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説明員(
奥原日出男君) この問題の
経緯を若干申し上げる必要があると思うのであります。すなわち今日、
北海道の南岸、太平洋沿岸地区につきましては、小型の流し網の
漁船が許されて、そこに回遊いたして参りますサケ・マスの漁獲をいたしておるのであります。しかし、オホーツク海につきましては、これはオホーツク海の沿岸に建網によりまして、サケ・マスの漁獲をいたしておりまする
関係から、その沿岸のすぐ前で流し網によって漁獲をするということは、これは非常に困難な紛糾を招く問題でございまするので、従来とも、これに対しましては、流し網の許可をいたしておらないのでございます。ところが、オホーツク海の沿岸の漁民
諸君が、
自分たちにもサケ・マスの漁獲をさしてくれ、これは
北海道の地先で、十トンあるいは五トン程度の船でとるということよりも、今出ておりまする要請は、五十トンクラスの船で、すなわち母船に付属しておりまする独航船と同じ程度の規模の船をもちまして、オホーツク海におきまするサケ・マスの漁獲をやりたい、こういう問題でございます。これに関しましては、今日、御
承知のごとく、母船によってオホーツク海においては漁獲をいたしておりまして、これは、単にわれわれは資本
漁業という観点からだけは考えるべき問題ではないと思っておるのでありまして、これに付属いたしまする独航船というものは、これは要するに中小
漁業であります。従って、その経営に対してある程度の安定性を与えるという努力をわれわれはしなければならないと思うのでございます。北洋
漁業が非常に伸びていくというときであれば、あるいは
北海道を基地にいたしまする独航船と、母船に付属する独航船が競合ということも乗り切り得るかと、かように存ずるのでございますが、御
承知のような日ソ
漁業条約締結以来の今日の
情勢におきまして、この
北海道の
漁業者の、
北海道を基地にする独航船の進出ということは、母船付属独航船との間に非常な利害の衝突を招き、非常にそこにむずかしい
漁業調整の過程を経なければ解決できない問題である、かように考えておった次第であるのでございます。ところで、今年は一船団六千五百トン、明年はオホーツクにおける公海でのサケ・マスの漁獲を停止するということに
漁業交渉の結果とりまとまった次第であるのであります。その話の過程におきまして、
北海道を基地にする独航船であれば許されるのではないかという期待を
北海道の漁民の中で持ったのでございます。そういう
意味の若干の紛擾がございましたけれ
ども、これはソ連の真意は、あのオホーツク海からとにかく基地独航をも含めまして、
日本の
漁船によりまするサケ・マスの漁獲を停止させるということにあるということであるのでありまして、その点はよく説明をいたしました結果、業者
諸君もその点はわかって参ったかと思うのであります。そこで、今あの
協定ができました現
段階における問題といたしましては、
北海道を基地にする独航船でオホーツク海でサケ・マスの漁獲をするということは、これはとうてい期待し得ないのでございます。もちろん、日ソ
漁業条約によりますれば、不断に、現在やっている
措置について科学的な再検討をするという条項もあるのでございまして、そういう
意味の可能性は今後ともないとは申し上げないのでございますが、しかしながら、今当面している
段階におきましては、そういう可能性はとうていないという
状況であるのであります。そこで、われわれとしましては、
漁業の不振地帯に対する振興対策というものの中に、今日のオホーツク沿岸の漁民の
状況を取り上げまして、そして浅海増殖その他いろいろな対策を集中的に総合的に
実行していく、こういうことによって漁民の行くべき道を見出して参りたい、かように考えているのでございます。