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説明員(
清野保君) それでは篠津の客土用の
機械の購入について御
説明申し上げます。篠津の泥炭地を客土いたしまして、これを農耕地として利用するという
方針につきましては、世銀の借款の
対象事業としましてこの
事業が取り上げられましてから、種々検討をして参ったわけであります。御承知の
通り泥炭地の活用につきましては、農業用に利用する場合には、客土をしなければ有効に利用できない。ですからこの客土をいたします方法につきまして、従来のような馬そり客土、あるいは軌道客土をもって客土いたします場合には、相当の長年月を要しまして、有効な利用が困難ではないか。従いまして従来の
方針を一擲いたしまして、山土を
現地から客土いたします場合の方法といたしましては、従来の方法と変えまして、
機械力をもってやるべきじゃないか、こういうようなことを
農林省も
考えたわけであります。この
機械力を使います方法といたしましては、ああいうような、非常に地耐力のないところに
機械力を持ち込むことにつきましての危険性につきましてもいろいろと研究いたしまして、イギリスのアイルランドの泥炭地で草炭をとっておりますが、その草炭を採集する場合に使っておりますところの
機械を使ってはどうか。もちろんこういう
機械を取り入れますまでに至る間には、いろいろな、アメリカの陸軍省が水陸両用タンクとして使用しておりますところのうイノーというような
機械、あるいはホオドソンのトレイラータイプの
機械、そういうようなものをいろいろと技術的に検討いたしました結果、イギリスで使っておりますところの泥炭地用の草炭を採集いたしておりますところのそういうような
機械が適当であろう、こういうような見解に達しまして、世銀といろいろと協議をしたわけでございます。世界銀行からはこの
機械につきましては一応二百四十一万五千ドルというような
機械の購入
計画を立てまして、セットにいたしまして、シャベル、シャトルダンパー、クローラーダンプトラクター、こういうものをワン・セットにいたしまして、
機械でもって泥を運ぶ。その場合の当初の
計画ではシャベルが二台、シャトルダンパーが五十台、クローラーダンプトラクターが四十一台、バケットローダーが九台、こういう台数のものをセットいたしまして出土を運搬する。もちろん篠津の客土をいたします面積は、こういう
機械力でもって運搬するものばかりでございませんので、運河の掘さく土とかあるいは土取場が近くにありまして馬そり等でもって簡単に運べる、そういうものは従来の方式とかあるいは運河の掘さく土を使います。しかしながら遠距離を運ぶものにつきましては、従来の方式では時間もかかりますし、金もかかりますので、最も
経済的と
考えられましたこういうような組み合せの
機械でもって運搬をする、こういうふうに
方針を決定したのでございます。そういう
方針に基きまして、世界銀行と借款の交渉をいたしまして、その結果、一応よかろうというような結論を得られたのでございますが、世界銀行の技術者が日本に参ります際に、
農林省はこの
機械を承認したあとでございますけれ
ども、その
機械の使用につきまして世界銀行の技術者と種々協議いたしました結果、どうもこの
機械を大量に買い入れることは若干危険ではないか。幾分試験的に使ってみた上でもってその
機械を買うべきではないか、こういうような勧告もあり、またわれわれもそう
考えましたので、とりあえずワン・セットの
機械を購入して試験的に使っていたのでございます。その結果は、パワーシャベルは別に問題もなく
予定通りの能力を発揮したのでございますが、特にクローラーダンプトラクター、これが、使用いたしました結果は日本の泥炭地では圧力が、重さが重すぎまして泥炭の中に沈む、こういうふうな結果になりまして、従ってその積載量も二分の一割になって、従って単価も倍になる。また一方車体はジュラルミン製で非常に軽いのでございますが、そのメイン・シャフトが特殊鋼でない。これはそのために、そのメイン・シャフトが折れまして、いろいろと会社にクレームをいたしまして、
機械の部品等を交換いたしまして、積載能力は若干減少いたしましたが、ようやく動くようになりました。しかしながらそのセットの
機械を運搬いたしまして土を運ぶ場合には
予定通りの能力があげられないというようなことがわかったわけであります。なぜこのクローラーダンプトラクターが十分な効果をあげられないかという点を
考えてみますと、日本の泥炭とイギリスのアイルランドの泥炭との間に組成が違っておりますが、確かにこのクローラーダンプトラクターは、仕様書に書いてある
通りの耐圧力は持っておるのでありますが、その耐圧力を持っておるダンプトラクターを動かしますというと、泥炭の組成をこわしまして、表面を破壊して、そのために、走行いたします場合にスピードが落ち、現に
予定通りの速力も出ない、積載量も落ちる、こういう結果があったことは、日本の泥炭とイギリスの泥炭との間に土質の性格が違っておるという点がその後判明した次第でございます。従いまして、これらの
機械をセットにして使いますことはいたずらに工費が増すばかりで能率も上りませんので、それらの
機械はほかに転用いたします。たとえばシャトルダンパーは一応今申し上げましたような欠点がございますが、篠津の原野の明渠排水を行なってかわきますと、地耐力がふえますので、そういう場合にこれを使用する。それからバケットローダーは採石の積み込み、パワーシャベルは溜池そのほかに
八郎潟の採石場あるいは内地のその他の
地区に転用する、こういう
方針で一応買い入れました
機械はそれぞれの
目的に沿うよう現在使用または使用の準備を進めております。従いまして、
機械力を利用することが困難だと判明いたしましたので、当初
機械客土いたしますものと馬そり客土するものを区分しておったのでありますが、さらにこの内容を検討いたしました結果、八インチのハイドロシールポンプという、泥を送る
機械でありますが、この
機械はすでに一部日本に輸入をされており、篠津
現場で使用済みで、この間非常に効果を上げておることがわかりましたので、この
機械と今も申し上げました運搬用
機械を取りかえまして、そして今回はただいま申し上げましたハイドロシールによるところの送泥客土とそれから馬そり客土を併行して、従前の
計画通り、
予定通り客土を進めると、こういうふうに
変更した次第でございます。以上。