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1958-07-04 第29回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年七月四日(金曜日)     午前十一時十八分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 天野 公義君 理事 簡牛 凡夫君    理事 木村 俊夫君 理事 長谷川 峻君    理事 井岡 大治君 理事 土井 直作君       川野 芳滿君    關谷 勝利君       高橋 英吉君    高橋清一郎君       羽田武嗣郎君    久保 三郎君       杉山元治郎君    山田 長司君  委員外出席者         議     員 増田甲子七君         議     員 小沢 貞孝君         警  視  長         (警察庁保安局         交通課長)   内海  倫君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  八木 利真君         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  岡本  悟君         日本国有鉄道常         務理事     大石 重成君         日本国有鉄道常         務理事     久保 亀夫君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 七月二日  委員河野正君及び下平正一君辞任につき、その  補欠として池田禎治君及び中崎敏君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 七月二日  新得足寄間鉄道敷設に関する請願正木清君  紹介)(第三一六号)  自動車泥除備付に関する請願山本勝市君紹  介)(第三一九号)  国鉄生橋線等建設工事促進に関する請願(石  山權作君紹介)(第三五八号)  木造船建造に関する請願綾部健太郎紹介)  (第三五九号)  真岡線西田井寺内両駅の無人化反対に関す  る請願神田大作紹介)(第三六〇号)  大阪湾及び瀬戸内海水上飛行艇就航に関する  請願原健三郎紹介)(第三六一号)  松戸市、野田市及び小山間鉄道敷設に関する  請願臼井莊一君紹介)(第三八五号)  失業駐留軍要員タクシー事業免許認可に関す  る請願松浦周太郎紹介)(第三八六号) 同月三日  水戸市営バス事業免許に関する請願加藤高藏  君紹介)(第四〇〇号)  道路運送法の一部改正に関する請願河野密君  紹介)(第四〇一号)  同(土井直作紹介)(第四二五号)  広丘駅を一般貨物取扱駅に昇格請願小沢貞  孝君紹介)(第四一七号)  二日市駅の急行列車停車に関する請願中島茂  喜君紹介)(第四一八号)  三陸沿岸縦貫鉄道早期完成に関する請願(鈴  木善幸紹介)(第四一九号)  釜石港湾修築を国の直轄工事として施行に関す  る請願鈴木善幸紹介)(第四二〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  閉会審査に関する件  陸運に関する件   請願  一 名神高速自動車道多賀町地内にバス停留所    等設置に関する請願今井耕紹介)(第    三五号)  二 東北本線北上、六原両駅間相去地区駅設    置の請願小澤佐重喜紹介)(第七六号)  三 名古屋都市計画十二号線の高架線鉄道工事    計画変更等に関する請願赤松勇紹介)    (第一二七号)  四 国鉄生橋線等建設工事促進に関する請願    (飯塚定輔紹介)(第一二八号)  五 東北地方幹線鉄道複線化及び電化工事促    進に関する請願飯塚定輔紹介)(第一    二九号)  六 魚津、本江線鉄道踏切拡張工事促進に関す    る請願三鍋義三紹介)(第一五七号)  七 釜石港湾修築を国の直轄工事として施行に    関する請願山本猛夫紹介)(第一七三    号)  八 三陸沿岸縦貫鉄道早期完成に関する請願    (山本猛夫紹介)(第一七四号)  九 飯山線の線路改善に関する請願塚田十一    郎君紹介)(第一九八号) 一〇 大隅地区測候所設置に関する請願(二    階堂進紹介)(第一九九号) 一一 隼人、古江間国鉄バス路線の鹿屋市等に延    長に関する請願前田郁紹介)(第二〇    〇号) 一二 新得足寄間鉄道敷設に関する請願(本名    武君紹介)(第二〇一号) 一三 民営バス事業の振興に関する請願増田甲    子七君紹介)(第二〇二号) 一四 東北地方幹線鉄道複線化及び電化工事促    進に関する請願石山權作君紹介)(第二    一七号) 一五 信越本線改良促進に関する請願羽田武嗣    郎君紹介)(第二一八号) 一六 同(松平忠久紹介)(第二五二号) 一七 自動車泥除備付に関する請願外一件(戸    叶里子紹介)(第二五一号) 一八 同(板川正吾紹介)(第二九二号) 一九 国鉄志免鉱業所払下げ反対に関する請願    外二件(館俊三紹介)(第二五三号) 二〇 新得足寄間鉄道敷設に関する請願正木    清君紹介)(第三一六号) 二一 自動車泥除備付に関する請願山本勝市    君紹介)(第三一九号) 二二 国鉄生橋線等建設工事促進に関する請願    (石山權作君紹介)(第三五八号) 二三 木造船建造に関する請願綾部健太郎君紹    介)(第三五九号) 二四 真岡線西田井寺内両駅の無人化反対に    関する請願神田大作紹介)(第三六〇    号) 二五 大阪湾及び瀬戸内海水上飛行艇就航に関    する請願原健三郎紹介)(第三六一 号) 二六 松戸市、野田市及び小山間鉄道敷設に関    する請願臼井莊一君紹介)(第三八五    号) 二七 失業駐留軍要員タクシー事業免許認可に    関する請願松浦周太郎紹介)(第三八    六号) 二八 水戸市営バス事業免許に関する請願加藤    高藏君紹介)(第四〇〇号) 二九 道路運送法の一部改正に関する請願河野    密君紹介)(第四〇一号) 三〇 同(土井直作紹介)(第四二五号) 三一 広丘駅を一般貸物取扱駅に昇格請願(小    沢貞孝紹介)(第四一七号) 三二 二日市駅の急行列車停車に関する請願(中    島茂喜紹介)(第四一八号) 三三 三陸沿岸縦貫鉄道早期完成に関する請願    (鈴木善幸紹介)(第四一九号) 三四 釜石港湾修築を国の直轄工事として施行に    関する請願鈴木善幸紹介)(第四二○    号)      ————◇—————
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより会議を開きます。  閉会審査に関する件についてお諮りいたします。本委員会におきましては、今会期中陸運海運及び空運に関する事項観光に関する事項並びに気象に関する事項について調査して参りましたが、閉会中もなお議長承認を得て、これらの審査を行いたいと存じます。つきましては、一、陸運海運及び空運に関する件、二、観光に関する件、三、気象に関する件、以上三件を閉会審査事件として議長に申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。
  3. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、これらの閉会審査事件が本委員会に付託せられました場合には、委員を現地に派遣して実情を調査する必要も起ると予想されますので、委員派遣に関する承認申請その他の手続につきましても、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  4. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。  なお、閉会中の委員会において参考人より意見を聴取することも予想されますので、緊急の場合における参考人の選定につきましても委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  5. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  6. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより請願審査に入ります。今国会において本委員会に付託になりました請願は三十四件であります。これより請願日程第一より第三四を一括議題といたし、請願審査を行います。  日程三一について小沢貞孝君が出席されておりますので、発言を許します。小沢貞孝君。
  7. 小沢貞孝

    小沢貞孝君 ただいま議題になりました三一請願文書表第四一七号広丘駅を一般貨物取扱い駅に昇格をお願いしたいことの請願です。広丘駅というのは長野県の松本と塩尻のちょうど中間にあるわけでありまして、この駅は特殊な扱い方になっております。上下一本だけ、発送だけ小口の扱いができるというような工合になって七、八年たつわけでありまして、地元の各町村が寄付をいたしまして貨物保管庫等を作るなど全面的に協力して参りましたが、最近関西電力の黒部の発電所建設等にからんで、この駅を複線にするというような計画もあるというように聞いておりますので、こういう際にぜひとも一般貨物取扱い駅に昇格といいますか、していただくようにお願いをいたしたい、こういうのが趣旨でございます。  長野県はこの地区工場誘致指定地として、広丘駅が貨物取扱い駅になれば、大きな工場が直ちに一、ニカ所来るというような好条件にもあり、付近は非常な農作物の産地でありまして、関係市町村があげて昇格運動をやっているような次第でございます。県の町村長会長の金井さんが期成同盟会長になって、この実現を期しているという情勢でありますので、委員各位の格別なお骨折りによりまして、この駅が貨物取扱い駅となるよう御協力をお願い申し上げまして、簡単ではございますが御説明を終ります。     —————————————
  8. 塚原俊郎

    塚原委員長 次に、日程第一三について紹介議員が出席されておりますので、発言を許します。増田甲子七君。
  9. 増田甲子七

    増田甲子七君 私の請願趣旨内容に書かれている通りでございまして、その大綱を申し上げますと、国鉄バスは民業を圧迫しない範囲でやってほしい、こういうことでございますので、詳細なことは書いてございますから、内容によって御了解得たいと思います。 以上であります。     —————————————
  10. 塚原俊郎

    塚原委員長 各請願については先ほどの理事会において協議いたしましたので、これより日程第一より第三四の請願について直ちに採決いたしたいと存じます。日程第一より日程第三四の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。
  11. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なきものと認め、さよう決定いたします。  なおお諮りいたします。ただいま議決いたしました各請願報告書作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  12. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  13. 塚原俊郎

    塚原委員長 なお、ただいままで本委員会に参考送付されました陳情書は全部で十四件でありますので、この際御報告いたします。     —————————————
  14. 塚原俊郎

    塚原委員長 次に、陸運に関する件につき調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。井岡大治君。
  15. 井岡大治

    井岡委員 最近警察庁あるいは運輸省当局で、道路交通取締法施行令の一部を改正するというようなことを承わつておるのでございますが、この点その通りでありますかどうか、まずお伺いをいたしたいと存じます。
  16. 内海倫

    内海説明員 お答えいたします。お話のありましたように、目下道路交通取締法施行政令の一部改正を検討中で、目下審議にかかっております。
  17. 井岡大治

    井岡委員 どういう理由で御改正なさるか、その理由一つお聞かせをいただきたい。
  18. 内海倫

    内海説明員 では理由について申し上げます。  今回の改正道交法施行政令のうち相当部分に及ぼうとしておるものでありますが、その一般的な改正趣旨としましては、第一点としましては現行施行政令に、現状交通と対比いたしまして若干不備な点が認められますので、そういう不備な点を直そうということが第一点であります。  なお第二の点はこの前の国会におきましても、地方行政委員会等で諸般の決議がいたされたのであります。そういう決議趣旨内容をも尊重いたしまして、あわせて現状からもきわめて必要なものと考えられますので、そういう関連から一部改正をいたしております。第三点はやはりこの前の国会におきまして、道路交通取締法の一部改正が行われて、国家公安委員会による全国的幹線道路に関する規制の齊一に関する指示の項が設けられましたので、これに基く施行政令を出そう、こういうものが主たる改正を行おうとする理由であります。
  19. 井岡大治

    井岡委員 どういう点が不備か、その不備な点を具体的に一つお聞かせをいただきたい。
  20. 内海倫

    内海説明員 一々申し上げておきたいと思いますが、その第一点については現在の駐車の問題でございますが、これが今回駐車場法施行されるという建前になりますと、若干駐車そのものが、駐車場法施行に伴って、その周辺にある道路に面する商店、工場あるいは家屋等に不便を与える点もかなり予想されますので、駐車の定義の一部改正をする必要に迫られておる。これが一つのポイントであります。  第二の問題は、現在はすでに車船区分を設けまして、ある程度通行区分を実施しておるのでありますが、この点に関する法的な整備が十分とは考えられませんので、こういう点の実情と条項をあわせていきたい。これが第二の点であります。  第三の点につきましては、スピードの問題でございますが、これが現在におきましては昼夜間の、区分相当いたしておるというふうな状態でありますが、現状を見て参りますと、現行程度スピードであれば、昼夜間スピード区分をする必要はほとんど認められないのではないか。そういう観点から、昼夜間におけるスピード区分の廃止、あるいは一部の自動車におけるスピード・アップというふうなことを考えたい。こういうふうに考えております。  それから次の点は、現在六大都市を初め、相当都市におきまして、いわゆる警笛音乱用防止というふうな運動を起しまして、かなり成果を上げておることは現実になっております。警笛が非常に減っておる点からもわれわれも感ずるのであります。こういう点に伴いまして現在の警笛使用に関する部分に若干の改正をいたしたい。これに伴っていわゆる追い越しというふうなものに対する若干の規制を加えたい、こういうのが現状からする次の修正の問題でございます。  次に電車軌道敷内における自動車通行につきまして、現在におきましても実情は法令の規定にかかわらず、相当通行が行われております。この通行実態はやむを得ざる場合ということで、現在はやむを得ぬ場合だけは認めておるのでありますが、そのやむを得ざる場合というのは、たとえば横断する場合に軌条を通行する。あるいは道路の上が非常に障害物が多い。その障害物、たとえば道路工事が行われておる、あるいは故障自動車がそのままになっておる、こういう場合にやむを得ず軌道敷内に入り得るという範囲でございますが、現状自動車敷内通行が非常に多く行われておるわけであります。このことは、一方におきましては自動車側が法条を守ってくれないという実情であるとともに、他方におきましては交通量の圧倒的な増加に応ずる、おそらくやむを得ざる行為に出たるものと認めざるを得ないのであります。そういう意味から、ある程度軌道敷内通行を認めざるを得ないのではないかという現状にございます。さればといって、軌道敷内通行を全面的に認めることも非常に問題でありまするので、原則といたしましては、現状軌道敷内通行の禁止を前提としながら、乗用車等ごく一部の車両に対して、交通ひんぱんな個所を通行する場合に限ってこの通行を認めようというふうな改正をいたそうと考えておるものであります。  以下、学童の保護あるいは電車乗降客保護という観点から、一時停止を伴う徐行等を加える。その他字句の修正あるいは補遺というようなものを行おうとしております。  さらに、先ほど申しましたような国家公安委員会全国的幹線通路に対する指示というものに関する施行規則、こういう点で現在案を草しまして、関係各省との折衝を継続中でございます。
  21. 井岡大治

    井岡委員 ただいまお聞きをいたしますと、主として自動車の問題を中心にお考えになっておるようですが、もしこれを実施するならば、私は路面電車に対してかなりの影響を持つのではないかと思うわけです。同時にまた相当事故発生することを予想しなければなりません。少くとも、道路交通取締法というものは、単に交通違反を取り締るということでなくて、交通事故防止をすることがその大前提でなければならないと思うのであります。にもかかわらず、もし今申されたようなことを実施いたしますと、都市内における交通輻湊状態を勘案するならば、必ず私は事故の頻発を誘発するのではないかと思うのです。この点についての御見解を伺いたいと思います。
  22. 内海倫

    内海説明員 ただいまの御意見もまことにごもっともだと思うのであります。在来の、また現行道交法軌道敷内の通行を禁止したのも、おそらくはそういうことが理由の基礎になっておるものと考えられるのであります。ただしかし、現状をあわせてよく見ていただきますとわかりまするように、現在の道路交通実態を見ておりますと、路面の非常な狭隘、その上に路面が非常に損傷しておる。反対自動車はまことに飛躍的な増加を示しておる。しかも歩行者もまた非常に多い。こういうことがからみまして、事故が非常に多発しておる実情にございます。ところで現在の事故の態様を見てみますと、電車通行しておる路線事故が非常に多い。そういう点では、いわゆる電車が通ることによって自動車交通妨害されておるというよりも、電車が通るということと、その両側の道路自動車が通らなければならないという交通実態から、事故発生しておるものと考えられるのであります。総じて見て参りますと、現在の路面電車の通っておりまする道路は、東京の例を申してみましても、相当広いところもないではないのでありますが、概して道路それ自体は相当の幅を持ちながら、電車軌道がある、さらに安全地帯が設けられておるというようなことで、非常に路面使用の効率が低下しておるわけであります。こういうところは同時に交通相当ひんぱんな場所である。これを例にとりますと、たとえば銀座路線、あるいは銀座から勝鬨橋に至る勝鬨路線、その他東京都内におきましての相当事例、あるいは大阪市内におきます相当事例、こういうふうなことで相当にそういうところにおける交通が複雑であり、あわせてそこにおける事故発生というものが非常に多いわけであります。  さらにその理由を追究してみますと、結局安全地帯あるいは停留所というふうなところで、交通が非常にネックになってそこで渋滞してくる。このためにどこまでも自動車が連なってくる。さらにそこで追い越しあるいは割り込みというふうな事態が発生しておる、こういうことで事故が特に多いように考えられるのであります。今銀座路線の例をとって申し上げますと、大体停留所付近事故状況停留所停留所中間における事故状況を見てみると、大体倍数の大きな差が開いておりまして、停留所付近に渋滞することに伴う事故が非常に発生いたしております。さらに電車路線のあるところとないところにおける事故発生を見てみますと、大体電車の通っておるところを一〇〇といたしますと、通っておらないところは四五、六%、半分に満たない事故発生状況になっております。これらもやや抽象的な数字で申しまするので、適切に実情を申し上げ得ないかもしれませんが、現実電車軌道周辺交通実態をごらんになりますとおわかり願う通りであります。そういうことから、どうしてもはみ出て軌道敷内を現に通行しておる実態というものは、ひとり運転者なりあるいは自動車関係者なりが、意識してことさらに軌道敷内に入るというよりも、交通実態がそこに追い込んでいっておるのではなかろうかということを私どもはやむを得ず考えざるを得ないのであります。しかもそれを禁止したりきびしく取り締るということになりますと、交通の渋滞は非常に大きなものになってくるというのが私どもの見ております実情でございます。されば先ほども申しましたように、自動車のすべてに軌道敷内を通行させることがいいかどうかということは大問題で、原則としましては、私ども事故防止観点から、とりわけ多数の人を運送する公共的な軌道電車の任務と考え合せまして、これの通行を安全にし、これの進行を円滑にしていくということを確保しなければならない。そういう意味におきましては貨物自動車であるとか、あるいは軽自動車であるとか大きなバスであるとかいうふうなものは、一切在来と同じように禁止する。乗車定員十人以下の乗用自動車に限り、軽自動車を除いて、これだけの通行を認めよう。しかもその通行の認め方は無条件に認めるものではなく、交通のひんぱんな場所通行するときに限ってこれを認めることによりまして——確かにある面における電車の流通の妨害が生ずるおそれを私どもも感じておりまするけれども、総体的な交通事故の減少あるいは交通混雑を緩和することによって交通を円滑化するということの長所が考えられるとともに、これによりまして警察といたしましては、もしこういう措置をとるということになりますれば、その付近に警察官を配置するなり、あるいは規制措置を厳格にするなどいたしまして、でき得れば電車にとっても現状よりさらに改善され得るような方途を講じていきたい。従いまして、現在におきましてもああいうむちゃくちゃな軌道敷内の通行、あるいは交差点における割り込みなどによって受けておる電車妨害、あるいは電車自動車の間に生じておる事故発生をも予防いたしたい、こういうふうに考えて、今回の案を考えておる次第でございます。
  23. 井岡大治

    井岡委員 かなり実情を曲げて解釈をされておる向きがあります。と申しまするのは、交差点における事故件数は、なるほど交差点でない中間事故件数よりは、件数としては確かに多いと思います。しかしながら、中間における自動車あるいは電車事故というものは、ほとんど生命を失われておるのが事実であります。交差点における事故というのは、いわゆる自動車自動車接触であるとか、あるいは電車自動車接触程度で、これは運転手諸君のお互いの注意によって避けられるものがかなり多いと私は思います。同時に区分通行を認めまして、そうして交差点の近くまでやってくる。これが信号のために電車がとまっておるということになりますと、当然その自動車軌道敷内に停車せざるを得ないことになります。その結果かえって事故件数というものは多くなるのではないかと思います。たとえば試みに——これは警察庁の方でも十分お調べになっておると思いますが、大阪あるいは東京における追い越し、あるいは対面衝突というものは路面電車事故の八割ないし九割を占めておるわけです。そのために路面電車の停滞というものが非常に多くなってきている。そこからくる事故増加あるいは交通の混乱、こういう点を考えるならば、私は今交通課長の言われるように、単に事故件数が多いからという皮相な見方によってこの問題を処理されようという考え方をお持ちになっておることは大きな間違いだと思います。同時に都市交通というものは、いわゆる通勤あるいは通学に主点を置いておるわけであります。これが朝輻輳をしましてそうしてキロ数が落ちてくる。現に数キロ数は落ちているわけです。今交通課長の言われるような格好をとっていくならば、おそらく表定キロ数は十キロを下るでしょう。そういうことになってくると、朝押されて会社に入って、疲れたために起きる工場内における事故というものを考えていかなければならぬ。同時に帰りしなにまた押されていら立った気持で帰っていく。そのために家庭内に不和が出てくる。同時に運転手にしてもこれまたそうです。運転手にしてもいら立った気持で帰ってくるならば、家庭内における不和から大きな事故発生することを考えなければならぬと思うのです。こういう点について単に皮相的な面だけをとらえてやっておる。ほんとうに自動車の輻湊する面、いわゆる道路の狭隘から自動車が輻湊するというのであれば、道路駐車をしておる自動車なり諸車をのけるような方法を講じて道路の幅を広げることが、道路の狭隘を救う唯一の道だと思いますが、この点についてどういうようにお考えになりますか。
  24. 内海倫

    内海説明員 ただいまのお説のように、道路の幅を確保するための駐車禁止あるいは路上放置物件の取締りというふうなことは、われわれとしても当然やらなければならない問題でありますし、それについては今後も一そう徹底を期したいと考えておるのでありますが、ただこの点につきましては、現実交通実態を見ていただくといいのでありまして、もちろんその点につきましては私どもも諸般の観点から、いずれが是なりや非なりということを検討しているのでありますが、まず第一の問題は、現在でも実際に軌道敷内を通行しておる車両というものは、最近におきましてはほとんど当然のごとくに走っている状態であります。それではこれを現行法令のもとにおきましてきびしく敷内通行を取り締っていくということになりますと、現状におきましてはおそらく現在の交通混雑をさらに一そう混雑ならしめるのじゃないか。そのことはひいてそこからまた電車交通妨害を逆に発生していくのではなかろうか。ことに私どもとしましては、先ほど来繰り返して申しまするように、今回の改正におきましても、その根本趣旨はやはり軌道敷内通行禁止の前提に立っているのであります。この場合すべての車が現状においては軌道敷内を通行しておる状態をより一そうきびしい態度をもって処理していこう、そのかわりに交通混雑が予想され、あるいは現実に露呈しておる場所における交通緩和、あるいは緩和による事故防止というふうな観点から、比較的路面を損傷することも少く、またその妨害状況も比較的少いであろう乗用車だけ、しかも、これは私どもの方としましても明確にいたしたいと思っておりますが、右折する自動車についてだけ敷内通行、特に交差点付近敷内通行を認めて、他のものはなるたけこれを認めないというような指導をいたしたいと考えておりますし、また法文で通行してよろしいというふうな除外規定を設けたからといいましても、交通事故状況にかんがみまして徹底した規制措置も講じなければならないと考えておりますし、そういう点から少くとも、現在のように通してはならないという規定でありますと、現実に目の前で発生している混雑の状況に対しましてもこれはいかんともしがたい状況になっておる。そうなりますと現在のように東京都が苦心惨たんいたしまして、特別な措置として、ごく特定の個所については警察官の指示によってやむを得ず通しておるような状態も出てくるのでありますが、この点については結局現在の交通実態が、そういうことをせざるを得ないところまで追い込められてきているのではなかろうか。そのかわり他におけるあらゆる交通安全、事故防止手段を講じつつ、特に交通ひんぱんな個所に関する、いわば原則の例外としてこれを認めよう、こういうふうな考えでありますので、井岡委員の言われますように、事故防止という点、あるいはそれに対するわれわれのあり方というものについては、われわれもきわめてきびしい考えと、きびしい態度をもってこれに臨んでおることは御了承を願いたいと思うのであります。
  25. 井岡大治

    井岡委員 私は不肖ではありますが、都市交通には二十年ばかりこの仕事をいたしておりましたので、課長の言われる点について、全く私はしろうとの立場で聞いておるのではないのです。現実の体験から割り出したものと、今日の交通の輻湊からくるいわゆる大きなネックというものを考え合せて、そうしてこれを割り出しておるわけであります。  そこで、私は課長にもう一度お伺いいたしたいのでありますが、このため電車の走行キロが落ちて、そうして乗客の交差点あるいは停留所にあふれた場合における交通事故の起きる割合というものは、どういう割合になっておるか、この点をまずお聞かせ願いたい。
  26. 内海倫

    内海説明員 私どもとしましても、その点についてかなりの検討を加えておりますが、はなはだ無責任な、ずさんな言い方だと思うのでありますけれども、現在こういう措置をとることによって、まず事故そのものが起きるということにつきましては、これに伴っ て現在よりふえていくであろうということについての心配は、私どもははっきりいたしておらないということは言えないのでありまして、ある程度危惧しておりますが、そのため在来以上の、先ほど申しましたような、より厳格な警察官による措置、あるいは全般的な規制措置というふうなものによりまして事故防止をはかって参りたいと考えておりますので、そういうものとかね合せますと、現状よりもふえるというふうなことに対しては、何とかこれは防止し得る。と同時に、それによりまして、他の状態において生ずる事故相当減少し得るであろうという見通しもあわせて立てておるのであります。  次に、電車の進行速度の妨害でありますが、これに対しましては、遺憾ながら若干の影響は出てくる、これは私は予想いたしておるのであります。しかし、現在における状態を見てみましても、相当こういうふうなことによる影響は出ておろうと思いますので、これを対比しました場合に、それより以上にどこまでなるかということにつきましては、私どももなお今後の実行状況を見まして、それが非常な影響を与えるようであれば、一そう具体的な措置を講ずることによってカバーしなければならない、こういうふうに考えておるのであります。
  27. 井岡大治

    井岡委員 そういう程度でこの問題を実施をされようということは、私は非常に危険だと思うのです。停留所内の客待ちの自動車のはねる率というもの、それからここからくるいわゆるあふれた客に対する自動車接触というものは、交差点における客待ちの事故よりは多いということなんです。自動車の諸君は停留所の前は徐行するとか、あるいは乗降がある場合にはとまるとかいうことでありますが、現実にはそれが行われておらないということなんです。私はこのことを、あえてそうだから直ちに取り締れとは申しません。申しませんが、これが非常に多いということ、しかも電車に乗る諸君は、通学の諸君と、通勤の諸君と、それから年のいったおじいさん、おばあさんが電車に乗るということなんです。こういう点等を考えてみるならば、電車の速度が落ちたために乗客があふれて参りますと、残されるのはおじいさん、おばあさんが残される。そこからくる事故というものは非常に大きな事故を起している。これがまず第一点。それから課長は銀座の例をとって申されておりますが、大阪の例を私は一つ申し上げましょう。これは全国的なものでありますから、東京だけの例をとってもらったって、これは間に合わない。大阪の例を申し上げましょう。大阪の天六、それから阪急前、それから戎橋から日本橋一丁目、それから上六、阿倍野、ここで自動車が入るために電車が何ぼくらい待っているとお思いになるか。天六の場合は、長いときは十五分間電車がとまっている。前に自動車一つ故障を起したら十五分間は平気でとまっている。故障を起さなくても、五分、八分の停車は平気でやっている。そのために一そう輻湊してきている。これがみんな軌道敷内に入っておるからそういうことになっている。これを右折だけを認めるといっても、外の方からこう入ってくるわけです。そこの停留所のところへ行ってから右折だけ入るというのじゃない、前から入ってきている。そうしてこれが左折になる。左折だから軌道敷内に入ってはいけないと思って、出ようと思っても、こっちがすでに停留所であるためにつかえているから、これはこっちへ出れない。そうなってくると、右折、左折ともに入る、直線も入る、こういう格好になる。従ってこの輻湊というものは一そうきびしくなる。こういうことになる。そうなったら、客はどうするんだ、こういうことになる。こういう点を考えるならば、交通は、単に現在の事故防止という考え方でなくて、道路の狭隘ということに対して自動車をどう通そうか、これだけにしかすぎない、こう思う。こういう点をどうお考えになっておるか、伺いたい。
  28. 内海倫

    内海説明員 ただいまの御質問にお答えする前に一つつけ加えておきますことは、現行でもそうでございますし、改正後もそうでございますが、電車が接近してきた場合においては、自動車軌道敷内から外に出なければならないというのが現行であります。これは改正案におきましても同様にそのまま残しているのでありますから、実際にそういうことが行われておらない実情も現在起きておるのでありますが、少くとも法上におきましては、電車が接近した場合には自動車はその軌道敷外に出ろ、こういうふうにいたしておるのであります。  また、ただいま御質問のような大阪における実情も、私も大阪に参りましてよく見ております。確かに現状におきましてもそういう状態でありますが、これは私のやや暴言になるかもしれませんが、それはひとり電車自動車との関係だけというものではなく、結局路上交通実態そのものがそういう形になって現われておるというのが実情だろうと思うのであります。それを解決する方法として、自動車軌道敷内通行を認めようとするのは、お前の知識不十分じゃないか、こういうふうにおっしゃっておるわけでありますが、もちろんわれわれは他の諸条件の改善ということもあわせて考えていくことは先ほど申し上げた通りでありますが、現状のような状態におきまして、しかも私が今まで申し上げましたうなかなりきびしい制約のもとに、乗用車についてだけの、しかも実際問題としては、交通ひんぱんな個所についての通行というものをこの際違法でないというところまで踏み切らないと、現状のああいうふうなごった返しの交通実態というものを収拾し得ざるような場所が少くとも東京大阪においては起っておるのではないか、こういうふうに考えたのでございます。
  29. 井岡大治

    井岡委員 そういう暴言やずさんでものを言ってもらったのでは、しかもこれが現実に取り扱われることになるのですから審議にならないのです。この点は一つ注意をしてもらいたい。もっと正確にものを考えてもらわなければだめだ。同時に私は、今言われたように、交差点における路面電車あるいは自動車だけによる輻湊というようには考えておらぬ。これはあなたの言われる通りです。通りだが、現状をさらに悪くするような結果が出てくるではないか、しかもこのために事故件数というものがより一そう大きくふえてくるではないか、こう言っておる。その結果どうなってくるかというと、自動車の公衆性というものが失われてしまうということです。同時にそのことが日本の生産に大きな影響を来たすということです。こういう点を考えるならば、私はもう少しこれを検討されてしかるべきじゃないかと思う。これに対してどういうような措置をとられたか。聞くところによると、今月の初めにこれを施行しようとお考えになった、こういうことです。とんでもない話です。少くともこういう大きな改正をやろうというのであれば、十分関係の方々を呼んでいただいて、そうしてこの問題に対してわれわれはこう考えるのだがどうだ、こういう相談があってしかるべきだと思う。それが事故防止の万全の策だと思う。それをあなたの頭の中で考えて、これをやった方がいいだろう、しかし一方においてそれにはこういう不安がある、その不安を除くためには何か考えなければいかぬだろう——何かじゃ話がわからぬじゃないですか。そういう官僚的な考え方というものは、私は今日の政治を担当する行政官としてはとるべき処置ではないと思う。そこで私はもう一度聞きますが、対面の正面衝突をやっておるのは今一カ月でどのくらい出ておりますか。
  30. 内海倫

    内海説明員 対面の事故ということで資料を取り寄せておりませんが、大阪府におきます電車自動車事故件数が、昨年中におきまして六十三件、死者において三人、傷者において九十八人、自動車軌道車だけの関係事故を見てみますと、そういう数字が出ております。
  31. 井岡大治

    井岡委員 じゃ私が言いましょう。東京大阪を分けて言います。昭和二十三年、自動車の台数は約三万九千台です。昭和二十八年、十八万六千台、昭和三十二年、三十二万五千台、これで最近一年間における一カ月平均の追い越しの数が東京で四十七件、対面衝突が五十八件、大阪追い越しが百十八件、対面が四十一件、これが一カ月の平均の件数です。あなたの一年の件数とこの一カ月と、これの方が多い。あなた方はそういうような統計を持っておるからこういうことを平気でおやりになる。もっと実態を調べてみるならばこれよりまだ多いと思う。多いけれども、軽微な問題だからお互いに話し合って別れよう、こういうのもある。これは交通従業員は始終やっておることです。あなたも御承知だろうと思う。こういう件数のために表定キロがどのように落ちていっておるか、東京は昭和二十三年では表定キロが一四・九六です。昭和二十八年は一四・〇四、昭和三十二年は一三・八四、大阪は一四・一〇から一三・四二、一三・一七というように表定キロが下ってきておる。そのために台数を出してもお客さんを送ることができない。朝七時、八時に芝浦の工場の前に立ってみてごらんなさい。職工さんが目の色を変えて走っておる。そのために工場内における事故件数が急速に上ってきたと工場主は言っておる。こういう点をあなたはどういうように考えておるか。ただ単に交通事故だけではない。交通の及ぼすいわゆる総体的な影響というものは私がここで説くまでもない。あなたは一番よく知っておられる。こういう点を考えるならば、むやみやたらにあなたの考えているようなことが実施されるようなことになると大へんなことだと私は思いますが、どういうように思いになりますか。
  32. 内海倫

    内海説明員 いろいろそういう実情が出ておることも私ども認めております。従って私どもとしましては、何らかの形で交通混雑というものを緩和いたしたいという努力を続けておるわけであります。その努力の一環といたしましての今回の措置でございます。今後も慎重な態度をもって電車措置はいたしたいと思っております。繰り返すようでありまするが、現在における実態から考えまして、少くとも今回われわれがとろうとしております措置は、現状路上交通実態というもののある部面における改善をはかるものであって、改悪ということには私は考えておらないのであります。もちろん電車だけの面からいいますと、先生の言われる実情にあることは私も十分理解し得るのであります。しかしなお私どもとしましても、自説を固執することは決していいとは思っておりませんので、なお関係行政官庁とも、また関係機関とも十分検討いたしまして、でき得る限りの検討の結果の結論を導きたい、この決心においては変っておりません。
  33. 井岡大治

    井岡委員 そこでもう一つお聞きをしたいのですが、今のお話では、これを直ちに実施しようとは思わない、関係官庁と十分話し合いをしてきめたい、こう言っておられますが、間違いありませんね。
  34. 内海倫

    内海説明員 たとえば運輸省の鉄道監督局とも検討をする余地をまだ残しております。その結論が、現在われわれの持っておるものと同様の結論になりますか、あるいはまた今のものを変えるようになりますか、これについては私課長だけがこれを処理しておるわけではありませんので、今ここで責任ある答弁はいたしかねまするけれども、少くともわれわれ事務的には関係管庁とも十分協議いたしまして、今われわれの出しておる案を直さなければならないということがはっきりいたしますれば、それを改めるにちゅうちょするものではございません。
  35. 井岡大治

    井岡委員 そこで私は一応運輸省の方にお伺いをしたいのですが、運輸省はこういう考え方——私はこれをこまかく読みましょうか。読んだらこれは大へんなことが書いてあるのです。しかし私が読まなくても運輸省は御承知だろうと思いますから読みませんが、こういう御相談をいつごろお受けになったのですか。
  36. 岡本悟

    ○岡本説明員 警察庁の方から協議を受けましたのは、実は運輸省の窓口であります文書課長のところではございませんで、自動車局の方へその御相談があったように聞いております。それは大体二週間前ころじゃなかったろうかと記憶いたしておりますが、そこで自動車局の方から私どもの方に御連絡がありまして、われわれの方としても相当関係がありますので検討して参ったのでありますが、運輸省全体としての意見をまとめまして、警察庁の方ともよく御相談申し上げる、こういうことになっております。近々のうちに警察庁の方からあらためてこの改正施行令の案につきましてお話があるそうでありまして、そのときに十分当方の意見も申し上げてみたい、かように存じております。
  37. 井岡大治

    井岡委員 そうしますと、警察の方はいわゆる路面電車というものを全く考えなかった、こういうように私たちには受け取れるのです。少くとも、自動車路面交通であるならば電車路面交通なんです。その重要の度合いというものは——私は現在の自動車それ自体を私的交通、いわゆる私的な交通とは申しません。かなりこれが公共化され、実用化されておることを認めます。認めますが、今日の日本の都市交通現状では、路面電車というものが大衆交通であるということには間違いないと思う。このことを念頭に置かないでお考えになられたのかどうか、この点お伺いをいたします。
  38. 内海倫

    内海説明員 もちろん電車交通につきましても、他の交通と同様に、いささかも差別をつけるところなく考えておるわけであります。なお鉄監との連絡協調につきましても、先ほどお話がありましたが、私どもの方としましては運輸省の自動車局に持ち込みまして、その際鉄道監督局の方にもあわせて御連絡を願って、その上で私どもから詳細御説明を申し上げる。実を申しますとそのときにはまだ要綱でありまして、その後政令案としての立案をいたしましたので、その案ができ次第鉄監の方との協議に入るという運輸省文書課からの連絡もありましたので、この前も連絡いたしまして、近く鉄道監督局の方とも具体的な検討を加えよう、こういう段階であります。そういう意味におきまして、われわれの方も鉄監との話し合いが完全に終了しない限りは、この政令案を出すつもりは持っておりません。
  39. 井岡大治

    井岡委員 民鉄部長にお伺いをいたしますが、民鉄部長として、この案がそのまま通るとしたらどういう影響を持つか、伺います。
  40. 岡本悟

    ○岡本説明員 運輸省的な立場から申し上げますと、この大衆の足である路面交通機関というものを、むしろ路面交通全般におきましてその優先性を確保してもらいたいというのが本来の建前でございます。つまり路面交通機関のうち路面電車の役割というものは、種々の批判はございますけれども現実には一番安い大衆の足になっておるわけでございまして、東京におきましても一日百六、七十万人の大衆を運んでおるわけでございます。従いまして、最近のような道路交通の混雑からその運行速度なり運行能率が下って、大衆に対するところのサービスというものが低下していくといことは、まことに困った事態であるというふうに考えておるのでありまして、何とかいい方法はないかというふうには思っております。しかし、さればと申しまして、やはり道路交通の混雑を何とかしなければいかぬということは一般の世論でございまして、路面電車が大衆の公共用路面交通機関であるからまかり通るというような考え方を徹底させるということも、一がいにはいかぬのじゃないかというふうに考えております。最近、御承知のように運輸省におきましては、都市交通審議会に対しましてこの路面交通機関の今後のあり方につきまして諮問をいたしまして審議を願っております。もちろん警察庁あるいは建設省、そういった関係行政庁の協力も得まして、この問題と取り組んでおるのでございまして、その根本的な態度というものは、この路面交通の混雑がますます激化していく状態におきまして、路面交通を将来どういうふうに持っていくべきであるかということでありまして、極端な論者は、路面電車はすでに時代おくれであるから撤去してしまえ、それによって道路交通の容量は非常に増加できる。まあこのことが現在の道路交通容量の行き詰まりを打開することに相当貢献するであろうし、事故防止にもなる、あるいは騒音防止にもなる、いろいろな効果があるではないかと申しておる向きもございますし、こういうわかり切ったことをなぜ早く取り上げないのだということを言っておる識者もあるのでありますが、しかしこれはきわめて皮相的な見方でございまして、やはり多くの大衆を毎日運んでおるということを全然お忘れになっておる。その大衆をそれじゃ何で運ぶのだということをお忘れになっておるのでありまして、果してそれをバスによって代替できるかどうかという可能性、あるいはバスによる代替ということかさらに道路交通の混雑にどういう影響をもたらすかということについて全然検討されていないような面もございます。しかし、そうかといって路面交通機関というものが、ごく常識的にいいまして今後理想的な、あるいは理想的とまでいかなくても、現状の姿のままで維持していくことがいいかどうかということについても、私は相当問題があろうかと思います。特に地下鉄道の建設が最近におきまして相当大きく取り上げられまして、東京におきましても御承知のように、一年六キロとか七キロのスピードで進み得る段階になったのでありまして、そういうことを勘案しまして、将来の路面交通機関のあり方を考える場合、地下鉄道とバスのコンビネーションでこれを代替できないかということは、やはり検討に値する問題であると私は考えております。せっかくこの都市交通審議会でも取り上げていただいておりますので、ただいま井岡委員の主張されました点も当然問題になってくると思います。そういうことを勘案して検討していきたいと考えております。
  41. 井岡大治

    井岡委員 路面電車をこのまま百年も二百年も続けようなんという考えは、おそらく都市交通に携わる者としては考えておらぬだろうと思う。同時にこの路面電車がいわゆる都市交通の路上における一つの大きなネックになっているということにつきましては今部長が言われた通りだと思う。しかし、さればといって直ちにこれを廃止しようとしても、いわゆる東京の地下鉄を全部完成するとするならば、少くとも一千億円以上の金がかかる。あるいは大阪、神戸、京都、こういうふうに六大都市だけをやっても三千億や四千億の金はかかるわけです。今日の日本経済の事情から、とうていそういうことは考えられない。そういうふうに考えて参りますと、なお当面は路面電車というものは大衆の足であるということ、しかもその大衆は単なる大衆ではなくて、通勤、通学、いわゆる低給者であり、あるいは保護者の足であるということだと思うのです。そうであるならば、私はこれを優先的に考え、しかもまかり通るというような考え方というものは持たないにしても、このことを忘れて都市路面行政あるいは交通行政というものは成り立たないのじゃないか、こういうふうに考える。従って今回これを改正されようという案それ自体が、今禁止はしておるけれども自動車は実質的には軌道内を通っている、あるいは交差点等における事故件数というものが、最近とみにふえてきた、これだけでもって問題を処理しようということは、私は大きなあやまちを犯すのじゃないかと思うのです。こういう点について民鉄部長のお考えはどうなんですか。
  42. 岡本悟

    ○岡本説明員 確かにおっしゃるようなことが出てくるのではないかというふうに思っておりますが、まだ警察庁の方とは、先ほど申し上げましたように意見の交換をやっておらないわけでございまして、近々に話し合いをすることになっておりますが、そういう機会をとらえまして、よくそういう点につきましても安全の確保に関連する措置につきまして確かめたいというふうに考えております。たとえば、現在すでに東京におきましては、先ほど交通課長からお話がありましたように、事実上警官の指導でやっておられるわけでございますが、そういう警官の指導というものはやはり的確にやってもらえるのかどうか、こういうことは今回の改正措置につきましては非常に大きな関心を持つ問題であろうと思うのです。あるいはこの交通ひんぱんなる場所というように抽象的に表現してございますが、こういうことが自動車運転者の自主的な判断にまかせられることかどうか。つまり、もっと的確な限定の仕方はないのかというようなところもありますので、いろいろ意見を申し上げてみたいと思っております。ただ、根本的なわれわれの態度といたしましては、先ほど申し上げましたように、やはり路面交通混雑現実に対処して、路面交通機関としても何とか方法を考えてその打開に協力すべきであるという根本的態度を、われわれ運輸省としても持っておるわけであります。それだけを申し上げておきます。
  43. 井岡大治

    井岡委員 運輸省の方もまだ警察の方から相談を受けてないと言われるし、警察の方も相談した結果いろいろな欠陥が出てきて、そうして改正するにやぶさかでない。こういうことでありますから、本日はこの程度に質問を打ち切りますが、少くとも今日の日本の都市交通の問題をそう軽々に取り扱ってもらっては困るので、もしこれを解決するとするなら、いわゆる広範な考え方の上に立って慎重にものを取り扱ってもらいたい、こういうふうに特にお願いしておきます。いずれまた、できましたら私自身にもお見せいただいて、いろいろ私自身の考え方も後に述べることにいたしまして、本日はこの程度で一応打ち切ります。
  44. 塚原俊郎

    塚原委員長 山田長司君。
  45. 山田長司

    ○山田(長)委員 先に国鉄当局に伺います。行政管理庁から三回にわたって勧告がされておるというような関係から起っていることだと思うのですが、既存の各駅を駅員無配置にする計画があるという話でありますが、このことの全貌を一つ、全国各地及びたとえば関東なら関東、そういうことの現在ある計画を、どんな予算で、どのくらいの範囲をそういうふうにしようとするのか、キロ数及び駅名、そういうものがわかったらお知らせ願いたいと思います。
  46. 久保亀夫

    久保説明員 ただいまのお尋ねの点は、駅員無配置駅を作る計画はどうかということでございますが、ただいま山田委員の御指摘の通り、私ども国鉄の経営合理化、その中でも特に非採算線の経営合理化ということについては、全体の合理化とあわせて努力いたしておるわけでありまして、ただいま御指摘の通り、行政管理庁その他部外からの強い批判もございまして、非採算線の合理化ということにつきまして努力いたしておるわけでございますが、私どもはただいま先生のおっしゃったように、全体として、現在の駅のうちやめるとかあるいは駅員無配置にするとかいうことを計画的に特にやっておるということではございませんで、非採算線について漸を追うて経営合理化をして参るという大方針は率直に申し上げて持っておるわけでございます。ただし、その大前提といたしましては、お客さんなり荷主の方には御迷惑はかけない、御迷惑はかけないで、何とかむしろ逆に、別な面ではサービスをよくしながら合理化をして参りたい、こういうことで、支社長並びに現場の第一線におります鉄道管理局長におきまして、いろいろと工夫をいたしておるわけで、その工夫の一つの中に、現在駅員を配置しておリます駅につきまして駅員の配置をやめる、ただし、その業務につきましては、たとえば乗車券の発売であるとか、小荷物の受託であるとか貨物の受託であるとか、こういったことにつきましては、たとえば業務委託をいたすとか、そういったような方法で、御迷惑をかけないでかつ経営合理化をする方法、こういうことを個々に実は検討いたしておるわけでございまして、そういった検討の結果、あるいは実施したいということが全国いろいろな線について起って参るかと思いますが、ただいま仰せの、本社としてどことどこにどういう計画があるかということについては、ちょっと申し上げるだけの資料は持っておりませんが、各地で、各局でそれぞれ駅員の配置をやめるというそれだけが目的ではございません。全体としてサービスを低下させないで、あるいはむしろ上げながら合理化するということをいろいろ真剣に検討しておる、あるいは実行に移そうとしておる、かようなことでございまして、ただいまの御質問に対してあるいは当っていないかもしれぬと思いますが、実情はさようなことでございます。
  47. 山田長司

    ○山田(長)委員 問題が問題なだけに、そのものずばりと答えられない事情もあるのじゃないかと思われる点もあります。しかし、やはり迷惑をかけないで合理化するなどと言うけれども、小荷物の問題とか貨物の問題とか、今まで駅へ行ってすぐに用が足りたことが、駅で用が足りない事態になるとすれば、これはなかなかそう迷惑をかけずに処理するなんということは不可能と思われます。また、このことによって人員を整理するというふうな問題も考えられてくるんじゃないかと思われる点もあるわけなんですが、そういう点はいかように処理するお考えであるか、一応伺います。
  48. 久保亀夫

    久保説明員 今の第一段の旅客なりあるいは荷主の方々に御迷惑をかけないようにということは、私どもこれは十分頭に入れて考えております。また現場としては特に真剣に考えておるわけでございまして、これの具体的方法につきましては、ここで申し上げることははばかりますけれども、私どもとしてはさような心がまえでやって参りたい、また実際そういう方法もあるんじゃないかと存じております。  第二の今のそれによって浮きました人員、これは人は浮くことは事実でございますが、それをどうするかということでございまして、一方ではその線区につきましても、たとえば、そういうふうに駅員のない駅を作りますが、それを転用してディーゼル・カーを増発するとか、そういう例も現実にあるわけでございます。そういう例とか、あるいは国鉄全体としても、業務量としては毎年ふえて参っておるわけでございまして、できるだけ全体としての労働事情を考えながら配置転換も考えるということでございまして、これに限らずすべての問題にございますが、それによって整理とか、そういったことは私どもとしては毛頭考えておりません。
  49. 山田長司

    ○山田(長)委員 何らかの目安を置いて駅員の無配置というものの案があるものと思われますが一体、赤字をどのくらいな限界に置いてやられるのか。そういうことの基本的なものが一応打ち出されてしかるべきだと思いますが、そういう点があるならば、まずそれを伺いたい。  それからもう一つ伺いますが、今月及び来月あたりに各地においてそういう地区を作るといううわさがあるが、一体そういうことがあるのかないのか。
  50. 久保亀夫

    久保説明員 第一点でございますが、特に基準ということはございませんが、これも御承知のように国鉄の路線の約八割がいわゆる赤字でございまして、その中にもいろいろひどいもの、経費が三倍もかかるというものも、いろいろございますが、私どもとしましては、これを直ちに黒字にするといったようなことはもちろん考えておりません。しかし少くとも、これは繰り返すようで恐縮でありますが、何とか御迷惑をかけないで、赤字を少くしていくということは私ども一つの使命だと考えております。それぞれの地区につきまして、それぞれの工夫をしておるということでありまして、はっきりどれだけの赤字のところはどうするということを明瞭な基準をきめておるわけではございません。  それからもう一つ、今の駅員配置を廃止するといったようなものでございますが、これとて基準といったようなものはございませんで、事実上お客さんなりの扱いが非常に少い、あるいは貨物なりが少いということで、これが駅前にある、特定の、またあるいは、たとえば地元の運送店等に業務を委託するということで、駅へ来られるのと全く事実上御不便はないという見込みがつきますならばやるわけでございまして、これも格別それじゃ乗降人何人以内のところはやるとか、そういったはっきりしたきめを持っておるわけではございませんが、それは実情に沿って、今申し上げた精神でお願いしていきたい、こういうことでございます。  それからもう一点の、今月、来月、つまり最近にそういう例はあるか。これは私ども先ほど申しましたような基本方針で、私どもの本社としても指導しておりますし、一つの非採算線の合理化と申しますか、それも基本的な問題の一つと考えております。それから支社なり局においてもいろいろ工夫し努力しておりますので、本年度中にも——本年に限ったことはございません、一両年前からいろいろ起っている問題でもございますが、本年度中にもいろいろそういった地区地区といいますかの合理化を進めて参りたいという具体的な問題はいろいろ起って参ると思います。さしあたり、今月、来月どうかということは、私全体の方針を指示して、その結果をいろいろと地方から聞き、また意見を交換しておるわけでございます。あるいは最近にもそういうものはあるかと思いますが、具体的にということでございますと、各地にそういった計画を進めておりまして、全国にいろいろの地区があると思いますが、今、明月直ちにというところまで、あるいは進んでいるのもあるかと思いますが、私ちょっとただいまそこまで詳しい報告を受け取っていない現状です。
  51. 山田長司

    ○山田(長)委員 既存の各所で駅員無配置を作るということになると、これは合理化案で迷惑をかけないようにするといっているものの、やはりかなり迷惑がかかることは事実です。これはやはり公益性を十分に考えてやられなければ、私は国民に大へん迷惑のかかる結果になると思うのです。今各地で進めているというような話ですが、各地で進めていることは事実です。それは、各地で進めているということを、ばく然とじゃなくて、やはり、なされる何カ月か前に十分にその土地の者に知らせるということでないと、やられる半カ月や一カ月前に知らせるということになると、これは大へん迷惑がかかることになると思うのです。現に一カ月前に、やられかかっているところだといわれる地域を私、二三知っているわけなんですが、今ここで、一地方だけのことでなくて、各地で進められているとするならば、各地ともこれと同じように国民に迷惑がかかっておることなんですし、またそういう結果が生まれるわけなんですから、やはり全国的にお調べになられて、どういう方法で一応国民に周知徹底をはかっているのか。実際貧しい人たちは半月か一カ月前でも容易なわけでなくて、乗り降りの駅の者とか、あるいは荷物の輸送とか、まして民間の貨物輸送がひんぱんになってきて、国鉄の貨物はややもすると民間輸送におくれをとっているというようなやさきに、こういう合理化案のために、国鉄の収入面がなお減るということが考えられることは事実だと思うのです。だから、そういう点について、どういうことで周知徹底の方途を当局は講じているのか、このことを伺います。
  52. 久保亀夫

    久保説明員 その点は私どもといたしましては、これも繰り返し申し上げるようでございますが、御迷惑をかけないようにということは第一義として考えておりまして、それは具体的方法があると存じておりますし、また現場でもその点は十二分に頭に置いて工夫しておるわけでございます。  それから周知徹底というお話でございます。これはもうおっしゃる通りでございまして、これも現地で地元といろいろお話する、あるいはこれは組合の関係も当然ございますし、いろいろお話する。その期間の、長短ということは具体的にいろいろ問題があると思いますが、周知徹底して、御理解を得て実施する。もちろん御理解と申しましてもいろいろ考え方の問題はございましょうから、全面的な賛成が得られなくてもやらざるを得ない場合があると思いますが、御理解を得られる手だてをするということは、おっしゃる通り当然のことだと思います。
  53. 山田長司

    ○山田(長)委員 管理局ごとにおそらく労働組合その他とも、各会合等でこれが周知徹底をはかっておるとは思われるが、やはり人員の異動があることでありますし、なかなか両者の間においての意見も、そう簡単に結論が出るものとは思われない点も考えられるわけです。そういうやさきに、当局がそちらばかりの周知徹底をはかるのでなくて、これはやはりわれわれも一応知っておきたいと思う点があるわけです。全国に合理化による駅員無配置がどのくらいできるのか。これは今月の末、来月あたり実施されるところもあるようですから、一応資料として御提出願っておきたいと思います。委員長、ぜひ一つお取り計らい願います。
  54. 久保亀夫

    久保説明員 今の山田委員の仰せの趣旨はよくわかりました。ただ全国的に各支社あるいは各局において、いろいろ具体的に工夫をいたしておるわけでございまして、駅員を廃止するとかあるいは設置をやめるということだけをやっているわけではございませんで、これはまた繰り返しておしかりを受けるようでございますが、御迷惑をかけないで何とか合理化して参りたいということで、いろいろ多方面、多角度に工夫しておるわけでございます。ただいま仰せの、全国で今何カ所考えておるかということは、もちろん調べられるだけはさっそくやりたいと思いますが、全体の計画ということは、今各支社、各局で計画しておりますことで、総合的につかまえられるかどうかは、ちょっと御容赦願いたいと思いますが、わかる範囲計画内容をチェックして参りたいと思います。
  55. 山田長司

    ○山田(長)委員 あなたは計画的にやっていそうもないことを言っておりますが、やはり合理化案の大綱にのっとってやっておられることだと思うので、局地的な駅員の無配置駅を作るのではないと私は見ている。一地区の一路線における人員の異動だけならば、あるいは簡単かもしれぬけれども、これが全国的の計画に乗っておるものとすれば、合理化案だと言って人の異動をするということは、労組においてもそう簡単に了承されるものとは考えられないと思うのです。そういう点が、各管理局で小部分で済むかのごとく、もし各労組における懇親がなされるような形であるとすれば、やはりやがては大きな問題に発展すると思うのです。そういう点で私は当然大綱が発表されてしかるべきものと思うのですが、もう少し具体的に差しつかえない範囲国会で話していただきたいと思うのですが、どうですか。
  56. 久保亀夫

    久保説明員 これはまた繰り返すようでございますが、私どもは本社として、たとえば駅員無配置駅を作れとか、あるいはこういうことをやれ、こういうことをやれということを具体的には指示しておりません。御迷惑をかけないで、むしろ逆に、総合的に見て、サービスを上げながら合理化していく、あるいは気動車を入れるとか、そういうことも含めて、全体としてはサービスを上げながら合理化していくという方針を与えているわけでございまして、それに基いて、地方によっては線区の事情によっていろいろ違いまして、あるいは今お話の出ておったようなことを取り上げておるところもありますし、またそのほかいろいろなことを取り上げておるわけでありまして、そういう意味で、ただいま言われるように、具体的にこういうこととこういうことをやって合理化しようということは、私ども指示いたしておりません。もちろん支社なり局において、かりにこの線区を合理化するということを取り上げておれば、それも研究し、また話し合いもしておるということであります。その間の実情をできるだけ調べて報告しろということにつきましては、よくわかりましたが、私どもはこういうこと、こういうことをやれということを具体的に指示しないで、その内容については、自主的に支社長あるいは局長にまかせてやっている、こういうことでございます。
  57. 山田長司

    ○山田(長)委員 そうすると、大綱だけの指示はしているが、各管理局ごとに、あるいは支社ごとに、その自主性によって合理化案を出させようという意図であるわけですね。それにしても、やはり相当な人員異動が各局、各支社で行われることになると思われるわけで、それらの大綱がわかる範囲において、あなたの方で一つ集められて知らせていただきたいと思いますが、その点ぜひお願いいたします。これはやはり働く人たちの立場に立ってみると、容易ならざる事態だと思う。従って、資料の提出を一つ委員長からお取り計らいをしていただきたいと思います。
  58. 塚原俊郎

    塚原委員長 久保君、可能な範囲一つお願いいたします。
  59. 久保亀夫

    久保説明員 了承いたしました。
  60. 久保亀夫

    久保説明員 今の合理化について私が当局に要求したいのは、合理化の基本方針と、具体的計画があれば、それを含めて要求したいのであります。  そこで、今の山田委員からお話がありましたことについて、久保務理事から御答弁をなさったのでありますが、今われわれが承知している範囲のことは、たとえば貨物の車扱いをなくなす、こういうことになりますと、これは必然的に荷主によけいな負担をかけるということの事例がある。それから駅員をなくして輸送回数を増すというようなことをおやりになっているようだが、私はその問題はしばらくおくとしても、合理化の問題は、今国鉄内部でおやりになっていることは二つあると思います。いずれも間違っていると思いますが、一つは、消極的な方法として、地方各局に落して、地方各局には予算をやらないで、いわゆる積極的な合理化をやらせないで、消極的な合理化を進めているという格好になっている。もう一つは、この合理化を口実に、いろいろなものを民間に委託していく。たとえば、先般の決算委員会でも取り上げられました電車の清掃一つをとってみましても、内容はよく存じませんが、決算報告を見ますと、電車の清掃を民間委託して、その料金が非常に高い、こういう指摘を受けているわけです。最近新たに聞いた話では、これは九州地方でありますが、客車の清掃業務を民間に委託しようとした。ところが裏を掘ってみると、これは現職の人が株主になったという事例をわれわれは知っている。もちろん、これは当局との間の話し合いで御破算にしたそうでありますが、こういうことは、やはり再び決算委員会において指摘される事項になりはしないか、こう思うのです。私は今日の合理化の基本方針は、もちろん五十年や七十年前の国鉄をそのまま維持しようというのじゃなくて、近代的な感覚と規模において合理化すべきだと思います。その場合見のがしてならないのは、これは言うまでもなく他運送機関との問題であります。たとえば丙線区においてこの合理化を進める場合、単に客貨車の輸送の面が他の運送機関に奪われつつある、だからよけいに赤字だ、だから駅員もなくしあるいは列車の回数も減らしていくということになりますと、先ほど山田委員が御指摘になったように、鉄道の公共性というものはなくなっていくわけです。そういうことであっていいのだろうかどうか。これは本社あるいは各局なり各支社において、他運送機関との間における調整の問題も含めながら、全般的な輸送機関として私は考えていくべきじゃないかと思う。そうしなかったならば、早い話が、これから丙線区のごときは、どんどんレールをはずしていくのが得策だ、こういう結論になろうかと思います。そういうことであってはならぬと思うので、こういう合理化の方針はどういうふうになっているのか。ただ単につけられた予算の中で、これをいかに赤字を少くしていくかということだけに腐心しているのだろうか。赤字を積極的に解消するということは、結局そういうふうに規模を小さくしていくという方向と、もう一つは、規模をさらに広げていくという二つの方法があると思う。今まで聞いている範囲、見ている範囲では小さくしていくといういわゆるタコ配的な形でやっていこうというのが多いのじゃないか。先般もこの委員会でちょっと話が出ましたが、今まで運輸省系統いわゆる国鉄の役人と言っては語弊があるが、予算のとり方が新線建設でもあるいは電化の問題にしても八十二億という利用債を押しつけられて、押しつけられたときには文句を言うが、それでやっていくという積極性がない。そうかと思うと片方でもって、先ほど言ったように指摘されるような事項を作っている。何か雨降りみたいな陰険なものが今日の国鉄の一つの流れだ。これを打破しない限りは国鉄が国民の鉄道にはなり得ないと思う。そういう点を一つあからさまに今度の機会に総裁からなり最高幹部から聞きたいと思う。また運輸省自体からもこの点は聞きたいと思う。今までやっていることは早く言えばタコ配的なやり方でもってだんだん自動車路線をはずしていけば事足れりということになるのです。こういうことでは今まで何十年やってきた鉄道の使命は失われる。これは非常に問題だと思う。こういう点について一つ久保務理事からさしあたりお答え願いたいと同時に、きょうの新聞に出ていました、松永さんが会長か委員長をやっている産業計画会議というものから答申が出たそうですが、あれはどこへ来たのですか。あなた方の方へ来たのかもしれませんが、これは電力会社みたいに分割して民営にしていこうという。その前提が今度の丙線区の簡易化じゃないか、あるいは客貨車清掃業務の下請じゃないかというふうに私は考えている。それから志免炭鉱の場合もそういう線から出ているのじゃなかろうかと私は考えているのですが、いかがでしょうか。この点をお伺いします。
  61. 久保亀夫

    久保説明員 私がお答えするのは少しどうかと思いますが、一応申し上げたいと思います。  一番初めに申された迷惑をかけないというのは、車扱いの例を見てもそうは言えないじゃないかという点は、私どもの考え方といたしましては、たとえば車扱いにつきましても、駅員の配置をやめましても、たとえば運送店等にこちらの業務を委託するということでそういうことはないようにして参りたいというふうに考えております。  それから今おっしゃった根本的な問題でございますが、合理化の方向、いわば積極的な面と消極的な面ということでございますが、私どもももちろん双方あわせて考えていかなければならない——たとえば今日まで線区に気動車、ディーゼル・カーを相当投入して参りましたのも、ひとえにサービスの向上ということもございますが、それによって旅客を誘致するということもございまして、積極的な合理化というふうに考えて参っております。これももちろん御承知かと思いますが、行政管理庁のごく最近の勧告によりますと、国鉄は積極的な合理化の面だけ熱心で、消極的な面でははなはだ不熱心だというような御指摘が実はあるわけでございますが、これは必ずしも私どもはいただいていないのですが、私どもとしては積極、消極の両面で努力して参らなければならぬ。このために資金の問題なり、あるいは駅舎の近代化等、実際の問題がございますが、こういう面についての努力を怠るということはございません。  それからまた、これはただいま申されました他運輸機関との関係でございますが、これにつきまして私ども縮んでしまってほかに荷物を取られるということでいいとは毛頭考えておりません。ただいま考えておる合理化の方向につきましても、常にそれを頭に置いて考える。その点から言いますと若干矛盾するようでございますが、たとえば小口貨物とか車扱いといったものは自動車に転移する、代行輸送をやる方がむしろいいのじゃないか。しかしこの問題になりますと、あるいはこれはまた逆に先生方から別な面でおしかりを受けるというのもございますので、この辺は非常に慎重に考えて、それを頭に入れながらその合理化をしていくということが、やはり一つの行き方じゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。いずれにしてもこの問題については具体的な問題になりますが、私ども決して消極的な面だけでなく、積極的な面についても、これは資金との関係もございますし、同時にまたサービスという問題もございますが十二分に頭に入れて参りたい、かように考えております。  それから最後に、昨日出ました産業計画会議の、これは民間団体でございますから、あれはたしか政府に対する勧告ということで、私どもそれを拝見させていただくという立場におるわけでございますが、これに対する考え方を私どもが申すのは非常に僣越でございまして、いずれ別の機会に総裁その他から申し上げる機会がございますれば、見解の開陳があると思いますが、私どもとしては、いずれにしてももっと自主性を持たしてもらいたいということについては、あの勧告は非常にけっこうだと思いますし、また何でも簡単に民営とか分割とかいうことは容易ならぬ問題でございまして、これについては簡単に見解を申し上げられませんが、繰り返し申し上げるように、自主性を持つということは非常に望ましいが、われわれ、ことに当事者としては、簡単な議論はできないわけでございます。むしろ私どもといたしましては、あれに表われております、いろんな角度はございますが、たとえば、大男総身に知恵が回りかねということで、分割したらどうかというような御意見相当強く出ております。それにこたえるためには、やはり支社の権限を強化するとか、さらにその下のごく現場につきましても一種の経営体のようなものを作って、こまかいことまで見なければいかぬということでなく、やはりごく現場においても、何と申しますか、経営体的なものを作って合理化だけを持っていくということじゃありませんが、要するに経営意欲を盛り上げていく、それを大きくキャッチしていくことで、初めて大きなことも運営できるのではないかと思うのでございます。そういうことも考えまして、やはりもとに戻るようでありますが、線区の運営ということについては、十分そういうことも頭に入れてやらなければならぬ。それでなければこういう議論にはこたえられないのじゃないかという感を深くしております。
  62. 久保亀夫

    久保説明員 さらに私の意見も申し上げたいのですが、行管から最近再びその勧告が出ておる。これが積極的な合理化ばかりで、消極的な方はやっていない、それは言葉のとりようじゃないかと思う。積極的な合理化は、民間委託などをやって決算委員会で指摘され る事項をさしておるんじゃないかと思う。これは外交的辞令を含めておっしゃっておるのではないかと思います。こういう点はよく考えていただきたいと思う。それからもう一つは、積極的合理化に大へん熱心だという一つ理由が、この線区はもうかって黒字線区だからというので高度のサービスをしておる向きがありはしないか。高度のというよりは、国鉄全体の規模なり経営自体からいって、それ以上のことはやらなくてもいいということまでやっておるのではなかろうかと私は思うのです。こういう点があれば改める必要があると思う。それからもう一つ、赤字の原因です。これにはもちろん線区によっての輸送量等の問題がございまして出てくる必然的な赤字もありましょう。ところが当然の赤字というものもありはしないか。国策に基く運賃の形態、あるいはその他特殊輸送に対する運賃の減免、あるいは開発のための新線建設、こういうものによる赤字が相当あると思う。この次の機会に赤字の原因とその額、これをお調べいただいてお出しを願いたいということを、委員長を通じてお願いしたいと思います。やはりこれをやらぬと、民営論というものは案外そういうことがわからぬでやっておるのではなかろうか、こう思うのです。国鉄なるがゆえに営利会社と片方に見られて、片方ではいわゆる国策会社のように見られて、中途半端に見られているところに、国鉄の今の矛盾が一つあると思う。こういう点を皆さん自身も御研究なさっておると思うのですが、今申し上げた資料をぜひ近い機会に出してほしい、こう思うのです。  それからもう一つ申し上げますが、鉄道輸送というような国鉄のやる業務の限界というものを今まで御研究になっているのでしょうが、どこまでが自分の業務であり、それ以上は民間のあるいは代行であり委託であるという限界を示しておかないと、だんだん最後にはレールまで民間委託ということになりまして、きょうの新聞のようなことに相なりはしないかと私は思うのです。だから限界というものをはっきりして、責任態勢を国民に対して固めていくというのが正しい合理化の大筋じゃないかと思う。こういう点について最後にお答えをいただきたい。
  63. 久保亀夫

    久保説明員 ただいま仰せられた赤字の原因ということでございますが、もちろん国鉄全体として、公共性のゆえの赤字はやむを得ぬという分は当然たくさんあるわけでございます。私どもも、あるいは予算の編成等々の場合には、極力そういった問題を主張しておるわけでございます。ただそういう非採算線の合理化につきまして、私どももこういった線区を黒字にしよう、黒字にしなければならぬということは毛頭考えておりません。もちろん赤字とはいいながらも、公共的な使命を帯びている関係上、非採算線区でもサービスをよくしていかなければならぬということは当然でございます。けれどもそれをできるだけ合理的に運営するということも私どもの負わされた使命ではないかというふうに、両々考えながら——これは非常にむずかしい仕事でございますが、しかし私どもやらなければならぬというふうに考えておるわけでございます。  ただいま仰せの赤字の原因と申しますか、公共的な赤字の、たとえば割り振りの問題でございますとか、あるいは建設線の問題でございますとか、そういった問題につきましては、数字と申しますか、それらを取りまとめて提出いたしたいと思います。  それからもう一つ、業務の限界ということでございますが、これは必ずしも一がいに申せぬと思います。もちろん基本的に運転とか保線とかいうことが対象になるということはあり得ないことでございます。また営業面も、原則として国鉄本来の業務だといいますと、これはすべてが業務だともいえますし、そこは実情に応じて言えることでございます。たとえば東京駅で、乗車券の発売をよそでやるということはおよそ想像もできぬことでございます。これは地方の線区で一日にお乗りになる方が三十人しかない、そういった方々のために一人ついているということは、乗車券を発売するという仕事自体としては変りないかもしれませんが、極端に言えば駅前のたばこ屋にお願いするということがあっても、それは必ずしも民営論にすぐいくような思相の問題ではないのじゃないかということであり、個々の場合によって判定できる問題で、そうきっちりとした基準がつけられるものでもありません。やはり個々の実情なりおよそ常識というものはあるのじゃないか。はなはだ答弁になりませんで申しわけありませんが、私個人としては個々の問題として考えなければならぬというふうに考えております。
  64. 塚原俊郎

  65. 土井直作

    土井委員 この際委員長を通じて資料の提出をお願い申し上げたいと思うのであります。運輸省と関係のある外郭団体の数並びにそれに対する設立あるいは因縁関係、そういう面について一つ出してもらいたい。同時に、やはり国鉄の外郭団体、それの関係等について、一つ詳細な報告書を出してもらいたい。  それから過般の委員会において、敦賀の問題に対する資料の提出をお願いしておりますが、いまだに出てきておりません。それは早急にやっていただきたい。  私の申し上げます運輸省と国鉄の関係の外郭団体については、相当に時間がかかりますから、この特別国会が終りまして、新たに臨時国会が開かれるか、あるいは通常国会が開かれるか、その間に一つ綿密詳細なる報告を出していただきたい、こういうことを申し上げておきます。
  66. 塚原俊郎

    塚原委員長 委員長から運輸省並びに国鉄当局に申し上げます。各委員の資料の提出要求にはできるだけすみやかに応じて御提出願いたいと存じます。特にきょう久保務理事に対しましては、山田委員久保委員からもございましたので、前者の方は可能な範囲において御提出願いたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時五分散会      ————◇—————