○一松定吉君 私は観光国策に関しまして、
総理大臣並びに
関係大臣の
所見を伺いたいのであります。私がこの問題を取り上げて御
質問申し上ぐるに至った動機を一応申し上げておくことは、私がこの
質問をするについての必要であることを、十分に御認識ができようと思うと同時に、
政府もこの点に対しては、必ずこれを実行しなければならないということを十分に御感得がいけることであろうと思いまするから、この
質問をする動機について一言申し上げておきます。また私の
質問は、与えられた時間が、わずかに四十分でございますが、できるだけ節約をするようにという
委員長並びに各
関係者の諸君からの
お話がありましたので、なるたけ時間を節約いたしたいために、いわゆる一問一答の形をとらずして、私が
質問申し上げたその中で、こういう点についての
総理大臣、
関係大臣のお考えはどうであろうかということを申し上げて、次々に
質問の要綱を陳述した最後に、重ねてその
質問の要綱を申し上げまするから、最後にまとめて御
答弁していただくことが、時間の節約上、都合がよろしいと思いまするから、さようにお運びを願いたいのであります。
私は、実は先年、二回スイスに遊びましたが、スイスは御
承知の
通りに、世界の観光国としては、最もすぐれたる土地であるということを聞いてスイスに参って、至る所その観光地を視察したのでありますが、私の驚いたことは、世界の一等観光国であるスイスが、わが
日本に比ぶれば、必ずしも
日本よりも観光の土地が優秀ではない。スイスは御
承知の
通りに、山と湖の国であり、
わが国は、山と湖と海と川と、それといろいろなその間に温泉だとか山岳だとか洞窟だとかいうようなものが、幾多の観光の勝地としてたくさんある。これが何ゆえにスイスが世界の一等観光国として外国の人々からほめられ、
日本は何ゆえに今日のような状況にあるのであろうかということを十分調べました結果、これはスイスは国民全体がそういう考えをもって観光
施設に力を尽しており、また
予算も十分これに支出しておるがためにこういうようなことになっておるが、
日本は、国民があまり関心を持たないのみならず、
政府のこれに関する支出というものが、あまり多くないがためにこういうような状況にあるのであろうか、ぜひ
一つ自分はある機会を見てはこれを大いに力を入れて、スイス以上の観光国にするということが、外人を誘致し、外貨を獲得するということにおいて、
日本の国民の収入を豊かにし、その得たところの金によって十分
生活安定のための
政策の実施ができるから、これを行う必要がある、かように私は考えまして、そうしてこれを
わが国に帰りまして、私が厚生大臣にありましたときに、陛下に対してこのことを申し上げましたところが、陛下も非常に御嘉納あそばされまして、ぜひ
一つそれをやって、世界各国の人々を
日本に誘致して、ほんとうに
日本の風光を観賞してもらって、長く滞在して帰りには
日本の優秀なるおみやげ品を買って帰って、
日本にたくさん外貨が落ちるようにすることについて、大臣
努力してもらいたい、こういう
お話を承わりまして、私は非常に感激して、それを実現すべく、自分が大臣としてひまをみるたびごとに各地の観光地を視察いたしまして、このことの実現に
努力をしております際に、私は建設省の方へ回りましたがために、そのことが十分できなかった。後任の厚生大臣に引き継ぎましたけれ
ども、厚生大臣もあまり熱意がなぐ今日に至っておりますので、私はぜひ
一つこれを実現してもらいたいという
意味において、きょうは、何ゆえに観光
政策というものに力を入れなければならぬかということを例をあげて、そうして
総理大臣並びに
関係閣僚にお伺い申し上げまして、なるほどそうだ、それならば
一つ予算についても十分に支出して、その
目的を達して、外貨の獲得に
努力して、国民のふところを肥やすようにして、それによっていい政治をしようということにお考えを変えていただきたいという
意味において、この
質問をするのでありますから、どうかさような
意味においてお聞きとりを願いたいのであります。決して
政府を悪罵して、そうして
政府に向っていろいろなようなことを申し上げるのではございませんから、できるだけ私も
政府に御協力をして、
政府のこれが実現に
努力をせられんことをお願いする
意味においての
質問であることを御了承願いたいのであります。
一体この観光
施設を拡大強化する
目的は、外人を誘致し、外貨を獲得することが
目的であります。それによりまして国民の利益を増大ならしめ、税負担を軽からしめて国民の
生活の安定に資すること、観光地、なかんずく国立公園、国定公園の愛護、
施設の
改善強化を実現せしむるためには、観光に
関係ある諸制度や、諸
施設を一元化するため観光省というものを設立する等、すべてこれらの点について
総理大臣や
関係大臣の御
所見をお尋ねしてみたいのであります。
まず第一に、観光事業の振興について、申し上げてみたいのでありまするが、
わが国は世界有数の観光国であると私は考えておるのであります。
わが国はすぐれた自然の風景に恵まれております。また史跡、社寺、遺跡等、古い歴史に輝やいております。そうして数多くの文化財を持ち、さらに
日本独得の民俗、習慣を有し、国全体が魅力に富むところの観光国となっておるのであります。よってまず自然の風致について見まするに、
わが国は周囲が海に囲まれて、南北に細長い島国であり、しかも世界的に火山国であります。従って至るところにすばらしい海岸風致に恵まれておるばかりでなく、海岸以外の内陸部においては三千メートル級以上の高山岳地帯を始めといたしまして、山岳、高原、湖沼、渓谷、河川、瀑布等変化に富む自然の風景を有しております。さらに国土の位置が温帯すなわち温かい部類に属しておりますが、南北に細長く、かつ湿気が多いために、植物はその種類がきわめて多く、至るところに美しい植物を見ることができるのであります。すなわち、松、杉、桜、竹等特徴のあるものが多い。そればかりではありません。四季の差がはっきりいたしておりまするために、春は新緑に富み、桜花らんまんとして開き、夏は水泳、夕涼みに国民を楽しましめ、秋はいわゆる紅葉、冬は雪というように、四季ごとの変化はまことに顕著でありまして、実に美しい国土を一段と美しくしておることは御
承知の
通りであります。また温泉は全国各地に豊富に湧出しておりまして、観光事業上重要な役柄を演じております。これらの自然は探勝、山登り、海水浴、釣、スキー、スケート等に適し、四季を通じて楽しい観光旅行が可能であるばかりでなく、
わが国の観光事業上重要なのは、古い歴史に恵まれ、数々の社寺、史跡、遺跡等の古い文化財及び美術工芸品等は至るところに見ることができます。すなわち奈良、京都、日光等はその中心として、
わが国固有の文化を示しております。さらに
日本の独特の風光、風俗、習慣、祭事等は、外国人にとって、ほかでは見られないところの特異性を持っておることは御
承知の
通りであります。
以上申し述べましたように、
わが国はすぐれた自然と文化財とに富み、世界有数の観光国である素質は十分に持っているのでありまして、道路、宿舎を始め、各種の観光
施設を完備し、客に接してこれを
待遇する
方法の
改善をはかるならば、国際観光は一段と促進することができ、これによって、国際親善を高めるとともに、外貨の獲得に資するところがきわめて大きいのでありますから、
政府はこれを利用して、これらの
目的を達することに
努力すべきであると思うが、
総理並びに
関係各大臣のお考えはいかがでございましょうか。
次に
わが国の国際観光の実績について私の意見を申し上げまするが、
わが国における国際観光客の数は、
昭和二十八年度におきましては、観光客は七万五千人であって、観光収入は百十九億円でありました。これを貿易輸出額に比較いたしますると、二・六%に当るのであります。その後年々観光客は増加いたしまして、
昭和三十一年度におきましては、観光客の数は十一万四千人となり、この観光収入は五千五百万ドル、すなわちこれを邦貨に換算いたしますると、百九十八億円になっております。貿易輸出額にこれを比較いたしますると、これはちょうど二・二八%に当ります。外貨の獲得上重要な役割を示しておることは、これによっても明らかであります。しかしながらこれを他の世界の主要国であるスイス、イギリス、フランス、ドイツ等に比べまするならば、
〔
委員長退席、理事剱木
亨弘君着席〕
きわめて貧弱であることに遺憾の意を表せざるを得ません。すなわちスイスは西暦一九五三年、すなわち
昭和二十八年におきまして、観光客の数が三百二十二万人、観光収入が一億六千三百万ドル、邦貨に換算いたしまして五百八十七億円、貿易輸出額の一三・五%に当ります。またイギリスの観光客は、
昭和二十八年には、三百二十一万八千人、観光収入が二億四千六百万ドル、邦貨に換算して八百八十六億円、これを貿易輸出額に比例いたしますると、三・四%に当ります。ドイツの観光客は、
昭和二十八年に五百四十四万二千人、観光収入は一億二千百万ドル、邦貨に換算して二百三十二億円、貿易輸出額と比例いたしますると二・八%。イタリアは観光客が
昭和二十八年に七百六十八万二千人、観光収入が一億九千三百万ドル、邦貨に換算いたしまして一千五十五億円、貿易輸出額の一九・四%に当ります。イタリアのごときは貿易輸出額中の観光事業は実に第三位を示しておるのであります。
こういうようなことを
わが国と比べまするならば、
わが国の国際観光による収入は、イタリアの九分の一に当ります。イギリスの八分の一、スイスの五分の一、ドイツの四分の一になっておるのでありまして、これらの点から見ると、天然自然に与えられたところの
わが国の風光の利用ということが、他国に比べてあまりにも貧弱であると私は考えるのであります。
政府はこれらの
原因をよく探究いたしまして、これを是正して、もってより一そう外国人を誘致して外貨の獲得をはかるという必要のあるということを私は痛感いたすのでありまするが、
総理並びに各大臣の御
所見はいかがでありましようか。
次に国際観光が
わが国において不振の
理由は、一体どういうわけであるか、これらの点を十分に
検討いたしまして、その不振の
理由を是正して、そうして大いに世界一等国にまでこれを
引き上げなければならぬと思うのでありまするが、こういうように
わが国が他国に比べて観光事業のおくれておるおもなる
原因は何であるか。私は、
わが国が太平洋の孤島であって、しかも位置的に非常に不利であるということのために、これらの観光
施設がおくれているということがおもな
原因であろうと思います。しかしながら道路や宿舎を初めとするところの観光
施設の整備が全く行き届いていない、また外国人の客に対する
待遇及び宣伝が不十分であるということを私は考えておるのであります。今や諸外国人の
わが国への関心は、年々高まりつつあることは立証するに余りありまするが、観光客の数は年々増加の一途をたどりつつあるばかりでなく、国際会議開催等も年々増加の傾向にあり、さらに外国人の
わが国への来訪の
希望は実際の来訪者をはるかに越えているのであります。現状は、諸
施設が十分でないため、受け入れをちゅうちょしておるというようなことが、この
わが国の観光不振の
原因であると私は思のであります。また毎年世界一周の観光船が来訪しておりますが、このように一時に多数の外客が来訪する場合には、常に宿舎が不備であるため、せっかく
わが国に来ながらホテルに宿泊できずして、船を宿泊所とし、限られた地帯より見物ができないというような現状でありまして、実に私は遺憾に考えております。従ってまた外貨の獲得上きわめて不利なことになっております。
国際会議の開催の場合には、ホテルにおいては収容力が、不足するばかりでなく、すぐれた同じ標準の客室をこれらの人に提供することができない。さらにイヤホーンの
施設や、多数の会議室を持っているところの会場がないために、これが開催が不可能の場合が多いのであります。最近オリンピック
日本誘致の運動が行われておりますが、この場合でも、選手用のホテルは別といたしまして、見物のため来訪する観光客のためのホテルは全く不足であるという一大欠点を持っていることは、まことに遺憾であります。さらに観光上きわめて重要な道路に至っては全国的にきわめて不備であります。箱根、日光のごとき
地域ですら満足な
自動車旅行は不可能であります。伝え聞くところによりますと、東京より日光への
自動車旅行を試みたある外人が、あまりの道路の悪いのにあきれ返って途中から旅行を断念して帰ったということを聞いております。ところが、今や観光旅行は、世界各国とも
自動車旅行の時代でありまして、道路の整備は十分各国は行き届いております。元来道路というものは単に観光用のみでなく、産業
経済上、当然改良舗装を行うべきであるにもかかわらず、
わが国では今日まで何ら改良の実をあげていない状態でありますことは、実に遺憾千万であると思うのであります。そこで観光事業を推進するためには、まずもって道路の整備が最も重要な役割をなすものであると私は存ずるのであります。
わが国の主要観光地は、国立公園、国定公園あるいは文化財とそれぞれ指定されているものが多いのでありますが、国立公園は全国で十九、国定公園は全国で十四になっておりますが、これら国立公園、国定公園の
管理及び
施設整備も、
予算があまりにも少いために十分な
施設ができずして、何らの進展を見ていないことは実になげかわしいことであると私は思います。また文化財の保護にいたしましても、かけがえのない重要なものですら放置されておるのが現状であります。年々火災によって焼失する等その
管理もまた十分でないのが現状であります。一方、産業の進展によりまして、国立公園、文化財、その他重要な観光資源が、水力電気もしくは鉱工業等の工事のために年年破壊されつつありますが、これらのことは国家百年の大計でありまするけれ
ども、これらのかけがえのないところの観光資源の保護について一段と工夫をはかるべきであると思いまするが、
総理並びに
関係大臣の
所見はいかがでありますか。
次に観光に関する宣伝について考えてみますに、観光事業にとっては宣伝がきわめて大切なことであります。遺憾ながら
わが国の
海外宣伝は全く貧弱でありまして、これはとうてい各国に対抗することはできない実情であります。今、
海外宣伝の実情を見まするに、現在わずかにアメリカに三カ所、カナダに一カ所の宣伝事務所があるばかりでありまして、しかも
経費が少いために、宣伝用の映画、パンフレット、ガイドブック等はあまりにも少く、各国にある在外公館にすら十分に配分ができない状態であります。この一事を見ても、
政府は観光事業に何ら熱意のないことがうかがわれると私は思えて、これが残念にたえません。
以上のように
わが国の観光事業については、幾多の欠陥を持っているから、
改善策を講ぜねばならぬと思うのでありまするが、
総理並びに
関係大臣のお考えはいかがでありますか。
そこで
昭和三十二年度における観光
関係の
予算について伺いますが、
政府は
昭和三十一年八月十日に、観光事業振興
基本要綱を閣議で
決定せられ、内外観光事業の促進をはかるため
基本要綱をおきめになり、自民党観光事業特別
委員会も、またこの線に沿うて観光事業の推進に努めております。一方、各省は
閣議決定に基きまして、それぞれ観光事業の振興五ヵ年計画をお定めになり、これが実現に
努力しつつあることは実にけっこうでありまするが、しかるにかかわらず
昭和三十二年度におきましては、初年度分観光全体要求額の
予算は二百四十五億円であったのに、道路
予算を含めて百三十八億円に削られております。必要
経費要求額のわずかに五割を計上したにとどまっているのでありますが、これでは十分の
目的を達することができぬので、まことに私は遺憾に思っておるのであります。次に三十三年度
予算についてこれを見まするに、観光要求額は三百十二億であったのにかかわらず、道路
関係を入れて二百十億に削減せられております。また厚生省国立公園部の
関係では、三十二年度が一億七千七百万円に対して、三十三年度は二億二千五百万円となり、若干の増額を見られましたことはけっこうでありまするが、これとても五ヵ年計画の二年度分の二〇%にしか当りません。また国立公園の中には、日光、富士、箱根伊豆、伊勢
志摩、瀬戸内海、雲仙、阿蘇等の国立観光上きわめて重要な地帯があるばかりでなく、国民の利用も年間五十万人を越えているのでありまして、駐車場、展望台、便所、野外のリクリエーション
施設等は急速に整備をはかる必要があると思うのでありますが、いかがでありますか。しかるにこの程度の
予算ではとうてい及ばないのでありまして、多額の
経費を投じて、一気にこれを整備する必要があると私は考えておりまするが、いかがでございましょうか。
世界各国の旅行の傾向といたしましては、青少年、勤労大衆等低額
所得者のための旅行を推進する方向にあります。これが
施設といたしましては、キャンプ場、山小屋、青年の家、低額宿舎(国民宿舎)等が整備されつつあります。
わが国における旅行者の数は、延べ人員が一年間三億八千人であるということでありますが、国立公園利用者においては五千万人の利用者があげられております。しかもこれらの利用者は年々増加しつつあるにかかわらず、明年度の
予算のうちで、国立公園の
関係では、これらの一部を行うことと思いまするが、
政府提出いたしました二億二千五百万円の
予算では少額に失するように思いまするが、御
所見はいかがでありますか。また新たに文部省及び運輸省では青年の家の
予算といたしまして一億円を計上しておりまするが、この程度では全国に行き渡るのは長年月を要するので、より早急に、これらの青年の家、それらの
施設を実現するように期待しなければなりますまい。また
昭和三十四年度におきましてはこの点も十分
考慮いたしまして、次代をになうところの青少年及び勤労者のために、野外の健全な休養、娯楽が容易に得られるように一段の
努力を要すべきであると思いまするが、いかがでございましょうか。また文化財の保護
関係の
予算について見まするに、三十二年度が一億八千七百万円、三十三年度が二億三千八百万円になっておりまするが、前年に比して幾分の増額を見られたことはけっこうでありまするが、外人の利用のための諸
施設につきましては何ら見るべき
経費が計上されておりません。
さらに運輸省
関係におきましてきわめて重要なことは
海外の宣伝費であります。三十二年度には一億四千五百万円があったのにかかわらず、三十二年度には一億三千百万円にして、前年よりも削減せられておる状態であって、遺憾にたまえせん。特に米国には宣伝所がわずかに三カ所よりほかにありません。カナダには一カ所だけであって、このほかには
一つの宣伝所も設立していないのであります。欧洲、
東南アジア等、ただ
一つの宣伝所も設けてありません。こういうようなことは
わが国のために非常に不利益でありまするからして、どうかすみやかに
海外事務所を早急に設置いたしまして、新たなる観光市場を開拓すべであると思うがいかがでありますか。このほかに映画、パンフレット等もどんどんこれを製作、配布して広告も活発に行うべきであると私は考えております。
また建設省
関係のうちで道路の整備につきましては重要施策として取り上げられつつありますが、観光道路としては一級国道のみに限られません。かえって二級国道や
地方道が多く利用せられておることに考えを及ぼしまして、道路公団による有料道路もまた重要であるので、道路整備の実施に当っては観光事業の重要性を十分に認識せられまして、主要観光地帯の道路整備を優先的に取り上げるべきであると私は考えております。この点についての御
所見はいかがですか。特に日光、冨士、箱根伊豆、伊勢
志摩のごときは早急に
関係道路を整備しなければならぬと思います。この点について御
所見を伺いたいのであります。
また
地方公共団体の行うところの観光事業推進のための起債について考えて見ますれば、
昭和三十二年度には五億円、
昭和三十三年度には五億円認められておりまするが、この程度の金では全く不十分でありまして、大幅に増額し、よい
施設の充実を期さなければならぬと思います。またさきに述べましたホテル、会議場等に対しましては開発銀行の
融資を一段と行うべきであり、
国内観光のためには中小
企業金融公庫による
融資を一段とこれも行い、国立公園等の諸
施設の整備をはかる必要があると思います。特にホテルの整備を急ぎ、客船に泊るというようなことのないようにし、収容力の増大とよい部屋を数多く設けて、そうしてこれらの観光客を満足せしむべきように
努力しなければならぬと思うのであります。戦前には太平洋航路におきましては、
わが国の客船は大いに活躍して外貨の獲得をやることについて非常な功績があったのでありまするが、今日においては、戦前の客船に比較してただ氷川丸が一艘残っておるだけであって、ほかのものはことごとく戦争のために沈沒せしめられたりなどしておるのでありまして、実にこういう点についても感慨無量であるのでございまするから、すみやかにこれらの点を復旧するように、建造物の補助、もしくは
融資の道を開くことが必要であると思います。なかんずく大型客船は建造に年月を要するものでありますから、すみやかにこれが手を打つべきであると思いまするが、
政府のお考えはいかがでございましょうか。
次に私はこの林野庁の
所管について農林大臣に
質問いたしますが、
わが国の山の大部分は林野庁の
所管であります。木の生えていない山の頂などは何も林野庁がこれを持っていなければならないことはないのでありまするから、これを厚生省に移管して、それで観
現地の
施設をすることがいいと思うが、いかがでしょうか。また森林が繁茂しておる場所でも風致のよい場所は、これを林野庁が持つ必要はない。故にこれを治山治水の上からも、国土保安上の上からも厚生省に移転すべきものであると思うが、いかがですか。また所有権の不明な観光地については、もしくは所有権が個人のものであっても、観光地として国が
所管すべきものと認むべきものは国の所有に早くこれを移す必要があると思います。たとえば阿蘇の頂上あるいは浅間山の鬼押出、こういうようなものは個人のものでありまするが、これは観光地として最も必要な所でありまするから、これは個人からこれを買い取って、厚生省の
所管に移して観光
施設にこれを寄与せしむることが必要であると思うのでありまするがいかがですか。しかるにこれらの両方とも見物人から入場料を――阿蘇の頂上やもしくは浅間山の鬼押出において入場料を取っておりますが、これらを早く国有として、そうしてそういうことのないように国家のためにこれを利用することがよろしいと思います。次に観光地として大切な所は厚生省の
所管にする要があるのでありまして、こういうことについては
予算を取って厚生省の
所管の国有地にするようにこれをしなければなりますまい。また個人の所有の山林の中腹の森林は個人がどしどしこれを伐採しております。これを差しとめる必要がありますが、なかなか思うようにできません。吉野熊野の国立公園の大峯山は、その大部分は民有地である。それは伐採を禁じておるにかかわらず、かえってそれらの所有者はどしどしこれを切り取っておりまするが、これを差しとめるには国家で補償金が要りまするから、こういうような土地に対しては国がこれをむしろ買収してりっぱな国立公園にすることがよいと私は考えております。また山梨県の御下賜県有林のうち、国立公園の秩父の多摩のうちにあるところの御下賜県有林の材木を県が自由にこれを伐採しております。これを差しとめるには補償が必要であります。このような大事なところは国が買い取らなければ、これに関連いたしまして、国有林も十分に観光地としてこれを使用することはできない遺憾の点がありまするから、こういう点につきましてもやはりこれを国有林に移すという必要がある。それについてはこれを補償しなければならぬ、
予算が要る、こういうように私は考えておりまするから、どうか
大蔵大臣等におきましても、こういう点を十分お考えに相なりまする必要がありまするが、用地の買収について、私の考えでは十億円もあれば十分である。保存費が十五億円もあれば十分である。そうして
施設費は年に五億円ぐらいあれば十分であると思いまするから、わずかのこれらの金で観光地が充実ができるかできないかに差があるということに思いを致されまして、御
考慮相ならんことをお願いいたします。
以上のようなことでありまするから、私は道路を完備し、交通を便ならしめ、宿舎を改良し、ボーイ教育をしてサービスをよくし、旅客を喜ばしむるごとく
施設を整備し、もって国際観光地を促進すること、その結果によりまして、外人を誘致し外貨を獲得して、国民の収入をふやし、国の財政を豊かにすることがきわめて大事であると思うのであります。
こういうことを私は考えておりまするが、歴代の厚生大臣の中で、こういう点にあまり力を用いなかったように思われるのはまことに遺憾に考えております。のみならず厚生大臣中で観光地を十分に視察して、そうしてこういうような施策をはかろうというようなことを実行せられた厚生大臣があまりないように思うのでありまするが、こういう点も
一つ、特に堀木厚生大臣はこの点に御関心を持たれておるのでありまするから、
一つ御自身から進んで出かけてこれを視察し、場合によれば、
〔理事剱木
亨弘君退席、
委員長着席〕
諸外国の国立公園
施設を視察なさることも必要ではなかろうかと思うのであります。
そこで私は
政府に対する
質問を一括して申し上げますが、一、観光事業推進に対するところの所信はいかがでありますか。二、国立公園、文化財等、観光資源の保存に関する所信を伺いたい。三、道路整備はいわゆる主要観光地帯を重点的に行って、そうしてその
目的を達するようにしなければならぬ、ただ一級道路だけに重きを置くということはいかがでありましょうか。また観光衛生の
改善、国立公園等観光地帯における観光
施設に対する
経費の支出を一段とふやす必要があると思うのでありますが、
総理大臣並びに
大蔵大臣のお考えはいかがですか。
ホテル、外客船等について
融資の増大をはかる必要があると思うが、こういう点についてのお考えはいかがですか。
海外宣伝について、あまりにも
わが国の観光
施設の宣伝は貧弱であるから、一段とこれを
努力すべきが相当であると思うが、いかがですか。
観光行政機構の
改善強化のために、観光省を設立して、観光事業の一元化をはかるのがよろしいと思うのでありまするが、いかがでありますか。
また、国立公園と国定公園との
差別について、これを慎重の
考慮を払うべきであると思う。ただいたずらに国定公園みたような
地方人を喜ばせるようなことでなくて、これを全部国立公園に包含して、国家の補助を十分に与え、そして、この国立公園観光
施設の
政策を十分に拡充強化することが必要である。現に、私の県の耶馬渓のごときは、天下の耶馬溪であるにかかわらず、これを国立公園にせずして国定公園にしてあるというようなことは、むしろこっけいであると私は思うのでありまするから、こういう点につきましても
政府当局は十分に御
考慮相なるべきものであると私は思うのであります。
このほか、李承晩ラインの外交問題や、ソ連のオホーツク海の問題等を
質問したいと思っておりまするが、これはまた分科会等においてやることにいたしまして、本日はこの程度で
質問を終りますが、今申し上げました概括的の点につきまして、腹臓なぎ
総理並びに
関係大臣の御意見を承わります。