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1958-08-18 第29回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年八月十八日(月曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————   委員異動 八月七日委員松澤兼人辞任につき、 その補欠として大倉精一君を議長にお いて指名した。 八月十六日委員大野木秀次郎辞任に つき、その補欠として高野一夫君を議 長において指名した。 本日委員泉山三六君及び谷口弥三郎辞任につき、その補欠として草葉隆圓 君及び田中茂穂君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大和 与一君    理事            三浦 義男君            柴谷  要君    委員            草葉 隆圓君            高野 一夫君            田中 茂穂君            相澤 重明君            大倉 精一君            高良 とみ君            早川 愼一君            市川 房枝君   国務大臣    運 輸 大 臣 永野  護君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    運輸政務次官  中馬 辰猪君    運輸省航空局長 林   坦君    海上保安庁長官 島居辰次郎君    日本国有鉄道副    総裁      小倉 俊夫君   参考人    全日本空輸株式    会社社長    美土路昌一君    全日本空輸株式    会社総務部長  渡辺 尚次君    全日本空輸株式    会社運航部次長 川端 清一君    全日本空輸株式    会社運航部運航    管理長     石田  功君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査の件  (全日本空輸機遭難に関する件)  (山陽本線における特急かもめ号の  踏切事故に関する件) ○参考人出席要求に関する件   —————————————
  2. 大和与一

    委員長大和与一君) ただいまから運輸委員会を開きます。  委員異動がありましたので報告いたします。  八月七日に松澤兼人君が辞任、その補欠として大倉精一君が、八月十六日に大野木秀次郎君が辞任、その補欠として高野一夫君がそれぞれ選任されました。   —————————————
  3. 大和与一

    委員長大和与一君) 次に、今般起りました全日本空輸機遭難に関する件を問題にいたします。  まず、運輸当局から本件についての説明を求めます。
  4. 永野護

    国務大臣永野護君) 八月十二日に起りました全日本空輸機事故は、まことに遺憾千万なできごとでありまして、今考えてみますだけでも、胸の詰まる思いがいたすのであります。運輸当局といたしましては、その事故が起りましてから、とりあえず、どうしてこの事故を救済していくかという当面の対策昼夜を分たず働いて参ったのでありまするが、不幸にもまだその機体発見はできません。また、遺体もこれを全部収容することができないという、非常に遺憾なことになっているのであります。遺族の皆様方に対しまして、まことに何と申し上げていいかわからないくらいお気の毒なことだと思いまして、厚く御弔問申し上げる次第でございます。同時に、全日本国民に対しまして、せっかく芽ばえかけました航空機発達というような機運を多少でもこの事故によって阻害いたしましたといたしまするならば、運輸当局といたしまして、全日本国民に対して相済まぬことだと、こう考えまして、恐縮千万に存じております。この意味において、心から国民に対しておわびを申し上げたいと考えているのであります。  こまかい経過及び将来の対策につきましては、事務当局から詳しく御説明申し上げる次第でございますが、とりあえず、私から今後の基本対策と申しまするか、どういうふうにこの悲しいできごとを生かしていくかということにつきまして、大ざっぱな構想を申し上げてみたいと思うのでありますが、先週の金曜日の閣議におきまして、閣僚全部が今度の事故を非常に重要視いたしまして、この事実を将来の日本航空業発達のために、とうとい犠牲として生かさなければならぬというような観点から、単に運輸省事故対策委員会というような問題だけで満足しなくて、内閣全体の問題といたしまして、あらゆる角度からこの事故の原因を検討いたしまして、将来の日本航空基本対策の基礎となる対策をわれわれは考えようというので、運輸省にはすでに事故対策委員会というものができております。けれども、それ以上のレベルの委員会的のものを作ることに決定いたしました。そうして単に技術面ばかりでなくて、財政措置の面から申しましても、あるいは機構的の面から申しまして、万遺憾なきを期したいと考えておるのであります。これが、せめてものとうとい犠牲者に対する手向けになりはしないかと、こう考えておる次第でございます。  御審議に入るに当りまして、一言運輸大臣といたしましての心持を申し上げまして皆様方の御了解を得たいと存ずる次第でございます。
  5. 大和与一

    委員長大和与一君) 運輸大臣並びに運輸当局に対する御質問は午後に回していただきたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大和与一

    委員長大和与一君) それでは、さよう決定いたします。  そこでお諮りしますが、参考人として全日本空輸株式会社社長美土路昌一君をお呼びしようと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 大和与一

    委員長大和与一君) 御異議ないと認め、決定いたします。  それでは、社長から発言を求められておりますから、社長発言を許します。
  8. 美土路昌一

    参考人美土路昌一君) 私が今回不測の大きな事故を起しました全日本空輸株式会社社長でございます。  この事故につきましては、まことに申しわけのない不測の大珍事でございまして、平素からたっとい人命を扱っておりまする仕事の関係上、最大の注意を払いながら、なおかつ、かようなことを起しまして、ほんとうに、御本人、御家族に対しましてはもとより、また、この報道が伝わりまして、全国をあげて非常な御心配をかけましたことにつきまして、一段と責任の大きいのを感じまするとともに、いかようなる手段をもちましておわびを申し上げてよろしいか、日夜心痛をいたしておる次第でございます。会社といたしましては、できる限りの全力をあげて善後処置を尽しておりまするが、行方不明の報道が伝わりまするとともに、航空局長以下関係のお方々が、夜分にかかわらず、羽田空港に御出張いただき、各方面に御連絡、御指導いただきまして、また海上保安庁におきましては、ほとんど全力をあげてこの捜査にお尽し下さいまして、昼夜の間断なき作業をお続けいただいております。また、所管の各警察署はもとよりでございまするが、米軍からも救援の飛行機その他の援助を得まして、万全の策は講じていただいておりまするが、残念ながら今なお乗客並びに搭乗員の半数以上が発見されないという状態でございまして、まことに残念に存じ、また心痛をいたしておる次第でございます。これらの方々につきまして、私どもとしては、微力でございまするけれども全力をあげまして、今後の善後処置をとりたい、かように考えておりまするが、国をあげての御心配に対しまして、いかようにしておわびを申し上げようかと存じておりました。たまたま参衆両院運輸委員会をお開きになることを承わりまして、国会を通じてまずおわびを申し上げ、しかる後に、新聞広告等もいたしまして、また直接におわびを申そうと思いまして、この機会をお与え下さるように陳情いたしましたところ、お聞き届けをいただきまして、この機会をお与え下さいましたことはほんとうにありがとうございました。深く委員皆さんを通じまして心からおわびを申し上げる次第でございます。  なお、かような混雑の際に、私の一つ念願といたしておりますことは、これがただいま運輸大臣の仰せられました通り、これによりまして、多少でも再建をされつつあります民間航空発達に阻害を来たすことのありませんように、また、この機会に何らかの方法をもちまして、今後日本民間航空が安全に健全に発達をいたしますような手段が講じられまして、その緒につきますようでございますれば、多数のたっとき犠牲者の霊に報いる一つの方途ではないか、このことを念願をいたしている次第でございます。  あらためまして深く皆さん方おわび申し上げ、また皆さん方を通じて国民諸君おわびを申し上げる次第でございます。
  9. 大和与一

    委員長大和与一君) 速記をとめて。   〔速記中止
  10. 大和与一

    委員長大和与一君) 速記を始めて。  全日本空輸機遭難に関して、運輸省当局から報告をしてもらいます。
  11. 林坦

    説明員林坦君) このたびの全日本空輸事故に関しまして、その事故の発生の経緯を、ただいままで判明いたしておりますことを御説明申し上げます。  八月十二日午後七時五十三分、全日本空輸所属ダグラスDC−3型、JA五〇四五と申しておりますが、この航空機機長舟木和徳、副操縦士村尾新スチュワーデス南部芙美旅客三十人、離陸重量二万五千八百ポンドをもちまして、当社の第二十五便といたしまして、所定の飛行前の点検を実施したあとに、定刻十分おくれまして、十九時四十分にランド・アウトいたしまして、同五十三分、航空交通管制指示に従って東京国際空港離陸し、小牧飛行場に向って飛行を開始したのでございます。離陸後直ちに東京センター連絡を設定いたしました。二十時九分にJA五〇四五機は高度六千フィートで館山ホーマービーコンの上を通過いたしております。二十時二十四分にJA五〇四五は高度六千フィートで大島のレンジ・ビーコンの上を通過いたしております。当時の推定の対地速度は百三十八マイル、浜松ホーマーを通過する予定を二十一時一分とセンター報告いたしております。二十時三十二分か三分ごろ、JA五〇四五はJA五〇三九——同じ全日本空輸の第十六便で小牧から東京空港航行中であります航空機、その機長園山鋭一でありますが——のために、センター管制許可を中継したという事実がございました。また、二十時三十六分ないし七分ころ、JA五〇四五——事故機でありますが、この航空機は第一発動機、これは左の発動機であります。これの不調を来たしましたので、東京国際空港に引き返すべくセンター管制指示要求いたしますと同時に、なお、JA五〇三九に同管制指示要求することをセンターに中継を依頼したという事実がございます。センターは直ちにJA五〇四五に対し東京へ引き返す管制許可を与えております。それから二十時四十分、センター通信状況がどうもよくないと思いましたので、再びJA五〇四五に対しまして同許可を繰り返して伝えておりますが、連絡がつかないのでJA五〇三九に対し、JA五〇四五に同許可を中継するように依頼いたしております。その直後、JA五〇四五は木更津に直行することを今度は要求しました。かつ、現在の飛行高度が五千五百フィートであると報告しておりますので、センター木更津直行及び高度五千五百フィートを維持することをそのまま許可いたしております。二十時四十三分にセンターJA五〇四五にエマージェンシイを宣言するかどうかということを尋ねております。そのときJA五〇四五はアファーマテイブ——そうだという意味でありますが——と答えております。センターは直ちにJA五〇三九を五千フィートから三千五百フイートに下降させ、JA五〇四五の航行方向を開放いたしております。二十時四十六分にJA五〇四五機はセンターへ再び木更津要求いたしましたので、センター木更津木更津ホーマーへ到着したならば、東京国際空港に入ってよろしいと管制許可を与えました。この間の通信状況は非常に悪かったという状況でございます。  JA五〇四五からセンターに、東京タワーBチャンネル連絡したいという要求がございましたので、センターは直ちにこれを許可いたしております、それからその間に、JA五〇四五はその僚機でありますJA五〇三九に対して、第一発動機はとまった、ジャイロ・アウトである、旅客は満載、東京へ引き返す、もし東京に帰れなければ木更津に着陸する、高度は四千フィート、センター方位要求したが応答がない、と日本語で通報いたしております。この通報の正確な時間は、大体今までのところはっきりいたしませんが、二十時四十四分から五十分までの間と思われます。二十時四十八分にJA五〇四五、この事故機東京タワーとの通信が設定できなかったので、再びセンターを呼びまして、センター同機に対して五千五百フィートを維持することが可能であるか、または、さらに低高度を要求するかについて四回にわたり尋ねましたが、これに対する応答がございませんでした。続いて、センター同機に対して現在位置を尋ねましたが、同機応答いたしませんでした。さらに木更津ホーマー到着予定を尋ねておりますが、同機応答しておりません。この間の通信状況は非常に悪かったようであります。  二十時五十三分または五十四分ごろ、JA五〇四五はJA五〇三九に第一発動機をフェザーした旨——フェザーといいますのは、プロペラのピッチを変えまして、回転しないようにするのでございますが、第一発動機をフェザーした旨、東京連絡してもらいたいと依頼いたしております。二十時五十五分ないし五十六分ごろ、JA五〇四五機はセンターに対し東京国際空港へ、DFと申しますのは、方位測定関係でございます——DF誘導要求しております。センターは、東京タワーにはDF関係がございませんので、とりあえず、東京国際空港方向に向って飛べ、なお、同機はそれを了承したと言っておりますが、JA五〇四五は重ねてそのDF誘導要求しております。そこでセンターJA五〇四五に一二六・一八メガサイクルというのを持っているかと尋ねましたところ、持っているという答えでございましたので、厚木タワーDF誘導のための連絡をとるように、こういう指示を与えております。そうするとJA五〇四五は了解々々と応答いたしております。これがJA五〇四五のセンターに対する最後応答でありました。  二十一時にセンター厚木タワーの方に直ちに一二六・一八及び一二一・五メガサイクルでJA五〇四五のDF誘導するように依頼をいたしております。センターJA五〇三九に対して、JA五〇四五機に厚木タワーと一二六・一八メガサイクルでDF誘導のために連絡をとるように伝えるようにさらに依頼いたしております。その後、センターJA五〇四五と通信を設定しようと連絡をずっと続けておりましたが、応答がなく、JA五〇三九にも連絡を依頼しましたが、同機連絡を設定することもできなかったようであります。センター東京厚木横田レーダー及び防空レーダーに対しましてJA五〇四五のレーダー捜索を依頼したところ、浜松木更津地区飛行機数機を認めておりますが、JA五〇四五機を識別することはできなかったのであります。これによりまして二十一時五分、東京センターから羽田東京航空保安事務所の方にJA五〇四五機と交信不能となった、また、その航空機は左側のエンジンが不調という連絡があったので、出発時刻それから気象状況等から判断いたしまして、二十一時三十五分ごろには東京に着陸するものと大体推定されるというような連絡がございました。さっそく羽田航空保安事務所におきましてはもよりの飛行場不時着することも考えられますので、東京タワーを通じまして木更津に問い合せる、あるいは一般電話により航空標識所あるいは館山飛行場海上保安庁救難課を通じまして不時着有無を問い合せる、こういうことをいたしております。また、一般電話によりまして藤沢の飛行場にも問い合せておりますが、そのとき現在まで不時着機はないという回答に接しております。また、大島航空標識所にも電話連絡を試みております。また、名古屋の方にもテレタイプ回線によりその情報有無を問い合せております。二十一時四十五分ごろ、さきに申し上げました五〇三九機の機長園山氏が着陸の後、航空保安事務所にかけつけて参りまして、そこで五〇四五との交信状況等報告を受けております。二十二時に木更津館山から不時着機なしという確認した通報がございました。それらのいろいろの情報を総合いたしまして、これは行方不明の段階に入ったということを判断いたしまして、海上保安庁の方に二十二時十分に捜索の要請をいたしております。それから引き続いて海上自衛隊の方にも要求をいたしております。これより先、エマージェンシーに入りましたころに、横田米軍基地からはすでにレーダーを備えた航空機が飛び立って捜索に上昇しております。これはその飛行機との連絡のために出たことと思いますが、連絡がつかなかった模様でございます。それで、それ以後夜間でもございましたので、もちろん海上保安庁方面あるいは海上自衛隊方面の出動もありましたし、さっき申し上げました僚機の五〇三九機も二十三時五十分には再び空中に舞い上りまして、連絡のために捜索に出たわけでございます。その後、まあ当日といたしましては、ヘリコプターを含みまして航空機は二十七機、船艇も十六隻ほど出動いたしまして捜索いたしたのでありますが、なかなか捜索できなかったのであります。その後は十三日の午前十一時五十五分ごろ、伊豆七島の利島の三二七度九と申しますから、西北でございますが、九・二マイル付近におきまして機体の一部を発見し、これは海上自衛隊警備艦であります。そしてさらに十二時十五分ごろ、いろいろの部品あるいは遺留品発見したという情報がございました。その後の捜索模様あるいは捜索状況につきましては、海上保安庁の方が中心になってやっておられますので、そちらの方から御報告していただくことにいたします。
  12. 島居辰次郎

    説明員島居辰次郎君) 遭難機捜索模様は、時々刻々報道機関から一般に報ぜられているので御存じとは思いますが、ここにまとめて御報告いたしたいと思います。  海上保安庁では羽田航空保安事務所から、全日空機の五〇四五機が消息を断ったという情報を入手いたしますと、直ちに横浜の第三管区海上保安本部長に対しまして、所属船艇及び航空機をもってこれが捜索救助に当るように指示をいたしますとともに、東京在泊中の海上保安庁本庁指揮下巡視船さつま」「あつみ」、それから水路部観測船拓洋」をも現場に急行いたさせまして、さらに、名古屋の第四管区から巡視船「こうず」及び「もがみ」を第三管区に応援派遣することにしたのであります。第三管区海上保安本部は、直ちに全日本空輸機遭難対策本部を設置いたしまして、第三管区海上保安本部長救難対策本部長となりまして捜索救助総合指揮をとりました。同時に、大島の岡田港に仮泊中の巡視船「むろと」がありましたので、それと伊豆半島の西岸の田子港に仮泊中の巡視船げんかい」等の全船艇現場に急行いたさせますとともに、航空機二機に対しましては、未明を期して館山から捜索に当らせたのであります。出動いたしました全船艇は合計十五隻であります。また他方、防衛庁艦艇十四隻、それから航空機八機ほか米軍機全日本空輸所属飛行機捜索に当ったのであります。  捜索状況を申し上げますと、当初入手いたしました情報に基きまして、遭難位置伊豆半島南東海面と想定いたしまして、お手元にお配りいたしております第一図の所に捜索海面を設定いたしまして、全勢力を集中して遭難機発見に努力したのであります。ところが、十三日の十二時十五分に警備艦の「あさかぜ」が、まず先ほどお話がありましたように、利島北北西約九マイルの地点機体破片発見したのに次いで、当庁の巡視船さつま」が十三時四十五分、利島北西九マイルの地点漂流遺体三体を発見したのであります。それで遭難が確認されました。それからさらに、お手元の第二図の通り捜索海面を変更いたしまして捜索いたしましたところ、巡視船げんかい」「しきね」それから「はたぐも」が相次いで八体を収容いたしました。警備艦「あさかぜ」等の収容遺体四体を合せまして十五体、それから遺留品多数を夕刻までに収容したのであります。収容遺体につきましては、全日本空輸株式会社要望によりまして、下田に安置することとなりまして、巡視船で特に丁重に輸送の上、これをお引き渡ししたのであります。その晩は引き続き巡視船警備艦によって捜査を続行したのであります。  次の十四日は、前日の発見地点状況と、またこの付近海流は、黒潮系海流が東北東に一ないし二ノット程度がありますので、また伊豆半島の東岸のごく近い所では、南に流れるごく弱い反流があります。これらの相当複雑なる海潮流がありますので、そういう状況をあわせ考えまして、捜索海面を第三図のように変更設定いたしまして、巡視船それから水路観測船など十二隻、航空機二機、それから防衛庁艦艇十三隻、それから航空機六機をもってこの捜索に充てました。そのうち二隻は音響測深機をもちまして機体発見及び行方不明者捜索に当らしめて、ことに、東から西の方へじゅうたん捜索を実施したのであります。その結果、風早崎西方二マイル付近大島元村海岸等遭難機破片遺留品、ことに、非常にこまかいものまでも相当多数これを収容したのであります。  十五日は海流の影響及び日時の推移等から捜索はだんだん困難の度を加えてきたのでありますが、お手元の第四図の通りに、捜索海面をさらに東の方に移動設定いたしまして、巡視船水路観測船など十二隻、航空機二機及び防衛庁艦艇六隻、航空機六機をもちまして引き続き捜査に当らしめたのでありますが、残念ながら漂流物はもう発見できなかったのであります。  それから十六日は、第五図のように、だんだん捜索海面房総南方海面に設定いたしまして、巡視船艇十二隻及び航空機二機をもって捜索に当らせましたし、十七日は、また第六図のように捜索海面を設定したのであります。また本日は、第七図のように捜索海面を設定いたしまして、引き続き巡視船艇十三隻、航空機二機、自衛艦艇十隻及び航空機一機をもって鋭意捜索に当っておりますが、十四日の夕刻以後は何ら発見されていないのはまことに残念なことだと思います。  なお、今後の方針といたしましては、行方不明者捜索につきましては、引き続き巡視船艇及び航空機をもって実施する方針ではございますが、機体がもし沈没しておったりすると、その機体の中にあった人というものはなかなか、その機体が見つからなければ収容が非常に困難でございます。すでに海上に浮流しておりますものは、多数の船艇あるいは航空機集中捜査の結果、流れておるものはほとんど発見したかと思っておるのでありますが、もし万一、その捜索の間隙を縫いまして漂流したものがあるとすれば、前に私の方で海潮流に物をばらまきまして実験したその拡散の度合いから見まして、相当時日もたちましたし、相当広範囲に拡散していくと推定されますので、今後の洋上における捜査が非常に困難を増してきたのでございますが、しかしながら、私どもとしましては、長年水路部調査海潮流の資料をもとにしまして、野島崎南方海面から房総半島の東方洋上まで逐次海面を移動する方針をとっております。なおこれとともに、水路部からは一般航行船舶に対しまして所要の航行警報を出しまして、そうして極力漂流物発見を依頼したのであります。また、海岸に漂着することも考えられますので、これが発見にも努めておるのであります。  まあ、このようなことを続けておるのでありますが、私の方の従来から持っております海潮流状況あるいは拡散状況ということから科学的な捜査を続けておりますが、何といっても、遺家族の方々の御意向もございますし、また会社要望もございますので、私どもとしましては、最後の一人に至るまでも、できるだけ努力をいたしましてこれを続け、そうして何らかのものを発見したいと、こういうふうに考えておるのであります。
  13. 大和与一

    委員長大和与一君) 次に、全日本空輸会社から報告を受けますけれども、今の運輸省からの報告となるべく重複を避けて御報告願い、それですぐ質疑に入りたいと思います。
  14. 美土路昌一

    参考人美土路昌一君) 捜査のことにつきましては、ただいま航空局並びに海上保安庁長官のお話の通りでございまして、私のところも、その間につきまして、できるだけの飛行機その他をもってやっておりますが、私どもの当面の問題といたしまして、遺族の方々の御心配——遺族と申すのはまだ早い場合もございますが、御家族の方々の御心配に対しましては、さっそく名古屋並びに東京の御家族にそれぞれ捜索の中間の報告を申し上げまして、それから捜査現場に専務取締役の中野勝義を社員を連れて派遣いたしまして、下田に本部を置きまして、そこに御心配になっておかけつけになりました御家族の方々収容いたして、海上保安庁連絡をいたしまして、お世話申し上げておる次第でございます。で、遺体が揚がりますごとにそれぞれこれを火葬にいたすのでございますが、いっときに多数揚がりました関係上、下田におきましては火葬場が少いのでございまして、下田、伊東、熱海、三カ所に御遺体を送りまして、それぞれそこで荼毘に付して、御遺体東京並びに名古屋の方へお送りするようにいたしております。それで東京から直接霊柩車をお運びになった方もございまするが、大部分は私の方でお手伝い申し上げまして、そして熱海にまた連絡所を設けまして、そこから名古屋へおいでになるのに御不自由のないようにいたしております。そして遺品その他につきましては、海上保安庁から横須賀にお揚げになりましたものを、これは御捜索上の御都合等もありまして、これを本社に転送いたしまして、そこからこういう品物が着きましたということを申し上げて御連絡をして御家族の方に御検分を願っております。で、名古屋の方には初め岡崎副社長が参りまして、捜査模様などを申し上げまして、その後、福本常務初め三名が参っておりますが、ただ、私どもの遺憾といたしますのは、当然の会社の責任といたしまして、刻々に御通報申し上げたいということは存じておりまするけれども、何といたしましても新聞、ラジオの発達によりまして、どうしても私の方の報告がおくれるということは、遺憾ながらそういうわけでございまするが、できまする限り刻々に御報告を申し上げております。下田の捜査本部は、先ほど島居長官のお話にありましたように、移動いたしましたので、便宜上、横浜に移すことにいたして、昨日、最後のお方々が二組汽車で、一組が汽船でお帰りになりまして、横浜の駅の近くに御分宿を願っております。そういうような状態でございまして、まことに行き届きかねる点が多々あるのでございまするけれども捜査に伴いましての私の方の処置としては、そういう工合にいたしております。  そして御慰問の状況といたしましては、一般の葬儀に関するいろいろのお手伝いも申し上げておるところもございますが、一般のなんといたしましては、御遺体の揚がりましたお方々に対しまして、とりあえず、香典として十万円、それから祭祀料——もとよりこれで足るわけではございませんが、祭祀料の一部として三十万円をお届けいたしております。弔慰金、補償につきましては、約款がございまして、それぞれ今手続をいたしておりまするが、この香料並びに祭祀料の点につきましては、かつてありました日航の三原山事件の例を参酌いたしまして、先例を参酌いたしまして、それを決定をいたしたわけでございます。  なお、こういうことを申すのもはなはだ失礼でございまするが、ただいままで、昨日まで約八十人くらいの方が現場にいらっしゃいました。その他往復、諸般の費用、これは全部私の社において負担をいたしました。これは当然のことでございまして申し上げるまでもございませんが、今後引き続きいろいろなことに関します諸般の支出は、御遭難になりました家族の方々に御負担をかけませんように、会社全力をあげていきたいと、かように存じておりまして、昨日も横浜にお帰りになりましたお方々に、いかようなことでも、足りませんことがあると存じますから、今後お申し出を願いたいと、かように申しておることでございまして、かようなことは申し上げるまでもございませんが、すべてそういうふうに取り計らっております。  なお、その他の点につきまして御質問がありましたら申し上げます。
  15. 大和与一

    委員長大和与一君) 次に、全日本空輸会社に対する御質問を順次お願いいたします。
  16. 高野一夫

    高野一夫君 私は、去る六月二十六日の当院の決算委員会におきまして、この問題を取り上げて、美土路社長は当時お見えになりませんでしたが、副社長、業務の方々、日航の代表者もおいでになって、強い警告をわれわれ委員会から出しておるのであります。それで、それにつきまして社長にお伺いいたしたいのでございまするが、今度の、ただいまの美土路社長のお話を伺いましても、結局、ただ、まことに済まなかったというごあいさつであり、事後処置をどうする、香典をどうする、弔慰金をどうするというお話であって、会社として、社長として、そぞれれの担当責任者からまず資料でもお集めを願っておいでになって、そうして肝心かなめの、どういうわけでこういう事故が起ったのだか、こういうことについて、会社側から深く反省をされたごあいさつがなければならぬのではないかと私は思う。そういうことがわれわれ何もきょう聞かされない。後刻技術部の担当者でもおいでにならなければ何もわからぬということになります。なぜ私どもが決算委員会で取り上げたかというと、空の神風タクシーと陸の神風タクシーがやかましくなりましたが、まさに全日空の航行ぶりは空の神風タクシーではないかという疑問を深く持ったのであります。でありますから、今度の事件にいたしましても、私はしろうとですから詳細のことはわからぬけれども、決してこれが不可抗力で起ったなんということは、とうてい考えられない。私どもからいたしますれば、当然起るべき事態が、不幸にして、ついにやむなく残念ながら起ったのだと、こういう感じを私は強くする。なぜかというと、一、二の例を申し上げますれば、私はよく九州に参りますが、往復を急ぎますから全日空、前の極東、日ペリ、今日の全日空の飛行機をよく利用さしていただく。たとえば小倉で雨風の強い日に日ペリの飛行機を待っている。おりない。飛行場に着陸誘導装置がない。この責任はどこにあるか、これは知りません。そこで、芦屋の方の米軍基地に待っていてくれというので、そこまでハイヤーを飛ばしても一時間以上かかります。そこで待っている。そうして日ペリの飛行機は福岡へ行ってしまう。足をけがした、少し待ってくれというので、米軍基地へ帰ってきて飛び立つまで、まさに五時間待たされる。それから雨風の中を突っ切って、これがまさに神風タクシーぶりの運航。また、あるときは鹿児島から荒天の日に乗って、よほど私は宮崎でおりようと思ったのですが、日向灘を突っ切っていく。大体プロペラの音が中で聞えるのが常識だと思う。風を突っ切ってプロペラの音が聞えない。風の中にプロベラの音がまざっているのかもしれないけれども、風の音だけがごうごうとして聞える、そういう運航ぶりをやる。そこで、乗務員が操縦室から出てきて、しばしば出たり入ったりするから、何かあるなと私は直感したが、おそらく高知の飛行場にでも不時着するのだろうと、こう思っておったところが、夕方でありましたが、雲の間からみさきが見えた。スチュワーデスが足摺岬が見えたからもう大丈夫ですと、こう言うから安心しておったら、あにはからんや、途中から引っ返して大分の岬に出た。それから大分の岬から高松を経由しまして和歌山の北へ出て伊丹へ帰った。またあるときは、これは二十六日の決算委員会で言いましたが、これも非常な荒天の日でありまして、私は、鹿児島から羽田まで、おたくの飛行機でずっと通して乗って参りましたが、われわれしろうとの常識で考えてもどうかと思われるような、富士山の七合目の、しかも北側を通った。そこで、おたくの会社の代表者に、空路のことを聞いてみますと、運輸省航空局の許可のある航路でなければ絶対に通らぬ、富士山の北側を通るなんということはとうてい考えられません、こうはっきり断言なさった。ところが、肝心の質問を申し上げた委員長の私がちゃんと通っている。そうして非常な失速状態を起しまして、天井に頭をぶっつける、荷物ははね上る、スチュワーデスはぶっ倒れる、外人は通路にほうり出される、そういうことになりまして、その失速状況が二回続いて起ったならば、おそらく墜落しておっただろうと思います。そこで、航空機の整備状況をどういうふうにしておられるかということを聞きますと、日航の方でも、全空輸の方でも——きょうは全空輸の問題でございますが、全空輸の方でも、万全の整備、検査をやって、何ら欠陥はないと断言しておられる。それならば、操縦士の操縦訓練はどうか、こうお伺いするというと、これまた、万全の操縦訓練をやって、そして何千時間の経験を持った者がどうとか、こういうふうにして、何ら欠くるところがないとおっしゃる。最近、ひんぴんとして外国の旅客機が墜落する、そういうような材料は、速急に航空局あるいは外務省の手でも通して材料を集めて参考になさっているかというと、どうもこれは材料が一向集まらないので……、こういうお話である。とにかく、今度の問題につきましては、整備、検査について万全であって、欠くるところがない、操縦士の訓練についても、何も欠くるところがない。精神は弛緩してないか、こう聞いても、そういうことは考えられないとおっしゃったけれども、私どもがいろんな体験上から考えて、ことに、もく星号の事件から数年を経ている今日、乗客が、そのうち何か事故が起りそうな気がしてならない、こういう不安を、私のみならず、いろんな乗客が持っているので、事件が起ってからじゃ、こういうような委員会を幾らやったってしようがないから、事件が起らない前に十分御注意を願わなければならぬと思って、六月二十六日においでを願って、強く善処方を要望した。そこで、その要望した内容につきましては、精神の弛緩、これも一つ大いに吟味してもらわなければならぬ、整備、検査もさらに厳重に重ねてもらわなければならぬ、操縦士の訓練についてもしかり、いろいろ警告を発しておきました。これは、美土路社長も、その当時の参考人がお帰りになって、協議をされたことと思いますが、当時の決算委員会が、事前にかような注意を申し上げたことについて、全日空輸としては、いかなるお取り計らい、御相談をなさったのであるか、一応それを伺いたい。
  17. 美土路昌一

    参考人美土路昌一君) この決算委員会で御指摘をされました問題につきましては、さっそく本社におきまして、運航部長あるいは整備の担当の運航部次長及びその方の担当の重役を集めまして、いかなる理由があろうとも、とにかく、かくのごとき不安なることをやるということは、乗客に対して相済まぬことでありますから、その航路が、たとえ違っておるとか、おらぬとかということでなくても、普通の航路を通っておっても、万全のなにをとらなくちゃならぬということにつきましては、十分に私から申し、皆がその心がまえでいたしておったのでありまして、決して軽く取扱いをいたしたことはございません。その後の問題につきまして、私どもは、ただいま御指摘になりましたことは、ここで申し上げますることが、先般衆議院の運輸委員会におきましても、まことに弁解がましくて心苦しいものでありまするから、あまり申し上げませんでございましたが、もし必要がございますれば、すべて書類にいたしまして、明日まででも差し出しまするでございますから、ごらんを願いたいと思います。私が簡単に申し上げましても、もとより整備を完全にいたしますこと、士気を振興いたしますこと、細心の注意を持つこと、飛行機の諸般の条件を備えますことは、私どもの大きなる責任でございまして、自分に少しでもその不安がありまするならば、この仕事はできないのでございまして、ただ、御指摘になりましたような条項が、こういう大きな事故を起しましたどれに当りまするか、いずれも一緒になっておりまするか、またその一つでありまするか、原因は十分探求いたしましておりまするのでございまするが、平素から、そういうことにおいて欠けていないという自信のもとにやっております。これは、まことに申し上げにくい弁解がましいことでございまして、結果はそういう結果が出ておりまして、原因不明とは言いながら、これだけの大きな惨事が出ておりまするから、りっぱにやっておるという全部言明を申し上げることはできませんが、細心の注意を払っておることはお認め願いたいと存じます。
  18. 高野一夫

    高野一夫君 伺いますが、前回の決算委員会においても、ただいま私が申し上げた通りに、万全の整備も検査もやっておるとおっしゃった。今度も、新聞紙上を見ますると、会社の責任者の御発表は、やはり飛び立つ前に十分整備をやっておる——ところが、今も航空局長から、時間が何分何分、こういうことで時間を切っての御説明がありましたが、羽田を飛び立ってからわずか三十分間ぐらい、下田沖ぐらいで、短時間のうちにエンジンの故障が起きる、これはとうていわれわれは不可抗力とは考えられません。そうすると、整備がおろそかであったのかあるいは整備しても、そういう故障が二、三十分後には起るということを看破する力がなかったのかどうか、こういうふうに私はなろうかと思うのでありまするが、これはその後いろいろ御調査になりました結果、会社側としては、どういうふうにお考えになっておるのでありますか。どうしてもあれはやむを得なかった、こういうお考えであるか、それとも整備が不十分であったとお考えになるのか、整備は一応は十分やったんだが、われわれ見抜くことができなかったのだと、こういうようなことでもあったのかどうか、その辺のお考えは、その後御調査の結果、どういうふうに固まっているかどうか、お聞かせ願いたい。
  19. 美土路昌一

    参考人美土路昌一君) 調査はむろんいたしておりますが、まだその結果がわかりませんでございます。これは局においてもお調べを願っておる次第でございます。ただ、直後において故障が起る、あるいは長く使っておるために、長時間にわたって飛んでおって起るかということにつきましては、私も、弁解がましゅうございますが、飛行機事故といたしましては、あり得ることでありまして、これで責任を逃げるという意味ではございませんけれども、その専門的のことにつきましては、後刻でも一応関連いたしまして、航空局の専門の方にもお聞きを願いたいと思いますし、また、私ども調査の概況を申し上げたいと思います。
  20. 高野一夫

    高野一夫君 美土路社長にいろいろ専門的のことをお伺いすることも無理かと思いますので、いずれ後刻、技術、そういう方面の担当者が当委員会においでになりましたら聞かしていただくことにいたしまするが、そこで、こういうことがあり得ることである、こういうことをおっしゃるならば、これは、われわれとして非常に考えなければなるまいと思うのであります。ということは、そのおっしゃるその心持の底には、やはりいろいろ整備しても、検査しても、操縦の訓練を十分しても、やむを得ない場合があるのだ、こういうようなことであります。そういうような気持でもしもあるならば、これはわれわれあらためて全日空輸の運航問題については、考え直さなければならないと思います。  そこで、私は永野運輸大臣一つ御見解を伺っておきたいのでございますが、日航には政府が半額出資されておる。御承知の通りです。そして全日空輸に対しては日航が二万株の出資をいたしておる。そうすれば全日空輸の経営状況あるいは全日空輸のいろいろな運航上の問題等につきまして、公共的な航空交通でございまするからなおさらのことでございまするが、十分政府としても、われわれ国会としても、この問題については、深く考えなければならぬと思いまするが、万一、この全日空輸が、調査の結果、今度の事件が不可抗力である、やむを得ない、十分の整備もし、検査もしたのだがやむを得ない。思いがけないことであったのだというような気持でもあり、そういうような発表でもありましたならば、私は、全日空輸の経営状態が改善され、そして全日空輸の関係者が深く反省をされる時期まで、当然全日空輸に対して、しばらく運航の停止を命ずべきじゃないかと私は考える。そうでありませんければ、せっかく日本の国内航空交通が発展しかけておる、これに非常に支障を来たしておる、この現状を見まして、ここに断固たる処置をとるべきじゃないか。まことに会社に対しては相済まぬことであるけれども、そういうふうに私は考えます。そこで、新聞の旧事を見、今また、社長はしろうとでいらっしゃるからやむを得ないといたしましても、午後、技術部長なり責任者がどういう御答弁になるかわかりませんけれども、今のお話の一端にあるような気持で、今度の事件の原因が発表されるということになりまするならば、運輸省としては、政府は、強力なる線で、一つ、これに対する対策をお考えを願わなければならないのじゃないか、これは日本航空業の真の適正なる発展のために、そういうような断乎たる処置をとらなければならぬ場合も、時には起り得るのじゃないかと、私は思うのでございまするけれども運輸大臣はどういうふうにお考えになりますか。一応、簡単でけっこうでございまするから、御所見を承わっておきたい。
  21. 美土路昌一

    参考人美土路昌一君) ちょっと、先ほど私の申し上げました——運輸大臣にお尋ねになります前の問題で、私の言葉が足りませんで、こういう故障はあり得ると申し上げたのではありません。故障は長く飛んでおる場合でも、数回飛んだ場合でも起る場合があるということを申し上げたのでありまして、決して事故が当然あり得るというような意味で申し上げたのではございませんので、さように軽く考えて、私は申し上げたのではございませんから、どうぞそれはよく御了承をお願いいたしたいと思います。  なお、微力でございまするけれども、私も責任を負うてやっておりまするから、大体の大筋につきましては御答弁ができると思いますので、専門的なことはわかりませんけれども、どうぞ一つ……。
  22. 永野護

    国務大臣永野護君) ただいまの高野委員の御質問の点につきましては、監督官庁といたしましては、十分に考慮をいたしておる点であります。でありますからこそ、一番冒頭に申し上げましたように、今度の問題を一運輸省の部内だけの事故対策委員会というようなものにまかせないで、もっと広範囲に、いろいろな面から根本的に考えなければならぬと存じまして、別途のハイ・レベルの対策委員会を設置することを閣議できめたような次第でございます。従いまして、この委員会は、ただこの飛行機技術面にどこに欠点があったかというようなことを研究いたしますばかりでなくて、制度上、機構上あるいは財政措置の上からいってみたり、各般の資料を十分に整えまして、将来、日本の航空行政の基本に触れた点までさかのぼって検討いたしたいと存じております。たとえば、海難の問題には海難審判所というものがあるのでありますけれども、航空に関しては、今まではそういう制度がございません。従いまして、航空のいろいろな事故を審判いたしますための特殊の機関があるいは要るのではないか、これは機構的にそういうことも考え得るのであります。また、財政面から見ましても、とにかく、大衆の大切なる生命を預ります仕事に、ある程度の財政的に安心のできる機構を持たないで運航を許すことは危険じゃないかというような一般論もあると思うのであります。これらの面を兼ね備えまして、先ほど財政面の要素もあると申したのは、まさにそれなのであります。機構的にも各方面にわたっていろいろな考えるべき資料があると思いますので、われわれは十分その目的のために、そういう委員会を作ろうと考えておりますから、早急にやります。ぐずぐずしておる問題ではございません。火事は燃えておるのでありますから、ポンプは直ちに持ってこなければならぬと考えております。決して、今きまり文句で、追って調査いたします、御返事いたしますというような意味で、目下調査中とは申しません。何分にも、今日までは、一人でも生きていはしまいか、それを何とかして探してみたいというような気持で一ぱいでありまして、また、その事故の原因を研究する、これは主として技術的の面でありますから、私が考えておりますいわゆる事故対策のほんの一部分でありますけれども、それにいたしましても、その機体が揚がるか揚がらぬかということは、非常に大きな影響のあるものでありますから、しかもこれが、ほうっておきますと、一刻々々流れてしまいますから、この大切な時期をまずそれに充てようということで、懸命の努力を払って参っておるのであります。何にいたしましても、いかにするかという前には、いかにあるかという事実を、まず材料をそろえなければならぬものですから、今日までのところでは、根本的な対策を考える程度にまで参っておりませんけれども、一刻も早くこの問題に取っ組みまして、一日も早く日本国民がこの航空事業に対して信頼感を持も得るように、御得心のいくような、全般的にわたっての検討をいたすつもりでございます。
  23. 高野一夫

    高野一夫君 美土路社長に別な問題を一つ伺いますが、あなたの方の会社の従業員に対する待遇問題でございます。航空事業みたような、こういう特殊な事業をやっている会社の職員として十分の待遇を経済的にお与えになっているかどうか。私が聞くところによりますれば、たとえば伊丹を飛び立ちました全日空輸機が午後鹿児島に着きます。そうすると乗務員一行がある旅館に宿泊いたしました。その旅館において女中を相手に、あるいはそこの人たちを相手に、あなたの方の乗務員諸君がいかに薄遇であるかということを訴えておる。これはNHKの方もたしか録音をおとりになったやに聞いておりますが、スチュワーデスもいろいろこぼしている。私はその金額までも聞いております。それで非常に驚いたのでございますが、それでは、ああいう短時間であるけれども、激務と申しますか、非常に心身の疲労を来たすような仕事に従事させている航空の従業員に対する手当としては、私はまことに不十分じゃないか、こういうような感じを持ったのでございます。幾ら幾らとはここで申し上げません。数字は、私は聞いておりますけれども、申し上げません。これは全日空輸のいろいろな経営状況関係する問題でございまするけれども、一応これで私は午前中のあなたに対する質疑は終りたいと思いますが、十分な待遇をやっているとお考えになるか、あるいはやりたいけれども会社経営上、どうもそこまでいかぬのだ、何とかしなければならぬのだとお考えになっておるかどうか、その点のことを多少一つお答え願いたい。
  24. 美土路昌一

    参考人美土路昌一君) これは高野さんの御指摘になっております通り、私は十分ではないと思います。しかしながら、私が、ちょっとまたこれも弁解がましくて失礼でございますが、この会社をやっておりまする最も力を入れておりますことは、人を大切にするということを常に社員に申しておりまして、できる限りのことをするということを申して、そして数年前から漸次に基準を直しまして、順次近づけておるのでありまして、一般社員の初任給もこの経営委員会なんかに諮りまして、その基準を十分に参考にいたしまして、そしてこの会社といたしましては、なおなおいたしたいと思いまするけれども、思うにまかせぬ点もございます。そして地方へ宿泊いたしましても、あるいは専門の宿舎を作るとかなにかございまするが、ただいまは住宅のきわめて少い場合でございまして、それぞれ遠くの方から羽田へ通いますということは、きわめて不便でございまするので、まずそういうような住宅問題の解決をいたして、すでにアパートも建てて、また、現在建築いたしておるところもございます。そういうような工合に、社員の給料の支給のみにとどまらず、福祉施設につきましては、できる限りの努力を、むしろときにはこれは無理だと思うほどの面もして、そして基準を作ってやっておりますが、結果におきましては、仰せのごとく、まだ十分と申すことはできません。それで私は、いつでもできる限り早くさようにいたしたいと、これに全重役がいつも努力しておる点でございまして、心にないことは申し上げておりませんけれども、この基準その他につきましても、もし御必要がございましたならば、書類を差し上げたいと思いますが……。
  25. 高野一夫

    高野一夫君 それでけっこうです。
  26. 美土路昌一

    参考人美土路昌一君) たびたび変えてやっておりますから。
  27. 大倉精一

    大倉精一君 簡単に二、三お尋ねしたいと思いますけれども、航空事業というものは、陸上あるいは海上の交通と違って、何をおいても安全ということが大事でなければならぬと思うのです。その安全のためには、いろいろ各種の要素があると思うのでありますけれども、われわれしろうと考えでは、まずもって完全な飛行機を使う、これが第一番でなければならぬと思うのですけれども、このDC−3型という飛行機は中古飛行機だということをいわれております。そして中古必ずしも悪いとは言われませんけれども、しかしながら、航空事業というものが、安全第一にかかわらず、ともすれば、営利追求というのが非常に強く前面に出て、そしてとりあえず、こういうような飛行機を買ってきて、そしてお客を乗せていこう、こういうところに私は根本的な問題がありはせぬかと思うのです。なるほど、オーバーホール等をやって、機体を点検すれば、完全になるかもしれませんけれども、中古は中古なのです。この飛行機を見ますと、昭和十二年にできたのが一機あると書いてございますが、二十年前にできておる飛行機、こういう飛行機民間航空で使って営業するということ自体、こういう事態が私は非常に大事な問題じゃないかと思うのですけれども、これに対する御所見を、一つ社長さんの方と、運輸省の当局の方との御所見を聞きたいと思うのです。
  28. 美土路昌一

    参考人美土路昌一君) 私からまずお答えいたします。私の会社でDC−3を採用いたしますることに決定をいたしまする基準というものを申し上げたいと思いますが、DC−3型と申しますのは、戦前からありました飛行機でございまして、日本でも製作をいたしております。非常に機能のいい飛行機でございます。ところが、これは速力がにぶいので、だんだん進歩いたしまして、速力の速いDC−4、DC−6というふうに、その他の新しいものをつけて新式の飛行機ができましたが、きわめて能率のいい安全な飛行機という折紙のついた飛行機でございまして、この製作機数も、他の飛行機に比しまして、二万機という多数を作った飛行機でございます。それで製造は中止いたしましたけれども、なおこれに要します部品は、別の会社ができまして新しい部品を供給することが円滑にいきまするので、それでこのオーバーホールなんかをいたし、また、臨時に修理をいたしましても、ちっとも事欠けることなく参っておるような次第でございます。そうして現在世界にありまする百四、五十の民間会社におきまして、多数なおこの飛行機を採用をいたしておるような次第でございまして、四千機飛んでおりまする民間機のうち、千四百以下の数が飛んでおるという実情でございます。そういうようなことで、単に製造を禁止いたしましたというだけで、この飛行機が廃機になる、性能が悪いというように私どもはとっておりませんで、学者の意見も聞き、また現在、実際の欧米の会社の運航状況も聞きまして、あれを採用するということにいたしました次第でございます。そういうような次第で——もとより古い飛行機には疲労というものがございますから、オーバーホールいたしましても、相当疲労があるということに心配をするのでありますが、その点をさらに修理いたしまして、そうして他の部品、エンジンは全部新品のようにオーバーホールいたしますので、人間の寿命が五十年たっておるからどう、六十年たっておるからどうというような、人間の寿命と違いました飛行機の寿命があるように私ども解釈いたしておりまして、あれで十分使命が果し得ると確信を持って現在使用いたしております。
  29. 林坦

    説明員林坦君) ダグラスのDC−3型という航空機につきまして御説明申し上げたいと思います。ダグラスのDC−3というのは、最初は一九三七年、米国のダグラス航空機会社で第一号機が完成いたしまして、米国の民間航空局の型式証明を受けたものでございます。それ以後一九四九年まで、軍用のものを含めまして、ただいまもお話がありました一万数千、二万近くまで製造された機体でございまして、中距離の輸送機としては最適の性能を持ち、また、経済性を有しておるということから、現在に至りまするまで千数百機が世界各国で旅客輸送事業に使用されておる状態でございます。今、美土路社長も言っておられましたが、世界の各航空機会社でやはり使っておりまする民間航空機の約三分の一、三〇%以上のものがダグラスDC−3型でございまして、アメリカにおきましてもなお三百十機ほど、カナダにおきまして約六十一機、ベルギーで二十七機、フランスで三十九機、イギリス全体では百機程度も使っている、また、スイスのような国でも現在八機使っておるという状態の航空機であります。また、これは製造されました時期は今申し上げましたような時期でございますが、航空機というものは、御質問にもありましたように、数多くの部品で組み立てられておりまして、それの部品のおもなものは使用時間が定められておりまして、その時間を超過して使用するということは禁じられておるわけであります。従って、それを定時点検のときには重要部品を交換いたしますし、オーバーホールでは総分解いたしまして、各部品を交換しているわけでございまして、性能としましても、新しいもの同様の性能を持つようにはかっておる次第でございます。従って、ダグラスDC−3は中古なるがゆえに危険であるというふうには私ども考えてはおりません。また、これにかわるべき航空機等もいろいろ考えられますけれども、大体現在のこれにちょうど匹敵するような航空機の場合はまだダグラスDC−3ほどよく使われておるといいますか、評価の定まったいい航空機というものもなかなか見つけることも困難な実情もございまして、ダグラスDC−3というものが、決してこの機体そのものとして心配航空機であるとは私ども考えておりません。
  30. 大倉精一

    大倉精一君 ちょっと私の質問と違うのです。中古品を買って、これを民間航空に充てるということについての御意見を伺っているのですけれども、今のお答えは一応承わっておきますけれども、この週刊雑誌を見ますと、私も飛行機はしろうとでわかりませんけれども、今度のダグラスDC−3という飛行機は、これは国際連合の民間航空連合ですか、カナダにICAOというのがあるそうでありますが、ここでは今度この飛行機は不合格で、合格機になっていないということが書かれておる、これも一つ聞かしていただきたいと思うのです。しかも、今あなたはスイスでも使っておる、フランスでも使っておる、英国でも使っておる、何千機も使っておるということで、だから、日本でも使っていいだろうというようなことに私は受け取れるのです。よそでも使っているから日本でも使っていいという論法は成り立たぬと思う。しかも、ダグラス社がICAOの不合格ということを言われてから、この飛行機を一時回収しようというたくらみを持ったこともここに書かれておる。しかしながら、あまり各国に散らばっておるから、それが不可能であるからと、その企画がそのままになっておるといわれているのですが、その飛行機を去年の暮にこれを買って、あなた方で許可をされる、たとえば、許可をされたという、そういう飛行機はどうでしょう、そういう国際機関で不合格になったような飛行機を、日本運輸省の方で許可をする、こういう点について、どうもふに落ちぬのですが、こういう点についてはどうなんですか。
  31. 林坦

    説明員林坦君) ただいまお話のございましたICAOでこの航空機が不合格になったというふうなお話でございますが、そういう事実は私聞いておりません。
  32. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、これは週刊読売に書いてあるのはうそを書いてあるということになるのですけれども、どうもこの点が不思議でならぬのですが、要するに、中古機を買って、それでお客を乗せて空を飛んで営業をするという、こういう事態がどうも私はふに落ちぬのですが、やはりこれは新しい飛行機を買って、そして飛行機みずからがすでに安全度を百パーセントにして使わなければならぬ、こう思うのですが、運輸大臣、どうでしょうか、こういう点についての御所感は。
  33. 永野護

    国務大臣永野護君) ただいまの問題は十分に検討する必要があると思います。少くとも、新しいのがいいか古いのがいいかといえば、誰が考えてみても新しい方がいい、これはきまっておる。でありますから、ただ、それがいろんな事情で古い飛行機が安全性があれば古い飛行機でもしんぼうしなければならぬという、主として経済面の必要がそうさしたのだと思うのであります。従いまして、そういう点をひっくるめまして、将来、日本の航空事業はどういうふうに運営していくべきかということを、今度作りまする閣議決定に基く調査委員会が研究いたします。ごく常識的に言ってみて、何ぼそれは古いのでも大丈夫と言っても、新しいのとどっちがいいかといえば、それは新しい方がいいという一応の結論が出る次第でございますから、これは重要なるポイントとして研究いたします。つまり、そういうような十分な機材が求められないような経済的の力でわれわれの大切なる人命を預ける会社の運営を許していいかどうかという根本の問題があると思います。この点は十分に注意して研究いたす考えでございます。
  34. 大和与一

    委員長大和与一君) 速記をとめて。   〔速記中止
  35. 大和与一

    委員長大和与一君) 速記を始めて。
  36. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 今回の全日本空輸事故につきましては、私ども最も悲惨と感ずるのであります。ことに私は、私の個人的にも選挙区が愛知県であり、名古屋に住んでおりまするので、今回遭難いたしました多数の諸君は私の知人であります。従いまして、最も悲痛な思いをいたすのであります。これらの点について、同僚議員からいろいろ御質問があり、また、これからも論議を尽されることでありまするから、それはその際に譲りまして、一、二の点について社長に伺っておきたいと思う。だんだんと御説明を伺いますと、本日も熱心にまだ揚がってこない死体と申しますか、その行方を探しておいでになることに対しましては感謝を申し上げます。今後どういうふうな予定をもってお進みになるか、その点を伺いたい。そしてなかなか、いわゆる潮流の関係その他もありましょうから、どうしても死体が揚がらないような場合もなきにしもあらずと存じまするが、さような点に対しまして、実は遺族は、遺骸としてそれぞれ御処置のなった遺族はそれぞれの処置をとっておられまするが、なお、死体の揚がらない遺族は、一そうの悲痛の思いで日々を待っております。これらに対しまする今後の御処置を伺いたい、これが一点であります。もう一つは、今、だんだんお話がありましたが、今後のかような事故防止のためにどういう処置をお考えになるおつもりであるか。これはまあごくぼうばくたる言い方でありますが、いろいろ原因を調べてからでないと今度のような事故に対する処置は、その原因の調査の結果でないとわからないかもしれないが、だんだんお話のありますように、いろいろの問題もあると思います。ことに私ども、きょうここに参りまして資料を拝見して驚いたのでありますが、ダグラスDC−3がいい悪いという問題でなしに、昭和十二年——一九三七年ごろ作ったものを今使っておるというところに、われわれ国民の多くの不安がある。自動車だって一九三七年くらいの自動車ならおそらく使っておりません。しかし、それがいいのだから使うということはどうしても国民が納得しない。これは今、運輸大臣がいろいろな理由があるから、あるいは経済的な理由があるからというお話で、これならまだわかる。しかし、運輸事業の最も発達した現在、戦前、しかも、支那事変の初め当時にできたこの機体がなお一機使われておるということは、あるいはそれぞれの、今日全日本空輸は相当大きな路線をお持ちになっている。そういうところに使われて、それに乗るということが公表されましたら、おそらく乗る者は不安で乗れない。私も実は十二日にあの飛行機名古屋に行って、それから九州に飛び立つ予定をしておりましたが、いろいろな事情でそのあくる日乗って参りましたので、みずからは体験は——その体験をするときはすでに終りでありましょうけれども……。しかし、昭和十二年に製作の飛行機がなお日本の空を飛んでおるということじゃ、これは現在の状態では国民が納得しないと思う。これは単に機械がいいとか悪いとか、それはダグラスDC−3の性能のいかんという問題でない。製造は一九三七年の製造だということになりますと、これはあぜんとする。この点はまた先に私御質問しようと思いましたが、運輸大臣からいろいろ検討するというお話がありましたので、その運輸省の監督の方に御質問申し上げませんが、さっきの社長の御答弁では私どもは納得し得ない、このあらゆる点から多くの国民が。昭和十二年の飛行機がなお飛んでおる。昭和十五年、昭和十七年がすでに八機も飛んでおる。戦前の飛行機だと言われたらこれはもうあぜんとする。これで安心しておられるような全日本空輸であるならば、私たちはもっと検討し直さなきゃならない。おそらく経済的なその他の事情であろうと存じます。最もおくれておるという日本の航空事業が、なお、それに安んじておる経営者の考え方ということに対しましては、私ども納得しないのでありまするが、これは一つ経済事情、いろいろあろうと存じまするが、それで満足だというような御答弁の御様子では私は満足しませんので、もう少しこの点をはっきりと一つ伺いたい。
  37. 美土路昌一

    参考人美土路昌一君) ただいま草葉委員からいろいろ御質疑がありましたこの航空機の今後の問題につきましては、後ほど御説明というか、御答弁申し上げますが、御遺族の問題をおもに申しますると、私どもといたしましては、ただいま保安庁の島居長官からお話のありましたように、最後のところまでお世話をして、せめて御家族の気の済むようにいたしたいと、かように考えております。で、その点につきましては、御家族の方と御相談も申し上げまして、捜索の方法はできる限りのことを当局にお願いし、私の方でできる限りいたすつもりでございます。  なお、もうすでに御葬儀のできるお方と、なおわからぬお方の問題について、どう考えておるかというような御意味もあったのかと存じますが、そういうこともございますですか。——それは私の方でも十分調査をいたしておりまするが、あれは、かようなことを申してなんですが、死亡確認と申しますか、そういうものの法的の手続がございます。それで、これは遺族の方からお出しにならぬと承認が得られないものだそうでございまして、それで、こういうときにお出しになったらいかがですかというようなことは、私の方から申し上げるべき筋ではございませんので、ただ、御家族の方にそういうことの手続のあることを御存じない方もございまするから、御参考として、いましばらくいたしましたならばお目にかけまして、そうして御希望によりまして本社でかわって手続をいたしたい。また、私どもの希望といたしましては、合同慰霊祭と申しまするか、そういう意味で御慰安申し上げたいのですけれども、それが死亡確認というようなものができませんので、未発表のまま日を送っておる次第でございます。  それから、飛行機の古いのを使っておるということでございました。これは私ども一応それで不安がないと思って飛ばしておりますけれども、これをもって安んじておるわけでございませんで、すでにアメリカ、イギリス等の製造会社と交渉をいたしまして、現在の新しい飛行機旅客機がございまするので、そのカタログをとり、現にそれらの直接交渉をもして調査をしておるような工合でございまして、決してこれをもって安んじておるわけでございません。着々そういうような計画をいたしておりまするから、どうか私どもが決して飛行機に対してただ責任のがれだけやっておるという意味ではなく、できます限りのなにをして発注をいたしたいと思います。
  38. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 これに関連して一言申し上げておきたいと思います。私ども——国民全般もそうであろうと思いますが、戦前に製造された飛行機が、なおこの発達した現在の航空路に使われておるということを聞いたら、これはまあ大へんな衝動を持つ。で、むしろこういう事件が起りましたのを一つの契機として、こういう古い型の飛行機は断然これをやめて、そうして、就航もやめてしまって、新しいのに切りかえる。それはなかなか経済的に困難であろうから、会社がそういう計画をされて、国家が、政府が、あるいは運輸省がこれに対する相当な補助あるいはその他の政策をおとりになっておやりにならないと、なかなか国民が納得し得ない状態じゃないかということすら考えるのであります。そういう点について、何か会社社長の方で御計画があるか。また、運輸省といたしましては、戦前の飛行機を性能がいいからといってそのまま使っておるという状態では、これはどういう事故——どんな整備をしたってどういう事故が起らぬとも限らないという不安をわれわれは持つわけであります。この点については、社長並びに運輸大臣からも御説明を伺いたい。
  39. 美土路昌一

    参考人美土路昌一君) 今回のことにつきましては、一々仰せの通りでございまして、深く反省をいたしております。それで従来も、ただ整備に一任をいたしませんで、現在、法政大学の工学部長をしておられまする松浦という方を整備顧問といたしまして、絶えず研究を続け、また、新しい飛行機を買いますように、そういう方の資料を集めてもらい、研究をいたしておりますようなわけで、繰り返し申し上げまするが、新しい飛行機を最近発注するというようなところまでなにをいたしております。で、私は国の出費のいろいろと多端の際に、国家のとうとい金をどうこうということを申し上げるのは心苦しいことでございまするから、できます限り民間資本においてこれをまかなっていくというつもりでございまして、新しい飛行機の発注につきましては、すでに寄り寄り増資の話もいたしているというような状態でございます。何といたしましても、現実にそういうものを使っているのでありますから、この点は私どもの足りない点でございまするが、そういうように今準備をいたしておりますということを申し上げておきます。
  40. 永野護

    国務大臣永野護君) 草葉委員の御質問の点は、まことにごもっともでございます。何とかしなければならぬと考えております。たまたま、その何とかしなけばならぬと考えておりましたことが、今度の事実を機縁といたしまして、非常に力強く推進されるようになったのでありますから、その意味におきまして、このとうとい犠牲者のせめてものお心やりがあるんじゃないかと、こう考えております。いろいろ気のついたことはございますけれども、先ほども申しましたように、単に技術上の問題ばかりではなくて、法制上、経済上、非常に多数の問題があるのであります。ひとしく大切な人命を託されている航空会社で、日本航空の取扱い処置と、全日空に対する国家の処置が、大へん違うのであります。そういうことが許されていいものであるかどうかという問題もあるのでありまして、先ほどからしきりにダグラスDC−3の議論が出ましたけれども、先ほど実に失礼なような申し分でありますが、新しいのと古いのとどっちがいいかといえば、これは新しいのがいいと何人でもそう考えるに違いないと思います。ことに心理的の影響——技術的に十分説明すれば、あるいはそういうことが通ったといたしましても、それで満足ができる状態であるかどうかということは別問題であろうと思います。国家といたしまして、監督責任者といたしましては、十分にその点は考えて善処するつもりでございます。この点は御了承願いたいと思います。  それから先ほど、ことに、名古屋に多数の知人もお持ちになる草葉委員の、現実の問題として、いろいろお困りになっている問題は、今、確認の問題だと思うのであります。葬式はしたいが、死亡確認ができないので、葬式の処置に困っているということが、現実の問題として名古屋に相当起っているらしいのであります。これは海難の場合には、三カ月というなにがありますけれども、航空では事情が違いますので、海難の規定をそのまま航空に準用していいかどうかというような問題も、先ほど申しました航空業全般に関する今のような調査のときには、入れて考えなければならぬ問題であります。しかし目先の、今、ここに起っている問題は、その立法措置を考えたあとでは間に合いませんから、何らかの便宜処置が今回の事件に関して要るのではないかということも考えております。何しろ、葬式をいつするかというきわめて差し迫った問題でありますから、これは、調査機関ができてから御返事いたします、というようなことと切り離しまして、最も現実に即した処置をとりたいと考えております。しばらくの御猶予を願います。
  41. 大和与一

    委員長大和与一君) 速記をとめて。   〔速記中止
  42. 大和与一

    委員長大和与一君) 速記を始めて。
  43. 相澤重明

    ○相澤重明君 参考人にお尋ねしますが、飛行場へおりた場合の点検というものについて、何か社内で規則等を作っておるかどうか。
  44. 美土路昌一

    参考人美土路昌一君) これは運航規程というものを作りまして、本社においてそれを励行いたしておるはずでございます。
  45. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうしますと、それぞれの中継地におけるところの、その運航規程による点検は、どのくらいの時間を要するものですか。
  46. 美土路昌一

    参考人美土路昌一君) これは、後ほど専門の係が参りますから御返事申し上げると思いまするが、中間におきましては、それほどの長い時間を要しないで、油を補給し、また、諸般のものを積み込みます間、十五分ないし二十分で、それができることと思います。それは故障がありますれば、もとよりそれではできないのでございまするけれども、次の運航中に、今までの運行中に機長が見まして得ました諸般の状況を引き継ぎまするので、かわりました機長も、それによってやります、また整備の方も、それによって行いまするので、中間ではそれほど長い時間を要しない、もとより多少でも不安なところがありますれば、中間でありましょうとも、とどめて十分に検査をするということは当然でございます。
  47. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の答弁では何を言っているのだかわからぬ。あとで運輸当局へも十分詰問したいと思いますが、全日空輸の場合は、何時間飛翔した場合にオーバーホールするのか。
  48. 美土路昌一

    参考人美土路昌一君) 航空局の規定によりまして、あれは八千時間をもちましてオーバーホールをいたしております。
  49. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、全日空輸の飛行機の中に、救命具の備付があるかないか。
  50. 美土路昌一

    参考人美土路昌一君) これは、法規上は明文はございませんが、私の方の運航規程によりまして、自発的にこれを入れるということにいたして、備えております。
  51. 相澤重明

    ○相澤重明君 何ですか、航空局の規定にない、自発的に入れる……。
  52. 美土路昌一

    参考人美土路昌一君) 運航規程によりまして、私どもの方で入れております。
  53. 相澤重明

    ○相澤重明君 全日空輸の飛行機には、全部積んでありますか。
  54. 美土路昌一

    参考人美土路昌一君) 積んであります。
  55. 相澤重明

    ○相澤重明君 私は、実は九州の現地の決算調査に行ったわけです。実は六月二十六日の本院決算委員会において、先ほど目頭に質問をされました前の高野委員長と同様、私ども決算をした際に非常に疑問を持った。そうして私はまたこれらの問題について、先月の末から今月の初めにかけて、九州地帯の運輸省の航空大学を初め現地調査に行ったわけです。しかし、これは救命具が全部積んでありますか、社長
  56. 美土路昌一

    参考人美土路昌一君) 積んであると存じます。私は一々点検いたしませんが、社内の運航規程によりまして積んでおることは当然のことと思います。
  57. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから乗客に対するところの、たとえば、航空の際におけるところの事故の起きた場合の処置、こういうものについて、あなた方はいわゆる会社当局として従業員、いわゆる機長を初めスチュワーデスに至るまで、そういう人たちに対してどういう具体的な処置というものをとっておるか、これは、あなたは社長ですから、従って、そういうものを少くとも乗客に対しては一般的な指示をしなければならぬ、あるいはまた非常の場合における処置、こういうものも当然とらなければならぬと思いますが、そういうことはどういうようにやっておるか、これはちょっとお聞きしておかなければならない。こまかい点はあとで私ども運輸省を十分追及したいと思いますが、社長は一体どういうふうに日ごろからそういう点を訓練しておるか、あるいはまた指示をしておるか、その点御答弁願いたい。
  58. 美土路昌一

    参考人美土路昌一君) これは当然のことでございます。運航部長が責任を負って各機長、副操縦士、スチュワーデスにそれぞれの措置を平生から訓練をしておるわけでございます。何と申しますか、それぞれの操縦士、副操縦士、スチュワーデス、それぞれの機構におきまして、十分にそれに処するだけの訓練をいたしておることと存じております。当然のことであります。
  59. 柴谷要

    ○柴谷要君 当面発生しました事故の処理につきましては、今までいろいろ伺って大体わかりましたが一つだけお尋ねしておきたいと思いますことは、事故の原因は、新聞の報道によりますとかいもくわからぬ、機体が海中にあるために、これを引き上げてみなければわからないということですが、全日空輸として事故の原因探求のために、今後どういうような処置をおとりになるか、社長としての見解をお尋ねしておきたいと思います。
  60. 美土路昌一

    参考人美土路昌一君) これにつきましては直接、ただいまは御承知の通り飛行機が海中に沈んでおりますので、で、私の方として調べることはできませんが先般海上保安庁に参りましていろいろ伺って、そうしてこの海底の捜索ができるものでありますかどうかを伺いましたけれども、水深の非常に深い所でございまして、網で探ることが困難な所のように承わりました。また、先ほど島居長官のお話のように、上から電気によって探ることは困難のようでございまして、従いまして、私どもといたしましては、乗客の方の遺品を十分に捜索していただき、また、われわれもいたすとともに、飛行機についておりまする破片を少しでも多く取り集めまして、その破片にかかりました重力あるいはその場所、そういうものからもこの原因を追求してみたい、かように存じまして、地ではそういういろいろ飛行機機体に付属いたしておりまする備品は、きわめて微細なるものまで丁重に保管をして、航空局並びにこれに付随しまして私どもも、それから推定をする貴重な資料にいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  61. 高野一夫

    高野一夫君 簡単に社長に伺いますが、今、相澤委員の救命具の備付があるかとの御質問に対しまして、社長は、備え付けてあるとおっしゃいました。それで、乗務員はそういうものの一切の取扱い措置については十分訓練ができている、こういうような御答弁である。これで終ったけれども、確かに救命具は椅子の下にあるということが書いてあるけれども、急場の間に二、三人の従業員が三十名というような多くの乗客に対して、救命具はこういうふうにつけると教え、あるいはつけさせることができないじゃありませんか。外国航路に行けば、必ずまず最初に救命具をつけることをいろいろ乗客に教えます。われわれだって、万が一の場合には、救命具を取り出してみたって、どういうふうにつけるか何にもわからない。日航の場合でもそうです。ですから、備え付けてあっても何にもならない。実際に役に立たない。備え付けてある救命具をいかにして役に立てるかということについて、御研究おき願いたいと思います。
  62. 大和与一

    委員長大和与一君) 速記をやめて。   〔速記中止
  63. 大和与一

  64. 大和与一

    委員長大和与一君) 委員異動がありましたので御報告いたします。  本日泉山三六君及び谷口弥三郎君が辞任され、その後任として草葉隆圓君及び田中茂穂君がそれぞれ選任されました。   —————————————
  65. 大和与一

    委員長大和与一君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  全日本空輸機遭難に関する件について参考人の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 大和与一

    委員長大和与一君) 御異議ないと認めます。  人選その他の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 大和与一

    委員長大和与一君) 御異議ないと認めます。  それでは暫時休憩いたします。    午後零時四十八分休憩    ————————    午後二時九分開会
  68. 大和与一

    委員長大和与一君) 午前に引き続き、委員会を再開します。  午前の委員会の決定に基きまして、参考人として全日本空輸株式会社総務部長渡辺尚次君、同運航部次長川端清一君、同運航部運航管理長石田功君の出席を願いました。  参考人方々は、非常にお忙しく、また、大へんな御多忙のところを、わざわざお差し繰りいただいておいでをいただき、まことにありがとうございました。しかし、非常に重大な問題ですから、委員の方も率直な質問をたくさんされると思いますので、皆さんの方も、できるだけ忌憚のない、ざっくばらんな御意見を一つ出していただくことを希望いたします。まことに御苦労さんでした。  それでは、運輸大臣に御質問のある方は先に順次発言を願います。
  69. 相澤重明

    ○相澤重明君 運輸大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、先ほど大臣は、今回の全日本空輸のこの悲惨な事故に対しまして、単に運輸省ばかりでなく、内閣全体といたしましてこの対策を樹立しなければならぬ、その面では技術的な問題ももちろんあるけれども、財政的、機構的にも検討をしなければならぬ、こういう冒頭にごあいさつがあったわけであります。私も全くその点については同感の意を表するわけでありますが、端的にお尋ねをしたいと思うのでありますが、今、運輸省といたしまして、国内のこうした航空路線の問題については、たくさんの申請なり、あるいはまた計画をお持ちだと私は思う。これらの航空路線に対するところの認可については、一体どういうような立場で内容を検討し、あるいは認可を与えるか。これは御承知のように、私どもこれは本院の、参議院のいわゆる決算委員会においても、つとに離島関係の問題についても非常に注意を払って、特にそういう辺陬地域の人たちについてはできるだけサービスをして本土の人たちとも行き来ができるようにということで、航空問題についてはこれは衆参両院とも非常な関心を持っておるわけであります。そこで、そういう中にも実は全日本空輸を初め、中小の会社経営というものがあるわけであります。これらの問題について、認可をする場合に、一体どういうような内容というものを検討され、また認可をされるのか、その点についてまず第一に運輸大臣にお尋ねをしたいと思うのです。
  70. 永野護

    国務大臣永野護君) ただいまの御質問でありますが、大体根本的に航空事業というものが、どういう将来足どりで伸びていくであろうかという私どもの見通しを申し上げますと、これは日本だけに限らず世界的の傾向だと思いますが、旅客の航空事業にたよる率はどこでも非常な勢いで伸びていく、こう観測する次第であります。従いまして、日本におきましても極端なことを申しますと、ローカルのエア・ポートは各県に一つくらいあって、そしてよほどのひま人でなからねば汽車には乗らない、航空機で用をたすということが望ましいとも思う。また、それが傾向だろうと思うのであります。従いまして、新しいいろいろな航空路線、ことに先ほどお話の非常に不便な離島なんかにおいては、できるだけ航空機を利用することができるような利便をその島民の方々に与えたい、こう考えております。ただし、ここに非常にむずかしい七分三分のかね合いの問題がありまして、非常に完備した設備ができなければ許さぬということにしますと、現実の問題として、その離島の人が航空機を利用することが全然できなくなる。といって、本人たちも希望し、航空会社もやりたいというのだから、希望したものは認めたらいいじゃないかという扱い方もできないのであります。そこに七分三分のかね合いが百パーセント安全に、つまりアメリカに行けるような設備を持たなければ、つい近所の離島への設立も認可しないというようなことも実際的でないが、といって、がたがたのあの程度の離島のわずかの間の航空ならたいていいいだろうというようなことでは認可ができない。でありますから、ごく正確にはかりにかけるように、この程度の資格ができたら認めるというようなことは申し上げかねまして、一定の常識の基準というものがあると思います。ただし、国家といたしましては、もちろん危険の存在することを予期しつつ、大衆の生命を預かるような危険事業については認可をするわけには参りません。でありますから、認可をするときには、まず危険は絶対ないものだというものさしで認可いたします。まず、安全性第一ということで認可いたします。ただ、非常に分析的、科学的に申しますと、今申しましたような点に矛盾のあることだけは御了承願いたいと思います。
  71. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで、今のは総論的な大臣の御答弁だと思うのでありますが、具体的にこの路線を認可する場合に、該当のいわゆる航空会社に対して資産の内容の調査とか、あるいはそれに対するところの新しい飛行機を購入する場合のそういう資金というものがどういう形になっておるかというようなことを、今まで監督官庁の運輸省としてどういうふうにやってきたか、それの具体的事例をあげて、できれば一つ参考までに述べていただきたい。これは大臣でなくて、担当者の方から一つ説明をいただきたいと思います。
  72. 林坦

    説明員林坦君) お答え申し上げます。全般的に民間航空のサービスを開始するという場合には、ただいま大臣から説明申し上げましたように、安全ということを最も重要なる要素として考えておることは申すまでもございません。ただ、安全ということを目標といたしますれば、今言われましたように、会社の経済的な能力その他は当然その中にやはり一つの要素として考えなければならない、あるいは最も大事な前提的な問題として考えなければならないわけであります。従って運輸省といたしましては、航空運送事業を始めるという場合には、そういう、たとえば定期航空運送事業を始めたいという場合には、運輸大臣に申請書が提出されるのであります。これは航空機の運航及びこれを行うために必要な整備に関する計画をされまして、その事業収支の見積り、またいつから始めるといったような内容のことまでつけ加えまして始める予定であるということ、それから、要するに会社のいろいろな内容の目論見等をつけ加えて出して参るわけであります。これに対しまして運輸大臣は、その事業の開始が公衆の利用に適応しておるものであるということももちろんよく検討いたしますし、またそれを開始して事業を遂行していく上に十分なる能力を持っておるということも、会社の資本構成その他また経営者等のことも見まして能力を有するものであるということもきめるわけであります。また、計画としましても、それが航空保安上適当な事業計画を有するものであるということも認めた上で、またその路線がほかとの競争とか何とかで供給過剰になり、そのために不当な競争的なものになり、かつ自然にそれが安全に災いを及ぼすという結果になることは困りますので、そういう点を検討いたしまして、そうして事業というものを認める、また、その事業を認められた会社がある路線を開くという場合には、もちろんその路線に使う航空機が所定の安全性を持っておるということは当然でありますが、その路線そのものにいたしましても、運航を開始いたします前には運航開始前に検査というものをいたしまして、施設、人員その他がそれに適合しておるということを検査いたしました上でそのサービスを開始させる。こういうふうにいたしております。
  73. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで、具体的に、それでは全日本空輸が発足をしてから、運輸省としてはこの監督の立場に立ってどういう監査、あるいはその内容のいわゆる調査というものをしたのか。毎年そういう点については、ただ報告を受けるだけなのか、それとも具体的に内容に、いわゆる監督の点まで波及をしておるのか。そういう点についてはいかがでございますか。
  74. 林坦

    説明員林坦君) 特に航空機の安全の点について申し上げますと、全日本空輸はこの二月に発足したのでございますが、一応その前は、前身といたしましては日ペリ航空及び極東航空というふうに分れておったものでございます。一般的に私どもの航空当局といたしましては、昨年は特に旅客輸送をいたします際に、航空機の安全性の確保をはかりますために、安全性の向上検査という特別の検査を昨年五月から七月にわたりまして定期、不定期の事業者に対しまして実施いたしました。これはもちろん検査の項目といたしまして、整備、基地の検査、あるいはその路線に沿うた検査、こういったことをいろいろ検査をいたしたわけでありまして、それに基きまして会社方面に対してもいろいろと注意すべき事項、勧告すべき事項を出し、それの改善の結果を報告を受けるというふうにいたしたわけでございます。
  75. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでこの日ペリあるいは極東航空が一緒になって、本年の二月、全日本空輸ができた。そこで、この全日本空輸の現状について、資産の内容を調査をされた場合に、果してこの状態でいいかという点について、政府として何かお考えになったことがございますか。現在は黒字であるとか、赤字であるとか、あるいはこれで、このような内容で、さらに路線というものを拡張でき得る態勢にあるのか。先ほどは、参考人として出た社長は、今、増資についても考えておる、と言っておるが、これは考えておることであって、現状について、そういう点について運輸省として、監督官庁として、どう実はお考えになっておるのか。その見解を一つ御披瀝をいただきたいと思うのです。
  76. 林坦

    説明員林坦君) 全日本空輸になりまして、実は昨年度の決算を見ますと、大体一千万円程度の赤字に一応決算面においてはなっております。しかしながら、これは極東航空における赤字分が営業権といったような内容で資産勘定に入れられておるといったような面もございまして、実際問題としては、昨年度の赤字も一億くらいにもちろんなっております。今年度に入りましてから、やはり合併いたしました関係上、器材あるいは人員の融通はできるようになりましたし、また大きくなった関係もあって、信用もついて参りました。まあ、役員等はむしろ整理されて少くなっておりますし、また、全部一貫してサービスをすることもできるようになりました点から公衆サービス等もよくなっておりますが、何せ、まだこの二月に合併したばかりでございまして、そのよくなる面がまだ十分にいっておるともちろん言うことはできません。今後に大いにこういう合併の結果のいい方面は期待されると考えております。たまたま不幸な事態が起りましたが、これとともに最近の国内の景気、不景気の影響もございまして、必ずしも今年に入りまして昨年より飛躍的によくなるということが直ちに見込み得るかどうかという点については、われわれもまだ決して楽観すべきものではない。  これに対しまして、会社の現在の実力をもって非常に大きく伸びることができるか、という御質問でございました。私どもといたしましては、会社としてはできるだけ自分の実力をもって伸びたいというお気持のあることは、けっこうだと思っておりますけれども、しかしながら、やはり会社としましても、今のような実質的赤字をしょってこの航空運送の事業を続けていくということには、いろいろと無理が出てくると、しかるがゆえに来年度の予算等の措置につきましても、私どもは現在まだ政府部内で検討が未済でございますけれども、補助の方法、あるいは通行税の減免問題等についても、政府部内としてさらに検討を続けるというようなことを今考えておったところでございます。
  77. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、大へん航空会社には同情のある答弁だと思うんです。そこで、そういう同情のある答弁だからこそ、この飛行機の整備の問題についてもそういう考えが出ておるんではないかということを、まあ私は憶測するわけなんです。そこで一体、この間の土曜日の衆議院の運輸委員会において、政府から答弁されたのには、何か整備の、たとえば先ほどお話のあったオーバーホールの問題についても、若干時間を延ばしておるやに聞いておるのであるが、何かそういうことを会社から申請をされて、そうして政府は、これはまあ会社の内容自体が今言うような非常に同情すべき状態であるから、むしろこの際は若干のことは一つ延ばしてもいいというようなことを監督官庁としてはまあ内諾をしておるのか、あるいはこれが整備の規則というようなものをそういうふうに変えて、そういうふうなことを指示しておるのかどうか、そういう点については今まであったのかなかったのか、この点を一つ航空局長からお答えをいただきたい。
  78. 林坦

    説明員林坦君) 点検時間の延長の問題につきましては、実際問題として試験的にそういうことをやりたいという申請が出て参っておりました。実はこの問題につきましては、決して今言ったような経済的な面だけから同情をして、それを認めるとか何とかという問題ではございません。もちろん、だんだん会社としては整備の能率を上げ、またその能力も向上させて、そうして点検時間を延長するということは当然のことでありまして、ほかの会社、あるいは外国会社あたりの水準にできるだけ早く近づこうという努力のあることは当然でございます。しかしながら、安全の問題はそんなに簡単に経済的の理由だけからはいかない。で、私どもといたしましては、過去のいろいろの点検——定時点検との関係等を考慮した上で、まあ試験的にこれをやるということならば、あるいは一時考えてもいいがと、こういうところになっているのであります。
  79. 相澤重明

    ○相澤重明君 その試験的な、いわゆるオーバーホールの時間というものは一千時間ですか、先ほどは八百時間ということが答弁をされておったんですが、現実はどうなんですか、それは一体。
  80. 林坦

    説明員林坦君) オーバーホールの時間を延ばすということはまだいたしておりません。八十時間ごとの点検——自社点検を百時間に延ばす、それから九百六十時間ごとの修理改造検査を千時間に延ばす、こういうことを試験的にやる、こういうことでございます。
  81. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで、実質的にはオーバーホールが九百六十時間、千時間ですよ、これは。
  82. 林坦

    説明員林坦君) オーバーホールではないのであります。
  83. 相澤重明

    ○相澤重明君 何ですか、今言ったのは。
  84. 林坦

    説明員林坦君) 修理改造検査……
  85. 相澤重明

    ○相澤重明君 修理改造と言うが、実質的には、先ほど大倉委員も指摘したように、古い機体を買って、オーバーホールをやるたびに、新しく部品なんかもかえたりなんかするというと新しくなってきます。だから、二十年前の飛行機でも、実際には型がなくなってしまうのですよ。飛行機の形はあるかもしれないけれども、部品は変ってくる。これは現実の問題で、われわれが決算で調査をやっているときに出ている。だからこの点は、私は、非常に監督官庁として、もっとこれは、こういう問題についてはきびしい立場で、やはり基準というものをきめなきゃいかぬじゃないか。これは、ただ理屈で、形式的にこうなっておりますというような点だけでは、これはできるものじゃない。私はそう思う。で、一つの例が、これは宮崎県における航空大学ですね、運輸省の航空大学を私ども調査をしました。そういう中でも、これは航空大学の所長からも、いろいろ具体的な意見が開陳をせられた。これはあとで一つ、よく運輸大臣は、担当の人から、そういう点も聞いてもらいたいと私は思う。非常に私は参考になると思う。私ども決算委員会でも、実はそれらの問題について、参議院の議長報告しております。従ってそういう問題について、どうも私は、比較的中小と申し上げますか、日本のローカル線の航空会社に対しては、そういう点が、私はなおざりとは申し上げませんけれども、少しゆるめがちではなかったか、こういう点について、まあ、航空局長の言う、そういうふうに試験的な問題についてはともかくとして、実質的にそういうことをやっておらぬというようなお話であるけれども、むしろ私は、逆な面があるのではないかという点を心配するわけです。そういう点については、なお後刻よく調査をされて、私は御報告をいただきたい、こう思うのです。  それから二つ目の問題として、先ほど午前中に社長に御質問を申し上げたのでありますが、たとえば救命具が全部の飛行機に載せられておる、こういう答弁があった。これは速記録にも載っておるし、皆さんも聞いておるからはっきりしていると思う。その救命具というものは、一体どういうふうにして使わせるのか、どういうふうに指示をしておるのか、こういうことについては、現実の問題としてあまりやっておらぬじゃないか。いざ飛行機事故が起きた、飛行機の中に、いわゆる非常口がありますね、そういうもののあけ方についても、実際乗務員自身が知っておらぬじゃないですか。そういうようなことを、これはこの中を調べてみると、そういう点が出てきておるわけです。ですから、この点について、一体監督官庁の航空局がそれをやっておるのかどうかという点ですね、これはどうなんですか。一体、林局長、いま少し率直に答弁を私はしてもらいたいと思うのですが。
  86. 林坦

    説明員林坦君) 実は、それらの点につきまして、訓練の状況等が、果してどういうふうにスチュワーデスなりなんなりを通じて客に徹底させるようにされておったかどうかといったような問題については、どうも今ここではっきりこうであったということを申し上げるほどまだよく調べておらぬのであります。しかしながら、私といたしましては、事こういうふうになりましたので、さっそく会社の方に警告をいたしまして、そういった緊急事態のために処する訓練等をすぐに励行するようにということを、もちろん日航初め全部に対して通牒を出した次第でございます。
  87. 高野一夫

    高野一夫君 今の救命具の問題ですが、午前中も私は社長に質問したのでありますが、救命具がちゃんとそろっていると、それで能事終れり、万事手配が済んでおると言わんばかりの答弁であった。ところが、今、相澤委員の質問に対して、航空局長に聞けば、そういうふうに、救命具の使い方について、乗務員なりわれわれ乗客に教えることも含んでおるのでしょうが、知らぬとおっしゃる。これは航空局が、こういう大事な公共事業の監督官庁であって、しかも業務の認可権を持っておる航空局が、救命具を備える、ただそういうことだけでもって、備えた救命具を、どういうふうにして、乗客が利用できるように教え込めとかなんとかいう指導ぐらいはあってしかるべきじゃないか。また、会社の方でも指導がなくたって当然おやりになるべきだが、事実万一事故があった場合に、われわれ救命具の使い方は何一つ知りません。わからない。また乗務員が二、三名しかおらない、それが承知しておったところで、大ぜいの乗客に救命具をつけさせたり、つけるのは今こうこうです、こういうふうにつけるのですと、急場の場合に教えることができるわけはないのです。こういうことは、やはりこれは私は監督官庁である航空局にしても、会社側ももちろんより以上にそうでありますが、精神の弛緩といいますか非常にルーズであった非常なやはり証拠だと思う。何も役に立たぬのですよ。救命具を置いたところで。お乗りになればわかる。こういうことでは、われわれは安心して実際この航空機に一身を託することはできない、飛行機に乗ることはできないのでありますが、どうなんですか。これはあとで一つ会社の方にも伺いたいと思うのだけれども、日、航でも教えてもらった経験はない。全日空でも全然なかった。そうして航空局ではそういうことがどうなっているかは知らぬと、こういうことである。こういうようなことは、これは非常に私は大事なことだと思うので、どうか一つ、航空局が直接の監督官庁だから十分一つ注意して、備えるというだけでなくして、日航にも全日空にも、そのほかの地方の小会社に対しても、救命具の使い方を乗客に教えるとかどうしろとか、あるいは救命具も統一しているかどうかわからぬ、飛行機によって違うのがあるかもしれない、それは知りませんけれども、乗客から見れば、どの飛行機に乗っても同じような救命具でないと困る、工合が悪い、そういうような点について十分に一つ慎重に研究してもらわないと困ると思う。航空局長、どうなんですか。
  88. 林坦

    説明員林坦君) 今知らないと申し上げましたかもしれませんが、これは要するに、そういう救命具を備えつける場合には、当然会社において、そういうものを客に周知せしめるということについては、やっているごとと存じておったのであります。最近にその点についての教育状況を、私自身チェックしたことがございませんので、その点を申し上げたわけであります。
  89. 高野一夫

    高野一夫君 もう一つ、先ほど相澤委員からこの資産状況について、たとえば極東、日ペリが合併し、この二月に全日空ができ上った、そのときに資産そのほか経済問題について、十分吟味して、その能力があるかどうかということを厳格に審査したかどうかという質問があった。それで航空局長の御答弁では、十分やり得る能力があるということがまず第一に大事だから、その考え方でいろいろ調べたと、こうおっしゃるけれども、事実当時すでに一千万円の赤字があり、実際的には一億の赤字があったと、航空局は踏んでおられる。そういう会社が、昭和十二年、十五年、十七年、こういうような八機に及ぶ古い飛行機を使ってやっておって、そうして果してこれが経営上黒字がどんどん出ていって、十分新しい飛行機にかえるなりなんなり、改善すべき経済能力を持ち得るものだと、こういうふうに航空局長は判断されたのでありますか、それを伺いたい。
  90. 林坦

    説明員林坦君) 従来の民間航空、特にローカル航空の事業が赤字になりました原因は、いろいろあると思われるのであります。特に今まで、そういうふうに、十分に徹底的な運航ができなかったということの根本は、やはり飛行場その他が十分に整備されていなかったといったような客観的な条件がございまして、そのために、先ほどから大臣も、やむを得ざる妥協的な面と言っておられましたように、天気のいい日でなければ飛べないという実は航空もやらざるを得ないのであります、安全の方を第一にすれば一そういう多少の天候が悪くても、あるいは夜間であっても飛ばなければ採算がとれるような航行はできない。しかしながら、現在、残念ながら、その財政的な見地その他からローカルの飛行場の整備がうまくいかないために、夜間の航行でありますとか、あるいは天候の悪い日の航行はとめなければならぬ。せっかく客がつきかけたのに、その客にサービスを与えることができない。従って、せっかくつきかけた旅客航空機からまた離れてしまう、こういったことがいわゆるローカル線の経営上の悩みでございました。その証拠には、日本航空の国内線はそういった施設がほとんど完全になって参りましたために、現在のところ、この数年前までは赤字でございました日本航空も、国内においてとにかく黒字に転換して参ったのでありまして、ローカルにつきましても、これらの施設の改善ということが非常に大事な経営改善の要素なのであります。これにつきましては、国会の御審議を得まして、空港整備法その他によって、だんだん逐次改善はして参っております。何せ予算の規模その他の関係から、やはり年限を要する。すでに手をつけたところも二年、三年たたなければ完成しないといったようなところから、こういう状態になっておる面が非常にあるのであります。この点が改善されて参りますれば、全日本空輸航行も、当然そういった、お客がだんだんについてくるという面の希望はある。また、全体的に大きくまとまった関係上、採算のいい航路に重点を置いていろいろやるということももちろんできるわけでありまして、そうなれば将来としては航空機の世界的な趨勢から申しましても、希望のある事業であると考えております。それであるからして、その事業に対しては、いいとなれば資本も集まるであろうし、またよくなる面もあるということを社長は言われたのでありまして、われわれとしてはただそれだけでほおっておいては時間がかかる、それでは不安全な航行になりかねないので、できるだけ政府としても力を注いで、これを健全にするということに努力をいたしたいということを申し上げたわけであります。
  91. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで、大臣にお尋ねをしたいんでありますが、日本航空については、これは政府出資をしておるわけです。この全日本空輸については、政府出資しておるところの日本航空もさらに出資をしておるわけであります。従って純然たる民間資本というわけには参らぬのであります。なるほど形式的には民間資本ということになるけれども日本航空に政府出資をしておって、その日本航空が全日本空輸にまた出資をしておる。こういう形になりますというと、これはやはり航空事業については、私どもは単なる民間事業というだけでは律し切れないものがある。そこで、先ほどの大臣のお話の中にありましたところの、財政的にも機構的にも考えなければならぬと、こういうのは、今全国の中にはやはり中小のローカル会社があるわけです。これらを含んで、いわゆる航空事業全体についてお考え、あるいは財政的な予算措置の御提案をされる意思があるのかないのか、この点について大臣のお考えを一つ承わっておきたいと思うのです。
  92. 永野護

    国務大臣永野護君) まだ基本的な対策委員会と申しまするか、それの機構がきまりません。従って私が委員の中に加わるかどうかもまだきまらぬわけでありますけれども、少くも航空行政の責任者といたしましては、今、相澤委員のおっしゃる通りのことを考えておるのであります。根本的に考えるということは、単に日本航空とか全日空とかいうばかりでなくって、日本全体の航空行政のあり方いかんということを根本的に考えてみたい。それにはたくさんの、群小と申すと少し語弊があるかもしれませんけれども、小さな会社がたくさんあります。それをこういう人命にまっこうから関係の起る事業を、そういうような状態に放任しておいていいものであるかどうか、かりにそれに対して何らかの財政措置なんかの援助を加えることによって、健全なる発達をはからなければならないという結論になりましたならば、必ずそういうことが結果において現われてくると思います。かなり大きな問題がたくさんあると思います。範囲が非常に広いと思います。これが先ほど、繰り返して申しますように、閣議でそういうものを作ろうということがおのずからなる、単に私一人が申し出したというのではなくて、各大臣がこうしなければいかぬという自然発生的にその委員会ができたということで、その間の事情をお察し願いたいと思います。
  93. 相澤重明

    ○相澤重明君 今、一つの面を大臣にやはりお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、パイロットの面については、そういう飛行機の問題と、まあ操縦士の面についてはかなり世間的にもアッピールをされ、大きな関心を持たれるから、従って改善をしたかと思うのです。もっと根本的なものはやはり整備の問題です。これは何といっても安全でなければ、空を飛んでおるのでありますから救いようがないと思う。ところが、その面については比較的、まあ航空局の予算そのものを見ても私は充実をされておらぬ、特に私は宮崎の航空大学を調査をしてみて、その点まことに遺憾だという感じを持ったわけです。これらの点について、一体、航空局長なりあるいは大臣が、この事故が起きてからそういう面については、一体、どうしたらよいかという点をお考えになったことがあるのかないのか、これはもう、もしこのことができなければ……、御承知のように、整備をほとんど受け持っておるのは羽田の整備会社です。これは、アメリカの資本とともに、日本飛行機の整備をしておるわけです。ところが、このように形だけで私はいいかという点を考えるときに、全国にばらまかれておる飛行場、それからその飛行機のいわゆる修繕、こういうようなことを考えると、なかなか今のような形では私は整備が十分でき得ない、こう思うのです。そういう点について何か改善すること、これを機会にお考えになったかどうか、それはやはり大臣の御答弁が、先ほどの答弁と同じように、自然発生的に各大臣からそういう意見が出たけれども、あくまでも委員会がそういう結論が出たならば財政的措置をとるという考え方なのか、あるいは大臣が率先してそういう整備問題については特に力を入れていくというお考えなのか、この点一つ見解を承わっておきたいと思います。
  94. 永野護

    国務大臣永野護君) 整備の問題は比較的じみな仕事であります。従いまして、ともすると第二次的に扱われやすい仕事であります。しかし、その実際上の影響は非常に重大であって、みずから操縦をするというのに劣らないだけの重要性があるということは十分わかりますから、そのともすれば第二次的になりやすいという傾向のあるということを了承しつつ、それに対する適当な対策を講ずるつもりでございます。
  95. 柴谷要

    ○柴谷要君 時間がないですから、大臣に先にお伺いしておきたいのですが、事故防止対策のために航空安全委員会をお考えになっておられるそうでありますが、大体この航空安全委員会のメンバーというものをどのようにお考えになっておられますか。この点からお答えを願います。
  96. 永野護

    国務大臣永野護君) はなはだアンビジアスな御答弁になって恐縮でありますが、少くとも運輸省限りで作っておる事故対策委員会というものとは、ある意味において程度の差のない、品質に差のある程度の、いわばトップレベルの委員会を作りたいと、こう考えております。それは先ほども申しますように、かなり大きな経済上の問題が伴いますから、いわゆる勘定合って銭足らずというような結果になってもいけません。それに相応するだけの予算措置の問題もあります。それから制度上、つまり機構の問題もあると思います。従いまして、いわゆる運輸事務当局の範囲を逸脱した問題をたくさん取り扱わなければなりませんから、従ってその構成分子もそういう仕事の内容にふさわしいメンバーになるというような抽象的のお答えはできますけれども、具体的にそれじゃ何の何がしをどの委員にするというようなことは今しばらく……。この間の閣議でこんなものを作ろうということがきまっただけであります。従いましてそれの具体的の実行に当りましては、いま一、二度の会合が要ると思います。しかし、先ほども申しましたように、これは決して追って慎重に調査いたしますというようなきまり文句で打ち捨ておける問題でないことは重々承知しておりますから、御期待に沿うように一刻も早く発表いたしたいと思っております。
  97. 柴谷要

    ○柴谷要君 大体構想についてはわかりましたけれども、とかく事故が発生をしまするというと急遽委員会ができる。ところが、日本の陸上交通にいたしましても、まあ航空輸送にいたしましても、残念ながらどうも事故というのは周期的に起きてくるような感じがするわけです。たとえば自動車のような問題としまするというと、大きな事故を起した運転手は、次の事故を起すまで大体三ヵ月ぐらいの余裕がある、この間は緊張してやるせいか、事故はない。ところが、国鉄、私鉄等の無事故表彰規程というのがありますけれども、これは九ヵ月、一年という無事故を通すというのはなかなか困難です。そうしまするというと、周期としますると、九ヵ月なり、一年、自動車でいえば三ヵ月というようなのが、いわば周期になると思う。日本の航空事業も、先にはもく星号の遭難があり、今回またこのような不祥事故が起きた。全くこの事故に対して、大きな事故が起きた、それわあわあ騒ぐけれども、事後の処理というものは、非常に私は適切なものが欠けているのじゃないか。  そこで、特に私は運輸省に、今回新聞を見て遺憾な点が一つあるので、これを十分にただしておきたいと思うのは、実は第三管区海上本部長ですか、この方が推定理論としてどうも空中分解だ、こういうことを言われた。ところが、これに対して航空局は厳重に抗議などを申し込んでおるようです。こう新聞に載っておる。私が今、先ほど社長にお伺いしたいときにも、機体が海中潔く入っているから事故の探究は非常にむずかしい、こういうことを言われた、それはごもっともだと思う。しかし、いろいろまあ苦労されてその任に当っておられる方が、推定にいたしましても空中分解ではなかったかという理論を吐かれることは当然だと思う、あるいは墜落であるというようなことを言われるのも当然だと思う。いろいろおのおのの立場によって意見を吐かれると思うのだが、これに対して航空局が厳重に抗議をしたということが新聞に出ておるけれども、私はこういうようなことであっては、運輸省の中において十分事故対策の確立をし、検討するということにはなっていかないのじゃないか。この点はどうなっておられるか、両当事者がおられるようだから、新聞が誤まりであるか、さようなことがあったかないか、これから一つお尋ねをして参りたいと思う。これに対して大臣は、そのような見解に対してお考えをどうお持ちになっておられるか、これもあわせてお尋ねをしておきたいと思う。
  98. 島居辰次郎

    説明員島居辰次郎君) 私、第三管区の本部長が下田に行きましたので、直接ではございませんが、オペレーションを通じてその事実を聞きましたところ、その原因は目下まだわれわれのところでも探究中でございまして、原因は今そう早急には結論は出せないようでございますが、死体の捜索に当って非常に困難であるということを説明するための、一つ説明のようなことでそういうことを座談的にしゃべったということは聞いておりますが、いわゆる飛行機の原因そのものについては、今慎重にわれわれの方でも検討しておるような次第でございます。
  99. 林坦

    説明員林坦君) 私は新聞社の方からそういった話があったことを聞きました。実際に事故の原因につきましては、いろいろの材料を集め、またいろいろの調査を進めました後に推定を加え得るものである、また判断をなし得るものであるという見地から、にわかにこれを簡単に結論を出せるものというふうには考えておりません。目下今、長官の言われましたごとく、取り急いで、しかも慎重に検討を進めておる現状でございます。私どもの方から特に厳重にその問題について抗議を申し込んだというようなことはございません。
  100. 柴谷要

    ○柴谷要君 そういうことになれば、これは新聞が少しにぎやかに書いていただいたということで、われわれの誤解も解けるのですが、非常に心配したのはそこなんです。事故が発生した、お互いに見解が違うからということで、同じ庁内で厳重に抗議を申し入れるなんということがかりにあったとすれば、これは慎しんでもらいたい、こういう気持から今申し上げたので、そのような事実がないということについてまあ非常にわれわれも安心をするわけですが、大へんむずかしい事故調査に当られると思うのですけれども、私は特に大臣に要望しておきたいことは、原因を十分突き詰めて、そうしてしかる後に対策を立てるというのでないと、先走った理論ばかりして、事故が起った、多数の犠牲者が出た、この人の霊を弔うために航空会社に国から金を出さなければならぬというような急いだ議論は私は当面すべきでないと思う。十分この責任はやはり全日空輸が全力をあげてやる。これに対して監督官庁である運輸省は、やはり自分の責任の立場に立っていろいろやるということを明確にしてもらいたいと思う。ややもしますと議論が混同して、何か全日空輸は国営でやっているような錯角を起す。ですから、やはり責任の所在を明白にしてもらって、そうしてやっていきたい、こういうふうに考える。  そこで、大臣に特に要望しておきたいと思うのは、非常に困難な事故原因の探究であろうかと思いますけれども、これはぜひ探究をしていただいて、これに対する適切な一つ手段を確立をしてもらう、これが私は先決だと思う。そうでないことには、幸いにまあローカル線もかなり顧客がふえて、会社の経営がよくなりつつあるというのですが、このために非常に今後は全日空輸なんかも気の毒ですけれども利用者が少くなる、こういうことではいけないので、十分ここで原因というものを探究され、そうして将来国民に向って、こういう事故は再び起さぬ、お互いに責任を持って任に当るからということをやはり国民に知らしめる必要があると私は思う。それがやはり今回われわれに課せられた任務でもあろうかと思う。この点は、ぜひ大臣から関係者に十分なる示達を願ってすみやかに原因を一つわれわれにもお知らせ願いたい、こういうふうに思います。
  101. 高良とみ

    高良とみ君 時間がおありにならないようですが、詳しいところを伺っていないのですけれでも、ただいままでのお話を伺いまして、この日本の非常に悪い気象状況、まあ地勢に負うところがあり、そういうことが原因であって、山に衝突したとか、あるいは天候が悪かった、そういうことでなくして、今度はこういう大へんな不幸なことが起った。当局としては非常に傷心し、また善後処置を講じられておるということはわかるのでありますが、その原因として会社側に経営上の困難があった、要するに貧乏であったがために十分な機関士も乗せることができないとか、フロートの設備が不十分であったとか、積荷の過重であったというようなことがいろいろ考えられると思うのです。しかし、それはそれとして、今後のことでありますが、私はどうもふに落ちないのは、せっかくある備品を、しかもそれは救命具のような、今回は波の上に浮動したのではありませんけれども、そういうものはスチュワーデスのいすの下に並べてあったというようなことで、その訓練もしておらないというようなことでありますと、この実情も承わりたいのでありますが、今後いかに金を入れましても、つまりこういう事故の原因としては不可抗力であったのじゃなしに、また外界の原因でなしに、やはり不注意である、機械を操作し、人の命を預っていくのに、原因は要はそこであるというようなことを考えると、もっともエンジンの故障の起ったのは整備に落度があったかもしれません、また検査の不十分であったことの結果かもしれません。けれども、物を持ちながらそこにオーバー・ロードし、そうしてこういう事故を起すということは、これは監督の局としてもまた運輸省全体としても、国民全体としても、これは日本航空機に対する科学的な国民のこういうものを使う能力を疑われるのじゃないかというように考える。国際的にも外国人も、今お話があったようでありますが、日本の国内航空は危険であるということになっては大へん遺憾なことであると思うのであります。この点一つ特に今度できます航空安全委員会には十分な訓練を……、またもう飛打機会社ができたときから救命具を配直するとともに、これをいかに使い、いかに十分訓練するかということは、当然電気のスイッチを入れるのと同じように反射的に行っているのじゃないかと思うのですが、これは私の要望一つであります。もう一つの点は、やはり飛行機をいかに整備しましても、これを運営する人の問題があるのでありまして、今度の航空安全委員会には、必ず機械であるとか、飛行機の専門家であるとか、財政面であるとかということのほかに、疲労あるいは運航する人たちの心理状態、性格、あるいは緊張と弛緩の状態というようなことなどをよく調べて、精神面の方からの人もお入れになることを希望するわけです。日本の航空事故はことにそうでありますが、そういう面が国際的な水準まで行っていないのじゃないか。これはかねて航空局長にもこの前から御注意を申し上げ、希呈したのでございますが、そういう高度のところまで今後も抜本的な人選をお願い申し上げたい。医学、要するに航空医学、航空心理学、そういう方面の人たちもお入れになりまして、これから日本民間航空は健全に発達いたしますように十分チェックをして、安全な上にも安全を期して、そうして今後の発展に貢献していただきたいということを大臣に御希望申し上げる次第なんです。そこまで言っては失礼ですが、今の問題としては、そこまで研究していられないと言われるかもしれませんが、たとえば宮崎の航空大学の訓練にいたしましても、まだまだ水準を高める方法が幾らもあると思う。知能検査も必要でありましょうし、性能検査も必要でありましょうし、あるいは事に処するのにそれぞれの方面のことがあるのじゃないか。たとえばスチュワーデスのごときも、大へん具体的で失礼でありますが、十七、八の若い娘が、これが経済的のどういう事情があるのか知りませんが、これらの全生命を託していくのには、どれだけの訓練がおありになったかということを思うと、それではいけないのじゃないかというふうに思うのでありますが、御無理な要求でありましょうが、いかがでございましょうか。
  102. 永野護

    国務大臣永野護君) お答えいたします。  ただいまの高良委員の御質問の、ともかく当時の気象状況から申しまして、少しも天災に責めを帰するような事情は何もございません。むしろ平穏無事な天候であったと言わなければならぬと思います。しかし、機体点検後わずか一時間以内の間にああいう悲惨な事実が起ったというのでありますから、何と説明いたしても割り切れない感じが残るということはごもっともであります。どっかに欠点があった、それがどこであるかはわかりませんけれども、どっかにあったに違いないという感じは御同感であります。従いましてその原因の探究ということは、非常にわれわれも重点を置いて、とりあえずの原因探究でありますが、これは十二分にいたすつもりでございます。そうして先ほどもその前の御質問にもありましたように、これを有意義に生かすことが、このとうとい三十幾人の犠牲に対するせめてもの心やりになるというふうに考えて、真剣にやっていくつもりであります。  それから精神面の人も入れたらどうか、入れる必要があるのじゃないかというお話でございますが、この点も先ほどからたびたび申し上げましたように、今度内閣に作ります委員会は、単純なるテクニックの問題とか、あるいは財政の面とか機構の面とかということだけに限定いたしませんで、一つ日本の航空事業を根本的に安心した運営ができるようにするためにはどうしたらいいかという基本的な材料は網羅いたしまして研究いたすつもりでございますから、今、高良委員のおっしゃるようなことも当然その材料の中に入ってくると思いますから、その点は御了承願いたいと思います。
  103. 大倉精一

    大倉精一君 私は、ちょっと変った点についてふに落ちぬ点があるので御質問いたしたいと思いますが、これは航空管制の問題なんですね。それで新聞の記事を順を追って読んでみますというと、八時三十七分ごろに米軍の管制センター連絡をとったところが、これは連絡がつかなかった。たまたまそこを通り合せた僚機があったので、その僚機がこれを傍受して米軍センター連絡をした。こうなっておる。私はこれを見まして、もしあすこにたまたま僚機が通らなかったらどうなるか、こういうことがピンと私は来たのですが、日本の航空管制というものが米軍に握られておって、そうしてこういう緊急の場合に日本飛行機ではどうにもならぬというところに制約があるのではないか。たとえば、私はこういう緊急の場合にどこどこに無電を打って許可をとるというのではなくて、とりあえず安全なところに飛んで行って、どこどこに向って飛行中であるから緊急措置を頼むと、こういうことでいかなければ、私はこういう緊急な場合には間に合わないと思う。これは僚機が通って僚機が中継をした。センターから故障の飛行機連絡をしたが通じなかった。もたもたしておる。二十分も三十分もやっておる。こういうところに航空管制上の大きな欠陥があり、あるいはまた日本飛行機が空中では日本の自由にはならぬ点があるのではないかと思うのでありますが、こういう点はどうなんですか。
  104. 永野護

    国務大臣永野護君) 私は事務的のことはとんと不案内でございますから、今の通信施設の機械的あるいは運営の面からどういうような手違いが起きたかというようなことにつきましては当局から御返事を申し上げることにいたしますが、今、大倉委員の言われました点は、はなはだ失礼だけれども大倉委員もしろうとといたしますと、私も実際同じような感じがしたのでありますが、どうもおそいじゃないか。そうしてそういう生き死にの問題が起っておるときの交渉としてはもう少し何とか、せっぱ詰まった場合に対処する案はないものかなという感じが、実は大倉委員と同じような感じがしたのであります。しかし、事務的のことはいずれ当局からお答えすると思いますけれども、私の知っています限りでは、今の通信をアメリカ人に握られておるからそういう非常な、常識的に考てみまして、こういう非常時のときにとるべき態度しては遺憾の点があったというような印象が、そのアメリカ人が通信施設を持っておるからという理由で起ったのではないと私は今判断しておるのであります。それは別の理由があって、結論的には、大倉委員が考えておられるような、何だか割り切れないものがあることは同様でありますけれども、それをアメリカが通信施設を持っておるからそうなったというふうには、私は考えておらないのであります。この点につきましては事務当局からお答えいたします。
  105. 大倉精一

    大倉精一君 しろうとでもわかるようにお願いいたします。
  106. 大和与一

    委員長大和与一君) 大臣の約束の時間がもう来ましたが、私もちょっと質問さしてもらって……。
  107. 永野護

    国務大臣永野護君) どうぞ、どうぞ。
  108. 大和与一

    委員長大和与一君) 大臣のさっきお話があった中で、どうするかということよりもどうあるかというのが今の問題だ。ところがそうなると、飛行機の器材を引き揚げなければならぬ。どこにあるか探さなければならぬ。それが当面の問題だ。それが海が深くてなかなかむずかしいというお話なんですが、ちょうどフランスからお客さんが来ておって、バチスカーフというものをフランス政府とかけ合って、あんなものを活用してみるというお考えはありませんか。
  109. 永野護

    国務大臣永野護君) これも実は同じしろうと考え、私も同じようなことを実は考えた。ちょうどフランスから来て四千メートル以上も入るということなら、四百メートルや五百メートルくらいの所なら何でもないんだから、あれを借りてやったらどうかということを実は申したのでありますが、実際問題といたしますと、なかなかあれを借りてきて入れてみても、なかなかわかりにくいものらしいのであります。しかし、私はそれを多少政治的に考えてみて、遺族及びその一般大衆の不安の念を持っておる人たちに対する心理的の影響を考えてみて、これだけの手を尽したという意味において、今のフランスの、何とか言いましたな、バチスカーフというようなのも借りて、そうして大体の場所の見当はついておるのですから、そこらを、一回ですぐ金的にぶち当るということはできぬかもしれませんけれども、何回も沈んでおれば、何らかの材料が得られるかもしれぬという気持がいたします。これは実質的の効果があるかもしれぬ。かりに実質的の効果がなくとも、これほどまでに尽したという国家のこの犠牲者に対するサービスといたしましても、なるたけそういうこともやってみたい、まあこう考えております。  これは、ただしいろいろな事情がありましょうから、こちらの方でそう考えましても、その通り簡単に進むかどうかわかりませんけれども、少くも努力はしてみたいと思っております。
  110. 大和与一

    委員長大和与一君) もう一つ。私も飛行機に乗って、国内では避難訓練を教わったことがありません。それで、一つ大臣に、近き将来に飛行機に乗って、お客さんの線で、自分もお供してもいいから、一ぺんどんなに困難なものかということを、避難訓練をやってみたらどうかと思いますが、そういうお気持はありませんか。
  111. 永野護

    国務大臣永野護君) 実は、私は皆さん御承知のようにここ四、五年、東南アジア各地に十回近くも参りましたし、国内航空もたびたび利用いたしましたので、今の危急の場合におけるいろいろな訓練は、レクチュアだけはたびたび聞きました。しかし、実はそれがほんとうに現実化するという気持が、正直言いますと、ないために、そのレクチュアもそう十分には実は聞かなかったのであります。今度乗るときは幾らか切実感がありますから、きっとそのレクチュアだけは十分に聞きたいと思っております。まあ問題は、むろんそれに違いありませんけれども、そういう緊急避難の対策を考える必要がないように、事前の準備を十分にしたい。重点をそこに置いて考えたい、とこう考えております。
  112. 大和与一

    委員長大和与一君) それからもう一つは、日本が非常に気流が悪いということは、世界の何番目か知らぬけれども、おそらく五番目以内じゃないかと思う。そうすると、日本飛行機を借りてくる場合でも作る場合でも、もしも日本が世界的に一つの気流の悪い国であるとすると、その他の、風あるいは一般的な条件ではなくて、そこにやはり何とか監督官庁としてもそういうこともあわせ考えた一つ配慮があっていいのではないだろうか、こう私は思うのです。
  113. 永野護

    国務大臣永野護君) お答えいたします。  日本が気象が非常に悪い国であるということは、これはどうも言うを待たぬことと思います。すでに常識化した事実だと思います。しかし、それとともに、日本人の人種としての能力の問題でありますが、飛行機の操縦なんかには非常にすぐれた適格性を持っておるということも、かなりこれは常識になっております。これは皆さんすでに御承知であると思いますけれども、何と申しましたか、アメリカのどこかの未亡人が、世界中で日本人が一番操縦士としての適格性を持っておるから、これを育てたいというので、その遺産を日本に寄贈いたしまして、それが飛行協会の基金になっておるとか聞いております。  でありますから、外国人から日本人の飛行機操縦能力は、ある意味の保証を受けておるようなこともありまして、少くも今度の事件前は、アメリカ人なんかからよく聞いた話でありますけれども日本人の操縦しておる飛行機ならば安心だという言葉を、私は直接聞いたことがあるのであります。従いまして、日本の気象が悪いということはもちろんでありますけれども、私は日本の気象が悪いからといって、日本の航空事業を寸毫も悲観するには当らない。要は、どうしたら間違いが起らないようにするかという注意をどの程度払うかという問題であると思いますから、私は失望はいたしておりません。日本の航空事業発展のために、この上とも努力を続ける所存であります。
  114. 大和与一

    委員長大和与一君) 最後にもう一つ飛行機が飛んでいけないという監監官庁としての命令、指示を出す限界がありますか。
  115. 林坦

    説明員林坦君) ただいまの、どういう場合に飛行機を飛ばせないかというのでございますが、もちろん航空機の安全であるということを確認しなければ、機長は飛んでいけないわけでございます。その点については、まず最後的にはそういうこと。  管制は、必ずしもその航空機自体の故障とかその他のことを管制で見るわけではございません。もちろんさっき御質問がございましたエマージェンシーの場合にも、管制に連絡して許可を得なければならないというのはおかしいじゃないかというお話でございましたが、これは、実は他の航空機との衝突を防止し、また、その緊急状態にあります航空機に対しまして、最大の優先権を与えるためには、欠くことのできない連絡なのでございます。緊急状態にある航空機が管制機関と連絡を行わないときは、その航空機位置も高度も、また緊急状態と申しますその程度も全くわからないので、捜索、救難することが非常に困難になるわけであります。管制とは密接に連絡をとっていくのが当然であるのであります。  現に今度の場合も、管制といたしましては、このJA五〇四五機がエンジン不調の通報をいたしまするや、直ちにその旨をこれを救難機関に通知、出動待機をさせております。また、JA五〇四五機に対しましては、管制上の絶対優先権を与えております。  続いて管制は、東京厚木横田の各管制用のレーダーに対しましてJA五〇四五機の捕捉に努めております。また、防空関係の機関に対しましても、各防空用のレーダーによる同機の捕捉を要望している事実もございます。また、関東地方のすべての管制機関、いわゆる飛行場タワー、その地名古屋の管制塔あたりに対しましても、この飛行機との通信連絡をさせるように最大の努力をいたしておるのであります。また、このJA五〇四五機の着陸のために、東京の国際空港近辺の管制をあけてやらなければなりませんので、あの東京国際空港近辺における定期飛行を禁止、制限しております。それから厚木管制塔に通知いたしまして、厚木の管制塔はJA五〇四五機の要求による航行指示の待機をさせられておるのであります。また、関東地区にあるすべての飛行場に対して、JA五〇四五機が緊急事態にある旨の通報をする、こういったような、また同機の消息はないかといったような照会を全部やっておるでありまして、管制の許可を得ることも、また管制に連絡をすることも、こういう事態になればなるほど、ますます必要であると私どもは考えております。
  116. 大倉精一

    大倉精一君 そのお話はよくわかるのです。わかりますけれども、私が今一番冒頭に疑問を持ったのは、右のエンジンですか、これが故障したというのをアメリカのセンター連絡をした、ところが、通信がきかなかったのです。これがたまたま僚機が通ったから、僚機が傍受をして中継をしてくれたからよかったのですけれども、あすこで僚機が通らなかったら一体どうなるか。通信機がもし故障しているとするならば、センターから何か指令がくるまであの辺をうろうろして、そしていたずらに消耗してしまうような、そういう結果になったのじゃないかと胆うのです。あるいはまた、高度が下ろというと、通信機がきかないとおっしゃるかもしれませんけれども、先ほどの説明によりますというと、大体三十六分ですか、のときには、五千五百フィートで初めから五百フィートだけ下っておるだけなんです。でありますから、この際、私はどうも通信機関に不備があったと思うのです。その後においても、センターから許可連絡はしたが、どうも故障機には通じなかった、こういう点について、私は非常に疑問に思うわけなんです。こういうときには、通信機の故障が起ったら、これはもう指示をもらうまで動けない、こういう問題が起ってくるわけです。こういう点は一体どうなんですか。
  117. 林坦

    説明員林坦君) センターを呼んでも出なかったということをちょっと申し上げましたが、これはセンター側の受信機には、機能として不備不調はなかったようでございます。ただ、同機との通信状況は、最初は雑音は多少ありましたようでありますが、相当はっきりしておったようでありまして、そのために五〇三九が中継をしたということまで先ほど実は御説明申し上げたわけでございます。それが、片発停止いたしまして以来、受信状態が非常に悪くなって、とだえがちになったのでございます。そういう状態にありましたので、さっそくレーダーその他による捜索に移った、こういう状況なのでございます。
  118. 大倉精一

    大倉精一君 これは、しろうとですからわかりませんから、これ以上質問申し上げませんけれども、こういう航空管制上のシステムにも、やはりメスを加えていく必要があると思うのです。しかも、何といっても、日本の国はまだ米軍に牛耳られておりますからして、どうしてもこれはある程度の制限はあると思うのです。これは常識上私はあると思う。でありますからして、もし何かそういう対策を講ぜられる場合におきましても、空の交通整理において、この欠陥なり不備なりという点については、これは徹底的に、この際、検討を加えてもらいたいと思う。こういうような機械のことなのですから、いつどこでどういう故障が起るかもわからない。その場合に、手続は手続だからといって、手続なり何なりに時間をかけて、そこにいたずらに救援すべきものが救援できなかったりというようなことのないようにしていただきたいと思う。この点も将来ヘリコプターその他の空の交通は非常にひんぱんになるに従って、そういう問題についての根本的な検討が必要だと思いますから、そういう点についても、この際、徹底的に一つ御検討を加えていただきたい。こういうことを要望申し上げておきます。
  119. 大和与一

    委員長大和与一君) さっきのお答えによって、そうすると、どんな場合でも飛行場にある飛行機に関しては、監督官庁としては飛び出ていけないという指示、指令はできないということですね。
  120. 林坦

    説明員林坦君) もちろんその航空機に機能的な障害等があるということがわかれば、それは当然とめることはできます。ただ、そうでない場合には、管制でやるのは、別に故障だとか何だとかいうことを問題にするのではないのだ、管制は交通整理的なことをやるのである、こういうことをちょっと申し上げたわけであります。
  121. 大和与一

    委員長大和与一君) 私は管制に関連して聞いているのではなくて、機体としての主体的な状態と天候と二つありますね、たとえば青函連絡船で洞爺丸が沈んだ、船長の責任だ、しかし管理局長にも全然ないということは言えぬじゃないか、もっと連絡がよかったらいいじゃないかという世論的なことも、あのときありました。そういう体験があったのです。そういう体験をあなたも知っているから、飛行機の場合、内容は仮定だけれども、一体、監督官庁は——機長自体が自分自体でとめなければいかぬ、あるいは天候が悪くて飛ばないときはあるけれども——天候ではなくて、監督官庁の機能が末端までいって、今飛んでいかぬと言う権限があるかどうかということを、経験があるから私は申し上げているのであります。
  122. 林坦

    説明員林坦君) ただいまの天候の場合には、飛行場ごとにいろいろ気象の条件がございまして、そのいわゆる、われわれは、ミニマムと称しておりますが、その条件以下であるならば、飛ぶことは認みられておりません。従って、現地において飛び立つことができないのであります。
  123. 高野一夫

    高野一夫君 会社側どなたでもけっこうですが、一つずつ簡単に伺いたいと思います。  まず第一に、ダグラスDC−3型というやつを輸入されてから、定員の座席を改造された事実があるかどうか、御返事を願いたい。どなたからでもけっこうです。
  124. 川端清一

    参考人(川端清一君) 運航部次長の川端でございます。  ちょっと一言、このたび私が担当いたしました整備につきまして、重大な結果を起しまして、遭難されました方々並びに御遺族に対して、まことに何とおわびいたしていいやらおわびの言葉もございません。この席を借りまして一言おわび申し上げます。  ただいまのDC−3の輸入機に対します座席の数は、私どもの方の会社では、一応、乗客のシートを三十席と示しておりますので、購入しますスペックに、座席数三十名と示しておりますので、受け取りますときには、三十席の座席を受け取ることにいたしております。
  125. 高野一夫

    高野一夫君 私の伺うのは、アメリカの製造会社において製造した場合の座席が、かりに二十とか二十五あって、それを日本へ輸入する、これは今は、ことしの二月合併したのですが、その前に輸入したときに、それを定員三十名に改造して増加せしめた事実があるかどうか、何か新聞か週刊雑誌なんかにそういうようなことがあったとかいうふうに、記事を見たような感じもいたしますので、確かめてみたいと思います。なければないでけっこうです。
  126. 川端清一

    参考人(川端清一君) 手前の方にあります飛行機の線に使っております会社の使用状態によりまして、あるいは二十五席ついているものもあったかと思いますが、あるいは三十席、三十一席そのままついたものもございますので、受け取りましたときの仕様に三十席で、現に何席ついているかを一応確認いたしておりませんです。
  127. 高野一夫

    高野一夫君 それはおかしいじゃありませんか。アメリカの会社で製造された年月日と機数がわかっている。それを昭和三十年、三十一年、三十二年に二機、三機ずつ買われている、輸入されているわけです。そういうときに、製造会社で二十人の定員であったか、二十五人の定員であったか、その輸入したときにそれがわからぬのですか、現在は三十名の定員であるかもしれない、しかし、それは果してアメリカにおいてもやはり三十名の定員であったのか、巷間伝えられるところによれば、もっぱらうわさになっているがごとく、日本にきてから定員の増加を、座席の増加を、改造をやったといううわさが飛んでいる、それで確かめるのでありますから、輸入されたときにどれだけ定員があって、現在はそれと変らないのか変るのか、これはおわかりにならないのですか。
  128. 川端清一

    参考人(川端清一君) ちょっと間違えましたが、どの飛行機に……。全座席というのは、ただいまちょっとわからないのでございます。
  129. 高野一夫

    高野一夫君 どの飛行機でもいいのですが、その定員が三十名のも現在ありましょうし、二十名のものもございましょうし、それから十一名から二名の小さいのもあるように思います。それで、そのいずれを問わず、定員の座席がきまっておったやつを、日本に輸入してから増加をすべく改造された事実があるかどうか。たとえば定員七名であったのを十一名にした、二十五名でアメリカではあったのを、日本で現在の三十名に座席をふやして改造した、こういう事実がありますかどうかということを承わりたい。もっぱら世間のうわさになっているじゃありませんか。
  130. 渡辺尚次

    参考人(渡辺尚次君) 私、渡辺でございますが、ただいまの御質問でございまするが、本日は、実は先般からいろいろ善後措置に忙殺されておりまして、ただいま御答弁申し上げましたように、資料をいろいろ持ってくるひまもございませんものでしたから、具体的に申しますと、どの飛行機が改造したかどうかというようなことを、はっきり申し上げられないわけでありますが、会社といたしましては、アメリカにおきまして使っておった場合は二十五席くらいのものもあります。そういうものも日本に持ってきて直したのじゃなくて、こちらからいろいろ向うに相談をいたしまして、重量がオーーバーしないようにいたしまして、座席をふやしていただきまして、それで持ってきたものがございます。しかし、あくまでもこれはもともとその飛行機は座席を三十席つけてもいいように設計されておりまして、それをただ会社状況によりまして、たとえば一等席みたいなものをつける場合には、これは座席を少くする。それから三等席みたいにして座席の数をふやして、そのかわりいろいろな、何といいますか、鉄道で申しますと、二等と三等の相違というようなことでございまして、そういう意味で改造して持って参ったものはございます。ただし、どの飛行機が前に何席であって、こっちへ持ってくるときに何席になっていたかということは、実は、まことに申し訳のない次第でありますが、来るまぎわまてほかの仕事に忙殺されておりまして、一々ここで御答弁申し上げる具体的な資料を持ってきておりませんので、その点はあしからず御了承願いたいと思います。
  131. 高野一夫

    高野一夫君 座席を増加したということは積載量の問題、今お尋ねいたしますが、巷間にもっぱらうわさになっておる。そのときにあなた方全日空輸の幹部であられると思うのでありますが、現在の定員三十名のもめあるいは十一名のものが何機あって、そしてそれはアメリカに頼んで日本に輸入する前にどのくらいに増加をする、改造をどういうふうにしたということくらいは、これは二十機も三十機もあるのなら別として、八機くらいならおわかりになりそうなものだ。ことに運航の責任を負われている方々は、そういうようなことは当然暗記どころか、ちゃんと十分承知しておられることだと思いましたが、今の御答弁を聞いて、ますます遺憾の感にたえません。率直に申し上げておきます。  そうしますと、今のお話で、一等席、二等席があるから、座席をふやしてもごうも積載量に関係がない、こういうことなら、それじゃガソリンならガソリンを積むことについても、アメリカにおける限度と、日本の座席を改造した場合のガソリンの積載量には変化がないわけですか。ガソリンの積載量に変化がないように改造を頼まれたのですか。その辺はどういうふうにお考えになりますか。
  132. 石田功

    参考人(石田功君) この飛行機はアメリカからくるときに、現在のパワーが二千四百馬力なんでございます。そして機体の性能からいって、全重量二万六千二百ポンドまでは許されるということになってもらっておる飛行機でございます。従って、その範囲内で、限界内で燃料の調査、タンクもそのままの状態で八百ガロン積めますが、一応、私の方は平時四百ガロンから六百ガロンの安全の範囲内に積んでおります。そうしまして、そのあとの重量は機体の重量、その他有償搭載量に当てがわれて、つまり最大積載量の以内に向うの指示通りやっておるわけでございます。
  133. 高野一夫

    高野一夫君 私の言うのは、最大積載量はどうせ変えるわけにいかんでしょう、運航上。でありますから、座席を改造して定員をふやすというふうなことになりましたならば、ガソリンを積み込むその限度に一つ制限が起ってきはしないかということが、われわれしろうとの考えなんです。それはどうなんです。それはやはり承知の上で四百ガロンあれば内地の航空には十分だから、八百ガロンの限度を下回るようなふうに油はそれくらい、八百ガロン積まなくてもいいから別の方の積載量をふやせばいい、人をふやせばいい、こういう考え方になるのですか、しろうとですからわかりませんが、もう少しわかるように御説明願いたい。
  134. 川端清一

    参考人(川端清一君) 大体私の方に入ります飛行機の自重といたしましては、一万七千五百ポンドという一応標準の数字を出しております。いろいろ座席のみならず、こちらの要求事項に基きます改造をしても、この標準重量に落ちつく以外に、もしくは超過した場合はどれほどということを確かめますから、一応、目安を一万七千五百ポンドというふうに置いております。
  135. 高野一夫

    高野一夫君 その点は、あとで航空局から伺いますが、全日空輸の飛行機でこういうような事実がございましたかどうか伺いたい。エンジンをかけてプロペラが動かない。それで仕方がないから飛行機に綱をつけてプロペラを引っぱって、衝撃を与えて初めてプロペラが動いた、こういう事実があることを私は聞いておりますが、あなた方は御存じありますか。
  136. 川端清一

    参考人(川端清一君) 発動機の始動には、発動機に付いておりますスターターで行いますが、万一スターターのこわれた場合の始動方法として、ずっと昔やっておりました方法のプロペラの先端にゴムひもをつけて引っぱって回すということを、訓練のためあるいは実験のためにやったことはございます。
  137. 高野一夫

    高野一夫君 伊丹から高松までの空路は、たしか私は昨年から開通されたと思っております。そうしてその間、飛行場の整備で長い間休んでおって、正式に動き出したのはことしになってからじゃないかと思います。きわめて最近の間に、定期航空を伊丹−高松の間でやっている間に、乗客の前でプロペラになわをつけて、そうしてそれを引っぱって初めてプロペラがその衝撃で動き出して、それから離陸したという事実がある。私は証人に立ってもいいという人も出てきている。こういう事実を御存じあるかどうか。そういう報告はお受けになっておらないのかどうか。私はこういう事実があったとするならば、すでに機体そのものに非常に、何というか、欠陥があったというか、古くさくなったというか、それこそほんとに、整備をしても一向始まらないような危険性を感じなければならないはずだと考える。従って、こういう事実があって、乗客がこういう事実を見ているにかかわらず、これが幹部の運航の責任者あるいは機械の責任者であるあなた方の御存じない事実であって、従って、そういう危険性を何らお感じになっておらない、こういうことに、私は今度のやはり何と申しますか、事故の起る——起るべくして起った事故だという感じがしてならないのです。どういうふうにお考えですか。こういう事実はあったのか。
  138. 石田功

    参考人(石田功君) これまでにスターターの故障ということはときたまありました。大阪からもスターターの故障ということはありましたですが、そういう場合には、予備品を日航機で送るなりあるいは大阪にある補給予備器材に基いてこれを修理させて出発させておりましたが、今、高野委員の言われるような、手で引っぱって回したとかいうようなことは、全然私ども聞いておりませんです。
  139. 高野一夫

    高野一夫君 綱をかけまして、綱で引っぱってプロペラを動かしたという事実があるのです。十分お調べの上に、当委員会に資料を提出していただきたい。これはなぜあなた方の言明をわれわれは信用できないかというと、たとえば、われわれ先ほど社長に申し上げたのでありますが、この前の決算委員会で、通るべからざる空路を通った、通ったではないかと言っても、あなたの方の副社長なり常務は、そういう所は通るはずがないと断言をなさっておる、事実は通っておる、だからこういう事実があったと言っても、いやそれはない、そういうことは考えられぬとおっしゃっても、現在直ちにあなた方の御答弁を信用するわけには参りません。従って、十分一つお調べを願って、委員長手元に資料をお出し願いたい。委員長からも御要求を願いたいと思います。それから、そういう事実が積り積って今日に至っているのでありますから、そこで、私はいろいろな事例をあげてここでお伺いしたいわけです。それから私が不思議にたえないのは、新聞の記事を見ますると、羽田で十分整備をやって何ら危険がない。札幌から、仙台から飛んできて何ともなかった、整備も十分やった、こういうようにあなた方の方の会社の、どなたであったか名前は忘れたが、新聞の報道に出ている。それが三十分たって下田沖でエンジンの片肺が故障した、こういうことである。その原因がどこにあるかということは、御調査が十分完了しないわけでありますから、ほんとうの結論は出ますまい、出ますまいけれども、片エンジンが故障であったということはお認めになっておると思いまするが、こういうことは整備のときにわからぬものでしょうか。整備するときは何ともなくても、きわめて短時間に故障が起るであろうというように見破ること、看破することはできないものでしょうか。これができないということになれば、羽田における整備、伊丹における整備、鹿児島における整備が完全だからといって、乗客のわれわれは安心して信頼感を持つわけにいかないじゃありませんか、どうでしょう。これは、これが一時間も二時間も飛んだあとならばまだしも、三十分も四十分もたたないうちに片肺が故障であった、そのときは羽田で整備をやっている、整備をやったんですから、そのときはわからなかったんでしょう、何ともなかったのかもしれない。短時間のうちに、三、四十分のうちに故障の起るようなエンジンであったということを見破ることはできないでしょうか。ことにこういうような何十年もたった古い飛行機ですから、十分注意をされると思うのですけれども、こういうようなことがわからぬということになれば、われわれは安心して全日空輸の飛行機に乗るわけには参りません。
  140. 川端清一

    参考人(川端清一君) 発動機の、かりに内部故障という場合を考えます場合に、必ず何かの前提があるのでございますので、その点につきましては、たとえば当日飛行を終りましたあとに、油だまりを取って見まして、内部に何か異常なものが現われていないかということを点検して、前提をつかむことができます。あるいは圧縮漏洩していないだろうかということも、八十時間チェックのときに行なって、それを予想することもできますので、大体そういう起り得る故障は、一応点検の要所々々に繰り入れまして、注意いたしております。
  141. 高野一夫

    高野一夫君 だから私は伺うのでございますから、十分整備検査をなさった上で、でなければ、当然飛び立つわけにいかないわけです。それが三十分して故障が起るということについて、専門家のあなた方はどんなふうにお考えになりますか。どういうふうにこれを観察なさいますか。われわれは、そういう点について非常な疑念を持つ。われわれしろうとが持つ疑念をどういうふうにして納得させ、了解させようとお考えになりますか、それを一つ聞かしていただきたい。
  142. 川端清一

    参考人(川端清一君) ただいま申し上げましたように、一応機体の方は八千時間で全部オーバー・ホールいたしまして、その時間に到達いたします間は、第一、第二、第三、第四というような番号をつけまして時間的にチェックをいたします。それで、日常出発前の点検あるいは当日帰りました後の点検で、起り得る故障は防げるのでありまして、そのとき現われました状況によって、大体推定することもできるのでございますので、一応、その手順を全部遡って繰り返してみましたが、出発後ちょうど時間にいたしますと四十分後に現われるような故障は、そのやりました手段では現われてなかったのでございます。
  143. 高野一夫

    高野一夫君 従って、これはきわめて大事なことでございまして、それならば、われわれは全日空輸がいろいろ整備をなさって、飛行機が飛び立ったといっても、これは乗るわけには参りますまいが。そうすると、われわれはここに政府に迫って、先ほども運輸大臣に申し上げましたが、航行停止でも営業停止でも一つ命令を下してもらわなければならなくなる。そこで三十分後にいろいろ故障が起ることを見破ること、これは事実できなかったんでありましょうが、それについてどういう感想をお持ちになりますか。飛行機が古くさくって、やはりしょっちゅうこれは分解検査といいますか、何というのですか、それを繰り返さなければ、これはとても安心ができないのだ、こういうふうにお考えになるか。何か一つあなた方の御感想があるに違いないと私は思うのでありますが、整備で故障がわかったならば、これはまだ話はわかる。整備は完全であった、故障も発見できなかった。そうして三十分にして故障が起った。これに対して、あなた方は専門家かつ会社の当事者として、どういう感想をお持ちになるか、それを一つ聞かしていただきたい。何らかあなた方は専門家としての感じをお持ちでなければならぬと思うのですよ。何か反省の点とかあるいはこれはこういうふうであるのじゃないかとか、どうとかいうような、何かあなた方専門家として御感想があるに違いないと思うが、それを一つ聞かしてくださいませんか、われわれ全員に。
  144. 川端清一

    参考人(川端清一君) 特にこのDC−3型機につきまして、従来起りました故障、それを統計的に調べております。そしてそういう統計的な数字から、今度の出発後に、ただいま御注意受けました事故が全然予想ができなかったということを調査いたしております。
  145. 高野一夫

    高野一夫君 いよいよそうなりますれば、われわれ全日本空輸の航空、運航、航空事業に対しては徹底的にここで究明をいたしまして、あらためて新たな角度から考えなおさなければならないと思います。そこで、この問題についてはあとで航空局に伺いますが、今度は操縦士の問題を伺いますが、戦争中航空隊にでもおって、そしてその後また操縦士の訓練を終戦後受けて操縦士になっているというような人がおりますか。
  146. 石田功

    参考人(石田功君) これは純民間から来ておる者と、それから旧陸軍あるいは海軍の者と、三種類に出身が分れております。そうして航空局の厳密な定期運送用の操縦士の資格を得るためのまた相当の訓練を経て、現在民間航空パイロットとしての技術を持って、全部同一な技量を持って、各航空に携わっていると思います。
  147. 高野一夫

    高野一夫君 技術においては同一でございましょうけれども、戦争中航空隊で無理して飛行の訓練をやり、無理して飛び出しておった、その精神といいますか、その気持が、民間航空機の現在の操縦に当って現われると、つい無理をする、つい乱暴をする、まあかまうものかこれでやれるんだ、こういうような気持で操縦に当るような、これは技術の問題でありません。気持の問題でありますが、さような気持が動くであろうということは、お考えになりませんか。
  148. 石田功

    参考人(石田功君) そういうことは全然ないと私は思っております。それは会社に入りまして訓練している間に、飛行機の安全特に旅客の快適性というようなものにつきまして、すべて操縦上の旋回だとかあるいは降下だとかあるいはルートについてはやかましく言っております。たまたま高野委員が乗られた時に富士山の北側を通ったというレポートをいただきまして、さっそく業務指示をして、そういうルートを飛んではいけないということを指示いたしておりますし、つまり軍人だから荒っぽくなりがちだということは考えておりません。
  149. 高野一夫

    高野一夫君 それならそれでけっこうでありますが、私がしばしば経験した、いわゆる空の神風タクシーじゃないかといって経験した二、三の例は、午前中申し上げましたから、速記録なり社長からお聞きを願いたいと思います。そこで、これはあなた方の全空輸の経験じゃございませんが、私は日航機に乗ってこういうことを聞いた。その日に日航機が福岡まででありましたか、大阪まででありましたか、非常に何というか安定感を持ったような運航の仕方である、いわばスピードも少し落してあるような感じである。スチュワーデスに聞いたのです、きょうは何かスピードを落しているのかと聞いた、きょうは機長がアメリカ人と言いましたか、操縦士がアメリカ人と言いましたか、その言葉をメモをとっておりませんから忘れましたが、アメリカ人の機長が操縦士の場合は、非常に大事をとりますから、こういうふうにゆっくりで、そして安全なんですと、こう日航のスチュワーデスがわれわれ乗客に言っておった。私はこれはまた非常にいい意味において疑問に思っておる。これはあなた方の方でございませんけれども、そういうようなふうに外人がちょうど機長であるか何かの場合は、非常に乱暴というと語弊があるけれども、適当なスピードを出して非常な安心感を乗客に与えるような運航をする、そのスチュワーデスがわれわれにそういうことを話して教えてくれる、こういう事実が事実ある。日航機で私はこれを経験した。私はこれを聞いて、疑問に思って聞いた。こういうことがやはりあるといたしますならば、ここで先ほど来出ておる日本の操縦士、操縦技術というものは、非常に優秀であるというけれども、どうも何となくやはり乱暴で、室の神風タクシー式の運航をやりかねないのじゃないかという疑念を乗客が持っても仕方ないでしょう。そこで、私どもがこういう事件が起らない前に、六月下旬決算委員会で取り上げて警告を出した。警告を出すまでには、相当われわれは各党の理事が集って協議した上で、議題にのせたわけであります。ただ漫然とやったわけじゃ、毛頭ございません。こういうようなわけでありますから、先ほどの座席の問題といい、あるいはプロペラの綱の問題といい、そのほかの問題といい、あなた方の社長、副社長、常務はじめ、あなた方から伺う御説明では、とうていわれわれは納得することができないのであります。これ以上伺ったところで、やはり同じでございますから、私があなた方に伺うのは一応そういう程度にとどめますが、そこで、私は翻って航空局長に伺いますが、この座席改造というような問題については、当然輸入するときに航空局が、どういう飛行機を輸入して、どこの会社が輸入して使うのだ、そしてその定員はどう、ガソリンの積載量はどうというようなことは、十分調査の上認可されるのだろうと思いますけれども、アメリカから持ってくる前に、アメリカで座席を改造させる、こういうことについてどういうようなお考えであったか、あなたが当時局長でおありになったかどうかは知りませんけれども、もしも御記憶、あるいは事務引き継ぎ等で御承知であるならば聞かせていただきたいと思います。
  150. 林坦

    説明員林坦君) 機体の改造の問題につきましては、当該航空機につきましては、座席をふやしたという事実はないものと報告を受けております。しかしながら、先ほどから話が出ておりました、ある航空機は向うで座席の改造等を行なったものを入れたという話しでございますが、これらにつきましても、結局こちらに入れました場合には、輸入の耐空検査というのをこちらでいたしまして、それによって耐空証明というものを交付するのでございます。ただ黙ってそのままこちらで使うというものではございません。十分その基準に合せて、安全性というのを考えて耐空検査をいたした上で使用をする、こういう建前になっております。
  151. 高野一夫

    高野一夫君 どうもあまりこまかいことになるとわからぬから、一応航空局長が言明されるように航空局で十分検査吟味をした上で認めたとおっしゃれば、一応それを信用せざるを得ないが、それでは先ほど私が聞いてそして航空会社の方から否定をなさったプロペラに綱をひっかけて、そして衝撃を与えて動かなければ動かない、その上で乗客を乗っけたまま離陸した、こういうような事実があったとすれば、向うはなかったとおっしゃるが、これはその前もそういう先例があるのですから、私はなかったと今の段階では、その御答弁を信用するわけに参りません。こういう事実があったとすれば、これは会社の幹部が御承知ないのだから報告もしないでしょう。あるいは航空会社としては些々たる問題かもしれぬ、乗客から見ればまことに現在の航空機を見て、乗っていて不可思議にたえない、そして非常な不安感を持つ、こういう事実に対しまして、監督官庁である航空局はどういうふうにお考えになるか。こういうような事実が、もしも事実あったとするならば、そういうような飛行機に対しては十分先ほどおっしゃったような定期的の検査、あるいは機械の分解検査でもしなければならぬとお考えになるかどうか。
  152. 林坦

    説明員林坦君) 私といたしましても、そのような事案はまだ聞いておらないのであります。しかしながら、今高野委員から言われましたように、そういう事実がもしあったといたしますならば、これは、やはりもしそれが故障のために、あるいは何かそういう故障等のためにそういうことをやらなければならなかったというのであるとすれば、これはわれわれとしても決して無関心でおるわけに参らないのでありまして、こういう事情等につきましても今行う段取りになって、すでにとりかかっておる安全性向上検査の中において、十分事態をはっきりさすようにいたしたいと存じます。
  153. 高野一夫

    高野一夫君 時間が経ちましたから簡単になにしますが、先ほど相澤委員がいろいろ航空局長に御質問なさったり、大臣にも御質問なさったが、この航空事業の認可に当って、資産問題等について十分吟味した上で認可するかどうかという御質問があったかと、私の方では記憶いたしておるわけでありますが、そこで極東と日ペリと合併するときの資産状況、今後経営運行に耐えられるかどうかという点については、十分吟味なさったと思いますけれども、あらためて私はどういう程度の吟味をなさったか、計画によって飛行場の、先ほど航空局長のお話を聞けば、飛行場の整備も必要である、そのほかいろいろな整備もやはり必要であって、そういう条件が完備されて、初めてほんとうの乗客もたくさんふえていって経営が成り立つようになるはずだ、こういうようなことの御説明があったように思うのであります。それはそれといたしましてこれは全空輸だけの問題ではありません。それはそれといたしまして全空輸に対しまして、こういうような古くさい飛行機ばかり使っている全空輸に対して、新しい飛行機も買ってもらおうじゃないか、修理も十分してもらおうじゃないか、いろいろ会社の経営でありますから、赤字になることもありましょう、計画通りいかぬことは、営業会社でありますから、当然あり得ると思う。そういうことも十分吟味の上でなさったと思いますけれども、当時の合併したときの資産状況、いろいろな財政状況をお調べになって、十分そのあなたが能力が耐えられる、航空局長がおっしゃった会社であるとお考えになったかどうか、あらためて伺いたい。
  154. 林坦

    説明員林坦君) 極東、日ペリ両社は先ほど御説明申し上げました理由によりまして、いろいろ航空路あるいは飛行場等の施設が十分でありません。今までの経営でずいぶん苦しい目をして参りました。合併いたしましたときも、確かに今先ほど申し上げましたような状態であり、昨年度の決算は先ほど申し上げましたような状態でございます。しかし、私どもは検討いたしまして、両社の資産量、あるいは信用力等を考え合せるならば、とにかく今直ちにこれが黒であるというわけにはいかないけれども、将来の目標として努力を進めていくならば、事業の遂行能力はあるものと判定いたしました。
  155. 高野一夫

    高野一夫君 日航は別でありますが、全空輸、これは日航が多少出資しているのだけれども、ほかの民間航空会社にいろいろ小さいローカルラインの認可を与えられる、そういうときも十分資産状況を吟味なさらなければならない。私はここでは申し上げないが、今後のこういう航空局の仕事に対しましては、永野運輸大臣と中馬政務次官の二人がおいでになるのだから、絶対に私は信頼感を持っておりますから、ここで過去のことを取り上げていろいろ申し上げないけれども、従来航空局が小会社に認可をされる場合に、資産状況等に対する調査がまことに不完全であった事実がある、監督官庁、航空局長、御承知のはず。もしも私の言うことに反論がございますならば、御遠慮なく反駁していただきたい。私はあらためて運輸委員長に相談いたしまして、その問題で委員会を開いていただいてもけっこうだと考えております。それで私は政務次官、今度の大臣に絶対の信頼を抱いておりますから、今後ともに航空会社に対する監督、認可並びに運航に対する監督、いろんなことは十分厳格におやり下さるに違いないし、信頼するから、私はきょうはその点については何にも申し上げないつもりで来ている。しかしながら、われわれが知っている一、二の事例を見ましても、なお航空局が認可をする場合には、十分その資産状況、財政状況もお調べになって、会社の経営状況もお調べになって、人的構成もお調べになって、そうしてこれならばローカル・ラインのこの辺は認可して十分仕事はやり得る、どの程度の航空事業に耐えられる能力を持っている会社であるかどうかということを十分吟味をした上に、今後は認可をしていただきたいと思います。これ以上のことは、あえて私は信頼する大臣、政務次官に対しまして、これが十分今後御指導下さるという信頼感を持っておりますから、航空局長に対して、これ以上のことは私は申し上げません。しかしながら、私はあなた方に申し上げる一つのものを持っております。でありますから、こういういろんな事故が次から次へ起るといたしますならば、一そう会社においても注意をしてもらわなきゃならぬと同時に、認可を与え、そして監督する航空局が十分一つ注意していただかなけりゃ私はなるまいと思っております。これは航空局に私は警告と申しますか、強く注意を申し上げておきたいと思いますから、よろしく一つお願いを申し上げます。もしも、私の言うことが御不満でございましたならば、航空局当事者から幾らでも反駁していただいてけっこうでございます。それだけ申し上げておきます。  それでもう一つ伺いたいのでございますが、こういうようなふうにいろんな事故が起って原因がわからない、そうして会社の代表者、幹部に伺っても、どうもいろいろわれわれの納得できない、専門家は納得されるかもしらないけれども、われわれしろうとが、しかも常に飛行機を利用しようとする者が了解することができないような御説明である。きょうの御説明を午前から午後にかけて、会社の方の御説明を伺っても、おそらく納得された委員は少いのじゃないか、寡聞にして私だけかもしらぬ。こういうことでは、私はいつまた事故が起るかもしれぬという懸念を持つのであります。どうかもうこれ以上のことを追及してお聞きしても仕方がございませんから、どうぞわれわれの意のあるところを十分一つくんでいただきまして、会社にお帰りになって、厳重にいろいろお調べを願い、対策を御考究を願いたいと思います。
  156. 柴谷要

    ○柴谷要君 総務部長がお見えになっておりますから、ちょっと聞いておきたいと思うのですが、機長の俸給は大体平均どのくらいになっておりますか。それから操縦士の賃金はどのくらいか、それからスチュワーデス、それから地上整備員、このように分けて、一つ賃金の状態を教えてもらいたい。
  157. 渡辺尚次

    参考人(渡辺尚次君) ただいま御質問のございました操縦士、整備員、それからスチュワーデス、そういう者に対しましての俸給についてお尋ねがございましたが、航空会社の従業員は、今お尋ねのございましたように、一般に事務をやっております事務職員のほかに特殊の職員といたしまして、まあ技術関係といたしましては操縦士、それから整備士、それから同じくやはり乗務いたしますスチュワーデス、こういうふうに分かれております。給与体系につきましても、操縦士とかあるいはスチュワーデスは、これは一般の職員と若干内容が異なっておりまして、この本俸につきましては、私の会社といたしましては、操縦士であろうが、あるいはスチュワーデスであろうが、あるいは整備士であろうが、あるいは一般の事務職員であろうが、これは大体同じ標準にいたしております。それから操縦士につきましては、一般の俸給のほかに操縦士の資格に応じまして特別の手当が出ております。この手当は、これは二通りにまた分れておりまして原則的に申しますと、毎月これは飛行機に乗っても乗らぬでも、一応会社が払っております金額といたしまして、固定乗務手当と申しまして、これが操縦士によりまして何階級かに分れておりますが、最高これは二万円が最高になっております。一番最低は、副操縦士の最低は一万円に押さえておりまして、それで二万円と一万円の間に何階級か分れております。これは操縦士の技量とかそういうものに応じまして分れております。それから現実に飛行に乗りましたときに、乗りました区間に応じまして乗務手当を出しております。これはもう手当と申しましても、いわゆる操縦士が勤務上出張したような形になるような乗務日当ということになっておりまして、これは区間によりまして違いますが、これを出しております。それからスチュワーデスにつきましては、これは一般の俸給のほかに、これは別に特別に操縦とかなんとかいう技術的な技術者でございませんので、これには別に毎月きまって本俸のほかにプラスするものは出しておりません。ただし、実際に飛行機に乗られました場合には、これはやはり乗った区間に応じまして、区間の回数に応じまして特別に手当を出すことにいたしております。それから整備士につきましては、これは操縦士のような特別に本俸以外のものは出しておりません。これは勤務が大体一般の職員と違いまして、主として夜間に、飛行機が夜帰って参りまして、夜間において整備をするというようなことが多いので、一般の職員に比較いたしますと時間外の、要するに時間外手当というようなものが、これがまあ給料のほかに追加されるようになっております。大体基本的なことはそうでございますが、これは月によって、飛ぶ時間によっても違いますので、これは先月支給したものを参考に持って参ったわけですが、平均いたしますと、私の会社の操縦士の例といたしましては、機長の大体上の方のクラスで、七月の実例を申し上げますと、大体約八万円ぐらいになっております。それから機長の中堅クラスで七万円ぐらいになっております。それから副操縦士の、これは操縦士には機長と副操縦士がございます。副操縦士の上の方のクラスの人で申しますと、大体五万円前後になっております。それから副操縦士の中堅クラスで約三万五千から四万くらいになっております。月によって変りますが、大体まあこの前後を上下しているわけでございます。それからスチュワーデスにつきましては、大体平均といたしまして、これは個人によって乗る時間なんかも多少違いますので、若干相違があると思いますが。平均いたしますと、飛行機に乗ったおりの乗務手当を含めまして約一万七、八千円になっております。それから整備士につきましては、これも相当古い整備士のクラスで申し上げますと、大体三万円から四万円くらいになっております。これはもっとも本俸のほかに時間外手当とか、それから整備士でもやはりときたま飛行機に同乗することがございます、そういう手当も含めまして整備士の上のクラスでは、平均しまして三万五千から四万円くらいになっております。それから中堅クラスで二万五千円から三万円くらいになっております。それからまだ整備士として比較的若い連中につきましては、これは一万五千円から二万円の程度になっております。それで今申し上げたような工合でございますが、私の会社といたしましては、現実の問題といたしますと、同業である日本航空あたりに比較いたしますと、実際の面におきましては、そういう待遇の面につきましては若干劣っておることは会社として十分認めております。しかしながらこれはまあ会社として自力でやっておりますので、日本航空をまねするわけにも参りませんし、またいわゆる一般の産業界の給与に比べましても、操縦士は大体におきまして特別になっておりますが、一般の職員につきましてはやはり若干落ちていることを認めております。これはまあしかし将来におきまして会社の経営がだんだんよくなりますれば、それにつれて直すつもりでやっております。以上申しましたようなわけでございます。
  158. 柴谷要

    ○柴谷要君 それで今職員の大体賃金の方はわかったけれども、それでは重役の手当、社長、副社長、専務手当はどのくらい出しているか、それをちょっと聞かしてもらいたい。
  159. 渡辺尚次

    参考人(渡辺尚次君) これは私のところの社長は現在十万円でございます。それから副社長も十万円でございます。それから専務取締役の中野というのが、これが十四万円になっております。それから常務取締役の福本、これが十二万円でございます。それから同じく常務取締役の山本正三、これが八万円でございます。大体常勤重役としては以上のようなものでございます。
  160. 柴谷要

    ○柴谷要君 乗員の大体飛行時間いわゆる勤務時間、これは一日どのくらいになっているか。それから週どのくらい乗られるか。それちょっとわかったら教えてもらいたい。
  161. 石田功

    参考人(石田功君) 乗員の一日の飛行時間は、私のところの会社の運航規程に基きまして、大体八時間を限度としておりますが、その前後する場合にはこれに応ずる休務をとらせております。一カ月に大体七月で総乗員の平均時間八十一時間十分でございます。会社の方では法に基きまして、月百時間を限度、一歴年千時間の線で運航さしております。
  162. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは遭難機東京出発する前の運航は仙台から千歳、千歳から東京となっているけれども、大体仙台から千歳へ行ってどのくらい向うで地上におって、それから飛び立ってきて東京へ来て、地上にどうくらいいて、次の運航に入られたか。そこをちょっと聞かしてもらいたい。
  163. 川端清一

    参考人(川端清一君) 当日三十四便としまして仙台を出発いたしました。これは定刻に出ております。八時定刻に出ておりまして、羽田へ一時間三十分飛行後到着いたしましたのが九時三十五分でございます。これは定刻が四十分でございますから五分早く着いたのでございます。次に三十一便といたしまして羽田出発定刻十時でございます。十時二十五分出発いたしました。仙台到着十一時三十分、これが十二時二十分でございます。一時間三十一分かかっております。仙台十一時四十五分発予定が十二時四十分、千歳到着予定十四時十五分、これが十四時五十分、この間の飛行時間が二時間五分、仙台出発五十五分おくれております。千歳到着が三十五分おくれております。三十二便としまして千歳出発定刻十四時四十五分が十五時二十五分出発、四十分おくれております。羽田到着十九時十分が十八時五十五分、早くついております。三時間二十五分の飛行時間であります。二十五便としまして羽田出発定刻十九時三十分、これが十九時四十分、十分おくれております。以上でございます。
  164. 柴谷要

    ○柴谷要君 前の運航とだいぶ時間がおくれているのだが、そのおくれている理由は何でございましょうか。
  165. 川端清一

    参考人(川端清一君) 三十一便で羽田を出発が十時が二十五分おくれました。これは乗客の到着がおくれましてパッセンジャー待ちでございます。それから仙台の出発五十五分おくれはずっと順送りにおくれてきたもので、これは理由はございません。三十二便の千歳を十四時四十五分発が十五時二十五分になって、これが四十分遅れていますが、——ちょっと修正いたします、これは臨時飛行でございますので、定時の十四時四十五分でなくして、十四時三十分出発でございますから、定時の時間に四十分遅発と言いましたのは間違いでございました。それから羽田二十五便、出発定刻から十分おくれましたのは、機内のサービス品の積み込み、貨物の積み込み等のために十分間おくれました。
  166. 柴谷要

    ○柴谷要君 そうするというと、この間の前の運航については、機体にはみじんも故障らしきものがなかったということは確認をされて、次の飛行に入った、これは間違いありませんか。
  167. 川端清一

    参考人(川端清一君) 当日、仙台をまず出発いたしますときも、整備の方式、その後の記録を全部調べまして、さらに直接に整備に当りました人間を呼びまして調べましても、異常はありません。それから十時二十五分羽田出発のときも、これも異常ありません。千歳出発、このときも同様に異常がありません。二十五便の十九時四十分発もこれも全部異常ありません。さらに、三十一便の当日十時二十五分に立ちまして、三十二便といたしまして羽田へ十八時五十五分に帰りましたのが、その石田操縦士でございます。  それからただいまの異常の有無につきましてつけ加えさしていただきたいと思いますが、二十五便、出発いたしまして、ちょっと時間の記憶がございませんが、おそらく五分後と思います、二十五便の機長から、機体発動機異常なしという、ディスパッチの方に空から電話で報告いたしております。
  168. 柴谷要

    ○柴谷要君 この間の運航状態においては、何ら発動機に故障が生ずるというような懸念もなかったように思うのですが、これは偶然発動機に故障を生じてきたということだけは明らかになっていると思うのですが、そういう事例を、あなたの航空生活の中で一度や二度経験したことがございますか。今回の事故が初めてという経験でございますか。その点を一つお聞かせ願いたいです。
  169. 川端清一

    参考人(川端清一君) 今回の事故につきまして、原因がはっきり現在の段階でわかりませんので、何とも申し上げられませんが、発動機の内部がこわれるという事例はございます。
  170. 柴谷要

    ○柴谷要君 内部がこわれるという事例はあったのですね。
  171. 川端清一

    参考人(川端清一君) はあ、あります。
  172. 柴谷要

    ○柴谷要君 まあ地上において自動車などに乗ってみましても、朝十分整備をして乗り出してきたけれども、どうも三十分または一時間乗ったというところで事故が起きておる例は幾らもあるのです。しかしそれの原因を探求していくというと、やはり車体が古くなった、あるいは酷使をしておる、いろいろ原因が、それが主たる原因とは言われないけれども、いろいろ調査をしてみると、悪条件が重なってきて最悪の事態を起しているのですね。そこで、皆さん方専門家であり当面の責任者であられるから、十分御検討なされると思いますけれども、少し機体を無理に使っておるという感じがするのですが、その点はいかがでございましょうか。まあ機数が少いから、乗客も多くなってきたし、多少この辺で点検を十分してみたいと思うけれども、まあいま一便通してからにしてみよう、こういったようなことで運航に当ったことはございませんか。それらの感じを一つ率直に、別に私は責めるわけでなくて、お尋ねでございますから考えを一つ述べて下さい。
  173. 川端清一

    参考人(川端清一君) 大体飛行機の一カ月の稼働時間は、二百二十時間を目標に置いております。実際ははるがにこれを下回りますが、大体一日の飛行時間を七時間というのが目標でございます。これも下回っております。この飛行時間を飛ばしますにつきまして、整備の人員、あるいは各地におきます人員配置、技量、予備品あるいは整備の設備につきまして、一応整っております。
  174. 柴谷要

    ○柴谷要君 もう一問で終りたいと思いますが、何にしてもどうも不祥な事件で、国民にも申しわけないし、また御遺族の方々に対して全くお気の毒だと思うのですが、将来やはりこういう事故を起さないようにするために、全日空としては全力をあげて問題に当られると思うけれども、この事故ほんとうに掘り下げて検討していくには、どうしても飛行機を揚げなければ原因の探求ができないと思いますか。それとも、いろいろ座席が流れておったり、飛行機破片が流れていたりいろいろするので、そういう資料を集められて十分会社としても検討され、かつまた運輸省とも連絡をとって、その原因だけは明らかにして、国民に知らせるという熱意を持って対処する覚悟でおりますか。それとも、どうも原因不明だからこのままにして、まあまあ何とか人のうわさも七十五日だと、こういうお気持でおられるか、そこを率直にお聞かせ願いたい。
  175. 川端清一

    参考人(川端清一君) ほんとうの原因がどこにあったかは、ぜひこれは調べなければならないと思いますし、われわれもこれは努力いたします。機体が幸いにしてあがりますれば原因がつかめるじゃないかと予想いたしております。もし、不幸にして機体があがらなくても、現在の段階では、ちょうどすれ違いましたところの園山機長、一緒に乗っておりました成宮操縦士、それから情報を全部地上へ連絡しておりましたデスパッチャー、そうしてさらにセンターの方で交信されました資料、こういうものを突き詰めまして、第一発の発動機故障という報が出まして、その後にどういうような連絡がどう出たというようなことを時間的に考えましたら、あるいは予想ができるのじゃなかろうかと思うのでございます。と申しましても、その原因につきましては、事故を起しました責任者はもちろん当然これはやるべきことだと思いますし、またわれわれ技術者といたしましても、徹底的に早く知ることはせねばならぬことでありますし、やる覚悟をいたしております。
  176. 柴谷要

    ○柴谷要君 これは運輸省にお尋ねしたいのですが、この事故のために海上保安庁が総力をあげて船を出したり、いろいろやっておる、また航空局は不眠不休でいろいろ各所に連絡をとられておると思うのだが、運輸省は、どのくらいの予算をどう使われたか、見通しはこれからどのくらいかかるか、これをちょっと聞かしてもらいたい。
  177. 林坦

    説明員林坦君) 航空局といたしましては、実はこの事故のために特別にまとまった予算をあれはいたしておりません。通常の業務を、若干といいますか、ほとんど停止したようなことになっておりますけれども、とにかく、この事故の問題に各方面全力を上げてやっておるわけでございます。特に予算的な面において御迷惑をかけておるのは、運輸省においては海上保安庁、また防衛庁海上自衛隊等であるのであります。
  178. 柴谷要

    ○柴谷要君 それは、僕は特別に予算を政府に出さしてどうのこうのということではなくて、大体において十九日なら十九日に捜査を打ち切られるということになされておる。そうして船を出され、要員を確保してやっておられるのだから、その限度においてどのくらい予算がかかるか、たとえば、何億何千万かかりますとか、見込みでいいのですから、今日は大臣がいなくて何だけれども、しわ寄せされていくのだから、それは後日問題にしなければならぬのだから、そのくらいのところは少しは吹っかけてもいいや、大きく言っておきなさい。
  179. 林坦

    説明員林坦君) 航空局といたしましては、通信その他の予算でございますが、今まだちょっと算定いたしておりません。海上保安庁の方で今説明があるはずでございます。
  180. 島居辰次郎

    説明員島居辰次郎君) 救難関係は私の方の正常の業務でございますので、そういう方面の燃料費その他から使っておると思いますが、今それだけに使った燃料を実はちょっと申し上げかねるのです。  実は、この会議が終りましたら、前線の乗組員も何日間か昼夜兼行でやっておりますので、非常に疲れておると思いますので、私、今晩これが終るとすぐ前線へ出かけまして、慰問とそうしてこれからの激励に出かけようと思っておるわけでございまして、まことに相済まぬわけであります。数字の点はちょっとわかりかねます。
  181. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは後日聞かしていただくということで、海上保安庁の前線の各位は非常に努力をされておるようなわけですから、国会でもいずれまたその意向を伝えたいとは思うけれども、まあ長官が行かれるというならば、大いに一つ現地の職員を激励してやっていただきたいと思います。
  182. 島居辰次郎

    説明員島居辰次郎君) せっかくのお言葉もございました。大臣にも、私が参るというようなことを申しましたら、大臣からもむしろ大臣の代理としてでも行ってくれというような話もございました。これはまたいいお言葉だと思いますので、先ほどの先生のお言葉もよく前線の乗組員に伝えまして、今後ますますできるだけの努力をするようにお伝えいたしたいと思います。
  183. 相澤重明

    ○相澤重明君 会社側にちょっとお尋ねしたいんですが、先ほどもちょっと午前中にお尋ねしましたが、どうもはっきりしなかったんですが、飛行場におりたときの中間の検査、整備、これは普通どのくらい一つ飛行機を点検する場合に時間がかかるんですか。
  184. 川端清一

    参考人(川端清一君) 大体このチェックの規定によりまして行います。これは出発前の点検でございますが、あの飛行機になりますと、大体十分点検をやります、容量によりますけれども大体十分間あったら十分でございます。
  185. 相澤重明

    ○相澤重明君 航空局にお尋ねしたいと思いますが、今会社側の参考人の言うのには、十分ぐらいあれば一台の飛行機の点検ができる。これが私はやはり問題だと思います。十分でできるか三分でできるか、あるいは素通りをするかわからぬが、やはり機体の点検というのは、ほんとうにかなりの時間が必要なものではないかと私は思いますが、そこにさっきから高野委員も指摘をしておったように、どうも上っすべりの感が私どもはするのじゃないかと思う。これがそもそも出発をするときに、一応第一種というか第二種というか、検査をして、そうして出てきたのだから、途中の中継所においてはただ形式的に見ればいいのだ、事故損傷は別にない、そういう形だけでいく。その形式的な点検というものがやはり事故を生んでくるのではないか。こういう点を実は私は心配するわけです。航空局としては、点検する場合に三分なり五分なり十分で、これが完全な点検ができると、あなた方は一体お考えかどうか、この点いかがですか。
  186. 林坦

    説明員林坦君) 点検につきましては、ふだん整備が十分に行われておりますならば、短かい時間でありましても落ちなく、動かす所は動かし、また目で見る所は見、いろいろ当っていくのでありますが、今、会社の者から説明いたしておりますように、チェックするリストがございます、そのリストに従って一項目ずつチェックしていくのでございます。何らそこに支障がなければ、十分ないし十五分あれば点検できると考えます。
  187. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは私はやはり先ほども申し上げたように、宮崎航空大学で所長を初め関係者の方々から、いろいろ整備の状況、チェックする状況いろいろ私は聞きました。これは非常に努力の要ることです。またかなり細密な検査をしなければならぬということがよくわかったわけです。そういう点から来ると、どうも今の全日本空輸のやっておることが、一つのチェックの方式に従ってしていけば、五分か十分でできると言うた、それがどうも私は非常に問題であります。だからこそ羽田を立ってわずか三十分か四十分のうちに事故が起きるようなものが発見ができなかった。これは突然に起きるものではないと思うのです。そういう点を私どもは考えて、いま少し一時間の中継時間、つまりエアー・ポートにおりた場合の中継時間の中における整備というものは、もっと私は真剣にやっていいのではないか。十分や五分でもって機体の点検ができると考える航空局自身が、私はちょっと頭がおかしいのではないか。そういうことを直していかなければ、今後も、先ほどからもいろいろ話が出たように、十五年も二十年も前の飛行機が、それはオーバーホールをやってスタートするのだから心配はないと、こう言われるようであるけれども、必ずしも私はそのこと自体の、さっきは八百時間と言ったけれども、八百時間そのものも守られているかどうかということを、私は心配しているわけです。そういうようなこの整備というものについて、もっと真剣な考え方というものを航空局が出さないと、民間航空というものは儲ければいいということになってしまう。儲ければいいでは人命は尊重されない。そういう意味で、何としても私はもっと細則的なものを、航空局で考える必要があるのではないかと思うのですが、この事故が起きてから一体全日本空輸のそれらの問題について、現地を調査される考えを持ったのか。あるいは先ほどは通達を出されたということでありますが、どういう具体的な措置というものをお考えになっているのか。これは一つ航空局長の責任ある答弁を求めたいと思う。
  188. 林坦

    説明員林坦君) こういう重大な事故を起したのでございますから、私ども、今までやっているのを、実は厳密にやっているものともちろん考えておりました。しかしながら、今後ともこれだけ重大な責任を持っている交通事業でございますので、出しました通牒には、出発前の点検というものを厳重にやるということももちろん中に入れて出しております。今取りかかろう……もうすでに入っております安全性向上検査の面におきまして、運航の面あるいは整備の面、ともに検査を実施するのでありますが、こういった場合をさらに厳密にやるという面について、私ども特に心を用いて指導するつもりでございます。
  189. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の通達を出される内容については、だいぶ注意を払っておるようでありますが、これは通達だけではわからぬわけです。結局担当官がそれらの具体的な内容というものを知らなければ、再び誤まりを犯すことにもなろうかと思うのです。そこでもし、そういう通達を指示をされておっても、なおかつこれが十分行われておるというふうには私は必ずしも思わない。ということは、先ほどの高野委員が言うように、いろいろな場面というものをわれわれは見ておる、知っておるわけです。そこでもしそういうようなことがあった場合には、これはその飛行の停止を命ずるとか、あるいはそれに対しては業務停止をするとかいう厳罰を加えなければ、これは人命を尊重するゆえんにならぬと思うのです。そういう点については通達を出して、それで現地に監督官が調査をされる意向を持っておるのか。それとも通達は出したから、もうこれは万全であるとお考えになっておるのか。この点いかがでしょうか。
  190. 林坦

    説明員林坦君) 安全性向上検査は、実地にその職員を現場にも派遣をいたしまして、もちろん実情もしっかりとチェックいたします。決してただ通牒を出しっぱなし、こういうつもりは毛頭ございません。
  191. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから最後一つお尋ねしておきたいのは、これは中馬政務次官もおるのですが、遺体収容が十五体しか行われておらないわけですね。それであとは、大へん落ちた所が、水深が大きいので、ちょっと今のところは困難だ、こういう状態であるのでありますが、どうなんでしょう。この機体が端の方は四散をしたかも知れませんが、いす等が海中に放り出されておったということから見ると、その他の部分が、まだ胴体が残っておるのじゃないか、一部は、というような感じもするのでありますが、そういうことについても、専門的に、これは海上保安庁等ともいろいろ御研究されたと思うのですが、そういう点は全然考えられませんか。全然今のところは見込みがつかぬ、こういうようなお考えですか。この点いかがでしょう。
  192. 林坦

    説明員林坦君) ただいままで私どもが聞いておりますいろいろの漂流物その他を総合して考えてみますと、いすその他の拾得物等のあれから見まして、大体クッションあたりで見当つけてみますと、約二十四人分ぐらいはクッションが出ておるのじゃないかと思われるのです。もちろんこれは、私十分に各方面と総合的に連絡して御相談したわけではございませんので、まだこれをもって判断を推すことは早いかも知れません。いすのクッションがそういう状態である場合に果して遺体がどういうような状態になっておるのか、これはなかなかむずかしい問題でございまして、私どもここでどうとも、あまり主観的なことを申し上げるのもどうかと思いますが、なかなか今後遺体発見することには相当の困難がある、ということを覚悟しなければならぬのじゃないかと思っております。
  193. 相澤重明

    ○相澤重明君 最後に希望だけ申し上げて終ります。  先ほど柴谷委員も申し上げましたように、今回の事故については、関係官庁としては非常に努力されたことを、私どもも敬意を表してよろしいと思う。ただ若干SOSが発せられてから、その処置が適切であったかどうかという点については、これは新聞等でもすでに出されておる通りに若干の疑問もあるように受け取っておる人もあるわけです。ですからこういう点についても今後なお一そう努力せられて、しかも人命の問題でありますから、最後まで、一つなるべく早くこの遺族の人たちの気持に立って、収容のできるように、一つ努力をしてやってほしい。それで現地における各係員の努力に対しては、私どもとしては心から敬意を表しておきたいと思う。以上私の希望を申し上げて、私の質問は終ります。
  194. 高良とみ

    高良とみ君 私は三点伺っておきたいと思うのですが、一つは、今相澤委員が指摘されたのと同じでありますが、これだけの大きな事故が起ったのに、依然として民間航空の時間のスケジュールについて、航空局としては、ほかの日航機もこうじゃないかと思うのですが、十一時三十分に着いて、たとえば仙台、千歳、羽田という間を、十一時三十分に着いて、十一時四十五分には出る、そうすると今度はすぐ折り返してくる。この間を非常な早い時間で、点検時間が十分か十五分でやるというようなことで、まるでこれは神風タクシー、神風トラック以上だと思うのです。しかも航空機自身は非常に機体が古くて、そうして今までも小事故がたくさん生じていたということを考えて、これを早速に、もう少しせめて三十分ぐらいの間を置かせて、そうしてそのままの機体が動かないように、十分に飛行場で発動して、そうして故障のないことを確かめて飛行するというような方法をお考えになっておるかどうか、私どもこれは乗客の立場から言うのでありますが、諸外国のローカルでもこんなに早く、十分や二十分の点検時間だけで出るというのは、飛行機にしては危険過ぎると思いますので、この点御考慮になりまして、一つスケジュールの再検討を願いたいということが一つであります。いかがでありますか。  それから第二点は、全日空がしばしば小事故を続発しておられたということはみんなの知っておるところでありますが、その内容について、それはエンジンであったか、あるいは積載貨物が非常に過重であったか、あるいはその他について記録がおありになるだろうと思います、その記録を私ども見たいのです。もうすでにそういう危険信号が出ていたということは、やはり国民の前に明らかにしていただきたい。  それから第三点は、これは会社側の責任でありますし、また監督官庁の責任でありますが、八機ある、しかしそれは古いものであって、それに座席がどれだけある、大小さまざまある。それからそれの限度はどれだけかということについて、一機々々を自分の愛機としてよく知っておられるはずだろうと思う。それを私どもにも知らせていただきたい。第何号機はかくかくで第何号機はかくかくである、こういう点が長所でこういう点が欠点であるということを私どもも知りたい。その資料については今御無理でありますならば、今後の安全のために御提出願いたい、こう思うのでありますが、監督官庁としてもそれを御尽力願いたい。この三点をお伺いいたします。
  195. 林坦

    説明員林坦君) スケジュールの問題、ただいま御指摘ございましたが、もちろん十分とか十五分とかいうお話が先ほど出たのでありますが、とまっておるのはそれだけではございません、もちろん。三十分なり一時間なりとまっておるのであります。先ほど申し上げたのは、そのくらいあれば点検というのは一応できる、このチェック・リストによる点検のできる時間を申し上げたわけであります。スケジュールの検討につきましては、もちろんこの航空機の使用を過酷に使用しておるのじゃないかというような面の御心配かと思います。そういう点につきましては十分今後とも注意するつもりでございます。なお事故等につきまして、その過去のいろいろな内容等は私どもの方で目下調査を続けておる現状でございます。  それから各機の長所短所等のいろいろな表は、長所短所といっては語弊がありますが、各機の明細等につきまして、報告は後ほどまた書面なり何なりでさしていただきとうございます。
  196. 高良とみ

    高良とみ君 もう一点。しかしこのスケジュールも、十分に馬力を出したエンジンがその冷却時間を持ち、またそうして点検をし、それからやっていくというのは……そうしてその運転手自身も八時間勤務ですからかわっていく。ここにおられる石田さんも乗られたけれども、かわるということを考えると、人の方はかわってもエンジン自身あるいは機体自身にやはり十分な休息が与えられていない。その点で御専門のことでありますから私が指摘いたしますよりも、もう少しほんとうに安全を第一にして運航していただくには、もう少しかえていただきたい。そういうことをあらためて申し上げる次第で、たとえ、ここに三十分の間がありましても、安全第一の立場から、今の御答弁だけでは何だか不満に思うわけであります。  それから機体のことにつきましても、先ほどからいろいろ高野委員からも座席を増設したとかいうような話もありますが、実はこのダグラスDC−3の輸入の前のころに、日本から民間飛行用として輸入の要請がある、昭和三十年ごろでありましたが、その会社社長からニューヨークで会いましたときにずいぶんいろいろ話がありまして、日本の技術と日本の天候あるいは気象等を考え、また、日本人のからだはこういうふうだからこの型がいいと思うということで、いろいろ話を会社で聞いたことがあるのです。その当時から私どもは、個人としてはそのダグラスDC−3でもってうんとあおられた経験を持っておったものですから、これを日本に持ってくるということに対しては、これは貧しい日本としてやむを得ないかもしれませんけれども、もっといろいろ近代的なものが発達しておるのに、なぜこれにどこまでも執着しているかということに疑問を持ったわけです。しかるに、先ほどの御説明のように、座席を増設した、日本人は軽いからと。そうして荷物は、乗客の荷物も限度まで積み込むというところに信頼度を失わせた大きな原因があると思うのです。ですから、どうか一つ、この機はどういうあれで……この八機あるのをずっと並べてみていただきまして、都合で私ども運輸委員として行って見てもいいと思うのです。そうして乗客が持ち込む荷物などほんとうに重量をはかっているのか。太っている人もあるでしょう、小さい人もあるでしょう、大きい人もあるでしょう、それなのに日本人の限度のとことんまで使うというところに無理があるというふうに考えるのでありまして、先ほどから大臣ともお話ししましたように、これは天災ではない、まさに人災である。その人災の原因はどこであるかということを突き詰めていきまして、もう少しはっきりとこの災害の原因が航空局におわかりになるときがあると思いますから、そのときにあらためてこの委員会に納得のいくような、できるだけ納得のいくような、この程度まではわれわれは調査可能であったという点を、ここ、ここ、ここ、ここに落ち度があったということを御報告願えれば、今後のために死者も冥するであろうというふうに思うのです。それはあえて機体を引き揚げまして、エンジンを揚げて見てどうだったということは、それは技術面でありますけれども、しかし、運航に対しては、確かに航空局、いまだいろいろな困難がおありでありましょう。よくわかっております。しかし、会社としても航空局としても、こういう点を今後は国民の前に明らかにして、再び災害を繰り返さないという点を、私どもに安心のいくように御提示願いたいということを希望したいのですが、いかがでございましょうか。
  197. 林坦

    説明員林坦君) ただいま事故の原因等につきましては、いろいろと各方面にわたって、先日来、人を各地に派したりなどいたしまして、目下鋭意取り調べ中でございます。いずれ近いうちに一応の御説明ができるときが参ると思うのであります。また、今のお話のございました安全のためのスケジュール変更の点等につきましても、御趣旨はよくわかるのでございます。私どもといたしましても、技術的にこれはよく検討いたしまして、その辺の点も考慮いたしたいと思います。なお、重量等について御心配があるやのようなお話でございました。重量はもちろん全体的に積載の容量というものがあるわけでございまして、その場合には、たとえば人間は、大体日本人の場合といますか、日本における場合には、大きな荷物はみなはずしてしまいまして、その大きな荷物は別に荷物として重量をはかって載せるのでございます。そういうものでないほんとうのハンドバッグとかいうような程度のものを持って乗りますものを一人当り百五十ポンドと押えりおります。これには相当の余裕があるはずでございます。従って、それで乗せても十分計算上、大丈夫であるという限度において人を乗せておるのであります。重量等は、会社といたしましても、特に重要視して、出発前に点検しなければならない事項でございます。その点は御心配のないように、もちろんこの上とも監督は厳重にするつもりでございます。
  198. 川端清一

    参考人(川端清一君) ただいまお話しいたしました点、種々不備なところがございますので補足したいと思います。  順序が前後いたしますが、ただいまの重量の問題でございます。新聞には限度一ぱいのものを積んでというようなことが書いてございますが、これはわれわれといたしましては、限度一ぱいとか、限度に近いものを積んだということは、大へん誤解しやすい問題だと思います。DC−3は、大体三万一千ポンドの離陸重量で十分なものでございますが、旅客機といたしましては、二万六千二百ポンドの離陸重量離陸いたしまして、片方の発動機がとまりましてもまた飛行場に帰ってくるだけの性能が、実際もされておりますし、これが可能なことで滞空証明がおりておるものでございます。飛行機は最大離陸重量のきめられたものまでは積んでも何ら安全性に不安のないものでございます。  それから、お答えがどうもとんちんかんいたしますが、輸入機につきましても、輸入します場合は、私の方で前歴をやかましく調べております。で、大体アメリカの信用ある航空会社が使っております飛行機は、やはりその会社の整備規程によってしっかり整備できておりますので、飛行機に間違いないのでございますから、ただ単にDC−3というだけのことで商社に発注するのではございません。前歴を十分調べております。たとえば、今度の遭難機五〇四五機も、前の会社はパン・アメリカンがやはり旅客機として使っておった飛行機でございます。そういうふうにいたしまして、前の使い方がやはり不備があり、乱雑でありますといろいろ問題も起りますので、前歴も十分留意いたしております。  それから、いろいろ故障続発についての御注意でございますが、これも大小いろいろな故障が当然ございます。で、大体私の方の会社は、起ります故障はもちろん全部記録いたしておりますが、さらに、出発が十五分以上おくれました場合は、全部一応記録しまして、その十五分以上おくれた原因が何であるかということも全部統計的にいたしております。もちろん、個々の飛行機につきましても、これと別個に故障を全部集計し、その故障を吟味し、全部これは調べております。  出発前十分くらいな整備で満足な整備あるいは検査ができないじゃないかというおしかりがございますが、ごもっともと思いますが、DC−3につきましては、八十時間飛行機が飛びますと所定の検査をいたします。これが相当厳密なものでございます。その次には、八十時間、八十時間でございますから、二百四十時間になりますと、さらにもっときびしい検査をいたします。さらにもっときまして、それの倍の四百八十時間、さらに九百六十時間というふうになりまして、九百六十時間になりますと、大体滞空検査と同じような検査になります。ですから、この時間をきめましたのも、かりに八十時間としますれば、八十時間以内には何ら故障も起らないし、安全性に支障のないという範囲なのであります。実際は百時間、あるいは百時間もう少しこえたところ、まあかりに百時間まではこの点が保証されても、それは八十時間という短かい時間に制限をつけております。そういうふうにしまして時間を区切りまして、一番小さい八十時間と区切って点検しておりました。その間に悪いところを見つけましたら新しいものにかえます。で、悪いところを修正しましたら、八十時間は、その当日の、出発の朝の点検、さらにおりましたら十分くらいな点検と、その晩、最後のときに点検いたしましたら、八十時間の間は一応故障なく飛ぶのでございます。この時間をきめますのも、いろいろの過去の経験またわれわれの技術、設備とかというものを基準にいたしまして、航空局の承認をいただきましてやっておるのでございまして、われわれといたしましては、出発前の十分間で十分に整備ができるという確信をいたしております。
  199. 相澤重明

    ○相澤重明君 そんなこと言ったって事故は起きたじゃないか。何を言っているんだ。十分間で必ず全部できるなら事故が起きないじゃないか。現実に事故が起きているじゃないか。
  200. 川端清一

    参考人(川端清一君) お言葉を返すようでございますが……。
  201. 相澤重明

    ○相澤重明君 そんなことを聞いているのじゃない。いいかげんにしろ。どこだと思っている、国会だぞ、ここは。
  202. 大和与一

    委員長大和与一君) まあまあ、一応説明を聞いて……。
  203. 相澤重明

    ○相澤重明君 説明と言っても、そんな、ふざけちゃいかぬ。
  204. 川端清一

    参考人(川端清一君) そんな意味ではございません。ただ、出発前の十分はそういう意味の十分でやっているということでございます。
  205. 高良とみ

    高良とみ君 もう一点だけです。これは国民が非常に不安に思っていることで、DC−3はもう製造をアメリカでもやめているので、その部分品が、部品がない、部品を製造している会社が非常に少いということは、まあ巷間みんなにいわれているわけなんですよ。そういう点でいかに整備するとおっしゃっても、部品はどうしておられるのですか、日本内地で作っておられるのですか。それとも鋼質が違いますから、日本に持ってくる飛行機は、自衛隊もみんなそういうことがあるのですが、部品がだんだんちぐはぐになってくるということについてはどうなんですか、その点一つお伺いしておきます。
  206. 川端清一

    参考人(川端清一君) 部品は全部輸入品でございます。
  207. 高良とみ

    高良とみ君 で、規格が変っているのじゃないですか。
  208. 川端清一

    参考人(川端清一君) 規格は変っておりませんし、重要な部分品につきましては、予備品証明を受けております。
  209. 大和与一

    委員長大和与一君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  210. 大和与一

    委員長大和与一君) 速記を始めて。  次に、全日本空輸機遭難に関する決議案を議題に供します。   今回全日本空輸株式会社航空機遭難し、多数の生命を失ったことは、まことに遺憾である。   政府は今回の事故にかんがみ航空の安全を強化し航空事業に対する信頼性を増強するよう、わが国航空態勢の整備強化につき万全の措置を講ずべきである。   なお、今回遭難した犠牲者収容善後処置等について遺憾なきを期するよう要望する。   右決議する。   ただいま読み上げました決議案に御賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  211. 大和与一

    委員長大和与一君) 全会一致決定いたしました。
  212. 中馬辰猪

    説明員(中馬辰猪君) ただいま御決議になられました件に関しましては、政府といたしましても、全力を傾けて航空の安全確保に努力いたし、また、今回遭難せられました犠牲者方々遺体収容や、あるいはその御遺族に対する取扱い等に関しましては、遺憾なきを期したいと考えております。また、政府だけの力をもってしては、航空の安全強化ということがよほど困難であろうと思いまするので、委員会の皆様方の格別の御協力をお願いいたしたいと考えております。   —————————————
  213. 大和与一

    委員長大和与一君) 次に、十四日に山陽線において起りました特急「かもめ」号の踏切り事故について、国鉄当局から御説明をお願いします。
  214. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 八月十四日、山陽線におきまして、踏切り障害で特急が脱線転覆いたしましたことにつきまして、御心配をいただきましてまことに感謝する次第でございます。  ただいま資料をお手元にお配りいたしましたが、事故の種別は、列車脱線(踏切り障害)でございまして、発生日時は昭和三十三年八月十四日十四時三分でございます。発生の場所は、広島局の山陽線川下信号所と南岩国の間でございまして、第三種尾津踏切りでございます。方向指示器と申しますのは、上り下りのどちらの列車が入ってくるかということを矢印でつける表示器でございまして、ここにはその表示器がついた信号が設備せられておるのでございます。三種でございますから、接近ベルと、それから燈火の点滅のほかに、ここには特別に方向指示器をつけてあったのでございます。列車は特急の第六列車、上り「かもめ」号でございます。現車十両を引いておりました。  少し簡単に御説明申し上げますと、状況といたしましては、本列車は南岩国を定時で通過いたしまして、時速約七十五キロないし八十キロで運転いたしましたところが、ただいまの踏切りで下りの五十七列車と行き違った際に、進行の右側からトレーラー付トラックが出て参りましたのを機関助士が約四十メートル手前で発見いたしまして、直ちに非常気笛を吹鳴いたしますとともに、機関士が非常制動をとったのでございまするが、四十メートルという短かい距離でございましたので、全部停車するは至らず衝撃いたしまして、機関車は六十六メートルばかり進行の後、左側に脱線、それから黒前部の客車三等車は全軸脱線横転、二両目の三等車及び三両目の三等車は、いずれも全軸脱線して線路とほぼ直角の状態となり、四両目の三等車は、前台車が築堤下に突っ込み、五両目の三等車は全軸脱線いたしました。このために本線は支障しましたが、広島の第二機関区、小郡客貨車区から救援列車を運転して復旧に努めまして、下りの本線は十四日二十三時三十分開通、上り本線は翌十五日一時三十五分開通いたしました。  その原因は、トレーラー付トラック運転者が、警報が鳴っているにもかかわらず、直前を横断いたしたためでございます。  この事故のために、旅客が重傷一名、軽傷四十一名、機関士が一名重傷、計四十三名が重軽傷いたしましたことは、まことに残念に存ずる次第でございまするが、全部が鋼鉄車でございましたために、客車の破損が比較的少く、死者が出ませんでしたことは、不幸中の幸いと存じておるのでございます。  で、この事故を起したトレーラー付トラックは、岩国米海兵輸送基地の所属でございまして、運転者は、米兵の軍曹でございました。  なお、警報機の機能が完全であったという立証をする者も、二名確認いたしております。  それから(5)の負傷者につきましては、地元の国鉄職員、消防団、米軍岩国航空隊の救援車により付近の病院に収容しました。なお、国鉄側から現地に医者四名、看護婦十名を急行いたさせました。一方、広島駅に医師七名、看護婦十七名、そのほか各駅に鉄道医療班が出まして、旅行継続中の負傷者の方々のお見舞及び手当をいたした次第でございます。  それで、これは現在のところ、およそはっきり米軍トレラーの過失と推定いたされるのでございまするが、鉄道の旅行中の不慮の御災害でございますので、国鉄から入院者の二名の方に対しては、千円程度のお見舞品と、一万円の見舞金を差し上げ、また、軽傷者に対してそれぞれ二千円のお見舞を差し上げてございます。しかし、これはお見舞でございまして、賠償ということになりますれば、これはただいまその運転者が公務中の事故でございまするので、米軍の憲兵隊に取調べ中でございますから、その過失が判明いたしましたならば、旅客からその賠償を要求することに相なると存じます。  また一方、国鉄の損害額としましては、概算でございまするが、大体におきまして三千万円余の損害になっておりまして、これにつきましても、もし米軍運転者の過失だということが立証せられましたら、その手続をとって賠償を要求いたしたい、こう考えておる次第でございます。  以上、事故の御報告を終りたいと存じます。
  215. 柴谷要

    ○柴谷要君 ただいまの報告状況はよくわかりましたが、私どもの情勢判断によりますというと、国鉄第三種踏切りにおける米軍の運転者の警報無視によるところの事故発生と、こういうふうに私ども考えます。そこで、責任は米軍側の自動車にあるということが明白でありまするから、私は、国鉄としては、損害に対する賠償ということは、当然米軍に行うべきである、かつてこういうような事故の被害を国鉄はこうむったことがあるのですが、米軍が公務中であるというようなことで、それは占領下であったから、国鉄は当時泣いた、しかし、今日はすでに占領下ではないのですから、損害を過小に見積ることはないし、また過大に見積る必要もなかろうと思うけれども、実際に国鉄が受けた損害だけは、明確に米軍にこれが補償を要求して、賠償をとるべきだと思うのですが、その決意がおありでございましょうか、これを一つ私確認しておきたいと思います。
  216. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 私も、この事故米軍の運転者によって起された事故、ことに、交通業者としましては、最も重大なる信号暴進という過失によりまして起ったといたしますれば、当然その責任を負担すべきでありまして、国鉄としましても、この損害は所定の手続を経て、はっきり要求いたしたいと、こう考えております。ただ、先ほど申しましたように、この責任者がただいま取調べ中でございますので、それが判明いたしてから、そういう措置をとりたいと存じます。  なお、つけ加えて申し上げますと、十六日には、立川の米極東軍から、現地に飛行機調査に行かれておるそうでございまするし、また、呉の調達局あるいは岩国の調達事務所の関係者が、現地で打ち合せしておられるよしでございますので、そういう点もはっきり事態が判明いたしますれば、国鉄としてとるべき手段をとって参りたい、言いかえますれば、賠償をはっきり要求いたして参りたい、こう考えております。
  217. 柴谷要

    ○柴谷要君 当然、賠償に対しては、副総裁が決意を示されたのでけっこうだと思うのですが、私は、やはりそれだけでは事は足りないと思うのです。というのは、米軍がやはり占領下において優越性を持っていつもやっておったその気持が抜けないのじゃないか、危険信号が鳴っておるにかかわらず、それを大きなトレーラー・バスを運転して線路に入ってくるなんということは、これは一般常識では考えられない。でありますから、賠償はもとよりのことでありますけれども米軍に対して厳重に、国鉄として、この大事な人命並びに財産を輸送しておる責任上からいって、こういう無謀なことは断じてやってもらっては困るという一札をつけ加えて出すように、私は国鉄当局に希望したいと思うのです。そのような御意思をお持ちであられるかどうか、決意のほどを一つお聞かせ願いたい。
  218. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 米国の道路あるいは踏切りと日本の道路あるいは踏切りとだいぶ状態が違っておりますので、つい、日本の事情になれない米軍事故を起しがちであるということも考えられますので、私どもとしては、今後とも、米軍の運転手につきましては、米軍の方から十分注意していただきたいということを申し述べたい、こう私考えております。
  219. 高良とみ

    高良とみ君 国鉄のこの事故は、かねて御要望申し上げておりますように、相当騒音がある中にチンチンが鳴りましても、それから青が出ましても、ときによるとなれっこになって、不十分の場合もあり得るものですから、どうか、私鉄の方でかなり実施しておりますような、電気による竹の棒でもいいから出てくるような施設にお変え願いたいということをお願いしてあるのでありますが、今回のようなこういう事故は、もっと多くの人的な犠牲者を出さなくてまだよかったのでありますが、あり得ることでありますから、こういう大きな踏切りは、一メートル以上もあるような所は、立体交差になる前にも何とか一つ、ああいう新しい——あまり理想的ではありませんけれども、そういう式を、国鉄が思い切ってその賠償金をそれに引き当ててもいいからやっていただきたいということが一つであります。どうも国鉄のああいうことの御採用が、少し私鉄よりも数が少いのじゃないかということが、ますます私心配なんでありますが、それでも押し切っていこうというなら、ますます困ったことであります。  もう一つ、第二は、ここにも書いてありますが、二百二十メートル向うから列車の来るのが見えるということを申しましても、それは非常なスピードで走っておる急行列車でありますから、見えるからといって、それから運転手がストップするということでは……。それよりも、聞えておるのですからね。それで、そこに忠魂碑が五メートルの高さであるということは、これも一つのじゃまになったであろうと思うのです。これは新聞で読みました。こういうことでは事故を起す原因になるから、忠魂碑をこの際もっと低くするか、あるいは移転するかということについて、その費用をもっと差し向けていただけないか、もちろん国鉄の御損害は、諸般の計数が出ておりますけれども、どうか一つ今後の事故防止のために、そういう方法で、賠償金はそういうところに使うから十分出せという、交渉の一つの強いもとにしていただけないかということをお尋ねしたい。
  220. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) この踏切りは、戦前は資料がございませんが、戦後におきましては、過去において一件だけ踏切りの障害があったそうでございます。これも実際申しますると、米軍関係であったそうでございますが、ほかには全く事故のなかった踏切りでございます。それで、先ほど申しましたように、ここは赤の危険信号が、赤ランプが点滅いたしますし、ただいまの御説明では、チンチンというのは遠方からは聞えないという仰せもございましたが、そういうアラーム・ベルもついておりますし、先ほど申しましたような方向指示器もございますので、第三種と申しますか、そういうことにつきましては、設備は十分しておったのでございます。交通機関としましては、やはりすべてのものがこの信号によって動くのでございまして、たとえば、東京都内でも、いろいろ交差点に信号がございまして、信号によるゴー・ストップが行われ、その間を暴進いたしますともう処置なしでございますが、なお、ただいまのお話のように、踏切りというものは、できるだけ念には念を入れなくてはなりませんで、踏切り障害につきましては、再三、国会でも御指摘をいただいておりますので、この上とも十分私ども設備の向上に努めて参りたい、こう考えておりまするので、これをもってお答えにいたします。
  221. 高良とみ

    高良とみ君 記念碑のことはどうですか。
  222. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) これはまだ現地のものも参っておりませんので、見通しということにつきましては、十分注意をして、もし見通しが悪いようでしたら、そういう点についても改善を加えなければならぬ、それ以外の踏切りにつきましても、見通しにつきましては、さらにこの事故機会にいたしまして、十分注意させていきたい、こう考えております。
  223. 高良とみ

    高良とみ君 下りが通ったあとだから上りは大丈夫だと思って出ることがずいぶん大きな事故になっておるわけです。そのためには、見通しをよくする、それには地元の市町村、県庁等とも協力して、交通安全に全県民あげて当るという御努力をもう一段希望しておきたいと思います。
  224. 柴谷要

    ○柴谷要君 現場がおわかりにならぬから議論をされると思います。私十六日に現場を見て来た。九州からの帰りに見て来た。ところが、これは見渡す限り広漠たる中に、道路と鉄道線路が並行してきている。それでそこを通り越して米軍の基地に行くのです。これはだれが見たって、米軍の運転手がけしからぬのです。チンチンだって、それはかなり離れておる民家から、いわゆるうるさ過ぎて困るから声を小さくしてくれという要望があるくらいですから、こんな所で事故を起すのは米軍よりほかない。厳重に抗議をしてもらいたい。日本人は一人も事故を起していない。占領下における米軍の優越性でもって、汽車よりおれの方が強いのだといって飛び込むから、それで迷惑するのは日本人です。これは国鉄として厳重に、賠償はもちろんのこと、強く抗議をしなければならぬ。これは私、よく見てきておりますが、副総裁は見ておられないから、補足説明申し上げます。
  225. 大和与一

    委員長大和与一君) ほかに御質問ございませんか。——それでは、本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十八分散会