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1958-06-25 第29回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月二十五日(水曜日)     午後一時二十九分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 天野 公義君 理事 簡牛 凡夫君    理事 木村 俊夫君 理事 井岡 大治君    理事 土井 直作君 理事 正木  清君       生田 宏一君    宇田 國榮君       小泉 純也君    小枝 一雄君       高橋清一郎君    羽田武嗣郎君       前田  郁君    三池  信君       久保 三郎君    島口重次郎君       杉山元治郎君    館  俊三君       山田 長司君    松岡 駒吉君  出席政府委員         運輸政務次官  中馬 辰猪君         運 輸 技 官        (港湾局長)   天埜 良吉君  委員外出席者         運輸事務官         (海運局長)  粟沢 一男君         運輸事務官         (船舶局長事務         代理)     朝田 静夫君         運輸事務官         (船員局長)  森  厳夫君         海上保安庁長官 島居辰次郎君         高等海難審判庁         長官      長屋 千棟君         気象庁長官   和達 清夫君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 六月二十四日  名神高速自動車道多賀町地内にバス停留所等設  置に関する請願今井耕紹介)(第三五号)  東北本線北上、六原両駅間相去地区駅設置の  請願小澤佐重喜紹介)(第七六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  海運及び気象に関する件      ————◇—————
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより会議を開きます。  本日は前会に引き続き運輸省所管事項のうち、海運関係並びに外局について政府当局より説明を聴取いたします。まず海運局所管の御説明を求めます。栗沢海運局長
  3. 粟沢一男

    粟沢説明員 海運関係といたしましては、広く船員関係造船関係港湾関係とございますが、私どもの海運局の所掌としましては、船舶運行関係海上運送水上運送等事業関係を所管いたしております。そのほかに調査、統計あるいは水先人等の航行安全の問題も所管いたしております。  以下、海運関係の一般の現況並びにただいま問題となります重要事項につきまして御説明申し上げます。お手元に「重要所管事項説明書海運局」とありますプリントが差し上げてございますので、御参考にごらんいただければ幸いと思います。  まず海運現況でございますが、第一番目に外航海運でございます。外航海運といたしましては、昭和三十三年三月末現在の外航船腹三千総トン以上は五百二十三隻、三百八十五万総トンに達しております。昭和三十二年度輸送実績は、貨物船で二千五百万トン油送船で九百万トン合計三千四百万トンでありまして、その運賃収入は四億八千五百万ドルに及んでおります。これを昭和三十一年度と比較いたしますと、輸送量におきまして一一%、運賃収入におきまして一三%の増加を示しております。しかしながら、積取比率と申しまして、輸入物資あるいは輸出物資日本船舶で運びました比率をとっておるのでございますが、昭和三十二年度を見ますと、輸出において定期船隊等整備されましたので五六・六%となりました。前年度は四九・七%でございますので、相当上回っていると申せると思います。輸入におきましては、輸入量が急激に増加いたしました等の関係がございまして、前年度は四七%でございましたのが四四・六%、下回る結果になったのでございます。またこれを海運関係国際収支について見ますと、昭和三十二暦年におきまして、国際通貨基金、IMFと言っておりますが、これの定めました方式によりますと、日本海運受取分といたしましては、輸出運賃受取分が一億一千六百万ドル、三国間受取運賃が七千二百万ドル合計一億八千八百万ドルでございまして、これに対しまして、外国に払いました輸入物資運賃が五億三千万ドルでございます。従いまして、差額として三億四千万ドル運賃外国船に支払っておる、こういう関係になるのでございます。これは前年度の一億八千九百万ドルに比べますと、支払い超過が倍増したという結果になるのでございます。  次に、海運市況でございますが、昭和三十二年の春ごろからのスエズ運河開通後の一般的な景気調整あるいは世界的な海運不況と、それに伴いまして、またわが国国際収支悪化を契機とする輸入抑制措置等いろいろ重なりまして、日本周辺海上荷動きが減少いたしましたために、外航海運は急速に不況段階に追い込まれており、実際上といたしましても好況のときの三分の一、ひどいのは五分の一という程度に急落しておるわけでございます。  次に、内航海運でございますが、昭和三十二年度末の内航船腹は、鋼船で約八十万総トン木船で九十五万総トンでございます。輸送量鋼船で三千二百万トン木船で四千五百万トン合計七千七百万トンという数量に達しております。この輸送トンキロば約四百十億トンキロになりまして、国鉄の輸送量の八割五分に及ぶという状況でございます。それらの輸送をいたしております貨物大宗石炭、石油、鋼材、木材、セメント、鉱石類等国内産業基礎物資となるものでありまして、今後わが国経済の発展に伴い、ますます内航海運重要度は高められるものと思われるのでございます。  次に、内航の運賃市況について見ますと、たとえば室蘭—京浜間の石炭運賃は、三十二年上期の好況時におきましては千百円でありましたものが、現在は九百七十五円に下っており、また若松—阪神間の石炭運賃も、標準運賃の六百六十円に比べまして五百二十円に低落するという状況で、内航の運賃市況もだんだん悪くなっておるわけであります。また、先ほど申し上げました船腹の過半数が耐用年数を経過いたしました老齢船でございまして、その事業者も非常に低資本のいわゆる一ぱい船主というものが、特に木造船におきましては大部分でございます。従いまして、それらの企業者の乱立による競争の弊害が内航には相当出ております。そしてこれが海運市況沈滞にまた相当影響があるという状況でございます。こういう状況改善して弱小企業組織化をはかり、小型船海運業の安定をはかりますために、第二十六国会におきまして小型船海運組合法を御制定いただきまして、目下その組合結成を鋭意急いでおります。全国でただいま約七十の結成が完了いたしまして、ごく近い将来に全国的なこれらの連合会が設立される段階に至っておるのでございます。また、近海及び内航の将来の輸送需要の増大に対処するために、内航船、特に石炭だきを経済船化いたしまして、エンジンをディーゼル化するために、従来もやっておりましたが、引き続き開発銀行から融資を受けるべく折衝いたしております。また、東北北海道開発公庫等融資によります船腹船賃改善、あるいは整備等についても努力しておる次第でございます。  次に、国内旅客船でございますが、現在国内旅客定期航路は千二百八十三ございます。その就航船腹は二千百隻、十万八千総トンという数字になっております。これらの船腹によりまして、昭和三十二年には旅客七千四百六十八万人、その他郵便物及び手、小荷物等が約千五百七十二万個、貨物は三百十二万トンというものを輸送いたしております。これらの航路は大部分離島僻地でございまして、島民の生活上及び地方産業開発上、不可欠の役割を果しておるものであります。しかし、この使っております船舶は、船齢におきまして、鋼船木船とも法定耐用年数を経過いたしました老齢船が大半を占めております。多数の人命の安全にも関することでございまして、こういう現状ははなはだ憂慮しなければならぬと考えるのでございます。またこれらの経営に当っておる事業者経営形態を見ましても、弱小個人経営のものが半数を占めておりまして、非常に経営規模も劣弱で、船舶改善等がなかなかできないという状況でございます。従来これらの離島航路につきましては、離島航路整備法によりまして、船舶建造、改造に要する市中融資に対して利子補給をいたしております。また、指定航路には航路補助金を支給いたしまして、事業の育成にも努めているのでございますが、現状はなかなか改善ができておらない、こういう状況でございます。  次に、外航船腹拡充について申し上げます。まず第一に、五カ年計画の新長期経済計画でございますが、この計画では、貿易物資輸送国際収支改善のために、昭和三十七年度まで毎年約五十万総トン外航船腹建造が必要である、こういう結論になっております。この結果、これが実現いたしますと、三十七年度末の外航船腹は六百二十万総トンになるわけでございます。しかし、この船腹量でも国際収支の面では現在の赤字が横ばいで続くという程度でございまして、はなはだしく改善するというまでに至らないのは残念でございます。イギリスノルウエー等いわゆる海運国海運関係国際収支は大きく受取になっておりまして、たとえばイギリスノルウエーともに約三億ドル受取超過という結果になっております。日本も同じく海運国といわれながら、海運サービスを大きく輸入しているということは一日も早く脱却したいと考える次第でございます。  次に、三十三年度のいわゆる計画造船でございますが、これは予算といたしまして財政投融資で百八億円を融資するという計画となりました。計画造船としましては、その内訳として定期船を十一万五千総トン、その船価の六割を財政融資融資する。不定期船につきましては四万五千総トン建造し、その五割を財政融資する。油送船につきましては九万総トン建造し、四割を財政融資する。合計二十五万総トンをこの計画造船によりまして建造する、こういう計画になっております。この建造に必要な本年度財政資金は百十七億円でございますが、これに前回十三次の継続分を合せまして百八十億円になるわけでございます。また同様に、これに必要な協調市中資金は百七億円、これに十三次の継続分を合せて二百八億円となるわけでございますが、先般来の市中金融の逼迫によりましてこの調達がなかなか円滑に推進できません。いろいろと問題が残っておるのでございますが、すでに政府としましても、海運造船資金に対する市中資金の不足を補うために、本年四月、五月に興長銀債六十億円を資金運用部で引き受ける、こういう措置を講じまして市中金融の緩和をはかっておりますので、なお今後関係者と協議いたしまして、その協力を得て建造計画の実施に努めたいと考えております。  次に、市況悪化に伴いまして、海運企業経営基盤強化が相当問題になっておるのであります。昭和三十二年度までの計画造船によりまして、本年三月末の船腹量は、三千総トン以上の外航船腹でも三百八十五万総トンという船腹になりまして、拡充政策としましては着々と効果を上げてきたわけでございますが、これに伴います措置としまして考慮さるべき企業経営基盤強化方策がややおくれておりまして、昨年八月運輸大臣から海運造船合理化審議会に対しまして、経営基盤強化に関する方策について諮問いたしたのでございます。今日の運賃低落によりまして、この問題はなお緊急の課題となったわけでございまして、このために審議会は、昨年以来本審議会において審議いたしますとともに、海運小委員会を開き、さらに懇談会を開催いたしまして数回にわたりこの問題を検討いたしております。もちろんこの問題につきましては、業界における自主的な経常の合理化、徹底的な経費節約あるいは各企業協調というふうなことが必要なのでございますが、政府といたしましても、これに対する監督規制ないしは保護助成の立場からの検討をただいま続けておるわけでございます。  なお、本件に関しまして運輸省では、海運同盟を、現在いろいろ法律上規制いたしております制限等を撤廃いたしまして強化するという方策を考えております。あるいは不況になりますと、とかく各定期航路におきまして紛争が起りますが、この航路調整につきましても、在来の行政指導以上の強い調整策をとる必要があるということを考えまして検討いたしております。また企業税制につきましてもいろいろと助成のための税制措置を考えたい、こういうふうに研究いたしております。  次は国内旅客船でございますが、先ほど申し上げましたように、国内離島航路旅客船状態はきわめて憂慮すベき状態でございますので、その解決のためにいろいろ方策検討を進めておるのでございますが、去る四月十日、当委員会におきまして国内旅客船緊急整備について御決議があったわけでございます。この趣旨に沿いまして、これら不適格船の一掃を期するために、政府出資旅客船保有のための旅客船公社、これは仮称でございますが、そういうものを設立する準備を進めておりまして、目下法案準備をいたしております。  次には海難防止対策でございますが、広く関係各層の意見を十分徴するために、昨年の一月運輸大臣から海上航行安全審議会に対しまして、海難防止対策について諮問をいたしたわけでございます。同審議会は、このために特別委員会を設けまして、なおその検討の結果、さらに深く掘り下げ、あるいは各業種に適切な施策を考慮するために、特別委員会の中に汽船、機帆船漁船の三分科会を設けまして、数十回にわたる審議を続けまして、今月十六日にその答申をいただいたわけでございます。なお、その先に中間答申がございまして、現在海難防止関係は、関係官庁部局も非常に分割しておる、それから民間においても関係団体が非常に広く、その間の連絡も十分でないというようなことから、関係団体を網羅した総合的な強力な団体を作って海難防止運動をやり、あるいは調査研究を進めることが必要だ、こういう中間答申がございまして、これに基きまして、関係団体を網羅する新しい海難防止のための団体を設立すべくただいま準備をいたしております。これはごく近く設立される運びになっております。なお、本年二月には、旅客船海難事故の頻発にかんがみまして、その対策を推進するために、運輸省内にも旅客船事故防止対策委員会というのを設置いたしまして討議を重ねて参っております。三月十五日には中間報告としての処理要領を一応決定いたしまして、その要領に基きましてただいま関係部局でそれぞれ具体策検討をいたしておる次第でございます。  以上、簡単でございますが、重要所管事項海運関係説明を終ります。
  4. 塚原俊郎

    塚原委員長 次に船舶関係に移ります。朝田君。
  5. 朝田静夫

    朝田説明員 私、この間ごあいさつをいたしましたが、官房長朝田でございます。ただいま船舶局長山下正雄海外出張中でございますので、その間私事務代理を命ぜられておりますので、船舶局所管事項の御説明を私からさせていただきます。  お手元に配付いたしておりまする資料に基きまして、まず、日本造船が今日世界第一位になりましたことの原因を考えてみますと、造船工業界におきまする合理化というものが進んで参ったところに世界的な船腹需要がちょうどタイミングが合った、こういうようなことになりますので、まず第一に、造船用設備近代化という問題について御説明をいたしたいと思うのであります。造船用設備につきましては、御承知のように、従来からリベットで建造をいたしておりますあのびょう打ち建造方式から溶接という建造方式に変って参りました。また、船舶が非常に大型化して参りまするので、地上でブロック式建造いたしまして、ブロック組み立てをいたしましてあとでつなぎ合せる、こういうようなブロック建造方式というものを採用いたしまして、そのためにいろいろ設備近代化合理化を進めて参ったのであります。主としてその合理化の対象になりましたのは、今申し上げました溶接設備船台あるいは船台周辺運搬施設、そういったものの整備重点を置きまして、昭和二十五年度から二十九年度くらいまでの間にこういった方面に重点を置いた近代化合理化というものを進めて参ったのであります。その間におきまして、主要鋼造船所合理化資金といたしまして投資されました額は百六十億円に達しております。従いまして、そういうことでいわゆる船殻関係船台関係の方は非常に改善されて参ったのであります。ところが、今申し上げましたように、最近非常に急激に船舶大型化して参りました。そこで船台、クレーンその他の設備も、やはり大型化に適応するような設備にしなければなりません。溶接あるいはブロック建造方式によりまして、より効果的な近代化も進めて参らなければなりませんので、昭和三十年度以降は主としてこういう大型化に対処して近代化を進めて参ったのであります。三十年度以降三十二年度までにこういうものに対して投下されました額は、三百三十億円に上っております。ただ、この造船所経営の上におきまして注目しなければなりませんのは、こういった資金が六〇%以上造船所自己資金でまかなわれておるということであります。社内留保及び増資でこの六〇%以上がまかなわれてきておるということに注目すべきではないかと思うのであります。 それから第二番目の点は、中小鋼造船所の問題でありますが、大造船所は、今申し上げましたように、最近数年間非常に設備近代化合理化の道をたどりましたけれども、中小造船所につきましては、その企業基盤が非常に弱いということと、設備近代化がおくれており、また市場が狭いものでありますので、非常に困難な問題をここに包蔵しておるわけであります。そこで市場開拓あるいは金融の問題、あるいは技術の向上の問題、そういう問題に種々困難な問題があるのでございますが、こういったものの解決のために、中小造船所の振興、安定をはかりますために、懇談会を設けまして、目下具体策協議検討中でございます。  それから、今申し上げましたような造船業現況輸出造船現状を、これに関連して、これから御説明申し上げたいと思うのでございます。わが国造船業の現在規模は、鋼造船所といたしまして、主要工場といたしましては、大体大きなものが二十四工場ございます。この二十四工場でもって、昨年度起工量の九二%を建造いたしておるのでございます。そのほかに、今申し上げた主要二十四工場のほかに、一万総トン以上の船を作り得ます造船所は、四十二工場ございます。それ以下の中小造船所というものにつきましては、二百六十工場もあるのでございます。そこで、昨年度、どれだけ起工をいたしたかといいますと、六百九十一隻、二百二十万総トン、こういう起工実績になっておるのでありまして、木造船所といたしましては、機帆船とか漁船、こういったものを作りまする工場が千三百工場ございまして、例年約八万総トンくらいの建造実績になっておるのでございます。  この規模をもちまして、昨年度日本造船業は、イギリス、ドイツを凌駕いたしまして、御承知のように、世界第一位の実績を上げて参ったのでありますが、これは三十年度におきまして、ちょうど世界景気がブームを告げまするまっ先に、三十年秋から世界海運市況が上向きになって参りました。そこに世界的な船腹需要熱というものが非常に高まって参りました。その結果三十年、三十一年の大量受注による手持ち工事量というものが、ちょうど昨年それが消化されたということによりまして、世界第一位の実績を上げた、こういうことになるのでございます。ところが、御承知のように、昨年来の世界的な不況が深刻化して参りまして、船舶需要熱世界的に冷却をいたして参りました。新規受注が大幅に減少して参った、こういうことでありまして、本年の三月末までに、ただいま申し上げました主要二十四工場の中で持っておりまする手持ち工事量は、昨年度に比しまして七%下っております。そこで、この二十四工場といえども、どういうところにこの船舶工事手持ち量が偏在しておるかといいますと、大型タンカー建造いたしまする造船所に多く集中をいたしておる傾向であります。従いまして、それ以外のところでは、非常に苦しいような状況が現われて参りまして、本年十月以降に建造すべき注文船を持たない工場が、今のままでいきますと、四工場ばかり予定されるのであります。従いまして、主要工場以外の中小規模造船所におきましては、十月以降はほとんど工事すべき船を持たないというような状況になるのが、今の段階における見通しでございます。  本年度起工量を見ますと、主要工場で確定いたしましたものにつきましては、百二十一万総トン、前年度の六割にすぎません。中小造船所におきましても、昨年度の二十万総トン実績から相当下るものと思われます。これに対しまして、操業量がそれだけ減少いたしますと、雇用量ももちろん減って参りますし、場合によりましては超過勤務、あるいは請負工臨時工といったようなものの雇用の問題にまで影響するおそれがあるというふうに心配をいたしておるのでございます。  それでは一体わが国造船業にとって望ましい操業量適正規模はどれだけかという問題が重要な問題として考えられるのでありますが、海運造船合理化審議会船価低減小委員会におきまして報告されたところによりますと、主要二十四工場では百七十万総トン中小規模造船所では十万総トンが必要だということにされておりますので、今後の新規受注の確保がどうしても今の調子を高めて参りました日本造船業界にとって喫緊の問題になっておるのでございます。ところが、先ほども申しましたように、海運市況が依然として低迷を続け、こういう沈滞がある程度長期にわたるものと考えられますので、このために国内自己資金船計画造船あるいは輸出船の今後の見通しというものもとうてい昨年のような期待はできません。当面の問題といたしましては、十四次計画造船が一刻もすみやかに実施されることを造船業界として期待しておるのも無理からない事情でございます。そこで、内外のこういった造船需要開拓に努力を続けるほかに、操業度を維持し、並びに雇用問題の悪化を防止するために、われわれは好不況を問わず、長期的にその造船量というものをコンスタントに続けていくということを、事務当局としては毎年要望しておるのでございますが、なかなか種々の事情でそういうことに参らないのでございます。  そこで船舶輸出現状を申し上げますと、全体の造船業界の中で輸出船国内船とを分けてみますと、手持ち工事量からいいますと、輸出船が七八%も占めておるのでございます。後いまして、世界的な船舶需要というものが変動いたしますと、非常に不安定な要素が七八%もあるということが心配の種になるわけであります。イギリスあたりではこの逆で、約七〇%が国内船、三〇%が輸出船西独あたりにおきましては五〇%が国内船、五〇%が輸出船、こういったような、割合に安定された操業が確保されるという状態に比べますと、非常に不安定な日本造船業の実態なのでございます。まあそういうことでありますが、昨年は、先ほど申し上げましたように、全輸出商品二十七億八千万ドルの中で、輸出船として上げましたものは三億九千万ドル綿糸布、スフ、あるいは鉄鋼素材なんかをはるかに上回りまして、一昨年に引き続いて輸出の中で大宗を占め、しかも第一位にあるわけであります。そういうことで国際収支改善に貢献しているところがきわめて大きいということでございます。昨年度におきましては、輸出建造許可実績からいいますと三億五千万ドルということになっております。このトン数は前年度の半分に減少しておりますので、今後の見通しをはなはだ暗くさしておるのであります。市場別にながめてみますと、ドルの獲得に重点が置かれますので、ドル払いの契約によるものが非常に有利といいますか、そういうものに限定される傾向があります。投機的な色彩の強いギリシャ系船主の注文が非常に多いのであります。こういう新興のお客さんでありますところの石油会社とかあるいは投機的の色彩の濃いギリシャ系船主にたよっておるというものが非常に多いのでありまして、七五%も占めておるような状態であります。本来からいいますと、欧州の堅実な海運会社の受注が日本造船業界を安定させる非常に重要な要素であると思うのでございますが、今申し上げましたように、非常に不安定な市場に依存をしておるということが、恒久的に見ますと一つの弱点であると思います。そして欧州海運会社のそうした安定した市場からどれだけの注文があるかといいますと、今言いましたようにポンドの支払いがある程度きらわれるものでありますから、大体七%程度にとどまっておるというような状況であります。ところが中近東、中南米、東南アジア、あるいは共産圏等からは、これは少し増加いたしまして一八%、前年度よりも増加いたしております。  こういう弱点を持っておりますので、将来の輸出の伸張のためには、どうしても従来のドルドル払いを重視するということをやめまして、有力な安定市場と目されますところの欧州市場に受注を進めて参りたい。そのためにポンド建ポンド払いの承認をできるだけやってもらいたい。それから、また、為替損失補償法の適用範囲を広げてもらいたいというのが、われわれの主張しておる第一点であります。それからまた、競争相手国と対抗するための延べ払いの条件を緩和するということ、あるいは長期借款を供与する、たとえばインドに対しまして与えました円借款のような問題なんかも今後東南アジアにおいて進めて参りたいということが第二点であります。それから第三点は、輸出入銀行の融資条件の改善をする必要がある。どうも少し船舶輸出が伸びますと、船舶はほっといても輸出が伸びるのだというような考え方でいきますと、また不振になりますとあわてて手を打つというようなことはいけないということを主張しておったのでありますが、プラント輸出並みに今の融資比率を八対二まで高めるべきだ。現在は七対三、輸出入銀行の融資額が七割、市中が三割、こういうような形になっておりますので、プラント輸出並みの輸出入銀行の融資条件まで高めるべきだということを言っております。それからまた、輸出所得特別控除制度の恒久化、輸出保険制度の拡充。最後に在外公館活動の強化、あるいは経済外交の推進、こういうことを一連の船舶に関します輸出振興対策として、各省と協議いたしまして、強力な措置を実施することが緊要の要務と考えておる次第でございます。国内船及び船舶輸出現況について申し上げました。  そのほかに船舶局の所管いたしております仕事といたしましてはモーター・ボートの競走の問題がありまして、このことにつきましては、現在事業実績をながめてみますと、昭和三十二年度の売上高は二百二十五億九千万円ばかりになっております。延開催日数が三千六百六十五日、延入場人員は七百五十八万人ばかりでございます。昭和三十一年度におきます施行者の純益は十三億程度でございます。こういうものが法律の目的に沿いまして、いわゆる造船関連工業の振興のために融資をいたしましたり、あるいは海難防止の上に役立てましたりいたしまして、そういう効果は十分にあげておるような次第でございます。  その次に、輸出検査法を船舶に適用いたしますことについて一言御説明をいたしたいのでありますが、従来、輸出検査法が船舶関係として適用になっておりましたものは、船用内燃機関と舶用のプロペラの二品目であったのでございます。ところが、船舶そのものに対して指定品目になっておりませんので、いろいろ船舶輸出についてあとでトラブルが起りましたり、製造中あるいは引き渡し後においてクレームが起って参りますので、そういうことを少くいたしましたり、あるいは未然に防止をいたしますために、あるいはまた日本輸出造船の声価を高めるために必要かと思いますので、船舶そのものを指定品目にいたしたいのでございます。これはおおむねこの九月一日以降に工事に着手する船舶から適用したいと考えまして、目下その基準案を作成中でございます。  それから船舶賠償について御説明申し上げますと、ビルマの賠償につきましては全体のどのくらいのパーセンテージを船舶が占めておるかといいますと、認証済みの賠償契約総額の七・一%程度であります。いずれもこれは非常に小さいランチとかバージなどの小型船舶、あるいはポンツーンとか、こういったものが多いのであります。フィリピンの賠償につきましては、御承知のように昭和三十一年七月二十三日に発効いたしまして、本年六月一日までに契約認証を受けました船舶は九十四隻、七十四億一千九百万円に達しております。すでに認証済みの賠償契約の総額の大体三分の一を占めておるような状態であります。デッド・ウエート五千トン以上の貨物船はその中で五隻であります。そのほかにエンジンそれ自体が単独で賠償として契約が認証されておりますものは、ディーゼル・エンジンが四台で三億二千百万円であります。そういうようなことでフィリピンの賠償においては船舶が三分の一を占めておるということであります。それからインドネシアの賠償につきましては、御承知のように本年四月十五日発効いたしまして、まだ実施計画全体の本年度実施計画というものは参っておらないのでありますけれども、そのうち非常に急を要するという先方側の要望もございまして、中古船改造と新造船と合せて九隻の賠償を先般認証をいたしたのでございます。そのうち四隻が新造船でございまして、五隻は中古船を改造するということであります。そのほかに賠償の問題につきましては、フィリピンの沈船引き揚げという問題もございますし、最近の沈船引き揚げにつきましてはマニラ湾地区、あるいはセブ港地区、その他の十一港地区につきまして調査をいたしまして、いずれ作業の段階に入ることになっておるのであります。  それから、先ほど申し上げましたが、造船関連工業の現況につきましては、船体の合理化が非常に進んで参りました。ただバルブとかポンプとかウインチといったような関連工業の面において、必ずしも世界で第一の名声を高めておるという域にまでまだ達しておりません。しかも、こういった造船関連工業といいますのは、工場数がどのくらいあるかといいますと一千工場ございます。その生産価額は八百六十八億円に上っておるのでございます。当面の問題といたしましては、今申し上げましたように舶用のバルブ、ポンプといったようなものの製造事業合理化をはかるということにいたしまして、さきに改正をいたしました機械工業振興臨時措置法という法律の中で言いますところの特定機械に指定をいたしまして、その合理化計画を推進中でございます。こういう合理化計画ができますというと、機械工業振興審議会というものにかけまして、そこで合理化計画を承認を得た上で、六分五厘の金利の開発銀行の低利融資をあっせんするという形にいたしておるのでございます。そのほかにモーター・ボート競走法によりますところの交付金による設備資金融資といったものも、こうした下請工業あるいは関連工業の方に流して参りまして、こういったものの合理的生産体制を確立して参りたい、こういうふうに考えておるのでございます。  それから船舶局の日常の業務といたしましては、船舶の登録及び積量の測度という問題が、デーリー・ワークといたしましては非常に大きい分野を占めておるのであります。船舶法及び船舶積量測度法に基きまして、船舶の登録、あるいは船が何トンあるかというトン数をはかる仕事でございます。これが船舶行政の基礎でございます。船舶の登録は、申すまでもなく船の国籍を定める行為であります。国際的にも国内的にも、日本船舶というものが公法上、私法上受けますところの法律の基礎をなすものでございますので、これが管海官庁としては最低限度の国家的な事務としてわれわれがとり行なっておるところのものであります。二十総トン以上の日本船舶の所有者が船舶法の規定によりまして日本に船籍港を定めまして、船が何トンあるかということを管海官庁にはかってもらいまして、そして船舶の登記を受けた後に登録をする、そこで船舶国籍証書を出したりするのでありますが、今までに登録いたしました船舶は二万二千八百三十隻、六百五十一万六千トンということになっております。  それから船舶検査の問題でございますが、そういった日本船舶でありますと、船舶安全法によりまして検査証書を受けなければ動けないわけでありますから、五トン以上の汽船、二十トン以上の帆船が二万三千九百隻、小型船舶等安全規則の検査対象船舶が三千五百隻で、合せて二万七千四百隻ございます。こういったものを、百八十名の検査官でもって全国で五十五ヵ所の海運局並びに海運局支局であります管海官庁に分散をいたしておりまして、船舶運航に支障を来たさないように、できるだけ検査を能率的に正確にやっておるのでございますが、こういった面におきます定員、あるいは技術の勉強の問題、そういった問題につきましてなかなか窮屈なところがございます。また最近の進歩いたして参ります造船技術に対応いたしまして、今の船舶安全法の関係法令が実情にそぐわないという面もございますので、こういうものの改正に、造船技術審議会の中に船舶安全部会というものを設けまして、必要な調査審議をいたしております。  そのほかに造船技術審議会という諮問機関もございまして、今までもいろいろな造船技術の向上に関する重要な事項を諮問いたしておるのでございますが、その中で最近一番問題になっておりまするのは、超大型船建造上の技術的問題点並びにその対策いかん、こういう問題を諮問いたしまして、最近デッド・ウエート六万トン以上の大型船についての技術上の問題を、官民の共同研究体制を確立いたしまして、この問題に取っ組もうということにいたしておるのであります。呉のNBCあたりで十万トンといったような船ができますけれども、この超大型船六万トン以上になりますというと、これらに関します建造技術について非常に多くの問題が含まれておるので、構造あるいは材料関係、そういった問題の安全性あるいは経済性といったものにつきまして、英国あるいは西独等においても同様に真剣にこれを研究いたしておりますので、わが国におきましても、今申し上げましたような官民の共同研究体制を確立いたしまして、各項目ごとに分担をきめまして、研究を進めておるようなわけでございます。そこで企業合理化促進法によりますところの試験研究補助金といたしまして、運輸省全体といたしましては、四千五十五万五千円というものが今度の予算で成立したのでありますけれども、その中で重点を置きまして、二千五百万円をこの超大型船の研究補助にさこうというふうにただいまは考えておるのでございます。 それから最後に原子力船の開発について一言申し上げておきたいのでございますが、原子力船の開発利用長期計画というものが原子力委員会できまりまして、その中に、わが国における造船及び海運の主要性と世界の趨勢とにかんがみ、なるべくすみやかに舶用原子炉を実用化するための研究を推進する、こういった方針が定められまして、先国会においても運輸省設置法の一部を改正する法律案でお願いいたしました通りに、運輸技術研究所の支所を東海村に設置することをお認め願ったわけでございます。そこでようやく原子力船に対しまする研究、調査が軌道に乗った、こういうところであります。東海村に舶用と陸上産業用、両方に利用できますところの動力実験炉を購入をいたしまして、原子力研究所と緊密な連携をとって、原子力商船の研究に本格的な活動を続けて参りたい、こういうように考えておるのでございます。  一番最後の十八に、「インドネシアの造船留学生の教育について」というのがございますが、これは昭和二十八年に、インドネシア政府の派遣留学生に造船技術専攻者が十二名おりました。その後三年間の研修を経まして大体日本の大学に準ずる程度の研修を終えて帰国いたしたのでございます。現在ではすでにインドネシアにおける指導的な地位を得て活躍いたしております。そういったことで、こういう研修の成果から見まして、運輸省といたしましては、外務省を通じましてインドネシアに対して造船技術研究生を派遣するように勧奨をいたしました。その結果、昨年の九月、十五名の留学生が再び来日いたしまして、日本語の研修、あるいは造船技術の研さんということで、インドネシア学生船舶教室、こういうものを再開いたしまして、前と同じ方式で研修を実施中でございます。これは外務省と相談をいたしました結果、コロンボ計画によりまする留学生として、その一環として受け入れるというような形にいたしたのでございます。  大体全般的な船舶局所管事項説明はこれで終ります。
  6. 塚原俊郎

    塚原委員長 次に船員局に移ります。森君。
  7. 森厳夫

    ○森政府委員 船員局関係の事項をごく大ざっぱに申し上げたいと思います。  まず労政関係におきましては、船員局が所管いたしておりまする労働組合といたしましては、全日本海員組合というのが圧倒的に大きいわけでございます。全日本海員組合につきましては、すでに御存じのことかと思いますけれども、汽船の船員あるいはその予備員それから漁船木船というようなものの乗組員も加えました産業別の単一組合でございまして、大体八万余りの組合員を持っております。この組合は、国際的には国際自由労連あるいは運輸労連に入っておりますが、国内的には全労に所属しておるのでございます。昨年賃上げをめぐりましてストライキが行われたのでございますが、本年度におきましては、船員の年金制をめぐりまして目下交渉が行われておるようでございます。また船主側からも船舶乗組員の定員について問題を出しておるようでありますが、これはなかなか進捗していないように承知いたしております。  次に、船員の最低賃金制の問題につきまして申し上げますと、去る二十八国会に最低賃金法案が提出せられましたことは御存じの通りでございます。同法案は一般陸上労働者を対象といたしておるのございますが、同時に船員もこれに含めまして、別に船員だけに特別な最低賃金法を作ることなく、船員に特殊な規定はその中に特則を設けることによってこれを運用するというようにいたしたものでございます。しかし国会解散のため審議未了になったのでございまして、今後さらに提案されて御審議を願うことになるかと思うのでございます。なお、特に船員のうちでも機帆船の船員の最低報酬につきましては、従来からいろいろ問題がございまして、運輸大臣から船員中央労働委員にこれに関する諮問が出されておったのでございますが、去る四月の末にこれに対する答申がありまして、これの実施について検討を加えておるような次第でございます。  次に、国際労働機構の海事総会が最近行われましたので、それについて一言申し上げたいと思います。御承知のように国際労働機構は第一次大戦の直後から発足いたしまして、今までずっと続いておって、四十一回の総会が海事総会であったわけであります。海事につきましては、大体十年に一回ぐらいの割合をもって海事に関する特別の総会を開いております。今度の四十一回総会が海事としては第七回目に当っております。戦後わが国がILOに再加盟後初めてこれに出席したようなわけでございます。四月から五月にわたりましてジュネーヴでこの会議が開催せられ、日本側の政府代表が議長を勤めたようなわけでございます。そうして船員の労働条件、雇用、安全、衛生その他の問題につきまして慎重な審議が行われまして、条約案が二、勧告案が四、決議案が十幾つか採択せられておるのでございます。今後のわが国海上労働行政の上に影響するところも多いかと思われるのでございまして、今後十分検討することにいたしておる次第ございます。なお、四十一回の総会に続きまして四十二回の総会が同じくジュネーヴで開かれました。この一般総会は漁船労働に関する問題、すなわち最低年令に関する問題、健康検査に関する問題、雇い入れ契約に関する問題、こういうようなものが審議せられたのでございまして、これについてもその結果をさらに検討いたすことにいたしております。  次に、労働基準の問題について申し上げたいと思います。船員の労働基準をきめておりますのが船員法でございます。船員法は施行以来すでに十年余りになるのでございますが、この船員法の適用対象は、大体船舶所有者の数にして一万二千、それから船舶の数にして一万八千、船員が約十八万というようなことになっております。これらの船舶、船員を、全国に配置しております船員労務官が監査いたしまして、法律違反がないように取締りあるいは指導をやっておるわけでございます。 三十一年における一カ年間の監査の結果を見ますと、監査船舶一万六千余りのうち、違反のあった船が六千六百八十六隻でございます。その違反はやはり小型船に多いのでございまして、七百総トン以上の汽船では約一八%、七百総トン未満の汽船では約四一%、機帆船が約四六%、漁船では約四四%というような実情を示しております。また違反の内容は、健康証明に関するものとか就業規則に関するもの、船員手帳に関するもの、衛生用品に関するもの、雇い入れ契約の公認に関するもの、こういうような事項が多いわけであります。これらの違反のうち悪質と認められたものにつきましては、若干送検いたしたものもございます。  次に、船員の厚生問題につきまして一言申し上げたいと思います。船員の福利厚生の問題につきましては、船員が陸上を離れて特殊な環境において生活、活動しておるだけに、その維持向上ということは、労働力を十分発揮するという意味からいきましても、あるいはまた海運の健全な発展という意味からいきましても、不可欠の問題でございます。わが国の船員の厚生施設は、数からいきますとかなりの数があるのでございます。しかし組織の面あるいは財政の面というものに立ち入ってみますと、非常に貧弱でございます。これを健全に運用し、健全に組織していくために再検討を加えていく、あるいは助成の方法であるとか、あるいは今ある施設を総合的に有効に働かせる方法、いろいろなことにつきまして研究するために必要な審議会を設ける等、適当な措置を講ずるべく研究中でございます。  次に、船員の教育問題について若干申し上げます。船員の教育の問題は、これは御承知のように商船大学及び商船高等学校は文部省の所管でございますが、そのほかの再教育機関あるいは普通船員の教育機関は、運輸省の所管でございます。その学校等は十一ございます。それで海運の発展に応じて、船腹拡充とともに優秀な船員を確保するということが必要なわけでございます。そのためには、船員になろうとする青少年を十分に教育するとともに、すでに船に乗っておる人間を再教育いたしまして、ますますこれを優秀にするという必要があるのでございます。この意味からいいますと、現在われわれが持っております船員教育機関にはなお整備改善を要する点が多いのでございます。着々とこれに努力を注いでおるような次第であります。  それからもう一つ、小型船舶職員の養成補助という問題について一言申し上げたいと思います。今申し上げましたように、船員の養成なり教育のためには学校を設けておるわけでございます。しかし、小型船舶の乗組員あるいは機帆船なり漁船なりにつきましては、学校がないのでございまして、こういうものにつきましては海難防止の面からいきましても、また円滑な運航という意味からいきましても最も必要な面でございますが、学校施設が設けられておりませんので、こういうよう小型船舶の職員を養成するためには、講習会が従来行われております。その講習会をに行うものに対しまして昭和二十九年度以降国庫補助を与えまして、そうして小型船舶職員の優秀な者を養成するという方法をとって参っておるのでございます。これに対しまして、さらに小型船舶の職員の必要が多いわけでございます。今後さらにこれをやってほしいという要望も強いわけでございますので、さらに今後努力いたしたいと存じます。  最後に船舶職員の試験の問題について一言申し上げておきます。船舶に乗り込みます高級船員と申しますか、船舶職員の資格なり、あるいは船に乗り込ませるべき定員につきましては、船舶職員法で規定せられておるわけでございます。昨年これの改正が行われたわけでございますが、船舶が新しく改良され、建造される、あるいはまた法規の整備するにつきまして船舶職員の需要が非常に多くなっております。そして職員試験を受験する人の数も毎年非常な勢いをもってふえておるのが現状でございます。これに対しまして限られた定員、限られた旅費をもっていかに試験をするかという点にわれわれは悩みを持っておるわけでございます。全力をあげまして要望に沿うようにやっておる次第であります。  大へん簡単でございますが、特に重要な事項だけ御説明いたしました。
  8. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員長代理 次に、港湾局関係につきまして説明を聴取いたします。天埜港湾局長
  9. 天埜良吉

    天埜政府委員 港湾局の所掌業務を御説明いたします。お手元の資料に基いて申し上げますが、三枚目のところから参ります。  わが国にはおよそ四千有余の港湾がございます。そのうち漁港を除きまして二千有余の港湾を港湾局で所掌しておりますが、これを重要港湾、避難港、地方港湾というふうに分けておりまして、その施設を整備し、効率的な運営を促進するとともに、わが国産業貿易の伸展に寄与せんとする諸般の業務の遂行を行なっておるわけであります。概要の事項を申し上げますと、一番として港湾の選定、港湾管理者の設立その他港湾及び海岸保全区域の管理運営に関する指導監督、二番目は、入港料の徴収認可、使用料または入港料の料率の変更に関する監督、三番目に、国有港湾施設の譲渡、貸付及び管理委託の事務並びに国が補助または負担した施設の処分に対する監督、四番目に、港湾計画審議及び策定並びに港湾統計の作成、五番目に、港湾内公有水面の埋め立て、干拓に関する認可、六番目に、港湾管理者または海岸管理者の行う港湾工事もしくは海岸保全施設の整備に対する助成及び監督、七番目に、港湾災害復旧工事の助成及び監督、八番目に、荷さばき施設、埋立地及び引き舟の建造に対する資金のあっせん、九番目に、直轄港湾工事の施工、十番目に、委託による港湾工事の施行、十一番目に、港湾運送事業の発達改善、港湾荷役の合理化等の指導監督、次に倉庫業の関係の業務でございます。  そのうち主要な事項といたしまして、港湾関係の予算について申し上げますと、第一番に昭和三十三年度港湾関係公共事業費についてでございますが、これはその次のページから五ぺ一ジばかりにわたってあげてございますが、総額百三億一千五百万円ばかりでありまして、このうち港湾整備関係として八十五億一千六百万円、災害復旧関係十七億九千九百万円となっております。これは必ずしも十分とはいえないのでありますが、三十二年度実績に比べますと、災害関係においては約十一億四千八百万円減少しております。これに対して、港湾の整備関係において十二億四百万円の増額を見ておるのであります。これによって三十三年度におきましては、産業基盤の整備拡充をはかる点を基本方針としまして、前年度に引き続き主要な石油基地の港湾についてスーパ一・タンカーの入港を可能ならしめるように航路泊地の浚渫工事を実施するとともに、地方開発の促進、沿岸輸送隘路の解決にも寄与することが可能となっておるのでございます。  その次のページの特定港湾施設整備事業について申し上げますと、港湾整備事業のうち公共事業費の対象とならないものがありまして、埋め立て、上屋、荷役機械、引き舟の整備につきましては、港湾整備促進法に基いて地方債のあっせんをすることになっております。昭和三十二年度におきましては総額約四十二億円の起債が承認されておりますが、昭和三十三年度におきましては緊急整備を要する事業として収益事業のワクから三十四億円、ほかに縁故募集によるものとして約十億円、合計四十四億円の計画を策定して、地方公共団体の所要資金のあっせんについて関係機関と折衝中でございます。  それからその次のページの港湾管理者の設立状況について申し上げますと、港湾管理者の設立状況は、大体現在までに七百四十一設立されておりますが、重要港湾としては関門港と三池港がまず設立ができておりません。  次に、工事の直轄施行について申しますと、特に特定重要港湾、重要港湾、避難港というものの修築につきましては国の直轄工事をしているものが多いのであります。このために港湾建設局は新潟、横浜、神戸、下関、第一から第四まで置かれまして、下部組織として三十七の工事事務所を設置して建設工事を行なっております。北海道におきましては、総合開発計画事業として施行する港湾改修工事は、国の直轄工事として運輸省の指揮のもとに北海道開発局というのがその任に当りまして、下部組織として設置された八つの開発建設部がその管内の港湾工事を担当しております。昭和三十二年度における直轄工事の委託工事の実績は、改修並びに災害の工事で四十八億円ばかり、それから委託工事で二十六億円ばかりでございます。それから港湾関係の公共事業におきまして、検査制度とそれから直轄工事体制の確立ということについて、ただいま能率を上げるべく努力しておりますが、そのために科学的な管理経営方式を採用して内部監査を強化し、的確な災害査定、適正な補助金の使用をはかるために、昭和三十一年から港湾工事検査官制度というものを実施して、これの運営に万全を期しておるわけであります。港湾の施設その他につきましてはここに数字をあげてございます。  それから懸案の事項といたしましては、港湾の現状は、わが国経済の急速な伸長には追随しておりません。現存の施設についてははなはだしい不備が見られますし、産業活動の隘路となっておるのでございまして、また、新長期経済計画を円滑に実施するためには画期的な港湾の整備を必要とするのであります。そこで、先般、交通関係閣僚協議会の議題として検討されました港湾関係の方針が閣議において了解事項となっておりまして、その内容につきましては、京浜、名古屋、阪神三地区の主要輸出港湾において輸出埠頭を二十バース新設して、これに要する事業費は二百二十億円くらい。それから製鉄原材料の輸入港としては室蘭、千葉、川崎、和歌山、大阪、尼崎、神戸、姫路、洞海、小倉等の各港の防波堤の築造及び航路泊地の十二メートルの浚渫をはかる。また原油輸入港としては、横浜、川崎、四日市、徳山下松、松山の五港における航路泊地を水深十二メートルに浚渫することになっておりまして、これらにつきまして輸出港湾、製鉄、石油基地港湾の整備とあわせて、石炭の積み込い、陸揚港の整備をはかるために、港湾緊急特別会計というようなものを設けていきたいというふうに考えておるわけであります。しかし新長期経済計画に即応するように、港湾整備五ヵ年計画を策定中でございますが、昭和三十四年度は第二年目に当りますので、五ヵ年計画の概要としては次の通りでありますが、これを進めるようにしたい。輸出港湾の整備としまして、主要輸出港における輸出埠頭並びに国際航路としての関門—瀬戸内海航路整備する。工業港の整備といたしましては、石油、石炭、鉄鋼等のエネルギー及び基幹産業の隘路打開のための港湾整備をいたしたい。それから臨海工業地帯の開発をはかりたい。その次に地方開発並びに沿岸輸送のための港湾整備をいたしたい。離島振興のための港湾整備をはかりたい。港湾及び海岸を保全するため、防災工事特に海岸保全工事の促進をいたしたい、こういうふうに考えております。その他港湾運送事業合理化につきましては、荷役施設及び機械の改善をはかって、港湾運送事業の健全化と近代化を期していきたい。それから倉庫業の健全化につきましては、近代的かつ能率的な保管施設及び荷役機械の整備並びに中小倉庫業者の倉庫施設の改善をはかるとともに、倉庫証券の流通の増大並びに公正競争の確保をはかる等のため、有効な措置を講ずることによって、倉庫業の近代化、健全化を促進するようにしていきたい、こう考えておるわけでございます。  以上、簡単でございますが、御説明申し上げました。
  10. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員長代理 次に海難審判につきまして説明を求めます。長屋海難審判庁長官
  11. 長屋千棟

    ○長屋説明員 海難審判庁の所管事項について海難審判庁の事柄を御説明申し上げます。 海難審判庁は運輸省の外局として運輸大臣の所轄に属し、二審制度を有する海難審判機関でございます。中央機関として東京に高等海難審判庁があり、地方機関として函館、横浜、神戸、門司の四ヵ所にそれぞれ地方海難審判庁がございまして、仙台、広島、長崎に各支部が設けてございます。また付属機関といたしまして、海難事件の訴追機関である海難審判理事所があまして、各海難審判庁に対応して設置されておるのでございます。  海難審判庁の定員は、全員百九十一名でございまして、高等海難審判庁は三十五名、地方海難審判庁八十九名、海難審判理事所六十七名でございます。各海難審判庁に審判官、書記、事務官が、各海難審判理事所に理事官、事務官が配属されております。ただいまの定員は、審判官が四十四名、これは全国でございます。調査官が二名。それから書記四十四名、大体審判官と同数にいたしております。理事官が二十六名。理事官の数が足りませんので、検察庁の副検事という形にいたしまして、副理事官というものを置きました。これが七名おります。この理事官の仕事を助けます事務官が十九名、事務その他を扱います事務官その他が四十九名、合計百九十一名でございます。  昭和三十三年度の海難審判庁の予算は一億二千九百四十五万八千円でございまして、その内訳は人当経費九千八百七十五万二千円、業務費が海難審判理事所と合せて、三千七十万六千円でございます。  海難審判の目的は、理事官から審判の申し立てがあった海難事件につきまして、航海運用術、機関術、及び海象、気象その他の状況等につきまして総合的な事実審理を行いまして、海難原因を探究し、その裁決によりまして、海技従事者及びその他海難関係者に対して、海難の原因とその防止方法を具体的に明示し、再度同種の原因による海難の発生防止に寄与することを本来の目的とするものでございます。従いまして審判の結果、海難の原因が海技従事者または水先人の職務上の故意または過失によるものでありますことが明らかになりましたときは、これらの者に懲戒を加えて反省の機会を与えるが、海難に関係のない海員の単なる非行につきましては、これを審判の対象としないのであります。あくまで審判の対象は海難でございます。また新たに勧告制度を採用いたしまして、海難審判庁が必要と認めるときは、海技従事者以外の海難の原因に関係があるもの、たとえば造船会社あるいは団体及び国家機関等に対して勧告をすることができるようにして、海上事故防止の実を遺憾なく発揮し得るようにしております。なお、海難に刑事事件が関連しますときは、海難審判が先行して行われることになっております。  海難審判手続は、刑事訴訟手続に類似しているのでありまして、調査、審判、執行の三段階に分担して行われます。海難が発生しますと、調査段階を担当する海難審判理事所の理事官が海難を調査しまして、海難審判を必要としますものは、理事官が公益の代表者としまして管轄権を有する第一審の地方海難審判庁に審判開始の申し立てを行いまして、事件は審判庁に係属するのでございますが、その場合理事官は、海難が船長その他の海技従事者または水先人の職務上の故意または過失により発生したと認めましたときは、その者を受審人に、また勧告を必要と認める者がありますときは、その者を指定海難関係人に指定いたしまして申し立てをいたします。地方海難審判庁は審判官三名による合議体で構成せられますが、原因の探求が特に困難な事件の審判には参審員二名がこれに加わります。また簡単な事件につきましては、受審人の同意がありましたときは理事管の請求に基き一人の審判官で簡易審判手続による審判を行うことができることになっております。審判は、公開の審判廷において理事官、受審人、指定海難関係人及び補佐人——補佐人と申しますのは刑事、民事の弁護士に当ります——が出延いたしまして、口頭弁論に基いて審判を行い、裁決をするのでございます。審判は、受審人及び指定海難関係人となる者がいない場合でも海難そのものを審理の対象といたしまして、その原因の究明のために行われるのでございます。これは他の訴訟と異なるところでございまして、海難審判の特色をなすものかと存じます。海難の調査、証拠の収集に当っては強制処分をすることはできません。裁判の執行は理事官によって行われるのでありますが、海難審判は二審制度の組織を持っておりまして、第一審の裁決に対し理事管または受審人に不服があれば高等海難審判庁に第二審の請求をいたしまして、その裁決を求めることができます。高等海難審判庁は審判官五名による合議体で構成せられますが、参審員二名が加わることがありますのは第一審の場合と同様でございます。審判はいわゆる覆審でございまして、事件について全面的な審理を行なって裁決をいたします。高等海難審判庁の裁決に対しましてなお不服があるときは、憲法第三十二条及び第七十六条第二項の規定によりまして、行政庁は最終の審判権を有しないところから、東京高等裁判所へ出訴の道が開かれておるのでございます。海難事件が高等裁判所に係属した場合、裁判所は海難事件の実体の審理を行わないのが原則でありまして、海難審判庁の裁決が違法であるか、違憲であるかということが争われるのでございます。  事件取扱い状況を過去三カ年について見ますれば、年間発生する海難事件中、理事官が認知するものは年間一万五千件から一万七千件となっていますが、この中で特に海難審判庁の審判を必要と認められますものは約その八分から一割、千二百件から千三百件となっております。これらの受理件数に対する処理件数は、理事官が一万三千件から一万六千件、審判庁が一千件から一千二百件程度で、受理件数をわずかに下回る程度ではありますが、戦後数年間急激に増加した未処理件数に加えて、年々わずかながらも残件数が生じますので、翌年度に繰り越す件数が増加しているため事件の迅速処理が妨げられている形でございます。このような事態に対処いたしまして、審判の迅速と事件の重点的処理をはかるため、検察庁の副検事の制度にならい、簡単な事件を処理する要員としまして副理事官の制度を設けたのでありますが、さらに海難事件は、近年発生した洞爺丸等の青函連絡船、川口湖の遊覧船内郷丸、宇高連絡船紫雲丸、瀬戸内海の第五北川丸あるいは南海丸等の事件の例が示すように、その社会に及ぼす影響はきわめて重大でありますので、海難の原因を探求し、もってその発生の防止に寄与することを目的とする海難審判を行うことをその職責といたしております当庁といたしましては、事件の迅速な処理をはかるためなお一そうの努力をいたしておる次第でございます。  これをもちまして海難審判庁の所管事務の説明を終ります。
  12. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員長代理 次に気象庁の所管事項につきまして説明を聴取いたします。
  13. 和達清夫

    和達説明員 気象庁の所管事項説明をいたします。  気象庁には本庁のほか五つの管区象象台と、四つの海洋気象台、四十四の地方気象台、東京航空地方気象台、九十五の測候所、七つの航空測候所がありまして、このほか付属機関が七つ、委託による気象観測所が約二千、検潮所が四十八あります。気象以外に海洋、地震、火山、地磁気などの地球物理学的な観測並びに業務をいたしております。  気象業務はお手元に差し上げました「気象業務の現状」という冊子に書いてございますが、これを簡単に申しますと、まず現象を観測し、それを気象通信によって集めたり、また必要方面に知らせたりする、そしてその観測資料を解析しまして予報を出したり、警報を出したりします。またその資料を統計し、調査いたしまして利用方面の便に供します。またこの業務の基礎になるべき研究を行います。このようなことは気象業務の基本的なことでございますが、その基本的な資料をもちまして目的に応じた気象業務、すなわち航空とか、船舶漁船、あるいは農業、電力、交通等に対して気象サービスを行うのでございます。  今日気象業務の現状を全部申し上げる時間もないと存じますので、そのうちの今日問題になっております重要事項をあげて御説明いたします。  第一番は、予報精度の向上をはかるための措置であります。毎年日本の各地に大きな災害をもたらすところの台風や大陸旋風の予報につきましては、数値予報の方法を導入することによってその精度を向上させることができるということが、この数年来の研究によって明らかになりましたので、気象庁においては電子計算機を採用することにいたしました。このためにすでに予算措置を講じ、昭和三十三年度末にはこれを実行に移すことにいたしております。  第二に、水理、水害対策の施設の整備であります。まず水理につきましては、重要河川を中心とする利水並びに水害の予防のために、各地に行われておるところの河川開発、特に多目的ダムに対するダム・コントロールを主とした水理気象業務は、各地の開発の実情に応じ、昭和二十九年度から引き続き実施しておりますが、さらに水防法の改正に伴って水防活動に必要な量的洪水警報を全国重要河川について行う義務が生じましたので、これに必要な施設の整備を行いつつあります。水害の方では昭和二十八年、北九州及び和歌山県の大水害に際して、この種災害対策としては、山岳地帯の降雨量を確実に測定し、迅速に通報することの必要なことが認識され、二十八年度以降雨量計並びに通報所が順次山岳地帯を中心として、整備されておりますが、いまだに北海道の大部分及び数府県については施設が行われておりませんので、今後一そうの整備をはかりたいと存じております。なお、昨年大村、諌早地区における水害につきましてはこの施設がきわめて有効であったことが実証されております。さらに、この梅雨末期における豪雨の把握、その他局地的気象の変化を知ることについて必要な地点に気象用レーダーの設置を急いでいたしたいと存じております。  第三番目は、予報作業の能率の改善でありまして、このおもなものは、第一は通信の迅速的確なこと、第二には予報作業を機械化して、その能率向上をはかることであります。第一に対しましてはテレタイプ通信を重要な気象官署の間に設置して参りましたが、これを広く全官署に広めたいと存じております。第二の予報作業の機械化にはいろいろありますが、その中で無線模写放送の整備でございます。御承知の無線模写放送は天気図の電送でございますが、これを本年度までに予算として三十七カ所の気象官署に設置することが認められましたが、すみやかにこれを全国の重要なる気象官署に設置いたしたいと存じております。この無線模写放送は、気象を利用する各方面において十分利用されるものでございます。  第四番目は、各利用部門別に対する気象業務であります。これを大別しますと、鉄道気象業務、電力気象業務、農業気象業務、海上気象業務、航空気象業務などでありまして、現在の気象庁の予算と定員の範囲ではかなり負担の大きいものでありますので、一部は共同業務として、さらに利用者全般の協力を得まして、この業務をできるだけ遂行しておる次第であります。  第五番目は、その他気象庁といたしましては、地震、火山の観測、海洋の観測あるいは放射能の観測を強化し、また気象技術者の養成に努めたいと存じております。  第六番目は、気象庁の関係の庁舎並びに環境の問題であります。気象庁の本庁舎は大正九年以来完全な本建築の庁舎を持たず、その間震災、雷災、戦災と三たび火災に遭遇し、現在なお大部分は木造バラックで、庁舎が分散しておるために、業務能率の上にも貴重な資料の保管の上にも非常に不便と危険を感じておる状況であります。また地方の気象官署の大部分は、その昔府県営として発足して以来、長年月を経た木造建築物が多く、またこれらのものの中には、業務の性質上僻地、離島、みさき等に設けられ、庁舎、宿舎等は風雪の害を受けたものが非常に多い実情でありますから、それぞれ関係官庁に連絡して改善に努力いたしております。なお前述の僻地、離島等の勤務者の待遇、環境を改善しまして、事務能率の向上をはかることはきわめて緊要なことでありますので、すみやかにその実効をあげ得るように措置し、また僻地官署の人事交流を円滑にするために努力いたしております。  第七番目は、研究機関の整備であります。気象庁は、気象研究所を持ちまして業務に必要な基本的の研究をいたしておりますが、その施設はいまだ貧弱でございますので、早急に整備いたしたいと存じております。  第八番目は、国際の気象協力でございます。気象業務は広く国際的に協力を要するものでありまして、現在条約や協定の形で行われておる仕事は、たとえば世界気象機関条約、国際民間航空条約というようなものがあります。昨年七月一日から発足した国際地球観測年におきましては、日本における地球物理学関係機関の大部分が参加しております。その中で気象庁は非常に大きな部分の仕事を分担いたしております。  以上で気象庁の所管事項説明の大体を終ります。
  14. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員長代理 次に海上保安庁関係について説明を聴取いたします。島居長官
  15. 島居辰次郎

    ○島居説明員 海上保安庁の所管事項の概要を御説明いたします。  第一に、海上保安庁の体制といたしまして、海上保安庁は所掌事務としましては、海上における治安の維持と海難救助、水路及び航路標識等、海上航行の安全に関する業務を所掌しております。  組織としましては、本庁のほか地方を九管区に分けて、それぞれに管区本部を置いております。そのほかに呉に海上保安大学校、舞鶴に海上保安学校があります。  職員は、定員一万八百三十二人でありまして、海陸約五千人ずつを配置しております。 本年度の予算総額は六十八億八千六百九十九万四千円で、内、経常費以外は、海上保安施設費四千六百六十九万六千円、船舶建造費二億四千四百三十六万円、航路標識整備費四億四千六百五十五万二千円でございます。  施設としましては、船艇は巡視船艇三百三隻、水路業務用船二十四隻、燈台業務用船八十九隻、合計四百十六隻であります。航空機は、ピーチクラフトニ機、ヘリコプターのシコルスキー五五型三機、ベル四七型四機、合計九機であります。航路標識は、夜標、昼標、信号所合せて二千四百七十二基であります。その他通信施設を持って活動しておるのであります。  第二といたしまして海上保安の現況を御説明申し上げたいと思います。  そのうちの一として治安の維持でございますが、犯罪検挙件数は次第に増加しておりまして、昨年中五万三千件に達しております。特にこの中で海事法令違反及び漁業関係法令違反は総件数の九五%をこえておるような状況でございます。しかしながら不法入出国、密貿易等の事犯は、国際情勢ともからんで国内治安にとって重大なる関係がありますので、ますます取締りを強化する必要があります。このためには出先機関の整備、捜査費の確保等をはかる必要があるのであります。  二番目として海難救助であります。昨年一カ年間に発生した海難は四千二十三隻でありまして、そのうちわが海上保安庁が救助した船舶は千七百隻でありまして、海難総隻数の四一%でありますが、その救助能力はほぼ限界に達しておりまして、前に申し上げました海上治安の維持のために必要なものと合せまして今後さらに船艇及び航空機の整備増強をはかる必要があるのであります。  第三に、海上航行の安全確保について申し上げますが、その一番目に水路業務としましては、水路の測量、海潮流の観測を行いまして海図、航空図を出しております。なお昨年及び本年にわたる国際地球観測年の国際共同観測には海上保安庁も参加しております。このほかに最近海溝その他海底資源の開発のための大陸だなの調査、原水爆その他による海水汚濁調査等にも寄与しておるのであります。  二番目に、航路標識業務でありますが、海上保安庁所管の航路標識は二百五十六カ所の事務所で航路標識を保守しておるのでありますが、僻地の勤務職員の生活環境の改善と、この施設の近代化をはかるために、いわゆる集約管理を行なっております。また海上航行の安全のためには今後も航路標識をさらに一そう増強する必要があると考えておるのであります。  三番目に、海難の防止活動でありますが、海難防止のためには、海事法令の取締りを厳重にいたしまするとともに、気象官署と緊密な連絡を保ち、地方海上予報及び警報を放送いたしましたり、現地の気象、海象の実況を放送いたしております。そのほか海難の多い時期には海難防止強調運動を実施いたしますとともに、汽船、機帆船漁船等、船種別、業種別に特有な海難原因を探求いたしまして、地方でそれぞれ講習会を開催いたしましたり、あるいは海上保安部署職員及び巡視船艇職員によりまして、海難発生のつど原因の調査を行いますとともに、運航技術、機関取扱い、気象等につきまして、実務指導を現地で行なっておるような次第であります。  四番目に、浮流機雷の捜索処分でありますが、日本海及び津軽海峡方面における機雷の出現状況は、毎年減少の傾向を示しておりますが、まだ楽観を許さないので、北海道の白神岬、青森県の龍飛崎にあります機雷探知所のレーダーと、函館、新潟、舞鶴の各航空基地にヘリコプターを置いておりますが、それを動員いたしまして、防衛庁とも協力して海空からの立体的哨戒を行なっておるのであります。  第四に、漁船の保護でありますが、本年になりまして日本漁船の拿捕された隻数は、六月二十五日現在五十六隻でありまして、ソ連及び韓国による拿捕はまだ跡を断たないので、海上保安庁におきましては、出漁船の保護のために特別の哨戒を続けておるような次第であります。  最後に、巡視船の宗谷による南極観測でございますが、海上保安庁といたしましては、過去二回の南極地域観測では巡視船宗谷によって輸送部門を担当してきたのでありますが、本年も引き続き実施することが先般政府で決定されましたので、現在その具体的方法について、政府部内で検討を進めておるのでありますが、前二回の経験にかんがみまして、今度は大型ヘリコプター二機を使いまして、宗谷が万一いわゆる接岸できなくても、必要最小限度の越冬隊員と資材を安全に昭和基地に運び得るような計画を考えておるのであります。そのために宗谷も飛行甲板の新設とかその他若干の改装工事が必要でありますので、目下その取り運び中なんでございます。  これをもちまして大体海上保安庁の所管説明を終ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  16. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員長代理 これにて運輸省所管事項説明は全部終りました。  明日の委員会は主として志免鉱業所の問題について調査をいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時十四分散会