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1958-03-17 第28回国会 参議院 予算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十七日(月曜日)    午前十時五十九分開会   —————————————   委員の移動 三月十五日委員岸良一辞任につき、 その補欠として加藤正人君を議長にお いて指名した。 本日委員武藤常介君、田村文吉君及び 豊田雅孝辞任につき、その補欠とし て鹿島守之助君、中山福藏君及び岸良 一君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     泉山 三六君    理事            伊能 芳雄君            小幡 治和君            剱木 亨弘君            迫水 久常君            高橋進太郎君            佐多 忠隆君            中田 吉雄君            松澤 兼人君            森 八三一君    委員            青柳 秀夫君            石坂 豊一君            大川 光三君            大谷 贇雄君            鹿島守之助君            木島 虎藏君            古池 信三君            小山邦太郎君            後藤 義僅君            佐藤清一郎君            塩見 俊二君            館  哲二君            鶴見 祐輔君            苫米地義三君            一松 定吉君            本多 市郎君            三浦 義男君            安部キミ子君           小笠原二三男君            岡田 宗司君            亀田 得治君            坂本  昭君            鈴木  強君            曾祢  益君            高田なほ子君            戸叶  武君            藤原 道子君            矢嶋 三義君            吉田 法晴君            加賀山之雄君            加藤 正人君            岸  良一君            中山 福藏君            千田  正君            市川 房枝君   国務大臣    法 務 大 臣 唐澤 俊樹君    外 務 大 臣 藤山愛一郎君    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    文 部 大 臣 松永  東君    通商産業大臣  前尾繁三郎君    運 輸 大 臣 中村三之丞君    建 設 大 臣 根本龍太郎君    国 務 大 臣 石井光次郎君    国 務 大 臣 正力松太郎君    国 務 大 臣 津島 壽一君   政府委員    法制局次長   高辻 正巳君    検察庁刑事部長 中川 董治君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 加藤 陽三君    防衛庁装備局長 小山 雄二君    法務省刑事局長 竹内 壽平君    法務省入国管理    局長      伊関佑二郎君    外務省アメリカ    局長      森  治樹君    外務省経済局長 牛場 信彦君    外務省条約局長 高橋 通敏君    大蔵省主計局長 石原 周夫君    大蔵省主税局長 原  純夫君    大蔵省銀行局長 石田  正君    通商産業省通商    局長      松尾秦一郎君    運輸省航空局長 林   坦君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    大蔵省税関部    長       木村 秀弘君    東京税関監視部    審理課長    佐藤 菊凍君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十三年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 泉山三六

    委員長泉山三六君) ただいまから委員会を開きます。  まず、委員の変更について御報告いたします。三月十五日岸良一君が辞任せられ、その補欠として加藤正人君が、なお、三月十七日田村文吉君が辞任せられ、その補欠として中山福藏君がそれぞれ選任せられました。   —————————————
  3. 泉山三六

    委員長泉山三六君) これより昭和三十三年度一般会計予算ほか二件を一括議題といたします。  議事に入るに先だち委員長から申し上げます。  一昨日午前、午後にわたり論議せられました宮良問題は、岡田委員質疑通告のうちから発言せられたのでありまするが、事の性質上委員長においても慎重に取り扱い、十分な発言を許可して参りました。その点については矢嶋委員から、本問題に要したる時間は別扱いとせられたいとの希望もあり、委員長は追つて理事会に諮つて最後に時間の調整をはかるつもりではおりまするが、岡田君の発言はすでに七十分を経過し、同君の質疑通告時間を著しく超過しております。委員長は当然去る十三日の本委員会において御同意を得ました審議日程案に基いて本委員会運営をはかりたいと存じますが、予定の明後十九日までの間に質疑通告時間はなお五百八十分を残しますので、予算審議今後の運営については委員各位はもとより、政府側に対しても特段の理解と協力をお願いしてやみません。  この際、大蔵大臣から発言を求められております。これを許します。
  4. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 宮良寛才氏を羽田税関官吏が特別に調べました件につきまして、なお調査報告に不十分な点もあるという一昨日の委員長の御注意もありましたで、それで私その後これに関係いたしておりましたすべての官吏を集めまして、さらに慎重調査をいたしました。その結果、先般来御報告申し上げておいたのでありまするが、やはり当時税務官吏がああいう特別の調べをすることを余儀なくされるような信拠すべき情報、これはその情報内容についてもすでに具体的に申し上げてあるのでありまするが、その内容がきわめて具体的である、かつまた、その情報の出たところもあわせ考えまして、どうしても税務官吏としては特にお調べをしなくてはならぬという状況にあったことを私も確認をいたしたわけでありまして、このことは全責任をもって御答弁申し上げるわけであります。ただ、実際御協力があったのでありまするが、調べた結果におきまして、当初の通りの結果であります。御本人に対して御迷惑もある。こういう点につきまして、私心から遺憾であると考えておる次第であります。かような次第でありますので、どうぞ御了承をいただきたいと思います。
  5. 泉山三六

    委員長泉山三六君) では、前回に引き続き質疑を続行することとし、岡田君の発言を許します。
  6. 岡田宗司

    岡田宗司君 ただいまの大蔵大臣の御発言を聞いておりますと、一昨日のことを一歩も出ておらない。委員長の御注意にもかかわらず、一昨日より一歩も出てないということは、不誠意きわまる態度と言わなければなりません。私どもはこれは断じて許すことはできないのであります。今度の事件は単に宮良寛才君一人に対して、個人に対して行われた侮辱ではないのであります。この事件、特に怪電話の問題は、これは重大な政治的な問題と私どもは見ざるを得ない。  今次の沖縄立法院選挙は昨日行われまして、本日開票されるでありましょうが、この沖縄立法院選挙に、沖縄には社会党並びに民連から十九名の候補者が立っております。この民連政治的進出をおそれまして、いろいろなる圧迫妨害、あるいは謀略が行われておるのであります。それらの一環としてこの怪電話があったと私どもは断定せざるを得ない。この立法院議員選挙の行われる前にアメリカ軍政府当局からの指示によりまして、琉球政府はさきの市長選挙の際に民連政治結社の届を出しておらない、こういうような理由民連は無届のままで立候補者を出して政治活動をやつた、このことを取り調べるように命じました。そこで琉球巡回検察庁が兼次新市長あるいは琉球立法院議員、さらに問題になっております宮良寛才君、その他大ぜいを取り調べまして、まず今次の選挙に当りまして、あらかじめ圧迫を加えて参っておるのであります。また選挙の最中におきまして、いろいろな手だてで妨害が行われて参つたのでありますが、宮良君が持って参りました日本社会党機関紙の社会新報あるいは鈴木委員長淺沼書記長テープ等を押えました問題もそれもその一つであります。前回市長選挙のときには総評からたくさんの、ビラ、ポスターを送つたのであります。一時これは押えられましたけれども、解除されまして選挙に間に合つたのであります。今度はこれは無為替輸入とみなす、こういうことで押えたのであります。委員長テープ、これも短かいものです。書記長テープ、これも短かいもので、商品でも何でもありません。これはそういう口実で押えておるのであります。これも一つのの選挙に対する妨害と言わなければなりません。  さらにまた、おかしなことは、十三日に北京から怪放送が行われておるのであります。その北京放送というのは、沖縄はこれはもともと中国領土である、中国に返還すべきが当然であるというような意味のことであります。そうして、それに十六日に琉球立法院選挙が行われるが、中国沖縄愛国者の闘争を支持する、こういうふうに言っておるのであります。この放送が出ますというと、沖縄民主党——保守党である民主党アメリカ協力する一派の諸君はこれをもとにいたしまして、民連立候補者に猛烈な攻撃を加えておるのであります。ところが北京放送は、こういうことは絶対にない、周恩来総理あるいは毛沢東首席は、沖繩日本領土であるということを繰り返し確認したことを伝えておるのであります。これが明らかに謀略放送であるということ、しかもこれが沖縄立法院選挙において民連立候補者を不利に導こうとする謀略であるということは明白である。宮良寛才君がこちらの任務を終えまして、そうして三月十日に立とうとするときに怪電話がかかってきまして、宮良君が百万円持って出る、こういうことで税関をして押えさせようとした。つまりこの怪電話をかけた者は、これによりまして、あるいは社会党沖繩社会党等を応援するということから、何か選挙資金でも秘密に円でもって持たしてやるんじゃないかという想像の上に立ち、これを押えよう、さらに、沖縄社会党有力者である宮良君をこれによって陥れて、そして選挙に応援するのを間に合わないようにしようという謀略であると私は断定せざるを得ないのであります。こういう点から考えますならば、この怪電話出どころを追及するということは、これは社会党として当然のことであります。私はそういう意味で一昨日からこの問題に対して追及をしておる。そして、この電話を聞いて命令を下しました審理課長出席を要求したのであります。しかるにもかかわりませず、委員長が取りなして今日に延ばし、そして、あなたに対して、もっと詳細に答弁すべきことを要求したにもかかわりませず、今の一体答弁は何事でありますか。これは私どもに対しまして、私どもを軽視しておるものと言わざるを得ない。私どもは断じてさような答弁では満足できないのであります。  われわれは、一昨日も申し上げましたように、あらためてここに審理課長説明員か何かとして出していただくことを委員長に要求したいと存じます。
  7. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 岡田君に申し上げます。東京税関審理課長佐藤菊凍君に対しては、一昨日も岡田委員から参考人として出頭ありたき旨の発言がありましたが、参考人の決定は申すまでもなく本委員会同意を経なければなりません。佐藤君は、せつかく次室に控えておりますので、委員長は、この際特に説明員として佐藤君の出頭を認めることといたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 泉山三六

    委員長泉山三六君) それでは、どうぞお尋ね下さい。
  9. 岡田宗司

    岡田宗司君 それでは、説明員にお伺いいたします。  第一点は、どこからかその電話情報があったというお話しでありますが、その電話情報はいつあったのか、まず、それからお伺いしたい。
  10. 佐藤菊凍

    説明員佐藤菊凍君) ただいまの御質問お答えします。十日の午後五時前後と記憶しております。
  11. 岡田宗司

    岡田宗司君 その電話のかけた主は何人でございますか。
  12. 佐藤菊凍

    説明員佐藤菊凍君) 情報出どころにつきましては、職務上の機密に属しますので、私からはお答えできません。
  13. 岡田宗司

    岡田宗司君 この点はさらにあとでお伺いをすることといたしまして、しからば、その情報内容はどういうものですか。
  14. 佐藤菊凍

    説明員佐藤菊凍君) 内容について御説明いたします。宮良寛才という方が、本日、十日の午後五時半羽田発ノースウエスト機沖繩へ立ちます、その方は、百万円ぐらいの円を持ち出す疑いがあります、という情報でございました。
  15. 岡田宗司

    岡田宗司君 その情報に基いて、五時ごろお聞きになって、何時に羽田の方へ電話をおかけになつたか。
  16. 佐藤菊凍

    説明員佐藤菊凍君) 直ちに羽田の方へ電話で連絡いたしました。
  17. 岡田宗司

    岡田宗司君 そこでお伺いしたいんですが、その、一体宮良寛才という人が百万円を持ち出すということについて、宮良寛才というのはどういう人物であるかということを、あなたはその情報に基いてお考えなつたか。
  18. 佐藤菊凍

    説明員佐藤菊凍君) 営良さんの職業なり、地位なり、そういう点につきましては、情報の点からも何らありませんでした。また、私自身も、(「そんなばかなことあるか」と呼ぶ者あり)そのときには考える余裕もありませんでした。直ちに連絡いたしました。
  19. 岡田宗司

    岡田宗司君 その百万円持って出るということを、それが信憑かてきるという判断を下した、そうしてそれに基いて電話したということになりますが、そのことか信憑かできる、そうして百万円持ってるに違いないというふうに考えたその理由、根拠を一つ述べていただきたい。
  20. 佐藤菊凍

    説明員佐藤菊凍君) その情報を確かだと思量いたしました理由は、出どころがはっきりしておったということと、情報内容がきわめて具体的であった、この二点でございます。従って確かな情報であるというふうに考えたわけでございます。
  21. 岡田宗司

    岡田宗司君 その結果はどうでしたか。
  22. 佐藤菊凍

    説明員佐藤菊凍君) 結果は百円紙幣一枚、それから、たしかB円が二十円のが出たというふうに聞いております。
  23. 岡田宗司

    岡田宗司君 しからば信憑すべきものでなかったことは明瞭なんだ、全くうそなんだ、そこで……
  24. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 岡田君に申し上げます。なるべく簡単にお願いいたします。
  25. 岡田宗司

    岡田宗司君 委員長、こんな答弁をしていて何が簡単にできますか。
  26. 泉山三六

    委員長泉山三六君) よくわかりましたが、先ほど申し上げましたように、すでに八十分を経過しております。
  27. 岡田宗司

    岡田宗司君 時間の問題ではないです。(「委員長、この質疑内容を聞いておるのか」と呼ぶ者あり)
  28. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 聞いております。それでは今の訂正いたします。発言の時間の調整について御配慮を願います。(「委員長、そういうことは……」と呼ぶ者あり)岡田君の発言中です。
  29. 岡田宗司

    岡田宗司君 それでは、今聞くところによるというと、確かだ、百万円持って出る、じやあなたは、その百万円はどつから出たと思うか、どういう経路を経て宮良寛才が百万円持って出ると思うか、彼は一体常習密輸入業者、あるいは円の売買業者とか、そういうふうに思ったのかどうか。
  30. 佐藤菊凍

    説明員佐藤菊凍君) そのような、密輸常習者のような判断でいたしたわけではございません。従来の経験上、このような、むしろ氏名がわからない情報でありましても、内容が具体的な場合に、しばしば身辺開示を求め、身辺サーチをやつた結果、やみドルその他が摘発された事例がございました。過去の経験に基きまして判断したわけでございます。
  31. 岡田宗司

    岡田宗司君 出るときにはあまりやっておらぬ。入る者について、密輸入について取り調べることは相当多いと聞いておる。出る問題については、それほど今までやった例は聞いておらぬ。しかも宮良寛才君が、どういう人かも調べないで、ただその情報に基いて、直ちにそういうことをやるということは、まことにあなたが審理課長として不適任であるということを物語っておる。能力がないということを物語っておる、権力を乱用しておるということを物語っておるじゃありませんか。その点はどう思いますか。
  32. 原純夫

    政府委員原純夫君) 私に(「助け舟に出なくてもいいよ」と呼ぶ者あり)お尋ねでございませんけれども、私、この税関仕事を所管しておりますので、私かわつて申し上げたいと思います。本日はどういう事実かということをお尋ねで、まあ事実のことでありますから、申し上げられる限り申し上げようというのでいたしておるわけでありますが、あと、その仕事やり方よしあしという点にただいまお入りになるわけであります。もちろん部内でよしあしについていろいろ検討ということもいたしておりますが、ただいまの点については、私ども一体としてこれは確実な情報と認めて処置をとつたということについて、私は全体として責任はとるつもりでおります。従いまして、それをこの審理課長自身にただす、尋ねるという点はごかんべんを願いたいと思います。
  33. 岡田宗司

    岡田宗司君 よろしいかどうかしらぬけれども、確実じゃないじゃないですか。しかも、ただ信憑すべき所から聞いたから、それをおうむ返しにすぐに電話でもって向うへやつて、こういう事件を起した。それに全然本人責任も感じない。あるいはまたその判断というものも、その間に自分でこれが一体ほんとうかどうか、百万円の出所がどうか、宮良という人がどういう人かということも全然調べもしないでもって、こういうことをやったということは、明らかにかれ自身が不適格なことを物語っておる。しかもこういう事件が起ってしまつたのです。私はまあ審理課長個人のことは責めません。しかし、こういうようなことになってきますれば、いよいよ電話出所ということを明らかにしなければ、これはどうしてもこの問題のなどはとけない。(「税関なんかあぶなくてしようがないじゃないか」と呼ぶ者あり)よく考えてごらんなさい。宮良君が密輸出入業者の一味としてあなたの方にはっきりわかつていた、常習者ということがわかっておれば、そういう判断を下して、ただちに命令することもいいであろう。しかし、かれは立法院議員である、この百万円がどこから出たかということを、そのニュース・ソースに確かめることもしないで、そういうことをやったということは、まことに軽率のそしりは免れない、そう思いませんか。これは原主税局長もそう思うだろうし、私は大蔵大臣だってそう思うと思うのだけれども一体どう思いますか。そういう問題を明らかにして下さい。
  34. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) こういう通報をいたしましたことは、関税行政としての遂行の上におきまして、どうしても情報が入るということはむしろ必須の要件であるのでありまして、従いまして私の考えでは従来のこの慣行、また飛行機というようなことで時間的な制約もあったと思うのでありますが、従来の慣行によって、別に人によって区別するのではないのでありまして、ある具体的な事柄があれば、これを確かめる、こういうふうなやり方に今までいっておると私は考えております。しかしながら、これは私が前数回この席上における御答弁で申したように、やはり情報信憑性を見る場合におきましては具体的に相手方がどういう人であるかということはやはり一応確かめまして、そうしてさらに入った情報が一そう信憑すべきかどうかというふうにするのが適当ではなかろうか、その点については私は今回ある程度考えたかと思うのでありますが、十分に確かめなかった……。(「確かめなかったじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  35. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 発言者以外の御発言は御遠慮願います。
  36. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 確かめなかったという点につきまして、私はしばしば遺憾の意を表しておるのであります。こういう点は今後十分にやはり注意をしなければならない。ただしかし、税関官吏としまして、そういうような法律に反するようなある事態があるとすれば、これを調査しなくてはならない、これは相手の人によってこれを左右されるのではない。ただ人を知るということは、どれほどその言葉が信憑性が強いかということを確かめるという意味であるかと思います。
  37. 岡田宗司

    岡田宗司君 私はその情報信憑性があるというならば、それはあなた方が信憑性があるという点だけでなくて、私どももその信憑性があるかどうか知りたい。明確に何がゆえに信憑性があるか、だれだから信憑性があるかということをはっきり答弁してもらわなければならぬのであります。もし、それがこういう公開の席でできないというのならば、これは秘密会議でもして、その信憑性のある所からかかってきた、電話をしたかけ主のことを明らかにしていただきたいと思う。
  38. 泉山三六

    委員長泉山三六君) お諮りいたします。なお、問題は残されておるように委員長判断をいたします。先ほど委員長から冒頭において申し上げました通り予算審議の点から、なるべくその審議の方にいくよう、その点も合わせ考慮いたしまして、それでは理事会にこれを移しまして、とくと理事会の議を経まして、さらに本委員会に持ち込みたい、かように委員長考えますが、御異議ございませんか。    〔「賛成」「委員長々々々」と呼ぶ者あり〕
  39. 泉山三六

    委員長泉山三六君) それでは簡単にお願いいたします。
  40. 亀田得治

    亀田得治君 あと扱い等については、適当にお話があると思いますが、先ほどの答弁を聞いていて、はなはだふに落ちない。もう一度審理課長からはっきりこれはお答えを願いたいのですが、先ほど岡田さんの質問に対して言えるだけのことをおっしゃったようでありますが、一つは、そういう電話があったときに、審理課長は、その百万円を持ち出すという人はどんな人ですか、こういう質問をしましたか。ほかのことは要らんですから、その質問をしたかどうか、電話主に対して。
  41. 佐藤菊凍

    説明員佐藤菊凍君) 質問はいたしておりません。
  42. 亀田得治

    亀田得治君 そういうばかなことは普通考えられません。これは必ず私はしているに違いない。先ほどあなたは——大蔵大臣も当然こういう問題については相手立場というものを若干考えるのが普通だ、これは大蔵大臣にあらずとも、だれでも考える。そういう重大な情報なら一体それはどういう立場の人か、具体的に言わなくても、大まかにでも言えませんか。あなたがとられた立場であるならば、これは聞いておるに違いない。聞いておるものを聞かぬと言っている、ここはおそらく私はそうだろうと思う。絶対にあなたは聞いておりませんか、その事実をはっきりして下さい。  それともう一つは、この税関でこういう調べをやつた場合には、法律によって調書を作成されます。この調書は現在できておりますか。そうしてその調書には宮良さんの調印がしてあるかどうか。これは後ほど問題になると思うから、その点だけ事実関係を答えて下さい。
  43. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) ただいまの調書を作成してあるかどうかという御質問に私からお答えを申し上げます。はっきり確めておりませんが、こういう身辺開示の場合は調書は作つておりません。それで調書をとる場合は、身辺開示をして出てきた場合に今度は犯則容疑に切りかえます。犯則容疑に切りかえましたときには、尋問の調書をとります。
  44. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 亀田君、一つ簡単にお話し願います。
  45. 亀田得治

    亀田得治君 関税法の百三十一条で、質問等をした場合に、当然調書を作つておる。大体こういう事件が起きておるのに、調書はどうなっているのか調べないで、国会に出てくるというばなかことがあるものですか、どうでしょう。調書があるかないかは別として、それがどうなっておるかということぐらい、大体羽田調べて、本日は、大蔵大臣以下が出てくるのが当りまえです。おそらく、その調書があるとすれば、宮良君の私どもがもらつておる手紙と、多少食い違いがあるものじゃないかという想像等もつくので聞いているのですが、今のような答弁はおかしいじゃないですか。質問をしたら調書を作らなきゃならぬことになっているじゃないですか。どつちが一体法律を守っておるのです。そういう運用を今までやっているのですか、皆さんは。どうしてそういう結論が出るのです。
  46. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) 今の関税法の規定は、質問をした場合に調書を作成することになっておりまして、質問の段階に至っておりません身辺開示の場合に、調書を作成しなければならぬというふうには、法律は書いてございません。今のは任意による身辺開示、百二十条による身辺開示でございます。(「それでいい」と呼ぶ者あり)
  47. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 簡単に御協力願います。
  48. 亀田得治

    亀田得治君 わかりました。答弁が率直でないから、私、何べんも聞くのです。(「懇切丁寧だ」と呼ぶ者あり)宮良君を、質問をあなたはしておらぬ、そんなばかな言い分はあるものじゃない。まず、質問から始つて、さらにきつい状態に入っているのでしよう。だれがそんな、宮良君から、質問もないのに、私はこうだと言う必要があるものですか。第一、調書があるのかないのか、電話で今からでも確かめて、その上であなた返事しなさい。あるべき調書がないというばかなことはないですよ。当然これは、質問をしておるのですから、調書があるべきものだ。(「ないと言っているじゃないか」と呼ぶ者あり)やかましい、発言中だ。どうですか、委員長、こういう答弁では打ち切りができない。当然公務員として作るべき調書が、あるのかないのかわからないような、そういう不明確な……、先ほどの審理課長だつて、そんなことは当然、そこらは確かめておる——それを確かめておらぬというようなことを、ここではっきり言っておる。(「けしからぬ」と呼ぶ者あり)
  49. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 委員長から申し上げます。亀田君に申し上げます。(「答弁々々、委員長だけわかつていてもだめです」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)関連質問といたしましては、先ほど木村説明員並びに佐藤説明員答弁を申し上げております。ただし、なお、問題が残されておりますから、これもあわせて理事会に諮りまして、とくと協議いたしたいと思います。(「ここでやればいいじゃないか」「それでよい」「けしからぬ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  それじや小笠原君簡単に一つ
  50. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は、前回委員会に、たまたま出席いたしていませんが、本日佐藤説明員岡田君に対する御答弁を聞いておつて、私は判断に、個人として迷う。ほんとうのことを言っているのか、うそのことを言っているのか判断に迷う。それじや、その前提として、たつた一つ佐藤説明員に聞いておきたい。  一昨日、この問題が、当委員会で起つてから、佐藤説明員は、上司とこの問題について積極的にあるいは消極的に、どうせられていいか御相談になり、いろいろ御協議をなさるということがあったかなかったか、ここへ出てくるまでにあったのか、なかったのか。原君、黙つていなさい。よけいなことをわきから耳打ちされると、私は、またその信憑性判断することができないのだ。(「そうだ」「発言をとめるというのはおかしいじゃないか」と呼ぶ者あり)みんな黙つていて下さい。佐藤説明員の言うことは、非常に大事なことなんですから、われわれ国会で審議して調査する判断の材料として、非常に大事な要素を持っているのですから、佐藤説明員はそのことをよく御承知になっていることと思います。で、私は強制するわけでも何でもない。ただ事実関係をお伺いしたい。一昨日この問題が起つてから、積極、消極ともにどうであれ、上司との間に御相談、協議、これに類することがあつて、ここへ出てきたのか、またそういうことがあったとするならば、いつ、どこで、どういう人と御相談をなすつてここへ出て来たのかと、これだけお答えを願いたい。  私は大蔵大臣に聞いているのではないのですから、私の議事進行をじやまする大蔵大臣発言は取り上げないで下さい
  51. 佐藤菊凍

    説明員佐藤菊凍君) お答えいたします。事実の報告を上司に、そのときになって詳しく報告をいたしました。それだけでございます。(「よろしい」「それでいいじゃないか」と呼ぶ者あり)
  52. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 何のことやらわからぬ。そのときになってというのは何のことです。(「いつのこと一問題が起つてからのこっちや」と呼ぶ者あり)
  53. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私、先ほどから申しますように、この件について全責任をもって調査いたしましたその経過を、一応申し上げます。  むろん具体的にこの実際に当つた人の事実を聞かないと、これはどうにもなりませんが、それに関係したものを集めて、事実を聞いたことは事実であります。私はそのときに、やはり一番私として頭にきたのは、この宮良という方がどういう方かお前知っておつたかということを、私は皆おるのですから、だれか聞いたか、知っておつたか、これを聞いたのですけれども、これは知らなかった。これはもう私の方で、実際の担当者を呼んで、その事実を確かめました。私はこの前の委員会から、その点についてはどうも遺憾があるということは、何回も報告を聞いて、それは事実そうだ、そこにそういうことを知つたのですが、従来やはりどうも、情報が入ってくるたびに、一一これを確かめていないようなことも、大体慣行によっているようでありますが、それは別に私、今後において、十分いろいろと税関行政の上において考慮を払うのでありますが、しかし今、議論じやなくて、実際の扱いがそういうふうでございまして、従いまして今申しましたように、いかにも常識的に考えると、特に今沖繩の、おそらくそういう政治的なことは、全然またそれは、そういうことまで考えるのは無理でしよう。そういうことまで、政治的なことまで考えて、こういうことを判断するのは、事務官のやり方としては行き過ぎかもしれません。これは私は無理なやり方だと思うのですが、実際そういうことも考えてなかったということが、私の調査上、これはうそでも何でもないですから、それだけは一つ御了承願いたい。(「正直正直」と呼ぶ者あり)
  54. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私、大蔵大臣から伝聞証拠として、何度そんなことを聞いたって、私の心証というものは……、判断に影響力を与える力がないのであります。(「そんなもの仕方がない」と呼ぶ者あり)そんなものは、ほんとうであるのかないのか、私にとっては、あなたの言うことは、また聞きなんですから、だから私は直接当人に聞いている。それが私のこの問題に対する判断の基礎になる。(「本人答弁」と呼ぶ者あり)従って先ほどの御答弁、非常に率直でありましたが、(「そうそう」と呼ぶ者あり)まことに紋切り型で、何を言ったのか私には聞き取れない。そのときになって何とかしましたというのを、もっと詳しく説明して下さい。(「報告したよ、報告」と呼ぶ者あり)  私ははっきり、いつ、どこで、どういう人と会ってお話をしたのか、そういうふうに聞いている。そのあなたの御答弁いかんによって、私は、あなたのおっしゃっていることが真実であろうとか、あるいはどこかこれは隠されているのであろうか、非常に重要な判断を私はすることになる。それであと私はまた質問したいことがある、今ではありませんけれども。もう一度佐藤説明員、詳細に御説明を補足して下さい。
  55. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 佐藤説明員、もう一度御説明願います。
  56. 佐藤菊凍

    説明員佐藤菊凍君) 先ほど答えた通りでありまして、(「それでいい」と呼ぶ者あり)この問題が提起されました日が、たしか二、三日前と記憶しますが、ちょっと日を忘れておりますが、二、三日前に税関部へ参りまして事実を報告しております。
  57. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 佐藤君、委員長からお尋ねをいたします。宮良君を取り調べましたのはあなたでありますか。
  58. 佐藤菊凍

    説明員佐藤菊凍君) 私ではございません。
  59. 泉山三六

    委員長泉山三六君) それならば、あなたから取り調べるようにという指示、もしくはアドバイスをなされたのですか。
  60. 佐藤菊凍

    説明員佐藤菊凍君) 私からこういう情報があるということを流したわけです。
  61. 泉山三六

    委員長泉山三六君) その際において、あなたにおいて何か政治的な意図がありましたか、ありませんでしたか。
  62. 佐藤菊凍

    説明員佐藤菊凍君) 毛頭ございま旧せん。
  63. 泉山三六

    委員長泉山三六君) わかりました。(「委員長、誘導尋問やっちゃだめだ」「委員長々々々」「議事進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)——小笠原君に発言を許しました。
  64. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大谷さんを坐らせて下さい。(「坐ったじゃないか、ちゃんと」と呼ぶ者あり)  佐藤説明員税関部に参って報告をしたということですが、その以後、それでは大蔵本省、主税局、そういう方面から何の話もなかったと了承してよろしゅうございますか。またその以後、何のだれともこの問題にっいて上司との間に相談することなしに、この委員室に入って答弁に当ったということと了承してよろしゅうございますか。
  65. 泉山三六

    委員長泉山三六君) どなたから。
  66. 小笠原二三男

  67. 佐藤菊凍

    説明員佐藤菊凍君) この委員会の進展につれまして、そのつど税関部あるいは主税局長、それぞれの上司に事実の報告を求められまして、きようここへ出ております。
  68. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ここは参議院の予算委員会です。私は言葉はぶっきらぼうでありますけれども、これでも丁寧に詳しく答弁を求めるように質問を先にしたのです。ところが、何度も重ねて質問したら、ようやくこういう答弁になった。あなたは一番最初に何と答弁したか。そのときになって上司に報告した。その後は何と答弁したか。税関部に報告しました。また追及したら、ここの委員会に出てくるまでに、この問題が起ってから税関部並びに主税局長とも話をし、報告もしてきた。なぜそういうふうに答弁するんですか。こういう質疑に対する答弁の様子を聞くと、あなたは何か隠そうとしておる(「そうだ」と呼ぶ者あり)というふうに受け取るのは私だけのひがみですか。ひがみだと思いますか。(「そうは思わぬ」「ちょっとひがんでるんだ」と呼ぶ者あり)不規則発言でどなたかは、そうは思わぬと言う人があるのですが、こういう人は、もう予算審議のできる人かどうか——私はあんまり言いたくない。常識として、なぜそういうふうにほんとにこういう重要な審議をしておるところできっちりした御答弁をなさろうとしないのです。もうあとは、私の心証として、大体わかる点はわかったから、あとお尋ねしないようにしたいと思いますが、最後に、けさここへ入ってくるまでに、また御相談をしましたか、しませんか。
  69. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 原……
  70. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 佐藤説明員を名指して聞いてるんだ。当事者から聞いてる。第三者から何ぼ聞いても、そんなものは伝聞なんです。
  71. 泉山三六

    委員長泉山三六君) わかりました。佐藤説明員
  72. 佐藤菊凍

    説明員佐藤菊凍君) けさも上司に対して事実を報告してここへ出ております。(亀田得治君「最後にもう一つ」と述ぶ、「委員長」「議事進行」と呼ぶ者あり)
  73. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 亀田君、まだ発言を許しておりません。——簡単に。
  74. 亀田得治

    亀田得治君 これは後ほどの……(「委員長々々々」「あんまり吠えるなよ」と呼ぶ者あり)
  75. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 御静粛にお願いいたします。
  76. 亀田得治

    亀田得治君 後ほどの、今度の私どもの調査にせひ今確かめておきたいと思いますから聞きますが、審理課長羽田電話をした相手ですね。相手は、だれが電話を聞いたのか、羽田の。この点の名前を明確にしておいてほしい。もう一つは直接宮良君を調べ羽田の人は何名であったか、そしてその名前。これをこの際明確にしておいてほしいと思う。
  77. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 御答弁になりますか。
  78. 亀田得治

    亀田得治君 説明員から。
  79. 佐藤菊凍

    説明員佐藤菊凍君) 羽田に連絡いたしましたのは平石旅具検査官であります。当日の当直者であります。だれが検査したかについては、こまかい点ちょっとはっきりここでお答え、私から……、(「おかしいじゃないか」「そんな答弁はない」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  80. 亀田得治

    亀田得治君 これだけの問題を起しておいて、羽田一体何を調べてきたのか、直接宮良君を調べた人は、今の話ですと審理課長はまだ確めておらぬと言うではないですか。そういうことで、宮良君が私どもに訴えておることが間違っておるとか間違ってないとか、そんなことが言えますか。不謹慎ですよ、大体。この点もう一ぺん答えて下さい。
  81. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) 羽田で別室に招じて取調べをしたのは副検査官の宮君であります。
  82. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だれから聞いた、当事者は知らないのだ。
  83. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) 宮君が調べ責任者であります。責任者というか、別室における……。
  84. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だれから聞いた。
  85. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) 東京税関から聞きました。(「委員長々々々」「ちょっと内容が違う」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  86. 泉山三六

    委員長泉山三六君) ちょっと待って下さい。岡田君、あなたに発言を許しました。(小笠原二三男君「東京税関から聞いたというではないか」と述ぶ、亀田得治君「私はそういうことを聞いておるのではない。いいですか」と述ぶ、)岡田君御発言になりませんか。(亀田得治君「質問答弁が違うのですから……」と述ぶ)それでははっきり、簡単にお願いいたします。
  87. 亀田得治

    亀田得治君 私がお聞きしたのは、直接に調べた人を聞いておるのです。今のあなたのお答えですと、調べ責任者は、とこうおっしゃる。ああいう場合にはよく責任者はだれだと、実際に宮良君に質問をした人は違うという場合があり得るから、先ほどおっしゃった宮という人ですね、それは直接に調べた人なんかどうか、この点を確めておきたい。
  88. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) ちょっと言葉が足りませんでしたが、そういう身辺開示を求めますような場合は慎重を期しておりますので、当直の旅具検査官なりあるいは副検査官——これは旅具検査官の所用のときに代理をすることになっておりますが、それが責任者として立ち会うわけです。従ってその現場に立ち会つております。
  89. 岡田宗司

    岡田宗司君 先ほどからの小笠原君、亀田君と当局者との質疑を聞いておりますというと、大蔵大臣が私に答弁したところとまるで違う。大蔵大臣は一昨日も本日も、関係者を集めて、そしてよく事情を聴取して、その上でお答えをしますと言って答えられた。関係者を集めてよく事情を聴取しているならば、一体羽田でもってだれが命令を受け取つて、だれが命令を下して、だれが事実調べたかということぐらいはっきりしていなければならぬわけだ、また同時に、先ほど亀田君の指摘しましたように、この問題について調書がとつてあれば、それが提出されなければならぬはずである。それらのこと一切なしに、大蔵大臣が今日も、再度調査をいたします云々と言うことは、まつかな偽わりだ。人を愚弄した話と言わなければならぬ。こういうようなあいまいな答弁では私どもは断じて引けません。徹底的に追及する、そう申し上げておきます。
  90. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私が実際に関係者を集めずして御報告申したようなお話でありますが、そういうことは絶対ありません。私は問題になって、すぐに次官並びに主税局長にも申しつけまして、そして羽田からも人を呼んで、そしてから事態を聴取いたしました。その上で答弁いたしておるわけでございます。
  91. 岡田宗司

    岡田宗司君 今のお話ではまた違つておるじやありませんか。先ほど、命令を下した人は、その命令を受け取つた平石副検査官という名前を話されたけれども、それから先はさつぱりわからぬ。それから今の木村税関部長の報告もどうもあいまいである。しかも今青つた調書も出ておらぬ。あるいはどうも下からあまり詳しい報告が来ておらぬように私どもには受け取れる。こうなってくると、何が一体誠意がある答弁と言えますか。そんなことで、これを、はい、さようでございますかといって引き下れますか、委員長、どうお考えになりますか、委員長にお伺いいたします。
  92. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 委員長から岡田君にお答え申し上げます。あなたの御発言の御趣旨は十分了承いたしております。ただ審議の都合上、理事会においてとくとひざを交えて懇談すべき問題と、かように考えますので、直ちに理事会に移したいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 泉山三六

    委員長泉山三六君) それでは次に入ります。(「議事進行」「委員長委員長」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  94. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ただいまの質疑応答を聞いておりますと、大蔵省その他で明確に納得のいく御答弁ができませんから、これをさらに明確に、よく調査をして、納得のいくような答弁をお願いしたいし、同時に、われわれ理事会としても、この問題をどう扱うべきかを十分に協議をしなければならないと思いますから、ここで休憩をして(「必要なし」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然)……に移していただきたいと思います。
  95. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 委員長から申し上げます。佐多君の御発言は私はよく了解いたしました。私が先般来「理事会に」と申しますのは、そこでとくと懇談をしたいというのが一つと、それから、それで打ち切りということを申し上げておるのではございません。従いまして、ただいまの佐多君の御発言の御趣旨と委員長考えとは一致いたしております。それでは………ただし、ここでどうですか、理事の方にここで即席で。……次の質疑者の御通告の時間はわずか二十分でありますので、しかも準備いたしております。要求大臣も出席いたしておりますから。(「休憩々々」「議事進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然)……ちょっとお待ち下さい。御着席を願います。  委員長から申し上げます。本問題につきましては、すみやかに理事会の議に移しまして、暫時休憩をいたします。    午前十一時五十九分休憩    —————・—————    午後二時五十三分開会
  96. 泉山三六

    委員長泉山三六君) ただいまから委員会を再開いたします。  まず、委員の変更について報告いたします。  本日、武藤常介君及び豊田雅孝君が辞任せられ、その補欠として鹿島守之助君及び岸良一君が選任せられました。   —————————————
  97. 泉山三六

    委員長泉山三六君) この際、委員長から御報告申し上げます。  午前の本委員会において岡田委員発言宮良問題の取扱い方については、理事会の議に付することに決定いたしましたので、委員長は本委員会休憩と同時に理事会を開き、とくと協議を重ねましたが、いまだ結論を得るに至りませんので、理事諸君は各会派にそれぞれ持ち帰り協議の上あらためて明日の理事会において慎重協議することと相なりました。  右御報告申し上げます。   —————————————
  98. 泉山三六

    委員長泉山三六君) では、午前に引き続き質疑を続行いたします。
  99. 加藤正人

    加藤正人君 貿易並びに為替管理の簡素化の問題について大蔵大臣に伺いますが、政府ではほぼ成案を得て四月から実施に移す方針であるやに聞いておるのでありますが、まず、その大要はどういうものでありますか、伺いたいと思います。
  100. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 御承知のように貿易並びに為替管理制度はずっと前にきめられたのでございますが、その後の内外の経済情勢等が非常に変化しておりますので、その変化に適応するよう、特にまた輸出振興が今日政府の最も重要な政策でもありますので、これにも対応いたしまして、特に為替管理につきまして、これをいずれ根本的に考えてみたいと思いますが、これには若干時間を要しますので、とりあえず手続等の簡素化をはかることにいたしております。その簡素化につきまして、各委員の御意見のおもな要旨は、一つにはLCのついていない取引、たとえばDP、DA取引、すなわちアクセプタンスのあとでデリヴアリするとか、あるいはペイメントがあったあとでデリヴアリするとか、こういう取引も標準決済方法の中に入れたい、こういうふうな標準決済に関します扱いを緩和する、こういう主張が一つ出ております。これは若干の問題を含んでおりまするが、十分検討を加えて、まあある程度よかろう、かように私も考えておりますが、そういう主張があります。それからだれが見ても簡素化しなくてはならぬ意見の一つは、従来外国為替公認銀行及び外国為替専門銀行等で事前審査をいたしておる、これが大へんな書類を必要といたすのでありますが、この事前承認を廃止しまして、今後は事後の審査に切りかえる、そうして書類はもうすぐに税関の方に行く、税関で、これはLCがあるとか、ないとか、そういうふうな標準決済以外のものは認可が要るんだとかいうふうな審査をして非常に扱いを緩和したい。それからもう一つ意見のおもなものは、輸出承認品目をできるだけ整理をしよう、こういうふうなことであります。この三つが今おもなもので、こういうことがおそらくもう事柄によっては若干の条件がつきまするが、実施いたしたい、かように考えております。
  101. 加藤正人

    加藤正人君 この問題に関する大蔵大臣の御所見は今伺いましたが、今触れられました輸出標準決済方式の問題につきまして通産大臣から伺いたいのでありますが、このLC主義の標準決済の方式を外して、DAであるとかDP等のLCなしの取引を認めるということにつきましては、国際取引の趨勢から見ましてまことにやむを得ないと思います。趣旨としてはけつこうでありますが、他面従来はわが国が厳格なLC主義をとつているということで予防できたのである、あまり信用力のない相手先とのリスクな取引、商談というものが当然にそれによって増加してくる、勢いわが国の安値売りを刺激して、いわゆるわれわれのおそれる過当競争を激化するという反省、付随的な弊を伴うであろうという心配、これは否定し得ないと思うのであります。最近のアメリカやカナダの、またその他の国々の対日輸入制限の問題から見ましても、輸出振興上過当競争をどうして防止するかということがわが国現在の最大の課題であるとしますれば、今後の運営、通産行政の運営には細心の配慮が必要であると思うのであります。この意味におきまして現在最も問題の多い雑貨であるとか繊維等の特定の商品につきましては、これは例外的に現状の通りLC主義によらしめるということは、これは技術的に困難であるかどうか、もしそれが困難だとすれば、付随的に起るであろう過当競争の防止のために政府はそもそもいかなる用意があるかということについてお答えを願いたいと思います。
  102. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 手続の簡素化という問題は、業界全般から非常に要望されて参つたことであります。ところでこの簡素化をやりますためには、どうしてもLCベースといいますか、銀行認証制度をやめませんともう何ら進展をしないのでありまして、従いまして、銀行認証制度、これをまあ思い切つてやめざるを得ない、こういうような状況にあると思います。しかし過当競争防止の面から申しますと、LCが非常な働きをしておりましたことは事実であります。またいわゆるLCベースでいくべきだという品目がたくさんあります。従って、これはしかし銀行認証ということではなしに、LCベースでいこうということについては、過当競争の方の手段によって、過当競争を防止をしていくということで考えて参りませんと、どうもそこに手続の簡素化の問題と、過当競争の問題に混同があるんじゃないかというふうに考えておるのでありまして、銀行認証制度をやめましても、過当競争の行われておりますものにつきましてはやはりLCを原則とする、これはお互いに自主規制で協定をやつてもらう、もしそれが実行上効果を上げぬということでありましたら、いわゆる貿易管理令によってやっていく、これをまあ輸出承認品目にしていく。先ほどちょっと大蔵大臣のお話の通りに、われわれは承認品目はできるだけ整理したいと思っております。しかしこういう面におきましては、やつぱり最終的には認証制度を活用していくという——承認品目という制度を活用していくという以外に方法はないかと思うのです。結局、いろいろ反対論もたくさん最近出て参りました。しかしこれは従来のいきさつから言いますと、まあ多少考え方を混同されているんじゃないか、そうしませんともう手続の簡素化ということは全然できぬ、こういうことになると思うのであります。従ってただいま申し上げましたように、LCを原則とされるのはけつこうなんです。これは自主規制をやられ、もしそれでいけないということになれば輸出承認品目という制度を活用してやっていくべきだ、かように考えておるのでありますが、これはいろいろ十分業界の方に納得してもらいませんと効果が上りませんから、その点は明確にして、業界に納得をしてもらつて実施に移したい、かように考えているわけであります。
  103. 加藤正人

    加藤正人君 しかしそれらの方法で果して過当競争が防止できるかどうかははなはだ危ぶまれるのでありますが、聞くところによりますと、輸出入取引法に基く業者協定に期待するというような意味で、これが改正法案を出されるというようなお考えがあるように思いますが、いかがでしょうか。
  104. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) せひ早く出して御審議願いたいというので、急いで検討し、立案中でございます。
  105. 加藤正人

    加藤正人君 それならばちょっと私たちは御注文を申し上げたいのでありますが、現行法において認められておるメーカー間の協定は、単に商社協定の補完的な立場でありまして、はなはだこれは実効が上らぬと思う。このようなことでは、現在までの経験から考えますれば、所期の目的は達し得ない。すべからくメーカー間の協定を商社の協定と同列において認めらるべきものであると思うのであります。この点に関しましては一昨年の同法の改正に当りまして、そこにおられる松尾通商局長とも大いに私は論戦を戦わしたところでありますが、不幸にしてこれが実現しなかったために、せつかくの改正にもかかわらず、さしたる効果をおさめ得なかったのであります。この点こそ問題のポイントであると思うのでありますが、今回の改正にはせひこの点を織り込みたいと思うのでありますが、御見解はいかがでございましょうか。
  106. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) お話の通り、商社側の協定だけでは十分と考えておりません。やはりメーカー側の協定をやり得るようにしてアウトサイダー規制命令を出し得るようにしたいと思っております。
  107. 加藤正人

    加藤正人君 次に大蔵大臣に伺いたいのでありますが、従来LCベースの輸出手形は、日銀の再割適格手形として優遇を受けておつたのであります。今後DA、DP等の取引も認められるという以上、これに対しても金融上同様な優遇措置を講じなければ、いわゆる仏作つて魂を入れないというがごときことになるのでありまして、あるいは首尾一貫しないという見解が成り立つと同時に、反対に付随的に起る過当競争を防止するためには、むしろ金利の面において区別して取り扱うべきものであるとの考え方も一方にあるように思われるのであります。大蔵大臣とされては、今後どのような考えでこれに対処せられようとするか、参考のために伺います。
  108. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) なおその御質問の点については今後検討を重ねたいと思うのでありまするが、まあ私の考えといたしましては、LCのついている手形と、いわゆるDA、DPの手形、これはやはり担保力といいますか、その担保力に相違がありまして、何といっても金融機関の介入しているLCのついている手形、これが確かであることは間違いないと思います。そういう意味におきまして、この取扱いについて、国内的に金利に若干の差が生ずるということも、一応の考えとしてはやむを得ない、かように考えております。特にDA、DPとなりますと、なかなか千差万別なものが審査の上には生ずるだろう、こういうふうに考えておるのであります。もう少しこれは大局的見地にも立たなくつちやなりませんので、いろいろと手形自体の実際を一つ考えてみまして最終的には処理したい。初めにはどうしてもLCの方の金利が市中金利より安いだろうということが想定されるので、私はそれは認めてよかろう、かように考えております。
  109. 加藤正人

    加藤正人君 次に、輸出承認品目の整理につきまして通産大臣にお伺いいたします。  輸出承認制をとる一つ理由でありましたプライス・チエツキングはもはや有名無実となっておるので、これを廃止すべきであるとの意向が一部にあったようでありますが、先ほど来述べて参りましたように、繊維品等は最も過当競争の激しい商品でありまして、その安値輸出防止の必要性が今日ほど大なる時はないのであります。今にわかにこれをはずすということは、あるいは不適当ではないかと思うのでありますが、御見解はいかがでありますか。
  110. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 輸出承認品目につきましてはまあ極力整理をしろと、こういう今までのお話であります。しかしお話の通りに、この際にまた過当競争を助長するというようなことがあってはなりません。従いまして、われわれの今考えておりますのは、たとえば、ココムの問題のために全地域に輸出承認品目にしておるようなものは地域を限って整理するとか、価格の問題につきましては、先般のチンコム緩和の際におきましても、残したのでありまして、整理のできる理由のあるものにつきましては極力整理をしたいと、かように考えておりますが、先ほどもお話申したようなことで為替の手続簡素化をやりますと、逆にふえて参る結果になることもあり得ると思っておるのであります。この承認品目につきましては、極力慎重に考えて参りたい、かように思っております。
  111. 加藤正人

    加藤正人君 次に対エジプト貿易の問題について、通産大臣にお伺いしたいと思うのでありますが、現在エジプトとの貿易は、オープン勘定によりまして行われておるのでありますが、この協定がどういう理由でそうなったのか、これは私は知りませんが、とにかく非常に片務的な約束になっておることは御承知の通りであります。すなわち貿易じりを清算の上、一定のスイング額を超過した場合には、わが方はドルでこれを支払うことになっておるのに反して、エジプト側には何らそのような義務が課せられていない。従ってわが方が輸出超過になった場合には放って置けば自然その分は焦げつきとなるわけでありますが、現在わが方は、エジプトに対するこのような債権として約一千一百万ドルを有しておると言われておるのである。そこで政府はこの債権が焦げつくことをおそれて、わが国の一部の業界、たとえば紡績業者に現在あり余っておるエジプト綿の輸入をさらに要請しておるというわけであります。その数量は本年三月末までにおよそ六万俵の多きに達するのであります。元来エジプト綿というものは、御承知の通り繊維が長く、特殊の高級製品にしか使えないものであって、現在すでに紡績業者の持っておるエジプト綿のポジションは約九万俵でございます。これは一カ年以上を使用する量に相当するものであるが、今回さらに六万俵の買付け促進を要請されておるのであって、これがいかに大きな数量であるかということは、前述の手持ちポジション九万俵というものと対比して考えますと、容易に理解できると思うのであります。ちなみに言えば、従来からの正常在庫は約三・二カ月とされておるのであって、現在の金融事情から考えても容易ならぬ負担となっておるのであります。従って政府の要請はとうていコマーシャル・べースでは考えられないことでありまするが、紡績業者といえども、これは日本の紡績である以上、わが国の貿易振興のためには必要な協力と犠牲はもとより惜しむところでなく、この意味において今回は政府の要請を受諾してこれに協力しつつあるわけであります。ただ問題は、このようなことが今後も繰り返されはしないか、しかもその原因が、政府において締結した貿易支払協定の不備にあるという点であります。従って政府において、今後エジプト貿易の抜本的改善をはからない限り、民間業界としてはその協力にもおのずから限界があるということを政府はこの際十分認識されたいのであります。この意味において、まず外務大臣に伺いたいのでありますが、過去にさかのぼって恐縮でありますが、何ゆえあのようなだれが考えても理解に苦しむような片務的な協定を締結しなければならなかったかということを伺いたいと思います。またその後その改訂について、いかなる努力が払われておるかということも伺いたいのであります。
  112. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) エジプトとのその協定は、一九五三年に話し合いをしたのでありますが、当時は御承知のように、日本とエジプトとの貿易の関係と申すものは、エジプト綿を入れあるいは米を入れるということで、むしろ日本から輸出するものが非常に少かった、こういうような事情にもなっておりました。日本といたしましてもお話のような片務的なものでない協定を作りたいということで、強硬に申し込んでは当時おったのでありますが、エジプト側は、そういうような自分の方のドルの事情その他から見て、そういうことは困るということでありましたし、同時にそういう協定を作りますことによって、日本の繊維製品に四〇%の特別な課税していたのを撤廃する、また輸入ライセンスについても、できるだけ考慮をするというようなことでありましたので、当時スイングの差につきましては、今申したような片務的なものになりました協定を結ぶことになったのでありますが、その後エジプト政府としてはライセンスのおろし方を緩め、また今申し上げましたように四〇%の繊維製品に対する関税に対しても措置をとったのであります。そういうような経過から当時は片務的になったわけであります。今日では日本から相当輸出することになっておりますので、十二月に土田大使を通じまして、これを双務的に改めたいということで、すでにエジプト政府に申し入れております。
  113. 加藤正人

    加藤正人君 一応はそういう事情でそうなったかもしりませんが、これは今日非常に片務的なことになっておって迷惑しておるわけでありますから、よろしく御善処を願いたいと思います。  次に大蔵大臣、通産大臣に伺いたいのでありますが、過般エジプト政府におきましては新しい貿易決済の方式を外務大臣、私はもういりませんからどうぞ。——新しい方式を発表した由である。現在までにわかっている範囲の情報では、引き続いて現在のオープン協定でもやっていける模様であって、前述した紡績業者の協力により、どうにか焦げつきの分の回収が可能である由に聞き及んでおりますが、問題はそれ以後の貿易のやり方である。今までのやり方をそのまま踏襲すると、またぞろ同じ問題が発生してくるであろうことは明らかであります。しかのみならず、オープン勘定で輸入すれば、実際は二割も三割も下落しているエジプト・ポンドの価値を真正直に対ドル三百六十円のレートで換算しているために、現金で払っている西ドイツとかその他に比べまして、二割以上も割り高につくのであります。現地商社からの情報によれば、エジプト綿の買付は米ドルでは二二%、ドイツ・マルク、イタリア・リラでは二一%デイスカラントされている由でこれではわが国の紡績業は国際競争上著しく不利な立場に立たざるを得ないのであります。これらの意味において、今後エジプトとの貿易においては、現在のオープン勘定はやめて、ドルまたはポンドの現金決済でいくという方針で対処すべきではないかと思うのであります。聞くところによりますれば、この点に関しては大蔵省、通産省、両省の間の考え方が必ずしも一致しておらぬというようでありますが、すみやかに政府部内の思想を統一して、前述の方針で進んでもらうように希望するわけでありますが、両大臣の御見解はどうでありますか。また万一何らかの理由で今直ちに現金決済に踏み切ることが無理であるとするならば、不当にこうむりつつある紡績業者の犠牲を繰り返えすようなことにならないようないかなる方策が考えられておりますか、この点について御所見を伺います。
  114. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 大蔵省としましては、この貿易決済の方式といたしまして、オープン・アカラントは原則としてできるだけ早い機会にやめたいという方針であります。ただ、しかし実際の問題として、必ずしもさようにいかない。また、さようにすることによって、日本の貿易を阻害するということであれば、その限度においてはやむを得ずこれを認めていくという考えにおるのでありまするが、エジプトの関係ですが、エジプトの関係におきましては、先ほどから御指摘のように、非常に片務な、こちらばかりにスイング条項がありましてエジプトの方には何らのスイングの条項がありません。非常に変則なものであります。従りまして、オープン・アカウントをかりに持続をするといたしましても、この機会にエジプト側にやはりスイングの限度を設けまして、向うでもやはりそのスイングをこえれば、こちらから返済の請求ができるようにいたさなくちゃならぬと思いまして、実は、この点につきましては、先方と交渉の手続を大蔵省がとったのでありますが、回答がありません。かような状況におきましては、私はエジプトとの貿易について十分な考慮を払わなければなりませんが、今後行く道は二つしかないと思っております。一つは、今の御意見のように、現金取引、ドルやボンドによる現金取引というのが一つ、もう一つは、エジプトと日本との貿易の収支を、貿易の均衡を得せしむるような何らかの方策を必要とするのじゃないか。言いかえれば、日本からだけ輸出超過というような形では、債権の回収を困難ならしめるおそれが多分にありますので、こちらも、輸入する、その限界において輸出する、そういうふうな考え方に基いて、何らかの措置が必要ではないかと考えております。これらの点につきましては、日本とエジプトとの貿易上大局的に考えなければならぬ点もありますので、通産省と十分な相談をした上でなるべくすみやかにきめたい、かように考えております。
  115. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 御承知の通りに、エジプトと日本との貿易につきましては、平常から言いますと、輸入超過というのが原則であったわけであります。ただ、先般のスエズ運河の問題が起りまして、日本からの輸入が促進され、逆にこちらが、綿花の買付等におきまして輸入が減った、こういう変態な状況が起りまして、昨年末におきまして、千二百万ドルのこちらの貸し越しというような事態が起ったわけであります。しかし、三月十日の収支じりで見ますと、千万ドルちょっとになって減っております。また、LCで見ましたプロジェクト・バランスから見ますと、二百八十万ドルぐらいなのであります。日ならずして輸出入のバランスはとれるじゃないかというふうに考えておるのであります。多少御無理を願って買付を急いだという点もあると思いますが、スリツページを入れますと、そう無理のないところでお願いしておるつもりであります。しかし、今後におきまして、これが非常に不利な輸入を続けなければならぬというようなことでありましては、これはどうにもなりません。従いまして、先ほど大蔵大臣のお話にありましたように、スイング条項にしましても、少くとも対等でなければなりません。またその輸出入につきましても、向うのやっておりますようなことで輸入される方方が損されるというようなことではなりません。あるいは話し合いによってある程度の向うの特典を、結果において為替が下ったというような物質上の恩恵を受けられるようにしていくか、あるいはまた、もうすっかりオープン・アカウントをよすか、それらの点につきましては、実はまだはっきりした向うの事盾もわかりませんので、今後努力いたしまして、そう御迷惑をかけるような考えは持っておらぬつもりであります。
  116. 加藤正人

    加藤正人君 今両大臣からの御説明で一応わかったようでありますが、貿易の均衡をはかる何らかの処置、何らかの処置というようなわけで、何らかの処置は何を意味するのか、私たちにはまだわからぬのでありますが、これは将来のことでありますから、そう申されるのは無理はないと思いますが、しかし、スエズ問題によるエジプトの経済的の孤立というものは、私はそう短時日には解消されないじゃないか。がしかし、わが国が今後もオープン勘定でいくということになりますと、過般のエジプトの新しい措置によりまして、西欧諸国から自然エジプトが締め出されてしまう、頼るのはどうしても勢いわが国の輸入のみに集中されるということが今後起り得ると思うのであります。その場合に、依然としてオープン・アカウントで行かざるを得ないということになりますと、またぞろ焦げつきがふえて、その解決策として、紡績にまたエジプト綿を買え、——もうすでに先、ほど申し上げましたように、一年以上の手持ちの上に、なおこれは国家の貿易のためにやむを得ぬと思ってわれわれはやっておるわけでありますが、しかし、今通産大臣のお言葉の中に、決して紡績業者に損をさせるようなことは今後ない、こういうお話でありましたから、非常にその点は安心をいたします。今申し上げたことは、私の誤解でないと思いますが、誤解でなければ、そのままでけっこうでありますが、もし誤解であるというのでありましたら、誤解であったということをおっしゃっていただきたい。私はそれで安心して引き下ります。
  117. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいま申し上げましたように、そう長いこと御迷惑をかけるつもりはありません。
  118. 亀田得治

    亀田得治君 私の質問は防衛庁長官中心であります。ほかの方はそれに関連して適当に質問したいと思っておりますので、全部はそろっておりませんが、一応始めていきたいと思います。  長官に聞きたいことはたくさん山積しておるわけでありますが、あまり分散的になってもいけませんので、私が特に確かめたいことは、現在、日本の国民として一番防衛問題上心配しておることは、日本人のわれわれが関与しない、知らないうちに、一方的にアメリカの方針に基いて、原子戦争がおっぱじめられる、そういうことのとばっちりを受けやしないか、こういう点についての危惧であります。この問題に関しては、前国会あるいは今国会においてもずいぶんいろんな角度から論議されております。ところが、たとえば原水爆搭載機による日本上空のパトロールとか、そういったような問題等が出て参りましても、結局は水かけ論になるおそれが相当あるわけです。一方は世界的な戦略態勢の上に立って、当然そういう事態を予想すべきだと言うし、政府なり岸総理は、いや、そういうことはないと、こう言うし、しかし世間から見れば、どちらもこれは不確実だ。あるという方も、はっきりこれは現物をつかんで突きつけるわけにもいかぬ問題ですが、ないといってる方も、どうも不確かだ。これが現実の疑問なんです。そこで私は、そういう問題等をしからば、いかにして解決するのか、結論的に申し上げますと、結局、日本政府自体が、日本が米軍に対して提供しておるところの各種の軍事基地、これに対する調査権、こういうものをやはり確立する必要があるのじゃないか。基地に対する調査権、これは施設の面でも、あるいは人的な出入りの関係等の面からいっても、そういうものがあれば、問題が出てくれば、防衛庁としても、それに対する適当な手が打てる。こういうことになろうかと思うのです。しかも、そういう基地に対する調査権ということは、私は政府がやろうと思えば、現在の行政協定の解釈等からいっても、決してこれはできないことではないというふうに考えておるのです。こまかい各論的な点につきましては、以下逐次お聞きしながら意見も述べたいと思うのですが、まず最初に、そういう点についての基本的な考え方を長官からお聞きしたいと思うのです。
  119. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。  米駐留軍の基地等に対して日本側で、何というのですか、調査権と申しますか、そういったものを持てば、この問題ははっきりするじゃないかと、こういう御質問であったと思います。これはもともと日米間において、お互いに信頼し、そうして相互理解の上にあらゆることが行われておるわけでございます。具体的にそういったような調査権と申しますか、そういったものを持って、その法律上の権利でどうこうするということは、私はあまり望ましくないと思うのでございます。
  120. 亀田得治

    亀田得治君 長官みずからがそういう考えでは、大へんこれは心もとないわけです。法律上はやはり調査権というものは確立をして、しかしその調査権の行使に当っては、安保委員会なり合同委員会等で協議をするというのであれば、これはわかる。ところが、長官みずらが、権利を持つこと自体に対してちゅうちょされておる、こういうことは、私ちょっと腑に落ちないのですが、一方ではちゃんと権利を確立しておるわけですからね。お互い平等な立場法律上立って、その上で初めてこれは協議ということが望ましい形で私は行われると思う。これは日米間の関係だけじゃないでしょう。どんな問題についてだって、それはもう一般的な社会通念です。そういう調査権は持ちたいけれども、しかし、いろいろ現段階では支障があるというのであればわかるのだ、そういう調査権は必要がない、話し合いでやっていくのだから……。それは、はなはだ根本が間違っておると思うが、考え方が、どうでしょうか。
  121. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。御承知のように、米軍の配備、また使用等については、日米安保委員会において協議しよう、こういうことに相なっておるわけでございます。従って、今日まで私どもは米軍の装備、その他配置の状況については十分な事実を承知いたしておるわけでございます。そういった意味において、この協議機関でありまするが、これは双方の親善と理解によって、きわめて友好的にこの問題を処理するという形体でこういう委員会までもできておるわけでございます。その意味からいけば、さらにこれをどうするかという、法律的のそういった調査権というようなものでなくても、私は目的を達しておる、こう思う次第でございまして、あえてそういったものがなくても、十分目的を達成し得るというものである、こういうような考え方でございます。
  122. 亀田得治

    亀田得治君 それは全く甘い考えですよ。最後にさらにその結論の問題について入りたいと思いますが、しかし、個々の具体的な問題について一つ入っていきたいと思う。そうすれば、どうしても調査権がなければ困るということが、私はお互いにはっきりすると思う、抽象論ではだめだと思いますから。  それで初めに、一月三十一日の本会議で、私があなたに、B47の米軍基地における存在をお聞きしました。これは調査の上でお答えをするということになっておりますが、この点は調査の結果、どういうふうになっておるか、まずそれからお聞きします。
  123. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 去る一月三十一日の参議院本会議において、亀田議員からB47の存在というか、その行動等についての御質問があった。そのときに私より、事実を調査いたして御報告します、こういうことに申し上げたということを記憶いたしております。自来、本会議の席上において、この調査の結果について御報告を申し上げる機会を今日まで逸したことは、まことに遺憾でございました。ただいま、あらためてこの問題についての結果を報告せいと、こういうようなただいまの御質問であると思います。  御質問の要点は、B47が日本に駐留し、配属され、そしてこれがいろいろ練習と申しますか、訓練を行なっておるという事実を、小川某という者の、「在日米空軍」でございましたか、そういう著書にはっきりと書いてある。これが事実であるかどうか、もし事実ならば、これは退去を要求すべきではないか、こういうのが要領だったと思います。それで、その直後、すぐこういう事実を調べる必要がある。従来、私はそういうものは来てないということの報道を得ておりますけれども、この引用した本について一応その事実を確かめるという趣旨で調べました。で、小川氏の在日米空軍と申しますか、この著書のあるページに、第一版においては、B47ということが書いて、それの訓練の状況を書いたものでございました。それは十月の発行と思います。昨年の。十二月号の第二版においては、その個所は同じような文章でございますけれども、B57と書いて訂正されておるのでございます。B47、B57、この57については、若干米空軍に配属されておるということは承知しておりました。御質問の点はそれでなかったようでございます。従って、B47は、この御指摘の本に記載してあるものは、著者もこれを改訂し、また事実米軍側にただしたところによってもこれはいないという回答を得た次第でございまして、これは著書に対する御質問の点を、この機会にお答えする次第でございます。
  124. 亀田得治

    亀田得治君 第一版と第二版の違っておることことは、私も見ておりますから承知いたしておりますが、この第一版で、B47ということを書いておるのは三カ所あるわけですね。この小川君というのは、これはこの方面のやはり専門家なんです。三カ所ともそれが間違いであったと、これは普通はちょっとあまり考えられないことです。何か統計数字を並べてあるような文書の個所と違いますので、いろいろ見聞記の、体験記を書いておるところなんです。三カ所ともそうなっておる。それをあとから訂正しているわけですね。私はこの間のいさきっというものは、悪く想像すればですね、やはり非常にいろんな意味の想像がつくと思うのです。そういうふうな想像が生まれるのは、やはりこれは、あなた自体が基地の中へ行って、実際にものを見、そういう立場にこれはないからなんです。今の御報告にしても、これはただ、第一版でB47はとなっていたが、第二版ではB57になっておる、それだけのことなんです。これは小川君自身にお聞きになった話か、どういうことなんです。私は事実を聞いておるんでね、第一版にはそういうことを書いてあるけれども、訂正されたのはないのだとかね、本の話は、私も見ております。事実関係はどうなんです。もう少しその点は……。
  125. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 著書中の記述については、ただいま申し上げた通りでございまして、十二月の版にはこの数字が違っておると訂正されておると、こう申し上げたわけです。なお、この問題については米側にも照会いたしました。57は若干おるが、47はいないと、こういうようなことの報告と申しますか、情報を得たと、こういうことでございます。
  126. 亀田得治

    亀田得治君 飛行機のことですから、いてもぽんと飛ばしてしまえばそれっきりのことです。そういう調査は、あなたはどういうふうにしておやりになるのですか。米側のだれから直接そういうことをあなたがお聞きになったわけですか。
  127. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。私自身じゃございません。幕僚の方面から、しょっちゅう駐留軍の装備その他について、接触しておるものがあるのですから、その方からの情報であったとこう記憶いたしております。
  128. 亀田得治

    亀田得治君 もう少しそれは具体的におっしゃって下さい、あなたの幕僚のだれが確かめたのか……。
  129. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) お答え申し上げます。本件につきましては、ただいま大臣からお話しがございました通り、常時幕僚あるいは渉外参事官において先方と連絡いたしておるわけでございまして、B47が当方に参っていないということは、今申し上げました幕僚を通じて確認いたしておる次第でございます。
  130. 亀田得治

    亀田得治君 だからその幕僚の名前をおっしゃって下さい、さっきから何べんも言っている……。
  131. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) お答え申し上げます。本件につきましては渉外参事官、青木参事官を通じて事実を確めておる次第でございます。
  132. 亀田得治

    亀田得治君 その青木参事官はジョンソン基地に行ったわけでしょう。
  133. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) 具体的にその飛行場には参ったかどうか、私承知いたしておりませんが、常時、在日米軍と連絡をいたしておる次第でございます。
  134. 亀田得治

    亀田得治君 そういう答弁ではだめなんですよ。だから水かけ論になってしまうんです。問題が起きたら現地へ行ってそうして見れば、もうたちどころに片がつくわけです。きょうはその人をすぐ呼んでもらえば一番いいわけですが、委員長から何かすぐ連絡でもしていただいて、呼べたら、時間に間に合ように呼べたら呼んで下さい、青木参事官……。
  135. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 了承いたしました。呼べましたらお呼びいたします。
  136. 亀田得治

    亀田得治君 B57ですね、B57はB47よりはこれは足の短かいものです。まあ軽爆に当るものでしよう。しかし、これもジェット爆撃機であり、原水爆搭載機なんです。長官はその点どういうふうに解釈しておるのですか。
  137. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。仰せの通り、B57はいわゆる軽爆という部類に属するものでございます。B47に比しましては約四分の一あるいは五分の一の重量のものでございます。航続力、その他においてもこれまた大へんな違いあるものと思っております。そこで、爆撃にこれが核兵器を装備し得るかどうかという問題でございます。可能であるということは申し上げられると思います。性能として……。しかし現にわれわれの承知しておるところには、二十ミリの機銃を備えておるというようなことでございまして、日本において核兵器持ち込みといった問題についてわれわれの方針というものを了承して、私はそういう装備はしてない、こういうふうに考えております。
  138. 亀田得治

    亀田得治君 可能であるということを長官自体が認めておられるわけです。これは認めなくても、そんなことは一般的にわかつていることですが、しかし、そういう装備はしておらないというふうにおっしゃるわけですが、それは一体、そういう主観的な言い方だけで完全なものでしょうか。私はやはり、そういう可能なものであれば、場合によっては、長官みずからがそれを点検する、これは当然必要なことだと思う。そういうところに、最初の問題にまた戻るわけですが、どうですか。
  139. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。これは前にも、これとやや似た問題があったと思います。御承知のオネストジョン——ミサイルでございましたか、砲でございまして、これは原子弾頭もつけ得るが、つけなくてもその用務を果せる、その効率については別でございましょう、これが日本の駐留部隊の中にあったわけでございます。これは可能であるという点で、国会等にいても問題になつたことを記憶いたしておりますが、しかしながら、こういう兵器においても、日本は核兵器を持ち込まないという方針をとつている関係でそういった装備というか——しなかったということのはっきりした事実があったわけでございます。オネストジョンは、かつてお答えした場合に触れましたが、今日は、日本から撤退いたしている次第でございます。そこで問題は、航空機でこういったような装備がされ得るような構造になっているものが、日本に今ある空爆の中には、航空機の中にあるのでございます。これを否定するわけではございません。しかしながら、米駐留軍といたしましては、わが方の方針に即応してそういった装備はしてないということに、われわれはそういった話し合いがあるわけでございまして、一々その航空機を長官が見てきたかということになりますと、まだその機会は得ておりませんが、そういった事実のあるということによって、私は相手を信頼するのが適当であろう、こう思っている次第でございます。
  140. 亀田得治

    亀田得治君 前のオネストジョンの例を引かれましたが、オネストジョンの持ち込みのときの政府の説明、これはなるほど、今、長官がおっしゃったような説明はあった。しかし、そういう説明では、これは世間は納得していないわけなんです。原子兵器を用い得る兵器があるのに、ただ核弾頭なり、そういうもの自体がないからといって、原子兵器の持ち込みではないといったような、そういう説明なんかは、これは世間では通用していないんです。そういう通用しない説明を、このB57のときに再び用いられても、これは答えにならない、実際は。そこであなたは、小川君の著書をその後ごらんになつたようでありますが、その中に、B57がロケット爆弾を装着した写真が載つております。私は、この格好等からいって、これは全く原子爆弾ではないかという感じもするのですが、この点はどうでしょうか、本自体にもロケット爆弾と書いてあるのです。
  141. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。このロケット並びに機銃という問題は、それすなわち核兵器であるという解釈にはならないのでございます。これは誘導弾並びにロケット弾というように、おのおのその性能が違うわけでございまして、ロケットを装備するということが、直ちにこれは核兵器だということには解釈いたしておりません。
  142. 亀田得治

    亀田得治君 ロケット爆弾を着装し得る機であると、これは認めますね。
  143. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。仰せの通りでございます。
  144. 亀田得治

    亀田得治君 結局、その先に核弾頭があるかないか、そういう問題だけにあとはしぼられていくことになるのでしよう。しかし、そういうことは、これはもう世間では通用しないのですよ。そういう説明を幾らしたつて……。    〔委員長退席、理事剱木亨弘君着席〕  それから、次に、その調査権に関連して、行政協定の第三条、この点について若干見解をお聞きしたい。それは日米安保条約に基いて、この行政協定ができ、この行政協定によって、在日米軍の配備の仕方がきめられておるわけですが、この第三条が、この配備の基本的な条文だと思うのです。この第三条を見ると、米軍が包括的に、与えられた基地というものを何に使用してもいいというふうには、これは解釈ができない、ここに一定の目的が書いてある、その目的を達するための正しい権限と——つづめて言えばそういうことだと私は考えるのです。そういうふうに理解できませんか、どうです。
  145. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答え申します。行政協定第三条は、米駐留軍が、もしその用途を、全然なくなつた場合には、これは返還しなければならないと、こういう規定に相成つておるように……。
  146. 亀田得治

    亀田得治君 それは第二条です。私の聞いているのは、三条です。
  147. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 三条の規定は、これは米軍の使用しておる基地においては、それをほかのものに臨時に使用することを許すことができる、こういう規定になっておるわけでございます。
  148. 亀田得治

    亀田得治君 違いますよ。
  149. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) そういう規定でございます。
  150. 亀田得治

    亀田得治君 よく読んで下さい。そんなこと書いてないですよ。たとえば、演習場を米軍が持っておる、そういう場合に、平生、よく米軍が年間引き続いて使うことのないような場合には、日本軍に使わしてもいい、そういうことは第二条に害いてあるのです。だから、基本的な基地に対する米軍の地位というものは、第三条に規定されておるのです。もう一ぺんこれは読み直して下さい。質問の都合がありますから、ちょっと読み直して下さい。
  151. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答え申し上げます。ただいまのは、二条の三項です。二条の三項のお話を私は申し上げたつもりであります。第三条については、今仰せになつ通りでございます。この必要なことについて便宜をはかるというような規定も、三条にあるわけでございまして、ただいまの御質問には、二条三項を私は考えたものでございますから……。
  152. 亀田得治

    亀田得治君 長官は、頭がちつとどうも混乱しているようですが、第二条はですね、そういう基地の与え方についてのことを書いているだけなんです。その与えられたものについての米軍の立場法律的な、基本的な立場、それは第三条に書いてあるわけなんです。その第三条を、あなたは読まぬのなら、私が読みましょう。「合衆国は、施設及び区域内において、」つまり、基地内において、「それらの設定、使用、運営、防衛又は管理のため」これが目的です。そういうために「必要な又は適当な権利、権力及び権能を有する。」とこうなっておるのです。だからこれからいきますと、私は当然日本政府というものは、そういう原子兵器というものを認めないわけですから、原子兵器という問題に米軍が関係していくということがあれば、この点については何らの権限がない、これからいったつて。従って、当然これは実際は禁止もできるのだが、禁止をする前に調査権というものがなくちや、これは乱暴な禁止の仕方になりますからね。当然私はこの意味からいっても、原子兵器という問題が出てくれば、それに対する日本政府の調査の要求権というものがあり得るものだと思うのです。どうです。
  153. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 第三条の規定で、当然に調査権があるという解釈は、どうも法文の上からは、私どもはこれはでき得るものとは思っておりません。この解釈については、これは条約の担当官の方から一つお答えした方が適当でないかと思っております。
  154. 亀田得治

    亀田得治君 そんな人は別に必要ないです。この中で問題になるところがあるとすれば、防衛というところなんです。防衛のため、この中に原子兵器による防衛というものを含ますのですか。現在の政府は、原子兵器は認めないと言っておるのだろう。この防衛の中にそういう原子兵器による防衛を含ますのですか、どうなんです。こんなことは条約上の問題じやなしに、政治上の問題です。
  155. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) この防衛という意味が、実力行動とかそういったような軍事上の行動という意味に解釈するかどうか、非常に疑問があると思います。この解釈については、むしろ外務省の条約局長がおりますから、担当官として御説明申した方が適当だろうと思います。
  156. 亀田得治

    亀田得治君 じやあ一ぺん説明してもらおう。
  157. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) お答え申し上げます。この第三条の趣旨はこの施設についての防衛または管理のための必要な権利、権力及び権能を米国が持っているということでございますので、そこを今の御指摘の点まで広げて解釈するのは、私は困難ではなかろうかと考えております。
  158. 亀田得治

    亀田得治君 私の聞きたいのは、たとえば米軍に基地を許しております。基地を許すことによって、そこの場所を米軍がともかく日本政府の権利を一切遮断して、ちようどあたかもアメリカ領土のごとくそれを扱つていく、こういうことは私はできないと思うのですよ。この基地の使用というものは、これはもう特定された、限定された目的のためのはずです。その点に対する見解はどうでしょうか、これは長官から。
  159. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。基地のうちでも飛行場、演習場その他の場等種々あるわけでございます。これらの場合において、無断でここに入るということは適当でないと思います。一定の条件のもとにこれを便宜使用するといったような了解、手続を踏んだ場合には、そこへ入ってこれを使用するということは、現実に自衛隊として認められてやつておるわけでございます。それ以外の目的でこれを使用し、またはその中にある装備等を調査するかどうかということは、私は協定の上で、そういったような権利がわが方にあるというようには解釈申し上げない、こういうとこを申し上げたのでございます。  なお、その点について正確なる御答弁は、専門担当の方からお答えした方が適当であろうと思います。
  160. 亀田得治

    亀田得治君 それは法文上の解釈の問題ではない。基地をどういうふうに使うかということは、先ほども第三条の解釈、条約局長から説明があった。まあそれでもよろしい。それから第二条等でも限定された使い方がある。あるいは第三条の後半の方等には、隣接地域に対しては限定された使い方というものが書いてある。こういうものを見ていくと、基地というものは決して包括的にアメリカがその権利を持っているのじゃないという性格のものだということを私は申し上げている。そういうふうに解釈されるかどうかというのです。
  161. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 絶対的にそれが領土であるといったような解釈を申し上げたわけでございません。必要に応じて相手方の同意を得、手続を経れば、わが方でもそれを使用できるということが協定に書かれておる、こういうことを申し上げたわけでございます。
  162. 亀田得治

    亀田得治君 一々どういう場合でも、了解を得なければならないということはないはずです。だから先ほど一例を申し上げておるように、基地というものが、原子兵器の基地に使われようとする、こういう場合には、日本政府としては、これは政策的に否定しておる立場ですから、そうしてまた、この行政協定を作つたときにも、そういう原子兵器という問題は入っておりません。考え方としては、その当時の情勢からいって。従って、当然原子基地として米軍基地に使われるような場合には、日本政府はそんな了承を得なくたつて米軍基地に入っていけるのは当りまえですよ。これを禁止するためにそれができないのですか。そんなもの一々了解を得なければ入れませんか、原子基地となろうとする場合でも。
  163. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。これは行政協定の第二条の四項です、(a)、(b)等に書いてある事柄であろうと思います。無条件に何らの相手方と話し合いをしないでどこへでも入っていけるということができるかどうか、これは行政協定の、先ほど言いました第二条(a)、(b)等の私は規定の解釈であろうと思います。これは合同委員会その他で協議するというような建前もとつているわけでございます。
  164. 亀田得治

    亀田得治君 そうはならぬのですよ。その二条の四項の(a)(b)等で書いてあるのは、米軍の普通の使用ですね、普通の使用をしておるときです。だからそのじやまにならぬようにそこへ日本軍等もちょっと入りたいというときに、交渉をもって入っていくということであつて、私の言うのは、日本政府自体が政策的に否定しておるようなこの原子基地、こういう問題にその基地が使われようとする場合に、それでも了解を得なければ入れませんか。この行政協定を締結したときの精神なり、あるいは岸さんが言っているような立場からいったつて、当然それは認められない立場なんですから、そんな場合でも引つ込んでいなければなりませんか、日本政府は。
  165. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。今までの御質問は、行政協定の中にある解釈問題としてはどうかというような質問と思いまして、条文についていろいろお答えしたのですが、この行政協定に書いてなくても、そういったような装備を持つた事実があれば、これとは全然関係なく、別種の立場から中へ入って調査する権利はないかというような御質問なつたと思います。それは私は行政協定の解釈がこうであるからという問題を離れて、別途そういうことができないが、やるかと、こういう御質問なつたわけであります。それならば、先ほど申し上げましたように、果してそういうことを一方的にやることがどうであるかということは、これは大局上の判断からすべき問題でありまして、先ほどもお答えいたしましたように、これはお互いに信頼の基礎においてやり、わが方の方針に即応しておるという事実をわれわれは信じているから、そういったようなことをやることは適当でない、好ましくない、望ましくないと、こういうことを先ほど申し上げたのでございます。
  166. 亀田得治

    亀田得治君 多少話がわかったようですね、しかし、結論がおかしいですね。政策的に明らかに矛盾しておることを相手がやろうとする場合に、こちらが権利としてそこに入れるようにこれはする、それが思わしくないというのは、これはおかしいじゃないですか。はなはだ歓迎すべきことですよ。ただ、そういう立場日本政府の立場が上れば、あとはあちらも遠慮するかもしれない、実際に調査しなくても。それから、全然遮断されたような格好にあって、どんな話し合いしておったって、それは全部間接です。  それから次に進みますが、法務大臣は……。基地における、航空機による人員並びに物資の出入りの関係ですね、私は、これは全く抜けておると思うんです。午前中、私どもの同志に対するはなはだ間違ったああいうきびしい検査なんかをやっておりますがね、一方では。ところが、基地における人の出入り、物資の出入り、これはもう全く放置状態なんですよ、実際は。こういう点、防衛庁長官、どういうふうにお考えになっているんですか。
  167. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。基地に出入する物資の問題については、これは私の方では、事実どういう物があるかという検査等はいたしておりません。私は、これは良識によってやっているものだと考えております。
  168. 亀田得治

    亀田得治君 正力国務大臣お尋ねしますが、(「来とらぬよ」と呼ぶ者あり)密輸関係と、人の出入り関係ですね、これは法務大臣と、警察担当に聞かないと、具体的にはわからないんですが、今いないようですが……。
  169. 鈴木強

    鈴木強君 関連して。防衛庁長官に、私は、北富士演習場の問題についてちょっとお尋ねしておきたいと思います。前回私の質問のとき、あなたどこか行ってしまって、質問をついにできなかったんですが、北富士演習場は、今のお話にもありましたように、一時はオネストジョンが持ち込まれて、平和な富士山の横っ腹にオネストジョンが打ち込まれた。これに対して日本人が、自分の心臓に刀を刺されたような気持を持ちました。当時、アメリカにおいても、日本の富士山にそういうオネストジョンを打ち込むことはやめたらどうかという世論の起きたことも、御承知の通りであります。そういったいろんないきさつがありましたが、とにもかくにも、今回米軍があそこから引き揚げることになりまして、地元の人たちはほっとしている。これは地元だけでなしに、現に日本国の国民が私はそう思っていると思うんです。  そこで、米軍が撤退をいたしますならば、当然——あの演習場はいろいろこれは歴史がありまして、御承知の通り、旧陸軍当時に、官有地もありましたし、また私有地もあったわけでありますが、おしなべてこれを取り上げられて、そして旧陸軍の演習地になっておったことも事実であります。ですから、そういう経過からして、入会権だけは農民が認められておったわけですが、この際、米軍の撤退と同時に、ぜひ一つ、先祖代々耕してきた土地を返してもらいたい、こういう強い要望があるわけです。そういうさ中において、今度は、撤退した、返ってくるだろうという農民や地元の人たちの期待を裏切って、また今度防衛庁がそこに自衛隊を持いてくるというような話を聞くわけです。実にけしからぬと思う。この機会に、ほんとうに冨士山はやっぱり平和な富士山にして、一大観光施設をあそこに作る、こういうふうな平和政策の方に切りかえていくならいざしらず、またここに再び北富士演習場が自衛隊の演習場になる、こういうことは、私たち国民として耐え忍ぶことができない。そこの経緯はどうでありますか、防衛庁は持っていく意思でありますか。
  170. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。北富士演習場は、全部ではありませんが、もしこれが返還された場合に、自衛隊の演習場としてその一部、大体国有地の部分だけを使用したいという希望を持っております。御承知のように、わが国は演習場が非常に狭いか、またはなかなか入手の困難な事情にあるわけであります。東京の付近、また中京方面から来て演習をするという適地に欠いておるわけであります。その意味において、訓練場を他に適地を見出すことが今日の状態で困難であるので、もし返還を得た場合は、その範囲を縮小して、国有地の部分だけに限ってある程度の面積を使用したい、こういう考え方をいたしておるのでございます。なおまた、地元の方々とも十分の話し合いをいたしまして、納得いくようにしてこれを利用する、こういう考えをしておるわけであります。
  171. 高田なほ子

    高田なほ子君 関連。米軍の使用が解除された場合に、政府の方ではいつでもこの自衛隊優先の形でこれを使用しているような傾向があります。水産大学の場合は、長い間接収解除を待っておったんですが、自衛隊が今度はその接収解除をした所を使う、そうしてしかも、その水産大学のすぐ隣のところでブガブガドンドンの音楽隊の練習を、朝から晩までそれをやっている。これでは全然教育ができない。占領中でも、不必要になった場合には教育優先に、この施設を教育のために使うという基本線が確立していたにもかかわらず、最近の米軍の接収解除のその跡は、いつでも政府は軍優先である。教育なんというものについては、全然これは考慮されていない。水産大学あたりは実によい例のように思います。一体教育というものを、——自衛隊の優先に使っていいのかということに私は非常に疑問を持つんですが、いつからそういう基本線が変ったかお尋ねいたします。
  172. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 米駐留軍使用中の施設等が返還されるに応じまして、これはそのまま、民有のものでありますれば、これを返すという場所も施設も相当多いわけでございます。そのうちで、防衛庁といしまして、これが新しく作った場合には多大の経費を要するとか、また配置の関係上必要という場合には、これを利用いたしたい、こういう形で、必ずしも優先的であるとか何とかいう言葉は、これは全部に当てはまるようにはできないように相なっておる次第でございます。  なお、ただいまの御質疑の中に引用されました水産大学でございましたか、これは担当者からお答えいたしますが、あの建物の横に音楽隊が入っております。なお、ほかの部隊も若干のものが一緒におるわけでございます。これでは、そのために教育等に支障があるということでは非常に御迷惑をかけることでありまするから、なんとかこれを早く移したい。この施設を利用したのは、おそらく昨年の夏ごろじゃなかったかと思います。私もそこへ行ってみまして、これはそういった面において何とか処置をしなければならぬということで、そのことを担当者の方にも申しました。どこか適当な所を見つけて、そういったことの起らないようにしたいというような考え方で、措置を進めておる次第でございます。
  173. 亀田得治

    亀田得治君 法務大臣にお聞きしますが、基地における出入国の関係ですね、これはおそらく的確に把握されておらないと思うのですが、その結果、真相はどのような状態になっておるか。私ども若干聞いておるわけですが、一つ率直なところをお聞かせ願いたいと思います。
  174. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) 基地における出入国の状況でございますが、制度といたしましては、米軍の基地に、軍人軍属以外の者が、あるいは飛行機や船舶で入って参りましたときには、米軍当局の方から、さっそくもよりの入管の事務局に通知することになっております。そうして、その事務局でその通知とともに身柄を受けまして、その者が果して入国する資格があるかどうかということを審査いたしまして、で、入国する資格がある者ならば、そのままにいたしております。資格のない者でありますと、身柄を米軍当局に返します。そうして米軍当局の責任と費用において、しかるべく送還の措置をとると、こういうことに相なっておるのでございます。
  175. 亀田得治

    亀田得治君 結果はどうですか。
  176. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) 結果と申しましても、大体そういうふうに運んでおるのでございまして、計数等ちょっと今手元に持っておりません。
  177. 亀田得治

    亀田得治君 今のお話ですと、やはり、あちらから通知が来なければ、現物が来ておったって、それはわからないことになる。そうでしょう。それは、通知が来て、初めてあなたの方の入管がタッチする。通知は一体どれくらい来ておるのですか、実情は。
  178. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) その計数は、今事務当局が参りますから、政府委員の方から詳しく申し上げます。その通知が来なければ、原則として入れないようになっております。もちろん、法律の上からいえば、入れないこともないかと思いますけれども、今のところは、事実問題としては、踏み込むというようなことはしておらなかろうかと思います。事実においては、通知を受けて、そして処置をいたしておると思いますが、その実際や計数等につきましては、いずれ政府委員が今参りますから、御説明いたさせます。
  179. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 羽田に入りました者が、昨年の三月から十二月までで、米軍の通報のありましたもの二千六百七十名でございます。立川が、同期間に千四百六十四名でございます。
  180. 亀田得治

    亀田得治君 ほかの基地はないですか。
  181. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) ただいま数字を用意しておりますのは、羽田と立川だけでございます。ほかにもございますが、数字を用意いたしておりません。
  182. 亀田得治

    亀田得治君 この数字でもおわかりでしょう。大体日本に出入りするのは、普通の人間であれば、これはちゃんと民間航空から入るべきなんです。大体入口を間違っているわけですがね。米軍にこれは使用さしているのですから、基地を。それを普通のところから行ったら何だから、こっちの方から行きやすいから、こう莫大な数字じゃないですか。これはなるほど許可を得ていれば、その点はいいかもしれませんけれども、許可の点自体は。しかし、私はルートが間違っていると思う。これは私は、法務大臣もその点は思わしくないという考えでしようが、どうですか。
  183. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 数は多いかも存じませんが、行政協定によっては、こうした米軍関係者を運ぶことも認められております。何らかの意味で、米軍との関係のある者が乗っているというのが原則でございます。
  184. 亀田得治

    亀田得治君 これはどういう関係者です。じゃ、具体的に言って下さい。
  185. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 主として米軍のために働いております契約業者——契約業者は行政協定のたしか十四条と思いましたが、これは米軍の軍人軍属と同様に取り扱うものもございますが、そういう狭い意味でなくて、ただ、その範囲に入らぬような、広い意味で米軍に働く業者あるいは新聞記者、そうしたものが主であろうと考えております。
  186. 亀田得治

    亀田得治君 結局これは、予算委員会で時間が制限されているから、こまかいことはなかなかお尋ねできませんが、まあ、そういう名目で来る人が相当あるのですよ、実際は。  それからもう一つは、この米軍基地に下りて、無断で基地から外へ出入りし人た、それでつかまった人はありませんか。これは警察の方かもしれませんが、どうですか。
  187. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) こういう軍人軍属以外が、米軍の飛行場に米軍の飛行機で、羽田とか立川に入りました場合は、米軍はこれをすぐもよりの入管の事務所に引き渡すということになっておりますが、中には、過去におきましては、必ずしもこれが厳格に励行されておらないこともございました。たびたびわれわれの方は、これを励行するように米軍に申し入れをいたしました。米軍としましても、また中央の方から管下部隊に対しまして、この点を励行するようにという厳重な指令を出しております。最近はこうした事例はほとんどない。最近報告は全然参っておりません。過去にはございましたが、現在は絶無か、あるいはありましても、私のところには、この四、五カ月というものは報告が参っておらないような状況であります。
  188. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと関連して。アメリカ以外の他の国、たとえば韓国の飛行機等が、福岡の板付、あるいは築城、あるいは山口の小月等の飛行場に、最近どのくらい来たか、日本政府の知らない間に何機ぐらい来たか、あとであなた方知ったはずです。そういうことは許されるのか、許されないのか、どう考えているか。数、並びに見解を問う。
  189. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 韓国軍の飛行機が来ます場合には、米軍から通報が参りますけれども、ただいまその従来の統計をここに持ち合せておりません。(「調べて詳しく答えなさい」「調べておらぬなんて、ばかな話はない」と呼ぶ者あり)
  190. 亀田得治

    亀田得治君 いつか台湾の軍人ですね、これを日本の基地に連れてきて、そこで訓練していて、ばれてすぐ追い返した、こういう問題もあるわけです。だからこれは相当ひんぱんに行われておるのが現実なんです。もっと実態を把握して報告してもらいたいと思います。先ほど入管局長からの答えがありましたが、結局黙って出ておる分については、これは報告がないのですよ。基地の米軍と結託して黙って出入りしているようなものは、それはなかなかつかまらない、そういうものは入ってきてまた帰っちゃうのだから、だから犯罪としてそれがあがらないからといって、すべてがうまくいっているというふうに甘くお考えになったら、これは大へんな認識違いだと思うのです。  そこで次は、密輸関係、こういう関係は基地を中心にしてどういう実情になっておるのかお聞きしたい。これは警察の方が適当なんでしょうか。
  191. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 密輸入関係につきましては警察の方は、日米安全保障条約の第三条の関税法の特例がありますけれども、それによって処断しております。三十二年度、昨年で処分しましたのは三百九十四件、人数では四百五十八人であります。
  192. 亀田得治

    亀田得治君 これはずいぶんあるわけです。結局まあわからないものも私はずいぶんあると思う。そこで、法務大臣にお聞きしたいのは、こういう実態ですから、あなたはいろんな港とか、そういうところではずいぶん出入りの関係、これは職務柄やかましく言っておるわけですね、ここが非常に抜けているのです。だれが見たって、せめて出入管理の出張所か何かを基地の中に置く、そうして実際に飛行機が着いたときに現物を見ればいいのですから、何も複雑なことはないのですよ。簡単ですよ。あと報告だとか、そういうことをやっているからごまかされちゃう。私は、別にそんなに数が多くないわけですから、米軍のそういう出入りのひんぱんな基地は、当然私はそういうものを置くべきだと思うのですが、そうすれば片づくと思うのですが、そういう点についての考えはどうですか。
  193. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) 基地を中心としての密輸のことで、今正力大臣からお答えいたした通りでございますが、御承知のように、関税特例法がございまして、米軍の軍人、軍属、要員は無税で品物を受け取っておるわけでございます。この関税特例法の特典をもって所持しておりまするものを、普通の人に譲り渡す際に初めて犯罪になるわけでございますが、そのときに許可を得なければなりません。その許可を得ずして売り渡したり、贈与したりすれば、ここで犯罪を構成するわけでございまして、そうしてこの犯罪につきましては、税関の方からの告訴、告発を待って訴追をいたしておるけわでございます。従いまして、基地におきまして、その密輸物資があるかどうかということは、主として税関の所掌事務になるものでございまして、それを先にただ所持しているだけならよろしい。そういう特権を持たない普通人に売り渡すときに、許可を得ずして売り渡して、初めて刑事訴追の原因になるものですから、今のお示しのような、基地に入管の者が入り込んでそうして密輸のものまで見張るのが果していいかどうか、こういうことは研究をしてみなければお答えができないところでございます。
  194. 亀田得治

    亀田得治君 それはおかしいんでしてね。日本に入れてならない品物だってこの場合もあるのです。それから普通に使う場合でも、それが来たときに、家族用なら家族用として幾ら来たかということをつかんでいることがこれは大事なんです。ばらまかれてからさかのぼるといったようなことじゃ——犯罪自体は横へ流すときに起るのかもしれぬが着いたときにどれくらいということがはっきりしていることが私は一番いいと思う。だから当然これは本来からいうならば、税関なりあるいは入管の出張所というものが設けられるべきものなんだ、それを作っておらぬから問題が起るのです。  それから次にもう一つ問題は、防衛庁長官に返りますが、この基地におけるいろいろな米軍の状況ですね。こういうものは、私防衛庁長官が的確につかんでおるかどうか。基地の、たとえば空軍なら空軍の待機状況とか、そういうものはどうなんです。
  195. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。航空に関しては、先方の駐留軍を、私も出かけましていろいろな情報を受け、また、見たことはございます。しかし、これは御承知のような、航空に関しても今日二十余カ所ございますので、公務に妨げられて親しく一々これを見る機会にはまだ至っておりません。
  196. 亀田得治

    亀田得治君 これは、米軍並びに防衛庁からは、そういう基地内の状況等についての真相はなかなか発表しません。しませんから、私どもとしては、なかなか真相はつかみにくいわけです。ただ先ほどから問題になっているこの在日米空軍の見聞記、これを見ると、非常にやはり危険なことが書かれているわけです。その点をちょっと指摘してあなたの見解を聞きたいのですが、これは横田基地の見聞記の場所ですが、ここでパイロットのヘンクリー少佐がこういうことを小川君に語り、小川君がそのことを書いている。それによると「レーダー・サイトのスコープ上に国籍不明機が捕捉され、これが迎撃出動命令となってこの待機所に通報されたときから計算し、どんなことがあっても五分以内に離陸しなければならない。」という表現、これは全部このパイロットがいつでも立てるような準備をしている待機所の模様です。さらにそれと関連しまして、「緊急出動で飛び上り、もし敵機と遭遇したときこれを襲撃するかどうかは、司令官の命令で行動を起すが、万一ラジオが故障して防空指揮所」これは地上にあるのですね。「防空指揮所と連絡のとれないときは、われわれパイロットの独断でこれを判断してきめることになる。」こう書いてある。これは横田基地だけのところを申し上げたわけですが、この見聞記全部通覧しますと、これは板付においても、あるいは三沢においても同じような待機姿勢というものがとられていることがもう明記されているわけです。こういう状態になっておりますと、何か非常に切迫した状態になりますと、防衛庁そっちのけで、一パイロットの判断でやはり問題を起していく。ちょうどイギリスでは問題になっておりますね。原水爆搭載機が明確にイギリス上空を飛んでいる、それに関連して問題になっている。同じようなことが日本の基地においても、ともかくいつでも実戦に切りかえ得るような待機姿勢をとっているわけですよ、各基地が。私はこういうことで果していいのかどうかという点、長官にお聞きしたいわけです。
  197. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。ただいまのは著書で記述された点でございますが、私その部分をよく読んでおりません。しかしながら、御質問によって了解できることは、米駐留軍の空軍が、領空にまあ侵犯の事実あればこれにどういう措置を講ずるかということについて、訓練上のいろいろな規定と申しますか、訓練というものがあるということを想像されるわけでございます。今日までのところ、私どもは、そういったレーダーに現われて領空侵犯であると確認するようなものは、事実はなかったということを承知いたしております。待機の姿勢をとるということは、これは常に訓練においても、すべてこういった軍としてのいろいろな規約と申しますか、訓練の上において何どきたりとも必要に応じて措置ができるということを、内部的にきめておるということはあり得ると思います。従って、今記述した正確なる記述を私は読んでおりませんから、何とも申せませんが、飛行機の性能その他によって、何分間に何メートルの上空に出るということは、性能と見合せて平素訓練しておることだと思うのでございまして、そのために非常な危険があるというようには私ども考えませんでございます。
  198. 亀田得治

    亀田得治君 とんでもない話だ。訓練ではないのです。訓練ならば、何も私はこういうことをわざわざ質問しません。これは明らかにこの中に書いているのです。パイロット自身がそう言っているわけです。これは単に横田基地だけじゃありません。それから領空侵犯の事実がないなんということをあなたがおっしゃっておるが、とんでもないことで、この中自身にそういう事態にときどき遭遇することを、これは千歳基地の記事だったと思いますが、書かれております、それは。それから私が一昨年でしたか、板付基地に内閣委員長として視察に行ったときに、これも実際に常時、二十四時間こういう待機所は警戒態勢にあるのだということを、あそこの司令官がみずから説明してくれたんです。それを訓練なんということを長官が考えておったら、これはとんでもない認識違いですよ。どうですか、それは。もっとはっきりして下さい。
  199. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 領空侵犯機に対する対応措置は常に用意すべきものであるということは、これは軍務として当然のことだと思います。私の申しましたのは、従来の情報によれば、ほんとうの何ら許可を受けないで上空に侵犯したと認められる事実の報道は受けておらぬ。しかしながら、考えといたしましては、これは自衛隊についても領空侵犯の規定があるわけでございます、八十何条でありましたか。従って、わが航空自衛隊においても、常に万一の事態があったならば常に敏速な行動をとるようにということは、訓練中において常に申し渡してあるわけでございまして、そういったことは、これは私は軍としては当然のことであろうと思うのでございます。
  200. 剱木亨弘

    理事(剱木亨弘君) ちょっと亀田君、お断りいたしますが、法務大臣は、法務委員会で採決があるようでございますが、ちょっと出かけてよろしゅうございましょうか。
  201. 亀田得治

    亀田得治君 法務大臣はいいです。  まあ自衛隊もそういう態勢に若干あるかもしれぬが、これは実力がありませんからね。そんな態勢とれませんよ。実際とっておるのは、これは米軍なのですね。そこで、たとえば行政協定の二十四条、本格的な意味の敵対行為ですね、外部からの。こういうものがあった場合には、日本政府と共同措置を執り、さらに協議をする、こうなっておりますね。できますか、今の状態で。一方は五分以内に発進して、そうして司令官なり、あるいは司令官と連絡がとれぬ場合にはパイロットの判断によってぶつかる、こう言うとるのですよ。共同措置なり協議ということはできますかね。余裕がないでしょう、今のままの状態では。どう考てますか。
  202. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。領空侵犯の防止対策、対処の措置については、かねがね米駐留軍とも日本側としても十分な連絡をとっております。従って、行政協定の二十四条というのはほんとうの戦闘行為と申しますか、侵略の事実があった。で、領空侵犯であるかどうかということも、これは事実その場合に応じて、あるいは警告を発し、これに実力行動をするということは、これはやらない建前で、退去を命ずるといったような措置をとるわけで、それが主眼になっております。この点については、米駐留軍ともまた航空自衛隊とも十分な打ち合せ、連絡はできておるわけでございまして、双方においてそういった場面に対処しようと、こういうことになっておるのでございます。
  203. 亀田得治

    亀田得治君 いや、そういう場面に対処しようというのは、どう対処するのですか。それから了解ができておるというのは、どういうふうにできておるのですか。内容をもう少し詳しく言って下さい。
  204. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。自衛隊法の八十四条というのがございまして、わが航空機というか航空自衛隊は、    〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕 もし許可なくして日本土空を飛行をするといったような者があった場合には、これを退去さすということの規定がありまして、このいわゆる八十四条の規定において、これはわが方においてもやれるわけです。なおまた、この領空侵犯と申しますか、そういった事実に対処するためには、まだ航空自衛隊が十分に成育を見ておらない間においては、日米で話し合って、米駐留軍の航空機がわが上空のこういった事実に対して対処する措置を講ずる、こういうような話し合いができておるわけでございます。今日では必要に応じてですね、米駐留軍もそういったようなことをやり得る。やらなければ対処できない場合には、おそらく駐留軍航空機でこれを阻止するでしょう。また、わが庁もこれに対処する方法を講じよう、こうなっておるわけでございます。
  205. 亀田得治

    亀田得治君 お話を聞いておると、そうすると何ですか、あらかじめ事前に包括的に、米駐留軍にそれに対する対処方を委任してある格好になりますか。どうですか。(「あなたまかせじゃないか。危険きわまりない」と呼ぶ者あり)大へんなこっちゃないか。
  206. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。まだ航空自衛隊がこういった程度の編成を見ない場合においては、領空侵犯を、どうしてこれを対応するかといったことが、不能であったわけでございます。そういった時期に処するためには、これは当時発表された、公表されたものと思いまするが、日本外務大臣と米政府との間に、その点についてはこの米駐留軍の航空部隊において対処をしてもらいたいというような申し合せをした事実はございます。そういうわけで、これは多分私は、もうだいぶ七、八年前のことでございますが、記憶ははっきりしませんが、昭和二十七年か八年のことであったと記憶します。
  207. 亀田得治

    亀田得治君 そういたしますと、そういう包括的な委任ということはですね、これは大へん危険なことですよ。何が起るかわからぬことについて、ね。私はそういう意味からもだな、さっきから言っているように、基地の内部というものをもっと防衛庁長官がつかんでおらなけれいばかぬじゃないかということを、ますますこれは感ずるんですよ。密輸の関係なり出入国の関係等を見たって、どこ一つ取ったって、そんな整っておるところはないわけですね。こういう状態でも、何ですか、最初あなたがおっしゃっておったように、基地を防衛庁長官等が直接調べる、こういうことはアメリカに対して要求するのが適当じゃないですか。私は適当だと思うのですよ。近く、二十七日ですか、新聞等によると、日米委員会等が開かれるそうですが、これは、当然私はこの段階では要求をして、そうして実際にあなたが見て報告してくれなければ信用できないと思うのですよ。結論的にどう思いますか。私はさっきから、三つに分けて聞いたんです。そういう米軍の一方的な行動で一つ事件が起り得る待機状態というものがある。もう一つは、入国あるいは税関関係は、はなはだ乱脈なんです、実際。それからもう一つは、最初に申し上げた原子兵器の問題ですよ。これは、あなたも、原子兵器装備可能なものの存在を認めているわけですから、それだけの問題があれば、当然これは、日本としては、基地調査権といいますか、何かそういうものを要求するのは当りまえだと思うのですが、どうでしょう。
  208. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。先ほど御答弁申し上げた通りでございます。基地調査権といったような形のもので、これらの情報を得るといったようなことが、果して両国の親善の上において、また、将来の共同動作をとるようなことがあった場合に対しても、果して適当であるかどうかということは、先ほど申し上げた答弁通りであります。なお、基地内のいわゆる航空機の状況であるとかいろいろなことは、これは常時連絡をとり、われわれは承知いたしているわけなんです。ただ、これを全部公表せいということは、これは法律もありまして、米側の公表というものが、あるものについては明確なる情報を提供することはできまするけれども、これは、法律の規定の上にも特別にあるわけでございまして、刑事特別措置法といったようなものがあるわけでございまして、全然知らないということを申し上げるというわけではございませんので、常時連絡をとり、内部についても、われわれはその状況を把握している、こういうことを申し上げる次第でございます。
  209. 曾禰益

    ○曾祢益君 議事進行について……。資料要求でございます。  今、亀田委員の御質問に対して防衛庁長官から、昭和二十七、八年ごろに、外務大臣とアメリカ側との間に、アメリカはだれだったか知りませんが、日本の領空防衛について、実質的にアメリカ側に依頼するといいますか、そういうような覚書等があった。おそらくこれは公表されているだろう、こういうようなお話でございましたが、あるいはそういう事実があったのかもしれませんが、われわれは、私自身は少くともそういう文書を見たことがないのですが、事の性質上から言って、防衛庁長官のお話を聞いても、そういうことは別に機密ではないようですから、この際、外務大臣からこの文献について御発表願いたい。
  210. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 資料として差し出すそうですから、御了承願います。
  211. 亀田得治

    亀田得治君 基地の状況、これは、実際は、ますます原子戦態勢に即応できるようなやはり状態というものが進んでいる。これは、最近の新聞で私汽車の中で見つたのですが、小型の水爆で、従来爆撃機に積んでいたものを戦闘機に積む、こういうものを相当やはり実用化しているようです、アメリカでは。従って、そういう点等から見ても、日本にあるこのアメリカの戦闘機あるいはF100Dといったような戦闘爆撃機、こういうようなものも、これはもうみんな原子兵器ですよ。おそらく防衛庁が、今度新機種をきめられるようでありますが、四種類ほど候補者が上っているようでありますが、いずれにきまっても、大体そういう性能と性格を持ったものなんです。これは、私は、そういう状態にありますから、これは当然日本としては本気に、政府がこの原子兵器は排除するのだという考え方を持っておるのであれば、当然米側と交渉して、基地に対する日本政府の調査権、これをはっきり確立すべき時代だと思うのです。何か原水爆によるパトロール等の問題があれば、やはりそれに基いて一応調査してみるとか、そうしてもらわなければ、水かけ論になっている、政府とわれわれの間の議論というものがすべて……。こっちも見たことがない。しかし、あなたの話を聞いたって、見たことがないんですよ。さっきから、見たということは、一つもないのですからね。みんな間接の話です。そういうあれですから、あなたの意見を幾ら聞いても仕方がないが、最後に、外務大臣も安保委員会に出られる一人でありますから、外務大臣の方は、少し私は良識が高いだろうと思うのですが、そういう点について、もっとはっきりアメリカに交渉してみる考えはないですか。
  212. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 基地の調査という問題につきましては、現在の状況下においては、私は調査をすることが不可能だと思いますし、また、そういうことを申し入れるべきでもないと思います。ただ、先ほどお話のありましたように、出入国の場合、密輸等の場合については、やはりアメリカ側が十分に通報をしてくれているとは思っておりますけれども、なお、今後そういう確実な通報を得るように、アメリカにも十分交渉して、日米協力関係に何らのひびが入らぬように持っていかなければならぬと、こう考えております。
  213. 亀田得治

    亀田得治君 大体良識の程度は大同小異です。こういうのを相手にして、幾らやっても、時間のむだづかいになりますから、最後に、新島の問題について、時間がありませんから、一括してお聞きします。  まず、三千数百万円の今度計上されている新島関係の予算ですね。この内訳はどういうことであるか、明らかにしてほしい。特にその中に、何か港湾の設備費、こういうものがあるとかないとか、うわさがあるのですが、そういうものがあるのかどうか、この点。  それから、運輸大臣にせっかく御出席願ったわけですから、何も聞かないということは非礼に当りますので、この点だけお聞きしますが、新島のミサイル基地の問題ですね。これは、事前に運輸大臣には御連絡がなかったようでありますが、私どもが聞く通り、そうであるかどうか、これが一つ。  もう一つは、運輸省としては、ああいうところにミサイルの試射場を作られるのは、民間航空等の立場からいって困る、これはあなたの部下の専門家の諸君が皆さんそう言っている。大臣としても、そういう考えをもっていられるのかどうか、考え方を一つ。  それからもう一つは、運輸省としては、防衛庁に対してどういう態度をこの問題についてとっておられるのか。何か交渉等されているのかどうか、以上三点、お聞きしたい。  それから最後に、防衛庁としては、まあ予算を組んでいるくらいですから、なかなかあきらめ切れないかと思うのですが、一体新島の工事の竣工ですね、これは一つ、村民の了承を得ないででもやると、こういうことになれば、土地収用法の発動をしなければなりませんが、自衛隊の問題で、収用法の発動は今までないのですが、それをやってくれれば、私どもも、憲法訴訟で一つ裁判所で争ってみたい。自衛隊が果して合憲かどうか、争いの場をむしろ作ってもらいたいくらいに思っているくらいですが、果してそれだけの腰を入れてやるだけの気持を持っているのかどうか、この点もあわせてお聞きしたい。
  214. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 新島の問題、三千万円の予算、その施設につきましては、運輸省は防衛庁から何ら相談は受けておりません。それから、民間航空の立場から申しますならば、羽田という国際空港の前にあるのでございます。それから、また、あの辺は航空路に近いのでございまするから、私どもは好ましいものとは思いません。しかしながら、その設備の運用の方法、また将来の見通しにつきまして判断をして参りたいと思うのでございまして、何かこの問題は、新聞に出たそうでございすまが、防衛庁には、航空局から一応話したことがありますが、今後折衝して参りたいと思っておるのでございます。
  215. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 新島の試射場についての御質問でございますが、御質問の点はお答えいたしますが、これに関連して、一応前回、本会議でも御質問がございましたが、十分な御答弁をする時間の余裕もなかったから、概略申し上げましたが、一応この点を明確にしておきたいと思います。いわゆるミサイル基地設置という言葉は、われわれは全然使っておりません。新島の試射場という言葉でございます。それは、この仕事内容がそうあるべきだというところからきたものでございます。往々にして、ミサイル基地というと、今ヨーロツパで問題になっているような、非常な大きな、何というか、核弾頭兵器等を使用するような基地というふうに、混同されるおそれがあると思うので、この用途から申しまして、その言葉は適当でない、こういう意味でありますから、私はここで、いわゆる新島の試射場としてお答えいたします。(「何の試射場だ」と呼ぶ者あり)それを今申し上げます。大体試射場でありまして、ここで試射するものは、技術研究所において作りましたAAMの、いわゆるテストのものをここでやりたいというのが主要な目的でございます。で、これは、実行は大体三十四年十月から三十五年にかけて、約二十発ぐらい試射してみたいという予定を持っております。月に二発ぐらいやりましょうというわけでございます。御承知のように、実験というか、試射はもう数分のものでございます。こういった意味において、他に適所をいろいろ探しましたが、どうも適所を得られないで、最も適当と認められるのが新島である、こういうような結論になって、予算もこれに計上をお願いしたわけでございます。大体の予算は、先ほど御質問中にありましたように、三十三年度で三千六百万円ぐらいを予定いたしております。なお、今申し上げましたように、三十四年度にこの仕事がかかってくるわけでございまして、若干の国庫債務負担行為をなし得る金額も計上いたしております。そこで、ある一定の面積、まず百何万坪かの土地を南の方において買い入れ、または借用いたしたいと思っております。皆これは村有地になっておるようでございます。施設といたしましては、ここに試射に要する施設、あるいは道をつけるとか、きわめて小規模のヘリコプター等の着陸あるいは離陸するような、そういう施設も作ろう、その他何人かの宿舎を設置する、こういったような施設をここに設けたい、こういう次第でございます。  なお、港湾の問題もございましたが、今の港湾は非常に狭く、また水深も非常に浅い、突堤も非常に短かいという関係から、これはある程度まで拡張し、また、水深を深めるというような必要もあるかと思います。この問題については、これは東京都において、離島対策として、港湾の拡張と申しますか、計画があるわけです。これらを十分検討して、島民の一般の目的にもなるようなことも、離島対策として考えられると思います。これは、十分検討したいと思っておる次第で、この三十三年度の予算の中には、これに充てるべき金額は、ほかの施設を作れば、そう大きなものを三十三年度において計画するということには至っておりません。本来が三十四年度にわたる仕事でございますから、十分検討いたしたいと存じます。  それから最後に、この試射場の施設をすることは、いかなる事態になっても、たとえば、土地収用法を適用してもやるつもりかという御質問がございました。これは、地元の方々と十分こういった計画をお話し合い申し上げて、了解を得た上で施設をいたしたいと存じます。まだ予算も通過しておりませんから、正式にこれらの話し合いを進めておらぬわけでございまして、予算通過後において、あらためて一つ話し合いを進めたい、こう思っております。  なお、ただいま、これは私にお問いでなくて、運輸大臣からのお答えがございました。事務的には、航空の担当官と私の方の事務担当官との話し合いは、事実あったようでございます。で、こちらの計画は、最も懸念される一般の航空とこの試射場の関係でございまして、今想定されておる試射は、この空路には全然当らないような、そこに一つの適地というような観点もあるわけでございます。これらにつきましては、十分また具体的に、こういう関係省間ともお話をしたいと思っております。なお、東京都とも十分の協議連絡をする必要のある問題もあると思う次第でございます。  なお、一言つけ加えますが、これらの施設、道であるとか、あるいは飛行機の着陸場というようなものその他についても、これは、島民の方々には、差しつかえない限り、一般的に十分これを御利用願うような計画をもって進めたいと思う次第でございます。  なお、この実験、いわゆる試射は、これは非常に短期間であり、時間的にも、またこれは、砲弾を撃つとか何とかいうようなものと違いまして、危険の程度というものはほとんどないと言っては語弊がありますが、とにかくこれが防止し得られるようなしかけを作るということでありまするから、この点についてのあまり御心配はかけないつもりでおる次第でございます。
  216. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 亀田君に申し上げます。先刻あなたの韓国航空機に関しましての御質疑がございましたが、資料不備のため、答弁が留保されておりましたが、この際、アメリカ局長の森政府委員から御答弁申し上げたいということでございます。いかがでしょうか。
  217. 亀田得治

    亀田得治君 けっこうです。
  218. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 取り寄せましたところ、昨年四月から本年三月まで、四十六機参っております。
  219. 亀田得治

    亀田得治君 先ほど長官の説明された三千六百万円の使途の中に、港湾の費用はないんでしょう。東京都の方では、相当大きな計画を持って、具体的に仕事を進めておるわけですがね。だから、防衛庁の方としては、その費用を二重に組むということはおかしいわけですから、ないはずだと思うんですが、何か少しぐらいあるような印象を与えるようなことをおっしゃったんだが、そこをはっきりしてもらいたい。そんなに三重に金が出るわけがない。  それからもう一つは、結局しからばですね、これは了解を得なければ……ちょっと聞いて下さい。了解を得なければやりませんと、こういうふうに了解していいですか。
  220. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。第一の、港湾の経費がこの三千六百万円の中に含まれているかという御質問でございました。これはいろいろな施設費というものがございまして、その中に、ここの道をつけるとか、あるいは港湾とか、あるいは着離陸の小規模の飛行場といったようなものを一括して施設費等にしてあります。そこで今日の考えにおいては、あの港湾も、あの現在の状況では少し狭いというような事実があるのでございます。できれば、ある程度の拡張と申しますか、それもこの範囲でやろうというような考え方を持っております。しかしお説のように、この港湾の問題はこれは東京都の離島対策であるとか、また運輸省の関係もありましょう。そういった問題でございまするから、これは一つとくと、これは三十四年にわたり、あるいは五年にわたるかもしれませんが、われわれは三十四年十月からこれを使用したいというような関係で国庫債務負担契約もある程度のものがついているというわけでございますから、今、具体的の契約はこうだということは明瞭にお答えする段階に至っておりません。  第二の御質問の、何と申しますか、地元の方々のいわゆる十分な連絡、了解を得ずにやるかという御質問でございました。これは私は十分の連絡をし、また、この施設に島民諸君の——あるいはこの施設の上において、また運営の上において、これは雇用関係も生ずるわけでしょうが、また、御協力もお願いしたいというような趣旨でございます。(矢嶋三義君「関連。亀田委員質問が終ったら簡単に質問いたしたいのです」と述ぶ)
  221. 泉山三六

    委員長泉山三六君) もう終りました。矢嶋君。
  222. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本日、亀田委員は防衛問題を掘り下げて質疑されたわけですが、不明確な点がありますので、明確にお尋ねいたしますから、適切にはっきりとお答え願います。第一は、憲法を擁護し、尊重する義務を負っているあなた方国会議員並びに公務員の行動には、私は疑点があると思うのですが、先般の私の質疑に対しては、防衛庁長官は、何らの疑点を感じない、むしろ大いにやるべきだと思うというような、こういうふうな答弁をされたわけですが、それとも関連して第一点として伺いたい点は、あなた方の解釈で、弾道弾と誘導弾の区別はどういうふうに定義づけているか。これは憲法第九条における戦力の解釈については、もう歴史的な過程をもってきているわけです。そこで弾道弾と誘導弾の区別をどういうふうに定義づけており、また憲法との関係をどういうふうに考えているかということと、それから東京を中心に半径三千キロの範囲内にアメリカの弾道弾、この弾道弾がどのくらいいるということを承知しているか。また、知らなければ、どのくらい置いてあると想像されているかというのが第一点。  第二点は、ただいまの亀田委員質疑に対して、新島でAMMの、ちっぽけなものの、しかも、危険のない実験をするという答弁があったわけですが、憲法解釈から、アンチ・ミサイル・ミサイル——いわゆるAMMは憲法解釈から持てるという解釈をしているのかどうか。  それからそれとも関連しますが、第三点としましては、御承知のごとくアメリカは限定原子戦争の想定のもとに、少型ミサイル、小型原子爆弾を製造し、これを全世界に配給しようとしている。しかも、訓練だけは、ロケットも装置できる兵器だけをまず配分して訓練させておいて、核弾頭だけは——大きいのも、小さいのもありますが、この核弾頭だけは適当な所に保管しておいて、いざという場合には、日本に対しても、また韓国に対しても、国民政府に対しても配給しようという態勢をとっているわけですが、憲法解釈の上から、あな方は核弾頭を日本に持ち込めるという解釈をしているのかどうか。  最後に、森アメリカ局長から先ほどの私の関連質問答弁がありましたので、重ねて御質問させていただきます。私は、昨年の四月から本年の三月まで、韓国の飛行機が四十六機日本に着陸したということが、届け出があっているという答弁であります。これはおそらくその大部分は山口県の小月、あるいは福岡の板付についたものだと思いますが、私聞いている範囲では、非常にこれはルーズになっている。答弁では四十六機ということですが、おそらくその倍近くくらい飛来しているでしょう。全く近ごろでは散歩のようにやってくるという話も聞くのです。そこで、一体韓国の飛行機は何の目的があって日本にそんなに飛んでくるのか。それからあなた方の統計に対しては、どういう目的でいつ来るというような届け出が厳重にあっているのかどうか。また、あな方ははそれを要求しているのかどうか。私は少くとも日米行政協定、安保条約がありましても、独立国となった日本に、たとえば韓国、国民政府にいたしましても、それらの国の飛行機がいと気やすく日本の領空に入り、着陸するということは、独立国日本として望ましくないと私は考えるのでありますが、防衛庁長官並びに外務大臣は、この点についてどういう考えを持っており、また近く開かれる日米委員会において、どういう発言をしようとしているか。以上四点についてはっきりと切なる答弁を伺います。
  223. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。誘導弾と弾道弾の区別というようなことでございますが、これはあるいは専門家の方からお答えした方が適当かと思いますが、簡単に申します。誘導弾というのは、発射されたその飛翔体がある種の装置によってその目標に向っていくことを誘導し得る装置になっておる場合でございます。弾道弾というものは、例の中距離弾道弾、発射したらそれはその飛翔体がどこに行くかということは、こちらで誘導できないようなものと、二つの種類に大きく分けているようでございます。従って、ICBMのごときは、これは誘導弾として操作ができないものであります。しかし、小距離のものであり、また相当の長距離のものであっても、こちらの装置で誘導していくという場合には、GM——ガイデッド・ミサイル、こういう区別があるようであります。ともに飛翔体でありますが、その機能なり、働き方、そういった装置の関係によって区分されているわけでございまして、私の承知しておる限りにおいては、ICBMとかいうようなものは一種のロケットでありまして、発射してみねば、これはどこに飛ぶかということは、もう装置によってコントロールできないようなものを弾道弾と、こう言っているように思います。
  224. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 性能の差は……。
  225. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 性能の差は、御承知のように誘導弾でも、私ら今回有償供与を受けとるというのは、あれはやはり誘導兵器でございます。しかしながら、これは核兵器、核弾頭あたりは装備できないような、そういう構成、装置になっておるものであります。これはガイデッド・ミサイルという言葉がありまするが、このいわゆる誘導弾の中に、そういった装備のできないようなものも数種、相当数ございます。また核弾頭をつけるものもございます。いろいろ構成が違っておるものもございます。その意味において、これは専門家にお聞きになればきわめてはっきりすることでございますが、概略をつけ加えて申しておく次第でございます。  なお、このAMミサイル等の装備をするとか、あるいはこれを絶えず研究することが、憲法上の疑義はないかというような御質問でございます。この点については、法律専門家からお答えするのが当然であると思いまするが、私の考え方、今日までもいろいろ論議のあったところでございまするが、わが国の自衛の体制を作る上において、国力に応じた最小限度の防衛の体制をここに作り上げようということであって、これは主として自衛であり、防衛であり、そういった趣旨に沿うように装備も全部考えているわけでございます。その点から申しまして、私は今日までの、また今後もそうであると思いまするか、わが自衛隊の装備なり、その他が憲法上に反するといったようなことは万々ない、こう考えておる次第でございます。  なお、小型の核、これはミサイルという言葉は、今使われておるのは、核誘導弾あるいはロケットというものを米国側は各諸国に配置、装備するということを今やっておるようであるが、日本はどうか。これはもうたびたび申し上げた点でございまして、われわれとしては、こういった核装備されたミサイル、ロケットというものをこれは持たない、装備しないのである、また、米国から日本に持ち込むことについても、これはわれわれは承認しないものであるということでございまして、これらの点については、もう繰り返して申し上げる必要もないかと思います。  なお、韓国の飛行機のこちらに参る問題、これは便宜外務大臣またはその担当の方からお答えした方が適当であろうと思いますので、私は以上の点をお答えいたします。
  226. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 韓国の飛行機が参るのは修理の目的のためでございまして、主として小牧飛行場に到着いたしております。なお、この件につきましては、一々そのつど、到着の日時、パイロット等を添えて通報がございます。
  227. 泉山三六

    委員長泉山三六君) それでは簡単にお願いいたします。
  228. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連ですから簡単に申し上げますが、藤山外務大臣の憲法九条に対する解釈というものは、いずれ他の機会にやりますが、私はおそるべき解釈だと思います。アンチ・ミサイル・ミサイル——AMMが自衛のために云々という、そういう拡大解釈をすれば、私は今の憲法九条下においていかなる装備でもできると思います。憲法九条が全く……。そういう意味において、あなたの憲法との関連を伺った点についての答弁を私は了承できないということだけを意思表示いたしておきます。
  229. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 私はまずもって北海道開発庁長官である石井副総理に、北海道開発に関する若干の問題に関し御所見を伺いたいと存じます。もとより質問のうちには、単に北海道開発庁長官としてでなくて、他の大臣の所管に関連する問題もありますが、これらすべて副総理としての御所見を承わることができればけっこうと存じます。まず第一に、北海道総合開発第二次五カ年計画が閣議の決定を見たことはまことにけっこうなことで、これは北海道民の要望であり、私もこれを念願しておりました関係上衷心よりお喜び申し上げます。しかし、北海道開発審議会でパスした原案が閣議では若干調整せられ、遺憾の意を表しておる向きもありますが、これが実施面についての長官の抱負及び施策を承わりたいと存じます。
  230. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) お答えいたします。北海道開発第三次五ヵ年計画をこしらえました。これは開発の向うべき方向と、私どもがそれを実際にやっていく施策の指針と申しまするか、そういうものを明らかにしたものでございまして、実はこれは実施計画とは違うわけでございまして、実施計画というものは、この五ヵ年計画を毎年毎年の実情に照らし合わせてこれに近く、また、それよりもいい状態に予算その他の処置をして、北海道開発の実をあげていくということになっておるわけでありますので、そこいらにちょっと考え方の相違があったかと思うのでございます。政府で第二次五ヵ年計画を取り上げて、そうしてこれを閣議決定するならば、それをその後実施計画と一致さしたものであってほしいというのが、皆の批判する方々の考え方だったと思うのでございますが、それはただいま申しましたようなつもりでやっておりまするが、私自身といたしましては、この五ヵ年計画をほとんどそれと違わないように、あるいはそれ以上に効果の上るような方向に年年の予算その他を運んでいって実績を上げていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  231. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 次に、現在審議中の昭和三十三年度予算案に盛られておる北海道開発予算の程度で第二次五ヵ年計画は達成できると考えられますか。三十三年度の予算の編成に当って、最初の計画である五百億の線はおろか、それが二百六十三億円となり、前年度二百三十一億に比してわずかの伸びしかない。これをもってしても、政府が北海道開発に冷淡だと批評する者もあるようでありますが、これに対し区長官の御所見を承わりたいと思います。
  232. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 提出いたしました予算と、実際に決定いたしました予算案とあまりに隔たっておるという点は、まことに残念なことでございまするが、日本の財政規模からいたしまして、私どもの出しましたものは、少しく希望する部面が多過ぎた結果、ただいまお話のように二百六十三億というふうに実際的にきまったわけでございますが、これは私どもが北海道の開発の事業費をずっと見まして、第二次五ヵ年計画の線にこれが沿って、大体それに近いものが予算に盛られておるかということになりますと、三十三年度の予算は、まずまずそこに近いものが盛られておるということが言えると思うのでございます。と申しますのは、逐年の開発事業の事業費につきまして見ますと、逐年の増加率が大体一九%くらいになっておるのでございますが、今度の予算で大体これに近いものが実行できる、しかし、これから先の五ヵ年間というものがこの割合で進んでいって、その割合に金が、どんどん予算がつくかということにつきまして、私どもは一そうの努力をいたさなければならない、こういうふうに考えております。
  233. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 日本政府においては、貿易の拡大、すなわち輸出の増大が経済活動の中心になっておるように観測せられるのでありますが、もっと開発を促進して輸入を減らすことが必要ではないかと考えるのであります。現在、食糧だけでも年々相当巨額の輸入をしております。もっと北海道の開発を促進して輸入を減らすべきだと思います。イタリアでは、もと日本と同様多額の食糧を輸入しておりましたが、南部の総合開発によって、食糧自給ができるような状態になっております。これは大きな成功であります。これがため、イタリアでは開発資金の七割を外資によっております。日本もイタリアと同様、もっと外資を導入して北海道の開発を積極化する必要があると思うのであります。御承知のように広大な北海道の全地域にわたる道路の建設、河川の改修、港湾、漁港の拡張、土地改良、開拓等いずれも手をつけ努力中でありますが、なかなか思うように進歩しないというのが実情であります。この遅延からくる国家的損失は莫大なもので、これが主たる原因は開発資金不足からきておると思われるのであります。もっと開発をスピード化しまた経済化するために、イタリアにおけるように外資導入することが結局国家の利益になるのではないかと思うのであります。北海道への外資の導入に関しまして副総理の御意見を伺いたいと思います。
  234. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 貿易の拡大と国内資源の開発というものが、これから先の大きな問題であるということから考えまして、北海道の資源の開発というものがいかに重要な地位を占めるか、ということは御承知の通りでございます。北海道の開発につきまして、御承知のように現在外資によって動いているものもあるのでございまして、篠津地区の農場、根釧地帯の開墾、これらに用います機械等が、外資によってまかなわれておるというような実情があり、その他にもまだ二、三の例はあるのでございまするが、これから先いろいろ仕事をやっていく上には、どうしても必要で、適切なもので外資を導入するに適切だと思うものが相当考えられるのだと思うのでございます。これらの問題につきましては、私どももでき得る場合を、また必要な場合を考えまして、あらゆる努力をして外資も導入し、そうして国内の予算の足らざるものを補って、そうして開発の実を上げていくようにいたしたいと思います。
  235. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 第二次五ヵ年計画では道路港湾に重点が置かれておることは非常にけっこうなことだと思います。北海道開発の重大な隘路の一つは確かに輸送面にあると思います。青函連絡隧道を早急に実現せしめる御意図はございませんか。この点に関し副総理の御所見を承わりたいと思います。
  236. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 北海道の輸送状態が、内地に比べますると道路の状態でも五分の一くらいな発展量しかないという状態でございまして、これにはうんと力を入れちくちゃならぬ問題でございまして、今度の予算におきましても、北海道の道路費は約百億の金が見積られたわけでございます。今のお話の青函隧道の問題は絶えず問題になり、そうしてどうしたらこれを早く通すかという話がよく出るのでございまして、私も運輸大臣をしておった時分からこの問題を取り上げておるわけでございまするが、まだ技術的の面において十分な確信が得られないというのが一つ、それから資金の面といたしましても、相当大きな資金を要するし、交通政策としてほかの方に鉄道を通すという問題との振り合い、いろんな国全体の交通状態の比較との問題等がありまして、なかなかすぐには現在はやれない状態でありまするが、しかしこれはどうしてもわれわれの熱意をずっと続けて、できるだけ早い機会にその実現ができまするように、三十三年度も調査費を出してもらうことに予算に組んでおりまして、この実現を期するために努力を続けていきたいと思っております。
  237. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 電源開発については、第一次五ヵ年計画は計画達成率も百パーセントをこえるただ一つのものであります。しかるに第二次五ヵ年計画はきわめて消極的であります。これは電力需要が伴わないという見通しからきたものでないかと思いますが、北海道は水力にも恵まれ、また石炭も豊富で、火力発電にも好条件にあります。エネルギー資源はそれが低廉であれば必ず新たな需要を生み出すものであります。TVAの理事長であったリリエンタールはこう申しておるのであります。電力は今や近代国家の生活にとって全く基礎的なものであって、その余剰を心配する必要がないことが明らかとなってきておる。大量で低廉な電力はそれ自体の市場を作り出し、新しい用途と新しい生産性を作り出し、またそれは逆により多量の電力に対する一そうの需要を作り出すものであると、かように申しておるのであります。TVAにおいても実際の需要が十倍以上にもなって、大へんな思い違いをしたことを告白しておるのであります。当面の需要はともかく、大局的見地からしてもっと積極的な電源開発が必要でないかと思うのであります。  なお道内産業の振興や工場誘致上、電力料金は発電コスト主義によらないで、政策的見地をも含め決定すべきではないかと思うのであります。たとえば造船における利子補給とか、また電源開発会社の売電価格を特別に安くすること等が考慮できないものでございましょうか、長官の御所見を承わりたいと思います。
  238. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 電源開発の問題、電力を豊富にしようというお説はまことにその通りでございまして、北海道の電力を、火力においても水力においても、増し得るような技術的な面からの情勢にあることは御承知の通りでございます。第一次五ヵ年計画のときには、五ヵ年間に三十六万キロワットの発電量が実現したのでございますが、第二次の五ヵ年計画では三十六万三千キロ、わずか三千キロだけ増すということで、ほとんどほかを大きく発展しようというのに、電力の発展度が弱いじゃないかという御心配だと思うのでございますが、第一次五ヵ年計画をやりまする前においては、あまりにも貧弱な北海道の電力事情であったということのために、非常に力を入れたのでございますが、第二次五ヵ年計画の電力量は、その第二次五ヵ年計画によって、いろいろ北海道で仕草をしていこうというものに対して、使用される電力量を十分カバ一し得るという計算のもとに、これは立てられたものでございまして、私どもは仰せのごとく余裕ある電力を持っておれば、さらにそれが事業を招くということは考えられたのでございます。できればそういうことにありたいのでございますが、経済情勢というものが、そういうふうに積極性をうんと持つことは、なかなか困難でございますから、そのわれわれの五ヵ年計画で不足するようなことであれば、どうしてでもこれは満たさなければなりませんが、まずこの辺でやっていけるという見込みでございます。  次の電力料金の問題でございますが、これは北海道の開発の上の非常な大きな障害だ、と私どもは絶えず言われる問題でございまして、何とかしてこれは下げる道はないものかということを、絶えず話はしておるのでございますが、現在の電力料のコスト主義というものを、今急にこれを破ることはなかなか困難であり、今私ども考えられる問題は、これから作っていく電力に対しまして財政資金の投入、あるいはこれらの仕事をやっていく上の効率的な方法を、より考えていくというようなこと等によって、電力料が幾らかでも上らないようにしていく、というようなこと等を目下のところは考えておるわけでございますが、そんなことではどうしても電力料の高いという問題は解決できない、そうして北海道に仕事を持っていこうということは困難ではないかという、抜本的な問題それについて造船の場合の利子補給のお話等もございましたが、これらの問題についてはもっともっと研究していきたいと思っております。
  239. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 諸外国では経済開発からくる経済的利益の分配の公平を期する見地から、総合開発には公園、博物館、学校、病院等の公共施設の拡充拡大、スラム街の排除、雇用の増大による失業救済等を、資源開発と並行して強化しておるのであります。たとえば米国のTVAが非常に歓迎されたゆえんのものは、単に電源開発や洪水調節という見地からばかりでなく、その地方の民衆の福利増進に寄与するところがすこぶる多かったためであります。北海道においても総合開発により産業面の振興をはかると同時に、北海道民衆の生活水準を高め、さらに文化、厚生施設を拡充強化し、もって岸内閣の三大スローガンの一つである貧乏根絶ということに、最大の目標が置かるべきであると思うのであります。さらに北海道はソ連に隣接しておる関係上、これを未開発、貧乏のままに放置することは、赤化防止の見地からもまた広義の国防の見地からもゆゆしい一大事であって、北海道の総合開発は常にソ連のシベリア総合開発より一歩先んずべきこと、また北海道民の生活水準がシベリアのそれよりも常によりよい状態であることが絶対必要であると思うのでありますが、この点に関する副総理の御所見を伺いたいと存じます。
  240. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) この問題は非常に重大なことだと思うております。経済開発の仕事に伴いまして、これがだんだん進むにつれまして、道民諸君の生活の水準が上り、生活が向上していくということを絶えず念頭において、その施策をやっていかなければならぬと思うております。第二次五ヵ年計画を作るに当りましても、道民諸君の文化、厚生というような面が特に論義の種になりまして、そして第三次五ヵ年計画には第一次五ヵ年計画よりもこれは進んで考慮されたと思うております。その実現を実際の予算の上にやっていかなくてはならぬのでありますが、私どもが自慢していいような、これほどのことをしておるというところまでのものが組めないことは、はなはだ遺憾でございまするが、そういう点を考慮に入れて予算はやっていただく、そしてその方面に対する努力を私ども今後ともいろんな面において続けていく、ということをぜひやっていかなければならぬ、またそうするつもりであります。
  241. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 開発事業の実施に当っては、事前の調査研究が最も大切で、開発事業の成否は一々この調査研究のいかんにかかっておると考えます。これに対して現在の調査研究に対する機構及び予算等は、さらに充実強化する必要があると思われます。第一次五カ年計画の成果については、賛否いろいろと意見はありますが、事前調査及び基本調査が不十分であった、という一点についてだけは意見が一致しております。もっと調査研究機関を拡充し、またこれを総合化し、さらに研究費を大幅に増大させる意向はありませんか。なおまたこれと関連して開発庁の機構組織を拡大強化される御意向はありませんか。これについての長官の所見と今後の実施すべき施策について承わりたいと存じます。
  242. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) これは北海道を見て、そうして北海道の将来の発展性の大きいことを感ずる人がみんなこの問題を取り上げて心配して、いろいろと注意をしてくれる問題でありまするし、私もこの問題がいかに重要かということを行ってすぐ感じ、そうして各方面の調査機関を全部と言うていいぐらい、私は札幌では見て参りました。いろいろ聞いてみたのでありますが、はなはだ不満な状態でございました。これは鹿島さん御自身が長官としておられた、わずかの間でありましたが、非常に熱心に御調査になり、この欠陥をよく御承知でございまするが、私どもはこの北海道の仕事をやっていくには、第一次五ヵ年計画を始めたとき、実行と調査と一緒くたにするのだと申しますか、あるいは実行の方が進んで調査の方があとからついていくというような状態でございまして、非常に不完全なものであったと思うのであります。で、だんだんとまあいろいろな調査の方法、調査の費用も見られるようになりまして、このごろでは約三億近くのいろいろな方面の調査費が出ておるわけでございまして、御承知のように来年度は事業費関係で二億二千万円、開発計画費として五千五百万円、土木試験所費として一千九百万円、合計二億九千四百万円がこの調査関係の費用として計上されておりまして、三十二年度に比較しますと、約二千万円だけ増額をいたしたのでございます。このくらいなことでは抜本的な調査は及びもないというお叱りを受けるかとも思うのでありまするが、私どもはこうやって出ましたものをいろいろな関連において実際上に、総合研究所はこの際はまだ進んで設けておりませんが、この各調査機関の連絡を十分にいたしまして、これの非常に実効の上るような方向に持っていきたいと、今考えておるわけでございます。  北海道の地下資源開発会社を今度提案をいたしておりますが、これには政府から二億円、その他民間からの出資も受けるわけでございますが、これは図面の上だけによって調査のできておりまする地下資源を、今度は試錐探鉱によりまして、実際の方向に一歩近ずける、産業開発に、一歩近ずけるという、これも一つの調査の実行的部面だと御了承をお願いいたしたいと思うております。  最後にお聞きになりました、この調査研究に関しまする北海道開発庁の機構が今のままでいいのかとおっしゃったことは、ただいま私が申し上げたように、決していい状態とは思いません。これをどういうふうにやっていくか一本にして大きなものにしたらどうかという声もございますが、私はこの間からずっと見、そうして自分で考えて、もうしばらくそれのままと思っておりますが、おのおのの機関をそのまま働かしまして、そうしてこれの連絡をもう少しよくやっていく、それでまあ各機関の首長になっておる方々がときどき会合をいたしまして、その研究結果によってのお互いの連絡等をやっていくというような方向にまず進めて、この実効をあげていこう、しかし根本問題は以然として残る問題でございますから、一本にまとめるのがいいかどうかというようなこと等の研究も、これから続けていきたいと思っております。
  243. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 最後にもう一つお伺いいたします。  開発事業の成功をおさめるためには、関係当事の者努力はむろん必要でありますが、これに対する一般の理解と協力が不可欠の要件であると考えられます。これがためにはもっと積極的な宣伝や広告活動、すなわちPR運動が必要であると考えられます。開発に当って困難を感ずる問題の一つは、道路やダムの用地買収の問題であります。これがために土地収用法を強化すべしという論議も聞こえますが、かような強制によらないで、地元民の真の理解と協力によることが何より必要であって、従来これに対するPR運動が欠けておるのではないかと思います。すなわち開発や建設の真の目的や、その経済的価値が十分に理解せられるならば、積極的な地元民の協力が得られるのであります。欧米では地元民が国や道や洲の援助なくして、みずから立ち上って開発することに誇りを感じているような事例がはなはだ多いのであります。それは開発に関するPR運動が徹底しておるからであります。従ってPR運動のために若干の予算を取って、これがため開発がスムーズに行われるばかりでなく、積極的な協力が得られるとすれば、十倍も、いな百倍にも効果があるのではないかと思います。欧米においてPR運動のために多額の費用を使っておる事実から考えまして、北海道の開発ということも、もっとPR運動を強化する必要があると思うのでありますが、これに対する長官の御所見を承わりたいと思います。
  244. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 北海道開発につきまして、道民そのものの人たちに対するPRが不十分であったのはお察しの通りでありますが、道外に向って北海道はこんな状態だ、こういうふうなことをしようとしておる、こういうことをしたのだというようなことの広報宣伝そのものさえ、非常に貧弱でございます。昨年でございますか映画を二、三本作って、根釧地帯や篠津地区の機械化による開墾の状況をあちこちに持って参りまして、非常に国内で北海道の開発の仕方に認識を新たにしたという声をたくさん聞いたような次第でございまして、これらの国内における北海道に対する認識を深めてもらうこと、これもやがては北海道で仕事をしよう、北海道に移民をしようというような人たちにも、強い印象を与える問題でございますが、これはぜひやらなくちゃならぬと思っております。現に道内においての今例示されましたような問題につきましては、まことに申しわけないことでございますがほとんどやってないに近いぐらいなものでございまして、何かのところで人を移すというような問題がありますると、それはただ単に移っていこうという人たちに対して、いろいろなことを説明している程度で、もっと積極的に北海道全体が北海道開発そのものにもう一つ自分たちのものとして立ち上るということに、大きな動きを私どもの方が十分してないということは事実でございます。これはお説の通りにぜひやらなくちゃならぬという声は出ておるわけでございますから、これらの点につきまして、いろいろな案を多少持ち合しておりますが、これらのことについて実際に一つやっていくようにいたしたいと思っております。
  245. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 次に、建設大臣に伺いたいと存じます。最近、海外から請負工事、特に土木工事について多くの引き合いがありますが、これによって外貨をかせぐことは、貿易を拡大するのと全く同一の効果があります。外貨不足の折から、ぜひ海外工事受注の実現をはからなければならないと考えます。フィリピン、イラン、その他東南アジア諸国政府と米国業者との契約を見ますと、ほとんどターゲット・エスティメート、すなわち目標見積り契約方式によっております。この契約方式は、業者に対し最小限度の利益を保証し、一定限度を越えた利益は、政府に返還する制度でありまして、業者は損することもなく、また不当な利益を受けることもないのであります。現在の日本の契約方式は、あまりにも業者の負担するリスクが大き過ぎて、一般に国際入札に参加することをちゆちよしておる現状であります。日本政府においても、わが国の建設業者が安んじて海外進出ができますように、海外工事なかんずく賠償工事にターゲット・エスティメート契約方式を採用される意向がありますか、建設大臣の御所見を伺いたいと存じます。
  246. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お答え申し上げます。ただいまお示しのように、最近になりまして海外、特に東南アジアの方面からの土木工事に関する引き受けが相当ございます。しかしながら、残念ながら十分にこの方面の調査ができていないことと、それから今お示しのように、契約方式について国内の業者が相当不安を感じておる、そういう観点からなかなかせっかくの引き当てがあるにもかかわりませず、実績は上っておりません。そういうような状況下におきまして、お示しのターゲット・エスティメート・システムというものは、これは業者にとっても非常に安全であり、かつまた、海外において仕事をするとなりますれば、どうしてもやはり日本の業者のみならず、現地の業者ともぜひ協力してこれを実施することが、安全かつ実際的でございます。そういう意味におきまして、ターゲット・エスティメート・システムというものは、ぜひこれは推奨いたしたいと存じます。ただし、これは発注をする向う側の政府がその受け入れ態勢をとっておりませんといけませんので、今後外交機関関を通じて発注がありました場合には、ぜひそのような方向に、こちらの方でも奨励するように進めたいと考えておる次第でございます。
  247. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 次に、もう一つお伺いしたいと思います。ジョイント・ヴェンチュアのことですが、これは共同請負と訳しておりますが、この点についてお伺いいたします。このジョイント・ヴェンチュアの実施については、さきに昭和二十六年九月五日付、建設管発第八百五十二号をもって管理局長名で各都道府県知事にあてて、これが普及について、協力について通牒が出されておるのでありますが、その後の実施状況はどうなっておりますか、この点を伺いたいと思います。  次に、欧米はもとよりフィリピンや東南アジアにおいても、盛んにジョイント・ヴェンチュアが実施されておるのに、わが日本では、いまだ十分に実施されないのは、時代おくれのように思われますが、政府においてはこれを積極的に奨励される意向はありませんか、これについて大臣の御意向を伺いたいと思います。
  248. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お答え申し上げます。御指摘のように昭和二十六年に建設省といたしましてはジョイント・ヴェンチュア方式による契約の奨励をいたしております。なお、昭和二十八年になりまして標準約款も定めまして、政府はもとより関係機関その他一般民間に対しましてもジョイント・ヴェンチュア方式を勧奨いたしておるのでありますが、残念ながら、まだ十分に発注者においても、業者間においてもこの制度の利用が必ずしも順調ではございません。最近政府でやっておるのでは、近く竣工式をあげまする国立競技場、これについてはジョイント・ベンチュア・システムをとっております。それから道路公団におきましても、これは三つばかり実施しております。御指摘の通り公共事業が相当年年増大して参るとともに、一面におきましては、道路なんかにおきましては、路盤を請け負うものと舗装を請け負うものが、これはどうしても技術士競合しておりますので、できるだけこういう方面におきましては路盤工事をやるものとそれから舗装をやるもの、ジョイント・ベンチュアによってその点を明確に責任の帰属を明らかにするとともに、総合的にも責任がとれるというような方式を持って参りたいと思っております。それからもう一つ、最近になりますと、中小業者も相当現在の状況では大きい工事を引き受けたいという動きがありますので、現在の状況では、何しろ技術並びに資金の面においてその点が困難でございます。そうした場合において中小企業の業者の諸君が技術、資本あるいは機械、こういうものがジョイントでやりますというと、相当程度これが円満に契約ができる。それからもう一つは、中小企業の振興の面からいたしましても、これはいい方法だと思っておりますので、今後ともジヨイント・ベンチュア・システムは奨励いたすような方針をもって臨みたいと考える次第でございます。
  249. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ちょっと関連して、鹿島委員の北海道開発の質問に関連をしてちょっとお尋ねをしたいのですが、お話しの中に出ました根釧地方の開拓の中で、これは昨年参議院の外務委員会が安全操業の問題について調査に参りました節に、機械化公団によります模範開拓農場を見たのであります。ここでは御承知のように、一人当り五百万円に近い融資をして、人そして家もそれからサイロもちゃんと備えております。それから機械化公団の機械によって抜根整地その他をやっている。第一年から乳牛を持ち得るようになって、なお逐年乳牛を持つ、こういう大へんりっぱな開拓を進めておりますが、一歩外に出ますというと、おそらく二十万円でありましたか、支度金を持っていって、そうして家もございますけれども、その家は機械化農場の畜舎にも劣る家にすぎぬ。それから乳牛を持つことが、第一頭の乳牛を持つことが、三年ないし五年の努力によって初めて達成せられる。これは何と申しますか、そこからようやく開拓の実質的な第一歩が始まるという事実。それで抜根にいたしましても、抜根の何の援助もございませんから、これは道の援助を得て抜根をやってもらう。しかしながら、その抜根をした根を片づけることもできない。こういう状態でございますから、一昨年その他寒冷に見舞われますと、作物の取れない惨たんたる状態にあるという、きわめてこの同じ開拓の中で恵まれた状態と、それから惨たんたる開拓の苦労を見て参ったのでありますが、これは福岡から参りました開拓民にしましても、あるいはその他についても同様であろうと思う。そこで乳牛を、実施しておる県から一頭ずつでも何とか融資してくれぬか、乳牛一頭を買いつける資金を融資してくれぬかという悲痛な叫びがあったのであります。あるいは抜根について何らかの協力が願えないかという痛切な希望を聞いて参りました。北海道開発について、あまりに比較して恵まれない開拓民について援助の手を差し伸べる、あるいは融資の手を差し伸べる方策が、第二次五ヵ年計画等において盛られているのかどうか、この窮状を救う施策を今後どういうふうにやられていくか、この際石井長官にお伺いしたいと思います。
  250. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私も昨年二度ほど参りまして、あの地帯をずうっと、まあ、お説の通りの状態でありまして、あまりに今まで入っておりました人たちと、今度機械化によって理想的な開墾方法をとったものとの差が、隣り合せで見せつけられる状態で、今までに入って苦労をしておる人たちを、何とかもう少し希望をもって進んでいけるような方向にやれないかということを、私だけでなく、見る人がみんな同じに思う問題であると思うのであります。今度そういう心持ちをもちまして、予算の編成に当りましても、ただ入植者を多くするということよりは、入植者が希望を持って、先にどんどん発展していけるような状態にしていく、入る人は、少くとも入った人が、棄民にならないように、ほんとにりっぱな移民になるような考えで行こうじゃないかということをもちまして、今度の予算の面にもそれが表われているつもりでございます。  それから、ただいまのお話しの問題につきまして、農場等建設的な方面に向いましての予算を、少し増してもらいまして力を入れて参る。それから乳牛等家畜を飼う問題の融資の問題等につきましても、できるだけ力を入れて、すでに入っている農家の生活の向上という方面に、もっともっと力を入れていくつもりでおります。
  251. 鈴木強

    鈴木強君 関連して建設大臣に簡単にお伺いいたしますが、十四日の読売新聞の夕刊と、十五日の朝日新聞の朝刊に載りました住宅の問題ですが、あの新聞の内容によりますと、十四日の閣議ですが、建設大臣はこの三十二年度の予算編成当時に、閣議で引揚者住宅一千戸を確保するという決定をされておったようでありますが、その閣議決定が、ついに三十二年度の予算の中では実現できなかった。そこで、今計上されている予算の中からだと思いますが、一千戸の引揚者住宅のために第二種住宅、これを作ると、こういうふうにきまったという話しでありますが、それは私はけっこうなことだと思いますが、ただ問題になるのは、そのやり方だと思います。問題は、四万七千戸の住宅三カ年計画の中に盛られた今年の予算の中、要するに四万七千戸の中から、そのうちの一千戸取るということになりますと、政府がお考えになっております当初の四万七千戸という目標がくずれてくると思う。ですからこの目標をくずしてはいけないと私は思うのでありますが、その真相を一つこの際明確にしていただきたい。  それから公営住宅法によりますと、付則に引揚者等に対する住宅は、これは第二種公営住宅は当分の間適用できないというふうになっている。ですからもしかりに、第二種公営住宅ということで建てるとするならば、法的にこれは問題があると思う。しかも、この法律ができましてからもう六、七年たっていると思うのでありますが、依然として引揚者に対しては法的にいうと「当分の間」ということでこの適用が除外されている、こういった矛盾もありますので、この際せっかく一千戸建てようという政府の御方針であるならば、法律の改正をして、引揚者の方方に少くとも住宅を確保していく、こういう方針をおきめになることが私はいいと思うのです。その点と今申し上げた四万七千戸の目標をくずすことは問題があると私は思うのですが、四万七千戸のワク外ではできないものかどうか、この点をお伺いいたします。
  252. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お答え申し上げます。この問題は、実は参議院の建設委員会におきまして、公営住宅の三カ年計画の承認を求める件に関連して御質問があったことについてのことだと思います。それは昨年の三月六日の閣議了解事項だそうでございまするが、例の海外引揚げ問題の解決の一環といたしまして、将来五年間に約二万戸の引揚者住宅について、これが実現のために努力をするという閣議了解事項があるそうですが、で、これがしからばただいま御指摘になりましたように、公営住宅三カ年計画と引揚者住宅の関係がどうだと、これはあなたの今お示しになったように、公営住宅三カ年計画のワク外に二万戸作るというのか、その二万戸を含んだ計画かどうかという御質問でございます。そこで、私は当時閣僚でありませんから、その状況をよく調べる必要があると思いまして、次の閣議におきまして、当時関係しておった閣僚として今現内閣に閣僚としておられる方は、総理と石田労働大臣でございます、石田労働大臣は当時官房長官で、こういうことで聞いてみますと、これは閣議了解事項であることは事実であるが、しかし、別ワクに二万戸を五ヵ年間で実現するということではなくて、公営住宅の中から優先的に五ヵ年間に確保する、こういう了解事項である、こういうことでございます。従いまして、その点が明確になりましたことが一つでございますし、御承知のように、公営住宅を要請されておるのは引揚者の方も多うございます。それから一般のいわゆる低額所得者もございまするので、それらを総合いたしまして配分をいたしたい、かように考えております。  それからもう一つ、公営住宅の中から引揚げ住宅に割り当てるという場合におきましても、公営住宅は御承知のように政府の補助によって地方自治体がこれをやっておるのであります。そこで、地方自治体からの要望とその計画に合せてこれは配分してやるつもりでございます。今日まで私の方で調べたところによりますというと、各地方自治団体から公営住宅のうち引揚者住宅として該当したいということで申請してきているのは千六百戸でございますか、この程度だそうでございます。三十三年度予算編成に当りましては、お示しのように私の方としては約一千戸分程度は割り当てたい、かような観点で予算要求いたしておったのであります。配分については大体そういう方向で実現いたしたいと考えております。
  253. 鈴木強

    鈴木強君 もう一つ明確にしていただきたいのです。  建設大臣はこう言っているのですが、私の質問に答えていないのですよ。要するに閣議の了解はどうか私は知りませんが、現行の公営住宅法の付則をごらんになると、海外からの引揚者、そういう人たちには公営住宅は当分の間適用しない、こういうふうになっているのです。このことは、ですからあなたの話している中でもごちゃごちゃになっているのです。そういう法律違反を犯す形に私はなると思う当然建てるとするならば引揚者のための住宅、これは私も賛成ですから、一千戸と言わずもっとたくさん建てていただきたいのですが、現在の法上の矛盾がありますので、この際そうでありますならば付則を直すという必要がある。もう七年間も「当分の間」ということでおっぼり出されておりますから、そういう点でこの際直す必要がある、こういうことを言っているのです。
  254. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お答えいたします。公営住宅法の付則にはそうなっているそうでございますが、公営住宅法の十六条のあれには今まで引揚者については兵舎とかいろいろなものを当てているわけです。こういう方々があるいは破損したり、あるいは消滅したり、いろいろな場合においては、これは政令の定めるところによって実質上引揚者にもこれを割り当てていいことになっているのでありまして、今お示しのように、従来が公営住宅に当りましては、原則として引き当てないという付則になっておりまするから、将来これは改正しなければならぬような事態になるだろうと思います。
  255. 鈴木強

    鈴木強君 原則ではない。当分の間、「当分の間」というのが長過ぎるのだ。七年間もおっぽり出しているのは……。
  256. 中山福藏

    中山福藏君 私はまず外務大臣に質問したいと思います。  先般、池田君が中共に行かれまして第四次日中貿易協定というものが成立した。そのうちに国旗掲揚、代表部の設置という問題が含まれておって、大体政府としてはこれを承認して、差しつかえないだろうというような御見解のように承わっておるのでありますが、しかも、その点について台湾の民国政府からはなはだけしからぬという声が高く起っておるのでありますが、この際、外務省として政府の方針を明確にせられるということは、将来の国交のために非常に裨益するところ大であると信じますから、まずこれをお伺いいたします。
  257. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 池田氏以下三団体の代表の方々が行かれまして作られました今回の第四次協定につきましては、仄聞するところによりますと、明日三団体の代表者会議が開かれまして、その以後に三団体の代表者が政府に接触されることになるやに承わっております。従いまして、今日政府としてまだ態度を決定はいたしておりませんけれども、しかしながら日中貿易が必要であり、かつこれをスムースにやりますことはまた当然必要となってくると思うのであります。政府といたしまては、三団体の代表の方々が正式にお話のありました後に、そういう観点に立ちまして国内の許す限りにおいてできるだけのことを考えてみたい、こう考えております。
  258. 中山福藏

    中山福藏君 大臣御承知の通りすでに中共に派遣せられた使節団が帰って相当の日がたっておるのです。ゆえにこの長い時間の間に政府の態度は、こうであるという一定の方針をおきめになって三者協定に臨まれる、談合に臨まれるということが最も賢明じゃないかと思うのです。しかし、そういうことを言っても果てしがありませんから、この際重ねてお尋ねしておくのでありますが、先般アメリカの国務長官のダレスがフィリピンにSEATO会議でやってくるということが早くから明らかになっておった。しこうして、このダレスが台湾に立ち寄るということも、また大体想像がついておった。私は、かような問題については、いやしくも外務省としては国家を背負って立っておる以上、前もってなぜ理解工作をやらなかったか。もちろん、一国の外交方針でありますから、他国に相談なさる必要は表向きはない。しかし、すべての国と国交を円満に調整して行くということが外務省の責任である。この場合まず事前工作があったのか、なかったのか、お伺しておきます。
  259. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 日本が今日中共は承認はいたしませんけれども、しかしながら、日本国民の生存の上からいいましても、また、経済基盤を拡充する意味からいいましても、日中貿易をやらなければならぬという立場は常時外務省といたしまして説明も加え、理解も得つつ今日まできております。ただ今回の問題に対する態度は政府が決定をいたした後にそれぞれ通報すべきところには通報すべし、事前には政府の意思は決定する——事前にはその点については通告はいたしておりません。しかし、常時、日本が日中貿易が必要だということは絶えず話をついたしております。(「名答々々」と呼ぶ者あり)
  260. 中山福藏

    中山福藏君 その点については私もふだんからそう考えておる。この貧弱な経済基礎の上にたつ日本が、物資を輸入する関係において、外務大臣のおっしゃることは当然だと考えますが、しかし中華政府は、大臣が新聞雑誌によってごらんの通り、あるいは経済断交あるいは一歩進んで国交の断絶すらもやっていいというような葉交部長の御発言があったのです。ただいまのあなたのお言葉通りとすれば、もう少し好意的な発言があったのじゃないかと考えておる。でありますから、このような重大な問題については十分政府も検討してもらいたい。  質問時間が短かいのですから、これ以上この問題については申し上げません。次にお尋ねしたいのは先般外務省はアジアの公館長会議を本月十二日から三日間にわたってお開きになったその結論が六項目となってあらわれておる。すなわち一元外交の推進、安保理事国としての活躍、貿易拡大への努力、優秀な人材の派遣、商社の不当競争の防止並びに文化交流となっておる。これはほとんど毎年繰り返されておるところと大同小異の事項じゃありませんか。今日フィリピンとの国交の成立あるいはインドネシアとの平和条約の締結、非常に飛躍的な国家の地位の向上があったものと存じますが、これでは毎年々々同じことを、こういうふうにおやりになってをることになり、どうにも物足らない感じがするのですが、私はこの際外務大臣に確かめておきたいのはまづ例をインドにとりますが、インドというものは御承知のように、教育の普及程度もわずかに国民の三割でありかつ、百万のレプラ患者がうようよ野放しになっておる。そういうふうな貧弱な経済の基礎の上に立ち、言葉すら数種あるところで、しかも一方にカスト制度があり、いわゆるバラモン、クシャトリア、バイシヤ、シュドラというような階級制度があるが、もしインドに教育が普及すれば、最もおそろしい革新の炎の燃え上る民族的危険性を帯びておるにもかかわらずその民族を思想的に統一して外交の方針を確立しておりますいわゆる平和五原則の政治哲学、外交哲学というものを国民全部が世界に呼びかけてをり、その方針に向って邁進しておる。ここに私はネールの面目が躍如としておると思うのです。日本にもそういうものが外交の上になくちゃならぬと私は思う。ことにあなたの提唱なされ、また岸総理大臣が非常な熱をもってをられる東南アジアの経済外交は、言うことはやすく、行うことはなかなかむづかしいと思う。私は日本のすべき役割というものはほかにまだあるんじゃないかと考える。一昨年の一人の所得高を西欧等に比べてみると、アジアにおいてはわずかに五十ドルです。アメリカにおいては一千百ドル、ソ連においては三百十ドル、西欧においては三百八十ドルというようなあんばいでその比率からしてアジアの人間の生活の度がいかに低いか。ゆえにアジアにおいて、まず日本がなさなきゃならぬことは、国連におけるアジア民族の結合に努力すること、換言すれば八十一カ国の国連の中にアジアの相当数の国が発言権を持ってをる。この結合に日本が骨を折ることが日本現在の外交方針が宿っておるんじゃないかと思うのです。それはやはり一つの信念を持って、そういう方面に力を注ぐべきだと思うのです。金で世界の国々と太刀打ちしようということは、なかなか大へんであろうと私は思う。だからそういう点を問題としてなぜ御勘考にならないのか、そういうことがアジアの公館長会議に出たのかどうか、ぜひ承わっておきたいと思います。
  261. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 公館長会議は毎年やることでありまするし、各公館長を集めまして、いろいろな意味において事務的な連絡もいたさなければなりませんし、またただいまお話しのように、常時の問題あるいは継続している問題等について十分それを推進し、あるいは本省と連絡をしていくというような問題についても十分討議をいたさなければならぬのであります。で、ただいまお話しのように、日本がアジアのリーダー・シップをとって、そうして指導するようにというお話でありました。むろん日本としてはアジアに国をいたしておりまするし、私どもが申しっております通り、アジアとともに生きていくことになって参らなければならぬのでありますが、しかしながら、現在日本がアジアのリーダー・シップをとるというところまで、日本の実力においてもあるいは過去においても、私は必ずしもそうすぐに言い切れないものがある。だんだん共感を深め共存して参るうちに、やがて日本の実力というものがおのずからそこに達するということでなければいかぬと思うのでありまして、公館長等を集めまして、諸君はアジアの指導者になれというような訓示は私としてはいたしかね……いたさないのであります。今のような共感をしていくことをやっていきたいと考えております。
  262. 中山福藏

    中山福藏君 私はアジアのリーダーになれと言ってないのです。アジアのリーダーに自然に持っていくような、二十九ヵ国を団結するような努力をなぜなさらないか、こういうことをお聞きしておる、何も日本が戦争に負けたあとで、物笑いになるようなリーダーになるような、大きな顔をしてのさばれと言うのではございません。その点誤解のないように、外務大臣にお願いしておきます。  次の質問は、沖繩基地問題に結びついているのでありますが、今日アメリカとソ連との冷戦が継続する限りなかなかこの解決は、基地としての沖繩の値打からみてむずかしいのではないかというような心持ちがするのです。その冷戦を解くために現在の日本の外交方針に一段と努力をして、何か打開策を外務省でお考えになっておるかどうか、あるいはまた現在のまま放置してアメリカとソ連の冷戦を傍観して、なるようになれ、時が解決するだろうというような立場でこれを見ていかれるのかどうか、その点を一つ確かめておきたい。
  263. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ソ連とアメリカとの冷戦をただ傍観をしているということは、われわれ考えておらぬのであります。できるだけソ連とアメリカとがお互いに理解し合って、そしていきますことが世界平和への道であり、いろいろの意味においての国際環境を改善していく道だと思っております。従ってわれわれとしては巨頭会談を初め、軍縮問題その他についてできるだけ日本としては、実力が許す限りにおいて努力をして参りたい、こう思っております。
  264. 中山福藏

    中山福藏君 そこでお尋ね申しますが、昨年社会労働委員会で堀木厚生大臣が、東南アジアとの医療協力という問題について相当発言がございましたが、私は大正三年にインドネシアに三年間居住しておって、向うの生活の状態はほぼわかるのです。なお、六年前にやはり南洋方面に参ってみましたが、ほとんど四十年前と変らぬ生活の態様です。そこでこの前後を通じて考えられることは、経済外交よりも医療外交というものが一番東南アジアには適切な外交の方策だという感じを持つのです。私は、通商公海条約とかあるいは医療関係の条約をお結びになって、医療でもって日本の気持をわかってもらう、そういうふうなことをこの地方に推進なさる気持はございませんか。これはたくさん医者が日本には余っておるのですから、何とかその点に手を打っていただきたい。
  265. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 東南アジアの各国においていろいろな設備が不足しておりますことは、御指摘の通りでありますが、医療関係におきましても十分でないことは私どもも十分了承をいたしております。従って日本の持っております医学上の知識あるいは医療上の経験というものを、東南アジアの方々に協力して参りますことは、これは必要でもあり当然だと思います。従ってそういう面において今後十分な努力をして参る、ただそれぞれの国におきます国民的な考え方もございますので、医療等につきましても、やはりそういうふうな考えを十分尊重しながら、お互いに協力をしていくという道をつけて参りたいと考えております。
  266. 中山福藏

    中山福藏君 最後に外務大臣にもう一点お聞きします。  本月十六日のシンガポールAP通信によりますとイスマル中佐という男が日本にやってきて、当時日本に滞在中でありましたスカルノ大統領から日本の業者と武器の輸入について契約したことを、手に入れられたというようなことを、バンドンでスカルノが演説をしておるのですね、そういう事実があったのを外務省は知っておられたかどうか。こういうことは一国の元首である大統領の演説の中にあるのですから、大へん私も関心を持っておるわけでございますが、御答弁をわずらわしたい。
  267. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ただいまお話の革命軍に武器を供給したかどうかということであります。この革命軍の方々が東京に来た、見えたいということは、この間ちょうどスカルノ大統領が来ておられる時期に来ておられたわけであります。その際、商社等がしきりにそれらの人を取り巻いたというような報道も聞いておりますけれども、現実に武器を売却したというような問題は何ら聞いておりませんし、また、なかったことだと私ども考えております。
  268. 中山福藏

    中山福藏君 それでは大蔵大臣にお聞したいと思う。大蔵大臣来ておられますか。——大蔵大臣は先般二回にわたって景気の回復についての御論及があり、それから山際日銀総裁があなたと意見、見通しを異にした意見の発表があって、来年の一、二月に景気は回復するだろう、あなたは最初本年七月ごろと言っておられ、その次にはまあ秋ごろだろうというような御発言があったのですが、いかがですか。これは日本のような単純な正直者をたくさんかかえておる経済界には、非常に大きな影響があると思う。ところが、大体こういうふうなことは、西欧の景気並びにアメリカの景気に非常に影響されるところが大きいのですが、あなたの見通しをもう一回この際確かめておきたいと存じます。お答えをお願い申します。
  269. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 仰せのように、今後の経済の景気の動向について私自身としての所懐を若干申し述べたのでありまするが、それは実をいうと、非常にむずかしいのであります。特に景気がいつから回復するかというようなことは、容易に断言あるいは見通し得るものではないのであります。ただ、景気の方向がどういうように向く……、言いかえれば、ずっと不況が非常に長く続いていくか、あるいはまた一定の期間を経過すれば、景気はやはりいい方に向いていくかというような見通しが一致するかせぬかというところに私はやはり限界がある、こういうふうに考えておるのであって、しかも、今日世界のいろいろの学者の意見を研究してみても、やはり同じなので、いつからよくなるかという点は非常にまちまちです。ただ、よくなるであろうというのと、ソ連の学者のようにこれはよくならぬ、これはほんとうの社会的な不況である、こういうふうに考えるのと相違が私はあると思います。ですから、ある人とある人の意見が非常に食い違っているというようなことを言う場合は、方向が違っておるかというなら、これは私はそれを違っておるといわれていいのですが、同じ方向に向いておって、いつからというようなときは、それはなかなか、だれがいいのかわかりませんが、これはいろいろと考えて、聞く人もまた受ける人もよく考えなければならない。なぜかというと、経済の景気自体の動きと、これを今チェックしょう……、いわゆる景気対策というものがアメリカを中心にして強力に行われております。従いまして、そういう景気対策というものが、今日の政治の上では、やはり議会の協賛を受けることが多いのであります。そうしますと、時間的にどうしても一定の時にやろうということがずれることもある、あるいは国会で、やろうと思ったことを否定することもある、いろいろそこにありますものですから、こういうことをやるからこういうふうになるだろうという仮定で見る場合は、いつからということは非常に私はむずかしいのじゃないか、こういうような見解であります。それから私との見解が違っておることは、私は全然ないと思います。これは。それは、私は経済全体あるいは国民生活の方も考えての発言は若干ありますが、日本銀行総裁はこれは金融の方で、いわゆる通貨価値の維持という見解においてものを発言されておると思いますから、若干のものの言い方について、いわゆる何といいますか、言葉の使い方とか、あるいは語句について若干の相違はありましても、それほど私は違っておらぬと思います。私が従来政策的に申し上げましたのは、日本の景気はなるべく——私は政策的に申しますから、なるべく早く生産調整でも切り上げるというのが当然なことであろうと思います。いつまでも生産調整といいましても、二年、三年続くわけにいかぬ、できれば早く……。ところが、生産調整になりますと、これは事業家としては生命です。自分は非常に骨を折ってやつて、仕事がここでストップするとか、あるいはさらに生産を下げるということに、できるだけ抵抗するというのが自由経済においては原則だと思う。そうすると、これはこうしようと思っていても、事実は伸びておる、こういう事態も生じます。それで私は大体、今一番初めのときに、できれば大体常識としてアメリカの景気の当初の状況を見て、まあ三月くらいになるべく切り上げたいのだ、そうして政策としては、これはまあ四、五、六はやはりいろいろな情勢的なものがあろう、こう思っておつたんです。大体そういうふうな言葉の使い方も、三月から要するに六月まではやはり生産の調整過程で、大小の波がある。山際君あたりも大体そういうことで六月くらいまではそういうような生産調整でうまくいくだろう……。私の考えでは、政策をやる方ですから、もう少し早く来ぬというと、事柄は生産調整を済ましてあとは地ならしの調整でいきたい。七月からというのは、七月から景気がよくなるという意味じゃないのです。ただしかし、日本の景気が立て直る動機となるのは、やはりどうしてもアメリカの景気、そういうアメリカの経済……またアメリカは七月から新しい年度になりまして、ここに景気回復の対策が維持されていくだろう。そうするとおそらく、ここでうまくなかなか言えませんけれども、七月ころから一般に景気が悪くはならぬだろう、除々によくなる方向には向くだろう、こういう点について非常に意見の相違がありまして、来年の春にならぬとわからぬ。今後の推移を見ませんと何ともこれは申し上げかねる。ただ、今日何らかまだ不景気じゃないか、お前は景気の見通しを誤まつているという人があるのですが、そういうことじゃない。実際私は四月という時は日本の景気の最も悪い時で、初めから予定している。ここが生産調整のピークだという見解をとつているのですから、今、日本の景気が悪いというのは初めから覚悟して、ここをどう切り抜けるかというのが私たちの考え方なんですから、今どうもお前は何か楽観しておる、景気悪いじゃないかというのは突拍子もない話なんで、私は初めから悪いというので、ここのところは誤解のないようにお願いしなくちゃならぬ、私の景気の見通しが、私の考え方ですね。しかし、これはまちまちになって悪いですから、政府としては企画庁が関係専門官庁ですから、企画庁が十分スタッフを動員して、経済の動向を研究されて、それを今度企画庁として、あるいは政府として、日本の経済の現状あるいは刻々に動く経済の情勢並びにそれに基く見通しというものを発表することにしまして、それによることにいたしておりますので、政府の見解は、どうぞ企画庁の発表におより下さることをお願いいたします。
  270. 中山福藏

    中山福藏君 今、お話を聞いておりますと楽観していいのか悪いのか、どうもわからぬのですが、なかなかヨーロッパには失業者がふえているのですよ。試みに本年一、二月欧州の失業の状態を見ますと、英国のような完全雇用と言っておるところでも四十二万三千人、それからフランスの二月一日における失業者は十万百四十八人、オランダ十二万九千九百六十六人、それからベルギーが十一万四千九百九十三人、それから西独が百四十三万二千六十七人、オーストリアが二十万九千二百三十三人、イタリアが二百六万五千人、デンマークが十一万三千四十六人、デンマークのようなところはこれは非常に社会保障制度の発達したところと言われておりますが、それでもこの通りです。ノールウエー三万九千人、スエーデンが一万五千人、フィンランドが七万千二百人と、こうなっておるのですね。これは非常なふえようです。こういうようなことが世界中に影響して、これはそう楽観すべき状態じゃないのですね。ところが政治的に、人意的にアメリカがどう経済界を操作していくかということが非常に問題なのですけれども、どうですか。本年中の景気をただいまの大蔵大臣の御答弁通り承わつておいていいですか。
  271. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは今も私が申し上げたように、お説のように今度の経済の情勢自体が楽観すべきものでないということは言うまでもありません。これはアメリカにおきましても、おそらく当初は私の見るところでは金融政策、これは景気をよくする意味で金融政策をとるのは当り前ですが、金融政策で相当いけるのだというあるいは考えがあったかもしれません。それが今日ではもう財政の施策、特に今日公共事業かあるいは減税政策かという点で、これは御承知のようにやはりその後の失業状況もよくありません。おそらく新聞の報ずるところによると五百万人を越えるということでありますが、私は決して楽観しておるわけじやありません。しかしながらそれだからというて、そういう状況を私はこれを持続させていくということは、今の自由国家の国際的な情勢下においてはやはり私はできないのじゃないかと思う。それでアメリカから来る特に有力な人々の意見も私は十分徴しておるのでありますが、特にアメリカで投資が鈍つておるといっておるが、最近ではやはりハウジィングも相当紀るようになっておるとも言われておりますが、それから投資がアメリカで鈍つたのは、日本あたりのように設備を若干拡大したというよりも、むしろ人工衛星といいますか、最近驚くべき科学の進歩がやはりある程度アメリカあたりから見ても相当急に現われてきた。そういうことが財界に反映して、これは従来のような考え方で設備を拡張しておったら大へんなことだ。これはもう少し科学の今日の進歩の状況をよく見きわめて、そしてその上で新しい設備あるいは合理化ということを考えなければならないのじゃないか、こういう見解等も出ておるようであります。従いましてこういうふうな状況はまた新しい投資が起つてくる一つの要因である。まあ見きわめができれば新しい投資が出る、そういうふうないろいろな傾向、私も非常に予言めいたことを言うのじゃありません。ありませんが、前よりも、先に行くにつれて私はいわゆる景気がよくなる、景気が来るというのじやありませんが、景気が徐々にいい方に行くという考え方は持っておる。これは私一人じやありません。特にアメリカの経済について一番責任者である大統領が、あれほどの権力を持ち、あれほどのスタッフを周囲に控えて、そしてアメリカの経済はこうする、こうなるだろうということを、世界にあれほどの影響力を持つところのアメリカの大統領が世界に向つて言うておるのですから、私はこれはやはり世界の経済の動向を考える上に、政治的にある程度の意図はありましょうが、無視するわけにはいかないじゃないかという見地に立っておる。それから多くの学者の分析は、私の知る限りでは、大体において時期的にはいつごろよくなるかという点を実際に問題にするのですが、それは区々ですよ。たとえばあるいは六月か七月かあるいはアイゼンハワーは三月とか言うておりますが、七月とかあるいは秋とか、来年の春とかいうようなことが今のところでは一番おそいのじゃないかというように、そういうところは区々ではありますが、今後徐々に回復するであろうという見地にありますから、一応私はそういうふうな考え方をとつております。いわゆる政策的に、経済自体としては悪い、これを政策的にどういうふうにチェックしていくか、政策の今後の推移を見つつ誤まりなきを期していきたいと、かように考えております。
  272. 中山福藏

    中山福藏君 それではもう一点大蔵大臣お尋ねしたいのですが、外国財産返還損失補償に関する問題であります。これは昭和二十六年一月二十二円に政府は「連合国財産の返還等に関する政令」というもの——政令第六号を出しておられまして、一応その外国財産を買い取つたものについては、この政令でもって元の金を払つて、そううして政府がこれを一応買ひ戻して元の外国人にお返しになつたということになっておる。その損失の補償については同じく該政令の第二十五条、損失の処理という項に、こういうことをうたつておられる。「財産の返還に因り当該財産の所有者その他の関係人に生じた損失……の処理に関しては、この政令に定めるものの外、別に法律で定める。」、こう書いてある。ところが、その法律は一向できないのですよ。これはいつごろこの法律を政府は御提出になる予定でしょうか、ちょっと承わつておきたい。
  273. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 損失問題がいろいろございまするので、目下検討中でございますが、まだ結論を得るまでに至っておりませんが、取り急ぎ検討いたします。
  274. 中山福藏

    中山福藏君 それから今度は正力さんに一つお尋ねいたします。  原爆の被害に対する補償はほとんどヨーロッパでもできていない。アメリカが六千万ドル、それから最悪の場合に政府補償となると五億万ドルという補償額を定めておる。このことをアメリカだけが原子力関係の法規に挿入しておるというわけですが、ところがヨーロッパにはほとんどない。日本でもそういうことを準備しておるかどうか。一般大衆に及ぼす被害、これをどういうふうに補償するかという問題について御研究になっておりますかどうか、お伺いしたい。
  275. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 原子力の被害につきましては、お話の通りアメリカでは補償制度を設けております。またイギリスでも、西ドイツでもまだきめておりません。ただイギリスでは五十億くらいまでを限度として補償しよう。それからドイツでは二十一億程度まで補償しようということになっております。日本としましては、これはまだアメリカがきまつておるだけで、イギリスもドイツもきまつておりませんから、もう少しその状況を見て、そうしてきめたいと、こう思っております。
  276. 中山福藏

    中山福藏君 その次になおお尋ねしたいのは、科学技術振興費に対する金が非常に日本は少いので、今年だけでもこの総額が五百億くらいのものではないかと思う。一昨年の四百七十億円、アメリカはその四十一倍計上しておる。これは大きな国ですから仕方がないと思うが、われわれと一緒に負けたドイツは一千三百億計上しておる。私は将来日本の行くべき道はどういうふうにして原子力を平和的に利用するかという一点に国家の興廃がかかっておると思うのです。特にアメリカは科学的な発明に対しては非常な奨金をやつておる。金メダルとそれから五万ドル、千八百万円の金を優秀な科学者にはやるという奨金規程すらもある。こういうことから考えると、これはやはり原子力に対する平和利用の基礎を打ち立てるために、もう少しその額をふやされる必要があるのではないかということを痛感されますが、どうですか、その点は。
  277. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 原子力に対する予算はお話の通りアメリカは二兆億円ということになっております。それからまた、ソ連が千二百億ということになっております。イギリスも三千億ということになっております。日本はことしの政府の予算が二百十六億ですが、そのほか大学の研究費及び民間のを入れても五百億円くらいです。従って、絶対量から見ますると、外国に非常に劣つております。しかしこのパーセンテージからいけば、予算のパーセンテージからいけば少くはないのでありまして、アメリカは二千億円出しておるけれどもパーセンテージからいけば三%です。それからまた日本はそれが一・六五%になっております。しかもアメリカでは三%だけれども、そのうち三分の二が軍事の研究です。従って平和だけの利用ですと、ずっと減るのであります。だから日本の場合、平和だけですから予算のパーセンテージから言うと、日本は少くないのであります。ただし、絶対的な数から言うと少いということであります。
  278. 中山福藏

    中山福藏君 正力国務大臣にお願いしたいのですが、それはかつて戦争の始まる前に星一という人がおつた。この人が予算委員会で衆議院で質問をしたのですが、発明者に対して一億円の奨励金をやれ、こういう演説をした。ところがみんな笑い出した。気が変になつたというわけで……。ところが今日から考えると、非常な卓見であったと思う。私はこの優秀な科学者の発明に対してもう少し奨励方法を講ずるということが必要だと思うのですが、奨励金制度設置のお考えはありませんか。
  279. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) ただいまのお話しの通り、奨励金の必要があると思っております次第でありますけれども、まだ予算には、遺憾ながら取れなかったのを残念に思っております。しかし報奨制度は、何か報奨しようということは、今研究しております。
  280. 中山福藏

    中山福藏君 正力さんに、一つ国家公安委員長としてあなたにお尋ねしたいのですが、大体日本で一カ年における遺失物の、落し物ですね、現金、品物……。そういう額は総額幾らくらいあるのですか。
  281. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) お答えいたします。遺失物の三十一年度中における警察に届出のあったものが百七万四千七百五十三件であります。ところが、拾得者の届出は百四十八万三千六百二十八件。遺失届が少くて、拾得届が多い、こういう状態であります。その結果を見ますると、遺失者が判明して遺失者に返還したものは、たつた一六%であります。返還は非常に少ないのです。ところが、遺失者が判明しないために拾得者に交付したのは、五九%です。五九%は拾得者のものになっております。遺失者に返還したものはたつた一六%、こういうような状態で、大ていもうあきらめてしまつて取りにこないような状態であります。それからなお、現金で見ますると、遺失届のあったものが十億八千九百七十二万四千八百二十一円に上っておりますが、拾得届、つまり金を拾つたと届け出たものは、遺失届が十億九千万で拾得届は五億三千五百七十万二百十四円であります。金はなかなか、届け者はくるけれども、持ってくる者は少い、こういうような状態であります。そこで、これらの結果、遺失者に返還したものを見ますると、五八%より返還しておりません。それから拾得者に、金を拾つた者に返したのが三五%であります。こういう状態であります。
  282. 中山福藏

    中山福藏君 それでは、その拾得して国家に帰属したものは、どういうふうにお使いになっておるでしょうか。また、返還された五〇%の現金に対する利息はお払いになっておりますか、その遺失者に……。それを一つ承わつておきたい。
  283. 中川董治

    政府委員(中川董治君) 遺失主の、落し主の判明いたしましたものは、落し主に返します。落し主のわからないものにつきましては、拾い主に返します。拾い主が権利を放棄いたしました場合におきましては、地方公共団体に帰属いたします。地方公共団体に帰属いたしますものは、比較的パーセンテージは少いのですが、地方公共団体に帰属いたしましたものの処置につきましては、当該地方公共団体が事務的に処するということになっております。
  284. 中山福藏

    中山福藏君 その利息の点は、もう一回言っていただきたい。遺失者に利息をつけて返されておるかどうか。元金だけであなた方はお返しになっておるわけですか。
  285. 中川董治

    政府委員(中川董治君) これは全体として集めますと相当の額に達するのですが、個々のものにつきましては、少額でございます。これは預金生しておりますけれども、当座預金になっておりますので、当座預金は利息かつきませんので、従って利子はつかない、こういうことになっております。
  286. 中山福藏

    中山福藏君 当座預金……それはおかしなことですね。(笑声)もう少し利息でもつけて遺失者を喜ばせるという方策を講ぜられたらどうでしょうね。しかし、これは答弁は要りません。  それからちょっと法務大臣にお伺いしますが、昨年度における大阪府だけの零細な賃金をかせぎます運転手、これが交通違反に引つかかって、大阪だけでも二億八千万円もある。全国で交通違反に対する罰金をどれだけお取りになつたでしょうか。それからただいまの質問のようにこの罰金の運用の方法を教えて下さい。
  287. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) 御承知のように交通裁判所が東京と大阪と現在二カ所ございます。この二カ所で、交通違反で罰金刑に処せられたものの総額がおよそ昨年一月かち十二月までの集計で五億一千万円ばかりあるようでございます。全国的に集計いたしますと、これは概数でございますが、約二十億くらいになるようでございますが、もう少し正確に刑事局長から御説明申し上げたいと存じます。
  288. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) 罰金の統計が十分できておりません。これは事件の計算は一月から十二月までの暦年でやつておりますし、罰金の徴収は会計法上の要求に基きまして会計年度で計算しておりますので、時間をかけますれば出ますけれども、簡単に計数が出ないのでございますが、今大臣から申しましたように、東京と大阪におきましては御承知のように交通事件の簡易手続方式によりまして、いわゆる交通裁判所ということで簡易な方法で処罰の実を上げておりますが、それによって昨年三十二年に一月から十二月までの徴収しました罰金額と科料額を合計しますと、約五億一千万ばかりございます。交通事件は、そのほかにも、いわゆる業務上過失というような事件も、ひとしく交通事件と呼んでいるのでございますが、なお酔っぱらい運転とか、その他いわゆる交通事件は全国でございます。この事件は大体百七、八十万あるわけでございまして、東京と大阪で扱つておりますのは、その四分の一の四十万余りでございますので、大体四倍といたしまして二十億くらいが徴収されている金額と推定されるのでございますが、正確な数字は申し上げられません。
  289. 中山福藏

    中山福藏君 刑余者に少し利益になるようにそれを利用しておられますか。その点ちょっと承わっておきたい。
  290. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) これは刑余者の方へは回らないのでございまして、国の歳入になるのでございます。
  291. 中山福藏

    中山福藏君 時間がありませんから、最後に文部大臣に一つお尋ねをいたしますが、今ユネスコ的の活動が国連において統括されて盛んに行われておる。それで、私は平和の基礎を確立するには、世界中がその国の風俗人情というものを知悉するということが一番必要だと思う。それで今度政府から国連に提案されて、世界中における共通の点と、それからその共通でない点とを明らかにしたいわゆる小学読本みたようなものを作つて、世界の小学生にこれを配布するということが、一番平和の基礎づけになるのじゃないか、こういうことを考えておるのですが、文部大臣どうです。
  292. 松永東

    国務大臣(松永東君) 中山委員の仰せのように、そうした共通の点を国際的に配布して、そうしてお互いの親睦を厚うするとかいうことはけつこうなことでしょうけれども、しかしながら、それはなかなかいろいろな面に、費用もかかりましようし、そうして、また思想的にもいろいろな関連があると思うのです。これはよく研究さしてみて下さい。なかなか簡単にはそういかぬと思うのです。
  293. 中山福藏

    中山福藏君 思想が違うから、そういうことが必要だとこう言っているのですよ。誤解してもらっちゃ困るのです。  それでは、なおあなたに尋ねますが、これはお笑いになるかもしれない、突拍子な質問一つします。それは今授業料を払って全部中学校以上の学生は学校に通っておる。だから落第制度というものはなくしたらどうかと私は考えておる。金を払って四年いこうがいくまいが、その人の自由なんだ。その自分の権利を放棄した者を落第させるということは、私は不必要なことじゃないかと思う。しかも学校で優秀な者必ずしも社会において優秀じゃない。エジソンのような学校を経ないでも、耳もつんぼになっても、エジソンの命といわれるくらい偉い人間になる人間もあるのです。あるいはトルストイのような、少年のとき笑われるような低能な人でも、あるいは画家としてはゴッホのような人でも、これは学校の成績によらずして人生では成功している人ですね。だから、そういうふうな、学校で落第なんかさせるというよりも、一応一定の年数を経たら卒業証書を渡すような私は方式が一番適していると思う。勉強すれば一番になる。勉強しないとビリになる。これは私も経験がある。そういうものだと思うだからこれは文部大臣、十分一つこういう点は大事な点だと思うのですが、どうです。
  294. 松永東

    国務大臣(松永東君) これは初めて私は聞いたのです。御承知の通り、いずれもそれぞれ学校には教育目標があり、その目標をどの程度まで修練したかという要するに評定をするのが試験であります。ですから、その試験をなくしてしまって、従って、落第生も作らぬようにせよ、これはいいでしょうけれども、ところがそういうふうに放任してしまいますと、若い者は勉強するという気持がなくなるのです。これはもうあなたも経験があり、われわれも経験があるのだが、学校で一生懸命やつて、そうして及第するように、優等になるようにといって精励したものなんです。これはそれをやめてしまって、どうも落第生をなくしてしまうということは、これは今仰せの通り、りっぱな偉人、りっぱな聖人もそういう落第生のうちから出たかもしれません。しかしながら、今アメリカで、私どもの聞いているところによると、アメリカ一体人工衛星の問題で、まるきり子供みたいになめておったソビエトにおくれをとってしまった、そのおくれをとったのは何であるかというと、あまりにアメリカは放任過ぎておった、子供のしつけを十分しないで子供の思うままに放任しておった、その結果が現われている。そういうことを言っている人があります。ですからそういう点も一つ考えてみなければならぬと払は思います。従って、この点は研究してみることにいたします。
  295. 中山福藏

    中山福藏君 松永文相だから私はこの質問をするのです。あなた自分の何でしょう、取り違えちゃいけません。あなたに答弁するだけの価値があると見て、この質問をしている。あなたでないと、この仕事はできぬのです。だから私は質問している。あなたがこんな腰の弱いことで革新的な教育制度はできません。私は六三三制のような輸入教育制度というようなことの今日行われているときに、一つぐらい世界に誇るような制度を打立ててもらいたい、こう私は考えております。だから突拍子もない質問であるけれども、三年ぐらい考えたら私の言う通りにうなずける、必ずそう確信している。私は信後にもう一回一つ友人としこての文部大臣の御見解を伺います。
  296. 松永東

    国務大臣(松永東君) 中山委員が、この問題について私が判断する適格者だというようなお話なんです。それはさだめし学生時代に落第ばかり続けておったかのごとく仰せでございます。私は落第いたしておりません。だがしかし、仰せの問題は、これは研究する価値がないとは言いませんよ。十分一つ研究してみます。そうして仰せのように朗らかに、学生は試験さえなければ、のんきに遊び回るというようなおそれもあります。しかし、それは相当一つ研究してみたいと思います。
  297. 泉山三六

    委員長泉山三六君) この際お諮りいたします。予算審査のための参考人出席要求につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  298. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。  明日は午前九時五十分から理事会を、午前十時から委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時八分散会