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佐藤国務
大臣 お答えいたします。
ただいまの
石野さんの御主張とまた私のかねてから申しております点との相違については、違っておる点を明確にされておられますが、御指摘の
通りのような相違があるのでございます。私
どもは今日
経済基盤強化の
法律案を提案いたしまして御審議を願っておりますが、この
法律案は、ただいま
お話しになりましたように、もともと十三三
年度予算編成の際にその一環の
法律案として御審議を願っていたもので、その当時この
法律案が成立を見ましたならば、おそらくただいまのような御疑問も生じなかったのではないかと思うのであります。問題は、
予算審議の際と今日の
経済基盤強化法律案審議の間相当の期間の経過があるために、いろいろの誤解を生じておるのではないかと私は
考えておるのであります。私
どもは今日この
法律案を出して御審議願っておりますが、これは、三十三
年度予算が成立いたしました際に、その一環の施策であるから、今日ぜひともこれを成立さしていただいて、そうして
予算の完全実施の方向に御協力願いたい。このねらいが
一つあります。と同時に、この三十三
年度予算案の御審議を願った際に想定した
経済の動向というものと、今日当面しておる
経済の動向、趨勢がっ違っておるからという点でありますが、これは、ただいま御指摘になった
通り、私
どもはその
情勢は予想した
通りのものがある、こういう感じがいたしておるのであります。どういう点でさようなことが言われるか。三十三
年度の
予算を
編成するに当りまして、一面で緊急対策をとると同時に、
経済の面で本
年度に入りまして必ず重圧の
状況が出てくるだろう、その出てくる面が、たとえば中小企業の面であるとか、あるいは農林漁業の面であるとか、それがまた
失業者という形において必ず出てくるだろう、いわゆる社会面における摩擦というものが必ず生じてくるだろう、その場合に、この
予算に対しましては、そういう想定のできる事態に対しての対策を立てる、従いまして、失業対策に対しても、
従前に見ないような金額の増加を見たり、あるいは中小企業対策についても金融のワクを拡大するような
方法をとったり、あるいはまた、
資金の運用の面についても、金利等においても
考えていかなければならぬだろうという
意味から、いわゆる信用供与の措置を講じていくとか、あるいは農林漁業の面におきましては、三十三
年度予算では初めて一千億をこす一千八億という膨大な農林
予算を計上いたしたのでございますが、これな
ども、金額増加というだけではなく、特に増加項目、特に百十七億ですかふえたと思いますが、ふえた面においては、いわゆる営農であるとかあるいは価格安定であるとか、こういうような項目の
予算をふやして、必ず三十三
年度において
予算を実行するに当って当面する
経済、その変動に対応するような
予算を計上して参っておるのであります。これらの点はこの
予算編成の際に予測した
状況でございまして、ただいまの中小企業に対する圧迫であるとか、あるいは
失業者の数が非常にふえておるとか、こういうような観測もありますが、私
どもは、三十三
年度予算成立に立っては、こういうような
経済の
情勢に
向うだろうということを実は
考えて参っておるのであります。同時に、この
経済を脱却するためには、何と申しましても
国際収支の制限を受けるんだ、この
意味において
国際収支を
黒字に向けていかなければならぬ。これは幸いにして昨年来の緊急対策の措置が
黒字の方向に向ってきた。大体上半期においては一億五千万ドル程度の
黒字に
向うだろうということがいわれておる。あるいは
輸出振興の観点なり
経済の正常化という観点に立ちまして、緊急措置としてとりました公定歩合の引き下げをまず手始めに実施した、こういう
状況に置かれておるのであります。
そこで、それならば、もうすでにこれから
経済を上向きさすことができるのだ、その方向においてもう少し支柱になるような財政施策をしたらどうだ、これが
予算委員会を通じての社会党諸君の御主張であったと思いますが、私
どもは、今緊急措置としてとったことが一応ある程度の成績はおさめてきた。私
どもが予想したような効果は上げてはおりますが、何と申しましても
経済の鋭敏なこの働きから見まして、今日積極的な財政
政策をとって
経済に対する上向きのような支柱を与えるということ、これこそはあるいは
国内需要を喚起するという面においての効果はあろうかと思いますが、
経済の実態から申せば、やはり国際
経済の一環としてわが国
経済もあるわけでございますので、こういう一時的な便法は避けたい。そういう
意味で、今日は、この三十三
年度予算編成の際に御審議を願いました
経済基盤強化法律案、これの御審議をいただいて、そしてまずこれを成立をしておいて、今後生ずるであろう
情勢に対応してこれを使い得るような措置を
一つやらしていただきたい、これが今日この
法律案を出しておるゆえんであります。この点は今まで詳しく御
説明を申し上げて参っております。
問題は、この
予算編成の際と、今日おくれてこの
法律案を審議するその期間のギャップによって、
経済的な
情勢が非常な変化があるのか、こういうお尋ねだと思いますが、私
どもは、大した変りはないということ、大体想定したような
状況のもとに置かれている、今後の
経済の動向なり、また
経済を発展さすという
意味においてやはり
資金の確保もしたい、文字だけでなくて、真に
経済基盤強化の
資金として、今日
国会の承認を得たい、こういう
考え方をいたしておるのであります。いかにも私
どもが財政
政策の面で支柱になるようなことを絶対に反対しておるかのように解されまして、次々のお尋ねをいただいておりますが、私
ども必ずしも財政
政策の面においての積極的な
考え方を全面的に反対し、否定しておるものではございません。ございませんが、積極的な措置をとるには、その時期的な問題がある。その時期的な問題から申しますと、今日はさような積極的財政
政策をとるべきではない。今公定歩合の引き下げを実施したばかりでございますから、いましばらく模様を見て、そして
経済情勢の今後の動向に対処していきたい、かような
考え方をいたしておるのでございます。