○帆足
委員 ただいまの御
答弁でわかりましたが、それはやはり五稜郭と同じようにお
考えである。五稜郭と同じ問題ならば、私は、これはバンドン
会議に参加している国としては他国が干渉すべき問題でなかろうと思うのですが、この問題に対して
先ほど外務大臣は、
日本政府は中国に対して敵視政策もとっていなければ二つの中国という陰謀に加担する意思もない、こういうお話でしたが、ところが
アメリカはどうかといえば、善悪は別ですが、
アメリカの現
政府自身の
考えからいえば、中国に対して敵視政策をとっております。
アメリカは二つの中国という政策に対してあらゆる
努力を傾注しておる。
アメリカが中国に対して敵視政策をとり、二つの中国という観念に対してあらゆる
努力をし、それを基本戦略として
アジアに対して膨大なる軍事基地を作っている。そうすると、
日本は中国に対して敵視政策をとらず、二つの中国という観点をとらないとするならば、
アメリカの
極東政策と
日本の
極東政策とは天地雲泥の相違がある。どうしてこれが同盟し得るか。このままの状況をほったらかしておいて、どうしてよき
関係を結び得るか、私はまことにこれは懸念にたえないことであると思う。従いまして、
日本の
立場が
アジアの一員であり、そして植民地の解放、民族の独立、
内政不干渉、そして大国主義によらず力を基礎とせずして、論理と友愛で
解決していこうという
アジア諸国と歩みをともにして、そしてまたそれが国際連合の精神に沿うものとし——国際連合がとうといのは、今日国際連合が大きな役割を果しておるからではなくて、
アジアの人類にとって国際連合の歩みが正しい方向を示しておる、そしてそれが
アジア諸国の歩みとも矛盾せず合致する。矛盾するのは、従来膨大な植民地を支配していた
米英帝国主義の国々は、これは歴史の伝統によって、過去の
世界においてよき生活をしておった国々ですから、私は矛盾を感ずることはやむを得ないことであろうと思います。その
日本が、中国に対して敵視政策をとっておる
アメリカと無条件的な
安保条約を結んで、そして
金門、馬祖の問題が拡大したときには、
日本から
アメリカの飛行機が爆弾を載せて飛び立ったところでどうすることもできないというようなことでは、これはまことに危険なことであると思う。今原爆や水爆の時代になり、人工衛生の時代になり、
安保条約を結んだときとは、戦術的にいえば千年の隔たりがあるような変化を来たし、また東南
アジア諸国の民族感情においても百年以上の進歩を示し、またヨーロッパの多くの国々も、原子力のもとに生きる
諸国民のあり方について深い反省が今行われておるときでありますから、私はもう十年一昔前に結んだ
アメリカとの
関係はこの辺で明らかに再
検討する必要があると思う。すなわち、ほうはいとして今興りつつある東南
アジア諸国と肝胆相照らして話し合うこと、中国と
日本との間にいろいろ断層がありますけれ
ども、やはり話し合いをしてみること、それからヨーロッパの多くの小さな国々が持っておる平和への意思を大いに確かめてみること、そしてその基礎のもとに
日本と中国との
関係、
日本と東南
アジアの
関係を
調整し、また貿易の道を発見して、同時にその新しい
事態に基いて、民族的気魄をもって、また論理をもって
アメリカとの
関係を再
調整することが、保守政党の
立場にとってもいよいよ必要になってきたのでないかと思います。二大政党ということは、一応論理としていいことですけれ
ども、今日国政を担当しているのは保守政党ですから、そして今日この困難な
事態のもとでは同じ保守政党の中でも三つ四つ
意見の流れが分れることは真実に即しているものだと思うのです。ですから、大いに論争せられて、そしてこの重大な転換期に対して新しい
方針で進むこと、すなわち岸内閣の
外交政策の一大転換を行うことが、私は
日本民族のために必要であるから、社会党としては岸内閣の政策転換を要望したい、こう思って質問しているわけです。従いまして
金門、馬祖の問題に対して、第一には
日本から自動的、機械的にいつでも飛行機が飛び立つような態勢を、一体
外務大臣は危険とお
考えにならないのか。将来
安保条約改訂のときには、
日本が承認した場合にそういうものが使い得るのであって、承認しないときには、
日本の基地からそういうことに勝手に
武力を行使することはやはり制約せねばならぬと思いますが、その意思があるかどうか。たとえば今度
金門、馬祖の問題が不幸にしてもし拡大したようなときがあるとしたならば、
英国の世論の示しているように、このとき賛成するのは李承晩だけである。
英国が賛成せず、フランスも賛成せず、
インドも賛成していないのに、
日本がこれに力をかさねばならぬとしたならば、これは安全保障条約でなくて、今や不安全保障条約といわねばならぬ。不安全保障条約に対してわれわれが協力する——これは私は過去をとがめるものでないけれ
ども、やはり歴史の舞台が変ってきたと思うのです。今保守党の中の同僚議員からも、やはりこの
安保条約については民族独立の
立場から話し合う必要があるということの御
発言があったのですが、私は一般の
日本国民は一そうそれを期待しておると思うのです。不安全保障条約になっておるということは、一定のものが他の条件になると
反対物に転化するということは社会科の歴史でよく習うことですが、
情勢、環境の変化のためにこういう状況が明らかに起っておる。従って、昨日も佐多忠隆君が中国側の
意見をいろいろ伝えております。この問題については理解しやすいところもありますし、理解しがたい点もあろうと思いますが、これは他国のことです。しかしこれを総じてわれわれが
考え得ることは、中国と
日本との間に大きな断層ができておるということです。この断層は客観的条件の変化からきておることは明らかです。せめて
日本が
インドやナセルなどと肝胆相照らすような
立場に立つならば、私は中国の問題も話し得る条件には来得るものと思います。
インドは御承知のように、貧しいけれ
どもその精神的気魄においてはだれからも軽べつされておりません、尊敬されております。しかしその
インドはやはり
英国と適当に国交の
調整をはかっておりますから、イギリスと国交の
調整はできておるわけです。しからば
日本が
アジアの一員としてネールと相匹敵するほどの平和の意思と気魂を持って立ち上ったとしても、
アメリカと話し合えないはずはない。私は保守政党の限界のもとにおいてもそれができないはずはなかろうと思うのです。そういう点から言いますと、われわれも大いに
努力しますけれ
ども、一体保守政党の諸君に民族独立の気魄ありやということを私は疑いたくなる。保守政党も
日本の保守政党であるから、保守政党の恥は一面からいえば社会党の恥、国民の恥ともいえる場合が往々あるわけです。従いまして今度の
国連の問題は私は大いに国民を啓発し、刺激したことと思います。またこの機会に藤山
外相が実業界並びに文化人出身の大臣として大いに
努力された、その跡は私は国民からよく理解されておると思いますが、しかしここでとどまったならば結局両岸
外交、よろめき
外交に終ってしまうのであって、一歩進んで、どうしても岸内閣に
外交政策の転換をわれわれは要求せねばならぬ。その転換ができないならば、社会党は国民とともに全力をあげて保守政党と全面的に戦う以外に道がない、こういう決意をせざるを得ないところに来ておるわけであって、これは社会党がただ高い姿勢とか、低い姿勢とか、そういうはね上りで言うことでなくて、国際
情勢の大きな変化をまのあたりに見て、この大きな国際
情勢の変化、宇宙の世紀始まるといわれておる時代の
外交に対処しておくれをとらないようにするのには、どうしても一大転換の必要に迫られておるということを痛感する次第でございます。
従いましてお尋ねしたいことは、第一に
日本から
アメリカの飛行機が
金門、馬祖の問題などで飛び立つということに対して
英国も
反対し、フランスも
反対しておるような
事態に対して、そういう軽率なことをされることには
反対であるという申し入れをする意思があるかどうか。それから
アメリカの
介入自体に対してやはり
英国と同じような
態度をとって、
アメリカをいさめる気持があるかどうか。それから
日本の
政府に、この問題がもし拡大する場合に協力を求めるときには、われわれはそれに積極的に協力するわけにいかないというような
態度を今から示される必要が私はあると思います。さらに第四には、従ってこういう矛盾をはらんでおりますから、どうしても
安保条約を、保守政党の
立場から見ても、
日本国民の幸福のために、不
安保条約にならないように——不安全保障条約を結ぶことはばかなことである。保守政党の
立場からでけっこうでありますから、
日本民族の安全のためにこれを再
検討する意思があられるかどうか、この四点を伺いたい。