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1958-06-27 第29回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月二十七日(金曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 松浦周太郎君    理事 吉川 久衛君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 丹羽 兵助君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 石田 宥全君       安倍晋太郎君    赤澤 正道君       秋山 利恭君    五十嵐吉藏君       今井  耕君    臼井 莊一君       大森 玉木君    河野 孝子君       久野 忠治君    倉成  正君       佐藤洋之助君    笹山茂太郎君       砂原  格君    高石幸三郎君       渡海元三郎君    内藤  隆君       永田 亮一君    松岡嘉兵衛君       八木 一郎君    八木 徹雄君       保岡 武久君    角屋堅次郎君       神田 大作君    久保田 豊君       栗原 俊夫君    実川 清之君       高田 富之君    中澤 茂一君       芳賀  貢君    松浦 定義君  出席国務大臣         農 林 大 臣 三浦 一雄君  出席政府委員         農林政務次官  石坂  繁君         農林事務官         (大臣官房長) 斎藤  誠君         農林事務官         (蚕糸局長)  須賀 賢二君  委員外出席者         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 六月二十七日  委員金丸信君、濱地文平君、三和精一君、八木  一郎君及び八木徹雄辞任につき、その補欠と  して久野忠治君、河野孝子君、渡海元三郎君、  加藤常太郎君及び臼井莊一君議長指名で委  員に選任された。 同日  委員臼井莊一君久野忠治君、河野孝子君及び  渡海元三郎辞任につき、その補欠として八木  徹雄君、金丸信君、濱地文平君及び三和精一君  が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  繭糸価格の安定に関する臨時措置法案内閣提  出第五号)  農林水産物運賃に関する件      ————◇—————
  2. 松浦周太郎

    松浦委員長 これより会議を開きます。  農林水産物運賃に関し、日本国有鉄道総裁小倉俊夫君より発言を求められております。この際この発言を許します。小倉総裁
  3. 小倉俊夫

    小倉説明員 当委員会でお取り上げになりました国鉄運賃割引の件につきまして、国鉄責任者としてお答え申し上げます。  国鉄貨物運賃のいわゆる公共政策割引につきましては、本年七月一日以降若干の調整を行う予定でありましたが、諸般の事情によりまして、これを一年間延期したいと考えております。以上お答え申し上げます。
  4. 松浦周太郎

    松浦委員長 これに対して何か質疑はありませんか。——それでは、これを認めるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松浦周太郎

    松浦委員長 さよう決定いたします。  それでは暫時休憩いたします。     午前十一時五分休憩      ————◇—————     午前十一時四十二分開議
  6. 松浦周太郎

    松浦委員長 それでは、これより再開いたします。  次に、繭糸価格の安定に関する臨時措置法案について審査を進めます。  質疑を続行いたします。中澤茂一君。
  7. 中澤茂一

    中澤委員 きょうは大臣一つ三浦農林大臣としてじゃなくして、もっとかみしもをぬいだ形で、こうやった方がおれはいいと思うんだということで伺いたい。しかし、それには検討の余地があるというのなら、まだちょっと承われますが、今までの大臣同僚諸公に対する答弁を聞いていると、どうもわかったようなわからないような、はっきりしたようなはっきりしないよ うな、最後までわからないんです。そこで、きょうは最後の締めくくりでもありますし、大体議論は出尽しておるのでありますから、少し実のあることを伺いたい。  第一に私がお伺いしたいことは、大臣は、これは異例の滞貨だとか、異例のということを非常に言われておるが、私は明らかにこれは政府政治的責任だと考えております。それはどういうことかと申しますと、おそらく、昨年度の予算編成のとき百億円というものを組んでいたならば、私はこの混乱は起きなかったと思う。ところが、御承知のように、五十億の要求に対して二十億に削減したというところに問題の発端があると思う。だから、それに対して政府は今まで完全な後手を引いておる。だから、これは政府の政治的な責任である。しかも、繭糸価格安定法そのものがあって、こういう見通しがきかなかったというところに、私は問題があると思う。御承知のように、昨年の十二月からもうこの徴候は出てきておる。予算編成最終閣議は御承知のように二月二十日であったのです。二月二十日の予算編成最終閣議のときは、完全にこういう事態が来るということは、もはや明白だった。これはわれわれも危惧していたのです。だから、こういうことについては政府政治責任である。こういう考えを私は持っておるのですが、大臣はこれに対してどうお考えですか。
  8. 三浦一雄

    三浦国務大臣 今から振り返ってみますと、中澤さんのおっしゃるようなこともあったのだと思うのです。しかし、今はどうも過去のことを言うておられませんので、そこで、今度はこの段階に処して今回の措置を講じて一応の効果をおさめていく、こういう信念であります。
  9. 中澤茂一

    中澤委員 そこで、政府政治責任であるということを大臣がお考えになるなら、いま少しあたたかみのある御答弁を願いたいのです。今まで同僚議員あげて質問しておりますが、何ら具体的なものが一つ大臣答弁から出てこない。政務次官は、大臣に御相談をしての一点張り。これではもっともっとこの問題は審議しなければならない点がたくさんある。それはどういうことかと申しますと、これはどうしても公聴会を開いて、やはり養連、それから各団体の意見を一応聴取しないと、簡単に結論は出ないと私は思う。そこで、まだ審議の過程においてそこまでの議論を尽してないわけです。しかし、何分にも臨時国会で会期がない。しかも臨時立法であるからということでお急ぎになっているようであります。これは論議は尽されておるのでありますが、しかし、高田君が言われたような現実の問題は、一体どういうふうに処理したらいいか。これに対しては、蚕糸局長も、行政的な指導によって、埼玉の問題にしても何らかの方法はとる、こうおっしゃっておられますが、しからばそれに対して行政的な指導など行政的措置によって具体的にとれるかどうか。具体的に、実際今の春繭乾繭拒否で非常にもめているこの問題を、行政指導として何らかの方法がとれるかどうか。私は一片通達やなんかでは不可能だと思う。その点は大臣はどうお考えになっておるか。
  10. 三浦一雄

    三浦国務大臣 これは一片通達等で参りません。蚕糸局長を初め蚕糸局人たちを総動員しまして、そうして、養蚕団体の人あるいは製糸団体の人に、具体的にいろいろまた相談にもあずかり、同時にまた政府立場から、いわばよく勧告といいますか勧奨といいますか、そういうようなこともしまして、そうして実効をあげるということに最善を尽したいと考えております。
  11. 中澤茂一

    中澤委員 だから、そういう点はもう同僚議員質問お答えは私も何回か聞いておる。行政措置で何らかの方法はないか。これは、要するに、民法上の自由契約という原則がある以上、なかなか法律上の問題がありますから困難ですが、行政措置で、千四百円というものを割らないよう、これだけの臨時措置を講ずるのだから、私は相当強力な何らかの方法行政措置でとれないかということを考えておるのです。これについて、蚕糸局長、どうでしょう
  12. 須賀賢二

    須賀政府委員 今回の措置裏づけといたしまして、本年産春繭について全量千四百円で協定が結ばれますよう、目下両当事者間の調整につきまして私どもの方で最善努力を尽したいと思っております。順次両当事者間の態勢もその線が昨日あたりからだいぶ出てきております。ここ数日さらにあっせんに努めることによって、私どもが庶幾いたしておりますような結果になることと考えております。なお、その態勢ができました段階におきまして、私どもの方でも、それをさらに裏づけ、それが的確に実行されて参りまするように、生糸買い入れ方法等につきましても具体的な措置をとるわけでありますが、目下御趣旨のような線に沿いまして極力努力をいたしておる段階であります。
  13. 中澤茂一

    中澤委員 局長生糸買い入れ措置について具体的に考える、これはまことに私もいいと思います。行政措置でこれが不可能とするならば、乾繭保管拒否した会社——特に同僚議員高田君の言った埼玉県は、製糸乾繭保管をしようということで、政府から一切の手数料その他の補助があるという前提のもとで約束をしたという質問をしておりましたが、それに対して、これがだいぶごたごたしておったので、最後にきて製糸乾繭保管をやらないということに拒否しておるわけです。この乾繭保管拒否した製糸に対しては、行政措置でできないとするならば買い上げ停止処置をとるべきだ、これが私は最後きめ手だと思う。要するに、乾繭保管拒否した製糸会社からは政府買い上げ拒否する、そこまで強力に大臣がお考え願わぬと、おそらく夏秋蚕乾繭保管量というものは非常に増大してくると私は観測しておる。そこまで大臣が強力にお考え願わぬと、これはおそらく乾繭保管拒否という問題がまたいろいろな面から夏秋蚕に出てくると私は観測しておる。どうでしょうか、大臣
  14. 三浦一雄

    三浦国務大臣 お言葉の通り、その拒否を辞せぬと、こう申し上げると歯切れがいいのでございますが、これは非常に影響力の大きいことでございます。しかしながら、当局としましては、それに変らざる決意でもって当事者間のあっせん調停の労もとる、こういうことでございますから、這般のことは一つよく御了承を賜わりたい。牢固たる決意でこの具体案を進めていきたいというのが当局考えでございますから、一つ……。
  15. 中澤茂一

    中澤委員 大臣、その辺なんだ、踏み切りのつけ方というものは。僕はきょうかみしもを脱いで話そうじゃないかというのはその点なんです。辞せぬというところまで踏み切らなかったら、その影響というものは必ず夏秋蚕乾繭保管拒否という大勢が出てくるのですよ。大臣の一言で、政府がこれだけの臨時応急措置をとってやる以上は、買い上げ拒否するくらいなことは私は言ってもいいと思うのです。それだけの大臣決意を持つならば、夏秋蚕乾繭保管問題というものはそう難航しないと思うのです。しかし、さもない限りは、またおそらく休会中も年中農林委員会を開かなければならぬ事態がくると思うのです。だから、最初大臣が言われた乾繭保管拒否会社に対しては買い上げもこれは考えなければいかぬ、この程度のことは一つ発言願った方がいいと思うのですが、その点を一つ。そのくらいな強硬な措置を、農林省が、大臣自体が言わぬ限りは、これはまた非常に乾繭拒否問題が大きくなってくる。どうでしょう。
  16. 三浦一雄

    三浦国務大臣 御指摘になりました乾繭拒否のごとき事態がないような万全の措置を講ずる牢固たる決意をもっていたしたいと存じます。
  17. 高田富之

    高田委員 ちょっと関連して……。  ただいま埼玉県の問題についてお答えがあったわけでありますが、実は、先般の春繭の問題につきまして、埼玉養連並びに県の蚕糸課長本省局長にも連絡をしたそうであります。私も行って確かめてみたのでありますが、とにかく、万策尽きた、何としても製糸側設備の提供をしてくれないということで、この上はどうしても本省から、ただいま御質問のあったような何らかの強い処置をとってもらって、これはどうしても貸さないわけにいかないのだというふうなことをやってもらうほかないというので御連絡をしたそうであります。ところが、そのときの本省お答えは、しかし、相手が断わるというのは、これはしようがないですね、まあ何とか一つ一生懸命懇請してみてくれぬか、というような程度の話で突っぱねられた、非常に残念だ、こう言っているのです。それで、全く万策尽きて全部引き渡してしまったわけです。それで、私どもは、今度の国会には何らか法的措置でそれを必ず提供せしめるような改正案当局から出されるのかな、こういう期待を実は持っておったのです。ですから、もし法的にそういうものがないとすれば、それにかわるべきはっきりとした指導方針がないということになりますと、これはもうほんとうに手はないのですから、その点はもう少し真剣にお考えをいただかなければ、今の御答弁ではとても納得できないのです。
  18. 須賀賢二

    須賀政府委員 埼玉県の事例を具体的に御指摘になりましたが、当時私が関係をいたしましたので、経過を兼ねてお答えを申し上げます。  埼玉県の場合につきましては、交渉が非常に緊迫をいたしました段階におきまして、県当局からもわれわれの方に随時御連絡があったわけであります。私は、その過程におきまして、これは今回のような事態に相なりました場合に、製糸側におきましても、取引を有利に展開いたします手段としてそのような条件を持ち出すということは、当然これはその過程においては考えられることである、従って、現地で極力事態折衝に当っていただきたい、折衝が難航いたしました場合の措置といたしましては、これは事態によりましては当然県内の大きな政治問題にも発展する性質の問題でありますから、知事に一段階あっせん調停の労をとってもらうように私どもはお願いしたい、こういうことで、知事段階においてうまくいかなければ、これは農林大臣まで持ち上げていただかなければいけない性質の問題だと思います。その間、われわれといたしましても、中央におきましては、埼玉県に工場を持っております各製糸の本社に対しまして、私どもは随時適切な監督をして参ったのであります。従いまして、私どもは、交渉最終段階におきまして、特に埼玉県の場合は、その結着のいかんによりましては、全国の主要養蚕地帯繭処理影響いたす問題でありますから、農林大臣まで問題が持ち上げられるような事態になることを私どもも想定をいたしまして、その場合の措置等につきましても用意はいたしておったわけでありますが、これは、いろいろお考えもお漏らしになっておられるようでありますけれども、私どももいろいろ検討いたしてみましたが、現在の経済法規と申しますか、法制の建前で、いわゆる強制収用的な規定はもちろん現在もございませんし、また、新たな立法手段によってそういう措置を用意するということも、法律的にはなかなか疑義が多い問題でありますので、強制収用というふうな考え方で持って参りますことは、よほど検討を要する問題であると思うのでございます。また、かりにそういうふうに考えました場合におきましても、これは、乾繭共同保管に持ち込みます繭と、現実製糸が自己の負担において処理をいたします繭と、時期的には同じ時期に出て参るのでございまして、設備利用関係現実問題としては競合いたすわけでございます。そういう関係法規によって調整をするということは、現実処理といたしましては、技術的にもなかなかむずかしい問題があるわけであります。私どもとしては、やはりこれはあくまでも指導と話し合いでいくという筋で考えていかなければならないと思っておるわけであります。また、その裏づけといたしまして、御承知のように、製糸業というものは許可営業免許営業で、自由営業ではございません。免許営業にいたしております趣旨は、製糸業法が立案されましたときの経過等を拾ってみますと、やはり輸出産業として相当の適性を持っておるものでなければならない、一方、農民保護建前からいたしまして、農民繭取引上不利な取扱いがなされるような性格の事業であってはならないというような趣旨ででき上っておるようであります。従って、そういう趣旨製糸業というものをこの段階でもう一回見直しまして、製糸業法の面から適当なる指導監督あるいは行政的な措置というようなものがとり得る限度において私どもも今後の指導については十分力を尽して参りたいと思っておるわけであります。ただ、この春の場合には、御承知のような経過で非常に混乱をいたしたわけでございますが、今回の経験もとにいたしまして、これは養蚕の側においても考えるところが当然あるわけであります。また、製糸家の側におきましても、今回の経緯から考えまして、あのような処置をとったことが果してあの場合適当であったかどうかということにつきましても、十分反省があると思うわけでございます。ことし夏秋蚕等がどのような事態になりますか、現段階で直ちに予測することは困難でありますが、この春の経験もとにいたしまして、両当事者間の夏秋蚕に対する事態の準備には、私どもといたしましても万全の手配をいたすつもりでおります。
  19. 三浦一雄

    三浦国務大臣 今経過は申し上げた通りでございますが、繭糸価の問題としては、異常なときでございますので、繭糸の条規にかかわりませず、思い切った施策もいたして参ります。あらゆる面の運用をして参る。同時に、少しごろごろするようなことがありましても、私どもは、養蚕家人たちを泣かせないように、措置につきましては極力いたしたい考えでございますから、この点も御了承を願いたいと思います。
  20. 中澤茂一

    中澤委員 大臣、これだけの措置政府としてはしたのですから……。もめたというのは、こういう措置をやったところで、後手を引いたのは明らかだ。後手を引いたのですから、今度はこれだけの措置をして、百八十一円幾らですか、ここの参考資料に出ておりますが、すべて経費を政府が見るのですから、政府がこれだけの補助を見て、そしてなおかっこれだけの臨時安定策を講じたのだから、大臣、やはりここで強気にならなければ強気になる場所はないと思うのだ。これはやはり、きめ手であるところの、乾繭保管拒否した会社に対してその実情を調査して買い上げ停止処置を行うくらいな強硬な——反対給付をやっているのですから、ただばく然と大臣がそんなことを言えば、あいつ気が狂ったなどと言われますが、これだけの処置をやっている以上、大臣、そこだけは、辞せずではなくして、もっと身のある答弁がほしいのです。それは蚕繭の量とか乾繭の装置とかいろいろな実情がございます。だから、一がいに、乾繭保管拒否したところは買い上げしないのだと、一がいに全部とは言わないのです。ですから、そのあらゆる実情検討したところで、なおかつその乾繭装備があり、倉庫もまだ少ししか入ってないのに、農民が持ってきた乾繭拒否した場合には——これは農民はやりようがないのです。御承知のように、一週間くらいでもうみんなが出てしまうのですから、あらゆる実情検討して、そうしてなおかつその共同乾繭拒否することはまさに公正な立場から見て不当である、こう断定したときは買い上げ停止処置きめ手をとるというくらいなことは、大臣、決して無理なことを言っているのじゃないのです。そのくらいの腹がまえでやらない限り、夏繭が出回ってきますから、これはまた休会中年中農林委員会を開かなければならないと思うのです。ですから、この点は、この委員会大臣がはっきりと、あらゆる実情を調査して、乾繭保管拒否した場合、不当である、そういう事実の場合には、買い上げを停止する、これくらいな御言明はどうでしょうか。
  21. 三浦一雄

    三浦国務大臣 両者間の折衝過程なりその推移をやはり十分に検討して最善の方途をやるということで一つ了承願いたいと思います。
  22. 中澤茂一

    中澤委員 しかし、大臣大臣答弁は、僕がさっきかみしもを脱いで話しましょうと言うのは、すべてそれなんです。まあ暑いからどうぞ上着でも脱いでゆっくりやりましょう。これはほんとう考えてもらいたい。僕は、この一点を大臣決意するならば、これは非常にスムースにいくと思うのです。製糸会社も別に乾繭保管がいやなんじゃないのです。これだって大臣責任なんです。僕は今から責任追及してもしようがないからしないだけで、明らかにこれは責任なんです。政府がもっと早くこの対策を、これだけのものをやるということを、臨時国会の前にでも、農林省局長談話でもいいから発表すれば、埼玉の問題なんか起きなかったのです。これも明らかに後手を引いているのだ。最初製糸は国が見ると思ったから乗っておるのです。高田君の話を聞けば、最後のどたん場へきてがたっとひっくり返っておる。要するに、政府が見ると思ったものが、どうもこんな調子では見そうもないぞというのでひっくり返っておる。これは、大臣、どうでしょう、僕もしつこく言いたくないのだが、いま少し最初答弁くらいのところまでどうでしょう、断固たる処置も辞せずくらいのところはどうでしょう。
  23. 三浦一雄

    三浦国務大臣 その点は私ももちろん辞せずと考えております。
  24. 中澤茂一

    中澤委員 辞せずということは、あと速記録を見れば、私の言ったことに対して辞せずということを申しておるのですから、これは大臣の言うことを私が半分以上言ったということなので、そういうふうに私は了解しようと思うのであります。  これ以上この問題を追及しても仕方がないと思うのですが、しかし、私は、これは根本的に、蚕糸局長としてよくあとで、政務次官も、皆さん最高幹部でお打ち合せを願って、そのくらいな強硬な腹をきめない限り、私は夏繭からの乾繭問題が再燃してくると見ておるのです。局長の観測はどうです。
  25. 須賀賢二

    須賀政府委員 私は、この問題につきましては、製糸業に対する監督指導立場から非常に強い対策をとって参らなければならぬという考え方につきましては、全く同じ考えを持っております。ただ、これは、現実行政手段と申しますか、行政的に処理し得る具体的な方法ということについては、事務当局でも十分考えまして実施に移さなければならないと思います。従いまして、ただいま御指摘のありました点につきましては、夏秋蚕事態に備えまして前広に手を打って参る、また、製糸業に対するそういう観点からの監督指導も一段と強化することを至急に検討いたしたいと思います。
  26. 中澤茂一

    中澤委員 さっき大臣は、蚕糸局を総動員してそういう紛糾を事前処理すると言われた。私は、県の場合なんか、蚕糸局長が出かけていってあっせん調停をして——さっき知事にまかせると言いましたが、地方自治体の知事というものはなかなか忙しいのだし、だめなんです。私は、むしろ、紛糾が起きたら局長が直ちに現場へ飛んでいって、そうしてやはり強硬方針で、あらゆる角度から検討してみて、こういう乾繭保管拒否はまさに不当であるという裁定がついたときは、やはりそこの製糸家に対しては局長みずからが強硬に、こういうことをやるなら買い上げ数量において考える、あるいは場合によれば買い上げ拒否するぞというくらいの熱意を示して、一つ問題に取り組んでもらいたいのです。そうしない限り、これは知事あっせんをまかしたり——よく本省では自治体の長官にまかしたまかしたと言って逃げますが、知事あっせんをまかしたって、なかなかうまくいかないのです。今の乳価の問題だって、酪農振興法にああなっていますけれども、にっちもさっちもいかない。だから、繭の問題も、局長みずから陣頭指揮をして、一県々々解決をしていってもらいたい。これは問題が起きるのはそうたくさんの県じゃないのです。どうですか、御熱意はありますか。
  27. 須賀賢二

    須賀政府委員 今後、事態によりましては、十分私どもでも、ただいまお話のありましたような心がけで臨んで参りたいと思います。
  28. 中澤茂一

    中澤委員 それでは次の問題に移りますが、とにかく迅速的確に、——先手を打つか後手を引くかで、この問題は夏秋蚕で私は非常に尾を引くと見ている。だから、先手さえ打っていくならば、この臨時緊急対策をやった以上、ある程度勝てるのじゃないかという見込みを私は持っておるのです。しかし、これがすべて後手を引いておる。社会党から二百億の修正案も出るでしょうが、これは、自民党の蚕糸特別委員会でも、二百億という線は一歩もくずさないという相当強硬な意見があったはずです。私は自民党の蚕糸対策委員の諸君と会っていろいろ話を聞いておりますが、われわれはやはり二百億というものが必要であるという考え方を持っておるのです。これは大蔵省の折衝過程とかいろいろ問題はあったでありましょうが、少くとも生糸買い上げを今三十億くら、増額しなければいかぬのじゃないか。これはどういう根拠からそう言うかと申しますと、現にやみ種の話がぼつぼつ出ておる。やみ種が出ておれば、これは当然二割制限がそこの線で何割かずれるということを私は考えなければいけないと思うのです。その線でずれるとするならば、どうしてもこっちが先手を打ってそのずれの面をどこでカバーするかということになれば、われわれの考え方はそのずれを三十億と見ているわけです。そこで、片方の乾繭というものに対してば、われわれは夏秋蚕から農林省の予想以上の乾繭保管ができてくるのじゃないかと思っておる。それはどういうことかというと、今度のことで農民はこりごりしちゃった。早く売ったのはみんな損をしちゃって、おそくまでねばっていたのが勝ったわけです。だから、夏秋蚕から乾繭保管という問題が強力に出てきた、そうなると、今の五十億では不足ではないかということから、われわれとすれば七十億くらいそれを見込む必要があると思う。これは自民党の蚕糸特別委員会でも相当議論はあったはずです。これが五十億に削られたということは、やはり依然夏秋蚕に対して問題を残しておるのだと私は考える。そこで、これは大臣でも蚕糸局長でもけっこうですが、一体、百億円で五万俵の凍結をすれば夏秋蚕に対してもその支持価格を割らないという計数的な根拠があったら、一つ御説明を願いたいと思います。
  29. 須賀賢二

    須賀政府委員 ただいま今回百五十億の裏づけをいたしまして、本年度の生糸及び繭価格の安定をはかろうとする考え方の計数的な基礎についての御質問でございました。ただいまお手元に配っております資料によりまして計数的に御説明申し上げたいと思います。  お手元に差し上げました資料でごらんをいただきますと、この年度の繭供給は、春繭で千五百五十万と予想いたしております。これは、その計画立案当時におきまして、私どもが、統計調査部等の調査に直接よることなく、総合的な観点から大体本年春繭の生産見込み量を踏んだのでございますが、千五百五十万と予想いたしましたのに対して、最近各地から集まって参ります生産状況等の報告を総合いたしてみますと、ややこれより減少いたしまして、大体千五百万そこそこ、あるいは若干それを上回っているかと考えられます。それから、夏秋蚕繭は千四百万貫といたしてありますが、これは前年実績千七百五十二万貫に対しましてその二割の生産抑制を計画いたしました数字でございます。従いまして、この千四百万という数字は、夏秋蚕が二割減産をされました場合の数字でございます。それから、次に計上してあります五十万貫の超過在庫分でございますが、これは例年六月初めにおきます古繭の持ち越しは大体五十万貫くらいでございますが、今年は四月、五月に製糸の操短をやりました結果、古繭の持ち越しが例年より増加いたしております。その増加持ち越し分を五十万貫と見ておるわけでございます。これで繭供給の総額は三千万貫、これから生産されます糸が三十一万俵でございます。一方、需要の方は、輸出を六万俵と想定いたしております。これは月平均五千俵の割合でございまして、前年実績より四千俵程度減っておるのでありますが、月平均五千俵の輸出目標を作成いたしております。それから、国内引き渡し分は二十万俵と見ておりますが、これは前年度の二十二万二千俵に対しまして約一割の減と見ておるわけであります。国内引き渡しの内容は、輸出絹織物用の原料になりますものと、純粋に内地で使われるものとの合計でございますが、輸絹は大体前年並みということになっております。純内需が最近の機業地の状況から見ますとかなり減っておりますので、その減少を見込みまして、総体前年度の一割引き、合せまして二十六万俵、これが本生糸年度の需要分と見ておるわけであります。  そうしますと、ここに五万俵の余剰が出て参りますが、これをたな上げいたしますれば、全体の需給が均衡を保つわけであります。従いまして、われわれは、当初の計画では、百億円の資金をもちまして、これが糸でたな上げされるか繭でたな上げされるかは、実際の動きによりまして、実際に必要の面に使えばよろしいという考え方で臨んだのでありますが、現実の動きは必ずしもさようにはなりませんでしたので、さらにこれに五十億を追加することにしたわけでございます。そういたしますと、需給均衡上の線からは、五万俵のたな上げで、一応需給が均衡されるはずでございます。さらに二万五千俵分の凍結の資金が裏づけとなったわけでございます。全体で七万二千俵が凍結をされることが可能な体制になったわけであります。私どもの想定のもとにおきましては、十分本年度の糸価を、春繭夏秋蚕を通じまして十分維持し得るに足るだけの資金的裏づけはこれで用意されたものと考えておるのであります。
  30. 中澤茂一

    中澤委員 これは見解の相違になるかもしれませんが、今までの実績、今年に入ってからの実績は、三千俵台からずっと二千俵台に落ちて三千俵台に上っていますね。この五千俵と見ることは少し過大ではないかと思うのですが、どうですか。
  31. 須賀賢二

    須賀政府委員 輸出の特にことしの三月ごろからの各月著しく低調に相なりましたのは、先般四十億の資金をもちまして糸価安定の裏づけをいたしましたにもかかわらず、糸の余り方が異常な事態になりましたために、先方におきましてもこれを買い控えるというような結果、ああいうような数字になったわけでございます。しかしながら、今回はこれだけの体制で基本的には需給均衡線をとることによりまして糸価安定をはかろうという体制を整えたわけであります。糸価安定の線は四月、五月の線よりは著しく強化されるものと考えます。従いまして、先方におきましても、必要量の手当は当然いたすわけでございます。月五千俵程度の輸出を見積ることは、実行問題といたしましても、これだけの糸価安定措置裏づけを持っていたしますれば、決して過大ではありませんし、また、これだけの糸価安定の措置をとる以上、企業としても最低この程度の輸出の努力は、これは当然尽さなければならないものと私ども考えております。
  32. 中澤茂一

    中澤委員 では次に問題を移しますが、二割の生産制限をする、これは実に大問題であります。具体的に生産制限措置を二割どういう方向によってとるのか、このことを大臣が具体的にどういう方法でやるのか、ただ百五十億も組んだんだからいいんだということでなしに、問題は二割制限にあると思う。農民の問題でもあるが、同時に、糸価維持の基本的な問題は、この二割制限が可能であるかないかによって決定的な問題になってくるのです。そこで、具体的に二割の制限というものはどういう処置方法をとるのか、これについて御答弁を願いたい。
  33. 三浦一雄

    三浦国務大臣 二割の制限方式につきましては、昨日来御説明申しました通り、蚕種を買い上げることによってその数量の調整を期する、そうして、同時に、この問題に対する養蚕団体その他の方面の協力、それからまた養蚕家の自衛的な手段として要請していく、こういうことで実効をあげていく、これを期待している、こういうことでございます。
  34. 中澤茂一

    中澤委員 それは、今まで大臣のしゃべったことやいろいろなものを見ると、要するに、中心はやはり改植を要する桑園、これの問題が一つある。いま一つの問題は低能率桑園の問題がある。大体こういうところを中心に二割制限策を行なっていこうとする考え方のように、私は具体的には見受けておる。その点はどうです。
  35. 三浦一雄

    三浦国務大臣 こういう低能率の桑園を改稿したり、あるいは桑園をつぶしたりして、そして二割制限をさせようということでは現在は進んでおりません。当局の勧奨によって、そうして蚕種を買い上げることによって、そうして生産の調整を期待しておるのです。これから出てくる問題をどうするかということは、昨日来いろいろ御指摘がありました通り、私の方としてもこれの対応策は考えざるを得ないと思います。今直ちにその桑園の損害を組んで、その損失を計上する、そういうことにはまだ具体的になっておりませんが、その後に生じた事態というものは考えなければならないと思います。ただ、養蚕、蚕糸の恒久的な対策につきましては、本会議でも御説明申し上げました通り、今度蚕糸業の方に堪能な人々の御参加を願い、そして全体の対策を講ずる、こういうことでございますけれども、あらかじめ低能率桑園を整理する、あるいは桑園自体の改植等を進めて、そして減産傾向に持っていくということは今考えておりません。その点はよく御了承いただきたい。同時にまた、具体的になって参りました二割のいわゆる調整によって来る農家経済の動向等につきましては、十分によく見守って、そして対策の十全を期したい、こういう信念でございます。
  36. 中澤茂一

    中澤委員 大臣はそうおっしゃるけれども、具体的には、局長が何かで言っておりますが、やっぱり低能率の桑園問題に触れておるのですよ。低能率桑園の問題というものはそう簡単に触れられないのです。それはなぜ触れられないかというと、大臣の方のいなかのことを考えてみるとよくわかる。低能率桑園というものは僻地とか山間地域にある。ところが、こういうところは野菜を作っても遠距離でどうにもならぬ。畑作として一番安全なのは、こういう価格保障もある程度されておるから、これは繭以外の現金収入にたよる道がないというところに低能率桑園が圧倒的に多い。本年の場合を見ても、山間高冷地帯が一生懸命で養蚕をやっておる。現在山間高冷地がむしろ増産政策をとっておる。だから、低能率桑園の問題というものに簡単に触れたら、これはある地区では農家経済そのものは根本的な破滅に追い込まれると思うのですよ。これは特に大臣の方のいなか、山形、秋田から岩手、あっちへ行ったらなおこういう傾向があると私は思うのです。だから、その低能率桑園の問題に触れないとするならば——大臣の方から二割制限するというのは、私は局長答弁は聞かなくてもわかっておる。それはただ製糸だけでしぼろうという考え。しぼろうということは、養蚕農民はどうなってもかまわないという前提に立たなければ、製糸だけでの生産制限というものはできないのですよ。だから、大臣は、そういう製糸による二割の減産を強行して、その一切のしわ寄せば農民の上に行ってもかまわないというお考えであるかどうか。
  37. 三浦一雄

    三浦国務大臣 そういう方向じゃありません。製糸を制限してそれをしわ寄せさせるのじゃなく、やはり養蚕の方は確固たる方法を講じて参るという考え方であります。
  38. 須賀賢二

    須賀政府委員 ただいま低能率桑園に対する考え方につきましてのお話でございましたが、これは、私どもも、たとえば十貫という生産量を一つの基準にいたしまして、十貫以下のものはみな低能率である、そういうふうな機械的な考え方はもちろん全然いたしておりません。結局、能率が高いか低いかということは農家の経営の立場から見ての判断でございます。その桑園が現実にあげております繭の生産量から機械的に割り出されるものではないわけでございます。従いまして、低能率桑園の整理について必要な助成を行うという趣旨を六月三日の閣議決定の中に織り込みましたのも、そういう考え方から来ておるわけであります。反収十貫以下の桑園が現に二万町歩あるからこれを整理してしまう、そういうような考え方では初めから毛頭ないわけです。今後、いろいろ繭の需給状況も変って参っておりますし、農家としても桑園の生産性を上げますような建前からいろいろ営農設計を変えていく場合が考えられます。そういう場合に、先方がそういうふうな行動に出る場合の助成措置考えているわけでありまして、こちらから強制的に、桑を引き抜かせる、あるいは機械的にこれが低能率という定義を当てはめましてそれをどうするという気持はありません。
  39. 中澤茂一

    中澤委員 大臣、では、製糸だけで二割しぼった場合、農民にしわ寄せが行かないという理論的な根拠というものはありますか。これは私はないと思います。これは第一点として大臣の見解を聞きたい。製糸と蚕種で現在しぼっているわけです。しかし、それが現実に理論的根拠がないものとしたならば、だれが考えてもしわ寄せは農民に行っちゃうのです。そうすると、そういった場合の補償措置というものが考えられなければ、これは全然一方的に農民にしわ寄せになるという現実を、一体大臣はどう打開していこうとお考えになっておるか。
  40. 三浦一雄

    三浦国務大臣 今回、臨時措置の場合には夏秋蚕の方面につきましてはこの際人為的に調整してほしい、こういうことでございまして、製糸の方を制限して強行しまするならば、それの影響は仰せの通りそう来ることは必然的な運命でございましょう。しかし、今度は、製糸の面におきまして糸価の低落を防いで、そしてそのこうむる損害を与えない、そうして農民諸君に千四百円の繭価を保持してやろうというところがねらいなんでございますから、それに集中して今度のなには実行して参る、こういうことでございますので、ただ単に抽象的なことではないのでございますから……。
  41. 中澤茂一

    中澤委員 それは、大臣、私が聞いていても抽象的と思えば、おそらくこの中の聞いている人はだれしもみな抽象的と思うのですよ。そういうことを幾ら大臣が繰り返して何万べんお答えになったって、それはだめなんですよ。現実はそう動いてないのです。政治は現実のものを扱っているのでしょう。だから、現実の政治を預かっているのなら、現実にそういうしわ寄せが行った場合は、これは政府責任において何らかの補償措置あるいは助成措置をとる、とらざるを得ない、こういう段階が必ず来ると思うのです。大臣はだんだんかみしもを二枚も三枚も重ねて着たような答弁をなさいますが、暑いのですから、どうぞ服もお脱ぎになって、そして、その場合はどうするか、あなた一つ養蚕農民立場から考えてもらいたいのです。実際、養蚕農民というのは、こんな現状では浮くに浮かれないです。だから、その場合は低能率桑園を整理するのもけっこうです。けっこうだが、しからばそれに対する補償つなり作付転換の助成措置、あるいはそれに対して農林省として転換作物の選定方式というものをどういうふうに親切に考えてやるかということを、私は大臣に言ってもらいたいのです。
  42. 三浦一雄

    三浦国務大臣 今直ちに桑園の改柄だとかまた桑園の整理ということはしないことは申し上げてありますが、しかしながら、養蚕家を保護するための措置としましては、今の作物の転換等につきましては、農林省の持っておりますあらゆる機関を総動員して、これに対応の措置を講ずる、同時に、経済的な措置としましては、あるいは必要に応じては低利資金の供給等、あるいはまた助成等の必要がありますれば一連のものとして打ち立てて、その養蚕農家の保護育成に当りたい所存でございます。
  43. 中澤茂一

    中澤委員 時間も来て、だいぶみなお急ぎのようですから……。  そこで、これは八方にらみという言葉があるが、どうも、どう聞いても、これは八方くずれの態勢なんですね。生産制限もまず二割は不可能という考え方、そうなると価格維持も困難になってくるという考え方、現にやみ種が出回っておるというこの現実農民は作らざるを得ないというこの現実、こういうものを総合してみると、まさにこれは八方破れでありまして、そこで、ばく然と、ただこうであろうという勘でやっておることは、私は大きな間違いが出てくるのではないかということを危惧するのです。その場合、大臣は別に農林大臣に恋々としておるわけじゃないからいつでも辞表を出せばそれで済みます。しかし、農民は辞表を出すわけにいかないのです。大臣が辞表を出したからおれもちょっと辞表を出して蚕はやめべえというわけにはいかないのです。だから、その辺もっともっと深刻にこの問題を考えてもらいたいのです。そこで、問題を幾ら繰り返しても、八方破れだ。これは私は八方破れだということを断言しておきます。必ずこれは破れてきます。そうして、なおかつ、そのしわ寄せが全部農民の方にかぶさってくるというのが現実ですよ。大臣は人格円満で非常におとなしい方ですから、私も暴言ははきたくないです。きょうはかみしもを脱いで少し身のある答弁をしてもらって、これなら農民も安心していけるというところで落ちつけたいと思って私はしんがりの質問を買って出たわけです。  問題を次に移しますが、もし二割制限が不可能であった場合、今の現実から言って、私は、今度は、やみとは申しませんが過剰生産傾向が明らかに出てくると思う。その場合は繭糸価維持が困難になってくるという情勢においては、臨時国会はおそらく九月末ごろから始まるでしょうが、そのときに直ちに買い上げ資金の補正予算を組むというお考えはあるのでしょうかないのでしょうか。
  44. 三浦一雄

    三浦国務大臣 本法が御審議をわずらわすと、実行に移すわけです。同時に、先ほど御意見がありました通り、この情勢を見きわめるということは重大なことであるし、いわゆる先手々々を打って、こういうお話でありますが、当局といたしましても、情勢の観察を誤らず、いわゆる先手々々の指導措置を全うしたい、同時に、これは前途は断言できぬことでありますが、やはり事態に応じましては所要の措置は講じたいと考えております。いろいろな措置は打つつもりでおります。
  45. 中澤茂一

    中澤委員 だから、この態勢がもしくずれた場合、九月なり臨時国会で補正予算を組むお考えがあるかどうかということです。
  46. 三浦一雄

    三浦国務大臣 情勢の推移いかんによりましては、所要の手は打ちます。同時にまた、この制度で、今直ちに補正予算は組まなくても運営はできます。これは、その情勢に従いまして最も適切な措置をとりたい、こう考えております。
  47. 中澤茂一

    中澤委員 要するに、問題は簡単なんですよ。同じことをかみしもを着て繰り返したってだめです。それより、そういう情勢がきたら補正予算の要求を強硬に大蔵省にする、これでいいのですよ。しなければどうにもならぬでしょう。
  48. 三浦一雄

    三浦国務大臣 措置は必ずしも補正予算の要求だけではないのですから、臨機応変の措置をとって参ります。
  49. 中澤茂一

    中澤委員 そこで、次の問題に移りますが、取引所というものが、今度の暴落の場合、私は非常に大きな役割を演じておると思うのです。これは、ある一部の情報によりますと、取引所と製糸資本家の春繭の買いたたき謀略があったということを言われておるのです。そうなると、取引所というものに対して、今後の事態の推移いかんによったならば、私は非常措置をとらなければならぬ段階にくるのではないかと思う。これは、大臣、仮定の問題はというような答弁が必ずあるのですが、仮定の問題じゃなくして、今度のこの苦い経験を生かして、取引——清算取引所ですよ。現物の方はよろしいです。そのときの実勢相場で動くのはよろしいが、清算取引所が、この百五十億では、先物は売り払えという危険が清算取引所に出てくる場合があるのです。この場合、大臣は清算取引所に対して何らかのお考えを持っておりますか。
  50. 三浦一雄

    三浦国務大臣 現在の取引所のなには、御承知通り、自由経済において認められておる制度であります。しかし、これが非常に公正なる機能を発揮するということで初めて存在の意味を持っているのだと思いますから、これは、そういう面からできるだけの措置をして参ること、同時にまた、監督面等の限界もありましょうけれども、最も適切なる措置をとりつつ、その道を誤まらないようにいたしたいものと考えております。
  51. 中澤茂一

    中澤委員 製糸協会長の安田さんがこういうことを言っておる。思惑取引をやめるよう自粛する程度のことはいいが、こういうことを製糸協会長が言っておるのです。それから、取引所の理事長はこういうことも言っておるのです。今度の暴落は取引関係が故意に作ったものではない、現に暴落前の市場の取り組み高と現在のそれを比べても、わずかしかふえていないのは、思惑売りではない、政府の方針に驚いた買い方の投げがその原動力となった、言いかえれば、政府の実勢を無視した相場からそのうみが出始めた、こういうことを言っておるのです。私はこれをもって勘ぐるわけではないが、そういう自粛をすることはいいというようなことを言っておるのですが、これは、裏を返せば、今度は政府が完全に後手を引いたために取引所、製糸家政府の虚を突いたという形勢が明らかにあるのです。ですから、これに対しても、そう簡単に清算取引所を閉鎖できるとは私も思っていない。しかし、一時中止というものは、これは農林大臣ほんとうに腹をきめて、断固やるという腹をきめれば、一時中止ということは清算取引だけは私は可能であると思う。これに対して、大臣、いま少し強く、どうでしょう。
  52. 三浦一雄

    三浦国務大臣 これはやはり事態に即応してやらなければならぬことですから、それに応じて私の処置を講じたいと思います。
  53. 中澤茂一

    中澤委員 どうも幾ら言ってもかみしもは脱げないようですから、いずれ夏秋蚕問題が生じてきてからまた今度は責任追及を明らかにやらなければならぬ段階が私はくると思うので、それはそのときまで保留しておきましょう。  その次に、繭糸価格安定法成立のときのいきさつにおいて、われわれは直接安定法を主張したのです。これは繭を直接安定しろ、生糸はわれわれの関知したところにあらず、こういう考え方を相当強く繭糸価格安定法の審議の過程で主張しておるのです。これに対して、今の間接安定法ではなくて、繭に対する直接安定、これを、どうです、お考えになる意思はありますか。
  54. 三浦一雄

    三浦国務大臣 これは、われわれの考え方としましては、直接安定の方法をおとりになる、こういいましても、次に発展する一つ過程がありますので、これはおそらく二重価格制度なりあるいは管理という制度をとらざるを得ない。その方式は私たちの採用し得ざるところでございますから、その点はどうも意見の相違でありますけれども……。
  55. 中澤茂一

    中澤委員 次は販売について考えたいのです。きのう松平君がなかなかうまいことを言いましたが、これは販売について世界繭業大会に行ってきた私の方の養連会長の北原金平氏にいろいろな話を聞いたのですが、それは、イタリアの織物は、とにかく繭の生産が間に合わないくらいに織物が輸出されておるのですね。これに対して、松平君もきのう言ったが、どうでしょうか、織物政策というものをもっと強力に推し進める必要があると私は思うのです。それについてはどういうところに問題があるかというと、染色技術が若干イタリアの織物よりおくれておる。それから、イタリアの場合は、聞いてみると、各国に繭専門の駐在員を置いている。今どういう織柄がはやる、どういう色がはやる、直ちにこれを織ってよこせと、どんどん本国に通報する。それによって消費市場の開拓をやっておる。これは、大臣に言うと、われわれは繭を作る方で織物の方じゃないから、通産大臣だと言うかもしれませんが、これは真剣に私は考えなければならない問題だと思います。これについては、会社名は私は聞きませんでしたが、内地である会社が、イタリアの織物技術者を招聘して織物技術の研究をしたいというあれを立ててイタリアと交渉したが、これはだめだったそうです。そこで、政府でイタリア政府と何らかの織物に対する技術交換が考えられないか。イタリアの必要とする技術者をこっちから送るから、向うから織物の技術者を送ってよこさぬか、こういうことを、一つどうです、真剣にお考えになってみる気はありませんか。
  56. 三浦一雄

    三浦国務大臣 御承知通り、かつての農林省では、生糸の調査所をニューヨーク等に持っておりまして、そこでかなり進んだ調査等もしておった。その後事情が変ったものですから、今直接のものは持っておりません。生糸だけですらまだこういうような不十分な状況でございますが、しかし、昨日の松平さんのお話でも、同時にまた今御提唱になりました中澤さんのお話でも、私は、日本の繭糸業の発展のためには、これはぜひとも開拓すべき分野だろうと思うのです。それで、農林省だけでももちろんいかぬことは御承知のことでございますが、通産大臣も非常にこの事情につきましては熱意を持っておりますし、関係庁との間に緊密かつ積極的な連絡をとりまして、その新しい分野を開くということに進んで参りたい、こう考えております。
  57. 中澤茂一

    中澤委員 それじゃ、これは今度研究要件として考えておいてもらいたい問題です。それは、かつて終戦後行われた三角貿易です。要するにこれは、相手国に送って、その決済を他の国がやる場合の三角貿易ですね。終戦直後盛んに行われたあの三角貿易で賠償物資で出せないかということを実は長野県議会が決議をして、今年の一月ですか、東京へ陳情に来たことがあるのです。これは、一応賠償室長の高見澤君を呼んで、当時井出君が農林大臣のときに、三番町でいろいろ検討してみたことがあるんですが、これは何らかの方法考えられるというのです。ところが、民度の低いところですから、おもな対象としてはフィリピン、あとの地帯というものはあまり大きな期待ができないと思うのですが、これについては研究課題として、通産省とよく販売面について御検討願いたいと思うのです。  それから、その次には乾繭保管の金融の問題なんです。その乾繭保管の金融の問題は、御承知のように、農協の信連が現在見ておるわけなんです。ところが、これは財務基準令というやつがあって、八〇%以上は出せないのですね。そこで、夏秋蚕において乾繭保管が大いに行われてくると、この資金面において全く行き詰まりを来たしてしまうのですね。八〇%以上は財務基準令で信連の金は出せないのです。そうなると、乾繭保管の量がふえてきますと、八〇%以上の資金というものは一体どうするのかという問題が現実に出てくるわけです。これに対しては、大臣、どうお考えですか。
  58. 三浦一雄

    三浦国務大臣 一応事務当局でもこの問題に直面していろいろ考えておりますから、まず局長から答弁いたさせます。
  59. 須賀賢二

    須賀政府委員 乾繭共同保管をいたします場合、ただいまお話しのごとく、一般の融資基準としては八割までの融資しか受けられないわけでございます。それ以上の融資を行います裏づけといたしまして、現在信用保証協会の保証を行う建前になっておるのでございますが、この八割以上の融資を行います方法につきましては、本法が成立をいたしますと、本法の裏づけのあります分につきましては、従来の融資基準によりませんで、さらに限度を上げて融資する方法を、目下大蔵、農林両当事者間において話を進めております。
  60. 中澤茂一

    中澤委員 長野県などは、百万貫から乾繭して、もう現実にこの問題は起きちゃっているのです。これは明らかに後手を引いているのです。その百万貫に対して八〇%しか信連は出せない。あとは信連としては出せない。なぜ出せないかといえば、財務基準令の八〇%があるから出せない。今大蔵省と局長さんが折衝しているそうですが、簡単に大蔵省は財務基準令の変更ということはいかに特例でも認めないと私は思う。もしそれを認めたということになれば、組合金融体系というものは大混乱を起してくる。ほかにもみな認めさせようという問題がたくさんあるのですから。そうなると、八〇%以上の二〇%というものは一体どうするかという問題が現実に起きてしまっているのです。そこで、例の保証協会の保証ですね。この金額が、現在総額で寄付と農林省から補助金三千二百万円出したのを合して七千六百八十九万あるのです。現在これは保証限度は五倍になっていますから、現在の保証限界は三億何千万しかないのです。ところが、この金は全部保証限界一杯使っちゃっているのです。そうなると、この保証協会の保証のない限りは、財務基準令をくずさない限りは、すぐこれをどうするかという問題。たとえば、農林中金に行きまして、信連が貸さぬから、農林中金からオーバー分を出せと言っていきましても、農林中金の方では、財務基準令の八〇%があるから、依然として、しからば保証協会の保証を持ってこいという問題になっておる。現在保証額一杯もう出してしまっておる。これに対して緊急に大臣が何らかの処置をとらないと、これはすぐもう、乾繭保管をするといっても、この資金の問題が出てきておる。ここにも明らかに後手を引いておるのです。だから、これに対して先手を打つためには、私は保証協会の基金強化ということを早急に考えなければいけないと思う。どうでしょうか、その点は。
  61. 須賀賢二

    須賀政府委員 ただいま八〇%以上の融資が受けられるかどうかという点につきましてお話がございましたが、これは、本法が通過いたしますと、この法律の裏づけになっておりまするものにつきましては、これは一種の制度金融的な扱いができるわけであります。ほかのものと一線を画しまして、やはりほかのものがそれにならおうとしましても必ずしもならえない一つの基準ができるわけでございます。さような特別な性格を帯びて参りますので、従来の融資基準以上に融資をいたしますことにつきまして、目下話を進めておるわけでございます。
  62. 中澤茂一

    中澤委員 それは、局長、あなたそう簡単に言うけれども、しからば、具体的にあなたのお考えは、あるいは担保要件をもってやろうという考え方か、または保証協会の保証力強化をやろうという考え方か、この二つの道しかないのです。そこで、財務基準令というものは、大蔵省が特例を認めてくれれば、これは一番簡単だ。これは簡単に認めっこないのです。財務基準令の特例を簡単に認めっこないとすれば、私の申した二つの具体的の措置しかないのです。そのいずれの措置を具体的におとりになろうとするのか。
  63. 須賀賢二

    須賀政府委員 財務基準令によりまする融資限度を、本法によりまして裏づけのありまする共同保管につきましては、その限度以上に融資が受けられるようにするわけであります。
  64. 中澤茂一

    中澤委員 これは、局長、あなたそう簡単に考えておるけれども、そうではないのですよ。これはそう簡単な問題じゃない。そこで、私は時間もないからよしますが、とにかくこれは保証協会の基金強化が一番手っとり早いのです。大体、保証協会としての考え方は、七百万貫の乾繭保管を見ており、それに対する所要資金は、千四百円として九十八億。そして、繭の担保融資は、これは信連から、農林金融から出せる金ですが、七十八億四千万を出す。そうすると、あとの残の十四億七千万というものが現在宙に浮いておるわけです。これを一体どうするか。金はあるのです。農林中金に金は幾らでもあるのだが、財務基準令をくずさない限りはびた一文も出せないのです。だから、それを早急に考えなければ、もう夏繭が出回ってくる。夏秋蚕乾繭共同保管がどんどん進行してくる。繭の金はちっとも、信連の方には限界があるから出せないという問題が、現実にもうすぐ来月から出てくるのです。
  65. 須賀賢二

    須賀政府委員 先ほど来お答えを申し上げておりまするように、財務基準令によりまする融資限度を、この場合の金融につきましては変えることにつきまして、農林大蔵両省間で話合いが進んでおりますが、それはそれといたしまして、今後の問題といたしまして、信用保証制度の活用ということも、これは当然私ども考えなければいけないことであると思います。ただ、現実に現在の信用保証協会の構成なりその裏づけの基金等の実態を見ますると、必ずしも共同保管が行われまする時期とそれに応じて出ておりまする基金の出資等との関係がバランスをいたしておりません。そういう問題がありまして、今年の春繭につきましても、一部の県におきましては事後的に手直しをいたしたのでありますが、そういうような問題もありますので、今後の事態に備えまして、十分信用保証の方の面もいろいろ早急に検討をいたしたいと考えております。
  66. 中澤茂一

    中澤委員 この問題は、まだ局長も、研究しておると言うが、あまり研究していないのですよ。だから、これはこんな答弁ではどうにもなりませんよ。そこで、この問題は一応保留します。これはいずれ休会中に農林委員会を相当開かなければならぬ事態が私は出てくると思うのです。だから、それまでに、これは大臣政務次官責任をもって、一体この増加分をどう処置するか、考えておいてもらいたい。私は、一番いいことは、補正予算を組まなければできないものかどうかの問題はあるかもしれませんが、一番いいことは、やはりこの保証制度を活用して、今後も乾繭保管のオーバー分資金に対しては保証金融でまかなうのだという、こういう考え方を基本的に持たれることが一番いいと思っている。それには、現在の保証基金制度というものをもっと強化する。大体、この計算でいけば、七百万貫の乾繭保管に対して三億、わずかなものです。ほんとうに目くそ金です。三億政府が出せば、七百万貫の乾繭保管のオーバー分資金は保証されてくるわけです。ですから、これを一つ研究課題として申し上げておきますから、御考慮願いたい。  一番最後に、これは今度の措置法案は新例になるのですが、第五条の第一項です。これは、政府は保管会社から昭和三十四年五月三十一日を過ぎた日から糸または乾繭を買い入れる措置をきめてあるわけですね。それに対して国庫債務の負担行為を規定したものである。これは国の債務負担規定なんですね。これは、大臣、わかりますね。しかし、その負担額の限度は、第三項で、生糸百億、繭五十億、こう規定しておるわけですね。ところが、国庫債務負担行為というものは、財政法第十五条とからんで、法律で規定するもののほかは、予算に計上して国会の議決を経なければならぬのです。そうすると、この臨時措置法で百五十億の債務負担をするということは、違法ではないが、これは通常の方法ではないのですね。では、こういう例がほかにあるかといえば、幾つもないのです。これはおそらく農林としては初めての例なんですよ。今までないのです。法律で規定しても予算に計上することがほとんどの例になっている。そうすると、本件は異例措置をとった。これに対して、この特別国会政府は補正予算を組まないのだから、そうすると、この問題というものは、違法ではないが異例措置である。この異例措置を今後もおやりになる御意思があるかどうか。
  67. 三浦一雄

    三浦国務大臣 これは、大蔵当局も、弾力のある運用をいたす考えで、臨機の措置としてこれはとる、こういうことでもあったし、当局としましてもさような考えでおります。異例措置は将来はなるべくとらないということは当然でありますので、異例措置はそう重ねてとりたいという考えはございません。
  68. 中澤茂一

    中澤委員 そこで、この問題とからんで、こういう異例措置をこの問題に関する限りとらざるを得ないというお考えでしょうか。
  69. 三浦一雄

    三浦国務大臣 これは先ほども申し上げました通り特殊のケースでございまして、これに応じてこの措置をとることは、この際としてはやむを得ない事情だと考えます。
  70. 中澤茂一

    中澤委員 そうすると、たとえば桑苗の問題であるとか、いろいろこの問題にからんだ問題が今後出てくると思うのです。そういう場合、大臣はどうするお考えでしょうか。この問題に関する限り、そういうからんできた問題に対しても異例措置をとらざるを得ないような場合が出てきたときは、おとりになりますか、どうでしょうか。
  71. 三浦一雄

    三浦国務大臣 今御質問のような事態に、必ずしもかような制度をとる必要がない場合もあろうと思います。なるべくならば異例措置は避けたいと思います。
  72. 中澤茂一

    中澤委員 必然的にからんでくる問題が出てきた場合ですよ。この繭糸価格臨時措置法の問題と必然的にからんできた場合は、大臣はどうなさいますかということをお聞きしております。
  73. 三浦一雄

    三浦国務大臣 必然的に流れてきましても、立法あるいは予算等のそれぞれの措置を講じていくことは、やむを得ない事態として措置することもありましょうし、このものから流れてくるものに直ちに異例措置をとるということも申しかねることであるかと思います。
  74. 中澤茂一

    中澤委員 まだ質問は山のようにございます。いま二日ぐらいやりたいのですが、どうも私ばかりあれしては、ほかの皆さん方が御迷惑ですから、きょうはこの辺でやめますが、しかし、大臣、これは八方破れです。これは確かに問題が残っております。これに対して具体的にこういう問題が出るというまだ一ぱい問題があるのです。しかし、これは、どういう処置をしていくということを、もっと慎重に、真剣に私はあなたにお考えおき願わぬと、——われわれは別に社会党だから与党だからという考え方で問題を展開しておるのではないのです。ただ養蚕農民立場からこの質問を展開しておるのです。私はほんとうはこんなおとなしい質問をしたのは生まれて初めてなんです。いつも大体頭から毒づくのが常套なんですが、きょうは大臣最初からかみしもを脱いで答弁するというから、私もかみしもを脱いで質問しているのですが、しかし、これは現在の状態が悪化した場合は大臣は必ず責任をとってもらいたいことを私は最後に申し上げまして、質問を終ります。
  75. 三浦一雄

    三浦国務大臣 最善を尽す考えであります。
  76. 松浦周太郎

    松浦委員長 これにて質問は終了いたしました。  それでは、ちょっと速記を待って下さい。     〔速記中止〕
  77. 松浦周太郎

    松浦委員長 速記を始めて下さい。  本案に対し栗原俊夫君より日本社会党提案にかかる修正案が提出されております。修正案はお手元に配付いたしてある通りであります。  まず修正案趣旨について提出者の説明を求めます。栗原俊夫君。
  78. 栗原俊夫

    ○栗原委員 ただいま付議されております繭糸価格の安定に関する臨時措置法案に対しまして、日本社会党の修正案趣旨の説明をいたします。修正案は非常に短いのでございまして、お手元にございますが、一応朗読をさしていただきます。    繭糸価格の安定に関する臨時措   置法案に対する修正案  繭糸価格の安定に関する臨時措 置法案の一部を次のように修正す る。     —————————————   本案施行に要する経費  本案施行に要する経費としては、約五十億円の見込である。  以上の修正案でございますが、今回の蚕糸業界の当局の説明によれば、異常な状態に対処してこれを政拾するために、繭糸価格安定法によってこれを収拾するのではなくて、特に臨時措置法案を立案し提案されておるわけでありますが、政府並びに与党である自民党の方々がこの事態に対処するために、常日ごろ農民の諸君あるいは製糸業界の諸君にいろいろ御説明しておるこれらのものが今回の措置法案の中に盛り込まれておるものと実は期待をしておったわけであります。しかし、いろいろ審議を重ね、特に大臣並びに蚕糸当局等との質疑の中から私たちが得たものは、決して今回の措置法によっ、て当面しておる事態が救済されない、収拾されない、重大な要点がそれぞれ抜け穴になっておる、こういうことを発見したわけでございます。そこで、私たちが、これではどうにも当面のこの事態を収拾できない、こうした観点に立って、この修正案を提案しておるわけであります。  まず、今回の事態を収拾するのに当って、一番重大な問題は、政府においてすでに決定しておる生糸十九万円、繭千四百円、この二つの最低価格の維持でございます。しかし、実際はどうかと申しますと、御承知通り、清算市場においては十九万円をはるかに下回った生糸価格が取引の中に現われてきており、また、一方、繭の取引においても、千四百円を下回ったやみ取引と申すようなものが具体的に行われておるわけであります。そこで、これをどうして維持していくか。このことに関して、政府提案の法案の中では、生糸を五万俵、繭については共同乾繭保管をされておる約二百六、七十万貫を買い入れる、このために、生糸には百億円、繭については五十億円、こうしたものを限度として、保管会社に買い入れせしめる、こういう内容を盛っておるわけでありますが、このうちから、繭については、会社が買い入れることができるのであって、買い入れなければならないというような積極的な条項を欠いておる。これではやはり繭の千四百円というものを維持していくことに非常な危険が感ぜられるわけであります。質疑応答の中から、政府では、維持するために十分買い上げていくんだ、こういうことを申しておるわけでありますが、それならば、これを堂々と今回の法の中に明記して、そして繭の取引についての安心感というものを与えるべきだと考えるわけであります。私たちは、この点、政府も与党の諸君も口々に言っておることをそのまま法文としてここに書き出したにすぎないので、決して新たなる考え方を出したのではないのであります。  さらに、第四条を新たに創設しました趣旨は、今回の繭の処理の中で大きな問題が二つある。それは、共同乾繭されておる繭の問題と、団体協約によって価格の決定を見ずしてすでに受け渡しの行われている繭を、一体どのようにして救済するか、こういう問題でございますが、共同乾繭されている繭については、ただいま申しました会社が買い入れの申し込みを拒むことができないという規定によって救うことができるのでありますが、団体協約の面につきましては、大臣との質疑応答の中から千四百円をどこまでも保障するのだということについて明確な答弁が得られません。繭糸価格安定法は千四百円を保障する、こういう立法趣旨でありながら、共同乾繭を望んでも共同乾繭のできない農民が非常に多い。配付された資料によりますれば、ことしの春繭は千五百五十万貫ということが予想されておるわけでありますが、その間共同乾繭されたものが二百五、六十万貫とすれば、団体協約に回されておる繭一千三百万貫に近いものが、団体協約として受け渡しされ、まだ今日値段の決定を見ずして放置されておるわけであります。これらの人たちは、千四百円を保障される共同乾繭が望んでもできないという立場に立って団体協約という姿で受け渡しをされておる。これを政府が保障できない。具体的には行政指導によって千四百円で取引せしめるんだとは言っておるけれどもほんとうにそのつもりがあるならば、これを法に明記して、最低保障価格以下の取引はさせないんだ、こういうことで断固として打って出らるべきだと思うのであります。こういう観点に立って、私たちは、この修正案の中にはっきりと、何人も繭糸価格安定法第十一条第一項の規定により農林大臣の定める額に達しない額で、すなわち千四百円以下で昭和三十三年産の繭を買い入れてはならないんだ、こういうことを明確にうたったわけでございます。  なお、こうした強化規定を作る限り、やはりこれにはこれを強制する条章がなくてはなりません。そこで、罰則として第十一条を設け、「第四条の規定に違反した繭の買主は、一年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれらを併科する。」、こうした罰則規定をここに設けようとしておるものであります。このことについては与党の方々の中からもいろいろ論議があるようでございますが、このことは、決してこの臨時措置法に目新しく設けた規定ではなくして、すでに今日まで行われてきた繭糸価格安定法の中に、高値についての禁止の条項があり、高値を禁止する、この条章に違反した者については罰則を設けて、これと同文の処罰規定が設けてある。これは何ら新しい奇異なものでも何でもございません。  こうした体系の中で私たちはこの三十三年度の生糸の問題を解決していこうと考えておるわけでありますが、さらに、金額につきまして、原案におきましては生糸の買い入れの限度を百億としておるのを、私たちは三十億を増して百三十億に増加する、繭については、五十億と限度をきめておるのを、二十億増加をして七十億に増加しようとしておるわけであります。このことは、なぜそれですべてが解決がつくのかということについてはなかなか論議がございましょう。私たちは、どこまでも生糸あるいは繭の最低保障価格を維持するためには、要望があればすべてを買い入れるという考え方の上に立ってこの修正案を提出しており、当面百三十億、七十億という修正を出しておりますけれども、具体的にこれだけではいかぬという場合には、さらに必要に応じて増加せしめるという考え方の上に立って、春の実績、そして夏秋蚕の実績等を勘案して、当面はこの数字でやっていけるのだ、こういう観点に立っての数字の修正でございます。このことは、今日まで与党である自民党の特別対策委員会等においても同じ論議が行われておったと聞いております。そして、今日までのいろいろの質疑応答を通じ、またその他の談話の中からも、こういうことはやらねばならないということが与党の方々のいろいろな御意見であったように私たちは受け取っております。いろいろ行きがかりもございましょうけれども、当面の蚕糸業の事態を収拾するという立場に立って、常日ごろ言っており考えておることに良心をもって忠実に決断をして、何とぞ満場の御賛成あらんことをお願い申し上げまして、提案理由の説明を終ります。
  79. 松浦周太郎

    松浦委員長 修正案について質疑はありませんか。——なければ、この際本修正案について内閣の意見を求めます。
  80. 三浦一雄

    三浦国務大臣 ただいま御提案になりました繭糸価格安定に関する臨時措置法案に対する修正案につきましては、政府としましては、今回の政府提案の措置により繭糸価格の安定を維持し得ると考えておりますので、今政府原案を修正する考えはございません。
  81. 松浦周太郎

    松浦委員長 これより修正案及び原案を一括して討論に付します。  討論の通告がありますので、これを許します。八木一郎君。
  82. 八木一郎

    八木一郎委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま御提案になりました繭糸価格の安定に関する臨時措置法案に対する修正案に対しましては、これに全面的に反対であるという意思を表示し、原案に賛成であるという討論を行おうとするものであります。以下簡単にその趣旨の説明を述べさしていただきまして、御了解を得たいと思います。  原則的に、今回の異例臨時措置は、需給の均衡が破れて需要と供給の関係が異常な事態に立ち至ったというところに端を発していることは申すまでもありません。そこで、これが措置については、制度的に法律、規則等によって行政に断をゆだねられた措置もありましたが、実効をあげ得られるはずであるのに、その異常な事態なるがゆえに、その実効をあげることができなかった、ここに理由があると思います。そこで、千四百円、十九万円を堅持していかなければならぬというこの方向については、昨日も社会党の松平君からるるお述べになっておりましたように、海外の事情は、国際商品としての日本の商品の供給する態度が、価格は安定して変らないのだということが明確になることが先決である。松平君の御意見は、二年は動かさないと言えば長期の国際契約は非常に発展的に伸びてくる、こういうことさえ言っておられますが、私どもも、国際的な視野から見ると、この考えに同じであるのであります。一方、国内的に見ますと、国内の事情も他の物価の関係もありますが、生糸の特異性から言えば、安いから売れるという特異性ではないと思っております。やはり、安定が前提になっていかなければ、なかなか機屋さんあるいは関係の需要者はこれを活発に使用しない。こういう見解に立っております。その見解については、修正案でありますが、御提案の、(1)、(2)、(3)、あたりのお考えは同様ではないかと思うのです。また、そのやり方について不安がある、どうも不信がある、そこで法律で政府を義務づけてこれを鞭撻しておこう、こういう御意図であると思いますが、私どもは、むしろ、法律制度等の欠陥よりは、行政の執行に当る当局がこの立法の精神を十分に理解して活発に行わないということが一番の欠点だと思う。今回この法律を通しましたら、直ちに実行に移す執行の態勢は、大臣も断固やりますという御言明でありますから、何ぼでも活発に買い取るという。よく例に引かれるけれども、銀行が取付にあったとき、何ぼでも払うと幾ら言っても信用しないという、この心理状態が相場に影響するのでありますから、この点、練達な大臣ですから、一つ通ったら活発に——取付にあった銀行が、札束を積んでおいて、何ぼでも持ってこい、幾らでも払ってやるという態勢に出るように、この法律を活用してもらうことによって、かような条文を作って消極的に買い入れるという行政の執行の方法などをこうこまかにきめなくても、行政執行の責任者がこの気持で執行していただくことによって、御修正をなさろうとする意思は大体達成されるという考えが、(1)、(2)、(3)についての見解であります。  その次に、(3)、(4)等の問題になりますと、先ほどの質疑応答でもだんだん明らかになって参りましたように、この種の商品、この種の物質、この種の農産物を政府、国家が直接統制、管理するというところにつながっておる一つの政策の基本の問題としてだんだん思いをいたす点でありますので、この種の問題については、かかる臨時立法において手をつけなくて、恒久的な、続いて検討せらるべきこの問題の予算的、立法的、行政的、資金的あるいはあらゆる措置に関する検討を加えて、この秋の臨時国会あるいは通常国会の機会に譲っていただいてもおそくはないのじゃないかと思いますので、私は、全面的に原案に賛成して、その執行について抜かりなき活発なる執行を重ねて御期待申し上げて、原案に賛成いたします。
  83. 松浦周太郎

    松浦委員長 高田富之君。
  84. 高田富之

    高田委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、修正案に賛成、原案に反対の意を表明せんとするものであります。  まず、わが党の今回の蚕糸対策に対する基本的な態度について簡単に申し上げますと、わが党の基本的な態度といたしまして、まず第一に、生糸価格十九万円、繭価格千四百円の水準は最低線として堅持する、第二に、このために繭及び生糸について国は無制限に買い入れるものとし、当面今国会において糸価安定特別会計予算を補正し、同会計の借り入れ限度をさらに二百億円追加拡大する、第三に、乾繭設備の不足にかんがみ、繭を政府買い上げて、製糸業者に乾繭保管させるなどの措置を考慮する、第四に、繭糸価格安定法を改正し、乾繭設備の整備等の措置と相待って、生糸及び繭の価格安定等のための条項を強化し、売りくずし、買いたたき等の規制に遺憾なからしめる、第五に、政府の企図している蚕種買い上げ、桑園整理等の生産制限措置については、養蚕農民及び蚕種、桑苗等の業者に対する国の補償を要求し、ことに、桑園の作付転換等については、畑地灌漑等の土地改良、営農資金確保、畑作農作物の価格安定等、畑作振興のために格段の措置を講ずるよう要求し、これらの保障なき限り二割制限に反対すること、このような基本的な立場に立ちまして今日まで鋭意努力を重ねて参りました。  今回政府から臨時措置法案が提案せられましたので、われわれとしましては、このわが党の考えておる基本的な立場こそ、今日業界の要望するところであり、百万の養蚕農民の要望に合致するところであると信じますので、この精神を織り込んだ共同修正案を提出して、そうして政党政派をこえて国民の期待にこたえるべく努力を重ねてきた次第であります。しかし、残念ながら、ついに与党の皆さんの御賛同が得られない、こういう段階に立ち至りましたが、われわれは、今回提案せられました臨時措置法案を無修正のままでは、われわれの考える、また業界や農民の要望しておる事項を満足せしむることはとうてい不可能であるということが昨日来の質疑応答を通じましてきわめて明白となりましたので、ここにあえて単独で提案せられましたこの修正案にぜひとも良識をもって皆様方に一人でも多く御賛成をいただいて、強く成立を期していただきたいことを念願するわけであります。  この原案におきましては、第一に、最も皆さんが心配しておりました乾繭設備提供を製糸業者が拒否する場合、これに対しましてどういう救済措置があるかということにつきましても、何ら明確なものが示されておりません。また、乾繭をいたしました資金等の手当につきましても、これの万全を期する措置が今なお明確を欠いております。また、団協によってすでに製糸側に引き渡されました繭の掛目協定の始まる直前であめる今日におきまして、なお最低繭価が確実に掛目協定によって保障されるという具体的な指導も制度も何も得られないのであります。また、この百五十億というものが、結局、春繭に対する、また春繭からできる生糸に対する一応の措置としてもきわめて不十分ではありますが、そういう措置でありまして、それ以後については主として繭の二割生産制限にたよろうとしているわけでありますが、この二割制限たるや、今日全国の農民がこぞって反対を唱えておる。今まで政府が増産に増産を奨励し、忠実に増産をして参りまして、現に五カ年計画の途上にある、このとき突然政府がそういう制限の措置をとり、しかも自主的にこれをやれ、しかも何らの補償もない、こういうことに対しましては、農民は怒りをもってこの二割制限措置に反対の意思を表明しておるわけであります。従って、スムースに二割の制限ができるものと想定をして、需給のバランスがとれるかのごとき机上プランを立てて、そうしてこの臨時措置によって繭糸価格が安定できるかのごとく偽わろうとすることは、これは国民を欺くものである。また、そのことは業界がよく洞察しておりますから、今日この段階に至ってもなおかつ十九万円の相場が出て参らない事実がこれを証明しておる。先行きますます不安であるというのが今日の空気であります。このままでいけば、おそらく夏秋蚕以後におきましては再び今日当面いたしましたと同じような業界の混乱を来たすことは必至であります。私どもは、責任ある国会におきまして、一年間この生糸年度における臨時措置として立てます以上は、目先すでに不安を招来することが明らかであるようなものに賛成するわけには参らないのであります。私たちは、この修正案によって、最低限度わが党の考えておる、また農民や業者が考えておる国民の世論が織り込まれるならば、百歩を譲ってわれわれはこの政府原案を若干修正をして成立せしめようとして努力をいたしておるわけであります。  私は、この機会に特に申し上げたいのでありますが、今日まで生糸相場が非常に動揺し、繭取引がこの春繭におきましては非常に動揺混乱の中に行われて参りました根本の責任は、政府当局が明確なる蚕糸業政策というもの、基本的な政策というものをいまだに持っていない、非常に動揺よろめきを示しているということが、業界に対し、また海外に対し、農民に対し、不安を与えておる根源であると思う。今日困難な立場に遭遇しているわが国の蚕糸業をいかにして当初の目的である蚕糸業振興の大目的に乗せて引きずっていくかということのためには、明確な政府当局者の指導方針というものが、国民の間に、また海外にまで徹底されなければなりません。しかるに、今回のこの動揺が示しておる通り政府は将来蚕糸業をどう持っていくかということについては今なお確信がないということが暴露されておるのであります。私どもは、臨時応急対策とあわせて、恒久的な具体策をすみやかに立てなければならぬと考えておるのでありますが、政府においては、おそらく、一部に適切なる批判があります通り、蚕糸業は厄介ものである、さしあたり要求があるからやむを得ず百五十億を投げ出すことによって、あとはもう言うことは聞かない、百五十億でやれるだけのことはやれ、あとは成り行きにまかせる、こういう態度がここに法案によっても示されております。このことがますます業界に不安を呼び起すのでありまして、私は、政府が基本的な態度を明確にし、蚕糸業振興の国策を明示しない限り、この混乱最後的に収拾する道はないと信ずるのであります。私たちは、これから先も、この全国百万の養蚕農民、また、養蚕のみならず、酪農において、米麦において、あるいは果樹、園芸において、蔬菜において、ことごとく価格の暴落に悩み、農業危機のまっただ中にありますこの際、どうしてもこのわが国の農業を安定せしめるために、ことに養蚕地帯の養蚕業については、農業政策の見地からも確固たる対策を立て、また生糸や絹織物に対しましても、これまた一応角度を変えた立場においてこの振興を考えるというような、そういう立場に立っての基本的な国策を樹立すべきであると考えます。私どもは、この当面する蚕糸業の危機を前にいたしまして、この最小限度の必要なる修正案をぜひ皆さんの御賛成を得て本国会において成立せしめていただきたいことを心から訴えざるを得ません。  以上、簡単でありますが、わが党の立場、また本案の欠陥の二、三の要点を指摘いたしまして、修正案に賛成、修正部分を除く原案に反対の趣旨を申し述べた次第であります。
  85. 松浦周太郎

    松浦委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  まず修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  86. 松浦周太郎

    松浦委員長 起立少数。よって、日本社会党提出にかかる修正案は否決いたしました。  次に原案について採決いたします。原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  87. 松浦周太郎

    松浦委員長 起立多数。よって、本案は原案通り可決すべきものと決しました。  本案について、吉川久衛君より、自由民主党提案にかかる附帯決議を付したいとの趣旨の申し出があります。この際発言を許します。吉川君。
  88. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 私は、繭糸価格の安定に関する臨時措置法案に対する附帯決議案を、自民党を代表して提案をいたします。  ただいままでの質疑の間における大臣を初めとする政府の御答弁の中で、私どもは緊急の措置としてはこれで十分であると考えますが、今日までの繭糸価格の不安定な状態を来たしましたのも、私は政府の行政的な措置が十分でなかったと思う。幸いに三浦農林大臣は今度は先手々々と打って善処すると明確におっしゃっておいでになりますので、われわれは期待をかけてよろしいと思うのでございますけれども、念のために、以下私は附帯決議を本案に対して付する必要を感じますので、これから朗読をいたします。   繭糸価格の安定に関する臨時措置   法案に対する附帯決議(案)   この法律により政府が日本輸出生糸保管会社の買入れる生糸及び乾繭に対して行う国庫債務負担の額百五十億円は、昭和三十三年生糸年度に生産される生糸七五、〇〇〇俵の棚上げを可能とするものであつて、最低繭糸価を維持するに足ると思われるが、内外の経済情勢、繭生産の推移いかんにより万一先行不安の事態を生ずるおそれがある場合においては、政府は遅滞なく会社に対し生糸及び乾繭の必要かつ十分な買入資金を斡旋する等、最低繭糸価の維持につき万全の措置を講じ、もって養蚕農民の経営安定にいかんなきを期すべきである。   また、政府は、農協連合会が共同保管しようとする乾繭について、乾繭施設等の提供を承諾しない製糸会  社に対しては、これらのものの製造する生糸の買上げに条件をつける等の強力な指導方針を堅持し、かつ、乾繭保管金融保証を強化増進し、もって乾繭共同保管の円滑な実行を推進する措置を講ずべきである。   右決議する。   昭和三十三年六月二十七日        農林水産常任委員会 以上の通りでございまして、これ以上説明を加える必要はございませんが、しかし、社会党の諸君の修正案についても、私はこれは恒久対策的な内容も持っていると思われますので、この点は将来政府においても一つ十分恒久対策樹立について御参考にされる必要があるのではないかと考えております。緊急対策としては十分であると思いますが、しかし、わが党は、糸についての百億円、繭についての五十億円、これはあくまでも春蚕繭対策でございまして、夏秋蚕対策は速急に追いかけて対策考えていただかなければならない。なお、恒久対策等についても、わが党は繭糸価格安定に関する特別委員会を設置いたしてございますので、党においてもこの特別委員会において十分検討をいたしまして、政府の御参考に供する用意をいたしております。政府においても、党の決定を十分尊重されまして、政党内閣である限り、わが党の施策を十分盛られたところの対策を立てていただくことを特に要望いたしておきます。  以上であります。
  89. 松浦周太郎

    松浦委員長 ただいま吉川君より提案せられました附帯決議案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  90. 松浦周太郎

    松浦委員長 起立総員。よって、付帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議に対し政府の所見を求めます。三浦農林大臣
  91. 三浦一雄

    三浦国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、今後十分検討いたしまして施策の万全を期する考えでございます。われわれとしましては、事態の重大なる事情にかんがみまして、その御趣旨を尊重し、そうして適切なる措置を講ずる存念でございます。
  92. 松浦周太郎

    松浦委員長 次に、お諮りいたします。ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 松浦周太郎

    松浦委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時散会      ————◇—————     〔参照〕  繭糸価格の安定に関する臨時措置法案内閣提出第五号)に関する報告書     〔別冊附録に掲載〕