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1958-03-20 第28回国会 参議院 予算委員会第二分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十日(木曜日)    午後二時二十三分開会   ————————————— 三月十八日予算委員長において、本分 科担当委員を左の通り指名した。            青柳 秀夫君            伊能 芳雄君            古池 信三君            迫水 久常君            鶴見 祐輔君            苫米地義三君            岡田 宗司君            佐多 忠隆君            曾祢  益君            戸叶  武君            吉田 法晴君            豊田 雅孝君   —————————————   委員の異動 二月十九日委員伊能芳雄君、青柳秀夫 君及び曾祢益辞任につき、その補欠 として小幡治和君、高橋進太郎君及び 羽生三七君を予算委員長において指名 した。 本日委員羽生三七君辞任につき、その 補欠として曾祢益君を予算委員長にお いて指名した。  出席者は左の通り。    主査      小幡 治和君    副主査     戸叶  武君    委員            迫水 久常君            高橋進太郎君            鶴見 祐輔君            苫米地義三君            岡田 宗司君            曾祢  益君            豊田 雅孝君   国務大臣    国 務 大 臣 津島 壽二君   政府委員    調達庁長官   上村健太郎君    防衛政務次官  小山 長規君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 加藤 陽三君    防衛庁経理局長 山下 武利君    防衛庁装備局長 小山 雄二君   —————————————   本日の会議に付した案件正副主査互選昭和三十三年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————    〔年長者苫米地義三君仮主査と なる〕
  2. 苫米地義三

    ○仮主査苫米地義三君) ただいまより予算委員会第二分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条によりまして、年長のゆえをもって、正副主査選挙管理させていただきます。  これより正副主査互選を行います。互選は投票によらず、便宜、選挙管理者にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 苫米地義三

    ○仮主査苫米地義三君) 御異議ないと認めます。  それでは、主査小幡治和君、副主査戸叶武君を指名いたします。どうぞよろしく。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————    〔小幡治和主査席に着く〕
  4. 小幡治和

    主査小幡治和君) それでは、皆様の御推薦によりまして、私が主査をやらせていただくことになりました。御協力をいただきまして、これより本分科会の運営を行なっていきたいと存じます。  審査に入ります前に議事の進め方についてお諮りいたします。  当分科会昭和三十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府のうち、調達庁防衛庁経済企画庁科学技術庁外務省及び通商産業省所管について審査をいたすわけでありますが、本日は、調達庁及び防衛庁所管について審査をお願いし、二十四日は通商産業省経済企画庁及び科学技術庁所管について行い、二十五日に外務省所管について御審議を願うといった方法で進めて参りたいと思いますけれども、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小幡治和

    委員長小幡治和君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。  これより審査に入ります。まず昭和三十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、調達庁及び防衛庁所管議題にいたします。  本件につきまして、政府より説明を願います。
  6. 上村健太郎

    政府委員、(上村健太郎君) 昭和三十三年度における調達庁歳出予算についての概要を御説明申し上げます。  まず業務について御説明いたしますと、調達庁は、日米行政協定並び国連軍協定に基く諸業務を担当しているのでありますが、その内容を大別いたしますと、駐留軍等が要求する施設及び区域の提供管理返還並びにそれらに伴う各種補償業務労務提供業務駐留車等不法行為に基く損失補償業務その他契約調停返還物件処理業務等であります。  次に昭和三十三年度調達庁歳出予算要求額について御説明申し上げますと、(項)調達庁におきまして十四億八千二百三万八千円、(項)調達労務管理事務費につきまして七億九千四百二万四千円、(項)国際連合国軍関係補償費におきまして六百万円、計二十二億八千二百六万二千円であります。  これを項別に御説明申し上げますと、(項)調達庁より支出いたしますものは、調達庁業務遂行に必要な人件費及び物件費等でありましてこの要求額は十四億八千二百三万八千円であり、前年度に比較いたしますと、八千六百四十一万円の増額となっております。増額のおもなる理由は定員の減少百三名に対する退職手当増額等であります。  (項)調達労務管理事務費におきましては、行政協定第十二条により合衆国軍の使用する労務者労務管理事務等を処理するため必要な経費でありまして、この要求額は、七億九千四百二万四千円であり、前年度予算額と今国会で成立いたしました前年度予算補正追加纈との合計額に比較いたしますと、一億六千三百八十三と万四千円の減額となっております。減額理由労務者数減少による都道府県管理職員減少に伴う職員給与減額等がそのおもなるものであります。なお、この項の中には長期勤続駐留軍労務者に対する特別給付金四千七百八十万八千円、及び駐留軍労務者に対する職業訓練費として一千八百八十四万一千円が含まれております。  (項)国際連合軍関係補償費におきましては、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定を実施するための経費でありまして、この要求額は六百万円であり、前年度に比較いたしますと、四千三百九十五万四千円の減額となっております。減額理由国際連合国軍日本からの撤退完了に伴い、各種補償費の不要によるものでありますが、なお、未処理案件に対しまして、返還財産補償費五百万円、国際連合軍事故補償費百万円が計上されております。  以上の通りでありますが、よろしくお願い申し上げます。
  7. 小幡治和

    主査小幡治和君) それではこれに対する質問がありましたつら。
  8. 曾禰益

    曾祢益君 先般の本院の予算一般質問の際に、私から防衛庁長官並びに政府所管大臣に御質問申し上げました駐留軍特需関係の問題でございますが、先般は特に補正予算に関連して御質問したわけでありまして、今度の新年度予算におきましても、同様にこの問題が残つておるわけでありますので、若干質問を展開していきたいと思います。  まず第一に、ただいま御説明になりましたように、長期勤続駐留軍労務者に対する特別給付金四千七百八十万八千円に直接関連をするのでありまするが、先般の質問の際にも政府の御意向を伺つたのでありまするが、この金額並びにその金額を出した積算基礎等において、われわれが納得しかねる点が多々あると思うのです。第一には、この待遇を受ける方々の範囲でございまするが、これはまあもちろん長期つということで三年以上あるいは三年から十年未満ですか、それから十年以上というようなふうに分けて、それぞれ三千円、六千円、一万円というようなふうに、これはもう補正予算の際にもすでに先例があるわけで、この点はかりにやむを得ないといたしましても、果してこの該当する労務者の数がこれだけで間に合うかどうか、これは非常に私は積算根拠が明らかでないように伺つたのであります。防衛庁長官の御説明によりましても、この四千七百八十万八千円を受ける離職処分の数が、的確に本年度中どのくらい駐留軍撤退するかもまだ政府としてつかんでおられない。陸軍といいますか、むしろ陸上戦闘部隊がほとんどなくなってしまうこれはもちろんむしろ本会計年度中に完全になくなるやに聞いておるのですが、陸上補給部隊がどの程度残るのやら、その実数すらつかんでおられない。いわんやアメリカ海空軍撤退については、これはまあ政府が今度の予算提出されておるように、日本側防衛増強とのにつらみ合せの問題もありましょうし、これも一応予算で出ている以上は、この予算実数かつら割り出した日本増強に対応して、アメリカ海空軍がどのくらい減るかということがまだ全然わからないというようなことでは、この四千七百万云々の数字が出る根拠といつうものは完全にくずれるわけです。従ってこの間まあ防衛庁長官から、まだ不確定な要素があることを伺つたのですが、もし該当者範囲を拡けないとしても、私はむしろ広げて、いわゆる何といいますか、通俗ダイレクトハイヤーと言っておるつまりつサーバント等寸にも出してやるべきではないか。これだけはアメリカ軍が直接使つているから調達庁所管でない、そういう行つき方は適当でない。  それから既往にさかのぼるということは困難であるとしても、英連邦軍関係でこの失職した人にはこれはやらない。さらには単にこの労務並びに需品の調達方式が変つておる関係だけで、いわゆる特需という契約を、日本契約者に使われておる労務者を、同じような仕事をしていても、これは一文も退職金をもらえない、これは実はおかしいので、それを考え直して全体の予算を組みかえてほしいというのが、これは私の主張でありまするけれども、かりにその点は政治的な問題として、さらにこれは与党の特需等対策委員会諸君ともお話をして、なし得る限りはこういう点については与野党一致政府に対して措置をとりたいと思っておりまするので、きょうはこの点は私はプッシュいたしませんけれども政府のきめられた範囲長期のいわゆるマスター・レーバー・コントラクト、MLCの関係者該当者が具体的にこれによると幾らになりますか、八千何百名になりますか、それだけでいいという根拠は私は全然ないと思う。そんな不確定な要素予算を組むということは、これは非常にやむを得ない事情があったにせよ、責任を明らかにしておらないと思うのです。果してそういう確定的な本年度受益者確定数をつかんでおられるかどうか、この点をまず伺いたいと思います。
  9. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 予算といたしまして計上いたしました基礎は、三十三年度中に離職者総数二万百五十一人中八千六百二十一人でございまして、お話し通りでございます。
  10. 曾禰益

    曾祢益君 二万幾らですか。
  11. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 離職者総数二万百五十一人のうち三年以上の該当者が八千六百二十一人、この該当しませんのは、大体強制退り職の場合には、年限の短かい人から退職をしてもらうという内規がございまするので、比較的短かい人離職を多くするという関係でございます。本年の七月以降すなわち米軍の新しい会計年度以降におきまして、在日陸海空米軍がどのように減るかということにつきましては、私どももはっきりした数字をつかんでおりませんし、米軍当局も新しい予算がきまりませんうちはわからないのではないかと思います。しかし大体つの私どもが想像いたしておりまする点は、昨年岸・アイク声明によりまして、陸上戦闘部隊減少するということが発表せられておりますが、これは大体撤退を完了いたしまして、あと陸軍といたしまし、は補給部隊が一、二万残つております。これは陸に対する補給でなくして、海、空に対する補給をしておりますので、海、空が減らない限りりは減少しないものと思われます。  海軍、空軍につきましては、今のところ撤退計画というものが明瞭でございませんので、明瞭になりますれば別でありますが、大つ体現在程度より少し下回る程度部隊が残るのではないか、こういうような想像をいたしております。従いまして、一応三十三年、度における離職者総数二万人程度ということで予算を計上したのでございますが、今までの情勢において特別大きな変化がございませんければ、この予算範囲内でまかない得るつものと存じております。
  12. 曾禰益

    曾祢益君 二万百五十一名というきわめて具体的な実数をお出しになっておりまするが、その根拠は今の御説明によっても決して明確でないと思うのです。本来もう当然にこれが、アメリカ会計年度が終る本年六月までの数字というのならば、まだその数字近似性というものの信憑性もあると思うのです。ところがあなたのお話もあったように、この補給部隊がどのくらい減るかということは、一、二万まあ残るだろう。これは実数をお持ちなのかもしれないけれども、これだつて私は去年ワシントンで、私自身国防当局に行っても、まだ岸・アイク声明の結果がどのくらいに補給部隊を残すかということについては、ペンタゴンあげて大騒ぎをしているのだということにおいて、そんな状態において、しかもアメリカ会計年度が変る三十三年の七月以降のことはどうしてつかみますか。これには海空軍は、私のしろうと的予想としては、おそらく御説通りであろうと思います。今度の日本防衛予算等から見ましても、アメリカのつ強いこの防衛中心主義からみまして、近き将来においてはアメリカ海空軍が非常に減るということはりないのではないかと、これはそういうことはあまりありがたいこととは思いませんが、事実はそう減らない。しかし、それにしてもこれまたアメリカの具体的なこの予算によって非常に左右されるわけです。従って、ことしの四月から来年三月までのこの一年間を計算して、どうして二万百五十一というつものが、実数が出ますか。そんなものじゃなくて、全くこれは腰だめ的なものである。二万人から四万人くらい減りやしやせんか、そのうち該当者幾らつあるかということがこれは真相だと思う。  それからお言葉を返すようで失礼ですけ回ども、なるほどやめていく順序というものは、御承知のように、大体セニョリティを尊重して、年限の少い方からやめるというのが今までの慣行というよりむしろ約束に、レーバー・コントラクトになってくる。逆に言いますと、あなたも御承知のように、横須賀の基地の具体的な例から見ても、かえつて年長者の方が生活も安定しているかつら、年長者にやめてもらいたい。これはマスター・レーバー・コントラクトからいうと逆になるけれども、むしろ社会通念といいますか、社会福祉の点からいくと、中途半端な若い人なんかを放り出した方が、政府の施策の悪いためにかえつて職に迷う人が多い。年長者相当技術を持っておる人がかえつてほかに雇用されるとか、あるいは雇用されないとしても、息子さんであるとか、娘さんとかで食つていける人が多い。横須賀の例としては、現地軍アメリカ司令官も、日本労働組合諸君も、これを逆にして古い人からやめてもらうことをやろうじゃないかという話もあるのです。そうなってくると、どうして八千六百二十一名というふうな実数が出ますか。大体この程度に今のは見積つているという話ならば、私はこれはわかると思うのです。今までのところは安全保障委員会等において、外務大臣あるいは防衛庁長官がこれはしきりにタスンプ大将あたりにも要求されたと思うのです。しかし事の性質上まだアメリカの方が全面的の撤退計画を渡してないから、今のところではこの程度に見積つておきたいという、こういうまじめな話なら受け取るけれども、二万百五十一名、そのうち八千六百旦二十一名だけでございます。今のところこれで間違いございません、そういう答弁をするものじゃありませんよ。もっと正直な答弁をして下さい。
  13. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 全くお話し通りでありまして、先ほどちょっと申し落したのでありますが、端数のついておりますのは、昨年岸・アイク声明で特別に多数の離職者が出ました場合を除きまして、今日までにおける米軍撤退実績に基いて一応の比率を計算いたしまして、掛けた数字であります。従いまして、お話し通り自信のある数字だとは存じていませんが、一応の漸減計画によりまする撤退が行われまするならば、この程度で間に合うのじゃないかという考えで計上いたした次第でございます。
  14. 曾禰益

    曾祢益君 そこで、これはどうしても政治的な問題なんでして、特に防衛庁長官から一つ所信を明らかにしていただきたいのですが、私自身質問の中にも、私みずから申し上げましたように、外務大臣防衛庁長官も、今日まで日本政府のこういう善後措置のために当然必要である、アメリカからなるべく期間別の確定的な向う撤退の数、期間別計画、まずそれに基いての大よその日本人に対する雇用減少等をつかむことに努力をされたと思うのです。思うのですが、今日の結果まだ全く腰だめ的のものしかできておらない。従ってこのこの問題は今後とも安全保障委員会でいろいろな問題がございましょうが、こういう地味な問題ですけれども日本国民福祉関係する重大な問題ですから、これは一つぜひあくまで実数をキャッチできるようにアメリカ協力さす。アメリカに対して撤退計画及びその雇用の方針が、向う会計年度とこっちの会計年度が違つているからしようがないというようなことでなしに、向うにも相当責任のある協力をぜひ要求していただきたいことが一つです。  それからいま一つは、今の調達庁長官お話にもあったように、実際のところこれは腰だめの数字なんです。もしこれが変った場合にはいかなる措置をとるか。つまりこれの内訳というようなことはわれわれ想像できないので、これで足りないということが予想できるのですね。該当者範囲を変えなくても、これでは予算が足りない、そういう場合にはいかなる措置をとられるのか。補正予算をお組みになるのか、あるいは予備費等を使うということにして、すでに政府部内で話を進めているのかどうか。この点と二点について防衛庁長官からお答え願いたい。
  15. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) 第一点の米国駐留軍撤退の問題並びにこれに伴う労務者解雇という問題であります。これは日米安保委員会においても、昨年第一回からこの問題がいつも議題となっていろいろ意見の交換、協議をしたのでございます。一番むずかしいことは、相当長期間にわたっての計画を示すようにということでありまするが、これはなかなか困難な事情がございまして、的確な計数計画というものは、大体の傾向はわかるわけでございますが、数字的に何人減るのだとか、従って何人ぐらい解雇というか、離職者を出すというような数字はなかなか得られない。しかし私どもといたしましては、そういった計画がきまれば、なるべく早目に、あまりいわゆる短期間の予告ということでは当方も困るという事情を述べ、先方も十分了解いたしました。従って今日までのところは来年の計数はこうだというところの具体的な計数はございませんが、五、六月ごろまでこういうものが帰り、また労務者関係においてもこのくらいの変更があるだろうというような説明はいただき、また同時に個々の場合についてよほど早目に持っております。それでありますから、それに即応して、外部には発表しないということと、もう一つはこれは確定したものじゃないのです。また変るかもわからんということを条件としてということが、常にそういった紙面に書いてあるわけです。そこで向う側の現年度六月ごろまでについては、大体の段取りがわかつてくるというような程度のものまではあるわけでございますが、これは公表するということはできない。というのは変る可能性が非常に多いということであるのです。そこでこれは向う撤退計画ということとともに相待っての離職者の問題、また当方からいえば、自衛部隊増強に伴つてやるのだというところで向うも見合つてやるというところが問題で、昨年アイク岸声明前よりは、何月にこのくらいあるというようなことの非常な早目の通報の連絡をいたしております。その点から申しまして、大体年度関係から申しましても三月が年度末、四月から始まる。向うでいえば年度の最後の四半期でしょう。そういったところは具体的な計数はややわかる。しかしこれも変え得る。現実事態からいうと、今までもこの月には離職者は二千人ぐらいになるだろうというのが、あとでこういうものを追加するといって現実に変っております。そういったような状態でなかなかこれは相手の計画によるものでございますから、的確な数字は、日本政府側のような的確な数字を入れるということに困難がありますが、大局としてはこういくだろうということは大体わかっております。  そこで、この特別給付金予算を作るのにはそこに非常な困難があったわけであります。過去六月二十二日以来今年の三月末、それまでははっきりした実績もあるし、予告によってやっておりますから、それは問題ないのですが、四月以降の分については、一部わかっているものもありますが、今調達庁長官の申しましたように、大体の大勢をはかつて、非常な大きな部隊移動というものは昨年の陸軍戰闘部隊であるとか、今後はそういったものの大きい特殊の移動のないものの月割の人数をとりまして、非常に大きいのは一ヵ月で四千人もある。五百何人というところもある。そこいうのやや異常な計数でないものをとって、それを十二カ月に直してそして今のをやる。そこで三千円のもの、六千円のもの、一万円のもの、これとても向うはだれがやるかわからぬのですから、非常に困難な仕事でございます。そういった意味において多少の推測を加えるということがこれは予算の編成上やむを得なかったのでございまして、そういった意味から、この予算が四千六百万円か三十三年度ありますが、万一何かの事態で予定したものより多くなった場合、これは政府がこういう制度でやろうということになれば、人数がふえたからこの予算を一人当りを減額して、これを頭割りにまた減額してやるということは、私は不公正だと思いますから、予備金なりその他によってこれは補正か、あるいは追加して、この基準による給付は実行したい、こう思っております。その意味においてこの基準を一たんきめた以上は、その人数増加いかんにかかわらず、他の退職金とか何とかというものと同じように取扱いをすべきものだろうと、こういう考え方をいたしております。
  16. 曾禰益

    曾祢益君 もう一つの問題は、これもこの間私が提起した問題でありますが、いわゆるPDへの切りかえということがしきりに行われようとしている。これは政府もこの点は非常によく理解してくれまして、特に調達庁長官も表面に立って、PD切りかえは実質的には労働対価の切り下げになる。ことに悪質のいわゆる口入れ業者みたいのものがはびこるようなことになれば、職業安定法にも反するというような見地があって、せっかく今まで軍で使っておって、事実また使うのにPDに切りかえるということによってやっていくのは困るということで、日米合同委員会等で相当突っ張ってもらっていることはわれわれも多とするのですが、その問題についての最近の交渉の経過並びに今後の見通しについて伺いたいと思います。
  17. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 先般の委員会でも申し上げたと存じますが、引き続き米軍司令部と折衝を続けておりまして、一両日前に米軍から、日本政府と十分な協議をして実行するかしないかもきめて参りたいというような返事がございまして、私どもといたしましては、個々のケースにつきまして、法律違反になる疑いがあるかいなか、あるいはPDに切りかえなくてもいける問題、できる問題があるのではないだろうか、さらにどうしても予算関係、あるいは向うが言うております監督者の軍人の不足というようなことから切りかえざるを得ないのだというようなことがありますれば、あるいは労務者企業組合の団体で引き受けさせるとか、あるいは労務者責任を負わせて監督を厳重にいたして、なお切りかえずに仕事ができるのではないかというような問題についても協議をいたしたい、先方もその協議に応ずるということでございます。しかし問題が何分にも大きな問題でありますので、内閣にも意見を具申いたしまして、政府段階でも取り上げていただいて、米軍との間に交渉をしていただくことになっております。現在までの大体の状況は以上の通りでございますが、米軍内におきましても、陸海空三軍を集めまして、十分に協議をいたしておるようでございます。
  18. 曾禰益

    曾祢益君 それで、今まで交渉していただいて非常に多いとするのですが、だんだん追い詰められてくると、やはり結局はまあ労働者の作る企業組合にでもやらしたらどうかとか、あるいは個々の悪質の口入れ業者は使わないとかいって、実際上はケース・バイ・ケースで、主義としてはPD切りかえを認めざるを得ないようなところに追い込まれる危険が非常に多いと思うのです。そこでこの点は、今の御答弁だと、もうすでにその線が破れているような感じがするのですが、そういうことでなしに、やはりもちろんアメリカの軍の用人、あるいは軍人等の減ることからPD切りかえというようなことを言うのでしようけれども、しかし、そのことは管理の方法であって、われわれ日本側からいえば、雇用される方の労働者からいえば、それを理由にしてPDに切りかえられたのではかなわない。これは実質的の労働条件の低下になるわけですから、ケース・バイ・ケースというような線に後退しないで、一つぜひがんばっていただきたい。これは調達庁長官が当面に交渉されるところですけれども、これはあなたも言われたように、相当バイ・レベルの交渉において、防衛庁長官並びに政府全体として、あるいは外務大臣等も使うことによって一つぜひ交渉願いたいと思います。これは希望を申し上げておきます。  あわせてこれと切っても切同ない関係にあるのは、これまたこの間私が申し上げた。実は今度はPD切りかえということになっているのですから、PDそのものはこれは行政協定で一応許されていることなんです。従来特需という労働者の方はこのPDの下にあえいで来たわけであります。そこでこの問題は私が調達庁長官に聞けば、それは私の方の所管事項ではございませんというのでしようけれども、そういう形式論ではなくて、これはやはり調達庁としても、また防衛庁の長官としても、ぜひお考え願いたいのは、これは日本の国が負つている義務なんです。労務者政府が管掌してアメリカ側に提供しようが、その他労務、需品等についてはアメリカ側が日本のコントラクターを使って、いわゆる直接調達をしようが、これは安保条約並びに行政協定に基いて国の義務としてやることにおいては何ら変りがないのです、調達業務なんです、これは。従って、この点については従来からわれわれが申し上げておったことは、今度駐留軍労務者PDに切りかえられるから、そいつは労働低下になるから押えてくれというだけではなくて、別のグループの特需労働者が悩んでいたことをそのままにしておいたことが問題の本質なんです。従って、こういうPD切りかえを押えてもらうという努力だけでは足りないのであって、アメリカが安上りにしようと思ってPDに切りかえる根源を当然に直していくべきではないか。すなわち、需品でも労務でも提供するのは日本政府を通じて、そうして経済に混乱を起させないように、社会に不公平がないように、アメリカの買いたたきを勝手にやらせないようにやるというのが、当然のこれは国の業務なんです。こういう意味で従来からわれわれが主張して参りました需品、労務いずれもMLCだけではなくして、これは調達庁でも、防衛庁になるかもしれませんけれども日本政府が管掌することによって日本政府責任をもってやる、こういういわゆる間接調達方式を採用することにもっと熱意を持ってもらいたかった。今再びこの問題がPD切りかえ反対闘争という形において起っているのです。その面だけを、ささえておっても、私が申し上げたように、もうそれを押し切られそうになっているんです。だからそういう意味からいっても、間接調達方式採用についての、もう少し政治的考慮を加えた、政府全体の態度をわれわれは強く要請したいのです。先般、一応の研究はするというお話は伺っておりますが、この点はぜひあらためて両長官から御意見を伺いたいと思います。
  19. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) この第一の関連がございますが、PD切りかえの問題は、ただいま上村長官から経過報告をしたようでございますが、その通りでございます。これは先方も、初めこれを実行するに当つて考えたよりも重大な問題であるということは納得いったように思います。私の得ておるところによると、この態度が緩和されたということ、しかし確定的に話がつくのにはまだ日時も要るし、その間にいろいろ曲折もあると思います。今の段階ではお話しの、まあトップ・レベルと申しますか、ハイ・レベルというか、そこで折衝しようというところまでいってないので、これは内閣の総務長官が特需等連絡協議会の会長という資格でさらに交渉を進めていこうということになっておりますので、その結果いかんによって、われわれも一つ適当な措置を講じたいと思っております。それに関連して、お説の間接調達方式ということについては予算委員会でもお答えしました通りに、その経過いかんによって、あるいはまた基本的の問題として、こういったことについて検討を遂げて、もし非常な合理的な提案ができるということであれば、またそういったようなハイ・レベルの話にも持っていくようなことになるが、ところが、しばらく留保願つて、お説のような一つ研究を進めて、どこへ持っていくという最終の結論を出したい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  20. 曾禰益

    曾祢益君 その御研究にあるので、当面のお答えとしてはそれ以外にないと思うのですが、これはもう釈迦に説法ですが、いわゆるNATO方式というものかつらいえば、これはもう間接調達が当然なんです。まあそれを政治的に果して防衛庁でやるのが適当かどうか、あるいは調達庁にやつてもらうということになると、大蔵省あたりが、調達庁はだんだん減らすのに、またそんなことまで引き受けちゃ困るという、僕に言わせれば、つまらない国内的な関係から、従来政府はそういう気うに踏み切らなかったと思うのですが、ぜひ、これは津島長官におかれて十分にそういう点を、日本の国益を中るために、フレッシユな気持から、やはりNATO方式が正しいのだという基本方針に向ってぜひ積極的にお考え願いたいと思うのです。これは希望いたしておきます。  それから関連いたしまして、あと二点だけ伺わせていただきたいのですが、これも直接は調達庁関係でないという御答弁になるかと思うのですが、先般の委員会で申し上げましたように、特需関係の方は非常に買いたたきになっておりまするので、実際上は日本の労働慣行でありまするまあ一カ月の解雇手当といいますけれども、一ヵ月プラス、いわゆるアルファをやって解雇するのが日本の労働慣習です。いい悪い、いろいろ議論はあるでしよう。しかしその労働慣習を守りたくとも、もう大体が、もともと出血骨注の制度ですから、実際日本契約業者が実際は自分の身銭を切って、そして労働者に解雇手当のプラス・アルファを出せるのは割合少いと思う。従って、どうしても契約単価に、その日本の労働慣行を尊重する程度のゆとりを認めてくれということが、これは前から交渉があって、当時は少くともアメリカ側も、それはもっともだということになったようにわれわれは聞いております。公正なるあれを算入するということに。ところが最近になってまたこの話がもつれて、もう一ぺん振り出しへ戻ってアメリカとやつているようです。比較的海空軍予算の割合がいい関係かもしれないが、割合にリベラルであるかもしれないけれども、まあ陸軍は減りましたけれども補給部隊関係が多いですから、まだ陸軍の方が主になって、そういう慣行は認めない、日本の法令通り一ヵ月の予告があればいいのだという一点張りできているようですが、この点もあわせて、これは安保委員会じゃたなくて、日米合同委員会分科会の方だと思いますが、ぜひこの点も一つ、労働者の立場、これはもう政府ももっともだというお考えのようですから、貫くようにお願いをいたしたいと思います。それについてのお考えはいかがですか。
  21. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 特需関係解雇手当の問題は、私ども承知いたしております。お話通りでございまして、日本政府側としましては、一ヵ月プラス・アルファというものをつけてもつらいたいということを申しておりますが、米軍が今なお実施してくれておらないのであります。最近におきましては、この実施要綱につきまして分科委員会を開き、そうして折衝するという、了承をする段階にきております。従いまして、この分科委員会におきまして、この問題を日本政府側としては強力に主張をいたすつもりでございます。
  22. 曾禰益

    曾祢益君 最後に一点、非常に小さい問題ですが、職業補導の費用も予算も、あるいは調達庁ですか、労働省ですか、取っておられます。それから、これがやはり基盤になりまして、各府県、あるいは場合によって市町村等で職業補導のあれをやつてもらわなければならぬと思うのです。それについていろいろ希望はございますが、特に一点だけ申し上げたいのは、同じ職場で職業補導をやる場合、駐留軍関係特需関係ではございませんが、先ほどちょっと申しましたいわゆるダイレクト・ハイアであるから、同じ場所に作った職業補導所で、ダイレクト・ハイアの方はこれは別だ、これはもうMLCだけを補導するのだというような非常に人為的な取扱いがあるやに聞いておるのですが、そういうことのないように、先ほど申し上げましたように、とかくまあ政府の方は、法令に忠実ならんとすることはいいのですけれども、全く形式的な、片っ方は政府雇用しているのだから職業補導をしてやる、ダイレクト・ハイアの方は向うのサーバントで直接あれしたのだから、職業補導の設備の受益ができない、均霑できない。同じ職場に働いている日本人の労働者にそういう区別をつけるということはおよそナンセンスだろうと思う。そういう点は運用上どうにでもなると思いますが、これはおそらくあなた方の親心の知らないところ、現場の心なき諸君がそういうつまらない形式的な議論をしておるのじゃないかと思いますが、そういうレッテルをつけないようにやつていただきたいと思うのです。あわせて特需労働者をも同様に一つのいわゆる職場、ジョブ・サイトにそういうものができれば、そこに働いておる日本の労働者は、身分関係のいかんにかかわらず、職業補導の便宜を与えてやるようにするのが当然じゃないかと思うのでありますが、その点どうお考えですか。
  23. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) お話し通り、直用及び特需関係の資格者につきましては、労働省関係所管の職業補導は別でございますが、私どもの方で実施しておりまする基地内の職業補導については入っておらないのであります。実際は離職される理由が同じでございますから、入れたらどうだというお話がございますが、まだ遺憾ながらそこまでいっておらないのでございまして、新年度におきましては研究をしていきたいと思います。
  24. 曾禰益

    曾祢益君 研究するというのでいいようなことですが、しかし、どうも僕らは常識上わからない、国民の常識上、片っ方は労働省関係、片っ方はあれだ、調達庁関係だ、そういうことこそ、なるほど、各省の所管というものは、そこが分れるけれども、運用する上においては、政府の中にも特需対策委員もできているのでしょうから、そういう施設は共通に使わせるようにぜひやってもらいたいと思います。それこそそれが予算の効率的な使用なんです。ぜひお考えを願いたいと思います。
  25. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) ちょっと私から補足して申し上げます。三十三年度分基地内の補導の関係は、三十二年度に比しまして約五百万円近く増に計上願つております。そこで、実情に即してこれはやるべきだと思います。今、直接の調達庁自身のこれは予算に計上してあるわけでございまして、基地内の職業方面の委託ということになると、この予算の使い方が、ちょっと自分の関与しない、これは法律的にそうなったわけで、それにこの経費をすぐ流用するかということは、ちょっと研究を要します。しかし、これは労働省の関係にもやはり職業補導の経費は相当あるわけでございますから、よく相談いたしまして、どうやるか、これも一つ研究課題にいただいておいて、関係省で相談させることにいたします。多少予算の費目というものが形式的にこうなっておるものでございますから……。
  26. 小幡治和

    主査小幡治和君) それでは、ほかに御質疑もないようでありますから、総理府のうち、調達庁所管についての質疑は、この程度で終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 小幡治和

    主査小幡治和君) 御異議ないようでございますから、さよう決定いたします。   —————————————
  28. 小幡治和

    主査小幡治和君) 次に、総理府のうち、防衛庁所管議題といたします。津島防衛庁長官から御説明願います。
  29. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) 昭和三十三年度防衛庁予算につきましてその概要を御説明いたします。  一、昭和三十三年度防衛庁歳出予算の総額は千二百億六千万円でありまして、これを昭和三十二年度歳出予算額千十億八百カ月に比べますと、百九十億五千百万円の増加となっております。    このほか、国庫債務負担行為として、航空機の購入について百九十三億四百万円、器材の購入について四十一億八千九百万円、施設の整備について二十億四百万円、艦船の建造について二十五億四千六百万円、計二百八十億四手四百万円、さらに継続費として、昭和三十三年度甲型警備艦建造費総額四十一億九千三百万円、うち昭和三十四年度以降の年割額二十九億千六百万円を計上いたしております。なお、昭和三十二年度予算に計上された継続費昭和三十二年度甲型警備艦建造費総額三十六億六千九百万円につきましては、建造計画の変更等に伴う建造費の増加と建造費の一部を後年度に繰り延べるため、総額及び年割額を改訂することとし、昭和三十三年度は十二億二百万円を歳出分に計上いたしております。  二、まず予算編成の前提といたしました職員の定数及び各自衛隊の勢力の概略について申し上げます。防衛庁昭和三十三年度予算上の職員定数は、自衛官二十二万二千百二人、自衛官以外の職員二万六百十六人、計二十四万二千七百十八人でありまして、これを昭和三十二年度予算上の職員定数に比べますと、自衛官において一万七千九百九十七人、自衛官以外の職員において千二百十九人、計一万九千二百十六人の増加となっております。   以下、これを組織別に申し上げますと、   (1) 長官官房及び各局、統合幕僚会議、防衛研修所、防衛大学校、技術研究本部(仮称)、建設本部並びに調達実施本部の職員定数は、自衛官三十六人、自衛官以外の職員三千二十一人、計三千五十七人でありまして、昭和三十二年度に比べますと、自衛官において二人、自衛官以外の職員で百七十九人、計百八十一人の増加となっております。   (2) 陸上自衛隊につきましては、自衛官一万人、自衛官以外の職員百人を増員いたすとともに、水道管理要員として三十六人を建設本部に組みかえて、計十八万千九百八十一人をもって二方面隊、六管区隊、四混成団並びにその他の部隊及び機関を編成いたしております。   (3) 海上自衛隊につきましては、昭和三十三年度に増勢を計画している艦船といたしまして、新たに建造に着手する甲型警備艦二隻、三千四百トン、中型掃海艇四隻、駆潜艇二隻及び高速救金艇一隻、合計五千七百五トンのほか、米国より甲型警備艦二隻、中型掃海艇二隻、高速救金艇八隻、揚陸艇一隻、計十三隻、五千七百五十三トンの供与を受けるとともに返還期限の到来した警備艇二十二隻、六千七百十トンを返還する等により、合計約四千五百六十トンの増加を予定いたしております。この計画が実現いたしました焼におきましては、保有艦艇は、四百二十五隻、十一万千八百八十一トンとなる予定であります。また、昭和三十三年度中に増加する航空機として、米国から対潜哨戒機及び訓練機四十一機の供与を期待するとともにヘリコプター八機を購入することにしておりますので、これらにより昭和三十三年度末の海上自衛隊の保有航空機は百九十七機となるわけであります。なお、このほか、昭和三十三年度におきましては、新たにP2V対潜哨戒機の国内生産を開始することにいたしております。以上の艦艇及び航空機の増加並びにこれに関連する陸上施設の拡充等に伴いまして、自衛官千二百九十五人、自衛官以外の職員三百二十一人を増員いたすとともに、水道管理要員として十五人を建設本部に、艦船駐在官要員として十人を調達実施本部に組みかえて、計千五百九十一人を増員することといたしておりますので、従来の定数と合せ、海上自衛隊の職員定数は、自衛官二万五千四百四十一人、自衛官以外の職員二千二百十二人、計二万七千六百五十三人となります。   (4) 航空自衛隊につきましては、昭和三十三年度において、米国より実用機六十二機の供与を受けるほか、実用機百九機、練習機六十八機及び実験機四機を購入いたしますので、従来の保有機数と合せ、昭和三十三年度末の航空機総数は実用機四百四十五機、練習機五百三十七機、実験機八機、計九百九十機を保有することとなります。   さらに昭和三十三年度は管制教育団、第二航空教育隊等を新設して、訓練体制の強化をはかるとともに、後方支援の不均衡を是正するため、自衛官六千七百人、自衛官以外の職員七百人を増員し、また、航空駐在官要員として二十人を調達実施本部に組みかえて、計七千三百八十人を増員することといたしておりますので、従来の定数と合せ、自衛官二万六千六百二十五人、自衛官以外の職員三千四百二人、計三万二十七人となります。  三、次に、予算見積りの概要について申し上げます。   (1) 長官官房及び各局並びに統合幕僚会議の運営に必要な経費は、(項)防衛庁六億二千三百万円、(項)施設整備費二億三千百万円、(項)施設整備等付帯事務費三百万円、計八億五千八百万円でありまして、昭和三十二年度に比べて、(項)防衛庁において四千二百万円、項施設整備費において二億三千百万円、(項)施設整備等付帯事務費において三百万円、計二億七千八百万円の増加となっております。   (2) 付属機関、すなわち、防衛研修所、防衛大学校、技術研究本部(仮称)、建設本部及び調達実施本部の運営に必要な経費は(項)防衛庁二十六億九千百万円、施設の整備に必要な経費は(項)施設整備費四億七千六百万円、施設整備の付帯事務に必要な経費は(項)施設整備等付帯事務費八百万円、計三十一億七千六百万円でありまして、昭和三十二年度に比べて、項防衛庁において三億四千七百万円、(項)施設整備費において一億二千三百万円、(項)施設整備等付帯事務費において二百万円、計四億七千三百万円の増加となっております。   以上の経費のほか、技術研究本部(仮称)に国庫債務負担行為として(事項)器材購入一億千七百万円、(事項)施設整備六千八、百万円、計一億八千六百万円を計上いたしております。   (3)陸上自衛隊の運営に必要な経費は(項)防衛庁五百五十七億三千四百万円、施設の整備に必要な経費は(項)施設整備費十八億六千五百万円、施設整備の付帯事務に必要な経費は(項)施設整備等付帯事務費千九百万円、計五百七十六億千九百万円でありまして、これを昭和三十二年度に比較しますと、七十三億七千二百万円の増加となっております。このうち項防衛庁において六十九億百万円の増加、(項)施設整備費において四億七千二百万円の増加、(項)施設整備等付帯事務費において二百万円の減少となっております。   このほか、陸上自衛隊に属する分として、国庫債務負担行為に(事項)航空機購入四億九千七百万円、(事項)器材購入二億六千二百万円、計七億六千万円を計上いたしております。この内訳のおもなものを申し上げますと、現態勢、すなわち昭和三十二年度末における火器、車両等の装備、自衛官十六万人、自衛官以外の職員一万千九百十七人の維持に要する経費が、(項)防衛庁におきましては五百二十九億千百万円、(項)施設整備費におきましては十四億六千八百万円であります。  次に、増勢分の経費は三十二億二千二百万円でありまして、このうち、自衛官の一万人の増勢に伴う経費は二十六億千八百万円であります。   (4) 海上自衛隊の運営に必要な経費は(項)防衛庁百八十億三千八百万円、施設の整備に必要な経費は(項)施設整備費九億四百万円、艦船建造に必要な経費は(項)艦船建造費三十三億九千九百万円、潜水艦建造に必要な経費は(項)潜水艦建造費七億二千九百万円、昭和三十二年度甲型警備艦建造に必要な経費は、(項)昭和三十二年度甲型警備艦建造費十二億二百万円、昭和三十三年度甲型警備艦建造に必要な経費は、(項)昭和三十三年度甲型警備艦建造費十二億七千六百万円、施設整備等の付帯事務に必要な経費は(項)施設整備等付帯事務費一億十七百万円、計二百五十六億七千万円でありまして、これを昭和三十二年度に比較しますと、三十七億九千万円の増加となっております。このうち、(項)防衛庁において二十三億六千八百万円の増加、(項)施設整備費において千万円の増加、(項)艦船建造費において一億九千八百万円の増加、(項)施設整備等付帯事務費において千八百万円の増加となっております。このほか、海上自衛隊に属する分として国庫債務負担行為に(事項)航空機購入百五十二億三千二百万円、(事項)器材購入九億七千八百万円、(事項)艦船建造二十五億四千六百万円等、計百八十七億五千八百万円、また、継続費の昭和三十四年度以降の年割額として、二十九億千六百万円の甲型警備艦建造費を計上し、あわせて昭和三十二年度において議決を経ました昭和三十二年度甲型警備艦建造のための継続費につきまして、建造計画の変更等に伴う建造費を追加するため、この際、総額及び年割額の改訂をはかっております。    この内訳のおもなものを申し上げますと、現態勢、すなわち昭和三十二年度末における建造または引き取り予定のものを含めた艦船四二七隻(雑船を含む。)十万七千三百十九トン、航空機百五十七機、自衛官二万四千百四十五人、自衛官以外の職員千八百九十一人の維持に要する経費といたしまして、(項)防衛庁におきましては、百七十二億四千六百万円、(項)施設整備費におきましては、八億六千三百万円、(項)艦船建造費におきましては、十七億三千九百万円、(項)潜水艦建造費におきましては、七億二千九百万円、(項)昭和三十二年度甲型警備艦建造費におきましては、十二億二百万円を計上いたしております。    次に、増勢分の経費といたしましては、昭和三十三年度に増加を予定いたしております艦船二十二隻、一万千四百五十八トン、航空機四十八機、自衛官千二百九十六人、自衛官以外の職員三百二十一人に要する初年度経費を、(項)防衛庁におきましては、五億二千五百万円、(項)施設整碓費におきましては匹千百万円、(項)艦船建造費におきましては、十六億五千九百万円、計上いたしております。なお、建造工程が昭和三十四年度昭和三十五年度に及ぶ駆潜艇、中型掃海艇については国庫債務負担行為に十七億六千万円を計上いたしております。昭和三十三年度甲型警備艦建造費については、その完成までに三ヵ年を要する予定でありますので、昭和三十三年度歳出予算に計上した十二億七千六百万円のほか、昭和三十四年度九億九千九百万円及び昭和三十五年度十九億千七百万円を合せ、合計四十一億九千三百万円を総額とする継続費として計上いたしております。    次に、増勢分の初年度維持費といたしまして、(項)防衛庁におきまして二億六千七百万円を計上いたしております。   (5)航空自衛隊の運営に必要な経費は、(項)防衛庁二百九十二億四百万円、施設整備に必要な経費は(項)施設整備費三十四億八千百万円、施設整備の付帯事務に必要な経費は(項)施設整備等付帯事務費五千万円、計三百二十七億三千五百万円でありまして、これを昭和三十二年度に比較しますと、総額において七十一億八千二百万円の増加、このうち(項)防衛庁におきまして五十七億七千百万円の増加、(項)施設整備費におきまして十三億九千四百万円の増加、(項)施設整備等付帯事務費におきまして千六百万円の増加となっております。このほか、航空自衛隊に属するものとして国庫債務負担行為に(事項)航空機購入三十五億七千四百万円、(事項)器材購入二十八億三千百万円、(事項)施設整備十九億三千四百万円、計八十三億四千万円を計上いたしております。    この内訳のおもなものを申し上げますと、現態勢、すなわち昭和三十二年度末における航空機八百五機、自衛官一万九千九百二十五人、自衛官以外の職員二千七百二十二人の維持に要する経費といたしまして、(項)防衛庁におきましては、二百四十一億七千三百万円、(項)施設整備費におきましては七億千百万円を計上いたしております。    次に、増勢分の経費といたしましては、昭和三十三年度に増加を予定いたしております航空機二百三十六機、自衛官六千七百人、自衛官以外の職員七百人に要する初年度経費を、(項)防衛庁におきましては、三十七億三百万円、(項)施設整備費におきましては、二十七億六千九百万円、計上いたしております。    次に、増勢分の初年度維持費といたしましては、(項)防衛庁におきまして、十三億二千六百万円を計上いたしております。  四、最後に、以上申し上げましたことを要約いたしますと、歳出予算に計上いたしました千二百億六千万円は、これを現態勢維持分と増勢分とに区分すれば、現態勢維持分は千五十一億六千八百万円、増勢分百四十八億九千百万円となりますが、このほか、国庫債務負担行為に航空機購入百九十三億四百万円、器材購入四十一億八千九百万円、施設整備二十億四百万円、艦船建造二十五億四千六百万円、計二百八十億四千四百万円、また、継続費の昭和三十四年度以降年割額として二十九億千六百万円を計上している次第であります。    以上をもちまして防衛庁予算の概略の説明を終ります。    何とぞ慎重御審議の上、御賛成下さるようお願いいたします。
  30. 小幡治和

    主査小幡治和君) 御質疑のおありの方は順次、御発言願います。
  31. 戸叶武

    戸叶武君 この防衛庁を主とした防衛関係予算というものはだんだんふえて参りまして、三十三年度の防衛費、それから分担金等を合せると、特に防衛庁関係の費用は二十八年度の二倍にもなっておる。去年と比べても百五十億五千百万円の増加だということになっておりますが、こういうふうに膨大な予算を獲得しながらも、防衛庁長官が与党の議員を御招待したときにも、予想以上の予算を獲得してなんという失言か何か、招待状を出して、だいぶいじめ抜かれたということがありますが、とにかくこれは問題は、その予算の多寡よりも、消化の面における問題において、国民から非常に疑惑を受けていると思うのです。前にもくつの問題だとか、パッカード・エンジンというような問題があった。ほかではああいう問題が起きると、必ずその責任者というものに適当な処置をやつておるのですが、防衛庁ではその後、これらの諸問題を起したところの当事者あるいは責任者というものに対しては、どういうふうな処置をやつておりますか。
  32. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) お答えいたします。防衛庁経費の経理等につきましてはいろいろ御批判を受けておるわけでありますが、従来、経理の適正を欠き、またある意味において国損を生じたといったような場合については、相当厳重なる処分をいたしております。これは会計検査院の報告に基き、決算委員会等においても十分慎重に御審議願つておるのでございます。そのつど十分事実を確かめ、厳正な審査をして、それに即応した処分はいたしてきております。なお、本年度予算の消化というか、経理上については特に注意をいたしまして、効率を上げ、不当、妥当を欠くような経理のないようにということを各担当官、全部にわたっての担当官を呼びまして、十分この点について注意をして、誤まりのないことを期しておるわけであります。お説の、聞違った場合に責任者はどうかということは、これは常時やつておることでございまして、その点については、まあこれは内部のことでございますが、厳重にそれは処分いたしております。
  33. 戸叶武

    戸叶武君 私は、少しも厳重じゃないと思うのです。具体的な実例をあげるのは、あとでまた何らかの機会にやりますが、何ら適当な処分をやつておらないじゃないですか。会計検査院とか、決算委員会であれほど指摘されても、防衛庁においては内部におけるそういう綱紀の粛正というものを十分やつていないじゃないですか、やっておりますか。
  34. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) これはその処分の結果については、決算委員会にも報告し、どういう者をどういう程度に……、たとえば懲戒あるいは減俸とか、訓戒とか、いろいろなことは具体的にちゃんとその処分の結果を報告いたしております。ただ普通に、その購入がまずかったというようないろいろな報道が出るものが、全部その事実を厳密に調査した結果、これがほんとうの不当あるいは不正の事実であり、また妥当を欠いたかということは、十分調査してみないと、真相はわからぬわけでございまして、往々にして、ただ表面の事実だけでいろいろと批判があるという分もないとはいえない、こう思っております。
  35. 戸叶武

    戸叶武君 日本の戦争に対する崩壊は、軍の腐敗だったのです。その腐敗分子が依然として防衛庁の中には潜在してないとは断言できないのです。そういうことは、あとで決算委員会その他で適当な機会に具体的事例をあげてとにかく質問を展開することにします。  そこで、三十三年度防衛庁の防衛技術研究所——仮称ですか、この予算はどのくらい使っておりますか。
  36. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) 今度の三十三年度予算には、技術研究所の予算は十九億一千一百万円、総計でございます、それだけ要求いたしております。
  37. 戸叶武

    戸叶武君 それは国庫債務負担のやつも加えてですか。
  38. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) それは別でございます。歳出予算のことであります。
  39. 戸叶武

    戸叶武君 そこで今、この防衛の問題も、前の観念と違って、科学技術の研究というものに重点が置かれてきた。これは特にアメリカにおける防衛態勢というものを、その方に急激に切りかえてやっていると思うのです。そのときに、日本の防衛関係の費用の使い方を見ると、そういう点が非常に手薄な感じがしますが、長官はこれをどう思っておりますか。
  40. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) これは、今日の時代で技術面に対する経費をもっと増加すべきでないかという御意見、まことにごもっともでございます。この防衛関係につきましては、予算の建前として、技術研究所個有の予算と、陸、海、空の各自衛隊の予算の中で、いろいろ装備品の研究と、また、それが装備に使うという将来の目的のために、研究開発の予算もあるわけでございます。それらも本年は相当増加いたしておりまして、これが大体各三自衛隊分合せますと、十二、三億になるのじゃないかと思います。少くとも十億くらいあると思います。十億こします。それを合計したものが、研究開発のすべて対象になるわけでございます。これは従来に比して相当の増加をしたのでございます。お説のように、技術研究に対して非常な力を入れるということであります。同時に、これも基礎的の研究を根本的にやるということになりますと、やはり年所を要するわけでございまして、まだ技術研究所創立以来四年くらいでございましょう。逐次基礎的な研究を固めてやるという建前でございまして、そう膨大な予算を一挙にここに集中いたしましても、消化し得る限度もございます。特にこの人の問題でございますから、研究という問題は。この人を得るということが非常にむずかしい問題である。人数ばかり多くとも、やはりすぐれた頭脳を持った方がこれに参加するということが必要なんでございます。そこで、主義としては、これに重点を置くということは十分考えて、予算の編成に当つても重点的なものを、これを航空機の関係ということでいたしましたが、さて消化し得るものを、効率的に使い得る程度のものでないと、ただ予算を増したということでは目的を達しないじゃないかというところにも考慮を払ったわけでございます。これだけの予算を完全に使って、成果を上げるということであれば、一歩非常な前進をするというように考えているわけでございます。
  41. 戸叶武

    戸叶武君 防衛庁では昭和二十九年、三十年のニヵ年間、もっぱら海外のミサイルの調査、研究をやつて、そして誘導弾の研究をみずから始めたということでありますが、そのミサイル部門における予算というものはどのくらい使っておりますか。
  42. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) これは昨年度はエリコン購入経費が、特殊のものが二億六千万円加わっております。三十三年度にはそういったような特殊の経費が落ちるわけでございます。しかし、それにもかかわらず、今度のはミサイルというだけで、五億数千万円の金がこの中に計上されておるわけでございます。それによってやはり基礎的に研究していこうということによって、特に第八部という部はこの問題につきまして研究を進めておる、こういうことに相なっております。
  43. 戸叶武

    戸叶武君 三十一年度予算と三十二年度予算で、スイスの今言われたエリコンを買い、さらに三十三年度予算で米国の空対空ミサイル、サイドワインダーを手に入れるというお話ですが、このミサイル、サイドワインダーはどういうふうになっておりますか。
  44. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) ミサイルの中で、サイドワインダーの有償、いわゆる代価を払って供与してもらう経費は、三十三年度予算には約五千万円余でございます。これは技術研究所の予算に計上したものではございませんで、これは航空関係予算に掲げております。これは大体十発でございます、程度のものを買ってきて、これを実験する装置、また航空機につける場合に多少航空機の中の機械類の装置といったものが必要でございます、そういうもので、一発というか、一個が百五十万円程度のものでございまして、千五百万円と見まして、あとは多少の改装とかこれを実験する経費、合わせて五千万円強のものが計上されております。
  45. 戸叶武

    戸叶武君 アメリカのソ連に対する作戰は、ソ連の大陸間弾道弾やあるいは人工衛星の打ち上げ以後においては、その動きを見るのに、ヨーロッパにおける防衛体制はソ連の心臓部を直ちにつけるような体制をとり、とくに太平洋におきましては、主としてソ連の潜水艦作戰によるところのアメリカ大陸に対する進撃に対して、これを防衛しようという考え方がきわめて顕著になっているようですが、そういう点からレーダーの問題が重要になっておりますが、技研においては電波部は、第四部で取り扱っておるのですか。
  46. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) 第四部で電子機械関係ですね、レーダー等第四部で研究いたしております。
  47. 戸叶武

    戸叶武君 このMDAPに申請した、船田長官のときですが、十五項目を要請してこの九項目に削られたということでございますが、その九項目の中で最も重要と思われるものはどういうものでありますか。
  48. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) それは、十四項目の中で九項目は供与物資でございましたが、ちょっと今聞き漏らしましたですから……。よくわかりました。このMWDPという方なんで、いわゆる一般の供与のものでない、いわゆる武器開発援助という問題のように拝聴するのですが……。その問題はミサイル関係の問題とは関係ないわけでございます。ちょっと御趣旨をお伺いしたいと思いますが。
  49. 戸叶武

    戸叶武君 電波関係に関連があるものではありませんか。
  50. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) ちょっと、これは前の話でございまして、十分に私報告を受けておりませんから、便宜装備局長からお答え申し上げた方が正確だろうと思います。
  51. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) ただいまのお話はMWDP、相互武器開発援助計画お話だろうと思います。十四項目ということでなくて、初めから九項目でございまして、九項目を一応提出いたしまして、それに対しまして一部はある程度予算をみようという話が来ております。四項目来ております。ただこの問題は、具体的な項目をどうするということのほかに、一般的な協定といいますか、条約的な協定を必要とします。それに関連しまして、まあいろいろ問題がございまして、その協定がまだできておりませんので、そのままになっております。
  52. 戸叶武

    戸叶武君 これは当時毎日新聞に出た新聞記事から知ったのですが、その九項目でけっこうなんですが、その九項目の中で、防衛庁としての見解で、たとえば百五ミリ砲とか、あるいはシミレーターとか、C探とか、どういうようなものに重点を置いているか、その点を承わりたい。
  53. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 重点を置いておりますのは、何と申しますか、日本が割合に独創的な考え方に基く研究、よその国であまりちょっとやっていなかったとかいうようなものに重点を置いておりまして、今お読みになったようなものも重点のうちでございます。
  54. 戸叶武

    戸叶武君 この磁探とC探の問題だと、C探の方が経済的に非常に安く上る。それで、これは日本でも戦争中に海軍その他で相当な研究をやり、その成果も上げてきたのだが、この防衛庁の電波関係の部においては、だれがその責任を持って担当をしておるわけですか。
  55. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 今このお話はC装置のお話でございますか。
  56. 戸叶武

    戸叶武君 C装置の話です。
  57. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 直接の担当者はちょっと今覚えませんが、四部で担当をいたしております。
  58. 戸叶武

    戸叶武君 これは、日本の独創的なものを生かすというお考えを先ほど述べられたので、そういう独創的なものを生かすための予算措置は、三十年、三十一年、三十二年と、どういうふうな予算措置を行っておりますか。
  59. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) C装置についてのお話でございますか。
  60. 戸叶武

    戸叶武君 C装置ばかりでなく、さっき申し上げたような電波関係の重要と思われるもの。
  61. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) ちょっと今数字を調べまして……。電波関係には、航空関係、誘導兵器関係、これらの中にも電波関係のものが相当入っておりますが、重点を置いてやつております。数字は今ちょっと調べまして……。
  62. 戸叶武

    戸叶武君 アメリカの防衛関関係の方方から聞いても、日本の潜水艦、それからC装置、こういうようなものに対しては向うは非常に興味というか、注意をもって研究している。そういう日本の今までに相当成果を上げ、独創的なものというものが私は相当重点になって、そうして防衛関係は技術その他の面においてアメリカとの協力もなされているものだとばかり思っていたのですが、そういうものに対して防衛庁としては、先ほどだと、独創的なものに非常に力を入れているというが、力を入れた成果はどうなっているか、そのことを承わりたい。
  63. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) たとえば、おあげになりましたC装置も、日本は前々から引き続きまして、戦後途中がございましたが、初めは委託調査費で数十万円程度のものでした、たしか資料を集めて机上調査をし、それからその後C装置関係の受信機その他は試作しまして、それをいろいろ実験するということで、技術的にも、先ほどお話のありましたように、スピードその他の点では不十分な点はありますが、逐次改革してやつておりますので、先ほどのMDAPの方は日本が研究をする、向うも研究費を出す、そうしてできた成果は共通に使うという制度でありまして、できればそういうものに乗っけて究研を促進するという態勢に持っていけはいいわけですが、MD八Pの関係はそういうことでそのままになっておりますが、そういうことがなくても、予算の許します範囲では極力成果を上げていくように研究を進めている次第でございます。
  64. 戸叶武

    戸叶武君 私は三年ほど続けてアメリカに行って、いろいろ朝野の人にも会い、国務省省関係や、それから防衛関係の人たちにも、非公式ながらいろいろ会って聞かれるたびに、日本の今日の防衛庁を中心とした防衛体制というものが、近代的な防衛体制になっていないで、前のとにかく軍部の残党の拠り所というような旧体制のもので、非常にズレがあるんじゃないか。そういう特にMDAPとの結びつきというようなことを考えます場合においては、日本自体にある独創的なものを相当伸ばしていかなくて、どうして向う側と対等な、少くともこちら側のプライドを持って相対峙していけるか。そうでなくて、向うに従属し、隷属し、迎合していくことだけが中心になっているのでは、非常に心細いと思うんだが、そういうものをもう少しもっと具体的に聞きたい。さっきは独創的なものに対して非常に力を入れていると言うから、安心して私はそれを聞いていたんがだ、そういう独創的なものに対して力を入れている具体的な例を、一、二あげてみてくれませんか。
  65. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) 先ほど私のお答えの中に、基礎的には研究をやつているという意味で、あるいはその独創という意味と違って基礎的にやつていこう、ミサイル研究でもそういうつふうに申し上げたつもりだったのですが、しかし、お話の独創というか、私は、技術の開発をやることは当然でございますが、先ほど申し上げた言葉のうちには、基礎的な研究をやらなくちゃいかぬ、それで過去二年、三年やつてきた、こういうことをお答えしたつもりでございまして、でありまするけれども、それは独創的なことをやるのは当然でございまするから、今の点については担当の方からお答えさせることにいたします。
  66. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 試作委託調査の例を少し申し上げます。陸上武器の関係では、百五ミリの自走無反動砲は大体初めの試作を終りまして、この予算は陸幕の方につけまして、増加試作をやつていこうという段階でございます。その他目ぼしいものは、百六ミリの——百五ミリよりもう一つ新しい百六ミリの無反動砲の試作をする。それから特殊の信管、VT信管、近接信管と申しますが、そういうつものの研究を進めている。通信関係で、車載の通信、多重通信の関係をやつております。GRC10と申しますか、その他通信関係は多数ございますが、通信関係の何と申しますか、従来の通信機は各部隊、たとえば特科と特車の関係、普通科の関係の、相互の個人別の通信ができませんで、一応本部みたいなところへ戻って、通信関係といいますと結滞を生ずるような格好になっておりますので、それを新しい通信機によって、第一線の兵ごとが直接通信ができるというような通信機に逐次改造をしていくような計画でございます。それから海幕関係で申しますと、ソーナー、攻撃用探信機、それからG1とか、G2とかいう名前をつけておりますが、追尾魚雷、これにもいろいろな方式がありますが、自分で音を聞いたりその他の方法で自動的に追尾していくというような魚雷、そういうのがおもなものでございます。それから航空関係におきましては、レーダー・サイトに使用する各種の通信関係の部品を逐次国産化していこうという関係、それから現在使っております初等中間練習機が向うのT6というのを使っております。それが進みましたらT33という練習機によるわけでありますが、T6というのはもらえませんので、これを国産化しようというので、国産化いたしまして、これは初めの試作がやつとできまして、今月中に受け取ることになっておりますが、これはだんだん増加試作をやりまして、新たにしていこうということでございます。それからレーダー関係の遠距離探知のレーダー、なるべく距離が長いレーダーをいろいろ作つております。それから、今の初等中間練習機に関連いたしまして、初等中間練習機に今エンジンが間に合いませんので、フランスから輸入したエンジンを積んでおりますが、このエンジンも逐次開発して、国産化を完成した上でその飛行機に積むように持って参りたい。  こうゆうものが今のおもなるものでございます。これは各国にないものの例を申し上げたわけでございます。
  67. 戸叶武

    戸叶武君 電波関係の研究が日本で相当進んでいるという、これはアメリカが戦争を通じて、やはり日本の潜水艦を非常におそれたから、潜水艦以上に——いろいろな被害をこうむっているので、そういう関係で、当然日本でその後においても研究の成果が上っているであろうというのを期待しているので、私たちはしろうとながらそういう形において、どうなっているのかということを検討してみても、防衛庁の方においてはさっぱりその態勢が十分確立していないと思われる節があるのです。先ほど言ったのは防衛庁長官の言をとがめたのじゃなくて今の政府委員の方のお考えの中にも、日本のり独創的なものを伸ばすという、重点を置くという答弁がありましたので、それで今のようなことを聞いたのですが、とにかく日本の防衛の問題というものが、近代的な感覚というものを非常に持っていないのは、さっき防衛庁長官が人の問題を非常にしつこく言っておりましたが、やっぱり私は人を得ていないのだと思う。これは非常に私は問題になるのは、やはりアメリカの軍ですら今非常な反省期をもっておりますが、一つの権力を持つと人間はスポイルするのです。頭の内容ができてなくても、何か置かれている地位が、非常に自分が権威のあるもののように錯覚したり、これが非常に学問と両立しない、戦前におけるところの日本の軍部の崩壊というものはその思い上りなんだ。それがやはり今の防衛庁の中にもそういうある気風というものがやはりあるのではないか。これはアメリカ自体の国会においてもこの点に重点を置いて、国会から総攻撃が加えられたのですが、研究機関それから学者、大学、そういうようなものと密接に結び付いて、そして日本で伸ばし得るり独自的なものは伸ばす、国家からも協力のできるものは協力するというふうに、この態勢を作らないと、私はこの予算消化の面で一番おそれるのは、取るだけ取って、そうして元の軍部のような浪費態勢ができてくるというのでは、国民に対して非常に済まないのじゃないかと思うのですが、そういう点に対して、防衛庁長官はどういうお考えを持っておられるか。
  68. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) ごもっともなことでございます。先ほど私の答弁の中に、この技術研究経費が比較的少いじゃないかというお話しに対して申し上げた際に、特に私はその点に触れたと思いまするが、人を得るということ、たとえば各大学の中の研究のまあ熱心な方、また現実にそういった知識の深い方というものなんかは、われわれは喜んで受け入れたいと思います。決して今いる技術者が、あるいは運営しておる者が、自分がりっぱなものであるというようなことでなくて、謙虚な態度をもっておると思います。技術研究者は。しかし今日のいろいろな事情から、なかなか正式に大学等とタイアップするとか、あるいはその人を兼ねて来ていただくとか、そういうことにわれわれは非常に困難を感じておるのです。そういった事情のもとに最善を尽すためには、いろいろな方法を講じておりますが、諸外国におけるごとく、学者の同意といいますか、そういうことにどうも国情がずっと出て来ないわけでございまして、これはわれわれの微力のいたすところでありますが、往々にして防衛庁関係の技術の研究に参加していくということを、あまり進んでやっていただけぬような空気もあるんでございますね。そこで経費の問題は、必要なものはたくさんございまするが、お説のように予算はやっぱり効率的に使う限度において、逐次その実績を上げてこれをやっていくという方向に、現実の問題としてはそうなるわけでございまして、日本国内の大学初めその他の非常にすぐれた方々が御協力願うということは、もう希望してやまないところであるのでございます。従って、今やつている者が、非常に独善的にほかの方を退けていくというような気持はないのみならず、むしろそれを希望しておるというのが現状でございます。
  69. 戸叶武

    戸叶武君 今津島防衛三長官が、国情が外国と違う関係かどうか、学者が喜んで協力するというようなことが見られない、と言って嘆かれておりましたが、その通りだと思います。それは私は学者を批判する前に、みずからの自己批判を防衛庁あたりはしなければならないと思います。学者というのはほかの連中から見ると非常にプライドが強い、それから非常に自信力の強い者じゃないと、突きつめた学問というのはできない、従ってまあ少し変り者が多いのです。そういう者が頭の高いところに一々頭を下げて、へいこう行くことはできないと思う。ところがそういう形だから、学者や研究機関に対して協力を求めるときには、防衛庁というものが今のような態度ではだめだ。それは防衛長官も待遇と経費の問題を言いましたが、待遇も経費もそうでありますが、もっと謙虚な態度で、この学者との協力に手を差し延べなければだめなんじゃないかと思います。これは単に私は学者だけではないと思います。今このガイデッド・ミサイルの関係におきましても、防衛産業の方面ではいろいろな協議会が設けられてあるようでありますが、航空関係の生産に携わっている非常な有力な人たちでも、日本で当然間に合うような飛行機を防衛庁はどうして外国から買わなければならないのか、なぜそういうことをあなたたち大胆に訴えないのかというと、やはり私たちはどうもこう弱いものでして、という調子で、非常に私は卑屈感におそわれていると思います。私はアメリカの、売るために各飛行機の生産会社の人が工場を見てくれ見てくれと、日本人は大がい見るそうですが、私はあまり見ないが、見ないということは誇りじゃなくて、大体航空産業のごときはやりようによっては幾らでも日本で伸ばし得るのだ。そういうことに対しても、国内の産業育成というものに重点を置くよりも、向う側にどうやって迎合しよう、向う側から押し込まれたことをどうやって受け入れようと、よろめいている感じの方が強いと思いますが、そういうところはどうですか、私はそういう具体的な例をあげてもいいのですが、相当聞いておりますから。どうですか。
  70. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) 航空機の話が出ましたから一言現状を申し上げておきます。  最近わが国の航空機製造業も相当の人員を持ち、りっぱなものができるようになりました。つきましては航空機の国産化という方針を打ち立てまして、現在戦機については、F86F、これはもろちん初めはアメリカで製造したものでございまして、それの供与も受けました。しかしながら現在日本の航空産業の発達並びに将来の育成という見地から、これは日本で今ずっと国産をやつております。それから最近P2Vという対潜哨戒機、これは相当高価なものでございます。これも日本で国産するということで、もうすでにこの予算通りますれば実行するという段階になっております。その他練習機の関係は、これはT33とか、あるいは先ほど申しました、練習のジエット昼間機というものも全部国産でこれはやっておりまして、テストも成功している。こういうわけでございまして、まあ最近ではもちろん基本的に考えて、自分でいわゆる独創というものも今後できると思います。しかしながら航空機の産業というか、機種の新しいものがどんどんできてくるわけでありますから、国内でそういったものを初めから独創的に作るという段階にはまだいっておりません。しかし生産を国内ですることによって、技術部面その他において非常なここに進歩が起るだろうという方針で、いわゆる国産化、この方針で押してきているわけでございまして、向うのものをそのまま買ってくるということは、きわめて例外なものであって、主力機その他練習機を初め、日本で作ったものを使用するということで、この予算にも計上しておる、こういうことでございます。まあそういった方針で、何しろ航空自衛隊は約三年半前に編成、設置されたものでございます、それでありまして、使用する航空機の数が非常に少いわけでございます。そこで新しくどんどんとりかえては日進月歩にやるというだけの予算もなければ、またその段階でもなく、従って一定の機数を充足するに必要なものをどうして国産化をやるか、ということに今取り組んでおるわけでございます。そういった意味で御意見とは大体同じような方向に進みつつある、こう申し上げて差しつかえないと思います。
  71. 戸叶武

    戸叶武君 学者や研究機関や大学の研究所、そういうようなものと結びつきは具体的にはどういうふうな方式でやつておるか、それを御説明願いたい。
  72. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 技術研究所の中にも、先ほど長官が申されましたように、不十分でございますが、たとえば大学の教授をやっておられた方等が十人ばかりございます。教授、助教授、それから技術研究所に顧問という制度を持っておりまして、これは五人の定員でございますが、現在三人有力なる学者の方が顧問になっております。それから外部の研究機関、学会等にはそれぞれ関係の者が参加しておりますし、いろんな種類の技術関係の会がありますが、参加しております。ただ大学そのものとしては、正式にいろいろ頼んだり頼まれたりするという関係が、まだ道が開かれていないことでございますので、役所の各研究機関に対しましても、たとえば航空の研究機関が科学技術庁にありますが、そういう所とはしょっちゆう連絡をとつてやつております。
  73. 戸叶武

    戸叶武君 米国から対潜哨戒機及び訓練機四十一機の供与を期待すると同時に、ヘリコプター八機を購入することにしておる、それからまた三十三年度においては、P2V対潜哨戒機の国内生産を開始することにしておるというが、この実情はどんな状態です。
  74. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) 飛行機は、航空部隊の整備の関係上、御承知のように三十五年度ないし三十七年度、完成するのは七年度でありますが、千三百余を、各種の航空機を整備していこう、こういう目標はございます。そこでこれを全部を国内生産によってやると、ある機種においては非常に高価なものになり、また現在の技術においては可能でないというものもございます。その意味において、航空機の供与というものを期待せざるを得ない現状でございます。しかし先ほど申し上げましたように、主力機については国内生産をやろう、こういう方針と相互相待ってこの整備目標を達成したい、こういうことに相なっておるわけでございます。そこでただいまこの説明でも申し上げましたように、C46というのはこれは輸送機でございます。これも供与を期待する。それからヘリコプターも買い入れようというような計画になっております。その他あとの、従来のF86Fというものも国内で従来の年度に引き続いての生産をやっていく、こういうような意味で、供与と相待ってこの整備目標を達成したい。こういうふうに相なっておるのでございまして、三十二年度末にはこれらを合計して、国産のもの、供与によったもの、購入したもの、八百二機が大体九百九十機になろう、こういうので三十三年度予算が計上されておるわけでございます。
  75. 戸叶武

    戸叶武君 潜水艦の現有力、それから今後における増強の見通し、それはどうなっていますか。
  76. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) 潜水艦は今一隻建造中でございます、国内において。三十三年度末では二隻という予定を持っております。供与一隻がございまして、国内生産が一隻ということで二隻、こういうことに相なっておるわけでございます。
  77. 戸叶武

    戸叶武君 その二隻の建造の予算幾らでした。
  78. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) 潜水艦は今作っておるものは一隻三十億円くらいのものだと思います。予算は継続費の計数の中で出ておるわけでございまして、これは国内の分で二十七億一千八百万円の継続費をいただいておりまして、三十四年度最後の三億五千万円でこれが完成するということに相成なっております。
  79. 戸叶武

    戸叶武君 日本の潜水艦はドイツとともに非常におそれられて、そして現在ソ連がドイツの技術を取り入れて、サラー二その他大体基地として、アメリカにとつては太平洋を脅かされようというほど心配になっておるが、問題はもう潜水艦の時代より潜水艦をどうやって撃沈するかという、日本自体においても、さっき言ったC装置なんかも相当な成果を上げておるので、防衛という建前からは潜水艦を作るというよりも、潜水艦の襲撃を防衛するというところに重点を置かなければならぬ。日本の防衛というものが相手を攻撃することよりも、自分の方を守る方、そのために名前を防衛庁とつけておるにもかかわらず、そういう話があべこべだと思うのですが、どういうお考えで潜水艦なんかにべらぼうな金を使って、ある意味では時代おくれだと思うのですが、他の国の攻撃をするなら別だが、そしてあるいは防衛の方の日本の独自のものがあるにもかかわらず、それをおろそかにしておるのはどういう考え方から出発しておるのですか。
  80. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) 潜水艦は一局価でもありますし、財政上の見地からいってもそうたくさん作るゆとりはございません。しかし沿岸防衛という見地からいっても、陸上の護衛艦というだけではその用をなさないという面もあり、特に潜水艦による航空海上部隊員の訓練というようなことも必要でありますし、若干はやはり戰艦の編成上これは必要なものだという見地から、こういった建造を考えておるわけでございます。ほかの艦艇の主力というかそれは護衛艦甲、乙とございますが、それを主力といたして大体十二万四千総トン数のうち、まず八万四千トンぐらいは防備並びに護衛の船団というものにしてその使金を持たしていこう、こういうような方式で大体の整備の目標が立っておるわけでございます。
  81. 戸叶武

    戸叶武君 非常に古い形の体制を整えようとして、形ばかりを整えて魂が入っていないのが今の日本の防衛体制だと思いますが、たとえば対潜水艦作戦の防衛のために必要な飛行機なんかは相当そろえておいて、そうして日本の海軍なり何なりが今まで相当な実績を上げたC装置の研究というものは、今まで三十年、三十一年、三十二年と累積しても、おそらく一番使っていないかと思う。片方潜水艦の方は三十億からの金を使おうとし、飛行機の力は相当に作り上げていって、これは全く形だけにとらわれて、金のかかるものだけに金を使って、科学技術の面においてはそれに投入していないということがはっきりしていると思うが、防衛庁長官はそれに対してどういう見解を持っておるのですか。
  82. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) 潜水艦の話が出ましたからそれに触れますが、先ほど申しましたP2Vという飛行機は、これは潜水艦に対してこれを、地上ないし山上においてこの防衛をやろう、こういうので、これは大体三百億円かかるものなんです。もちろんそれに装備されるものはこれはいろいろなものがございます。その全体の構造、構成からいって、きわめて近代的のものであってこれは米国側もこれに援助するということで、大体三百億、来年度予算二百五十億円余りを潜水艦防備のためにする予算を計上していただいたわけです。研究費が足りないじゃないかということは、先ほどたびたび申し上げましたように、まず現状において最善を尽すという程度に、技研としては十九億円、またその他の陸海空からの予算で、これも十億円をこしたものがここにつけられて、三十億余りになっておるというわけでございまして、まあとにかく一応の防衛体制を整えて行こう。これらの、航空機にいたしましても、潜水艦にいたしましても、あるいはその他のものは相当年所を要する、でき上るまでに、今直ぐ注文して来年それができるというものではなくして。そういった意味もありまして、一応の態勢を早く作るという趣旨から、これらの艦船、航空機の建造ということを予算に計上しておるというのが実情でございます。
  83. 戸叶武

    戸叶武君 C装置の問題のごときは、アメリカでも相当注目しておる。それにもかかわらずその専門家たちに研究費を使わせずに、むしろその反対側に費用を使わしておるような傾向もある。その具体的なことは、また追つて、内閣委員会なり何なりで究明することにしますが、一体この技研の最高責任者はだれがなっているのですか。
  84. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) 今、青山という博士が所長になっております。技術者でございます。前の東大工学部長をやつていた技術専門の、これはその方面におきましては著名な人を中心としてやつておるわけでございます。
  85. 戸叶武

    戸叶武君 いつでも昔の軍は著名の人をロボットに使って、人事関係は自分たちの手に握ってコントロールする弊風があったのですが、人事はだれがやつておりますか。
  86. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) 当然所長が適当な人を見つけてこれに採用しようということでございますが、法制の上から申しましては、各部長すべて防衛庁長官の人事権のもとに服しておるわけでございます。
  87. 戸叶武

    戸叶武君 形だけで、ほんとうに学者なり専門家なり、人材を吸收する態勢というものが私はできていないと思う。そういうところに費用というものが重点的に使われないで、浪費の傾向が非常にあるので、前の靴の問題や、パッカード・エンジンの問題なんかは、その代表的な例だが、僕は非常に防衛庁予算の使い方というものに疑念があるのだが、それを、一番最初に戻りますけれども防衛庁長官は、これは会計検査院ですかあるいは国会の方の決算委員会でどうこうのと言っていますが、一体そういう経費の使い方、それから人の採用方法、そういうものを監督し監視するというか、そういうものに対して注意を怠らないでいる機関というものは、どういうところにあるのですか。
  88. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) 経費関係から申します。経費人件費が一番大きな項目でございます。それからあとは機材その他の物資の調達ということに相なると思います。問題の点は物資の調達とあるいは艦船の発注、飛行機の発注というものであろうと思います。これは防衛庁に調達本部というのがありまして、そうして発注するということに相なっております。しかしながら、それは外局としてそういったものを扱っているわけでありますが、経理局が監査をして、これは、内局におりまして、予算を作り、またその予算の執行を全部みていく。従って調達本部でこういったような契約発注をし、どういうように成果が上るかというようなことは、経理局の担当になって、具体的の担当の課を言えば監査課というのがございます。そういう組織になっておるわけでございます。各地方には、一定の金額以下を地方部隊に、地方調達ということで、ある一定の限度以下のものについての調達をやらせるのですが、中央調達というものがほとんど大部分でございます。地方にもまたそれに即応した監査課を設けて、その監査をやっていく、こういうシステム。それからまた経理の不当な支出を防ぐためには、単純に自分が発注して自分が支払うとか、そういったようなことでなくて、おのおの分担をきめて、一定の部局にそれがずっと流れてどこかでそれをチェックすると、いうシステムでやつているという実情でございます。  なお、次の人事の問題でございます。人事は一定の何と申しますか給与、また部隊については一定の階級がございます、これは次官または幕僚長という者に一応の委任をする、ある一定の階級、給与以上の者は長官が決裁をする、そしてその調査、選考あるいはいろんな成績その他について、厳重な勤務評定がありまして、それに基いて人事の異動等をするという場合に、人事局というのがございまして、ここで始終勤務評定、能力その他の点を考査して、一定階級以上の者は長官の決裁によると、こういうことでやつております。
  89. 戸叶武

    戸叶武君 話を少し転じますが、防衛長官の説明の中に、「昭和三十三年度は、管制教育団、第二航空教育隊を新設して訓練体制の強化をはかるとともに、後方支援の不均衡を是正するため、自衛官六千七百人、自衛官以外の職員七百人を増員し、」とありますが、この後方支援の不均衡を是正するというのはどういう意味ですか。
  90. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) これは、今日最も欠けておる点で、いろいろ部内の仕事の上にも支障を感じておる点、それは後方支援部隊が少いということであります。具体的に申しますと、飛行機を生産し部隊に配属して、このパイロットを養成すると。ところがこの飛行機の整備の関係、一定の時間使えばすっかり全部機関、エンジンをあらためるとか、その他の整備の部隊が後方支援部隊というのでございます。この支援部隊の数は、一つの戦闘機については何人ぐらいの整備員を置くかということが、標準があるわけでございます。現在は、このいわゆる航空自衛官については、増員のたびに、後方支援部隊をそれに均衡のとれたものをつけていくということが当然であるにかかわらず、予算関係で節約の面がそこを削減されるということで参つたわけでございます。で、来年度においては、これは飛行機の事故、航空事故等を防止する上からいっても、大体一機については六人ないし七人の整備員というものをつけるわけでございます。それがその数にずっといってないで、二、三人欠けてるわけでございまして、いろいろ故障も起るというようなわけでございまして、まあ、来年度からはそういった均衡を得るような態勢にもっていきたい、という意味で、今度は均衡のとれるような整備の体制を整えていこうと、こういう趣旨でございます。
  91. 戸叶武

    戸叶武君 均衡のとれるような整備の体制といいますが、空軍要員中における航空乗員と整備要員はどんなふうになっておりますか。
  92. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) パイロットにつきましては、ただいまのところではパイロット一人に対しまして航空機一・一六と、学生要員といたしましては二機に対して一人というぐらいの割合で計算をしております。整備要員につきましては、ただいま長官からお話がございましたごとく、今までの整備要員がF86Fについて申し上げますと、一機当り六。七八人であったのでありますが、これを今度は一機当り八人に増加をいたします。それから新しくF86Dという飛行機六十機の供与を受けるのでございますが、このF86Dにつきましては十二人余の整備員を増強することにしておるのでございます。飛行機一機に対する。パイロットと整備員の関係はそのようになります。
  93. 戸叶武

    戸叶武君 けさの新聞を見ますと、防衛庁はこのほど、領空侵犯機に対する措置には、「実弾発砲を含まない」との統一解釈をきめたということでありますが、それはどういうきめ方をしたんですか。
  94. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) わが国の領土の上空に、国際航空協定等によりまして、許可を受けないで上空を通過するということは禁ぜられておるわけでございます。そこで、そういった飛行機がいずれの国を問わず、そういった許可を受けないで飛翔するということに対して措置をすることは、自衛隊法の八十四条に書いてあるわけでございます。自衛隊といたしましては、航空自衛隊のすなわちわが国の航空機によって、これを領空から退去してもらうという措置をとるということが、法律に規定されておるわけでございます。そういった措置をとるには、どういう方法をとるかという具体的な方法については、研究を必要とするわけでありまして、それについては、まず退去、わが国の領空、空の上からは退去するように警告を発するというようなことを主眼としてやっておるわけであります。そのやり方はいろいろありまするが、いきなりこれに対して実力行使的な行為はやらない方がいいということで、そういった指令を、実動部隊の方面に命令を出しておるわけであります。
  95. 戸叶武

    戸叶武君 これは非常に適宜の処置で、なるたけ戦争に巻き込まれまいという注意深い措置だと思いますが、今後太平洋上に緊迫した情勢なんかが生まれたときにも、潜水艦なら潜水艦の動きというものを探知したときに、それに対してはどういう措置をとりますか。
  96. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) 潜水艦のその行動は、ある部面はレーダーによって知られるものもございます。しかし、その目的が那辺にあるかということを研究しないと、それに対する措置をきめるというわけにもいかないかと思います。その意味において領空侵犯のごとく、明らかにわが領土の上空を飛翔するものとは非常に違いがあるわけでございます。ただ、領海を通航するということは、許可なくしてはできないわけでございますから、これについて警告を発して退去してもらうということは、これは航空機の場合と同様だと思います。
  97. 戸叶武

    戸叶武君 今の質問は、もちろん領海に及んだ場合のことでありますが、やはり飛行機と同じように侵犯されても実弾を撃たず、というような形でやろうというわけですか。
  98. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) それ自体が日本の侵略といったようなものになるかどうかという判断でございます。わが国の国土を侵略しようという意図が明瞭な場合は、これは国防会議にかけ、あるいは国会の承認を経て防衛出動ということになっていくわけであります。そういったような程度が明瞭でない場合は、これに退去をする警告を発するということで、いきなり実力行使ということをやることは穏当を欠くと、こう私は思います。
  99. 戸叶武

    戸叶武君 まあ日本で一番今後においても神経を使わなければならないのは、対アメリカと対ソ連の問題だと思いますが、いまだに私たちはこの両国との関係において、不明朗な圧力を受けているのはポツダム宣言の履行ということ、あるいはサンフランシスコ講和会議における平和条約の履行ということだけじゃなくて、米英ソ連間に作られたヤルタ秘密協定というのが不気味な形において生きているので、今漁業問題に関連して領土問題が浮かび出てくるのも、すべてこのヤルタ協定の秘密協定によって支配されておるので、戦時中における軍事秘密謀略協定は、一九一五年にイタリアに対して領土をやるといういざないによって、ロンドン協定を結んだと同じようなやり方で、これはベルサイユ講和会議においてウィルソンがけ飛ばされましたが、このヤルタ協定はいまだに不気味な存在になっておる。これをどういうふうに清算していくかということに骨折っているのは、私は日本と中国だと思う。この問題の秘密を、ソ連が、ルーズベルトが死にかかったときに秘密の案が葬られては大へんだというので漏らして、そのとき一番震骸したのが御承知通り中国の国民政府で、自分の国の主権が侵害されておることに驚いたのですが、このことは、国民政府が没落した後においても、中国の人民共和政府の毛沢東、周恩来がスターリンと強硬な談判をして、そうして中ソ友好条約がかわって、中ソ友好同盟条約に切りかえたときに、ヤルタ協定で制約された主権の侵犯の重要な部分というものは、私は取り返したと思う。で、さらに今度は中共が北鮮からも軍隊を引くというような形において、なるたけ武力によるところの極東における紛争というものを避けよう、という形が中共自体においてはなされている。中共がソ連圏に属していながらも、自国の主権回復のためにはソ連と折衝して、主権回復のために非常に戦っているにもかかわらず、日本はその面における努力は足りないで、こういう状態におかれているが、今漁業問題を中心として樺太、千島の問題がどういう形……、強制出漁するというふうに日本側でも強気に出ているようですが、強制出漁したときに起る事態に対して、防衛庁はどういう処置をやろうとしていますか、それを承わりたい。
  100. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) それはまだきまってないことだと思っております。そういう場合にはどうするかということを、防衛の担当者が先に発言するということは、これは私は慎しむべきことだと思うのです。そういう方針が政府で確定して、その場合にどう対処するかという意見を求められれば、これは意見を述べるべき当然の地位にあると思いまするが、まだそういったことを政府が発表し、現実にそういう事態になっておらないのを、私から防衛庁長官として、こういう場合にこうするということを、公けの機会において言うことは、私は避けた方がいいと思う次第でございます。
  101. 戸叶武

    戸叶武君 私は先にとにかく侵犯機に実弾を撃ない、それから潜水艦が来て領海を侵された場合においても、それに対する爆撃等はやらないで、そうして話し合いをやるというふうに、防衛庁の方で基本方針をきめているというのは非常にいいことで、今の防衛庁長官答弁もこれは非常にいいと思うのです。しかし片方において日本の外交当局が何か知らぬが、とにかく日ソ間において漁業交渉をやっておるさ中において、強制出漁をやって……といえば必ず紛争が起きる、紛争が起きてからゆっくり考える、国会でどうのというのじゃ間に合わないと思う。そういうときにどういうふうな心がまえでそれに対処するか、まあこういうふうに飛行機に侵されても実弾で撃たない、潜水艦に領海を侵されてもそれに対してさからわないというほど、非常に穏便に事を運ぼうという防衛庁のお考えがはっきりなったときに、必ずやそのときにおいても、軍事的紛争は避ける、という基本方針は曲げないのだと思うのだが、今の答弁じゃ非常に心もとないが、基本的な心がまえを私は承わっておきたい。
  102. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) 先ほどの私の答弁が、領海を侵してきたときにどうするかということは、これは何にもしないということを申し上げたつもりじゃないのです。その事態が、これは外国からのわが国への侵略だというようなことに判断され、それが合理的に成り立つ場合は、これは防衛出動をするのであるという意味において、何にもしないというのは、そういった事実を判定できないような事態においては、警告を発して領海以外に出すといっうことが適当な措置であると。どういう事態においても何にもしない、というところまでお答えしたとは思っておりません。  次に、この今の出漁の問題、何というか、強制出漁といいますか、そういう場合は、これは具体的の今交渉段階にある問題に直接関係のある問題でございまして、そういう結果が生じたというものでないのでございまするから、これは今早計に私のこれのやり方を申し上げるのは、差し控えた方がいいのだろう、こういうことをお答えした次第でございます。
  103. 戸叶武

    戸叶武君 岡田さんも参られましたから、私の質問はこれで終ろうと思いますが、きょうの防衛庁長官お話を承わると、非常に話の筋は私はよく通っておると思うのです。しかし、やはり防衛庁長官が心配されている点、一にも二にも人の問題である。それをどう生かすか、それとの結びつきをどうするかという点にある、というふうに力説されたが、残念ながら今の防衛庁においては、この点において非常に欠けるものがある。旧軍部と同じだとは言わないけれども、やはり日本の旧軍部の崩壊した原因かつての旧ドイツが崩壊したように、近代国家をドイツがユンカーを基礎として軍部官僚の秀才を作り上げたが、そういう促成栽培的な権力部隊というものが、かえって国家を崩壊するもろさを作った原因になったのは、やはりこの人としての信念、謙虚さ、進歩性、そういうものに欠けてきておったので、人間自体に病根があった。この問題を今後の日本の防衛体制を作る上においても、私は一にも二にもやはり人だと思う費用だけで、人件費を膨大に使っているのでなくて、ほんとうの人間を私は見つけることだと思う。そういう点において防衛庁における今の態勢には納得のいかない面が多々あるので、これは別の機会において私は質問したいと思います。これをもって私の質問は終ります。
  104. 岡田宗司

    岡田宗司君 防衛庁予算について若干お尋ねいたします。三十二年度予算が千億余になっておりますが、防衛庁予算は毎年相当使い残りが出るのです。大体本年三十二年度予算の使い残りはどのくらいありますか。
  105. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) お答えいたします。三十一年度予算大体千億見当でございまして、これの消化というか、予算の執行の状況は三十二年度へいわゆる繰り越しという形、それが二百三十六億と見ておるわけです。これは国会にも報告したわけでございます。その前にもやはりその程度は三十年度にもあったと記憶いたします。本年度予算は千十億という総計でございます。これらの繰越金をされて本年度にも使い得る金が百何億ございます。それを合せて千二百何億を現年度の執行すべき予算、こうなっておるわけでございます。そこで予算を無理に消化するということは絶対禁物であるが、一定の計画を立ててそして適正にこれを使っていって、初めて防衛計画というものが実行が達せられ、予算の目的がそこに効果を生ずるのであるというつもりで、就任以来一定の計画を立てて、そして適切かつ時宜に即応したものをやるように、ということを非常に熱心に説き、また過去両三年来の事実に徴して、庁員全体、各地方の部隊に至るまで、そういった計画的の運用をしてきたわけであります。その結果、三月三十一日また四月国庫の支出期間もございましょうが、今まで予算の執行において大体ほんとうの繰り越しとして、契約しないで支払うことができない、手がつけられなかったというものは、先月は大体三十億になるだろう……年度に未済として持ち越す契約についてまだ支払いをしないものは、これは契約完了でございますから、支払いが当然起るわけでございますが、予算支出そのものじゃございませんで、契約額を含めての話でございます。そこで最近の状況からいきますと、この計数はさらに減る予定になっておりまして、来年度の繰り越しというものは、過去二年度間に比べて、非常にその点においては執行が順当に、また同時に私は適切にやったという感じを持っておりまして、ここに初めてこういった常道に乗るということに相なるかと思います。  なおこの際つけ加えておきたいことは、防衛庁予算の中には、航空基地の拡張だとかというような経費も入っておるわけでございます。これが必ずしも地元の方との話し合いができないというようなものもできてくるわけでございます。やむを得ない次第でございます。そういったような意味において、ある程度の繰り越しというか予算の執行ができないというものも、そういったような事情に基くものも相当あるということは、これはやむを得ない現在の状況だろうと思いますが、結論といたしましては、三十二年度予算の執行については、従来よりは、まあ言葉を大きく言えば、面目を一新するというような結果をあげたいと、せっかく努力している次第であります。
  106. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうも計画をうまく実行されないで、契約だけはできたけれども支払いがおくれておるというようなもので、繰り越しになるものはまだ相当あるわけですか。
  107. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) これは経理局長からちょっと御説明いたさせます。今のは私荒筋を申し上げただけで、むしろ、予算、決算を扱っております。経理局長から。
  108. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 先はど長官からお話しありましたように、契約済みで繰り越したものは三十一年度から二年度にわたりまして百三十三億ばかりございました。本年度から来年度に繰り越す契約済みのものがどの程度あるかということは、まだ最終的な積み上げが出ておりませんのではっきりした計数はわかりませんが、去年に比べれば相当大幅に減るだろうということは申せると思います。これは今お話もありましたように、たとえば輸入品のようなもので、はじめ契約いたしますときには当然年度内に入ると思われておったものが、いろいろな事情でおくれるというような関係とか、あるいは試作品のようなもので思いのほか製造に時日がかかったとかいうような、要するに防衛庁の購入に伴います特殊な事情に基くものが相当あるわけでございます。これを全然なくしてしまうということはできないわけでございますが、しかし去年に比べますと、相当大幅に減るということは申せると思います。
  109. 岡田宗司

    岡田宗司君 従来防衛庁予算というと毎年々々繰り越しが多いのでいつも問題になっていた。それを今度予算の執行がうまくいってというお話ですが、これはうまくいっているならけっこうでありますけれども、いつも批難されるから年度末になって、あわててむやみに物を買ったり金を払ったりする、ということで問題を起しがちなのは、これは方々でよくあることなんですが、防衛庁についても前々にそういうことで要りもしない品物をうんと買い込んで、そうして会計検査院にだいぶしかられた例もあるのですが、今年もそういうことを行なっているのじゃないですか。それで繰り越しを少くしているというようなことはないですか。
  110. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 過去におきましては、予算の執行が順調にいかないために、年度末に相当契約がたまってくるといったような例も、ないわけではなかったわけでございますが、私ども一番心配いたしますのは、むしろ繰り越しが多いということよりも、繰り越しを減らすがために、そこに不正不当な支出が起る、ということの方をより警戒しなければならないと考えております。今年度は初めから計画を立てまして、できるだけ順調に予算の消化に努めて参りました関係から、年度末にいって急に契約をしなければならないというふうな事例はないと考えております。
  111. 岡田宗司

    岡田宗司君 会計検査院の報告によりますと、農林省なんかと一緒に防衛庁はいろいろ不正だの不当だのの金の払いの多い方なんです。いろいろの事件のよく起っている役所なんですが、これに対して防衛庁の方で、今までに何か特別な措置を講じてそういうことの起らないようにする方法をとっておりますか
  112. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) 今の御質問まことにごもっともなことであります。それで私は前任者の当時のことはよく存じませんが、私は就任と同時にこれはどうしてもこれだけの大きな予算を国民の租税負担によってやっているということから申しましても、また防衛の整備計画というものを達成するという事態から言っても、予算の適正な効率的な使用をする必要があることは、私、経理ばかりやってきた男でございます、ということを除いても、現状から必要であろうと思いまして、就任以後さっそく全国の各部隊幹部、総監はじめまず第一回の会合をやりまして、今日の大事なことは、経理の適正化と不当使用ということをやってないということである、ということを懇々と説き、特にその趣旨を全隊に示達し、また各部隊の実際会計をやっている担任者、またこれを監査する者も全部集めまして、連日この点について会合を開いて、趣旨を非常にしつこく申し上げた。この点は従来もあったと思いますけれども、一番大事なことだという観念を私としては持ったわけでございます。そうして今の調達の部面、これも年度末になって非常に急いで無理な金を使うよりはいわゆる計画的にやっていく。ことに発注関係人件費は別といたしまして調達部面、これが準備が十分でないと予算が通っても仕様書を作るのに半年、一年かかる、というようなことのないように、ある者は研究の成果を入れて時代に即応するように適当な修正を加えることは当然のことでございますがそういった準備というものが完全にいって、そしていかなければどうしても一方に偏して時期的に非常なズレを起すと、そうするととうとう繰り越しになるというような観点からそういった準備、仕様書の作成等についても十分手配をするように、毎月、今月はどういう状態であったかということの表もとって、特別にその点も重きを置いたわけであります。  これは、予算の施行の普通の場合でありますが、不正なもののある、そういったものに対する厳重なる訓示並びに実行、それからなお過去において行われたる不正について事態がわかったものに対しての厳重なる処罰ということも行なってきたというわけでございます。しかし、何分にも全国にわたった非常に膨大な組織でございます。これは、一日にして全部が全部すっかりりっぱな形になるということにはよほど力を入れていかなくちゃならぬということを考えておる次第でございます。まあこれに私は、自分としては重点を置いて参ったつもりであります。
  113. 岡田宗司

    岡田宗司君 予算の執行に当って一番重要な点は防衛庁で、やはり武器なりその他の物資の調達の問題だと思うのです。調達の面につきましては調達の方式といいますか、これはアメリカ軍のやっている方式を教わったのだか、取り入れたのだか、そういう方法でやっているのですね。
  114. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 今、調達のやり方は会計法の規定に基きまして、それの範囲内のもとで段取りもきめまして、それでやっておるわけであります。
  115. 岡田宗司

    岡田宗司君 そんなことじゃないのです。調達のシステム、機構はアメリカ式のやつを学んでやっておるのでしょう。
  116. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) ちょっと御質問を誤解しておりました。大体アメリカ式に近いものであります。
  117. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうでしょうそれと、従来の日本の普通の官庁の調達の方式とだいぶいろいろな点で違うと思うのですよ。そういう点について、あなた方の方は今の方式の方がいろいろな不正を阻止できると思うのですか、それとも今の方式の方が能率がまた上るというふうにお考えですか。
  118. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) その方式を簡単に申し上げますと、仕事を項目別に分けまして、一つは予定価格を作る、原価計算であります。一つ契約方式をきめ、それから業者をきめ、入札したり商議をやって契約書を作る、それから検査、それから最後は支払いの面、これを機能的に分けまして、調達実施本部に四人の副部長を置きまして、その副部長が四つを分けているわけであります。それを本部長が総括する、こういうことになって、総合牽制制度といいますか、チェック・バランス・システムであります。ただアメリカと違っておりますところは、アメリカは陸海軍別々にやっております。防衛庁におきましては、ほかの仕事、技術研究所その他も同じでございますが、三幕のものを共通してやっております。この制度によりまして独断専行といいますか、不正不当防止には相当役立っておるかと思います。なお、専門的にも相当そればかりやっておりますので、熟練も増す。ただ一面能率といいますか、そういう点では要するに一つのものを分けてやっているのでよほどスムーズに段取りがうまく合いませんと、結果的には能率を害するというような面も見られまして、十分人があれば分けてやった方がいいのですが、人と経費その他の仕事量のバランスの関係、そこが十分にいかぬ場合にはかえって能率を悪くするという面が多少見受けられます。しかし、建前としてはその建前で今後やっていきたい、その方が不正不当を防止できると思います。
  119. 岡田宗司

    岡田宗司君 私もその方式について前にいろいろ説明を聞いたことがあるのですよ。それでやはり昔のやつよりは幾らかよくなったと思っておるのですが、依然として防衛庁の不正事件が多い。それはそれとして、防衛庁で新しく買い入れ錢武器ですね、たとえば飛行機、こういうものについてあの方式でいくと、やはり原価計算というものが大きな問題で、原価計算プラス利潤が製作会社に払われ錢わけですが、そういうふうな原価計算というのは一体今の調達実施本部の何でもってほんとうにこまかくできるものですか、これは私大きな問題があろうと思うのですが、そこらはどうなんですか。
  120. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 原価計算といいますか、こちらでいえば予定価格であります。予定価格のやり方は、一つの内部的な達しといいますか、きめがございまして、それにいろいろな方式がきめてあります。大体市場価格のあるものは市場価格、公定価格のあるものは公定価格を調べてやっております。今、御指摘のような飛行機の例でございますと、飛行機の例の86、33等、一次、二次、三次と参りまして今では相当の工数、その他の実績もつかんでおりますが、初めのうちは何と申しますか、御想像のようにちょっと見当がつかぬ、業者も見当がつかぬ、こっちも見当がつかぬという面が相当あったわけでございます。契約の方式もそういうものにつきましては、たとえば材料費等は概算契約あとで精算するというようなやり方をとりまして、事実上とあとで合わしていくというようなやり方を相当続けております。
  121. 岡田宗司

    岡田宗司君 今、飛行機の例を引いたのでありますが、飛行機の生産費の計算というものは非常におそらくむずかしいものだと思う。特に今度新しい飛行機を購入する、作らせる、たとえばP2Vを作るというような場合に一体これはどういうふうな原価計算をとるのか。アメリカのをとるわけにはいかない。日本でもってこれを適正な原価計算をきめるという場合にはあなたの方では結局これを製作する会社が出したものを基礎にしてやらざるを得なくなる。ところが、その会社は相当いろいろな点でふっかけてきているというようなことがあろうと僕らには想像される。そういう場合に一体どういう基準でこれを、この原価計算をあなた方の方でやるのか。これはなかなか問題だろうと思う。とにかくこの適正基準というものを一体あなた方はどういうふうに見ておられるのか。大体原価計算に対して、計算された原価に対してどれくらいのものを付加していかれるのか。物によっても違うだろうと思いますけれども、そこらの基準はどうなっているのかをお聞きしたい。
  122. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 今P2Vのお話を例におあげになりましたが、P2Vについては、今予算積算いたしまして御審議を願っておりますが、予算積算しましてこれが通過いたしまして生産を始めます際にはまたこまかい原価計算をやります。お話のように予算積算するにつきましても、それがどこまで確実かという御疑問があると思います。アメリカのP2Vのときにアメリカ側の負担すべきものと日本側の負担すべきものを項目に分けております。たとえば向うから一部はくるが、二部こっちが作る。これはどのくらいかかるものかということは向うの会社のデータをもとにしてこちらの判断を加えて査定する、こういうことをやっております。それから、たとえば向うの会社の、これはアメリカ持ちのものでございますが、管理費とか、ロイアリティだとかは、これは向うの言う通りに査定する。それから材料の関係は、これもアメリカ側のデータをもとにいたします。アメリカの負担すべきものとその材料を日本で国産いたしました場合に数量その他の関係で高くつく面が相当ございますので、それは物別に分けましてどのくらい値増しがあるかどうか、これはF86、F33でもいろいろ国産化をやっておりますので、その経験に基いて……。それからレーバ一のコスト等も、工数レートはF86、F33の例を見まして、会社の立地条件その他を考えて見積る。その他のエクスペンスも、F86、F33の例を見積っていくということであります。これが通りまして、今度は調達する、契約するときの原価計算の場合には、そのときの会社の生産状態等も違いますし、そうするといろいろコストの関係、間接経費関係が変ってくると思いますので、それらをそのときの状況をもとにして原価計算を今度予算範囲内でやり直す、あらためてやる、こういうことになろうかと思います。相当飛行機の生産もなれてきておりますので、相当確実な実情に近いものが把握できるようになってきた、把握できる自信のないところは概算契約にして、あとで精算する、こういう方式をとりつつあるわけであります。
  123. 岡田宗司

    岡田宗司君 その際に適正利潤をどのくらい見ておるのですか。
  124. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 一般管理費、利益を含めまして飛行機は一二%くらいになると思います。
  125. 岡田宗司

    岡田宗司君 それだと私どもが考えておるより非常に低いわけなんです。実際には、これは会社側の方の何もいろいろあるでしょうが、もっともうかっておるんじゃないですかね。そこいらはどうなんです。相当利潤を上げるような何になっているんじゃないですか、会社側の方としては。
  126. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) この利益率は、物別にいろいろ見まして、たとえば通信機等の市販がたくさんある、あるいは公社がたくさん買うというようなものは、その業界の一般利益率を最終利益、飛行機はほとんど防衛庁だけですから、飛行機と船は大体一二、三%に押えております。これは私は、相当その会社にとってはシビアーじゃないか、会社はいろいろなことをやっておりますので、それでがまんしていると思いますが、飛行機生産そのものはそうもうけていないんじゃないかという感じを受けております。
  127. 岡田宗司

    岡田宗司君 たとえば飛行機の場合、これは何年か作ると新しい機種を作らなければならぬ。そこで機種等も、ああいうものの償却というものは、ほかのものよりも短かい期間にやらなければならぬことになるのですが、ああいうのは何年くらいに見ておられるのですか。
  128. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 飛行機を作りますときの特異の何としまして、治工具をたくさん注ぎ込みます。86でいいますと、三百機で全部償却していく。一般の建物、機種その他の一般の設備費は、これは大蔵省できめました税法上の償却の原則によってやっております。従って機数が少いと償却が残る。残って、あとやらなければ会社がかぶるということになります。ただ飛行機は、たしか固定資産償却の特別があって、一般のものよりは相当飛行機に関する機種は償却期限を短かくしてあると思います。
  129. 岡田宗司

    岡田宗司君 それで今度できるP2Vは予算には概算で計上してあるのですか。
  130. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 概算といいますか、今の予算を作る時期の状況としては、わかる程度の資料でやっておるわけであります。
  131. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、P2Vは一体どれくらいで買い上げるということになっておりますか。
  132. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 予算的には、一機はスぺアがない場合には、日米合せまして飛行機の値段としては六億九百万になっております。このままで買い上げるというのじゃなくて、契約のときにはまた積算しましてこの範囲内で買う。
  133. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは最初そういうふうな工合ですけれども、だんだんたくさん生産されてくると安くなる道理ですね。これは来年、再来年——つまり三十四年、三十五年、三十六年というふうに安くなるわけでありますね。これはどれくらい安くなるのですか。
  134. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) この飛行機の作り方の一般的なこういう国内生産といいますか、共同生産の例としましては、初めはアセンブリしていく。そうして初めは、アセンブリにもいろいろな段階がありますが、アセンブリしますときには、ほとんどこっちは労務費とか一般のほかの費用が非常に安いわけです。ただ国産の場合には、材料その他は向うのものよりも国産は数の少い関係である程度高くなりますし、買い上げる費用もうんと高くなります。大体の感じから申しますと、初めの方が日本側の負担だけでいいますと約一億くらい、しまいの方になりますと約四億くらいという感じであります。
  135. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、日本の負担するのはだんだんふえていくわけですね。そういたしますと、今後年々P2Vなり何なりの買い入れる数がふえていく、日本の負担分はふえていくということになるというと、航空機の購入費というものは年とともにぐんぐんふくらんでいく、こういうふうに考えていいのですか。
  136. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 三十三年度は飛行機が出ませんで、いろいろな費用で一億九千万ばかり、三十四年、三十五年と、三十六年がピークで五十億くらいになりましょう。三十七年は前払い等します関係で減ります。ピークで五十億です。総額は百五十一億でございます。
  137. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、戦闘機の新機種の問題ですが、これはだいぶ早くからきめるきめないということが問題になっておる。この間予算委員会でお伺いしたときにも、まだきめないで近くきめられるようなお話だったのですが、今まあそれぞれ四つの会社の飛行機が候補者に上っておるわけです。性能についていろいろ問題あるようですけれども、まあその性能の比較について、あまり私くわしいことはお伺いしなくてもいいと思うのですが、その性能をちょっと示していただけませんか、大ざっぱでいいです。
  138. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) ただいま資料を手に持っておりませんので、正確なことは申し上げられませんが、大体今候補としておりますのは、御承知と思いますがF100という飛行機、F104という飛行機、F11—1F、N156という飛行機であります。これは速度について申しますと、F100か一・三マッハぐらい出ます。F個とF11—1Fが約ニマッハであります。N156が一・四マッハくらいであります。  それから実用上昇限度におきましては、F104とN156が五万五千フィートくらい、その次がF11でございまして、これが五万一千フィートくらい、F100はそれより少し落ちます。それから航続距離で申しますとF100が一番長くて、その次がF111F、N156、F104が一番短かいということになっております。それから滑走路について申し上げますと、一番長いのがF100でございまして、これは八千フィートくらい要します。F104も大体その程度でございます。F11—1Fがその次で、これは七千、N156が一番短かくて六千フィートぐらいということになっております。
  139. 岡田宗司

    岡田宗司君 戦闘機ですから、これは向うの戦闘機との戦闘もあるでしょうけれども、もう一つは爆撃機に備えたものですね。それでこれの相手方になる爆撃機は、現在どれくらいの高度を飛んでくるのですか。これの届かないような高度を飛んでくるのがこのごろあるのじゃないですか。
  140. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) この相手方と申し上げますと、工合が悪くなりますが、ソ連の爆撃機について申し上げます。IL28B、これが極東方面では一番多いように思うのですが、これが最大速度が時間九百キロでございます。マッハ以下でございます。実用上昇限度がメートルで出ておりまして一万五千メートルというふうになっております。
  141. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうやら届くというわけですが、もしこれよりもう少し新しいのがでできたら、どれも届かないということになりはせんですか。たとえば、五、六年先にこの機種が採用されて、その実用に供せられるようになったときに、もう五、六年先になれば六万フィート以上のものが飛んでくるようになるとこれは役に立たぬ。そのときには爆撃機でもこなくなるかもしれないが、それは別として、今言ったように、もっと高度になってくるという可能性が十分あるというときに、これはF86でもどうにもしょうがない。これじゃ、しょうがないということは、あなた方はお考えになってはおりませんか。
  142. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) IL28Bはこれはだんだん新しい型の飛行機にかえられていくであろうというふうに思います。大体しかし、われわれの考えでは最大高度六万フィートくらい、七万に行くことはまあなかろう、将来のことはわかりませんけれども、六万フィートあたりのところを目標にして考えればいいのではないかと思います。これは現在の、先ほど申し上げました飛行機でもサイドワインダーを使用いたしますればその攻撃圏内に入り得るのでございます。
  143. 岡田宗司

    岡田宗司君 それからまた前に戻りましてP2Vでございますが、あのP2Vの性能、これは速度や何かはいいのですが、体潜水艦を発見するのにどういうふうな装備を持っておるのか、それからどれくらいの遠いところ、もしくは深いところで潜水艦を発見できるのか。この潜水艦をまあ撃沈するなり何なりするのに、どういう方法でやることになるのか。つまり効果といいますか、効率それを一つお聞きしたいのですが。
  144. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 御承知かと思いますが、P2Vはロッキード会社の飛行機でございまして、エンジンが三千三百馬力を二つ持っております。最大速力は五百八十六キロメートル・アワーでございます。航続力は普通の状態におきまして六千五百キロでございます。武装といたしましては二十ミリ機銃二丁、五インチのロケット十六、それから潜水艦に対する爆弾を搭載しておるのであります。潜水艦を捜索いたします武器といたしましては、レーダーと磁探を持っております。このレーダーは、大体におきましてこれは高度、風の状況等によって違うのでございますが、大体においてシュノーケルに対しまして約三十五マイル・アワーくらいの捜索が実行できるというぐらいに言われております。この潜水艦の発見率ということはこれはなかなか技術の練度の問題が関連をいたしますので、非常に表現しにくいのでありますが、現在の世界各国におきまして持っております対潜哨戒機の中ではP2Vが一番すぐれたものであるということが言われております。
  145. 岡田宗司

    岡田宗司君 そのシュノーケルの、まあ深く航行している潜水艦ですね、これは何ですか、普通の飛行機から落す爆雷にやられるのですか、それとも何かホーミングするものを使うのですか、どちらですか。
  146. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) これはP2V自身からも落せると思いますが、番確実な使い方といたしましては、潜水艦を発見いたしますると、その付近に潜水艦を探知する機具をP2Vから落すのであります。四カ所落しまして、それによって正確なる潜水艦の位置を確定いたしまして、そうしてP2Vから近接の警備艦に報告をし、警備艦が現場に急行いたしまして、爆雷その他で攻撃をするというのが番普通の使用法でございます。
  147. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ潜水艦に対してP2Vは非常に効果があるとしまして、日本のまわりに潜水艦が出没していると想定されるときに、大体まあ満足できるようにこの潜水艦に対する哨戒を行うには体、多々ますます弁ずだろうけれども、最小限どれくらいP2Vを持てばいいのですか。
  148. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) これはなかなかむずかしい問題でございまして、防衛庁としても正確にその点について結論を出しておるわけじゃございません。私の考えでございますが、今の計画によりますと、P2Vは御承知通り四十二機を生産することにしております。米国から供与を受けますのが十六機でございます。合せて五十八機のP2Vを三十七年度末において保有する予定でございます。この能力といたしましては、距岸三百海里の哨戒を三直で実施し得るというのが今の能力の限界でございます。だんだんと潜水艦のことを考えましても、将来は三百海里では哨戒の範囲が足りなくなるのじゃなかろうかというふうにも考えまするので、仰せのごとくもう少し持ちたいという希望はございまするが、どれくらい持ったらいいかということにつきまして、まだ結論を得ておりません。
  149. 岡田宗司

    岡田宗司君 このごろ各国、大きい国の海軍がどうもみんな潜水艦主義になってきて、特に原子力潜水艦をどんどん作っておる。まあこんなことになってきまして、これにロヶツト兵器をつける。SRBMでもIRBMでもついてくるということになると、とうていそんなことでは……、その外の方をずっと通っても危険があると思うのですが、これもそっちの方が発達するというとあまり役に立たなくなると思うのですが、それはどういうふうにお考えになりますか。
  150. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 仰せのごとく、武器は相手の武器に比例いたしまして発達をしなければならないと思いますので、今後における潜水艦に対する対策につきましても、武器の面におきましても、なおいろいろ研究しなければならないとは思います。しかし現在の状況におきましては、世界各国の対潜哨戒の方法を検討いたしまして、このP2Vによる哨戒が一番有効であるということで、今回P2Vを製作していただくという予算を出したのであります。
  151. 岡田宗司

    岡田宗司君 この前予算委員会でお伺いをしたときに、日本の海上自衛隊の基本方針というものが変ったのじゃないか、たとえば最初は物資輸送の護衛が主であった、ところが今度はそうじゃなくて、対潜水艦哨戒が主になってきたというふうに変ったんじゃないかと思うのでありますが、これはまあいろいろ戦略の変化とも関連する問題だと思うんですが、今後そっちの方に主を置かれるんですか。
  152. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) ただいま私が申し上げましたのは、P2Vの能力の基準について申し上げたのでございます。海上自衛隊の任務といたしましては、御承知のごとく、海峡、港湾の防衛と、それから掃海及び内航、外航の護衛に当るということでございます。P2Vも、対潜哨戒にもっぱら充てますると、今申し上げましたごとく、距岸三百海里のところを三直の哨戒をなし得るということでございまして、内航の方はさして影響はないと思いますが、これを外航護衛の方に充てますると、その力を外航護衛の方にさくだけ、距岸三百海里内の哨戒の方の頻度と申しますか、能力が減るわけでありまして、そのときの運用によりまして、あるいは外航護衛の方に相当力を向け、あるいは内航の方に力を向けるということになるかと思います。防衛計画において考えられております、先ほど申し上げました海上自衛隊の任務を変更したというわけではございません。
  153. 岡田宗司

    岡田宗司君 今のは公式の御答弁で、型通りのことなんで、そういうことを私はお聞きしているのじゃないので、これはアメリカの防衛方針が変化して、こっちの方も変ってきたんじゃないか、向うの武器の供与の仕方も変ってきたし、こっちもそろそろそれに合せて変えているのじゃないかということをお伺いしたんです。そしたら、ごく一般的な方針をお述べになったので、まあそのあとは私お伺いしないのですが……。  次に、また前に戻りまして、戦闘機の問題ですが、先ほど性能をいろいろ比較された。いろいろ一長一短もあるだろうと思うのでありますけれども、たとえば爆撃機に対する戦闘については、このうちでどれが一番有効なんですか、一番力があるのですか。
  154. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 搭載いたしまする武器につきましては、先ほど申し上げました四機種はいずれもサイドワィンダーを装着することができまするので、そのもの自体については変りはございませんけれども、先ほど申し上げましたように、速度におきましてはF104とF11—1Fが一番すぐれておるのでございます。上昇限度におきましてもF104がすぐれておりまするけれども、ほかの飛行機におきましても大体六万フィートちょっとくらいのところまではカバーできるというふうに思っております。これは、もう一つ要素は航続時間でありまして、航続時間の点におきましては、F104が一番航続力を持っておると思います。
  155. 岡田宗司

    岡田宗司君 それに、滑走路が短かいというようなものも、特に日本のようなところにとっては必要な要素になってくるわけですね。そうなってくると、F11—1Fが相当有力な候補になると、こういうことですか。
  156. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) 今の性能の部分と同時に、わが国では滑走路のあまり長くない飛行場が多いわけですから、これは一つの大きな要素だと思います。それからまたほかの一点は、補給関係も考慮する必要がある。それから整備の面、それから操縦者が比較的安全に操縦できるという機能、そういう機能について特にわが国の航空自衛隊として、また飛行場のり条件とか、いろいろの点を考慮して、全部が全部これに合格するような条件が備わっておるというようなものはあまりないわけでございます。今まで申し上げたところでよったのではないかという御判定も、ごもっともとは思うのですけれども、これは御承知のように、二年後生産に着手して——着手という言葉はできるようになるという意味ですが、生産ができてくる。そうすると、あと三年間もこの飛行機が製造されるということでございますから、将来の安全性とか、それから航空機の機能が非常に特色のあるものも、これはその用途には一番最善でございましょう。しかし、日本はいろいろな機種をたくさん作るだけの財政的のあれもなし、操縦の観点からいっても、整備の観点からいっても、あまり種類の多いということは、非常にこれは保持上困るわけでございます。そういった観点からいろいろ点数をつけますと、まあある種のものだけとるということこれが一番になると、しかしそういういろいろな条件を考えると、それにおいて欠けるところがあれば、ほかのまた欠点があるけれども、そういうものをまた補うだけの長所が出てくると、こういう次第でございます。これは今すぐ使うのだと、来年すぐできるのだと、またこれが悪ければ、すぐ新しいものを作ろうと、アメリカなんかややその傾向があるのでございますが、われわれはそういうまねができない地位にあるという観点から、まあ今まで時間をかけて研究を非常に慎重にやってきたわけでございます。しかし、まあどっかでこれを踏み切らなくちゃならぬというようなことになって参っておるわけです。いずれこの問題は、正確なる報告を作りまして、私たちもそれによって一つ決定をして、また各関係省もこれは多いことでございますから、財政部面も考えなくちゃならないということでございまして、その上で一つ国防会議にお諮りしょうと、こういうことで、まだその日がいつになるということも申し上げるということがちょっとできないような事情でございます。なかなかこの問題はいろいろな観点から慎重な検討を要する、こういうことが今日に至っておる事情でございます。
  157. 岡田宗司

    岡田宗司君 今アメリカでは、F86Fの次にどれが一番使われておるのでございますか。それから、これから先どれが一番多くなるということになりますか。
  158. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) アメリカでは、ああいう国柄でございまするので、用途別に飛行機をたくさん持っておるのでございます。御承知通り、戦略空軍におきましては、B52とか、B47を便っておるわけでございます。防空空軍におきましては86D、これはまあ現用しております。それとF102、これは近くF106かにかわるという傾向もあるやに聞いておりますが、F102が防空空軍用としては一番多いと思います。
  159. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、F11Fの方は、これはまだアメリカでは試作をしたという段階で、まだ実用機として大量生産は始まっておらぬのですか。
  160. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) F11—1Fという飛行機は、海軍で使っておりますF11—1Aという飛行機を改良した飛行機でございます。F11—1Aという飛行機は海軍で実用いたしております。これをF11—1Fに改造いたしましたものは二機できておりまして、機体そのものの実験は完了しておる段階でございます。
  161. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、まだこういうようなものについては実用性の点から採用するかどうかという判定をくだす段階にいっていない、そういうふうにも考えられるのですが、そうでしょうか。
  162. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) F11—1Fの方につきましては、ただいま私の承知しておる範囲では米空軍におきましてはこれを実用機として採用する計画はないようでございます。
  163. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、これらの戦闘機ですが、これは幾らぐらいかかるのですか。これはもうもちろん原価計算なんかやっているわけじゃないでしょうし、ごく大づかみで今のF86と比べてどれくらい一機について高くなるものか——維持費がどれくらいかかるのですか。
  164. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 航空機の値段を推算しますには、まず機数でうんと変ってきます。それから作り方を、国産化する——どの程度、どういうものを、いつごろ、どういう段取りで国産化するということによって、すっかり変ってきます。それから航空機の特殊な事情として治工具を向うがくれるかくれないかというようなことで、そういう前提によって変りますが、われわれがいろいろ推定試算をしておりますのを簡単に申し上げますと、大体三百生産でそろえてみて、スぺアはなしで、F100Dは八十万ドル弱、F100D、これは治具工具が、向うに余ったものがあるということを考えての計算であります。F104Fは九十万ドル弱、F11—1F百万ドル見当、N156Fは八十万ドルちょっと、そんな見当じゃないかと思います。
  165. 岡田宗司

    岡田宗司君 ずいぶん高いもので、これを採用して相当そろえるということになると、今後相当防衛庁の費用というものはふくれていく、そう考えられるのですが、そういうことになりますね。
  166. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) ただいま申し上げました数字は、日本で国産化することにして、いろいろ仮定を言った数字でございます。それと、一機分の費用でございまして、これを向うの話し合いでどう負担をし合うかということによってまた変って参ります。
  167. 岡田宗司

    岡田宗司君 変ってくるけれども、相当高いもので、皆向うでただくれるわけじゃないのですから、ふえていくと見るのが当りまえだろうと思うのです。そこで、こういう新しい飛行機が採用されてくると、搭乗員の訓練が、なかなかすぐに間に合わぬ、で今のF86、これでまあ一生懸命訓練しているわけで、これさえ現在では乗り手の方が飛行機の数より少い、これは何ですか、すぐにこういう新しいのに簡単に切りかえられるものですか。
  168. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 大体私どもの調べておりますところでは、今、御承知と思いますが、F86Fに参りますにはT33というジェット練習機を経て参りますが、T33から大体において以上の飛行機には移れるのではないか、ただF104につきましては、若干むずかしさがあるのじゃなかろうかというふうに承知しております。
  169. 岡田宗司

    岡田宗司君 現在この搭乗員の数が足りないわけですけれども、これはどんどん訓練していって、けっこう実用に、役に立つように追いつくのですか。
  170. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) その点は一つの問題でございます。ジェツトの訓練は、昭和三山一年の春から始まったのでございままして、当り初手足しておりました計画よりだいぶおくれて参っております。そでれは、その当時は経験がございませんでしたので、大体アメリカ基準を、参考といたしまして、養成計画を作ったのでございますが、なかなか思うように参りません。しかしながら今の段階になりますると、相当実績も積み重ねて参っておりますし、今後の計画にはさして狂いがなくいくのではないかというふうに考えております。現在のところでは本年の末に大体九十数名のパイロットができるはずであります。明年、三十三年の末には二百数名のジェットのパイロットを養成するという計画になっておりまして、これは大体いくのじゃなかろうかというふうに考えております。
  171. 岡田宗司

    岡田宗司君 今年もせいぜい九十何名、来年もせいぜい二百何名、しかしこれは飛行機の数と比べて少いと思いますし、またこれを全部何といいますか、使っちまうと言うのもおかしいが、スペアーはないということになるのじゃないかと思いますが、そういう点はどうですか。
  172. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) これは飛行機の数との比較でございますが、一機に一人というわけに参らないのでありまして、ことに学生等について申しますと、一人当り二機ぐらいの飛行機は、現在の補給、整備の状況、訓練の状況等から見ると必要じゃないかという、ふうに考えておるのでございます。ただいま計画でもF86Fについて申し上げますと、三十二年、三十三年、三十四年までは若干の余剰機ができるような計画になっております。三十五年末になりますと数機ぐらい不足するという計画になっておるのでありまして、新しい飛行機はこれはリード・タイムがかかりますので、三十五年以降に出て参りますので、その点は一応計算が合うように考えております。
  173. 岡田宗司

    岡田宗司君 一人の完全なジェット、パイロットを養うのには、これは計算の仕方がむずかしいでしょうが、それぞれどのくらいの金がかかるのですか。
  174. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 防衛庁として今までそういう計算をやったことがございません。さる本には約三千万円かかるというふうなことを書いてあるのを見たことがありますが、私の感じから申しますというと、やはりそのくらいかかるという計算も出るだろうというくらいに、非常に限られた、選ばれた中の人を訓練をいたしまして、さらにこれも相当訓練期間中に淘汰されますし、訓練に伴いまして相当器材とか燃料というものの消耗もあるわけでありまして、相当高価になっているだろうということは想像されます。
  175. 岡田宗司

    岡田宗司君 最小限どのくらいの戦闘機と、それからパイロットを備えればいいのですか。今の防衛計画と離れて、まあ最小どのくらいほしいというお考えですか。
  176. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) ただいまの防衛力整備計画におきまして約千三百機でございます。約千三百機におきましてはそのうち九百機近くをと実用機というふうに考えております。この力をもっていたしましては、日本の制空権を確保するという力としては不足であると思います。ただ二部の要地の防空と、一時的の制空権の確保ということは可能ではなかろうかというふうに思っております。
  177. 岡田宗司

    岡田宗司君 今度は戦闘機の装備についてお伺いするのですが、やはり向うも一マッハとか二マッハとかいう戦闘機ができて、そうすると、今までの機関砲を積んでいたのじゃだめで、結局サイドワインダーみたいなものまをどれにもつける、こういうことになってくるわけで、やはり従来のそういう機関砲や何かにかわるものを全部に装備するということになれば相当金がかかると思いますが、そういう計画を進めておるわけですか。今後進められるわけですか。
  178. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 三十三年度予算におきまして、約五千万円余でございますが、これでサイドワィンダーを十四ですか、有償援助でございますか、購入いたしまして、明年度これを実験をしてみる、その結果によりまして、サイドワインダーの採用につきまして検討を遂げたいと思っておるわけであります。いずれにいたしましても、今のような機関砲では、射程にいたしましても、有効射程は数百メートルぐらいでございますので、相当接近しなければ防衛できませんので、そういう点で、搭載兵器につきましては、改良進歩がぜひ必要だというふうに考えております。
  179. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、方針としては全部変える、こういうことですね。それからまだどうりも高射砲学校なんかあるようですけれども、あれはどうにもしようがないものでしょうあんなものはやめないのですか。
  180. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) これはやはり、非常に低空で参りますような場合もわれわれとしては想定しなければならないのでございまして、そういう場合には、やはり高射砲というものは必要だと思います。
  181. 岡田宗司

    岡田宗司君 あれはスズメの鉄備みたいなものですな。それはそれとして、防衛庁の方で最近やはりエリコンを一組購入するとか、サイドワインダーの供与を受けるということで、そろそろGMの方の研究を始められるようですが、今度技術本部といいますか、あれを作られて、非常に機構を拡充されたのですが、一番大きな研究並びに実験の項目はそれになっておるのですか。
  182. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 技術研究の重点といたしましては、広い意味のGMと申しますか、ロケツト等を含めました誘導兵器、予算額的に申しましてもそれであります。その次は、航空機、それから艦艇、対戦車装備の関係、こういうようなことが重点になっております。
  183. 岡田宗司

    岡田宗司君 そこで、こっちでロケット兵器を研究するわけですが、このロケット兵器は何から始めていくのですか。これは空対空のやつからですか、それとも地対空、どれが主になるのですか。いずれも研究されていくのですか。
  184. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 誘導弾としましては、もっぱら防御するという目的からいいまして、AAM、空対空SAM地対空、これにしぼって、そのほかに空対空のロケットをやっております。誘導しないやつですね。そういう三本の柱で、AAMの方が小柄で、あれだものですから、研究はこっちの方が先に進んでいく、SAMはあとからついていくということであります。
  185. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういうやつだけで、たとえばBMのようなもの、相当距離の飛ぶやつですね。これは、今のところはやりませんか。
  186. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) BMはやるつもりもありませんし、もちろんやれる力もありません。それのみならず、SSM、地対地の関係も、小さな対戦車の距離の短かいやつはやっておりますが、SSMの距離の遠いものはやっておりません。
  187. 岡田宗司

    岡田宗司君 今後は、陸上自衛隊や軍艦にくつけている大砲ですね。あれは変えていくつもりですか。
  188. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) これもさっきの話で、軍艦も、たとえば対空を主とした警備艦等は、連装の高角砲を打つというようなことで、これはそばに来た飛行機にはある程度有効だと思います。
  189. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、方針としては、機関砲をだんだんやめていく、変えていく、高射砲も、今のところは低く来るやつを予想されるかもしれませんが、これもそのうちに変えてしまう、大砲も、方針としてはだんだん変えていくということで、全体として陸海空ともに今後はそういう誘導弾に切りかえる、こういうように了承していいですか。
  190. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) お答えいたします。これは大きな方針の問題だと思います。もう一つは、財政問題との調和も要るだろう、御承知のように、国防の基本方針では、もちろん新兵器の研究開発並びに装備の刷新、質的改善ということの基本方針とともに財政事情を勘案してやるという方針があるわけでございます。研究は大いにやるということはありますが、現実に装備ということになりますと、これは財政上の問題とにらみ合さなくちゃいかぬ問題で、今のようないろいろな研究はいたしておりますが、すぐそれを全部変えて、装備の全体の近代化ということは、私は財政の上からいってなかなかそう容易でないということが考えられるわけであります。これらは、国力というものを考えながら、可能な限度において、逐次そういった質的改善をはかるということで行くのが妥当であろう、こういうふうに考えられるのでございます。
  191. 岡田宗司

    岡田宗司君 今のごく一般的なお話で、金がないのでそんなにできるものではないのですが、問題は、いわゆる過渡期に、古い、実際には時代おくれになった大砲とか高射砲とか、機関砲というようなものを作るのは、今持っておるのは別ですね。それをまだ生産させていくのか、これは生産さしていくということは、結局むだなものを作るということになるわけですが、今持っておるものはしようがない。新しくやっぱり作って補充していくかどうかということは、これはむだの問題とも関連してくるわけですが、そこいらはどうお考えですか。
  192. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) 現在の装備品である火力武器、これも名前は同じ大砲と申しましても、質的に新しいものは、この研究によってできた試作によって順次変えていくわけでございまして、その意味においては、装備の質的改善という意味において、陸上自衛隊の予算もそれが全部含んでおるわけです。第二には、機械化部隊、それから電気通信部隊、そういうものに切りかえつつあるわけなんです。であるから、今のたとえば一万人増勢と申しましても、従来の型のそのまま一万人増すという趣旨にはならないで、内容的には、質的の改善、機械化していくということによって、装備においても、またその編成においても変えておる。これはもちろん財政の許す範囲において最喜を尽していくということで、現状そのままにとどまつて、ただ数を増すとか、その数に必要な金額をそこへ加えていくという考え方ではないのです。これを徹底的にやるということになれば相当膨大な金がかかるというところも見合って、まず最善を尽していくということでやっておるわけであります。
  193. 岡田宗司

    岡田宗司君 もう一点だけお伺いしたいのですが、そういうことをいろいろ考え合してきますと、どうもこれから陸上自衛隊をふやしていくのはむだだというような気がする。今年一万ふやすのはこれはむだだ。来年さらに一万ふやして十八万にするのも非常にむだではないか。こういうむだをやっぱりやめていかなければならぬじゃないかと思うのですがね。まあだんだん世界的な傾向から見ても陸軍は縮小されていく。特にイギリスなんかのようなやはり島国ではそういう傾向にある。これは、大陸の国はやや事情が違うでしょう、日本なんかと違うでしょうが、そういう傾向にあるのですが、日本でもやはりこれは再検討を要する問題が起ってきているのではないか。従来は十八万という数は何かこう動かせない数みたいで、それに達するまでに今一歩一歩一万ずつふやしていくというようなことでやってきたが、その計画の十八万そのものをもう一ぺん検討をするという時代に私はきたように思うのですが、その点はどうですか。
  194. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) これは国防の基本方針に整備目標というものがきめられまして、今後の事態に応じて、もちろん事態変化に応じては再検討をするということが示されているわけであります。それで、さしあたり陸の問題についてはいろいろ御議論があるようでございますが、そのきめましたのは装備の改善というものを前提としてきめているものでございます。何よりも考えなくちゃいかぬことは、ある一定の根幹だけた作り上げておきたい。それにいろいろ装備の改善とか何とかいうものを加えていくのが適当じゃなかろうか。しかしそれならまた来年一万増すかということは、これは各年度の財政予算その他の関係で、そのつど決定するということになっておりますから、来年すぐまたこれに引き続いて一万ということに予定されておるということではないのでございます。なおこれはほかの機会にも申し上げたことと思いまするが、どうもわが国の防衛の体制が諸外国と比較してこうであるからこうである、こういう結論をすぐくっつけていくということもいかがかと思われる特殊な事情もあると思うのです。陸について申しますれば、一兵でも減らすことは、これは非常な装備の改善、いわゆる核装備をやって非常な実力の強化を見て初めてああいったことが並行して可能になっておる。そのようなことができないでおって、ある程度のいわゆる配備編成をすることが必要であると認めた場合、それをやらないでいいかどうか。また予後備を持たない自衛隊ですね、これは各国とも大体三倍の動員をし得る予後備を備えているわけです。わが国の事態からいえば、九千五百人自衛隊におるのですが、これを一万一千人にしようというのが今回三十三年度に要求しておる自衛隊の予算です。そこに制度上の一種の欠陥と申しますか、不備な点をどうするかということは非常に苦慮するわけです。各国とも必要に応じては現在おる常備兵に対して二倍、三倍動員可能な状態において、それの装備もしておりますし、そういう訓練もしてあるという状態であるのですね。それらの点からいうと、実は制度上の不備な点ということも考慮に入れなければならんという点があるのです。これはどういうふうにやったら可能であるという問題を研究して、それが可能であればまた問題がこれは違ってくるわけでございます。それ以外にもいろいろな事情もございましょうが、日本として可能な方法を現実の問題としてはやらざるを得ない。ことに戦後の自衛隊の組織というものは自衛隊としては二十九年に始めてできて……そういったわけでございまして、育成の段階にあるという点もございまして、とにかく根幹的なものは盛りあげていくという意図できたのです。しかし、お説のようにもちろんわれわれは全体の事情の変化、国際情勢の変化とか、いろいろな軍事のいろいろな問題の方向というものに即応して、もちろん適当にこれを調整していくという必要は認めていないという趣旨ではございませんから、御意見は私は十分御了承できる点でございますが、さしあたり今回の一万人は、これはとにかく自衛隊の配備の関係から言っても相当手うすになっておる。それに従来のような編成でなくて、新しい編成で、これを根幹的なここに組織を作っていこうという考えで提案をして御審議を願っておる、こういうようなわけでございます。
  195. 岡田宗司

    岡田宗司君 国防会議もこれからしばしば開かれると思いますけ回ども、単にこういう部分的な問題だけでなくて、日本の防衛計画の全面的検討ということは近く開かれる国防会議でおやりになるつもりであるか。
  196. 津島壽二

    国務大臣津島壽二君) これは、今の政府の防衛計画の整備目標等も、これは四、五年かかって最終的に、最小限度のものとしての結論が出たわけでございます。その過程においてはいろいろな案があって、その結論を得たわけです。その現在の目標をどうやるかということは相当時をかけ、また諸外国の実情も調査し、わが国に最も適応したる防衛体制というものがどうあるべきかということを、これは一応十分な検討をしてみるということはあるだろうと思います。しかし、国防会議において、すぐ近く開かれる、そこでこの問題をすぐ提起するというのには私はまだ検討の余裕の期間が必要じゃないかと思います。これは時期の問題というものは非常に大事な問題じゃないかと思っておるわけでございます。
  197. 小幡治和

    主査小幡治和君) 他に御質疑はございませんか。別に御質疑もないようでございますから、総理府のうち防衛庁所管についての質疑はこの程度で終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 小幡治和

    主査小幡治和君) 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたします。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後六時九分散会