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1958-06-24 第29回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月十九日       天野 公義君    簡牛 凡夫君       木村 俊夫君    長谷川 峻君       堀内 一雄君    井岡 大治君       土井 直作君    正木  清君 が理事に当選した。     ————————————— 昭和三十三年六月二十四日(火曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 天野 公義君 理事 簡牛 凡夫君    理事 木村 俊夫君 理事 長谷川 峻君    理事 堀内 一雄君 理事 井岡 大治君    理事 正木  清君       宇田 國榮君    菅家 喜六君       小泉 純也君    關谷 勝利君       高橋清一郎君    羽田武嗣郎君       前田  郁君    三池  信君       池田 禎治君    久保 三郎君       島口重次郎君    杉山元治郎君       館  俊三君    中崎  敏君       松岡 駒吉君    山田 長司君  出席政府委員         運輸政務次官  中馬 辰猪君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公猷君         運輸事務官         (航空局長)  林   坦君         運輸事務官         (観光局長)  細田 吉藏君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         日本国有鉄道常         務理事     久保 亀夫君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  陸運空運及び観光に関する件  日本国有鉄道経営に関する件      ————◇—————
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより会議を開きます。  この際小委員会設置についてお諮りいたします。先ほどの理事会で協議いたしたのでありますが、本会期中も前国会通り陸運に関する小委員会、海運に関する小委員会観光に関する小委員会設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  3. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、小委員員数、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 塚原俊郎

    塚原委員長 それでは、さよう決定いたしました。後刻公報をもってお知らせいたします。     —————————————
  5. 塚原俊郎

    塚原委員長 運輸省各局所管について説明を聴取いたします。その順序として、まず陸運関係より説明を聴取いたしまするが、時間の都合上各局とも十分ないし十五分程度でお願いいたします。鉄道監督局長權田君
  6. 權田良彦

    權田説明員 それでは、鉄道監督行政現状について簡単に御説明を申し上げます。  鉄道監督局所管事項といたしましては、国鉄監督といわゆる私鉄監督鉄道車両工業等監督がございまして、本省では鉄道監督局地方には各陸運局鉄道部を置いてございます。その予算大約三十三年度本省で九千二百三十万円でございまして、陸運局は三百十八万円ぐらいでございます。  日本国有鉄道関係につきましては、大体現在営業キロ鉄道で約二万三百キロ国有鉄道自動車で一万三千五百キロ船舶で二百キロぐらいのものがございまして、その輸送量は三十二年度鉄道旅客が約四十三億人、貨物が一億七千八百万トンでございます。国有鉄道自動車旅客が約二億人ぐらいでございまして、貨物はごくわずかの四十四万トンぐらいでございます。  収入昭和三十二年度におきまして、鉄道収入で三千百九十四億円ぐらい、船舶収入で五十三億円、自動車収入で五十六億円、雑収入で三十五億円、営業外収入で二十九億円、大約収入は三千三百六十八億ぐらいを上げております。支出鉄道経費といたしまして二千三百九十五億、船舶経費に約四十五億、自動車経費に六十億、減価償却費が約四百九十億、利子及び債務取扱い諸費が百三十五億ぐらい、財産除却費が約六十億、営業外経費が四億ぐらいでございまして、計支出といたしましては約三千百九十億ぐらいになっておりまして、差引約百七十八億ばかりのものが工事の方へ自己資金として回っておるわけでございます。  現在持っております車の数でございまするが、三十三年三月末現在で蒸気機関車四千七百両ばかり、電気機関車六百六十両、特殊の機関車が三十両、客車が約一万一千両、電車が三千六百両、気動車、ガソリン・カーでございますがこれが約千百両ばかり、貨車が十一万両ぐらいになっております。国営自動車は現在旅客自動車バスが千八百両くらい、トラックが七百三十両、特殊自動車が五十八両くらいございます。船舶連絡船でございますが、連絡船としては二十九隻持っておりまして、約七万トンでございます。それから補助汽船として、小さいのを三十七はいくらい持っております。従業員といたしましては、三十二年三月末現在で四十四万七千七百十五人、でございます。  なお、国鉄のいろいろこまかい問題については、またそのつどいろいろ御説明申し上げますが、特に新線建設について簡単に御報告を申し上げます。国鉄の新線建設につきましては、昭和二十七年以降建設を再開いたしまして、新線三十一線の建設に着手をいたしました。そのうち十六線がすでにでき上って営業を開始しておりまして、現在工事継続中のものは十五線でございます。さらに昭和三十二年になりまして新たな建設着工線が十一線、これは美幸ー興浜中村ー窪江を含みますので、十三線とも言いますが、俗に十一線と申しておりますが、それが新たに着工線として入りまして、さらに調査線として目下調査中のものが十六線でございます。本年度建設費は九十億でございますが、総係費調査費を除きました純粋の建設工事費は約八十五億円の予定でございます。  次に、地方鉄道軌道関係を申し上げます。地方鉄道と申しますのがいわゆるいなかその他大都市にあります私鉄というものでございますが、百五十八業者の数がございまして、キロ程は約六千キロでございます。軌道と申します市内電車その他軌道法によりますものが五十七業者でございまして、千六百キロでございます。それから無軌条電車というのも私ども所管になっておりまして、これはトロリー・バスという市内を走っておりますごらんの自動車みたいな架線のついたものでございますが、これが四業者でございまして七十六キロ、その他専用鉄道が百四業者五百四十キロ索道事業が百四業者キロ専用索道が五十九業者百九十二キロでございます。  この輸送量は三十二年度におきまして、地方鉄道におきまして旅客が約三十一億人でございます。貨物は少うございまして、約三千六百万トン程度でございます。軌道におきましては旅客が約三十四億人、それから貨物が、これは市内電車その他でございましてほとんどございません、八十六万トンでございます。  その収入は、地方鉄道で三十二年度におきまして旅客で約四百七十億、貨物が約七十一億円の収入を上げております。軌道旅客年間三百六十四億円、貨物で三億円程度収入でございます。  車両数でございますが、地方鉄道軌道、これらを通じます車両数蒸気機関車が五百三十二両、内燃機関車が二百二十六両、電気機関車が三百五十七両、蓄電池機関車が十八両、電動客車が九千十九両、付随車が千六百四十二両、客車が八百十五両、無軌条電車が百四十七両、貨車が一万七千六百両くらいを保有しております。  従業員は、現在地方鉄道軌道を通じまして——これにはいわゆる会社でやっております民営と、地方の市町村でやっております公営とございますが、民営が全体で九万五千三百人程度公営で二万八千人くらいでございます。  これら全体の営業概況でございますが、大体おもな百三十七社分を取りまとめると、その資本金の総計は四百五十億でございます。再評価積立金が五百七十一億円でございます。この地方鉄道軌道固定資産に当りますものが千百三十八億、社債その他負債の形になっております資産が八百五十七億。収入は先ほど申し上げましたが、鉄、軌道合せますると約六百五十億でございます。営業費が約五百六十五億でございまして、いろいろ税金を払いますのが二十五億、従いまして益金といたしましては五十六億くらいに相なりますので、営業係数としては九一、二という姿に相なっております。固定資産に対します益金割合は四分九厘。これはその前年度に比べますと、固定資産に対する益金割合は、地方鉄道軌道は逐年減少しておる状況にございます。  これに要します資金でございますが、ただいま昭和三十一年度の分を取りまとめておりますが、地方鉄道軌道がその輸送力確保増強のために充当いたしました資金が二百三十九億円でございます。その内訳は手元資金九十四億円、増資二十七億円、社債及び企業債四十二億円、借入金七十六億円でございます。なお、昭和三十二年度資金計画——実績は今まだ取りまとめ中で出ておりませんが、三十二年度資金計画は三十一年度の二百三十九億円に対しまして四百二十九億円でございます。  最後に、鉄道車両工業の現況を簡単に申し上げます。鉄道車両工業はやはり当局所管でございまして、産業自体監督しておりますが、おもな車両メーカーは約二十社でございます。工場の数が二十三工場でございまして、現在従業員が約二万四、五千人でございます。このほかに、車両は作りませんが修繕をいたします小さいもの、あるいはこれは大きなものもございますが、部品のメーカーがございまして、これが約百社ございます。従業員数が約一万七千人でございます。この車両メーカー年間設備能力——これは設備能力でございますが、蒸気機関車五百八十八両、電気機関車百八十一両、客車電車二千九百八十六両、貨車二万両程度でございます。  需要供給関係でございますが、戦争前の鉄道車両需要供給関係は大体国鉄四、輸出四、私鉄二という割合が持続されて参っておりましたが、終戦後は御案内の通りに、だいぶこの近所の市場を失いましたので、国内需要がおもに振りかわってきております。昭和三十二年度生産実績で見ますと、国鉄七、私鉄一・五、輸出一・五という割合に変ってきております。三十二年度生産額が約二百四十二億円でございまして、三十二年度受注額は三百十四億円でございます。  鉄道車両工業といたしましては、企業合理化と、特に今後輸出の振興ということに重点を置いている次第でございまして、鉄道車両輸出プラント輸出において非常に重要な役割を占めておりますが、三十一年度契約実績で八十五億五千万円、三十二年度で四十二億円の実続になっておりまして、現在おもな市場東南アジア、中近東、中南米等でございます。  なお、信号保安装置工業といたしまして、おもなメーカーが四十社、従業員が約四千四百人でございますが、これはほとんど中小企業に属しまして、輸出東南アジアにごく一部輸出いたすにすぎないのでありまして、これも今後輸出重点をなお置きたいと思っております。この生産額は三十一年度で約二十七億円でございます。  非常に簡単に申し上げましたが、以上が私ども鉄道監督局所管行政現状でございます。
  7. 塚原俊郎

    塚原委員長 次に自動車局所管に入ります。山内局長
  8. 山内公猷

    山内説明員 自動車の数が逐年驚くべき数字でふえておるのは御承知の通りでございます。数字的に見ますと、戦前最高時の昭和十四年が約二十二万両であります。終戦直後で見ますと約十四万両に減っておるわけでございます。この数字が本年の二月の末には二百五万両にふえておる状態でございまして、なかんずく軽自動車と小型二輪自動車増加が著しく目立っております。このような自動車増加に伴いまして、自動車輸送は戦後十年間に著しい発達を遂げまして、陸運中におきます比重が非常に重くなって参っております。  まず旅客輸送を申し上げますと、一般乗合バス輸送量は近年非常にふえておりまして、三十二年度実績はまだまとまりませんが、大体の輸送人員を推計いたしますと、約四十七億人に達する見込みでございます。これは数字によりますと、二十一年度の約七倍になっておりまして、国鉄輸送人員を少し上回っておるという状態になっておるわけであります。  貸切バスハイヤータクシーにつきましても、国民消費水準向上するに伴いまして、やはり年々増加数字を示しております。  乗合バスにつきましての問題点は、だんだんこれが輸送需要がふえるのに伴いましてこの輸送を満たしていくわけでございますが、新規路線の開拓と既存路線の充実と、それから道路事情の好転を待っての中長距離バスの開設の申請が漸次多くなっておる現状でございます。またこれらに伴いましてバス競願申請が非常に多いわけでございます。これらにつきましては運輸省としては、事業者間の相互協調融和によりまして、健全な発達をはかるように指導努力をいたしておるわけでございます。  ハイヤータクシー等自動車事故につきましては、最近におきます国会の決議並びに交通事故防止対策本部事故防止対策要綱に基きまして、事業者に対する指導及び監査を徹底的に行いますとともに、本月上旬運輸規則改正をいたしまして、その中に国会並びに対策本部で指示されました乗務員休養施設整備乗務距離最高限度、ノルマの強制禁止等を法制化いたしたような次第であります。  次に、貨物輸送について申し上げます。トラック輸送一般旅客輸送とともに戦後やはり著しく発展しておりまして、三十一年度輸送量は約六億トンに達しております。これは二十一年度の四倍をこえ、トン数から見ますと、鉄道船舶を含む国内貨物輸送量の七割を占めておる状態でございます。このトツック輸送の大半は自家用車によるものでございまして、営業車によるものは四割弱であるということは、戦前輸送の態様が著しく変ってきておるということがわかるわけでございます。  トラック事業についての問題点の第一は、事業者数が現在全国で一万二千という非常に多い数字が示しますように弱小業者が非常に多い。そのために相互の競争が激しい上に無免許業者営業類似行為、いわゆるもぐりトラックというものがありまして、これが輸送秩序を乱しますために、一般経営者経営状況も良好といえない状態になっております。これにつきましても、数年来輸送秩序確立のために監査を実施いたしますとともに、事業経営健全化指導いたしておるわけでございます。  次に、通運関係について申し上げますと、通運事業につきましても戦後経済の復興、発展に伴いまして、取扱い数量は逐年増加しておりまして、三十一年度におきましては二億トンを若干上回った数字が出ておりますが、昨年度につきましては景気の後退を反映いたしまして、出貨はやや軟調になっております。  最近鉄道におきましては、輸送力増強、近代的な輸送方式確立目的といたしまして諸般の対策を推進しているわけでございますが、通運事業におきましても、これに対応して業務運営体制整備いたしますとともに、荷役の機械化による輸送効率向上をはかる必要がありますので、所要の施策を検討いたしておるわけでございます。  次に、自動車道関係について申し上げます。私の方の自動車局におきましては、国土開発縦貫自動車道建設法及び高速自動車国道法に基きまして、建設省と協力いたしまして、高速自動車国道建設計画の策定を行いますほか、道路整備特別措置法に基きます有料道路料金の検討、道路運送法に基く自動車道事業監理等を行なっておるわけでございます。  高速自動車道につきましては、すでに建設に着手いたしました名古屋—神戸間について、私の方で現在何をやっておるかと申しますと、バス・ストップの位置というものを現在きめております。またできましたあと適正通行料金等に関する研究を現在進めておるわけでございまして、そのほか東京—名古屋間につきましては、基本計画決定等に必要な調査を目下実施中でございます。なお来年度以降においては中央自動車道以外の路線についても調査を進めていきたいと考えておる次第でございます。  次に、車両保安及び登録について申し上げます。自動車検査及び登録業務量は、車両数増加に対応いたしまして、年々増加いたしておるわけでございますが、これに従事いたします職員増加は十分ではございません。数字的に申しますと、二十七年度に対しまして本年度は、先ほどちょっと触れましたように、車両数では約三倍近くになる見込みでございますが、要員数は約二割ふえただけでありまして、従って今後とも適正人員確保ということにつきましてわれわれ努力いたさないと、車両検査というものの適正な施行が非常にむずかしくなるというふうに心配をいたしておるわけでございます。また自動車検査場につきましても、一応整備されて参りましたものの、車両数の激増に伴いまして収容能力機械設備に不足を来たしておりますので、これが拡充、改善努力いたさなければならないと考えておる次第でございます。  自動車事故について申し上げますと、自動車事故の数は、自動車のふえるのと対応いたしまして絶対数においては毎年増加いたしておるわけでございますが、車両数を基礎とする発生率におきましては少しずつ減っておるという状態ではございますが、欧米各国と比較いたしますとまだきわめて高い数字を示しております。運輸省といたしましては、戦後車両整備の完全ということが事故に最も大切であるということで、先ほど申しました検査体制整備整備事業施設及び技術の強化向上という点に力を注いでおるわけでございまして、今後ともこれらの関係施策をさらに強力に推進いたしますとともに、関係省庁協調を得て交通規制改善道路及びその付属設備整備改善等事故発生要因のあらゆる面について検討し、除去に努力して参りたいと考えております。  次に、自動車損害賠償保障制度について御説明申し上げます。この制度は、自動車による人身事故被害者を保護することを目的としまして、無過失責任に近い新しい責任法を定立いたしますとともに、責任保険契約の締結を強制するものでありまして、いわゆる強制保険でございます。これにつきましては、政府責任保険の再保険事業ひき逃げ事故に対する保障事業を行なっておるわけでございますが、昨年十二月末現在におきます責任保険加入車両数は約百六十万両でありまして、加入すべき車両数の約八割にしか達しません。このように無保険自動車が存在するということは法の趣旨を没却するものでありますので、その取締りに努力いたしておりますが、現在のところ人員予算の制約もありましてまだ完全に実効をあげていないのは遺憾に存じております。  最後に、自動車関係税制について申し述べます。自動車につきましては国税、地方税を通じまして揮発油税地方道路税軽油引取税自動車税等、多種の租税公課が課せられておりまして、その負担も相当に重くなっておりますので、業界といたしましては税制簡素化負担の軽減が強く要望されておるわけでありまして、われわれといたしましても、自動車の円滑な発展を期するためには、ぜひ税制改正を要望してやまないわけでございまして、またその線に沿って努力をいたしておる次第でございます。  以上、簡単でございますが、自動車関係についてのあらましを申し上げた次第でございます。     —————————————
  9. 塚原俊郎

    塚原委員長 この際国鉄経営問題について正木委員より発言を求められておりますので、これを許可いたします。正木清君。
  10. 正木清

    正木委員 この際委員長のお許しを得て国鉄当局に簡単にお尋ねいたします。  朝日新聞の六月二十二日版にこういう記事が出ておるのでございます。国鉄都城出納所主任桑畑という男が千二百万円の公金を使い込んだのではないか、しかも本人は行方をくらましておる、一口に言うとこういう記事が出ているのですが、国鉄当局はこれを御存じであるのかどうか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  11. 小倉俊夫

    小倉説明員 承知いたしております。
  12. 正木清

    正木委員 この記事内容について真偽のほどを確かめたのかどうか、この点をお尋ねします。
  13. 小倉俊夫

    小倉説明員 現地から責任者を本社に招致しておりまして、それから委細聴取をいたしております。現在調査中でございます。
  14. 正木清

    正木委員 その調査内容をここで明らかにしてもらいたい。
  15. 久保亀夫

    久保説明員 それでは、ただいままで調査したところではまだ詳細には不分明な点もございますが、ただいままで調査したところについて申し上げたいと思います。  実は本人が行方不明になったのが端緒になりまして、まず組織から申し上げますが、都城出納所と申しますのは、鹿児島鉄道管理局に属しておりまして、定員三人で、都城地区のもろもろの、主として管下五十数駅の収入金取りまとめ、それから一部給料等の支払い、こういったものを扱っておるのが都城出納所でございます。こういう出納所全国に約二十カ所設けております。そのうちの一つでございます。そこの主任、すなわち出納役桑畑と申す者でございましたが、これが行方不明になったのが端緒になりまして、その下の者がここで毎日各駅から収入いたしました金を、ある一定期間取りまとめ本局預金に振り込むという仕事をいたしておりまして、それを本人が不在中にいたそうとしましたところが、現金が足りないという事実を初めて発見いたしたわけでございます。それで地元で取り調べましたところ、一応その点はなお帳面あるいは伝票をくってみないと正確な被害の金額はわからないのでございますが、銀行ほんとう残高とそれからあるべきはずの金の差が約一千二百万円という数字が出たのでございますが、それに対して現実に帳面伝票を見まして正確に調べたのが二十九年までで、約六百万円くらいが正確に出ております。あとおそらく想像ではこの程度被害があるのではなかろうかということで、これは目下詳細に帳簿その他で調査いたしております。  それからどうしてこういうまことに遺憾な事態が起ったのかということの原因等について、もちろん今後の防止等もございますので、今詳細に調査あるいは研究いたしておるわけでございますが、一つの大きなポイントと思われますことは、毎月月末に本局預金残高報告残高証明というものを銀行からもらって出しておるわけでございます。それをこの出納役桑畑某偽造しておった。この銀行日向興業銀行都城支店と申す銀行でございますが、この銀行に、たとえば前月末一千二百万円預金残高があるということを、銀行支店の名前で、おそらくその判も偽造であろうという想像でございますが、それを本局へ毎月送っておった。それは別途預金出納帳というものが、全部出納所と同様のものが本局にございます。それと照合するとそれはぴたりと合うということで、一番はっきりしております点は、預金残高偽造という点にあった。そうすると預金残高とそれからほんとう銀行の元帳との関係はどうか、これが会計検査等の際に照合ができておったか、照合ができておれば、これは率直に申し上げますが、簡単にわかったことではないかというふうに考えております。この辺の照合が十分でなかったのではないかというふうに想像されております。  それからもう一つは、出納所職員は三人でございまして、出納役のほかに補助者が二人おります。その二人は、毎日集まってきます現金の仕分け、あるいは収入支出の総日計表と称しておりますが、相当めんどうな帳簿を書くといったようなことで、預金をするとか、預金出納帳を書き込むとか、これは最も大事な仕事でございますが、それは出納役一人でやっておったということで、補助者に扱わせなかったということも、これは出納所内部でわからなかった一つの理由でございます。その間帳簿の整理等で何ゆえに発見できなかったかという点について、これは私ども今後の仕事のやり方といたしましても最も大事な点でございまして、今詳細に調査すると同時に、今後どういうふうにその辺のチェックを考えたらいいかということを調査しております。これはまことに私どもとしては遺憾きわまる事故でございまして、申しわけのないことでございますが、今日ただいまの事情はそういうことでございます。
  16. 正木清

    正木委員 一言お尋ねをするのですが、こうした都城出納所のようなものが全国で二百二十カ所ある、それからもう一点は、この都城出納所監査は二十九年までは完全に監査が完了しておるけれども、その後監査をしてないというようなお答えであったように思うのです。そこでこれは私の常識からいうと、これほど帳簿整理というものが近代的に進んでおるときに、各駅の金銭の、取扱いはこの出納所に送られる、しかし同時にその元本といいますか、各駅の日計はそのつど局の方へも送られるのではないか、そうあるべきが常識ではないか、そして国鉄としては当然収益の月報が出てくるのではないか、そうすると私の常識では、印鑑を偽造したとか、収支の伝票偽造したとかいうことは、一にかかって監査上の欠陥から来ておるのではないか、こういうように考えられるのです。私の口からこういうことは言いたくはないが、人間がたといどのようにごまかそうとしても、簿記はごまかせないのが簿記の生命なはずなんです。これはひとり商業簿記であろうと、銀行簿記であろうと、官庁簿記であろうと、簿記の生命はそこにあるわけですから、だとすると、監査の手落ち、監査の不備がこういう罪人を出したのではないか、こういうように考えられるのです。  そこで私のお尋ねしたいのは、一体都城の出納所のこのことを土台として、二百二十カ所にわたるこういう個所に対する監査方法は、現に具体的にはどのようにやっているのだということが一点。もう一つは、国鉄としてはこの監査の方法及びこういう書類の整備等についてはどのような形式をもってやっておって、どのような監督をやっているのだ、この二点をお伺いしたい。
  17. 久保亀夫

    久保説明員 初めに、ただいま私ちょっと申し上げそこなったかもしれませんが、出納所の数は全国で二十ヵ所でございます。  もう一つ、今の監査の点でございますが、出納役に対しましては、これは少くとも年一回定期検査をやるということに規定でなっておりまして、実はこの出納所につきましても毎年規定に従ってやっております。先ほど私二十九年までと申しましたのは、この事件が起りましてとりあえず調べたところで、二十九年以前の分の被害割合にはっきりわかったということを申し上げたのでございまして、監査については毎年規定に従ってやっておりまして、本年も五月の三十日に現実にやっております。これは西部各支社に会計監査員というのがおりまして、日常監査、会計監査、それから特にこういった出納役については、二、三人で参りまして現に五月三十日に定期検査を執行しております。その場合に、この県では先ほど申し上げましたように、銀行残高証明預金出納帳を現場に行って調べます。その残高証明は毎月やっておりますが、現地に参りまして預金出納帳をくりますと、預金残高証明と合っておる。その残高証明偽造されておって、それが現実に銀行の元帳と合っていない。それからこの場合やはり大事なことは、通常預金でございますから通帳というものがございます。銀行の元帳そのままの通帳がございます。これが出納所主任のところになく、利子の記入といったような理由で銀行に参っておったということで、その通帳、さらにさかのぼっては銀行の元帳との照合をいたしておらなかったということは、監査としては重大な手落ちだったということで、この辺はまことに申しわけがないところでございます。これさえやれば直ちにわかるということで、この点の手落ちということはまことに残念でございます。  それからもう一つ正木先生のおつしゃいました、その点さえくぎが一本入っておればもっと早く防止できた、あるいは発見できたということになりますのと、それから途中の証票の、あるいは局へ毎月または毎日参ります収支の日報とか、あるいは現金の出納とか、こういうものは毎日参りますその過程でなぜ発見できるような、あるいは早期に防止できるような方法はないのかということになるわけでございます。私どももこの点、今の預金通帳の照合ということは当然のことでありまして、近く全国に速急にもう一ぺん念のためにこれをやらしたいと思っておりますが、それとは別に証票の作成、あるいは帳面の日常の検査、あるいは局での審査の中でそういったことの起らぬようにする、あるいはどうして発見できなかったということに私ども今一番の重点を置いて調査しておるわけでございまして、とりあえずのところといたしましては、その大きなくぎが一本抜けておったということが今日まで最もはっきりしておるところでございます。
  18. 正木清

    正木委員 最後に、私は国鉄当局に苦言を呈したいと思うのですが、この朝日の記事を見ますと、鹿児島鉄道管理局が出納簿を監査したところによると、同局の帳じりと銀行の帳じり、だから銀行の元帳だと思いますね、この間に一千二百万円の差があることが発見されたのだ、そして結論からいうと、この桑畑という男が昭和二十五年に就任以来使い込んだものではないかと見ている、これが有力紙である朝日の記事でございますね。だから今あなたが明らかに指摘したように、ことしの五月三十日に監査をしたときに、監査する者がほんとう監査をしなければならないという責任感に基いて監査をしておれば、すでにこのとき、この不正事実というものは明らかになっていなければならぬ。そうでしょう。それが簿記なんだ。何ぼ簿記を知らないこの桑畑という男が知恵をしぼって悪いことをしようとも、簿記ではごまかされないように仕組まれておる。ところが肝心の監査をすべき人が、結論としていいかげんな監査をしたということになるわけです。それでせっかく国鉄というものがいろいろの意味で、国民の間から若干なりとも、非常に弱い線ではあるけれども、今徐々に信用を取り戻しつつあるときに、たとい国鉄全体の年間予算から見れば一千二百万円は少いかもしれぬが、こういう不正な事実が出たということについては、副総裁、あなたもやはり責任を感じていただかなければならない。経理局長は当然です。あなた方最高首脳部の責任ですよ、こういうことは。ですから私があなたに苦言を呈したいことは、この二十カ所の監査ばかりでなくて、全体の監査を責任を持って徹底的にやるということ、さらに経理の方法等について手落ちがあるならば、そういうことも十分調査研究をされて、再びこういうような事態が国民の前に明らかにならないような万全の措置をとることが大切ではないかと私は思います。こういうことは何でもないことのようではあるけれども、どこにか気がゆるんでおる証左ですよ。ですから本来からいえば、私は当委員会に、委員長及び委員諸君の承諾を得てこの五月三十日に監査をした鹿児島鉄道管理局のその監査をした当事者を呼んで、その諸君の精神的な弛緩の責任を追及したいと思いますけれども、そういうこともいたしませんが、私は、やはり当局の最高の責任者はよほど前後の事情をお考えになって、局部内の全体の引き締めをやる必要があるのではないか、この苦言だけを呈して私の質問を終ります。
  19. 小倉俊夫

    小倉説明員 今正木委員からじゅんじゅんと戒めのお言葉がございまして、まことに恥じ入る次第でございます。実はこの問題が起りましたときに、私どもも非常にがく然といたしました。と申しますのは、この出納役は経理関係の直系でございまして、従来経理関係の直系の出納につきましては、私どもも実は自信を持っておりまして、従来こういうふうなことは絶えてなかったことでございます。ただその他の、たとえば給料の支出だとかなんとか、やはり現金を扱う個所が非常にたくさんございまして、そういうところではときどき不祥事件が起ったのでございますが、この経理直属の出納役に関しまする限りは事故はないのでございまして、実はその直系の出納役にかような事故ができたということは、私どもは非常にショックを受けまして、まことに相済まないと存じております。それで先ほども申し上げましたが、直ちに現地の責任者を三名招致いたしまして、ただいま事情を聴取中でございます。なおその事情の聴取を終りましてから、本社から現地に監察のために人を派潰することにいたしておりますが、先ほどお話の通りに、薄記というものはどういう者が扱っても決して聞違いがないようにするのが簿記の本来でございますけれども、ただこの件につきましては、残高証明偽造でありまして、これを発見できなかったということは当時の監察の目が行き届かなかった、それからこの預金通帳が銀行にあるということで、それをさらに預金通帳と照らし合わすまでの努力をしなかったということで、その監査に粗漏があったということはまことに申しわけない次第と思います。これを機会にいたしまして、私どもの経理局直結の出納につきましても、全面的にやり方を徹底的に研究いたしまして、たとえばただいま考えておりますのは、残高証明本人が直接にとらずに局に上げる、それで先ほどお話のように日報と突き合せるというような方法、あるいは支社の現金監査を強化するというようなこともいたしてみたい、それからさらに進みましては、これは研究問題でございますが、出納所といったようなものの存置をもう一回再検討いたしまして、あるいはこれを局で一本にやるという方がいいのではないかということも実は考えて研究いたしておるのでございます。それから本年から本社におきましても残高報告をとりたいというふうに考えております。かようなことで、これを機会に、従来のやり方に欠陥がありましたことを根本的に是正いたしましておわびの一端にいたしたい、かように考えておる次第であります。
  20. 久保三郎

    久保委員 関連してちょっとお尋ねしますが、銀行から出てくる残高証明出納役偽造したとおっしゃいますが、大体都城の出納所には銀行の派出員が来て、そこで残高証明を出すのでしょう。その残高証明偽造するといってもそう大幅な偽造はできないのじゃないか。むしろ私の想像ですが、これは銀行側にも非常に無責任な態度がありはしないか、こう思うのです。結局この銀行の派出員が残高証明を書く際に、出納役とぐるになって書いている、こういうふうなことも一つお調べいただきたい。  それからもう一つ、これはお尋ねですが、この銀行はどういう銀行ですか、地方銀行でどういう程度銀行ですか。
  21. 久保亀夫

    久保説明員 ただいま最初の点の、残高証明の発行方でございますが、これにつきましては、この辺も今後は改善しなければならぬと思いますが、多くの場合用紙はこちらで持ちまして、そしてこちらで記入いたしまして、それを向うへ持って参って照合して、向うの判をついて証明してもらう、こういう格好が通常の形になっておりまして、将来、今副総裁が申されたように、直接局で銀行からとるといったようなことも考えてみたいと思っております。今久保委員のおっしゃった銀行との関係、その点については私どもも当然重大なポイントであるというふうに考えまして、現に銀行から一人出納所に、現金を持って帰られたりその他連絡のために参っておりますが、そういった点もとりあえず——調べるというわけには参りませんが、事情聴取をいたしまして、その点銀行は全く関係がない、ただ残高証明をとりにこなかうたというだけで、銀行としては通常の事務をしておったということのようで、その辺は、あるいはこの刑事事件に関連してもちろん参考として警察の方でもお調べになることであると思いますので、私どもとしてはそれ以上どうということもございませんが、今のところ、もっぱらこの出納役は判の偽造その他一人でやっておったというのが、今日の事情でございます。  それから第二点の日向興業銀行と申しますのは、いわゆる宮崎県の地方銀行でございまして、私ども地方の中間駅もしくはこういった出納所につきまして預金口座を開きます場合に、なるべく地方銀行も利用するということで、日向興業銀行と、それからここでは鹿児島銀行支店、この都城出納所は鹿児島県と宮崎県と両方にまたがる駅を所管しておりますので、この地方銀行と取引いたしておる、こういう実情であります。     —————————————
  22. 塚原俊郎

    塚原委員長 引き続き運輸省各局所管について説明を聴取いたします。観光局長細田君。
  23. 細田吉藏

    ○細田説明員 観光行政の概要について御説明を申し上げたいと思います。  運輸省観光局につきましては、すでに皆様方御承知のところと思いますが、実は昭和五年に、当時の鉄道省の中に国際観光局ができまして、これは御承知の浜口緊縮内閣のときにできたのでありまして、当時外貨の獲得、見えざる貿易の振興といったような意味から強調されまして、緊縮時代ではありましたができたというような歴史を持っております。昭和十七年に、戦争中に一応廃止になりまして、戦後昭和二十一年に運輸省の、現在の国有鉄道営業局の中に課として誕生いたしました。それが二十四年観光部となり、昭和三十年に観光局になった、こういうことであります。  お手元に資料を差し上げてございますが、最近の観光状況につきまして申し上げてみますと、昭和三十二年におきまして来訪外客数が約十二万八千人でありまして、大体年々一割五分程度増加をいたしておる状況であります。大体消費実績といたしましては、暦年でございますが、昭和三十二年六千五百万ドル、約二百三十三億円でございまして、日本の貿易額——品目別にいろいろ貿易の金額が出ておりますが、これの中におきまして第八番目というような形になるわけでございます。本年は御承知のように、各種の国際的な催しものが非常にたくさん参っておりまして、大阪の国際見本市でありますとか、芸術祭、あるいは第三回アジア競技大会といったようなもの、それから観光船も相当今年からふえて参ったような関係で、本年は大体十五万人を少し上回る程度実績ではなかろうかというふうに考えておりまして、その消費額は、推定でございますが七千五百万ドル、約二百七十億円程度かと考えられております。さしあたりの目標といたしましては、昭和三十六年には来訪外客数三十万人、観光収入一億二千万ドル程度を目標にいたしまして各般の施策を進めて参っている次第でございます。  観光仕事は実は非常に広範でございまして、関係する省も非常に多いわけでございますが、私どもの方では一般的な観光の推進をいたしております。そのうち特に海外の観光宣伝について申し上げますと、これは国際観光事業の助成に関する法律に基きまして財団法人国際観光協会に対しまして補助金を出しまして、その補助金と、それから民間からの醵出金というものをもちまして大体二億円、補助金が本年度予算は御承知の通り一億三千一百万円でございまして、そのほかに醵出金を約六千万円民間から集めまして、約二億弱の予算で宣伝をいたしているわけでございます。しかしこの二億では、実は宣伝の経費としては非常に少いのでございまして、少し古い数字しかございませんが、欧州の観光の先進国でございますフランス、イギリス、イタリア等におきましても大体九億から十億くらいの宣伝の費用を使っておりますし、エジプトあたりあるいはアイルランドというようなところでも四億以上というような宣伝の費用を使っている状況でございまして、在外の宣伝の事務所にいたしましても、実は戦前はヨーロッパ、アジア、それからアメリカは南米、北米、全部で十三カ所事務所を持っておりましたが、現在では四カ所しか持っておりません。これも大体アメリカに集中しておりまして、現在はニューヨークとそれからサンフランシスコ、カナダのトロントとハワイのホノルル、この四カ所でありまして、私どもは早急にヨーロッパあるいは東南アジア等にも開設する必要があろうかと考えているような次第でございます。なお、宣伝用のパンフレット類等でありますが、これは大体百万部くらい出しておりますが、これもとうてい足りないような数字でございまして、最近ブラッセルで国際博覧会をやっているわけでございますが、これあたりからももっとたくさん送ってもらわないと、実は三十万人から四十万人くらい一日に入るのですぐなくなってしまう、もっとうんとふやしてくれというような要望もございます。しかし遺憾ながらこれもできないというような状況でございます。一般的に申しますと、日本に対する外国の関心というものは非常に高まっている状況でございますが、この機会でございますので、われわれとしましてはさらに宣伝を強化いたしたい、かように考えている次第でございます。  次に、観光関係で私どもの特に力を入れておりますのは、受け入れ態勢の問題、特に宿泊設備の問題でございますが、これが実は非常に足りないのでございまして、遺憾ながらピーク時、特に観光シーズンにおきましては、外客の御希望がありましてもお断わり申し上げざるを得ないというような状況になっております。これは早急に私どもとしましては整備する必要があろうかというふうに考えておるわけでございます。三十二年に政府登録いたしておりますホテル、旅館で収得しました外貨の収入は約五十六億円でございまして、観光収入の大体四分の一程度がホテル、旅館の収入になっておるわけでございます。御承知のように国際観光ホテル整備法というのがございまして、政府登録いたしましたホテル、旅館につきましては、償却について特別な措置を講ずるとか、あるいは固定資産税を軽減するとか、あるいは利用される外客に対する遊興飲食税の非課税、外客用品の一部輸入外貨の割当、こういった助成措置を講じておるのでございますが、日本のホテル、旅館はまだ数が足りない上に高いというような声をしばしば耳にいたすわけでございます。この点につきましては、今後一そうの助成が必要であろうかと考えているのでございまして、今実は一番問題になっておりますことは建設のための資金でございます。これにつきましては戦前昭和五年から昭和十年の間、当時の国際観光局ができました直後におきましては、当時の預金資金が貸し付けられておるのでございまして、利率は当時で三分四厘でございました。現在は日本開発銀行の融資ということを、政府関係の金融機関からは主として考えておるのでございますが、この日本開発銀行の融資は昭和三十二年度実績で約五億弱でございます。弱と申しますことは、実はまだ最終的にこまかい点まで決定いたしておりませんので申し上げるのでございますが、三軒のホテルに対しまして約五億弱でございます。そのうち三億五千万円が帝国ホテルの増築になっておりますが、そういった状況でございまするし、利率も九分というようなものでございまして、こういった点につきまして、私どもはもっと改善して参る必要があろうかと考えておる次第でございます。  実は一九六四年のオリンピックを招致することに日本として態度がきまったのでございますが、私、実は最近ローマに参りました。ローマは一九六〇年にオリンピックを迎えるのでございますが、やはり非常に問題にいたしておりますのは、自動車関係の陸上のトランスポーテーションの問題と、ホテルその他宿泊設備の問題でございまして、向うはもちろん日本であります場合よりは、場所柄でございますから人間の数はもっとたくさんの者が参ることは当然でございますが、しかし反面非常に条件はよろしいのでございます。それでもなおかつこういう二つの問題が非常に隘路であるということで委員会を設けまして、非常に積極的にいろいろやっておるのでございます。お話し申し上げますと長くなるのでございますが、日本におきましてはオリンピックを招致いたすことになりましても、先ごろのアジア・オリンピック大会でもいろいろ問題があったようでございますが、私留守中でございましたが、パーキングの問題、あるいは自動車の運輸の問題、それから宿泊の設備の問題、これが非常に大きな問題になろうかと考えておるのでございまして、こういった点からも——オリンピックだけではございません。今後増加いたして参ります外客に対しまして、急速に準備をいたして参らなければならぬというふうに考えておるような次第でございます。  それから次に、今年度から、実は先ごろの予算審議で御審議願いましたが、ユース・ホステルというものに対しまして政府が補助金を出すことにいたしました。本年度は私どもの方の所管では、四千万円の補助金を出すことになっております。これは最近非常に増加しております海外からの青少年の層、それから国内の青少年、勤労者の宿泊設備といたしまして、一泊百円、食事をつけまして三百五十円から四百円、大体ヨーロッパの各地でも一ドルくらいをねらいにいたしておるようでございますが、これを作ることにいたしておりまして、地方公共団体が作りまして、これに対する補助金を原則的には二分の一、富裕都道府県に対しましては三分の一というようなことで建設いたすことにいたしておりまして、目下これの建設場所等につきまして、地方公共団体と協議をいたしておる次第でございます。  それから、いろいろ問題がございますが、一、二点申し上げますと、実は査証の問題を私どもは非常に大きな問題にいたしております。実は相互主義によりまして、先方が査証を省略すればこれに対して日本も省略する。ヨーロッパが主でありますが今十三カ国査証免除をやっております。相手方も、日本が行く場合には免除になっておるわけであります。この問題で外客の半分以上を占めておりますアメリカが免除になりませんので、従ってこちらも免除にいたしておらないのでヴィザが要ることになっております。これは日本の観光事業の促進、外客の誘致には一つの障害になっておるということでございまして、特にアメリカ、カナダにつきましては、われわれといたしましては、一方的にでも査証の免除を行うように努力をいたしておるような次第であります。通関等につきましては最近非常によくなりまして、航空機につきましては、在来は一々書面で申告していただいておりましたのを、口頭申告にするというようなことでございますが、航空機以外の客はまだ書面申告をするといったようなこともございますので、まだまだ改善の余地があろうかと考えております。このほか私どもの方の仕事で、旅行のエージェントであります旅行あっせん業の指導監督、それから通訳案内、いわゆるガイドでございますが、そういったものの国家試験並びにこれの素質の向上というようなこと、それからまたもぐりがありましたりいろいろしますが、こういうものの指導育成の仕事を担当いたしておる次第でございます。  いずれにいたしましても、観光局の仕事はほかの省にいろいろまたがっているものが多いのでございまして、特に道路の問題が日本の観光における非常に大きな障害になっておることは、もうすでに御承知の通りであります。こういった他の省の所管事項につきましては、私どもの方から観光的見地からいろいろ御意見を申し上げ御相談を申し上げて、受け入れ態勢を少しでもよくするというようなことに努力しているような次第でございます。  大へん簡単でございました。
  24. 塚原俊郎

    塚原委員長 最後に航空局所管に移ります。林航空局長
  25. 林坦

    ○林説明員 航空局の所管事項について、簡単に御説明申し上げます。  航空局におきましては、航空に関する政策的な面、それはいわゆる監督行政の面と国際的ないろいろな会議あるいは条約との関係業務、それからその大部分は技術的な保安行政に関係した業務、この両面をもってやっておる次第であります。  最初に、監督行政的な面であります事業関係について御説明申し上げます。わが国の民間航空事業の主軸をなしておりますのは、御承知のごとく日本航空株式会社でございます。同名の会社は昭和二十六年八月一日に設立されたものでありますが、昭和二十八年に日本航空株式会社法というのが国会で成立いたしまして、自来それに基きましてこの日本航空株式会社というものが新会社として発足したわけであります。現在におきましては資本の総額七十一億六千六百万円、そのうち政府の出資が五十億、民間が二十一億六千六百万円、こういう資本構成になっております。かつまたその就航いたしております飛行機につきましては、現在ダグラスDC4というのが国内線に従事いたしております。これが十機。ダグラスDC6Bというのが五機ございまして、国際線に就航いたしております。さらに昨年の暮れから入手いたしましたダグラスDC7Cという、現在においては新鋭の飛行機を四機獲得いたしまして、これは現在主としてアメリカとの間の国際線に運航いたしておる状態でございます。計十九機の飛行機をもって運航いたしておる次第でございます。国内線は、日本航空株式会社は東京—札幌、あるいは東京—大阪、あるいは東京—大阪—福岡といったような、いわゆる幹線ルートを運航いたしております。国際線といたしましては、東京からホノルル、サンフランシスコの間を毎日一便、週七往復運航いたすようになっております。また東京から香港、バンコックまで延びておりました路線を、先般シンガポールに延長いたしました。これは週三往復運航いたしております。その他那覇、香港に至りまする路線、また福岡から那覇に行きます路線、こういったものをそれぞれ運航いたしておる状態でございます。  最近の旅客の利用状況について御説明申し上げますと、だんだん航空に対する一般の認識も深まって参りまして、世界をあげて航空の輸送が非常に伸びて参っております時代でございますので、日航も大体それと歩調を一にして伸びて参っております。ただ昨年度の下期あたりから、米国を中心とする世界的な不況の影響を受けたりいたしまして、若干その伸び率が鈍化しておるようではございますが、まずまず現在のところでは、ともかくも国際線においては三十二年度平均が六六・四六%、国内線が七三・六五%というふうに伸びて参っておる状態であります。  その収支の状況につきまして申し上げますと、最初設立されましてから昭和二十九年度くらいまでは、非常な赤字を計上いたしました。十二億以上、十三億あるいは十四億といったような損失を一時は見たのでありましたが、大体昭和三十年度あたりから黒字に転換して参りまして、昭和三十二年度におきましては、総収入は八十八億一千三百万円、総経費が八十二億一千二百万円、差引六億百万円の純利益を計上いたしました。これによりまして、従来の欠損金を大体カバ一いたしまして、少額ではございますが、三千九百万円の利益剰余金を計上することができたわけでございます。  会社といたしましては、長期借入金を約四十七億九千万円、さらに社債が二十五億円程度になっております。長期のものの中には、市中銀行協調融資によっておりますものが約十七億、それからアメリカの輸出銀行から借りておりますものが約二十九億五千八百万円、こういったものがございまして、それはその後支払いが行われますについて多少上って参りまして、三十五、六億円になるだろうと思っておりますが、そういうものがございますこの米国輸出銀行から借りております借款につきましては、日本開発銀行が保証しております。また市中銀行から借りておりますものにつきましては、政府の保証がついておるわけでございます。  本年度三十三年度といたしましては、実は日本航空といたしましては、相当試練の年ではないかと考えております。御承知のごとく、国内の景気もまだ立ち直っておりませんし、また国際的な不況も相当影響がございまして、国際旅客増加がだいぶ鈍化しておる状況でもございます。また新しくDC7Cの新鋭機を四機入れております関係上、これらの経費が、相当まだ未知と申しますか、経費の増加が若干まだ期待されるという見地から、必ずしもこれをもって従来と同じ勢いで伸びていくかどうかということについては、われわれとしては多少心配しながら見守っておる状態でございます。政府といたしましては、本年度の金としまして政府出資を五億先般国会で認めていただきまして、また政府保証の社債関係も五億認めていただいておるわけであります。しかしながら、返済予定でございました十七億の市中の借入金は、やはり二年ほど延期することはやむを得ない状態になっております。ただ日本航空を主軸としておりますわが国の国際航空も決して消極的にのみ堕すべきではないというのでございまして、世界の各国の航空事業がだんだん伸びて参ります線に沿いまして、実は昨年の八月に航空審議会におきまして、国際航空運事業の将来の目標規模及びその達成方策についての答申を得まして、第一に太平洋を拡充強化する、また東南アジアの路網がシンガポールまで延びておりますが、これを南回りのヨーロッパ路線を早期に開けるように努力する、また北極経由の欧州路線も各国に立ちおくれないようにやるというようなこと、また将来は世界一周というような線をも理想として、目標として進むべきであるというような答申を得まして、そういう線に沿うてわれわれとしては今後努力していきたいと思っております。しかしながら、このためには資本的にも現在の七十億といったようなものでは、世界的のレベルから申しましても、ほかは二百億、四百億あるいは六百億、それ以上の資本を持っておる世界の各社に伍していきますためには、さらに相当大規模なるこの点についての補強が必要である、かように考えております。  国内のローカルの航空事業につきましては、実は日ペリ航空というのと極東航空というのが両建で進んで参っております。しかしながら、この両社におきましての従来の経営状態を見ますと、両社が狭い範囲を分けて持っております関係もあって、なかなかその合理化が進み得なかったのであります。政府におきましてもぜひこの両社を合一しまして、統一的にローカルの航空輸送を強めていきたい、こういう目標のもとに両社の合併を策したのでありますが、ようやくこれが約二年有余を経まして、本年の二月十日を合併期日として正式に発足いたしました。それによりまして、現在日航がやっております幹線以外の点につきまして、諸点間を結ぶ全日本空輸株式会社は、現在わが国においてローカル路線としては中心的な航空会社となっておるわけでございます。合併によりまして諸経費が節減され、また路線の調整、機材、乗員、整備員等の総合運用が比較的円滑に進んで参っております。全体としまして営業成績はだんだん好転いたして参っております。当初五、六千万円以上の損失を予想されておりました先般の決算におきましても、大体純損失一千万円余という程度向上を見せて参っております。しかしながら、従来の赤字が相当ございまして、これらを合せてほんとうに採算ベースに乗せて参りますためには、今後相当の努力、また政府指導、援助が必要であると考えております。  この際付帯して申し上げておきたいことは、航空事業はまだ初期的な産業でございますが、特にローカル航空のごときは非常に初期的なものであると考えておりますが、これには運賃に対する通行税といったようなものが相当強く圧力としてかかっておりまして、なかなか採算ベースに乗る運賃をとっていくことに困難がございます。これらにつきましてはまた機会を改めましていろいろ御説明を申し上げることにいたしたいと思っております。  その他航空局としてやっております仕事の中には、国際的な路線の開拓の問題が現在問題になっております。米国との間におきましても、現在サンフランシスコ、シアトル、ホノルルの三点しかもらっておりませんので、ロスアンゼルスをさらに点として加えたいというので、現在米国との間に折衝を続けておるのでございます。また先般ソ連の方からも、日本に乗り入れをするために航空協定の交渉をいたしたいという申し出がございました。これに対しましてもわが国といたしましては、将来の長期的な問題も考慮いたしまして東京・モスクワという線を示しまして、回答を先般出されたような状態でございます。  また国際民間航空のためには、国連のもとに七十数カ国による、ICAOとわれわれ呼んでおりますが、国際民間航空機関というものがございます。これに昭和二十八年にわが国は加入いたしました。三十一年に理事国に選ばれ、本年の総会におきましては日本の代表が議長になったというようなところまで、世界においてわが国の航空の発展を認めておる状況でございます。ただ将来の問題といたしまして、われわれが最も意を用いなければならないと思いますことは、乗員の問題と飛行場の問題があるのでございます。  乗員の点につきましては、本年度から、宮崎県にございます国立の航空大学校の養成規模を、年間十人の本科生から三十人にこれをふやすという線に沿うて、設備の拡充、また人員増加等を認めていただいておるわけでございます。これによりまして、不十分ではございますけれども、何とか乗員の養成に力を加えていきたいと考えております。  空港の問題は、われわれとしては非常にいろいろの問題を持っておる状況でございまして、現在八十三ほど全国的に飛行場がございます。米軍に提供中のものが約十八カ所、運輸省が民間航空専用のために管理しております十七カ所、防衛庁所管の十九カ所、その他のものがございます。これらにつきましてもわれわれは、それぞれについてこれが民間航空のために使い得るようにいろいろと努力していきたいと思っております。特にここ二年ないし三年後に参りますジェットの大型旅客機が国際線に就航いたします時代を控えて、東京の国際空港の整備には、われわれとして最も心を砕いておるところでございます。すでに測量等も大体終ったのでありますが、現在あすこに工事をいたします関係上埋め立てをしなければならない。埋め立てのために実は予算等もとれておるのでありますが、いろいろ地元の漁民の方々との話し合いがまだ円滑に進んでおらない関係上、われわれとしてはできるだけこれを促進いたしまして、一日も早く東京の国際空港を世界的な水準に持っていき、東京の地理的に非常に重要な、世界航空路における重要性を生かしていかなければならないと考えております。これとあわせまして、大阪の空港につきましては、先般米軍より返還を受けたのでありまして、現在航空局において運営をいたしております。ただ大阪空港は現在のところ設備等においてまだはなはだ不十分な点がございますので、これらを将来国際的な航空事業にも使い得るごとく整備していきたいというので、本年度はとりあえず予算五千万円をつけていただいて、基本的な調査、測量、その他のことを続けていきたいと考えております。その他地方のローカル空港も、三十一年度に一億、三十二年度に二億というように、だんだん公共事業によりまして整備を始めたのでありますが、本年度はローカル空港のために三億七千三百万円をつけていただきまして、従来昨年までやっておりました十空港の整備を続けるほかに、北海道の女満別、八丈、種子、屋久の島々の空港の整備をやるように、現在計画が進んでおります。  われわれはこれらの空港の問題のほかに、まだ一番問題となる点として、航空交通管制の問題がございます。これはわが国におきましては、実は航空交通管制に関する取りきめによって、在日の米軍に委任して現在行われておるものでございますが、これでは実はわれわれの航空の自主化の面から申しましても不適当でありますので、一日も早くこの要員を養成しまして、航空局の手によりまして一元的に航空交通管制を行うべきであるという点から、目下逐次にこれを移管を受けつつある状況でございまして、大体人間用にございます、センターと呼んでおります航空交通管制の管制局を、来年七月には航空局の方に移管を受けるべく、目下いろいろと努力を続けておる状況でございます。これは将来だんだん航空機のスピード化という問題から、航空交通管制の重要性というものはますます大きくなって参ります。米国におきましても先般来、軍用機と民間機が衝突をするといったような事故が相当起りまして、この航空交通管制の問題が非常にクローズ・アップして参っておりますが、わが国においてもそういった事故が起らないために、われわれとしては最善の努力を進めていかなければならないと考えておる次第であります。  大体この程度にいたします。
  26. 塚原俊郎

    塚原委員長 以上をもちまして陸運関係所管事項説明聴取を終ります。
  27. 井岡大治

    井岡委員 資料要求を一つ国鉄の金沢局における敦賀の予算の乱費の問題があるわけです。この問題についての資料をお願いしたい。
  28. 塚原俊郎

    塚原委員長 わかりました。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時九分散会