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1958-03-19 第28回国会 参議院 予算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十九日(水曜日)    午後三時開会   —————————————   委員の異動 本日委員青柳秀夫君、曾祢益君及び中 山福藏君辞任につき、その補欠として 下條康麿君、羽生三七君及び加賀山之 雄君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     泉山 三六君    理事            伊能 芳雄君            小幡 治和君            剱木 亨弘君            迫水 久常君            高橋進太郎君            佐多 忠隆君            中田 吉雄君            松澤 兼人君            森 八三一君    委員            石坂 豊一君            大川 光三君            大谷 贇雄君            木島 虎藏君            古池 信三君            小山邦太郎君            後藤 義隆君            佐藤清一郎君            塩見 俊二君            下條 康麿君            館  哲二君            鶴見 祐輔君            苫米地義三君            苫米地英俊君            一松 定吉君            本多 市郎君            三浦 義男君            安部キミ子君           小笠原二三男君            岡田 宗司君            亀田 得治君            坂本  昭君            鈴木  強君            高田なほ子君            戸叶  武君            羽生 三七君            藤原 道子君            吉田 法晴君            加賀山之雄君            田村 文吉君            千田  正君            市川 房枝君   国務大臣    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    通商産業大臣  前尾繁三郎君   政府委員    経済企画庁調整    局長      大堀  弘君    大蔵省主計局長 石原 周夫君    大蔵省主税局長 原  純夫君    大蔵省銀行局長 石田  正君    大蔵省為替局長 酒井 俊彦君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    大蔵省主税局税    関部長     木村 秀弘君    東京税関審理課    長       佐藤 菊凍君    東京税関羽田税    関支署旅具検査    官       平石 昌三君    東京税関羽田税    関支署旅具副検    査官      宮  健三君   参考人    日本銀行総裁  山際 正道君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十三年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 泉山三六

    委員長泉山三六君) ただいまから委員会を開会いたします。  まず、委員変更について御報告申し上げます。本日中山福藏君、青柳秀夫君及び曾祢益君が辞任せられ、その補欠として加賀山之雄君、下條康麿君及び羽生三七君がそれぞれ選任せられました。   —————————————
  3. 泉山三六

    委員長泉山三六君) これより昭和三十三年度一般会計予算外二件を一括議題といたします。  昨日に引き続き、質疑を続行いたします。
  4. 羽生三七

    羽生三七君 私は、明年度予算関連から、明年度経済見通しをきょうお尋ねしたいと思うのでありますが、言うまでもなく、経済観測経済見通しというものが非常にむずかしい問題であることは、よく承知しております。たとえば、昭和三十一年度経済拡大のテンポは、万人の予想に反して、年度当初の政府見通し国民所得は前年比四・三%、鉱工業生産は七・二%の伸びというのに対し、実際には、国民所得は一三・九%、鉱工業生産は二三・四%の成長を示した事実によっても明白であろうと思います。そこで、私自身も、私自身の言うておることが全部正確で、政府の言うことは全部間違っておるとか、そういうことを言うのではない。私自身も、必ずしも百パーセント自分の立場が正確かどうか、非常に疑問でありますが、しかし、それにもかかわらず、前年度来のしばしばの政府見通しの誤まりを犯した実態を見るにつけても、やはりこの際、明確にしておかなければならない幾多の点がありますので、きょうは、その点に触れてお尋ねしたいと思う。特に政府は、今年度予算編成の際に述べられましたように、唯一の政府目標輸出振興にかけて、これに日本経済の発展を期待しておるわけでありますが、しかし、御承知通り世界資本主義諸国景気は、一般的に不況状況にあることは言うまでもありません。特に、アメリカ景気回復に格段の依存をしておる日本経済が、最近のアメリカ経済の動向を見るならば、今直ちに回復するという可能性もない。のみならず、きょうのニュースで、アメリカ連銀の公定歩合が引き下げられたと聞いておりますが、これはほんとうかうそか知りませんが、そういうニュースもあるようであります。また、アメリカにおきましては、政府当局がこの景気回復政策のために、消費性向の強い需要をも含める減税考えておる。そういうような、経済の大転換をしなければならないというときに、アメリカ経済に依存しておる日本経済は、一体今まで蔵相が言われたようなこの見通しでいいのかどうか、こういう点からまず第一番にお尋ねをしていくわけであります。  まず第一番に、大蔵大臣お尋ねをいたしたいことは、国会答弁、特に衆議院予算委員会における井上良二君の質問に対して、大蔵大臣はこう言っております。  この時期を底として、四—六月ごろには、横ばいながらきめのこまかい地ならしの時期となり、七月からは、米国景気好転にささえられて上向くだろう、こういう見解をとられております。ところが、去る七日の記者会見では、大蔵大臣は、米国景気回復予想よりおくれるようであるし、わが国経済調整の時期もおくれて延びるであろうと語っております。事実、今日の段階においては、過剰生産による不況深化は、もう一そう深刻となっておる。また、今申し上げたように、米国景気回復もそう期待できない、そういう情勢にあることは、もはや確実であります。そういう際に、大蔵大臣が、前の国会答弁記者会見との間に相当な隔たりを示した答弁をされておる。一体どちらをわれわれは信用していいのか。しかも、今現在予算審議過程であつて、この予算編成の当事者が見通し変更をされて、しかも、その見通しが後退をしているんです。これは予算審議過程においては、相当重大な問題だと思うのでありますが、一体萬田大蔵大臣としては、前の国会答弁と、あと記者会見の際の発言と、どちらがほんとうなのか。実際先の施政方針の際の当時の経済見通しと今日とは、われわれとしては、相当この情勢が変つてきている、不況はむしろ深化をしている、こういうふうに考えますが、この機会に、一つ大蔵大臣の詳細な経済見通しについて、明年度経済見通しについてお答えをいただきたいと思います。
  5. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいまの御質疑で、私が衆議院予算委員会答弁したことと、その後新聞記者に何か話したということと、その関連についての御質疑については、この委員会においても、私しばしば御答弁を申し上げたはずであります。他の機会でも話しました。それは詳しく、そういうことでないということを御答弁申し上げたのでありますが、しかし、せっかくの御質疑でありますから、さらに申し上げますが、第一に、今日の世界景気というものをいつ幾日によくなるとか、そういうことを言い得る人は、私はだれもないと思います。そういうことを要請するとすれば、それは非常に私は無理な要請である。ただ、政治をする者としては、政策として、いつごろこういうふうに持っていきたいという意欲を持っている、こういうふうに言わざるを私は得ないと思います。特に、今日のこの世界経済というものは、今お話がありましたように、総じて世界的なまあ好景気あとを受けまして、景気下降をしております。ですから、世界経済に対して最も大きな影響力を持っているアメリカ中心になって、今度は政策的にこの景気下降を防ぐ、言いかえれば、さらに景気をよくする政策をとる。この経済の本来のまあ自律的といいますか、自律的な経済動き、それに対して立ち向おうとしている政策というものが、どういうふうにクロスして、世界景気がなっていくであろうかということが私は問題であると思います。従いまして、アメリカ政策の出方がタイミングであるか、あるいはむろんアメリカ政策をやる場合におきましても、多くの場合において、国会承認も受けなければいけない。どこの国でも、国会承認を受けるというような施策というものは、どちらかというと、やはり私は、結果においてはそのタイミングにいかない傾向を多分に持っている、まあかように考えております。私が大体こういうふうに日本経済を持っていこうと言っているのは、それは、私が政策として、大体自分たちはこういうふうな政策をしている。しかしながら、その政策の結果として、日本経済がぴしぴし自分政策通りいくかというと、これは私はいかないと思います。そこにやはり具体的にはズレがあるというふうに言っても、これは少しも私は矛盾をしたものの見方、言い方ではないと確信をいたしております。特にまた、一つこういうときにお互いに考えなくてはならぬこと、特にまた、アメリカ経済について今日一番心配しているのは何かといえば、私が承知している限りにおいては、この不景気ということに対する人心なんです。アメリカ人心、これは心理的に、いかにも不景気であるというようにアメリカ国民が思い込んでいる心理、この心理が実際の経済実態を必要以上に悪くする傾向を持っておる。これはもう、アメリカの人が口をそろえて言うています。このことが、同時に私は、日本においてもやはり言い得ることじゃないか。日本においても、何でもただ悪い悪いというような行き方、それをもとにして、いかにも悪いぞ悪いぞということは、これは私は、日本経済を決してよくする道でもなかろう、かように考えて、こういうような前提において話を進めるのでありますが、そういうような前提におきまして、私がこの予算編成当時、それから衆議院大蔵委員会で話しましたのは、一応やはり私は、生産調整は三月ごろをもって終りたい、そういう考えを持っておるということはしばしば申しました。ただ私は、三月に終りたいと言うが、しかし、それにしても四、五、六は……やはりこれは、私は、調整——調整という内容がどんなことかというと、いろいろありまするが、そのときはすべて生産調整が終つておるというのでもないのです。なぜかというと、私が三月に終るように持っていこうと思っても、三月はもう幾ばくもありませんが、これは、私がしばしば説明しますように、生産調整ということは、事業家にとって致命的なのです。今まで、命をかけて自分事業を育てて大きくしようというのが、これが事業家として絶対なのです。それをいろいろな政策から、特に政府政策から、いやお前、こういうことをやっちゃいかぬぞ、ここのところは切り下げなさい、こういうことは、あらゆる可能な限りにおいて抵抗することがある。従いまして、政府がやろうとしても、実際にはずれる。それで私は、大体そういうズレ考えて、まあ政策としては、私がもしも六月に生産調整を終ると言ったら、これは終りませんね、これは、この秋まで行ってしまう。私が三月ころまでに終りたいという意欲を示すことによって、それに抵抗しつつ、実際は六月ごろまでに終ればいい。これは、政策をする者としては常に考慮に入ることなのです。そういうことをお考えを願わなければいけないと思います。従いまして、それなら七月からよくなるというのではない。なぜかと言うと、今、世界景気を言う場合に、この世界景気をよくするであろうと思われる一番大きな原動力は、アメリカ景気に対する対策なのです。そうすれば、アメリカ景気に対する対策というものは、いわゆる七月から始まる来年度予算によってこれは多く示されている。もう今まで金融的な措置をとつています。さらにまた、いわゆる公共事業についても考えているとか、あるいはまた、必要があれば減税、これはどうなるか、今私が確実に申し上げかねますが、減税についても考えておるという情勢もありますが、大体において、実際に予算の裏付けをもってやるのは、やはり私は七月以降の来年度予算です。アメリカほんとう景気に対して働きかけるのは七月以降になるから、一応私は、七月というところをとりました。七月からすく景気がよくなるというのではなくて、アメリカ景気対策は七月からであるから、一応どこかに区切りをつけてものを考えるとすれば、やはり七月くらいからは一応悪くはならないだろう、その辺を一応けじめに考えて、そうして景気というものを考えたらよかろう、こういうことから、まあ私はそういう期限を一応わかりやすくとっただけなので、もう七月から日本景気がよくなる、そんな私は独断的なことを言うておるのでは決してないのです。そこのところを何かといえば問題にするだけなので、私の考えというものはそういうふうなものではない、そういうふうな考え方は、払いまだ変つていないのです。先般何か新聞記者にそういうことを私が言ったが、あのときは断わっておりますが、世界景気に対しまして、今世界学者が、あるいは政治家がどういうふうな考えを持って、どういうふうにこれに対処しておるかということを説明したわけです。そのときにも、くれぐれも、たとえば今度の景気は、ソ連の学者とか、ヴァルガという学者ですが、私の知っている限りにおいては、大体において、これはやはり第一次大戦の後と同じ、第一次大戦後二十年にして世界不況が起ったが、今度は十三、四年に起った。これはやはり、自由主義経済にとつては致命的だ、なかなかそういうふうに回復せぬぞという見解をとつておるのが、共産諸国の大体において学者の一致した見解であるように考えておるのでありますが、これは、だんだんしさいに調べれば、違った見解もあるかもしれませんが、しかし、自由国家学者はさような考えでいませんので、これは、大体においてアメリカ景気対策、今日やはりアメリカ景気をなおすことは、国際的な規模において行われつつある、ですから、そういうふうな行き方からすれば、徐々によくなるだろう、そういう点においては一致しておると思います。ただ、いつからかというのが非常な問題で、いつからかということと、どういうふうな根拠に基いて、原因に基いてよくなるかということについて意見の相違がある。ことに今、時期の問題があるのですが、時期の問題については、何といっても一番早いのはアイゼンハワーの話です。アイゼンハワーは、あれほどアメリカ経済についても影響力を持ち、同時にまた、アメリカ経済世界経済に大きな影響力を持っている。その首脳であるアイゼンハワーが、責任を持ってやはり経済報告をして、そうして三月ごろということで一番早い。アイゼンハワー政治家でありますから、いろいろと意図するところはありましょう。こういうふうな意見に対して、アメリカ経済学の、私どもも幾らも勉強しておりませんが、経済学のたとえばハーバード大学の教授なんかは、どちらかというと早い。アイゼンハワーのように、幾らか早く景気がよくなるだろうと言っておる。そのほかにしても、知っておる限りにおいては、秋口とか、あるいはおそくとも来年の春になる。しかし、景気が徐々によくなるだろうという見解については、だれも私は異論はないと思う。それから、ものの景気見方については、いつ幾日だとか、一カ月がどうというのは、私はそれほど問題にすべきでない。景気が徐々によくなるのか、いやもうよくならぬ、むしろだんだん悪くなるというのか、その見方がどちらかというと問題になるので、むしろ一カ月を、お前は早くなると言うた、あるいは二カ月おくれておるじゃないかということを、それは私は、そこまではっきり言えということは、だれも言い得る人は、世界中にはっきり言える人はないと思います。これは無理じゃないか。どちらが当るか、やってみなければわかりません。特に政策的にものをやるのですから、たとえば、アメリカアイゼンハワーが一カ月早く大規模減税をやるということを実現すれば、またそれは違ってくる。しかし、二カ月おくれてくるとすれば、同じものの景気見方において間違ってないが、時期のズレが生ずる。こういう状況から、そういうものの見方が必要である。従って、いつ幾日ということは、それはやはり私は、言葉をもてあそぶ意味で、その点において次に保留する、私はそういうことにして、政策的にはこういうふうに自分としては、いやおれは知らぬぞ、やはり大蔵大臣として、こういう時期までに日本経済をこう持っていこうとしている、しているが、実際はずれるかもしれぬよということを私はつけ加えておるのでありまして、その点は、一つ十分御了承を得たいと思う。  それで、今大体私が御答弁をかねつつ申し上げたことで、どういうふうに内外の経済動きを見ておるかということは、一応御了解を願えたと思います。
  6. 羽生三七

    羽生三七君 もとより経済調整が予定した時期に、予定した目標達成を必ずしもできると私は思っておらぬ。そんなことは、あなたから言われるまでもないことなんです。しかし、政府見通しがしばしば誤まつておる、非常に誤まつておるということは、たとえば、昨年の二月の五日に、私は当院の場本会議質問した。そのときに、当時の池田大蔵大臣は、私がこの昭和三十二年度国際収支はこのままで行けば赤字数億ドルを記録することになりはしないか、——当時十四億数千万ドルであったのです。それが、絶対にそんなことはありません、数千万ドルの黒字を記録すると大みえを切られたが、数カ月を経ずして、手持ち外貨は半分になつた。そうして今日、御承知のように、金融引き締めや非常な破産、倒産を見て、しかも十月は、不渡り手形は戦後最高を示しておる。そういう形に変化して、去年からおととしにかけての経済見通しの誤まりは相当なものだ。私は、池田さんと同じく一萬田さんが誤まりを犯すとは思いませんが、それにしても、あなたは、選挙を控えて、口に、率直に言ってくつわをはめてものを言っておる。これは、明白に景気は後退して、今大蔵大臣が言われておるような、一カ月や二カ月のズレなんということではない。また私は、そんなこまかいことを追及するのではない。基本的な問題を言っておるのであります。そこで、今のお答えは、あまりにも抽象的である。  そこで、次にお尋ねしたいことは、今のような段階にある日本経済を建て直すために、大蔵大臣は、依然として国際均衡第一主義であるのか、貿易振興にすべてをかける政策をもって、依然として内需抑制金融引き締め、この政策を持続して、そして国際収支国際均衡第一主義を依然として継続されるのかどうか、そういう具体的な質問をしないと、あとのことが続かないので、まずその点を御質問いたします。
  7. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私は、日本経済の運営の目標輸出振興、これにおくことには間違いありません。ただしかしながら、それだから金融をただ締めていくというのじゃありません。今日やはり貿易を振興し、輸出超過経済に持っていくために何が障害であるかといえば、輸入を非常に増加せなくてはならぬ。なぜ輸入増加になるかといえば、日本経済が伸び過ぎたといいますか、あるいは投資が非常に多過ぎたというところにあります。従って、投資を従来抑制してきたのでありますが、その投資を抑制して、そしてものの需給バランスを得る最終段階が、生産調整になると私は考える。今そのちょうど生産調整がだんだんと終末に近づきつつある、その段階である。従いまして、私どもも、一番日本経済において今度の措置で悪い時期は、一月から三月、三月が一番ピークだろう、この月が一番ピークだろう、こういうことを初めから言うておるわけでありまして、今日日本経済がそう思わしくないということは、もうこの政策をやるときから当然の帰結であったのであります。従いまして、今経済が悪いのは、非常に、何といいますか、見込みが違ったというような、こういう考えは私どもとしては毛頭持ってない。ただ、ここで生産調整ができて、ものの需給バランスということが考えられるようになりますれば、ここに当然やはりストックというものがあります。生産調整されても、今ここに、オーバープロダクトしておるストックというものがある。これをどう処理するかということが問題でありますが、こういうものにつきましては、生産調整されてくれば、それはストックというより、むしろ需給タイミングがずれて、合わなくなっているというふうに考えていいじゃないか。言いかえれば、そういうふうな生産調整ができた上は、いたずらにただ売り急いで、安くても何でもいいから、ただ売ればいい、そういうことはしなくてもいいじゃないか。言いかえれば、そういうときには金融をつけていいじゃないか。なぜかといえば、今売れないが、先には売れる見通しがあるでありましょう。そうしてただそれがふえるという、ここでは生産調整は除去しているのだから、そう心配しないのだから、そういう点では金融をつけていいという考えを私は持っておるわけであります。従って、そういう点においては、何も引き締め一本ではありません。ものの根本を整えておいて、あとの始末については、金融的にも私は考えてやろう、こういうふうな考え方をいたしておるわけであります。ただ、生産調整がなかなかうまくいかない。そこがずれておるというところに今日の困難性があるというふうに考える。さらにまた、今までの大体の金融行き方といたしましては、投資を押えるということが中心であります。なぜかというと、先ほどお話があったように、あれほどの過大な輸入をしなくては十分でなかった。そういうふうに投資が伸びたのでありますから、これを押えていくのには、いかにも資金需要が旺盛であるということを国民に印象づける必要があると思います。それで、実を言うと、ほんとう金融テクニックからいいますと、財政的に資金が非常に引き揚げ超過になっておる。財政の方では金が非常に余っておる。しかし民間では、貯蓄がそれほどできない。そういう場合は、財政資金民間に還元しまして、そうして一体となって、金融の平静を保っていくことがよろしい。これは金融テクニックなんです。けれども、こういうふうに押えろということを特に意識して、必要とする場合におきましては、そうなると、金融が何かうまくいっているというような印象を与えてはかえって適当でないという意味から、財政資金の引き揚げは一応していこう。要る金は日本銀行から出していく。ですから、日本銀行貸し出しが非常に多くなって、今日おそらく六千億をこしておるでしょう。日本銀行総裁かいるから、後ほど説明があるでしょうが、六千億、千億取っても五千億、こういう状態は非常に悪い。それで、生産調整までいって、投資が押えられたという段階に来たら、ここで私は財政資金を市中に還元しよう。そうして出しただけ日本銀行貸し出しを回収していく。資金量全体としては同じ状態に置くが、今度は、長期に使う金は、政府に引き揚げておるのだから、これを出して長期にして、いやしくも短期以外には貸さない日本銀行の金が、市中銀行や会社を通じて長期に回っているが、それは貨幣価値の維持の上からも適当でないのですから、私は、早く置きかえて、肩がわりをして、日本銀行へ回収すべきだ、こういう政策を今後とろう、いわゆるこれは金融の正常、そういうふうな方向をできるだけやっていこう、それと同時に、眼目を輸出超過ということに置いておりますから、その輸出超過からだんだん民間資金がふえてくる、外為会計も払い超、払い超になるわけです。そうすると民間資金も豊富になる、民間の金利もゆるくなってくる。そうすると、今後金融体系というものも確立していき、日本銀行、市中銀行の金利、社債株式の配当に回る。こういうものが一連として体系をなしていく。こういうふうな考えで、これから先さらに金融がゆるめば、私は、先般の預金者支払準備制度も導入しよう、それからマーケットオペレーションもやるようにしよう、金利体系が確立するから、これは先の話ですが、今度は、そういうときが来れば、日本銀行の公定歩合なんかも、上げるときは上げる、下げるときは下げる、何もこだわらずに、客観的な情勢に応じて金利の操作をやる、こういうふうにしていけば、金融面からも、財政金融一体となって、日本経済が安定した基礎の上に発展するだろう、こういうような方向をとっておるのでありまして、決して私は引き締め一本ではない、私の言うきめのこまかいというのは、そういうことでございます。そういうふうに、資金を計画に応じて流れるようにして、それに基して金利体系とかその他の金融操作のすべての機能が弾力的に敏活に動くような方向に持っていく、こういうふうに私は考えると同時に、もう生産調整ができれば、あとはやはりめんどうも見よう、こういう形で、私は今後そういうふうな考えをもってやっていく、それが私の言うきめのこまかさ、こういうふうに考えております。
  8. 羽生三七

    羽生三七君 今の御答弁でも、まだ非常に抽象的だと思いますが、ここで、日銀総裁としては、三十三年度経済見通しをどうお考えになっておりますか。私ども、こういう公式の議会でお話を承わる機会が少かったのでありますが、新聞報道から推測する以外にはないのです。新聞報道によるというと、日銀としては、日本経済の体質改善と国際均衡の優先という立場から、今日のこの段階においても、なおかつ金融引き締め政策を持続し、金融緩和の意向はないように言われております。果してそうなのかどうか。また、今日のこの深刻なデフレ下、不況の深刻な状況のもとで、それに対処する何らかの考慮や工夫があるのか、あるとすればどういうものなのか、一つこの機会にお聞かせいただきたい。  それからもう一つは、過剰生産による不況の克服を、単に操短や金融引き締め等の生産調整だけに求めんとするのか、これは大蔵大臣見解になるかと思うのですが、この機会に、あわせて日銀の見解を承わりたいと思います。
  9. 山際正道

    参考人(山際正道君) お答えを申し上げます。昨年の年初来、急激な国際収支の逆調に遭遇いたしまして、おびただしい外貨を喪失する情勢に相なりました際に、日本銀行といたしましては、その原因が投資の行き過ぎにあるという断定のもとに、金融引き締め政策をとってこれに対処すべきであるという結論に到達をいたしまして、御承知通り、昨年の三月並びに五月に公定歩合を引き上げ、これを中心とする引き締め政策をとったわけであります。なお事態に応じまして、続いて政府におかれましても、六月に国際貸借改善緊急総合対策を策定、決定されまして、これを実施に移されて参ったのであります。顧みますれば、特に大幅に公定歩合を引き上げました昨年の五月以来、今日までにすでに十カ月あまりを経過いたしたのであります。幸いにいたしまして、この苦痛の多い金融引き締め政策国民各位の非常な御労苦並びに関係方面の非常な御努力の結果、諸般の経済指標は、大体所期のコースをたどって参りました。着々とその成果が認められて参っておりますることは、私当事者といたしまして、まことに感謝にたえないところであるのであります。  これを経済実態から見ますると、大体においてまず行われましたのが流行部門、流通段階における調整でございます。これは大体昨年末までに一巡をいたしまして、今日の段階はただまもお話のございました通り投資の抑制並びに生産調整が着々と進められておる段階に参っておるのであります。今日の各種の経済指標は、御承知のごとく国際収支自体につきましても、物価にしましても、または銀行券の回収の状況にいたしましても、まず大体予定されたコースをたどっておるわけでございまして、今後は最後の仕上げの段階といたしまして、特に生産調整中心として進められておるわけでございます。  しからばこの生産調整段階、いわゆる物資の過剰生産をいかにして需要に適合せしめて業界の安定をはかるかという問題は、いつごろになったら終末をつげるであろうかということが関心の的になろうと思うのでございます。ただいまもお話しのございました通り経済事象の見通しというものは、幾多の仮定の条件のもとに成立しておるのでございますが、もし、今ありまするような経済諸条件がそのままに進行するといたしまするならば、ことにその点につきましては、金融の引き締め態度の問題、それから輸出が大体少くとも今の程度は持続できるという問題に加えて、企業家の調整の熱意並びに銀行の貸し出しの態度、これがかりに現在の情勢を続け得るものと仮定いたしますならば、私は生産調整問題は大体三十三年度第一四半期でめどをつけ得るものと考えておるのでございます。ただ、特に懸念いたしておりまするのは、企業家の過剰生産の整理の熱意であるとか、あるいは銀行の貸し出し態度とかいうものが、たまたま昨今一部にちらほらいたしておりまするような金融緩和期待、あるいは底入れ感といったようなものによりまして鈍るようなことがございますと、おそらくは、第一四半期中にその完了を見ずして、あるいは一カ月二カ月のおくれをとるかもしれないということを懸念いたされるのでありまして、この間の成り行きは、今後注目を要するところと考えておるのであります。しからば、その後に続く事態はどうなるであろうか、こういう問題でございますが、私はやはり調整一巡の後におきましては、何と申しまするか、地ならしと申しまするか、底固めと申しまするか、その均衡を回復しました状態において、しばらくの期間が横ばいと申しますか、続けられるであろうと思うのであります。そして、その後経済かいかなる推移をたどるかという問題につきましては、これは私は漸次上昇カーブをたどるであろうと思います。ただ、それが単なる人口増加、その他に基く日本経済の自然の発展の限度でとまるか、あるいはそれ以上に上昇を期待し得るかという問題は、ただいまも御指摘のございましたその当時における海外の情勢、なかんずく米国における景気後退対策が、どの程度の効果を発揮し得るかという問題に関連することが非常に深いと思うのであります。ここで、米国その他海外の傾向のいかんということに関連いたしまして、特にわれわれとして注意いたしておりますることは、アメリカその他の経済情勢が立ち直るということは、われわれの前途に非常な希望を持たせるのではありまするけれどもアメリカの国内情勢がまず落ちつきを取り戻し、それがヨーロッパに移る。また、後進諸国家に及ぶという経過をたどり、また、それが日本経済に反映するというためには、やはり何がしかの時間的経過が必要だということは忘れてはならないと思うのであります。従いまして、現実の施策に当りまする者といたしましては、今後の海外情勢に十分注意を払って参りますることはもちろん、その他の時間的な経過等も考慮に入れまして、そうして施策を進めるべきものと考えておるのであります。相なるべくは、今の引き締め政策の推移から考えましても、この歳末ごろには、経済上昇の曙光を認め得るような情勢にぜひ持っていきたいものと念願をいたしてやっておるような次第でございます。
  10. 羽生三七

    羽生三七君 これも非常に御答弁が抽象的だと思うので、もう少しこちらから具体的にお尋ねしたいと思う。そもそも国民生活の安定とは何であるか。生産調整と言われましても、これは先ほど大蔵大臣からお話があったように、その内容はいろいろである。供給か過剰である場合にそれを押えるのか、あるいは逆に需要を抑制するのか、いろいろ内容もあると思う。もとより、われわれも前年度来の過剰生産を抑制したり、思惑輸入を抑制したりすることは、必要であろうと思いますから、ああいう事態をもう一度再現することが正しいとは思わない。  しかし、それにしても、一体今の政府の方針や日銀の方針は、あくまで国際均衡第一主義だと思う。何のかんのといろいろ言われましても、国際均衡第一主義であります。外貨保有の問題がすべてに優先しておる。さてそこで、一体この国際均衡を第一に見て、外貨保有数量さえふやせばいいのかどうかという問題が出てきます。もちろん、われわれは一定の外貨の保有は必要な条件であるということ、また、その意味国際均衡もまた重要な要件の一つであるということは、論を待たないと思います。しかし、このことは、いついかなるときでも無条件的に承認されることではないと思います。その意味で、日本経済のこの段階を吟味するときに、政府の結論とわれわれとの間には、相当な開きがある。第一、見通しの基礎をなす数字のとり方も相当に違っております。私はここで国際収支の面から、さらに重ねてお尋ねをしたい。私はこの場合、自分意見もさることながら、大蔵省の財務官の研究発表を若干引用してみたいと思います。下村財務官の発表によりますと、三十二年十月以降、国際収支は引き続いて黒字を記録して、一—月の貿易の収支は実質的に一億ドル前後の黒字を記録しておる。これを年率にすると、年率では五億ドル程度の黒字が見込まれることになっております。これを具体的に見ると、輸出で言うと、一—三月の見込みは七億ドル、年率に直すと二十八億ドル、昨年十月、十二月の数字を年率に直したものは三十億前後とされております。さらに輸入についてみますると、一—三月は実質輸入は約六億五千万ドルと推定され、これを年率に直すというと二十六億台の数字となるように言われております。これは三十二年十月以降の輸入為替で見た輸入水準といわれるわけでありますが、来年度輸入見込みは、政府の公式数字によりますというと、三十二億四千万ドルになっております。現在実際に決済されておる輸入為替の大きさから見ると、これは明らかに過大である。生産輸入の正常な関係から見て、現在の水準よりも年率で六億ドル以上も増加しなければならない理由はないと言われております。しかも政府の言うように、来年度生産が本年度に比べてその伸びを四・五%見るならば、輸入の伸びは非常に少くなる。これは輸入意欲が鈍化しているということで現実に証明されておる。本年度下期の輸入水準は年率で二十六億ドル程度、それに輸入の増加二億ドルと見て、計二十八億ドル程度と見込まれます。明年度の輸出が三十億ドルないし三十一億ドル程度であるといたしますと、純粋貿易だけで二億ドル前後の輸出超過になる。それに貿易外受け取りの二億五千万ドル程度をプラスいたしますと、約四億ドル以上の国際収支における黒字が見込まれることになる。これらの見通しは、政府の今日までの国際収支見通しと相当の開きがあると思うが、しかもこの二、三年間の打ち続く政府見通しの誤まりと、またわれわれ自身見解をあわせて考える場合に、私が今引用したこの見通しは相当信憑性があると思う。政府国際収支見通しはどうであるか。また、今日の段階においては、今私が言ったようなことは実際に比べてどうであるのか。具体的に一つお答えをいただきたいと思います。
  11. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいま下村君の考え方についていろいろお話がありましたが、下村君の考え方考え方でよろしいのです。しかしこれに対してはまたいろいろな議論が多い。また、下村君は、昨年度のいわゆる皆さんの見解が違ったじゃないかということについても、やはり下村君はああいうふうに日本経済は心配ないという見解を持っておったのですから、これはそう一人の人の意見を信頼することは私はないと思いますが、その数字をおとりになることは差しつかえない。  それから、日本の今後の国際収支見通しですが、私ども国際収支が数字的にどうなるかということは、それほど大きな値打ちといいますか、与えておるのじゃない。国際収支がなぜ赤になりなぜ黒になるか、その原動力になる世界経済日本経済の実体自体に重点を置いておるので、その日本経済動き方の結果が、ただ計算の形において国際収支の上においてあるいは赤になり、あるいは黒字になるということなんで、私どもも、むろん黒字が非常にふえるということは、日本経済が国際経済に比べても非常にいい面を持って繁盛しつつある、という意味において私は慶賀するのでありますが、ただドルをたくさん積み上げたからそれを喜んでおるということではありません。それは一つ御理解を願います。  そういうふうな関係で、さてそれなら三十三年度国際収支はどうであるか。これは先ほどから申しますように、今日の世界経済は行き過ぎのあとを受けております。ヨーロッパにおきましては、大体においてあまり行き過ぎということが、私はインフレ的ということであったと思いますからインフレを抑制する施策に集中されておる。それがやはり今日通貨価値の維持安定、ということを中心とする緊縮政策がヨーロッパにはとられておる。こう大まかに言っていいと思います。アメリカはちょっと違うと思います。アメリカはやはり景気かよ過ぎた。景気がよ過ぎたのだが、アメリカ景気のよ過ぎたというのは、また日本景気のよかったというのと若干私は違うと思う。違うというのは、景気かよかったのが違うのじゃなくて、なぜこの辺で一つ投資というものを考え直さなければならぬか、という原因に若干相違がある。これは日本でも同じことを考えなければなりませんが、アメリカはちょっと違う。なぜかというと、何といってもあの人工衛星か大きな影響を世界に与えたと思う。そこで、今までアメリカは科学技術においては確信をもってきておったと思う。おれが何といっても一番いいのだ。ところが、やはり人工衛星はこの点においてアメリカにおいて事実反省を与えておる。ちょっと待てよ、非常に自分たちは科学技術が進歩したつもりで大いに設備の拡大をやっているが、まだいいのがあるかもしれない、ただむやみにここで拡大してもいかぬから、もう少し科学技術というものの実体について見きわめて、それからさらに投資というものを考えていかなければならないのじゃないか、そうぜんと、せっかくやっても時代おくれになる。こういう反省も私は相当アメリカにはあったと思う。まあ、そういうことから、従って、こういうふうな投資の抑制は、何かわけはわからぬ、むちゃくちゃに投資をして、どうも金が足らなくなった、物もたくさんできた、売れなくなったからここで抑制する、というような行き方の国とは行き方がちょっと違う。私はこのように思っておるんですが、そういう点もある。そういうことを考え、いずれにしても原因はともかくとして、世界経済下降的な道をとる。さらにヘッド・ダウンをしておることは、これは私もそう思います。こういうような情勢下においてよほど努力をしないと、お説のように、日本貿易がやすやすと伸長するというようなことは、毛頭考えておりません。そうであるからアメリカにしても今度ほんとうの思いきった景気対策をとっておる。たとえば連銀あたりの公定歩合の引き下げも、非常にひんぱんであると同時に大幅です。そうしてまた金融に関する限りは、たとえば担保率の引き上げとか、あるいはまた預金準備率の引き下げとか、もうほとんど金融について打つ手は打つような状況でやっております。そうして今後さらに財政面からもう少し積極的にいこう。こういうふうにやっておりますから、その事態を見ても、世界経済の今後の動向をあまく見るということは、これは絶対禁物であります。私なんかそんなことは毛頭考えておりません。おりませんが、しかしそれならただ引っ込んでいればいいかといえばそうじゃないので、日本貿易考える場合は、私は日本貿易は非常にいい若さを持っておると確信をしておるのであります。これは戦後において日本貿易態勢というものは、ある意味において少しも——少しもというとまた、しかられるかもしれませんか、非常な大きな部分整っていないと思います。第一、主要な国となお平和条約を結んでいないというのがありますし、それから海外の商社の支店も許されていない。滞在さえ許されていないというのもあります。その他、今後日本貿易を伸ばすに役立つであろう条件の改善というものは、各方面に私はあるように考える。こんなものを今後大いにやらなくてはならぬと一つには考えております。まあそういうふうなことを考えて、そうして世界経済に対して、幸い生産力も増して、日本の物価も国際水準までこれはおよそみなきておる。あるものはそれ以下にも下っております。こういう状況をもって努力をすれば、少くとも三十三年度の三十一億五千万ドルの輸出の達成は可能であろう。それを数字的に扱う根拠を言うと、今日大体月々の輸出が、多いときは二億八千万ドルもありますが、まあ私は、二億四千ないし五千万ドルの輸出は、今の実績からいけばおよそできるのじゃなかろうかと思う。これも相当努力は要ります。かりに二億五千万ドル、今できておるのが二億五千万ドル程度ですが、平均すると若干落ちるかもしれません。そうしてみるとこれが三十億ドルにはなるわけであります。これは貿易だけであります。このほかに特需とかあるいはまたいろいろインビジブルの分を加えると、全体の国際収支として三十一億五千万ドルというものは、それ以上の三十二億ドルくらいはいく。そういう点を入れると、一方先ほどおっしゃったように、輸入の三十二億四千万ドルは、私は実際はそれほど要らないのじゃないかというふうに思っております。何もそうだからといって、今後輸入を締めるなんということは、また言われても困る。そういうことはしませんが、やはり結果としてそうじゃないだろうか。その後において従来の原料等の輸入をしておるストック状況等から見てそうじゃないかというふうに、少くとも、そうしてまた、三十三年度においては、設備の拡大のために所要する機械等の輸入は、これはもうほとんど入らないというようないろいろな状況考えてみると、もう少し減るのではないか。そうしてみると、黒字が一億五千万ドル出るということは、これは私は達成が、問題は三億五千万ドルの輸出ということであるが、今言うたような見地から、私は容易にできるとは思いません。大いに努力は要りまするが、努力をすれば、可能な客観的な条件はないことはない、あるだろう、努力していこう。もしも、三十一億五千万ドル輸出ができぬとすると、日本経済は来年度は伸びがないと見なくてはならぬ。そうしますと、雇用関係は全然いかぬ。失業者が大へん出ることを考えなければならぬ。これがまた、財政負担に及ぼす影響、そういうことは結果的ですから、今ここで触れる必要もありませんが、これは日本としては三十一億五千万ドルは、あらゆる努力を払って達成しなくてはならぬ。その条件は一応ある、かように考えておるわけでございます。
  12. 羽生三七

    羽生三七君 このまあ、いずれにしても政府国際均衡第一主義をとっておることは明白だと思うのですが、この生産過剰が支配的になって、需要と供給のアンバランスから、中小企業等の破産、倒産あるいは不渡り手形、あるいは失業者の増大は来年度じゃない、もう今、現に出ておるのです。非常に深化しておる。しかも、決定的な様相すら呈しております。現に私がこう言っておる今、中労委会館では人絹関係の融資が、これは通産大臣おられますが、融資がストップされたために、大量の馘首が起って、きょう大会をやっておる。そのほかにちまたには、労働者の馘首が今日の現実の問題になっておるのです。そういうときに、一国経済の安定という指標を何に求めるか、これはもちろんきわめてむずかしい問題でありますし、さきに述べましたように、私はこの国際均衡や、あるいはこの外貨保有の数量を無視するものではないのです。これはもう重要な条件であることは言うまでもありませんが、今日の日本経済のこの段階において求めることは、私は国際均衡と国内均衡をバランスさせることじゃないかと思うのです。これは何も下村さんの意見じゃありません。私はちゃんと一月の本会議で一萬田大蔵大臣に申し上げておる。これはバランスさせなければならぬ。アメリカを初めとする世界資本主義諸国景気後退のことは先ほど申し上げましたか、そうだから、日本もそれに歩調を合せるという意味じゃない。世界不況だから、逆に日本はその影響をどうやってチェックするか、どれだけ少くするか、ここに問題があると思うのです。そもそも、この問題の焦点か、そこにあるのですから、国際均衡だけに重点を置くというこの政府政策は、私は典型的な金融資本の政策だと思うのです。これは全く典型的な金融資本の政策だと思うのです。生産調整のためには、国民生活をある程度犠牲にするのです。これは何といったって間違いありません。そういう意味で言うならば、経済の伸びのことを言われましたが、これは縮小均衡であります。伸びやしません。伸びても非常なわずかなもので、これはもう実際には相対的にいえば、縮小均衡だ。そういう場合に国民経済の成長率はむしろ私は高めるべきだと思うのです。そういえば、政府は赤字を記録したこの前年度国際収支の経験を、問題にされておりますが、それは言うまでもなく私が先ほど指摘したような無計画的な設備投資、思惑輸入等がそもそも問題である。為替管理政策をとっておりますか、実際はほとんどこれはコントロールできない。一体為替管理とは何であるかということになる。そういう意味でいうならば、政府自身にむしろ問題があると思うのです。  それからこの正しい意味国民生活のあり方、それを今日の日本的な条件のもとで言えば、これを先ほど申し上げますように、国際均衡と国内均衡をバランスさせることだと、そうしなければ不況はますます深化し、失業者かふえ、中小企業の破産、倒産は続出して、今の三十三年度予算に示されたようなこの雇用対策、中小企業金融ではもうおっつかないのです。そう思いますが、依然として国際均衡を第一に考えるのか、あるいは国内均衡とバランスさせるために若干の手直しをする必要を認められないのか。また、日銀総裁からもこれについての見解を求めたい。一体今日の段階における外貨の保有高は、どの程度が正常と考えるのか。どう考えても、私は日銀の考え方は、外貨が蓄積されれば、これでいいのだ、それが一国経済の安定だというふうに考えておるように思う。もちろん、それも重要な条件である。しかし、私どもはそれとともに、国民生活の安定ということもまた、至上の一つ政治家に課せられた任務なんだ。この調整はどうするか。こういう意味で言うならば、私はやはりこの国際均衡と国内均衡をバランスさせることだと思うが、一体それについて大蔵大臣はどう考えられるか、あるいは日銀としては現在の外貨保有高ではまだ不満足なのか、外貨保有高が、日本経済の現実に即した外貨保有高というのが、どの程度がノーマルなものと考えられるのか、その点をお伺いしたい。
  13. 泉山三六

    委員長泉山三六君) ちょっとお待ち下さい。羽生君に申し上げます。山際参考人のおいでを願いましたのは、非常に多忙な中でありまして、特に差し繰りまして半年三時から四時までと、こういうお約束になっております。従いまして、もしそれ以上に山際参考人お尋ねの点がございましたら、この際合せて御発言を願います。
  14. 羽生三七

    羽生三七君 それじゃもう一点だけ、この機会に日銀総裁にお伺いをいたしますか、この明年度政府財政支払い超過は大体千二百億程度と見積られておるようでありますが、日銀の中には、これは佐々木理事と承わっておりますが、千二百億円のうち一千億円は吸い上げてしまうというやり方をするのだということを述べられたそうでありますが、実際そういう政策をとられるのかどうか。それから今の外貨保有高の問題、それから国際均衡と国内均衡とのバランスの問題、時間がおありになれば大蔵大臣の前に一つお答えを願いたい。
  15. 山際正道

    参考人(山際正道君) 大へん広範囲なかつ複雑な問題についてお尋ねでございますけれども、私の考えておりまするところを、あるいは私の所管外にわたるところもあろうかと思いますけれども、一応お答えを申し上げたいと思います。  国民生活の安定についてどう考えるかというお話しでございますが、私はおよそ経済政策の最終目標国民生活の安定を期するにあると考えております。その経済政策の一環といたしまして、昨年来の国際収支状況に対処いたしまして、金融引き締め政策をとっておりまするものの、そのゆえんは、要するに最終的には、国民生活の安定的な発展に役立ち得ると存ずる信念に基いてやっておるわけでございます。日本の国情といたしまして、食糧の非常な、相当の多量部分を海外に仰がねばならぬ状況にあり、また、工業原材料の非常な部分を海外からの輸入に待たねばならぬ国情といたしましては、その経済の繰り回しに必要な程度の外貨を安定的に保有するということは、私はこの国の経済の安定をはかり、発展を期する上に最小限度の要請であると考えるのでございます。従いまして、およそ経済の施策はかかる状態を最上の前提といたしまして、それに合わせて諸般の経済活動を調整されてしかるべきではないか。これが日本という国の置かれておる経済上の立場である、かように考えておるわけでございます。  それにしても日本銀行政策は、いわゆる国際均衡至上主義であって国内均衡の方をないがしろにしておるではないかというお尋ねでございまするが、この点につきましては、自然ただいま申し上げました事柄によって御推測いただけるかと考えまするが、国内の均衡を確保しまする上には、どうしても国際関係における均衡状態を保持するということが前提になると考えるのでございまして、この両者は、むしろ不可分の関係にある。それが今一時、異常の事態において破れかかっておりますのを目下調整するというところで各般の施策が行われておる。かように考えて、やっておる次第でございます。お話しのように引き締め過程におきまして、中小企業の困難か相当顕著に出てくる、あるいは雇用の問題について非常な摩擦が生じやすいという点は、引き締め政策を始めまする当初から最も懸念をいたしておりまするところでございまして、日本銀行といたしましても、自来この問題は、しょっちゅう深い関心をもってその成り行きを注視しておる問題でございます。特にこの問題に処しますために、銀行といたしましては、常に経済界の実情を的確に把握して、各種金融機関その他経済団体あるいは地方の諸官庁等とも緊密に連絡いたしまして、常に情勢の判断、資料の収集に努めまして、それを各地からまた本店に逐次連絡いたしまして、常時その成り行きを注視しておる。中小企業について申しますならば、いやしくも中小企業なるがゆえに、あるいは金融の疎通を害する、あるいは一つの倒産整理が、連鎖反応的に、何ら欠陥なき中小企業にまで波及するおそれはないかどうか、また、大企業の支払い遅延等の結果、堅実な中小企業等が異常な苦境に陥るようなことがありはしないかというような点につきまして十分配慮をいたし、関係金融機関とも常時連絡をいたしまして、できるだけさような事態の防止に努めて参ったのであります。また政府におかれましても、特殊中小金融専門機関に対しては、同じような配慮で臨んでおられるように承わっております。彼此相待って御承知通り、ほとんど引き締め政策実施以来、毎月が危機であります。何月危機、何月危機という危機の連続ございましたが、どうやらようやくそれを乗り切って今日に至っておる。かような実情にあるのでありまして、この点は今後といえどもこの仕上げに際しまして、一そう注意深く注視をいたしまして、いやしくも連鎖反応的に、健全なるものまでも、その渦中に巻き込まれるということのございませんように、十分な配慮をめぐらして参りたいと考えております。  また、雇用の問題につきましても、まことにこれは痛心にたえない問題でございまするけれども、全体といたしまして、大局的に国民生活の安定を確保する上にやむを得ざる摩擦として、ある程度の雇用の減少につきましては、なるべくこれを少くする努力はいたしまするけれども、やむを得ざる分については、これは他日の発展によってこれに報いるというつもりで減少の事態を生ぜしめておるわけでございます。幸いに見ておりますと、各企業家団体におきましても、今回は前回の引き締めの事態の経験もございまするせいか、非常に計画的になるべく実害の少い方法において整理その他の進捗をはかっておる模様でございます。しかしながら、御指摘の通り、これは非常に重要な問題でございまするので、及ばずながら銀行といたしましても、今後の成り行きには十分な注意を払い、やむを得ざる範囲ではありますけれども、できるだけのことは考えていきたいと思っております。  それについてもこの外貨保有高というものは、もうすでに十分なんじゃないか、一体どれくらいあれば、日本経済の運営に支障はないかというお尋ねでございまするが、この点は、私は実は先ほど大蔵大臣が、外貨というものについてどういう考え方をするかということで御見解を御発表になりましたが、それと全く同じ考えを持っております。ただ、いかにも現在ようやく取り戻しつつあります外貨の保有高、表面は相当な多額となっておりますけれども、内容的には、これを資金化できない分も相当あります。俗にいう焦げつき債権等もその中に含まれておることでありますから、ネットのことを考えますと、これだけで、現在の残高で十分に起伏の多い日本経済を運営する運転資金として十分であるかどうかという点については、私はなおまだ足らざる感じを持っております。しからば一体幾らまであればいいかというお尋ねでございまするが、これは具体的の数字で申し上げることは、はなはだ困難だと思いますることは、先ほど大蔵大臣の御指摘にもございます通り、そのときの外貨事情を取り巻く情勢のいかんということが、そのときの時点においてまだ足りぬか、もう十分であるかという判断の基礎になろうかと思います。数字をもって申し上げることは非常に困難かと考えております。  なお、三十三年度政府予算が実行されます場合に、概略千二百億円程度の支払超過となるように思われるか、そのうち千億円は吸収をするという言説があるように思うが、それはどうなっているがというお尋ねであります。この支払超過に備えまして、それが民間に出回っていかなる働きをするであろうかということは、これはその場その場の経済現象に即して考えませんと、抽象的に考えることは困難であろうかと考えます。むろん、それが経済界に出回り過ぎまして、その結果として引き締め政策をずっと続けて参り、それがその後もう大体平常に復しているかどうかはわかりませんが、再びかかる措置を必要とするような懸念のある場合におきましては、これは相当額を吸い上げて調節をするというのが、日本銀行の任務であろうと考えます。千億円云々というお話は、多分銀行協会の方で来年度の銀行の資金運用の概況から申しまして、まあ今日六千億円をこえておる銀行の借入金のうち千億円は返したいのだというようなことを語られておる結果が、そういうふうに伝わったのでないかと考えますが、むろん、今日の六千億の日本銀行貸し出しは、ただいまも大蔵大臣が御指摘の通り私は過大であると思います。極力これは経済の安定をはかります上に、蓄積の資金によって返済をするのが至当であろうと考えます。しかし、いついかなる計画において、これをどの程度に回収するかということも、やはりこれは数字上の計画をもって臨むことは、経済界の状況によりまして非常にむずかしいと思います。さような心がまえをもちまして、三十三年度予算の実施せられました場合の運営の状況に応じて、日本銀行の目的とするところに従って善処して参りたい心組みでおるのであります。
  16. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 山際君は御多忙の中を恐縮ではありましたが、せっかくの機会でありますので、この際いろいろお尋ねになりたい方が、委員の方々の中におありかと思いますが、なお、山際日本銀行総裁は来たる二十五日分科会ではございまするが、午前十時半から十二時までおいでを願うことに相なっております。これは佐多委員の要求によるものでありますが、他に御発言と申しますか、お尋ねになりたい方は、その席上で御発言をお願いいたします、それではありがとうございました。
  17. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 経済政策がむろん政治自体も、国民生活の安定と繁栄をその終局の目的とすることは、お話のありましたその通りであります。つけ加えることは何もないのであります。ただ問題は、どうして国民生活を安定させ、繁栄させるかという、これが国によっていろいろと行き方が違うと思います。これはアメリカや、たとえばソ連とか中共というような国は、これは場合によっては孤立してもやれると思う。これは社会主義政策ほんとうに完全に行える国と思う。これは資源から見ても、要するにこれは開発すれば、その国民の所要するものがその国で供給することが大体においてできるという規模をもっておると思うのです。しかし日本なんかは、とてもそういうようなことは考えられないので、どうしてもこれは、綿花一つにしても、あるいは鉄鉱石一つにしても、油にしても、何でもこれは輸入に仰がなければなりません。従いまして、国民生活を安定させ、繁栄させるには、やはり貿易の伸張ということが基本になる。それは何も国民生活を犠牲にするのじゃない。国民生活をよくするためにそういう施策、政策日本としてはとっていかなくてはならぬ。というのは本来この時期において、上るというが、なかなか貿易が伸びぬじゃないか、そして滞貨があるじゃないか、そんなら国民に使わしたらいいじゃないか、言いかえれば、国内景気をよくするように消費を増すようにしたらいいじゃないかと、そこに私は一つ考え方がある、問題がある。なぜかと言いますと、そうした場合に、一体日本の物価はどういう傾向をとるか、たとえば織維だけをとって考えればよろしい。消費を一般的に奨励するために、単に木綿なら木綿の分だけは買ってよろしいが、ほかのものは倹約してくれというようなことは、これは政策として成り立ちません。ですから、どうしても一般的な国内景気がよくなってくる、一般的に国内消費がふえてくる、そうした場合に貿易を伸張すると、日本の物価が国際水準に比べてどういう傾向をとるかということは、重大な問題として考えなければならぬ。いわんや何も国内消費をあおらぬでも、物資に対する需要日本の場合は非常に多い。なぜか、賠償はどうでしょう。賠償はこれこそ皆生産物、役務となってフィリピンに行く、ビルマに行く、今度はインドネシアにも行く。その上に、その上にですよ、東南アジア諸国を初めとして、借款をするとかあるいはいろいろな労力もありましょう。こんなことするなというようにおっしゃる方があるけれども、そういうものに対するこれはやはり物資の需要なんです。ですから日本の場合は、むしろ日本の国力以上に物が消費される傾向がある。私は、そういうような場合に、かりに日本の国内をあおらなくても、賠償に対する賠償物資について、どういうものを選択するかというような考え方いかんによっては、日本景気というものは相当よくなる、こういうような考え方であります。むしろそういうようなことをすれば、輸入が一そうふえはしないか、むしろ国内収支が思うようにいかぬのではないかという懸念の方が、必配すべき立場じゃないかと、こう思うのであります。むろん私どもは、国内の景気をあおるのではありませんが、国内でこういう施策をやるという過程で、国内において苦しんでおる人に手を差し伸べて、その苦しみを少しでも根本的な点から排除しよう、そういう措置をやらなければならぬ。できるだけこれは努めて参りますが、それと日本の国内景気をあめおるということとは、これは別個な事柄だとかように考えております。従いまして、中小企業の例が出ましたが、中小企業が今苦しんでおる一つの原因をとってみても、たとえば造船か計画造船になっております。計画造船になっておるのだがこの計画造船に対して、銀行がおれの方で幾らか金をつけてやろうと約束しておるのが、金ができぬために、つけていない金がおそらく今日百数十億、百億は少くもある。しかしこれはいわゆる投資を抑制する意味から、その金はつけてなかった。これを今度この会計年度において長期資金としてそういうものは出してもいいのじゃないか。そうするとどこにしわ寄せが寄っていくかといえば、船が幾らかスロー・ダウンをして工事をおくらせているのならば、なんぼ投資を一五%抑制するといったって、一五%削って作ったら船は進水しませんよ。ですからやはり船をスロー・ダウンすれば、その大部分はどこにしわ寄せされるかというと、これは中小企業だ。そうすると、船は一そう作るのに、中小企業の部分品の関係者は、これはおそらく二百ぐらいの部分品関係が、中小企業に関係しておるかもしれない。少くも百はこえている。そうすると、やはりそういう人はお金のもらい方が少くなる。そういうことは悪いから、この機会に私は金を出すようにして、これは財政的にも出すようにして、そうしてそういう払いをやってゆく。その払いは振りかわって中小企業にゆくように、中小企業にどういうふうな未払いを造船などが作っているか、リストをもらってそれだけを聞いておいてそこに振りか、える、中小企業のもらわなかった人へ金がゆくような格好で、払ってやろうじゃないかという計画で、そういうふうにして、ほんとうに困っている所にはなるべく手を差し伸べてゆきますが、私は、ここで消費を全般的に刺激して、国内的な需要をあおるということは、日本は何さま対外的な債務の履行に大きく迫られているときですから、これは慎重に考慮しなければならない、かように考えております。
  18. 羽生三七

    羽生三七君 この今とっている政府政策が、典型的な金融資本政策だということは先ほど申し上げましたが、岸内閣もこの際低額所得者の減税とか、社会保障費の増額を考慮して、消費購買力の拡大をはかるべきだというのが、私ども意見なんです。今それについて、賠償その他の関係から、日本経済の現実をお話しになりましたが、しかしそれにもかかわらず、私は今言ったようなことを、やはり日本には昭和三十三年度経済見通しの中においても、相当やれると思う。これは政府がこの輸入見通しにおいても、明らかに私は過大な見積りになっていると思うし、経済の成長率も、私はこれは過小な見積りになっていると思う。そういうような点からいって、私は十分その余力は、十分とは言えませんが、相当の余力はあると思います。要するに、生産調整する手段を操短や失業者の増加にまかせて、生産調整の手段というものは、過剰生産を押えるということだけに求めている。だから逆に需要を刺激して、どこでバランスをさせるということはほとんど考えられない。それはニュアンスは、幾らかそういうことを認められているということはありますが、理論的に肯定されておらぬ。もしそうであるならば、私は、率直にこの岸内閣は、貧乏追放という看板をおろしたらどうかと思う。これは私は何も悪たれを言う意味ではありません。私はおろすべきだと思う。というのは、先ほど申し上げましたように、外貨の保有が第一だと必ずしも言うわけではないでありましょうが、しかしもうやはりちまたには失業者はあふれている。ことしのピークはおそらく八十万といわれている完全失業者、三十一年に比べれば若干少いかもしれませんが、昭和三十一年度に比べて景気の回復の度合いがおそい、テンポがおそい。だから伸びというより昭和三十一年度よりふえる、百万に近い完全失業者が出る。それにもかかわらず、なおかつ国民経済についてはどうこうと言われる先ほど来の御議論は、私は依然として国際均衡第一主義だ、従って私は、むしろ率直に、これはもう貧乏追放という看板はおろされたらいいと思う。これは豊富の中の貧困ですよ、物があり余る中に貧困がある、失業者がある。これは何と言われましても、どんなにここで言い回しをうまくされましても、現実においては、これはもう確かに金融資本中心政策だと言わざるを得ない。従って実際に政府が社会保障を考え、あるいはこの働く人たちの福祉を考えるならば、私はここで低額所得者の減税や、あるいは社会保障費の拡大を考えていっても、これは実際には私はそう大した影響はないと思う。それを事実によって申し上げますと、もうそういうような場合に、一萬田大蔵大臣は、先ほどもそれについて、賠償等の関係から、国内経済を安易に見られないというお話がありましたが、もちろん私はそういうことは承知しております。しかし日本に蓄積されている原材料のストック予想以上に豊富なんです。だから私ども今まで日本経済は底が浅い、底が浅いと言って、政府を攻撃したけれども、案外私は底は深いと思う。楽観はできません、もちろんできないが、相当な深さがある。しかも保有されている原材料の蓄積は相当なものがある。従って輸入政府考え通りに拡大されてゆくという、私は可能性は非常に乏しいと思う。しかも投資意欲が相当に衰えた、こうみえるのであります。従って私は、本会議質問の際にも大蔵大臣にも申し上げましたが、個人の消費生活における貿易の依存度、これは前にも数字を述べましたが、昭和二十六年を基礎として、二十七年には一二・〇四%、二十八年には一〇・七八%、二十九年には一〇・六二%、三十年には九・九二%、三十一年には九・四四%と着実に低下しております。もちろん景気を刺激すれば、これは需給にいろいろ逆調が起ることもあるでありましょうが、しかし庶民大衆の個人の消費生活を若干刺激しても、貿易には何も影響はない。むしろ依存度は低下している、これは統計か示している。しかも大蔵省に関係した人が、ちゃんとこの本に明確に統計をあげて示しております。でありますから、私は今大蔵大臣が言われたような賠償問題等もあるでありましょうし、日本経済の健全化ということも重大ではあろうが、しかし、働く勤労大衆の若干のベース・アップをするとか、あるいは低額所得者の減税をするとが、あるいはその他、消費購買力をふやすことは、決して日本貿易に逆調を来たすようなことはない、しかも統計がこれを立証しておる、そういうことを言えると思うのでありますが、そういう際に、依然としてやはり、口では貧乏の追放といいながら、しかし実際には、今申し上げましたように、失業者の増大も、これは経済調整のためにはやむを得ない、こういう立場をおとりになるのか、この際むしろ私は、積極的に政府がそういう手直しを……、しかも今予算の審議中なんです。いずれ政府は補正予算を組まんならぬでしょう、これで必ずなります。失業対策、中小企業、あるいはそのほか生活保護の人員の増加等で、必ず本年中には補正予算を組まなければならぬようになる、これは見通されておる。だからそういう意味で、私は率直に貧乏追放という看板は下されたらどうかと思う。日本経済調整のためには、ある程度の犠牲はやむを得ないとはっきりお言いになったらどうです。私は、一萬田大蔵大臣はそういう良心を持っておられると思うのですが、いかがですか。
  19. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今お説のお考え方自体には、私は何も反対いたしませんから、やはりそういうような方向に持っていくべきだと思う。何も貧乏の追放の看板を下す必要はありません。そうして、一挙に貧乏の追放もできない。これはやはり漸を追うて貧乏がなくなるという方向に私は持っていかなければならぬ。これはまあだれが考えても、私はさようであろうと思うのであります。特に私が申し上げたいことは、この三十二年——三十二年の後半からそうですが、三十二年から三十三年というものは、日本経済というものが、いわゆる病気にかかっておる。この病気にかかっておるときにいろいろ責める、人間が病気にかかっておるときに、それをお前何とかしろ、かんとかしろといっても、これは無理ですね。病気にかかっておるときは、病気の症状を経済が呈することはやむを得ないので、それをいかに早く切り抜けていくか、出ていくかということが当面の施策でなくちゃならぬ。生産調整というようなことをするのも、その病気から脱するために、これはやむを得ない。それを早くやればやるほど、業者がそれに協力してすればするほど、何も苦痛も少くて、しかも早く脱退ができるのであります。それをやってそうして経済が健康体になって、初めていろいろなことが考えられる。貧乏の追放もやはりそれからのことでなくちゃならぬのじゃないか、こう思っておる。今、だからといって施策をせぬことではない、こういう施策をすれば、お話のように雇用関係が悪くなる。従って雇用関係についてやはり今度の予算でも、労働大臣によく御相談を申し上げて、そうして大体労働大臣が、こういう程度の予算ならやってみせるというその予算は、私は差し上げてある。ですから、雇用なんかについて全然ネグレクトされていない、そういうことはありませんですよ。それから社会保障についても、むしろこれも、私はできるだけふやしたいと思うのでありまするが、何さま歳出を千億のうちにおさめなければならぬというのが、私たちの政策の基本でありますから、それを歳出の当然増としてのけますと、幾らもないので、私は千億というが、ほんとうに使い得る金は幾らもない。それを国政全般にわたって、まあ国政かうまくいくように配分をしている、こういうような意味です。今、健康体の日本経済でありますれば、私はまだあとの四百三十六億も使い得るのですから、それは社会保障というけれども減税ということにも私は相当やれると思う。しかし、あるにもかかわらず、ことしはやれなかったというところに悩みがあるので、そこのところをどうぞ御了承願います。
  20. 羽生三七

    羽生三七君 ところが、この病人に対する処方せんが違うのですよ。私たちは、病人があるときはミルクを飲ませる、牛乳を与えるのですよ、卵を与える。ところが大蔵大臣はそういうときには貯金をするのですよ、そうでしょう。貯金を下してきて、私たちは時によれば病人を助けるためにミルクを与え、あるいは卵を飲ませなければならぬ。ところがそれをやらないで、病人だから貯金をして四百三十六億たな上げ……、もっとも一部は使途が明示されておりますが、たなに上げる。たな上げをして金をどういうようにお使いになるのですか。ちょっと大蔵大臣答弁がそこにきましたからお尋ねしますが、このたな上げ資金はどう使われますか、もう明示されてもいいでしょう、使途を明示されてもいいでしょう。むしろそれは、今こそ失業対策あるいは雇用対策、あるいは社会保障費の増額等にそれを、四百三十六億のうちの残された部分をむしろそれに使うべきでしょう。貯金を下してきて病人にミルクをやり、卵を与えなければならぬ。悪い病人だから貯金をしておくというのでしょう、経済調整のために。それは資本家は経済調整はできるかもしれません。しかし庶民大衆はどうなりましょうか。四百三十六億の、使途を明示されておる以外のお金はどう使いますか、この際、明らかにしていただきたい。
  21. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 大体今後使います金は、四百三十六億のうち二百二十一億のこの資金の分でありますが、これは私は、いろいろありますよ。たとえば民生の安定、民生の安定の中に、やはりこの社会保障的にいかなくてはならぬのもありましょう。しかしながら、それはやはり、それが日本経済の基盤を強化、拡大をして、雇用の機会を与えて働きつつよくなるというのは一そういいが、日本経済はまだそういうふうな、どっちかというと、私は相当の後進性を持っておる。そんなにもう熟爛した経済じゃないので、これから資金の投入いかんによっては、経済の基盤自体の拡大をして、そこに雇用の機会を与える。社会保障は、私はむろんしなくちゃならぬが、まずそういう雇用の機会が与えられることができる限りにおいては、そういう方向に資金を使うのも、私は決して悪いことではない。そういう意味におきまして、二百二十一億はやはり経済基盤強化に使われる。あのうちでも、私は一番先にやはり道——道路の、これは何をいっても劣っておりますから、その道の……というふうに考えているのであります。ほかにもむろん使いますよ。何も使わぬかといっても、これはいたずらにまたいろいろと議論を生じますから、公平に、きわめて日本経済に適切であるように使用いたしまするが、しかしこの道というようなものも十分考慮されるべきだと私は思う、かように考えるのであります。これは雇用の問題、そうしてこれは日本の産業に非常ないい影響を与える……。
  22. 羽生三七

    羽生三七君 道って道路のことですか。
  23. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 道です、道路のことです。私は発音が悪いものですから英語になるのです。そういう意味であります。
  24. 羽生三七

    羽生三七君 もう一つ、蔵相が先の記者会見の際に、今もお話しありましたが、不況が長引けば、財政投融資を含めた金融政策で弾力的に対策をしていくと語っておりますが、その意味は具体的にどういうことか、滞貨融資を意味するのかどうか。  それからもう一つ、そろそろ政府資金民間に還元してもいいという段階にきていると考えると言われましたが、この明年度財政投融資計画は、本年度よりも実質的に増額となっておるけれども、これは時期的に繰り上げて投融資をすることを考えているのか、あるいはまた、この財政余裕金の運用も行うことを意味するのか。そうであるならば、このための現在、運用部資金の余裕金、その他政府の運用し得る余裕金はどの程度になるか、具体的に一つお聞かせいただきたいと思います。
  25. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私が今、財政資金でまず民間に還元しようと考えておりますのは約二百八十億ばかであります。これは、先ほどから申しますように、三十二年度財政投融資で約十五%、これを繰り延べをいたします。そうしてあとの八五%はまあ事業を継続していく、こういうふうにしたのでありまするが、それなら八五%のいろいろな事業計画は十分完遂ができるまで資金があったかといえば、事実は資金か不足しておる。十分資金を保証しなかった、まあ一五%は一応繰り延べたが、その当時は、それでは八五%は保証をして、金を十分出してやらしてくれるかと事業家から言われたんですが、それはそのときの金融情勢でこういうふうにやっておきまして、八五%はやれるんだが、資金が不足しておる。それがやはりしわが寄っておる、いろいろなところに寄っておると思う。それなら、なぜそのときに財政資金を出してやらせないかというと、ここで一五%切る意欲を落してしまう。どうしても今の、これはまああなた方とまたちょっと考えが違う人ばかりでありまして、なるべく自分だけうまくやればいいという一種の、資本主義のやはり自由経済……。ですから、なかなか相手を見ておって落さないのです。ですから、ここはやはり金融でもって締めないと、所期の効果が実際にはできない。はなはだ残念なことです。ですから、それがしわが寄った。投資意欲がここで衰えた。衰えてきましたから、今度は財政費から八五%に相当する部分で資金の不足した分を出したわけであります。それを先ほど言うたような振りかえで、しわの一応寄るところになるべくもっていくようにしよう、こういうふうな計画でいく。それが全部で財政投融資関係で二百八十億、これは何も今言うた設備ばかりの問題でない。中小企業金融関係の分も不足分がございますから、これもいきますが、そういうようないろいろな関係で二百八十億ばかり出します。それから三十三年度財政投融資は、これは三十三年度として別個な、三十三年度における設備資金として三千九百九十五億、これを出すようにする。この三千九百九十五億は今言いました二百八十億ばかりをまた還元しますから、そうしますと、昨年度の、三十二年度財政投融資は実行価格は三千九百五十億くらいになります。そうすると、ことしの三千九百九十五億というものと幾らの差もない。三、四十億の差がありますけれども、ほとんどおおむね実行価格、かようになっておるのであります。  それからちょっと私この際先ほどの御質問で、山際君も少し回りくどいことを言うておったようであります。財政から民間の散超が千二百億ばかりになる。これがどうという問題でありますが、これは山際君、一般的なことを言うておりましたが、千二百億のうちに、大部分七百四十億くらいは、これは外為会計であります。いわゆる黒字になります。一億五千万の黒字になるという、出超からくるわけであります。これは貿易商社の手に入りまして、貿易商社は市中銀行の手に移しまして、日本銀行に返る金です。これは当然日本銀行券の回収、言いかえれば貿易商社が外貨を外為会計に売りまして、外為会計から円資金をもらって貿易商社が自分が借りておる銀行に払って、銀行は日本銀行から借りておるから、五千億も、六千億も借りておりますから、日本銀行に返る。ですから千二百億のうち七百四十億に当る部分は別に払い超という意味じゃありません。これは当然日本銀行に還元をされてくる、かように御了承願ってよいと思います。
  26. 羽生三七

    羽生三七君 時間がありませんから、あと一、二点で終りますか、ここで通産大臣にお尋ねしたいのは、三月十日の通産省の地方通産局長会議の際における各地方局長の報告によりますと、これは新聞に出ておりますが、最近の様相は、第一に、生産は昨年の夏をピークとして毎月不振の一途をたどり、特に本年に入ってからは急減している。一方、在庫は一向に減る気配がなく逆にむしろふえている。第二に、これに伴い労働事情は一段と悪化し、離職者の増加、企業整備が目立つ。第三に、中小企業は、大企業との競合部門が特に不振のほか、全般に苦境にあえいでいるなどデフレの影響は日を追って深刻化し、当分回復のきざしはないと悲観的見通しが圧倒的であった。こう新聞は伝えております。こういう事情にありながら、現実には需給バランスするために逆に操短が強化されている。鉄鋼、繊維は三月以降さらに操短率を強化することになっているようであります。先ほど申しましたように、現に人絹関係では、融資のストップから大量馘首が起って、きょうそのために大会をやっている。こういうふうな生産調整の方法、このやり方が、一方的ないわゆる操短とか、あるいは失業者というものはやむを得ないというこの生産調整のやり方が、通産行政のあり方としては妥当なのかどうか。これは通産行政をあずかっている大臣としてのお考えを承わりたい。  もう一点は、この機会にちょっとついでだからお伺いしておきたいと思いますが、目下北陸、東北両電力会社の電気料金の値上げについて閣内不統一が取りざたされているようでありますが、通産大臣は、四月一日から認可通りに自動的に値上げされるという立場をとっておられるのか、判断をお伺いいたしたいと思います。以上二点を通産大臣にお伺いしたいと思います。
  27. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 最初の御質問の操短その他の問題につきましては、御承知のように、現在不況になっておりますが、その大きな原因は、やはり生産過剰ということであります。ことに繊維につきましても、一昨年と昨年と比べますと、人絹では多少減りましたが、輸出は大体においてふえているくらいであります。それでもなおかつ滞貨になっているというような状況でありますから、まず第一に、何としましても売る見込みのないものでありましたら生産調整はやらなければならぬ。やらなければ価格も維持できない、こういう状況にあるわけであります。従いまして見通しを立ててそれに対してまず生産調整をやる。その後におきまして、それに必要な金融について考えていかなければならぬというふうに思っているのであります。大体におきまして、不況対策としましては、われわれはずいぶんあらゆる手を、業界の皆さんのお話の点は、あらゆる手を打っているのであります。しかし、結局はある程度の、三月までくらいに一応の生産調整を終るぐらいのつもりでありましたが、かなり各品目につきましてずれて参っております。従って、これが二月あるいは三月いくかと思っております。また、鉄鋼等につきましても、実はこれは需要の調査ということが非常に困難でありまして、昨年の末ごろにおきまして、来年度需要の調査をいたしましたときには、まだほかの需要者の考え方が強気でありました。最近調査いたしますと、それだけの需要がないというふうな関係になっておりまして、その差額だけは生産調整はやらなければならぬということで、鉄鋼等につきましても生産調整をやることになったのであります。生産調整が終りまして、さらに先ほど来お話のありますように、輸出の振興にあらゆる努力をし、そうして滞貨をはかしていくということで行くべきである。金融の面につきましても、いろいろこれはケース・バイ・ケースに考えていかなければなりません。そのときの実情に応じて考えていかなければなりませんが、いわゆる手直しというようなことをこの際言うべきかどうかということにつきましては、われわれはまだ堅実に考えていくべきだというわけであります。実際の実情においてはいろいろと考え、また、先ほど大蔵大臣お話しのように、財政投融資で、基幹産業等につきましても事業を進めていくというようなことで景気調整をやっていきたい、かように考えているわけであります。  第二点の東北、北陸の電力の料金問題、これは昨年も御承知のように、非常にいろいろ検討され、問題にもなりました。すでに四月一日からは三%上げるということになっているのであります。その後、いろいろ事情を調べまして、三%上げましてもなおかつ赤字であるというような状況から考えますと、どうしてもこれはもう従来通りの方針でやっていくことはやむを得ぬ、かように考えております。
  28. 羽生三七

    羽生三七君 持ち時間がちょうど終りますので、最後に質問というか、意見だけを大蔵大臣に申し上げて質問を終りたいと思います。  先ほど私は、下村調査官の研究を引用いたしましたが、人によってその見通しが著しく異なっている場合があることは言うまでもありませんが、それにしても相当政府との間に開きがあるが、しかも、信憑性はどうも私は下村調査官の方にあるような気もするのです。そこで、この研究から見ると、明年度における需給の関係は、次のように想定されております。まず全体として、供給増加要因としては一兆数千億であり、需要増加要因は三千億程度と見ておるようであります。従って、三十三年度需要バランスは非常に強い供給超過基調となる。それに、言うならば、経済基調の基本は明白であって、すなわち有効需要が多過ぎる、多過ぎて起った需給のアンバランスではない。これは有効需要を減らさなければならないという経済調整方式はさか立ちだ。これは私の意見です。有効需要が起って、それで今の生産調整をしなければならぬ状況ができてきたわけじゃないのです。明らかに供給過剰に問題がある。しかも、今の需給バランスを見ると、非常な多い供給増か要因である。そういうときにもなおかつ、しかも相当信頼すべき人がこういう見通しを立てておるにもかかわらず、なおかつ、政府当局が先ほど来述べられたような見解に立って、少しも従来の見方を変えようとはされない。しかし、世界不況は私は資本主義の基本的な性格に関するものかどうか、それは知りませんが、しかし、ちょっとした波動なんというものではないと思う。もっと深刻なものだと思う。従って、それに多大の期待をかけておる日本経済の立て直りも、相当ずれると思う。失業者は、先ほど来申し上げます雇用問題等が非常に私は激化して、重要な社会問題となると見通されるので、政府は、議会がこの予算の審議中に、むしろこれに積極的に政府としての見解を述べて、そして修正すべきところは修正するような態度をとることが私は望ましいと思う。  いずれにしても、本年度中に必ず補正予算を組まなければならないでしょう。これは確実であります。しかし、今おそらく大蔵大臣が、もしそのまま年度内終るころまでは留任されておるとするならば、今われわれがここに述べたことがやはり正しかったと、私は証明されるだろうと思う。もし、そうでなかったならば、われわれの不明のいたすところでありますが、どうかわれわれが不明であったことをむしろ期待する。われわれの予想が当らないことをむしろ期待する。しかし、それにもかかわらず、実際は失業者の救済やあるいはその他の金融のために、むしろ補正予算を組まなければならない重要な時期が来るのではないかということを警告を申し上げて、私の質問を終りといたします。
  29. 坂本昭

    ○坂本昭君 関連しまして、一点大蔵大臣にお伺いいたします。日本経済の病因について、一萬田にせ医学博士の処方は、どうもはなはだ悪い処方だと思うのでございます。私は本物の医者でございますから申し上げますが、私はほんとうの医学博士でございます。どうもミルクのかわりに水ならば、まだいいのです。先ほど羽生委員は、ミルクを飲まされて貯金をすると言っておりましたけれども、おそらく大臣は、ミルクのかわりにせめて水くらい飲ませているつもりかもしれませんけれども、私は、もっと悪いメチルアルコールの入った酒を飲まして、これで社会保障をやっておるし、国民生活はよくなるぞと言って、かなりごまかしておると思う。国民を酔わしておると思う。かなりけしからぬ医者である。岸内閣にはやぶ医者ばかりそろっております。この問題は厚生大臣にもお尋ねしたのですが、これも大やぶであります。まさに主治医交代の時期であると、こう考えるのです。  ただいま羽生委員質問の要点は、育児の、乳児の育成にあったと。私も、きのうその点に触れまして、消費の水準を上げるべきであるということを申し上げました。で、きのうは特に私は生活保護の基準についていろいろと申し上げて、保護基準について上げなくちゃならぬ。アメリカの場合には、国民の消費水準の六〇%が保護基準になっております。この保護基準が同時に年金の基準なんです。日本の場合は、消費水準の二〇%から三〇%、非常に低いのです。これを上げるということが貧乏追放である。それを上げない以上は貧乏追放にならない。この点が一つと。  そのためには、社会保障総経費を、諸外国並みに一〇%まで上げなくちゃならぬ。先ほど来大蔵大臣は、国際的なことを特に強調しておられましたけれども、それほど国際的なことを強調されるならば、日本の社会保障の予算を外国並みに、国際的並みに、一〇%のところ以上に上げてもらわなくちゃならぬ。ところが、そのための、上げるための実際的な予算として、社会保険に対して大蔵大臣はこれを予算を上げないで、むしろ削っている。私は当然これは上げなくちゃいけない。ところが、社会保障予算の中で補正を組めることのできるもの、場合によれば組まなければならぬものが、たった一つあります。それは生活保護の予算であります。で、ただいま羽生委員も、おそらく補正予算を組まなければならぬだろうと。私は、その点で生活保護予算についても当然組まなければならぬことに追い込まれる。で、先ほど経済基盤強化資金として道路もやっている、それで失業者を救うと言いましたけれども、大体そういう考えが間違っておると思う。経済基盤の強化ということは、道路を作ることよりも民生の安定であります。従って、初めからこういう生活保護の予算というものは、社会保障の予算というものは、初めから高く上げるべきである。少くともことしのこの生活保護の予算を組みかえなければならない運命に私はあると思うのだが、そういう先ほどの羽生委員の予言に当らない、予言が当らないためにも、もうすでに今参議院の予算審議過程において、生活保護のこの予算を上げる用意があるかないか、この点一点についてお尋ねいたします。
  30. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 社会保障につきましては、私どもとしても、これはだれが大蔵大臣になっても、今後できるだけ努力をいたしまして、そうして漸次この国際水準に少くとも近寄るようにいたしたい、かように考えておるのであります。ただ、しかし、今、私ここで予算について変更を加える音意思はございません。
  31. 泉山三六

    委員長泉山三六君) この際、委員長から報告いたします。——御静粛に願います……。  一昨日岡田委員の発言にかかる宮良氏の問題については、昨日また本日の両回にわたり、理事会において慎重協議の結果、予算審議の円滑を旨とし、当面の取扱いについては、羽生君の質疑終了後の後において、左の通り処理することに協定相なりました。  すなわち、一昨日本委員会に招致いたしました佐藤審理課長の説明補足の意味合いから、東京税関羽田支署検査官平石昌三、同じく副検査官宮健三の両氏の出頭とその説明を求めることというのでありまするので、右了承の上、この際岡田君の御質疑の御続行をお願いいたします。
  32. 亀田得治

    ○亀田得治君 関連。ただいま委員長から申された問題に関連いたしまして、若干質疑をいたしたいと存じます。  この問題は、もう時期的には、大蔵大臣としてのとるべき責任ある措置、そういうものが明確になってこなければならない問題であると考えております。その点は最終的に私の見解も申し上げ、御意見を聞きたいと思いますが、順序といたしまして、その前に事実関係について、きょう現場から御出頭願った皆さんに若干お聞きしてみたいと思うのです。私は、まあ時間も節約する意味で、質問はきわめて簡単に申し上げますから、一つ答える方も私の問いに対して簡潔に一つ答えていってもらいたいと思います。
  33. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 亀田君に申し上げますが、まだ出頭しておりませんので、お待ちを願います。
  34. 亀田得治

    ○亀田得治君 まだ来ていないのですか。
  35. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 次の部屋におりますから。
  36. 亀田得治

    ○亀田得治君 これは平石検査官と宮副検査官と、別々に入れて下さい。
  37. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 承知いたしました。
  38. 亀田得治

    ○亀田得治君 先に平石検査官に聞きますから……。(「名委員長だな、何でも聞き入れる」と呼ぶ者あり)
  39. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 私語を禁じます。(「ほめたんだものいいじゃないか」「委員長どうした不手際だよ」と呼ぶ者あり)
  40. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 今次の部屋からここまで進行中です。——それじゃ平石検査官が見えました。
  41. 亀田得治

    ○亀田得治君 先ほども申し上げたのですが、私簡単に聞いていきますから、質問に対してだけ短く一つ答えていってもらいたいと思います。時間がかかりますから……。例の宮良君の問題につきまして、佐藤審理課長より、あなたに電話のかかってきたのは何日の、時間はいつごろです。一つ一つこう簡単に聞いていくから、どこかそこにすわっていて下さい。
  42. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 立っていて下さい。
  43. 平石昌三

    説明員(平石昌三君) 十日の午後五時少し過ぎだったと思います。
  44. 亀田得治

    ○亀田得治君 その電話の内容はどういうことでした。
  45. 平石昌三

    説明員(平石昌三君) 五時半に出発するノース・ウェスト機でそのパッセンジャーに宮良寛才という方が乗っておったら、その人は日本円を百万円くらい持ち出す疑いがあるという情報を今入手したから、検査の方を厳重にやってもらいたい。そのときにバッゲージの方の検査で出なかった場合には、身辺の開示を本人の同意を求めてやってもらいたい、もしそれで全然出なかった場合にはけっこうですが、もしそれで出た場合には物件等留置して、適当に所要の処置をしてもらいたい、こういう電話がかかりました。
  46. 亀田得治

    ○亀田得治君 その際に——いやちょっとこっちにいて下さい。どこかそこへ椅子を委員長出してあげて下さい。その際普通今おっしゃったようなそういうこまかい指示までされることがたびたびあるのですか、あるいは普通はこういう情報だからしかるべくと、こういうことが多いのですか、どっちですか。
  47. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 平石君、私からあなたを指名するまでじっとしていて下さい。平石君。
  48. 平石昌三

    説明員(平石昌三君) 普通の情報の場合には、大体そういう本関の審理課長とか、あるいは本関からどうしてくれという指示のあるときもありますし、また、ただ単なるこういう事実ないしこういう疑いがあるから注意してくれ、こういうふうな連絡のあるときもあります。そのときによって違いますが、今まで私の経験ではそういう具体的な指示を受けた覚えはありません。
  49. 亀田得治

    ○亀田得治君 あなたは厳重な審査をしてくれと、調査をしてくれ、あといろいろ出た場合、出ない場合、言われたわけですが、そういうふうに課長から平生ない電話等がかかって、これはどういう人だろうというふうなことを考えましたか。
  50. 平石昌三

    説明員(平石昌三君) 一応そのときに、どういうところの情報から出たのかということ、私が不審に思いましたから聞きました。この情報の出どころは言えない、佐藤君も言ったものですから、そういうことを考える余裕もなしにやったのです。
  51. 亀田得治

    ○亀田得治君 情報の出どころは言えない、しからばその宮良というのはどういう人物ですか、その点はお聞きにならなかったのですか。
  52. 平石昌三

    説明員(平石昌三君) 全然聞いておりません。
  53. 亀田得治

    ○亀田得治君 あなたは情報の出所まで念を入れてお聞きになるような忠実な官吏ですから、私は情報としてわからないのであれば、情報の出所が言えないのであれば、せめてもし佐藤君の方でわかっておれば、宮良という人がどういう人か、ここまで聞いておるのが私は普通だと思うのですが、全然そういうことはお聞きにならなかったわけですか、聞いたけれども、それも言えないとまで言ったのか、どっちなんです。
  54. 平石昌三

    説明員(平石昌三君) 全然聞いておりません。
  55. 亀田得治

    ○亀田得治君 あなたは宮良君の問題、現場でいろいろ扱ったわけですが、最後まで宮良君の身分なり、職業などは不明でしたか。
  56. 平石昌三

    説明員(平石昌三君) 検査が最後に終りまして、宮副検査官から結果の報告かありまして、そのときに本人が、私は沖縄の立法院の者だということを、本人がおっしゃってたという報告を聞きましたので、あるいはそうかもしれない、こう思ったものですから、あとでイミグレイションの方の審査カードを調べましたところ、審査カードの職業の欄には商業というふうに書いてありましたので、果してそうであったかどうかということについては、はっきりした認識はありませんでした。ただ報告では本人がそういうふうに言っておられたということを聞いております。
  57. 亀田得治

    ○亀田得治君 宮良君は旅券などは別に持っておらぬわけですか。あるのですか、そういうものは。
  58. 平石昌三

    説明員(平石昌三君) 旅券——パス・ポートでなしに、旅行証明書というパス・ポートと同じような形をした書類を持っておりました。それには職業欄とか氏名その他の事項が書いてあります。
  59. 亀田得治

    ○亀田得治君 書いてある——どういうふうに書いてありましたか。
  60. 平石昌三

    説明員(平石昌三君) 私は実際、検査に当って旅券を見たのではありませんので、どういうふうに書いてあったか、私は全然確認しておりません。
  61. 亀田得治

    ○亀田得治君 それはあとからでも見ておりませんか。全然見てないのですか、宮良君が立つまで。
  62. 平石昌三

    説明員(平石昌三君) 全然見ておりません。
  63. 亀田得治

    ○亀田得治君 そこで、あなたが課長から、先ほどのような電話を聞きまして、どういうふうに処置をいたしましたか。宮良君がそのうちやってきたわけでしょう。どういうふうに処置したか。そして宮君に身柄を渡したのであれば、それまでのいきさつを、ありのままに一つおっしゃって下さい。
  64. 平石昌三

    説明員(平石昌三君) ノース・ウエストの出発が五時半の予定でありまして、普通出発前一時間から検査が始まるのであります。佐藤君から電話のかかってきたのは、五時過ぎでありまして、半分以上のパッセンジャーの検査はほとんど終っておりました。電話を受けて、すぐにパッセンジャー・マニフェストを取り寄せてみましたところ、同氏の名前が載っておりましたから、さっそく現場のものに聞いたら、ちょうど今、検査を始めているところだ、同氏の検査が半分以上終っている、手続も終っているときでございました。私は、時間的な余裕がないので、大体飛行機は十分ないし十五分前にボーディング・パスを渡して、飛行機に乗り込むことになりますので、せいぜい急がないと、これはできないと思いまして、現場の、現実にその宮良氏の検査をしておった黒川事務官をすぐ呼びまして、こういう情報があるから、バゲッジの検査を厳重にしなさい、バゲッジの検査が済んで、それでも出てこなかったならば、本人の同意を得て身辺の開示をしてみなさい、そういうふうに黒川事務官に指示を与えると同時に、宮副検査官を責任者としまして、宮副検査官に、こういう情報が今入った、当人は、今、黒川事務官がっておる方だから、検査を責任をもって遂行するようにというふうに指示をしました。それと同時に、梅木事務官というのか——やはりその梅木事務官に対しても、同様に、バゲッジの検査をやり、また身辺の開示の方にも立ち会うように、同様に指示をしました。それから私が指示を与えたのは、黒川事務官と梅木事務官と、その責任者としての宮副検査官に指示を与えました。
  65. 亀田得治

    ○亀田得治君 そうすると、三名をしてその後の検査をさせた、その主任は宮検査官、こういうことですね。——じゃ、もういいです。——そこに坐っておって下さい。あとからまた聞きます。
  66. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 東京の審理課長から電話をお聞きになったときに、これは、たとえば関税法の第何条によってそういう指示を受け、第何条によって身辺の開示を求めなければならないとお考えになりましたか。これはどういう法文の規定によって、そういうことをするのだということを、電話をお聞きになって、すくお感じになりましたか。そういう措置をする法的な根拠というものは、条文のどういうところからきておるとお考えになりましたか。
  67. 平石昌三

    説明員(平石昌三君) 関税法の百二十条に書いてあります。身辺の開示を求めろという条文の根拠によって、身辺開示の指示を与えました。
  68. 泉山三六

    委員長泉山三六君) それじゃ。
  69. 亀田得治

    ○亀田得治君 一応済んだら、そこにいてもらって。あとから聞くかもしれません。
  70. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 宮君ですか——じゃ、あなたに申し上げますけれども質問がありまして、私があなたのお名前を申し上げたら、答弁をして下さい。
  71. 亀田得治

    ○亀田得治君 あなたは、平石検査官から宮良君の身辺の調査等を命ぜられ、そうして黒川、梅木両氏とともに検査したようですが、これは一般の場所と違うようなところへ連れていったようですが、宮良君の手紙等によりますと、何か倉庫のようなところですが、どういう場所ですか、場所をまずお聞きいたします。
  72. 宮健三

    説明員(宮健三君) 宿直官吏の当直室であります。
  73. 亀田得治

    ○亀田得治君 それは畳でもちゃんと敷いてある部屋ですか。
  74. 宮健三

    説明員(宮健三君) 畳は敷いてありません。ベッドが、三段式のベッドがありまして、下はコンクリートであります。
  75. 亀田得治

    ○亀田得治君 あなたは、平石検査官からどういう命令を受け取ったわけですか。受け取ったままのことを、ここで正確にお話しして下さい。どういう検査を命ぜられたか。
  76. 宮健三

    説明員(宮健三君) 五時半のノース・ウエスト機で出発する族客の宮良寛才という方は、日本円を持ち出すという情報があるので、携帯品については十分に検査しろ、それから、もし、携帯品の中に何も出ない場合は、本人の同意を得て、身辺の開示を求めてもらいたいという命令を受けました。
  77. 亀田得治

    ○亀田得治君 その際、平石君に、宮良という人はどんな人だろうというふうなことを聞きましたか。
  78. 宮健三

    説明員(宮健三君) 聞きませんでした。
  79. 亀田得治

    ○亀田得治君 そういう重大な指示を受けるわけですから、聞きそうなものだと思うのですが、全然そういうことは感じなかったのですか。
  80. 宮健三

    説明員(宮健三君) 検査官の命令でありますから、そのまま命令通りやりました。
  81. 亀田得治

    ○亀田得治君 宮良君の検査が終って、結局出発するわけですが、出発までに、宮良君は立法院に関係のあった人だといったようなことが、あなたにはわかったようですが、わかったことは事実ですか。
  82. 宮健三

    説明員(宮健三君) 全部終了してから、宮良さん自身かおっしゃったので、わかりました。
  83. 亀田得治

    ○亀田得治君 それは、あなたから聞いて、宮良君が、こういうものだというこことを言ったのか、何も聞かないのに、あちらから言うたわけでしょうか、どうなんですか。
  84. 宮健三

    説明員(宮健三君) 別に聞いたわけではありません。身辺の開示が終ったときに、ポケットに手帳のようなものを入れられたときに、その手帳に党員手帳と書いてあって、そのときに私は大体政党の関係の方だなということはわかりましたけれども、別にそれ以上は聞きませんでした。宮良さんがその宿直室から検査場へ戻る途中に自分で言われました。
  85. 亀田得治

    ○亀田得治君 あなたが政党関係の人だと——どういう手帳か知りませんが、どういう政党の関係の人というふうに思いましたか。
  86. 宮健三

    説明員(宮健三君) 全然どの政党ということは感じでもわかりませんでした。
  87. 亀田得治

    ○亀田得治君 その政党関係の人だということがわかる手帳を見たと言うのですが、それはどういう手帳であって、どういうことを書いてあったからそう思ったのか。
  88. 宮健三

    説明員(宮健三君) 旅券の小さいような普通のこのくらいの手帳で、表紙だけしか見ないので、内容はわかりません。
  89. 亀田得治

    ○亀田得治君 その表紙にどう書いてありましたか。
  90. 宮健三

    説明員(宮健三君) ポケットにこう入れるときにちょっと見ただけですから、詳しくはわかりませんが、たしか党員手帳と書いてあったように記憶しております。
  91. 亀田得治

    ○亀田得治君 普通党員手帳といったようなものを持っておる政党はあまりない。私ども自民党さんではそういうことは聞かない。そういったようなことから当然ですね、これはどういう関係の人だろうというふうなことは想像つくんじゃないですか。
  92. 宮健三

    説明員(宮健三君) 党員手帳というものはどういうものか私は知りませんので、想像はつきませんでした。
  93. 亀田得治

    ○亀田得治君 こう、百万円もともかく現ナマを持ち出すというふうな問題ですから、検査の途中で、あるいはできれば検査を始めるときに、その身分を聞いてみるのが普通じゃないですか。聞くことが何も仕事のじゃまになるわけでもないし、時間をとるわけでもないのですから。その点どうなんでしょうか。
  94. 宮健三

    説明員(宮健三君) 平石検査官の言われるには、この情報は本関の審理課長から来た情報であると言われましたし、すでに検査は最初にやったときはもう出航まぎわでありましたので、時間がもう幾らもなかったので、急いでやりましたので、その点までは考えが回りませんでした。
  95. 亀田得治

    ○亀田得治君 百万円の金というのは、あなたとしては、平石検査官から聞いたときに、どういう金だと思いましたか。まさか小切手とは思わないでしょう。たとえば百円札とか、千円札とか、一万円札——一万円はないが、五千円、それはどういうふうに考えておる。
  96. 宮健三

    説明員(宮健三君) 具体的に千円が何枚とか五千円が何枚とかいうことは考えませんでしたけれども、とにかく現金であろうということは想像いたしました。
  97. 亀田得治

    ○亀田得治君 ともかく札であることを想像しておった。厳重に調査せいという意味は、パンツの中まで調べいという、そういう意味になるのですか。
  98. 宮健三

    説明員(宮健三君) 厳重に検査しろと平石検査官の言われたのは、携帯品について厳重に検査せと言われました。
  99. 亀田得治

    ○亀田得治君 しかし実際の調査は携帯品じゃないですよ。これはさっきからの話は上からずっと私は聞いておりますが、携帯品とだけは言わなかったのです。厳重に調査しろ、それは携帯品も身辺開示もみんな含まれていくはずです、むしろ。そこで実際はあなたの方ではパンツの内側まで調べたわけでしょう。
  100. 宮健三

    説明員(宮健三君) そういう事実は絶対にありません。
  101. 亀田得治

    ○亀田得治君 いや、パンツの内側へ手を入れたというのじゃなしに、パンツだけにして、そうしてパンツの内側にも隠していやせぬか、そういうふうな状態にまでしたことは間違いないでしょう、内側に隠していたらそれがわかるような状態にまで。
  102. 宮健三

    説明員(宮健三君) 僕は、最初に上着を取られたときに、その後にまだもしありましたら出して、いただきたいと言いましたところが、持っておりませんという御返答でございましたので、そのときに梅木という事務官がおりまして、腹巻のようなものをしておりますかと聞いたところ、そういうものはしておりませんと自分でおっしゃって自分自身でシャツをめくり上げて腹を出して見せられました。それからそのときにさらに重ねて、もうほんとうにありませんねと言ったところ、それじゃどうせすっきりするように全部見ていただきたいとおっしゃって、自分でバンドを外してズボンをこの辺までちょっと下げられました。それで黒川はそのとき、もうけっこうですからと言ってそれで終りました。
  103. 亀田得治

    ○亀田得治君 ともかく百万円というのは大金で、札という概念を持っていたということであれば、皆さんはそういう検査の第六感等は非常に鋭いのですから、私はそんなきわどいところまでいかぬでも、もうけっこうですと、当然そうあるべき問題であったと思うのです。その点が普通と違う。これはやはり上から厳重にということかずっと伝わっておる。それで私はそういう結果に——どうも先ほどからお話を聞いていて感じかするのですが、普通はそうでしょう、百万円の金ですからね。これを札で持っている。皆さんの技術だったら、もうそんなものさわらぬだってわかるはずです。実際のところ。だからそれをそういうところまでやっぱり行ったのは、厳重に調査せい、こういうことがきた。やはりそのことが平石君にしてもあなたにしてもや、はりあって、そこまで行ったという感じを私は持つのですが、あなたの今から考えてみての感じはどうでしょうか。
  104. 宮健三

    説明員(宮健三君) 携帯品については厳重にやりましたけれども、身辺の開示についてはあくまでも本人の同意を得てやったことでありますから、ただいまおっしゃったような強制的にやったとかということは絶対にございません。
  105. 亀田得治

    ○亀田得治君 同意とか強制的とかいうことを私は今聞いておるのじゃないのです。この点はあなたのおっしゃるのと本人の言うのとまあいろいろあります。だからそこは今聞いておるのじゃないのです。たとえ相手が同意したにしても、けっこうですと言ってとめるべきなんです。これは御婦人の場合だったら大へんなんです、実際のところ。だからそれがとまらないで、たとえ同意意にしろそこまで行っておるということのやはり底には、これは無意識であったかもしれぬけれども、やはり厳重に調査——上からのそういう指示というものが皆さんをやはり動かしておったのじゃないか、そう思うのですが、どうでしょう。
  106. 宮健三

    説明員(宮健三君) もちろん情報があったのですから、検査はやりますけれども、そんなにパンツの中まで探ってみるとか、そういうような気持は毛頭持っておりません。ですからこそズボンをおろされたときに、もうけっこうですと言ってとめたわけです。さらに宮良氏は、くつまでぬぎましょうかとおっしゃいましたけれども、それももちろんけっこうでございますと言って私の方からとりやめさせました。
  107. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあ宮君の方はこれで一応何して、関連かあったら……。
  108. 鈴木強

    ○鈴木強君 関連して。
  109. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 恐縮ですけれども、なるべく簡単にどうぞ、関連関連ですから。
  110. 鈴木強

    ○鈴木強君 今のお話の中で明確にならない点がありますから、ちょっとお尋ねいたしますが、あなたは最後にポケットに手帳を入れるときにちらっと見たところが、党員手帳と書いてあった。そこでどっかの政党の関係だと、こうおっしゃったのですが、少くともその身辺の開示を求める前に、本人の持参しておった荷物ですね、それば全部中を厳重に調べておるはずだと思うのです。宮良さんは社会党の大会に来ておるし、いろいろな資料が中に入っていたはずなんです。ですから荷物を見れば、すでにそのときには社会党に関係のある方だなということはわかっておったはずだと思うのですよ。ところがあなたは最後にポケットに手帳があったからそう思った、こういうふうに言っているのですが、その辺は合わないじゃないですか。おかしいじゃないですか、あなたの言っていることば。
  111. 泉山三六

    委員長泉山三六君) なるべくそういうような用語は一つ……。
  112. 宮健三

    説明員(宮健三君) 携帯品の中にそういうようなものはありませんでした。ただ手帳じゃなくてノートがありましたけれども、それは中身は見ませんでした。そのほかに普通のいわゆる携帯品でございました。それからあと紙の包みがありましたけれども、これは中身は見ませんでした。
  113. 亀田得治

    ○亀田得治君 羽田から来られた方に対する質問は一応この程度にしておきますが、あるいは後ほどまた関連して他の方からも御発言があるかもしれぬと思うのですが、ただいまのお答えでやはり本件の責任関係、これは相当はっきりしてきておると思うのです。結局は、これは大蔵大臣もただいまお聞きになった通りでありますが、上の方から厳重に調査しろ、こういう意味のこれは指令を与えている。命令ですよ。ああいうことは経験としては初めてだと平石君は先ほどおっしゃっておる通りです。こういう命令を与えている。その命令を与える者が、この宮良とはどういう人だということをつかまないで命令を与えている。これはこの前の質問ではっきりしておる。大蔵大臣もこういう問題についてその点を明らかにしなかったことは手落ちであったという意味のこともおっしゃっておるわけです。そういたしますると、私はこの問題の結局根本的な責任関係というものは、およそこれではっきりしてきたと思うのです。直接の責任関係、これは何も羽田の現場の人たちにはまあ多少取扱い上遺憾な点等はあります。その点になると若干私どもいただいておるこういう手紙とは違う点がありますが、しかし根本的には上の方からの指示がこれが間違っておる。常識を逸しておるわけです。あるいは知っておっても言わなかったのか、あるいは知らないままでやったのか、どちらにしても、これはよろしくないことなんです。私はそういう意味大蔵大臣としては、この問題の責任の所在、こまかく言えば、大蔵大臣自身の責任にもなるとかおっしゃるかもしれませんが、そういう道義的なことでなく、直接の一番の責任者、これはどこにあるというふうにお考えでしょうか。その点をお聞きしたい。
  114. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これまでの調査を総合して見まするのに、ただいまお話がありましたように、この情報を受けて羽田の税関にそれを伝えた。そのときにおいてやはり何人であるか——むろん私は何人であるかによって取扱いを区別すべきではないと思います。それは偉い人でも法に触れることがあれば、これは私としては断固として法の前には平等であるべきだと思います。法を左右するという意味ではありませんが、しかしそれが何人であるかということは、やはり情報全体を総合してそれが信拠するに足るがどうかということを考える上に、これは一つのやはり資料になる、参考になる。こういう意味においてそこまでいかなかった点において私はやはり先般も遺憾の意は表しておりますが、しかしその点はそのときのこれは状況いかんにも多少よりますが、情報自体かまあ非常に切迫もしている。私の聞くところによるというと、飛行機の出発の非常に間近かのときの情報のようでもありますので、まあそういう点において十分至らぬところはありましたことは認めますが、私はこれを責任というところまでは考えておりません。ただこういうふうなことから、この情報にありましたような事実がなかったことは、これはお互いに喜ぶべきことですが、ただ宮良さんに大へん御迷惑をかけた、これについては私としてもはなはだ残念であり遺憾の意を表する次第ございます。
  115. 亀田得治

    ○亀田得治君 責任といえば、役所の内部の方の責任という点が一番まず解決されなければならぬ点です。で、責任というほどまでにいかぬか遺憾であったというふうなことですが、これは言葉のただあやでありまして、そういう言い方はこれも確かに結果から見たって大きなやはり手落ちというものがあったことは間違いないのですよ。これはこの前の審理課長の答弁をお聞きしても、情報提供者に対してすら宮良君のことについて一言も触れておらないわけなんです。聞いたけれども、先方が言わなかったということなら、これは仕方がない。聞いておらないのですよ。そうしてこれだけの厳重なやはり命令を下部に出している。いつでもこういうものが出ているのじゃ、どうもないようです、さっきのお答えですとね。私はそういう意味で、私から申し上げるならば、これは審理課長に大きな今度の責任があるという考えを持つのですが、その点は誤解でしょうか。
  116. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これはまあ私の考えですが、この税関行政をやる上におきまして、まあ特に今日飛行機というようなもので国を出入りいたしている。従いましてもしもこの情報がありました場合に、こういう人がこういうふうなことでやるから一つこれはやはり税関の行政の上から調べをしなくてはならぬという場合に、相手方を一々確かめてその結果を待たなくては調べができんということでは、これは税関行政は特に飛行機というものを利用される場合には、とうていこれは行われない。従いましてやはりそういう具体的にどうもこれは法に違反する事態がありそうだという客観的な条件があれば、かりに相手がだれであろうと一応調べるということは、これは私はやむを得ない。ただしかし、そういうふうなこの時間も十分あってまあ念を十分入れ得るというようなときは、やはり法を左右するのじゃないが、一応だれだろうか、どういう身分の人がそんなことをするのかということを聞くことは、私はこれはよりいいと思いますが、それをしなかったから、これは責任をとれというのでは、今後の税関行政というものは私は執行困難になる、かように考えております。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  117. 亀田得治

    ○亀田得治君 何がその通りなことであるもんですか。そんなことじゃあなたどこからか怪電話でもかけていたずらされたら大へんな迷惑を受けます。それはやはり何といいますか、この税関の場合には普通の検察権と若干違った事前の措置というものか許されているわけですが、しかしこんなことはもう例外ですよ、憲法の立場から言ったってこんなことは例外の例外なんです。もし税関がそういう簡単なことで情報を信じて、そうして動くということなら、こういう規定自体はやはり検討する余地か出てきます。だから私はただいまの大蔵大臣のこの答弁にはどうも納得いたしかねます。  それからもう一つは、宮良氏に対してはともかく結果としては非常な迷惑をかけておるわけですね、これに対してはお気の毒だという先ほどもそういう意味お話がありましたが、お気の毒では私は済まないと思うのですね、お気の毒ならお気の毒でどういうふうな具体的な措置等をお考えになっておるのか、差しつかえない範囲にもう少し具体的にその点表明していただきたいと思います。
  118. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 税務官吏、今回は税関ですか、税関吏か信拠すべき情報と考えまして調べをしました、その結果が情報通りでないということをもって一国の大蔵大臣か一々あやまるというわけには私は参らないと思います。これはもう検察当事者がいろいろな場合に法律に基いてこういうことか許されておる場合に、それがその通りでなくても、これは私はまあやむを得ないことではないか、むろん私は個人的に、私的においてそういうふうな理屈を抜きにいたしまして、まあ特に沖繩の社会党の方でもあり、また参議院の議員でもあるそういう御身分の方に対して、そういうことが結果的にありました。それで私は私として一応遺憾の意を表するのでありますが、またこれは公けの意味において、これをあやまるわけにはこれは私はいたしかねると思います。しかし私としては一応そういうすべての情勢判断から、やはり沖繩の方でもあるし、また沖繩の方に悪い感情を持たせましたことは適当でない、そういう意味において私は遺憾の意を表するというのであります。
  119. 亀田得治

    ○亀田得治君 ただいまの大蔵大臣考え方は大へん間違っております。私は内部における責任関係はなかなかこれは手落ちというものもありますから、その点は実は大蔵大臣の言うのも若干実はくんでおるつもりです。しかしどんなに善意であっても、その結果がはなはだしく的が外れておったとかそういうことによって迷惑をかけた場合には、これは無条件であやまるのが当然ですよ。これは何も税関だけじゃありませんよ。警察にしたってどこにしたって見当違いの捜査をやった、これは法務大臣が私はもうまことに済まなかったとあやまっても、ちっともおかしいことはないと思うのですよ。日本の法務大臣がそういうふうな態度をおとりになれば、なるほど日本の警察もだいぶ民主化してきた、むしろ国民が喜びこそすれ、間違った結果が出ておるのに、それに対してこちらは大臣だからあやまれるものかと、これではちょっと危険だなと、こういう感じを与えるじゃありませんか。私はもっとそういう点はフランクな気持で扱うべきじゃないかと思いますが、どうですか。
  120. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私はその考えに同意いたしかねるのでありまして、私は政治的な意味において遺憾の意を表しておるのであります。もし法律に基いた行為について結果が違うからというので、何かの措置が要るなら、これはやはり私は法律に基いて損害賠償を求めるとか、あるいは名誉棄損についての何らかの措置をするとか、これは法律問題としてはそういうふうに私はなるべきで、そういう法制があるべきだと思う。しかし私が今ここで遺憾の意を表するのは、もう少し高い見地から、これは沖繩の方は日本の同胞であるし、また沖繩と日本との関係、また、たまたま沖繩で選挙もあるようです、こういうふうな時期に際会しておりますから、私は政治的において、理屈を言うのじゃありません、理屈を抜きにして、政治的な意味において私は遺憾の意を表するのであります。
  121. 亀田得治

    ○亀田得治君 政治的な意味で遺憾の意を表するが、法律的な意味では別だというふうな趣旨のようですが、私はそんなものは二つ区別できるもんじゃないと思うんです。これはそれなら法律的な関係では一つ訴えでも起してくれと言わんばかりの言い方ですね、聞いてると。そういう意味なんですか。
  122. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) そういう意味では全然ありません。ただ責任を特に理屈っぽく追及——言われるから、そんならそういう工合に理屈を言われるなら、こうじゃないでしょうかと、しかしそういう理屈を言うんじゃないのでありまして、沖繩と日本との間が親交するんだから、私は一国の大蔵大臣であるが、この予算委員会において遺憾の意を表する、これは私としては最上の遺憾の意を表する形式じゃないかと思うんです。それで私はもしもそうしなくて情報に基いて税関が——税関はやはり税関行政をやらざるを得ないんです、そうしまして、結果が予期通りでないときに一々大蔵大臣がだれであろうと——たまたまこれは宮良さんは沖繩の方であり、参議院議員であり、あるいは選挙のときであるということからいろいろ問題がありますけれども、これはだれでも大蔵大臣が一々信拠すべき情報に基いて調べた、その結果が情報通りでないからといって、一人々々の人に大蔵大臣があやまっていたら、これは税関行政はうまくいかぬし、また現地のお役人も調べをするとか、税関行政をやるという意力を失いますおそれが多分にあると私は思います。
  123. 亀田得治

    ○亀田得治君 それはもう大へんな間違いですよ、そんなことは。間違いか何件起きたって何百起きたって、それは一々陳謝した方がいいですよ、これはむしろそういう態度の方が、これは大蔵大臣にあまり頭を下げさしちゃいかぬということで慎重になる、逆に。あなたがそういうことをおっしゃっておったら、これは多少やったって大蔵大臣にまで迷惑がいかない、逆ですよ、これは全然。だから政治的に陳謝されるならされると、それだけおっしゃっればいいんですよ、大臣、陳謝されるようなされぬようなことをおっしゃるから、私もちょっと納得できぬのですよ。まあ時間をだいぶとり過ぎてもなんですから……。  もう一つは、ともかくこの情報の提供者は大へん人騒がせをやってくれたわけですよ。そこで大蔵大臣なり、あるいは主税局長なりから、この情報提供者に対して、お前は一体どっからああいう情報をとってこちらへ通報したのか、この点を事件後お確めになりましたか。
  124. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 確認はいたしております。
  125. 亀田得治

    ○亀田得治君 お確めになったところ、先方はどうおっしゃっておったのですか。
  126. 原純夫

    政府委員(原純夫君) それ以上のことは申し上げないようにさせていただきたいと思います。
  127. 亀田得治

    ○亀田得治君 それはおかしいじゃないか、出所については大蔵大臣からはとめられておるというふうには聞いておるが、あちらがどういうことを言うてきたかということは、すでに百万円の札を持っているとか、こういうことはすでにあなたはおっしゃっていることで、もう済んでしまった事件について、何でああいう間違いのことをこちらへよこしてくれたのかということをわざわざ尋ねたのであれば、われわれもこれは参考にしたいわけですよ、そんなことがどうしてあなた言えないのですか。これは大蔵大臣もいらっしゃるが、それは差しつかえないでしょう。だれがそのことを言うているかということは、これはあなたがとめておるようですが、それ以上のことは、そんなことは差しつかえないわけです、言って下さい。
  128. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) 東京税関の審理課長から、その後どうしてああいう間違った情報をよこしてくれたんだということを、話を向うにしております。そして向うは、えらい御迷惑をかけましたということを言っております。
  129. 亀田得治

    ○亀田得治君 それだけですか、内容はどうなんです、どうしてそういう間違いのものが出たという意味なんです。ただえらい迷惑をかけた、それだけなんですか、それだけでは済まぬでしょう
  130. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) ただいま申し上げましたことを、向うが言っておる以上に、そういう情報がどこからその人に入ったかというようなことについては、向うはしゃべっておりません。
  131. 亀田得治

    ○亀田得治君 こちらの方は、その説明方を何回くらい求めているのです。ただ相手が、それは電話で聞いている程度ですか、どうなんですか。
  132. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 大へん結果として申しわけないことになったわけでありまするが、その間違いであったという点について責めただすという角度で、とことんまでいたすということは実はまだいたしておりません。いずれにいたしましても、情報の出所ないしその辺に関するところは、まあこういうニュースが入ってくる、いわばまあほかの場合でもいろいろあるわけでございますが、私どもあるいは勝手と思われるかもしれませんが、外部には申し上げないでいたいという気持でおります。一応確認の意味で先ほど来申しているようなことを承服いたしておりまするけれども、それ以上のところには参っておりませんし、その出所その他につきましては、この程度で御勘弁を願いたいと思う次第でございます。
  133. 亀田得治

    ○亀田得治君 実際ほんとうに国というものが親切であれば、そこまで調べて、そして宮良君の方に、これが大蔵大臣の名前ではやられなくても、関係省の方から非公式にでも、実はこういうことで見当違いをしたんだといったようなことを言うてやれば、人の気持というものはもう解消していくものなんです。私はそういうあと始末かできておらぬと思うのですね、今のお話を聞きましても、実際は。今後もっとそういう点を情報提供者から聞いて、まあその通りのことは宮良君に伝えるわけにいかぬかもしれませんが、何か適当な、実はこういうことでこうだったんだというくらいのことは当然あるべきだと思いますが、どうなんですか、主税局長
  134. 原純夫

    政府委員(原純夫君) その調べをいたしました際も、調べた担当官としては、調べたところが何もなかったということで、失礼な結果になったわけでありますから、大へん失礼申し上げましたと、気を悪くなさらないで御勘弁願いたいということは申しておるわけでございます。また私ども全体としましても、そういう気持でおります。ただ先ほど来それを何か固い形で現わせというようなお話になりますれば、先日来何回かの御審議で私ども大蔵大臣を初めとして、そういう結果になったということを、大へん遺憾であるということを誠心誠意申し上げておるわけであります。その上宮良氏に云々ということ、大体こういう検査の何はたくさんの人が税関を通って出入りされるそのときにいろいろある。まあ相手がありますれば、あるいはそういう結果か何と申しますか、大へん疑って済まなかったということでありますれば、失礼いたしましたということで大体済んでいることで、今般もこれだけのお話しで十分私どものそういう恐縮している気持は、宮良さんにも伝わっておると思います。なお今後沖繩との間にいろいろ行ったり来たりもあるわけですから、そういう場合にもそういう気持で、何かのときにはそういうあいさつかあるだろうということはあると思いますけれども、あらたまった形をとってどうしろと言われますと、少し重いような感じがして、先ほどの大臣のようなことになるのじゃないか、その辺は数回の会議における私どもの態度、それから申し上げたことからお汲み取りを願っておわかりをいただきたいと思う次第でございます。
  135. 亀田得治

    ○亀田得治君 それで先ほどから先方に、情報提供者に対して、はなはだこのかけ合っているかけ合い方がどうもこちらの方が押されぎみのようなところがあるのですね、一体それは情報提供者は秘密だと言っているのだが、軍関係の者か、官庁関係の者か、民間関係の者か、私はおそらく民間関係の者ではなかろうと思うのです。そういう者なら、これはもう飛んでいってでも、お前けしからぬじゃないかというようなことで、すぐはっきりしていると思うのです。ところがそうでないところを見ると、官か軍だね、それは間違いないでしょう、その程度のことは。
  136. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 情報の出所については、いろいろのニュースといいますか、密告といいますか、いろいろな場合にあるわけでありますが、事柄の性質からいって、一切外部には申し上げないということにいたしております。またそういたさなければならぬと思っておりますので、大へん恐縮ではありますが、御返事を遠慮させていただきたいと思います。
  137. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私先ほどの原主税局長答弁を補足します。これは私の考えを申しますが、これはこういうところで突き詰めますと、かえって私沖繩の方との関係をよくするゆえんもないと思います。それであなたのサゼッションもありますので、なおお気持か解けぬようになりましたら、私個人のこれは形でいいと思う、何らかの形で私も遺憾の意を表しておる、そのことを先方に伝える何らかの私手段をとりましょう。そうしてもうその辺で一つこれはお払い下げをお願いしたいと思う。(小笠原二三男君「関連」と述ぶ)
  138. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 小笠原さん、簡単に御発言願います。
  139. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は岡田委員質問関連して、もっと質問したいことがあるのです。  先ほど来お伺いしていますというと、いろいろ話が理屈張っておるからこういうことになるという大臣のお話しでしたから、私は佐藤審理課長、この方にお尋ねしたいと思うのです。あなたが五時半の出航なのに、五時ごろ、あるいは五時過ぎにその情報を受け取った、そうして直ちに出先の方に指令を与えた、しかも相手方に対して本人がどういう方であるかということも伺いもせず、急速にそういう措置をとった、しかしその情報先は職務上の秘密で言えない、こういうことであったようでありますが、職務上の秘密だから言ってはならぬ、当委員会に出て言ってはならぬと言われたのは、どなたですか。
  140. 佐藤菊凍

    説明員佐藤菊凍君) お答えいたします。直属上司である税関長でございます。
  141. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これからは私の推測になりますが、あなたがほんとうに相手方に対して、当事者の身分その他についてお聞きもしないで、直ちに指令したということは、前回も言っているように、出たところに信憑性があるから、だからもう直ちにそれを信じてやったんだ。私はそういうふうに、あなたの言った通りに聞きとります。そうだとしますと、これは民間における単なる個人、名も知らない人であります場合に、そういう情報を提供された、時間的に余裕がない、何人が言ってきたのか電話ではわからない。がしかし、直ちに指令すると、そういう軽卒なことをあなたは審理課長としておやりになりますか。
  142. 佐藤菊凍

    説明員佐藤菊凍君) 申し上げます。情報の内容その他はケース、ケースによって違いますが、従来の取扱い、また私が処理した経験から申しますと、今回のように時間的な制約があったことは今回が初めてでございますが、ただ、相手方かはっきりしない場合が——情報を出す場合にははっきりしないような場合もあります。そういう場合でも、内容か具体的な場合には、特に内容から見て信憑性があると判断された場合には、やはり今回のような方法によりまして検査を実施した例もございます。
  143. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 内容によってはそういうことだと言いますから、じゃ内容として、私、小笠原というものが百万円持ち出す、調べたらどうか。この内容は具体的であってだれが言ったことだかわからぬが、あなたは指令しますか。
  144. 佐藤菊凍

    説明員佐藤菊凍君) やはり指令がわからない場合でも、その情報を得た場合には、私と羽田の関係は指令という関係でございませんので、一応情報としてこういうものがありますということは言います。
  145. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これ以上お尋ねしないでもわかった。わかる。皆さんたくさん聞いておるのですから。で、あなたは、相手方に対して、いろいろただすべき点をただすこともなしに指令をしたということであれば、確かにあなたの言う通り相手方は信憑性のある、ほんとうに関係のあるところであって、単なる民間の個人、名前の不明なもののこれは通報ではないということだけは明らかなんです。そうしますと、たぶんそれは個人というようなものでなくて、あなた方が信頼するに足るところから情報が出ておる限りであるならば、これは国内でいえば、あなた方と相互に協力し合う関係にある警察、公安調査庁、これしかないのです、機関としては。しかもそういうところのお互いに情報を提供し合う、通報し合う、こういうようなことは、これは行政機関内部の問題としてあり得ることで、あづけていいことであろうと思うのです、ある場合には。そういう問題と、今回職務上の秘密であるから、当予算委員会では出所を言ってはならぬということは私は全然関係のないことだと思う。これが民間の特定のあるいは不特定の個人の情報を受けてやったというのであれば、これを一々明かにしておくならば、今後そういう有力なる情報を提供してくれるものはなくなるであろう。相手方を保護することがないということになれば、情報提供を得られないで、関税行政はうまくいかない。従って職務上の秘密として秘匿しておくべきである。こういうことであるならば、私はその点はある程度わかります。そうでなくて、国内のそういう行政関係において、当然情報があれば通報し合う、そういう関係のものであれば、これが職務上の秘密であるといって、国会に、この予算委員会に、それを述べることができないということはあり得ないと思う。もしもそれが事前であって、そのことのために本人が逃亡するとか隠匿するとか、そういう事態か起る緊急な事態に公開せいということならともかくとして、事件はもう過去のものとなっておる。そういう事態においてこれが職務上の秘密であるということは考えられない。またこれが軍であるということであれば、軍の通報を受けたということが、それが職務上の秘密である、国民感情その他に与える影響はあるであろうが、それは国家公務員なり所轄庁のそれは職務上の秘密として秘匿すべきものでは何らない。委員会に対して、国会に対して、そんな個々の微細にわたった点にまでも国会の調査権を、いろいろ調査の必要があって調査するのに、そういうことまでも秘密である、言えない、解除しないというようなことは、私はおかしいと思う。一萬田大蔵大臣どうですか。重ねてその点と、もう一つは、亀田委員に対して法的には責任がないのだ、だから政治的には云々なんだと言うが、しかし相手方からその身分や地位やあるいは確かな情報であるかということをただすべき点はただして、なおかつやったということならば、これは万全の措置として、取扱いに遺憾な点があっても、それは法律上何でもないということでありましょう。しかし、これは相手方に対してただすべき点もただしておらない。そうしてただ自己の判断で信憑性あり、確かだろうという一つの判断をもって厳重に捜査せいと言うて、その事実が現われなかった以上は、これは確かに責任問題なんですよ。責任問題なんだ。十分な手順を踏んでおらない。ところが、それを原主税局長等がいろいろ言っておるのは、相手方のことは言いたくない、言わない。しかし相手方の情報の出し方が悪いのだ、おれたちには責任がないのだ。やるだけのことはやったのだ。ただそれは職務上の秘密だから相手方を言えないので、迷惑をしたのはこっちだ。だからそれは責任をとれとか何とか言われたら、これはとんでもない大迷惑だ。そういう考えがあるいは腹の中にあってそう言われるのであろうかと思うのです。もしもほんとうに責任がないというなら、職務上の秘密などとして秘匿することを解除して、相手機関は何であったかということをここでお話しになった方が一切の事態が明快になる。結論はもうわかっておる。大蔵大臣も十分な誠意を尽して云々ということを再三申しておられる。だからその点はあとで、適当な予算委員会における協議において結論を得られたらいいと思う。ただ私は非常に遺憾にたえないのは、職務上の秘密をさえ言えば国会に対してでもまかり通るのだ、そういう考えが私は遺憾だと思う。秘匿すべき何ものもない。秘匿して相手方を保護しなければならない何ものもない。この二点について大蔵大臣からお答えを願いたい。
  146. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 一点の、相手方の身分等、名前はもちろんのことですか、身分特に職業等について精査をしなかった、よく聞かなかった、この点は私は先ほどからしばしば申し述べましたように、情報の信憑性というものを考える場合に、そういうことを確めたら一そうよい、こう思うのであります。しかしかりに相手がどういう方であろうと、これは私は先ほど申しましたように、これは日本の法に触れる行為があるという疑いがありますれば、これはいたし方ないことであると思うのであります。これはやはりその法の執行に当っている者は、やはりこれは自分の職務として遂行しなければならない、かように考えておるわけであります。  それからもう一つの点は、御承知のように先ほどからの御理解を下さった点でございますが、税関の行政というものは、まあそういうことが必ずしもいいとも言えないかもしれませんが、しかしながら従来の慣行あるいはまた実際の上から、どうしても情報というものがなくては、なかなか税関行政を遂行しがたい今日のやはり社会情勢にあるのであります。従いまして情報というものは税関行政を執行する上において非常に重要なことになっております。従いましてこの情報の提供先を、だれであろうとそれを一々明らかにするということはいたしがたいのであります。これはやはり職務上の秘密に属する、かように考えていいという判断に立っておる次第でございます。
  147. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 税関行政一般について職務上の秘密として個人のそういう情報提供者の利益を保護する、そして情報の提供を広く受ける、このことはわかるとさっきから言っている。けれども、今回の場合は個人ではない。個人でないことは質疑過程で明らかなんです。どうしてこんな間違った情報をよこしたのだと尋ねたそうです、向うに、と言っておる。どうして間違った情報をよこしたのだというような発言内容からしても、それは身元も知れない者には確めるわけに参りません。身元の知れている個人に対して常習的な情報提供者、民間の情報提供者であるならいざしらず、この相手の人間から見て常習的なそういう情報提供者の情報ではないことは明らかなんであります。従ってそういう言葉づかいで公務員同士が話し合える仲というものは、あるいは翻訳してそういう言葉でものの言えるものは、それは組織機関なんです。個人ではないのです。しかも信憑性があるということで、その百万円なるものがどうしてそういうふうに入ったのだ、どういうふうなところから君は情報をとったのだ、そういうことを尋ねることもなしに、もう時間的に余裕がなくてぱっぱとその情報を提供して厳重に調査せしめるとなればなおのこと、それは相手方は個人ではない。そうであれば、これは職務上の秘密として秘匿しておくべき筋合のものではない。当り前に公開されるべきものだ。あるいは一般の民間の人が聞きにいった場合に秘匿する場合はあるかもしらぬが、ここは予算委員会なんです、国会なんです。一々そういうことを本会議の院議にかけて、そして内閣に職務上の秘密を解除するように請求する云々という手続をとるまでにも至らない問題なんです。行政上の一個々の秘密なんだ、だからそれを知らせるということは当然のことなんです。今後そういうことで、大蔵大臣であれ、だれであれ行政府のものが秘密である、マル秘であるという扱いで、国会との間で問題を起すというようなことは、これはもう今日の憲法上民主政治の建前から言っても私は遺憾だと思う。そういう意味で言っている。もう一度御答弁を願いたい。
  148. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) はなはだ御希望にそうような答弁ができませんことを私は遺憾に存ずるのでありますが、むろん私ども国会の権限を尊重いたしますことは申すまでもありません。それは第一のことであります。がしかしながら、同時にまた行政を行う上において、行政の職務の執行の上において法律で保護されている、そのことはやはり行政官吏としては守っていかなくてはなりませんので、その辺のそれぞれの立場の調和が、法律の方で所定の手続きをとらなくてはやはりならぬと、かように私は相なっておるかと思う。私はここでこれ以上議論をすることはありません。ただ私が衷心考えておりますることは、今回のことで宮良さんに、個人的にいろいろな事情があったにいたしましても、御迷惑をかけていることについては、私はほんとうに終始そう思っているのです。従いまして先般来当委員会におきまして、私はしばしば取り扱いの上においてもう少し慎重にした方がよかったであろうという意味におきまして、また同時に先ほどから申しましたように、宮良さんとわれわれの関係、さらにまた沖繩と日本の関係等から考えまして、政治的にもこういうトラブルが起ったこと自体は、原因が何であれ、私は大局的見地からとらないのであります。従いまして、先ほどから申しますように、私個人といたしまして適当な方法で私がはなはだ残念に思って、遺憾に思っておるということを宮良さんに通ずることはいといません。だからどうぞそういうふうなことで、皆さん方も宮良さんが日本に対して非常に悪い気持を持たないように、一つはなはだ申しかねるのでありますけれども大蔵大臣としてそう思うのであります。
  149. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあこれ以上質問しても無駄なようですが、私は当事者の公務員に対して秘密の事項をここで言え、上司から言われたことを言えと言っているのではない。一萬田大蔵大臣にそのことは言ってよろしい。解除をしたらどうかということを言っておるのです。あなたの政治判断です。それが一行政上の今回の問題だけに限って国会を無視して、どうしても行政上の秘密だ、関税行政に重大な悪影響がある、従ってそのことは言えない、こういうのであるなら、それでよろしいが、私はそう了解する。それでいい。ただもう一つは、最後に伺いますが、あなたは個人的に遺憾の意を表しておるとか、公的には表せないとか、そういうことを言っていますが、ここの委員会は公的なお互いの公的な立場で質疑をしているところなんですよ。個人一萬田何がしなる者がとやこうのことを言おうが、そんなことは予算委員会の関したことじゃない。何あなたは言っているのですか。公人としての大蔵大臣としての遺憾の意を表せないのですか。そして慎重さを欠いておった、御本人に対しては気の毒だと思う、今後こういうことが沖繩の同胞との間に障害となることのないように、それを十分考えて、今後の関税行政を措置したいと思うと、そういうふうなことが堂々と一国の大蔵大臣として言えないのですか。政治的であろうか、法律的であろうか、そんなことはどうでもいいのです。その公的とか、個人的とかいうようなことを、あなた自身こそさっぱりおやめになったらどうですか、それだけお尋ねしておきます。
  150. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 議事進行。ただいまの小笠原君の質問に対しまして、一萬田大蔵大臣は、いろいろまあ個人として十分陳謝するとか、釈明するとかいうことを言っておられるようであります。われわれが過般からこの問題について追及しております、その電話のソースという問題、かけ主の問題は、いまだにまだはっきりしておりません。われわれは、もう少しこの問題についても追及しなければなりません。かつまた、公務員のいわゆる秘密ということが、果して国会においてどの程度まで制約されるものか。われわれ国会における審議に支障のあるような秘密の制約というようなことが、果してこのまま解除されないでいくことがいいか悪いか、そういう問題につきましては、今後なおわれわれとしては考えなければならない問題があると思うのであります。しかし、一応は、大蔵大臣も手違いがあったことを十分認めておりますし、私はこの結末の問題につきましては、あらためて委員長、理事打合会において十分協議いたしまして、しかるべき処置を講じていただきたいと思います。
  151. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 委員長から申し上げます。ただいまの松澤君の議事進行に関する御発言には、委員長も賛成であります。従いまして、さらに本問題は理事会に諮ることといたしまして、本日は本件に関しての御質疑はこの程度といたしまして、なお、この際議事の日程について委員長から申し上げます。過般理事会の申し合せに基き、去る十三日本委員会において、一般質疑は本十九日中に終了する予定でありましたか、議事の都合上、残余の一般質疑は明二十日に延期し、同日午前中にこれを打ち切ることとし、分科会は明二十日午後から二十六日の午前までとし、同日午後主査の報告を行うことに決定いたしました。右御報告申し上げます。  明日は、午前九時五十分から理事会を、午前十時から委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十四分散会