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1958-06-19 第29回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月十八日       秋田 大助君    上林榮吉君       武知 勇記君    粟山  博君     早稻田柳右エ門君    片島  港君       小松信太郎君    森本  靖君 が理事に当選した。 ————————————————————— 昭和三十三年六月十九日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 淺香 忠雄君    理事 秋田 大助君 理事 上林榮吉君  理事 粟山  博君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 片島  港君 理事 小松信太郎君    理事 森本  靖君       生田 宏一君    小平 久雄君       進藤 一馬君    大野 幸一君       金丸 徳重君    栗原 俊夫君       原   茂君    小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 寺尾  豊君  出席政府委員         郵政政務次官  廣瀬 正雄君         郵政事務官         (電波監理局         長)      濱田 成徳君  委員外出席者         郵政事務官         (郵政事務次         官)      小野 吉郎君         郵政事務官         (大臣官房人事         部長)     佐方 信博君         郵政事務官         (監察局長)  荒巻伊勢雄君         郵政事務官         (郵務局長)  板野  学君         日本電信電話公         社総裁     梶井  剛君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 六月十九日  委員生田宏一君辞任につき、その補欠として池  田清志君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵政省所管事項及び日本電信電話公社事業概  況に関する件      ————◇—————
  2. 淺香忠雄

    淺香委員長 これより会議を開きます。  郵政事業に関する件、郵政監察に関する件、電気通信に関する件、電波監理及び放送に関する件について調査を進めます。  まず寺尾郵政大臣より所管事項について説明を聴取することといたします。寺尾郵政大臣
  3. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 それでは、私から所管事項につきまして概略御説明申し上げます。  まず、労働問題について申し上げます。御承知通り郵政事業は二十数万という多数の職員を擁し、しかも業務の性質上、営々人力によって運行される面が多いのでありまして、労働運動事業に及ぼす影響はきわめて大きいものがあるのであります。ところが先般の春季闘争におきまして、全逓信労働組合からは数名の解雇者までも出さなければならなかったことは、まことに遺憾に存ずるところでありまして、今後は一日も早く労使関係を正常に戻し、事業の円滑な運営に努力して参りたいと考えております。なお、私といたしましては、今後積極的に労働条件改善に努力いたす所存であり、組合側も合法的な運動を行うよう期待する次第でありまして、今後とも法に違反する闘争に対しては、厳重な態度をもってこれに臨み、もって民主主義のルールにのっとったよい労働慣行を樹立し、いやしくも先般の春季闘争のような事態を繰り返さないように努力いたしたいと考えております。  次に、郵便事業について申し上げますと、その運営は依然として順調に進んでおります。これを取扱い物数の面から見ますと、昭和三十二年度郵便物引受物数は、五十四億四千万通をこえ、前年度に比べて約七・二%の増加となっております。本年度に入りましてからも物数の伸びは好調でありまして、四月、五月の二カ月間の実績は約八億通で、昨年同期に比べて約八%の増加を示しております。従いまして、収入の面におきましても、おおむね好成績をあげているような状況であります。  次に、お年玉つき郵便葉書等発売に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。第二十八回国会に、お年玉つき郵便葉書等発売に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしましたが、審議未了となったのであります。しかしながら、本件は社会的に早急に解決を迫られており、また今年度発行計画決定は八月早々行わなければ事務に支障を生じますので、あらためて今国会に提出いたしたいと考えております。その節は何とぞよろしく御審議を賜わりますようお願いいたします。  次に、郵便局の増置につきましては、国民一般の要望はきわめて強いのでありますが、従来は定員及び予算等の制約を受けまして、毎年五十局程度しか増置できなかったのでありますが、本年度は二百局を増置することになっております。  ソ連あて郵便物につきましては、目下のところ米国及びヨーロッパ諸国仲介によりまして送達されておりますが、このたびわが国ソ連との間に通商航海条約が成立いたし、日本海経由定期船が就航することとなりましたので、ソ連郵政庁交渉の結果、直接交換を行うことができることとなったのであります。なお、ヨーロッパあて郵便物ソ連経由による送達につきましても、同国郵政庁承認を得ておりますので、この方面にあてる郵便物送達日数も著しく短縮される見込みであります。  郵便局舎改善につきましては、昭和三十年度初年度とする八カ年計画を立て、この改善を行なって参りましたが、おおむね予定通り進行いたしております。  次に、郵便貯金及び簡易保険について申し上げます。郵便貯金の現在高は、すでに約七千四百億円に達するという巨額に上っているのであります。御承知通りこの金は、年々資金運用部を通じて財政投融質に充てられておりますが、その資金の過半を占めており、わが国の興隆に大きく役立っているのであります。一方、簡易保険郵便年金積立金郵便貯金と同様に財政資金として大いに役立っており、特に地方公共団体各種公共事業に融資されまして、地方の開発に大きく貢献いたしております。三十三年度におきましては、これら国民貯蓄をさらに増強いたしまして、一そう国家資金の充実をはかりますとともに、事業経営基礎を強固にするため、郵便貯金一千百五十億の純増加と、簡易保険郵便年金運用原資一千億円確保目標として、これらを強力に推進いたしております。  次に、外国との郵便為替交換業務等について申し上げます。インドビルマ及びパキスタンとは、いずれも英国仲介によりまして郵便為替交換実施しておりますが、仲介業務の不便を排除いたしまして直接交換を行うため、それぞれ郵便為替条約締結するよう相互草案交換して交渉中であります。インドにつきましては、本年一月双方の意見が完全に一致いたしましたので、目下条約締結について準備中であり、またビルマにつきましては、条約草案について意見が一致いたし、目下ビルマ側正式回答を待っております。フィリピンとの戦前の郵便為替条約は、平和条約の規定に基いて廃棄されたものとみなされるに至りましたので、これにかわる新条約締結につきましては、条約草案を作成するとともに、外務省を通じてフィリピン側意向を打診中であります。ブラジルとの間には、現地郵便為替交換実施すべき準拠条約がありませんので、かねてからその締結につきまして種々交渉を進めておりましたが、業務実施方式につきましては、ほぼ意見の一致を見るに至ったのであります。しかし、ブラジル側におきましては為替監理局承認を要しますので、目下同国側正式回答を待っております。英国との間に現在行われております郵便為替条約は、明治四十一年に締結したものでありまして、現在の実情に沿わない点が多くあり、これを改締する必要がありますので、相互改締案交換して交渉を進めております。なお、万国郵便連合郵便為替約定加入した国で、いまだわが国郵便為替業務取扱い実施するに至らないタイ、インドネシア等の国々とは、かねてからその実施につきまして交渉を進めており、また大韓民国との業務実施につきましても大蔵省と協議中であります。  次に、電波関係について申し上げます。まず、最近の無線局開設状況について簡単に申し上げます。電波に対する社会需要は増大する一方でありまして、最近一年間の無線局増加は約七千百局で、月平均約六百となっております。無線局数は、三十三年三月末で三万二千をこえており、昭和三十五年電波法制定当時に比し、約八・六倍となっております。これら無線局事業別に見ますと、漁業、警察、消防等公共保安業務陸上海上運輸事業アマチュア無線電力事業公衆通信事業放送事業等がそのおもなものとなっております。電波に対する需要は、今後ともさらに増大するものと考えられますが、割り当てられる電波には限りがありますので、当省といたしましては、電波が能率的かつ公平に利用されるよう、研究し努力したいと考えております。  次に、放送関係について申し上げます。標準放送局は、予備免許中のものを含めまして総数三百一局であります。このうち日本放送協会のものは、第一放送が百十一局、第二放送が九十一局、計二百三局であります。また一般放送事業者のものは四十二社九十九局であります。その普及状況について申し上げますと、受信契約者数は、五月末で約一千四百七十万となっており、これは全世帯数の約八三%に当っております。テレビジョン放送につきましては、放送中のものは、日本放送協会が十九局、一般放送事業者が七社七局でありまして、予備免許中のものは、日本放送協会九局、一般放送事業者十九局となっております。また受信契約者数は、五月末約百二万となっておりまして、この一年間に約五十四万の増加となっております。さらに、カラー・テレビジョンにつきましては、日本放送協会VHF帯及びUHF帯において、また日本テレビ放送網株式会社VHF帯実験を行なっております。またFM放送につきましては、日本放送協会東京大阪において実験実施しております。当省といたしましては、これらの問題につきましては、わが国における社会的経済的文化的事情、諸種の技術的問題、さらに諸外国における資料等を十分研究し、その基本的あり方決定いたす考えであります。  次に、電気通信事業について申し上げます。日本電信電話公社は、昭和二十八年度初年度として電信電話拡充第一次五カ年計画を策定し、鋭意その完遂に努力いたしました結果、計画相当に上回る好成績をおさめてその幕を閉じたのであります。しかしながら、昭和三十二年度末における積滞数は約六十万を数え、需要はさらに増大する見込みであります。このような需要に対処するため、日本電信電話公社においては、昭和三十三年度を起点とする第二次五カ年計画を樹立したのでありますが、その概要は次の通りであります。第一点は、この期間中に百三十五万の加入電話増設し、別に農山漁村電話普及対策として七万を増設する。第二点は、この期間中に六万五千個の公衆電話増設する。第三点は、市外回線増設キロ程を約四百三十万キロメートルとし、全通話数の約六〇%を即時化する。第四点は、全国にわたってマイクロウェーブ施設を整備し、テレビ中継網の形成を促進する。第五点は、電報中継機械化を完了し、加入電信普及をはかる等であります。なお、この計画に要する資金総額は約四千百億円でありますが、その調達は、減価償却引当金収支差額等を合せて自己資金が約二千三百億円のほか、加入者引受債券公募債資金運用部資金及び簡保資金借入金等外部資金が約一千八百億円となっており、この外部資金獲得成否がこの計画遂行成否を左右するものと考えられるのであります。昭和三十三年度建設勘定予算は、自己資金五百八十九億円、外部資金百六十一億円を財源とする総額七百五十億円であります。なお、すでに認可いたしました弾力条項発動額三十億円がありますし、さらに加入者開通増加により、年度末にはまた弾力条項発動が予想されますので、これらを合せますと、建設費総額は八百億円をこえることもでき、第二次五カ年計画遂行上、初年度として不安のない見込みであります。この財源に充当されます外部資金中には、借入金として資金運用部資金二十億円、簡保資金十五億円、計三十五億円が予算に計上されており、繰り越し発行公募債三十億円は、全額簡保資金で引き受けているのであります。  次に、国際電信電話株式会社業務について申し上げます。国際電信電話株式会社は本年四月で設立後満五年を経過したのでありますが、金融引き締め等事情によりまして、最近国際通信量は伸び悩みの状態となり、第十期利益金処分の結果を見ますと、営業収益は前期及び前年同期に比較してそれぞれ減少を示しておりますが、経費の節減等によりまして年八分の配当を維持しております。しかし将来の見通しといたしましては、最近若干通信量の立ち直りも見られますので、さして心配することもないと存じております。  以上をもちまして私の報告を終りたいと思いますが、なお詳細の点につきましては、御質問をいただきましてお答え申し上げたいと存じます。
  4. 淺香忠雄

    淺香委員長 次に、日本電信電話公社事業概況について、総裁より説明を聴取することといたします。梶井総裁
  5. 梶井剛

    梶井説明員 日本電信電話公社の最近の事業概況につきまして御説明申し上げます。  公社発足以来鋭意努力いたして参りました第一次五カ年計画は、おかげさまでおおむね順調な成果を上げ、本年三月をもちまして終了いたしました。  すなわち、この五カ年間に約百九万の加入電話並びに四万六千の公衆電話増設し、この結果、三十三年三月末の加入電話の数は、二十七年度末における百五十五万の一・七倍に相当する二百六十三万七千となり、公衆電話も同年度末における二万の三倍強に相当する六万六千となりました。また市外回線につきましても、五カ年間に約二百二十万キロメートルを増設し、三十三年三月末の公衆市外電話回線は、二十七年度末における百十一万キロの約三倍に相当する三百二十万キロメートルとなり、この結果、市外通話サービス相当向上しまして、大都市相互即時通話となっております。また電報中継機械化予定の五〇%しか実施いたせませんでしたが、電報は受け付けてから配達されるまで普通電報で二十七年度の八十三分から五十四分に短縮され、電報の間違いの字数も、一般電報で一万字当り一八・〇字であったものが一一・七字となり、相当改善の跡を示しております。このほか、三十三年三月から神戸、京都、堺におきまして新たに加入電信サービスを開始し、すでに実施中の東京大阪、名古屋を合せまして三月末現在四百五十四加入となっております。しかしながら、加入電話需要充足率は依然わずか三〇%内外にとどまり、本年三月末現在、五十八万の需要が積滞している状況であり、市外通話につきましても、大部分は依然として長い待ち合せ時間を要しております。  このため公社は、引き続き三十三年度より第二次五カ年計画の実行に着手することといたしておりますが、そのおもなる目標としましては、第一次五カ年計画よりも規模を拡大いたしまして、一、五カ年間に百三十五万の加入電話増設し、昭和三十七年度末には加入数を約四百万、電話機数を約六百万とすること。二、公衆電話を六万五千個増設し、現在の二倍に増加すること。三、市外回線を四百三十万キロ増設し、主要都市及び県庁所在地、その他これに準ずる都市相互等長距離主要区間、並びに関係の密接な近接都市相互間及び同一経済圏内等近距離区間市外通話即時とすること。四、市外通話即時化に要する市外回線増設並びにチャンネル・プランの決定によって今後増加するテレビ放送中継網需要にこたえるために、マイクロウエーブ同軸ケーブル等市外伝送路拡充整備をはかること。五、電報中継機械化を完了するとともに、加入電信サービス全国普及させること。六、合併市町村に対する電信サービス改善を一応完了するとともに、農山漁村等電話普及させ、無電話部落を解消すること等であります。この計画実施するための所要資金は約四千百億円に上り、このうち約千八百億円を外部資金に仰ぐことを予定しておりますが、これの調達につきましては相当の困難が予想されますので、特に皆様の御理解と御援助をお願いする次第でございます。  三十三年度予算は、ただいま申し上げました第二次五カ年計画初年度分に当るわけでありますが、その骨格は、事業収入につきましては千六百九十三億円の見込みでありまして、三十二年度予算に比べ二百二十一億円の増加となります。この収入見積りは、昨年四月から十月までの収入実績基礎とし、かつ経済の動向は三十三年度におきましても現状を維持するものとして算定したものでありますが、昨年後半に至りまして景気低迷影響を受けまして、収入実績下降傾向をたどっておりますので、本年度収入確保につきましては格段の努力をいたさねばならないと存じております。支出は千四百二十三億円でありまして、給与総額は五百六十八億円となっております。以上の結果、収支差額は二百七十一億円となり、このほとんどを建設財源に充てることとなっております。  次に、建設勘定でありますが、三十三年度総額七百五十億円でありまして、前年度の六百三十四億円に対し百十六億円の増加となっております。建設資金調達は、自己資金を五百八十九億円、外部資金を百六十一億円と予定しておりますが、外部資金の内訳は、加入者及び受益者債券六十七億円、電話設備負担金五十九億円、運用部資金二十億円及び簡保資金十五億円となっております。  建設工程について申し上げますと、加入電話二十六万二千加入公衆電話一万四千個、市外回線六十五万八千キロを増設してサービス改善をはかることといたしております。市外電話サービス改善につきましては、第一次五カ年計画中に実施いたしました各地方中心都市相互間の長距離即時サービスを維持するとともに、三十三年度はこれらの大都市主要都市との即時サービスを開始することとし、また近接都市間の市外通話即時化するよう計画いたしております。  次に、基礎工程でありますが、三十二年度末におきまして設備が行き詰まって電話増設ができない局は約三百三十局に達しますので、これの対策並びに市外通話自動即時化をはかるため、三十三年度におきましては前年度より継続の六十三局のほか、九十二局の工事に着手し、合計百五十五局の新電話局建設工事を行いますが、このうち年度内に完成してサービス開始をする局は六十一局の予定であります。  市外伝送路につきましては、市外通話即時化並びにテレビジョン中継網拡充をはかるため、同軸ケーブル及び無装荷ケーブルを前年度より五区間増の十二区間に布設するとともに、マイクロウエーブにつきましては、前年度からの継続区間のほか、既設の幹線のルート増設並びに十五区間の新設に着手する計画であります。なお、電報中継機械化につきましては、前年度と同様五局について行います。  次に、町村合併に伴う電話サービス改善計画は、前年度に比し十億円増の三十億円をもって実施することとし、二百三十七局の電話局を合併するとともに、市外回線を一万三千六百キロ増設し、同一市町村内の市外通話サービス改善をはかりたいと考えております。  農山漁村電話普及特別対策につきましては、前年度の倍額の三十億円をもって四千個の公衆電話及び一万二千加入共同電話を設置するとともに、現在試行中であります地域団体加入電話の制度を本実施に移すこととし、約百カ所に設置する予定であります。  次に、最近の労働情勢について申し上げますと、本年二月、全電通労組公社に対し、昨年からの継続交渉事項であります賃金体系中の等級撤廃等を含めました賃金問題のほか、年度手当の支給、電話交換自動方式への変更に際しての勤務時間の短縮等、十三項目要求書を提出し、春季闘争に入りましたが、四月三日公共企業体等労働委員会から提示されました基本賃金引き上げに関する仲裁裁定を契機といたしまして解決方向に向い、同五日未明、等級撤廃住宅手当及び結婚手当の問題は未解決のまま、その他の項目につきましては妥結し、春季闘争は一応終了いたしました。妥結に際しまして継続交渉となりました問題につきましては、引き続き誠意をもって組合交渉し、解決をはかるよう努力いたしたいと存じております。  なお、この間におきまして、組合は数次にわたって勤務時間内職場大会等実力闘争を行いましたので、公社は四月二十八日付をもって、三十名の停職を含めまして総計八万一千四十四名の処分を行いました。かかる事態を招きましたことは、国民の負託を受けて電信電話事業運営いたしておりますわれわれといたしましても、まことに遺憾に存ずるところでありまして、今後労使関係平常化をはかり、事業の円滑なる運営に努めて参りたいと存じます。  次に、前回の国会におきまして成立いたしました法律に関しまして、その後の実施状況を申し上げます。まず日本電信電話公社法の一部を改正する法律につきましては、五月二十八日付をもって監事二名を任命し、さらにその事務局として、簡素にして強力な監事室を設けることとし、六月二日付をもってそのスタッフの発令を行いましたが、改正の趣旨を体し、公社経営合理化の推進に有効に役立てて参りたいと存じております。また公衆電気通信法の一部を改正する法律及び電話加入権質に関する臨時特例法につきましては、それぞれ七月一日、八月五日実施を目途に、立法の趣旨を体し、これが取扱いに遺憾のないよう具体的手続につき鋭意準備中であります。  以上をもちまして説明を終らせていただきますが、終りに臨みまして、公社電信電話拡充第二次五カ年計画を遂行し、電信電話サービス向上、並びに企業合理化業務能率向上を強力に推進いたしたいと存じますが、そこには幾多困難な問題が山積しておりますので、今後ともよろしく御指導と御援助を賜わりますようお願い申し上げる次第でございます。
  6. 淺香忠雄

    淺香委員長 これにて説明聴取を終ります。  これより質疑に入ります。森本靖君。
  7. 森本靖

    森本委員 まず最初に、郵政大臣にお聞きしたいと思います。それは、選挙が終りまして直後に、前の田中郵政大臣新聞談話発表いたしまして、非常に大きな反響を呼んだわけでありますが、しかも各社の論説あるいはそれぞれにおいて、郵政大臣意向に対して反対態度を表明しておったわけであります。それは例のFM放送の問題であります。この問題については、私はこの発表の仕方が非常にまずかったのではないかというふうに考えておりますし、また、その真偽が明らかでないので非常に誤解を招いている点もあるのではないか。たとえばFM放送発表におきまして、十三億円の補助金を出して全国一律に中波放送というものをFM放送に切りかえるというふうな発表の仕方、さらに外国妨害電波を排除する意味においてそういうことを行うという郵政大臣談話発表されましたので、これが非常に全国的に反響を呼び起したわけでありますが、私の考えではあの郵政大臣談話発表は、FM放送については現在研究中であり、これを逐次そういう方向に、ある一定の年数をかけて特殊な放送についてはかえて参りたいというような考え方ではなかっただろうかというふうに考えるわけであります。しかしあの談話においては、全国一律に中波放送FM放送にかえるというふうな発表になっておりましたので、あらゆる新聞がこれに対しては反対でありる。それから一般の民衆からの投書等についても、よく注意をしておりますと、こういう非生産的なことについては反対であるという態度が出ておったわけであります。これに対して、郵政省としても郵政大臣としても何らその後発表いたしておりません。そこで、これは非常に重大な影響を来たしておると思いますが、これについての新しい大臣の見解を一つ御発表願いたいと考えておるわけです。
  8. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 お答え申し上げます。先刻私の所管事項の御説明にも申し上げましたように、FM放送につきましては、目下日本放送協会東京並びに大阪で試験放送をしておる、こういうことを申し上げたのでありまして、前大臣の当時発表されたことがどういうことであるかということは、私は詳細に存じておりません。従いまして、このFM放送に切りかえるという問題は、私といたしましては現在全然白紙でありまして、郵政省といたしましてはこれを研究しておる、こういう段階にあるものと御了承を賜わりたいのであります。
  9. 森本靖

    森本委員 日本放送協会がこのFM放送東京大阪において実験しておるというのは、われわれがこの委員会において審議をした予算でそういう説明がなされておって、これは当然のことであります。ただしかし、将来のFM放送についてはいかにあるべきかという問題については、これは郵政省として大きな問題であります。この問題については、従来しばしば当委員会においても論ぜられておるわけであります。そこで、この前の田中郵政大臣発表が非常に意外な反響を呼び起しましたので、郵政省としては、現在FM放送については研究中であるというふうに言われますけれども、これはすでに相当研究してきておる問題でありまして、たとえばFM放送についてのチャンネル・プランをいつごろ発表するのか、あるいは具体的にこれをNHKあるいは民放というふうに、あるいは地域的にこれを全国的にやるものであるか、あるいはまた一部の地域においてやるものであるか、そういうふうな構想について一応明らかにしてもらいたい。そうしないと、この間の新聞で論ぜられましたところの誤解は、今の大臣の答弁では解けないと思う。郵政省事務当局がどういうことを考えておるかということについても、一般の世論に誤解を与えておる面もあるのじゃないかと思いますので、そういう点について、この際新大臣としてもこの問題を明らかにしてもらいたい、こう思っているわけです。
  10. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 郵政省の内部でこれを研究しておる、しかし技術的にはもはや研究の段階は済んだ、こういうような森本委員のお話でありますが、私が申し上げた研究中であるということは、これをいかに実施するかというような、FM放送実施その他についてのあらゆる検討をしておる、こういう意味で申し上げたのでありまして、私が就任いたしました後も、各所管からは、FM放送をこういう形で実施することになっておるとかというようなことの報告は何ら受けておりませんし、私も特にこのFM放送実施相当慎重を要するということを承知いたしておりますので、所管の者にも、これは十分検討を要する問題だと自分は考えるから、そのような取扱いをすべきだということも、私からも指示を与えておりますので、先ほどのお話、先刻私がお答えを申し上げました、現在これを慎重に検討中であるということが事実であるということを再度申し上げておきます。
  11. 森本靖

    森本委員 慎重に検討するということは、どういうことを慎重に検討しておりますか。
  12. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 この実施をいかなる方法によって——たとえば実施をするとすれば、このFM放送が対外的にも対内的にも技術的にも非常に慎重に検討を要するということにおいて、あらゆる面で検討しておるということでありますから、御了承願いたいと思います。
  13. 森本靖

    森本委員 大臣は、案外このFM放送の重大性ということについて、御認識がまだちょっと足りないのではないかという気もするわけですが、まだなられて間もないことでありますから無理もないと思いますので、深く追及はいたしませんが、これは世間が非常に注目しておる問題であります。あれだけほとんどの大新聞が全部社説において取り上げておる。そうしてまた、一般国民からもそれぞれ投書があって、この問題は非常に論議せられた問題であります。そこで将来、このFM放送については、現在の中波放送とからんでいかようになっていくか。それからこれについてのチャンネル・プラン等に対してもどう考えておるか。またNHK、民放等についての関連をどう持っていくかというようなことについては、重大な関心があるわけであります。そこへたまたま前の郵政大臣が、選挙の済んだ直後に、選挙の勢い余ったかどうか知りませんが、全国一斉に中波をFM放送に切りかえるのだということを言われたので、非常に問題になっておるわけです。そういう段階において、現在慎重に検討しておりますというおざなりの答弁では国民は納得しないのです。だから国民の代表として、国民を納得させる意味において、一つ現段階における郵政省考え方を発表願いたい、こういうわけです。
  14. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 これは私の答弁と森本委員の御質疑が若干食い違っておるのじゃないか。私が知らないから、あるいは就任後日が浅いからどうこうとおっしゃったのですが、私は就任後日が浅いから、私としてはこれを十分に検討をしてその実施等を考える、これが私所管大臣としての責任である、かように考えておるのであります。その研究の内容については、それは所管の者から承わればけっこうですが、これを実施するということにつきましては私の責任でございますから、これは所管の者がいかなることをやろうとも、私においては私が納得のいくようにこれから検討をする、私も勉強をする、こういう意味でありますから、御了承願いたいと思います。  なお専門的にお聞きになるということであれば、研究をしておる所管の者に答弁をさせたいと思います。
  15. 森本靖

    森本委員 これはしかし、政府は依然として自由民主党の内閣でありますので、前大臣のいわゆる政治的な方針というものについては、これを一応踏襲をしてにいくのが普通の閣僚のやり方だろうと思います。しかし著しく違った政策については、これは私の考え方とは違うのだからというてやり直す、こういうことは言えると思います。私の聞いておりますのは、何も新しい、古いというようなことを聞いておるのではない。前の大臣がこういうことをやるということを発表して非常に大きな反響を巻き起したのであるから、これに対しては慎重に検討しておるということではなくて、それでは田中郵政大臣の、前の大臣の見解に対しては、一体新しい大臣は具体的にどう考えておるか。あるいはまた、私の考え方としては新しい考え方でいくのだから、今までの大臣の踏襲なんということは一切やらない、私は私の考え方で新しくただいまから研究してやっていく、こういうことですか。それともどういうことですか。前の大臣との関連はどういうことになるのか。前の大臣だって、すでに内閣が交代する時期もはっきりわかっておったわけなんだから、あとはどうなってもかまわないというような無責任な態度発表したのではないと思います。一応の見通しと見識を持って発表したと思います。だからあなたが、一切ああいうことはやらない、わしはわしとしての考え方として新しくやっていくつもりで今慎重に研究しておるということならばはっきりいたします。しかし、それでは前の大臣の立つ瀬がなかろうと私は思います。だから前の大臣発表というものは、ああいう発表の仕方をしておるが、実はこういう内容である、こういうふうな答弁の仕方が、私は同じ自由民主党の郵政大臣の後任を引き継いだ者としての政治的な発言ではなかろうかと考えるわけです。
  16. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 いや、大へん御親切な御質問で感謝をいたしますが、このEM放送につきましては、事実田中前大臣からこれをいつ実施してどうこうというような、その詳細なことは私は引き継ぎを受けておりません。従って、田中前大臣大臣として考えられておったことには構想がありましょうし、また一つの実施をする考え方を持っておられたかもしれません。しかし引き継ぎの際において、このFM放送をいつどうやって実施するというようなことについては、私は引き継ぎを受けておりません。同時にこの問題が、今森本委員もおっしゃったように、きわめて重大な、きわめて重要な案件でありますから、この問題については私は田中前大臣の言ったことを否定するというのではないのであります。あるいはまた、私が新しく構想を練って、私の考え方でやるんだというのでもないのであります。田中前大臣がそうしたことを所管の者に命じて研究をさせておるということは、これは私も知っておりますが、それらのことに十分万全を期して、そして私自身も就任日の浅いことでありますから、それを身につけて、さらに十分それを検討して、そしてこれに対処していきたい、こういう考え方でございます。
  17. 森本靖

    森本委員 だから国民が迷うわけですよ。この間田中郵政大臣発表したことについては、非常に世論が反撃をした。だから、あの問題についてはそうではないんだ、私は私として全部白紙に返して一切検討しておるんだ、まだどういうものかわからぬということなら、それはまたそれとして新しい大臣として私はけっこうだと思うのです。この委員会においてその新しい、いわゆる検討する内容についてじくじく追求していけばそれでいいわけですから。しかし前大臣の言明を否定しないということになると、あれも生きておるのか、あれが生きておったら大ごとだ、全国中波放送FM放送に切りかえるということになると、これは財政的な措置もどうするのだろう、こういうことになるのですよ。だからその辺がもやもやしておるので、一体これをどうするかということについては、この際、最初の委員会でもありますので、国民が非常に疑問に思っている点について明らかにしてもらいたい。これは日本の放送界にとっては非常に重大な問題であります。だから今までの田中前郵政大臣発表したことについては、こういうところは私はこういうふうにやろう、こういうところはちょっと新聞発表が間違っておるというふうな形の答弁をせられるのか、あるいはあの談話については今後一切白紙に戻して、私は私なりに事務当局に検討させて、いずれ当委員会においても御審議を願いたい、こういうことならこういうことでもよろしい。それがちっともはっきりしませんので、その点私は聞いておるわけです。
  18. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 私はきわめてはっきりしているとみずからは考えておりますが、田中前大臣発表その他については、私はこれを否定するとか、自分はそれと違うとか、こういうことは申しておるのではないのであります。田中前大臣から私への引き継ぎの際におけるFM放送実施といったことについては、私は特に聞いていない。こういうことにおいて私は、今森本委員もおっしゃったように、きわめて重要なこのFM放送実施に対しては十分注意も要する、こういう重大性を持っておりますにつきましては、所管の者が現在研究しておるということにつきましては、研究もさらに万全を期しまして、私自身といたしましても就任早々でありますから、この問題を早急に勉強をいたしまして、そうしていよいよ実施ができるという腹がきまったときに委員会の皆様に御審議を願う、こういうのでありますから、私の申し上げておることは、新大臣の責任といたしまして何ら前大臣と食い違っていない、かように思っております。
  19. 森本靖

    森本委員 これは、前の大臣FM放送についての一つの見解を明らかに発表しておるわけであります、こうやるということを。だから、そのこうやるということを発表しておることについては、これを慎重に検討するということは一体どうすることか、こういうことなんです。だから、前の大臣が慎重に検討するとかいうふうな発表をしておればいい。前の大臣はそうではなしに、FM放送についてはこういうふうに実施をするということをすでに発表した。だから、その発表したものを否定をしないということになると、それをそのまま踏襲をする、こういうことになるとするならば、あの新聞発表したものをそのまま踏襲するということになると相当世論の反撃がきつい。だからこれを一体どう考えるか。前の大臣が言ったこともそれからすべてのことをひっくるめて、あなたは新しい大臣だから、今回は事務当局に十分研究をさせて、なお慎重に検討をしていくということならわかりますけれども、前の大臣の言明も否定をしない。それからまた大臣の言明そのものが、果して新聞紙上にそのまますなおに発表になっておるかどうかということについても私は疑問があるわけであります。だから、こういう国会委員会を通じて、そういう疑問があるものを全国民に知らせた方かよかろう、こういうことで実は郵政省のことを考えて私は質問をしておるわけであります。それをあなたは、何か私があげ足を取るように考えて、用心に用心をして答弁をしておるから答弁が食い違っておる。おそらく田中郵政大臣発表というものは舌足らずの点があっただろう。そういうことで若干言論界においても誤解を招いておるのではないか。だからこの際にその内容については明らかにしておいた方が、郵政省のためにもよかろう。こういうところで私は質問をするのであって、私は何も尊敬する大臣のあげ足を取ろうとかいう意地の悪い質問をしておるのではないのです。その点については大臣もよくお考えの上、率直な答弁を願いたい、こう私は思うわけであります。
  20. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 だんだん森本さんの御質問の要旨もわかって参りました。別に私をいじめておるとは考えておりません。しかし私の答弁をしておることもだんだんわかっていただけるのではないか、こう考えるわけであります。  私といたしましては、就任後きわめて日が浅いのでありまして、この問題は田中君がきめておったとしても、私がこれをさらに検討をする。すでに発表をしておる問題については——発表というよりも実施を断行するという問題については、私はあくまでも踏襲すべきものだ。これは言わずもがなであります。しかし意見として発表しておったものについては、大臣がかわれば新しい大臣においてそれを検討するということは、政治の上で、あるいは行政の上で当然なければならない。ただ、そのときに前大臣の田中さんの意見を私があらためて聞くといったようなことは、私としてはいたしたいと思っております。しかしながら、この問題を十分に検討をしてこれに対処していくということは、森本委員も御了承が願えるのではないか、こういうように考えております。
  21. 森本靖

    森本委員 いや、だから今後この問題については十分に検討をして、当委員会においてもそれぞれお答えを願うということについてはよくわかりますけれども、この間の田中前郵政大臣の言明については、広く世論の反撃を非常に買っておるわけなんであります。だから郵政省としては、ああいう発表については舌足らずの点がありはしないか。私はまさか前大臣があの新聞通り一挙に日本の中波放送を全部FM放送に切りかえるということを明確に言明したとは考えられぬ。しかし新聞の上における田中郵政大臣の言明はそうなっておる。だからその辺については何かの間違いではないか。そういう発表の仕方をしたかどうかということを私は特に聞いておるのです。そこで新しい大臣としては、あの問題についての見解はいかん、こういうことを聞いておる。だから郵政省電波放送の問題としては、今後このFM放送の問題については非常に重大な一つの要素を持っておるわけです。大臣も就任をせられて四日か五日になっておるから、この一番重要なFM放送の内容については、すでに電波監理局長なり事務次官の方から報告があってしかるべきだと思う。委員会が本日開かれたら、この問題が質問されることははっきりわかっておる。たからそういう内容については、ただ慎重に今後検討いたしますというふうな答弁ではどうしても納得がいかぬわけです。だからこの間の田中前郵政大臣の言明をどう考えるかということさえはっきり言ってもらえばそれでいいわけです。あとはあとの問題としてまたずっと委員会において質問をしていきますから、今とにかく当委員会において一番問題になっておるのは、このFM放送の問題と、あとで質問をいたしますが、全逓に対するところの不当弾圧の問題たろうと思う。だからこのFM放送の問題については、前の田中郵政大臣の言明があの新聞通りであるかどうか。それから新聞通りであるとするならば、それに対するところの新しい大臣の見解はどうか、こういうことを聞いておるわけです。
  22. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 どうも私の考えておることとあなたの考えておることとが、別に食い違ってはいないけれども、幾らか見解を異にしているのじゃないか、こういう感じがいたします。新聞発表と田中前郵政大臣考え方というものが果して一致しておるかということに、あなたが今のお話では疑問を持っている、こういうことをおっしゃっておる。その新聞発表に私が責任ある答弁をするということは、私は責任政治家としてはやや軽率ではないか、かように考えております。
  23. 森本靖

    森本委員 軽率であるないということでなしに、全国新聞がそれに対して社説なり論説で意見を吐いておるわけなのです。だからこれは郵政大臣としては、それに対する見解を国会を通じて国民に明らかにするという責任はありますよ。それはないとは言わせませんよ。それははっきりあります。しかもこれが普通のいわゆるもうろう新聞なら別として、全国のいわゆる大新聞がすべてこれに対しての社説、論説を出しているわけです。だから私は委員会が開かれた当初に、この問題については、新郵政大臣としてのこれに対する見解を聞いておるわけです。だからあなたの方としてはそういうことについてはもっと研究して、慎重に検討してからでなければ一切そういう見解については表明ができぬということならまたそれでも仕方がないわけです。しかしあの新聞紙上においてあれだけ論ぜられた問題については、大臣大臣なりに一応の見解を表明する責任があるわけです。それは新聞についてとやかく言う必要はないというような答弁は、大臣としては成り立たぬと思う。だから、そういうものも一切含めて全部検討しております、そうしていずれその検討したあげくにおいては、当委員会においても発表しますので御審議を願いたいということなら、それは話がわかります。
  24. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 これは、今あなたが最後におっしゃった御見解と私は一応同じだと思うのです。このFM放送実施につきましては、現在郵政省としては検討しておりますから、私も田中前郵政大臣がそういったようなことを新聞発表したということも含めて、前郵政大臣にも大臣当時にどういう御意見であったか、御方針であったかというようなことも含めまして、十分検討してこれに対処していく、こういうことで御了承願いたいと思います。
  25. 淺香忠雄

    淺香委員長 関連質問を許します。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 関連質問をする前に、委員長に一つお願いしておきたいのですが、いやもしく二大政党下の選挙が終って、与党が多数を占めたから、国会運営の責任は与党で全部持つ、こういう建前からやっていきながら、この委員会のざまは何ですか。与党の諸君はほとんど出ていない。野党ばかり出ておる。これで国会運営の責任が与党で持てる、こういう姿だとはいえないと思う。きょう私はあとから来たから、開会はやむを得ないが、自今こんな実情であったらそれに責任を持って私どもも参加するわけにいかないと思う。この点は一つ委員長の方で腹を据えて、与党の諸君に国会運営の責任をもっと持たせるように、数を動員してもらいたい。これを先にお願いしたい。  それから大臣説明がありますから、これに関連して質問をしたいのですが、「電波に対する需要は、今後ともさらに増大するものと考えられますが、割り当てられる電波には限りがありますので、当省といたしましては、電波が能率的かつ公平に利用されるよう、研究し努力したいと考えております。」、これは大臣おそらくどんなことを研究し努力しておるかまだおわかりにならないと思いますから、電波監理局長でもけっこうですから、一体能率的かつ公平に利用されるように研究し努力しているその内容と方向の概括を説明していただきたい。
  27. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 電波の割当を公平に能率的にやらなければならないということは、電波法に明瞭に書いてございます。それによりまして郵政省には電波監理局という役所が設けられておりまして、三千人近い従業員がこれに従事しておるわけであります。これにつきましての具体的の方法としましては、非常に詳細多岐にわたりますけれども、ごく簡単に申し上げますならば、例を放送の場合に持って参りますと、御承知のように中波の波はもう逼迫しまして、とても強い需要には応じ切れない。そのかわり今話が出ましたように、FM放送のようなものを適当なときに、必要が十分に感ぜられたときに、これをもって置きかえるようにしよう、それが電波の公平な、公正な割当方法だろう、そう考えておるわけであります。国民がラジオの放送を聞きたい、あるいは放送事業をやりたいという非常に強い希望があります場合には、中波が足りない場合には、これにかわるに他の波をもってする、たとえば超短波をもってする、あるいはその他の波をもってするというのが一つの方法だと思います。このFM放送の問題は、ただいまいろいろ御意見もありましたけれども、これにつきましては技術的に見まして、放送の進歩した方法といたしまして、将来なるべく早い機会に中波に置きかえるということが理想だろうという考え方であります。そういうことにつきまして、いろいろな技術的な可能性あるいはこれの応用の方法につきまして、すなわち番組の問題、それから置きかえる方法等につきまして、いろいろな意味において最も時間のかからない、最も国民経済の負担にならないような方法をやろうというのが一つの方法であります。  それからマイクロウエーブの場合を申し上げますならば、最も大事な割当方法は公衆通信のために、公共の福祉のために最も近い事業、たとえば電信電話はむろんでありますけれども、それ以外に公共事業に割り当てるようにするのが大事であろうというような考え方をもちまして、すなわち優先順位を十分研究ししまして、それによってその可能性を検討していくというような方法をとる。そのためには、全国にありますところの地方電波監理局を動員いたしまして実地調査をいたしましたり、あるいは本省におきましてはその技術的な、理論的な検討をいたしましたりして、それらを総合いたしまして最後の決定をする、そういうのが私の申し上げたところの公正かつ能率的な割当方法の一つの表現である、そう考えております。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 これは大臣がお聞きになると勉強になると思うので聞かしているわけですが、そういうわけで、要するにFMというのは、すでに理想的な方法として、わが国としては採用せざるを得ないもの、こういうことは常識だと思うのです。だがしかし、これを実際に中波と置きかえるということになると非常に大きな摩擦も起きるし、いろいろな経済的な問題等も起きてくるわけです。  そこでお伺いしたいのは、次のページに「またFM放送につきましては、日本放送協会東京大阪において実験実施しております。」——私もたまたま聞いておりますが、この実験はもうすでに二年くらいになっていると記憶するのですが、はっきりは知りません。その実験が今局長の言われたその目的にある程度回答を与え得たものかどうか。局長が考えているように、理想ではあるんだが、その実験を通じてまだあれもこれもといういろいろな問題点に対する回答というものが得られていないのか、ある程度もう回答が得られたのか、それが第一点。  第二点には、多分何がしかの回答が得られたと思うので、そのデータによっていくならば、一体いつごろどんな手段でやろうとすれば置きかえができるかも、もし言えるなら言っていただけば、森本委員の質問がはっきりすると思うのです。
  29. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 大臣の御説明がありましたように、ただいまNHKにおきまして、東京大阪の二カ所において実験放送実施しております。この目的は技術的な面と番組の面との両方があると思うのであります。技術的の面につきましては大かたの技術資料が集められております。番組の面につきましては——番組と申しますのは、どういう番組をやるのがまず適当だろうかということを私どもは考えておるわけであります。FMというものは、本来外部からの雑音の影響を受けることが少い、また音質のよい放送ができるわけであります。そのために、西洋音楽、古典音楽などが大へんいいというのが常識的に考えられることでありますけれども、もちろん他の日本語の放送、義太夫でも浪花節でも何でもいいには違いないわけであります。そういうわけでありますので、どういう内容の放送であるのがいいかという点につきましても、私どもは実験放送を通じて検討し、また世論の反響を聞いておるわけであります。かような次第でありまして、大体のところ私の考えでは、実験の資料は集まりつつある、大体集まっている、欲をいえば限りはありませんけれども、大体集まったろうというふうに考えておりますので、これをもとにしまして免許の基準、技術基準というようなものをなるべく早く制定しまして、それによってどういうふうに免許していくかということの方針をきめたい、こういうのが一つの考え方であります。  言いのがしましたが、外国からの妨害電波影響を受けないということ、これはまさにその通りであります。外国電波というのはみな中波でありますから、これをFM放送実施いたしますならば、その受信機は中波は受からないわけでありまして、当然妨害を受けないのが当りまえである、そういう意味でありますけれども、現在外国からどの程度に妨害を受けているかということにつきまして、私どもは注意を強く向けまして、そしてどの辺がどの程度に受けているかということを考えまして、それとにらみ合せまして、まずFMを免許するにはどの地区からやるのがいいだろうということにつきまして検討いたしておる、そういう段階でございます。田中前大臣が、現在の中波をすべてFMをもって置きかえてしまう、その構想について考究をしているということを申されたことを、私は承知しております。けれども今すぐ実施するというふうなことは事実不可能であります。かようなことは、私どもはあえて申し上げできない、そう思っているのであります。  ついでに申し上げまするが、現在の千五百万台も行き渡りました中波の受信機を全部FMが聞えるようにするためには、少くとも一千億円くらい費用がかかる。今の受信機でFMを聞くためにはチューナーというものをつける必要が最小限ある。新しくFM受信機を作りますと、どうしても一台一万五千円以上、現在では二万円から三万円するといわれております。そのくらいお金がかかるのでありまして、そういうわけでこれを一挙にやることは非常に困難であります。そういう意味で、私の考えでは、まず東京大阪あるいは北九州というような大都会においてこれを実施してみる。すなわち雑音源の多いところ、それが一つ。それから自動車道路だとか。しかし雑立言を受けることが少い、良質の放送が聞えるところも多いのであります。それで、農村とかあるいは遠隔の地域もやりたいのですけれども、まず大都会でやってみる。これにはタレントの便宜もありますから、それから日本海沿岸地方あるいは北九州というふうな外国電波影響を受けやすいところ、現に受けているというような事情にあるところ、そういうところからまずやっていく。それには現在の実験放送というものをなるべく早く実用化試験というものに切りかえまして、そして放送時間を長くしまして、だんだんやっていく。そして世論の反響を見て慎重に、スロー・アンド・ステディにこれをやっていくというのが、私どもの偽わらざる考えであります。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 関連だからほかの問題に移りませんが、今の御説明では、要するに実用化試験にまた入っていない、実用化試験に入ってからまた相当期間がかかる、それが終ってから実際の実施考えると言うが、技術基準だとかそういうものを作ると、実際にはどうですか。FMというものを一応世論の中では心配されているのですが、どんなに早くこれを実施しようとしても数年は必要とする、こういうことがいえるのじゃないでしょうか、どうでしょうか。
  31. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 仰せのごとく、もし中波全部を置きかえようとしますならば、やはり最小五年ないし十年を要するものであると考えております。  ついでに申し上げまするが、外国で申しますと、ドイツはもうほとんど全部FMで置きかえてしまいました。しかし中波にはまだやっております。それからイタリアは日本と大へん地勢の似た国でありまして、細長い、両方に海のある国でありまして、かような国は、技術的にいいますと中波の大電力をやるというよりも、小電力のFM放送をたくさん作った方が、電力からいいますと得だという考えもあります。これは混信妨害以外の問題であります。そういう意味でイタリアもだんだん中波をFMにかえようとするような希望があるように私は想像しております。そういうわけでございまして、この中波にかえるという構想は、私どもとしては理想であります。でありまするから私は、ある機会にはかようなことを非常に強調いたしておるのでございます。FMというものは中波の補助的なものじゃない、これはある場合には全部かえてしまってもいいようなものであるということを、私自身強調いたしているようなわけでありますので、田中前郵政大臣もその考えに非常に共鳴されて、さような構想を御発表になったものと考えております。  ついでにもう一つ申し上げたいことは、中波は日本の有しますところの無形の大きな資源でございますので、これを放棄するということは、これは重大な問題でありまして、かようなことを軽々に申しますと、日本はもう中波は要らないんだろう、しからば当方においてどんどん中波を放送しようというような既成事実を作られるおそれがありますから、私どもはこの発言には非常に用心深く、言いかえますとFMを開始します、しかしながら同時に中波もやります、両方やっていく。両方共存という期間相当長く続くのもやむを得ない、それが当りまえであろうと考えております。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 あとでほかのことを聞きますが、ついでですからわかったら答えて下さい。わからなければこの次にお答え願いたい。前段に読んだ「能率的かつ公平に利用されるよう、」ということは、これは電波法の精神なんですから、そういう建前からいうと、この間テレビの仮免許をやったわけですね。あのときにも一番心配になったのは、新聞社あるいはその他既設の放送会社がテレビの免許を受けると、言論機関全体、マスコミというものを一つの資本系統で独占をして、それが非常に不公平な動きをするおそれがあるからというので、あのときにもこれが非常に問題だった。そこで株の何割を制限するとか、いろいろの制限を加えた上で、電波の利用の公平を期したつもりだったと思うのですが、今度の衆議院の選挙で、これは全国各地にいろいろな調査をされる機関をお持ちなんですから、監理局長の方ではそういう監督の立場からいって、実際に選挙における言論が、新聞とかラジオ、テレビを通じてまことに公平に行われたものであると言い切れるかどうか。もし公平に行われていないものを知りたいというなら、私の方はその事例を局長に見せることもできるので、必要があれば全部出してきてもいいのですが、私どもの見解によると、どうしてもいわゆる片寄った報道というものが、ああいう機関がへんぱな傾向で利用されていた、選挙というものがある意味ではゆがめられた、そういう動きをテレビ、ラジオ、新聞を通じて、最初心配されたような一つの資本系統というものが独占をしておるところに顕著であったということがいえると思うのです。そういうことを御調査になっているのか、なっていなければ、自今調査をされた後に、次の委員会に私また質問をいたしますから、お答えをしていただいてもよろしいが、ついでに公平な利用ということがあるからお聞きしておきます。
  33. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 電波の公平かつ能率的な免許をいたすというこの根拠といたしまして、私どもは絶えずマスコミュニケーションの独占排除ということを念頭に置きまして、先ほどおっしゃいましたように、先般の大量免許の際にも、かような免許方針なるものを御相談してきめたわけです。すなわち新聞放送の分離経営が望ましい。兼職をやめるように、両方兼ねることをやめるというような免許方針をきめて鋭意実施したわけであります。従いましてその後の情勢につきましても、私どもはいろいろな方法、機会を通じて、その放送の内容につきましては注意をいたしているようなわけでありますけれども、先般の選挙についてはまだ報告等は受けておりません。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 報告を受けていなければ、報告を取ってみて、そういうことがなかったのかあったのかを答えられるように、この次の委員会までに報告を集めておいて下さい。
  35. 小野吉郎

    ○小野説明員 お答え申し上げます。電波の割当につきましては、波の数に対しまして申請の数が非常に多かったわけでありますが、その間におきまして、先ほど電波監理局長からお答え申し上げましたように、免許の理想的な姿を打ち立てたいということで処理をいたし、予備免許を与えておりますが、自後の放送内容の問題になりますと、これは放送法の問題にもなって参りまして非常に論義のある問題であります。放送番組につきましては、何人からも干渉されない。これは法の定める場合は例外とされておりますが、この辺の解釈をめぐりましては、現在の状況から申しますと、放送の内容そのものにつきましては何人からも干渉されないという完全自主独立のものなんだ、こういうようなことになっておりまして、現在そういった番組内容等について一々調査をいたしておりません。
  36. 原茂

    ○原(茂)委員 今の次官の回答非常に重要なことを言っているのですが、今おっしゃった通りだとすると、テレビの免許に際してもなぜ伝免許をやったのですか。仮免許をする趣旨というのは一体どこにあるのですか。こういうことは放送法には確かにあると思うのですが、ラジオ・コードをはっきりきめて、もし偏向な、あまねく公平でない放送が行われた場合には、それに対する正当な処置が行い得るものでなければ、ラジオ・コードなんかあっても意味がない。今ここに電波法を持っておりませんが、電波法の条章をよく見ましても、そういった一度仮免許なり何なりを与えてしまえば、その放送される内容は自由なんだ、何にも制肘は加えないし、これに対して干渉も行わない、内容はどうであろうと一切これに対して監督権を行使しない、こういうものなら、一体何のために電波監理局があるのかわからない。何のために仮免許をするのかわからない。そういうばかげた答弁というものはないはずです。もう一度はっきり答弁して下さい。
  37. 小野吉郎

    ○小野説明員 電波法によりまして、免許のそれに対しましては一定の基準がございます。これは主として技術上の基準が多いのでありますが、ただ一点、放送内容につきまして申請書に、こういう内容のものをやるのだ、こういう抽象的な表現がございまして、その内容を変更する場合には郵政大臣の許可を受けなければならないことになっておりますが、個々具体的な内容については、これはなかなか調査も困難でございますし、さしておりません。ただ、全体の番組の内容でできるだけ質のいい内容の向上を期待しておりますので、その中でニュースの番組が何%くらい、あるいは教育に資する番組がどのくらいの割合を占めておるかということは、予備免許の際に見ておりますが、その範囲内において個々具体的の内容につきまして、それがどうなっておる、こうなっておる、こういう指示は現行法ではできない建前になっておりますし、またそのような調査も人手その他の関係からとうていでき得ないというのが現状でございます。
  38. 原茂

    ○原(茂)委員 資料がくるまでにいま一点だけしぼってお聞きするのですが、予備免許と仮免許がある。これはどういうところからあるのですか。本免許を与える前に予備免許を与えるのはどういうわけですか。何のためにあるのですか。
  39. 小野吉郎

    ○小野説明員 予備免許につきましては、当然放送事業者になれない、こういう失格事由が電波法でいろいろ規定されております。たとえば外国法人であるとか外国資本の勢力がどのくらいになっておるか、こういうような制限が一点ございます。あとはやはり放送者として適当である——これは法律に一々明記してございませんが、実は申請のあります中で、あるいは財政的な問題あるいはその他の能力の関係について、行政措置としましてここよりはこっちの方が有利ではないかというふうに免許し得る、その辺の幅は電波法上与えられております。ただ技術上のいろいろな問題でございまして、そういう問題について一応予備免許をいたすわけでございますが、これはどこまでも予備免許とは申しますが、この免許を与えるともうすぐに申請書で申請いたして参りまして、これならよかろう、こう認めました技術基準に従って、いろいろ放送開始に必要な設備その他の機械の取りつけをやるわけでございます。それをさらに一定の期間にでき上ったところで検査しまして、申請当時に認めた基準に合致しておるかどうか、これを認めれば自動的に本免許を与えなければならない、こういうことに相なっておるわけでございます。
  40. 原茂

    ○原(茂)委員 今の予備免許を与えるまでになぜ仮免許を与えるのかということは、大体それでいいでしょう。  それからテレビの割当をするので問題になったとき、これは速記録を見ないとわからないのですが、私も質問をして、一応予備免許を与えておいて、もし言論の独占等の弊風があるときには、これに対しても考慮をするという田中大臣の回答をここで何回か得ていますが、その回答というのは全然でたらめなんで、今次官が言うように、予備免許を与えてしまえば、いかなる言論の不公正があろうとも、これに対しては関与できない、もう許可を与えたものだから、言論の自由の建前からは一切当局としては関与しないのだ、こういう建前を先ほど御説明になったのですが、そうであるか、もう一度はっきり言って下さい。
  41. 小野吉郎

    ○小野説明員 言論の問題になりますと、言論の内容をとやかく言うことは過般の予備免許に当りましてもいたしておりません。ただ、いろいろあります申請者の中で、先ほど御指摘になりましたマスコミの独占は好ましくない。しかもこれは、絶対にそれがいけないということは法律論としては非常に明確でございませんので、この点は優先順位の点で、そういうものがない方があるものよりも点数がよくなるということで、いわゆる免許の際の採点の基準にはいたしております。放送内容そのものにつきましては、できるだけ教育に資するようなもの、あるいは国民の教養の向上に役立つような問題を多くやりますということを申し出られた方に高い点を与えておるというようなことでございます。従ってその点におきましては、予備免許に際してこのようにいたしますという、こういう約束はございます。その約束をもし破ったら本免許を与えられなくてもいいんだ、こういう自由な意思に基いて処理いたしておるわけでございまして、その辺につきましては、田中大臣在任中に御答弁申し上げましたその線の変更はないはずでございます。
  42. 原茂

    ○原(茂)委員 これはあとで速記録を持ってきてから伺うなり、次の委員会にでも詳細にお伺いしますが、今の次官の御答弁ですと、とにかく一度予備免許を与えてしまえば、言論のいかにへんぱな使用がなされても、それに対しては郵政当局としては何ら関与できない、こういう立場をとっているわけですね。
  43. 小野吉郎

    ○小野説明員 これは法律上強制はできませんが、予備免許を与えましても、また本免許でありましても三年ごとに免許の更改をいたします。その際に、郵政省としては国民世論の趨勢を参酌いたしまして、現在までの運用の内容では少しどうだろうか、もう少し改善できぬだろうか、このようなことは技術上の行政的な指導として、法の強制ではございませんが、なし得ると思います。
  44. 原茂

    ○原(茂)委員 それは言論の内容に関してですか。言論の内容に関してこれはと思ったものに対しては関与できるという説明ですか。言論の内容に関しては絶対にできないですか。
  45. 小野吉郎

    ○小野説明員 問題を二つに分けますと、先ほどの御質問が予備免許から本免許に入るまでの間の問題のようにちょっと聞き取れたのでありますが、この間におきましてはまだ放送を開始いたしておりません。従いまして、ただいま仰せのような事態が生じないわけであります。本免許になりまして、それから一定の期間を置いて放送が開始されるわけでございますが、その放送を開始いたしますといろいろな番組を出します。その番組全体としてみますと、全体のどのくらいの割合が教育の内容を持つものをやります、どのくらいはニュースに使います、どのくらいは娯楽に使います、こういうように予備免許を与えますときに承諾をいたしておるわけでございます。その辺の面につきまして比率が非常に乱れておるというようなことであれば、これは注意を促すことは当然であろうと存じます。個々の番組の内容につきましては、法律上の権限をもって、これをこうしなさいとか、これはいけないとかいうことは不可能であろうと存じます。ただ実際の問題といたしまして、国民世論の趨勢はこういう工合である、それに対してこのようにされてはかえって世論にそむくのではないだろうかということは、事実問題でございまして、技術上の行政指導の問題ではないと存じます。
  46. 淺香忠雄

    淺香委員長 原君、関連質問ですから簡潔に願います。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 なるほど僕の質問の取り違いをしている点も一部ありますね。もう一度言い直しておきますが、この間テレビの予備免許を行なったその前後の委員会における審査で、いわゆる言論のマスコミの独占というものが非常に心配される。これに対してはどうするのかというので、当局とわれわれとの間に質疑があった。そのときに、新聞とかラジオ、テレビ等が同一資本で運営されるようになるということは、とにかく危険だということから、ついに何かの条件をつけて予備免許を与えた。当時心配されたように、やはり今度の選挙で新聞とかラジオが同一資本で運営されているところには言論の不公正というものがあったように私どもは信じ、そういうように思っているのだが、そういうものは電波監理当局では調査する機関もあるのだから調査しているのかどうか。そういうような偏向があったというようなことを、あるいはないというようなことを調査されているならばその調査した結果を知りたいし、もし調査されていないのだったら調査報告というものを受けて、そういうようなことがわれわれはあると言うのだが、あるとかないとかいうことを次の委員会で回答を願いたい。予備免許と言ったのは、テレビを中心にしたときに、そういった言論の偏向というものを問題にしたのだという事例で申し上げたのであって、テレビそのものは予備免許を与えられたものがそういうものを行なったとかそういうような事態になったという意味ではありませんから、これはまた行われていないのだし、そういうのではなくて、あれを免許する前後に、この委員会でそういった重大な問題として論議されていますが、そういう傾向が、この総選挙を通じて、新聞、ラジオが同一資本であった場合に顕著に出ているようにわれわれは見ているのだが、それを知っているかあるいは調べたかどうか、そういうことの報告を受けているか、どうかを聞いたわけですから、もう一度簡潔に答えていただいて、私の関連質問は終ります。
  48. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 御質問の御趣旨はよく了解いたしました。先般免許いたしましたのは、全部でテレビジョン四十三局でございます。それらの局は目下建設途上にありまして、また番組放送という段階になっておりません。でありまするから、これらの予備免許は与えられた局について、番組の面からマスコミ独占かどうかということを判断するような資料を得られるはずはないのであります。これはまた今後の問題であると存じます。しかし私どもは、予備免許の際に御相談してきめました免許方針なるものをぜひ守っていただくようにという考えを堅持しておりまして、そのためにいろいろな個々の問題について特に調査するということはいたしませんけれども、これに対して注目をして、その建設の方向を見守っているというのが現状でございます。
  49. 森本靖

    森本委員 ちょっと私の質問から今の免許の問題にわたっておりますが、ただ次官が今言ったことについて、ちょっと私は注意を喚起しておきたいと思います。それは番組の編成その他については、放送の自主性ということについて、これは絶対関与できぬということはあなたがおっしゃった通りです。ただ放送法の第一条でありましたか、基本的な問題については、放送は不偏不党、公正でなければならぬ、こういうことが明確に放送法にあるわけです。そういう点について大局的な見地から、郵政省におきましてはある程度見ていく責任もあれば、指導する責任もあろうと思う。だから番組そのものについての編成その他については、言論の自由ということでこれに関与をしてはならぬことはあなたがおっしゃる通りですけれども、その基本条項の第一条でありましたか、不偏不党でなければならぬ、公正でなければならぬという点については、やはり郵政省としては当然責任があるわけでありますから、行政官庁としての注目をしていく責任があるわけでありますので、その点は次官ももう一ぺん、第一条の項だったと思いますが、思い起してもらいたいと思うわけであります。この問題につきましては、いずれ次の機会に行いたいと思います。  そこで大臣に、私は国務大臣として聞きたいことがある。それは今回の特別国会については、わが社会党が一カ月間を提唱して、それから自由民主党の方は二十日を主張して、結局二つに割ったかどうか知らぬけれども、二十五日ということで会期が定まった。そこでこの二十五日という短かい会期において、政府としては今次国会に提案するところの法案というものは、どうしても緊急かつ必要で重要なる案件のみを提出するということを閣議においって決定をしておると思いますが、今回特別国会に提案する法律案というものは、どういう趣旨において提案するのであるか。すべて重要法案に限る、こういう形で閣議において決定をしたというふうに私は新聞紙上で聞いておりますが、どうですか。
  50. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 そういう方針で臨んでおることは御意見通りであります。しかし、これをどれとどれにするかということにつきましては、まだ最終決定をいたしておりません。
  51. 森本靖

    森本委員 そうすると、今次特別国会は会期も短かいので、特に重要なる法律案のみを上程をする。それも四つか五つに限定するというふうなことが閣議できまっておるわけですね。
  52. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 四つか五つかという数字までははっきり申し上げられませんが、そのような趣旨でございます。
  53. 森本靖

    森本委員 そこで先ほどの大臣所管事項説明の中で、今次国会に、お年玉つき郵便葉書等発売に関する法律の一部を改正する法律案を提案するからよろしく願いたいという説明がありました。私は法律について、重要なる法律と軽い法律と、法律である限りはそうないと思います。しかし先ほどの閣議の趣旨というものが、特に当面のわずか二十五日間の国会において審議をしなければならぬというところの法律案としては、重要案件のみを出す。ところがこのお年玉つき郵便葉書等発売に関する法律の一部を改正法律案は今度の国会に出す。今ごろになって重要かつ緊急だと言ったところで、先ほどはっきり重要案件について閣議で決定したということを言われたわけでありますが、私はそれほどこのお年玉つき郵便葉書等発売に関する改正法律案が重要案件であるというふうには考えられぬわけです。なるほど今年度のお年玉つき郵便はがきに間に合せたいということで、特別国会に出したいという事務当局の意向については私はわかりますけれども、このお年玉つき郵便はがきについては、解散前の国会においては非常に紛糾を来たしまして、相当もみ抜いて、新聞紙上でもかなり批判があった法律案であります。これについてはじっくり時間をかけて、十分これを衆参両院において審議をしてみなければならぬと思う。そういうふうな法律案をこの第二十八国会の、しかも社会党は一カ月に会期を延ばす、自民党は二十日で足りる、そういうことでやっさもっさやった二十五日の短期特別国会にこれを提案をして、この平穏なる逓信委員会に波乱を起さぬでもいいのじゃないか、こう考えるわけでありますが、これは一つもう一ぺん再考して、十分慎重に、先ほど郵政大臣もいろいろ慎重に検討するということですから、この問題についてはいま少し慎重に各方面の意見を聞いて検討して、そうして出すなら次の臨時国会なり通常国会に出した方がいいのではないか。これは実際審議の経過としては、私の個人的な見解を申し上げるならば、おそらく来週一ぱいを郵政大臣に対する所管事項、あるいは次の週は今度は電電公社総裁に対する所管事項、あるいは国際電電、NHK、そういうものをやっておったら来週、再来週はそれでつぶれる。その次の週にこの法案がかかって、これまた条項別に審議をしておったのでは、これはとても四日の国会に衆参両方を通るということはない。こういう法律が二回も国会において審議未了になったということになりますと、これはもうこの次にはなかなか出しにくいと思う。だから、そういうふうな速成をやらずに、次の臨時国会なり通常国会に、じっくりと想を練って出した方かいいのではないか、こう考えるわけであります。これはしゃべったからといってそれを直すということはできぬというふうなかたくななことを言わずに、私が今御忠告を申し上げたように、次の臨時国会なり通常国会の方に譲った方がいいのではないか、こう思うのですが、どうですか、それは。
  54. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 御注意拝聴いたしましたが、この法案は郵政省といたしましては、ぜひ本特別国会に出したい、こういう気持であることは先ほど御説明を申し上げた通りであります。しかしながら、ただいま森本委員からのお話もありましたように、党におきましても、まだこれを特別国会に出すか出さないかということについては、特に政調会その他でも検討中であります。ことに森本さんが、おれがあくまでもこれに対して通さぬぞとは申されぬけれども、そういうようなあなたの反対をまっこうから拝聴すると、どうもやや逡巡をせざるを得ないのですが、しか郵政省といたしましては、来年のお年玉つき郵便はがきを発売するにつきましては、御承知のように八、九月ころまでには印刷もいたさなければなりませんし、この辺のことにつきましては、もしこれが特別国会に提案をされるということになりましたならば、どうか一つ森本委員におかれましても、その辺の事情を御勘案賜わりまして何とか一つ御協力が願いたい、さように考えております。
  55. 森本靖

    森本委員 私はまだこの法律案について賛成とも反対とも言っておらぬわけです。ただ特別国会の会期が、わが党は一カ月を主張した。ところが与党の方は二十日間でよろしいということになって、妥協がついて二十五日になった。それがすでにもうきょうは十九日だ。こういうところの会期の状況から見ると、これを提案をしても、いわゆる国会審議の日程からしても、今次国会において通るということはなかなかむずかしかろう。だから、こういうふうに非常に紛糾を来たしたような法律案については、やはり十分に審議する日程が必要であろう。たまたま今次国会においてこれがもう一回審議未了になるというふうなことになると、これは郵政省としては非常に面子もあって、次の国会にもう一ぺんまた出すということもやりにくかろう。そういうことをするよりか、臨時国会なり通常国会においてゆっくりと時間をかけて、みなが納得のいくように審議をしたらどうかということを忠告しておるわけでありますが、その点についての答弁はもう要りません。  それから、先ほど大臣所管事項説明で労働問題を最初に取り上げておりますが、ここで私は、大臣に聞く前に事務当局にちょっとお聞きをしたいと思います。それは今回の全逓に対する逮捕事件の問題であります。全逓信労働組合で今日まで逮捕せられた人数は何名か。それからその逮捕せられた人間がそれぞれ逮捕せられておるところの罪名は何々になっておるか。それからその逮捕者に対して郵政省が公労法に基いての行政処分を行なっておると思いますが、その行政処分の内容について、逮捕者別について一つ事務当局の方からお答えを願いたいと思います。
  56. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 ただいままでのところ、逮捕せられました人員は七十名でございます。それから逮捕の原因といたしましては、東京中央と神田の両局につきましては郵便法七十九条、名古屋中央、大阪中央局につきましては公務執行妨害、建造物不法侵入、あわせて郵便法七十九条、こういうものが今のところはございます。
  57. 佐方信博

    ○佐方説明員 行政処分関係では、各地におきます人ほとんど全部国家公務員法で処分しております。それから免職になった人だけ公労法でやっております。
  58. 森本靖

    森本委員 大阪の場合も郵便法七十九条が入っておりますか。
  59. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 大阪は七十九条の要件は入っておりません。
  60. 森本靖

    森本委員 これは大臣にちょっと私は老婆心で言っておいてもらいたいと思います。ここへ法務大臣を呼んで法務大臣に忠告してもいいと思いますが、それほどまでにする必要はないと思いますけれども、きのうの本会議における法務大臣の答弁で間違った点があるのです。それで私は何回もヤジりながら注意したけれども耳をかさずに引っ込んでしまったのですが、大阪については郵便法の七十九条でやったということがはっきり本会議の速記録に載っておるわけです。あれは間違いでありますから、この点は法務大臣に忠告をしておいてもらいたいと思います。  それから七十名の逮捕者の中で行政処分はどういうことになっておるか。たとえば七十名のうちで訓告、戒告あるいは減俸、こういうものがあると思うのです。その上のさらに免職なら免職というものがあると思うのですが、その内容がどうなっておるかということを御説明願いたいと思います。
  61. 佐方信博

    ○佐方説明員 ここに全部の資料を持っておりませんから、すぐ作って差し上げたいと思います。
  62. 森本靖

    森本委員 七十名の逮捕者のうちで行政処分を受けない者がおりますか、どうですか。
  63. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 行政処分を受けておる者がございます。
  64. 森本靖

    森本委員 逮捕者七十名については行政処分は全部受けておりますか。
  65. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 全部受けております。
  66. 森本靖

    森本委員 七十名の逮捕者が行政処分を全部受けておるとすると、その行政処分の内容は何と何ですか。
  67. 小野吉郎

    ○小野説明員 ただいま資料を持ち合せておりませんので、後ほど御趣旨に沿うような調書を作りまして御答弁を申し上げたいと思います。
  68. 森本靖

    森本委員 そういう内容が伴わないと、これは本格的な論争にはならないですよ。大事な委員会においてそういう資料がないということになりますと、私の方では非常に質問に困るわけでありますが、しかし内容の、だれそれが何ということでなしに、その七十名のうち一番下が訓告なら訓告、一番上が免職なら免職というようなことは今でもわかるのではないですか。
  69. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 ただいまその資料の照らし合せをいたしておりませんので、後刻資料をお配りいたしたいと思っております。
  70. 森本靖

    森本委員 それでは、私はこの問題について、きょうゆっくり追及したいと思っておりましたが、そういうようにあなたの方の資料が不足であるということですから、この七十九条の内容、それから不当逮捕の問題については、あなたの方から資料が出た場合に行いたいと思います。  ただここで一言大臣に申し上げたいと思いますが、全逓に対するところの逮捕が今日まで七十名も行われて参りましたが、これについては事前に、あるいは事後に、大臣に対して法務大臣の方から何か連絡がありましたか。
  71. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 春季闘争に関連いたします逮捕あるいはまたこの取調べをどういうふうにしておるかということにつきましては、私が就任日が浅いということもありましょうが、法務大臣からは別に何の連絡もあっておりません。
  72. 森本靖

    森本委員 事務当局は前大臣からずっとおりますが、この連絡は法務省の方からなかったのですか。
  73. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 強制捜査の段階につきましてはその筋から連絡はございません。
  74. 森本靖

    森本委員 その筋から連絡がないというのですが、その筋とは何ですか。
  75. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 検察並びに警察当局です。
  76. 森本靖

    森本委員 その方からは逮捕したという連絡は全然ないのですか、同じ官公庁同士であって。
  77. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 強制捜査につきましては事前連絡はありません。
  78. 森本靖

    森本委員 何があったのですか、事前連絡は。
  79. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 事前には実情の調査等につきましては監察局といたしましても協力いたしましたが、その調査の資料に基きまして検察、警察が独自の判断を加えられまして強制捜査の段階に入った、こういうことでございます。
  80. 森本靖

    森本委員 それでは、郵政省としては、そういうことについて法務省に聞き合わすなり何なりやっておりませんか。
  81. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 省といたしましては、警察方面とは事後におきまして連絡いたしまして、詳細模様を聴取いたしております。
  82. 森本靖

    森本委員 私はここでこの内容についてもいろいろと聞きたいと思いますけれども、今言ったように資料があまりないのでこれはやめますが、これから先この逮捕についてはまだ伸びるというふうな予想がしますか。
  83. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 この問題につきましては、私どもといたしましては予想いたしかねる次第であります。
  84. 森本靖

    森本委員 これは法務大臣をここへ呼んで聞けば一番はっきりするわけですが、しかし、そういう形式的な答弁をするものではないと私は思います。ほんとうに郵政省のことを考えて、郵政省の職員のことを考えるならば、やはり郵政大臣の部下なんだ。だからそういうものについては、一応今まで逮捕した者についてはどういう理由によって逮捕したか、どういう内容であるかということについては、郵政大臣が法務大臣のところに足を運んで行って、どういう内容でありましょうかということで十分にその内容を検討して、さらに逮捕が発展していくかどうかということについても考えてみなければ、郵政業務影響するわけです。私はここで法律論争をしておるわけではない。郵政省の管理者としては法的にはあなたの言ったような説明で通ずるかもしれないが、実際郵政業務を円滑に運行していこうと考えるならば、向うから返事がなければこっちから出向いて行って、こういう内容はどうなるであろうか、将来こういう問題はまだ続くであろうかというふうなことを心配して、初めて従業員というものがついてくると思う。だからそういうふうな、いわゆるおざなりのことをやるべきじゃない。やはり労働問題というものを根本的に解決つけようということについては、お互いに労使双方に誠意が必要なんです。今度の大臣は、先ほど来の答弁によりますると、なかなか労働問題等については認識が深いというふうな大臣であられるようでありますので、私が今言ったようなこと、今後の問題については、十分に大臣としても誠意のある態度をもって、ただ法律一点張りにおける冷たい格好の答弁をするとか、あるいはまた、労働組合にもそのまま突っぱねるというようなことでなしに、そういう意味合いにおける親切さというものを持ってもらいたい。きょうは大臣にそのことを注文しておきまして、次の日に、こういう問題についての資料がいろいろ省側においても整った場合において、もう一回この問題についての質問をゆっくり行うことにいたしまして、私のきょうの質問はこれで終ります。
  85. 大野幸一

    ○大野(幸)委員 今森本委員が言われましたことに関連して、たしか、きのう総理大臣は、法に違反した者には峻厳な態度をもって臨む、こう言われております。━━━━━━━━━━━━━━━━━そういう法律一点張りでなくて、もっと政治的の答弁をこれから求めたいということなんです。━━━━━━━━━━━━━━━━━そこで、私は今関連質問ですから簡単に申し上げますが、今森本委員が言われましたように、私は逓信委員を参議院で四、五年やりました。大臣とも席を同じくしておりましたので、親しみを感じております。その親しみというのが郵政省に非常にあるので、私も好んでこちらへ希望してさせてもらったわけです。そこで全逓労組との関係も、大臣が就任されて初めて、私は新聞で拝見したのですが、全逓労組とも仲よくしたい、こういうことを発表されたのは誤まりでなかったかどうか、質問したい。
  86. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 お答えいたします。労使慣行について、これが健全に行われていく、そして労働者の福祉並びに生活というものもだんだん満たされていくということは、われわれがそれに対してはあらゆる努力をしなければならぬ、こういうふうに考えておりまして、このことについては一歩も私は後退しておるものではございません。ただ、公労法十七条にも規定をされておりますように、争議行為その他の行き過ぎということについては、大きく反省をしてもらわなければならぬじゃないか。  それからもう一つは、やや私としては希望になりますが、現在は全逓には代表機関を欠いておる状態になっておる。七月の八日から十二日まで大会も開催をされるということでありますが、目下のところでは代表者とひざを交えて話すということすら不可能だ、いわゆる団体交渉というものがなし得ない形になっておりますから、こういう大会のときに代表機関も何とか一つ選んでいただいて、正規の形において私自身をひざを交えて話し合いをして、この労働運動に対する理解と労働者の向上、こういったようなことについても微力をいたしていきたい、こういうことを考えておるわけでございます。
  87. 大野幸一

    ○大野(幸)委員 大臣の答弁、私は了解いたしますし、非常にうれしく思いますが、ほんとうに、労組との間で話し合う、お互い誠意を持って理解し合うということならば、それにはまず、すでに解決されてしまった春季闘争についても、今森本委員の言われましたように、やはりこれは愛情を持って、何かこれに対する所管大臣としての態度というか、労組に対する好意を示されることが当然だと思うが、こういうことについてはどう考えておりますか。平地に波乱を起しておるというのが今度の検挙事件で、これは何といいましても政府の弾圧です。国民はそれほど無知じゃない。これは弾圧だということを感じておる。だから、これはもう春季闘争は済んでしまったあとです、そういうときに労組に対して、新大臣はそういう心持を持って、積極的にこれの解決に向われることを考えておられるかどうか。
  88. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 組合に対して愛情を持って向うということにおいては、決して私はちゅうちょいたしません。しかしすでに検察庁あるいは警察当局等が、非常な容疑を持って取り調べておる段階でありますから、このことに対じては私が容喙することはできないではないか。その他の、郵政大臣として彼らに対する心からなる愛情、また彼らをよき方向に指導して大いにこれのめんどうを見ていくということに対しては、できるだけの努力をいたす決意でございます。
  89. 大野幸一

    ○大野(幸)委員 この問題については、私は次回に質問を留保して一応終ります。特に十二時半で、与党の方からヤジがくるのはおなかがすいたからだろうが、がやがやするので、こういう点を考慮してやめます。この次にまた私の質問を続行いたします。
  90. 森本靖

    森本委員 ちょっと……。今大臣の答弁で大事なことを言われたので、私はそういう問題がなければきょうは一応質問を打ち切って次にしょうかと思っておりましたが、今、全逓が代表者がない、ないから大会に期待しておるというふうな意味の発言がありましたが、労働組合の大会というものは、労働組合本来の自主性によって行うわけです。そしてその大会において役員を選任するなり何なりも、その自主性によって行う。それに対して大臣が、こういうふうにやってもらった方がいいというふうな意味の発言を、国会を通じて行うということは、私は越権だと思う。だからその問題については、そういう大会にどうこう期待するというふうな意味の発言は差し控えてもらいたい。しかも労働組合の大会を控えて、それに対して法外組合、法内組合という問題については、これは日をあらためて与野党で論争すればいい。何か大会に出てくるところの代議員に対して、この国会を通じて一つの規制を加えようというふうな発言は、私はこの委員会においてはやめてもらいたいと思う。それから代表者がおらないから話し合いができないと言うけれども、代表者は厳として、おるはずだ。だからその代表者に対しては話し合いができるはずだ。それから交渉というものは、たしか代表者と交渉するということにはなっていないと思う。その組合が選任したところの交渉委員と話し合いをすることになっておるはずです。その交渉委員というものについては、かりに私が交渉委員になったところで、組合から選任されればかまわぬ。その点については公労法には規制がないはずだ。だから今大臣の、一つ大会で何とか健全な組合にでも変ってもらったらというふうな発言は、一切やめておいてもらいたい。そういう問題についてはゆっくり論争しなければならない。短かい時間では、ぽこっと大臣が言われると非常に事実を曲げるようなおそれがありますので、その点はもう一ぺん大臣からはっきり言っておいてもらいたい。
  91. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 私が申したことは、郵政省における全逓信労働組合というものは、私が最もこれの健全な発達を望んでおる組合であることは御承知通りであります。私は、団体交渉権を失っておる形というものを非常に残念に考えて、そういうことを期待するという意味で申し上げたのであって、これを作ってほしいとかなんとか言うことは政治的に影響するということにおいて、森本委員がそれは困ると言うお言葉もよくわかります。そういう意味でなく、ぜひそういうふうに期待をするという私の気持でありますから、これを釈明いたしまして一つ御了承を願いたいと思います。
  92. 森本靖

    森本委員 団体交渉権を失っておるというのはあなたの解釈であって、われわれとしては現在の全逓労組というものは何も団体交渉権を失っておるものでないと解釈しておる。それから大臣によく申し上げておきますが、労働問題というものは、法律一点張りではなかなか解決がつかぬ問題が往々にしてあると思う。おそらく現実の問題として、郵政省としたところでそういうことを公式には言っても、いろいろの問題については全逓労組と非公式ながら話し合いをしておると思う。組合側は正式と言うだろうし、郵政省の方は非公式と言うたろう。しかし言葉のあや取りはどうでもいい。現実の問題としてそういう話し合い、交渉というものをやっていかなければ、郵政省における労働問題は一切解決がつかない。だからそういう話し合いはしておるわけです。そういう慣行というものはやはり従来も将来も持っていっていいと思う。ただそれは、あなた方が考えておるところのいわゆる健全な法内組合、あるいは組合側考えておるところの労働組合、こういうような点についての意見の相違はありますけれども、話し合いをする相手がないということではない。現実にそういう問題については話し合いをしておると私は思う。正式の団体交渉と言わぬにしても、話し合いというものはやっておると思う。だから、そういう話し合いは従来も将来においても私はやっていってけっこうだと思う。労働問題というものはそんなにかた苦しい一本やりの考え方でいくとつまずいてしまう。生きた問題ですから、具体的に現実の問題をとらえて、生きた問題は生きた問題なりに臨機応変の措置をとっていかなければならぬ。その点を大臣はよく臨機応変の措置をとって、全逓信労働組合という職員の団体を指導してもらいたい、こう思うわけです。その指導のいき方について、今言ったような真正面なことを言う必要はない。現実の問題を生きたとらえ方をしてやっていってもらいたい、こういうことなんです。
  93. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 森本先生の御注意として拝聴いたします。
  94. 原茂

    ○原(茂)委員 先ほど時間がなかったので途中でやめたのですが、次官と局長にもう一度念を押しておきたいと思います。局長は現在報告を受けていないというふうに言い切っているのですが、私の要求したのは、調査報告というものを集めていただいて、ここでその御報告をお願いしたいということなのです。
  95. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 報告と申しますのは、番組ではなくして、予備免許を受けた各社の状況のことであるならば、報告をしてもらえるようにいたします。
  96. 原茂

    ○原(茂)委員 予備免許を受けた報告ではなくして、先ほど私が言い直したように、予備免許を与えたときに一番論議になった言論の偏向ということが地方新聞、ラジオ——特に地方とはっきり言いますが、地方新聞、ラジオが、同一資本の重なったもので行われている場合には、その言論の偏向ということが心配だというので、予備免許を与えるときに論議になった。それが今回の選挙に際して、予備免許を与えられた新聞、ラジオも、また予備免許を与えられない新聞、ラジオでも、同一資本で行われている報道機関からはそういった偏向というものがやはりなされていると私どもは思うのだが、そういう事実があるかないかを調べて報告をしていただきたいと言っているわけです。予備免許を与えたその後の報告などは今問題ではない。あのときに論議されたように、同一資本の重なった中で新聞、ラジオが経営されていると、いわゆる言論の偏向というものが行われやすい。そこでテレビの予備免許を与えて、三者が一つの資本の流れで運営されることは好ましくない。こういう論議が起ったときから今回の選挙を回顧してみて、やはりそういう偏向があったとわれわれは思うのだが、監督当局では一体どのように考えているのか。もし何らの報告も受けていないのならば、そういう事実があるかないか報告を受けてここで聞かせていただきたい、こういう意味です。まだはっきりしないような顔をしていられるから別の角度から申し上げます。たとえば今わかったのですが、放送法の第四十四条にあるのですが、協会に対しては四つ適用しているのだが、一般放送に対しても第三項の適用をすることにきまったわけです。要するに事実を曲げた報道をしてはならない。あるいは政治的に公平でなければならないというような協会側に対する制肘がある。こういう放送法の建前からして、電波監理当局としてはそういう条項に触れることが一体なかったかどうかということの調査報告をしていただきたいと言っているのですが、趣旨がわかりますか。
  97. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 御趣旨はよくわかりました。
  98. 原茂

    ○原(茂)委員 事務次官がいないようですから、局長から次官に言っておいて下さい。一度免許を与えられた以上、言論に対してはどんな言論があっても、その番組、内容に関しては一切制肘を加えることはできません。しかし放送された言論が事実を曲げたものであったり、政治的に不公平であったりしたときには、これに対する関与というか、何かあとで忠告を発するのが監督当局としての態度であることを鮮明にすることは、この条項に照らしてできるはずだし、しなければいけない義務があるわけです。この点を教えてあげたかったわけです。この点はどうですか。
  99. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 番組の内容につきましては今仰せの通りであります。私どもはいろいろな関係から前後詳細についてこれを調査いたしておりませんけれども、絶えず注意を払っております。番組の批判は国民がなすべきものだと考えておりますので、随時こういうことがあるというような指摘があったりするのが今までの例でありまして、それを聞いておるわけであります。そういう意味において、そういうような報告が参った場合には、あるいはもう少し積極的に耳を傾けて、その様子を聞いて善処しようというのが私どもの考えでございます。
  100. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣に今度はお伺いしますが、その文書の一ページの一番最後をごらん願うと、「先般の春季闘争のような事態を繰り返さないように努力いたしたいと考えております。」、こうおっしゃっているのですが、一体先般の春季闘争のような事態にかんがみて、あなたの方でこれを繰り返さないようにしたいというものは何ですか、現象、事象というものは、春季闘争にかんがみて、当局側大臣としてああいうことを繰り返さないようにしたい。何を繰り返さないようにしたいのか。大臣の側の、繰り返すべきではないと考えているところを一つお答え願いたいと思います。
  101. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 これは具体的にこうだということを申し上げることは困難でありますが、労働組合に対する理解を持ち、そうしてこの健全な発達に大きく力になってやる。従って組合の方もよき慣行を守って、労使の健全化については責任を持ってもらうようにする。しかしいろいろの要望もあろうから、それらについては可能の範囲においてその要望も聞いていく、こういうふうに相互が理解をし合って協力をしていくという努力を、所管大臣としてやっていきたい、かような考え方であります。
  102. 原茂

    ○原(茂)委員 今の御答弁ですと、当局の側の繰り返すまいと考えていることは、今までは労働組合に対して少しく冷淡過ぎた、協力をしなかったからもっと協力をしてやろうと考えているんだ、こういう御答弁になるのですが、そうですが。
  103. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 十分の理解を持って、組合の諸問題についてはできる範囲において聞いていきたい、こういうことでありますから、仰せの通りになるのじゃないかと考えます。
  104. 原茂

    ○原(茂)委員 私の言った通りになると思うのだが、そうだとすればずいぶんこれは重大な問題になるのじゃないかと思うのですが、まあ私の言っていることをお聞き取り違いになったのかもしれませんが、あなたがそうおっしゃるのですから、その通りにお受けしておきます。  そこで、その前にさかのぼって、「もって民主主義のルールにのっとったよい労働慣行を樹立」するのだ、一番事態を繰り返さないようにするためには、基本的には、この「民主主義のルールにのっとったよい労働慣行を樹立」するのだとおっしゃっているのじゃないかと私は思う。これが当局の、大臣の側の一番重要な点じゃないか。きのうの本会議の倉石さんの答弁を聞いても、ここにばかに力を入れているのです、やはり労働慣行ということに。だから、おそらく事態を繰り返さないようにしようという当局の側の重点というのは、民主主義のルールにのっとったよい労働慣行を樹立させてやろう、こう思っているのじゃないですか、どうですか。
  105. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 そういうことは当然だと思いますが、私は、先ほど森本委員もおっしゃったように、ほんとうにお互いが胸襟を開いて話し合う、こういうことが労使の間においては一番重点を置いて心して考えていくべきじゃないか、かような考え方を持っているわけです。それですから、ただ法規だけで縛って、そして両方が立場を異にするという気持でなくて、お互いに理解し合うという——これは観念論かもしれません。あるいは基本的な考え方ということになるかもしれませんが、私も一職工からたたき上げて、今日ようやく今の地位になっておるその体験等から見ましても、労働者の気持というものもかつて体験をいたしてきておりますから、よく話し合って——しかし違法行為をしてしまったのでは、その行為が続けられない。だからその前にできるだけ話し合って、聞けるものは聞いていく、こういうことが今後私の全逓に対する基本的な気持である、こういうことであります。
  106. 原茂

    ○原(茂)委員 腹を割って十分話し合うということがほんとうにできるためには、条件が対等でないとできない。ほんとうに腹を割って話し合うというが、片方だけが権力を持っておる。片方はいつでも首にされる。こうギャップが多くついていると、ほんとうの対等な気持のいい話し合いというものはむずかしいのです。たとえば今度の全逓の処分のように、上から全部ぶった切っちゃった。もう首だというわけです。何かちょっとあると、それはひっからめて首にできるのは大臣の側。労働組合の方はちょっとでも間違うと首になる。大臣を労働組合か首にするわけにはいかない。全くギャップがついちゃっておる。そこで幾ら話し合いをフランクにやっていきたいと考えたって、なかなかそうできるものではない。ですから一番大事なことは、ほんとうに大臣がそう思っているなら、今の保守党の内閣全体の思想を変えて、ILOの条約は直ちに批准すべきなんだ。何でもいけない、労働組合の少し行き過ぎがあったからといって首にしてしまう。そしてもうお前は相手じゃないんだ、こう言われて、首になった者は出て行けないということになれば、これじゃ初めから対等に話なんかしていない。真に話し合うことを通じて、よい労働慣行をもし作ろうというのなら、そのギャップをまず取るために、ILO条約の批准というものは即刻行うべきである。前の労働大臣は、これに対しては批准すべしという結論が出たら批准すべきだと言った。倉石労働大臣になると、きのうの答弁のように研究をすると言う。これはずっと後退です。こういう形の後退をしたということは、対等に話し合おうとする条件が、もっとよけいギャップがついたということを意味する。ですから今後事態を繰り返さないように努力しようといったって、今の考え方は繰り返すようにギャップをぐっと広げているようなもの。こんなことで先般の春闘のような事態を繰り返さないようにしたい、冗談じゃありませんか。倉石労働大臣を中心とした考えが、現第二次岸内閣の考えであるとするならば、これは繰り返さないようにするどころか、もっと熾烈に繰り返そうとする考え方に立ったと同じ基盤になってきておる。これでは私はいけないと思うのですが、どうでしょう。職員というものは自分と一つかまの飯を食う人間なんだ。おれも前は職工からたたき上げてきた人間なんだと大臣はおっしゃったのですが、大臣先ほどから言われる、愛情が真ににじみ出すものならば、その言葉自体の中からもっと反省をして、基本的な労働者の立場というものを、もっとかたいものに、ゆるぎないものにしてやる。その上で立場の相違はやむを得ませんから、腹を割った話し合いをしていくんだということをまず考えなければ、労働者を愛するとか、組合に対して愛情があるとか、あるいは腹を割って、へそをつき合せて話をするんだということは口頭禅であって、実際にそれを行うならば、現在でもギャップがついて、いけないのに、なおまた労働行政そのものは、一歩後退をしていった形で、逆にギャップがぐっと激しくなる。闘争も熾烈になるだろうと思わせるような倉石労相のきのうの発言のようなことは、何とかして大臣の力を通じて、岸内閣全体の思想を変えていくというくらいのことをここでおっしゃらなければ、事態を繰り返さないように努力するとはいえぬ、こう思うのですが、どうですか。
  107. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 原委員の御意見はわからないことはありません。しかし、ILOの批准ということはもちろん私の所管ではございませんが、このことは、まだこれは現実に批准されていない。従って、公労法第十七条あるいは十八条といったものは生きておる。そのことは、その現実においてはやはりこれを守っていくということが、全逓としてのまず責任ではないか、そういうことにおいて、ほんとうに信頼される全逓になり得る、あるいはその他の組合としてもそうした法を守るという慣行というものが行われていけば、ILOも必ずや批准をする時期は遠くない、こういうふうに考えておるのでありまして、このことがもっと逆になるという、そんなに私はこの問題を非常に悪くは見通しをつけておりません。ただ自分の至誠をもって、誠をもって組合に当っていきたい、まず今持っております私の気持は、そういう考え方でございます。
  108. 原茂

    ○原(茂)委員 今の組合が、公労法十七条、十八条を守らないといったり、これを否定するんだという説明を、僕はしておるのじゃないのです。そうじゃなくて、岸内閣の労働行政そのものが、きのうの本会議における答弁を聞いてみると、一歩後退しておる感じなんです、石田労政から見れば、倉石労政の方が。批准をすると言い切っている大臣と、これを研究すると言って引っ込んでしまう大臣とでは非常な違いがある。あの石田労政のときに起きた全逓のこの闘争で、この結果を見ている。そこへ、ILOに対する態度ですら無理解、一歩後退した姿で倉石労政が行われていく限りにおいては、繰り返さないようにするどころか、逆になるおそれの方がよけい感ぜられる。だから真に愛情を持っているなら、とにかく職員のためになるように、組合活動にもあげて協力をやるんだ、いい労働慣行を作るように望んでいるんだと真に言うならば、前の岸内閣のときよりも一歩後退しようとする今の倉石労政に対しては、大臣はほんとうに繰り返さないように努力しようと言うならば、その努力の方向というものは、倉石労政そのものをたたき直して、せめて石田労政くらいのところまでまた引っ返させる、まずこのくらいにする努力がされなければ、これは口頭禅だと私は言っている。そうすべきだと思うのですが、どうです、やれませんか。失敗してもいいからそれくらいのことをやって、初めておれは職員を愛しているんだといえると思います。
  109. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 原委員のそうした御意見は、私は十分拝聴いたしておきたいと思います。
  110. 原茂

    ○原(茂)委員 どうも拝聴しっぱなしのような気がするけれども、しかし私の言ったことをやっていただけるものと期待をしておいて、あとは結果を見たいと思います。  それから「お年玉つき郵便葉書等発表に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げる。」こう言うのですが、これはこの特別国会に出すという御意思ですか。
  111. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 郵政省といたしましてはそういう希望を持っております。しかしこのことが、先ほど申し上げましたように、まだ政調会の方におきましても、最終決定をいたしておりません。従いまして、いろいろお願いをしておったが、政調会でようきめられなかったので、願わなかった方がよかったというようなことになるかもしれませんが、省といたしましては、これはぜひ出して御審議を賜わりたい、こういうことを考えておるわけであります。
  112. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、この郵便葉書の問題は、今国会に出すかどうか研究中だそうですが、出すとすると、前国会に出たものと内容は全く同じですか。どうですか。
  113. 寺尾豊

    寺尾国務大臣 これは政調会の方でも、決定をいたしますにつきましては、その問題もむろん検討しておることと思いますが、政調会の方でまだ法案の内容も最終的にはきまっておりませんから……。まあ大体前回の政府原案という形ではなかろうか、これは私の想像であります。これは政調会が最終決定をして、われわれはそれに従うことになっておるのですから、はなはだ非力でありますけれども、これは私の方の党の……。
  114. 原茂

    ○原(茂)委員 政調会がまだきまっていないんだから、大臣の想像だそうですが、もし前国会通りで出てくるんだと、やはり少しそつがあり過ぎると思うので、もし政調会でほんとうに研究しておるなら、所管大臣なら大臣として、前国会のいきさつをよく研究して、そのままでいいかどうかという検討を一度おやりになったらどうか、こう思います。これは私の注文をつけておくだけです。時期の問題もありますから、これは出すことを早くしなければいけないことはわかるのです。出すからには、あまり摩擦がないように出すということも大事だと思いますから、政調会の動きがあるなら——ほんとうに研究していないように思いますが、そうでないなら、あるなら、まだ余地があるということになりますから、大臣も政調会に御出席になって、大臣の御意見をお述べになったらいいと思います。  きょうは時間が一時までということですから、あとは次会に譲りますが、最後に一つだけ。ソ連あて郵便物について、目下直接やれるような方法ができた、そういうことになるのですが、日本経由の定期船というのは、一体何往復することになるのですか。
  115. 板野学

    ○板野説明員 お答え申し上げます。現在のところ航海条約では、私まだはっきりした何を聞いておりませんが、大体五航海と申しますか、各会社そういうことになっております。ただいまのところ、第一船がこの二十日に横浜を出帆するということになっております。
  116. 原茂

    ○原(茂)委員 これはもう各社に割当が済んで、五航海なら五航海とはっきりきまり、ソ連の方の了解も取りつけたという段階にきていますか。
  117. 板野学

    ○板野説明員 郵便の直接交換につきましては、ソ連の了解を取りつけております。ただ、これが何航海になるかということは、航海条約関係実施の問題でございまして、私どもといたしましては、その船便をできるだけ多く使って郵便の送達をはかりたい、こういうふうに考えております。
  118. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、とにかく今月の二十日から実際に実施されるんだということだけは、間違いありませんね。
  119. 板野学

    ○板野説明員 間違いございません。
  120. 淺香忠雄

    淺香委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十九分散会