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1958-08-16 第29回国会 衆議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年八月十六日(土曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 天野 公義君 理事 木村 俊夫君    理事 長谷川 峻君 理事 堀内 一雄君    理事 井岡 大治君 理事 土井 直作君    理事 正木  清君       井原 岸高君    生田 宏一君       宇田 國榮君    大久保武雄君       小淵 光平君    川野 芳滿君       菅家 喜六君    小泉 純也君       小林かなえ君    高橋 英吉君       高橋清一郎君    羽田武嗣郎君       前田  郁君    久保 三郎君       杉山元治郎君    館  俊三君       山田 長司君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 永野  護君  委員外出席者         防衛庁書記官         (防衛局第一課         長)      高橋 幹夫君         大 蔵 技 官         (主計官)   鹿野 義夫君         運輸政務次官  中馬 辰猪君         運輸事務官         (航空局長)  林   坦君         運 輸 技 官         (航空局技術部         長)      關口規矩二君         運 輸 技 官         (航空局技術部         検査課長)   大澤 信一君         海上保安庁長官 島居辰次郎君         参  考  人         (全日本空輸株         式会社社長)  美土路昌一君         参  考  人         (全日本空輸株         式会社常務取締         役)      福本 柳一君     ————————————— 八月十四日  委員松岡駒吉辞任につき、その補欠として伊  藤卯四郎君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員小枝一雄君、關谷勝利君、原健三郎君及び  三池信辞任につき、その補欠として井原岸高  君、小林かなえ君、大久保武雄君及び生田宏一  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員井原岸高君、生田宏一君、大久保武雄君及  び小林かなえ辞任につき、その補欠として小  枝一雄君、三池信君、原健三郎君及び關谷勝利  君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 八月十四日  運輸委員会開会要求書全日空旅客機遭難事件  並びに志免炭鉱払下問題につき直ちに委員会を  開会致されたく、衆議院規則第六十七条第二項  の規定により左記連名にて要求します。   昭和三十三年八月十四日  運輸委員長塚原俊郎殿      運輸委員                 井岡 大治                  土井 直作                  正木  清                  池田 禎治                  久保 三郎                  島口重次郎                  杉山元治郎                  館  俊三                  中崎  敏                  山田 長司                  伊藤卯四郎      ————————————— 本日の会議に付した案件  空運全日本空輸機遭難事件)に関する件      ————◇—————
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先だちまして御報告申し上げます。長らく本委員会委員でありました松岡駒吉君が、去る十四日不幸病のため逝去せられました。本委員会に席を同じくするわれわれにとりまして、まことに痛惜にたえないところであります。ここにつつしんで哀悼の意を表したいと存じます。  また、全日本空輸機事故により発生した多数の遭難者方々に対しましても、この際深く哀悼の意を表したいと存じます。     —————————————
  3. 塚原俊郎

    塚原委員長 それでは、これより全日本空輸機遭難事件について、永野運輸大臣より発言を求められておりますので、この際これを許可いたします。永野運輸大臣
  4. 永野護

    永野国務大臣 去る八月十二日に全日空飛行機事故を起しまして、多数の皆様方に言いしれぬ悲しみの種をまきましたことは、何とも申し上げられない、実に遺憾千万なことだと存じております。あとに残られたる遺家族方々の御愁傷はもちろんでありますけれども一般日本国民全体にわたって飛行機交通に対する非常な不安の念を持たれたことは、実に残念千万に存じておるのであります。私はあらためて心から遭難者遺家族皆様方哀悼のお言葉を述べたいと存じております。  むろん私どもは、今後なおまだあるいは生存者がどこかの島にたどり着いておられるかもしれません、しかしおそらく大多数は遭難されておるのではないかと非常に心配いたしておるのであります。従いまして、ただいまのところでは全力をあげてその遭難者の救済あるいは捜索、これを継続して参りたいと存じます。全力をあげて尽したいと存じております。その後には、今度は再びこういう間違いを起さないように万全の対策研究したいと思っております。今日、事件発生後いろいろな点で不十分な、特に遺家族方々の御満足のいかない点があったと思いますけれども、われわれは全力をあげてその救難事業に尽したつもりでございます。従いまして、そのあと対策を考える余裕がなかったというのが実情だと思います。あとをどうするかというよりは、目先に起つておりまする遭難事故を、少しでも一人でもまず救い出したいと考えておつたのであります。しかし遺憾ながら今日まで生存者をわれわれは救い出すことができませんでした。せめてもの心やりとして、遺骸だけでもぜひとも探し出したい、それに万全を尽したいと存じております。しかる後に、今度はどうして将来こういう悲惨事を再び繰り返さないようにするかという点にわれわれの努力をしぼりたいと考えております。  それには一番大切なことは、機体を探し出すということがその原因を探求するのに最も大切なことだと思いますので、何とかして機体を探し出し、それを引き揚げたいと考えております。しかる後に、われわれの技術陣を総動員いたしまして、どういう理由でこんな悲惨な事実が起つたかということを的確に把握いたしますとともに、それの対策を具体的に考えていきたいと存じておるのであります。この点は大体技術的の話でありますけれども、昨日の閣議におきましても、そういう技術的の問題のほかに、政治的にあるいは政策的に考えなければならぬ問題がたくさんあると思います。総理初め、この点は非常に関心を持って、その善後処置を考えておりますので、早急に飛行機事故対策委員会というものを相当大がかりにこしらえまして、再びこのようなあやまちを起すことのないように研究いたすつもりでございます。  繰り返して言うようでありますが、単に技術面だけでなくて、その機構上、政治経済の運営上われわれとしては考えなければならない点があるのではないか。その研究委員会に諮問いたすつもりでおります。こまかい技術的の問題で、飛行機事故が起る前の経過、それから事故が起りましてから後の救難作業がどういうふうに行われておつたか、さらに今後どういう方針でわれわれはこの捜索を続けていくかという過去と現在と将来にわたる具体的の対策は、事務当局から詳しく御説明させまして御了解を得たいと存じております。  最初に一言この遭難事故の多数の犠牲者遺家族方々に対して、心からなる哀悼言葉をささげますとともに、日本全体の大衆に非常に不安な念を与えたことをいかにも申しわけのないことと存じますので、それを一言申し述べさしていただいた次第でございます。どうぞ御了承を願いたいと思います。
  5. 塚原俊郎

    塚原委員長 なお、本日は当委員会参考人として御出席になっておられます全日本空輸株式会社社長美土路昌一君より発言を求められておりますので、これを許します。美土路昌一君。
  6. 美土路昌一

    美土路参考人 私は今回不測のあやまちをいたしました全日本空輸社長美土路昌一でございます。  ただいま運輸大臣からお話のありましたように、今回の災いは、特に御本人はもとより御遺族方々の御胸中を拝察いたしまして、まことに相済まぬことと存じておりまするとともに、私どもがせつかく日本民間航空を一日も早く発達をいたさせたいと思いまして微力をささげながら、逆の効果になりまして、皆さんに非常に不安な影響を与え、またその事故の問題につきまして国民方々に非常な御心配をおかけいたしましたことについて、責任の重大を深く痛感いたしておる次第でございます。  原因調査につきましては私どももできまする限り調べておりまするが、当面の問題といたしまして——初めは一縷の望みを持ちましてどこかに不時着をいたしておるのではないかということから、飛行機の性能及び操縦士技術の上から考えまして、その望みを持って捜索をいたしましたが、ついに最悪の場合に至ることに相なりました。その後引き続き善後処置に、社員はもとより全力を上げるのは当然でございますが、航空局を初めといたしまして海上保安庁防衛庁その他の関係方々もまことに言語に絶する捜索救難作業にお当りをいただきまして、今日に及んでおる次第でございます。  さような次第でございまして、この責任につきましては、いかなる言葉をもちましておわびを申し上げても足りないと自責をいたしておるのでございますが、たまたま本日、国民の代表としておいでになりまするこの国会において、その専門の運輸委員会が開かれるということを承わりまして、せめて面を冒してこの会に出まして皆さんおわび言葉を申し上げさしていただきたい、かように委員長に申し上げましたところ、それでは出てくるようにとその機会をお与えいただきましたことをまことにありがたく存じます。  幾たび繰り返しましても私ども気持は足りないのでございますが、運輸大臣お話しのように、もしこれが契機となりましてほんとう国内国際を問わず、航空の安全ということが期せられまするようなことになりましたならば、なくなられましたお方々のせめてものお慰めになるのではないかと存じておる次第であります。まことにこういう事態を発生いたしまして、私といたしましてはいかなる言葉をもちましてもお許しは得られないと思いまするが、私の気持をおくみ取りいただきたい、かように存ずる次第であります。ほんとうに申しわけのないことをいたしました。心からおわびを申し上げます。
  7. 塚原俊郎

    塚原委員長 次に林航空局長より、現在までに判明した経過等につきまして説明を求めます。
  8. 林坦

    林説明員 御指名によりまして、ただいままでに判明いたしております事故発生経緯を御説明申し上げます。  全日本空輸所属の第三十五便JA五〇四五、型はダグラスDC3型でありますが、その航空機は、機長舟木和徳、副操縦士村尾新操縦によりまして、スチュワーデス南部芙美、及び旅客三十名を搭載いたしまして、離陸重量は二万五千八百ポンドの状態所定飛行前の点検を実施した後、昭和三十三年八月十二日十九時五十三分東京国際空港出発し、小牧飛行場へ向つて飛行を行なつたのであります。  同機は、高度六千フィートで館山ホーマービーコンの上を二十時九分に通過し、続いて大島レンジビーコンの上を二十時二十四分に通過し、当時対地速度は百三十八マイルと大体推定されますが、その際東京航空交通管制局——これをわれわれはセンターと呼んでおりますが、そこにただいま申し上げましたことと、それから浜松ホーマービーコン通過予定を大体二十一時一分と報告いたしまして、センターはこれを確認いたしております。  大島レンジビーコンを通過いたしましてから、同機は第一発動機——これは左の発動機でありますが、第一発動機が不調を来たしましたので、東京国際空港に引き返すべく、二十時三十六分その付近を五千フィートの高度で小牧から東京国際空港に向けて飛行中の全日空所属JA五〇三九号機、その機長園山鋭一を中継して東京センター報告し、管制指示を要求いたしております。センターは直ちに同機に対して、木更津ホーマービーコンまで許可する、大島まで直航、六千フィートを維持せよという管制指示を与えております。次いで同機センターに対して、木更津まで直航したいと管制指示を要求したのであります。直ちにセンターは、木更津まで直航、高度は六千フィートを維持という許可を与えております。しかし同機は高度が五百フィート低下しておるので、五千五百フィートの高度の維持を要求し、そしてその許可を得ております。次いで同機は、東京国際空港までの直航を要求いたしておりまして、そこで直ちに許可を受けております。同機東京国際空港管制搭連絡を保持するために、管制搭周波数に切りかえて連絡を試みたのでありますが、どうも連絡ができなかったらしく、再び東京センター周波数に切りかえております。  二十時四十三分、同機センター緊急事態——これは私どもエマージェンシーと申しておりますが、その状態通報いたしますとともに、引き続いて二十時四十四分、JA五〇三九の僚機に対しまして、第一発動機は停止した、ジャイロ・アウトである、旅客は満載である、今から東京国際空港に引き返す、もし帰れなければ木更津へ着陸する、高度は四千フィートだ、センターに方位を要求したが応答がないということを日本語で通報いたしまして、以後JA五〇三九との通信はそこでとだえております。  センター緊急事態通報を受けた後、さらに交信を試みたのでありますが、五〇四五の通信はとぎれとぎれでございました。それがちようど二十時四十八分ごろでありました。通信状態は非常に悪かったということでございます。  その後センターは厚木、東京横田レーダー、及び防空レーダー捜索を依頼いたしましたが、五〇四五と認められる機影は発見できなかったのであります。  現在までのところ、その後同機は失速して墜落したものであるか、また降下を続けて不時着水したものであるかということは、まだ不明でございます。  十三日の十一時五十五分、海上自衛隊警備艦によりまして、利島の三百二十七度、北々西でございますが、九・ニマイルの海上で、座席と機体の破片多数が発見されました。それ以後遺体十五が巡視船に収容されておるのであります。これが大体最初からの経緯でございます。  それに今申し上げました状態捜索救難関係から申し上げますと、八月十二日の二十時四十七分、東京コントロールセンターから、JA五〇四五機と無線連絡がとれなくなつたが、あなたの方の航務課には何か情報がないかという問い合せがあったのであります。それから二十時四十八分には、名古屋航務課へ、テレタイプにより、JA五〇四五機についての情報有無をさつそく照会いたしております。そうして東京航空気象台へ、東京—小牧間の気象もチェックいたしております。ただいま申し上げておりますのは、少し前後いたしましたが、東京羽田航空保安事務所がこの当時とつてつた処置でございます。二十時五十分になりまして、全日空十六便、JA五〇三九機の機長園山氏から、会社専用周波数によって、JA五〇四五機が左側エンジンが故障のため東京に引き返すとの連絡があったという通報がございましたので、東京センターに、東京管制塔にその情報通報し、今後の情報の入手があり次第、羽田航務課通報するように要請をしたのであります。九時五分、東京センターすなわち入間川のセンターから、JA五〇四五機との交信が不能となつた、なお、この飛行機左側エンジンが不調であるという連絡があった、そういう連絡がございましたので、その前の情報と考え合せまして、気象状況から判断して、大体九時三十五分ごろ東京に着陸するものとこちらは推定を加えたのでございます。そうして東京管制塔にその後の状況を尋ねたのでありますが、まだ何も通信がないということでございました。それが二十一時十分であります。二十一時二十分には、もよりの飛行場不時着することも考えられましたので、東京管制塔を通じまして木更津管制塔問い合せるように指示いたしましたが、木更津管制塔は十八時までが運用時間なので連絡が不能であるという回答がありました。木更津はその当時連絡が不能でございました。一般電話により、木更津航空標識所不時着有無調査を指示いたしました。また海上保安庁救難課に、館山飛行場不時着有無問い合せました。また一般電話によりまして、藤沢飛行場にも問い合せましたが、そのときまでにはないという回答があったのであります。また大島航空標識所にも連絡しましたが、これは連絡がちょっとつかなかったようであります。また名古屋航務課に、テレタイプによりまして情報有無について照会いたしております。それらをやりましたが、結局二十二時ごろ木更津館山から、不時着はその辺にはないという通報がありました。このようにこの近傍の飛行場その他不時着しそうな場所についての照会をやつたのでありますが、これはもう行方不明であるというふうに判断いたしまして、東京センターBスタンドを通じて米空軍捜索救難機関捜索機出動を要請いたしたのであります。なお二十二時十分に、海上保安庁のオペレーションに捜索機及び捜索船艇出動を要請いたしました。それから二十二時十五分に、海幕の方にまた出動を要請いたしております。  こういうふうに大体この手続は、捜索救難に関する手続に従いまして、ほとんど間断なく行われておつたのでありますが、大体二十三時四分ごろ、米空軍機はジョンソンから出たという報告を受けております。また浜松のヘリコプターは、ちょっとその当時出動不能でございました。これは明野の方へ移動しておったようでありまして、その方はちょっとできないから、横田米空軍機出動を依頼したということを航空幕僚監部から連絡がございました。警察庁にも連絡をとりまして、沿岸その他の情報収集をお願いいたしたのであります。その後は巡視船その他が出ております。これによって具体的な捜索活動移つたのでございます。また当夜僚機としてすれ違いました航空機は、二十三時五十分には再び羽田国際空港から飛び立ちまして、この航空機の行方を捜索したのでありますが、何しろ暗夜のことではあり、十分に視界等もとれなかったのでございましょう。やがて帰って参りました。それから翌朝になりまして全体をあげて捜索移つたのであります。それが翌朝の捜索に入るまでの模様でございます。その後の状況等につきまして捜索の具体的の面につきましては、海上保安庁及び海上自衛隊米軍機、それからたまたま参っておりました航空大学校の飛行機、また各新聞社航空機その他のものがこれに加わりまして一斉に捜索が行われたのでございます。
  9. 塚原俊郎

    塚原委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。  なお、きようは質疑者が大へん多いのでございますから、どうぞ重複がないよう、なるべく簡潔にお願いいたします。  堀内一雄君。
  10. 堀内一雄

    堀内委員 このたびの全日空事故は、躍進途上にあります日本航空界、ことに永野大臣が非常な積極的な考えを持ってやられておる折さきでもありまして、私は日本航空発達のために非常に遺憾に存ずるのでございますが、これにつきまして運輸大臣並びに関係者当局に若干の質問をいたしたいと思います。と申しますのは、私はこのたび遭難されました多くのみたまに対して心から哀悼の意を表しますとともに、御遺族に対する御慰問の上につきましても、このあやまちを再びしないようにすることが最もよいお慰めではないかと存ずるのでございまして、そういう意味からただいま運輸大臣が、今後の問題について、永久的の問題については協議会等作つて今後十分の研究をするという閣議の決定のお話がありましたが、これはまことに当を得たことでございますが、その資料にもと存じてわれわれの疑問といたすような点についてお伺いいたしますので、一つこの際ほんとうにざつくばらんな御回答を願いたいと存ずるのでございます。  そこで、ただいまの御報告をお伺いいたしましても、今度の事故は完全に機材の問題に属するようでございますので、そういう意味から、新聞紙上等に伝えられておるところにおきましても、出発以前における機材点検といったような点においてあやまちがなかったか、この点につきましては技術本部長なりそういう方からお伺いしたいと思います。
  11. 關口規矩二

    關口説明員 機長が、機体装備品及び燃料については整備が確実に行われていることを確認いたしております。東京を離陸する前に仙台及び千歳へ飛んでおりますが、仙台では作動点検目視点検、取りつけ状態点検寸度測定、ドレーン点検操縦席点検発動機試運転、それから燃料の量、同じように仙台から朝東京に引き返しまして、九時五十分にも同様の点検をいたしております。なお千歳から戻つて参りましたときに、十九時十分に同様の点検をいたしております。それを機長は確認しておるという報告を受けております。
  12. 堀内一雄

    堀内委員 ただいまのお話機長はそれを確認しておるということでございますが、機長はもちろんでございましょうが、会社というか、飛行場というか、そういうような方面においてこの点検組織と申しますか、系統と申しますか、責任者、そういうものの関係はどんなふうになっておりますか。これを要すれば美土路社長がお見えのようでありますから、そのいずれでもよろしゅうございます。
  13. 美土路昌一

    美土路参考人 私の方の福本常務から御説明申し上げます。
  14. 福本柳一

    福本参考人 私は全日本空輸福本柳一と申します。  整備の概況について申し上げます。技術上のこまかいことにつきましては、会社の直接その衝に当る責任者でなければわからぬのでありますが、整備関係の、会社で持っておる全般について申し上げますと、職員は百名でこれに当つております。そうしましてこれは整備規定上要求されております有資格者がなければならぬのでありますが、この点につきましては百名のうち五十六名が、国家試験に合格いたしております整備の有資格者としてこれに当つておりまして、その余は補助員であります。従いましてこの五十六名のうちには大部分が、四十余名が二等整備士でありまして、八名が三等整備士というような順序で、水準といたしましては要求されておるところの資格を十分に満たしておると考えておる次第でございます。  それから組織といたしましては、ライン・メーンテナンス班、それからチェック班修理班、それからビルド・アップ班、その他まだ多少の分れはありますが、さように分けておりまして、運航をいたす場合におきましては、このライン・メーンテナンス班がこれに当るわけでありますが、これは最も重要なものでありまして、絶えず交代制をもちまして、それぞれ班長のもとに数名が配置されまして、出発の前、出発の後必ずこれを点検するようにいたしておる次第でございます。当日の五〇四五の点検につきましては、羽田におきまして責任者に私は直接聞いて参つたのでありますが、所定点検は完了いたしたと申しております。それから千歳から五〇四五機に乗りまして羽田へ帰ってきて、遭難をいたしました舟木機長交代をいたしたわけでありますが、その帰ってきて引き継ぎをいたしました操縦士は、石田操縦士と申しまして、これは私の会社におきましては運航管理長をいたしておるきわめて優秀な操縦士なのであります。この操縦士に当時の模様を聞いてみますと、自分が羽田へ着くまでの間は、エンジンの調子も機体その他についても何ら異常を認めないで、運航中におけるところの機体状況はよかったということを次の舟木機長引き継ぎをいたした、かように申しております。  概略以上の通りであります。
  15. 堀内一雄

    堀内委員 ただいまの御説明で大体点検状態はわかったのでございますが、要するにこの事故の防止には、機材整備ということと運航の熟練ということが私は根本的に必要だと思うのでございます。羽田の空港におきまして、この全日空関係整備等につきましては、だれが責任を持っておりますか。
  16. 福本柳一

    福本参考人 私からお答え申し上げます。羽田におきましては川端という整理の、これは会社におきましては運航部次長という職務を持っておりますが、この川端と申します運航部次長が最高の責任者でございます。
  17. 堀内一雄

    堀内委員 私は先年日本航空を初め、国内航空の問題につきまして、当時の飛行機は十人乗りか何かの小さいものを使つてつたので、こんなところからいろいろの事故原因があるということで、そこから全日空というものができ、政府からもいろいろな補助、融資等をいたしたように考えておるのでございますが、その結果DC3というような飛行機をお買いになつたということは非常にけつこうなのでございますが、聞くところによりますれば、DC3は、すでに新しく製造することはやめておる飛行機であり、ただ部分品の程度は作つておるということになっておるのでございます。この全日本空輸によって買い上げましたDC3という飛行機は、大体いつごろ作つた飛行機で、どのくらいの航空距離を今日まで飛んでおり、また、ことに今度の五〇四五機はどのくらいな経歴を持っておるか、その辺についてお伺いしたい。
  18. 關口規矩二

    關口説明員 DC3というのは一九三六年から製造されまして、約二万機製造されました。終戦前、日本においてもこれを製造いたしておりました。この五〇四五機が製造されましたのは一九四二年七月十八日、輸入のための当初の滞空検査に合格いたしましたのが昭和三十二年十二月三十日であります。輸入時の総使用時間が二万一千九百五時間三十八分、八月十二日までの総使用時間を言いますと二万三千百三十八時間三十三分でございます。
  19. 堀内一雄

    堀内委員 そういたしますと、この飛行機は、今までに約二万三千時間飛んで、こちらへ来てからまた千時間くらい飛んだということですね。その前にはどこで二万三千時間くらい飛んでおつた飛行機ですか。
  20. 關口規矩二

    關口説明員 全日空が買うまではアメリカのパン・アメリカンが使用しておりました。その他については、ただいまはわかりません。
  21. 堀内一雄

    堀内委員 ただいまのお答弁によりまして、この飛行機が中古の相当使つたものであるということはわかったのですが、私がこの際心配するのは、DC3のほかにも同じような飛行機を使つておられるのですが、その辺のことについて会社当局からお伺いしたい。
  22. 福本柳一

    福本参考人 ダグラス3型のほかには、ヘロンという飛行機を三機使つております。それからダブという飛行機を四機使つております。旅客輸送に主として使つておりますのはダグラス、ヘロンがおもでありまして、ダブという飛行機は小さいもので、四機を輸送には充てておりますが、これはきわめて量といたしましては少いものであります。
  23. 堀内一雄

    堀内委員 私のお伺いしておるのは、あなたのところで旅客用に使つておるDC3が、どのくらいの程度の中古かということをお伺いしておる。そして今日までのところ、どのくらい飛んでおるかということをお伺いしておるのです。
  24. 關口規矩二

    關口説明員 現在全日空が持っておりますDC3の、購入前の飛行時間を申しますと、一万四千時間、三万九千時間、少いのは五千二百時間、そういった程度のものでございます。
  25. 堀内一雄

    堀内委員 時間の関係もありますから、質問はこの程度にいたしますが、要するに三万九千時間使つた飛行機を買つてきて、どの程度オーバーホールしたりいろいろしておるか知りませんが、そういうものを買つてきてやらなければならないというところに、日本民間航空の非常な弱点があると思うのでございますが、この点につきましては、あとで一緒に一つ運輸大臣からお伺いしたいと思います。  その次に、今度の事故直接の問題についてお伺いします。救命具を三十四個スチュワーデスのところにまとめて置いたというようなことが、新聞に見えておるのでございますが、事実私どもが国内機へ乗つてみましたところでも、私は今になればそれが思い当るのでございますが、この救命具の位置並びに取扱い、または取扱いの教育というようなことについては、日本の法規においてどんなふうになっておりますか。
  26. 林坦

    林説明員 救命具につきましては、全日空といたしましては、会社整備規程の中に、救命具を積むということ、しかもそれをいすの下に置くということを規定いたしまして、それを運輸大臣が認可しております。従って、この積んであった状態その他につきましては、さらにいろいろと調査をしてみる必要はもちろんあると考えております。
  27. 堀内一雄

    堀内委員  ただいまのお話ですと、これは会社の内規で取扱い方法をきめておるということでございますが、それを認可したといたしますれば、この規程を確実に実施しておるやいなやというようなことの監督といったようなことは、当局としてはどんなふうにやつておりますか。
  28. 林坦

    林説明員 会社における運航規程あるいは整備規程等は、非常にこまかい内容を有するものでございます関係上、会社できめまして、それを運輸大臣が審査して認可するという建前になっております。従って、これらの規程の励行状況その他につきましては、私どもも常に関心を持って見ておるところでございまして、昨年もいたしたのでございますが、ことしも安全性の向上検査というのを全般的に行う段取りになっておりました。ちようどその安全性向上検査というのが始まるところで、この事故をやつたのでございます。それらは、それを通じまして監督しまた指導する、こういうことになっております。
  29. 堀内一雄

    堀内委員 こういう事故が起ると、こういう問題が起るのでございますが、とかく許可、認可というようなことでいろんなりつぱな規程は作りますが、その実行ができていないというところに事故原因があるのでございまして、それを政府が監督するというところに、私は行政機関の責任があるんじゃないかと思う。それは会社としてもむろんやらなければなりませんが、事故の起きる原因はおおむね、そうした規程をやつておると思っておつたところがやつていなかったというようなことが事故原因になるのでございまして、そういうような意味から、ただいまのお話の程度でありますと、今日まで監督というような点で十分でなかったように私は思うのでございます。この点につきましても、あと運輸大臣に一緒にお伺いいたしたいと存じます。  その次に、教育の問題についてお伺いいたします。国際航空飛行機に乗つたときには、あの救命具やいろいろのものの使い方のお話があるのでございますが、国内航空では、私は数回乗りましたが、そうした話は聞かなかったように思っておる。そこで、こういうようなことについては、会社の規程でやつておるのですか。
  30. 林坦

    林説明員 さようでございます。
  31. 堀内一雄

    堀内委員 私は日本における航空運輸の現状、航空知識に関する程度というようなことから考えて、この教育は必ずやらなければいかぬと思うのでございます。昔、船などの方でも、関門の間の船でもちゃんとそれを教え、その演習をやるというようなことをしておるのでございます。それで国際線の方では一応その使用の話をする。ところが国内の方では、時間の短かい関係もあるかもしれませんが、それにしても、現在のところ、一時間ぐらいの程度のところを飛ぶのですから、十分の時間もある。また、たとえば各飛行場に行ってみますと、そこに相当長い待合時間があるのでございまして、そういうときを利用してこれを教育するなり、また模型によるとか、映画によるとか、いろいろなやり方があると思う。そういう意味から、この航空の方面に対する、ことに避難等の問題につきましては、私は将来ともどうしても教育する必要があると存ずるのでございまして、この点も一つあと運輸大臣の御意見をまとめてお伺いしたいと存じます。  次にベルトの問題ですが、飛行機の動揺のときにベルトをかける。ところがあのベルトをかけますと、からだが自由にならない。それが非常な事故にあったときにどうしてあれから脱出するか。私はこうしたような問題についても非常に心配になるのでございまして、非常にあわてておるときにベルトがうまくはずれるかどうか。そういうことから考えますれば、機長なり何なりのところで、ちょっとボタンでも押すか何かすればベルトがはずれるというような方法でも一応考えておかないと、女の人などはほとんど失神状態になってしまうようなことがありますので、こうしたことが必要だと思うのでございますが、今航空局ではどんなことを考えておりますか。
  32. 關口規矩二

    關口説明員 操縦席から一ぺんにはずすというようなことは、実はまだ考えておりません。あの装置としましては、力がかかればかたくなって絶対はずれませんが、はずすための操作を簡単にやればすぐはずれるという装置にしてございます。
  33. 堀内一雄

    堀内委員 この問題についても一つ技術当局でさらに検討してもらいたいと思うのでございます。  その次に非常緊急の際にどういうふうにしてあれから脱出するようになるのか、一般の人もわかつていないようですから、どうしてあの事故のときに、かりにベルトがはずれるとしても、あとどういうふうにして救助することになるのか、そのことをちょっと……。
  34. 關口規矩二

    關口説明員 機長の指示、従って座席におりますスチュワーデスの指示に従って機外に出るようになります。機外に出るには、普通使います出入のドア、そのほかに窓に数カ所非常口がございます。この非常口のあけ方はそこにはっきり書いてありまして、また非常口の位置は赤でよくわかるようにしてございます。その操作は割に簡単にできるように作つてございます。そういうところから出るようになっております。
  35. 堀内一雄

    堀内委員 ただいまのお話でございますが、私は今日まで数回国内航空に乗つてみたときでも、そうしたような指示なり説明なりを一度も受けたことがないので、こうしたことにつきましても、今後当局において十分検討してもらいたいと思う。  その次にお伺いしたいのは、今の考え方は空中から飛びおりるときの考えであるか、海の中に浮んだときの考えであるか。今度の事故は空中分解だというようなお話もありますが、その点について私は技術当局としての判断をもお伺いしたいのでございますが、空中から飛びおりるのか、さもなければ海に飛行機が落ちてしまつてから出てくるのであるか、その辺について伺いたい。
  36. 關口規矩二

    關口説明員 旅客機は落下傘をつけておりませんので、空中から飛びおりることはできないわけでございます。着水しましてから、浮き足がとまつて、そのときになるべくすみやかにドアをあけて出るわけでございます。
  37. 堀内一雄

    堀内委員 一応御説明はありましたが、飛行機事故のときに着水してうまく浮んでおるかどうか、浮んでおつてしばらくしたときにドアをあけてそこから飛び出していけるか、この辺について実情に即して検討していただきたいと思います。こういう点についてもどうも不十分な点が多いと思う。  次に、今パラシュートは載せておらないということですが、一体飛行機事故に際して、そうしてまたそれを救済する上において一番いいのは。パラシュートでおりることじゃないかと思うが、まるで船の遭難のような救命具をつけておるというようなことでは私は非常に不十分だと思いますが、その辺について現状を教えて下さい。
  38. 林坦

    林説明員 航空機事故といいますと、離陸上昇のときの事故と、それから飛行の途中の事故、また着陸進入のときの事故等に分けることができると思うのです。離陸上昇や着陸進入の際の事故は、高度もまだ大へん低い状態でございまして、従って落下傘を使用するといったような余裕はとうてい考えられないのであります。また飛行途中の事故に約三割くらいあるわけでございますが、ほとんどが他の航空機や山との衝突、あるいは爆発その他あつという間の事故が多いので、この場合の落下傘の利用価値ということはあまり考えられにくいのであります。また現在の旅客機の構造などから見ますと、一般旅客が落下傘によって降下するということは非常な危険を伴うことがあつて、安全に脱出するということはほとんどむずかしいのではないかと思うのであります。従って、現在世界の各国の航空会社でも、落下傘というものを装備することにはしておりません。私どもも落下傘を今後も装備する必要があるとは考えておらないのでございます。
  39. 堀内一雄

    堀内委員 今お話の衝突するにしたところで、やはり陸上で衝突するのだろうと思うのだが、そこにブイを置いたつて意味をなさぬということになれば、そういうことにもなる。初めの上昇または着陸、離陸のときが一番事故が多いのでしようが、そういうときに至っても救命ブイでいくような状態ではないということになる。これは理屈をいえばいろいろありまするが、私はやはり、たとい外国がやつていないにしても、ことに日本状態等において、そうした落下傘というようなものも十分考えてもらわなければならないと思うのですが、そうした方面において、救命具といったようなことが昔の船で使つたそのままの頭でいくというところに事故のもとがあるのじゃないか、飛行機の時代においてまだ船の頭でやつているというようなことがありはせぬかということを心配しておるのでございますが、そういう点についても今後一つよく検討してもらいたいと思います。  その次に、もう一つその関係でお伺いしたいのは、一体飛行機事故というとほとんど全員が死んでしまう。今度のヨーロッパにおけるオランダの飛行機事故にしましても九十九人が全部死んでしまうというようなことであり、先ほど大臣からも、一人でもどこにか生存者がいないかと思って努力したというお話もあったのでありますが、私はこうした事故を再び起さないために、係員の中の一人くらいは非常のときはパラシュートで飛びおりさせるというような制度も一つ考えてみたらどうかと思うのですが、そういったようなことに対して、航空局長から外国ではというお話があったが、今どんなようなことになっているのですか。
  40. 林坦

    林説明員 パラシュートで飛びおりるという問題は、現在の民間航空機の構造からいいまして相当困難があると思います。また、今お話のございましたようなことは、外国におきましても、ただいま申し上げました通り旅客機においてはとつておらないところでございます。こういうような重大な事故を起した時期でございますので、われわれとしては今まで考えなかったこともよく研究することはやらなければならないとは思っておりますが、ただいまのところそういう考え方は持っておらないのでございます。
  41. 堀内一雄

    堀内委員 大体のこまかい問題については私はここで質問を終りますが、そこで大臣にお伺いします。  先ほどからお聞きのように、法規的に非常に不十分であり、また法規の実施が励行されておらないというような点を今までの回答で私は思うのでございますが、それに対する問題、それからベルトの利用、そういったような内部的な機材の問題、さらには係員の脱出云々というような、先ほどお伺いおきの問題について大臣のお考えをお伺いしたい。
  42. 永野護

    永野国務大臣 先ほども申しましたように、この今回の不幸な事実を機縁といたしまして、将来再びこういう悲惨な事実を起さないように根本的の研究をしたいということを昨日の閣議できめたのであります。従いまして、とりあえずのごく事務的の事故対策本部というものは運輸省の中にできてやつておるのでありますけれども、もっと大がかりの、事務的以上の何か対策を考えたいというのが、昨日の閣議のほとんどの大臣の意見であったのであります。従いましてその中には、根本の問題として、中古の機械を買うというような事情に迫られるような会社に一体まかしておくことはどうかというような問題まで含めて考えたい。そうして今度は事務的になりますると、今お話のありましたような監督規定の励行方法をどういうようにしたらいいか。理想を言えば、監督官庁である運輸省が毎日行って、そうして規則通りに運営できておるか——たとえばライフ・ベルトは確かにそれだけの枚数があり、しかも、たとい完備したライフ・ベルトであるといたしましても、ごく厳格に言えば、古くなって役に立たぬライフ・ベルトであるかもわからぬ。実はそれを空気を入れてみて一々調べるのが理想なんでありますが、それはできません。そこでそういうような監督をする人をときたま監督するというようなことで、一番理想を言えば、そういうことをそこまで干渉しなくても、安心のできるような乗務員の訓育と申しますか、乗務員の養成と申しますか、そういうことを考えるべきだと思うのであります。従いまして、先ほど申しました事故対策——名前はついておりませんが、その委員会と申しますか、審議会と申しますか、その機構は、非常に小さな事務的の話から非常に大きな根本的の問題までひつくるめまして、そして単にそれは運輸省だけの問題ではなくて、大きな日本の国全体の問題として考えることをきめておるのであります。従いまして、多数の質問条項が堀内委員からございましたけれども、おそらくその委員会は残らずの問題に触れたる研究をすることと確信いたしますから、それまでの間ちょっと御猶予を願いたいと思います。
  43. 美土路昌一

    美土路参考人 私はきようおわびを申し上げに参りましたので、弁解がましいことを申し上げるのはまことに心苦しいのでございますが、私の会社でDC3を用いますのに、その機材を選定いたしますに当りまして、どういうわけであの機材を用いることになりましたかということを——事故につきましてはいろいろの原因もあることでございますが、ただいまから福本常務にそのことを御説明させたいと思います。一応弁解でも何でもありませんで、その選定をいたしましたことにつきまして申し上げます。
  44. 福本柳一

    福本参考人 それでは、社長にかわりまして私から一言述べさせていただきます。  会社にとりましては機種の選定ということが第一の重要な要件でありますので、絶えず飛行機を買います時分には、会社の中の技術員を初め、首脳部全部が相談いたすばかりでなく、終戦後長い間の空白もありましたので、会社外の関係者をもわずらわし、在京の方のみでなく、広く航空学者の方々にもお集まりを願いまして、またお尋ねをいたしまして、種々の研究をいたした結果今日に至っておるのが実情なのでございます。このDC3を選ぶ前に、ヘロンの——先ほど三機持っておると申しましたが、これは日本航空がお買いになりましたものを、国内に使うのが便宜であります関係上、航空局のお世話もありまして、これをただいまチャーターをいたしておるような次第でございます。DC3につきましては、いろいろ研究した結果、ただいま私が記憶しておるところを申し上げますと、この飛行機は、先ほども技術部長からお話のありましたように、二万余機を製造されたのは、飛行機の製造のうちでは最大の数だそうであります。そうして製造の年月日等は非常に古いのでありますが、今日権威者から伺うところによりますと、製造年月日の古いということは、その飛行機の使用に当りまして、正規の手入れをいたしておるかいたしてないかということにもつぱらかかっておるのでありまして、所定の時間に所定のオーバーホールを十分に行いますならば、耐用年数はむしろ無制限と言ってもいいのが今日の状態だそうでございます。  DC3は現在調べてみますと、世界じゅうの航空会社百七十四社ある中で、DC3を使つておりますのが百三十八社、約八〇%を世界の先進国が主として使つておるのであります。それから使用機数は、現在まで使つておるのが約五千機。五千機と申しますのは、世界の今の百七十四社の航空会社が使つておる総飛行機数で、詳しく申しますと四千九百六十四機であります。そのうちDC3が占めているウエートが千六百五十六機でありまして、三三%に当る。三分の一はまだ世界じゅうの航空会社が運輸にDC3を用いておるのであります。  それから私の方の操縦士は古くからこのDC3の操縦によくなれており、整備士もまたDC3ならばかつて十分手がけた人が非常に多いのであります。終戦後における空白の間から操縦士整備士を集めて参るのにつきましては機材も、ただいま申し上げましたような世界で最も安全性の多い——現在においても手入れさえよければ他の飛行機よりむしろ安全性が高い飛行機であります上に、整備員並びに操縦士におきましても最もこれに熟練をいたしておるような次第でありますので、この飛行機を選定いたし、買います時分には、十分なるスペシフィケーションを出しましてこれに合うようなものを取り寄せたような次第でありますので、御了承を願います。
  45. 堀内一雄

    堀内委員 この飛行機の中古問題については、大臣からも詳細の御説明と決意が表明されておりまするので、これ以上は申し上げませんが、ただ、ぜひとも中古の飛行機を買つた場合においては、オーバーホールの時期であるとか命数であるとかにつきましては十分監督するようにお願いいたしたいと存じます。と申しますのは、災いは忘れたころに来ると申しまするが、「もく星」号あつて今日まで幸いにして非常な事故がなかったのでございますが、そこにもしゆるみでもあったということになりますれば、まことに申しわけないことになると私どもは存じますので、災いは忘れたころにやつてくるのでございまするから、くれぐれも御注意を願いたいと存ずるのでございます。  その次に、航空路の問題についてお伺いするのでございますが、新聞の伝うるところによれば、園山機長がなぜ誘導してこなかったかというような新聞社の質問に対して、あすこのところは十分ごとに飛行機が通つておるので、そんなことをするとほかの方に影響するというような話が出ておるのでございます。私はあすこの航空路を国際航空機も内地の航空機もみな通つておるように考えておるのでございまするが、名古屋—東京といったような間におきましてはほかの航空路を選んで、いわゆる路線をもっと増加して、あの密度を減らすというようなことが必要じゃないかと思うのでございますが、これに対して航空局長からまず実情を話していただいて、それに対してあとで大臣からまた御意見をお伺いしたいと思います。
  46. 塚原俊郎

    塚原委員長 委員諸君に申し上げますが、本日ただいままでで七人の質問の通告者がありますので、どうぞ一つなるべく簡潔にお願いしたいと思います。
  47. 林坦

    林説明員 ただいま御指摘のございましたように、あの線は非常に込んだ線でございまして、私ども将来の航空路の問題につきましては、航空援助施設の増加等によりまして、さらに航空路を複線にするといったような点については、当然考えなければならない問題の一つでございます。ただいまのところは、あの線によって航行をいたしております。航空機がさらに増加するというような場合には、新しくビーコン等を設けるなどいたしましてルートを考えるということは、当然将来の問題として考えなければならない問題でございます。
  48. 堀内一雄

    堀内委員 大臣の抱負である各県に飛行場を設けて全国的な航空網を拡張するというような上からいたしましても、私はこの航空路の問題はぜひとも研究していただきたいと思うのです。  次にお伺いしたいのは、その航空路の途中にビーコン等の設備もあるようでございますが、この航空路の途中に不時着陸場といったような飛行場の設備が、どのくらいの距離にあるのか。私の考えでは、六千メートルという高度であったならば、両方のエンジンがストップしてしまつても、空中滑走でもって到着できるというようなところに飛行場があるということになれば、今度にいたしましても、あれが羽田まで無理をして引つ返さなければならぬということによって、片方のエンジンが非常に重みを感じて、それがために予想できないところの事故が起つたということも想像されるので、そういうような意味から、この中間飛行場はどんなふうになっておるか。  いま一つは、航空路の途中にビーコンというようなものがあるようでございますが、たとえば今度も活動した自衛隊であるとか、保安庁の巡視船であるとか、そういうようなところに連絡する方法はどんなふうになっておるか、その点について局長にお伺いしたい。
  49. 林坦

    林説明員 ただいま不時着場の御質問があったのでございますが、不時着場は大体航空機が飛んでおりますところから一時間以内くらいにおりられるところにあるのが普通でございます。今度の場合のごときは、東京とあの地点との間に厚木があるにはあるのであります。その他、もしこれが明るいときでありますならば、藤沢でありますとか、あるいは館山あたりにも考えられるのでございます。
  50. 堀内一雄

    堀内委員 ただいまのお話ですと、昼間であれば昔の日本軍が使つた飛行場のものがあるような程度だと思うのですが、こうしたようなことからも、航空路が非常に混雑するとか航空路が他に設けにくいということになりますれば、不時着陸場というよなものをこしらえておくことは、船の方でも避難港というものがあるのですから、必要だと思うのです。しかもそれが一時間という距離にあるということは、今のお話でも木更津に帰ってくるのは逆に帰ってくるのでしよう。それを帰ろうとするからしてああいう問題が起つておるのだから、そのままずっと滑走していくということになって、あるいは静岡県下にでもそういうようなものがあるということになれば、私はこんな事故は防げたのじゃないかと思うのです。こういう点からも、運輸省等におきましても、こういう場合に計画的にものを研究してもらいたいと思うのでございます。その点についてもあとで大臣からお伺いいたします。以上、この航空路の問題について一つ総括的に大臣の御意見をお伺いしたい。
  51. 永野護

    永野国務大臣 堀内君の御質問はごもっともだと思います。かりに利島の近所で故障を起しましたときに、伊豆の南端あたりに不時着陸場がありましたならば、あるいは今度の災難が防ぎ得たかもしれません。羽田まで帰ろうとするから、そこに無理が出てくるということも十分考え得ることであります。ただ問題は、現実の問題となりますると、いろいろ予算の制約を受けておりますので、実際上の今のような非常にまれな事故に対して十二分の施設をしておくというようなことが現実の問題として許されないのであります。しかし、だんだん飛行機がふえまして、私の理想といたしておりますように、各府県にみな飛行場を作り、人間の動くのは飛行機によって往復することが大部分だというような、たとえばアメリカのような状態飛行機発達して参りましたならば、それに相応する施設をすることが、経費を必要とする上においても十分理解されるようになってくると思います。これは飛行機の全体の発達に見合いまして十分考えなければならぬ問題だと思っております。今度の問題も、日本飛行機国策の基本の確立とともに、それに並行していろいろな施設を考えなければならぬのでありますけれどもこういうことはみんな先ほどの委員会の問題に全部譲つて適切な施策を実行していきたい宵と考えております。
  52. 堀内一雄

    堀内委員 最後に私は本日御出席美土路社長にお伺いしたいのでございますが、もちろん会社におきましても美土路社長がわざわざおいでで、きよう非常な御心配の上に、遺族に対するおわび等と、国民に対するおわび等があったことはまことにけつこうに存ずるのでございますが、この際、今日まで遺族に対していかような処置をされたか、また今後御遺族に御慰問のためにどんな補償の方法を考えておられるか、こういうような点についてお考えをお伺いしたい。
  53. 美土路昌一

    美土路参考人 この問題につきましては、一口に申しまするならば、私の会社全力をあげまして御慰問申し上げたい、かように考えております。今回の遭難事件につきましては、先ほど申し上げましたような状態でございますが、名古屋のお方々が非常に多いのでございまして、それで当夜は徹宵いろいろの調査をいたしましたが、とりあえず岡崎副社長が午前八時の便で名古屋に参りまして、ただいまこういう状態捜索中であり、御心配をかけてまことに申しわけない。それからこちらでは、手不足のために私が会社の中におりまして、いろいろ各方面のなにをいたしているので、代理を在京の御家族の方に派遣いたしまして、ただいままでの経過を御報告いたし、それからさらに、いよいよどうも絶望的であるというときに私も参りまして、一応ごあいさつを申し上げておるわけであります。そしてただいまのところ、現地に遭難対策本部を設けまして、そこに中野専務を中心といたしまして、数人を派遣いたしました。そうして防衛庁海上保安庁その他の御捜索連絡をとりまして、いろいろ御遺族との間に、遺体のあがりましたものにつきましては、それぞれ火葬になさる方あるいはそのまま自動車でお持ちになる方、そういう方々の便宜をはかるようにいたしまして、いずれにいたしましても熱海に社員を出し、名古屋にお帰りになる方、あるいは東京にお帰りになる方の御連絡もそこで申し上げるようにいたしております。そして当方におきましては、名古屋から非常に御心配になって現場の方へ行きたいという御家族に対しましては、十三日午前に特別機を仕立てまして、二十一名の御家族が御同乗になりました。それから私の会社あるいは現地というふうに分れまして、こちらに最初お越しをいただきました御家族あるいは関係方々には、第一ホテルと観光ホテルの部屋を充てまして、それぞれ御案内をしてここに御宿泊を願う。現地におきまして旅館をとりまして、何分ともに混雑の際でございますから御不自由、御不満はあることと存じますけれども、本社といたしましてはさような措置をとりました。それで御発着の時間のわかりますものは連絡いたしておりますから、御発着ごとに自動車をもってお出迎えをいたし、またその際に少くとも一名の者はお迎えあるいはお送り申し上げるというようなことにいたしまた。そして「もく星号」の前例も日航から承わりまして、それに準じましてとりあえず香典あるいはお手伝いを申し上げるわけですが、御自分の方でなさいますというようなことで、祭資料の一部をとりあえず御遺体のあがりました方には差し上げておる。まだ御遺体の出ませんお方には、そういうことであちらの現場で現地の模様をお調べになっております関係上、御葬儀等ができませんので、こちらにお迎えいたしております。そして現地においでになっておりまする御遺族関係者のお方々が、遺体も出ず、遺品もないということでどのくらい御心痛になっておるか、これは哀惜の余りあるところでございます。先般海上保安庁に参りまして、捜索模様を私がじかに承わりましたところが、まことに涙の出るような、苦いし困難な作業を連日なにしていただいておりますので、昨日私どもの特別機で向うの海上保安庁の三田警備救難監、航空局の關口技術部長、このお二人に御出向願いまして、關口部長は運輸大臣のかわりとしておいでになるというようなことで、御遺族に海陸のいろいろな捜索模様お話し申し上げております。本日からその本部を横浜か横須賀か、作業と最も連絡しいい場所に移すことにいたしまして、今朝私がこちらに伺いまする前に、いろいろあちらにおいでになっております御遺族と打ち合せをするというようにいたしておりました。まことに手落ちその他があると存じておりますけれども、私どもとしては全力をあげてただいま当面のお慰めになる方法をいたしておるつもりでございます。
  54. 堀内一雄

    堀内委員 ただいまのお話でよくわかりましたが、ただこの際、新聞等にも伝えられておるようですが、祭資料とか、補償の問題は、いずれ今後いろいろな問題が起ると思いますが、とりあえず今までやられた祭資料とか香典というような問題はどんなことになっておるか、その問題を具体的にお伺いいたしたい。  その次に、あとで大臣から、監督官庁としてこの遺族補償と申しますか、慰問と申しますか、そういう問題についてどんなふうに御指導になるお考えか、それを伺いたい。
  55. 美土路昌一

    美土路参考人 さしあたり香料といたしまして十万円、それから祭資料の一部といたしまして三十万円、御遺体のあがりましたところにお届けする。それからその後の補償の問題につきましては、今後なお十分に検討いたしたい。今回は非常に皆りつぱなお方々でございまして、祭資料とか何とか、その額の問題よりも、いかに私ども皆さんのお気持を察して全力をあげるかという誠意を皆さんにお含みを願うように一生懸命にいたしまして、その点では現地からお帰りになりますお方々のお気持も、よくやつてくれたといってお帰りになるようなお方もありまして、幾らか慰めておるわけでございますが、また東京の御遺族の方にもあまり親戚がなくて、そのときそのときにおいてふなれだというお方には社員を派遣いたしまして、すべてお世話をするというようにいたしております。
  56. 永野護

    永野国務大臣 政府はどういうふうに会社に対して指導していくかというような御質問だと思います。政府といたしましては申すまでもなく、会社の資力の許します限りの最大限の弔慰を表すべきだと考えております。しかし現実の問題といたしましては、会社の資力に限度があることでございますから、会社の資力の許します限りの最大限の弔意のしるしを表わすべきだと考えておつて、それの実行方法については、政府としてできるだけ協力していく覚悟でおります。
  57. 堀内一雄

    堀内委員 私の質問はこれで終りますが、起りました事故はやむを得ないとして、今後の処置につきまして、先ほど大臣から政府の方針等につきましてもお話があったわけでございますが、私は航空史上の発達の上からいたしましても、また今後の航空施設を充実するという意味におきましても、考えようによりましては非常にいい機会だとも考えるのでございまして、この際一つ十分御努力になって、この間違いをむだにしないように御尽力をお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  58. 塚原俊郎

    塚原委員長 正木清君。
  59. 正木清

    正木委員 質問に先だつて委員長にお願いがあります。私は今回の遭難事故を中心にして質問いたしますので、おおむね法律的と技術的な点でございますから、その点委員長に御配慮を願いたいと思います。それからもう一点は、私は会社の弁解がましい委員会での答弁を承わろうとは断じて思っておりませんから、会社則からの発言は御遠慮願いたいと思います。  そこで質問に入るわけですが、まず第一点は、今回の事故を起した全日空五〇四五機はすでに老朽機であり、関係者は事故の起ることをあらかじめ予想しておったといううわさがひんぱんに飛んでおります。そこでお尋ねするのでありますが、航空法十条による耐空証明は一体何年何月に出したか、お答え願います。
  60. 關口規矩二

    關口説明員 昭和三十二年十二月三十日に耐空証明書を交付いたしております。
  61. 正木清

    正木委員 その耐空証明をしたあと先等において法第十六条、第十七条、第十八条、第十九条に該当するところの、いわゆる修理改造等について、さらに予備品等について当局は証明を出した事実があるかどうか。
  62. 大澤信一

    ○大澤説明員 検査課長の大澤であります。ただいま技術部長からお答えいたしましたように、昨年の十二月三十日に耐空証明検査に合格いたしましてからあと、一度だけ法律に基く修理改造検査を行なっております。これは修理改造検査という名目でやつておりますが、実際にどこか不良個所が出ての修理改造ではございませんで、千時間の点検を私たちの方では修理改造の名目で検査の申請をさせておりますので、その検査に合格しておりますのがことしの七月十二日でございます。それ以外には予備品証明という制度がございますが、これは個々の装備品について行いますので、発動機を初め予備品証明を受けまして合格したものを取りかえておりますが、そのこまかい記録はただいま持ち合せておりません。発動機は、左側の発動機を一度予備品証明を受けた発動機と交換をいたしております。
  63. 正木清

    正木委員 第二の点で質問をいたしますが、十二月三十日に耐空証明書を交付いたしました当時、同機の座席数は一体どれくらいあったかをお答え願いたい。
  64. 大澤信一

    ○大澤説明員 現在と同じ三十二席でございます。客席が三十二席、それから操縦席が二席……。(正木委員「違つてないか」と呼ぶ)私の方で乗員の総数を——乗員と申しますか、あの飛行機に乗る人の席の数を全部で三十四と押えております。そのうちの二席は機長とコ・パイロット、それからジャンプ・シートと申しまして補助席、これはもし乗つた場合にエンジニアがすわる席、それからスチュワーデスがすわる席が各一席でありまして、お客さんの席としては三出席でございます。
  65. 正木清

    正木委員 大体私の調査したところによると、この遭難機の原型、作つた当時の耐空証明は双発であつて、乗員も含めて二十一人乗りと実は聞いておるわけでございます。だとしますると、十二月三十日に耐空証明を出した当時の座席は、乗務員も加えて三十何人、こういうことになっておるわけですから、アメリカから買つたとき、すでに原型は大幅に改造されたという事実がここで明らかになつたわけです。従って全日空が買い入れた以前の耐空証明というものは、当然買い入れた当時、この機体についてこの書類が回ってきていなくちやならぬ。その点の経過は一体どうなのか、それを明らかにしてもらいたい。
  66. 大澤信一

    ○大澤説明員 この機体日本に輸入いたしました当時の席そのままでございます。二十一席というのは、戦前にわが国で使つておりましたDC3は二十一席で、片側が一列、片側が二列でそれが七行ありまして三十一席。その後アメリカでは発動機のパワーを大きくいたしまして、重量も増加いたしまして、一九三九年の五月一日に最大三十二席までの型式証明と申しますか、アメリカの航空局が承認をしております。今度買いました機械は向うでも今の座席のままで承認されております。
  67. 正木清

    正木委員 第四にお尋ねするのは、法の命ずるところによる修理改造等に使用する部品でございますが、これは製造本国であるアメリカにおいてすら現在では製造中止をしておる、これは事実であろうと思います。そこで部品の点になるわけですが、部品は一体今の全日空として十分に充実しておるのかどうか。そういう検査を当局はやつたことがあるのかどうか。それからこの部品はアメリカの製造会社のものがすべてなのかどうか。この部品の中にその製造会社以外で作つた部品が入っているのではないかどうか。この点についてお答え願いたい。
  68. 大澤信一

    ○大澤説明員 ただいまお話がありましたように、DC3の部品は製造中止になっております。発効機の部品は今作つておりません。機体の部品は、ダグラスは今でも、DC2型というあのもう一つ前の型の機体に対しても部品はいつでも作りますと言っておりますが、なかなか今言って今メーカーからは手に入りません。ただし、アメリカでは非常に普及いたしましたので、市販といいますか、あちらこちらにストックされておる部品があるのでございます。全日空がどの程度部品を持っておるかという点につきましては、私たちもいつも厳重に監視しております。ただしあらゆる部品がすべてそろっているという状況は理想ではございますけれども、それがなければ運航をしてはならぬというところまでは言えませんので、ただ定期制を確保するという大事な任務がございますから、割合にひんぱんに取りかえなければならない部品どうしても持っていただきたい。それ以外に、大阪に新明和興業、昔の川西航空でありますが、あそこが、タグラスと技術提携をいたしまして、機体関係の部品を国産を始めましたので、国内で手に入るように一部のものはなっております。さしあたつて現在のところ部品に困って飛行機そのものが危険な状態になつたとは思っておりません。
  69. 正木清

    正木委員 いずれ部品の点等については、私は機会をあらためて落ちついてお尋ねをしたいと思います。  そこで第五にお尋ねいたします点は、これは私の参考資料の航空年鑑一九五八年版でございますが、これの四二二ページの全日空のところを見ますと、先ほどの答弁と若干違うんじゃないかと思うのですが、ダグラスDC3型ですか、これは双発機で、この航空年鑑が事実とすれば全日空は九機を持っていることになっているのです。そこで問題になるのは、今度の遭難機もこのダグラスのDC3型なんですが、一体この九機というものは、一機ごとに私は明らかにしてもらいたいと思うのですが、何年何月に製造され、何年何月に全日空が買つて、この間国際法上で定められておるところの対空証明というものがどういう形で出てきておるのか、まずこれを答弁願います。
  70. 大澤信一

    ○大澤説明員 私の手元にただいまございます資料では、製造年月日が不明なのが二機ございますけれどもあとその他の輸入時の総使用時間、輸入年月日、最近の検査月日、それから現在の総使用時間、これに現在ついております発動機の使用時間、全部わかつておりますが……。
  71. 正木清

    正木委員 それはあとで書類で出してもらいましょう。
  72. 塚原俊郎

    塚原委員長 それではすみやかに書類で提出願います。
  73. 大澤信一

    ○大澤説明員 承知しました。
  74. 正木清

    正木委員 第六番に質問をしたいのは、この同機型の故障が、——よろしゅうございますか、ここは大切なところなんですが、同機型の故障が頻発したので、航空局は新三菱重工の関係者も加えて特別技術会議を開いて調査したという事実を私は知っておるのですが、こういう事実があったかどうか。
  75. 大澤信一

    ○大澤説明員 ございました。昨年の春ごろからこのDC3型の発動機の故障が割に頻発いたしました。それで、その原因がよくわかりませんでしたので、オーバーホールを担当しております新三菱重工、それから同じく経験を持っております日航整備、それから防衛庁の技研、学校の先生、皆様方のお知恵をかりまして、何回か会合を開きまして研究いたしました。その結果、これは全部アメリカからきております部品なんでございますが、ちょっと専門的にわたりますけれども、ピストンピンのプラグというものがございます。これが非常に何種類もあったことがわかります。ここに刻印してパート・ナンバーしてあるのですが、この刻印の仕方はまちまちでございます。その中で、あるパート・ナンバーのものがどうもいつも事故を起している。それでそれをやめまして、今までの成績のよいものに全部取りかえさせました。その後同種の事故は起つておりません。
  76. 正木清

    正木委員 この特別技術会議を開いて調査したその結果の問題なんですが、私の調査したところによるというと、これは日航に対してもそうでありますし、全日空に対しても仕方がないのだ、今の規定を厳格に守ることを求める以外に方法はないではないかという程度の龍頭蛇尾に終つたということを私は聞いているわけです。私はこれが残念でたまらない。もしこの時期において、第百十二条の事業改善の命令によって、同条第三号の「航空機その他の施設を改善すること。」この項を航空局がきぜんとして発動しておるならば、今回のような惨事は最小限度で食いとめることができたという説が、私ばかりでない、世間に流れていることをあなた方は知らなければいけない。そこで私は直接の責任者である航空局長に、一体そのときにどういう計らいをしたのか、この点を明らかにしていただきたい。
  77. 林坦

    林説明員 ただいま御指摘になりましたピンの場合のことでございましたならば、航空局といたしましては、その悪いおそれのあるピンを禁止いたしまして、そうして取りかえを命じたのでございます。
  78. 正木清

    正木委員 第八にお尋ねいたしますことは、この事故の最大の原因として、全日空というものは合併後日も浅く、会社の経理内容も充実しておらず、これがため整備能力が不足であった。従ってこれを裏書きするような奇怪な事実を私は調査いたしました。その事実とは何だというと、全日空から当局に対して機体点検、これは法規上できまつているわけですが、機体点検の時間の延長の陳情があったという事実を私はつかんでいるのですが、こういう事実はあったかどうか。これは非常に大切なことです。
  79. 林坦

    林説明員 本年の二月八日に、現行の整備規程に定める定時点検方式による八十時間ごとの自社点検を百時間ごとに、また九百六十時間ごとの修理改造検査を千時間ごとにそれぞれ変更することを、三月から九月までを試験期間として、それがうまくいけば十月から実施したいという旨の申請がございました。しかしこの定時点検時間の延長というのは、要するに過去の結果から延長しても安全であるという結論が出たから行おうというのでありまして、ただ無理に経済的にということだけから出ている問題ではないと思います。もちろんそういう意味点検を延ばしたい、今の時間を延長したいという申請は出ております。
  80. 正木清

    正木委員 時間延長の申請に対してあなたの方はどういう処置をとつたか、お聞かせ願いたい。
  81. 大澤信一

    ○大澤説明員 ただいま局長から申し上げました時間延長の申請は、会社として過去の実績をつけまして、各機械において八十時間ごとの点検あるいは九百六十時間ごとの点検においてこういう不良箇所があったというデータを全部つけまして、会社としてこれを百時間に延ばしてもそのための支障はないと思うから延ばさしていただきたいという申請が出ておりますので、私の方では、その内容を十分検討いたしまして、百時間に延ばしてもまずそのための支障はないと考えましたが、いきなり整備規程で百時間延長することを避けまして、しばらく試験的にやらしてみて、その成績をとつた上で認可の可否をきめようと思って目下試験中でございます。
  82. 正木清

    正木委員 おかしいじゃないか、その答弁は。そこに僕は運輸行政として事務的にやはり責任があると思うのです。ということは、この同機型の故障が頻発したために驚いた当局側としては、三菱重工業までを呼んで、そうして技術者の特別技術会議を開いてあらゆる研究をしたのだな。僕の口から言わせると、これは実際は龍頭蛇尾に終つている。しかもこれに続いて会社側から、この規程に基くところの機体点検の時間延長という、これは理由のいかんにかかわらずゆゆしいことですよ、これの申請のあったものに対して、本来からいうと、こういう事故が頻発する原因の事実の前提に立って当局としてはきぜんたる態度をとるべきだった。現にあなたの方がぐずぐずしているうちに、どのように弁解しようとも、事故が起きてしまつているじゃないか。こういう点について当局としてどういう考えを持っているのだ、これからもあり得ることなんで、どういう考えを持っているのだ、この点を明らかにしてもらいたい、こういうのです。僕は弁解は聞きたくない。
  83. 林坦

    林説明員 事故が発生しましたことは、私どももまことに恐縮に存じておるところでございます。しかし、時間延長の問題につきましては、だんだん技術の向上その他によって稼動時間をふやすという問題は、やはり技術の向上と並行して考えなければならないのでございますので、私どもももちろん慎重にこれを取り扱わなければならないことは当然だと思っております。この上とも私どもは慎重に取り扱つていくつもりでございます。
  84. 正木清

    正木委員 九番目にお尋ねしたいことは、十四条の規定に基いて耐空証明の有効時間は一カ年、ただしそこにカッコがありまして、運輸省令で定めた手続があるわけですが、そこで非常に問題になってくることは何かといえば、全日空整備能力が一体充実しておるのか、あるいは残念ながら不備な点があるのかどうか、こういう問題になってくるわけです。そこで私はお尋ねしたいのは、航空局としては自信を持って、責任を持って、御心配は要りません、全日空整備能力は充実しております、こういう答えができるかどうか。
  85. 林坦

    林説明員 私どもは安全という見地から必要なる人員は一応そろえておると考えております。しかし、もちろん安全という点につきましては、もし手落ちが、あれば大へんなことでございますから、今後実態をさらに究明いたしまして、私どもとしましては改善をはかるということは必要であろう、従って今度も安全性向上検査に取りかかるという段取りになっておつたのでございます。
  86. 正木清

    正木委員 そこで十番目にお尋ねしたいのは、整備士の定義ですが、第二十四条による資格によりますと、一等航空整備士から三等まで、並びに航空工場整備士までを整備士として考えてよいのかどうか。整備士の定義です。法律を見ていただきたいのですが、この二十四条による資格でございます。一等航空整備士から三等まで、並びに航空工場整備士と、こう分れておりますが、この全体をもって整備士と、こう規定してよいのかどうか、これをお答え願います。
  87. 大澤信一

    ○大澤説明員 整備士に種類が設けてございますが、それぞれ権限の範囲がございます。今問題になりましたDC3型に対して権限を持っております有資格整備士ということになりますと、三等整備士資格はございません。二等整備士、それ以上のものでございます。それから工場整備士という方は、縦割りと申しますか、一般の整備士機体発動機も一通りの整備の確認ができますが、工場整備士というのはそこが機体とか発動機とかに分れておりまして、発動機資格を持つた者は、発動機に関しては資格を持っておりますけれども機体に関しては資格がないわけであります。
  88. 正木清

    正木委員 そうしますと、今回事故を起したこのDC3型機に関しては、三等整備士資格がなくて、二等、一等だけが資格がある、こう解してよろしゅうございますか。——そこで実はお尋ねするわけです。  十一の質問に入りますが、これもお断わりしますが航空年鑑です。この航空年鑑によりますと、この会社には一等整備士というのはないのですね。これは私は航空年鑑を基礎としてやつておるのですから、ほんとうかどうかわかりませんよ。一等整備士がなくて、二等整備士、三等整備士になっておるのですね。だから私は、この会社整備その他の能力について、あなた方は自信を持って、責任を持って、心配は要りませんよとお答えすることができるのかどうか、こう聞いているのです。従って、蛇足ではあるけれども、日航の会社全日空とは資本金その他規模においてもちろんこういう開きはあるにしても、一体尊い人命を扱う全日空技術陣に対してなぜ最高のメンバーを配置しなかったのかという疑問が出てくるのですが、これに対する当局の答弁を願いたい。
  89. 大澤信一

    ○大澤説明員 二等整備士が確認を行うことができます飛行機は、最大離陸重量が一万五千キロ、十五トンまでの飛行機であります。それ以上の飛行機になりますと、二等整備士でも資格はございませんで、一等整備士しか確認できないわけであります。それで、ただいま全日空には一等整備士はいない、従って技量が悪いんじゃないかという御心配でございます。個人的な差はございますと思いますが、今の全日空としては一等航空整備士の法的の必要はございません。すべての飛行機が十五トンまでのものでございます。また戦後の航空整備士の定義を作りましたときの一等、二等、三等という感じが、いかにも技量の上下をきめるような感じを与えますけれども、これは決してそういう意味じやなしに、その自分の権限内の飛行機については十分の資格を持っておるということで、ランクを作つたのであります。
  90. 正木清

    正木委員 十二番目にお尋ねしたいのは、この機長の業務上の権限をお尋ねするわけです。七十三条は、「機長は、当該航空機に乗り組んでその職務を行う者を指揮監督する。」七十三条の二には、出発前の確認、「機長は、運輸省令で定めるところにより、航空機が航行に支障がないことその他運航に必要な準備が整つていることを確認した後でなければ、航空機出発させてはならない。」そこをお尋ねするのですが、機長のこの職務上の権限です。この法律の通り解していいかどうか。
  91. 林坦

    林説明員 さようでございます。
  92. 正木清

    正木委員 そこで重ねてこの問題でお尋ねするわけですが、七十七条をごらん願いたいのです。これによりますと、これは洞爺丸、南海丸のときにも私は非常に議論した点で同じことなんですが、「定期航空運送事業の用に供する航空機は、その機長が、第百二条第一項の定期航空運送事業者の置く運航管理者の承認を受けなければ、出発し、又はその飛行計画を変更してはならない。」こうあります七十七条の運航管理者の職務権限と、七十三条の機長の権限、七十三条の一の出発前の確認とは、いずれが優先をなすのか。この点を法律的に明らかにしていただきたい。
  93. 林坦

    林説明員 航空機の安全の建前から、ただいま御指摘のございました七十三条、七十三条の二、その他の規定と、それから七十七条の運航管理者の規定とあるわけでございますが、この両者が合致して初めて出発する、こういうふうに私どもは考えております。
  94. 正木清

    正木委員 そうすると局長、お尋ねしますが、かりに刑事上の責任が発生した場合には、この七十七条の運航管理者の規定が適用される、こう理解してよろしゅうございますか。
  95. 林坦

    林説明員 ただいまの御質問の趣旨がよくわかりませんが、両方の意見が一致したときにフライトが行われる、こういうわけでございますので、運航管理者が飛べと言い、しかし機長は困るという、そういう場合に無理に押しつけたというようなことがあればそれは問題はあるかもしれませんが、とにかく機長も納得し、運航管理者もよしと言つた場合に飛んでおるのでありまして、ただいまの御質問のございましたのは、内容によっていろいろあろうかと思います。
  96. 正木清

    正木委員 私の質問することが御理解をいただけなかったようでありますが、私はこの七十三条の機長の権限、七十三条の二の出発前の確認と七十七条との関連性についてお尋ねするわけですが、残念ながら今のところではすでに機長の生存は不可能だと見て間違いないと思っております。そうすると事故によって何らかの刑事上の責任が起きた場合に、この七十七条の運航管理者という規定が適用されれば、これは一切あげて会社責任を負うべきだ。これは会社の代理者なんですから、そういう結論が出ると思うのですが、いかがですか。こういうことです。
  97. 林坦

    林説明員 運航管理者は、たとえば積荷の状況を判断いたしましたり、航路の気象状況等も判断いたしましたりしてきめるわけでございます。機長はもちろん自分で点検もして飛んでおるわけであります。両方が合致しなければ飛べないのであります。従ってその責任の範囲という点で片方がなければ片方であげてある。なければというのではなくて、とにかくその飛行についてはもちろん両方が責任は持っておると言っていいと思います。
  98. 正木清

    正木委員 だからこの法の解釈上からいけば、今回の一切の責任会社が負うべきものだ、こう考えてよろしいのかと、こう尋ねているのです。
  99. 林坦

    林説明員 このたびの事故原因あるいは責任の問題は、事故原因がどこにあるのか、出発前の問題にあるのかあるいはその後の問題にあるのか、事故原因等を詳細に検討した上でその問題は決定さるべきであると考えております。
  100. 正木清

    正木委員 そこで十二番目にお尋ねしたいのは、五十八条の航空日誌でございます。これは法の体系としては詳細に整つておるわけですが、この航空日記というものを当局は常に監査をしておるのかどうか。具体的に言うならば検査をしておるのかどうか。耐空証明というものは大体一年間に一回しか出さないわけですから……。しかも先ほどの私の質問に対して、十六条の修理改造検査、十七条の予備品証明、十八条の発動機整備、十九条の航空機整備又は改造、これに対して修理の証明というものは七月十二日一回しか出していないというのですね。こういう次第なのです。そこで問題になってくるのは、航空日記が完全に整備されておつたのかどうか、その他の書類も完全に整備されておつたかどうかという点検は、私は監督官庁として当然行われておる、こう信じ切つておるのですが、いかがですか。やつていますか、やつていませんか。
  101. 林坦

    林説明員 航空日誌の点検は、たとえばこの会社の立ち入り検査などをやります場合には、常に検査をいたしておることでありまして、安全性向上の検査をやる場合ももちろん検査をいたすのであります。そういうふうに必要に応じて点検をいたしております。
  102. 正木清

    正木委員 そこで海上保安庁ですか、これは長官でなくても、その方の担当の方でもよろしいのですが、実は新聞を見た程度でございまして、真偽のほどはわかりませんが、海上保安庁の第三管区の本部は、何か全日空会社整備その他の関係者を十数人参考人として呼んで調査をしておる。しかも航空日記その他を押収して、これを基礎にして調査をしておる。続いてけさの新聞でございますが、こちらに持って参りましたが、これによりますと、初めて警視庁も手をつけたようですね。私は運輸委員会でいろいろ取り扱つた事件の中で、警視庁が手をつけたのは今度初めてのような気がするのですが、そういう記事もけさの新聞に出ておる。そういう事実があったかどうか。あったとすれば、なぜそういう参考人海上保安庁調査したか、なぜこういう航空日記その他の書類を押収したか。これは非常に大切なことなんですね、私どもとしての場合……。そういう事実があったかどうか、これを一つお尋ねしたい。
  103. 島居辰次郎

    ○島居説明員 先ほどお話の件は、書類のある程度のものは領置したという報告を受けております。人を呼んで取り調べたということは、まだここに出てくるまで連絡がとれませんで、伺つておりません。  それから警視庁の問題は、きよう実は第三管区に警視庁その他の関係官を呼んで、どの範囲をどういうふうに分担するかという打ち合せをするということを報告を受けた、その程度であります。
  104. 正木清

    正木委員 そこで私は航空局にお尋ねするのだが、この事故が起きて直後、あなた方はそういう会社の内部の書類上の点検、特に航空日記等について十分の検査をしたことがあるのかどうか。これは大切なことですよ。ほかがすでに手をつけちやつているのだから。
  105. 林坦

    林説明員 今度の事故が起りましてから、航空局としましてはまず救難に重点を置きまして、全力をあげてその方面の手を打っておつたのであります。あわせて事故原因調査等は、まず資料を集める必要があるというので、その方面にやはり重点を置いてやつております。もちろん事故調査に必要な書類等も、私はまだ報告を受けておりませんが、担当者は見ておることと存じております。
  106. 正木清

    正木委員 今の答弁でも明らかなように、私は非常に残念だと思いますことは、常日ごろからの監督上の注意というものが非常に足りないのではないかという感じ方をするのですが、最後に、これは大臣にお尋ねすることになりますが、犠牲者の弔慰のことです。第百六条に基く運送約款の認可というものは何年何月に認可を与えて、全日空としては相手方の会社と一人当りについて幾らの約款の成立を見ておるか、これをお答え願いたい。
  107. 林坦

    林説明員 ただいま詳細な日誌等につきましてはここに資料を持っておりませんが、全日空というのになりましたのはこの三月からであります。従って、あの約款等につきましてはそれ以後におきまして認可をしたのでございまして、私の記憶によりますれば、その約款には一乗客当り百万円というふうに記載されてあると考えております。
  108. 正木清

    正木委員 私の調査したところによれば、運送約款ではあなたの方の認可は一人当り百万円、これは間違いないと思うのですが、あとであなた方関係者間で打ち合せて、この委員会で明らかにしておいてもらいたいと思います。私の質問の最後でけつこうですから。  そうしますと大臣、運送約款で乗員一人当り百万円の契約は認可されているわけですから、会社の経理内容がどうであろうと、百万円だけは当然いくわけですね。ここをはっきりしないと困ると思うのですよ。会社の経理内容がどうであろうと、これは当然契約をしてあるのですから、この点をはっきりしておいて、大臣のお考えおきを願いたい。  そこで約款の認可事項のほかに会社としてどうすべきかという点については、先ほども同僚の質問がございました。これはこういう事実がある。従って当委員会でこの約款の認可を与えた年月日、それからこの百万円の事実というものはここで明らかにしておかなければあとで問題になります。  そこで最後にお尋ねするのですが、運輸大臣は非常にいろいろお考え下さつて閣議でもって、新聞で見ますと、何か委員会作つて今後の対策を十分お立てになるそうで、ほんとうに御苦労だと思うのですが、しかし大臣、今さら閣議でこういうものを作らなくても、こういう事実があるのです。あなたの機関の中には航空審議会というものがあるのですよ。そこで、この航空審議会の諮問第一号は昭和二十七年十月十五日に出ている。この第一号は何かというと、わが国民間航空の再建方策いかん。それから諮問第二号は昭和二十七年十二月十二日に出ている。これの諮問は、航空の安全性を確保するための方策いかん。第三号は昭和二十九年十一月十一日に出ている。これは民間航空事業の振興方策いかん。こういう三つの諮問事項が出ているのです。この三つの諮問事項について第一号から第三号までのこの答申内容の具体的なしかも中心点だけを当委員会で明らかにしてもらいたい。そうすると問題は明らかになる。  それから委員長、これはお願いでございますが、一号から三号までのものをあとで書類でやはり出していただきたい。
  109. 塚原俊郎

    塚原委員長 それはあるでしよう。すぐ出せるでしよう。一つすみやかに出して下さい。
  110. 林坦

    林説明員 はい。
  111. 永野護

    永野国務大臣 先ほどの御質問に対しましては、具体的に書類で御答弁申し上げたいと思います。  ただ、私から一言申し添えておきたいのは、昨日の閣議で何がゆえに——航空審議会にそういうような諮問事項があるにもかかわらず、あらためてそういう災害防止対策委員会と申しますか、そういうものを作ろうという議がまとまりましたのは、いわゆる航空基本国策というような範囲の広い委員会のほかに、重点を災害防止にしぼつて、しかも今までの委員会はかなり広い範囲にわたりまして技術的にも、あるいは法規的にもネーム・ヴァリューと申しますか、そういうものにかなり重点を置いたような——人様もおられるわけですから、ごく実質的にこの問題を具体的に研究するという意味で、つまりそういうものは大きく前の審議会の中にも入っておりますけれども、しかし重点を災害防止にしぼつて本格的に研究しようという意味で、考え方によれば屋上屋を重ねるというような疑問が起るかもしれませんけれども、そういう意味で新しくこれを作るということにみんなの意見が一致したわけであります。
  112. 正木清

    正木委員 私は今の大臣の答弁は、いずれにしても三十四年度の予算が私どもに現われる。これは大臣に対して御期待を持つ以外に道はないわけですから、幾らここで議論しても仕方がないわけです。そこで問題になるのは、政府機関としての航空局民間航空事業の一切の監督の権限を持って実は監督するわけですが、まず民同会社整備能力その他のことについては議論されるが、さてしからば実際航空局の内容はどうなんだ。ほんとうに内容が充実して、優秀な技術者が配置されて、そして適当な検査監督が行われておるのかどうかということが、今まで実は議論の対象にならなかったのだ。そこで私のお尋ねするのは、それこそ大臣以下口をきわめて言われる航空事業の日を追うての発達に対して、一体航空局自身の検査官は何人おるのであるか、一体予算を十分にとつて、安心するだけの技術官を配置しているのか、これが問題なんです。局長、どうですか。
  113. 林坦

    林説明員 航空局の検査官は現在二十五名ございます。もちろん私どもこれで十分だと申し上げることはとうていできないのでありまして、現在のところはとにかくやつております。みんなが一生懸命でやつております。しかしながら、航空機は日を追うて多くなりますし、また新しい機種も出て参ります。相当それに関する研究もしなければならない、また勉強も大いにしなければならないのでありまして、さらにその負荷が加わつて参っておることも事実でございます。私どもとしましては、さらにこれの充実については努力すべきであると考えております。
  114. 正木清

    正木委員 第一線で働いているのは十四人ではありませんか。
  115. 林坦

    林説明員 現在の検査官の配置状況を申し上げますと、本局に十名おります。それから東京駐在と申しまして、羽田におりますのが七名、名古屋に駐在しておりますのが一名、大阪に駐在しておりますのが六名、福岡に駐在しておるのが一名、合せて二十五名でございます。
  116. 正木清

    正木委員 そうすると、君、千歳にはいないのか。それからローカル線はどうなっているのか。
  117. 林坦

    林説明員 駐在は今申し上げたところにおりまして、必要に応じて出張もいたしておるわけであります。応援もいたしております。
  118. 正木清

    正木委員 そうすると、局長、僕はやはりこの航空法の不備を痛感するのだ。あなた方が全日空許可したこの路線をまず見ましょう。
  119. 林坦

    林説明員 お話し中ですが……。お話が検査官というふうにおつしやいましたので、私は機材の検査の検査官を申し上げたのです。
  120. 正木清

    正木委員 それでいいのです。事務員は別ですよ。
  121. 林坦

    林説明員 運航につきましては、航務関係の職員がやはりおつて、いろいろ監督もいたしております。
  122. 正木清

    正木委員 あなたの方で許可した路線がこれに出ておつたと思うが……。これは、今全日空許可しているのは、東京—三沢—札幌、東京仙台仙台—札幌、東京大島東京—八丈島、東京—名古屋、東京—名古屋—大阪、大阪—小倉、それから小松、米子、高松、高知、松山、岩国、大分、福岡、鹿児島、宮崎、至るところにある。そうすると、これは大臣、考えようじやありませんか。少くとも飛行機は、事故の起きるのは幹線だけじゃないのです。国際線だけじゃないのですから、ローカル線もどこでどういう事故発生があるかわかりませんから、しかもこの日航法によると、耐空証明と称するものは法の命ずるところによって、一年一回でいいのですよ。一年一回しか検査しません。一年一回やれば、あと航空局の諸君はそれ以上言わない。これは形式上の問題なんです。ですから本来からいうと、やはり民間航空を充実するというためには、会社の内容、経理、資本その他の内容もさることながら、人間のすることだから、やはり十分な専門的な技術者を配置して常に万全の処置をとる、こういうことが必要じゃないか。これは常識的に考えられることであります。ところが、私の調査したところによると、第一線で十四名しか出ていないのです。しかも肝心なところへ配置されていない。こうなるとはなはだ心細いことになるわけです。ですから大臣、今ここで議論しても仕方ありませんが、あなたに御期待するところは、十分にやはり必要な予算はとつて責任ある者を配置していただきたい。以上で私の質問を終ります。
  123. 永野護

    永野国務大臣 先ほど事故防止のために根本的な徹底した対策をわれわれは現実化するということを申し上げました中には、機材のほかにそういう今お話のような人的の整備も含んでおるのであります。十分に考慮いたします。なお、要らぬことかもしれませんが、その席で大蔵大臣に対して、事人命に関することは、予算をただペン先でいじつてもらうとたまらぬから、今後はぜひそこに十分なる了解をしてもらいたいということを申し添えておいたのであります。つまり、結果が出ても予算で切られると、それが実現できないというようなことが往々あるのであります。従いまして、この点は十分に私了承しながらその委員会の構成及びその運営をやつていきたいと存じておりますが、どうしてもこれは国会の問題であります。予算はどうしても国会を通るのでありますから、私どもが国会の十分なる資金の獲得に尽力するのは当然であります。どうぞ御協力を願いたいと思います。そうして資金面からきた不足によってそういうような災害の起ることのないようにすることにお力添えを願いたいと思います。
  124. 塚原俊郎

    塚原委員長 午後は一時五十分より再開することとし、休憩いたします。     午後一時十八分休憩      ————◇—————     午後二時七分開議
  125. 塚原俊郎

    塚原委員長 午前に引き続き会議を開きます。天野公義君。
  126. 天野公義

    ○天野(公)委員 大臣がお急ぎのようでございますので、大臣に一点だけお聞きしたいと思います。  今回の全日空のこういう大へんな事故を発生した、そういう点から考え、また日航に対しましては、政府としてはいろいろと資金も出し、いろいろな助成をされておるわけでございますが、全日空に対しましては、またほかの民間航空に対しましては、ほとんど政府の助成その他の措置はやつておらないと私了解しておるのでございますが、今後民間航空整備拡充という面と、それから事故防止、安全運航というような面から考えまして、政府といたしまして、また運輸大臣といたしましては、日航以外の民間航空会社等に対しまして、助成措置また指導措置、そういうようなものにつきましてお考えがありましたならば、この際お伺いしたいと思います。
  127. 永野護

    永野国務大臣 御説ごもっともと思います。そういうこともあり得るかと思いますので、従来運輸省の中にできておりました各種委員会に、事故対策委員会というようなものもあるのであります。けれども、運輸省に限定しない、もっと広範囲の、あるいはもっとトップ・レベルといいますか、そういうものを網羅した委員会を作りまして、先ほども申しましたように、技術的の面ばかりじやなくて、財政的にも経済的にも考え直さなければならぬという結論に達しましたら、それに応ずる対策をして、そうして航空事業の発達と安全を確保することに努めていきたい、こう考えております。今あなたの御質問になるようなことがあり得るということを前提とした委員会であります。
  128. 天野公義

    ○天野(公)委員 この問題は非常に重大な問題だと思いますので、十分御検討の上、航空事業の発達のため、また安全運航のためになるような適切な措置をすみやかに、樹立していただきたい、かように要望いたします。
  129. 塚原俊郎

    塚原委員長 皆さんに申し上げますが、運輸大臣は二時三十五分までしかおられないそうでありますので、大臣に対する御質問のある方はこの際やつていただきたいと思います。ありませんか。それでは天野君続けて……。
  130. 天野公義

    ○天野(公)委員 まずお伺いしたいのでありますが、全日空は合併後まだ日も浅いことでございます。そこで今回の事故に関連して、先ほどから問題になっております整備という点が非常に重視されるわけでございます。新聞の報ずるところによりますと、全日空は時間点検は自分のところ、エンジンは新三菱、機体のオーバーホールは日航整備というような、三つの場合に分けて整備をしておるようでありますが、その通りでございますか。
  131. 關口規矩二

    關口説明員 その通りであります。
  132. 天野公義

    ○天野(公)委員 そういたしますと、時間点検というものは、いわば自分の会社整備をやるということになるわけであります。日航でありますと、全然企業を別にいたしました日航整備会社がこれをやつていると了解しているのでありますが、そうした場合には別な企業体がその整備に対して責任を持つということになりますが、全日空の場合は、時間点検の場合においては若干その様相を異にして、運航の時間のために、整備点検があるいは省略されるとか、あるいは手を抜くとか、そういう点がないとも限らないという気がするのでございます。そういう点について、そういう懸念がありましようか、どうでございましょうか。
  133. 關口規矩二

    關口説明員 そういう御心配はございません。
  134. 天野公義

    ○天野(公)委員 それでは日航整備がやつていると同じように責任を持って時間点検をやつておる、こういうふうに了解してよろしいわけですね。  次にお伺いしたい点は、当日飛行機が千歳を出るのが十四時四十五分の予定になっておるわけであります。そして羽田着十九時十分、その間四時間二十五分の時間があるわけでありますが、その間に仙台に寄る予定になっておる。ところが仙台に乗客がなかったので、仙台を直行して羽田にこれが着いておるということでありますが、予定は十四時四十五分発というのが、実際このときの飛行機は十五時三十分に千歳を離陸しておるわけであります。約一時間近くおくれておる。この一時間近くおくれた原因は一体どういうところにあるのでしょうか。
  135. 關口規矩二

    關口説明員 ダイヤの通り運航していないのは、乗客の関係、荷物の関係、ATCのために順番を待つといったようなこと、それから必要な点検もしなくてはならない、全部のことをやらなければならないために、少しおくれたのだと思います。
  136. 天野公義

    ○天野(公)委員 約一時間おくれておるということは、ちょっと問題があるのじゃないかと思いますが、航空局の方でその原因についてお調べになつたことがありますか。
  137. 關口規矩二

    關口説明員 今度の分につきましてはまだ調べておりません。
  138. 天野公義

    ○天野(公)委員 なぜ約一時間千歳出発がおくれたかということをよくお調べを願いたいと思います。  それから羽田に着きましたのが十八時五十二分であります。運航予定で参りますと、十九時十分に羽田に着いて十九時三十分に羽田を立つということになって、羽田に二十分きりいないというのが運航予定になっております。しかしこの日は、十八時五十二分に羽田に着いて、羽田を離陸したのが十九時五十三分、ここで約一時間の時間を費しておりますし、予定よりも二十三分もおくれて出発しておる。そうしますとこの一時間の間に一体どういうことをしたのか。それからこの点でも二十何分もおくれておりますが、こういうのはどういう工合になっておりますか、お調べになりましたか。——航空局では調べておらないようです。なぜ私がこういうことをお伺いするかといいますと、実は千歳でこの飛行機に乗つて羽田でおりたという人の話でありますが、飛行エンジンの調子が悪くて、乗つていて非常に不安を感じた。そうしてこの人は羽田で降て飛行機が次に立ってあの事故になって、やれやれおれは助かった、こういう話を私は聞いております。でありますから、こういう時間のことをお伺いしたいのでありますが、おそらく一時間もおくれて出発したのは、エンジンの調子が悪くて整備をしたのだけれども、おくれたので飛び出した、それから羽田に着いてもやはりエンジンの点に何か疑義があったのじゃないかというような気がするのですが、そういう点は一体いかがでしよう。お調べになっていなかったら、調べてないでけつこうです。
  139. 林坦

    林説明員 ただいまの航空機羽田に着きましてから一時間の間にやつておりますことは、大体燃料搭載が三百九十二米ガロン、滑油搭載四十米ガロン、その他作動油搭載三・五米ガロン、そういったような油の搭載に相当時間を使つております。それから飛行前の点検を行なっておるということが事実でありますが、今言われましたような詳細なる検討は、まだ報告を受けておりません。現在まではもつぱら捜索方面及びいろいろの資料収集の方面に全力を注いでおりまして、その辺の検討はいま多少時日をかしていただきたいと思います。
  140. 塚原俊郎

    塚原委員長 天野君に申し上げます。質問途中でまことに恐縮なんですが、大久保武雄委員から大臣に対する質問があるそうでありますから、約十五分ぐらい中断していただきたいと思います。大久保武雄君。
  141. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 いろいろこまかい点がありますけれども、大臣にお尋ねする点に集約して御質問いたします。  今回の遭難はまことに不遇な事件ではありますけれども、これは考えようによっては救助できなかった事故でもなかったと思っております。突発的にダブル・エンジンとも停止したと判断されますから、その後海中に墜落した、こういう判断がいたされております。しかし、もしこれが片エンジン飛行していったと仮定した場合において、その間に救難上いかなる措置がとられたか、またとらるべきであったかということは、これは事後の問題ではありますけれども、今後にとつてはきわめて大事な問題ではないかと私は思うのです。そこで新聞その他から、航空機に故障が起つてから一体どういう措置がとられておつたかということを静かに振り返つてみますと、これは今後の事態にとつてはいろいろわれわれとして考えなくてはならぬ点を発見するわけです。先ほど航空局長から時間的な御説明がありましたのによっても明らかでありますように、飛行機は二十時四十七分ころコントロール・センターから連絡がとれなくなつた飛行機は同時刻ころ緊急事態の通告をしておる。緊急事態の通告を飛行機がしたという以上は、飛行機にとつてはきわめて重大な場合だと判断する。それから一体救難態勢がどういうふうにしてとられていったかということはきわめて大切な問題でなくちやならぬわけです。もし片エンジン飛行を続けておつたとしたならばどうなっておつたかということを反省されるべきです。そこでこの場合に一番残念なことは、飛行機が墜落した、あるいは引き返すといったような場合に、飛行機の位置はどの点だ、どこから引き返すのかという点がきわめて不明確であったという事実、これは救難をする場合におきましては、いつどこで何があったかということをキャッチすることが一番大切なことであると思いますけれども、いつどこでということが全然判明していない、これは一体何だ、こういうことになってくるわけです。  そこでこの飛行機が非常事態の通告をして、それが二十時四十七分ころごある。それからとられました対策というものを考えてみますと、おもなる点を申しますと、二十二時十分に海上保安庁のオペレーシヨンに艦艇捜索出動要請があった。それから先ほどの御説明によりますと、米空軍機の一機がジヨンソンから二十三時四分に出動しておる。それからさらに二十三時四十五分に「むろと」が出動しておる。二十三時五十分になって初めて全日空僚機出動しておる。この点をずっとあとを追つて時間的経過を見てみますと、海上保安庁のオペレーションに出動要請をしたのが一時間半あと、それからジョンソン基地から米軍機出動したのが二時間半あと巡視船の「むろと」や全日空僚機出動するに至っては実に三時間のあとということになっている。いやしくも飛行機のかような非常事態において一時間、二時間、三時間あとに救難行動が発動するということは一体何ということであるか。三時間もたちましたならば飛行機はもう九州まで行ってしまう。そういうような時期に、しかも飛行機緊急事態を通告をしておるのに、このように長い時間放置されておつたということは一体どうなのか、この点について私たちは、事故ではあるけれども、厳粛なる反省をしなければならぬと思うのです。そこでこれを反省するに当つて、一体事故が起つてからどういうような通信がとられておつたか、その通信経路はどうなのか、だれが一体通信センターに当つてそういう連絡をするのかということを考えてみますと、これは航空局長にお尋ねしたいが、米軍のジョンソン基地にあるRCCセンターか、この点をお伺いしたい。
  142. 林坦

    林説明員 今お尋ねのございましたジョンソンにおいてやつておりますのはATCをやつておるところでございまして、常時航空機の行動をウオッチしておる場所に連絡をとつております。
  143. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 かような航空の非常事態に対処するために、常時非常事態のウオッチをするセンターがなくちやならぬと思うのですが、それはだれがウオッチしておるのですか。
  144. 林坦

    林説明員 センターにおいてやつております。
  145. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 RCCセンターと解釈してよろしゅうございますか。
  146. 林坦

    林説明員 ARTCセンターでございます。
  147. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 ARTCセンターは米側の交通管制センターだと思います。救難センターというのはRCCセンターだと思いますが……
  148. 林坦

    林説明員 さようでございます、ARTCと申し上げたのであります。
  149. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 ARTCセンターがこの事態を知つたのもやはり八時四十七分ころと考えられますが、そう考えてよろしゅうございますか。
  150. 林坦

    林説明員 その点はさらに詳細に検討をいたしまして、もっと正確なところをつかむ必要があると思いますが、ただいまの御質問の中にございましたジョンソンの基地から米軍の飛行機出動をいたしましたのは、これは横田から出たものだと思いますが、比較的早く出ておりました。こちらに連絡のございましたのは、先ほどお示しのございました二十三時四分でございますが、出動いたしておりますのは、二十一時四分には出動いたしております。
  151. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 私は、二十一時四分に出動したかどうかということは、これは新聞社等からの情報によりましても、米軍機が救難等に活動したという情報はありませんから、確認して、この際一広承わつておきますけれども、しかし日本側の救難機の出動という時間を見てみますと、これはやはりかなりおくれております。二時間以上になっておる。そこでこれは海上保安庁長官にも伺いたいのでありますが、館山に救難機がある、あの救難機はいつ出動したか、この点をお尋ねいたします。
  152. 島居辰次郎

    ○島居説明員 私どものビーチクラフトは館山にございますが、館山は御存じのように夜間飛行はできませんので、翌日の未明を期して出ております。
  153. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 夜間飛行のできないようなところに救難機を置いても救難にはならない。事故が夜間起らぬとは決定されておるわけではありませんから、私はこれははなはだどうかしていると思う。そういうまことに不完全な施設に救難機を置いて、そうして非常事態の場合に備えて救難せよということもおかしいと思うのですが、さらに、海上保安庁はこの辺の救難センターというものは、館山飛行機のそういうセンターだとすれば、そこには何らかのこういった通信を傍受し、常時出動態勢ができておりますか。
  154. 島居辰次郎

    ○島居説明員 飛行機の救難態勢というものは今考えつつあるところでありまして、今までやつておるのは主として船舶の救難態勢でやつておるのでありまして、館山航空基地というものは、あの飛行機で救難それ自身を行うというのではなく、場所を探すとかいろんなことに使うわけであります。幸いに当日私の方の「むろと」は大島の岡田におりましたので、航空保安事務所からその救難の報を聞きますと同時に岡田の船は一番初めに出ておりまして、現地に早く着いております。
  155. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 まだ下から積み上げなければならぬ問題がありますけれども端折りまして、大臣に結論的に申し上げたい。そこで、私が今かいつまんであらましのことを申し上げたので、大臣も御了得になつたと思いますけれども、今度の事故は突発的に起つてまことに不幸な事実になっておりますけれども、これがかりに片エンジン飛行していったとすれば、相当な救援出動態勢をとつていかなければならぬと思います。先般アメリカ映画の「紅の翼」というものがきた。あれはサンフランシスコの飛行場から飛び立ってハワイに行く洋上飛行で、途中でエンジンに故障を起しておる。そのとき直ちに救難飛行機、救難艇がそのあとについていく。これは、洋上飛行にとつて一番大切なことだと思う。しかも救難基地においては、こういうような遭難信号に対する傍受態勢をとつてつて、常時救難要員は出動準備をしておらなければならぬ。それが、二時間、三時間後になってやつといかりをあげて出ていく、あるいはガソリンを積んで出ていくということでは、飛行機の救難には間に合わない。しかも聞いてみますと、館山では夜間照明施設がなくて、夜間の事故に対してはお手上げだということは私はどうかと思います。また現在日本が国際飛行をやつておる。同僚もアメリカにどんどん飛んでいっておる。一体日本とウエーキの中間において、むしろ中間より日本に近いところにあつて、もしエンジン故障があったら、どんな救難措置を大臣はとつていくのか。その救難機は一体あるのかということになつたら、私は大臣が保安上、国際的に宣明せられる責任問題としてはゆゆしい問題だと思う。そういう点からいたしまして、私は将来の飛行救難基地というものを、館山のような自衛隊の航空基地を間借りしておるといったような不完全なことでなくて、羽田あたりに移して本格的な救難態勢、救難基地をお作りになる方針であるか、またもしそういう方針であるならば、来年度予算においてこれは必ず御実行になるかどうか、どういう構想でこの救難基地の整備をされようとしておるか、これはこれから研究される問題ではなくて、どこだつて国際飛行をやつておるところ、これだけひんぱんなところには救難基地があるのですから、これは今すぐ大臣が御答弁になってもできることですから御答弁願いたい。
  156. 永野護

    永野国務大臣 先ほど昨日の閣議決定の内容を申し上げましたときに、すでにその問題に触れて申し上げておるつもりであります。今日の状態が単に材料だとか、単に人の問題だとかいうばかりでなくて、根本的には機構に何らかの改善すべき点がありはしないか、あるいは財政的に見て、その面から必要欠くべからざる施設を怠つてつた点がありはしないかというような、非常に範囲の広い面にわたって対策を考えたいと存じましたので、運輸省に事故対策委員会とかいう名前で、その一応の対策研究されておるにもかかわらず、新しくそういう機関を作ろうと決意をいたしましたのは、今御指摘のような点はかなり範囲が広範にわたりますから、各方面の方々にお集まりを願つた委員会作つて研究いたすつもりであります。従いまして今御指摘のような点は、先ほどからの質問応答の中にも、たとえば救難のためにする飛行場を作らなければなるまいかというような御意見も出ております。これらのものをひつくるめまして、基本的の対策を講ずるつもりでおります。
  157. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 ただいまの大臣の御答弁、私はまだ少し納得できませんが、不時着場を作つたりするような根本的な問題はまたお考えになってよろしかろう、これは直ちにできる問題ではありません。しかし飛行機は毎日飛んでおる。きようもまた出発する。それで夜間に救難に行けないようなところに救難飛行機が置いてあるという現実が館山にあるのです。そこで、この飛行機羽田に持ってきて、救難態勢を作る。飛行機の救難基地を羽田に持ってくるということは、私は今度の事故に対してでも直ちにおとりになられる行政措置ではないかと思うのですが、若干の予算的措置はあるかもしれませんが、私はこれは大してそう相談せぬでも判断上できる問題ではないかと思います。
  158. 島居辰次郎

    ○島居説明員 ただいまのことについて私からも一言申し上げます。先ほど少し言葉を落しましたが、近く羽田の方に、おっしゃるような救難の飛行機の基地を移譲しまして、そうしてなお願わくは、通信その他の施設を増強したいという計画を持っておるようなわけであります。しかしまだ現実にそれができるというわけにはいきませんが、近き将来において、アメリカの飛行機等の何か建物を利用いたしまして、そこに飛行機の救難態勢の根本を置こう、こういうふうに考えておるわけであります。
  159. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 今島居長官は、館山の救難基地を羽田に移して、そうして羽田に非常通信に対する常時受信態勢を作つて、救難機もふやす、救難施設もする、こういう御答弁だと考えますが、よろしいですね。
  160. 島居辰次郎

    ○島居説明員 さようでございます。
  161. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 それでは一応これで……。
  162. 塚原俊郎

    塚原委員長 それでは、大久保委員はこのあとで……。  天野公義君。
  163. 天野公義

    ○天野(公)委員 次の問題をお伺いしたいのでありますが、それは重量の問題であります。一体飛行機については、その飛行機によって重量制限ができておると思うのですが、この遭難機は一万一千七百九十キロ、こういうように新聞で報ぜられております。そうでございますか。
  164. 關口規矩二

    關口説明員 私たちポンドで記憶しておりますが、大体今おつしやられた重量だと思います。
  165. 天野公義

    ○天野(公)委員 そうすると飛行機に人が乗り、また荷物を積むというような場合に、載せるものは一体どうやつてはかるのですか。
  166. 關口規矩二

    關口説明員 燃料、それからお客さんは平均幾ら、荷物は一々全部はかりまして集計いたします。
  167. 天野公義

    ○天野(公)委員 新聞の報ずるところによりますると、当日三十三名の乗員及び十九個の貨物、百四十五・一キロ、こういうふうに報ぜられておつて、その総計が一万一千六百五十五キロ、こういうふうに報ぜられておるのです。ところが今の御説明によりますと、乗員は平均で大体目の子算でやつておる。このように了解せざるを得ないのですが、いかがでしよう。
  168. 關口規矩二

    關口説明員 人は一名百五十ポンドで計算しております。
  169. 天野公義

    ○天野(公)委員 政府はメートル法を採用しろといって盛んにやつておるときに、ポンドでやられちやちょっとおかしいと思いますがいかがですか。それはまあ横道でありますが、新聞の報ずるところによりますと実際の重量というものは一万一千六百五十五キロ、飛行機の制限重量が一万一千七百九十キロ、その差が百三十五キロ、わずか人間二人くらいの差しか出ておらないということになっておりますが、人間それ自体の重量とそれから衣類、手荷物、そういうようなものを見ますると、あるいは目の子算でそういうような数字であるとするならば、制限重量をあるいはこしておったのではないかという面も考えられるのではないかと思いますが、その点いかがですか。
  170. 關口規矩二

    關口説明員 平均いたしました重量というのは、いろいろな場合を想定してこれ以上にはならないという数字になっております。従って特に重たい人がよけいに乗つたというときにははからなければいけないと思いますが、普通はそういう測定はいたしておりません。従って、この搭載しました重量につきましては問題ないと考えております。
  171. 天野公義

    ○天野(公)委員 制限重量が一万一千七百九十キロ、実際の重量が推定もまぜまして一万一千六百五十五キロ、差が百三十五キロ、こういうのでほとんど限度すれすれにきておると私どもは判断せざるを得ないわけであります。そういうような際に、片方のエンジンがとまる、実際とまつたわけでありますが、そうすると当然非常な重みがあつて、その間重量荷物を投げ捨てたというような報告もみえておりません。当然一万一千六百五十五キロという重量で片肺で飛んだ。ここに大きな事故原因があるようにも思われるわけであります。本日の新聞の報ずるところによりますと、片方で飛んでいる間に片方のエンジンがオーバー・ヒートで火花が出て、それによって分解を行なつたんじゃないか、こういう推定が行われておるのでありますが、こういう重量の点と、それから本日報道されておるような片肺後のエンジンのオーバー・ヒートによる分解作用、こういう問題は非常に関連が深い、このように考えざるを得ないのでありますが、そういう点はいかがですか。
  172. 關口規矩二

    關口説明員 ただいまの御質問の点につきましては、この飛行機の片発での試験をいたしましたときには制限電量一ぱいで十分性能が出ております。なお新聞記事によりますオーバー・ヒートの点につきましては、私の方としてはまだ何とも申し上げられません。
  173. 天野公義

    ○天野(公)委員 飛行機の重量をはかるということは、片つ方は平均の目の子でやつて荷物はちゃんとはかる。それで、機体全体をどうもおかしいなと思うときに調べる装置は、今のところないわけですね。
  174. 大澤信一

    ○大澤説明員 一種のはかりがございます。昔は旧式な看貫ではかったのでございますが、最近はジャッキをかけまして、そこに電気的に目盛りを出すような装置を私どもの方の検査課でも持っております。羽田の日航整備も持つおります。日航も持っております。
  175. 天野公義

    ○天野(公)委員 人員と荷物が満載されますときに、そういうようなものでおはかりになつたことがありますか。
  176. 大澤信一

    ○大澤説明員 私の方としましては飛行機の検査としてはかつておりますので、そういう人員を満載したときの重量ははかったことはありません。
  177. 天野公義

    ○天野(公)委員 今回の事故にかんがみまして、そういう点を今後よく御研究になって、重量の点については万遺憾なきを期していただきたいと思います。  それから次の点でありますが、この飛行機エンジンがとまりますと各無線その他諸計器がとまることになっておるのでありますか。
  178. 關口規矩二

    關口説明員 片一方のエンジンが回っておれば、無線の方はとまることはないと思います。それからジャイロ計器はアウトになっておりますが、これは左のエンジンからその真空ポンプの空気をとつておりますので、そのときにアウトになつたのだと思います。しかし、これはすぐ右のエンジンに切りかえるようになっておりますから動くようになると考えております。
  179. 天野公義

    ○天野(公)委員 そうすると、かりに両方とまつた場合には、無線も諸計器も全部ストップしてしまう、こういうわけですね。
  180. 關口規矩二

    關口説明員 エンジンが両方とまりましたら蓄電池がございますので、無線はそれで特に何か大きな電力を使わない限り交信可能であります。
  181. 天野公義

    ○天野(公)委員 今のお話で左のエンジンがとまると右に切りかえるということができるにしても、ジャイロは一応とまる、こういうことですね。そうすると航行並びに機体の平衡を維持する装置、そういうものも大体とまるわけですね。
  182. 關口規矩二

    關口説明員 磁気羅針盤は動きます。ちょっと研究させていただきます。
  183. 塚原俊郎

    塚原委員長 あとでよく研究して下さい。
  184. 天野公義

    ○天野(公)委員 そういう点がはっきりしてこないとどうも究明のしようがないのですが、諸計器がとまる、そして夜間視界がきかないときは平衡装置もとまるという場合には、機体がどういう角度でどうなっておるかということは全然わからないのじゃないかと思います。水平線でも向うにあればある程度わかると思いますが、水平線もよく見えないというようなところで、水平装置が故障すれば、さかさになって飛んでおるか、あるいは横つちよになって飛んでおるか、あるいは下に突つ込んでおるか、なかなかわからないような事態がそこに現出されるのではないかと思います。そういうような点と重量の問題、そういうようなものをひつくるめましたときに、どうも海に激突したということが判断される。そして水平飛行をやつて水上に無事着水することが不可能であったということが私は考えられるのじゃないかと思うのでありますが、そういう点、航空局は一体どういうようにお考えになっておりますか。
  185. 林坦

    林説明員 いろいろな場合が想定されるのであります。今おつしやいましたように、一つのエンジンがとまつてもう一つのエンジンに計器関係を切りかえるという問題、またそれが切りかえ可能であったかどうかといったようなこと、また切りかえることができなかった場合にはどういうふうになるか、今御指摘のような場合の問題につきましては、私ども事故調査におきまして十分に検討して結論を出そう、こういう段階になっておるのであります。
  186. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 関連。今説明がありました予備電源がある、予備電源があるならば、通信が全然とれなかったというのはどういうわけでしよう。
  187. 關口規矩二

    關口説明員 通信が全然とれなかったとは申せないと思うのであります。ときどきとぎれたということは、そのときの気象条件、あるいは高度といったようなものからしばしばあることでございまして、おしまいになりましてだんだん通信がよく聞えなくなつた。最後にとだえたということは現在までの資料によって推定できますが、通信が悪かったということは考えてはおりません。
  188. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 通信が悪かったということは考えておらなくても、今の航空資料によると、緊急事態通告以来の交信がほとんどできておらぬ、一番大事なときの通信ができておらぬ、これはどういう原因だということをはっきりさせなくちやならぬと私は思うのですよ。
  189. 林坦

    林説明員 おっしゃる通りでございまして、通信最初は非常によく連絡をとつてつたのでございますが、エンジンが故障しまして状態が悪くなり、東京の方に引き返すということを連絡をとりましてから後、だんだん通信状態も悪くなってきております。従って、初めから通信機が悪かったという意味ではないということを今申し上げておるのでありまして、これがエンジンの故障なりあるいはその他高度が下つたこと等によって、その性能がまた感度が落ちてきたということが考えられるということを申し上げておるわけであります。
  190. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 高度が下つてきて交信が不可能になるほど下つてきたならば、その前に飛行機から緊急事態の通告が行われておりますから、これは飛行機がきわめてシリアスな状態にあったということは情勢判断上私はできると思いますがね。その辺の、船でいうSOS、そういったような救難信号というものは航空の場合はいついかなる場合に判断をするか、そうして救難態勢に通信上入っていくか、この通信によって全救難機関を発動する時期と判断されるか、この点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  191. 林坦

    林説明員 センターとの通信によりましてエマージェンシーということは連絡しておるわけでありますが、エマージェンシーという言葉航空においては割合に広い言葉でございまして、とにかくその状態において不時着その他をする場合ももちろんありますし、また片肺のまま帰ってくるので地上において準備をするというような意味におけるエマージェンシーもございます。今の場合はただ片肺がとまつたということと帰るという連絡をとつておる状態でございますから、それがどこかに不時着をするということがまず予想される、従ってどこかに連絡してやれという意味で各地に連絡をとつたわけであります。しかしそれが、大体捜索いたしましたけれども、それぞれまだ連絡がないというので、今度は行方不明の段階にある、こういうふうに判断いたしましたのが約二十二時でございます。
  192. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 航空上、船にあるSOSと同じような救難信号といいますか、そういうものは何によって明らかになりますか。船と同じような僚船僚機の救助態勢は、何によってとられていきますか。
  193. 林坦

    林説明員 航空におきましては、いわゆる船のSOSに相当するものは特別の符号がありましてメーデー・メーデーという連絡をすることになっております。
  194. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 それならば今度の事故におきましては、飛行機はついにメーデー・メーデーは発しなかったというわけですか。
  195. 林坦

    林説明員 発しておりません。
  196. 天野公義

    ○天野(公)委員 次の点でありますが、現在国内航空の場合には救命ボートは要らないというような工合になっておると記憶しておりますが、いかがですか。
  197. 林坦

    林説明員 救命ボートは規定されておりません。
  198. 天野公義

    ○天野(公)委員 国内航空の場合であつても、かりに今回の遭難機が無事にどうやら水上に着水できたということが仮定されたといたしました場合には、どうしても救命ボートが必要になるのではないかと思います。特に日本のようにまわりが海でありますし、陸上を飛行しておったと思っても、高度が高いから海の方に向つてすつとおつこちていくという場合も当然考えられると思うのです。従って救命ボートは飛行機には欠くことのできないものではないかと思いますが、その点いかがですか。また今後救命ボートは必ず載せる必要があると感じますが、その点いかがですか。
  199. 林坦

    林説明員 救命ボートはなかなか重量もあるものでございます。いろいろ技術的な問題も考慮しなければならぬので、研究いたしたいと思っております。
  200. 天野公義

    ○天野(公)委員 ほかの委員もだいぶお待ちのようでございますので、今申し上げたような諸点についてよく御研究を願つて、今後事故があった場合にも助かることができるように万全の指導と、それから整備の充実に努めていただきたいと思います。
  201. 塚原俊郎

  202. 久保三郎

    久保委員 まず第一に、先ほどもお尋ねがあつてはっきりしませんでしたが、この航空機の当日のダイヤ遅延の原因、その理由を後ほどお調べいただきたいと思います。そこでお尋ねしたいのは、航空機のダイヤ管理、これはだれがどこでしているか。その者はダイヤ遅延に対する理由をダイヤの中に書き込んでおくと思うのだが、これは会社でやつておるか、あるいはそれとも航空管制の方の担当官がやつておるのか、この点をまずお伺いしたい。
  203. 關口規矩二

    關口説明員 ダイヤの管理は会社が実施いたしております。管制の方とは関係ございません。
  204. 久保三郎

    久保委員 会社の方がおられるようですから伺いますが、このダイヤの管理ですね、これはディスパッチャーでおやりになっていると思うのでありますが、毎日の記録はお持ちでございましょうか。
  205. 福本柳一

    福本参考人 毎日の記録はできておりますが、ここには持って参っておりません。
  206. 久保三郎

    久保委員 先ほどのお尋ねの点でありますが、千歳から出てくるのに一時間遅延しておる。それから名古屋にこの航空機出発するのに二十三分遅延しておる。この遅延の原因は何であったのでしょうか。
  207. 福本柳一

    福本参考人 これも手元に詳細な記録を持っておりませんので、後ほどお答えをさしていただきたいと思います。
  208. 久保三郎

    久保委員 航空局では常時航空機運航について監督しておられると思うのでありますが、定期的にダイヤを点検することがおありでしょうか。
  209. 林坦

    林説明員 特に定期的ということはないと思いますが、ダイヤが非常に遅延するということが通例になりますれば、その間にダイヤが無理であるというような面もあるわけでございまして、会社の方にそういう点の注意をする場合はよくあるのであります。
  210. 久保三郎

    久保委員 航空管制の方で、あるいは会社経営の面から、いずれかからダイヤ遅延に対して、いわゆる定刻に発着するように強要されるという面は現在ありましようか。
  211. 林坦

    林説明員 航空管制の方が定刻発着を強要するというようなことは絶対にございません。
  212. 久保三郎

    久保委員 ところで整備関係をお尋ねしますが、航空局長の先ほどのお話の中でも、耐空証明は昨年の十二月三十日に出した、その後修理改造検査をした、これは大体千時間検査、定時検査だと思うのでありますが、これがことして七月十二日になっているのです。それで、新聞談話で発表されておりました昨年の七月から十月の間に日ペリともう一つ、合同前の二つの会社、これに対して検査をして、特に整備関係を検査して、そこで羽田空港における両会社整備関係の人手不足、よって労働過重があったのでこれを直すようにした、その後その指摘事項は十名程度補充されて大よそ完了しておる、こういうわけであるが、この検査当時はどの程度の整備人員があったのか、不完全であったのか、人手不足で労働過重であったのか、この点が一つ。  それからもう一つは、部品の補給並びに調達計画が安全性を欠いているというふうに発表しておったが、この部品の補給、調達計画はその後どういうふうになされたか、その当時の検査ではどういう点が安全性を欠いていたのか、この点御答弁を願います。
  213. 大澤信一

    ○大澤説明員 ただいまのお話は昨年度の安全性向上検査の結果かと思います。そのときに当時の日ペリ航空に対して勧告いたしました内容は、要点は今おつしやられた通りでございます。確かに当時の日ペリ航空として整備の人たちの数が少し足りないということは、おる人たちが労働過重されまして、たとえば夜間ずっと整備した人が朝の点検をやるということで、短期間ならいいのですが、これが長く続くと無理がくるだろうという点で勧告をいたしました。  それから部品の点も、この二社というのは一社は極東航空でございまして、大阪で検査したのでございます。極東航空に比べまして日ペリ航空の方が主としてDC3型については保有部品の数が少うございまして、この点を勧告したのでございますが、その後両社が合併いたしまして人間は今の十名程度の補充もありましたし、両社が一緒になりましたので大阪から相当の人が東京に来ております。それから部品も極東航空は相当持っておりました。それを一本にいたしましたから、その当時よりずっとよくなつたはずでございます。
  214. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、人間の方は移動して補充がついた、部品の方も両方合せながら補充がついた、こういうふうに解釈していいのですか。——そうしますと、DC3型という事故を起した航空機は、日ペリあるいは極東のどちらにどういうふうになつたのですか。合併した今日、九機今お持ちのようですが、そのうちどういう割合に持っておられたか。
  215. 林坦

    林説明員 日ペリ、極東が合併いたしまして全日空になつたのでありますが、合併当時の所有機の問題になりますと、DC3は日ペリが六で、極東が三であります。今度の事故機は日ペリにあった航空機でございます。
  216. 久保三郎

    久保委員 先ほど検査課長がおっしゃった部品の点でありますが、極東と合併して十分になつたというお話ですが、飛行機を持っておつた数からいくと逆のように承われます。おかしいと思うのですが、いかがでございますか。
  217. 大澤信一

    ○大澤説明員 保有部品は一機について幾らときまつたものではございませんので、そのときの取引の都合や何かでかためて買つたところはよけい持っておりますし、たまたま注文中でまだ物が入っていないようなものもございますので、その後、去年安全性向上検査をやりましたときの状況は、手持ち部品としては極東の方がよけい持っております。
  218. 久保三郎

    久保委員 その部品の補給調達計画を指摘されたとき、先ほど御答弁がありましたが、専門用語でよく聞き取れませんでしたが、何とかいうピンですね、そういうものはその当時整備されてあったのかどうか。
  219. 大澤信一

    ○大澤説明員 先ほどお答えいたしましたように、一つの部品でアメリカにおけるメーカーが何種類かあったわけでございます。一番成績がいいと申しますか、今後これを使つたら安全だと思われる部品としては両社ともあまり持っておりませんので、その後買いましたのと、それからたまたま日航整備が持っておつた分がございましたので、それを分けてもらいました。
  220. 久保三郎

    久保委員 先ほど機体検査の延長を目下試験中であつて、この七月十二日に千時間になつたので検査をして合格した、こうなっております。そこでこれは九百六十時間のものを千時間にしたわけですが、こういう事故があつて規定の九百六十時間にさしあたり戻すべきじゃないか。さらにこの定時点検というのはいかなる飛行機でも時間的には同じか。八十時間並びに九百六十時間の二種類あるようでございますが、これはどこの会社にも同じであるか、すなわち、国際線を持っておる日航にも同じにやつているのか、それから小さい遊覧飛行をやつているのにも同じにやつているのか、こういうことをお尋ねいたします。
  221. 大澤信一

    ○大澤説明員 このタイム・チェックの時間間隔は型式が同じ航空機に対しましても必ずしも一様ではありません。それからもう一つは、運航状況によっても変つて参ります。結局飛行機の使い方と整備の仕方によってまちまちでございますが、航空会社として一つの型の飛行機をもってそれを整備規程で何時間ごとに整備したいということをきめます場合には、最初はまず安全度の相当低いところできめます。それで半年なり一年なりの実績を見ましてだんだん上げていくわけであります。ただいま日航のお話が出ましたが、日航の飛行機は百時間とか、アメリカに飛んでいくのは百三十時間間隔で検査しております。
  222. 久保三郎

    久保委員 専門的なことでよくわかりませんから、概括的にお尋ねするのですが、国内線は大体簡単に検査して、国際線はさらに高度の検査をする、そういう区別をつけておりますか。
  223. 大澤信一

    ○大澤説明員 国内線に使う飛行機の検査でございますか。——全然区別ございません。
  224. 久保三郎

    久保委員 次には、先ほどの答弁の中で、乗客に対する安全教育といいますか、危険の場合の救命胴衣のつけ方とか、そういう教育は会社には義務づけていないというお話ですが、これを機会に義務づける必要があるのじゃないかと思いますが、それに対して局長さんいかがですか。
  225. 林坦

    林説明員 航空機の安全についてはますます注意を大きくしなければならぬことでございますが、私どもの方としても十分研究いたしたいと思います。
  226. 久保三郎

    久保委員 それから、途中で僚機がこの飛行機と会つたのであります。先ほど答弁になかったようでありますが、こういう場合に僚機が誘導さえすればある程度このような不幸から救われたのじゃないか、こう思うのですが、この場合にはそういう配慮はできなかったか、あるいは規定上できないことになっているのか、その点を伺います。
  227. 林坦

    林説明員 今度の場合は僚機がお互いに通信をいたしておりましたときには、誘導をして帰らねばならないという状態と認識していなかったと思われます。ただ片肺がとまつた羽田の方に帰りたいという状態でありまして、そういう状態は間々あることがありますので、誘導しなければならないという程度に考えておれば、もちろんそういう措置をとつたであろうと思われます。
  228. 久保三郎

    久保委員 先ほど正木委員から質問がありました航空審議会の第二の諮問ですが、それに対して答申があったわけです。この航空安全性についての答申の内容をちょっと見ましたが、これは答申が十分満たされておるのかどうか、実行しているかどうか、その点をお伺いします。
  229. 林坦

    林説明員 航空安全に関しましてのこのときの答申は、ここに科学技術の振興方策と、それから航空機の耐空性確保方策、それから航空保安業務の確立方策というのが出ております。これらにつきましては、もちろんこの趣旨に沿うて逐次われわれの航空行政の拡充強化を行なって参っておるわけであります。相当程度満たされております。特に耐空性確保等につきましては、航空審議会におきまして基準部会を設けまして、その後もさらにこれを砕いて実地に移しつつある現状でございまして、これは一ぺんに全部これを満たすということは困難でありますけれども、逐次これを充足するように現在進んで参っております。
  230. 久保三郎

    久保委員 この答申があったのは二十八年の十二月です。ことしは三十三年で間もなく十二月なんですが、逐次ということでありまして、どの程度が逐次かわかりません。これはあとでもけつこうですが、たとえば航空機の耐空性確保方策のどの程度までおやりになつたのか。逐次じやなくて、今日どの辺までやつたか、あるいは予算を伴うものならば、どの程度まで今日要求しておるのか、そういう点をあとから御説明いただきたい。  続いて御質問申し上げますが、当日この会社の搭乗員並びに地上整備員の勤務時間等については調べておりますか。
  231. 關口規矩二

    關口説明員 まだ調査中であります。
  232. 久保三郎

    久保委員 なるほどこういう事故の際でありますから、犠牲になられたというか、乗つてつた方々の救助が先決でありましょう。よってそれに全力を注ぐことはまことに理の当然であり、またけつこうなことだと思うのでありますが、そういうことと同時に、それへ全部がかかりきりのわけではないでしょうから、そういう点も逐次御調査いただいて、今日までにある程度のことはおわかりじゃないだろうかと私は思ってきたんですが、この点は大へん私としては残念に思う。というのは、先ほどのダイヤにしても、運輸省が監督の立場にあるとすれば、この日の全体的な航空のダイヤは全般的に乱れていたのではなかろうか、こういうふうにも私は推測する。乱れていたとするならば、この飛行機だけの問題じゃない。しかしこの飛行機だけが乱れていたとするならば、これは特徴的なものであります。そういう点は調べようと思えばすぐ調べがつくはずなんです。そういうものをちつともお持ちになっていないというのは大へん残念です。この点今後のこともございますし、ダイヤ管理等も十分配慮すべきではなかろうか。ただ一日に一往復を許すとかいうようなことだけを監督されるのではなくて、実際にそのダイヤ管理がうまくいっているかどうかというのは大へん大事なことだと思うのです。先ほど御質問になつたように、エンジンの調子が悪かったので一時間おくらした、これはうわさか何か知りませんが、こういうのを知っていたら、その東京発の名古屋行はやめさせるとかどうとかいう問題がすぐ的確に、航空管制といいますか、そういところから出てくるのがほんとうじゃないか。会社にまかせつぱなしもけつこうでありましょうが、監督する地位にあるものが野放しでは、会社は一つの常業政策もございましょうが、そういう場合が今度の場合にはないと思うのでありますが、今後あるかもしれない。そうなつた場合に監督官庁としての責任は免れないと思う。そういうところを一つお考えをいただきたいと思うのです。  そこで最後にお尋ねいたしますが、この会社はこの二月に合併実施をしたのですが、合併実施をしてからの経理状態その他に無理がいっているんではなかろうか。これは別の問題でありますが、こういうふうに考えるのですが、航空局長はどういうふうに見ているのか、伺いたい。
  233. 林坦

    林説明員 日ペリ、極東の二社を合併いたしまして、いろいろな業務の能率の改善でありますとか、あるいは収支の改善等についても大いに期待は持っておつたのであります。事実両社合併いたしまして、人的な面の融通もでき、またそういう面での弱い部分がお互いに相補うという点もできますし、また路線その他についても広く持つことになりましたので効率的な運用を行うこともできる態勢でございます。ただ、御承知のごとく全体にわたる一種の経済的な後退と申しますか、景気の後退の関係もあろうかと思いますが、昨年の同期等に比べますと、全般的にそれほどの改善ということはないのでありまして、この点はもしそれぞれにやつておりましたならば、もっと悪かったであろうということも考えられもいたしますので、そういう点からしますと、大体前年と同じ程度にしかまだなっておりません。両社が合併しました成果がきわめていいということで、収支の面にこれが大きく現われておるということはまだ申し上げるわけに参らぬ状態ではないかと私どもは見ております。
  234. 塚原俊郎

  235. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 すぐこの六月でありますか、参議院の決算委員会におきまして、日航並びに全日空の両社を呼ばれて、あなたたちは神風航空をしているのではないか、こういうふうなお尋ねがあったやに聞いておるのであります。わずか二カ月前でございますので、その当時おそらく何らの注意喚起をと申しますか、関係者につきまして監督上の立場におきまする御配慮があったのではなかろうかどうかという点につきまして、まずお尋ね申し上げたいと思うのであります。
  236. 林坦

    林説明員 先般の参議院の決算委員会におきまして、この問題について日航及び全日空関係者とまた私ども航空局関係者が出席いたしました席上において、航空機がある場合に普通のルートでないルートを通ったといったようなことから、いろいろ御指摘がございまして、この点に関しましてはさつそく会社当局にもよく話をいたしまして、十分なる注意も喚起いたしましたし、同時にまた事情が、それが決して無理な航行をやつたのではないという点も確認いたしましたので、その旨を御返事申し上げたことを記憶いたしております。常々航行の問題につきましては注意を喚起いたしておりまして、あの機会にもこのような問題は注意をいたしておる次第であります。
  237. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 いろいろ前の質問者の方から詳細にわたりますお話があったのでありますが、ともかく事故の最も大きな原因となりますれば、整備の問題並びに操縦士の訓練いかんというようなことも影響してくるわけなのでありますが、整備の問題につきましてはお話が重複いたしますのでやめますが、操縦士の訓練と申しますか、精神的な指導の点についてであります。特にまた非常の場合におきます処置ということに対しまして、航空当局として常時そした方面につきまして御検査願つておるかどうかということなのであります。これをごく簡単にお尋ねいたします。
  238. 林坦

    林説明員 もちろん乗務員の訓練問題等につきましては、われわれも深く注意を払つておるところでございます。パイロットのチェックをいたしまする際にも、こうした非常事態における処置等については、実際に同乗いたしましてチェックするということをやつております。もちろんこのためには相当ひんぱんにそういうことをさらに教育もする必要があるのでありまして、今後はこの事態にかんがみまして、十分会社等も督励して訓練その他をやるようにいたしたいと存じております。
  239. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 二十七年航空法が施行せられまして以来というものは、事故原因で一番最高を示しておりますのは、やはり操縦士の過失によるものであるということがいわれておるのであります。そういう点につきまして、ただいまお話にありました内容に基く一そうの御努力を賜わりたいことをお願い申し上げる次第でございます。  次に全日空の、先ほど久保さんのお話に関連なさいましたかどうか知りませんが、経営状態をお聞かせ願いたいと思います。ごく簡単に、赤字であるか黒字であるか、黒字であるならばどれほどということでけつこうでございます。
  240. 福本柳一

    福本参考人 経理状況はただいまのところ赤字であります。金額にいたしましては先ほど航空局長さんからお話がありましたように、それぞれ分れてやつてつた場合よりは幾分改善された状態と考えております。ただ収入その他につきましては、景気、不景気とかいろいろのことがありますから、確定的なことは申し上げかねる内容も多少ありますが、金額といたしましてはそう大した相違はあるまい、幾分改善の跡を示しておる、かように考えております。
  241. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 こういう赤字状態を継続しておりまするがゆえに、またいろいろ無理も出て参りましようし、事故原因のまた一端をになうということになると思うのでありますが、思い切つてこの航空会社の整理統合というような御意思がありますかどうか、局長からお伺いいたします。
  242. 林坦

    林説明員 航空会社の整理統合の問題につきましては、すでに全日空そのものが整理統合の結果でありまして、さらに現在も北海道にあります北日本航空との関係におきまして、やはり合併問題が、航空局等もその間にいろいろ介在いたしまして、話が進められておる現状でございます。
  243. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 日航と全日空があるわけでありますが、聞くところによりますと、昭和二十八年の八月には日航法に基きまして政府出資金が五十五億円でございますか、そのほかにも補助金が出ている。ところが全日空につきましては、一応航空当局は予算計上になりまするけれども、大蔵省の第一査定ですつかり参ってしまうというような話を聞いておるのであります。予算折衝という点につきまして、私はそうした場合におきまする局長さんの一段の熱意のほどをお伺い申さしていただき、また大蔵省の方も出てきておられますから、そうした場合におきまする査定のお考え方、こうした問題につきまして、この際でありますのでお聞きしたいのであります。
  244. 林坦

    林説明員 先ほどから全日空の経営状態の問題について御質問が出ておつたのでございますが、明らかに赤字の運営をやつておりますと今問題になっております安全の問題等にもこれが影響して参ります。もちろん当事者といたしましては、安全を犠牲にするつもりはないのでありますけれども、十分の上にも十分になさなければならない。安全の面にもし少しでも影響があったとすれば、これはゆゆしい問題でございますので、経営の改善ということのためにはわれわれとしては補助金の問題も問題でございますし、また通行税その他の助成措置も問題でございますので、われわれとしては全日空が今後健全な運営をなしていくように、できるだけ各般の助成措置についても考慮していく所存でございます。
  245. 鹿野義夫

    ○鹿野説明員 一般に補助金に対しましてはこの数年来、大蔵省といたしましても非常に補助金がたくさん出ておつて乱に流れるというような趣旨で、全般的には補助金関係につきましてはきびしい態度で整理していくような方向に向つて再編成を続けております。ただいまの全日空の場合もやはり民間の常利会社でございますから、それに対する補助金を出すということにつきましては特に慎重に検討した結果、予算措置を考えるということになるのではないかと思います。
  246. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 あと事故を予防するという観点から質問を進めさせていただきたいと思うのであります。  先ほど大臣もお話しになつたのでありますが、現在北海道から九州までの各都市は空港の誘致ということにつきまして大わらわであるのであります。おそらく航空局もこの応接にいとまがなかろうと思われるのでありますが、その理由はともかく、最近人間は航空機だ、貨物は船もしくは汽車だ、こういうことが社会通念となりつつある。これはもちろんであるのでありますが、もっと身近かのことを考えますと、空港のない都市というのはもはや斜陽都市になる、こういうふうに運命つけられるということが予見されることから原因しているのではなかろうかと思うのであります。それほどの重要性を飛行場というものが持ちつつあるということは御承知の通りでありますが、この航空の重要性ということを一番よく知っておるのは当局であろうと思われるのであります。しかし今日まででありますが、国の方針としまして、もつぱら国際航空につきまして力を注いでおるのではなかろうか。なるほど国際航空は国力の伸張の問題あるいは外貨を獲得するという問題もございます。いわゆる海外路線については従来とも力を入れられてきたのでありますが、最近になりまして多少は国内の路線も整備しなければならないという機運になりつつあるのでありますが、遺憾ながらこの国内の路線の整備への力の入れ方なんです。私は裏日本に住んでおるからひがんで申し上げておるわけではないのでありますが、表日本と裏日本の差別というものはどうしようもないという印象を受けておるのであります。これを具体的にもう少し申し上げさせていただきますと、裏日本に伸びております空路と申しますれば、新潟、小松、米子でありますが、これはいずれも不定期航空でありまして、申し合せたようにただ通信施設もない、お天気まかせに飛んでおるという実情であります。航空予算が何一つ準備されておらない。このような中途半端の運営が行われておるということなんですが、これについての局長の御所見をお伺いいたします。
  247. 林坦

    林説明員 ただいま御指摘になりましたように航空はまだ実は戦後において発足して間がない関係もあつて、第一にまず航空拡充強化に重点を置いて、実は日航なるものもでき、国の出資も行われ、補助金も出ておつたのであります。だんだん航空が外国におきましても国内航空が重要視されてくるにつれまして、わが国においても国内航空がだんだん認識されて参りまして、各地から今お示しのありましたようにローカルの飛行場の問題が非常な熱意となって現われて参りまして、航空当局といたしましては確かにやや手おくれであったかもしれませんが、空港整備法その他の制定をお願いいたしまして、その後だんだん飛行場整備が行われております。もちろんこの飛行場整備に実は金が相当かかるものでございますから、短時日にこれを仕上げてしまうということが困難でございます。従来は予算の関係上三年で仕上げるという予定でかかっておりますのが、つい四年に延びそうだというような問題もあつて、地元の方から非常におしかりを受けておるという状況であります。もちろんわれわれとしましては整備すべきものは早く整備する必要があるということと、またそれを十分にしてありませんと航空会社の運営がうまくいきません。ただいま言われましたような安全の問題にも影響してくるということになるので、ぜひ今お示しのございましたように国内空港の問題につきましても全力をあげていきたいと思います。  裏日本の問題につきましても、実はわれわれ大いに心にかかっておるのでありますが、何と申しましても実はすでにとりかかっておりますところを早く完成したいという点と、やはり会社の経営等から考えますと、ある程度需要の面も考えまして、だんだんおくればせになってしまつておるというのが現状でございますので、今後はわれわれとしてもまた整備について考慮していかなければならないと考えております。     〔委員長退席、堀内委員長代理着席〕
  248. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 今局長さんのお話を聞いておりますと、なかなか整備には金がかかるものでございまして、というお言葉でございますが、これについて私は反駁申し上げるわけではございませんが、一つの例証として新潟の飛行場を申し上げさせていただきたいと思います。建物関係を除きましておそらく十億円を下らないだけの施設になっているわけです。これはあなたはよく御存じのことと思うのであります。私はこの新潟の飛行場を、大きい金額ではございません、わずかの御関心をお持ちになることによってすぐに生きてくる、この飛行場は活用できるということを申し上げてみたいと思うのであります。もちろん十億の時価相場でございます。ここまで参りますにつきましては、これは大した犠牲が払われておるのでございます。もちろん政府もやつたでありましょう。米軍は相当期間でありました。県庁、市役所というのはもちろんしかりでありますが、過去二十五年間にわたりまして、この新潟飛行場は私は身近でよく知っておるのでございますが、人間が財力を費しまして、幾多の労働者の汗と涙を投じて参つた飛行場なのであります。もちろんその間農家の方々の土地提供という大きな犠牲も払われておるのであります。想像に絶するものがあるのであります。おそらく施設の点につきましては、裏日本にかけましては人間の歴史が作つた最大の飛行場であろう。裏日本羽田が新潟だというところまできて参っておるのであります。  そこで、これから申します三点につきまして、ただいま申しましたように、もう少しく努力していただきますれば活用できるのだ、それが即事故防止のゆえんにもなるのだということでお聞きを願い、また御質問申し上げる次第なんですが、ことしの三月三十一日に米軍から返還を受けました。これは調達庁が引き継いだわけでございます。これをまた大蔵省で引き継ぎをするという事務の進行中であるということであります。三月三十一日からすでに半年でございます。お役人というものはなかなかのんびりしておられるというのはこの例によってもある程度うかがわれるのでございますが、事務手続の進行の遅延というものが結局は整備がおくれるという原因にもなり、これがひいては事故発生原因にもなるということも申し上げていいのではなかろうかと思うのであります。今この調達庁と大蔵省との間で責任の所在のなすり合いと申しますか、はっきりしないのです。ぜひこれだけの施設をやれば新潟飛行場が生きるのですからということを申しましても、私のところではございません、まだどこの所管のものになるのかはっきりきまりません、事務進行中なのでございますというごまかしなんです。このことが私の申し上げる一点であります。  もう一つは、約四年間にわたりまして毎年のように六千万円ずつ新潟、小松の間の安全航空のために予算折衝を申し上げてきておるということでありますが、一ぺんも通ったことがございません。この六千万円は安全航空のためなんであります。大蔵省はどうしたのだろうというように、近ごろ考えさせられておるのであります。事務関係者はもちろんでありますが、人命を尊重するという点からいたしまして安全航空を考えていただきたい。これがお尋ね申し上げる第二点であります。  最後の三点と申しますのは、新潟の飛行場が返還されて開設されたというのがすぐ二カ月ほど前と思うのであります。ところがそのニカ月の間にもうおそらく十何回ではないかと思うのでありますが、羽田から立ちまして新潟上空に参りましても、すぐ着陸できないのです。雲間に三十分も五十分も漂つていなければならぬというようなことなのであります。雲がかかっておりますと着陸できないのです。大へんなことなんです。そこで、これも専門語ではありましょうが、問題はコントロール・タワーと申しますか、これを生かすことです。これは人員の配置を五、六名ふやしてもらえますれば、このコントロール・タワーが生かされるのであります。それによって雲があつても着陸ができるということなのであります。なぜこれをやつてくれないのか、そのために滞空の間乗客は非常な不安を感じますし、中には女、子供はすつかり病気になってしまうのです。このことであります。金がかかる金がかかると言いますけれども、特に新潟飛行場のごときは些少の関心をお持ち下さることによって生きるのでありますから、手つとり早く手をつければ完全に——これは新潟飛行場ばかりではございません。日本じゅうには相当の個所に新潟飛行場と似ておるところがあるのではなかろうかと思うのであります。そうしたところを一段と御調査を賜わつて真剣に一つ取り組んでいただきたいと思うのであります。また人命尊重という観点から当然そうなんであります。真剣な態度で一つ大蔵省も査定に当りましては、この航空局の予算要求の場合に一段の親心を発揮してもらわなければならぬと思うのであります。  この三つの点につきましてお尋ね申し上げる次第であります。
  249. 林坦

    林説明員 ただいま御質問のございました新潟の飛行場の問題であります。新潟の飛行場はすでに米軍が接収しております間からなるべくこちらの方で民航地域その他でも作りまして、あそこを定期の離発着のできる飛行場として活用したいという要求は持っておりまして、大蔵省とも折衝してやつておりました。しかし、なかなかまだ米軍から返還がございません関係上、空港整解法の活用上うまくいかなかった面もございまして、実はただいままでついておりません。去る三月三十一日をもって米軍から日本側に返還になり、一応飛行場面の施設は完備されておりますし、不定期路線としてこの六月から全日空が就航いたしておるのであります。私どもは過去の問題とは離れまして、今後民間航空の路線といたしまして、あの間を定期線を確保するために、通信施設、滑走路の修復等をやはり空港整備法に基く整備として実施していくようにいたしたいというので、実は来年度の予算に要求するように目下取り運び中でございます。お示しのごとく通信を設けるとか、あるいは滑走路の若干の整備をすれば、十分にそういうことができるのではないかと考えておりますので、これも私どもとしては来年度こそは一つ要求したいと思っております。
  250. 鹿野義夫

    ○鹿野説明員 ただいまお話のありました中で、調達庁と大蔵省との事務の連絡の問題でおしかりがあったのでありますが、そのことにつきましては、私の担当とだいぶ離れておりますので、よく担当の管財局の方に御趣旨をお伝えいたしたいと思います。  それから飛行場整備の問題につきましては、もちろん大蔵省としても異論があるわけではございません。これまでも相当の努力をして予算を計上してきたところでございますが、今後の問題につきましてはどうかと今おつしやられましても、ここで私から今お話し申し上げるわけにはいきませんが、全般的に当然相当の額が今後とも飛行場整備のために予算としては計上されることと思います。新潟の問題につきましては、実はことし予算の上では御要求がなかったので、今後の問題といたしまして運輸省の航空局の方と十分検討いたしまして、その上での処置になるかと思います。今ここではっきり何とも申し上げることはできないかと思います。
  251. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 最後に、ただいま局長から、来年度に対しまして何とかというようなお言葉を賜わりましたので、さらにお尋ねするわけでありますが、新年度予算につきまして、どういう御熱意とお心がまえを、どういうところに指向しようというふうにお考えであるか、大事なところでございますので、重点指向でけつこうでありますから、お尋ねします。
  252. 林坦

    林説明員 今の御質問はローカル空港の問題でございますか、全般的な問題でございますか。——全般的な問題といたしましては、来年度の予算につきましては、私ども航空の振興のために日航の国際路線の延長の問題が目の前にございますし、また御承知のごとくジェットの到来が当然近く予想される状態になって参っておりますのでそれの準備体制をしがなければならないというので、私どもの考えておりますのは、日本航空への国家の出資等をさらに強化して、日本航空の財政的基礎を確立していくというのが、国際航空の面における大きな問題の一つでございます。また羽田その他の国際空港の整備の問題が、当然昨年度の、本年度に引き続きまして来年度も強化促進されていかなければならないと考えております。さらに来年度は空の航空交通管制センター日本側への移管が行われる時期でもございます。これは私どもにとつては最も重要な航空の自主権の確立の時期でもございますので、ぜひともこの点にも大いに予算的な措置等も考慮するようにいたしまして、確実に日本の空を日本人の手で管制できるようにもっていかなければならないというのは大事な問題でございます。さらに乗員の問題がやはり問題でございまして、現在航空政策の一つの大きな問題は、航空乗員の養成の問題でございます。本年度すでに宮崎の航空大学校の規模の拡充が問題になっておりました。すでにその点について着手しかけておるのでありますから、来年度はぜひともこの問題についての仕事を完成するように、航空機の獲得その他を考えなければならないと思っております。それらが現在考えられております大きな問題でございます。
  253. 堀内一雄

    堀内委員長代理 前田郁君。
  254. 前田郁

    ○前田(郁)委員 ただいままで各委員から微に入り細に入って質問がありましたので、私は他の問題についてお尋ねいたしたいと思います。  民間航空再開以来、今回の事故は日航の「もく星」号、「雲仙」号に次いで起つた事故でありまして、日航の「もく星」号は米軍パイロットによる委託運航の際のものであり、「雲仙」号は奇跡的に人的被害が最少限に食いとめられたものであります。今回の事故は政府当局の監督のもとに乗客、搭乗員全部死亡したという、「もく星」号事故に次ぐ惨事であります。しかも全日本空輸飛行機に乗つたことのある者はひとしくこれに対して不安の感を抱いておつたのでありまして、しかも今日のこの事故をば予言していたような者もあったように思われるのであります。すでに新聞紙でごらんでありますが、六月二十六日の参議院の決算委員会においても、高野委員長その他から当局並びに業者の方にきびしく警告を発せられております。私はこの委員会の速記録をとつてみたのでありましたが、実に驚くべきことであります。たとえば「富士山の七合目付近を全空輸の飛行機が通ったのであります。私はずいぶん飛行機を使う方でございますが、かつてこういうコースを通った経験がないのでございまして、しかもそのコースにおいて非常な窒息状態に陥りまして、乗客はバンドを締めながら天井にみんな頭をぶつつける、まわりの荷物は天井に打ち上げられる、それからバンドがゆるんでいたのかしらないが、外人は廊下におつぽり出される、スチュワーデスは天井におつぽられる、こういう事態が起つたのであります。」こういうことを高野委員長が二十六日の参議院の決算委員会において報告をいたしました。そうして当局並びに業者の方に警告を発せられているのであります。  過去の「雲仙」号の事故原因調査についても、事故の起つた当座こそ事故原因の究明機関を設けておられましたが、世間の記憶がだんだん薄らいで参りますとうやむやの状態に置かれたような状態にあるのであります。事故発生以来すでに六カ月になるのでありますが、どの程度の調査が行われ、またいかなる結論が出され、責任の所在はどういうふうになっておるのか、まずこの点の調査の結果について当局より一つ承わつておきたいと思う次第であります。     〔堀内委員長代理退席、委員長着席〕
  255. 林坦

    林説明員 「雲仙」号の事故に関連いたしましての御質問でございますが、「雲仙」号の事故につきましては、実は昨年の暮れに一度発表をいたしました。もちろんこれは全部完了した経過の発表ではなかったのでありますが、ただいま手元に材料を持っておりませんが、燃料系統の問題があったのでありまして、そのときの弁のクロス・フィード・バルブの使い方その他につきまして当時発表をいたしたのであります。大体あの内容以後私どもとしましてはいろいろと実験を試みました。しかしその後の実験によりましては、新しい材料は発見することができなかったのであります。従ってこの内容につきましては、ややその後改めるということがございませんので、大体その検査は本年の三月末をもって一応内部的に終了いたしました。しかし特別に今発表をする、つけ加えるといったような内容は、現在のところない現状でございます。ただあの当時わかりましたクロス・フィード・バルブの操作あるいは取扱い等につきましては、引き続きましてその後会社の方に指示をしまして、会社の方におきましても、今後同種の事故が起らないようにという措置をとつたことは、前回の発表の中に入れてある通りでございます。
  256. 前田郁

    ○前田(郁)委員 次に、全日空の経営規模についてお尋ねいたしたいと思います。今回の事故発生とともに、航空当局は事故の未然防止の措置として、路線運航会社の整理統合をうたつておるわけでありますが、今回の事故こそは経済原則を無視し、漫然たる統合を行ってできた全日空の内容そのものに起因するのではないかと考えている次第であります。全日空は、私どもの聞くところによりますと、赤字会社同士の、日ペリ航空と極東航空との単純なる合同であつて、外観及び名称こそは大きいのでありますが、その内容たるや債務の整理もほとんど完了しておらず、こう申し上げてはまことに気の毒でありますが、お粗末のようであります。資本金は六億とはいうものの、ほとんど過去の経営失敗によるところの債務の肩がわりであり、現在路線に就航している飛行機十六機のうち、完全に全日空の所有となっておるものは、私ははっきりわかりませんが、聞くところによればわずか四機にすぎない状態であったという話であります。主体は他会社からのチャーター機である。DC3型九機中、六機は伊藤忠商事及び関谷産業よりチャーターしたものであり、タブ四機中三機もしかりである。ヘロン三機は日航よりチャーターしたものである。全日空の所有するマラソン二機は修理不能であると聞き及んでおるのであります。かような全日空の業態が実際であるとするならば、ほとんど借りものの機材によって運航をしておる会社であり、事故原因というものは多分にこの点にあるのではなかろうか、こう世間は見ているようであります。会社所有の機材でありますれば、細心の注意を払つて、修理、整備に当るのが常でありますが、借りものについては、自己負担となる修理はなるべくやらないで、飛べる間は飛ばすというのが人情であります。経営者の善意のみを信頼することは、まことに無謀ではないかと存じておる次第であります。  次に、全日空の経営者がまじめにやつていられることについては疑いを入れないところでありますが、聞くところによれば、現重役陣の所有株というものは、あまりないというようなことでありまして、とうとい人命を預かつておるところの航空事業に、全責任を持って参画していられるとも考えられないわけでありまして、責任態勢がどういう点にあるか、現重役の方が果して非常な責任を持ってやつておられるのかどうか、この点において多少の疑いを実は持っておるわけであります。  さらに合併後の社内の空気のことでありますが、スチュワーデスに至るまで、合併以前の両社の反目は激しくて、ことにパイロットの対立というものは航行安全の最大の障害になっておるやにも聞き及んでおるような次第でございます。現在の資本主義経済のもとにおいては、経営能力に応ずる経営規模でなければ、健全なる事業の発展は期し得られぬことは当然である。しかるに合併後半年しかたたぬ今日、すでに資金面においても、先ほどお話申しました通り、相当行き詰まつておるような話であります。そうして一面においては路線の獲得に非常に力を入れられて、利権さえ得られればあとはどうにかなるという態度が、どうも露骨にうかがえるわけであります。しかもその合併責任が、政府の慫慂によってやつたのであるということを考えていられるような口吻でもあります。そうして、そういう事情でありながら、国内路線をほとんど一手に掌握しようというようなことを考えていられるようでありまして、私どもはこの点に対してはなはだ危惧の念を抱いているような次第であります。全日空の健全なる発達を期待するものであれば、安易な国家の助成金、補助策に走る前に、まず全日空の内部の整備を行なって、経営の合理化とともに、経営能力に応じた路線の整理、縮小を行なって、経営基礎を固めるということが先決ではないかと実は考えておるような次第でございます。特に国がかかる状態全日空のみを助成すべき理由は毛頭ないのではないかと考えておる次第でございますが、これに対するところの政府の助成方針を一応承わつてみたいと存じます。
  257. 林坦

    林説明員 ただいま全日空か日ペリ、極東の合併によって生まれた経緯、またその後の同社の経営内容に対する危惧といったような点についての御指摘があったのであります。日ペリ、極東両社は、国内の二つのローカル会社といたしまして発足して参っておりましたが、御承知のごとく日本を両断して大体運航の範囲を持っておつたのであります。しかしながら、これはお互いに空港の整備が国によって行われております関係上、いろいろと順序等の問題もありまして、路線その他両社が公平にその利益を受けるということもなかなか困難な面もありまして、また広く範囲があれば、その間におのずから経営の合理化もできるというので、両社の合併の問題が起つたのであります。両社が合併いたしました結果、先ほども申し上げましたように、機材と人員等の融通ができるようになつた。あるいはずっと通しのいろいろの運送もできるようになり、公衆へのサービスも向上しておるわけであります。また大きな規模になつたために、それぞれであったときに比べると信用もついてきたというような、いい面はもちろんあるのでございます。ただ、まだ何と申しましても、この二月に合併したのでありまして、その後十分なる日月を経ておりません点もございます。まだまだ人心の統一あるいは機構、組織の改善等を考慮し、さらに改善に努めるべき面は今後に残されておるのでございます。ただ、当事者が非常に努力してやつておることは、私どもも認めております。ただ何と申しましても、まだ赤字の状態にあります関係上、そうあつてはならぬのでありますが、運航の安全という面から、十二分に経費をかけ、あるいは人をかけるというような点については、黒字会社と同じというわけにはいかないというような点はもちろんございましょう。しかし私どもといたしましては、経営を改善して、経営がりつぱに成り立つということにならなければ、安全運航ということはうまくいかないという面も大いに考えなければならない点でございますから、すでにわれわれとしましても、毎年問題にしてきたのでございますが、運航の補助金の問題でありますとか、通行税の問題でありますとかいったようなことは、今後もぜひ推進してなし遂げなければならない点でございます。  その他、今御指摘のありましたように、会社の所有機でなくてチャーターしておる飛行機であるためにたとえば今度の航空機は、先ほどあるいは間違えたかもしれませんが。関谷産業の所有機でありましたものを、今は伊藤忠商事の所有機になっておるようでございますが、それをチャーターして全日空が使つておる飛行機でございます。しかしこのチャーター機と保有のDC3との間には別に——全然運航上におきましては同一基準に従ってやつておるのであります。チャーター機なるがゆえに手を抜くといったようなことは、当然考えられないことでございます。そういう点は、別にそのための手が抜かれておるのではなかろうかという危惧はないものと存じております。ただ、今御指摘のありましたように、航空会社の経営を強化するという面につきましては、今後ともわれわれは、やはり強化して黒字会社に持っていくという点については、できるだけ努力をしてやりたいと考えておるのであります。
  258. 前田郁

    ○前田(郁)委員 次に、航空行政の指導方針の再検討についてお尋ねいたしたいと思います。民間航空再開以来の航空行政を振り返つてみますと、日航の育成ということに対して相当の力を入れられておりまして、私どもも敬服いたしておりますが、その他の問題に対しましては、この二、三年来ほとんど停頓の状態にあったと言っても差しつかえない状態ではないかと思うのであります。パイロット、整備士の養成もそうであります。飛行場施設の改善もしかり。日航以外の民間航空会社の育成においては、私どもは全く無定見でなかったかと思うような節もあるのであります。  事業の消長というのはいかなる企業にもあるものでありまして、民間航空再開後日の浅い今日でありまして、事業の現状のみで将来を律し、企業の優劣を即断することは早計に過ぐるのでありますが、最近やや堅実なる資本が民間航空事業にも投入されるようになってきたのでありまして、発展の余裕ある民間航空会社に対しては、その芽をつまぬよう育成指導し、民間資本の導入をはかることこそ、航空行政当局の方針であらねばならぬと思うのであります。しかるに現状におきましては、危険信号の上っておる全日空に、独占禁止法の精神にも反してあえて国内路線を一手に掌握せしめようとしておられることは、まことに不可思議であります。先ほど委員の方からも申し述べられましたが、ほとんど国内の路線の幹線というものは全日空が抑えているというようなわけであります。この際、民間航空発展の培養源といたしましては、堅実なる企業こそますます助成すべきであると思うのでありますが、こういう点について政府はどういう意見をお持ちになっているのか、ちょっとお聞かせを願いたいと存ずる次第であります。
  259. 林坦

    林説明員 ただいまのお話は、新しい企業でも、とにかく民間の資本が出てくるならばやらしたらいいじゃないか、といったようなお話のように承わつたのでありますが、航空企業は、何と申しましても相当多額の資本を要するのみでなく、その人員の面におきましても、また整備その他の技術等の点におきましても、いろいろと人員あるいは機材その他の面で、あまりに寡少な規模で始めますと、非常に不合理な運営をしなければならない場合が多いのでありまして、ある程度の適正規模にこれをしておきませんと、その間に、たとえば同じ航空機を使うにしても、一機ないし二機を持って運営しておれば、その予備機はその倍、予備率一〇〇%といったような場合になるのでありますが、数多くなれば、その予備機の率も減つてくるといったように、合理的な運営が考えられるのでありまして、ある程度適性規模がなければ実は成り立たない企業なのであります。幾つも幾つも、小さい企業がたくさんできて参ることは、航空企業の健全な発達の上からはかえつて望ましくない場合もあるのでございまして、その辺も考慮いたしまして、数多く企業が乱立することは、われわれとしては避けたいと考えております。
  260. 前田郁

    ○前田(郁)委員 次に、航空行政当局の機構についてお尋ねしたいと思います。これは実は運輸大臣に質問するつもりでございましたが、大臣がいられませんから、もしできれば中馬政務次官からお答え願つてもけつこうでございます。  今、世界の航空界発達というものはまことに驚くべき状態でありまして、戦後のおくれを取り戻すことは容易なことではございません。航空事業の発展は、国の経済力のいかんにかかるものであることはいなめないのでありますが、一挙に高水準に引き上げることができぬところに、他産業と異なるところがあるわけであります。すなわち機械、施設、乗員、整備、管制、いずれも長時間と膨大なる経費を必要とするものであります。しかも航空事業の成長率は、他産業の成長率をはるかにしのいで、躍進の一途をたどつておるのが世界の実情であります。わが国の民間航空も、いつまでも世界の大勢から取り残されておることは許されぬのでありまして、数年を経ずして一大飛躍をする時期が必ず来ると私は考えております。世界各国の民間航空発達は、いずれも積極的に国が助成をして参つた結果でありますが、わが国においては助成の道がはるかに遠しというような状態であります。航空当局としては、まず航空事業の必要性を、国民にも、国家機関にも、積極的に啓蒙宣伝しなければならぬ時期にあるのであります。当局の任務もまたここにあると言っても過言ではないと存じます。近くジェット機の時代を目前に控えておりまして、航空当局が積極的に活動をしてもらわねばならぬ時期が参っておるのでありますが、ただいまのところ、消極的事なかれ主義に堕しているのではなかろうかと思って、実は非常に杞憂をいたしておるような次第でありまして、今回の事故も、あながち民間航空事業者のみを責めるべきではなくて、また当局にもその一半の責任があるのではないかと考えておるのであります。急速な発展の途上にある航空事業を育成、指導、監督すべき当局の責任は重かつ大でありますが、現在の機構をもってその責任を果し得るものと考えられるのであろうか。まず行政機構そのものについて再検討を急速に行なって、強力なる機構の実現に努力する必要があるのではないか。たとえば航空省とか、その他もっと大きな機関を持ってやることが必要ではなかろうか、この点において政府はどういうお考えを持っておるか。実は運輸大臣にお尋ねするつもりでございましたが、時間の都合でいられませんので、もしできるならば中馬政務次官からその一端の方策でもお聞きしたいと思います。
  261. 中馬辰猪

    ○中馬説明員 ただいまのお説につきましては、航空業というものが、あるいは生産の面においても、あるいは運営の面におきましても、飛躍的に拡張されなければならぬという点については、全く同感であります。従って、これに対処する政府の機構等に関しましても、先ほど大臣が申したように、審議会の議を経ていろいろ研究さしてもらいたいと思います。
  262. 前田郁

    ○前田(郁)委員 戦後十年の空白期を経たわが国の航空搭乗員あるいは整備員の技量向上が容易なものでないことは、了解ができるのでありますが、いやしくも貴重な人命を預かる航空路線の機長に、計器飛行資格すら持たぬ者があるとのことであります。事故未然防止のためにも、少くとも計器飛行資格なきパイロットについては、機長の認定を取り消し、再教育をすべきものと考えられるのであります。わが国は御承知の通り気象の非常な激変しやすいところでありまして、計器飛行資格なきパイロットであれば、行くに行かれず、帰るに帰れずという最悪の状態に逢着して重大なる事故を惹起するおそれなしとしないのであります。十時間飛ぶ路線も、三十分飛ぶ路線も、同じ人間を載せておるのでありまして、人命尊重の見地から実に寒心にたえない次第であります。さらに驚くべき事例といたしまして、無線通信資格である航空級すら持たざる操縦士が路線の機長となっておる事実があると聞き及んでおります。現在は、小さな近海漁船すらすべて無線が設置せられて、有資格者がその操作に当つている状況でありますが、一般乗客を乗せる航空路線の機長が無線の資格も持たずして安全な飛行が一時たりともなし得るであろうか。飛行機は、離着陸はもとより、飛行中も管制塔と交信を行なって航行の安心を期しておるはずでありますが、航空級を持たざるパイロットが無線通信をするということは、現行の電波法の許容しないところではないかと思いますが、こういう点につきまして政府の所見をお聞きしたいと存ずる次第であります。
  263. 關口規矩二

    關口説明員 ただいまの御質問に対しましては、全部否定いたします。そういう事実はございません。
  264. 前田郁

    ○前田(郁)委員 先ほどお話がございまして、全日空のローカル線の状況はまさに神風タクシー的のものがあるのじゃないかという心配のことを申された委員の方がございましたが、これは私は国の鹿児島で聞いた話でありますが、昼食時間もろくにとれず、口をもぐもぐさせながら飛行機に飛び乗らざるを得ないという風景が散見されますが、ダイヤの編成なりパイロットの勤務時間についても、当局は再検討をしていただかなければならぬという意見を相当聞いたのであります。一例をあげますれば、九州周回の路線しかり、使用機ヘロン、宮崎—鹿児島—福岡—鹿児島—宮崎—福岡—宮崎というようなところであります。ダイヤでは昼食の休憩時間は二十分であるのでありますが、通常運航がおくれがちのために、パイロットはおくれを取り戻すために五、六分間で昼食を終えて飛び立っているような状態であるという話であります。もしこれがございますならば、こういう点も改善していただいたらどうかと思うのでありますが、これに対する御意見を承わりたいと思います。
  265. 林坦

    林説明員 操縦士のそういう休養の問題等については十分配意しなければならない点でございます。ただいまのような事態につきましては、実情をよく調べるようにいたしたいと思います。
  266. 塚原俊郎

  267. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 私は先ほど発言をしましたから、残された問題四、五点につきまして簡単に御質問いたします。  先ほど来DC3の問題につきましては各委員から相当な御発言がありました。また政府からも全日空からもこの機種に対する発言がございましたが、アメリカにおいて現在部品等が作られていないということも事実のようでございますが、この事故を機会に何らか新しい機種に転換をせられますか、あるいはDC3を依然として継続していかれますか、この点につきましての航空局なり会社なりからの判断をお聞かせ願いたいと思います。
  268. 林坦

    林説明員 DC3が中古機であるということのためにいろいろと論議されておるのであります。このたびの事故はまことに不幸な事故でございますが、DC3という航空機は、先ほどもお話が出ておりましたごとく、現在世界で使用されております全体の旅客航空機のうちの五分の一がまだDC3であるという現状をよく考えていただきたいのであります。アメリカにおきましては現在まだ三百十機、カナダで六十一機、ベルギーが二十七機、フランスが三十九機、イギリスのBEAのごときは四十六機、その他のスイス航空でも八機内外のDC3を使つております。またBEAはこのDC3のリフレースメントは大体三年だんだんらいに考えているということが同社のレポートに出ておるのであります。DC3そのものは機体としては非常に優秀で経済的な飛行機なのでございます。翻つてこれに代替する航空機の現状を見ますと、現在フレンドシップあたりが大体これに見合う程度の航空機でございましょう。これは現在一九五八年といたしまして、デリヴァリーが二十九機、オーダー中が三十六機といった程度の使用でございます。もちろん経済的な面も非常にございますけれども、現在DC3は世界的に使われておる非常に安定した航空機であるということは申し上げてはばからないのでございます。もちろんDC3がいつまでも使わるべきものであると私申し上げておるのではございませんので、適当な機種でまた適当な性能の航空機ができますならば、また経済的な面も考慮いたしまして、新しいものに切りかえていくということは当然将来考えなければならないのでございますけれども、さしあたつて今度の事故によってこれを切りかえるということは、もちろん会社の意図もあることでございますが、私どもの方からこれはどうしてもかえなければならないというふうには考えておらないのが実情でございます。
  269. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 防衛庁にちょっとお伺いしたいと思っております。防衛庁の使用機でDC3によく似た飛行機があると聞いております。それはたしか搭乗制限を二十人としておられるようですが、これはDC3と性能的に非常によく似ておりますか、あるいは非常に違つた飛行機ですか。
  270. 高橋幹夫

    高橋説明員 お答え申し上げます。航空自衛隊で使つております飛行機はC46という飛行機でございます。DC3は軍用機の場合はC47と申しておりますが、私の方はC46で、これはエンジンのパワーその他の性能におきまして相当の相違がございます。私の方で使つておりますC46Aという飛行機は製作会社がカーチスでございまして、乗員は四名、それから二千馬力のエンジンを二基、搭載人員は大体兵員最大五十名でございます。搭載量は五千四百四十キロということになっておりますが、主として空挺作戦用の飛行機でございます。ただいまのC47は千二百馬力のエンジンが一基でございまして、搭載人員の最大量は二十一名、搭載の重量は三千四百キロ、こういうことになっております。従って私どもの使用しておりますC46は、C47に比べまして約倍の力と倍の搭載量を持っておるということが常識的に言われるわけです。私の方の自衛隊といたしましては、いろいろの制限といいますか、万全の制限をしておりまして、一応搭載の場合には、先ほど二十名とおっしゃっておりましたが、三十名で押えております。以上が現状でございます。
  271. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 一応機械の問題はこの程度にいたしまして、先ほど大臣に対する質問をいたしましたその後、関連質問の際に、今は遭難機がメーデー・メーデーという遭難信号を出しておらぬという。そこで遭難信号がなかったから救援の出動がおくれたということも考えられるのですが、メーデー・メーデーという——SOSですね、一番非常事態の信号というのは、これはどういう際に発信するように平素から措置されておるのか。あるいは会社なり航空局なり、今回の場合は大島上空に達したころエンジンの不調を何らか機長としては感得しておったはずじゃないかと私は思う。エンジンの回転の音を聞いていても、なれた操縦士なら、何か変調があることぐらいわかったんではないかと思うのですが、ついにSOSに相当するメーデー・メーデーが発信されなかった、これは一体どういうところに原因があるのか、非常に時間が短かかったら不幸にして救援ができなかったのでありますけれども、これはもう少し力が続いておつたならば、何らか僚機かあるいは救援機が飛来していったならば、この機をどこか安全なところに誘導ができたんじゃないかと思うのですが、ついに最後の救難信号であるところのメーデー・メーデーも発信されず、非常事態の通告があつてから数時間後にやつと救援の発動があった、こういう点について、これは会社なりあるいは当局の指導は、メーデー・メーデーをいかなる場合に発信するように措置されておつたか、この点を御質問いたしたいと思います。
  272. 關口規矩二

    關口説明員 メーデー・メーデーなりSOSなりというのは機長の判断によってやるようになっております。
  273. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 私は、機長は今やなき人でありますから、まことに死者に対しましてかようなことを申すことは遺憾でありますが、またあなた方も機長責任と言われると機長責任を負わせなければならぬのですけれども、しかし私は非常に今回はこの点が遺憾であったと思うのです。これだけの事態になるならば、何らか事前に、訓練された乗務員であったならば予知ができて、もう少し早く救難態勢の、総動員になるような通信連絡がなぜとれなかったか、この点を非常に私は遺憾に思っておる。また会社も、僚機が行き違いをして、そうしてその片エンジンが不調であるという通告を受けたのですから、これはもう少し早くARTCセンターですか、こういうところに連絡をして、あるいはそのほかの各基地に連絡をして、自分の僚機に対する救援活動を要請すべきであったと思う。それが、連絡をとりましたのは実に驚くなかれ九時四十五分、一時間たつてから出動してこの状況報告をしておる。これは実に、暗夜の空中において全く悲惨な運命にある僚機を見殺しにしたと言うても私は差しつかえないと思うのであります。まさに私は僚機の措置としては、連絡の遺憾であったということに対して、一つ会社側はとくと反省をせられたいと思うのであります。私はその点が、今美土路社長が深甚のおわびの頭を下げられましたからこの上は追及いたしません。この点はどうか一つ御反省を願いたい。  次に申し上げたいと思いますのは、一体飛行場航空管制と申しますか、飛行場が軍用機、民間機に共用されておる飛行場があるわけです。そういう飛行場における航空管制が一体どうされておるのか、これは航空局がやつておられるのかあるいは自衛隊がやられるのか、その間の円満な協調が保たれておるのかどうか、この点を一つお伺いしたい。
  274. 林坦

    林説明員 航空交通管制につきましては、航空法に基きまして運輸大臣責任を持っております。従って、これは現在航空管制に関する取りきめによりまして米軍に委任されておりますので、その範囲において米軍が一元的に現在センターにおいて全体的な航路の管制をやり、また飛行場の管制につきましてもそれぞれやつているわけであります。しかし各飛行場につきましては現在全面的に、移管を受ける前段階にございますので、たとえば羽田でありますとかあるいは伊丹でありますとかというようなところは、すでに日本側にその管制が移管されていると申していいのだと思います。さらに最近は小松、千歳等につきましても日本側にその飛行場における管制を返還するという前の段階になっておりまして、現在防衛庁と打ち合せをしながら航空交通管制の責任は運輸省に持って、しかも防衛庁運航にも差しつかえないように円満にやるようにというので、両方でいろいろと打ち合せをやつている現状でございます。
  275. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 その点は防衛庁と必ずしも円満にいっておらぬという風評を聞きますが、そういうことは心配要りませんね、協調十分ですね。
  276. 高橋幹夫

    高橋説明員 ただいま林局長から御説明のありました通り、航空局防衛庁と円満な協定をやつておりまして、それぞれの飛行場における自衛隊の訓練その他の運用上に支障のない協定をいたしております。先般も小牧飛行場につきましていろいろと打ち合せをしておったわけでありますが、近く妥結をいたしておりまして、これによってわれわれは、いろいろ問題もありますが、支障のないものと考えております。
  277. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 続いて航空機の救難の責任ですが、民間機、軍用機——防衛庁飛行機も近ごろしばしば落ちますから、軍用機なり民間機なりが洋上に落ちたといったような場合の救難の責任者は一体だれですか、海上保安庁ですか。
  278. 島居辰次郎

    ○島居説明員 海上に落ちた場合は、民間機の場合であろうが自衛隊の飛行機でありましょうが、私の方はすぐ救助に出動いたします。
  279. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 自衛隊の航空機にしろ民間機にしろ最近は非常に加速度的に機数の増加を見ているようでありますが、今回の救難情勢を判断してみても出動が非常におそかった。これは通信が不完全である、あるいは通信その他の連絡がおそかった、この点は私はさっきの質問で認めます。しかしながら、かように自衛隊機がどんどんふえ、民間機がふえていく場合に、海上保安庁の救難態勢というものはほとんどできておらぬではありませんか。先ほどのように、ビーチクラフトは館山におつたけれども、八時に目の前に飛行機遭難しておるのに、照明設備ができておらぬから飛び上れない、あくる朝、日が出てから飛び上る。これではほんとう遭難者は助からぬ。それでこういったような救難基地を羽田に移して、そこでウォッチ態勢をやつて、また救難員は常時出動準備をしておく、救難機には燃料を常時満載して準備している、あるいは非常な高速内火艇でもって出動準備態勢に移つていく、かような態勢が要るわけでありますが、一体そういうことに対して海上保安庁は今後どういう措置をされるのか、また自衛隊機との関係をどういうような救難協定をしておられるのか、こういう点をお伺いしたい。
  280. 島居辰次郎

    ○島居説明員 一々ごもっともでございまして、まず自衛隊機がときどき落ちるというふうな事件もありましたので、自衛隊とは連絡いたしまして、全国の自衛隊の飛行場のある場所の近くに、自衛隊と手分けしたような救難基地を設けることに一応打ち合せ済みができております。それから一般の、ことに、おっしゃるように国際航空というものもどんどん発達して参りますので、国際航空によく使われるような飛行場、たとえば羽田とか板付あるいは伊丹とか、こういうふうな大きな飛行場の近くに、飛行機の救難態勢に基きまして、いわゆるハイ・スピードのボートを置くような計画も今持っておるわけでありまして、これは来年度の予算案に載つけて今後皆様の御協力を得て何とかものにしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  281. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 航空自衛隊の飛行機はずいぶんだくさん拡大しておられるが、一体それの救難というものはどうされるのですか。あなたの方で救難飛行機なりあるいは救難施設の予算措置をし整備をされるのですか、あるいは海上保安庁がそういうものの救難態勢をとるのですか。
  282. 高橋幹夫

    高橋説明員 自衛隊の救難態勢というのは、航空自衛隊、海上自衛隊にそれぞれ相当数の航空機を持っておるわけであります。海上自衛隊においては当然艦艇を持っておるわけでございますので、それに必要な高速救命艇あるいはその他の艦艇を配して、海上自衛隊関係の救難態勢を築いておるわけであります。航空自衛隊におきましては、海上自衛隊の救難態勢の援助を受けることはもちろんでありますが、みずからの力で救難態勢を作り上げるということで、艦艇につきましては高速救命艇をMDAPもしくは建造いたしまして、今長官から御説明がありましたように、航空自衛隊の分につきましては海上保安庁と協定をいたしまして、私の方の持っております艦艇、高速救命艇を相当部分運用を委託いたしまして、航空自衛隊基地付近において海上保安庁の基地のある分につきましてはお願いをするということになっております。なお、艦艇ばかりでなくて、ヘリコプターもしくはその他の小型の飛行機を各基地に配属いたしまして救難態勢の万全を期しておる、こういう格好になっております。
  283. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 そうしますと、航空管制につきましては航空局が主体であつて、これに対して防衛庁飛行場においてこれに従っていかれる。救難態勢においては海上保安庁が主責任者であつて防衛庁はこれに自分の持っておる飛行機もある程度移して海上保安庁責任をとらせる。そしてこの力が足りない場合は、防衛庁もこれに協力する、こういうように考えてよろしゅうございますね。——そこで、こういうような問題はこの三行政機関の間においてきわめて緊密な提携を要すると思うのでありますが、これらの救難態勢の強化についてこれからもあるいは今まででも何らか措置をされて、常時連絡機関を作つておられたか、この点についてお尋ねしたい。
  284. 島居辰次郎

    ○島居説明員 この点につきましては、常時連絡するものはいたしますし、ことに今のような協定につきましては、防衛庁と私どもとの問に案もできておりますので、まだそれが具体化する段取りには至っておりませんが、案はできておるということを御報告申し上げておきます。
  285. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 今回の事故の経験もありますから、すみやかに三行政機関間において救難態勢の万全の協定を結ばれて、今後遺憾なきを期していただきたいと思います。  なお最後に、今回はまことに悲惨な犠牲者を出しましたことは痛哭のきわみであります。この犠牲者に対しましては、最後の一人が発見されるまで捜索を継続されべるきものと私は考えるのでありますが、海上保安庁なり自衛隊方面におきまして昼夜を分たず活動されておりますことについても、感謝の意を表する。また「さつま」とか「拓洋」とかいうのが灰を受けて帰ってきてから出動されておるように拝見いたしましたが、これまた乗組員に対して感謝にたえないわけであります。そこで、これは今後一体どういう捜索を継続されるのか、またあの方面は非常に海流の激しいところでありますが、一体今後における犠牲者に対する発見の見通しはどうなのか、この点は一つ海上保安庁なり防衛庁から、今後の捜索の見通し、限界というものにつきましての御発言を願いたい。
  286. 島居辰次郎

    ○島居説明員 捜索の範囲は、こういうふうに刷りましてお手元に配付いたしております通りでございますが、何しろ遭難機の最後の通信が途中で切れたような関係で、航空局におかれましても、どこが一体遭難地点のはっきりしたところかということがなかなか発見に困難をされているような状況で、私の方といたしましては、航空局からいただいたその資料に基きまして、この地方におきます海流の状況、それから時間の経過その他いろいろな科学的根拠に基いて逐次その捜索の範囲を移動してやつておるようなわけであります。そこで非常にむずかしい捜索をやつておるのでございますが、その中でも十三日には、それぞれ報道機関から御存じのような、相当なるものを収容したようなわけであります。ことに小さなベニヤ板の破片であるとか、あるいはぞうりであるとか、おもちやとか、貯金箱であるとか、そういうふうな非常に小さいものまで発見しておるということは、相当効果をあげたということも御想像していただきたいと思うのであります。  そこで、この辺の海流は黒潮系に属しまして、大体東北東に〇・五ないし二ノットの程度で流れております。ことに伊豆半島の東岸におきましては、その反流がございます。非常に複雑なる海流になっておるのでございますが、平素から私どもの水路部で調査しておるその資料に基きまして、海流の状況及びその他の海床状況、それから時間の経過また漂流物の取得したところの場所、いろいろなことから勘案しまして、逐次先ほど申すように捜索の範囲を移動して参っておるようなわけでありますが、もう時間も相当経過いたしましたので、そういたしますと、この黒潮系に乗りまして、大島の北の方から房総の方へ突き当つて、それから南下してまた北上する、こういうふうな状況になりますと、非常にこの捜索というものが困難になるのであります。ですから、今までのような収容の効果は今後はそう多くは望めないと思うのでありますが、われわれといたしましては、先ほども申し上げますように、非常な困難なる状況のもとに、しかも昼夜兼行で乗組員はそれぞれ活動しておるようなわけであります。しかしながら、一方遺家族方々及び行方不明になつたその家族の方々のお心持も非常にくみまして、また会社の意向もございましょうし、われわれといたしましては、最後の一人に至るまで、できるだけのものを収容しよう、こういうふうな状況で今後も続けたいと思っておるのであります。今までこういう事件がありまして、解除する場合には、大体その遺家族方々と納得の上で船艇を解除しておるわけであります。今回の場合におきましても、われわれといたしましてはそういう方向で進みたい、かように考えておるのであります。
  287. 高橋幹夫

    高橋説明員 ただいま長官から御説明になりました御方針によりまして、自衛隊といたしましては、海上自衛隊の艦艇の勢力をもちまして御協力を申し上げたわけであります。本日は十二隻、それにヘリコプター二機、それぞれ出動いたしまして御協力をいたしておるわけでありますが、ただいまの御説明にありました通り、きわめて水深が深い。それから潮流が激しいというような関係で、私の方の持っております掃海能力等によります兵器の善用と申しますか、いわゆるソーナーとか音響測深儀等を使いまして、その所在を確かめるということにつきましては相当の困難があるのじゃないかというふうに考えておりますが、できるだけ海上自衛隊の持っております力を活用いたしまして御協力を申し上げたい、こういうふうに考えております。
  288. 大久保武雄

    ○大久保(武)委員 この点は、救難活動を非常に熱心にやつておられますことは感謝にたえませんが、やはり一番遺憾に思いますことは、先ほど大臣に対する質問に申し上げました通り、今回の全日空機の遭難しました地点と時間とが依然として不明であるということ、この点がまことに捜索上にも非常な困難をきわめておるわけでありますが、今後におきましても捜索に大いに努力をしていただきたいと思うわけであります。ことに、鳥居長官はかつて沖縄近海において航空事故遭難をされて、数時間洋上を漂いながら、助かったたつた二人のうちの一人なのです。あなたは遭難については後半生は非常に運命に恵まれておるわけです。自分の余生を今度の捜索に託するつもりで一つやつてもらいたい。(笑声)  以上をもって私の質問を終ります。
  289. 島居辰次郎

    ○島居説明員 ただいま大久保先生からお話がありましたが、おっしゃる通りでありまして、私もちようど満二十年の昔、ダグラス機のDC2で、今度の場合と同じようにエンジンが片方だめになって、それでそのうちに三十分くらいしてまた片方のエンジンがだめになって、私の場合はそれが昼であったものでございますので、台湾と沖縄とのまん中ごろの海洋に不時着でございますが、非常なショックはありましたけれども、まあとにかく海洋の上に着いたわけでございます。そうして、十人乗つておりましたが、私ともう一人その当時の台湾の方と七時間漂流というか、泳ぎまして助かったので、あとの八名は行方不明になつたような事件もありまして、私自身といたしましても、今回の事件は身にしみて痛切に感じておる次第でございます。そういうわけでありますので、なおさらのこと身にしみまして、今回の事件につきましては、最初から私も夜中からオペレーションに指図してやつておるようなわけであります。今後のこともできるだけ尽したいと思っておりますので、どうか御了承を願いたいと思います。
  290. 塚原俊郎

    塚原委員長 長谷川君。
  291. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 この際私は当委員会の決議をもちまして、全日本空輸機遭難事故に関する件について万全の措置を講じたいと考えておる次第であります。ここに決議の案文を朗読いたします。    全日本空輸機遭難事故に関する件   今回全日本空輸株会社旅客機が下田沖において事故を惹起し、多数の犠牲者を出したことは極めて遺憾である。   政府は、事故原因についてあらゆる角度より徹底的に究明し、かかる事故の根絶に万全の努力を払うべきことは勿論であるが、当面の問題として速かに遺体の引揚げをはかると共に遭難者遺家族に対し十分なる弔慰の方途を講ぜしめるよう適切なる措置をとるべきである。なお、政府は今回の事故にかんがみ、わが国航空事業の健全なる育成のために速かに、確固たる政策を樹立実施すべきである。   右決議する。 何とぞ委員各位の御賛同を賜わらんことを希望いたす次第でございます。
  292. 塚原俊郎

    塚原委員長 ただいま長谷川君より御提案のありました全日本空輸機遭難事故に関する件につきまして本委員会の決議とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  293. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なきものと認め、さよう決しました。  なお、本件の取扱い等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  294. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。  この際政府当局より発言を求められておりますので、これを許可いたします。中馬運輸政次官務。
  295. 中馬辰猪

    ○中馬説明員 ただいまの御決議につきましては、政府はあらゆる努力を傾けまして善処いたしたいと思っております。ただ、政府だけの力では十分でございませんので、委員会皆様方の十分なる御協力を得まして本決議がすみやかに実行されるように努力いたしたいと考えております。
  296. 塚原俊郎

    塚原委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十六分会