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1958-07-07 第29回国会 衆議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年七月七日(月曜日)     午前十一時四十五分開議  出席委員    委員長 松浦周太郎君    理事 大野 市郎君 理事 吉川 久衛君    理事 助川 良平君 理事 本名  武君    理事 赤路 友藏君 理事 石田 宥全君    理事 日野 吉夫君       安倍晋太郎君    秋山 利恭君       五十嵐吉藏君    今井  耕君       大森 玉木君    鴨田 宗一君       倉成  正君    笹山茂太郎君       高石幸三郎君    田口長治郎君       内藤  隆君    永田 亮一君       濱地 文平君    松岡嘉兵衛君       三和 精一君    八木 徹雄君       足鹿  覺君    角屋堅次郎君       神田 大作君    栗林 三郎君       實川 清之君    高田 富之君       中澤 茂一君    中村 時雄君       西村 関一君    芳賀  貢君       松浦 定義君  出席国務大臣         農 林 大 臣 三浦 一雄君  出席政府委員         文部政務次官  高見 三郎君         農林政務次官  石坂  繁君         農林事務官         (大臣官房長) 齋藤  誠君         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君         水産庁長官   奧原日出男君  委員外出席者         文部事務官         (体育局長)  清水 康平君         文部事務官         (体育局学校給         食課長)    平間  修君         厚生事務官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  尾村 偉久君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  藤巻 吉生君         農林事務官         (畜産局長)  谷垣 專一君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 七月七日  委員加藤常太郎君、井手以誠君石山權作君、  久保田豊君、小松幹君及び中井徳次郎辞任に  つき、その補欠として鴨田宗一君、中村時雄君、  神田大作君、高田富之君、松浦定義君及び石田  宥全君議長指名委員に選任された。 同日  委員鴨田宗一辞任につき、その補欠として加  藤常太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  理事田口長治郎辞任につき、その補欠として  大野市郎君が理事に当選した。 同日  石田宥全君理事補欠当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  理事の互選  農林水産業基本施策に関する件  酪農に関する件  請願  一 昭和三十三年産米価決定等に関する請願    (片島港君外一名紹介)(第一八号)  二 昭和三十三年産麦価減収加算に関する請    願(片島港君外一名紹介)(第一九号)  三 農地法の一部改正に関する請願丹羽兵助    君紹介)(第九六号)  四 北海道東北地方漁港整備事業促進に関    する請願飯塚定輔紹介)(第一一八号)  五 蚕糸業危機突破対策に関する請願飯塚    定輔君紹介)(第一一九号)  六 八郎潟干拓事業促進に関する請願飯塚定    輔君紹介)(第一二〇号)  七 東北地方土地改良事業に対する補助率引    上げに関する請願飯塚定輔紹介)(第    一二一号)  八 自作農維持創設資金増額に関する請願)    (飯塚定輔紹介)(第一二二号)  九 自作農維持創設資金災害適用範囲拡大に    関する請願飯塚定輔紹介)(第一二三    号) 一○ 農業共済制度改善に関する請願飯塚定    輔君紹介)(第一二四号) 一一 農地等集団化に関する請願小枝一雄君    紹介)(第一二五号) 一二 釜石漁港修築第二期事業実施に関する請願    (山本猛夫紹介)(第一七一号) 一三 鹿屋市に国立竹林試験場設置に関する請願    (二階堂進紹介)(第一九六号) 一四 昭和三十三年産米生産者価格に関する請願    (佐々木盛雄紹介)(第二一六号) 一五 農地法の一部改正に関する請願伊藤よし    子君紹介)(第二四六号) 一六 土地改良事業推進に関する請願丹羽兵助    君紹介)(第二四七号) 一七 同(野田卯一紹介)(第二四八号) 一八 小諸市のひよう害対策に関する請願(羽田    武嗣郎紹介)(第二四九号) 一九 昭和三十三年差米価及び予約条件に関する    請願外一件(渡邊良夫紹介)(第二五〇    号) 二○ 関東地方奥地山村地帯治山等に関する請    願(福田赳夫君外一名紹介)(第二六〇    号) 二一 土地改良事業推進に関する請願今井耕君    紹介)(第二八四号) 二二 浜名及び磐田両用水等取水施設改良に     関する請願中村幸八君外二名紹介)(     第二八五号) 二三 芝原地区開拓地水田用ダム建設に関する    請願武藤武雄紹介)(第二八六号) 二四 同(山下春江紹介)(第二八七号) 二五 部落問題解決のため山林原野払下げ等に    関する請願八木一男紹介)(第二八八    号) 二六 地方卸売市場法制定に関する請願小島徹    三君紹介)(第二九七号) 二七 酪農危機突破対策に関する請願吉川久衛    君紹介)(第二九八号) 二八 保谷町の米穀卸売価格等に関する級地引上    げの請願中村高一君紹介)(第三一一    号) 二九 土地改良事業推進に関する請願清瀬一郎    君紹介)(第三一二号) 三○ 同(川崎末五郎君紹介)(第三六四号) 三一 北海道東北地方漁港整備事業促進に関    する請願石山權作君紹介)(第三四一    号) 三二 蚕糸業危機突破対策に関する請願石山    權作君紹介)(第三四二号) 三三 八郎潟干拓事業促進に関する請願石山權    作君紹介)(第三四三号) 三四 東北地方土地改良事業に対する補助率引    上げに関する請願石山權作君紹介)(第    三四四号) 三五 自作農維持創設資金増額に関する請願(石    山權作君紹介)(第三四五号)三六 浜益漁港整備及び工事促進に関する請願    (薄田美朝君紹介)(第三四七号) 三七 地方卸売市場法制定に関する請願原健三    郎君紹介)(第三四八号) 三八 自作農維持創設資金災害適用範囲拡大に    関する請願石山權作君紹介)(第三八三    号) 三九 農業共済制度改善に関する請願石山權    作君紹介)(第三八四号) 四○ 釜石漁港修築第二期事業実施に関する請願    (鈴木善幸紹介)(第四一三号) 四一 酪農危機突破対策に関する請願外七件(中    島巖紹介)(第四一四号)      ————◇—————
  2. 松浦周太郎

    松浦委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。理事田口長治郎君より理事辞任いたしたい旨の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松浦周太郎

    松浦委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。  なお、先般の委員の異動に伴い理事がさらに一名欠員となっておりますので、その補欠委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松浦周太郎

    松浦委員長 御異議なしと認め、大野市郎君及び石田宥全君理事指名いたします。     —————————————
  5. 松浦周太郎

    松浦委員長 これより請願審査に入ります。  今国会において本委員会に付託になりました請願は四十一件であります。これより請願日程第一より第四十一を一括して議題といたします。  まず審査の方法についてお諮りいたします。各請願の内容は、請願文書表によって御存じ通りであり、また先般の理事会において御検討願ったところでありますので、この際、各請願について紹介議員よりの説明聴取等のことは省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松浦周太郎

    松浦委員長 御異議なしと認め、直ちに採決いたします。  請願日程中、第一、第四より第六、第八、第一〇より第一四、第一六より第二四、第二六より第三三、第三五より第三七、第三九より第四一、以上の各請願は、その趣旨妥当と認め、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決し、第二の請願は、政府においてすでに決定された麦価減収加算に関するものでありますので、議院の議決を要しないものと決したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松浦周太郎

    松浦委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、ただいま決定いたしました各請願に関する報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 松浦周太郎

    松浦委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたしました。  なお、その他の請願につきましては、その趣旨についてなお検討を要すべき点がありますので、いずれも採否を留保いたしたいと存じます。  なお、すでに御承知通り、これまでに本委員会参考のため送付されました陳情書は、肝蛭駆虫対策に関する陳情書外二十一件であります。右念のため御報告いたします。     —————————————
  9. 松浦周太郎

    松浦委員長 次に、農林水産業基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。西村関一君。
  10. 西村関一

    西村(関)委員 米麦問題、蚕糸問題、農業災害問題、酪農問題等につきましてはすでに同僚の各委員から質問がありましたので、私は、一般基本政策に関連をいたしまして、比較的部分的な問題ではありますが、しかしきわめて重要な問題であると考えます主として農地に関する二つの問題について大臣にお伺いをいたしたいと思います。  その一つは、全国に散在いたしておりまする六千に近い未解放部落、その数は三百万といわれ四百万といわれております人々の問題であります。これらの人たちは、御承知通り、何らの理由も根拠もなく、ただ歴史的にいろいろの支配階級のために身分的な差別をしいられて参りまして、経済的にも社会的にもきわめて劣悪な状態のもとに放置されてきた人々なのでございます。これらの部落民をその劣悪な生活的、社会的条件から脱却させまする部落問題を完全に解決いたしまするためには、一つの省だけではなくて、内閣部落対策審議会を設けて、各種の調査、研究、企画、立案並びに審議、答申、勧告のほかに、行政査察指導を行わしめることが緊急事考えられるのであります。これにつきましては、さきの第二十八国会におきまして、わが党の八木一男議員質問に答えて、岸総理もその必要を認めておられるのであります。しかも、これら三百万、四百万人といわれております人々の約七割が農村におります。その約八割が農業に従事をし、あるいは農業関係のある仕事をやっているのであります。そして、これらの未解放部落は主として関西以西に散在しておりまするが、その多くは交通不便なへんぴなところにありまして、その上、山下がけ地でありますとか、谷間、川原の湿地帯、特に日陰が多い、そういうところに密集をしておるのであります。その上、過小耕作者でありますために、農地解放恩恵にもあずからなかったところの者が非常に多いのであります。今日でさえ平均耕地反別は四反弱、しかもその一枚々々のたんぼは狭くて、各所に不便なところに散在をいたしておりまするし、地味が劣っておりまするし、従って収穫量一般農地に比べましてきわめて低いのであります。さらに、これらの未解放部落農家の九割以上が、自家に必要な薪炭あるいは採草用山林原野を持っていないのであります。これらの人々は、さきにも申し述べましたように、今なお理由なき封建的な身分差別だけではなくて、まことに不合理な非民主的な山林原野漁場等入会権を持たないままに今日まで放置されてきたのであります。この入会権慣行につきましては、歴史的にいろいろと申し述べることが必要だと思いますけれども、賢明な大臣はよく御存じだと思いますから、その煩を避けたいと思いまするが、こういう状態のもとに、非常な不利な条件のもとに農業漁業を営んで参ります彼らの問題について、大臣の所信をお伺いいたしたいのであります。  彼らは、農業部落でありながら、いまなお農村化せざるところの農業部落を形作っておるのであります。そこで、このような不合理な部落低位性解決するためには、従来の単なる恩恵的な、ないし社会政策的な施策だけではなしに、これらの土地のない農民土地を与える、入会慣行を持たない、入会慣行から除外されておりますところの農民に、草刈り場を、あるいはまきやたきぎや草を採取することのできるために入山権を与えるということが必要と考えるのであります。どのように酪農を奨励いたしましても、草を刈る場所を持たない、有機肥料を作ることができない、ふろや炊事にも事欠くといったような実例が非常に多いのであります。部落子供たちは、夏は草刈り、冬はたきぎ取りの苛酷な労働をしいられまして、しかも鋭い監視の目をくぐってこれをやらなければならない。こういう部落子供たちには未就学児童が非常に多い。学校におきましては先生から正直になれということを教えられますけれども、こういう状態では正直になりたくてもなりようがない。むしろこのようにして部落民卑屈感子供のときから助長させられる。そしてそこに多くの問題を出すようになってくる。また、今日法律を犯して多くのやみ米を都会に運ぶ人人の大多数は部落人たちなんであります。彼らにいたしましても、法律を犯すことが悪いということを知っておりますけれども、生きんがために人間として呼吸をせんがためには、やむを得ないからやっておるのであります。私は、こういうところにも、今日の日本政治の貧困があるというふうに思わざるを得ないのであります。  私は政治家といたしましては一年生でありますが、政治の本領は、社会の片すみに行われておるいと小さな者の声をも取り上げて、これを十分に国政の上に生かすという工夫が必要であると考えるのであります。インドにおきましては、ここ六、七年前から、ガンジーの後継であります今のプラサド大統領や、ネール首相の兄弟子に当りますヴィノーバ・バーヴェイが、パリジャンと呼ばれるインドの賤民の人たちのために土地を与える運動を起しておりますが、私は日本農地耕作地農地法制定以来概して耕作農民の手に帰したということは認めるのでありますが、山林原野はまだ手をつけられていない。また、さきにも申し述べましたように、この農地法恩恵にもあずかることができなくて、今なお多くの苦難をになっておるところのこの何百万という部落農民とその家族のあることを大臣は覚えていただきたいのであります。  そこで、私はまず大臣にお尋ねいたしたいのであります。第一に、今日日本農地の問題に関しまして大臣はどのような政策をお持ちになっていらっしゃいますか。第二に、農地法改正して、山林原野土地のない耕作酪農農民解放するというようなお考えを持っておられるでしょうか。第三には、農地法未墾地買収の章に、開拓農民のために、農業経営に必要な付属未墾地政府が買い上げて、これを開拓農民に有料払い下げることができるという章がございますが、     〔委員長退席吉川(久)委員長代   理着席〕 この法の条文の解釈を延長いたしまして、前述の入会権を持たない未解放部落農民に対して、開墾可能な山林原野沼沢等を、過小耕地農家をも含めて、少くとも農地法制定当時耕作農民有償払い下げをいたしましたあの条件でもってこれを払い下げるというような措置を講じていただくお考えはお持ちになっておられないだろうか。あるいはまた、官公有地に対する貸借関係等によりまして、これに入って草を刈る、あるいは下枝を採取するというようなことを一定条件のもとに認めさせるような特別な措置を講じていただくというようなことはできないものだろうか。そういったようなことにつきましての大臣のお考えをお伺いいたしたいと存じます。
  11. 三浦一雄

    三浦国務大臣 西村委員のお尋ねに対しましてお答えを申し上げます。  第一の点は、いわゆる未解放地区に対しまする農地解放の問題でございますが、御承知通り、開墾可能な山林原野あるいは沼沢等がございまするならば、国有地もしくは民有地ともございますが、これを農地法によって買収いたしまして、これを売り渡して、そうして自作農創設仕事をしてやる、すなわち農地を与えるという基本方針はどこまでも堅持して参りまして、そしてこの恵沢に浴しない方面に対しまして十分な配慮をして参りたいという考えは、ごうまつも変りはございません。できるだけ地区々々をよく精査いたしまして、そうして、いやしくも開墾可能な余地がございますれば、そういうふうに取り進めて参りたいと存じます。  第二の問題は、国有地もしくは公有地等におきましても、あるいは薪炭林を持たない、採草地を持たないという場合に、これに対して便宜を供与し得る措置をとれるかという問題であります。国有地等につきましても、御了承の通り、これは長い間の慣行がございまして、それぞれ地元民は慣行上の入会に類するものを持っておるわけでございます。そういうような場合でございまして、これらはまず国有林野公有林と分って考えますと、前段の国有林野寺につきましては、これらの慣行を重んじて、そうして薪炭林その他の原木等を払い下げいたしておるのでございますが、この間に最も困難な事情は、地元で話がつかぬために、かりにさような官公地がありましてもこれに入れないという事態が実際あるだろうと思うのです。そこで、今回はこれをさらに精査しまして、その地帯一定の区域を取って、そうしていわゆる未解放部落等共有林制度として援用し得ますならば、その面に独立にして与えるという方針もだんだん採用して参りたい、こう考えるのであります。ただ、西日本地帯におきましては、何としましても、価値は高いけれども林野面積等が狭うございます。従いまして、これらの林野に対する慣行等の利害というものも非常に重大なものでございますから、この間にその地元で話がつかなかったりあるいは激化するというようなことがあってはまた困るわけでございますが、これは、いわゆるケース・バイ・ケースと申しますか、その地方の実情をよく精査しまして、そうして、今申し上げました通り一定の区画をしまして、そうしてそこに薪炭林を採取するとかあるいは採草させるという余地がございますならば、行政指導としましては、それらの人々にその利益が帰属するようにだんだん進めて参りたい、こう考えております。  なお、公有林でございますが、これは御承知通り西日本におきます公有林野等につきましては、純然たる経営林野というものはなかなか持っておらない状態でありまして、入会慣行のありますものと存じておりますが、この場合におきましても、御承知通り公有林野に対しましては、経営計画というものを立てまして、そして、純然たる林業経営地区である、あるいは、さらにまたこれを区分しまして、地元採草あるいは薪炭林の供与をするというように、区分を分ちまして経営計画を進めておるのであります。従いまして、こちらの林野庁の指導方針としましても、その地元事情をよく勘案して、そして、紛争のない、いわば融和のうちにそれらの問題が解決しますように十分指導して、そして薪炭の採取なりあるいは採草場の利用というようなことができますように、この管理区分経営計画等の策定につきましても、強くそういうふうに指導をして、逐次その要望にこたえるようにして参りたい、こう考える次第であります。
  12. 西村関一

    西村(関)委員 ただいまの大臣の御答弁のように、入会慣行地元による非常に複雑な事情があるということは私もよく承知いたしておるのでありますが、今私が申し述べましたような、未解放部落入会権を持たない農民がどのような状態にあるかということに対して、農林省としては調査をせられたことがあるか。今、できるだけ調査をして、さらに部落農民のみならず一般採草地薪炭を採取する場所を持たない農民のために特別な便宜をはかりたいという大臣の御答弁でありましたが、私の申し述べましたような現状、非常に困っておる、主として未解放部落農民に対する入会権に関する調査をせられたことがあるかどうか、それを伺いたい。
  13. 三浦一雄

    三浦国務大臣 これは、御承知通り、明治四十五年でございますが、当時の内務省と話し合いを進めまして、いわゆる公有林野のうち部落林野で町村の一部が持っております林野を高度な集約的な林業系統に移すというようなことから、有名な部落林野統治事業というものを当時の農商務省でやったことがあるのであります。そういうようなことでございますから、一般公有林等におきます入会慣行等は、これは相当に調査したことはございます。地積等も相当はっきりしておるのでございますが、その間におきまするいわゆる未解放部落の実態はどうなっておるかということにつきましての調査は、詳しいものはなかろうと実は思っております。従いまして、今申し上げました国有林野経営上もしくは公有林野管理上におきまして、今申し上げたような心組みをもって今後対処しなければならぬということを強く今申し上げた次第でございます。この点を御了承いただきたいと存じます。
  14. 西村関一

    西村(関)委員 大臣の御意見はよく了承いたしますが、なお私の質問趣旨の存するところをおくみとりいただきまして、今御答弁下さいましたような調査の中において、未解放部落人たちの問題をもあわせ御検討いただいて、これを解決に導くために努力を願いたいと思うのでございます。  それから、入会漁場の問題でございますが、入会権を持たない非常な零細漁民沿岸漁民、それから淡水漁民の問題があるのでありますが、これに対して大臣のお考えを伺いたいと思います。
  15. 三浦一雄

    三浦国務大臣 いわゆる漁場問題等につきましても、これは、入会をしておる場合につきましては、その態様は林野等と似ておると思いますけれども、漁村関係あるいは淡水漁場等につきましては、林野とは相当異なった様相があると思うのです。でございますから、基本的にはこれら水産業指導につきましても同様でございますが、これらにつきましては水産庁長官から若干補足説明をさせていただきたいと思います。
  16. 奧原日出男

    ○奧原政府委員 昭和二十五年から実行いたしました漁業改革によりまして、従来、専用漁業権制度によりまして、地元の者がその地先漁場を独占する、その近隣の部落の者はそこに入漁権として入り会わなければ操業ができない、こういう形でありましたものを、浮魚に関しましては根本的にこの考え方を改めた次第でございます。すなわち、共同漁業権という漁業権の対象になりますものは地付いそ付のものに限りまして、浮魚に関しましては、漁業調整委員会が作りまする漁場計画に基きまして、その地域を、単なる部落地先ということでなしに、ある程度広範な漁場単位にいたしました漁場調整をやる、こういうことにいたしたのでございます。しかしながら、何分にも漁業組合自身部落割拠主義というものは依然としてまだ直っておりません。また、漁業調整委員会活動自身にも反省をしなければならない点も多々あろうかと思うのであります。しかし、とにかく、考え方といたしましては、ただいま申し上げましたように、できる限り、地先優先、そして入り会い、こういう関係によって不利な制約を受けるということでなしに、漁場単位にしました総合的な経営をやらせる、こういうことに徹してなお努力を続けて参りたい、かように考えております。なお、現行漁業制度につきましても根本的に再検討しなければならないところが多々あろうと存じまして、過般の国会で成立いたしました法律に基きまして、漁業制度調査会を作りまして、目下根本的な再検討を次の漁業権の切りかえのときまでに制度化したい、かように努力をいたしておる次第でございます。
  17. 西村関一

    西村(関)委員 それでは、いま一つの問題につきまして大臣にお尋ねをいたしたいと思います。それは、私が選出されております滋賀県の愛知川ダムに関する問題でございます。  愛知川ダムは、すでに数年前からいろいろ紛争が重なりまして、今なお地元農民たちが納得をしてないままに工事が続けられておるというような状態であることは、大臣もおそらく御存じだと思うのでありますが、このことにつきまして、さき国会におきましての参議院の農林水産委員会におきまして、委員外の議員でありまする亀田得治氏から質問がありまして、安田局長がこれにお答えをしておられる。会議録によりますと、地元民が納得してない状態のままに、今日これだけ問題が残っておりまする愛知川ダムに関しまして、すでに今日まで相当な経費が使われておるということに対しまして、私は問題化せずにはおられないのであります。これは、ただに一地方の問題だけでなしに、大多数の地元民の十分な納得を得ることなしに工事がどんどん進められるというようなことがほかにもあるといたしまするならば、これは今日の民主政治のもとにおいてゆゆしい問題であるというふうに考えるのであります。これがために、三十一年度まで一億五千四百二十五万五千円、三十二年度におきましては一億五百五十万円、三十三年度におきましては予算として一億七千万円の経費が予定されておるという答弁をしておられるのであります。しかも、最近の地元からの通信によりますと、五百五万円の巨費を投じて工事用の橋を突貫工事で進めておる。反対している地元農民たちは、そのような状態の中において、もはや実力行使以外にこれを阻止する道はないという悲壮な決意をするに至っておるのであります。この問題はすでに二つの刑事事件まで引き起しているのでございまして、最初の刑事事件は、県並びに実際上は農地事務局も加わっておりまする側が敗訴になりまして、被告でありました地元農民が無罪になった。その事件の跡始末もまだついていない。それに対して県及び農地事務局側からの陳謝その他の措置も何らなされていないで、感情のしこりがまだそのまま残っている。その後、それだけでなしに、この土地改良事業計画の公告に対する異議申立書を地元農民人たちが農林大臣あてに出したのでありまするが、それが第三者の手によりましてその異議申立書がいつの間にか取り下げられておったというきわめて奇怪な事件、すなわち、文書偽造、知能犯に属するような事件が起って、これがすでに起訴されて今裁判中である。こういう事件がまだ未解決のまま残っている。しかも、農地事務局側におきましては、反対派がだんだん少くなって賛成派の方がふえておるということを申しておられるようでありますけれども、私の調査いたしたところにおきましては、その数においても、また反対している側の人たち土地の面積の面から申しましても、これは比較にならぬほど反対側の数が多いのであります。農地事務局の方では、三分の二くらいが賛成しているからというようなことをいろいろ言われるようでありますけれども、それはきわめて地元の実態にほど遠いものである。とにかく、そういう問題がまだ解決されないままに残っている。  この工事を何ゆえそんなにまで急いで無理やりに進められなければならないか。また、受益地区農民たちといたしましても、このダムができなければどうにもならないとか、灌漑に困るというようなことはそれほどにまで強く感じていない。むしろこれに対してどれだけの負担金がかかるかといったようなことに対して不安の念をさえ持っている人たちが多い。その反対している農民に味方する、ダム建設に反対している農民たちに賛成をする署名が集められまして、受益農民の中からも多数反対署名がなされまして、すでにそれが農林当局の方に出ている。そういう状態の中におきまして、いろいろ問題が輻湊しておりまする中におきまして、この上多額の費用を使って工事を進めるということが、果して民主的な行政のあり方であるかどうかということに対して、私は疑いを持たざるを得ないのであります。地元農民にいたしましても、絶対反対を言っておるんじゃございません。もう少し納得のいくように話をしてもらいたい。納得がいく話ならば、われわれは応じないわけじゃないんだ。先ほど申し上げましたような問題を未解決のままに残され、いろいろ感情のしこりもとれないままになっておるので、地元農民が希望いたしておりまするような計画変更の線についても十分に話して納得をさせる、その計画変更も地元農民の言っておることが聞き上げられることであるならば十分に検討してみる、どうしても地元農民の要求している計画変更ができないならば、納得させるまで根気強く話し言うというような親心が当局にあってしかるべきじゃないかと思うのであります。非常に尖鋭化しておりまする農民を、場合によれば土地収用法によって無理やりに土地を取り上げるというような気がまえをもってこの工事に臨まれるというような態度は、まことに私は遺憾であると思うのでございます。こういう点につきまして大臣の所信をお伺いいたしたいと思うのでございます。
  18. 三浦一雄

    三浦国務大臣 愛知川ダムの経緯は、私もその大要は承知いたしております。この愛知川ダム受益面積等につきましては、下流八千町歩の用排水の整備、それから同時にまた安定した農業経営が期待されるということでございます。その計画自体としましては数年来の経緯を経て参りましたが、一つにはダムの計画を変更してほしいという基本的な要望のありますことも聞いております。同時に、しかし、だんだんお話し合いを進めるに従いまして、その関係者におかれましてもやはり納得してこれに了承せられる向きもある。それから、これに対して非常な反対のありますことも事実でございましょう。当局としましては、やはり従来しんぼう強くこの問題につきましては対処して参ったのございますが、今西村さんの仰せになった未解決に残っておるということは遺憾であります。しかしながら、これを強権をもって弾圧してやるとか、そういうようなことの考えはございません。すなわち、ダム地帯人たちも、この問題につきましてよく事情を御了承下さいまして、一部相当の部分は賠償等も済んでおるようなことでもございますので、地元の納得によってこれは了承していただく、そしてダム地点を従来の計画のように取り進めて参りたい、こう考えるわけでございます。従いまして、いろいろな刑事事件であるとかあるいは民事事件等のありますことでもありますし、ことに、かような問題につきまして訴訟事件等が起きますると、どうしても感情が尖鋭化して、そしてスムーズにいきませんことはままあることでございますが、当局としましては、万策を尽して関係人たちの御納得のいくように、同時に御了承を得て円滑な補償問題等も片づきまして、この事業が適切に進まれるということを強く期待して努力しているわけでございますが、さような態度で進みたい。西村さんの仰せになるように、当局としましても、なおしんぼう強く地元のお話も十分聞き、同時に出先の農地局その他も督励しまして、そして一日も早くこれが合理的な結論を得ますように念願している次第でございます。
  19. 西村関一

    西村(関)委員 相当な賠償も済んでおるというお言葉でございましたが、私の調査いたしましたところにおきましては、買収が完了したところ、また、ダム建設に応じておる、賛成しておる側の農民と、反対をしておる、応じない、——条件次第では応ずるというようなことでなしに絶対反対ということを言っておる農民との割合は、先ほど申し上げましたように格段の違いがあるのであります。まだ条件さえよければというところまでは至っていないのであります。全然そういう考えは持っていない農民が大多数なのであります。こういう実態なども大臣はまだよく御存じないんじゃないかと思うのでありますが、重ねてお伺いをいたしますが、地元農民の了解なくしては工事をやらないということに対する御確約をしていただくことができますか。
  20. 三浦一雄

    三浦国務大臣 今のダム工事の方の面につきましては、これは御同意を得なければ土地収用法とか強権でやるということは事実できないのでございます。ただ、こちらの方につきましては、先ほども申し上げました通り、よくお話も詰めて参る、それから、御納得のいくようにして取り進めるということでいかなきゃならぬと思っておるのでございます。愛知川のダムと、それに伴う土地改良とは、本地方におきまする重大な問題でございますので、もしもダムの方が円滑に話がつくならば、下流の方の開発すべき土地等につきましても、急速に進めて、当該地方の要望にもこたえたい、こう考えるものでございますから、今苦心をしておるわけでございますが、ダム地帯につきましては、お説の通り、これは御同意を得ないままではとうてい工事を進めるわけには参らぬ、こう考えております。
  21. 西村関一

    西村(関)委員 先ほども申し上げましたように、ダムの工事を進めるために、道路を建設し、橋梁も五百五万円からの巨費を投じて一個所かけております。非常な突貫工事をやっておる。それが地元民を非常に刺激しておるのであります。こういうことも納得なしにやられておることははなはだ遺憾だと思うのですが、こういうことも、もう少し良識あるやり方をやってもらいたい。これに対して大臣のお考えを伺いたい。
  22. 三浦一雄

    三浦国務大臣 現地におきます進め方等につきましては、私もまだよくつまびらかにしておりません。この点につきましては、まず農地局長から一応説明させまして、そうして、これに対する対策等につきましても十全を期したいと考えております。
  23. 安田善一郎

    ○安田政府委員 西村先生からお話しの国営愛知川土地改良事業でございますが、受益地帯につきましては、大臣から申し上げましたように、八千町歩の受益地域の農家のお方は一万一千戸であります。そのうちの九〇%の一万戸は、この事業に同意をすると同時に、非常に促進方を農地事務局、県庁並びに私の方にもお話がございます。また、その間、上流にダムを作って農業用水を確保して土地改良事業をやろうというわけでございますが、ダム地点は受益地帯ではございませんで、ここに御指摘のような問題がありまして、三十七年以来今日に至るも一部話が納得していただけないので、私どもも、御注意の向きもありますように、また参議院の亀田先生等からお話がありますことを尊重しながら、納得をしていただきながら進むように努力をしておるわけであります。そのダム地点の関係者のお方は、林業労務に従事をせられ、また入会権のある割合いい山を利用して暮されておる方がむしろおもでありまして、百五十六世帯のうち百世帯は同意をしておって下さるわけであります。その間に、私農地局に二年在職しておりますが、温和に、地元の意見も尊重し、また説得しながら努力をするようにということを指示いたしまして、同意をいただいておる百世帯の方のうち八十世帯に対して補償金を一億一千万円余お支払い申し上げ、代替地に、より広いいい条件で移住をしていただく、それも、滋賀県下の比較的近い、なじみの多い土地へ行くようにというので、その費用に大部分を当てておるのであります。すなわち、愛知川事業は、灌排関係が七千町歩、開墾関係が八百町歩ありますから、その八百町歩の方へ、より耕地を広く、補償も払って移住してもらうことをやっておるのが現状であります。  また、工事用道路のことでございますが、事実お話の通りでございます。その敷地その他においても、ダム地点でも賛成で促進をせよという御意見もありましたが、ダムそのものでなしに工事用の道路を、予算がついた範囲内において、地元の同意を得て、用地買収に応じて下さいまして、その付近——永源寺というころでありますが、ダムの名前も永源寺ダムという名前にしてくれと言うほど、現地自身からも御要望が来ておるのであります。両者の意見が来ておるので、慎重にするようにしておりますが、滋賀県庁では、中央の農林省、建設省の出先機関を含めまして、県に、県会のお方、市町村のお方、地元のお方が入った補償中心の、また説得、同意をいただく中心の審議会を数年前から置かれまして、受益地帯土地改良区としても、理事長は前知事——工事を始めようになりました当時の知事の服部さんでありまして、新旧知事も非常に慎重にかつ熱意を持ち、事業の促進と、同時に、むずかしいですが、ダム地点のお方々の御了解を得ながら、これを進めておるという報告を受けておるのであります。まだむずかしい点がありますので、強制的にものをやる、土地収用法を発動する、そうして工事に着手する、そういうことは考えておりませんので、今のところとしましても、なお御趣旨によりまして努力しまして、逐次御納得をいただいて進むようにいたしたいと思っております。
  24. 西村関一

    西村(関)委員 ただいま局長のおっしゃったことは私も大体承知しているところでありますが、しかし、それは表面的なことであって、実際的にはただいまおっしゃったようなパーセンテージの受益農民人たちが果してどれだけ熱望しているかどうかということに対しても問題があるのでありまして、むしろそのために水没いたしまする林業に従事しておる地元人たちの立場に同情いたしまして、反対同志会の人たちに同意をし賛成をしておるという署名も、原本の写しが今私の手元にあるのであります。大多数の受益農民の中にも、どちらがどちらかわからないというような状態人たちも相当にいるのであります。とにかく、そのような混乱を引き起しておる事態にあるということだけは間違いないのでありまして、その点につきまして、工事をこれ以上進められるということについては、私はむしろ問題をより紛糾せしめることになるのではないかと考えます。国策の面からこの種のダムが必要であることは、農林水産委員の一人であります私といたしましても、これは一般論としてもちろん反対すべき筋合いのものではないのでありますけれども、個々のケースといたしまして、この愛知川ダムの問題は、先ほど来申し上げましたような多くの問題がからんでおる。その問題を未解決のままに進められるということは、非民主的な行政の現われであるということに対して、農林水産委員会としても、委員の皆様が重大な関心を寄せられて、できるならば公正な立場から調査をせられるというようなことも私は希望いたしたいのでありますが、そういう点につきまして、事態の紛糾をこのままにして工事を進めるということはしない、地元民の納得なくしては工事はやらないという今御言明がありましたから、私はこれを了といたしたいのでありますが、今後この問題につきましては、私も十分注意をいたしますが、当局においてもさらに十分な御注意をしていただくようにお願いをいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  25. 三浦一雄

    三浦国務大臣 今西村さんから御発言のありました通り、当局としましても、しんぼう強く、現地機関あるいは県庁その他関係人々と十分緊密な連絡をとりまして、そうして、できるだけ地元人たちの御納得いくようなことをしんぼう強く進めて、この問題を善処するようにいたしにい、こう考えておりますから、御了承を願います。
  26. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 山口長治郎君。
  27. 田口長治郎

    ○田口委員 私、農林大臣に、今年四月二十二日に自由民主党及び日本社会党が共同提案して本院におきまして決議をいたしました漁港の整備促進等に関する決議、この問題につきまして、大臣もおかわりになったことでございますし、簡単に質問いたしたいと思うのでございます。  その第一の問題は、この国会で承認をいたしました漁港の整備計画が非常におくれておるから、これを取り戻せという問題であるのでございます。どの程度におくれておるかと申しますと、全国で指定されてある漁港が二千七百カ所余あると思うのでございますが、去る昭和三十年八月の第二十二国会におきまして、このうちから六百四十七港だけを拾い上げまして、これの整備計画について国会が承認をいたしたのでございます。この六百四十七港というものは、二千七百の指定された漁港と比較してみますと、大体二四%に相当するようでありますが、この二四%の整備計画を国会で承認した六百四十七港の修築状況はどうなっておるかということを調べてみますと、三十二年末までに完成をいたしました漁港が七十八港だけでございまして、工事中のものが三百八十一、未着手のものが百八十八、こういうような状態になっておるのでございます。これを、経費の面から、かりに国費の経費だけを見てみますと、この修築計画六百四十七港を完成するのには国費だけで四百十五億円要るようでございますが、そのうちで三十二年末までに百三十六億だけが使われておるのでございます。総経費に対しましてわずかに三割程度じか現在支出をされていない。しかも、この計画は、この新経済計画によりまして、三十七年までに全部を完成していこう、こういうような計画になっておるのでございまして、残りの国費二百七十九億あるわけでございますが、現在の漁港修築予算は約三十億でございますから、今の状態でいきますと、おそらく、三十七年どころでない、五カ年計画でございますけれども十数年かからなければ予定計画に達しない、こういうような計算になるようでございます。こういうような状態では、ほんとうに水産の基本施設である漁港がいつまでたっても目鼻がつかないことになりますから、一日も早く予算措置をお考え下さいまして、計画通りに、漁港修築が進むように、さような配慮をされてお考えになることが至当である、こういう意味におきまして、このおくれておる修築事業を取り返せという第一の問題が出てきておるのでございます。  それから、決議の第二の問題といたしましては、漁港のうちには、御承知のように、第三種漁港というものがある。これは全国的に各県から漁船が来て使用される漁港で、こういう漁港が百五十港程度あると思うのでございますが、この第三種漁港も、内容をよく調べてみますと、利用する漁業者の範囲だとか、あるいは漁獲された水揚げの数量だとか、こういう点におきましていろいろ差があるのでございます。そのうちで、非常に全国的に利用されておる、また漁獲数量から言っても保健食糧を国民に供給するのに大きな使命を果しておる、あるいは輸出貿易の面においても大いに国に貢献しておる、そういう大きな機能を発揮しておる漁港も、わずかでありますがあるのでございます。そういう漁港は、それだけ設備が大きいので工費も非常にかかる、従って、地元負担が相当大きくなる、こういうことで、修築完成までに非常に長くかかっておるのが現在の実情になっておるのでございます。一方、運輸省の港湾関係をいろいろ研究してみますと、貿易に大きく貢献しておる港湾だけは、たくさんの港湾のうちから特別扱いをいたしまして、特定重要港湾という名称のもとに国が特別の処置をして修築その他をはかどうしておる。こういう実情でございますから、この漁港の場合におきましても、そうたくさんの数はないと思うのでございますけれども、ほんとうに重要なる漁港につきましては、この運輸省の重要港湾と同じような待遇をして修築事業を促進する、こういう処置が必要であるから、その点を一つぜひ政府考えてもらいたい、これが第二の問題であります。  それから、決議の第三の問題といたしましては、今日の農林省の漁港課の能力では、漁港修築のあの膨大なる仕事をさばくことができない。御承知通り、今この漁港課の仕事といたしましては、漁港の修築事業が根幹でございますけれども、そのほかに災害復旧事業をやっておる。さらにまた漁港の局部改良事業をやっておる。海岸保全事業をやっておる。特別失対の事業をやっておる。こういう工事個所を詳細に研究してみますと、一カ年間の工事場所が千九百件くらいに及ぶのでございまして、この膨大なる仕事一つの課で処置してしまうということは非常に無理ができておるように外部から考えられるのでありまして、これでは完全なる漁港行政というものは不可能だ、こういう感じがするし、また実際にそういうような状態になっております。一方、運輸省の関係をいろいろ研究してみますと、運輸省には港湾局があり、その下に四つかの課があって、さらに地方に四つの建設局を設置して、そうして港湾行政の遂行をしておる、こういう実情でございます。これと比較いたしましても、水産庁の漁港課だけでこの仕事をしておるということは非常に無理がある。こういう事情にあるのでございますから、漁港行政をほんとうに円滑に適正にする意味から申しまして、この機構の問題をぜひ一つすみやかに考えていただきたいというのが第三点であります。  こういう三点につきまして、四月二十二日に衆議院では全会一致でこの決議を通過さしたような次第でございますが、この決議に対しまして、新しい農林大臣としての三浦さんはどうお考えになってこれに対処しようとしておられるか、その点を一つお伺いいたしたいと思うのであります。
  28. 三浦一雄

    三浦国務大臣 ただいま田口委員より漁港整備に関しまする重要案件につきましてお尋ねがありましたが、当時私も賛成の投票をいたした者でございます。この整備計画等につきましても、念願といたしまして、従来のテンポではとうてい地方の要請にこたえ得ず、同時にまた漁村振興にも事欠くと考えております。従いまして、この漁港整備促進問題等についても、来年度の予算編成に当りましては、水産庁を督励し、同時にみずからも努力いたしまして、拡充と整備計画の推進に努力いたして参りたいと考えます。  第二段の、特殊の第三種漁港でございますが、御指摘の通り、これら重要な漁港につきましては、皆様の御意見もあることでございまするし、また、年来重要な課題になっておる問題でございます。つきましては、ほかの方の漁港を捨てるというふうなことではございませんけれども、特にこの第三種漁港等の特殊な重要性にかんがみまして、力を尽して参りたいと考えます。  第三番目の、漁港課の現在の規模ではなかなか周到な事務をやれないということで、運輸省の機構等を御引用になったのでございますが、仰せの通り、現在三十人程度で取り仕切っておるのでございますが、なかなか御要望に沿いかねると思うのでございます。同時にまた、水産庁もすでに開庁以来十年の歳月を経たのでございますが、これらにつきましてもいろいろ考究いたさなければならぬことがございます。同時にまた、機構改革、ことに拡充等につきましては困難な事態でありますことも皆様御承知通りであります。私といたしましては、直ちに部を作るというふうなことはこの際言明しかねますけれども、その趣旨を十分にくみまして、そして、だんだんこれらの問題につきましても御趣旨に沿うように努力をいたしたい、こう考えておる次第であります。
  29. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいま大臣からお話しになりましたことは、誠意をもって大臣は努力をする。大体こういうことでございまして、大臣の言われたことそのままを私は信用いたしたいと思うのでございますが、漁港は、御承知通りに、この設備が完全であるか完全でないかということが漁港の能率に第一に非常に関係をいたします。漁港が不完全の場合におきましては、潮待ちして船を出す、あるいは潮待ちして船を入れるというようなことで、漁業の能率に非常に大きな関係を持ちます。従って、生産力拡充の問題に直接関係してくるわけであります。また、一たんしけのときになりますと、これは漁業者の生命財産が漁港に全部を一任されておるという状態でありまして、漁港が不完全なために、たくさんの難破船を出し、あるいは人を殺してしまう、こういう問題がもう至るところに起っておるのでございます。ただいま申し上げましたように、新長期経済計画と実際と非常にずれがある問題ができておるのでございますから、その点は特に一つお含みおき願いたいと思うのでございます。  それから、第三の問題で、機構の問題ですが、今農林大臣にここでどうというような御答弁をいただくことは無理でございますが、実際に仕事が非常に渋滞する、そういうことからいたしまして、全国の漁業者が非常に迷惑をこうむっております。この問題については毎漁港大会ごとに全国の漁業者が非常にやかましく言っておる問題でございますが、これはいろいろな役所同士の関係もありましょうけれども、真剣に一つ御研究を願って、全漁民の要望であるこの問題を、大臣がおられる間にぜひ一つ解決していただきたいと思います。この問題もここで大臣にどうだという御返事をいただこうとは思いませんが、全国の漁業者が非常に熱望いたしている問題でございますから、ぜひ一つ真剣にこの問題を取り扱っていただきたいと思います。  以上で四月二十二日の国会決議の問題は終りでございますが、そのほかに、当面の漁港の問題といたしまして地方起債の問題があります。自治庁では、理財課長から各府県の総務部長に、一般補助事業については計画額を百億とし、従来の総花的充当方式を取りやめ、起債事業を限定することにしたい、すなわち、公営住宅、災害関連、河川総合開発、港湾整備、都市計画事業の地方起債額を基礎として配分するが、明年度地方負担額はおおむね百億円程度であるので、平均五〇%程度の充当率となる、なお、これらの事業についても、団体の財政力に比して小規模なものについては充当しない考えである云々ということを通知しておるのであります。私どもがいろいろ調べたところによりますと、全国で配当が参りました府県の起債必要額は四億円という数字が出ております。これは全国で配当のあった二十四府県の分だけを集計したものでありますが、四億円でございまして、総額としては大した金額でないのでありますけれども、しかし、漁港修築をやっておるその村の問題になりますと、非常に重大問題でありまして、これをこういう方針でやられますと、せっかく修築しようという町村あるいは府県が直ちに工事に困るというような問題も起りそうでございます。従来この漁港整備の問題は港湾整備と同じ待遇をとって参りました。これは、予算の配分でも何でも、漁港を考える場合は港湾を考える、港湾の予算については漁港も考える、こういうことでずっとやって参りましたのでございまして、普通すべてが「港湾(漁港を含む)」という意味におきましてやってきたわけでありますが、今回のこの問題だけは、港湾整備という言葉を使っておりますし、「(漁港を含む)」という言葉も入れておりませんで、非常に市町村及び県が困る問題と思います。そういう問題が今残っておるということも御承知下さいまして、自治庁に一つ役所同土の折衝を強くしていただきたいのでございます。私どももいろいろな方面からこの問題を一つ解決しようと思います。御答弁は要りませんが、そういう問題が起っているということをお含みおき願いたいと思います。  私の質問はこれで終ります。
  30. 三浦一雄

    三浦国務大臣 地方起債の問題につきましては、今仰せの通り、自治庁限りで一応取り進めているという経緯でありまして、農林省としましては非常に遺憾な次第であります。よく地方事情を調べまして、自治庁の期待する通りになかなか参らぬことがありますことは私もよくわかりますから、よく精査いたしまして、自治庁とも十分協議いたしまして、ぜひ支障のないように極力努力いたしたい、こう考えております。
  31. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 午前中の会議はこの程度にとどめ、午後二時より再開いたします。  これにて休憩いたします。     午後零時五十八分休憩      ————◇—————     午後二時四十三分開議
  32. 松浦周太郎

    松浦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。すなわち、明八日、農林水産業に対する融資問題について、農林中央金庫理事長楠見義男君を参考人として出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 松浦周太郎

    松浦委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  34. 松浦周太郎

    松浦委員長 酪農に関する件につきまして調査を進めます。  芳賀貢君より、自由民主党、日本社会党共同提案にかかる牛乳、乳製品の緊急需給調整対策に関する件を委員会の決議といたしたい旨の申し出があります。まず提出者より提案の趣旨について説明を求めます。芳賀貢君。
  35. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は、自由民主党並びに日本社会党を代表いたしまして、牛乳、乳製品の緊急需給調整対策に関する決議を行う件を提案いたしまして、これが提案の理由を申し述べんとするものであります。  まず案文の朗読をいたします。    牛乳、乳製品の緊急需給調整対策に関する件(案)   わが国の酪農事業は、戦後急速な進展を見、農業経営の合理化と国民食生活の改善に寄与しつつある。   然るに、現下の酪農事情は、牛乳、乳製品に対する需要の伸び悩みにより、需要の最盛期たる夏期においてすら、乳価の引下げによってその経営に困難な問題を提起しようとしている。   農業の改革の上に果す酪農業の役割の大きなことに鑑み、政府はこれが発展と国民の食生活の改善及び体位の向上のため、速かに左記諸事項の実現を図るべきである。     記  一、学校給食助成費の残額をもつて乳製品の滞貨を買入れること。    なお、今秋以降の学校給食助成費は出来るだけ早い機会に倍額以上の増額補正を行うこと。  二、生乳の生産者価格の引下げを行うことなく、市乳消費者価格の引下げを実現し、牛乳消費の増進を促すよう措置すること。    なお、すでに生産者価格の引下げを実行し、又は実行しようとする地域に対しても、これを元に引戻すよう強力な対策を講ずること。  三、牛乳の集団飲用のための冷蔵施設を普及するため助成の途を開き、また、牛乳、乳製品についての共同の消費宣伝を活発に実施し、その経費の一部を補助すること。  四、乳製品の輸入制限を行い、国内製品をもつて充当すること。  五、農村における生活の改善に資するため、生産者団体等による農村における牛乳、乳製品の消費拡大を奨励すること。  六、大罐練乳の砂糖消費税の戻税制度の復活に努めること。  七、政府保有飼料の払下げ方式及び流通機構の改善を行い、飼料価格の引下げを図り、科学飼料を普及するとともに、急速に飼料の自給度向上のため、一層草地改良事業を推進すること。   右決議する。    昭和三十三年七月七日       衆議院農林水産委員会 これが決議案の内容であります。  簡単に趣旨について申し上げますと、当委員会においてしばしば酪農問題については質疑が繰り返されたわけでありますが、この際、当面する緊急事態に対して、政府はすみやかにこの事態に対応する施策を講ずべきと思うのであります。そのためには、ただいま決議案に示された通り、一から七項目までの効果ある対策をすみやかに実行すべきであると思うのであります。特にこの場合指摘したい点は、全国的に牛乳のいわゆる原料乳価の大幅な引き下げ、あるいは市乳地域においても一部乳価の引き下げが行われておるわけでありますが、しかしながら、市乳の消費価格の面においては何ら引き下げの実があがっていないのであります。このことは、結局全国の酪農民の犠牲において、しかも何らそれが消費価格の引き下げとなって寄与されておらないで、結局乳業者側が一方的に利益を増大しておるというような傾向がこの困難に乗じて行われておりますので、この点に対しましては、何といたしましても、政府の責任において、乳業会社に対する反省と協力を勧告して、夏場における乳価の引き下げが絶対に行われないように阻止すべきであると考えるのであります。あるいはすでに引き下げの行われた地帯に対しましても、政府は、あらゆる角度より行政的な指導と勧告を行いまして、乳価引き下げをあくまでも阻止する施策を講ずべきであると思うのであります。  なお、この具体的な項目の内容につきまして簡単に重要な点だけを申し上げますと、第一の点は、当面した乳製品の滞貨の買い上げの問題であります。それは、現在学校給食費の未使用分が約五億四千万程度ありますので、これをさしあたり充当して滞貨の買い上げを行う、そして、秋以降の分に対しましては、本年度の学童給食の消費目標が二十万石でありますので、これを少くとも五十万石以上に増加いたしまして、これに必要な助成費は来たる臨時国会等において増額補正を行うべきであるという点であります。  第二の点は、これは、乳価全体に対して、市乳といわず原料乳といわず、価格の暴落を阻止して、あくまでも生産者乳価を維持するように政府が最善の策を講じなければならぬという点であります。  第三の点につきましては、集団飲用を促進するために、この際、学校、工場、事業場あるいは生活協同組合等におきましても、たとえば十円牛乳の拡大をはかり、これらの計画に対しましては、冷蔵施設に対する助成の措置、あるいは、冷蔵庫の購入につきましては、これに対して物品税を免除する等の措置を講じて、消費の拡大をはからなければならぬという点であります。  第四の点は、今日学童給食にアメリカから脱脂粉乳が本年度におきましてもおおよそ二万トンの輸入計画が行われておりますので、この際、これらの輸入乳製品に対しましては、すみやかに輸入計画を変更いたしまして、外国からの輸入乳製品を大幅に制限あるいは抑圧して、国内において滞貨されておる乳製品をこれに充当して需給の均衡をはかるべきであるという点であります。  第五の点につきましては、これはやはり消費拡大の点でありますけれども、この際、生産地帯等農村等におきましても、生活改善を推進するために、食生活の改善、特に牛乳等の飲用を農村においても大きく拡大する運動等を展開すべきであると思うのであります。  第六の点は、これは最も効果的な措置考えられるのでありますが、昨年の十月以来廃止になりました大カン練乳の砂糖消費税の戻し税制度の復活等に対しましては、先般農林大臣からも善処する旨の答弁がありましたので、特にこれが実現のためには大いに力を注いで、早急に戻し税制度の復活を実現するようにすべきであると考えられるのであります。  第七の点は、これは、飼料の価格の引き下げを行いまして、生産者の側におきましても、この際牛乳生産費の合理化をはかりまして、コストの引き下げによって今後酪農振興をはかる必要がありますので、特に現在の飼料需給安定法に基く政府保有の飼料の払い下げ、あるいは流通の問題等に対してもいろいろ指摘される点が多いのであります。特に、払い下げ方式は競争入札をもって建前としておりますので、この弊害は、競争入札の場合にしばしば談合等が行われて、ほんとうに飼料需給安定法のねらいであるところの、飼料の末端における適正安価な配給というものが行われておりませんので、この点については、特に政府の責任において、政府の保有飼料等の払い下げ方式、あるいは流通機構等に対しましては、すみやかに改善措置を講ずべきであります。  以上、申し上げまして、本決議案の提案の理由とする次第であります。
  36. 松浦周太郎

    松浦委員長 ただいま芳賀君より提出されました牛乳、乳製品の緊急需給調整対策に関する件を本委員会の決議とするに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 松浦周太郎

    松浦委員長 満場異議なきものと認めます。御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、ただいまの決議の関係当局への送付等に対する手続につきましては、委員長に御一任願いたいと思います。次に、本決議に対する政府の所見を求めます。三浦農林大臣
  38. 三浦一雄

    三浦国務大臣 ただいま牛乳、乳製品の緊急需給調整対策に関しまする件につき当委員会の御決議をいただいたのでございますが、これに対します当局の考え方を申し上げたいと存じます。  第一の問題でございますが、これにつきましては、第二項に御記載になっております市乳価格の値下げ、及び生産者価格の引下げ阻止とにらみ合せて、その関連を見つつ実施して参りたい所存であります。同時にまた、学校給食のワクは、従来の所定の計画のみをもってしては十全を期し得ないと考えますので、おおむねこれを倍加し、さらにそれ以上に拡大して所要の措置を講じたい、こういうふうに考えておりまして、今具体的に立案しておる次第でございますから、さよう御了承を願いたいと存じます。  第二番の問題でございますが、市乳消費者価格等の引き下げにつきましては、その実現をしますにつきまして、夏場における生産者価格の引き下げのごとき事態を生じないように、この引き下げを見ないようにしなければならぬことでございまして、関係方面に対しましては、強くこの事情を要請し、そうして御決議の趣旨の達成に努力いたしたいと考えております。第三番目につきましては、かねて申し上げました通り、職場、事業場、生活協同組合等の集団飲用等につきましては、その実現を容易なからしむるため、必要な冷蔵庫等の施設についての助成措置を講じたい、こういう考えで、すでに財政当局等とも折衝しておるのでございますが、なお、消費宣伝の問題とあわせて、政府におきまして特にこの問題につきまして強く御趣旨の線に沿うて推進して参りたいと考えております。  それから、乳製品の輸入制限の問題でございますが、趣旨といたしましてこれは賛成でございます。具体的にはいろいろの問題があるわけでございますが、輸入品にかわり得る国内の乳製品の需給事情であるとか、現在の輸入品による学校給食等の状況をよく勘案しまして、そうして関係方面と連絡をしながら検討を重ね、対処いたしたいと考えております。  それから、第五番目の問題でございますが、農家の自家飲料についての奨励等も、御趣旨に沿うて奨励の措置を講じて参りたいと存じます。  砂糖消費税の戻し税制度の問題でございますが、これは先年のいろいろの経緯があるようでございますが、私としましては、なお御趣旨に沿うように努力して参りたいと存じております。  最後の飼料対策でございますが、払い下げ方式、さらに流通機構の改善等につきましても、なお改善のなにを行いまして、さらに、飼料価格の引き下げの問題、それから科学飼料等の普及、さらにまた進んでは飼料の自給度を高めるための草地の改良、その他飼料作物等の改善につきましても、一そうの努力を払いたい、こういう考えでございますから、この点を申し上げておきたいと思います。
  39. 松浦周太郎

    松浦委員長 本問題について、文部省から局長が出席すると言ってきましたが、けきの新聞の問題について省議をまとめてくるというので、しばらく待ってくれと言いますから、暫らくお待ち願います。     —————————————
  40. 松浦周太郎

    松浦委員長 それでは、午前中に引き続いて農林水産業基本施策に対する質疑を続行いたしたいと思います。角屋堅次郎君。
  41. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、この機会に、当委員会の開催冒頭において三浦農林大臣から農林水産業施策についての所信が申し述べられた点につきまして、若干総括的な質問を申し上げたいと思うわけでございます。  まず、従来自民党の内閣の中でいろいろ農林大臣の交代があったわけでございますが、今回、農林畑の出身である三浦農林大臣が、今日農業危機といわれ、曲りかどに来ているといわれるこういう重大な時期に農林行政を担当されるということについては、われわれもいささかの期待を寄せておるわけでありますけれども、過般来の委員会の討議を通じて、当面の緊急課題である米麦価問題、あるいは蚕糸、酪農問題、あるいは災害問題等に対する大臣施策等を伺っておりますと、われわれの期待も若干くずれていく感なきにしもあらずでありますが、まだ大臣は就任早々でありますし、農政については相当な識見と見解をお持ちであろうと思いますので、今後の施策に関連をして、数項目に分けていささかお伺いしたいと思うのであります。  大臣は、その所信表明の中において、今後の施策の目的と効果について謙虚に検討を加え、長期的な観点に立って安定した農政を推進したい、こういうことを考えておられまして、今後における農林水産業施策の重点として三項目を述べられておるわけでございます。まず第一に、新長期経済計画のもとにおける生産基盤の強化拡充の問題に関連をいたしまして、開拓事業の刷新、土地改良事業の拡大、森林資源の開発、漁港の整備等について、計画目標の達成に遺憾なきを期したい、こう言っておるわけでございますが、このうちの開拓事業の刷新の問題からお伺いをいたしたいと思うわけでございます。  御承知のように、敗戦の結果、海外からの多数の引き上げ、あるいは食糧事情の困難等から、緊急開拓政策が取り上げられ、その後開拓政策については幾変遷のあったことは大臣承知通りでございますが、今日の段階において開拓政策が根本的に再検討を要する段階にあることはもちろんのことでございますけれども、しかもなお、今日の日本の人口、あるいはまた日本の農村の状態、あるいは今後の経済自立の観点における農林水産業の位置づけ等から見て、開拓事業の重要性というものはごうも修正されておるとは考えないわけでございます。先般農林省の方で出されました農地政行白書によりますと、新長期経済計画に基いて大体昭和五十年までに開拓あるいは開墾、干拓、土地改良事業を完成いたしたい、こういうふうに述べておるわけでございますが、この中で、当面、昭和三十三年から三十七年にわたって、開墾において三十三万町歩、干拓において二万町歩、土地改良事業において延べ百六十二万町歩の計画が予定されておるわけでございます。私どもは、終戦後の国家予算全体における農林予算の占める位置等からいたしまして、最近の情勢から申しますと、他のいろいろな産業のしわ寄せを受けて、いわゆる安上りの農政がなされておるという批判をせざるを得ない状態になってきておると思うわけでございますが、この開拓政策の実施について、今日農林行政白書が示しておる開墾、干拓、土地改良事業の計画的な推進について、大臣はいかなる熱意と抱負を持っておられるか、まずお伺いをいたしたいと思うのでございます。
  42. 三浦一雄

    三浦国務大臣 お答えを申し上げます。わが国の開拓の問題でございますが、農林省の手持の資料等によりましても、なお新規に開拓を予定し得る条件を備えている土地は百十万町田に見込んでいるわけであります。これは新規にだんだん開拓を進めて参りたい、それから、さらに、御承知通り、わが国の耕地は年々歳々老廃すると申しますか、その地方が減退して参ります。これは土地改良等によりましてその生産力を高めて参りたい。これは土地改良の最も重要な点でございます。同時にまた、新しい耕地を得ますためには、すでに東北におきましては秋田の八郎潟の干拓等もいたしておりますし、同時にまた、中国地方、さらに九州地方における有明海等につきましても干拓の予定をいたしているわけでございます。こういうことを総合して参りますと相当な予算を必要とするし、これがつまり今角屋さんの御質疑の要点であろうかと思うのでありますが、前大臣の御努力によりまして、本年度は実質的に国費だけでも三百数十億の予算を計上し、投融資を入れますと五百億をこえると思っております。これはやはり基本的なことでありまして、日本の人口の増加、同時にまた農村の事情の変遷、同時にまた日本の食糧事情等勘案しまして、どうしてもこれは基本的な政策として推進しなければならぬと思いますので、来たるべき通常国会の来年度の予算編成等に当りましても、最善の力を尽してこの問題に取り組み、そして皆様の御期待に沿いたい、こういう信念でございます。
  43. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ただいま大臣から開拓政策の推進について熱意のほどをお述べになったわけでございますが、目頭に申し上げましたように、従来の開拓政策の推進の結果、四十四万町歩の農地造成、十五万戸の入植、さらにそのほかに地元増反等があるわけでございますけれども、新しい開拓政策の推進に当って、従来の開拓政策の実績、内容の分析、並びに既入植者のできるだけすみやかな機会における再建、こういう問題が今後強力に進める開拓政策の出発点にならなければならぬと思うわけでございます。大臣も御承知のように、既入植者の今日における営農の状態はきわめて困難な状態にあって、国家の投融資に待つところきわめて大なるものがある現状であることは御承知通りだと思います。従来から開拓三代という言葉がありますけれども、今日の科学の発達した段階においては、そういうことでなくて、科学の総力を結集して、開拓一代、しかもそれは短期間のうちに安定した開拓農家の実体を確立する、こういうねらいでやらなければならぬと思うわけでございますが、こういう観点からいたしまして、従来からすでに入っておる十五万戸入植のできるだけすみやかな機会の営農の安定の問題についてどういうふうにお考えか、これをお伺いいたしたいと思います。
  44. 三浦一雄

    三浦国務大臣 今角屋君の御指摘の通りに、現状の開拓地の模様を見ますと、私たちも非常に反省しなければならない。ことに、終戦後のあの緊急事態に即応しまして、緊急開拓の名によってとにかく人を入れる、そして今日まで来たのでございますけれども、今なおその開拓地におきましては基本的な施設も不十分であるし、それからまた、はなはだしいところでございますと、農産物の搬出にさえ事欠くような、道路等の構築もまだ不十分な地区がたくさんあるわけであります。同時にまた、農業経営につきましても不安定な点のありますことも同様であります。そこで、先般来これをいかなる方向に持っていくかということで検討しました結果、第一段は、特別事業地区を設定する。これは将来の問題にもなりますが、従来でございますと、いきなり入れておいて、あとでいろんなプランニングをやるということであったのでございますが、今回は、確実な諸条件を精査しまして、その上に入植をさせるということに第一切りかえる。これは相当な規模の大きいところを目ざしておるのであります。     〔委員長退席吉川(久)委員長代理着席〕  第二段は、いわば市町村の地区と申しますか、市町村の地区にわたって小規模なものを、その市町村の指導とその市町村の農業経営との関連においてこれを施行する地区にとる。第三番目の問題は、さらに小さなものにつきましては特殊な地帯としてこれを見ていくというふうに、今度の開拓の計画もだんだん取りきめて参りました。その方針によりまして、第一段の大規模のところは、あらかじめ営農計画等につきましての計画、さらにまた基本的な条件整備しまして、それに伴う諸施設をこれに即応させて、その上に入植をさせて参る、こういうふうな考え方でいくわけでございまして、将来の問題としては、これを中心の方針として進めたいと存じます。同時にまた、この精神を既往の開拓地等に十分取り入れまして、そして、基本的な施設等の不十分なものにつきましては、これをだんだん補完して参る。そしてまた、その開拓地の事情等によりましては、幾たびか計画をも改訂し、そして所要の改善を加えてきたのでございますが、これらは、資金計画、投融資等の問題とも関連を持ちまして、一日も早く安定した農家を創定し、そして開拓地が安んじて農業等を営むことができますように指導して参りたい、かような考え方でございます。
  45. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今後の開拓政策の推進に当って、大臣が先ほど数字に触れられましたように、開墾の面においては百五万町歩、あるいは干拓の面においては約十万町歩、こういうふうな数字があげられておるわけでございますが、これは一応の数字でありまして、具体的に、全国的な分布あるいは各県別、各地域別の分布、これをどういうふうに利用するかという段になりますと、必ずしも精密なおぜん立てができておるとは考えておらないわけでございます。やはり、開拓政策を計画的に、しかも相当着実に推進するためには、まずこういった国土の土地利用区分を今後早急におぜん立てを完了して、このそれぞれの内容の程度あるいは地域の事情等を勘案して、計画的に推進をしていくということが私は先決ではなかろうかと思うわけでございます。  この問題に関連して、御承知の国土総合開発法あるいは農地法が関連をする法規に相なるわけでございますけれども、今日、こういう大規模な開拓政策の推進に当っては、現行の国土総合開発法あるいは農地法でもって、いわゆる土地の所有権に関連をしたこういう問題の推進が支障なくできるとお考えであるか、あるいは、こういう大規模な開拓政策の推進に当っては法の根本的な改正を必要とするとお考えであるか、冒頭に申しました国土の総合開発の観点から見ての、いわゆる百五万町歩あるいは十万町歩の現段階におけるところの準備態勢がどの程度にできておるとお考えであるか、こういう点についてお伺いしたいと思います。
  46. 三浦一雄

    三浦国務大臣 今開拓の問題と関連しまして国土総合開発法あるいは農地法等に触れられたのでございますが、私の考えによりますと、国土総合開発は、土地につきましても、第一の利用区分林野、耕地、河川等、これらを総合的に見まして、最高度に経済的利用度を高めるということでありましょう。同時にまた、これは一般国民の生活にも関連することでございますがゆえに、これに関連しまして、道路の問題であるとか、あるいは都市計画の問題、港湾の構築等、諸般の問題が織り込まれるのが、私は国土総合開発の主たるねらいであろうと思うのでございます。従いまして、この国土総合開発の整備、これがまた推進されることによって日本の国力が増進しますことは当然であるし、これにまた期待しなければならぬのであります。同時に、その関連におきまして、われわれの方としましては、林野につきましては、森林資源の涵養であるとか、ことに重大な治山治水の施設を講じるということ、同時にまた、配分された耕地等につきましては、先ほど申し上げましたように、これを深く耕す、さらにまた、質的にもこれを改善して参るということが、土地改良の第二の主要な要諦になるわけでございます。  つきましては、これらを総合して推進する上に、現状の土地所有権等に関する根本的な改変等を必要としやせぬか、あるいは法律改正を要しやせぬか、こういうお尋ねでございます。これはなかなか含蓄のあるお尋ねでございますが、われわれとしましては、現在の農地法等におきましても、相当公益を中心とした、土地所有権に関する相当な制限等を置いているわけでございます。私たちとしましては、一面において所有権を是認するという態度をとりつつ、公益上の調整をはかって、この運用に十全を期していく。従って、いわゆる根本的に所有権云々の問題は、いかようの内容を持ちますか、私は推測することははばかりますが、現行法規の運用によって所要の目的を達し得るものだ、こう考えておるわけでございます。
  47. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 開拓政策の推進の問題は当然食糧輸入問題あるいは余剰農産物の問題等々と関連をしてくる問題でございますけれども、これらの問題に対処するということが、やはり現実の国内の食糧自給度の向上と関連をしてきわめて重要であることは論を待たないと思うのでございますが、これらの問題について十分に対処し得るというふうに大臣はお考えでありましょうか、お伺いしたいと思います。
  48. 三浦一雄

    三浦国務大臣 国土の総合的な開発をし、特に開拓等を進めて参る場合に、国内の食糧の自給度、同時に輸入との関連についてのお尋ねでございますが、われわれとしましては、国の存立の問題、同時に、国民の生活を安定させるという見地から申すならば、やはり最大の力を尽して国内でもって自給度を高めるということは、これは私はもう立国の基礎だと思っております。しかしながら、不幸にして日本は国土が狭小である。この九千万になんなんとする国民を養うためには遺憾ながら国土は狭小であると言わざるを得ないのであります。従いまして、われわれとしましては、基本的にはこの考え方をとりつつ、最高度に土地の利用度を高める、従って、開拓等も進めて参る。同時に、われわれとしましては、現実の問題として忘れることができないのは、国民をして安んじて生活を安定させなければなりません。ことに食糧問題等につきましては、これは一日も欠くべからざることでございますので、外国の輸入食糧等を求めざるを得ない、こういう現実の問題であろうと思うのでございます。従いまして、われわれとしましては、この間の調整をはかりつつ、同時に、国の基本的な進め方について誤まりなきを期したい、こう考えておるわけでございます。
  49. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 開拓並びに開墾あるいは土地改良の問題と関連をしていささかお伺いしたわけでございますが、大臣の御答弁から、今後これらの問題について新長期経済計画の中において強力に推進をして参りたい、こういうふうに受け取って、次の問題に移って参りたいと思うわけであります。  第二の、農林水産施策の重点の中において触れられておりまするいわゆる所得の安定的向上をはかる云々の点があるわけでございますが、この問題の中では、御承知のように、本委員会においても、ずいぶん問題になりました蚕糸の問題あるいは酪農の問題、あるいは今日まで今年度経験をいたしました野菜その他の暴落の問題等が関連をいたしまして、主要農畜産物の価格安定という問題が真剣に考えられなければならぬ段階に来ておると思うわけでございます。私どもは、従来のいわゆる農政の姿を見て参りますと、いわゆる生産面における増産、あるいは生産面における指導という点については、もちろんそれ相当の施策がなされて参ったというふうに考えるわけでございますけれども、しかし、これが流通から消費面に相なって参りますと、いわば買手次第というふうな形にまかされておる部面が多々あるわけでございまして、価格の不安定からいわゆる農山漁村における農家の所得の不安定という状況、農家もしばしば経験しておるところであろうと思うわけでございます。こういう観点から見まして、今日一つの大きな問題として、農産物価格の安定という問題は真剣に検討せられなければならぬと思うわけでございますが、農産物価格安定法の中における対象は御承知のようにきわめて限定をされておるわけでございまして、本委員会におけるいろんな問題に対する討論の過程からいたしましても、この際今年度の農産物価格の実態から申しましても、やはり農産物価格安定法の中における対象をさらにふやしていくという配慮が私は必要であろうと思います。たとえば乳価についても同様であろうと思いますし、果樹についても、あるいは野菜等についても、こういう問題の中に加えて検討するということが必要な段階に来ておると考えるわけでございますが、この問題についての大臣の所見を承わりたいと思うのでございます。
  50. 三浦一雄

    三浦国務大臣 農産物価格の安定方策をいかにとるかという問題は、御指摘の通り、今日の農政上の比重は非常に重いと考えております。従来、ともするならば、生産面を見まして、消費並びに流通過程に関する施策を怠ってきたということは、率直に言ってこれは認めざるを得ないと思う。しかしながら、この面は最も困難でありますことは皆様も御了承の通りであります。従いまして、いかようの経済政策をとります国でありましても、この問題については困難なことをなめておると思う。ただいま御指摘の乳価の問題等につきましても、たとえば英国の例をとりましても、これはもう、酪農といいますか、有畜農業を中心とした農業を営み、その国民生活におきましても、乳製品を用い、そしてそれが生活の大宗をなすという国柄でございますが、これらにつきましても、とっております政策等はいろいろの段階を踏んできております。現在は、御承知通り一つの支持価格制度を置き、そして国の制度によってある程度の助成をいたすということでとっておるのでございますが、これらをとるにいたしましても、そのとる前提としてのいろんな環境が異なっております。また、それぞれの特殊性を持っております。われわれとしましては、日本の国情に即して、ある程度の安定を持っていきたいということで苦心しておりますが、具体的には、繭糸の問題にいたせ、それからまた乳価の問題にせよ、今こちらで御決議になりましたような趣旨に沿いまして、逐次これを片づけて参りたい。ただ一つの方式だけではなかなか解決は容易じゃないと考えておるわけでございまして、農産物価格安定の対象物質をふやして、そしてやるというだけでは、われわれとしましては解決しないものと考えております。ことに、蔬菜等におきましては、これはもうなかなかそうは参りません。これは、主として、生産地と消費すべきところの市場との関連をもっと緊密にし、そして、市場方面の変遷事情等を十分に生涯方面との関連において調整して参る、同時にまた、出荷の調整その他につきましても、なおその関係の団体等につきましても改善をしていただく、同時にまた、市場等の問題等につきましてもこれまた改善を加えて、そうして取り進めていきたい、こういうことでございまして、今直ちに農産物安定のために対象物資を多くして、そして支持価格制度を拡大してとるというだけでは踏み切りかねる、こういう現況でございます。
  51. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 従来の農政の欠陥について、生産の問題についてそれぞれ措置をしてきたけれども、流通消費の面については率直にやはり農政の欠陥として反省をせられておるわけでございます。この問題は、私が指摘をいたしました農産物価格安定法の中において措置するかどうかという問題は別といたしまして、従来農林省の方で、いわゆる食糧増産から適地適産という形に農政をある程度切りかえたと思うわけでございますけれども、その適地通産の中において指導してきた生産の部面について、さてこれが流通から消費の問題になってくると、実際に生産をしたけれども、あとの方で、従来やっておったのとプラス・マイナスどうかという問題で、農家が困惑をする事態に直面をした例は、しばしばあると思うのでございます。従いまして、農産物価格安定の問題については、単に既存の農産物価格安定法にのみこだわることなくて、もっと総合的な観点から、生産、流通、消費の点について抜本的な検討を加えてもらいたいというふうに要望しておきたいと思います。  次に、第三の農林水産施策の重点の中で、大臣は、これらの一連の施策を一そう効果あらしめるために、施策の地域性、総合性を考慮して、研究、普及、統計調査等の諸事業を充実するとともに云々というふうに言っておるわけでございますが、申し上げるまでもなく、科学的なあるいは合理的な農林行政を推進しようとする場合には、研究あるいは普及、統計調査等の充実は当然のことでございますけれども、この問題に関連をして、今後の——御承知のように、大体九月のころになれば新しい年度の予算編成の検討に入るわけでございますが、こういう予算編成の検討に入るに先だって、研究、普及あるいは統計調査等の諸事業の充実の問題について、具体的に骨格的にどのようなことをお考えになっておられるかという点をお伺いしたいと思います。
  52. 三浦一雄

    三浦国務大臣 私は、農業政策を推進する上に、地域的な特殊性等も勘案して参りたい、こういうことを申し上げたのでございますが、これは詳細に各地域のことについて今所見を申し上げる準備はまだいたしておりません。ただ、私の考えますには、この委員会等の御論議を通じましても、たとえば積雪寒冷地であります北海道あるいは東北等につきましても、これは特殊な気象等もありますし、農業条件等も異なっているわけであります。同時にまた、温暖地でありましても、鹿児島、宮崎等につきましては、これまた特殊土壌の地帯であり、農業につきましても、今や相当な転換をしつつある地帯であることは御承知通りであります。これらは、ただ単に東北、北海道もしくは南九州の地帯に限らず、細分して考えますならば、非常に農業の先進地だといわれるところでありましても、特殊の地帯にありましては、やはり磽かくたる土壌、同時にまた条件の悪いところを包容しておるのであります。これは当るかどうか、いろいろお考えもありましょうが、静岡県の非常な先進地でありましても、富士山麓の地帯であるとか、あるいは高冷地等になりますと、やはり相当いろいろな問題があるわけであります。かように考えまして、私は、これらの特殊性をにらみつつこの方面における農業上の改善を加えるということが、やはり一つの命題ではなかろうかと考えるのであります。そういう意味で私はそれを申し上げたのでございまして、そのためには、国、県、それぞれの調査研究の機関を持っているのでございますから、それらを特に進めるということ、同時に、その土地にふさわしいところの農業経営等も織り込むということに考えを持っていきたいということでございまして、一面においては、それらの特殊な地帯に対する土壌の研究であるとか、あるいは植物の研究であるとか、さらにまた、われわれとしましては、地方によってなくてはならない、同時に日本として保存しなければならぬ植物等をも持っているのでございますから、それらも調査研究の対象にし、そして、農業改善地方の振興にも役立たせたい、こういう考え方でございまして、まだ予算の編成期を控えまして具体的にはきめておりませんけれども、その方向で一つ新しい施策等も展開して参りたい、こういう考え方でございます。
  53. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ただいまの研究、普及、あるいは統計調査の問題に関連をして、さらに申し上げたいと思うのでございますが、申し上げるまでもなく、農林水産関係は、原始産業的な性格を持っている関係もあろうと思いますが、保守的であり、あるいは封建的な色彩等もあって、なかなか科学的、近代的な農業への切りかえということはむずかしかろうし、また、現実に、研究の面においても、やはり飛躍的なそういう新しい方向への前進ということがなかなかむずかしい性格を持っておろうかとも思うわけでございますが、冒頭にお尋ねをしました、たとえば開拓政策あるいは土地改良事業の推進等とも関連をして、そういう新しい農政の方向とマッチした研究、こういう面をやはり強力に推進をするということを忘れては、従来の開墾の反省を再び繰り返さなければならぬということにも相なろうかと思うわけでございまして、こういう問題は、農政の重点の推移と関連をして、研究、普及の面においても新たなる構想がやはり必要だろうと思うわけでございます。  それはまあ希望にとどめておきまして、統計調査に関連をしてでございますけれども、従来農林省の方で農業観測、いわゆるアウトルック・サービスということがやられて参っておるわけでございますが、これは、科学的、合理的な農林行政を推進するという立場から見れば、単に国内における需給関係、国内における価格関係ということだけでなしに、海外の大勢はどうかということを見ることが必要だと思うのでございます。これの内容の充実、あるいは真にこれが農政の方向において活用されるためには、まだまだ不十分でないかというふうに考えるわけでございますが、これらの問題については、真に科学的、合理的な見地に立って農政を推進する立場から、真剣に検討してみるというお考えがあるかどうかをお伺いしてみたいと思います。
  54. 三浦一雄

    三浦国務大臣 第一に、今申し上げておかなければならぬことは、農林省でいろいろの試験研究もいたして参りました。同時に、新規の考案、新規の調査研究の成果も持つ場合があるわけでございます。ただ、しかしながら、農林省は伝統的に、この点は、農民に新奇をてらって、新奇をただ要請して、そのために苦しませることはしたくない。安んじて新しい考案を取り入れるためには、慎重にも慎重をとって参るということが従来の態度であったのでございまして、今後といえども、ただ単に新規のものを得たからということで農民に軽率に指導奨励いたしまして、農業経営上不測の損害を加えたり、あるいは農家経済に不安定なことをさせないという念願でありますから、この点はただ単に保守反動などとお考え下さらずに、非常に慎重な態度であることを一つ御了承を得たいと思うのであります。これは、特に品種の改良等につきましては、従来取り来たった伝統的な、ある意味においてはあるよさでございますから、この点も一つ御了承おきを願いたいと思うのであります。  その次に、統計調査は、国内の原始産業の非常に複雑な問題をとらまえまして、従来とは異なった方式の統計調査等もして参りまして、だんだん成果をあげて参ったと考えるのでございまして、われわれは、日本農業を見る場合に、ただ単に国内だけではなく、いわゆる世界的視野によってこれを判断しなければならぬということにつきましては、私は賛成でございます。従いまして、その方面について農林省等におきましても総合研究所等の機関を持っておりますが、その内容の充実並びにそれらの資料等を十分に援用して農政を確立することについては、なお今後も努力して参りたい、こう考えている次第であります。
  55. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 先般来の委員会で、米麦価問題の一つの大きな焦点になりましたいわゆる生産費及び所得補償方式の採用の問題に関連いたしまして、今日農林省の統計調査関係で取り扱っている生産費調査の面において、大体対象農家三千一百戸くらいの農家について生産費調査をやっておるのだと思うのでございますが、本問題について大臣も明年からこれが実施に踏み切る意図を持って答弁をされておったと判断をしておるわけでございますが、この明年度から生産費及び所得補償方式を採用するための統計調査関係整備はどういう内容のものになるかという点について、該当の担当官からお伺いしたいと思うのでございます。
  56. 三浦一雄

    三浦国務大臣 これは基本的な問題でございますから、まず私からお答えいたします。われわれは、かりにあの方式を採用する場合におきましても、私たちの持っております調査機関の成果を援用したい、こういう考えであります。ただし、問題は、農家について生産費を調査しておりますが、その対象としておりますところの農家をとらまえてそれでよろしいかどうか、なおそれ以外のファクターをとらなければならぬかが、つまり生産費並びに所得補償方式をとりましても問題であるということをしばしば申し上上げたことでございます。従いまして、現在調査対象にしております農家そのものの選定がいいかどうか、なお、さらに、あるいはもう少しレベルの下の方と申しますか、ボーダー・ライン階級の者をとることの可否、これらがあるわけでございます。こういうようなことでございますから、これらはもう少し特別な調査研究を進めて、そうして納得のいくような結論を得たいということでございますから、来年度ただこれを実行するんだということを予断してのことでないことを御了承を得たいと考えておるわけであります。同時にまた、現在の生産費の調査等につきましての説明は事務当局から補足さしていただきます。
  57. 藤巻吉生

    ○藤巻説明員 ただいま角屋委員からお尋ねのございました、もしかりに米の生産費について、生産費及び所得補償の方式をとるといたしました場合におきまして、現在の調査で十分かどうかという問題でございますが、ただいまもお話しのように、私どもの方の調査の農家戸数は三千百戸であります。これでいきますと、やや、誤差と申しますか、正確な数字には不足であろうかというふうに考えておりますので、私どもといたしましては、事務的には約五千六百戸くらいにふやしますとかなりの精度のものができる、ただし、そのためには、現在よりも人員にいたしまして、百二、三十人、予算にいたしまして約四千万程度の増加をしなければなりませんので、さような点を考えなければならないかと思います。
  58. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この生産費及び所得補償方式を明年度からとるとすれば、明年度において調査体制を整備するということではおそいわけでありまして、今日から準備にかからなければならぬ、こういうことになるわけでございます。ただいまの統計調査部長のお話からいたしまして、調査対象は三千百戸から理論的に少くとも五千六百戸程度に拡大をしなければならぬ、こういうことになりますと、予算、人員その他の面が伴ってくるわけでございますから、大臣が真に熱意を持って明年度生産費及び所得補償方式をとるという準備体制を整備するお考えであるならば、今直ちにこれが整備に入らなければならぬと思うわけでございますけれども、この問題に対する大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  59. 三浦一雄

    三浦国務大臣 実はこれは数年来の問題でございまして、今から考えますと、御説の通り、数年前からそれらの準備的施設が行われておりますならば、非常に好ましいことであったと思うのであります。しからば、本年度からどうかと申しますと、やはり、調査しますには時期的ななにも選ばなければなりません。年度途中で果して所要の成果を得られるかどうかということでございますから、これらはやはり、周到な準備と、それから、それに伴う調査のいい成績を見て、しかる後に取り進めるということが——国民経済にとりましても重大な問題でございますので、今のような態度をとって、そして歩一歩進めるということが私どものとるべき態度じゃないか、こう考えておるわけであります。
  60. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間の関係上、今後における農林水産施策の重点の問題については一応大綱的に以上の程度でとどめまして、次に、さらに大臣の方から数項目に分けていろいろ当面の問題についてお述べになっておるわけでございますが、そのうちで、被害対策の問題については、本委員会においても、あるいは旱害、あるいは長雨、あるいは凍霜害等について、いろいろ審議が続けられて参りましたので、詳細についてはこれを省略したいと思うわけでございます。しかし、この災害対策の問題に直面することに、私ども常に反省をさせられることは、災害が出てからこれに対する対策をどうするかということではなしに、災害の出た経験というものを十分に分析検討いたしまして、そういう災害の生ぜざる事態に事前に対処する、つまり、防災関係のことがきわめて重要であろうと思うわけでございます。これらの問題に関連をして、従来からいろんな災害が農林水産関係で起っておるわけでございますけれども、そういう災害が起るたびごとに、率直に、どこに欠陥があり、どこをどういうふうにしておけば、今後その問題については絶滅し得るというふうな真剣なやはり検討がなさるべきだと思うのです。実際問題としてこの弥縫的な当面の対策をはかるばかりでなしに、災害のたびごとに抜本的な検討を加える、そして、それらの抜本的な検討の内容については、本委員会等においても、どの点において手を打ったことが有効であり、どの点において十分でなかったことがこういう結果をもたらしたかという点を率直に発表されて、施策の万全を期するという心がまえが私は必要であろうと思うこれらの問題については、野党としてそういうことをもって失政を追及するという態度でなしに、謙虚に、国費を最高度に有効に使うという建前からも、そういう心がまえが必要だと思うのでございますが、そういう態度で従来こういう被害に直面した場合の検討がなされておるかどうか、あるいはなされておるとするならば、今度の災害問題についてどういうふうに検討されたかという点について、簡単にお答えを願いたいと思います。
  61. 三浦一雄

    三浦国務大臣 災害対策につきまして、災害を未然に防止するという基本的な政策を実行せよ、これはもう非常にわれわれといたしましても傾聴いたしておるのであります。本来はそうなければならぬわけであります。従いまして、災害を未然に防止するという基本的な施設は、これはいろいろ論議されますけれども、基本的には、水源地における治山治水の問題であるとか、あるいは海岸地帯における災害防止の林業施設であるとか、あるいは河川の改修、用排水等の整備、これが基本的なことになるわけでございまして、この上に異常な天災等ができますから、これに非常に苦慮しておるわけでございます。従いまして、われわれとしましては、治山の問題にせよ、あるいはまた海岸の災害防止の林業施設のごとき、これはもうだんだん強く拡充して参りたい考えであります。同時にまた、今御指摘の通り、ただ漫然と災害の対策をしたということで終始いたしておるのじゃございませんので、常に経験を基礎にし、そうして災害防止の基本的な施設にも役立っておりまするし、同時にまた、これらの事例等は実は相当に持っておるわけでございます。これらは適当の機会に整備した資料として皆様にごらんに入れたいと考えておるようなことでございます。時々、災害の防止のための適切な事例であったということは、予算の御審議の際にも局部的でありましょうけれどもお示ししておったと思いますけれども、ただいま角屋さんからも御要請がありましたので、適当な場合に資料等にいたしまして御参考に供したいとも考えております。基本的の考え方は今申し上げ通りでございます。
  62. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この際次の臨時国会までに若干期間的な余裕があるわけでございますが、毎年の状態からして、台風の時期を数カ月後に迎えようとしておるわけでございますけれども、当面農林省として台風対策にどう対処するか、具体的に今年の台風対策をどうお考えかを骨格的にお伺いしたいと思います。
  63. 三浦一雄

    三浦国務大臣 台風の対策でございますが、台風常襲地帯に対します問題は、過般立法等もございまして、それに対応して施設を進めておるわけでございます。この現在の程度では不十分であろうと思いますけれども、これは逐次これを増強するのほかはなかろうかと思うのであります。同時にまた、われわれとしましては、先ほども申し上げました通り、治山の上に、あるいはまた各種の耕地を保護する上に、用排水等の問題等につきましても、災害を防止するような態度をもってこれを構築しておる、その保守管理等もしておるわけでございます。個々の用排水の事業、あるいはまた干拓の事業、あるいは治山施設等々につきましては、その用意のもとに取り進めておるのでございますから、これを拡充整備するということはわれわれとしましての台風に対しまする常時的な施策であるということに御了承を得たいと存じます。
  64. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 台風対策についてあらじめ伺いましたのは、先ほどの質疑応答の中で私が申し述べました災害の事前に防災の万全の処置をとるということと関連をしてお伺いをしたわけでございまして、これらの点についても、従来の台風の状態、いろいろなことを勘案をして、十分万全の措置を講じていただきたいと思うわけでございます。  この際、災害の問題と関連して、大臣は、日本農業災害というものが国際的に見てどういうふうな位置づけになっておるか、あるいは、日本農業災害というものに関連をして、諸外国の農業災害に対する施策等で、もって日本農業災害の対策に取ってこなければならぬというような問題について、どういうふうに検討されたことがあるか、お伺いしたい。
  65. 三浦一雄

    三浦国務大臣 災害対策につきましては、私は最近農林大臣を引き受けたのでございますが、おそらくは、従来の農林省としましても重大な施策として一貫して考えてきたと思います。今諸外国との比較等もお尋ねになりましたが、私も、当時、災害に関しまする制度としての現在の共済制度の前提となりました諸制度等の調査、あるいは立案等にも当ったのでございまして、当時海外にも調査に行ってきたような経験を持っております。私はここに簡単には結論し得ないのでございますが、たとえば西ヨーロッパ等の国々に比較すれば、日本の立地は不幸にして非常に条件が悪いと思う。そういうふうに考えております。フランスにいたしましても、あるいはオランダ、ドイツ等にいたしましても——災害という関係から見まするならば日本は非常に悪い条件にあると思います。ただし、その他の国々のことは私はつまびらかにいたしませんけれども、そういう事情であります。従いまして、諸外国におきましても、農業災害に対しましても、保険制度、共済事業と同じような事業をやっておるのでございますが、これらにおきましては、同時に諸外国におきましては、百数十年もしくは数百年の歴史を持って、その積み重ねにおいて、これを施行しております。欧州におきましても、ひょう害等はしばしばあることでございまして、それらに対する保険制度のごときは、フランス等におきましても百数十年のこまかい計数等を持つ経験によってやっておる。それから、スイス、ドイツ等におきましてもそういうような傾向でございます。それで、地理的条件としては西ヨーロッパ等の国々に比するならば日本は非常に困難な条件にありはせぬかと思います。同時に、制度そのものは、日本としましては、将来なお改善を要するとは思いますけれども、一応これに適応する制度等は相当に進んでおるということを申し上げて差しつかえなかろうかと思っておる次第であります。
  66. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間の関係もございまして、次に大臣が触れておられる蚕糸価格の安定対策、あるいは牛乳、乳製品の総合需給の問題については、すでに本委員会においてそれぞれ一応の結論の出た問題でありますから、最後に、水産業をめぐる国際情勢云々の問題に関連をして、第四次日中貿易協定が今日御承知のような状態に逢着をしておるわけでございますが、この中において、本委員会関係のある日中の漁業協定の問題が今無条約状態にある。こういうことは、この方面の該当地域、あるいは該当水産業関係の業者から見て、きわめて大きな問題であろうと思うわけでございます。本会議あるいはそれぞれの該当委員会等における総理大臣あるいは外務大臣等のこの面に対する見解等からいたしますと、今日の段階ではいわば静観の態度をとっておるやに判断をするわけでございます。しかも、これはやはり単に静観だけで済まないわけでございまして、現実にこの方面の従事者としては、一日も早く第四次貿易協定の促進の問題、あるいはそれと関連をして、日中の漁業協定の問題等については速急に解決をしなければならぬと思うのでございます。特にこの日中漁業協定の問題に関連をして、今日農林省当局としてとっておる施策、あるいは今日把握しておる実態について、御説明を願いたいと思います。
  67. 三浦一雄

    三浦国務大臣 日中の漁業協定は六月十二日をもって一応廃棄せられまして、現在民間間の協定すらないという事情でありますので、非常に遺憾としております。ただ、わが方としましては、従前の日中の協定がありましたと同様の前提をいたしまして、そして、禁止区域をまず侵さないということ、同時にまた、ともに入漁しておりました地帯等にいたしましても、漁業上の権益を侵害しないという立場をとりつつ、現在東海、黄海等にやっておるわけでございます。たまたまこれからは漁業の方もしばらく閑漁期に入っておりますから、事情は変って参りましたけれども、今前段に申し上げたような態度をもってその方面に臨んでおるということであります。しかしながら、何といいましても、民間側との協定もない、いつどういうふうになるかという不安も免れざるを得ないところでございますが、今のところそういうふうなことに終始しまして、日中漁業協会等におきましても、政府の援助のもとに、政府は監視船を出しまして、そうしてそれらの事態が起きないように、同時にまた、必要な情報は全部福岡の日中漁業協会等に通告する、その方面では制裁委員会等も作りまして、その海域の侵犯をしないように、同時にまた、かつてあったと同じような姿においてこれを施行するというような現状でございます。しかしながら、われわれ当局といたしましては、すみやかに現在の情勢が打開されまして、民間協定等も再び締結せられ、その線の上に漁業が営まれるということを深く期待し、希望しておるということでございますが、現在、政府としましては、御承知通り、国交の回復に至らない間柄でございますので、政府みずからこれに当るというわけにも参りません。もうしばらくの間情勢の推移を見て、何らかの機縁を契機にして好ましい打開ができますように期待しておるわけでございます。
  68. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ただいまの日中漁業協定の問題に関連しましては、今のお話のように、単に漁業協定の問題にとどまらず、もっと広範の関係の問題があるわけでございまして、この方面においてはすみやかなる今日の難局の打開を希望しておきまして、この問題につては終りたいと思うわけでございます。  水産業の問題に関連して、先般水産庁の十周年記念が行われ、その席上で、御承知のように、水産庁長官あるいは農林大臣の方から、昭和三十二年度における水産の漁獲高は世界第一位になった、こういうふうな御報告があったわけでございます。もちろんこれは、水産庁の機構が拡充せられ、その施策と、特に水産に従事する沿岸、沖合い、遠洋漁業者の最大限の努力が、今日この実を結んだと思いますけれども、しかし、今日率直にその内容等を検討してみますと、水産業の今後の飛躍的発展のためには、沿岸漁業においても、沖合い漁業においても、あるいは遠洋漁業方面においもて、きわめて大きな問題に逢着しておる、こういうふうに考えておるわけでございますけれども、今日水産日本といわれる水産業の今後の推進について、大臣はどういう見解をもって進まれるか、お伺いしておきたいと思います。
  69. 三浦一雄

    三浦国務大臣 日本の現在の水産業の置かれておりまする環境は、従前のようには参らぬことは御了承の通りであります。すなわち、最近の国際間におきまする情勢は、あるいは水産資源の保護という見地から、海域は制限せれら、漁業も制限せられるということもございますし、同時にまた、一衣帯水の中国あるいは韓国等につきましては、御了承の通りの問題もあるのでございますから、自由奔放な活動をし得ざる現状であります。しかしながら、やはり、日中漁業協定にありましたように、これらをしんぼう強く守ることは守り、同時にまた、その制約のもとに漁業を進めて参るということ、また、北洋等の問題につきましても、いろいろな困難な問題がありましたけれども、やはり国際間の協定の線に沿うてわれわれとしては最善を尽してきたわけでございます。同時にまた、南方の太平洋、さらにまた中南米方面等につきましても、逐次今日本の漁船団が出て参っておるというような情勢でございますので、国際間における困難な環境にありましても、それらの困難に処して打つべき手を打ち、そうしてまた、日本としましても、堅忍持久の気持を持ちまして難局を打開しつつ進むことが、当面の重要な課題だと考えております。これにつきましては、政府としましても最善を尽して、同時にまた、業界に対しましてもできるだけの手を尽して、相ともにわが国の水産業の重要な使命を達成するようにして参りたい、かような考え方でございます。     〔吉川(久)委員長代理退席、委員長着席〕
  70. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 最後に、これは私自身の意見としてお尋ねをしたいと思うわけでございますけれども、農林水産関係の法規というものはきわめて多岐多方面にわたっておりまして、ずいぶんたくさんの法律があるわけでございます。これはやはり、農業の複雑さあるいはそれぞれの地域の特殊性等を考慮して今日まで本委員会においてずいぶん努力され、そしてその集大成として今日諸法案ができておることは私も承知しておるわけでございますけれども、しかし、政治一般国民との接触という面から考えてみますと、どうしてもやはり、農林水産関係の法規の対象は農民、漁民であり、きわめて法律等については親しみがたい者が対象になっておるわけでございまするから、一挙に私が申し上げるようなことにはいかないとは思いますけれども、もっと農林、水産関係法律の統一といいますか、整理といいますか、そして同時にそういう法案の内容等についても農民、漁民を対象にしておるという頭において、もっとわかりやすいような方法で根本的に再検討する、こういうことがいわゆる政治農民、漁民を直結させることに相なるのではないかと思うのでございます。たとえば、災害を受けた場合、あるいは土地改良をやる場合、あるいは開墾、干拓等をやる場合においても、簡単に法規の内容を見れば一般農民、漁民でもわかるというふうな形に根本的にそれを変えていくということが今後の問題として必要じゃないか、これはもちろん単に農林関係の法規のみならず全般的にも言えようと思うわけでございますけれども、それと同時に、やはりこの辺のところで農林水産関係についての一貫した基本法的なものを根本的に考えてみるというお気持があるかどうか、こういう二つの問題について参考までに大臣の御見解を承わっておきたいと思います。
  71. 三浦一雄

    三浦国務大臣 法治国の理想は、法なきにしかず、こう思います。この法規の簡素化は最も大切なことでございまして、農民人々を対象にしての現行の制度というものは非常に複雑怪奇であるということもごもっともな御意見だと思うのであります。従いまして、簡素化して参るということにつきましては、御趣旨は私たちも賛成でございます。ただ、この法規は、現行の法律制度の上になかなかそう簡単には参りません。そうしますと、第二段に、これをよく啓蒙し、これをよく了解をさせなければならない。この努力がまだ不十分だと思う。そこで、われわれとしましては、立法の趣旨なりその運用等につきましても十分これを関係人々に了得さすということになお一そうの工夫をこらさなければならぬと思います。つきましては、農業団体なりあるいはまた農民の結合しております団体等を通じまして、啓蒙宣伝と申しますか、あるいはこれをよく了解し得られますように格段の努力を払って参りたい、こう考えます。  なお、御提唱にかかりまする基本法等の制定は、考え方としてはごもっともなことでございますけれども、現在の法律制度の段階におきましては、そこまでは飛躍して実行し得ざるもの、こう考えておる次第であります。
  72. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は農林水産施策についての農林大臣の所信に関連をして若干の大綱的な点についてお伺いをしたわけでございますが、本委員会が終って数カ月後に臨時国会が持たれ、さらに通常国会も引き続いて持たれるわけでございますけれども、今日御承知のような農林水産業の直面している深刻な事態からいたしまして、特に農林畑から出られた三浦農林大臣としては、この所信の中で触れられている項目について、具体的にしかも計画的に熱意をもって、今後の科学的農林行政推進のために、われわれにその施策の内容を具体的に提示して、推進の努力を払われるように希望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。     —————————————
  73. 松浦周太郎

    松浦委員長 それでは、酪農の件に対しまして、大野市郎君。
  74. 大野市郎

    大野(市)委員 酪農の問題につきまして若干の御質問をいたしたいのでありますが、まず農林大臣に、簡単でけっこうでありますが、御決意を承わりたいのであります。  農政上の酪農の重要性はお互いに理解しておることであります。この農政の問題としての酪農の地位だけでなくて、食生活改善という見地からこの酪農の問題が大きく取り上げられておると思いますが、この食生活改善と農政上の酪農の重要性との総合的な関係から、農相といたしまして酪農振興に対してどの程度の御決意で進まれますか、簡単でよろしゅうございますが、承わりたいと思います。
  75. 三浦一雄

    三浦国務大臣 私たちも、学童給食等につきましては、従来この問題を提唱し、推進して参ったのでございます。同時に、これはその当時からの研究課題でもあったのでございますが、中心は、乳製品と申しますか、これらを十分取り入れまして、そして食生活を改善する一環とする、同時に、学童たちの体位を向上するということを結びつけてこの問題を推進いたしたい、こう考えて進んで参ったのでございますが、今日といえども、この学童給食と酪農の推進は、そういう結びつきにおきまして相互に調整して円滑に進めなければならぬと考えておるわけでございます。
  76. 大野市郎

    大野(市)委員 ただいまのにさらにつけ加えていただきたいのですが、蚕糸の問題が行き詰まりまして大へん問題になっております。それから、土地改良の土壌改良の意味合いにおいて、いわゆる畜産導入が叫ばれております。従って、これらの観点からいたして、農政上の問題として酪農は後退を許さないものと思います。推進をさせるべきだと思いますが、この点に対してもう一度伺います。
  77. 三浦一雄

    三浦国務大臣 わが国の農業は無畜農業でございまして、これが従来の農政の上に改善せらるべきこと、土地地方を推持する上においても、農業経営そのものを改善する意味においても必要だ、こう考えておりますことは御説の通りであります。
  78. 大野市郎

    大野(市)委員 そういたしますと、ただいま問題になっておりますのは、酪農の流通部門において生産が有効需要を上回っているので混乱が起きたと称せられておりますが、そういう障害がたとえば現在現象的にはあっても、それに対していろいろな困難があっても、農林大臣としては、これを押し切って、後退せず、むしろ推進する方向に持っていくべきものだとお考えでありますかどうですか。
  79. 三浦一雄

    三浦国務大臣 これは、全力をあげまして、その障害をなすことは克服し、これを改善して、そして円満な酪農政策の展開に持っていく、こういうふうに考えておるわけであります。
  80. 大野市郎

    大野(市)委員 それでは、農林御当局、大臣の御決意がわれわれは理解できましたのでそこで、ただいまこれの需要先といたしまして、いわゆるなま乳、さらに乳製品の形で国内に消費をせられておるのでありますけれども、特に文部政務次官もおいででありまするのでお伺いいたしたいのでありますが、学校給食にただいま乳製品が一部使われておるのでありまするが、この乳製品の給食後の児童体位に対する効果についてお伺いいたしたい。
  81. 高見三郎

    ○高見政府委員 学校給食に牛乳を使いましたのは、今年一月から二十万石の予定で始めましたので、体位にどのような影響を及ぼしておるかというデータはまだ出ておりません。御了承願います。
  82. 大野市郎

    大野(市)委員 学校給食には、国内産のなま乳を使ったことだけでなくて、従来から脱脂粉乳の形などでも使っておるのでありますが、その乳製品の関係でもけっこうでありますから、これの実績についての体位向上の資料がございますか。
  83. 清水康平

    ○清水説明員 お答え申し上げます。あらたまって申し上げるまでもなく、学校給食は、食生活改善あるいは教育的な意義におきましても、ひいては国民体力の増強という点から考えましても、きわめて重要でございまして、昨年の統計によりますというと、学校は大体小学校におきまして六〇%を越し、給食を受けている人は八百万人をこえている状態でございます。それで、学校給食を受けている生徒、児童と、受けていない生徒、児童と比較いたしますと、カルシウムの関係、動物性蛋白質の関係その他の関係によりまして、身長の点において、それから座高の点において、学校給食を受けておる人の方が相当よくなっております。詳しい資料はここに持ち合わしておりませんが、以上でございます。
  84. 大野市郎

    大野(市)委員 私どもの郷里に山間地の酪農地帯があるのでありまして、入東谷村という村の小学校の実例を私は持っておりまするが、小学校四年男女の子供たちに対して体位の計算をいたしておりますが、これが、酪農家の子弟は目立って体位が伸びておる事実が報告されておるのであります。従いまして、脱脂粉乳の使用の結果のただいまの御報告でありまするが、なま乳を自家消費いたしておる家庭の児童の発育ぶりというものに対して、われわれはそういう資料の用意があるのでありまするが、文部省におかれては、あるいは調査事項以外であるか知りませんが、地方のそういう資料もお取り寄せになる御意向はございませんか。
  85. 清水康平

    ○清水説明員 従来は御承知通り脱脂粉乳によって、いわゆるミルクを飲ませておったのでございましてことしの一月からいわゆる牛乳を飲ませております。その資料は取っておりませんが、やはり、どの程度これによって影響受けておりますかは当然取らなければならないと思って、今手続をいたしております
  86. 大野市郎

    大野(市)委員 そこで、脱脂粉乳となま乳との栄養価の上下といいましょうか、そういうことに対しての御研究はございますか。
  87. 清水康平

    ○清水説明員 脱脂粉乳と牛乳との栄養価の比較でございますが、一長一短でございまして、一合に相当する牛乳と一合に相当する脱脂粉乳を比較してみますと、脂肪分においては何といっても牛乳にまさるものはございません。脂肪分から言いますと、脱脂粉乳の方が少うございまして、牛乳の方は六倍くらいある。むしろ脱脂粉乳は脂肪がないと言ってもいいくらいでありますが、反面また、カルシウムの点から申しますと、これは牛乳よりも脱脂粉乳の方がよくなっております。蛋白質におきましては脱脂粉乳の方が若干よくなっておりますが、カロリーは牛乳の方が四十カロリーもよくなっておりまして、一長一短と申すべきじゃないかと思っております。青年に特に必要なカルシウムとか動物性蛋白質というような点においては脱脂粉乳の方がいいと言っても差しつかえないのではないかと思っております。
  88. 大野市郎

    大野(市)委員 この場合、牛乳は御承知のように水を割らないでも一合がわかるのでありますが、脱脂粉乳の方はその量をどういうふうにして等量としての比較をしておられますか。
  89. 清水康平

    ○清水説明員 一ポンドを大体二十人に分けております。これは小学校でありますが、大体二十三グラムを一合の水に溶かしてやっておるわけであります。
  90. 大野市郎

    大野(市)委員 脱脂粉乳が輸入食糧であることはわかっておりますが、ただいまの一ポンドを二十人分に分けるのですが、これは製法の問題になりますが、なま乳から一ポンドの脱脂粉乳ができます量はどのくらいになるのですか。おわかりでしたら一応聞かしていただきたいと思います。
  91. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 ただいまの問題は、学校給食に実際問題として与えております脱脂粉乳の一合に換算する量となま乳の一合の量の違いだと思います。一合のなまミルクからとれますのは、バターをとりましたあとのいわゆる脱脂乳からは約十七グラム程度の脱脂粉乳が製造できます。現在学校給食で与えておられる一合と申しますものは、脱脂粉乳二十二グラムを一合の水に溶かしてやっております。つまり、濃縮した形において与えておられるわけであります。ただいまの文部省の方からのなま乳と脱脂乳一合当りの比較の数字は、そういう数字の違いかと思います。
  92. 清水康平

    ○清水説明員 御参考までに申し上げますが、ただいま脱脂粉乳は全国で本年度の予想としましては二万五千トンでございます。それを牛乳に換算いたしますと百七十一万石くらいになります。それから、牛乳二十万石のものを脱脂粉乳に換算いたしますと、三千五百トンというふうに私記憶しておりますが、もし間違いましたら訂正いたします。
  93. 大野市郎

    大野(市)委員 そういたしますと、なま乳そのものの比較からいきますと、一合で十七グラムとれる脂脱粉乳を二十二グラムに濃くして出しておるわけですから、いわば三割多くのなま乳を飲用したと同じ形に量的にはなると思います。従って、当面の価格の問題で文部省ではいろいろ御意見があったように思われますが、私お伺いいたしたいのは、農林大臣としては、わが国の国策として、食生活改善のためにも、また農政上必須の問題として酪農振興を叫んでおられることを知ったのでありますが、同じ政府の中にありまする文部省としまして、大臣はただいまおいでにならず政務次官がおられますが、この国策は政府におきましても大きな重要国策として打ち出しておられるものでありますが、外国からたまたま安価に脱脂粉乳が輸入されるからといって、なま乳に換算すれば三割も多いものを飲用すると同じ結果になります。これをそういう形で、安ければよかろうというのでただ進められるときには、重要な国策の問題にそごが来たされるわけであります。この点に対して、文部省御当局としては、次官はそのウェートをいずれに置かれるつもりですか。
  94. 高見三郎

    ○高見政府委員 お答えいたします。実は、学校給食の方へなま乳を使ってくれというお話がございました。この問題については、私どもとしてはぜひ使いたいと思っております。御承知のように、なま乳を使うということになりますと、アイデアとして使うということに反対の気持は毛頭ございません。ぜひ使いたいと思いますが、なま乳を使うことになりますと、それだけの設備を要しまするし、それから、学校給食の建前から申しましても、基本的に父兄の負担を現在より高めないということを考えなければならない。それらの問題を考えますと、直ちに右から左によろしいというわけには参りかねる事情はありますが、基本的に申しますると、私たちは学校給食の面にぜひこの国内の牛乳をできるだけ多く使いたいという気持は持っておるのであります。ただいまも実はそのための打合せをやっておったわけでございます。その点は、新聞の報道では、文部省は何らか反対であるかのごとき印象をあるいはお持ちになったかと存じますが、私どもとしては、ぜひこの際思い切って牛乳を学童給食の方に使う体制を作りたいと、せっかく考えておるところでありますから、御了承願いたいと思います。
  95. 大野市郎

    大野(市)委員 ただいま、基本国策の方に重点を置いて、国内産のなま乳を学校給食に振り向けることに積極的に進みたいという御発言をいただいのでありますが、私どももそれを望むものであります。ただ、このなま乳の飲用に対して設備が要るという御発言でありましたが、ただいまは高温殺菌も許されておりまするし、なま乳を学校に届けるまでの処置についてはもちろん万全の策を講ずるに違いないのでありますが、厚生省の環境衛生部長もおいででありますので、これはすでに一月から実施中でありますから、この点に対して、文部政務次官の御心配のような点があるかないか、お伺いしたいと思います。
  96. 尾村偉久

    ○尾村説明員 実施に当りまして十分連絡をとっておりますが、私の方は心配はないと思っております。
  97. 大野市郎

    大野(市)委員 そこで、もう一回衛生部長に承わりたいのですが、けさの産経に載りました記事の中で、神奈川県下の給食を牛乳にしたとたんに、学校医が、非衛生な給食を続けては責任が持てないといって辞退を申し出たいきさつがあるというような記事が載っておりましたが、これはそのような事実があったのですか。また、どういう事情でありましょうか。
  98. 尾村偉久

    ○尾村説明員 けさの記事につきまして、まだ詳細具体的な内容が果して何か不潔なことでもあったかどうか、まだ存じておりませんので、調査中でございますが、学校給食に乳を使い出して学校医が責任を負えぬというようなことは、われわれは全くそういうことはあり得ないと思います。もしそういうような器物その他で心配があれば、むしろ学校医が指導をして、そういう欠陥が起らぬようにして栄養増進をはかる、こういうのが根本であろうかと存じております。
  99. 大野市郎

    大野(市)委員 新聞の報道でありますから責任が持てないと言われるかもしれませんが、これは書き方から見ると文部省からその話が出たような記事のつながりになっておりまするが、これは新聞の書き方ですから、どういう御答弁があるかしれませんが、よもや文部省筋からそういうような情報が入ったのではないでしょうな。
  100. 清水康平

    ○清水説明員 今の問題については何も存じておりません。そういうことはないと思っております。
  101. 大野市郎

    大野(市)委員 ただいまの七日の産経の内容は新聞記事ですから、これは言っても、そちらの方ではまた御意見があると思いますが、私の承わりたいのは「文部省は反対」という見出しで全部の記事がつづられておりまするので、こういうふうな未確認の、厚生省でも御承知がない、また学校担当の文部省でも御承知がない事件が一流紙に載って、「神奈川県下では全部の学校医辞退」というふうな表現で伝えられますことは、非常にしろうとが、牛乳というものは恐ろしいものだ、何か有毒なものではないかというようなばかげた誤解を持ちまして、はなはだ国策遂行上困るのでありますが、ただいまの御答弁では知らないというのでありますし、厚生省の御当局では、そういうようなことはない、設備上で今までやって差しつかえなかったし、また学校医がそういうことで牛乳を扱うから断わるはずはないという御答弁でありますから、その御答弁の筋を信じまして、この記事の問題については、私はそういう趣旨で御指導されるように望んでこの問題は切ります。  さて、最後に、これは学校給食課の方の談でありまするから問題が大きい。片方はただ記事でありますけれども、ただいま申し上げる内容は、「文部省学校給食課の話」という見出しで、「方的に三十万石をといわれても、どうにもならない。来年からとでもいうのならともかく、今すぐとは文部省の需給計画をくつがえすものだ。農林省にしても牛乳の市価を下げるとか、ほかの需要者を開拓するとか、もっと持続性のあるやりかたをしてもらいたい。」というふうな記事が報導されております。こういう工合に給食課の談という形でありますことは、通例の形でも責任ある者が話をして回答せられるものであります。これはどなたが発言をせられたものでありますか。
  102. 清水康平

    ○清水説明員 数日前から、文部省といたしましては、牛乳をどういうふうに給食に向けていくかということについて、何とかしていい方法はないだろうかと検討中でございます。従いまして、きょうの新聞を見まして私どもびっくりいたしまして、これはどうしたことかといって、わざわざ課まで参りまして、どうしてこういうわれわれの国の方針に反するようなことを言うのかといって、とっちめたわけであります。ところが、課としては、いや、そういうことをわれわれは考えておるのじゃない、局長の命により協力するようにきょうも準備しておって、きょうは会議に対する資料を作っておったというようなことで、そういうことはございません。政務次官のおっしゃっておりました趣旨に沿ってやっておりますので、どうぞ御了承願いたいと思います。
  103. 大野市郎

    大野(市)委員 一流紙に、とにかくただいま一番問題になっております問題について、「ダブつく牛乳」という形で大見出しをつけられて、給食用に押しつけ、父兄の負担が倍に、文部省は反対と、三段返しでだめ押しをされた記事が載りました。われわれがお互いに国策として啓蒙、消費宣伝をせねばならぬという決議をたった今いたしたばかりであります。そういう日に、その日の朝刊にこういう記事が出ますことは、いかにも要らぬものを学校の子どもたちに押しつけて父兄を困らせるというふうな印象になりがちであります。これでは消費の増強などということと逆になります。ただいまの局長の言明で、そういう話をした者がないというお話でありますが、ないのでありますか。
  104. 清水康平

    ○清水説明員 体育局に給食課がありますが、給食課は体育局長方針にのっとっておるのでございまして、給食課においてそういうような意向を持っては絶対におりません。どうぞ御安心願いたいと思います。
  105. 大野市郎

    大野(市)委員 そこで、この問題の問題点は価格の面から出たことではあったとは思うが、何としても、いわゆるなま乳というものに対して、このような形で濃縮したもので量的に三割ふえておるのですから、カルシウム分も二、三割はふえるのは当りまえだと思うのです。しかし、重要な脂肪分その他が、三割ふえていながらも、なま乳に比較して少いのであります。こういう点も、児童の成長に対して、栄養価の問題は、これは通例はなお乳が一番いいとわれわれは教えられておるのでありますが、それに対して、文部省御当局は、そうではない、脱脂粉乳の方が発育盛りの児童には向くのだという御見解をはっきり持てますか。
  106. 清水康平

    ○清水説明員 先ほど政務次官からお話し申し上げ通り、牛乳につきましては、文部省といたしましては、何とかしてこれに御協力をお願いするというか、御協力申し上げたいというか、何とか給食に振り向けなければならぬという方針で、ただいま検討中でございます。それで、脱脂粉乳といわゆる牛乳との比較でございますが、これは一長一短でございまして、もし脱脂粉乳が脂肪が少い場合には脱脂粉乳の中に牛乳を若干まぜるとかいうようなふうに考えてもおるわけでございます。
  107. 大野市郎

    大野(市)委員 これは、厚生省の部長もおられますので、いわゆる栄養的な問題ではむしろ専門家と思いますので承わりたいが、このいわゆる脱脂粉乳か牛乳かという、児童を対象としました栄養価値につきましての御意見を聞きたいと思います。
  108. 尾村偉久

    ○尾村説明員 脱脂粉乳は、要するに、脂肪を全乳から抜いてございますので、もちろん、脂肪が過剰であるとかあるいは脂肪の消化に工合が悪いとか、いろいろなケースの場合には、また使用目的でわざわざ脂肪を抜いて使うか、ないしは、特殊目的による、たとえばアイスクリームのように脂肪が相当入っては困るという場合には、これは使用目的から有利でございますが、栄養価値そのものを比較する場合には、元来人間の場合でも母親から出た母乳そのものを飲ますのが一番いいので、この中から特殊のものをいろいろ抜きますと、それだけ欠陥があるということで、いいほどそれはいいのでございますが、ただ、脱脂粉乳が栄養上むしろ欠陥があるとかマイナスになるとかいうことは絶対ないのでありまして、これは、脂肪を抜きますれば、完全な動物性蛋白の、非常に消化しやすい、よい食品ということは、もちろん言えます。
  109. 大野市郎

    大野(市)委員 これは、結局、これから先も、いわゆる乳製品あるいはなま乳の消費の問題でPRをいたしますときに、父兄会など、PTAはこういうことは非常に卑近の問題として取り上げられますので、これの栄養価値の問題は一長一短があるという文部省側の御見解の程度では、生産者側をいろいろ特に指導いたしますわが委員会としましては、これは非常に不安でありまして、また消費増進のためにも障害になる部分がありますので、この点は、一長一短であって、聞き方によっては脂肪粉乳でよいのだというような聞き方にさえとれるのでありますが、この点、体育局長はその御発言を自信をもってお続けになりますか。
  110. 清水康平

    ○清水説明員 栄養価の問題につきましては、私ももう少し勉強しなければならぬと思いますが、ただし、脱脂粉乳よりも、たとえば例でございますが、非常に飲みいいということは事実でございます。その点を無視できませんので、そういう方面からも考えて、できるだけ多くこれを取り入れるようにいたしたいと思います。
  111. 大野市郎

    大野(市)委員 これは研究をされるそうでありますが、重要な問題でありまするから、栄養価の問題、特に児童との関係、これはぜひとも早急にそれらの結論を御研究下さるように願います。  また、基本的な問題として、多少そこに一長一短というような表現の場合でありましても、国策自体が酪農を一歩後退させるわけに相ならぬのであります。特に、土地改良の問題、畜産導入ということを言っても、あるいは行き場がないかもしれません。あるいは、蚕糸の転換対策の一つとしましても、これらの問題は大きなテーマになっております。さらに大きな日本人の体位向上という問題から言っても、これはもう議論の余地なく、体位向上のために酪農奨励は叫ばれておって、これは一人も異議がないはずでありますので、文部省におかれましても、七日の新聞のようなことのないように、私どもとしては、談で出たからには、文部省側としても、この産経に対して、ただいまあなたの御言明のようにそういう発言がないものであれば、特にその中には蛋白質やカルシウムがまるで少いというふうな誤まったPRが載せられておりますので、こういう問題に対して、当然産経紙そのものにもPRをせらるる必要性があると思いますが、これらに対してどういう御処置をなさいますか。
  112. 清水康平

    ○清水説明員 その問題につきましては、非常に誤解を生んでおる向きもあるようでございますので、とくと調査いたしまして、しかるべく善処いたしたいと思います。
  113. 大野市郎

    大野(市)委員 私は、基本的なこの問題に対して、国策としての統合調整について文部御当局が善処されるということを信じまして、私の質問は打ち切ります。
  114. 松浦周太郎

    松浦委員長 中澤茂一君。
  115. 中澤茂一

    ○中澤委員 今の大野さんの質問に対して、御安心を願うと言うが、御安心を願える問題と願えない問題があるのですよ。あなたは御承知かどうか知らないが、現在、当農林委員会としては、繭の問題と牛乳の問題が一番大きな問題なんです。農林大臣も忙しいのに連日来て、この対策をわれわれは考えておるわけなんです。それを、一事務官僚が、こういう最大な政治問題になっているものを、こういう発表をするということは、御安心で話が済む問題じゃないのですよ。今給食課長を呼んでいますが、これはどこまでも責任をとってもらいたい。あなたはその責任に対して所管局長としてどうお考えですか。この新聞記事によって、また酪農乳業界は巻き返してくるのですよ。われわれがせっかくここまで努力したものを、これは当然農林大臣と文部大臣とトップ・レベルでこの大きな政治問題の話し合いをつけて、しかる後あなた方が協議する問題です。しかるに、それを順逆を誤まって、全く一事務官僚がこういうでたらめな発表をした責任をとらぬということはあり得ないと思うのですよ。だから、それについて局長はいかなる責任をとるか、まずあなたの責任から伺いましょう。
  116. 清水康平

    ○清水説明員 先ほどは大へん口はばったいことを申して大へん恐縮でありますが、そういう意味合いで御了承願いたいという意味で申し上げたわけでございます。それで、大へんこの問題につきまして世間にも疑惑あるいは危惧の念を与えましたことは、体育局長として大へん済まないと思っておりますが、問題は、今後そういうことのないように、また、この問題につきましては最善の努力をして参りたいと思っておる次第であります。
  117. 中澤茂一

    ○中澤委員 とにかく、そんなことで話の済む問題じゃないんですよ。そんな小さな問題じゃないんですよ。これは文部省はどうお考えになっているか知らないが、今生産農民と乳業界とまさに三つどもえの乳価値下げ問題の戦いをやっておるのですよ。しからば、これをどこで政府調整をとって原乳値下げも食いとめるし、市乳価格ももっと下げていくか。農林大臣も、学校給食を来年はどうしても倍までふやそうという努力をするということで、今大蔵省と折衝を始めておるでしょう。そういう重大な政治問題になっておるのを新聞であなた方御承知のはずなんですよ。御承知のはずでこういう発表をして、ただ単に善処いたしますから御了解願いたいで済みますかというのです。これは一応あなたの責任を追及する前に給食課長の責任を追及しなければいかぬと思う。明らかにこういう談話を発表したものを——この談話さえ使わなければ、この記事は記事にならないのです。新聞記者としては、この談話がついたから、だっと大きな見出し記事にしちゃったのですよ。だから、この談話がもとなんですよ。談話はつけたしじゃない。これがあったからこそ初めてこれを出した。そういうものに対して、善処しますだけで済みますか。だから、それについては、給食課長は、一体だれがやったかはっきりとこの発表に対して全職員を調査すべきである。また、あなたは局長として命令をしなさい。こういうでたらめな発表をして、こういう記事にしたということは、明らかにこれは文部省の責任ですよ。政務次官、どうお考えですか。
  118. 高見三郎

    ○高見政府委員 お答えいたします。この新聞記事については、実は私ども非常に遺憾に思っており、今その問題について会議をやっておる最中に当委員会に出席を要求されました。私どもとしましては、ひとり酪農奨励という意味だけでなしに、日本国民全体の食慣習を転換するためにも、この際、私は、朝昼やったらどうか、全給食やったらどうか、それにどれだけの予算を要するか、積算してみてくれということを、おととい体育局長に話しておいたような事情で、われわれとしては、何とかこの際研究しようと思っておるのです。これは酪農の方で非常にお困りになっておる事情はよく承知いたしておりまするし、また、日本農業の将来のあり方として、これに生きるよりほかに道はないと思います。私どもから言わせますれば、言い分がないわけではございません。農林省は生産だけについて一生懸命やって、買手についての考え方がせられずに、その跡始末を持ってこられては困るじゃないかという理屈がないわけじゃありませんけれども、ここまでくれば、日本国民全体の食慣習をこの辺で大きく転換する政府全体としての対策を立てたらどうかという観点で研究を進めておりましたやさきに、この記事が出まして、だれが出したのだということで調べたのですが、どうもだれが出したということもなくて、まことに心外だというわけで、実は、その跡始末については、私ども、ただいま申し上げましたような線にのっとって、ただ学童の体位向上という問題だけでなしに、日本国民全体の食慣習をどう転換するかという問題もあわせて、この際学童給食というものを真剣に考えてみたいということを話し合っておった際であります。さよう御了承いただきたいと思います。
  119. 中澤茂一

    ○中澤委員 政務次官、これは下剋上なんですよ。あなたが文部省の役人になめられたということなんだ。結論はそういうことなんだ。あなたが今おっしゃることは、これはわれわれと同じ考えなんだ。二回まで給食して、これをふやしていこうという考えを持っておるにもかかわらず、下部一官僚がこういう発表をするということは、あなたと灘尾さんがなめられたことなんです、明らかに。だから、これに対してはどこまでも責任追及をしなければだめですよ。責任追及をしない限りは、あなたが文部省にいる間なめられ通しです。ほんとうですよ。この際、政務次官として、断固どこまでもこれは調査をする、そしてこういう最高首脳部の考えと違ったことを発表している者は、明らかに処分しなさい。処分しない限りだめですよ、こういうでたらめなことは。僕はそう思うんですよ。政務次官、同感でしょう。これはだめですよ。しかも、これだけ大きな問題になっていることを、この記事というものは、これはさっきも言ったように、文部省の学校給食課の談話があったから、全体にこんなものになっちゃったんですよ。しかも、この中に、まだ私があとで質問する疑義ある問題が一ぱい含まれているのですよ。だから、政務次官、そんな弱腰ではだめですよ。どこまでも処分する、どこまでも究明するということをはっきりして下さいよ。泣いて馬謖を切りましょう。
  120. 高見三郎

    ○高見政府委員 責任追及の問題よりも、私は、どうしてこれを軌道に乗せて、より多く乳を消費するかということに全力を注ぎたいと存じておりますので、さよう御了承いただきたいと思います。
  121. 中澤茂一

    ○中澤委員 政務次官うまく逃げましたが、しからば、この記事を何とか取り消す方法を早急に考えなければいけない問題なんです。皆さんが省議をおやりになるのもけっこうですが、政務次官なり文部大臣の談話で、今農林当局と打ち合せておるのであれは誤報であったという何らかの取り消し処置を講じないと、こっちの方が格好がつかないのです。今これだけの戦いを農林委員会が——どこの委員会もやっていませんよ。これを今夜十時でも十二時でも納得のいくまでやろうというのですから、それだけ使うという問題に真剣に取っ組んでいるのですから、政務次官の言うように、責任追及はしても、それより今後の問題の方が重大ですよ。しかし、結末をつけるためには、やはり取り消し方法というものを、この書いた記者も呼んで政治的な話し合いをすべきである、私はこう思うんですが、どうですか。
  122. 高見三郎

    ○高見政府委員 新聞記事の内容について、確かにだれも言ってなかったものを勝手に書いたというのであるか、あるいは火のないところに煙は立たぬだけのことは言ったのであるか、これはこれから調査してみなければわからないことでありますが、いずれにいたしましても、誤解を生んだ問題については、私どももまことに申しわけなく思っております。従って、この問題については十分調査もいたします。いたしますが、それより、一番大事な問題は、どうしてこれを受け入れるか。これは、受け入れるということは簡単なようでありますけれども、予算措置も要しまするし、また、設備の問題が先ほど大野さんから出ましたけれども、これは学校に全然設備も要らぬということでもありません。それらは予算要求もしなければなりません。どうしてこれをより多く消費するかという問題と真剣に取っ組んでいきたいと思います。この辺で一つ御了承をいただきたいと思います。
  123. 中澤茂一

    ○中澤委員 政務次官がそこまで言えば……。ただ、私はあなたのために思うから、文部省にいる間じゅうこうやって勝手に下僚になめられて、それでいいのだというお考えなら、責任追及などもやめた方がいいでしょう。たまたま政府当局の言うことと事務官僚の言うこととが食い違っても、それはあなたが一切おかぶりになるのなら、それもけっこうです。では、その問題はそのくらいにいたします。  次に、これはむしろ政務次官よりか局長の方が知っておるであろうと思うが、一体学校給食会というものは文部省とどういう関係があるのですか。
  124. 松浦周太郎

    松浦委員長 中澤君に申し上げます。給食課長が間もなくお見えになるそうです。
  125. 清水康平

    ○清水説明員 学校給食会は、学校給食会法に基く特殊法人でございまして、主としてこれは学校給食物資として指定されたものを坂り扱っておる一法人でございます。もちろんその中には学校給食物資としましては脱脂粉乳がございますが、それ以外に、農林省から本年二十万石の牛乳と乳製品をちょうだいいたして配給いたしておるわけでございますが、乳製品の方をやはり取り扱っております。
  126. 中澤茂一

    ○中澤委員 いや、そういうことばかり聞いているのじゃないのです。だれが役員であり、その役員の中に文部省の退職した人が入っておるのかおらないのか、そういう点を明らかにしてもらいたい。
  127. 清水康平

    ○清水説明員 学校給食会には理事長のほかに理事が五人だと記憶しておりますが、理事長は生悦住求馬という人でございますか、名前は忘れましたが、それから、理事の中に、大野瞬毅と申し上げましたか、という人がやっていらっしゃいます。それで、生悦住理事長は、昔内務省におられ、文部省に来られ、科学局長をいたされたことを記憶しております。その後、東京都の教育局長ですか、おやりになり、その後厚生省関係のいろいろな外郭団体に御関係になっておった方のように記憶しております。それから、もう一人の記憶のあります大野常務理事は、私の記憶間違いかもしれませんが師範学校の校長さんをやっておられたように記憶しておりますが、それ以外のことはちょっと私記憶しておりません。
  128. 中澤茂一

    ○中澤委員 この記事を全般的に概観してみると、これは何か政治的な意図のある記事なんです。どこまでも脱脂粉乳でやっていこうという一つの意図を持った記事になっているのです。私が給食会のことを尋ねたというのは、かつて巷間には脱脂粉乳をやみ流ししているといううわさもだいぶ流れました。そこで、私は、この記事を読んだとたんに、一つ政治的な意図を持った記事であるという考え方をしたのです。今聞いてみれば、文部省に関係した方はこの二人だというのですが、一体、この組織そのもの、それから、財団法人であるか社団法人であるか、財団法人であるとすれば、その財源はどこからどういう形で出資されておるのか、そういう組織上のことを明確にして下さい。
  129. 清水康平

    ○清水説明員 日本学校給食会は、学校給食会法に基く特殊法人でございまして、財団法人でも社団法人でもございません。それで、事務費といたしまして、年間千六百万円だけ国が補助されておりますが、それ以外は全部事業でもってまかなっておるわけでございます。そのうちの一番大きいのは、ただいま申し上げました脱脂粉乳と、今の乳製品の問題でございます。それは特別会計になっておりまして、もちろんその方の金から回すことはできないことになっております。
  130. 中澤茂一

    ○中澤委員 この学校給食会の年間の予算並びに決算はどのくらいの金額になっているのですか。
  131. 清水康平

    ○清水説明員 申しわけないのですが、正確なことは私記憶ございませんが、そういう事務費を除きまして、年間十億か十五億じゃないかと思っております。間違っておればまた訂正いします。
  132. 中澤茂一

    ○中澤委員 では、資料の要求をいたします。役員、それから役員の経歴、事業の内容、昨三十二年度の予算、決算、これを資料として農林委員会に提出していただきたい。
  133. 清水康平

    ○清水説明員 承知いたしました。
  134. 中澤茂一

    ○中澤委員 次は農林大臣にお伺いしますが、この記事を読むと、農林省が一方的にきめた、そういうものはわれわれの方は簡単にはのめない、こういうようなことを言っているのですね。これについて文部大臣と農林大臣がお話し合いになったことがあるのですかないのですか。
  135. 三浦一雄

    三浦国務大臣 まだ具体的にきまっておらぬものですから、そういう意味では具体案を持っていって相談するという段階には行っておりません。そこに相互に一つのそごがあったと思います。事務当局といたしましては若干の連絡はしてあったのですけれども、何しろ、関係方面とある程度まで話したのでなければ、どうだろうかと言っても、いきませんものですから、そういう意味では、まだ具体的なことの相談はいたしておりません。ただ、閣議のあとで、先般の会合のありました際に、この問題をお話したいということで意見の交換はしましたけれども、まとまった話にはなりませんでした。いろいろの感想は各大臣も述べられたのですけれども、さようなことでございます。
  136. 中澤茂一

    ○中澤委員 その点について、局長、どうですか。
  137. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 今年度の二十万石の問題につきましては、一—三月の十万石の問題も古くから十分にこれは御連絡をして参ってきたわけでございます。ただいま大臣が申し上げましたように、今問題になっております三十万石、あるいは三十万石以上、この問題につきましては、この数字が未決定でございますので、まだ向うには御連絡をいたしておりません。ただ、今年度のすぐ問題になりますバターでありますとか、あるいは全脂粉乳でありますとか、いわゆる繰り上げの買付、こういう問題につきましては、こまかい点まで事務的に御連絡いたしまして、仕事を始めるようにいたしております。今御指摘の、ここで問題になっております、あるいは酪農審議会あたりで議論が出ておりました三十万石の問題につきましては、まだ十分連絡はいたしておりません。ただ、一般的な話は通じてございます。三十万石のことについてはそういう事情でございます。
  138. 中澤茂一

    ○中澤委員 この新聞記事によると、「一方的に三十万石をと言われても、どうにもならない。」、こういう談話を発表しているわけです。今局長の方から聞けば、まだそういう具体的なものはあなたの方へ申し入れていないというのでしょう。そうすると、まだ正式に申し入れてもいないものに対して、こういう談話がどうして出るのですか。
  139. 清水康平

    ○清水説明員 談話のことについての内容はよく私存じておりませんけれども、酪農の問題については何とかしなければならぬという気分もありますので、きのうでございましたか、酪農審議会から答申があったということを承わっておりますので、こちらから答申の内容を知りたいと思いまして、それを見ますると、三十万石と書いてありました。それで知ったわけでございます。
  140. 中澤茂一

    ○中澤委員 そうすると、この談話も、あなたの言をかりれば、うそだということなんですね。そういうことでしょうここには、「一方的に三十万石をと言われても、どうにもならない。」とあるが、これは正式な申し入れば受けたわけじゃないんですね。
  141. 清水康平

    ○清水説明員 その新聞の内容については存じませんけれども、文部省といたしまして、また給食課といたしましては、数日来どのくらい牛乳を供給したらいいだろうかということは、私から課員の方に命じまして、大体どのくらいかということを指示しております。ところが、きょうになりますと、審議会の答申があったはずだというわけで、調査いたしました。酪農課長にお目にかかりましてお聞きしましたところが、三十万石だということを聞いたわけでございます。
  142. 中澤茂一

    ○中澤委員 そうなると、いよいよこの記事自体がおかしいのですよ。だから、ますます、私が感じたような、何か一つの脱脂粉乳を扱っていかなければ成り立たないという問題のあるところが、政治的意図を持ってあなたの下僚の人に発表さしたという形跡もあるのですよ。たとえば、先ほど大野さんが聞いたけれども、神奈川で校医がこういう不衛生なものは扱えないといって校医の辞退をしたということが書いてあるのですね。所管の厚生省は知らぬというのでしょう。それを、このカッコまでして書いてあるところを見ると、この同人が言ったことじゃないかと私は思うのです。ただし、これは自信のないことだから、上に新聞記事としてカッコして取り上げて、下に談話をつけたものだと思うのです。私も新聞をいろいろやった経験がありますが、どういう形でどういうあれをとったときにはどうやるかという一つの型があるのですよ。その型から類推するならば、明らかにこの発表は一つの意図を持ってやっておるのですよ。だから、あなたの下僚の中でこれを発表した人間というものは、明らかに何らかの政治的意図に加担して発表したものと私は断定しておる。だから、政務次官にどこまでも責任を追究しろと言うのです。そういうことで利害と文部省が結んで下僚が動くようになったら、日本の文部行政なんかもうめちゃくちゃですよ。ますますその意図が明白になってきている。どうです、局長はいま一度これを根本的に調査するという腹がまえはありますか。
  143. 高見三郎

    ○高見政府委員 私からお答えした方がいいかと思います。この問題につきましては、実は、一昨日、農林省側から非公式なお話ではありますけれどもこういう申し出があったということを局長から伺いました。そこで、これは実にいい機会だから、この際やろうじゃないか、積算の基礎がおそくなるかもしれないけれども、遠慮せずに大きな案を立ててみろということを指示いたしました。ところが、きょうこういう記事が出たわけなんですが、実は大臣がこの記事を見まして、心外だというわけで、省議を開いたわけです。その辺については、それじゃ一体だれが言ったんだということになってきますと、課員が言った問題で、課長も実は知らないような様子であったのであります。ただ、中澤さんの言われたように学校給食会と特殊な関係があるというよりも、むしろ文部省が一番困っていることは、このことによって牛乳に対する父兄の負担が倍になるということであり、一食十五円で上げようという今までの行き方の基本方針を守ろうとするのにはちょっと無理があるという問題が実はあるわけであります。本年一月に二十万石使うことになりましたために、一合当り一円かの負担が増したのですが、さらにまた三十万石ということになると、父兄の負担がそれだけ増すということになる。この点が一つ問題だということを事務当局が申しておりますから、私どもは、そんなことは心配することはないので、それは政府として考えればいい、諸君の方では、そういうことを考えないで、この際何十万石でも使おうという決心をしていったらどうか、ただ、農林省が余ったときだけ子供に飲ませて処分しようという考え方はまことに困る、年間コンスタントに飲ましてもらうという考えを貫かなければならぬ、そうなると脱脂粉乳がいいか全脂粉乳がいいかという問題もある、ある程度加工もしなければならぬ、加工品でなければ使いにくいという場合が出てくるかもしれぬ、それらの問題に一つ本格的に取っ組んで調査しろということを今大臣が指示して法務委員会の方に出席したわけでありますから、その辺のところはこの程度でごかんべん願いたいと思います。
  144. 中澤茂一

    ○中澤委員 それは政務次官の言う通りなんだか、何十万石使おうが——父兄の負担が重くなることを政務次官は心配している。そんな心配は要らないですよ。大政務次官の政治力は今こそ発揮すべきなんです。予算なんかは大蔵省から取ればいいのですよ。来年度はこれだけ飲ますぞということを農林大臣もはっきり言って努力しているのですから、何も事務官がそういうことについてとやかく言う必要はないので、あとは大政務次官の政治力の問題だ。  そこで、今政務次官はそう言われたが、これに対して農林大臣はどうお考えですか。めちゃくちゃに奨励しておいて、あと余ったら今度は文部省に押しつけるという、その考え方自体がどうも納得いかぬ。農林大臣、これに対していかんと考えるか。
  145. 三浦一雄

    三浦国務大臣 これだけ考えると、押しつけるということになりますけれども、そうじゃない。やはり、集団用も強く奨励してもらいたい、あわせてこの方策を推進したいということでございまして、同時にまた、文部省が御心配になっている実施上の難点があろうと思います。これは政府としては統一した考え方を取りまとめて実施に移したい、こういう考え方でございます。
  146. 中澤茂一

    ○中澤委員 まあ、幾ら言っても同じことだから、このくらいでこっちが旗を巻きますが、これは文部省も全部いるところで明らかにしておきたいのは、一番問題なのは、学校給食の場合、厚生省の食品衛生法なんだ。だから、食品衛生法について、この前環境衛生部長から当委員会で、酪振法のときの指示もあるのだしということでしたが、いろいろあれを研究してみますと、やはり規定とか政令をもって、相当施設をかけなければできないようにあれはしばってあるんですよ。だから、学校給食の場合、あるいは集団飲用の場合には、規定と政令に対して一つの特例を考える必要がありはしないか。この国会では間に合わないですが、いずれこの問題は尾を引きまして臨時国会まで持ち越す問題ですが、それについて、部長は、この際、特に九月からの牛乳の不需要期に入ったとき、規定と政令を何らかの特例でもって大きく広げようというお考えがあるかどうか。
  147. 尾村偉久

    ○尾村説明員 ただいままでも、脱脂粉乳を使っても、最後は乳製品といいますか牛乳を飲ましておることになりますので、一定の衛生措置は講じておるわけであります。今のなま乳を消毒して飲ますということにつきましては、今までも、特例というよりも、はずしまして、なま乳が非常に近くで得られる、しかも、農村等で、わざわざ遠くからそういう施設に運んでからまた還元するのは不適当な場合には、処理場の許可を得ないで、なま乳を直接学校に入れまして、みずから殺菌して飲ませることが可能な通牒を出しております。むしろ、今のお話ですと、都会地等で、たとえば直接埼玉県あたりから東京の学校までなま乳を運んできて、処理して自分で全部自家消費すれば伸びるのじゃないかという感じのように伺ったのでありますが、その必要は今のところないのじゃないか。それによって消費は必ずしもふえない。むしろ僻陣地の場合には全部適合するようにいたしておりますし、またさように指導いたしております。  それから、政令、省令ではこれらの施設基準というものは一切掲げていないのでありまして、今までは、製造方法について、低温殺菌の場合はこう、高温殺菌の場合はこうというのが、牛乳の省令の別表で規定しておるということであって、あとは府県知事にまかしておるのでございます。これは府県の知事が法律に適合するように適宜やる、それらの府県知事のよりどころのために、今のような集団給食の指示を出しておる、こういうような格好になっておるわけでございます。
  148. 中澤茂一

    ○中澤委員 この前もあなたの答弁で満足しているのだけれども、それが実際現地へ行くと違うのですよ。どういう面で違うかというと、これもやはり政治的ないろいろな問題がからんでいるのです。それはどことは言いませんが、その地区々々の乳業メーカーが相当に県の衛生部へ食い込んでおるのですよ。私は具体的に長野県のひどい例まで知っておるのです。一人やめさせましたが……。だから、あなたの通牒だけでは、やれといっても実際できないのですよ。だから、それならそれで、省令の規定の中にある自記温度計をつけた殺菌器を使って、その記録を三カ月保管しろとか、ああいう問題はやはりはっきりした省令の改正でやってもらわぬと、末端へ行くとそれがどうしても違うのですよ。事実は三十万から四十万かけなければ使わせないようにしているのですよ。私の言うことがうそだと思ったら、末端をお調べ願います。末端を調べてみればわかるように、事実上、やりたくても、その省令で縛るようないろいろな規定があるために、県の衛生部では、最低これだけの施設はしなければいかぬということになってしまうのです。そこに問題があるのです。だから、根本的に、省令自体をその場合だけは何らかの特例でもってやっていこうという方法を考えてもらわぬと、現実はだめなんですよ。そういうことがもしうそだと思ったら、実態調査してもらえばわかりますよ。村でも学校でも、やりたい。村で生産しているものを、こんな安値では何も売りたくない、学校でやってくれるなら、村の乳を学校に背負っていって子供に飲ませたい、こういう考え方があるのだけれども、僻村になれば、御承知のように、学校が三カ所も四カ所もあるわけです。それに三十万、四十万は、今の村の自治の財政上の窮迫ではとうていかけられないというところに、行き詰っている点があるのです。だから、どうでしょう、それを通牒じゃなくて一部特例的な省令改正といつうことで考えませんか。
  149. 尾村偉久

    ○尾村説明員 今の学校給食で、あるいはわれわれの方が知らないで、もし現実にさような、施設に多額を要しなければ、せっかく村でできたなま乳を学校給食に使えないで、むしろそのために外に出さなければいかぬということがあれば、これはわれわれの意図するところと反しますので、現実に支障を来たしている実情をよく調べまして、それを十分研究いたしまして、是正する必要がある部面は是正したいと思います。
  150. 芳賀貢

    ○芳賀委員 関連して……。  文部政務次官にお尋ねしますが、先ほどの答弁の中で、従来学校給食に向けているアメリカから輸入している脱脂粉乳と、今回の牛乳消費の緊急対策によって三十万石学校給食に増加して向けるという問題と関連が、何か混同されているように聞えたのです。政務次官のお考えは、従来のアメリカから輸入して用いている脱脂粉乳を減らして、それに今度新しくふやすところの国内の牛乳を置きかえることになるから、それで問題がある、あるいは費用の面においても父兄の負担が高まるというようなお考えの上に立って答弁されたのですか。
  151. 高見三郎

    ○高見政府委員 私の答え方が、あるいは説明が足りなかったかもしれませんが、私はそういう考え方ではございません。従来の脱脂粉乳のほかに三十万石余分に使おう、その場合、脱脂粉乳は値段が非常に安い、そこで、本年一月から二十万石使いました場合に、一合当り四円の補助金を国から出すことになるわけですが、四円でありますと、それでも脱脂粉乳よりはまだ高くつくということになる、脱脂粉乳は一合当りがたしか一円三十四銭くらいであったかと記憶しておりますが、なま乳でありますと、四円の補助をもらっても、平均いたしますと六円六十六銭でありますから、二円六十六銭というものが父兄の負担になる、そこで、脱脂粉乳の場合よりはちょうど倍の一円三十何銭というものが父兄の負担が高まる、こういうことを申し上げたつもりであります。
  152. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、現在の全国的な学校給食の趨勢を見ると、ほんとうに給食をやっているのは、小学校の場合でもまだ六〇%、中学校の場合には大体一〇%程度です。ですから、今後消費拡大をやるという場合においては、学校給食の制度というものができているのだから、いまだ学校給食を全然実施していないという面に大きく拡大する余地はずいぶんあるのですが、これを機会に、こういう点に対してはどういうお考えを持っておりますか。
  153. 高見三郎

    ○高見政府委員 御指摘の通りです。そこで、私どもとしては、いい機会だから、この機会に学校給食を一飛躍させたいという気持を実は持っているわけです。ただ、財政の都合もありますから、それがどこまで伸びるかということはお約束できませんけれども、学校給食法ができまして、今日まで、まことに微々たる歩みをしているという際でありますし、それから、学校給食の拡充と同時に、国民の食慣習をどう持っていくかという問題を基本的に今考えなくてはならぬ問題があるのではないかという観点に立って、この問題をできるだけ拡充しようという方針で進んでいるわけであります。
  154. 芳賀貢

    ○芳賀委員 学校給食法の内容は、単に学校の生徒に給食するというだけが目的じゃないと思う。この学校給食を通じて教育目的に何かを期待しているということが、この中にも明らかになっております。そういう点はどうですか。これは局長でもどっちでもいいです。
  155. 清水康平

    ○清水説明員 学校給食は教育的意義がきわめて重大でございますので、年を経るに従って給食人員はふえて参ったわけでございますが、それとは別に、また国民の食糧改善という点からも重要な意義もあるばかりでなく、学校給食によりましての生徒、児童の体位の向上という点からもきわめて意義のあるものでございますので、今後、ただいま御指摘の方面の、特に中学校は一〇%ぐらい、夜間の青年学校のこともございますので、そちらにも力を注いで六〇%、また、小学校につきましても、特に農山漁村の方に大いに普及しなければならぬと思っておる次第でございます。
  156. 芳賀貢

    ○芳賀委員 参考までに、特に学校給食法の第二条に学校給食の目標がうたわれておる。この中の第三号には、「食生活の合理化、栄養の改善及び健康の増進を図ること。」、第四号には、「食糧の生産、配分及び消費について、正しい理解に導くこと。」、こういう点は、やはり学校の集団的な給食を通じて、小学校においては無理かもしれませんが、たとえば中学校等においては、わが国の食糧の生産状態がどうなっておるかとか、それから食糧の需給関係がどうなっておるかとか、そういうことについて正しい理解を与えなければならぬ、導かなければならぬということがうたわれておるわけですね。ですから、こういう点からもやはり問題があると思うのです。たとえば、現在まで学校給食の脱脂粉乳はほとんど全部がアメリカに依存しておる。アメリカから全部輸入して、そしてこれを学校給食に向けておるわけですね。ここにやはり教育を通じての疑問があると思うのです。どうして自分の国で給食用の粉乳が生産されないのか、なぜアメリカからこれを買ってきて学校給食に用いなければならぬかという、教育を通じての生従たちの疑問というものはやはりここに現われてくると思うのです。そういう場合において、現在、国内における酪農、あるいは牛乳の生産とか、あるいは需給関係を見た場合において、すでにもうことしは大体年間の生産が牛乳で八百五十万石、そのくらいの生産で、国内においては需給がアンバランスになって、過剰傾向になっておるのですね。ところが、一方において、アメリカから、先ほど局長が言った通り二万五千トンの粉乳が輸入される。これは牛乳に換算すると百七十万石、日本の全牛乳生産量の五分の一を外国から買っておる、こういう事実とか矛盾というものをやはり生徒に理解させる必要があると思うのですが、こういう点に対しては、学校給食を通じて何らかの具体的な教育というものを実際に行なっているのですか。
  157. 清水康平

    ○清水説明員 給食は、単に給食に終ることなく、教育的意義から考えなければならぬということは、御指摘の通りでございます。栄養学の立場から、あるいは日本全体の食糧状態酪農全体の方面から考えていかなければならぬというわけで、要するに、私どもは、学校給食は、今おっしゃいました教育的な意義をより一そう深めると同時に、体位の向上、それから国内産業の振興、この三つが大串だと思っている次第でございまして、今後この点につきましては十分意を注いで努力して参りたいと思っておる次第でございます。
  158. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、給食の場合の粉乳あるいは牛乳の場合、長短はもちろんあると思いますが、ただ、一番問題は、値段が安いからといって、脱脂粉乳はいつまでもアメリカだけに依存して、これを輸入して使わなければ学校給食にならぬのかという問題かと思います。値段さえ安ければ、自分の国内の酪農農業が破壊されて、その生徒の観たちの農民が塗炭の苦しみを受けても、学校給食をやるためにアメリカの余った乳製品を買ってきてやらなければならぬかというところに根本的な問題がある。ここに政治の貧困があるわけです。ですから、これをやはり明らかにする必要があると思う同じ粉乳を使う場合には、余っている外国の安い粉乳を買うよりは、日本の国内の脱脂粉乳は前年に対して五十%ぐらい生産が高まっているわけですから、外国の粉乳を日本の国内生産の粉乳に置きかえる形で学校給食を恒久化していくということが非常に大事な点だと思うのです。  それから、財政の問題、父兄の負担の問題ですが、これは、国の責任において、父兄に負担をかけてはいけない。特に、義務教育諸学校法律に基いた学校給食の場合は、全額国が負担して、何ら父兄に負担をかけることなく給食するというのが建前だ。ところが、今の政府は非常に教育についても考え方が貧困であるからして、一部父兄負担ということになっていると思うのですが、この点は、文部当局としては筋を通して、あくまで全額国費負担という建前の上に立って学校給食を速急に拡大するということなれば、問題の根本的な解決はつくと思います。その点はどうですか、政務次官にお伺いしておきます。
  159. 高見三郎

    ○高見政府委員 お答えいたします。お話のような形のものができることが最も望ましい姿でありますが、御承知のように、アメリカから脱脂粉乳を協定によりまして昭和三十五年まで買うことになっております。そういう点で、私どもも、日本でこれだけ牛乳が余っている際だから、できるだけ買わなくていい方法を考えようじゃないかというわけで、アメリカとの協定の義務量は一万九千トン、義務量をこえております分が大体三千トンばかりあるので、これは要らぬじゃないか、われわれは最低の義務量だけは協定の関係があるから取らなければならぬが、義務量をこえる分については、値段が安い高いの問題ではなくて、要らぬじゃないかという考え方をいたしておるのであります。お話のように、むろんこれを全額国庫負担でやるということは、これは日本の国の財政全体とにらみ合して考えなければならぬ問題でありまして、莫大な金額に上ります関係もありますので、できるだけ早くそういう時期の来ることを私どもも心から念願をいたしておりますけれども、これは一朝一夕に解決する問題ではありませんが、ただいま御意見の趣旨については私どもも同感であります。できるだけそういう事態を作るように努力いたしたいと考えているわけであります。
  160. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に農林大臣にお尋ねしますが、今文部政務次官のお話によりますと、昭和三十五年まで日米間における協定によってアメリカの脱脂粉乳を買い付けなければならない義務がしょわされており、しかもそれは一万九千トンということでありますが、この三十五年までのわが方における買付の義務というのは、どの協定が根拠になっているのですか。たとえば、第三次余剰農産物の協定がまだ三十五年まで契約が延長されている分があるとか、あるいはMSAの農産物の関係もすでに終っていると思いますが、この点についての協定の内容とか数量もこの機会に明らかにしていただきたい。そのことは、本日も、当委員会の決議に対して、農林大臣から、乳製品の輸入計画の変更あるいは削減をはかるというような言明がありました。非常にこれと重大な関係を持っておりますので、この点について明確な説明をお願いします。
  161. 三浦一雄

    三浦国務大臣 協定の経緯と内容を政府委員から説明させます。
  162. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 これは学校給食の関係でございますので、あるいは文部省の方からお答えを願うのが筋かと思いますが、四カ年の間に漸次贈与分を減らしましてやっていく、そして学校給食のワクそのものは減らさないようにしようというような趣旨のものであったと思いますが、四カ年の計画で合計いたしまして……。
  163. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それはどういう協定があるのですか。
  164. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 これは余剰農産物の協定の別途協定にたしかなっておったと思います。
  165. 清水康平

    ○清水説明員 昭和三十年五月三十一日に署名せられました米国余剰農産物に関する日米協定に基く農産物の贈与の細目取りきめに関する日米交換公文によりまして、学校給食用の小麦と脱脂ミルクの贈与を受けておるのでございます。それで、小麦は四カ年通じまして二十五万トン、それから脱脂ミルクは一万八千七百五十トンということになっておりますが、その際の協定によりまして、脱脂ミルクは農産物に関する日米協定に基きまして年間一万九千五百トンの脱脂ミルクを下回らない数字において学校給食をしなければならないというようなことがございます。現在二万五千トンを入れておりますので、その点一万九千五百トンを上回っておるわけでございます。従いまして、実は、ここへ参ります際に、大臣、政務次官その他といろいろ事務打ち合せをしておったのでございますが、その辺の範囲内において、牛乳が一ぺんに三十万石は夏休みなどがありまして取り入れられない場合は、これを脱脂粉乳に加工したようなものに取りかえることができないものかどうかということまでも検討しておったような次第でございます。
  166. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農林大臣にお尋ねしますが、これは別途協定だというのはどういう意味なんですか。学校給食関係のことは別途に協定されておるというのは、余剰農産物の全体の中の細目にこれがあるのですか、別途にあるのですか。
  167. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 これは余剰農産物協定の原文がございませんのでちょっとはっきりいたしませんが、学校給食のための一つの条文がございます。贈与計画の条文があるわけであります。余剰農産物のほかの、いろいろ議論になっておりましたあの条文とは少し別の、学校給食のための贈与計画の中に入っておる案件でございます。
  168. 芳賀貢

    ○芳賀委員 しかし、これは、年間一万九千五百トンを下らざる数量というのは、全部が贈与じゃないでしょう。
  169. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 年間大体一万九千五百トンというワクで仕事をやっていく、しかし、これを贈与せられますのは、先ほどお話がありましたように、ミルクにおきましては初年度に七千五百トン、二年度が五千六百二十五トン、三年度が三千七百五十トン、四年目が千八百七十五トンというふうに、贈与分が漸次減退いたしております。従いまして、そのほかに国内もしくはアメリカ等の海外のものがつけ加わりまして、大体年間一万九千五百トンのワク内で学校給食を続けていくということになっております。従いまして、事実上は、贈与分のほかに、アメリカからのいわゆる安い脱脂粉乳、これは贈与ではありませんで、ただではございませんが、安い脱脂粉乳が入っておる。ときには、アメリカからの脱脂粉乳で足りませんで、オランダから入れておる例も一、二度あったかと思います。そういうような状況で、毎年やりますこの学校給食のワクの中で、贈与分が漸次減少していき、そうして一般輸入あるいは国内産をもって振りかえる、こういうもののワクが漸次ふえていっておる、こういう取りきめになっております。実際上は、学校給食全体のワクがふえましたために、一万九千五百トン以上のものが最近になってあった、こういうことになっております。
  170. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですから、一万九千五百トンというのは、その中に贈与分も含んでいるでしょうそれが四カ年間というと、結局三十四年度で終るのじゃないですか。協定が三十年ということになると、両国間の信義上、三十四年のあともう一年だけは一万九千五百トンは買付をしなければならないということですか。その辺を明らかにしてもらいたい。
  171. 高見三郎

    ○高見政府委員 私の説明が悪かったのですが、余剰農産物の協定は、三十年の五月一日に署名をいたしました。それから細目取りきめの交換公文は三十一年の五月一日から発効いたしております。それから四年ということでありますから、三十五年の五月一日まで有効ということになるわけであります。
  172. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうすると、一万九千五百トンが最低限度ということになると、本年度の輸入計画はこれを限度として、この超過分は削減とか計画変更は随時できるわけですね。
  173. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 現在は脱脂粉乳の輸入は学校給食会が一手にやっております。飼料用の脱脂粉乳は別個でありますが、いわゆる学校給食によります輸入というものは学校給食会が一手にやっておる。これは私よりも文部省の方からお答え願った方が適当かと思いますが、その計画が、本年度約二万五千トン、その中で七月中に到着いたすものが一万トン、今後発注いたすものが残り分、こういうように聞いております。
  174. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、その点について政務次官にお尋ねしますが、この国内における過剰傾向とか、いろいろな不安が醸成されておるわけですから、でき得れば輸入粉乳は大幅な削減とか輸入制限をすべきだと思うのです。しかし、国際信義上一万九千五百トンは下回ることができないとすれば、この一万九千五百トンにとどめて、残余の分は今後適切に数量の調整をはかるということは可能であると思いますが、いかがですか。
  175. 高見三郎

    ○高見政府委員 その問題については芳賀さんの御意見と同じような考え方を私どもも持っております。ただ、それを算術計算で一万九千五百トンにとどめることができるかどうかということは今後検討してみなければなりませんが、先ほども、その問題について、国内でこれだけ余っておる際に、できるだけ減らそうじゃないかという話が実はあったわけであります。なるべく、芳賀さんの御意見のように、国内でできるものを使うように持っていきたいと思いますが、御承知のように、価格の面において非常な開きがあるわけであります。一ボンド四セントという脱脂粉乳をよこしておるわけでありまして、日本の金にいたしますと、一ポンド十四円四十銭、アメリカの市場価格においても一ポンド六十円いたしております脱脂粉乳を、十四円四十銭でよこしておるところに、なかなか困難な事情があるわけであります。しかし、御趣意のあるところは私どもも痛切に感じておるわけであります。今後十分考えてみたいと思います。
  176. 中澤茂一

    ○中澤委員 その点は、これは九月には臨時国会が召集になりますから、三十万石の牛乳を学校給食に増量して消費する分と、それからまた、計画した脱脂粉乳を一部国内の脱脂粉乳と置きかえられるような場合において、それらは父兄に負担させることなく、やはり差額分は国の負担でやっていくというような計画を早期に立てて、これは当然予算の編成等も必要になると思うので、その点は今から十分農林省、文部省とも緊密な連絡をとって臨時国会において堂々と必要なだけの補正の要求をして、そうして本年度の予算の補正をしてこれを解決するようにすればいいと思うのですが、いかがですか。
  177. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 今の御趣旨のようなことで大蔵省等と交渉すべきものと考えております。  それから、先ほどの御質問の、毎年やりまする学校給食の一万九千五百トンのワクの贈与分以外のものの問題に関しましては、これは、国内で充当する、あるいは海外のものを輸入して充当する、この点、われわれ、たしかきめははっきりしたものはないと思っております。従いまして、国内のものをかわりに使ってよろしい、こういうことに私たちは了解しております。
  178. 三浦一雄

    三浦国務大臣 農林省所管として予算を計上しなければならぬ建前のものでございます。従いまして、よく文部省当局とも打ち合せ、財務当局とも緊密な連絡をとって、解決するようにしたい、こう考えております。
  179. 中澤茂一

    ○中澤委員 給食課長がおいでのようだから、結論をつけたいと思いますが、きょうの新聞記事はお読みですか。
  180. 平間修

    ○平間説明員 先ほど読みました。けさ大へん忙しかったものですから拝見できず、午後初めて拝見しました。
  181. 中澤茂一

    ○中澤委員 これを読んで、あなたの所感はいかがですか。
  182. 平間修

    ○平間説明員 私の趣旨と相当違うように現われております。私の話した趣旨と違うように現われているのであります。
  183. 中澤茂一

    ○中澤委員 あなたの趣旨と違うというが、大体あなたが発表したのですね。
  184. 平間修

    ○平間説明員 名前はちょっと忘れましたが、産経の記者の方が見えて、私五、六分会いました。
  185. 中澤茂一

    ○中澤委員 では、これは明らかにあなたが発表したのでしょう。
  186. 平間修

    ○平間説明員 発表したといいますか、特に発表というわけではございませんが、そういう話をいたしました。
  187. 中澤茂一

    ○中澤委員 あなたの趣旨と違うというが、これはあなたが明らかに言っているでしょう。では、趣旨はあなたの言ったこととどういうふうに違ったのです。
  188. 平間修

    ○平間説明員 土曜日であったと思います。土曜日にそういう何か三十万石をふやす計画があるようだがどうだろうかというような話を新聞記者がいたしました。それを、私は、三十万石という数字はそれまで実は正式には知っておりませんでした。従って、三十万石というのは、私どもそれに対しましては何もかれこれまだ言う段階ではもちろんございませんでした。ただ、三十万石をかりに受け入れるとすれば、価格の点の問題やら、それから栄養の点においても問題があるというような意味で、直ちにそのままそれを、はいさようでございますか、それは受け入れましょうというようなことは、いろいろ研究した上でないと言えませんと、こういう趣旨のことを申したように思っております。
  189. 中澤茂一

    ○中澤委員 あなたが一体そういうことを言う権限がありますか。現在、御承知のように、当委員会としては、この国会中繭の問題とこの問題に集中して連日連夜やっておるのです。これは大きな政治問題なんです。これは、両大臣によって話し合いをつけて、しかる後にあなた方はものを言うべきことなんです。だから、あなたが今言った栄養の点に問題があると言えば、ちゃんとその上の記事にカッコして記事になっているでしょう。それによって、われわれがこれだけ熱心にこの乳業危機をどう打開するかと努力していることが全くふいになっているのです。これによって乳業界はまたすぐ策動を始める、そういう大きな政治問題になっていることを、あなただって、毎日の新聞で御存じでしょう。繭糸価格と乳業問題は産業面で取り上げているでしょう。この発表の責任をどうしますか。
  190. 平間修

    ○平間説明員 そういうようなことにとられますのは私の不徳のいたすところで、大へん遺憾に思います。それほどまでの気持でなく、三十万石を受け入れるとすれば、いろいろ研究した上でないと、直ちにそれは受け入れることができないという私の気持を申し述べたわけであります。
  191. 中澤茂一

    ○中澤委員 三十万石受け入れるとか受け入れないということは、あなたにものを言う権限がありますかと言うのです。それは今政治問題なんです。委員会としても、農林大臣も、血道を上げてやっている問題なんです。三十万石を受け入れるか、五十万石を受け入れるか、まだトップ・レベルの話し合いさえついていないのです。それを、うかつに、三十万石受け入れできない、栄食に問題がある、そういうことをあなたが言う権限がありますか。このことについて責任をとりましょう。
  192. 平間修

    ○平間説明員 その三十万石なり何万石なりを受け入れるかどうかということについて、私は権限はないと思います。むしろ、そういう話が出ましたので、かりにそういうものを考えてみるとすれば、そういう問題で今直ちにどうだということは言えないということの気持でございます。
  193. 中澤茂一

    ○中澤委員 私も新聞の経験があるが、あなたがそう言っているなら、ニュース・ソースとしては字にならぬのです。あなたが明らかに言っておるのです。言っておるから記事になったのです。あなたが当委員会で言っているようなことなら、いかなる邪推を回す新聞記者でも、字にならぬです。明らかにあなたが言ったことをそのまま書いているのじゃないですか。当初とは趣旨が違うとか、そういう詭弁はやめましょう。それよりか、責任をどうするのですか。そうして、政務次官も局長もうそをついたということですよ。明らかに白状しているじゃないですか。さん、ざん調査したがわからない、そういう無責任な話はないでしょう。(「あやまればいいのだ」と呼ぶ者あり)あやまっても済みませんよ、こんな重大な問題を。三十万石か五十万石かまだきまっていません。ただ、当委員会として、今まであらゆる需給のバランスから考えて、ここで三十万石の滞貨の解決をするために、乳価維持や消費者価格を引き下げることを政府政治的にやってもらうということで連日やっているのです。その途中において、あなたがこういうばかなことを言って、しかも、あなたが言ったから、こういう大きな字で、文部省は反対だ、こう出ている。一体そんなことをあなたに言う権限がありますか。とにかく、この責任をどうしますかと言うのです。責任を明らかにしましょう。
  194. 高見三郎

    ○高見政府委員 給食課長がそういう発言をしたということは、私も実はここで知ったわけであります。私は、実は先ほどの省議の席で、一体だれが言ったかという話をしてみたのですけれども、言った人がないということだったのですが、給食課長がそういうことを発言いたしたといたしますれば、これは他意あって言ったことではないだろうと思います。おそらく、そういう話を突然聞かされても今すぐ返事はできないという意味であったのじゃないか。文部省の方針は先ほど申し上げ通りであります。どうぞその点で一つ御了承いただきたいと思います。
  195. 中澤茂一

    ○中澤委員 それは、政務次官の立場もわかるし、それはわかりますよ。わかるけれども、こういう一番大きな政治問題を、一事務官僚が、トップ・レベル会談がまだ具体的に済まないうちに、そんなものは受け入れられるかというような、これは明らかに責任を追及しなければいかぬと僕は思うのですよ。それはそうでしょう。僕はどこまでもこの問題は責任を明らかにしてもらいたい。信賞必罰を明らかにしないところに今の綱紀の紊乱がある。疑獄があり汚職があるのです。だから、責任を明らかにしてもらいたい。政務次官、どうです、責任を明らかにする意思ありやいなや。
  196. 高見三郎

    ○高見政府委員 責任を明らかにするということになりますと、責任の明らかにしようもいろいろあります。一つ十分注意をいたしておきますから、あとの仕事でごかんべんを願いたいと思います。
  197. 中澤茂一

    ○中澤委員 それは責任を明らかにするには仕方が幾つかあります。それはあなたのおっしゃる通りと思います。思いますが、少くともこういう重大な——この臨時国会においてわれわれが取り組んでいるのは、正直な話、当面した大きな農政問題としては繭と牛乳だけなんです。それだけ大きな政治問題を、課長が勝手に言って、それを政務次官が適当にうまくやるべえという話はうまくない。だから、これはどこまでも責任の所在を明らかにすべきであると私は考える。これはあなたの一存にもいかないでしょうが、大臣と——文部大臣の出席要求をしているのですが、お見えにならぬけれども、大臣と話をして、明らかに責任をとってもらいたい。さもないと、今後もこういう問題でもって事務当局が一々勝手なことをしゃべくっちまう。まだこっちは具体的にトップ・レベル会談もできていないというときに、しかもこういう大きな見出しで——課長は困ったと思っていろいろなことを言っているが、相当しゃべくっているのですよ。明らかに成分にいろいろあれがあるというようなことをちゃんとカッコして書いてある。カッコして書くときは、この人がしゃべったのを書くときとか、ほかの人のしゃべったのを書くときとかでなければ、新聞記者はカッコしないのです。必ず聞いた言葉をカッコしているのです。これは明らかに課長が言っている。当委員会ならこれはとうに課長の不信任案が満場一致で可決です。どうです、いま少し信賞必罰を明らかにするという意思ありゃいなやです。
  198. 高見三郎

    ○高見政府委員 十分注意いたしておきます。     〔「文部大臣はまだ来ないがどうした」と呼ぶ者あり〕
  199. 松浦周太郎

    松浦委員長 要求しておりますけれども、まだお見えになりません。
  200. 中澤茂一

    ○中澤委員 局長はどうしますか。
  201. 清水康平

    ○清水説明員 先ほど申し上げました通り、こういう話をしたのかと申しましたら、こういうふうには何も言っておらない、とにかくわれわれは酪農との関係でどういうように給食を拡大していくかという線に沿って努力しているので、こういうことは正式には何にも言っておらないということでございます。方針といたしましては、ただいま政務次官がおっしゃいました通り、数日前からこの問題については私どもは苦心いたしておるのでございまして、何らかの方法で今後その面にますます全力を尽して参りたいと思っておりますので、お含み願いたいと思います。
  202. 中澤茂一

    ○中澤委員 あなたの今の答弁の問題とは違うのですよ。それは、われわれだって、消費増大をしてもらうために、実はこういう問題が起きる前に、どうやってPRをして消費増大をやろうかということで、実は当委員会に文部省から来てもらうという話に土曜日になっておるのですよ。そのやさきでしょう。そんなことはわれわれだって努力しなければいかぬという責任を感じておる。しかし、この責任とは別なのですよ。だから、その責任に対して、局長は、自分の下僚がこういうまことにけしからぬ不始末をした、これに対してどういう責任をとるということだけははっきりしましょう
  203. 清水康平

    ○清水説明員 文部省の方針としては、課長も課員もよく存じておったのでございますが、新聞記者とのやりとりにそういう事態が生じたということは、私の種々監督の不行き届きの点だと思っております。この点は私は責任を負わなければならぬと思いますが、事情は、先ほど申し上げ通り、そういう意味合いで言ったのではなかったようでございまして、まだきまっておらないが、もしそれを受けるようになったらどうするか、それはまだきまらぬうちはどうなるかわからないというつもりで言ったのが、そういうふうになったのはまことは遺憾に思いますが、そういうことのないように、今後十分監督その他注意いたして遺憾のないようにいたして参りたいと思います。
  204. 中澤茂一

    ○中澤委員 しつこいようですが、どうも、局長、それは詭弁だよ。これは、あなたはそう言うけれども、あなた自体だってそうでしょう。やはり秩序を維持してきちんとしたあれでやるというには、とかく中央官庁には大きな政治問題がからんでおるのですから、少くとも文部省において政府当局が何らかの意思決定をするまで、下部官僚が三十万石受け入れられないというような断定的なことを言うということは、これをそのままほうっておいていいですか。僕はこの際ほうっておくべきじゃないと思う。局長、どうです。
  205. 清水康平

    ○清水説明員 よって来たった原因は、要するに私の不徳のいたすところでございますので、今後十分注意し、二度とこういうことのないようにいたしたいと思います。
  206. 中澤茂一

    ○中澤委員 局長は自分の責任を感じていますか、どうですか。それはそうでしょう役所というものはだんだん上の人が責任をとるために下から判こをついてくるのでしょう。判こをつくというのはおもしろ半分や何かでついているのじゃないでしょう。だんだん下からついてくるというのは、間違いが起きたときは責任をとるというのでついているのですよ。さもなかったら役所のあんな判はやめたらいいのです。私はそう思うのですが、あなたは自分の責任を感じますか。まあ辞表を出せとまでは申しませんが、文部大臣と政務次官に何らかの意思表示をする意思がありますか。
  207. 清水康平

    ○清水説明員 言葉のそごその他からこういう事態を生じたということは、ひっきょう私の監督責任の問題でございまして、今後責任を完全にする意味におきましても、先ほど政務次官がおっしゃった線に沿うて努力して参りたいと存じております。
  208. 中澤茂一

    ○中澤委員 そういうことを言うから私はどこまでも食い下るのですよ。言葉のそごじゃないじゃないですか。明らかに課長が言っておるじゃないですか。三十万石は困る、——新聞はカッコしてあるのですよ。これは成分に問題があるということを言っておるじゃないですか。それを、言葉のそごとか、そういうことを言ったってだめですよ。そういうことはよけいなことですよ。あなたが責任を感じ、それに対して何らかの方法を考えているということなら、それでいいのですよ。それで幕は終るのですよ。それを、言葉のそごだとか、あるいは新聞記者がうそを書いたのだと言うならば、はっきりしましょう。あした新聞記者の皆さんと対決させましょう。文部大臣もあした呼んで、ここで事の真相を明らかにしましょう。どうです、局長。
  209. 清水康平

    ○清水説明員 こういう事態が発生いたしましたことは、各方面に影響を与えまして、まことに遺憾しごくに思っている次第でございます。体育局長といたしましても相当責任は感じておる次第でございまして、今後これに対しまして微力でありますが極力邁進して参りたいと思います。
  210. 中澤茂一

    ○中澤委員 あとは関連質問で大いにやってもらうとして、三十万石で一円三十銭の相違ですから、三十万石今後お宅の方でPRをして広げてもらうとして、一円三十銭の差ですから四億あればいいわけです。お宅の方の学校給食予算を四億増額して——なま乳と脱脂粉乳との差額が一円三十銭ですから四億あれば間に合うわけです。それは、政務次官として、もう九月から予算編成にかかるし、臨時国会の補正予算なりで、一つこの四億なり、四億以上十億くらい請求して取るというお考えはありますか。
  211. 高見三郎

    ○高見政府委員 これは四億ではございません。というのが、六円六十六銭のうちで、四円はすでに補助金が入っておりますから、これに一円三十幾らを加えるわけでございますから、五円幾らのあれになります。それで三十万石ということになると十五億くらいになると思いますが、この予算は御承知のように農林省予算に組まれております。
  212. 中澤茂一

    ○中澤委員 そうすれば、約二十億あればいいわけです。安いもんですよ。これは二十億で食生活の改善ができる。子供のときから乳を飲ませれば、今の米食偏重からのがれる、体位はどんどん向上する、これは安いもんですよ。蚕糸などはたちまちの間に百五十億出したでしょう。日本の国民の青少年の将来を考えれば、二十億くらいは安いもんです。どうです、これを一つ絶対、大臣はどう言っても、おれががんばって取るというだけの御意思はおありでしょうか。
  213. 高見三郎

    ○高見政府委員 この予算は農林省所管の予算になっております。私どもは、農林省の方からぜひ一つやっていただきたい、かように考えております。
  214. 中澤茂一

    ○中澤委員 学校給食の補助金は農林省の予算ですか。生乳ですよ。
  215. 高見三郎

    ○高見政府委員 今度の分は一月の分も補助金予算を農林省予算に組んでおられます。
  216. 中澤茂一

    ○中澤委員 その場合、文部省の方ではPR運動をやって、どこまでも三十万石というものの倍加運動をやっていくという御意思はありますか。
  217. 高見三郎

    ○高見政府委員 これは国の財政全体の問題もありますけれども、私は、先ほども申し上げたように、財政の許す限りにおいては、何十万石でも、一つ文部省としては引き受けなければならぬ。ただ、全体のにらみ合せの問題もありますから、二十億は安いものとおっしゃいましても、なかなかそう二十億という金は容易な金ではございません。私ども文部省の立場から言えば、この際ぜひ一つやらしてもらいたい、こういう考え方を持っております。
  218. 中澤茂一

    ○中澤委員 それでは、あと足鹿君もありますし、この辺でやめますが、とにかく、政務次官が先ほど申したように、どうも勝手に生産増大をやっておいて、あとのしりふきは文部省がやれというようなことは納得がいかぬ、これは私は文部省の立場とすればごもっともな点もあると思います。しかし、これは全体的な日本の農産物価格の問題、それから日本の将来の食生活改善の問題、そういう大きな角度から考えて、先ほど政務次官の言われたような、偏見じゃなくして、文部省というセクトの中へ政務次官が閉じこもらずに、もっと大きな角度から、文部大臣ともよく相談して、農林大臣と相談して、何とかこの受入れ体制を作ってもらいたいということを最後に希望いたして、私の質疑を終りといたします。
  219. 松浦周太郎

    松浦委員長 足鹿覺君。
  220. 足鹿覺

    足鹿委員 もの大体尽きたと思うのですが、農林大臣に最初一つ伺っておきたいのです。今までの論議の結果から見て、この酪農の問題に限らず、すべての日本の農産物が外国の農業との関係において非常に密接な関係を持っておるというところに非常に問題があると思うのです。かてて加えて、MSAの問題、あるいは余剰農産物の問題、また、その別ワクに基く日米の協定によって、現在問題になっておる脱脂乳の問題等も出てきております。こういうところから見ました場合に、一番問題になるのは、日本の農産物との競合関係にあるものに対して、農林省の基本的な方針なり態度が今後打ち出されないと、これは終始問題があとへ残って、そして解決されないままに大きくその尾を引いていくと思うのです。当面今問題になっておる酪農対策の面から言って、乳製品の輸入禁止の問題が一応問題になっておると思うのです。乳製品と申しましてもいろいろな品物もあると思うのですが、日本において過剰傾向を来たしておるときに、たとえば肉類を始め次々と輸入が行われておる。こういうことは矛盾もはなはだしいと思うのです。この際、農林省としては、国内の消費増大対策ということもさることでありますが、競合関係にある農産物、なかんずく酪農関係の乳製品の輸入に対する基本的なお考え方を明らかにしていただきたいと思うのです。
  221. 三浦一雄

    三浦国務大臣 外国の農産物と国内の農産物との関連において今の指摘でございましたが、今の学校給食に伴いますものは、これはある程度の約束がございますから、直ちに全部禁止するというわけにも参りません。しかし、一万九千五百トンの範囲内で給食すれば、グラウンドの分は別として、国内であろうと外国のであろうとよろしいと、別に制約もないのでございますから、これらにつきましては具体的には文部当局とも話し合いを進めて参りますが、一般的に過剰傾向にあるものを禁止せいということでございますが、これは現実に物資別に検討して参りたいと思います。一般的に転入を禁止するということに現在のところ取りきめるというわけにも参りますまいと思います。ただし、国産のものにつきましても、なおこれを改良しこれを改善することによって、相当外国のものをチェクし得るものがあるように見えるものでございますから、農林省といたしましても、これの検討をすでに命じているところでありまして、これらの対策を総合的に打ち出したい、こう考えておるわけであります。
  222. 足鹿覺

    足鹿委員 これは私の考えですが、たとえば、この脱脂粉乳にしてみましても、日本が食糧に困っておったとき、贈与等によって、一つのこういう慣例といいますか、今日まで続けられておる、あるいはまた、アメリカの好意による社会福祉施設に対するところの寄贈の分は今もって続いておる。これはあなた方がくれた資料にもはっきり書いてあるのですが要するに物が足らなかったときのいわゆる政策なり方針が、物が余って、生産力が回復して、そうして国内においても生産と消費との需給バランスがとれない一つの段階が来ておっても、そこに消費対策にも手落ちがあるし、また競合物資の輸入に対するところの政府の方策というものにも時代に即応性が欠けておるというところから来るすべての混乱であり、現状ではないかと思うのです。そういう点について、はっきり区切りをつけて、この際政策を立て直していく、こういう段階が来ていると思う。これは酪農の問題に限りませんが、一番の問題として今酪農問題に火がついておると思うのです。これに対して当面の対策のみに没頭されるのは、足元に火がついているからやむを得ぬとしましても、少くとも不足しておった当時から過剰の段階に来た。こういうときにあっては、よほどそのお考え方を立て直さなければ、私は間に合わないと思うのです。そういう点について、少し農林当局にも欠くるところがあるのじゃないか。これはひとり農林当局の考え方だけでは解決がつかない問題でしょう。従って、これは関係方面ともよく協議調整をとられて、少くとも基本的な抜本的な方針を樹立されなければならぬはずだと思うのです。しかし、そういうことを言っておったのでは、なかなか容易に間に合いませんが、脱脂粉乳の輸入の問題で非常に論議になっておるわけですが、これを続けていかなければならぬということはないと思うのです。さっきも協定が問題になっておったのですが、これに対しては、このままずっと続けていかれるのですか。そうすれば、今私が指摘しておったことと現実に矛盾したことを一面においてなされるということになると思うのです。どこかで一区切りをつけられぬと、私は問題の片がつかぬと思うのですが、重ねてその点について大臣から伺いたい。
  223. 三浦一雄

    三浦国務大臣 ものによりまして、関税の貿易協定があったり、あるいは割当制度等があったりして制約を受けているものもございますが、これらを別にしまして、それらの制約のない場合に、国内の産業の事情その他を見まして、御指摘のように、わが国の過剰農産物と申しますか、それらに当るものにつきましては、その調整をとって参りたいと考えております。
  224. 足鹿覺

    足鹿委員 もう少しあなたの抱負を具体的に聞きたい。今の脱脂粉乳は三十年五月一日の協定に基いてやっているのだ、こういうことなんですが、その協定はいつ切れるのですか。それに対する具体的な考え方を伺いたい。
  225. 三浦一雄

    三浦国務大臣 現在の学校給食に関しまするなには、三十五年までの協定でございます。これはもう約束したことでございますから、これの実施はやむを得ない。その以降は制限がございませんから、その際には、御指摘になったように、わが国の固有の乳製品等でやる。従って、禁止、制限等は十分に考えたい、こう考えておる次第であります。
  226. 足鹿覺

    足鹿委員 三十五年まで効力があるということなんですが、それは国際信義の上から言ってそう簡単に一方的には破棄ができないのですが、今言ったように、今まであなた方が国策として奨励したことが破調に陥る重大な段階に来ているわけです。従って、これが平生の場合でありますならば、これはやむを得ない国際信義の立場もありますから、継続すべき点は継続していかなければならない。最小限度にその弊害を食いとめる措置が一方に伴わなければならぬと思う。しかし、今のように日本酪農が立つか立たぬかという重大な危機に直面しているときに、なおこの事情も述べないで、その協定を結んだのだからそのままいかなければならぬということであきらめていかれるには私は少し早過ぎはしないかと思うのです。三十五年といいますと、まだ二年半ありますよ。こういう状態を繰り返して、一方には国費を投入して、みすみす——国家財政の上から言っても、さっき高見文部政務次官も、二十億もなかなか容易じゃないというお話でありますが、これはなかなか容易でない場合もあるでしょうそういう容易でない金を、一方においては財政支出を伴うことをやりながら、言うべきことも相手の国に対して言わずに、黙って継続するということはないのじゃないかと思うのです。少くとも、新しい段階に立って再検討し、言うべきことを言い、そうして話を練り直す、少くとも日本酪農が影響を受けないようなことに、向うだってわからないはずはないわけですから、協力を求めていくべき筋合いのものじゃないかと思うのです。どうも、三十五年までだということでは、私どもはこの重大なときに納得がいかないのです。
  227. 三浦一雄

    三浦国務大臣 お尋ねの問題の要点は二つに分れるわけであります。つまり、先ほど説明がありました通り、譲与を受ける分は逐次減っております。従いまして、この譲与を受ける分につきましては、お説を論理透徹しますと、その分についても改定をして、むしろ拒否してしまえ、こういうことにもなりましょうと思いますが、逐次減っておりますし、それから、協定のありますことでございますから、これは最小限度認めざるを得ないのじゃないか、こういう考えであります。  その次の、一万九千五百トンの範囲内で給食せよ、こうなりますから、この分は、外国のものを輸入せよ、こういう制限はございませんから、国内の生産品をもって充てて参るということはでき得ることでございます。ただし、それには、先ほど来の御論議もありました通り、国の財政上の負担がありますけれども、それは御趣旨に沿うて国内のものに置きかえて、そうして酪農危機の解消に役立たせたい、こういう考え方でございます。
  228. 足鹿覺

    足鹿委員 ぜひそういうお考え方で……。ものがなくて困っておったときに贈与を受けて日本国民が非常に利益を受けたというために、いつまでもこれを持続しなければならぬという理屈はないわけです。ですから、少くとも政策の転換をこの際やらなければ、私は片がつかぬと思うわけです、そういう点で、こちらの事情を述べて話し合いをして、そうして向うに納得を求めていく努力を一方において伴わないと、私はよろしくないと思うのです。向うは向うで過剰しておるわけです。余剰農産物協定にしろ、政府は、取り結ぼうとしたり、あるいはこれをやめようとしたりいたしておりますが、ただ円の問題で政府はのどから手が出るらしいのですが、国内の農産物への影響のために、国民世論にかんがみてこれも自重しておられる。そういう一つの事例もあるわけです。ですから、これはぜひただいま大臣が言明された方針を強く実行してもらいたいと思います。  そこで、これは先ほどから問題になっておるのですが、学校給食の問題について、さっき中澤君からも、トップ・レベルの会談がまだ進んでおらぬのに文部省の一給食課長が重大な新聞談話を発表されたことに端を発して、いろいろ御論議がありました。そこで、私は、この学校給食の問題について、牛乳の問題にしろ、いろいろな問題もありますが、学校給食法という一つの筋が立ってはおりますが、今後の取扱いについて、もっと学校給食制度そのもののいろいろな内容を充実していくための制度の改廃、そういうことについて、たとえば今この牛乳が一番大きな問題になっておるわけですが、農林、文部、厚生、そういうところが打ち合せをされ、協議を遂げられて、この学校給食の制度化に必要な措置を早急にとられるお考えはないでしょうか。これは農林大臣と、それから文部当局からも御答弁いただきたい。
  229. 三浦一雄

    三浦国務大臣 学校給食制度も創始以来まだ日が浅いことでございまして、従いまして、幾多の改善すべきことがあろうと思います。すでに当委員会等でもいろいろの示唆をいただいたのでございます。当局としましては、改善を進める場合に関係省となお一そう緊密な連絡をとりまして措置を講ずることにつきましては異存はございません。そういうふうに進めたいと考えております。
  230. 高見三郎

    ○高見政府委員 学校給食制度のねらいは、制度自体ができ上りましてまだ日が浅うございます。今御指摘のように、私ども、この制度をほんとうにものにするためには、非常な努力を要すると考えております。予算上の問題もありまするし、制度、組織の問題もございます。これは環境衛生の立場からいたしますと非常に不十分な面がございますので、この問題については、御意見の通り、なるべく早くいいものに直していかなければならぬということは考えております。関係各省とも十分御相談をいたしまして、なるべく早い機会に少しでも前進した形のものにしたい、かように考えております。
  231. 足鹿覺

    足鹿委員 この制度に関連をして、私はこの間から一つの私案を持っておるわけです。この牛乳の消費の拡大について、現在業務用の米を政策は米飯提供店すなわち宿屋とかいろいろな飲食店の方へ食管法に基いて配給しておられますが、そういう場合に、牛乳を業務用の米と同様に見て——何も米を配給統制しておるということは米に限ることはない。食糧そのものを配給統制しておるわけですから、食糧の中でも最近著しく米にもかわるような重大な進出を示しておる牛乳等について、そういう消費者に対して業務用の米と一緒に付加配給をして、たとえば大きい旅館業者等について——まあ五百円程度の大衆飲食税の免税点以下のところについては、十円でも十五円でも余分なものをつけると、それだけ負担がふえますから、それ以上の一等級ないしは特等級の旅館業者等に対しては、朝一ぱいの牛乳を旅客につけたからといって、負担が重くなるとかなんとかいうものではないと思うのです。これは、政府が、食糧に対する一つの新しい段階に備えて、牛乳の消費拡大等について知恵を働かせ、いろいろと検討されるならば、私は、学校給食と相待って非常に牛乳消費にも役立つし、いろいろな点で利便があるんじゃないかと考えておるのです。これは牛乳に限らず乳製品の場合だって出てくると思うのです。農林なりあるいはその他の方面で、食管制度そのものとの関連において、この問題をもう少し制度的に検討を加えられる必要があるのではないか、こういうふうに思うのですが、そういう点についてのお考えはいかがでしょうか。
  232. 三浦一雄

    三浦国務大臣 業務用のものとしての付加配給等の問題につきましては、今御意見がございましたが、ただいまのところまだ十分な検討はいたしておりません。ただ、旅館等を通じましての消費宣伝、同時に消費の拡大につきましては、一つの重要な項目としまして、現在府県等と協調しまして、やっておりますが、今後この方面につきましてはなお一段の工夫をこらして参りたい、こう考えております。
  233. 足鹿覺

    足鹿委員 大体そういう点について手を打っていくということに御賛成ですか。
  234. 三浦一雄

    三浦国務大臣 これは、食管で買い入れ、かつ管理し、これを配給するというような段階に進まなければならぬことだと思いまして、現在のところ直ちに御賛成をしかねておる次第でございます。
  235. 足鹿覺

    足鹿委員 それは、制度の改廃を伴う場合は、そう容易に大臣として軽々しく御答弁願えないと思うのですが、現在の学校給食の牛乳にしても、希望があった者に対して行なっていくというやり方ですから、飲食を提供する業者に協力態勢をまず求めて、よき習慣を作っていくということも考えられる。いきなりこの制度を改正するということはなかなかできないと思うのですが、ただし、考え方としてはそうあっていいと思うのです。やはり、価格支持といいましても、農産物の価格支持制度のみをもってしては、この過剰傾向に対する農産物の価格は維持し切れない。従って、この消費が、一面において正常な消費を伴って、しかも恒久的にその消費が伸びていくような施策が伴わなければ、解決がつかぬと思うのです。これは、今牛乳が問題になっておるが単に牛乳のみに限らないわけですから、そういう点について、いま少し農林当局としては、この学校給食がここまで大きく取り上げられてきた機会に、制度上の改廃を伴うことは直ちにできない場合は、一つ協力態勢の上に立って、消費増大の一連の施策としてお考えになる余地はないかということです。
  236. 三浦一雄

    三浦国務大臣 今の問題でございますが、たとえば、旅館の一つのグループ、一つの集団的な組織ができる、そうしますと、牛乳を供給する方の者と協定ができましたら、そこに集団的に供給するという面につきましては、特に今度の施策において強く推進して参りたい、こう考えております。先ほどのなには、食管制度の一環としてということでございますから、これは直ちに御同意申しかねる、こういうことでございまして、旅館のグループもしくは飲食店のグループ等ができまして、そこと牛乳を処理する方の団体等とのいわゆる団体契約等ができまするならば、これにあっせんし、これを強化し、相互に消費の拡大に努めるという方向はぜひ強く打ち出したい、こう考えておる次第でございます。
  237. 足鹿覺

    足鹿委員 その場合に、私は制度と言いましたので、少し語弊がありましたけれども、何を基準にしてやっていくかという場合に、やはり、業務用の食糧を政府から正当に受けておる者に対して、その数量なりその他に対して一定の比率でもって勧奨し、協力を求めていくという一つの目安の意味も含んでおったわけですが、そういう点については御異存はないと思うのです。そういう点でもっと検討の余地が私はあると思うのです。さらに専門的な立場から御検討を願いたいと思うのです。
  238. 三浦一雄

    三浦国務大臣 業務用のものをやっているから、それに藉口して押しつけるという意味じゃもちろんないですから、それらのものをたくみに利用してこれらを増進するということも非常にいいアイデアだと思います。でございますから、われわれは、今御説明申し上げました線を打ち出す場合に、十分にその考えを取り入れまして、実施上に役立たせたい、こういう考えでおります。
  239. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に、文部省に伺いますが、学校給食の普及率は、きょうもらったこの資料、この間もらった資料で拝見しておりますが、普及程度は相当進んでおると思うのですが、私はこの間山陰の農村をくまなく歩く機会があって、いろいろ聞いてみたのですが、国が四円の補助をして学校給食に牛乳を飲ませることができるというようなことについて趣旨が徹底を欠いておるのではないかと思うのです。どういう方法で趣旨の普及徹底をなさっておりますか、詳細にその点を伺いたいと思います。
  240. 清水康平

    ○清水説明員 主として、普及関係につきましては、小学校は農山漁村、それから中学校、夜間の青年学校でございますが、各ブロックごとに給食関係改善あるいは栄養に関する講習会を開いておるのでございますが、そのつどこちらから専門家が行って趣旨を徹底させると同時に、反面、各府県の教育委員会の主管課を通じまして趣旨の徹底をはかっておるわけでございますが、主として農山漁村の方面について、現在十分というほどにはいっていないようでございますけれども、今後給食の普及ということを考えますときに、ことに農山漁村については一段と講習やその他の普及について工夫努力して参らなければならぬと思っておる次第でございます。
  241. 足鹿覺

    足鹿委員 私が聞いているのは、特に牛乳の二十万石の学校給食の趣旨の普及方法です。これからいろいろと省議を開いて検討しておられるということとも関連がありますので、歩いてみますと、これはあなた右だけの責任ではなく農林省にも責任があると思うのですが、割に知っておらぬのです。こっちがあなた方の代弁をしてあげる。そうすると、そういうことですかと、こういうのです。それでは困ると思うのです。たとえば、義務教育だといっておっても、現在小学校の義務教育費についても国は十分な補助は与えない。市町村あるいは都道府県の自治体に依存をしておる。すべてがそういう行き方なのですから、財政を伴う場合、市町村としてはやりたいこともあるでしょうし、やりたくないこともあるでしょうしかし、やはり、こういう画期的なことをやろうという場合には、受け入れ態勢も整備をし、また、受け入れてやろうという場合には、市町村の若干の負担も——私はいいことだとは思いませんが、しかし、町村によっては、自分たちで負担をしてでもやりたいという村もあるのです。それは奨励すべきことではありませんが、ほかにも例のあることですから、国がある程度の補助をする、そのまた何ぼかを、町村においても、かわいい子供たちのことですから、体位の向上や食生活の習慣を改めていく画期的な仕事であり、その結果は酪農を振興していく大きな目的にも通ずるわけですから、説得をしてよく趣旨が徹底するならば、私は、地方自治体においてもこの腹をきめてそうだということになれば道は開けてくるのではないかと思うのです。そういう点について、お役所の趣旨普及ですが、あなた方が出向いて行って協議会を開いても、あとは、先ほど中澤君からも質問があったように、全部とは言いませんが、各都道府県の実情によって、大きな乳業沢メーカーが直接手を伸べておるようなところは、自分たちの営業にじかに響いてくるようなことについてはなかなかそう簡単にはおいそれと動かさないという事情もあるところもあるだろうと思います。そういう場合には、やはり相当強力に推進していく体制を整えていかないと、通牒を出したり、係官が出張して協議会を開くという程度では、それをストップしてしまう。そういう点を私は言っておるわけです。普及の方法なり、それに伴う財政負担のいろいろな方法の検討とか、いろいろ一連の対策が伴わないとうまくいかないのではないかと私は思うのです。そういう点について、文部省はこの学校の校長の管理職手当などに血道を上げておられるが、これはほかのことですから当委員会とは別に関係はないことですけれども、あんなところに血道を入れられるくらいなら、もっと当面の問題、次の世代をになっていくわれわれのかわいい青少年の食生活の問題ですから、もっとそういう点について真摯な対策を立てられていく必要がありはしないか。今も、給食課長さんが新聞社に口をすべらしたということが問題になっておる。そういうことを言われても、ここで問題になって初めてこれが重大化する、ここで取り上げられなければ、そのままうやむやになってしまうということでは、私は困ると思うのです。そういう点について、思い切って普及奨励の具体的な手段方法について突っ込んだ検討を——省議まで開いてやられたということですから、われわれは期待しておりますが、どういうものでしょうか。もしそういう点について次官に御抱負があれば、この際御表明願いたいと思う。
  242. 高見三郎

    ○高見政府委員 お話のように、給食制度というものは末端になかなか普及をいたしておりません。これは、考え方によりますと、制度自体にも足りないところがあると私は考えております。が、御承知のように、私ども就任日が浅いのでありますから、文部省の制度について軽率なことは申しかねますけれども、制度の方が先に進んでおって、実態がどうも伴っていない感じがするというのが率直な感じであります。そこで、今お話しのような問題につきましては、これは非常に大切な問題であるということは私ども痛切に感じております。ただ、問題は、先ほども御指摘になりましたように、校長の管理職手当に一生懸命になっておるのではありませんので、私どもとしては、文教行政の全般について非常に立ちおくれておる感じがいたしますので、この点を何とか一般のレベルまで上げなければならない。せっかく真剣に努力いたしておりますが、何分にも間口が非常に広いのであります。給食一つを取り上げてみましても、制度ができておりましても、実態は、まことにお恥かしい話ですが、父兄の負担が形式上十五円でおさまっておりますが、PTAの負担は、労力的に申しましても、精神的に申しましても、非常に負担をかけておるというのが実態であります。これを解消しなければならないというのが私の現在の考えであります。これは、給食の実際の現場の実態を見てみますと、衛生上非常に問題があるとかいうことは、臨時雇の職員が物を運んでおるというような状態で、衛生上完全なものとは申し上げられない。本来ならば、この際、この制度を生かすためには、制度と実態とをまず十分調査いたしまして、この制度が制度そのものとして、そのまま使えるような状態を作らなければ、いつまでたっても同じことを繰り返しておる段階ではないかと考えております。せっかく努力いたしたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
  243. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に、さっきから問題になっておった点について、灘尾さんに当委員会にあすでも来てもらって、文部省としての御所信を伺いたいと思うのです。ただいま問題になった、新聞が誤報であるのか、あるいは文部省の態度がそういう態度であったから新聞がそう取り扱って書いたのか、その究明はしばらくおくとして、とにかく、対外的に与えた影響を払拭していくためには、やはりこの際はっきりとした御言明なり態度を当委員会を通じてでも明らかにされる必要がありはしないかと、さっきから私は思っておったのです。いきさつについては高見さんからるる御趣旨のあるところは聞いておりますから、これ以上しつこくこれをどうこうと言うわけではありませんが、今までの経緯から見られて、間違っておる、自分たちの方に遺憾な点があるということであるならば、当委員会が決議をした直後でもありますから、この際灘尾さんもみずからお出かけになって、文部大臣として所信を明らかにされる必要かありはしないかと思うのです。そうすれば、一応この問題も、雨降って地固まるで、もっとよくなるかもしれぬ。その点について委員長の方でお取り計らい願えますかどうか、その点を明らかにして、時間も相当おそくなっておりますから、私も打ち切りたいと思いますが、どうですか。
  244. 松浦周太郎

    松浦委員長 政務次官とあとで相談しまして善処いたします。
  245. 足鹿覺

    足鹿委員 あすも当委員会が引き続き開かれるわけですが、来ても、いいかげんな逃げを打つとか責任回避というようなことでなしに、今まで検討されたことを積極的にやるのだという文部省の態度を大臣から表明されることによって、下僚の犯したあやまちを打ち消されることになるわけです。ですから、その態度が出ておるのに、出席要求でしぶしぶ出てこられて、いいかげんな御答弁になると、さらにこの問題は、まだここにちゃんと次々と何ぼでもおるわけですから、あす一日になる可能性もあるので、われわれは、そういうお義理で出てくるのではなしに、むしろ積極的に出てこられて、この際所信を明らかにされることが適切妥当ではないかと思うので、そういうことについて御善処を願えますか。
  246. 松浦周太郎

    松浦委員長 承知いたしました。重大問題ですから、文部大臣の出席を求めて発言を求めます。  本日はこの程度にとどめ、明日は午前十時より開会いたすこととし、散会いたします。     午後六時四十四分散会      ————◇—————     〔参照〕  請願に関する報告書     〔都合により別冊附録に掲載〕