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1958-09-11 第29回国会 参議院 決算委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年九月十一日(木曜日)    午前十一時三分開会   —————————————   委員の異動 九月十日委員成瀬幡治君及び矢嶋三義辞任につき、その補欠として相澤重 明君及び大矢正君を議長において指名 した。 本日委員武藤常介君、西岡ハル君、横 山フク君、相澤重明君及び島清辞任 につき、その補欠として高橋進太郎 君、本多市郎君、関根久藏君、藤田藤 太郎君及び大河原一次君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            仲原 善一君            平島 敏夫君            増原 恵吉君    委員            石井  桂君            勝俣  稔君            白井  勇君            関根 久藏君            高橋進太郎君            手島  栄君            本多 市郎君            東   隆君            大河原一次君            片岡 文重君            藤田藤太郎君            大竹平八郎君   国務大臣    農 林 大 臣 三浦 一雄君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修藏君   説明員    農林政務次官  高橋  衛君    農林大臣官房経    理厚生課長   丸山 幸一君    農林省農地局建    設部長     清野  保君    水産庁長官   奥原日出男君    会計検査院事務    総局第四局長  石渡 達夫君   —————————————   本日の会議に付した案件派遣委員報告昭和三十一年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十一年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十一年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出) ○昭和三十一年度政府関係機関決算書  (内閣提出)   —————————————
  2. 平島敏夫

    理事平島敏夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  本日は、小西委員長がお差しつかえのため、私が代行いたしますので、何とぞよろしくお願いいたします。  まず、委員変更報告申し上げます。昨十日、成瀬幡治君、矢嶋三義君両名の力が辞任いたされましたので、相澤重明君、大矢正君が補欠として選任されました。   —————————————
  3. 平島敏夫

    理事平島敏夫君) 先般、当委員会が行いました委員派遣について、派遣委員から報告を願います。  まず、東北班の御報告をお願いいたします。
  4. 仲原善一

    仲原善一君 東北班委員派遣報告をいたします。  本班は、八月十二日から十七日まで六日間の日程で、岩間正男委員と私が参加して、宮城県、青森県及び秋田県で調査を行いました。  今回の調査は、いわゆるみちのくの後進地域において、三十一年度決算検査報告事項の実態並びに木地域財政及び開発状況調査いたしたのであります。  調査の結果を概括して申しますと、調査対象検査報告事項五件は、おおむね指摘通りであると認められました。また、開発状況等については、総合的計画性欠如等により非効率的となっているため、その改善方関係当局に求むべきであると認めるものが若干ありました。以下、日程に従いまして、その概要報告いたします。詳細は、後ほど委員長のもとに提出いたします報告書で御了承願います。  まず、東北電気通信局指摘事項であります。同通信局宮城県の矢本町付近国道に埋設していた電話線を、これに並行して新設されました国道に移設した工事は、旧国道廃道となることを前提に行なったものでありますが、この廃道にするという方針は確定していたわけではなく、町道として存置しようとする動きもあることが、会計検査調査の際にわかったので、旧国道処分がどうなるかを十分調査してから移設工事はすべきであったとの指摘となったのであります。これは指摘通り電電公社も見きわめをもっと慎重にすべきであった問題とも言えますが、元来、道路管理者新道計画をするとき、旧道をどう処理するかの方針はきめておくべきことであるのに、これが明確にされていなかった点に問題があるとも思われます。これは、隣接する航空基地拡張計画との関連で、確定方針が立てにくかった事情考えられるが、このような、道路行政計画性のない進め方を現実に見せられ、はなはだ遺憾に存じました。  次は、仙台鉄道管理局で、業務概要説明の際、質疑応答で明らかになったことでありますが、国鉄貨物輸送経済性の問題であります。たとえば、木材やセメントのような大量貨物需要者である各種企業は、これらの資材がその地域付近で入手できるにもかかわらず、国鉄貨物運賃長距離逓減特典等に便乗して、国民経済的な不経済を顧みず、遠方のものを買い付けているのが現状であります。この大量原材料の流れは、地域的な程度の差こそあれ、必然的に逆輸送をも伴うものであるから、経済的なロスは莫大であろうと思われるのであります。この点について改善を進めるよう関係当局も検討していただきたいとの感を強くいたしたわけであります。  次は、青森県の上北地区機械開墾事業についてであります。この事業は、北海道根釧原野のパイロット・ファームとともに、全国開拓事業モデル・ケースとして始めたものであります。計画は一応順調に進み、入植戸数も三百余を数え、道路、家屋の施設も一応整備され、従来のものとは趣きの異なったところがありますが、ここで申し上げておきたいことは、飲料水の問題であります。私どもが参りましたときも給水トラックが運転されておりまして、給水を受けているのは百戸以上にも及ぶということでありました。飲料水の問題は生活の根本問題であると同時に、酪農経営成否にかかわる重大な問題であることは論を待たないのに、百戸以上のものが飲料水を十分得られないということは、本地区選定に当っての総合調査が十分であったかどうか心配されるのであります。今後の地区選定に当っては、この点十分慎重な考慮が払われるよう、またこの地区給水壁は、一日一戸あてドラムカン半分程度の少量であるということであったので、これが早急に対策を施されるよう農林当局に要望する必要があると思いました。  次に、秋田八郎潟干拓事業について申し上げます。この事業は国営をもって、八郎潟の湖底の土をサンド・ポンプで吸い上げ、これでその周囲に堤防を築いて水路を作り、排水機をもって、湖水をこの水路に排出し、干拓を行うもので、湖面の四分の三、約一万四千町歩の耕地を造成し、三十四万石の増産をはかるべく、総事業費百九十五億円、七カ年計画をもって実施することとし、去る八月二十日起工式をあげたものであります。これは過去五カ年間にわたり、調査費として一億三千余万円をかけ、検討された計画であり、干拓史上画期的なものであり、地域経済的意義も大きいものでありますが、問題は従来の干拓事業に見られたように、予算配賦が重点を失し、総花的となって、各地区年次計画予算措置の不適切なために参事業計画遂行は遷延し、各種の非効率的な障害を起している傾向にあったことであります。本県におきましても、すでに三十三年度計画額三十二億円のところを実際額は十八億円であって、七カ年計画遂行に一脈の不安を投じているのであります。この点農林省当局の十分の配慮を要望しておきたいのであります。  次は、青森岩木川流城における水害の問題であります。これは本班日程の第一日に当る八月十二日に発生し、主として弘前地区以西一市十四町村にわたる水害で、岩木川本流等はんらん洪水によって、二十三億円の被害と死者四名、行方不明一名を出しておるものであります。私どもは十四日、その跡もなまなましい弘前市及びその付近被害の実況、各般の応急対策進捗状況等を視察し、お見舞いをいたしたのでありますが、ここでも痛感されましたことは、水害予防対策の不備の問題であります。この君木川の上流には、洪水調節目的も兼ねた目屋ダム建設が行われておりますが、これは二十八年度に着工され、完成は三十四年度計画となっており、一方岩木川改修計画は大正七年以来行われておりながら、その計画弘前市の下流二キロメートルの所までしか立っておらず、実際に改修が行われておるのは、そのもっと下流のちょうぶ川が合流しているところまでであって、この水害地域には堤防のない岩木川本流が流れておるのであります。今回の雨は二日間最高雨量のところで三百余ミリもあり、当地としては異例の量であるが、降雨量の割にその被害が大きかったのは、これらの国の施策がおくれていたためではないかと思われるのであります。現在目屋ダムを頂点とする岩木川流域一帯総合開発計画もありますが、この水害を機会に、すみやかに施策実施されるよう関係当局に要望いたしたいと思います。  最後に、宮城県以下三県の財政の窮境について一言申し上げます。三県とも昭和二十五年度以来の累積した赤字をかかえて、四年ないし十年計画をもってこれが再建を進めて参り、三十一、二両年度はやや計画を上回る再建実績を上げてはおりますが、何分にも自己財源はその総収入の一割程度財政基盤しか持たず、再建計画実施もおおむね行政水準を低下させるか、国の格別の財政援助に頼るしかない脆弱さがあるのでありまして、たとえば地方財政再建のための公共事業国庫負担臨時特例法による各種援助措置は、再建計画の上で重要な支えとなっており、これが三十四年度以降打ち切られることは、再建計画成否を決することともなる実情であったのであります。以上付言しまして、本班の口頭報告を終ります。
  5. 平島敏夫

    理事平島敏夫君) 次に、北海道班の御報告を願います。
  6. 東隆

    東隆君 北海道班報告をいたします。  本班は、八月十二日から二十日までの九日間、平島大竹委員と私が参加して、三十一年度決算報告事項農林省所管第三百五十一号、第九百五号、第九百六号、第三百七号の四事項について、その発生原因と事後にとられた処置等実地調査してきますとともに、かねて本委員会において審議して参りました航空管制の問題、風倒木処理状況根室周辺漁場における安全操業実情北海道庁における補助行政の諸問題につきまして、調査して参りました。以下簡単に各事項について報告をいたします。  まず、第三百五十一号について申します。本件北海道における代表的な総合日開発事業として実施中の篠津地域泥炭地開発事業施行に当って、機械導入が適切でなかったため、機械現地に適さず、使用することができなくなり、約六百万円不経済な結果となった旨指摘された件であります。本事業根釧原野機械開墾とともに、わが国最初帯性能外国機械による機械開発の試みでありますが、机上計画に基いて機械組み合わせをなし、一連機械を購入したため、主たる機械設計上の誤差から百時間程度で使用できなくなるとともに、一連機械が遊休化する事態となり、事業計画も、これら機械によるダンプトラック客土方式からポンプ送泥客度工法変更する事態となったものであります。このため遊休化した機械には改造を加えて各種工事に飲用する処置をとっておりましたが、一部機械は遊休したまま放置されており、転用の分についても、その後の稼動率は低く、その経済性を著しく減じている実情であります。今後全国各地機械力による開発が活発に行われる段階にあり、これら機械導入に当っては、農林省は十分慎重を期すべきであります。各機械についておのおの性能試験を行なってから、機械組み合わせによる導入計画を立案実施すべきであり、また契約に際しても、若干約款等でかかる場合にとるべき条項を明記して置くべきであったと思われます。開発事業は送泥方式計画変更されて着々進行しており、完成後も成果が期待されております。  次に第九百五号、第九百六号について一括して報告いたします。これらはいずれも二十九年北海道を襲いました十五号台風による風倒木処理に関連した事案であります。洞爺丸の悲劇を初め、北海道各地に甚大な被害を及ぼした十五号台風による国有林被害は、全国有林事業年間処分量の二倍に上る七千万石の多きに達し、その処理には幾多の困難が予想されましたが、林野庁の全機能を傾倒した努力と、雪深き人跡未踏の山中に黙々と作業を続けた現場職員の献身的な努力によって、風倒跡に発生した病害虫の駆除、乾燥期における山火事防止等の困難と危険を見事に克復して、当初計画通り三十二年度未をもって一応利用正能材処理を終り、目下その跡地の造林計画が着々実行されている段階にあります。  第九百五号は、旭川営林局士別営林署で、風倒木陸上自衛隊旭川駐屯地司令衣川某演習用材として売り払っていますが、実際は自衛隊員用薪炭林を不当に安く購入させ、そのかわりに司令名営林署から演習用材名義で安い国有林払い下げを受け、業者に転売させ、その差益で損失を補てんするとの暗黙の了解のもとに本件売り渡し契約計画され、営林署側政府機関同士という安易な考えから、自衛隊側購入契約締結権限の有無、使用目的等について十分調査することなく、漫然と売り渡しを行なったばかりでなく、売り渡し後の注意も同様の安易な考えから十分でなかったため、業者に二百八十余万円相当額の立木を不法に伐採されたと指摘されたものであります。指摘通り現地営林署関係者自衛隊幹部を過信し、現場職員業者の盗伐の風聞を報告しており、営林署も一時搬出停止を命じておりながら、自衛隊からの責任を持つからとの申し入れによって搬出停止の解除を行なっている実情でありました。本件指摘後、林野庁自衛隊等政府機関に対する国有林払い下げについて慎重を期すべく、詳細な通達を全国営林署に発したとのことであります。また不法伐採による国損二百八十余万円については、民事訴訟を提起し、本年七月十日相手方業者と十カ年年賦による回収の和解契約が成立した旨の報告がありました。今後政府機関内の国有林払い下げについては特に慎重を期せられたい。なお駐屯司令衣川某はその後転任し、死の行軍事件責任者として処分されていることを付記いたしておきます。  次に九百六号は、北海道風倒木を内地へ輸送販売するに当り、その輸送契約締結に際し、通運料金制度上認められている減トン扱いを考慮したかったため、総額にして六千五百万円余が不経済な結果となっていると指摘されたものであります。本件については、初めての輸送販売であったこと、木材の取引が通常石建でなされていること、また七千万石という膨大な数量を緊急に処理しなければならなかったこと等の事情があったことは十分認められますが、このため輸送契約石建にしなければならなかったという主張は了承しがたいところであります。また予定価桁の算出に当って、減トン制度があるのに、誤ってこれによらなかったため、結果的に割高となり、総額にして四億円に近い膨大な契約であったため、このささいな不注意によって六千五百万円余という莫大な不経済をもたらしたことは、はなはだ遺憾であります。関係者の一そう慎重な態度が強く要望されます。本年四月以降はトン建精算払い実施し、円滑に業務が行われているとのことでありました。  次に三百七号について報告します。本件北海道総合開発モデル地区として注目されてきました根釧原野機械開墾地開拓道路工事に関して、その予定価格積算が甘かったと指摘された件であります。寒冷地特有のむずかしい気象条件のもとで、年度内に工事完成せしめるためやむを得なかったかと思われますが、随意契約である限り、運搬方法変更等についても慎重を期すべきだったと思われます。なお、本地域開墾事業は、機械力導入によって目ざましい実績を上げており、入植農家営農も、入植一、二年で中農程度の収益を上げて好成績を収めております。  次に千歳飛行場における航空符制について報告いたします。現在木飛行場米軍管理下にありますが、近く返還が予想され、現在返還後の航空管制について米軍自衛隊、航空局の三者で協議中で、近く結論を得るとのことでした。現在民間航空関係は、千三百坪程度米軍から借り受けてターミナルとしている実情でありますが、最近の利用客増加に伴う便の増加によって、十分な航空管制を保障し得ない状況に来ており、特に航空自衛隊のジェット機と共用している現状で、民間航空の旅客に幾多の不便をかけている実情であります。返還後は早急に民間航空関係施設を分離し、北海道の玄関として恥しくないようにすべきであると思われます。  次に、根室周辺漁場における安全操業実情について報告いたします。終戦によって千島漁場を失った北辺の漁民は、日々拿捕の危険におびえながら細々とコンブの採取に従事しており、関係者から現地の苦しい実情について切実な陳情を受けましたが、その主な点を述べますと、一、南千島諸島周辺漁場において接岸操業ができるよう、応急措置を講じていただきたい。二、南千島諸島周辺で操業する漁船のために、避難港を早急に作っていただきたい。三、根室海上保安署を増強して、保安部に昇格させ、高速度の巡視船を配置していただきたい。四、終戦時、択捉、国後島に残してきた漁船について、代船の建造の処置を講ぜられたい、等でありました。政府は、これら漁民が安心して操業できるよう、有効適切な具体的処置を講ずべきであると思われます。  最後に、北海道庁では、補助金行政上の諸問題について調査をいたしましたが、そのうち二、三点について報告をしますと、北海道における開発公共事業は、他府県の一般公共事業に比し低水準にあり、かつ積雪寒冷地帯という特殊な負担があるにかかわらず、現在補助率全国一律にきめられるため、北海道では膨大な超過負担に悩まされている現状であります。特に補助職員に対する人件費補助については、寒冷地手当石炭手当等、当然に補助単価に見積られるべき手当が認められていないため、本年度約二億五千万円もの超過負担をしている実情であります。補助単価の是正が強く要望されました。  また北海道は、過去において四年に一度冷害に見舞われ、これが対策のため道の財政は極度に悪化するという宿命を負わされている現状であり、寒冷地農業確立のための強力な施策が要望されました。  累年指摘の多い北海道農林関係補助金経理については、近年道庁が担当者ブロック会議各地で開催するなど、その指導監督の強化に努めたため、成果がようやく実りつつあり、次第に改善されてきておりました。  以上簡単でありますが、報告を終ります。
  7. 平島敏夫

    理事平島敏夫君) ただいまの各班の報告について御質疑はございませんか。  別に御質疑もないようでありますので、委員派遣報告はこれをもって終了いたします。  なお提出された詳細な報告書については、これを会議録に掲載することにいたします。   —————————————
  8. 平島敏夫

    理事平島敏夫君) 昭和三十一年度一般会計歳入歳出決算昭和三十一年度特別会計歳入歳出決算昭和三十一年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十一年度政府関係機関決算書、これを議題といたします。  農林省の部を審議いたします。検査報告批難事項は第三百五号から第九百六号までであります。本件に関し御出席の方々は、農林政務次官高橋衛君、林野庁長官山崎齊君、水産庁長官奥原日出男君、食糧庁長官渡部伍良君、農地建設部長清野保君、振興局長増田盛君、農林経済局長須賀賢二君、会計検査院第四局長石渡達夫君、以上であります。なお農林大臣はまもなく御出席になる予定であります。  まず会計検査院から概要説明をお願いいたします。
  9. 石渡達夫

    説明員石渡達夫君) 昭和三十一年度農林省所管事項につきまして御説明申し上げます。  まず一般会計の方から申しますと、昭和三十一年度歳出決算額は九百四億四千六百万円でありまして、そのうち国が直轄施行したり、または都道府県に委託して施行しまする土地改良開拓干拓等事業費は百五十億千九百万円、土地改良林道開設漁港修築及び災害復旧等のいわゆる公共事業関係補助費が三百二十億七千九百万円。右の公共事業を除いたいわゆる一般補助が百七十五億千六百万円、次に災害融資金に対する利子補給金十一億六千万円及び有畜農家創設資金に対する利子補給金二億三千六百万円等であります。以下順次各項目について御説明いたします。  まず、直接工事について御説明いたします。九十一ページの直轄工事について申しますと、工事費から架空の人夫賃名義で支払いをし、別途資金を手元に保有して、ほしいままに旅費、接待費等に流用したり、また請負工事費積算に当りまして、機械修繕費や砂利、砂の運搬費等の検討が不十分でありましたため、積算が過大となったもの等が認められました。  次に代行工事について申し上げます。開墾干拓等工事を国が都道府県に委託実施しておりますいわゆる代行工事は、全額国費支弁でありますため、ともすれば便乗工事が多いのでありまして、既存の県道または既存町村道を利用しても営農上支障がありませんのに、ことさら拡幅したりして、明らかに町村道改修工事と認められるものや、付近に利用可能な道路がありますのに、これと近接して道路を開設したもの等が見受けられましたほか、工事施行が粗漏で手直しを要するものや、出来高が不足しておるものがありました。  次に、公共事業について申し上げます。九十八ページの地方公共団体及び名称組合等施行いたしまするいわゆる公共事業に対する国庫補助金経理等について申し上げますれば、工事施行状況やその経理が年々改善されてきましたが、なお工事出来高が不足しているもの、粗漏工事と認められるものなど、国庫補助金を除外すべき一工事十万円以上のものが七百三十三工事で二億六千五百万円ほどありまして、しかも、このうち正当な自己負担をしていないものが五百六十二工事で二億円ほどになっておりますが、個々の件につきましては、説明を省略させていただきます。  次に百九ページの災害復旧事業につきましては、従前から早期検査と申しまして、補助金を交付する前に工事現場検査いたしまして、二毛査定災害便乗設計過大等事例がありました場合には、その工事費を減額是正させる措置をとって参りました。また農林省当局におきましても、従来机上査定が主でありましたのを、最近は実地査定に切りかえておりまして、相当改善されて参りましたが、なお本院の検査の結果、三十一年度発生災害につきまして九百六十五工事、これに相当する国庫補助金額一億一千百万円、二十八年、二十九年及び三十年発生災害につきまして六百四十七工事、これに相当する国旗補助金額一億六百万円ほどのものが減額されました。  次に一般補助事業について申します。百十三ページの国庫補助金経理当を得ないもの、すなわち一般補助について申しますと、これは都道府県市町村等を経由して、末端の事業施行者に交付されます新農山漁村建設総合対策農産物増産等補助金対象としております。この経理内容を見ますと、補助対象外事業施行したり、補助金をその目的外に使用したり、あるいは精算額を過大に報告して補助金交付を受けているような事例がございますが、個々案件につきましては、説明を省略させていただきます。  次に利子補給金であります。百二十五ページの利子補給金は二つありまして、一つ災害融資金に対する利子補給金であります。これは天災によって損害を受けました農林漁業者に対して、その経営施設災害復旧に必要な資金を農林中金や県信連等組合系統金融機関等を通じて低利に貸し出させ、国及び府県がこれに対して利子の一部を補給して、被害農林漁業者早期に立ち上らせようとするものであります。  いま一つ有畜農家創設資金に対する利子補給金であります。これは乳牛、役肉用牛、馬及びめん羊を新たに購入する農家に対して、その購入資金を農協を通じて貸し出させまして、国が購入農家等に対し利子の一部を補給して、農家が容易に家畜を手に入れることができるようにするのが目的であります。ところが会計検査の結果によりますと、以上の目的に反しまして、融資金を農協等が勝手に自己の運転資金に利用したり、あるいは組合や県信連の定期預金に積み立てていたり、目的外に利用したり、あるいは規定の利率を上回る利息で貸し付けていたりする事例がございました。  次に特別会計について御説明いたします。まず、食糧特別会計について申し上げますと、昭和三十一年度の決算じりで百六十億三千七百万円ばかりの損失となっております。これは主として消費者価格の値上りを防止いたしますために、米麦の売り渡し価格に買入れ原価を十分に見込むことができなかったためであります。本院におきましては、外国食糧の買入れ及び売り渡し並びに管理等について、重点的に検査実施いたしましたが、不当事項が二件に上っております。不当事項の内容につきましては、この次の機会に御説明いたします。  次に、百三十九ページの農業共済保険事業について申します。本事業につきましては、三十一年度において一般会計から共済事業事務費負拠金として二十二億九百万円を組合に交付しましたほか、共済掛金国庫負担金として八十一億二千百万円を農業共済再保険特別会計に繰り入れましたが、決算じりでは八億四千万円の損失となりました。これは百三十九ページに記述いたしましたように、主として三十一年度産水稲では収入となりました再保険料が、支出となりました再保険金に比べて多かったために、差引四億八千七百万円ほどの利益となり、麦においても同様差引において利益になりましたが、春の蚕繭と陸稲がそれぞれ被害がありましたので、前者において十二億六千万円、後者において一億千万円の損失になりましたためであります。  このように、国から多大な援助を受けているにかかわらず、一千一年度に本院で行いました北海道ほか三十三府県の三百十四農業共済組合の経理について調査を行いましたところ、不当と認められましたものが百六十一組合で二億四千八百万円程度に達しました。その内容は従来の通り、組合において共済金の全部または一部を支払わないで未収になっております共済掛金や、賦課金に充当したり、組合の雑費、慰労費等に使ったり、被害三割未満の耕地には保険金を支払ってはいけないことになっておりますのに、被害三割未満の耕地も含めて実被害額によらないで、耕地面積の大小に応じて支払ったりなどしている事例がありました。  次に百四十七ページの開拓資金融通特別会計について申し上げますが、これは開拓地において、開拓農業協同組合を通じて開拓者が必要とする経営資金等を政府が長期にわたり低利で融資するために設けられましたものでありますが、この貸付金の全部または一部を組合員に貸し付けないで、開拓農協の旧債償還財源の一部に充当していた事例がありました。  次に国有林事業特別会計について申し上げます。二十九年度に発生しましたいわゆる風倒木は約七千万石に上っておりまして、そのうち利用可能材は約六千万石でありましたが、この処理は比較的順調に進捗しております。本会計の事業損益は、三十七億八千五百余万円の利益となっております。本特別会計につきましては、相当改善されていると認められますが、三十一年度におきましては、百四十九ページに掲げました二件が不当事項として上っております。不当事項の各個の説明は次の機会にいたしたいと存じます。  以上で農林省関係の説明を終ります。
  10. 平島敏夫

    理事平島敏夫君) 次に農林省から概要説明をお願いいたします。
  11. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 農林省といたしまして 一言申し上げたいと存じます。  ただいま検査院の御指摘通り農林省関係の批難事項は、公共事業一般補助事業、農業共済等を通じ、出来高不足、粗漏工事事業主体の負担不足、補助金目的外使用等、経理の当を得ないため、全体で六百二件、六億余円の指摘を受けておりますことは、件数、金額におきまして、前年度に比べ、かなり減少はいたしておりますものの、まことに遺憾でありまして、申しわけのない次第でございます。これら案件の善後措置としましては、とりあえず、第一に手直し工事、補強工事補助金返還等の是正措置を講じますとともに、第二には、責任者に対しましては厳重な注意を与え、特に情の重い者に対しては行政処分を行なった次第であります。すでに御承知の通り農林省関係の事業実施主体は農山漁村の団体等が大部分を占めておりますので、その経済基盤が脆弱であり、また経理知識が欠除しております関係からいたしまして、これに対する抜本的対策はなかなか困難でありますが、一つには事業実施主体に対しては、事業内容、条件等、趣旨の普及徹底をはかり、その実施状況につき実態調査及び指導を厳重にいたします。第二には、他面事業実施主体の選定に当りましては、その自己負担の能力をも十分勘案し、三には、工事の竣工に際しては検収所務の厳正を期し、第四には、あわせて農業土木技術者等に対する技術研修を行うとともに、五には、補助金早期交付等事務の促進をはかって参ったのであります。しかしながら、何といたしましても、やはり行政一般に対する綱紀の粛正が肝要でありまして、この点につき、なお一そう意を用い、不当事項の発生を防止するよう最善の努力をいたして参る所存でございます。なお個々指摘事項につきましては、それぞれ主管の者からお答えいたさせたいと存じます。  なお、この際申し添えておきたいと存じますが、かねて当委員会において御審議をわずらわしておりました、日本農工株式会社に対する農林中金の融資に関する件につきましては、本委員会におけるさきの決議の御趣旨に沿うて、鋭意適正な善後措置に努めて参ったのでありますが、農林中央金庫及び日本農工株式会社の両当事者が相互に納得し得る結論に達し、去る八月五日に最終処理を完了いたしましたことを御報告をいたします。  監督官庁といたしましては、本件のような事態の生じましたことについては、深く遺憾の意を表しますとともに、今後再びこのような事態の起らないように厳に注意して参りたいと存じます。なお、この最終処理をとるにいたりました経緯につきましては、必要に応じまして、事務当局から詳細報告をいたさせていただきます。
  12. 平島敏夫

    理事平島敏夫君) 以上をもって説明を終りました。  これより質疑に入ります。本日は、農林省の総括質疑及び農林省一般会計、農業共済再保険特別会計、開拓資金特別会計について御質疑を願います。
  13. 東隆

    東隆君 ただいま農林大臣からお話しありました中で、日本農工の関係ですが、これは実は本委員会で相当審議をいたしまして、そのときに、たまたま農林大臣御自身が会社の社長もされておった。そんなような関係もございますので、この際経過をもう少し詳細に一つ報告願った方がいいと思いますので、その点をお聞きいたします。
  14. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) ただいま御指摘になりました案件の内容等につきましては、委員の各位も御審議の際に御了承のことと存じますが、これは日本農工株式会社と全購連の合作によりまして、そうして全購連の必要とするゴム製品等を生産するということから始まりまして、多額の融資あるいは前渡金等を出した関係上、日本農工に当時全購連を代表いたしまして、さらにまた中金等からも役職員が入りまして、そうして経営するに至ったのでございます。しかるところ、御承知の通りゴム工業というのは、これはもう産業の中で最もフラクチュエーションの多い、変動の多い企業でございます。同時にまた、その当時の役職員の方々がかなり御努力はなすっておったのでございますが、その見積り等も非常に違いまして、そうして逐次経営も不振になり、借財がだんだん累積して参った。そこでこの問題について、いかような整理をするかということが問題になったのでございます。数年の間関係者の間に、なかなか困難な問題でございますので、話しがつきませんでした。私は三年前に、日本農工の側とそれから中金側との話し合いによりまして、この整理がつくまでの間日本農工の清算的な事務にほとんどなっておったのですが、その間預ってくれということで、当時の両当事者の切なる懇望がありまして、そしてその整理的な事務をお預りするということになっておったのでございます。その間これが非常に複雑な様相をとっておるものでございますから、当事者双方の負債の整理等につきましても、非常に困難な事情があったのでございますが、だんだん長い間の努力によりまして、そして当事者双方から調停を別の人——第三者に対して御依頼をするという運びになりまして、その調停人の間で、これまた長い間当事者双方の十分な納得のいくようないろいろな事情を聞きまして、そして調停人から一つの調停案が出たわけでございます。これは本年の春でございましたが、それに基きまして、その調停を骨子にして、そして中金と同時にまた日本農工側でもってその調停を中心にして、そしてこれは法律上の和解として決定して、永遠にこの処理を片ずけるということになりまして、私はその終局になりますまでは在任はしておりませんでしたが、本年の大体六月には双方の話がつきまして、それに基きまして、難事者双方が今度は裁判所にこれは和解を持って行ったということになりまして、そしてただいま御報告申し上げました通り、裁判所の即決和解ということになって、この問題の負債整理等の関係も片づいたわけでございます。  その当時のなには、すでに当委員会にも中金側から報告しているはずでございますから、詳細はそれでごらん願うことにいたしまして、その骨子は、有体財産の二億数千万円にわたるものでございますが、これを代物弁済としてこれを中金側に確保する、一切を出す、それから債権債務の関係も一定のものは中金で引き受けるし、同時にまたその有体財産は全部中金側に引き渡す、そして同時にその間にあって若干の債務超過的なものも見られるのでございまして、その点は日本農工側にその金を示談金として差し渡す、こういうようなことにして当事者双方の裁定と申しますか、仲裁による双方の合意が成り立ったのでございまして、それを今後の争いを避けるために、裁判所の和解にするということになりまして、そしてその裁判所の和解が八月五日に双方の申し立て通り決定しまして、そして最終的な決定になったのでございます。その間、私は約二年数カ月の間、日本農工の清算的な事務を当事者双方の依頼によりまして、そして会社の代表者としてその事務を見て参りました。こういう経過でございまして、その後、就任前に私は退任いたしました関係上、私の任務とはそれは別に関係はございませんことも申し添えて、ただいまのお尋ねに対するお答えにさしていただきたいと思います。
  15. 東隆

    東隆君 この点については、実は私どもの島委員が中心になって、当時いろいろ審議をいたしたわけでありまして、そして証人等の喚問その他の事項もありまして、そしてその証人に当時の中金の理事長というものもお見えになったのですが、急逝された、そんなような事態になっております。従って何らかの形で、これは私はもう少し世間的にはっきりとけりをつけておいた方がいいのじゃないか。こんなような気がするのですが、その点はどういうお考えですか。
  16. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) ただいま世間的に何か適当な処理と、こう申しますが、私たちはこの案件の推移を見まして、公正妥当な話し合い、これは負債整理でございますから、中金の融資が当を得たかどうかということ、それから同時にまた中金が事実参加しまして、そうして経営の衡に当ったような経緯もありますのですが、これがよかったかどうか、あるいは全購連等が共同参加しまして、そうしてその必要とする資材の生産をも合作でやったのでございますが、この当否につきましては、いろいろ御批判があろうかと思います。しかし本体は融資でございまして、そうして同時に、しかも相当な価値のある有体財産を持っておるこれらの関係でございますので、当事者双方がそういうようなベースに立ちまして、負債整理の案件として片方は有体財産全部二億数千万円、これは評価によっていろいろございますけれども、そういうようなことをしてこれは提供をする、同時にこれに対して示談をして解決したいということは、私はこれはもう公明な処置だと、実はわれわれは見ております。当時の農林大臣等はその報告等を受けておりますが、そういうことでこの案件をも処理したような事情でございまして、農林省といたしましても、同時にまた当時の日本農工の実情といたしましても、中金の方にいたしましても、私は公明なる処理が、しかも裁判所の和解等の手続によって行われたのでございまして、これをもって、必要にして十分な措置がここで講ぜられた。ただし、今後中金の運営であるとか、あるいはこれに対する農林省の監督等につきましては、先ほど申し上げました通り最善を尽して、いやしくもかような事態が生じないようにするということが大切であろうかと思いまして、その点を特に申し上げたような次第でございます。
  17. 東隆

    東隆君 私は和解その他によってピリオドが打たれた、こういうことについてではなくて、その過程において、農林中金の融資の方法その他において、私はやはり相当問題があったわけです。従って金融機関に対する、特にコーオペラティブ・バンクに対して、協同組合的な金融機関に対して、相当農林省として考えなければならぬ点があろうと思う。そういう点について、やはり相当事件発生からずっと続いておる過程における金融機関としての動き方が、これが非常に不明朗なものであった。その後において、農林中金そのものの融資の方法といたしましても、系統外に出しておる部面が非常に多いわけでございます。そんなようなことに関連をして、やはり農林省は、すでに金融機関のいろいろなことについて研究を進められておるはずでありますし、そういうようなことにも関連して、何か言葉があってしかるべきじゃないか、こういうふうに思っているわけです。
  18. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) ただいま話題になりました本件につきましては、これは中金の融資等につきましては、合法的に行われております。たとえば全購連が相当の株を持った、それからまたかつての日本農工の株等も、これまた全購連等の要請に従いまして、そうして一時無償にして譲渡しておるということでございますので、要件は備えておりますことは、これは御承知の通りであります。ただし本質的にこの金融の事情を見ますと、これは御指摘になるようなことが今後として注意されなければならぬことでございまして、農林省としましては、かようなことをたまたま和解、仲裁等によりましてそして片づいてございますが、今後かような事態のないように、ただ単に合法的であればよろしいというようなことでなくて、ほんとうに内容が農林中央金庫にふさわしい金融でなければならぬということにかんがみまして、今後十分に督励もするし、監査等の適正を期して参りたい、かように考えますから、その趣旨を御了承いただきたいと存じます。
  19. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 大臣にお伺いいたしたいのでありますが、年々歳々本決算委員会におきまして、特に警告を必ず発するというのが農林省なんであります。毎回その審査に当りまして、歴代の大臣に対しまして、これについての御所見を私はお伺いしておるのでありますが、あらためて三浦農林大臣の御所見を伺いたいのですが、ただいま、私まだ中を見ていないのでありますが、この決算報告に関する関係者処分というこの調書一つ見ましても、実に百九十ページという——昨年は私は百四十ページだと記憶しておるのでありますが、百九十ページという膨大な処分、これは全く私どもといたしまして、こういうことを赤裸々に一般国民にこれを報告をいたしましたら、これは私はもう大へんなことにもなり、また徴税関係にも非常な累を及ぼすというように考えられるのでありまして、それで私はこの前の赤城大臣にも、これの根本的な改革はどこにあるかということは、私はむろん精神的な、道義的な公務員に対する大きな意味の訓練、これはまず第一に必要であることは当然でありますが、それと同時に農林省は御承知の通り、他省に対しまして、ことに予算関係は多いのでありまして、そういう点からいってみまして、この補助金の整理と、こういう問題に努力をしていただかなければならぬということを私はこの前の審査のときにも申し上げたわけなんでありますが、その後につきまして、いわゆるその職員全体に対しまして、そういう道義的な訓練というものがどの程度に一体払われておるのか。それからまた私どもが要望をいたしておりまするこの補助金の整理、これはやむを得ずして出さなければならぬものもむろんたくさんあります。しかしながら、また問題によりまして、旧態依然として明治の半ばから続いておるような補助金も検討するとあるのでありまして、そういうようなことで思い切った処置が必要ではないかということを申し上げたのでありますが、一つ大臣のこの問題に対する御所見をまず承わりたいと思うのであります。
  20. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) ただいま大竹委員から御指摘がございましたが、先ほど私ただいま議題になっておりますことにつきまして総括的に御説明を申し上げたのでございますが、なおお尋ねでございますから簡潔にお答え申し上げたいと思います。  第一点は、部内の綱紀粛正と、それからこれに対する考え方でございますが、ここ数年の間に農林省はかつてない官紀の紊乱と申しますか、不当のことができまして、これはわれわれとしましては、年来伝統的に正しいいき方をして参るということに努力して参った農林省といたしましては、遺憾のきわみでございます。これに対しましては、なお刑罰等によってやられましたのはもとよりでございますが、その他の関係につきましても戒告をいたしまして、それぞれの処分をいたしましたし、同時にまた行政の扱いにつきましても改善をして参りました。そして部内をかたく戒めて綱紀の確立に精進しておりますので、今後必ずしも旧来のようなことはないと、こういうことでございまして、なお今後一そう綱紀の粛正につきましては、努力して参りたいと思います。  第二番目の助成金等に対します問題てございますが、すでに皆様方も御了承の通りに、農林省関係の事業はまことに多端でございまして、そしてただいま御指摘になりました通り、なかなか助成金等も非常に複雑多岐であり、かなりこまかなものもある、こういうことであります。これは一面においては整理してはどうかと、こう仰せでございますけれども、これまた農村の実態がかようなことでございますので、なかなか踏み切れない点もあることも御了察願えることと思うのであります。しかしながら何といいましても、農林省のたくさんの御指摘になりました事犯の態様は、その主体は農山漁村の零細なものによる団体等が中心を占めておりますので、第一には経済の基盤が脆弱である。それからまた何といいましても、刑事知識等についても欠除しておるというようなことが相当の要素をなすものでございますので、容易に周到な対策を立て得ない現況でございますが、ただいまにおきましても、農林省ではこの助成金をどういうふうに浸透しておるかということにつきましても工夫をこらして、そうして全般がわかるような仕組でもって統計等もとっておりますが、事業内容あるいは条件等を徹底的に了知できますように、そうして実地調査、指導等を厳重にいたしておるわけであります。それから事業主体の選定につきましても、一定の負担をしなければならないが、往々にしてこの負担を避け、そして助成金でもってやるというようなこともございますので、これらにつきましても十分に監査の手を伸ばす。それから検収事務の確立につきましても、さらにまた技術の研修等につきましても、いろいろ改善して参ったのでございますが、いまだこれを根絶せざることは遺憾でございますが、現在の予算制度の上で最高度にこれを活用しまして、そうして改善をして参りたい、こういうように考えておるわけです。何せ農山漁村の方面はこの事業が多岐にわたりますことと、それから面が非常に広いものでございますから、助成余等につきましても、ある程度のこまかな、零細化しておるということの事情はありますが、今後といえども重点的にこれを見て参りたい、かように考えておるわけでございまして、今後とも改善のためには十分に努力いたしたいということを御了承いただきたいと思います。
  21. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 大臣の御決意のほどはよくわかるのでありますが、しかし、農林省は先ほども申し上げました通り、全く年々歳々天下を沸かすような不正な事件を巻き起しておるのでありまして、これは尋常一様ではとてもいかない。今大臣のお答えの中に、これらの問題につきましては、どんどん処分をし、解決をしておる、こういうお話がございましたが、処分解決をするといいましても、悪いやつを縛るというので、これは当然なんでありますが、その上司とか、その周囲の人たちの責任的な処罰というものを一つ見ましても、大体これだけたくさんありますけれども、厳重に注意、あるいは一番ひどいのが減俸十分の一、三カ月というようなものが私どもの知る範囲において今まで最高の刑なんです。そういうようなことですと、やはりこれは同じようなことが繰り返されるのであって、何かもう少し具体的にこの問題について対処するということを私はお聞きをいたしたいと思う。  それからいま一つ、私どもが始終この決算委員の立場におきまして、全国をいろいろ調査をいたします。そういたしますと、中には農村あたりのもう非常にボス化したところなんかへ行きますと、助成金が流用されようが、それからまた少しぐらい金を使い込もうが、てん然として恥じないようなボスによくわれわれは出っくわして憤慨することがある。こういうような問題に対しましても、将来何らかの立場をもって、これは一つ戒飭をしてもらわなければならぬ、こう思うのでありますが、この二点につきまして、さらに一つお伺いをしたいと思う。
  22. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 農林省部内の職員の戒飭、信貴必罰につきましては、今後ともなお厳重な措置をとって参りたいと存じます。同時にまた、先ほど申し上げました通り、部内の執務のやり方等につきましても、相当の改善を加えて参りまして、今後部内でいやしくも不正なことが起きませんように厳にこれは戒飭して、きびしくやって参る所存であります。  それから第二点の地方におきまする御指摘のような事態というものは、私もどうも否定し得ません。これに対しましては、自今その町村等には一切のいわば助成金等の措置を与えない、あるいはその人に対しましては、事犯の明瞭な場合には進んでこれを告発する、あるいは将来を保証しないというふうな措置も場合によってはやむを得ないと思うのでございまして、ただ人情に流れて、そしてやるようなことはしたくないのでございますが、ただしかしながら、一面において農山漁村が弱い面もございますので、これはやはり経理の不適正なことは無知から、事情を知らないということから出ておることも往々あるのでございますから、これはあるいは団体あるいは関係の者をよく研修等に出しまして、そして啓蒙もしつつ誘導もして参りたい、かように考えております。
  23. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから次に一、二点実際の行政的な問題につきまして伺いたいのでありますが、この間私平島、東両委員とともに北海道を回らしていただいて、大体風倒木の問題であるとか、あるいは開墾地の問題であるとかいうものを一応調査して参ったわけでありますが、その具体的な問題は別といたしまして、これはあなたが農林大臣であると同時に、国務大臣という立場から御返答願いたいと思うのでありますが、私参りまして、北海道状況を見たときに、何か屋上屋を架するというような感じが、ことに営農開拓というような問題について、そういう感を深くいたしたのでありますが、ということは、従来御承知の通り北海道庁というものがあった。いろいろな関係で最近開発庁ができて、そして開発局が主として北海道開発的な事務をやっておられるわけでありますが、しかし、何か実態的にはやはり農林省がまあヘゲモニーというと語弊がありますが、ヘゲモニーを握っていかないと、実際の開拓というものはできないんじゃないかというように考えて帰ったのでありますが、そうすると、道庁あり、開発局あり、また農林省という、こういう問題になるのでありますが、ことに北海道の問題としましては、御承知の通り農林省をわずらわす開拓的な事業というものが今後たくさんあるのでありますが、そういう点に対しまして、屋上必ずしも屋を架しているとは私は断言し得られないのでありますが、そういう感想を非常に持ったのであります。そこで行政の問題、開発の問題と、それからあなたの方の原局としての立場の仕事と、こういうものに関連をいたしまして、今後のそういった北海道の、これは御承知の根釧原野等も参りますというと、まことにわれわれは意を強うするほど無限な原野があるわけなのでありますが、こういうところをただ単に出先の開発局あるいは道庁だけにまかしていてできるものかどうかという点で、私どもはいろいろ感想を持つのでありますが、この点につきまして、一つ大臣から特に一つ御答弁を願いたいと思うのであります。
  24. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 現在の北海道開発のことを引用せられまして、御指摘でございましたが、私はこう考えるのであります。現在の北海道開発は、やはり総合的に進んで参らなければならない。たとえば、ただいま御指摘になりました開拓でございましても、農林省の関係するところはやっぱり同じ道路を作りましても、開拓地の開拓道路を作る、それに伴う諸施設をやるわけでございます。しかし、あの広大な北海道等をやります場合には、これの前提と申しますか、それの関連する重要なこととして、国土開発的見地から大きな道路網を作らなければならない、あるいは港湾の修築をしなければならぬ、こういうことと相待ってやるものでございますから、やはりこれらをいろいろ総合して、そして総合的に実施するというふうな点で、北海道開発庁等の存在の意義が重いと思うのでございまして、しこうして、この開発庁等におきましても、時々連絡をとって、そこで統合的に見ておる。そしてまた人的機構におきましても、各省の精鋭な人たちをもみんな出しまして、そしてやっておるし、本省と同時に開発庁との関係につきましても、総括的に、同時にまた総合的にこれを運営しておりますから、現状としましては、これはある意味では効果的であろうと思うのであります。ただし、北海道は何といいましても、東北に新潟を加えるような広大な地域でございますので、いわば隔靴掻痒の感を免れぬ事態があろうかと思うのでございますが、私は北海道開発等は、やはり建設省なり農林省なりの仕事がばらばらにいかぬように、そこで開発庁によって総合され、それが調整されて実施されるという現行の着想なり機構というものは、相当な意味があるものと思うのであります。ただし、昨今の北海道開発成果につきましては、いろいろ批判のあるところでございますので、これをもっと強化し、そして北海道開発長官等は、むしろ東京におるよりも北海道においでになって、その力を集約的に活用されるようなこと等々の改善方策は、もとより考えなければならぬだろうと思いますが、私は、現在のこの二重、三重のいわば屋上屋を重ねるような感がすると、こう御指摘になりましたが、その弊は若干あろうかと思いますけれども、また開発庁を中心として推進することがむしろ妥当じゃないかと考えるものでございますから、さような意見を申し上げるわけでございます。われわれは現状の機構におきまして、農林省としましては、最大の行政効果を上げるように努めるつもりでございます。
  25. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 いま一点、これは北海道のやはり問題に関連するのでありますが、東委員からあるいは御報告の中に指摘をしてあったかと思うのでありますが、私どもこの間根室まで行きまして、根室の地区におきまして、歯舞、色丹、択捉、国後の各村長さん、代表者にいろいろ陳情を受けたのです。実にこれは、まああなたもたびたび陳情を受けて、その切実さを御認識せられておるのだろうと思うのでありますが、まあ安全操業の問題、あるいは生活の問題というような問題をいろいろ訴えられておる話をいろいろいたしておりまして、このうちには大きく外交問題というような問題にまでも触れてくる、従って外交問題の根本的な問題になると、話の中には、これはアメリカとの対決を前提としなければ、択捉及び国後、歯舞、色丹も返ってこない、こういうような話までいろいろ飛躍をされたのでありますが、それはそれとしまして、とにかく現実は根室に行けば、手の届くようなところに歯舞、色丹が見えるのでありますが、それがソ連のいろいろ対国際的な情勢の変化によって、これは中共も同じなのでありますが、拿捕の問題とか、それから操業の問題とかが非常に脅かされるわけなんです。しかしながら自分たちの生活を守るためには、いつまでもこれを恐れてもおれないものでありますから、やはりコンブや何かを採取に行く、それが今申し上げましたソ連の外交情勢のいろいろな変化に応じて、ときには拿捕される率というものが非常に多くなっておる。これはちょうど東シナ海でも——報告を受けておると思いますが、そういう場合には必ず東シナ海にも漁夫の拿捕というものが多いのでありますが、こういうようなことで、いろいろ切実な私どもは陳情を受けたのでありますが、これは現在農林省としてどういうような御処置をとっておられるのか、私どもは陳情を受けましたのは八月の半ばでありますが、これにつきまして、大臣としてお答え願えますならば、一つお聞かせ願いたいと思います。
  26. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 北海道方面の安全操業の問題でございますが、昨年の八月にこの安全操業の問題を討議する、相談するというふうなソ連側からの話がありまして、外務省等におきましてもそれを期待しておったところが、その後それに対して何らの動きが出てこない。たびたび覚書等に基きまして、そして外務省等からもしきりにこれを折衝いたしましたけれども、依然これは向うではそれに対する返事を持ってこないというようなことでございまして、そして今日になっているわけであります。この安全操業の問題は、別に今領海をどうするとか、あるいは平和条約の結果領土の帰属がどうということは別としても、とにかく零細民のために漁業をやらせてほしい、こういういわば一つのお願いをしている。こういう現況でありますけれども、ソ連側はこの問題については依然頑強に拒んで、そしていまだ解決のめどがついておらぬのが現況でございます。同時にまた束シナ海方面のことでございますが、これはことしの六月とうとういわゆる民間側の協定さえなくなったのでございますが、当局の指導方針としては、あった当時のその線を厳重に守る。同時にその当時約束しておったことは、以前あった通りに守るということにして指導しておりますのですが、その方面の点につきましては、当時の線を侵さない限りは、まあ中国側から拿捕されたり、そういうようなことはないような次第であります。それを侵していきますと、やはり拿捕されるというようなこともございますが、さようなことでございまして、いまだこの安全操業の問題といい、それから東シナ海の黄海の方面の問題等につきましても、断然たる事態を導き得ないことは遺憾でございますが、事態はさようでございます。  なお、北海道の沿岸のことにつきましては、過般来底びきの禁止区域を中心にしていろいろの問題がございまして、一応改定線をしいたのでございますが、これを契機としまして、そして沿岸漁業の浅海魚族の増殖であるとか、その他これに類する施設は特に拡充して参る、こういうような施設を講じて参りたい。かように存じております。   —————————————
  27. 平島敏夫

    理事平島敏夫君) ただいま委員変更がありましたので、この際御報告申し上げます。  武藤常介君、西岡ハル君、横フク君、相澤電明君が委員辞任され、高橋進太郎君、本多市郎君、関根久藏君、藤田藤太郎君がそれぞれ選任されました。以上であります。   —————————————
  28. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 いま一つ今の問題についてお尋ねをいたしたいのですが、その今の外交上のいろいろな行き詰りという点は、私どもよく承知をいたしておりますし、それからまた農林大臣としての御苦心もよくわかるわけであります。しかし実際にその生活問題から言って、とにかく操業しなければ食っていけない。ところが私は先ほど指摘したようにいろいろ外交上の情勢によって、きょうはこの地域で何でもなくソ連側の監視隊が見ていても安全操業ができた、ところが今度はどういう風の吹き回しか、一週間後に行くというと、つかまるというようなケースがあるのでございますね。これは北だけでなく東シナ海あたりでもこういう例があるのであります。現在も拿捕せられて帰らない者、あるいは一週間で帰る者、あるいは一年で帰る者、こういうような工合にいろいろケースがあるのでございますが、しかしその間における家族を初めとしまして関係者というものは、生活的にも、あるいは精神的にも非常な打撃を受けておる。こういうことなんですが、これはなんですか、実際問題は組合同士で何か相互的にこれを助け合うとかなんとかいうようなことだけで、役所としてはこういう問題については特別な補助的な措置とか、何かそういうものはお取扱いになっていないのでありますか。この点一つ伺いたいのであります。
  29. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 抑留されておりまする漁船の乗組員についての対策に関しましては、今日拿捕保険という制度がございます。で、これは船主が保険に加入いたしておりますれば、その抑留期間中の給与につきまして、加入いたしておりまする保険金額をこれを交付するという制度でございまして、国が保険金の九割を再保険をいたしております。で、今日の経理状況から申しますれば、保険料収入は保険金支出の約二割見当の収入があるだけでありまして、ほとんどあげて国の繰り入れによってその拿捕保険の会計の経理をまかなっている、こういう状況でございます。今日出漁いたして拿捕されておりまするものは、相当高い割合——今北洋関係の数字を手元に持っておりませんが、おそらく六割以上のものはやはり拿捕保険の恩典を受けているのではないかと、かように考えている次第でございます。
  30. 東隆

    東隆君 私は今の根室付近の問題について、外交上その他の問題ででき得ない問題があると思いますが、しかし国内で可能な問題もあろうと思います。それで一つ巡視船の問題でありますが、これは釧路に海上保安部があって、そうして根室に海上保安署があるわけであります。そこで現地の希望は根室を一つ昇格していただけないか、部にしてもらえないかという問題と、それから今巡視船が三十トンクラスのものが三隻とか聞いておりましたが、これでは問題にならないので、ソビエトの方は三百トンくらいのものがあるそうですが、そこで三百トンクラスの巡視船を配置してもらえないかという問題が一つあります。これは国内において可能な問題じゃないか、こう思っております。  それからもう一つは国後、択捉等において船を持っておった者が、帰るときにみんな置いてきたわけであります。従ってその船は当時根室支庁の管轄にありましたから、十分に台帳その他があるはずであります。従って所有の関係がはっきりしているわけでありますから、その代船を一つ作らしてもらいたい。これは島から帰ってきた者が、実のところを申しまして、労働をやるか、それからその他非常にほとんど資本家的な漁業はできないわけであります。従って、非常に苦しんでいるわけであります。船を作ることに対して制限を加えられているというような問題がある。それで対馬あるいは沿海州等において機船底びき等をやっておった者に対しては、実のところを申しますと、戦後にある程度の調整が行われたはずであります。そういうようなことを考えると、国後、択捉等における船を残してきた漁民に対して、ある程度の代船を作らせることを許してもいいのじゃないか、こういう問題なんですが、これは前からだいぶ希望がある問題なんでありますが、この点はどういうふうになっておりますか。
  31. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 根室周辺海域におきます警備の強化ということに関しましては、われわれも非常に深い関心を持っておるのでありまして、これは海上保安庁、水産庁及び北海道庁三者が一体になって具体的な対策を強化していかなければならないと存ずるのであります。ただいま御指摘のありました海上保安庁の役所の昇格、あるいは巡視船の配置の増強という問題に関しましては、ただいま御意見の出ました点を、海上保安庁との間にも十分協議をいたしまして、御趣旨に沿い得るように配慮をいたしたい、かように考えるのでございます。  それから国後、択捉の引き揚げ漁民であちらに船を残してきた者の代船建造でございますが、ただいまお触れなりましたように、許可を要する漁業を、樺太あるいは国後、択捉島で営んでおりました者が帰ってきました場合におきましては、底びきの許可等、それぞれ元の漁業の許可を与えるようにいたした次第でございます。またこれらの引き揚げ漁民の集団部落、漁業部落の建設ということに関しましては、昭和三十三年から昭和三十一年にかけまして、約千五百戸の住宅の建設、学校、共同作業場等の建設まで、融資あるいは補助によって達成をいたした次第であるのであります。そこで今お話のありました件、実はそういう引き揚げ漁業者が船を作るということについては、われわれは何らこれを規制をする必要はないと思っておるのでございます。農林漁業金融公庫の融資にあたりましても、そういう事情にありますものは、当然優先して考慮するように、われわれとしても側面的に援助いたしたい、かように考えるのでありますが、あるいは今日北洋に出ておりますサケ、マスの流し網船等の新しい許可漁業に進ましてくれという意味でございますれば、これはそれぞれの漁業の事情によりまして、よく研究をいたして参りたい、かように考えるのでありますが、今日漁業規模を縮小しなければならない事情にありまする許可漁業に新しく出るということは、なかなか困難な事態ではないかと、かように考えるのでございます。   —————————————
  32. 平島敏夫

    理事平島敏夫君) ただいま委員変更がございました。島清君が辞任されまして、その補欠として大河原一次君が選任されました、以上でございます。   —————————————
  33. 東隆

    東隆君 会計検査院の方では、現行の法規あるいは補助の条件その他によってお調べになるのですが、その場合に北海道で、あるいは全国にもたくさんあろうと思うのですが、融資の目的、補助の目的ですね、そういうようなことによって非常に考えなければならぬ問題があろうと思う。特に農林省の方で考えなければならぬ問題は、協同組合を中心にして金が動いておる場合、あるいは補助金が動いておる場合、そういうような場合に私は協同組合の組合員の財布を実は協同組合が持っておるわけです。従ってその補助金そのものが、あるいは融資そのものがその目的の当人に直接現ナマとして到達をしなければならぬ、こういうことは必要ないと、ところが会計検査院の方ではこの点は非常にはっきりとお調べになっておる。私は銀行を通して補助金あるいは融資その他の現ナマが当の者に、目的の者に到達をしない、こういうようなことがあるときには、これは私は非常に問題があろう、しかしその区域内で協同組合を組織して、そうしてその組合員の財布を組合が持っておる、こういうような場合に、私はもう少し補助あるいは融資の場合に考えなければならぬ点があるんじゃないか、この点を考えることによって、相当私は批難事項というものがだいぶ減ってくるんじゃないか、こういうことを考える。それで私の聞いた範囲の中では、たとえば冷害関係の融資ですね、こういうようなものは明確にいえば冷害を受けたその者に行かなければならぬ、また行くのが当然だ。ところが協同組合を通してやる場合には、その金を代償にして翌年度の肥料を供給するとか、いろいろな問題がありますし、それから前の借金の整理の関係の問題もありまして、いろいろの問題が出てくるわけであります。そういうような場合に組合員の相当それに関係をしておる者が集まって、そうしてそれは組合の方において適切なる方法でもって処理をしてもらいたい、こういうような一つ処理の方法があった場合には、私は当然その形でもって経理をしてもいいんじゃないか、こういうように考えるんですが、これはあくまで銀行を通して出すと同じように協同組合金融の場合にやらなければならぬ、これは私は相当問題があろう。というのは、次の営農その他全般に関係をして参りますし、組合員の生活そのものをやはり組合はある程度保障をしていかなければならぬいろいろな問題があるわけで、そういう関係のものをあくまで普通の金融機関を通して、そうしてその者に到達をしなければならない、こういう考え方は、これは少ししゃくし定木になっていないか、こう思うんですが、大臣はどういうようにお考えですか。
  34. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) これはどうも農林省当局から申し上げるよりも、むしろ会計検査の方の御意見の方がかえって適切であろうと思います。少くとも御指摘になったような場合に、あるいは組合から明確な委任があったり、あるいは総会等の決議でもってそれだけの金銭出納につきまして、組合等が法的にも権限を明確にしておる場合は、おそらくは会計検査院も御指摘にはならぬのじゃないかと思うのですが、これはまあ会計検査院の方のお考えによって判断をしなければならない。われわれの考えとしましては、組合より委託があるとか委任があるとか、あるいは総会の決議でもって組合が明確に処理し得る権能等があった場合には、それだけの経理の運用は許されるような気もするんでございますが、あげてこれは会計検査院の方の御方針もあろうかと思いますから、その点につきましては差し控えておきたい、こう考えます。
  35. 石渡達夫

    説明員石渡達夫君) 今の問題でありますが、現在の法制におきましては、やはり現ナマが本人に到達しなければならないという足前になっておりますので、検査院としましては、原則としてやはり現ナマが各組合員に到達しなければならないという見解をもってやっております。その個々事情を見まして、まあ事情やむを得ないというようなものは特に批難しないという場合もございますが、原則としては協同組合から個人の手に渡らなくちゃいけないという建前をもって従来やっております。
  36. 東隆

    東隆君 大臣は今会計検査院の方のお話をお聞きになったと思いますが、会計検査院の方では現行の規定あるいは補助の条件、これを重視されております。そこでいろいろ補助を出される場合、それから融資をされる場合、そういうような場合に、先ほど私が申し上げたような点を救済するようなことを一つ考えを願いたいと思います。これは会計検査院が補助の条件であるとか、あるいは現行の法規を曲げて、あるいは便宜的に解釈するわけにいかぬと思う。そういう点が非常にあって、そうしてここに上げられなくても済むものが上げられてくる、こういう点が特に農業協同組合等を通してなされる仕事にだいぶあるのじゃないか、こういうふうに考えますので、その点一つ考えがございましたら何いたしたいと思いますが、研究をしていただきたいとこう思うわけであります。
  37. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 農林省は、建前として、農山漁村の人たちを罔するというようなことはしたくない、どこまでもめんどうを見たいという信念でございますし、同時にまた法規以外のことを容認する考えはございませんが、ただいま東さん御指摘の点は、十分事務的にどういうふうに結論を得られるか、よく研究させていただきたいと思います。
  38. 平島敏夫

    理事平島敏夫君) それでは午前中の質疑はこれで打り切りまして、休憩いたします。     午後零時四十一分休憩    ————・————     午後二時十一分開会
  39. 平島敏夫

    理事平島敏夫君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。   農林省の部の質疑を続行いたします。御質疑のある方は、順次、御発言をお願いいたします。
  40. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 ちょうど高橋政務次官も御出席のようでございますので、一言、大臣代理として一つ御答弁を願いたいことがあるのであります。それはよく本決算委員会において、私からも申し上げておるのでありますが、米の問題なんでございます。これは病変米の問題の処理につきましては、本委員会において私はたびたび発言もいたし、そうしてこれの処理の問題につきましては、岸総理の実は御出席までも促しまして、なるべく早い機会にこの病変米を処理をしないと、これはただ帳簿の上においてはそのまま継続しているかしらぬが、実態的に言うと、いよいよこれが使えなくなるということで、私としましては一番可能性のあることは、これは農林省の管轄であるアルコールにすることだということを再三申し上げたわけでありますが、なかなか歴代の大臣がこれを実行していただかなかったのであります。先般、農林大臣並びに岸総理の特に出席を求めまして、この問題につきまして善処を促して、相当効果をあげていただいておるように承知をいたしております。そういうわけで、米の問題は倉敷料一つにおきましても大へんでございますので、これは本決算委員といたしましても特に重要視をいたしておるわけでありますが、その問題はいずれまた二十四日の特別会計の審査のときに私はまた申し上げたいと思うのであります。こういうことに関連をいたしまして、最近の米穀の保存状況並びに保有商というものに照らし合せまして、日本内地並びに東南アジア等の関係、すなわち本年も御承知の通り第四番目の大豊作を期待をせられておるように聞いております。最近の新聞によりまするというと、八千七百万石というような、終戦後おそらく初めての大きな数字をあげておるようにも承知をいたしておるのであります。そこへ持ってきて、御承知の東南アジアの力も非常にいいのであります。これは中共を含めまして、中共もことしは終戦後初めての大豊作だと、こう言われておるわけでありますが、台湾とはすでに本年の貿易協定において十五万トンを買うことを協定の中に盛られておるようであります。それからタイその他の米穀地帯におきましても非常な豊作だと、こういう点から考えまして、一面また日本の貿易、ことにこの三十数%を擁しておりまする東南アジア地区に、日本がものを売り出すということになりますと、どうしてもこの米を買わなければならぬと、こういうことになるのでありまして、従いまして大豊作、しかも連続四年の大豊作ということが、この東南アジアとの貿易にとっては、ある意味においては支障をきたすというような問題までも出るわけなんです。こんなことで、この東南アジアの方は、もし日本が米を買わないということになると、今でも御承知の通り、中共の政治的進出とかなんとかいうことによって、貿易の面におきましては、ことに繊維については日本がその王座を中共に乗っ取られている。こういうような状況で、今でも非常に問題が多いときであります。そこへ持ってきて大豊作、あるいは保有米の状況等いかんによりましては、いよいよますます向うから買うことができないということになると、東南アジア地区の貿易に非常に支障をきたすわけなんです。高橋政務次官も長く商工委員をせられておりまして、貿易のことにつきましては特にお詳しいように存じているのでありますが、こういうことについて、これは単に農林省の止揚だけで考えますると、そこに問題がよけい出てくるわけなんでありまして、これはやはり全体的な国の立場に立って、この問題を考えていかなければならぬと思うのでありますが、本年度外米の輸入の計画とか、あるいは現在の保有高について、どうして今後これを持っていくのかといったような、ごく大ざっぱなことでけっこうなんでありますが、一つお答え願いたいと思います。
  41. 高橋衛

    説明員高橋衛君) ただいま大竹先生御指摘通り、本年の米作は相当の豊作を予想せられておりまして、八月十五日現在の統計調査部の予想によりますると、本年度の水陸稲の実収予想高は、八千一百四十六万石ということに相なっておりまして、三十年度の実収高であるところの、八千二百五十六万石に対して、わずかに十万石程度下回るに過ぎない状況であります。なお、また二百十日、二百二十日も無事に済んで参りまして、その後の天候状況も割合順調に参っておりますので、観測する向きにおきましては、ただいま大竹先生御指摘のような大豊作も、予想される向きがある次第でございます。従ってこういうふうな大豊作になりますると、米穀の需給関係から申しまするならば、外米の必要というのは非常に激減して参る次第でございます。ことにただいまも御指摘のありましたように、黄変米等の問題に食管が相当赤字を負担させられたという手痛い経験も持っているような次第でありまして、独立採算を一応の建前とするところの食糧管理特別会計といたしましては、どうしても必要でない部分の外米を、この際輸入していくということは非常な苦痛といたすところでございます。しかしながら同時に、国全体の立場といたしましては、これは東南アジアの経済開発、またその前提となるところの貿易の伸展と申しますか、輸出の増進というふうなことのために必要な外貨の獲得ということは、タイにいたしましてもビルマにいたしましても、米を除いてはほとんど多くを期待できないというような実情もある次第でございます。一方、延べ払いその他の各種の方法をとって輸出の振興をはかって参っておりますけれども、それらにも、おのずから限度がある次第でございまして、従って、国全体としては、必ずしも食管の必要不必要という事務的な見解のみに捉われるということはあるいはできないという点もあろうかと思うのでございますが、これは、むしろ主管省であるところの通産省において十分御検討願って、そして農林省側におけるところの、需給推算上あまり必要がないという考え方との調整を最終的にはかって、その上で決定するということに相なるかと思うのであります。ただいまはその意見の調整の途中でございますので、そのことを特に一つ御了承おきを願いたいと思う次第でございます。もちろん、農林省といたしましても、輸出の振興は絶対必要ないという立場に立つのではないのでございまして、国全体の立場に立って必要性を勘案しつつ、全体的な調整をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  42. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 御趣旨はよくわかりました。そこで、私は特にお願いをいたさなければなりませんことは、高橋政務次官も御存じかと思いますが、のこ米穀を初めとして、雑穀類の輸入の問題は、大体において農林省が所管をせられておるのでありますが、輸入関係といたしましては、これは御承知の通り通産省というようなことで、ところがこの輸入の時期とかいろんな条件の工合によって、これは国内の相場に非常な変動を来たすというようなことが、従来御承知の通り間々あるわけであります。そういうわけで、この米穀が、特にこれは数字としても大きいのであります。金額もむろんでありますが、そういうことで、雑穀類の輸入とか、そういった問題を、通産当局とは、今高橋政務次官がお話しの通り、相当緊密に今後もやっていくのだというお話なのですが、今までは、必ずしもそういう、あなたがおっしゃるような工合にスムースにいっていないわけなのでありますが、今後は、そういった雑穀あるいは雑食等を含めて、通産当局と特に一つ緊密な提携をしてやってもらいたいと思うのであります。政府は、御承知の通り三十一億五千万ドルという輸出目標、これは、実際問題としては、われわれとして、とうていこれはでき得ないのだということをいかに言っても、なかなかその目標は変えないわけであります。そういうような意味からいって、今の私が申し上げたような事態というものがいよいよ必要となってくるのであります。すなわち、あなたの方と通産当局との緊密化というものの上昇度、これはますます上昇していってもらわなければならないのでありますが、この点について、いま一言御答弁願いたいと思います。
  43. 高橋衛

    説明員高橋衛君) 農産物の輸入に関しましては、たまたま現在の輸入の方式が、多くのものがドルの割当制に相なっております関係上、農林省といたしましては、国内の需給情勢を勘案し、生産者が不当に損失を受けるということがないように、また国内の価格のあまり大きな騰落を人為的に起すことがないようにという建前に立って絶えず意見を出しまして、外貨の割当についての主管省であるところの通産省と緊密な連絡をとってやって参っておるのでありますが、この問題については、それぞれ関係する向きが非常に広いというような関係もございますし、非常に適期がそれぞれあるのでございまして、相互の意見の調整に時間をとって、その間に適期を失するというような事例が、ただいま御指摘通り間々あったことは、これは私ども認めざるを得ないと思うのであります。しかし、このことが日本経済全体のために非常に適当でないという点については、大竹先生と全く私も同意見でございます 従って、この点については、従来もその努力は絶えず払われては参っておるのでございますけれども、今後ますます緊密な連絡をとりまして、そうしてできるだけ早期に、こういうふうな問題につきましては、政府としての方針を固めて、そうしてそれぞれの事態に適応した措置が敏速にとれるような方法をとるべきである、かように私ども考えておるような次第でございます。
  44. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 政務次官のお話を聞いて大いに意を強うしたわけでありますが、期待して一つその実行をお待ちしておるわけであります。  次に、これは高橋政務次官から、御都合によってお答えを願わなくてもよいと思うのでございます。補助金の問題なんでありますが、先ほど大まかなことは大臣に申し上げたわけでございますが、三十一年度一つ見ましても、この種別として、公共事業費の補助金が、予算費目にしまして七十一、金額にして三百二十億、その他の補助金が、予算費目が百二十で、金額が百七十五億、合計して、費目が百九十一で、全額が四百九十五億、こう膨大な数字になっておるのでありますが、これは、限りある会計検査関係としまして、これを十二分に検査をするということは、これは実際問題として不可能だ、本委員会といたしましては、できるだけ会計検査院職員をふやして、そうしてその徹底を期するということは、たびたび今までもそういうことが提案をせられ、また一部実行されております。しかしながら、そういうわけで、まだまだ農林関係あるいは文部省の学校補助費の関係なんというものは、せいぜい十分の一程度しか実際のところ行われていないのであります。しかし、農林省の中には、いわゆる監査事務というものがあるのでありますが、内部監査として実際どういうようなことをやられておるのか、またその状況は一体どうなっているのか、これを一つお伺いしたいと思うのであります。これは政務次官でなくもけっこうですから。
  45. 丸山幸一

    説明員(丸山幸一君) お答えいたします。農林省のいわゆる自主監査と申しますか、内部監査をいたしておるわけでございますが、官房に考査室というのがございまして、考査官あるいは副考査官十名程度、それに補佐がついております。比較的大世帯でございます農地関係におきまして、これは農地事務局も含めまして十五名程度、それからこれは一般会計でございませんけれども、食糧関係で十六名、それから林野関係、これは相当多数、百名余りの人員を擁しておるわけでございます。この官房及び農地局系統、食糧系統及び林野系統という大体四つの系統組織と人員をもって現在実施いたしておるわけであります。しかしながら、官房におきましても十名、農地におきましてもわずかでございまして、なかなか所期の目的を実は達していないことを遺憾に存じておるわけでございます。私ども、主として監査関係は自主監査でございますので、監査の内容といたしましては、何と申しますか、摘発的とか、あるいは非常に検査をするとかいうふうなこともむろん必要でございますけれども、これは検査院あるいは行政管理庁あるいは大蔵省の財務部等でもやっておりますので、むしろそれは重要でございますが、自主監査といたしましては、啓蒙というか、指導と申しますか、そういうふうな面、それから遺憾ながら不当あるいは不正の経理を発見した場合の事後措置と申しますか、そういうふうなこと、あるいは将来にわたって事後措置をするとともに注意をしていくというふうなこと、まあ病気で申しますと、診断とか、薬を盛るとかいうことよりも、むしろ予防医学的な、あるいは治療的な方面に、むしろ足りない人員でございますので、意を用いてやっておるわけでございます。しかし何としましても、林野を除きまして人員が非常に少ないですし、また旅費等の制約もございまして、実際に現地に行ってやるという回数は非常に少い。三年ばかり前に補助金の適正化法ができまして、農林省は大世帯でございますので、ある程度の旅費は大蔵省からいただいておりますが、これも必ずしも十分ではございません。従いまして十分な効果を実はあげておらないわけであります。考え方、やり方の方向というふうなことについては、以上申し上げましたようなことで努力をいたしておるわけでございます。
  46. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そうすると、四、五年前できました例の補助金の適正化法がすでに実施されておるわけでございますが、これはせっかくできてもそう効果をあげていないというようなお答えだったように考えておるのであります。これについて特にまたこの適正化を運用上改善をしなければならぬという、そういう意見を特にお持ちでございますか。  それからなお適正化を実施以来、どうもこの法案の該当事件として摘発したとか、あるいはそれによって処理をしたとかいう実例があれば一つお示しを願いたいし、また同時に、今のようなお話で適正化法がせっかくできたけれども、そう効率的な何をあげていないということで、そうすると、自然にこれの改案というような意見も、部内に必ず出てくるであろうと思うが、その両点について一つお答えを願いたいと思います。
  47. 丸山幸一

    説明員(丸山幸一君) 適正化法の結果、改善されておらないということではございませんので、あれによりまして不十分ながら監査等を私どもいたしましておったのでございまして、適正化法自体について批判とかいうふうな点を先ほど申し上げたわけでございません。農林省の関係で、先ほど大臣から御説明がございましたけれども、依然として件数において各省のトップになっておりました。はなはだ恐縮いたしておりますが、それにしましても件数から見まして、たしか三十年は九百件程度でございました。三十一年は六百件程度でございまして、相当減少はいたしておりました。あるいは緩慢ではございますけれども、私ども実はだんだんよくなっておるのじゃないかという点は感じておるわけでございます。適正化法関係の旅費等非常に少ない関係上、不十分な点は実は遺憾に思っております。この適正化の法律等、適正を期するというために、実は非常に手続きが煩雑等になりまして、従いまして適宜に公正と能率を両立することが非常に実は困難でございまして、そういう関係で若干私ども手続き等事務的におくれる点等が実はありましたので、その点については事務的な点でございますけれども、大蔵省と相談をして、漸次改めて参るというふうにいたしております。  それから監査の結果でございますけれども、実はただいま資料を持ち合わしてございませんが、大蔵省等に報告いたしておりますし、要すれば概況等についてはのちほど御報告いたしたいと思います。
  48. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 いま一つ高橋さんにお尋ねしたいのです。先ほどもちょっと申し上げました通り、私ども、この間北海道へ行って、いろいろあのところを見て参って、北海道のビートの問題が非常に前途有望であるということが、われわれしろうとからみても、北海道の現況に即してそういう感をひとしお強くしたわけです。それでただいま御承知の通り日甜とか、それから芝浦製糖とか、あるいは北連ですか、三つぐらいなんでありますが、最近台糖が道南に計画をしているというだけでなく、今度さらに大日本製糖が池田というところですか、これを中心に計画をしている、こういうことを聞くのでありますが、私どもはその事業の全貌についてはむろんしろうとでありますからわからないのでありますが、必ずしもその北海道で砂糖大根ができるから、どこでもよろしいとは、あの集荷の状況なんかをみても、必ずしもそういうことに当てはまらないと思うのであります。芝浦の北見地区とかいうようなところは非常に地の利を得ておるように思うのでありますが、そういうことで、よその砂糖会社ができたから、おれの方もやらなければ損だ、おくれるというような意識で、どんどんあそこに進出していくということが必ずしも農林省自体が考えておる金利の問題とか、あるいはいろいろな意味の補助的な問題が、芝浦が成功したからどこも成功するとも私ども考えないのです。むしろそういう意味でどんどん許可をする、この前もどなたか、農林大臣でしたか、お尋ねしたとき、どんどん許可をする方針でおるということも聞いたのでありますが、これは一つ政府方針としては、実際はどの程度にこれを今後許可もし、そうしてこれを監督していくのか、その見通しがもしわかりましたら、一つお答え願いたいと思います。
  49. 高橋衛

    説明員高橋衛君) 寒冷地の農業の生産性を向上するという点につきまして、ビートが非常に適当な作物である、ことに酪農と関連して最も有望な作物であるという点につきましては、ただいまお話の通りであると私ども考えるのであります。なお、このテンサイ糖業の問題につきましては、外国の例等もいろいろ開いてみますると、たとえばさらに緯度の高いところのフランスとかイタリア等におきましても、大体自給する程度になっておるというふうなことを伺っておるのでございまして、もちろんこれには周到な試験研究を前提といたす次第ではございますけれども、単に北海道にとどまらず、東北地方、または西南暖地等についても、さらにそれに適応する品種の試験研究を進めるとか、または連作の関係についての試験研究をしていただくというような事柄によって、将来は日本におきましてもビートによるところの糖業の開発ということについて、相当大きな理想をもって、少くともただいまの段階においては試験研究を進めている、かように考え、かような見地から来年度予算等についてもただいま検討中でございます。従ってそういうふうな単に北海道の産業ということにとどまらず、全般的な考慮からものを考えるということになりますれば、必ずしもそういうふうに、新しい工場の設置等につきましても、限定的なものの考え方をする必要はないのじゃないか、かように考えておる次第でございます。しかしこれらの問題は、いずれも今後いま少しく十分につき詰めて、掘り下げて検討しました上で、確実なる政府方針としてまとめていくことが必要である、かように考えておる次第でございます。
  50. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そうしますと、今のお話から、私どもの勝手な推測ですが、単に北海道に限らない、日本でできるところならどこでもよろしい。しかも日本でできるところということになれば、おのずから限定されるわけです。東北という問題があげられるのですが、将来はやはり東北等にもそういう計画があれば、農林省としては、積極的にこれを一つ援助していくということを承知してよろしいのですか。
  51. 高橋衛

    説明員高橋衛君) ただいまも申しました通り、これはまず試験研究を前提とする問題でございまして、もちろん東北については、委託試験その他の方法によりまして、約三年の実績を持っておるのでございますけれども、何分にも一たん工場を作り、そこに一般の農民の方々にビートの奨励をするということになれば、それが誤まったということになりますと、非常な大問題になりますので、その辺は十分技術的に、また品種的に、または連作の可能な限界等につきまして、または適地等について、十分な調査をした上で、自信のあるところで、その問題は処断すべきである、かように考えておる次第でございまして、私のただいま申し上げましたのは、試験研究としては、相当積極的にやっていいのじゃないか、こういうふうな考えのもとに、予算等についても考えてみたい、かように申し上げておる次第でございます。
  52. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 現在試験研究というお答えがありましたが、北海道あたりの状況を見ますと、試験研究の域を脱しておるというように、われわれとれたのですが、それで今後、今の台糖の道南ですか、道南ができ、それから大日本製糖が進出していくということになる、こういうことになりますと、これは相当本腰で農林省が後援をしてやらなければならないという事態にいくわけです。そこでそういう意味で先ほど政務次官のお話の通り、来年度予算の中にも、その含みをもってやっておられると、これは私も非常に意を強うするわけです。そこでこれは政務次官でなくても、どなたか御存じの方があれば参考としてお聞きをしたいのですが、今完成をされておる北見の芝浦製糖に対しての融資ですね、低利の融資は、どういうような状況になっておるのか。それからまた農林省としてはどういうような程度にあれをやってるのか。だれか答えができる者がありますか。なければこの次でもよろしいが。
  53. 高橋衛

    説明員高橋衛君) その前に、北海道においては、試験研究の域を脱しておるというふうに見られておるという御意見でございますが、もちろん大体ただいままで許可して参りましたのは、相当、十分に、その何と申しますか、安定性があるという考え方のもとに許可して参ったのでございます。ただそういうふうに面積を詰めて、どんどん今後入れていくということになります場合におきましては、ただいま、たとえば七年に一回の輪作でいかなければならぬというような問題がありますが、これがある程度場所によっては、三年、四年で輪作しておる場所も現実にあり、それがまたそう弊害なしに行われておるところがあるのでありますが、そういう意味におきまして、もう少し狭い範囲におきまして、短かい距離におきまして十分に集荷できる可能性については、これからなお研究する面が相当あろうかと思います。  なお、後段の点につきましては、ただいま資料の持ち合せがございませんので、後ほど調査しました上でお答え申し上げたいと思います。
  54. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そこで私ぜひ一つ農林省としてくんでいただかなければならぬことは、やはり北海道総合開発という全体の線に沿うて、今のところは非常に農林としては金高もほかの産物に比べていい。またビートのできるところは米はできないわけですから、ただそういうこれ一本やりでいくと、ハッカ——北見あたりにもハッカ工場がありまして、これはあそこだけでも輸出の六割何分とかをやっておるというように、これまた非常に重要なんです。ところがわれわれは専門の知識は持っておりませんけれども、みんな反当りの収入とすると、やはり砂糖大根の方がいいのだというような、農村の一つのブームといいますか、こういうものが多いように私ども見受けたのですが、そういう意味でやはり同じおやりになる中でも、北海道総合開発という意味をやはり頭に置いてやっていただかないと、将来、同じ農産物をあれするについても非常に摩擦が起るというような面なんかもあると思いますが、これは一つどうぞ御留意の上やっていただきたい、かように思います。  それから具体的の問題に少し入りたいと思うのでありますが、篠津の例の泥炭地の開墾の問題なんでありますが、これは先ほど東委員からも報告がありました通り、私どもいってつぶさにあの状況を見たのであります。ここに多分指摘をされておると思うのでありますが、例のイギリスから購入をした機械の問題なんであります。この機械機械公団を中心に輸入せられたと思うのでありますが、これについて一つ、大体私ども現地では承わったのでありますから、本省から一つこのいきさつをちょっと承わりたいと思うのです。
  55. 清野保

    説明員清野保君) それでは篠津の客土用の機械の購入について御説明申し上げます。篠津の泥炭地を客土いたしまして、これを農耕地として利用するという方針につきましては、世銀の借款の対象事業としましてこの事業が取り上げられましてから、種々検討をして参ったわけであります。御承知の通り泥炭地の活用につきましては、農業用に利用する場合には、客土をしなければ有効に利用できない。ですからこの客土をいたします方法につきまして、従来のような馬そり客土、あるいは軌道客土をもって客土いたします場合には、相当の長年月を要しまして、有効な利用が困難ではないか。従いまして従来の方針を一擲いたしまして、山土を現地から客土いたします場合の方法といたしましては、従来の方法と変えまして、機械力をもってやるべきじゃないか、こういうようなことを農林省考えたわけであります。この機械力を使います方法といたしましては、ああいうような、非常に地耐力のないところに機械力を持ち込むことにつきましての危険性につきましてもいろいろと研究いたしまして、イギリスのアイルランドの泥炭地で草炭をとっておりますが、その草炭を採集する場合に使っておりますところの機械を使ってはどうか。もちろんこういう機械を取り入れますまでに至る間には、いろいろな、アメリカの陸軍省が水陸両用タンクとして使用しておりますところのうイノーというような機械、あるいはホオドソンのトレイラータイプの機械、そういうようなものをいろいろと技術的に検討いたしました結果、イギリスで使っておりますところの泥炭地用の草炭を採集いたしておりますところのそういうような機械が適当であろう、こういうような見解に達しまして、世銀といろいろと協議をしたわけでございます。世界銀行からはこの機械につきましては一応二百四十一万五千ドルというような機械の購入計画を立てまして、セットにいたしまして、シャベル、シャトルダンパー、クローラーダンプトラクター、こういうものをワン・セットにいたしまして、機械でもって泥を運ぶ。その場合の当初の計画ではシャベルが二台、シャトルダンパーが五十台、クローラーダンプトラクターが四十一台、バケットローダーが九台、こういう台数のものをセットいたしまして出土を運搬する。もちろん篠津の客土をいたします面積は、こういう機械力でもって運搬するものばかりでございませんので、運河の掘さく土とかあるいは土取場が近くにありまして馬そり等でもって簡単に運べる、そういうものは従来の方式とかあるいは運河の掘さく土を使います。しかしながら遠距離を運ぶものにつきましては、従来の方式では時間もかかりますし、金もかかりますので、最も経済的と考えられましたこういうような組み合せの機械でもって運搬をする、こういうふうに方針を決定したのでございます。そういう方針に基きまして、世界銀行と借款の交渉をいたしまして、その結果、一応よかろうというような結論を得られたのでございますが、世界銀行の技術者が日本に参ります際に、農林省はこの機械を承認したあとでございますけれども、その機械の使用につきまして世界銀行の技術者と種々協議いたしました結果、どうもこの機械を大量に買い入れることは若干危険ではないか。幾分試験的に使ってみた上でもってその機械を買うべきではないか、こういうような勧告もあり、またわれわれもそう考えましたので、とりあえずワン・セットの機械を購入して試験的に使っていたのでございます。その結果は、パワーシャベルは別に問題もなく予定通りの能力を発揮したのでございますが、特にクローラーダンプトラクター、これが、使用いたしました結果は日本の泥炭地では圧力が、重さが重すぎまして泥炭の中に沈む、こういうふうな結果になりまして、従ってその積載量も二分の一割になって、従って単価も倍になる。また一方車体はジュラルミン製で非常に軽いのでございますが、そのメイン・シャフトが特殊鋼でない。これはそのために、そのメイン・シャフトが折れまして、いろいろと会社にクレームをいたしまして、機械の部品等を交換いたしまして、積載能力は若干減少いたしましたが、ようやく動くようになりました。しかしながらそのセットの機械を運搬いたしまして土を運ぶ場合には予定通りの能力があげられないというようなことがわかったわけであります。なぜこのクローラーダンプトラクターが十分な効果をあげられないかという点を考えてみますと、日本の泥炭とイギリスのアイルランドの泥炭との間に組成が違っておりますが、確かにこのクローラーダンプトラクターは、仕様書に書いてある通りの耐圧力は持っておるのでありますが、その耐圧力を持っておるダンプトラクターを動かしますというと、泥炭の組成をこわしまして、表面を破壊して、そのために、走行いたします場合にスピードが落ち、現に予定通りの速力も出ない、積載量も落ちる、こういう結果があったことは、日本の泥炭とイギリスの泥炭との間に土質の性格が違っておるという点がその後判明した次第でございます。従いまして、これらの機械をセットにして使いますことはいたずらに工費が増すばかりで能率も上りませんので、それらの機械はほかに転用いたします。たとえばシャトルダンパーは一応今申し上げましたような欠点がございますが、篠津の原野の明渠排水を行なってかわきますと、地耐力がふえますので、そういう場合にこれを使用する。それからバケットローダーは採石の積み込み、パワーシャベルは溜池そのほかに八郎潟の採石場あるいは内地のその他の地区に転用する、こういう方針で一応買い入れました機械はそれぞれの目的に沿うよう現在使用または使用の準備を進めております。従いまして、機械力を利用することが困難だと判明いたしましたので、当初機械客土いたしますものと馬そり客土するものを区分しておったのでありますが、さらにこの内容を検討いたしました結果、八インチのハイドロシールポンプという、泥を送る機械でありますが、この機械はすでに一部日本に輸入をされており、篠津現場で使用済みで、この間非常に効果を上げておることがわかりましたので、この機械と今も申し上げました運搬用機械を取りかえまして、そして今回はただいま申し上げましたハイドロシールによるところの送泥客土とそれから馬そり客土を併行して、従前の計画通り予定通り客土を進めると、こういうふうに変更した次第でございます。以上。
  56. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 詳細承わりました。大体私ども現地において、今あなたのおっしゃられるようなことを聞いたのでありますが、しかし、いろいろ聞いてみますと、この機械というものは大体イギリス自体でも試作的な段階を脱しないというように私どもは専門家から聞いたことを承知しておるわけなんですが、それで今あなたのお話の通りイギリスの泥炭と日本の泥炭とにあまり違いがあったということは、これは私は実に何と申しますか、計画に非常な問題があるんじゃないかと思うのでありますが、使えないと言いましても、ほとんどあれだけの莫大な機械が使用不可能のような状態で、そしてさらしものになっておる。現にその事務所にありますものをわれわれこの目で見てきたのですが、こういうことは世銀の技術者が言われたので、それで農林当局としてはそれに応じたということなんですか。
  57. 清野保

    説明員清野保君) 篠津の泥炭地を改良するために、機械力を用いまして極力早期に効果をあげる、こういう点につきましては、農林省自身も従来から考えておりました。かつまた世銀からも機械力を利用すべきではないか、従来のような馬そり客土、あるいは軌道客土のような古い昔からの方式でなく、新しい方式と切りかえたらどうかという、こういう意味の勧告があったことは事実であります。しかしながら、この機械を取り入れるにつきまして、どういう機械を日本が買うかということにつきましては、日本自身の問題として種々検討したわけであります。こういうような泥炭地に客土するというような例は世界中でも日本だけでありまして、日本の場合に、新しい機械を入れるという場合につきましては、先ほど申し上げましたように、外国におきますところの別な目的でもって機械を動かし、その機械に荷を積んでおる、こういうような事例を調べて、欧州へ泥炭を研究に行きました人がありましたので、その人に英国におきますところのその機械の運行状態等を聴取した上、一応この機械でよかろうと、こういうふうに決定したわけであります。
  58. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 話によりますと、イギリスのメーカーもわざわざ日本にやってきて、これの修繕に当られたということを私も聞いておるのでありますが、簡単な機械ですとともかくとして、これだけの金額のものであります。そうしますと、一体この責任の所在といいますか、これはどこに一体あるのですか。これを一つ御解明願いたいと思うのであります。
  59. 清野保

    説明員清野保君) この機械を買いますにつきましては、当初農林省機械客土をいたすというような方針を一応きめた際に、こういうような方法で客土用のやわ土を運搬すべきじゃないか、こういうような一つ方針をきめたのであります。その方針のもとに機械公団の方で、この機械の購入に関するいろいろな機械の種類でございますね、そういうものを研究いたしまして、この機械を購入するについて世界銀行の技術者と相談をして、一応機械公団の方で機種を決定いたしまして、その機種を機械公団が世界銀行の機械関係の技術者と協議して決定しておる、もちろんその場合には機種をきめただけでありまして、どの会社の機械を使うか、こういうことはもちろんきめてございません。従って、責任がどこにあるかという御質問でございますが、この機械を、こういう方法をきめたのは農林省であり、またこの方法を実行したのは機械公団である、また実行するに当りまして、世銀と連絡をとり、世銀との協議を経まして了解を経ましてやりましたことでございますので、この機械を使用するに当りまして関係した者が、それぞれ一応の責任があると思いますが、日本で初めての事例でありますので、多分に実験的であり、従いまして一応機種を決定し、一応機械の購入は決定いたしましたものの、先ほど御説明通り、一組だけの機械を買いまして従来の危険を多分に防いだという点もございます。
  60. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そうしますと、農林省並びに機械公団と同時に、この両者が世銀からあるまあ指示といっては何ですが、指示的なものを受けて、そうして三者意見一致してやったと、こういうことになるわけです。そうしますと、これは全額云々というわけにはいかないのですが、実際問題として、ああいう場合に使えない莫大な機械を買って、そうしてこれを不能のままに放置をするというような状況なんです。これは手っとり早くあなたの方から世銀の方にもむろん報告しておると思うのでありますが、そういう意味で、多少借款の中にこういった問題を向うが十二分に考慮をしてくれて、多少何か全額の上においてこれを見込んでもらう——つまり引くという意味ですね、見込んでもらう。そういうような御交渉はなされていないのですか。
  61. 清野保

    説明員清野保君) 世銀に対しましては、この機械実情を直ちに報告いたしまして、この機種の購入を中止する、そのかわりに別な機械を購入したい、こういうようなことは事務的にもまた外務省を通じて世銀にも連絡をとり、すでに実現いたしております。ただしその際、購入をいたしましたこの機種がこういう結果になったから、従って世銀の借款をまけろとか、あるいはそういう点は、あくまでも、これは機械公団が世銀と協議をして買いました機械ではございますけれども機械公団のいわば与えられた権限の範囲において行った行為でございますので、公団としては世銀の方にはそういうような話はしてございません。
  62. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そうすると、外務省を通してもやっていないのですか。私の質問した点については、全然また世銀に対しては交渉をしていないんだ。外務省を通してはむろんのこと、また機械公団自体もそうだ。全然まだそういう意味の交渉はしていないということですね。
  63. 清野保

    説明員清野保君) 先ほどお話しました通り、外務省を通じまして、この結果の報告並びに借款対象になる機械変更に対する要求と、それに対する了解は得ておりますが、御質問のような点に対しては、公団からは——私その点は所管ではございません。ございませんが、私の知っておる範囲では、その意味合いでの交渉はしていないと思います。あくまでもこれは世銀の了解を得ました機械ではございますが、機械公団のいわば業務の一部としまして購入したものでございますので、さように御了承をお願いいたします。
  64. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから今後の篠津の対策、それからその使えない機械——先ほど何か転用の問題ありましたが、それはどういうところにどう転用せられるのか。それから今後その機械がなくとも、さっきもちょっと触れたようでありますか、篠津の開墾というものはどういうようにやっていかれるのか。その点を最後に聞きたい。
  65. 清野保

    説明員清野保君) 先ほどもお話しましたように、この機械は能率も悪く、そのためにかえって農民負担をふやすという結果になりますので、この機械の使用は中止いたしました。そのかわり、この機械は性能としては、先ほどもお話しましたように、特にクローラーダンプトラクターが非常に排水を行う前の泥炭地に使用することは困難でありますので、このクローラーダンプトラクターは明渠排水とかあるいはそういうような排水を行いまして土地がかわきますというとこのトラクターが十分使えますので、これを水路の掘さく用の土を運搬するとか、あるいは一部を当別地区のダムに持って行きまして泥の運搬に充てる。つまり、その後改造いたしまして相当丈夫になっておりますので、これは当別地区のダムに持って行って運搬する。現在七台ありますシャトルダンパーのうちで、三台を水路に、四台をダムに持って行くという方針にして、一部は現に使っております。それからバケットローダーという機械がありますが、このバケットローダーは現在採石の積み込みに使っております。ただ多少問題が残りましたのは、パワーシャベルの、一つが二立米という相当大きなパワーシャベルでありますが、これが二台ございまして、この二台の使用につきましていろいろと検討を加えておりますが、内地の土地改良、あるいは干拓等で使うには若干大き過ぎる。従いまして、現在この使用先について検討を加えておりますが、もしでき得るならば八郎潟の採石場及び岩手県の岩洞ダムの泥の採集にこのパワーシャベルを使おうと思っておりますが、ただいま申し上げたようにこのパワーシャベルだけが現在はっきりした使用先がきまっておらないというのが現状でございます。  それからこの機械をやめましたあとの使用でございますが、その使用につきましては篠津原野で運河の掘さく用に使っておりましたハイドロシールという機械がございます。その機械の——これは三インチでございますが、三インチでも相当能率をあげて好結果をあげておりますが、このハイドロシールの八インチの機械を、今の申し上げましたセットになっておった機械を購入を中止いたしましたので、これとハイドロシールと取りかえまして、ハイドロシールでもって今度は泥を送る、こういう方針に変えた次第でございます。なお、このハイドロシールにかえますというと、従来、もしダンプトラクターを使いますというと、三千五百五十メートルの運搬距離でもって一立方メートル当り約千円かかりますものが、大体三百五十円くらいででき上るというような点が、すでに購入しましたハイドロシールの試験結果によって明らかになりましたので、このハイドルシールの機械を世銀と交渉しまして了解が得られましたので、これを近く内地に送り込みまして、これによって泥を送るということによって十分当初の計画が達成できる。こういうふうに考えております。
  66. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 次に、関連してお伺いしたいのでありますが、農林省とそれから特に農林省開墾的な事業に表裏一体の関係をなしてできました機械公団であります。これは非常に至るところに相当な成績をあげておることは私ども承知いたしておるのでありますが、現在の機械公団と農林省との連絡状況の効果と申しまするか、それからまた機械公団の現況、そういうものを簡単でいいですから一つお伺いしたい。
  67. 清野保

    説明員清野保君) 機械公団は三十年度に発足いたしまして、当初は上北の機械開墾地区及び北海道における根釧の第二床丹地区、それから今申し上げました篠津原野の泥炭地の改良事業目的といたしまして発足いたしました。三十二年度におきましては上北、根釧のそれぞれの機械開墾、三十三年度におきましては上北及び根釧におきまするところの機械開墾並びに農林省直轄でやっておりますところの改良事業道路工事がそれぞれ所期の目的を達成して終りまして、開墾建設工事入植等、それぞれ予定通りの効果を発揮していると考えております。三十三年度の後平につきましては、それらの工事がほぼ終りましたので、内地におきましては岩手県の二戸地区、それから北海道におきましては、先ほど申し上げました床丹第二地区に隣接します床丹第一地区にそれぞれ国営開墾といたしまして、従来の上北並びに根釧と同様な方法をもって開墾をいたす、並びに必要な建設工事機械力で行おうというような方向で現に進めております。  これは従来の方針でございますが、今後の新しい方針といたしましては、開拓営農振興措置法が前国会で通過いたしましたので、その措置法によるところの新営農類型の中で機械開墾とか、そういうような大規模な開発予定せられておるところにつきましては、この農地開発機械公団の機械力導入いたしまして、従来よりも幅を広げて仕事を進めていく。なお、その他災害復旧等機械力を使用することが適当と考えられるものにつきましては、長崎県等においてはすでに公団機械が相当活躍いたしまして、予定の仕事を続けておるという状態であります。今後農林省といたしましては、単に機械公団を上北とか、あるいは根釧のある部分にだけ集中しないで、機械開墾にその機械力を十分活用できるように、今後もう少し幅を広げてこの機械公団を利用していきたい、こういうふうに目下考えて、一部はすで実施中でございます。
  68. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それからこの機械公団が、たとい今篠津の問題のごとく、英国のメーカーから輸入をするという場合は、これはむろんサプライヤーが入って輸入をするのであって、これは直接機械公団がやるのじゃないのですか。
  69. 清野保

    説明員清野保君) 世銀の借款のもとに機械を購入する場合には、国際入札になっておりまして、従って各国の機械メーカーは、必要に応じまして、日本なら日本におりますところのエージェントを利用して入札をする。あるいは直接入札をする。ただいまサプライヤーということがございましたが、お言葉は、おそらく日本の外国機械メーカーの事務を受け取っておりますところの商事会社だと思いますが、(大竹平八郎君「その通り」と述ぶ)その当時、商事会社が一部入札に参加いたしております。
  70. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 次に、北洋漁業の問題について一、二点お尋ねいたしたいのです。先ほど御答弁の中に、抑留者の問題についての拿捕保険の問題があったのでありますが、これは北洋関係として大体六〇%というものが活用しておると、こういう御答弁があったのでありますが、拿捕問題は特に最近韓国関係に非常に多いわけであります。それからまた同時に東支那海をはさみまして、中共関係も非常に多いわけなんでありますが、この方面に対する保険関係の状況はどうなんでしょうか。
  71. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 北洋はもちろんのことでございまするが、韓国沖合の海域及び中共沖合の海域に出まする漁船に対しましても、同じ拿捕保険の制度が適用をされておる次第でございます。そこで、どの程度現在抑留されておりまするものがこれに加入をしておるかということを、やや古い表で申し上げて恐縮でございます。手元に新しい表を持ち合せておりませんので、やや古い表について申し上げまするが、昨年の十二月末現在におきまして、ソ連関係で抑留されておる乗組員十五人中、十五人が全部給与保険に加入をいたしておりまして、当時韓国関係で九百二十二人が抑留されておったのでありますが、その中で保険加入のものが五百八十九人おった次第でございます。合せまして、昨年の十一月末の抑留乗組員九百三十七人中、六百四人というのが、これが抑留乗組員の保険加入の計数でございます。当時、中共との間は円滑にいっておりましたので、中共に行きまする漁船については、ほとんど加入をいたしておりません。当時、協定いたしておりました禁漁区に入りました日本の漁船につきましても、中共側は、それに対する制裁を要求するのではない、しかし日本側の将来の自粛を求めるのだというふうな態度で、中共から日本側に連絡があった。そういうふうな状況であったのでございますとところが今年に入りまして、御承知のごとく中共との間の民間協定が更新されずに今日に至っておるのでございまして、現状におきましては中共関係の沖合に出て参りまする日本の漁船のほとんど全部が特殊保険及び給与保険に加入をいたしておりまする状況でございます。
  72. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 まあ、韓国やソ連は、一応できてもできなくても交渉するということはできるのでありますが、中共の場合は、例の漁業協定に基いておやりになっておるのか。あるいは何らかの機関を通じてそういういろいろな話し合いをなされているのか、その点どうでしょうか、
  73. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 中共との間の漁業協定に関しましては、日本側といたしましては、日中漁業協議会という団体がございまして、これがその沖合に出て参りまする機船底びき網漁業者等の漁業者の団体を網羅いたしておる総合団体でございます。中国側は中国漁業協会という団体がございます。この団体相互の間におきまして、中共側のある沖合におきまする禁止区域あるいは両国の共同入漁区域というものについての協定をいたしておった次第でございます。
  74. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それからこれに関連いたしまして、これはやや外交的な問題にもなり、また外交的な措置として従来とられておるのでありますが、漁船自体の拿捕の問題なんであります。たとえば、これはもう終戦直後からですと相当な数にも上っておりますし、それから例を一つあげますと、台湾にいる国民政府も——これはむしろ拿捕というよりも流用というのがはっきりするのじゃないかと思うのですが、たとえば国民政府で二十九隻漁船を一応捕獲した、このときにちょうど二十七年に日華条約が行われて、私もまあ別の角度で向うに行っていろいろ交渉をしたときに、これの返還を向うは一応承諾してくれたが、しかしまあ依然としてそのままである、これは昔の、何といいますか、大洋漁業であるとか、あるいは大きいところならばさしたるなにもないのでありますが、まあ一ぱい二はいくらい持っているような漁船主としては、非常な痛棒を加えられたわけなんであります。こういう事態というものが、中共、韓国、それからソ連と非常に多いのであります。現在において一体どのくらい漁船としては拿捕せられておるのか。もしそれがわかりましたら一つ御答弁願いたい。
  75. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 現在なお未帰還に相なっておりまする漁船の隻数及び抑留漁夫の人数を申し上げますれば、韓国との関係におきましては百四十九隻、百二十二人の漁夫、これがなお漁船の送還を見ず、また乗組員の帰還を見ておらない次第でございます。中共との関係におきましては百十三隻、百十人の漁夫、これがその計数でございます。ソ連との関係におきましては、百二十一隻、三十九人、これが現在の隻数及び漁夫の数でございます。
  76. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 これは大体、まあ古い船も、また相当新しい船もあるのですが、金額にして船価というものはどのくらいに見積られておるのですか、またあるいは業者が見積ってあなたの方に陳情をしておるのですか。そのデータがあったら一つお示し願いたい。なければけっこうです。
  77. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) ちょうどただいま手元にそのデータを持ち合しておりません。
  78. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 じゃこの問題については、むろん外交交渉はずいぶん長くおやりになっておると思うのであります。これはむしろ外務省にお尋ねする方がいいのかと思うのでありますが、どうなんですか、これはあなた方の見込みとして、国交が、韓国は今ああいうような状態になっているし、これは完全にスムースにいかぬ限りは、これはもうほとんど絶望と——それからまた中共は、今のような状態ですから、これはちょっと簡単に見込みはつかないと思うのでありますが、そんなところの空気はあなた方の推測としていかがですか。
  79. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) こういう事故が起りまするつど、外交関係を結んでおりまする国、あるいは外交関係のルートのありまする国に関しましては、政府はそのつど抗議を申し込み、船の釈放及び漁夫の送還を求めておる次第でございます。韓国との間におきましても、たびたびこれに関する交渉を繰り返しておる。しかし韓国側として、これに対してなかなか応じてくれなかった次第でございますか、昨年の秋にインドのデリーで赤十字の大会がございまして、その際に、抑留されておりまする漁夫の夫人連が参りまして、そしてその非人道な点を関係国の間によく説いたのでございます。そこで赤十字といたしまして、抑留者を直ちにその希望に従って送還するべきであるというふうな決議がありました。そういうふうなことが、おそらく非常によい結果をもたらしたのではないかと思うのでございまするが、その当時、韓国側で刑期を終りまして、ただ漫然と釜山の外人収容所に収容いたしておりました者は、とにかく十二月三十一日に協定ができまして、非常におくれましたけれども、五月までの間に三回に分けて送還をしてくれたような次第でございます。しかし、現在なお、先ほど申し上げましたように百二十二人の者が抑留されておる、その中には、われわれは韓国のこれに対する処罰法規なるものの存在を認め得ないのでありまするけれども、しかしその韓国側の刑期が終った者も、何らの理由なしに抑留されておる、こういう状態に対しましては、不断にわれわれとしてもその注意を喚起いたしておる次第でございます。  また、船の問題につきましても、これもわれわれとしては、これについての請求権を毛頭放棄しておる次第ではないのでございます。これはいろんなデリケートな関係もありまして、他日ぜひともこの問題を解決いたしたいとかように考えておる次第でございます。
  80. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 以上で私の本日の農林省関係の質問を終りたいと思うのですが、最後会計検査院にちょっとお尋ねしたいのであります。というのは、この指摘事項の八十七ページの「公共事業に対する国庫補助の経理について」という中に、「三十二年中、全国工事現場四一、〇五六箇所のうち九%に相当する三、七二〇箇所を実地検査したところ、相当改善の跡が認められたが、なお不当な事例がく少なく、国庫補助を除外すべき額一工事十万円以上のものだけでも七三三工事二億六千五百余万円に上り、しかもその大部分は事業主体が正当な自己負担をしていないものであって、そのうちには国庫補助以下で工事施行しているものさえ見受けられた。」、こういうことが指摘をされているのでありますが、このことについて、いま一段御解明を願いたいと思うのであります。特に一工事十万円以上のものだけというのでありますが、十万円以下というものが一体どのくらいあるのか、この全体についての解明を一つ会計検査院にお願いしたいと思います。
  81. 石渡達夫

    説明員石渡達夫君) 十万円以上のものをあげますと、ここにありますように七百三十三工事、二億六千五百万円と、こういう数字になっておりまして、それ以下のものも、検査院としましては、検査のつど、ありました場合には照会をし、あえて事業主体をして返還あるいは手直しをさしております。その金額が幾らになるかという数字は、今持ち合せておりませんが、検査報告の記事といたしましては、小さいものは一応カットしまして、十万円の線を引いてここにあげてございます。  なお、除外すべき国庫補助金が二十万円以上のケースにつきましては、別表の三としまして別表にずっと一件一件番号をふってあげてございます。
  82. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 いま一点。工事完成後において公共事業団体のいろいろの調査は非常にむずかしい、従って早期注意あるいは是正に努力をしなければならぬ、こういう項目がこの中にあるのでありますが、三十一年度中に限らず、三十二年度中においても、やはりこの早期注意あるいは早期是正という問題については、相当効果を上げているのでしょうか。
  83. 石渡達夫

    説明員石渡達夫君) 三十二年度工事につきましても、本年におきまして引き続いて査定検査をいたしまして、相当な効果を上げております。
  84. 平島敏夫

    理事平島敏夫君) ほかに御質疑はございませんか。——御質疑はないようでございますので、本日はこの程度で審議を終了いたします。これをもって本日の委員会を散会いたします。    午後三時三十二分散会    ————・————