運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1958-03-24 第28回国会 参議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十四日(月曜日)    午前十一時二十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    主査      石坂 豊一君    委員            泉山 三六君            大川 光三君            後藤 義隆君            下條 康麿君            一松 定吉君            中田 吉雄君    担当委員外委員            大谷 贇雄君            矢嶋 三義君   政府委員    人事院事務総局    管理局長    慶徳 庄意君    内閣官房内閣審    議室長内閣総    理大臣官房審議    長       吉田 信邦君    総理府総務副長    官       藤原 節夫君    内閣参事官兼内    閣総理大臣   吉兼 三郎君    官房会計課長内    閣総理大臣官房    公務員制度調査    室長      増子 正宏君    総理府恩給局長 八巻淳之輔君    南方連絡事務局    長       石井 通則君    公正取引委員会    事務局長    坂根 哲夫君    国家消防本部長 鈴木 琢二君    宮内庁次長   瓜生 順良君    皇室経済主管  高尾 亮一君    行政管理庁行政    管理局長    岡部 史郎君    行政管理庁行政    監察局長    高柳  保君    北海道開発庁総    務監理官    中平 栄利君    北海道開発庁主    幹       長谷 好平君    自治庁長官官房    会計参事官   松島 五郎君   —————————————    最高裁判所長官    代理者    (事務総局総務    局長)     關根 小郷君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局経理    局長)     岸上 康夫君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局刑事    局長)     江里口清雄君   説明員    総理府統計局総    務課長     三浦 直男君    自治庁財政局財    政課長     柴田  護君    自治庁税務局府    県税課長    細郷 道一君    自治庁税務局市    町村税課長   鎌田 要人君    会計検査院事務    総局次長    小峰 保栄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十三年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 石坂豊一

    主査石坂豊一君) これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和三十三年度総予算のうち、前回に引き続き、まず裁判所所管の部を議題として審査を続行いたします。ただいま最高裁判所から關根総務局長岸上経理局長江里口刑事局長、その他関係者が出席されております。  なおこの際お諮りいたします。他の分科担当委員から質疑の御希望があります場合には、これを許可することにしております。これをあらかじめ御了解を得たいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石坂豊一

    主査石坂豊一君) 御異議ないと認めます。  それでは質疑の順序によりまして発言を願います。
  4. 大谷贇雄

    担当委員外委員大谷贇雄君) この裁判所裁判の問題についてお尋ねを申し上げます。  承わりますると、裁判所におかれましては、裁判官方々の人数が非常に少いというようなことから、裁判遅延をいたす事例が非常に多いことでありますがその点に関しては、たとえば芦田均先生のあの昭電事件のごとき、延々十年間もこれの判決がなされず、せっかく日本の前総理として、また非常なりっぱな政治家であられる芦田先生のようなお方が、その間非常な精神的な苦しみ、あたら才幹をお持ちになって、国家再建の重大時期にお尽しをいただけるようなこのお方が、その訴訟が延引をいたしたために御自身としては非常な苦痛をなめられて、いろいろと重大なる席においても発言を御遠慮をなさるというようなことで、個人としても非常なお苦しみである。また、社会、国家といたしましても、これは非常な国家的の私は損失であったと思う。従って、それらの訴訟事件に関しまして、もっとなぜ早くこの審理をいたされることができなかったのか。また、そういうような遅延をいたしておる事件というものが相当あると思う。その間の点につきまして、この際御説明をいただきたい、かように思います。
  5. 關根小郷

    最高裁判所長官代理者關根小郷君) ただいま大谷委員からのお問いの点、まことにごもっともで、遺憾の点がかなりあるかと思います。全般的に、最近におきまする裁判審理期間その他につきまして簡単に申し上げますと、現在裁判所に係属いたします、かかりまする事件の総件数は、年間三百万件をこえております。それで、このうち、刑事訴訟なりあるいは民事訴訟なりの総件数が約一割の三十万件、その他は、いわゆるいろいろな訴訟事件その他の事件でございまするが、この三百万件をこえておりまする事件を扱っております裁判官の数は、全体で二千三百人。先ほど申し上げました事件の数は、戦前に比べましてはるかに上回っておりますにかかわらず、裁判官の数はその割にふえておりません。従いまして、どうしても裁判官が忙しいという事態が出て参っておりまして、まことに、事件によりましては遺憾なぐらいに延びておる事件がないとは申せないわけでございます。  それでは、この刑事訴訟あるいは民事訴訟事件処理につきまして、どのぐらい期間を要するのかということを簡単に申し上げますと、全体の統計を見ますると、その割におそくなっておりません。それはなぜかと申しますと、ただいま申し上げました、三百万件をこえております事件のうちでも、複雑な事件というのは割合に少いのでございまして、簡単な事件につきましては、かなり早い。でありまするから、複雑な事件、簡単な事件を合せまして、民事につきましては、大体一年以内に片づくものが七五%、百件のうち七十五件、刑事につきましては、それよりも早く、六カ月以内に片づくものが八〇%、百件につきまして八十件という割合でございます。ただいまお話がございました、元首相芦田さんの事件等におきまして、事件発生以来十年、確かに仰せの通りだと思いますが、こういう複雑きわまる事件につきましては、ただいまも申し上げました、刑事につきましての八十件の残りの二十件、百件を全体といたしまして二十件は、六カ月をこえるということになりまするが、そのうちに入るのでございまして、非常に長くかかりました点については、遺憾な点がございます。ただ、この芦田事件に関する限りは、御承知通り、非常にむずかしい内容を持っておりまして、この事件弁護をされました弁護士の方も相当たくさんおられ、糾明糾明を重ねられた結果、あの無罪ということになったのでございまして、しかも、一審で無罪であるにかかわらず、検事控訴がございまして、さらに高等裁判所ですっかり調べ直すという手続でやったわけでございます。これはなぜかと申しますと、御承知のように、あの事件は、旧法事件——古い刑事訴訟法によりまする事件でございまして、いろいろな要素が加わりまして、あれだけの長い期間を要したのでありまするが、内容が非常にむずかしくて、ここに一松先生がおられますが、おそらく御承知だと思いまするけれども記録の厚さというものは非常なもので、いかにその事件が複雑であったかということを物語っておるわけでございまして、まあ今となりましては、一審二審であれだけの糾明をいたしたために、上告ということもなく終ったわけでございまして、ただ、今後ともああいった有名な事件につきまして、一そう審理を早めるためにあらゆる方途を講じたい。こういう考えでおります。
  6. 大谷贇雄

    担当委員外委員大谷贇雄君) 今承わりますると、事件数戦前に倍して非常な増加をする、しかも裁判官の方は事件数増加に比してそれほどふえておらぬということでありますが、従って裁判官方々の御担当件数というものはまあ非常に多いだろうと思うのです。これは一体どのくらいあるのですか。一人で……。
  7. 關根小郷

    最高裁判所長官代理者關根小郷君) 今大谷委員のお問いでございますが、この裁判官一人当りの負担件数は、訴訟事件だけに限りまして一年に二百件をこえております。そのほか、先ほど申し上げました訴訟以外の事件というものが、それを加えますと非常に莫大な数に上るわけでございます。
  8. 大谷贇雄

    担当委員外委員大谷贇雄君) そこで裁判官方々の御労苦というものは、私どもも非常な敬意を表し、また実際御同情を実は申し上げておる。しかしながら、芦田さんのような場合におきましてですよ、有名な事件ということだから、早く終れということでなしに、少くとも、国家の元首相であったというような人のこの事件というものは、黒になるか白になるか、そのことは裁判官の御判定でありまするけれども、やはりすみやかに処理をしていただくということが、国民裁判所に対する私は信頼感を増すものである。おそらく芦田さんの事件に十年もかかったということについては、なるほど承わるというと、書類がもう非常に膨大であったということで、しかもこの間、承わるというと、担当お方はたった一人であった。従って、非常な御苦心をされたことと思うのです。しかしながら、ああいう重大な事件を一人のお方が、しかも裁判所には人がなくて自分で書かれるというようなことをなぜ一体しておられるのか、なぜもう少し人手というものを充足なさらぬのか。その点を一つ承わりたい。
  9. 關根小郷

    最高裁判所長官代理者關根小郷君) 今大谷委員のお問いの中に、一人で芦田事件担当したというお話でございましたが、これはあるいはこの前の御説明が足りなかったと思いますが、一つの部でございまして、三人の裁判官担当しております。そのほかに補充裁判官として一名加わりまして四人でありまするから、法律の上で三人を要求しておるそのほかに、補充陪席裁判官一名を加えたのでございますので、あの事件に関する限りは裁判官の数は十分だったわけなんです。しかし、そのほかにいろいろな事件担当しておりまする関係から、いろいろ長くなるということがございました。ただああいった事件になりますると、四人の裁判官担当いたしましても、今お話がございました、白か黒かという非常に微妙な段階になりますると、あらゆる点を調べまして、むしろ被告人無罪なりという確信を持って判決をするまで進むわけでございますので、早く進めた結果、もし有罪になるようなことがあってはとんでもないことになる。微に入り細にわたって審理を尽さなければならない。そういったところから、ああいった長引いた結果になったわけでございます。  それからもう一つ、全般的に裁判官の数をふやしたらいいじゃないか、これはできれば毎年ふやしていくのが一番いい策かと思いまするけれども、何と申しましても裁判官待遇その他から申しまして、給源がなかなかむずかしい。現在毎年大体大学を卒業いたしまして、国家試験司法試験通りまして、さらに二年間研修所で修習いたしまして、裁判官の卵と申しますか、判事補という地位を獲得する方が大体七十名ぐらいでございます。これが一番の裁判官給源になっておりまするが、理想と申しますれば、やはり弁護士、検察官からも裁判官になっていただく、弁護士からなっていただくというのが一番理想的な形だと思いますが、何と申しましても、一たん弁護士をおやりになりますると、収入の点で裁判官待遇以上のものがあるというところから、なかなか裁判官になっていただくということができない。でありまするから、いずれは裁判官待遇を上げていただくというようなことに御協力をいただきまして、あわせて弁護士からも裁判官になっていただく道を開くということを、国会におきましてもお考えいただきたい、こういう考えでおります。
  10. 大谷贇雄

    担当委員外委員大谷贇雄君) まあ御事情はよくわかりまするが、私は先般も芦田先生の会合にも数回出まして、その御心境きわめて淡々たるもので、青天白日の身になられまして、淡淡として、人生の修業であったという御述懐でありまして、まことに敬意を表したのでありますが、そのことを承わるにつけても、こういう事件というものは、御苦心は多いであろうけれども、ぜひとも一つすみやかに御処理をいただくことをお願いをいたしたいと思うのです。  なおこれは私ども関係をした事件でありまするが、これまた今日まで三カ年間すでに経過をいたしておりまするけれども、いまだにこの準備審理がなされただけで、公判等が行われておらぬ事件があるのであります。それは御承知通り昭和二十八年の四月に執行をされました参議院議員通常選挙におきまして、国の選挙管理の手落ち、すなわち当時宇垣一成元大将が第一位で当選をなさいました。私は第五十位の、六年議員のどんじりで当選いたしました。そのあとに続いて八木秀次柏木庫治、楠見義男という人が三年議員として当選をいたしたのであります。しかるに栃木県の佐野市という町におきまして、選挙管理委員会が氏名の掲示板に、次点の平林君の党派日本社会党とあるべきものが日本共産党と書いてあった。四十カ所ばかりの投票所の入口にあった。これは一時間ばかりで発見をされて、すぐ訂正をしたわけであります。そこでこの平林君は、もしそういう誤記がなかったならば、当然自分当選できたものであるということで、全国選挙無効の訴訟を起したのであります。そこで全国区の宇垣一成さん初め五十三名の者が全部、万が一にも訴訟がその通りになるものとすれば、全部やらんならぬというような事態一大事件が起ったわけであります。そこで、従って私ども関係者の者は、万が一にも裁判所選挙無効であると、こういう判決になりまするならば、一たん議席を得ました者が失格をしてしまう、こういう国会議員としての重大なる実は影響を持ちまするので、全国有権者諸君に対しましても、はなはだ申しわけのないことに相なるということで、関係者はもとよりのこと、全国民がこの訴訟の結果というものを、関係しておりまする者はかたずをのんで実は見守っておったわけであります。その間において、万が一にも宇垣一成さん初め五十三名が全部やらんならぬということになると、大へんなことだというので、佐野有権者数を割って、あそこで再選挙をしても影響せぬというような者だけをやるという、万一そういう場合にはやるということを、これは国会においてこういうふうな規定を作られ、私どもはなはだ遺憾千万だと思っております。関根久藏さんも、私どもも、八木さんもみんな反対したのですけれども、無理押しにそういうことになってしまった。そこでその一年半というものは、当選したのやら当選せぬのやらわからぬという状態に置かれまして、その間の苦痛というものは、ほんとうにこれは経験なさらぬあなた方ではおわかりにならない。とにかく、まないたの上に乗せられたコイみたいなもので、いつぶった切られるかわからぬというような状態に置かれたわけです。しこうして弁護士牧野良先生も、自治庁沢田竹治郎さんも、そんなべらぼうなことは——裁判所はちゃんとして公正な判断をお下しになって、そういうことはありません。こういうことで一縷の望みを、牧野さんやら沢田さんの激励の辞にみんな一応そうかいなあと思って、そうあって願いたいということでおった。ところが一年半たって再選挙ということになってしまって、あの狭い所で、ことに私は何も縁故はない、たった八票しかないのです。そういう行ったこともなければ聞いたこともない所で、再選挙を行わなければならぬということで、ほんとうに精神的に何ともかんとも言えない苦しみをなめました。関根久藏さんにしても、八木秀次さんにしても、柏木さんにしても、また楠見さんにしてもその通り、というようなことで再選挙が始まったわけでありますが、この裁判所が下された判決をかれこれ言うわけではございません。しかしながら前代未聞の全国選挙というものに関して管理者が、選挙管理委員会がそういう間違いをして、常識で考えてそれほど影響力のなかったと思われる者が選挙無効で私ども失格をしてしまったわけです。国会議員議席を失ってしまったのです。そこでもう一ぺんやり直さなければならぬ、こういう事態が起りまして、それぞれの関係者は非常な実は苦しみをなめたのであります。ことに楠見君のごときは、無言抵抗をいたした、信頼ができない、こういう判決を下されるということについては信頼ができない。しかもこの佐野の市民というものは、選挙権を二へん行使するのである、投票権を二へん行使することになるということであって、しかも小さな地区のものが、全国民から選ばれた、寄託を受けて当選をしておる者が、一部分の所で、しかも役所が聞違えたために再選挙をしなければ失格をしてしまう、そうして再選挙をしなければならぬ。かくのごときことは断じて承服ができないということで、楠見君は無言抵抗を示しまして、御承知通り、彼は立候補をしなかったのであります。かくのごとき重大なる影響をもって全国を震憾させた事件であるのでございます。幸いにいたしまして、私は八票が開いて四千六百票もちょうだいして、関根さんよりも上へずっと上ってしまって、見ず知らずの所で、さすがにどうも関東の義侠心のある人々だと私は感謝をしたことでありまするが、とにもかくにも、もう一年半の精神的な苦痛というものは、ほんとうにもう耐えがたいものでございました。私は以後半年以上にわたってその過労のために実は病気をしてしまった。関根さんはああいうことさえ起らなければ選挙違反などということは起らずして、この間の恩赦があったから済まされたようなものだが、非常な苦心をされた。八木さんも当選をなさった。柏木君も当選をした。楠見君は先ほど申すようなことで、立たなかった。そこで平林君は当選をしました。そういうようなことでありまして、これは一体選挙管理委員会というものが、これまた実は人が足らぬということがあるが、しかしながら、きわめて疎漏であったために、大事な党派誤記をいたした、こういうことのために、選挙管理委員会はわれわれに対して一言のわび言も申さない、当然のことのように思っている。はなはだ遺憾千万だ。  そこで私どもはこの遺憾な事態に関しまして、われわれはもう精神的に肉体的に、あるいは物質的にも非常な苦しみをなめたにつきまして、私どもは金銭が欲しいのではない。私ども選挙管理事務に従う者がほんとうに細心な周密なる注意を払うということは、これはもう大事な問題であって、今年は総選挙も近い。また来年になりまするというと、県知事あるいは県会議員市会議員等選挙が行われて、次から次へ選挙が行われる。従って、選挙管理事務に従いまする者は、はなはだ御苦労でありまするけれども、細心なる注意をいたしていただかなければならぬのであって、再びかくのごときあやまちを犯してもらいたくない。こういう考えと、しこうして、また私ども五名の者が非常な苦しみをなめたということについては、これは国家の責任である。国家がそういうあやまちを犯した以上は、当然これは謝意を表すべきものであるということで、これは主として柏木君が主張をいたしまして、私どももまたその通りということで、五名の者は、ことに楠見君のごときは、ああいうことさえ起らなければ当然任期はまだ一年半あったのだ。それがああいうことのために失格をしてしまった、こういうことでありますから、これは当然慰謝料というようなものは要求すべきである、こういうことで楠見君は二百三十七万円、そのほかの者は百何万円というような慰謝料一つ国家が支払うべきものである。これはもうこの一年半の苦痛、並びに楠見君の問題に関しては、これは失格をしてしまって議席を、全国民から信頼を受けて当選した者が失格をしてしまった。こういうことに関しまして、二つの点から選挙管理の粛正ということ、さらに注意を要するということ、さらにまた、こういう国なり国の委任を受けたものがあやまちをして、そうして国民がそのために塗炭の苦しみをなめて、しかも知らぬ顔をしているというようなことは正しきことではない。筋道を明らかにすべきものであるということで、損害賠償の要求を、告訴をいたしたのでございます。これに関しまして、先ほど来申しまするように、すでに三年も経過をいたしている今日、その公けの審理が進められておらないということにつきましては、この際私どもは、私ども五名の者ばかりではない、これはこういうことがこのまま延引しているということに関しましては、私は、国民としても早くこれは処置すべきものであるということの要望が強いのでありまして、この際その点につきましての私は御所信を伺っておきたい、かように思うのであります。
  11. 關根小郷

    最高裁判所長官代理者關根小郷君) ただいまお話し訴訟の点でございますが、特に大谷委員原告となっておいでになり、損害賠償請求額といたしましても六百万円をこえておりまして、相当な事件でございます。これは、国を被告といたしました損害賠償請求事件で、民事事件でございまして、原告側にも相当な弁護士の方がおつきになり、国の方も相当な代理人の方がついておられる。それでありますので、普通ならば、今お話しのように長くかかることはございません。ところが、この事件内容にわたって私どもから申し上げるわけに参りませんが、経過を申し上げますると、訴えが出されましたのが三十一年の七月でございますが、その後、事件内容が相当な問題でございますので、民事手続にきめられておりまする準備手続に付したわけでございます。準備手続は、御承知のように、原告被告の間の争いの争点と申しますか、どこに一番大きな問題が含まれるのかということをお互いに整理するわけでございます。これは争点の整理と申しておりますが、これに相当の日時を要したわけでございます。これは、あるいは大谷委員承知かと思いますが、記録をごらんになればおわかりかと思いますが、いずれもこの準備手続におきましては、原告なり被告なりの弁護人の方が準備が足りないというので延ばしてくれという御要望がある。そういうことが重なりまして、大体七回ばかりは原告側準備のために、あるいは被告側準備のためということで延びております。これは裁判所は、それをそんなに待てないということで、準備手続を終える、終結すると申しますか、そういうことはできないわけではございませんが、原告の方で訴えを起しておきながら、しかも原告代理人の方が延ばしてくれというときには、それを延ばすのが大体の傾向でございまして、審理を尽すためにはやむを得ない場合が多いのでございまするので、昭和三十一年の七月に起きましたこの事件は、その後八回にわたりまして準備手続を重ねております。その間今お話しのように、ちっとも口頭弁論も開かれてないじゃないかというお話、これはごもっともだと思いますが、その間準備をいたしておったわけでございまして、決して事件が進んでいなかったわけではございません。そういたしまして、本年になりまして準備手続が終りまして、本年の二月十三日口頭弁論が開かれたわけでございます。この口頭弁論は、御承知のように公開法廷でいたしますが、ここで従来準備手続で定めました争点を公けの法廷双方弁護人が述べられる、今後は証拠調べに入る、こういう段階に入っているわけでございます。でありますので、この事件に関する限りは、双方代理人の方が準備を尽された結果延びたのではないか、こういうふうに考えられるのでございまして、一般的に申しまして、もう少し早く準備ができれば、もっと早く口頭弁論へたどりつくと申しますか、公開審理ができたわけでございます。
  12. 大谷贇雄

    担当委員外委員大谷贇雄君) そこでもし、まあ原告の方の準備が足らぬということで要求されたにしましても、私はやはり裁判所としては大いに督促をしていただいて、こういうような人民を苦しめるような、そうして筋道を通さぬというような事件はなるべくすみやかにこの審理一つお願いしたいと思います。そこでその間において私は、これはもう裁判所側に言うべきことじゃないが、沢田竹治郎という弁護士はもと自治庁側の弁護士であったから、従って今回の原告側弁護士になることは不適格だというような、だからやめろと言わぬばかりのことも言われたといわれる。これは沢田さんから直接聞きました。はなはだけしからぬ話だと私は思っております。しかも自治庁の方ではこういう大事件は、これがあれするというと、今後国から損害賠償をどんどん出さなければならぬから、これは取り下げをしてくれということを私に実は申したのです。はなはだけしからぬです。私はこれは他の委員会におきまして、あくまで糾明をしなければならぬと思うのです。われわれ五名の者を政府のやり方によって、間違いによって失格をせしめ、国会議員国民の代表として国民から選ばれたものである。それを失格せしめるというようなことは、これはもう実に重大な問題であるが、そういうことが起った。それに対して政府の委託を受けておる選挙管理委員会というものが何らのわび言一つ言わずに、しこうしてその担当関係者でありまする自治庁の者が、これは重大事件だからして一つ取り下げをしてくれというようなことを言うがごときに至っては、私はこれはあくまで糾明しなければならぬと思うのです。また沢田弁護士が今まで政府側の弁護士であったから、今度はこの事件弁護士になることは不適格である、かくのごとく言うがごときに至っては、私はかくのごとく誤れる権利を行使せんとするがごとき政府の態度に対しましては、これは私はあくまで糾明しなければならぬと思うのです。しかし、これは今日この裁判所の皆様方に申す筋合ではありませんので、他の機会においてこの点につきましては糾明したいと思うのであります。その間にそういうようなことで延引をした一つの間接的な理由にもなったのではないかと実は想像をいたすのであります。これはわれわれ自民党、緑風会、また社会党の超党派的な問題であり、国会議員全体の問題でざいまして、政府の誤まれる処置によりまして国会議員失格をして、再び見ず知らずの小さな所で再選挙をしなければならぬというようなことに関しましては、これはたとえば関根さんが埼玉県でもう一ぺんやり直しをやるというなら、これは大したことはないでしょう、私が愛知県でもう一ぺんやるというなら大したこともないでしょうが、何も見ず知らずの、聞いたこともなければ行ったこともない、そういう所で再選挙を行うということに関しましては、私どもの精神的苦痛というものは、ほんとうにはかるべからざる状態でございました。従ってこういう苦しみをなめざるを得なかったことに関しましては、これはまあ運命のめぐり合せと思います。思いますけれども、やはり国家がそういうあやまちを犯した以上は、これに対しましての処置をするということは当然のことでありまするがゆえに、私は極力一つ裁判所におかれまして、早い御処置をお願い申し上げたいと思う次第でございます。  なお一点。今日の日本経済新聞を見ますると、判検事が不足で、全国約五百七十に上りまする簡易裁判所、また五百の区の検察庁が作られたけれども、最近裁判官や検察官の人数不足で、裁判所に行ってみても本日休業の札がかけられているということで、あなたの方としましては、この簡易裁判所という、これはもう国民としては非常な近くにあって、非常に便宜をはかつてもらっている。またこれは皆さん方の方におきましても、昭和二十二年にそういう建前から裁判所法の施行の際にお置きになったわけでありまするが、判事さんや検事さんがきわめて足らぬ。こういうようなことから開店休業になっておる。しこうして、またあなた方でこれはやめちまおうかというような御意見もあるやに新聞は報じておりまするが、この間の事情について伺いたいと思います。
  13. 關根小郷

    最高裁判所長官代理者關根小郷君) ただいま大谷委員のお問いの簡易裁判所の五百七十全国にございますうち、ある程度の簡易裁判所につきまして、裁判官がおらない。これはたしかに事実でございます。ただこれらの簡易裁判所におきましては、一年に数件というようなところもございまして、そういうところに判事一人を置くということは、全体の負担量から申しまして、経済に反すると申しますか、やむを得ない措置として許されるのではないか。これは先ほど来申し上げておりますように、判事の充員が完全にできますれば、十分に行き届くわけでありまするが、それができない現状におきましては、ある程度やむを得ない。ただ今お話がございましたように、開店休業の看板が出ておるとお話がございましたが、これはそうではなくて、その近くの簡易裁判所で扱っているわけでございます。そういうところを開店休業ということで申されたのではないかと思いますが、できる限り私どもとしましても、判事の充員に努めまして、そういうことのないようにしたいと思いますが、一面簡易裁判所であまり事件がないところは、また廃止統合といった問題も起きるわけでございます。そういう問題はいずれ法律も改正になりますので、法務省と相談いたしまして、今検討中でございます。
  14. 大谷贇雄

    担当委員外委員大谷贇雄君) そこで今の問題にいたしましても、先ほど来のお話にいたしましても、この判事の方の負担件数が非常に多いということは、結局人員が不足であるということに帰すると思います。またこの簡易裁判所お話を聞いてふっと思ったのですが、先般も名古屋の柳橋のところにある簡易裁判所に行きました。これは明治五年の学制発布のときどきらいに建ったようなまことにもう陰惨というか、何というか、当今文明開化の世の中に珍しいような、文化財の指定を受けるような建物の中に、スチームもなければ、ストーブもなければ、判事さんも調停員の人も、火ばちをかかえてやっていなさる。まことにお気の毒にたえなかったのであります。調停員の人などのごときは全く名誉職でもって、非常な御尽力をいただいておるのにかかわらず、そういう待遇状態、これはもう何とか改築をしていただかなければいかぬということを痛切に私は感じたわけであります。これらについても、人の問題といい、施設の問題といい、先ほどのお話では、国会の協力を頼むという仰せでありまするが、これは、あなたの方といたしまして、承わりまするというと、法務委員会におきましては、ほんとうを言うと、これは担当大臣がおありのところは大臣がどんどん行って、大蔵省に予算を折衝して、大いに獲得するということでありまするけれども裁判所の方としましては、なかなか御苦心が多かろうと思うのですが、従って、法務委員会で大いに超党派的に御協力を申し上げておるということを承わって、非常に力強く感じたわけでありまするが、この点については、もっと積極的に一つ予算の獲得をしていただいて、裁判がふえるということは、訴訟がふえるということは、これはあまり感服したことじゃない。少い方がよろしい。しかしながら、起った以上はやはり大岡越前守じゃないが、名裁判をしていただく。そのためには、人間の力に限りがありまするから、やはり人をふやしていかなきゃならぬ、また環境をよくしていかなきゃならぬ、かように思うわけでありますが、それらについての一つ御所見を承わっておきたいと思います。
  15. 岸上康夫

    最高裁判所長官代理者岸上康夫君) ただいま予算、人員等につきまして、非常に御理解のある御発言をいただきまして、私どももかねがねその点、予算の点につきましては、法務委員会等にも実情をお話し申し上げて、非常な御援助をいただいておる状況でございます。ただいま簡易裁判所の庁舎のお話が出ましたが、ちょっと一言申し上げておきますと、簡易裁判所全国で五百七十制度上ございます。そのうち約半数は、所在地の本庁なり支部の建物に同居しておりますので、これもひどいものもございますが、従来から使っておるのを使っておるのでございますが、残りの半数の二百八十六カ所ほどは、終戦後一時に全国に設置がきまりましたのでありますが、庁舎は全然ない。いずれも地元のあいているような建物を、地元の協力をお借りして始めたという状況でございます。その後、最高裁判所が発足しましてからあと、毎年予算に簡易裁判所の新営費を認められてきたのでございますが、現在なお全国的に申しますと、約八十カ所ほどの独立の簡易裁判所は、庁舎の新営ができないということで、ただいまお話のような非常にひどいといいますか、ほとんど裁判所の体をなさないというような所にいずれもおるのでございます。最近は毎年数カ所ずつは新営の予算が入っておりまして、三十三年度も、一昨日説明申し上げましたように、数カ所入っておるわけでございますが、これでは、この調子ですと、十年以上かかるという状況でございますので、私どもといたしましても、この点につきまして、さらに今後一そう努力をいたしまして、国会方面においても御好意ある御配慮をお願いいたしたいというふうに考えておるのでございます。
  16. 大谷贇雄

    担当委員外委員大谷贇雄君) どうか一つその点に関しましても、せっかく御努力を願いまして、私どもも御協力を申し上げることにやぶさかではございません。とともに、御苦労の多い裁判官の増員並びに庁舎改善等に一つ極力お進め願いたい、かように思います。  なおまた、先ほどの損害賠償請求事件等に関しましては、これのみではない、全体の裁判というものの極力早く処置がされまして、国民苦痛をなおしていただくように一つお願いをいたしたい、かように思います。
  17. 大川光三

    ○大川光三君 ただいまの大谷委員の御発言に関連をいたしますので、二、三簡単にお尋ねをいたしたいと思います。  ただいま大谷委員から、訴訟遅延に関していろいろ実例をおあげになりまして、審理促進ということを強く主張されましたが、これは全く私ども同感でございまして、平素、われわれ法務委員は法務委員の立場から、訴訟促進ができるように側面から御協力は申し上げておるのであります。ことに裁判所の方でも、審理促進という面から、最高裁判所機構改革に関する法律案をお出しになったり、また、第一審強化方策についても、御苦心のあることは、よくわかるのでありますが、たまたま、ただいまの大谷委員の御発言に関連いたしまする選挙無効訴訟にからんだ問題でありますが、これはおそらく国家賠償法の規定に基いての損害賠償訴訟だと思うのであります。ところが、ただいまの大谷委員の御発言通り、われわれ常に訴訟に携わっております者は、この裁判民事事件であり、あるいは準備手続原告被告の立証等のために延びるということは、一応わかります。けれども、それでは私はいけないと思うのであります。従って、現在の実際問題としての係属されておる訴訟の促進はもとよりでありまするけれども、根本的に国家賠償法というものを改めてこなければならぬのではないか。御承知通り国家賠償法では、いわゆる公務員の故意、過失という点で、国家が賠償の責に任ずると、こうなっておりますが、これではいけない。だれが聞いても、選挙無効によって関係の候補者が非常な損害、迷惑をこうむったということは明らかです。ただ、しかし、国家賠償法で公務員に過失があったか、あるいは故意があったかというところで逃げておる。だから私は、こういう明らかな事件については、故意、過失じゃなしに、無過失責任に問えるのだということに改めてこなければならぬと常々から思っております。本日の新聞でございましたが、見ますると、この国家賠償法を改めるという案があったやに聞くのでありますが、果して当局でそういう立案の準備があるのかどうか、この機会に伺いたいと思います。
  18. 關根小郷

    最高裁判所長官代理者關根小郷君) ただいま大川委員のお問い国家賠償法の改正問題ですが、これは、私どもは政府側ではございませんので、あの記事、本日の朝日かと思いましたが、出ておりましたもとを存じません。しかし、裁判所側であれについてどういう意見を持っておるかというお問いがあるといたしますれば、まあ、これは個人的な意見になるかと思いますが、やはり国家賠償法につきましては、少くとも無過失賠償の方向に進むべきではないか。今、お話がございました大谷委員の、選挙に関しまする御苦痛等を慰謝するために、国家選挙管理委員会の過失とか故意とかいうことを問題にせずに、これは損害賠償をすべきだという議員は、これは一般国民といたしましても、納得できる考え方じゃないかと思うのであります。ただ、今は何と申しましても、過失を要求されておりますので、その点は非常にめんどうかと思いますが、将来の方向といたしましては、われわれ個人的な意見を申し上げますれば、そういった方向に向うべきではないかというふうに考えております。
  19. 大川光三

    ○大川光三君 その点はその程度でわかりますが、いま一つ裁判官が非常に不足をいたしておる、それがためにやむなく訴訟遅延するのだということに関して、本年度のいわゆる予算を通じて考えてみますると、昭和三十三年度においては判事を五十九人、判事補を五十七人合計百十六人の判事、判事補の増員計画で予算を請求されたにもかかわらず、結局は判事補二十名の増員に要する予算しか承認されなかったというこの問題でありますが、一体当初要求されておりまする判事五十人、判事補五十七人というこの要求の基礎は、どういうところから出ておったのでしょうか、伺いたいのです。
  20. 岸上康夫

    最高裁判所長官代理者岸上康夫君) これは一審強化を実現するための方策といたしまして、全国の八大都市におきまのて、一審事件の合議でやれる事件を現在よりも相当ふやしたい、で非常に大ざっぱかもしれませんが、その八大都市におきます一審事件につきまして、刑事事件は全体の二五%、それから民事事件につきましては、一五%については合議体、すなわち三人の裁判官審理ができるようにしたいということを方針にいたしまして、それから現在の裁判官一人当りの負担件数は幾らかということを、これは最近の実績に基きまして出しました。そうして三十三年度の民事及び刑事訴訟事件の予想件数というものを一方に想定いたしまして、それではじきますと、現在の人員ではどうしても不足であり、ちょうど裁判官負担件数からみてやり得るためには、今申しました判事五十九名、判事補五十七名という裁判官が必要だと、こういう計算でございます。
  21. 大川光三

    ○大川光三君 御説明で一応わかりますが、私ども考えでは、この要求されておった百十六人という判事、判事補は絶対必要な数であるというように固く信じておる。絶対確保しなければならぬ数である、それが一審強化にもなり、訴訟の促進にもなるのだ、こう私は信じておるのです。そこで、たまたま予算面でほとんど八〇%まで予算を削られておるということについて、裁判所側としては、特別に何かこの絶対必要数を確保するに必要な予算の獲得に特別の尽力をされたということはあるのですか。また裁判所はそれができぬとすれば、どういう方法をもっていけばいいのかということを、あわせて御説明をいただきたいと思います。
  22. 岸上康夫

    最高裁判所長官代理者岸上康夫君) ただいまの御質問でございますが、私どもといたしましては、もとより今申しました方法で計算いたしました人数がなければ、今申しました民事事件について一五%、刑事事件について二五%という審理はできない。で、現在はじゃあどうしておるかと申しますと、これも大ざっぱでございますが、刑事事件では大体一審の一〇%ぐらい、それから民事では二%ないし三%程度の事件しか合議体でやっていない。あとは単独体、すなわち一人の裁判官でやっておる、こういうことになるわけでございます。そこで訴訟の迅速とそれから適正のためには、少くとも今申しました二五%あるいは一五%については合議体が必要だ、こういうことを私どもは確信して要求をいたしたのでございますが、何分これは大蔵省側の考え方からと言いますか、申し分から言いますと、とにかく今までそれで一応やってきておる、なるほど訴訟はおくれておることは向うもわかっておるのでございますが、とにかくやってきておるということと、一方増員が、定員の増ということは、これは原則としてやらないという建前なんだという強い線があるということで、非常に困難だ、で、その裁判所の方の言い分はわからないでもないが、とにかく今まで何とかやってきているのだから、そういう一挙の増員ということはとうていだめだといふうなことで、結局私どもでもこれは最後まで強く事務的には主張をし、さらに私どもの方の総長等も国会方面の方々にもいろいろその点につきましてはお話しを申し上げて、御協力をお願いいたして参ったのでありますが、結局先日申しました二十名ということが最後で、これ以上どうにもならないということで、やむなくことしはそれで折れた。しかもこの二十名というのも一番最後の段階になってやっと認めたというような状況でございます。私どもの力が足りないということは十分私ども認めておるのでございますが、ことしはそういうふうな経過で不満足ながら承知したという状況でございますが、さらにこの点につきましては、今後、将来にも引き続きまして、この増員の予算を獲得するように努力を続けていきたいというふうに考えております。
  23. 大川光三

    ○大川光三君 まあ今御説明のように、大蔵省その他の関係が、裁判所はどうにか今日までまかなっておるから増員ということが認められないのだという、その考え方が私はいかぬと思う。率直に申しまして、先ほど大谷委員が例をあげて切々として訴えられておることは、こういう現状がいけないのだということなのです。それをどうにかまかなっておるからということで増員しないということになれば、今後芦田事件とか、その他の事件が続出してくることもやむを得ないという考え方に帰すると思いますので、一歩も前進せぬです、これは。そこでわれわれも今後機会あるごとに審理の促進ということに協力いたしますが、裁判所としてもそうお上品にかまえないで、相当心臓強く予算獲得に邁進されるように私は希望いたします。
  24. 矢嶋三義

    担当委員外委員(矢嶋三義君) 実は私皇室費並びに宮内庁費について質問したいと思いまして、第四分科会から参ったわけでありますけれども、ちょっとあとになりましたので、せっかくですから二、三点ごく簡単なことを伺わせていただきたい。  まずお伺いしますが、百二十九ページに、司法修習生手当というのが出ておりますが、私伺いたい点は、司法修習生の志望者ですね、言いかえますならば、質は向上しつつあるかどうか、そういう点伺いたいと思います。
  25. 岸上康夫

    最高裁判所長官代理者岸上康夫君) 司法修習生は、御承知のように司法科試験を及第といいますか、パスいたしました者につきましては、本人の志望によりまして、原則として司法修習生に採用するという建前でやっておるわけであります。健康上等の理由で欠格になる方は別でございますが、原則として採用する毎年大体人数は三百名前後でございます。それが二年間修習いたしまして、さらに二回試験と申しておりますが、それをパスした者の中から今度は裁判官、検察官あるいは弁護士にそれぞれ志望によりまして採否を決定する、裁判所につきましては、採否を決定するということになっております。で、私は実は直接の所管でございませんので、御質問の、質がよくなったかどうかという点については、はっきりした断定的なことは申し上げかねますが、聞いておりますところによりますと、新制大学になりましてから、結局大学における法律的な専門知識、あるいはその他の裁判官あるいは法曹に必要な教養知識というものは、旧制時代に比していささか落ちたというふうに伺っております。しかし、まあ具体的には存じておりませんので、どの程度か詳しいことはわかりかねますが、要するに、小学校から大学までを通じて、教育期間が旧制時代に比して一年ですか減っております関係等から、一言でいえば、学力がやや落ちたというふうに見られておるようでございます。
  26. 矢嶋三義

    担当委員外委員(矢嶋三義君) この裁判官の質並びに研修ということは、私は社会が複雑化し、進展していけばいくほど非常に重要なことだと思うのです。自然科学、社会科学の方面におきましても、大学院の充実ということが非常に緊急な問題として強く要望されているわけでありますが、司法修習生の方は、先ほどお話がありましたように、パスした人が二年間お入りになるわけで、りっぱな素質の人を確保するためには、この二年間の手当というものを相当考慮する必要があると思う。で、今度の国会に出された予算でも、科学技術の振興という立場からは、大学院の博士課程等に対しては一万円程度の願わくば無償給与、その研究費を補助すべきだという声もあったわけですけれども、五百円程度に予算は削減されているようです。それらを勘案するときに、私は裁判官というものはずいぶん地味な職業で、そういえば失礼かもしれませんが、今の若い者にとってはなかなかぴったりこないところがあるのじゃないかと思うのですね。それだけに司法畑へ優秀な人が希望を持って志望していくというような道を開くためには、この二年間の期間における手当等については相当の考慮を払う必要があると、かように私は考えているわけなんですが、それに皆さん方どういう御見解を持っているか、承わりたいと思います。
  27. 岸上康夫

    最高裁判所長官代理者岸上康夫君) 司法修習生の手当は、来年度の予算につきましては、本俸月額一万二千八百五十円ということで、そのほかに扶養手当、暫定手当、そういうもの、それからまた寒冷地手当、そのほかに期末手当、勤勉手当、なお寒冷地に勤務する期間中は寒冷地手当というふうなものも普通の一般の公務員と同じように受けておるわけであります。で、これでいいか、これで少いかどうかという点は、いろいろ見方によってもちろん御意見もあろうかと存じますが、ただいまのところ私どもの方といたしまして、これで一般に比べて著しく低いというふうにも考えてはおりません。まあまあこの程度でいいんじゃないかということで、大体この金額は公務員のベ—スアップがありますときには、それと同じ率でスライドと申しますか、同じ率でずっと増額されてきております関係もありまして、まあまあこの程度でやむを得ないのじゃないかという程度の見解でございます。
  28. 矢嶋三義

    担当委員外委員(矢嶋三義君) その点わかりました。  次、伺いますが、最高裁判所の項に報償費が五十一万二千円、要求されているわけです。高等裁判所、地方裁判所には報償費の要求がないわけですが、この最高裁判所の報償費の五十一万二千円というのはどういう使い方をなさっておられるのかという点と、先ほど申し上げましたように、高等裁判所、地方裁判所にそういうものを要求されないのはどういうわけなのか、御説明いただきたい。
  29. 岸上康夫

    最高裁判所長官代理者岸上康夫君) ただいま御指摘の報償費は、これは全国裁判所で仕事をしていただいております調停委員でございますね、この調停委員が毎年何名か選ばれまして、報償を受けるのでございます。その関係の経費というのがここに上っております報償費でございます。従って、この金で結局全裁判所関係していただいております調停委員の報償をまかなうという関係でございますので、特に高等、地方の方には入っていないというわけでございます。
  30. 矢嶋三義

    担当委員外委員(矢嶋三義君) 先般予算委員会の総括質問で報償費の説明を大蔵大臣に求めましたところが、大蔵大臣は高度の機密云々というような答弁をなさって、報償費の中でも幾らも種類があるのではないかということを反問したのでございますが、大蔵大臣にはそれに対して明確なる答弁をしなかったのでございますが、お宅の報償費というのは機密云々というのは全く関係ないわけですね。
  31. 岸上康夫

    最高裁判所長官代理者岸上康夫君) ええ、ただいまのお話の点は、今申し上げた通り、調停委員とか、なおそのほかにわずかでございますが、鑑定員とか作業員とか、要するにそういう裁判なり調停に御協力になった方に対する表彰の何といいますか、表彰する上の代金、経費程度のものでございますから、こういう性質のものでございますから、これは機密と言えるかどうか、それほどのものでもないのじゃないかというふうに考えております。
  32. 矢嶋三義

    担当委員外委員(矢嶋三義君) 次に伺いますが、最高裁判所、さらに高等裁判所、各地方裁判所に常勤職員給与、さらに非常勤職員手当というものがかなり組まれておるわけです。最高裁判所の常勤職員というのは、どういう仕事を主としてされておりますか。またその職員は、定員内職員に比べまして、質が落ちていますかどうですか、そういう点、率直に一つ説明いただきたいと思います。
  33. 岸上康夫

    最高裁判所長官代理者岸上康夫君) 大体申し上げますと、この常勤職員と言いますのは、交換手、それから庁使、庁婦、それから医務室がございますが、医務室の職員、あるいは看護婦さん、そういうふうな現業的な職種の人に対して常勤職員給与というものでまかなっております。
  34. 矢嶋三義

    担当委員外委員(矢嶋三義君) そういう方々、たとえば交換手さんというような人は、定員内の交換手さんと同じような仕事をなさって、その責任とかその他については差等がつかないような職務内容ではないのですか。どうなんですか。
  35. 岸上康夫

    最高裁判所長官代理者岸上康夫君) お説の通りでございます。交換手としてやることは同じでございます。
  36. 矢嶋三義

    担当委員外委員(矢嶋三義君) 従って、部下として使われている皆さん方としては、やはり定員内の職員として処遇してもらいたいものだと、それが正当ではないかというお感じを持っておられるのじゃないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  37. 岸上康夫

    最高裁判所長官代理者岸上康夫君) 私どもの方といたしましても、やる仕事は同じでございますので、できればそういうふうにしたいという希望は持っております。それはいろいろ一般公務員の給与体系と申しますか、それとのバランスというものがあって、なかなか希望通りにはいかない状況でございます。
  38. 矢嶋三義

    担当委員外委員(矢嶋三義君) 次に百二十七ページの「検察審査会に必要な経費」のところですが、検察官の公訴を提起しない処分の適否を審査したというのは、どの程度あって、その結果はどうなっておりますか。概数でよろしいですから、お教えいただきたいと思います。
  39. 江里口清雄

    最高裁判所長官代理者江里口清雄君) 検察審査会は、全国で二百四カ所ございまして、それぞれが、これは一般有権者から選ばれた十一人の審査員で成り立って、独立して職務を行う。その職務内容は、検察官の不起訴処分の当否を審査するということと、それから検察事務についての改善等について建議をするという二つの職務を持っておるわけでありますが、この検察審査会が発足いたしましたのは昭和二十四年からでございます。平均いたしまして、一年に九百件から千件の不起訴事件の当否を審査いたしております。
  40. 矢嶋三義

    担当委員外委員(矢嶋三義君) 私、伺いたい点は、検察官が公訴を提起しなかったのを、それは不当だといって取り扱われた結論を出されたようなものはどのくらいおありになりますか。
  41. 江里口清雄

    最高裁判所長官代理者江里口清雄君) 正確な数字を今手元に持っておりませんが、決定をいたしました中の約一五%は、起訴相当である、従って、検察官の不起訴処分が不当である、こういう議決をいたしております。
  42. 矢嶋三義

    担当委員外委員(矢嶋三義君) その一五%の結審はどういう状況になっているかということは、おわかりになっていませんか。
  43. 江里口清雄

    最高裁判所長官代理者江里口清雄君) 結審と申しますと……。
  44. 矢嶋三義

    担当委員外委員(矢嶋三義君) 検察官の方で公訴を起さなかった、それが不当だといって検察審査会の方で結論を出しますね。そうしてさらに、それが公訴を起された場合、それが裁判の終結の場合に、どういう結果が出ているか、統計はありませんか。あったら一つお教え願いたい。
  45. 江里口清雄

    最高裁判所長官代理者江里口清雄君) 正確な統計をもし必要でございましたら提出いたしますが、大体のところは、百件決定いたしまして、そのうちの一五件が不起訴が不当である、起訴相当である、こういう議決をいたしまして、この議決をいたしますと、検察審査会からその不起訴処分をいたしました検事所属の検事正にその議決を通告いたし、さらに検察官適格審査委員会に通知をいたすわけでございます。その結果、検事正の方では、再捜査いたしまして、起訴不起訴を決定いたすわけでございます。検察審査会の議決には拘束されないで、検察官がさらに独自の見解で第二の起訴不起訴を決定するわけでございますが、不起訴不相当、すなわち起訴相当であるという議決を経た事件のうち、大体一五%から二〇%を起訴しておる、あとは第一回の決定通り不起訴を維持しておるというような状態でございます。
  46. 矢嶋三義

    担当委員外委員(矢嶋三義君) あまりごめんどうでございませんでしたならば、この予算委員会の審議が終るまでに、その統計表を一つ提出願いたいと思います。
  47. 江里口清雄

    最高裁判所長官代理者江里口清雄君) 承知いたしました。
  48. 矢嶋三義

    担当委員外委員(矢嶋三義君) 私は、最近の検察官の動向というものは、政治的偏向を帯びている面がかなりあるやに感じておりますので、その点、資料として出していただいて検討いたしたいと思います。  最後に伺いたい点は、とっぴなお伺いですが、百二十九ページの裁判官等法服費というのが三百八十八万何がし要求されているわけですが、裁判官の法服というのは、昔のままのようですが、もう少しスマートなものには変えられないものでしょうか。部内の人は、いつもお使いになって何とも感じないかもしれないが、部外のわれわれがときたま何しますと、何か近代的な感じがしなくて、しかも費用の関係かしらぬが、あまり洗濯をしてない、どうかすると非常に不潔になったのを着ていらっしゃる裁判官をちょいちょい見るわけですが、そういう点については、法廷というのは神聖な所だけに、私は笑い話ではないという感じがするのですが、皆さん方どういうお感じを持っていらっしゃるのか、お伺いいたしたいと思います。
  49. 岸上康夫

    最高裁判所長官代理者岸上康夫君) ただいまの法服の点でございますが、実は私どもの部内におきましても、あの法服必ずしもよくないという意見は前からございまして、何とか改善するように考えるべきだという意向がございます。まあ私どもといたしましても、あれをもって満足しておるわけではございませんので、検討しようということにはいたしておるのでございます。まだ具体的にどういうのが一番いいのかという案にまでは到達しておりませんが、御意見もございますので、さらに検討を続けたいと考えております。
  50. 大谷贇雄

    担当委員外委員大谷贇雄君) もう一点だけ簡単に。さっきお話も出た、また私からも出しました調停員の問題、あなたの方からも出ましたが、これは私の友人たちが相当実は調停員をしているのですが、実に御苦労千万です。一日おきに行って、そして半日以上寒いところで、薄暗いところでやっているときもある。そのときに、実によくもよくもまあそれこそ奉仕の精神に燃えてやっていて下さる。さっき五十一万幾らというのはそれはやはり調停員に対するお礼ですかな。一体調停員に対する、まあ一回行かれると幾らずつ出して、その総費用や、また全国の調停員さんの数というものはどのくらいであるか。私はこれはほんとうに御苦労さまだから、何とか優遇の措置を講ずべきものである、かように思いますがその点お知らせ願いたい。
  51. 岸上康夫

    最高裁判所長官代理者岸上康夫君) 先ほどの報償費と申しますのは、調停員等に対します手当とは別でございまして、これは多年勤続をしていただいた方等に対する表彰でございますね、その表彰のまあ表彰状の紙代という程度のものでございます。調停員等に対する手当は別に予算が組んでございまして、これは総額で申しますと、大体約三億程度の予算が組まれております。それで一件にいたしますと、大体四百四十円以内できめるということになっておりまして、実際に具体的な事件をおやり願ったつど、それを計算してお支払いしておるというのが実情でございます。
  52. 大谷贇雄

    担当委員外委員大谷贇雄君) 人数は……。
  53. 岸上康夫

    最高裁判所長官代理者岸上康夫君) 大体人数は全国で三万人ぐらいでございます。
  54. 大谷贇雄

    担当委員外委員大谷贇雄君) 一日二百円じゃないですか、一日の日当は。私のその友人の話では弁当代ぐらい、一日行って二百円ということを聞いておりますが、今のお話ですと、日当は幾らになりますか、その点……。
  55. 岸上康夫

    最高裁判所長官代理者岸上康夫君) 去年あたりから値上げになりまして、四百四十円になっております。
  56. 石坂豊一

    主査石坂豊一君) ほかに御発言もないようですから、裁判所所管はこの程度にとめまして、午後は二時より再開することにして、暫時休憩します。    午後零時五十四分休憩    —————・—————    午後二時二十六分開会
  57. 石坂豊一

    主査石坂豊一君) ただいまより分科会を再開いたします。  会計検査院所管の部を議題といたします。  まず、歳出予算内容につき御説明をお願いします。
  58. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) 会計検査院の歳出予算につきまして御説明申し上げます。会計検査院所管の昭和三十三年度一般会計歳出予算要求額は五億三千三百八十万九千円でありまして、これは会計検査院が憲法第九十条の規定によりまして、国の収入支出の決算を確認するため、常時会計検査を行い、会計経理を監督し、かつ、是正をはかる等のため必要な経費であります。  要求額のおもなものについて申し上げますと、第一に人件費でありますが、四億二千八百七万四千円を計上いたしておりますが、これは職員の数が全部で千百七十八人おりますが、この分の給与・手当等でありまして、予算総額に対しまして八〇%に当っております。  第二が検査旅費として六千五百十二万円を計上いたしましたが、これは計算証明規則に基き、各省各庁から提出されます書類の検査と併行して職員を現地に派遣して、実地について検査をするために必要な経費であります。  第三が物件費として三千八百八十二万三千円を計上いたしましたが、これは事務上必要な備品、消耗品、印刷費及び各所修繕等に必要な経費でありま  次に、ただいま申し上げました三十三年度歳出予算要求額五億三千三百八十万九千円、これを前年度予算額五億六百三十万四千円に比較いたしますと、二千七百五十万五千円が増加しておりますが、その内容について申し上げますと人件費では二千四百六十四万一千円が増加しております。物件費では七十万円が増加しておりますが、これは前年度限りの経費として積算された八百五十八万円と、三十三年度限りの経費として要求いたしてあります九百二十八万円の差し引き額でございます。その他に二百十六万四千円増加しておりますが、これは主として実地検査旅費でございます。  以上はなはだ簡単ではありますが、会計検査院所管昭和三十三年度歳出予算要求額の大要の説明を終ります。  なお詳細につきましては御質問によりお答え申し上げますが、何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  59. 下條康麿

    ○下條康麿君 今御説明になりました人件費の二千四百六十四万一千円の増加内容は、どういうことになっておりますか。
  60. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) これは昨年等級別定数の改訂がございまして、べースが上ったわけでございます。それの分が大部分でございます。こまかい数字は、もし御必要でしたらお出しいたしますが、大体は等級別定数の改訂による増、人員増がございませんのでそういうことになっております。
  61. 下條康麿

    ○下條康麿君 会計検査のことは非常に重大なことでございまして、私の想像では会計検査院の現在の人員では十分な検査ができにくいんじゃないかということを思っておりますが、にかかわらず増員計画が見受けられないのは、これで足りるということなんでしょうか。私の認めるところでは一番足らないと思っておるんです、実際人員が。その点について伺いたいんです。
  62. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) それから給与の増、等級別定数の改訂が大きいのでございますが、そのほかに御承知のように通勤手当というものが五百万円ほどこれは入っておりますので、それでよけいにふえたわけでございます。  それから人員でございますが、前々国会、特に参議院でそういう御意見を伺うのであります。数年前から、下條先生が決算委員会におられるときからそういうあれが強うございまして、昭和三十年の一局増設という予算が実は通ったのであります。人員は必ずしも多くございませんが、それまで検査の局が四つでございましたんですが、五つになりまして現在に至っておるわけであります。これで相当な増強になりましたし、私どもとしては今委員から仰せの通り、これでは決して十分な検査がやっていけるとは思えないのでございますが、これはいろいろな関係がございまして、財政関係のことも考えなければいけませんし、また急にふやしましても会計検査のような仕事はなかなか急に間に合わないのでございます。そういうような関係で、現在のところでは、ふやしていただきました一局による検査能力の増と申しますか、これの質的な向上をはかるということに実は相当な努力を払っております。一局増のときもいろいろお願いをしまして、人員はわずか六十人でございましたが、高級者だけをふやしていただくように実はお願いしたのであります。そしてあまり下級者はふえておりません。それで頭でっかちになったきらいはございますけれども、上の方が検査のためには必要なのでございますが、こういう人が大体六十人ふえて現在に至っておるわけであります。増員計画は持っておりますが、また毎年大蔵省に要求もしておりますが、これはなかなか通りませんで、今の一局増設というのだけが通った次第でございます。
  63. 下條康麿

    ○下條康麿君 会計検査のことは、なかなか専門的な事務でありまして、ほかの部局から急にかわってきたり、あるいは新しく採用してもなかなかできにくいんじゃないかと思いますが、それで判事検事に、試補、補助的なものがありますが、ああいうものの下に見習いみたいなものを置いておきまして逐次上の方へ進めていく、むろんそういう場合には増員しなければならないと思います。そういうような判事補とか検事補というようなものの試補的な、養成的なものを手伝いがてら増員するような計画はどんなものがあるか、前から考えておったんですがどうです。
  64. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) 仰せの通りでありまして、実はしろうとが入って参りましても、また学校を出たばかりの者が参りましても、これはちょっと使いものにならないのであります。それで試補的な考え方、これも必要なんでありますが、何分にも御承知のように会計検査院の職員は一般の行政官という扱いになっております。裁判官のような特別な扱いができないのであります。一般の行政官、こういう扱いでございますので、明らかに試補としての表向きの待遇ということは、これは取り扱うということはできないわけであります。一般の行政官として採用いたしましても、すぐにそれを一人前に使う、こういうやり方でございます。それで院内でそれでは実は困るのでありまして、研修なども相当にこれはやっております。それから一昨年でございましたか、調査官制度というのを設けまして、院内で会計検査院事務官として採用になりました者を相当年限、いろいろな研修なり、あるいは実地訓練なりいたしまして、相当程度、これはまあ一本立ちで働けるというものの地位になりますと、調査官というものを命じまして書面検査、実地検査ともにこの調査官を主体にしてやっていくように一昨年からやっております。この調査官は、先ほど申し上げましたように、千百七十八人のうち四百数十名というものが現在調査官、その上に課長がおります、局長がおります。そういうもので先ほど申し上げました試補という制度が表向きとれません制度の欠陥というものを補っておるようなわけであります。
  65. 下條康麿

    ○下條康麿君 定期の検査のほかに随時必要な場合に検査があると思いますが、それはどんな場合に今やっておりますか。何か必要があったときにやるのですか。どんなときにやるのですか。
  66. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) 書面検査と実地検査に大体分けられるわけでございます。書面検査は、これはもう流れのように絶えずやっておるわけでございます。実地検査は、これもいろいろな関係で、大きな部局は毎年全国的に検査しておるのでありますが、これが大体今思うようにまかせておりません。大体おもなところで三分の一見当、言い直しますと三年に一ぺん、こういうふうに平均がなっておるわけであります。それ以外の小さいところはもっとずっと実施検査の密度も低いのでありますが、何か問題でもあるというようなこと、たとえば投書なんかずいぶんございます。そういうような場合には抜き打ちでぱっといくというようなこともやっておりますが、実地検査の密度というものは、必ずしも現在のところ非常に濃いという段階には至っていないのであります。
  67. 下條康麿

    ○下條康麿君 三年に一回の定期検査では、当局でもお考えのように——それは責任者もかわったりいたしまして、問題の究明に困難なこともあると思いますが、やはり相当、将来の問題としてでけっこうですけれども、増員されて、少くとも一年に一回は検査を実行するというような方針のもとに御研究をせられてもらいたいと思います。  それからなおそれに従前事前検査というのがありましたが、今やっておりますか。
  68. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) 先ほど私三年に一回と申しましたが、これは平均の数で申し上げたのでありまして、東京とか大阪あたりの中央官庁、あるいは中央官庁に準ずるようなところ、これは毎年欠かさずやっております。あとそれより少し落ちる地方官庁、これが三年に一ぺんくらいの頻度になるわけでございます。なるべくこれは密度はふやしていきたい、こういうことをわれわれとしちゃ念願しておる次第でございます。  それから事前検査のお話しでございますが、これは最近事前検査と申しますが、私どもは早期検査と申しております。昭和二十八年の全国的な大災害がございました。そのあとで、御承知のように会計検査は原則としては事後検査でございます。災害復旧工事などでも、工事ができましてから——補助金がいきましてからあとで検査するというのを原則としてやっておったわけでございますが、どうもああいう大災害のときにそういう方法は、従来の検査経験から参りまして不十分だ、こういうことで災害の査定がつきますとすぐに行って査定の内容がいいか悪いか——その査定というものは御承知のように、いわば法律上の債務を国が負担することになります。三年なら三年の間にある一定の災害復旧工事をやって、それに対して八割なり、あるいは多いものは九割以上のものもございますが、国が補助金を出す、あるいは負担金を出す、こういう約束をするわけであります。これは法律できまっておるのであります。この法律上の債務を負担した段階におきまして——まだ金はいっておりませんが、そういう債務を負担した段階において会計検査院が早目に見て回って、そして査定の水増しと、相当にこれは多かったのでありますが、こういうものがあれば、こういうものは減らしてもらうと、こういうような処置を——非常に極端な便乗工事があればこれはやめてもらう、こういうようなことを二十八年災害を契機としてやったのであります。これは現在でもまだ引き続いてやっております。しかしながらこれは災害復旧の関係だけについてやっておるのでありまして、その後災害もございませんので、現在では、二十八年、九年、三十年ごろに比べますと、この面の検査はうんと減っております。また検査場所を見つけますものも非常につるべ落しに減ってきております。それ以外では事前検査と称するようなものはあまりやっておらぬわけでありまして、今のも私どもは事前検査とは考えておりませんで、債務を負担した段階におきまして早目に支出前の検査をする、こういうふうに考えておるわけであります。
  69. 下條康麿

    ○下條康麿君 今の災害に関する問題のほかに、巨額に契約するような場合、たとえば防衛庁の問題など、ずいぶんあると思うのです。ああいうときはあらかじめその契約内容について会計検査院と打ち合せということはないですか。
  70. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) あらかじめ打ち合せということはございません。これは翌年度で歳出経費を出すような場合には、御承知のように国庫債務負担行為というものを前年度にいたします。これについては会計検査院は当然にその内容の検査はしているわけでありますが、あらかじめ、たとえばこういう軍艦を作るとか、あるいはこういう兵器を買うとか、そういうような事前の相談はございません。
  71. 下條康麿

    ○下條康麿君 内容はよく知りませんけれども、この間新聞に会計検査院の職員が何か適当でない行為があったように出ておりましたが、ああいうことは今まであまり聞いたことがないのですけれども、もう珍しい例と思っておりますのですが、今までにああいうことはあったのでしょか。あれは今度特例じゃないかと思うのですが、今まであまりああいうやつは聞いたことがないのですが。
  72. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) 先般会計検査院の参事官が新聞に書かれるような事態を起しまして、これはまことに申しわけない始末であり、私どもとしても非常に残念なことだと思っている次第であります。まだ司直の手にかかっておりまして、事実は私どもはああいうことはないと思っておりますが、これは裁判の結果を待たなければわからないわけでございます。ただ、あの中で、検査上見つけた不当事項を種にして相手に不当なものを買わしたと、あるいは契約をさした、こういうようなことが出ておりましたが、これはもう全然ございません。検査上見つけたものを種に云々というようなことは、私どもの方としては聞き捨てならぬことでございまして、これは院内手を尽して調べましたが、そういうことは全然ございません。ないように今では私どもの方としては信じております。  それから、従来あの種の事件というのは、これはもう検査院と申しますところは御承知のように非常に固い役所ということで通っているわけでございます。今まではもちろんああいうもので問題にされたということは全然ございません。
  73. 下條康麿

    ○下條康麿君 会計検査院は国の会計に関する最高の検査機関として、非常に国民の期待が大きいのですから、どうぞ一つ検査の方も厳重に願いますと同時に、今新聞に書かれたようなことは、これはあるいは間違いかもしれぬけれども、出ないように特に御留意願いたいと思います。これで終ります。
  74. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 ちょっとお伺いしますが、これはもう検査の方法とかあるいはあなた方の指摘の方法ですね。それについてお伺いしますが、被害のきわめて少いものとか、それから不当とか不正とか、そういうようなふうな質の少いものですね。そういうようなふうなものに対しては何か手心を加えておるのですか。手心を加えないのですか。
  75. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) 私ども検査の結果は御承知のようにまとめまして、検査報告の形にいたしまして国会に御報告しているわけであります。検査報告に掲げますものは、これは昔からでありますが、あまり小さいものはあげない。それから小さいものでもたとえば農林省の補助金のように、非常に零細化——分散されると、分散される、こまかくなることが悪いというようなものについては、記事としては内容に書いてございますが、これは一つ一つの批難事項としてはあげておりません。今申し上げる零細化されること自体が悪いということは、これは検査報告には載せておりますが、今の、個々のものを批難するということはしていないわけであります。それから今仰せの、不正行為のようなものも、一定金額以下のものは検査院ではわかっておりますが、検査報告には載せないのでありますが、弁償させなきゃいけないものは幾ら小さいものでも、これは個人の責任は追及していって、跡始末だけはつけさせる、こういう態度を従来からとっているわけでございます。
  76. 石坂豊一

    主査石坂豊一君) それでは別に御質疑もないようですから、会計検査院の所管は質疑をこれで終えたことにいたします。   —————————————
  77. 石坂豊一

    主査石坂豊一君) それでは内閣及び総理府所管を一括して議題といたします。  なお、総理府につきましては、調達庁、防衛庁、経済企画庁及び科学技術庁が除外されております。念のために申し上げておきます。  それではまず、歳出予算内容につき説明をお求めいたします。
  78. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) それでは御説明申し上げます。  昭和三十三年度における内閣及び総理府の歳出予算案についてその概要を御説明いたします。  まず、内閣所管の昭和三十三年度歳出予算要求額は、八億五千二百九十一万一千円でありまして、これを前年度歳出予算額六億七千百二万円と比較いたしますと、一億八千百八十九万一千円増加いたしております。  内閣所管の歳出予算要求額に計上いたしましたものは、内閣官房、法制局、人事院、憲法調査会及び国防会議等の事務の執行に必要な経費であります。  次に、総理府所管の昭和三十三年度歳出予算要求額は五千百三十八億九千七百十四万七千円でありまして、これを前年度予算額と今国会で成立した前年度予算補正追加額との合計額四千四百八十九億九千三百六十六万四千円と比較いたしますと、六百四十九億三百四十八万三千円増加いたしております。  総理府所管歳出予算要求額は総理本府のほかに公正取引委員会国家公安委員会、首都圏整備委員会、土地調整委員会の四つの委員会及び宮内庁、調達庁、行政管理庁、北海道開発庁自治庁、防衛庁、経済企画庁、及び科学技術庁の八庁の外局に関するものでありましてそのおもなる経費を事項別に申し述べますと、文官等に対する恩給支給に必要な経費百八十億四千五百七万二千円、旧軍人遺族等に対する恩給支給に必要な経費八百五十三億七千四百五十六万三千円、警察行政に必要な経費百二十七億八千三百五十七万六千円、北海道の開発事業に必要な経費二百四十九億三百十五万五千円、地方交付税交付金財源の繰り入れに必要な経費二十二百四十億九百七十万三十円、防衛庁に必要な経費一千二百億六千万円、科学技術行政に必要な経費九十五億三千七百五十九万七千円等であります。  その概要を申し述べますと、文官等に対する恩給支給に必要な経費は恩給法等に基いて、退職した文官等に対して年金及び恩給を支給するために必要な経費でありまして、現行べースの改訂と傷病恩給年額の増額軍人在職年の通算等による増加額を加えてありまして、前年度に比べ六億一千八十一万四千円の増加となっております。  旧軍人遺族等に対する恩給支給に必要な経費は恩給法等に基いて、旧軍人及び遺族等に対して恩給を支給するために必要な経費でありまして現行ベースの改訂と軍人公務扶助料の倍率の引き上げ、その他傷病恩給年額の増額等を含めまして、前年度に比べ六十七億八千六百七十六万二千円の増加となっております。  警察行政に必要な経費は警察庁及びその附属機関並びに地方支分部局の経費及び都道府県警察費補助に必要な経費となっております。  北海道の開発事業に必要な経費は、北海道における住宅施設、治山治水、土地改良及び開拓、漁港及び港湾等の事業に必要な経費でありまして、事業の執行に当っては関係各省の所管に移しかえて使用されるものであり、前年度に比べ三十億三千四百七十三万三千円の増加となっております。  地方交付税交付金財源の繰り入れに必要な経費は地方交付税法及び交付税及び譲与税配付金特別会計法の規定により昭和三十三年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の二十七・五に相当する金額の合算額に昭和三十一年度の地方交付税の未交付額に相当する金額を加算した額を各地方公共団体に交付すべき地方交付税交付金の財源として交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるため必要な経費であり、前年度予算額と、今国会で成立した前年度予算補正追加額との合計額に比べ二百九十四億三千七百一万七千円の増加となっております。  なお、総理府所管につきましてはほかに総理本府におきまして外国人恩給三十二万一千三百八十四円、電子計算機借り入れ三千二百三十七万九千円、北海道開発庁におきまして篠津地域泥炭地開発事業で輸入機械及び器具の購入六億七千三百八万五千円、ただし借り入れの場合には二億二百六十八万八千円、防衛庁におきまして二百八十億四千四百七十一万六千円、科学技術庁におきまして五十一億四十万円、合計三百三十八億五千九十万一千三百八十四円の国庫債務負担行為要求書を提出いたしております。  以上申し述べました予算要求額のうちには、調達庁、防衛庁、経済企画庁、及び科学技術庁に関する予算要求額一千三百四十八億七千四百九十一万七千円、防衛庁及び科学技術庁に関する国庫債務負担行為要求三百三十一億四千五百十一万六千円が含まれておりますが、これにつきましては、他の分科会において御審議願っております。  次に総理府及び大蔵省所管交付税及び譲与税配付金特別会計において歳入二千五百六十四億二千二百四十一万八千円、歳出二千五百六十二億一千九百五十六万一千円になっておりまして、歳入のおもなるものは、一般会計より受け入れる収入と入場税、地方道路税法及び特別とん税法の規定に基き徴収する租税収入と交付税及び譲与税配付金特別会計法の規定により一前年度決算上の剰余金を本年度において受け入れる収入その他であります。  歳出のおもなるものは第一に地方交付税法の規定により地方公共団体の基準財政需要額及び基準財政収入額を測定し基準財政収入額が基準財政需要額に不足する地方公共団体に対しその不足額に応じて必要な財源をまた災害復旧費その他捕捉しがたい特別な財政需要等に対し必要な財源を各地方公共団体に交付するため必要な経費と第二に入場譲与税法の規定により地方財源の偏在を調整するため本会計の歳入となる入場税収入額に相当する金額を原則として人口に按分して各道府県に譲与するため必要な経費と、第三に地方道路譲与税法の規定により本会計の歳入となる地方道路税収入額に相当する金額を、都道府県等の道路整備費の財源として当該都道府県等に譲与するため必要な経費と、第四に本会計の歳入となる特別とん税収入額に相当する金額を特別とん譲与税法第三条及び付則第三項の規定により徴収地港の所在する都及び市町村に譲与するため必要な経費その他であります。他に総理府所管臨時受託調達特別会計において歳入歳出とも三十二億八千六百五十六万八千円と同額を予定しておりますが、これにつきましては、他の分科会において御審議願っております。以上をもちまして、昭和三十三年度一般会計内閣及び総理府の歳出予算要求額及び昭和三十三年度交付税及び譲与税配付金特別会計の歳入歳出予算要求額の御説明を終ります。  詳細につきましては、御質問に応じまして関係政府委員からお答えいたすことにいたします。よろしく御審議あらんことをお願いいたします。
  79. 石坂豊一

    主査石坂豊一君) それではこれより質疑に入ります。御質疑のあるお方は、順次、御発言を願います。
  80. 下條康麿

    ○下條康麿君 こまかいことですけれども、電子計算機借り入れ三千二百三十七万九千円といいますと、これは多分統計局でお使いになると思いますが、これはどういう品物なんですか。私の問いは、買ったらどうかという趣意で聞いているのです。借り入れるよりも買った方がいいのじゃないかと、大分高いものじゃあるように思いますけれども、借りる場合の契約がどういうことになっておるか、そこを伺いたいのです。
  81. 三浦直男

    説明員(三浦直男君) 大体電子計算機、これを購入いたしますと六億程度の相当高価なものであります。これを借用することにいたしましたのは、相当高額でありますのと、それから、電子計算機は現在非常に日新月歩でございまして、あとからどんどんいいものが出てくるというようなことで、それから、わが国におきまして私ども統計局で予定いたしておりますものは、まだ日本に全然一台も入っておらぬ新しいものでございますので、買った場合に補修費がどのくらいかかるかというようなことが見当がつきませんので、一応これを借用いたしまして、その経過を見た方がいいのではなかろうかというようなことを考えまして、借用することにいたしたのでございます。
  82. 下條康麿

    ○下條康麿君 借用期間とかその他の条件はどうなっているのですか。
  83. 三浦直男

    説明員(三浦直男君) 大体国勢調査の集計を電子計算機を用いて行うことにいたしまして、大体三年間でございます。その機械は昭和三十五年の十二月ごろ借りるのでございます。それで借用期間といたしましては一カ月ほどでございます。
  84. 下條康麿

    ○下條康麿君 ちょっとよくわからないのですけれども、そうすると、三千二百三十七万九千円というのは、これは三十三年度の分で、三十四年度は違うのですが、どうなのですか。ずっと何年間か借りる、その借料の総額を聞きたいのです。
  85. 三浦直男

    説明員(三浦直男君) ここに計上いたしておりますのは大体一カ月分の……。
  86. 下條康麿

    ○下條康麿君 一カ月が三千二百三十七万ですか。
  87. 三浦直男

    説明員(三浦直男君) はあ。それで大体三年間借用するという計画でございます。
  88. 下條康麿

    ○下條康麿君 そうすると、三年間ではだいぶな金額になると思いますが、どうなのですか、総額は。三千二百三十七万円というのは、これは三十三年度の一カ月分ですね。そうすると三十四年、三十五年。三十五年の国勢調査に使うのですから、それまでの費用が……。それは返すのですか、またそのときに借りるのですが、ずっと借りておくのですか、どうなのですか。総額が幾らになるか、借り賃が幾らになるかということを聞きたいのです。
  89. 三浦直男

    説明員(三浦直男君) 三年間で三億八千一百万円ほどでございます。
  90. 下條康麿

    ○下條康麿君 わかりました。  同じような問題がその次のページにもあるのですが、北海道開発庁で使います開発事業用の機械、これは借りた場合には約半額になるのですが、これは借りた方が得なのでしょうか。
  91. 石坂豊一

    主査石坂豊一君) 藤原副長官にちょっと申し上げます。あなたの方の所管の役所は非常にたくさんあるのです。複雑でありますから、なかなか質疑も込み入ってくるようなときもあろうと思いますから、よく準備をしておいて敏捷にやってもらわんというと、これを終って、きょうはもう一つ移るつもりでおる。あなたの方ばかりではないのでありますから、それでどうぞしっかりやって下さい。
  92. 中平栄利

    政府委員(中平栄利君) ただいまの御質問で、機械の購入の場合は六億七千万円、借り入れの場合は三億二百六十八万円ということで、ちょっとおかしいように思われての質問だと思いますが、ここにあげました六億七千万円と三億二百六十八万円は別のものでございまして、北海道におきまして篠津地方で土地改良事業を行いますため該当機械を購入いたしまして、これは機械を購入いたしますのは機械開発公団でございますが、機械開発公団が機械を購入いたしまして、それを開発庁に貸しまして、開発庁がそれを借りて仕事をしておるわけでございますが、開発庁と機械開発公団との間に奨約がございまして、一応この機械は篠津地域の開発のために買った機械でございますから、篠津地域以外には使えないということが原則になっておりますので、一応事業が終りました場合には開発庁におきまして、機械開発公団が買いました機械を事業が終ったら買い取るという計画になっております。なお、事業が終りませんでも、何かの都合で開発庁が賃貸料の支払いを怠った場合にはその他いろいろ条件がございまして、結局機械を買い取るということになっておりますが、買い取るまでは機械を開発庁が借りて仕事をするということになっておりまして、その機械の購入代金の総額はただいまのところ百四十万ドルということになっておりますが、その百四十万ドルをもとといたしまして、その百四十万ドル全部で機械を買いまして、それを借りて仕事をした場合と、それから何かの都合があって買い取る場合、両方の場合を考えまして、最大限度の機械の購入代金と借料というものをあげてあるわけでございまして、従いましてこの六億円というものが機械の購入代金であって、それを借りたのが三億円というのではございませんで、この二つの間には関連はございますけれども、六億の借り賃三億という意味でここに置いたのではございません。
  93. 下條康麿

    ○下條康麿君 そうしますと、機械公団で六億で買ったものを開発庁が公団から三億なにがしで借りるわけですか。
  94. 中平栄利

    政府委員(中平栄利君) これは借入賃の総額三億という意味でございます。
  95. 下條康麿

    ○下條康麿君 総額が三億。
  96. 中平栄利

    政府委員(中平栄利君) 全部の機械を借りた場合ですね。
  97. 下條康麿

    ○下條康麿君 今お話によると、六億、三億の間に関係がないようにお話があったが、書き方を見ますと、購入費として六億七千三百云々とあり、ただしそれをもし借り入れる場合にはというふうに見えるのですね、これ、表現が悪いのですか。
  98. 中平栄利

    政府委員(中平栄利君) 表現の仕方が非常に簡単でございますのでそういうことに受け取れるかもしれませんが、実情はただいま御説明申し上げた通りであります。
  99. 下條康麿

    ○下條康麿君 そうしますと、予算の上に出ている数字は三億二百六十八万と出ているわけですね、予算の上の数字はどうなっていますか。
  100. 中平栄利

    政府委員(中平栄利君) ここに書いてございますのは、昭和三十三年度におきます国庫債務負担行為でございますので、昭和三十四年度以降に払うかもしれないという数でございまして、どうしてそういうことになるかと申しますと、実はもう少し今までの開発庁と機械公団との間の契約を御説明いたしますと、一定の期限を設けまして、それまでに開発庁から公団に対しまして解約の申し入れをしないときは一年間延期されるというような、契約がそのまま延期になるという条件がございまして、その期限がこの三月にくるわけでございます。従いまして昭和三十三年の三月の、ちょっと日付は忘れましたが、中旬だったと思います。それまでにただいままでの契約を解約するという開発庁が申し入れをいたしませんと自動的に一年間契約が延びるわけでございます。ここに国庫債務負担行為としてあがっております数字は、昭和三十四年度においてこういう債務を負担するようなことになるかもしれないという契約を三十三年度末においてするという形になりますので、従ってこういうような形で国庫債務負担行為要求というようなことになった次第でございますから、この金額は、予算書といいますか、普通の予算要求には載っていないわけでございます。
  101. 下條康麿

    ○下條康麿君 国庫債務負担行為、要求書の中に三億とあるわけですね、そうしますとそれは出ているわけですか。
  102. 中平栄利

    政府委員(中平栄利君) これは分れていまして、二億六千二百万円と四千万円と二口ございまして、合せて三億ということになっております。
  103. 下條康麿

    ○下條康麿君 わかりました。  それから内閣所管の経費が一億八千百八十九万一千円、そのおもなるものをあげていただきたいと思います。
  104. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) お答えいたします。内閣所管の関係の本年度と比べましての増のおもなものは、内閣所管は、内閣官房、憲法調査会、法制局等でありますが、その中で大きなものは報償費の関係が昨年より一億ふえております。それからあと憲法調査会の関係で昨年度の途中でやりました関係上、来年度は相当この面では増額になっております。
  105. 下條康麿

    ○下條康麿君 人件費の増加はありますか。
  106. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 人件費の増加は、憲法調査会の方の事務局の職員の増がございます。
  107. 下條康麿

    ○下條康麿君 ほかの部局は。
  108. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) それから内閣官房の調査室関係の要員として十五名ばかり増員いたします。そのほかにはないと思います。
  109. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私恩給関係で少し質問したいのですが、社会保障との関係で基本的な原則のようなことはきょうはやりません。先般いただきました資料でもはっきりわからないのですが、将来社会保障の全面的な実施にこの軍人恩給の今回の増額修正が支障にならぬかという点が大きな問題になるのです。そこでかねて要求していただいた資料だけではわからぬのですが、今回七百八十五億のやつが八百五十三億になって、六十七億八千ふえていくのですが、これはずっととれるのですね。余命率を計算して一体これが四年後に、年次別に四年間にどれだけふえていく。さらに余命率を計算してゼロになるのは一体いつか。軍人恩給がゼロになるのはいつか。こういうことをあちこち資料あさっているのですが、なかなか出てこないのです。社会保障を全面的に実施する際に、それとの関連が問題になるので、いずれ作業はやっておられると思いますが、十年くらいのやつは、古い軍人恩給を基礎にしているやつはいただいているのですが、それはどうなりますか。
  110. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) 恩給費の将来の趨勢でございますが、ここ十年くらいの経過の足取りを一つ検討いたしたのはございます。これは今回の増額措置を織り込みました上でのその指数がどのくらいになるかと申しますと、指数だけで今ここで申し上げますが、三十三年度を一〇〇といたしまして、それが三十六年度にピークになりまして二割二分ばかり伸びます。一二二くらいの指数になります。それが三十六年度をピークにいたしまして漸次下降の傾向をたどって四十三年度に至りましては九九という指数を示しておりまして、その三十六年度におきますところのこのピークの一二二という数は総額千二百六十三億でございます。現在の三十三年度予算が千三十四億でございます。
  111. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それは軍人恩給ですか。
  112. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) 軍人恩給と文官とを両方合せまして……。
  113. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 軍人恩給の方だけのはありませんか。
  114. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) 軍人恩給だけを申し上げますと、千三十四億のうち、八百五十五億というものが今年度の予算でございます。これが三十六年のピークに参りまして千六十六億という数字を示しまして、その後ずっと下降のカーブをたどりまして、昭和四十三年度におきましては約八百六、七億ぐらいになるわけでございます。それからあとの御質問の大体平均余命率等から見て、軍人恩給がゼロになるのはいつかというお尋ねでございますけれども、いろいろ恩給の種類によって違うのでありますが、軍人恩給の大宗をなす公務扶助料について申し上げますというと、公務扶助料の全体の平均年令というのは五十六・六一才でございます。で、その五十六・六一才というものの平均余命率は一四・六八、十四年と六分八厘ということになっております。これは公務扶助料の遺族の全体の総平均でございますから、そのうちの妻だけをとりますと、これが一番若いわけであります。妻だけをとりますと、この平均年令が四十三・八三才でございます。この平均余命というのは三〇・〇七でございます。従いまして、この三十一年三月末統計によりますところの公務扶助料の総数というものは百五十三万五千人余になりますけれども、そのうち妻として扶助料を受けております者が三十四万五千人ばかりでございます。従いましてこの三十四万五千人ばかりの方々につきましては、平均余命が一番長いわけでありまして、三十年ぐらいの平均余命ということになりますので、公務扶助料金全体として全部からになると申しましょうか、ゼロになるという時期は三十年後というふうに大体の考え方として考えられるのじゃなかろうかと思っております。
  115. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 さきにお伺いしました三十三年から六年までの指数と、その間の金額を一つ言っていただけませんか。三十三年を一〇〇として。
  116. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) 全体の指数、文官と軍人と合せました指数を逐次申し上げます三十三年度が一〇〇、三十四年度が一一三、三十五年度が一二一、三十六年度が一二二、三十七年度が一一六……
  117. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 大体三十三年から三十六年までの間の文官を含めた指数と、それから金額、それから軍人のやつだけ幾らですか。
  118. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) 三十三年度の恩給費の総額は千三十四億、そのうち軍人分が八百五十四億、それから三十四年度におきましては千百六十九億、うち軍人分が九百八十四億、三十五年度が千二百四十九億、うち軍人分が千五十七億、三十六年度が千二百六十四億、うち軍人分が千六十六億でございます。
  119. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 公務扶助料だけをよく今詳しく御教示いただいたのですが、全体を含めて一年五万ですか、そして一人四万として二十億ぐらい減るというようなことをよく言われるのですが、大体大量観察して一切がっさい軍人恩給の対象を含めて概算的に扶助料だけは三十年後にはゼロになるだろうということですが、すべてを含めてゼロになるのが五十年とも聞くし、その辺ははっきりできませんか。
  120. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) 恩給費の全体の中で八割を占めますものがまあ公務扶助料でございますので、今公務扶助料について申し上げたわけでございますが、その他平均余命といいますか、そういうふうな年金恩給が永続するという形におけるものといたしましては総額といたしましてはそれほど響かぬと思いますけれども、こういうふうな極端な例もございます。すなわち現在若年停止を受けて普通恩給をもらっている方があります。すなわち普通恩給受給者で四十五才未満という方があるわけであります。そうするというと、現在は一文も普通恩給は実支給額はない、そういう方が四十五才になると半額、五十才になると七割、五十五才満額、こういう方がずっと老年になって、そうして老年になってから若い御婦人と結婚される、こういうことになりますと、その死後またその若い御婦人の扶助料に転給いたしまして、その人の平均余命でまた伸びますから、そういたしますとそういう極端な例を考えますと、今後六十年先までそういう分については続く、こういうことも考えられるわけです。しかしながらそれは恩給費全体のウエートからいいますと、ごくわずかだと思います。
  121. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 軍人恩給総額のうちで公務扶助料と他のものとの比率はどの程度ですか。
  122. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) 今年度の八百五十四億の軍人恩給の内訳でそのパーセントを言わしていただきます。そういたしまするというと、公務扶助料が八三%、その次は普通恩給が八%、それから増加恩給が六%、傷病年金が一%、普通扶助料が二%、こういうふうになっております。
  123. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうしますと、これは総額がどうなりますか、大体ネグリジブルになるというときは一体どうなるんです。五十年くらいですか、よく五十年くらいということを聞くんですが、まあわれわれとしてはやはり恩給局の事務費というものもなかなか大へんな数なので、大へんな作業でしょうが、しかしやっぱし政府も軍人恩給とその他を含めて社会保障の全面実施ということになれば、やはりそういう精密な作業がもうなされておらねばならぬと思うのですが、一体無視できる程度まで減るというのは大体のところはいつなんですか、恩給等調査会ですか、あのときには五十年くらいということを言われて、当の委員の人には聞くんですが、一体どうなんですか。
  124. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) そのゼロになるという絶対数を言われますと、なかなかむずかしいと思いますのですが、今御指摘のように、大体大量観察としましてネグリジブルというのは大体五十年ぐらい先だと、こう思っております。
  125. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 軍人恩給で毎年、漏れておったやつがいろいろ調査を願って復活するやつもかなりあるというのですが、復活といいますか、新らしく対象になるということもたくさんあると思いますが、一体、毎年どのくらいずつありますか。
  126. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) 漏れていて復活するという意味はよくわからぬのでございますが、毎年まだ新規裁定というものがございます。すなわち昭和二十八年から軍人恩給の制度が再出発したわけでございますが、それからすでに五年たちまするけれども、公務扶助料あるいは傷病恩給につきましては、これから進達を経由して申請してくるというものもございます。特に公務扶助料につきましては死亡処理がまだ済みませんものも相当ございます。従いましてそうしたものにつきまして死亡処理が済んで、しかるのち遺族年金の請求をなされ、そしてまた公務扶助料の請求がなされるというふうなものが今後出て参る公算があるわけでございます。それからまた傷病恩給につきましても、現在裁定済みのものが現在約十三万ございますけれども、なお四、五万のものは進達官庁を通じてこれから進達されてくるという見込みのものもございます。そういう意味で、これは裁定漏れと申しましょうか、裁定間違いというのじゃありませんで、これから新規発生という、そういうものが軍人恩給の将来の増の中に含まれるわけでございます。  なお、今まですでに裁定されたものの中で見直されるというようなものにつきましては、たとえば傷病恩給等で一たん棄却されましたけれども、再審査請求がなされまして、それで再審査請求の結果、それは給付すべきものと裁定されたというようなことで、当時の裁定がくつがえされるというような場合もございます。そういうふうなものは、前段に申し上げました新らしい新規裁定を待っておるというものと比べましては数は非常に少のうございます。
  127. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そういう審査中のもの、あるいは将来加算がどうなるか、まあそういう問題、さらに自衛隊の、防衛五カ年計画ですか、何カ年計画によってふやしたりしていったりすると、ただいまのような余命率等によってだんだん漸減していくが、そういうものも加えると、なかなかこの軍人恩給類似のものは減っていかないという意見も聞くのですが、防衛庁関係の今の増強計画等から含んでいけば、年次別にどういうふうになるのでしょうか。
  128. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) 防衛庁の関係の、自衛隊の自衛官の恩給につきましては、これは現在は文官恩給の費目でいっているわけでございまして、これが将来どう伸びていくかということの計算に当りましても、一般の文官恩給の従来の趨勢と同じように、過去五カ年の平均をとりまして将来の伸びを見るというしか、現在のところはございませんで、ある想定を立てて将来これだけ伸びればこうというようなことはできますと思いますけれども、現在までのところでは、自然増と申しましょうか、そうした一時恩給なり、年金恩給の自然の伸びというものを過去五カ年の平均をとりまして、そうして将来を見る、こういうのでやっております。
  129. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうしますと文官恩給の百八十億ですか、この中には一体自衛隊関係はどのくらい入っていますか。
  130. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) 現在この手持ちの資料を持っておらないのでございますけれども、この自衛官の関係で文官恩給に響く問題は、一時恩給の問題でございます。これは御承知通り二年の志願の方がもう一ぺん再役いたしまして四年になる。そうするとそれで退職いたしました場合に一時恩給にはね返ってくるわけでございます。従いまして一時恩給の増としては自衛官の関係の脱退と申しまするか、その退職が恩給費に響いてくる。こういうことでありまして、年金の方は一般的に見て特に顕著な伸びというものは認められないわけでございます。
  131. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 恩給局でこういうことはやっているのですか。今自民党内閣でも社会保障審議会ですか——社会保障を近く全面的に実施するということになれば、その際にまあ国民経済の伸び、それからどれだけの歳入があるかというようなことから、さらに文官恩給、軍人恩給等の趨勢を見て、それらとの関連で、ほんとうに社会保障ができるかどうかというようなことの作業もできると思うのですが、そういう文官恩給、軍人恩給等のこの年次別なトレンドですね。それを精密にやはり将来相当長期にわたって予言できるような作業はおやりでないのですか。それはどこの所管です。厚生省ですか。一体それは恩給局ではただ現行の適用という問題だけですか。それはどこでしょうか。
  132. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) 恩給局としての幅以上の問題でありまして、もちろん大蔵省では将来の財政規模というものをながめます場合に、そういうことを実は頭におきながら、恩給費がどれだけふえていくかどうかというようなことは検討されると思います。また社会保障制度審議会、あるいは厚生省の方面において国民年金をお考えになる際に、もちろんこういったデータも差し上げてありますから、そういうものを基礎にしてお考えになる、こう思っております。
  133. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 いやまあ、それはほかで質問するとしまして、まあなかなかこういうふうな恩給法の改正がなされますと、憲法上の財産権とかいうようなことで、なかなかそれを将来削減したりすることもできないというようなことで、改正はよほど慎重でなくちゃいかんと思うのですが、よくそういう際に問題になりますものは、陸軍大将であり、内閣総理大臣をしておった東條さんの奥さんの勝子夫人の遺族扶助料というものが、五十数万ということがいわれるのですが、一体それはどういう計算をして、そういうふうになるのですか。ちょっとその計算の仕方をして、実際五十三万幾らになるということを、これはよくいわれるのですが、どういう根拠で——何か東條さんは陸軍大将でなしに、内閣総理大臣として、文官としての何をやり、絞首刑になったからそれは公務死で、何割増しになっているからそうなるという。これはなかなか選挙のときの大論争になるのですが……。一体どういう計算の基礎から五十数万円に遺族扶助料がなるか、その計算の仕方をちょっと御説明いただきたいと思うのですが。
  134. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) 特定の御指摘の個人の恩給につきまして、特に調べておりませんものですから……。ただその計算の仕方について、何か御参考になることを申し上げてみますと、大将の場合でございまするというと、勤続年数が三十五年と、こう仮定いたします。この方が戦死されたといたしますと、その公務扶助の年額というものは、その大将としての仮定俸給を基礎にいたしまして、百五十分の五十プラス二十二というものが普通恩給になるわけです。で、その普通恩給の半額が普通扶助料になる。その普通扶助料のさらに十分の十七—十七割というものが、これが公務扶助料の年額になるわけでございまして、この場合の公務扶助料の年額というものは、三十五年でございますというと、二十九万六千二百八円となるのでありまして、現在こういう額になっておるわけです。で、これはもちろん今回の増額案の対象にはなっておりません。現状のままで据え置きでございます。それからまた、もしも総理大臣になった方が在職中公務のため死亡された、こういうことにいたしまするというと、それが前後の在職年を通算いたしまして三十五年ある、こう仮定いたします。この場合公務扶助料はやはり先ほど申し上げましたような普通恩給が出され、それに対する半分が普通扶助料でありまして、それに対してさらに公務扶助料の十分の十七という率がかかるわけなのでございます。
  135. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうすると幾らになりますか。
  136. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) そういたしますというと、この場合は五十万八千六百四十円、こうなります。従いまして、三十五年がまた若干延びるということになれば、五十万八千六百四十円をまた若干上回る。こういうことになるのでございます。
  137. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 いろいろ今計算していただいたのですが、十分の十七ですか、百分の百七十ですか、それは絞首刑も公務死ということになるような規定は恩給法のどこですか。戦争犯罪人で処刑されて、それも公務死という規定は恩給法の何条にあるのですか。
  138. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) これは戦傷病戦没者遺族等援護法の付則第二十項という規定によりまして、たしか昭和三十年にこれが追加になったはずでございますが、この付則二十項の規定によりまして、平和条約に基くところの……
  139. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 もっとはっきり言って下さい。昭和三十年の……根拠法。
  140. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) 失礼しました。これは三十年じゃございません。昭和二十九年の法律二百号というものの改正で、その改正法の付則の四項で、こういう規定がございます。「公務員の死亡につき戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律附則第二十項の規定により遺族年金又は弔慰金を受ける者がある場合においては、当該公務員が普通恩給についての最短恩給年限に達しているときは、昭和二十八年四月分以降その公務員の遺族が受ける扶助料の年額を恩給法第七十五条第一項第二号に規定する場合の扶助料の年額に相当する年額に改正するものとし、当該公務員が普通恩給についての最短恩給年限に達していないときは、当該公務員が普通恩給についての最短恩給年限に達しているものとみなし、その公務員の遺族に対し、昭和二十八年四月から恩給法第七十五条第一項第二号に規定する場合の扶助料の年額に相当する金額の扶助料を給するものとする。」、こうございます。すなわち、公務員の死亡につきまして、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律の付則二十項の規定というものが適用されまして、遺族年金あるいは弔慰金を受けると、こういう場合には、この人に対して、普通扶助料を受けておれば、それを公務扶助料に切りかえる。全然普通扶助料も受けておらないと、こういうことであれば、それに対して公務扶助料を支給する、こういう規定がございます。で、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律の付則二十項の規定というのが、戦犯の刑死、獄死した場合にこれに対して遺族年金あるいは弔慰金を給するという規定でございます。
  141. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 資料を持ってきておられないから、はっきりわからないというのですか。大体こういう席で個人の恩給の計算の仕方を——はっきりすることはいけないのですか。
  142. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) ただいま東條さんのあれがお話が出ましたけれども、在職年が何年か、私今記憶しておりませんので、すぐ計算が出ませんものですから……。
  143. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それにしても、ただ計算をして見せられたのによると、大体五十数万になるということは間違いないでしょうね。
  144. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) 三十五年ならば、五十万八千何がしになるわけですね。でそれが三十七年になればもっとふえる、こういうことであります。
  145. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 恩給局はもういいですが、ほかの質問をしてもいいですか、自治庁関係ですけれども……。  地方交付税の問題ですけれども、これは詳しいことは地方行政委員会で質問したいと思いますが、二千二百四十億というかなりの額で、総ワクをふやすと同時に、この配分についてもやはり相当検討していただかなくてはならぬと思うのですが、私の特にお尋ねしておきたいのは、今回地方交付税法の一部を改正する法律案が出ていますが、あれによりますると、非常に長期にわたる再建団体の再建の期間を相当短縮できるようなあれは配分になっている。それはたとえば徳島県、たしか十五年だと思いますが、まあ知事選挙をいつも言いますように、四回もやらねば地方財政が立て直らぬというのでは、これは非常に問題だと思うのですが、自治庁が出された再建白書を見ても、徳島の財政を検討しますと、とにかく十五年の間に投資的な経費はほとんど二割くらいに——基準年度を一〇〇とすれば二割くらいに減っておるという非常な特徴的な、基準年度に比べて五分の一くらいな投資的な経費で十五年もやるというようなことは、これはまあ全く紙上の再建プランだと思うのですが、相当そういう点も御検討されたと思うのですが、二千二百四十億もあるのですから、来年度は交付税法の一部改正法案にあるような測定単位と単位費用で相当短縮できるかどうか、その点を……。
  146. 柴田護

    説明員(柴田護君) お答えいたします。昭和三十三年度の地方財政措置を講じます場合に、二つの問題があるわけでございますが、一つは財政全体として地方財政全般を見渡した場合に、おっしゃいますように、どの団体もおしなべて歳入歳出更正を要する。これが一つの問題であります。もう一つは、それの分派になる一つの問題でありますが、要するに地方債を一般財源に振りかえる。そこで昭和三十三年度の財政措置として現在提案いたしております交付税法の改正案では、二つのことを考えておるわけであります。  一つは、その投資的経費全般について、地方債を一般財源に振りかえていった振りかえ方をどうするか全地方団体を通じて、その振りかえ方がうまく振りかわるかどうか、これを単位費用と補正係数との両方を使っておるのであります。  もう一点は、財政再建団体が非常に困っておりますのは、いろいろ財政再建団体の特殊事情を別に考えますと、大体おしなべていいますと、古く起しました地方債の元利償還金が大体積み重なってきておる。それが財政の弾力のないところでは、その積み重なり方が非常に財政の弾力を圧迫する。そこでこの圧迫を取り除くためにどういうようにしたらいいか、この二つの問題があろうかと思うのでございます。あとの公債費の問題の除き方につきましては、一・五%問題も一応めどがつきまして、これを公債償還費という特殊の項目を——昭和三十二年度には臨時に設けておりました項目を本則に入れることにいたしまして、これに財政力による補正を適用するということにいたしたのであります。財政力による補正と申しますのは、結局この種の対象になります地方債というのは、古くは財政力のないところに多くいっているわけでございますので、そのお返しと申しますか、それに対して国が責任をとると申しますか、そういう意味合いでは、むしろその元利償還金につきまして、財政力のないところの団体の元利償還金については割り増しをしていく。こういうやり方をしようとしておるわけであります。この二つの措置を考えて参りますと、まあやってみなければわかりませんけれども、地方税収入の伸びが将来順調でありますれば、再建期間の短縮といいますか、財政再建計画の合理化、こういうことは可能だというように考えておる次第であります。ただ一つ気になりますのは、交付公債の問題が片づきませんで、これが貧乏県と申しますか、貧乏地方団体に多いのでありまして、この問題を片づけなければ、財政再建団体の再建計画の合理化と申しましても、必ずしも完全とは言えないというように考えております。
  147. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 交付公債の問題は、私の党はあすごろ修正案を出すから、期待に沿えるように順次いくと思うのですが、ただ、ただいま言われましたように、投資的な経費の面で地方債を一般財源に振りかえるということですが、私資料を持ってきていませんが、たしか自治庁で出された再建白書といいますか、それにたしか徳島と佐賀県が載っておったと思うのですが、それを基準年度からずっと——基準年度を一〇〇としてみますと、投資的な経費も減らすし、地方債もその減り方が二割くらいになっていると思うのです。今のような交付税の一部改正案で十分カバーできるかどうか、そうして実際十五年といいますと、これは何といっても知事の任期が四年で、四回も選挙をやらないと再建がつがぬというのでは、これはその地方が放漫な財政運営をやったのだからしょうがないといえばしょうがないのですが、しかし地方債の許可をされる権限は自治庁が持っておられるので、ある意味では責任なしとしないわけです。そういう点からすれば、私は既往は既往として、十五年もかからねば再建できないということでは、われわれ昨年佐賀、徳島その他財政の実態調査をやってみて、何とかここですべきじゃないか、むしろ今年度の補正があって、そのはね返りがあった際等には、特別な配慮で、交付税法の一部を改正するにしても、何らかのことをすべきじゃないかということを申し上げたこともあったのですが、まあ総額も知れているし、三十三年度分でやると、一体十五年というのはどれくらい短縮できるのですか。おそらく作業されたと思うのですが、どうでしょうか。
  148. 柴田護

    説明員(柴田護君) 問題は、地方団体——再建団体も含めてでございますが、弱小団体にどういう形で一般財源を与えるかということになっておるわけでございますが、そうなって参りますと、結局補正係数の問題になる、こういうことであります。その補正係数の問題で、弱小団体についてちょっと先ほどの説明が不十分であったかもしれませんが、二つの問題がある。一つは府県の場合について言いますと、府県間の態容差といいますか、行政の量と質の差というものが、現在の補正係数で完全に現われておるかどうかという問題が、将来問題として一つあるわけでございます。これが段階補正と態容補正の問題であります。  それから、いま一つの問題は、そうして与えていった財政の弾力を、古くから発行した地方債の公債費が食ってしまう、これをどうして除くかという問題が一つ、この除く方につきましては、いわゆる既発行地方債にかかる公債費について、財政力補正を適用していく問題、あとの府県間の実態に合うような態容補正係数なり、あるいは段階補正係数をどうするかという問題が一つあるわけでございます。これは提出いたしております改正法案の中では、府県の態容補正を考えます場合に、ある程度市町村の係数を積み上げる方式を改めようといたしております。つまり現在のやり方では、市町村の都市化と申しますか、そういう状態に応じて府県の職員がおる、こういうような格好で算定いたしております。この積み上っておる係数が府県の実態に合わない、言いかえますならば、むしろ管下の市町村がある程度財政力が貧弱で、しかもこれから開発していくような因子が多い、そういう市町村をかかえている府県の方が、相当そういう意味では、普通のほかの府県よりはむしろ金がかかる、財政需要があるということが言える。これは、そういった補正係数に十分反映しておるがという問題があるわけであります。この点を今回の法律案で、若干それを直そうといたしておるわけでございますが、具体的にはこれから再建に入るわけでございまして、今ここで残念でございますが、仔細についてお答えする段階には至っておりません。ただ、財政再建団体につきましては、これも明年度以降の、特に先生御存じの道路整備の問題かどうなるかという問題と、それからいま一つは、その交付公債等の問題、地方債の変化、こういったものとも関連いたしますので、必ずしもここで私の口からどれくらいということは申し上げかねますけれども、あの法律を書きましたときには、大体おおむね七年なり八年ということが財政再建計画として、この程度ぐらいはやむを得ないのではないかという感じを持って書いております。それ以上長い再建計画が立っておりますところは、まあほかの条件さえ整えば、逐次その線に近づけるように努力していくべきではないかというふうに考えております。
  149. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この委員会ではこれ以上は何ですが、われわれとしてもまあ国政全般、国家財政全般の面からいえば、交付税の総額をふやさぬ限りは、その配分をいかに努力しても限界があるという見地から、二七・五というふうなことについては野党なりに主張してきたのですが、しかし二千二百億にもなれば、やはり大蔵省の言うような配分上からきているこの問題も、やはり今後は重要な問題になる。それから交付税法の一部改正法案、新しい補正単位費用が出ておる。補正係数との関連でないと、いつもあなたまかせで、われわれの審議の対象にならぬのですが、補正係数も同時に出すというような作業はなかなかできぬものですか。補正係数はもう年度の途中というようなことになるのですか。一体作業はどうなっておりますか。
  150. 柴田護

    説明員(柴田護君) いつも同じおしかりを受けるのでありますが、われわれもあとう限りの努力をいたしておるのでございますけれども、現在のように交付税の基本財政需要額というものが、これが一種の財源保証、必要最小限度ではありますけれども、財源保証的な機能を持つという考え方に立っております限りにおきましては、やはりまず単位費用を組み終りますのが、どうしても予算が、政府原案がきまったときから作業に入る。それまでに大体の作業はいたしておりますけれども、最後的に作業をいたすのが大体二月の中ごろになってきまる。それから補正係数の問題をいじっていくわけでございます。そこでどうしても国会の審議においてはぼうっとした線しか出ない。はなはだ残念でございますけれども、まあそういった格好にならざるを得ないのであります。ただこの交付税法の前身である地方財政平衡交付金の時代に、補正係数の方法は、きめればこれを法定するという約束があった。これは財政事情も落ちついて参りますと、補正係数のある程度のものは法定するように持っていきたい。現在でも補正係数の算定方法は法定いたしております。まあその当時の約束の履行といたしまして、たしか三十年でありましたか、補正係数の算定の方法は、その程度では明確にいたしたのでありますが、まだその後財政状態が動いておりまして、補正係数を安定するまでには至っておらないのであります。ただ私たちは安定次第そういうものは動かさないという方針を早く確立していきたいというふうに考えておる次第であります。
  151. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 三十二年度の七十八億の補正があって、あの発表の仕方ですね。各府県、各市町村に対して大臣の決裁のないのに、だれとは言いませんが、君の府県は幾ら、君の市町村は幾らという電報を打つようなことがあるのですが、大臣の決裁がある前に、与党議員に財政課が連絡するというようなことがあるのかどうか、その点はどうですか。
  152. 柴田護

    説明員(柴田護君) さようなことは私はないと信じます。ただ大臣の決裁が済んでから公表まで少し日にちがあったことを御了承願いたいと思います。
  153. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは詳しくはあとで報告しますが、これは自由民主党の与党間ですら問題なんです。たとえば自治庁の先輩というような人には、手早くそれが大まかな数でなしに、かなり端数に至るまで電報を打っている。各市くらいに……。これは、かなりわれわれも自治庁には行く方ですが、決裁前に知らせてくれということも言わないが、これは非常に——君のところの地方債は幾らにきまった、普通は大臣の決裁がまだだから発表は待て、こう言うわけなんだが、まあそんなことをせぬでもいいから、われわれはしませんが、この点は私は非常な問題だと思うのですが、これはかなり早く具体的な一千何百何十万という数字まで電報が入ってきて、ああ、あの先生はずいぶんふやしてくれたというようなことで、自由民主党の中ですな、関係しない議員の中では問題があるのですが、公務員の中立性ということを言われる限りは、その辺かなり具体的にそれははっきりしておりますが、打ってくるのですがね、これは毎回なんです。私なんかもあまりそういうことまでせぬでもと思うが、各地で、これは建設省でもあるし、どこでもあるのですが、一部の人だけ出身議員の人には早く——普通ならば、まああす大臣の決裁があるから待ってくれと言いながらも、三日くらい前に電報がすでに打ってあって、地方の新聞には大きく出ている。何々先生連絡のというようなことで……。これはやはり一つ今後は十分注意してもらいたいと思うのですが、どうなんですか。実際に事前に連絡するのですか。
  154. 柴田護

    説明員(柴田護君) 私の関知する限りにおきましては、さようなことはございません。さようなことがあるといたしますれば、調べまして、さようなことのないように十分注意しなければならぬと思っております。
  155. 大川光三

    ○大川光三君 ちょっと遅刻して参りまして、あるいは他の委員から御質疑があったかもしれませんが、今度自転車税とか荷車税を廃止するということに関連いたしまして、農村を含んでおる衛星都市では相当大きな財源を失うということになるのですが、そういう荷車税や自転車税を失う衛星都市に対して、特に交付金の面で配慮をされておるかどうか、伺いたいのです。
  156. 柴田護

    説明員(柴田護君) 交付税を計算いたします場合に、基準財政収入額につきましては、改正された制度によって計算をされていくわけであります。御指摘のように自転車税、荷車税とたばこ消費税では、団体によりましては偏差があるわけでございまして、その間にマイナスになるところもあるし、プラスになるところもあるわけであります、現在の交付税の制度では。従いまして、その偏差の七割までは当然に計算上変らない。あとの三割分がどうなるかということでありますが、あまり大きな変動があって財政運営の点に困るというような団体が出て参りますと、それは特別交付税の交付の際に検討の対象になろうと思います。その際にそういう団体につきましては、非常にひどい影響のあるところにつきましては、やはり緩和措置を考えていかなければならぬというように考えております。
  157. 下條康麿

    ○下條康麿君 内閣並びに総理府の役所の所在が散在しておりまして、連絡上非常に不便なことは御承知通りでございます。中には木造建築もありまして、一度火災にあったこともあるのです。これからだんだん国家の仕事が忙しくなるだろうと思いますが、総合庁舎でも建てられるような御計画があるのでしょうか、お尋ねいたします。
  158. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) 総理府の総合庁舎を建てたいという計画はございます。ただいまの総理府の役所があります総理大臣官邸の前のあの木造の建物を撤去しまして、あの跡に不燃性の総合庁舎を作りたいということで計画はあるのでありますが、明年度実は実現したい考えでございましたけれども、財政の都合でまだ実現を見るに至っておりませんが、計画はございます。
  159. 下條康麿

    ○下條康麿君 明年度の予算としてはもうやむを得ぬと思いますが、なるべく早い時期に実現されることを希望いたします。
  160. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 細郷課長にお尋ねいたしますが、昨年所得税を大幅に減税した際に、それが住民税にはね返るということで、税率を上げて減らないような措置をとられたのですけれども、今回は法人税を下げることになった際には、それが住民税にはね返るのはそのままにしてあるが、具体的なことは別ですけれども、基本的な態度は、一体どうしてああいうことになったのですか。昨年所得税を減税して、それが住民税にはね返ってくるということで、税率を上げて勤労者の住民税は減らないようにしながら、ことし法人税を減らして、それが当然住民税の、法人税の所得割に響くのを、去年と同じ措置をとるべきだと思うのですが、それをやられなかった理由いかん。
  161. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 現在地方税の中で国税に課税標準等をリンクしておる税が幾つかあるわけでございます。それにつきまして、所得税において増減税が行われた場合には、地方税で常に自動的にその増減税を防ぐ措置を講ずるかどうかということは、税制面からも、あるいは地方財政の面からも、いろいろ議論のあるところだと思っております。その場合にそういう措置をとります根本の考え方といたしましては、その場合の地方財政におきまする財源がどの程度充足しているかという基本のラインが一つと、それから税制上国と地方の税源の分離を明確にするかどうかという考え方、こういった二つの面からこれを考えていかなければならぬと思います。そういたしましたときに、御指摘の通りに所得税の減税に際しましては、所得割をはね返して、できるだけ増減を少くしたいということをいたしましたことと、今回の法人の場合とをそのまま比較いたしますれば、片手落ちの感がないでもないわけであります。しかしながら所得税の場合におきましても、その減収分を全部返したわけではございません。率にいたしますれば、ほぼ半分程度をはね返さないような措置をとったのであります。その上に法人税につきましては、御承知でありましょうが、租税特別措置の廃止ということにつらなる今回の法人税の引き下げというような事情もございましたので、そういった点を考えまして、今回の法人税割のはね返しという措置は見送ったわけでございます。
  162. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 まあ事務当局の苦衷はわかりますが、やはりわれわれ社会党からみると、所得税の減税の住民税へのはね返りは、税率を上げて、ただいまの発言にもかかわらず大体御指導等もあり、あまり減らぬようなことを各地方団体はやっているのです。まあはね返りを全部税率を上げてやらなんだということですが、同じような原則を、それは租税特別措置法をはずして、それもあるから、それを勘案しても、やはり所得税等の場合と見合ったような措置をとられんと、やはり納得がいかない。弱い層に対しては強いが、なかなか有力な、プレッシャーとは言いませんが、そういう面に対してははなはだ何じゃないかという感がないでもないのです。それなら一体本年度住民税はああいうふうな改正がありましたが、実際三千幾らの市町村等でどういう実施状態にあるか。
  163. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 実は昭和三十三年度におきます実施の状況については、いまだわれわれの手元にないわけであります。昨年の六月でございましたか、その機会に一応全国を調べましたところでは、御承知のように住民税の課税方式は五つございますが、一番多い団体の占めております課税方式は第二方式のただし書きでございますが、その第二方式のただし書きにおきまして、法律の示しました準拠率の方で軽減の措置を条例上とったという団体が数が約半分ございます。昨年は御承知のように法律が通りましたのが四月の十日でございました。市町村におきまして、来たる年度の予算を立てるにはすでに時期がおそかったわけでございます。従いまして、そういった事情のもとにおいてすら半分の団体が第二方式ただし書きにおいて軽減の方向に向っておるということは、ことし以後におきましては、さらにそういう方向に向い得るのじゃないだろうかということを想像させるに十分なものがあるだろうと思っております。
  164. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 次に木引税ですけれども、標準税率を百分の四から二にし、制限税率を百分の三ですか、税率を半分にして税収が大体あまり減らぬという理由はどこにあるのですか。御説明を願いたいと思います。
  165. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) お答え申し上げます。木材引取税の徴収につきましては、従来率直に申しまして、必らずしも円滑に行っておらなかった面も遺憾ながらあったことは事実でございます。このような点につきまして、私どもはまず現行の運用の欠陥といたしましては、第一に課税客体の把握というのが十分に行われておらない。第二には、たとえば国の営林管署で、国有林の場合でございますと国の営林管署が特別徴収義務に服するわけでございますが、これの履行状況というものが完全に行われておらない。まあこういったような点、あるいはまた民有林の場合であると、納税者なり、特別徴収義務者なりの協力が十分に得られておらなかった。こういったような面があったと存じております。そこで今般の改正についてでございますが、これはまず第一に昭和二十九年に私どもの方で林野庁と相談をいたしまして、その木材引取税の課税標準となります素材価格、これを協議をいたしまして流しております。その価格が昭和二十九年のことでございますから、今日までの間に大体二割近い上昇を示しておるわけであります。それから林野庁とのお話し合いによりまして、特別徴収義務を従来営林署において完全に行なっておりませんでしたところを完全に行う。あるいはまた国有林の中で立木のまま処分をせられる分につきましても、やはり市町村に連絡通報していただく。民有林についても特別徴収義務者なり、あるいは納税者の協力をするような内面指導と申しますか、そういう行政指導を十分にやっていくという、こういったような一連のお約束ができておるわけであります。そういった点を勘案して参りますというと、課税対象になりまする素材石数の把握というものがかなり上って参るだろうと思います。それから課税標準となりますところの素材価格も先ほど申しましたような改訂の時期に参っております。そういう点を積み上げて参りまして、こまかい積算の過程は遠慮さしていただきますが、この改正以前と変らない現過年度二十億にすると、滞納分まで加えると、二十二億の税収は確保できる。こういう見通しを得たものでありますから、そういう税収の確保が得られるということを前提にいたしまして、この税の徴収を合理化していく。従来本税の運用をめぐりまして、納税者なり、特別徴収義務者と市町村との間にトラブルのあった問題も、今回の挙で一挙に解決をはかって参る。こういうことで軌道に乗るものと私ども考えておる次第でございます。
  166. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 とにかく税率を百分の四から百分の二にして、税収を確保します。あまり変らないというのは、結局脱税があったということですね。どうなんですか。
  167. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 率直に申しまして、従来課税の面から漏れておったものも上って参るということになるだろうと思います。それともう一つは、先ほど申しましたように課税標準になります素材価格というのが上って参りますから、その分の上昇割合というものも加味していかなければいけないだろうと思います。
  168. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは、私も山村が出身地ですが、それは遊興飲食税なんかよりははるかに把握は容易なんです。大きなものを人が見ているところを運搬するわけでしょう。四畳半なんかでだれが見てもわからないところで宴会をやって払うものと、それに対しては公給領収書というような、ある意味では人権に触れるような強い指導をやりながら、農地解放その他の中において最も恵まれている山林所有者に対して、これはほとんど半分しか結論からいえば把握していない。白昼公然とこんなものを運ぶのですから、それはもう徴収方法の指導よろしきを得れば、私は最も把握が容易なものだと思うのです。一体予定されたものの半分も取れぬようなのは、地方税の中で木引税ただ一つあるのみだ。それも実際どういう人がプレッシャーをかけたかということも言いませんが、私は事務当局としても、公給領収書を自由民主党の方ではこれを廃止するというときにおいても、税収確保の面から強く事務当局は主張していながら、ひとたまりもなく百分の四を百分の二に応ずる事務当局の、私は良心とも言いませんが、特にまあ国有林の払い下げの場合は、完全にこれは営林局でどれだけ売ったということはわかるのです。しかも徴収義務者が営林署長なんでしょう。その者がもう半分も納めないのをほうっておいたということは、これは何条ですか、罰則規定があるでしょう。徴収義務者がこれを怠ったときには懲役幾らとか、罰金幾らとかいう規定があるのです。一体これはどういうわけで、これはもう各営林署ごとに伐採石数をはっきりわかっているんですから、これはもう全然陰のものはないのです。だからはっきりと百パーセント把握できるのに半分も納めていない。徴収義務を怠っても営林署で懲役した者が一人もないということは、一体どういうわけです。
  169. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) だんだんの御注意の点まことにおっしゃる通りだと思います。私どもも決して事態を放置しておったわけではないのでございまして、たとえば、ただいまおっしゃいました国有林野の特別徴収義務の完全履行の問題につきましても、これは昭和二十六年に一回当時の林野庁当局と連絡をいたしまして、文書を出しております。それから昨年この税率が一%引き下げをいたしましたその際に、今度は私どもの方から市町村長に通達を出し、また林野庁の方からも業務部長名で全国の各営林署長に特別徴収義務の完全履行については、この通達をもって指導しているのであります。にもかかわらず、やはり従来から特別徴収義務の完全履行の面におきまして欠ける点があったことは事実でございます。こういった点につきましては、今回の改正を期にいたしまして、百パーセント完全に行われる、こういう確約を私どもも得ているわけでありますし、また当然そういうふうになるという前提で今回の改正に踏み切った次第でございますので、その間の事情は一つ御子承いただきたいと思います。
  170. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 大体これまで国有林のまあ引き取りというものがきまっているわけですがね。伐採の石数、引取額、どれくらい実際税金を納めておったのか、半分くらい納めておったのですか、把握率……。
  171. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 国有林野の方は率直に申しまして、最も取引の多いと申しますか——ちょっと前後いたしますが、この国有林野の所在市町村は御承知通り北海道、東北が最もおもなるものでございますから、この北海道、東北の方では営林署長の特別徴収義務の履行は完全に行われているようでございます。従いまして日本全国通じまして、国有林野の捕捉の状態はそう悪くはなかったというふうに私ども考えております。まあ御承知通り現在の木材引取税の課税の対象になっておりますところの素材の引取石数のうちの、大体六割から七割が民有林でございます。残りが国有林、こういう区分けになっているわけでありまして、やはり民有林の把握が非常に悪かったということが、やはり木材引取税の徴収成績をこんなに不振にしておった原因ではないかと思います。
  172. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 国有林の場合にね、実際はその徴収義務者として引き取る人から取っておいて、それをまあ内々にして納めずに、営林署の退職官吏を養ったりする金に充てて、市町村に納めていないというような例が非常に多いということを聞くんですが、それはどうなんですか。
  173. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 今御指摘になりましたような事実は、私初耳でございます。実は昨年私南九州の木材引取税の関係で市町村あるいは営林署の実態も伺ったのでありますが、その際に、どうして営林署の方でこの特別徴収義務を完全に履行してくれないのか、その原因を調べてみたことがございます。で、営林署長さん方の御意見を聞きますというと、現在この営林署ではそういう税金等の現金取扱いは、事務処理上できるだけ避けるような指導でやっておるので応じがたいのだ、こういう話が多かったくらいでございますから、取っておいて、それを退職官吏の援助のために充てるといったようなことはないのじゃないか。ただ私そのときに聞きましたところでは、その営林官署の方で特別徴収義務を履行することが、そういうことで従来望ましくないということで、おやりになっておられなかった国有林野で、市町村側の強い要望がございまして、市町村の方でこの行政書士を金を出し合って営林署の中へ置いておきまして、それで素材の引き取りがある場合に、税金は行政書士に払い込ませておる、その行政書士がそれを市町村に送る、まあ行政書士が一種の市町村における嘱託みたいな身分になっておるのじゃないかと思いますが、そういうことをやっておられるところがございまして、その運用の方法について強く注意を申し上げたことがございます。そういったようなことも今回は当然払拭される、こういう話し合いになっておるわけでございます。
  174. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 まあ細郷課長、鎌田課長の両方ともに重ねて申しますが、ともかく昨年は、所得税が減税された場合には、それが住民税のはね返りを防ぐために税率を上げていった、法人税の場合は特別措置もあるが野放しだと、木引税は昨年一%下げ、またことし半分にしてしまうというような、そういう法人や山林業者等に対してははなはだ甘いが、大衆課税の面ではかなりきびしいという、そういう基本的な態度についてやはり苦哀も、事務当局の立場もわからぬこともないが、そういう点については地方行政委員会でまた言いますが、最後に自由民主党と、この税率を半分にするので、ただいまも御質問がありましたが、市町村の税収入の六割も七割も占めておるところをどうするか、交付税でみるわけでしょうが、なおそれでも、そういうふうな徴税を合理化しても、なお非常に落ちるところは何か特別交付金でみるという約束がされたように新聞に出ておるのです。特別交付金は、交付金の特別分は百分の八から百分の六になり、だんだんその率も少くなってきたのですが、何でも問題が起きれば特交でみるということで、玉手箱みたいなことになるのですが、一体そういう約束はあるのですか、どうなんですか。
  175. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 今御指摘になりましたように、北海道、東北の一部の市町村でございますと、従来比較的よく把握も徴収もいたしております。そういうところでは徴収の合理化、課税の適正化ということで、今度の税率を半減いたしました分を今後取り戻すにいたしましても、完全に取ら戻すわけにはいかない、結局実質的に減収になる団体が生ずるおそれがありますので、その団体につきましては、三十二年度の徴収実績と、それから三十三年度の標準税率収入とをにらみ合せまして、その差額につきましては、激変緩和の趣旨から特別交付税で考えて参りたい、こういう方向でおることは事実でございます。
  176. 石坂豊一

    主査石坂豊一君) ちょっとお諮りいたします。他に御発言もなければ、内閣及び総理府所管については一応終了したいと思います。しかし矢嶋君から宮内庁に対する質疑の御希望がございますが、同君は今他の分科で質疑中でございまして、ちょっと手がつかぬのであります。それで宮内庁からは次長がお見えになっておりますので、矢嶋君の希望もあり、本日中に質疑を終りたいと思いますので、それまで暫時休憩することにしていかがですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 石坂豊一

    主査石坂豊一君) それじゃ暫時休憩いたします。    午後四時三十五分休憩    〔休憩のまま開会に至らなかった〕