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1958-06-20 第29回国会 参議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月二十日(金曜日)    午前十時三十九分開会     —————————————    委員異動 六月十九日委員平井太郎君辞任につ き、その補欠として森田豊壽君を議長 において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 武治君    理事            大沢 雄一君            小柳 牧衞君            加瀬  完君    委員            伊能 芳雄君            郡  祐一君            館  哲二君            本多 市郎君            阿具根 登君            占部 秀男君            中田 吉雄君            松澤 兼人君            森 八三一君            白木義一郎君   政府委員    警察庁警備局長 山口 喜雄君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   説明員    警察庁警備局警    備管理官    濱中 英二君    自治庁行政局公    務員課長    今枝 信雄君    法務省刑事局長 竹内 壽平君    法務省刑事局公    安課長     川井 英良君    法務省人権擁護    局長      鈴木 才藏君   参考人    東京建築局指    導部設備課長  太田 久雄君    東京経済局農    林部長     関  晴香君    東京江戸川区    葛西浦漁業協同    組合長     佐久間菊藏君    千葉浦安第一    漁業協同組合員 柳町金太郎君    警視庁警備部長 玉村 四一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査の件  (本州製紙江戸川工場における警備  警察に関する件)  (地方公共団体の職員の定員化に関  する件)     —————————————
  2. 小林武治

    委員長小林武治君) これより委員会を開きます。  まず、委員異動報告いたします。  昨十九日、平井太郎君が辞任され、森田豊壽君が補欠選任されました。     —————————————
  3. 小林武治

    委員長小林武治君) 本日は、地方行政改革に関する調査として、本州製紙江戸川工場における警備警察に関する件を議題に供します。  前回の委員会の決定に基きまして、お手元に資料を配付しましたように、参考人として五名の方々ただいま御出席を願っております。議事の進め方といたしましては、まず、最初参考人各位の御意見を伺い、そのあと質疑に入りたいと存じますので、この点あらかじめ御了承を願います。  それでは、これより参考人各位の御意見を伺いますが、その前に、各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、当委員会のために御出席を願いまして、まことにありがとうございました。地方行政委員会といたしましては、ただいま問題となっております事件につきましては、特に、去る六月十日に本州製紙江戸川工場において発生いたしました紛争中心といたしまして、主として警備警察の観点からこの問題の調査を行うことと相なった次第でございます。参考人各位におかれましては、どうか忌憚なき御意見の御開陳を賜わり、当委員会調査のために御協力を願いたいと存ずるのでございます。  なお、念のために申し上げますが、まず最初に、お一人大体十分程度で一通り実情なり御意見なりの陳述を願い、その後、委員からの質疑に対して、簡明に御答弁をいただきたいと存じますので、この点をあわせて御承知おきを願っておきます。  これより参考人各位陳述をお願いいたします。まず、東京建築局指導部設備課長太田久雄君に御発言を願います。太田参考人には、江戸川工場認可経緯及び事件発生までの行政措置、及び今後の方針等について伺いたいと存じます。
  4. 太田久雄

    参考人太田久雄君) 私は建築局指導部設備課長太田であります。  本州製紙の敷地は、江戸川の東の方にございまして、大正十一年ころから操業しているのでございますが、私の方の条例は、昭和二十四年八月十三日から、工場公害防止条例という条例が都議会の議決を得まして、工場から出る騒音、振動、爆発、煤煙、粉塵あるいは廃液等の人または物に与える害を除く条例でございます。その当時、本州製紙工場が稼働しておりましたので、既設工場届というものを出していただきまして、その当時はグラウンド・パルプと申すものを作りまして、なお抄紙機械を動かして、よそのところからもパルプを購入いたしまして、製紙を営んでおりました。三十二年の九月六日にNSCPのいわゆる自分のところでもパルプを作りたい、こういう申請を——増築並びに設備増設が参ったのでございます。このNSCPは、硫酸アンモニアを使う製紙作業でございまして、その前に北区の方に一つ工場がございまして、その当時、機械アメリカ製品でございまして、非常にその廃液について検討いたしたのでございます。何分にも日本でわずかしかない製紙パルプ製造方法でございましたので、でき上ってから私が行きまして、廃液を見ましたところ、PHがいわゆる中性である、七に近かったということで、それから繊維も、廃液をびんに取りまして見ますと、大したことがない、ただ色がついておりました。そういうふうな前の調査がございましたので、私の方ではいろいろ検討いたしました結果、江戸川水量からながめて支障ないと認定いたしまして、三十二年の十一月の十六日に認可の形式をとったわけでございます。  その後三十三年の五月六日に、水上警察から連絡がございまして、漁民との間に紛争があるということを聞きましたので、経済局水産課に御依頼をいたしまして、ほんとうに魚に影響があるかどうかということを御依頼したわけでございます。それからその翌日に、工場から三浦施設部長根本調査課長が、私の方で呼びまして、来庁いたしまして、とにかくもっと廃液を出さない——だいぶ汚れているそうだが、いわゆる汚れた廃液を出さないようにしてくれというようなことを話しまして、会社の案はどうだというようなことを聞きまして、会社からもダイジェスター廃液を濃縮回収するとか、それから今までの貯水池を沈澱池に切りかえるという案がございましたが、私の方では、さらにもっと徹底的なことをしないといけないのじゃないかというようなことをお話し申し上げました。  それから五月十六日に口頭経済局水産課から、排水口から下流三十メートルと五百メートル及び上流の京成鉄橋の下でアユを入れて試験をしたという結果が参りました。それから五月二十八日に浦安町役場の川島観光産業課長さんが来られまして、非常に漁民が困っているから、どうしてもあの行政措置をとってほしい、こういうふうなことが参りましたので、私の方としては、都の水産課からの結果報告によって行政措置をいたします、こういうふうな御報告をしたのでございます。  それから一日置きまして五月三十日に、今度は初めて都内漁業組合方々が約十名参られまして、前日と同様な陳情をなさいました。で、私の方も、前日と同様な御返事しかできないので、とにかく漁業影響があるという報告があれば、行政措置をとります、こういうふうにお伝えしたわけでございます。それから六月三日に作業を始めたという新聞記事がありましたので、さっそく会社矢沢取締役古川研究所長さん、それから小坂顧問と野田前工場長に来ていただきまして、どうしても水がよごれているならば、除外設備をやらなければいけない、こういうふうにお話しましたところ、漁民との間に交渉を持っておりまして、今明日中に話がつくからしばらく待ってもらいたい、こういうふうなお話でございました。  それから六月四日には、今度は都内漁業組合の方と、それから浦安漁業組合の方が約十名来庁いたしました。そのときに非常に漁民方々苦衷がわかりましたので、さっそく現場へ行ってみましょう、こういうことで、都の水産課とも連携をとりまして、六月の五日の木曜日に、船を千葉県側が一そう、東京都側が二そう御都合していただきまして、浦安沖並びに排水口までさかのぼりまして現地調査をいたしたわけでございます。その翌日、六月六日の金曜日に復命をいただきまして、非常に漁民方々の心持が激しくなっている、こういうことと、多少「シオフキ」あたりが非常に弱っている、こういうことを聞きましたので、さっそく会社の方を呼びまして、そのときに堀専務小坂顧問が来ましたので、私から口頭でもって、被害が全然認められないということの断定はできないから、さっそく汚水を流出するのをとめていただきたい、こういうことで強く要請いたしました。そのときに堀専務小坂顧問は非常に渋りましたのですけれども、とにかく会社に持ち帰りましてその旨を伝えていただきたい、こういうことで了承して帰りましたわけでございます。それから、それは午前でございまして、正午ごろだったと思いますが、そのときに、都内漁業組合の方及び浦安漁業組合の方が約十名ばかり来られましたので、私は、会社の方へとめるように要請してあるから必ずとまりますということを申し上げまして、あなた方の苦衷はよくわかりましたということを伝えましたのですが、なお疑念が沸くと困りますから、皆さんのいる前で電話会社にかけまして堀専務に停止するよう強く勧告をいたしまして、その場で承諾をもう一度いただいたわけでございます。そうして六月七日の土曜日に作業停止という報告が参っております。これは電話報告でございます。六月九日の——日曜日に、東京都の農林部長から、魚族影響ある旨の公文書うち部長あてに参りました。  で、六月九日、月曜日の日の午前に堀専務が、作業を開始したい旨を申し出てこられたのだそうですが、ちょうど私はほかに、建築審査会にかかる工場の書類がありまして、その工場を見ておかないとちょっと返事ができない線がございましたので、午前出張しておりました。その留守中に参ったので、午後からまた参りますというて帰られたわけでございます。それから、その日の午後に鈴木孝という方と高井さんという方が来まして、作業を開始したいというような要請がありましたわけです。——ちょっとここは訂正いたします。高井氏が来られたので、午前にそういう作業開始したいという話が会社にあるということを聞いたが、それでは困る。とにかく会社誠意を示して、作業を停止して、それから漁民交渉いたさなければいけません。作業を開始していて交渉では困るということを強く話しまして、すぐに会社べ持ち帰って、この前のように、勧告は生きているのだから、とにかく会社へ行って連絡をしていただきたいということで両氏は帰られましたわけです。それでさらに私は疑念があるものですから、堀専務電話をかけようといたしましたところ、鈴木氏が出て、重役会議も、重役の方にも話して了承を得たから、作業はやめることに決定した。それから私は、これから工場へ参りますから、とにかく工場にもそのことを、作業をとめるように通知をしたからという連絡がありましたので、私も安心しておったわけでございます。  それから六月十日に、火曜日に、浦安漁業組合の方が国会並びに都庁べ陳情に参るという情報が入りましたので、私の方もその旨を、今までのことを何しまして、会社の方へ作業停止を強く要請してあることを代表の方に述べたいと思って、席に待っておったのでございますが、議事堂の前の方にいらっしゃるということを聞きまして、議事堂の前で浦安方々とお会いしたわけでございます。ところが、現に工場は、あなた方が幾らそんなことを言っても、工場は稼働しているじゃないか、こういうことで、いや、私の方では電話連絡したところ、稼働していないということを聞いているので安心しているのだという、稼働していないということを聞いているのだ、こう話しましたところ、そういうことはないはずだ、現に稼働しているのだ、それでは行ってとめましょうということで、うち指導部長と私と一緒現地に自動車で行ったわけでございます。そうして、事務所で工場長にお会いしまして、そのときに、機械はとまっておりますね、こう言って念を押しましたところが、とまっておりますというので、さっそく今度の増設設備の所へ参りましたわけでございます。ところが、機械はとまっておりました。  それから六月十一日に、とにかく六月十日にこういうふうになったんだし、公文書を出さなければいけないというので、木材の皮むき作業並びにパルプを蒸煮する作業を停止して、適当と認める除外設備ができるまで停止されたいという文書を都知事名堀専務にお渡ししたようなわけでございます。それが今までの経過でございます。
  5. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、京都経済局農林部長関晴香君から御発言を願います。  関参考人には、江戸川工場汚水放流漁場に与えた影響、これに伴う措置経過並びに今後の方策についてお述べ願います。
  6. 関晴香

    参考人関晴香君) 私どもの方に漁業者より、水が悪くて困る、会社側善処方を望みたいという陳情がございましたのは四月二十三日に正式にございました。これは江戸川水系の九漁業権者から参ったわけでございまして、水産課及び私どもの方にございます内水面漁場管理委員会というのがございます。この両方要望書の提出がございました。  次に、四月二十五日、委員会におきましてこれを取り上げまして、建築局指導部長あて善処方要望書を提出いたしまして、さらに私どもは、私ども水産試験場調査を依頼いたしまして、さらに工場調査しようということを決定したわけでございます。続きまして、五月八日には、内水面委員の六名の方と、水産試験場員一名と、水産課の課員二名で工場現地に視察いたしております。その結果見ただけでございますが、これは悪質排水と一応見たところ結論を下しまして、こういう施設ではまずいではないか、もっと害のないような設備を必要とするという旨を口頭でその足で工場側申し入れをいたしました。しかし、これは見ただけの結論でございますので、五月十三日、十四日にかけまして水産試験場水産課と合同の上で水質並びに生物試験を実施いたしました。その結果、十六日、先ほど指導部設備課長の言うように、その結果を報告したのは十六日でございます。  その試験内容は、結局、排水口付近並びにその下流二カ所におきまして水を取って参りまして、その水でアユコイとかを飼ってみまして、何時間あるいは何日たってそれが参る、死ぬというような実験がおもでございました。その結果やはり相当の悪質の水である。ただ下流に行くに従って、もちろん水量によって薄められますので、被害がゆだんだんなくなるのは当然な結果でございますが、一応排水口から相当下までには有害である。魚族は寄りつかないというのがはっきりわかって参りました。ただ、これが海水面までの影響ということは、そのときはまだ検討いたしてございませんでした。そこで私ども、そういう結果を指導部の方に連絡いたしましたので、指導部の方で先ほどのように会社側連絡していただいたわけでございます。  そこで、五月二十四日に千葉県の浦安並びに私どもの方の関係漁民工場に集団陳情いたしたわけでございますが、あくる日には会社側もその結果排水を中止して、相談に応じようというようなことでございましたが、これも直ちに排水停止はむずかしいというようなことで、漁民との間に話し合いがついておりません。  五月二十六日以降三十一日までは、会社側排水を停止して、組合側と折衝を開始したのでございますが、やはりその間の折り合いがつきませんで物別れになっております。  三十日の日には、東京都側の組合側も、適当な時期に都で一つ中に入ってこれの解決にあっせんしてもらいたいという申し入れを正式に受けたわけでございます。私どもも時期を見て——やはりこれは時期がございますので、時期を見て当然私ども立場から中に立って、漁民側納得のいくように、また工場もこれで納得がいかして、成り立っていくように、時期を見て当然乗り出すべきであろうというような態勢で待っていたわけでございます。ところが、その組合側会社側交渉を見ておりますと、なかなか水をとめるという問題で話し合いがつかないうちに日がたったわけでございますが、あらためまして私どもも、先般の調査でできませんでした海水面被害状況調査しようということになりまして、六月四日に調査を実施いたしました。さらに六月五日には水産課水産試験場、それから建築局の方と一緒現地の視察も行なったわけでございます。  その結果、やはり海水面にも影響があるということで、建築局に対しまして、会社側操業停止をしてもらうようにお願いしたのでございますが、その後なかなか、出たりとまったりで、会社側がとめておりませんので、さらに建築局に頼みまして、会社側に対してとめるように要望いたしております。その後、やはりどうしても会社側誠意が、とめるという誠意が疑われますので、これでは困るということで、公文書をもって、先ほど設備課長が言ったように、建築局あて停止方一つ命じてもらいたいという公文書で先に依頼したわけでございます。その結果、現在まで水がとまっているわけでございますが、工場といたしましては、現在ああいう排水をする以上、私ども水産の方の立場から申し、保護立場から申しますと、ああいう設備で、沈澱池も作らずに放流しておるということは非常に手落ちであるというような結論を下しておりますので、会社側では沈澱池を作っているようでございますが、沈澱池を作らないと、ああいうパルプ作業におきましてはこまかい繊維が流れ出ます。そうしますと、これが長期のうちには海面に停滞いたしまして、どうしても有機物でございますので、発酵いたしまして、貝類の生息に非常にこれは障害があるという結論で、この点も前々から施設の設置を申し入れたときにもそういうことを申し入れておったわけでございます。現在そういう線で会社側沈澱池設備を急いでいるようでございます。  私どもは、ではそれだけで果して有害——魚族被害を与えないかということにつきましては、まだこれは疑問がございますので、一応沈澱池その他の設備の改善ができましたならば、その暁にその水をもう一ぺん検査いたしまして、できれば、それは会社側並びに漁民側、ことにこれは千葉県、東京都、両方漁場関係がございますので、千葉県の方にも立ち会っていただいて、そこで公正なその水についての検査を行なって、これが有害でなければ操業を開始してもいい、もし有害ならば、それが除去されるまでは水をとめてもらいたいというような意向で、そういう検査を行いたいと現在考えておるわけでございます。  これが私ども水産資源保護立場から考えますと、一応会社側といたしましては、海面まで達すれば非常に薄められて無害であるということは言っておりますが、そういうパルプの残滓の堆積による被害ということにつきましては、会社側も認めているようでございますので、沈澱池を今作りつつありますが、その他の面につきましては、これがやはり共同調査をいたして完全なものに持っていくためには、これはやはりもう一ぺん検査を立ち会ってやらなければならぬ、先ほど申しましたように、かように考えておりますが、もともと、この意見を申し上げますと、こういう工場の悪水の出る、これを防止するということにつきましては、東京都には先ほどの工場公害防止条例によりまして、一応は防いでいるわけでございますが、これだけでは不十分だと思っております。さらに私ども水産資源の方には水産資源保護法という法律によりまして東京都では漁業調整規則を作っておりまして、それによって取締りもできるようになっておりますが、この取締りだけでは、工場側施設が有害である場合に、その施設を改造または除去を命ずることができるわけでございますが、それに違反したところで大した刑罰もございませんし、罰金やわずかの刑罰であくまでも続けられるということになりますと、これは非常に不十分な規則でございますし、もっと徹底した、やはり一般の汚水防止に対します、もっと根本的な法律が出ますればやりいいんではないかというように、今般ことに問題になりましたので、いろいろ東京都の条例、それから水産資源保護法等について考慮しておりますが、なかなか十分ではないというふうに現在考えておる次第でございます。  一応今までの経過意見を述べさせていただきました。
  7. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、東京江戸川葛西浦漁業協同組合長佐久間菊藏さんにお願いします。  佐久間参考人からは、会社及び官公署との交渉連絡等中心とした事件経過、概要についてお述べを願います。
  8. 佐久間菊藏

    参考人佐久間菊藏君) この発生につきましては、ただいま課長さんあるいは部長さんから、この経緯について官庁の方の、私ども上りました経緯についてはお話がございましたので、これを略しまするが、要するに、今回の放流の事態は、御存じのごとく、千華県と東京都の境の江戸川水系でございますので、若干趣きも違っております。また、土地柄と申しますか、そういったことにつきましても相当の開きがあるように考えられます。もちろん、浦安町と葛西のあの両河面に属する漁業形態はほぼ同じでございます。従いまして、組合員の数もほぼ匹敵しておりまして、利害関係はおのおの五分の立場に立っておると考えます。ただ東京都の葛西の場合は東京都に属しておりまするが、浦安町の漁師町と違いまして、半農半漁の形態浦安町よりも多いようでございます。会社側は、この交渉に当りまして、私ども最初に上りましたのは五月十二日でございまするが、先ほど部長さんのお話がございました通り、四月の二十三日に陳情書を提出してあります。それは先ほどお話がございました通り、内水面関係組合が、御存じ通り内水面漁業権というものは、放流事業、すなわちコイとかフナとかあるいはウナギ、またはアユ等の稚魚を放流する義務を持っております。その義務とすることにおいて河川漁業漁業権を獲得するということになっておりまするので、そういったことの実情をよく書面に書きまして、この事実の損害についての内容を書きまして、そうして何といってもあの大量の放流を完全な処置をしていただいて流してもらいたい、さもなければあの放流を中止してもらいたい。しこうして四月の一日からあの事業を始めて黒い水を流しておる期間の、五月十二日に至る約四十日間のこの黒水に対する損害の補償のことも考えてほしいというような文面でございます。それを四月の二十三日に提出しております。その後二、三回、これは二、三人で、日にちは忘れましたが交渉にごく内輪で伺いましたが、電話等で伺いましたが、何の反応もありません。たまたま五月の十二日の、潮どきの関係と申しますか、あの水系が極度に黒く変色いたしましたので、地元が相当に騒ぎだしましたので、千葉県の浦安町の本組合組合長と私と、また理事が一名ずつ付きまして、四人で最初会見をしております。そのときには工場の方は朝永総務課長ただ一人会見に当っておりまするが、あなた方の申されるようなことはないと思う、そういったことは初耳だというようなことで、会社幹部とよく相談をして善処しましょうというぐらいな抽象的な回答で別れております。次に、十三日にも同じように、放流をとめてもらうかあるいは何とか処置をしてもらいたいということを申し出ましたが、やはり前日と同様、会社幹部とよく相談して善処しましょうというようなことを申しております。そうして、今までの御迷惑をかけていることについては、何らかの形においてお答えをしましょうという程度回答をしております。  十五日、十六日、十七日というように行っております。十七日は会社幹部の四名が船に乗りまして、水系を調べましたが、あいにくの雷雨で中止しております。その後ずっと交渉に入っておりましたが、徹頭徹尾、幹部のいわゆる本社の重役連中と相談をして、はっきりと会社でも善処をするということを二、三回繰り返しておりましたが、様子を承わりまするところ、会社側は五月中においては、本社の重役連中とは一切話はしておらないようでございます。会社工場長、以下各課長部長程度の者が会社内において相談をして、どっちかといいまするとあまり誠意は示しておりません。たまたま二十四日、浦安町の漁船約三十隻、推定でございまするが、三百名程度と思います。東京側が約七十名、こういった数で、すべて船で行きまして、放流個所を見まして、そうして会社に中止してもらうよう強力な交渉をいたすべく上りましたるところ、若干の小ぜり合いがございまして、会社から汚水の流れる水のマンホールのふたをあけましてそれをとめた、れんが等を入れてとめまして、事務所等のガラスも二、三枚破壊しておりますが、そのときに小松川警察署長さんみずから、三十名程度の警官が来まして鎮撫しております。代表者が会社の事務室に入りまして、約、代表者が八名程度と思いますが、会社側で新旧工場長、その他事業部長、職員の組合長等が会いまして、すでに破壊によりまして工場の水はとまりましたので、やむなく工場の黒い水を流すことは中止しております。しかしながら、従来からやっております白い水の出る方の機械は運転しておりました。そのときの会見におきまして、白い水の流れる機械はともかく、今まで障害はあったけれども、無害とはいえないけれども、この程度のものば会社立場もあるから黙許してやろう。黒い水を流すことについては被害もおいおいはっきりしてくる段階にあるから中止してほしいということで、会社もそのときの私どもの気持をのみ込みまして中止しております。たまたまその間、いろいろ会社の経営面において黒い水を流す機械も回さなくちゃならないということで、浦安の本組合あるいは葛西等に、会社事業部長あるいは事業課長等が、何とか黒い水を流すことについて了承していただきたいと、それについては損害をこうむっていることについてもはっきりすれば御相談に応ずるというような、いわゆる懐柔政策といいますか、そういったことで個々に訪問をしております。しかしながら、損害をこうむったことよりも、むしろ今後黒い水を流してもらうこの事実こそ漁民の最もおそれることだというので、強硬に、この点はいれませんで中止方を、はねております。しかるところ、五月二日にそういった交渉段階において流しております。約この間五日か六日続けております。そうして、先ほど設備課長さんからお話がございました六月の四日か五日に都の方へも参りまして、都の方の勧告によって中止しておりまするが、先ほど設備課長さんからお話がございました、監督官庁に私どもがお伺いをしたということは、あの大量の汚水を、会社が何の施設もなく——参考までに申し上げまするが、あの鉄管、約四十五センチか五十センチであろうかと思います、直径。その鉄管から二本どうどう出している大量の水というものは、会社で言うごとく、大したあなた方に損害を与えるほどの悪い水じゃないということもわかりまするが、問題は多量でございます。しかも薬品が入っているということは、ことしのドライも関係しておりまするが、下流に参りますると、海の水も相当にありまするので、塩水ということば言うまでもなく、いろんな薬品の作用を起すものでございまして、化学作用といいますか、酸化作用といいますか、非常に黒く変化するのでございまして、かえって下流に流れていった方が黒く変色をするという、こういう事態になっておりますので、あの大量の水を流すということは、何か工場法あるいは都条例等において、工場の取締規則に抵触していないかということをお聞きするために監督官庁の方へ上ったような次第でございまして、その措置は、先ほど課長さんから申された通りでございまするが、私どもがたびたびそういったことで取締りの点についての疑問はないかということで官庁の方へお願いをしております。その間、お話もございました通り、いろいろ水産動植物についての試験場の試験もございまして、はっきりと、程度のこまかいデータは別としましても、はっきりと損害をこうむっているということは、科学的にもこれは調べておられまして、また長年の漁業を専門にやっております私どもの勘からいいましても、当然これはうなずけることなのでございます。一たびノリの養殖時期ともなりますると、この損害はむしろ大きいのじゃないか。ノリの生活史上における夏のノリの胞子の潜伏時期といいますか、そういったことについて、かよわい胞子の潜伏期においてこうした沈澱する悪い水が流れたならば、ノリの胞子も減るのじゃないかという一つの憂いもいえるわけでございます。幸にしてノリの時期ははずれておりますので、まだ損害は少いということがわかるわけでございます。  たまたま、そういったことでございまして、先ほどちよっと部長さんからお話がございました、七日から八日につきまして仲介人が入っております。これは、こういった紛争の中に入る仲介者というものの人格は、いずれにいたしましても、非常に巧妙な手段を使っておりますので、私どもも一時まかした形も出たわけでございまするが、よく調べてみますると、会社の、極端な言葉でございますが、回し者といいますか、会社の回した人物でございまして、あの組合会社の言い分を賛成したから君たちも一応のんだらどうだ、ある組合に行けば、東京都側は納得したから君たちも納得をしろというような手を使っております。結局、それというのもあとでばれましたので、それはとうとう立ち消えになりましたが、たまたま六月の九日の夜というものは、東京都あるいは浦安町の両方関係において夜も寝ずに騒然といたしまして、ついに十日のあの事態が惹起した次第でございまするが、以上でございまして、なお諸先生方の御質問についてまたお答えをしたいと、かように存じますので、以上をもって私のお話を終ります。
  9. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、六月十日の事件実情につきまして、千葉浦安第一漁業協同組合員の柳町金太郎君に御発言を願います。
  10. 柳町金太郎

    参考人(柳町金太郎君) 暴力警官がわれわれ浦安漁業民に対する暴行を加えたことにつきまして、今からお話し申し上げます。  私は浦安町第一漁業協同組合に属する組合員の一員であります。住所は浦安町堀江千百五十番地に住む柳町金太郎と申す者でございます。  今回、本州製紙より悪水放出に対する対策のための町民大会が去る六月十日午後一時に開催され、それは浦安町幼稚園でございます。私もその席上に出席しまして、そのとき小安浦次氏の開会のあいさつに引き続きまして、議長選出に移り、議長選出の方法を議場に諮りたるところ、議場において議長に岡島多三郎氏にと発言があり、これに満場一致で賛成がありました。岡島氏を議長に推し、岡島氏は即時議長に就任し、引き続き議長としての就任あいさつがあって、これより浦安漁業協同組合長本州製紙悪水放出反対に対する交渉経過報告があり、引き続き浦安町町長のの悪水放出の反対の陳情並びに交渉経過報告が終り、なお引き続き、浦安漁業協同組合総代会議長醍醐喜一氏の悪水放出に関する交渉の一部経過報告の後、浦安町長より陳情の際の暴力防止注意事項あって後、議長発言によって各所陳情の決議文が朗読され、終って司会者小安浦次氏によって閉会を宜し、即時十台の観光バスに約八百人(推定)が分乗して、浦安町を経て国会及び東京都庁、本州製紙工場に向って出発をしました。  しかし私は、バスの満員のためと、私のやむにやまれぬ都合上のために自宅に帰って参りました。それから私は夕方まで、無事に陳情を終り皆さんが帰宅することを心から漁町民の一員としてお祈りしておりましたところが、ちょうど午後九時ころと推定する時刻に、自宅で私がテレビを見て、何の気もなく戸外に出ると、ちょうど私の家は川沿いにございます。そのために、何の気もなく川向うで話をしているのを耳にしました。そのとき、今、本州製紙工場内で漁民のみんなが騒いでいるということを聞きましたので、心配の余り本州製紙工場に行ってみたところ、何か人の話を耳にしたところ、だれか大けがをしたということを耳にしたので、これは大へんだと思いまして、工場の表門まで行ってみると、漁民の皆さんが騒いで、何とかしてとめられるものならと思い立ちまして、私としましても、元浦安町の町議会議員だった関係と、漁民の代表であったこともありまして、そのため何とかしてしずめたいと思いまして、人をかき分けまして警察官のところへ行きました。警察官の皆さんの中には、どなたか指揮官の方がおるでしょうか、皆さんに指揮官の方がおりましたら、漁民のこの沸騰した騒ぎを、ぜひ指揮官の方が納得のいくようにお話しできれば、何とかしずまるだろうと、再三懇請したのであります。それについて警察官は何としても耳をかしてくれませんでした。そのうち、指揮官らしき人の声によって、突っ込めというと同時に私はめった打ちにされました。それも、しかも警棒でたたかれ、くつでけられ、血まみれになって——私は日本の国民であります。助けてくれとは決して言いません。その際、おれを何をするんだ、おれに何をするんだということを叫んだのであります。しかしながら相手は全部警官でありました。遺憾ながら警官だったので、だれも助けてくれるはずはありません。そのうち、私ちょっと見た瞬間、ネズミ色の指揮官らしき警察官の方が、その黒い暴力警官をかき分けて、そうして私を助けてくれた。この方がかばってくれなかったならば、今私はこの世のものではないと私は思います。これは名前をはっきり申し上げます。私は顔を見まして、その態度から、自分を助けてくれた人はどなたかという熱心から、ようやくその方のあり方がわかりました。それは千葉県の葛南警察署長さんです。それは、私はこの間はっきりお礼を申し上げて参りました。  警察官としてあの際私に対しての行動は、どう考えますか。警察官としたならば、国民を保護する立場に置かれるものではないかと私は思います。それに対して、暴行を加える、間違えば死の一歩手前までの行動は断固として許しがたいことと思います。これが反対の立場であったならば大へんなことでしょう。暴言を吐いたとか暴力をふるった場合には、警察官は何をもってするか。警察官は、公務執行妨害ですぐ検束されるでしょう。それに対して、われわれ良民に対して警察官が暴行を加えた場合の処置はどうする、どういう法律があるかということを私は叫ばざるを得ません。ぜひこの点について、でき得るならば、関係当局の方々に、直接関係ある指揮官に対して処断をお願いしたいと思います。それから、まだ私以外に、警棒その他で相当の負傷者が出ております。葛南病院の医師の診察によって判明した者が、ここに五十名中、警棒でなぐられ、くつでけられ——零細漁業に一日でもできなければ生活に困る人が、警棒でなぐられ、くつでけられた者が四十三名おります。その他の者は五名、約五十名。それで、あとは、私ほか数十名の者が上野の池之端の金井病院におります。しかも、そのうち佐藤金蔵——一昨日の法務委員会におきまして警察当局の、質問に対するお答えも十分聞いておりました。うそが大部分と私は推定します。そのほか、まだ軽傷でいる者が約百名近くおると思います。その方々は、漁民であるがゆえに、われわれも漁民でありますが、何も口のきけない人が大部分です。言いたくとも言えない、警察官がおそろしい、警察官になぐられる者は泣き寝入りになるのだ、われわれが暴力をふるった場合には警察官は公務執行妨害だ、そんな片手落ちの法律がどこにあるということを私は断ぜざるを得ません。そこで、ここに負傷者の氏名が書いてございますから、これを一々読み上げますから、これによって一応御了承願います。
  11. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  12. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。
  13. 柳町金太郎

    参考人(柳町金太郎君) 右のような事情でございますから、警察当局はもちろん、関係当局におかれましても十分に、われわれ漁町民はもとより、国民が、警察官をこわいものでないということを、警察官と国民のあり方をはっきりとお示し願いたいと存じます。
  14. 小林武治

    委員長小林武治君) 最後に、警視庁警備部長玉村四一君にお述べ願います。  玉村参考人には、本件に対して警察側のとった措置の概要についてお述べ願います。
  15. 玉村四一

    参考人(玉村四一君) 六月十日の本州製紙事件についての概要について簡単に御説明申し上げます。  六月十日に浦安町の漁民の人々が約七百名、町民大会を開きまして、国会、それから都庁、本州製紙会社に対して陳情並びに決議文の手交というような集団的な行動があるということにつきましては、あらかじめ千葉県当局から情報を得ておったのであります。しかしながら、実のところを申し上げますと、私どもの考えといたしましては、その陳情団が町長さん、議長さんあるいは漁業組合長さんというような町の幹部の人々が引率をされてこられることでありますし、また、国会陳情につきましては、川島幹事長が代表者と会うという約束をすでにされておる、面会についても何らの手違いもないというようなことなどから、純朴な漁民の人々が事をかまえるということはなかろうというので、実は何らの警備措置をしておらなかったのであります。ところがその十台のバスに乗って国会前のチャペル・センターのところに到着しましたのが二時十九分ごろと思いますが、チャペル・センターの前が自動車をとめるのに適当でないというので、警察官の誘導で永田町小学校の前に自動車をとめて、そこに一般の人々は乗っておってもらう、それから代表者は国会に向うということであったのであります。ところが、二時四十分過ぎでありますが、その全部の人がバスから降りられまして、この参議院のそこの道路を交通整理しておったのでありますけれども、交通整理の警察官の指示を無視して突っ走った。そしてそれが集団になって二、三百人の人々が参議院の常任委員会室に——これはだれかが間違って、川島幹事長は参議院のあの建物の中におるのだということだったのだと思いますが、そこへかけ足でだっと押し寄せてしまって、中に百人余りの者が入り込んだ。そのためにそこのガラスをこわしたり、あるいは植木鉢をひっくり返してこわしたような派生的な事件が起きたのであります。代表の人々は川島さんと会いまして、そして川島さんが永田町小学校の付近で全部に会う、全部から陳情を聞くという話を聞いてきて、それを引率して帰ろうとしたのでありますが、この常任委員会の建物の周辺で、なかなか統制に服さない。そこで町長さんに警察の広報車をお貸しいたしまして、その広報車によって、幹事長は永田町小学校の建物の付近で会うのだからそちらへ行こうというので、ようやく全体が永田町小学校の方へ移って、そこで陳情をして終った、こういう状態が発生をしたのであります。  その事態が起きましてから、実は警視庁といたしましては、これはなかなかそう簡単なことだけではいかぬ、やはり行く先、行く先であるいはこういうことが起きやせぬか、そのためには、もし起きた場合には最小限度でそういう秩序を保っていただくように配意をしなくちゃいかぬというので、都庁に対しましても、所轄署に言いつけまして一応の手配をしました。また本州製紙の本工場に対しましても、もし事態が起きたならば、それを最小限度に整理することができるように手配をしなさいということを所轄署に言いつけました。小松川の工場に対しましても、工場へ行ったら、そういうことが起きるかもわからぬというので、小松川署長にもそのことを指示したのであります。そしてこの状態を、国会の周辺でやや統制のとれない集団としての行動があるという情報を伝えたところ、小松川警察署を管轄しております七方面の本部長から、小松川署の署員だけでは——当時交通安全運動の最終日でありましたので、そういうことなどに人がたくさん取られておるので、機動隊の応援派遣を求めたいという申し入れがありました。そこで、四時二十分ごろだと思いますが、第二機動隊の三個中隊を小松川警察署まで派遣をするという指示を私がいたしたのであります。  そこで、その際、小松川警察署長と本州製紙工場との間に、いろいろなそれぞれの情報について話し合いをしておったのでありますが、本州製紙工場からも、工場の中で待機をしてもらいたいという出動の要請がありました。私の方は、警察側の立場として、これはやはり事前に配置をしておいた方が、もし事が起きたときに最小限度に食いとめられる、そういうことを措置できるというつもりで派遣を命じたのでありますけれども会社側からもそういう応援の、要請がありましたので——しかしながら、漁民の人々を刺激してはいけないというので、五時三十分ごろに、工場の食堂に全員を入れまして、建物の中に入れまして、そこで待機をするということにしたのであります。  この際、この工場実情をちょっと申し上げますと、工場は、正門から入りまして、約七十メートルくらい直線の道路があります。その七十メートルくらい行ったところに倉庫が三棟あって、事務所がその次の建物にある。それを直角に左に曲りまして、建物の間をさらに百二、三十メートル行って、一番端のところの左側にその食堂があるのであります。その食堂の中に全員を入れたのでありまして、工場の入口とか、その他のところには警察官の配置は全然しておらなかった。といいますのは、初めからこういう問題になるような行動が起きるということを考えておらなかった。また先ほど、どなたかの御発言にもありましたように、五月二十四日にも千名近い者が集団交渉に行かれたのでありますが、その際にも三百人くらいの人が工場の構内に入りまして、さらにそのうちの代表者が工場長その他と折衝したのでありますけれども、この際にも、先ほどお話がありましたように、マンホールへれんが、石を入れまして、そのマンホールの機能を阻害した、あるいはガラスをこわしたり、電話機をこわしたというような散発的な暴力行為があったのでありますが、それを、先ほどお話がありましたように、三十名程度警察官が行きましてなだめて帰したという実情があります。そういうことでありますので、それほど大きな問題になるということは考えておらなかったのでありますが、この集団は、三時五十五分にバスで国会を出発いたしまして、それが皇居前広場の楠公銅像付近でバスをとめまして、そうして代表者十四名だけが都庁へ行ったのであります。そうして指導部長やあるいは施設課長ですか、そういう人に会われたのじゃないかと思うのですが、四時五十分に都庁でそれらの人と面会をしておるのであります。それで五時十二分に皇居前を出まして、大体六時八分ごろと思いますが、そのころに工場の正門に着いたのであります。これはあとで調べてわかったことでありますが、工場の正門は、そのとき鉄の格子のとびらが閉めてあった。そうしてその工場の守衛が、そこへ何かこういう外へ札を出しまして、代表者を何名か、五名でしたか、五名以外は立ち入り禁止という、代表者何名というのが小さい字で書いてあったそうですが、外から見ますと、立ち入り禁止という言葉を大きく表わしたものを、こういうものをそこにかけた。そこで、そのバスに乗った人は、何だ、全然入れないのかということが原因になったのではないかと思いますけれども、どっとおりて、その門を乗り越えて、そうして、先ほど申しました直線七十メーターくらいのこの倉庫のところをまた曲って、そうして左に曲って、右側にあります事務所などに対しまして石を投げ、棒きれでたたき、足げりしたりして、ガラスやとびらをこわしたり、あるいは工場長の部屋を、入口から距離にはかって十四、五メーター、曲り曲って、そういうところに行くまでの器物をこわすというようなことが発生をしたのであります。  そのことが発生したことを待機しておりました警察官が知りまして、急遽その待機しておった食堂の中から飛び出しまして、そうして漁民の人に接触したのが、ちょうど直角に曲って、工場を直角に曲ったところから食堂に行くちょうど中間のところ、中間のあたりで警察官が出てきて漁民と対峙した、こういう格好になるのでありまして、対峙しましたのは入口から約百メーター、百二、三十メーター以上のところの場所であります。この場所で、警察官が行って、やめやめといって制止をし、それから、現に破壊行為をやっております人々四名を検挙いたしました。現行犯として検挙したのでありますが、その際、警察官に対しまして、その周辺にありました石やコンクリートのかけらなどを盛んに投石しまして、警察官は実はそういう事態になると思っていなかったものですから、普通の制服制帽の格好で行っておりましたので、そこでけが人を出しまして、こういう事態が起きまして、これは、しかも漁民の人々は、ただ石を投げるということでなしに、検挙者を返さなければ帰らぬ、検挙者を返せということですわり込みをした、これは六時十五、六分ごろの状況であります。  そこで、警察といたしましては、できるだけこの事態をすみやかに処理をしたいと考えまして、そうして何とか早くこれを処置しなければいかぬじゃないかということで、町長や関係者の幹部を呼びまして、町長も実は何回も警察のマイクを使って一般の人々に、われわれは代表であるから、諸君はそういう乱暴はせぬでくれということを何回も言うておったのであります。こういう状態におきまして、実は二機動隊がだいぶけが人を出しましたし、しかも数百人の群衆と対峙しておる間に盛んに投石をされるというような状態にありますので、どうも部隊勢力が足りない、すみやかに部隊を増強してもらいたいという要望がありまして、六時三十分に第四機動隊、それから六時五十分に第三機動隊の応援派遣をいたしました。従って、その現場に着きました警察官は、最終的には七時三十分ころでありますが、七時三十分ころには約六百名くらいの警察官が集まった、到着したということになるのであります。しかしながら、これは第一次的な衝突が六時十五分から二十分までに終ってからの対峙しておる部隊であります。しかもそのうちの第三機動隊全員は、この会社工場内にあります、液体塩素ですか、何かものすごい被害を与える薬品の倉庫といいますか、そういうものがあるのであります。それが二つあるのでありますが、一つ破壊すると四里四方の人間に被害を及ぼすというようなものだそうであります。そういうものを防護するために配置をしたり、あるいはガソリン倉庫を防護するために配置をしておりましたので、実際にその人々と対峙をしておったのは第二機動隊と第四機動隊・約四百名ぐらいのものであります。  それからその後、六時十五分ごろからずっと九時半ごろまでの間は、大体十回程度の投石が、思い出したように石を投げてくる、それによって新聞記者の人もけがをするというような状況が発生をしております。しかも、うしろの方から、ずいぶん遠いところから石を投げますので、すわり込んでいる人々のところべも石が飛んでくるというような状況でもあったのであります。それで九時三十分ごろまで約三時間対峙をしておりました。  私は、できるだけ手間をかけてこれらの人々の退去を求めるという七方面本部長意見と私の意見が一致をしまして、できるだけ、くたびれるだろうけれども、手間をかけてやろうじゃないかということで、本部で私は指揮をしておったのであります。ところが、九時四十五分ごろでありますが、そのすわり込んで対峙をしておる場所でなくて、第四機動隊が構内奥深く侵入するのを防ぐためにあらかじめ配置をしてあった、入口から直線に入った、倉庫と倉庫との間のところに、三輪車を先頭にしまして約百名ぐらいの人々がその警戒線を突破した、このころはだいぶ漁民の人々は酒を飲んでおったようでありますが、酒の勢いにもまかせてか、その付近にあった消火器やあるいは交通標識の棒や、板きれや、あるいは丸太ん棒や石やというようなものを投げかけながら突進をしてきたのであります。その現場で約十名以上の警察官がそれによって負傷をしました。たまたまそのときに、故意であったか、あるいは投げた棒か何かがさわったのでありますか、会社の電線がスパークをいたしまして、その倉庫の壁がまさに焼かれようとするような状況にあった。またそのときに火事になるといって騒いだところが、消防車を引っぱり出してきて、その消防車をひっくり返しておるというような状況があり、しかも警察官に対しまして、先ほど申しましたような暴行などが、石などが盛んに飛んでくる状況にありましたので、やむを得ずこれらの人々を退出させなければならないということで、この際、初めてその部隊の一部が警棒を使ってこの人々を門外に押し出したのであります。その後、門外に押し出された人々が、六回にわたって、自転車やあるいはその辺にある石や、いろいろのものを投げ込んできたり、あるいは四回にわたって門を開いて、その警察官が警戒しておる中に突っ込んできたり、繰り返しておったのでありますけれども、大体十一時二十分ごろにおおむねこれらの人々は退散をしておるというような状態であったのであります。  概要は以上のようであったことを御報告申し上げます。
  16. 小林武治

    委員長小林武治君) 以上で参考人各位陳述は終了いたしました。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は順次、御発言を願います。  なお、政府側からは鈴本人権擁護局長、濱中警察庁警備管理官、常井法務省刑事局付検事が出席いたしております。
  17. 加瀬完

    ○加瀬完君 玉村参考人に伺いますが、警察のいわゆる今お話の実力行使、この実力行使といいますのは、社会上正当な業務行為と認める程度、解釈をつけ加えるならば、相手方が不正な攻撃を加えてくる相手でなければ、強度の傷害を生じせしめる実力行使を加えることは妥当でない。すなわち、抵抗の抑止のためにのみ必要な行為が許されるのだ、こういうことが通説になっていると思いますが、玉村参考人の御意見はいかがですか。
  18. 玉村四一

    参考人(玉村四一君) 抵抗の抑止をするために実力を行使するのだという今のお話でありますが、実力行使という言葉が、実は私いろいろこれは使われると思いますけれども、群衆に対して実力を行使するということにつきましては、部隊で実力行使をするということにつきましては、今おっしゃったこと、私はそれでいいと思うのであります。ただ、犯人を逮捕するというのも、これは実力行使でありますので、一つ一つ、実力行使という言葉が不正確な言葉でありますので、今おっしゃった意味が、群衆から反抗なり攻撃なりがあって、それを抑止するために必要な警察が力を使って是正、抑制するというのが実力行使だと、こういうことでいいかとおっしゃる言葉に対しましては、私はそれでいいと思うのであります。
  19. 加瀬完

    ○加瀬完君 柳町参考人陳述によりますと、警棒でのけがが多かったということでございますが、この警棒、警じょう使用規程というものは警察庁からも出ておりますし、警視庁からも出ておりますが、警視庁の出された内容警察庁の出されておる内容と同じものだと解釈してよろしゅうございますか。
  20. 玉村四一

    参考人(玉村四一君) 実は私ここで、比較をしておりませんので、同じものであるかどうかということははっきり申し上げかねるのでありますが、精神としては同じ精神で作られているものだと考えます。
  21. 加瀬完

    ○加瀬完君 同じものだというのは、少くも警察庁で出されておる昭和二十七年八月の国家警察訓令の第三十八号でありますか、これに基いて、当然警視庁の警棒、警じよう使用及び取扱規程というものが出ておると思いますが、そう解釈してよろしいでしょう。もっと説明を加えるならば、警察庁できめております警棒、警じょうの使用以外に警視庁で警棒、警じょうの使用というものに、何といいましょうか、今問題になっているような、ある程度の人権侵害をしていいというワクを広げてきめてあるということではないでしょう。
  22. 濱中英二

    説明員(濱中英二君) 警察庁で定めておりまする警察官警棒、警じよう使用及び取扱規程と警視庁の規程とを比較いたしまして、警視庁がそれ以上にワクを広げているというようなことはございません。あくまでもその精神内でございます。
  23. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういたしますと、警棒、警じょうは武器に準ずるのだ、基本的な考え方として。頭部を打ってはならない、傷害を与えた場合は救護措置をし、かつ上司に直ちに報告をしなければならない、こういう原則は確認されていると認めてよろしいですか。
  24. 玉村四一

    参考人(玉村四一君) 警棒は武器に準ずるものであるということ、これは警棒は時によっては、使いようによっては武器であるという場合もあると思うのであります。たとえば職務執行法の七条の場合に該当する場合には、武器としても使用することがあるのではないかと思いますが、——他の規定の七条でありますかによって使われる場合には、これは武器として使われる場合もあると思います。しかしながら、常に必ずしも武器として使われるものではなくて、制止等のための用具として使われる場合もあると思います。それから頭部を打ってはならぬ、必要以上の傷害を与えないように考慮をしなくちゃならない、あるいは、それによって傷害を与えた場合には報告をしなければならぬということにつきましては、警察官全体がこれを確認していると思います。
  25. 加瀬完

    ○加瀬完君 柳町参考人に伺いますが、今いろいろお話しになられましたが、あなたの方の漁業組合から私のところに、あなたが当日けがをしたとき着ておったシャツだというので、こういうものが届けられておりますが、これはあなたのものに相違ございませんか。
  26. 柳町金太郎

    参考人(柳町金太郎君) 間違いございません。
  27. 加瀬完

    ○加瀬完君 柳町さんは、こういうけがをさせられたわけでありますが、その場合に、警察官に救護あるいはお世話、こういうような取扱いを受けておりますか。
  28. 柳町金太郎

    参考人(柳町金太郎君) そういうことは毛頭ございません。
  29. 加瀬完

    ○加瀬完君 ほかの被害者で、けがを受けた者で、警察側から特別救護を受けたという、あなた方の組合員あるいは浦安漁業組合組合員で、そういう御近所の方のお話を聞いておりますか。
  30. 柳町金太郎

    参考人(柳町金太郎君) そういうことは聞いておりません。もう絶対に警察側からは、なおしてもらうとか、あるいは治療を受けてやってくれとかいうことはありません。
  31. 加瀬完

    ○加瀬完君 刑事局長、あるいはその代理の方、それから人権擁護局の関係の方はいらっしゃっていると思いますが、警視庁の昭和三十二年十月の訓令第五十号、警視庁警察官警棒等使用及び取扱規程というのがございまして、この中には、第八条の七に「警棒等の使用によつて、人に傷害を与えた場合は、救護その他の措置について誤りのないように心掛けること。」、こういう規定がございます。それから九条には、「人に傷害等を与えた場合の措置」という項目がございまして、「警棒等を第七条により使用したとき又は前条第一項第七号に該当した場合は、すみやかにその状況を所属長に報告しなければならない。」、こういうことがございます。  そこで、問題の前段でありますが、傷害を与えた場合、救護その他の措置というのは警察側で行われておらない、これを刑事局長立場あるいは人権擁護局長のお立場でどうお考えになるか。  それから玉村参考人に、この傷害を与えたものは、当然上司に傷害を与えた者から報告をしなければならないことになっておりますが、その報告はどのように行われているか、前後の二点について、それぞれの関係の方に伺います。
  32. 川井英良

    説明員(川井英良君) ただいまお尋ねの救護の点について、そこに示されておりまするような救護をこの事件関係のときに行わなかった、こういう事実関係の前提に立ちまして、そうだとするならば、それについての刑事局の観点からも意見を述べろ、こういうふうな御趣旨だと御質問の趣旨を了解したわけでございます。  そこで、この事実関係、私どもまだよく報告に接しておりませんので、十分その関係を了解しておりませんし、それからこの規定にかりに警察官がその場におきまして違反したといたしましても、そのこと自体が直ちに刑罰法令に触れるということにはなるまいかと思うのでございまして、言いかえてみまするというと、行政的な、かりにそういう事実ありといたしましても、行政的な不始末ということになろうかと存ずるわけでございます。私どもの方の主管は、御承知の通り刑罰法令に触れるような行為がありました際に、それについてどういうふうな処置をとるか、またそれについてどういうふうな法律上の解釈、見解を持っているかということを一応つかさどっておりますので、私どもといたしまして、人権擁護局の方の立場から意見があるといたしますれば別でございますけれどもただいまの御質問の問題に関する限りにおきましては、刑事局といたしまして、この際とやかく意見を述べることは適当でないように思いまするので、御了承を賜わりたいと存じます。
  33. 小林武治

    委員長小林武治君) 人権擁護局の方で何かありますか。
  34. 鈴木才藏

    説明員鈴木才藏君) この法的解釈、あるいはこの具体的事件におきましての解釈、これは別といたしまして、人権擁護局長といたしましては、この先ほど提示せられました警視庁警察官警棒等使用及び取扱規程、この精神から見まして、私はこのように解釈したいと思うのでございます。先ほど加瀬先生から御指摘になりました、今申しました規程の第八条の七、それから第九条、この精神というものは、公務執行上やむを得ずして相手に傷害を与えた。従ってでき得る限りその善後措置をやれという趣旨であると私は解釈いたします。人権擁護局の立場といたしましては、この規程の精神をくみまして、この規程の十分なる励行を求めたいと思うのであります。
  35. 玉村四一

    参考人(玉村四一君) ただいまの報告の点でありますが、実は警棒を使用しましたのは、前線に配置されておりました八十八名の人間が警棒を使用しました。従って、即日、その八十八名の者が相手方に傷害を与えたかどうかということについて、八十八名全員に対しまして調査をしたのでありますが、傷害を与えたというものが報告にはなかったのであります。さらにその後も引き続き三回にわたって、新聞その他によると、警棒によってけがをしたという人があるということで出ておるのだから、実際問題として傷害を与えるような状況がなかったかということで調べたのでありますが、現にまだその傷害を与えたというものは報告には出ておらないのであります。  ただ、救護をする問題でありますが、実は初めの明るいうちの六時十三分ごろでありますか、この際にガラスでけがをしておった、右手をけがをしておった人を一人、それを現認しまして、警察官が会社の医務室でそれを治療をして上げたというのが一人おります。が、その後の問題につきましては、だんだん暗くなってきまして、しかも、現場というのは、ほんとうに暗い中でお互いに接触をしたという状態でありましたので、けが人というものは認めなかった、確認をしなかったのではないかと思うのであります。  以上申し上げます。
  36. 加瀬完

    ○加瀬完君 重大なことをあなたはおっしゃった。暗いからけが人を確認しなかった。それなら、警察官の警棒であやまって、さっき柳町金太郎君のお話のように、死に至るような者があっても、これは、暗いから確認できなかったといって、そのまま等閑に付する、そういうこともあり得る。それで一体、人権擁護局長の言ったような、八条なり九条なりの精神というのを尊重されると言われるか。あるいは刑事局の方は、刑法に触れるか触れないかということはわれわれの管轄だが、この問題は行政措置の問題であると言ったが、そうなってくると、これは刑法に当然触れてくる問題になる。これは、警察官の職務執行法のワクをはるかに越えた行為である、こういうことになると思う。そこで、私は事実について、これからあなたに、確認されなければ、警察が確認しなければ、けが人をうっちゃっておいていいかどうかということを、これからあなたに聞いていく。十日前後以上のものの診断書がここに八十五人分、私のところに集めてあります。一週間以下のけが人というものはとりませんでした。これは、十日以上のけが人、八十五名、これについて一人ずつ、あなたのお答えを聞かなければなりません。  この内訳は、重傷者が、全治二カ月以上と認められる者が、今、参考人として来ておる柳町金太郎さん、それから、先日法務委員会で問題になった佐藤金蔵さん、それから、一カ月以上と思われる者が、頭部外傷あるいは腰部挫創が斎藤菊次郎さん外七名、よろしゅうございますか。一カ月以上の重傷者が、頭部外傷あるいは腰部挫創の者が斎藤菊次郎さん外七名、後頭部挫創、背部挫創が岩瀬武さん外四名、後頭部挫創、腰部または臀部打撲傷が醍醐徳太郎さん外八名、頭部挫創が宇田川芳夫さん外九名、前額または左右頭部の傷害が藤松道太郎さん外四名。このうち、玉村さんによくお聞き願いたいのは、藤松、小川、大塚、もう一人の大塚という四名は、うしろをなぐられ、振り向いたところをまたこん棒で前をなぐられた。抵抗したものじゃありません。頭部をなぐられた者は合計三十八名。次に背部、腰部、啓部、結局、うしろからなぐられた者、これが西脇道太郎さん外二十一名、肩胛骨、上腕等の打撲が山田重雄さん外九名、このうち五名は、やはり本人の申し立てによりますると、うしろからやられたと、こう言っております。左右下腿の打撲は、岩立岩蔵さん外九名、このうち六名はやはりうしろからなぐられておる。骨折その他が五名、このうち三名はうしろからやられたと、こう言っておる。そのトータルを出しますと、被害状況は、主として後頭部をなぐられた者が三十三名、背部、腰部、啓部等、結局うしろからなぐられた者が二十二名、前額をなぐられた者が五名、このうち四は、今、説明いたしましたように、なぐられて振り向くところを今度は前をぽかんとやられた。その他の二十五名を調べますと、肩胛骨、上腕等の被害者のうち五、左右下腿打撲のうち六、骨折等のうち三、今御説明申し上げましたように十四名というのは後方からなぐられております。すると後方からなぐられたと確認される者は、診断書の八十五名のうち七十三人であります。八五・九%、これは本人の申し立てだけでは信憑性がありませんから、私は頭部及び背部等の基準について、一番傷を受けた者が診察を請いに行きました千葉浦安町の葛南病院の診断状況を直接担当の医師から聞いて参りました。そうすると、六月十二日現在におきまして、柳町さんの御説明によるともっとふえておりますが、六月十二日現在において診断された者が四十四名、このうちほとんどが頭部、背部等の傷害であります。脳震蕩、脳挫創、その他の挫創、または打撲、傷の位置は今申しました通り、うしろ側がほとんどで、前のけがはほとんどありません。それで警察庁の方でありますか、せんだっての他の委員会で、漁師同士が投げ合った石で後頭部に傷を受けただろうと言っておりますが、その点十分医師に問いただして意見を伺いました。そうすると、鈍器用のものでなぐられたと認められる。患者の申し立ては、警官のこん棒等の——おそらくこん棒と符合する傷である。こん棒でなぐられたと想定される、こう医師は証明をいたしております。八五・九%がうしろからなぐられた。こうなって参りましても、刑事局長は、あるいは刑事局の方は、一体、行政措置にとどまる問題であるかどうか、どうお考えになりますか、その点をまず伺いたい。
  37. 川井英良

    説明員(川井英良君) 途中で参りまして、前の問答を聞いておりませんので、多少お答えが不備であったかと考えております。  警察官が実力を行使いたしまするにつきましては、多分問題になったことと思いまするけれども、それぞれの法律に基きましてその根拠があるわけでございます。従いまして、その法律の根拠に基いて実力を行使いたしましたならば、何らかの結果が生じましても、犯罪の成立についてはいろいろ問題があろうかと存じますけれども、そのときの状況によりまして、その法律の権限を逸脱いたしまして暴行が行われて、その結果傷害というような結果が発生したのだ。もし事実関係がそうであるといたしますならば、それにつきましては、私どもの所管しておりますところの刑事問題になってきますことは申し上げるまでもありません。
  38. 加瀬完

    ○加瀬完君 もしというお言葉をお使いになるのは、職掌がら当然であると思いますが、今申し上げましたことに反証がありますなら、玉村さんに言ってもらいたい。ここに診断書がある。診断書がうそだというなら、医師と争ってもらいたい。私は、医師の出した診断書から統計をとってみると今の通りだ。しかも八五・九%というのがうしろからなぐられた。そうなって参りますと、これは職務執行法に違反する問題が当然出てくる。たとえば、今言ったように、さらに職務執行法のうちでも問題の起りそうな警棒、警じょうの取扱いは、警察庁なり警視庁にちゃんと規定がある。そのうちの、使用及び取扱い上の注意という第八条にはちゃんと、「頭部等を打撃する等のことのないように心掛けること。」と、ちゃんと書いてある。「やむを得ず使用した際といえども、つとめて相手を傷つけることのないように心掛けること。」、「警棒等の使用によつて、人に傷害を与えた場合は、救護その他の措置について誤りないように心掛けること。」、こういう規定がちゃんと内容にある。しかも、「相手方又は公衆に刺げきを与えないように」という条項さえある。それを、少くとも八五・九%はうしろからぶんなぐられている。それをさらに説明を加えれば、石を投げたとか何とかいいますけれども、正門からバスの停留所の間には投げられる石はありませんよ。これは炭がらが敷いてある。あとはアスファルトです。石なんかありません。しかも正門から出されたのを百メートルも追っかけてきてなぐっている。(「けしからぬ」と呼ぶ者あり)それは柳町さんにいろいろお話を聞いてみればさらにおわかりだと思う。もっと、一例を言うならば、警察の中へ留置しておった佐藤金蔵さんに対しましては、会議室の入口のガラス戸がもうすでにこわれておったのを、腹立ちまぎれに足でがんとやってしまった。その意味では器物損壊かもしれませんよ。そうすると、七、八人の警察官が、警察官のたくさんいるところへ連れて行って、全部警察官で囲んでぶんなぐっている。そこでくつでけっ飛ばした。そのために九枚目と十枚目の肋骨が二本折れている。そして警察に留置されたわけでありますが、痛むから、とてもこのままではおられないから、医者に見せてもらいたいということを言ったけれども、医者に見せない。翌日になりまして、手をけがした者がありまして、そのときにきた医者にちょっと見せた。ところがその医者はちょっと見て、大したことはないと言う。大したことはないと言っておりますが、本人はどうしても苦しくて仕方がないので、これだけくつの跡がたくさんついているのだから、とても痛くて、立ったりすわったりすることもできないから、何とか診察さしてくれと言ったけれども、二日間は診察さしておらない。そのときの警察官は、きさまらが悪いことをするからこういうことになったんだ、警察官だってもっとたくさんけが人が出ている。お前らはもっと重罪を犯しているんだ、こういうことを言っている。翌日、さらにもっと痛いということを言ったけれども、看守は受け付けておらない。そこへ二日げかり置かれたあとになりまして、レントゲンで診察をしてもらったので肋骨の折れていることが発見された。こういう取扱いをしている。前後を通じて、人権擁護局長は、こういう警察の取扱いをどうお考えになりますか。もしとか何とかいうことでなくて、こういう事実があるのですから、この事実をどうお考えになりますか。何だかこういう事実があやふやだというなら、本人も傍聴人の中に来ているから、参考人に追加して事実を聞いてもいい。この事実をどう考えるか。
  39. 鈴木才藏

    説明員鈴木才藏君) 今、御指摘の佐藤金蔵さんの件につきましては、私の方の調査員がみずから佐藤さんにお会いいたしております。今、御指摘のような事実通りの供述を得ております。これは、その供述に基きまして、小松川警察署の留置人、被疑者としての留置人の取扱いに対しては、人権上はなはだ遺憾な点があることを認めざるを得ないのであります。今後一そう、もう少しそのときの状況あるいは看守の手不足、その他設備、それらをよく調べまして、適当の行為をとりたいと考えております。
  40. 加瀬完

    ○加瀬完君 人権擁護局長からは、今おっしゃる通りのお答えをいただいたわけでありますが、刑事局長は、少くとも警棒使用規程の第八条の二、三、五、六の規定では許容されていないことをやっていると、こう御認定になりますかどうか、あなたは、執行権の範囲だと、こう御認定になるかどうか。留置場の処遇、それから先に質問をいたしました、こういう八五・九%が頭をなぐられたり、うしろからなぐられておる、こういう事実、しかも工場内の百メートルも遠くへ逃げ出した者をなぐっておる。さらに付け加えるならば、見物にきてぼやっとしている者までなぐっている、こういう事実がある。これでもあなたは、職務執行の範囲内のことだ、こうお考えになるかどうか。
  41. 竹内壽平

    説明員(竹内壽平君) ただいまここに参加いたしましたので、前の御質問を存じ上げておりませんが、警棒使用の点につきまして行き過ぎがあったかどうかということ、特に刑事局はそれをどう考えるかという御質疑かと思いますが、この点は、前の御調査の模様を存じておりませんので、はっきり申し上げられませんが、法務省の人権擁護局から係官が、本件につきまして調査した結果はわかっております。また、警察側が調査をされました結果も警察側にはわかっておるようでございます。それらの事実を、ただいま検察庁としてはその事件そのものを捜査しております。その捜査に関連いたしまして、その間の事情もはっきりといたしましたら、そのはっきりした事実に基きまして、もし行き過ぎがあり、警棒使用の限界をこえておるというような事態でございますならば、法条に照らしまして、検察的に指弾するということも考えられるわけでございます。その点を今ここで捜査に当っておりません私どもが、抽象的にこうであるというふうにきめつけてしまいますことは適当でございませんので、捜査権限を持っております検事の捜査の結果を待って意見を定めたいというふうに考えております。
  42. 加瀬完

    ○加瀬完君 局長はあとからいらっしゃいましたから、もう一度くどいようですが申します。  重傷者は、全治二カ月が二名、一カ月が、頭部外傷、腰部挫創が八名、それから後頭部挫創、背部挫創というものが五名、後頭部あるいは臀部打撲傷は九名、頭部の挫創が十名、前額または左右頭部が五名、背部、腰部、臀部の打撲が二十二名、肩胸骨、上腕等の打撲が十名、左右下腿打撲が十名、骨折その他が五名。これはどういう原因の打撲かということは、ここに診断書も八十五名ありますが、このうちの四十四名は千葉県の浦安町の葛南病院で診断をしておりますから、その診断状況を医師に伺ってみました。そうすると、うしろ側の傷がほとんどで、前側の傷はほとんどない。うしろ側の傷は鈍器様のものでなぐられたと認められる。被害者の申し立てによれば、警察官のこん棒でなぐられたと言っておるが、こん棒様のものになぐられたと想定されると、とう申しております。しかもさらにその内訳を申しますと、後頭部のなぐられたものが三十三名、背部、腰部、臀部をなぐられたものが二十二名、その他、前の傷もありますけれども、うしろから振り向くところをなぐられたというものを入れて、一体うしろからなぐられたものが何名かといいますと、いわゆる逃げていくのをつかまってなぐられたものが何名かということを傷の上で調べますと、八五・九%になります。警棒を使うなと私は言わない。警棒の使い方が、八五・九%が後頭部または背中、または臀部というけがをしているという、こういう警棒の使い方というのが、一体警棒使用規程に違反しないか、そういうことをしてまで一体警棒使用というのが許容されておるか、職務執行を逸脱している行為ではないか、過剰行為もはなはだしい。これでも一体、これは刑法の百九十五条の「特別公務員暴行陵虐」の対象として、一応調査をする問題にならないかどうか。犯罪人として罰せられる罰せられないということは今後の問題で、刑事局の御見解で、こういう内容というものは、特別公務員暴行陵虐として一応調査をする対象にならないかどうか、それを伺いたい。
  43. 竹内壽平

    説明員(竹内壽平君) ただいま事情を伺いまして、実は私非常に驚いている次第でございます。仰せのような状況でございますならば、刑法の百九十五条適用の余地があるかないかという問題につきまして、一応百九十五条適用の容疑として考える可能性も十分出てくると私は考えますが、この点につきましても、現に検察庁において事件を捜査しているので、その捜査に関連して当然調べることになろうと存じます。今、御意見もありますので、われわれは、検察庁にお伝えいたしまして、検察上万遺憾なきを期するようにいたしたいと思います。
  44. 加瀬完

    ○加瀬完君 それから、これは繰り返すことになりますが、念のために人権擁護局長にもう一回伺いたいのでありますが、これだけのけが人が出ておりますのに、玉村さんの責任とは申しませんが、玉村さんの管下の警察官は何ら報告をしておらない。玉村さんのおっしゃるのに、暗くてわからなかったというが、暗くてわからないから、けがをさせても報告をしないでもいい、こういう見解が許されるとするならばおそろしいことです。言いがかりのようなことはやめるといたしまして、これだけのけが人があるのに、何ら上司に報告しないという警察官の職務執行というものを、人権擁護局の立場から考えてどう御判断なさいますか。この点、厳重に警察当局に人権擁護局は何か御処置なさるお考えがあるかどうかもあわせて伺います。
  45. 鈴木才藏

    説明員鈴木才藏君) 今までのお話でございますが、明らかに、先ほども申しましたが、警棒使用等の規程の趣旨、また規程そのものの違反のように思いますので、私の方では、警察関係、それから浦安方々、この関係方面全部今調査にかかっているのであります。もしもそういうような法規の順守の破壊が——警察側でありますが、そういう問題がありましたならば、私の方といたしましてとり得る勧告、その他の処置をとるつもりでおります。
  46. 加瀬完

    ○加瀬完君 人権擁護局の立場から、留置場での佐藤金蔵さんのことは御調査になられているようでございますが、その他にも、今私が幾つか例をあげましたが、警棒によって、警棒等使用規程に反する行為まで御調査していただきたいと思いますが、調査していただけますか。
  47. 鈴木才藏

    説明員鈴木才藏君) 今申しましたように、警察関係についてもそういうことを今調査しております。
  48. 加瀬完

    ○加瀬完君 いろいろその他の委員の御質問もございますので、きょう東京都から参考人としてお二人の方がいらっしゃいましたが、こういう事態というものの根源を——もう少し行政指導をはっきりさせる必要があるのじゃないか、意見がましくなって恐縮でありますが、意見としてそう考えております。そこで、無害が立証されるまで操業は認めない方針であると、こういう新聞発表もございましたし、ただいま御説明もございました。立証はどういう方法でするのか、今までも無害であるというようなことであいまいのうちに流されておった。これからの一体無害であるという立証はどうするのか、それから、その立証がされるまでは完全に中止させるというが、どういう方法をおとりになるのか、それが第二、第三のこういう問題を起させない基本的の点でもございますので、東京都の方にその点お答えいただきたい。
  49. 関晴香

    参考人関晴香君) その点につきまして先ほども御説明申しましたが、これらの調査は、会社側でやっております調査もございますし、私ども調査もございます。さらに千葉県側で作った調査もございます。千葉県側と東京都側の調査は大体同じような結果が出ておりますが、会社側調査結果は違っているようでございますので、これはやはり、こういう設備が完備されたと認められたときに、三者側で、漁民も立ち会いのもとにその水を取って、そうしてその水で検査をする。その結果、無害が判明するまでは操業させないというつもりでおりますが、会社側もその点につきましては了承いたしておりますので、水を出さないことと思います。  検査の方法でございますが、これはやはり水質検査並びに生物検査を実施させたい、かように考えております。
  50. 小林武治

    委員長小林武治君) 何か特別に御意見ありますか。特に御発言をいたしたいと、こういうことであれば、ごく簡単に……。
  51. 柳町金太郎

    参考人(柳町金太郎君) これは加瀬先生にお願いしたいことでありますが、先ほど人権擁護局長からのお話では、公務執行上やむを得ざる場合の措置だと、こういうふうに申されましたが、私は何にも別に暴力をふるったのでなく、暴言も吐いたのでもないにかかわらず、しかも警察官の皆さんに懇請して、ぜひしずめてもらいたいというその態度に対して暴力をふるったということに対しては、どういうふうな措置でいくか、この点、加瀬先生に御質問していただきたいと思います。
  52. 小林武治

    委員長小林武治君) ただいまの点は、もう先ほどの御質問の中に入っておりまするので、何か特にあなた御質問になることがあれば……。
  53. 加瀬完

    ○加瀬完君 今、柳町参考人から、重ねて私を通して聞いてもらいたいという意思表示がございましたので、人権擁護局長に今のような問題はこれからどう対処されていただけるものか、おそれ入りますが、もう一度重ねてお答えをいただきます。
  54. 鈴木才藏

    説明員鈴木才藏君) 先ほど参考人の方の御質問では、私が、今回の事件は公務執行上やむを得ずしてやったというふうな認定をした発言があったのですが、そういうことは申しておりません。本件の事件につきまして、特に工場内に発生しましたこの事件の騒擾の際に、こういう騒ぎの際における警察官の警棒使用の件、それからまた、佐藤金蔵さんの重傷を受けられておる場合の留置場の処置、そういうものに対しましては、ただいま慎重に調査をいたしておりますので、調査の結果を得ましてから、また御報告いたします。
  55. 小林武治

    委員長小林武治君) 玉村参考人にちょっと伺っておきたいのですが、警察官も相当に負傷者が出た。この負傷の原因あるいは負傷の態様、そういうものについて、さっきお述べになっておればいいが、その点について承わっておきたいと思います。
  56. 玉村四一

    参考人(玉村四一君) 警察官の負傷は、総計一週間以上の負傷が三十七名でございます。その大部分が投石による負傷であります。一名は生命危篤という状況であったのでありますが、現在入院治療中でありまして、これは生命には影響がないという現在の状況になっておるのであります。負傷状況はそういうことであります。なお、報道新聞の方が三名、これも投石による負傷であります。それから工場の従業員が三名負傷しております。
  57. 小林武治

    委員長小林武治君) ただいま加瀬委員から、そのあたりには石があるまい、こういうことを言われておりますが、その点はどういうふうに解釈されますか。
  58. 玉村四一

    参考人(玉村四一君) 工場の中には、 (「工場の外だ」と呼ぶ者あり)中の話でございますが、投石されたのは中であります。工場の中にはコンクリートを割った石が、こういうこれだけの大きさ、とれぐらいの大きさ、それで玉砂利といいますか、こんなくらいの砂利石が、道路を埋めるために作って置いたものか、あるいはその辺の工事をやったあとのかけらでありますか、そういうようにコンクリートのかけらも相当あるのであります。現場のその後の写真を見ておりましても、そういうものがずいぶん掘り出されておるということは事実であります。それから、ちょうどすわり込んでおった現場は、たまたまそういう石ころなどの多い場所でありまして、先ほど申し上げましたように、散発的に、六時十何分から九時半ごろまでの間に十回くらいの投石があったというのは、その付近に石ころが非常にたくさんある現場であります。なお、工場の外と中には約二メートル足らずの木がずっと並んでおるのでありますが、その木につっかい棒がしてあった。その棒を全部抜かれておる。そういうものも工場内に散乱しておるというのが実情であります。
  59. 小林武治

    委員長小林武治君) もう一つ伺っておきたいが、先ほどの加瀬委員の質問の中では、後頭部あるいは背後に対する負傷が多いと、こういうことですが、あなたの想像では、どうして背後にそういう負傷がこういうふうにできたか、あなたはどういうふうに御解しになりますか。
  60. 玉村四一

    参考人(玉村四一君) 先ほど加瀬先生ですか、お話では、ぶんなぐったという言葉をお使いになったが、警察官が集団で相手の集団とぶつかって、わあっと押して行ったのでありますから、お互いにもみ合っておる状況で、従って、それがあちこちにそのときに当るということはあり得ると思われますが、ぶんなぐったという状況につきましては、私はずいぶん調べたのでありますけれども、そういう事態はなかったという報告であります。
  61. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は、ここに集めました診断書によって病名を検討いたしまして、そして主として多くの者が葛南病院で診断を受けておりますので、この病名について診断書を出した葛南病院の医師がどういう検診をしておるかということを伺ったのであります。そうすると医師の見解は、こん棒ようのものでなぐられたと推定されると、こういう見解がなされておりますからそう申し上げたのです。それから、本人の申し立てを全部調査して、ここにありますが、これはもう、しかも百名以上がありますが、全部なぐられた。中には、この騒動の中には入らないでバスの近くにおってそしてあまり騒ぎが大きくなって出てきたら、追っかけてきた警察官になぐられた。おれは何もしないじゃないかと言ったら、何をこの日この辺にうろうろしておるのだといって前額部をぽかっとなぐられた、こういうことを申しておる。これは人権擁護局で客観的な立場で御調査をいただければ、玉村さんのところに御報告になったことが事実であるか、私の申し上げておるのが事実か、よくおわかりになると思う。これは調査していただきたい。しかも玉村さんのところには、これだけのけが人をこしらえておって報告はないじゃないですか。報告もしないような、これだけの重傷者が何名という、一カ月以上の者が十名以上ありますよ。そういう傷害を与えておきながら、警棒使用条例の規程の中にもあることすらもわかっていないような警官が信頼できますか。この問題では、私は信頼できないと思う。これは私とあなたと議論するよりも、第三者の人権擁護局の立場でよく御調査をしていただいて、あるいは検事局がほんとうの意味で御検討いただければ、いずれの日にかはっきりすると思う。第三者に私はまかせます。
  62. 占部秀男

    ○占部秀男君 私は、警察部隊の出動のあり方についてちょっと質問をいたしたいのでありますが、その前に都側にちょっと御質問申し上げたい。  それは、六月の六日の日に、その前日の五日の日に、都の水産課千葉県の水産課との合同の調査の資料に基いて検討した結果、六日の日に都の建築局設備課と都の経済局水産課から、口頭をもって会社側に対して汚水放流をやめて、一時中止をしろ、こういうような勧告をしたということでありますが、これは事実でありますか、簡単でけっこうでありますから……。
  63. 太田久雄

    参考人太田久雄君) これは六月五日に船を出しました調査の結果を、六月六日すぐに復命を聞いたわけであります。それで、シオフキが弱っている、それから漁民の心が非常に激高しているというので、すぐに呼びまして、先ほど申し上げましたように堀専務小坂顧問を来ていただいたわけで、——もう少し詳しくお話しますというと、ちょうどそのときに小坂顧問が来ておりましたので、小坂顧問だけでは徹底しないので、堀専務に来てもらいまして、口頭で強く要請いたしたわけであります。
  64. 占部秀男

    ○占部秀男君 なお、公文書その他でそういうような差しとめというか、一時流すのをとめろと、こういうようなことを出したのはいつでございますか。
  65. 太田久雄

    参考人太田久雄君) 六月十一日の日でございます。
  66. 占部秀男

    ○占部秀男君 なお騒動の起った当日の十日にも、会社側を呼び出して、同様にいろいろと勧告をしている、こういう事実があるというのですが、それは事実でありますか、事実でないのですか。
  67. 太田久雄

    参考人太田久雄君) 六月十日の日に、浦安漁民の方と議事堂の前に会いましたのが四時半か五時の間だと思います。そのときに浦安漁民代表の方が、現に稼働している、こういうふうに私は聞いたわけです。それでは約束と違うというて、部長と二人で行ったわけです。
  68. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、十日以後は汚水はとまっておるわけでありますか。
  69. 太田久雄

    参考人太田久雄君) そのときに工場に行きまして、工場長に、機械はとまっているかと、すぐに事務室に入りまして聞きましたら、とまっております。それでは現場を見ましょうと、参りまして現場を見ましたら、事実とまっておりました。あとから工場長に聞きましたら、ゆうべと申しますか、きょうの午前一時半ごろまで稼働した、こういうことであります。
  70. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで玉村さんにお伺いをいたしますが、この問題で小松川の方から警視庁の方に対して内容的な報告がたびたびあったと思うのでありますが、報告内容はけっこうでありますが、しょっちゅう連絡的には報告はあったわけでありますか、十日以前……。
  71. 玉村四一

    参考人(玉村四一君) 十日以前のことでありますか。
  72. 占部秀男

    ○占部秀男君 ええ、そうです。
  73. 玉村四一

    参考人(玉村四一君) それは小松川の警察からも報告がありますし、私の方の係の者からもときどき、そういう深刻な問題が起きているという報告を聞いております。
  74. 占部秀男

    ○占部秀男君 それからもう一つお伺いをいたしたいのですが、都の方で、これは汚水漁民に及ぼす影響ということを考えて、今のように中止を勧告をして、まず漁民と話し合って問題を解決してから流すようにという勧告をしておるわけですが、こういう事情ももちろん、警視庁の方としては小松川の署、あるいはあなたの方から直接という形で、御承知であったと思うのですが、その点はいかがでありますか。
  75. 玉村四一

    参考人(玉村四一君) 実は私の方からも、都が勧告をする前に、都側としてはどういう態度をとられるかということを、係を派遣して伺いにやったこともあるのであります。それで、そういういきさつもありますので、先ほどお話がありましたように、口頭でとめるという勧告があったということも承知をしておりますし、それから十一日に文書でそういうものが出たということも承知をしております。小松川警察署といたしましては、工場長に対しましてそういう勧告もあったことであるから、無断て放流をせぬようにということは警告は発しております。
  76. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで十日の日にああいう事件が起りまして後には、再びああいう事件は起っていないと思うのでありますけれども、その点いかがでありますか。
  77. 玉村四一

    参考人(玉村四一君) ああいう事件というのは……。
  78. 占部秀男

    ○占部秀男君 会社のいわゆる擾騒事件的な、漁民がずっと乗り込んで行ってわいわいやるということは、十日以後は起っていないと思うのでありますが、その点はいかがでありますか。
  79. 玉村四一

    参考人(玉村四一君) そういう事態はございません。
  80. 占部秀男

    ○占部秀男君 それから、組合長さんと柳町さん、どちらでもけっこうなんでありますけれども、お伺いしたいのでありますが、皆さんの方で、この汚水というものがこういう形でわれわれの方には困るので、従って漁民方々が騒いでいるのだ、こういうような情勢について、小松川署の者あるいは署長と話し合いをしたようなことはないかあるか、この点をお伺いしたい。十日以前にですよ。
  81. 佐久間菊藏

    参考人佐久間菊藏君) それは五月二十四日の小ぜり合いと申しますか、マンホールのふたをあけて水路をふさいだ、その日は五月二十四日でございますが、その後警察へ上りまして、今までの本州製紙による汚水被害と、そのかけ合いの状況を報告しております。それで松田署長さんの言われるように、ともかく政治の中心地ではあるし、文化の中心地である東京と、千葉県側の方ももちろんだが、私どもの管轄は小松川署でありますので、再三その点について署長さんとみずから懇談いたしまして、注意を受けましたので、実際におきまして、千葉県側と合流する寸前でございましたが、地元代議士あるいは諸先生方からの懇望もございましたので、そういったことは未然に防いだような格好でございますが、実際において漁民は一触即発と申しますか、十日の日に千葉県とあの団体に合流する手配までなってしまったのでございますが、そういったことでございます。
  82. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、今度は六月ですが、六月の六日に都がそういう勧告をしたら、一時黒水は午後の十一時にとまった、みんな非常に喜んだ、その状態が七日、八日も続いて、非常にこれは喜んだ。ところが、九日の日になって、町民の大会ですか、町村議会ですか、開催中に、会社側から流すと言ってきて、この水がまた流れてしまった。こういう経過は、その通りでありますか。
  83. 佐久間菊藏

    参考人佐久間菊藏君) さようでございます。
  84. 占部秀男

    ○占部秀男君 その通りですね。さらにその前に千名以上が五月二十四日に会社側へ行って、一つの騒ぎをして、小松川署からも百名以上の警官が出てきたということを私聞いておりますが、そのときに会社側の方では、一応この問題に対して黒い水は流さないようにしようじゃないか、こういう約束をした、こういうことを聞いておるのですが、その約束がさらに破られたのだということも、こういうことも聞いておるのでありますが、その点もその通りでありますかどうか、お伺いしておきます。
  85. 佐久間菊藏

    参考人佐久間菊藏君) それはその通りでございます。——訂正いたします。私も参りましたが、先ほども申しましたが、二十四日の小ぜり合いのときは千人は参りませんです。約三百人から三百五十人、合計四百人程度でございます。それから、その会見の結果、代表者五、六名、会社も新旧工場長も会談をいたしまして、事務室で白い水を流す機械はともかくもやらしてほしい、黒い水に対しては絶対に交渉において妥協できるまではしませんということをはっきり申しております。
  86. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで最後に当日の問題ですが、あの新聞を見ますと、皆さんが何かバスに乗って会社の方へ来られて、わあという喚声をあげてへいを乗り越えて向うへ入られたということ、こういうことを書いておるのですが、いずれにしても、皆さんが着かれてから後に、小松川の署長さんと皆さんとの間で話し合いなり何なり行われた事実がありますか、ありませんか。あるとすればその内容を知りたいし、ないとすればそのままでけっこうでありますが、いずれでありますか、その当日ですよ。
  87. 佐久間菊藏

    参考人佐久間菊藏君) 私は先ほども申し上げました通り浦安の部隊とは合流しませんで、東京都側でございますので、あとからはせ参じて、お見舞の形で上ったわけでございますが、そのときに私は工場の中へ、警官のたくさん警戒している中へ、名刺を出してお願いしまして、私一人だけ中へ入りまして、松田署長さんの前に行きましたが、とにかくあれだけの騒ぎでございますので、陣頭指揮と申しますか、署長さんは腕を組んで、いわゆる白像のごとく黙っておりました。そこで浦安組合長並びに浦安理事の方が二、三人いろいろこのことについて話し合っておりましたが、何にいたしましても騒然としておりますのでよく聞き取れませんでしたが、その内容はともかくも、検束された方をすぐ返してくれれば全部引き揚げるから、それをすぐ返してくれというような交渉のようでございました。
  88. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで玉村部長にお伺いしたいのでありますが、石井長官は本院の法務委員会の席上へ出て、警察側が出動したのは警察が自発的に行なったものであると、こういうように証言をされておるわけでありますが、何の目的があって自発的に行われたか。
  89. 玉村四一

    参考人(玉村四一君) 先ほど申しましたように、工場内で平穏に問題が解決すればよいのでありますが、二十四日の小ぜり合いの問題、当日の国会周辺の状況等から、ああした事態が起きるのじゃないかということで、起きた際にそれを最小限度に制止をするつもりで、警察の判断によって部隊を出したのであります。
  90. 占部秀男

    ○占部秀男君 ああした事態が悪化するのではあるまいかと、そのために、それを一つ治安の上からも何とか制止しなくち心、ならぬし、警備もしなくちゃならぬ、こういうことで出てきたというのでありますが、そうなりますと、私は警視庁にお伺いしたいのですが、同時に警察署にも一つお伺いしたいと思うのでありますが、この扱い方の問題で、私は警察側に非常に手落ちがあるというふうに考えるのです。それはなぜかというと、警察庁を通じて警視庁側からいただいた「参議院地方行政委員会に対する提出資料」というこの資料によりますと、自発的に出られた目的は、あなたが今言われた通り言われておる。その中の第一段階としては、群集による不法行為を未然に防止するための警戒措置として出たのだ。第二段としては、ああいう事件が起きてしまったので、これを制止、鎮圧するためにやったのだ、こういう二段がまえの理由が出ておるわけです。私、一番大事なのは、第一段階の群集による不法行為を未然に防止するための警戒措置として出たということが、今度の小松川署初め皆さん方の警察部隊が出た一番大きな目的だったろうと私は思うのです。そこで、もしもこれがほんとうにこういうことであったならば、第一の問題のどういうところに問題があって、その問題をどういうふうにしたならばそういうような騒擾事件が起らないかという根本的な問題を、もっと親切に小松川なり警視庁なりが考え、処置をすべきではなかったかと私は思うのです。というのは、今度のこの問題が、もう汚水がああした形で流れておるということが、もう全体としてはわかり切ったことであって、しかも会社側漁民側汚水を流さないという約束がたびたびこれが破棄されておる、こういうところから漁民側の皆さんが大いに激高しておる。しかも、単に漁民会社側の私的な会談だけではなくて、東京都と千葉県というような行政機関で一定の調査を行なった。しかも法律に基く勧告をしておる。こういう事情は、警視庁も小松川署も知らないわけではない、今のお話でも知らないわけではない。そこで、むしろあなた方が、この工場の方に部隊を待機して、その騒擾を未然に防止しよう、そういうことをする前に、そういうふうな実力行使を漁民の方に行う前に、行政勧告までされておるところのそうした事件を、何よりも全く不法にやはり流しておるその会社側にあなた方の実力行使をすることが、私は第一番ではないかと思うのです。はっきり言うならば、警視庁並びに小松川の警察署は、こういうような事態が今、国会の方で起っておって、それが都庁へ来て、しかも今、会社側へ来ようとしておるのだから、小松川としては、汚水は今後問題がはっきりとするまでは、東京都や千葉県の言うように、行政勧告をしておるように、はっきりとするまでは、小松川署並びに警視庁としてはこの汚水を実力行使をもってとめる。そこまであなた方がやった後に、それを聞かずに漁民がわあっと押し寄せたというならば、私はこれは漁民の方が悪いと思う。しかし、そういうような手順も踏まず、そういうようなことも漁業組合方々には何ら親切的に行わずして、この警察の、このあなた方の提出資料によると、あたかも漁民だけが何かわけのわからない百姓一揆や暴力行動のように会社へ押しかけた。だからわれわれは、この騒擾を未然に防ぐために警察隊を出した、そしてやったのだ。こういうような報告ではわれわれ納得できないのです。少くともその前に手順の、ある手順を踏んでから後のこういう報告ならば、私は納得できるけれども、そういう点については小松川の警察も警視庁も何らしていない。これは私は、漁民組合の方は現地に行ってずっと調べてきました。していない、そういうようなやり方自体に、私はこういう騒擾事件が起った一番大きな問題があるというふうに考える。それが警視庁並びに小松川署の大きな手落ちであった。そういうこともせずに、むしろ警察官を待機せしめるということは、漁民に対して言い方によっては挑発行為を警察は行なっておる。これは言い方は私は悪いかもしれない、あなた方はそういう気持はないということはよくわかっておるけれども、第三者の私たちからすると、むしろ挑発行為を行なっておる、こういうふうにすら私は思うのです。その急所の点について、あなた方は警視庁の中で、あるいは小松川署の中で、そういうことを協議したことがあるかないか。現場の汚水が問題であるから、都の行政勧告を合法的にこれを実行させるために、会社側のこの不法をやめさせるために、そういうことについて努力した事実があるかないか、協議した事実があるかないか。さらにあったとしたならば、その経過漁業組合方々に話し合ったことがあるかないか、そういう点についてはっきりと一つお答えを願いたい。
  91. 玉村四一

    参考人(玉村四一君) 工場側汚水放流に対しまして、警察は何らか処置を講ずべきでなかったかという御意見でありましたが、御承知のように、この工場公害防止条例というのがございまして、これによって行政官庁は、知事が命令を出しますると、その命令に従わすためには警察は行動ができるのであります。ただ、その工場関係につきましては、御承知のようにこれはもっぱら都庁なりあるいは県なりというところがこの工場関係のことを担当しておるものですから、その放水することについて警察で防止したらいいじゃないかということも申されまするけれども、実はそのような権限がなかったのでありまして、ただしかし、放任しておったのかと申しますと、実は先ほどお話がありましたように、都庁の課長電話で当分放水をせぬようにというような勧告をされたというようなことを聞きました直後に、私が課長に言いつけまして、小松川署長にも言いつけまして、そのことについて工場側に対して、そういう勧告が出たんだから無断で放水することはせぬようにという、これは事実上の問題ですから、事実上の警告はしておいたのであります。
  92. 占部秀男

    ○占部秀男君 まああなたは権限のことを言われておるのですが、この工場関係の権限の問題で言えばそうかもしれませんけれども警察が実際こうしたいろいろな問題にタッチしておる場合に、たとえば労働運動の問題であるとか、いろいろな問題になると、それは一々の例をあげてくれというならばあげますけれども、権限等の問題でも、やっておる事実はたくさんあるのですよ。問題はただこの問題だけではないのですよ。それは事実の問題として、あなた方が会社側に言っていったその親切心があれば、なぜ警視庁は、それを会社側に実行させるから、それだから皆さんはへいを乗り越えてこの中に入るのをやめなさいと、こういうようにその当日、なぜ、私は、その小松川の署長なりあるいは方面隊の隊長が行ったものかどうか、僕は知らぬけれども、そういう人たちが、集団で行かれた方々と話し合わなかったか。こういう点が不思議でならないのですが、そういう点はどうして話し合わなかったのですか。
  93. 玉村四一

    参考人(玉村四一君) 当日ですか。
  94. 占部秀男

    ○占部秀男君 ええ、当日です。
  95. 玉村四一

    参考人(玉村四一君) 先ほども当初に説明いたしましたように、話し合うという機会がすでにもうなかったのでありまして、行動が先に起きてしまって、そうして警察官がかけつけたのが、すでにもう百数十メートル入って行動を起した後であった。しかしながら、その後におきましても、先ほども説明申し上げましたが、署長及び本部長は、町長、その他の者としばしば話をしまして、何とか平穏に事がおさまるようにということで協議をしたことは事実であったのでありますが、しかしそれが事志と違う、事実それが効果がなかったという結果になったのであります。
  96. 占部秀男

    ○占部秀男君 非常に私はしつこいですがね、確かに効果がなかった結果になったというその点については私は了承します。しかし問題は、効果がなかったというその結果に至るまでの経過において、あなた方が事実その問題を防止するために、どれほど警察として、警視庁として手を尽したかという問題です。私が言うのは、会社側汚水を流さない、それを警視庁なら警視庁が、小松川署なら小松川署が、私たちの責任において流させないから、あなた方はあまり騒がないで下さい、そこまで言えば、あなた方が、資料で提出したように、治安上の理由から、いろいろな問題からこういう紛争を起したくない、そういう目的に合致した仕事ができるわけです。それを単に権限上の問題でないからといって、自分たちが権限上の問題でないからといって振り向いてしまっている。こういうことなら話は別ですけれども、それはあなた方だけの問題ではなく、警察庁の問題にもなるでしょうし、その上の上部行政機関の問題にもなるでしょうけれども、事実問題としては、そこまでやはりどんな場合でもやっているんですよ。いなかの水争いの問題、農村の水争いの問題一つとってみても、事実上警察署長がいろいろ法律上の権限の問題でも、話し合いの中に入ってまとめておる事実は全国至るところにあるじゃないですか。あれはお百姓さんの水争いの問題であり、これは工場関係であるから別だと言えばそれまでですけれども、要は同じなんです。もう少し警視庁なり小松川署が、私たちに言わせると、単に会社側に立って、わっと押してくるやつを単に押し返しておる、そういうことでなくて、もっと本質の問題に進んで、この汚水の問題をどうするかということについて、あなた方は積極的に——私は干渉せよとは言わない。干渉せよとは言わないが、しかし、やはり治安をあずかる自分たちの責任から、その立場の上からこの題にもっとタッチしてやれば、こういう問題は未然に防げた問題だと思うのですが、その点に対するあなたの御見解はいかがでありましょうか。なお、石井警察庁長官が来ていないようですが、その次の方でもけっこうです。一つあとで御意見をお伺いしたい。
  97. 玉村四一

    参考人(玉村四一君) 先ほどから申し上げておりますように、まあ権限の問題ということでおかしいというお話でありますけれども、事実私たちは、どうか工場公害防止条例によって確たる行政処分をしてもらうということを期待をしておったのでありまして、その正式の命令がありましたならば、おっしゃったように防止されるように、また、きつく監視をし、また刑罰法規によって処罰しようというつもりでおったのでありますが、従って、主管の行政官庁がそういう行為を行なってもらいますために、小松川なり、あるいは水上署なり、あるいは私の方から、いろいろとごたごたしているという情報は、都の方にも差し上げて参ったのであります。そういう状態であったことを申し上げます。
  98. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 先ほど警視庁の警備部長からお答え申し上げましたように、この仕事の事柄は、これは東京都が直接におやりになる問題であります。もちろん、それが警察の治安上の問題になるおそれのあるような場合には、警察といたしまして、いろいろの観点から、その間に立って適切な措置をとるということは、先ほど警備部長が話しましたようにいたしております。たとえば工場側に対しましてですね、別に法令上の根拠に基くということでなしに、事実上の警察措置といたしまして、そういう汚水を流さないようにということは申しておるわけであります。しからば当日あの事態を未然に防ぐ方法はなかったかということでございます。先ほどから警備部長からお話があったと思いますが、国会に陳情に参られまして相当な問題があった。さらに都庁の方に陳情に行かれた。で、当日は、何でも本社の方に陳情に行かれるという御予定が急に変りまして、工場の方に全部で行かれるという。警察といたしましては、当日、工場に行かれるということは予想いたしておりませんでした。これは漁民の方も、四時半ごろになって急に予定を変更されたということであろうと思います。そこで工場側に行かれるということになれば、直接の現場でありますから、いろいろの問題が起る心配があるというので、そのときに初めてこれは警察として何らかの措置をとらなければならないということになった。そこで急いで部隊を現地に派遣をいたした。で、部隊の配置につきましても、たとえば正門の前に配置をて、そして正門から入るのを防ぐという方法もこれは考え得ることでありますが、警察官を多数正門の前に配置をするということでは、かえって工場に対する漁民方々の気持等から見て、かえって刺激してはいけない。工場側でも、刺激しないようにという配慮がら、特に警察官が配置されているということがわからないように、工場の中、正門から二百メートルも離れた食堂の中に、姿を見せないようにして配置をしている。配置が済みましたのが、それは五時半過ぎでございます、五時四十分近い。漁民方々が着かれたのが六時八分と聞いておりますが、正門の前に着かれた。そして車をおりられて、正門あるいはへいを乗り越えてどっとなだれを打って入られた。そして入る途中のいろいろな工場事務所、倉庫等のガラスをこわし、中をいろいろ破壊されて、そして百数十メートル中に入ってみえて、警察が態勢を整えて出たところで正面で対峙したということでございまして、どうもその前に、警察の指揮者と何らか話し合う時間的な余裕なりチャンスがあればよかったと思うのでありますが、事情はそういうわけでございまして、当時、今から考えましては、はなはだこういう事態が生じましたことは残念ではありますが、もう警察といたしましても、やむを得なかった事情があったことを御了承願います。
  99. 占部秀男

    ○占部秀男君 部長さんからそういうお話ですが、先ほどの加瀬さんの例を見ても、まああなた方はあなた方なりの立場があるかもしれません。われわれから見たところによれば、非常にひどい扱いをしている、こういうふうにわれわれは考える。そのことと関連をして、どうも警視庁あるいは小松川の現地の署の親切心というか、こういう問題に対処する、実際治安を守る心がまえというか、そういうものに私は欠けているような気がしてならないのです。ただ法律的な権限の問題を言われてしまえば紙一枚の問題で、字の書いたものですから、それを機械的にやればそれ相応で済ませるでしょうが、それだけでは治安問題というものは解決できないということは、私が言うまでもなく、くろうとであり、その方のエキスパートであるあなた方はとっくり御承知のことであると私は思うんです。そうであるから、私はこれ以上はこの問題については申し上げません。二度とこういうことのないように、やはり治安問題は生きた問題ですから、そういうような方向で一つやってもらいたいと思うのです。  最後に一つだけ私は確約してもらいたいことは、今後こういう問題は起らぬと思う。起らぬと思うのだけれども会社側の今までのようなやり方を見ていると、また流すかもしれない。そういうときには、今度は警視庁は二度とああいうことのないように、はっきりとした実力行使を一ぺんくらいは一つ会社側にやってもらいたいと私は思うのですが、こういう点について一つ明確に御回答を得たい、警視庁でも警察側からでも……。
  100. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 今、東京都の方にお伺いいたしましたら、現在中止を事実上の行為として勧告をしておられるということであります。警察といたしまして、これは条例に基いてはっきり措置をいたしますには、法令上の根拠に基いた措置をしていただきたい、かように思います。
  101. 阿具根登

    ○阿具根登君 ただいまの御質問、前にさかのぼるのですが、ただいま言われた通りだと私は思うのです。それでこの問題を考えてみると、すでに二カ月前にこの問題は根を発している。その場合に都に私はお伺い一、二するわけですが、都の方には四月の六日ごろから、こういう悪水が出てきたということを漁民の方からすでに陳情があっている。しかも五月の二十二日には都の方から、この悪水を、水質の検査の結果を見なければ希望に沿うことができない、こういう御返答があっているようですが、どうやら都としては、その水質の結果がわかるまでは、現在被害を受けておる漁民から陳情があっても、これをとめることができなかったのであるかどうか。会社側の許可を優先に考えられたのであるか、あるいはこれが汚水であって、魚類、貝類に被害を及ぼすか及ぼさないかわからないときには、放水を許可するのが都としての考え方であったのかどうか。  私の考えを申し上げるならば、そういう被害を与えるようなおそれのある場合には、そのおそれがないと判明するまでは放水をとめるのが先ではなかったろうかと思うのですが、その点どういうふうな御解釈でこの陳情をお受けになったか。その点、お二人の方、どちらでもけっこうですが、お述べ願いたい。
  102. 関晴香

    参考人関晴香君) 漁民からのそういう陳情がありまして、私どもといたしましては、おそれがあるというだけでは命令は規則によりまして出せません。やはりこれはだれでも納得する結論が出てからでないとそういう行政命令は出せませんが、しかし指導といたしましては、私どもは、五月八日には会社側に対しまして、これは精密検査の前でございますが、一応工場を視察し、付近を視察しまして、これは刺激するから流さぬ方がよろしいということを申して参っております。ことに漁業調整規則でいきますと、これははっきりした、だれもが納得する結論でないと、こういう命令は出せないと私どもは思っておりますが、それでは不十分であるということで、ただいまのような指導も行い、さらにその後におきましても、口頭勧告建築局より出る前におきましても、会社側に再三そういう事情を要望いたしてきております。
  103. 阿具根登

    ○阿具根登君 放水を禁止するというようなことは、条例でとめるということは、だれもが納得しなければできないとおっしゃる。そうすると、それが悪水であるといって騒がれた場合は、だれもが納得しないでもよろしいという逆論が立ってくるわけなんです。そうすれば加害の立場、加害者の方には、だれもが納得しなければ、たとえ加害者の立場になってもとめることはできない。被害者の場合には納得しなくてもこれはとめることができる、こういう裏言葉になりますが、それはどういう根拠で言っておるのか、伺いたい。
  104. 関晴香

    参考人関晴香君) 私の言ったことがちょっと足りないかと思いますが、私の申したい要点は、だれもが納得する——試験の結果、確かにこれは悪水であるという結果が出れば、これは命令は出せると思いますが、だれもが納得するということは、一応正常な、正当な試験の結果というふうにお取り願いたいと思います。
  105. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は、あまり詳しくないのですが、漁獲高の統計表を見てみましても、非常に漁獲がこの後落ちているというように出ているようでございます。そういう現実もあっておるようであるし、その沿岸の漁民から、非常にこういう悪水が流れてきたために、魚介類が少くなったという陳情を受けておる。それにもかかわらず、水質検査の結果が出てこないからこれをとめることができないと言われる。その根拠が、私とあなたと意見が食い違っておるようであるから、それが法的な問題であるかないか、はっきり示していただきたいと思う。
  106. 関晴香

    参考人関晴香君) ただいまのは法的な原因でございます。漁業調整規則によって命令する場合、はっきりと検査の断定ができなければそういう行政処分はできないと考えております。ただ、そういう損害につきましては、再三会社側にも現在まで、水をとめるまでに及ぼした被害等があった場合には、必ず補償をするように、これは補償しなければならぬ問題だというふうに指導はいたして参っております。
  107. 阿具根登

    ○阿具根登君 それから建築局指導部長さんの談話が新聞で発表されておりますが、それは都の立場としては、介類の保護ということを主にこういうことを許可されるのであるか、それとも、そうでなくて、当事者同士が話し合えばそれでいいんだ、こういう大体考え方でこの都条例を実施されるのであるかどうか、それをお伺いしたいのです。それは部長さんの談話では、会社漁業組合と話し合って、一切迷惑をかけないと言っておったじゃないか、それにもかかわらず、こういう迷惑をかけてけしからぬと、事件が起ってから言っておられますが、二カ月前のこのことを私は尋ねておるわけなんです。だから、どういう考え方で都条例を適用されるようなお考えであったか。
  108. 太田久雄

    参考人太田久雄君) 東京条例は、騒音、煤煙、振動、廃液、その他の著しい公害があった場合にと、こういうふうに規制しておるんですが、たとえば騒音にしましても、ある程度の基準がなくちゃいけないじゃないかというので、内規的に持っておるのでございますが、振動も、著しい振動はどの点からだ、これは非常にむずかしいんですが、いろいろ学者の御意見も伺いまして、ある程度の線は出ております。ところが、工場からの廃液については、なかなか基準がむずかしいのでございまして、現在、法律放流水の水質というのを表わしているのが、清掃法で屎尿浄化槽から出る放流水の水質基準が一つあるだけのように記憶しております。現在、下水道法ができまして、政令で放流水の水質基準が生まれることになっておりますが、その点が非常に私はむずかしいかと思います。卑下するわけではないのでございますが、この前の水質汚染防止法案が廃案になったように聞いておりますが、できるだけ私らはこの線に近づけたいとは思っておるのですけれども、一条例でもってこの点をぴしゃっと押えるというわけにはいかなかったわけです。また現在もその点はむずかしいと思います。ただ、中性であるか、酸性であるか、アルカリ性であるか、できるだけ色を消す方に持っていこうじゃないかというようなこと、あるいは浮遊物が少くなるような方法はないかというようなことで努力しておるのでございまして、たとえば、新しい機械が生まれた場合に、それが音がするものやら、あるいは振動があるものやら、あるいはどういう廃液が出てくるか、なかなかつかめないのでございます。それをあらかじめこの点はこれからというようなことで、ぴしゃりとなかなか押えにくい点がございます。
  109. 阿具根登

    ○阿具根登君 できたことを、前のことを繰り返してもしようがないのですけれども、なかなかむずかしいんだ、むずかしいんだということで、ついに二カ月もたってこういう事件が勃発しておる。ところが不思議なことには、この水質検査がはっきり有害であるときまったのは、この事件が起きた直後のように私は新聞で見たのですが、いつそれが決定されましたか、お尋ねいたします。
  110. 太田久雄

    参考人太田久雄君) 私らがそれを知りましたのは五月六日でございます。水上警察から連絡がございまして、それからさっそく、先ほどお話し申し上げましたように、とにかく漁民水産物に被害があるかどうかという調査をしていただきたいということをお願いしまして、そういう文書がないとなかなか命令が出せないので、できるだけ早く命令を出したいと、こう思ったのですが、天候、打合せその他に非常に手間取りまして、その先に、調査をした直後に私から口頭勧告をしたのでありまして、それを具体化して命令を出すには、やはり文書がないとできないので、少しおくれまして、六月の十一日になったような次第でございます。
  111. 阿具根登

    ○阿具根登君 私、簡単に質問して終りますから、簡単に一つ御答弁を願います。十一日に文書で出された、それはわかっております。だからその水質検査後、有害であるとわかったのは何日かと私は聞いているんです。
  112. 関晴香

    参考人関晴香君) 五月十三、十四日に試験を実施したわけでございますが、その結果も、やはり一応の結果が出ましたので、それを建築局連絡しましたのはたしか五月十六日であったと思います。これもほんとうに水質と生物試験でございまして、その後六月四日には、あわせて海面被害調査も行なっておるわけであります。
  113. 阿具根登

    ○阿具根登君 これは私どもの責任でもごさいますが、概して官庁の手続が非常に繁雑でおくれるということはわかっておりますが、これだけの問題をはらんでいるのが、五月十三、十四日ごろにはすでに水質の検査が終っておる、それがこういう大きな問題を引き起して、何十人もの人間がけがをするような目にありたその翌日に発令をされる、私は都の責任重大だと思うんです。しかし、ここで私はそういうことを言う場所でもございませんので申し上げませんが、ただ、先ほど占部君からも言われておったように、こういうことは未然にこの問題については防げておるはずである。それだけ早くわかっておるならば、しかもこの二カ月の期間の間に、私の手元にきている資料だけでも、相当皆さんに陳情されておる。相当空気も険悪になっておる。会社警察にそれを事前に通知して、警察はその前に会社に張り込むようになっておる。それに都側は何の都条例も実施しておらない。これだけの問題があるならば、都条例を早く出して、そして都から警察に、私は、こういう事態の問題については手続をとるべきであったろうと思うんです。そういう点についてどうお考えになるでしょうか。当然今の機構等から、このくらい長くかかってもしようがないんだ、もっと悪口を言えば、こういう問題が起らなかったならば、いつ出すかわからなかったんだ、こういうことになるでしょうか。それでは、これはやはり、先ほどば警察を責められて、警察の問題は加瀬君から十分言われております。これは当然黒白がつくんでしょうが、その原因になっているものは、私は非常に都側に責任があるんじゃないか。ここまで漁民をなぜ追い込んできたかという問題について、私は打つべき手があった。条例もきれいな条例ができておる。また関さんのお話では、十万円ぐらいのとは言われなかったけれども、非常に低い刑では守らないということを言われておったんですが、そういうことで行政を行う人があきらめていいのか、私は非常に問題が残されておると思うんです。一つ簡単に御答弁願います。
  114. 太田久雄

    参考人太田久雄君) 六月五日に、千葉県と東京都で調査した結果、とりあえず早く手を打たなければいかぬというので、私が本社側を呼びまして、すぐやめていただきたいと、強く要請したわけでございます。
  115. 阿具根登

    ○阿具根登君 これでやめますが、私のところのこの資料が間違っておるかもわかりませんが、六月の五日は、都庁と千葉県とで、工場の現場調査をやっておられて、六月の六日に、電話で中止勧告をされていると私は聞いているが、あなたは会社側に会って、五月の十五日に中止されましたか。
  116. 太田久雄

    参考人太田久雄君) 六月六日の金曜日に、私の机の前で、堀専務小坂顧問に強く要請いたしました。
  117. 阿具根登

    ○阿具根登君 そういう場合に、その前、二十四日にもマンホール事件が起っておる、これは相当険悪な空気をはらんでおるということで、都からは警察連絡されたことがございますか。
  118. 太田久雄

    参考人太田久雄君) 私の課の方で聞きましたのは、五月六日の水上警察側との連絡でございます。
  119. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 私きょうの委員会に限ったわけじゃない。今まで委員会で資料をいただくたびに感じておったのですが、遠慮しておったのですが、提出資料には調製責任者、これを一つ記入していただきたいと思います。私ども資料の利用価値、信憑性の点がありますから、この点、事務当局に要求申し上げておきます。いつも調製責任者がないので、私ども惑う。
  120. 小林武治

    委員長小林武治君) 本件に対する取扱いは、さらに理事会において協議することとし、本日は、この程度にとどめたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認めて、さよう取り計らいます。  参考人方々には、長時間にわたり種々貴重な御意見をお聞かせ願い、まことにありがとうございました。委員一同にかわりまして厚く御礼申し上げます。     —————————————
  122. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、占部君より、地方公共団体の臨時職員の定員化について質疑の御要求がありましたが、占部君に発言を許して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認めます。
  124. 占部秀男

    ○占部秀男君 課長に二つの点でちょっと簡単にお伺いしたいのですが、一つは、今度のこの次の臨時国会に、定員制を含めた地方公務員法を出す、そのための作業をしておるということをちょっと聞いておるのですが、自治庁として、そういうような形で現在やっておられるかどうか、その点ちょっと伺いたい。
  125. 今枝信雄

    説明員(今枝信雄君) 地方公務員法の改正の問題は、かねてからいろいろと議論はあるわけでございますが、何分国家公務員法の改正の問題との関連がございますので、今のところ、どうするかという結論を出しておりません。従いまして、御指摘のような作業ただいまのところは何らいたしておらないわけであります。
  126. 占部秀男

    ○占部秀男君 第二の問題は、ただいま委員長言われました定数外職員の定数化についての通達に関しての問題ですが、三月七日の日に、自治庁から臨時職員の方の定数化の問題についての通達が出ているわけです。そこで第一に、私の方でむしろこれは望みたいのでありますが、公共事業費支弁の臨時職員の方は、大部分七、八割までは工事雑費から給与費が出ているわけです。そうすると、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律がありまして、これらの者を本職員にせっかく自治庁の方でやっても、本職員に切りかえられても、財源関係からなかなか切りかえることはできない、こういう点については、何とか一つ自治庁の方で実際切りかえてやる、この問題だけで、この差別がつくというようなことでは困るので、従って、そういう点については便宜な何らかの一つ行政指導というか、あるいは措置というか、そういう点を一つやってもらいたいと思うのですが、この点についてはいかがですか。
  127. 今枝信雄

    説明員(今枝信雄君) ただいまのいわゆる公共事業の工事雑費から給与を支弁している定数外職員については、この問題は、地方公務員の場合だけでなしに、国家公務員の場合もやはり同じ問題があるわけでございます。その点につきまして、私ども実は、せっかく定数化するのに予算上の制約からできないというのは困るということで、非公式に関係の各庁とお話しをしてみたことがございます。ところが、国家公務員の定数内繰り入れの場合にも同じようにその問題があって、実は思うように定員化ができない。従って、地方公務員の場合だけ特別の措置を講ずることはむずかしい、こういうような結論になっておるのでございます。ただ、しかし将来の問題といたしまして、私どもただいま検討を進めておりますのは、同じ公共事業費と申しましても、農林省所管あるいは建設省所管、同じ建設省所管の中でありましても、道路費あるいは河川費ということで、それぞれ工事雑費の扱いが違っておるわけでございます。それを自治庁だけで全部どういうふうに調整するということは、実際問題としてむずかしいわけでございます。実は大蔵省の主計局とも話し合いをいたしておりまして、主計局の中で公共事業費なり事務費なり、工事雑費全般についてあらためて再検討してみたらどうか、こういう意見が出ておるわけでございます。従いまして、今回の措置にはちょっと間に合いかねると思いますが、来年度以降そういう問題について新しい考え方で再検討する、こういうことでございます。従いまして、さしあたりの定数化の問題については、各地方公共団体といろいろお話し合いをしておりますのは、工事雑費の中から振りかえなければならぬということになりますと、現実の使途は、定数内に繰り入れて、それの費用は結局一般の都道府県費で立てかえて支払う、こういうふうな措置を講ずるよりほかに仕方がないのじゃないか、こういうことになっておるわけでございます。
  128. 占部秀男

    ○占部秀男君 では今のような措置一つ指導的にお願いしたいと思うのです。  それから第二番の問題は、再建団体の問題ですが、標準定数を作って、これにかけてやろうというような自治庁のお考え方、実際再建団体は、再建計画上の定数といっても、実際問題として仕事はあるためにそれを来年に——再建計画上はそうでありますけれども、実際の減員というものはあとに延びる、こういう場合はたくさんあるわけですね。ところが、そういうようなことも機械的に含まれてしまって、単に再建計画上の定数だけでもって標準定数というか、ベース定数というか、そういうものを出されてしまうと、もうせっかくの臨時職員を本職員に切りかえようという場合にも、定数そのもののワクで縛られてしまう。そういうことで、私は悪い意味で言うのじゃなくて、お願いをしたいことは、二七%の基準は、これはあくまでもそういう基準であって、あとの事実上の指導は、それは自治庁の方もやるのでしょうから、幅を認めてやってもらいたいということが第一点です。  それから第二には、定数化すべき職員の条件の中に一、二、三、四、五と、いろいろな条件がありますけれども、これによると、いわゆる職員層が優先的であって、単純労働関係は何かこの中からはずされてしまって、まず職員層のその臨時職員を定数化してしまって、単純——いわゆる現場層はやらないという感じを受ける。それであなたの方では、そういう職種による差別はしないのだという点を通達なりあるいは行政指導なりではっきりとやってもらって、やはり条件のある者は、現場であろうが、いわゆる事務層であろうが、これは一定の率で定数化できる、こういうような措置を講じてもらいたいと思うのですが、この二つの点、簡単ででよろしゅうごさいますから……。
  129. 今枝信雄

    説明員(今枝信雄君) 再建団体における問題は、実はただいま再建方を私どもの方として協議をしておるわけでございます。標準定数というものは、正直に申し上げて作るわけにいかないわけでございます。標準定数と申しておりますのは、実は各再建団体の間で比較的アンバランスにならないようにという意味での尺度だと、こういうふうにお考えいただきたいと思います。  それから、再建団体の第二の点は、実は再建計画自体の中で減員計画が現在あるわけでございます。既定の定員を年次を追って削減していくその計画と、今度の定数内繰り入れということになりますと、これは具体的には定数増になります。従って、その定数増と従来の計画の定数減とをとういうふうにかみ合わせていくかということで、ちょっと実は各団体ごとに一々事情が違いますので、現在私どもでも協議をいたしております。その協議の結果に基いて、各団体ごとに個別的にお話し合いをしたい、こういう予定でございます。  それからもう一つ、最後の単純労務者の点は、先般の六月六日に全国の人事主管課長並びに全国の人事委員会の事務局長会議を開きました際にも問題になりまして、自治庁といたしましては、この通達に例示をあげておるものはあくまで例示であって、単純労務者と一般職員とを積極的に区別しておるつもりもない。従って、単純労務者を積極的に除外するつもりはないし、かといって、別に単純労務者を積極的に入れろという意思もない。それは各団体における単純労務者の職員の従来の取扱いとか、今回の定数内繰り入れの方針なり、それから具体的にはやはり勤続年数とか給料、学歴、そういうふうな職員個々の実態を見定めて定数化してもらわなければならない、そういうふうな言い方をいたしまして、特に、単純労務者だからという理由でこれを排除するというふうな取扱いはしないようにということを明確に申し上げておるわけでございます。
  130. 占部秀男

    ○占部秀男君 ありがとうございました。
  131. 小林武治

    委員長小林武治君) 本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十一分散会