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1958-03-20 第28回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十日(木曜日)    午後二時三十七分開会   ————————————— 三月十八日予算委員長において、本分 科担当委員を左の通り指名した。            大谷 贇雄君            剱木 亨弘君            塩見 俊二君            館  哲二君            苫米地英俊君            高田なほ子君            藤原 道子君            松澤 兼人君            矢嶋 三義君            田村 文吉君            市川 房枝君   —————————————   委員の異動 本日委員田村文吉君辞任につき、その 補欠として高良とみ君を予算委員長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    主査      松澤 兼人君    副主査     剱木 亨弘君    委員            大谷 贇雄君            塩見 俊二君            館  哲二君            苫米地英俊君            藤原 道子君            矢嶋 三義君            高良 とみ君            市川 房枝君   国務大臣    文 部 大 臣 松永  東君   政府委員    文部政務次官  臼井 荘一君    文部大臣官房総    務参事官    齋藤  正君    文部大臣官房会    計参事官    天城  勲君    文部省初等中等    教育局長    内藤譽三郎君    文部省大学学術    局長      緒方 信一君    文部省社会教育    局長      福田  繁君    文部省調査局長 北岡 健二君    文部省管理局長 小林 行雄君    文化財保護委員    会委員長    河井 彌八君    文化財保護委員    会事務局長   岡田 孝平君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○正副主査互選昭和三十三年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————    〔年長者館哲二君仮主査とな る〕
  2. 館哲二

    ○仮主査館哲二君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条によりまして、年長のゆえをもちまして、正副主査選挙を管理させていただきます。  これから正副主査互選を行いますが、互選は、投票によらず、便宜、選挙管理者にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 館哲二

    ○仮主査館哲二君) 御異議ないと認めます。  それでは、主査には松澤兼人君、副主査には剱木亨弘君を指名いたします。   —————————————    〔松澤兼人主査席に着く〕
  4. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) ちょっとごあいさつ申し上げます。皆様方の御推選によりまして、私が主査をやらしていただくことになりました。まことにふなれでございますけれども、皆様方の御協力によりまして、これから第四分科会運営を行なっていきたいと存じます。  審査に入ります前に、議事の進め方につきましてお諮りいたします。  当第四分科会は、昭和三十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算のうち、大蔵省文部省厚生省及び労働省所管について審査をいたすわけでありますが、本日は文部省、二十四日は労働省、二十五日午前日銀及び大蔵省、午後厚生省、こういうような大体予定で進行いたしたいと思っておりますが、しかし、委員の御出席も少いようでございますし、このことにつきまして一つ御相談を願いたいと存じます。  速記をやめて下さい。    〔速記中止
  5. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 速記を起して。  ただいま申し上げましたような順序で御審議願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。
  7. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) これより審査に入ります。  まず、昭和三十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省所管を議題にいたします。  本件につきまして、政府より説明を願います。
  8. 松永東

    国務大臣松永東君) 昭和三十三年度文部省所管予算大要につきまして御説明申し上げます。  昭和三十三年度文部省所管予算額は、千五百四十一億五千三百二十七万五千円でありまして、これを前年度予算額千四百五十七億六千五百六十二万七千円に比較いたしますと、八十三億八千七百六十四万八千円を増加いたしております。  なお、文部省予算額一般会計予算額に比較いたしますと、その比率は一%弱となっております。  次に、昭和三十三年度予算のうち重要な事項について申し述べたいと存じます。  第一は、義務教育費国庫負担制度実施に必要な経費であります。  義務教育機会均等とその水準維持町上をはかるため、公立義務教育学校教職員給与費の実支出額の二分の一及び教材費の一部を国で負担するため必要な経費でありまして、給与費としては、本年度小中学校児童生徒について、それぞれ約五十万人の増減に伴う教職員約千七百人の減少と、新たに中学校における学級規模適正化に必要な教員増加約五千人、さらに校長に対する管理職手当支給等を含めて、八百九十億千四百万円、教材費としては、父兄負担の軽減をはかるため、児童生徒一人当りの単価を是正し、さらに従来の学校図書館整備費補助金義務教育分を吸収し、かつ国庫負担率を二分の一とすることとして所要経費十五億円を計上したのであります。  なお、公立養護学校整備特別措置法に基き、公立養護学校教職員給与費の二分の一と、教材費の一部を国庫において負担するに必要な経費五千四十六万円を計上したのであります。  第二は、学校教育等改善充実に必要な経費であります。  教育委員会制度の円滑な運営をはかるため、教育委員会関係職員の研修を行い、また、国、都道府県、市町村間の指導連絡助言を強化するために、本年度視学官五人及び視学委員三十人を増員して、学校管理教育内容等指導に必要な経費千七万八千円を、道徳教育及び理科教育重要性にかんがみ、教職員現職教育実施す るための経費千二百九十五万六千円を計上いたしました。さらに、公立義務教育学校児童生徒及び教職員の健康の保持、増進をはかり、学習能率向上に資するため、新たに、児童生徒保健医療費補助を含めて、必要な経費三千六百九十万四千円を計上したのであります。  第三は、教育機会均等の確保に必要な経費であります。  義務教育の円滑な実施をはかるためには、経済的理由により就学困難な状態にある者に対して、特別の措置を講ずる必要がありますが、これがためいわゆる準要保護児童生徒に対し、教科書費については一億九千四百七十四万五千円、給食費については一億六千七十三万七千円の補助を計上したのであります。  次に、盲、ろう学校及び養護学校の小、中学部児童生徒に対し、従来、教科書費交通費学校給食費等に対する補助が行われており、また高等部生徒に対しては教科書費のみについて補助がなされていましたが、本年度より新たに給食費補助する等のため必要な経費一億三千四百七十二万三千円、また僻地教育充実をはかるため、従来の施策を続けるとともに、僻地勤務教員宿舎建築費補助三千三十九万五千円を計上いたしました。さらに勤労青少年教育振興社会教育の推進と相待って行われなければなりませんが、特に定時制高等学校設備費及び通信教育運営費補助として九千六百四十九万千円、夜間高等学校給食施設及び設備費補助として千二百六十万千円を、それぞれ計上したのであります。  第四は、文教施設整備に必要な経費であります。  国立文教施設整備につきましては、戦災を受けた施設復旧老朽校舎改築等、前年度よりの重要工事の施行を続けるとともに、学術及び科学技術教育進歩に即応する施設整備には特に重点をおき、その所要経費三十一億三百八十万八千円を計上したのであります。  公立文教施設につきましては、これが必要な経費五十七億八千四十万九千円を前年度とほぼ同額を計上したのであります。  特に本年度においては、前年度に引き続き学校統合に対する補助金十億千十三万八千円を計上いたしましたが、これは町村合併等による学校規模適正化促進することにより、学校経営合理化及び教員適正配置等促進し、教育水準向上をはかりますためであり、また、不正常授業解消のため七億三千三百五十五万三千円を計上して、特に児童増加に伴う教室の不足の解消をはかる考えであります。また、構造比率において鉄筋、鉄骨造増加いたしました。  なお、このほか昭和三十二年度に発生した災害の復旧費及び鉱害復旧費として一億五百六十万二千円を計上したのであります。  第五は、科学技術教育振興に必要な経費であります。  初等中等教育については、理科教育及び産業教育振興に留意し、それぞれ四億四千七百十二万二千円及び七億五万四千円の経費を計上し、新たに高等学校工業課程及び産業科を新設して、産業界中堅技術者養成の要望にこたえて、約五千人の増募を予定しております。  なお、国立大学においては、薬学部の新設、理工系の十五学科増設、短期大学の新増設等により、約千七百人の学生増募を行なって技術者養成に備え、また前年度に引き続き五大学、三研究所において原子力に関する講座又は部門増設を行い、新たに、蛋白質研究所航空研究所の設置、工業材料研究所統合整備をはかるなど、科学技術進歩に即応した学術振興に特段の措置を講じ、これに加うるに、講座研究費並びに教官研究費及び学生経費について増額を行なって、基準経費充実をはかることといたしたのであります。また在外研究員の派遣に必要な経費を増額して一億千万円を計上したのであります。  さらに、科学研究重要性にかんがみ、研究促進をはかり、その振興に資するため、科学研究費交付金等に必要な経費十四億四千二百四万円、また私立学校についても、同じ趣旨に基き理科特別助成費として一億九千八百五十万円、研究基礎設備補助として一億九千七百万円をそれぞれ計上したのであります。  なお、このほか民間学術研究団体補助七千四百九十万円、さらに本年度国際地球観測年の本観測の年に当つておりますので、前年度に引き続き南極地域観測を含めて六億七千万円の経費を計上したのであります。  第六は、国立学校運営に必要な経費であります。国立大学七十二、国立高等学校八、大学付置研究所五十七、大学付属病院二十三を維持運営するために必要な経費でありまして、本年度におきましては、さきに申し述べましたように、科学技術教育振興に主眼を置きまして、北海道大学ほか十一大学に、それぞれ電子工学科を初め十五の理工学系学科を新設し、東北大学東京大学東京工業大学、京都大学、大阪大学原子力研究に関する講座または部門増設し、新たに久留米工業短期大学を創設する等の措置を講ずるため必要な経費を含めまして、三百九十九億八千三百九十万二千円を計上したのでありますが、このうち国立学校の項に二百九十億六千六百二十九万七千円を、大学付属病院の項に七十七億五千六百五十六万五千円を、大学付置研究所の項に三十一億六千百四万円を、それぞれ計上したのであります。  第七は、育英事業の拡充に必要な経費であります。  優秀な学生生徒で、経済的理由により修学困難なものに学資を貸与する事業を行なっている日本育英会に対し、奨学資金の貸付とその事務費補助に必要な経費四十三億九千四百八十八万四千円を計上したのであります。  本年度育英事業におきましては、新たに進学保障制度を創設し、義務教育修了者で特に資質優秀にして経済的理由により進学をはばまれている者に対し、その進学を強力に援助するため、高等学校生徒五千人につき、従来からの採用者とは別ワクで月額三千円を貸し付けることとしたのであります。  第八は、社会教育振興に必要な経費であります。  従来に引き続き青年学級改善充実をはかるため、五千八百万円、公民館等設備整備に千八百万円、本年度より新たに青少年宿泊訓練団体活動指導者養成等のための青年家施設整備に六千万円をそれぞれ計上するほか、青少年教育婦人教育等社会教育として特別に助成を必要とする事項を一括して社会教育特別助成費として、これに六千七百万円を計上し、また前年度より引き続き計画中の旧松方コレクション美術作品を受け入れて展観する西洋美術館の建設及び維持運営に必要な経費七千三百八十一万六千円を計上したのであります。  さらに、スポーツ振興をはかるため、新たに体育局を設置し、本年五月第三回アジア競技大会開催に必要な経費補助六千万円を、国際オリンピック大会総会等補助を含めて日本体育協会に対する助成金千百五十万八千円を計上し、また、前年度より工事中の国立競技場の完成に伴い、これが維持管理運営に当る特殊法人国立競技場(仮称)に対し必要な経費一億四十八万九千円を計上したのであります。  第九は、私立学校助成に必要な経費であります。  私立学校教職員相互扶助とその福利厚生をはかるため、私立学校教職員共済組合に対し、その給付費及び事務費の一部を補助するに必要な経費六千三百八十九万六千円を、私立学校振興会に対し、私立学校施設設備整備するに要する資金の一部を政府出資金として五億円を計上したのであります。  なお、昭和二十八年度以降毎年度出資金を計上しましたが、本年度をもって計画額五十億円は一応完了する予定であります。  第十は、学校給食助成に必要な経 費であります。  学校における給食を通じまして、児童生徒の心身の健全な発達に資し、かつ食生活の改善に寄与するため、さきに申し述べました夜間定時制高等学校給食施設及び設備費補助金、準要保護児童生徒に対する給食費補助金のほか、公立小中学校給食施設及び設備整備として一億五千九百九十一万七千円、特殊法人日本学校給食会に対して、その取扱い数量増加すること等を勘案し運営費に必要な経費として千六百七十二万千円を、さらに本年度より従来農林省所管に計上された、学校給食用パン原料代の一部を国庫において負担することに伴う所要額食糧管理特別会計へ繰り入れるため必要な経費十四億八千万円を新たに計上したのであります。  第十一は、文化財保存事業に必要な経費であります。  文化財保存事業は逐年その成果を上げてきておりますが、本年度も前年度に引き続き国宝、重要文化財のうち、特に防災施設整備及び無形文化財保存活用重点を置きまして、保存事業充実をはかるため必要な経費四億三千四百四十万円を計上し、また国立劇場設立準備のため必要な経費千六百十五万円を前年度に引き続き計上したのであります。  以上、文部省所管に属する昭和三十三年度予算大要につきまして、御説明申し上げた次第であります。  何とぞ御審議の上、御賛同下さることを希望してやまない次第であります。
  9. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 文部省の方から何か補足の説明がございますか。
  10. 天城勲

    政府委員天城勲君) お手元に三十三年度予算事項別表事項別表の内訳とを出してございますので、特に追加して御説明申し上げることはございません。    〔主査退席、副主査着席
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まず、第一番に体育関係について承わりたいと思います。文部大臣は就任以来、国民体育デー等を提唱され、非常に関心を持たれているわけですが、これは衆参の各委員会で若干論ぜられたところでありますが、学校体育社会体育、これらを統合して振興するため、体育局を設けるということは非常けっこうなことだと思います。私はこの点若干しぼって伺いたいのですが、最近いろいろと世上論ぜられておるアマプロセミプロですね、これと学校体育関連について、いかように現状を大臣は把握されており、また今後どういう指導をされようとしておるか、この点について伺いたいと思います。
  12. 松永東

    国務大臣松永東君) 御指摘アマプロセミプロなどの関係は、これはまあ学校スポーツとは関係がないことではありませんけれども、学校スポーツ学校スポーツとしての独自の存在の意義があり、また奨励し、発達させんければならぬ問題だと思っております。従って、お尋ねの趣旨、どういう関係があるかということになりますと、実は学校における優秀なたとえば野球等におけるような技術者が、プロなんかに高い金で買われるとかいうようなことを新聞あたりで見ております。これは苦しいことだと思っております。なるべくこういうことは一つ何らかの方法でやめるようにしてもらわんければ、学校スポーツに対する権威が失われてしまうというふうにも考えるわけで、今これは研究中でございます。
  13. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいま大臣から御答弁のありました通りでございまして、われわれとしまして、建前アマチュアスポーツを扱うということが建前でございますけれども、アマチュアスポーツプロスポーツとのいろいろ密接な関連もございます。また、プロスポーツアマチュアスポーツに非常に影響を及ぼしておるということは、御承知通りでございます。そういった関連の面におきましては、具体的問題についてできるだけ文部省といたしましても研究して参りたい、かように考えております。
  14. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 スポーツ団体、ことに社会体育スポーツ団体等は、自主的に問題を処理していくのが最も望ましいと思うんですが、これらを指導するに当つては、また学校体育指導するに際しても、私は、映画界に映倫というのがあるように、一つの倫理綱領みたような基準を設けて、それに反して学校体育あるいは社会体育を非常に汚すようなチームあるいは学校は、公けの試合等に出場することを何らかの形で規制をされる、抑制をされるというような、かような方向に文部省指導すべきじゃないかと僕は思うのですが、強制するんじゃなくて、私はそういう方針に文部省指導すべきじゃないかと思いますが、どういうお考えでございますか。
  15. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいまの御質問、まことにごもっともな御質問でございますが、これは御承知のように、野球につきましては学生野球憲章がありまして、その憲章でそういう問題は自主的な統制でやっていくというようになっております。それからまた、その他の体育団体におきましても、多少いろいろやり方は違いますけれども、できるだけ自主的な統制なり方法によって、そういう問題を解決していきたいということで、いろいろ申し合せその他を作っておるところもございますので、文部省としては、そういった憲章あるいは自主的なやり方でなお足りない面があれば、できるだけそういった面に助言をしていくということは考えられますが、第一次的には、これが干渉にわたらないように、文部省としては団体の自主的な処置にできるだけ待っていきたい、かように考えております。
  16. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 八月あるいは九月ごろ、大学におきましても、特に高等学校等において、就職採用試験が行われたり、あるいはプロとの契約が行われておるということは、これは私は学校教育に非常に悪影響を及ぼしておると思うのですが、これらに対してはどういう指導をすることによって是正していこうとされているか、見解を承わっておきたいと思います。
  17. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 就職の時期の問題でありますが、これは、文部省といたしましては、従来からでございますけれども、関係実業界団体等とも連絡をいたしまして、その時期をなるべく統一いたしまして、その間に混乱が起らぬように配慮をいたしております。昨年の申し合せでは、十月の十日に採用試験をする、推薦は十月の一日からしますけれども、選考は十日にする、こういうふうな申し合せをいたしまして、ただいま御指摘になりましたように、学校教育の面に混乱が起らぬようにという努力をいたしております。  ただ、これは申し合せでございまして、文部省としましては、これを一律に守らせる強制力はもちろんございませんので、学校側採用者側の方と協力してやっていく、紳士協定を守ってやっていく、こういうことをいたしておる次第であります。十分努力をいたします。
  18. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 困難な点はあることを私は認めます。しかし、十月十日というのが守られていない。だから、強制力がないから困難な点があると思うのですけれども、就職試験にしましても、プロとのあらかじめの契約についても、十月十日というのが守られず、夏に甲子園大会があれば、そのあとで野球選手契約の話が進んでいくし、九月になれば会社が採用試験をやる。それが子供にいろいろと語り継ぎ伝わるということは、非常に私は学校教育上支障があると思いますので、困難な問題でしょうが、さらに今後一段の努力を要望いたしておきます。  次に承わりたい点は、国民体育大会の件でありますが、これはかつて閣議で、赤字団体には主催させない、でき得べくんば地方持ち回りはやめたいというような申し合せをして、その後こんとんとしているわけです。昨年の静岡大会では、岸総理も親しくごらんになったので、いずれ機会があれば私は所感を聞いてみたいと思うのですが、わずか七百万円程度の国の補助であれだけの体育大会が行われるということは、私非常にけっこうなことだと思うのです。従って、地方々々に可能な範囲内において企画して行うわけですから、一度閣議で申し合せておるところの地方持ち回りはやめるというような閣議決定を、私は翻していただきたいと思います。  また、それに関連して、アジア大会が本年ある。明年は東京国民体育大会をやろうと、文部省並びに体協の一部でお考えになっておられるようですが、東京都当局には何も連絡がない。さればといって、東京都が来年やらなければ、次の順番としては秋田になるわけですが、秋田でやるかあるいは次の岡山でやるかとなりましても、準備はないというわけですが、こういうところが非常に私は不明確だと思うのです。  それで私は、この際、国民体育大会は一応、予定されている通りに、赤字団体黒字団体とにかかわらず、地方財政を不当に圧迫しない、可能な限度において、持ち回りを継続していく、明年度国立競技場の紹介の意味で、東京都でやるとするならば、早急に東京都と連係をして、連絡をとって、東京都でやるならやる、地方岡山あるいは秋田でやるならやるということを明確にすべきだと思うのですが、その点の事情はどうなっておるか、大臣の所見を伺いたい。まず、閣議決定の点について文部大臣から。
  19. 松永東

    国務大臣松永東君) 以前閣議で、地方持ち回りを、赤字県やら何やらがあるために、これはやめた方がいいじゃないか、そういう話が出たことは承知いたしておりますが、しかし、先般、昨年だったと思いますが、そうした禁止をするとか何とかということは取りやめにして、そうしてお説の通り、各地方体育協会と打ち合せをした上でやらせるというふうになっておると承知いたしております。なお、こまかなことは政府委員から申し上げます。
  20. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 赤字団体についても、どうなっておるか、はっきりして下さい。
  21. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいまの御質問の点でございますが、これは、従来国体地方持ち回りを、静岡を最後として認めないという話があったのでございますが、昨年の閣議決定によりまして、従来の地方開催を継続するという閣議決定になっておるのでございます。ただし、この地方開催を認める場合におきましても、この国体を開催することによりまして、地方財政にいろいろ負担をかけるというような点を考慮いたしまして、この閣議決定の際に、地方財政再建促進特別措置法によりまして、再建団体として指定されておる府県、及びこれに準ずべき団体と認められる県では、開催を認めない、こういうようなただし書きがついているわけでございます。これは、地方開催をやります場合に、そういった点を考慮しなければ地方財政に相当の影響があるという観点からしたのでございますが、従って、昨年の閣議決定趣旨に従いまして、今後開催の順序なり開催県というものをきめていかなければならないと思います。  今年、御承知のように、富山で開催することになっておりますが、先ほど御質問の中にもございましたように、来年度東京で開催するということにつきましては、これはまだあまり話が進捗いたしておりませんけれども、国立競技場を完成することでもあるし、各地方々々での開催は、ブロック的に見ますと、一応終ったというような観点からいたしまして、今度は、その間に東京を挾んでいくということも非常に国体の意義がある開催のし方だ、こういうような考え方からいたしまして、できれば来年は東京で開催したい、こういうことについて、体協その他といろいろ打ち合せまして、東京都ともそういう話を現在進めているわけであります。まだ、これは研究の段階でございまして、なお今後そういう話を十分関係者と相談をしてやっていきたいと考えております。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなた方の考えの中には、東京地方と隔年ぐらいに開催したいという考え方があるようですが、私は昨年の静岡大会をつぶさに視察したのですが、成功だったと思う。ああいう大会は、全県民というか、全国民的な地方色豊かな大会というものは、東京都では開けないと思うのです。来年度国立競技場を国内的に披露するというような意味でやられるというならば、それはそれでいいと思うのですが、国民体育大会というものは今後、東京地方と隔年ごとにという方針をとらずに、私は、それぞれ各地域に施設整備されて参ったのですから、それを活用するという意味においても、地方持ち回りというのを原則としてやるべきじゃないか。  さらに、重ねて伺いますが、予定されておる秋田岡山、あるいは熊本等、いずれも赤字団体ですが、先ほど局長が答えられたように、ただし書きがあるわけです。しかし、それぞれの府県は、地方財政を不当に圧迫しない限りにおいて、可能な範囲内において種目を選択してやろうというので、私は、国民体育大会の意義からいっても、そういう赤字団体にもやらすべきだ、ただし書きで抑制すべきではない、そういう方針を明確に早くすることが、態勢を整える意味においても必要なことだと思いますが、その点はっきりと伺いたいと思います。
  23. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいまの点でございますが、東京地方と隔年にやるという趣旨ではございませんので、大体地方開催を原則と考えまして、一応順序に考えますと、東京は四年に一ぺんというようなことに、今の考え方からいたしますと、なるようなわけでございます。  再建整備に指定された、再建団体として指定されました府県の取扱いですが、これは体協等と開催府県といろいろ相談して、かつて一応順序をきめたこともありますが、この閣議決定が出されましてから、この閣議決定趣旨に基きまして今後の開催の順序をきめていく、こういうようなことになっておるのであります。従って、今後、今まで一応当該県におきましていろいろ準備をされておったところもあるかもしれませんが、そういった再建団体として指定されております県につきましては、今後、指定団体としていつ解除されるか、あるいはまた、再建団体としての財政がどういう工合になっていくかというようなことも十分研究いたしまして、今後の問題を処理したい、かように考えております。
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣はどういう方向に努力するつもりでございますか。
  25. 松永東

    国務大臣松永東君) 一ぺんきめたのを、簡単にくつがえすわけにはいかぬと思います。しかし、再建団体ということに一応なっておりましても、歳月を経るに従って、相当経済状態も回復してくる県もあると思います。それはそれとして、でき得るだけあなたのお説のように、各府県に一つ持ち回りをやって、そうして各府県それぞれの特異性を生かしていきたいというふうに考えております。従って、各府県に、その赤字団体にかかわらず、やっていくことのできるように努力してみたいというふうに考えております。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その答弁、了といたします。  次に、あらためて私は伺いますが、一九六四年の第十八回世界オリンピックを本気で招致する腹ですか、どうですか。その方針を閣議で決定されましたか、されませんか、伺います。
  27. 松永東

    国務大臣松永東君) これは閣議決定したことは私はあまり記憶しておりませんが、しかし、これはもう、おそらくこういうことは決定しましたなら、その準備委員会を招集するようにしておりますから、これは閣議で決定したことはもちろんでございます。従って、一九六四年のこの国際オリンピックの招致は、これはもう一生懸命一つ努力する。やってみたい。と申しますのは、私は第十二回のオリンピック招致運動にも、その当時私は、自分のことを申し上げちゃ相済みませんが、東京市会議長として懸命の努力をいたしたのであります。そうしてようやく招致ができるようにきまったことは、御承知通りであります。従って、この問題については何が何でも、国際親善を増強するためにおいても必 要だと思いますので、一生懸命やってみたいというふうに考えております。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点に関して、第十二回オリンピックが東京に決定したときに、オリンピック標識の登録が一夜、にして百数十も出た。そうして盗用が行われたということが指摘されておるわけですが、一九六四年の第十八回オリンピックを予定して、オリンピック憲章に違反して、オリンピック標識を盗用するおそれが十分にある。これは一つの国辱ものである。貿易面における外国意匠の盗用は、調査によると、昨年一年間に二十六件あったというのですが、そういう事情でありますから、オリンピック標識を盗用させない意味において、これ、早急に法的措置を講ずべきであるというのが関係団体から要望されているわけですが、これはどういう実情だとあなた方把握され、また対策を講じられようとしているか。これは急を要する問題だと思うのですが、大臣のお考えを承わりたい。
  29. 松永東

    国務大臣松永東君) これは、矢嶋委員のただいまの御質問、まことにその通りです。実はかつて招致運動をやりました第十二回招致運動の当時には、これはあまり問題にならなかった。問題にならなかったというのは、このオリンピック・マークをまだ国民が知らないのです。ですから、むしろそれをどこで使おうと、国民に周知せしむる必要から、むしろけっこうなことだというくらいに考えておったときもあったのです。しかし、今日はもうオリンピックはどんな人でも、老若男女を問わず承知いたしております。従って、これを放置しておくということはお説のような点もありますので、何とかしてこれが規制せんければならぬということを今研究いたしております。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いつごろを目途にやる予定でございますか。
  31. 松永東

    国務大臣松永東君) 大体そう長くならぬうちに、準備委員会でそういうことが決定される。その準備委員会の決定を——必ずやこれは問題になります。従って、準備委員会がたしかもう来月あたり開かれますから、そのときのやはり議題になるというふうに考えております。
  32. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この国会に間に合うように手を打たれますか。
  33. 松永東

    国務大臣松永東君) 御指摘通り、実はもうこの国会に間に合うようにきめようと思います。    〔副主査退席主査着席〕  それで、準備委員会でもし発案する人がなければ、文部省側からも発案したいというふうに考えております。
  34. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 急を要する問題ですから、早急に対策を講じられるように要望しておきます。  ついでに、私はこれと一脈通ずる問題として、海賊出版についてちょっと伺つておきたいと思うのです。通産省関係の貿易関係で、一年間に外国意匠盗用が二十六件もある。ずいぶん外国から非難されているわけです。オリンピック標識についても盗用のおそれがあるというわけですが、これらと一脈通ずる問題ですが、最近非常に問題になっている海賊出版ですがね、これも御承知のごとく、ユネスコの方から日本の著作権協議会並びに政府に対して、報告を求められてきている問題ですね。これも国辱ものだといわれているのですが、文部大臣は、この海賊出版がかようにはんうんしてきた、これは一体どういう原因でこうなってきて、世界から非難され、国辱的な状態になったか、そのよって来たる理由をどういうふうにお考えになっておられるか、またこれの対策についてどういうお考えを持っておられるか、その点を伺いたい。
  35. 福田繁

    政府委員福田繁君) お尋ねの海賊版の問題でございますが、これはいろいろ原因があろうと存じます。戦後外国書の輸入が非常に困難な事情から、外国書のそういった海賊版を出版すれば確かに売れるというような観点から、出たものと思います。それからまた、戦後外国書が、洋書が非常に日本へ輸入されました場合に、高くて一般の人たちはなかなか手が出せないというような事情も確かにございました。そういったいろいろな経済上の理由からも、この海賊版がはびこって参ったと思いますが、一つは、私ども考えておりますのは、著作権法の規定がある程度やはり不備でございまして、明治三十二年に制定された著作権法の罰則等におきましても、最高二千円という罰金を課し得る程度でございまして、この著作権侵害に対して有効適切な保護の措置が現在の著作権法でとられていないというようなことも、海賊版の出版を助長したような気配がなきにしもあらず、こういうふうに考えておるわけでございます。いろいろありますけれども、そういったいろいろな原因で海賊版というものが戦後日本におきましてはびこって参ったのでありますが、これについては私ども非常に遺憾に存じておりまして、できるだけすみやかにその対策を講じたいと考えております。
  36. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 対策とはどういうことですか。
  37. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいまこの海賊版の問題につきましては、著作権法の罰則の強化という問題も研究をされております。それからまた一面、私どもとしましては、著作権侵害でなくて合法的に出版社の許可を得て、日本の国内において洋書を安く頒付するという方法も、外国の出版社と提携ができればそういうことができますので、そういった方法も講じながら、この海賊版の絶滅に力を入れていきたい、かように考えているわけでございます。
  38. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 対策として、洋書が安くできるようにするというのは、一つ方法だと思うのです。それからまた、もちろん業者のモラルの問題もあると思うのですが、それから一つの理由としては、これは後ほど時間があったらならばさらに掘り下げて伺いたいと思いますが、ここでちょっと触れますが、やはり日本の科学者の待遇の問題があると思うのです。ここではそれを論ずるのが本筋ではないのですから、簡単に触れますが、明治年間、大正年間における日本の学者、特に若い学者ですね、そういう方々に対する待遇の制度を調べてみますと、現在と比較にならぬほどいいのです。確かに、戦後七十二の国立大学ができて、失礼ながら大学の教授にもピンからキリまでできて、一般的に大正、明治時代の教授に比べれば、一般的には大学教授ののれんというものはちょっと低くなったということは言えるかとも思うのですが、大正、明治時代を見ますと、大学の教授には本俸以外にいろいろな手当があるのです。二校をちょっとかけ持てば、さらに手当がふえる。だから、若い、大学を出て二、三年した助教授でも、相当の給与になるわけなのです。ところが、今の給与体系というものはそういうものがなくなっていますから、上の大教授——学長、総長級でも、実質は明治、大正のそれに比べると大体四五分の一です、今の給与は。ところが、若い層はそれよりもまだひどいのです、当時あったような諸手当がないですから。だから、一番困っているのは大学並びに研究所に勤めておられる若き学者だと思うのです。だから、こういう人は結婚もできない。だから、ちょっとした民間会社から就職を誘われれば、すぐ就職する。本を買おうといっても、とても高い洋書は買えないから、それで海賊版に走るこれまた一つの大きな要素になっていると思うのです。  だから、ここでちょっと触れて私は大臣に伺いたい点は、学者の給与体系というものを検討されて、若い学者ですね、こういう人が安んじて研究できる程度の待遇改善を私は早急にやらなければ、なかなか日本の科学技術振興ということは私はむずかしい。そこに非常に隘路があると思う。給与体系を先般研究して、そういう自信がある結論を持ったのですが、いかがでございましょうか、お伺いしたいと思います。
  39. 松永東

    国務大臣松永東君) 矢嶋委員指摘通り、私はそれはもうおっしゃる通り、同感です。御指摘になりました明治時代、大正時代の初期時代の若い科学技術者、大学を卒業したばかりの人々と、今日の相当の学者ですか、その方との間の待遇が、お説の通り距てがあり過ぎます。それは貨幣価値の上からいって、そろばんを握って計算してみますと、とんでもない——今の学者は気の毒だというような気がするのです。従って、仰せられるまでもなく、三十三年度予算等にも、そうした予算面も考えまして、いわゆる学者の質の改善計画、その優遇方法も何とかせんければならぬと企てたのでありますけれども、財政の面からいたしまして、急速に本年度、三十三年度は満足する程度にはできなかったのですが、これはどうしてもお説の通りやらんければならぬと思います。今後この努力を続けていくつもりでございます。
  40. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょうど給与の問題が出ましたので、ここでもう一つ給与の問題に触れてお伺いしたいと思います。それは、今法案が出されておりますところの高等学校中学校、小学校の校長に対する管理職手当ですね、これは大臣がいかように言われようと、これは日教組対策として打ち出された給与政策だということは、良識ある日本国民としては、何人も否定しないと思うのです。ということは、昨年の十月あるいは十一月に、文部省議で昭和三十三年度予算案要求原案を作って、大蔵省と事務折衝された当時は、これがなかったわけです。われわれ文教委員会説明された場合にも、それがなかったわけです。ところが、その後、事実だからあからさまに申してけっこうですが、差しつかえないと思うのですが、自民党の要請があって、予算編成の最終段階に突っ込まれてきたわけです。  私が伺いたい点は、皆さん十分検討されていると思うのですが、管理職手当というのが改正された経緯を私は研究してみました。それは超勤手当の変った形としてこれは出てきたのですね。超勤手当を、たとえば本省の課長がおる、課長が自分の課に割り当てられた超勤手当を課長が自分で取って、あと一般課員にやるのはおもしろくない。だから、課長はその課員を監督指導していくのだから、課長は超勤は一切もらわぬ。そのかわり課長には管理職手当を出す。こういう経緯を経て日本の管理職手当というのができているわけです。それから、御承知のように、内藤さんがいらっしゃるが、内藤さんは二五%いいただいているわけですね。本省関係は二五%、それから今のが甲、乙は一八%、丙が一二%になっておりますね。だから、日本の管理職手当というのは、最高が二五%で、次が一八%、最低が一二%ときまっているわけですね。それ以外にないわけです。それを小学校中学校高等学校の校長だけ、これは管理職であるという認定をしてだから管理職手当を出すのだ、しかし、この小学校中学校高等学校の校長だけは特に異例な措置として七%である、こういうふうに結論を出されておるところは、どういうお考えか、納得のできないところがある。もしこれが、小、中、高等学校の校長が管理職である、従って管理職手当を出すならば、現在中央官庁の方々は二五%、次いで一八%、一二%とあるのですから、当然これは一二%出さるべきだと思うのですが、そこらあたりに非常に筋の通らぬ、何か便宜的なものがひそんでいると思うのですが、この点について、文部大臣どういうお考えを持っておられるか、お答え願いたいと思います。
  41. 松永東

    国務大臣松永東君) これはおっしゃるように、日教組対策とか何とかいうことでは絶対にないのです。それは、そうい考えを持っている人もあるかもしれませんけれども、私は絶対にそういう考えは持ちません。そうして、それはなぜかというと、いろいろこれは議論したのです。そうして今あなたの仰せられる通り、最終になって予算に盛り込んだのじゃないのです。初めからちゃんとこれは管理職手当を出さなければならぬと計画をいたしておった。しこうして、これが校長ばかりではありません。教頭にも管理職手当をやらなければならぬ。それは、それほどさようにやはり管理に骨を折っているのであるから、この人をただ使いをすることはいかぬばかりでなく、大学の学長、あるいは部長、病院長、さらに国立においては全部管理職手当を出している。従って、公立中学校、小学校等にも当然出すのが当り前だと思うという議論から、それで出すということにきまった。しかして、たしか初め、私はパーセンテージのことをよく記憶にありませんが、たしか一二%でしたか一三%ですか、初めちゃんと予算を組んだんです。そうして、ひとり校長ばかりではなく、今も申し上げる通り、教頭にも組んだんです。それを、まあ今だから言いますけれども、削られてしまった。そうしてずっと校長だけになっちゃって、そうしてこれも七%ですかに下げられた、というのが実情なんです。
  42. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 筋が通らぬ。
  43. 松永東

    国務大臣松永東君) いや、筋が通らぬったって、通るも通らぬも、あなた、それだけしか予算がないといって予算を与えられない。そこで、仕方がない。初年度であるから、このくらいでもやむを得ぬじゃないかということで、教頭には管理職手当は出さない。それで校長だけにと、こういうことにしたわけなんです。決して日教組対策とか何とかいうことは、寸毫も考えておりません。ただ、こまかないきさつについては、今、政府委員の内藤さんから申し上げます。
  44. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それはわかります。学校長は管理職である、従って管理職手当を出すというならば、今の日本の制度で最低が一二%にきまっているのですから、それを認めて出すなら、一二%出したらいいじゃないですか。出せなかったら、やめるべきですよ。何ゆえに小学校中学校高等学校の校長だけ七%と別ワクとしたのですか。これは単なる事務的な問題じゃなくて、政治的な問題だと思う。大臣の責任だと思う。それを大臣、不思議に思われませんか。お答え願いたいと思います。
  45. 松永東

    国務大臣松永東君) それは今申し上げる通り、初めから一二%ちゃんと、あなたの仰せになったような比率で出すというような計画を持ってやった。
  46. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は結果を尋ねております。
  47. 松永東

    国務大臣松永東君) どうしてもそれが通らなかった。通らなくても、せっかく骨を折っていただいておる人であるから、まず七%だけでも出して、そうしてまた次の機会に平等に、へんぱのないようにしよう、こういう考え方なんです。それはまあ、そのくらいなことは投げてしまえというような考え方もありましょうけれども、まず七%だけでも取って、せっかく一生懸命やってくれておる校長さん方に、やはりそれだけの手当はせんければならぬという考え方から、やったわけなんです。
  48. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) ただいま七%の議論が出ましたが、七%の根拠は、今矢嶋委員が御指摘のように、二五、一八、二一%というのが国家公務員につきましては通例でございます。特に七%というパーセントは、以前に特定郵便局長管理職手当が七%であった等のいきさつもございまして、ただいま大臣から申し上げましたように、予算関係もございまして、こういう比率になったわけでございます。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 予算を組むときに、来年度からでもこれを他の管理職並みに一二%にするという、内々の申し合せがあるのですか。
  50. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 別に管理職手当は一二%でなければならないというふうには、私どもは考えて、いないのです。ですから、通例、今御指摘のように、国家公務員については二五、一八、一二というのが通例でございますが、かつて特定郵便局長には七%という比率もございましたので、予算関係等を見て七%にしたわけでありますので、今後この七%の比率改善するかどうかは、今後の事態を見てから検討いたしたいと考えております。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はここで、管理職手当そのものを出すことの妥当かどうかということは、時間の関係上深く触れません。しかし、特定郵便局長が七%受けた当時の特定郵便局長の立場と、高等学校中学校、小学校の先生方の公務員としての立場というものは、違うのですよ。今の日本の制度では、ともかく二五、一八、一二%しかないのですから、管理職として認めてやる以上は、当然これは大臣の政治性をもって一二%出すべきであって、あなた方の先ほどからの答弁では、私は了とすることはできません。しかし、これ以上やると水かけ論になりますから、質問を次に進めますが、幼稚園長にどうして出さないのですか。  私は、幼稚園長と高等学校の校長と、どちらが管理職として骨折るかということは、簡単に私は差等はつけられないと思う。あの小さな子供を預かっている園長が、幼稚園の職員を指導しているんでしょうが、これにはどういうわけで出さないのか。私はそこあたり納得できないのですが、これは文部大臣から一つお答え下さい。
  52. 松永東

    国務大臣松永東君) これは、教えている教え子に対する教授方法がむずかしいとかむずかしくないとかじゃないのです。要するに、教職員を管理しているその手当でありますから、幼稚園の管理をして、幼稚園の先生方を管理することと、小学校中学校高等学校とは、おのずから差等があろうと思う。しかし、幼稚園にも私どもは何とかして出したいと思う。しかし、本年度はどうしてもそこまで財政上の関係からいけなかった。それだけを御了承願いたい。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういう説明は納得できませんよ。小学校の校長が、その学校を預かって管理するのと、幼稚園の子供、幼児を預かっている幼稚園の園長さんが幼稚園の管理をするのとは、一方は手当を出す、一方は手当を出さぬほど、明確に差等をつけられるということはないと思う。これはおそらく、聞いて内容がわかったら、幼稚園長は憤慨するだろうと思う。御承知のように、自由国家群でもそうですが、共産圏でも最近幼児教育というものは大へん盛んなのです。日本の幼児教育の不徹底というものは今後是正されなくちゃならぬと考えているわけですが、この際、幼稚園長と小、中、高等学校の校長に差等をつけたのは納得できません。努力されますか。
  54. 松永東

    国務大臣松永東君) もちろん努力します。努力しますが、さっきも言う通り教職員を管理していくための、それに対する手当なんです。幼稚園にはそれだけたくさんの先生が、教職員がおりません。これは私は、幼稚園は私の親戚でも経営しておりますから、よく承知しておりますが、きわめて少数の人が子供を養って、育てあげてくれている。ですから、その先生方を管理するのに対する管理職手当は、まあそう急がぬでもよかろうと思って、実は今年度どうしても財政上入れてくれぬものですから、入らなかったのです。ですけれども、これは何とかしなければならぬ。努力はいたします。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 小学校の職員は何人以上あれば管理職手当を出すのですか、職員の数が少かったら出さないのですか。
  56. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 大体小学校の場合は、私どもは六学級以上が普通の建前であります。で、五学級以下の場合は、小規模学校でございますし、分校のものもございます。現在校長である以上は、私どもは当然出すべきと考えております。しかしながら、今後十分この点は検討いたしまして、学校の中でも分校の場合には出さない、本校となれば出すと、こういうような不合理等もございますので、この点はさらに検討いたしたいと考えております。それから、幼稚園につきましては、国立の場合は、幼稚園の職員数が非常に少いのでございますので、本来、国立学校に出すのが建前でございまして、地方公立学校につきましては、国立学校教員の例によるわけでございますけれども、はるべき国立学校の幼稚園があまりに小規模でございましたので、対象から省いたわけでございます。
  57. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もうちょっとこれについて伺いますが、大学の学長と事務局長は、管理職の管理という度合いからいったらどちらが上ですか、それとも同じですか、どうお考えですか、文部大臣は。文部大臣に聞いている。そんなことは、あなた専門家でなくても、常識をもって答えられることですから……。
  58. 松永東

    国務大臣松永東君) もちろん、それは学長が統括しておるのですから、学長が上だと思います。
  59. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 じゃ次に伺いますが、東京大学の事務局長地方の小さな大学の事務局長とは、まあ具体的に例をあげませんけれども、東京大学が一番大きいわけですが、まあ佐賀大学をあげてもいいのです。この佐賀大学の事務局長東京大学の事務局長とは、管理職の度合い、差がありますか、ありませんか、どうお考えですか。
  60. 松永東

    国務大臣松永東君) これは大学局長ですから、それに差等を設けるということはいかぬと思います。従って差がないという結論に到達するわけであります。
  61. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは小学校中学校高等学校学校で、規模の大きいと小さいとで差があるというのはどういう観点に立たれるのですか。
  62. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 規模と申しましても、あまりに小規模のもの、たとえば一人や二人しかいないような幼稚園の場合に、果して管理職手当を出すのが妥当かどうか、こういう問題になってくると思います。
  63. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一人、二人、そんな幼稚園はないですよ。
  64. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 国立の場合には一人、二人が相当多いのでございます。で、地方公立幼稚園あるいは私立幼稚園には相当大規模のものもありますけれども、現在国立学校の幼稚園は非常に小規模でございます。従って、国立学校については出しにくいというような事情でございます。
  65. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ではもう一ぺん具体的に伺いますが、小学校で四学級の学校長というのは、管理職手当出るのですか、出ないのですか。
  66. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 現在のところ、四学級でも学校長であれば出す考えであります。しかしながら、分校の場合、四学級には出しません。校長でございませんので、従ってこの辺の関係の調整は今後いたしたいと考えております。
  67. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 給与制度というものは、私はよほど科学的で合理的で、公平な態度をとらなくちゃならぬと思うのですよ。ことに、教職員の待遇の取扱いについては、薄給なだけに、しかも教育者であるだけに、私は重大であると思うのであります。そういう点で管理職手当の、私は手当そのものの問題がありますし、率からいっても、それから範囲からいってもずいぶん問題がある。で、先ほど私はあえて伺ったのですが、あなたが認識間違っておると思います。大学の事務局長大学の学長より管理職手当が上なんですよ。不思議だと思う。これが昔の高文万能の何が残っておるのだと思う。大学の事務局長は、佐賀大だろうが鹿児島大だろうが、東京大学の事務局長だろうが、全部一八%、ところが学長は全部一二%ですよ。だからその管理の度合いは事務局長の方が上になっておる。学長より六%よけいもらえるようになっておる。さっき文部大臣は、それは学長が統括するのだから上だと言うが、これは私はおかしいと思うのですよ。こういうところに少しメスを入れてもらいたい。それから、大学で一番小さい大学はどこになるか、たとえば佐賀大学をとりますと、佐賀大学の事務局長は一八%だ。東京大学の医学部の事務長、工学部の事務長、これは相当の仕事を持っているのですが、これはゼロなんですよ。ところが文部省の課長は二五%もらう。同じ東京に住んでいても、こういうところに役人万能、教育者を無視したところがあると思う。この管理職手当を出すのならば、文部省としては、所管の全部を十分検討されてやらなければ、こんなことをほったらかしておいて、そうして小中学校の校長だけはちょっとピックアップして、一二%のワクを破って、 七%出すようなところは、私は非常な不用意だと思うのです。いかがお考えになりますか。いいように是正される用意がありますか。
  68. 松永東

    国務大臣松永東君) 今、御指摘になりました大学の学長と事務局長ですが、そのパーセントの違うところあたりは、これは非常にそれぞれの歴史と伝統があるらしいのです。でありますから、そういう点について政府委員から一つ答弁いたさせます。
  69. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 御指摘のように、管理職手当には超勤の形態があったことは、これは事実でございます。事務局長、会計課長、庶務課長等は、従来から超勤がついておった関係で、これを管理職にした場合は、管理職手当比率が割合いいわけでございます。ところが学長、学部長等は、本俸の方に繰り入れて給与を是正をいたしたわけであります。これは矢嶋委員よく御存じだと思いますが、超勤を出さないで待遇をよくする、こういう趣旨から本俸をよくしたという過去の経歴があるわけでございます。こういう点で、学長、学部長につきましては、超勤がなしで管理職手当をつける、こういうような意味でありまして、この比率が低くて二一%という比率になっている、こういういろいろの過去の歴史やいきさつ等がございますので低いというわけでございます。
  70. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今のあなたのお話は、まあ二割ぐらい私の耳に入りますが、八割は入って参りません。そういう説明は通らないと思う。大体、そもそも日本の大学が振わないのは、役人がいばり過ぎるからですよ。各大学へ行ってごらんなさい。教授は一体幾ら研究費がくるのかも知りゃしない。事務局長が君臨していますよ。ところによると学長以上に君臨している。その事務局長は、文部省の会計課あるいは大学学術局に直通する。そうして、いやしくも最高学府の総長とか学長が文部省の階段をことこと上って、そうして、優秀な人であるけれども、お若いその会計課の方々にしょっちゅうぺこぺこ頭を下げておらなければ大学運営ができない、こういう形態は私は是正さるべきだ。そういう意味において、もう少し大学というものを権威を持たせるために、僕はこの前、総括質問のときに、大学財政の独立、これは明治年間にあったのです。その後変ってまた。大学財政というのはちゃんと独立さして、そうしてほんとうに学長の掌握下にある。学長は、行政官的なものが強くなるのですから、そうして事務局長以下を動かして、そうして大学の使命の達成ができるという形態に持っていかなくちゃならぬ。今の状況では私はだめだと思う。その現われがやっぱりここに出てきているのです。しかも東京大学の事務局長であろうが、地方の小さな事務局長であろうが同じ一八%で、東大の総長も地方も皆同じだ、こういうところに私は問題があるのですが、にもかかわらず、一番問題になるのは、各省庁の課長さんあたりは皆二五%になっているものですから、そういう人々の給与体系と、大学の給与体系はそんなに優遇されているかというと、そんなによくはなっていませんよ。私は先ほど、若き学徒の待遇改善について大臣に伺いましたが、御了解いただいて、努力していくということで了承いたしましたが、そういうところにもう少しメスを入れるべきだ。そうして小中高等学校管理職手当についても、ほんとうにどういう形で出すのが妥当かどうか、出すとすればどれだけ出すべきか、また範囲はどうすべきであるか、小学校のやつは四学級の分校には出さないというのか、そういう点あたり、非常に私は不用意さがあるような感じがする。給与体系というものはそういうものじゃないと思う。乏しきを憂えずひとしからざるを憂うというのが人の情です。教育者を遇するに当っては、そういう点を慎重に検討がなされなければならない。この点については、法案そのものは当該委員会で審議するでしょうから、いずれにいたしましても早急に、文部省としては総合的に検討されて、あやまちを早急に是正するように要望いたします。  なおもう一点、出たついでに給与の関係を伺っておきますが、僻地教育振興は、いい先生を確保することが第一条件だということがいわれておるわけです。ところが僻地手当というものが非常に不十分である。だから僻地にいい先生を確保することができないということが多年叫ばれております。従って僻地にりっぱな先生がおいでになるためには、非常に苦しい環境下で教育されておるのだから、僻地手当を増すべきだということが唱えられておるわけですが、それはどういうふうにされたのか、それと、今度のこの国会に通勤手当というものが、昨年の人事院勧告で出ておる。それによると、僻地の先生方は通勤手当というものがもらえない、これもまた私は問題だと思うのです。歩いて二里通ったからといって、自転車に乗らぬから、汽車に乗らぬから通勤手当を出さぬというのでは……。ところが僻地の先生は、映画一つ見ようと思えば、何百円もバス賃を払っていかなければならない。文化生活——東京あたりは、バスや汽車で通勤しても、文化生活を味わおうと思えばいつでも映画でも演劇でも見られる。そういうように労働条件が違うわけですからだから僻地の先生は汽車に乗らぬから、バスに乗らぬからといって、今度の人事院勧告による通勤手当はオミットするというのは、僕は非情だと思うのですが、その点、文部大臣はどういうふうにお考えになっておるか、その点伺いたい。
  71. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 僻地手当につきましては、実は文部省も以前から努力いたしまして、従来定額支給で、最高千五百円とか千二百円、こういうふうになっておりましたが、このたび、昨年度から改正いたしまして、これを定率支給に改めまして、本俸に対して最高が二割、それが四%刻みの五段階ということになったのであります。この点は、文部省もできるだけ定率支給を指導いたしておりますが、まだ全国で定率支給になっていない県が相当ございます。さらにこの点を徹底いたしまして、定率支給をいたすように、なお、本年度予算におきましては約七千四百万円の増額を国庫負担金に計上いたしております。  それから、次に御指摘の通勤手当でございますが、通勤手当は、通勤に要する実費をまかなうような性質の経費でございますので、僻地の場合に汽車あるいはバス、電車等がございませんので、通勤手当が大部分支給されないと思います。しかし、自転車の通勤に対しては、最低百円の補償をするようでございますので、自転車通勤につきましては、まあ自転車が可能でありますれば通勤手当が出るわけでございます。
  72. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなた方は僻地という学校を、ほんとうの僻地の学校を見たことがないから、ほんとうに困ったもんだと思うんです。私自身も一部しか見ていないんですが、自転車に乗れるところではないんですよ。馬も通らたければ牛も通らないようなところを、一本橋をはうようにして渡ってゆくというような僻地が幾らもあるんですよ。自転車に乗ろうたって乗れない、「道がないんだから、僻地というのはそうなんですよ。だから、通勤手当というものが出ないとなれば、他にかわるべきものを……定率支給にしても二割から四%刻みでしょう。しかもあの僻地校の指定の基準というのはからいでしょうが、それを緩和するなり、何かバランスがとれるようにしなければ……。僻地では自転車に乗ろうにも自転車が通れぬのだから、馬や牛が通れぬのですからね。そういう僻地があるんですから、もう少し認識してもらわなければいかぬと思います。文部大臣いかがでしょうか。
  73. 松永東

    国務大臣松永東君) お説の通り自転車に乗れないところがあることも、ほんとうにはって歩くところも承知いたしております。従ってこの件については、もう少し私は研究してみたいと思います。
  74. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣は非常に答弁がよくて、よく研究してみる、研究してみるといって答弁されるんですが、この国会が終るまでに研究した結果を結論が出たものを、その中間的なものは中間報告でいいですから、お教えいただきたいということを要望しておきます。  で、私ただいま体育関係をお尋ねしておるわけですが、それが途中からちょっと給与の関係に波及いたしたわけであります。で、本論に返しまして、体育の関係で最後に伺いたい点は、文部大臣として、あらためて私はあなたの閣内における決意を承わりたいと思うんです。それは競輪、競馬の問題なんですね。いろいろの委員会でやられた速記録を見ますと、農林大臣にしましても、あるいは通産大臣にしても、なかなか所管だけに思い切れないようです。競輪にいたしましても、地方自治体に年間九十億円寄与している、それで今の地方財政の実情から直ちに廃止はできないというようなことも述べておられます。しかし、京都市あたりは廃止されたわけなんですね。で、僕は手近にずいぶん知っているんですよ。競輪で一家悲嘆にくれている、幾らも知っています。教育者の中にもいます。知ってるんですがね、にもかかわらず、今どき新しく競馬場を設けよう、競輪場を設置しようという動きをしている地方自治団体もあります、私それを知っています。だからですね、これはもう文部大臣としては、競輪、競馬は一日も早く廃止する方向に行政を持ってゆくべきだ。ましてや競輪、競馬の新設ですね、これは断固として特例を認めない、絶対に新設は認めない、方向としては一日も早く漸減してゆくということを閣議の御方針としてきめて、それを行政面に私は具体的に現わしてゆくべく、文部大臣としては閣内において努力をしていただきたいという私は願望を持っておるわけですが、大臣の御所見を承わりたいと思います。
  75. 松永東

    国務大臣松永東君) 機会あるごとに私は努力することはやぶさかでございません。しかしながら、私が総理でもなければ何でもないんですから、私がそれを提唱して、そうしてお説の通りにやめさせるということはできません。しかしながら、これは私はお説の通り、この間も競輪、競馬、これはスポーツじゃない、これはばくちだと、風教の上からいっても、これはほんとうに禁止せんければならぬ問題だと私は考えております。しかし、今あなたも言われた通り、これが地方経済に非常に潤いを持っておりますので、まだ急に禁止するというところまではいかぬのだと思います。しかし、わしは機会あるごとに、こうしたほんとうに偶然の、輸贏に投じて、そうして財産を投げてしまつて、その結果が、私も御承知通り弁護士生活をしておりますが、刑事事件を起し、一家心中をやつたりなんだりするのが、こうした事例に原因を発しておる。でありますから、機会あるごとに、お説のように一つ努めてゆきたいというふうに存じております。
  76. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に、私は国立劇場の点について、総括質問のとき一応伺ったんですが、もう少しこの分科会で承わりたいと思います。この点についてはいずれ、大蔵大臣出席を要求していますので、おいでになったら、あらためて大蔵大臣にも伺いたいと思うのですが、まず私は文部大臣に伺いたい点は、あなたも国立劇場の早急建設が必要であるということはお認めになっておられて、総据質問のときにお答えになっておられるわけですが、あなたにお伺いいたしたい点は、日本に国立劇場を作った場合、独立採算でいくか、それとも諸外国に見られるように、独立採算でいかぬ場合、国から、一般会計あたりから助成をしてやっていく、そのいずれの方式をとらんとしておるか。それから、これらの問題について諮問して場合、団体は、七十五、六億円要する、七十五、六億円程度の規模で作りたいということを答申されて、関係者では、そうもいくまいから、国家財政とにらみ合して三十七億円程度のものを構想として持ちたいという方針のようにわれわれは開いているわけなんであります。これは、おそらく年次計画でいくわけですから、当初、とにかくどの程度の規模のものを作るという大ワクをまずきめなくちゃならぬと思うのですが、文部大臣はそれらについても見解を持たれておると思うので、当該の文化財保護委員長さんがおいでになっておられますから、そちらの方からお答えいただいて、それから文部大臣にお答えいただきたいと思います。
  77. 河井彌八

    政府委員(河井彌八君) 矢嶋委員の御質問にお答え申し上げます。  まず、国立劇場というものの規模を申し上げてみたいのであります。建設計画といたしましては、その施設大要を申しますと、まず建設費関係で、建設の場所が全体で八千八百五十坪くらいほしい、こういう計画を持っております。その内容を申しますと、これは大劇場が四千三百坪、小劇場が千九百坪、それから共通の施設として六百五十坪であります。その他に、日本の古典の保存、それから研究というような意味におきまして、資料を集め、あるいは研究室を置く、さらには、後継者の養成をする、その他管理をするというようなことで、土地といたしまして約二千坪ぐらいほしい、こういうことになって、総計八千八百五十坪という計画が出ておるのであります。それから、それについての建設費の概算はどうかと申しますれば、大体これはまだ予算の確定をしているわけではありませんけれども、計画といたしまして、二十七億五千七百万円、そのうちで、建築をする費用が二十五億一千五百万円ということになっております。そのうちで、大劇場は十五億二千五百万円、小劇場が六億五千三百万円、共通施設が一億一千五百万円、それから資料を集め、研究をなし、後継者を養成する等の関係事業が二億二千二百万円というような概算になっております。その他、土地を使いますにつきましては、いろんな土地に対する工作が別に必要であります。造園費、造園をするとか、あるいは囲いをする工事であるとか、あるいは建築についての設計管理をする費用であるとか、あるいは設計の懸賞募集をする、さらに土地の整地をするとか、いろいろな機械器具を買い入れるとか、事務費とかいうようなもので、ただいま申し上げました二十七億という金が要る、これは大体の見当でありまするが、そういう計画を持っておるわけなんでございます。  それからさらに、今お話の経理関係について御質問がありましたが、これは、大体において、国立劇場であるから、経理をすべて国から仰ぐというような考えを持っておるのではない。原則といたしましては、すなわち、できるだけ自給自足が参りますようにいたしたいと思うのであります。しかしながら、この仕事の実質上、必ず自給自足ができるかと、こう申しますると、それは無理であります。現に、一番はやつておりまする歌舞伎座のようなものにいたしましても、あれはよろしいのであります。しかし、歌舞伎演劇をやる場所は、全国的に見ますと、大体みな赤字になっておる。いわんや、それでありまするから、そのときの何といいますか、嗜好に応じまして、そして正しい伝統的な演芸というものをしないで、何かそのときの人心を迎えるようなふうな仕組みになってきておりますので、そういうようなこともきわめて厳正に、正しい研究で昔のものを維持したいという一つの目的もあるのでありまするから、そういうような点から申しましても、国でやはりこれを経営して、そうして維持していく必要がある。従いまして、やはりできるだけ、われわれといたしましては、少額な金ではありまするけれども、やはり国から金を補助してもらうということにしたい、出してもらうということにしてもらいたいと考えております。それは何に使うのかといえば、その劇場の役職員の給与等の金額と考えております。大体この間計算しますと、三千三百万円ぐらいということでございましたが、しかし、この額はちょっと、その通り必ずやるということになりますかどうかということになりますと、これはむろん変ると思いますが、大体そんなふうに見込んでおります。私まだはっきり申すことができないのでありますが、今度体育関係の場所ができます。ああいうものをどういうように処理するかということを考えておるのであります。やはり国体とは違いますけれども、国でやるところの大きな演芸に関する国家的の文化施設なり、あるいはああいう行き方、一つの法人を作りまして、それに経営させる、そうしてその経営上必要な経費というものは国から援助してやるというふうな形などが考えられるべきものではないかと考えます。しかしながら、現状におきましては、まだまだそんなところへとても入るまで行っておりません。すなわち、場所等できめかねております。きまらなければならぬと思いますけれども、そのような実情でありまするから、そこまで入っておらないです。  御満足かどうか知りませんが私の承知しておりますことをあらまし申し上げました。
  78. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣どうですか、今のお考えと同じですか。
  79. 松永東

    国務大臣松永東君) 今の文化財保護委員長のおっしゃる通りです。私はこの方面の仕事は何にもわかりませんので、大体、委員長から開いておる範囲であります。
  80. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうなりますと、あと文部大臣の腕のふるいどころは、一日も早く予算を確保して実現させるという点に、あなたの腕のふるいどころがあるわけですから、その点にしぼって一、二伺いますが、今、文化財保護委員長が申されましたように、大筋としては独立採算というものを考えなければならぬと思うのです。私も文化財保護委員長のお考えに全く同感です。大筋としては独立採算を考えなければならぬ。そこで、私ども関心を持っておる者としては、パレス・ハイツが一応問題になったときに、パレス・ハイツではやはり不便だから、独立採算が無理じゃないか。そこで大宮御所が浮んできたときに、宮内庁関係の了解さえ得れば、あそこは電車も通っている、地下鉄も通っている、場所もよし、独立採算を建前とした場合に非常に格好のところだ、由緒のあるところでありますし。そこで一番心配のあることは、宮内庁関係がうまくいくかどうかに気を配ったわけですが、その当時、私ども、予算編成権を持っている、事務的に持っている大蔵当局にも若干当って見て、あの土地が話し合いがつけば大丈夫だ、とんとんにいく。大蔵大臣としては、土地がきまらぬから予算が組めないじゃないかということを去年もおととしも答弁しているのですね。そこでまず、大宮御所を割愛をしていただくように了解を得るという点に全力を、われわれ関係者しぼって、その結果、宮内庁方面の了解もついて、大宮御所に話がついた。そこでもう大丈夫と、こう安心しておりましたところが、その後になって、これが閣議決定にまでいかないでもやもやしている。どうも不可解しごくなんです。専門家もそう言われておるのですが、いつ駐留軍が引き揚げるかもわからないパレス・ハイツ、しかも、引き揚げたにしても、やはり劇場の位置として、それから将来運営する採算面等から考える場合に適当でないと私は思う。あくまで私は一応了解を得た大宮御所一点張りで土地はいくべきである、こういうふうに考えるのですが、その点文部大臣はどういうお考えか。なお、これは閣議決定に持っていけないところはどういうところに理由があるのか、お伺いいたしたいと思います。
  81. 松永東

    国務大臣松永東君) お説の通りです。これは青山御所の方の問題については、あなた方にもお骨折りをいただき、さらにまた、文化財保護委員長にも相当お骨折りをいただいて、大体宮内庁の方の御了解を得ておるというふうに承わっております。従って、一日も早く具体化しようと思いまして骨折つておるのですが、しかし、大体これはもうそう長い間じゃなく、今松総務長官とも話をしました。実現し得るというふうに私は考えておりますが、もう少しで閣議に持ち出して、何とか了解を得られるのじゃないかというふうに私は考えております。
  82. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣のその予想が適中すれば、それにこしたことはないのですが、それで、私は大蔵大臣出席を要求しておるのですが、解しがたきは大蔵大臣の態度です。大蔵大臣は、土地がきまらぬからきまらぬからといって、そうして大宮御所に土地がきまればあたかもよさそうな口吻を漏らしておったような格好があったように私は記憶しておるのですが、いざそうなってくると、どうも大蔵大臣が相当抵抗して、つっぱっておるのじゃないかという感じを私は受けるわけです。文部大臣は、大蔵大臣と個人的にも私は折衝されたと思いますが、大蔵大臣に直接私はお伺いしますが、あなたの見通しとしては、大宮御所が適地であり、大蔵大臣もそれを了承すると、こういう、交渉経過からいって御判断をなさつておりますか。
  83. 松永東

    国務大臣松永東君) どなたがどうということは、もう矢嶋委員よく御承知のことですから、私ここで申し上げませんが、とにかくそこまでしぼられてきているんですから、実は二、三日前も今松長官とも話して、早くこれは実現しなければいかぬぞということを話しておる。それじゃ何とか一つ二人でやってみようということも約束しておるのであります。ですから、私はそう長くないうちに何とかきめたいというふうに考えております。
  84. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 昭和三十三年度概算要求について八千万円要求したのに対して、千大百十五万円しか予算がついていないわけですが、建てるとなると、設計に相当かかるわけで、せっかく作るのならば、世界的にも誇れるような設計で、募集してやらなくちゃならぬと思うのです。従って早急に構想をまとめられて、本年中に設計募集ができる程度までは進めていただくように格段の私は努力を要望します。この前、総括質問の場合、総理も外務大臣も、あなたも大蔵大臣も、みんな必要性を認め、早く解決したいと、こういうように答弁されておるにもかかわらず、何年かかっても進まないという点は、私は非常に不満なんです。外国に私はそう何回も行ったことはないんですが、行って見ても、われわれ日本におって、あんな国なんかちっぽけな国だとなめている国でも、堂々たる国立劇場を持っているんですね。相当他国に誇るべき文化を持っている国で、しかも文化国家を標傍しているんですからね、国立劇場一つくらい早いところ処理できなくては恥かしいことだと思う。大臣一つ御決意をあらためて伺いたい。
  85. 松永東

    国務大臣松永東君) これはもう昨年以来、お説の通り、私は決心しておる。なかなかもう——、いよいよきまるというところまできたところが、また変な障害が入ったりなんだりしておりますが、今度はどっち、どうなるか、一つきめたいと思います。
  86. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は、他にまだ伺いたい点が幾つもあるわけですが、私ひとりで先に質問しては失礼でございますから、他の委員の質疑があった後に、他の問題についてさらに質問させていただきたいと思いますから、一応これで打ち切ります。
  87. 剱木亨弘

    剱木亨弘君 今のに関連して。  実は矢嶋委員が申されましたので、私は特別申し上げる必要はないと思っておりましたが、国立劇場の問題につきましては、もうすでに国会で議決をして、作るということを予定されて、そうしてそれができないで、また来年の問題になって参っております。それで国会がこれを作ることを承認して、しかも政府が提案した以上は、これを作るということをお約束になったわけなんです。それが三十三年度予算がまさに今、これはどうなるかわかりませんけれども、私どもとしては、この予算の成立を一刻も早くしたいと思って努力しておりますが、これはその障害の点は、今、矢嶋委員の質疑応答を聞きましても想像できるのでございまして、もう、おそらくごくわずかな焦点に集約されておる。それでこれが、何もそう手間ひま取るものじゃないの で、できますならば、一つ年度予算が成立する前に、明確にこれは必ずできるということを政府として国会に対して表明していただくという、私は政府の責任があると思うのでございます。この点、特に文部大臣一つお願いをいたしておきます。
  88. 河井彌八

    政府委員(河井彌八君) もう委員諸君の御質疑はなくなったようでありまするから、私が申し上げますのは少し相済まぬと思いますが、場所につきまして簡単に、私どもが青山を主張いたします理由を申し上げます。  国立劇場のような、後世に残るりっぱな文化施設、しこうして、これがさらに、世界のどこに出しましても、矢嶋委員の今言われました通り、各国には堂々たる国立劇場というようなもののあることを考えまして、やはり最もふさわしいりっぱなものを作りたい。しかし、これはあえてぜいたくなものという意味じゃありませんが、とにかくいいものを作りたいというのが、われわれの希望であります。そういたしますると、まず、どこに作るかというその場所からして、ふさわしい所が要るのだということになります。そういう意味におきまして、いろいろな点を研究いたしましたが、結局、青山御所の一部というのが一番適当であると、こういうような結論を得ておるのであります。これは、国立劇場設立準備協議会という、専門家がずいぶんたくさん集まっております、各方面からの研究の結論でありまして、そして、文化財保護委員会もまたその結論を採用いたしまして、その通りになっておるのであります。しかしながら、しからばあのパレス・ハイツというものを第一候補として申し入れたのはどうなるのか、こういうことになります。その点につきましては、私の前任者の高橋委員長が宮内庁に当ってみた。やはり青山御所をほしいのだという意味で当つてみましたが、そのときに、宮内庁は直ちに同意せられなかった。というのは、あの全体の計画が、どういうふうにするかという全体計画がきまっておりませんので、それはすぐによろしいとは言われなかった。こちらの方といたしましては、これは皇室の御用の国有財産でありまするから、もっともと思いまして、これをもう断念いたしまして——断念というかどうか知りませんが、ちょうだいしたいけれども、とにかく一応断念いたしまして、そして、できるだけ早く実現ができる場所というのでパレス・ハイツをあげたわけなんであります。ところがパレス・ハイツにしましても、なかなか容易に運びません。三十一年の五月に——四月でしたか、文化財保護委員会から、パレス・ハイツを使うようにということで大蔵省に申し入れまして、管財局におきまして国有財産中央審議会というものを開きまして、そして付議したのでありまするが、管財局は賛成いたしましたが、その決議が一向出てこない。一年余りたつてまだほったらかされているというようなことで、もうわれわれの委員会といたしましては、実際当惑したのであります。それから、いろいろさらに検討しておりますると、とにかく、どこもどこもきまらないというならば、もういつになってこの実現ができるかわからないのであるから、何とかしょうと、それで、もしもお許しが出るならば、さらに青山御所についてその御都合を伺ってみようじゃないかというようなことから、さらに交渉したのであります。そうしましたところが、もうすでに東宮御所の計画、その他、皇族方のお使いになる計画等も、大体宮内庁当局の見通しがついたのでありまして、その結果といたしましては、あの青山の電車の交差点である一角というものをさいてもよろしいという了解を得たのであります。従いまして、われわれといたしましては、事務折衝を盛んにやりまして、かなり進行したのでありまするが、しかし、不幸にしてそれがまだ実現に至らないというような状況なんであります。なお、ほかの場所等もありまするが、しかし、それにしましても、今、矢嶋委員のおっしゃいましたように、官庁には、非常に適するような場所でも、観客がたくさん集まってくるというにははなはだ不便なような場所でありまするというと、せっかく建てましても、その目的が十分達せられないのみならず、経理の上においてもずいぶんやり切れないというようなこともあります。どんな点から考えましても、やはり青山御所が一番いいと、こういう結論をまだ持っておるわけなんであります。それからパレス・ハイツにつきましては、アメリカ軍が撤退するではないか——これは急速撤退するだろうという話であります。それはそうかと考えます。しかしながら、たびたびいつ撤退するであろうかということを、われわれはそれも調べてみているんで、実はきょうも調達庁へ問い合せてみたところが、まだ何もその点については、撤退はすると思うが、いつになったら撤退するであろうかということははっきりわからない。六月にでもなったら見通しがつくであろうかという話なんです。どうもそういうものを待つわけにはいかぬと思いますし、もし撤退するということがきまっても、あそこに現在ありますアメリカの軍人の兵舎をどうするかというような難問もまたさらにあるわけなんです。というようなことなども考えまして、一応宮内庁とわれわれの方とは非常によき了解を得て、大蔵省も次官まではすっかり承知してくれました。青山御所にしたいということをまあ熟望しておるわけなんです。どうも場所がきまりませんと予算がきまりません。従いまして、いつどうなるやらわからないという不安を抱いているわけなんですが、その点もあわせて御了承願っておきたいと思いまして、つけたりとして御説明申し上げておきます。
  89. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大蔵大臣に対する質疑は、大蔵大臣は衆議院の関係で、きょう出席できないやに委員部から承わっておりますので、大蔵大臣に対する質疑は保留いたしておきます。  あらためて文部大臣に、はっきり私は腹をきめていただきたいと思うのですが、文部大臣も閣内においては、もう一応内定された大宮御所の敷地一点張りで進むと、かように了承してよろしゅうございますね。
  90. 松永東

    国務大臣松永東君) 今、河井委員長の言われる通りです。これは二人で相談して今までずっと進んできたのですから、それ一本やりで進むつもりでおります。
  91. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 他の質疑をしたいのですが、よろしゅうございますか。
  92. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) ほかに質疑があれば……。
  93. 市川房枝

    市川房枝君 この間の一般質問のときに伺いましたことで、ちょっと納得のできないこと、あるいはそのとき残りましたことを少し伺いたいと思うのであります。  この間の一般質問のときに、文部省社会教育局の、社会教育に関する講師のブラック・リストがあるということを申し上げたのでありますが、大臣はそのときに、ちっとも知らない、初めて聞いたとおっしゃっておりました。福田社会教育局長からは、ブラック・リストを使用しているなんというようなことは全然ない。こうお答え下さったのですけれども、どうもそれで納得をいたしかねるのでありますが、大臣はあのあと、事務当局にその点について何かお調べをいただきましたかどうか、そのことを伺いたいのであります。  それからもう一つは、大臣はあのとき、革新系の人々とも喜んで議論もしますし、お教えを受けております。こうおっしゃったのでありますが、その御態度には私は敬意を表しておるのでありますが、その大臣の御所管の社会教育においてこそ、私は一方に偏した講師でなく、革新系の進歩的な人も加える、あるいは保守系の人もけっこうだと思いますが、ただ民主主義に徹底していない方はちょっと困りますけれども、そして批判力を養わせる、両方の意見を聞いて、そうして一般の国民が判断をする。そこが私は、社会教育の一番大事なところだと思うのでありますが、その点についての大臣の御意見をもう一回伺いたいと思います。
  94. 松永東

    国務大臣松永東君) 市川委員の仰 せになりました、この前の御質問のときに、私は、全くそのブラック・リストに載っておる人があるとかないとかいうことは初めて聞いた。従って、仰せによりまして、私は役所に帰りましてから、そういう事例があるのかということを聞きましたところが、それは絶対にないと、そういうことは。そこで各地の講習会にもやはり革新系の人も行ったし、また保守系の人も行っているということを承わっております。文部省としては、そういう差別待遇をしてはおらぬということを承知しておるわけであります。さらにまた、今仰せになりましたように、やはりこれから先も、革進系の人も、もちろんそういう説も承わって、仰せの通り批判力を培養するということが必要だと思います。ことに、戦前の教育方針とは全然違っておるばかりでなく、社会教育でも、要するに、われわれの実生活が戦前とは急変したのであります。従って、現実の生活様相に即応するような、やはり判断力を培養せなけりゃならぬ。それには、御承知通り、やはり革進系の人たちの意見も聞き、保守系の意見も聞き、要するにお互いの判断力を培養して、そうして現実の生活を、やはり平和的な、そうして道徳の涵養とか何とかいう面についても、やはり新しい時代に即応した修練をし、さらに判断力の培養をせなけりゃならぬというふうに私は考えております。
  95. 市川房枝

    市川房枝君 大臣の今の御答弁は、一応私は、そういう事実はないとおっしゃったことを信用します。今後そういう事態が、私どもの耳に入りましたときには、大臣のところに一つ持っていきますから、御承知おき願いたいと思います。  それから社会教育局長にお伺いしますが、地方で講師を呼ぶときには一々文部省に聞くようにということが、社会教育担当官の文部省での会議の席上で、そういうことをおっしゃったということを私聞いておりまして、この間ちょっと申し上げたのですけれども、そういう事実はないと、はっきりおっしゃられますかどうですか。
  96. 福田繁

    政府委員福田繁君) せんだっての委員会でもさようなお尋ねがございましたので、これは、さような通牒を出すとか、あるいはそういう指示をするというようなことは全然今までございません。ただ、社会教育事業実施いたします場合に、国が直接やるものと、あるいは府県が直接やるものと、あるいはまた地方の市町村が直接やるものにおきましては、それぞれ地方教育委員会で、その事業に適切な人を選びますので、そういった意味で、それぞれ各地方地方にまかしております。従って、市町村のやるような事業につきまして、講師について文部省に一々相談してもらいたいというようなことは、決して私ども申しておりません。その点は御安心を願いたい。
  97. 市川房枝

    市川房枝君 それじゃ一応それも伺っておくことにいたします。  それから、やはりこの間の一般質問の際に、社会教育関係団体の政治活動につきまして、二十七年に社会教育局長から、社会教育関係団体にお出しになりました通牒と、それから昨年の十二月の、広島県の自民党の支部からの問い合せに対する回答の間に違いがある。かなり緩和されている。いや、自民党の婦人局からの抗議があって、妥協を、今までの線からずいぶん後退なすった。こういうふうに私申して、御意見を伺いましたところが、何の矛盾もないという御回答でありました。けれども、それは納得ができないのです。その広島からの文章を、あのとき読みましたけれども、もう一ぺん繰り返してみますと、「婦人団体役員の政党関与の可否についての問合せ」、こういうことで、「地方婦人団体役員は政党その他政治的団体の役員等の構成員となり得るか、又之が可能とすれば、関与の範囲に格別制約はないか等、処理方針について御回答賜りたく」云々という問い合せなんですが、この問い合せも、こんなことを聞く必要ない。婦人が政党に入りたければ入ってけっこうなんでありまして、何も制約があるはずはないのでありますが、まあこういう問い合せになっております。  これに対して社会教育局長は、私が今言いましたように、これは、「このことは法的に禁止規定はありせんので、一般的には本人の意思によって決定すべきものであると思います」、ここまでは当然でかまいませんけれども、そのあとがちょっと私どもにはわからない。「役員等団体の構成員に関することでありますから、当該団体の意思をも考慮する必要があると考えます。」、これはどういう意味でありますか、通牒の意味を具体的に伺わせていただきたい。これは福田局長から……。
  98. 福田繁

    政府委員福田繁君) せんだっての委員会でも、二十七年の通牒を御引用になりましてお尋ねになりましたが、その際申し上げたと思いますが、そもそも、この前申し上げたように、社会教育関係団体は、政治的に中立を保つべきものであるという基本線は申し上げたつもりであります。従ってこの前、たしか御引用になりました二十七年の通牒の中には、この社会教育団体につきまして、「教育に関する民意を反映する有力な組織であるから、その意見が公正でありその活動が政治の分野等における実際活動とならないように慎み、本来の職分に責任を持つべきである。」、かように団体としての基本的なあり方、性格というものを明らかにしていると思います。ところで、これは社会教育関係団体の本来のあり方を書いているわけでありまして、この二十七年の通達におきましては、これは教育委員会は当時公選制度でありましたので、教育委員会選挙との関係をこの通牒で明らかにいたしました。従ってこの「社会教育関係団体関係者が教育委員候補者となることは、役員その他いかなる構成員たることを問わず、個人の自由である。」ということもこの通牒の中で明らかにしております。それからまた、「教育委員社会教育関係団体役員を兼ねたことは、法律的になんらさしつかえない。」ということも明らかにしております。従って、これを逆にいたしますと、昨年出しました通牒と同じようなことになるのでありまして、私どもの昨年回答いたしました通達におきましては、これは、そういった社会教育関係団体の方が、この政党の政治的な団体の役員あるいは構成員になるということは、これは本来その個人の事由である。しかしながら、この社会教育関係団体の役員であります場合には、そこに書きましたように、これは政党等の役員になるというような場合でありますと、この社会教育関係団体が本来あるべき中立的な立場をいろいろ阻害されるような心配もあるかもしれないし、そういった意味におきまして、この当該団体の、換言いたしますと、社会教育関係団体のその団体の中での御相談によってそれは自主的に解決せらるべきものである、こういう趣旨に答えたのであります。従って、二十七年の通達とこの通達とは何ら矛盾するものではなく、後退というようなお話もありますけれども、私どもはそういう見解をとっていないのであります。
  99. 市川房枝

    市川房枝君 二十七年のは、教育委員選挙に際してお出しになったということはわかりますけれども、もう今は教育委員選挙はなくなってしまったのです。そうすれば、あのときの通牒はもう全部帳消しになったのだと、こういうことになりますか。私が承知しておる範囲では、一般の選挙に関してもあの通牒を文部省としては、社会教育団体に対して絶えず助言といいますか、指導といいますかをしておいでになったとはっきり承知しておるわけであります。それで、今度の通牒は今の御説明で、社会教育団体としての政治的中立といいますか、それにそむかないようにということが入っておるとおっしゃるけれども、文句からは一つも感じられないのです。そうおっしゃっているならば、なぜはっきり通牒の中にお書きにならないのか。これではちっともわからない。どっちへいったってかまわない。その団体の相談の結果ならば一向かまわない、こういうふうにとれるわけであります。だから政治的な偏向ができても、それは当該団体のそれが意思というか、相談の結果ならば何もかまわぬ、こういうことになってしまった、こういうようにとるのが、私はむしろこの文章からいえば当りまえの解釈であろう、こう思うわけであります。今の局長のは、どうも私納得ができないのです。これはそれ以上申し上げたっておそらくお答えになれないでしょうが、私はこの通牒のねらいは、この通牒が出ました経過、これは一般質問のときに申し上げましたが、その経過から考えて、ほんとうの回答のねらいは、やはり地域婦人団体、全国に何百万と会員を持っております地域婦人団体、これは社会教育団体の中で最も大きい団体でありますが、その団体の会員あるいは役員あるいは会長なんかを自民党の婦人部といいますか、自民党に引っぱり込むための道を開く、そういう役割をしておるのだ、こう言っていいと思う。それで、現実にこの通牒は昨年の十二月の終りごろ出たわけですけれども、そういう傾向は、その前から出ておりまして、これは局長は十分御存じだと思いますけれども、地方において、自民党の婦人部の活動が非常に活発になった結果と申しますか、その活動の一つとして婦人団体の幹部会員なんかに盛んに働きかけになった。そしてその結果、具体的にいいますと、私は二つの傾向が出てきていると思う。  一つは、ある地域の婦人団体全部がその党に入ってしまって、その地域の社会教育団体としての団体がなくなってしまっている。そういう所も実は出ておるのです。それでこういう傾向—は、一体文部省社会教育の担当者として大へんけっこうですとおっしゃいますか。私は自由意思で婦人の人たちが党に入ることはこれはけっこうであります。それはもうその人たちが与えられておる権利だと思うのです。けれども、現実にその入り方に問題がある。ほんとうにその政党のことがわかって、自分が入ろうという自主的な意思で入るならばそれもいいのですけれども、現在の実際はそうでもない。結局お義理といいますか、普通の婦人会のつもりで入る。そしてそれじゃそういう活動はどうかといえば、ほんとうの政党の婦人部としての活動をしておいでになるかといいますと、そうではなくて、お料理の講習会とか、いわゆるその地域の婦人会と同じような活動をしておられる社会教育団体がそういうような方向にいくということは、これはやむを得ないといえばやむを得ないかもしれませんが、望ましい状態かどうか。これは一つ、自民党の幹部でもおいでになります大臣にお伺いしたい。  それからもう一つの傾向は、その地域の婦人団体全部がそういう政党に行くというわけではなく、いわゆる現在の地域婦人団体そのものの幹部といいますか、会長をやはり党に入れようとなさる、そういう傾向が非常に出ておる。たとえば、自民党の県支部の婦人部長の方が県の社会教育団体である地域婦人団体の会長をしておいでになるところがだんだんふえてきております。そうして現状では、これは自民党の方がほとんどでありまして、社会党の方の場合は非常に少いのですけれども、そういうふうな、党に所属しておいでになる、はっきりしたお立場を持っておいでになる方がそういう地位におつきになる。これはさっきの社会教育局長のお話の、団体の幹部自身が、その人が承知の上でそれをするならばかまわぬじゃないかということも言えます。だから、私は一がいにそれはいけないとは申しませんけれども、しかし、現在の段階において、いわゆる社会教育団体というものに、そういう政治的な色といいますか、やはりどうししも影響を及ぼすことになる。だから、私はやはり望ましくないと、こう考える。これは自民党ばかりではありません。社会党でも同じことが言えますが、どっちの政党でも、そういう社会教育団体に対して影響を及ぼす。これは選挙関係がありますから、自然そういうことも出てくるでありましょうけれども、しかし、その働きかけは私は納得のいくといいますか、はたから見て無理のないやり方で、具体的に申し上げるならば、私はそういう社会教育団体は、それこそ社会党の方も自民党の方もおいでいただいて、そうして両方の政策なり立場なりを話していただく。そうして聞いた人たちがどっちを選ぶかという批判力を十分養って、工の人たちの自由にまかせればいいのだ。それを無理やりに今の段階で奪い合うというか、引っぱり合うという形になって、一体日本の社会教育、少くとも私ども婦人の立場からいえば、婦人の社会教育というものはそういう状態であっていいのか。これは当然文部省の所管の仕事として考えていただかなければならぬ。ところが、私の印象からすると、そういうことはあまり考えで下さらないで、一方の方へ先立ちになって引っぱっておいでになるのではないかという疑問を持つわけです。こういう婦人団体の政治活動についての今の二つの現象といいますか、そういうものをどうお考えになりますか、これは大臣並びに局長と両方からお伺いしたい。
  100. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいまお述べになりましたような傾向を、地方では多少、所によっては違いますけれども、事例を私ども耳にいたしております。これは先ほど申し上げましたように、婦人団体その他、社会教育関係四体と申しますのは、もちろん御承知のように、教育的な教育団体でございますので、従って、あくまで政治的な中立を保っていくというのが本来のあり方だろうと思います。従って、その団体自身の活動が政党的あるいは政治的な活動に走るということは、これは教育団体としての限界を越えるものであって、望ましくないと考えております。従って、そういった団体に対しまして、私ども地方から意見を求められれば、そういった政党的あるいは政治的な活動に走らないように、教育団体として本来の姿を守ってもらいたい、こういうような助言をいたしておるわけであります。ところで、地方におきましては、先ほどお述べになりましたように、この二大政党の時代ですから、政党の党員が婦人団体あるいはその他の社会教育関係団体の構成員になっているということは、これは当然の勢いでございます。従って、そういう地方的なトラブルは、場合によりましては起っているかもしれませんけれども、それはまた、いろいろの地方的な問題もそれに関連しておりまして、一概に政治的問題のみとこれは判断することもできないような事情でございます。そういったような事情でございます。そういった場合におきましては、十分私どもとしては、基本的には、今申し上げたような政治的な活動に婦人団体その他が陥らないようにということは、今後も指導方針としてやって参りたいと考えております。
  101. 松永東

    国務大臣松永東君) 市川委員の仰せになりました点は、これは要するに、社会教育団体が、団体をあげていろいろな政党に帰属せしめるという弊害があるという御主張、まことにそれは望ましくないことであります。しかしながら、これはもう私が申すまでもなく、それぞれの地方におきましては、やはり社会教育団体の役員をなさるような人はやはり相当の素養があり、学識があり、しこうして声望のある人であります。従ってそういう人を各政党で見込みをつけて、この人に一つ自分の政党に入ってもらおうというような努力をすることもまた当然でございます。そうしてまた、そういう人は、政治的感覚と申しますか、政策に対する理解も持っておる人と認めなければならぬ、従って、そういう人が政党に所属するあるいは政党に所属しておる人が地方教育団体の役員になられる、これはちっとも差しつかえないことは申すまでもない。しかし、そういうふうに社会教育団体の役員に偉い人が、特に政党に所属している人がなったからといっても、その社会教育団体はあくまでもこれは中正でなければならない、中立でなければならない。従って、そうした団体が政党色を持つということは、絶対にこれは避けてもらわなければならぬ、こういうふうに私どもは考えておるのであります。私どもの承知しておりまする範囲内においては、右のように、相当役員あたりも政党にも入っておられますけれども、その団体活動は厳正中立を守っておられるというふうに私は承知いたしております。また、そうなくてはならぬというふうに存じております。
  102. 市川房枝

    市川房枝君 ちょっと私の申し上げたことについて、私の本旨とちょっと違うようなふうにお取りいただいたんじゃないかという気がいたしますが、私は、婦人が政党に入るということはけっこうだと思います。それから政党的な活動をすることもけっこうだと思います。ただそういう政治活動は、政党の立場においてなさるべきだ、政党の名前においてなさるべきであって、社会教育団体というところにおいては、たとえ政党に入っておる人でも、私はその色を出したり、そこで影響力を及ぼそうとしてもらっては困る、こういう意味であります。社会教育局長にはっきりと私は今の関連で、県なりあるいは市町村の地域社会教育団体としての婦人団体の長に政党——これはどっちでもいいです、政党の支部長、婦人部長というような方が会長になることを望ましいと思う、差しつかえないとお思いになりますかどうですか、それを一つ。  それから婦人議員が、これも所属はどっちでもかまいませんが、婦人議員が社会教育団体の会長をするということ、これはまあ今の問題とは多少違いますけれども、やはりその社会教育団体自身がやはり政治的な活動をすることになりやすいといいますか、あるいはそれに利用されやすいといいますか、あるいはその会長をなかなかかわらなくなるという、いろいろな婦人団体運営の問題が関連しておりますが、とにかく婦人議員がそういう地域団体の会長をすることは差しつかえないといいますか、あるいは望ましくないとお思いになりますか、それを一つ伺いたい。  それからもう一つは、社会教育関係団体、婦人団体ですが、選挙で推薦とか応援とかいういわゆる政治活動といいますか、選挙活動をすることは、社会教育局長としてはどうお考えになりますか、それは教育局長からでよろしゅうございますが。
  103. 福田繁

    政府委員福田繁君) 第一点でございますが、政党の支部長あるいは地方議員等が地域の婦人団体等の会長、あるいは役員になることが好ましいかどうかという問題でございますが、これは必ずしも一がいには言えないのじゃないかと考えます。私ども知っております場合でも、政党の幹部をやつておられますりっぱな婦人が、この地域の婦人団体の幹部として、婦人団体の活動をやつている場合がかなりあるのを知っております。従って、これは支部長だからあるいは地方議会の議員だからいけないというようなことを一がいに申されませんので、それはやはりそういう方々が婦人団体の会長なりあるいは役員となった場合におきましても、先ほど先生がお述べになりましたように、政党としての活動と婦人団体としての活動は別個のものでありますから、従って、あくまでそういった方方がなりましても、婦人団体としての本来の教育団体としての活動を阻害されないという限りにおいては、これは望ましくないというようには申されないと思います。  それからまた、選挙活動の問題でありますが、これは二十七年の通達でもそういった点に触れておりまして、教育団体としては、そういった政党が行うような選挙活動については、これは厳に戒めるべきだと、こういうように明らかにいたしておりますので、私どもの考えとしては、そういった婦人団体が、政党と同じような選挙活動をやるということは望ましくないと、かように考えております。
  104. 市川房枝

    市川房枝君 政党の婦人部長というような方が婦人会の会長をするということについて、それは別個なんだ、だからかまわないというような今御意見を伺ったのですが、これは文部省の前の方針は、私が承知している限りではあまり望ましくない、こういうふうな意見を持っておいでになった、やはり政治的に中立だという立場から。ところが、今伺いますと、それはだいぶお変りになったみたいですが、理屈からいえばお話しの通りなんです。けれども現段階では、やはりある政党責任のある地位にある方がなることによって、政治的な影響力を及ぼそうということを目的としている。そこで会長の取り合いなんというものが出てくるわけであります。私は、今の教育局長の御答弁ではだんだん政治の方へ引きずり込まれるという心配があるのです。  それから推薦、応援等の選挙運動をやることはこれは望ましくないという御意見、これは二十七年の通牒以前から文部省社会教育局はそういう意見をおとりになっている。地方社会教育課なんかも反対をなさっておる、この問題は社会教育団体だからやってはいけないのではなくて、やる場合には正式に政治資金規制法による届け出をすれば一向かまわない、性格を変えればかまわないわけであります。しかし、私はそういうことはあまり賛成しないので、選挙活動をする場合には、別にいわゆる推薦団体のようなものを作つてやったらいいのではないか、社会教育関係の婦人団体としてやるのは望ましくないという意見を、ずっと今も、そういう意見を持っておるわけでありますが、この婦人団体と政治の問題、婦人が一票持っているものですし、それから票数が男の方よりも多いので非常にむずかしい問題になってきているのですが、これは私は政党の立場からいえば、どちらの政党もそういう婦人たちの票数を自分の党の方にほしいということでいろいろなさることは、これは当然でありますし、御無理ないと思うのです。しかし、私はやっぱり社会教育団体というものにおいては、その中立性を守ってほしい。それはやはり文部省といいますか、社会教育局が当然やる責任で、そこがよろめいたのでは一体どうなるのかという心配を持っている。今お話を伺っても、この点は安心できないのでありまして、これはもっといろいろ具体的な実例を方方で集めまして、適当な機会に伺うことにしたいと思います。  ところで次には、文部省の、今まで婦人に対しましては婦人教育研究協議会というようなものを、全国を幾つかのブロックに分け、それから全国的に東京で年一回催しておられるわけです。これには社会教育の県の担当者、あるいは婦人団体の幹部をお集めになってやっておいでになるようです。私はできるだけそういう会合にも傍聴に出かけております。昨年秋、高尾山で関東ブロックの研究協議会が開かれましたときにもちょっと私のぞきに参った。それからついこの間、二月の末に東京でございました全国協議会にも傍聴にあがったのであります。ちょうど文部省の婦人教育研究協議会の前二日間は、先ほどから申し上げておりました全国の地域婦人団体連絡協議会が二日間ございまして、この二つは出席者がかなりダブっている。両方へ出ている人が相当ございました。私は両方拝見をしたわけでありますが、この二つとも内容も同じよう、人もある程度似ているのです。それで同じことを繰り返してやっているわけなんです。結論といいますか、討議の内容を見ますると、前の二日間と、文部省主催のあとの二日間ではだいぶ違う。どういう点が違うかといいますと、文部省主催の方の方が低調だといいますか、つまり意見をみんなが率直にあまり言わないのであります。前の方が活発だった。これは出席した人たちがみんな認めているところで、無理もないと思う。地方社会教育課におきまして婦人教育を担当しております人たちは、やっぱり文部省主催のところでは言いたいことだって言えない。遠慮をするということになりがちでありますし、現に私なんか知っている人たちで両方で発言しているところを見ると、あとの方であまり発言していない。これは地域の方からいえば旅費が倹約になるから結局くっつけてやったのでしょうけれども、外部から見ますと、ずいぶん時間のむだといいますか、どうして こういうふうなことを行うのか、何とか多少内容でも変ればいいのですけれども、結局同じようなことをやっている。一体文部省社会教育局はそういうことをどうお考えになっておるかということを一つ伺いたい。それから文部省がそういう会をやっておいでになりますのに、三十三年度には社会教育局でまた別の婦人大会といいますか、婦人教育大会でありますか何か婦人の集まりをなさる。これは予算が今いただいたのには入っておりませんけれども、社会教育特別助成金の中には七十万円ぐらい入っているらしいのですが、全国から五百人くらい婦人を集めて大会をする。どんな大会をなさるのですか。何か文部省主催の会で、局長からですか、ごあいさつのあったときに何か少しおもしろい会にする。歌を歌ったり踊ったり、何かそういうふうに聞いているのですが、一体そういう会が必要でありましょうか、どうでしょうか。婦人を対象としての全国の官庁主催の会は、これは私総括質問のときにちょっと総理に申し上げたのでありますが、婦人少年局が全国の婦人会議をやっております。これはNHKと共催でやっておりまして、NHKがだいぶ金を負担をしておるようであります。いま一つは、農林省がその生活改善の婦人の発表会、これはつい二、三日前にございました。それにも全国から二百人近い人々が来ておりました。そうすると、文部省がまた別にそういう会をお作りになる。来る人は多少は違うかもしれませんけれども、同じような人も入っております。一体戦争前で婦人がまだそこまで目ざめていないときならばいざしらず、今の段階では、私は政府が主催をするということはもういいかげんにやめたらいいので、婦人の自主的な各団体がそれぞれ東京でずいぶん大きないろいろな会をやっております。それだのに政府側がわざわざ税金でもってそういう会を開く。まあその開き方にも問題がありますけれどもどうも私は納得できない。文部省はどんな計画をお持ちになっているか。それに対する御意見を伺いたい。
  105. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいまの御質問の中での最初の方でございますが、文部省でやっております婦人教育研究協議会の問題と地域婦人大会の問題でございますが、これは実は市川委員ごらんになっておられますので、内容については申し上げませんが、私どもとしては、文部省でやります婦人協議会の方を内容的にできるだけ充実したものにしたいという考えを持って毎年やっておりますが、これについていろいろ御批判があれば、一つ今後もお聞かせいただきたいと思います。ただ、地域婦人団体との会合のダブリでございます。これはむしろ今おっしゃいましたように、地方から参ります婦人が二へん参りますよりも、同時に前後してもらった方が便利だということで、私ども必ずしもそういう地域婦人団体と一緒にやることを好みません。しかしながら、地方からおいでになる方々の便宜を考えまして、前後して大体お進めになるというようなことをいたしております。この点は教育局といたしまして、なお内容につきましては、今後大いに研究いたしまして、そういった研究協議会におきましては、各地域の婦人が十分に意見を出し合って、問題を研究協議した結果が、地方に反映されるようにいたしたいというように考えておりますので、この点については、またいろいろ御意見を聞かしていただきたいと思います。  それからあとの第二点でございますが、婦人研究大会のことだと存じます。これは従来から一応計画いたしておったのでありますが、文部省で婦人学級その他婦人のいろいろな講座学級等をやっておりまして、そういった婦人の代表者ということでなくて、実際そういう婦人学級あるいは婦人講座等におきましていろいろ研究をやっておりますので、そういった研究の成果を何らかの形において発表するような機会を得たいというのが、いろいろ各地方々々の要望でございます。従って、そういった要望にこたえる。やり方はもう少し今後研究する要はありますけれども、三十三年度においてそういったものをやってみたい、こういう計画をいたしておるわけであります。先ほど各省でいろいろある大会と重複するようなお話でございましたが、これは各省それぞれ、やはり立場々々でそういうものをお考えになっているようでございまして、私どもといたしましては、婦人教育という立場から婦人学級その他婦人の学級講座等において、いろいろ日常研究しております事柄を発表する機会を持ちたい、こういう趣旨考えておるわけであります。また、具体的な内容につきましては、今後十分研究して実施したいと考えております。
  106. 市川房枝

    市川房枝君 今局長がおっしゃいますような集まりであったら、今まで毎年やっていらっしゃいます研究協議会ですか、それにやはり学級の人たちも入っているのであります。だから今度五百人というワクで人をふやして新しくなさるというのは、どうもちょっと納得がいかないのですけれども、そうして何といいますか、この間の会を伺っても結局一種の報告会であり、自分の方ではこういうことをやった、ああいうことをやったという報告会である。報告会だけなら印刷物でもけっこうなんですから、何か共通な各自の題目を持って研究協議するというなら意義がありますが、そういうことはほとんどなかった、といっていいわけであります。だから、今のあの会をもちろん充実なさることで目的を達するのじゃないか。むしろそういう大会をするよりも、文部省のあなた方がしょっちゅうおっしゃる婦人学級、私は小さい小集会を地方々々でやることはそれはけっこうだと思います。何も踊ったり、歌ったりするなら、わざわざ東京まで来てそんなことをする必要はない。これは催し方についてはもっと大いに考えていただいて、予算も相当計上されてしまっている以上、私が反対をしてもこれはおやりになることでしょうけれども、また私が先に申し上げた重複について、各省違うからかまわないとおっしゃるけれども、婦人の側からいえば、婦人の行政が方々に分れていて、そうしててんでんに連絡なしにやっておいでになる、それぞれのなわ張りでなさる、勝手に予算を取ってなさるけれども、一般大衆の婦人が困る。私は戦争前において、陸軍、厚生、文部等のお役所が別々に国防婦人会、大日本連合婦人会、あるいは愛国婦人会等を支持した時代のようなことがまた起っては困ると心配をしておるのですから。うその点を特に申し上げるわけです。大臣一つそういう婦人関係の行政の連絡統一といいますか、そういうものを一つ考えていただいて、何とか同じ金でも生きるように、また一般大衆の婦人に直接役に立ちますようなふうに一つ使っていただきたい。それを一つお願いを申し上げておきます。  次には、社会教育主事の問題でありますが、終戦後の社会教育は、戦争前に比較しまして割合に充実した相当よい社会教育主事の方がおられました。婦人教育係としてもよい婦人の社会教育主事がおられまして、相当婦人の民主化のためにやっていただきました。私はその点を非常に高く評価しておるものであります。ところが、教育委員が任命制になりました前後から、社会教育のあり方もゆらいできたと申しますか、どうも少し感心できないようになってきている。これは文部省社会教育あるいは地方社会教育が本来の政治的な申立が少しゆがめられてきた、これを先ほどから申しているわけなんです。実はこの間の参議院の選挙のときのことであります。場所はちょっと申し上げませんけれども、ある保守的な県で、社会党の方が当選されましたが、県の自民党では一体どうして社会党が当選したかといろいろお調べになりましたら、どうも女が社会党に投票したからだというようなことになったそうです。それじゃ一体だれが女をそんなふうに教育したのだ、結局それは社会教育課がやった、いや社会教育主事がやったんだ、婦人係がやったんだ、こういうことになって、社会教育主事の首が危なくなったというので、私の知っておりますところへかけ込んで来たということがありました。こんな工合に選挙関連しまして、純然たる中立というのはこれはいけないのだどっちか、そっちの方になびかないと、勤まらないというようなことになってきた。それで今まで通り社会教育の中立、公正にやってきた社会教育主事の人たちが、ずいぶん首になった、教員に転出を命ぜられた。滋賀県のごときは、昨年の四月に社会教育主事が一人を残して全部がかえられてしまった。その残った一人の人も、昨年中に何かやめて全部新しくなったそうでありますが、そういう県がほかにもちょいちょいあって、全体にそういう優秀な社会教育主事の人がだんだんその場を去っていく、これは社会教育にとって非常に重大な問題だということを、社会教育関係の方面の人がしばしばそれを書いておられます。述べておられます。一体どの程度かわっているのかということを一つ知りたいのであります。それからもう一つは、かわっていくということになりますと、そこで問題になってくるのは、社会教育主事には今相当むずかしい資格が社会教育法できめられております。すると、そういう資格を果して持っているのかどうかということが心配になる、小学校の先生から社会教育主事に入っておいでになる方々に対しては、規定の講習をなさることになっているようでありますが、ここ三、四年間、その講習が行われていないらしい。そうしますと、まあ私の心配するのは、いわゆる社会教育主事としての資格のない方たちが社会教育を担当しておいでになるのではないかしらと少し心配なわけです。この社会教育主事の転任の問題、就任の問題といいますか、それと、今の資格の問題をちょっとお伺いしたい、これは福田さんから。
  107. 福田繁

    政府委員福田繁君) 地方社会教育主事の異動の問題だと存じますが、ごく最近のことはまだ資料ございませんけれども、昨年調べました資料によりまして、過去二ヵ年ぐらいの間に、大体地方社会教育主事で異動いたしましたのが百三十六人になっております。これは御承知のように、社会教育主事と申しますのは、地方教員から転任されて参ります主事が非常に多いのでございますので、また、社会教育主事をしばらくやっておりまして教員に返るという場合が相当あります。従って、百三十六人の中でいろいろその異動の原因を調べてみますと、その大部分は教員へ返っているのでありまして、その中で百六人は教員へ返っております。それからまた、庁内の他のポストにかわったという者は二十六人、全く退職してしまったというのは百三十六人の中で四人でございます。そういった状況でございますので、特に社会教育主事について異動が激しいということにもならないかと思います。  それから第二点でございますが、この社会教育主事の資格につきましては、御承知と思いますが、社会教育法の中にも第九条の四に、大学に二年以上在学して、六十二単位母上修得して、しかも社会教育主事の講習を修了したものというような、あるいはまた、大学に二年以上在学して、六十二単位以上を修得し、一年以上社会教育主事補の職にあったもの、こういうようないろいろな資格要件が定められておりますが、この要件は、これはまあ理想的なものでありましょうが、しかしながら、現実はなかなかこの要件をその通りに実行するというのにつきましては、いろいろ事情があってできない場合がありますので、社会教育法の中では、付則の第六項におきまして、暫定的な資格をきめております。で暫定的な資格によりますと、とにかく教育事業、社会事業児童福祉事業等、社会教育関係のある事業に十年以上従事しておるということと、それから年令三十五年以上、こういうような方で、人格、識見ともにりっぱな者はこれは社会教育主事になれる、講習を受けなくてもなれる、こういう規定になっておりまして、地方社会教育主事さんの実態を調べて参りますと、大体暫定資格の者が半分以上になっております。従いまして、この暫定資格の者も相当おりますし、それからまた、社会教育主事の講習も今後要員の確保という意味から実施しなければなりませんが、先ほどの御質問の中に、社会教育主事の講習をやめておる、こういうような御質問のようでありましたが、文部省といたしましては、地方で引き続いて実施いたしております。昭和二十六年、七年、八年、それ以来ずっと三十二年度まで引き続いて、その年その年の講習人員は違いますけれども、毎年実施しております。
  108. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 質問はなるべく簡単にしてたくさんやって下さい、まだ高良さんも御希望のようですから。
  109. 市川房枝

    市川房枝君 ただいま局長が心配はないとおっしゃいますが、私は社会教育の主事の資格といいますか、資質といいますか、質を実は心配しておるわけです。    〔主査退席、副主査着席〕  今ちょっと伺いましたけれども、もう少し正確にはっきりと私の心配を取り除けるような数字を—一もっと先でよろしゅうございますけれども、拝見したいと思います。あともう一つ、二つ大急ぎで伺います。昨年の春でありましたか、中華人民共和国の方から日青協に対して招待が参りました、何でも五十人ぐらいだったと思います。ところが、政府の方で旅券を出していただけないというようなことで、私のところあたりにも何とか運動してくれというようなことを頼みにおいでになったことがございます。あのときは、何でも二十名だけ許可が出て他の人たちはほかの国へそれぞれ行ったということも聞いております。ところで、その後、去年の夏、アメリカのMRAから招待がきまして、百二十名、各県から二人ずつでありますか、青年団の人たちが行かれております。費用は全部MRAの方で出したということであります。MRAというのはどういう団体かよく知らないのでありますけれども、この間、二月に、社会党婦人部の全国大会があって、その席上で、何でも社会党の山川菊榮さんは、MRAというのは創価学会の西洋版だと、こう言っていられたという、何か議論が出たそうであります。ところで、そのMRA大会に出席した青年たちは、帰ってきてから、日青協の中での状態を聞いてみますると、行ってきた人たちが一つのグループとなって、そして考え方はすっかり精神主義といいますか、いわゆる保守的な考え方になって、そしていわゆる革新派と対立しているという状態だということを聞いたのであります。そういう話を聞きますと、MRAでアメリカへ大量に青少年が行ったということは、何かその裏に計画でもあったのかというような気がするわけであります。私はまだ批判力の十分でない青年が、そういうふうに向うの金で大量に招待されていくということ、これは私はアメリカにしろ、あるいは中国にしろ、あるいはソビエトにしろ、あまり賛成できないのであります。これは青少年社会教育を担当しておいでになります文部省として、一体どういうふうにお考えになりますか。MRAからはまた、ことしもおそらく大量に招待がくると思われますが、そういうのに対してどういうふうにお考えになりますか。これは大臣から一つ
  110. 松永東

    国務大臣松永東君) 市川さんのただいまのお話の問題については、文部省一つ関係いたしておりません。従って、私はただいま伺うのが初耳でございます。よく承知いたしておりません。
  111. 市川房枝

    市川房枝君 どうですか。そういうふうに、私が今申し上げたように、大量にまだ批判力の十分にできてない人たちが向うの金で招待されて、非常な影響力を受けてくるということについて、そういうことは望ましいかどうかということは、大臣どうお考えになりますか。
  112. 松永東

    国務大臣松永東君) これは一朝一夕には申し述べることができないと思うのですが、しかし、先方の招待で、そうしていろいろのところを見せてもったり、また、新しい教育を目で見たり耳で聞いたりするということも、これは必ずしも不必要なことじゃないというふうにも考えておりますが、しかし、その反面において、また、弊害のあるということも考えなければならない。一がいにはこれは言えぬと思います。よく一つ研究してみたいと思います。
  113. 市川房枝

    市川房枝君 それから、御承知通り、ちょうど売春防止法がこの四月一日から完全実施されるわけでありますが、売春の問題は、これはなかなかむずかしい問題でございまして、私ども法律制定のために努力した者としましても、一つや二つの法律で直ちにこの問題が解決するとは思っていないのであります。根本的には社会保障制度の確立と、それから性道徳の向上に待たなければならぬと思っております。性道徳の向上ということになりますと、これは文部省の所管になると思います。文部省は、内閣にできておりまする売春対策審議会にも関係の官庁として、事務次官が委員になっておいでになりますね。それから社会教育局長は幹事におなりになっておるはずだと思うのですが、一体文部省として、非常に大事だと私ども思っております性道徳の向上といいますか、あるいは性教育といいますか、純潔教育といいますか、そういうことについてどう考えておいでになりますか。実は売春防止法の完全実施関連して、関係の各省、それこそ法務あるいは厚生、労働、警察、その他関係の官庁が、全部幾らかずつでも予算を要求して取っている。ところが、関係官庁の中でただ一つ文部省だけは、何にも売春防止法に関連して予算をお取りになっていないのです。一体これはどういうわけか。まあ実は売春対策審議会の委員藤原さんもおいでになりますが、私ときどき傍聴に参るのですが、そう申しては失礼ですけれども、文部省は一番不熱心だ、まあこういう定評が関係官庁やいろんな人々の間であるようですけれども、一体どういうふうにお考えになっておりますか。これは私どもは文部省に大いにその点でやっていただかなきゃならないと思いますが、これは大臣と、それから局長からとお願いいたします。
  114. 福田繁

    政府委員福田繁君) 文部省は不熱心だというお話でございますが、文部省で受け持ちます分野は非常にまたむずかしい問題が多いのでありまして、私どもの仕事といたしましては、要するに、純潔教育という立場からこの問題を取り上げて、過去においてもいろいろ研究をいたしました。学校または社会教育の面におきまして、純潔教育の資料あるいは計画書等を作って地方指導をして参ったこともあります。ただ、今お話のような予算になりますと、必ずしもその純潔教育とかあるいは売春対策といったような経費文部省で取ることはこれは無理だと思いますけれども、しかしながら、私どもがやりますいろいろな社会教育の面におきまして、たとえばあるいは映画を通じてやるとか、あるいは紙芝居等におきまして、小さい者にそういった純潔教育を植えつけていく、そういった経費は一般経費の中に盛っておるのでありまして、従って、そういった経費をできるだけそういう重要なものに、そのつどそのつど振り向けていく、こういうようなやり方をやっておるのであります。また、いろんな各種の学級の中でも、そういった純潔教育等の問題は非常に重要でありますので、できるだけ、機会あるごとにそれを取り上げていく、こういうようなやり方をやっているわけであります。一般予算の中でできるだけそういうものをまかなっていくというのが、私どものやり方でございます。
  115. 松永東

    国務大臣松永東君) 市川委員の仰せになりました売春防止法の問題ですが、これは私が申し上げるまでもなく、釈迦に説法の話ですが、決してこれは禁止規定が一つや二つ作られたからといったって、これはその目的を達成するものではありません。何といたしましても、問題はあなたも仰せになりました通り、性道徳の向上、さらにまた私はそう考えます、風教上の道徳の問題です。従って、文部省が力こぶを入れておりますところは、今の社会教育団体あたりに働きかけて、やはりこれは社会教育をみっちり一つ婦人団体にもたたき込んでもらう、そうして風教の面から、道徳の面からこれを一つ是正していく、こういうことが大きな力を入れなければならぬ問題じゃないかと思っております。従って、文部省の当面の責任として負担いたしております問題は、要するに、社会教育としてこれを取り上げて大いに一つやるというふうに私は考えております。従って今まではそうした面で働く機会があまりなかったのですけれども、要するに、今禁止法が制定せられますのと両々相待って先ほど政府委員から申し上げた通り、純潔教育を盛んに打ち出していく、そうして教育の面からいって、一つ社会教育の面からいって是正したいというふうに考えております。
  116. 藤原道子

    藤原道子君 今局長が、いろいろ従来もやってきたということでございますが、具体的にどういうふうなことをやっておいでになったか。映画その他とおっしゃるが、どういう映画をどういうときにどういうように利用しておいでになったか、この点をもう少し詳しく、それから今後の対策をいろいろ立てておるということでございますがどういうふうにお立てになっておるか。これを具体的に伺いたい。
  117. 福田繁

    政府委員福田繁君) 映画の題名をちょっと忘れましたけれども、二十九年も三十年、三十一年と文部省で映画を企画いたしまして、純潔教育に役立つような映画も作っております。それからまた、実際に文部省で企画いたしませんでも、各会社等におきましてそういった趣旨のものを作っておりますので、そういった場合は、文部省でこれを選定をして地方に流していくというようなやり方をやっております。それから講習会あるいは婦人学級その他いろいろの学級や講座等におきまして、こういう純潔教育重要性というものを極力強調して参りますのに、これはそういった各婦人学級あるいは講座等を立案しますときに、そういうものを入れなければならぬわけでありますが、そういった点を特に加味して、これを取り上げていくというような場合におきましては、この補助の対象にするということも考えられます。今後そういった学級講座等におきましても、できるだけそういうものを取り上げていく、こういうようにいたしたいと考えております。
  118. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について。質疑が続けられておりますが、私もちょっと質疑しましたけれども、序の口でございまして、私は質疑権を次回に保留いたします。それで、ただいま質疑が続いておるわけですが、委員長においては、正六時を目途に本委員会運営していただいて、残った件については、次回に質疑を持ち越されるよう委員会運営されるよう、議事進行の動議を提出いたします。
  119. 剱木亨弘

    ○副主査剱木亨弘君) 私から申し上げます。今、主査がちょっとお立ちになっておりますけれども、先ほど主査松澤先生とも相談したのでございますが、きょうのところは一応六時ぐらいで打ち切りまして、なお質疑のある方が相当残ると思いますので、残りましたら、御相談の上、まだ分科会関係の時間がございますので、そのときにもう一回文部省の方にお願いしようと思いまして、一応きょうは六時までということで一つ御了承願いたいと思います。
  120. 藤原道子

    藤原道子君 そうすると、次回にといっても日程を組んでおるのですよ、いつやれますか。
  121. 剱木亨弘

    ○副主査剱木亨弘君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕    〔副主査退席主査着席
  122. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 速記を起して。  先ほど矢嶋委員から議事進行について発言がありまして、委員の間でいろいろ御懇談をいたしまして、その結果、文部省所管事項につきましては、なお質疑があるように考えますので、自余の質疑は次回に譲ることといたしまして、二十四日午前十時より労働省所管について、午後より文部省所管の残余について審議いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 御異議ないものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十七分散会