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加藤(精)
委員 最初に、和歌山事件につきまして若干の質問をさしてい
ただきたいと思っております。私は、この事件の直後、和歌山市に事件のてんまつを調査のために参ったのでございますが、あの和歌山市は、古来非常に栄えた旧藩の城趾の町でございまして、地理的にも、歴史的にも、何とも言えない穏やかな興趣の深い観光地ともいわれるような町でございます。あの地域におきまして、今回本
委員会で問題になっておりますような事件が起きたことに対して、大きい観点から観察いたしますと、
全国から相当激しい連中があそこに押し寄せてきて、そうして各種の行動をいたしまして、あの騒擾に導いたということにつきまして、和歌山の地域民の方と同じように、だれだ花園を荒すのは、というふうな憤慨の気持を持ったのは当然でございまして、そのほとばしりの一部があの激突の
原因になったということは、非常に悲しい事実ではあっても、あるいは必然的な点が若干あったんじゃないか、こう思うのでございます。
わが国の教育
行政というものを、ことに地方教育
行政というものを
考えてみますと、特に
全国民の中に義務教育を受けない者はない。小学校に入っていない者はないというわけでございますから、だれも小学校教育というものに対しましては思い出を持っており、ある種の愛着を持っておるのでございます。しかも、鎮守の森の赤い鳥居と並んで、あるいはたんぼの中の、あるいは山の上に立っております村の小学校、こういうものはまことにわが日本国民の魂のふるさとでございます。われわれは、これらの教育を愛する日本民族のよき伝統を捨てて、そうして宗教を否定し、伝統を否定する共産主義思想のままに、その遠い外国からの命令に黙々と従って、醜い行動を展開しております左翼の人
たちの思想に対しましては、どうしても同調できないのであります。社会党は、
ただいま勤評問題で非常な煩悶をしておる。昨日発表になりました行動要領につきましても、全くわけがわからない。新聞記者諸君から、一体どういうことなんだと聞かれて、回答ができなかった。そこの文章に書いてあるだけだと答えたということは、社会党にも良心が芽ばえておるということを知って、私はうれしいのであります。それでこそ社会党だと
考えるのでございます。しかしながら、大勢におきまして、現在のわが国の社会党は自主性を失っておる。その自主性を失っておることが、今度の社会党の機構改革の社会党内の世論の起きた
原因でございまして、
委員長が最後の裁決権を行使することができないような、そうした他の圧力
団体に引きずられるままに動き、その引きずるものが、あるいは活動家とか、あるいは労組とか、相反する方向にある場合におきましては、その中間の、わけのわからない政策綱領、行動の綱領をきめていくとかいうような、非常に情けない
状態にあったと私は
考えております。そして今回の和歌山事件について特に痛感いたしましたことは、大体日教組は社会党を支持しているのでございますが、その社会党が日教組の実力行使を支援している。
行政阻害の起きるおそれのあることを天下の公党が支援しているということは、非常に大きな疑問がありますけれども、それはさておき、社会党の統制下にあるにもかかわらず、いつの間にか、東京にいる共産党員の岩間君とか、全学連の小野田沼とか、そういう人が、あるいは総司令官、あるいは小隊長、あるいは分隊長というように、独立行動で指揮しておりまして、これは全く社会党の辻原君をして、今度は全く全学連にしてやられたという嘆声を、公けの人のいる前で放たしめたところであります。これをもってみても、もし社会党内閣というものができましたら、社会党政府というものができましたら、私はその政府、その内閣は、必ずや全学連、日教組、あるいは日本共産党そのものに引きずられてしまう社会党政府ができるだろうと思いますので、これらわが国の教育を愛し、また美しいわが国の伝統を育てていこうという日本人の血を持った者は、社会党が目ざめることは寸前の将来にあるだろうと思いますが、現在の社会党のままなら、われわれは、また国民は絶対に社会党に政権を与えることは不安でございます。私は、とにかくこの問題に関連をいたしまして、一言重大なる質疑を当局にいたすものでございますが、社会党が合法政党であって、合法の道を歩むと私は
考えておるのでございますが、それにつきましても、非常な失望を最近しておるのでございますが、その社会党をあごで使うといわれております総評の態度でございます。その総評の今回の勤評に対する態度につきまして、私は若干の不審を持っております。これにつきまして私は場……(「総評
議長に質問しろ」と呼び、その他発言する者あり)私はまじめに聞いてい
ただきたいのでございまして、私は非常に内気で、気が小
さいのでございますから、あまり騒音にわたりますと
自分の意思を拘束されますので、それは議場における民主主義的な儀礼に反すると思いますので、社会党の方には御静粛にお願いしたいのでございます。
私の言わんとするところは、今回の和歌山事件――和歌山の
全国集会というものが、総評の秋季闘争の第一次統一闘争ということにプログラムで
決定されまして、そうしてそれを新聞紙上にもりっぱに公表されまして実施している集会でございまして、政治闘争でございます。そうして総評が同じプログラムにおきまして掲げておりまするごとく、第二次統一闘争は九月の勤評阻止闘争ということで明らかに国民の前に銘を打っておるのでございます。しかも、これは日教組担当部分、総評担当部分ということを正直に国民の前に鮮明いたしまして、日教組が九月十五日に、最低半日以上の統一闘争という実力行使をする。そうして総評はこれに呼応して、組合員の子弟の児童、生徒の登校阻止をさせるということでございます。この登校阻止ということにつきましても、実に悲惨な戦術でございまして、われわれの愛するいとけなき児童に対しましては、残虐この上もない闘争手段であると私は
考えるのでございまして、国民の一員として、労働運動と称して、世論から保護を受けやすいこの闘争方法の中に、こういう残虐悲惨な行動を入れておくということにつきましては、私は国民の一人としてこれを非常に恥じるものでございます。しかもそうした方法をもって共謀し、そうして日教組ないし日教組傘下の組合員たる先生をあおり、そそのかし、なお児童の保護者に対しても圧力をかけるということは、法律問題は別といたしましても、人道上許すべからざることと
考えたのでございますが、これらの事態につきましては、総評の責任者というものは、地方公務員法三十七条後段及び地方公務員法六十一条の第四号に抵触するものであると私は
考えるのでございますが、(発言する者あり)まじめなことを言っているのですから、ひやかしては困ります。地方公務員法の第三十七条を読んでいないから、
ただいまのような不規則発言が出るのでございまして、何人といえども、前段の行為を企て、または共謀し、またはあおりそそのかすことはできないということが三十七条にちゃんと書いてありますから、よくそれを読みなすってからひやかして下
さい。それで、私はそうしたことにつきまして多大の疑問を持っておるということをこの際申し上げているのでございますが、
ただいま労働組合その他の
関係者、
指導者のような方ですらも、なかなかそういうことを御研究になっていない方もあるので、総評の幹部の方におかれましても、岩井事務
局長等の本日の新聞に発表せられておりまする程度の論文の頭では、とてもいろいろのそうした深い考慮が払われていないものと思いますので、政府としても、そうした法を乱る
団体に対しまして十分に警告され、やさしい心を持ちまして育成していかれ、善導していかれることをお願いしたいのでございます。それらに関しまして、いかなる事項を政府が
決定いたしましても、直ちにこれに
反対いたしますばかりでなしに、国の法律によって
決定いたしましたことに対しまして、これを実現しないように阻害運動をいたす傾向が最近非常に多いのでございまして、その最たるものが、社会党内閣のもとに作られましたる地方公務員法の、この四十条の勤務評定の否定を社会党の方がやっているということは、社会党の七月四日の、この勤務評定の、実力行使に対して社会党は協力すべしという指令をもってみましても、私は明白であると思います。(「地方公務員法は二十五年だよ」と呼び、その他は告げんする者あり)国会におきまして
決定いたしましたる法令の実施を妨げ、正当に組織せられました
行政機関の
行政事務執行を阻害するということが、まさに日常茶飯時のように行われているというわが国の現状に対しましては、民主主義国家といたしまして、まことに恥かしい思いをするのでございます。終戦後もはや十二、三年になりまするのに、このざまでは、何といたしましても、かの最も重大な戦争の惨禍をこうむりました西ドイツが、よく国民が国法を守りまして、国家目的に協力いたしまして、今日世界で最も実力のある幸福な国家を形成していることなどに比べますると、まことに恥かしい次第でございますので、この際、かかる小児病的な行動をとる者が国内にびまんすることのないように根本的な
措置をとりたいのでございます。
つきましては、西ドイツの法律に、ドイツ刑法典第六章、国家権力に対する反抗という章がございますが、その百十条に「公然と多衆の面前で、並びに文書もしくは、その他の表現物を頒布し、または公然と文書もしくはその他の表現物を掲示もしくは陳列することによって、法律もしくは法律上の有効な命令に対し、または官憲がその権限の範囲内でなした命令に対して、不従順であることを勧誘する者は、罰金または二年以下の軽懲役をもって罰する。」ドイツ刑法典第六章、国家に対する不実の誹謗第百三十一条「公けの制度または官憲の命令を侮べつするために、その虚構または歪曲を知りながら虚構または歪曲の事実を公然と主張または流布する者は、罰金または二年以下の軽懲役をもって罰する。」こうしたような規定が西ドイツにはございますが、こういう法典を日本で作ることがいいかどうかということは別問題です。西ドイツが世界一の
経済興隆をいたしておりまするその裏には、また西ドイツの国民精神が振起いたしておりまする裏には、こういう法律文化も栄えているのだということを私は言いたいのでございます。それに比して、日本におきましては、
行政阻害につきましては、食糧管理法によりまして最高裁の方で指示されましたものがございます。また納税阻害につきましては、高等裁判所が判決を得ておりまするところのものがある。こういうふうなことでありまして、一般にはこうした規定がないことが
一つの特徴になっておりますが、そういう事態でございますればなおさらのこと、国民はこういうことを自覚して、国家の将来のためによく順法精神を維持しまして、そうして終戦後の国難に処し、わが国の国力を充実していくという方面に努力すべきだろうと私は
考えるのでございます。これらの感想を私は持っておるのでございまして、これらに対しまして、特定の点について結論をお尋ねするのではございませんが、文部
大臣、法務
大臣、それから
自治庁長官の皆様の、私の意見に対しまする感想を、その後の質問の準備のためにまず聞かしてい
ただくことができますれば、ありがたいと
考えておるのでございます。