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1958-03-13 第28回国会 参議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十三日(木曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————   委員の異動 三月十二日委員下條康麿辞任につ き、その補欠として西田信一君を議員 において指名した。 本日委員青柳秀夫辞任につき、その 補欠として大谷贇雄君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     泉山 三六君    理事            伊能 芳雄君            小幡 治和君            剱木 亨弘君            迫水 久常君            高橋進太郎君            佐多 忠隆君            中田 吉雄君            松澤 兼人君            森 八三一君    委員            石坂 豊一君            大川 光三君            大谷 贇雄君            木島 虎藏君            古池 信三君            小山邦太郎君            後藤 義隆君            佐藤清一郎君            塩見 俊二君            館  哲二君            鶴見 祐輔君            苫米地義三君            苫米地英俊君            西田 信一君            一松 定吉君            本多 市郎君            三浦 義男君            安部キミ子君            岡田 宗司君            亀田 得治君            鈴木  強君            曾祢  益君            高田なほ子君            藤原 道子君            矢嶋 三義君            加賀山之雄君            田村 文吉君            竹中 恒夫君            市川 房枝君   国務大臣    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    文 部 大 臣 松永  東君    厚 生 大 臣 堀木 鎌三君    通商産業大臣  前尾繁三郎君    運 輸 大 臣 中村三之丞君    郵 政 大 臣 田中 角榮君    労 働 大 臣 石田 博英君    国 務 大 臣 石井光次郎君    国 務 大 臣 河野 一郎君    国 務 大 臣 郡  祐一君    国 務 大 臣 正力松太郎君    国 務 大 臣 津島 壽一君   政府委員    人事院総裁   淺井  清君    調達庁長官   上村健太郎君    北海道開発政務    次官      福井 順一君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 加藤 陽三君    防衛庁装備局長 小山 雄二君    経済企画庁長官    官房長     宮川新一郎君    大蔵省主計局長 石原 周夫君    大蔵省管財局長 賀屋 正雄君    厚生省社会局長 安田  巖君    農林政務次官  本名  武君    通商産業省公益    事業局長    小出 榮一君    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君   —————————————    会計検査院長  加藤  進君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    行政管理庁行政    管理局管理官  斎藤 欣一君    厚生省保険局次    長       小山進次郎君    日本専売公社総    裁       松隈 秀雄君    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本電信電話公    社総裁     梶井  剛君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○本委員会運営に関する件 ○分科会設置に関する件 ○昭和三十三年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十三年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 泉山三六

    委員長泉山三六君) ただいまから委員会を開きます。  まず、委員の変更について報告いたします。三月十二日、下條康麿君が辞任せられ、その補欠として西田信一君が選任されました。   —————————————
  3. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 次に一昨十一日、委員長及び理事打合会における協議決定事項について御報告申し上げます。  一、総予算一般質疑は、三月十三日から十九日まで、ただしこの間の日曜日は休み、前後六日間とする。  一、質疑時間は九百分とし、各会派の割合は、自民党三百二十分、社会党四百分、緑風会百二十分、無所属、第十七控室それぞれ三十分とする。  一、質疑順序前例に従い、社会党自民党緑風会無所属クラブ、第十七控室として、各一名ずつ、この順序を繰り返して行う。  一、分科会は三月二十日から二十五日まで、ただしこの間の祭日及び日曜は休み、前後四日間とする。なお二十二日土曜日の審議については各分科会において適宜取りきめる。  一、分科会は四分科に区分し、担当事項については委員長に一任する。  一、三月二十六日に分科会主査報告を行う。  一、昭和三十二年度予算補正(第3 号)が衆議院において三月二十六日までに議了した場合は、翌二十七日に右補正予算についての質疑並びに討論、採決を行う。  以上が理事会において決定した事項でございます。委員長は、理事会決定に基き委員会運営をはかりたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  5. 泉山三六

    委員長泉山三六君) つきましては、委員長は各分科会担当事項を次の通り決定いたします。  第一分科会皇室費国会、裁判所、会計検査院、法務省、内閣総理府、ただし防衛庁調達庁経済企画庁科学技術庁を除く。並びに他分科会所管外事項。  第二分科会総理府のうち防衛庁調達庁経済企画庁科学技術庁、外務省及び通商産業省所管。  第三分科会、農林省、運輸省、建設省及び郵政省所管。  第四分科会厚生省、労働省、文部省及び大蔵省所管。  以上が各分科会担当事項でございます。  この際お諮りいたします。分科担当委員は、前例により、各委員の希望を参酌して委員長において指名することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 御異議ないと認めます。  分科担当委員は、公報をもって御通知いたします。   —————————————
  7. 泉山三六

    委員長泉山三六君) これより、昭和三十三年度一般会計予算外二件を一括議題といたします。  一般質問に入ります。
  8. 鈴木強

    鈴木強君 私は、まず最初に会計検査院長質問をいたしますが、三十一年度の決算検査報告を拝見いたしますと、千百二十八件、二十五億の驚くべき批難金額があるのでありますが、この内容はどういうふうになっておりますか。
  9. 加藤進

    会計検査院長加藤進君) お答え申し上げます。ただいまお尋ねになりました千百二十八件、二十五億余万円のうち、態様別に申し上げますと、不正行為による被害金額が七千百万円、法令または予算に違背して経理したものが三億二千八百万円、保険金の支払いが適切を欠いたもの、または保険料徴収額が不足していたものが二億八千五百万円、補助金交付額が適正を欠いているため返納または減額を要するものなどが四億七千万円、災害復旧事業に対する早期検査の結果、主務省において補助金減額を要するものが二億三千六百万円、租税収入などで徴収決定が漏れていたり、その決定額正当額をこえていたものが三億九千三百万円、工事請負代金物件購入代金などが高価に過ぎたり、または物件売り渡し代金などが低額に過ぎたと認めたものの、これは差額分でございますが、二億九千九百万円、不適格品または不要不急物件購入など、経費が効率的に使用されなかったと認めたものが二億五千九百万円でありまして、その他が一億七千八百万円という状態になっております。
  10. 鈴木強

    鈴木強君 内容はわかりましたが、少くとも国民税金で支弁されておる国費の中から、このように批難金額検査院から指摘されたことは非常に残念に思うのでありますが、会計検査院としてはこういう間違いの起る原因、こういったものを分析、検討したことがございますか。
  11. 加藤進

    会計検査院長加藤進君) お答えいたします。ただいま申し上げました、不正によりまして国に被害を与えました七千百万円等は、これは全く個人的の行為によるものでございまするし、そのほかにただいま申し上げました各種の態様のうちにも、会計担当職員の故意、過失あるいは怠慢等によりまして、かような事態を惹起したるものがございます。これは検査報告の中にも事態を明らかにしてございまするが、また政府国会に対し検査報告に対する説明書のうちにおきまして、処分状況等を明らかにいたして説明いたしておりますものがこれに対応いたしております。これにつきましては、大体制度は相当完備いたしておりますし、また内部監査組織牽制組織もできておるのでありまして、もつぱらこれは個人的の原因と存じます。検査院といたしましては、これにぶつかりました場合は、もちろん会計法上あるいは予算執行職員責任に関する法律等によりまして、その責任をただして参るのでございますが、原因はこれは一般公務員綱紀粛正あるいは能率の向上等によって是正を講ずるほか仕方がないと思います。その他のものにつきましては、これはかえつて重要なんでございますが、検査報告におきましては、たとえば補助金の経理でございまするとか、あるいは保育所の問題でございますとか、総括的に取り上げましてその事態を明らかにいたしております。また政府国会に対する説明書におきましては、政府自身といたしまして、これに対する原因性質等を説明せられまして、それぞれの対策を示しておられますが、会計検査院といたしましては、この対策が実現されることを希望いたしております。責任者がかように考えられるのでございますから、これについて全面的に同意いたしておるわけではございませんが、御自身がお考えになることが最も適切だろうと存じまして、この方向に沿うて協力する意味事態を見守りつつ検査を進めていくつもりであります。
  12. 鈴木強

    鈴木強君 石井行政管理庁長官が何か都合でお急ぎのようでございますから、一たん会計検査院長に対する質問を打ち切りまして、ほんとうは私は管理庁長官に、国費の乱費の問題とこれは対する防止策質問しようと思いますので、検査院質疑を終了したあとで、意見を伺いたかったのでありますが、ちょっと不同になりますので残念でありますが、やむを得ません。  まず、石井行管長官にお尋ねいたしますが、一兆三千億に上ることしの膨大な予算委員会で今審議されておりますが、私たちほんとうに残念なことは、会計検査院が指摘しておりますように、毎年——昨年はたしか六十六億だと思いましたが、そういった批難金額が出ておりますし、今年も二十五億、こういうふうに血税が法に違反して使われており、あるいは一部不正者によって横領されている、こういう事態はまことに残念にたえません。こういう問題は何もことし始まつたことじやなしに、もう何年も何年も繰り返されている。しかも、三十一年度の会計検査院検査報告にに関し国会に対する説明書という各省の、これはどういう意味で出したかわかりませんが、処理模様と申しますか、これを見ましても、監督指導に欠けておつた点があったから内部監査を強化しようとか、予算の適正かつ効率的な執行をするように努力するとか、こういうふうに書いてありますが、これが今日依然として言うだけでもって直つておらない。これだけの国費を乱費しておつて決算委員会担当大臣局長が来て、頭をぺこぺこ下げて、そうしてそれが通つてしまう。こういうことは私はもってのほかだと思うのです。ですから、何とかしてこれをなくする努力政府はしなければならぬと思う。一兆三千億の予算を審議する過程においても、この中からまた私は少くとも数十億という金がむだに使われるというようなことを思うときに、りつ然とするものを感じます。そういう意味で、行政管理庁長官は何か具体的な方策を考えておられますか、まずこの点をお尋ねします。
  13. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) お答えいたします。行政運営上に不正不当な問題が、調べるといろいろ起つて参って、根絶する状態に至らないことをはなはだ遺憾に存じ、ただいまあなたのおっしゃる通りに思うのであります。しかし、これは私ども行政監察の立場をとつておりますものといたしまして、また行政機構制度を扱つているものといたしましては、こういう問題の起らないように努力をしなくちやならぬと思って監察を厳にし、そうしてまた機構の上においてもそういう不正不当なことの起らないように努力しているわけなんでございます。一般的に申しまして、不正不当の起ります一番一般的な原因と申しますと、機構上や制度上に責任制度が確立してないという、だから責任制度をもっと確立しなければならぬという問題、それからチェック・システムがいろいろの仕事を運ぶ上においてどうも鈍いと私ども考えておりまして、そういうふうな点から、どうやつて直したらいいか、実際の監査に当りましては、いろいろの仕事の分類をいたしまして、補助行政においてはどういう点、あるいは許認可の点においてはどういう問題、調達業務においてはこういう点に欠陥はないかというようなことで、それぞれのウィーク・ポイントであると思われる点を特に取り上げまして監査をし、そうしてその監査の結果において各省注意をいたしておりまして、そうしてその不正不当の温床になるものを少しずつでも早く除いてゆくということに今努力いたしております。現実の問題といたしまして、次から次に注意をしなければならぬ問題が多いということは、はなはだ遺憾でありまするが、これの一日も早くそういう状態の少くなるように、あらゆる努力をいたしておる次第でございます。
  14. 鈴木強

    鈴木強君 いろいろ検討されておることはわかりますが、どうもその具体性がないし、積極的に絶滅しようという努力が欠けていると思う。国民はどこに一番期待しておるかと申しますと、結局会計検査院が厳密な検査をしていただきたい、こういうことだと思うのです。そうであるならば、現在の会計検査院の陣容で十分かどうか、こういった点も私は検討されておると思うのです。この点、予算を見ましても、人員等は全然ふえておりませんし、組織的にも何ら会計検査院を強化して、監査をもっと厳重にやろうという意欲が全然見えておらない。それから各省、各庁の内部組織や、あるいは内部監査組織を確立していくことも大事でありましょう。しかし、このことについてはそれぞれの省において努力をされておると思いますが、少くとも行政管理庁長官として、全体的に各省庁の行政事務を総合的にあなたがめんどうを見ておるわけですから、そういう意味において、もっと積極的にこの撲滅に努力をしてもらわなければ困ると思うのです。この際申し上げておきますが、大体この予算の中に、あとから私は明確に質問大蔵省にしたいと思いますが、たとえば交際費、旅費、庁費、それから報償費、こういった費用が相当莫大に組んであります。でこの費用使い方等につきましても、会計検査院から後ほど聞きたいのでありますが、もっと私は皆が良心的になってやれば、節約できる点があると思うのです。各省庁における役人連中—— 官僚連中が、いつも赤坂の話が出ますが、赤坂へ行って酒を飲む、これは普通つきものになっておる、だから世間では言っていますよ、役人は芸人だと、国費で酒を飲んで、浪花節をやらせれば一流にやるし、うたを歌わせれば一流に歌うし、手品をやらせれば一流に手品するし、何で覚えたかというと、結局国費でもって飲み歩いて覚えたのだ、こういうことでは実際国民は許しませんよ。私は国会へきて驚いた。国会議員でも、私は自分を含めて考えなければならないし、もう少し国の予算というものを節約する道があると思う。議員連中各省から接待される、私は初めのうちは出てみましたが、芸者が来て、そうして何千円とられるかわからぬが、むだな宴会をやつておる、私はやめろということは言つたが、私は最近は自分だけでも行かなければ、それだけ国費が助かると思うから私は出ないことにしておりますが、こういったことから考えてみて、国会の中で、あそこのわれわれの衣服なんか預けるところの人は臨時だそうであります。五時過ぎても超勤がつかない、そういうふうなみじめな人たちもおるのだから、われわれももっと積極的にそういう点を留意すれば、そのくらいの金はできると思う。そういうふうに問題はもう少し私は積極的に綱紀粛正はもちろんですが、もっと言うならば、人間の気持を変えなければだめだと思うのです。もっと政治家官僚が良心的になって、ほんとうに国政に熱意をもってやるならば、もっと純潔にしてもらいたいし、この不正を見ましても、金をごまかしてめかけをかこつたり、マージャン賭博をやつたりするのがあるじゃないですか。こういう点をもっと掘り下げてやる決意はありますか。そうしませんと、ほんとう国民はこれ以上許せないというところまで来ていると思う。あなたの決意はどうでございますか。
  15. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ただいまおっしゃったような問題も、いろいろ考えさせられる問題ばかり、たくさんあると思うのです。会計検査院を強力化することも一つ方法でありましようし、役人自身自分に与えられた仕事、これはどうでもその日だけやつて過ごせばいいというような簡単な考えでなく、国民税金によって行われる国の行政である、その一部分に携わるものであるという責任感を持って皆がやるようになるということが、これが根本だと私どもも思うております。総理がしきりに三悪追放というようなことを言い、そうして綱紀粛正を論じておるのも、その熱意だと思うのでありますが、これの裏づけをするものが、今おっしゃるようになくてはならないのであります。それは私ども行政監察その他の仕事に当る者がいろいろな点を調べまして、そうしてこういうのはこう直すとか、また現実に今直しつつあるものもたくさんありますが、そういうものにもっと力を入れて熱意を持ってやつていきたいと思います。
  16. 高田なほ子

    高田なほ子君 関連。関連して申し上げます。  ただいま責任体制が確立していないということが、こうした問題の原因として指摘されました。私から言わせれば、責任体制体制としては確立しているのじゃないか。政府職階制を強化するのは、やはり責任体制を確立するために職階制を強化している。問題は私は責任体制ではなくて、役人だけの責任を追及するのではなくて、当然私は閣僚自体責任が追及されなければならぬ。決算委員会では三十三年あるいは三十二年度の予算がどう使われたかということについては、二年も時間がその間あるのです。従ってその間に大臣は次々と首のすげかえをして更迭をしている。だから問題は国会で取り上げられても、現実大臣には何ら責任が感じられないような態度で、頭を一つ下げればそれで終りになっている。こういうような体制では、私は閣僚自体責任体制が確立していない、役人だけ責めるということはこれは不当ではないか。もし下部官僚にこういう問題があったならば、進んで大臣決算委員会に出てその事情を開陳すべきであるにかかわらず、ほとんど決算委員会責任ある大臣出席を望むことは困難である。こういうことであつては、口だけは責任体制の確立とは言いながら、閣僚自体責任体制の確立していないということが強く指摘されなければならないと考えます。これに対する長官の御意見と、もう一つ大蔵大臣予算配分には大わらわである。イギリスの国会でも御承知の通り決算委員会には大蔵省関係閣僚、こういう方が常に出席をされて、自分配分した予算がどういうふうに使われているかという、いわゆる大蔵省予算配分に対する責任体制というものが明確にされております。しかし不幸なことには、決算委員会大蔵大臣出席があったということはかつて例を見ない。もちろん総理大臣も御出席にならない。こういうようなことでは閣僚責任体制が確立しているとは考えられない。  もう一つ国会運営で、予算委員長はこれは与党が占めるのは当然であるが、けれども決算委員会は少くともこれは与党委員長が占めていくというようなやり方では、本来の意味の私は正しい決算機構が確立しているとは考えられない。これは当然国会の問題でありますから、ここで取り上げるべき問題ではありませんと思いますが、以上私は申し上げて、長官のこれに対する御見解を拝聴したいと思います。
  17. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 役人の話を申しましたが、役人だけが責任をとるべきものであると私は思うておりません。仰せのごとく内閣閣僚が最高の責任者として、その各省の問題については十分な責任をとるという覚悟を持って仕事をしているわけであります。われわれ閣僚もみんな各省を見ておりますし、従ってその日その日の仕事におきましても、少しでも間違いのないように、間違つたものはなるべく早い機会にこれを是正して、そうして損害を少なくする、こういうようなことに努力することに、これはみんな考えていることでありますが、今後ともなおそういう心持ちで、私どもは、官吏に求めるものはまたわれわれ自身がみずからやつていかなければならないと思うてやっていくつもりであります。その他の、国会運営その他に関する問題は私からお答え申し上げかねます。
  18. 高田なほ子

    高田なほ子君 もう一言……。
  19. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 高田君、簡単にお願いします。
  20. 高田なほ子

    高田なほ子君 今の御答弁から察しますと、おおむね今日までの処分方法というものは、窓口官僚に非常に重い、そうして上級官僚にはきわめて寛大である、むしろ私は官庁の中で間違いを起した場合に、その長官の身分をかばうために下部官僚にその責任が押しつけられる傾向がある、そうして上級官僚はむしろそのことによっていい場所に栄転している例を過去幾多見るのです。税金は下には重く、上には軽い。処罰の方法においてはこれとは全く逆であります。さか立ち行政であります。こんなようなことでは責任体制が確立しているとか、閣僚責任を持つとかというお言葉とは若干違う。むしろ上層者に対してはかなり重い処分が要求されなければならぬと思うが、今日までの傾向に対してどういうお考えを持つか、もう一度御意見を伺いたい。
  21. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 上に罰が軽く、下に重いというようなことは私は行われていないと思います。責任のあるところによって、その責任によって仕事をいたしましたことを十分に調べまして、その責任の所属によっておのおの責めを負うているということでございまして、何でもかでも下の方に押つつけるというようなことでは今日は通る問題ではないのでございます。世間の眼もありまするし、また同じ中でも見ております。大臣というものも責任を持って考えておりますから、これはその見方はさまざまありましょうが、やることにおいては公平にやつているということを私は信じております。
  22. 鈴木強

    鈴木強君 大臣は今、高田委員質問に対してそうおつしやいますが、それでは会計検査院検査報告の中にいろいろ出ておりますが、相当に金を横領したような場合でも、当時の局長はやめたから不問に付すとか、あるいはわずかな訓告とか、戒飭とか、そういう点で済まされているのです。やはり、もちろん最近の責任のとり方というものは、実際に不正行為をやつた人を厳格に処分をしていくということは原則でありましょう。それはそれとしましても、やはりもう少し関係責任者に対する懲戒の点を考えませんと、悪いことをしてもある程度の訓告で済んでしまうということでありますから、上役の連中がたるんでしまうのです。各官庁をみましても、その内部牽制組織をはっきりして、ほんとうに不正をなくするために努力すれば、私はこの批難金額は減つていくし、防止できると思う。だからそういうふうな運営現実にやられているから指摘しているわけです。だから詭弁を弄せずに、もう少し的確な、絶滅をするという根本精神に立って対策を立てていただきたい、そういう点を私はこの際強く要望しておきます。  それからあっせん収賄罪の問題で、本委員会でどなたか質問したときに、唐澤法務大臣は、こういう法律を出すのはむずかしいものだ、一面広く、深く国民はやつてくれという世論もあると同時に、こういうことをやると善良な国家公務員の諸君が萎縮するということを言われておりました。私は現段階においては官僚諸君がもっと萎縮しなければだめだと思う、予算執行に関する限りは。率直に言って野放図ですよ。だからあっせん収賄罪なんかは堂堂と早く成立させるように努力しなければならないと思うのでありますが、いずれにしましても、そういった一面こういう処罰ということを厳重にすると同時に、先ほど申しましたような、人間の精神というものを変えていく、ほんとうに人間が正直にならなければならない、私はそう思います。もっと愛情を持ってやらなければならぬ、そういうふうに思います。そういうやはり人間的な訓練ということを行管あたりはお考えになってもいいと思う。そうして結局はその人間がほんとうに善良な公務員として、官吏として、官僚として行政執行していく、こういう体制を作らなければならぬと思うわけです。だからこれは、こういう点をもっと積極的に長官がやつていけますかどうですか、この点を私はこの問題に関連して質問しておきます。
  23. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私は官吏諸君が自分仕事に愛情を持って、そうして責任を強く感じながらやっていくようにみんながなるということになれば、すべての問題は解決するのじゃないかということ、その通りだと思います。そういうふうな方向に私どもが助長していかなければならぬのでありますが、それには、私は必罰だけをやかましく言わないで、ほめるものはほめる、賞するものは賞する、いわゆる信賞必罰するという、両方出てこなければ、罰することばかりやつて私はいくものではないのではないか。それで、一体役人はどう賞せられているか、公務員はどう賞せられているか。年末に手当をもらうとか、ボーナスをもらうとかいうようなことだけでいいのかというような問題等についても、私ども考えなければならない。今実はそれについてもいろいろ考えをみな相談いたしておりますが、そういう心持ちで、みんながほんとうにあなたが言われるような、仕事に熱と愛情を持ってやっていくような方向に、われわれも助長していきたいと思っております。
  24. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 副総理並びに会計検査院長の答弁を拝聴いたしました。私は一言伺います。  三悪追放を標榜している岸内閣のもとで、汚職行政極まれりと言わざるを得ない。それは先般農林省汚職において、会計検査院長の部下から汚職官吏が出たではないですか。さらに検察事務官そのものから汚職官吏が出たではないですか。会計検査院長は何のかんばせあつてわれわれにまみえんとするのか。どういう反省をされているのか。またどういう処置をされたのか。まずそういう点について、私は会計検査院長として一言あつて委員会に臨まれるべきものだと思います。幸いにただいま質問者がその点に触れておりますので、会計検査院長の答弁を求めます。
  25. 加藤進

    会計検査院長加藤進君) 会計検査院の職員から汚職の被疑者を出しましたのは、まことに申しわけないと存じております。事件は三十年に起きた事件でございまするが、最近においては、私は会計検査院綱紀は立っていると信じておるのでありますが、何といたしましてもこれは申しわけない次第に存じております。対策といたしましては、いろいろこれのよって来たるところを考えまして、直接の監督責任等につきましては、すでに処分を了しておりますが、その他職員の入れかえ等をいたしまして、新たなる観点をもちまして仕事に接するように、いろいろ工夫をいたしております。
  26. 鈴木強

    鈴木強君 この問題について私は終りますが、もし私の発言の中で誤解があつてはいけませんから、申し上げておきますが、もちろん官僚諸君も全部がたるんでいるということではなくて、まじめにやつている人もたくさんあると思います。しかし、今言つたように悪い人たちが、不正行為をする人たちが出てくる原因は、いろいろな組織的な、あるいは法的ないろいろな点の不備があると思いますから、そういう点についてもっと積極的にやりなさい、こういうことを申し上げているわけですから、誤解のないようにしていただきたいと思います。  それから次に定員関係で長官にお尋ねしますが、今回政府は長い間内閣委員会等において、国家公務員のうちに相当多数の非常勤職員、あるいは常勤職員で国家公務員の身分を獲得しておらない人たちがおる。これの定員化のために努力をするように要請をしてきたのでありますが、今回予算を見ますと、一万九千九百五十六名が定員化されております。しかしながら、今回行管の資料を見ましても、一般会計の分で約六万人以上の常勤者がまだおるのであります。こういう人たちはどうして全部を定員化できないのですか。一般的に国家公務員の定員についていろいろな見方があります。多う過ぎる、もっと減らせ、こういう御意見もあろうと思いますが、しかし、過ぐる定員法改正のときにも、無理をして定員を切りました。行政整理もやりました。しかし、現実に年間百万近い人口がふえております。ですから、当然人口の増に伴つて予算も膨大しておりますように、行政事務も繁雑になってきていると思います。ですから、今申し上げたように、定員法で定員は作つたんだが、実際には六万人ものこういった常勤的な職員が現在しておる。もっと言うなれば、本院の内閣委員会の調査室でもって調べた資料を見ますと、約二十八万二千三百六十九名という、各省別非常勤職員実在数がわれわれの手元にあるわけです。これはもちろんいろいろな方がおりますので、二十八万という数字はほんとう——委員会委員とか、そういうものも入っているようですから、問題にはなりませんが、少くとも行管の出した六万六百二十五名という数字は、責任をもって示された数だと私は思います。従って、どうして全員を定員化できなかったのか、この点を一つ長官にお尋ねします。
  27. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) この問題は、数年来国会で論議されました。何とかしてこれを片づけなければならないという段階に、だんだんなってきたわけでございます。このよってきたるゆえん等は、これは別といたしまして、はなはだおもしろくない制度になっておるわけなんでございます。私も、この問題と取つ組んでいろいろ研究いたしましたが、これは、根本的な解決をするには、どうしても公務員制度の改正をやつて、公務員制度審議会の答申が出ておるのでありますから、その線を十分に考慮に入れながら、公務員というものはどんなものだというものをこしらえ、それによって全面的に解決をすべきものだということなのでございます。それで、何とかしてこの国会に公務員法の改正案がそういう点においてできないかということを、関係者といろいろ相談いたしてみたのでありますが、まだ十分にその成案を得るまでに至らないということが、昨年のうちにそういう話でありましたので、どうしてもできないものならば、それが解決するまで待つといって、また、この一年延ばすということは、どうも今までのいろいろな、この問題についてみな心配しておる人たちの声にこたえる政府としての態度としてはいけないじゃないかと、何とかして一部分だけでも解決をいたしたいということで、行政管理庁におきましては、このいろいろなことの基準になるような基本調査をいろいろいたしまして、そして、各省ともいろいろ話し合いをいたしまして、この際、ちようど約三分の一、六万人のうちの約二万人でございますが、この三分の一——これは三分の一という目標でやつたわけじゃないのでございまして、その基準の方から割り出しましてこの辺までやつたが、ここいらが適当であろうということで、今度、定員の中に入れることになつたのが約二万人でございます。で、全部をなぜ入れないかという問題になりますと、公務員の制度が今度、この次改正される場合において、この六万人の中でその中に入らぬものもあり得るわけでございます。一ぺん公務員に入れて、またしばらく後に戻すというようなこと等があつてもならないのでありまするし、この際は、長く問題になつたものを一部分だけでも解決して、そうして、その立場におりまする人たちの幾らかでも待遇をよくして上げたい、という心持を合せまして、約二万人ということの定員化をしたわけでございます。
  28. 鈴木強

    鈴木強君 この六万六百二十五名という非常勤職員は、少くとも三十二年度の常勤職員として予算に計上されているものであります。ただ、身分が二カ月ごとの更新になっておりますので、一般公務員から見まして非常に身分が不安定で、そういうことが問題になるわけです。ですから、同じような仕事をして、長いことしておりながら不遇な立場におる、家族をかかえて、相当年齢になっても昇給はない、七千円や八千円の金で二年も三年も据え置かれていかれる、こういうことで非常に問題が起きているわけです。政府は、完全雇用を大きな政策の一つに取り上げておるにかかわらず、中途半端なこういうことであつてはならないと思うんです。私は、どうして六万六百二十五名の人たちを、三分の一だけやつたんだ、基準でやつたとおっしゃるんですが、その基準もどういう基準か、私は示していただきたいと思います。  もちろん公務員全体の制度を御検討になることもけつこうでありましょう。そうして国民の指摘しておりますような、もし行政組織の中に複雑な機構があるならば、これも一つ簡素化することもやらなければなりません。またむだがあるならば、そのむだも省かなければなりません。そうしてほんとうに国家公務員がまじめに行政事務に参画しておるわけですから、そういう全職員の気魄と言いますか、精神的なやはり良心さというものを十分にこの際発揮するような態勢を作つて国民が納得する線で、こういった不安定なものを、私はやらなければなりませんということも一つの理屈だと思います。しかし、当面現実予算の中にも、この六万六百二十五名という一応予算を組んであるわけですから、それを定員化してどれだけの金がかかるかわかりませんが、いずれにしても全員を定員化しなかったということは、政府の怠慢ではなかったかと思います。しからば、どうして一万九千九百五十六名を選んだか、その基準を示していただきたいと思います。
  29. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 政府説明員から申し上げさせます。
  30. 斎藤欣一

    説明員(斎藤欣一君) お答え申し上げます。  どういう基準でもって定員外職員を定員化したか、これにつきまして、私たち一番苦労したのはこれでございます。考え方によりますと、あるいは今六万人のうち二万人というようなことで三分の一くらいになっているのでありますが、かりに各省一律に三分の一ということでやるとしますと、これはきわめて簡単なやり方であります。それからまあある考え方から言いますと、勤続年数で何年以上の者を入れるとか、あるいは俸給でとりまして、俸給の何級以上の者をとるとか、いろいろな基準が考えられるかと思うのです。ただ、そういったことでやることが、果して各省の定員外職員の実態に即しまして非常に公平であるかどうかということは、いろいろ疑問があると思います。私たちは今定員外職員が定員化されないためにどういうことが一番困つたことになっているか、要するに定員内に入らないために、たとえば、定員外職員の部下に定員内職員がいる、そういったために非常に統制がとりにくい、あるいは外部で仕事をするのに、定員外であるためになめられる、といったようなことで仕事がやりにくい面がある、そういったことをいろいろ考えまして、これはどうしても職務の実態と申しますか、職務の重さ、あるいは責任の重さ、そういったものに重点を置きまして、そうして職務の高い者、責任の高い者から定員化していくべきであるというふうな考えに立ちまして、そういうことをいろいろの資料から考えまして、適当だと思われる数のものを定員化した次第であります。
  31. 鈴木強

    鈴木強君 全然納得できない、そんな基準は基準でないと思うんです。要するに目の子計算でやつたような、そういったものは、少くとも私はやるべきではないと思う。で、石井長官は御存じかどうかわかりませんが、けさちょっと調べてみますと、農林省関係、これは当然林野庁も含めますが、その中で十年以上二カ月更新で、二カ月更新でやつて十年以上勤続しているんです。しかも全く一般公務員と同じ仕事をしておる職員がなんぼおるかといいますと、二千九百十九人おります。それから七年から十年までのこういう人たちを見ますと、一万一千九百七十一名、少くとも七年ないし十年間この人たちは全く国家公務員と同じ立場に立って、それぞれの仕事に精進してきているのです。ですから、私は、こういう長年身分不安定の形で置かれた方々が、建設省を見ましても相当におります。十年以上勤続した人たちが相当数おります。ですから、こういう点を十分勘案をしてやるというなら、まだ話はわかる。大体十年間もこういう身分不安定の形で、年末に来ても年末手当も十分にもらえない、こういう不合理な差別待遇をして放置しておったということは、大きな責任問題だと思う。こういう点は、長官、御存じですか。  それから大蔵省にもお尋ねしたいのでありますが、各省庁から出された定員要求というもの、この定員要求はどうなっておりましたか。それが行政管理庁に来て査定をされたのかどうか私はよくわかりませんが、そうであるならば、行政管理庁長官はどういう立場に立って、今ここに示されたような定員化数をきめたのか、もっと別のものを出したが大蔵省で削られたのか、その点を一つ明確にしていただきたいと思う。
  32. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) この二万人を定員に入れるという問題は、さっき申しましたように、私らの方のいろいろな点からこしらえました基準に従いまして、これにより、そして各省庁とも打ち合せをいたしましてきめたのが、これは満足ではないが、かりにこの程度ならまあまあというところで、賛成だというような意思表示もありました。絶対にこれではいけないことはないというところで、話し合いがありました。それで、私どもはこの定員化を要求いたしたわけでございます。定員化要求については、なかなかいろいろ、今までやつてない問題でございますから、論議は相当行われたのでございまするが、もうそういう何であるならばやめてしまつて、公務員法を急いでやるというふうに、全面的に解決してもらうというよりほかない、しかし、あるいは今議会には間に合わぬということであるならば、極端な言葉でいえば妥協的でありますが、ここらで一応前進する、そしてこの次は公務員法で全部改正してもらうというようなことで話し合いをつけましたので、この数をきめましたのは、私どもの方で、さっき申しますように、各省と相談してきめた数であります。
  33. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、行管で各省と打ち合せをしてきめて、そのきめた数は大蔵省がそのまま認めた、こういうことでございますか。
  34. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) いろいろ論議はありましたが、大蔵省もわれわれの出した通りに賛成いたしております。
  35. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、大へん恐縮ですが、各省庁から行管に最初に要求した定員化の数というのがおわかりでしたら、何名かでけつこうですが、答弁できましたら。
  36. 斎藤欣一

    説明員(斎藤欣一君) お答え申し上げます。ただいま手元に数字は持っておりません。しかし、当然各省は、まず現在定員外としておられる方を全員定員化してほしいという御要求が多かったように、私、記憶いたしております。
  37. 鈴木強

    鈴木強君 この問題は非常に大事な問題でありますから、もっと具体的に、資料もございますし、もっと突つ込んで質疑をしたいのでありますが、時間の関係がありますので、いずれ分科会でもう少し掘り下げて質疑をしたいと思いますから、この問題はこれにて終ります。
  38. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっと一つ、関連して。ただいまの定員問題ですが、暫定措置として二万人をふやしたということについての基準について、答弁があったわけです。責任の高い者とか、地位の重要な者とかいうような基準が示されまして、これに対して鈴木委員の方は納得できないというお話があった。私も納得できない一人ですが、重ねて伺いたいことは、国策として科学技術の振興ということが、今度の岸内閣の政策の中で大きく打ち出されておるわけです。こういうような場合に、国策として最も重点的なところに定員をふやすと、こういうような方策をおとりになるお気持はなかったのか。たとえて言うならば、科学技術振興といっても、国立大学の各部門の定員増というものは、あまり認められておらないようです。依然として定員はそのままである。何十年も研究室におられる有名な、ビキニ灰の研究の博士などは、依然として定員外に置かれておる。そうして学生だけはふやされておる。こういうような現実無視の、政策無視の、暫定的に認めるというやり方は、あまりに非科学的ではないか。国策と定員増との関係というものはどういうふうに考えておられるのか、もう一度お尋ねをしたい。長官から御答弁願いたい。
  39. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 各行政機構の定員をきめる問題は、私は、最小限の人でそれだけの与えられた仕事、それ以上にも仕事がどんどんやつていけるかということを考えまして、定員はきめておるわけでございます。それで、現在の定員外の職員が配置されておりまするということ、これもその仕事を分担をいたしておるのでございまするから、本来申しますと、この定員外というものを一体どういうふうにするか、もう少し私はこの問題について十分今までに、初めの時分から論議せられ、そういう制度の起らぬような、起つても非常な特別なものだけにするような話し合いであるべきだったと思うのであります。それが、いろいろな事情がありましたが、今日までに六万人もの人ができたのでございますが、これらの人はその仕事々々においては今必要だとして使われておる者であつて、むだな人ではないのでございますから、この人たちが定員内に入りましても、それは今までは定員外であったから、百人のところを、少くこれを五十人定員にして、そのほかにもっと有用なところに回すということはいけない情勢でございまして、ここは定員に入れるか入れぬだけの問題でございまして、仕事の分量によりまして、私どもは定員はこの問題と離れて考えていかなければならぬ。そうして一番重要なところに多くの人を、定員を増し、そうしてそれは重要だからといってむだな人間をやるわけにはいかない、適当な人員を配置するというのが、この定員化の方針でございます。
  40. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっとそれは、現場の問題を十分御研究になっていない御答弁じゃないかと思うのです。国立大学あたりでは盛んにもう減少をする、減らしていく、こういうことをやつている。つまり、理工科の学生をふやすということになれば、その講座の中に適当に人員を配置するというのは当りまえなんですが、そういうことが行われないで、むしろそれを減少していく方向にある。科学技術の振興、こういうふうな面からいえば、重点的にそういうところはむしろふやしていくべきであるのに、現実には減らしているのだから、科学技術の振興というのは口では言うけれども、現場の問題としてはこれが完全に実施できないという非常な苦境を訴えられておる。国策に沿う重点的な施策というものが、この定員の配置等についても考慮されなければならないのではないか、再度お尋ねしたい。
  41. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私はあなたと同じ意見で、大事なところで、そしてたとえば生徒が増す、そして仕事が多くなるというところに人を減らすというのは、ほかの事情があれば別ですが、その問題に関する限り、その仕事に適応するだけの人が配置さるべきだ、こういうふうに思います。この問題は私は存じませんが、筋としてはその通りだと思います。
  42. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 高田君、簡単にお願いします。
  43. 高田なほ子

    高田なほ子君 今の御答弁から、筋からいうと、減らしていることに対して何らかここで押えるという、そういう積極的な手をお打ちになる必要があると思いますが、そういう手は打っておられるのですか。今東大あたりではどんどん減しておりますね、理工科あたり。これはいけないので、今の筋からいえば、それを阻止するだけの手をお打ちにならなければいけないと思います。お考えだけではなくして、どうなさるのですか。
  44. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私はあなたのおっしゃるところの具体的な問題を知りませんから、答えだけ、筋だけのお話を申し上げますが、筋は、そこに学級がふえ、人間がふえ、仕事がふえるということでありますれば、今の人たちで足りない職員であれば、これはふえるのが当然でありましょう。そのほかの事情があつて、そのほかの学校のいろいろなことで減るのは、これは別問題で、筋としてはあなたのおっしゃる通りであります。
  45. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 先般、十日の私の質問の際に、資料を提出してほしいということを要請したのですが、今日まだ提出されておりません。本日質問者が伺つていますと、なお不明確である。六万六百二十五人の中から一万九千九百五十六人をピックアップするに当つては、基準に従ってやつたということをはっきりと長官答弁して、質問に立つた人は疑問があるとか何とかいって、不明確である。従って、委員長に要求いたしますが、委員長を通じてその基準を、文書をもって明日の午前十時まで本委員会に資料として提出するよう、委員長から取り計らつていただきたい。
  46. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 承知いたしました。
  47. 鈴木強

    鈴木強君 では、石井長官は……。  次に、会計検査院質問が中断しておりましたので……。いろいろ検査院が御苦労なさつておると思うのですが、非常に膨大な組織ですから、なかなか現在の陣容ではどうかということを私たちは心配するわけですが、会計検査院長としてどうお考えになりますか、この点簡単に……。
  48. 加藤進

    会計検査院長加藤進君) お答えいたします。検査の、ことに実地検査が、われわれから申しますると、もっと人間が、要員がほしいところでございます。ただ、実際上の問題として苦しみますのは、調査官として役立ちますまでには四年ぐらいの訓練期間が要りまするので、実績が現われますのは三、四年後であるということと、それから現在の庁舎が収容力がほぼ極限に達しておりますので、これ以上の増加はよほど工夫を要するところでありまするので、この点が増加を考えます上にちょっと苦心をしておるところでございます。
  49. 鈴木強

    鈴木強君 私、現在の検査のやり方等につきましても、大体どういうようなことろに重点を置いてやつているのか、特に交際費とか庁費、旅費、交渉費、こういったものの使い方については、相当私は目を光らせていかなければならぬと思うのですが、こういったことの内容についてもお尋ねしたかったのですが、時間がありませんから、いずれまた分科会でお尋ねをいたします。  次に、公共企業体制度についてお尋ねをいたしますが、昨年の十二月二十五日、公共企業体審議会の石坂会長から岸総理に対して、公共企業体審議会の答申がなされております。この内容を拝見しますと、非常に重大な要素が含まれていると思いますので、時間の関係で具体的に私は一つ一つ指摘をいたしませんが、この答申をおそらく三公社の総裁の方々はごらんになっていると思いますから、まず、ごらんになっておりましたら、総裁からそれぞれこれに対する所見を伺いたいと思いますし、あわせてこれを監督する立場にある大蔵大臣、運輸大臣、それから郵政大臣、この方々からも意見を伺いたいと思います。
  50. 泉山三六

    委員長泉山三六君) どの点についてですか。全体について……。
  51. 鈴木強

    鈴木強君 全体というか、各公社ごとに……。
  52. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私の方は国鉄でございますので、国鉄関係を申し上げます。大体国鉄関係、これは国鉄そのものを公共企業体、これは、まだ行われまして八年しかたつておりません。これを育成強化する、この方針を私はとつていきたいと思っております。  それから、あの審議会に指摘せられておることにつきまして、たとえば支社制度を設ける、これは今現に国鉄もやつております。あるいはこれを独立採算制を強めて、法的性格をどうして与えていくかということも今研究中でございまして、あの審議会における国鉄の支社制度を設けるということにつきましては、現在やつておりますし、またこれを育成していきたいと思います。次に、三公社共通の監理委員会でございますが、これを設けよということでございまするが、これは現に国鉄におきまして監理委員会を設けておりまして、相当の成績をあげております。さらに、あの審議会に、予算決算をこれを国会からはずせということは、私どもはこういうことは同意できません。また、運賃等の値上げについても審議会を設けよということは、これは国会でやつていただくべきものでありまして、この点は審議会のお考えに私どもは同意することができないのであります。給与制度についても勧告がございまするが、これは原則として私はいい意見だと思います。しかし、また現に国鉄でもやつておるところでございます。  全体としての国鉄に対するあの審議会の意見は、大いに能率をあげ自主的運営をやれという、ことにそれは民間の能率をあげよと、こういうところでございますから、これは私どもも今後努めて参りたいと思いますが、国鉄をもとの官営に還元する、また分割して民営にやる、私どもは賛成することができません。これはここに私は申し上げて、現在の公共企業体としての国鉄を健全な経営にこれを向わしめる、同時にその公共性を発揮したい、こういうように全体として私は考えておる次第でございます。
  53. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) まず、大蔵省の所管としては専売公社がありますが、これはまあ公社のうちでも最も民営に適するだろうという意見でありまして、これは私もさように思わぬことはありませんが、つきましては、特別にこの点について調査する機関を設けて検討さしてはどうかという答申であります。私ども特にこの調査機関を設けて、専売公社はどういうふうな企業体がいいかということを検討させようと思っております。  それから、これは三公社共通の点ですが、あの答申を見ますと、今お話のありましたように、総理府に監理委員会を設けて、そしてその経理等を十分監査するように、こういうことになっています。それともう一つは、この予算決算制度を改めて国会の承認が要らないようにしたらどうか。それからもう一つは、運賃とか料金等のきめ方につきまして、これは法律によらずに、まず公正な審議会を設けて、そしてその議を経て閣議できめて、さらに主務大臣でこれをきめる、こういうような形にしたらどうかということであります。これは、三公社の基本運営等の、あるいは組織運営の基本に触れます点であります。関係省とも十分相談いたしまして、検討を加えていきたい、かように考えております。
  54. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。公共企業体等審議会の答申は、私も十分研究をしておりますが、私の考えから申しますと、おおむね了解できると考えます。ただ、公社の、先ほど運輸大臣が申されました通り、基本的な問題も含んでおりますので、内閣全体として十分審議をしなければならないと思います。時あたかも昭和三十三年度予算の編成の前でありますので、今年度の予算にこれが趣旨を盛ることははなはだむずかしかったのでありますが、大蔵当局との調整によりまして、電電公社に関しては予算総則に弾力条項を明記いたしまして、できるだけ財政的にも弾力ある運営ができるようにということにいたしたわけでございます。
  55. 泉山三六

    委員長泉山三六君) よろしゅうございますか。
  56. 鈴木強

    鈴木強君 三公社……。
  57. 十河信二

    説明員(十河信二君) ただいま運輸大臣からお答えがあったようでございますが、私も同様に考えております。ただ、私としては、でき得る限り、総合的国策上許される限り、自主性を拡大さしていただきたいということを念願いたしております。
  58. 松隈秀雄

    説明員(松隈秀雄君) たばこ事業の民営に関しましては、答申にもございまする通り、種々関連して検討すべき問題がございます。まず第一に、民営にした場合に、果して財政収入を十分に確保できるかどうかと、こういうような問題がございます。また、民営にした場合においては、一方において経費の節減ということもございましょうけれども、広告費その他また経費の増すというような面もございます。さらに葉タバコ耕作者との関係をどうするかと、こういったような問題がございますので、いずれこれらの点につきましては、政府においても別途御研究をなさることと思うのでありまするが、公社といたしましては、現在においてはこれを民営化するという考えは持っておりません。ただ、答申にも述べられておりまする通り、現在専売公社の運営が企業体としての成果を十分発揮しているかどうかということについては、世間からの御批評もあり、われわれとしても十分反省しなければならぬと考えておりまするので、今後企業体としての運営の面におきまして経営の合理化というような面については、一そう重点的な施策を行うように改善に努めて参りたい、かように考えております。
  59. 梶井剛

    説明員(梶井剛君) 公共企業体審議会の答申につきましては、私どもは原則的には非常にけっこうな意見だったと考えております。また、その御意見の中には、私どもが今後企業経営上、反省して正さなくちゃならぬという点も幾多ございます。ただ、これの問題につきましては、監理委員会、あるいは料金の決定、あるいは予算決算の問題等が、趣旨においてけっこうであったとしましても、これを具現する上において幾多の問題がその中にございます。従って、私どもは、かようないい意見が従来審議会において答申されて、時がたつに従ってこれがいつの間にか忘れられていくということがよくないのではないだろうか。できるならば、これを具現するように政府御当局において御尽力をいただいて、私どもこれに協力して、できるだけ答申案を生かしていきたいという考えでおります。なお、他の問題のうちで料金値下げという問題がございます。しかし、現在の事情のもとにおきましては、非常に国民の電信電話の拡充に対する要望が多いのでありまするから、今直ちに料金値下げということはとうてい困難であります。しかし、将来、加入者申し込みの積滞がなくなるような時勢におきましては、適正な料金に値下げしたいという希望を持っております。
  60. 鈴木強

    鈴木強君 大へん貴重な御意見をありがとうございました。そこで、恐縮ですが、専売公社の松隈総裁にもう一つお尋ねしたいのです。聞くところによりますと、専売公社のたばこの輸送事業でございますね、これを民間会社を作ってやらせるというようなお話を聞いたのでありますが、そういうことはお考えになっておりますか、どうですか。
  61. 松隈秀雄

    説明員(松隈秀雄君) 専売公社といたしましては、葉タバコ、それから製造たばこ、塩等の輸送関係は、相当の分量になっておりまして、これをばらばらな会社に請け負わすよりは、全国的な営業網を持っている会社に、元請的に請け負わせることが経費の効率的な使い方である、かように考えまして、現在その方針をとっております。ただいまお尋ねのような、この際新しく輸送関係を請け負わせるような会社を作る、ことに小さな会社を作る、あるいは局部的な面を請け負わせる会社を作るという考えは、目下のところ持っておりません。
  62. 鈴木強

    鈴木強君 この問題は非常に大事な問題ですし、総理に答申されております問題であるしするので、いずれ機会をあらためて、私は総理に対して御意見も承わりたいと思いますが、この内容を見ますと、非常にわれわれの理解できない点もあるわけですから、いずれまた、これは石坂会長にも来ていただきたいと思うので、きょうはこの程度にしておきます。それから次に、田中郵政大臣にお尋ねをいたしますが、あなたは今回郵政省設置法の一部を改正する法律案を国会へ提案しております。この中身を見ますと、電電公社の監理、監督の部面に触れておりまして、従来の監理官制度をなくして、電務局を設置する、こういうことになっております。そして特に注目しなければならないことは、かつては電気通信の管理を監督する、電気通信業務を監督する、こういう一項目、こういう設置法を、ことさらに第十条の二に「一電気通信行政に関する計画及び実施の取りまとめをすること。」「二電気通信行政に関する企画を行うこと。」、監督を行うと、こういうふうに郵政大臣の監督権強化の線を打ち出してきているわけでありまして、今、答申案に対する大臣のお考え方を聞きますと、少くともこの思想として、できるだけ自主性を尊重して、民間的ないい点を入れて、政府は干渉しないでやろうということを、あなたも大体了承されているのでありますが、言っていることと実際にあなたのやっていることとは違うのではないですか。こういう郵政大臣の監督権強化の考え方はもってのほかだと思いますが、この点を一つお聞きいたします。
  63. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。言っていることとやっていることは、全く同じであります。郵政省設置法の改正案は、今御審議願っておるわけでありますが、この中で電務局を設置する、在来の電気通信監理官二名を廃止するということでありますが、これが電電公社と国際電電に対する監督を強化しようということは全然ございません。また、これは意図もないことを明確に申し上げておきます。これはどういうことかと申し上げますと、昭和二十四年に、逓信省が電気通信省及び郵政省と二省に分離いたしましたときに、現在の郵政省設置法ができたわけであります。その後二十七年に電気通信省が電電公社として、郵政省に監督権が戻って参ったわけであります。戻ったわけでありますが、電気通信事業を公社及び国際電電会社にやるという思想のもとは、官僚統制を排除するという線がございますので、電気通信監理官二名だけでやろうということであります。だから、現在の電気通信監理官は、まさにその職務は電電公社の監督という立場だけでございます。今度の設置法の改正で電務局を作りましたのは、電電公社や国際電電を監督しようというような考えではなく、御承知の通り、戦後の電気通信事業というものは非常に複雑多岐でありますし、異常な発達をいたしております。でありますから、電電公社及び国際電電会社に所属をしないもので、電気通信政策を立案したりこれを行わなければならないものがたくさんございます。その中の一つとして、昨年の八月一日に施行されました有線放送法がございます。この有線放送法も、電気通信監理官の権限で行うのだということになると、これは全然仕事ができないのでありまして、新しい意味の電気通信政策を行う局として電務局は必要であるという建前に立って、改正案を提出しておるわけでございます。もっと明確に申し上げますと、日本に電気通信関係の仕事をする局は全然なかったわけです。電気通信監理官二人が全部やっておった。しかも、その二人は、電電公社や国際電電ができたときの監督官、監理官という立場で作られたものでありますので、電気通信関係そのものは野放しであった。野放しというよりも、これを行う行政機構が全然なかったということでありますから、当然それらの局を整備しなければならない、こういうふうに考えたわけであります。もう一つわかりやすく申し上げますと、ハワイと日本との海底ケーブル問題をどうするとか、日本と中共との問題をどうするとか、東南アジアに対するマイクロ関係をどうする。なお、賠償が決定いたしましたので、通信機械を賠償の中に入れるとか、そのほか賠償事業として政府が通信問題を提起するときに、一体これはだれがやるのかという意味から考えても、事務的な機構は弱小であって、ほとんどが用をなさないということは御承知の通りであります。そういう意味で、電気通信監理官を廃して電務局を作ったのでありますから、在来の、かつての逓信省時代の電務局というような考えは全然ございませんので、これをもってして電電公社や国際電電の監督を強化しようという考えは毛頭ありません。これを一つ明確に申し上げたいと思います。
  64. 鈴木強

    鈴木強君 大臣はそういう答弁をされますが、現実に、現在の郵政省設置法によりますと、日本電信電話公社並びに国際電信電話株式会社を監督する、こういうふうになっておりまして、その監督は、行政機構がないというが、あるのです。これは電気通信監理官という制度があるのです。そこで監督をしておったのですから、そのことは明確にしておきたい。ですから、それに加えて、少くとも電気通信行政に関する企画を行うとか、計画を行うとか、実施上の取りきめをやるとか、こういうようなことは明らかにこれは今の電電公社の経営委員会できめ、幹部諸君がやる仕事を、この電務局でやろうという思想じゃないんですか。ですから、私はあなたが何と言おうとも、この設置法の改正は、ただ単に電務局にしたということでなしに、ねらいが電電公社に対する、国際に対する、あるいは放送業務に対する監督権の強化ということ以外にないというふうに、私たちは判断します。しかし、これはいろいろ論議のあるところでしょう。これは一般質問でありますから、いずれ私は分科会においてあなたの十分な意見を聞きたいと思いますが、これは明らかに私は強化であると思う。ですから、この案は撤回した方がいいと私は思う。
  65. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 電務局を撤回しろというお話でございますが、撤回する意思はございません。ぜひ御賛成をお願いいたします。なお、電気通信監理官を廃止して電務局を作ることによりまして、電電公社の自主性が侵されるというようなことは絶対ございませんし、またそういう意思は全然ありません。なお、その中に書いてありますように、一般通信政策その他ということに対しましては、こういうことがあります。郵政省にそういう局がなくて、さっぱり総合的な計画ができなかったので、これを科学技術庁でもってやろうかとか、いろいろな問題が起きております。でありますから、正力構想なるものもございますし、そういう新しい問題がたくさんあるのであって、電電公社を監督するには電気通信監理官だけでたくさんだと思っておりますが、私の思想そのものが、先ほど申し上げましたけれども、実際公共企業体が答申したものの線がよろしいという考えでありますし、もっと弾力条項を拡大しなければならないという考えであり、特に国内においては電電公社をして十分やらしめ得るという自信を持っておりますので、郵政省が要らない干渉をしようという考えは全然ありませんし、電電公社に対しても、これが立案の当時には、この局は、電電公社や国際電電をいじめるための局ではなく、電電公社や国際電電が困っておる仕事を片づけてやるために作るのだからと言ったら、ぜひお作り下さいということで、設けたのでございますから、ぜひとも一つ誤解のないようにお願いをいたします。
  66. 鈴木強

    鈴木強君 今の答弁はまったく納得できませんので、またいずれ場所を改めて、一つ質問をいたします。次に、国際電信電話株式会社は国際電気通信を所掌しておるのでありますが、これが四年前に電電公社から分離されて民営形態になっております。私は、少くとも国内外の電気通信政策というものは、一貫した組織の中でやるべきものだという考え方を持つものであります。そこで、当時まだ保守党も二つに分れておりまして、改進党と自由党であったのでありますが、そのときこの法案が突如として出て参りまして、いろいろと討論がされ、本会議に際して、たしか改進党の長谷川さんだと思いますが、この法案は明らかに自由民主党の選挙対策法案だときめつけたくらいの利権法案であります。こういう国際がもうけております。おそらく六億程度の利潤を得ているでしょう。こういうもうかるドル箱を、あえて公社からもぎ取って、そうして資本家連中がうまい汁を吸おう、こういう具に供されておるのが今日の国際電電であります。私は少くとも、すみやかにこの国際電電は、公社形態にするかどうかは別といたしましても、国内外の、現業でいうならば、電電公社業務に吸収して一本化するということが適切であろうと思うわけですが、大臣はこの点どう考えますか。
  67. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。国際電電はこの三月で設立五ヵ年になるのでありますが、業績はおおむね良好でございます。業績がよ過ぎて、少しもうけ過ぎるのじゃないかというような御意見もあったようでありますが、昨年の下半期、上半期は幾らか値下げをしなければならないというような議論もありましたが、一年を通算してみると、おおむね妥当な業績をあげておるという状態であります。ただ、国際電信電話会社がどういう経緯によってできたか、私もつまびらかに知りませんが、国際電竜がドル箱で、あるので、電電公社と一緒にして合理的な運営をする方がいいという議論は、昔はありました。ありましたし、できれば郵政の方も、もうかっておる電信電話だけが公社になって、もうからない郵便ばかり郵政省に残っては困るので、これも一つにしてもらえないかという議論もあったことは御承知の通りであります。しかも、その一番率の悪い郵政現業を率いております私といたしましては、何とかこれを合理的にやらなければいかぬということは考えますが、合理的にやるということは、国際電電を電電公社の中に入れ、電電公社を郵政省の中に入れるということにはならぬと思います。これはなかなか、理論的にはいいかもわかりませんが、逆コースという意味からいっても、官業が公社に、公社が会社に、もっと自由企業にというふうに移行しつつある世論から考えましても、まあ現在の動向においては、国際電電はそのままの形態でやっていく方がいいだろうというふうに私は考えておりますが、ただいまあなたが申されたように、国際電電と電電公社、すなわち国内、国外のものを一体的に、計画的に運営するということが好ましいということは、理論的に正しいのであります。しかし、これはなかなかできたものを逆に、民営にするというのだったら賛成が多いでしょうが、逆に官営に近い公社にするということは、これはもう待ってましたというくらいに逆コースだと、こう言われるおそれもありまするので、これはやはり世論に十分耳を傾け、十分検討した上に適当な処置をしなければならないと、こう考えてるのでありまして、現在の状態において機構を変更しようとする意思はございません。
  68. 鈴木強

    鈴木強君 非常に大臣は矛盾を認めながらも、今までのしきたりをまあしばらく続けていこうと、こういうようなお考えですが、比較的いいことはいいと、どしどしやる大臣だと私思っておったのですが、どうもそういうところへくるとあとに下っちゃうので非常に残念です。これはまだいろいろ意見がありますが、またにしましょう。次に、公社のマイクロ・ウェーブの回線の設置についてでありますが、今日マイクロ・ウェーブは電電公社が採用して、相当優秀な成績をおさめているわけです。私はこのマイクロというものは、原則としてというよりか、もう根本的に公社が総体的に日本のマイクロを運営していく、管理していく、経営していく、こういうことが正しいわけです。この点につきまして、正力科学技術庁長官にもお尋ねをしたいのでありますが、あなたが科学技術の振興に大いに努力をされていることに対して、私は心から敬意を表し、感謝をするのでありますが、ただ、われわれが心配するのは、今申し上げたマイクロ・ウェーブのことでありまするが、お話によりますと、正力構想ということが相当前から伝わっておりました。あなたは、電電公社と並行的に、マイクロ・ウェーブの会社か何かですか作って、そこで二本立ての運営をしたらどうかと、こういうようなことが、要するにテレビ——民間テレビと申しますか、NHKテレビと申しますか、非常に拡充する過程でそういう構想があったようでありまするが、今日、科学技術庁長官という立場におられるわけですが、どういうお考えをこのマイクロ・ウエーブに対してお持ちでございましょうか、お聞きしたいと思います。
  69. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) マイクロ・ウェーブにつきましては、御承知の通り電電公社で、北は札幌から南は鹿児島まで完成しておるのであります。しかし、このやり方は、平地に鉄塔を立てて海岸線にやるというようになっております。これはひとり日本ばかりでなしに、アメリカや外国も大体その例であります。ところが、私が考えましたのは、日本は幸いにしてよその国と違っております。それはどの点かと申しますると、ちょうど国の中央に高山の山脈がございます。従って、この高山を利用してマイクロをかければ、費用も安くできるし、それからまた時間も短時日にできる。何となれば、立てたならば、太平洋と日本海で両方に行くということができるのでありまして、それをやるということを私は六、七年前に主張したのでありまして、もしもこの日本の地勢を利用しまして、民間でやるのがいい悪いは別としまして、その方法をとるならば、今やテレビのごときは一両年前に全国貫通しております。のみならず、通信網がすべてに——それは先ほど申したように、費用の点ばかりでありません、時間の点ばかりでありません、多重通信をやるのに便利であります。従って、通信網の一大改革ができますので、これができなんだのは非常に残念でありまして、なお、あとのことにつきましては郵政大臣と相談して……。御承知の通り、マイクロ・ウエーブは今日では足りません。もっとなければなりません。ことに警察などのごときは、警察の充実はどうしても通信網の完備です。この点から考えても、どうしてもマイクロをもっとふやさなくちゃならぬと思うているわけであります。
  70. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、六年前からの正力構想というのはまだ消えておらない、こういうことでございますか。
  71. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 六年というより、七年ほど前です。(笑声)それは、私は、日本の地勢上それをやった方が有利だと思います。しかし、私は何しろただ、まだしろうとでありますから、その点については学者の意見もよく聞いて、ことに今度、数日後に電子技術審議会というものができますから、それによく意見をお聞きし、それと、先ほど申し上げましたように郵政大臣とよく相談して……。
  72. 鈴木強

    鈴木強君 それではこの機会に、田中郵政大臣にこの問題についてちょっとお尋ねしたいと思います。
  73. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。マイクロ・ウェーブの問題は、私は郵政大臣でありますから、原則的に私の監督する電電公社がやるべきだと、こういう基本線を持っているわけであります。国鉄に対して、昨年の暮れでありますか、二ヵ所ばかり短かいところを免許してございます。これは名古屋—大阪間、東京—宇都宮間だと思いますが、この問題のときも、両公社の総裁で十分連絡をして、複雑多岐にならないように、できるだけ電電公社のマイクロ・ウェーブを使うようにということを慫慂いたしまして、両公社の総裁の会談に持ち込んで慎重にやったのでありますが、わずかの料金の折り合いがつかないのでどうにもならないということで、名古屋—大阪、東京—宇都宮間だけ国鉄に免許をいたしました。現在の電波法から申しますと、公共の施設に必要なもの、それからどうにも電電公社ができないもの以外は、電電公社でやるというふうに明確になっておりますから、私は電電公社が将来もやるべきであるということを考えております。今、正力国務大臣が言われましたが、私との間にも十分一つ御連絡を申し、慎重に協議をしていただくつもりでありますが、電電公社の行き方が有線主義であるので、もっと新しい方式、マウンテン・トップ方式というものをやったらどうかというような御構想のようでありますが、マウンテン・トップ方式は、電電公社でも今研究させております。そういう意味で、電電公社ができたので、もう一つの電電公社を作るということになりますと、今の国際電電と同じことで、できたものは合併するのには相当問題があります。これから新しくまた同じものを作るということは、これはあまり良策ではないと思います。その意味で、少くとも警察や国鉄、その他に免許をするような場合がありとしても、実施計画等は電電公社が行なって、最も企画的に統一あるものがよろしいという基本線を持っておるわけでございます。しかし、非常にテンポの早い技術でございますので、今までやっておることだけでもって足るということでもありませんので、正力国務大臣との間の調整を行なって、御意見もお聞きしながら、万遺憾なきようにやりたいと考えている次第であります。
  74. 鈴木強

    鈴木強君 郵政大臣の所見を聞きまして、私は非常に同感であります。どうぞその線で一つがんばってもらいたいと思います。次に、郵政大臣は時間の都合があるようですから、ちょっと先に関連をして。あなたは、これは大蔵大臣にもお聞きしたいのでありますが、放送法三十三条によって、これは三十五条にも関連いたしますが、NHKが今日やっておまます海外放送ですが、これは政府が命令をしてやらせる。しかし命令した以上は、その費用政府が出す。こういう仕組みになっているわけです。今日NHKは十五方向十五時間ですね。それと十六カ国語の対外放送をやっておりますが、この費用が、予算を見ますと非常に少いと私は思うのです。ことしもNHKから郵政省に要求した額は六億、これが郵政省で査定をされて二億四千万円になって、さらに今度は大蔵省にいきますと、査定をされて八千九百万円になってきている。こういう事実があるわけでありますが、非常にこれは問題でありまして、NHKが御承知の通り、料金値上げをしなければ経営が成り立たない、こういう事態に立ち至っておることも御承知の通りであります。料金値上げはもちろんできないので、積極的に政府が公共放送として育成する責任があると思うのです。ですから、そういう窮屈な予算の中で、できるだけあたたかい手を差し伸べて、公共放送の使命を達成させるというのが、私は正しい行き方だと思うのでありますが、この国際放送一つ見ましても、実に血も涙もないようなことをやってると思う。大体、放送法第三十三条の解釈をどういうふうにお考えになっているのか、これは大蔵大臣も、あなたは、郵政省から二億四千万円の要求をしたにかかわらず、八千九百万円に減らしておりますが、これはどういう意味で減らしたのか、これも一つお尋ねします。
  75. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えいたします。今日NHKが国際放送で十五方向、延べにして一日十五時間の放送をいたしております。一方向につきまして、今までは二つの送信機を同時に使っておったのでありますが、三十三年度に至りますと、受信の方で非常に安定をしておる地域、たとえば華北等ですな、これには従来二つの送信機を使っておっても一つで済むようになりました。その関係で若干の経費の節減ができたわけであります。従いまして、これは機械の発達、改良というようなことに起因いたしておるのであります。あるいはまた技術の発達、何も経費の節減によりまして放送上あるいはその内容が害されるということはないつもりでおります。
  76. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。NHKの三十三年度の予算の中に、政府から交付を受ける交付金の額は八千九百万円であります。そういたしますと、昭和三十二年度よりも千五百万円減っておるわけであります。三十二年度が十五方向十五時間であったものが、十七方向、十七時間、十八方向十八時間もやらなければならない。またやる計画を持ちながら、なぜ千五百万円削ったか、こういう御議論になると思いますが、これは今、大蔵大臣がお話しになられましたように、十五時間十五方向で交付金額をきめたわけでございます。千五百万円減りましたのは、国際電電の機械使用料が、二台が一台で済む、その経費の減るものがちょうど千五百万でありますから、機械の使用料の減った分、千五百万円を差し引いて八千九百万。でありますから、八千九百万円でできる海外放送は十五時間十五方向であります。しかし、放送法三十三条の一体規定をどう見るかという問題になりますと、十五方向以上やらないという場合にはこれでいいのでありますが、十七方向もやろうとする場合、一体どうするかという問題にぶつかってくるわけでありますので、三十三条の法律の解釈を簡単に申し上げますと、今までは御承知の通り、国際放送はNHKがやらなければならない、また政府は国際放送をやらしめることができる、政府は交付金を出さなければならない、こういうふうな規定でございます。しかし、これはなかなか議論のあるところであって、NHKが国際放送をやるけれども、国際放送を行う全部の費用を国が負担しなければならないと読むべきか、もしくは、政府は国際放送をNHKをしてやらしめることができるといっておるから、政府がやらしめた分だけを払えばいいのかというところには議論がありました。ありましたが、国会の御議論も、できるだけ国が交付金で見るべきだ、それはラジオ等の聴取料が、国民聴衆にそのまま還元をするもの以外に使ってはならないという基本的な原則から考えても、ラジオ聴取料等をもって国際放送の費用をまかなうべきではないという議論でありました。その意味で国が出すべきであると、こういうことであったわけであります。でありますから、十五方向十五時間であっても、国は全額出しておる、こういうふうに言えるのでありますが、三十三年度はもう少しやりたいということでありますので、新しく放送法上の国際放送に対する定義を下さなければならない段階でございます。現在、放送法の改正案を提案いたしておりますが、今度は、受信料を取れるものはNHKの特権である、民間放送はいかなる名目を問わず受信料を徴収してはならない、こういうふうに規定いたしましたので、国際放送はNHKがやる権利があるというわけではなく、やはりやらなければならない義務がある。こういうふうに読むのが正しいという考えでおります。でありますから、将来とも政府が国際放送に対して、できれば全額交付することが望ましいのでありますが、法律的な解釈の仕方からいうと、政府も交付するが、その余のものはNHKの収入によってまかなうべきだ、こういう考えで、新しく予算国会に提案をしておるわけでございます。
  77. 鈴木強

    鈴木強君 これは奇々怪々な答弁をされておるのでありますが、この三十三条の解釈は、あなたのような解釈ではない。少くとも七千五百万円の負担をNHKにさしておる。しかもあなたは、正式に昭和三十三年の四月一日から三十四年の三月三十一日までの間、NHKに対して海外放送の命令をやっておりますか、出してないでしよう。それを出して、その命令に従って幾らかかるかということをきめなければならぬ。それが、予算を節約しておいて、それからあとから出そうとしておる、これはおかしいです。しかも昨年より減ったのは、送信機が二台使っていたのを一台とおっしゃいますが、どこの国を見ても、国際放送をやる場合に、送信機の二台ないし三台を使って、三つの波長を出しておるのです。二つないし三つは出しておる。ですから、時間によってあるいは季節によって、電波というものが同じ所で受けておっても、いろいろ感度が違ってくるのです。そういう意味からいうと、安全弁を持って二つの波で送っているのは、どこの国でもそうやっている。だから一つに減らすということは、それだけ聴取率というものが悪くなってくるとか、聴取が困難になってくる。こういう現実ですから、そんなところまで千五百万円なんてみみっちい金を節約してなんですか。もっと皆さんが飲む金を節約すれば、内閣閣僚諸君が。出てくるのです、こんなものは。そこを私は言っているのです。そういう点をもう少し考えて、海外放送というものが貿易の振興なり国際間の親善に寄与している点は大きいですから、もう少し積極的に私は措置をすべきであると思う。予算を増額する意思はないですか。
  78. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。三十三年度の予算案はもうすでに衆議院を通過し、参議院で御審議をわずらわしておるわけでございますから、三十三年度において増額をするということは不可能でございますが、三十四年度からは一つ大蔵大臣も聞いておられますから、一つ十分出さなければいかぬ。私は、国際放送に対しては非常に真剣な考えを持っておりまして、千五百万円削るということに対しても、しゃくし定木な、そういうものの考え方ではいかぬということを自分自身でも考えたのでありますから、三十四年度は一つぜひ大幅に増額してもらうようにいたしたい、こう考えます。
  79. 鈴木強

    鈴木強君 これは、私は大蔵大臣にもっと、あなたが削ったからして、削減した理由を、放送法三十三条と三十五条に関連して聞かなければならぬのですが、時間がありませんから分科会に譲ります。次に、通信関係で、恐縮でございますが、防衛庁長官にお尋ねをいたします。三十三年度予算を見ますと、器材購入費として六十九億計上されておりますが、その中に通信施設の整備ということがありますが、私の調べたところによると、大体五十億くらいその費用に充てていると思うのですが、この点はいかがですか。
  80. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。防衛庁予算三十三年度は、通信器材、これは施設、器材の全部の中の、六十九億の中で約四十二億三千九百万円というものが通信器材に利用されるものであります。
  81. 鈴木強

    鈴木強君 その内容はどういうものですか。
  82. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。まず第一には、施設整備費というものが二億五百万円ばかりでございます。これは各部隊における通信施設の据付工事であるといったような、主として工事費でございます。二億五百万円ばかりでございます。それから通信の維持費でございます。これは陸上並びに海上、航空、三つにまたがっております。この経費は、陸上においては五億九千二百万円、また海上七億四千万円、航空自衝関係が六億九千六百万円、こういうものでございます。なおそれ以外に通話料、専用の通話料でございます。これが八億二千二百万円、各三部隊に分れております。これにはマイクロ関係の経費がこの中から一億八千万円ばかり出しております。なお、最後に器材の問題ですが、通信機とかレーダー、そういったような関係が十一億円ございます。以上、合計いたしまして、先ほど申しました四十二億三千万円と、内訳はかように相なっております。
  83. 鈴木強

    鈴木強君 航空関係で搭載電子機器という機器ですか、飛行機に載せる電子機器を購入する予算が八億ばかり組まれていると思うのですが、これはどういう機械ですか。
  84. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。航空機には各種の通信器材が搭載されておるわけでございます。御質問の点は、どういう趣旨でございますか、特にこういう器材があるかどうかということでありますれば、これは担当政府委員から答弁しますが、ただいまの御質問は……、航空機上に搭載する通信器材というのは種々ございます。
  85. 鈴木強

    鈴木強君 電子機器……。
  86. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 電子機器もございます。それからレーダー関係も特に多いのであります。
  87. 鈴木強

    鈴木強君 電子機器というのは、どういうのですか。
  88. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 電子機器というのは、エレクトロニックスを利用した通信機でございます。
  89. 鈴木強

    鈴木強君 そんなことはわかっている。何に使うか……。
  90. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) これは事務当局の方から御説明した方が適切だろうと思いますから、さよう御承知願います。
  91. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 現在ジェット機でT33といいますか、それからF86というのを国産化いたしておりますが、このうち電気通信関係は、来年度の予算では総額八億四千万円ばかりございます。その内容は、通信機とエレクトロニックス関係の電子機と両方ございますが、通信機は、たとえば通常の練習機でございますと、二人乗りますからお互いに通信する。それから方向を、ビーコンその他を受けまして方向を探知する方向探知機、それから射撃関係の機銃その他に付属するレーダー等の射撃指揮装置、そういう種類のものでございます。
  92. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。次に、労働行政について石田労働大臣にお尋ねいたします。最近の労働行政を見ておりますと、終戦後の混乱の中から、とにもかくにも労働運動というものが健全に発達をして、労使間において何とかして円満にものを解決したいという努力をしておるのでありますが、石田労働大臣は、現在の総評という労働組合に対してどういう見解をお持ちですか。
  93. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) 大へんな難問でございますが、私は、終戦後の労働組合運動というものが、全体としてだんだんと健全な方向へ向いつつあると思っております。しかし、その中にはなお未成熟な面がまだ残っておりますし、労働組合運動というよりは、労働組合運動あるいはそれの力をもって、現在の社会秩序、経済秩序をこわさなければ労働者の生活の向上は期せられない、ひいては、その手段として使おうというような考え方を持っておる人たちが一部に残っておると思います。しかし、先ほど申しましたように、全体としては次第に健全化の道をたどっておると考えておるわけであります。特に、総評とか全労とかいうものについての区別した批判というようなものは、私としてはなすべきものでないと、こう考えております。
  94. 鈴木強

    鈴木強君 あなたは総評は支持できない——あなたに支持してもらう、もらわないは勝手だと思いますが、そういうことを言っておるのですが、どういう意味で支持できない、全労を支持して……。
  95. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) 私は全労を支持するとか、総評を支持しないとかいうようなことを申した覚えはございません。それから、もちろん、私は労働省という、労使の間に立って、労働法規が順守されることを期待し、それを執行する立場にあるのでありますから、その労働者が自主的に結成ぜられた団体に対して、支持するとか、支持しないとかいう総括的な話をすべき筋合いのものでもございません。
  96. 鈴木強

    鈴木強君 それはまああなたのおっしゃる通りでしょう。支持する、しないは、私も言っている通り御自由ですから、まさかあなたが支持するとか、支持しないとかいう必要もないと思いますが、私はそういう話をよく聞くのです。ないということがわかればそれでいい。そこで、時間がないから、これは基本的な問題で一つあなたにお尋ねしておきたいのですが、少くとも今日、公労協関係ですね、それから国家公務員関係の組合が非常に政府に対して、また資本家に対して不信を持ってきている。この原因がどこにあるかということなんです。かってあの混乱の中から、とにもかくにも民主的な労働運動ができ上って、今日までやってきているわけですが、当時、この国家公務員に対しては罷業権を剥奪し、団体交渉権も剥奪して、そのかわり人事院を作った。そして給与問題については人事院において勧告をする、その勧告を実施していく、そのかわり罷業権をやらないぞ、こういう格好で罷業権を取り上げたはずであり、団交権を取り上げたはずである。ところが、今までやってきている経過を見ますと、出された人事院勧告が完全にやられない、また引き延はしされる。こういうことで、一体、政府責任を全うしていない。また、公労協の国鉄とか電電公社の組合とか、専売の組合とか、五現業の全逓以下の組合にしてもそうですが、たとえば仲裁裁定がされる、その裁定が完全実施されない。そういうことから紛争が出ておるのでありますが、当然罷業権を取り上げた公労協の組合に対しても、現在の労働委員会というものはそれにかわるものだと私たちは思っておる。ところがそういう点が、今日までの歴史を振り返ってみますと、どうも政府の方が誠意をもってやってくれない。そういうことから非常に不信を持ち、そのことから感情に走る場合もあったでありましょう。しかし、今ここで私は冷静に、特に労働行政担当している大臣考えていただかなければならぬことは、あなたが就任されてから、通勤費を出すとか、あるいは未払いの超勤を出そうとか、こういう点で、なるほど組合の要求をすなおにやろうという努力をされておることは私も認められます。しかしその半面、おそるべきことは、これをやるんだ、やるからそのかわり一刀両断に切り捨てるのだ、こういう考えがあなたの心中にあるのではないか、私はそのことを必配している。その現われが、今度の春闘における、たとえば労働省に、あそこに陳情に行っても、警察官を動員して、そうしてその陳情している組合員の前に一列縦隊に並んで、そうしてそれを監視している。装甲車を持ってきて、退散せい退散せいなんていって、そういうことをやっている。これは、あなたに危害を与えるわけでもないし、労働省の中へ乱入をして、公共の建物を破壊しようとしているわけでもない。正当な団体行動として、三百人や五百人の人が労働省の前に行ったところで、私は何もそれに対して警官隊を動員するということは不必要なことだと思う。そういうことをやるから感情的になり摩擦を起すのだ。あなたが考えているかどうか知りませんが、正常な労使関係ということが今日もう保たれておらないのですよ。これは非常にまずいと思う。田中郵政大臣もおられますが、全逓の集団陳情に対しても大部隊を動員して、警察官を……、そうして問答無用でもって向うへ押し返してしまう。こういう警察を労働運動に使う動きが非常に最近強くなってきた。こういう点をわれわれは非常に重大関心を持っておるわけです。ですから、もう一歩踏み出して労働者と経営者が、もっともっと話し合いをして、そうして総評か官公労か必要があるならば、必要があるならば、総理以下だれでも会ってやって、そうして問題の解決をしてやる努力をする必要があると思う。そうしてあなたがほんとうに腹と腹を出し合って話し合う話し合いの中から、いい労働慣行が生まれてくるだろうと思う。この点が非常に私は欠けていると思う。この点に対して大臣はどう考えますか。
  97. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) 私のおなかの中を推察されておっしゃいますが、おなかの中は見せるわけには参りませんけれども、そういう考えはございません。政府としては、なすべきことは積極的になすべきであると思っておりまするし、働いている人たちの当然の要求については積極的にこれに応ずるよう努力をしておるつもりであります。また仲裁裁定の完全実施は、少くとも私が石橋内閣官房長官に就任いたしましてから、再三再四これを公約し、以来一貫して実行に移して参っております。人事院勧告の尊重もこれは直接私の所管ではございません。労働行政の基本として人事院勧告を尊重し、でき得る限りそれを実施せしめておりますことは、通勤手当を支払うことを決定したことをもって了承していただけるものと存じます。それから労働組合の諸君との話し合いの場の問題であります。これは民主的な慣行というものは冷静な理性的な立場に立っての話し合いである。集団の威力をかりて、そうしてそれをもって自己の要求を通そうという形、これはいわゆる民主政治、民主的な理性的な問題の解決でもなければ、十分な話し合いの場とも思っておりません。従って私は五人以上の人とは絶対にお目にかかりません。これはもう私の方の基本的人権であり、私の自由である。そうしてその少数の人によって冷静な話し合いを進めてこそ解決の道を見出せるのであって、多数の人を背景にしておりましては、どうしてもそちらの方を向いてものを言いがちであり、そうして多数の者の意見というものは、これはしばしば多数の動向というものは、一種の集団心理にかられて沈着な冷静な判断を私は妨げると思います。そうしてそういう形における陳情というものは、陳情——名は陳情でありますが、一種の強訴でありまして、そういうものはデモクラシーの基本的精神と反すると思います。それから公共建築物に対しての集団的な陳情と称する行為は、一方においては道路交通の安全性を妨げるのでありますから、従ってそういうことを確保するために警察が適当な処置をとることはこれはやむを得ない。労働大臣といたしましては労働者の諸君と話し合いの場は積極的に求めております。時間の許す限り私はお目にかかっております。しかしそれは多数の人と話し合っても何らいい成果をおさめ得ない、こう私は確信しております。
  98. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 鈴木君、あなたの時間は経過しておりますけど、労働大臣、自治庁長官に御要求がございますが、御両氏ともお見えになっておりますから、もし何だったら御質問して下さい。
  99. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと今の問題……。石田労働大臣と私は親しくお話しをしたこともございません。ただしかし非常にまだ年令的にもお若いし、今後日本の政治家として私は特に、思想は違っても大いな期待を持っておる一人なんです。そのあなたが現在の民主主義というものを判断するのに、少くとも私は今の言われている御所信ですと非常に問題があろうと思うのです。まず労働組合との団体交渉の問題でありますが、五人以上は絶対に会わない、こういうことをどこでおきめになったか知りませんが、少くとも私は、十人や二十人や、普通の労働組合運動の中にあっても、あなたが全労働省の組合と会う場合でも、中央執行委員長以下十人や十五人の役員はおるでしょう。そういう役員の人たちがあなたに会いたいというときに、あなたはそれを拒否するのですか。五人以上会わないというこんな基準をあなたが抱いておることを非常に驚かざるを得ないのですが、私は一面にそれを悲しみました。そういう論旨であることを……。政治家というものはもっと百人の前に出て自分の信念を叶露することもいいでしょう。二百人の前に出て自分の信念を叶露することもいいでしょう。そうしてできるだけ多くの人に自分意見を聞いていただき、知っていただくということを大事なことじゃないかと思います。ですから、労働大臣として、大事な労働行政、これは非常に大事です。それの行政に携わるあなたがもっとデモクラシー的な考え方で、たとえば労働省に押しかける。なるほど来たのは集団で来た。大勢だ。そんなのはデモクラシーでないときめつけて警察官を動員しようという考え方、それは恐るべきものです。私はそういう石田労働大臣では実はなかろうと思っておったのでありますが、きょうあなたのお答えを聞いて実にがっかりしました。もう少し、私はあなたが将来洋々として伸びていくことを考えるときに、もっと労働運動に対して勉強をしてもらいたい。実にあなたは労働運動に対しては落第点だと思う。あなたのような人が労働大臣をやっている間は、現在の労働組合とまっ正面からぶつかって今後も戦うということであれば、警察官を動員して権力をもって労働運動を押えようとしているということをはっきり私はここに認識ができたわけです。私はそれを非常に残念に思います。あえてこの点、答弁を求めませんが……。あなたは大体、人が質問しているのに、その席で笑ったりすること自体非常に不謹慎だ。もっと謙虚な態度がとれないか。それから……。
  100. 亀田得治

    ○亀田得治君 今のに関連して労働大臣に……。これは、具体的にあなたがああいうことを言われたのは、私は聞き捨てならないと思っている。その五人という標準は一体どこから出されたのです。全くおかしいですよ。もう一つは、あなたはさっき五人以上は絶対会わないと言った。そういうことでは全く非常識ですよ。六人になったら会いませんか。そういうことを……。もう一つ。それからあなたは二、三百名の方々が労働省に行かれた、ああいう形を強訴と言われた。何が強訴なんです。二、三百名の方があっちこっち重大な問題について陳情に行くことはたくさんあるでしょう。そういうことをあなたは全部強訴、強訴というのは、これは特別な意味を持っているのですよ。私は法律家だから、厳密に解釈すると、相当の問題の字句ですよ。いやしくも労働大臣たる者は、二、三百名の方が陳情に来たことを強訴、何も二、三百名の方が全部あなたに会おうというのではないでしょう。会おうという人はそれはなるほど場合によっては五名以下になるかもしれない。来ていること自体に対して強訴というような言葉を使うことは、これは取り消してもらいたいと思うのですね。この二点について……。
  101. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) 私は五人以上の人に会わないという建前を堅持しておりますのは、私の判断と私の自由に基いてやっております。その問題は労働組合だけではありません。最近、特に戦後陳情と称して地方から非常にたくさんの人間が固まって出てくる傾向が多い。しかもそれがおおむね公共の費用を用いてやっておるのが非常に多い。そうしてそいう人々の話を聞いておりますと、実際事情を説明したり趣旨を述べるのはきわめて少数であります。あとの人々は単についてやって来るだけなんです。これが地方財政や他の公共的な施設に非常に大きな経費上の問題にも大きな影響を及ぼしていることは、これは何人も認めるところだろうと思います。こういう弊風を私は改めなければならぬ。それからたとえ何人の人とお目にかかりましても、実際その人々は大体同じ立場に立っておいでになっておる、来ておるのでありますから、趣旨を説明される方向は皆同じであります。その代表者をもって足りるのであります。それから五人という標準は、もちろん五人が六人との間に幾らの差もないでしょう。しかしこういう建前を守りますためには一定の基準を設けなければ守れません。五人……六人ならよい、六人は七人でもよいということになりますれば、結局これは守れないということになります。私は労働組合だけでなく、議員に当選をして以来一貫してこういう態度をとっているのであります。選挙区の人でも同様であります。それから強訴という言葉は、私は法律的な意味で用いたのではございません。大ぜいの人の力を借りて、その力を背景として要求を通そうという形は、私の考えておるデモクラシーに対する精神、信念と反するのであります。従ってデモクラシーの精神というのは、冷静に、理智的に話し合って、ものをきめるのである。それはその代表者の少数の限られた人で十分であり、その方がより効果的であると考えております。それがあなた方の御信念と合わないとしても、これはやむを得ないことであります。
  102. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 労働大臣にこういうことを申し上げることは心苦しき次第ですが、あえて申し上げて答弁を求めるのですが、あなたがこの予算委員会のその席から、日本の労働行政の最高責任者として、五人以上のものには絶対会わないのだと、一段と胸を張って声を大きくして発言されるこのこと自体が、私は問題だと思うのです。心がけの問題だと思うのですね。あなたの労働行政の如何というのは日本の再建に非常に関連するし、そのためには、いかにあなたがりっぱな人でも、あなたの労働行政が成功するためには、全国の労働者諸君の協力を得なければできないことなのですからね、ある程度。それをあなたが先ほどのああいう態度で臨まれては、なかなか日本の労働者の協力を得ることはむずかしいのじゃ、ないか、労働行政の将来というものは心配されると思う。そのこと自体が私は問題だと思う。さらに私はあなたに承わりたい点は、吉田内閣の末期に、あなたが当時衆議院の議院運営委員長であられたわけですが、反乱将軍の様相よろしく、あの委員長室にこもられて、そして行動された当時の行動はきわめて計画的であり、活動的であった。あの姿は、私、今追想して、反対党ながらあっぱれであったと思うのです。それが本日のあなたの大をなしていると思うのでありますが、こういう過去のあなたの経験から打ち出されているのじゃないかと私は推察するのでありますが、それはあなたどう思われているかしらんが、どうも私たち第三者から見ておって、石田労政というものは、日本の労働組合にくさびをぶち込んでいく分裂政策をやることによって、そしてあなたの労働行政を強力に進展さしていこう、こういう、意識するとしないとにかかわらず、強力なものがあなたの腹の中にあるのではないかという点をどうも疑わざるを得ないわけなんです。こういう気持を日本の労働者が一人でも持っている以上は、なかなか石田労政というものはうまくいかないし、日本の労働界というものは懸念されると思うし、その点について非常に私は心苦しいわけなんですが、非常に私は石田労政の基本的な問題として重大関心を持っておりますので、あなたの御所見を承わりたいと思います。
  103. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) 大衆にできるだけ接するということと、それから限られた人と冷静に話し合うということとは、私は決して矛盾しないと思っております。というのは、五人の人に会い、十人に会い、二十人に会う習慣をつけましても、それは大衆とはいえないのであります。数多くの人々と会うのには頻繁に会えばいいのです。問題をお互いが話し合ってきめようとする場合には、やはり私は冷静な条件の中で解決すべきものだと考えておる次第であります。しかしわれわれの考え方、われわれのやろうとすることをできるだけ多数の人々に知ってもらう努力、それは大衆の前へ出て説明をいたしましょう。あるいはラジオ、新聞等、あらゆる機会をとらえまして説明の機会を求めましょう。また議論のある方は、そういう、より多数の人々に聞いてもらえる場所を求めまして、議論をされるなら、幾らでも討論に応ずる用意はあります。しかし主として国政掌理に関する重大な問題、かつ困難な複雑な問題、それを話し合うのには、私はあくまで少数の代表者と静かな冷静な雰囲気の中で解決点を求めていくことが私は正しいデモクラシーのあり方であると強く信じます。それからもう一つ、私のやり方の中に力で押そうという考え方があるのじゃないかという御指摘でありますが、私は、自分がやろうと決意いたしましたことは、全力をあげて力でやはりやっていくべきものだ。力強く——力だけでやるわけではありませんが、説得とかいろいろのものを含めて、力強くやるべきものだと思っております。力強くやるということは、私はデモクラシーの中においても必要である。しかしその力強くやるということの中には、理論的な説得も、あるいは宣伝も啓蒙も一切を含んでおります。力と申しましても、腕ずくという意味ではございませんが、そういう意味で力強く行政をやって参りたいとは考えておりますが、しかし力ずくでものを解決しようとは思っていないのであります。よく、私の労働大臣に就任いたしましてから、弾圧をやるというような言葉を耳にいたしますが、何をさして言っていらっしゃるか、私は非常に理解に苦しむのでありますが、人相風体から来るものとすれば、これは私の不徳のいたすところであります。しかしながら、私はやはりやるべき積極的な手段は、あるいは行政は、やって参ってきたつもりであります。
  104. 亀田得治

    ○亀田得治君 労働大臣の話を聞いていると、非常に一方的なんです。たとえば五人の問題に私こだわるようですが、あくまでも話し合いという以上は、相手が七人、八人で話し合いたい——その方式自体についてもやはり話し合いなんです。それをあなたの話を聞いていると、おれの考えていることが世界で一番いいのだ。意識過剰なんです。それは場合によりけりで、そういうことは大体の原則はきめておってもいいけれども、絶対なんていうばかげたことをおっしゃっては、これは労働者が誤解をします。これは答弁を求めるよりも忠告をしておきます。もう一つは、力の問題が今出ておりましたが、あなたのお話を聞いていると、あなたの方こそ力で押しまくっているような感じです。警察を使ったり——こちらの方は警察なんか使えないのですから、せめてたくさんの人が行って意思表示をする。それだけなんです。どちらが一体力で押しまくっているか。私はあなたの方が、どうもはなはだ語るに落ちることを言うのですが、今の話を聞いていると、あなたの方こそいわゆる力で押しまくっている感じですよ。どうですか。
  105. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 議事進行について。今の意見の開陳を聞いておりますと、やはり集団で陳情することが強訴である。強訴という意味は必ずしも法律的な意味で使っているのじゃない。あるいは五人の問題にいたしましても、どうも口先だけで何か言っているのじゃないかというような気がするのです。それが信念ということであれば、立場が違いますから、そう言われることもけっこうだと思います。しかし集団陳情をおしなべて強訴であるという断定を下されるということは、これは非常に不穏当な言葉だと思います。そこで私は委員長に申し上げますけれども、速記録をよく見まして、集団陳情がことごとく強訴であるという一方的な断定を下されたといたしますならば、われわれとしても考えなければなりません。速記録をごらんの上、その言葉が不適当であるという場合には、理事会等にお諮り下さいましてその跡始末をしたいと思っております。
  106. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 委員長から申し上げます。ただいまの松澤委員の御発言は、すこぶる妥当と委員長は判断をいたします。よって速記録を取り調べました上、理事会に諮りまして善処いたします。
  107. 鈴木強

    鈴木強君 非常にきょうの委員会で労働大臣の労働行政に対する基本的な考え方を私たちは聞くことができました。しかしこれは恐るべき考え方でありまして、大臣が神聖な国会の中で労働者大衆に向かって挑戦をした大臣考え方であると私はとらざるを得ません。
  108. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 鈴木君に申し上げます。時間が経過しておりますので、次の問題にお移り願います。
  109. 鈴木強

    鈴木強君 その点はまたいずれ大衆が批判するでありましょう。次に一九四八年のILO総会ですでに条約として決定をしております団結権の擁護に関する条約の第八十七号でありますが、これに対して政府はその批准を非常に渋っておられるようであります。私も第三十八回労働会議に日本労働者代表として出席をいたしましたが、そのときにも特に動議として出され、すみやかに各国はこの批准を促進すべきである、こういうことが言われておりますし、それから昨年のアジア会議でございますか、そこにおきましても同じような趣旨が決議されておるわけであります。今聞くところによりますと、労働懇談会に諮問をされておるようでありますが、これは私は別に法的に何らの権威もないと思うのでありますが、結局そういうことよりも要は労働大臣がこの批准に対してどうお考えになるのか、そしてすみやかにその措置をとるべきではないか、国会に対する批准の手続をとるべきではないか、こう私は思うのでありますが、この点に対する大臣考え方を伺っておきたいと思います。
  110. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) ただいまおあげになりました団結権の自由に関する条約の批准の問題は放置しておくべきものでないと考えましたので、私は就任早々労働問題懇談会にこの問題についての御審議を願うことにしたわけであります。現在の段階で今までのように放置しておくべきものでないと私は思いましたから、就任早々懇談会に付議したわけであります。そこで懇談会は法的根拠がないとおっしゃいますが、今まで労使双方で意見の対立しておる問題について処置をいたしますときは、たとえば最低賃金法案にいたしましても、労働問題懇談会に御意見を伺って、そしてそれに従って大体処置して参る慣例になっておるわけであります。私はそういうやり方が労働問題の処理の上に一番いい方法だ、こう考えておるので、労働問題懇談会にできる限り基本的な問題は御相談申し上げることにしております。従って労働問題懇談会の中で今小委員会を作られまして、この問題について御研究を願っておるわけであります。私としてはこの問題についての基本的な考え方は、私個人としては持っております。しかしそれについてのほかの関連したいろいろな条件の整理その他について、最終的な結論を私は持っているわけではございませんし、それをあわせて労働問題懇談会の御協議を願っておるわけであります。一方社会党の諸君から衆議院委員会におきまして、この条約、今の団結権の由自に関する条約だけでなく、すでに決議せられましたI LOの条約その他の中でわが国に関係のあるものが約五十件まだ未批准で残っております。そういうものの処理を行う機関等を設置したらどうかという御意見もございました。その御意見を尊重して、そういう方法をもあわせて考えたいと思っておる次第でございます。結論から申しますと、私には個人の考えがありますけれども、しかし相当なりっぱな人が集っておられ、しかも長い間御相談を申し上げておる、機関の御協議を願っておる途中において、私の意見を申し上げることは非礼に当ると思いますから、差しひかえておきます。
  111. 鈴木強

    鈴木強君 大臣も何かお考えになっておるようでありますが、この際、私は時間がありませんから特に要望だけを申し上げておきますが、特に公共企業体労組法の改正法案も社会党が提案をしております。聞くところによりますと——聞くところによりますというよりか、国家公務員法の一部改正法案も提出されておりまして、これによりますと人事院の廃止というようなこともありますが、いずれにしても、国家公務員に対する団体交渉権ないしは罷業権それから公企体組合に対する団体罷業権、こういうものもやはり復活するということが基本であろうと思いますが、どうも日本ではその点制限をされております。従ってこのILO条約を批准することが、その面からいろいろ問題がおありになって私は遷延されているものと判断いたします。しかしそういうことではいけませんので、すみやかにこの条約を批准されて、そしてせっかくのILOの精神を日本も尊重していくということを一つすみやかにやっていただくようにお願いいたします。それから委員長、大へん恐縮ですが、あとはもう答弁だけでけっこうですから。
  112. 泉山三六

    委員長泉山三六君) けっこうです。自治庁長官ですね。
  113. 鈴木強

    鈴木強君 自治庁長官と運輸大臣とそれから労働省に一つ。まず、自治庁か、労働省か、大蔵省かわかりませんが、富士山頂の問題ですが、この問題は静岡県の分だ、山梨県の分だと争いがなされておりまして、なしか非常に紛争が起きていると思うのでありますが、この点が今日どうなっておりますか。それが一つですね。それから防衛庁おりますか。
  114. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 帰りました。
  115. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、私は厚生大臣にも伺いたかったのですが、運輸大臣に、富士箱根国立公園の設備を拡充して理想的な国立公園にすることが一番大事だと思うわけです。そういう意味から言って、中央線の複線化工事と、それから富士山麓電鉄会社、それを国鉄がすみやかに買収をしてやる方がいいのじゃないかと思うのですが、これは向うの会社もありますから話し合いもあると思いますが、運輸省としてはどうお考えになりますか、その点一つ伺っておきたいと思います。
  116. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 富士山麓の鉄道、これを国鉄に吸収するという考えは今ございません。中央線はこれは複線化が着々進んでおります。一番輸送力が逼迫いたしております浅川—相模湖間及び名古屋—大曾根間を本年中着工をいたしまして輸送力の逼迫の緩和をしたい。こういうふうに現実にやっておるわけでございます。
  117. 郡祐一

    国務大臣(郡祐一君) 富士山頂の八合目以上につきまして富士浅間神社が国に対して争いを起している事実はございます。しわし静岡県と山梨県自体の間には別に争いを持っておりません。従いまして自治法に基く取り扱いをいたす段階にはいっておりませんし、たとえば富士山頂の観測所におります人たちの住民登録は静岡県でいたしております。それぞれの措置がいたされております。従いまして浅間神社と国と現に係争中の事件以外には何事もございません。
  118. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 午後二時まで休憩いたします。    午後零時五十八分休憩    —————・—————    午後二時二十六分開会
  119. 泉山三六

    委員長泉山三六君) ただいまから委員会を再開いたします。まず委員の変更について報告いたします。青柳秀夫君が辞任せられ、その補欠として大谷贇雄君が選任されました。   —————————————
  120. 泉山三六

    委員長泉山三六君) これより質疑を続行いたします。
  121. 西田信一

    西田信一君 まず最初に河野経済企画庁長官にお尋ねをいたします。長官の手元におかれまして昨年十二月新長期経済計画というものを作られまして、日本の経済の姿を描かれたわけであります。その新長期経済計画の冒頭にその意義を解明されておりますが、その第一点として、日本の人口が非常にふえて参る、ことに生産年令人口が非常に増加して参る傾向にあって、その雇用面からの要請、こういう問題を第一に取り上げておられるわけです。そこで私のお聞きしたいことは、新長期経済計画の最終年度、つまり五年目でありますが、その五年目において日本の人口をどのくらいに予想されておるか、そしてもし御計画がお持ち合せあるならば、地方的といいますか、ブロック別といいますか、そういう予想人口がございまするならば、この数字をまず伺いたいと思うのであります。
  122. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 長期計画におきます人口の想定といたしましては、昭和三十七年度におきまして九千四百五十九万人、これを昭和三十一年度の九千二十五万に比べまして四百三十四万の増加ということに見ております。これを生産年令人口にいたしますと、大体三十一年度が五千三百二十六万人、三十七年度におきましては五千九百五十六万人、差引き六百三十万の増加ということに見ておるわけであります。次に今お尋ねの、これを地域別にどういうふうに考えてどういうものがあるかということでございますが、実はこの長期経済計画におきまして、地域別の計画をどういうふうに見ていくか、どう立てるかということはぜひやらなければいけない、いたしたいものだと考えておるのでございますが、何分全体の計画をすでに発表いたしました程度にまとめますのでさえ、相当に努力をいたしましたので、しかもなかなかむずかしいことでございます。これを地域別にいたすということはさらに難事でございますので、せっかく努力はいたしておりますが、まだそれが最終の段階になっておりません。遺憾でございますが、御了承いただきたい。
  123. 西田信一

    西田信一君 ただいまの御答弁によりまして明らかになりましたように、五年後の人口増が四百三十数万、ところが生産年齢人口はそれははるかに上回って六百三十万である、こういうことでございます。そこに大きな問題があると思います。そこで次にお聞きをいたしたいことは、この最近の数ヵ年間におきまする傾向を見ましても、人口が非常に地域的に偏在をする傾向が見えるのであります。ことに大都市に過大集中するという傾向が非常に強い。東京都周辺の人口集中などは特に著しいように思われます。その反面に各府県の人口の趨勢を見ますと、絶対数はふえているけれども、自然増と社会増との関係を見まするならば、逆に減っている所が大部分である。こういうような傾向が強いのであります。そこでただいまお話のように相当人口増加が考えられる。また生産年齢人口が非常にふえて参る。こういうような傾向から見まして、私は日本の政治の上に人口対策というものがきわめて重要である、こういうふうに思うのでございます。そこで私は、人口対策というのは単なる産児制限というようなことではなくて、もう一歩進んで、もちろん移住の問題もありますけれども、国内における人口の再配分といいますか、あるいは分散といいますか、言葉をかえるならば、国内の人口の地域調整、こういうことが非常に必要と考えるのでありますが、これに対して政府はどのような御見解をとられますか、この点をお聞きいたします。
  124. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御説ごもっともでございまして、ぜひそういう点につきましては十分に考えなくちゃならぬ。先ほどは具体的に地域別の計画はまだ立っておりませんと申しましたが、しかし総括的に申してそう申したのでございまして、たとえば北海道におきましては、特別に北海道開発の五ヵ年計画、さらに長期計画を立てるとか、さらに東北につきましても、東北振興によって特殊にこの地域の開発を目指すとか、九州地区におきましても九州の特異性を考えまして、調査費を明年度計上するとかいうことで、今お話の大都市に集中するこの傾向につきましては、特にこれを全国的に分散をいたしまして、そうしてそこに産業の編成を、なるべく地方に分配するようにしていかなければならないということにつきましては、すでに議員提出の法案等によってこれが具現しておる。政府もまたその趣旨にのっとって努力はいたしておるのでございます。しかしそれがまだ十分でもありませんし、ただ今申しましたように、これに対しての具体的な計画が全国的に立っていないということでございますので、今後も政府におきましても極力その点につきましては、すべての問題について努力をして参らなければならない。御趣旨の通り努力する必要があろうかと考えております。
  125. 西田信一

    西田信一君 政府もまた私と同様な見解に立って努力をされるということでありますが、そこでただいま北海道開発、あるいは東北振興、あるいは九州開発というような地方計画等もその一環である、こういう御答弁でございます。そこで若干私見を加えて申し上げたいのでありますが、私はたとえば北海道開発にいたしましても、昭和の初めに立てられました北海道拓植計画において、すでに六百万人の人口収容を考えておったものが、今度の計画では、戦後における第二次の北海道開発計画において、それが五百五十万に落ちている。四つの島になってかえって減っている。こういうようなことが計画の上からはっきり言えるわけです。そこでそれらはどうも、北海道開発計画の上からこの程度しか人口が収容できないのだ、こういう開発の結果に伴うところの人口収容をただはじき出したというたけであって、もっと進んでたとえば、人口分散という立場から北海道にはこれくらいの人を移すのだというような計画、あるいは九州をどうする、東北をどうするというような、そういう観点から、しからば人はただ住まないのでありますから、これにはもちろん経済の原則を無視しては人の再配置とか、再配分は失敗に終るということは明らかであります。そこで少くともそうするためには、しからばいかなる開発をやり、いかなる政策を行わなければならないかということが、それから逆におりてくる、こういうことであってしかるべきではないかと考えるのであります。そういう点から申しまするならば、ただいま御答弁がございましたけれども、やや消極的な感じがいたすわけであります。もっと積極的に日本の人口の再配分、あるいはまた分散、地方への調整、こういう問題を政府としてもっと積極的にこれを取り上げてもらいたい。それにはもちろん人は自然に流れていくのでなければ、無理に人をやっても無意味であります。そこに当然その裏づけになるところの財政経済政策というものが立って、初めて分散配置が可能になります。そういう意味において今一歩積極的な施策を立てられる御意図があるかどうか、お伺いいたします。
  126. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 北海道の開発計画につきましてお話でございましたが、実は今回立案いたしましたものは、長期経済計画と見合って作っております。この長期経済計画におきましては、これは必ず実行していきたい。単なる理想の案ではなしに、ぜひこれを具現するということを目的にいたしまして、だんだん従来の計画を一次、二次とやっておりますうちに、言葉はどうでございますか、板についてきた。すべてがだんだん縮まってきたというようなことで、こういうような数字が出てきたのだと思います。しかし今お話のように必ずしも縮めればよろしいというのではなくして、もっと理想は大きく持ち、大きく具現していかなければいかぬということはお説の通りであります。こういうことを申し上げてはどうかと思いますが、私は、北海道の石炭の開発ということには、特別に力を入れてやる必要があると思う。これは他の見地からも考えていることでございまして、石炭は北海道開発計画とは別の見地から力を入れる。この石炭の動き工合によって北九州のようなふうに漸次やっていく、こういうような計画と実際の動きが相原因結果いたしまして、そしてそこに新しいものが生れてくると思います。今立っている長期経済計画が多少消極的ではないかとおっしゃいますけれども、これをこのままでよろしいというのではないのでありまして、この長期経済計画におきましても、これ以上にふやしていくことはむしろ危険がある、間違いがあってはいかぬということで、安全性をとりつつ、具現することを目途にしてやっておりまするが、これが他の原因によりさらに大きく拡大して参ることになれば、これは好ましい姿でございますから、いつでもこれを大きく拡大していくことにはやぶさかでありません。着実に安定して政治をしていくということを一応の理想にいたしておりますので、今申し上げましたようなことになりますか、くどいようですが、大きく拡大していくことはむろんけつこうでありますので、それに努力していくことは間違いないのであります。
  127. 西田信一

    西田信一君 大体政府のお考えはわかりましたが、私も、今度の長期経済計画は妥当でないという意味で、申し上げているのではありませんけれども、少くとも人口問題から考えて、人口の少くとも再配分というようなことを考慮に入れて、将来施策をやっていただきたいということを希望申し上げまして、この点の質問はこれで終らさせていただきます。次に通産大臣にお尋ねをいたしたい。政府は目下いろいろ御検討中のことであろうと思いますが、私の耳にいたしておりますところ、古都圏整備の一環として、東京都ないしはその附近に対しまして、一定地域に工業の制限をするというような措置を法律的にとられようと御考慮をなさっておるということを伺っておるわけであります。ただいま、河野長官にも申し上げましたように、今日東京のこの人口過度集中ということは、これはもう度をこしておる。もう人と車の洪水のこの乱雑というものは、これは世界各国例を見ないと私は思うのでございます。首都圏整備ということも、その意味から見れば非常に意義があると思います。これは、あなたの直接の所管でありませんが、しかしながら、百キロ圏内に二千六百万の人を収容しようとする首都圏整備そのものが、すでに再検討を要する段階ではないかというふうに私は考えておるわけであります。そこで、あなたにお尋ねを申し上げたいことは、この首都圏整備の立場から要請される工業の制限、これは別な意義を持つわけでありますが、これ自体についてお聞きするのではありません。しかしながら、今日の日本の現状から見まして、また、日本の将来の産業、経済発展の姿から見ましても、あるいは、先ほど河野長官の答弁にありましたように、非常にふえて参るこの要雇用人口の面から見ましても、私は、鉱工業の飛躍的開発ということが非常に重大な問題になってきておる、こういうふうに理解をするものであります。また一方、既設の工業地帯というものが、これはもうほとんどどの工業地帯でも、いろいろな面に制約をされて、行き詰まりを生じておる。あるいは地盤沈下がひどい、あるいは用水不足である、いろいろな制約を受けて、もうその拡張の余地がなくなっておることは事実であります。そこで、そういう意味から、今申し上げたようないろいろな角度から考えまして、新興工業地帯というものが、これはぜひ必要になる。要求されなければならない、こういうふうに考えるわけでありまして、私は、首都圏整備というような狭い視野からだけではなくて、むしろもっと広い視野から、いわゆる制限をやるというよりも先に、新しい工業都市を建設する、こういうこと自体が大切なことではないかと考えるわけであります。もう大臣も御承知の通り、英国等におきましては、すでにもう十年以上前、一九四六年に新都市法というものを作って、そして新都市の指定をする、あるいは開発公社という公的な性格の公社を作って、これがその開発に当る。あるいはそれについて土地の取得に対する措置が講ぜられるとか、あるいは免税をするとか、あるいはまた、いろいろな面において保護助長を考えられる。あるいは工場建設の勧告をする、こういうようないろいろな方法が講ぜられまして、しかも、英国全土にわたって、現在は十五の都市がこの指定を受けて、非常に成果をあげておる。また、フランスにおいても、同様の方途が講ぜられておるとのことでありますが、こういうような観点からいたしまして、また、先ほど質疑をいたしました人口の問題にいたしましても、私は、人口の分散なんということは、やはり鉱工業という考えを抜いてはなかなか困難であると考えますが、もうすでに日本におきましても、新興工業地帯建設という気運が非常に高まっております。この際、お伺いしたいことは、政府は、新興工業地帯の建設を促進するために、どういう考えを持っておられるか。どういう方針を持っておられるか。まあ通産省でも、いろいろ、単なる省の行政措置として、重工業地帯の指定とかということをやっておられるようには伺っておりますが、もっと積極的な、たとえば、工業都市の振興法、これは仮称ですが、そういったような法律をこの際作って、そうして思い切った新興工業地帯の建設をはかる意思がないかどうか、政府の御見解を伺いたいのであります。
  128. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいま御質問のお話は、すべて私も非常に同感に考えておるのでありまして、今後の日本の鉱工業の発展成長を考えます場合には、どうしても新しい鉱工業地帯を考えていかなきゃなりません。さらにまた、日本全国につきましても、産業立地の適正配置ということを考えていかなきゃならぬというふうに思っておるのでありますが、それにつきましては、結局まず第一に、産業立地条件の調査をやらなければならぬと思います。実は、本年度千百万円の調査費をお願いしておるのであります。そうして資料を集めまして、指導室をこしらえ、今後いろいろ各地方の方々の御相談に応じて、また、こちらも積極的に指導のできるようにというふうに考えておるのであります。さらにまた、経済企画庁には、鉱工業地帯整備協議会というのを設けられております。まあここでいろいろ審議をし、また指定をしてもらって、その地方の整備をはかっていく。ことにこれは、港湾あるいは鉄道その他の関連施設、それにもう一つは、何と申しましても、工業用水の問題であります。工業用水につきましては、毎年補助金を広げて、拡大してきたのでありますが、これについての実は法案も用意いたしまして、    〔委員長退席、理事剱木亨弘君着席〕 御審議を願うことになっておるのであります。まあお話のような法的措置を直ちにとる段階であるかどうかということにつきましては、もう少し調査をし、検討の上で考えたいと思っておりますが、逐次整備していきますとともに、新鉱工業地帯につきましては、ただいま申し上げましたような関連施設あるいは工業用水等の問題を解決していかなきゃならぬ。それにつきましても、十分な方針をきめて、そうして今後誤まりのないような適正配置をやっていきたい。かように考えております。
  129. 西田信一

    西田信一君 今度の国会に、工業用水に関する法案をお出しになることも大へんけっこうであろうと思います。また、そういういろいろな機関を動員しての調査をするということもまあ必要でございましょうが、しかしながら、実際今日新しい工業地帯を建設するという上におきましては、いろいろな制約を受けまして、なかなかこれが実際にぶつかるというと、いろいろな競合が生ずるのです。たとえば、農地との関係において、非常な競合を生ずる。あるいはまた、土地の取得についても非常な困難を生ずる。いろいろございまして、その工業用水に対する助成をするというようなことも、工業振興上の効果は、十分これは考えられますが、新しい工業都市を建設するという、その地域指定を行いまして、その地域内に対しましていろいろな工業都市建設の、何といいますか、便法を与えるといいますか、この建設に便ならしめるというような措置が必要である。調査ももちろん必要でありましょうが、私は、そういうこと、調査なども含めました、そういったような立法措置をすべき段階ではないかというふうに考えるわけでございますが、ただいまの御答弁では、まだ検討の余地があるというように受け取れますが、いかがでございましょうか。こういう問題について、もう一歩踏み切っていただくということが、私はぜひ必要だろうと思いますが、御一考をわずらわしたいと同時に、もう一度、一つ所信を伺いたいと思います。
  130. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいまお話のような点につきましては、われわれも、決して熱意を欠いておるわけではなしに、非常に熱意をもって今後やっていきたいと、かように思っておるわけであります。ただ、法的措置ということになりますと、いろいろな問題があるのでありまして、それにつきましては、今後検討し、そうして逐次実行に移していくというふうに考えておりますので、今後ますます推進していくつもりであります。その点御了承をいただきたいと思います。
  131. 西田信一

    西田信一君 了承いたしました。次には、農林大臣お見えになりませんが、政務次官に、農林行政について二、三お尋ねをいたしたいと思います。まずその第一点は、寒冷地農業の安定ということについてでありますが、御承知のように、北から南に長いわが国におきましては、少くとも半分以上は、北方の寒冷地帯に属するわけであります。そうしてこの寒冷地農業というものは、非常にむずかしいいろいろな要素を持っておる。御承知のように、東北、北海道等において、年々歳歳冷災害にぶつかって、大騒ぎをしておる現状でございます。そこで、こういう状態にあるこの北方寒冷地農業の安定とその発展をはかる、こういうためには、どうしても私は、現状のような、どちらかといえば、米作中心のような農業政策では、これは救われないのじゃないかというふうに考えておるわけであります。いつかも、農林大臣も、北方地帯を回られましたときに、強くこのことを申しておられましたし、また岸総理も、たとえば北海道なんかに参りまして、どうしても北海道でなさなければならぬ仕事の重大なものは、この農業の転換作である、寒冷地農業の確立であるということを強く叫んでおられたのでありまして、むしろ公約をされたと私ども考えておるのであります。そこで、これはひとり北海道に限らないわけでありますが、少くとも寒冷地帯に対するこの地域の指定、寒地農業振興のための地域の指定であるとか、あるいはまた、その寒冷地帯における地帯別の営農類型を国が定めて公定するというようなこと、あるいはまた、寒地の営農振興の計画を国が定める、あるいはまた、もちろんこれは、酪農経営あるいは混合経営農業等によらなければなりませんが、これのためには相当資金が要ります。長期の低利資金の導入をするという、こういうようなことが必要でございますが、こういうような点について、もちろんこれは、特別立法をする必要があると私は考えておるのであります。三十三年度の予算におきましても、若干のこれら寒地農業に対する対策費のようなものが計上されておることは認めますが、しかしながら、まだまだ根本的解決には非常に道が遠い。農林省の中におきましても、この寒地農業の、何といいますか、対策室といいますか、何か設けられまして、いろいろ対策を検討されておることは大へんけっこうでありますが、もう相当時間がたっておりますし、これらの検討の結果は一体どうなっておるのか、承わりたいのでありますが、と同時に、私が先に申し述べましたような特別立法の制定ということはぜひ必要と思いますが、農林当局はどのようにお考えになっておるか。この寒地農業の確立という問題について、一つ所信を示していただきたいと同時に、北方にあって非常に苦しんでおるこの農業経営者に、一つの希望あるいはめどを与えていただきたい。こういう意味におきまして、一つ信念のあるお答えを希望いたします。
  132. 本名武

    政府委員(本名武君) お答えいたします。ただいま御指摘の通りに、従来の日本の農政の米作依存が果していいか悪いかということは、われわれ最も関心を持って検討いたして参りました。昨年御承知の農林白書を出しまして、皆様の御批判をいただくと同時に、その白書に基きまして、新しい政策を打ち立てました。その中には、いろいろ、生産規模を確立することを始めといたしまして、諸般の政策を盛り込んでございますが、特に重点的に考えまして打ち出しましたのは、ただいま御指摘の、米麦に依存いたしました農業を、後進性の強い、不安定な経営を続けている畑作振興対策に重点を置きたい。もちろん、保護政策は今後続けなければならない日本の農業でございますから、米麦に対しましても、より以上の対策が必要であることは申すまでもございませんが、いずれにいたしましても、後進性の強いこの畑作に重点を置きたい。特に近年、ことに最近まで打ち続く冷害に悩まされた北海道の寒冷地帯における農業に対しましては、御指摘の通りで、非常に関心を持っておりまして、従いまして、昨年の三月に、農林省におきましては、これが後進性と、そして寒冷地帯における農業の安定を確保するために、農林省内に寒冷地農業の対策室を設けたわけでございます。このことは、御指摘の通りに、寒冷地に対するいろいろな今日までの農業施策に対して、一つ基本的に再検討してみようということが根幹でございます。従いまして、その上に立って、いろいろ企画をいたしましたり、あるいは調査をいたしましたり、れそから、それらに基きましたいろいろな対策の立案をしたいというのがこの対策室の仕事でございます。それで、今日まで約一年間を経過いたしたわけでございますが、その間におきまして、まず第一に、予算上の措置といたしましては、もちろんこの対策室以外に、寒冷地農業、特に北海道農業として対策をとっておりますが、対策室としてとりました処置といたしましては、まず寒冷地の振興対策費を計上いたしたわけでございます。これは、具体的に申し上げますと、国有の家畜を貸与するとか、あるいは営農用のトラクターを貸し付ける、こういうようなことを計画いたしまして、これの実施要綱を作り、これの実施要綱に基いて諸般の施策をやって参りました。家畜につきましては、乳牛を三千頭、和牛を二千頭貸与する。また、畑作改善等のトラクターを五十セット増加したいということが、大体昨年度直接この対策室として予算措置の上でとった内容でございます。そしてこれらのことをいたしますとともに、経営の安定と発展をはかりますために、農林省に寒冷地農業の調査協議会というものを設けまして、現地と中央とが密接な関係において、これらの基本的な調査をいたすことといたしまして、今日まで続けて参ったわけでございます。このようにいたしまして、直接寒冷地対策室は仕事をして参ったのでございますが、なかなかこの対策も、思うように取り運ばないように見えておりましたが、せっかく地元の方々の御協力によりまして、特に農民の御理解によりまして、着々仕事が進みつつあることは、非常に喜んでおりまするが、これだけではもちろん足りませんので、その後におきまして、さらに基本的な調査を継続いたしまして、まず第一に、とりあえず北海道の冷害に悩まされ、あるいは後進性にその安定がはばまれている、急を要する、救い上げなければならない農家に対して処置が必要だということで、まず、いろいろ経営の基礎になります、基盤になりますところの地方の維持増勢でありますとか、あるいはまた、特別、いわゆる積算温度の低い地帯に対しまして特別の処置をとった、それはまず第一に地域別に営農の目標を定めまして安定への道を明らかにするということであります。これは、先ほど御指摘のいわゆる営農類型をはっきりきめろというお説だろうと思いますが、これに向ってこの目標を立てまして、技術的な経営上の、あるいはまた作付上の指導をしていきたい、このようにいたしまして、これに必要とするところのいろいろな生産基盤や、あるいは生産手段に要する資金を長期低利に貸し付けるということで、特にこのために三十三年度におきましては一応七億円の融資のワクを別途に設けまして、これが対策をとろうといたしているのでございます。そこで、これらのことをやるにつきましてもいろいろ不足があるから、何とかこれを立法化をして、その対策を確立すべきではないかという御意見でございますが、その御意見には全く同感でございます。同感でございますが、今申し上げました、いわゆる対策室だけで処置しております予算行政上の処置のほかにも土地改良並びに土讓改良、特に北海道には心土耕、混層耕を初めといたしまして、種子や作物に対するいろいろな助成をいたしております。これらのことを考えてみますと、まず今日の段階においては立法化をいたさないでもどうやらやって参りましたが、今後におきまして、さらにこれらの諸般の施策を高度化する意味におきまして、あるいはまた後進性を一日も早く取り戻すという意味から、御指摘りような寒地農業振興の立法ということも考えられると思います。われわれもせっかくその線に沿うてただいま立法化の検討を準備いたしておるような次第でございます。
  133. 西田信一

    西田信一君 私の趣旨に政府におかれましても御賛成のようでありまして、立法化についても検討されるということでございまするから、これは時間がかかりましては非常にせっかくの立法も意味がなくなりますので、少くとも近い機会にそのことが行われまするように期待をいたしましてこの問題は打ち切ります。そこで次に、この漁業の問題についてお聞きいたしたいのでありまするが、非常にこの日本の沿岸漁業というものが不振に陥っておる、これはもう御承知の通りであります。もう零細漁民の生活というものは、ほとんど想像以上のものがございます。それはいろいろ原因があると思いますが、私はその中でも、戦争中蛋白資源の供給ということで非常に乱獲をした、ことに底びきなどはどんどんやった、しかも戦前戦後を通しましてそういう傾向があります。このような各種の漁法による乱獲というものが非常にこれは見のがせないと思うのです。そこで、沿岸漁業と、その中型底びきなんかの競合なんという問題も、これはもうずいぶん長い問題で、十年以上もかかっておるが、まだ解決できないという状態にある、ますます漁族資源が枯渇をするということに拍車をかけておるような状態にあると思う。こういうような状態に長くほっておくというようなことは、これはもうむしろ水産行政の全く貧困というよりは無策といっても、これは少し言葉が強いかもしらんが、いえるのじゃないかと思うのでありますが、こういう状態では、これはもうひとり、たとえば底びきと沿岸業者とけんかをしておるということではなくて、両方とも魚がなくなっちゃうと両方とも死んでしまう、そういう状態にあると思うのです。そういう状態にあるときに、一つこの際思い切ってこの問題を急速に解決をしなければ大へんな問題が起きると、私は、考えるのでありますが、このような意味におきまして、これは一つの例を申し上げたのでありますけれども、幾多その他の理由がありましょう。この際沿岸漁業の資源保護ということについて、一体農林当局はどのような考え方を持っており、また先ほど例にとりました、たとえば底びきと沿岸漁業とのこの区域の調整といいますか、もちろん底びき等もこれはただやめさすわけに参りませんから、適当な方法によって転換策も必要でありましょう。こういうような問題について、資源保護という立場から、この水産行政についての基本的な考え方を伺いたいのであります。
  134. 本名武

    政府委員(本名武君) 御指摘の通り、今日の水産行政におきまして一番の問題は、やはり沿岸漁業の振興をいかにするかということであることは、全く同感でございます。従いまして、私どももこれが対策に実は非常に苦心をしているわけでございますが、まず第一に考えられますことは、何と申しましても乱獲や、あるいは戦時中のいろいろな無理な行政のために魚族が枯渇し、あるいは魚道が変化し、それによっていろいろな沿岸漁民の経営の上に隘路が生じたということは事実でございますが、これが対策といたしましては、何といっても漁場の生産力を増すということにまず第一に重点を置きたい。そのために三十三年度予算におきましても、ただいま御審議いただいております通り、この点に大幅な力を入れて御審議を願っておるわけでございます。これは、とりもなおさず資源繁殖、あるいは保護を徹底するということ、そのために浅海増殖、築磯であるとか、あるいは魚礁、あるいは投石などの事業を積極的に行なっていきたい。そうして沿岸漁民、漁業者のいわゆる資源の確保をはかりたい。この生産力の増強に待ちまして、これを整理し、これを能率化する意味で、やはり漁場の調整ということが、御指摘の通り、必要になってくると思います。特に、この沖合と沿岸との漁場の調整ということは、今後の大きな問題だろうと思います。さらにまた、ただいま具体的に御指摘のような底びきと沿岸漁業との操業区域の問題ということは、これは非常に大きな問題であります。ある地方におきましては、戦時中から今日までまだそのままである。あるいはまた、一部の改正をいたしましてもなかなかこれが趣旨を徹底し得ないというようなことがありますので、これらについてはぜひ徹底をした調整をはかっていきたい。特に北海道におきましては、ただいま底びきの禁止区域を定めますについて、水産庁から、みずから現地に出かけまして、その調査と並びにいろいろな打ち合せをいたしているようなわけでございます。その次には、やはりこの沿岸漁業対策といたしましては、漁業者の生産性を向上するということを考えなければならない。このためには老朽なもの、あるいは小型に過ぎるような船を一日も早く作りかえまして、そしてそれに新しい科学技術を導入いたしまして、これに要する特別な資金を注ぎ込んでいきたい。そういうことによりましてこの漁業の生産性を向上し、さらに漁具や、あるいは漁法の改善を期していきたい。こういたしまして参りましても、やはり何といってもこれがとれた物の始末が必要でございますので、必然的に流通対策も合せて強硬にとらなければならぬ。そのためにも諸般の施策をいたしまして、漁家の経済の安定を期して参りたい。このような対策をとっているわけでございますが、これらのことをまず基本的に解決いたしますために、従来の制度の上に何か欠陥がないかどうか、従来の制度を基本的に改正いたしましてこの検討をしたいということで、ただいま漁業制度調査会の法案を提出いたしまして御審議をお願いしておりますとともに、この法案成立の上においては、これらの基本的な問題について、学識経験者その他の方々によって十分な効果を上げられるように運用して参りたいと、かように考えております。
  135. 西田信一

    西田信一君 ただいまの御答弁で基本的な考え方は了承いたしますが、ただ一点伺っておきたいんですが、先ほど政務次官みずからお述べになりましたように、今問題になっておる北海道の底びきの禁止区域の拡大の問題、これは解決を急ぐと思いますが、いつごろまでにこの結論をお出しになるか、お見込みを伺いたい。
  136. 本名武

    政府委員(本名武君) 先ほど申し上げましたように、ただいま水産庁から現地へ参りまして調査をいたしておりますが、大体二十日間の予定で参りましたので、帰り次第水産庁としても検討すると同時に、現地の道ともよく打ち合せをいたしまして、努めて早い期間に結論を得たいと、こういう考えでございます。
  137. 西田信一

    西田信一君 了承しました。次に、木材引取税の課率引き下げの問題に関連いたしまして、郡長官並びに農林政務次官にお尋ねをいたします。今日の地方税法改正におきまして、木材引取税の課率を半分に下げるよう、こういうことであります。昨年五%から四%に下げて、また引き続いてことしこれを半分にする、四%から二%にしよう、こういうことでありますが、このために、地方によっては市町村財政に非常な影響を与えておる。中には、予算編成ができないというような町村もかなりあるように聞いております。町村によっては税収の半分以上をこの税に求めておるという所があるのでありますから、その影響は確かであろうと思うのでありますが、そこで郡長官にお聞きいたしますが、まず第一点として、前年下げたのをまた引き続いてことしその半分にする、これはどういう理由に基くものでございましょうか。まず、その理由をお答え願いたい。
  138. 郡祐一

    国務大臣(郡祐一君) 木材引取税は、御承知のように、課税客体の把握がまずむずかしい。その上に、課税標準でありまする素材価格、あるいは、従量課税にいたしますると石当りの価格、これらのものが、昭和二十九年でございましたか、農林省との間に話をいたしまして、一応の標準をきめましたが、当時に比べますると、かなりな値上りをいたしていると思います。それから、特別徴収義務者の十分な協力を得ませんと、この税はなかなか取りにくいのであります。率直に申しまして、営林署長と特別徴収義務者の協力をもっと緊密にいたしませんと、市町村の手でなかなか把握しにくいところがある。従いまして、それらの点を、素材価格を適正にいたしまするとか、徴収義務者の協力、さらに民有林の面につきましても、十分力を営林署長等に入れてもらいまする段取りをつけまして、そして、この際税率を引き下げ、そして適正な把握をいたそうと、こういうことにいたしまして、引き下げをいたしたのであります。それで、全国的に見ますると、大体見当はつくのでありまするけれども、ただ、北海道及び東北におきましては、従来も相当厳正に徴収をいたしております。これらの点につきましては、税制の改正をいたしまするときは、当然激減緩和の措置をとることでありまして、ことにそのような影響力の強い所につきましては、十分、特別交付税等によりまする減収補てんの措置は講じなければ相ならんと思っております。
  139. 西田信一

    西田信一君 ただいま引き下げの理由を伺ったわけでありますが、私は、次にお尋ねすることと関連いたしますけれども、昨年も下げた、ことしもまた半分にした、こういうようなことであり、要するに、この税そのものについて、税体系上あるいは好ましくない税であるというようなことから将来だんだん廃止に持っていこうというような意図があるのかどうかということを実はお聞きしたいのでありますが、ただいまの御答弁によるというと、必ずしもそうでないようであります。しかしながら、この引き下げによって相当の影響がある地方があるということをただいまお認めになりましたが、しかもそれに対する激減緩和の措置として、特別交付税によってこれを緩和するということもただいま申されましたが、私はこれはなかなか問題だと思うのであります。特別交付税というのはだんだん率も下っておりまするし、将来永久に財源補てんをそれによって求めるということは困難であろうと思うのでありますが、そういう点について将来ずっとそういうような措置をとるというお考えであるかどうか。同時に、これとあわせて、税体系の上から見てこの木材引取税をどのようにお考えになっておるか。この二点を伺っておきたい。
  140. 郡祐一

    国務大臣(郡祐一君) 仰せの通り、従来木材引取税に強く依存しておりました山村と申しまするのは、確かに財源の乏しい土地であります。しかも、木材引取税に多く依存いたさなければならない地方というものは、林道の維持補修にいたしましても、森林防災にいたしましても、かなりな経費を要する地方であります。私どもは、全体の問題といたしまして、地方税の体系をいかようにいたすか。ことに、国会の強い御協力によりまして地方財政がようやく安定、完全に安定したとは申しませんが、安定の方向をとりつつあると思います。この場合に、ひとり山村だけではございませんが、山村とか漁村とか限られたところの市町村の財政力が非薄である。そういたしまするならば、一時はもう全国おしなべてどの町村も対策を講じなければやっていけなかったのでありますが、全体的にはやや好転しかけており、しかも、ある部分だけは依然として窮迫をしているといたしまするならば、これらの財政の考え方、交付税の扱い方にいたしましても、一部はその傾向をただいま御審議を願っている交付税法にも表わしておりますけれども、将来はさらにある特殊な地域に向かって強く財政援助の手を伸べるというような体制をとらなければならないと思います。北海道、東北等の山村等は、その一つの典型的なものであろうと思います。従いまして、私は、地方税の体系の中でやはり木材引取税の占めまする地位というものをある程度評価いたさなければ相ならんと思いまするけれども、それに加えて、さらに財政全般の措置を重点的に講じますとともに、税そのものにつきましても、そのような所に一体向く税はどんなものであろうか。これをひとり地方税の幅の中で考えましても、なかなか解決がむずかしい問題であります。引き続きまして三十三年度では地方税と国税を通じまして、そうして適当な安定した自主財源を付与するのにはどういうことを考えたらいいか、根本的な一つの問題として取り上げてみました上で、一体どういう地位を税体系の上で占めるか、そういう点は十分実情に即して考えてみたいと思っております。
  141. 西田信一

    西田信一君 時間がございませんので、十分な質疑ができないのは残念でありますが、ただいまの御答弁によりまして、私は、少し言い過ぎかもしれませんが、これは大した影響がないというお考えで半分に下げられたところが、ある地方に非常に影響があったということで将来お考えになるということでは、ちょっとそういう該当町村は気の毒だ、こういうふうに実は考えるわけであります。そこで、今とりあえずお聞きしておきたいことは、そういう恒久的な対策もこれはもちろん立ててもらわなければなりません。同時に、先ほどお述べになった特別交付税において当面救済する、救済するといいますか、補てんをするということが十分確約されてそうして市町村に全然何らの不安を与えないということが政府として確約できるかどうか、この一点を伺っておきたい。
  142. 郡祐一

    国務大臣(郡祐一君) 特別交付税の率は、従来の百分の八を百分の六に引き下げましたが、特別交付税の対象となりまする内容を見ますると、従来の災害に対する費用のようなものを普通交付税に移しました。従いまして、特別交付税の額そのものにおいては従来よりふえておりますから、全体の財政状況から見まして、三十三年度といわず、将来にかけましても一つの根本的な措置がとられまして、山村の財政状態が変ります。変ることになればもちろんけっこうであります。現状のようた状態を続けまする限り、その財政緩和の措置は、十分政府として責任をもってとることにいたします。
  143. 西田信一

    西田信一君 了承いたしました。次に、農林政務次官にお尋ねいたしますが、こういうただいまお気の毒な状況でございます。そこで私は、簡単に一つお伺いしたいのでありますが、こういうような気の毒な町村は、大体国有林所在町村に多いのです。そこで、国有林所在町村には、御承知のように、国の交付金が交付されておりますが、その総額は、たしか五億円と承知しております。非常に少額である。そこで、これは民有林の固定資産税と私は大体照合する性質のものであると考えておりますが、これは、一応の計算の基準はあるといたしましても、あるいは国有林の評価額が低いとかいろいろなことで、これは、民有林に比較して非常に問題にならないほど低いのじゃないか、均衡を失しておるのじゃないかと考えます。そこでこの際、こういう際でありまするし、もちろん根本的な解決策とは別でありますけれども、この際一つ、こういうような歳入欠陥に当面しておる町村の立場を考えましても、この少額に失する国有林所在町村の交付金を、これを相当に引き上げる必要があると思うのですが、そういうお考えがないかどうか、お伺いいたします。
  144. 本名武

    政府委員(本名武君) 御指摘のように、基礎的な計算から参りますと、やはり民有林などの固定資産税より低くなっていることは事実でございます。しかし、この交付金の交付の方法といたしましては、今日までは適切にやっていたと考えております。と申しますのは、この交付金の算定の方法は、民有林の固定資産税の課税台帳の価格を基準にいたしまして、その地方の土地土地の立地条件や、自然的な社会的な条件というものを基礎にして、そうしてきめているのでございます。そしてその評価を基準にいたしまして、国有林野の台帳価格に法定率を、いわゆる千分の十四を掛けまして、交付金の算定をいたしておるわけであります。最初から同一の基準において千分の十四を掛けているわけではないので、それぞれの地方における特色を生かして計算をいたしているつもりでございます。しかしながら、ただ、この基準をきめました年次のズレなどがございまして、たとえば、国有林の方は、二十九年に評価をし、民有林固定資産税は三十年に評価する、時間的なズレのためその他のために、若干の相違はあろうと考えますので、御指摘のような、評価がえの論も起きると思いますが、今日までも、そのような御要望がたくさんございましたので、林野庁といたしましては、努めて御要望に沿い得るようにという気がまえで、ただいま検討を始めておる次第でございます。
  145. 西田信一

    西田信一君 次に、堀木厚生大臣にお尋ねいたします。私のお尋ね申し上げたいのは、国民皆保険に関連しまして、国民健康保険の問題を中心にお尋ねいたします。まず第一点は、国民皆保健を実現させるために、当面、国民健康保険の完全実施に重点を置くという方針は、私は賛成でございます。異論はありません。ただ、この国民皆保険という大目的を達する、しかも、その究極の目的というのは、日本の国民全体が同一条件による無差別平等の医療保険の制度に浴するということであって、それによって健康と防貧、この両方の目的を達する、こういうことだと思うのでございます。そこで、この各種保険がたくさんございますが、これらをほんとうは整理統合するということが根本的に考えられなければならない。しかも、これには必ずしも多くの国費の支出は必要でない、こういうふうに考えますが、この基本的な方針は、どのようにお考えになっておられますか。この点をまずお伺いしたい。
  146. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 現在あります社会保険の内容が非常に区々にわたっている、歴史的な、沿革的なものがございますためにそうなっているのでありまして、私どもとしても、やはり理想は、すべての条件が同じになるということが必要だと思うのであります。まあ、国民皆保険の進捗に伴いまして、むろん一方においては、国民がすべて一つの医療保障を受ける、こういうような方向に行く、まずさしあたり、国民皆保険だということを考えておりますが、四ヵ年計画の間には、私どもとしても、おっしゃる通り、ぜひ各種社会保険を同一条件のもとにやって参る、ことに国民健康保険のレベル・アップということは必要であると、常に考えているのであります。今回の国民健康保険法の改正に当りましても、まずさしあたり、給付内容については、健康保険と同じようなことを原則にいたして参りたいというのも、以上の趣旨にほかならないのでございます。
  147. 西田信一

    西田信一君 まあ理想はそうであるが、一挙に参らないと思いますが、そのお考えがおありのようでございますので、この問題は打ち切ります。次に、健保に、これ一本にしろという主張に関連するのですが、健保とか、いろいろな社会保険がございまして、これに入っている人が三年間治療を受ける、ところが、なおらないで職場をやめたり、こういう人が全部やめた後は、国民健康保険で吸収しなければならないということになっております。それからまた、三年間国民健康保険で治療を受ける、そのために国民健康保険に非常にしわ寄せをしている。このために保険財政が非常に苦しいという大きな原因一つをなしていると思うのでありまして、こういう点については、どうもいろいろな法律の上においてちっとも考慮されておらない、保険財政について。このように思いますが、この点はどのようにお考えになりますか。国の特別の負担ということを考えられないかどうか、お伺いいたします。
  148. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 今のお話の問題は、実際問題としてそういう事態が起り得るだろうということは十分考えられるのであります。それらについても、今後私どもとしては、十分考慮して参らなければならないのでなかろうか。今度の法律改正に当りましても、暫定的には健保までやれるように考えているのでありますが、今の御質問のは、それだけでは解決しないわけでございます。十分今後考えて参りたい、こう考えております。
  149. 西田信一

    西田信一君 次の問題に移りますが、先ほども大臣がお述べになったように、今度は、給付内容を健保なみに引き上げるということでありますが、ところが、引き上げの方だけか先に進んで、その裏づけがどうもないように思う。そこで、簡単にお尋ねいたしますが、給付内容の改善あるいは給付費の引き上げということは、これは、できるならば、法律的に、年次的に漸進的にやるという方法をとって、それに対する国庫の裏づけ、負担ということも、それに相応して年次的に引き上げるというようなことも定めておくことが私は適当である、こう考えますが、こういう点の御配慮がないかどうか、お伺いします。
  150. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) それらの点につきましても、今後検討して、実現に努力いたして参りたいと思っております。
  151. 西田信一

    西田信一君 実現に努力されるということでありますから、これ以上伺いませんが、次に、今度財政調整交付金という制度を設けられるようであります。これは要するに、もう財政力がない、負担力がなくて、とてもやれないという地方がたくさんありますが、これらにその制度によってある程度の財政調整をやろうということがねらいのようであります。ところが、従来二割という療養給付費を出しておりましたが、これは、実際には財政調整交付金的な性質を持って、あるいは厚く、あるいは薄いところがあった。今度一律にならす。それで、五分だけで調整するという方針のようですが、それではかえって逆に、従来よりもむしろ減るとか、あるいはふえない。調整交付金という制度を設けても、これが実際の効果を発揮しないというようなことになりはせぬかというような懸念が多分にあります。この点については、具体的にどうなるのかということを一つお示し願いたい。
  152. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 今の問題は、しばしば御質疑にあうわけなんでありますが、これは、むしろ西田さんもよく御承知のことなんだと思うのでありますが、今は、二割でもって国庫が負担しているわけでありますが、その二割のうちで、財政力を考慮して交付するという分は、二割のうちの約四%程度というふうになっております。これを一割二分五厘の均等補助の上に四%を財政調整に充てたい。そうなりますと、現実には一割二分程度から二割五分程度になっておる。これはもう御承知の通りだと思うのであります。今度改正いたしますと、従来の基礎になっております一割二分五厘、この均等分が二割に上ります。そうしてその上に、療養給付費総額の五分が、調整交付金として所得の低い市町村に交付することになっておりまするから、どうも療養給付費補助金と財政調整交付金の五分とを合せますと、これらの町村に従来より少くいくというふうなことは考えられないと、こう考えておるのでございます。
  153. 西田信一

    西田信一君 私は、若干ただいまの御答弁では納得がいかない点もありますが、これは、なお検討を私もいたします。そこで、一点伺いたいのですが、この二割というのは、国庫負担になっておる。一方は負担という表現を用いておられませんが、二割五分を合せて負担金として、そうしてそのうちの五分だけは調整交付金に回すというような内容を持った法律にされることが適当であったと思うのですが、この点は、どうしてそうなさらなかったのですか。
  154. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) ただいまのお尋ねの点は、おっしゃるような考え方も一つあるわけでございますが、今回の法律の制度におきましては、個々の市町村との関係におきまして二割分を負担とする、国の負担とする。言いかえますと、市町村は、その分を国に請求するはっきりした権利を持つ、こういうふうにいたしたのでございます。それから、五分の調整交付金につきましては、全体として五分のワクをとりまして、市町村の状況に応じてこれを配分する、かような方式でございますので、これを負担金とするということが困難であったのでございます。
  155. 西田信一

    西田信一君 次の問題に移りますが、前国会で、厚生大臣大蔵大臣も、事務費については不足であるが、共同調査をやって明らかにして、これは必ず予算に、盛るということを言明されました。ところが、今度予算に現われておるのは九十円、これでは、私はその言明と違うのじゃないかと思うのでありますが、この共同調査の結果はどういう数字が現われたのか、そうしてもし共同調査の結果と違っておるならば、どういう理由でこれが国会における約束通り計上されておらないのか。この点をお伺いいたします。
  156. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 共同調査を二百九十六の被保険者についてやったわけでございます。大体被保険者一人当り百四円という結果が出たわけであります。本来ならば、その共同調査の結果をそのままとれば九十円、今度の予算に九十円組みましたのが、本来百四円であるべきはずである。ただ、御承知の通りに、二百九十六の被保険者について実地調査をいたしましたが、内容についていろいろ議論がありまして、むろんこれらについて、議論の余地は存するところだと思うのであります。まあ率直に申しますれば、何と申しますか、過去二ヵ年間にわたって、ちびちび御承知の通り上げてきたというふうな点もございまして、私どもとしては、少くともこの共同調査の結果に近いものをということも考えましたが、現在の財政の状況では、八十五円を九十円に上げる。そうして一応この共同調査の結果に基いて、事務の合理化というふうなものもさらに努力をいたしてみたい、こういうところでございます。
  157. 西田信一

    西田信一君 百四円の結果が出たんだが、財政の事情によって九十円にしたということでありますが、こういうことであるとするならば、これに対して御努力を願わなければなりません。と同時に、こういう足りない、歳入欠陥が生じます、それを一般会計から繰り入れる場合に、これに対して、少くとも別な面からその財源を市町村に与えるべきだと思いますが、こういう点に対する御努力は、厚生大臣としていかようになさいますか。
  158. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) これも、各方面でいろいろ御質疑にあずかっておる点でありますが、今の市町村財政の一般会計からの保険財政に対する負担というものが非常に困る問題である。これを解決しなければならない。その赤字のおもなものは、率直に言って、事務費が非常に大きな部分を占めておる。事務費の問題を本来片づけなければならない。ことに過去の赤字が相当累積いたしておる。だんだんに上げて、実費に近くして参りますが、それまでに、地方財政としては相当負担があった、こういうふうな問題がございますが、これらにつきましても、自治庁当局の見るところと、私どもの方の見るところによって、お互いに地方の財政能力とあわせて、今後せっかく努力をして、解消に資したい、こういうふうに考えておるような次第であります。
  159. 西田信一

    西田信一君 最後に、日本医師会は、去年の十二月二十四日、またことしの一月十四日、二回にわたって、会長名で都道府県医師会に対しまして、新規の診療契約を拒否するような意味の公文を出しております。そのために、国保の普及が中断しておる。皆保険の遂行に相当な支障が生じておるということも、御承知の通りであります。そこで、このような医師会の指令をどのように厚生大臣はお考えになるか。それから、もちろん医師の協力がなければならないのでありますが、皆保険達成について、どのように医師の協力を求めるか、その対策大臣からはっきりお伺いをいたしたいと思います。
  160. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 各種医療保障に当りまして、医療担当者の協力を得なければ実際に進まないということは、仰せの通りであります。しかし、いろいろな医師会から声明が出るわけでありますが、率直に言って、私どもとしては、今度の診療報酬の単価の合理化というものも、相当な引き上げになっておるというふうな点から、医師会側も、私どもの意図しておるところが真にわかっていただければ、この問題も私は氷解すべき性質のものだ、医師会の名においていろいろな反対声明が出ておりますが、個々の、だんだんにこちらの真意がわかりまするにつれて相当、何と申しますか、必ずしも医師会の表明通り実際は動いておると思えない節もあるわけであります。しかしそんなことを言ってこちらが一方的にものを考えるわけには参りません。すべての医師の診療担当者の協力を得なければなりません。御承知の通り実施が十月一日になっております。約半歳の間にせっかく努力をいたしまして、私どもの方が真意を了解していただけるような努力を一そう重ねて参りたい、こう考えておるような次第でございます。
  161. 西田信一

    西田信一君 後日の機会に譲りまして次の問題に移ります。きょうは開発庁長官である石井副総理の御都合が悪いそうでありまして、残念ながら、政務次官がおいででございますから政務次官にお尋ねをいたしますが、これは北海道開発の問題についてであります。すでに第二次の計画に来年度から入るわけであります。閣議決定もできましたし、大へんけっこうでございます。しかしながら第一次計画の実施についていろいろ批判があったことも、これは御承知の通りでございまして私は時間がございませんから、きわめて簡単にお尋ねをいたしますが、私のお聞きしたいことは、政府のきめたところの第二次五ヵ年計画、これは見方によりましてば、いわゆる公共事業費というようなものを中心とした、言いかえるならば技術的開発計画と、こうも言い得ると思うのであります。もちろんいろいろな融資等の面も考えられておりますが、しかしながら私は北海道等の自然的なあるいは地理的な条件下におきまして、ほんとうの成果をあげる、効果をあげるにはこれだけでは足りないのではないか。先ほども人口問題についていろいろ意見をお聞きいたしましたが、少くとも税制、財政と諸般にわたって、もちろん融資等の問題も、金融との問題も当然でありますが、特別な考慮を加える必要があるのではないか、こういうふうに思うのであります。要するに言いかえまするならば、言葉は短かいのでありますが、技術的な開発政策と経済的な開発政策と、この両方が整って初めてほんとうの開発ができる、今、車が一本で回っているが、どうしても車は二本なければほんとうにうまく走らないのではないか、こういうふうに実は考えるわけでございます。ですからそういう意味におきましては、幸いに北海道開発庁長官は副総理の立場でもございますし、そこで北海道地域に対して税制あるいは財政等を含む、これは市町村等の財政も含めてでありますが、非常に産業も起りにくい、生活がしにくい、こういう状況にございますが、これらの特別な行政措置を考える、こういうようなお気持がないかどうか、この機会に政府の御見解あるいは御所信を伺っておきたいのでございます。
  162. 福井順一

    政府委員(福井順一君) ただいま仰せの通りでございまして全く同感でございます。北海道開発のためには開発計画に並行して、これはただいま西田委員は技術的開発計画と言われましたが、この開発計画と並行してそれらの特例措置が必要であるということは、これはもう当然なことでございますが、何分にもこれは各省と非常に関係が深いことでございまして、各省とよく協議をいたしまして、これが実現に努力したいと思います。
  163. 西田信一

    西田信一君 最後に松永文部大臣に二点ほどお尋ねをいたします。その第一点は体育行政機構の問題等でありますが、現在の体育行政は非常に複雑多岐にわたっております。その結果であるかどうかわかりませんが、体育行政がどうも徹底を欠いておる、好ましくないいろいろな問題が起きておるように思うのでございます。文部省におかれましては、今度体育局というものを作って一歩前進されるように伺っておりまして、これは大へんけっこうだと思います。しかしながら体育局を作るということだけで、果してその効果を十分におさめるかどうかということでございまして、私はむしろ学校体育もあるいは社会体育も、あるいは学校保健、このようなものはもちろんでございますが、アマチュア・スポーツ、職業スポーツ、こういうもの全部を統括して、ほんとうに名実備わるところの体育行政の一元化をはかるということが非常に必要ではないか。こういうふうに実は考えておりますが、文部大臣は、今回の体育局設置に関連いたしまして体育行政の一元化、あるいは強化ということをどのようにお考えになっておるか、この点をお伺いいたします。
  164. 松永東

    国務大臣(松永東君) 西田委員御指摘の通り、スポーツ問題についていろいろ多岐に分れておることは御指摘の通りでございます。ことに近時スポーツの飛躍的振興に伴って、スポーツの行政機構の整備充実が必要であることは論を待ちません。従って文部省におきましては、体育局の設置を御審議を願っておるような次第でございます。しかしながら体育局で所管する事務は、学校体育と社会体育、学校保健、学校給食などでございまして、従来から文部省で所管いたしておりました事務に局限されておるのであります。他省の所管事項を取り上げてやろうという考えは今持っておりません。しかし必要がある場合には、スポーツ振興審議会の答申もございますので、関係各省間の連絡協議会で話し合いをするようにしたいというふうに考えておるのでございます。今御指摘のございましたプロスポーツでございますが、これはやはりアマスポーツに関連の深いものがございますので、文部省といたしましても、これが健全な振興をはかるように十分対策を講じていきたいと存じております。しかしスポーツの中には、まだ御承知の通りほかにも競輪とか、競馬とかいうものもございまして、こういうものも文部省で統合する、一元化するというということはこれはなかなか、研究を要することではなかろうかと存じております。ただ一点だけ最後に申し上げておきたいと思うのは、全国民の体育を奨励するという意味において、国民体育デーというのをこしらえて、そうしてあまねく全国民老若男女を問わず、体育に精進するようにはかりたいと考えております。これは今研究中でございます。日ならず、今、日ならずということを申し上げては恐縮ですが、やがて御協賛を仰ぐようになることと思います。
  165. 森八三一

    ○森八三一君 関連して。今文部大臣は競輪や競馬をスポーツと考えておるとおっしゃったが、実際はどうなんですか。私は今行われておる競輪や競馬はスポーツとはどうも認識しない。今日こういうものがいかに社会悪を起しておるかということは、これは自明のことです。文教の元締めがこれをスポーツとおっしゃっては私は理解に苦しむのですが、もう一ぺんはっきりとした所信をお伺いしたい。
  166. 松永東

    国務大臣(松永東君) 私自身意見を率直に申し述べますならば、今仰せの通りこれはスポーツと考えておりません。これはばくちと考えております。しかしながらこれはやはり一面においてはスポーツと見て、そうしてスポーツ関係だと主張しておる人も相当ございますのでそれで申し上げたのでございます。しかしこれは私はスポーツのらち外ではないかと私自身考えております。従ってこれを今統一して、一元化して私の方の、文部省の所管にしようという考えは持っておらないということを申し上げただけでございます。
  167. 西田信一

    西田信一君 最後の質問ですが、これはオリンピックに関係した質問ですが、国際スポーツが日本においても非常に盛んになって参って、世界的にその地位と立場が上って参っております。戦前を凌駕しておると申してもよろしいと思う。であらゆる政治、思想をこえて国際親善の実をあげておることもまさしくその通りであります。近くは東京でアジア大会が最大の規模をもって開催され、また来たるべき第十八回と思いますが、オリンピック東京招致、これは全国民的な運動になっておって、私はその成功を祈っておる一人でありますが、そのために近くIOCの会議も東京で開かれる、こういうことになっております。そこでかつて昭和十五年、つまり一九四〇年に東京に第十二回のオリンピックを呼ぶと、それから同時に札幌で第四回の冬季オリンピックが決定しまして、われわれもその準備委員の一人として相当準備を進めておりました。ところがこれが戦争のために両大会は返上の運命にぶつかったわけです。ところが今度第十八回の東京大会をこれにかわって呼ぶということは、ぜひ成功させたいと思って実は私どもも期待いたしておりますが、この際政府にお尋ねしたいことは、冬季オリンピック、かつて日本にきまったことがある、この冬季オリンピック日本招致に対する政府の見解を伺いたい。現在まだ冬季大会を呼ぶということは表面化、具体化しておらないようでありますが、日本の冬季競技の普及、発達ということは、戦前よりはるかにレベルが上っております。内容が充実しておる、あなた方の方で主催しておられる国民体育大会の冬季競技などでも、今年はスキーが参加県三十四、スケートが二十、両方合せて三千名以上の者が集まって非常に盛会をきわめております。先年政府の協力と援助によって札幌で行われました、日本で初めて行なったスケートの世界選手権大会、これは大成功をおさめておる。このように十分、冬季オリンピックを日本に招致する可能性は戦前よりむしろ高いと私は考えております。政府は冬季オリンピック日本招致について、どういうような考え方、見解を持っておられるか、まずこれを伺いたい。
  168. 松永東

    国務大臣(松永東君) 西田委員の御指摘になりました通り、国際オリンピックは、国際的の親善を増強する意味からいっても、ぜひ一つ日本に招致せんけりゃならぬと熱望いたしております。全く今から考えましても、一九四〇年に日本に招致するようにきまっておりましたのが、御承知のように軍部から妨害せられ、とうとうその目的を達成することができなかったことは、かえすがえすも残念なことだと考えております。特に私はの当時その運動に参加しておりました一人としてまことに残念であった。あれさえあれば、ああいうつまらん戦争が起らなくて済んだのじゃないかというふうに考えておるのであります。従って御指摘になりました、次の十八回のオリンピック招致は、大々的に一つ国をあげて招致運動をやってみたいと存じます。すでに一九四〇年日本に招致いたしますときに、札幌におきまして冬季大会を開くようになっておりました、御承知の通り。従いまして、十八回のときには、どうしてもこれは必然的にやはり冬季大会が招致せられることだと存じます。しかしこうした問題は、それぞれの地方において熱望がなければなかなか達成するものじゃございません。やがて十八回招致までには札幌もしくは北海道方面において、その地域的に適当な場所から相当の熱望が出てくると思います。それに呼応して善処するというようなつもりでございます。
  169. 西田信一

    西田信一君 非常に御熱意のある御答弁で満足いたしましたが、もちろんこのオリンピックの定めに従いまして、その都市が立候補すると、こういうことになっております。ただいまお話のように、また体育関係の熱意というものも必要でございますが、こういうような、ただいま文部大臣が御説明されたように、札幌と限りません。国内におきまして適当な都市が立候補するということが、ございました場合におきましては、政府は東京大会に対すると同様に、これは国の援助がなければできません。これと同様な積極的な協力と援助を与えられる御意図があるかどうか、最後にお伺いいたしたいと思います。    〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕
  170. 松永東

    国務大臣(松永東君) さっき私が申し上げたこともこれは失言であったかもしれませんが、札幌と限ったつもりではないのです。それは一九四〇年に札幌がそういう運動をいたしましたので申し上げたのです。札幌以外の適切な場所でそうした要望が必ず起ってくると思います。それに呼応いたしまして必ず協力いたしまして、冬季大会を開くようにいたしたいというふうに決心をいたしております。
  171. 田村文吉

    ○田村文吉君 私は通産大臣に対しまして、東北地方の電力の料金改訂の問題につきましてお尋ねをしてみたいと考えております。本問を提出いたしまするに先だちまして、これは政府委員の方でけっこうなんでありまするから二、三のことをお尋ねいたしてみたい。第一番目に伺いたいことは、現在の電力料金は認可制度になっておりまするが、どういう基準で料金の上げる、下げる、そういうような問題についてお進みになっているか。たとえば原価主義によるとか、あるいはその他地方の実情もしんしゃくして考えるとか、あるいは過去のいろいろの因縁等も考えておきめになるとかいうような点があるだろうと思うのでありまするが、在来の電力料金のきめ方はどういう主義のもとにおきめになって参っておりましょうか、それを第一に伺いたい。
  172. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 原則といたしましてコスト主義でずっときております。これはまあ一貫して貫いてそれでやって参ったのであります。詳細につきましては政府委員から。
  173. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) お答えいたします。現在の電気料金制度の立て方でございまするが、ただいま大臣からお答えいたしましたように、基本的にはいわゆる原価主義というものに基きまして決定されております。御承知のように電気料金制度の基本に関しますることは、占領時代にできました公共事業令、これが実は形式的には死んでおりまするけれども、実際上は電気に関する臨時措置に関する法律という法律によりまして、全面的にそのまま生かされております。従って実体といたしましては、公共事業令が適用になっております。その公共事業令に基きまして、電気料金に関する算定基準というものが省令できまっております。この算定基準に定められておりまする原則に従いまして、算定いたしておりますが、そのやり方は基本的に申しますれば原価主義ということ、この決定の原則といたしましては、適正な報酬をまかなうに足る原価を基本といたし、さらに公平の原則というものをこれにつけ加えまして決定をされておるというのが実情でございます。
  174. 田村文吉

    ○田村文吉君 公平の原則ということはどういうことですか。
  175. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) 公平の原則と申しまするのは、同一の供給条件のもとにおきましては、その供給を受けまする需用者間において差別待遇をしてはならない、こういう意味の公平の原則でございます。従いまして供給条件が同一であるということが一つの前提でございまして、その同一の供給条件の場合において、甲の需用家と乙の需用家の間に料金の差別をしてはならない、こういう意味の公平の原則でございます。
  176. 田村文吉

    ○田村文吉君 公共事業令が出た場合において、全国一律であった場合においてはよろしいのですが、今日のように、会社が分れておって、事情がみな変っておりますが、そういう場合でもやはり原価主義だけの御原則でよろしいのですか、そういうお考えでいらっしゃるのですか、お伺いしたい。
  177. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) われわれとしましては、コスト主義という原則については、ただいまのところいいんじゃないかと思っておるのでありますが、ただ御承知のように、料金制度全般にわたって再検討すべきだというふうに考えております。と申しますのも、このままほうっておきますと、全国的にどうしてもまた上げていかなくちゃならぬような事態が起る。ことにまた各地の電力会社間の格差がひどくなって参りますと、料金についても同様でありますし、需給のアンバランス、あるいは企業内容につきましてのアンバランスと、こういうような問題が起っておりますから、そこですでに電気料金制度調査会というものを設けまして、これは根本的に、長期に相当な期間をかけまして、そして研究して、電気料金制度についての再検討をやる、こういうことで参っておるわけであります。
  178. 田村文吉

    ○田村文吉君 昨年の七月に料金制度が、北陸と東北に対して改正が認可されたのでありますが、その当時の北陸における値上げのいたし方は、古いものに対してはあまり値上げをしないと、しかし、新規にこれから増設されるものについては多く上げると、こういう行き方であった。東北の方では、そういう差別なしに、一律に上げるということで申請しておったようでありますが、その結果は、東北のことはわかりますが、北陸の方はわからぬのですが、どういうふうになっておりますか。
  179. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) 今、田村委員御指摘の通り、昨年の七月に東北電力と北陸電力とが料金の改訂をいたしたのでございますが、その際に、北陸電力につきましては、三十二年度の年度の当初以降におきまして、新たに設備を増設し、あるいは新設をして、受電契約をするという設備につきましては、高い料金を課するという体系にいたしたのでございます。この考え方は、新しい需用に対しましては、どうしても、その後の建設費の高騰、資本費の高騰等に基きまして、増分原価の吸収をはからなければならない。従いまして、どうしても料金が高くなる傾向にございますが、それをすでに過去において、その地区内に建設をし、事業を営んでおられまする方々に対して、さかのぼってふりかける、その負担を分担していただくというような建前にすることは、やや不合理ではないかという考え方がございまして、北陸電力管内につきましては、そういう制度をとりました。その通りに認可になっております。ただ、それでは東北電力についてはどうかということでございますが、東北電力の管内につきましても、実は同じような制度をとったらどうかという意見がございまして、東北電力の当局とも、会社の方とも相談をしたのでございまするが、東北電力といたしましては、需用家の方々に対するPRと申しまするか、そういう制度をとるということが、あらかじめ徹底をする時間もございませんし、そういうような関係から、今回は北陸電力だけにつきましてそういうような制度が設けられた次第でございます。
  180. 田村文吉

    ○田村文吉君 私は東北地方電力需用連盟から陳情の書類をいただいたのでございますが、この書類は事業局長のところにも行っておりますね。その内容について私ちょっと伺いたいのであります。それはまず第一に、電灯の料金でございまするが、これを東北、東京、中部、関西に比べて見ますというと、電灯は今度の四月一日からのいわゆるスライディングによって上る料金が十一月三十四銭二厘でありまして、東京は十円三十九銭、中部が十一円十三銭、関西は十一円と、すなわち約一割以上東京、中部、関西等と比べまして、東北のあの雪の深い、しかも、日の短かい所で使います電灯が高いのでございますが、この数字には間違いはございますまいか、どうでございましょうか。
  181. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) ただいま御指摘になりました東北地方の需用家の方々が出してこられました資料は、これは昨年の改訂の際におきまして、一応料金単価につきまして、電灯——電力種別に出されましたその電灯の部分だと思うのでございますが、電灯の部分につきましては、お話のようなことになっておるかと思っております。
  182. 田村文吉

    ○田村文吉君 次に小口の電力でございますが、小口の電力は、四月一日以降におきましては、七円四十一銭六厘が東北であって、東京が五円六十一銭、中部が六円二十五銭、関西が六円六十八銭となっております。東北における小口の電力というものは、東京のそれに比べまして三割二分ばかり高くなっておるのでありますが、この数字には間違いございませんですか。
  183. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) 電力関係の電力部門の契約種別につきましての料金単価の数字につきましては、これは実は需用家の方々の方面における御計算と電力会社の計算あるいは私どもの方の役所の方で計算いたしまする数字はよく食い違うのでございますが、これはその電気の需用家のお使いになる供給条件のあり方等によりまして、基本料金なり電力量料金なり、あるいはアワーの関係等につきまして、それぞれ差別がございますので、その中の一定の条件のもの、たとえばどういうふうな電力を使うかという、その電気の質にも関連をいたしますので、一がいに申し上げられないのでございますが、ただいま実は手元に今、御指摘になりましたあれを持っておりませんのですが、私どもの方で供給料金として算定をいたしましたものにつきましては、ここに詳細な表がございますので、あるいは御要求によりまして御説明申し上げてもよろしいかと思います。
  184. 田村文吉

    ○田村文吉君 こまかい表をいただいても仕方がないと思うのでありますが、ただ、私は大口のものはあとでお尋ねいたしたいと思いますが、小口電力が七月四十一銭六厘が、東京は五円六十一銭であるということは、重大な不均衡であるかと思うのでありますが、小口電力だけに対しての大体の数字はおわかりになっていませんでしょうか。
  185. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) 私どもの方で当時の値上げ率に基きまして試算をいたしました小口電力の単価でございますが、単価は、御承知のように三十三年度から本件としての認可は三十三年度以降において約一八%前後上り、三十二年度分につきましては、特に割引措置をいたしたのでございますが、東北電力につきましては、小口電力の単価は七円四十一銭六厘、これは三十三年度からの分でございます。それから北陸電力につきましては……。
  186. 田村文吉

    ○田村文吉君 東京を聞いておるのです。東京が五円六十一銭となっておりますが、それは間違いありませんか。
  187. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) ちょっと東京電力の管内につきましては、実は私、今、的確な資料を持っておりませんが、東北電力については、そういうことになっております。それから北陸電力につきましては、小口電力は五円九十一銭九厘ということでございまして、東京電力の管内につきましては、一定の供給条件を前提といたしまして試算をいたしました数字は、なお後ほど資料によりまして御説明申し上げたいと思います。
  188. 田村文吉

    ○田村文吉君 次に、大口の一般契約の昨年の値上げと合せまして、陳情書の第三表でございまするが、これはあなたの方に資料のお手持ちがございますかどうか知りませんけれども、大口の乙で、今年度からは昨年の値上げ前のものに比べまして、大口の乙二割八分、それから大口の丙というものになりますると三割三分値が上ると、こういうことになっておるようでありまするが、この資料はいかがでございましょうか。
  189. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) 私どもの方の試算によりますというと、東北電力につきましては、大口の乙の三十三年度以降の値上げ率、つまり昨年の七月改訂前に対しまする三十三年度以降の値上げ率は二七・四%ということでございまして、それから北陸電力につきましては、二四・五%、なお、ついでに三十二年度、今年度でございますが、今年度の割引率の場合におきましては、東北電力は二二・五%、北陸電力は二一・九%、こういうふうな計算になっております。
  190. 田村文吉

    ○田村文吉君 丙は。
  191. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) 大口の丙につきましては、同じく東北電力で申しますれば、三十二年度の暫定料金の場合におきましては、二一・四%、三十三年度以降は二六%の値上げ率でございます。それから北陸電力につきましては、大口の丙は、三十二年度の暫定は一八・三%で、三十三年度以降は二二%の値上げ率と、こういうふうな数字になっております。
  192. 田村文吉

    ○田村文吉君 今おっしゃったのは一般契約でなくて特約も含めた平均だろうと思うのでありまするが、私の伺いたいのは、一般の常時電力が、大口の乙においては二割八分上り、大口の丙においては三割三分上っていると、こういうことを伺いたいのであります。北陸の方はよろしゅうございますから、東北の分だけ一つお答え願いたい。
  193. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) 東北の分についてお答えをいたしますが、最後の数字は、特殊電力関係は除いてございまするが、御指摘のように大口の電力の中には特約の分も含めて計算されてございます。
  194. 田村文吉

    ○田村文吉君 特約を除いたものはどうですか。私のお尋ねしたことが正しいかどうかを一つお答え願いたい。
  195. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) 特約を除きました数字につきましては、実は私の方にただいま試算がございませんですが。従いまして、ただいま田村委員がおあげになりました需用家の方々によります試算によりまする特約を除いたいわゆる一般だけの値上げ率というものにつきましては、実はただいま手元に数字がございません。従いまして、それが正しいかどうかということにつきましては、ちょっとお答えいたしかねます。
  196. 田村文吉

    ○田村文吉君 特約電力、特殊電力、いろいろございますが、かようのことはあり得ないことと考えるのでございますが、今度の実際値上げされたものを各業種に従いまして分けてみますというと、だいぶ違うのでありますね。これはさっきのいわゆる公平の原則でおきめになっているのであって、それは電力の質を検討した上できめたのであるから、結果がそうなっただけであると、こういう御説明になろうと思いますが、たとえば紙パルプは三割七分上っているのですね。それからソーダは三割九分上っている。それから鉄鉱は一割七分五厘上っている。化繊会社が一社あるのでありまするが、化繊の会社は五割一分上っているのでございますね。こういうことが私の方で調べた数字に載っているということで陳情を受けているのでありまするが、これはお認めになりますかどうか。
  197. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) 先ほど申しました公平の原則に関連してお尋ねでございますが、ただいまおあげになりました各業種、たとえば紙パルプというような場合におきましては、結局公平の原則と申しまするのは、先ほども申しましたように、同一の供給条件のもとにおける同一の取扱いということでございます。従いまして、田村委員御承知のように、電気の値に応じまして、どういう電気を使うかということが非常に重大な関係がございまして、紙パルプ等におきましては、常時電力が大体主でございまするので、こういう関係で比較的、平均の値上げ率に比較いたしますと、割高になるということになりますが、ただいまおあげになりました各業種の値上げ率の数字そのものが正しいかどうかということにつきましては、私どもの方から、それが正しいということにつきまして、あるいは正しくないというようなことについて、詳細に検討してみた上でなければ、また、その供給条件がどういう供給条件のもとにおける需用家の値上げ率であるかということによりまして非常に違って参りますので、お答えいたしかねますが、一般的に申しまして、そういうような常時電力を使う需用家の方々については、比較的割当な値上げ率になっておるということは認めていいと思います。
  198. 田村文吉

    ○田村文吉君 今年は暖冬異変とでも申しましょうか、非常に暖かであったために、水力の出力が多かった。それでおそらくは東北電力は五億キロから六億キロくらいは昨年に比べて電力が豊富に水力を得たんじゃなかろうかと、こういう大体見込みを立てておるのでありますが、もしかりに五億といたしまして、これを四円に売れば二十億円、かりに六億としますと、二十四億円の昨年に比べて利益が計上されていいと、こういうふうに私どもは見るのでありますが、大体の暖冬異変の結果はどんなふうでございましたか、伺いたいと思います。
  199. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) 三十二年度につきましては、ただいまお話のように、一般的に申しまして豊水でございまして、まず水の出方から、実績を申し上げまするというと、東北だけでよろしゅうございますか。
  200. 田村文吉

    ○田村文吉君 東北だけ。
  201. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) 東北電力につきましては、三十二年度の上期の出水率は一二・三%の豊水でございました。下期に入りまして、御承知のように、十一月は非常な渇水でございまして、八八・八%というところまで落ちました。また十二月も渇水でございまして、一〇〇%を割りましたのでございましたが、一月、二月が比較的豊水でございまして、一月は六・四%、二月は一七・八%というふうな豊水でございます。三月の状況は、最近はまたやや渇水でございますが、年間を通じましておそらく豊水であることは、これはもう間違いないと思います。そこでそれに基きまして、今お話を伺いましたように、豊水によるどういうふうなこれが収支面においてメリットがあるかということになりますると、一つには、豊水でありまするというと、結局電力がよけいできるわけでございますので、需用面においてもそれだけ需用が増加する、つまり売り上げのキロワット・アワーが増加するというメリットが一つと、それからその反面におきまして、東京電力等からの融通電力をもらわないで済む、融通電力量が減るというメリットと両方合せて考える必要があるのでありますが、われわれの方の推定といたしましては、需用の増加によりまする販売電力量の増加は、東北電力につきましては大体二億三千万キロワット・アワーくらいではないか。それから融通の減によりまするキロワット・アワーが約一億くらいでございまして、両方合せまするというと、三億三千万キロワット・アワーくらいのつまり売り上げ増ということに予定だけはなるわけでございます。そこで、これが収支面にどういうふうな影響を与えるかということでございまするというと、上期においては約五百万くらいでございましたか、ごくまあわずかでございまするが、黒字でございまして、下期においても大体今の調子でいきますれば、数百万くらいの黒字になりはしないか。従いまして、年間を通じまして、大体まあほぼ電力会社の膨大な経理から申しますれば、収支ほぼとんとんというようなところまでこぎつけたのでありますが、それは、御承知のように今年度の暫定割引料金をきめまする際には、本来の値上げ率をベースにして計算をいたしましたものに対してさらに割り引きをいたしましたものでございまするからして、当然赤字になるべきところが、結局これらの豊水の実績によりまして、ほぼ収支相償う実績を得た、こういうような結果でございます。
  202. 田村文吉

    ○田村文吉君 私は、少くもその差が五億から六億あるだろうと、従って、金に見積って二十四、五億の金が浮いたのだろうと、こう思っておりましたが、今の御説明でも、大体その半額くらいだと、こういう計算になるようでございまするが、一応、御説明でございまするから、さように了承いたしまして、大臣一つお尋ねをいたしたい。昨年の五月の予算委員会で、私は岸総理に向いまして、東北及び北陸の電力会社が、それぞれ平均二割一分ないし二割四分の値上げの申請中であったのに対しまして、これら地方の産業の破壊的の値上げであるということをるる開陳いたしまして、善処方を要望したのに対しまして、重大であるから十分に研究してみようということで、十分の御研究を願っておったと思っておったのでありましたが、国会が終了いたしますると、間もなく値上げが発表になりましたのでありまするが、その値上げ率たるや、実に膨大な値上げ率でございましたので、東北方面における事業をやっておられる方々は、非常な驚きと苦痛を感じたわけであります。ただ昨年は、皆さん御承知のように神武景気などと申しまして、割合にまだ産業の発展があるべきものと考えた、電力会社も考えた。あるいはそう申しては失礼ですが、やはり電気料金を認可なさる方の方も少しく楽観的にお考えになったのじゃないか。まおこれを受ける人たちの方でも、若干楽観的に考えられたのじゃないかと思うのでありまするが、私は、非常に危険な値上げであるということを、当時御指摘申し上げておったのでありまするけれども、結果においてはさようなことに相なって今日にきておるのでございます。そこで今、小出局長さんからいろいろ電灯料の問題についても、まさしく東京のあのキャバレーで照らしておるところの電灯と、秋田の山の中の水車小屋で回しているその所で使う電灯の料金というものは、一割秋田の方が高いのだ、こういう事実はお認めいただいた上で、また小口電力に対しましても、今申し上げたように三割以上の値上りであり、大口の動力に対しては、皆それぞれ三割二分、三割三分ということになって参りまして、これは一つの実例でございまするけれども、東北における一つの製紙工場と関東における製紙工場の、規模が同じ規模の電力を使用しておりまする工場において、実際的に計算いたしまするというと、一年分の電力料金というものは二割五分東京の方が安いのであります。東北開発とか何とかいうことで、非常に僻地の開発について心を用いておられ、また用いなければならない事態におきまして、かような非常に雪の深い、寒さの強い、生産条件のきわめて悪い所と都会——東京、大阪等の、産業上、運営の上にいろいろの便宜を得ている所とにおきまして、電力料が東北の方が逆に高いということでは、非常な不条理と認めざるを得ないのでありまするし、大体東北地方に今日とにかく化学工業なりいろんな産業が興りましたことは、電力が安いからこれを目当てにして産業を興そうというので、莫大な資本金を入れて東北に事業を始めた。それが電力会社の都合によりまして、今申し上げるような、逆に二割——二割五分も高い電力をこの僻陬の地において使わなければならないということでは、東北開発の名前が死んでしまう、泣き出しちまう。こういうように私は考えざるを得ないのであります。極端な例を申しますると、東京の近郊でカーバイドを焼きますよりは、秋田の山の中で電気を使ってカーバイドを焼く方が二割も二割五分も高い料金を使わなければならぬというようなことであっては、これはもうとうてい東北の開発などは口で言うても実質はできなくなる。こういうふうに私は感じるのでございます。そこで、昨年は神武景気に浮かされて、とにかくあやまちを犯して、今日非常な料金値上げをしたのでありまするが、私は、今年の四月一日から暫定料金が変って、本料金としてさらに三分何厘の値上げが行われようとすることでございまするから、これは、一つは昨年のあやまちをあやまちとして考え直していただいて、通産大臣から特別の手を打っていただくことはできないだろうか、こういうことを考えますので、まず、この点につきまして大臣の御所見を伺いたいのでございます。
  203. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいまのお話につきましては、われわれも御趣旨はよくわかるのでありまして、従いまして、実は昨年のいきさつから申しますと、あれだけの値上げをしましても、コスト主義からいいますと、まだ赤字でありました。会社側としては困るのを、まあ率直にいえば、政治的解決というようなことできあられたわけであります。従いまして、もう検討する余地もないという事態ではありましたが、本年も来年のことを考えまして、いろいろ石炭の価格の値下り等検討いたしまして、考えて参ったのであります。しかし、それにいろいろ工夫して計算いたしましても、値上げをいたしませんと、東北につきましては十三億ぐらいの赤字になる。こういうことになります。また、北陸につきましても十億ぐらいの赤字になるというような結果に相なりますことと、さらに今後の開発につきましては、御承知のように北陸などにおきましては外資も導入して、そうして将来の安定をはかっていこう、こういうようなことで、すでにいろいろ事柄を運んでおります。ずいぶんわれわれも苦慮いたしたのでありますが、どうもこれはやむを得ないのじゃないかというので、まあそういうような結論に近づきつつある、こういう今までのいきさつ、また実際の実情。しかし私は、今回はやむを得ませんが、全般としまして、あくまで料金制度調査会でいろいろ御検討してもらっておりますし、また、電力会社につきましても再々編成という言葉は必ずしも当らぬと思いますが、とにかく広域運営なり、場合によりましては合併というようなことまで含めて検討してもらいたいということで、ずいぶんいろいろと注文を出して検討をしていただいておるのでありまして、将来につきましては、極力何らかの手を打っていきたい、かように考えておりますが、ただいま申し上げましたような状況によりまして、東北なり北陸のすでに決定しましたものにつきましては、やむを得ないのではないか、かように考えておる次第でございます。
  204. 田村文吉

    ○田村文吉君 例の公益事業に対する三割頭打ちというものが、今年度で期限がくるのだろうと思いますが、そういうものは延期されておる例もございますから、私は通産大臣が真にそれをやろうと思し召しになれば、おできにならぬことではないのじゃないか、こう考えるのです。そこで、一応はごもっともなお話でございますが、ただ電力会社が一体自然にでき上って、民間会社ができ上ってきたように盛り上ってきたのであれば、これは私は、ある程度やむを得ないという意見も出るのだが、大体九分割によってでき上った会社であって、そしてそれが、ある会社は非常に有利に回っておるし、ある会社は不利に回っておるという状況において、その不利な所に有利であると考えて、持っていった設備などに莫大な金をかけて持っていったものが、今度は電力が非常に高くなって、その電力が生命であるのだから、それではほかへ移転しようとしたところが、移転はできない、こういうような状況になって参りますと、不測の災いを受けるのはその地方に事業を持っていった人なのです。こういうことが、ただ電力会社の都合でこうだから、電力会社の損益がこうだからということできめられたのでは、私は実際は困るのではないか、こういうことで、私が一番初めに原価主義のことをお尋ねしたのはそういうことであったのでございます。そういうことでいかれたのでは万劫末代、今の東北のような所でありますと、これから新規に電力をもって開発するのでありますから、東京なり大阪なりに比べると、常に一割なり二、三割なり高い電力を使っていかなければならぬということになりますと、そこに事業を持っている人はどうすればいいのか、こういうことに悩まざるを得ないのでございますが、あるいはそれに対して国家が補償でもしてやるというお考えがあるならば格別でございますけれども、そういう点については、もう少しく大臣からほんとう一つ考えてやっていただかないというといけないのではないかと思うのでありますか、その点につきまして、私はことに先刻から申し上げた通り、今年度においては電力は非常に豊富であって、小出局長の御説明でも十二、三億は金が浮いておるわけです。さようなわけでございますので、私どもは三十四、五億の金が浮くと考えておりましたけれども、そうでないにしても、こういう事態で、今御説明のございましたように、電力料金調査会をお作りになって、近いうちにそれに対して結論もお出しになるだろうと思うのであります。そういうこともある場合だから、まず昨年の値上げがずいぶん無理なことをして上げてあるのだから、今年さらに自動的に値上げになるであろうという三分五厘なり四分というものを、この際ストップさせるということぐらいは、ぜひやっていただかなければならぬのではなかろうか、こういうふうに考えますので、もう一度この点についての大臣の御再考をお願いして、御所見を承わりたいと思います。
  205. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 先ほど来申しておりますように、私も決して値上げをしていいとは考えておりません。あらゆる面で検討をし、さらに将来の問題を考えて参りますと、またこれはただ単なる政治的な問題だけでも参りませんので、電力会社としましても、将来の開発計画なり、いろいろな計画をそれによってやっておるわけであります。すでにこれは決定したものをくつがえすだけの十分な理由なり根拠をもって話をしなければならぬのでありますが、ただいまお話のように、ことしは豊水でありましたので、辛うじて赤字を免れた、こういうことであります。今後いろいろ出資をするとか増資をするとか、いろいろな問題があります。その際に、国が補助金を出せば別であります。しかし、これは東北、北陸だけに補助金を出すわけにも参りますまいと存じます。東北開発その他の問題につきましては、これはまた別個に考えていかなければならぬのであります。今までのコスト主義をとって参っておりますが、さらにいろいろな計画があるのでありまして、それらも黒字でありましたなら、これは考えていかなければならぬと思います。しかし、ただいま申し上げましたようなことで、値上げをしても赤字が出る、こういうような状況にあるわけであります。お話のように、私も東京と北陸あるいは東北、その電気料金が逆であることがいいとは、もちろん考えているわけでもございません。従って、これはやっぱり全般的な問題として、料金制度調査会もすぐは結論が出ぬと思います。これは実は一年がかりでやる計画になっております。そういうような関係で、今後についてはよく考え、また会社にもあらゆる考慮をしてもらうように考えるつもりでありますが、今回の東北、北陸のすでにきまりました分につきましては、どうもごしんぼう願わなければならぬのじゃないか、かように考えておるわけであります。
  206. 田村文吉

    ○田村文吉君 ただ宿命的に、そういうことになったから、もうどこまでもがまんしなさいということは、とうていその地方の住民に対しては言い得ない政治じゃないかと私は考えるのであります。これはひとり東北地区、北陸だけの問題じゃございませんが、そういう不自然に九分割したために起ってきた結果、コストが高うなって、それで電気か高くなる、それを永久にがまんしなさいと言われても、これはすでに事業を持っていってしまっておる。これから作るならまだいい、すでに事業を持っていっている会社にそういうことを言われて、そのままでしんぼうしなさいということは、どうも私少し——大臣のお考え、御本心は、そうでもないでありましょうが——どうもちょっと御無理があるように思うのであります。そこで問題は、再編成によって、今おっしゃったように東京と東北が合併する、北陸と関西が合併をしてしまう。それで電灯等の消費電力が非常に伸びるような東京と東北とをかね合わして一緒にしてやっていくとかというような考え方で、あるいはまた全国のものをもっと小さなブロックにして、利害——そろばんのあまりくるいのないようにして、政治的に料金をおきめになるというようなことになるか、しからざれば、そういう所に過去において巨大な資産をつぎ込んでやってきたものが、不測にそういう被害を受けるということは、何か国家がこれに対して補償するか、そういう道を選ばなければならない。この二つの道が私は考えられなければならぬと思うのであります。実際に事業をやっている人が、一年の間に五割も電力料金を上げられて、事業ができるかできないか、考えてみていただかなければならぬ。こういう点は、私は今どうも料金の改正及び再編成の問題等について御検討中なんでありまするから、しばらくの間は、今の今年の四月一日から三分なり三分五厘上るものは、せめてこのくらいはおとめになっておく方が、ほんとうじゃないだろうか、こう考えるのでございますが、私は再編成、再々編成、あるいは今おっしゃった広域運営—— 広域運営なんていうものは、そう言っては失礼ですか、一種のごまかしでございまして、こういうものでもってそういうものが公平にできるなんて思ったら、私は、それはとんでもない間違いだと思う。やるならば、合併にしてしまうということでなければならぬのじゃないかと思うのでありますが、広域運営に関する考えと合併に関する考えについても一つ大臣の御所見を伺いたい。
  207. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 広域運営と合併の関係につきましては、実は私個人の見解になるのでありますが、いろいろただいま電力会社で検討しそして意見が出てくるまで、私としましては自分意見はできるだけ言いたくはないのでありますが、率直に申しまして、両編成を、合併を急ぐあまり、結局なかなかそれが進行しないというのでは逆になりますので、広域運営をやろうという機運になっておりましたら、まあ実はなっておるのでありますが、それを先にやらして、そしてその結果を見て、さらに合併に進むというふうにいった方か実際的じゃないかというふうに考えております。これはしかし、さらに合併の機運が早くなれば問題はないのであります。あるいは広域運営かそれだけの効果を上げぬかもしれません。しかし、これはとにかくやろうという、これはいいことでありますのでやってもらう、それがまず第一だ。その後に次の段階を組んで、さらに広域運営を強化するなり、あるいは合併するなり、そういうふうにしていくべきじゃないかと、かように考えております。
  208. 田村文吉

    ○田村文吉君 広域運営の構想をちょっとお話しをいただけませんでしょうか。
  209. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) ただいま問題になっておりまするいわゆる広域運営というものでございますが、これは御承知のように、昨年末に電気事業者に対しまして、自主的な解決案と申しますか、合理的な案を出せといういわば宿題を出したわけでございますが、それに対する一応の答えといたしまして広域運営という案がただいま出されております。これは、現在の九つの企業体系は、企業組織はそのままにいたしまして、全国を四つのブロックに分けまして、北海道は単独でございまするが、東日本は東北と東京と、中日本は中部、関西、北陸三社、それから西日本は中国、四国、九州と、それだけの各電力会社がブロックを結成いたしまして、それぞれ各ブロック別に協議会を組織する。また中央に協議会を組織して、その協議会の下に中央には中央給電指令所というものを置きまして、また各ブロックには、これは置く場所はまだ未定でございますが、各ブロック別にそれぞれ給電連絡会議というものを置きまして、この中に電源開発会社の中央、地方いずれも参加いたしまして、そういたしまして広い地域にまたがります電気の開発の計画なり、電気の流し方について共同で運営していく、こういう考え方でございます。従いまして具体的に申せば、まず開発計画をきめるにつきまして、まず広域的な見地から共同で立案をする。ただいままでの状況は御承知のように、各電力会社がばらばらに計画を立てておりまして、最後はもちろんこれは、電源開発調整審議会できめるわけでございますが、相当既成事実ができたところでやりまするので、自然その間にいろんなむだでありまするとか、重複設備ができるわけでございます。また、電源開発会社と九電力の間においては、ほとんど従来密接な話し合いが行われていないというようなことで、どうも対立関係にあったきらいかあるのでありまするが、今度はまずそういう話し合いの場を作るということが一つの大きなねらいでございまして、結局最終的にねらいますことはコスト、タウン——コストを下げるということでございまして、従って経営を合理化する、建設計画を合理化して、できるだけコストを下げて、料金にはね返らないようにするというのが最終的なねらいでございます。従って、ただいま九電力会社で審査をいたしておりますのは、そういうふうにしていわゆる広域運営に切りかえますれば、建設計画も重複を避けて節約をする。それによって最初の案では百万キロワット以上の、三十七年度までの建設予定の中からさらに百万キロワットくらい節約ができる。従って、その分だけ建設費が少くて済むというメリットがございます。それから、できました電気を各会社に融通するにつきましても、その融通契約は、従来はただ関係業者間だけの話し合いで契約ベースできまっておりましたが、これをさらに電源開発会社も入り、また行政官庁もオブザーバーとして入りまして、最初から十分話し合いをして融通の量なり、融通の料金の単価をきめていくということによって、できるだけ今問題になっております、いわゆる東北とか、あるいは北陸とかいうような、経営的に弱い地域に対しまして、比較的経営の楽な会社からできるだけ応援をする、こういうような態勢を作っていこう、こういうことが、大体大ざつぱに申しまして広域運営内容になっておるようでございます。
  210. 田村文吉

    ○田村文吉君 それは、私は、わかるのでございますが、そういうことがいわゆる合理化として行われることはわかるのですが、料金のアンバランスの問題には何らの貢献をするものではありませんね、その点を私は伺いたい。だから、この問題は広域運営なんということを言っても、そういう点については、そういう広域運営なんという名前をつけなくても、各社の合理化によってやる方法があるのでございましょうが、今各社が非常にアンバランスになっておる。ことに、そういう雪や霜や雨の多いところが高い電気を使って、それで交通の便利なところが安い電気を使っておる。こういうアンバランスを直すことには少しも役に立つ問題にはならない。こういう点が、私とすると、広域運営という名前はりっぱだけれども、さっぱり御利益がない。だから、今、大臣が言われますけれども、どうしても進むならば、合併にするなりまで行ってしまわないと、このアンバランスというものは末代までもなくならない。こういうふうに考えますが、これは事業局長どう考えますか。
  211. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) 広域運営のねらいは、先ほど申しましたように、結局コスト・ダウンによりまして、できるだけ料金の合理化をはかるということでございまするので、これが料金政策の面にメリットがないということになりますと、ほとんど価値がないわけでございまするが、私どもはこれは、その面において非常に重要な考え方の切りかえがあると思うのであります。と申しまするのは、先ほども申しましたように、東北とか北陸というふうに必然的に資本費が高騰して料金が上っていく宿命にあるような地域に対しまして、広域運営によりまして、できるだけ融通の問題等におきましても、関係会社間において話し合いをしまして、ある程度他の会社の犠牲において東北と北陸のコストの上昇を防ぐというようなことも一つのねらいでございますので、従いまして料金の面におきましても、相当のこれはいい影響を与えるのではないかと考えております。合併の問題は、合併のできてしまった状態考えますれば、なるほど非常に問題は簡単に運営されるわけでございますけれども、むしろその合併そのものに伴ういろいろな混乱というものが、ただいま電源開発の途上にありまする現在の段階におきましては、現実の問題としては相当むずかしい問題になってきやしないかということが一つの大きな実際問題として問題ではないかと、かように考えております。
  212. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 関連質問。今、田村委員から東北の電力の問題、ことに料金についてのお話があったのですが、御承知の通り昨年値上げされ、またこの四月一日から三%値上げになるわでありますが、お聞きしたい第一点は、現在東北開発という国策の線に沿うて昨年から東北開発に力を入れておられることは御案内の通りであります。そういう際に料金の問題が、特に東北において全国的に見てその水準より高くなる、こういうのはやはりそうした東北開発という国策の線からも望ましくないじゃないかと思うのですが、そこで先ほど来のお話を聞いておりますると、この四月一日から発効する三%の問題はさることながら、内容的に今まで非常に安い電力——夜間の電力であるとか、あるいは特殊電力というものを使っておったのが、これが平常の料金に切りかえられて、そうした従来北陸なり東北なりでのそういう地域的な事情から、その低廉な電力によって、あの工業の立地条件の悪い東北において、細々ながらも開発の線に沿うて参りましたこの各地産業というものが、非常な打撃を受けるのじゃないか、従って、こうした全国的に今三割以上上げない、こういうふうな状態になっておるのでありますから、従って今の三%の問題もさることながら、その内容的に見て、従来やはり安く供給された特殊電力というものの供給というものを十分尊重して、そして行政運営なり何なりによって東北の産業の特殊事情から見て十分その点の配慮がいただけるものかどうかというのが第一点。それから第二点は、御承知の通り、東北が最初九分割のときに、たまたま水力電力が多いので、いわゆる調整金として年間十億に近いところの金を数年間納付いたしたのです。とろが、公益事業局長からお話がありました通り、むしろ今後この火力その他の開発状況を見れば、北陸なりあるいは東北が非常に不利な条件にあるというお話もあるので、これはその通りだと思うのです。従って、かつて十億近いところの年々そういう金が、調整金というものが取られたのですから、むしろ今度は、そういう開発の不利な東北であるとか、北陸とかいうものの開発を助長する意味で、前に納付したところのこういう調整金というものを逆に返してもらえるかどうか、あるいは返してもらえないとしても、今のようなお話で、協議会等において安い融通電力というような形において一体応援していただけるものかどうかというのが第二点。それから第三点は、いずれも東北が現在電源の開発なり、すべての点において建設途上にあるわけでございますが、大体そういう建設途上にあり、一方においては、公益上あるいは日本の産業上非常に重要な職責を負うた電力会社が、やはりその会社の性格から見て、ほかの営利会社と同じように一割二分なら一割二分の配当をする、かりに一割二分の配当をするといたしますれば、どうしても利益が二割五分なり三割程度の利益がなければ、税その他において、これは一割二分の配当というものは不可能なんで、そういうところに非常な矛盾と申しますか、非常な不合理性があるのじゃないか。一方には強く公益的な性格なり、行動なりを要請されていながら、一方営利会社としての観点からいろいろな点において非常な制約を受ける。従って、少くとも建設途上におきましては、これらの電力会社においては、たとえば固定資産税の問題であるとか、あるいは今申し上げましたところの法人に対する税の問題であるとか、あるいはまた地方的に申しますれば、電気税、固定資産税、こういった税制上の問題なり、あるいは政府の開発に要する資金については、特別の金利補給なり、あるいは低金利の資金を供給するというような総合的な同時に助成をこれらにする必要があると考えるのでございまするが、それらに対する通産大臣の御見解、この三点について、私は関連としてお伺いいたしておきたいと思うのであります。
  213. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 電気料金につきましては、これはいろいろ議論がただいま行われておるのでありますが、全国一律にすべしというような議論もあります。私はそうは考えておりません。やはり地方によって、ただいまお話しのように、開発の点について考えていかなければならぬという面は十分承知いたしておるわけであります。ただ、その方法につきまして、いろいろな方法があると思います。ただ、税というような面では、これはむずかしいかと思います。結局私は、開発する際にできるだけ安い資金を供給するというような面、それから電気料金そのものについて、もう少し私の先ほど来由しておりまする電気料金制度全般について考え直して、結局電灯料金とか電力料金とか、これらについて根本的な、もう少し違った意味の料金制度のきめ方というようなものを考えていくべきじゃないかというふうに考えておるわけであります。これを、ただいま御承知のように一年間かかってほんとうに根本的に検討して参りたいということで、せっかくいろいろ討議をしていただいておるような状況であります。それらをにらみ合せて、できるだけ理想的な形態に持っていきたい、かように考えております。
  214. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 通産大臣に、私は質問で、前に九分割の際に東北か水力電気が多いというので、年々調整金で十億近いものを数年間納めたというので、そういうものをこの際返していただきたい。返さなくても、それならば安い融通電力をいただくと、こういうようなことについての答弁がなかったのですが、その点についての……。
  215. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) 補足してお答え申し上げますが、先ほどの三点の御質問の中で、ただいま御指摘の第二点の水火力調整金、これは過去において御承知のようにあったのでございまするが、これらの問題につきましても、先ほど大臣からお答えがございましたように、料金制度調査会におきましては、当然そういう問題も含めまして、これを、たとえばそういうようなはっきりした形で復活するか、あるいは融通の面において調整するか、ただいま検討をいただいておる問題点の非常に重要な一つとして取り上げております。
  216. 田村文吉

    ○田村文吉君 広域についての御説明については、きわめて不満足な私は了解でございます。これが美名に名をかって、電力の合理化がおくれておるということを、実は非常に心配しているのであります。でありまするが、親切に、丁寧に御説明になりましたので、一応伺っておきまして、私の質問を終ります。
  217. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 私は、質問点を社会保障制度問題にしぼりまして、しかも主として社会保障制度に対する予算面の角度からお尋ねしたいと思う。かように考えておりまするので、大方は大蔵大臣の御答弁をわずらわしたい。なお、質問の発展の過程におきまして、関連事項として所管大臣である厚生大臣の御答弁も賜わりたい。かように存じまするので、あらかじめさよう御了承願いたいと思います。岸総理があらゆる機会において、政治の基本は民生の安定にあるということをおっしゃっておられます。しかも民生の安定は、積極面におきましては経済の正常なる繁栄にあり、消極面においては社会保障制度の確立であるということを言っておられるわけでありまして、全く至言である、かように存ずるわけであります。そこで蔵相に私はお尋ね申し上げたいと思うわけでございまするが、民生安定策としての正常なる経済繁栄策につきましては、蔵相の過去の御経歴なり、あるいは学歴等から考え合せまして、当然専門知識を傾倒なさって、いろいろと批判はございまするが、一応経済繁栄策についての実施をしておられるということであるわけでございます。従いまして、その点についてお尋ねするということでなくして、むしろ蔵相としては不得手なように感じます、いわゆる社会保障制度の問題について、今回の予算の面から見ますというと、社会保障制度に対する御認識がきわめて希薄でないかとさえ私は思うわけでございまして、あるいは、私は、もし正しい御理解があられるとするならば、御熱意がないのではないかとさえ感じておるのであります。そのときどきに起る問題に対する弥縫的な方策しか立てておられないような感じを三十三年度の予算面において感じられるわけであります。せっかくの厚生当局のいろいろな構想も、あるいはまた、その構想に伴って要求された予算も、大幅に削減されておるということについては、私は、国民の一人としても、はなはだ遺憾に存じておるわけでございます。貧乏の追放を言うておられまするが、この社会保障制度の御認識いかん、あるいは熱意いかんによりまして、貧乏の追放もなるということは、申すまでもないことでございまして、私は、低額所得者に対する思いやりのある予算が今回組まれるということが最も緊要であると、かように考えるわけでございます。そこで、具体的に御質問申し上げますが、一体現在のわが国の国力で、果して社会保障制度なるものが完全に遂行できるものであるかということについてのお考えを承わりたい。社会保障制度に似て非なるものであるならば、当然できると思いまするが、真にわれわれが考えておりまする社会保障制度というものか、現在の国力の上から果してできるのかどうか。あるいは非常に困難であるがゆえに、一応のお茶を濁した程度であるのか。あるいはまた、あき足りないが、やむを得ないというような状態であるのか。ないしは、これでいいのだ、これで完全だというような考えをお持ちになって、あの予算が組まれてあるかという点についてお尋ね申し上げたい。なお同時に、かりに現在のわが国の財政規模の上からいうて、社会保障制度を完全にやることは困難であるということでありまするならば、やはり国家再建の途上にあることでございまするからして、いろいろな政策がございまするが、政策の軽重序列をお考えになって、もって重点的な考え方に立脚して予算配分考えるということも、私は一つ方法であろうと思うわけでございまするが、そういう観点からいたしまして、今回の社会保障制度関係の予算がかけ声だけであって、実質を伴わないという点において、はなはだ遺憾だと思う。そうした点についての蔵相の御所見を承わりたいと存じます。
  218. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今の日本の国力で、社会保障が完全に行われ、また行い得るかという御質問でありまするがこれは私、やはり完全なる社会保障という内容にもよりまするが、今のところは、私はやはりむずかしいと思います。漸を追うていかなくてはならない。一つとりましても、おそらくこの社会保障のことを考える場合において、その中心となるのは、やっぱり社会保険であろうと私は思うのでありますが、社会保険を考えても、まだ保険に加入していない人が二千数百万あるという状況下であります。こういう人をまず、いわゆる国民皆保険で、なるべく保険に入れるようにというのが、ほぼ四ヵ年の計画で今進められておることも、御承知の通りであります。それでありますから、これは、私としては、社会保険の充実といいますか、この発達、国民皆保険というところに力をいたしておるのでありますが、一つには、こういうふうな社会保障ではありませんが、社会的な意味を持つ国家の給付関係がどうもまちまちである、特にそういうふうに私は考えるのでありまして、これは、厚生大臣等とも御相談申し上げて、早くやはり社会保障の根本を打ち出していくがいいと、どうもそれぞれの分野で、御承知のように、恩給なら恩給ということで、それぞれの分野で既得権それだけの立場から財源を取っていくというようなこともありますので、これは一つすみやかに国民年金に今度は繰り入れるのでありまするからけっこうでありますけれども、これもしかし、莫大な財政負担にもなりますし、従いまして、こういうふうな基本線を打ち出して、これをどういうふうに遂行していくかということを、私は確たる年次計画を立てて進めるべきであると思っております。当面は社会保険を充実する、そういう意味で三十三年度の予算も組んだのでありまして、いろいろと御不満な点が多々あると思います。多々あると思いますが、しかし、三十三年度の予算は、何さま一千億の歳出ということにいたしましたので、当然の歳出だけを引きますと、新規の政策的な経費にあて得る額というものはそうたくさんはないのであります。そういうことから、必ずしも御満足が得られないかと思うのでありますが、それにいたしましても、ここで一々申し上げることもありませんが、この国民健康保健につきましては、従来のこの補助金以外に、調整交付金の制度も設けまして、これにも五%程度の金額を入れていこうとしております。また、事務費もふやしていくわけであります。さらに日雇健康保険では、従来の一割五分から二割五分の補助にしております。さらにまた、例の傷病手当金とか、あるいは出産手当金等の三分の一補助というふうに、できるだけ、さらにまた例の診料報酬の引き上げ、こういうようなものは結局相当な、これはやはり平年度でおそらく七十億程度の財政負担になると思いますか、かようにいたしまして、今後の国民皆保険の基礎的な条件を整えていくという方向に進んでおる、私はかような考えを持ちまして、とりあえずこの国民皆保険という方向に力を尽していきたい、かように考えております。
  219. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 ただいまの御答弁の中に、すでに社会保障制度に対する御認識の程度か実はうかがわれるわけなんであります。なるほど国民皆保険というものは、社会保障制度の支柱ではございまするが、やはり社会保障制度の二大支柱としては、老令者に対しますところの対策として、年金と同時に皆保険、この二つあろうと思うわけであります。もっとも、両方ともお考えになっておられるような様子でございまするが、特に漸進的に進まれるという意味合いから、今回は皆保険に力を注いだと、こう解釈いたしますが、実は私が最も懸念いたしますることは、先般の旧軍人恩給の増額問題に端を発しまして、国民的な要求と申しまするか、国民感情の上からいって、老令者に対する前途の不安ということがあの軍人恩給増額問題に火をつけまして、非常に世論がわいて参ったわけなんです。そこで、社会保障制度の中で、この年金問題を一つ取り上げて考えてみました場合におきましても、社会保障制度審議会の答申がいずれ日ならずして出るということであり、大体の構想が新聞紙上によっても述べられておりまするが、あの社会保障制度審議会の答申によりまするというと、おそらく三百五十億円前後の金が、あの答申通りのきわめて控え目な、実施可能な範囲の構想でも要るわけなんです。そこへ持って参りまして、ひとりこの国民年金だけでなく、最近じゃ公務員の退職年金の問題について、いろいろと大蔵省と関係官庁との間に意見の調整等が行われているそうでございまするが、これとても相当な金額の金が要る。あるいはまた、軍人恩給の増額によっても、平年度三百億円からの金が要るというようなことを考え合せ、あるいはまた、郵政関係の共済組合の問題が話題に上っておりまするし、また、現に農林漁業団体共済組合の問題も出ておるというようなことで、年金関係の問題を取り上げましても、明年度あたりにもしこれを実施する、総理の言われるように、三十四年度には国民年金を実施するのだということになって考えますというと、年金関係だけでも相当な金額を要する。少くとも、私の計算では、七、八百億円の金が要るのではないか。軍人恩給を含めて、七、八百億円の金が要るのではないか、かように考えるのでありますが、そこへもって参りまして、ただいまの御答弁のように、国民皆保険がまた出て参る。現在の国民皆保険の構想にいたしましても、社会保障制度審議会あるいは社会保険審議会の答申によりますというと、国庫の負担は二割ないし二割五分じゃ少い、少くとも国の責任を明らかにする意味におきましては、三割程度の国庫負担をすべきであるということが答申されておるのであります。両審議会からそういうふうに答申されておりますし、また、関係諸団体におきましても、これか一つ意見になっておる、すなわち常識になっておるような状態でございまするが、そこへもって参りまして、今仰せのような日雇いに対する支出増、あるいは組合管掌に対する、今年も二億円ほどの増額がございまするが、そうした皆保険を前提として、基礎条件を整備する上についての、新たに明後年度あたりに考えられまする金というものは、やはり六、七百億円要るのじゃないか。また、最もわれわれが関心を持っておりまする結核対策費につきましても、明年度の予算等を見ますというと、結核撲滅運動の十年計画というようなものは、これは全く画餅に帰しておるような状態でございます。財政的な裏づけなくして、結核の撲滅というようなことは考えられない。こうした結核対策費というものも、相当額を要するわけでございます。目の子算で計算いたしましても、千二、三百億円ないし二千億円程度の金が場合によっては要るのじゃないかと考えられるわけなんでありますが、漸進主義で進むというお答えでございまするが、明後年あたりの国の歳入の自然増というものがかりに千億円あったといたしましても、その千億円は、今申し上げますように、社会保障制度を完遂するのになお足らないというような金額になるわけなんですが、そうした点において、漸進主義をとるということに対するテンポの進み方、あるいは、同じ社会保障制度の中でも重点的にやるのだというようなお考えであるのか、そうした点について、私はこの機会に、明確なお考えを大蔵当局にお聞きしたい。
  220. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えしますが、三十四年度あたりの自然増収と申し上げたのは、これはまあ、今後経済の成長率がどういうふうになるか、もう少し内外の経済情勢を見ないと判断いたしかねる点もあります。結局、経済の伸びいかんで自然増収という問題も考えてみなくてはなりませんが、いずれにいたしましても、一時の日本の経済が非常な速度で伸びておったときに生じたような自然増収を期待し得ないことは、これは申すまでもありません。従いまして、社会保障と財政負担の問題でありますが、来年度あたりに——来年度と申しましたのは三十四年度でありまするが、三十四年度あたりを考えてみますと、御承知のように、まあ軍人恩給、これも非常な増額を見まして、さらにまた、一点単価の引き上げによる診療報酬の改訂、これも平年度化します。その他、相当各般にわたって歳出の当然増加が出ますので、なかなか思うように社会保障の拡充に財源を見出し得るか、私、非常に苦慮いたしております。困難を伴うと思います。もしそれをやるとすれば、他の方面において非常な歳出の減額をいたさなくてはなりません。これもなかなか困難ではなかろうかとも思っております。そういうようなことでありますので、やはり私は、社会保障というものは、むろん、それ自体がいいことだ、その完成にみなが努力しなくてはならない。財政当局でも決してそれをいとうものではありませんが、しかし、やはり国力というものをよく考えてやらないと、社会保障はいいが、結局これの維持ができなくなるという羽目に陥る。まあ私は、やはり漸を追うてそれの拡大をはかっていくという方針でおります。
  221. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 漸を追うてやるということはけっこうですが、その漸を追う経過におきまして、かえって大きな線を乱すような、逆行的な現象が出てくるわけであります。年金問題にいたしましても、農協の年金等が出て参りまするし、あるいはまた、新聞紙上によりますると、中小企業の年金問題、あるいは生活協同組合の年金問題等が、それぞれ胎動しておるというようなことを承知しておりますが、漸進主義をとる上につきましての、きぜんたる態度、方針を確立していただきませんというと、国民が非常に迷惑すると思いますので、そうした点はとくと今後御配慮を賜わりたい、かように思うのであります。そこで、次に、少し問題が小さくなって参るわけでございますが、ここで申し上げたいのは、厚生保険特別会計の健康勘定の問題であります。御承知のように、あの中には資金運用部から現在六十億円の借入金をいたしております。この問題につきまして、先般、衆議院におけるあなたの御答弁によりますというと、何か政府所管の健康保険の財政が明るくなってきたので、この六十億円は当然その政府所管の会計の中から将来払うべきであろうというようなにおいのする答弁を実は傍聴したのでありますが、これははなはだ私、認識不足な御答弁であり、もし私の、幸い、聞き違いであればけっこうなんですが、あるいは昭和二十九年度までの赤字四十億円と、三十年度に予測いたしました三十億円の、合計七十億円の赤字を、二十二国会におきまして、特に臨時に一般会計において負担することとして、とりあえず、そのうちの十億円を三十二年度の歳出に計上して、残り六十億円は資金運用部からの貸付によって処理し、借入金の返済財源として、毎年度十億円以内を一般会計から厚生保険特別会計へ繰り入れることとし、厚生保険特別会計法に所要の改正を加えられたということになっておるわけであります。従いまして、現在の政府所管の健康保険の所管の黒字、赤字に関連なくして、二十二国会におきまして、この七十億円の処理を決定するときに、今申しましたような事柄が国会において答弁され、あるいは説明されて、それを背景とし、基礎として七十億円というものが出まして、初年度において十億円だけは一般会計から繰り入れて返済して、残りの六十億円を漸次翌年度から返済する、返済財源については、一般会計からの繰り入れによって払うと、こうなっておるわけです。先日の御答弁では、必ずしもそうでないような印象を私は受けておりまするので、非常にこれは重大であると思いまするのでお聞きするわけなんですが、少くとも二十九年、三十年のあの赤字は、あの当時、国の責任において政府所管の健康保険を管理して、指導して、監督して、監査をして、自己の責任で経営して出た赤字であるからして、当然国の責任で払うべきであるということで、あの七十億円を処理されたのでありまするが、従いまして、今日の保険経済の上からいうて、黒字であるからというて今の保険経済でまかなうということは、これは公約の違反であると、かように考えるわけです。特に矛盾もはなはだしいのは、昭和二十九年、三十年度の被保険者が、必ずしもすべて、現在保険料を払っておる現在の被保険者でございませんし、今の被保険者の中には、当時被保険者でなかった人もあるわけなのでございますからして、昭和三十年以前の保険勘定の赤字を今の被保険者に持たすということは、これは理論の上からいうてもはなはだ矛盾を感ずるわけです。そうした点につきまして、もし私の聞き違いであればはなはだけっこうなんですが、大臣がそういうようなお考えであられるということでありますれば、これは重大問題で、十二分に資料を調査していただきまして御答弁を願いたい、かように思うわけであります。
  222. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) この三十年以前の政府管掌の健康保険の赤字六十億は、これは今お話しのように、この返済財源として十億ずつ六ヵ年にわたって一般会計から繰り入れていく、こういうことを予定しております。ちょうど三十一年に、政府管掌のこの健康保険の事業の健全な発達を期するという意味から、補助金を計上した、この経緯もありまして、実は三十一年度及び三十二年度において一般会計から十億ずつ繰り入れることは、それぞれ一年ずつ繰り延べになって今日に至っております。ところが、この政府管掌の健康保険につきましては、これはいろいろな努力によりまして、財政状況が非常に好転をいたしまして、三十一年度末においては、積立金も五十四億あります。三十二年度におきましては、やはりこの会計におきまして約六十億くらいな黒字が出ようかと考えられるのであります。こういうふうな状況でありますので、三十三年度におきましても、三十一年度、三十二年度と同様に、この十億円の繰り入れをさらに一年繰り延べる、かようにいたしまして、別途厚生保険特別会計法の改正法案を出しまして御審議を願っておるような次第でございます。
  223. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 これは繰り延べをずっとなすっておられるわけですが、一体いつの日にこれを解決するというようなお考えであられるか。
  224. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 主計局長から御答弁申し上げます。
  225. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) お答えを申し上げます。ただいま大臣からお答えがございましたように、三十一年、三十二年と別途の補助が入ってきておりまするから、繰り入れを延ばしているわけです。本年度におきましても、今大臣がお話しのような状況でございまするので、一年繰り延べをするということにつきまして、今厚生省と相談いたしまして、改正法案を提出して御審議を願うと……。今後の状況でございまするが、今後の状況が引き続き今のような状況でございまして、収支の状況がよろしければ、御承知のように、あの法文には、歳入の不足を補てんするため必要かあるときとありますので、そういうような状況にありまする限り、やはり今回のような措置が要るのじゃないかと思います。ただ将来どうするかということにつきましてのお尋ねば、どういうような保険経済になりますかということと関連いたしますので、今の程度のお答えで御了承願いたいと思います。
  226. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 はなはだ私は遺憾に思うわけなんですが、現在の黒字の出た理由が、今の政府所管の健康保険そのものが、給付者の方から考えまして、あらゆる角度から考えまして、正しい当然あるべき姿の健康保険の実施状況でありまして、その上での黒字でありますれば、あるいは御説明のようなこともわれわれは考えられるわけであります。現在の健康保険のあり方は決してそうじゃない、三十一年、三十二年度の黒字につきましては、赤字対策の強行かあったわけです。強い行政措置が行われておって、決して自然なままの黒字でないということを御認識願いたい。これは財務当局としてあるいは詳細なことはおわかりにならぬかもしれませんが、しかしあなた方としても当然お気づきになると思うのですが、給付制限の問題がございます。今の医療保険の大体あり方からして、給付制限というようなものはこれはやるべきものじゃない。一つの企業体としての立場から考えて、収支バランスということは当然一応考えなければなりませんが、事、人命に関する医療に対して給付制限をする——特に二十九年、三十年の赤字におびえて赤字対策として、そういう給付制限が非常に強くなりまして、自粛を医療担当者は当局から求められた。医療担当者は良心的なうずきを感じながら、不自由な条件下において医療をやってきた、その積算によるところの黒字である。あるいは行政措置にいたしましても、監査を励行する、この監査を励行するということは、医療担当者だけの問題でなくして、被保険者が非常に萎縮して参る。従って、受診率が低下して参るということが往々にして言われておるわけでありますが、この監査の強行、あるいはまた、御承知のような一部負担の増額等あるいは保険料率の変更などがありまして、これらは健全なる制度の発達のためにやるのだということで、健康保険法の改正によってこれはなされたわけでございまするが、その行いようが度をこした場合に、非常に不自然なゆがめられた制度になるわけです。そういう制度のもとに出た現在の黒字、政府所管の財政をお考えになって、そして二十九年、三十年当時の、あのときに七十億円出すのだということによって、あの当時すでに健保改正案が国会に上程された、その上程された背景には、政府が七十億円出すのだという訴えを国民にして、そうしてあの健保改正案というものが成り立ったという経緯から考えましても、当然なるほど三十一年、三十二年は三十億円の補助がございまするが、この補助というものと赤字の負担というものとは全然これは性質か違う。補助というものは、新しく三十一年にできた考え方であり、二十九年、三十年の赤字は、その当時の赤字の決済をするためにあれは決議がなされたわけです。従って、黒字だから、補助を出しておるのだから、あの六十億円はいつの日か独立した健保、政府所管の会計の中で払えという考えがもしあるとするならば、これははなはだ間違った考えである、この点、明確に御答弁を願いたいと思う。
  227. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。この政府管掌のこの健康保険に黒字が出た、その原因は何も自然に出たのでなくて、保険関係者の負担においてそれは出ておるのだ、従って、黒字が出た、むろんこの保険関係者の負担増加に伴うて政府も補助を出す、それならむしろ黒字が出たなら、保険関係者の負担を軽くするのがこれは社会保障の本質じゃないか、こういうお考えと思うのでありますが、それについての考え方には、私異論かあるわけではありません。ありませんが、同時に、この私どもの立場として考えますことは、特別な負担がない限り、他面、政府管掌の健康保険は非常によくなるわけですが、他面二千四百万人に上る人は保険にも入っていない。国民健康保険の方は依然として赤字が続いておる。日雇い健康保険もうまくいっていない。こういうその他の保険もうまくいっていない。しかも財政力というものは限界があって、そうなかなか財政の負担も加重できない。こういう次第でありますから、ここに政府管掌保険に黒字が相当巨額に出て、これは一応御負担がありますが、巨額な黒字になったんだ。それで政府の従来の補助金政府管掌から国民健康保険、日雇い保険、そういう方向の補助金の増額に回す。そうして社会保険全体として伸展拡大をみて、国民皆保険の方に進んでいく、かようにいたしたいということから起っておるのであります。
  228. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 お考え方は私はよくわかるのですが、ただその前提として、医療保険のあり方について御認識が足らぬと思います。私は、先年、本会議の席上において、当時石橋さんが病気のときに、厚生大臣に対して、もし健康保険というものが制限診療でないりっぱなものであるということであるならば、石橋総理をして、健康保険の条件下において治療をお勧めするだけの勇気と自信があるかということを私は申し上げたことがある。まことに給付制限というものは、不自由なものである。かぜを引いている間は抗生物質が使えないというような条件があるわけなんです。それは御承知ないかもしれませんが、実に不自由なことである。現に堀木厚生大臣が先般入院なさった。もし健康保険で治療しておられたならクロロマイセチンは使えなかったと思う。クロロマイセチンを使って病気が早くなおったのである。私は人命に関する限りは軽重はないと思う。被保険者だから、急性肺炎にならなければ抗生物質は使ってはいかぬというような、財政バランスの面からのみ考えたのでは、あなたは、これは間違っておると思う。つまりこの間違ったものを前提として黒字が出たからといって、今のようなお説を吐かれるということは、医療の本質ということの御理解がないということに私はなると思う。これは非常に重大な問題と思う。蔵相に申し上げることは、あるいは御無理かもしれませんが、常識的に考えましても、医療というものはおよそわかると思うのです。特に病気というものは予定コースがない。どちらへどう向くかわからないのですから、黒字になる場合もありましょうし、赤字になる年度もあろうと思う。その年々の黒字、赤字によって国が公約した七十億円の金に対しても責任を転嫁するがごとき考え方がひそんでいるような御答弁をなさったり、あるいは補助を出しているからその方はもうしばらく見送るんだというようなことでは、社会保障制度というものの確立ができないし、御熱意のほども実は疑われると、こういうことになるのです。そこで、次の問題に、時間の関係上私は進みますが、次は同じく政府管掌の健康保険三十億の問題であります。三十三年度は、三十億円の金が十億円になっております。その理由をまず承わりたいと思う。
  229. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これはやはり政府管掌の健康保険におきまして、ただいま申し上げましたように、三十一年で四十八億、三十二年では六十億程度の黒字、それから三十三年におきましても一点単価の引上げ等がある。それらの影響を考えてもなお黒字が出る見通しであります。こういう状況下にありますので、むろんこれも被保険者その他保険関係者の負担というものの引き上げ、その他のことで引き上げ等による負担の増加によって黒字が出たということもあるが、しかし、そういうふうな黒字の出た状況でありますので、むろん政府としても、全然この補助を出さないというわけではございませんが、十億にとどめて、先ほど申しましたように、この十億は国民健康保険その他のこの社会保険の健全化のために使う、かようなわけでございます。
  230. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 昨年の三月の九日の衆議院におきまして、岸総理及び池田蔵相の御答弁の速記録がここにあるわけなんでありますが、当時の池田蔵相が、この三十億円に関連した質問に対する御答弁をなすっているのに、「御承知の通り健康保険につきましては、多分昭和二十五年くらいから事務費を一部負担するようになったと思います。」政治の方向といたしまして、今さら健康保険について何もしないのだということは言わずもがなでありまして、そういうことはできるはずはないと私は考えております。どちらかといえば、三十億円を云々するよりも、これは黒字になったらどうかということの質問に対しての御答弁なのでありますが、三十億円を云々するよりも、将来は標準報酬を下げるとか、医療内容の向上に資するとか、今大蔵大臣としては、こういうものを出さないなどという時代錯誤の考えは持っておりませんということをはっきりと言っておられるわけであります。一萬田蔵相の御答弁は、この答弁を裏返しまするというと、時代錯誤の御答弁をしておられると思うのでありますが、一体政府として、同じ内閣として、前年は三十億円を出したことに対しての黒字、赤字の出た場合どうするかという質問に対しては、そういうことは夢にも考えておらぬという御答弁をなしておられる。同時に、席を同じくしておられる岸総理は、これを裏書きするかごとくに、健康保険の健全な発達をはかるために、政府としては当然相当の程度において予算的に考えなければならぬと考えていることを、明確に申し上げているということをおっしゃっておられる。この答弁を背景として、あの健康保険法の改正案が通ったということによって、われわれはこの三十億円というものは、むしろ将来、第七十条の三を拡大解釈して定率国庫負担まですべきであるというように考えているのに対して、逆に三十億円を十億円にする理由は、今のお説では、黒字になったからということである。同時に、他の日雇い保険その他のあるいは国民皆保険に対して——国民健康保険などに持っていったんだというような御答弁でございますが、これも大いに間違っているのでありまして、少くとも健康保険に右へならえをするためには、黒字になった政府所管の健康保険の経費をちょん切って条件の悪い日雇いだとか、あるいは国保にその二十億円をちょん切ったものを持っていってそうして社会保険全体として頭をそろえていくというような考え方ではなくして、あくまでも政府所管の健康保険を模範とし、同じ標準として、給付条件なり、給付内容なり、給付率を右へそろえるようにしてもらわないと、これは社会保険の後退であると思うが、以上、前蔵相の御答弁及びきょうは総理おられませんので、あなたにお聞きするわけでありますが、はっきりとこの三十億円に対します公約違反になるような、あるいは時代錯誤の御答弁になるようなことをおっしゃらないように、私が納得のいくような御答弁をしてもらいたいと思います。
  231. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私もこの池田君が御答弁したように実は御答弁いたしたいのであります。ところが、先ほどから申しますように、その後の日本の経済の変化もありまして、三十三年度におきまして、歳出の規模を特に小さくいたす関係もございまして、なかなか思うように、どこにも歳出の分配をするということが困難である。そこで社会保険全体を考えてみました場合に、私はやはり、先ほど申しましたように、これは単に政府管掌の保険だけがよければいいというものではない。やはり社会保険全体として、乏しいときばやはりお互いにここで乏しきを分けて、全体としてよくなることが、やはり社会保険全体として私は進むべき道であろう、かように考えております。同時に、三十億の政府補助をいたしますときには、実は、あのときのその点についてかれこれ言うんじゃありませんが、私どもとしては、あの当時三十億を入れる場合に、相当保険関係者の条件が違っておった。これはしかし、提案後におきまして国会で大きな修正を受けまして、こういう健康保険者初め、その他の方々の負担は初めの予定に比べ、三十億を国が補助するときの予定に比べると、小さいものになりましたことは皆様御承知の通り。まあ、そういういろいろのことも考えまして私は何もこれは公約違反でない、やはり情勢が違って、そうして社会保険全体としてはさらに考えるべきだという見地に立ってのことであります。御了承いただきたいと思います。
  232. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 私はあくまでも公約違反と思う。三十億円お出しになるときには、三者共泣きで健全な社会保険の発達を期そうということで、政府も三十億円の金を出して泣こうと、被保険者も一部負担の拡大、あるいは保険料率の変更、標準報酬等級改正等によって泣いてもらう、医療担当者も、二十六年以来据え置きの単価はきわめて不合理であるが、いましばらく泣いてしんぼうしておくと、こういうことで、三者共泣きの条件下においてこれはなされておる。それが今日、政府だけが二十億円先に金を引き上げるということは、これは公約違反であると思います。それからもう一つは、今の御議論は、今の政府所管の健康保険が非常に進んでおるということを前提にしてそうして政府所管だけが進んだんではいけないのであって、日雇いその他全部が同じでなきゃならぬというようなお考えなんです。決して今の政府所管の健康保険の内容は進んだものじゃございません。先ほど申し上げました一例から考えましても、もっともっと改善すべき点があるんです。三十億どころでない、四十億、五十億のお金をお出しになって標準である政府所管の健康保険、模範的である健康保険をもっともっと確立して、それに右へならえしなきゃならないのでありまするが、そうした点において見解の差異がございまするので、これ以上申し上げましてもただ議論になるのであって、質問になりませんので、まあ時間もございませんので、応あらためまして、総理に対して私は機会を得て重ねて質問したいと思います。そこで、次のお尋ね申し上げたいことは、これは厚生大臣にお尋ね申し上げたいんですか、生活保護法に関しまして、先般新聞の報ずるところによりますと、新潟県の生活保護適用者が、ある製薬会社の懸賞募集に入選して、一等に入選してテレビを送ってもらった。ところが、生活保護法の面から考えまして、生活必需品でない電気洗濯機、あるいはテレビというようなものは、これは持つわけにいかないし、また聴視料もなかなか負担にたえない。そこで、持ち得ないので、これを売ろうとした。売れば、その収益は臨時収入として生活保護費から差引される。で、それもいまいましいから、一つ老人ホームに寄付しようとした。ところが、生活保護適用者が寄付するとは何事だ、ということになったわけなんですが、これはもとより法の運用に私はあると思うんですが、生活保護法の第八条によりまして、需要測定の原則、あるいは資産調査の原則、最低需要充足の原則等がうたわれておる関係からして、おそらくそういうような窮屈なことになったんだろうと思うんですが、大体、生活保護を受けるような人は、非常に気の毒な人です。しかも多数気の毒な人の中から、よりによって幸運をつかんだというようなことは、これは全く千載一遇の幸運なんです。せめてそうした幸運をつかんだときだけぐらいは、生活保護法の運用を何とかならないんだろうか。あるいはこれをゆるめることによって、弊害も多数出てくると思いまするが、緩急よろしきを得るような処置が、将来、法の改正あるいは手続等によって運営が円滑にいくような配慮をなされぬものかどうかということを、お聞きしたい。
  233. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) もう、竹中さんに生活保護の精神を今さら申し上げる必要はないと思います。生活保護世帯におきましては、その最低の生活を保障される、と同時に、最低の生活ではないが、多くの国民の中には生活内容が非常に貧弱な人がある、そういう人とのいろいろの法の運用から考えれば、軽重がおのずから出て参ります。しかし、おっしゃるように、一体今の具体的の例の場合に、果して弊害があるのかどうか、ということが私実は考えている問題であります。たまたまの例外的な事柄が起って、しかもその志は相当——養老院に寄付するというふうな事柄になって参りましたときに、なおかつそれを金銭にかえて生活費に充てるべきだというふうな窮屈な解釈をいたすべきかどうか。私としては、今回の具体的な例の場合には、例外的に、それこそあなたのおっしゃる法の適用を幾分その点について緩和しても、他に弊害は起らないんじゃなかろうかというふうに、あの新聞を見て考えました。今事務当局に、私の考え方でものを処理してくれということを命じておる次第でございます。
  234. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 最後にもう一点だけ。これは厚生大臣並びに大蔵大臣にお伺いするわけですが、婦人保護費の問題、いよいよ売春防止法の四月一日からの実施によりまして、相当多数の婦人の方々が町に出てこられるわけです。で、三十三年度の予算は、逆に保護費においては減額されておるわけです。で、施設が一応整うたから減額したという御説明でありますが、所期の施設ができたことによっての減額ということはわかるわけですが、その所期の施設だけで、一時にだっと出てくる婦人の方々の保護が、あの予算でまかなえるかという問題です。少くとも本気で売春防止をするという場合において、更生貸付資金の面と、それから更生を前提としての保護、職業指導等を考え合せましたときに、三十三年度の婦人保護費並びに更生貸付資金というものは、これは問題にならない額だろうと思う。今までの状態でありますならば、それこそ漸進的に転廃をなさるんですが、今度はそうではない。従いまして、そうした点におきまして、せっかく厚生省考えておられた構想においても、私は非常に不満でありまするのが、なお査定されて減額されたということになりますと、果して町に出たそうした女の方々が、再び悪の道に転落せよという結果に追い込むことになるんですが、そうした点について、補正予算あるいは予備費等の流用等によって何かの対策が講じられ得るものなのかどうか。あるいはまた、三十三年度はこのままでほおかぶりでいくんだ、保護はできないんだというようなことなのか。これは厚生大臣よりもむしろ大蔵大臣としてそうした権限をお持ちになっておられるので、一応お伺いするんです。
  235. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 売春婦の対策ですが、これはむろん深く考えなければならぬことに間違いありませんが、実は私どもとしては、三十二年度、三十三年度と当年度の予算考えておるのでありまして、大体これはおしかりも受けるかもしれませんが、三十二年度で主としてこの婦人相談所、それから収容施設ということに力を入れたつもりでありまして、相談所は三十二年度で大体各県にできると思っております。それから収容所は、御承知のように三十八ヵ所。それで、まあこれはむろん足りませんので、三十三年度に十二ヵ所ふやすはずであります。約五十ヵ所になっておると思います。そこで三十三年度は、そういう施設とともに、特に補導に力を入れて婦人の更生をはかろう、こういうような考え方でございます。それで、法務省に補導院を新設する、あるいはまた更生資金の貸付限度を引き上げる、被服も供給する、こういうようなことに重点を置いておったわけであります。もう少しこの情勢も見なくてはなりませんが、今のところ、こういうふうな態勢で情勢を見たい、かように考えております。
  236. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 私の質問を総約して見ましてもよくわかるように、年金問題、皆保険問題、あるいは婦人保護の問題等にいたしましても、社会保障制度各般を見ましたときに、政策的に物事が考えられて、先行して、経済的な裏づけが伴わないということが、一番大きな難関であろうと思います。どうか、今後大蔵大臣としてものをお考えになられる場合には、もとより他の所管大臣からいろいろな注文があろうと思いますが、あくまで財政的な裏づけなくして法案の審議をさすようなことのないように、私はお願いを申し上げまして、私の質問を終りたいと思います。
  237. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと資料について……。各省庁、それから政府機関ですね、特別会計の全部の交際費、それから旅費、庁費、交渉費、この四つの費目別に、各省庁から要求した額と、大蔵省が最終的に決定した額、これを一つ資料として提出願いたいと思います。それからもう一つ各省庁ごとに乗用車が何台あるか、それを一つ知らしてもらいたい。
  238. 泉山三六

    委員長泉山三六君) 承知いたしました。鈴木君に申し上げますが、午前の御発言に関連のある資料の要求のようですが、なるべく早めに出すよう、理事会にお願いしてございますから、各委員の方にお願いしておきます。委員長各省に対して非常に督促をいたしておる実情でございますから、御協力願います。明日は午後一時から委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十四分散会