運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1958-03-24 第28回国会 参議院 本会議 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十四日(月曜日)    午前十時十五分開議     ━━━━━━━━━━━━━ ○議事日程 第十五号   昭和三十三年三月二十四日    午前十時開議  第一 国民健康保険法案趣旨説明)  第二 警察法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第三 企業担保法案内閣提出)(委員長報告)  第四 国立競技場法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う関税法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第六 公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)     —————————————
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般報告は、朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、国民健康保険法案趣旨説明)  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。堀木厚生大臣。    〔国務大臣堀木鎌三君登壇拍手
  4. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 国民健康保険法案につきましてその趣旨を御説明申し上げます。  福祉国家の理想を実現して参りますために、政府は、つとに社会保障向上及び増進に努力して参ったところでありますが各種施策のうち最も緊急を要するものが、疾病に対する医療保障整備にありますことは、広く一般の認めるところであります。このため、政府は、昭和三十二年度予算の編成に際しましては、最重要施策一つとして、昭和三十五年度を目途とする国民保険の達成を掲げ、国民健康保険普及中心に、諸般基礎的条件整備を進めて参ったのであります。この法律案は、さきに、社会保障制度審議会が行なった医療保障制度に関する勧告にこたえて現行国民健康保険法を再検討し、財政上の裏づけとともに、国民保険基礎法として、現行法を全面的に改正しようとするものでありまして社会保障制度審議会にお吾ましても、慎重審議の結果、原則的に賛成を得、さらに答申の線に沿って所要の整備を加え、ここに提案をいたした次第であります。  この法律案の要旨は、第一に、国民保険態勢の確立のため、国の責任明確化したことであります。現行法では、療養給付費の二割と事務費全額に対しまして補助金を交付しているのでありまするが、療養給付費補助金は、総額で療養給付費の二割とし、そのうち二〇%を財政調整に充てて交付しておりましたため、療養給付費最低一割二分程度から二割五分程度まで、その交付割合市町村によって相違し、概して申し上げますと、地方財政の良好な市部には不利となっておったわけであります。これからの普及重点は、大都市を含む市部にありますので、普及の障害を除去するとともに、国民健康保険に対する国の責任明確化をはかるため、従来の補助金負担金に改め、療養給付費の二割はどの保険者に対しても負担することとし、事務費につきましても負担金とするのほか、新たに療養給付費の五分に相当する調整交付金制度を設けて国民健康保険財政調整し、負担の公平及び内容充実をはかることとしたのであります。  第二に、給付内容充実であります。従来の国民健康保険は、健康保険と比較いたしますと、給付範囲の面でも著しく劣っていたのでありますが、これを健康保険同一とし、また、給付割合も、大多数の探険者が五割にすぎなかったのでありますが、財政充実とともに、これについても漸進的に向上を期することができるようにした次第であります。  第三に、国民健康保険における療養担当者制度につきまして、最近の医療実情に応ずるとともに、この事業協力を希望しているすべての私的医療機関が参加し得ることとするとともに、各般の規定におきまして、公私医療機関を差別せず、全く同一法律的取扱いとし、指定の拒否、取り消し等につきましても、地方社会保険医療協議会の議を経ることとし、さらに弁明の機会を与え、診療報酬につきましても、保険者療養担当者が協議して定めるため、割引等が見られたのでありますが、健康保険同一とする等、その地位の安定をはかったことであります。  第四に、昭和三十五年度まで、及びその後の例外的な経過規定を設けまして、市町村国民健康保険実施する建前を明らかにしたことであります。政府は、この法案の成立によりまして、いまだ医療保険対象となっておらない約二千万人の国民に一日も早く医療保障を及ぼしたいと念願いたしておるものであります。  以上が、この法案趣旨でございます。(拍手
  5. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次、発言を許します。石原幹市郎君。    〔石原幹市郎登壇拍手
  6. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は、自由民主党を代表いたしましてただいま議題となりました国民健康保険法案に対し、岸総理初め関係大臣に対し、次の諸点につき質疑をいたさんとするものであります。  岸内閣は、桂会保障の二つの大きな柱として医療保障、すなわち国民保険国民年金構想を打ち立てておるのであります。しかも、国民保険については、昭和三十二年度より三十五年度まで向う四カ年計画をもって、すでに実施段階に入り、国民年金については、…十三年度調査の後、三十四年度より実施計画を樹立しつつあるのでありまして、わが岸内閣によりまして、社会保障制度完成の方向に一歩々々堅実な歩みを続けておりますことは、一国家国民のため、まことに喜びにたえないところであります。(拍手)  国民保険計画がすでに実施段階に入っておりまする以上、今日までしばしば論ぜられましたところの各種社会保険統合、すなわち健康保険日雇健保船員保険各種共済組合保険等職域中心とする保険国民健康保険地域中心とするものを、いかに整理統合せんとするのか、その構想をまず承わっておきたいと思うのであります。また、国民年金についても、現在の恩給制度、自治体、公共企業体職員中心とする各種共済組合制度一般労務者対象とする厚生年金保険、それに、最近は各種産業団体職員共済施設計画が樹立されつつありますが、政府国民年金制度に対する統一的な構想を持っておるのかどうか、これもこの際承わっておきたい。以上は総理お尋ねいたしたいと思います。  これからの数項目は、関係大臣より御答弁を願いたい。  今回の国民健康保険法改正は、国民保険計画実施の裏打ちとして企画せられたものと思うのでありますが、国民健康保険普及四カ年計画は順調にすべり出しておるのかどうか、もし計画にそごを来たしておるとすれば、いかなる理由によるのか、今回の法改正は、それらの点を考慮しておるかどうかという点であります。  次は、改正法第三条によりますと、市町村は、国民健康保険を行うものとするとありまして、市町村実施義務を課したのであります。その実施義務は三十六年四月一日までに行うことになっております。三十六年四月一日になっても、なお実施しない市町村があるときはいかなる措置をとるのか、また、都道府県内においてすでにほとんどの市町村がこれを実施しておりまするのに、一、二の市町村が大した理由もなくして実施を拒んでいる場合、三十六年四月一日まで、政府府県も手をこまねいてこれを見ているということは、地方住民福祉向上見地から、また、国民健康保険総合運営見地から、いかがかと思うのでありまして、厚生大臣あるいは府県知事の勧告なり、何らかの措置を講ずべきであろうと思いまするが、いかがでありましょうか。  次に、療養給付範囲については、おおむね健康保険と足並みがそろえられたことは大きな進歩でありまするが、給付割合は、法第四十条によって五割を原則としております。また、給付期間は、第五十条によりまして、同一疾病につき、三カ年と限定されているのであります。一体五割の給付で完全な保険生言えましょうかどうか。また、皆保険と言いながら、疾病で三カ年を経過したものは保険のらち外にほうり出されることになっているのでありまして、給付向上を念願していたものといたしましては、失望を禁じ得ないのであります。近い将来、給付は少くとも七割、期間は転帰までとする考えはないかどうか、これは厚生大臣に承わっておきたいと思います。  この問題と深い関連を持つのでありまするが、療養給付費に対する三割国庫補助は、三十三年度予算には実現を見なかったのであります。そうして二割のほかに五分の調整交付金が認められました。一体、三割国庫補助という問題は、全国知事会市長会町村会並びにそれぞれのその議会議長会社会保険関係する各団体はもとより、社会保障制度審議会においても、数次にわたって決議されまして、およそ国民健康保険事業に関心を有する者の常識となっている問題であります。近い機会に引き上げる意思はないか、ぜひ引き上げてもらいたいと思うのであります。また、五分の調整交付金は、第六十九条において療養給付費見込額の百分の五に相当する額とありましてきわめてあいまいな表現となっておりまするが、五分は国の義務負担と考えているのかどうか、この点は厚生大蔵大臣より承わっておきたい。  次に、従来は市町村一般会計から国民健康保険特別会計に対し、一割程度繰り入れを行うのが大体の慣行であり、厚生省もそのような指導方針でありました。しかるに、近時自治庁は、一般会計保健婦等保健施設及び直営診療所建設維持、または過去の赤字補てんについては考えてもよいが、給付内容充実向上には繰り入れるべきではないとしてこれを抑制しているようであります。しかし私は、地域社会を構成する市町村は、その区域内の住民福祉増進をはかることが、その最たる責務と考えるのでありまして、健康を保持し、貧乏を防ぐ国保事業にこそ、最も力を注いでよいのではないかと考えるものであります。国民保険特別税によって特別会計でやるのが建前であると言われるのであると思いまするが、一般税国民健康保険税では、課税標準税源等において若干異なるものがあるのであります。能力のある限り応分の繰り入れを行うことは、むしろ当然と考えるがいかがでありましょうか。さらに進んで、一定の繰り入れを認め、これを交付税対象とするぐらいの積極性があってしかるべきではないかと思うのでありまするが、自治庁長官の御所見を承わりたい。  次は、十月一日より診療報酬値上げ実施されることになっておりますが、厚生省日本医師会等医療関係団体との話し合いは、その後どうなっておるのか。また、これが実施されまする場合ば、総医療費の八・五%の範囲内で行われることになっておりまするから、国民健康保険へのはね返りは、平年度にいたしまして五十六億円ということになります。その半分々々、五割五割を保険者と被保険者において負担することになるのでありまするが、保険者負担分については、二割五分の国庫補助を差し引いて十四億、被保険者は一部負担金において二十八億の負担増と相なるのであります。国民健康保険は、私から今さら申し上げるまでもなく、市町村内の住民のうち、第六条に規定するものを除いた一切の住民対象とするものでありまして、年収十万円以下の所得者がその四二%を占めておる現状であります。一例を会桂、工場の関係者について見ましても、有力なものはあげて健康保険に、そして五人未満の零細なるものは国民健康保険へ入るということになるのであります。生活保護法による保護を受けておる者は除かれるのでありますが、ポーター・ライン層は一切国民健康保険に包括されることになるのであります。さらに、国民健康保険組合制度も認められておりまするので、同種の事業、業務に従事する能力ある者も抜けるおそれがあるのであります。現在すでに相当の赤字を持つでおりまする国民健康保険経済が、果してこの負担増にたえ得るやいなや。また、国民健康保険税、あるいは保険料値上げなくして、国民健康保険経済を維持し得るものと考えておるのかどうか、お尋ねしたい。一方、一部負担金の増大することは避けられないところでありまするが、国民生活安定確保建前から、物価の値上りを抑制せんとする政府当局の考え方とも矛盾するものではないかと思うのであるが、これを救う道は、国庫補助を大きくいたしまして、給付の率を向上せしめ、一部負担割合を減ずる以外に方法はないと思うのでありまするが、この点、重ねてお尋ねをしておく次第であります。  次に、社会保険運営に当って最も重点を置かなければならない問題は、医療が円滑、適正に行われておるかどうかということであります。いかに法律整備されましても、体系が整いましても、それは絵にかいたもちにすぎません。医療の円滑をはかるには、医師歯科医師薬剤師等医療担当者処遇についても、十分の留意を払わねばならぬと思うのであります。国民保険完成によりまして医療制度は大きな革命を見るわけであります。医師の不得手な事務的な仕事がどんどんふえて参りました。受診率向上によって労務の面も強化されております。そこで、医療担当者待遇改善については、まず診療報酬一点単価の問題についても慎重なる検討を加えなければならないのであります。しかし、問題は一点単価の問題だけではありません。まず、診療報酬支払いの迅速、的確を期することもその一つであります。診療してから数ヵ月たたなければ、市町村から支払われないのでは、医者もやりきれないと思います。しかも、かつては不払いになるような事例も多々ありました。これに対処するには、保険者が共同してすなわち国民健康保険団体連合会等におきまして支払基金制度を設け、支払いの迅速、的確を期しつつある府県もあるのであります。今回の法第四十三条第五項に、その建前は認められたのでありますが政府はさらにこれらの支払基金に対しまして政府資金を融資して、その事務を円滑化せしめる意思はないか。一部負担金についても、第四十条により指定医療機関窓口徴収責任を課しておるのでありまするが、不払い者、または支払い不能者等に対する責任関係を一そう明確化すること、さらに、医療金融の問題、医療関係施設適正配置と、その効率的利用化をはかる等、問題は山積しておると思うのであります。ことに、点数規程合理化については、医師協力を得て早急にこれを行いまして、何年もたなざらしになっておりまする診療報酬配分の適正をはかることも、喫緊の要務と考えるのであります。医療担当者処遇改善について、政府はいかなる構想を持っておるか、この際承わりたい。  次は、国民保険経済赤字の大きな原因一つといたしまして事務費補助の問題があります。事務費については、三十一年度以来、全額国庫より補助することに法定されておるのでありますが、三十一年度は被保険者一人当り六十七円、三十二年度は八十五円となりましたが、実態は百円以上を要するであろうというのであります。そこで、三十二年度において、厚生大蔵両省において、その実態共同調査するということとなり、全国にしたって共同調査が行われたのであります。その結果は百四円ということにまなったのであります。市町村全額補助実態が少いために、やむを得ず低い給与の人で補てんをしていたのでありまするが、その結果として百四円という結論が出ておるのであります。しかるに、三十三年度予算には被保険者一人当り九十円ということになっておるのでありまして法第六十六条には、国は、「国民健康保険事務の執行に要する費用を負担する。」とあるのでありまして、少くとも大蔵厚生両省共同調査の結果を尊重すべきであると思うのでありまするが、大蔵大臣所見を承わっておきます。  次に、保健婦補助については、現行法で建「三分の一」ということになっておるのでありまするが、今回の改正法案では「三分の一以内」ということになっておるのであります。これは明らかに後退ではありませんか。しかも、事務費同様、その基準単価実情に比してきわめて低いのであります。国保は、もともと農山漁村べの保健衛生向上を期したものでありまして、保健婦国民健康保険事業中核的存在一つと私は考えておるのであります。今後は地区衛生組織の活用と相待って、予防衛生面の活動を期待し、医療費の低減をはからなければならないと思うのであります。保健婦補助を「二分の一」とし、さらに、予防保健施設向上に考慮を払う意思はないか、大蔵厚生大臣所見を求めるものであります。  次に、生活保護費との関係についてただして見たいと思います。保護費のうち、生活扶助医療扶助関係を見まするに、かつては生活扶助費の方が大きかったのでありまするが、最近は医療扶助費の方が大きくなっております。貧乏の大きな原因疾病からくるものであることを如実に示しておると思います。しこうして、医療扶助国民保険との関係でありまするが、かつて、国民健康保険団体中央会が、千葉県においてその実態調査を行なったことがあるのでありまするが、国民健康保険をやっておる町村と、国民健康保険をやっていない町村では、やっていない町村がはるかに多額の生活保護費を支出しておるという結果が出ておるのであります。これを裏返して言えば、国民保険完成によって、医療扶助費は相当減額されるものと考えられまするので、三十三年度約百九十五億の医療扶助費が計上されておるのでありますが、今後思い切ってこれを国民健康保険補助に回しまして国民健康保険充実して、病気から貧乏への転落を防止すべきではないかと考えるものであります。岸総理貧乏追放も、ここから強力に推し進められると思うのであります。(拍手)私は国保補助財源は、生活保護費の減少に求むることができると信じておるものであります。また、今後は扶助医療を受けるという観念よりも、相扶共済の保険観念に進むべきものであると思うのでありますが、総理大蔵大臣所見を求めたいと思います。  最後に、結核対策との関係について述べてみたいと思います。結核医療費が今日社会保険財政に非常な重圧を加えておることは、今さら申し上げるまでもないことと思います。健康保険に特に顕著に現われておるように感ぜられまするが、今後、皆保険完成給付内容向上によって、国民保険経済べの影響もだんだん大きくなるものと思います。この際、公費負担の増大や、別個の医療組織を考えるなど、抜本的の結核対策を樹立して、結核追放保険財政根本的建直しをはかる意思はないかどうか、これも総理大蔵大臣所見を求めるものであります。  以上をもって私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣岸信介登壇拍手
  7. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お答えをいたします。  医療保障完成するために国民保険制度を樹立する、この場合において、理論的に言えば、これが一本建として運営されることが望ましいと思いますが、しかし、現在日本にあるこの地域保険たる国民健康保険と、職域保険である健康保険その他の保険というものが存しておりまして、それは、やはり特殊の事情と特殊の沿革に基くものであってこれを実際上一本化すということにつきましては、いろいろな困難があると思います。まず私どもとしては、国民健康保険健康保険の二本建にしてそうして一日も早く医療保障を受けていない二千万に及ぶ国民医療保障を与え、また同時に、この医療内容向上せしめ、負担の公平を期するということが、私どもの第一の目的とするところであります。  次に、国民年金制度につきましても、これは言うまでもなく、今日まで行われております恩給その他の各種年金制度がありまして、これが統合されることが、これまた理論的には望ましいと思われます。しかし、これにもやはり特殊の事情と特殊の沿革がございます。今日われわれが国民年金制度実施するに当りまして全国民を相手としてこの年金制度実施しようというこの目標のためには、今日まであります各種年金制度との間の調整をはかるということが、私は理論的の統合よりも、まず第一に考えなきゃならぬことだと思います。御承知の通り、社会保障制度審議会における答申も近く出ることになっておりまして、われわれとしては、一日も早くこれを実施するようにいたしたいと思います。  次に、結核対策がこの保険経済に非常な重大な影響を持っておりむしろ結核対策というものを抜本的に強化する必要があるじゃないかという御意見であります。私もこの結核対策につきましては、ただ単に保険経済だけじやなしに、広い意味から申しまして、今日の結核対策は、なお不十分であって、今後これをさらに根本的に強化しなければならぬ、かように考えておるものであります。(拍手)   [国務大臣堀太鎌三君登壇拍手
  8. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 私に対する御質疑に対しましてお答えいたします。  国民保険の四カ年計画進捗状況におきましては、大体三十二年度が四百万人増加いたしまして、従来の実績から見ると割合にいいのであります。三十三年度予算において約四百五十万人の被保険者の増を見込んでおるのであります。従いまして、自後、毎年約五百四、五十万人ずつ増加いたしまして、完成年度昭和三十五年度末には、被保険者総数が四千九百二十万人に達することはできると思っておるのであります。これと同時に、健康保険その他被用者保険の被保険者数が約四千二百八十万人に達する見込みでありまして、これで国民保険完成するつもりでございます。いつも問題になりますことは、明年度予算におきまして、予算面では三十二年度三千五百万人、そうして三十三年度予算で三千六百万人と、わずか百万人の差が見込んであるということから、皆保険進捗について、非常な疑義を持たれるような状況でありますがしかし、先ほども申し上げましたように、大体、本年度は四百万人を増加するということで、予算上の計上をいたしました。人員三年間平均といたしまして、三千五百万人までにはまだ達しなかった、そういう実績から、三十三年度予算につきましての予定人員が少くなっておることは事実であります。この原因について、さらにお尋ねでございますが、これは前々申し上げますように、一つは、地方財政上の調整が完全にいっていなかったということが一つだと思うのであります。そういう点では、今回法律改正いたしまして、大体でございますが、国庫補助金負担金にいたしまして、最低二割を負担する。そのほかに五分の調整交付金をつけるというふうな状況地方財政との調整はなるほど事務費の点について、実績から見ますと、共同調査の結果から見ますと、百四円が九十円になっておりますが、この点につきましては、いろいろ問題のあるところでございまして、毎年上げて参りましたことは、石原議員の御承知のところであります。まずまずこれで地方財政との調整はついたのでないかというふうに考えられるのであります。  そのほか、診療報酬につきまして、約六年間でございますが、長年の間これが放置されておったという点から、この国民健康保険制度が進まなかったという点も明らかに一つの支障になっておりまするので、今回、診療報酬を八・五%上げますことによりまして、大体現在の診療報酬としては妥当なところに行っておるのでないか、また、被保険者の立場から見ますると、この給付内容についていろいろ問題がありますが、これらの点につきましても、今回の法律改正によりまして、御指摘の点等につきまして“相当改善をはかってたとえば給付範囲も、大体被用者保険並みといたしましたのも、その趣旨によるのであります。結局、市町村財政診療担当者報酬の問題、保険給付内容、この三点について改正をしましたので、三十二年度に四百万人とすれば、自後、毎年四百五十万人くらいを見込むことは、私は決して無理ではない、当然ではなかろうか、こういうふうに考えておるような次第でございます。  なお、市町村実施義務を課したが、これが違反の場合にどうする、実施しない場合にどうするというふうな点であります。それは三十六年度予算においても考えるべきじゃないかという問題につきましては、私どもの考えでは、国民の健康を守り、その福祉を増進するのは、自治体として先ほど一般会計からの繰り入れの問題について石原議員が指摘されましたように、本来、自治体の一つ義務であるという点で考えておりますので、むしろ今回は、これに伴っての国の責任明確化するというところに重点を置きまして、法律改正いたしましたような次第でございます。従いまして、市町村がその本来の、当然実施すべきところの国民健康保険増進し、そうして福祉をはかるという本来の目的には、当然種々なる支障、特に財政上の支障を除けば、ことに調整交付金制度を設けました以上は、これに違反されるということは考えられない問題だというふうに考えまして、代執行でありますとか、罰則だとかというふうな規定を設けなかったような次第でございます。  なお、療養三割の国庫負担及び療養給付率について七割にしたらどうか。実はこの問題につきましては、社会保障制度審議会におきまして、御承知の通りに、三割の国庫負担と七割の給付率の引き上げということは、かねて主張されておるところであります。しかしながら、現在の状況を見てみますと、実は五割以下のところもまだある。で、五割以上の給付をいたしておりますのは、ごくわずかであるというふうな実態を考えますと、やはりこの際に、給付範囲被用者保険と同じようにして、最低五割を保障することがいいのでなかろうか、一律にこれを一挙に引き上げますことは、財政上の非常な問題であるこういうふうに考えまして、今回は給付範囲を同様にするというところに重点を置いた次第であります。なお、転帰までの問題がありますが、この問題につきましては、被用者保険と、とりあえず同じにするというふうな点を中心にいたしましてものを考えておるということでございます。いずれにいたしましても、今回の五分の調整交付金の活用によりまして相当程度問題は解決するという考え方に立っておるのであります。  なお、診療報酬引き上げに伴います各般の影響、それが被保険者及び物価等の問題から論ぜられて、国庫負担の増加によって、これらを軽減するということを希望されることは、これも一つの私は当然の要求であろうとは考えますが、しかしながら、今回の制度でも相当大幅な国家財政負担をいたしておりますことであり、これが現段階におきましては、これらの問題について私はさらに国庫負担増を考えることは無理でなかろうか。ただ、申し上げたいことは、六年間据え置きいたしましたこの診療報酬の問題は、最近の医学の進歩から見まして、この際、これを放置いたしますことは、結局、被保険者である国民の健康と幸福を守るゆえんでない。給付内容向上を、医学の進歩、医薬品の向上に伴って、社会保険を通じて考えるべきであるということから解決いたしまして、ひとり医師の待遇だけの解点からものを考にたわけではないのであります。さらに、物価との関係におきましても、単純に単価の値上りに重点を置いたのではないのであります。医療費合理化診療報酬合理化という点について相当重点を置きましたので、必ずしもこれでもって直ちに物価に影響するとは考えられないのであります。  社会保険の問題につきまして、支払基金制度を初め、いろいろな問題が考えられることは当然であると思うのであります。なかんずく、診療担当者に対しまして支払いが遅延をいたしておりますことは、私は非常に現在の制度の運用の欠点でなかろうかというふうに考えておりますので、これらにつきましては、御指摘の点等につきましては、すべて考えて参りたい。  なお、一部負担金の問題につきましては、御承知の通りに、今度の法案につきまして、国が減免あるいは支払いの猶予をした場合には——国ではございません。市町村がいたしました場合には、保険者市町村自身がかわって払い得る貴任を明確化いたしておるのであります。  事務費につきましては、先ほどあわせて趣旨を申し上げましたから、私からこの際に取り立てて申し上げる必要はないと思います。  保健婦につきましては、この点につきましては、予算補助といたしましたことは、確かに私どもは問題点だろろと思いますが、しかし現状から見ますと、各市町村が実は保健婦を全部設置している状況ではないのであります。そういう実情から見まして、私どもは従来通り三分の一の補助というものを考えて参ったのでありますが、これらが地区衛生組織の活動と相待ちまして、さらに積極的に予防面に活動するということは、きわめて望ましい事柄でありますので、実情進捗程度に伴いまして考えなければならぬと思いますが、しかしながら、現状では、各市町村が必ずしも全部設置していないという事情でありますので、この程度でやむを得ざるものと考えるものであります。  その他、結核につきましては総理から御答弁がございました。これはたびたび委員会等におきましても申し上げた通りでありますが、今回の予算におきましても、予防と治療の面につきまして相当程度、現制度を強化いたしましたつもりでありますが、なお、根本対策につきましては、将来の問題として考究いたしたいと、こう考えているような次第でございます。  生活保護費と、そうしてこの国民健康保険との関係につきましては、むろん有機的に連関のあることは考えられるのであります。しかしながら、これを余裕財源が出てきたときに、直ちに国庫補助に振りかえるという面につきましては、なお考究を要する諸種の問題があると思うのであります。  以上、各点にわたりましてお答えを申し上げます。(拍手)    〔国務大臣一萬田尚登君登壇拍手
  9. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 国民健康保険に対します国庫負担を三割にすることは常識になっておる、将来引き上げる考えがあるか、それから調整交付金の五%は義務とする考えがあるか、こういう質問が一点であります。今回、国民健康保険療養給付費補助金は二割、これに新たに五%相当額の調整交付金を加えまして、国庫負担としては実際は二割五分を負担することと相なったのであります。さらにこれを引き上げるかどうかということにつきましては、他の社会保険との均衡及び財政状況を勘案いたしまして、今後慎重に検討せねばならぬと考えている次第であります。  なお、調整交付金財政調整のための原資でありますので、これを療養給付費に対します負担金と同様、義務負担といたしますことは適当でないように考えますが、しかし、国といたしましては、療養費の見込額五%を交付することを明らかにいたしているのでありまするから、この見込額に著しい相違が生じるような場合、必要があればこれを是正する、こういう考えでおります。  それから、御質問の二点の事務費補助の点でありますが、これを今回五円上げまして九十円にいたしました。これは大蔵厚生両省の共同調査を尊重することになっておるが、それとの関係はどうか、こういうことでありまするが、これは大蔵厚生両省の調査を尊重いたしまして、その結果に基きまして、一つには、この不当な支出額を除きまして次には給与ベース、特別手当の率が公務員に比べまして高過ぎるもの、これを是正をいたす。さらに市町村合併、事務体制の整備状況を勘案いたしまして定員に調整を加えた。さらに、三十二年度におきまする給与改訂及び期末手当の〇・一五ヵ月増を繰り込みまして、九十円に算定いたした次第であります。  それから、結核につきまして思い切った対策はどうかという御質疑でありますが、結核につきましては、財政の許す限りにおきまして最も効果ある対策をとることにむろん異存はありません。しかしながら、今の財政状況からいたしますれば、私は、やはりこの医療保険によるのがいいと思っております。今日の問題は、この医療に入っていない、この適用を受けない結核患者をどういうふうに扱うかというところに問題があるようであります。従いまして、私どもといたしましては、できるだけ国民保険に進みまして、そうしてその結果、保険の会計が苦しくなるというような場合におきましては、政府保険者並びに被保険者等が相協力いたしましてそれぞれこれに対する対策を立っていく、さように考えておる次第であります。  それからもう一つは、生活保護費、ことに医療保護の費用は国保補助に回して傷病によっての貧乏べの転落を防止すべきではないか、こういう御質疑であります。国保普及と生活保護医療扶助との間に密接な関係がありますことは、御指摘の通りでありまするが、しかし、元来、生活困窮しておる者は、やはり私は国費をもって国の責任においてこれを救済すべきであると考えておるのでありますが、今いずれにいたしましても、今日は何としても国民保険を推進しまして、貧乏への転落を減少するということが一番いいと考えておるのでありましてかような考えをもちまして、三十三年度予算の編成をいたしたわけでございます。  以上、御答弁申し上げます。(拍手)    〔国務大臣郡祐一君登壇拍手
  10. 郡祐一

    国務大臣(郡祐一君) 私へのお尋ねの第一は、一般会計との関係であります。御指摘のように、国保国庫負担金保険税とをもってまかなうべき建前でありまするから、そのように指導をいたしておりまするが、しかしながら、国保会計で見ることが適当でないもの、直営診療所等の経費につきましては、三十三年度財政計画においてもそのようにすでに見込んでおります。なお、すでに生じました赤字につきましては、これは一般会計から借り入れをいたす等の措置をとりまして国保の健全化をはかって参りたいと思っております。  第二の点は、診療報酬の引き上げが保険財政影響するのではないかという御指摘の点でございます。診療報酬の引き上げは、直ちに医療内容向上になって還元されて参るものではありますけれども、何と申しましても、保険税等の増高を来たして参ります。従いまして今年、財源措置改善ができましたが、さらに実施の模様を見ましてさらに私たちは、保険財政というものを財源的にも健全化いたすように努力して参りたいと思っております。(拍手)     —————————————
  11. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 山下義信君。    〔山下義信君登壇拍手
  12. 山下義信

    ○山下義信君 私は日本社会党を代表いたしまして本案に対し質疑をいたしたいと存じます。  政府は、口を開けば国民保険ということを申されますが、両三年この方、何ら進展を見ていないのであります。さきの国保普及四カ年計画もついに失敗に帰しまして、五人未満の吸収もそのままと相なっているのであります。当時、国民保険の地ならしだなどと称しまして、岸幹事長みずから陣頭に立って、健康保険の改悪を強行したというだけであります。しかも、今回、三十三年度予算編成に際しましては、被保険者負担増一体であるという公約にそむきまして、三十億円の国庫負担をあざやかに抜き取ったのであります。——————————私は、たった二十億の金をかれこれ言うのではございません。二十億の金よりも、一国の政府が、かくのごとき不信行為をしたということを遺憾とするものであります。ことに、保険のごとき、まじめで、じみな仕事に対してその方針を二、三にするということは厳に慎しむべきであると信ずるものでございます。国保が今日まで進展を見ないで、なお難航をたどっておりまする真の原因は何であるか。一つには、昭知二十三年、公営に切りかえましたときの跡始末を誤まりまして、国保に対して嫌悪の念を植えつけたということ、いま一つは、政府施策がしばしば変更し、保険行政に対する信頼を失ったのが原因でございます。現に、実施をおくらせればおくらすほど、補助や恩典が多くなるというのでは、だれも急いでやるものはございません。みな、ひより見主義をとることに相なります。これが皆保険失敗の原因であります。何ぞはからん、ふたをとって見たら、皆保険を阻害しているものは政府自身であったのであります。よって私は、大蔵厚生大臣に、三十億円の政治責任につきまして、ここで弁明を要求いたしますとともに、特に厚生大臣には、保険行政の信用のため、国庫負担の減額とにらみ合せまして、保険料の料率を引き下げる用意があるかいなか、また、国保の育成につきましても確固不動の基本方針があるのかないのか、あるとすれば、具体的にお示し願いたいと思うのであります。  政府がにしきの御旗のようにかついでおった国民保険の正体は、今度お出しになりましたこの法案で明らかであります。何というお粗末なものでありますか、まるでボロボロのにしきの御旗である。こんなものでは、皆保険はおろか、現在の国保を一歩前進させることも、とうてい不可能であります。これは私だけが悪く言うのではありません。社会保障制度審議会いわく、「この法案には、真に国民保険の実をあげるため、基礎的条件整備し、あるいは国の責務を明確にするような配慮がなされていない。給付率の引き上げ、国庫負担の増額、医療機関の整備等、その他何々何々、ことごとく不十分である。今回の改正では、皆保険完成を打ち出したものとは認めがたい。早急にやり直すがよかろう。会長大内兵衛、堀木厚生大臣殿」と、こうなっております。堀木さん、いかがですか、一言なかるべからずでしょう。審議会の再検討要請に対して、どう対処されますか、御返事を伺いたいと思います。  こまかいことは委員会に譲りますが、あきれてものが言えないのは、設置義務昭和三十六年までたな上げしたということであります。これはざる法案でなくて、だるま法案である。手も足もこれでは出ません。元来、この設置義務たるや、国保改正の眼目であります。岸さんの目は大きいが、この法案には目がありません。目がないからどこへ行くのか見当がつきません。それというのも金を出すのがいやであるからです。政府は、国保に金が出したくないのです。舌だけはそつのないように出しますが、金は出しません。金を出さずに皆保険をやるという、そんな無銭遊興のようなことはできません。ですから政府としては、国保改正案は、実は出さないつもりであったそれをこういうふうにたな上げして、恥をかきながら出してきた、言わずと知れた選挙目当てが目的である。敵は本能寺であります。しかし、せっかくでありますが、こんなものではだめで社会党案に比べて問題になりません。社会党では、三カ年で国民保険をみごとに実現して見せます。給付率も六割、七割、八割と上げて行く、そうして健保と同様の給付をいたします。金は惜しみなく出します。国庫負担は初め三割、後に五割、すなわち半額を負担する、全国市町村民はこぞって社会党案に賛成すると、こういうことになっております。(拍手)元来、残っておる市町村は、財政不如意か、または開設困難な都市のみでありまして、自治庁が心配されるのは当然の話であります。いわんや再建団体においてをやであります。  そこで自治大臣に伺いますが、再建団体に対しまして、一般会計からの繰り入れ昭和三十四年までで打ち切って、以後は国保特別会計の独立採算を厳命されておられまするが、実情はどういうふうに進んでおりましょうか、また、今後いかなる措置をおとりになるお考えでありましょうか、伺いたいと思います。  それから保険税のことですが、われわれといたしましては、三十一年度の平均におきまして、一人当り五百六十六円、一世帯平均二千八百五十四円、こういうのがすでに限界点に来ておると思うのでありますが、なお、負担能力の余地、増徴の余地があるとお考えでございましょうか。また、個人負担の賦課につきましても、もっと応能割合を増すべきであるという議論もございますが、自治大臣の御方針を承わりたいと思います。  国保開設の都市におきましては、その対象は、言うまでもなく低額所得者がきわめて多いのでありまして、都市の人口から健保の加入者を引き去り、特別組合を除きますと、大体四〇%内外がその対象である、あるいはもっと低いかもしれません。しかもそのうち、二〇%ぐらいは負担能力のない住民であります。そこで保険税の減免措置をどうするかということが問題になってくる。この点について、自治庁の見解として、その対象国保に及ぼす影響、減免措置等についての御方針を承わりたいと思うのであります。一体国保赤字というのは、総額でどのくらいあるのでしょうか。自治庁あたりでは四十一億四千八百万円と計算をされ、厚生省では三百二十の団体で十一億二千五百万円とも計算されておる。今回の補正第三号では十六億円が助成費として出されてある。これでは帯に短かくたすきに長いようでありますが、大蔵厚生、自治関係者から御説明を願いたいと思います。  次に、本案の中で重大な問題がある。それは健康保険等の家族の二重加入を禁止するという規定を設けた点であります。これは労働者の家族に不当な損害を与えるものであります。健保の家族の給付率を引き上げたあとならばともかく、このままでは、まことに乱暴きわまる措置でありまして、皆保険と言いながら三百万人の加入者をかえってほうり出すことになるのであります。政府実情に沿い、何らかの措置を講ずる考えがあるか、当局の御方針を承わりたいと思います。  次は、指定医療機関の問題であります。今後は、健康保険と同じように、保険医療機関制度ということにする、ただ全国府県とその区域が違うだけである、ここまでくると、国保に国の統制方式がだいぶ加わって参りました。そこで、日本医師会あたりが医療国営を阻止するのだといって盛んに反対しておる。あなた方は、春闘や年末闘争を年中行事だと言ってかれこれ言われますが、あなた方の方こそ、医師会とのけんかも、まさに年中行事のようであります。(拍手)本年二月七日の全国保険課長会議におきまして「国保普及四カ年計画が、本年に入って、俄然進展がとまったのは、医師会が、新契約を見送れとの秘密指令を出したからだ。このため重大な支障を来たしたと判断する。よってわが方は」と、まるで大本営発表のようでありますが、何やら対策を指示されたということであります。国保事業医師会のため妨害されているという事例並びにその対策とは何であるか、明らかにしていただきたいと思う。わが社会党におきましては、決してお医者さんとはけんかはいたしません。あくまで保険医を信頼して行くのであります。そうして大いにその待遇を改善いたし、被保険者のために、よりよき治療をしてもらおうという主義であります。従って、僻地にも、無医地区にも喜んで開業医は行きます。これらの開業医諸君に診療所長を兼ねていただいて、補助を十分にして、生活も保障して退職金もうんと奮発することにいたします。そうしますと、無医地区はたちまちに解消するのであります。これが社会党の行き方です。政府の方では、三十三年度予算によりますと、二十六カ所の公営診療所を作る、ただそれだけである。年々二十六カ所を作っていたのでは、百六十五カ村、七百二十八の無医地区を解消するのには実に三十四カ年かかるのであります。一方では、皆保険四カ年計画などというのでは話が合いません。医者のいない所でどうして国保を開きますか、厚生大臣に教えていただきたいと思う。医療費引き上げの問題について、今後どのようにして解決なさるお考えであるか、医師会とはもう絶対にお話し合いにはなりませんか、医師会がどう出れば団交に応ずるという御意思でありますか、また、医療費の引き上げの八・五%というのは、場合によってはそれ以上になる可能性もあるのでございましょうか、その実施の時期はいかん、従って、告示の時期はいつごろと予定しておられますか、承わりたいと思います。  堀木さんは、いつも医療保障のレールが敷けた、敷けたとよく言われますが、それなら一つ汽車を通してもらわねばならぬ。しかし、どうもまだまだ不完全なような気がいたします。それは医療制度の改革ができていない。医療というものの本質と取り組んでいない。われわれは、すみやかに医療実態を改革すべきであると考えるものでありますが、私はしろうとで、うまく表現ができませんし、また、時間もありませんが、医療法も医師法等も、ともに改めるべきであると私は考えます。医療機関の規模があまりにも小さ過ぎる、また、医療機械も、設備もあまりにも旧式過ぎるように思われます。デパートの方がよっぽどりっぱである。木賃宿のような家に病院の看板がかかっておるというのではお話になりません。  それから今日の医療は、病人の治療に大わらわの状況である。これもどうもふに落ちません。果してそれでいいものかどうか。今は予防活動に全力を尽し、病人を作らぬようにする。そういう時代ではないかと考えるものであります。薬も病気にならぬような薬が一ぱいできております。OMKを使えばBCGも要らず、結核が出ないという話だ。スターリンが作らせたゼリースというのを使えば老人にならぬという話だ。クロロマイセチンを使えば、どんな高熱でも一ころであることは御承知の通り、その値段ももう百円前後と相当安くなっておりますのに、いまだに医療保険ではそれを使わさない。かぜ引き患者を一週間も医者が引きとめておる。国民保険も、医療保障も、こういうレールの上に乗っていてはお話になりません。ロケット時代に、まるでかごで道中をしているようなありさまであります。これからは医師の任務を再検討し、環境衛生、予防活動、住民の健康管理等に活用いたしまして、医療費を激減させ、保険医療の様相を一変すべきではないかと考えます。もし政府医療制度改革の計画があるならば、将来の青写真というものを見せていただきたいと思います。そうすれば、保険関係者も、医療関係者におきましても、今後の方針が立ちますから、無用の混乱が避けられるものと思うのでございます。  さて、私はここで岸首相に対し御質問申し上げねばなりません。岸首相は、日本社会保障制度についていかなる長期計画をお持ちになっておられましょうか、伺いたいのであります。私は首相が貧乏追放と言われた直後、昨年の初めごろ、わが国においては社会保障制度についてのプランというものがない。いつも思いつきばかりで糊塗しておる、これが欠点である。ぜひ総合的かつ長期的なプランを考えていただきたいということを委員会で申し上げたことがございますが、今これを承わりたいと思います。つきましては、解散はあなたがなさろうとなさるまいと、刻々に近づいておりますが、来たるべき総選挙におきまして、いかなる政策をもって社会党と相まみえんとするお考えでありますか、あるいは対決の政策がないのではないか。政策のないあせりから、何か社会党を刺激して誹謗の種を作ろうと、校長非組合とか、鉄道営業法改正とか、いろいろ小策を弄しておるようであります。しかし、いやしくも天下の二大政党の決戦です。そういう術策でなく、正々堂々と政策を掲げて雌雄を決してはいかがでしょうか。しかしてその政策とはいかなるものを考えておいでになりますか、社会保障政策もまたしかりでございましょう。この機会にあえてお尋ねをする次第でございます。  大蔵大臣には、社会保障関係費につきまして、財政当局としての御所見が承わりたいのでございます。大蔵省は予算編成の都度、この社会保障費をおきまりのようにばっさりと削る。そうして関係者を泣かせる。保母や病人が雨の中をデモをして歩く、新聞が弱い者に同情する、そうすると、やっと前年通りにこれを認める。これを毎年繰り返す、これは一体どういうわけなんですか。弱い者には強く、強い者には弱いというのは、紳士の恥じるところです。これは何か社会保障費について補助をやめたいとか、補助率を下げたいとか、国と地方の分担を変更したいとか、社会保障費の膨張を押えたいとか、何か大蔵大臣としての一定の見解がなくてはならないはずであります。それをお聞かせいただきたい。あわせて大蔵大臣としての今後の御方針もお示しを願いたいと思います。  思うに、貧困の問題は実に痛切であります。陽の目を見ることのできない大多数の国民が、中にもエンゲル係数六五%以上と言われる二千万人の貧困階層は、陽の当る場所はどこにあるかと絶望のうちに彷徨しておるのであります。哀れにもこれらの気の毒な人々を、病気や幸運を好餌として、迷信邪教の輩が、これを餌食にしております。また日々の紙上には、ひんぴんとして親子心中の記事が掲載され、まことに痛心にたえざるものがございます。岸内閣になってから一家心中が激増しております。首相はこの世相をいかに考え、いかに対処されようとなさいますか伺います。  また、松永文相は、この迷信邪教の現状等を果して調査しておられましょうか、これを取締るお考えはありませんか。道徳の源は宗教で、いかにしてこれが是正をはかろうとされますか、宗教法人法を改正し、近く国会に提案する御意思はございませんか、同法のいかなる点を改正するお考えでありましょうか、伺います。  国保関係する問題としては大学病院のことがございます。大学病院と国保、健保等の関係につきましては、別個の取扱いを要求されておるようでありますが、保険医療にいかにも非協力のように見えます。診療報酬のプラン・アルファーは文部省にて措置され、被保険者のために広く門戸を開放されてはいかがでございましょうか。大学病院と保険診療についての文相の御方針をお聞かせ願います。なお、この機会に学校給食に栄養士を置く考えはありませんか、伺います。  石井行政管理庁長官には、社会保障関係についての行政機構の改正、行政運営の方法等につきましていかなる検討を加えておられますか。行政管理庁は昨年の秋、公的扶助、児童福祉等の監査をいたしました結果、激しい非難をこれに加えて、その改善を主張されたのでありますから、さだめて御研究が進められてあろうと思います。従って御所見を伺いたいのであります。関連して、問題の審議会につきましていかにこれを整理し、いかに改めようとしておられますか、長官たる石井副総理の御所見を承わりたいと思います。  以上で私の質問を終りますが、願わくば誠意ある御答弁を期待してやみません。(拍手)    〔佐野廣君発言の許可を求む〕
  13. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 何ですか。
  14. 佐野廣

    ○佐野廣君 ただいま山下議員の質問中……(「総理答弁」「議長は何をしているか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、聴取不能)……要望いたします。
  15. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) ただいまの山下君の発言中、不穏当な個所がありますならば、議長は、速記録を調査の上、善処いたします。    〔国務大臣岸信介登壇
  16. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 山下議員の御質問に対しまして特に私に対する御質問の部分に対してお答えをいたします。  第一点は、社会保障制度に対して政府はどういう長期的な計画を持っているか、それを明瞭にしろというお尋ねであります。桂会保障制度につきましては、しばしば私が国会に言明をいたしておりますように、自由民主党といたしましては、この社会保障制度完成の根本を、国民保険国民年金の二本建を中心にして、社会保障制度の完備を期するということを、その政策の根本に掲げております。わが内閣もこれに基きまして社会保障制度国民保険の問題につきましては、昭和三十二年度を第一年度といたしまして四年計画をもってこれを完成するという考えのもとに、すでに三十二年においてまた三十三年度の提出いたしております予算案におきまして、これが完成に必要な、それぞれの措置を講じております。国民年金の問題につきましては、先ほどもお答えを申し上げましたように、すでにいろいろな恩給、その他の年金制度との関係もあり、これとの調整を考え、全国民対象とする国民年金制度につきましては、社会保障制度審議会に、その具体的の案を審議願っておりましてその答申が近く出ることになっております。われわれはこの線に沿うて、来年度よりこれが実施につきまして十分な責任ある検討を加えて参りたいと、かように考えております。(拍手)  それから第二に、総選挙において社会党との対決すべき具体的の問題は何だというお尋ねであります。二大政党でありまして二大政党の根本的の考え方は、それぞれの政党の政策、綱領等において明らかにされております。また、国会を通じて重要法案等においてその立場、主張の違いを国民の前に明確にいたしております。私はこれらのうち、外交、内政の全面にわたりまして、社会党と根本的に考えを異にいたしておる問題に対して国民の正当なる審判を、この総選挙を通じて仰ぎたいと、かように考えております。(拍手)    〔国務大臣堀木鎌三君登壇
  17. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 私に対する御質問に対して御答弁をいたします。まず第一点は、政府管掌の健康保険について三十一年度、三十二年度三十億の国庫補助が、十億になった、二十億減らされたという問題につきましては、しばしば、山下議員からもお尋ねがございまして、しばしば答えたところでございますが、これらにつきましては、私どもとしては遺憾に存ずるところではございますが、各社会保険を通じて、私どもとしてはその整備充実をはかって参りますように、財政上の問題を考えますと、やむを得ざる処置であり、今回、各社会保険制度を通じては、私は格段の進歩をいたしたものと考えておるのであります。なお、この際、この三十億の問題に伴いまして保険料率を引き下げる意思がないかどうかというお尋ねでございますが、これにつきましては、たびたび申し上げますように、保険財政としては一応黒字が相当額に上って参りましたので、保険の本旨に従ってただ積立金をふやして参るだけでなしに、なるべく被保険者負担軽減をはかることは当然の処置でなかろうか。ことに政府補助が減りました以上、私どもとしては、現在の状況から考えまして、保険料率の引き下げを行いたいと思っております。ただ、保険財政の性質上、長期の見通しに立って、その方向において具体案をきめて参りたい、こう考えておるのであります。  第二に、社会保障制度審議会の御答申についてでありますが、これは私どもよく了承いたしておりますが、社会保障制度審議会が、今回の法律について反対だとはどうしても受け取れない、方向としては是認をされております。ただ、従来とも問題になっております給付率の問題、国庫負担割合の問題その他の問題について、これを先に社会保障制度審議会がお出しになった医療保障制度に関する御答申のうちに、未解決の問題があります。そのうちでおもなる問題については、給付率の引き上げと国庫負担の増額でございますが、これらについては石原議員にお答えした通りでございます。その他の問題につきましても、実はこの法律のほかに、施行法を作り、政令を出す予定でおりますので、できるだけ社会保障制度審議会の御答申は尊重して参りたい、こう考えておるのであります。  なお、今回御審議をわずらわしております国保赤字の問題でありますが、この十六億は、国庫負担分の三十一年度の当然補助すべき国庫負担分を計上いたしましたので、いわゆる世間に言う国保赤字とは別個の問題であります。国保赤字の問題につきまして、自治庁厚生省とに数字の違いがあるじゃないかという問題につきましては、これは見方によるのであります。一般会計から繰り入れましたものを、すべてを赤字とは考えられないというところで、現在の状況では十四億ぐらいが正当でなかろうかと考えるのでありますが、なお、自治庁と、これらの問題については具体的に調整をめ下相談中でございます。  二重加入の問題は、保険の性質上、一部の人だけが特別に恩典に浴するということはどうかと考えまして二重加入の問題につきましては、先に山下議員があげられました社会保障制度審議会でも御賛成でございます。ただ、経過規定を必要として現在の二重加入者を直ちにうれを禁止するようなことはいたさないつもりでおります。  日本医師会との問題を御指摘になっておるようでありますが、確かに、日本医師会の方で診療報酬値上げというものを前にして、なるべく新契約というものについて、差し控えるようたお話があったとは承わっておりますが、私どもはそれらにかかわらず、いま回各種国民保険を進めます上における支障を解消いたしたので、今後進んで参るつもりで、円満に行くことを期待いたしております。なお、診療費の値上げとして八分五厘の問題は、これは中央社会保険医療協議会にかけました問題で、八分五厘は予算上計上いたし、八分五厘で参るつもりであります。なお、医師会との話し合いの問題は、率直に申してこの診療報酬の決定については、日本医師会も代表者を送っておる中央社会保険医療協議会の答申を得ておるのでありますが、具体的に八分五厘に真になるかどうかという事務的な打ち合せば、実施が十月一日でございますので、実施までに完璧をなお期したいを考えておるような次第でございます。  なお、医療機関の問題に対しまして、非常に誤解があるのだと思うのでありますが、今回、指定医療機関制度を設けましたが、これは公私の医療機関を区別なしにいたすような事柄であります。また、地域を広域にいたしますことは、最近の医療機関の配備上当然のことでなかろうか。医療機関になりたくない診療担当者は、これを幾らも拒否するところの自由を確保しておるのでありまして、決しておっしゃるような統制的な考え方はない。むしろ公私の医療機関を同等に待遇し、その地位を確保し、生活を保障しようという観点に立っておるのであります。  無医地区の解消につきましては、ただいまその無医地区の医療機関の問題だけではございませんので、親病院との関係整備しつつ、所期の目的を達成いたしたいと思っております。なお、予防問題、その他医療機関の改正につきましては、今後、医療体系の整備に努めますと同時に、各種の現在の医療機関につきましての使命、配置、その他の問題は今後解決いたして参りたい、こう考えておるような次第であります。(拍手)   [国務大臣郡祐一君登壇拍手
  18. 郡祐一

    国務大臣(郡祐一君) 第一のお尋ねは、再建団体国保事業に対する指導の問題であります。御指摘のように、三十一年度を見ますると、全体では四十一億の赤字、再建団体だけを見ますと十数億になっております。従いまして、再建団体は早くその全体の窮屈な状態から脱却をさせなければなりませんので、保険税の収入の確保等につきましても、いろいろ合理化措置をとっております。漸次改善されておりまするので、一がいには申せませんが、再建団体については三カ年間くらいのめどを置きまして、そうしてなかなか、赤字の出てきましたものを、一挙に赤字のない状態にも置けませんから、三カ年間のめどを置きましてその一般会計財政計画とも見合って漸次改善をさしておる状態でございます。  なお、保険税について、応能原則というような考え方をしてはどうかというお尋ねでございましたが、確かに国民健康保険事業は相扶共済という考え方の強いものであります。私も応能的な性格は相当持たすべきだと思っております。しかしながら、保険技術に立脚した国保事業でありまして、このような不均一、偶発的な事故によりまして起って参るものについて、疾病とか、その他につきましては、やはり応益的な部分も加味しなければならない。従いまして、現在、応能的な負担五割、応益的な負担五割、これを原則にいたしまして、保険税の運用はいたしておる状態でございます。なお、こまかい点につきましては、市町村実情に即するよう指導をいたしております。  最後のお尋ねは、保険税というようなものの減免の措置等について、どのようになっておるか、また、負担限度はどう考えるかというお話でございます。サンプル検査をいたして見ましても、やはり国保対象となりまするようなものは、低所得、低資産の層が多いのであります。従いまして、これに対しましては、負担限度が幾らということを、なかなかにとらえにくいことでございまするけれども、私は、その負担は可能な限度にとどめなければなりませんことでこの点については十分今後留意して参りたいと思っております。なお、減免の措置につきましては、貧困によりまして公費の扶助を受けまする者はもちろん、その他災害等の原因によりまするもの、特別の事情によりますものは、それぞれ減免の措置をとりまするよう法律規定されておりまするし、また、指導もいたしております。かつ、所得割、資産割というようなものにつきましては、その元になる住民税の所得割、資産割が減免いたされますると、それに応じて減免いたされておりまするので、減免の措置も、かなり円滑に運用されておるように存じます。  以上でございます。    〔国務大臣一萬田尚登君登壇拍手
  19. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) この健康保険に対します三十億円の国庫補助を、今回十億円に減額した理由についてのお尋ねでありますが、これは、ただいま厚生大臣からも簡明な御説明がありましたが、私からも申し上げますが、この政府管掌の健康保険は、財政強化対策が順調に進みまして、三十一年には黒字が四十八億、三十二年には大体六十億円見込まれておるのでありますが、さらに三十三年度におきまして、診療報酬の引き上げ改訂で、医療費が増加したにかかわりませず、大体収支から見ますと、余裕が見込まれる状態にあります。他方、国民健康保険、日雇健康保険、また、組合管掌の健康保険、これらは、財政力が貧弱、むろん組合管掌は全部でありませんが、弱いのもあるのでありますが、経済力が貧弱で、財政力が貧弱であります。こういうふうな状況下におきまして、何も私は、この政府管掌の健康保険が黒字になったから、すぐに国庫補助をなくするとか、少くするという、そういう簡単な考えではむろんありません。ありませんが、社会保険全体が今申しましたような状況下にありまするから、ここでは、政府管掌では十億円にがまんを願ってそして他の社会保険を強化をしていく、こういうふうな考えをもって進んでおるのでありまして、特に二千四、五百万人にも及びます、まだ医療保険の恩典に参加いたさない者も考えまするときは、どうしてもこの社会保険全体としての拡充強化を必要とする、かように考えた次第でありまして、今後の問題といたしましては、私は健康保険財政状況並びに他の社会保険全体との均衡の関係において必要な措置を考えて行きたい、かように考えております。  それからもう一点は、大蔵大臣がどうもこの社会保障費等を削る、こういうような簡単な非難でありまするが、決して大蔵大臣、そういう考えは持っておりません。社会保障につきましては、むろん政治というものが、こういうところに今後ありますことは、申すまでもないのでありまするから、社会保障費の増額ということについては鋭意努めておるのであります。ただ、財政力が制約を受けておりまするから、思うようにはいきませんが、こういうものも、漸を追うて私は充実をいたすべきであると考えております。  要するに、この財政事情の許す限りにおきましては、この社会保障の発展に努力いたす。特に公約でありまする国民保険の達成をはかりまして、国民年金創設に向って今後努力いたしたい。かように考えておる次第であります。    〔国務大臣松永東君登壇拍手
  20. 松永東

    国務大臣(松永東君) 山下議員の私に対する御質問にお答えいたします。  まずその第一は、迷信邪教に関して、宗教法人法を改正してこれらの打破をはかる意思はないか、こういうような御質問でございました。迷信邪教が、その名前の通りまことに迷信であり、邪教であるとすれば、これは、宗教のうちにはむろん入りません。しかも、こうしたことが非常に社会に弊害を及ぼしているということは、たびたび私どもも耳にいたしております。宗教団体には、信仰治療を行うという者も中にはあるというので、その中には、問題として社会で取り上げられておるものもございます。だがしかし、信仰の問題は、どこまでが信仰であるか、どこまでが迷信であるか、これを邪教と見ていいのかどうかという判断が非常にむずかしいのでございます。従って、その実情を正しく把握することがなかなか困難でございます。宗教法人は、信教自由の原則に基いて、宗教団体に法的基盤を与えるのでございまするから、この法律改正によって、直ちに迷信邪教の打破をはかるということは困難であろうと思います。従って、これはますます研究を慎重にやって参りたいというふうに考えております。しかし、社会の、面に一おきまして、社会の良識と教養の向上によっ、て、いわゆる迷信邪教を打破することが必要である。また、宗教団体が公共に及ぼす影響を考えまして、その責任を自覚して、逸脱した行為を行わないということがもちろん要望せられるのでございます。文部省といたしましても、宗教法人法の立場から、人権の尊重、公共の福祉などの点から、社会の誤解を招かないように注意を促して今日までも来たのでございます。宗教団体が公共の福祉に反した行為をなしたり、人権を侵害したり、生命財産に危害を加えるようなことがあるといたしますれば、それぞれのもちろん法律に照らしまして、その面からの抑制を受けることは、これはもう当然のことでございます。しかし、文部省といたしましては、右申し上げました宗教法人の点についても、一つ研究を重ねてみたいと存じます。  次の第二は、国民健康保険法実施を控えて、大学病院等、健康保険法の問題をどういうふうに持って行くか、成長させて行くか、こういうふうな御質問でございます。大学病院は、一般の病院とはいささか違うところがありまして、単に診療を行うのみならず、医学の教育並びに研究が任務をあわせて持っております。従って、一般病院に比較いたしまして、たとえば、重症の患者あるいは特殊の病気の患者などが多いのでございまして、国民健康保険法により、一定り診療方針によるときは、医学教育と研究の任務から申しまして、困難を感ずる場合があるのでございます。この点につきましては、しかし何らかの特別な扱いができないかというので、関係者とも十分打合せ中でございまするが、もちろん大学病院を国民健康保険法のワク外にしようというような考えは寸毫も持っておりません。  第三の御質問は、学童に対するところの給食の問題でございます。この問題につきましては、先般来いろいろ実施をしまして、それについての相当の研究も積んで参ったのでございますが、問題は、栄養管理職員の設置、それから学校給食の質的改善の上にも努力せんければならぬところがたくさんありますので、文部省といたしましては、昭和二十七年七月三十一日に、栄養改善法が施行せられた際に、文部事務次官通達をもって、都道府県内の学校における学校給食施設の栄養管理並びにその調査指導につきまして、必要な技術職員の配置、関係機関との緊密な連絡提携等について適切な計画をしてその実効を発揚するように指導いたしてきたのでございますが、引き続き会議を開いたり、講習会を開いたりするような機会をとらえまして、栄養管理の万全を期するよう指導いたして参りました。  次に、栄養士の現状につきましては、昭和三十二年の十月の文部省調査によりますというと、学校給食に従事いたしますところの栄養士の資格を有する者が千四百七十九人となっておりまして、さらに昭和三十一年九月の調査に比較いたしますというと、三百五十三名の増加となっております。そのうち二百十九名は小学校、八十三名は地方教育委員会における増加でございまして、学校給食の質的向上の上に、ますます喜ばしいような傾向がだんだん出てきているのでございます。しかしながら、これではまだ不十分でございますので、何とかしてもう少し充実させんければいかぬと、今努力を続けているところでございます。御了承願います。(拍手)    〔国務大臣石井光次郎君登壇拍手
  21. 石井光次郎

    国務大臣(石井光次郎君) 第一の問題は、社会保障関係の行政機関をどういうふうにするつもりだというお尋ねでございました。国是皆保険の推進、並びにやがて出て参りましょうと思いまする国民年金制度の問題等を扱うために、総合的なりっぱな機関を設けたらどうかという御意見もあるようでございまするが、今日の場合、行政機構の整備をするような方法によりまして、現行の行政機構の活用をやっていくにとどめたい、新、しいものを特に設けるということは、今日の場合考えていないのでございます。しかし、同時にまた、国民年金制度がだんだん実現しようとする状態にありますので、その準備のための機構でありまするとか、あるいは実現のための機関というようなものも考えられまするので、これらを慎重に今考えているところでございまして、能率的なりっぱな機関をこしらえるように努力いたしたいと思っております。  第二の、審議会がこのごろ問題になっているがということで御質問がございましたが、これは審議会は御承知のように、各行政官庁が独善的に陥らないように、学識経験者の意見を徴し、そうしてりっぱな行政に一歩前進させたいというつもりでやっているのでございますが、その意味からいたしますると、こういう制度がだんだん多く用いられ、広く活用されることは望ましいのでございますが、これを増せば、かまわないのだというようなことに放置いたしておきますると、ややともすれば、その行政機関の責任回避の問題になるおそれがあるのでございまするから、数の増すごとにも、十分な内容を検討した上でなければ、この実施をやらないということにいたしたいと思っております。今日二百三十に余る数の委員会があるのでございまするが、この運営状況につきまして、一向動かないものもあるじゃないかというようなお話もあるのでございまして、これらは順次、必要のないものは整理をして行くというようなことにいたさなければならないと思っております。また、でき上りましてからの問題といたしましては、どういう委員をその任に当てるかということが問題になるのでございまして、これらにつきましては、ただいま申しました学識経験者としてりっぱな人たちを、そうしてなるべく広く探して行くことにいたしたいど思っております。(拍手)     —————————————
  22. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 中山福藏君。   [中山福藏君登壇拍手
  23. 中山福藏

    ○中山福藏君 ただいま前質問者によりまして、重要な点はすでに質問されたと思いまするから、その他の点につきまして二、三質疑をしてみたいと思うのであります。  まず第一に、岸内閣総理大臣に対する質問でありますが、御承知の通り、現在の健康保険は管掌別に非常に多岐多端にわたっておりまして、各種保険とともに国民健康保険が行われているのでありますが、そこで、お尋ねいたしたいのは、今回、国会に提出せられた国民健康保険法の第一章総則第一条に、この法律の目的として、社会保障向上に寄与するためと明記されているのでありますが、果してしかりとするならば、これは当然社会保障の観点から、国家が全責任をもって、国民のすべてを対象とする健康保険制度を確立して、これを育成強化すべきではないかと考えるのであります。もし本法案提出の理由が、一時的な、階級的な健康保険措置であるならば格別でありますが、しかし、真に桂会保障ということでありますれば、当然、ただいま私の申し上げたような処置をとらなければならぬと考えるのであります。聞くところによりますど、本法案作成の当初、厚生省一般国庫負担を二割五分とし、かつ調整交付金五分を創設、全体として三割の意向であったということでありますが、予算折衝の過程におきまして、大蔵並びに自治庁の猛反対を受けて、現行通り二割に落ちつき、調整交付金五分だけが十月から実施されることになったと思うのであります。これくらいの程度では、真の徹底した社会保障とは言い得ない。また、このたびの法案を前にいたしまして、私どもの心配になるのは、現に保険料あるいは保険税を納めることのできない階級、すなわち低消費水準国民約二百五十万世帯、約一千万人に及んでおりまする者に対して、保険の実をあげることができるかどうか。これは非常に重大な点であると考えまするが、保険料を納めることのできない者に対して、いかなる保険行為をやるのであるか。保険料保険税を納めて、ここにすべての保険給付というものを受けるようになっているのであります。しかし、これらの一千万人に対して、どういう措置政府としてはとるのであるか。あるいは均等割、あるいは所得割によって保険料を納めておりましても、いざ病気ということになりますれば、半額は病人が自分で医療費を払い、半額は国庫がこれを負担するというような場合に、その医療費を払うことのできない場合には、保険給付を受けることができないようになる。その場合には、それらの人々の納めました保険料というものは、金持ちの病人の医療費同一、てくると、こういう結果に陥るという、そこに危険があるのであります。こういう点を、政府としてはどういうふうにお考えになっておるか、この法律でもって、そういう隘路を打開するということができるという確信があるのであるかどうか、これをまず第一に承わっておきたいと思うのです七  第二点、健康保険並びにこの国民健康保険が、社会保障向上に寄与するためには、まず現行各種健康保険国民健康保険を、運営上からも経済上からも、制度的に一元化する必要があるのみならず、特に現在の各種保険における給付内容の不統一は、非常に不合理であると考えるのであります。もちろん、制度の一元化に当りましては、多少の困難が予想されますが、国民健康保険の大目的達成のためには、この際、万難を排して制度の一元化を強行すべきではないか。しかして制度の一元化は、まずこれら各種保険を統轄する担当省、あるいは担当庁というものを新設して、もって区々たる各種保険を整理統合するとともに、乱立せる各種医療機関の統合を敢行すべきであると信じます。これこそ、国の施策として最も合理的、かつ経済的な方途と考えられるのでありまするが、この点に関する総理の御見解を承わりたい。  あえてこの質問をいたしまするゆえんのものは、現行医療保険は、その種類があまりにも多種多様であり、給付内容も区々まちまちであります。国民の権利として、当然平等であるべきものが、かくのごとく歪曲せられておるのでありまするから、この点を是正するためには、まず第一に制度上の一元化、第二には、医療機関の統合である。たとえば厚生省、労働省、文部省、郵政省等、各省の管理下にある各種医療機関の計立は、はなはだしい事務の煩職と、国費の乱費とを招来しておるのでありまするから、これら種々の悪条件を克服、是正するためには、これまた万難を排して一省あるいは一庁のもとに管理運営さるべきであると考えられまするが、総理のこの点に関する御所見を承わりたいのであります。  第三点、社会保険医療費の適正なる決定は、総理の主張する国民保険遂行上の重要なる要因であります。これが解決の成否は、保険行政の運営上、特に重大であると考えられます。しかるに、今回問題になっておりまする医療費のワク拡大の決定等に当りましては、当然、医療担当者の意見を重要視すべきであるにもかかわらず、厚生大臣は、この問題について医師会幹部と話し合う意思がないと言明しております。これでは円満な解決はとうてい望めない状態でありまして、今や総理責任において解決すべき段階に到達したと考えるのでありまするが、いかがでございましょうか。総理も知られる通り、昨年九月、医療費に関する厚生省試案が発表されて以来、医療担当者側は、その内容を検討した結果、これは不都合、不合理きわまるものであり、かつ、神田前厚相が公約した医療担当者待遇改善とも、はなはだしく矛盾する点があることを指摘して反対し、日本医師会は、独自の医療費算定方式による案を提出して対立していたものであります。しかも、今日に至るも、なお厚生省日本医師会の意見は一致していない。また、この医療費のワク拡大の予算化に当りましても、政府は誠意を示していないとして日本医師会側は非常なる不満を示しておるのであります。あまっさえ、最近に至りまして、厚生大臣は、日本医師会を相手としないと公言しており、これでは現政府医療問題とまじめに取り組んでおるとは考えられない。かくては国民保険遂行上の重大なる障害となるおそれがあります。総理の力によって早急に解決すべき問題と考えるのでありまするが、いかがでありましょうか。  次には、堀木厚生大臣に対する質問。第一点、ただいま提案された国民健康保険法運営を円滑ならしめ、ひいては国民保険の推進に寄与するためには、その基礎的条件たる医療費問題の解決こそが、最も注目に値するものの一つであります。しかるに、この問題が論議の種となって以来、すでに半歳をこえるにもかかわらず、今もって解決の曙光すら見えず、特にこの問題について厚生大臣は、医療担当者の代表機関でありまするところの日本医師会の現幹部を相手にせずとの発言が行われておりますが、所管大臣としてのこの種の発言は、はなはだしく穏当を欠くものではないでしょうか。厚生大臣は、よろしく日本医師会の団体としての自治権を認め、その代表と、一切の感情を捨てて、円満に話し合うべきであります。厚生大臣は、この問題を早急に調整する意思ありゃいなや、意思ありとすれば、その方策いかん、具体的にお示しが願いたい。なお、大臣も知られる通り、医療費問題に関して、厚生省日本医師会が相反目しておる現状から見てこの際、厚生大臣において、何らかの手を打たなければならぬと思いまするが、いかがでございましょうか。そうしなければ、この問題は常軌に復し得ない状況にあるのであります。  質問第二点、いわゆる十五人委員会なるものは、厚生省医療担当者との意見一致を調整する目的をもってその設置の必要性が重視せられ、自由民主党六役の了承があったと聞いておりますが、厚生大臣は、さきにその設置の必要を認めながら、最近に至っては、これを否定するがごとき言動に出ておられる。まことに私としては、所管大臣としての不見識をなじらざるを得ない立場にあるのであります。もし、これに対して適切なるところの方策がありまするならば、その具体策をお示しを願いたい。申すまでもなく、医療費問題に関し、て厚生省医療担当者が相対立し、まさに膠着状態に陥っておる。これを打開するために、厚生省五人、日本医師会五人、日本歯科医師会五人の構成に基く懇談会形式によって、意見の調整及び局面の打開をはかるべきであるとの自由民主党六役の申し合せがあるにもかかわらず、厚生大臣は、いかなる理由か、現在までこれを促進しようとしておられないのであります。よって、その真意をこの際ただしておきたいのである。  質問第三点、今回提案された国民健康保険法案について、以下、不合理と考える個所を指摘いたしまするから、厚生大臣の御見解を承わりたい。  第一、医療機関の知事指定は非常に不合理であり、あくまで現行通り、契約によるべきものであると考えるのでありまするが、その理由としては、市町村長の責任において実施される国民健康保険医療を、今回の改正案では、知事の指定した医療機関によって給付を行うことになるのであります。しかも、給付水準、一部負担金負担割合保険料徴収方法等が、それぞれの地方事情によって不均等であるために、現在ではそれぞれ別個に契約することによって、医療給付等が円滑に運営されており、さらに府県国民健康保険組合連合会と、府県医師会との話し合いによる基本契約、各市町村ごとにおける当事者間の細目契約の締結によって、事業が所期の効果を上げております。これは二十年来の歴史と体験による最も社会の実情に即した方法である。従って国民健康保険法の円滑なる運営を期するためには、どうしても指定によらず、現行通り契約によらなければならないと考えるのであります。  第二、保険給付期間国民健康保険の特殊性にかんがみ、転帰まで医療給付を行うべきであります。なぜならば、医療保障建前からも当然のことであり、もし法案にあるごとく、三年で給付が打ち切られるならば、国民保険の目的とは反対に、保険から締め出されることになり、その恩恵に浴し得ない者が生じることとなるのであります。  第三点、この法案においては、療養担当者の権利保護の道が開かれておりません。単に医療担当者義務のみが強化され、その権利は何ら保護されていないのであります。よって、いま少し療養担当者の権利保護を明確に規定すべきではないでしょうか。言うまでもなく、医療保険は、保険者と被保険者療養担当者の三者によって構成されているものでありまして、医師協力なくして国民医療の目的は達成せられない。特に、この法案のごとく、国民健康保険実施を強制する建前からは、上記の三者は、同等の比重をもって考えられなければならない問題であります。従って、この療養担当者の権利も明確に保護される必要があると考える。これらの点について、厚生大臣の御見解を承わりたいと存じます。  以上をもって私の質問を終ります。(拍手)   [国務大臣岸信介登壇
  24. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お答えをいたします。  今回のこの国民健康保険法改正が、同法第一条に言っている社会保障制度のこの目的を達するということであるならば、国の責任を明らかにし、国が一そう責任を負うて行くべきじゃないかという御意見でございます。言うまでもなく、この国民健康保険の施行に当りましては、地元の市町村の努力と、国の責任と相待って、これが完成を期して行かなければならない。今回の予算措置におきまして二割の国の負担と、さらに五分の調整の目的をもって交付するものとを合して二割五分でございます。これについて、なお一そう国の負担が必要であるかどうかという問題につきましては、十分、国民健康保険法の運用に徴して、将来考えるべき問題であると思います。言うまでもなく、社会保障制度であります以上、今日、国民健康保険と普通の健康保険という二本建になっておりまして、これらの間に給付内容が必ずしも同一でない。この給付内容向上して行くということも、これは、ぜひとも今後われわれとしては努力しなければならぬこと言うを待ちません。  さらにこの二つの二本建、あるいはまあ職域保険たる健康保険、その他のたくさんの保険というようなものを一本にまとめて行くべきじゃないかという問題につきましては、先ほどもお答えを申し上げましたが、理論的にはまさにそうであります。しかし、実際問題から言えば、私は、やはり国民健康保険健康保険の二本建にして、そうして内容充実し、負担を公平ならしめるように、この際、政府としては力を用うべきものである、かように考えております。  また、医療機関の乱立に対して、これが統合等を考えるべきじゃないかというお話でありました。なるほど医療機関の全国的の状況を見まするというと、あの地方には非常に乱立しており、ある地方には、いわゆる無医村というようなものがあり、非常に偏在をしている、これを是正することが必要であること言うを待ちません。同時にまた、国、政府自身が経営しているこの医療機関につきましても、各地方に分れております。しかし、これはそれぞれの沿革的の理由があり、それぞれの目的がありますので、要は、これらの、この政府が経営しておるものの間はもちろん、公私の機関の間の連絡を十分にして行くということが大事である、かように考えております。  最後に、医療費問題について今回、今の段階は、総理がこれを最後的の決定をすべき段階ではないかというお話であります。医療費問題につきましては、御承知のような沿革であり、また、この問題につきましては、医療担当者たる医師会の意見も十分に尊重して行かなければならぬことは言うを待ちません。いろいろのいきさつを経ておりますが、私は、その実施を目途といたしております十月までには、十分それらの問題が調整がつくという見通しを持っております。また、そういうふうに政府としては努力をいたすつもりでおります。(拍手)    〔国務大臣堀大鎌三君登壇
  25. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 総理大臣お尋ねになった点につきまして、私、担当大臣として一、二申し上げておきたいと思いますことがございますので、お聞き取りを願いたいと思います。  先ほどの石原議員の御質問にもありましたように、今回の法律改正は、社会保障的観点から、相当私は織り込んだつもりであります。つまり、補助金的性格から、国家が当然負担するというふうな点、その他の各種の点において、社会保障的観点を入れまして、法の改正をいたしましたような次第でございます。  それから、約一千万に及ぶ二百五十万世帯のいわゆるボーダー・ライン層に対しての問題は、これは三つ考えられるわけであります。一番問題になりますことは、御承知の通り、生活保護世帯は全額国庫医療扶助制度を持っております。ボーダー・ラインに対しては貸付制度がある。従いまして、保険料負担につきましては、今回特に大都市、府県その他実情にかんがみまして、一律に二割は国家が責任を負って負担いたします。従来は、はなはだしいところでは、一割から一割二分程度にとどまっておりましたのを、二割国庫負担にいたしまして五分という調整交付金をつけておりまして、調整して参ることによって進展いたすと思っておるのであります。  国保運営上、基礎的諸条件の一つといたしまして、医療費問題の解決、大へんおしかりを受けたのでありますが、私は初めから医師会とは謙虚に御相談するつもりで参っております。また、終始そのつもりであります。ただ、誤解がありますといけませんので、一、二態度を表明いたしたいことは、中央社会保険医療協議会は、日本医師会も入っておるのであります。そして御答申を得ておるのであります。で、少くとも法律による諮問機関としては、この委員会が唯一の権威ある機関である。厚生大臣としては、これに諮問すれば責任が果されるわけでありますが、しかし私は、そういう法律的な解釈をしようとは思っておりません。ことに八分五厘、実際になるかならぬかという実際問題についてなお論議があります。これらについては、先ほど総理からもお話になりましたように、私はできるだけ完璧を期したいと思って、それについて、実施までの間に、時間が許す限りは、これは完璧を期すべきであるという考え方に立っておるのであります。  十五人委員会の問題でありますか、率直に言えば、中央社会保険医療協讃会を否定するような論議に対しては、私は各方面で許されない問題だと思います。  そのほかに、実際の実施の完璧を期するために、いろいろな問題がある。しかし、これは党の六役とか何とかおっしゃいますが、これこそ私は、厚生大臣責任を持って解決すべき問題である。決して党と私とどうでこうでということは、党内部のことであります。しかし私は、この制度自身の運用については私が責任をもって円満に解決いたしたい。すでに各方面において、実情の判明とともに賛成も起ってき、話し合いができるような状態になれば、私は喜んで御相談に応じたいというふうに考えております。  なお、現在の国保の非合理性につきまして、何か指定について契約と違うような、これは中山さんは法律家であられて、特にそういう御発言があったのでありますが、法律をごらん願うと、どれも要するに指定という名前がありますが、実体は、法律上の性質は、今までとはあまり変っていないのであります。要するに、医療担当者の希望によって全部を包含する。そうして医療担当者が希望しなければ、これを拒否することができる。決して特別な強制ではございません。で、私は法律の性質上指定と書きましたが、実際は契約であります。ただ、最近の医療配備の状況、それから被保険者の希望等を考えますと、小さな地域でもって医療機関をきめて行くことは、私はかえって被保険者の幸福をはかるゆえんではない。むしろ最近の状況では、医療機関の体系的整備、おっしゃるように、やはりこれは広域な地域でやりました方が被保険者のためであります。また、療養担当者から見ましても、率直に言えば、先ほど述べましたように、小さな地域でもって特に起り得るところの診療報酬の問題についの値引き等の問題が、私は起らなくて、かえって実情に適するのではなかろうかというふうに考えておるような次第であります。  転帰までにしないで、三年で打ち切りましたことは、被用者保険との関係を考えましていたしましたことでございます。しかし、過渡的な規定は作りまして救済するような考え方であります。と同時に、医療担当者保護規定が薄いと言われるのでありますが、地方社会保険医療協議会においてこれはお医者さんの方も入りまして、すべてのお医者に関する事柄がきめられるようになっておりますので、私は何ら不安のないことでなかろうか、こういうふうに考えておるような次第でございます。     —————————————
  26. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 竹中恒夫君。   [竹中恒夫君登壇拍手
  27. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 ただいま議題となった国民健康保険法は、国民生活に直結したきわめて重大な法案でありますので、基本的な諸問題につきましてお尋ねいたしたいと思うわけでございます。  第一に、国家再建の諸施策はきびすを接しまして、あれもやりたい、これもやりたいと、とかく総花的に陥りがちでありまするが、国民保険の完全実施ともなれば、財源は実に莫大を要するもので、後段お尋ね申し上げまするように、当局の考えておられまするような決して甘いものではございません。慎重に重要政策の序列を変更して重点的に、本問題を取り扱わねばならぬと、かように存ずるわけでございます。ことに、最近は国民年金問題が、旧軍人恩給増額が刺激となって、老令者対策として、とみにやかましくなって参りました。しかも不統一の姿で、農協共済組合法が国会に上程され、本法以外は、将来の国民年金制度移行の障害となるような年金制度の創設は認めないと、閣議で決定しておられるにもかかわりませず、中小企業団体、あるいは生活協同組合、郵政関係の退職年金、国家公務員の退職年金等、団体的立場において年金制度は今のうちにと、続出の状態でありますが、これこそ当局の意図されておる国民厚生年金制度への逆行であり、破壊である、さように考える次第でございまするが、特に、軍人恩給に平年度において三百億円、国民年金において三百五十億円、皆保険に三百億円と、社会保障制度のうちの三施策だけを取り上げましても、一千億円からの増支出が必要でありまして、果してわが国の国力をもってこれらを同時に、今日直ちに社会保障制度のすべての実施が可能であるかどうか、こういう点につきまして総理の御所見をお伺いしたい、かように存ずるわけでございます。  第二の質問点は、過去二カ年間、当局の懸命の努力にもかかわりませず、一向に国民からも地方自治体からも歓迎されず、三十二年度の加入予定人員が半数以下である、四百万人前後であるということでありまするが、この事実に対して、何がかくあらしめたか、当局は謙虚に、すなおに、かぶとを脱いで考えるべきであろうと思うのであります。世論を無視した強制や、統制はフアッショ政治である。その原因は果して究明されたのか。その不信の原因が究明されたとするならば、その原因が何であったか、また対策をいかように立てられているかという点につきましても、これは厚相にお伺いしたい、かように存ずるわけでございます。  第三の質問点は、これはきわめて重大な問題でございますので、特に総理お尋ねいたしまするが、医学の進歩は実に目ざましく、文字通り、日進月歩でございます。今日の医学は明日の医学ではございません。きのうの医術はきょうの医術ではない場合があるわけです。一方、国民の所得はほとんど頭打ちで、新だに保険料の増徴等は考えられない。また、増徴にも限度がございます。この医学の上昇率にはとうてい国民の所得は追いつけません。この両者の上昇率のギャップをいかにすべきか、人命尊重の見地から当然考慮されねばならない問題でございます。まして皆保険であり、強制加入であるとするなれば、国の責任でこのギャップは当然埋めるべきであると思うのでございます。そうした配慮あるいは覚悟はできているのかどうか。当然このことは必然であり、予測される事実であります。重大事でありますので、総理から政治的な信念のもとに御答弁を願いたいと、かように存ずるわけでございます。  第四の質問点は、これまたきわめて重要でございますので、総理にお伺いいたしまするが、各医科大学においては、最新の医学を駆使して臨床に応用しておるが、皆保険になりました場合におきまして、果して医療統制下に、この大学の方針をやはり変更さすのか、皆保険におけるところの制限診療を、この大学教育にも持って行かれるのかという問題でございます。研究上あるいは教育上、当然、差額徴収その他適当な方法を考えておられることと思いまするが、なお、一般開業医との間に、そうした差別的な扱いをする上においてこの両者の調整の上に理論的にも合理的な説明がつくものだろうかどうか、そうした点についてお伺いいたしたい。特に皆保険の声が悪く影響して参りまして、すでに敏感な青年学徒は基礎医学の講座には出席率が非常に悪い。健保でできないような高等な医学、医術は、習得しても実社会において役に立たない、こういうような考えが学生の間に出て参っております。また、医学の参考書の売れ行き等を見ましても同様でございましてまことに寒心にたえない。すなわち、皆保険は、ある意味におきましては、医学の進歩をはばみ、学徒の研究熱をゆがめた方向に導いておるのが実態であります。一教育的見地から、医育機関の立場からしても、現状の皆保険は、そういう意味合いにおいては決して歓迎されず、白眼視されておるのでございまするが、これで果してよいのか。教育と医療関係はきわめて重大でございます。わが国の医学は一等国でございまするが、行いまする医療は三等国であるということさえ言われるわけでございまして、こうした点につきまして総理の御所信を承わりたい。  また、第五点としては、国保未適用者中、すでに千万人程度の者がボーダー・ライン層である。しかも、この方々が大都市に多く集中しておられる。東京におきましては、これらの半数の方々が区民税、都民税を納めておらない階層である。かかる多数の被保険者を新たにかかえることにつきましては、当人に対しては、先ほどの御答弁にもありましたように、減免等の措置が考えられるのでありましょうが、しかも、これが千万人ともなれば、相当莫大な額に上るわけでございます。果してこれをカバーするだけの予算措置、配慮がなされておるかどうか。また、地方財政の上から、自治庁との話し合いは一応ついたと久聞いたしておりまするが、現実によりまするというと、地方自治体としては非常に迷惑に考えている。一例を東京都の試算によりまするというと、保険税を特別区民税と同額にして国庫負担を二割とし、給付率を五割として、なお相当の赤字が出るということでございます。この低所得者への対策、並びにこれが原因して地方財政への財政的圧迫を救う施策を、あわせて蔵相にお伺いしたい、かように存じます。  なお、第六点以下三点は、厚生大臣にお伺いいたしまするが、報酬金の寺払い最終責任者の問題でございます。報酬金の支払い期日の明示がございませんが、あるいは五十日以内とか、六十日とか、施行規則、その他でおきめなられるお考えでありましょうか。また、一部負担の最終支払い責任者は、当然保険者にあると思うわけでございますが、その点もお伺いしたい。  第七点は、報酬金の適正化が皆保険基礎的条件であると、厚相がしばしば言っておられるが、現段階において報酬金の適正化は、各種事情から停頓しておるような状態でございます。適正とは何が適正なのか、その程度一体どの程度をさすのか、なかなか議論が多いことと思いますが、一応、比較的の範囲内で、適正の方向に早急に当局は努力すべきであると思いまするが、具体的にどんな作業を現在しておられるか、伺いたい。  第八点は、現在、保険医と保険者と個々の建前で、実際には団体双務契約でありまして、しかも八〇%はきわめてうまく行なっておられます。それを今回、知事の指定として、保険医を官僚統制下に置くということは、全収入が保険一本になる今日において、医師の基本的な人権である生活権にも及ぶ問題でございますが、憲法の精神から考えまして、相当これは大きな問題であろうと存ずるわけでございます。ことに、国民保険の最も重大な基礎条件である医療担当者の心からなる協力なくしては、とうてい国民保険はできないわけでございまするが、所管大臣としては、今日、必ずしも医療関係者厚生当局との間は円滑にいっておらない。これに対して、過去においてはいかなる御努力をなされていたか、同時に、今後これが調整に対して良案をお考えになっておられるか、その点についてお伺いいたしたい。  最後に、一言申し上げておきますが、国民保険は、国民皆兵時代の官僚統制では、決してうまくいかないということと、人命の尊重は、人により階層により定めるべきものではないということ、並びに結核対策問題が解決しない限りは、国民保険の実現は期し得ない。なお、健康保険自体が、きわめて不自然なものであるということを申し上げまして、私の質問を終りたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣岸信介登壇拍手
  28. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 国民保険実施するについては、予算の編成に当って、単に総花的に考えられたような甘い考えではできない。いわんや国民年金を行うということになると、財政的の負担も非常に大きいのであってこれに対して、一体政府はどう考えておるかというお問いでありましたが、お話の通り、私どもはこの三十三年度予算の編成に当りましても、いろいろな御批判はあろうと思いますが、私は政府としては、この国民保険の四年計画実施するに必要な三十三年度予算上の措置につきましては、十分重点を置いて私ども考えたつもりであります。さらに最近に、国民年金に関する社会保障制度審議会答申を得るならば、この線に沿うて、やはりこの国民保険国民年金というものは、私どもが先ほど申し上げたように、社会保障制度の二大支柱であって、これには特に重点を置いて予算の編成にも当りたい。もちろん、全体の財政との均衡も必要でありますけれども、特に重点を置いて考えて行きたい。  次に、医学の進歩、これはまことに目ざましいものであって、これを国民保険に取り入れて行くことについて、いろいろな御批判なり、御意見を含まれての御質問でございました。私から言うまでもなく、最近における医術の発達は非常な驚異的なものがございまして、この中の治療について、これは新しい薬や、あるいは医術というものを治療の上に取り入れるということは、もちろん望ましいことであり、これを心がけて行かなければならぬことであると思います。従来も不十分ではありましたけれども、決してこれを押えるというようなことではございません。ただ、今問題になっておりまする新しい点数制度の問題や、あるいは薬価の改訂等の問題もございますが、十分にこれは取り入れて行くという考えをいしておるのであります。  ただ、この医療国民健康保険におきましては、全国民にこの医術なり、あるいは新しい治療の方法を施行することになりますから、十分にその安全性と言いますか、新しい医療の方法や薬が出ましても、権威ある機関に諮って、その意見に従ってやらなければならぬという性質もありますので、従来、多少の時間的のズレのあったことは、これはこの制度として、私はやむを得ないと思うのです。しかしながら、なるべくそれを、新しい医術なり、診療方法を取り入れるように心がけて行かなければならぬことは、言うまでもないことであります。  それから、大学病院の問題につきましては、先ほど文部大臣からお答えを申し上げましたように、やはり大学病院には、特殊の教育及び研究の目的がございますけれども、それとこの医療機関との使命というものを十分に調和するようにいたして行くことが必要であろう。先ほども文部大臣が申し上げましたように、これを国民健康保険医療機関から除くというような考え方は、政府としてはいたしておらないのであります。(拍手)    〔国務大臣堀木鎌三君登壇
  29. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) ボーダーライン層が今後非常に多くを占めるだろう、それに対して政府は、甘く見ているのじゃなかろうかというお話なんでありますが、国民保険を進めて行く上における諸条件を整備いたしますことにいろいろあることは、もう竹中さん御承知の通りでございます。しかし、この問題につきましても、私どもが考えたということは、現在の普及度を見ますと、大都市が非常に少い。大都市の普及率というものが少いというふうな点で、これを考えてみますと、現在、大都市については一割程度しか国庫補助が交付されていないという現状でありまするから、今度は定率二割及び事務費も、なるほど医療が多いので、かかるであろうということは考えられますが、今回の法律において特例の制度を設けますという点によって、事務費の九十円というものを考える。そのほかに五分の調整交付金を考えれば、これらの問題に対しても私どもは解決できるんじゃなかろうか。その他の問題につきましては、生活保護及び低所得者階層に対する貸付金制度等、総合的に運用いたすべきものと考えております。  支払期日を明示する必要はないかという点でございますが、現在の状況では、だんだんこの支払遅延の状況が解決してきておりますので、私どもとしては、今度五分の調整交付金がつけば、相当その間において、国の責任において、これらの問題が解決して行くものと考えております。  また、一部負担金の問題につきましては、先ほどお考えいたしましたが、減免の処置、それから支払猶予の処置まで、一応、保険者責任をもって解決することを法律において明示いたしております。  契約と指定関係につきましては、中山さんに申し上げた通りでございます。  医療担当者との協力問題につきましては、私どもは誠心誠意、これらの問題についての実情を明らかにして、一方において相互反省と信頼の上に立てば、解決することはそう困難じゃないと考えておるような次第でございます。(拍手
  30. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて質疑の通告者の発言は、全部終了いたしました。質疑は、終了したものと認めます。      —————・—————
  31. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第二、警察法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長小林武治君。    〔小林武治君登壇拍手
  32. 小林武治

    ○小林武治君 ただいま議題となりました警察法等の一部を改正する法律案について委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  本法案は、現行警察法施行以来、三年有半の警察運営実情と、最近における道路交通の状況等にかんがみ、警察法及び道路交通取締法の二法について、おのおのその一部を改正せんとするものであります。  改正内容は、まず警察法については、一、国家公安委員会の権限に属する事務に、全国的な幹線道路における交通の規制に関することを加えるとともに、警察庁がその任務を遂行するため、都道府県警察に対し必要な監察を行い得ることを明らかにしたこと。二、警察庁の内部部局の組織を改編して、防犯、少年、保安、交通及び警らに関する事務を所掌する保安局を新設するとともに、現在の部課制を局課制に改めること。三、東京都の区域における警察通信に関する事務を関東管区警察局からはずして、これを分掌させるため、警察庁の地方機関として東京都警察通信部を設けること。四、関東及び近畿の両管区警察局については新たに保安部を設けること。五、北海道については、五つの方面本部のうち、道警察本部の所在地を管轄する札幌方面本部を廃止して、この方面の区域を道警察本部の直轄とするとともに、札幌方面公安委員会を廃止すること。六、方面警察学校を廃止し、道警察学校において新任者に対する教育訓練をも行うこと。七、二以上の都道府県の区域にわたる特定の道路の区域における交通の円滑と危険防止のため、警察官は、関係都道府県警察の協議して定めるところにより、当該道路の区域における事案について、移動警察に関する職権を行使し得ること等を改正の主要点とし、また、道路交通取締法については全国的な幹線道路における交通の規制の統一をはかるため、国家公安委員会は、法令の定めるところにより、諸車の最高速度の制限等について、都道府県公安委員会に対し指示することができることに改めんとするものであります。  地方行政委員会におきましては、二月十一日、正力国務大臣より提案理由の説明を聞いた後、政府側との間に質疑応答を重ね、慎重審議を行いましたが、その詳細については会議録によって御承知を願います。  三月二十日、質疑を終り、討論に入りましたところ、大沢委員は自由民主党を代表して本法案に賛成する旨を述べられ、「なお政府は、交通事故防止、青少年不良化防止等の問題について、単に警察取締りのワクにとどまらず、総合的、基本的対策を講ずべきであり、また、警察通信施設の増強に努めるとともに、治安確保と人心安定のためには警察官増員を考慮すべきである。この際、これらの問題について政府の善処方を強く希望する」と述べられました。鈴木委員は、日本社会党を代表して、「本法案に反対である。反対の理由は、本法案の底に一貫して流れている考え方は、民主警察に逆行するものであり、監察の問題、北海道における方面本部の問題、幹線道路における交通規制の問題等、いずれも警察における中央支配強化の意図がうかがわれるからである」と述べられました。  かくて採決の結果、本法案は、多数をもって原案通り可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  33. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   [賛成者起立]
  34. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      —————・—————
  35. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第三、企業担保法案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。法務委員長青山正一君。   [青山正一君登壇拍手
  36. 青山正一

    ○青山正一君 ただいま議題となりました企業担保法案につきまして、法務委員会における審議の経過並びに結果につき御報告申し上げます。  従来、株式会社が営業資金を調達する場合に、その償還が長期にわたるものに対しては、特に確実な担保を必要とされますので、この担保として、各種の財団抵当制度が多く利用されて来ましたが、この制度は、適用業種及び担保の目的物について制約を受ける上、設定、変更手続等に多大の時間と費用を要し、かなりの不便がありました。そこで、この不便を除くため、株式会社の総財産を常時変動する状態のまま相保権を設定できる制度を創設することによって営業資金の調達を円滑ならしめようとするのが、本法案提案の趣旨であります。  まず、本法案の要旨を申しますと、第一に、株式会社は、その発行する社債を担保するため、会社の総財産を一体として企業担保権の目的とすることができることとし、第二に、企業担保権の得喪、変更は、会社の本店研在地の株式会社登記簿に登記することによって効力を生ずるものとし、第二に、その効力は、会社企業の運営に伴い、常時変動するそのときどきの状態における会社の総財産に及び、また、先取特権、質権及び抵当権よりも常あとの順位とされ、第四に、企業担保権が実行されたときは、差し押えによって会社の総財産が確定し、この総財産を管財人が一括競売または任意売却できるものとされていることであります。  さて委員会におきましては、二月二十日、政府当局より提案理由を聴取した後、二月二十八日より質疑に入り、前後七回にわたり慎重に審議を重ねました。質疑中、論議の集中した点は、まず法案の、総財産を一体とすることの意義及び範囲が不明確であること、被担保債権を社債に限った理由、企業担保権の効力が弱いものではないかということ、企業担保権設定後の会社の重要財産の譲渡処分を禁止する規定を設けなかった理由、企業担保権の実行方法として強制管理の方法を特に除外した理由、中小企業に対する融資の減少のおそれ、開銀からの長期貸付金につき、例外として本法の適用を兼め、一般市中銀行の長期貸付金には適用しなかった理由等であります。これらに対し、政府当局からそれぞれ適切なる答弁を得ましたが、その詳細につきましては、会議録をごらん願いたいと存じます。  委員会におきましては、本法案の重要性にかんがみ、三月十三日には商工委員会と連合審査会を開き、多数の商工委員からの熱心な質疑があり、さらに、また三月六日、十四日の二回にわり、学者、実業人等七人の参考人から有益な意見を聴取いたしたのであります。  かくして三月二十日、質疑を打ち切り、討論に入りましたところ、大川、棚矯の両委員から賛成の討論がなされ、その際、大川委員から政府に対し、「企業担保権設定、変更の際の公証人の手数料、登録税などを軽減するよう措置されたい」との要望があって、採決に入りましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  37. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案にノ賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  38. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      —————・—————
  39. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第四、国立競技場法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。立教委員長湯山勇君。    [湯山勇君登壇拍手
  40. 湯山勇

    ○湯山勇君 ただいま議題となりました国立競技場法案につきまして文教委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、本法案の提案の理由と、その内容を簡単に申し上げます。  本年五月、東京都において開催されます第三回アジア競技大会の主たる競技場に充てるため、国で総経費約十四億六千万円をもって旧明治神宮競技場跡に、昭和三十一年度から国立競技場を建設いたしておりますが、本年度をもってその工事を完成し、引き続き明年度諸施設の整備を行うことになっております。  この法案は、国民の心身の健全な発達に寄与するため、国の出資により国立競技場を設立し、その設置する体育施設の適切かつ効率的な運営、その他体育の普及振興のため、これを特殊法人とすること、その資本金、組織、業務、財務、会計、監督等に関し、所要の規定を設けたものであります。  なお、この法人の成立は昭和三十三年四月一日とし、それまでに設立に関する事務を処理することとし、附則にそれについての必要な規定を定めておりますが、それは、この競技場の施設が、さきに述べました通り、第三回アジア競技大会の主たる競技場に充てられることになっておりますので、その運営に支障なからしめるために、すみやかにこの法人を設立して準備に遺憾なきを期する必要があるからであります。  委員会の審議の過程におきましては、各委員より熱心に質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ることといたします。  質疑を終り、討論に入りましたところ、自由民主党を代表して野本委員より、特殊法人の運営において万全を期すべきことなどを要望して、本案に賛成の意見が述べられました。また、松永委員は日本社会党を代表して、本案に賛意を表し、この法人が特殊法人であるから、役員、評議員の選任には適正を期せらるべきこと、運営補助金を継続して支出すべきことなどの要望がありました。さらに緑風会加賀山委員からは、本競技場が自主的に国民に親しまれるように運営されること、アマチュアスポーツの殿堂として発展することなどを期待して賛成の旨が述べられました。  続いて採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  41. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に一賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立]
  42. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ─────・─────
  43. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第五、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う関税法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長河野謙三君。    〔河野謙三君登壇拍手
  44. 河野謙三

    ○河野謙三君 ただいま議題となりました日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う関税法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  本案は、合衆国軍隊の構成員等の用に供するため、免税で輸入された物品が譲渡された場合における関税法等の適正な執行をはかるため改正を行おうとするものであります。  すなわち、そのおもなる点を、申し上げますと、譲渡された場合、関税減の適用については、申告がなくとも同法の外国貨物とみなし、関税並びに国内消費税を徴収しようとするものであります。また、夫納税の譲り受け物品をさらに譲り受けをした者は、連帯して納付の義務があることとする等、所要の改正をいたしております。  委員会の審議におきましては、合衆国軍隊の構成員等の人数に比し輸入量が多いことは、相当量の横流しのおそれがあるのではないか、本法によるほか他の強力な措置がなければ、その課税の捕捉は困難ではないか等について質疑がありましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論に入り、平林委員より、「本案の趣旨は当然であり、賛成するが、行政協定による免税輸入の乱用について、政府は米軍側にその自粛及び防止方を交渉し努力すべきである」との意見を付して賛成する旨を述べられ、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右、御報告いたします。(拍手
  45. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立]
  46. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  47. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第六、公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。建設委員長竹下豐次君。    〔竹下豐次君登壇拍手
  48. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 ただいま議題となりました公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件について、建設委員会における審議の経過及びその結果を御報告申し上げます。  公営住宅法は、昭和二十六年に、住宅に困窮する低額所得者に対して、国及び地方公共団体協力して低家賃住宅を供給する目的をもって制定されましたが、その第六条によりまして、政府は、昭和二十七年以降、毎三カ年を各一期とする公営住宅建設三カ年計画を立て、計画の大綱につき国会の承認を求めなければならないことになっております。本件は、昭和三十三年度を初年度とする第三期公営住宅三カ年計画でありまして、住宅対策審議会の意見を徴して作成され、閣議決定の上提案されたものであります。  その内容は、昭和三十三年度より三十五年度までの三カ年間に、第一種公営住宅六万七千戸、第二種公営住宅九万戸、合計十五万七千戸を建設しようとするもので、第二期計画に比べますと、二千戸増加になっておりますことと、第一種より低額所得者対象とする第二種住宅に重点を置きかえております。  次に、委員会における質疑のおもなる点を申し上げますると、第三期三カ年計画における公営住宅の不燃化の促進並びに中高層化については、どのように考えているか、また、昨年三月、在外資産問題に関連して引揚者の住宅に困窮している者に対して、三十二年度以降五カ年間に、おおむね二万戸の住宅を貸与するという閣議決定を行なっているが、今日の三カ年計画とはどのような関連を持っているか、その他、三カ年計画実施の見通しとその財政的裏づけ、企画庁の経済五カ年計画とこの三カ年計画との調整、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の施行に伴う公営住宅の固定資産税の家賃への影響の問題、公営住宅の家賃決定の方法についての問題等についてでありました。これらの諸点のうち、引揚者住宅については、この際、公営住宅法実施することが適当であると考えられるので、三カ年計画の中において取り扱って行く方針であること、また、固定資産税と家賃の関係については、自治庁の見解として、一昨年、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律施行の際、現に家賃の決定している公営住宅については、家賃の不均衡があるので、将来、家賃の均衡整理ができるまで、特別交付金等の措置で、固定資産税相当分が家賃に影響されることがないようにして行く考えであるが、三十三年度より新たに徴収される公営住宅の家賃については、右の法の趣旨から特別措置をとることは、きわめて困難であることが述べられ、一方、建設大臣からは、都道府県が直ちに固定資産税相当額を家賃に転嫁し、入居者の負担増にならないよう、さらに検討を加えて行きたいということでありました。なお、詳細については、会議録に譲りたいと存じます。  かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、社会党を代表して重盛委員から、「現下の住宅事情にかんがみ、本計画は、はなはだ不満であるが、第一、二期計画実績にかんがみ、計画数は必ず実施すること、さらに低家賃政策に徹すること、特に固定資産税問題については、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律実施に当って、これが家賃に転嫁されることのないよう、強く要望して賛成する」との発言があり、また、緑風会を代表して村上委員から、「本計画実施に当っては、特に不燃化と中高層化に重点を置くこと、また、家賃の不均衡調整については、すみやかに妥当なる方法を見出して解決を図ること、及び従来の公営住宅建設の実績がその計画数量に比して、はなはだしく不成績であるから、この後十分の成績を上ぐるよう努力をするようにという希望を付して賛成する」との発言がありました。  次に、討論を終了、採決の結果、全会一致をもって原案通り承認すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  49. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。  本件を問題に供します。委員長報告の通り本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  50. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認することに決しました。  次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時七分散会      —————・————— ○本日の会議に付じた案件  一、日程第一国民健康保険法案趣旨説明)  一、日程第二 警察法等の一部を改正する法律案  一、日程第三 企業担保法案  一、日程第四 国立競技場法案  一、日程第五 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う関税法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第六 公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件