使用目途は何で生産したことになるのですか。
  38. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) ちょっと御質問の要点がわかりませんでしたが、もう一度申し上げますと、要するに……。
  39. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 食糧生産ということでやり、しかも減収になるということで天災法並びにその他の融資援助の対象になるべきものは、損失があるということで対象になるでしょう。損失とは何かというと、商品価値がないということです。ところが、食糧庁の方のそれは、商品価値がないということでこれは買い入れを拒む、そうして生産したものは収量はあるものとみなすという、それは結局何を生産したとみなすかということです。
  40. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 具体的に例を申し上げますと、食糧庁におきます買い上げの基準というものは、先ほど申し上げましたように、いわば、俵に入り、俵装されて、そうして検査をされた、その段階において検査いたしまして、かりに被害粒が現在の扱いでは一%以上混入しているものにつきましては、これは等外だということで扱っておるわけであります。しかし統計の方の調査でいいますと、これはむしろたんぼの段階において減収であるか、あるいはそうでないかということで計算されるものでありまして、その場合に、今申しました被害粒が入っておれば、その被害粒の程度においては当然減収に見る。つまり三割入っておれば三割は減収、四割入っておれば四割は当然減収に見る。こういうことになるわけです。ただ問題になります点は、かりにさようになっておっても、実際上食糧庁が買い上げる場合に、一%以上混入しておった、そうするとその米自身は全部だめになっちゃって、そうすると商品価値もなくなるから、結局農家としては、それは商品価値ないものと見て、減収扱いになるのじゃないか、こういう御指摘だと思いますが、今申し上げましたように、たんぼの段階で、かりに二%被害粒が入っておった。そうするとあとの九八%は全部減収として扱うかということには、これは統計上として当然扱いにくいものであります。ただ問題はその過程におきまして、理論上は被害粒の程度において、混入の度合いにおいて減収として扱うわけでございますから、理論上は問題ないわけでありますが、実際問題として、かりにその程度のものが混入した場合に調整が不可能である、選別が不可能であると、そうすると整粒まで含めたものまでも、一応食糧庁の買い上げ対象からはずされると、その場合における取扱いとしてはどうすべきであるか。こういう問題でありまして、理論上の問題としては問題ないわけでありますが、実際上の取扱いにおける問題といたしまして、今御指摘になったような点が問題になるわけでございます。従ってこの被害の押え方、あるいは食糧庁の計算基準につきまして、どの程度のことがこれに対して緩和できるのであるかということにつきまして、今検討をいたしておる次第でございます。
  41. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 全部ある農家が一%以上混入しておったものを生産した、自家消費もできない、それから買い上げもない、こういう例の場合はごうなるのか。
  42. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 今申し上げましたように、理論上は混入率に応じて三%混入しておれば三%の減収に見る、こういうことになるわけです。
  43. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 三%混入というのは、赤カビは三%ということですか。
  44. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) そうです。
  45. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、百粒のうち三粒分だけは減収だと、九七粒はあったのだと理論上は見る。しかし、実際は三粒も入っておるその百粒のものは食えないものだ。その食えないものを三%の減収にとどめ、そして一切のあとは税対象になるかならぬか。それは農家個々によって違うだろうが、あらゆるものの積算の基礎にそれが使われるということになったら、それは農家はどういうことになるのか。そんなことでまあいいということで、さっきからお話が進んでおるわけですか。
  46. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 今の御質問に対しましては、われわれとしては二つの見解を持っております。一つは例に申し上げましたように、統計考える場合におきましては、収穫の把握をたんぼでかりに考える。そういたしますならば、たんぼの段階においてかりに三%ずつ入っておりましても、調整の段階においてはある程度の選別ができるわけであります。従って選別できるものについては、当然圃場で三%入っておるから全部が被害に当然なるということには必ずしもならないと思う。従って、調整の段階においてふるい分けられたものについては、当然食糧庁の買い上げ対象になろうと、こういうふうに思うのです。逆にいえば、圃場で三%入っておるから、従ってあとの九七%も全部減収である、これは実際の生産高の取扱いにも沿わないし、また統計上からいっても、そのような取扱いが必ずしも合理的だとは考えないのであります。  第二の見解、今後の処置の見解でございますが、一つには、今申し上げましたように、食糧庁の買い上げ規格につきまして、一%ということを考えて従来は取り扱ったわけでございますけれども、この被害粒がどの程度の混入度合いであれば食糧に供しられる、言いかえれば、毒性が排除できるかというような見地で買い上げ規格についての検討をするということが一つであろう。それから第二には、被害の混入率を把握する場合におきまして、現実に扱う場合におきましては、正確な混入率の計算をそのつどやるというわけにもなかなかいかないだろう。しかし考え方としては、今申し上げましたような考え方に立ちまして、実際上の取扱いにおきましては、何かそこで実物の見本に徴して検討するとかといったようなことによって、そこに適切な方法なり基準なりは見出だされないだろうかという線で検討いたしておるというのが現段階でございます。
  47. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だんだんわかってきましたが、それではやはり今お話しのような点を、客観的なものをどうするのかということをお示し願いたいと思います。さっきから皆さん要望しておられるようですから。それは選別が可能であるものか、可能でないものか、もう私にはわからぬし、どういうふうな扱いにするものか、結論が出た際にお知らせ願いたいと思う。  それからもう一つは、農地局長にこれはお伺いするのですが、本日は調査の段階で、政府委員として聞くのでなく、農地局長として聞くわけですから、事務当局としてお答え願いたいのですが、さっきから聞いておって、自作農維持創設資金というやつを、おれたちも協力するからふやすように努力せいという声もありましょうが、私はそうでなくて、これは政府の責任で、もうだんだんやっていかなければならぬ段階にきておるのじゃないかという意味で、措置すべきことを要求したいと思う。事務当局としては、これでは足りないのだというかまえ方でなくちゃいかぬと思うのです。あっちの金もあるし、こっちの金もあるし、それらをかみ合せて、まあまあ風水害がない限りは何とか格好はつくだろうということであっては、どうも工合悪いと思うのです。さっきからの話では、二百億程度もあれば、まあ万全の措置がとれると思う、平年度ですね、そういうお考えもある中で、災害関係に金が持っていかれるということになれば、これは足りないのだ、何とかしなければならぬと思う。事務当局はそういう考えであってほしいと思うのですが、どうなんですか。大臣が出てきたら私たちはそういうふうに要求します。
  48. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 事務当局としましてことしきまりました七十五億を適切に施行する。まだ実情がどういくだろうかということで、二百億と申しますのは、二百億きっちりかどうか、約二百億、これは資金を確保しまして、目的において自作農維持創設の仕事をしますと、農地法の最近の業務統計で現われましたものを、二百億を一定の償還年限で貸しまして、その年限がきまして償還してきますというと、かりに十五年償還ならば十五年目で最初貸したものが返済されるわけです。そうすると、二百億あればさらに次の増資をしませんで、回収金でまた必要な貸し出しをする。そして自立回転をするであろう。一応事後の追加増資をしなくても、それで回転するようなワクとして二百億ほしいということを申し上げたわけであります。
  49. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、この程度旱害その他の災害程度であれば、事務当局としては七十五億で本年操作できるということですか。
  50. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 秋の風水害が日本の農業では一番の災害でございますので、本年は十分であるとはまだわかりません。
  51. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは、さっき局長にお尋ねになったからそこは触れない。こういうふうに出てきたもので、この現状において、今後もう何もないということであれば、間に合うというお考えですかというのです。
  52. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 所定の手続によりまして、農家から触資をしてもらいたいという申請が自作農維持創設法の諸条件に従いまして出ておりますものは、七十五億はまだないと思います。そういう基盤があるかどうかということについては、あるかと思います。目下は七十五億をまだ全部は使っておりませんから、これはそれらの諸材料とともに、ワクが余っておる、まだ十分使っておらない——余るというより使っておらないという段階において、ワクの増加の修正措置を直ちにとる気はございません。
  53. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう一つ、これはくだらぬようですけれども、さっき例にあがった新潟県の多目的ダムですね。これの用水路等の修理によって作付時期に植付不能に陥った、こういうことについて農業用水あるいは電力の用水、これはまあお互いの契約で年間のそれはきまっておるでありましょうし、あるいは灌漑時期であれば、ダム貯水量はこれ以上下ってはいかぬというような、いわゆる電力にどういう部分を規制していく、最低限は保障するような契約等をしておると思うんですね。ただこの場合は、その用水を片方が勝手に工事をしたがために、結果が旱害と同じような状態になって植付不能に陥った。かりにこういう事態があればこれは天災ですか。
  54. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 河川内の工事をいたしますのは、河川法に基く県知事の許可が要るわけであります。許可のしようが適切であるかないかということにかかっていると思います。その許可を受けるようになったり、許可をしたようになったときの諸条件は自然条件であると思います。
  55. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大体、普通のダムであれば、知事に相当の権限もあるし、調整する権限もあるだろうと思うし、国が持っておるダムであれば、なお建設大臣でもその他でも権限があると思うんですね。そういうのが時期を誤まって修理の許可を与え、それが修理によって影響を与えたということになれば、こういう百姓はどこへかかっていったらいいか。かかるという言葉は、どうも地方弁であれですが、どこへこのしりを持っていくのですか。念のために伺っておきます。
  56. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 私からお答えするのは有権解釈かどうかちょっと疑問を持ちますが、これは建設省河川局の方でありますが、しかし見解を申し上げますれば、灌漑排水とか、水の要需等に関係いたしまして、河川内の工事をすればどう水がなるだろう。また、河川内の工事をその時期にどの程度やるかやらぬかは、中央政府としては建設省の所管でありますが、そのもとの委任——機関委任と申しますか、機関委任を国の立場に立って県知事がやっておるわけでありますから、法的な面に関しましては、農民はよろしく県知事に意見を言うべきである。関係者としては、何も発言権はないというわけではありませんで、要望によりましては農林系統の地方庁の関係部課も発言をやるべきである。ただ多目的ダムの管理は、ダムそのものでありますれば、先ほど水路の点がお話あったと思いましたが、ダムの操作規定は、その年間の使用状況等について、操作について操作規定を設け、建設大臣の承認を受けることになっておりますので、その部分に触れますれば建設大臣に直接に言われて、農業関係の者は官民を問わずその立場において意見を言うべきであると、思います。
  57. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは天災ではないですね、そういう場合は。
  58. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 災害についての原因は、どれだけの範囲の因果関係を持つ場合が原因かと見るべきでありますので、天災とは自然現象に伴う因果関係相当持つものを原因とした場合の災害を言うのでありまして、私が申し上げましたのは、県知事の許可ということについての問題が一つあります。そのもとには自然条件もあることだと、この二つを……質問されて的確にお答えすると、そういうふうに形式的にお答えせざるを得ないのであります。
  59. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今の例の場合は、私、事実はわからぬので例としてお尋ねしたのですが、自然の河川に水を落してきて、それを用水路として使ってきたものを、堤防とかあるいはその他の修理ということでとまったというようなことであれば、これは問題があるだろうが、専用の用水路ですね、そういうものを電力会社が一方的に修理をする、そのことによって共同の農業用水水田その他に灌漑できない。こういう場合には、これはもう断固たる措置をとって、農地局長いたけだかになってでもやることはやっていただかなくちゃいかぬのですね。これは今の場合、どっちの例か私にはわからぬのですが、多分多目的ダムであって、この農業、電力、これはお互いが水を取っておるということであれば、共通のもので取っておるというのであれば、専用の用水路だと私は思うのです。電力で使った落ち水を使うなり、あるいはその他のことでやっているのではないかと思うのですね。まあ事実がわからぬからあれですが、えてしてこういうものは企業の方に負ける。ダムの使用でも、結局電力会社が日常実際は委託されて操作をしておって、そうして電力のために水を毎日操作しておる。監督しておる建設省なり県なりというものは、これについては、一々こうせいああせいと言う権限はないのです。もう契約によって渡してしまっておる限りはですね。原則的なものしかきまっていない。ですから、農民等は結局電力会社等に泣かされるのですね。そうして、水を少しよけい使い過ぎた、足りないというようなことになっても、その中に知事が入ったりなどして、政治的にまあまあで問題をなくするようなやり方をする。そうして百姓の方は困っておる。こういう場合があると思うのです。ですから、私はやっぱりこの実態はほんとうにあるのかどうかわからぬのですけれども、やはり将来の問題として農林省はよほどこれはがんばって、建設省あるいは電力会社等の間に入ってしっかりした取りきめ、契約、保証、こういうことをやっていただくように要請したいと思います。政治的につぶされて、問題を本質的に解決しようとしない場合が多いと思うのです。たとえば、過去に起った木曽川流域の下流等で、もう豪雨がくるというので、前もって電力会社が閘門を開いて水を突っ放す。そのために豪雨でない、放した水のために用水の取り入れや何かめちゃくちゃにやられてしまったというような例があって、私たちも過去に調査したことがある。こういう点は、やはり農林省の方だけしか百姓としては力にするところがないのですから、がんばって一つ権益を確保しておいていただきたいと思う。それだけ申し上げておきます。
  60. 清澤俊英

    清澤俊英君 これはさっきから問題になっておるのですが、新潟の場合には東電関係と国鉄関係の発電ダムで貯水するために、これは野知君が出張されるときですが、西蒲原の西川の取入口が浅くなって、給水量が不足しているので、その点一つ注意して調査をやってきてくれという話をいたしておりましたが、昨日報告を聞きますと、言われるような徴候があると、こういうお話でしたし、それから県の土木部長に聞きましても、六十センチくらいの取り入れのために水位が下っているということがわかったのです。ただいま現地では特別措置を講じて、渇水のことは解消しました。だが、自後の問題として、取入口は年内に直しますという話を伺っております。こういうダムの貯水も、給水のバランス関係がはっきりして参りますれば、これは西川取入口だけのことでなく、全国各地の河川でどこにもあることでしょうと思うのですが、何とか農業用水確保するため、非常時の保安措置のような法律を一つ作って、いつでも旱魃、渇水等のときにすぐ時間的に調節のできるように、ちょうどこのたびの藤原ダムでやられましたような方法を、大へんな問題が起きてからばらばらの調停をしないでも、常に調節の用意をしておいて、非常事態が生じたらすぐ調節がやれるような方法——法律でやることもお考えになった方がいいのではないか、こう私は考えておるのです。ことに国鉄のような官庁が入りますと、会社とはまた別の趣きがあるので、そういうようなことも含んで立法措置をとられる方がいいのではないかと思います。新潟県あたりでも、そういうような臨時の法律ができれば非常に便利じゃないかというようなことを言っておりましたが、なお、実際ダムのためにどのくらいの支障があったのかということは、県と国の土木出張所等がありますから、それらとよく調査してみますと、こういっておられましたが、立法措置をとるという御意思はありますか。私は作った方がいいと思うのです。
  61. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 多目的ダムができましたので特に発電のダム洪水調節ダムでも同様でありますが、ダムができますと、従来と違って河床の上る傾向もあります。逆に今度は河川改修に当りましては、先ほど申し上げましたように、下流の川の流れのまん中を特に深く掘る技術も最近ではとられておる。従来は堤防を上げることによりまして、河床そのものにあまり触れられないで、直接の技術を加えられないで調節などしていたようでありますが、これと農業用水を何年もかかって作ります場合は、最初に水の取入口について早く作るわけですが、そのときの条件、これが変化を生じておるということが、こういうことが天龍川でも信濃川でも利根川でもきておることは気がついております。私どもの方の専門家の中において、端的に特に最近は急速に考えて、農林省側ではどう、建設省その他の発電の方ではどうというふうにお願いをしてもらうべきであるということで、遠からず研究もしたい。しかし河川法というものがございまして、普通河川は別としまして、従来治水、利水等を分けるという考え方とか、利水まで一貫して、治水、利水は分けるべきものじゃない。河川については、建設省あるいは旧内務省が単独の権限をもって措置すべきものであるという意見と、そうではないのだという意見とありまして、これは四十年来の実質的な内容を含めた権限争いがあります。一部は、十分とは言えませんが、幸いにして前々国会でありましたか、多目的ダム整備法と河川法の改正で、農民も市町村も県も農林省も、農業の立場で、河川法の運用そのものについて協・議を整えて、一時は、建設省も意思をきめない、知事も意見をきめない、そういうことまで進みましたが、なお水利調整とか工事の総合性といいますか、統一性といいますか、そういうことには技術進歩、また川の水量等ともにらみ合せまして、調整を要することはあると存じますが、そのことについては農林、建設両省協力して、双方の謙虚な気持でやっていきたいと思っております。
  62. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょうど川村さんが見えているから、今の問題、建設省どう思っておられるか、あなた方の方と農林省の方と話し合いがうまくつけば、保安立法のようなものができると思うのです。そういうものがかりにあったとすれば、それは話し合いでできることだから、藤原ダムのような場合、そういうものがあるとすれば、これは非常に早く水が回って、旱害塩害も少くすることができたと思います。藤原ダムの放水に気がついたこともおそく、藤原ダムを放水してから六日間もかかって水が現場に回ってきた。もしそれが六日前とか十日前とか、いま少し前に放すことができたとすれば、もっと弊害を減少させることができたのだと思う。こういうことが考えられる。そうすると、現実に有効なる措置がそこに残されるのであるから、一つの法律を作った場合、国鉄等が入るようなことになりますと、このたび藤原ダムでやったような話し合いだけではめんどうな問題も出ると思います。東電のような営利会社の電流でありますれば、夜間電気が幾らか節減せられるとか、そういうものを調節して、ある期間放水するということはできますが、現に汽車や電車を昼夜動かしている国鉄等にあっては、節減調節もむずかしいと思う。そういう場合は、話し合いはどうもできにくいのではないかと考えられます。だから、そういうような点を加味して、何か非常保安法というのもおかしいが、そういうような意味の法律を作って、そういう場合には直ちに協議を開いて、すぐ放水される。こうした法律がありますれば、だれしもダム放水調節ということに気がつくことなんです。私はもう藤原ダム放流する約十数口前にそれを言うているのです。もしそれが十日も十五日も早かったら、小見川の付近などはほとんど問題が解決したかもしれぬ、こういうようなことを考えますと、これは急速にやっぱり一つ考えてやってもらいたいと思う。課長さんどうですか、あなたの御意見は。
  63. 川村滿雄

    説明員(川村滿雄君) それでは今の先生のにお答えをいたしたいと思いますが、実は利根川旱害につきまして、われわれが承知いたしましたのは、六月の三日に衆議院の早書対策委員会に呼ばれまして承知をいたしたわけでございまして、その後四日に、そういう点で急速に対策を立てなければならないというので、五日の午前零時から藤原ダム放流することを措置したわけでございまして、その間にわずかな日にちしかたちませんので、応急対策措置はいたしておりますが、各府県と建設省との連絡が非常に悪くて、その点、下流に到達するのに少くとも四日ないし六日ぐらいかかる事実を無視しておりまして、事前に連絡がございましたらもう少し好転したんじゃないかと、こういうような点がございますが、事前の連絡が非常に悪かったものでございますから、対策を立てるのにおそかったようなわけでございます。われわれの方としては、急速に対策を立てて御期待に沿うように努力したつもりでございます。  それから次に、利根川の問題につきましては、ただいま農地局長からいろいろ御説明があったようでございますが、われわれ建設省といたしましても、十分に水利対策を協議いたしまして改善していきたいというふうに考えて、いろいろ各府県知事から、協議会でも設けまして、十分に処置したい、こういうふうに考えております。
  64. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは農地局長、私はそこだと思うんだ。今まで考えないでおったということなんです。僕ら気がついていたんだ。わしらのようなしろうとが気がついて……。直ちに一つ、そういう状態だから考えてくれということで、ごうごうというお話を聞いているし、おそまきながらそういうものができた。いろいろのそういう考えを持たぬかったところに、常の用意がなかったときに、一つの問題ができておるんだから、従って、異常旱害等に対するダムの放水に対する法律とかなんとかいうのでいいだろうと思う、常に用意したらどうだと思うんです。そういう法律を作って、常にいつでも、さあというときには、こういう水が放されるから、従って、こういう対策を立てて常に研究していくという態勢をとるのが私はいいと思う。だから、そういう法律を作る御意思があるのかないのか、こういうことです。できなければ仕方がない。
  65. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 繰り返して御卓越した御意見の御質問でございますので、私ども事務当局としましては、そういう態勢を常時整えまして、先ほど堀本先生の御意見に答えましたように、一番もとの水源全部で、他の用途とわれわれの方の用途——農業——の、上下流相ともにその管理を……、特に用途別に管理者が分れてもいけないし、分れておれば総合調整をすみやかにその中に入れる措置をとる、そういう、農民同士がまた協力する態勢を整えなければいけませんが、水争いでよくわかりますように、無理な場合はより多くダム施設を管理し、水利調整する、こういう機構——組織も要ると思います。それをどういうような形でどんなふうにするかは、清澤先生の御意見も一つであります。その他の方もありましょうから、これは実は今、研究しておるのですけれども相当上層部の方が御裁決になりました方法でやっていくと思います。
  66. 清澤俊英

    清澤俊英君 それから、きのう佐原地区、それから小見川地区、見せていただきました。塩害が非常にひどい。この塩害の理由は、もちろん水量が非常に不足をしておりましたことも事実でありますが、一つは、干拓のために利根川下流を無計画に掘った、従って海流が満潮の際にそれを伝って急に入ってきた、こういうことが言われているんですがね。それはみんな地元の者は言うている。盛んに掘って、埋め立てし過ぎて、利根川を掘り過ぎたんだ、従って潮流が入ってきた。これはどうも農林省の干拓作業が非常に不用意であったということと、また、これは建設省においても、そういう常時災害を受けるような河川の修理をしたこと、この二つに私は責任があるんじゃないかと思う。これらのものに対して、どうお考えになっているんですか。
  67. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) これは国営工事、県営工事と、建設省農林省を通じて行われます場合に、その計画を立てて工事設計をしますには、何年間の降雨量とか、洪水でも渇水でもですが、水文資料等に応じまして設計してあるのでありまして、絶対どういう場合でも安全であるように建設すれば非常に高い建設費がかかります。従ってたとえば四十年間の平均水量等について見たり、四十年間の災害状況等を見て安全度が見込んであります。従って、五十年、六十年に一度という異例の条件の場合は見込んでないわけです。六十年に一度の異常な洪水を見ますと、建設省の堤防も効果がなくなっておるんだから、それをどういうふうにやるか一つの問題でありますが、あと河川改修工事と干拓とおっしゃいましたが、私は干拓の点を研究足らずでありますが、その後の変化においても両方がいろいろおしかりを受けることもあろうと思います。先ほど建設省連絡が悪いと言われましたが、私は府県庁からの報告を聞かないで気象を見ておりまして、実は私の判断で、こちらから県や建設省にお願いして、直ちに措置をとったつもりであります。常時報告制度ができてない点については大いに反省いたしておりますが、やはり雨が降るか降るかといって、気象速報も十分でないので、期待を持って地元農民努力をしながらお、、れておったんだと思いまして、これからは御注意に応じまして、関係省と共同して、また地方とも連絡して、水利調整組織をよくするように努力したいと思います。
  68. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと誤解しておられると思いますが、私の質問が悪かったかもしれませんよ、ということは、干拓じゃない埋め立てですね。埋め立てをやるために利根川の土砂をサンド・ポンプで吸い上げる。それをどんどんやる。従って河床が下るから、それを伝わって塩水が入る。だから、ある場所においては三年来の塩害だと言っておるんですね。私も始終あの地区には釣に行きますが、両三年来から今まで、とれたことのないセイゴがとれたり、ボラがかかったりして、どうもおかしいなと思っておったが、あにはからんや、こういう問題が出てきた。それで三年前からそういう傾向があったんです。そういうことが考えられる。それはせっかく耕地を作っていただくのもいいけれども、それがためにせっかくできた耕地が塩害をこうむってかえって迷惑する、というようなことになれば、これはどうもおかしな話だと思うので、それらの点をどう考えておられるか。
  69. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) お話の、例の利根川河川の浚渫に伴い出てくる泥を使いまして提防外の湿地帯を埋め立てしまして、優良な農地がもう現にできております。しかし、他の地区も同様でありますが、河川改修の泥を使いまして埋め立てする場合は、埋め立てするために所要の泥を河川改修から取ってくれと言ったことは一度もございません。河川改修によりまする、発生する泥を使って埋め立てをすることに限っておるわけであります。ただ、その河川改修の技術の変更によりまして、治水の方法によりまして、泥の発生量が多くなっておることもあると思います。その点はよく留意をいたしてやっております。
  70. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 私ら、きのうこの委員会から、千葉及び茨城の、主として塩害状況を視察したのですが、その中で、千葉県の方は、十八日からの降雨によって非常に緩和したと申しますが、いわゆる応急施設が適切に施行せられた、そういう関係で、千葉県の方は、非常に明るい見通しがついた。ところが茨城県の方は、常陸川の沿岸の三千町歩というものは、もちろん小部分のところは、あるいは川を越して塩水のまじらぬ用水をもって救済するという工事ができておりますけれども、大部分の三千町歩というものは、十八日の降雨にもかかわらず、昨日も潮来で〇・三以上の塩分を含んでおる。これはとにかく、用水をたたえて、四方八方用水を、今まで常陸川から入れておった用水は、とにかく、私どもの観察したところでは、今年中はおろか、将来その水を使用することができない。あるいは常陸川に逆水樋門を作るか、黒部川に作ってあるような樋門を作るか、あるいはずっと上流から、塩分を含まぬ所から、四キロということでしたけれども、実際は六キロあるようですね、霞ケ浦から取ればというような方法を講ぜねば、とにかく方法がない。だから今は、水田の中の塩分は、降雨によって、非常に小康を得ておる。〇・一以下になっておる。だから、これは害はないけれども、まさにもう、一週間照れば方法がない。だから結局、茨城県側に対する応急施設は、何ら施されてない。その方法は、常陸川に、かりに逆水樋門を作るか、あるいは霞ケ浦から四キロないし六キロの水を、千葉県でやっておるように、浚渫船で引っぱるというより方法はない。だから、どっちをとるかということが研究課題になっておるのだが、これは早くきめねば、相当工事期間だって、最小限一カ月かかると、それをまだ研究中、どっちをとるか研究中だというようなことでは、これは応急施設でも何でもない、私はそう思う。だから、あの三千町歩を見捨てるのかということですよ。これに対して、農林省並びに建設省は、どっちをとっていつこれに着手するか、応急施設は……、ということを一つ御返答を願いたい。
  71. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 農林省は、第二の意見でありまして、第二の意見を早く実行していただくように建設省要望しております。
  72. 川村滿雄

    説明員(川村滿雄君) ただいまの御質問にお答えいたします。応急措置の問題でございますが、建設省として考えておりますのは、常陸川の逆流、常陸川を閉鎖するということは、治水上非常に障害があるものですから、考えておりませんのでして、霞ケ浦からサンド・ポンプをいつでもお貸し申し上げるから、その対策をとってもらいたいということを県に申しております。
  73. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) これはね、県に申し上げているというような僕は問題じゃないのだ、原因が違うのだ、天災による原因……、今僕は原因をあまり追及する気はないのだ。もちろん公共的施設に対しては、原因を追及して、その防除をなさなければならぬと思いますけれども、おのずから違うのですよ。まあいろいろの説がある。今、前にも出たように、利根川の治水の工事によった主として影響であるということもある。僕も必ずそれということは今言いませんけれども、だからおのずから性質が違うのだ、これがただで県にお貸し申すから、どっちなとおやりなさいという性質のものではない。この点、どうです。建設省、どう考えます。
  74. 川村滿雄

    説明員(川村滿雄君) その点につきましては、お答え申し上げますが、われわれの方としては、灌漑の関係でございますから、いろいろ応援することは、常陸川の、たとえば井戸を掘りましたり、人工の池から、ビニール管で対岸に渡すような仕事につきましては、御協力申し上げまして、現在常陸川の一小部分につきましては非常にいい結果を得ておりますので、それらの工事につきましても、全面的にわれわれの方としては応援しておりまして、ボーリングの機械を貸しまして、井戸を掘りましたり、ビニールパイプを川に渡す仕事につきましては御協力申し上げているように、協力はいたしますが、われわれの方といたしましては、サンド・ポンプをお貸ししてやる点につきましては、御協力申し上げますが、そのパイプラインにつきましては、一つの送水管でございますから、その点につきましては、県と十分に連絡して、県が主体になってやっていただきたい、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  75. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) そうすると、その次にお尋ねいたしますが、その材料ね、四キロないし六キロのサンド・ポンプを、パイプをよくせねば……、それにどのくらい日にちがかかりますか。
  76. 川村滿雄

    説明員(川村滿雄君) お答え申し上げますが、現在建設省で手持ちのものは、パイプラインが一キロ二百ぐらいでございます。あとの残りが不足のパイプラインでございます。
  77. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 僕は不足を聞いているのじゃないので、それだけ完全に——一キロ何ぼでは、四キロないし六キロあるものを、水は来やしないのだから、だから結局詳しいことは知らぬけれどもが、四キロも持ってくるといえば、パイプラインで水路を通す部分がどのくらいあるか知らぬけれども、大体四キロというような材料を収集せねばならぬ。だから、その見込みはあるのですか、建設省の方で。
  78. 川村滿雄

    説明員(川村滿雄君) その点につきましては、手持ちのパイプはございませんから、早急に、もし県が必要となれば、請負会社を探しまして、請負会社の手持ちでやっていく以外に方法はないと思います。
  79. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 農林省はどうですか。
  80. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) この点はあとで、国の措置もとるから、早く措置してくれと……、約二十日以上かかりそうだがということでございます。
  81. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) そうすると、農林省では、いわゆる治水の関係で、常陸川の仮締め切りは、上流の湛水、それから洪水時による撤去というふうなことが困難だから、結局通っても、今言うように、四キロないし六キロ引っぱってくると、サンド・ポンプの排水管をつないでというよりほかに方法がない、こういう結論なんだが、農林省はそれならそれでやるという御決心ですかね。どうですか。
  82. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 知事をして行わしめて、あとしりぬぐいを国で行うから、国の支持できまるという点で、しようと思っております。
  83. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) その点については一つ早く……、結果とすれば国がどのくらい助成するか、どのくらいの費用がかかるか——私は相当な費用がかかるものだろうと思う。それから性質が、やはり一般の灌漑というようなものよりも性質がおのずから異なっているし、それだから僕はそういう意味において、早く一つまとめていただきたいのだな。
  84. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 詳しく申し上げますと、知事をして行わしめようというので、友末知事とも会いまして、早く措置しなさい、あとは国で何とかしりをぬぐう、その国とは、農林省ばかりでない場合もあると思います。知事は一人でありますから、建設省農林省協力して、しりぬぐい今えばけっこうだと思うので、多少の補助率の差がありましても、それくらいは県で地方自治の建前で負担をしな夫い、そして知事はやりましょう、こう言って帰りましたので、期待をして待っておるのであります。
  85. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) それから建設省にもう一度お尋ねしたいのですが、建設省はサンド・ポンプを貸したら使用料を取るのですか。
  86. 川村滿雄

    説明員(川村滿雄君) その点につきましてお答え申し上げます。それは建設機械の使用料の規則がございまして、一応取る建前になっております。
  87. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから、結局安田さんの方も建設省の方でも何やかんやと言っておるのは、こういう事態に車が起っておるのは、人為的なものかと、原因は。じゃどこに原因があるのだということになれば、これは建設省河川改修の方に直接の原因があるのだ、農林省考えれば建設省に一つ負担させようということにまあ考えるだろうし、いやそうでもないのだということになれば、農林省の方が補助事業なりなんなりでやらなくちゃいかぬのだということにもなるだろうし、その間はっきりしない点があるので、両方ともごりっぱなことではあるが、ぐずぐずしたことを言っているのではないかと思うのです、私たち聞いてみて。安田さんにお伺いしたいのだが、事のこういうふうに起ってきておる原因は、人為的なものなのか、それは何だという……。
  88. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) いろいろ複雑であります。
  89. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) とにかくそういうことはあとにして、だれが……。われわれはそれを今議論して、そうしてその議論がまた終らなければ、その仕事はできぬという性質のものじゃないだろうと思うのです。負担の方はあとにして、それはそのときに原因を究明して、そうしてどうしても農家の負担になるのだから、できるだけ農家にそんなに負担させられぬですよというような考え方で早く仕事をやるということにしてもらいたいと思う。これについてはどうです。
  90. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) ちっとも委員長の御意見と差はございませんので、帰りましたら直ちに電話で知事を呼ぶか、話すか、招致しまして決意をせしめます。そのあと国でまた援助することについては特段の応援を願います。
  91. 柴田栄

    ○柴田栄君 この問題ですが、今安田君のお話も当然だが、農林省建設省があまり違い過ぎているのですが、これは政府として対策考えてもらわなければいけないと、こう思うので、まあ応急の措置をとられると同時に、もう少し両方の食い違いを調整して、とにかく国が責任を負うのだという方を相談していただきたいというふうに私は要望したいのだが、それはどうか。
  92. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 建設省と差があるとは思いません。若干スピードの差が、まず意見をきめることに差がある。
  93. 柴田栄

    ○柴田栄君 今そうおっしゃるけれども、私はさっき聞いていると、安田君は、農林省建設省とも相談して何とかするからやりなさいといっているというお話だし、まあ課長のお立場からすればそういう程度かもしれないが、一方においてはサンド・ポンプも規則によって使用料を取るのだとすれば、今あなたがおっしゃるように、そう食い違っていないと、われわれはその印象だけではちょっと聞き切れないのだが、だからあるいは課長だけでもちょっと言い切れないかもしれないが、もしお話し合いがついているならば、そのお話し合いをもっとはっきりお話しいただければいいし、ついていなければとにかくこれは措置はしなければならぬ。しかも国は相当にこの天災に対してバックしなければいけないということですから、県と御相談なさってどう措置するかという方針を政府として統一してお考えをいただけるかどうかというお話さえ聞ければいいと思います。
  94. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 建設省は、きょうは遺憾ながら課長しかいませんから、農林省は局長ですから申し上げておきます。意見を一致せしめるように措置させます。機械の使用料は一日十五万円という御要求をいただいて、実は私も少し驚きましたけれども、使うことの方が先だというので、十五万円の措置のことはあとで片づけるから、まず使うことを第一にするようにしました。そこで一台はすでに利根川下流から津の宮に上げて使いました。今はもう下流に下げております。そういうことは大したことじゃないから、上手に措置するつもりです。
  95. 清澤俊英

    清澤俊英君 あなた、あっさりと常陸川の締め切りは洪水関係上できませんと、こう言われたが、土地の要望としましても、われわれは見た目でもしろうとですけれども、ここには委員長は、相当やはりくろうとのように見えるが、常陸川に恒久対策防潮施設ですかというようなものは考えられると、こう思うのだ。あっさりと言われているということになると、恒久施設、これは今サンド・ポンプくらいなことしか、これは臨時に違いない、灌漑さえ済めばもう終えたものですが、恒久施設としてはこの二つの線でどちらかを採用するかということが重要な問題になると思うのですが、あまりあっさりしたことを言わないで、研究してからくらいのお話を願いたいと思います。
  96. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) じゃ、今常陸川のこの茨城県に対する公共施設については、農地局長から承わりましたことを了承いたしまして、できるだけ早く円満に工事を施行するようにお願いいたします。  本日は、これをもって散会いたします。    午後四時二十八分散会