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1958-06-24 第29回国会 参議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月二十四日(火曜日)    午前十一時十一分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     田畑 金光君    理事            青柳 秀夫君            高橋進太郎君            阿部 竹松君            大竹平八郎君    委員            小幡 治和君            古池 信三君            小西 英雄君            高橋  衛君            相馬 助治君            豊田 雅孝君   国務大臣    通商産業大臣  高碕達之助君   政府委員    通商産業政務次    官       中川 俊思君    通商産業政務次    官       大島 秀一君    通商産業大臣官    房長      齋藤 正年君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省重工    業局長     岩武 照彦君    通商産業省繊維    局長      小室 恒夫君    通商産業省鉱山    局長      福井 政男君    通商産業省石炭    局長      村田  恒君    通商産業省鉱山    保安局長    小岩井康朔君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○経済自立発展に関する調査の件  (通商産業政策に関する件)     —————————————
  2. 田畑金光

    委員長田畑金光君) これより委員会開会いたします。  速記をやめて。   〔速記中止
  3. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 速記をつけて。  このまま三十分まで休憩いたします。    午前十一時十二分休憩      ——————————    午前十一時五十二分開会
  4. 田畑金光

    委員長田畑金光君) それでは委員会を開きます。  一時まで委員会休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ——————————    午後一時十四分開会
  5. 田畑金光

    委員長田畑金光君) それではこれより委員会を再開いたします。  本論に入る前に、私、一言大臣に特に要望申し上げておきますが、去る十九日の本委員会における大臣とのお約束で、当委員会は午前、午後予定をしていたわけです。ところが、衆議院委員会大臣出席されて、しかもその間大島政務次官連絡では、十一時半には出席されるというので待っていたわけでございますが、ついに午前中は委員会開かれぬまま休憩に入ったわけで、いかなる事情があったにしろ、まことにこれは遺憾だと考えるわけでございます。ことに、本日は大臣の初めての通商産業政策一般について御方針を承わる予定でおりましたわけでございまして、こういうようなあり方では、今後の委員会の運営におきまして、委員長といたしまして、まことに残念に考えているわけでございますから、十分一つ今後は御留意を願いたいと考えるわけでございます。  以上、一言だけ申し上げておきます。
  6. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 先般の当委員会におきまして、私はまだ通商産業政策についての御説明をしていなかったわけでございますから、この二十四日の会議には必ず出席さしていただくということを委員長にお約束申し上げたのは、事実でございます。しかるに、今朝ごく短時間でいいから衆議院商工委員会においてぜひ出席しろ、こういうお話しでございまして、短時間出席をする考えで参りまして、できるだけ早く切り上げてこちらへ参ると、こういう考えでおりましたところ、質問が非常に長く延びまして、ついに十二時半までかかった、こういうわけで、当委員会に御迷惑をかけたことは、まことに申しわけない次第であります。今後、こういうことのないように十分連絡をとりまして善処いたしたい、かように考えますので、さよう御了承願います。
  7. 田畑金光

    委員長田畑金光君) それでは本日は今後の通商産業政策について通商産業大臣から説明を聴取し、引き続き質疑を行うことにいたします。  高碕通商産業大臣から御説明を求めます。
  8. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 今後における通商産業政策について御説明申し上げたいと存じます。  最近の経済情勢の推移を見ますと、昨年五月来の緊急総合対策は、生産、在庫、物価等の面において、おおむね予期の効果を上げ、国際収支は、著しく改善されたのであります。しかしながら、世界景気の停滞、世界貿易量の伸び悩みおよび中共貿易途絶状態等は、わが国輸出の伸びにも大きく影響しており、わが国経済の国際的な環境は、楽観を許さない状況であります。  このような経済実情に対処し、今後すみやかに経済正常化をはかるため、適切な措置を講ずるとともに、さらに可及的すみやかに経済の循環を上昇過程に導いて、新長期経済計画基本方針に沿った経済安定成長への基盤を作り出すことが肝要と考えるのであります。  特に輸出の増進は、今後におけるわが国経済発展のための最大の要件と考えられますので、今後あらゆる国の施策をこれに結集し、国際収支長期的均衡達成経済安定的成長を期する体制確立し、雇用の増大と国民生活水準向上をはかることを目途としなければならないと存じます。従いまして、今後の通商産業政策といたしましては、第一に、国際収支恒常的拡大均衡達成のため輸出振興をはかるとともに、第二に、貿易長期安定的市場を培養するため経済協力推進をはかることとし、第三に、経済長期的発展を確保するため産業基盤強化産業体制確立をはかり、第四に、国民経済に占める中小企業重要性にかんがみ、中小企業育成強化をはかり、第五に、世界的技術革新趨勢に即応し産業技術振興をはかりますことにその重点を置かなければならないと存じます。  以下各項目ごと施策概要を簡単に申し述べたいと存じます。  第一は、輸出振興経済協力推進であります。これがためには、輸出優先主義に徹した国内体制整備、特に業種別実情に応じた輸出取引秩序確立による過当競争防止をはかるものとし、このため目下貿易関係法令改善整備について検討中であります。次に、輸出振興の常道である海外市場開拓については、特殊法人日本貿易振興会のすみやかなる設立をはかって、今後の飛躍的な推進を期しておる次第であります。  また、国内の堅実な需要喚起輸出振興の両効果を有するプラント輸出については、延払条件の大幅な緩和を行うとともに、東南アジア等に対する技術協力並びに経済協力を積極的に実施する所存であります。  なお、日中関係につきましては、わが国の現在の立場上可能な最大限度において、貿易を促進するという方針で対処して参ったのでありまして、今後も相互の理解を深めつつ、この方針で進みたいと考えておる次第であります。  また、米国日本品輸入制限運動の激化に対応いたしましては、過当競争防止のための国内体制整備をはかることはもちろん、常時商品別米国市場動向の把握に努め、適時適切な市場対策を講ずるとともに、強力な経済外交を展開したいと考えております。  第二は、産業基盤強化産業体制確立であります。わが国産業対外競争力は、欧米諸国に比していまだかなりの遜色があると考えられますので、今後一そう、産業合理化近代化を徹底的に推進していきたいと存じますが、さらに、今後のわが国産業発展趨勢に即応し、電力、石炭鉄鋼等基幹産業拡充整備電子工業等新規産業育成及び国内資源開発促進をはかるとともに、世界貿易構造の変化の趨勢に即応し、輸出適格産業育成強化をはかっていく方針であります。  また、最近における経済の急速な伸長に対処し、あわせて将来の輸出振興を期するためには、これが基盤をなす産業立地条件の急速なる整備が肝要と存じます。このことは、今後新長期経済計画の円滑な遂行を考えると、より強く要請される次第であります。このため、今後工業用水の確保をはかるとともに、主要工業地帯整備並びに産業港湾道路等産業関連施設飛躍的増強を期する方針であります。  なお、産業界自主体制整備をはかり、あわせて経済安定的発展国際競争力強化に資するため、目下独占禁止法改正について検討中であります。  第三は、中小企業振興であります。中小企業は、わが国産業構造面雇用面においても、また輸出振興に果す役割から見ても、きわめて重要な地位を占めておりますので、今後中小企業の特質に応じました振興策を強力に講ずることによりまして、中小企業の健全な発展と、国民経済安定的成長をはかりますとともに、事業税を初めとする中小企業税負担の軽減についても、極力努力いたす所存であります。  これがため、さきに成立を見ました中小企業団体組織法の適切な運用により、中小企業の足並をそろえて、その経営の安定を期待するとともに、中小企業関係政府金融機関資金源の充実と、中小企業信用保険公庫の創設とによる中小企業金融拡充円滑化をはかり、さらに進んで設備の近代化技術指導強化等により、中小企業の体質の改善をはかる等、中小企業の積極的な育成努力いたす所存であります。  第四に、産業技術振興であります。以上の諸施策を促進いたしますための基礎条件として産業技術画期的振興が特に必要であることを痛感するのであります。御存じの通り、最近における欧米諸国技術の進歩は、まことにめざましいものがあり、わが国はこれに著しく立ちおくれていると存ずる次第でありまして、この際官民が力を合せてこれが推進をはからねばならぬと存ずるのであります。これがため学界、産業界等各界の要望を十分に取り入れ、まず国立試験研究機関の機能を、より一そう活発化することにより、今後最も緊急を要する電子技術オートメーション技術アイソトープ利用技術石炭化学等の基本的かつ新規技術に関する研究を重点的、体系的に推進いたしますとともに、民間における各種研究の助成及び新技術企業化推進強化し、急速な技術水準向上を期する所存であります。  以上により、今後における通商産業政策に関する基本的考え方と、施策概要を申し述べた次第であります。
  9. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 以上で説明を終りました。  これより質疑を行います。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  10. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は通商問題につきましてきわめて常識的な点を四、五点伺いたいと思うのでありますが、大臣はまあ、幸いにいたしまして実業界の出身でございまして、通商問題にはきわめて詳しいように聞いておりますし、ことに、最近の大臣の歩み方を見ますると、経済外交のために、非常に御奔走をせられた御実績もありますので、実は本委員会におきまして、たびたび昨年来の通商問題につきまして各委員からも議論が出たのでありますが、それは昨年のいわゆる総合経済政策に切りかえる前後におきまして、その見通し等につきまして、各委員からいろいろ御意見が出たのでございますが、通産省あるいは経済企画庁等意見が必ずしも一致をしていないので、そうしてその一致をしていないままに、今日のような不況状況通商関係が飛び込んだ、こういうことでございますので、でき得る限り一つその意味において、大臣はどうか歯に衣を着せないで、委員会におきましては、率直に御答弁を今後一つお願いいたしたい。かようにまずお願いをするわけでございまして、各委員からだいぶ質問があるようでございますので、詳細の点は、次回に譲るといたしまして、私はきわめて重点的にお尋ねをいたしたいと思うのであります。  まず第一は、冒頭私が申し上げましたようなことが、つい最近の本会議の席上におきましても、現在の貿易の、本年度の三十一億五千万ドル目標達成、こういう問題は事実常識的に申しましてこれはもう不可能である、これは大体各界一致をした見方であるにもかかわりませず、先日の本会議における三木経済企画庁長官は、相変らず強い意見を出されておるのでありますが、これはちょうど前の通産大臣答弁と、それから河野企画庁長官答弁がこの見通しについて非常にいつも違っていた、そのまま引き継いだような形でおるのでございますが、なるほど三月の輸出目標は約二億九千万ドルでありますが、非常に大幅な進出でございましたが、四月、五月は御承知通り一億ドルを欠くというような状況で、四、五、二ヶ月だけ見て、そうして本年度貿易の全体を見通すということは早計であることは、これは政府の御答弁通りだと思うのであります。しかしながら、私はしばしば指摘いたしております通り貿易はこれは相手国のあることでございまして、ことにいわんや、最近のアメリカ景気状況というものは、非常に不況長期化されておるというような状況でございます。それから今問題の中共貿易等の問題もございます。それから東南アジアドルの不足というような問題もございますので、三十一億五千万ドルということを強調しておりまする政府としては、私はこの辺で幾らか態度をお変えになって、そうしていま少しく実際に即した見方をすることがいいのではないかと、かように考えるのでありまして、最近この産業別輸出会議見通し等を聞きますると、二十八億五千万ドル程度目標にしておるようでございます。それからさらに、金融界方面におきましては、大体二十八億前後というように踏んでおるのでございますが、こういう点につきまして、何か政府態度が相変らず強気一点張りで、何か明確を欠くような気がいたすのでありますので、まずその点につきまして、一つ大臣の御所見を承わりたいと思うのであります。
  11. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの大竹委員の御質問にお答えいたしますが、御説のごとく、三月までは相当いい成績でありましたが、四月、五月、また六月の予想におきまして、必ずしも貿易前途楽観をすることはできない現状であります。それはどういうわけでそうなっているかと言えば、これは御承知のごとく、世界一般経済状況が悪いということが一つでございます。その中で、一番大きく依存する米国状態見方によると多少落ちついてきた。失業者の問題なんかにおきましても、生産数量におきましても、先月ぐらいから幾らか落ちついてきて向上のきざしがある、こういうこともありますので、この米国経済動向というものは、よほど日本経済関係するところが深い。こう思うのでありますが、しかし政府といたしましても、これを十分検討を加えていきたい。それで、今問題になっております米国との輸出問題等につきましても、いろいろ議論がございますが、これは日本から輸出しております商品のおもなものは、日本中小工業製品であります。また、米国においてもやはり同様に、日本輸出しております製品アメリカ中小工業者である。こういった関係上、実際以上にこれがやかましくなっているのであります。これはアメリカにおいて各議員に中小工業者が働きかける結果でございます。しかし一面におきまして日本といたしましも、逐次輸出を増進していく方針でいったならば、あんなにまで問題は悪化しなかったと思っております。順次、米国市場開拓につれて日本輸出を増進するという方法でいけば、これは必ずしも将来において心配することはないと思っておるわけであります。特にアメリカ向け輸出商品は、これは日本といたしましても、ほかに向けることはちょっと困難な点が相当あるのであります。これは政府といたしましても、根強く、力強くアリメカとの交渉をいたします。交渉の手段としては、日本工業者先方に出して、先方の当事者と一緒に接触さして、お互いの立場を理解し合うという方向に持っていけば、必ずしも不可能ではないと思うのでありまして、すでに業者の一部分の人は、最近アメリカに出発させるという方針をとっております。これは努力いかんによれば、そんなに悲観すべきものではないと考えております。  また、中共との貿易問題につきましては、これはまことに遺憾しごくでありまして、現状のままであるということは、これは両国のために喜ばしからざることでありますが、これは通産省といたしましては、できるだけすみやかにこれを解決するために、その勢意努力をもって行いたい、こういう方針であります。この交渉方針は、やはり政府全体の意向によってきめなければならないのでありまして、われわれの意のあるところは、十分外務大臣に話しまして、よく政府としてもそのように方針を向けていきたいと考えております。  それから東南アジアドル不足しておるということは、これはまことにごもっともでございますが、東南アジアといわず、中近東、中南米等におきましては、同じくやはり経済不況ドルが不足しておりますが、しかし、これらの国は持てる国であります。いろいろな材料を持っております。いろいろ日本が要求すべき材料を持っている国であります。これを考慮いたしますれば、今幸いに日本現状におきます国際収支の勘定は、最初政府は一億五千万ドル黒字にとどまるであろうという考えでありましたが、ただいまの見方は、これは一億五千万ドルぐらいまではいくであろう、あまくみると三億いくであろうと見ております。私どもは二億三千万ドル黒字でとどまるだろうと思っておりますが、国際収支黒字それ自身は、何も経済自立に役立ちません。安定感はありましょう。この黒字なるものをある程度活用することによって、輸出振興の道をとる。これを具体的に申しますと、たとえば東南アジアにおいては金がないのだというならば、このプラント輸出をするということについては、すぐに現金で取ることにすれば、なかなか向うは買わないでしょう。従いまして従前プラント輸出は、二割五分の頭金を初め取って、それであとは最長五年年賦ということになっておりましたが、この頭金の取り方をもう少し減らし、そうして支払い期限をもっと延長するということをしても、先ほど申しました日本国際収支黒字がえらくはかがいかないということになれば、その程度に応じてある程度の、長期延べ取引をやるということでいけば、これはまたある程度解決するだろう。また一面、岸総理がインドと締結いたしました円クレジット設定でございます。これは今後実行に移したいと思っておりますが、これはできるだけ経済力の許す範囲におきまして、円クレジット設定をいたしたいと考えます。最近はパキスタンとか、あるいはセイロンとかも、何とか言ってきておりますが、そういう方面につきましても、よく検討いたしまして、こういうふうなこともできるだけやっていきたい。しかし、これは相手国経済状態相手国政治状態、そういうふうなものの関係が非常に重要なものがありますし、また、その事業そのものに対する見きわめを十分つけなければなりませんから、これは業者考え方とよく一致をいたしましたときには、十分その方面においてやる。あるいは経済協力、この問題等につきましても、日本経済力の許す範囲において経済協力をやっていくということにいたします。まあ、これは世界形勢いかんによっては変りますが、だから前途は何とも言えませんが、できるだけ努力いたします。その努力目標としての三十一億五千万ドルを今変えることはまあ私は早計だと思います。少くともこれは努力目標に入れておきたい、こう思うわけでございまして、経済会議におきましても、また、専門家会議におきましても、なかなか困難だということはよく言われておりますが、まことに、もっともだと存じますけれども従前貿易輸出対策だけでは私は困難だという結論に立ちますが、ここにある程度の転換をしてやれば、相当これは私楽観をしてもいいことだと、こう思っております。
  12. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 大臣の、私どもが非常に満足すべき答弁が今述べられた中にあったのであります。それは私どもも同感なんでありますが、このごろの政治を見るというと、ややともするというと財政中心主義であって、経済というものがそのらち外におかれるようなきらいがあるわけであります。今、あなたのお話を聞きまして、非常に私は意の強さを覚えたのでありますが、それでこの局面を打開していくに当りましての方針としては、いろいろございましょう。ことに、従来通産当局としてとりつつございました為替制度簡素化であるとか、あるいは輸出入取引法改正とか、あるいは商社登録の問題であるとか、さらに今お述べになりました述べ払い、こういう問題もあるのでありますが、私は特に大臣の御所見を伺いたいことは、今一番大きな問題になっておりまする実際の問題としては、延べ払いの問題なのでありまして、私、実はこの間台湾に参りました。台湾から一万四千トンの船を日本にあつらえているわけでありますが、これは最近延べ払いの問題で、いろいろ問題になっていたのであります。私は帰りましてから、通産当局その他にいろいろ向うの意を伝えまして、努力をいたしたのでありますが、そのときにやはり通産当局として、一応私どもの伝えた考えは満場賛成なんでありますが、考えるのは、やはり大蔵省との問題なんであります。せっかくの貿易が、しかも私はなぜそれを努力したかというと、今台湾で二千五百万ドルにおけるところの新造船計画があることは、大臣も御承知通りでありますが、これは大型一万トン級七隻、その他が八隻、これにはイタリアその他の諸国が、非常に競争的に台湾に入って参りまして、あるいは向うの、先方条件をのんでやろうというような態度を私が向うにいるときにこれを知ったのでありますので、どうしても招商局は、御承知向うの国営の船会社でありますが、招商局が経験の深い日本造船会社に頼みたいという意向を持っておるのでありますが、そこで、条件としての延べ払いの問題が出たのでありますので、幸いそういう現在建造しつつある問題についての話し合いが出たものでありますから、二千五百万ドルの大きな造船計画というものを、日本が多少の不利を忍んでも、これを引き受けるということになりまするというと、これは輸出の方にも非常に大きなプラスになるということで、私は通産当局お願いをいたしたわけでありますが、話を聞いてみると、これはオープン・アカウントの関係もありましょうが、大蔵省がとやかく言うというようなことでありまして、これなんかは、経済外交の上から見れば実に小さな問題であります。そういうことを考えてみますれば、今延べ払いお話しいただきましたが、これをできるだけ延べ払い制度というものを、これを拡大をしてもらいたいということと、それからこれは非常な奇想天外の考え方かもしれませんが、私は高碕新大臣ならば、あるいはそういうことを閣内においても発言でき得る立場にあるのではないかと思うのでありますが、これからの貿易を見ましても、大蔵省で管轄しておりまする為替局、あれを何らかの形において、通産当局統制下に置かれるような状態になっていくならば、私は貿易の上において非常な弾力性を持っていくのじゃないかと思うのでありますが、これについての一つ所見、それからいま一つ、これはこの間独禁法の問題のときも、ちょっと長沼委員長にも申し上げたのでありますが、御承知のように、今の日本独禁法があるからということでもございませんけれども、一番困っているのは、過当競争であります。ことに、貿易関係において過当競争ということは、御報告をお聞き済みと思いますが、非常に激しいと思うのであります。従って海外ダンピングというような問題も出てくる。この問題が先ほど大臣お話しの、例のアメリカとの問題が、だんだんこれはもつれて出てくるというようなことにもなるのでありまして、こういう問題について過当競争海外ダンピングというような問題につきましては、相当私はこの機会において適切な措置をとることが肝心じゃないかと思うのであります。従来おやりになっておるように生ぬるいことだけでなくして、よほど私は強い手をお打ちにならないと、なかなか目標に達するということはむずかしいのではないかと思うのでありますが、その点について一つ所見を伺いたい。
  13. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 大竹さんの御質疑にお答えいたしますが、通産省といたしましては、できるだけ延べ払い条件を緩和する、そうして量をふやすという考えは持続したいと思うのでありますが、これがためには、ケース・バイ・ケースで考えていって、第一には、やはり相手国の政情なり、相手国の負担能力はどうだというふうなことにつきましては、これは外務省ともよく打ち合せをしなければならぬ、また、国内経済力全体につきましては、大蔵省意見の打ち合せもしなければならぬ、その調整は必要と存ずるわけであります。今ここにどうしても二つの難関がある、つまり外務省、大蔵省があるということは事実でございます。これはできるだけ使っていくように努力いたしたいと存じておりますが、その程度に御承知を願いたいと思います。  それから為替局通産省移管という問題でありますが、これはただいまのところ、私どもはまだ考えておりません。そういうふうな問題につきましても、よく考慮して研究いたしたいと存じます。  それから過当競争防止は、これはもう絶対必要だと思います。特に中小工業の今までの対米輸出につきましてはもちろんのこと、これは量よりも価格の問題、それは非常に安く、大量に売るということは、向うの同業者を一番刺激する理由になっております。また、われわれといたしましては、輸出する商品につきましては、できるだけ外貨をよけいかせいでもらいたいということでありますが、これが従前輸出業者といたしましても、多数の輸出業者が、必要以上の輸出業者が、また生産者も数が何百という、物によれば何百と思われる多くの生産者があるのであります。この連中を一つにまとめていって、輸出産業につきましては、生産の統制なりあるいは輸出統制ということのために組合、あるいは共同販売機関というふうなものを作り、あるいは輸出組合を作るということにいたしまして過当競争防止する、もちろん、これは独禁法の許す範囲においてやりたいという所存でございます。
  14. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それからこれは、特に一つ大臣お願いをいたしたいことは、貿易問題に対しまして、従来何かこういう通産当局が実相をPRをしていないというような点が、非常に誤解を招くやら、あるいは希望的意見で、これが政治問題にだんだん拡大をしていくというような点が多いのでございます。この点を、せっかく高碕さんが大臣になられたのですから、常にこの貿易の実体というものを、むろん把握をせられておるのでありまが、PR運動をよほどよくやっていただかなければならないと思うのであります。私は今日は中共貿易のこまかいことにつきまして、これは社会党の鈴木委員長もきわめて慎重にこれを取り扱っているときでございますので、あまり私はとやこう言わないのでありますが、しかし、この中共貿易が、各新任通産大臣が大阪に行きますというと、直ちに第一声を上げるのは、ここ数年間、中共貿易の問題なんであります。一般の人たちが、中共貿易でなければ、日本のほんとうの経済というものは救われていかないのだという印象というものを、深く根強く植えつけてきているわけなんであります。これは中共貿易の大事なことはむろんであります。これはこの間、あなたが国会で曽祢議員の答弁のときに当りましても、日本からの輸出だけの数字を申し上げられたようでございますが、昨年が五千万の輸出に対しまして、日本へ入れているものは七千五百万ドル、年々歳々倍近く日本の方がよけい買っているいわばお得意さんだ、しかしながら、こういうことは一般にはわからないのでありまして、中共貿易をやらなければ、ほんとうに日本経済は立っていかないのだというようなこと、ところが、人口わずか一千万人の台湾はどうか、過去数年間におきまして大体片道八千万ドルくらいの貿易をやっているわけであります。中共の実際よりは、前途は別といたしましても、過去数年間において、はるかに多いのであります。ことに、新年度貿易は八千五百万ドルがきまりまして、御承知通りすでにもう日本の雑品というものは、全部向うが外貨を一つ今度は許可をするというふうに、大幅な含みまでも見せているわけなんであります。ところが、一般の常識から言えば、台湾はあんなにちっぽけな、人間は千万で中共は六億いるのだというようなことで、その中共貿易でなければ、夜も日も明けぬというような感じを持たしているということは、その真相というものを常にPRしていないということ。それから米国の輸入制限の問題でありますが、これも先ほど大臣がちょっとお述べになったようなことでございまして、少くともアイゼンハワー大統領は、相当日本の信義のために、この問題につきましては努力をしていただいていると思うのであります。特にこの関税の問題につきましては、大統領が最後に裁決をするのでありまして、あなたのおっしゃられた通り向うの輸入制限の問題は、日の当らない産業なんであります。自由化を叫んでおる産業は、御承知通り重工業でありまして、この軽工業関係の、アメリカでも最も恵まれない産業が、この人たちが去年百いったものが今年は千いくというようなべらぼうな数字で、先ほど申し上げました多少ダンピングの傾向を持っていくのでありますから、自分のこの業権というものが侵される、そういう不安の上からいって、これが関税委員会に陳情をするということは、これは他国の人でも、私どもにはわかるのであります。ところが、米国がこういう輸入制限をする、日米親善をこれはこわすものじゃないかというようにすぐに一般はとるのであります。これは私どもはまだよく調べておりませんが、おそらくたくさんのあの問題があった中で、大統領が裁決をいたしたものは、私はたしか一つかそこらだと思います。あとはほとんど却下をいたしておるのであります。まあそういう意味において、アメリカ産業というものが犠牲になっておるわけなんであります。こういう議論はあまりほかの人は申さぬのでありますが、そういうわけで、私は実相というものを、常にやはりPRするということが重要じゃないかと思うのでありますが、そういう点が今までの通産省のやり方を見まするというと至って少いのだ。そうして要らざる誤解を招いておるような点があるのでございますが、こういう点につきまして、一つ所見を伺いたいと思います。
  15. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの大竹委員の御指摘になりました貿易の実相をよく把握して、それを国民に知らしめるということは、これは私は最も必要だと存じます。従前それが欠けておるとすれば、これはできるだけこの方針によって進みたいと思います。また、先ほど台湾貿易についてのお話がございましたが、これまた、非常に重要な問題でありまして、台湾は軽視するわけでもなく、といってまた、中共貿易につきましては、もちろんこれは軽視するわけではないのであります。でありまするから、これは両々相ともに、この日本経済発展のために、振興のために同じ方向で、同じ努力をもって進んでいきたい、こう存じております。また、アメリカ日本に対する考え方といたしますれば、私は大竹委員と全く考えは同じでございまして、政府自身はよほど好意的に考えてくれておる、業者の声が大きいというふうなことも同様でございます。大竹委員のお説と全く同感でございます。
  16. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 あと一、二点お尋ねいたしますが、中共貿易につきましては、あとより相馬委員あるいは阿部委員から出るだろうと思いますが、私は本来の中共貿易よりも、日本貿易といたしまして、一番今後大きな問題になって参りまするのは、中共の、これはこの問題は私はしばしば一、二年前本委員会で問題にしたのでありますが、さしたる関心も起きないようでありましたが、これは現実になって現われてきておるのでありますが、中共政治的な東南アジアへの進出であります。いわばコスト・ダンピング、これが最近非常に根強くなってきておるという点であります。私は二年ばかり前に、万年筆が非常にたくさん向うに出ておるというので、万年筆を香港から取ってみますると、これはもうむろん日本製品などと比較をいたしますると、問題にならない程度の低いものでありますが、しかし、値段が安くてどうにか書けるというようなことが、向うの民度にぴたっと当てはまるというようなことで、数十万本も万年筆ができて、そのときに私は警告をいたしたことがあるのでありますが、最近の中共東南アジアに対しては、これはもう日本としては、じっとしておられないというような大きな問題になってきておるのが、繊維の輸出でございますが、私どもがいろいろな点を調査をしたところによりますというと、香港を初めといたしまして、東南アジア方面に行っておりまする綿布が、一九五四年にはわずか千五百万ヤードにすぎなかったのであります。ところが、昨年の推定は大体四億万ヤード、何といいますか、約二百倍近いような膨大な数字を算しておるわけでありますが、ことにいわんや、インドネシアなどは、日本東南アジアにおけるところの最もいいお得意さんなんでありまして、また、マラヤにおいてもそうでありますが、そのインドネシア方面におきましても、日本のこの綿布の首位の王座がくつがえされていく、しかも、インドネシアは御承知通りただいま国会に提出をせられておりまする一億七千万ドルの焦げつき債権の問題がございます。こういうような日本がまことに親切なことをやっておりながらにいたしましても、中共製品に駆逐をせられまして、その王座を奪われておるというようなことは、よく私ども数字はわかりませんが、おそらく昨年の貿易におきまして三十六、七%の輸出をあげておると思うのでありますが、こういうような政治的な一つのダンピングで中共東南アジアに押しかけていく、この最も顕著なものがこの綿布類なんでありますが、その他ミシンにいたしましても、あるいはアイロンその他の消費物資にいたしましても、もうどんどん出ておるのでありますので、こういう点につきまして政府がいかなる対策を持っておられるか、これもやはり三十一億五千万ドル目標輸出に対しまして重大な私は関係があると思うのでありますが、これに対していかなる案をお持ちでありますか、一つ伺いたいと思います。
  17. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 大竹委員のただいまの御質問につきましては、私どもも非常に心配しておる点でございまして、特に中共関係がこういう政治的の情勢になっておりますときに、東南アジア市場中共が進出する、それは貿易政治とを一つでやっておる中共でありますから、いかなる手でも打てるわけであります。そういうふうな点につきましては、その対策を目下検討いたしておるわけでありまして、なかなか困難性があると思います。この点につきましては、専門にやっております者からお答えいたします。
  18. 小室恒夫

    説明員(小室恒夫君) 中共の綿布の東南アジアに対する進出の状況は、お示しの通りでございます。すでにインドネシア、あるいはマラヤにおいては、往年の日本の地位に中共の綿布がかわっておるような状況であります。業界から各種の情報を集めて対策を検討しておるわけでございますが、中共の綿布は、中共の綿花を使う関係で、専門家の推定でございますが、すでにコストの面でも、日本の綿布と比べて相当安い綿布ができる、そこに加えて政治的考慮も働くだろうかと思いますけれども、競争国の綿布よりも五%引くというような通常ちょっとないような差し値をする、その他延べ払いの問題であるとか、各種の手段を講じており、コマーシャル・ベースではなかなか日本側としてそれに対抗しにくいような分野が多い。それからまた、一、二の品目について非常に安売りをして対抗するというようなことも、またその他の市場に及ぼす影響、他の品目に及ぼす影響というような点がありますので、むろん、この中共の進出に対して座視しておるというわけではもちろんございません。見本も取り寄せておりますし、また、各地における進出のやり方ということについても、具体的な情報を集めておりますし、関係業界と検討して、できるだけ一方においてはこれに対抗する、他方においては中共品の競争のできない分野に、できるだけ日本の綿布が伸びていく、こういうふうな方策を講じたらいいじゃないかということで、目下慎重に検討中でございます。
  19. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 綿布の中共輸出問題を初めとする中共政治ダンピングの問題は、いずれまた次回にお伺いすることとしまして、最後に大臣にお伺いをいたしたいのは、先ほど申し上げました日台貿易が片道八千五百万ドルで今度締結をみたわけであります。昨年はふるわなかったと申しましても、九千二百六十万ドルのうち、実績輸出が八千九万一千ドルと約八七%、それから輸入が七九・三%、まあ相当な成績をいったわけであります。今年はその全面完遂と、ちょうど私も貿易協定のときに現地におりましたが、全面完遂というようなことで、両者が非常に張り切っておるということでございます。ことに、年々先ほど申し上げました、このいつも外貨が発表をせられないで困っておるような、日本から参っております雑品類が、今度は向うが全面的にこれを許可をするというようなこと、それに並びまして本委員会でしばしば問題になりましたバナナの輸出という問題があるのであります。これは地域別の問題であるとか、あるいは差益金の問題であるとかいうことが、しばしば問題になっていたのでありますが、私どもは結局これらを根本的に解決をするということは、これはバナナの数量をふやしてもらう以外にはないのだということが、本委員会においての各委員からの大体一致した考え方であった。幸いにいたしまして、ちょうどいろいろもつれはいたしましたが、結果におきまして御承知通り昨年に比較いたしまして百万ドルふえた、五百五十万ドルにバナナがふえたわけなんであります。それとただいま申し上げました雑品の外貨割の、全部割り当てるんだ、こういうようなことにおきまして、従来砂糖とか、米とか、日本からの肥料、機械というような重要品以外、金額は少いけれども、両方の民心にきわめて好影響を与える、これらのものが輸出入ともふえたということは、非常にこの貿易につきまして賞賛を博しておるわけであります。それでこの百万ドルふえましたバナナについてなんでありますが、先方輸出価格をできるだけ下げる、聞くところによると従来七ドル五十セントを七ドルに下げよう、しかしこれは条件があるのであります。自分の方が最低価格を下げるについては、日本側の差益金も下げてもらえないか、そうするというと今まで一一七・幾らかが差益金なんであります。これは私はさらに申し上げたいのは、つまり通産省が年に二十億円というものが例の特定物資の予算に入っておるわけなんであります。この特定物資の予算の二十億、これはバナナだけではございません。あるいはスジコであるとか、あるいは時計であるとか、いろいろな種類があるわけであります。これはどうしても二十億というものをこの特定物資、これは三十三年度は予算がはっきりしておるのですが、これは二十億をどうしても満さなければならないものであるのか。それがために評判のよくない膨大な一一七・幾らというような差益金というものを取らなければならないのか。私どもから言わせるならば、バナナをたくさん入れて、そうして差益金を少くするということになれば、結局同じことじゃないか。同時に向うの最低価格というものを下げてもらうということになりますれば、かつては安いものの代表はたたきバナナと言われたのですから、どのくらい大衆が喜ぶかわからないのです。今のように一本三十円も三十五円もするバナナでは、大衆のものとは言えないのであります。そういう点でせっかく百万ドルふえたのでありまするので、この機会において、何か差益金をいま少し下げるという問題、これは先方のいわゆる最低価格の問題とも関連があると思うのでありますが、差益金を下げる。それと同時に、この特定物資の二十億円ですね、これなんかは、私もむしろそういうことにこだわらないで、こういう貿易の難関のときなんでありますから、むしろ、どんどん一つ貿易振興のためにお使いになる方がいいのじゃないかと、逆にそれくらいのことを考えておるわけなんでありますが、そういう点につきまして、一つ所見を伺いまして、私の質問を終りたいと思います。
  20. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御質問の趣旨ですが、詳細のことは、いずれ通商局長の方からお答えいたしますが、原則といたしましては、物をできるだけ買ってできるだけ売る。この拡大方針で進まなければ輸出振興できないと思います。なお詳細については通商局長から……。
  21. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) お答えをいたしますが、今、大竹先生からお話がございましたように、今度の協定によりまして、バナナの輸入額が従来の四百五十万ドルから五百五十万ドルになった。そこで、この百万ドルの輸入増に伴いまして、われわれといたしましては、価格が下ってくれることを期待しておるんであります。よってもって消費者の口に入る価格も安くなることを期待をいたしておるのであります。その影響につきましては、まだ今後しばらくの事態を見ませんと、的確に出ないわけであります。とりあえず三十三年度の上期といたしましては、準備の都合もございましたので、四百五十万ドルの半分の二百二十五万ドルをとりあえずの割当といたしまして、先般実は実施をいたしたのでありまして、そのときの差益率は七三・二%といたしたのであります。これは明年度の上期に実施した率と同じであります。今もお話がありましたように、一一〇何%と申しまするのは、昨年の下期に実施した比率でありまして、若干高いのではないかという御批判をいただいたのでありますが、その当時も御説明を申しましたように、バナナはシーズンによりまして、非常に上下がありまして、上期の割当で輸入するものと、それから下期の割当で輸入するものとによりまして、相当の相場の差があるわけであります。で、相場を勘案しましてただいま申しますように昨年の下期は一一七%程度だったかと思いますが、その差益率、今度は七三・二%の差益率にいたしたのであります。まだ下期のやり方については、未定でございまするが、量もふえまするし、その価格の推移も見まして、高くないようにきめたいという精神でおります。  ただ御了解を願いたいと思いますることは、事務当局はこの差益率を何と申しますか、やや甘めにしたときには、お前らは業界の圧力で業界にもうけさすために下げたんじゃないか。差益率を下げても、大衆の口に入るバナナの価格は下らんじゃないかという御批判をいつもいただくわけでありまして、特定物資の特別会計法の建前からいたしまして、そう利益を全部吸収するというわけではございませんけれども、不当利得は吸収するという建前に実はなっております関係上、その差益率の高さによって価格を高めるということならば、われわれといたしましては十分考えなければいかんのでありますが、従来のわれわれの慎重に計算してきました経験によりますれば、結局業者のもうけが多いか少いかというような議論に帰着する場合が多うございまして、その面からもまた、非常におしかりを受ける場合もございますということを一つ御了承願いたいと思います。精神といたしましては、われわれは消費者価格が安くなるように、その差益率もかげんをいたしたい。決して特別会計に規定しておる金額を取るために、いわゆる成績をあげるために差益率を高くしているのではないということを申し上げておきます。
  22. 相馬助治

    ○相馬助治君 私はこの際、通産大臣に日中貿易について一点、日ソ貿易に関連しての具体的問題について一点お尋ねしたいと思います。ただいま高碕通産大臣方針を拝聴いたしまして、二カ月前に行われた前尾通産大臣の同様の趣旨の意見を聴取したことと思い比べてみますと、もちろん岸内閣であり、自民党内閣でありますから、両者に大きな食い違いはあるべきはずでもありませんし、またございませんけれども大臣がかわったということについて、その間多少重点の置き方に差があることは当然であり、また差のあることを私は感ずるのです。  その第一点は、高碕大臣になってから、輸出重点主義が一段と強化されたというふうに私は見ています。きわめて当然なことであって、そのことについては賛成でございます。ところが、諸般の事情は、三十一億五千万ドル輸出目標がとても達成できないような悪条件が、大臣の善意の意図にもかかわらず、陸続して出てきていると思うんです。これは起党派的にこうした問題については、その問題の焦点をとらえて克服していくことに努力しなければならぬと私は考えるわけでございます。従って輸出重点、輸出第一と申しまするけれども、そのためには、当然これに連関して輸入の問題も考えてみなければなりませんし、従前円滑なる通産行政を行うために、むしろ大蔵省や、あるいは原局というようなことを振り回して、農林省の考え方がこういう面をチェックして、タイミングをはずしたというような実例も、私どもは知っているのであります。従って高碕大臣のような、文字通り党内、閣内における実力者が通産行政の衝に当りましたことの際におきまして、格段の一つあなたの努力を私はまず期待するものでございます。  そこで、日中貿易の問題でありまするが、大竹委員も指摘しましたように、日中貿易貿易額というのは、世間騒ぐほど大きくございません。これは特に社会党なんかでは、日中貿易オンリーのような議論をなす者もありますが、私は同党に属する者でありますが、それはとらざるところです。私はその額というのは正確に見なければならないと思います。しかし将来性のある市場ということから言えば、これは日中貿易というものは、日本貿易振興上、見のがせないところであって重視しなければならないと思うのです。従来日本経済外交というのは非常にまずい。まずいところもいいところだと、俗な言葉で私は申したいと思うのです。台湾を無視したような妙な態度で、日中第四次協定が進行してきたというようなことも、やはりデリケートな問題の本質をつかまえないところの拙劣さというものを、今日反省しなければならないと思うのです。国旗問題にしても中共がこれを強く言っているのは、中共に対する日本態度に対するふんまんが集結して、私は国旗問題に現われてきていると思うのです。正常な国交がないのですから、当然この誠意をもって中共に対さなければならないにもかかわらず、不用意な発言等が、相手を必要以上に刺激しているということがあろうと思うのです。それでこの日中貿易について国旗問題であるとか、第四次協定に対する回答の問題というふうなものが、衆議院においてかなり今回、わが党の同僚議員によって触れられたので、私はそのことについては、ここで何も議論をいたしませんが、一点お尋ねしたいことは、各種の誤解を解くために、特に高碕新大臣においては何らかの構想があるかどうか。岸内閣としては、静観の態度を持すと、こう申しておりますが、静観の態度というのは、無方針に時間をただかせがせて座視するのではないと思う。静観の態度もけっこう、しかし、その静観の態度という中にも、当然当面の責任者であります高碕通産大臣においては、ある種の構想があると思うのでございます。一億ドル中共貿易がだめになるということになると。勢い三十一億五千万ドルも怪しくなって参りまするので、この辺で私ども考えてみなければならないことは、日本経済計画では、ただ単に三十一億五千万ドルというのは、計画上の数字のようでありまするが、私の知る範囲では、中共では五カ年計画の中に対日貿易を折り込んで、その数字をはじき出しているということですから、日本との貿易中絶の影響するところは、中共自身にとってもかなり深刻だと私は思う。にもかかわらず何ら痛痒を感じないと張り切っているところに、中共をそこにまで追い込んだいろいろな事情というものを考えなければならないと思うのです。しかも最近になって、不幸なことには日本経済貿易中絶だけでなくて、東南アジアにおいて日本と対立して繊維の問題その他において政治的な進出をはかって、日本を別な面からやっつけようという趣旨すら、中共の意図として見られるわけです。そこでお尋ねしたいことは、通産大臣として、この際正常な国交はないけれども、思い切って一つ中共でも訪問して、何らかの手を打とうというような構想等があるかどうか。正常な国交がないのであるから、そういうことは全く無理だというならば、一歩譲って、最近よく岸さんがやるように、特使というようなものを、通産大臣特使というようなものを派して、公式的にでも、あるいは非公式的にでもけっこうですから、何かもう少し中共に対して積極的な手をあなた自身の責任において打つべき段階が来ているように思うのでありまするが、この際高碕大臣一つ御決意、あるいは御構想があれば承わりたい。これが一点です。
  23. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御質問の趣旨でございますが、これは私は実は率直に申し上げまして、中共の問題を妥結するということは、非常な、経済問題以外に必要なことだとこう存じまして、私自身が事情が許せば行ってみたい、こういう考えで実は進んでおったことは事実でございます。ところが、はからずも、私は岸内閣の閣僚として入った以上は、私自身の行動は、そう簡単に行動できないわけでございますが、私の中共貿易に対する熱意と、それからこれに対する誠意は、どういう方法で解決され、妥結したらいいかということにつきましては、総理大臣なりこの直接の衝に当ります外務大臣に対して、私の私見はいろいろ申し上げておりますのですが、これは私の私見にすぎないのでありまして、政府としての方針は、やはり外務大臣がその衝に当るわけでございます。今ここでどういう方法で、どうやっているか、どういうことをやっているかということは、私がここで申し上げることは、かえって事態を紛糾するわけでありますから、どうかこの点だけは、私はごかんべん願いたいと存じます。
  24. 相馬助治

    ○相馬助治君 非常に重要な問題でございまするから、慎重な答弁は当然であると思いますが、あなた自身は、中共貿易に対して一つの積極的な解決の意図を持っているということを聞いただけでも、非常に私はうれしいことでございます。問題は非常に複雑ですから、どうかただ単なる静観ということでなくて、台湾との問題も考慮しなければならないでしょう。その他いろいろな問題も考慮しなければならないと思いまするけれども日本の将来の貿易のために、格段一つ大臣の積極的な意図を今後に期待したいと思うのです。  第二の問題は、これに関連してソ連の貿易の問題なのですが、第一回の日ソ貿易協定の結果、ソ連の買付というのは、かなり積極的であるやに聞いておりますが、日本側の買い付は、必ずしも積極的でないというふうに聞いております。一時、バクーの石油の輸入というようなことも、一部積極的な業者によって計画されたが、諸般の事情上から、これが許されなかったというようなことも聞いております。で、最近一つの問題となっておりますることは、日本側の商社が、みずからの責任と費用において、ソ連に使いを出し、そうして、一つの具体例をもっていたしますると、大豆かすの予約買付等をしたということが伝えられております。ところが、協定上は輸入することが可能であるとしておりましても、通産行政の積極性がないためなのか、あるいは通産省自身の中には問題がなくて、原局といわれる農林省等に問題があるのか、あるいはまた岸内閣全般からして、日ソ貿易拡大に反対の意図を持って、積極的にそういうふうな方面に目をふさいでいるのか、その原因をこの際一つお知らせを願いたいと思うのでありまするが、ともかく日ソ間における貿易の伸展拡大ということも、これは善隣の国家との関係ということにおいて、イデオロギーの問題は別として、重大な問題だと思うのでございます。で、まあ具体的な大豆かすというような問題も、農民の立場を代表いたしまする全購連等が、しきりにその輸入を農林省、通産省に懇請しているやに私は聞いておりまするが、この種の問題について、大臣は基本的にどのようなお考えであるか承わりたいし、かつ、具体的なことでございまするので、説明の部分によっては、通商局長をして答えさせて下さってもけっこうでございますが、要するに、これらの問題についての積極的な一つ意見を、この際、明瞭にされたいと思います。
  25. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 日ソ貿易問題につきましては、貿易協定が成立以来、政府といたしましては、できるだけ多数買い、できるだけ多数売る、この方針で、その間に何ら政治的の意図があるわけではございません。今日まで私どもの知りました範囲におきましては、ソ連側が希望する品物は非常に多いのであります。けれども日本が買うものは存外少いのでありまして、たまたま買うということになると、値段が高いとか、いろいろな問題にそこで逢着しておるわけでございます。その問題は、両国の間でよく打ち合せいたしまして、根本精神といたしましては、できるだけ買う、この方針で進みたいと存じております。なお、この詳細のことにつきましては、通商局長からお答えいたします。
  26. 田畑金光

    委員長田畑金光君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  27. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 速記を始めて下さい。
  28. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 昨年の十二月に、日ソ間に通商条約及び貿易協定ができまして以来、日ソ間貿易は非常に順調に推移して参っております。で、現在までのところは、大体輸出入とも均衡いたしておるという状況になっております。いろいろのこの統計の取り方によりましては、若干の相違もございますが、まあ客観して、大体輸出入は均衡がとれていると思うのでございますが、ただ先方の買い気と申しますか、非常に旺盛でありまして、いろいろな引き合いが参っておるわけであります。そこで、われわれの方といたしましては、通商協定の精神からいいますと、これは貿易均衡ということを必要といたしません。バーターということではないわけでございますが、やはり双方の取引の利害ということになりますと、日本だけが一方的に輸出超過であるということもまた許されぬのであります。現実にソ連側の各種公団からは、バーター的な要求が非常に強いわけであります。そこで、われわれといたしましては、今後のソ連側の日本に対する買い気の旺盛にもかんがみまして、できるだけソ連側からの輸入も促進をしたいというふうに考えておりましてこれまで、すでに木材あるいは石炭あるいは石油その他のものにつきましても、努力をして参っておるのであります。今先生御指摘の大豆かすにつきましては、お話は参っておるのであります。率直に申しまするならば、われわれとして、これも買いたいと思うのでございますが、若干国内産業との競合の関係もございまして、今農林当局と十分打ち合せ中でございまするが、通産省といたしましては、できるだけ実現に努力をしたい、こういうふうに考えております。
  29. 相馬助治

    ○相馬助治君 おおむね満足すべき御答弁なので、もうそれでけっこうなんでございますが、そこで、もう問題が出ましたように、農林省と話し合いが完成しなければ輸入が不可能である、この種の問題は例年出てきておるわけでございまして、完全な通商行政の進展のために、私どもは常に遺憾としておるわけなのであります。従ってこの大豆かすの問題も、私どもがしろうと考えからいたしましても、中共からの大豆が入る見通しがなくなったというこの段階においては、若干のソ連から大豆ないしは大豆かすを入れるということは、ごうも差しつかえないように考えるわけでございます。従いまして、農林省の一部の抵抗が、かりにあったといたしましても、日本の農業経済に差しさわりのないように、むしろ全購連を潤して、農民経済に好感を持たれるようなこの種の問題については、一つ通産省は勇気を持って、原局といわれる農林省と積極的な交渉を持たれまして、一日も早く解決され、そうして日ソ貿易進展のために格段の努力あるように、この際、通商局長に強く要請いたしまして、その努力を期待するものです。
  30. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 通産大臣質問しようと思っておったのでありますが、私どもの方の時間の都合もありますので、政務次官あるいは関係局長からお答えを願いたいと思います。  第一点は、燃料対策についての問題であります。その前に、最近の輸出状況の実態を把握するために、六月中旬の輸出信用状の実績は、どの程度になっておりますか。御承知のように、六月上旬の輸出信用状の実績は四千九百万ドルですが、中旬はどういうふうになるか、これをお尋ねをしたいと思うのであります。要するに、最近の情勢を見ますると、先安になるというような観測が、依然として強いために、輸出国内市場も、すべて見送りになっておる。そういう点から、仮需要というものが起らないで、生産過剰が全面的に出てきているというのが、今の産業界実情であります。特に綿、スフ、絹、人絹、これらの業界が非常な深刻な状態にあることは、それぞれ御承知のことだと思うのでありますが、一方金利の引き下げにはなってきましたが、通産政策自身について、この際思い切った政策をとらねばならぬ段階に来ているのじゃないか。要するに一つの曲り角に来ているのじゃないかというわけであります。この点から綿、スフに対して特にいかなるこの際対策を考えているか、具体的に言いますと、織機の買い上げ、あるいは過剰製品の買い上げ、あるいは操短を五割に引き上げるというような問題も出てきているのでありますが、これについて操短資金の金融対策等について、確たる見通しがあるのかどうか。こういう点について端的、率直に見解を伺いたいと思うのであります。これが一点であります。
  31. 大島秀一

    政府委員大島秀一君) 豊田委員の御質問にお答え申し上げます。綿業の対策につきましては、御承知のように非常に困難な状態にあることは御指摘の通りであります。これにつきましての対策は、ただいま御指摘のように、織機をどうするとか、あるいは金融面をいかにするとかというようないろいろな問題があるようでありまするが、政府といたしましては、もっぱらこれに対しまして最善の方法を尽すべく今研究中でありますが、詳細につきましては、繊維局長から申し上げたいと思います。
  32. 小室恒夫

    説明員(小室恒夫君) 繊維の不況は、すでにまあ一年半に及ぶわけであります。私どもとしては、本年の一−三月に市況の安定をはかりたいという考えであったのが、ずれまして四月になって若干好転をしたような感じであったのであります。最近は輸出が停頓しており、その他の状況も手伝いまして、四−六月間に本格的な安定をもたらすということは、かなり困難で、七−九月に目標をずらすというような感じになって参ったわけであります。特にまあ綿織物等につきましては、内需はともかくといたしまして、輸出の面が最近契約が減っているというようなことも手伝いまして、相当まあ深刻な状況でありまして、昨日、綿、スフ織物関係業者が危機突破大会を開催せられたということも、そういう背景のもとに行われたものと考えております。  綿糸と綿織物との関係で申しますと、綿織物の方は、滞貨も多く、採算も割れているという状況でありまするから、私どもとしてはこの綿布の対策ということを何よりも考えなければならぬというふうに考えております。で、滞貨については、これは紡績の兼営部門で持っている滞貨も相当あります。むしろそちらの方が滞貨が相当多いという面もあります。これらの点については、紡績業者にも対策を目下特別委員会検討をいたしてもらっております。あるいは綿布の凍結をして、この過剰の滞貨を投げ売りしないようにするというようなことも考えねばならぬだろうと思っております。  それから操短の強化ということは、綿、スフの織物業者のように、まあ一万何千軒、二万軒に近いような数の機屋さんが全国に散在しているような事業で、なかなか困難な点もありまするが、需給の調節ということはきわめて肝心でありますから、一つ操短の強化ができる範囲においてはできるだけこれも指導して参りたいと考えております。また、これらを通じて金融の問題に特別の配慮をいたさなければならぬわけであります。まあ、正直なところを申しますと、機屋さんの中には、もう普通の金融ベースに乗りにくいような状態に陥っているというところも相当あるわけでありまして、これらの点については、商工中金とか、中小公庫とか、その他各金融機関とも連絡して、できるだけ工夫して、一つ操短の金融その他が円滑にいくようにいたしたいというふうに考えております。  また、織機の買い上げについては、強い要望があることは承知いたしておりますが、これは実は本年度におきましては絹、人絹織機の買い上げに予算を集中いたして、綿、スフの織機の買い上げは、実は業界とももちろん相談の上で打ち切ったような形になっておりますので、これらの点については、よく省内でも検討いたしたいと思っております。はなはだ簡単でありますが……。
  33. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ただいま答弁のありましたこの製品の買い上げ、これについてはやる必要があるだろうというお答えであったのでありますが、具体的にはどういう措置を今考えておるのか、それを明らかにしておいてもらいたいと思います。
  34. 小室恒夫

    説明員(小室恒夫君) 私はただいま申し上げた中では、綿布の、御承知通り在庫が非常にありますから、これを投げ売りするというような事態をできるだけ防ぎたい。そういう意味で投げ売りを防止するための凍結という言葉を使ったのでありますが、別にまあ買い上げをしてほしいというような要望もございますし、昭和二十八年の春から、一応紡績会社が中心になって、綿、スフの買い上げ機関というものが形の上では存在いたしておりますが、まだこれは活動いたしておりません。で、こういう問題も含めて、紡績の特別委員会では検討いたしておりますけれども、直ちに私どもの方が、綿織物の買い上げを実施しろというふうに指導するところまでには参っておりません。
  35. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 その凍結という内容ですが、凍結の方法としては、どういう方法が一番いいというふうに考えておられるか、その方向を承わりたい。
  36. 小室恒夫

    説明員(小室恒夫君) これは、凍結につきましては、スフ糸の不況対策として、スフ紡績に対して同じような措置を勧告したことがございます。これはストックを持っておる業者が荷を出し合いまして、その倉荷証券を一カ所に集めて、その分だけは投げ売りをしないようにするというような、簡単に申せばそういうやり方でございます。まあ、凍結の具体的なやり方については、これは業界で十分相談してもらいたいと思っておりますし、まだ結論が出ておりませんから、私の方でこういうふうにしなさいと言って押しつけるようなことは避けたいと思いまするけれども、投げ売りを防止するためのそういう措置が必要であろうというふうに考えておる次第でございます。
  37. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 六月中旬のこの輸出信用状の実績はわかりましたか。
  38. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 六月上、中旬合せまして、輸出信用状の開設高が一億二千万ドルでございます。
  39. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そうすると上旬が四千九百万ドルでしょう。すると中旬は差し引いて幾らになりますか。
  40. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 若干の差はあるかとも思いますが、上旬が四千九百二十万ドル、中旬が七千八十万ドル、中旬にかなりふえて参っております。
  41. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 上旬と中旬とを比較しただけではわからないけれども、最近上旬の輸出信用状の実績などだいぶ悪いというので、輸出前途を心配しておったのですが、この中旬が七千万ドル以上出るというような点から考えると、前途をどういうふうに通商局としては判断をしておられるのですか。その点一つ伺いたい。
  42. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 先ほども大臣から御説明がありましたのでありまするが、非常にこの判定がむずかしゅうございまして、まあ上中旬一億二千万ドルから判断しますと、六月では二億ドル程度、あるいは弱ぐらいに行くのではないかと思っておるのでありますが、しかしながら、それにしましても、昨年の四月−六月の輸出LCの開設高の平均が二億六百万ドル程度になっておるわけであります。そうしますと、かりに六月がLCの開設高が二億ドルといたしましても、四月−六月の平均で見ますと、昨年よりも若干劣ることになる、下ることになるわけであります。ただ、最近の傾向としましてDPやDA取引がかなり伸びて参りました。従来一割三、四分、あるいは五分程度がLCのない輸出ということでありましたが、最近では約二割くらいまでふえて参っておりまするので、一がいに輸出LCの開設高だけから判断はできないかと思いまするが、それにしましても、この四、五、六の調整を見ますると決してよいとは言えないというので、非常に心配をしているような次第でございます。
  43. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ただいまのような輸出見通しからいうというと、いよいよもって先ほども申しました繊維対策、これはもう全面的に綿、スフ、あるいは絹、人絹等に対して思い切った措置をとらなければいかぬと思うのですが、そういう点につきまして、事務当局の意見は承わったわけですが、政務当局としてどういう決意を持ってこれからお進みになるか、その点を明らかにしておいてもらいたいと思います。
  44. 大島秀一

    政府委員大島秀一君) まだ御承知のように政務次官早々ですから、責任あるお答えはむろん大臣でありませんからできませんけれども輸出振興をしなければならないということが、今度の政府の非常な大切な一つでもありまするので、この問題に対しまして十分研究をいたしまして、いずれかの機会に明確な御答弁を申し上げるようにいたしたい、かように存じますので、きょうのところは、一つお許し願いたいと思います。
  45. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 私の申した決意というのは、むしろこの輸出振興の積極的施策というよりも、輸出前途考えますると、なかなか楽観ができない。従って生産過剰の問題をいかにするか、そういう点について、織機の買い上げであるとか、あるいは製品のしっかりした凍結なり、あるいは買い上げ機関の設置なり、そういうことをやっていかなければいかぬのじゃないか、あるいは操短ももっと徹底してやっていかないというといかぬのじゃないだろうか、むしろ輸出前途が思わしくないということに対する対策として、思い切った措置が必要なんじゃないだろうか、そういう点について大いに積極的な、逆の積極的な意味かもしれませんが、検討を早く加えられないというといかない段階にあるのじゃないか、そういう点についての御決意を伺っておきたい、こういうことであります。
  46. 大島秀一

    政府委員大島秀一君) まことにごもっともなお話しでありまするが、この件につきましては、私どももぜひともこの問題は従来のおざなりの状態では解決がつかない、かように考えておるのでありまして、昨日も省議を開きまして、この問題に対しまして相当研究もいたしておるのであります。そこで、まだこれという結論は出ておりませんけれども、今後十分この問題を取り上げまして、御指摘の件につきまして政府の決意なり、またあるいは、どのようにすべきであるかということにつきまして、十分な研究を遂げた上でお答え申し上げたい、かように考えております。
  47. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 次の問題は、中小企業関係の問題でありますが、最近中小企業の従業員に対しては、最低賃金制をしくとか、あるいは週給制をやるとか、あるいは退職金の給付をやるとか、中小企業従業員に対する労働対策というものは、急速度に実施せられんとしておるのであります。それに比べるというと、中小企業経営者に対する安定対策というものが、非常に遅々としておるというふうに、私ども考えるのであります。これは事業税撤廃の問題にしましても、あるいは物品税撤廃の問題にしても、あるいは金融措置の問題にしてもそうでありますが、小売商業の特別措置法など、一向その後進捗を示しておらぬ、あるいは大企業の中小企業分野に進出することを調整するという中小企業振興助成法案なども一体どうなっているか、ここらもはっきりしておらぬ。こういう点について、今申しました通り、従業員に対する施策というものは労働省中心で引きずり回されている。通商産業省の方の経営者に対する対策がきわめて緩漫であるバランスがとれぬじゃないかというところに非常に問題があると思うのでありますが、これについて政務次官からお答えを願いたいと思います。
  48. 中川俊思

    政府委員(中川俊思君) 中小企業の問題は、豊田さんの方が、私どもよりはるかに御先輩で十分御存じのはずなんでございますが、いろいろな先般来、前の国会でございましたか、団体法なすかを政府ではやって、中小企業育成強化をはかる努力をしているのでございますけれどもが、しかし、大企業との関連もございますし、いろいろな点で、中小企業振興ということは、口先では言われますけれども、実際問題としては、なかなか至難な問題じゃないかと思う。ただ、至難の問題だからといって、これを放任しておくわけには参りませず、ただいま御指摘のような金融の面であるとか、その他いろいろな面において助成の方法を講じなければならぬのでございまして、政府といたしましても、豊田さん御存じの通り、いろいろな手を現在打っているわけでございますが、ただいま申しましたようなことで、なかなか実績が上らない。これらにつきましては大先輩である豊田さんあたりから大いに一つ督励をしていただいて、起死回生の妙薬を一つお授けを願いたいということを、私の方からお願いを申し上げるわけなんであります。
  49. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 起死回生の妙薬の一つが、はっきりわかっているんですが、それは小売商業特別措置法がその一つであります。要するに、百貨店法というもので百貨店の過当進出をチェックしたのでございますが、消費生活協同組合あるいは購買会、共済組合、こういうものの過当進出を調整するというのが、小売商を守る大きな起死回生の一つの手段方法なんですが、これの法律というものを、来たる通常国会あるいは臨時国会にお出しになるのかどうか。それともう一つ、それとのバランスから、場合によると、大紡績会社がズロースまでも一貫作業でやるというような行き方も出つつあるわけでありますが、そういう点を調整する中小企業振興助成法案、これをやはり次の国会あたりにお出しになるべきだと思うのでありますが、これについてのお考えはどうか。この二点を特に具体的に伺いたい。
  50. 中川俊思

    政府委員(中川俊思君) この問題につきましては、御案内の通り、前の国会で、衆議院商工委員会におきましても、この法案を次の国会に提出するという決議をしているわけであります。ところが、この国会では、御承知通り、限られた法案一、二だけを出して、それでこの国会にはおそらく提出できないだろうと思っておりますがただいま私が聞いておりますところでは、この次もし臨時国会が開かれますならば、その臨時国会にただいま御指摘の二法案は出すという準備が進められていると、私は考えております。臨時国会がございませんければ、次の通常国会に提出の運びに至るだろうと思いますが、御了承を願います。
  51. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 いや、これは必ず実行せられるように特に要望をいたしておきます。時間の関係質問を終ります。
  52. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 重工業局長さんがお見えになっておりますか。政務次官でもおわかりでしたら、けっこうですが、実は三年前に当委員会で競輪法案が改正延長になったわけです。しかし当時の状態としては、競輪なぞでテラ銭をかせいで学校を建てたり、橋をかけるのは、必ずしもけっこうではない。しかし、地方財政も豊かでないし、国からも出すことは、なかなか困難であるから一つ認めて上げましょう、こういうことになって認めた。逐次そういうものをなくそうという水田通産大臣等のお話がございました。そういう方針で京都市がやめるという決意をしたにもかかわらず、有力者が裏へ回ったか、通産当局のどなたがやったかわからぬけれども、再びやろうとしておるということをとにかく聞いたのですが、こういう点は一体どうなっておるのですか。
  53. 中川俊思

    政府委員(中川俊思君) そのことは私、前の水田君時代のお話から御質問のようでございまするが、よく承知をいたしておりませんが、しかし、御指摘のようなギャンブルは、できれば私どもとしては、そういう問題はやめるのが当りまえだろうと思っております。ただ、今お話しのようにそれらの財政、いわゆる収入が地方財政にとってかなりな足しになっておることも、また見逃がせない事実であると思うのであります。しかし、そうかといって地方財政の貧困をそういうもので補うのが万全の策ではございませんから、御指摘のようにそういう問題はできるだけ早く解消するのが、政府としてはなさなければならぬことだと思っております。なお、この問題につきましては、私もただいま申し上げます通り、詳細承知いたしておりませんから、なお十分調査をいたしました上、改めて答弁さしていただきます。御了承願います。
  54. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その点は次官のお話しで大体了解しましたが、とにかく京都市がやめようとしたにもかかわらず、政務次官は今度おなりになったばかりですから、あなたはおそらく関係ないと思いますけれども、とにかく市当局で一部の人と結託して、再びやろうという大きな動きがあるということを聞きましたので、非常に心配してお尋ねしたわけです。なお、詳細の点は次官があとでお知らせを願うということでございますから、それでけっこうです。  その次に大体ざっくばらんにお伺いいたしまして、原子力の問題は、明後日科学技術庁の長官をお招きしてお聞きになるから、その原子力の問題は抜きまして、石炭とか、あるいは重油で火力発電を起している。そうするとやがて二、三年たてば、今度原子力で何キロワットかの発電が起され、市販されるということになってくるわけです。通産当局は大体原子力がどのくらいの日数を要すれば、市販されて、石炭なり重油に影響してくるということは、どう判断されておるか、その点をまずお尋ねいたします。
  55. 中川俊思

    政府委員(中川俊思君) この具体的な問題につきましては、関係局長から答弁させますから、御了承願います。
  56. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 具体的数字……そうではない。自民党さんでも五カ年計画というのを、中川次官御存じでございましょう。そういう大きな政策について私はお尋ねしておるわけです。何万トン売った、買ったのお話は、私は決して次官にこだわりなく、局長さんでも、課長さんでもけっこうです。あなたの方の政策の一環としてどうなされるかという大きな面に限定してお尋ねしておるわけです。
  57. 中川俊思

    政府委員(中川俊思君) その問題につきましては、御承知通りわが自民党におきましても、一定の計画は立って今やっておるわけであります。御案内の通りこれが将来原子力を日本に導入する、あるいは日本でこれを製造するにいたしましても、いろいろな点におきまして障害がございまするしまたさらに、これが果して計画通りにいくかどうか、こういう点につきましても、私は非常な疑問を持っておるのでございます。しかし、疑問を持っておるからと申しましても、やはりこの原子力の平和利用ということの問題は、今日大きな問題でございまして、将来日本としてはどうしても取り上げていかなければならない問題でございますから、これらの点については、目下党におきましても御案内の通り決定的な答えが出ていないわけでございます。目下非常にそういう問題について検討を続けておるわけでございますから、いましばらく時日をかしていただかなければ、ここで私が責任をもってはっきりした答弁を申し上げるわけに参りませんから、御了承願います。
  58. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 次官、そう固くならぬでもいいのです。別にあなたの責任を追及するとか何とかではなくて、少くとも原子炉を東海から始まって……この辺から始める、そうすると一年に石炭は何千トン掘れとか、重油は日本だけで足りなければ外国から入れるとか、こういう構想は僕はお持ちだろうと思うのです。全然そういうことがないということなんですか。これから検討されるということであれば、それでけっこうですが。
  59. 中川俊思

    政府委員(中川俊思君) もちろん、その構想は党においても練っておるわけでございます。阿部さんもその点は御存じでございましょうが、党におきましても、今十分な結論を出すべく練っている最中でございますから、まだ結論は出ていないのであります。御了承願います。
  60. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 次官は初めてですから、御承知ないのですが、僕は社会党なんです。あなたの党ではきまっても、僕の方では全然知らない。御承知でしょうと言われても、あなたの党でこしらえる政策とかを聞いている。党できめたのだから、あなたは知っているのだろうと言われても、そういうことは僕の方には全然知らされていないのです。そんなむちゃくちゃなことはないですよ。
  61. 中川俊思

    政府委員(中川俊思君) そういう計画を党で進めているのは御存じでしょうと言ったので、決してその内容を御存じでしょうと言ったのではございません。阿部さんが社会党であるということはよく承知をしております。
  62. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 委員長からも申し上げますが、その点は、もう少し一つ本日の段階では中川政務次官の答弁では非常に不明確であり、質問者の満足する答弁になっておりませんので、後刻十分政府部内においても打ち合せなすって、次の機会に、政府方針等がありましょうから、それを御説明願いたいと思います。
  63. 中川俊思

    政府委員(中川俊思君) 今の点でございますが、阿部さんの質問は、自民党の中でどういう計画をこしらえているか、計画が進んでおるか、こういう御質問でございますので、自民党の中でまだ結論を得ていないので、それでかように申し上げたのであります。
  64. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それは、私の質問は、政府の燃料政策というものは、経済企画庁で作っておられる。ですから通産省は、これは河野さんと前尾さんで、私の表現が悪いかもしれませんが、経済企画庁の中の一通産省だ、経済企画庁の中の通産省は一外局だと言われた。今度は通産大臣が高碕さんで、次官が中川さんと大島さんという自民党内の優秀な人がなられたから、通産省経済企画庁の一分子と言わないように一つお願いしたいのだが、そこで、私は党の政策というよりも、経済企画庁で行われている燃料政策ですね、日本国の総合燃料政策をお聞きしたわけです。しかし、それがないと言うから、あなたの党ではやっておりませんか、こういう二段論法でお尋ねしたわけです。その点はいいのです。そこで次官、もう一つお尋ねいたしますが、次官御承知通り、本年度の出炭、本年度は最低五千六百万トン必要だということで、五千六百万トンの石炭を掘れと言う。また掘らせようという計画通産当局はやっておられる。しかし、どんどん石炭が余ってしまって、あなたの方の御発表によると今日九百万トンくらいしかないという話しですが、私の聞くところによると、大体一千万トンくらいの膨大な貯炭があるといとふうに聞いておるわけです。しかし、私の一千万トンという数字もはっきりしたものではないにしても、もう二、三カ日たてば、完全に一千万トンになるという状態になるわけです。そうしますと、石炭をどんどん掘れと言いますけれども、どんどんどんどん逆に余ってくるという、こういうものの処置はどういうふうにされるわけですか。
  65. 中川俊思

    政府委員(中川俊思君) ただいまの御指摘の問題につきましては、計数的の問題でもございますが、私ここに持っておりますが、なおこれは事務当局から持ってきた資料でございますので、むしろ、事務当局から明確に答弁させたいと思います。御了承願います。
  66. 村田恒

    説明員(村田恒君) 本年度五千六百万トンの出炭は、さきに経済企画庁を中心にして練られました長期エネルギー計画の一環として、昭和五十年度において七千二百万トンの出炭まで持っていく。そういう最低七千二百万トンの出炭を行うということが、外貨負担を軽減し、将来増大していくエネルギー需要に対応するために、国内出炭七千二百万トンが最低要請されるということを基礎にいたしまして、五千六百万トンの出炭体制というものを維持するようにはかってきたわけでございます。で、現実に各炭鉱、各山別の工事の、本年度大幅な開銀の投資もございますし、そういう面から見まして各山別の出炭の態勢、物理的な出炭の態勢というものは、あくまで七千二百万トンの将来の姿を計画の中に織り込みながら、それが行われているわけでございます。  ところで、たまたまこれが阿部委員がきわめてよく御承知だと思いますが、長期計画と、それから短期的な需給の変動に伴います場合における石炭鉱業が、非常に生産弾力性が乏しいために影響をこうむることが、ほかの産業よりも非常にはなはだしいということのために、現在起っております。いろいろな、もろもろの矛盾が露呈されておるわけでございますが、大勢といたしましては、各山とも五千六百万トンの出炭体制というものはまだくずれてない、そういうふうに考えております。  ところで、それならば一体どういうわけでこのような、その貯炭増というものが出てきたか、一番大きな原因は何と申しましても、電力部門に対します、これまでのところ、きわめて計画よりも非常な豊水でございまして、電力部門に対します石炭の引き取り、並びに電力部門に対します消費というものは、非常に予想よりも低かったということが大きな原因でございます。たとえて五月の例をとって申し上げますと、電力部門におきます石炭の消費というものが、八十万トン程度のものが予想されておりましたのが、実にその半分四十万トンぐらいしか、たかなかったという状況であります。現在水の方から申しますと、非常に心配でございますが、逆に石炭の方から申しますと、ありがたいことには、非常に天気が続いておりまして、現在三万トンぐらいたいております。従って電力部門の消費はこの二、三週間ぐらいはだんだんふえておりますが、いずれにいたしましても、これまでにおきまして非常に貯炭が増加しております。ただいま一千万トンというお言葉がございましたけれども、われわれの方で調査いたしましたとこによりますと、五月末で全国の貯炭の総計は八百三十五万トンでございます。この八百三十五万トンの内訳を見ますと、いわゆる業者貯炭、すなわち坑所、港頭、市場、それらの合計いたしました業者貯炭が三百十五万トン、さらに大口の工場、大口の消費工場でございます。需要者工場におきます貯炭が五百二十万トン、そのうちで、この五百二十万トンのうちで、電力部門がどのくらい持っているかと申しますと、三百二十万トン持っております。非常に膨大な貯炭であります。その結果、八百三十五万トンの貯炭を持っているわけでございます。この数字がいかに大きいかということは、昨年の五月に比較いたしますと、昨年の五月末の貯炭は、全国でもって四百六十一万七千トンでございます。約倍の貯炭がふえておることになります。で、特にこの注目すべきところは、大体業者貯炭というものは、二百三十万から二百五十万の間をもって正常な貯炭と考えておりますが、現在のところ、三百万トンちょっとでございまするから、業者貯炭の方が、それほど憂慮すべき状態でないにかかわらず、消費者の方の貯炭というものは非常に多いわけでございます。すなわち、需要者の方に片寄ってしまって、それがいろいろな事情でたまって、それを消費することが非常に少かったというためにこのような状況を生じたわけであります。ところで、これだけの大きな貯炭があるものを、しかも片一方において五千六百万トンの出炭体制を持っていくという矛盾、これをどういうふうにしていくかということでございますが、今申し上げましたように、将来におきます大きなエネルギーの需要に対応しまして、出炭体制をくずさないでいこうということは、これは何といっても、膨大なる労働人口をかかえております石炭鉱業といたしましては、そう軽々に出炭の抑制とか何とかいうことは、簡単にできないことと存じます。ところが、たまたま今回の長期にわたります炭労のストライキによりまして、相当大幅な減産が行われております。すなわち四月に入りましてから六月十日までの炭労と経営者側との協定ができまして、それによってストライキがやみましたが、そのときまでの減産が百五十八万トンの減産を現実に生じております。そのうち原料炭は百余万トンの減産でございますが、そのほかに、需要面におきまして、今申し上げましたように、電力の方で非常に引き取りが少くて消費が少なかった。と同時に、原料炭を中心にしてのストライキのために、鉄鋼、ガスの部門では、手持ち輸入炭を極力食ったわけでございます。そういう関係で、何とかつないできておりますが、いずれにいたしましても、ここに現実の姿として百五十八万トンの現実の生産減が行われております。同時に、これを具体的に何%の出炭制限になるかということは簡単に申し上げられないと思いますが、何と申しましても、現在の炭況というものを見まして、全体として各山別に大幅なる増産体制というものが、少しずつ少しずつ士気阻喪しているというふうな現象は、これはいなめないと考えられます。その意味におきまして、必ずしも本年度最終的に五千六百万トンというものは、すでに五千六百万トンの体制があったとしても、今日までにストライキが行われて、百五十八万トンというものは現実に減産になっておるわけでございます。その意味におきまして本年度におきまして、まだ下期におきます需要あるいは下期におきます豊渇水の状況、それらの点を今後十分に実態を見きわめなければわかりませんけれども、まあ体制は五千六百万トンといたしましても、現実の出炭というものは、五千四百万トンを下回るんではないか、こういうふうに考えております。
  67. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 去年もそうだったんですが、通産当局はきわめてあれなんですね、需要に対する見通しが強気なんですね、いい言葉で言うと。悪い言葉で言えば甘い。去年も五千三百万トン要るということで、経営者は五千百万トンしか掘りませんということで、通産当局石炭経営者と数回話し合って五千二百五十万トンというところに落ちついた。やはり余ったんです。実際その電気に責任をなすりつける方が、電気が石炭を使わなかったといって責任をなすりつければ、天災地変だから、通商産業省の見通しが甘かったなどということにならぬから、一切電気に責任をなすりつけるようだけれども、しかし、電気は去年あれでしょう、火力を使わなかったといっても、百八十万トンから大体多く見積って二百万トンですよ、それに石炭局長が今おっしゃった四十万トンや五十万トン入れたところで、やはり多いんですね。ですからそのあたりやはり見通しが甘いというか、それともこれだけ使用するというつかみ方がどうも強過ぎるというのか、そこらあたりの原因については、電気に一切関係がないんで、日本経済その他一般中小企業も含めての使用率が減ったなどということは、とうてい考えられぬわけですか。石炭政策については、全く見通しが正しいんだ、誤りはごうもございませんと、五千六百万トンで出発して、日本炭鉱労働組合がストライキをやった百五十万トンばかり出炭が減少した、そうすると五千四百五十万トンになって、これは絶対御心配要りませんよという御答弁になりますか。
  68. 村田恒

    説明員(村田恒君) 私は今石炭鉱業が一番大きな取引先であり、炭価なり石炭のある意味においては死命を制しております電力業界における消費、並びにその引き取りが一番大きな要素でございますので、それを申し上げたわけでございます。で、大した数字ではないということでございますが、昨年度の豊水が八%の豊水でございましたが、そのときの見通しに対しまして、実際の電力用の石炭の消費が減りましたのは、実に二百万トンというものを昨年度において実績として示しております。また同時に、私は電力の問題に重点を置いて御答弁申し上げたわけでございますが、もちろん、これには一般的な鉱工業の生産の伸び、それに対する消費というものがある程度不活発であったということはいなめない事実である、こう考えております。
  69. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その次に、中川政務次官にお尋ねしますが、こういうような、今論議されておる貯炭の膨大な状態をどうするかということで、五月の二十九日ですか、閣議を開いて、四点にわたってきめておられるんですね。この四点の中で、生産体制整備に支障を起さない範囲内で生産調整を期待する、これはどういうふうな方法でやるものか。その次に、下期には輸入エネルギーによる需給の調整をはかる等々、幾つかきめてございますが、これを具体的に、しからばこれをどうやるという、調整するというか、どういうふうな方法があるんだ、どういうふうな方法で政府がおやりになるということを、これはちょっと抽象論で、論議された方はわかるでしょうけれども、われわれにはわかりませんので、これはどういう内容なんですか、やられるとすれば。その点をお尋ねいたします。
  70. 中川俊思

    政府委員(中川俊思君) きわめて抽象的でお気に入らないかしれませんが、ただいまの御質問に対しては、こういうことをきめておるわけであります。第一点は、長期石炭生産体制整備を確保するため、本年九月末までの生産業者貯炭増加分について所要資金の確保をはかる、ということが一点であります。それから、第二点は、最近の貯炭の趨勢を考慮し、さしあたり、長期生産計画に基く生産体制整備に支障を来たさない範囲内での生産調整を期待する。第…点は、本年下期には輸入エネルギーによる需給の調整をはかる。第四点は、右の諸施策と並行して、長期的に需給の安定をはかるため、大口需要部門との連係の強化、需給の調節機構の確立等を早急に推進する。まあこういうごく抽象的なことしかきまっていないわけであります。むろん、こまかいことについてのいろいろな雑談は出ただろうと思いますが、それを直ちに具体的にどうするということには、まだ至っていないのではないかと思います。
  71. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それで、閣議で決定した後次官もお聞きになったと思うんですが、たとえば、生産調整を期待するということは、生産体制整備に支障を来たさない範囲で、ということなんですね。ですから、十人おったのを七人にして三人を人員整理するとか、あるいは、昔ございましたように、操短をするとか、それからまた、三番目の、輸入エネルギーによる調整をはかるといっておることは、重油が入ってくるのをストップするとか、あるいは、外国炭を入れませんとかいう、そういう計画は全然なくて、ただ読本のように表面だけきめて、あと中身がなんにもないというんですか。
  72. 中川俊思

    政府委員(中川俊思君) むろん、ただいま私補足して申し上げました通り、それの具体的なこまかい点は、多少話には出ておるわけであります。その点につきましては、局長から詳細御説明させます。
  73. 村田恒

    説明員(村田恒君) 石炭鉱業が生産弾力性にきわめて乏しいという産業でありますために、経済閣僚懇談会ですかの結果きめられました第二項の、生産体制整備に支障を来たさない範囲内での生産調節を期待する、ということは、方法論として非常にむずかしいものを含んでおります。それは、この場合にいろいろなことが考えられたわけでございます。まず第一に、たとえば、政府の方がはっきり業界に向って操短の勧告、たとえば繊維産業に向って行いますような操短の勧告ということも、一つの方法として考えられると思います。しかしながら、現実の事態は、まだ操短の勧告をする、先ほど申し上げました貯炭の状況から見まして、操短勧告をするような段階ではない。また同時に、これは基幹産業としての重要性からいたしまして、長期のエネルギー対策を堅持いたします建前上、今持っております生産体制というものを、簡単に低いところに落していくということは、きわめて問題が多い。これは、同時に、単純に生産を制限するというふうな措置をとる場合には、それによって生じて参ります膨大なるそこの炭鉱労務者の問題等にも大きな影響を及ぼすわけでございます。しかしながら、現実にあくまで増産々々一本やりでいくということは、現実に毎月々々起っております短期的な現象を見た場合には、あくまで増産一本やりでいくということは、これはある意味において無謀にひとしいわけでございます。ところで、そこであくまで長期生産体制というものはくずさない、すなわち、将来におきます六千四百万トンあるいは七千二百万トンという計画出炭という体制をぐずさずして、本年度における暫定的な臨時的な需給の安定化をはかるというために、各山別に、つまり各会社別に、最も妥当な方法におけるところの自己防衛的な若干の出炭抑制の体制をとることが、一番望ましいというふうに考えたわけでございます。で、その方法といたしましては、まず第一にとり得る方法は、選炭の強化でございます。それから、第二には、これは労働組合と十分なる話し合いの上でなければ問題が多いと思われますが、超過勤務というものを若干ずつ落していくということでございます。第三に、これは実現する場合に相当問題が多いのでございますが、休日制をしくということであります。現在のところ、しかしながら、現実に休日制をしいたり、あるいはまた、超過勤務というものを具体的に切っていくという措置をとった例は、まだございません。それから選炭の強化というものは、これはもとよりやるべきことであり、しかも、労働組合に対する影響は最も少く、しかも、いい品質のものを出炭していくという意味においては、選炭強化というのは一番いい方法である、さしあたっては、まず選炭強化ということをやっていったらいい、こういうふうに考えております。それが生産体制整備に支障を来たさない範囲生産調節を期待する、こういう意味でございます。それからその次に、輸入エネルギーによる需給の調整をはかるということは、これは年来石炭鉱業がもうしつこく言い続けてきた問題でございまして、これは油との競合でございます。現在、油の値段が非常に安くなっております。また、分量もきわめて多いようでございますが、これを輸入を思い切って切ってしまうとかというふうなことは、なかなかできないことでございますが、消費部門におきまして国内炭を使って済ませるところは、極力国内炭を使ってほしいという意味において、これは経済企画庁できめられました長期経済計画の中にも、そういう趣旨をうたってきておるわけでございますが、こういう事態において、現在のように需給の状態の悪いときには、なおさら輸入エネルギーというものを節減してもらいたいという問題を、真剣に取り上げざるを得ないわけでございまして、たまたま、上期におきましてはもはや外貨予算もきまっておるわけでございますが、下期においては、外貨予算の編成におきまして輸入炭及び輸入の油というものに対して、国内炭を可能な限りその消費をふやすようにはかっていこう、こういうことをきめていただいたわけでございます。一例を申し上げますと、たとえば、一番激しく一番先に石炭の部門において不況の影響が出て参りました無煙炭でございますが、これは、御承知のように、豆炭の消費が暖冬異変のために非常に減りました。同時に、無煙炭の生産も実際の計画よりも相当上回る予想がございましたので、これは思い切って切ってもらいまして、昨年度外貨割当におきまして年間八十万一千トンの輸入の無煙炭を入れたわけでございますが、今年度におきましてはそれを半減して四十五万四千トンというものにこれを減らしております。そのほか、たとえば、きわめて微量ではございますが、先ほど当委員会においてもちょっと話が出ておりました日ソ貿易関係で、ある程度ソビエトの樺太炭を入れなければならないのでありますが、この樺太炭輸入に関連いたしまして、それに見合うだけの重油の消費というものを、下期において外貨予算においてこれを節減していくというふうな方法において、石炭局から関係方面にはお願いをしておる最中でございます。
  74. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、この第一点のほうは、資金の確保をはかるというのですから、通産省がおやりになるか、政府当局がおやりになるかわからんけれども、市中銀行に金を融資しなさいとか、あるいは大蔵省の預金部からお金を貸してあげようとか、こういうことになるのですか。
  75. 村田恒

    説明員(村田恒君) この閣議決定の一番大きなねらいは、この第一点をきめていただくために、閣議決定まで持っていったわけでございますが、それは、何と申しましても、これだけの貯炭増を乗り切っていくためには、相当大幅な資金需要が当然あるわけでございます。さらに、その以前におきましても、長期にわたるストライキの間における増加運転資金の問題もございますが、さしあたって貯炭増加を切り抜けていきますために、貯炭金融をどうしていくかということをやるために、この閣議決定を主としてお願いしてあるわけでございますが、これは政府の方でどうこう、あるいは財政資金云々というところまではいっておりません。またそういうふうな筋では、なかなか今度の貯炭金融というものはそういう話には乗らない、あくまでこれは一本一本石炭業者がそれぞれの自分の取引銀行に対しまして、現実の資金繰り、現実の石炭の炭繰り、それらを説明いたしまして、一件々々必要な増加運転資金を確保していく、こういうことをねらったわけでございます。しかしながら、ただ単に業者と市中銀行の話し合いだけでおいたのではとうていこの話は進まない、その意味におきまして、この閣議決定をとりまして、この閣議決定に基いて——これをとりますためには、もちろんわれわれ大蔵事務当局とも話し合いをしまして、ここまで決定することに同意を得た、さらにこれがきまりましてすぐ日銀当局に説明いたしまして、山際総裁から政策委員会におきましても、上期において貯炭金融のために必要な金額は九十三億とわれわれは出しておる、九十三億程度のものが必要であるということを、山際総裁からも政策委員会説明していただきました。われわれの方も日銀に行って、上期において九十三億の貯炭金融をつけてもらいたい、下期において相当な貯炭の圧縮をはかりますので、相当これは返していけるという見通しで、来年に持ち越されますのは約七億ぐらいの返し残しが残るというようなことを詳細に説明した。日銀当局も、これを今すぐにどうこうしてくれるということはございませんけれども、了解してくれました。それらの趣旨をそれぞれ産炭地の支店にいろいろ連絡をしてもらいまして、現在各業者はそれぞれ取引銀行を通じて、所要の貯炭金融の確保というものについて市中銀行と折衝中の段階でございます。
  76. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうなると、たとえば三井は三井で、三菱は三菱で勝手にやれということと何ら変りなくて、閣議できめたといってもそれはもう大山鳴動ネズミ一匹ですよ。炭鉱国有であれは日本銀行を呼んで、それをやれということはできるけれども、市中銀行から、三井炭鉱が三井銀行から金を借りてくる——政府が閣議できめたのだから、政府から安いお金でも貸す、あるいは融資をしてあげる裏づけをするという話だと思ったが、それは勝手にやりなさいというようなそんなことは閣議できめて炭鉱経営者の方に言わなくても、炭鉱経営者の方は先にいわゆる石炭生産と販売とにらみ合せて借りますよ。これはもう実にどうも納得いかぬのですが、これはあとで大臣が御出席したところでお尋ねいたします。  そうしますと、石炭局長、こういうことなんですか。とにかく九月になれば一千万トンある、たとえば僕が今の一千万トンを引っ込めたところで、本年九月末の生産見通しをきめるときに、生産業者の貯炭が四百八十万トン、大口消費工場五百六十万トンとなる、こういった情勢判断をして閣議で御決定になったのですから、そうしますと、あなたが僕の一千万トンは多い、八百何万トンだというけれども、二月になれば一万数百万トンになる、これが下期になってどんどんさばけて、そうして今度今の貯炭がぐっと減少してくるというお見通しなのか、それともずっともう五千六百万トンは全然話にならぬ、従ってもう本年一カ年なら一カ年これは制限しなければならぬということになるのですか、その点はどうなんですかね。
  77. 村田恒

    説明員(村田恒君) 結論を先に申し上げますと、上期の初めに持っておりました業者の貯炭が二百二十三万三千トンでございます。この二百二十三万三千トンの上期初めの貯炭という態勢でいきまして、上期の末、期末の貯炭が四百二十万三千トンという数字になると考えております。この四百二十万三千トンを極力圧縮いたしまして、圧縮するということは、すなわちまだこれは、下期におきます鉱工業の伸びあるいは豊渇水の状況というものは、今のところ予測を許さないわけでございますが、一応われわれが考えまして、まあ電力の方の引き取りも相当促進されるというようなことをいろいろ考えまして、下期末における期末貯炭は二百三十八万五千トンまで持っていくということを考えております。そのために九十三億借りましても八十六億は下期で返せるのだ、こういう計算の上に立って日銀当局に説明したのであります。その間におきまして、先ほど申しましたように、一律に五%制限しろとか、あるいは七%制限しろということはなかなか実行不可能でございます。しかしながら、いろいろな観点からある程度——特に中小炭鉱におきましては、現在の炭況から見まして大幅な増産態勢というものが相当士気阻喪しておるというようないろいろな観点から見まして、約百十二万四千トン出炭が減るであろうというような考えをいたしております。それに、先ほど申しましたストライキによる減産というものを二百万トン以上と計算いたしまして、下期、年間におきましては五千六百万トンの態勢というものはくずさない、ということは、あくまで工事を中心にして長期の先における伸びを考えております。現に本年度開銀融資の中で、本年度の五千六百万トンに直接にその生産に寄与する工事は二つしかございません。あとは将来における六千四百万トンないし七千二百万トンの生産に寄与する工事にだけ開銀融資をつけております。そういう意味において態勢というものはくずさずして、しかも短期的な需給というものはここでバランスさしていく、そういう考え方でいたしております。もう一度申し上げますが、一律の出炭抑制はいたしませんけれども、百万トン以上の出炭の減というものはこの中に織り込んでおります。
  78. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 石炭局長の明快なる御高説を反駁するわけではございませんが、いかに美辞麗句で説明していただいても——操短はやりません、企業設備はそのままで残しておきます、一体どうして石炭が減るかということなんです。天勝魔術師なら別ですが、この書いてある通りでいくとすればどこかで犠牲が出ていく、中小炭鉱はつぶれていくということにならぬですか。また、あなたは今度の臨時国会——さいぜんの中川政務次官のお話によると、臨時国会があるかもしれぬ、なければ通常国会というお話ですが、臨時国会、でなければ通常国会でまたこういう問題でやらなければならぬですよ。だめならだめだとあっさり明快に……抽象的に幼稚園の子供に大学の先生が教えるようなことじゃだめですよ。そういう御心配ないですか、心配なければけっこうですが。
  79. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 委員長からも一つこの際資料を要求したいと思いますが、経済五カ年計画とこの総合燃料政策との関連はどうなっておるのか、それが一つと、第二は総合燃料政策の中における石炭、電力あるいは輸入エネルギーの地位はどういうことになっておるのか、第三、現在の石炭の需給状況について、先ほどは五月末を基準にしてお話がございましたが、さらに資料として提出を願いたいと思います。第四として、炭鉱経理の実態、特にこの金融面からどういう状況になっておるのか、さらに労働力の移動の問題、第五として、重油、外国炭の輸入の状況、第六、昭和二十八、九年の不況期と今回の不況とのこの燃料政策から見た違いがどういう姿になって現われておるか。これを一つすみやかに資料を整えて本委員会に提出をしていただきたいと考えます。  先ほどの阿部君の質問に対して……。
  80. 村田恒

    説明員(村田恒君) 先ほどの二つの点でございますが、第一は、これは各炭鉱、石炭企業がそれぞれ取引銀行と交渉してやればいいわけで、何も閣議決定をする問題でもないではないかという御意見でございますが、確かにそういう見方も十分に私はあり得ると考えます。しかしながら、ただ現在まで現実に各炭鉱会社が金融筋にそういう貯炭金融の問題を持って参ったのですが、これははっきりはねられてしまった場合もあるわけで、そういう意味において、業界からもきわめて強い要望もございまして、われわれも一つはこれによって、少くとも日銀当局が、市中からある一定のワク以上の融資をいたしまする場合には必ず日銀に聞いて参ります、その場合に日銀が否定的な返事をしてもらっては困るという意味において、大蔵省をも一緒にしてこういう対策をきめております。少くとも一つの規制をつけたということは申し上げられるのではないかと考えます。なおこれ以外に、こういうことでうまくいくのは大手でございます、問題が残されているのは中小の零細な山々でございますが、これらの対策もこれはきわめて重要なものでありまして、これに対しては、これはまだ実は申し上げるのは時期尚早かもしれないのですが、実は商工組合中央金庫の金を約二十億借り出そうという今計画を進めております。この借り出す方法につきまして、商工中金をその保証の面において納得させ、たとえば大手がある程度これを連帯して保証してやるということも必要であろうかと思います。また貸していく場合にも、ほんとうに貯炭金融なり、あるいは将来の合理化に役立つような方向にだけ持っていく、そうでなくどこに使われてしまうかわからないような方向に持っていかれては困る、従って受け入れる方も受け入れ態勢というものを、しっかりした財布を作ってもらう、こういう方法をどうするかということで、これは近いうちに結論を出しまして、約二十億の金は純然たる中小炭鉱に対する特別金融として商工中金から取るように進めたい、これはできるかどうか、まだお約束はできませんですけれども、今その話を進めておる段階でございます。  それからいま一つは、非常に苦しいところでございまして、現実にストライキなり、あるいは出炭のあれが落ちていくというような関係でもって五千六百万トンの供給力というものは出ないわけです、現実に出ません。従って、これはどうしても五千三百万トン前後の供給力になるわけです。そうなれば、たとえ下期におきまする鉱工業の生産の伸びが思う通りにいかなかったといたしましても、非常に大幅な私は貯炭増というものを年度末に引き起すということはないのではないかと、こういうように考えております。しかしながら、もちろんこれは楽観は許さないのでございまして、これに対しましては、今後おそらく政府全体として、繊維関係等も含めまして、いろいろなもろもろの不況対策と申しますか、あるいは長期経済計画を遂行するための必要な裏づけ政策と申しますか、そういうものが打たるべきじゃないかと想像するのでありますが、それらの際に十分この石炭問題も織り込んでの長期のエネルギー対策と、短期的な景気の変動に対する調和をどう持っていくかということをきめていただき、また国会の方にもいろいろ御指導をお願いするという機会があるんじゃないかと考えます。
  81. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その次にお尋ねするのは、一カ月半くらい前の新聞に出始めてからときどき出るのですが、電気会社ですね、電気会社ではブロックでやるのか、全国統一で一社でやるのかわかりませんけれども、とにかく百万トンくらいの貯炭を買いだめていく、現在まで膨大に持っている上に貯炭をするということになりましょう、そういうことをやる。あるいは炭鉱経営者の方で大手十三社、地方を含めて十八社かしりませんけれども、大手の諸君も五十万トンか七十万トンかわかりませんが、やはり貯炭をやる、中小にダンピングをやられては困るので、中小企業石炭を買い上げて、そういう貯炭をする、こういうような新聞が出まして、それと同時に、直ちに公取の方から、公取委員会の横田さんですか、今の長沼さんですかの方から、それは電気業者がやる場合は消費者ですからけっこうだけれども石炭業者がやるということになれば石炭価格が下っていく、ダンピングはけしからぬけれども、とにかく石炭価格を下げないために全国で統一して貯炭工場を作るのですから、これはカルテル行為である。カルテル行為、つまり公取の一項にひっかかるのだという話が出ました。それで、こういう点について先日公取の長沼さんに聞いたところが、そういう話は私知りませんね、こういうことでしたが、こういう点についてどう考えているのですか、そこの点だけ一つお伺いいたします。
  82. 村田恒

    説明員(村田恒君) まず電力の共同貯炭場でございますが、これは前の臨時国会のときから、国会でもこの問題について私は御説明申し上げた記憶がございませんけれども、何といっても将来の石炭の需給というものを安定させるためには、一番の得意先である電力部門における供給、需給を安定させることが根本だと考えております。その意味において、今全国の電力会社が持っております、貯炭能力は、そのキャパシティがちょうど三百十万トンでございます。この三百十万トンをもう百万トン引き上げようというのが私たちのねらいでございます。そうして百万トン引き上げて、それが豊渇水、あるいは景気の変動のいかんにかかわらず、コンスタントにこれを電力にたいてもらうということをやりたいというのが、電力の共同貯炭場の構想でございます。さしあたって開銀資金約三億ないし五億というものをこれに投入する用意をいたしまして、それでどこに貯炭場を作るか云々ということはまだきまっておりませんけれども、まず九州におきまして五十万トン、それから北海道炭を処理していくために五十万トン、これは、さしあたって本年いたしますのは、九州を中心にいたしまして五十万トンの貯炭能力の増強をやりたいということで現在進めております。ところが、これがなぜ進まないかという点は、これは残念ながら電力部門と石炭部門との炭価の協定がまだきまらないのであります。そこで両方の側でもってなかなかかけ引きがございまして、ここで電力の共同貯炭場の問題を出すのは、あまりにも炭価問題で火花を散らしておる段階でございますので、電力部門としては相当程度考え方があるようでございますが、まだそれを公けにしてこないという段階ではないかと考えております。必ずこれは一つの政策として実現いたしたいと考えております。  それからもう一つの、今度は石炭業界自体の方でもって一種の自衛策として需給調整を考える方法でございますが、第一番に考えましたことは、今御指摘のございましたように、ダンピングするものを買い取っていく特別な会社を設立したらどうかという案でございます。しかしこれは、あえて公取委員会と相談するまでもなく、私どもの方としても、とても独禁法関係で無理だということで話が消えた。その次に、組合ではどうだというふうな話もございました。また、組合までいかないで、一本一本の個々の買い取り、全然協定というものがなくても、これは一本一本大手がダンピングしそうな中小の炭鉱のものを十万トンあるいは五万トンというふうにそれぞれ買い取っていくという方法はどうだということで相談をいたしました。いずれにいたしましてもその根本となるのは資金が必要だということで、今資金問題に頭を突っ込んでおりまして、いまだ具体的に進んでおりませんが、先ほど申し上げましたように、商工中金でもし二十億という金が出るならば、これは中小炭鉱のダンピングしたものを買い取る場合に販売業者をして買い取らしめる、つまり同業会のメンバー、販売業者中小企業の団体法によります組合を結成させまして、その組合が買い取る、それで大手は別に手形を切って、九十日で手形を切ります、それを同業会傘下の販売業者の組合にこれを流していく、それを今度は販売業者が、銀行に持っていって、商工中金に持っていって割り引いてもらうということになりますと、いやでもこれは手形がきたときに大手の方で落さなければならぬという責任を持ちますので非常に強力な保証でございます。そういう形で、商工中金の金を運用していったらどうだろう、そうすると、今お話しにございました約五十万トンでございますが、五十万トンのダンピングするおそれのあるものを大手が実際上買い取るということも、ある程度の法律上のむずかしさを避けながら、また同時に商工中金に対する保証というものを固くしながら遂行できるのではないか。この案が出て参りましたのは、ついきのう、きょうのところでございまして、これを今急速に固めたいと考えておる段階でございます。
  83. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 石炭局長答弁で大体了解しましたが、もう一点だけ……。これは石炭局長から御答弁願うのが正しいか、官房長から御答弁願うのが正しいか、わかりませんけれども、この前の二十八国会で石炭整備事業団、あれはもう三百万トン買い上げの想定で出発して三百六万トン買い上げたからといって改正になったのでしょう。そこで、その後の措置についてはどういうふうにするかということで、あのまま保留になっておるのです。金利の問題から、あそこにおられる人の問題からして……。あそこへ通産省からも行っている。通産省の方は、一切あれがなくなって通産省の方へ引き取る。あと残った人はどうなるかということなんですが、これは石炭局長にお尋ねするのが正しいか、官房長がおられるのですが、官房長から御答弁願うのが正しいか、どちらでもけっこうですから一つ答弁願いたいと思います。
  84. 村田恒

    説明員(村田恒君) 実は整備事業団は、今御指摘のように、整備事業団を今後どういうふうに持っていくか、あそこに働いている人たちは、御承知のように、この間の国会で通していただきました改正の中には、四十二年まで法律は延長されましたけれども整備事業団だけは旧法通り三十五年の七月をもってこれはなくなってしまうことになっております。その際、衆議院におきましても、当委員会におきましても、今後どうするのかという御質問を受けました。これはまだきまっておらないということを申し上げたのでありますが、現在においてもまだどうするかということはきまっておらないわけでございます。ただこれは、まだ公けに通産省の中できまったわけじゃございませんが、考えておりますのは、あれは非常にいい制度でございます。すなわち、炭鉱業界が炭、鉱業界の自分たちのグループだけで、自分たちの金を出し合って財政資金やなんかのめんどうをかけないで、つぶれていく中小炭鉱を救済していく制度で、きわめてこれはいい制度だと思います。できるならば、今後も中小炭鉱等で没落していくものがあとを絶たないとするならば、これは存続したいと思います。と同時に、貯炭対策でございます。貯炭対策として法律の上において出炭トン当り二十円ずつ取れるということが規定してございますので、もしああいう規定をそのまま延ばしていくことができるならば、あの団体というものをして貯炭買い取り、それも大した数量じゃございませんが、金額的にも大した額じゃございませんが、そういった機能を営ましめるように今後研究を進めることは妥当な考えであろうということで、ぼつぼつ業界と話を進めている段階でございます。
  85. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 次に、鉱山局長さんにお尋ねするのですが、さいぜん繊維局長さんがおいでになったときにお尋ねするつもりでしたが、実は最近の金属鉱山で化繊が不振のために操短をやっているということで、金属鉱山で出す硫化鉱とか、硫酸、硫黄、これはパルプその他も入ってくるのですが、こういうものが非常に化繊の操短によって影響してきておるわけですね。  それから、輸出振興輸出振興と言っても、さっぱり化繊が輸出されないから、こういうところにしわ寄せがくるかもしれませんけれども、こういうような状態をどうしてやっていくのか、その点をまず端的に一つお尋ねしたいと思います。
  86. 福井政男

    説明員(福井政男君) お話のように、特に硫黄鉱業につきまして、化繊の減産に伴いまして現在では三割か四割ぐらいの減産になっております。できるだけ業界の方で話し合いまして影響の起きないように話し合いを進めて減産の対策をやっておるわけであります。私どもといたしましては、できるだけ早くこの化繊の方の状況が回復することを現在では渇望して待っているというような正直なところ実情でございます。
  87. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうすると、局長さん、あれですか。化繊の方が操短をやめて、またその旧状のような状態に復さない限りは、苛性ソーダとか、硫黄とか、硫化鉄鉱というものは全然当分、まあ若干は国内産業にも使うのですが、見込みない、こういう結論になるわけですか。
  88. 福井政男

    説明員(福井政男君) 硫黄におきましては、化繊の方が回復いたしませんと、現在の生産の回復はなかなか望み得ないという実情でございます。
  89. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、硫安とか肥料ですね。肥料の方はこの委員会でなくて農林省の管轄になるが、過燐酸石灰というものが肥料となって中共へ行くわけですね。この過燐酸石灰等はあなたの方の関係なんでしょう。これは中共貿易が盛んになって、向うへとにかく肥料が行かなければ、これはあなたの方はだめだということになるわけですか。過燐酸石灰はあなたの方の管轄ではないのですか。
  90. 福井政男

    説明員(福井政男君) 違います。
  91. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それは当然肥料は農林委員会ですからそうかもしれません。私よく存じませんものですから……。  その次、銅ですが、銅の建値、一昨年までは四十万円か四十数万したのではないですか。それが昨年の暮れ、夏、今ごろからですか、相当暴落して半額ぐらいになった、また今若干上向いておる、こういうでこぼこベースを政府が何らか調整するとか、そういうふうな手段は全然とる方法はないものですか。
  92. 福井政男

    説明員(福井政男君) 銅につきましては、お尋ねのようにフラクチュエーションの大きい産業一つでございまして、三十一年度当時の景気のいいときには、お話のような四十万円以上もいたしたわけでありますが、現在では建値が二十六万円でございまして、市価の方は従来若干まだ下回っておるような状況でございます。ただ最近新聞等の報道によりますと、アメリカがストック・パイルで十五万トン買い上げるというような情報が出まして、アメリカの三社の建値が上りましたとか、あるいはロンドン相場が上ってくるというようなことで、ここ一週間の動きは国内の市価の方もよほど回復いたしておるわけであります。ただ銅産業につきましては、非常にフラクチュエーションが大きい関係上、需給対策といたしまして、何とかいい方法はないものかというのが常に問題になるわけでありまして、そういう見地から銅の買い上げ機関といたしまして、これは業界で自主的に作った会社でございますが、日本銅地金会社というのがございます。ございますが、何しろ資本金がわずかでございまして、三億ぐらいの資本金でございますので、これがほんとうに活用、ファンクションを持つには、この資本金をうんと大きくしなければならないわけでありますが、現在、その滞貨融資のために各社がそこの地金会社に資本金をつぎ込むというほどの余裕がございませんので、従来のわずかばかりの資本金で、ほとんど設立いたしました目的は達し得ないような状況になっております。ただ現在、山元のストックが一万トン程度でございます。一時は二万トン前後になったわけでございまして、こういった産鋼会社の景気を圧迫いたしますストックにつきましては、できるだけ金融をつけていただくということで関係方面と話し合いをいたしまして、そういう措置をいたして現在まで参っておるわけであります。将来の問題といたしまして、何か財政資金による買い上げ機関であるとか、あるいはまた民間の買い上げ機関とすれば、それに対して出資がしやすいようにするとか、あるいはまた税金の面で何らかの恩恵を与えるとかいうようなことができないものであろうかという一つの需給調整機関を研究いたしたいというふうに考えております。
  93. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 今、局長お話しの中にありました建値の二十六万円ベースですね、日進月歩で機械が毎日々々進歩していますから、コストもだんだん下ってくるのは当然かもしれませんが、私どもの知っている範囲では、大体銅の生命線というのは、山とやっぱり含有量によって違うと思いますが、大体生命線というのは三十万円内外だということを聞いているわけです。ところが、売鉱屋さんの方から大手の業者に二十八万円で一つ買ってくれぬかという話を持ち出しても、大手が拒否権を発動して全然話にならぬ。こういうことを聞いておるのですが、こういう問題については、御当局の方で、行政指導とか何らか手段を講じてあげるというようなことは、これは不可能な問題でしょうか。
  94. 福井政男

    説明員(福井政男君) お話しのように、日本の鉱山資源の資源的な条件というものが非常に悪い関係上、機械等は進歩はもちろんいたして参りますけれども、コストを切り下げるにいたしましても、限度があるという問題が、一つわが国の鉱業にとりまして、一等大きい宿命でございます。ただ、銅のごときものは、非常に大きい国際物資でございまして、特に、その価格は外国の相場に支配される面が非常に大きいという事情がございますのと、輸出等に使われます関係上、国内の建値が非常に高いと、それを使って機械等にして外国へ出す場合に、それだけハンディキャップがつくという問題がございます。同時に、また外国の鉱石をできるだけ入れて、安い銅を作って、それによって輸出をしていけば、外国で競争ができるではないかという問題がございます。まあ、そういった観点から、国内銅の建値の決定につきましては、常に掘る方と、精練側と、それからまた需要者の方との問題が非常にむずかしい問題になるわけでありまして、私ども、できるだけやはり輸出品を構成いたします関係上、安く銅ができ上ることが望ましいわけでありますが、しかし、それには国産資源を掘れなくなっては山がつぶれてしまう。一たんつぶれますと、あと回復ができない。従って、鉱山をキープしていかなければならない。その最低の線を守りたいということで苦心をいたすわけでございますが、ただ建値を下げます場合には、私ども、従来行政指導をいたしまして、売鉱値段は一挙にたとえば三十万円、二十八万に下りますような場合には、一挙に二十八万の売鉱価格を実施いたさないで、三カ月とか、あるいは四カ月というような期間、一定のアローアンスをつけまして、山の方がそれに順応し得る期間を置くようにというようなことで従来実施いたして参った次第でございます。
  95. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 二十六万とか、二十八万とか、三十万は別として、建値というのは、大体どこでおきめになるのですか。ということは、昨年お正月ごろだったかもしれませんけれども、どうも最低に下落した当時、業者国内でダンピングしないのですね。安い銅になると外国へ売る。ということは、国内でダンピングすると、それだけ結局品物が国内にだぶついているから、銅の価格が上ってこないわけですね。従って、銅が下落した場合には、外国へ売って、国内のとにかく需給のバランスをとるというようなことを聞いたのですが、業者にして見れば、死活問題であるから、当然かもしらぬけれども日本国という面から見れば、安いものをやはり国内で使って、高くなったら外国へ売るということならけっこうなんですが、それが逆なんですね。こういうことはどういうふうになりますかね、建値決定に際しての省当局のお考えは。
  96. 福井政男

    説明員(福井政男君) 建値は、役所の方では決定いたしておりません。銅の建値と申しますと、産銅六社で大体建値をきめておりますが、日本鉱業が毎日建値をきめております。その建値にほかの五社がおのおの別個に追随しておるという格好で建値をきめております。  それから、地金を安く外国へ出す問題でございますが、非常にストックができますと、しかも製品輸出することがなかなかできない、国内でもさばけないというような事態になりますと、何しろトン当り二十五、六万もするものでございますので、相当のストックになりますと、各社の経理を圧迫いたします度合いが極端になるわけでございまして、従って、ある程度赤字になっても、それを換金したいという意向が出るわけでございまして、過去におきまして、相当弊害があったやに私ども承知いたしておりますが、現在では、そういうことのないように、先ほど申し上げましたような、金融の措置を講じるとかあるいはまた、それに伴いまして、現在、昨年の初めに比べまして、銅におきましては三割五分から四割近い減産をいたしておりますが、生産態勢をできるだけ縮小いたしまして、ストックを、何はさておきましてもさばくということをやっておりますが、輸出の方におきましては、従いまして、地金の方は安く出すというふうなことは、これはもう絶対いたさないという方針輸出等の運用をいたしておるわけであります。
  97. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 最後に、局長さんにもう一つだけお尋ねしますが、外国から鉱石を、いろいろな種類にわたって輸入してございますね。たとえば、フィリピンのセブ島だとか、南米のチリーとか、ああいうのは、各商社があなた方の方のドル関係で、許可申請するのですが、これは、いかなる商社といえども申請すれば直ちにオーケーということになるかどうかということが一つと、それからもう一つ、外国商社との提携ですね。技術提携もありましょうし、資本提携もございましょうし、いろいろな面での提携、こういうこともあなたの方に申請すれば、直ちによろしいということになるか、あるいはならないのか、その二点だけ最後にお尋ねいたします。
  98. 福井政男

    説明員(福井政男君) 銅鉱石は、輸入の関係で申しますと、AA品目になっております。しかしながら、先ほど申し上げましたような需給関係でございますので、でき得る限りスポットのものは買わないようにということで、精練会社を指導いたしております。しかし、これはAAでございますので、まあ役所の認可というような技術的な問題にはひっかからないわけでございます。それから、ただ、まあ、スポットは入れないとか、あるいはまた需給計画を作りまして、それに基きまして、各社に鉱石を輸入するようにという行政指導をいたしておりますので、そのワクの中で入れていただくということをいたしております。ただ、現在問題になっておりますのを御紹介申し上げますと、そういう運用をいたしております関係上、しかも、国内鉱石が外国鉱石に比較いたしまして高いわけでございます。外国鉱石は、外国相場が現在のところ、ロンドン相場で二十万前後でございますので、日本の建値から申しましても、六万円くらい違うわけでございます。従いまして、外国の鉱石を入れればそれだけ有利になるわけでございまして、この外国の輸入鉱石を六社間でどういうふうに配分して使うかということを、現在、三十三年度の需給計画の一環として、業界と、私どもの方と相談をいたしております。  それから、技術提携と申しますか、資本提携と申しますか、外国の鉱石、山を外国の資本家と提携して開発する問題でございますが、これは私ども、いいソースがあれば、関係方面と相談をして確保したい、こういうような方針で従来処理しております。
  99. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 鉱山保安局長さんに二、三点お聞きいたします。  実は保安局長さんは、熱心に災害防止のために努力されておられるのをよく知っておりますから、これはどうか、あれはどうかと、きつい御質問はやりたくないのですが、とにかく本年度になってからももう一日も人の死なない日はないというくらい犠牲者が出ているのですが、こういう大きな面で、現在の保安法を改正しなければ、こういう災害は防げないものか、これは人的要素によるものか、そういう点をまず局長さんにお尋ねしてみたいと思います。
  100. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 最近炭鉱の災害、特に坑内出水の事故が頻発いたしておりましてまことに遺憾に考えております。これはただいま御質問のように、必ずしも法の改正ばかりとは申されませんけれども、最近の坑内災害のほとんど大半は鉱区外に出て災害を起している。あるいは施業案なしで災害を起す、こういうような災害がかなり顕著に発生いたしております。こういう点につきましては、私どももまさしく法の改正をすべきだというふうな考え方をいたしております。特に侵掘をいたした場合には、従来鉱業法で告発できるようになっております。なっておりますけれども、特に東中鶴の災害のように私どもの監督官が参りまして、侵掘の事実も十分にわかり、帰りまして通産局長連絡をとって告発をするという処置をつける。その間に災害が起っておるわけでありまして、私どもはやはりこういった事態を繰り返すということはまことに残念でありますので、私どもも保安法、保安規則、特に保安規則の改正で監督官が参りまして、鉱区外に出ておった場合には、保安規則でもこれをとめ得るという方向にぜひ改正考えたいというふうに考えております。  それから最近の坑内出水でも、規則の中に旧坑に五十メートル近づく、五十メートル以内に入る場合には、必ず先進穿孔をやるというふうに規定がいたしてあります。しかし実際に五十メートルがはっきりいたせばいいわけでありますが、中興鉱業の江口、前の中島鉱業でございますが、この江口炭鉱で起しました坑内出水は、まだ古洞には百七十メートルも図面の上ではあったわけであります。実際に百七十メートルあればもちろん大丈夫なんでありますが、事実はそれだけなかった。そのために旧坑にぶつけておるわけであります。従ってなかなか——特に中小炭鉱の採掘跡というものは、特に古い採掘跡は、鉱業権の移転、分割、合併、そういうような移り変りの激しい場合には、なかなか正確を期すわけには参りません。従いまして、こういうような場合を防ぐためには、目下私どもは二百メートル、従来の五十メートルを二百メートルに拡大いたしまして、二百メートル以内に入る場合には先進穿孔をやってもらいたい。しかし、これは技術的に非常に無謀な要求でありますので、特に図面がしっかりしておって、大丈夫五十メートルということがはっきりわかった場合には、これを免除する。しかし非常にあやしい図面である場合には、二百メートル以内に入った場合には、直ちに先進穿孔をやるというふうに法の改正をしたい、かように考えております。必ずしも全部法の改正によって相当効果が上げられるというふうには考えておりません。現在の法でもこれを完全に順守していただけば、私はほとんど大半の災害は防げるのではないかというふうに考えておりますけれども、最近の災害の実例にかんがみましても二、三ぜひ改正をいたしたい、かように考えております。
  101. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 法の改正ばかりでなくて、人の面もあるわけでしょう。ことに局長がたまたまおっしゃった東中鶴等は保安監督官が行って、行き過ぎである、オーバーしていると注意して、三日も四日も黙って放任しておいたのです。そうすると、これは法律をいかに改正してもだめなんです。  もう一つ局長、こういうことをお尋ねしたいのですが、大手の三菱、三井、古河、こういうところは別として、中小炭鉱の中小の鉱業権なり、租鉱権なりはしょっちゅう移動するのですから、前の鉱業権者がやっておった場合、租鉱権者がやっておった場合に図面がない。そうすると、九州の場合、福岡通産局に当然なければならないけれども、通産局が焼けてしまって、当時の図面が全然ない。従って二十年前、三十年前働いておった人から、ここはどのくらい掘ったかといって、その人の話を聞いて、そうして図面を作って、それをたよりにしてやっているということを聞いたのですが、これは事実無根ですか。
  102. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 江口の場合につきましては、私どもの方に入っております報告では、通産局の方に図面はあるのでありますけれども、ぶつかりました旧坑の位置が入っていないのであります。これはまあ相当古い戦前の採掘跡で、もちろん前のものには入っておったと思いますけれども、通産局が焼けまして、その後は各山から全部図面を提出させまして、それをまあもっとも正しいものとして、基準に考えて判定いたしておったわけであります。山の方も故意にやったというほどのことは、あとから考えましても見られないのでありますけれども、たまたま出しました施業案には、いずれも旧坑の位置が入ってなかったのであります。まあ通産局の図面にも入っておりませんし、相当距離があるという認定で、まあ旧坑にぶつかるということは、図面の上では全然考えておらなかった、かような次第であります。
  103. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 通産局の図面に出ておらぬといって、それは一体だれの責任だね。そういうことになると、事故があるときに、図面にございませんでしたというようなことになる。そうなると、これはきわめて抽象的なことになるのですが、監督官の責任であるか、監督官を指導した保安部長の責任であるか、あるいは鉱業権者の責任であるか、あるいは鉱業権者が掘ったか、租鉱権者が掘ったか、それはわからぬけれども、また保安監督者の責任……。それが全然あいまいもことなってしまうということになりませんか。
  104. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 炭鉱で炭を採掘いたしますと、年に一回、あるいは場合によりましてはもっと回数を増して、坑内実測図というものを出しております。もちろん臨時にとることもできるのでありますけれども、この坑内実測図に正確に各山が記入していただけませんと、通産局の方にあります図面で判断をいたした場合に、もちろん江口の場合のように抜ける場合があります。これは普通はないはずなんでありますけれども、もう特に古いものについてはかようなケースが出てくる。従いまして、今後は新しく採掘しました面につきましては、まあ厳重に一つ記入をはかっていく。なお旧坑の連絡図も一応まあ作成したいという考えを持っているのでありますけれども、非常に古い旧坑は結局その山のごく古い方、従来働いておった、そうして古い方に聞いて記入するしかない。そういうような不確かな記入の仕方をいたしますと、またかえって災害を起すというような結果にもなりますので、今後私どもの方で、ただいま考えておりますのは、必ずしも旧坑の図面が入っていなくても、旧坑というものを認知することはできる方法があるのであります。大がい普通の場合に、坑道が旧坑に近づく場合には必ず私は前兆があるというふうに考えております。もちろん特殊な例外はあると思いますけれども、一般的に申し上げまして必ず旧坑に近づく場合には水が出る。その水がだんだん旧坑に近づくに従って水量を増していく、あるいはその水が濁っていくというような必ず前兆があるわけであります。この前兆がありましたときに、もし掘進先で水が出て、その水がだんだん進むに従って増すというような場合には、一応旧坑水かどうかということを見分ける試薬がございます。この点も、今度は法の改正によりまして一応水が出て、その水が進むに従って増す場合には、一応試薬によって旧坑水であるかどうかというものを法で判定させるというような考え方を持っております。図面だけで正確を期すということは非常に困難でありますので、先進穿孔、あるいはもっと今のような試薬というものを用いまして、でき得る限り正確に旧坑の判定をいたしたい、かように考えております。
  105. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そこで保安局長、問題になるものは、さいぜん局長のお話にもございました福岡の局が焼けたときに、そういう図面がなくなったということで、ことしまた中鶴で水が入って十四名ですか、死んだ。あるいは小倉炭鉱で水が入って埋没してしまう。また今度は江口鉱業所で水が入って二十九人も、これは死体が上るかどうかわからぬ、一瞬にして二十九名も死んでしまっている。こういうことでやっていくと、いつどこで旧坑に当るかわからぬですよ。九州には八百の炭鉱があるのですから。そうすると、いかに局長がここで現地へ厳命を示達したとしても、これは私の方で人が足りないのを知っておりますし、予算が足りないのを知っております。ですから、やはりそういうあやしげな所は絶対掘らすことはできません、掘らさないというような方法はないですか。そうでもしなければ、これはやはり次々といかに局長努力されても災害は起きますよ。ですからこれは、どうも君の所はあやしいからやめろということになれば、鉱業所は鉱業所なりに炭鉱経営者ですから、事業がとまれば、金がもうからぬから反対するでしょう。従業員はまたおれらの職をどうしてくれるのだということで反対すると思います。ですから、こういうように次から次と犠牲が出てくれば、これは相当強力な手段を講じなければ、この委員会で私とあんたと何回やり合っても、お互いに感じを悪くするだけで、どうもなりません。ですから、それは炭鉱の失業者がふえるかもしれませんし、あるいは経営者も事業場を閉鎖されるかもしれません。しかし、そのくらいの厳然たる態度で臨まなければ、災害はなくならぬというふうに私は判断するのですが、こういう点はどうお考えになりますか。
  106. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) おっしゃる通りでありまして、私どもも相当厳格に、厳重に取り締って参ったんでありますけれども現状は仰せのように非常に災害が頻発しておる。私もこのままではもちろんいけませんので、いろいろな手を尽しますけれども、やはり監督を厳にするということは、私もぜひ必要であるというように考えております。ただ私が特に心配いたしますのは、山の作業をとめてしまう、あるいは坑口を閉鎖してしまうというような炭鉱はいずれも小炭鉱でありまして、非常に社会的にもみじめの姿を出すというので、そのために保安を遠慮するというわけではございませんけれども、どうしても一方そういう面である程度制約を受けるというような感じを私は持っております。しかしまあ、いつまでも放任するというわけにも参らず、特に今後は保安上ひどいものにつきましては、思い切った処置をとってみたいと、実は最近一、二の例がありまして、相当な、かなりな山でありますけれども、もう作業もとめてしまおうかというところまで来ておるものもございますし、今後は一つぜひとも断固たる保安上の措置をとって参りたい、かように考えております。
  107. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 大臣お見えになりましたが、今質問中でございますから、最後に一点保安局長に伺いたい。  そこで、やはりまあ局長が今おっしゃったように、情においてはとにかく忍びないですね。事業場閉鎖で、そこに何人か働いている従業員も路頭に迷うのですから。しかし、やはりそこまでやらなければ、くどいようですが、本件は解決しないというように私も判断しております。さいぜん局長からお話がございましたその保安法の改正ですか、規約の修正ですか、それはいつやられるのですか。それを最後に一つお尋ねいたします。
  108. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 保安法の関係は、御承知のように鉱業法と密接な関連を持っております。まあ規則だけですと、私どもだけでももちろん改正できますけれども、一部、法の改正になりますと、鉱業法との密接な関連がございますので、ぜひ鉱業法との関連を見合いにして改正をして参りたいというふうに考えておりますので、臨時国会に譲っていただきたいと、かようにまあ考えております。
  109. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 大臣がお見えになったので、大臣に二、三点お尋ねいたします。  大臣は燃料政策、特に電気についてのわが国における権威者ですから、そういうことで一つお尋ねいたしますが、松永さんのお話、その電気ですね、電気に対しては火が主で、水が従という御説を私は聞いたことがございます。まあそういう方針で今進んでおられるかどうかわかりませんけれども、しかし大臣の構想として、将来の日本のエネルギーの中の電気、これをやはり水に頼らんとするか、火に頼らんとするかですね。とにかく雨が降れば水力じゃと、天気がよければ火力だと、出たとこ勝負でいくのが、そのあたりの大臣一つ構想をお聞かせ願いたいと思います。
  110. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) このエネルギーの総合対策から考えて参りまして、この日本のエネルギー対策といたしまして電力が相当重要な部門になっていることは事実でございます。その電力というやつは水力と火力とになる。火力となると、これは油と石炭というようなことになるのでありますが、関連性をもちましてきておるわけであります。私ども考え方といたしましては、水力電気というものは、これは単純にエネルギー資源というだけで考えちゃいけないと、この問題は将来工業用水の問題だとか、灌漑用水の問題だとか、日本のこの持っておる唯一の資源である雨、この雨の水をどうして保留するかというようなことから考えていかなければならない、こう思っておりますから、これは財政の許す範囲において、この水力電力というものは開発していく必要があると、こう存じておるわけなのであります。これにはおのずからだんだん順序がありまして、差し迫って最近の状況になりますと、だんだん建設費が高くなってきております。電力料金を上げるということができないものでありますから、その意味におきまして火力をやはり併用していかなければならぬ。それで火力を主とすべきか、それから水力を主とすべきかというふうなことになりますが、火力の方は、これは設備をしますと、これは相当資金を要しますが、同時にこれにおいて、火力によってやはりかげんする。水力の方はもう一定のものでありますから、火力によって調節するというふうな意味からいたしまして、火力を主とするか、水力を主とするかというふうな議論がありますけれども、これはその相互の関係をもっていっていかなければならぬ、こう存じておるわけなのであります。
  111. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、昭和五十年度ですか、五十年度わが国の必要とするエネルギーは、石炭の換算で一億五千万トン、そのうち石炭が七千二百二十万トンですか、あと残りは水だとか重油、原子力、こういうものに頼るというふうになるのですね。しかし、そのときにおいても今大臣のおっしゃったような方針で、水だとかあるいは火だとかというように割り切らないと、つどつど、情勢をにらみ合せて、一貫した方針でなくして、きわめて常識的な歩み方をすると、こういうことなのですか。それとも、一つの線で方針をきめるというわけですか。
  112. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの数字につきましては、私ははっきりこの石炭換算一億五千万トンということ等はちょっとまだ記憶がありませんですから、これはよくお話ができぬと思うのですが、数字をよく調べた上において正確にお答え申し上げたいと思いますが、大体エネルギーの資源といたしましては、現在の日本石炭というものは五千万トンそこそこが大体限度なんです。よくやってもこれは、そんなに大きな七千万トン以上は掘れないということも常識でございます。これにあまり大きな依存をするということはできないと思う。ところが、エネルギーの消費量というものはだんだん増加しておりますけれども、現在の推定から申しますというと、今後の推移によりまして、油によることが相当大きなるものがあるということを考えなければならぬと思っております。油によれば、これは輸入品だというようなこともありますししますから、日本といたしますれば、ここで原子力の発電ということにつきましては、どこの国よりも必要を感じておりますから、この方面研究なり、実験を早く進めたいと、こういうふうな所存でおりますが、今ここでずぐにどれを主としておくとか、火力を主とするとか、水力を主とするということを言うよりも、国際情勢の変化等をにらみ合わせまして、それで御説のごとくそのことを考えていきたい、こう存じております。
  113. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その次に大臣にお尋ねしたいことは、外国炭を日本で原料炭として使っているのですね。もちろん炭質も若干違うわけですが、原料炭としてアメリカから入ってくる米炭、これは大体芝浦岸壁で買うと十三ドル二、三十セント、船賃が六ドル五十セントかかる。中共炭は大体七ドル内外で京阪神に入ってくるのです。そうすると、アメリカ炭は約倍ぐらいするのです。にもかかわらず、日本の外交方針がそうだからというので割り切ってしまえばそれまでですが、お隣に膨大な安い石炭があって、こちらの方から買ってくるのはべらぼうに高いということになると、われわれのような素朴な国民は、なんてべらぼうなとにかく貿易政策をやるのだろう、こういうことになるわけです。ですから、その点は大臣御就任になって、本年度もそれぞれ外国炭輸入について計画があるようですが、やはり在来通りにやられるかということをお伺いしたいと思います。
  114. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御質問は、私は全く同感でございまして、この原料炭のようなものをあの大西洋の沿岸からえちえち運んでくるということは、これはべらぼうな話です。日本の近くにある中共にはあれだけの安い石炭があるので、これを早く持ってきたいというのが私どもの年来の主張であります。こういうふうな国際情勢になり、こういうふうな中共との貿易が途絶状態にあるときに、これは希望はそうでありまするが、なるべく早くそうできるようにこれをしたいと思っておりますが、これに依存するということはただいまのところできないと、しからばこの原料を確保するということからいえば、やむを得ずこれはアメリカから持ってこなければならぬかと思っておりますが、これは本意でないということだけははっきり申し上げておきます。
  115. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 最後にお尋ねいたしますが、五月の二十九日経済閣僚懇談会で高碕通商産業大臣も御出席の上おきめになったと思うのですが、四カ条にわたって、現在膨大な貯炭があることの対策をおきめになっているのですね。大臣出席しておられませんでしたか。大臣が御出席でなければ質問いたしませんけれども
  116. 村田恒

    説明員(村田恒君) これは、前の前尾通産大臣のときの経済閣僚懇談会のときに御決定になった内容でございますが、お許しを得まして朗読いたします……。
  117. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それは知っているのです。知っておるけれども、内容が抽象的ですから具体的にどうするかということで、お尋ねしたかったのです。小さい個条については村田石炭局長から私伺いましたので、中身はわかりましたけれども、あの経済閣僚懇談会と称するものに今度就任された、現に高碕大臣出席されたと、こういうように判断しましたので、その当時の状態を現在の貯炭の膨大な状態にかんがみてお聞きしたかったのですが、大臣が御出席にならなければ、さいぜん村田石炭局長のお話で中身はわかりましたから、ただ大きいところの勘どころを大臣にお聞きしたかったわけです。
  118. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) これは、はなはだ申しわけないわけでございますが、きょうは初めて、これは引継事項の中には当然入っておったと思いますが、詳しく、そこまで探求することは、私のできなかったことはまことに申しわけないことでございますが、これは私はなるべく早くよく検討いたしまして、この次の機会までにお答えをし得るようにいたしますから、さようお許しを願いたいと思います。
  119. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 今の大臣の御答弁で了解いたしました。それで、この次の機会に、大臣にもやはり石炭の現在の状態にかんがみ研究していただいて、また私もあらためて、石炭局長からもお話を承わりましたので、それを含めて後刻の委員会でお聞きすることにいたしまして質問を終ります。
  120. 小西英雄

    ○小西英雄君 時間も相当長くなりましたので、簡単に二、三の要点について大臣にお尋ねしたいと思います。  戦後、私たち衆議院におりました際もずっと通産委員をしておりましたが、今回の高碕通産大臣を迎えましたことは、われわれ委員の一員として非常に喜ぶばかりでなく、過日関西の方の商工クラブに参りました際にも、過去の通産大臣のことを私が申すのではありませんが、とにかく今まで半端な大臣通産大臣を、あるいは官僚の古手が大臣になって、実際に世界の通商、あるいは国内産業政策に対する一見識を持っておるものが非常に少なかった。今度の高碕大臣に国民の非常な期待を寄せられておるということを非常に言われておりました通りでありまして、現在委員会に述べられたように、わが国貿易は谷間に参っておりまして、昨年政府が立てました、三十一億五千万ドルのこの貿易についても非常な苦しい立場のところを高碕通産大臣が御就任なされて、きょうの答弁にも、中共貿易その他の貿易に対する自分としての、高碕通産大臣としての所信が明らかになって、われわれ期待するところが大きいのでありますが、三十一億ドルを二十八億五千万ドルとか言わずに、今後一応目標をきめた以上は、世界不況の克服、そして何でもかでも一つ国民の期待に沿う約束をまず実行するように努力を願いたいと思います。  さらにもう一つ要点をお尋ねしたいことにつきまして、先ほど阿部君からも一部述べたのでありますが、特に高碕通産大臣は電力界におけるホープであり、権威者でありますので、私ども一つお尋ねしたいことは、二十六年に日本の日発が解体されて九分割され、そして今日まで九分割ということはいろいろな産業政策上非常におもしろくない面も多々出て参りまして、この点について高碕通産大臣は現在の九分割のままで今後とも日本の電力事業というものをやっていくことが妥当であると思っておるかどうかという点について、まずお尋ねしたいと思います。
  121. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 電力の、現在の九電力会社のあり方につきましては、私は相当批判的でありまして、この問題につきましては、在野時代に相当私は研究いたしましてやりました結果、現在電力会社の方では従前のごとく単独の会社が単独に自分の意思を通してやるというのではなくて、広域的経済をやって、一応結果を見ようじゃないか、こういうことになっております。さしあたりこの四月一日から発足いたしました広域運営の方式でやってもらって、その成績を見た上でまた考慮いたしたいと思っております。
  122. 小西英雄

    ○小西英雄君 そういうふうな措置において、一応経過を見ようというのが大臣の構想のようでありますが、現在私たちが出身、関係のあるたとえば四国におきまして、現在奈半利川をめぐっていろいろ住友共同火力、あるいは四国電力等が非常に競って、一応それは電発の措置によって大体形がついたのでありますが、個々的に申しますと、やはり四国電力が火力を作れば、住友も火力を作る、そのいろいろの資金の需要供給の点を見ておりますと、不必要な金が両面で出ておるような結果になっておる。こういう点について、通産大臣は何か調整をしていただかなければ、工場誘致等についても非常な矛盾が出ておる状況でありまして、そういう点について、どういう見解を持っておられますか、その点をお伺いいたしたい。
  123. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 電力供給会社の個々の立場において、いろいろ計画を立てられて、それが二重投資になり、またかえって消費者を迷わしめるような結果になるということは、はなはだ残念なことでありまして、そういう点につきましては、私どもといたしましても、できるだけ調整をいたしたいと思っております。
  124. 小西英雄

    ○小西英雄君 先ほど阿部委員からも指摘したようですが、これまでの戦後十三年の間電力というものが、計画があろうとなかろうと、作りさえすれば必ずそれが需用者に売れた、その値段のいかんにかかわらず、非常にあわてて作った過去の実績がありました。今年あたりからいろいろな貿易の頭打ち、その他国内産業生産過剰等のいろいろな面から、電力も無計画に今日までやってきたように、どんどんどんどん作っていってしまったのでは、電力の方が余ってくるというような状況も出て参るかと思うのであります。今年あたりの設備投資が、去年よりもさらに上回る三千五百億というふうな膨大な金になっておるようですが、これがずっと続けてこのままやっていくかどうか、そういう点についてお伺いいたしたい。
  125. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの状況から見ますと、電力の消費というものは、初め予想いたしましたほど、そんなに急速に増加はいたしておりません。それで見方によれば、これでただいまの小西さんのお話のごとく、これじゃ設備はまた過剰になりはせぬか、こういう心配を持つ向きもありますけれども、私ども考え方といたしますれば、そういうような考え方で、せっかく進歩し、進みつつある開発の事業が中絶をするということになれば、必ずまた不足を来たしますから、その点は今のわずかばかりの期間の状態において、将来を判断するということは、大きな間違いが起ると思います。十分検討いたしまして、今後進めたいと思っておりますが、これは私の勘でございますが、私の勘では今日幾らか消費が減ったからというて、これに大きな規制を加えるということはやらないつもりでございます。現状の維持で増設していきたい、こういうふうに思っております。
  126. 小西英雄

    ○小西英雄君 今の答弁で大体私了承いたすのでありますが、強く高碕通産大臣に要望したいことは、先ほど通産大臣が言われたように、日本の資源というものは雨だけだ、もう一つは雨と人口資源のみだということが世界中の人が知っているのでありまして、日本は御承知のようにこれを原料とし、この雨を原料として、ただ一つ日本にできる原料として、今後電力を開発されても値段というものは、これは石にかじりついても電力の値段は上げない、日本の電力はどこと競争しても安いという電力でなければ、——豊富低廉をうたいながら、どんどんどんどん値段を上げていくものだから、いろいろわれわれ質問しよると、低廉ということは言うていなかったというような逃げを打つような人もありましたが、これは一つぜひ通産大臣はこの国際情勢、日本産業情勢をよく存じておられるので、ぜひともこの点を一つ通産大臣がかわるとも日本の電力というものはもう上げないというくらいな一つ決心をお願いいたしたいのであります。  もう一点お尋ねしたいことは、これは戦後三年目に、二十三年のときにできた競輪法でありますが、このときは日本の国中が焼けて家がないし、そうしてまた地方財政が窮迫しておった際に、相待って、自転車の機械産業振興という両建てでできた法律でありまして、その当時は日本の国においてやむを得ない法律であって、社会党の方の提出によってできた法律でありますが、十年たった今日においては、相当多くの教育上の面あるいは家庭の悲劇を生んでおります。こういう点について高碕通産相としては信念としてこういうものが是か非か、これはいろいろ参議院でも問題になりましたが、これについて是か非か、あるいはどういう自分は構想を持っているかという点について一つお伺いしたい。
  127. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 御質問の第一の電力料金につきましては、小西委員と私は全く同感でございまして、電力料金はできるだけ上げないようにする、この方針で進みたいと思っておりますから、今後ともこの点につきましては、よろしく御支援を願いたいと存ずるわけであります。  第二の競輪の問題につきましては、これは従前のいきさつがございますから、一応事務当局から答弁いたします。御了承願います。
  128. 岩武照彦

    説明員(岩武照彦君) 御質問の要点は、競輪をどう考えるかという御質問かと思います。これは大臣に対する御質問でございますので、私が答弁いたしますことは適切でないかと思いますが、主管局長といたしましては競輪の問題は、はなはだ僭越ではございますが、次のように考えているわけであります。それはやはり何と申しますか、ああいう種類の若干射幸的要素を持った競技という制度も、これはまあ人間本来の気持といたしましていろいろ射幸を好み、スリルを愛するという気持がございます。あるいはやむを得ないところかと思っております。ただ、いろいろ競馬等もございます。比較的恵まれた上層の階層が利用できる競馬というようなものを存続しておいて、競輪だけをやめるということは、これはいろいろそういうものを愛好している社会層にとりましては、これはやはり片手落ちじゃないかというような気もいたします。しかし、日本経済上どうしてもなければならぬものだとも考えておりませんし、また今こういうものをやめた方が、どうしてもやめなければならぬとも考えておりません。まあ法規の許します範囲内で、できるだけ健全な娯楽というふうに指導して参るのが本体ではないか、こういうふうに考えております。これは大臣のお気持と違いますかどうかわかりませんが、主管局長として考えていることを答弁したのであります。
  129. 小西英雄

    ○小西英雄君 局長答弁となりますれば、ああいうことになるのでしょうが、私たちは、農林省は競馬をやっている、通産省は競輪をやっている、そうして運輸省はボートだというような、そういうふうなことは、こういう際に非常な一つの信念を持たれて、日本通産省というものは、そういうふうなものに頼ってじゃなくして、国際的に一つ貿易の競争をやって、そうして国内のいい品物を安く作って、そうして日本の国民に報いてやろうというような大きな構想から見た大臣の所信を聞きたかったのでありますが、現在通産大臣が着任早々でありますので無理かとも存じますが、実際に作ったときの趣旨の、地方財政に寄与する点については、相当寄与いたしたし、そして輸出振興その他自転車産業に対して相当な寄与をいたして参って、今日もう少し考えねばならぬということは、こ競輪を愛しておる階層は下の方の階層であるということを言われましたように、下の方のなけなしの金を使うために日本の家庭に幾多の悲劇がかもされているが、これは社会悲劇の問題でありまして、私どもは朝令暮改のように、作ってすぐこわすというような考えは持っておりませんが、現在あまりにも多い。日曜といわず、月曜といわず、全国各地でずっとこれを開催しておる。多い県のごときは、三カ所も四カ所にも近いものがあってこれをやっておる。こういうふうな、非常に数しげくやられるということに対して非常に困っておる。またその例が、京都市長もそういう実相を見かねて、自分が市長に当選したら、これは百二十万市民に誓約してやめるということで、長いことやめておったが、またその裏にあるいろいろな勢力というか圧力においてまた始めようとする、これは始めようとする場合には、もうやめるときがきまっておるのであるから、いろいろないまわしい問題が起るのじゃないか、あるいは警備上にも相当万全を期さなければならないような問題に立ち至ってもなおかつ通産省はこれを支援してやらせるつもりかどうか、そういう点を一つ局長からお伺いしたいと思います。
  130. 岩武照彦

    説明員(岩武照彦君) 京都の問題は、これは高山市長がことしの一月でありますか、選挙の公約とされて、市営の宝ケ池の競輪場を閉鎖するという公約で当選されたあと実行に移される段取りであったわけであります。詳しい事情を一々承知もいたしませんが、いろいろやめられるにつきましてかなり地元あるいは関係者の間に不穏な空気もあったようであります。私自身も心配いたしまして、それで四月から六月まで開くので、あとはやめるのだというお話だったようです。そこで私もいろいろ現地の情報も入るものでありますから、無理して開いて、またいろいろな不祥事件が起きても困るから、一つ慎重にされたらどうか、一々現地の様子が東京におってわかることでもないから、東京のわれわれの方からかれこれ言うのは、二階から目薬をさすようなもので、長鞭馬腹に及ばずの感があるから、現地の責任者である市長において善処、判断されたいというふうにお願いしておったわけであります。それで、その結果でありましょうかどうかしりませんが、四月から六月の開催は一応見送られたようであります。七月から九月まで開催して、あと十月以降はやめる、こういうことになったそうであります。われわれの方でも、やられるというのをやめたらどうかと申し上げる筋合いでもありませんし、またやられないのをやったらどうかということもわれわれのよけいなことでございますから、その辺は市長のいろいろな政治的な公約もあるようでありますから、市の判断にまかしております。別段、私の方からやめろとか、やめるなというようなことはついぞ申したことがございません。あの競輪場はいろいろ市にとりましても功罪ともにある競輪場かと聞いております。と申しますのは、あまり売り上げが多くないようでございます。その辺は、これは設置者である市長の判断に待つほかないかと思います。われわれの方からともかくそれをどうしろというふうには申し上げておりません。
  131. 小西英雄

    ○小西英雄君 今の局長答弁からいくと、勝手にやってもどうしてもいいような答弁に聞えるのですが、どうですか。これは悪いと思えば、不穏な場合には通産大臣かなんかの命令で……、中止させるとかいう権限は市長の方にあるのですか、それはどっちも責任のないような、もし起ったら向うの方に責任があって、われわれの方は市の言う通りにした……、そういう点を一つ明確に。
  132. 岩武照彦

    説明員(岩武照彦君) 法律上やめろという権限はないのでございます。これは開催につきましては、関係者で相談して日取り、選手の派遣をやっておりますから、われわれの方からやめろとか、やれとかいうことはできないことになっております。ただ、かりにそういうことができるといたしましても、何せ現場のいろいろな動いておる事態でございますから、東京の机の上におりましてあれこれ想像して、こちらから一方的に申し上げることは、これはかえって事態にそぐわないかと思っております。
  133. 小西英雄

    ○小西英雄君 えらい小さいところに入ったのでございますが、私のきょう要望する点は、過去の通産大臣はそれほど経済にたんのうな人でない、いろいろな面について世界的な、通産大臣としての立場でなくして、いろいろ山積しておる問題がたくさんある。たとえば、中共問題をどうするかといっても、過去の大臣ではどうにもならなかったような問題、あるいは通産省としての電力の問題、あるいは競輪を根本的にどうするかというふうな、こういう基本問題と取り組んで、一つ自分の信ずるままに、いいと信じたら勇断に一つ実行してもらいたいということを要望いたしまして、本日はこれで終ります。
  134. 田畑金光

    委員長田畑金光君) ほかに御質疑ございませんか。——御質疑なければ、本日の委員会は、これで散会いたします。    午後四時四十七分散会      ——————————