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1958-07-02 第29回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年七月二日(水曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 木村 守江君 理事 佐藤虎次郎君    理事 瀬戸山三男君 理事 二階堂 進君    理事 南  好雄君 理事 中島  巖君    理事 三鍋 義三君       逢澤  寛君    井原 岸高君       大久保武雄君    川崎末五郎君       久野 忠治君    橋本 正之君       服部 安司君    石川 次夫君       兒玉 末男君    塚本 三郎君       武藤 武雄君    山中 吾郎君       山中日露史君  出席政府委員         法制局参事官         (第一部長)  亀岡 康夫君         建設政務次官  徳安 實藏君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君  委員外出席者         建設事務官         (計画局長)  美馬 郁夫君         建設事務官         (河川局次長  曽田  忠君         建設事務官         (住宅局長)  鬼丸 勝之君         専  門  員 山口 乾治君     ――――――――――――― 六月二十七日  委員久野忠治辞任につき、その補欠として金  丸信君が議長指名委員に選任された。 同日  委員金丸信辞任につき、その補欠として久野  忠治君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員久野忠治辞任につき、その補欠として福  永健司君が議長指名委員に選任された。 同日  委員福永健司辞任につき、その補欠として久  野忠治君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月二十八日  浜松市、恵那間県道国道編入に関する請願  (鈴木正吾紹介)(第一三〇号)  同外二件(鈴木正吾紹介)(第一五八号)  同(丹羽兵助紹介)(第一七五号)  日本住宅公団特定分譲住宅償還金利引下げに関  する請願高橋清一郎紹介)(第一三一号)  海岸保全施設事業費増額に関する請願飯塚定  輔君紹介)(第一三二号)  仙台、八戸間二級国道整備に関する請願山本  猛夫紹介)(第一七六号)  花巻市、釜石港間県道整備に関する請願山本  猛夫紹介)(第一七七号)  宅地建物取引業法の一部改正に関する請願(辻  寛一君紹介)(第二〇四号)  二級国道宮崎福山線中垂水町、串良町間の舗装  に関する請願二階堂進紹介)(第二〇五  号)  都城、鹿屋指宿間県道を二級国道に指定の請  願(二階堂進紹介)(第二〇六号)  鹿屋市、佐多町伊座敷間県道主要地方道に指  定の請願二階堂進紹介)(第二〇七号) 同月三十日  宅地建物取引業法の一部改正に関する請願(久  野忠治紹介)(第二二〇号)  同(加藤鐐五郎紹介)(第二五七号)  耐用年限の四分の一を経過した公営住宅等の譲  渡処分承認に関する請願伊藤よし子紹介)  (第二五五号)  都市計画路線地域における建築等制限強化  に関する請願伊藤よし子紹介)(第二五六  号)  浜松市、恵那間県道国道編入に関する請願  (竹山祐太郎紹介)(第二五八号)  部落問題解決のため不良住宅改良等に関する請  願(田中織之進君紹介)(第二九三号)  名神高速自動車道路買収に伴う農地補償等に関  する請願原健三郎紹介)(第二九四号) の審査を本委員会に付託された。 同日  中小河川改良事業費増額に関する陳情書  (第四六号)  河川海岸の管理に伴う調査費国庫補助に関する  陳情書(第四  七号)  地方道に対する補助事業費増額等に関する陳情  書(第四八  号)  国道松山、宇和島、高知線の一級国道編入に関  する陳情書  (第五一号)  二級国道高知、木頭、徳島線開通区間早期  開通に関する陳情書  (第五二号)  一級国道十七号線の復道早期完成に関する陳情  書(第五三号)  台風常襲地帯における災害防除に関する特別措  置法運用に関する陳情書  (第七四号)  木造市街改造隘路解決に関する陳情書  (第九五号)  一級国道八号線改修に関する陳情書  (第九六号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  河川に関する件  住宅に関する件  都市計画に関する件  島根広島両県の豪雨災害情況に関する件      ――――◇―――――
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 これより会議を開きます。  この際河川局長より発言を求められておりますから、これを許すことにいたします。山本河川局長
  3. 山本三郎

    山本政府委員 島根広島両県に豪雨災害がございましたので、ただいままでわかりました状況を御報告したいと思います。お手元に差し上げてありまする資料につきまして御報告したいと思います。  六月三十日の午後六時過ぎから七月の一日の午前にかけまして、島根県の西の方でございますが、浜田市、江津市の地方、並びに広島県の北半分でありますが、三次地方に局地的な豪雨がございまして、相当被害がありました。現在までに判明した概況を御説明申し上げます。  まず最初に降雨量でございますが、島根県の浜田市におきまして二百二十六ミリ、これは七月一日の二時から九時の間の雨量でございまして、相当強い雨に相なっております。江津市におきまして百三十一ミリ、川本町におきまして百五十ミリ、波佐町におきまして二百六ミリ、広島県の三次市におきまして、大月二十七日から七月一日の九時までの合計でございますが、二百四十五ミリ、吉田町におきまして二百五十六ミリ五というふうに相なっております。  そのために、この付近を流れまする浜田川、下府川、三隅川、周布川、広島県から島根県に流れておりまする郷川等に出水を見たわけでありますが、いずれも警戒水位相当突破いたしております。このうちで浜田川が一番出水しておるわけでございまして、警戒水位が二・一メートルでございますが、三一・六メートルまで参っております。また郷川が相当出水をいたしまして、三次市におきまして警戒水位が六メートル八〇のところが七メートル四八に相なっております。このために相当被害を受けたわけでございますが、おもなる建設省所管公共土木施設被害は、島根県におき面して浜田川堤防が二カ所切れております。それから清水橋、新橋、相生橋等浜田川にかかっております七橋が流失しております。昨晩の午後六時現在における被害報告額は、河川砂防道路、橋梁等合せまして三億九千五百万円、個所数は七百三十カ所に相なっております。  次は広島県でございますが、おもなる被害地域は大朝町、千代田町、吉田町、三次市等であります。そのために災害が発生いたしておりますが、第一番目に郷川は、広島県内直轄改修工事いたしておりますが、その区域内におきまして馬洗川左岸三次十日町地先でございますが、百メートル堤防が決壊いたしまして、被害額が五百万円、それから郷川の下の可愛川でございますが、吉田町の多治北川合流点の下の左岸が百五十メートル切れまして、被害額は七百万円というふうに聞いております。  それから府県または町村の災害でございますが、岩城橋流失、それから吉田地先毘沙門橋が一部流失というのがおもなものでございますが、被害額は、七月一日の二十二時現在におきまして、河川砂防道路、橋梁等合せまして三百七カ所、一億三千二百万円余りの報告に相なっております。  一般被害でございますが、七月一日の十八時三十分現在におきます警察庁の情報によりますと、島根県で死者が二人、負傷行方不明が四人、家屋浸水が六千百三十二棟、田畑流失埋没が九十七町歩田畑冠水が千九百二十三町歩広島県におきまして負傷行方不明が十八人、家屋浸水が三千二百九棟、田畑流出埋没が百四町歩田畑冠水が三千四百四十八町歩になっております。これに対する対策といたしましては、現地調査、復旧の指導に当らせるために、とりあえず七月二日に河川局防災課におりまする新居査定官外一宿を派遣することにいたしております。なお建設大臣は、昨晩浜田に参りまして、現地状況調査いたされました。  以上簡単でございますが、災害に関する御報告を終ります。     ―――――――――――――
  4. 堀川恭平

    堀川委員長 それでは、前回委員会に引き続きまして、本日は河川住宅及び都市計画に関する件につきまして調査を進めることにいたします。  質疑の通告がありますから、これを許すことにいたします。兒玉末男君。
  5. 兒玉末男

    兒玉委員 河川局長に、最近非常に問題になりました工場汚水等によります水質汚濁の問題につきまして、お尋ねしたのであります。  まず第一点としましては、前回委員会において出されました資料によりますと、江戸川隅田川、遠賀川の水質汚濁調査費百六十四万円というのが計上されておりますが、最近この汚濁問題が発生しておる際、当局としては、今まで調査を行なったことがあるかどうか、まずその点をお伺いしたいと思います。
  6. 山本三郎

    山本政府委員 水質汚濁調査実施状況でございますが、最近お話し通り大都市付近河川水質汚濁が著しいという状況にかんがみまして、昭和三十三年度に新しく調査費を計上いたしたわけでございます。建設省の全部といたしましては百六十四万円でございますが、そのうち河川局分が七十六万八千円でございます。そのほかは計画局分でございますが、この費用をもちまして、両方相関連いたしまして調査を進めるわけでございますが、三十三年度は当初でございますので、とりあえず特に汚濁のはなはだしいと認められまする隅田川、それから江戸川、それから淀川並びに遠賀川の四河川につきまして、河川局予算をもちまして汚濁状況水質分析試験等調査を行うということにいたしております。
  7. 兒玉末男

    兒玉委員 今の回答によりますと、調査を行うという構想だけであって、調査がなされないと思うのですが、これは早急に行うべきであると思うのですが、その見解はどうですか。
  8. 山本三郎

    山本政府委員 ただいまお話し申し上げましたのは、すでに三十三年度予算といたしまして決定をいたしていただいておるわけでございまして、ただいま申し上げました分は、三十三年度にすでに着手しておる分でございます。これでもちろん十分だとは考えておりませんので、今後もさらに増強いたしまして、これらの調査は進めていきたいというふうに考えております。
  9. 兒玉末男

    兒玉委員 次に汚水の問題については、その許容基準というものには、やはり科学的な知識を必要とするかと思っております。そういう点から、全国の主要河川、あるいは湖沼などの公共用水に対して水質実情調査を行うための調査委員会設置、こういうことについては、何も考えていないのかどうか、この点について伺いたいと思います。
  10. 山本三郎

    山本政府委員 ただいまの調査委員会を作るかどうかという点につきましては、今後検討いたしたいと思いますけれども、ただいま申し上げました分は、直轄調査する分でございまして、そのほかにおきましても、東京都等におきましては自分予算を計上いたしまして、必要な調査は、これにあわせてやるというふうなことに相なっております。
  11. 兒玉末男

    兒玉委員 次に、当局から出されました廃水処理状況から判断しますと、大体下水関係が六百九十六件、河川関係が五百十三件、一般の海水が二百三十四件、合計千四百十三件が廃水処理状況として出されておりますが、このうち二百二十一件というのが紛争を生じておるのでありますが、このうちで、河川関係紛争は何件になっておるのか、もしわかっておったら、お知らせいただきたい。
  12. 山本三郎

    山本政府委員 ただいまの二百二十一件というのは、通産省資料だというとかうに思われますが、通産省の方にも問い合せましたところ、一部は調査統計部から、一部は企業局調査を集計したものであるために、統計はわかっているが、その個々の内訳については、すぐにはわかりかねるということを通産省では言っております。一方建設省におきまして、今年の二月各府県報告を徴しましたところ、今までに主として問題となりましたものは、河川関係で六十四件という報告が参っております。
  13. 兒玉末男

    兒玉委員 それでは、そういう紛争は、当然関係工場河川流域住民、あるいは漁民等損害補償という問題も発生しようと思うのですが、そういう損害補償額等について、わかっておれば御回答いただきたいと思います。
  14. 山本三郎

    山本政府委員 これにつきましては、一々私の方で額等は詳しくは調べておりませんが、そのうちで、まだ話し合い中のものもありますけれども、多くは話し合い解決し、あるいは市なり県なりのあっせんによりまして、補償金等を支払いまして解決した、あるいは濁水の処理施設をやりまして解決したというような分が相当ございます。中には、ただいま申し上げました六十四件の中にも、まだ完全に解決しない分もありますけれども、大部分は、今申し上げましたような方法解決いたしております。
  15. 兒玉末男

    兒玉委員 次に、地方公共団体の行う共同排水処理施設に対して、国庫補助制度制定をされまして、建設省関係としては、三十二年度に三千万円、三十三年度に五千九百万円の支出が決定されておりますが、これの実施効果、あるいはこの実施状況はどうなっているか、お聞きしたい。
  16. 美馬郁夫

    美馬説明員 ただいまの工場廃水処理を目的といたしました事業でございますが、私の方ではこれを特別都市水利事業、こういう事業といたしまして、一般の市民を対象といたしました下水事業とはちょっと別個の系統でやっております。と申しますのは、三十二年度からただいまお話しになりました事業は、府県名で申しますと静岡愛知大阪和歌山、この四県になります。静岡県で申しますと、吉原市鷹岡町付近愛知県で申しますと尾西市、一宮市、大阪は布施市、八尾市その他、和歌山県は和歌山市、こういう都市中心でございますが、施行主体は大体県とか、市あるいは下水道組合中心となっておりまして、特にこの四地域は、わが国でも中小工業が非常に多いのでありまして、この排水設備も自力ではなかなか思うように参りません。従って公共団体中心といたしまして、公共団体国庫補助と、それなら工場自分の負担、この三つの制度によりましてやっております。  私どもの方で計画しております総事業費は、この四つ対象といたしまして、全体事業で約十八億ぐらいの事業計画しておりますが、この中で国庫補助は、割合といたしまして少いのでありますが、昭和三十二年度は、この四つ地域に対しまして三千万円の国費補助しております。昭和三十三年度は五千九百万円の国費補助いたしまして、主としてこれらの地区の排水の幹線であるとか、あるいはポンプ場及びポンプ等に対して補助をやっております。三十二年度から着工したのでありまして、事業実績等につきましては、直接の効果はまだ具体的ではございませんが、こういう地帯漁業とか、あるいは飲料水とかその他に対しまして、この防除施設を設けることによりまして、非常に効果が上ってくるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  17. 兒玉末男

    兒玉委員 この水質汚濁防止に対しましては、まだたくさんの問題があ、ろうと思うのですが、要するに政府の今までのこれに対する態度というものが、非常に消極的ではなかったかという感を私は深くするわけであります。いろいろな資料調査してみましたが、外国におきましては、この水質汚濁防止については、相当積極的な手が打たれているようであります。一例を申し上げますと、アメリカ等においては、すでに一八六五年に自然水汚濁から守るための勅令が出され、さらに一八七六年には保健法令、一八九三年には河川汚濁防止法制定されまして、これがしばしば改訂され、一九二三年水漁法、一九三六年には排水区域法が追加されまして、この水質汚濁防止に真剣に取り組んできているようであります。こういう点から、わが国におきましては、今回の本州製紙の問題をきっかけとしまして、この河川流域住民、あるいは沿岸漁業に携わっている漁民の今までの長い間蓄積して参りました不満というものが、一時に爆発した形といたしまして、一昨日も青山青年館において、約四千の漁民が集まって真剣な討議を重ね、政府に対してもこの善処方を強く要望をいたしておったところであります。このような点から、特に建設省関係としましても、非常に関心の深い問題でございますが、この法制定について、どのような見解をお持ちであるか、この点を明確に一つお答えを願いたいと思っております。
  18. 山本三郎

    山本政府委員 お説の通り公共水汚濁の問題につきましては、最近の工業、あるいは都市の発達に伴いまして、公共水が非常に汚濁して参ったという事実がございまして、これを何とかしなければならぬという意見が非常に強くなって参っております。この問題につきましては、昭和二十六年以来いろいろと意見が出されて参ったわけでございます。去る二十八国会に、この問題は各省に関係が多いということで、企画庁が中心となりましていろいろと具体案を練ったわけでございますが、残念ながら二十八国会に提案することができなかったわけでございます。今後におきましては、それらの原案を中心といたしまして、建設省もこの法案の成立に努力したいというふうに考えているわけでございます。なお各所管する法律におきましても、これらの取締りが十分できますように、それらの法律の問題も、改正を要する点、あるいは政令、省令等におきまして強化する点等もあわせて考慮いたしまして、促進したいというふうに考えている次第でございます。
  19. 兒玉末男

    兒玉委員 あと二間だけお伺いをいたしたいと思っております。  これは、今非常に全国的な問題となっております渇水の問題でございますが、東京都内においては、一般上水制限給水、あるいは学校等においては給食まで中止をする、こういう非常に重大な問題に発展をいたしておるし、また東京周辺、あるいは各地におきまして、農業用水の不足によって流血の惨事まで起きているのであります。また今度の湯水が五十二年ぶりとかいわれておりますけれども、この問題について、やはり政府としては、長期の計画というものについて、十分な今まで検討というものがなされていなかったのではないか。特に建設省関係としては、ダム関係については最も関係の深いところでありますが、この渇水問題についてどのような対策をとられようとするのか、また将来に対する構想についてお聞きをしたいと思っております。
  20. 山本三郎

    山本政府委員 本年異常な渇水が起りまして、農業用水はもちろんのこと、水道等におきましても非常な窮地に立ち至ったのでございます。これに関しましては、先般の委員会におきましても、緊急の対策につきましては御報告を申し上げたわけでございまして、なお現在におきましてもその線に沿いまして、建設省は、農林省あるいは東京都の水道方面との連絡をとりつつ、緊急対策実施しつつあります。  次に恒久対策の問題でございますが、これにつきましては、従来ダムの促進とか、あるいは各用水調節等の問題を考慮しておったわけでございますが、今回の渇水にかんがみまして、特にそういう恒久対策至急に立案実施する必要を認めておるわけでございます。このためには、上流方面に、仰せの通り貯水池を作るということが、まず必要なわけでございまして、これらにつきましては、現在実施中のダムを促進いたします。と同時に、ダム候補地点調査を促進いたしまして、早急にダム計画し、それらを実施に移したいというふうに考えております。  さらに今回の渇水にかんがみまして、塩害等下流地帯におきましては、川の水が減りましたために、塩水が逆流したというふうなこともございますので、それらに対する処置といたしましては、逆水門の設置、あるいは付近の淡水の利用とか、あるいは用水取り入れ口塩害のないところに持っていくというような方法がいろいろ考えられるわけでございますが、それらにつきましても、至急調査をいたしまして、今回の塩害、あるいは干害を受けた地域等を主として対象といたしまして、計画至急に立案したいというふうに考えておる次第であります。
  21. 兒玉末男

    兒玉委員 最後にお伺いしたいのは、これは、県の地元からの要請がございましたのでお尋ねするわけでありますが、昭和二十九年の大災害によって非常に問題が起きましたところの轟ダムの問題でございますが、長い間紛争が続きまして、いまだに最終的な解決を見ていないのが実情でございますが、これにつきましては、県側と九電並びに地元災害対策委員との間において、ダム改造案についての一応の妥結が見られておるわけでございますけれども、建設省としては、この改造案について検討を加えたことがあるかどうか、それが第一点。  第二点は、当然直轄河川関係でもあるし、この及ぼす災害の影響というのはきわめて大きいのでありまして、たとい改造案実施せられたとしましても、九電側としては、常時用水を貯水するという立場からなかなか放水しない。また災害についても、今までの長い間の統計による降雨量とか、あるいは貯水できる流域の面積など、こういう科学的な分析の上に立ってこの改造案というものは出されておると思うのですけれども、特に建設省としては、この改造案の進捗の状況等については、当然監督あるいは指示をするところの義務、あるいは権利を持っておるのではないか、この点についての御見解をお聞きしたいと思います。
  22. 山本三郎

    山本政府委員 ただいまのお話は、宮崎県の大淀川の霧島盆地水害九州電力の持っております轟ダムとのことでございますが、この問題につきまして、長い間ダムによる水害の問題として、地元九州電力との間にいろいろ議論が戦わされておりまして、そのために水害が惹起しておるという点も認められておったわけであります。それらにつきましては、しばしば補償等も行われておりますけれども、抜本的な対策といたしまして、地元といたしましては轟ダムの撤去を要望されたわけでございます。それから九州電力といたしましても、その水害にかんがみまして、ダムを何とかしなければならないというふうな気持を持っておったわけであります。その間に対しましてこの調整に当ったわけでございます。初め県といたしまして、いろいろとこの調整をいたしたわけでございますが、最後には建設省に参りまして、その妥結を見たわけでございます。その案によりますと、現在の轟ダムは撤去いたしまして、下流に新しいダムを作る。しかも常時の満水位は、現在の轟ダム満水位よりも三メートル五〇低下ということで結着を見たわけでございます。さて建設省といたしましては、どういう観点に立ちましてこれを指導したかということでございますが、主として治水的の観点から、建設省といたしましてはこの問題を指導したわけでございまして、三メートル五〇水位を低下いたしまするならば、その排水は、現在の川の狭い、耕地などのない狭窄部排水が終るということに相なっておりますし、こういうふうにダム改造いたしまして、しかもダムについておりますとびらの操作等を完全にいたすならば、上流に対する水害はないというふうな結論に達しまして、これを指導いたしまして妥結させたわけでございます。ただこのダム改造したのみでは、都城盆地の水害は除去できないわけでありますから、これと合せまして、上流改修工事、あるいは砂防工事等を促進することはもちろん必要でありますけれども、一応は、轟ダム改造の問題につきましては、そういうふうな観点から指導いたしまして、妥結点に到達しておるというのが現状でございます。
  23. 兒玉末男

    兒玉委員 終ります。
  24. 堀川恭平

    堀川委員長 次は、山中日露史君。
  25. 山中日露史

    山中(日)委員 ただいま兒玉委員から水質汚濁に関する問題について質問がございましたから、私も、この問題について若干お尋ねをいたしたいと思います。  この水質汚濁防止の問題は、従来から非常に大きな問題として叫ばれておったのであります。特に最近本州製紙江戸川工場の悪水の流出による漁民との紛争を契機といたしまして、非常に問題が高まってきました。特に最近漁業団体、あるいは農業団体からも、この対策に対する要望が非常に強まっておることは、御承知の通りであります。ところでこの河川法、あるいは鉱山保安法、こういった法律によりますと、この汚水の排出に対する防止のために、相当厳格な規定が設けられておるということでありますが、実際的に、この規定が厳格に適切に運用されておらないのではないかというふうに私どもには見受けられるのであります。特に先般の江戸川工場の問題等について考えて見ましても、ことしの四月に工場が新しい施設を拡充いたしまして、その拡充いたしました工場は、従来より悪い水が出るということが原因となって、あの紛争を起したわけでありますが、そういう工場建設に対しましては、河川法でもいろいろ規定がありまするけれども、どうも工場建設に際して、それを行使する監督官庁である建設省なり、その他の官庁も、つまりその法律の厳格な指導運営というものが足りないのではないか、こういうふうに考えられるのでありますが、その点について、従来この工場建設に対して、地方公共団体あるいは建設省自体が、この法律の運用あるいは監督指導という点について、一体どういう考えを持っており、しかも処置をとってきたか、この点をまずお尋ねいたしたい。
  26. 山本三郎

    山本政府委員 河川法におきましては、御承知の通り、十九条によりまして、河川の清潔に影響を及ぼすおそれある工事は許可を受けしめることができるということに相なっておりまして、それに基きまして、東京都等におきましては、規則を制定いたしまして、取締りを行なっておるわけでございますが、その規則の内容等におきまして不十分なところがあったわけでございます。不十分なところと申しますると、今回の本州製紙の問題におきましても、廃水を出したけれども、それがどの程度有害であるとかいうような点につきまして、漁業組合と工場の間に論争があるがごとく、どの辺の程度の水を出したならば、どの程度の被害が起きるかというような点につきまして、はっきりしたところがわからないために、規定も不十分でございました。従いまして、河川法の取締りにおきましても、率直に申し上げまして、不十分であるというふうに認めざるを得ないわけでございます。従いまして、今回先ほど御説明申し上げました、企画庁が中心となりまして作っておりまする法律におきましては、各地域ごとに水質の基準を作ろう。それができまするならば、ただいま申し上げました法律なり、あるいは規則によりまして、はっきりした取締りの基準ができるじゃないかということに相なりまして、確かに現状におきましては、不十分であるということを認めなきゃならぬわけでございまして、そういうふうな点を補うために、現在立法処置を考慮しておるというのが実情でございます。
  27. 山中日露史

    山中(日)委員 昭和三十三年二月五日の経済企画庁の制定いたしました水質汚濁規制の基準に関する法律、これは、今お話しのように、水質許容量の基準を定めるということ、それからその基準を定める機関の水質審議会、こういうものできめたその水質許容量で放出する。こういうことをただきめただけの法律でありまして、これだけの法律で、今私がお尋ねいたしましたような工場建設に対して、その汚水を流さないようにする、それを防止する、あるいはまたその損害をこうむった人人に対する損害の補償をどうするというようなことは、この法律では全然触れておらないわけで、私どもいろいろな問題を聞いておりますが、損失補償に対して、どうも明確な法律の規定がないわけであります。ただ従来の当事者間の争訟とか、あるいは話し合いできめるということに尽きておるわけでありますが、このようなやり方で、この水質汚濁から生ずるいろいろな紛争をこの法律で一体処理することができるのか、その点のお考えを一つ聞きたい。
  28. 美馬郁夫

    美馬説明員 私、下水道の所管の立場から、ただいまの問題について御回答申し上げますが、もちろん、ただいま経済企画庁が意図いたしております水質汚濁の基準作成だけで、すべてが十分にいくとは思っておりません。ただ現実に、たとえば河川汚濁の原因をなしております鉱山の廃水とか、あるいは工場の廃水、あるいは一般市民の廃水等、いろいろございますが、特にこれは、法律水質基準を作るのも一つの対策だと思いますが、そのほかに、実質上そういう汚濁を出す事業主体なり管理主体側に対しまして、その施設の拡充を奨励するような実質上の方策がありませんと、なかなか効果が期待できないんじゃないかというふうに考えておりまして、私どもの下水道の立場からいたしましても、下水道法は、御承知のように、法律的には一応完備された態勢をとっておりまして、しかも河川汚濁する相当な原因はここにございますので、これを法律制度とともに、実際予算的な裏打ちをしまして、現在御承知のように、わが国におきましては、下水道の普及というのが欧米諸国に比べまして非常におくれておりまして、相当河川汚濁水の流れ込んでおるような状況でございます。この制度を大いに拡充いたしますと、ある程度現在の河川水質汚濁の問題は解消されていくんじゃないか、こういうふうに考える次第でございます。
  29. 山中日露史

    山中(日)委員 先ほど河川局長の御説明によりますると、河川関係汚濁水による紛争が六十四件、しかも、それが関係町村あるいは府県のあっせんによって、この問題を解決しておるんだ、こういう御説明でありますが、一体こういう汚濁水による損失の補償を、今後も各関係町村のあっせんというような形で解決をしていくという考えをやはりお持ちになっておるのか、それとも、これらの紛争解決する特別な機関を新たに設けて、その機関によってこれらの問題を解決する、こういうようなお考えはないのかどうか、この点をちょっとお聞きしたいと思います。
  30. 山本三郎

    山本政府委員 先ほど御説明申し上げましたのは、現状におきましてこういうふうな解決方法をとっておるということでございまして、これを今後どういうふうな処理に持っていくかということは、今後検討しなきゃならぬ問題というふうに考えております。
  31. 山中日露史

    山中(日)委員 これは、私の見解になりまするが、この汚濁水による漁民被害、あるいは農民の被害に対する補償の問題につきましては、従来もあっせん、あるいは当事者間の話し合いで問題をきめるような態度をとってきたのでありますが、この経過を見ますると、どうしてもこういう汚濁水を流す工場というのは、大きな資本力を持って経営をいたしておるのでありまして、その汚濁水によりまして被害をこうむる零細な農民、あるいは漁民というものは、たといその被害に対する要求を掲げて戦いましても、やはり資本力あるいは大きな勢力に押しつぶされまして、そうしてほんのわずかな涙金、あるいは金額で泣き寝入りというようなことで問題が処理されてきておる傾向が非常に強いのであります。そこで私どもは、そういうことの解決では十分でない。しからば当事者にその損害の賠償の争いをさせておくかといいますと、実際問題といたしましては、こういう工場汚濁水による被害というのは、非常に化学的な問題も含んでおりまするし、あるいは産業の発展、工場の誘致という問題と関連をいたしまして、非常に重要な問題であり、非常にむずかしい問題で、こういう問題による争訟を当事者間にまかせておくと、この問題は非常に法律的にむずかしい問題ですし、また長い間裁判で争うというようなことは、とうてい漁民や農民にとっては耐え得られない。ですから、私どもはどうしてもこの水質汚濁による損失の補償等については、従来のただ都道府県のあっせんにまかせる、あるいは当事者間の争訟にまかせるということではなしに、ちょうど今わが国にあります労働委員会のように、一つの機構を設けまして、そこでこの水質汚濁による損害のあっせん、調停あるいは裁定をする、こういうような機構を作る必要があるのではないか。そうしてその専門的な委員会がもしこの裁定に服さざるものに対しては、その補償を強制できる、あるいはまたその委員会が、河川法あるいは鉱山保安法にありますようなああいう権限を持ちまして、そうして委員会の命令によって、そういう施設はできない、これはこういうふうにしなければいかぬというふうに、そこに一つの統一した機構を設けて、水質汚濁の問題を根本的に解決する、こういうふうな考え方はどうしても必要だと私どもは考えておるのでありますが、その点については、いかがでございますか。
  32. 山本三郎

    山本政府委員 この問題につきましては、従来府県におきましては、水産行政もやっておりますし、工場の監督もやっておりますので、県が第一次の調整をいたします。また県だけで処理できない場合におきましては、中央方面の水産庁なり、あるいは通産省と協力をいたしまして、この処理をいたしておるわけでございますが、ただいまのお話の特別の機関を作りましてこれをやっていくというふうな点に関しましては、各省のほかの行政とも関連ある問題でございますので、慎重に研究をしなければならぬ問題ではあると思いますが、お説、十分お聞かせいただきまして、今後検討したいというふうに考えております。
  33. 山中日露史

    山中(日)委員 社会党におきましても、近く単独立法で、この水質汚濁防止に関する法律を提案をいたしたいと実は考えておりますが、事前にこのわれわれの考えております法案の内容について各省の意見を徴しましたところが、建設省は、河川法という法律によってそれぞれの権限を持っておる、先ほどの十九条から二十二条から二十二条にわたる規定によって一つの権限を持っておる。また通産省通産省で、鉱山保安法という法律でその取締り等についての権限を持っておる。また農林省は農林省で、やはりそういう権限を持っておる面もあるようです。従ってその各省が権限争い――そういうものを作ると自分たちの権限がなくなる、だから、お互いの各省が自分たちの権限を奪われるということに重点を置いて、そうしてこういう別個な機構を設けることを反対しておるというふうなことを聞くのでありますが、もしそうだとすれば、まことに遺憾なことでありまして、そういうお考えはむろんないと思いますけれども、各省との調整ということは、ただ行政上お互いの持っておる権限をお互いに調整し合うというだけであって、前と同じように、法律があっても、それは実効を奏さないという結果にやはり陥るのではないか。どうしても私はそういった特別の機関を設けて、その機関がこの損害補償等につきましても調停、あっせん、あるいは裁定をして、そうしてこの問題の紛争解決する、あるいはこの機関がそういった汚濁水に関する施設の変更あるいは禁止、そういった河川法にありますような権限を持つというようにすることは、どうしても必要だと思いますので、その点につきましては、十分に御検討願いたいと思います。以上でございます。
  34. 堀川恭平

    堀川委員長 次に、三鍋君。
  35. 三鍋義三

    ○三鍋委員 最初に、政務次官に若干お尋ねしたいと思いますが、ただいま問題になっておりますところの水質汚濁の件でございます。つきましては、前の第二十八国会におきまして、当委員会において私質問申し上げたのでありますが、根本問題は、河川法をすみやかに改正すべきである。この法律は明治二十九年に制定された、いわば現在においては、動脈硬化症の症状に置かれている法律であります。これをすみやかに根本的に改正すべきではないかということは、当委員会におきまして毎回審議の過程に上っておる問題でございます。これにつきまして、当時大臣がおられませんでしたけれども、官房長から、何とか審議会の議を経てこの問題を解決して、できたらその河川法の改正を一つ打ち出してみたい、こういう意見があったのでございますが、新しい大臣を迎え、そして非常にこういった問題に対して造詣の深い政務次官に、これらに対してどういう熱意とお考えをお持ちになっておるか、一つお聞きしたい。
  36. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまの御質問に対しましてお答えいたしますが、水質汚濁の問題につきましては、過去においてまことに遺憾の点もあったように思います。最近起きました問題につきましては、各関係の役所におきまして緊密な連絡をとって、すみやかに根本的解決をはかろうと今努力中でございますので、日ならずして成案を得ることと思いますが、先国会においての御答弁のその後の経過につきましては、当局におきまして慎重に検討しておるそうでございまして、その経過等につきましては、事務当局からお答えした方がいいと思いますから、当局からお答えするようにいたします。
  37. 山本三郎

    山本政府委員 河川法の改正の問題につきましては、この前の国会におきまして官房長からお答え申し上げました通り、今回大臣もおかわりになりましたので、この点につきましても、事務当局の考えを申し上げまして、さらに研究すべき点もあるわけでございますので、それらを至急検討いたしまして、建設省の態度をはっきりいたしたいというふうに考えております。
  38. 三鍋義三

    ○三鍋委員 私改まってこういう御質問を申し上げるのは、もう毎回の委員会の質問におきまして、大体今と同じような御答弁を得ておるのであります。こうやっていつまでもじんぜんと日時を延ばされておったのでは、結局その被害を受ける立場の人というものは、永久に救われないのではないか、こういう工合に感じますので、本州製紙の問題を中心といたしまして、全国的にこういう声がほうはいとして起っておるのを一つの契機といたしまして、これは一つ真剣に考えていただきたい、そう思うから申し上げておるのであります。私は、派生的のいろいろこまかい問題に触れることはいたしません。政務次官、一つ大臣に、十分この問題と真剣に取り組んで考えていただくように御進言されるとともに、長い間の建設委員会のヴェテランでございますから、一つ相携えてしっかりやっていただきたいと思いますが、この点、いかがでございますか。
  39. 徳安實藏

    徳安政府委員 就任しましてからまだ日が浅いものですから、説明を聞いておる状態でございまして、熱心にただいま検討いたしておりますから、できるだけすみやかに結論を得ますように努力いたすつもりであります。重ねてこういう問題が毎回繰り返されないように、根本的に御満足の行くような解決を早くはかりたいと思いますから、大臣にもよく進言いたしまして、次の機会にははっきりした御答弁のできるように努力いたしたいと思います。
  40. 三鍋義三

    ○三鍋委員 先ほど山中委員からも、そういうことはあり得ないことであると思うけれどもといった非常に穏やかな表現で、この河川法が改正されない  路というものがどこにあるかということを御指摘になっておったと思うのでありますが、河川局長さん、当事者といたしまして、こういった問題に対しましてどういう考えを持っておられるか、もう一ぺん一つ河川局長の立場から率直に御意見を承わりたいと思います。
  41. 山本三郎

    山本政府委員 ただいまのお話でございますが、河川法の全般的な改正という問題と、ただいま問題になっております汚濁等の問題につきまして河川法の一部改正の問題と二つあると思いますが、一部改正につきましては、企画庁で考えております法律が提案されるというようなことに相なりますれば、この分でも、十分に河川法の方も、それに合せまして改正するなり、あるいは政令、省令等を確定するということも考えられると思います。それから河川法全般の問題につきましては、しばしば御説明申し上げましたように、なかなか各省の意見がまとまらないという点がございます。これは、考えようによりましては、各省のセクショナリズムであるとも思われますし、考えようによりましては、河川というものは一体で、一つの省で管理しなければいかぬという考えと、それからほかの省では、目的別に河川の一部を管理しなければならぬ、電気なら電気の面からだけ管理しなければならぬというような考えもあるわけでございまして、これは、セクショナリズムの点もございましょうけれども、一つの河川をどう扱うかという思想的な問題もあるわけでございまして、あながち私どもも、セクショナリズムだけではないというふうに考えております。そういうふうな思想的な、根本的な問題がございまして、なかなか調整がむずかしいというふうに考える点が、この改正の問題の一番大きな点であるというふうに考えております。
  42. 三鍋義三

    ○三鍋委員 今御答弁の通り、非常に各省にわたる問題でありまして、ただ単にセクショナリズムのそういう立場だけでなくして、いろいろな問題があってむずかしいということは、よくわかっておるのでありまして、このむずかしいのをどう打開していくかというのは、この河川改正の問題でありますので、これは、私先ほども申し上げましたように、新大臣を迎えて、私たちは何とかこの問題を解決していただきたいという強い要望を持っておりますので、この点、政務次官に特にもう一ぺん重ねてお願いしておきます。  本州製紙の問題で、私はやはり納得のいかない点があるのでありますが、たとえば経済局の水質検査で、その影響は非常に大きいという結論が出ているのに、これを許可している、こういった点につきまして、もう少しはっきりした都の態度というものがあってしかるべきでなかったか、結果的になりますけれども、こういう点は、一体どういう状態であったのでありますか、そうして一番その犠牲になるところの漁民が、もう生活に追われて、絶体絶命の段階に追い込まれて、これではならないといって陳情をする。陳情をする過程におきまして、一ぺんにそういう乱暴な状態になるものではないと私は思うのでありますが、結局結論的に警察官も出て、そうして多数の負傷者も出るといったような状況になっておるのであります。こういうことは、その結果だけを見ますと、何か非常に乱暴を働いたような形に私たちも見るのでありますが、しかし実際生活上追い込められた立場にある者からすれば、こういうことになることは好ましくないことではあるけれども、どうもお役所のやることは納得できないという感情が先になりまして、こういうあやまちを、自然的に犯す場合も出てくる。これは、一体だれに責任があるのでしょう。こういう点を真剣に考えたら、こういう非常に大きな害があるという結論を出しておるのに、許可を与える、こういうやり方は、私にはどうしてもわからないのでございますが、これに対するところの実際の調査をどのようになされておるか、御答弁を願いたい。
  43. 山本三郎

    山本政府委員 ただいまの点、非常に遺憾に思う点もあるわけでございまして、都におきましてこの問題の処理をいたしました経過を簡単に御説明申し上げますと、ことしの四月になりまして、本州製紙の拡張を行なったわけでございまして、その許可願を東京都に出しまして、工場鉱害防止条例によりまして、都は許可を与えたわけでございます。そのときに害があることを知って出したわけではありません。それは、いろいろの資料等をもちまして、会社が、こういう方法をやりましても漁業等には被害がないということをつけて参って、口頭でもそういうことを言ったから、都はそれを信用して許可をいたした、条件も何もつけないで許可をしたということでございまして、許可を与えたときに有害であることを知りつつ許可をしたということではないのでございます。しかし、その結果排水をやってみると、どうも被害があるというようなことに相なりまして、その後になりまして、東京都は、実際すでに被害が若干起ってから、それはいけない、こういう水を出してはいけないということを、口頭で会社に言ったわけでございます。それで、しばらくはその線によりまして排水をしなかったわけでありますが、問題の起りました六月九日に、そういうふうな約束になっておりながら、排水をしたというようなことの不信行為がありましたために、こういうような騒擾事件になったわけでございます。その間におきまして、早く被害の起きない前に、水を出さないようにさせなければいかぬわけでございますが、その点につきましては、私どもといたしましても時期がおくれまして、こういう騒擾事件の原因が起たということは、非常に遺憾に思っておるわけでございますが、ただいまお話しの、知っておりながら許可を出したということではございませんで、会社の言うことなり、資料なりを信用いたして出したというところに、やはり若干の手落ちはあったわけでございますけれども、故意に悪いものと知りながら許可を与えたということではなかったというふうに、私ども報告を聞いておる次第であります。
  44. 三鍋義三

    ○三鍋委員 ただいまの御答弁には、私は納得のいかない点があるのであります。工場側は、絶対に害を及ぼさないといったことを資料その他で申請したから、それを信頼して許可をされたという点なんであります。これは、相手の言を信頼するということは、お互いに大事なことでございます。大事なことでございますけれども、えてしてこういう大企業といったものは、初めからこれが害がありますといったことを言ってやるような、そういう良心的な企業家は、こう言っては少し言い過ぎかもしらぬけれども、私はやはり資本主義、自由主義経済の立場に立っておる人は、何とかこれはごまかせるのじゃないかといったものを、強く意識的にもせよ、無意識的にもせよ、持っておるのが、今まで私たちの経験している点なんです。こういう問題を、相手の一方的な申請によって、それを、大会社の言うことだから信頼していくという気持は私尊重しますが、やはり万が一のことがあったときにどうするかといった、こういうものがなければほんとうの政治ではないと思う。こういう点につきまして、私はやはり東京都にも大きな責任があるのではないかと思います。今さら過ぎ去ったことをとやかく言うても仕方がないのでございまして、すみやかにやはり水質汚濁防止法を提出していただきたいと思うのです。この問題につきましては、社会党といたしましても、何も一方的にこれをどうこうしようという、そういう立場でなくして、二年前から自民党さんにも話しかけて、共同提案でやろうといった、そういう熱意を示しておったと思うのです。ところが一向に反応がないものでありますから、しびれを切らしまして、二十八国会にこれを提案したのでございますが、解散のためにこれは廃案になったわけです。今度もいろいろと研究いたしまして、この法案を近くこの国会中に出すことになると思いますが、こういった場合、何もこれは社会党とか自民党とかいうそういう問題でないことは、皆さんもよく御理解願えると思うのですが、こういう場合に、一つ自民党の方々も同調していただきまして、共同提案なら共同提案という、そういう方向へ持っていってもいいと思うのですが、この点につきまして、政務次官の御見解を一つお聞きしたいと思います。
  45. 徳安實藏

    徳安政府委員 議員立法であろうと思いますが、いい法律ならば、どこからお出しになりましても、もちろん政府としては、これに協力するのは当り前でありますから、その御意思を尊重して善処いたすように努力します。
  46. 三鍋義三

    ○三鍋委員 自民党さんは、この問題に対してどういう考えでおられるのか、もしお聞き及びでございましたらお聞きしたいのですが。
  47. 佐藤虎次郎

    ○佐藤(虎)委員 ただいま三鍋さんから、汚水に関する問題を、河川改正案のような議員立法か何かでやるが、自民党はどうかというお話でありますが、私も賛成はいたします。ただ私どもの考えておることは、いま一歩前進しておるのじゃないか、いわゆる科学の進歩というものは、非常におそるべき急速度を持っておる、科学の進歩に伴う生産工場の行き方、この汚水施設には、是が非でも河川法の改正をして、資本主義がどうとか社会主義がどうとかいうものではなくて、一般大衆に及ぼす影響を除去するためには、いかなることがありましても、その科学の進歩に並行すべき一歩前進した立法を作らなければならないと、こういうふうに考えていると同時に、私どもも、政調の各位の方々、あるいは専門の方々に十分御協力を願い、御意見を尊重して、その三鍋君の御意見とともにいきたい、こう私は考えております。
  48. 三鍋義三

    ○三鍋委員 この問題につきましては自民党の方々も非常に熱意をもって、何とかすみやかに解決すべき問題である、このように考えておられると、私はただいま佐藤さんの言葉を聞きまして、安心しておるのでありますが、これは、一つ政党政派を超越して、すみやかに根本的に解決すべき問題である、このように考えます。  次に局長さんに、お尋ねしたいのでありますが、今旱魃で、非常にいろいろな問題が起きて困っておるのでありますが、私、この旱魃のあとには、必ずまた風水害といったものがくるのじゃないか。すでに、先ほど御報告がありましたように、島根県、広島県に豪雨が襲来しておるのであります。ここで、非常な雨量のために、堤防の決壊、その他の災害を受けたのでございますが、これは、一体どういうことなのでございますか。少し雨がよけい降れば、必然的にこういう災害を私たちはどうしても受けなければならないのか。何かそこに、当然なさるべきことが、予算その他の関係でなされていなかったから、こういう災害を受けるのか、ここら辺のところに対しまして、建設省はどういう見通しをつけておられるのか、聞きたいのです。これぐらい降って、すぐ堤防が切れて災害を受けるとなれば、安心して生活ができないのでありますが、これは、非常な豪雨なのですか。これを見ますと、危険水位を若干上回っておるようでございますけれども、こういった程度の雨量というものは、私は、そう予想外に大きな雨量ではないじゃないかと思うのでありますが、こういう危険性にさらされているところの河川というものは、相当にあるのでございましょうか。いつもあとから、ああすればよかったんだ、こうすればよかったんだということになるのでありますが、それでは、沿岸の住民はたまらないのであります。こういう点につきまして、最近二、三年間災害が少かったので安心して、ことしも大丈夫だろうなどといったときに、またとんでもない災害を受けるのではないか、こういう工合に考えるのでありますが、全国に少し雨量が多く降った場合に、こういった災害を受けるのはやはり相当にあるのでありましょうか、これは大事な問題だと思います。
  49. 山本三郎

    山本政府委員 今回の災害につきましては、詳細は今後の調査によらないと、どういう点がどういうふうな損害を受けたかということは、はっきりいたさないわけでございますけれども、私どもが今災害報告を聞きまして感じておる点を申し上げますと、今回の災害で一番ひどかった浜田市を流れております浜田川につきましては、まだ改修をしておらない河川であります。それから広島県から島根県に流れております郷川につきましては、広島県内は、直轄河川といたしまして改修中の河川でございますが、いずれも改修をやって堤防のできたところ等につきましては、被害がなかったわけでございます。改修をやろうとしておるところ、弱いと思うところをやろうとしておるわけでございますが、来年あたり着手したいというようなところがやられておるわけであります。  それでは、浜田川のごときものが全国にたくさんあるかというお尋ねでございますが、御承知のように、これらの浜田川のごときは、県の事業といたしまして、中小河川改修でやるべき河川と考えておるわけでございますけれども、ああいうふうな至急改修を要する河川が、全国に千百本くらい現在あるわけでございまして、今までに改修のできております中小河川は、全国で三百本ぐらいですから、やらなければならぬ分の中小河川で始末のできておるものは、二割五分くらいの状況である。従いまして、改修のできておらないようなところに今回のような雨が降りますと、残念ながら被害が起きるというような状況でございます。  それから雨は強いのか弱いのかという点でございますが、昨年九州を襲ったような雨に比較いたしますと、中ぐらいの程度の強度の雨ではないかというふうに考えております。六時間に二百ミリ程度でございますから、昨年の諌早のは、一時間に百二十何ミリ降っておるというふうなものでございますので、今回の豪雨は、異常とは申せないと思いますが、中くらいの洪水を起す雨ではないかというふうに考えております。
  50. 三鍋義三

    ○三鍋委員 そうすると、やはりこれは天災でなくして、貧困からくるところの人災である、こういうことになるわけですか。こういう点につきまして、私は何も小理屈を並べて、局長さんをとやこう言おうとするのではありませんが、とにかくこういったいわゆる改修を要する河川と見込まれておって、それができないでいる河川、これに対するところの、今後の豪雨とか、そういうものに対する対策というものは、当然立てられていなければならないと思うのでありますか、こういう点につきましてどういう指導助言をなされているか、どういう対策をお持ちになっているか、これをお聞きしまして私の質問を終ります。
  51. 山本三郎

    山本政府委員 これらの事業につきましては、県の方でいろいろ資料を作っていただきまして、例の基本対策の十カ年計画ということで作りました基本対策の中には、こういうふうな河川が入っておるわけでございます。従いまして、これらの改修が行われておりまするならば、被害は除却できたわけでございますか、人災、天災の区分は、改修のできておりました分は被害を除去されておるわけでございまして、その付近にも改修された河川がございまして、それらは、人の力によりまして災害を除去したわけでありまして、そういう観点から言いますと、やらなかったために被害を受けたわけでございますが、しかし人災と申しましても、なかなかそこまで予算等におきましても手が回らぬという点を考えますると、人災だと断定するわけにいかない。努力はいたしておるけれども、手の届かないところにそういう災害が起きたというふうに実は私は考えておる次第であります。
  52. 三鍋義三

    ○三鍋委員 なお住宅問題、都市計画に関する質問をいたしたいと思っておったのでございますが、中島委員から、河川関係につきましてもう少し質問をいたしたいと、このようにおっしゃっておられますので、私の質問はまた次回に譲りまして、これで終ります。
  53. 堀川恭平

    堀川委員長 次は中島委員
  54. 中島巖

    ○中島(巖)委員 水質汚濁の問題について、各委員からいろいろ発言があったわけでございますが、そこで河川局長にお尋ねしますが、これは、あなたの方の所管なんですか、どこの所管なんですか。
  55. 山本三郎

    山本政府委員 河川の清潔等の問題につきましては、私どもの河川法によりまして取り締らなければならぬ問題です。そのほかに、農林省関係におきましては水産資源保護法、あるいは通産省関係におきましては鉱山保安法、あるいは一般の港湾区域につきましては港湾法等がございまして取締りをしておるわけでございますが、河川の取締りにつきましては建設省の所管になっております。
  56. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そうすると、主務官庁はどこであるとお考えになっておるのですか。
  57. 山本三郎

    山本政府委員 河川汚濁に関しましては建設省であります。
  58. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そこで問題は結局立法措置がないから、きめ手がないから、こういう問題が起きるわけである。従って立法措置をせねばならぬということで、今社会党でも自民党でも、これについて立法措置を考えておるらしいのです。ところが、この間も河川局から来てもらって話を聞くと、非常に河川局がこれに対して熱意がないらしい。先ほどから言うセクショナリズムの関係でしょうか。これは、何としても基本法は河川法であり、河川法の第十九条だ、こういうようにわれわれは解釈するわけであります。従って、建設省中心になってこの立法措置をとるのが当然だ、こういうように考えるわけです。これは、先ほど三鍋委員からもお話がありましたように、明治二十何年かの法律で、動脈硬化症のような法律だというお話がありましたが、確かにその通りでありまして、基本法はやはり河川法であり、河川法第十九条によって立法措置をとるべきではないか、こういうように私は考えるわけであります。そこでこの十九条以外のことで、中小河川でいろいろな問題が各所に起っているわけです。水質変化の問題、たとえば一つの例をあげますと、私の方に、中部電力の秋大田切第二発電所というのが現在建設中ですが、これは三つの支流を一個所に集めて、五十メートル程度の隧道鉄管路を通ることになっております。既設の発電所がその三支流のうち一支流にあって、約千五百メートルの鉄管路を通っておるわけです。自然水と鉄管路を通った水を比較すると、〇・八度程度水温が低下しておるわけです。これを三本一緒にいたしまして、五千メートル以上の隧道を通ると、約三度近く水温が低下するじゃないか。従って、この大田切川で、四カ村にわたって二千数百町歩の灌漑用水をとっておるけれども、農林省の統計によると、水温が二十度程度において、一度下ることによって二斗程度一反歩で減収するという統計が出ておる。そこで、三度下った場合においては、非常な、何万俵という減収になる、こういうことで問題が起きておるわけなんです。従ってこの水質汚濁の問題も、河川法が基本法とすれば、これらの問題、それらの問題を含んで、建設省中心になって立法措置を講ずべきだ、こういうように考えるのですが、河川局長のお考えはどうであるか。
  59. 山本三郎

    山本政府委員 水質の問題にかんがみまして、建設省といたしても、河川法を改正するなり、あるいは政令、省令等を作りまして、水質汚濁許容基準を定めて、その線に沿いまして取締りをやっていこうという考えも持って進めて参ったわけでございますが、その基準というのが、最近の工場の発展に伴いまして、いろいろとむずかしい薬品を使うようになって参りました。そうして、これにつきましてその基準を作る際におきましても、いろいろの方面の知識を得なければならない。それからまた各所の工場を監督する行政、あるいは漁業を監督する行政方面の意見も十分いれなければいかぬということに相なりまして、その基準等につきましては、やはりそういう方面の各省の意見も聞いて、あるいは学識経験者等の意見も聞きまして、そういう基準は、一つ中心になる総合的なところで作ってもらったらいいじゃないか。その基準に従いまして、河川法を改正するなり、あるいは政令なり省令を出すことによりまして、従来不十分であったところを徹底していこうというのが現在の考えでございます。
  60. 中島巖

    ○中島(巖)委員 非常にあいまいな御答弁で、さらに質問いたしたいのですが、時間がありませんので先へ急ぎますが、実はきょうも十一時開会の予定でしたが、政府委員の出席がおそくて、十一時半にやっと出席した。今十二時四十分でありますが、今後時間を正確に政府委員に出席していただくように、委員長の方から申し伝えを願いたいと思います。  そこで河川局長にお尋ねいたしますが、この天竜川水系の泰阜発電所の水利使用伸長許可に対しまして、地元から訴願が出ておるわけでありますが、この点につきましては、前国会におきまして質問いたし、ここは委員会の速記録があるわけでありますが、この訴願は現在どういうように扱っておられるのか、その点についてお答えを願いたいと思います。
  61. 山本三郎

    山本政府委員 訴願は、目下審理中でございます。
  62. 中島巖

    ○中島(巖)委員 訴願はただいま審理中であるというお話でありましたが、どういうことを審理されておるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  63. 山本三郎

    山本政府委員 問題の内容が複雑でございまして、ダムによりまして、どういう点が直接被害を受けたか、あるいはそれに対する方策等も目下立案中でございますので、それらとあわせましてこの問題を処理していきたいというふうに考えております。
  64. 中島巖

    ○中島(巖)委員 ただいまの御答弁によりますと、ダム関係調査などの審理中というお話でありますから、この訴願は受理されておることは確かでありますね。この点をお伺いしたいと思います。
  65. 山本三郎

    山本政府委員 受理しております。
  66. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そこで、この前訴願の問題と行政訴訟の問題とについてお尋ねいたしたのでありますが、その節建設省のお答えといたしましては、不当の問題と違法の問題に分けて、いわゆる河川法の五十九条、六十条の問題になるのでありますが、直接行政庁並びに主務大臣に対して訴訟の起せるものは訴願をすることを得ず、こういうことになっておるわけであります。そこで、いわゆる願意によりまして、それが訴願として扱うべきものであるか、あるいは訴願として扱わずに、行政訴訟に扱うべきであるかということがはっきりと分れるわけであります。その二つの区別をとっておる。これは不当の問題であるか、あるいは違法の問題であるか、この二つによって行政訴訟にすべきか、訴願にすべきかに分れるのだ、こういうような答弁であったわけであります。そこで、不当の問題と違法の問題に分れるわけでありますが、その不当と違法との見解をどういうふうにとられておるのか、その点をお伺いしたいと思います。次長でもけっこうです。
  67. 曽田忠

    ○曽田説明員 お答えいたします。ただいまお尋ねの件につきましては、前国会におきましてもいろいろ御答弁申し上げたと思っておりますが、まず第一に一般的に申し上げまして、訴願事項と訴訟事項といいますのは、形式的には願意をもって判定するという考え方でございます。まず不当を主張している者があげている事実、あるいはその適用条項が不当という形式にはまっているかどうかということによりまして、一応一次的にはきめております。しかしながら、不当であるという表現がございましても、その内容が、一見いたしまして明らかに不当を主張しておると認めがたい場合、そういう極端な場合は別でございますけれども、一応形式的に不当の実質をそなえておる、そういうことでありますならば、訴願に適する事項として受理して参っておるわけであります。
  68. 中島巖

    ○中島(巖)委員 それについてあとで具体的な質問をいたしたいと思いますが、この前の御答弁では、この新しい行政事件訴訟特例法の、いわゆる河川法の五十九条、六十条の特例によるという御説明でありましたが、現在も建設省は、この特例法によらなければならぬ、つまり行政訴訟を許したものは訴願をすることを得ず、こういう考えをお持ちになっておるのか、それをお伺いしたいのであります。
  69. 曽田忠

    ○曽田説明員 ただいまの御意見通り河川法の解釈といたしましては、第五十九条の第三項にございます「此ノ法律ニ依リ行政訴訟ノ提起ヲ許シタル場合ニ於テハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得ス」という規定がございまして、これが行政事件訴訟特例法の特別規定であるというふうに解しております。
  70. 中島巖

    ○中島(巖)委員 ここにそのときの控えがあるのですが、その控えの八項の中に、「水利使用伸長許可の処分は、河川法第十八条、二十条に違反する違反行為であって、取り消さるべきものである。」こういうふうにはっきりと、これが十八条、二十条の法律違反であるということを、この訴願の中にはうたってあるわけです。あなたの方ではこれを取り上げて受理して、そして現在審理中だというようなお話でありますが、これは、矛盾してはおりませんか。
  71. 曽田忠

    ○曽田説明員 訴願の内容を見ますと、河川法第二十条の趣旨に違反する不当なる処分である云々と、不当という言葉を使っておりまして、願意もそういうふうに不当なことを申しているというふうに解釈しております。
  72. 中島巖

    ○中島(巖)委員 私、これ以上追及することはやめましょう。そこで都市計画局長にお伺いいたしますが、各地で都市計画をやられて――この都市計画法の二十五条、二十六条は、ちょうど河川法の五十九条、六十条と同じ趣旨の立法ですが、そこで、各地でこの問題が起きて、今までずいぶん行政訴訟になっているわけです。都市計画法によりますと、主務大臣が指定することになっている。従って各市あるいは各地方庁は下級官庁で、主務大臣の命令、指令に従ってこれをやらねばならぬことになっているから、建設省が上級官庁、こういうように考えていいと思いますが、この基本的なお考えはどうであるか、お伺いしたいと思います。
  73. 美馬郁夫

    美馬説明員 その通りでございます。
  74. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そういたしますと、各都市でこの問題が起った場合におきましては、あなたの方の指令を得て対処していく、こういうように解釈すべきものだと思いますが、それでよろしいのですか。
  75. 美馬郁夫

    美馬説明員 差しつかえございません。
  76. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そこで、これは法制局の方へもお伺いしなければならぬと思いますが、高松高等裁判所の昭和二十六年九月二十二日の行政処分取り消し請求控訴事件の判決があるのですが、これは被告は今治市長で、原告は蜂谷時一郎、こういうことになっております。そして判決要旨は、「特別都市計画法に基く行政処分に対しては、同法第二十六条により準用する都市計画法第二十五条で訴願が認められているのであるから、行政事件訴訟特例法施行後においては、特別都市計画法が同じく準用する都市計画法第二十六条の規定にかかわらず、訴願の裁決を経ないで、これら処分の取消訴訟を提起することは許されないものと解すべきである。」すなわち、この二十五条、二十六条によるところの特例は、行政訴訟法のたしか第二条だと思いましたが、訴願前置主義をとらねばならぬ、従って直ちに行政訴訟を起した。訴願の裁決を経ないで取消訴訟を起したのだから、これは許されない、こういうふうに判決が下っておるのでありますが、あなたの方では、こういうような趣旨で裁判所に対して申し立てをしたのであるかどうか。すぐお答えはできぬと思いますが、あなたのお考えを一つお伺いしたい。
  77. 美馬郁夫

    美馬説明員 私の方から裁判所の方へどうこう言う問題ではございませんが、ただいま問題になっております河川法と相対する都市計画法の第二十五条、第二十六条の考えでございますが、私どもの方の考えといたしましては、問題は、違法な訴願の場合であると思いますが、そういう違法な訴願でありましても、建設大臣が受理するというふうな立場を、都市計画法といたしましてはここずっととっております。
  78. 中島巖

    ○中島(巖)委員 非常に時間がないので、それに対していろいろ反問もいたしたいのでありますが、急ぐことにいたしましょう。  それから、これは昭和二十九年七月十七日の前橋地方裁判所の判例でありますが、これも、同じく訴願の裁決を経た後でなければ訴訟を提起することができない、こういう判例があるわけであります。非常に法律論になって、他の委員の方は大へん御迷惑だとは思いますが、実は、これは現在のダム関係において各所において起っておる問題で、しかも最後はこれがポイントでありますので、はっきりいたしたいと思うのです。そこでこの判決といたしまして、「都市計画法二五条二項は、同法により行政裁判所に出訴することができる場合には主務大臣に訴願することができない旨規定しているが、右規定は、行政裁判所の廃止とともに法律上死文化したものと解すべきであるから、右規定の準用される特別都市計画法に基き県知事がした移転命令の取消訴訟は、本条により、主務大臣の訴願裁決を経た後でなければ、提起することができない。」いわゆる行政訴訟を起しましても、こういうふうに訴願を経た後でなければ行政訴訟を提起することができないというような判決があり、さらにこれが理由といたしまして、はっきりと「行政裁判所の廃止せられた後に於ては法律上死文化したものと解するのを相当とする。」――これはあまり長くなるので読みませんけれども、こういう判例が幾つかあるわけであります。  そうかと思いますと、昭和二十七年十二月二十五日の和歌山地方裁判所の判例におきましては、いわゆる特例を尊重して、訴願前置主義は排除されたものだ、こういう判決が下されておるのです。判決の主文だけを読みますと、「都市計画法二五条二項は、同法により行政裁判所に出訴することができる場合には主務大臣に訴願することができない旨規定しているが、右規定は、「行政裁判所」を「裁判所」と読みかえて、現在においても存続しているものと解すべきであり、従って、右規定の準用される特別都市計画法に基き県知事がした換地予定地指定等の処分に対しては訴願が許されないから、右処分の取消訴訟は訴願手続を経ないで、直ちに提起することができる。」こういうように、裁判所におきましても相異なった二つの判例があるわけであります。それからある裁判所におきましては、訴願でも行政訴訟でも二者いずれをも選択してよろしい、こういう判決もあるわけです。これは、私の方ですでに訴願をし、また行政訴訟も起して、すでに六回も公判の終っておるところの問題と関連するものであります。  ただいまの河川局長並びに計画局長などとの質疑応答の過程におきまして、大体の様子はわかったと思いますので、法制局としての御意見はどういう御意見であるか、承わりたいと思うわけであります。
  79. 亀岡康夫

    ○亀岡説明員 お答え申し上げます。ただいま中島委員からるる判例をおあげになりまして御説明になりました通りでありまして、河川法の五十九条の三項、それから都市計画法の二十五条第二項の解釈につきましては、下級裁判所の判決が区々にわたっております。またいまだに最高裁判所の判決も出ていないような状況でございます。そこで行政当局といたしましてこれをいかように解釈するかということは、おのおの理由のあるところかと存じますが、さらに十分検討しなければならないかと存じております。従って、ただいまのところは、どちらの解釈が正しいということを、この際断定して申しかねるような次第でありまして、はなはだ恐縮でございますが、この程度の答弁でお許しを願いたいと思います。
  80. 中島巖

    ○中島(巖)委員 法制局がそれでは困るじゃありませんか。こんな大問題が下級裁判所で二つの相異なった判例を出しておる。それに対して、いやしくも法制局が、法制局の意見としてはこうだということを――従いまして、私はこれらの内容を前もってあなたの方に知らせて、研究してくれるようにお願いしてある。法制局の御意見を御発表願いたいと思います。
  81. 亀岡康夫

    ○亀岡説明員 もちろん前もってお知らせをいただいておりましたので、都内でも十分研究はいたしておったのでありますが、先ほど来おあげになりましたように、判決が両方に分れておりまして、いずれの判決もおのおの主張する理由――この理由がどちらが間違いであり、どちらが正しいということをにわかに断定ができない。従って、このように裁判所でも、解釈がまちまちできめかねるような問題につきまして、われわれのとこころでこうだということを――私見として申し上げれば別でありますが、公的な解釈として申し上げるべきではないし、また段階でない、こういうふうに存じております。
  82. 中島巖

    ○中島(巖)委員 はなはだ遺憾でありますが、これ以上質問しても仕方がありません。これでやめます。
  83. 堀川恭平

    堀川委員長 それではちょっと政府委員に申し上げます。いろいろ要望もありましたが、衆議院としては、開会十分前に来てくれということになっておるのでありますが、今までの委員会相当寄りが悪かったのでありますが、今回からの委員会は、皆さんが来る前に定数が足りておるのであります。どうぞ今後とも気をつけて出席を早くやっていただきたい。  それでは本日はこの程度で散会いたします。次会は公報をもってお知らせ申し上げます。     午後零時五十九分散会