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1958-06-13 第29回国会 参議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月十三日(金曜日)    午前十時四十一分開会     —————————————   委員の異動 六月十二日委員後藤文夫辞任につ き、その補欠として田村文吉君を議長 において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高野 一夫君    理事            仲原 善一君            平島 敏夫君            相澤 重明君            大矢  正君            奥 むめお君    委員            石井  桂君            稲浦 鹿藏君            勝俣  稔君            西岡 ハル君            増原 恵吉君            松村 秀逸君            吉江 勝保君            東   隆君            大倉 精一君            岡  三郎君            片岡 文重君            島   清君            田村 文吉君            大竹平八郎君            竹中 恒夫君            岩間 正男君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修藏君   説明員    警察庁警備局警    備管理官    浜中 英二君    水産庁次長   西村建太郎君    通商産業省企業    局長      松尾 金藏君    通商産業省繊維    局紙業課長   橋本 徳男君   参考人    千葉浦安町長 宇田川謹二君    千葉浦安町漁    業協同組合理事 船山卯三郎君    江戸川葛西浦    漁業協同組合組    合長      佐久間菊蔵君    本州製紙株式会    社社長     木下三郎君    同会社江戸川工    場長      青木 貞治君    千葉水産商工    部水産課長   坂本 勝一君    東京経済局長 江藤 彦武君    東京建築局指    導部長     大河原春雄君    本州製紙株式会    社取締役  矢沢四郎右衛門君    東京経済局農    林部水産課長  多田  稔君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任の件 ○国家財政経理及び国有財産管理  に関する調査の件  (江戸川における汚水放流による漁  業の被害に関する件)     —————————————
  2. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいまから本日の決算委員会を開会いたします。  まず委員の変更を報告申し上げます。六月十二日付をもって後藤文夫君が辞任され、田村文吉君が補欠選任せられました。     —————————————
  3. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 去る十一日付をもちまして、奥むめお君から理事辞任する旨の届出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めて、許可することに決定いたしました。  理事の互選を行わなければなりませんが、都合によりまして次回にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めて、さように決定いたします。     —————————————
  6. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 国家財政経理及び国有財産管理に関する調査を議題といたします。本日は江戸川における汚水放流による漁業被害に関する件を審議いたします。  本件に関し、参考人として、千葉浦安町長宇田川謹二君、千葉浦安漁業協同組合理事船山卯三郎君、江戸川葛西浦漁業協同組合組合長佐久間菊蔵君、本州製紙株式会社社長木下三郎君、本州製紙株式会社江戸川工場長青木貞治君、千葉水産商工部水産課長坂本勝一君、東京経済局長江藤彦武君、東京建築局指導部長大河原春雄君に御出席を願っております。  議事の進め方についてお諮りいたしますが一応参考人方々から順次御説明を願いまして、全部の御説明が終了しましたあとで、参考人並びに政府側に対する質疑を行いたいと思いますが、さよう取り計らい方に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めて、さように取り計らうことにいたします。  説明を伺う前に、参考人方々一言委員会代表いたしまして、ごあいさつを申し上げます。  本件は、御承知のごとく本州製紙株式会社工場の廃液が汚水として川に放流せられまして、そのため江戸川河口付近魚介類が甚大な被害を受けたと称せられ、これがために工場河口付近漁民との間に対立の状態が起りまして、紛争を続けている事件であります。当決算委員会といたしましては、漁民生活権の確保、産業の合理的発展等国家的見地からきわめて緊急重要な問題と考えますと同時に、水産増殖事業育成振興のために年々多額の国費補助を行なっておりまするので、もしもこれらにも被害が及ぶということになりますれば、国費の損失となるわけでございます。当委員会は、これらの事態を未然に防止いたしまして、かつ事件が早急に解決せられ、またこれに類する各地の問題を今後いかに処理すべきかについて考究をいたしたい次第でございます。参考人方々には、最後まで当委員会審議に御協力下さいますようにお願いをいたします。  これから順次御発言をお願いするわけでございまするが、時間の都合もございまするので、お一人十五分以内に、簡潔に御説明を願います。なお、あと委員側から質疑がございますから、そのために十分御説明、御意見発表の時間があろうかと存じます。まず最初に、宇田川浦安町長にお願いいたします。
  8. 宇田川謹二

    参考人宇田川謹二君) 私から今回の事件経過を御報告申し上げる前に、一言おわびを述べさせていただきます。  今回はからずもあのよう突発事故を起しまして、当の責任者でありまする私、まことに申しわけないと考えておる次第でございます。ここに深くおわびを申し上げます。  この問題に関しましては、実は江戸川下流組合連中が四回も五回も会社工場側に向いまして、汚水被害状況を訴え、われわれを救ってくれるよう歎願に及んだのでありまするが、一課長さんのみしか応接してくれませんので、そうしていつまでたっても要を得なかったのでございます。そして今年三十三年五月二十四日までは浦安町、南行徳行徳町、江戸川町、葛西——これは江戸川葛西でございます。それから城東荒川深川、この八ケ浦漁業協同組合の単位でありまして、各代表が先ほど申しました通り交渉いたしたのでございまするが、工場責任行動をとりませんで、依然として悪水の放流を続けていたのでございまして、そこで第一回の交渉といたしまして、去る五月二十四日午前十時ごろ八ケ浦漁業協同組合の役員約千名ぐらいと思います、漁船及び自動車工場へ参集いたしまして、船の方から見ますると、目前に悪水が放流されておるのを見まして、漁民は憤激いたしまして、そうして上陸し、一方陸の方でも自動車から工場内に入りまして、最初船から上りました連中は漁師が大体でありまして、非常にこれは群集心理の強い点が欠陥でありまして、これは私も確かに認めます。上陸すると同時に労働組合事務所に入りまして、戸、障子をこわしまして、申しわけないことをしたと思っております。そうして一方悪水の出ますところのマンホールへかわら、石等を投げ込みまして、これは二カ所と報告されておりますが、水をとめたのでございます。その水は工場内にあふれましたが、間もなく機械の操作がとまりまして、その水もおさまったようでございます。  それから、こういう暴行を働いたことは申しわけないと思います。とにかく会社側と話し合わなければならないというのでありまして、同日の午前十時四十分、工場内の会議室におきまして、会社側といたしましては、新しく二日前に就任されました工場長さんと総務課長さん、事務部長さん、施設課長さん、ほか二名の方、七名の出席でありまして、被害者代表といたしまして、浦安側といたしましては私と助役、協同組合長南行徳組合長、それから行徳町、江戸川葛西深川城東の各組合長で計十名でございました。会議の内容といたしまして、現在運転中の新しい機械より排水されまする黒い毒水は直ちにとめてもらいたい。それから次に操業中の古い機械から排水をされておる白い水につきましては、経営上考慮するか、一ときも早く無害になるよう完全なる設備をしていただきたいと申し入れをいたしました。この白い水といいますものは、三十年以来操業しておりまする古い機械から出まするところの汚水でございます。そして、会社側といたしましては、今までの被害補償重役とよく相談をして解決をはかりたいという御返事でありました。それから次の会見日を約束いたしまして、五月の二十七日、三時という約束をいたしました。会議場所は、同じ工場会議室ということでございます。  この五項を約しまして、各代表が散会せんとするや、小松川の警察署長より各代表者に対しまして注意事項がある由で、まさに注意事項があるからというので申し渡そうといたしましたとき、参加の漁業者が騒ぎ出しまして、騒ぎがひどいので、署長と私との間で会話をして、ようやく退散さしたという状況でございます。  次の五月二十七日の午後三時四十分の会議でございまするが、場所工場のやはり会議室でありまして、私が何とか平和に解決したいというので進行係を勤めまして、その議事を進行いたしました。工場側参会者工場長さんが今度新しくかわりましたので、新工場長さんのあいさつの後、二十四日の組合員暴行に対しまして非難をされたのでございます。そこで、城東漁業協同組合長いわく、私たちがあれほど注意したにもかかわらず汚水放流したので、当然漁民が怒ってやったことで、むしろ会社側責任があるので、前置きは抜きにしていただきたい。でないと、まとまる話がまとまらないようになるから、早く本題に触れてもらいたい、と申し入れたのでございます。  そして、交渉てんまつを申し上げますと、工場長いわくドラムバーカーを、これは新機械で、会社は莫大な経費をかけて施設したものでございまして、このドラムバーカー操業させてほしいとの申し入れをされたのでございます。各組合員代表は、施設の完備をし、無害にしなければ絶対これは了解できないからということでございました。  それから第二項は、前回とやはり同じでございまして、第三項に今後の被害補償について何らかの形で工場側から出すという回答がございまして、代表側は第一項の黒い水を絶対放流してはいけない。もし放流した場合は、いかなる事態が起きても会社側の全責任であると申し入れました。かつ放流をとめない以上は話し合いをしないということで、解決点を見出せず、物別れとなったのでございます。  そこで、私は次期交渉会議を約束されるよう申し入れをいたしました。それが五月二十九日午前十時と決定いたしまして、このときの申し入れ事項といたしましては、新しい機械は即座に排水を停止すること。それから古い機械濾過設備はいつまでかかるか、期限を切っていただきたい。それから今までの被害に対してどのように設置してくれるか、またいつごろ補償を出してくれるか、誠意をもって御返事をしていただきたい。  次に第三回の交渉会議でございます。るが、五月二十九日午前十一時、同じく工場会議室でございます。会社の運営上と従業員関係上困難につき、何らかの方法で善処するから、あすからでも操業をさせてもらいたいという新しい工場長さんの要請がございまして、そうして排水路から沈澱槽に切りかえ装置をするには八月中までかかるということでございました。そうして第三者の調査の結果、何らかの方法納得する話で円満に解決したいということをおっしゃっておりました。  そこで深川漁業協同組合長は、都の条例を知ってるか、知らなくても実行すべきではないか、で、旧工場長の答弁といたしましては、知っている、第四条、第十二条等に書かれているが、これらを度外視して、あくまで双方納得のいく話を進めようではないかという話でありました。被害者代表といたしまして、前回同様、組合員の死活問題であるから、法及び規則に基く許可があっても、絶対操業承知できない。もし操業した場合においては、今後の問題は会社責任である。その結果、総務課長から、第一項より第三項の主題外発言がありましたため、幾ら交渉を続けても話し合いにならないと、またも物別れになったのでございます。  そうして、これではいたし方ないと、今度は陳情をわれわれいたしまして、なおそのあと荒川深川江戸川葛西城東の各漁協組合長らが都庁に参りまして、ドラムバーカー操業停止方陳情に行ったのでございます。五月三十日浦安側は、県の副知事及び水産課善処方陳情いたしました。参考といたしまして申し上げますと浦安町側が着く一時間前、鈴木某なる京葉工業地帯造成事務所長という肩書きの人と、本州製紙森田専務及び勤労課長代理千葉県へ行きまして、左の通り要望をして帰ったのでございます。  その要望事項といたしましては、東京都側の被害者代表は黒白が解決したので、千葉県側も東京都側に申し上げていることにならうようお骨折りを願いたいということでございました。それから六月六日に、江戸川葛西漁業協同組合員多数と、浦安漁業協同組合長は、東京都の建築局指導部長及び設備課長とひざ詰めの交渉をいたしまして、電話により会社の幹部を呼び、工場機械をとめて関係漁協組と折衝するよう口頭勧告をされたのでございます。  それから六月九日でございまするが、町におきましては、この汚水対策委員会を設けまして、全議員がこの委員会委員となったのでございます。この会議の最中におきまして、私に工場事務部長熊谷氏から電話だというので電話に出ますと、きょうどうしても会社側としてはやむを得ない事情で稼働いたすから御承知願いたい、きょうの午後機械を稼働するから御承知願いたいというよう電話がありましたので、私は実に驚いたので、またこれは一大事が到来した、どういう理由かと思いましていろいろ尋ねますると、たばこのいこい、みどり、その包装紙、それから巻紙、その他教科書用の用紙を印刷するので、すでに限界に達している。重役側といたしましては、もうこれ以上待てないということでございます。その旨を議会報告いたしますると、よし、これは大へんだ、ここでだまされたのでは、また漁民が立ち上るだろう、そうでなくても押えきれない状態で困ったものだというので、議員を二班に分けまして、私たち江戸川工場と県庁へ参りました。一班は東京都庁衆議院の方へ、川島先生のところへ参りまして、いろいろ事情を訴えたのでございますが、そのとき二班の報告では、会社側は午後二時に水がとまっておるということで、それならということで、衆議院の方へ参ったのでございます。ところが、私ども行ってみますると、依然として操業しておりまして、黒い水を容赦なく吐き出しておるという状態でございまして、それから県の方へ参りまして、そのことを知事申し入れますると、では何とかして私が間に入ってまとめようという返事をいただきまして、私どもは帰って参ったのでございます。その結果といたしまして、町民はもう燃えに燃え上りまして、私も役所におられませんよう状態になりまして、緊急町会をまた再び開きましてこういう空気だが、どうしようということに相なりまして、町民大会の件について議案を上程いたしたのでございます。その結果、各団体代表主催者となりまして、町と議会がこれに協賛するということになりまして、町民大会を開きまして、汚水を直ちにやめてもらいたい、それから補償も支給してもらいたいという決議をもたらして、その決議文をもちまして衆議院川島先生のところへ手渡して、川島先生がそのときに引き受けてくれ、円滑に解決するから、それまでは水は出さないということであったのでございます。  一方陳情側は、これから都庁へ行こうというのを、私たち代表だけにとどめまして、ようやく説得させまして、代表で当局の方と会いました。そのとき会社側は、まだ依然操業しておる。何とかしてとめてもらいたいということを、申しますると、じゃ電話報告よう会社側へ通告しようということでございました。私ども安心して、その後今度はその大ぜいのバス十台に乗りました大衆が本州製紙の本社に行こう、そうしてその決議文を手交しようとしたのでありますが、私はこの事態ではこれは大へんだということで、築地署から刑事の方が参っておりましたので、二人で相談しまして、とにかくそのバス十台は宮城前広場に置いておこうということになりまして、事なきを得たのであります。それからバスが帰りまして、途中各代表に……
  9. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 宇田川さんに申し上げますが、だいぶ時間が経過しておりますので、できるだけ簡潔にお結び願います。
  10. 宇田川謹二

    参考人宇田川謹二君) 各代表に、絶対に器物破壊暴行等をしてはいけないということを申し合せたのでありまするが、町へ帰ることができずに、工場の方へ行って、あのよう事態になったのであります。  もう少し申し上げたいのでありますが、時間がありませんので、これで私の経過報告は終らせていただきます。
  11. 高野一夫

    委員長高野一夫君) あとで質問がありますから、そのときまた御説明願います。  次に、千葉浦安漁業協同組合船山理事にお願いいたします。どうぞ要領を簡潔にお述べを願います。
  12. 船山卯三郎

    参考人船山卯三郎君) 葛西浦組合長を先に、私もその方がいいと思いますので、葛西組合長を先に願いたいと思います。私を最後にしていただきたいと思います。
  13. 高野一夫

    委員長高野一夫君) どうぞ、今あなたにお許ししましたから、御発言願います。
  14. 岩間正男

    岩間正男君 当人の要望があって、順序を変えてくれというのだから、許してあげたら——別都合は悪くない。
  15. 高野一夫

    委員長高野一夫君) それでは江戸川葛西浦漁業協同組合佐久間組合長にお願いいたします。
  16. 佐久間菊蔵

    参考人佐久間菊蔵君) 今回の汚水の件につきまして、諸先生方には何かと御配慮をいただきましたことにつきまして、まずもって厚くお礼を申し上げます。  この事態発生につきまして、ただいま宇田川町長からいろいろ経過報告がございましたが、私はこの被害について、ごく簡単にお話を申し上げたいと思います。  何にいたしましても、皆様方も御承知通り江戸川水系は上に金町の水道の入口もございます。まことに清流そのもののきれいな水の流れでございます。たまたま本州製紙のあの汚水の流出ということに対しましては、はっきりとその程度というものが汚水でありまして、水系というものはほとんど黒く変色の状態になったということは、前々から皆様方はすでに御承知のことと思いまするが、あの水系とあの付近に生意いたしまするところの魚族水族すべては真水でも生きており、塩水でも生きているという、こういう魚族が多いのでございます。従いまして、あの水系の汚染ということに対しましては、海でとれる魚族にも影響するということでございます。ましてや産卵期に立ち至りまして魚介類自然発生、こういったところの無形損害ということを推理しまするならば、相当な損害であるということが私ども専門業者の勘として考えられるところでございます。この無形損害ということにつきましては、私どもといえどもその数字は出ないのでありまして、これは長年の私どもの経験から出る勘でありまして、絶対にこれがないということは言えないことでございます。なお、もしこれが一たびノリの養殖時期に立ち至りましたならば、この損害は三層倍も四層倍も大きいであろうということが考えられるわけでございます。  本州製紙は四月一日からあの黒い水を流出したのでございますが、その前にはパルプの原料によって白い水を流しておりました。これにつきましても、関係漁民は全然無害であるということは考えてはおりません。しかしながら、工場立場も考えまして、私どもはできるだけ忍んできたわけでございますが、今回の黒い水の放出に対しましては、ただいま宇田川町長から申されました通り、絶対に私どもののみ込めない事態になったのでございます。それは先ほども申しました通り損害の実情においてはっきりしております。六月五日、都の建設局、また水産課千葉県の水産局等方々が実地を調査されましたのでありますが、その実地調査された被害状況等に対しましても、無害ということは立証できないと思うのでございます。  総括して申し上げますれば、こういったことに対しまして、今までのたびたびの交渉について、会社側は絶対に、私どもの考えまするところ、誠意を示してくれなかったということが、今回の事態を惹起した重大な要素であるということを私は痛感するものでございます。私どもはいわゆるレベルの低い漁民のかたまりでございますので、会社側知的交渉において、いるいろのむずかしいことを言われましてもわからないのでございます。問題は、実害をこうむっているということのこの動かざる事実において、私どもは決起した次第でございまして、こういう点も諸先生方によく御考慮をいただきたいと、かように存ずる次第でございます。  私どもは、今後会社の言い分につきまして、白い水を流す機械はあの交渉段階におきまして黙認したのでございまするが、こういった事態に対しましては、白い水を流すあの機械をも、完全ないわゆる汚水の処理の設置ができなければ、認めることはできないという段階にまで立ち至っているのでございます。従いまして。これからの会社側との交渉につきましては、白い水を流すことも黒い水を流すことも、絶対無害ということが実証されない以上は、私たちは認めることができないということをここに表明する次第でございます。  はなはだ簡単でございますが、以上で私の公述を終ります。
  17. 高野一夫

    委員長高野一夫君) それでは、浦安町の漁業協同組合船山理事
  18. 船山卯三郎

    参考人船山卯三郎君) お答えに先だちまして、一言申し上げます。このたび私たち浦安漁業者の死活問題である本州製紙江戸川工場より放出しました悪水による漁介類死滅被害につきまして、本委員会において御理解あるお取り上げをいただき、御審議を願いますことは、まことにありがたく、浦安漁業協同組合はもちろんのこと、関係浦業者にかわり深甚なるお礼を申し上げます。  まず五月の二十四日、大きく取り上げますと、その前に七、八回も代表者交渉しましたが、何ら誠意のある回答はなかった。そこで私は組合員から朝に晩に押しかけられて、どうも説明が一つもできない。そこで各業種の代表の方に、何とか行って話をして納得のいくようにということで、一応葛西組合代表者お話をいたしまして、まず葛西で五十名くらい、浦安関係代表の方にもお話をして百名くらい、そして直接に業者にも交渉に当っていただこうということで、関係代表にも通知を出したような次第であります。そこで当日の二十四日になって、約二、三百名の予定で行きましたが、組合員立場から見ると、その日その日一日に貝が死ぬ、魚が死ぬ。なお汚水によった油を含んだ。パルプのかすが海一面に流れる。その日その日の業者気持から、業者一同が決起いたしまして、私たちの想像しない約千人の方が二十四日に交渉に行ったその結論につきましては、町長よりるるありましたので省略いたします。二十七日、二十九日の交渉におきましても、会社側としては依然としてこの黒い水を出さしてくれ。われわれといたしましては、一日出した場合の漁民のその気持、それを考えた場合にはとうてい許せない。しかも二十四日の結論といたしましては、会社側としても黒い水は出さない。なぜこの黒い水をわれわれはここで大きく取り上げ恐れるかということは、貝と魚が死ぬ。もちろんこれは大きく取り上げる問題ではありまするが、なお浅海養殖漁業のまず主をなすノリの漁業、これを考えた場合、ノリは御存じの通り水温一度、二度によって大きく変化をもたらすコケ科の一種であります。このノリに影響を及ぼしたということになったら、取り返しがつかんということがまずわれわれ業者の一致するところでございます。そこで二十七日、二十九日も、どうしても流さしてくれという交渉のために話は決裂したような次第であります。そこで六月の二日にまた話なしに一方的に二日の午後二時ごろ出した。私当日知らなかったが、三日の午前中に葛西の協同組合より連絡があって、きょうは組合の総代諸君が全部本州製紙交渉に行ったというので、当日は組合が養殖事業で手がないので私一人で行きました。そうして葛西代表と入れかわって、私工場長と会いました。なぜ無断で出したかと言うと、私たちは許可をとってやっていることで、これは会社の命令によってやるので、工場長としてはどうも方法がないということで、私憤激してもこれは一人ではどうもしようがない。さっそく帰ってきて葛西代表の方とよく相談し、これはわれわれの力ではとても及ばない。どうしてもこれは行政官庁はもとより、大きく取り上げて、この関係業者の死活問題を解決つけていただきたい。これを相談いたしまして、四日の日に都庁指導部、それから水産課、県の水産課と手分けいたしまして、さっそくに今の海の現状を見てくれ、そこで五日の午前十時に県の水産課、なお都の水産課方々がよく現地を、貝や魚の死んだ状況をよく見たりして、実際の話五日の日に県の係官がびっくりしている。それからただいま委員長さんの開会のお言葉の中にあったように、浦安は国の助成も受けている。国の助成を受けているのは、貝の稚貝の発生地として大きく国も認めている次第であります。これは私どもも聞いたことでありますが、江戸川の用水計画では浦安江戸川尻は一応淡水として七十五万トンの流量になっているように聞いております。それらの見地から、今の状態であった場合に、これは悪水が七十五万トン流れたのでは稚貝の発生はおろか、稚貝の発生したものは全部死んでしまう。なお成貝においても一斗の中で十五、六しか生きていない。特に貝の事業においては年々五十万斗、一斗の計算でありますが、関係浦、なお他府県にも稚貝として送っていたのが、本年においては今までかってない、自分の小さい養殖地にすら養殖する貝が一つもない、船橋の漁業協同組合より分けてもらうといったような次第であります。そこで今買ってきても、この黒水が出たのではまたこれは死ぬのではないかというのがわれわれ組合員気持であります。  そこで、今度六日の日に関係業者代表組合に押しかけてきた。どうしてもこの方たち説明する資料がない。そうして町を初め関係者が都庁にいろいろと交渉しまして、六日には口頭の勧告によって会社がとめた。必ず六日にとまるはずだからというので、組合に押しかけた業者納得させて帰したような次第であります。続いて九日、町長さんからもるる申し上げたように、一方的にまたこれが流されたという通告を受けた。会社機械を回したのが十二時五十分と報告を受けております。そこで組合は大騒ぎになった。何とかしてくれ、われわれには力がない、何とかそれじゃ直接にわれわれが行動しなければしょうがないというのが一般の組合員気持であった。夜おそくまでいろいろと相談した結果、われわれはなだめる力がない。説明する資料もない。そこで町長さんからも当初おわび申し上げたよう町民大会というような大きな問題が起り、そこで町民大会の当日も、予定といたしましては、聞くところによると、国会、都庁会社の本社、それから工場、国会方面の陳情に当りましては、川島先生の意のあるお言葉もいただいたので、その説明をすると、陳情団においてはまず安心した。そこで本委員会委員長さんにもお願いしまして、さっそく取り上げていただくというお言葉も全員に伝えました。組合員が全部喜んで、これでは本社へ行く必要がないということで、一応決議文都庁に持って行き、なおそれから工場は簡単な気持で行ったようなわけです。それが会社の態度があまりにも漁民を無視して、今まで私が申し上げたような海の被害を何ら顧みていない、一ぺんもその状況を、重役すら町役場に陳謝の意を表していない。そのようなことで、組合員一同の憤激があのような結果をもたらしたのではないかと、私衷心よりはおわびもいたす次第ではありますが、ぜひともこの問題につきましては十分御配慮を願いまして、われわれ零細漁民、ぜひとも漁業民の生活を御理解あるようお願いいたす次第であります。
  19. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に本州製紙株式会社の木下社長にお願いいたします。
  20. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) 私本州製紙社長木下三郎でございます。このたびは弊社江戸川工場の新設備から出ます排水問題で、諸先生をはじめ官民各方面に大へんな御迷惑をかけまして、お騒がせいたしましたことを、会社責任者といたしまして、心からおわび申し上げる次第でございます。とともに、業者方々に対しましては、衷心よりお気の毒に存じておる次第でございます。  さて江戸川工場というものは四台の機械で年間約一億ポンドの製品を生産し、専売公社の用紙、教科書用紙、並びに出版、印刷用紙を主として作っておりまして、従業員は約六百八十名を使っております。それでは今度の排水問題の原因となりました工場設備排水施設の現況、並びに紛争の発端から経過につきまして、当社の青木工場長が一番よく存じておりますので、青木から説明させていただきたいと存じます。よろしゅうございますか。
  21. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に同社の江戸川工場青木工場長にお願いいたします。
  22. 青木貞治

    参考人青木貞治君) ただいま社長からお話がありましたように、江戸川工場の現況と申しますか、排水問題の原因となった経過、それから本日に至った状況を概略御説明いたします。  排水問題の原因となった製造設備江戸川工場は大正十一年十一月から約三十六年間同所に存しておりまして、排水の問題になったということはございませんでした。本年三月下旬に新しく皮むく機械五メートル・十五メートルのもの、それからケミカルパルプ、これは日産七十トンの機械を据え付けました。それが今までの排水に新らしく加わったのであります。排水状況工場排水については問題はなかったのでありますが、先ほど申し上げました上記の新しい機械によって申し上げますと、皮をむく機械から出る排水機械で皮をむくだけで、他の薬品は使っておりません。ただ皮をむきますと、今までは松材が製紙原料でありましたが、原木資源の関係で政府奨励の広葉樹を使うため、渋によって褐色を呈すると思います。それからケミカルパルプ排水、これは工場設備より出る排水は亜硫酸アンモン、これを使いまして、ほぼ中性で木材中の成分を抽出して黒褐色を呈します。
  23. 岩間正男

    岩間正男君 もう少しはっきり明確にやって下さい、わかるように。
  24. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 青木さん、各委員に十分一つ理解ができますように、簡潔に要点に触れて、あまり専門用語をお使いになりますとわかりませんから、その点十分お含みの上御説明願います。
  25. 青木貞治

    参考人青木貞治君) それでは紛争の発端の経過を申し上げます。  S・C・P——S・C・Pと申しますのは、セミ・ケミカル・パルプ運転開始後、漁民方々代表が三々五々工場排水について申し入れを行なっております。この排水は、先ほど申し上げましたように茶褐色をしておりますが、多量の川の水で薄められ、有害とは思っておりません。ドラムバーカー——ドラムバーカーとは皮をむく機械でありますが、それから出る浮遊物、これを少くするために、会社は三カ月以内に沈澱池を設置することを約束しておりました。五月の二十四日、午前九時三十分ごろ、葛西浦城東深川、先ほど町長さんからお話になりましたように、漁民方々が約千名ほどこられまして、当工場の東門付近に上られ、町長さん、それから組合長宇田川さんほか代表者の方約百名ほどが工場長に面会を求めてきまして、その連絡を待たずに、守衛の制止にもかかわらず、工場内に乱入しました。それでその当時そこに総務課長がおりまして、総務課長が配給所前で組合代表方々と面談中、漁民の方に旗ざおでなぐられた。それからそれで退避して組合事務所に来たのであります。そうして代表の方と話をしている間に、約三十名くらいの方が入ってきて、そうして先ほどちょっとありましたが、排水管にれんがとか石とかそういうものを入れまして、従って工場排水が流れなくなりましたものですから、全部機械をとめなければならない状態に入りました。それから九時五十分ごろ、浦安漁業組合第一組合長泉沢さんほか役員二名、城東漁業組合常務理事斉藤さんほか四名、深川漁業組合理事長長塚さんほか三名、南行徳組合長及川さんほか八名が正門から来ておりまして、それで工場長に面会を求めてきたので、東門の状況を話して、代表者六名を工場内の会議室へ案内しました。この間、工場の要請によりまして、小松川署長以下約五十人ほどが到着して、警備に当ってくれました。さような逼迫した状況下に、工場側の要請により、組合側の方々の取りまくところで、工場会議室漁業組合代表方々工場の幹部と話合いまして、十時三十分より午後一時三十分の間、約三時間ほど交渉が行われました。それで発言の要旨は、先ほど町長からもありましたように、組合方々からは、工場の流す汚水のため稚貝は死に、魚はとれなくなり、漁業権をもって仕事をしているわれわれの生活は脅かされておる、すみやかに有害な放流を中止してもらいたい。従来の白水にも被害がないとは言い切れない、完全な設備をつけて排水を流されるようにしてもらわなければ困るというような話がありました。私どもとしては申し上げたのは、排水路をせきとめられて工場は全部とまってしまった。今までの旧設備は問題ないと思いますから早急に運転することを認めてもらいたい。また新しい設備はたくさんの金をかけた設備であり、それをとめることは私として重大な問題であるが、とめなければ漁民の皆さんが帰らないというなら一応とめて話をしましょうから。浄化設備はできるだけよい設備を考えて、すでに計画中であるから、すみやかに着手する。黒い水を流して迷惑をかけた点については、役員会に相談して誠意をもって善処したいということを繰り返しお願いいたしまして、その結論としまして先ほど町長さんからもありましたように二十七日の午後三時からこの工場会議室で再交渉する。それから旧設備の運転は続行する、それから黒い水を流す新設備は再交渉の日までとめる。浮化設備については役員会に相談の上可及的すみやかに決定する。それから会社が迷惑をかけた点に対しましては見舞金とか何とかいうようなことで役員会に話をするというようなことで、組合代表の方が工場会議室の周囲にたくさん、約四百名ほどおったと思いますが、その方にマイクを通じて放送して漁民の大部分の方は午後一時五十分ごろ退場しました。が、しかし、まだ約三十名ぐらいだと思いますが、多分お酒を召し上っておったのじゃないかというような方がおりまして、少し騒いでおりましたが、午後二時十分ごろ全員東門から退場しました。それで旧設備を午後三時から運転しております。  二十七日の第二回の会議でありますが、二十七日は午後三時五十分から組合側の代表二十一名と工場側から、私から本社の重役会に諮った結果の回答文を申し上げました。その要旨の概略は、工場排水に二つの種別、先ほど申しました二種類を説明しまして、これが魚介類を死滅させるとは考えられない。しかしこの排水処理については、有害無害にかかわらず、すみやかに浄化設備を設計中であるゆえ了解されたい、御了解願いたい。それから具体的損害があるとするならば、権威ある方々に第三者として入っていただいて判定をまつようにしていただきたい。そして本問題の解決については、所管官庁に調停を依頼するのが妥当ではないかと思われるから、御賛成を願いたいというのに対しまして、組合側は会社の考えは独断的である、従来の白水すら損害をこうむっておると主張されまして、その後一時間休憩の後小委員会で、委員長が泉沢さんでありました、第一組合長でありますが、結論として、次の三項目を決定した旨を発表されました。それは、新しい機械は即時に排水を停止されたい。白水の出る旧機械については濾過設備を期限付で完備のこと。それから三としまして、今までの被害については、どの程度、いつごろ補償するかを誠意をもって示されたい。これに対しまして工場側から、見舞金については役員会と相談の上後日回答する。それから二の設備に対しましては目下設計中で、具体案はこうだということを私説明いたしまして、一の、黒い水に対しましてはぜひ運転したい旨を強く要望しました。しかし組合側は絶対に困るというようなことで解決点を見出さないまま、会社のお願いもそのままになって、午後七時ごろ解散しました。  その後私ども個別といいますか、極力関係方面に、お願いし、五月の二十八日には本社の森田専務ほかが千葉県の水産課に出頭しております。それから二十九日には第三回の会談がありました。第三回の会談は、私の方から御通知申し上げまして、午前十時半から組合代表の方十三人で開かれまして、私が前回の提案の三項目に対して、次のよう回答いたしました。新設備は何らかの形で動かしていくように御協力を願いたい、極力今までの生産の最小限度に操短するというような考え方であります。それから貯水池は、今まで貯水池というものを今度は排水沈澱池に切りかえるということで、黒い水はそこで処理するからそのように御了承願いたい、これは八月までかかるだろう。それから見舞金については双方納得いくような線を何らかの形でとりたいというふうにお答えいたしまして、そして沈澱池計画の図面を説明し、質疑応答がありまして、組合側はさらに打ち合せをして、十一時四十分に休憩に入りました。午後零時五十分に再開されまして、組合側の結論は次のように発表されました。二十七日に提案した意見以外はない、ただ第三項の何らかの形というのについて説明を願いたい。これに対しまして一の新設備の運転は、経営上の観点、それから設備の認可の事情からもぜひ継続したい旨をお願いしまして、組合は短縮稼働にも応ぜず、会談が不調となりまして、これは私ども一方的に会談したのじゃないかというふうにして退場されました。  三十日、このころから問題は本社の方に交渉が移って参りまして、五月三十日に堀専務、それから小坂顧問は都の水産課長に調停を依頼しましたところ、さきに都側各組合から要請がありまして、都の水産課長これを受諾してくれまして、その後別室で大川調整係長さんを含め、都側各組合長に、急ぎきょうからでも運転したい旨を説明しました。各組合長は運転は了解されるが、葛西組合長は、浦安に話さないで運転することは困るが、浦安との交渉過程において運転されるのはやむを得ない、私の方は浦安ように押しかけるようなことはしないというふうに回答してくれました。森田事務ほか二人が千葉県庁友納副知事をおたずねしまして、第三者の調停を受諾する旨を回答しましたところ、千葉県側組合と打ち合せをして明朝双方県庁に出頭するよう慫慂されました。しかし浦安の本組合は出頭要請を拒否されたのですか、連絡がつかず、浦安町長も当方よりの電話口にも出なかった。熊谷事務部長ほか一名は浦安宇田川町長を訪問しまして話し合いましたが、調停の件に対しましては態度を明快にされませんでした。  その後その交渉を続けられておったようでありますが、これは本社の方で交渉をされておりまして、それで時間がないようでありますから、十日の私の見解といいますか、申し上げますと、六月十日の情報には、浦安漁業協同組合方々バスを連ねて、東京都、それから国会、それから本社に陳情されるというようなこと、それから江戸川工場へ来るというような情報がありまして、私ども幹部は工場におりまして、午後六時五分ごろ十二台のバスが当工場の正門に来まして、代表者が興奮しておる組合方々を押えながらやってきたように見受けられました。相当お酒を召し上った方々がおられたのじゃないかというような観測もされました。ちょうど六時といいますともう工場は就業時間外でありましたために、門は閉じてありました。それで私どもは、入場者は代表五名の方に入っていただくように門衛に指令しておいたのであります。で、代表者の方だけに入ってもらいたいということを掲示しました。それからマイクで放送しようとして、代表者の方と穏便に入門をしていただこうと、こう思っておる矢先に、門外から守衛所を目がけて石を投げ始め、かつ門鉄扉によじ上ると同時に、大ぜいの方がよいしょよいしょとかんぬきを破ってなだれ込んできました。石や丸太やプラカードのようなもので、工場内のいろいろな器物とかそういうようなものがたくさんこわされております。被害は、時間がありませんから、省略しますが、一方私がちょうど都の建築局の指導部長の大河原さんと太田さんが何か都庁において組合の方と話し合って、現状は流れておるがどうなるんだというようなことをお尋ねのために、約五分ほど前に工場に来られたので、私は構内を御案内しまして、そうして北門のところに来たときには、すでに乱闘事件が起っておりまして、警官の一人がはち巻の包帯をしておったというような現状であります。工場被害状況はのちほど質問に応じて申し上げたいと思いますが、大体この辺で私の答弁を終ります。
  26. 高野一夫

    委員長高野一夫君) これから千葉県庁と東京都庁方々から御意見を伺うわけでありますが、ただいま会社の方の二人の説明を伺っておりますというと、社長の御説明はともかくといたしまして、工場長の御説明はほとんど大半が交渉経過の御説明に過ぎない。工場長としての御説明であるならば、どういう廃液が流されて、その廃液がどういう化学的成分のものであって、果して漁業協同組合の言うがごとく害を与えるものであるかないか、それともどのくらい江戸川放流されて、その試験の結果はどうであった、こうであったかというようなことで、学問的試験の結果を私は問題にして工場長の方から御説明があるものと思っておりました。その点やむを得ませんから、千葉県庁、東京都の方からその点に触れての御説明を願いたいと思います。千葉県の水産商工坂本水産課長にお願いをいたします。
  27. 坂本勝一

    参考人坂本勝一君) 初めに、十日の事件におきまして、本委員会に御審議をわずらわしましたことにつきまして、県の漁民の指導の立場にありまする私としまして、深くおわび申し上げたいと思います。また、本委員会の今後ともの御指導をお願いしたいと思います。
  28. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 少し外が騒々しいから、少し大きい声でお願いします。
  29. 坂本勝一

    参考人坂本勝一君) 経過等につきましては、町長さんあるいは組合代表の方に、工場方々からお話がございましたので、省略させていただきたいと存じますが、ただ、県の関係しております部門につきまして、簡単に御説明いたしたいと思います。  県といたしましては、五月の十九日と六月の五日、それから事件のございました当日でございまする六月の十日に、現地につきまして調査を行なっております。また六月の六日には千葉知事から東京知事に対しまして、文書をもちまして速急に善処方をお願いをしたわけでございます。これは工場東京都側にある関係もございましたので、文書をもちましてお願いをいたしたわけでございます。そういうよう経過をたどっておるわけでございますが、六月六日に東京都の方から工場に対しまして口頭をもちまして、漁民側との話し合いがつくまで操業を停止するようにというような勧告をされたと私伺っておるわけでございますが、それ以後におきまして、どちらに非があったかというようなことは別といたしまして、話し合いがつかぬままにまた放流を再開された、操業を再開されたというような点につきましては、非常に遺憾に存じておるわけでございます。  なお、先ほどから経過の御報告がございましたように、県といたしましては、常に東京都と密接な連絡をとっておりまして、会社側あるいは漁民側の中に入りまして、円満に解決いたしまするように調停と申しますか、あっせんと申しますか、そういうことをお引き受けして参ったのでございますが、そのつど御連絡が不備か何らかの御事情がございますか、要望申し上げました日時等においで願えないというようなことになりまして、こういうよう経過になったのでございまして、この点もまことに遺憾に存じておるわけでございます。  なお、調査の内容について申し上げたいと存じますが、まだ調査結果につきましては、最終的な結論を得ておりませんが、現在までに判明している点について申し上げたいと存じますが、五月の十九日に工場排水口の近くで採集いたしました工場排水、これによりまする動物実験と申しますか、フナをこの水で飼育したのでございますが、工場排水の原液にフナを入れましたところ、直ちに全部死んでしまいました。それから工場排水を二分の一に薄めまして行いましたところ、十五分後に全部死滅いたしました。それから十分の一に薄めました場合に五日後に全部死んだ、こういうよう状況になっております。もちろん淡水の水においての飼育においては全然異常がございません。それから水質分析の結果でございますが、PHが三・四というふうに非常に強いアルカリ性を呈しておるわけでございます。それからBODで二八九ppm、これは過マンガン酸カリの消費量が普通の水では二−三 ○ではないかと思いますが、二八九というような大きな数値を示しておりまして、これは溶存酸秦豊が非常に少いということになるわけでございまして、工場排水に含まれております有機質が分解いたしますときに、多量の酸素を消費しておるということが言えるわけでございます。こういうような、その他化学分析の結果につきましては、まだ本日申し上げる段階に至っておりませんが、非常に多量の繊維が含まれておる排水である。この繊維の方も水産動物の呼吸に相当影響を与えるのではないか。之ら等につきまして呼吸困難がありまして、水産生物を死に導くというようなことが言えるのではないかと、こういうように考えておるわけでございます。  先ほども申し上げましたように、排水中に多量の有機質が懸濁状態にありまして、溶存化しておる、この分解によりまして溶存酸素はますます不足いたしまして、このまま放置いたしておきますと魚介類における被害は今後増大する、こういうようにわれわれは考えておるわけでございます。  先ほど魚類、貝類のほかにノリに対する被害の問題でございますが、この点につきましては、まだわれわれとしてもはっきりわからないのでございますが、やはり相当な影響があるのではないかと、こういうように考えております。  また、当委員会で当初冒頭におきまして委員長がお述べになりました保護水面、浦安地先におきましては、国庫補助を得まして、保護水面の管理事業を行なっておるわけでございます。これらの対象でありますハマグリ、アサリというものは、ただいま申し上げましたような諸要因によって相当の影響を受けるのではないか、こういうように考えておりますが、現在、潮時の関係でまだ詳しい調査は行い得ない状況でございますが、十八、九日が大潮時になりますが、そのときに詳細な調査をいたしたい、こういうように考えております。  以上簡単でございますが御報告申し上げます。
  30. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、東京都庁の江藤経済局長にお願いいたします。
  31. 江藤彦武

    参考人(江藤彦武君) 今回の問題につきまして、当委員会にいろいろ御迷惑をかけましたことを皆さんにおわび申し上げます。  都の全般におきまして現在までとりました経緯とその後の問題につきましての報告と同時に、専門的な問題、工場方面の問題につきましては、指導部長から御説明申し上げたいと思います。
  32. 岩間正男

    岩間正男君 もう少し大きい声でやってもらいたい。声が小さくて聞えない。
  33. 江藤彦武

    参考人(江藤彦武君) 当工場が設置されまして、作業を開始されました以後におきまして、排水に対しまする要望がございました。これは都の水産課及び都内の水面漁場管理委員会にその意見が、要望が提出されましたので、私どもといたしましては、直ちにこれらの問題の水質試験を行わなければならぬ、こういう考えを持ちまして、五月の十三、十四日に、水産試験場と水産課合同におきまして、水質試験及び生物試験の両試験を実施いたしたのでございます。ただいま千葉県側から御説明いたしましたのと大綱は大体似ておるのでございますが、私どもの水質試験の結果によりまして、排水口と、排水口から下の排水口下流の約五百メーター、それからそれが希釈されまして、京成電鉄の鉄橋の場所と、三カ所にわたりまして、アユの斃死状態調査したのでございますが、それによりますと、五月の十三日に一時二十分にやりまして、翌日の十四日の九時までに至るアユの斃死状況につきましては、排水口の下流五十メーターにおきましては、約一〇〇パーセントの斃死率を持っておるわけでございます。それから排水品五百メーターにおきましては、三二%の斃死率を持っております。それから京成電鉄のずっと下流になりますが、そこでは四%の斃死率を見ておるわけでございます。それから水質分析の問題でございますが、これは今、千葉県側からも申されましたが、大体私ども調査とほとんど変らないのでございますが、排水口におきましては、PH四・二以下に相なっておるというよう状態でございます。溶存酸素につきましては一・三九でございますが、相当の、何といいますか、魚類に対する被害はあるので、ございます。  その他CODの問題、その他こまかく調査いたしたのでございますが、そういうような結果におきまして、私どもとしては、この排水の処理等について、何か善処しなければならぬというので、都庁の内部におきましていろいろ連絡をいたしたわけでございますが、ただいま、るる各参考人から御意見がございましたが、その後私どもは、それ以外に海面調査の実施をしなければならぬというので、大体水産課と水産試験場と共同いたしまして、六月四日に海面の被害調査をいたしておりますが、まだその結果は出ておりません。それで、私どもといたしましては、水産課の職員と建築の職員とで六月五日に現地視察をいたしまして、六月六日に建築局より、SCPの工程の操業中止を、口頭をもって勧告いたした次第であります。その後、六月の九日から十日の午前中にかけて、中止の協定ができたにもかかわらず、それを、排水を出したようなおそれのある状態が現出いたしまして、先般来のああいうよう状態に相なった次第であります。  私どもの方といたしましては、昨日も会社側から、これらの円満調停のことにつきまして、知事に依頼状が参っておりますので、全般的にこういう紛争があるということは、非常に好ましくないと思いますので、組合側の意向を十分聞きまして、そうして停止後、今、会社側におきまして、沈澱池の計画等を研究し、善処方をはかっておりますが、その完成後におきまする十分な水質検査、あるいは動物実験、海面調査を実施いたしまして、河とか円満裏にこれを解決したい、こういうように考えております。はなはだ簡単でございますが……。
  34. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、東京都建築局の大河原指導部長にお願いいたします。
  35. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) この件につきまして、皆様方に非常に御迷惑をおかけいたしたことを、まず最初おわび申し上げたいと思います。  ここに至りました経過等につきまして御説明申し上げたいと思います。当工場の作業につきましては、昨年六月、建築基準法によります確認申請と同時に、東京都の条例によります工場公害防止条例による認可申請が出て参ったわけであります。それで当工場の敷地は、皆様御存じのように、工業地域にありますので、建築基準法におきましては、その業態あるいは作業方法等につきまして、現在の法制上からは制限を加えられないことになっております。それで東京都の地方時治法から出ました工場公害防止条例によりまして、その作業内容等につきまして調査をいたしまして、認可をしたという情勢になっております。  作業方法を申し上げますと、こういう製紙工場には、いろいろな方法がございまして、この方法はセミ・ケミカル・パルプと申しまして、最近発達しました方法でございます。それで、この方法をちょっと専門的になって恐縮でありますが、申し上げますと、化学的なものじゃなくて、機械的な作業でございます。それで薬品はあまり使わないわけであります。ごく簡単に申し上げますならば、木材の原木を持って参りまして、それの皮をはぎまして、それを粉砕して、先ほどから話がありました中性亜硫酸アンモンによりまして、中のリグニンを取りまして、パルプにして、それをまたさらして普通の紙にするというよう方法でございます。そういう方法につきましては、ほかの府県でも二、三ございます。東京におきましては、北区に日本製紙というのがございまして、日本製紙の工場におきまして、こういう方法と、それから従来行われておりましたグランド・パルプ方法と、二つやっております。それで、その工場につきましていろいろ調査をいたしました結果、作業の方法は同様でありますが、先ほど申し上げます濃縮の方法を少しやっております。作業の状態そのものは、原理はちっとも変っておりません。それで、北区にありますが、荒川へその排水を流しておるわけでございますが、現在のところは、全然被害はないわけであります。それからほかの府県、たとえば名古屋等にこういう同種の工場があるわけでありますが、私どもの調べた結果では、今まで別に問題は起きておりません。それから外国の文献を調べましても、アメリカ等にあるのでありますが、別に問題は起きておりません。それから工場等の作業内容につきまして、いろいろ工場等から資料をとったわけであります。それで、この被害と申しますのは、御承知ように、繊維が流れる問題と、もう一つは、化学薬品の中性亜硫酸アンモンによりますリグニンが出る、その二つの問題が、被害として考えられる。それでその害の両方につきまして調査をいろいろしました結果、江戸川の流れる流量とか、あるいはまた工場から出ます量等を調査をいろいろしたわけであります。それで私ども調査はできませんので、工場にその点を申し上げまして、工場等でいろいろ調査をいたしました結果、非常にこまかいことになりますが、一応工場が現在出るよう排水の量では害はなかろうということを申されたわけであります。それで私どもといたしましては、少し不安がありましたので、そのほかにおきまして、たとえば沈澱池を作ったらどうだろうかとか、あるいは曝気をしたらどうだろうかということをいろいろ申し上げたのでありますが、工場といたしましては、現在の工場長でありませんが、おかわりになりました前の工場長がおいでになりまして、これで工場としては大丈夫だと確信を持っている、もし万が一いろいろな害が出た場合には、工場責任において全部解決をしますから御安心下さいという正式の申し出があったわけでございます。それで、私どもの技術能力の点もございますし、それからいろいろな今までの例を調べまして、一応問題は生じないんじゃないだろうかという認定のもとに、工場をある程度信用いたしまして認可をしたわけでございます。それで、その後先ほどからるる御説明がありましたように五月になりまして、こういう被害状況がわかったわけでございます。それでその被害状況は、先ほどたとえばPHが三になるとか四になるとかいうようお話がございましたが、実は工場の先ほど申しました中性亜硫酸アンモンによりますリグニンの最終的に出た液そのものは、PHが六とか八でございまして、非常に中性的なものでございます。ただそれが川へ流れ込みまして、川の上流にいろいろな工場もありますから、その工場の廃液等とあるいは化学変化等を起しましてPHが下りまして酸性に近ずくのじゃないかというようなことも十分考えられますが、現在のところではそこまでは調査が届いておりません。目下調査中であります。それで私どもとしましては、少し経過も入って参りますが、六月の六日に——六月の前の方は皆さん方の、ほかの参考人の方から御説明がございましたから省略をいたしまして、六月の六日に本州製紙の専務が見えまして、私がお会いをいたしまして、工場の作業を停止するようにという口頭の勧告をいたしたわけです。それで専務さんもはっきり承知をされまして帰られたわけでございますが、その後どういうことになったのか私どもはわかりませんが、六月の九日に十二時間その廃液を出したわけでございます。それで漁民の方が非常に憤激されまして、十日に私どものところに参られました関係上、私は六月十日の、ちょうどあの乱闘の直前に現場へ参りましていろいろな指示をしたのでございます。それで翌日衆議院でも、こういう事件がございましたので、私が参りまして御説明をいたしまして、それからそのときに本州製紙の社長も参られまして、今月の二十日ごろまでに、今度は貯水池を転用いたしまして沈澱池にするから、それまで作業は中止をするが、その後は考えてもらいたいという申し出がございました。私どもはその後作業の再開につきましては十分研究をしたい、ただし沈澱池を作られることは、相当除害の設備としては考えられる設備をおやりになっていただきたいと・いうことを申し上げまして、会社はそれでは大月の二十日まで間違いなくこの作業を中止されますかということをお聞しましたところ、皆さんの前で二十日までに沈澱池を完成し、それまで絶対にやめますということを明言されております。それでも私どもとしては、やはり法的な措置が必要でございますので、六月の十一日付で除害設備が完備するまでその使用を停止されたいということを文章で指示をしてございます。  今までの経過は以上でございます。
  36. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ありがとうございました。以上をもちまして参考人方々説明は全部終了いたしました。  ちょうど食事時分でございますので、午後一時から再開いたしまして質疑を行うことにいたしたいと思います。  これをもって暫時休憩いたします。    午後零時五分休憩      —————・—————    午後一時十九分開会
  37. 高野一夫

    委員長高野一夫君) これより休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  委員方々にお諮りいたしますが、東京都庁の江藤経済局長がやむを得ない事情のために退席されましたので、その代理として同経済局の農林部多田水産課長が、もしも経済局長に対する御質疑がありますならば、かわって説明をすることにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めて、さように決定いたします。  これより委員側からの質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。  まずその前に午前中御意見の発表を願いました参考人のほかに、政府側から通産省の松尾企業局長、同じく企業局の川原産業施設課長、橋本繊維局紙業課長、水産庁の西村次長、同じく水産庁の諏訪漁業調整第二課長、警察庁の浜中警備監理官が出席されております。  参考人並びに政府に対する御質疑を願います。
  39. 相澤重明

    ○相澤重明君 最初東京都の大河原建築局指導部長にお尋ねをしたいと思います。  先ほどあなたの御説明の中で工場関係の監督、あるいは届出等についての御説明もあったのでありますが、まず第一にお尋ねしなければならぬのは、東京都としては、この工場側の認可申請について届出があった場合の処置というものは、どのように行われておるか、これを第一にお答えをいただきたいと思います。
  40. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) お答えいたします。工場と言われるとちょっとはっきりいたしませんが、先ほどちょっと御説明が足りなかったかと思いますが、東京におきましては、用途地域の指定がございますので、工場を作ります場合には手続として二通りあるわけであります。一つは建築基準法によります確認申請と、それから工場公害防止条例によります認可申請と二通りあるわけであります。そこで一般の方といたしましては、二つを一緒の書類として提出をしております。それで建築基準法によります調査と、工場公害防止条例による調査とあわせて行いまして、両方よろしいものを、片一方は確認、片一方は認可とややこしいのですが、そういう手続をいたしております。
  41. 相澤重明

    ○相澤重明君 第二点といたしましては、漁民側から述べられておりますところの、この本州製紙はすでに非常な長期にわたっての業務を開始しておるわけでありますが、白い水の流れることについてもやはり公害が考えられるということが言われておるのでありまして、この問題については、あとの黒い水の汚水の問題で非常に大きく害を及ぼしたということよりは、その前における問題についても一体どういう措置をとっておるか、その点について一応お答えをいただきたいと思うのです。
  42. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 現在の段階におきましては、白い水に対しましては何の処置もいたしておりません。現に白い水が現在出ております問におきましては、別に漁場等に問題もございませんので、何の処置もいたしておりません。
  43. 相澤重明

    ○相澤重明君 そういたしますと、大河原参考人にお尋ねをするのでありますが、あなたはいわゆる漁業協同組合方々、あるいは関係の町村等の方々といろいろお話し合いがされておる事態の内容については、一向存じておりませんか。
  44. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) お答えいたします。実は黒い水のときに漁民の方がこられまして、いろいろ陳情を受けました。その際にも白い水に黒い水と、この二つの水が出るというふうにお話をいたしましたところ、漁民の方は白い水に対しては別に問題は言っておりません。黒い水のことを言っておられますが、白い水に対しては触れておりません。
  45. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは漁民方々の御意見をここにいろいろ出されておりますが、これらの問題を見るというと、やはり白い水自体についても、古い施設等の問題についても、完備をしてもらいたいという要望のあることは、私は否定をすることはできないと思う。さらにそういう長い間の要望にかてて加えて今度の汚水問題が私は特に重要な問題を発生したと思うのです。そういう点については、あなたはそういたしますと、今回の、この問題の大きく発展をしてから初めていわゆる内容について知った、こういうことですか。
  46. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 答弁に当らないかと思いますが、白い水につきましては、相当年月出ておりまして、何の問題も起きませんから、私どもとしては白い水に対しては何のタッチもしておりません。黒い水が出始めて問題になりましたので、厳重にやっております。白い水につきましては、私この委員会に来まして始めて聞いた問題でありますので、それは今後は十分調査をいたしたいというふうに考えております。
  47. 相澤重明

    ○相澤重明君 黒い水が出て、いわゆる漁民方々町民方々が非常に苦労したということを、あなたはいつお聞きになったのですか。
  48. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 聞きましたのは五月七日であります。
  49. 相澤重明

    ○相澤重明君 少くともこの問題が一カ月有余にわたって起きたということは、すでにあなたは五月七日に聞いたということなら御承知のはずと思うが、従って工場の取りつけ作業、いわゆる機械を新しく入れたこと等について、あなたは当然監督官庁としてのやはり責務を持っていると私は思う。届出られた際に、あなたはその現場というものを、いわゆる現地調査をしたことがあるかないか、この点についてはいかがですか。
  50. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) この工場の認可申請につきましては、私は行っておりませんが、係の者は行っております。
  51. 相澤重明

    ○相澤重明君 私は行っておらないが、係の者が行っておるというと、係の者とは具体的にどういう方ですか。
  52. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 指導部の中に設備課がございますので、設備課長以下係の者が行ったわけでございます。
  53. 相澤重明

    ○相澤重明君 そういたしますと、担当者の現地調査をされたそのお答えによって、あなたはこれならば間違いないと、こう判断したものと了解してよろしいですか。
  54. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 現地調査に行きました者の別に口頭による報告は受けておりませんが、書数を私が決裁する関係上、書類に捺印をいたしております。
  55. 相澤重明

    ○相澤重明君 さらに大河原参考人に突っ込んでお伺いしたいのでありますが、先ほどのあなたの答弁の中で、いわゆる繊維等の汚水、毒水が流れているということは知っているけれども工場に話した際に、工場側といたしましては、別にこの問題によって被害はそうないものだというよう回答をされている。それでもし被害を受けた場合には、会社側としては責任をもって、自信をもってそのことについての解決をする。工場責任解決をすると言っている。従って東京都のいわゆるこの監督の立場にあるあなたとしては、それを信用して認可をした、こういうことを言われておりますね。従ってあなたはこういう事態の起きることを予想をしておらなかったと、こう解釈してよろしいと思うのですが、いかがですか。
  56. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 私としてはこれほどのこういう事態が起るとは想像はしておりませんでした。
  57. 相澤重明

    ○相澤重明君 そういたしますと、これはもうこの問題の責任の非常に大きなウエートをあなたは持っている、こうあなた自身が現在お考えになっているかどうか。
  58. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 責任と言われますが、責任は十分感じております。ただし私どもといたしましては、毎年相当の出願もありまして、私どもの人員にも限度がございますので、ある程度工場のうち、特に大工場と申しては悪いかもしれませんが、ある程度出願人の言葉、あるいは書類の内容を信用せざるを得ないという現状でございます。
  59. 相澤重明

    ○相澤重明君 限度というのは何ですか。この江戸川工場汚水が流れているため、この下流にいる漁民の諸君、少くとも八カ町村にわたる漁業協同組合方々がおる。そこに住んでおる多くの漁民のことを考えた場合には、限度ということはどういう解釈ですか。
  60. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 私どもは、この工場ではございません、一般の書類の申請に対する調査のことを申したのであります。この工場に対して限度とは決して申してはおりません。一般的な問題を申し上げておるわけであります。
  61. 相澤重明

    ○相澤重明君 そういたしますと、東京都の全般の行政の中であなたは今お答えになったことであって、この江戸川の流域に対するところの本州製紙の問題については別な立場でお考えを持っておると、こう了解してよろしいですか。
  62. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) そうです。今お話しになった通りでございます。
  63. 岩間正男

    岩間正男君 関連して。  この許可申請の出されたのはいつごろですか。そしてさらにそれが認可されたのはいつですか。
  64. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 昨年の六月でございます。日はちょっといつ出願して、いつ認可ということはちょっと忘れましたが、昨年の六月でございます。
  65. 岩間正男

    岩間正男君 この内容に最初から濾過池を作るということがあったのかどうか。そのような予算計画とか、その他のものを、あなたの方ではどういうふうにそこのところをつかんでおられるか、こういう点。
  66. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 申し上げます。初めの出願には濾過池はございませんでした。そこで私どもの方といたしましては、濾過池を作ったらどうかというような指示をいたしました。工場としましては、濾過池は作らなくても十分私の方は自信がありますという御回答がございました。
  67. 岩間正男

    岩間正男君 もう一点ですが、あなたの先ほどの証言によりますと、この有害かどうかという問題については、会社側調査にまかす、会社側の言い分を聞いて、これは今までの例もあって、あちこちの例をとったところが、あまり害はない。ほとんどまあ無害だ。そういうことを信用して、そうして許可をされたというのでありますが、これはそういうやり方をいつでもとっているのですか。またこういうやり方であなたたちは監督の責任を果すことができると考えておられるかどうか、その点どうですか。
  68. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) さっき申し上げました言葉で足りない点があったかと思いますので、ちょっと補足を申し上げたいと思います。  私どもがこの工場の認可をする際には、害がないものだというふうに考えましたが、現在は害がある、私どもの考えが誤まったということをはっきり訂正いたしたいと思います。
  69. 岩間正男

    岩間正男君 その結果は、これは相澤君からの発言もあったのですが、非常に重大な問題ですよ。しかも今度のような大きな騒ぎが起りまして、しかもこの騒ぎの根源になるのは言うまでもなく、これは浦安初め沿岸の何万の漁民生活権の問題なんです。こういう深い関連を持っているこの問題を、最初これを申請するときは無害だと考えておった。しかしその後経過をたどってみたところが、今になってはこれは非常に影響するところが大きかったと考えておる、こういうような一片の話でこの問題を一体通すことができるのかどうか。一体そういう点についてあなたたちは考えておったのかどうか、これは非常に重大だと思います。ことに今の漁民の人たちの生活状態というものは、御承知ように最近非常に楽じゃない。そういう問題とも関連しまして、今度の問題というものは非常に重大な問題になったと私は思う。そういう点から、今あなたはやすやすとそういうふうに言われますけれども、そんな責任の持ち方ではこれは大へんだと思う。どこで一体この責任を明確にするとお考えになっておりますか。この点はっきり御答弁願いたい。
  70. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 責任と言われますと、ちょっと私ここで答弁をしかねると思いますが、私としましては、認可した責任は十分感じております。ただ通り一ぺんに決して申し上げたわけではありませんので、私どもは非常に誤まったとは考えておりますが、認可の際には、ある程度工場の言うことを信用したのは悪かったとは思いますが、しかしおそらく、こういう例を考えまして認可した、結果として有害だったので、さっそく私どもとしては作業の中止を文書で指示をしたわけであります。
  71. 岩間正男

    岩間正男君 そのときの申請と、それから経過の手続のようなものを書類にして参考資料としていただけますか。申請の内容とか、それについての経過、その処置、そういうものについて、もっとこれは当委員会としては厳密に調査する必要があると思いますので、単にあなたの御証言を信用しないわけではございませんが、しかしもっとこの点について検討する必要があると思いますので、これはことに重大だと思いますので、委員長からも一つ要求していただきたいと思います。
  72. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) お答え申し上げます。  書類全部と申しますと、実はこういう書類になるわけでございます。
  73. 岩間正男

    岩間正男君 要点だけ……。
  74. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 青写真等は必要——青写真等で要点だけならは、これは直接関連のする要点だけというのをおまかせ願えれば、提出したいと思います。
  75. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 書類と青写真のごときものを添えて当委員会に御提出願いたいと思います。
  76. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) これくらいのものになるのですが、そのうちの関連のあるものだけでいいのですか。
  77. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 参考人におまかせいたします。
  78. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) はい。
  79. 大倉精一

    ○大倉精一君 関連して二、三お尋ねしたいのですが、先ほどの陳述を聞いておりますというと、工場調査を依頼した、その結果、工場としては大丈夫だという回答があったが、都としてはなお不十分であったので、こういうところをこうしたらどうだろうかということを言ったということを聞いた。従ってその陳述を聞いておるというと、工場の方の回答をあなたの方は全面的に信頼しておったとは考えられない。そこでこの際非常に重要なことは、もし将来害があるならば、工場としては将来責任をもって処置する、こういうことを言ったので、その工場の言明を信頼をして認可をしたとこうおっしゃっておる。  そこで私のお尋ねしたいのは、この言を信頼したということは非常に大事であって、責任をもって処理をするという内容はどうなんですか。責任をもって処理をするという内容はどういう工合にお考えになって信頼なさったのか、この点。
  80. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) ちょっと私どうお答えしたらいいか、見当がつかないわけでございますが、私どもとしては、ある程度工場の内容を信用いたしまして認可をした。工場といたしましては、もし害が出た場合には、私どもの方で、工場で皆さん方、役所その他の方に私どもの方で解決いたしますと、はっきり言われた関係もありまして、それから相当な工場でもございますので、こういう製紙関係につきましては相当権威のある工場だと考えておりまして、その責任ある言葉を信用して、それで認可をした。それでもし害があった場合には、工場がこれについて責任をとられまして、それでいかなかった場合には、先ほど申し上げましたように、文書等におきましてその指示をいたしたいというふうに考えております。
  81. 大倉精一

    ○大倉精一君 私のお尋ねしていることは、こういうことは責任をもって処理するという内応は、その害毒除去するために直接そういうものも工場において責任をもってやるのでしょう。その他漁民その他の害ですね、損害ですね、こういうものの補償もやはり責任をもってやらなければならないでしょう。そういうものを一切含んだものが責任をもって処理するという内容だと私どもは常識的には考えるのですが、あなたはどうですか。
  82. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 私ども工場公害防止条例という条例によって考えておりますので、漁民に対する補償までは考えておりません。
  83. 大倉精一

    ○大倉精一君 そういうところは非常にあいまいだと思う。それでたとえば害があった場合といったら害の内容はどうか、こう申し上げますと、この場合は魚が死んだ、あるいは貝が死んだというような害ですけれども、その他人間に害がある場合もあると思う。そういう実害ができてから、それではこれからできないよう工場施設を直しましょう、それは責任をもってやりましょうというだけでは済まぬと私は思う。いわゆる公害の場合にはそれは済まぬと思う。あなたの方は工場の言っておったことを必ずしも信頼しておらない。しかしながら害が起った場合にはその責任をもって処理します、こういう工場の言明を信頼して許可した、認可したというのですが、その責任をもって処理をするという内容ですね、これは非常に大事だと思う。少し私は常識的に考えるとこの資料を見ましても、町民大会決議として毒水の放流を停止すること、あるいは補償については損害を、生活権補償をやると、こういうふうに町民は言っておる。こういう実害がある。この実害に対してやはり、その責任をもって処理するという、そういう内容と解釈しなければならぬと思うのですが、東京都の方としてはどういうふうに考えますか。
  84. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 私は建築局の指導部長でございますので、建築局の指導部長という立場において解決をしたいと考えておりますので、建築局の範囲内では補償のところまでは私としては何とも申し上げることができないという立場でございます。
  85. 大倉精一

    ○大倉精一君 それはまあ範囲内であるとかどうかは私はしろうとだからわかりません。さっきあなたの言明では、責任をもって処理するということを信頼をして認可をしたということに私は非常に重大な関心を持っております。今までの答弁でいきますと、何べん続けても同じ答弁になるだろうと思う。そこで現在の段階では責任をもって処理する段階にきておるのかどうか、害の状況をどういう工合に見ておられますか。
  86. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 私ども工場の作業の一部停止と申しますか、それをもってそれをやらしたい。
  87. 大倉精一

    ○大倉精一君 現在発生しておる事実は、これはいわゆる工場責任をもって処理をしなければならぬという処理をすべき段階にきておるのかどうかということなんです。先ほど工場側から言いますというと、何か害がないようなことを言っておりますが、あなたの方の認識はどういう認識でありますか。
  88. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 私は害があると考えております。害があると考えておりますから、工場に対して作業を中止するようにというふうに指令を出しております。
  89. 大倉精一

    ○大倉精一君 関連質問ですから、ちょっともう一つだけ。  それでは社長さんにお伺いするのですけれども、先ほどのあなたの方の言明でいきますというと、害がないというようなふうに私は聞きとれた、害がないとするならば、一体何をもってそれを立証されるか、害がないということを。しかも貝が死に、魚が死んでおる、こういう事実は一体何の原因によって魚が死んだのか、何の原因によって貝が死んだのか、そういうこともちゃんと調査されての上の発言でなければならぬと思うのですが、この点についてお伺いしたいと思います。
  90. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) この問題につきましては、当社の中央研究所を担当しております矢沢取締役が一番この点にタッチし、また指導をいたしましたので、同人から私にかわって説明させていただきたいと思います。差しつかえございませんか。
  91. 大倉精一

    ○大倉精一君 それは、先ほどもあなた簡単なあいさつだけでおやめになりましたけれども、これは非常に社会的に重大な問題になっておるのに、かつ国会において取り上げて、そうしてあなたの方のいろんな陳述、証言を求めておるこの段階において、社長として私よりも向うの方が詳しいからといって、ほとんどわれわれが社長の、最高責任者のあなたからこのいろんな証言を聞かれない、非常に残念だと思いますので、できれば社長から一つ御答弁を願いたいと思うわけであります。
  92. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) この最後結論は私が申しますが、技術的の排水の性状といったようなふうのものにつきましては、中央研究所の監督重役の一番説明が御納得がいくと存じますので、この分だけでも矢沢取締役に私にかわって説明をさしていただきたいというふうに考えます。よろしゅうございますか。
  93. 高野一夫

    委員長高野一夫君) それでは委員にお諮りいたしますが、ただいまの木下社長のお申し出がありますが、補助説明として矢沢取締役に説明を願うということにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めまして、さように決定いたします。
  95. 矢沢四郎右衛門

    参考人矢沢四郎右衛門君) 私は本州製紙の取締役の矢沢でございます。社長にかわりまして、排水の性状並びに処理の状況、今後の対策について補足説明をいたします。  先ほど青木工場長から排水の性状の一部は説明申し上げたのでありますが、さらにつけ加えて申し上げたいと思います。当江戸川工場工場排水につきまして、従来問題はなかったのでありますが、このたびの新設備によります排水について申し上げたいと思います。その一は原木の皮をはぐ機械、私の方はドラムバーカーと言っておりますが、この排水は原木の皮はぎ機から出る排水……、(「違う」「そんなことを聞いているのではない」と呼ぶ者あり)
  96. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 矢沢さん、あなたから意見を聞くのではなくして、ただいま大倉委員木下社長に質問されているのですから、その質問の事項に対する答弁を社長にかわってお願いをしたい、それ以外のことはやめていただきたい。
  97. 矢沢四郎右衛門

    参考人矢沢四郎右衛門君) わかりました。御質問の点は害がないかどうかということだと思いますが、江戸川工場S・C・P廃液分析表、これは諸先生のお手元にもお届けになっておると思いますので、ごらん願いたいと思います。試料をとりましたのは、三十三年の五月十七日でございまして、分析をしましたのは五月十八日から六月六日にわたっております。試料をとりました場所は蒸煮の——原料を蒸すかまの最終の管の採取口からとりました。分析の結果はここに書いてあります項目の通りPHが六・八、全固形分が一四八・六g/l灰分が二・四g/l、全亜硫酸が七・六g/l、揮発性酸が一八・八g/l全糖が九・二g/l、リグニンが三四・九g/lでございまして、この廃液の量は一秒間に〇・〇〇三トンであります。以上のような結果からみまして、私はこのS・C・Pの廃液は無害と確信いたしております。なおこの廃液が会社の大下水、大きな排水路にいきますと、二百八十倍程度に大体薄まったものが放流されるわけでございます。  さらにつけ加えたいことは、江戸川工場がこのS・C・Pを運転する前と運転してからの水質比較試験表、これもお手元にございますから、ごらんいただきたいと思いますが、ここに書いてあります数字を読み上げましょうか、読み上げないでよろしゅうございますか。
  98. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 矢沢さん、よろしゅうございます。
  99. 大倉精一

    ○大倉精一君 今のお話でよくわかりました。会社の方は害がないということを確信しておいでになる。東京都の方は害があると証言しておられる。国会において全く二つの違った証言がある。それで私は先ほどお伺いしておったのですけれども、害がないとするならば、現在貝や魚が死んでいるのは何のために死んだのか、これを一つわれわれしろうとにわかるよう説明してもらいたいと思う。
  100. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) 私はただいま矢沢取締役からの説明にありましたように、工場の試験の結果は無害である、害はないのだという結論が出ましたので、これをよそのいろいろな参考とも比較いたしました結果、それならば今の設備で大体いいとわれわれは考えられる、そこで現在の設備でやっておりますが、しかし私どもはそれだけで放置するわけじゃなくて、いずれは長い年月の間にはいろいろな工場の故障もできるししますので、大きい沈澱池を作って万全を期すという計画が最初からできておりまして、この設計をやっておりますが場所関係で少し工期がずれて今日に至ったのでありますが、今回こういう問題が起りましたので、今使っております用水の沈澱池約三千坪をとりあえず排水の沈澱池に切りかえ、用水は別の水路を作って、それから用水を取るということに急遽変更して、これをまあ天候の非常な変化がない限りは二十日までに昼夜兼行でやっていこうという計画で今進んでおる次第であります。
  101. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちょっと違うんだ、私の聞いておるのは。そういう専門的なことは私はわかりません。わかりませんが、現在、現実に魚が死に、貝が死んでおる。これはあなたの方の排水の結果じゃないとするならば、なぜこの魚が死んだのか。そういうことをやはり立証するという誠意がなければならぬと思うでのすが、そういう原因等について御調査になったことがありますか、あったら伺いたい。
  102. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) その点につきましては、私どもは漁場の状況を詳しく存じませんので、詳しい調査はしておりません。しかしながら、前に愛知県で同じような問題があったときはよく調べたのでありますが、それが果して全部うちの排水のためにそういうことが起ったかどうかということにつきましては、非常に私は疑問を持っておるのでありまして……。
  103. 大倉精一

    ○大倉精一君 わかりました。どうも漁場をよく調べておらぬという発言がありましたけれどもね、そういうことがやはりこの事態を紛糾させるもとではないかと私は思っております。そこで、この問題、何回お伺いしても同じ御答弁だろうと思うのですけれども、そこで、先ほどの東京都の証言によりますると、参考人の言葉によりますると、現在の段階においては、いわゆるあなたの方が東京都に言明なすった、責任をもって処理をするというそういう状態である。そういう段階であるということを証言されました。あなたの方は責任をもって処理をするという、そういう段階ではない、状態ではない、こういうふうにお考えになっておるのか。この点について一点お伺いしたい。と同時に、その当時東京都に対して、責任をもって処理をする、こう言われた。その内容はどういうことを意図されておったか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  104. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) 東京都へ出した認可書というものの写しを私見ましたが、あれは前工場長の野田がお願いして許可をしていただきました。そのときの書類が、何か条件でもついておるかと思って調べたが、別に条件はついていない。それでおかしいじゃないかというまあ話をしましたが、どういうことを都に対して野田が口頭でしゃべったかどうかということにつきましては、私内容はしっかり存じておりません。それで、その話が責任をもって全部やるという意味で言ったのかどうかというようなふうのことは、ちょっと私判断しかねますが、私はその当時全然それに対してタッチしておりませんでしたので、書面以外のものでそういうことを前工場長が言ったかどうかということ、それから、その内容がどういう意味であったかということについては、実は私は存じておらなかったのであります。
  105. 大倉精一

    ○大倉精一君 東京都の方にお伺いするのでありますけれども、お聞きの通りであります。従って、あなたの方の見解と会社の方の見解とは全くこれは食い違っておる。さらにまた、あなたの方が会社の方の言を信頼して認可したとおっしゃったのですけれども責任をもって処理をするということは聞いていないというのです。あなたの方は、何を信頼してこれを認可したのですか、もう一回念のために伺っておきたいと思います。
  106. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) お答えいたします。私ども交渉いたしましたのは、現在青木工場長が見えておりますが、その前任の方でございます。
  107. 大倉精一

    ○大倉精一君 前任の方だとおっしゃるのですけれども、これはあれでしょう。会社の最高責任者は社長さんでしょう。だれが一体しますと言っても、会社がそれを承知しておらなければならぬはずなのです。会社の意思として、将来害があったならば全責任をもって処理しますと言ったからには、社の全責任をもってしなければならないと思う。また、そうしておるはずだと、われわれ考えるのですけれども、それを、あなたがそう思っておったが、社長は知らぬという。そうすれば東京都はだまされておったということになる。そうなりませんか。
  108. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) お答えいたします。工場長であって取締役でありますから、私どもは、全責任をもっておやりになるものと解釈したのです。
  109. 岩間正男

    岩間正男君 今の木下社長のお話の中でですね、われわれ納得できない点が一二ありますので、お聞きしたいと思う。第一に、いろいろ漁業協同組合の方が数度にわたってこれは会社側交渉を持たれた。そういう中でいろいろ実情をこれは話されたと思います。われわれの聞いておるところによりますと、悪水が流された場合には、もう沿岸の白魚はすっかり姿を消す、全然いなくなる。ところが悪水の流すのをとめる、そうするとまた白魚が寄ってくる。こういうようなまざまざとしたことも聞いております。また今までアオサがついておったのだが、全然アオサが最近はつかない。こういうような全く生活からくる切実な点については話があったと思う。これがあなたの方は、一体それをほんとうに真に受けておられたのか、少くともそういう問題について実際を調査してみようと、そういう気になったのかどうか、全然そういうことは耳をかさないで、何回も今までの陳情に対しまして見送っておられたかどうか。その点会社の態度としては非常に私は重大だと思いますので、この点はっきりお答えを願いたいと思うのです。
  110. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) その点については、御質問、ごもっともと存じます。実はもとの工場長から、三々五々、そういう話があったということを私が聞きましたのは、この二十四日の事件が持ち上ってから、今までの経過を初めて報告があったので、私は実は驚いて、そんなに前から話があったとすれば、なぜおれに報告をしなかった、非常な手落ちじゃないかということを私は実は責めたわけであります。それで、もしそういうことを私がもう少し早く報告を受けたとすれば、もう少し早く手を打つ方法があったと存じまするが、この点が非常に連絡が不完全であったと申しますか、工場長がぼんやりしておったというわけでありますか、非常に遺憾だと私は存じております。
  111. 岩間正男

    岩間正男君 しかし、二十四日の事件からあなたお聞きになったというお話ですが、すでに今日ではもう二十日もこれは経過しておるわけですね、もう二十日近くになっております。そういう態勢の中で、少くとも今お話ようなことだったら、これは漁民の要求についてもっと考慮すべきではないかと考えられますが、大体今までの交渉経過を見ますなら、ほとんど耳をかさなかった。こういう被害の実態についてあなたたちが、少くとも人を派遣して、そういう問題を調べる、これに対する対処策を考える、こういう考え方は一つもなかったというようにこれは聞いておる。  それからもう一つお聞きしたいんですが、大体害がないのだ、そうして工場におけるところの分析によっても、これはほとんど害がないのだ、こういうふうにお考えになっていらっしゃるところの会社当局が、なぜこの問題が起ってから、それなら沈澱池を作る、こういう決意をされたか、沈澱池を作るということは、やはり害を認める、その前提に立たなければ私は無意味だと思うのです。あくまでも害がないのだ、こういうことであったなら、なぜ一体多額の費用を出して、これは会社——現在、本州製紙は経営内容がどうなっているかわかりませんけれども、しかし相当なこれは多題の金が要るんだろうと思う。それにもかかわらず、そういう犠牲を払ってそういうものを作る必要が私はないだろうと思う。それなのに、この問題が起ってからこれを作らなければならない、これはすなわち、あなたたちは、口先では害はないのだということを強調しておられますけれども、はっきりとした、やはりこれは反対の害があるという前提に立たなければ、そのような気は私は出ないだろうと思う。大体どのくらいかかるのです、沈澱池を作る。そうしていろいろな操業を中止しなければならない、その間。そうしますとこれは被害が非常に多いわけですが、その被害をもあえて辞さないでそういうことをやる、こういう決意の中にははっきりこれは裏書きはあると思いますが、どうですか、その点明白にしていただきたい。
  112. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) この問題が起りましてから、われわれは決してこれを傍観しておったのではありません。役員手分けしまして各組合交渉に出て、ほとんど毎日それに忙殺をされておったのであります。と申しまするのは、あの川が東京都と千葉県と両方にまたがっている。しかも組合が両方に四つもある。そうしてその組合の御意見は必ずしも一致をしてない。片方のある組合ではもっともだと言われても、他の組合ではそれと正反対のことをおっしゃるというようなことで、両方の組合へ行っていろいろお話し合いをしようとして長い間それに奔走したのでありまするが、結局その一致点を見なかったのであります。しかも私たちの申し上げることは、根本問題として、これが会社は、試験所の結果において無害と見るけれども、しかし一つの試験所だけが無害といっても、ほかの方から見ればあるいは有害という判断がつくかもしれない。それだからそういうことをお互いに水かけ論をやっておったのでは結論が出ないから、公正な第三者の試験によってその判断をしてもらって、それが果して有害であるというのであるなら、われわれの方はその害毒によって及ぼした補償もしなければならぬであろうし、設備もさらに増強しなければならぬが、そういうきまった公平な結論が出ないのに、今すぐ放流をとめよとかいうようなことを言われるのでは、どうもわれわれの方では納得がいかぬから、まず公正な第三者をお願いをしようじゃないかということで、私の方は、できれば東京都の都知事千葉県の知事さんに調停を依頼すべきじゃないかという方針で進んだのでありますが、それにはこちらばかりがそう思っても、相手の組合方々がけっこうだ、それで行こうというお話がない以上は、そういう計画をしてみてもなかなかまとまりがつきませんので、その間に、もしも会社の考えと組合の考えに何か一致点は見出せないかというわけで、二十四日から今日まできたのであります。その間に私の方は、工場を十二日間操業を停止して、そしてその状態においてお互いになごやかな気持で一つ協議しようじゃないかというわけで、二回、三回、四回にわたって協議をしようとしたのでありまするが、先ほど申しましたように、一部は賛成されても、一部は絶対に賛成されぬということで、結局それが決裂をした、そしてああいう問題になったのでありますので、もう私の方としてはこれは正式に、両知事に正式にお願いをして調停をしていただきたいということで、書類も出しましたし、御面会をしてお話もしたような次第でありますので、今後の排水が害があるとかないとかいうことは、都にも研究所、あるいは公正な機関がございますので、その機関の研究をやっていただいて公正な結論を出していきたい、かように考えている次第であります。
  113. 岩間正男

    岩間正男君 ただいまのお話によりますと、あなたたちの社内における試験結果については、絶対確信を最後まで押し通されるということではないということが明らかになりました。これはつまり、自信を相当喪失されているのではないか。私はここでお聞きしたのでは、さっき千葉県の水産課長の証言の中で、廃液を取ってそれにフナを入れたらすぐに死んだ、二分の一に薄めたら十五分生きておった。それからさらに今度は十倍に薄めたら五日間で死んだ、これはやはり重大だと思います。こういうはっきりした一方からの資料が出ている、これは中間の、まだ十分な試験だとは思いませんが、すでにそういうものが出ている。そういう中で今、両者の科学的な厳密な第三者の調査結果によって事を処したいというお考えになるというお話でありますが、しかしそれには前提条任が要ると思います。つまり、そのような、一方で千葉水産課でこれを実験したところが、そのような具体的なおそるべき結果が出ている。そういうものを前提として漁民の皆さんの立場から考えられれば、当然とにかくそれらの汚水は流さない、これをとめて、そうしてその問においてこの問題を真剣に検討し、その結果はっきり結論を出して、その後における処置をとるというのだったらわかるのでありますが、東京都から六日に中止命令が出ている。それにもかかわらず、あなたたちは無断で九日に十五時間にわたって汚水放流をやっている。こういうような態度では、私は残念ながら今の社長さんのお話というものは通りがたいのじゃないか、こういうふうに考えられるのでありますが、この点について、いかにあなたの先ほど述べられた面は、あとの付帯条件がなければ、つまり、断然それまではやめるという条件がはっきりついてない限りは、私はなかなか信用できない問題だと思うのでありますが、この点については一体どういうふうにお考えになりますか。今までのような行動をとられて、東京都の口頭による勧告ではありましたけれども、この口頭による勧告さえ無視して一方的に会社が処理をしている。そういうようなことをやっておいて、今のようお話をされたとしても、これは当委員会だけの逃げ言葉にならなければ幸いだと私は考える。こういう点についてはっきりあなたのこれに対する見解をやはり述べておいていただくことが、今後の運営のために、当委員会の運営のためにも必要じゃないかと思いますので、あえてお伺いしたい。
  114. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 木下さん、できるだけ簡潔に御説明願います。
  115. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) 六月六日に東京都から新設備の一時操業の停止の指示を受けましたのに操業を再開した理由はどうかという御質問でございますが、これは六日の御指示によりまして操業を停止して、その間に組合の方と話し合いを続けておりましたところが、七日、八日両日の話し合い状況から見まして、多数の組合側の御意見が、制限操業であれば了解を得られるという公算が非常に大きいということを担当役員が判断いたしまして、九日に半操業の形で運転を開始したのであります。操業を開始いたしますに当りまして、東京都の御了解を得なかったことは全く会社の手落ちで、この点はまことに恐縮に存じておる次第でございます。
  116. 片岡文重

    ○片岡文重君 都の指導部長と社長さんに二、三お伺いするのですが、社長さんにお伺いしたいことは、この出願をされる際に、この放流する廃液が果して有害であるかないかという試験をまずされておるのかどうか、出願の前にされておるのかどうか。もしされておったとするならば、どういう結果が出ておるのか、その点を一つ資料として当委員会に御提出をいただきたいのですが、その結論だけでもここでお知らせをいただきたい。  いま一つは、この出願に先立って、当然私は水質試験をされておったと思う。されておらなければ、東京都に対して、東京都からこれは有害ではないか、このままではいけないのではないかと言われたとき、無害だと言い切る自信がどこから出てきたのか。この無害だと言い切って濾過池を新設する必要がないという理由はどこから出てきたのか。その点について一つこの際明らかにしていただきたいと思うのです。  それから、先ほど都との約束がかりにあったとしても、これは先任者の、前工場長の言明であり、社長としての自分は関知しておらなかったということで、あたかも、だから会社には責任がないんだというがごとくにわれわれには受け取れるのですけれども、少くとも従業員八百有余、九百名近く、しかも相当の月産を上げておられる工場をおまかせになっておるような重責にある工場長が、監督官庁に対して責任をもってお約束をされたことは、たとえ社長に一言半句の連絡がなくとも、これは社内の問題であって、三者に対して、かるがゆえに責任なしということは、私は主張し得ないのじゃないかと思う。この点に対して、社長はその責任が負えるのかどうか。私は負えないとはまさしく言い切れまいと思うのですが、この点をこの席上で明確にしていただきたいと考えます。  それから第三点は、公正な三者の試験結果にゆだねて問題の解決に資したいとおっしゃっておられましたが、その第三者とは、東京都あるいは千葉県を指しておられるように伺います。で、もしもそうだとするならば、東京都でも千葉県でも、すでに有害であるという証拠を先ほどの御説明で明らかにされておられます。従って、もしこの結果によって生じた被害の原状回復なり、あるいは補償等の問題について、漁民側と交渉をされるということであるならば別ですけれども、この試験結果によって、しかもあなたが希望されるところの、三者の公正なる機関が証明する被害が明らかにされた以上、当然私はこの際、その責任を率直に受け入れられて、事態の紛糾を今後にさらに拡大するようなことはおやめになっていただいた方がよいのではないかと思うのですが、これに対して、この東京都並びに千葉県が出された試験結果に対しては、なお不服を申されるのかどうか、これに承服されるのかどうかということをお伺いをいたしたいのであります。  それから東京都の指導部長にお伺いをするのですけれども、少くともこの問題に関する限りは、本州製紙が許可を申請された場合に、あなたがお持ちになった不安というものは、本州製紙がこの被害を惹起するであろう、少くとも加害者の立場になるのではないかという不安なんです。反対にいえば、この廃液が放流されることによって被害を受けるのは漁民である。従ってあなたが当然その不安を抱かれるならば、まずお聞きをしなければならないのは、その被害者立場にあるべき漁民の意見を先に私は聞くべきだったと思うのです。しかるに先ほどの御答弁で御説明が漏れたかどうかはわかりませんが、あなたの御説明の内容では、私には漁民の当初の意見、漁民側のこの廃液に対する意見というものは、許可に先だってはお聞きになっておられないように思う。少くとも不安を持っている、この廃液は当然害を及ぼすであろうという不安をお持ちになっておる。まあ当然というと少し言葉が過ぎるかもしれませんが、とにかく安心をしてこれを受け入れるわけにはいかなかった状態にあられたことは、あなたの御説明から十分わかります。ですから、当然そのときには害を加える方の意見じゃなくして、害を受ける方の立場漁民側あるいは漁民組合側の意見、また公正な、あるいは権威ある機関の試験結果を求めるなり何なり、正当な道を踏んでの私は意見を聞くべきだったと思う。これをお聞きになったのかどうか。それからいま一点は、すでに都でも県でも試験結果が明らかになり、これは有害であるといっております。それで本州製紙におかれても、おそらくは、公正なる三者の機関の決定を待ちたいとおっしゃっておられるのですから、この決定には私は服されるものと思う。で、あなたがお約束をなされた会社側責任者というものは、すでに交代をされておる。交代をされておるけれども、先ほどの同僚の質疑によって、その交代をされた前任者は、工場長個人としてでなくて、本州製紙責任者としてお約束をなさっていると思うんです。従って、すでにこの責任者がお約束をされて、全責任をもって工場側解決をする、おそらくは今度のような紛争事件を予想されたと思うんだが、こういう事態が起った場合に、責任をもって会社側解決をするという約束をされたそうですから、その責任をもって解決すべき事態に私は立ち至っていると思うので、監督側として、これをいかなる方法をもってこの解決を行わせようとされるのか、当然私は厳密に、しかも可及的すみやかにこの事態解決を命ずべきものだと思う。この命ずべき方針についてなり、方策について、でき得る限り具体的にお示しをいただきたいと思うんです。関連質問ですから、以上にとどめます。
  117. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) お答えいたします。先ほど、前工場長責任を持つということを申したそうでありますが、もちろん私としては、工場長がそういうことを言ったとすれば、社長として、全然それを無視するわけではございません。ただし、その責任を持つと言った内容そのものが、私には全然わかっておりませんが、おそらくは、設備が不十分ならば、設備をもっと完全にしてもし無害とすれば、そういうことをやるつもりだという意味の責任でないかと、私は考えております。それで全然無視しておるわけでございませんので、できるだけ先ほど申しましたように、沈澱池の大きいものを作るとか、あるいはその他の方法を今研究はしておりますが、順次そういうようなふうのもので完全なものにしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから公正なる試験の結果におまかせすると申しましたのは、もちろん両県の試験機関でおやりになることは賛成で、それに異議を持つわけではございません。しかし、この排水の問題というものは、ここに初めて起ったわけでなく、全国の至る所に工場がありまして、大小、多かれ少かれそういう問題が起きております。それで黒い水を流すと申しましても、実際はビールのあわのような廃液でありますが、ほかにそういうような同じよう工場がたくさんございますので、そういうものを研究された権威ある学者の御意見も御参照になれば、なお理想的の結論が出るんじゃないかというふうに私は考えております。
  118. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 第一点の公害の問題でございますが、もちろん私ども漁民立場を考えたわけであります。漁民立場と申しますよりは、ちょっと言葉は違うかと思いますが、貝とか魚に対して影響があるかどうかということを検討したわけでございます。  それから第二点といたしまして、責任者の問題でございますが、先任の工場長の方は、工場長でありますし、先ほども申し上げましたように、本州製紙の取締役でございます。私どもはこの問題つきまして、一々社長さんにおいで願って普通やっておりません。大体取締役とか、まあ取締役ならば、私ども工場のりっぱな責任者だと解釈をしております。その取締役がそれほど言明されるならば、私どもとして、それを信用したということになっております。  それからもう一つ、今後の処理の問題でございますが、先ほども申し上げましたように、文書による措置をいたしております。それで、少くとも私どもといたしましては、公害がなくなる、これで公害がないと言えるという程度まで至らない限り、再開を許さないという方針でやっております。
  119. 田村文吉

    田村文吉君 ちょっと元へ戻りまして、相澤委員の御質問に関連してお尋ねいたしたいのでありますが、私は大河原指導部長さんにお伺いしたい。昨年許可をなさるときには、全国にもたくさんSCPの工場もあるし、別に差しつかえはないものだろうという大体のお感じがあって、御許可になったのだろうと思うのでありますが、今お話の中に、会社の当事者が、万一害が生じた場合には責任を持つと、こういうことを言ったというお話でございますが、さようならば、許可なさるときの条件として、さようなことをおつけになったのならば格別でございますけれども、ただ口頭でさようなことを聞いておいたというようなことでは、非常に私は薄弱な感じを持つ。  そこで、私は指導部長さんにお尋ねしたいが、昨年御許可をなさったときの心境と、たまたまこの問題が大きな問題になってきてからの御心境というものは、変っているのじゃないか。  そこで、第一に、先刻からあなたのお話の中に、害があるということをおっしゃったことが非常に軽卒な御発言ではないのだろうか。こう思うのは、昨年来の、あなたが許可なさってから以来の条件を見まして……。なぜそういうことを私は申すかと申しますと、全国で同じよう工場がたくさん運転して、問題なしにやっている。ところが、この本州製紙の場合には問題が起ったのだ。そこで問題が大きくなった。大きくなったから、これは一つ害があるのだと考えたい、考えざるを得ないと、こういうふうに簡単に問題を取りきめられては、私はこの問題の本質を究明する上からいって非常に困る。そういう点からいきまして、どういう根拠で害ありとおっしゃるのか、これをまず第一に伺いたい。  なお、私の害ありということは、泥水でも、ほんの一リットルばかりの小さい中に魚を一尾入れても、じき死んでしまいます。同様に、上流に家が建ち、工場が建てば、河川がだんだん汚濁されるということは、これは事実だ。その放流されるものが非常な強烈な毒素を持っているために、それが希釈し切れないで、魚族がそれがために害を受けるということになるならば、それはわかる。しかし、そのもの自体は害があっても、それが大いに希釈されてきた場合に、果して害があるということが断言できるのか、こういう意味におきまして、指導部長さんにはっきり、どういう御見解から害ありというお言葉をおっしゃるのか、ちょっと伺いたい。
  120. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) お答えいたします。それにつきましては、私どもの方の経済局の農林部というのがございます。農林部といたしましては、水産課を持っております。それから、もう一点は、漁業の方の試験場を持っております。その両方で調査した結果、害があるという文書が公文で私どもの方へ参りましたから、私自身がそれをしたわけではございませんが、都の少くとも農林部長から正式な文書が参りましたから、害があると、かわってお答えしたわけであります。
  121. 田村文吉

    田村文吉君 さようでございましたならば、どういう科学的の根拠でこうなった、希釈がどのくらい希釈されておって、しかもこれは有害だというようなことの資料を、東京都として出していただけませんでしょうか。
  122. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 私がお答えするよりも、私の隣に水産課長がおられますから、この方がやられたわけでありますから、その方にかわってというわけにいかないでしょうか。
  123. 田村文吉

    田村文吉君 けっこうです。
  124. 多田稔

    参考人(多田稔君) ただいま被害の実情を調査している段階で、まだ完全にまとまっておりません。で、これについては昨日来千葉県と横の連絡をとりまして、協同歩調で調査をし、資料の取りまとめをやっているわけでございます。  で、ただいままでのところで申し上げますと、私どもは非常に害のおそれが十分にあるという見解は持っております。しかも、排水口においては、今までの実験においてすでに魚族は死んでおります。それから、現在は繊維が非常に多量に排出されておりますので、これが河川を汚染すると同時に、この繊維が河底に沈澱するおそれがある。さらに、これが腐敗——水温の上昇等によりまして今後は腐敗しまして、水中酸素を奪う。従って、無酸素状態になる。そして底の方におります貝、あるいは底住みの魚類はおそらく呼吸困難になるだろう。移動性の大いにあるものは逃避してしまいますが、移動性の困難なものは死滅するほかない、そういうおそれが十分ございますので、私どもは害があると断定いたさざるを得ないのでございます。ただし、まあ今後なお綿密な調査を継続して、はっきりした資料を提出いたしたいと、かように考えます。
  125. 田村文吉

    田村文吉君 資料を提出して下さい。
  126. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 資料の提出を願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  127. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をつけて。
  128. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) お答えいたします。この放流する前に試験したかどうかということにつきましては、廃液の性質を、放流するときの排水の成分と同じよう状態で、試験室で試験をいたしました。しかし、この書類は今ここに持っておりませんが、もし必要ならば、あとでお届けいたしますが、いずれにしましても、前に同じ状態にして、中央研究所で試験をした次第であります。なお、これにつきましては、ほかの、同種の方法でやっております他の工場排水の性分もむろん参考にして、その試験をしたのでございます。
  129. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 木下社長、資料をお願いいたします。
  130. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) はい、承知いたしました。
  131. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) お答えいたします。その後の補償の問題だと思いますが、補償につきましては、私、建築局の指導部長立場としては、ちょっと非常に答弁がしにくいわけでございますから、ごかんべんを願いたいと思いますが、ちょっと、私、答弁ができない立場じゃないかと思いますが……。
  132. 片岡文重

    ○片岡文重君 指導部長として、補償等経済的な問題に触れる権限はお持ちにならないかもしれない。しかしながら、少くとも工場側、つまり会社とのお約束をされた以上は、この全面解決の中にはそれらの問題も当然含まれておらなければならぬと考えますから、その点については、あなたの権限外であるならば、当然その所管の経済局長なり、あるいは市長なりに、稟申なり上申をして、損害補償なり原状回復の措置を講ぜられるべきだと思うのです。その会社側に対して要求されるべきだと私は思う。そういう措置をあなたは積極的になさるべきだと思うのです。その点についてのお尋ねをしているわけです。ですから、あなたが権限に基いてなさるという、その経済的な権限はないかもしれないけれども、あなたの職責上、その責任を果す権限はないとおっしゃるならば、そういう約束はできないはずでしょう。約束をしたからには、当然それはそのことも考えておったはずなんだから、そういう点についてどういう態度をとられるか、お尋ねしたわけなんです。
  133. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) お答えいたします。私が、さっきの工場長の取締役の方ですか、その方とお約束をした件につきましては、一般に対する補償は含んでいないというふうに考えております
  134. 片岡文重

    ○片岡文重君 関連質問でなくなって恐縮ですが、一体、全面解決ということは、事態が紛糾をしなければ起ってこないのだし、紛糾するということは、また事態が起るということは、当然被害があるわけなんですから、被害者が出てきておるのに、その被害者に対する対策を全然お考えにならない全面解決なんということがあり得ますか。どうも、先ほどから、私はあなたの御説明を伺っておって、責任者としてはあまりにも、大へん失礼ですけれども、思慮が足りなかったのじゃないか。許可をされたときに、そういう今のよう事態の紛糾する不安はお持ちになったのでしょうけれども、その不安に対する責任者としての思いやりといいましょうか、将来へのおもんぱかりが私は不足しておったのじゃないかと考える。今ここではっきりとあなたはそういう御答弁をなさるからには、ではどの程度までこれを考えておられたのか。ただ、これを中止させただけで事態解決すると思ったら、とんだ間違いです。現在何千人という漁民が死活のふちに追い込まれている。なお、他方、会社側は何らの制裁も受けずに、ひたすらに、きょうとめておればきょの利益が少くなるということで、利益追求のみにきゅうきゅうとしておる、ところが、一方、死活のどん底に追い込まれている漁民は、今なお警視庁に留置されておるのですよ。こういう状態に追い込んでおくよう事態を、あなたはかりに予想し得なかったとしても、少くとも、ここまで来なくとも、若干の被害が起って初めてこういう問題が起ってくるわけですから、本来ならば、こういう事態が起らない前に私は措置をすべきだったにもかかわらず、こういう事態が起ってしまったのですから、あなたは監督者として当然その責任に対して、会社側に対して、これを原状回復せしむべき、命ずべき責任があると私は思うのです。ただ、しかし、事故の性質上原状回復ということができ得ないならば、将来にわたっての被害の停止と、今日までの被害に対する社会側の責任ある補償は当然行わるべく、監督者としてはそれを命ずべきである。建築局の指導部長としては経済的な権限をお持ちにならないとおっしゃるならば、あなたの責任において当然その権限を持つべき側について御相談をなさるなり、権限を発動すべきあなたば積極的な措置を私はとるべきだと思うのです。その点をお聞きしているわけです。
  135. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 大河原さんに申し上げますが、先ほどあなたが、書類の認可をした場合に、災害が起った場合は会社は全責任を持って処理する、それを向うが言明したから、それを条件に認可をしたと、こうおっしゃったわけです。従って、その点についてこういう質問が出ているわけです。そこで、あなたが事務的に行政措置をなさるについては、そういう言葉の上だろうと思うけれども会社が全責任を持つ、それを条件にしてあたなが事務的処理をなさった以上は、その点について今後始末するのに、その条件をどういうふうにお考えになるか、お取り扱いになるか、こういう意味なんです。
  136. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) お答えいたします。私の言葉が足りなかった点があったかと思いますが、全責任を持つとか、そういう点は、実は私ども工場公害防止条例のいろいろな制限とか、罰則とか、その他の点についての全責任だというふうに解釈をいたしまして、そういう経済的な問題までは私は全然考えておりませんでした。
  137. 片岡文重

    ○片岡文重君 そんなことでしたら、あなたはお約束する必要ない。都条例の中にちゃんと書いてある。何の必要があってそれを約束されたのですか。損害を与えたならば、その損害を回復し補償することは当然のことじゃないですか。しかも、それは都条例によってきめられておることに対する責任をとることだという御答弁ならば、何もわざわざ工場長にそれを約束される必要は毫もないはずです。少くとも、こういう事態を起して、漁民に対する迷惑なり、公開されておる河川の、あるいは海岸の利用者に不測の損害を与えた場合のその損害に対する責任が当然含まれておらなければ、一体あなたの不安はどこにあったということなんです。そういうことは、あまりにも、何といいますか、私ども立場をないがしろにしているといいましょうか、軽視していると申し上げてよろしいのか、あまりにも無責任きわまる御答弁だと思う。都条例できまっているようなことを聞いているのではない。明らかに、その事態に対する全面的なすべての責任を持たせることにあなた自身がお考えにならなければ、あなたの職責上おかしいんじゃないですか。それ……。
  138. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 今のお話とどうも考えが違っておりますので、私どもとしては非常に狭い範囲に解釈しておりますので、ちょっと議論になって変なことになりますが、私としてはそこまでは考えておりませんが、その点につきましては、私一存としてこの場で答弁は許していただきまして、上司ともよく御相談を申し上げたいと思います。
  139. 奥むめお

    奥むめお君 まず、先ほど資料を水産課の方に要求しておりますが、それについて、ちょっとつけ加えて注文したいと思うんです。それは、要求した資料はそのままでよろしいんですが、ここに会社側から出されましたこの試験結果が三ページにわたって出ております。これの批評、あなた方の検査、調査の結果にマッチした批評でございますね、批判と申しますか、あなた方はこれをどうごらんになるか。さかのぼって申しますと、先ほど研究所長さんですか、害がないと確信を持っておっしゃっていたようですが、それの裏づけになるものは、大学でしてもらったり、大学と提携して調査したものの私は資料であろうと思うのでございます。これについてあなたの方の御批判を聞かしてもらわないと、私ども、別々に、ばらばらの観点の違う調査をお出しになりましても、参考にしにくい点があろうかと思うのでございます。それをつけ加えてお願い申し上げますが、委員長、どうぞその点……。
  140. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 坂本水産課長、よろしゅうございますか。
  141. 坂本勝一

    参考人坂本勝一君) お引き受けいたします。採取地点とか、調査時点とか、そのときの河川の状況といったようなものは多少異なるかと存じます。従って、一応非常にデータが違って出たような場合には、これば顕著に批判できると思います。非常に批判しにくいものも中にはあろうかと思います。そういう見地で私どもの提出いたしました資料をごらん願いたい、かようにつけ加えます。
  142. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私から坂本課長にお願い申し上げますが、会社の方を十分お調べ願いまして、そうしてどういうふうな事情の中にこの試験を行われたか、十分お聞き願って、そうしてその結果によって、試験されたるこの結果に対しては、専門家としては相当の批判はできようかと思うのでございます。その点、そういう程度でもけっこうでありますから、十分会社の方から事情を御聴取願いました上で、事情をきわめた資料をお願い申し上げます。
  143. 奥むめお

    奥むめお君 なお、先ほど工場長の方から御発言になった言葉を私は書きとめておきました。あるいは速記を見れば多少違うかもしらぬけれども、非常に高い、たくさんの金を使って、新しい機械を備えたことであるから、これを休ませるわけにいかない云々というお言葉を、私どもはそれが率直な会社の意思表示だと聞いたのでございます。これはあとでお調べいただけばわかりますが、これは私ども国民は、たくさん工場ができて、日本の産業が繁栄しますことを喜びます半面に、いろいろ工場から出ます水の問題、あるいは煙の問題、あるいはその他のいろいろな人間の生命におそろしい結果がありはしないかと案じられるものが、水の中あるいは空気の中にいろいろ汚濁をふやしているのでございます。ほんとうに近海漁業の問題、瀬戸内海の漁業の問題、あるいは琵琶湖の問題、いろいろなことに人間の生命がおびやかされているし、またそれがますますひどくなるのじゃないかという心配を持っておりますが、まず社長さんの立場からお伺いしたいのでございますが、工場経営というものは、一体、何を目的として、またこの目ざす目標というものはどういうところに置かなければならぬとお考えになりますでしょうか。その一番重大なポイントを一つお聞かせ下さい。
  144. 青木貞治

    参考人青木貞治君) 巨額の金を投じたということは、組合の方と話し合いのときに現状をごらん願いまして、これだけかけたので、このくらいかかっておるので、その危害の程度とかいうことは、結局先ほど問題になっておりますその液が私どもが害がないというような考えでおりますので、それだけの金をかけたのと、それから害がないというようなことで見ていただきたいということを申し上げたのです。
  145. 大矢正

    ○大矢正君 私は二つばかり質問をいたしたいと思いますが、まず第一点は、先ほど社長さんの御意見を承わっておりますと、六日の日、それから九日の日に流されたいわゆる汚水というものは、組合との話し合いの上において、制限された形の中で流すのであれば差しつかえないという了解が得られたので、東京都からの中止の指示があったけれども、黒い水を流出さしたという、こういう説明でございます。こういうことがほんとうに事実として行われており、あったのかどうかということを漁業協同組合代表の方に私はお尋ねをいたしたいと思います。
  146. 佐久間菊蔵

    参考人佐久間菊蔵君) それは各委員からお言葉もございました通り、各立場に立っておりますそれというのは、先ほども発言がございました通り交渉の半ばにおいて流すということが、すでにわれわれをなめているということに私としては解釈するものであります。それがお互いの立場によりまして、私どもは、すでに被害を受けた立場にあり、工場は、先ほどもお言葉がございました通り、自分たち工場を運転して、そうしてわれわれと交渉するということは被害のいわゆる累積であって、私ども解決のつく日がいつだかしれませんが、その間被害を受けているという立場に立つわけでございます。こういつたことから私たちは、二度の交渉の半ばにおいてのあの悪質の汚水を大量に流されたということが一つの事態の発起の原因とも考えておりますので、果して工場側が言う通り、今御発言がございましたが、監督官庁の監督の期限の切れたのを理由にして流したとは私は思いません。そもそも交渉の半ばにおいて、一方的の考えにおいて流したということを私ははっきりここで申し上げるものであります。  以上でございます。
  147. 大矢正

    ○大矢正君 今日の会社において、道徳と秩序を守らないようなことが平然として行われるとすれば、これはゆゆしき問題だと私は思うのでありますが、数カ月前から本件につきましては、有害である、ないしは無害であるということで多くの論争が行われ、さらには話し合いが続けられておるにもかかわらず、一方的にいわゆる水を流すというこの立場は、道徳的にも、また、秩序の上においてもあり得べき行為ではないんではないかというふうな感じがするのであります。ためにこういう中で平然として行われたとすれば、何らかの根拠に基きまた、何らかの立場があってこうされたのじゃないかというように考えるのでありますが、先ほどあなたの、社長さんのお説によりますと、それは組合との話し合いができたためにやったのだというお説でありますけれども、今御意見を拝聴いたしますと、組合の人はそういう事実はないという否定の言葉が出されておりますが、社長さんのさっき言われた私どもに対する参考意見が、お間違いであったのかどうか、再度、念を押して社長にお伺いをいたしたいと思います。
  148. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) お答えします。先ほど申し上げました通りに、六月の御指示によって操業を停止しまして、引き続いて組合の方と話し合いを続けておりましたが、だんだん全組合ではございませんが、千葉県側の三組合は、七、八度の打ち合せで会社の提案、すなわち公正な立場にある調停者によって話し合いをしようじゃないかということに大体御承認を得ましたので、一つの組合お話はあったけれども出席にならなかったので、これはまあ三組合が御賛成だとすれば、この申し案が決しておかしい形ではないのだから、公正な形だから、御了解が得られることは、そういう公算が確実だということを当時の担当役員が判断をいたしましたので、それならば、九日からは半操業の形で運転を開始しようじゃないかということでやったのでありますが、それを施行する前に、先ほども申しましたように、東京都の御了解を得なかったごとにつきましては、全く会社の手落ちだと考えまして、恐縮に存じてここにおわびする次第でございます。  しかし、それまでに、二十四日からずっと停止をしまして、三十一日まで引き続いて停止をして、その間にあらゆる手を打って組合と御交渉をしたにもかかわらず、一方全部の組合の意思が定まらないので、いつまでもこういうことをやっておったのではどうにもならぬじゃないか、期限つきで早く大綱をきめようじゃないかという話がなかなかきまらぬので、おそらく担当重役は、これではいつまでたっても同じことを繰り返すのでどうにもならぬじゃないか、むしろ無意味になりはせぬかということで、そういう判断のもとに半操業を開始したと思います。これは繰り返して申し上げますが、東京都の御了解を得なかったということについては、全く会社の手落ちだったと深くおわびする次第でございます。
  149. 大矢正

    ○大矢正君 社長さん、私は、東京都の了解を得なかったことがいいとか悪いとかということを申し上げているのじゃないし、その手続をなぜ踏まなかったかということを責めて言ってはおりません。私はあなたに申し上げたいのは、もちろんあなた自身はやはり工場長さんと違って、折衝に当られたりはしなかったでしょうけれども、人々それぞれやはり道義的な立場と、道徳的な、また、秩序を守らなければならぬという立場、こういう立場ではあなたがその一番役割を果さなければならない人なのです。そのあなたがどういう理由でそのような混乱の起されることをあえて黙認をしたかということについては、私は理解ができない。それは法律的にどうのこうのという問題ではないと思います。法律的にも問題がありますが、そのことは一応伏せて、今、そうじゃなくて、やはりお互いに道義的な立場があるとすれば、話し合い解決をするまで、あるいは一部には一つ、二つの組合代表の方がそれを是といたしましても、全体的な話し合い解決するまでは、そのような態度をなすべきではなかったのではないかというふうに私は感ずるわけでありますが、それをあえて強行された趣旨のものは、何にあるのかということをお尋ねいたしたいと思うのであります。法律的には、どうのこうのという議論もあるでありましょうけれども、道義的には、こういうわれわれの立場があるという理屈もあるでありましょうけれども話し合いがつかないにもかかわらず、なお、そのことを実施されたというあなたの立場はどこにあるかということを、私は特にこの際念を押して承わっておきたいと思うのであります。なぜ私がこういうことを聞くかといいますと、あなたの会社では、私がまあ計算書を読んだ範囲においては、半期で二億以上の利益を上げているのです。ところが、漁村の方々はあの水が流されることによって次の日には生活のかてを失うという重大な問題を含んでいるのであります。あなたの方は、かりに工場を五日とめても、一週間とめても、二億円の利益が幾らか減る、こういう範囲でありますが、漁村の方々立場というものは、自分の生活が守られるかどうかの重要な分れ道であります。それだけの道徳的な立場と内容を考えないような社長さんは、私は日本の国にはあまりおらぬのじゃないかと思いますが、   〔委員長退席、理事平島敏夫君着   席〕 あなたの御見解をこの際承わっておきたいと思います。
  150. 平島敏夫

    理事(平島敏夫君) ちょっと申し上げますが、大へんお暑いですから、参考人の方も委員の方も、上着を取りたい方はお取り願います。
  151. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) お答えをいたします。道義上けしからぬじゃないか、まあそういうおしかりでございまするが、この今までの長い間の担当重役の折衝の結果、大丈夫と考えるというまあ答が出たので、それならば、東京都の了解を得て運転したらいいじゃないかということは私は申しましたが、決して相手をなめるとかあるいは漁民方々の生活をどうしようと、ちっとも省みないといったような考えは毛頭ございませんので、要するに工業も漁業もやはり国家の重天な産業でありまするので、これはお互いの立場を考えて共存共栄で行くべきだ。ただ仕事の面において相反する点が出てきますが、これは両方がお互いに研究し合い、譲りあって何かの線で妥協し合う、そうしてお互いに相携えてやるということでいかなければならぬと考えております。それで、先ほど私の会社が非常にもうかっているとおっしゃいましたけれども、これはそんなにもうかっているようなことはございません。もう内容をお調べになればわかりますが、非常に貧弱な会社でございます。  それからただ問題は、そういうふうに突き詰めていきますと、われわれはもちろん自分のところの利益だけといったようなことは毛頭考えておりません。これは企業の社会性ということは経営上一番大事なことでございますので、これは常に頭に置いて考えているつもりでございます。ただ、規則の点でお互いが限界がどこかになければこれを冷静に考える線がない、この排水の問題につきましても、実は国家にこの排水に対する水質汚水防止法案といったようなりっぱな法律でもありまして、その排水の水質を厳然と規定をして、その規定に合わなければ設備をとめるなり、改良するなり、あるいはやめさせるなりといったような、もっと強いものがありませんと、どうもその点で、最後はぶつかりまして、それならば、害といってもどこまでが害であるかといったような線はなかなか出ないじゃないか、そういうこと、そういうまあ防止法案といったようなふうのものが、適当な理論的の、しかもそれが実行し得るような法案が一日も早くでき上れば、われわれはその基準に従って仕事をする、そうして相提携するということにしたいと、かように考えております。しかし、これはなかなか一朝一夕にできぬというふうに考えておる次第であります。
  152. 大矢正

    ○大矢正君 それじゃ私は別な角度から農林省にお尋ねをいたしたいのでありますが、農林省に関係のある法律としては、水産資源保護法というものがあって、その中では水産資源の保護をしなければならない。また、たとえば魚族資源を枯渇せしめるような有害、有毒なものは漏泄しちゃいけない、また、廃棄してはいけないというようなことが書かれているようでありますが、今回のように、これはまあ同じ地方自治体の中において関係のあるところもございますけれども、たとえば事業体が一つの地方団体に所属をし、それからまた、そのことによって被害を受ける町村というものが、いま一つの県ないしは都に所属をするという場合におきましては、往々にしてその間の調節というものは、時間を要する問題でありまするし、それからまた、いろいろと混乱をまき起す原因にもなるわけでありますが、これが同じ一つの都ないしは県において、同時に事業体と被害を受ける漁村があります場合においては、案外スムースに解決がいくかとも思いますけれども、今回のように、二つの県と都にまたがる場合においてはなかなか解決方法は困難である。こういう場合において、もしこれらの問題を混乱のない形において解決するとすれば、これは国がないしは農林省あるいは水産庁がこの種の問題を取り上げて解決をしなければならない立場が生まれてくるのではないかと私は思いまするし、それがより短期間の有効に解決される道でもあると思うのでありますが、承わっておりますところによりますと、この水産資源保護法に基くところの省令または規則というものが具体的には示されていないということで、現在の状況のもとでは、国がこの種の問題の解決に当るための法律的な根拠がないように私は感ずるのでありますが、農林省としては、この点についていかようにお考えになっておられるか、お答えいただきたいと思います。
  153. 西村建太郎

    説明員西村建太郎君) お答えいたします。ただいま御質問の二都道府県以上にまたがる問題は、問題が解決しにくいという、これは実は私の方は、そういう漁業者被害者立場ではなくて、漁業それ自体については漁業法にいろいろ規定がございます。それから被害者としての漁業者を守る意味におきましても、水産資源保護法で、汚濁防止についての省令を出す権限が与えられております。しかし、現実の問題としまして、現在までのところ、こういう省令が出ておりませんので、現在この事態に処する国としての法令は、われわれの水産としてはないわけであります。私の方としましては、水質汚濁による漁業被害というものは、きわめて大きい問題であるということで、ことにこれは沿岸の漁民、そう申しては失礼ですが、特に零細な漁民に影響するところが大きいからして、年がら年中方々でこの問題が起きておる、昭和三十一年中も四百七十八件も事態発生しておる、こういう事態でありますので、われわれとしては、一刻も早く水質汚濁の規制に関する総合的な一つの制度を作る必要があるんじゃないか。と申しますのは、加害者は端的に申し上げれば工場、事業場であります。この所管庁は別である。それからその汚濁の水が流れる河川は、河川法等によりましてこれは所管庁は違っております。従いまして、単に水産庁ないしは農林省の権限のみをもってこの問題の解決をはかろうとしても簡単には参らない。こういうことで、御承知ように、昭和二十八年ですか、二十九年以来、いろいろ政府部内におきましてもこの問題について研究を重ねております。不幸にしまして、いまだその立法化の段階までに至らない、こういうことでございますが、私どもとしましては、この問題については、なるべく早い機会に、こういう漁業被害を一刻も早く軽減されるような制度が立法化されるということについて、今後も一そう努力して参りたい、こういうふうに考えております。
  154. 大矢正

    ○大矢正君 先ほど補安の町長さんの御説明ないしは漁業協同組合方々の御意見によりますと、あるときは川島幹事長にもお会いをして、具体的に本問題の解決の要請をされたという経過報告がございましたが、私は今を時めく川島幹事長でございますからして、一声かければこの種の問題が解決しないこともなかったんではないかという気もいたすのでありますが、結果としては解決をしておらないという事実を否定するわけには参りませんので、そこで承わりたいと思うのでありますが、たしか今農林省からのお答えによりますと、法律的には、農林省も積極的に問題の中に法律をたてとして突っ込んでいって解決をするというようなととはでき得ないかもわかりませんが、もし、政府その他から話し合いがあって、何とかせいというような場合には、本問題の中に立ち入るだけの方法と手段は私はあるのではないかと思うのでありますが、実際に今日まで農林省としては本問題解決のためにそういう役割りを果されたことがあるのかどうかということを、この際念のために承わっておきたい。
  155. 西村建太郎

    説明員西村建太郎君) この汚毒の問題に関しまして、私の方として直接はございませんけれども、都ないし県からの連絡がありますので、私の方としていろいろアドバイスはいたしております。
  156. 岩間正男

    岩間正男君 私は前に戻りまして、社長さんにお聞きしたいのですが、先ほど東京都の建築指導部長お話によりますと、今後の問題ですが、公害がないと認めない限りは今後放水を許さない。つまり、作業中止を命ずる、こういうことを言明されたわけです。これは当委員会においてはっきりわれわれとしましては確認するわけであります。従って、これについて当然あなたは、これは法律ではございませんが、都条例、こういうものをはっきり守る立場にあると思うのです。これについて第一まずあなたの見解を、どういうふうに考えておられるか。この点お伺いしたい。
  157. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) お答えいたします。一たび都からそういう御指示がございましたので、これには一応従いまして、その間に沈澱池もできますし、その結果もよく判明していくことと存じますので、その上でさらに都庁の厳重な検査を受けまして、お話を進めたい、かように考えております。
  158. 岩間正男

    岩間正男君 その点は確認されたので、これは紛争解決の一歩前進とも考えられますので、これについてはわれわれ当委員会としても、今後ともにこの問題を究明し、また見守らなければならないと考えるのです。  第二にお聞きしたいのですが、十日のあのような望ましくない事態が起りまして、しかし、この原因は先ほどから非常に論及されておりますように、六日の中止命令、口頭ではあったけれども、これを認められなかった。あなたたちの御説明によりますというと、担当重役が差しつかえないと判断して、組合側の話し合いで、はっきりこれは何も手紙で、あるいは文書でもって確約されたものではないのですが、あなたたちはそう判断された。しかし、その中に参加しない組合もある。はっきり意思は統一されてそこの交渉の過程においてこのことが確認されて、そして操業をあなたたちは始められたんじゃない、そういう点からいうと、非常にこれは手続の上からいきましても、断じて了承することのできない不完全な基礎の上に立っている。しかも、公然と都条例を無視した形、あなたたち自身がこの委員会におきまして、都側のそのような勧告を無視したということは申しわけない、こういうことを言わざるを得ないよう状態におきましてこのことが行われた。これは生活規模を守る漁民の憤激を買うに十分に値いする問題だと私は考えるのです。こういうよう事態を起して、この責任の一番大きな、少くとも中心的な責任は、これはやはり会社側にあるように考えられるのであります。   〔理事平島敏夫君退席、委員長着   席〕 われわれは第三者としまして公正に考えましても、この点について、どうも先ほどから、担当重役たちが大丈夫だと考えたのだから差しつかえないというような印象を与えられるようなことを言われておるようでありますけれども、もしもこのような九日に突然一方的にあの黒い水を流すというよう事態が起らなければ、あの十日の問題というものも私はあり得なかったのじゃないかと考える。ほんとうに今あなた自身が、私が先の第一の質問で申し上げました、それにお答えなされたように、あくまでも今後の事態話し合い、そうしてこの問題の善後処理を十分にやられるという態度をとっておられたなら、少くとも十日のあの事態は起らなかったと思う。しかしそれを起した原因というものは、はっきりそこにあるということを断定せざるを得ないのであります。この点についてこれは社長さんに、先ほど冒頭のこの委員会におけるお話の中で、このたびの事態を起したことは非常に責任を感じている、相済まないことであるというふうに申し述べられたのでありますが、このような話とも関連いたしまして、どういうふうにこれを考えておられますか。この点明確にお伺いしたい。
  159. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) これは先ほども申しましたように、突然というお言葉でございましたが、一つの組合を除いて三つの組合は大丈夫話がつくという判断で、それは相当それを引き受けに当りました担当重役は、こういう状態であるから、半操業ぐらいはそうたくさん出るわけでもなし、今いろいろな専売公社の品物とか、教科書の用紙とかといったようなふうのものの約束もあるので、少しでもそれをずらすことはできぬので、了解は大体つきそうだし、三組合はそれを了承しているのだから、他の一つの組合もおそらくはこういう方法で了承されるということを確認するから、半操業で始めたいという判断のもとに、まあそういうことに進めるなら大へんけっこうじゃないかということで、私も万やむを得ぬじゃないかと了承を、了解を与えたのでありまするが、これは先ほど申しました通りに、東京都の御了解は得なかったということは、全く私の責任だと痛感して、非常に済まないと恐縮しておる次第でございます。
  160. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 各委員に御相談しますが、政府側からも人が見えておりますから、一人の人だけに質問を集中しないで、まんべんなく政府委員その他に御質問していただきたい。
  161. 岩間正男

    岩間正男君 もう一つだけ。
  162. 高野一夫

    委員長高野一夫君) それではなるべく簡単に。
  163. 岩間正男

    岩間正男君 この点について、これはどうなんですか。この漁民組合長漁業組合組合長さんにお伺いしたいのです。まあ今のお話でも大体話し合いがつくという判断でということを言われておるのですが、これは判断が誤まったという結果になりますね、結果においては。非常にこれは大へんな不完全なものの上に立って進められた、強引にされた、こういうことになるのですが、これは皆さんの立場からぜひお聞かせ願いたい。
  164. 高野一夫

    委員長高野一夫君) どなたに御質問ですか。
  165. 岩間正男

    岩間正男君 組合理事さん、組合長さん、どちらでもけっこうです。
  166. 佐久間菊蔵

    参考人佐久間菊蔵君) ただいまの点でございますが、この東京側に了解を得なかった、交渉の半ばにおいて。しからば千葉県の方は了解を得たというようなお言葉のようでございままするが、千葉県の一番大きな組合の本組合、すなわち船山参考人の属する浦安の本組合の一番大きな組合の大多数を占めるその組合も承諾はしておりません。了解しておりません。このことを私は参考までに申し上げることは、そもそもどういう人格者か知りませんが、仲介に入った人がございます。その方の言明を申し上げまするならば、千葉県は全部納得したから東京側も納得せよということでございます。どうも変だと思いまして千葉県の本組合へ問い合せましたるところ、絶対に本組合は承諾をしないという回答でございます。そこで、千葉県の組合の若干は承諾をしたということは、こういったことの談合に、そもそも料亭において、三組合、いわゆるはっきり申し上げまするならば、行徳、南行、第一組合——それは、本組合の人数と対照しまするときに、三つの組合を合せても本組合の数だけおりません。そういった小さな組合の三組合は、ともかくもある程度において会社の言い分に納得されたと思います。そういったことを、千葉県全部が納得したということの言葉により東京都を全部納得させようという仲介者の手段が、私たちは大いに疑問とするところだと、かように存ずる次第でございます。そういったことについての社長さんの言だろうと、かように思います。
  167. 船山卯三郎

    参考人船山卯三郎君) 今問題になっている、交渉をいたしましたと、話し合いをしましたという過程を一応申し上げたいと思います。この過程は、これはいろいろと疑惑を持たれるので、私当初の説明はしなかったのですが、今回発表いたしたい。それは、六月の四日の日付をもって、京葉開発綜合研究所創立代表鈴木武、この人の名前で、会合場所市川市白藤。案内先、浦安漁業協同組合浦安第一漁業協同組合南行徳漁業協同組合行徳漁業協同組合本州製紙株式会社、五カ所の案内先であります。その内容、「拝啓今回の江戸川水域の工場排水問題は京葉地帯の開発上重大問題と考えられますので大きな関心を寄せて居りますついてはこの問題につき皆さんの御意見を篤と拝聴の上早急円満に解決を計り度いと思いますので御多忙中乍恐縮来る七日左記へ御来駕願い度」、このような次に、「尚御貴殿不参の場合は代理者一名を御派遣お願い申上げます」、これは組合長あてであります。これは、現在の浦安汚水を見る組合員立場をもって、この料亭において、組合をいかに代表する組合長であっても、意思表示するような、そのようなりっぱな、また、力のある人はおそらくないと思う。このよう事態の問題に対して、どうもわれわれ場所納得しないのと同時に、代理一名が、このような通知に対しては、われわれ行くことはできないということで、その日は行きません。そうすると、そのあくる日、午後七時ごろ、今申し上げました鈴木武という方、なお、もう一人は、元検見川町の漁業協同組合長でした高井嘉郎さん、二人がおいでになって、七日の日の了解事項だという案を示されました。調停案です。  1 五月二十四日迄の見舞金については調査が決定次第に二日以内に出す  2 被害額については合同調査を行う   (イ) 各浦組合被害状況について資料の提出をする事   (ロ) 会社側からも調査資料を提出する  3 権威ある試験機関に調査を依頼し、その結果六月末日までに結論を出す  4 廃水の沈澱設備は三千坪の現有用水池を利用して之を沈澱池とする  5 本調査会を(江戸川水質調査会)とする  6 調査会の構成   調査会は会社側権限ある重役一名以上、組合側各浦三名の委員を出し都、県、通産局、関係官庁の役人をオブザーバーとして参加させ権威ある調査会を作る  まず、今申し上げた案を申し上げる前に、鈴木武という方のおっしゃるのには、私は川島幹事長からも依頼をされた、なお、県の副知事からも依頼をされた、私はこの問題について厳正中立な角度より、なるたけ円満に解決つけたいと、そのような当初の説明なので、一応よく聞こうということで、各項目についてまず聞きただした。そうすると、まずその中の四項目について、「廃水の沈澱設備は三千坪の現有用水池を利用して之を沈澱池とする」、この問題について、当初五月の二十四日に直接交渉した場合、そのときには、沈澱槽、なお濾過器も入れて十分に浄化します。そのときに、浄化するのには科学の粋を十分入れてやる場合には八月一ぱい、要するに三月間、こう申された。それが、このときの説明では、突貫工事で二週間でできる。二週間と三月間では、あのような黒い悪水を果して二週間でできるのだろうか、それが一つ疑える。また、その二週間までの間、要するに、この二十日までに一日置き、あるいは三日置きに流さしてくれ。もちろん、この流さしてくれということは、一日も今の浦安状況下にあっては組合が許さない。そこで今度は、調査会の構成についても、「各浦三名」、この問題は、まともに受ける一番大きい組合と、ただすぐ前を通るその組合と同じような三名で、この調査会によって出してもいいとか、あるいは出してはまずいとかというような機関を作られたんでは、われわれ三名だというようなことでは納得できない。少くとも浦安はよその数に応じた発言権を持たなければ、われわれはこの機関を作る場合の代表納得できない。いろいろとこの調停案について質疑を取りかわしましたが、まずこれは役員会でよく検討してから回答すると、明日の四時ごろと記憶しておりますが、それまでに回答しますと、こういうことで別れております。それが、さきほど申し上げたように、十二時に急に出すというようなことが、組合が怒って、われわれは押え切れなかったというのが、あのよう事態の起ったおもな理由だ。以上であります。
  168. 岩間正男

    岩間正男君 よく今の御説明でわかったんですが、その中で私たちもこの地図をいただいて拝見して、それで江戸川の川口に面した浦安と、それからずっと上の方になります行徳では、やはりいろいろな関係もだいぶ違ってくる点があると思う。しかも、組合員の人数におきまして、これは具体的にお聞きしたいんで、浦安ではどれくらい、それからそのほかの行徳南行徳あたりでの組合員の人数は幾らなのか、こういう関係者。それから質問が時間が制限されておりますので、ついでに、この問題を一つお聞きしますことと、もう一つは、大体最近の浦安における、まあ浦安を特徴的な代表的なものとして話していただきたいのでありますが、漁業状態ですね、ことに沿岸における漁業状態で、浦安町民の数はどれくらいか、その中で漁民は何人くらいいらっしゃるか、それから関連の生業についている人は非常に多いだろうと思います。それから何でも私たちの聞いたところでは、非常に本年の冬は暖冬である、それから春は高波が立つ、ほとんどノリが全滅に近い状況になって、もう七、八〇%がやられておるということを聞いておるのであります。ところがそれに対して、たとえばアオサが最近はつかなくなってきた、アオサがつかなければノリもっかないのじゃないか、八月の植付期に立って非常に先行き不安を持っておられる、こういうことも聞いておる。先ほどの御証言の中には、また最近は貝が育たない、そこで船橋あたりから五十万も買って、あそこに放たれたというお話も聞いておる。そういうような実情を、私たちこのたびの問題の中では非常に見逃すことのできない重大問題だと考えております。その実情につきまして、なるたけ要点だけでけっこうでありますが、お話しいただきたいと思います。
  169. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 簡潔に願います。
  170. 船山卯三郎

    参考人船山卯三郎君) お答えいたします。行徳組合は約三百名、南行徳組合は二百五十名、それから浦安組合に二つありますが、浦安漁業協同組合は千百五十名、第一組合は三百八、九十名かと記憶しております。  それから町民の数は町長さんに……。
  171. 宇田川謹二

    参考人宇田川謹二君) 町の状況を御説明申し上げますると、人口は一万六千四百七十名でございます。生業は七割五分が漁師でございまして、その他半漁半農、商工業者で二五%を占めております。  それから漁の状況は、昨年あのノリが不作でありまして、資本金をかけました金額の三分の一も上らないという状態でございます。それはもちろん手間等の計算はしておりません。原価計算等は全然漁師のことでありますので考えません。とにかく資本を投じたその三分の一しか収入がノリはなかった。その後、アサリ、ハマグリがだんだん少くなってきまして、むしろどんな原因であるかということを当座気がつかなかったのでございます。浦安に魚市場がございまして、これは各方面から魚を仕入れまして、あるいは佃煮なんかをその市場で売っております。その市場で買いました品物を行商が自転車のうしろに載せまして、そうして遠くは横浜あるいは川越、信州の方まで自転車で売りにいって、ようやく糊口をつないでおるという、実に悲惨きわまる状態でございます。そういうこと等を考えますと、一にこの会社から出る汚水責任は帰するといっても私は過言でないと思うのでございまして、ちょうど昭和二十九年にヒトデの被害がございまして、あのときは貝類は全滅に瀕しましたが、県、国の方で非常に心配していただきまして、やや糊口をつなぐことができたのでありますが、このヒトデは天災でございまして汚水は人災でございます。これは必ず改めることができると確信するのであります。しかも工場は十億もかけて新しい工場を作り、そうして漁民を救う予算は全然取ってありません。少くとも一割でも二割でも浄化設備をする予算等を取っておいて、そうして漁師に支払ってやれば、このよう事態は起らぬと思います。この浦安のケース、江戸川下流のこのようなケースを契機といたしまして、先ほど農林省の方もおっしゃいましたが、どうか立法化しまして、永久にこの問題の起らないようにくれぐれもお願いいたします。
  172. 岩間正男

    岩間正男君 海産物、ノリ、魚、ハマグリ、そういうものの年産額。
  173. 船山卯三郎

    参考人船山卯三郎君) 魚の方は最近減ってほとんどとれませんが、貝におきましては……。
  174. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 概算でけっこうです。
  175. 宇田川謹二

    参考人宇田川謹二君) それでは私から申し上げます。金額だけを申し上げます。浦安はアサリが三千八百七十三万一千円でございます。それからハマグリが三千二百五十七万一千円でございます。ノリは二億二千九百六十四万円でございます。これは浦安組合の収入でございます。それから浦安の第一漁業協同組合が二百九十六万八千三百円、ハマグリが三千五百六十一万九千六百円でございます。それからノリが五千百七十八万九千円でございます。それから南行徳の収獲は、アサリが二十六万円でございます。ハマグリが七万円でございます。ノリの収獲は県の方で不詳になっておりまして、つまびらかでございません。行徳はアサリが七十四万円でございまして、その他やはりつまびらかではございません。以上四組合関係の実情を申し上げました。
  176. 相澤重明

    ○相澤重明君 木下社長参考人に端的に一つお尋ねしておきます。簡単に答えて下さい。  先ほどから各委員から御質問いたしましたが、会社側の今までのお答えの中で、やはり現実の問題として、漁民側に被害があったことをお認めになるかどうか。
  177. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) お答えいたします。この点は私には確信がないので、果して被害が非常にあったかどうかという確実な結論を持っておりませんが、組合の皆様のお話を伺いますと、若干の被害があったのではないかという程度で、しかもそれはなぜかと申しますと、あの沿線には私の方の工場ばかりではなくって、上流からも工場排水がある。私どもの用水そのものも非常によごれております。下の方にもいろいろな工場がありますし、なお農地がありまして、その辺の農薬の関係といったようなものも考えられないわけでもないのだし、また潮流の関係で、隅田川、中川、荒川といったような水がやはり潮流の関係で河口に押し寄せてくる。そういうものがやはり潮流の関係で逆流するといったよう関係もありますので、どこの水がどれだけひどいということについてちょっと判定がむずかしいと思います。しかし皆様方お話を聞いて、そういう被害が実際あったとすれば、若干そういうものにプラスしているんじゃないかというような考えを持っておる次第であります。これはもう少し詳細に調査をしなければはっきりしたことはわからぬ、一日も早くそういう調査をしたい、かように考えております。
  178. 相澤重明

    ○相澤重明君 私のお答えを求めていることに簡単にお答えを一ついただきたいと思うのです。先ほど東京都の水産課長から、試験の結果というものは表明をされておるわけでありますが、それはあなたは信ずることができますか。できるできないで御返答を下さい。
  179. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) 行政官庁の……
  180. 高野一夫

    委員長高野一夫君) けっこうですから、委員質疑に対する答弁だけでけっこうです。
  181. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) これはまだ、私はそれがほんとうにそうかというようなことに対しては多少の疑問を持っております。
  182. 相澤重明

    ○相澤重明君 東京都の水産課長は、確信を持ってこの検査の一結果というものは表明されたと委員は理解をしてよろしいですか。
  183. 坂本勝一

    参考人坂本勝一君) これらの試験結果は、私どもは試験機関の結果は信頼しております。従ってこれは確かなものと信じております。
  184. 相澤重明

    ○相澤重明君 会社側の、特に木下社長参考人は、少くとも東京都という公共機関がいわゆる実験をしたものについて、いまだ疑問を持っておる、こういう表現をされたということについて、あなたは今後についてもその考えでいくということを表現されますか。
  185. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) お答えします。それは今後ともそんな考えは持っておりませんけれども、今までの御調査の結果というものの内容は実は私は詳しく存じませんので、軽々にこれを全面的に受け入れるということは、ちょっとまだちゅうちょしておるわけでありますが、こういうものは何べんも試験もし、いろいろな状態を考えぬというと、はっきりした数字は出ないたちのものでありますので、全然それに同意しないというわけじゃありませんが、もう少し両方でよく打ち合せして、得心のいくような試験をして、初めて結論を出すということがほんとうじゃないかと、かように考えております。
  186. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の木下参考人の答弁はあまりにも形式にこだわっておると私は思うのです。しかしこれはいずれ本委員会の審査の進行につれて、もし必要があればあなたを参考人でなくて、私どもは証人として喚問する用意を持っております。いずれこれは機会を見て、またそのことは申し上げます。そこで農林省にお尋ねしたいと思います。農林省は水産資源の保護については、国家財政の中から各地方団体にも助成金を出しておると思うのでありますが、今回の場合東京都並びに千葉県に対して補助金を出しておるかおらぬか、この点について答弁を願いたい。
  187. 西村建太郎

    説明員西村建太郎君) 水産資源保護法によりまして保護水面という制度をとっております。この関係の海面につきましては、千葉県の浦安の地先と、それから江戸川の地先の二つの水面がありますが、これにつきましては、これは都なり県が施設するのでございますが、農林省としましても、これにつきまして、浦安地先のものにつきましては、千葉県に対して昭和三十二年度において六十八万六千円、それから葛西浦漁業協同組合の地先につきましては五十万円、ただしこの五十万円は羽田の地先も含んでおりますので、葛西浦のものは、このうちの一部になる、こういう補助をいたしております。
  188. 相澤重明

    ○相澤重明君 さらにお尋ねいたしますが、たとえば、そうしたいわゆる水産資源の保護について国費を投じているわけでありますが、これがいわゆる人為的な問題で、もし不幸にしてこの目的を達成することができ得ないというような場合には、農林省はどのような措置をお考えになっておるか。
  189. 西村建太郎

    説明員西村建太郎君) 御質問の趣旨をあるいは私が取り違えているかもしれませんが、法律的な問題としてはいろいろむずかしい問題があると思います。これは海面に都道府県が——そういった保護水面を設置する管理者は都道府県であります。だから、それは海面だけであります。しかもその海面については一定の行為を制限して保護をする。従って、これは単なる財産権に対する被害というものとは違いますので、そこに対して一体国なりあるいは都道府県が損害賠償の請求権があるかという問題、かりに過失責任が加害者の側にあるとしましても、そういうむずかしい問題は私ちょっとにわかにここで申し上げられないと思います。現実の問題としましては、私どもとしましては、こういう保護水面を作った趣旨に照らしまして、都なり県と十分連絡をとって、あるいはそこで、今年について言えば、秋の稚貝の発生を容易ならしめるように多少そこを耕転するとか、そういったことを考えているわけであります。これはおそらく私の方で事務的にも都なり県にも連絡しておるはずでございます。都の方でもこの点は了承しておられる、こういうふうに思っております。
  190. 東隆

    ○東隆君 関連して。私は通産省に伺いますが、業種別排水処理状況というプリントがここに参っておるわけでありますが、これによりますと、その紙パルプ関係排水の処理状況、そういうものはこの中に入っておりますかどうか、お答えを願いたい。
  191. 松尾金藏

    説明員(松尾金藏君) このお手許に提出しております資料には入っておりません。
  192. 東隆

    ○東隆君 水産庁の方でお配りになった昭和三十一年度における水質汚濁による漁業被害、こういうプリントがございますが、その中で紙パルプ関係のものが九十一件ございます。それは総体四百七十八件のうち九十一件になるのですが、こういう非常に大きい割合いのものがこの処理の中にないのだ、こういうのでありますので、これは非常に不思議に感ぜられるわけです。そこで通商産業省では紙パルプの廃液を処理するのに対してどのような基準をお示しになっているか、それをお答え願います。
  193. 松尾金藏

    説明員(松尾金藏君) お手許に配付しております、差しあげております。資料は、註にもことわっておりますように、私どもの方の調査統計部で調査をした資料が、たまたま化学工業部門についてございましたので、これについての資料を配付いたしておりますが、紙パルプ部門についての調査は、実は私どもの手元で役所として調査したものはございませんので、残念ながら配付できなかったわけです。今御質問の点は、紙パルプ廃液の処理につきましてはお説のように廃液の利用方法その他について、たとえば東京の工業試験所等におきまして、その利用方法の技術的研究その他は従来続けて参っておりますが、また現実にその一部は工場において実用化しておりますけれども、一率にこういう基準でというような基準をもっての一率の取り扱いは現在まではいたしておりません。
  194. 東隆

    ○東隆君 これは私は工業と、それから農業あるいは漁業等の関係ですね、その関連において非常に大きな問題がある。通産省の方では自分の方の関係のものに対しては、できるだけ処理その他についてはお考えにならないで、そうして工場関係の方面に利潤が上るようにお考えになっておるかもしれない。しかしその結果は、農林漁業の方面には非常に大きな影響を与えておる。この二つのプリントをながめてみますと、先ほど申したように紙パルプだけ取り上げても四百七十八件のうち九十一件を占める、三十一年度の漁業関係だけですよ。従ってこの関係はどういうよう状態になっておるかと申しますと、いかほど漁業家やそれからあるいは農業関係のものが会社にかけ合いをしても、会社の方では一向それに応じないという形が随所に行われておる、こういう形が随所に行われておる。従って皆さんの方には、何かそういう点でもって通産省の方には、たとえば水田の関係や何かもありますし、漁業関係もありますが、そういうようなものは、皆さんのところにそういう訴えはございませんか、通産省の方にそういう訴えはございませんか。
  195. 松尾金藏

    説明員(松尾金藏君) 私の方でも工場側施設その他につきましてはできるだけその被害の除去施設をやるようにということは、もちろん従来も各現地におきまして行政指導はいたしております。また今お話の大きな紛争事件等につきましては、私どもの耳にもそのときどきにある程度入りますけれども、現実問題として、工場に対しましてどういう事件があったかというようなことを問合せて調査いたしましても、その問合せの結果はなかなか十分にはまとまらないというよう状況で現在まで過してきておるよう状態であります。
  196. 東隆

    ○東隆君 私は、先ほど北越製紙の会社関係をされておる委員が質問をされておる、東京都の方に質問をされておる、その質問の中身は、パルプ工業のようなものは被害がないようなことになっておるというような前提のもとに質問をされたのじゃないか、こう思うのです。そういうような意味に、これは午前中の場合でしたか御質問がございましたが、そういうような意味に解釈されるように私はとったのです。従って通産省の方では、この紙パルブ関係についてはきわめて廃液の処理に対して非常に弱く指示をされておるのじゃないか、こういうように考えますが、ほかの関係と比べてそういう点はございませんか。
  197. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) 紙パルプにつきましての弊害問題につきましては、河川の事情、それからその流す廃液によりまして簡単に一律に参りません。同じ液でございましても、その流す量とそこの水量、それから本来の水の性質というものによっても違うものでございますから、一律な基準ができない、これに非常に大きな欠陥がございます。基準ができれば非常にこれも指導しやすいのでございます。従いましてわれわれとしましては、極力地元府県等におきまして、いずれこれは河川等に流す問題でございますから、河川法その他によっていろいろ府県との連絡もあることですから、そこから問題が来ますれば、先ほど企業局長からお話がありましたように、開銀等の融資あっせんを行いまして、設備をするようにというような指導は行われております。
  198. 東隆

    ○東隆君 今のお話は、基準をきめることが非常に困難だというふうに聞こえるのですが、私は問題は、今回の場合における廃液でも、ことしのような気候が続いて、そうして旱魃が続いて雨量が少い場合には川の水も従って少い。従ってこういうような年には非常に害を与えることは、これはわかり切っている。雨が降っているときにお調べになったら、これは問題がないでしょう。従ってそういうような非常にむずかしい問題です。お調べになって、試験をするときにこれは非常にむずかしい問題ですから、従って許容量というものは一体どこかという点は、これはほとんど違う形によって調べなければならぬ、ことに生物というものを対象にしてやる場合に、そんなに簡単にいくものだとは考えません。しかしそれを困難だから云々と、こういうようなことをやって、そうしてそのままほっちらかしておいたら、これば痛めつけられるのは沿岸の漁民が痛めつけられる。設備をしなければ、しないで助かるのは、これは大企業でしょう。そのようなことをほっちらかすことが、これはどっちに味方をしておるかということははっきりしておるわけです。従って、問題は、私はどうしても最悪の場合を前提において、そうして廃液の処理をやらなければならぬ。それをやらないでおいて、そうして気候の状態だの何だのそういうような条件によって現われてきたときに、問題が起きたときに大騒ぎをしていてもこれは仕方がないのですから、基準量だの困難だの何だの、そういう問題でなくて、必ずやらなければならぬのだという前提のもとに立つべきじゃないですか、そうお考えになりませんか。  昨年、この前の国会に社会党は水質汚濁防止法案を出しておる。しかしこれは政府の方ではなかなかお認めにならぬから、私どもの方で出したのですが解散になってそのままになりましたけれども、政府が真剣にもし取り組むのならば水質汚濁防止法というものをこれは作らなけれならぬ。そのときに一番問題になるのは、これはどちらが問題になるかというと、私の聞くところでは通産省が一番問題になる。水質汚濁防止法を何のために問題にするか、これはなかなか私どもにはわからない。だから問題ば完全に廃液を処理する、こういう前提のもとに立たなければ工場の設置を認めないのだと、こういう考え方に立つよりほかにこの解決方法はない。そういう前提に立たなければこの問題はなかなか解決しないと思うのです。これは私はこの問題を中心にしてやはり水質汚濁防止法というものを作り上げていかなければならぬ、漁民の皆さんの非常な大きな犠牲を土台においてそういうものができていかなければならぬ、これは先ほどお話があったと思う。そういう点だろうと思う。その点は一つ通産省の方で十分にお考えおきを願いたい。私はこれだけで……。
  199. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 松尾企業局長御意見ありますか。
  200. 松尾金藏

    説明員(松尾金藏君) ただいまお話のございましたように水質許容基準をきめること自体は非常にむずかしい、むずかしいからこの問題を放置しておいていいとはもちろん私ども考えておりません。現在まででもそういう一律の基準を強制をするような建前にはなっておりませんけれども、特にパルプ工場等においては汚水の問題が非常に重要な問題でありますので、今お手元に配付しております化学工業の平均的な形よりははるかに高い程度で汚水処理施設は現在でもすでに作っておるはずでありますけれども、なおいろいろ状況によって従来も紛争を起しておることはまことに遺憾な点であると思います。まして今後そういう問題を徹底的にいたしますために、法律をもつて一律に強制をしようというようなことになりますと、これはまた水質許容基準を作るよりさらに問題が重大でありますので、従来も通産省としまして大きな問題のある川については、いろいろな機会に実態調査を進めて参っております。そのようなデータを集めまして、今後できるだけ早い機会に一律許客基準をきめ、またそれと同時に必要な法律の制定をしよう、こういうふうに考えておる次第であります。
  201. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 片岡君、午前午後にわたりましてだいぶ長時間かかっておりますから、質問の問題点をできるだけしぼって、かいつまんでやっていただきたい。
  202. 片岡文重

    ○片岡文重君 結論的に二点ほどお伺いしたいんですが、第一点は、都の指導部長に、もう一ぺんくどいようですが私は念を押しておきたい。それは先ほどの御答弁で本州製紙から許可申請のあった際に、不安を感ぜられて濾過池の新設等の措置を命ぜられておる。命ぜられたまでいかなかったかもしれない、指導されたのかもしらぬが、ところがそれに対して会社側からば差しつかえない、不安はないんだ、もし万一これが何か事故が起るようなことであるならば、その解決ば全責任工場側が負うものだ、こういう言明があったからこれを信じて許可した、こういう結論であったと思うのですが、これのいいか悪いかはこの際議論いたしません。問題はそこで当然事故によって起る事態解決の全責任会社側は負うとすれば、私は先ほども申し上げましたように、原状回復ということがまず考えられるのであり、起されたところの被害に対する補償、賠償は当然考えられなければならなかったのだが、部長はその際そういうところまでは考えなかったという御答弁のようでありました。そこでしからば一体どういう点を許可をされるときに当ってお約束をされたのか。おそらく私が推察するところでは、そういう突っ込んだ真剣な態度ではなくて、おそらく談笑のうちにじゃまあよろしかろうという軽い気持で私は取引されたのではないかと思う。しかしかりに真剣にされたにせよ、軽い気持でなされたにせよ、少くとも事態解決の全責任会社が負うというこの一言の中には会社側の意図がどこにあろうとも、許可された部長の意図がどこにあろうとも、この約束の内容というものはきわめて重要であり、この事態解決に非常に大きなファクターを持っておると思うのです。部長はこの点についてどの程度に真剣に、この問題についての許可を与えるときに考えておられたのか。今申しましたようにそういう深いところまで突っ込んで考えておられなかったというのであるか、もしそういう深いところまで考えておられなかったとするならば、一つ一つ具体的に補償の問題を含んでおったとかおらなかったとか、濾過池の改廃については考えておったとかおらなかったとか、いろいろな具体的な問題まであっての話なのか、そういうところまでは突っ込んでおらない、抽象的にそれならばということで許されたのか、その点をもう一度はっきりとお聞かせいただきたいと思います。重ねて言いますが、具体的に一つ一つを検討した上でよろしいという許可を与えたのか、漠たる話だけで許可を与えられたのか、その点を一つお聞かせをいただきたい。
  203. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) お答えいたします。損害賠償の問題につきましては、先ほどお答えしました通りでありまして、上司ともう一度よく打ち合せした結果お話申し上げたいと思います。私どもは私どもが仲に立って会社漁民の方に損害の賠償をするということの約束をしたと考えておりませんが、それまであっせんをしなければいけないのかどうかという問題につきましては、ちょっと私現在答弁ができかねますので、上司とよく御相談の上御答弁を申し上げることにいたします。  それからほかの点につきましては、私どもとしては除害設備の点であります。除害設備を完全にするということであります。除害設備にはいろいろな方法があるわけでありますが、除害設備を完全にする。それから会社が除害設備をなかなか完備しない間は自発的に会社責任において操短をするなり——今の場合は違いますが、仮定の場合でありますが、場合によっては操短で可能な場合もありましょうし、あるいはまたそれを一時停止しなければならない場合もあろうと思います。その場合そういう点につきましては会社が積極的に自己の責任においてやる、こういうふうに解していたわけであります。それから役所がこうしろというような式に指示した場合には会社がその指示に従う。この二点だというふうに考えております。
  204. 片岡文重

    ○片岡文重君 今後とらるべき措置については上司の御指示なり御相談を必要とするでありましょう。けれどもすでに過ぎ去った、過去においてあなたが会社側お話をなさったわけですから、そのときのお気持、そのときのとられた態度についての御説明を私は伺っているのですから、別に上司にお伺いをしなくとも私御答弁できるのじゃなかろうかと思う。どの程度の範囲のことをお考えになってこれを許可されたのかということをお伺いしているのです。
  205. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 損害賠償につきましては考えておりません。それ以外のことは、工場設備とか、その他については十分考えております。
  206. 片岡文重

    ○片岡文重君 はなはだもってけしからぬお答えであると私は思います。しかしその問題の追及は議論になりますからやめておきます。  次にお伺いをいたしますが、これは今東君からもお話があった通り、前国会で私ども社会党は水質汚濁防止法案というものを提出いたしました。この法律の目的は「工場事業場の排水等による河川、湖沼、港湾、沿岸海域その他公共の用に供される水域の水質の汚濁を防止するとともに排水等に係る紛争に関しあっ旋、調停及び裁定を行い、もって公衆衛生の向上と水資源及び水産資源の保護を図り、あわせて排水等に係る利害関係者間の利害の調整に資することを目的とする。」となっております。そしてこの水質汚濁許容基準等の設定であるとか、あるいは許容する区域の指定であるとか、そういうことをうたっておるわけです。不幸にしてこれは政府並びに与党諸君の御同意を得ることができずしてこれは廃案になってしまいました。  そこでお伺いしたいのですが、この法案がもし成立しておればこのよう事態にまで私はならないで、この法律によって救われたと思うのです。しかしながら、遺憾ながらこれは廃案になってしまいましたが、こういう法律を作ることに関係方々はどういう御意見を持っておられるか、反対をされるのか、御賛成なのか、一つ町長さん並びに理事の方、それから東京都の関係方々とあわせて会社の社長さんにもこの点を一つお伺いをしておきたい。
  207. 宇田川謹二

    参考人宇田川謹二君) 先ほど申し上げました通り、この江戸川下流の問題を契機といたしまして、ぜひとも今後こういう悲劇の起らないように立法化を急いでいただきたいことをお願い申し上げます。
  208. 船山卯三郎

    参考人船山卯三郎君) 浦安町はもちろんのこと、業者代表いたしまして一日も早く立法化するようにお願いいたします。
  209. 佐久間菊蔵

    参考人佐久間菊蔵君) 全漁連におきましてもこの水質汚濁防止法案を設けることにつきまして、非常に御配慮をわずらわしておるということも承わっております。もちろん、都道府県水産関係は、全部これを立法化することの一日も早いことを各方面に運動しているということも聞いておりますので、私もその点については全面的に賛成するわけでございます。
  210. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) この法案が非常に合理的であり、しかも、これが実行可能な法案であるならば、こういう法案が早くできることは非常にけっこうなことだと私は考えます。
  211. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私から一点伺いたいのでありますが、千葉県、東京都の方どちらでもけっこうですが、−が補助金を出しまして、種貝の飼育管理をやっている。それはどの辺の地域でやっていて、今度の被害について、被害を受けているか、受けていないか、また、受けていなければ、今後この被害を受ける可能性が多分にあるかどうか、その御調査の結果を聞かせていただきたい。
  212. 坂本勝一

    参考人坂本勝一君) 先ほどの陳述で申し上げましたように、まだ精密な調査はいたしておりません。次の大潮時に調査をいたしたいと考えておりますが、今までの調書におきましては、相当の貝類の死にがらを発見いたしております。もちろん貝類以外に底魚も死んでおりますが、ただいま御質問の貝類につきましては、相当な斃死を認めておりますので、現在においてもすでに被害があると、また、先ほど申し上げましたように、今後の被害も増大するものと考えております。
  213. 大矢正

    ○大矢正君 議事進行について。相当長時間にわたって質疑をかわしたのでありますが、なお私といたしましては、警察関係方々に、いろいろこれまた長時間聞かなければならぬ問題もありますので、経過説明に対する質問等につきましては、警察を除いて、大体この辺で一応打ち切りとして、あとは警察庁から経過報告と、それに対する私ども質疑の方向に回していただきたいということを実は要望するのでありますが、そのためには、大体東京都あるいは千葉県の方々に対する質疑は、もう終ったんじゃないかと思いますので、一応この辺でお帰りを願って、しかし、会社と、それから町、漁協の方には、警察の関係も出て参りますから、これらの方々にはお残りをいただいて、他の方々におかわりをいただき、かわりに警察の方に入っていただいて、経過説明と、私ども質疑と、こういうことで進行していただけばけっこうだと思います。
  214. 高野一夫

    委員長高野一夫君) それでは、その前に私から一点木下社長に伺っておきたいのでありますが、事業の監督官庁である千葉県並びに東京都庁が試験をしたその結果に、まだ会社側として承服することができない、いろいろ今後さらにどういう試験をしたか詳細に聞いて、調査した上でなければ何とも言えない、こういうようお話をしばしば各委員の質問に対して御答弁になっているわけです。そういたしますると、組合側は非常な被害を受けたと言うし、千葉県庁、東京都庁も相当の被害が生じていると言うし、しかも会社側の方では、先ほど矢沢取締役からのお話もありましたが、排液は決して有毒でないと、こういう断定をなさるし、社長は、有毒であるかないかの、被害を与えたかどうかの監督官庁の試験に対しては、なお現在のところ了承することはできないと、こういうようなふうで、まことに三者この問題について意見が完全に食い違っておるわけです。そうして、大体似ているのは、組合側と、それから千葉県庁、東京都庁で、被害があると、こういう見解であります。会社だけは、被害があるはずがない、なお監督官庁の試験ではあるけれども、これは今直ちには承服しがたい、こういうふうな御意見であったように思います。そういたしますれば、今後どういうふうな方向に向って、組合並びに会社の方で解決策の御相談になるかどうか知りませんが、そういうような意見の食い違いが非常にあるといたしますれば、この問題について話し合いがついて、円満に妥結をするということは、現段階においては、はなはだ容易でないような感じを持つのであります。私どもは、先ほど来伺っておって、それを非常に心痛をいたしております。そこで、もしも被害があるのならば、その被害に対しましては、早急に適当な方法をどういうふうにして講ずるかという問題が出てくる。また、被害があるものならば、将来それを防止する方法をどういうふうにしてやるかということも考えなければならないわけであります。すでにその基本において、被害があったかなかったかの調査にこれからかかって、そうして意見の調整を見なければ、両者の意見が一致しないということになりますれば、これは、なかなか私は、ここで皆様方の間でお話をお進めになっても、簡単に妥結の点が見出されないのではないかと、こういうふうに非常に憂慮いたすわけであります。しかも、漁民にとりましては、一日といえどもこの生業を捨てることはできない事情である。そこで、この問題につきましては、当委員会は、きょうの参考人方々の非常な御協力によりまして、だいぶ事態が明確になって参りましたので、さらにこれを基本にいたしまして、早急に今後審議をさらに継続いたしまして、そうして今度の浦安の問題、並びにこれに類似したケースが全国にしばしばあるやに聞いております、先般神奈川県の酒匂川においてもああいう数百万尾の毒死があった。こういうようなことでございますから、将来、全国のこういうケースに対して、どういうような対策を講じたらいいかということも、当委員会がこの問題を取り上げました一つの目的であります。さような次第でありますから、当委員会は、さらに今後、委員長理事打合会において協議いたしまして、委員会に相談いたしまして、審議方法を考えたいと思います。あとは警察関係質疑に移りますから、私からお願いをいたしまするが、どうぞ参考人の各方々は、それぞれの立場において誠心誠意本問題の迅速なる解決策を、いかにしたらよいかということについて、御考慮おきを賜わりたいと思います。場合によりましては、再びここにおいでを願いまして、そのお考えになりました結果を、お聞かせを願わなければならないよう事態に相なるかもしれぬと、かように考えます。  それでは、警察庁に対する質疑に移りますから、千葉県と東京都の方々は、御三名とも御退席願ってけっこうであります。まことにきょうはありがとうございました。組合側と会社側の方は、いましばらくお待ちを願いたいと思います。  質疑を継続いたします。ただいま警察庁から、浜中警備管理官並びに警察庁の警備管理官課長補佐中島二郎君、警備課係長荒沢茂君、御三名が御出席になっております。
  215. 大矢正

    ○大矢正君 私は、具体的な質問に入る前に、なぜ警察庁の責任者がきょう来れないのか、その理由を明らかにしてもらいたいと思うのです。
  216. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 警察庁長官を呼んだのでありますが、よんどころないほかの会議その他がありまして、事情に最も明るい浜中管理官が、そのかわりとしておいでになったと私は承知しております。
  217. 大矢正

    ○大矢正君 長官じゃなくても、長官の次というのがいるはずでしょう。よく警察行政のことは専門家じゃないからわからぬけれども課長さん以外に長官の次にはいないのですか。
  218. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  219. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記を始めて。
  220. 大矢正

    ○大矢正君 私よりは、おそらくきょうここに御出席の片岡委員から質問をする方が、より明快じゃないかと思うのでありますけれども、おそらく片岡委員あとから警察の方々には質問をされるものと思いますのでとりあえず、私に先に質問をさしていただきたいと思うのでありますが、十日の日にあのような不祥事件が起ったというこの理由について、何かしら単に群衆心理にかられたというだけにとどまらずして、その間に、挑発的な行為があったのではないかという気もいたします。これは、あくまでも私の判断でありまして、事実そういう裏づけとなる資料を持ち合せておるわけでもありませんので、後刻このことについての私の判断を述べたいと思いますが、十日の日に警察を相当数動員をしているのでありますが、これは一体どういう理由とどういう判断に基いて、相当大幅な警官を動員される結論になったのか、この辺を、この際、念のために承わっておきたいと思うのであります。もちろんその中には、デモ隊が工場に到着をした以前から警官が来ておったのか、あるいはまたデモ隊が工場に到着をし、暴力的行為が起る危惧があったために警官を動員したのか、こういった事情も御説明をいただきたいと思うのです。どうかお願いいたします。
  221. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 今回の事件につきましては、かねて汚水の問題をめぐって、いろいろな折衝が行われておりまするが、警察といたしましては、今回の紛争は、零細な漁民生活権に直結いたしまする問題でありますし、さらに、五月の二十四日の第一回抗議陳情の際におきましても、一つのトラブルが起ったのでありますので、従って、対象が都なりあるいは千葉県にまたがっておりまするような特殊な問題でありまするので、治安上は、あのような暴力事犯が起るというような判断はいたしておりませんが、十分警戒を要するというような判断をいたしておったのであります。従って排水が有害であるか無害であるかという問題に発しまして、漁民がきわめて差し迫った生活上の死活問題として、真剣に会社側にその解決を迫っておりますものでありますので、警察といたしましても、かねて会社側に、あるいは工場側、地元の漁業組合等に対しましても十分に事態を平和的に解決するようあらゆる努力をいたされたい旨のアドバイスをいたしておったのであります。ところが、ちょうど十日の日にたまたま国会に対しまする集団陳情が行われたのであります。さらに都庁に対しましても陳情が行われたのでありまするけれども、国会におきまして陳情の模様等を見ておりまして、たまたま参議院常任委員会のガラスがこわれるというよう事態が生じましたし、また一部漁民方々にはかなり酒気を帯びておられる方も相当多かったように見受けられたのであります。従いまして去る五月二十四日に起りましたようなことも予想せられまするので、陳情団の方々が直接工場に向って出発されるというようなことでありましたので、万一の事態に備えまして警察独自の判断に基きまして、もちろん会社側の要請もあったのでございまするが、このままじっとして事態を送ってはいけないというような判断から、四時半ごろだと思いますが、警視庁におきまして機動隊を小松川警察署に転進させまして、工場の警戒に当ったような次第であります。従いまして、陳情団の方々工場に到着いたしましたのは六時八分ごろだと思いまするが、その直前に二百十八名ぐらいの警察官が現場に、工場の中に待機して警戒に当ったのであります。しかし、警察が挑発的な行為をとるというようなことで起ったものでなくして、組合員方々が門を乗り越えまして一斉に工場内に乱入されるというよう事態発生いたしましたために、あらかじめ待機いたしました警察官、これは努めて刺激にならないようにというような角度から、こういうよう事態が起らなければそれでいいし、そういうようなつもりで見えない所に待機させておったのであります。不幸にして十日のよう事態が起った次第であります。
  222. 大矢正

    ○大矢正君 警官を動員をするという判断をしたのは一体だれがしたのですか。
  223. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 警視庁の警備部長がその判断をなされたものと考えます。
  224. 大矢正

    ○大矢正君 きょう警視庁の警備部長が来られない理由はどういう理由ですか。
  225. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 出席を要求されておらなかったと了解しております。
  226. 大矢正

    ○大矢正君 委員長にお尋ねしますが、それは要求してないわけですか。——そうですか。  あなたの御説明によると、警察当局としての判断もありましたし、さらには会社側からの要請もあって二百十名程度の警官を動員したという説明でありますが、それは両方から——警察は警察の判断、それから会社会社からの要請、こういう両方の意見の一致と判断の一致を見て警官を動員する結論を出したということなんですか。それとも会社側から要請があり、そのことについて警察側として検討をした結果動員をした方がよろしいという、財産保護か人命保護かわかりませんけれども、その立場に立って動員の指示を出したのかどうか、それはいずれなんでしょう。
  227. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 警察の出動につきましては、会社側の要請のあるなしにかかわりませず、警察独自の判断で出動するのを建前といたしております。今回の事件につきましては、会社側の要請がありまして、それについて検討いたしましたことはもちろんでありますが、警察の、国会におきます状況なり、あるいは都庁におきます状況、そういうようなもの等を総合的に判断いたしまして、むしろ警察の判断の方がより強い割合において決定されたのだという了解をいたしております。
  228. 大矢正

    ○大矢正君 会社側は、私の方としては警察を動員してもらう必要性がないという申し出をしたときにでもなお警察は警官を動員して工場のうちそとを問わず、防衛か挑発かわかりませんけれども、その任に当る必要性というものがあるのですか。
  229. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) ああいうよう事態が起りましたときには、警察への要請の有無にかかわりませず、警察官は出動しなければならないというふうに考えております。
  230. 大矢正

    ○大矢正君 私の質問しているのはですよ、会社が警察官の動員の必要性がないと言っても警察は動員をするという、こういう立場なのかという、こういう質問をしているのですよ、その通りですか。
  231. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) その通りでございます。
  232. 大矢正

    ○大矢正君 それはおかしいじゃないですか。話し合いをしている両方の同士の一つの会見でしょう、数が多かろうが少かろうが。その会見でもし話し合いを平穏裏におさめようとして警察が来られることによって感情を刺激してはいけないという立場から、もしその会社代表者が警察を動員してもらう必要性はございませんと言ってもなお警察が出て来るということは、言いかえればその平和に話し合おうとしている話し合いに警察が水をかける——水をかけるとこれはしぼまるからいいのだけれども、そうではなくて、油をかけるような結果になるわけでしょう、こういう点はどうなんですか。
  233. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 一般的なことを申し上げたのでございますが、組合会社側がいろいろと話し合いをしており、しかも会社側で警察力の要請を求めないというような場合には、普通は警察は出ないのを原則としております。ただそういう問題でなくして、非常な暴力事犯が起った、あるいは会社側で要請をするいとまもないというようないろいろな場合もありますので、そういう事態によっては警察が独自の判断によって出動し得ることも当然これは警察の任務としてあり得るということを申し上げたのであります。
  234. 大矢正

    ○大矢正君 あなたの説明を聞いていると、どこに重点を置かれて判断をされたのかということについては、非常に私は不可解なんですがね。  それじゃ社長さんにお伺いしますが、社長さんは警察にこの際おいでを願って、そうして万が一漁民方々が押しかけて来るようなことがあった場合には、それを防いでもらいたいというような要請を警察の方に出されたのですか。
  235. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) お答えいたします。そういうことは全然要請をしておりません。
  236. 大矢正

    ○大矢正君 そうなって参りますと、どなたか存じませんが、警察の方の御答弁と今の社長のお答えとはだいぶ食い違うわけですね。最初あなたは法律的には——法律的にはと申しましょうか、まあ一般的には警察自身の判断でできるであろうということを言われておりますけれども、今回の問題については、経営者からも要請があったので、その要請と警察自身の判断とに基いて行われたと、こう言っておるのですが、今、そんな要請をした覚えがないと会社は言っておられますが、どうですか。
  237. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 今回の場合につきましては、小松川の工場から要請書を取っております。要請に基いて出動いたしております。
  238. 岩間正男

    岩間正男君 関連。今の明らかに食い違いがある。あなたはさっきはっきり言っておるのだ。警察の判断で、そのあと会社側の要請もあって出したということを、前言を翻しておる。小松川署の要請と会社の要請は同じか。
  239. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 間違いました。
  240. 岩間正男

    岩間正男君 もっとはっきり答えなさい。でたらめじゃいかぬぞ。なめちゃいかぬぞ、国会を。何だそれは。
  241. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) いや、会社側の要請はもちろん取っております。要請を受けて出動いたしておりますけれども、たとえば要請がありましても、出動するかしないかという判断は、警察独自の判断でする、こういう趣旨です。(「おかしい」と呼ぶ者あり)
  242. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私からあらためて浜中さんに伺いますが、今回の問題に関する両委員質疑でございますから、今回の場合には、会社の要請があってから警察の方で判断をされて出動されたのであるか、それとも両方の要請があって、かつまた、その要請があるなしにかかわらず、別個に警察は警察で準備されておって、たまたまそれが一致して出動されたのであるかどうか、こういうことが先ほど来、質問されているわけであります。従って、一般論でなくして、今回の出動についての事情を御説明を願いたい。
  243. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 警察はいろいろな情勢から出動する必要ありと判断いたしまして、会社側と連絡いたしましたところ、会社側も同じように、そういうような判断をされて要請をされた。従って、両方の判断が相待って出動という形になったわけであります。
  244. 岩間正男

    岩間正男君 社長ははっきり、そういうことは全然ございませんと、こう言っておるのです。この間の食い違いはどうします。あなたの方では要請があったと言う、会社側は、要請しませんと言う、どっちをわれわれ本気にすればいいんですか。もっと統一してやって下さい。だれがやったか、会社側の社長は知らない。それで実際は会社側の事務官がやったのか、そういう事実があったのか。
  245. 木下又三郎

    参考人木下三郎君) 私としては、要請をいたしません。ただし、工場の保安につきましては、工場長に一任してありますので、そのときの情勢によって、工場長はどういう処置をしたかという詳細は、私は存じませんが、これは工場長からその辺の事情は。(「おかしい」と呼ぶ者あり)
  246. 大矢正

    ○大矢正君 あなたが、あなた方がそういう答弁を再三されるとすれば、私は三回か四回くらい同じ質問をして念を押してからでないと、これから質問を次に進めることができなくなるのです。まあきょうは参考人でございますから、あまりえげつないものの言い方をしては悪いので遠慮しておるのですが、警察庁の答弁といい、社長さんの答弁といい、もし社長さん、私の質問に対しての答弁に自信なければ、隣の工場長さんに聞いて答弁しても私は不満でも何でもないのですが、それをまことに自信満々として御答弁をされて、そうして数分後にはまた別な答弁をされたり、また、私の答弁では満足じゃないようだから、他の工場長にさせるというようなことは、私は非常に不満足なところですが、きょうは参考人ですから、これ以上社長さんに対してどうこう申し上げることは失礼だと思いますからこの辺でやめますが、青木さんだいぶさっきから手をあげておられるようですから、どうぞ一つ。
  247. 青木貞治

    参考人青木貞治君) 先ほど社長がああいうことを申されましたのですが、私は当時工場におりまして、その詳細を社長に申し上げておりませんので、どうしてああいうことになったか……。この警察への要請ということに対しまして、私どもは、先ほどもちょっと申し上げましたように、漁民の皆さんが東京都それから国会、それから場合によっては本社に寄るのじゃないかというようなことを絶えず連絡しておりました。しかもまた、小松川の警察署の方とも情報の連絡をしておりました。従って、前回、二十四日に問題がありまして、ああいうことがもしまた起るということがあると想定するときに、もし起ったら一つ来ていただきたいということで要請してあります。
  248. 大矢正

    ○大矢正君 またそこで食い違いが出ておりますね。問題が発生した場合には、警官を動員してもらうというあなた方のお申し出でありますけれども、この場合の経過説明を聞きますと、漁民方々工場に到達をする以前にすでに工場内に警官が入って、あなた方が要請していないにかかわらず警官が入っているという事実がありますが、これはどうですか。これは工場長さんに聞いても仕方がないから、一つ警察庁の方にこれは質問いたします。
  249. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 陳情団の情況等から判断いたしまして、東京都庁におきまする陳情の後に本社に行くことを中止いたしまして、江戸川工場に行くという方針を決定いたしたというのでありますが、その場合に工場で多少の暴力行為が発生するのじゃないかというようなことで、相当警戒を要するというふうに考えたのであります。従って、小松川の警察署長に対して、現地で部隊指揮をとるように下命いたしまして、第二機動隊の三個中隊を派遣いたしたのであります。部隊は小松川の警察署に到着いたしまして情勢を検討いたしたのであります。と同時に、警察署におきまして、組合側と連絡をとりまして——間違えました、工場側と十分に情報の交換と、いろいろ連絡、相談をいたしまして、万一の事態が起っては困るということで、工場の要請もありましたので、一応目立たない所ということで前面に出ることをよしまして、工場内にありますところの食堂の中で待機しており、もしそれが、事態がそのまま普通の交渉に入るというようなことでありますれば、そのまま出動することなくおさめるという方針で話し合いをしたのであります。
  250. 大矢正

    ○大矢正君 警察が到着をする前には、いまだデモ隊の人々は工場前に来ていなかったという事実は明らかになっておるのですね。そこで工場長さんの説明によると、前と同じような事故が起った場合には、警察に来てもらうという要請をしておった。ところが現実の問題としては、デモ隊がまだその前に到着もしていないはるか以前に、警察がもしかりに来たとしても、工場長さんの言われるように、事故が起った場合には一つ警察の力を借りようというのではなくて、その以前においてすでに警察をみずからの工場地内に引き入れて、そうして今、警察庁の答弁によると、食堂の中に待機させておいたということは、これはあなたの先ほどの答弁とはまことに食い違って、いわば未然に防止をするという意味なのか、あるいはまたそういう危惧を感じられたのかは存じませんけれども、事故が起る以前に、もうすでにそういう手を打たれておったということが明らかに今立証されているわけでありますが、先ほどのあなたの答弁とは相当食い違いがあるように感ずるのですが、いかがでしょう。あなたは事故が起きたならば、この際警察の力を借りようという答弁をされたのでありますが、ところが事故は起るどころじゃない。デモ隊もまだ全然来ていないうちに警察を中に引き入れて食堂の中に待機させておったということば、明らかにあなたの答弁の趣旨に反するのでありますが、まさか警察が幾ら権力を持っているからと言ってもあなたの、たとえば了解を得ないで門をあけてどんどん警察を食堂の中に待機させて、さあ来いなどということはおそらくないのじゃないか。あなたが承認をされたから警察が入っていって待機をされたのじゃないかと、こう思うのですが、その点はどうです。
  251. 青木貞治

    参考人青木貞治君) 時間前に来ておったということは、私ははっきりまだ確認しておりません。(「何言っているか、おかしい」と呼ぶ者あり)しかしそういうような連絡は聞いておりますが、その要請はあくまで事件が起って参るようなことはないという前提のもとに要請したのであります。
  252. 片岡文重

    ○片岡文重君 議事進行について。私たちは別におもしろ半分や何かでやっているわけじゃないのであって、午前十時から真剣に全精神を打ち込んでやっているわけです。答弁をされる前にはもっと、私は、真剣な態度で良心的にやってほしいと思う。同じ事件を何べんも何べんも、聞くたんびにくつがえされるようなことでは、一体いつの答弁をわれわれは信用していいかわからない。大へん参考人としては皆さん方もお忙しいところをおいでになったのでしょうけれども、私たちもやっぱり、この死活の問題に投げ込まれている漁民立場を考えて、またあなた方にしてもやはり事業をやっておられるからには責任があるでしょうし、われわれもむやみに産業を停止せしめようということは毛頭考えておりませんので、いかにしたらこれが全員の、全関係者の理解と納得の上に円満な解決がすみやかにできるだろうか。このすみやかな解決をめざして私たちは苦労しておるのですから、やっぱりわれわれの意のあるところを了とせられて、もっと答弁が、記憶があいまいであるならば、十分打ち合せておいてけっこうです。確信のあることを、一ぺん答弁されたら何べんもくつがえさないような答弁をしていただきたい。私は委員長から御注意をしていただきたいと思います。
  253. 高野一夫

    委員長高野一夫君) それじゃ浜中管理官と青木工場長に伺いますが、浜中管理官の先ほどのお話では、まだ陳情団が工場に着かない前に出動して、工場の食堂の中に待機しておったと、こういうようなふうに聞きましたが、それは間違いありませんか。
  254. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) その通りであります。
  255. 高野一夫

    委員長高野一夫君) そこで今、青木工場長お話では、さような事実は私は承知しておらない。あくまでも事件が起ったときに出動してもらうように要請をしたのであって、食堂に待機しておったかどうか私は知らないと、こういうことを工場の最高責任者たる青木工場長の方の御説明ように私は受け取ったのでありますが、さようお話しでございましたか。青木さん。
  256. 青木貞治

    参考人青木貞治君) お答えいたします。そういうことは事実ありました。
  257. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 青木さんに御注意いたしますが、ここは国会の委員会でございます。先ほど片岡委員からお話しがございましたが、おもしろ半分に、慰みでやっているのじゃございません。先ほどあなたは何とおっしゃった。速記録をごらんになればおわかりの通り、食堂に待機しておったことは工場長である自分が知らないとおっしゃったじゃありませんか。今私が問い詰めたら、そういう事実がありましたとは、一体どういうわけですか。どっちがほんとうなんですか。
  258. 青木貞治

    参考人青木貞治君) そういう事実がありました。
  259. 高野一夫

    委員長高野一夫君) そうすると先ほどは、うその説明をわれわれ委員の前でおやりになったと、こういうふうに解釈するよりほか仕方がありませんが、それでもよろしいですね。事実を承知しておいでになりながら……。これは証人喚問でございませんからけっこうです。参考人としてお呼びしているのですから。しかしながら当然速記録をとっております。国会の大事な審議をやっております。ただいまは私がお伺いしたらば、そういう事実は承知しておったという。それを承知しておって、先ほどはそういう事実はなかった、こうおっしゃったことは、そうすると明らかに事実を隠蔽して、われわれの委員の質問に御答弁を願ったと、こういうことになって参ります。これ以上あなたから御答弁を聞く必要もございません。事実はその通りである。  どうぞ御質疑願います。
  260. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは私は今の委員長が注意をされたように、参考人が真実について、その当時の状況をつまびらかに説明ができないことでは、今後の御質問を申し上げても、やはり本質に触れることは私はできないと思う。そこで私は先ほど御質問の中にも実は申し上げたのでありますが、これは木下参考人の際にも申し上げたのですが、国会としては、できるだけ住民の皆さんのこの問題を早く解決できるようにという立場で、実は真実を調べているわけなんです。そういう中で、もしこの形でいくならば、実際のことがわからないということになれば、あらためて証人として喚問する以外に方法はない、こういうことに私はなろうかと思うのです。今後あなた方が、参考人で出ている人あるいは警察庁の関係者が、事実を国会の中で述べられないということになれば、これは国会の権威の上からいって、私は非常に重要なものである。国会をいわゆる軽視するもはなはだしい。そういう面で私ども参考人の皆さんが、ほんとうに事実を述べていただくことができるのか、できないのか、このことの答えがない以上、私はもうこれ以上の審議は実際問題として今日はできない、こう思うのです。青木参考人の先ほどおっしゃったことについては、これはもうまことに遺憾と申し上げる以外にない。そこで委員長が、これからの議事を進めるに当って、その点が私は各参考人並びに出席を願っているところの警察庁の関係者にも、そうしたことが確認ができないということになれば、本日は私はこれで打ち切るべきである。そして本委員会としての独自の判断に基いて、今後の処置をお互いにきめていかなければならぬ、かように考えるのです。委員長からその点をいま一度一つ参考人に確言を求めて、もしそれができないようならば、私は本日は一応この参考人の意見の聴取については打ち切るべきである、こういう動議を提出いたします。
  261. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  262. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をつけて。
  263. 片岡文重

    ○片岡文重君 警察庁に少しお尋ねしますが、お答えをいただく前に、今も、あなた方の目の前で、こうしてわれわれ委員が速記をとめて相談をしなければならないことは、まことに委員会の運営上遺憾だと思います。答弁が何回もひっくり返るようなことのないように、真剣な態度で一つ御協力をいただきたいと思います。特に、警察庁としては、参考人方々とは立場が違うはずですから、その点自覚をなさって一つ御答弁をいただきたいと思います。  いま一度念のために伺いますが、工場から要請があって出たのか出ないのかという点を、いま一度はっきりしていただいて、そうして一つ次の問題に移っていきたいと思います。その辺までの経過というものをもう一度一つ、簡潔でけっこうですから、お話しいただきたい。
  264. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 説明が足りませんでしたので、大へん申しわけないと思いますが、警察といたしましては、当時の陳情団の全体の動きというものと、過去におきまするいろいろな紛争の経過から考えまして、直接陳情団が工場におもむきまするときには、何か事態が起るかもしれない、従って、これにつきましては十分な警戒を要するという判断をいたしたのであります。現地におきましても、同様な判断をいたしたのであります。警察といたしましては、部隊を配置いたしまして、事前に警戒をする必要ありというふうに判断をいたしまして、会社側とも連絡をいたしたのでありますが、会社側の方では、いろいろな立場から、見えない所に入って待機してもらいたいという要請がありまして、食堂の中に入りまして待機をいたしておったのであります。そういう実情であります。
  265. 片岡文重

    ○片岡文重君 わかりました。その要請があって出たのではなくて、警察の方から連絡をしたところが、会社としては見えない所で待機してくれるようにということであったので、工場の中で待機しておった、こういうことのように理解してよろしゅうございますか。
  266. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 事態が起りまするようなおそれのある場合は警察に出動してもらいたいという会社側の要請がかねてあったのでありますけれども、そのときも、やはりそういうような角度で、こちらの方で積極的に、情勢がこういうよう事態になっておる、従って警察官を配置しなければ危ないというような意味の連絡を会社側にいたしたのであります。会社側といたしましては、そういう全体の情勢の判断がわかりかねるところもありましたので、もしそういう事態の起るおそれがあるというようなことであれば、ぜひ警察官に中に入って一つ待機していただきたいという話が行われまして、警察といたしまして中に入ったのでございます。
  267. 片岡文重

    ○片岡文重君 それでは、警察は、会社側にまるで出動の要請を強要したものじゃないですか。会社側としては、事態、情勢はわからない、そこで警察としては、詳細に情報を入れて、このままでは危ないから、おれたちが出動してやろう、どうじゃ——会社としてはですよ、あなた方のそのおどかしか何かわからぬけれども、そういう状態ならば一つ来て下さいということで要請をさせられた。警察は、それで要請があったからということで、工場の中に入って待機しておった、こういうことですか。
  268. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 要請を無理に押しつけて出動させるというよう気持ちは毛頭ございませんでした。ただ、実際にいろいろな判断から、危ないということを率直に話して、また会社側の方も、率直にそれに応じて要請されたということでありまして、会社側がもし拒否するとか、あるいは警察部隊の出動をしないでくれというような強い意思がありました場合には、警察がたとえそういう判断をいたしました場合におきましても、門のそとで待機するとか、いろいろな方法があろうと思いまするが、その場合におきましては、そういう無理に押しつけたというような形はとられなかったと聞いております。
  269. 片岡文重

    ○片岡文重君 どうも質疑を続けるのさえ何か意味がないような答弁ですがね。こういう事態になるであろうということを予測をして会社側に連絡をして、出動を要請させ、そうして警察が出動したことは、御答弁によって明らかだと思うのですが、それほどの不安な事態が予測されたのであったならば、過ぎ去ったことを今さら言っても仕方ない話ですけれども、少くとも、その行動をとられた漁民諸君は、決して反乱軍でもなければ、計画的暴徒でもない。警察は、事態が起ってから犯罪者を作るのが目的ではないはずです。あらかじめ、責任者なり指揮者なり、あるいはその組合責任者、指導者なりと話し合って、事態の穏便な措置を、紛糾することのないよう組合側との折衝をなさるがよろしいし、会社側に対しても、それほどの事態にならないように私は措置をすべきであったと思うんです。事態の起ることを待っておって、起ったところが待ってましたとばがりに飛び出していって多数の被害者を作っておる、こういうやり方は警察としては私ははなはだ信用ならない、不可解な態度であったと思うんです。で、先ほどの御説明では会社側に対してもしばしばアドヴァイスをされたようなことを言っておられました。幾日に、どこで、だれがどういう点についてどういう指示を与えられておるか、こういう事態にならないようにおそらく会社側としては善処せよということを言っておられるでしょうが、一体いつどこでだれがどういうことを、どういうふうにせよということで、その注意を与えておられるのか。
  270. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) だれがいつだれに対して、そういうような連絡をいたしましたかということにつきましては、ただいま資料を持ち合せておりませんので、後刻調査をさせていただきたいと思っております。ただ警察といたしまして、工場に対しましては現地の小松川の警察署長から治安上の立場で、事態の推移につきましては楽観を許さない状態である、従って組合側を刺激するようなことを極力避けるように、また五月二十四日工場内で乱暴されましたような事例もありますので、自衛警備についても十分に遺憾のないように、工場長署長から警告しております。特に六月の六日に都庁が中に立たれまして、一時的に一つの話がつきましたときにおきまして、どういう内容か詳細よく存じておりませんが、少くとも会社が意表をつくような形で汚水を流されるようなことのないように連絡しております。本社側に対しまして警視庁の警備課から本月の二日に同様の趣旨のものについて要望いたしておりますとともに、工場に対しまする本社の指導を適切に行いまして、現地におきまする組合陳情取扱いなどにおきましても、なるべく責任者が出てゆかれまして折衝されまして、いたずらに紛糾して治安問題が発生することのないように特に要望いたしておるのであります。また組合関係に対しましては、葛西浦漁業組合、その他につきまして所轄の署長から問題の平和的解決に努力してくれるようにそれぞれの幹部に要望をいたしておるのであります。なお、当日におきましても葛南警察署に対しまして、都内では条例等の規定もあるので、なるべく人数をしぼってくれるよう組合関係に一つ連絡してもらいたいというようなことで依頼し、また行進の途中でもなるべく少数の集団に分断して混乱の起らないようにということの警告をしばしば行なっておるのであります。結果から見まして、その警告が実際に無視された形に相なったのであります。なお、国会の陳情等におきましても、それぞれ現地の責任者から問題が起らないように、いろいろと宣伝車、広報車をもちまして警告、指導をいたしておりまして、あるいは途中におきましても不測の事態の起りませんように、警察といたしましても十分事件防止に努めたつもりでありまするけれども、結果的にはなはだ遺憾な事態発生いたしたような次第であります。
  271. 岩間正男

    岩間正男君 今の浜中管理官の御答弁を聞いていますと、警察は非常に公平な立場をとっておられるように、先ほどの話でも、平和的解決のアドヴァイスをしばしばやった。もしそういうのが警察の真の立場だとするなら、あなたたち工場の中に要請が事前にあったということで、押しつけがましく工場に行って食堂に隠れておったというのは正しいと思いますか。これを公正な立場とあなたは考えることができますか。これはどうです。少くともこれは会社側に偏しているということにならないか。だれのための警察か。漁民側が、たとえば漁民を守るために、警察に、何個中隊か出動して下さいという要請をしたら、あなたたち行きますか。できますか。またわれわれ人民の立場におきましても、いろいろそういうようなものがある。そういうとき、要請して警察が来てくれたということはほとんどない。しかし会社側の要請があるというと、一にも二にも、場合によったら、自分の方から押しかけ女房みたいに出かけていく。そうして今度は向うが了承したのかどうかわからないが、食堂の中まで入って、しかも隠れている。公務員が、公けに守らなければならぬ、公然と行動をしなければならぬ公務員が、しかも世の中の注目の的になっておるこの警察官が、一会社の食堂に隠れておるということは、これはどういうことです。それがあなたたちの、平和的な解決をしてほしいと再三注意したところの警察の態度として、首尾一貫しておるとお考えになりますか。だれが了承しておると思いますか。あなた自身の今の話は、どんなにつじつまを合せようとしても、態度がまるで首尾一貫しないということ、明らかにこれは矛盾を表明しておる、こういう態度では。この点どうです。いかに公平を装ったって、はっきりしっぽを出しておる。この点についてはっきり答弁願いたい。
  272. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 当時組合の方方の相当数の方々が、かなり飲酒めいていされておりまして、そういうような特殊の一つの状況におかれましたために、偶発的に何か起り得ることが当然予想されるのでありますけれども、しかしまさかあのような大規模な事態が起るというようなことは、私どもといたしましても、判断をいたしておらなかったのであります。従いまして、若干のトラブルがあるだろうというようなことで、できるだけ近くに待機しておる必要があるということは考えたのでありまするけれども、しかし多数の警察官をわざわざ刺激するよう立場組合方々の前でこれを制するというようなことになりますれば、かえって何でもなく話が済むことが、そのことによって結果的に衝突をするというようなことが起るおそれもありましたので、そういうような観点から、目立たない方がこの場合最も賢策であるというふうに判断いたしまして、そのような措置をとったのであります。従ってああいうよう事態になるということが初めからわかっておりますれば、またそれに応じた一つの警戒措置をとらなければならなかっただろうと思うのであります。
  273. 相澤重明

    ○相澤重明君 浜中管理官にお尋ねしますが、ここに今町長さんも参考人で出ているわけです。また漁業組合理事も出ているわけですが、少くとも町民の皆さんが非常に大きな関心を持っておるこの事件に対して、町長さんとはどういう連絡を警察はとられたのですか。
  274. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 国会前におきまして、いろいろと常任委員会に数十名の方々が乱入されましたときにおきましても、現地の連絡の指揮官が町長さんに一つ十分連絡をとりまして、町長さんにみずから広報車に乗ってもらいまして、こういうことになるから一つ静かにしてもらいたいというふうに町長に積極的にお願いいたしまして、事態の収拾をはかったのであります。従いまして現地の工場におきましても、たえず現地指揮の責任者町長さんと十分に連絡をとって、警察が実力を行使するというようなことのないように、努めて一つ町長さんから組合方々納得さしていただきまするように再三のお願いをし、また町長さんもその線において最善の努力をされたものと私は報告を聞いております。
  275. 相澤重明

    ○相澤重明君 町長さんにお尋ねをしたいと思うのですが、あなたは信頼されて多くの人の代表になっておる。やはり漁民の皆さんの生活権の、これだけの大きな問題であるから、町民大会等も開催をされるということとになったと思う。従って当然、今警察庁の浜中管理官の言うように、問題が大きくなれば警察の方も連絡はあると思のでありますが、その場合に、先ほど浜中管理官の言われたように、二百人も三百人もの警察官がもしこの大会等に見えたり、あるいはそれらのいわゆる住民大会に警備をするということになれば、むしろ逆な効果が出てくるということも、おそらく町長としてはお考えになっておったと思うのです。ですからこれは自主的に町民の意思というものをまとめていくという方向をおそらくあなたはとられたと思うのでありますが、そういうようなことについて何か警察から町長に対して具体的なお話があったのかどうか。この点一つ率直にお答えをいただきたいと思うのです。
  276. 宇田川謹二

    参考人宇田川謹二君) 私は当日十日の日でありまするが、その前日に町の協議会を開きまして、各種代表から町民大会を町の責任において開いてくれという要請がございましたので、議会の協議会にはかりました。そういたしましたところが、これは町でやるべき問題ではない。十五組合、いろいろ商工業者も入っております。もちろん漁業協同組合も入っております。佃煮組合あるいは魚市場組合も入っておりますが、十五組合が主催となって、町及び議会がこれに対して協賛をするのが穏当ではないかということで、私ども議会結論が出まして、あくる十日の午後零時より町民大会に入ったのでございます。そうしてそのときに議長が選ばれまして、陳情者の中から議長が選ばれまして、その人が議長席に坐り、町民大会を宣言、決議の決定をいたしまして、十台のバスにこの決議文を手交する人たちが乗ったのでございますが、町としては、そんなにたくさん行ったのでは困る。十五台の要請があったのでありまするが、十日の日の朝の連絡でありまするので車がないということにいたしまして、十台だけしか頼まなかったのであります。非常に小言を言われましたが、とにかく一人でも少ないというようなことから、そのように措置をとりました。なお、警察としては、署が違う、葛南署でございますので、千葉県でございますので、私はどうも形勢が変だと察知いたしましたので、葛南署の署長電話をいたしました。自宅からこれは電話をかけたのでございます。ところが署僚がおりまして、いろいろきょうのコースを報告いたしまして、極力押えるつもりだということの連絡は申し上げておきました。そういたしますると、その情報がおそらく小松川署を通じ、本庁の方にいかられたことと思います。で、その日の大会の模様は、制服の警官は一人もおりませんでした。私服が四、五名おりました。これは管轄内であります。その大会が終りまして、十台の車に乗りまして、まず国会の川島先生にきょうの大会の様子をお知らせして御協力を願おうじゃないかということで、われわれ代表五、六人で川島先生にお会いしたのであります。そうすると、何人ぐらいか、実は七、八百名の人数が来ておる、数ははっきりしないが、とにかく十台ですから、何とか先生お骨折りを願いたい、よしそれでは私は現場へ行こうということで、旧自由党本部の前にあの一団を誘動いたしまして、そしてあそこに待機させたのであります。その前に私たちの返事が、川島幹事長の、閣議が非常に長引きましたので時間がずれたのであります。その間に参議院の国会の裏でございますが、あそこへわれわれが入ったと思いまして、あの同勢が入ったそうでございます。そうすると仲間同志で押し合ったかどうかその事情ははっきりしませんが、しりもちをついてガラスを一枚こわし、さらに植木をひっこ抜いたようでございます。要するに時間が長いためにしびれをきらしたという形でございます。そうして川島先生に自由党本部の前に来ていただきまして、六月の二十日までに沈澱槽を作る。そうして、そうした場合に上水にも毒がある場合には、これを科学的調査をいたしまして、絶対無害であるということがわからなければ放流させないということを言明を得ましたので、みんなが拍手をもって車に乗りまして、そして今度は都庁へ行く道順でございました。これは私ども考えますと、都庁へ行ってあのできたばかりのところで待っておるとどうも形勢が変ですし、さっき浜中さんがおっしゃいましたが、みんな酒気を帯びておるということでございましたが、絶対酒気は、一滴も飲ましておりません。漁師のことでありますから、顔はまっかでございます、日に焼けて、そして言葉が荒い、浦安語を使いますので、ちょっと酔ったように感じるかもしれませんが、その連中を都へ連れて行ったんではこれは一大事と存じまして、麹町の署の、きょうお見えになっておりますか、方と相談いたしまして、そして宮城前の広場に一応待機をさせまして、役場の小さい車に乗りまして都庁へ七、八人、大会の議長、町会の議長、私どもその他組合代表七、八名と思います。都庁の玄関で都長官の知事にお会いしたい、いなければ副知事にお会いしたいということを通じましたところ、門衛が、待っておりますうちに出て参りまして、副知事知事もおらない。それではどなたか関係責任者を出していただきたい、そういうことを申しますと、なかなか出て参りませんで、私ども石の上に三十分、四十分も立ったままおったのでございます。非常にしびれをきらして、一体どうしたんだというようなことがありました。まあまあとにかく静かに話をして、そして決議書をお渡しすればいいんだからというので押えまして、そして最後に出ておいでになったのが施設課の関係の方でございます。そういう事情であれば、それではすぐ会社電話をかけて、水はとまっておるはずだが、出ておるはずはない、しかし出ておるとすれば会社電話をかけてとめさせるということでありましたので、私は今まで会社に何回うそをつかれておるかわからない、今までその手で何回うそをつかれているかわからない。漁民がそれでは納得できないから、あなた気の毒だけれども工場の方へ行って、そうして機械をとめてきて下さいと言いましたら、それじゃ自動車で行きますというのでわれわれより三、四十分先に工場へ都の車で飛んで行っております。これは後になりますと、この時間のズレの問題が焦点になると思いまするが、そうして一方私どもは宮城広場へ参りまして、皆さん今都長官には会えないけれども、こういう事情になって現場へ行って機械をとめてもらうようにしてきたから、とにかく静かにして都庁へはみんな寄らずに行こうじゃないかと、ようやく説得いたしまして、車を連ねて東の方へ向って参ったのでございます。そういたしますると、コースといたしましては本州製紙の本社の方へ行く予定でございました。しかしあの事務をとっているところへ行って、どうも険悪な空気が漂っておりますので、これは酒の上ではございませんが、とにかくこれはいかぬというので、都庁は交通上非常にあの通りが狭いからほかの次のコースに移ろうじゃないかということにして、その車はずっと江戸川橋まで参ったのでございます。その間警察官の防備は小松川管内に入りますと相当ありました。これは私としてはむしろ感謝したのでございます。非常に事件の空気を察知して、ごうして配置してくれるかということを察知したのでありまするが、とにかく今井橋のところへ来まして左へ曲ることが非常につらいので、どうかこれは寄らずに行こうじゃないかと言ったのでありまするが、そのときの状況といたしまして、あくまでも左へ曲らなければどうしてもおさまらないという空気が出たのでございます。非常に気が弱かったのでありまするが、これをまっすぐ浦安へ帰されたならば、さらに問題が大きくなって、より以上の問題が起きてはいけないと思いまして、左へ曲りまして本州製紙工場の門のところへ参りました。そうしますると、私が車の上から見ますると鉄門の中の方でプラカードを二人か三人持っておりまして、入っちゃいけない入っちゃいけないと、こう振っておったのでございます。そうしますると、漁師のみんなが車から降りて、われわれ書類渡しに来たのに入っちゃいけないとは何ごとだということのようでございました——よく聞き取れませんでしたが。これは大へんだというので、再び私は車の方に——二台目の車に放送するしかけがございまして、そこへ参りまして、絶対に暴力は困る、器物破壊も困る、男らしく正々堂々と厳正に一つきょうも行動しなければいけないということを何百回叫んだかわからないのでございます。ところがすでに問題は、この門を越えてなだれ込んでしまったわけでございます。そういたしまして、まず守衛の部屋はこわれておる。さらに進みますると、警官が奥の方におりましてそれと衝突し、すでに、私があとから行ったら、もう乱闘の最中でございました。一応、また考えてみますると、いろいろ町であるいはまるでおとりをおいてカモを池へ引き込んで、そうしてあの暴動を起したんではないかということが非常に町の中で私に対して小言がありました。そういうことは絶対にないんだ、あなた方静粛にと言ったのにどうしてあのようなことをやったかと言いましたが、とにかくそのようなことで乱闘になり、そのうち検束者を最初四名出したのでございます。そうしますると、暗くなっては私はこれはいけないと思いまして、暗くなるといけないので、何とかして検束者を署長さん帰して下さいよ。いや、所、番地、姓名だけ聞くだけでいいんだから、調べれば帰すからということでありました。所、番地、姓名だけの問題でしたら、四人くらいはどんなにおそく書いてもすぐ書けると思います。これもあざむかれたのでございます。いくら帰してくれと言いましても帰してくれません。そうしますうちに、交渉時間が経過いたしまして暗くなってくる、おなかはすいてくる、もうこれはこらえきれなくて、連中は近所のそば屋やあるいは酒屋へ行って、そこで初めて酒を飲んだのでございます。そうして私どもの静止するのを聞かず——私も警察の白いカーの上で拡声機を持ちまして、どうかこのしらが頭に免じて助けてくれ、絶対暴力をやめて退去してくれということを私も続けて連呼いたしました。大会の議長、責任者もおれが困ると、すぐこれはここでもって退去しなければ重大事件になるし、困ると言ったのですが、聞きません。で、最後に機動隊でいよいよこれは退去命令を出すべきだというので、人垣を作って門の方へ追い出したのでございます。そのときの乱闘にさらにまた三人ですか——現在八人留置されておりまするから、四人と思います。その検束者を出し、また警官側でも危篤の人も、一名入院さしたという情報も聞きました。私どもでも一人瀕死の重傷を負っておるという状態で、被害者漁業協同組合調査によりますと、重傷三十五名、軽傷百八名というような大きな事件が起きまして、ようやくにして十一時三十分ごろ私ども最後の車で帰ってきたという状況でございます。まことに申しわけないと思っておりますが、以上何らの偽わりもなく、ありのままに開陳いたしました。御了承願います。
  277. 相澤重明

    ○相澤重明君 町長の非常な努力されたこと、また誠心もってこの事件について円満解決をはかるというお気持がよく表明されておると思います。  そこで私は、あなたがそういう立場お話になったように、警察官がおらなければこうした乱闘事件というものがなお私は少なかったんじゃないかと、こういうふうに感ずるのでありますが、あなたはその当時の現状からして、そういう点お考えになっておりますか。
  278. 宇田川謹二

    参考人宇田川謹二君) お答えいたします。  実は先日、この十五日、十六日に町のお祭りをやるというので、非常に漁師は気が荒いのであります。必ず若干のところは壊したりいたします。その打合会を、警察の署長さんに同席願いまして、若い衆の代表——八区ありますので八人呼びましていろいろ打ち合せたのであります。そのときの町の空気、そのときの状況を申し上げますと、若い衆の気性がよくわかると思います。祭を正式にやれやれと言うけれども、警官が服を着てみこしのそばにいると、かえって抵抗したくなるよというのが、これが漁師の気性とでも申し上げましょうか、そういうような空気でありましたので、じゃあ祭をやるときには私服が来る。そうして遠くにいて、まあ交通整理はやるというようなこともございました。そのようでございまして、決して工場に行くまではお酒は飲んでおりません。ただ群衆的な場合になりますと、非常にこれは日本の民族のくせとでも申しましょうか、非常に群衆心理が強くなります。まことに遺憾に存じますが、そのよう状態でございました。
  279. 相澤重明

    ○相澤重明君 大へんその浦安の町の皆さんの苦心ということがよくわかりました。  そこで、警察庁の浜中さんにお尋ねしなきゃならぬのですが、あなたが先ほど国会の陳情等、あるいは東京都庁陳情等の際におかれても、やはり若干の者が酒を飲まれて顔を赤くしておったというようなことがあったと思うのでありますが、今の町長さんのお話ですと絶対にそういうことはないと、こういうふうにはっきりお話になっておるわけです。あなたはその際、国会に陳情が川島幹事長のところにきたときに立会ったのか。それともその陳情団にあなたはお会いしたのか。また、あなたでなければどなたかそういうふうな現実をお見になったのか。その点御回答いただきたい。
  280. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 私自身その場におりませんでした。従って、陳情団の方にも直接お会いはいたしておりません。その状況は現地に配置いたしておりましたところの警察の責任者からその状況報告を聞いておるわけであります。従いまして、私ども事件が起った後におきまして、警視庁のそれぞれの責任者なり、現場におきまするところの責任者に面接きてもらいまして、いろいろと状況を聞いたのでありまするが、警視庁の判断といたしまして、全部が全部というわけではありませんが、酒気を帯びておられた方が相当あったということを確言いたしておりました。
  281. 相澤重明

    ○相澤重明君 あなたが部下から報告を受けたことについては、報告として聞いたということは私もよくわかると思います。しかし、今、少くとも参議院の決算委員会の席上において、宇田川参考人から厳粛に当時の模様を述べられておるわけです。これについては、あなたはおそらくこの言葉をも否定することはないと私は思うのです。部下の報告だけが正しくて、この国会の中における参考人の言葉を信ずることはできないというようなことはないと思うのですが、いかがでしょう。
  282. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 町長さんの申されましたことをそのまま信じないというような考えは毛頭ございませんですけれども、ただ、私どもといたしまして、いろいろと状況を真摯に検討いたしましても、やはり町長さん方の御存じのない範囲でお飲みになった方があったのじゃないかというような判断をせざるを得ない、というふうに考えております。しかしながら、私どもは酒気を帯びておりましたために、あのような集団的な暴力事犯に発展したのだというふうに、この事態をそういう一つの偶発的な事件というふうに判断いたしておるのであります。また、事実それぞれの現場にいた人たちの話からも、そういうふうに判断いたしておるのでございますが、その点につきましては、さらにもう一歩掘り下げて確認をさせていただきたいと思っております。
  283. 相澤重明

    ○相澤重明君 少くともあなたは警察庁の幹部でありますから、国民の生命財産の安全を守るのが警察庁の立場でなくちゃならぬ。従って、先ほどの町長発言なりあるいは漁業協同組合の幹部の諸君の発言なりというものは、自主的にいわゆるこの問題についての動勢というものは聞いておる。このように私どもは今の参考人の意見を聞いておるわけです。そういう中で、いわゆる警察の下部の職員がどういう報告をされるかということは、今後の警察の行政の中に大きな問題を私は提起していると思う。もし、本日のあなたの述べられておるようなことが今後も行われるとするならば、一体国民はだれに生命財産を守ってもらうのか。警察というものは何のためにあるのか。こういうことに私はなってくると思う。これは国家の将来の問題として、非常にゆゆしい問題に私は発展すると思う。従ってあなたも本日少くとも国の最高機関である国会の決算委員会の中において、関係参考人の方から厳粛に述べられた事態については、十分認識をされたと思う。従ってこれからの部下の報告についてもそういう点については十分注意をされて、今後この国会で述べられるあなたの御意見というものが、全く警察の言うことはでたらめであるというような、国民から信頼を失うようなことは、私は直ちに改めてほしい。またそのためには少くとも先ほどあなたが御答弁になったように、今まで報告されたことを十分調査されて、その真相というものを報告をしてもらいたい、こう思うわけです。  そこでさらにお尋ねをしなければならぬのは、先ほどもお話になりました、工場側にいわゆる陳情団よりはさきに警察が配置されておる。あなたは自分たちの独自の判断に基いたということであるが、先ほども申されたように、もし町民の皆さんあるいは漁業協同組合の人たちのこの立場に立っておれば、むしろあなたが最初お話になったと思うが、工場側汚水の流れることについて、もっと積極的な働らきかけがあってしかるべきである、こう思うのですが、現在もそういう点について、どのようにお考えになっておるか、あなたのこの見解を述べていただきたい、こう思うのです。
  284. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 簡潔に願います。
  285. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 警察といたしましては、先般のような不幸な事態が起りましたことに対しまして、二度とこのような事故が起りませんよう会社側等におきましても、積極的に十分措置をとられまして、お互いが平和裏に解決することを望んでおるわけであります。われわれといたしましても事故防止のために十分な警戒をいたさなければならぬことと思いますが、とにかく根本的な解決案といたしまして、必要な浄化装置を早急に設置することであろう、これが完成するまでは操業を中止するというような考え方が最も適当じゃないかというふうに私は判断をいたしております。
  286. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでさらに浜中管理官にお尋ねをしておきたいのですが、今町長の言われるには、まだ留置をされておるということを言われておったのでありますが、なぜ現在まで留置をしなければならぬのですか。先ほどの関係の住民の方々の御意見によれば、それほど逃げ隠れをするわけでもないし、また犯罪を犯す人たちでもないはずである。むしろ非常に純朴な漁民の皆さんである、こういうことが今のうちに私はうかがい知れるわけです。警察としては当然住民を守る立場においてすべてのことが行われるべきです。その立場からいけば、あなたの今までの説明からいけば、これは当然早く釈放されるべきである。町長責任をもって、釈放してくれという要請に対して、警察はそれをしも押して留置をするのはどういう理由なのか。あなたは本日この国会のいわゆる決算委員会において十分理由をお聞き取りになったことと思うが、直ちに釈放する意思があるかないか、この点を一つ御説明願いたいと思います。
  287. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 昨日事件が検察庁に送致されておりますので、警察の立場から、今後釈放等というようなことにつきましては、何とも申しかねる次第でございます。
  288. 宇田川謹二

    参考人宇田川謹二君) ただいまちょっと連絡がありまして、きょう半数ぐらいは出すということでございます。この中に重傷が一人入っております。あばら骨を折りまして小松川署におりました。それが出るそうでありますが、一人未成年の者が何か余罪が一つあったそうでありますが、これがあるいは残るかもしれないという情報を承わりましたので、付け加えまして……。  それからさっきちょっと申し落しましたが、お酒は絶対に飲まないということはっきり申し上げることができますのは、私はそれを心配しまして、役場の課長、係長を各車に分乗させてその統制をとっております。
  289. 大矢正

    ○大矢正君 今の話を聞くと、あばら骨を折った重傷の者までが逮捕されてぶち込まれておったということですが、これは非常に重要な問題ですがね。どうですか。浜中さん、あなたどう考えますか、これは。
  290. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 検挙いたしました者の中で佐藤金蔵さんのことであろうかと思うのでありますが、私がここに来るまでに報告を受けましたところによれば、胸が少しおかしいということでございましたので、警察の方におきまして積極的レントゲンをとるようにいたしました。それをとらしたのでありますが、その結果はまだはっきり現われておりません。私まだ聞いておりませんですが、ただそのときの医者の話では何ら心配することがないということを言っておったということであります。
  291. 大矢正

    ○大矢正君 警察の医者と一般の町の医者とは相当判断の仕方が違うと思いますしね。そういう点では将来大きなこれは問題になるかもしれませんが、われわれは今日この会議であなたの答弁をいただいてあとは終りだということじゃなくて、私の方はもう明確に本問題は徹底的に明らかにしたいという態度を今日も国会対策できめておりますからして、おそらくこれは相当長期間続くのでありますから、その過程において、あなたの言われたことがもし不当であるとすれば、われわれは再度あなたに来ていただいて御答弁いただくことを前もってお断りしておきたいのであります。  さっきあなたの御答弁にこういう一節がありました。もしもあのよう事態が起るのであるならば、もっと打つ手があったのだがという御答弁があったのです。そのもっと打つ手があったというのは、どういう手なんですか。
  292. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 私はあとからその状況報告を聞いたのでございまするが、部隊の出動というものをもっと数多くととのえて、そしてできるだけ早く解決する。すでに組合方々が突然門を壊して中に乱入いたしまして、投石やその他をいたしまして中に入って参ったわけでありますけれども、その後警察官がこれを阻止いたしまして、そうしていろいろと話し合いをし、警告をいたしたのでありまするが、そのままの状態で十時近くまで待機いたしておったのであります。これを円満に話をつける、あるいは外に排除するというようなことにつきまして警察の力が十分でなかったというようなことも考えられたのでありますし、それからまた初めからそういうようなことが予想されておりましたならば、会社の中に入る前において、門の外において、そういうようなことのないように、事前に防止するというよう方法も同時にあわせて考えなければならなかったというふうに考えておる次第であります。
  293. 大矢正

    ○大矢正君 これはあなたの発言はきわめて重大ですよ。それは、あなたは第一点としては、警察の人数がもっと多ければああいう事故にならなかったと、こういう発言ですがね。いいですか、これはもう重大な問題ですよ。今日はこういう場所ですから、これは問題にいたしませんが、後刻これは法務委員会の正式な機関で私は問題にしなきゃいかんと思うわけだが、あなた方の考え方が、警察さえ増大をして、いわゆる警官さえ動員をしておれば、人数的に動員をしておれば事件は起らないのだという根本的な物の考え方は、これは重大なものです。速記録に残っておりますから、訂正されるならば今のうちですよ。(笑声)  それからもう一つあなたにお聞きしなきゃならないのは、中へ入れてくれと、中に入った方がよろしいのだという判断は、これは一体誰がしたのですか。あなたは指揮者じゃありませんから、あなたにそのことを聞くのはどうかと思いますけれども、あなた責任持って答弁をするといって、きょう来ておられるのですから、せっかくあなたにお越しをいただいて、答弁してもらわないと気の毒ですから答弁してもらうわけですが、とにかくその判断をしたのは一体誰がしたのですか。会社がしたのでしょうか、それとも警察がしたのでしょうか。
  294. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) その判断をされました責任者の名前はわかりませんですが、会社側と警察との両方の判断によってなされたというふうに聞いております。
  295. 大矢正

    ○大矢正君 おかしいですね。会社は警察に自由に入ってきなさいとか、出なさいとかいう権利があるのですか。それじゃ警察は会社に雇われているのと同じじゃないですか。指揮権が会社にあると同じじゃないか。直接の責任はどこにあるか。その判断をしたというのは会社じゃないでしょう。指揮権を持っている者が判断をするのでしょう。あなたの議論を聞いていると、会社が警察に、警官に、お前はめんどうだからちょっと外に出ていろ、いや入りなさいということは自由にいえるはずじゃありませんか。こういう警察は今の世の中じゃあまりないはずですよ。
  296. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 警察は決して会社側だけの判断で左右されるものでありませんです。ただこういうような問題をできるだけ荒立てないよう解決をする。もし何事もなければそれに越したことはないというような点につきまして、会社側と現地の指揮官との考えがたまたま一致いたしましたために、そのような措置がとられたものというふうに考えます。
  297. 大矢正

    ○大矢正君 そうするとまたそこで食い違いが出てきているのですね。あなたはさっき、こういう事態になるならばまだ打つ手があったという一節に、一つは警官をもっと増しておけば防止ができたという言い分、いま一つ、食堂の中に入っておったのじゃなくて、むしろ外におって、そうしてとめた方がああいう事態も起らなかったかもしれないというあなたの答弁がある。そうでしょう。そうすると、あなたの判断に基いて、警官をいわば会社工場地の中に入れておいたということは、言いかえれば、そうするとあなたの言をもってしては、そのときの警官の判断、指揮者の判断——会社の判断かどうか知りませんが、誤まっていたからこの事故が起きた、こういう解釈になるのではないでしょうか。
  298. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) あのような大規模の事態の起るというような判断をあらかじめ警察がしなかったということにつきましては、これはわれわれといたしまして、見通しを誤まったということになろうと思うのであります。ただ私が、警察官がたくさん、よけい置いておけば事態が起らなかったというようなことを申し上げましたのは、ちょっと言葉が不足だったので、訂正させていただきたいと思いまするが、すでに事態が起ってしまって、そうして警察官が出動してきたわけであります。そうしてその後数時間投石とか、そういうよう状況が続きました。私どもの方にも数十人のけが人が出たわけでありますが、この状態を早く鎮圧するというような措置が十時過ぎまでいろいろかかりまして、やっと全体的に警備態勢を解きましたのが十二時過ぎだったと思うのであります。そういうよう関係でこのような不当な状態をいつまでも続けておくということは、警察力が若干不足であったというふうに申し上げたわけであります。従って事態を、事件を起すというようなことは決してわれわれの目的としているところではございませんです。事態の防止ということがもう中心になりますことは申すまでもございません。
  299. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  300. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をつけて。
  301. 大矢正

    ○大矢正君 浜中さんにお尋ねしますが、デモ隊が到着する以前に工場を閉鎖し、さらにその上に、閉鎖するにとどまらずして、バリケードを築いて備えたという事実があったのかどうかということが一つと、それからもう一つは、あなたの答弁を聞いていると、警察側にも、あるいはもちろん会社側も入りますが、警察側にも重大な手落ちがあったというふうに私には受け取れるのでありますが、このことはあなたはお認めになるかどうか、警察のとった措置というのはあくまでも正しかった、その正しいという意味は、法律的に正しかったかどうかという、警察の人たちはすぐ法理論をひっぱり出しますから、そうじゃなくて、現実的にもそういう警察の行為が正しいのかどうかということに対する最終的なあなたの御判断をこの際参考のためにお聞きしておきたい。
  302. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 門が閉鎖されておったということは聞いておりますが、バリケードを作っておったとか、そういうような話は私はまだ存じておりませんです。それから今回のことに対しまする警察自体の行為というものにつきましては、私は正当なものと、そういうふうに確信いたしております。
  303. 岩間正男

    岩間正男君 私も最後に一点お聞きしたいのです。工場内でもみ合いがあって、それからいろいろ事件を繰り返して、工場外に追い出したのですな。そうして、追い出してから、追い打ちをかけるように、それに対していろいろ警官がやっておる、これは、工場外でそういうことまでやったのはどういうわけですか。
  304. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 工場外に排除いたしまして、警察といたしましては直ちに門を締めまして、そうして二度と入ることのない措置に全力を尽しておったと聞いておるのであります。それにもかかわりませず、たびたび門を越え、あるいは何度も中に入ってくるというようなことが起りまして、警察といたしまして、完全に組合員方々に外に出てもらうように最善の努力を払ったのでありますが、出てしまった方々に対してどうこうしたというよう報告は聞いておりませんし、そういうことはあり得ないと考えております。
  305. 岩間正男

    岩間正男君 これは、私も現場におりませんのでわからないのですが、少くとも、現場においでの方がそこにいらっしゃる、どなたでもよろしいから、町長さんなり、それから理事さんなり、組合長さんなり、その場をごらんになった方から……。
  306. 宇田川謹二

    参考人宇田川謹二君) どうしても群集が退去いたしませんので、私に、機動の幹部だったと思いますが、早く退去をさせてくれ、もうこれ以上になると警官も強硬手段をとらなければならないということをおっしゃいましたので、また私再び、みな帰れ帰れといってやりましたところが、今度は群集が私に体当りしてきたので、危なくてまた元へ戻ったのでありますが、その後様子を見ておりますると、ワツというを喊声をあげまして、警官隊が門のところへ押していったということは記憶しております。そのよう事態がありました。大体それで帰ったかと思いますると、まだ残っておりまして、その時間は九時半ごろと思いまするが、相当まだ残っておりまして、私どもまだいると思いまして、帰れ帰れとやっておりました。ところが、それは土地の者がヤジウマ的に見物しておったのでございます。そのヤジウマが、実は——ヤジウマと言っては語弊がありまするが、昨日私の部屋を二人男がたずねて来まして、一人は包帯しておりまして、私どもは何もしないで見ていたら、うしろからなぐられた。いつでも証人の申請があれば出ますと言って参っております。それ以上のことは私よくわかりませんので、これは一例でございますので、御了承願いたいと思います。
  307. 岩間正男

    岩間正男君 今のような事実はどうですか。見物をしておったのだが、いきなりなぐられた。関係者でないわけです。ヤジウマかどうかわかりませんが、見物をした、なぐられた、包帯をして町長さんのところへ来た、こういうことを言われた。これはどうです。いつでもあることです。これは見さかいがないのですか、警官は。(「新撰組だ」と呼ぶ者あり)新撰組か。  最後に、動員された警官の数、それから部隊、そういうものをはっきりしてもらいたい。
  308. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 当初は二百十八名でございました。その後、ああいう事態がございましたために、警察力を増強いたしまして、全体といたしまして実力行使にわたりました警察官は約六百名でございます。
  309. 岩間正男

    岩間正男君 部隊は。
  310. 浜中英二

    説明員(浜中英二君) 警視庁の二、三、四機動隊でございます。
  311. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 本件に関する本日の参考人並びに警察庁側に対する質疑は、これをもって一応終了したいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  312. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めますので、さように決定をいたします。  なお、本件の取扱い方につきましては、委員長理事打合せ会において十分協議いたしました上、委員各位に御相談を申し上げることにいたしたいと思います。  参考人方々ば、長時間にわたって当委員会審議に御協力を賜わりまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。本日は、これをもって委員会を散会いたします。    午後五時五十九分散会