○須賀
説明員 前国会以後の経過につきまして簡単に御報告申し上げます。
前国会で御審議をわずらわしました繭糸価格の安定に関します臨時
措置法は、七月の十日に公布をいたしまして、即日施行をいたしたのであります。これは、御承知のように、やります仕事の中身が、日本輸出生糸保管会社が
政府にかわりまして生糸の買い上げを行う、また乾繭共同保管をいたしました繭の買い入れを行うということが
法律の主たる中身になっておるわけでございます。従いまして、この
法律施行と同時に、日本輸出生糸保管株式会社でも、直ちに臨時総会を招集をいたしまして、必要なる定款の改正をいたしたわけであります。その手続をいたしましたのが七月の十七日であります。
〔
吉川(久)
委員長代理退席、丹羽(兵)
委員長代理着席〕
十七日に定款改正をいたしまして、直ちに登記の手続をとったのでありますが、その結果、本月の二十一日から日本輸出生糸保管株式会社は
法律によりまして正式に業務を開始いたしたわけであります。
六月及び七月の二十一日までの間は、生糸の
政府買い上げが中断いたしますことを防ぎますために、とりあえず従来の
法律、いわゆる繭糸価格安定法によります保管会社の附帯業務として、今回の
法律による買い入れの事務を実質的には行なって参ったのでございます。この買い入れば、六月には二千二百八十六俵、それから七月は二十八日現在で四千四百二俵となっております。従いまして、合しまして六千六百八十八俵の生糸が買い入れられておるわけであります。これが
法律によりまして六月にさかのぼって臨時
措置法の改正となるわけであります。従いまして、先般の
法律で百億の
資金の範囲内において買い入れます生糸は、現在におきましては約六千六百俵の数量が保管会社に入っておるわけでございます。従来の五月以前の
政府買い入れの数量に比較いたしますと非常に減少しておるわけであります。五月までは御承知のように大体八千俵見当の生糸が毎月入って参ったのであります。この六月、七月はそれに比較いたしますと比較的少い
数字に相なっておるわけでございます。
それから、次に、この
法律を施行いたしまして保管会社で代行買い入れを開始いたしました結果、生糸の相場はほぼ以前の水準に回復をして参りまして、横浜、神戸の清算市場の価格も、当月限につきましては大体十九万円、六カ月先の先物につきましても十八万円の線を現在維持しておるわけでございます。この相場につきましてはお
手元に印刷をして差し上げてございます。
それから、次に、先般の
法律による生糸の買い入れば、特に本年産の春繭につきまして千四百円の最低繭価を下らない価格を
農家に保証をするということが非常に重要なる眼目となっておったのでございますが、この点は、
法律によりまして、保管会社が製糸業者から生糸を買い入れます際の条件は
農林大臣が定めることになっておるわけでございます。その
農林大臣が定めます生糸の買い入れの条件といたしまして、先般
農林大臣から保管会社に通達をいたしました主要なる点は、第一点といたしまして、本年産春繭について農協と
団体協約によって取引をいたしましたものにつきましては最低繭価を下回らない価格を支払うということが一点でございます。それから、第二点は、現に工業組合で
機械製糸は操短を行なっておりますが、この操短を確実に守るということが第二であります。この二つの条項を誓約してもらいまして、この誓約を守らない場合は保管会社において生糸の買い入れを行わないことがあっても別に
異議は申し述べないという誓約書を入れてもらうことにいたしたのでございます。従いまして、そのことを
農林大臣から保管会社に指示いたしました結果、保管会社はそれだけの条件がととのいましたもののみから買い入れることにいたしたわけでございます。さような改正に取りまとめますまでに若干の時間がかかったわけでございますが、今月の二十三日製糸業者の方の意思もその線に従うことに
決定をいたしましたので、二十四日以降各製糸業者から保管会社に誓約書が差し入れられております。昨日現在で七十二社から誓約書が入っておるようでございますが、現在製糸業者の数は約百六社でございまして、約半数が昨日現在で入っております。なお、今月から来月初旬にかけて、ほとんど全部の製糸業者から誓約書が入ることに相なっておるわけでございます。
それと前後いたしまして、春繭の繭価協定が行われておるわけでございますが、昨日までに協定の行われましたのは
静岡と山梨と宮崎でございます。
静岡は七月十六日、山梨、宮崎につきましては、お
手元に差し上げてあります
資料によりましてごらんいただきたいと思いますが、それぞれの日取りにおいてでき上っておる。その
内容は、標準価格につきましては八千七百五十掛、これがいわゆる千四百円ということに相なるわけでございます。それから、格差掛目は従来
通り百二十掛、
水引きにつきましても昨年
通り、ただ、集荷
指導費の扱いにつきまして——集荷
指導費と申しますのは、御承知でもございましょうが、従来製糸業者が養連の末端職員の経費その他の一部を負担をいたしておったわけでございますが、この集荷
指導費の扱いがなお交渉問題として残っておる県が多いようでございます。
静岡県の場合におきましても、集荷
指導費は追って協議の上きめるという形になっております。山梨県の場合は正式に発表されておりません。集荷
指導費に
相当する
部分は、製糸側は今年度の場合はこれを負担しないというような話し合いが行われておるように聞いております。宮崎県の場合も、一応集荷
指導費の分は控除しておきまして、
九州全体の様子がき
まりました上で再交渉するというような格好になっております。これは従来も製糸業者との間において話し合いによって行われておったものでございますので、われわれといたしましても最低繭価が確保せられる限り、その他の取引条件につきましては両当事者間の交渉にまかせることにいたして参ったわけでございます。従いまして、本年春繭につきまして千四百円の繭代を保証するという問題は、実質的には一応解決をいたしたわけでございます。
それから、乾繭共同保管は、前国会の当時は約二百六十万貫の計画であるということを申し上げたのでございますが、最近の時点では百五十七万貫の計画で進められておるわけでありまして、八月五日に締め切りまして買い入れ予約の手続をいたすわけでございますが、おそらくこの百五十七万貫くらいの
数字が最後にまとまってくるものと考えます。
なお、共同保管繭に対する融資につきましては、前国会でもこの融資限度につきましていろいろ御質問がございましたが、その後
大蔵省ともいろいろ協議をいたしまして、農協の財務処理基準例による告示を本日付で改めまして、例の八割融資という限度にとらわれないで、この分につきましては融資が行えるようにいたしたわけでございます。それで、共同保管に対する融資は、繭代
相当額が最低千三百円、それから、農協が保管をいたしております臨時倉敷
相当分を二百円の限度まで、合せまして千五百円の限度まで融資ができるようにいたしたわけでございます。
前国会以後の経過といたしまして、簡単でございますが、とりあえず以上のことを御報告申し上げます。