○
政府委員(齋藤誠君) それでは、私から
霜雪害に対する
対策並びに今後の長雨等に対する
対策の
考え方について、これまでとった
措置並びに今後どういうふうな
考え方で参りたいということにつきましての概略を申し上げてみたいと思います。
霜雪害対策につきましては、当
委員会におきましても、いち早く
対策について御
要望もございまして、すでにその概要の一部につきましては、申し上げたかと存ずるのでございますが、
農林省としましては、この
霜雪害の
被害が、近時まれなる甚大な
被害である。その後におきまして、当時よりも多少補償されるに及びまして、
回復した部分もあるのでございますけれ
ども、いずれにしましても、稀有な
被害といたしまして、できるだけの
措置をわれわれとしてはとりたい、それによって農家に不安をなからしめたいということで、われわれとしては、今までにとり得る
措置としては
相当とったと
考えているのでございます。
その
対策の内容は、すでに御承知の
通り、四月十八日に
霜雪害対策要綱というものを
閣議決定いたしたのでございまして、その
対策要綱に基きまして、できる
措置をすべて実施に移す、こういうことで、時を待たずに適切にやっていくということが、災害
対策については巌も必要であると、かように
考えまして、
対策要綱の中に、実施に移し得るものはどしどしと実施して参りたいと、こういうことで
措置して参ったのでございます。
その概要は、すでに御承知のことと存じまするので、ごく簡単に申し上げておきますが、一つは、今次の災害を受けた農家に対する所得税等の減免
措置でございますが、これにつきましては、四月の二十八日に、国税庁長官より各税務署に対して、特別の取扱いをするように通達を出していただいたのでありまして、それによりまして、今回の減税の
措置については簡易な手続でやる、しかも末端におきましては、
農業関係の団体等とも十分打ち合せて、いたずらに手続に時間を要して、時期を失するということがないように、簡便な方法で
措置するようにする、こういったような内容の通知を出してもらったのであります。従いまして、各農村、各
被害農家から減額承認の申請があれば.おそらく簡易な手続によって承認が行われているものと、われわれは期待いたしているのであります。
第二は、
農業災害補償法に基く保険金等の概算払いあるいは仮払いの
措置でございます。これにつきましては、従来、御承知のように概算払いをいたします場合におきましては、
被害が九割以上の場合に限るということにいたしておったのでございますが、これも当
委員会からも御
要望もあり、特に今次の場合におきましては、麦の
被害が非常に大きく、しかもそれに対する
措置といたしまして、結局、
共済金を活用するということが最も適切なる
措置であると、かように
考えまして、
農業共済の概算金支払いの基準を、従来の九割を七割まで下げると、こういう
措置をとりまして、また概算金支払いの
総額につきましても、従来連合会に支払う再保険金の見込み金額の二分の一をこえてはいけないということにされていた制限を、三分の二ということにいたしまして、いずれにしても概算払いの支払いの制限につきまして、緩和の
措置をとるということにいたしたのであります。また、
霜雪害に伴いまして、麦作を途中で青刈りして、田作物の方へ転換するといった場合におきましては、
あとにおいて損害評価等の問題も起りますので、それにつきましては、すでに田作物ヘ転換するとか、あるいは青刈りにして飼料に向けるとか、こういったような場合におきましても、その損害評価につきましては、試験場なり
統計調査事務所等との
調査をそこで行いまして、この評価による
被害程度をもって、最終
決定の扱いにするといったような
措置をとることにいたしたのであります。で、これもできるだけ早くやるということが必要であると、こういう
考え方に基きまして、五月の三十日付でその省令を改正公布いたしまして、現在までに約十一件
程度に概算払いが行われているというように承知いたしているのでございます。
次は金融
措置でございますが、天災法に基く営農資金の支払いにつきましても、共済の概算払いと同様、これも時期を失せず早くやることが必要である、かように
考えまして、
霜雪害の
被害対象県に対しましては、天災法の
地域指定を行うことにいたしまして、天災の指定を行うことにつきまして、五月三十日にその政令の公布をいたしているのでございます。現在この政令によって
考えておりますところの
対象ば、大体、五月の中旬までにおける
降雪、降霜、低温等による
被害ということにいたしております。一応、貸付の
総額といたしましては、四十五億ということにいたしておりまして、大体、現在まで各県の御
要望等に基いて判断いたしますならば、四十五億で十分まかない得るのではなかろうかと、かように
考えておる次第でございます。なお、この天災の貸付限度につきましては、今回は、今回の
被害に応ずるように、特に麦のほかに、凍霜害の
被害作物といたしましては、果樹が
相当の
被害を受けておりますので、これらに対しましては、従来の限度を
相当に拡大する必要もあろうということで、貸付限度額につきましては、
相当の緩和をはかることにいたしまして、たとえば連年災害を受けた特別
被害農家でありますならば、法律上の満度十五万円までは貸付を行うというように、限度拡張の
措置をとることにいたしたわけでございます。また、これと関連しまして、当時各県から
要望のありましたのは、災害農家に対する自作農資金に対する融通
措置でございますが、この資金につきましては、御承知のように本年度七十五億という前年度に比べて二十五億増の資金ワクが計上されておるのでございますが、当時まだ割当を行なっていなかったのでございますので、そのうち、とりあえず五十二億円につきまして、
霜雪害等による
被害状況をも加味して、各府県に割り当てるという
措置を講じたのでございまして、これによって、そのワクの中からそういう
被害農家に対して、自作農創設資金に該当し得る農家につきましては、融通の道がこれによって
確保できておる、かように
考えておる次第でございます。
それから実施要綱におきます助成
措置でございます。これは樹勢
回復のための肥料あるいは農薬の施用、それから特に今回におきましては、青刈りで飼料に向けられる場合も
相当あろうということを予想いたしまして、これに対する
措置としてトレンチ・サイロの
設置、それから
霜雪害に伴う今後の営農指導に対する
技術指導の強化費、あるいは種子のあっせん費、こういったものに対する助成
措置をとることにいたしたのでありまして、一応、
対象作物といたしましては、果樹、桑、茶、
菜種、麦を
対象とし、今申し上げましたような肥料、農薬それからトレンチ・サイロ、それから
技術指導、種子あっせん指導費等に対する助成
措置をとるということにいたした次第でございます。
なお、今回の
被害に伴いまして、
相当のきず麦、等外麦が出てくるということも予想されましたので、例年は買い上げを
決定するのは
相当おくれてきめたのでございますけれ
ども、本年度は早くから等外上につきましては
政府で買い上げをする、こういう取扱い方針もあわせてきめた次第でございます。
なお付言いたしますと、開拓地
関係につきましては、助成の基準なりあるいは天災法の
融資等のみでは、一般の市町村と同じように扱ったのでは、必ずしも救済されない場合もあり得る、そういうふうなことで、これも各県あるいは団体の方からも、そういうことについての御
要望が非常にありましたので、開拓地
関係につきましては、この天災法の
融資、あるいは助成について特別の扱いをするということにいたしまして、たとえば天災法の
関係でありますならば、かりに災害営農資金の貸付を受けた者で、既往の債務との
関係でどうしても天災法の条件では償還が今後困難になる、こういった開拓農家につきましては、実態に応じまして、御承知のような開拓営農振興臨時
措置法に該当する
被害開拓農家でありますならば、その振興
計画承認の日から十年以内の期限で営農改善資金に借りかえするという
措置をもとろうということにいたしているのであります。
それから助成につきましては、これは
被害町村なり
被害県なりを一律の基準でやりました場合におきましては、開拓地は集団的であっても非常に
被害の
程度が高い、しかし、市町村なり県なりを、一般的な
被害基準で
対象県をしぼった場合におきましては、必ずしも該当しない。たとえば三割以上の
被害農作物である。そしてそれらの作付
面積が県の平均
面積の一〇%以上、あるいは村であれば二割以上、こういった基準でありますると、必ずしも開拓地にはそのまま適用しにくいというような
地帯がございますので、そういうことを考慮いたしまして、開拓地については助成の基準につきまして特別の取扱い方法をとる、かような
措置をとったのでございます。
なお、そのほかにおきましても、たとえば非常に
被害の激甚地であって、救農土木等もやらなければいかぬというようなことも起り得るような
地域につきましては、特別に林野の方からは林野
関係の仕事で、そういう
被害農家の活用の道も
考えてもらうというような指導もいたしているような次第であります。
今の開拓の、ちょっと付言いたしますと、開拓営農振興臨時
措置法に該当する
被害開拓農家が、天災法で今回
融資を受ける、しかし、天災法の償還
期間内においては、従来の債務との
関係で、償還が困難である、こういった場合におきましては、十年償還期限の資金に借りかえの道を講ずる、こういう
措置をもとった次第でございます。
以上が、
霜雪害に関する
対策の概要でございます。先ほど
統計調査部長から、その後に起りました
被害の概況について
説明があったのでございますが、その後における
被害の最大のものは、先ほどの
説明の
通り、九州、四国
地方におきまする長雨に対する
被害でございます。これも今回の
被害が、
相当地域的には限定されておりましても、
被害の
程度としては
相当の
程度に上っている、しかも、今回の長雨に伴う
被害が、赤カビの発生を引き起しているということに伴って、これらの取扱いにつきまして、いろいろの問題が残っておるわけでございます。われわれといたしましては、すでに長雨の結果として起った
被害でございますので、これを
霜雪害と同じような
対策を今後行なって参るということについては、すでに
相当の勝負のついた
あとでございますので、結局、今後における
措置としては、第一に天災法の
融資をこれらの
雨害の
被害農家に対しても行うような道を講ずるということが第一であろうと思うのであります。この点につきましては、厳密に申し上げますと、
雨害と赤カビとの因果
関係はもちろんあるわけでございますけれ
ども、この
雨害に伴う病害の発生が、実は七割以上も占めておるというような
状況で、従って、天災法の
融資対象にするということについて若干の疑義があるわけでございます。しかし、今申しましたように、
雨害と赤カビとの
被害は
相当の因果
関係がもちろんあるわけでございまして、広義の
意味におきましては、やはり
雨害に違いないのでありますので、
農林省といたしましては、これを特別の
被害、天災ということにいたしまして、天災法の指定につけ加えたい、こういうことで目下
関係省と協議中でございますが、われわれとしては、今回の長雨に対する
被害といたしましては、これを第一に実行いたしたい、ぜひとも実施いたしたい、かように
考えて、今準備をいたしておる次第でございます。
そこで、ついでにこれに関連しました問題の一、二を申し上げておきますと、
赤カビ病に伴う取扱いにつきまして、いずれ御質問もございましょうが、御承知のように、この赤カビについての食糧庁の買い入れについての取扱いは、一定の規格を設けて買っておることは御承知の
通りであります。他面、また
農業共済におきましてこれを取り扱う場合におきましても、赤カビの混入の度合いに応じて、何と申しますか、混入しておるからといって、それをすべて減収とすると、こういうことにはいたしておらないことも御承知の
通りでございます。ところが、今回の赤カビの発生につきまして、非常に混入したものについては有毒性があるために、この選別が必ずしもうまくいかない。従って、選別がいかないものについての取扱い上、これは減収と
考えるべきではなかろうかというような御
要望が、各
被害県からは
相当出て参っておるのでございます。しかし、われわれといたしましては、この問題は確かにことしの特殊な
事情に基く
被害でございまして、何とかそこに解決の道はないだろうかということで、ともかくもその取扱いにつきまして、どういう適切な方法をとるべきかということにつきまして、目下
検討いたしておるようなところでございます。いずれこの問題について、はっきりその取扱いがきまれば、御承知のように食管の買い上げの問題あるいは
農業共済の取扱い等におきまして、これらのものを処理して参りたいと、かように
考えておるところでございます。
以上が、大体われわれとして
考えておりますところの災害
対策の概要でございます。