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1958-06-20 第29回国会 衆議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月二十日(金曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 早川  崇君    理事 足立 篤郎君 理事 綱島 正興君    理事 夏堀源三郎君 理事 福田  一君    理事 坊  秀男君 理事 石野 久男君    理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君       荒木萬壽夫君    内田 常雄君       押谷 富三君    鴨田 宗一君       小西 寅松君    小山 長規君       竹下  登君    西村 英一君       濱田 幸雄君    福永 一臣君       古川 丈吉君    細田 義安君       毛利 松平君    山下 春江君       山村庄之助君    山本 勝市君       春日 一幸君    久保田鶴松君       田万 廣文君    竹谷源太郎君       廣瀬 勝邦君    松尾トシ子君       山下 榮二君    山花 秀雄君       山本 幸一君    横路 節雄君       横山 利秋君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君         国 務 大 臣 三木 武夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  山中 貞則君         大蔵政務次官  佐野  廣君         大蔵事務官         (主計局長)  石原 周夫君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         大蔵事務官         (理財局長)  正示啓次郎君         大蔵事務官         (管財局長)  賀屋 正雄君         大蔵事務官         (銀行局長)  石田  正君         大蔵事務官         (為替局長)  酒井 俊彦君  委員外出席者         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 六月十九日  委員中馬辰猪辞任につき、その補欠として小  山長規君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員内田常雄辞任につき、その補欠として石  橋湛山君が議長指名委員に選任された。 同日  委員石橋湛山辞任につき、その補欠として内  田常雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月十九日  経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基  金に関する法律案内閣提出第一号)  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基  金に関する法律案内閣提出第一号)  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二号)      ————◇—————
  2. 早川崇

    早川委員長 これより会議を開きます。  この際佐野大蔵政務次官より発言を求められております。これを許します。大蔵政務次官佐野廣君。
  3. 佐野廣

    佐野政府委員 大へん高いところでありますが、今回大蔵政務次官を拝命いたしました参議院議員佐野廣でございます。めったにお伺いすることもないかと存じますけれども、最初に当りましてごあいさつ申し上げます。どうか今後よろしく御指導のほどお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  4. 早川崇

    早川委員長 昨十九日付託に相なりました経済基盤強化のための資金及び特別の法人基金に関する法律案及び外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、政府より提案理由説明を聴取することといたします。大蔵大臣佐藤榮作君。     —————————————
  5. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま議題となりました経済基盤強化のための資金及び特別の法人基金に関する法律案について、提案理由を御説明申し上げます。  昭和三十一年度一般会計の決算上の新規剰余金は、一千一億円の多額に上り、これから国債償還等法定財源に充当される額を控除いたしました残額は四百三十六億三千万円になっております。他面、本年度におけるわが国経済運営の基本的な態度として、財政国内経済に過度の刺激を与えることを避け、輸出の伸長に対してあらゆる努力を傾注することが要請されていることは申すまでもありません。この観点から前国会におきまして成立を見ました本年度予算におきましても、右の剰余金を直ちに一般歳出財源に充てることなく、しかも、今後におけるわが国経済基盤強化に資することを目的として、この剰余金に相当する額のうち二百二十一億三千万円をもって一般会計に所属する資金として経済基盤強化資金を設け、将来におけるわが国経済基盤強化に必要な経費財源の一部を確保することといたしますとともに、二百十五億円を農林漁業金融公庫外法人に対して、それぞれその特別の基金に充てるため出資をすることを予定しているのであります。政府は、この予算の執行をはかるため、右の資金の設置及び基金への出資並びにこれらの資金及び基金の適正な管理、運用に関する所要の法的措置を講ずることとして、ここにこの法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案概要について申し上げます。  まず第一に、経済基盤強化資金について申し上げますと、先に申し上げました通り、将来におけるわが国経済基盤強化のために必要な経費の一部に充てるために、政府は本年度において一般会計から二百二十一億三千万円を支出し、一般会計に所属する資金として経済基盤強化資金を設けることといたしております。この資金は将来における道路の整備、港湾の整備科学技術振興異常災害の復旧または産業投資特別会計への繰り入れに要する経費財源に充てる場合に限り、予算の定めるところに従って使用できることといたしております。なお、この資金は、使用されるまでは資金運用部に預託することとし、預託によって生じました利子資金に編入することといたしております。  第二に、先に申し上げました五法人基金について申し上げます。  政府は、本年度において、一般会計から、農林漁業金融公庫に対し六十五億円、中小企業信用保険公庫に対し同じく六十五億円、日本輸出入銀行に対し五十億円、日本貿易振興会に対し二十億円、日本労働協会に対し十五億円を、それぞれ出資することといたしております。この出資を受けた金額は、農林漁業金融公庫におきましては、国の補助の対象とならない農地の改良及び造成にかかる事業に対する貸付についての利子軽減に充てる財源を得させるための非補助小団地等土地改良事業助成基金に充てさせることとし、中小企業信用保険公庫におきましては同公庫保険事業損益計算損失を生じた場合において、その損失を埋めるための保険準備基金に充てさせることとし、日本輸出入銀行におきましては、東南アジア開発協力のための国際的機構に対する出資及び当該機構が設置されるまでの間において、将来当該機構出資に振りかえることができる性質の国際的協力による投資財源に充てるための東南アジア開発協力基金に充てさせることとし、また日本貿易振興会及び日本労働協会におきましては、それぞれその事業運営に必要な経費をまかなう財源を得るための基金に充てさせることといたしております。これら五つ基金に属する現金は日本輸出入銀行東南アジア開発協力のための出資及び投資運用する場合の金額と、五法人年度内の資金繰りのために繰りかえ使用中の金額を除くほか、これを資金運用部に預託して管理しなければならないこととし、また、これらの五つ基金は、農林漁業金融会庫がその運用益から基金に組み入れた額を限度として貸付利子軽減のために使用する場合と、中小企業信用保険公庫保険事業損失補てんに充てる場合のほかは、これをとりくずすことができないことといたしますとともに、その他各基金の適正な経理を行うため必要な規定を設けることといたしております。  次に、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  本年四月十五日発効いたしました旧清算勘定その他の諸勘定の残高に関する請求権の処理に関する日本国政府インドネシア共和国政府との間の議定書第二条の規定に基き、日本国インドネシア共和国に対して有する一億七千六百九十一万三千九百五十八アメリカ合衆国ドル四十一セントの額の請求権を放棄いたしたのでありますが、この請求権を放棄したことによりまして、外国為替資金において、この請求権の額をその発効の日における基準外国為替相場で換算した金額損失が生じましたので、この損失金額外国為替資金金額から減額して整理しようとするものであります。  以上が、この二法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
  6. 早川崇

    早川委員長 それでは引き続き質疑を行うことといたします。まず横山利秋君。
  7. 横山利秋

    横山委員 たな上げ資金法案質問をいたします前に、佐藤大蔵大臣に対しまして一般的な御意見をいささか承わりたいと思うことがございます。  その第一は、本大蔵委員会運営についてであります。今日まで、本大蔵委員会におきましては国家の重要な財政金融を担当して審議をいたしておるのでありますが、大臣出席がなかなかできません。この間も理事会で問題になりまして、特に今国会におきましてはたな上げ資金というものがきわめて重要な法案であるだけに、私どもとしては大臣出席がなければこれは審議ができない、こういう考えを持っておるわけであります。少くとも万障繰り合せて本委員会出席をされて、懇切な御説明を承わりたいと思うが、いかがでありましょう。  第二番目には、前の池田さん、それから一萬田さんを通じまして、本委員会におきましてはいろいろなしきたりといいますか、あるいは申し合せ、あるいは決議をされましたものが幾多ございます。これらの決議とかあるいは申し合せとかあるいは慣習というものを大臣は尊重されるお気持があるかどうか、また一萬田大蔵大臣からこれらの点についてお引き継ぎを受けられたかどうか、それを伺っておかなければならないのです。  それを大臣から伺っておきませんと、あとになって非常な支障が起りますし、大臣に対する責任の問題も起ろうかと思いますので、まずもってこの二点をお伺いいたしたいと思います。
  8. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  大蔵大臣といたしまして、万難を排してと申したいのでございますが、各委員会等に引っぱり出される場合も非常に多いようでございます。特に予算委員会と競合いたしました際など、出席をいずれにしていいか、非常に大臣として困る場合もあろうかと思います。しかし、ただいまお話しになりました御趣旨はよく私もわかっておりますし、また皆様方のお気持に沿うようにできるだけの努力をするつもりでございます。他の委員会と競合いたしました際におきましては委員長を通じまして事前十分連絡をとる考え方でございます。この点御了承いただきたいと思います。ことに、今国会におきましても、すでに来週月曜日、火曜日に予算委員会が開かれることになっております。いずれは本委員会との関連におきまして、からだ一つどちらへというような場合も生ずるのではないかと思いますが、どうか、委員の方々におかれましても、その点あらかじめ御了承を賜わりたいと思います。もちろん、当委員会が開かれます限り、私が出席すること、これは重点考えたいと思っております。御了承願います。  また、第二の点につきましては、私も最近委員会に引っぱり出されるようになったばかりでございますし、大蔵委員会は今回が初めてでございます。もちろん、委員会運営につきましては、それぞれの委員会で扱っておられることがおありだと思います。前大蔵大臣萬田君からもお話は伺っております。できるだけ委員会運営については従前おやりになっておる慣習その他に従うつもりでございますから、これまた御了承いただきたいと思います。
  9. 横山利秋

    横山委員 二番目の大事なことを誤解なさっておられるようであります。私が申しました重点は、今日まで大蔵委員会におきまして決議をされましたもの、申し合せをされましたもの、これは政策的な問題が二、三ございます。これらの点を御尊重下さるかどうか、こういうことであります。
  10. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 もちろん十分尊重して参る考えでございます。
  11. 横山利秋

    横山委員 それを承っておきますれば、私のあと質問も多少テニオハが省けるかと思いますから、御記憶を願いたい。  第一にお伺いをいたしたいのは何といっても経済基盤強化法律案の根底をなす今日の経済見方であります。私は新しい内閣がここに発足をいたしまして、各大臣がそれぞれの御意見または政策を御発表なさるのはけっこうではございますけれども、しかし、最も重要な経済見方についての違いがあってはならぬと思うのであります。そこで、一昨日の本会議におけるあなたの答弁を拝聴し、私が受け取ったことは、間違いかもしれませんが、言うならば、今日の経済について人為的な措置はとらないとあなたはおっしゃいました。ところが、そのあとでさらに言葉を続けて、今おもし一つ取った、これからさらにおもし一つずつ取っていきたいと述べられたように記憶しておるのであります。この人為的な措置はとる必要がないということと、これからおもし一つずっとっていくということとはどういう違いがあるか、何を大臣はお考えになっておられるのか、これがまず第一の質問であります。
  12. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 別に本会議における説明についての補足をする考え方で申すわけではございませんが、表現が不十分でありましたために、あるいは誤解を受けているかとも思います。何らかの措置はもちろん、政府といたしましても、そのときどきに応じて、その経済情勢に応じて措置をとることはいたしますが、それをいわゆる人為的措置と一がいに言われますならば、もうそれでもけっこうです。ただ、私の申し上げたいことは、特に刺激を与えるというか、特段大がかりというか、非常な影響を与えるような方法は避けたい、できるだけ自然的な情勢の推移に力をかすと申しますか、そういう常識的な行き方が望ましい、こういう意味で申し上げたのであります。
  13. 横山利秋

    横山委員 その自然的な姿に返すについては、あなたも何かの措置をとっていかなければならぬ。これはおっしゃったと思います。そこで、おもし一つずつ取っていくとおっしゃるのでありますが、一体そのおもしというのは、今とったのは公定歩合引き下げの問題であろうと思う。これから取るおもしというものは一体何をお考えになっておりますか。私の考えるところによりますれば、昨年の金融引き締めによって行われたおもしというものは人によって見方が違うかもしれませんが、一応終ったのではないかという感じがするのであります。ところが、あなたは、まだおもしがある、そのおもし一つ一つ取るというのであるならば、あなたの胸底にあるおもしというのは何であるか、これを私は伺いたいのであります。
  14. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま横山君の御意見の中にもありましたが、現在当面しております経済情勢につきましては、昨年緊縮方針を立てまして、在来経済あり方相当重圧を加えたものがございます。その一つがただいま御指摘になりました公定歩合の引き上げだろうと思います。今日の経済の現状は当初の予定された経済の動向に対し、趨勢に対し、事前に打ちました手当がまずそれぞれ効果を上げてきた。今お話しになりました通り、一応底をついたということが言えるではないか。そこで、ただいま申すように、正常化方向——金融政策にいたしましても、財政政策にいたしましても、いわゆる正常化方向に切りかえることが望ましいではないか。まずそのうちの一つに、ただいま御指摘になりました公定歩合引き下げの問題がございます。今後におきましても、在来特に意を用いて参りました民間資金なりあるいは政府資金なりの分野の問題であるとか、あるいは同じ事業をいたしますにしても、いわゆる基幹産業とその他の一般産業との振り合いであるとか、いろいろ今まで予定して参りまして、経済堅実化、あるいは健全化、こういう方向に指導して参ったと思いますが、もともと経済のことでございますので、政府がこれに積極的な関与をすることはあまり望ましいことではないのではないか。できるだけ民間にまかすと言っては語弊がございますが、政府自体としては大筋をつかみ、あと民間の創意並びにその協力重点を置く、こういうことが望ましいではないか。私自身としてはいわゆる経済正常化あるいは健全化、こういう方向金融問題等とも取り組んで参りたい、こういう考え方を持っておるのであります。
  15. 横山利秋

    横山委員 大臣に申し上げておきたいのでありますが、あなたはしろうと大蔵大臣といわれ、毀誉褒貶相半ばしておりますが、あなたの今日までの強い政治力といいますか、その客観的判断に対して国民は期待を持っているのであります。私がこれから御質問をすることは、あるいは多少その意味においては具体的なこまかい点になるかもしれません。しかし、その場合においても、ぜひ一つポイントをはずさないようにお願いをいたしたいと思うのであります。具体的な質問に対しましては具体的にお答えを願いませんと、時間の節約になりません。私が御質問したのはおもし一つ一つとるとおっしゃるのだけれども、そのおもしは何を考えていらっしゃるか、こういうことであります。これに対して、あなたは原則として、経済を人為的に政策として締めないで、自然のままに放置をする方向に行く、こういうことだと私は理解しました。それであるならば、今日まで金融引き締めによって政府が打ってきたその人為的な措置というものは、あなたはこれからはずすとおっしゃるのだが、その残っておる人為的措置というものは何であるか。自然にまかすとおっしゃるのだが、そのまかすためにこれからなさろうとする取るべきおもしは何であるか、それをお伺いしておるのであります。
  16. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今基本的な考え方は申し上げました。またこれから具体的な問題にそれぞれ入って参りますといたしましても、事柄は経済の問題でございますし、十分経済情勢を見きわめた上で具体的な措置をとらなければならないことは申すまでもないのでございます。今日、この機会に、次に何を、その次にどうするかという程度までの考え方具体化は持っておりません。
  17. 横山利秋

    横山委員 持っておらないとおっしゃるのですが、それならばこのたな上げ資金というものがどういう方向に展開をするか、どういう考えであなたがさらに、この前の国会でそれこそたな上げされ、墓場の中に入っていたたな上げ資金をまたぞろもう一ぺん出して、ここであなたが確信を持って審議を願おうとしていられるのかわからないのであります。少くとも、去年と違って、このたな上げ資金法案が閣議できまったのが去年の九月であります。去年の九月と今日の経済情勢というものは驚くべき変化を来たしておることは御存じの通りであります。ですから、提案理由にいたしましても去年の提案理由の焼き直しではだめなはずであり、この経済のもとにたな上げ資金がさらにどうしても提案されなければならぬという必然的な理由と、これからのあなたの展望政策というものがなければならぬはずであります。そこで私は言っておるのです。あなたはおもしを取るというのだが、一体おもしがあるのかないのかもあなたはわかっていらっしゃるのかいらっしゃらないのか私にはわからない。本会議ではおもし一つ一つ取るとおっしゃいました。だから私はそのおもしとは何かといって聞いておるのです。どうもあなたはおもしがないような話をしていらっしゃるのです。これでは言葉おもしがありませんよ。もう少し具体的にお聞きしたい。
  18. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま経済基盤強化資金お話が出ましたが、もともと私どもが今日当面して同じ法律案を重ねて出しましたゆえんも、昨年の予算編成に当りまして一応想定した経済情勢、この目標が大体狂ってないという感じを、実は私どもはいたしておるのであります。すでに、予算編成の際に、昨年から本年に移り変る経済情勢、これを一応念頭に置きまして昨年の予算を作り、さらにその際に経済基盤強化資金の設定なりあるいは基金等を決定して参っておるのであります。今日の経済情勢がそれでは当時予想したことと非常な狂いがあるのか、かように考えてみますと、幸いにして私どもが当時考え通りに進みつつある、こういう感じを持っておるのであります。ただいまのそのおもし一つ一つという言葉があるいは不適当であったかもわかりません。そういう点は、また今後の私ども政策の遂行に当りまして、いわゆるおもしばかりでなく、ときにはささえになるような仕事もして参りたいと思います。こういう点は、今後の経済情勢、これに対応してそのときどきに決定して参りたい、かように考えておりますので、どうか御了承いただきたいと思います。
  19. 横山利秋

    横山委員 今までのあなたの御答弁の中で二つの点について認識不足がある。これは意見対立になるかもしれません。しかし、その中の一つは去年たな上げ資金を構想に置いたときに考え経済見通しと今とは狂っていないとおっしゃるのでありますが、これは大きな誤まりであろうと私は思います。少くとも去年の八月から九月にかけて構想された考えでは、年間四億ドルの国際収支赤字展望があったはずであります。それが年末になると一億五千万ドルになり、一億ドルになり、そうして昨年度国際収支というものはわずか半年のうちに非常に変ったのであります。本委員会におきましても、一萬田大蔵大臣国際収支赤字見通しについて数字を出しておるのです。それをあなたが違っていないとおっしゃるの、いささか軽率な話であります。ですから、少くとも去年と今年とは経済情勢が非常に違っておる。これは佐藤さんのお考えを変えていただかなければなりません。その変った上に同じ法案が出ておることに私は問題があると言っておるのです。  もう一つは先ほどあなたがおっしゃったのだが、経済の不況が底をついた、こうおつしゃいました。少しその点について佐藤さんの見解をお伺いしたいと思うのであります。底をついたということは、少くともいわゆるなべ底型の景気がしばらく続いて、そうして景気が上昇する、こういう判断に立っておるかと思うのでありますが、それは間違いがないか。そしてまた、どういう観測で、どういう材料をもって、なべ底型がいつごろ上を向くのか、どうお考えなのか、それを承わりたいのであります。
  20. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまあるいは意見対立かというお話もございますので、特に申し上げる要はないかとも思いますが、国際収支赤字であることか日本経済に悪影響のあることは申すまでもないことでありますので、まず重点を置いてこの赤字克服努力をされました結果、昨年の九月以降は月三千万ドルないし四千万ドル程度黒字に変っております。大体上期におきましてはこの状況で参りますなら一億五千万ドルをこす黒字、こういうように国際収支状況は非常な改善を見るのではないかと思います。ただいまお尋ねがございましたので、少し私の意見も申し上げてみたいと思いますか、この国際収支の悪化から、また日本経済あり方国際経済の制約を受けておるという立場から、何と申しましてもまず第一に赤字を克服するということで努力を注いで参ったと思います。それがただいま申すように黒字に変った、改善された。さらにまた非常な物価の下落がございましたが、大体物価も横ばいの状況に変ってきた。大きな変動を見ないようになった。あるいはまた在庫調整の面に  おきましても、ある程度見通しが立ったと申しますか、滞貨等も、数量がふえる方向から、あるいは少しは減少の方向にいくのではないか、こういうような感じすら持てるような状況になってきた。これらのこと、あるいは経済変動で社会的な摩擦、失業者であるとか事業の減産であるとか操短であるとか、いろいろ摩擦も生じて参りましたが、これらの非常な激動も、初期において見られたような状態から変って参りまして、まずただいまの状況ならば一応なべ底の状態に入ったのではないか、こういう見方を実はしておるのであります。ただ日本の状態がそういう状況であるばかりでなく、最近の経済変動は、外国特にアメリカを初め諸外国においても同じような非常に苦しい状態に置かれていた。日本の経済が特に影響を大きくこうむるアメリカ経済におきましても、非常な経済の不振を来たし、いわゆる縮小の方向にいっておったと思いますが、これに対してもそれぞれの措置はとられてきたものの、上向いておる。これを申すのはまだ早い状況でありますが、さらにまた、わが国経済あり方、輸出振興ということに特に重点を置きました場合に、いわゆる後進国等の第一次製品の価格下落というような関係もありまして、輸出自身もそう容易に進むというか、増進されるとも考えておらない。もちろんそこらに非常に困難なものがあると思います。今日の日本の経済あり方としてまず何としても考えなければならないことは、国際経済の制約を受けておるという、これだけは見のがせないことなのです。同時にまた、日本国内の生産なりあるいは需給の状態というものも絶えず注意していかなければならない。この場合に、日本経済が特に他の国に比べて特異性があると申しますか、非常に狭いところで多数の人口を持って、あるいはまた、あの戦争の直後でございますので、技術的に見ましても非常におくれているとか、いわゆる産業の近代化なりあるいは他の外国と競争しても劣らないというような状況でなくして、非常におくれている。そういう意味で、国内の需要は、一般の不況の結果、もちろん停滞ではございますけれども日本経済の特異性である非常な多数の人口を擁しておるとか、あるいは産業構造自身が他の国に比べておくれているとか、こういうような意味で、ずいぶん日本経済自身に、これから立ち上ろうとする、あるいはもっと大きくなろうとする傾向のあることだけはこれは一つ日本経済の特異性であろうと思うのです。この意味におきまして日本経済を見ます際に、ただいま申し上げるようないろいろの悪材料はございますけれども、これは力のかし方によりましては日本経済は今後大きくなろうとする力を持つ。それをただ力だけかすことによりましてでっち上げる、こういうことでありまして、企業の弱さといいますか、基盤が弱いところへ日本経済を作るということになりますので、これは私ども必ずしも賛成しない。幸いにいたしまして、現状自身が、昨年来とられました措置によって経済の状態が見直されるようになってきた。そうして、ある程度の安定状況といいますか、小康を得た状況になってきておるから、今度はこれに日本経済の持つ特異性を生かしくいく、こういう方法をとって参りますならば、現状の線を一つ切り抜けてこれを上昇さすことももちろんできるのじゃないか。私の現状に対する見方といたしましては、別に楽観論を申し上げておるわけでもない。しかし、同時に悲観論を申し上げておるわけでもございません。今日まで長期経済計画を立てて参っておりますが、その線に沿って物事を考えていくならば、常識的な発展も期待できるのではないか、これが私の考え方でございます。
  21. 横山利秋

    横山委員 さっぱりわかりません。(笑声)まあ俗に楽観もしないが悲観もしないということは往々にして使う言葉でありますが、一体これからの、少くとも長期の経済展望はともあれ、これから日本の経済がどういうふうに動くのか、どういう見通しに立ってこの法案提案されておるのかという私の質問に対して、佐藤さんのお答えは全く抽象的なのであります。私はその意味ではあなたの言葉をとらえて質問しているのですから、そうならそうだとおっしゃって下さればいいのですよ。なべ底型の経済だという。そしてそれが順次上を向いていく、こういうふうにおっしゃっているように新聞でも拝見をしたのだが、そうだとしたら、そのなべ底はいつごろまで続いて、いつごろ上を向くとお考えになるか、これを私は聞いているのですから、あまりふろしきを広げないで一つお答えを願いたい。
  22. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 いろいろの見方があると思いますが、私どもといたしましてはできるだけ早く機会に上向きさしたい、こういう気持でおることをつけ加えておきます。
  23. 横山利秋

    横山委員 そこで佐藤さんの今の議論の根底をなす、底をついたという見方についてお伺いをいたします。底をついたということは、少くとも金融の引き締めによって不況が底をついた、これ以上不況が深刻化するようなことはない、こういう判断に立っておられると思うのであります。その理由がはっきりされませんけれども、しかしそんなものでありましょうか。私はその観測が甘いのではないかと思う。私をもってするならば、あなたが言う底をついたということは、自然に底をついたのではなくして、底をつくようなささえがあるから底をついておるのだ。  その第一は膨大な継続工事であります。金融引き締めをやってからまだ従来の継続工事というものは終っておりませんから、その継続工事がこの秋ごろまで続く。それからこれがなくなると、新規工事がないのでありますから、それによる不況の波というものが非常に大きくくるのではないかと思われる。  第二番目の問題は、生産制限です。大企業がほとんど生産制限をしておる。基幹産業が生産制限をしておる。この生産制限によって、辛くもささえられておるのではないか。これをあなたはやはりおもしと思わないのか。そのおもしを取ったら、設備過剰、生産過剰の段階にまた舞い戻るのではないか。それをどう思うか。  三番目に、滞貨金融である。この滞貨金融が少くとも政策として行われておることによって、今日不況が底をついたと言い得られるのではないか。  この三つのことを度外視して、経済が底をついた、これからよくなるというのは、あまりにも甘いのではないか。特に継続工事に至ってはどうしたって秋から新しい仕事というものは出ないのでありますから、その見返りの仕事というものが考えられない限りにおいては、さらに景気は悪くなるのではないか。本年の春、一萬田大蔵大臣はここで私どもに言いました。四月までは引き締める、六月までは歩どまり、七月からはアメリカの年度計画が変って、そして新しい予算景気が出ると言いました。数カ月を経ずして一萬田さんはそれを言い直しました。この間アイゼンハワーがアメリカの議会に向って景気が上向くと言ったのですが、議会は答申をもって、本年はおろか、来年もまだ不況は続くであろうと報告をいたしておるわけです。そうだといたしましたならば、世界的な不況はさらに続く。日本の国内において、三つの要因がささえておるとするならば、さらにこれは底をつくのではないか。秋から春にかけて日本の不況は深刻化するおそれがあるのではないか。何をもって大蔵大臣は今日の経済が底をついたと自信を持っておっしゃっておのか。その理由一つはっきり伺いたい。
  24. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまお話しのように、もちろん金融だけで経済が立っておるわけではございません。ただいま御指摘になりました通り財政政策金融政策合せて初めて経済がうまくいくものだと思います。ただいま御指摘になりましたような点があること、これ自体は、今日の経済が縮小させておるという一つの証左であります。私どものねらいは、縮小されている経済をやはり正常の状況に持っていく、そういう方向に持っていきたい。その場合に、なお縮小の方向にどんどん進んでいる。こういう状況のもとにおいての処置はなかなかできないだろうが、先ほど来申し上げましたように、国際収支その他が大体落ちついてきた。そこでこれは一応の底じゃないかという感じを持つのでございます。今日物価はなお下落をたどっておる。あるいはただいま御指摘になりましたような需給の関係におきましても、一そう深刻化しつつある。こういう状況であれば、もちろん底だとは私ども考えません。考えません一が、先ほど来説明いたしておりますように、一段落ついたという感じをして、この見方からいわゆるなべ底状態だと言っておるのであります。  なお、ただいま御指摘になりました財政の面における経済への支援といいますか、支柱といいますか、場合によりましては経済自身をリードするような力のあるもの、これはもう御指摘通りでございます。その意味では、財政金融の一体化にもちろん十分意を用いていかなければならないのであります。
  25. 横山利秋

    横山委員 私の質問にあなたはまともに答えておりません。目に見える限りにおいては、そういう前提を作るならば、大臣のおっしゃるように底をついたという言い方が当るかもしれぬ。しかし、それは三本の柱によってささえられておって辛くも底をついておるのであって、その一本の柱は、当然この秋からとられるのではないか。生産制限をずっと続けるお気持ならばいざ知らず、あなたのおっしゃるように経済正常化方向へ持っていこう、人為的なやり方を取ろうとおっしゃるならば、その柱もまた取られるのではないか。そうしたら、ここに再び三たび不況は深刻になり、生産過剰、設備過剰ということになっていくのではないか。あなたが、もし、そうでない、そういうようなことについては手当をする、今ちょっと申されたような手当をするのであるならば、何を好んでたな上げ資金をたな上げしていくか、こういうことになってくるわけです。なぜ補正予算をこの国会に出さないのか。全くその点ではあなたの論理は不明解であると私は思います。  ちょうど今ここに三木さんがいらしゃるから、ちょっとバトンをそちらに変っていただきます。  この間新聞を拝見しますと、こういうことを言っていらっしゃる。昨年来外貨危機で引き締め政策をとって以来約一年になるが、引き締め政策はちょうど前内閣の末期において、もういいという結論が出たように思う。これは五月の企画庁の経済月報にも現われており、当時私も党の政調会長として全面的に同感で、引き締め政策を変えることが必要だと思う。こういう談話が新聞に掲載をされておるわけであります。一昨日あなたの本会議における御答弁を興味深く私は拝聴しました。あなたの御答弁は言うならば——間違いがあったらあなたから訂正していただいてけっこうですが、国際収支黒字である、この国際均衡のワク内において、景気の手直しをやりたい。簡単に言いますと、こういうふに私は受け取りました。先ほどのこの新聞と、それから本会議における私の受け取り方に間違いがないかどうか、大臣にお伺いします。
  26. 三木武夫

    ○三木国務大臣 経済見通しでありますが、その間にはやはり世界経済の動向ということも大きな要素になるし、日本の努力という、たとえば輸出振興などに対しては、これは政府も近いうちにいろいろ輸出振興に対しての輸出振興策を打ち出したいと考えておりますが、その輸出振興の策と伴いまして、そうして非常に人為的に日本の景気回復ということをはかっていける面もあって、ただ平面的に経済の動向ということばかりは論じられない。日本の努力ということもその中には非常にあるわけであります。そういうことで、現在のところでは、将来景気振興策をとるという考えは持っておりません。またそういうことを安易にとることが日本経済のためにいいとは思わない。ある程度生産調整あるいは在庫整理などをやって、正常な形に日本経済を戻すということが必要だと思っております。ただ政治というものがそのときどきの経済動向に対して日本の経済を非常に下降せしめるようなことは好ましくないのでありますから、必要に応じてそういうことを考える場合もこれは当然にある。それがまた経済政策であるという点で、そういうことも考える必要があったらやるということであって、現在のところはそういうことを手直しをするということは考えてない。ただ、しかし、国際収支のワク内において、ある程度経済の水準を維持していくということは、やはり政府として考えなければならぬことであって、現在そういう考えを持っておるのかどうかということに対しては、現在のところは、あらゆる努力を払って、そういうことをやらなくて日本の経済水準を高めていきたいのだ、その努力に集中するのだ、現在の段階ではこういうことを申し上げたわけでございます。
  27. 横山利秋

    横山委員 何といいますか、新聞と本会議というのは続いて質問ができませんので、三木さんがおっしゃったことはまさに調子がいいように思うのです。これは私は二木さんの本音じゃないかと思うのですが、今お伺いをしたら、ばかに慎重に御意見も調和されておるように思うわけであります。少くともおとといの本会議でおっしゃったことは国際収支黒字のワク内——黒字のワク内といっても、ある程度はドルを確保していかなければなりませんから、確保していくドルを超過するワク内と言った方が正確でありましょうが、そのワク内においては少し景気政策をとってもいいというふうに私は承わったのでありますが、それは間違いであったでありましょうか。もし間違いであるといたしますならば、本会議の速記録を調べまして——私は委員会と本会議で三木さんのお話が違うということは夢にも思いませんが、この間の答弁ときょうの答弁とは、少しどころじゃない、ニュアンスがだいぶ違うように思うのでありますが、いかがでありますか。
  28. 三木武夫

    ○三木国務大臣 原則的には私はそういう考えを持っておる。ただ、しかし、それは、必要に応じて、そのときの諸情勢判断してやることであって、今そういうことを予定しておるのかという御質問に対しては、現在のところは予定してないんだ。経審長官として、原則的には日本の経済をそういうふうに考えておるのでありますということで、本会議意見とは食い違っていない。今そういうことを将来考えておるかといえば、今のところではそういうことは考えてないが、必要に応じてそういうことは当然のことである、こう考える。原則としてはそうた。
  29. 横山利秋

    横山委員 原則としてはという前提を私も置いて、あなたの質問とほかの万と比較してただしたいのであります。原則としては今日の国際収支黒字のワク内において景気政策に転換をすべきだ。今すぐにそれをやるかどうかについては別問題である。百歩譲ってあなたの所見がそうだといたします。そうすると、この間私は無住所相をやっていらっしゃる池田さんの所論をある場所で伺ったのでありますが、池田さんとあなたじゃ、さらにそれに輪をかけたといいますか、きわめてはっきりいたしておるのであります。閣僚の中に、池田さん、三木さん、佐藤さんか、三人三様であるべきはずはないと思う。そう思って、一ぺん御議論をして性藤さんの御意見を伺ってみたいと思うのであります。「国際収支黒字基調で国内需給バランスが供給超過の場合」は有効需要の抑圧が必要となる理由はない。供給超過であるから国内経済は不況沈滞の色が濃いだろうし、場合によっては失業者の増加も生ずるであろう。こういう場合にどうすべきか、有効需要の増加以外に問題の解決の道はあり得ない。ただ常に注意しなければならないことは、このような有効需要の増加が健全な基盤の上に立っているかどうかである。言うまでもなく、国際収支の均衡が第一の最も基本的な制約条件であるが、黒字基調である場合にこの制約が働く理由はない。この場合には有効需要が増加し、国内経済活動の水準が上昇し、供給超過の状態が改善されても、国際収支黒字程度を減少し、やがて均衡の状態に近づいていくだけである。国際収支の制約条件としての力が発動するのは、国内有効需要が限界を越えてさらに増加しようとする場合である。すなわち、国際収支が大きな黒字の基調で、国内需給バランスが強い供給超過の圧力のもとにあるときは、国内有効需要は過度に圧伏された状態にあるといわなければならない。こういう場合に必要な対策は、有効需要の抑圧ではなくて、その上昇を指向すべきであることは自明であろう。このわかり切った根本的な点についての明快な理解がないために、世上往々にして混迷した議論が行われているのははなはだ遺憾である。」こう言っておる。はなはだ遺憾である。この池田さんの理論はきわめて明快な理論である。どうも佐藤さんの意見ははなはだ遺憾であると言っておる。どうでございますか。この御意見に対して佐藤さんの大蔵大臣としての御意見を一回承わりたいと思います。
  30. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま言われますように、経済はやはり成長さしていかなければならない。これはもう申すまでもないことであります。先ほど来の三木国務大臣にいたしましても、また池田国務大臣のねらいも、それは同じだと思います。ただ、問題、非常に上向きの強い場合に、そういうものをそのままに放任してその強さにまかすか、あるいはまた、非常に下降の状況にあります場合に、これに何らのささえも出さないか、こういう点にあると思う。ここが一つの政治だろうと思います。今日のところ私どもの一貫した考え方は、非常に強気を示しました場合において、ある程度のブレーキをかけるのもやむを得ないのじゃないだろうか。また非常に下降するような悲観的な材料のあります際に、財政その他の面からの支柱をすること、これは当然のことだろうと思うのです。でありますので、いろいろの御意見は出されましたが、おそらく政治の目標としてねらうところは一致しておる、かように私は理解しております。
  31. 横山利秋

    横山委員 今のあなたのお話と池田さんと三木さんとは原則的には変りはない、こうおっしゃっておられるようですが、そうだとしたら、もう一つ佐藤さんに伺いたいと思います。  最近新聞の伝うるところによりますと、東南アジアの貿易について延べ払い方式を強力に採用するという話が出ておる。この延べ払いをすることは今日までの一萬田財政で、インドネシアの焦げつきを中心として延べ払いは慎重にする、国際収支黒字に中心を第一に置く、そして焦げつきのないようにすると言っておった政策から言うならば、まさに百八十度の転換ではないか。焦げつくかもしれないけれども、つけにしておいて、そしてどんどん輸出をしよう。これが焦げついたってある程度はしょうがないという腹をきめなければ、延べ払いというものはできないはずではありませんか。そうすると、国際収支の均衡、黒字の中心という政策は、延べ払い方式の採用によって転換する、こういうふうに理解してよろしいものであるかどうか、それをお伺いします。
  32. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま言われるような考え方ではございません。先ほど来ちょっと触れましたように、国際経済情勢から見まして、各国とも非常に輸出競争というものが激甚でございます。さらにまた、国によりましては、自国に有利に貿易状況を持ちたいという意味ですか、輸入制限等をずいぶんしておる国があるのであります。国際的に見まして、延べ払い方式というものは御指摘通りの危険を持つものでございますが、各国とも、今日の状態では、輸出競争という立場からそれぞれの条件を出しておるようでございます。私どももこの延べ払い方式を一がいに許すという考え方はもちろん持っておりませんので、いわゆる百八十度の転換ではございませんが、今日の国際貿易の実情から見まして、ある程度の延べ払い方式を採用せざるを得ない、こういう状況にあることを御了承いただきたいと思います。
  33. 横山利秋

    横山委員 延べ払い方式の具体的な問題についてはいずれ後刻お伺いすることにしても、この延べ払いが何によって始まったかという分析をしてみることも必要だと思う。少くとも、私は、東南アジアを中心とする延べ払い方式というものは、向うにドルの不足があるだろう。しかし、根本的には中国との東南アジア市場の競争というものがある。西ドイツとの問題がある。イギリスとの問題がある。しかし、政治的に中心となったのは、中国が東南アジアに国策として一つの進出をしようとしているということを政府考えておる。あなた方は考えておる。そこで、中国との激甚な競争を展開するために、国際収支均衡中心主義から、言うなれば輸出中心主義、それによって国際収支の実質上の黒字が落ちてもやむを得ない、焦げつきが多少できてもやむを得ない、こういう考えに結果として立つというのであるならば、これは根本が間違っておるのではないか。そういうことよりも、東南アジアに進出をするという問題が根本か。中国との問題に政治的な大きな条件があるとするならば、なすべき一番最初のことは、中国との貿易の再開ではないか、国交の回復ではないか。そのことを解決せずして、延べ払い方式をどんどんやった結果が、日本の国際収支の新たなる危機をもたらすということを考えないのか、こういう点はいかがでありましょうか。
  34. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま御説明申し上げました通り、中国との問題ではもちろんございません。またただいま御指摘になりましたような危険を生ずるような点については、十分の留意が払われておるということをつけ加えて申し上げておきます。
  35. 横山利秋

    横山委員 少し途中ではありますが、もう一つだけ三木さんにお伺いをして、一応午前中の質問は終りたいと思います。三木さんにお伺いしたいのは、同じ東南アジアの問題で、伝うるところによりますれば、高碕さんがあなたと今相談中であるということは一億の円クレジットを考えておる。この延べ払いといい、あるいは円クレジットの提供といい、東南アジアにおける市場がきわめて激甚な競争裏に立っておるということはわかるのでありますが、こういう考え方は事実でありますか。またさらに、これは佐藤さんからお答えを願うのが適当かとも思いますが、新たなる外債をアメリカに引き受けてもらおうという話が巷間に伝えられておるのであります。これは今すぐのことではないにしても、明年度予算に関連をすることといたしたにしても、この今日の日本経済に与える影響また政治的な影響というものはきわめて強い。この二点をそれぞれお答えを願いたい。
  36. 三木武夫

    ○三木国務大臣 高碕さんからそういう話を聞いたことにはありません。政府の方としてそういうことを相談したことはないし、個人的にも通産大臣という個人の資格で私はそういうことを聞いたこともない。
  37. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 外債については、新聞あるいは雑誌その他でいろいろの意見を伺いますけれども、ただいま政府部内におきまして具体的に考えておるものはございません。
  38. 横山利秋

    横山委員 ただいまそういう交渉もなければ相談もない。しかし将来そういうことが考えられるのか。日本経済のあなた方のお考えの過程において、こういう東南アジアや円クレジットの問題あるいはアメリカに外債を引き受けてもらうということが考えられるのかどうか、それを伺っておきます。
  39. 三木武夫

    ○三木国務大臣 東南アジアの開発基金構想の中には、やはり後進国の経済開発というものは、世界が協力して、後進地域の経済開発を進めていくということは、世界的な課題だと思うわけです。そういう点で、日本は非常に地理的にも東南アジアに接返しておるし、政治的に独立をしたけれども経済的にはまだ独立してない東南アジアの経済の水準を向上するために、できる限り、自分の力はもちろんのこと、それ以外にも、やはり外国の資本も動員して、できれば好ましいことだと思っております。それは、ひものつかない——軍事的な目的を持ったような資金が東南アジアの経済開発に使われることに対して、東南アジア自身が好むものでもないし、また日本もそういうあっせんをすることはできない。ただしかし、純粋に後進国の経済水準を高めようというようなことで外資が入るならば、それは何も否定するものではない。しかし、具体的に今そういうふうなアメリカとの話し合いが行われるという事実はありません。ただ、全体としての考え方として、今言ったような何らかのひものつかないような資金が入って、東南アジアが経済開発されることは、私、けっこうなことだ、こう思っておるのであります。
  40. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 僕の方のは今の三木君の答えでいいかと思いますが、いわゆる電力その他の借款も進んでおることは御承知の通りだと思います。お尋ねになりましたのは、いわゆる外債を募集するようなことがあるのかというお話だと思いますが、先ほど来申しますように、具体的な話を持っておりません。そこで将来は一体どうなるのかというお尋ねでございますが、どうも先のことはあまりこの機会に申し上げるだけの材料を持っておりませんので、これは一つ御了承いただきます。
  41. 横山利秋

    横山委員 私の質問はまだ途中でありますが、先ほど理事から承わった話では昼から大臣もお見えになるから、一応昼ごろには中断してもらいたい、こういう話に承わったのです。そのように理解して、私は中間結論というような意味質問をここで打ち切るわけですが、そういうふうに了解してよろしゅうございますね。
  42. 早川崇

  43. 内田常雄

    内田委員 昭和三十三年度予算は御承知のように、去る二月成立しておりますけれども、しかしこの予算には四百三十六億三千万円という穴があいておるわけであります。この穴を埋めるための法律案がただいまこの委員会に付託されておりますところのいわゆる経済基盤強化資金法でありますから、私どもはこの法律案の意図するところを究明するとともに、すみやかにこの法律案を成立させますことが、今日なべ底型の不況に悩む国民のためであると私は思いますので、ます私は、この法律案を中心として、大蔵大臣並びに政府委員にその要点を御質問いたしたいと思うのであります。  この法律案は、ただいま大蔵大臣説明にもありましたように、資金の設置と、それから特別法人の特別基金のための出資規定しておる三つの内容を持っておるのでありますが、なかんずく問題になるのはこの資金の設置であります。この資金の設置は、金額といたしましては二百二十一億三千万円でありますが、これは、本年度予算のうちからこの金を保留して、将来必要に応じてこれを予算化して使う、こういうことになっておるようであります。従って、政府、この法律案が成立をしても、この二百二十一億三千万円の金は、大蔵大臣の権限あるいは内閣の権限をもって自由に使われるのではなしに、すみやかにか、あるいはいずれの時期にか、予算補正の形をとって、そうしてこの穴を埋める、かようなことに理解されると思いますが、いかがですか。
  44. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 その通りでございます。
  45. 内田常雄

    内田委員 この法律案の設置をめぐって世上いろいろ議論があるわけであります。     〔発言する者多し〕
  46. 早川崇

    早川委員長 静粛に願います。
  47. 内田常雄

    内田委員 要するに、これを予算化して使うくらいならば、この法律案はやめてしまって、この二百二十一億三千円を今直ちに予算化して、補正予算を組んだらどうかという意見が世上にもあるようでありますが、そういうことをなさらないで、この特別国会においてもう一度この法律案を通しておいて、後に予算化しようとする考えはどこから出てくるのでありますか。
  48. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 現在の経済情勢に対処するために、もうこの二百三十一億二千万円をくずしたらどうか、こういう意見があることは私どもの耳にも入っております。入ってはおりますが、私どもは先ほど来御説明申し上げましたように、今日の経済情勢は特にさような財政的なてこ入れを必要としてはおらないという考え方をとっておりますので、今回補正予算にするという考え方は持っておりません。
  49. 内田常雄

    内田委員 しからば、私は国民を代表してお尋ねするわけでありますが、この法律案が成立いたしましたときに、いつこの法律によってこれを解いて予算に計上するわけでありますか。それは資金でありますから、理屈の上からいえば、資金については年度を越していくのでありますから、必ずしも本年度予算化する必要もないでありましょうけれども、しかし、現在の状況は先ほど来の社会党委員横山君からもるる述べられましたように、まだなべ底型の不況を脱しておらない。大蔵大臣は、おもし一つ一つ取る、こういうことも確かに言うておられるのでありますから、これは将来——来年か再来年予算化するということではとても間に合わないのでありますが、いつ、いかなるときに、この法律を制定さした上で予算化されるか、ただいまの見通しを承わりたい。
  50. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまのところは、先ほど来申しますように、直ちにこれを予算化する。補正予算を組むという考え方はありませんが、もちろん、財政資金は、情勢いかんによりましては、これが経済をリードする一つの柱である、こういう考え方も私ども念頭に置いて、これが法案の成立を期し、同時にその後の情勢に対処するということ、これももちろん念頭にあることを申し加えますが、しからば、ただいまいつこれをくずすかというお尋ねがございましても、ただいまのところそこまで申し上げるような具体的なものはない、これだけでございます。どうぞ御了承いただきたいと思います。
  51. 内田常雄

    内田委員 昨年予算を編成します時期と今日とでは、国際収支を初めといたしまして、経済情勢が変って参ってきていることも事実でありますし、また国民が長い間の不況にくたびれていることも事実でありますので、ただ法律案を一本取っておけばそれでいいのだということでは、これは私ども与党委員といたしましても満足できないのでありますから、この法律案政府の機動的手段のためにぜひ成立させたいと思いますと同時に、成立いたしましたならば、できるだけ機動的な見地から、お預けをいつまでもしないで、適当な時期に適宜すみやかにほどいていくことを希望するものであります。それについて、しからばいかなる使途にこの二百二十一億三千万円の資金を使うかということがこの法律案に書いてある。たとえば、道路の整備でありますとか、港湾の整備とか、災害の復旧とかいうようなことが書いてありますが、これはここに書いてある使途に限定をされますか、それとも、あるいは事情によっては、政府がいつまでも積んでおくくらいならば、思い切ってこれを減税財源に充てるということも考えられるわけでありますが、しかしその点については明瞭な規定がない。明瞭な規定はないが、今この法律案の第七条に書いてある使途は例示的使途で、その以外の使途にも使えるし、あるいは場合によっては減税にも振り向けることができるでしょうか。これをお尋ねいたします。
  52. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 五つの使途が書いてございますが、これ以外には使えない。この法律が出ますれば、これに限るのであります。
  53. 内田常雄

    内田委員 しからば、ついでにお尋ねをいたしますが、大へんこまかいことで恐縮でありますが、この第七条の使途を規定した条章に第二項というのがありまして、この「資金の使途の範囲に関し必要な事項は、政令で定める。」と書いてあります。ということは、同じ災害復旧であっても、科学技術振興であっても、これを予算に組まれるときは予算審議権というものは国会にあるのでありますが、そういう広い自由裁量、自由審議の権限を国会に与えないで、同じ災害復旧であれ、あるいは道路の整備であれ、国会審議の対象となる事項を政令で縛ってしまって、国会の自由審議を許さないという趣旨でございますか、お尋ねいたしたい。
  54. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 政府委員から説明させます。
  55. 石原周夫

    ○石原政府委員 技術的な点でございますので、私からお答えいたします。  ただいま御質問のございました第七条の第二項でございますが、これはただいま内田委員お話もございましたように、たとえば道路の整備ということがありまして、これで大体の観念はもちろんわかるわけでありまして、道路整備費として観念せられまする範囲を出て政令で規定したりすることはございません。ただ、しかしながら、都市計画街路を入れるとか、どの程度のものは除くというようなことをきめますのに、その観念を明らかにいたしますために政令をもってきめるのでありますから、観念は第一項において明らかになっておりまする範囲内のことを技術的にきめたいということでございます。
  56. 内田常雄

    内田委員 予算審議権は国会にあるのでありますから、この法律によりまして予算でこの金の使い方をきめるということになっております以上、今の政令はあまり厳重にきめない方がよろしいと私は思います。国会審議権を十分尊重して、審議権を拘束しない範囲で政令をきめたらよろしいし、あるいは政令できめると書いてあっても、きめなくてもよろしいのでありますから、なるべくその範囲をゆるやかにしておくことを私は希望いたすものであります。  なおまた、この使途につきまして、この資金産業投資特別会計への繰り入れにも使えると書いてあります。いわゆる財政投融資の財源にも使えると書いてあります。これについて考えられますことは、最近、政府の会計の中に、それが一般会計であれ特別会計であれ、資金を設ける場合が多過ぎるようであります。これは、財政法の規定を見ましても、国の一切の収入は歳入とし、一切の支出は歳出として、年度を区切って組むのが原則でありますから、あまりやたらに資金を作らぬ方がいいのでありますが、しかし、これも今度のように財政経済をいたずらに膨脹させないという必要がある場合はやむを得ないでありましょう。ところが、この産業投資特別会計の中にも資金というものがあるはずであります。いつでしたか、昭和三十一年度でありましたか、予算に余裕がありました際に、それを三十二年度にまたいで産業投資特別会計資金を設けたことがあったわけでありますが、もしそれを前提として今度のこの経済基盤強化資金から産業投資特別会計の中の資金にまた移すということになりますと、資金から資金への綱渡りになりまして、国会では何のことかわからなくなりますので、この点もさようなことにならないように、これは御注意申し上げておくわけであります。元来、この法律案が、世上、ことに社会党の諸君から問題になりましたのは、一般会計においてこういう資金を設けるということが、財政法四十四条の趣旨に果して合うだろうかというところから来ておるのでありまして、社会党の諸君はその当時この法律問題を取り上げると同時に、昭和三十三年度予算は、政府の当初予算編成方針からだんだん変ってきて、ついにはインフレ予算になってしまったと、こういうことを論じておりながら、今度の場合には、伝えられるところによると、この法律案は廃案にしてしまって、すぐにこれを補正予算に組んでしまえ、つまり予算をふくらませろという議論のようにも聞え、ここにいろいろ社会党としても私は考え方が変ってきたと思う。とにもかくにもそういう点に混迷がありますので、この資金の問題については私はよほど政府考えていただきたいと思う。  ところで、伺いたいことは、この法律は今年度限りの立法でありましょうか。それとも、これを作った以上はこの法律によって来年度以降もこの資金に新しい金を繰り入れていくというような、いわば恒久的な法律の形にもなさるのでありますか。そうなっては困るような気持もいたしますが、いかにお考えでございましょうか。
  57. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 もちろんこの制度は恒久的な制度とは考えておりません。
  58. 内田常雄

    内田委員 さように了解をいたしておきます。  私はいろいろの問題を取り上げたいのでありますが、先を急ぐために資金の問題は一応このくらいにとどめまして、次には基金の問題を伺いたいのであります。基金というのはここで二百十五億円の金を用意いたしまして、農林漁業金融公庫外四つの特別法人、そのうちの三つは新しくわざわざ特別法人を作りまして、それに対する出資の形で出されておるものでありますが、なぜ、この基金のものまでこの法律に一緒にされて、今ごろこの特別国会にこういう法律案をお出しになるのか。それは、特別法人がすでに存在し、またこの前の国会でわざわざその特別法人を作るための法律案が出されておったのでありますから、その中に政府一般会計からそれぞれ六十五億なり、あるいは五十億なり、二十億なり、十五億円の出資規定し、運用規定すれば、今日これだけのめんどうを起さないで済んだはずでございますが、どうして資金基金を一緒にして、問題を起すようなこういう法律の形をおとりになったか。今度の国会は初めてでありますから、私はあらためてお伺いをいたします。
  59. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 政府委員から説明いたさせます。
  60. 石原周夫

    ○石原政府委員 ただいまの内田委員のお尋ねの点でございますが、法律の立て方といたしましては、今仰せのありましたように、貿易振興会、あるいは労働協会、あるいは信用保険公庫、このおのおのの法律はすでに国会を通過いたしたわけであります。これの中に必要な事項を規定いたす方法もございますけれども、そのような新設の法人に関します基金もございますし、農林漁業金融公庫なり、日本輸出入銀行というような既存の機関を使いまして、それに基金を作るものもございます。しかも、両者一番重要なことは、合せまして四百三十六億というものについてとりました一つ財政政策から参ります基本的なやり方でありますので、この際これらの資金基金運用の問題を一括して規定をいたす方が、立法の方法としてより適当であろうということでありますので、このような体裁にいたしたわけであります。
  61. 内田常雄

    内田委員 当初の予算編成方針におきまして、四百三十六億はこれをたな上げにするという構想がありましたために、後に若干構想が変って参りましても、初めのワクを保ちたいために、法律的には相当無理をしたけれども、まあ四百三十六億ということにして、その中に基金を入れてしまったというようなにおいもいたしますが、一応主計局長の御説明を了承いたします。また、技術的な問題でありますが、大切な問題が一つあります。せっかく二百十五億円の基金五つの特別法人に入れておきながら、何のために入れるかといいますと、この金は使わせないのだ、その利息だけをかせがして、これらの法人運営費に充てるというのが大体の構想でありますが、そうなっておりながら、これらの基金は使ってしまうのではない、その運用を制限して、資金運用部にしか預託させない、一般の自由な運用を認めないということになっております。それでは、せっかく出資を受けた五つ法人は、金は金でも見せ金であって、運営経費はこれからはほとんど生まれてこないという不便がありますが、これはなぜそういう窮屈なことになっているか、一応御説明を承わりたい。
  62. 石原周夫

    ○石原政府委員 これらの基金のおのおのにつきましては、おるおの目的がございます。従いまして、その目的に従いました出資をいたすわけでございますが、しかしながら、最初に今内田委員もお述べになりましたような全体の財政政策の見地からいたしまして、この際この金自身が直ちに有効需要とならないということも、一つの重要な問題であります。その両者をかね合せまして、この金が、元金といたしましては、今申しましたように資金運用部に預託をいたすということをいたしたわけでございます。ただ、申すまでもないことでありますが、これに伴います運用利子につきましては、これらの機関の所要の経費に充てる方法がございまして、その点の規定法律にあるわけでございます。
  63. 内田常雄

    内田委員 その点も私は一応そうだろうと想像いたしておりました。ところで、お伺いしたい点は今度の一連の措置というものは、基金であれ、資金であれ、ただいままでのように財政経済を著しく刺激しては困る場合の特別非常措置としてやったことであります。でありまするから、新大蔵大臣がだんだんおもしをはずしていかれたその途中におきましては、もうこういう措置は必要なくなる。横山委員が言われたおもしをはずす過程の段階でありますので、もしそのような事態が出現いたしました場合には、私は、この資金資金運用部のみにこれを封鎖しておくことをしないで、そのような事態のもとにおいては、これを自由に運営をさせ運用させてしかるべきだと思いますが、この法律のままですと、三年たっても五年たっても、たとえば中小企業信用保険公庫というものがそれぞれ準備基金として政府から受けた六十五億というものは、たとい財政金融情勢が緩和しても、これは資金運用部に入れておいて、わずかの金利かせぎしかできないということになりますので、これも、私は、財政経済情勢の推移によっては、その道を解除して、自由に、有価証券を持たせるなり、あるいは不動産投資をさせるなり、あるいは中小企業金融機関の貸し出しに運用させるなり、そうして中小企業金融を緩和させるというような方向に持っていくべきものと考えます。私は、この点はうっかりすると政府委員も気がついておらないと思いますが、それはそうあるべきだと思います。この点について大蔵大臣はいかにお考えになりますか。
  64. 石原周夫

    ○石原政府委員 ただいまお尋ねの点でございまするが、各基金につきましては、おのおのその事業がございまして、その事業のいわば出資のような形でやられておるわけであります。従いまして、その元金を取りくずすということは、内田委員御承知のように、考えておらないわけでありまして、これの運用の収入をもちまして機関の経営の経費に充てる、あるいは農林漁業の場合におきますように利子軽減に充てるというようなおのおのの目的がございまするので、その目的に従って運用せられるということであります。従いまして、ただいまお話しのようなことになりますと、これはこの法律考えておりますような目的に合致をしないことになりますので、今法律で、私どもが御説明申し上げておりますような趣旨において、その基金の元本の取扱いができておるというように御了承願いたいと思います。
  65. 内田常雄

    内田委員 私の申し上げたことが十分理解せられておらないようであります。今の場合としてはこれでよろしいが、将来財政金融情勢が変ってきた場合には、何もこの基金を取りくずして使わしてしまおうというわけではない。それは、たとえば日本輸出入銀行でありましょうと、労働協会でありましょうと、中小企業信用保険公庫でありましょうと、その基金を自由に、確実、公正に運用させる。これはちょうど保険会社でもそうでありますが、財産の予定利回りがある。予定利回りがあるからこそ保険料が安くなる。だから、中小企業信用公庫等も、資金運用部だけに固定しておいたのでは予定利回りが得られません。従って、中小企業者の保険料は高いままに据え置かれるということになるのでありますから、情勢緩和の場合には、自由に、有利、確実、公正、安全に運営させるということをやってよろしいと私は思います。しかし、この問題は一応ここで、時間もありませんから、私は問題を提起するにとどめます。  最後に、今の場合においては政府一般会計からこれらの金を資金に移し、資金から特別法人出資をし、その特別法人はまた資金運用部にその金を戻すだけであります。ずっと金が一回りしてまた政府のふところに入ってしまうのであります。従って、悪い言葉でいえば見せ金がぐるぐると回るだけであります。見せ金である限りにおきましては、資金運用部にはそれだけの金が余るはずであります。資金運用部は、昭和三十三年度財政投融資の財源として、幾らでありましたか、私はこまかいことは忘れましたが、四千何百億かを予定しておるはずでありますが、その他にも金が余っておるはずであります。そこに持ってきて、この法律の成立によりまして、一般会計からこの資金に繰り入れて資金運用部に入る、資金運用部からまた日銀に行って寝るものが相当出てきまして、資金運用部に相当の余裕金が出てくる。そうすると二つの問題が出てきます。一つ資金運用部にそんなにたくさん金を寝かせておいて、果して資金運用部の会計はやっていけるものであろうかという問題がある。もちろん、政府の方は、それは短期証券の方に運用すると言いましょうが、短期証券もそんなに無限にあるものではないし、これはみな金利が安いのでありますから、資金運用部の収支採算がとれなくなる問題があることが一つでありまして、この点は将来考えなければならぬ問題である。この金はよく考えなければ、大蔵省自身が困られる問題が出ると同時に、資金運用部に寝ている金は、年度の区分はどうであれ、要するに国民のふところから吸収してきたものでありますから、いつまでもこれを積んでおくべきものではないと思います。ただ単にこれは経済基盤強化資金運営に関する問題だけでなしに、資金運用部の余裕金、ひいてはまた国庫余裕金の運用問題として、国民から取り上げた金はいつまでも政府がしまい込んでおいて国民の恨みを買うというようなことをなさらない方が、私どもとしても国民の代表として非常に理解がしやすいのでありますから、この辺につきましても、新大蔵大臣は万全の考慮を今後払われんことを望みまして、こまかい点を留保いたしまして、私はきょうの質問をこれで終っておきます。
  66. 早川崇

    早川委員長 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。     午後零時二十七分休憩      ————◇—————     午後一時四十八分開議
  67. 早川崇

    早川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。横山利秋君。
  68. 横山利秋

    横山委員 午前に引き続いて質問を続けたいと思います。  午前のあなたの御答弁の中で、どうも釈然としない点がいろいろあったのでありますが、やはり、いろいろ考えてみますと、一つに帰一せられるような気がするわけであります。それは総選挙に当って与党として掲げた適当なる景気調整策を行うという言葉が与党の公約の中にあります。与党の各候補者、総裁以下すべての人々が、それぞれの選挙区においてこの不況を打開する方法について議論をせられ、演説をせられた。その公約の中には、今政府がとっておりますような、またあなたのおっしゃるような、人為的措置はしないという言葉に通ずるようなことは一つもなくて、少くともウエートの相違はあっても積極的な立場というものが多かったのです。今本委員会にかかっておりますたな上げ資金というものは、これは、不況対策というよりも、明らかに昨年の立場をそのまま踏襲したものでありますから、不況対策といえない。政策が選挙で公約をした不況対策というものは何があるのか、この国会でわれわれは何を政府の不況対策として議論すべきなのか、この点を一つ大臣から明確にされたらいかがかと思う。
  69. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 午前からしばしばお話し申し上げましたように、特にこの機会に不況対策といって打ち出してとるような状態でないという私どもの見解でございます。選挙中におけるお話が出ておりますが、もちろん経済情勢に応じた弾力のある措置をとるということを、選挙を通じてはお話しをいたして参ったのでありまして、この点は誤解のないようにお願いしたいと思います。
  70. 横山利秋

    横山委員 おそらく国民は一ぱい食ったという感じがしていると思う。少くとも総選挙に臨んで与党としていろいろと自己宣伝をし、いろいろと話をされたことが、この当面の新内閣直後の臨時国会で今何もやる必要はないと言うことは、すべての国民が予期しなかったことであろうと思う。しかし、これはあなたの言葉でありますから、それはそれとしておきまして、この間公定歩合引き下げが行われました。この公定歩合引き下げを称して、金融正常化の道であるという政府のものの考え方のようでありますが、公定歩合引き下げの次に、一体何がされるのか。巷間伝えられるところによりますと、最初一厘という話もなくはなかったのでありますが、今では一厘がよかったといっている人は一人もないどころではなくて、第二回の公定歩合引き下げ考えられるべきだという意見が台頭しておるわけであります。この公定歩合引き下げが同時にまた市中金利の引き下げというふうに今日なってきておるのでありますが、これは最高限度のひき下げでありますから、実際問題として、おととい北山委員が本会議であなたに質問いたしましたように、ほんとうに中小企業なり一般の人たちに公定歩合引き下げによるプラスの面が響くのかどうかは、きわめて疑問であります。私のお伺いしたいのは、公定歩合の第二次の引き下げ考えにあるかということと、もう一つは、その公定歩合引き下げというものを、単に大企業の利潤をもたらすようなことでなくして、一般の金利引き下げに、またあなたの言う金融正常化考えが根っこまで通るようにするためにどういうことをお考えになっておるのか、何もしないのか、この点を一つ明白にしていただきたいと思います。
  71. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 公定歩合引き下げはいわゆる金融正常化一つの問題であることは申すまでもございません。過去におきまして、引き上げは二厘である。今回引き下げたのは二厘でございます。従いまして、引き上げ前の状態にするにしても、なお一層高いじゃないかということがいわれておりますし、この処置をどうするかというお尋ねでございますが、今直ちに引き続いてさような計画をいたしてはおりません。ただ、私は公定歩合引き下げと同時に、昨日銀行協会等で話し合いがまとまったやに伺うのでございますが、いわゆる市中金利の引き下げ——この公定歩合引き下げに大体対応した市中金利の引き下げの協議がまとまっております。この点はただいま御指摘になりました産業各方面に必ず好影響をもたらすものだと思います。  この機会に、私の金利についての考えの一端を申し述べてみたいと思いますが、これはただいまどうこうするというように直ちにとられますと、大へん誤解を受けるかわかりませんが、わが国の金利全体は、長い間の歴史を持つものではございましょうが、国際的ないわゆる金利水準から申しますと、相当高いところにあるようでございます。かようなもとにおいて国際競争に打って出ておるわが国経済としては、非常な重圧をこうむっておるものだと思いますので、できますことなら、さらに国際水準に近づけるような方向に金利を指導すべきではないかと思います。誤解を受けると大へん恐縮ですが、今直ちにさような手を打つという考え方ではないのであります。ただ、ものの考え方として、ただいま申し上げるように、全般が非常な高金利だということはいなめない事実のように思いますので、特にその点を注意して参りたい、こういう意味でございます。
  72. 横山利秋

    横山委員 そういたしますと、大臣はいうならば金融正常化おもしとして公定歩合引き下げる、今後もさらにその考え公定歩合なりあるいは金利なりを条件さえ許せばさらに引き下げていきたい、こういうふうにお伺いしてよろしゅうございますか。
  73. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 引き下げていきたいという希望的な意見としての表現はやや強いと思いますが、批判をいたしますと、いかにもこれは高いのである、こういう感じがしておる。従いまして、経済情勢等とも十分にらみ合せ、また金利の高いことには金融業自体の持つ日本の金融業の特質から来ております面もあることだと思いますので、産業の需要側からだけの意見でもなかなか決しかねるものがある。この点は御了承いただきたいと思います。
  74. 横山利秋

    横山委員 確かめるとややあいまいになるのでありますが、これはよろしゅうございます。  次に、去年からの引き締め政策として、いわゆるあなたの言うおもしをいろいろ打ったわけでありますが、考えてみれば、まだおもし一つ残っておるわけであります。そのおもしというのはポンド・ユーザンスの問題であります。昨年四カ月のものを三カ月に短縮をいたしました。これによりまして大体二百億から三百億くらいの多額の金が国内において金融引き締めとなっておるわけであります。このおもしを即刻取るべきだという意見が各方面にあるのでありますが、あなたのおととい言われたおもし一つ一つ取っていくといたしますならば、当然これが爼上に上ってくるものと私は考えるわけでありますが、いかがでありますか。
  75. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 過日ポンド・ユーザンスの新聞記事を見まして、目下いろいろ研究はさせております。しかし、ただいま御指摘にありますような、いわゆるおもし一つとして次にこれにかかるというような具体的な構想にまでは、参っておりません。
  76. 横山利秋

    横山委員 検討はいたしておるけれども、しかし具体的にかかっておらないというのは佐藤さんらしい表現でありますが、どういうふうに理解したらよろしゅうございますか。
  77. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまいろいろ研究中といいますか、勉強中でございますので、新聞に出たものをつかまえまして研究しております。
  78. 横山利秋

    横山委員 私ども会議員として、政府の施策をただし、野党は野党としてのものの考え方を出し、それに対して国民の世論というものの向うべき方向というものがおのずからきまり、そうして政府としては決断をされようと思うわけであります。勉強中はそれはよろしい。大臣になられたばかりでありますから、当然のこととは思うのでありますが、大臣は新任であろうとも、事務当局としては、当然この問題は議論の対象になっており、検討をされておることは当然なことであろうと思うのであります。まあ百歩譲って、やるやらぬはともかくとして、議論の対象になっていないということはもちろんないと思うのであります。私が言いますのは、昨年以来のおもし一つ一つ取っていくというならば、そのおもしはすぐ目の前にあるおもしではないか、政府部内の考えを補足すれば、だれが考えてもそういう考えになるのではないかと、そう思うわけであります。そこで、私は大臣に、いわゆるそのおもしを取るとするならば、そういう方向に当然いくのではないか、あなたの第一の検討はそれではないか、それをあなたとしてはどうお考えになっておられますか。勉強中であろうと、右を向いて勉強しておるのか、左を向いて勉強しておるのか、これは大臣はある程度明白になさる必要があろうかと思います。右か左かどちらにしましょうかでは、私は、ほかの大臣ならいざ知らず、政治力の強い佐藤さんとしてはそういうことはなかろうと思う。少くとも右か左かどちらかを明白にしていただきたいと思います。
  79. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 もちろん、ただいま言われるような意味をもちまして、事務的にも材料はそろえておることだと思います。しかし、ただいまこの問題を直ちに取り上げるという段階になっておらないことを、重ねて申し上げておきます。
  80. 横山利秋

    横山委員 段階になっておらないというお話でありますが、そうしますと、今日の議論を私もいたしておるわけではおりませんが、少くともこの年内における経済展望を朝から議論しておるわけであります。この年内における経済展望の中にこれはもちろんあると思うのでありますが、大きく言ってそういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  81. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 もちろん、これを取り上げて直すような必要が生じたときには、私の方も取り上げて直す考えでございます。
  82. 横山利秋

    横山委員 幅を広げて言ってもあなたのお返事がないのです。少くとも、先ほど申し上げた延べ払いという問題が、あなたがおっしゃるように延べ払いをやりたい。——これは私の方の議論は根底が違うわけですが、あなたのベースに立って、延べ払いをどうしてもやらなければならないのだ、それによる障害が多少あろうとなかろうと、その方向に進みたいのだとおっしゃるのであるならば、ポンド・ユーザンスの問題はそれ以前の問題ではないか、そのあとの問題でしょうか、いかがです。
  83. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 同じ答えを申し上げて大へん恐縮ですが、必要が生じたらもちろん取り上げる考え方でございますが、ただいまそういう段階でないということを重ねて申し上げます。
  84. 横山利秋

    横山委員 それでは最後的に伺います。いかなる必要、いかなる条件があったらそれをなさいますか。
  85. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 政府委員から説明させます。
  86. 横山利秋

    横山委員 ちょっと待って下さい。いかなる必要、いかなる条件というのは、事務的なことではなくて、私はもっぱら政治的なことであろうと思います。この点については大臣のお答えを承わりたい。
  87. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 もちろんその条件そのものは政治的に決定すべき事柄でございますが、その必要性の材料につきましては事務当局から御説明いたさせます。
  88. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 ただいまの横山委員からの御質問でございますが、実はポンド・ユーザンスの期限の短縮を、昨年のいわゆる緊急対策のときに一緒にやったのでありますが、ポンド・ユーザンスの問題は国内金融の問題と非常に密接に関連いたします。これに関連して国内金融をうんとゆるめると効果が出てくるわけであります。そこは国内金融をどの程度ゆるめていいかという点につきまして、関係の日本銀行その他の御意見を伺いまして検討して、まあこれなら大丈夫だという時期になったら、これをもとに戻すことも考えられます。
  89. 横山利秋

    横山委員 何ですか、えらいふろしきを広げそうになって広げなかったのですが、各方面の意見を聞いて、これならいいということになったらやる、こういう意味ですか。
  90. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 ただいま申し上げましたように、非常に国内金融の面に関係いたしますので、これらの情勢判断いたしまして、適当であるという時期を選んで、そういう必要があれば、またもとに戻すということにいたしたいと思います。
  91. 横山利秋

    横山委員 それを称して私は大臣答弁と申すので、事務当局の答弁ではないと思う。佐藤さん、そういうことでよろしいのですか。佐藤さんが言ったのは、事務当局に答弁させます。事務当局は、国内金融の関連があるから各方面の意見を聞いてというと、両方とも大臣のようです。大臣のおっしゃるようなことであるならば、もう少し、いかなる必要、いかなる条件においてこれを行うかという、事務的な答弁一つお願いいたします。
  92. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 はなはだ事務的でないというので、おしかりをこうむったのでありますが、国内金融に及ぼす影響が非常に大きいものですから、国内金融状況がもう安定をして、ここらでポンド・ユーザンスを前のように期限を延ばしても差しつかえないという時期がくれば、当然それははずしてもいいと思います。ただ、その時期がいつかということは……。
  93. 横山利秋

    横山委員 いかなる条件かということを聞いておるのです。
  94. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 条件につきましては、国内金融全般をにらみ合せまして、いつが適当かということを相談して、上司の御決裁を得ていたしたいと思います。
  95. 横山利秋

    横山委員 あなたがまた下僚に事務的な答弁をさしたらどうですか。あなたもきわめて政治的な答弁で、国内金融が適当になったら、他の各方面の意見を聞いて、そうして適当だと思ったら上司の裁断を得たいということではこれはもう一ぺん大臣に返らざるを得ません。そういうことでは納得ができないのであります。もしそういうことであるならば、大臣の腹一つといっても言えないことはない。金融がいかなる条件において正常化したと見るのか、人によってまちまちだと言わんばかりでありますから、私どもがお聞かせを願っているような条件というものがないようであります。そうすると、政治的な判断ということに返らざるを得ない。どういうふうにお考えになりますか。事務当局の答弁では納得ができません。
  96. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 その条件を一つ一つあげることは大へんむずかしいのでございますが、ポンド・ユーザンスを広げまして、これが国内金融に対しましておそらく二百億以上の影響を与えるかと思いますが、そういう影響を与えましても、全然国内の経済活動を過度に刺激しない、大丈夫だという確信が持てたときに、それをやるべきではないかということを申し上げるよりいたし方ないと思います。
  97. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど私の説明が非常に不十分であるために重ねてのお尋ねだと思いますが、御承知のようにただいま公定歩合を二厘引き下げたばかりでございます。また同時に市中金融もこれに追随するとは申しますが、ただその取りきめだけですから、それが手形の面に現実に金利が引き下るのはいましばらくかかるだろうと思います。結局手形書きかえの時期にならないと、金利が下って参らないかと思います。この状態を十分見きわめてないと、ただいまのポンド・ユーザンスの問題に直ちに取りかかることは不適当ではないか、かようにも考える。こういう点も考慮の中に入れまして、一つおもしであることは申すまでもないことでございます。ただいま公定歩合引き下げをしたばかりでございますので、しばらくその模様を見たいというのが真意でございます。
  98. 横山利秋

    横山委員 一説によりますれば、これを取れば、もうたな上げ資金をやる必要がないという意見があるようであります。もし、一説によって、たな上げ賃金に対する政治的、心理的影響をもたらすから、これはいかぬというふうな御意見がありとするならば、これはまた私はまことに笑うべき議論だと思うのです。それは別にしまして、次に中小企業金融についてお伺いをいたします。  一昨日やはり本会議で議論になったわけでありますが、全金融機関の中小企業向け貸し出しの増減を三十一年度と三十二年度と比較いたしますと五四%、まさに四六%一年間において中小企業の金融は減っておるのであります。驚くべき減少であります。これに対して、中小企業向け以外の貸し出しは、三十一年度と三十二年度を比ぶるならば、一八%の増加になっておるわけであります。あともいろいろと参考に出るべき数字はございますが、この二つの数字の中に、中小企業金融というものはいかにあるべきかということを、私は強く痛感するわけです。昨年、あの引き締めの際に、一萬田大蔵大臣とそれから私ども与野党が懇談をいたしまして、三百五十億中小企業向けの金融をいたしました。まさに与野党一致して一萬田さんの了承を得てやったのでありますが、それをもってして、なおかつ中小企業は四六%減じ、大企業は一八%増加をいたしました。今日あなたは新聞記者向けのいろいろな放送をなさっておるのでありますが、中小企業向けの金融をどうなさろうとしておるのか。私の言いたい点は、一つには、具体的に、たとえば政府機関の資金源を増加しろとか、起債をしろとかいう問題もありましょう。そういう具体的な問題をどうなさるかということと、根本的にどんなに中小企業に金をつぎ込んだにいたしましても、結局それは大企業が利用するところとなって、結論としては中小企業にはいかない。大企業に向くばかりである。一萬田大蔵大臣も、本席上において、それを理解しまして、最後には「大企業によく話します。大企業が自粛するようによく話します。」「話していかなかったらどうするか。」「もう一ぺん話します。」ここで水かけ論は終ったわけでありますが、大蔵大臣萬田さんも、この本質的な問題をよく理解されたわけです。しかし、打つ手としては、その後資金審議会等において十分に考えますという抽象的なことだけで、結局これらは今なお解決しない根本的な問題であります。佐藤さんはその根本的な中小金融あり方と、具体的な今日の中小企業金融について、どういうふうに構想をお持ちでありましょうか。それをお伺いいたしたいと思います。
  99. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 中小企業の金融——特に中小企業に対しまして私どもが力を入れて参りましたのは、一面金融と並びに税の問題であります。今金融についてのお尋ねでございますが、特に中小企業を対象とした特殊な金融機関があるわけですから、これに対する資金を豊富にする、これがまず第一にとらなければならない措置であります。これは前回の予算編成に際しましてもそういう措置をとりました。また、今回ただいま御審議をいただいておりますものも、信用供与の点におきましてそれに資するであろう、そういうような考え方で本案を出しておるわけであります。さらに、ただいま前大蔵大臣お話が出ておりましたが、中小企業が産業の系列の中に入っておる部分につきましてはやはり産業系列としての指導といいますか、大企業との連係において特に留意もしなければならない、指導する面もあることだ、かように考えます。  なお、ただいまお話のありました貸付状況なりについての実情はあるいはお話通りの数字であろうかとも思いますが、この点は銀行局長から十分お話を聞いていただきたいと思います。
  100. 横山利秋

    横山委員 私の言うことは今あなたが最後に答えられたことが、実は中小企業金融については今や根本的な問題になっている。政府機関の資金減を多少増加をしても、中小企業の市中専門金融機関の貸し出しを多少増加をしても、結果としては大企業に対する貸し出し増、中小企業に対する貸し出し減となる金融の仕組みになっておるのです。金融機関が、結局は大企業系列会社へ大口の金融をすることによって、まあ焼け石に水というよりも、流したやつが逆戻りをする。これが今日の経済の仕組みではないか。金融の仕組みとなっているのではないか。だから、あなたの言うように、当面増加をしたところで、これは大ワクとして考えなければならぬ段階にあるのではないか。何か法律的な、あるいは行政的な措置を打って、ほんとうに中小企業に流した金がプラス・アルフアとして流れるような仕組みを作らなければだめではないか。こういうことを申し上げておるのです。
  101. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私ども、前回の金融緊急引き締め方策をとりました際に、実は中小企業に対して特に悪影響を及ぼさないように考慮をいたしたつもりでございます。ございますが、御承知のように、資金の分配の面におきましても、基幹産業あるいはその他の部門というような分け方をして、重点的な配分もあったかと思います。ただいま言われるように、経済機構、金利機構、金融機構そのものから当然くる欠陥だとは思わないのでございます。在来わが国金融機構そのものから見まして、今言われるように当然こうなるのだ、中小企業に対しては金はいかないようになっているのだ、こう言われることについては、これはどうも遺憾ながら意見が食い違うようでございます。ただ、私非常に心配しておりますのは、前回の特別金融引き締め方策の結果、中小企業に対して特に重圧が加わったのではないか、そういう意味でこの重圧をできるだけはずすように考えますとか、中小企業に対して特に迷惑がかからないように、幾分かでもその重圧を防ぐという意味で、先ほど来申すように、特に資金をふやすとか、あるいは信用を特に強化するという方法をとるとか、こうして金融に便する政策をとっていきたい、こういうことを申し上げておるわけであります。
  102. 横山利秋

    横山委員 大臣一つ年度の中小企業金融の実績というものをお調べを願って、何からどうしてこういうようになるのだという点を、大臣も十分認識していただくことが、これは先決問題だと思う。それに関連して少しただしておきたいと思いますことは、昨年三百五十億の中小企業向けの金融をいたしまして、金融債の問題が二百億ございました。聞くところによりますと、この二百億の金融債を売り戻して、そうしてもとのさやにおさめようという考えがあるそうでありますが、こういう考えが事実検討され、実行されようとしておりますか。聞くところによりますと、六月中にそれをやるのだという話があり、一方においてはそれはけしからぬという話があるので、この機会に、そのような疑惑が事実であるかどうか明確にお答え願いたいのであります。
  103. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいままでのところ、私さようなお話は聞いておりません。また、私自身の考えにも、ただいまお尋なのようなことは構想にございません。
  104. 横山利秋

    横山委員 そこで、今度はたな上げ資金に関して具体的な点をお伺いします。  もっとも、個別の問題でありますが、まずお伺いしたいのは、このたな上げ資金を本委員会に上程をされた理由というものは、去年の提案理由と本年の提案理由と同一でありますか。
  105. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 大体同じだそうです。
  106. 横山利秋

    横山委員 大体というのはどういうことですか。
  107. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 前回の法律提案いたしました際には、成立するであろうという法案一つあったようです。その方が先にできたものですから、そこで技術的なもので少し変った点があるだけであります。だから趣旨としては同じであります。
  108. 横山利秋

    横山委員 この四百三十六億が本委員会に昨年上程されましたときに、一萬田大蔵大臣提案理由といたしましたものは「これは臨時的財源である。臨時的財源であって、恒久的財源ではないから、これは社会党の言うようには回すわけにはいかぬのです。もしもこのような財源が恒久的な増収、自然増として見込まれるものであるならば、税の本質上からいって、当然これは減税に回すべきものでもありましょう。一つには日本の経済の今日の実情からいって、こういうことをする必要がありますけれども、税の原理としては、臨時的財源でありますから、減税に回すことはできません。」こういうお話でありました。これはまあ一つ理屈のないことではないと思うのであります。ところが、今や佐藤さんは、明年度における自然増収が一千億ある、それを七百億中央、地方の減税に回すんだ、こう言うておられる。当時におけるこの四百三十六億、そのもとをただせば千一億の財源というものは、今や年々歳々恒久的なものという考え方に立たざるを得ないのであります。従って、当初提案されたときの臨時的財源という理由はなくなったと理解をしてよろしゅうございますか。
  109. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 昨年は一千一億の財源ができたと言われますが、その前年さらにその前々年という当時のことを考えて参りますと、最近は相当ふえて参ったということは言えますが、特に一千億以上というのが常時の形として考えられるかどうか、ここには一つの問題があろうかと思います。来年度見通し等についてのお話は、今日までの経済情勢あるいは法人個人等の歳入、それらの見積りを立てますのはただいまのところやや時期は早いのでございますが、大体三十三年度予算を作りました当時と大差のない金額が計上されるのではないかと思います。
  110. 横山利秋

    横山委員 今から先の見通しを立てるのは早いということであるならば、その立てることが早い財源を見越して七百億の減税と言われることは、まるっきり早いということにもなるわけであります。
  111. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまの来年度の公約事項と申しますか、自民党の公約事項の実施ということについては、もちろん私どもも責任を持ってこれが実現を期する考え方でございますが、最後のところへ参りますと、何と申しても数字がものを言うわけでございまして、十分それを検討しなければならない。公約事項といたしまして発表されたものは、当時の一応の目標といいますか、予想目標のもとに立てられたことで、これは御了承いただきたいと存じます。
  112. 横山利秋

    横山委員 税についてはあとでもう少しただすことにいたしまして、このたな上げ資金の四百三十六億を短期間の預託とし、また五特別法人基金はが長期間の預託とされるのでありますが、預託として何に使われるつもりであるか。聞くところによりますと、日銀保有の政府短期証券の買い入れなどに充当する予定であるといわれておりますが、この予定というものは行政上のことであって、法律の明示するところではない。従って、何に使うかということはこれはすべて政府の行政上の問題として自由裁量をされておる、こういうふうに法律としては理解をすべきなのでありますが、その点はいかがでありますか。
  113. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 使途ははっきり法律できまっておる。ただ預託された金を遊ばしておく筋のものではないというのであります。ただいま言われるように、運用の面のお話が出ておるのではないかと思います。
  114. 横山利秋

    横山委員 その通りです。その運用を何に使うかという点については、これは政府の自由裁量になっておるのであるか、それとも、昨年話がございましたように、景気刺激を与えないという観点に立って運用をされるのであるか。
  115. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 一応政府にその運用はまかされておることだと思いますが、もちろん、横山さんのお話のように、景気に特に刺激を与えるようなことは避けるべきものだと思っております。
  116. 横山利秋

    横山委員 そういたしますと、昨年来本委員会において、その資金運用部へ預託されるべき数百億のお金は、景気刺激を与えない、日銀保有の政府短期証券の買い入れなどに充当するのだといっておるわけである。しかし、それが自由裁量であるとするならば、  いずれはこれが国会が終ったら財政投融資計画の中の資金源に織り込まれるとか、あるいは大企業にこれが流れていくとか、そういうことにならぬとだれが保証するでしょうか。今の政府のあなた方のお考えとしては、こういうことはしないのだと言っている。言っておりながら、これは自由裁量だと言っておる。そうして将来いわれておりますような考え方がありといたしましたならば、これは使途としては中小企業あるいは労働協会あるいはその他五資金等々と言われながら、実際は目をくぐって大企業の財政投融資に流れていく。こういうことはどうなるでありましょうか。
  117. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど来申しますように、経済に非常な刺激を与えるようなことは、私ども慎しむというか、避けるつもりでございますし、ただいま御指摘になりました資金運用に当りましても、さような弊害を生じないよう最善の努力をするつもりでございます。  なお、運用の問題につきましては事務当局から説明さしていただきます。
  118. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 技術的な点を補足さしていただきます。  資金運用部資金法によりまして、資金運用部資金運用につきましては、一つのはっきりした標準が定められていることは御承知の通りでございます。この範囲内におきまして、ただいま大臣がお述べになりましたように、種々の情勢を考慮いたしながら、しかもこの資金の性質をよく考えながら、そのときの情勢に即応して運用していく、こういうことでございまして、大体、ただいまのところといたしましては、横山委員もお述べになりましたように、短期証券等に運用することが最もふさわしいというふうに考えておったことは事実でございます。なお、この資金運用部資金が大企業等に運用されるのではないかというお言葉でございましたが、資金運用部資金は、御承知のように中小企業等にも相当額運用されておることは申し上げるまでもないと存じます。これらの点も十分よく考慮しておるつもりでございます。ただ、今回の資金につきましては、先ほど申し述べたように考えておる次第でございます。
  119. 横山利秋

    横山委員 ただいまのところではそういうふうに流す気持はない。資金運用部資金が中小企業にも一部流れておることは百も承知のことであります。問題は、この四百三十六億という金、特にその二百十五億という金が、看板だけはきちんと中小企業あるいはジェトロ、労働協会というふうにかかっておる。しかし、看板はそうではあるけれども、中身は資金運用部へ流れている。流れていって、そしてまた、そこの看板では、日銀保有の政府短期証券等の買い入れに充当する予定であると言っているだけだと私は言うのです。あなたも言うておるように、ただいまのところではそういう予定なんだ。それじゃあしたのことはどうなるのか、だれも保証しないじゃありませんか。予定は確定である、そちらの方へは流さないとあなた方さっきから言い切っていないじゃありませんか。私は、かりにそれだけの金がそういうふうに使われたとしても、政府短期証券が、もし買うべき予定のやつをこっちへ回しておいて、この金で買ったら、銭に色合いはついておりませんから、結局堂々めぐりをしてこの金が景気刺激を与える方向にいくのではないか。私は景気刺激をある意味で与えろといっている立場であるのでありますから、それを言っているのではない。私は政府が言っていることにごまかしがありはしないかということを言っている。やるならばやる、やらぬならばやらぬと言えばよろしい。看板はこうだ、中身は適当に自由裁量であると言っていることがいかぬと言っている。
  120. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御趣旨は非常によくわかりました。私どもはただ予定という言葉をそう楽に予定々々と使っているわけではございません。その方針であるということをはっきり申した方がいいかと思います。
  121. 横山利秋

    横山委員 それでは、意見は別にしまして、もう一つお伺いします。この二百五十億を、農林漁業金融公庫に対して六十五億円、中小企業信用保険公庫に対して六十五億円、日本輸出入銀行に対して五十億円、貿易振興会に対して二十億円、労働協会に対して十五億円。お伺いしたいことは、この取りくずしの可能である日本輸出入銀行を別といたしまして、あとの四つの公庫等は、この運用利益をもって事業をやったり、あるいは利子軽減に充てることになっている。あなた方も計算ができておると思うのでありますが、一つ一つについて年間この公庫に対してはどのくらいの運用益があるか、この振興会に対してはどのくらいの運用益があるか、その金額を一ぺん言うてみて下さい。
  122. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 政府委員から説明させます。
  123. 石原周夫

    ○石原政府委員 日本輸出入銀行の分につきましては、これは十一カ月で計算いたしております。ちょっと計算の期間が動くと思いますから、前提が動けばその月割りは動くというふうに御承知願います。十一カ月、三分五厘で一億六千万円、貿易振興会、いわゆるジェトロでありますが、これが同じく十一カ月をもちまして一億一千万円、労働協会が同じく十一カ月の計算で八千二百万円、中小企業信用保険公庫が、これは七月一日ということで最初から九カ月の計算で、二億八千三百万円ということであります。農林漁業金融公庫は九カ月で二億六千八百万円であります。
  124. 横山利秋

    横山委員 大臣にお伺いしたいことは、この農林漁業に対しては九カ月二億六千八百万円、年間に直してもそうして変らないとは思うのでありますが、約二億七千万円くらいやる。中小企業信用保険公庫に対しては二億八千三百万円くらいやる。輸出入銀行は一億六千万円、貿易振興は一億一千万円労働協会は八千三百万円やるのだ。これはこういうことではありませんか。農林漁業金融公庫へ六十五億を出資するといっているけれども、それは看板だけで、これから年々歳々二億七千万円か、約三億くらいの金を農林漁業金融公庫へやるのだということではありませんか。出資を六十五億円やるのだという看板を掲げておるけれども、その出資金は使わせないのだから、それによる運用益二億六千八百万円を農林漁業金融公庫に年々歳々保証してやるのだ、いうなれば、新しい形の補助金をやるのだ、こういうことではありませんか。
  125. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 現実に動かし得る金といいますか、使い得る金といえば、利益として上った、農林ならば二億七千万円という金になりますが、やはりその基金を持っておるところに非常な信頼性というものがありますので、ただ年々一億やる、あるいは三億の補助金をやることと同一だと言われることは、私はちょっと理解しかねるのであります。
  126. 横山利秋

    横山委員 理解をしかねるとおっしゃるけれども基金の管理、基金の取りくずしの制限、こういうものを厳重にしておいて、六十五億円をお前のところにやるけれども、それを使ってはならぬ、それをこっちによこせといってやらしておいて、農林漁業金融公庫は二億六千八百万円もらえる、運用益がある、その金で利子軽減に充てるのだというているのでありますから、いうならば、これは貸付金の利子軽減が必要であるから、その必要な金を政策として出すということではありませんか。同じことが労働協会でもいえます。労働協会へ十五億円やるのだというのじゃない。十五億円は出すけれども、それは使ってはならぬ、横へ置いておけ、おれの指定するところへ置いておけ、取りくずしもならぬし、管理もいかぬ、八千二百万円という金が出るから、それによって事業をやれということなら、八千二百万円を労働協会へやるということは問題はない。それ以外に何がありますか。
  127. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 横山委員の言われることもさようでございますが、やはり基金というものは取りくずさない、年々それだけの利益を生んで、その利益で仕事をしていく。これが基金の制度の本質でございますから、ただ八千万円だけ毎年もらえばいいじゃないか、もとの十五億はそんなもの問題ないじゃないか、こう言われる議論には私は賛成しかねるということを申し上げておるのであります。
  128. 横山利秋

    横山委員 おっしゃいましたがね、この基金というものは恒久的にそこへつくものですか、いかがですか。
  129. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 この法案を作りましたのはこの労働協会ならば、労働協会の基金は十五億ということをはっきりさしておるのでございます。
  130. 横山利秋

    横山委員 形の上を言っておるわけではない。実際の問題を言っている。この二百十五億というものはもう協会なりあるいは振興会なりというものが実際問題として使えないかもしれません。そういうふうにあなたも理解していらっしゃるでしょう。トンネルをくぐって向う側で使うのであって、こっち側で使うものじゃないでしょう。こっち側で使えるのは労働協会を例にとれば、八千二百万円年々歳々使えるということなんだ。向う側でよその人が使うものを、お前にやった金だなんていばるのは、おこがましいじゃありませんか。
  131. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 しかし、労働協会といたしましては、十五億の基金を持って、この法律がある限りその基金は労働協会の基金である。これには変りはないのであります。
  132. 横山利秋

    横山委員 だいぶ本音の方向へ行きました。この基金がある限りにおいては、八千二百万円は確保されるのだからと、こうおっしゃる。それでは八千二百万円が確保されたら労働協会はそれでいいじゃありませんか。何のために労働協会が十五億円を持たなければならぬのかという点が、積極的な理由が何もないじゃありませんか。ほかのところもそうでしょう。それは見せかけの看板ではありませんか。私どもは、今日まで、与党の皆さんと同様に、補助政策については適切な措置をとるべきであるという考えをもって、補助金の適正化に関する法律案も賛成をいたしたところです。補助金に対する国民の目をくぐるものではありませんか。この労働協会に十五億円をやらなければならぬという積極的な理由がなく、八千二百万円だけをあなた方がやりたいというならば、年々歳々労働協会に八千二百万円をやればよろしいではありませんか。私どもは、その点については、労働協会については全く意見を異にするのでありますが、あなたの立場に立ったところで、二億六千万円とか、二億八千万円とか、一億六千万円、一億一千万円等というものを五つ公庫等に出すのが適当であり必要であるならば、なぜ堂々と補助金を出しませんか。そうして二百十五億というお金は、別に資金運用部へ回せばよろしい。二つを明確に区別をしてやってどうして悪いか。いかがです。
  133. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 いろいろ補助政策ということについての御意見も伺いますが、補助金制度が必ずしもいいか悪いか、これはいろいろの議論があります。私どもが今回のこの法案提案しておりますのは、基金として、まずその基金の利益を運用するということが望ましいという考え方をしておる。それだけの金額ならば直ちに補助金にしろ、こういう説には私ども賛成しかねております。
  134. 横山利秋

    横山委員 賛成をしかねるという理由は何か。そこをあなたは私の所論に対して明確になさらなければならぬのですよ。私は、簡単にいえば、この五つのものに金をやるということが必要であるならば、堂々と表門から、二億何がし、一億何がしという金をやりなさい、二百十五億という金をたな上げする必要があるならば、これまた明確にたな上げしなさい、トンネルを一つも二つもくぐって、世間の目をごまかすようなやり方はやめなさい、こう言っておる。二つを区分してはならないという理由は何であるか。意見を異にするだけでは困ります。
  135. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私どもは、今回のこの事業をやります場合には、基金としてはっきりさしておくことが最も事業運営上に信頼性を持ち得るものである、かように考え基金制度を考えたのでございます。
  136. 横山利秋

    横山委員 信頼性を持ち得る基金というものは、その経営者が自主的に運用をし得ることによって信頼性が持ち得るのであって、その経営者なり協会の責任者というものが、全くこの基金についての発言権もなければ管理の責任もないというようなことで、それで信頼性がありと大臣はお考えでありましょうか。少くともこれらの基金を必要とするならば、そこの管理者に責任を持たせるべきである。ところが、ねらいはそうでなくして、あなた方のねらいは二百十五億をたな上げしていくことにねらいがある。そのたな上げしていくことにねらいがあるとするならば、何が一体この金を持っていることにその信頼度がありますか。いかなる場合においても法律によってきめられておることを、そうではないといって、経営者が、協会の責任者が適当にできますか。国会がこれを認めなければできないじゃありませんか。それで信頼が生まれるの、金があるから権威があるのと言うことは、これはおかしいとあなたはお考えになりませんか。
  137. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私は、この法律にちゃんと定められて、その法律基金制度を設けられれば、このくらいはっきりしたものはないと思います。補助金云々のお話が出ておりましたが、それぞれの予算の編成に当りまして上下しやすいような制度よりも、基金から生まれてくるものが非常にはっきりした信頼性を持つものだと思います。同時にまた、この基金運用に当りまして、全部まかせ切りにすべきじゃないかという御議論もございましたが、かような資金政府運用資金の中に置いて、最も常識的と言っては言葉が不十分ですが、今まで扱われておったような方法で運用するということは、これまた望ましい方法じゃないかと思います。
  138. 横山利秋

    横山委員 承服いたしかねます。これを補助金は補助金とし、二百十五億は二百十五億として資金運用部に預ける、それがなぜ悪いのであるか。あなたはその出資をすればそこの信用があると言うけれども、どうにもならぬお金を預かって、そしてトンネルの窓口を自分のところからくぐってしまって、帳面づらだけ六十五億、六十五億、五十億と合っても、手がつかぬことではないか。これは百歩譲って、どちらでも同じことだとおっしゃるならば、このような国民の目を二重、三重にくぐるようなやり方をやめ、もっと簡明な政策をとることが必要ではありませんか。これだけちょっと見ますと、二百十五億はそれぞれの公庫にお金が出る、こういう錯覚に陥る。まことにばかばかしいことではありますが、与党の皆さんの中で、今次総選挙に当って、二百十五億をあなた方に上げようと思ったのに、社会党がつぶしたんだ、こういうばかばかしいことをよくも言えたものだと思うのでありますが、考えの至らざることはなはだしいのであります。総選挙の候補者にしてしかりであります。国民に政治を理解させ、納得をさせようとするならば、またあなたが百歩譲ってどちらでも同じことであるというならば、なぜ補助金は補助金として堂々とやりませんか。明らかにこれは補助金です。そして二百十五億をたな上げする必要ありとすれば、堂々と資金運用部へ直接に出す。なぜそれができないのか。私はどうしてもあなたの意見には承服いたしかねる。
  139. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま言われるように、必要ならば補助金は出せ、またこの金は全部たな上げすべきじゃないか、これも一つのりっぱな御意見だと思います。しかし、私ども政府考えて決定をいたしましたのはさような方法をとらないで、この基金制度という考え方で案をまとめておるのでございます。これは横山君の議論が間違っておるということを申すのじゃございません。そういう説のあることももちろんでございます。ただ、私どもの扱い方としては、さような方法をとらないで、この際は基金制度を設けて、そしてその基金から生ずる利益でそれぞれの事業をやっていく、こういう構想のもとにまとめ上げた案でございます。
  140. 横山利秋

    横山委員 ほかの人ならばともかくとして、この法案の成立の経緯をわかっております大蔵委員にそうおっしゃってもだめなんですよ。実際は四百三十六億を全部たな上げする予定だったんだけれども、党内におけるいろいろな議論があって、これが妥協の産物なんだ、こうおっしゃった方が、私はもっとさっぱりしておると思うのです。私は、あなたの言うような議論だったら、どこまでもこれは納得できませんよ。けれども政府意見が妥協したんだからかんべんしてくれとおっしゃるならば、そのようにまた理解いたしましょう。しかし、そうであっても、この際新大臣に私がお願いしたいのは、これが前国会でたな上げになったたな上げ法案であって、これから新しい国会で四百三十六億をどういうふうに使うかという点については、先ほど内田委員も言うたように、面子さえ問題でなければこれはすみやかに取りくずすべきだという意見は、与党の中にもすでにあるわけです。私は大臣が続いておったのならばいざ知らず、あなたが新しいいわゆるしろうと大臣としての感覚を持って——私は悪い音意味で言っているのではありませんよ。感覚を持って客観的に判断できる立場にあるならば、なぜ同じような提案理由で同じような内容のものをお出しになるか、それを言いたいのであります。この際、あなたはおれは前のことは知らぬけれども、これはおかしいではないか、こうしたらどうかといって、新たなる構想を持って四百三十六億を使うべき絶好の機会ではないか。その絶好の機会を取り逃がして、そうして当りさわりのない答弁に終始しておられるということは、佐藤さんの第一声としてまずくはなかろうか、私はそう思うのです。これ以上進んでもなんですから、具体的な点についてはさらに後刻お尋ねすることにして、次の質問をお伺いをしたいのであります。  それはあなたが新聞で港湾の整備についてなみなみならぬ熱意を持っていらっしゃることを知りました。港湾の整備をするに際して特別会計を設ける、こういうことを言うておられる。特別会計を設けるあなたのお考えは港湾整備について、どれほどと言っては失礼ではありますけれども、どういう構想を持っていらっしゃるか。この四十にも余る特別会計があって、大蔵省内部としては特別会計を作ることに常に反対をしておる。私ども大蔵委員としても、特別会計を新たに設置することについては、原則的に好ましいとは考えておりません。なぜならば、特別会計にするとすっきりするようだけれども、かえってそれは予算というものを複雑にならしめるだけであって、結局は国民の眼をごまかす結果になるのであります。それにもかかわらず、あなたが港湾の整備と特別会計をもう就任早々主張されておるのはどういうわけであるか。これをまずお伺いをして、あと質問をいたしたいと思います。
  141. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 基幹産業整備と申しますか、特に力を尽したいという考え方をかねてから持っております。御承知のように昨年は道路の特別会計ができたのでございます。もちろん経過をよく見なければならないと思いますが、最近の情勢から見まして港の整備が最も緊急を要するものだと思います。そういう意味で、必ずしも特別会計にこだわるわけではございませんが、特に重点的に取り上げるべき問題ではないかと私は考えておるのでございます。ただいまお話のありました通り、特別会計を幾つも設けることは予算会計から見ておもしろくない。この御意見には私も同感でございます。ただ、港湾の整備ということが最も必要ではないか、かように考えておる次第でございます。
  142. 横山利秋

    横山委員 この件に関する限りにおいては私もあなたと全然同意見であります。  それでお伺いいたしたいことは今度の二百二十億は、道路の整備と港湾の整備科学技術振興異常災害の復旧または産投に関する繰り入れ、こうなっております。この二百二十億の使途が一応五つに分れておるのでありますが、その二百二十億の内容というものは考えておられるのかどうか。これをお伺いしたい。
  143. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまの段階ではこの資金の内訳は考えておりません。
  144. 横山利秋

    横山委員 ただいまのところはという言葉は大てい今まで何回も何回もお使いになるのですが、私どもが二百二十億をたな上げをするという政府の構想を聞く理由のものは、一つには、これは経済基盤のためにとっておくのだという理由で承知をいたしました。しかし、もう一つは、ここに掲げておられるような道路の整備以下これこれの重要な問題があるから、これに使うのだから承知をしてもらいたい、あなた方はこういう説明をしておったと私は理解する。しかりとするならば、この五つの内容がどういうものさしやら、どのくらいの尺度やら、何やらかにやらわからぬということでは納得ができません。少くとも、道路の整備はこういう計画に沿ってこれくらいの金が要る、あるいは港湾の整備はこのくらいだという説明がなくてはならぬと私は思う。ただいまわからぬとおっしゃるならば、あなたは本委員会にこの五つの問題について大体の内訳と内容を提出する気持があるかどうか。これをお伺いします。
  145. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 午前中もいろいろ経済あり方等についてお話がございました。この経済に対して特に刺激を与えることは私避けたいということを、たびたび御説明申し上げて参ったのでございます。今日この資金をくずすといいますか、ただいまのように使い方を明示しろと言われること自身が、私どもまだこれをくずすような時期でない、かように考えておりますので、ただいまその内訳などを考えておらないということに相なるのでございます。どうか御了承いただきたい。
  146. 横山利秋

    横山委員 そう言いながら、あなたは、片一方では港湾の整備を一生懸命やる、特別会計を作ると言っていらっしゃる。特別会計を作るとするならば、これは独立した財源、独立した財源ならば、この二百二十億の内容、こういうふうになってくるのはだれでもわかることである。そうすれば、どんなにおそくたって来年の四月から始まる新年度においてはこれを取りくずすとだれでも考えておる。現に、先ほどの与党の中でも、まあ面子さえよかったら今でも取りくずすさと言わんばかりの話がある。一体、いかなる条件において、どういう状況においてこれを取りくずすのか。世間伝うるところによれば、この国会だけは一つ社会党の反対があっても通さしてもらったら、次の国会には必ず取りくずすからとあなたは考えておるということをもう言うておるわけであります。そういうことは間違いがないのですか。
  147. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 いろいろの御想像はあるかと思いますが、ただいまこの国会提案いたしております法案は、一日も早くこれが成立を期すよう御協賛をお願いいたしておるのでございます。先ほど来の一番の眼目になります点は、今日の経済に対して、特にこれが膨張について強い要望がありますならば、場合によりましてはやはりある程度のブレーキもかけ、またもしもこれが非常に弱いということであれば、ある程度の支柱を与えるといいますか、そういうことはいたしたいと思いますが、ただいまの状況のもとにおきましては、さような処置をとることは見合せたいという考えでおりますので、できるだけこの法案の成立を期しまして、次の必要な状態が生じたときに、また重ねて皆様方にお諮りをするというようにいたしたいものだと思います。
  148. 横山利秋

    横山委員 四百三十六億は明らかに税金の取り過ぎであります。従って、私どもは根本的な立場を異にしておるのでありますが、少くとも二回にわたる国会においてあなた方が提案をされる以上は、与党、野党の中にほうはいとありますこの取りくずしの時期、あるいはこの法案の具体的な内容、政令の内容、そういう点に至るまで、前国会とは違って、ある程度百尺竿頭一歩を進めた説明をなさらなければ、とてもじゃないが、この国会では通りません。私はそう予見をしておりますから、ぜひ、あなたの方としても、今御説明になったような当りさわりのないようなことから具体的な問題を提示をして、内容を説明なさって、そうして与野党の理解と協力を求めるようになさらなければだめであります。これは特に私はこの際冒頭に当って念を押しておきたい。  最後はこの根源となっております税制の問題であります。まずお伺いをしたいのですけれども、本日の冒頭にあなたに念を押しましたように、本委員会には、従来の決議とか申し合せとかあるいは大臣からの約束というものがあるわけであります。本日あなたに一番申し上げておきたい問題は、今あなたの手元で進められております税制審議会の問題であります。ここ数年来、税制につきまして格段の改正がなされてきました。そのたびに、私どもはもちろん、与党の中からも、あれだけ膨大な税制の改正をするに際して、大蔵省の諮問機関とか内閣の諮問機関が適当に人選をして集めておいて、国民の大きな関心を呼ぶような重大問題をすべきではない、この際一つ法制化をして、そうして国民各階層の人々を網羅して堂々と税制改正をすべきではないかと、何回も主張をして参りましたところ、昨年の大蔵委員会で一萬田大蔵大臣はこれを了承しました。法制化について善処をすると、本委員会において回答を与えたのであります。ところが、あなたになりますと、その引き継ぎを受けられたのか、受けてもいやだとおっしゃったのか知りませんが、やにわに税制審議会を設置する、内閣の諮問機関だといって、適当な人材を、あなたの方のおめがねにかなった人ばかりを集めようとなさっておる。聞くところによりますと、今度は所得税をおやりになる。所得税をやるについては、この所得税の軽減を一番主張しております勤労大衆の意見を十分に反映しなければならぬ。事業税をやる。これまた同様であります。また、本委員会は、間接税特に物品税を軽減すべきことを二回にわたり決議しておる。この間接税また物品税について、あなたの口からは一言も出ていない。これは一体いかなるものであろうか。私は、この際、税制審議会を、今からでもおそくないのでありますから、簡単な法律案となるのでありますから、すみやかに法制化して、国会の議決を得て、他に恩給等の審議会とかいろいろ例があるのでございますから、それらを法制化しておいて、税制審議会を法制化しないという積極的な理由は何にもない。この際すみやかに税制審議法案というものを提出なされるべきである。同時に、その人選というものにつきましても、今日までの大企業の社長ばかり集めて、これで中立だ、客観性があるというのは、私はどうしても納得ができません。広く中小企業の代表やあるいは農民やあるいは労働者や多くの人を網羅した、法律に基いた審議会を開催すべきだと思うが、どうであるか。
  149. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 減税問題につきましては、これは選挙を通じて公約いたしております。できるだけ早くこれにかかるべきではないかという発言をいたしましたが、いわゆる税制調査会とか審議会とかいう構想までには、実はまだいっておらないのであります。ただいまお話しのような、法制化したらどうかというような御議論が、過去の委員会を通じ、衆議院、参議院ともにあったということも伺っておりますし、ただいま税制問題の調査の扱い方についていろいろ研究しておる最中であります。まだ結論が出ておらないことを御了承いただきたいと思います。
  150. 横山利秋

    横山委員 ところが、どういうものか、ここではそうおっしゃるのだけれども、新聞や対外的にはどんどん進行して、放送がされて、もう人選が始まっておるという話で、私も、ある人から、おれらの方に連絡があったという話を実は聞いておるわけです。公式にあったのか、非公式にあったのか知りませんが、それほどの仕事が進んでおって、大臣が全然知らないということは、いささかいかがかと私は思います。もしも大臣のおっしゃるようであるならば、この際前大臣の公約を尊重して法制化をなさい。各方面の人を網羅すべき必要があると思いますが、いかがでありますか。
  151. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまお話しいたしましたことは、これは間違いはございません。新聞に早く報道されました結果、委員をこういう方面からとってくれというようなお話は伺ったことはございますが、そのお話を伺っておる程度でございまして、ただいま進んではおりません。ただ、そういう実際問題は別として、法律に基く委員会を設けるかどうかという御議論でございますが、先ほど申しました通り、これにつきましてはいろいろ研究いたしております。と申しますのは、非常な臨時的な措置のものに法律を必要とすることがいいか悪いかというような議論もありますので、ただいま研究中であるということだけ申し上げておきます。
  152. 横山利秋

    横山委員 それでは、私の意見ではなくて、これは本委員会における年来の問題であり、大臣の了承を得たことでありますから、誠実に一つ大臣がこの約束を履行されんことを私は望みたい。  そこで、税についていささか大臣にただしておきたいと思いますが、税制審議会を設けて、税のどの部面をどういうふうに研究しておこうとなさるのか。伝えられるところは、所得税と事業税と伝えられておるのでありますが、まだいろいろな問題が本委員会の継続事案となっておる。たとえば先ほど申し上げた物品税がそうであります。それから次には、お酒の方を下げてビールを下げなかったという点についても不均衡のそしりは免れがたいものがございますし、それからさらには、先年の繊維設備制限のときにおいて、商工委員会及び本委員会において附帯決議となりましたが、耐用年数の圧縮という、こまかいけれども膨大な問題でありますが、それらもまた継続事案となり、国会の議決となっておる問題でもあります。それらの諸問題を通じて、新大臣が税制の改正についてどういう所見を持っていらっしゃるか、それらについてどういう方向を推進されようとしておるか、あるいは抽象的になるかもしれませんが、今私があげた事案をも含めて、税についての大臣の所見を承わりたいと思います。
  153. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 選挙の直後でありますだけに、今回特に私どもが解決を急いでおりますものは、公約事項として発表したものが中心になることは当然だと思います。従いまして、所得税の問題もその取り上げる大きな問題だと思います。あるいはまた、地方税といたしましては、事業税等の議論ももちろん、税制調査会と申しますか、懇談会と申しますか、この種の機関ができれば、そういうところで取り上げられるだろうと思います。同時にまた、間接税や物品税、あるいは徴税制度といいますか、税徴収法等もずいぶん古いものでありますので、税に関してはいろいろ御意見が各方面から出て参るのではないかと思います。できるだけ各方面の御意見を聞いて、そうしてこれをまとめるという考え方でおるのでございます。
  154. 横山利秋

    横山委員 大臣は、新聞を通じて聞きましたところによりますと、最初の七百億の減税ということについて、最近態度を少し変えられたように思うのであります。それといいますのは、七百億減税というものが、自然増収がどうも不景気で危なくなったから、いきなりはっきりしたことを言うといかぬというよろめきを見せられたらしく、どうも言葉がここ数日来あいまいであります。私は、自然増収が何ほどあるかという点については、もちろんこれはわれわれ税を担当するものとしては重大な問題であり、論争の余地は大いにあると思います。しかし、天下に公約をしたとあなたがおっしゃること自体が、どうも大臣になって、さあ、事務当局から話を聞いてみたら、少しあいまいにぼかしておかないと、あとが危ないというような気持があるならば、それはいささか軽率ではなかろうかと思うわけであります。そこで、一体所得税を明年度どういうふうに大改正をなさるつもりであるか、事業税をどうなさるつもりであるか、これだけは大臣としてここで一つ明確にしておいていただきたい。それから、ほかの天下に公約した面からとおっしゃるけれども、本委員会が、超党派にいえることは、ここで議決をしたことをわれわれは実行しなければならぬのであります。あなた方は、その院議を尊重してもらわなければいかぬのであります。そのことは自民党が天下に公約したかいなかということとは全く別問題であり、それよりもより大きな国会の意思となっております。その点を一つお忘れないように願わなければ、これはいささか問題がこじれてくるおそれがございます。重ねてその点を明白にされたい。
  155. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 公約の所得税の面では、勤労所得税の軽減を特にうたっております。公約は月収二万五千円までは勤労所得税は無税にするということを申しております。さらにまた、事業税におきましては、個人所得二十万円まで無税というようなことを申しております。こういう公約の点が中心になりまして取り上げられることだけは申し上げていいことだと思います。なお、ただいまお話しになりました国会でいろいろ議決した事項、院議を尊重しろと言われる。もちろん院議を尊重することにやぶさかではないということを重ねて申し上げておきます。
  156. 横山利秋

    横山委員 まだいろいろとこまかい点についてお伺いしたい点はございますけれども、一応私はこの辺で打ち切りたいと思いますが、本日の大臣との質疑応答を通じて、いささか御注文を申し上げておきたいと思います。それは、第一には、たな上げ資金につきまして、先ほど申し上げましたように、いま少し具体的な点の明示を本委員会にしてもらいたいということであります。たとえば二百二十億の内容がどういう計画のもとにあるかということでもあります。いろいろと私が質問をいたしました中で——まあ新任早々でもございますから多くは言いませんけれども、いま少し具体的に大臣は御答弁願わなくてはなりません。一番根底となります経済展望についてしかりであります。この経済展望について、いい悪いは別、意見の相違はまた別であります。楽観もしていないが悲観もしていないというような答弁では、私どもは議論のしょうがないと思います。経済見通しについてこういう傾向があり、こういう方向にあるから、この法案がどうしても必要だ、こういうふうな具体的な点について一つ大臣として明示されんことを、私はまず第一にお願いをいたしたい。それから、二番目にお願いいたしましたのは、税制についての税制審議会の法制化と、それから各層を網羅する人材であります。同時に院議を尊重してもらいたいということであります。私ども社会党は、税制改革案はもちろん別に持っております。それは自民党が持っていらっしゃるのと同様であります。しかし、私どもは同時に院議を最も優先的になされなければなりません。今日まで税制に関して与野党はともに一致をして推進をし、決議をし、申し合せをし、大臣から確認を得ておりますもろもろの問題につきましては、大臣の誠実なる実行を私は望んでやまないところであります。このほか質疑応答中にいろいろと申しましたが、さらに具体的な点につきましては後刻質問を継続することにいたしまして、私の質問を一応終ることにいたします。
  157. 早川崇

    早川委員長 春日一幸君。
  158. 春日一幸

    ○春日委員 この際、前国会からの継続懸案といたしまして、本委員会に対し大臣から御調査の上御報告を願いたいことがありますので、お願い申し上げておきたいと思うのであります。  その第一は、千葉銀行事件に関するその後の経過とてんまつについてであります。御承知の通り、この問題は先国会において本委員会が調査の途中におきまして解散のことがありまして、調査を打ち切らざるを得なくなりまして、そのままで今日に至っておるのでございます。預金の安全のためにも本委員会の重大関心事でありますので、その後千葉銀行事件はいかに処理されておるか、また問題の核心はどのように進められておるか、これを御調査の上御報告を願いたい。  それから、もう一つは、輸入をめぐる外国為替の諸問題についてであります。これも、先国会におきまして、某政務次官に対して、それぞれの問題を掲げて質問をいたしました。なお政府の善処方を要望いたした点も各般にわたっております。それを調査の上本委員会に御報告を願うことになっておりますが、その後御報告を得る機会を得ません。従いまして、他にもいろいろ継続懸案はありますけれども、とりあえず千葉銀行事件と輸入映画の問題、これを一つ御調査の上、できるだけすみやかな機会に、本委員会にまとめて御報告を願いたいと思います。  以上二件の御報告方を要望いたします。
  159. 早川崇

    早川委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十四日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後三時十四分散会