○林
説明員 航空局の
所管事項について、簡単に御
説明申し上げます。
航空局におきましては、航空に関する政策的な面、それはいわゆる
監督行政の面と国際的ないろいろな
会議あるいは条約との
関係業務、それからその大部分は技術的な保安行政に
関係した業務、この両面をもってやっておる次第であります。
最初に、
監督行政的な面であります
事業関係について御
説明申し上げます。わが国の民間航空
事業の主軸をなしておりますのは、御承知のごとく日本航空株式会社でございます。同名の会社は
昭和二十六年八月一日に設立されたものでありますが、
昭和二十八年に日本航空株式会社法というのが
国会で成立いたしまして、自来それに基きましてこの日本航空株式会社というものが新会社として発足したわけであります。現在におきましては資本の総額七十一億六千六百万円、そのうち
政府の出資が五十億、民間が二十一億六千六百万円、こういう資本構成になっております。かつまたその就航いたしております飛行機につきましては、現在ダグラスDC4というのが国内線に従事いたしております。これが十機。ダグラスDC6Bというのが五機ございまして、国際線に就航いたしております。さらに昨年の暮れから入手いたしましたダグラスDC7Cという、現在においては新鋭の飛行機を四機獲得いたしまして、これは現在主としてアメリカとの間の国際線に運航いたしておる
状態でございます。計十九機の飛行機をもって運航いたしておる次第でございます。国内線は、日本航空株式会社は東京—札幌、あるいは東京—大阪、あるいは東京—大阪—福岡といったような、いわゆる幹線ルートを運航いたしております。国際線といたしましては、東京からホノルル、サンフランシスコの間を毎日一便、週七往復運航いたすようになっております。また東京から香港、バンコックまで延びておりました
路線を、先般シンガポールに延長いたしました。これは週三往復運航いたしております。その他那覇、香港に至りまする
路線、また福岡から那覇に行きます
路線、こういったものをそれぞれ運航いたしておる
状態でございます。
最近の
旅客の利用
状況について御
説明申し上げますと、だんだん航空に対する
一般の認識も深まって参りまして、世界をあげて航空の
輸送が非常に伸びて参っております時代でございますので、日航も大体それと歩調を一にして伸びて参っております。ただ昨
年度の下期あたりから、米国を中心とする世界的な不況の影響を受けたりいたしまして、若干その伸び率が鈍化しておるようではございますが、まずまず現在のところでは、ともかくも国際線においては三十二
年度平均が六六・四六%、国内線が七三・六五%というふうに伸びて参っておる
状態であります。
その収支の
状況につきまして申し上げますと、最初設立されましてから
昭和二十九
年度くらいまでは、非常な赤字を計上いたしました。十二億以上、十三億あるいは十四億といったような損失を一時は見たのでありましたが、大体
昭和三十
年度あたりから黒字に転換して参りまして、
昭和三十二
年度におきましては、総
収入は八十八億一千三百万円、総経費が八十二億一千二百万円、差引六億百万円の純利益を計上いたしました。これによりまして、従来の欠損金を大体カバ一いたしまして、少額ではございますが、三千九百万円の利益剰余金を計上することができたわけでございます。
会社といたしましては、長期借入金を約四十七億九千万円、さらに
社債が二十五億円
程度になっております。長期のものの中には、市中
銀行の
協調融資によっておりますものが約十七億、それからアメリカの
輸出入
銀行から借りておりますものが約二十九億五千八百万円、こういったものがございまして、それはその後支払いが行われますについて多少上って参りまして、三十五、六億円になるだろうと思っておりますが、そういうものがございますこの米国
輸出入
銀行から借りております借款につきましては、日本開発
銀行が保証しております。また市中
銀行から借りておりますものにつきましては、
政府の保証がついておるわけでございます。
本
年度三十三
年度といたしましては、実は日本航空といたしましては、相当試練の年ではないかと考えております。御承知のごとく、国内の景気もまだ立ち直っておりませんし、また国際的な不況も相当影響がございまして、国際
旅客の
増加がだいぶ鈍化しておる
状況でもございます。また新しくDC7Cの新鋭機を四機入れております
関係上、これらの経費が、相当まだ未知と申しますか、経費の
増加が若干まだ期待されるという見地から、必ずしもこれをもって従来と同じ勢いで伸びていくかどうかということについては、われわれとしては多少心配しながら見守っておる
状態でございます。
政府といたしましては、本
年度の金としまして
政府出資を五億先般
国会で認めていただきまして、また
政府保証の
社債関係も五億認めていただいておるわけであります。しかしながら、返済予定でございました十七億の市中の借入金は、やはり二年ほど延期することはやむを得ない
状態になっております。ただ日本航空を主軸としておりますわが国の国際航空も決して消極的にのみ堕すべきではないというのでございまして、世界の各国の航空
事業がだんだん伸びて参ります線に沿いまして、実は昨年の八月に航空審議会におきまして、国際航
空運送
事業の将来の目標規模及びその達成方策についての答申を得まして、第一に太平洋を拡充強化する、また
東南アジアの路網がシンガポールまで延びておりますが、これを南回りのヨーロッパ
路線を早期に開けるように
努力する、また北極経由の欧州
路線も各国に立ちおくれないようにやるというようなこと、また将来は世界一周というような線をも理想として、目標として進むべきであるというような答申を得まして、そういう線に沿うてわれわれとしては今後
努力していきたいと思っております。しかしながら、このためには資本的にも現在の七十億といったようなものでは、世界的のレベルから申しましても、ほかは二百億、四百億あるいは六百億、それ以上の資本を持っておる世界の各社に伍していきますためには、さらに相当大規模なるこの点についての補強が必要である、かように考えております。
国内のローカルの航空
事業につきましては、実は日ペリ航空というのと極東航空というのが両建で進んで参っております。しかしながら、この両社におきましての従来の
経営状態を見ますと、両社が狭い範囲を分けて持っております
関係もあって、なかなかその
合理化が進み得なかったのであります。
政府におきましてもぜひこの両社を合一しまして、統一的にローカルの航空
輸送を強めていきたい、こういう目標のもとに両社の合併を策したのでありますが、ようやくこれが約二年有余を経まして、本年の二月十日を合併期日として正式に発足いたしました。それによりまして、現在日航がやっております幹線以外の点につきまして、諸点間を結ぶ全日本空輸株式会社は、現在わが国においてローカル
路線としては中心的な航空会社となっておるわけでございます。合併によりまして諸経費が節減され、また
路線の調整、機材、乗員、
整備員等の総合運用が比較的円滑に進んで参っております。全体としまして
営業成績はだんだん好転いたして参っております。当初五、六千万円以上の損失を予想されておりました先般の決算におきましても、大体純損失一千万円余という
程度に
向上を見せて参っております。しかしながら、従来の赤字が相当ございまして、これらを合せて
ほんとうに採算ベースに乗せて参りますためには、今後相当の
努力、また
政府の
指導、援助が必要であると考えております。
この際付帯して申し上げておきたいことは、航空
事業はまだ初期的な産業でございますが、特にローカル航空のごときは非常に初期的なものであると考えておりますが、これには運賃に対する通行税といったようなものが相当強く圧力としてかかっておりまして、なかなか採算ベースに乗る運賃をとっていくことに困難がございます。これらにつきましてはまた機会を改めましていろいろ御
説明を申し上げることにいたしたいと思っております。
その他航空局としてやっております
仕事の中には、国際的な
路線の開拓の問題が現在問題になっております。米国との間におきましても、現在サンフランシスコ、シアトル、ホノルルの三点しかもらっておりませんので、ロスアンゼルスをさらに点として加えたいというので、現在米国との間に折衝を続けておるのでございます。また先般ソ連の方からも、日本に乗り入れをするために航空協定の交渉をいたしたいという申し出がございました。これに対しましてもわが国といたしましては、将来の長期的な問題も考慮いたしまして東京・モスクワという線を示しまして、回答を先般出されたような
状態でございます。
また国際民間航空のためには、国連のもとに七十数カ国による、ICAOとわれわれ呼んでおりますが、国際民間航空機関というものがございます。これに
昭和二十八年にわが国は加入いたしました。三十一年に
理事国に選ばれ、本年の総会におきましては日本の代表が議長になったというようなところまで、世界においてわが国の航空の
発展を認めておる
状況でございます。ただ将来の問題といたしまして、われわれが最も意を用いなければならないと思いますことは、乗員の問題と飛行場の問題があるのでございます。
乗員の点につきましては、本
年度から、宮崎県にございます国立の航空大学校の養成規模を、
年間十人の本科生から三十人にこれをふやすという線に沿うて、設備の拡充、また
人員の
増加等を認めていただいておるわけでございます。これによりまして、不十分ではございますけれ
ども、何とか乗員の養成に力を加えていきたいと考えております。
空港の問題は、われわれとしては非常にいろいろの問題を持っておる
状況でございまして、現在八十三ほど
全国的に飛行場がございます。米軍に提供中のものが約十八カ所、
運輸省が民間航空専用のために管理しております十七カ所、防衛庁
所管の十九カ所、その他のものがございます。これらにつきましてもわれわれは、それぞれについてこれが民間航空のために使い得るようにいろいろと
努力していきたいと思っております。特にここ二年ないし三年後に参りますジェットの大型
旅客機が国際線に就航いたします時代を控えて、東京の国際空港の
整備には、われわれとして最も心を砕いておるところでございます。すでに測量等も大体終ったのでありますが、現在あすこに
工事をいたします
関係上埋め立てをしなければならない。埋め立てのために実は
予算等もとれておるのでありますが、いろいろ地元の漁民の方々との話し合いがまだ円滑に進んでおらない
関係上、われわれとしてはできるだけこれを促進いたしまして、一日も早く東京の国際空港を世界的な水準に持っていき、東京の地理的に非常に重要な、世界航空路における重要性を生かしていかなければならないと考えております。これとあわせまして、大阪の空港につきましては、先般米軍より返還を受けたのでありまして、現在航空局において運営をいたしております。ただ大阪空港は現在のところ設備等においてまだはなはだ不十分な点がございますので、これらを将来国際的な航空
事業にも使い得るごとく
整備していきたいというので、本
年度はとりあえず
予算五千万円をつけていただいて、基本的な
調査、測量、その他のことを続けていきたいと考えております。その他
地方のローカル空港も、三十一
年度に一億、三十二
年度に二億というように、だんだん公共
事業によりまして
整備を始めたのでありますが、本
年度はローカル空港のために三億七千三百万円をつけていただきまして、従来昨年までやっておりました十空港の
整備を続けるほかに、北海道の女満別、八丈、種子、屋久の島々の空港の
整備をやるように、現在計画が進んでおります。
われわれはこれらの空港の問題のほかに、まだ一番問題となる点として、航空交通管制の問題がございます。これはわが国におきましては、実は航空交通管制に関する取りきめによって、在日の米軍に委任して現在行われておるものでございますが、これでは実はわれわれの航空の自主化の面から申しましても不適当でありますので、一日も早くこの要員を養成しまして、航空局の手によりまして一元的に航空交通管制を行うべきであるという点から、目下逐次にこれを移管を受けつつある
状況でございまして、大体人間用にございます、センターと呼んでおります航空交通管制の管制局を、来年七月には航空局の方に移管を受けるべく、目下いろいろと
努力を続けておる
状況でございます。これは将来だんだん航空機のスピード化という問題から、航空交通管制の重要性というものはますます大きくなって参ります。米国におきましても先般来、軍用機と民間機が衝突をするといったような
事故が相当起りまして、この航空交通管制の問題が非常にクローズ・アップして参っておりますが、わが国においてもそういった
事故が起らないために、われわれとしては最善の
努力を進めていかなければならないと考えておる次第であります。
大体この
程度にいたします。