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1958-06-26 第29回国会 参議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月二十六日(木曜日)    午前十一時三十分開会     —————————————   委員異動 六月二十日委員森田豊壽辞任につ き、その補欠として永野護君を議長に おいて指名した。 六月二十五日委員永野護辞任につ き、その補欠として成田一郎君を議長 において指名した。 本日委員具根登辞任につき、その 補欠として片岡文重君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 武治君    理事      大沢 雄一君            小柳 牧衞君            加瀬  完君            鈴木  壽君    委員            伊能繁次郎君            伊能 芳雄君            郡  祐一君            西郷吉之助君            成田 一郎君            占部 秀男君            成瀬 幡治君   国務大臣    国 務 大 臣 青木  正君   政府委員    自治政務次官  黒金 泰美君    自治庁長官官房    長       松村 清之君    自治庁財政局長 奧野 誠亮君    建設政務次官  徳安 實藏君    建設省河川局長 山本 三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   説明員    自治庁行政局長 藤井 貞夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会開会の件 ○地方行政改革に関する調査の件  (地方公務員法改正に関する件)  (財政再建団体職員給与に関す  る件)  (地方公共団体議会議員選挙  区並びに定数に関する件)  (町村合併促進に関する件)  (利根川の塩害、旱害問題並びに地  方公共団体河川改修工事費負担率  に関する件)     —————————————
  2. 小林武治

    委員長小林武治君) これより委員会を開きます。  まず、委員異動を報告いたします。  去る六月二十日、森田豊壽君が辞任され、永野護君が補欠選任されました。さらに二十五日に永野護君が辞任され、成田一郎君が再び委員となられました。また本日、阿具根登君が辞任され、片岡文重君が後任として選任されました。以上、御報告いたします。     —————————————
  3. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、連合審査会開会についてお諮りいたします。  本件は、先般の理事会におきまして協議したのでありますが、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案につきまして、文教委員会に対し、連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。なお、連合審査会開会日時等は、両委員長において協議いたすことになっておりますので、この点、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認めて、さよう取り計らいます。     —————————————
  6. 小林武治

    委員長小林武治君) 本日は、地方行政改革に関する調査を議題に供します。  青木自治庁長官出席を得ましたので、この際、地方行財政、税制の当面の諸問題並びに今後の諸方策について質疑を行いたいと存じます。質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  7. 占部秀男

    占部秀男君 新長官にお伺いしておきたいことが二つあるのでありますが、一つは、地方公務員法の問題であります。  伝えられるところによると、自治庁としては、まあこの秋には例の不況対策臨時国会が開かれるのじゃなかろうかということで、それに間に合せるように地方公務員法改正というものを企図しておる、こういうようなことを聞いておるわけですが、今度の臨時国会にそういうような改正案を、地方公務員法問題について出すか出さないかということですね。なお、その内容の点についてもお伺いしたいのですが、一応、出すか出さないかということを一つ言明願いたいと思う。
  8. 青木正

    国務大臣青木正君) 地方公務員法関係につきましては、いろいろな御承知のように問題があるのでありまして、前々から問題になっておりました公務員法関係で例の定年制の問題もあるわけであります。まあこの問題をもっぱらおさしになったのではないかと思うのですが、この問題につきましても、御承知のように衆議院に提案されまして、何回か継続審査になって参ったのでございます。一方、市町村当局等からは熱心に定年制の実現を要望する向きも現在も絶えないのでありまして、この点も市町村側意向も十分取り入れなければならぬかと思うのですが、さらにまた、他の面から見ますると、国家公務員法等関係等もありますので、やはりそうした問題もさらにもう少し掘り下げて検討しなければならぬ、かように存じまして、今のところこの問題に関して、次の臨時国会に出すとか出さないとか、まだそこまで突き詰めた考えを持っていないのであります。それからまた、その他の公務員給与等の問題に関しましても、御承知のように七月一日に公務員給与調査をいたすことになっておりますので、そういう結果を待って、あるいは所要の改正をすることも出てくるかもしれませんが、今のところ、まだそこまで考えていないのであります。あるいはまた、公務員関係共済組合等問題等もあるわけでありますが、この問題につきましては、今のところはまだ、私といたしましては、次の臨時国会にどういう改正案を出すというところまで考えていないのであります。  なお、はなはだ率直に申し上げまして恐縮でありますが、就任早々すぐ国会になりまして、各事務当局との詳細な打ち合せをいたすひまも、実はないと言っては申しわけないのでありますが、実際問題として、そういう機会も少かったので、なお今後、十分事務当局と打ち合せをいたし、従来のいきさつ等も聞きまして、最後の腹をきめたいと思うのでありますが、現在のところは、この問題を次の臨時国会にぜひやりたいと、こう考えておる問題はないのであります。
  9. 占部秀男

    占部秀男君 まあ出すか出さないかわからないということですが、今度の臨時国会には出さないということがはっきりすればいいわけなんですが、出すか出さぬかわからぬということですと、われわれの方も、二、三その内容的な問題に触れて質問をしておきたいと思うのですけれども、まあ全体としては、無理には出さないという意向でありますか、その点もう一ぺん一つ……。
  10. 青木正

    国務大臣青木正君) 今のところ、臨時国会にこういう改正をやろうという考えは持っておりません。
  11. 占部秀男

    占部秀男君 それでは、また次にお伺いします。  それから第二の問題ですが、それはゆうべの夕刊によりますと、例の、一昨年ですか、昨年ですか、田中長官時代からそこにおられる郡長官時代、ずっとかかって問題になっていました赤字再建団体給与表の問題、この問題についてきのう知事の方ですが、九団体が集まって、自治庁との間に話し合いがついて、この九月に何か改正をする、こういうようなことの新聞発表が、私、朝日を読んだわけですが、他の新聞はちょっと見なかったのですが、あったように思うのでありますが、あれは、ああいう形で九団体と、それから自治庁との間に妥結ほんとうにしたものであるかどうか、また、あの内容については、自治庁側であれを発表されたものであるかどうか、この二つの点を、大臣でなくてもけっこうでありますから、明らかにしていただきたいと思います。
  12. 青木正

    国務大臣青木正君) ただいまの問題につきましては、私どもも、できるだけ早く円満に妥結したいという考えを持っておったのでありますが、昨日、財政局長関係県当局といろいろ御協議なさいまして、ある程度の結論に達したように報告を承わっておりますから、私から申し上げまして、またその協議の内容等に間違いがあっても困りますので、奥野財政局長から説明をいたさせます。
  13. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 昨日、九団体知事の会合がございました。そうして今お話がございましたように、九月県会までに給与条例の修正をいたしたいというお話がございました。従いまして、この結果に基いて、知事さんたち新聞記者人たち話し合いをされたということでございます。また、再建課長新聞記者から聞かれたので、このような答えをしたということでございました。
  14. 占部秀男

    占部秀男君 実は私も九団体知事の方々ときのう話し合いをしたわけですが、それでなおけさも二、三の知事さんと話をしたのですけれども、ああはっきりときのう妥結をしたというような形で、請け負ったというのはおかしいのですが、きめた話ではない。きのうは、むしろ新しい長官が今度来られたので、長官の方に何らか一つゆるめてもらうように交渉ができないものかというようなところを主にして話し合いをしたのだということを私は聞いたわけです。従って、これは私の聞いたのが、あるいは知事さん方が私にはそう言ったのかどうかわかりませんけれども、もしその事実、内容が私の聞いたのが正しくて、それで、奥野さんはうそはつかぬと思うのでありますけれども奥野さんの発表されたような結果でなかったとすると、あの問題は、私が言うまでもなく、九月県会を目標にして、非常に微妙な段階にあるわけですね。特に現地では、知事とそれから職員組合が、さらに県議会あるいは住民側、こういうものの間で三つどもえ、四つどもえのいろいろな複雑な内容を持っているわけです。それへ持ってきて自治庁がああいう発表をされたということになると、もし、そうはっきりしたきまり方ではないのにああいうふうに発表されたということになれば、相当これは政治的に大きな影響を及ぼすことになるし、特に自治庁側が、無理に言えば、言い方は少しおかしいのですが、傍観的な立場で押しつける、こういうような結果にも私はなってくると思う。そういう点については、私の方ももう一ぺんはっきりしたことを知事会、九団体の方に聞いて、そして今の問題はあとでやりたいと思うのですが、ただ内容的には妥結をされたというので、これ以上私は言うことはないのでありますけれども、われわれの方の希望とすれば、あの問題が最初起った、昨年の田中長官のときには、非常に、自治庁としての指導もそうですし、それから大臣としての答弁あるいは大臣としてのやり方も、相当地方団体には自主性を認めておるのです。それを郡さんが、きょうここにおられるので悪いけれども、だいぶあの問題についてはけんかしたわけですが、郡さんの代になると、ああいう形で締めてしまった。そういうような情勢もあるのですから、私はむしろ新長官が就任した機会に、今までの過去の過程というものを検討して、もう少し自治庁としては、赤字団体に対しては何というか、手厚い親切心でやってもらいたかったと実は思うのですが、ことにあの問題は、これはあとの問題といたしますけれども、さっきの問題がはっきりしてからしたいと思うのですが、たとえば、一つの例を言えば、熊本のごとく、これは今日、三十年度も三十一年度も県税収入その他の増から見て、これとの比較からして、しかも給与表の問題として今よけいな部分を、必要な金額に比べますとよけいな部分というのは、五十万か六十万のほんのわずかな部分であって、自治庁が、このあなた方が使っている二十一条の再建計画に適合しないと認める場合に云々、あるいはまた、「その過大であるため財政再建計画に適合しないと認められる部分執行を停止すること」というような認定基準でそういうことをするということ自体が、私はこの法律の適用というか、法律のその執行というか、そういう関係から非常に問題があると思うのです。ですが、再建計画現実に大きな影響のある問題であったならば、これはやむを得ない。しかし私が今熊本の例を一つ言いましたように、わずか給与表を認めるか認めないかで、三十二年度で五十万、三十三年度でわずか九十八万というのです。これぽっちよけい出るか出ないかという問題で、しかも税金の問題も、私が申すまでもなく、奥野さんよく御存じのように、収入面はああいうふうにふえている。そういうような関連のもとにこういう二十一条を一体適用することが妥当かどうか、こういう点を、これは今後この地方財政再建法の運用上大きな問題に私はなってくると思います。そこで、はっきりとまあ一つこの一点だけはお尋ねしておきたいのですが、そういうようなその場合でも、これはやはりあなた方の方としては、何というか、再建計画に大きくその影響するような現実である、かような認定のもとにこういうような二十一条による例の利子補給の差しとめというような発動をなされた、こういうようなその見解は今日まで変っていないかどうか、そういう点を一つお伺いしたい。
  15. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 二十一条の規定に基きまして指定し、行なった次第でございます。何分、給与条例の問題は、再建団体の問題にとどまりませんで、非再建団体にも非常に大きな関係を持っている重大な問題でございますので、涙をのんでといいましょうか、あえてあのような措置に出たわけでございまして、しかしながら、自治庁といたしましても、財政再建団体が真にすみやかに立ち直るように努力していきたいという気持は今日においても変りはないわけでございます。そういうような気持もございますし、また財政再建団体といたしましても、国全体の立場から考えられる問題については、やはり協力をしなければならないというような気持を持っていただいておるのでございますので、今回新大臣気持もくんでいただいて、一つ円満に話し合いをして解決をはかろうというような機運になってきたわけでございますので、その点は御了承いただきたいと思うのでございます。
  16. 占部秀男

    占部秀男君 奥野さんの気持はわかるのです。われわれもまた、円満に自治庁と九団体との間に妥結をするということについては、われわれも決して反対ではないけれども、僕は悪例を残すんじゃないかと思う。というのは、たとえば増収があった場合に、その増収の振り向け方の結局は問題になりますけれども一般行政水準維持改善の方に振り向けられるものについては、これはあなた方の制約はあるかもしれませんけれども、ある程度はこれは許される。しかし事、給与費の問題については、その再建計画、あなた方が許したところの再建計画に大きな影響があろうがあるまいが、給与費であるがゆえにこれを押えたということになると、一体、地財再建法というもの、このものを私は改正してもらわなければならない。その中の二十一条には、ほかの問題はいいけれども給与費の問題だけは厳重にやるぞという文句が、ほんとうをいうと、あなた方が入れてもらわなければ、私たち法律的にはこれを納得することはできないのです。それがかりに他の県——熊本の場合でもそうです。ほかのいろいろな県、市もあるけれども、この給与費を上げることによってせっかくの増収が相当食われてしまってどうにもならぬということなら、われわれは何とも言いません。しかし、今言ったように、逆に増収から思えばわずかなところなんです。しかも給与の、給与表作り方というものは、何も国家公務員給与表をそのまま作れという法律はないのです。自治体には自治体のニュアンス、幅がある。給与表作り方自体に、やはり原則的には国家公務員給与表地方団体の方はならってやりますけれども、その地方その地方のいろいろ特殊事情を入れるところの弾力性というものがあるわけですし、また自治庁としてもそういう指導をしてきた。それでわずかなところを出した、そのわずかのところが出たということで、五十万や百万のことが、一年、年間の費用がわずかのところが、五十万、百万のところが出た。このことがその県その市の再建計画に大きな影響を及ぼすというようなことで、二十一条に適合されたのでは、これはとても職員としてはたまらないと思います。従ってこの点は私は、いつまでやっても水かけ論になると思うし、また奥野さんの言われた中にも、まあ涙をのんで馬謖を切るかどうかわかりませんけれども、涙をのんでやるという、そういうような言葉がありますから、私はこの点は一応これくらいにしておきますけれども、こういうような前例というものは今後作らないようにするか、さもなくば、こういう点ははっきり法律で明示するか、いずれにしてもその扱いをもっとはっきりしてもらいたい。そうしないと、今後各地方団体が非常に困ってくると思う。自治庁としても、そういう点についてはもっとはっきりしてもらいたいと思いますが、その点いかがですか。
  17. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御趣旨はまことにごもっともだと思っております。給与問題につきましては、だんだんと将来に及んで参りまする影響が金額的に大きくなっていくだろうと思います。こういうようなことが当時非常に懸念されたので、それと同時に、給与問題につきましては、どの団体も他の団体実施状況に非常に真剣な注目を払っているわけでございまして、その結果は他の団体財政にも相当に影響を及ぼしてくる、こういう問題がございます。しかし、基本的には財政再建団体といいましても、政府がいろいろと干渉をする必要のないようにすみやかに持っていくのが、一番基本的な問題であろうかと思いますし、幸いにして漸次地方財政健全化に向って参っておりますので、私たちは、そういう方向に持っていけるのじゃないだろうか、また持っていくように努力をしたい、こういうふうに思っているわけであります。
  18. 占部秀男

    占部秀男君 しつこいようですが、私は、これは妥結をしたというので、これ以上は追及しませんけれども、重ねて申し上げたいのですが、この二十一条の発動について、今後特に給与費であるがゆえに変なその発動の仕方をしたというようなことは、まあ第三者立場から見ても、そういうような、何といいますか、疑惑を持たせるようなこの方法というものは今後とらないでもらいたいと思うのですがね、そういう点は。今、奥野さんの言われたように、給与費というものは将来の膨張というものを、そうしたものを見通してやるということは、私はわかります。わかりますけれども熊本県の財政規模がどのくらいあるか、あなたは御承知でしょう。年間に五十万や六十万の給与の伸びがそれほど——何十年先は知らぬけれども、つい四、五年後の将来にかけて、どれほどの影響を及ぼすかということをいいますと、こういうことは理屈になるから、これ以上あなたを責めたくはないと思いますけれども、これは常識的にわかるのですよ。あなた方が言っていること自体言いわけにすぎないと思う。しかし、そういうことはきょうは言いません。ただ、こういうようなことを、給与費であるがゆえに何かしら特別なやり方をやって、この二十一条を発動して、無理に県市の自主性の幅を押えていく。しかも、県議会、市議会議決をしたものを県会、市会でもって議決のし直しをさせる。こういうような、何というか、自治権侵害というか、あなた方はそうじゃないと言われるでしょうが、われわれから言えば自治権侵害です。こういうようなことは今後しないように、あとのことはとにかくとして、給与費の問題だけ特に二十一条にひっかけて今後弾圧をするような、そういうような疑惑第三者に持たせるようなことはしないと、これだけは僕ははっきりと約束してもらいたいと思います。
  19. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 財政再建団体といえども自主性をできる限り尊重していかなければならぬことは当然のことだと思います。将来ともそういう気持財政再建に御協力をして参りたい、こう思っておるわけでございます。
  20. 加瀬完

    加瀬完君 今、占部委員からの御質問でございますが、結局、財政再建計画に適合させるということは、給与費の場合は、適合しているかしていないかという標準を、国家公務員給与費標準にして、これよりはみ出ているものは財政再建計画に適合しておらないと、こういう立場をとっておるように今まで承わっておったのでありますが、そう考えてよろしゅございますか。
  21. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) お話のように、条例給与費支給基準でありますので、それを基礎にして考えておったわけです。
  22. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、今、占部委員の指摘されました点は、自治庁がそういう立場でそのような方法をとるということは、自治庁立場としては筋の通った話だと、その点だけは了解できる。それならば、日直、宿直料とか、あるいは超勤手当とか、その他の諸給与も、国家公務員のそれらの諸給与に準じた取扱いというものが当然なされなければならない。ところが、これははるかに下回っておる。そうすると、一応国家公務員の諸給与日宿直料その他超勤といったようなものを合せるという線で自治庁の二十一条の指示指導があるので、一般給与についてのその団体なりの計画というのは、ここで一応ストップしなければならない。しかしながら、その埋め合せという意味ではなくても、自治庁指示に従えば、当然俸給以外の、いわゆる本俸以外の諸給与というものについては、他の国家公務員の例にならうということになれば、そこである程度実質的な是正の幅もあるわけである。そういう点で、国家公務員の諸給与にならうという方式を打ち出したとすれば、これは当然な措置だろうと思うけれども、それはお認めになると、こういう立場ですね。
  23. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 財政再建団体余裕財源を得まして、国家公務員に準じたところまで日宿直手当その他を支給したい、そういうことで計画の認可を求めて参りました場合には、これは当然承認すべきものと考えております。
  24. 加瀬完

    加瀬完君 そこで問題は、財政再建計画ワクの中だと認めるか、これは財政再建計画にそごを来たす措置であると認めるかという問題が残ってくるわけですが、それは、それぞれの地方団体議会議決によりまして、この程度は財政再建計画の適合のワクの中だと、しかも国家公務員の諸給与に準じた措置だと、こういう客観性がある場合は、自治庁としては当然それは認めると、こう解釈してよろしいですね。
  25. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) むしろ給与条例国家公務員基準を上回った支給を定めるよりも、今おっしゃったような方法において、再建団体予算措置をとってもらうことが至当だと考えます。
  26. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大臣にちょっとお尋ねしたいのですけれども、来春地方議会選挙を控えておるわけですが、各都道府県で各地区の選挙区の区割というものももうぼつぼつ始めておる。そういうものに対して、公職選挙法が一部改正をされたのですね、それに準じてやってくれればそれでいいと、こういうふうにお考えになっておるのか、それに対して行政指導上おやりになろうとするようなことがあるのかないのか、お尋ねしたいと思います。
  27. 青木正

    国務大臣青木正君) 先般の国会公職選挙法の一部改正をいたしまして、府県会区割についても割り方をきめたわけでありまして、あの建前は、御承知のように、各府県で自主的に条例できめることになっておりますので、私どもの方から、自治庁として何と申しますか、あまり指導とかあるいは助言がましいことをすることは、これはいかがかと考えておりまするので、私どもの方としましては、単に基準を示しただけで、実際の区割は、やはり各府県の自主的な判断にまかせて区割をいたしたいと、かように考えております。
  28. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 重ねてお尋ねをいたしますが、何ら指示をしないのですか。
  29. 青木正

    国務大臣青木正君) 法律上の解釈等につきまして疑義のある場合に、照会等がございましたならば、もちろんそれについてはできるだけの指導をしなければいかぬと思いますけれども法律解釈上の問題でなしに、現実上の区割の問題につきましては、私どもといたしましては、一切府県の自主的な考えにまかせたいと、こう考えております。
  30. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 人口増に伴い地方議会議員の数がふえるわけですが、それに対して、あまりふやさない方が好ましいじゃないかというようなことがちらほら出ておるわけでありますが、これは自治庁のお考えなのか、それともだれかの放言めいたものとこれを解するのか、そういうことはどうなんですか。
  31. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) 三十年の国勢調査の結果、人口増が全国的にかなりございまして、これに基きますると、法律上の建前から申しまして、全国の地方議会議員について定数増が行われるものがかなりあるわけでございます。詳細にはわかりませんが、大体われわれの方で推測をいたしまするところによりますると、全国の市、それから東京都の特別区、それから県、これらを総計いたしますると、大体五百名程度普通であればふえる計算に相なるわけでございます。これらの点につきましては、率直に申して、われわれの方で、定数というものはふやさない方がよろしいというような一般的な指示はもちろんやっておりませんし、やろうということは考えておりません。ただ、各県々々の事情あるいは各市の事情等によりまして、これらの点についてはどういうふうに考えたらよかろうかということを問い合せに参る向きも最近ございます。これは理事者側もそうでございますが、議会側の方からむしろ、どういうふうにしようかというようなことを問い合せに来る向きもあるわけであります。そういうような場合に、現在法律上も自主的に定数を減員するということが条例措置で可能なわけでございます。そういう道はあり得るのだということは言っておりますが、一般的に減員あるいは現状維持ということが妥当であって、人口増に基いて定数増を行うことはいけないのだというふうな指導をいたすつもりはわれわれとしては持っておらないわけでございます。
  32. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると人員増というようなことについては、自治庁としては、人員増になるのが原則的であって、しかし条例等でそれをやれば、減員の方法もあると、こんなふうな指導と申しますか、答えをしておられると了承していいわけですか。
  33. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) その通りでございます。
  34. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 次に、この前の郡さんのときに、町村合併の問題を延ばしたわけでございますが、何といったっても、越県合併も残っておりますし、いろいろな問題が残っておるわけですが、これもやはり選挙と重大な関係があると思うのです。そこで、どういうふうに町村合併、未合併町村といいますか、あるいは越県合併等の宿題を解決して臨まれようとしておるのか、それとも、このままずるずるべったりでいって、地方議会選挙に臨まれようとしておるのか、その辺はどんな気持ですか。
  35. 青木正

    国務大臣青木正君) 町村合併問題につきまして、お話地方選挙との関連もありますが、地方選挙という問題を離れましても、私の考え方といたしまして、御承知のように町村合併促進法が制定されましたのが昭和二十八年でありまして、すでに五年たっておるのでありますから、もうそろそろこの辺で終止符を打つ方向に向うべきじゃないか、こういう基本的な考え方に立っていきたいと思うのであります。ただ、その場合にどういうふうにして終止符を打つか、これが非常な問題になるのでございまして、今、事務当局に話しておりますることは、現在懸案になっております問題につきまして、各県につきましてできるだけ詳細な事情も調べ、およそその類型と申しますか、いろいろな型があるわけでありますから、その型々に応じて、こういう形のところはこんなふうに処理するとか、そういうある程度の基本線をきめまして、その方向によって、できるだけ早く終止符を打つ方向に進めて参りたい。そうしていつまでも——もちろん、合併問題も大事でありますが、より以上大切なことは、新町村の建設でありますので、合併の問題につきましては、できるだけ終止符を打つ方向に全力を尽してやりまして、そして建設の方に全力を尽して参りたいと思う。どういうふうなしからば具体案があるかということになると、なお検討しなければなりませんが、私、国会終了後、もっぱらその点に重点を置きまして、一応の終止符を打つ方向というものは見出していきたいと、かように考えておるわけであります。御指摘のように、地方選挙の問題もありますが、それと離れても、私はその段階にあるのじゃないかと、かように考えております。
  36. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ青木大臣は政務次官のときですか、町村合併等をやられた。だから大臣の抱負の中にもありまして、新聞を通してわれわれ承知しております。まあ五年たつとおっしゃってるのもよくわかりますが、何といったって町村合併の問題は、その町村の議員選挙とは重大な問題です。そこで、まあ一つこの特別国会が終ったらすぐ取り組んでいこうとおっしゃいますが、四月に選挙があるのに対して、来年まで持ち越したぐらいでは、私はなかなか問題だと思うのです。そこで、ある一定の形で終止符を打つとおっしゃいますが、それにしても、終止符を打つとしても、およそどこら辺のところで時期的なめどというものが当然なければならない。まず第一に、およそどの辺のところをめどにしてやるか。それには総理大臣の勧告等も相当活発に行わなければできぬじゃないか、非常に問題のあるところばかりで、単に自治庁行政指導等では解決できないと思うのです。そういうような時期的なものと、一つ構想ですか、もしお持ちになりましたら一つ承わっておきたいと思うのです。
  37. 青木正

    国務大臣青木正君) お話のように、町村合併のためにいつまで紛争を続けておる状態を放任しておくことは、住民にとりましても非常に御迷惑かと思うのであります。そこで一日も早くそういう問題を解決しなければならぬと思うのでありますが、その構想並びに時期の問題でありますが、正直に申し上げまして、具体的にこういうのがいいというふうに申し上げる段階まで実は至っていないのであります。一応事務当局から話は聞いておるのですが、まだ最終的といいますか、一定の考え方をまとめる段階に至っておりませんので、具体的に申し上げかねるのは恐縮に存ずるのでありますが、御期待に沿うように一日も早く構想を練り、そうして時期につきましては、こういう問題をいつまでも混乱状態に置くということは、住民に対しても御迷惑のことでもありますので、何とか早くいたしたいと、かように考えております。
  38. 小林武治

    委員長小林武治君) 今のところ一つ関連して聞いておきたいのですが、終止符を打ちたい、こういうお話ですが、これはあるいは結論的に言えば、合併をして終止符を打つのか、やむを得ないものとしてそのままになるものも相当ある、こういうふうな意味の終止符か、その点のお考えはいかがですか。
  39. 青木正

    国務大臣青木正君) 町村合併につきましては、国の目標からいたしますと約三%でありますか、府県の目標からでありますとまだ一〇%いっていないのでありますが、ここで私の考えとして終止符を打つという意味は、未合併町村は、何でもかんでも合併さして終止符を打つというのではないのでありまして、できるだけ合併することが適当であるものは、これは合併するように全力を尽していろいろお願いするわけでありまして、しかし非常に困難なところは、ある程度はやはりそれを無理をしてまで、無理に紛争の起ることもあえて辞せずというような考え方で、強制的に合併させるというような考え方はどうかと思うのでありまして、合併について重大な支障のあるところというものにつきましては、場合によってはある程度住民側の成り行きといいますか、それにまかせるほかない、こういう町村も出てくると思うのであります。何もかも合併計画に基いて、未合併町村をこの機会にいつまでに合併させるというような考え方でなしに終止符を打って参りたい、かように考えております。
  40. 小林武治

    委員長小林武治君) それから今の問題、来年の四月三十日というのは、何か大きな意味がありますか。四月三十日までに……。今の長官が終止符を打ちたいというのは、期限的に来年の四月三十日あるいは年度内、こういうふうな考え方でありますか。
  41. 青木正

    国務大臣青木正君) 別に年度内とか四月三十日とか、そういうような、今のところ時期を考えておるわけではないのであります。
  42. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は時事通信を見たのですが、そのときに、藤井行政局長の談話ではございませんが、何か若干、地方課長会議等をやって動きがあるようなんですが、それによると、三つの形に分けようじゃないかという構想が出ておったのですが、それはある程度あなたの方で固まったものなんですか、どうなんですか。
  43. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) お尋ねでございますので、大体の考え方を申し上げてみたいと思いますが、これはまだ事務的にいろいろ検討いたしておる段階でございまして、固まったものであるというわけのものではございません。そういう意味でお聞き取りいただきたいと思うのでございます。  大体、現在知事の勧告がかかっておりまして、なお未合併で残っておりまする町村の数が全国で約四百八十ばかりございます。去年の勧告以来、かなり減ってきたわけでありますが、なおその程度のものが残っておるということでございます。この内容をよく見てみますると、今までいろいろ県においても指導をされ、また関係の町村当局においてもいろいろ御苦心をいただいたのにもかかわらず、今日に至るも合併が実現しないというのはよくよくの事情があるわけでございまして、いずれも困難なものばかりでございます。ただ、これをある程度の類型に分つことは可能でございまして、たとえば、一つのグループといたしましては、合併の必要性というものが非常に高いもの、たとえばまん中に町があって、その周辺を村が取り巻いておる、その周辺の村というのは、いずれもまん中の町と一緒になりたいという熾烈な要望を持っておる。地形その他の状況から見ても、それは客観的にいっても非常に妥当性を持っておる。ただ中心の町だけが一部の反対がありまして、頑強に反対しておるために合併が実現しないという類型がございます。さらには、また、今なお全国的にいって、飛び地のままで推移をいたしておるものも若干あるわけでございます。それらのことに類似した、類型で合併をいたす客観的な必要性というものが非常に高いものです。そういうものが一つ考えられるわけでございます。その第二のグループといたしましては、いわば合併指導というような点につきましては、勧告案というものが一つの将来の方向を示したものであるというふうな取扱いをしていく。従ってそれほど強い態度でもって従来のような強行方針をとらないというグループ、第三のグループは、もちろん勧告はかかっておる、そういう意味では未合併町村ではあるけれども、その実態を見ると、各県といたしましても、その後の指導の推移をよく振り返ってみますると、今から考えてみると、他のたとえば不可能町村とか、あるいは適正規模町村とかいうものと比べてみて、そう大して径庭がない、実質は不可能町村と取り扱ってよろしいもの、あるいは人口段階だけでただ単に八千に少し足らないということだけで、隣接町村と組むようにいたしておったけれども、実際を見てみますと、適正規模町村と実態その他において変りがないのであります。しかも当該町村はあまり合併に熱意を示さない、こういったものもあるわけでございます。それで、その第三のグループ等につきましては、むしろ形式的には勧告はかかっておるけれども、それは実質的には適正規模町村に準ずるもの、あるいは不可能町村に準ずるものとして取り扱っていく、実質は勧告とはずれたと同じような取扱いをしていく、そういうようなグループが考えられるのじゃないか、こういうことでございます。これによってできるだけすみやかに対策を講じまして、終結処理の段階に入ったらどうかということが事務当局としての考え方であるわけであります。  そこで、われわれといたしましては、来月に入りましたならば、各県の課長会議に御参集をいただきまして、各県ごとにそれらの未合併町村の取扱いにつきまして一々一つ検討を加えまして、それらの集計の上におきまして一つの対策というものを打ち出していく、それによって相当、今までの方針通りに勧告をかけたものについて合併をやっていただかなければならないというものも出て参りましょうし、また、実質的には不可能町村あるいは適正規模町村と同様の取扱いをしていがなければならぬというものも出てくるのではないか。それらの点は一つ知事さんの御意見を承わりました上で、全国的に一応の集計をやりまして、その上で、全体をながめた上で、ただいまも申し上げましたような大体の方向によって具体的の方針を打ち出していったらどうか、そういうことが今まで私たち考えております一般的な方向でございます。
  44. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 三つの類型に分けていこう。そして適正規模と申しますか、あるいは合併不可能なというようなところは落しておく。あと一つどうしてもやらなければならぬところは一つ強硬なと申しますか、何かの機会に、審議会等の勧告をびしびしときめていこうというような方向にきめたわけでありますが、非常に心配しております点は、そういう方向でやられることは、その是非は別として、県知事と申しますか、県のいわゆる計画案と地方住民の意思が食い違っていることが私は一番大きい問題だと思います。ですから、そういうようなものは、住民の意思表示というようなもの、私たちはAの村に行くよりもBの村に行った方がいい、県ではこっちに行けというが、自分たちはこっちに行きたいのだ、こういうようなものに対しては、住民の意思が反映するようなルートが私はこの新市町村合併促進法ではないと思う。あなたの方が意思を尊重しようと思われても、やりようがないのじゃないか、手続上において。しかし、それをどういう形において住民の意思が尊重されていくか、どういうふうに扱われますか。
  45. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) 御心配の点はまことにその通りでございまして、法律的に申しますると、一応勧告がかかっておるわけでございますので、しかもそれに対して勧告の変更ということを認めておりません。従いまして、純法律的な立場に立ちますると、住民のその後の意向というものと、県の考えている一応の線というものとの間に食い違いがございます際には、その処理をどうするかということが現実問題として重大なことになって参ると思います。この点につきましては、私たちといたしましては、率直に申して、県といたしましても、一応勧告はかけて、去年の大体三月三十一日から今日まで一年半ぐらい経過いたしているわけであります。その間に、県自体といたしましても、一応勧告をかけた当時としては、審議会の答申もあったし、これはやはり正しいものだと思っておった。しかしながら、その後の推移にかんがみてみると、やはりこの点は住民の言うこともそうむちゃじゃない。あるいは町村当局の申しております主張というものも、そう妥当性を欠くものではない、そういう気持が動いている県もかなりあるわけであります。そういうような県は、私たちの方へも、実は県当局の方から直接の意思表示として、あるいはその他の方法を通じて意向が実は反映をして参っております。そういうようなものにつきましては、取扱い方法として、勧告の線と異なる方向に合併をすることが、表面上は正式には知事立場として言えなくても、そういう事情があれば、県としても、実はこれはやむを得ないのだというふうに踏み切ったものがございますれば、事実上の合併としてこれは認めていく。従って、関係町村議会において議決をして参りました際に、ただ単に形式上これは勧告の線と違うからというので県会に提案しないというようなことはしない。むしろそういう点は実質上の合併としてこれを認めて、県議会にも提案をしていくというような点、あるいは知事勧告に基きまして、総理大臣勧告というような線がありました際に、総理大臣勧告の線におきまして、総理大臣勧告の対象というものを変更していく、これは法的に可能でございます。そういうような方法をとることも可能でございます。そういうような点を、一般的には申せませんが、各案件方々について、適正な一つ判断を下しまして、事柄の円滑な、しかも急速な処理をはかって参りたい、かように考えておるわけであります。
  46. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたのおっしゃるように、知事が大体良心的と申しますか、住民の意思というものを一つ尊重してやっていこうじゃないかというような考え方があれば、おっしゃる通りに私はなっていくと思うのです。そうでなく、知事が非常に頑強で、住民の意思はどうあろうとも、これを無視してやろうとしたら、私はどうにもならぬじゃないか、その辺を心配して、これの救済方法というものがあるかないか、手続上今の法律では何にもないじゃないか、住民もまたそれを心配しているわけです。ですからこれが何か救済方法というものがあるのかないのか、どうしたらいいのかと住民の人たちに相談を持ちかけられておりますが、私たちもこれに対して適切な答弁と申しますか、返事のしようがないわけであります。ですから、どうしたものだろうか、あなたの方としては、どうにもならぬじゃないか、泣き寝入りせいと言われるのか、そうでなくて、住民の意思というものが違った意味で尊重されていくのだ、そういうことで保証できますか。
  47. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) 今のような場合におきましても、われわれとしては、もちろん第一義的には知事立場とまた知事考えというものをよく検討をしていくことに進んで参らなければなりませんが、しかしその他の方法によってその計画を遂行すること自体が非常に無理である。あるいは住民の意向というものは、どうにもそれではいけないというようなことがはっきりと察知をされるという事態に立ち至りましたならば、先刻申しました、そういうような点については第一類に入れるのでなくて、第二類に実際は落していくというような方途を講ずることは可能でございます。さらには知事さんに対しても、知事さんの御意向はこうだけれども、われわれはこう思うがどうだというような方法もございましょうし、さらには知事さんとしてはどうしてもその勧告を変えることができない、しかし一方、住民の意向というものも全然変らないという場合には、あまり好ましいことでもございませんけれども、住民投票という方法があるわけでございます。そういう投票の方法発動することによって、住民の意向というものを尊重する場面もそこに打ち出していく、それらの方法をからみ合せることによって実際には相当程度円滑に処理ができるのじゃないか、かように考えておるわけであります。
  48. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 具体的に例を、いいか悪いかわかりませんですが、愛知県の有松というところが非常に問題になっている。非常に貧弱町村で、これが単独でやっていくことはどうしても不可能だ、名古屋市に合併になる。都市合併で鳴海の問題が一つあります。しかし知事の方では一つ計画案というものを作っておって、他と一緒にする、こういうことになっている。ところが独立町村として財政上やっていけないということはだれが見たってはっきりしております。しかし住民の考えというものは、今申しましたように、あっちに合併したい、こうなっていきますと、こういう場合に、たとえば県はそれに対して特別な補助金等でめんどうを見ることは大体県の意思に反しますから見ていけない。どうやっても泣き寝入りをして、最後に住民の意思がどこにあろうと、県の意思に私は従わざるを得なくなるのじゃないか、そういうところへだんだん詰められてしまっているのです。そういうものに対して、なぜ適切な方途というものがないか。だからこの前も、県知事の独裁になってしまうじゃないか、だからこの法律の不備な点を直すことが必要だ、救済規定はできないかということを要望して参りましたが、ついにそういうことがなくてこういう段階に実はきてしまった。非常に私は遺憾だと思います。そういう点について今の私はお答えで、実はそういうことがかりに単独一として第三の類型に入れるとしても、町村自体財政的に上ってしまうのですよ。そういうところへ、ちょうど再建団体の九県も、二十一条の適用で島なたたちが締めつけても、泣き寝入せざるを得なくなってしまうのです。それだからどうするかということを私は聞きたいのです。
  49. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) 今、御指摘になりました具体的な公共団体の処理の方法としてでなくて、その点はまた別に、名古屋周辺の合併問題とか地方計画等の問題もございますので、この点は別に考えていきたいと思っておりますが、一般的に申しまして、たとえば勧告がかかっておるけれども、われわれの話し合い、あるいは当県との話し合い、そういうことで不可能町村、あるいは小規模町村というような烙印を押すということになりました場合におきましては、今度はやはり一つ措置といたしまして、財政当局ともよく相談しなければなりませんが、やはり小規模町村として逆に財政上の優遇措置というものを講じて参らなければならぬ段階がくるわけでございます。その時期をいつにするかということは目下研究中でございまして、まだ確たることを申し上げる段階でございませんですが、そういうような取扱いになるというようにきめましたものにつきましては、他の不可能町村と同様に、小規模町村としての財政上の優遇措置というものも実際に講じ得るような取扱いにしていくというようなことにいたしたいと思っております。
  50. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 その財政上の問題はもう自治庁の中である程度話が固まったものと承わっていいわけですか、それは私的な希望的な意見ですか、どうなんですか。
  51. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) これは別段私的なという問題ではございません。問題としては今までも研究事項として取り上げて参った、もうその点については具体的な線を打ち出す段階にそろそろきておるのじゃないか、こういうことに考えております。
  52. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これはこの前審議会の答申は出ましたけれども、まだ総理大臣の勧告は出ていないわけですが、三重県に木曽岬村というところがございます。これは住民が割れておるから適当でない。それでどうなっておるかというと、住民は独立を希望しているわけです。しかし県の計画案を見ますと、木曽川を越えて長島との合併になっておる。それで三重県知事から、木曽岬村は当分の間は単独町村とする、こういう通達が出ておる。今、住民の意思を尊重して、知事もこうした単独制をとっておる。人口は三千未満です。そういうところも財政一つ見ていこう、こういうところは自治庁の方も一つ財政上見ようじゃないか、県も一つ見ようじゃないか、こういうところはこれでいけると思う。そうしていつか、時を稼いで一つ解決ができると思っておりますが、逆に愛知県の有松のようなところは、県が、たとえば県道等の補修一切をあと回しにして、全然見ていない。そういうようなところに対しては、あなたの方でめんどうを見られる場合に、そういうところも勘案して大体私はめんどうを見てもらわなければならぬと思う。これができる、できないということは、あなたの御答弁も、非常に困難と思いますが、一つそういう点で事を運んでもらいたい。非常に財政上等の措置をやっていこうという考えについては、あまり強制的にやられないという見当でもって、住民の意思が非常に尊重されるということはよくわかります。  それで、最後にお願いしておきたいことは、今申したように、何といっても地方議会選挙がありまして、御承知のように事前運動が各地に起きておる。ですから、住民としてはこういう問題については非常な関心がございますから、そうしてまた、それにあわせていわゆる分村問題というものがあおられますから、これは一つ計画等に対して非常な熱意を示していただいて、大臣も先ほど申されたようなことが御念頭にあると思いますから、何かとここで町村合併に対する明るい見通しをどうぞお願いいたします。
  53. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 大臣から町村合併に終止符というお考えを申されましたので、私もそれに関連しましてお伺いしたいのですが、町村合併が一定の期間に一定計画を定めて、各県競ってやられる、これは非常にけっこうだと思います。そういう関係からもきておると思いますが、これは必ずしも自治庁の方針ではなかったかと思いますが、やはり一部、分村の地域的な希望がございます場合に、多数に従って一応全村合併をいたしまして、事後に分村をしてやろうと、こういうふうな場合、町村議会議決、あるいは実際のあっせん者の了解、そういうことで今、全村合併になっておるところが非常に多いと、ところが一たん全村合併になってしまいまするというと、さらにその合併された町村全体が分村ということを好みませんし、町当局はもちろん、そのほかの政治勢力もだいぶ合併されたところの町をやはり基盤として、相当有力な人が出ているというようなことになりまして、その分村の希望で一応全村合併をしておったものは、現在のところ非常に分村の希望が達せられない。そのためにあるいは刑事事件まで発展するとか、あるいは学童の同盟休校をやるとかいうような実例も起ってきているわけでございます。ただ、そういう場合には町村の当局も県の当局も、どうも事後の分村ということにはめんどうもありますし、同情的でもない。結局、泣き寝入りという方向にこれは持っていかれるというような傾きに私はあると思う。これはどうも住民自治といいますか、真に、こういう合併等の場合に、全町村でなくとも、ある地域の住民の将来の自治体生活の上から考えても、政治道義の上から考えても、こういうものをそのまま、政治的勢力か微弱であるからということで、だんだんだんだんほうってしまうという点、私は非常にどうかと思います。今、町村合併に終止符というお考えが出ましたが、そういうものについて、自治庁はどういうふうに処理される考えであるか、政治的な今後の勢力のおもむくまままに、めんどうだからほうっておいて泣き寝入りをさしてしまうと、そういう形でやるのか、あるいは今のような、確かに町村で合併の際に議会議決等になっておりながら、それを履行しないというようなところも、実例がたくさんございます。また町村の議決にまではならなかったが、そのときにそういう了解でやっておるというところは非常に多いと思う。それはどういうことで終結をされるつもりか、その点ちょっと……。
  54. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) 御指摘になりましたような例は全国的にかなりございます。先刻、大臣からも申されましたことは、町村合併に関連をいたしまして、未合併のために非常に不安定であるというようなものにつきましては、この際できるだけすみやかに一つ終結のめどをつけることが適当ではないかということについて申し上げられたわけでありまして、紛争の解決という問題とは若干趣きを異にして参るのじゃないかと思います。紛争の問題につきましては、これは終止符を打つということで、もう今後やめだと、そういう乱暴なことはやれません。また、そういうことを言いましても、なかなか従来のいきさつ等がありまして、むずかしい問題が残るところが全国的にもまた多々ございます。特に、ただいまおあげになりましたように、合併時は約束をしておいて、一たん合併してからあとは離すと言っておりながら、今度は合併が実現した上は離したがらない、こういうことのために、一部区域の住民というものが非常に不満を持ち、そのために紛争を生じておるという案件でございますが、これは実はその当時に、問題ありとして調停にかけておくというような法的な措置を講じれば、またわれわれといたしましても、正式な問題といたしまして取り上げる時期も実はあったわけでありますが、そういうことのなかったものにつきましては、今もなお紛争が続けられ、しかもこれがきわめて深刻な不安動揺を地方行政の上に与えているというような事例が多いわけであります。これらの点につきましては、われわれといたしましては、そのまま泣き富入りでほうっておくのだというふうな態度は、もちろんとろうとはいたしておりません。われわれの方といたしましては、実はこういうことを申してはいかがかと存じますが、今までは、実は町村の合併に関する問題やら、その他紛争の解決やらで、事務当局といたしましても、微力ではございまするが、できるだけの努力はいたしておりますが、何といたしましても陣容にも限りがございまして、そこまでなかなか手の及ばない点も多々あったかと思うのであります。そういうような点につきましては、一応の町村合併等についてめどがついて、新市町村の建設という段階に入って参りまして、事務的な能力におきましてもある程度の見通しがついてくるという段階に立ち至りまするならば、これは具体的な事案について、一々やはり場合によってはよく事情も聴取いたしまして、場合によっては一つ現地にも行って、事実上のあっせん、調停を試みることによって、そういうような紛争の円満な処理をはかっていくというようなこともできるのじゃないかという考え方でいるわけであります。そういうような方法を用いることによりまして、今仰せになりましたような紛争の問題についても、大体町村合併の終結方向についてのめどが出て参りました暁におきましては、そういう方向で問題解決に当っていきたい、かように考えている次第であります。
  55. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 まあ、やすきにつくと、長いものに巻かれるというのが、これは当面の何といいますか、問題を起さずに事を糊塗していく上においては一番いいわけなんですが、そういうような考えでこの合併問題について終止符を打ちますということになりますと、私は非常に遺憾といいますか——これはかりにでございますよ、そういうことがあるということじゃないのですが、かりに地方の府県当局が、そういうことがありといたしましても、私はその点は、合併問題に終止符を打つということであれば、やはりこの合併問題の国の方針を定めて推進をした自治庁としては、そういう点については、最初の約束にたがわないと、そうしてよく住民の何といいますか、自治を尊重するという考え方で、やはりこういう問題を適切に府県当局指導して、納得のいく解決をはかって、そうして問題に終止符を打つということにぜひありたいと思いますので、お願いいたします。
  56. 加瀬完

    加瀬完君 建設省に来ていただきましたのは、今、私ども成瀬委員から、再建団体給与の問題で質問がありましたが、再建団体再建団体になる要因は、それ自身にもありましょうけれども、国の財政計画その他の面で、また再建団体の赤字の原因を作っている理由も、また幾つもあるわけであります。その一つに、たとえば利根川等のような大河川の地元負担金の問題があるわけであります。たとえば、これは少し古い調査でございますが、昭和二十五年から昭和二十九年までのトータルで、千葉県では地元負担を十二億、茨城、埼玉はそれぞれ八億強を出しております。同じく二十九年の利根川の上流、下流の工事費の地元負担金の負担割合を調べてみますと、千葉県が七一・九九%、それから茨城が五八・二一%、さらに埼玉をつけ加えますと、埼玉は三八・六七%というふうに非常に他の上流に比べて負担が多い。この負担がどういう理由によってこの負担を割り当てているかというと、受益率だということを建設省はおっしゃっている。二十六国会で、私どもの中田委員質問に対しまして、受益率ということを、建設省の河川局の次長さんが参りまして、このように説明をしておられます。お互いに利益が相関しております区域を三つに分けまして、その三つの区域について受益率を按分した。その受益率というのは、結局、洪水期の場合の洪水の区域といいますか、その区域を一応押えまして、洪水区域の多いほど受益率が多い、こういう算定をして受益率というのをきめたのだ、こうおっしゃっております。これは今でも建設省としてはこの受益率の考え方は同じ考え方をお持ちでいらっしゃるかどうか、この点まずお伺いいたします。
  57. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 直轄の河川工事の分担の問題につきましては、法律に基きまして、普通の府県では、工事費の三分の一を地方の公共団体が持つことに相なっておりまして、それが臨時特例によりまして四分の一を一般的には持つ、しかし地方財政再建団体におきましてはさらにその率を低減いたしまして、十分の一になっておるというのが実情でございます。さて、一つ府県内だけを流れる河川につきましては、今申し上げました率によりまして分担金をかけまして、それを多くの県におきましては交付公債で納付しておきまして、それを十三年間で実際には分担することに相なるわけでございます。しかし仰せのように利根川のごとき数府県にまたがる場合におきましては、地方の分担すべき分を各府県に分けて分担していただかなきゃならぬわけでございまして、従来ともその方式でやって参ったわけでございますが、実は昭和二十二年に大水害がございまして、その後利根川の増高計画を作りまして、その計画に従いまして工事をやっておるわけでございますが、その際の分担の率が非常に地方の開発状況等に比べまして不均衡になって参りました。その結果、いろいろ千葉県等におきましては分担率が過重であるというようなお話がございまして、いろいろ検討の結果、昨年の三月になりまして、今仰せのように、その地域内の工事はもちろんその地域内で地先で持っていただくのが原則でございますが、同じ工事でもやはりその利益が数府県——府県以上にまたがるというような場合がございまして、それをいかに分担をしてもらうかということが問題となったわけでございますが、その際に、その工事によって受ける利益を何で求めようかということに相なったわけでございますが、地方のその洪水を受けたために損害を受けるであろうというふうな資産を算定いたしまして、それを一つの受益率の基礎にいたしました。その比率によりまして、共同に利益を受ける工事の分担はお願いしようということになりまして、三十一年度の分担金から従来の分担の率を変えまして、東京都におきましては、従来よりも分担率をふやしてもらいまして、千葉、茨城等の農村地帯を受益地帯といたします区域につきましては、分担率を下げて算定をいたしまして、各府県に御相談いたしました。その結果、東京都の分担のふえる分も東京都に了承していただきまして、各府県ももちろん下る率はそれに賛成ということに相なりまして、三十一年度から分担率を改訂いたして施行いたしております。
  58. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると受益地域といいますか、いわゆる洪水のはんらん区域を想定いたしまして、想定はんらん区域の中の固定資産額を押えまして、その固定資産額が想定はんらんによりましてどう侵犯されるかということから比率を出してこれを受益率としたと、こういう考え方はわかりました。  そこで、それは治水ということからすればそれだけでいい。しかし、利水の受益率というものはどう考えているか。利水の受益率というのは相当ある。ところが、これは治水の受益率はそれで考えられますけれども、利水の受益率というものは全然考えられておらないのじゃないか、その点は建設省はどう考えておられるか。
  59. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) その点は、今の治水改修工事は、原則は治水を主眼といたしまして、利水の面につきましては、それに支障のないように、しかもできるだけ増進するようにということでやっておるわけでございますので、もととなりまするのは、想定はんらん被害を防除するということが建前でございますので、それによってやっておりますが、上流のダム等の場合に、水がふえてくるというような場合におきましては、そういう点も加味いたしましてやっておる次第でございます。
  60. 加瀬完

    加瀬完君 それでは建設省は、最近の茨城県あるいは千葉県の利根下流地帯の塩害、旱害の現実の状況というものをどのように把握していらっしゃいますか。
  61. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) この問題につきましては、農林省と旱害対策の協議会を作りまして、本年の渇水に対処いたすためにいろいろと方策を考えたわけでございます。従いまして、私どもといたしましても、下流地域の旱害の問題は非常に重大な問題であるというふうに考えておるわけでございまして、現在の応急措置といたしましては、上流のダムの水の放流、あるいは上流地方の灌漑用水の余分に取っておる分を一つ抑制してもらいたいというような方法、あるいは真水のある地帯から水をくみ揚げるように機械等を融通するというような方法を応急的には考えております。それから、今後におきましては、今までの方式あるいは治水方式等におきまして不十分の点につきましては、十分今後におきまして新しい方策を取り入れまして、恒久的な対策を考えていきたいというふうに考えております。
  62. 加瀬完

    加瀬完君 これはあとでお伺いいたします。自治庁関係の方の関係が生じて参りますので、一応数字を申し上げますと、水稲の塩水による被害あるいは塩水が逆流するために揚水ができなくて、必然的に起った旱害による被害、これを合せますと二万二千五百八十三町歩、千葉県だけであります。このうちの用水を揚げたけれども、その中に非常に塩分が多量に含まれていたために枯死あるいは枯死同様の収穫皆無の状態になったというものが二万二千五百八十三町歩のうちの六千六百五十二町歩、こういう結果が出ております。今建設省ではいろいろの対策を立てておられるとおっしゃいますが、一体こういう塩、旱害の生じた原因というものをどうお考えになっておられるのですか。先ほどの御説明では、治水をすることが間接的に利水にもなるように、その地域に有利な条件が与えられるように考えられて治水が行われたというのでありますが、千葉県なり茨城県なりの県当局の把握しております見解は、必ずしも建設省の御見解とは一致しておらないようであります。そこで、まずこのような大被害が生じた原因というものを建設省自体はどう把握されておりますか、それを先に承わっておきたい。
  63. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 潮の逆流の問題でございますが、この点につきましては、今後十分調査をいたさなければなりませんが、はっきりいたしておりまする原因といたしましては、やはり利根川の流量が非常に少かった。これは雪解けの水が、暖冬異変のために雪が非常に少かった。それから雨が例年の平均に比べますると、少いところでは三分の一、多いところでも二分の一をちょっと上回っておる程度であるということでございまして、私どもの方で、利根川に流れてきます流量等を観測いたしておりますが、五月、六月にこういうふうな渇水があったということはいまだかって私どもの知っている限りはございません。最近に至りまして、また非常に渇水して参っておりますけれども、昭和八年に非常な渇水がございましたけれども、それは八月の渇水でございまして、五月、六月にこういうふうな水が減ったということは例がないことでございます。しかし、これのみが原因ではなくて、潮の入ることをとめるというような施設も、どうしてもこういう事態になりますと、非常な場合について考えなければならぬということは感じておるわけでございまして、これらの点につきましては、新しい観点に立ちまして対策を立てて推進していかなければならないというふうに考えております。
  64. 加瀬完

    加瀬完君 流量が非常に少くなったというお話でありますが、確かに流量は例年に比べまして減っております。しかしながら、流量が減っておる場合に、利根の上流から来る流量というものをどういうように配分するかという、その配分の方法にも、私は問題があると思います。たとえば六月の四日には栗橋では六十七トンの水が流れておるわけでありますが、これが布川の流量になりますと十一・二トンに落ちております。あるいは六月の六日をとりますと、栗橋流量が七十六トンでありますのに、布川流量が十三トン、これは今までいわゆる水利慣行で、大体渇水時は七対三ぐらいで、七を江戸川に流し、三を本流に流す。普通の場合は江戸川六、利根川四、こういう基準で流しておる慣行がありましたので、慣行そのまま使っておりますので、下流流量というものが非常に少くなって、下流流量が非常に少くなった上に、今度はいろいろの灌漑施設が利根川の沿岸にずっと発達しましたから、途中で取水されるところの量というものも非常に増大してくる。そうなってくると、下流に流れてくる流量そのものは非常に減ってくる、こうなってきて、流量そのものが減ってくる一つの原因を自然だけではなくて、行政といいますか、人工的にも作っておるということがいわれないかどうか。
  65. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 江戸川の分流につきましては、従来の慣行と申しますか、それによりまして、大体おっしゃる通り五十トン以上の場合におきましては六、四の比率で、それより減りました場合は三、一の比率ということでやっておるわけでございますが、江戸川の分流だけをそういたしましても、その下流で入って参ります鬼怒川であるとか小貝川であるとかいうふうな流域から出て参ります流量にも非常に作用されまして、それが加算されまして布川に到達するわけでございます。しかしおっしゃる通り、このごろの稲の栽培におきまして、早期栽培をやるようになりまして、従来の水の取り方と変ったような取り方が一緒に重なるというようなことがございまして、非常に一時に水が要るというようなことが現われて参っております。従いまして、今回も県の土木部、農地部等と逐次いつも打ち合せをいたしまして、できるだけ水を制限できるところはしてもらうようにという処置をいたしまして、たとえば、埼玉県の大きな用水が三つございますが、それらも一時水門を閉鎖いたしまして下流に流してもらうというような処置を講じたわけでございます。おっしゃる通り、水の使い方等につきましても変転が生じて参っておりますから、それらの調整につきましては処置をいたしていけば、十分といかなくても、現在の状況よりももっとよくできるというようなことは考えられると思います。
  66. 加瀬完

    加瀬完君 御説明のように、たとえば六月十二日以降は、たとえば栗橋が七十八トンに対しまして布川四十一トン、十三日には栗橋で八十五トンに対して布川が四十五トンというふうに流量がふえておる。上流の取水量そのものの制限をすれば下流の流量がふえてくるわけです。そこで端的に伺いますが、一応渇水基準というものを非常に割った場合には、このたびの措置のように、今後とも上流の取水量の制限というものをする慣行というものを新しく作っていくお考えがあるかどうか、この点どうですか。
  67. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 今回の渇水対策等にかんがみまして、何らかの形でそういうふうに水のお互いの融通ということを考えなければならぬということを痛感いたしておるわけでございまして、私どもといたしましても、その点につきまして、何らかの法的の措置考えなければならぬというふうに考えております。
  68. 加瀬完

    加瀬完君 その点は、流量だけがすなわち塩害の原因かということになりますと、そうではないというデータも私どもの方では申し上げざるを得ないわけであります。それは、たとえば塩害というものは、今までも流量の減ったときにもありますけれども、塩害というものが叫ばれて参りましたのは、完全に掘さく工事が完了しました昭和三十二年度からが——昨年度からが非常に問題になってきた。そこで今までは茨城県の太田新田といいますか、あの辺から上の方は、上流地帯というのはそう塩害の被害というものを、いわゆる冠潮区域という点が幾分太田新田より上であっても、非常に塩害をこうむるような冠潮区域というものは考えないですんだ。ところが、今は私ども調査によりますと、昭和三十二年の七月十六日には黒部川下流から十八キロのところで塩分濃度といいますか、塩分含有濃度は〇・〇〇九でありました。それから阿玉川の水門で〇・〇〇二でありました。それが三十三年の五月十八日になりますと、黒部川で〇・四八〇、阿玉川が〇・三三〇、四十キロの佐原で〇・〇二〇、それが三十三年六月七日になりますと、佐原で〇・一八五、阿玉川で〇・七一九、御存じのように、農林省は学説をとりまして、許容塩分濃度は〇・一五だといっている。そうすると両総用排水のくみ取り口である佐原付近は〇・一八五でありますから、これは大利根用水だけでなくて、佐原の両総用排水でも〇・一八五の濃度のある塩分ではとても取れないということになって、これは千葉県全体、それから茨城県の霞ガ浦から南部といいますか、この地域というものはほとんどもう灌漑用水の用をなさないということになるわけです。これがどこに原因があるかという点を、建設省ではどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
  69. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 私どもといたしましても、非常に下流部の疎通をよくする点につきましては、洪水対策上はまことに重要な問題でございまして、それをやっておりますが、塩の害、あるいは下流からの入ってくる水、逆水等の問題につきましては考えなければいかぬというふうに思っておりましたのでございますが、その線に沿いまして、霞ガ浦につきましては逆水問題を本年度から着手するということにしております。利根川の本流の問題につきましても、何らかの方策をとらなければならぬということは考えておったわけでございますが、現在までその着手に至らないというふうな点があったわけでございますが、今後におきましても、それらの原因を着実に突きとめまして、対策を立てたいというふうに考えます。
  70. 加瀬完

    加瀬完君 あと二、三点伺いますが、流量、水位を調べますと、三十一年の八月一日から八月十日までの平均の渇水時、それから三十一年の六月一日から十日までの平均の高水時を布川地点で調べますと、渇水時は流量が三十六・二三トン、高水時は二百十五・五七トン、こうなります。今度は地点を太田新田地点に移しますと、この平均は、渇水時で七十七・二トン、高水時でも七十二・一トンとなります。それから今度は水位を調べますと、最低水位が太田新田で渇水時でも五十二・四、高水時でも四十九・九、最高水位は渇水時の百二・〇、高水時でも九十二・三、こういう数字が出ます。そうすると下流における水位は、今申し上げました通り流量の変化がきわめてその差が少い。このことは、太田新田のような地点では海水の逆流によって水位を左右されるものと見られますので、流量の少いときには海水が大きく遡流するといいますか、逆流するといいますか、こういうことを表わしているのじゃないか。そうなって参りますと、これは流量の方を増せばどうこうという問題だけではなくて、いわゆる治水計画そのものの影響というものも考えられるのじゃないかというように千葉、茨城の県当局考えておるようでありますが、この点は、やはり建設省としても十分研究してみなければならない問題だとしてお認めになりますか。
  71. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  72. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。
  73. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 今おっしゃる通り、流量が変動いたしましても、下流部の方におきましてはその水位の変動率は少い、上流部の方が多いということは、これはもう私どもも技術的に認めるところでございます。ただ流量をふやせば塩分が少くなるということは確かに私は言えることだと思います。上から参ります真水の全体の量が多ければ、やはり海へ塩を押し出す力は大きくなるわけでございまして、今回の渇水におきまして、埼玉県の用水をとめまして、百五十万トンの真水を下流に流送いたしましたところ、その結果、塩分が相当塩害区域の上部におきましては薄くなったというふうな事実が認められておりますから、流量をふやすということも塩度を少くすることには役立つというふうに考えております。
  74. 加瀬完

    加瀬完君 そこで、塩害防止の恒久対策というものをどう考えておられるかという点を最後に伺います。潮どめ水門というものが問題になっておりますが、これはどう考えますか。それから潮どめ水門というものは困難であるならば、取水口を上流に移してもいいだろう。今度の農林省、建設省の計画でも、宇都宮付近を取水口にしたらどうかということもありますが、宇都宮では〇・二以上濃度があるわけですから、これは無理じゃないか、そこで地元では、神崎地先あたりに移してもらわなければ、将来の相当工業用水等で下流流量というものは減ってくることと見なければなりませんので、今度のような渇水時に将来はもっと減るでしょう。そうなってくると、これは神崎地先あたりに取水口をとらなければ、両総用排水と両方含めて問題の解決にならないという意見がありますが、この点はどう考えるか。  もう一つ、結局、一番初めの質問に帰るわけでありますが、こういう塩害といったようなこと、あるいは塩害のために間接な旱害というものをこうむって参りますと、受益はしておらない。この面だけから見ますと、受益率ということで負担をかけられておりますが、千葉とか茨城なんというものは利水効果というものは全然ない。こういう問題を放置されておって、それでも受益率というものは前と同じような形でいいかどうか、この点を伺います。
  75. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 今の取水口を上に持っていくという方法は、なるほど、そういう方法によりまして塩水をとらないような施設はできるわけでありますが、そのほかの方法といたしましても、塩水が入らぬような施設を作る。あるいは塩水のないところから水をとるというようないろいろな方法考えられるわけでございまして、それらを比較勘案いたしまして計画を決定しなければならぬというふうに考えております。  それから、旱害が起ったから分担を取るのはおかしいというようなお話でございますが、昭和二十二年以降二十五年に起りました大水害によりまして茨城県あるいは東京都、埼玉等が大被害を受けておりますので、それらの被害がこの改修によりまして除去できるということになるわけでごさいますので、当然受益はその面においては生じてくるというふうに考えられるわけでございまして、その他、旱害の問題につきましても、それを除去する方法を今後におきましては考えまして、それらの計画を付け加えていくならば、当然受益は生ずるものと私ども考えておる次第でございます。
  76. 加瀬完

    加瀬完君 受益が全然ないから受益率をゼロにしろということではない。受益率というものを認めるならば、初めの治水計画のときに考えたように完全に百パーセント受益が及ぶような施設というものが治水工事そのものにおいて完成されなければ、この受益率というものを百パーセント認めるわけにいかないのじゃないか。今度のように治水工事そのものがこういうふうに塩害、旱害というものを生じたということになれば、この問題を処理しなければ、今までのような受益率の考え方というものではおかしいじゃないか。千葉なら千葉、茨城なら茨城に対する受益率というものを考えて、幾ら幾らこれだけの受益率だから負担をかけるということをやるならば、こういった被害に対する受益パーセントというものでマイナスな受益というものを減らした負担率をかけてくるということでなければおかしい。受益率をどこまでもやるならば、こういう結論の出ぬ方法を講じてもらわなければ困る。そこで、この点は建設省においても御研究になっていらっしゃるでしょうが、あとで文書でもけっこうでございますから、一体旱害は、これは上流の流量が少いということで、ある程度自然の現象ということになるかもしれませんが、塩害は、少くも上からの流量が少いからというだけでは解決できない、工事上の問題も当然あると思う。そこで塩害、旱害を含めましての恒久対策というものを建設省としては、どういうふうに茨城、千葉のこの土地の下流に対して対策をお考えになるか、これを文書でもってけっこうですから御回答願いたいと思います。  自治庁に伺いますが、こういうことになって参りますと、思いもかけない、灌漑の水が取れないということならば、あきらめもつくことでありますが、水を取ったら、それが塩害の原因になったということでは、そのために地方がこうむる被害は莫大なものでありまして、地方の支出というものも莫大なものであります。こういう塩、旱害を含めましての旱害対策というものが各地でもだいぶ問題になっておるわけでありますが、これは特別交付税等の対象として本年考えていただけるものかどうか、この点を……。
  77. 青木正

    国務大臣青木正君) 旱害の対策につきまして、個々の農家に対する対策は、農林省関係でいろいろ考えておるようでございますが、その結果としての地方公共団体財政需要の増大の問題、あるいはまた財政収入の減収の問題、そういう関連における地方財政に与える影響につきましては、当然地方交付税において考えたいと、かように思っております。
  78. 小林武治

    委員長小林武治君) 本日は、この程度で散会いたします。    午後一時九分散会