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1958-04-24 第28回国会 参議院 法務委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月二十四日(木曜日)    午前十時五十二分開会     ―――――――――――――   委員異動 本日委員白木義一郎辞任につき、そ の補欠として辻武壽君を議長において 指名した。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     青山 正一君    理事            棚橋 小虎君            宮城タマヨ君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            大谷 瑩潤君            佐野  廣君            亀田 得治君            藤原 道子君            後藤 文夫君   国務大臣    法 務 大 臣 唐澤 俊樹君   政府委員    法制局第二部長 野木 新一君    法務省刑事局長 竹内 壽平君    農林省農地局長 安田善一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   説明員    経済企画庁総合    計画局参事官  檜垣 好文君    経済企画庁総合    計画局参事官  吉植  悟君    経済企画庁総合    計画局計画課長 太田 亮一君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○検察及び裁判運営等に関する調査  の件  (国家公務員秘密保持問題に関す  る件)     ―――――――――――――
  2. 青山正一

    委員長青山正一君) 本日の委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  四月二十四日付白木義一郎辞任辻武壽君選任。     ―――――――――――――
  3. 青山正一

    委員長青山正一君) 本日は、検察及び裁判運営等に関する調査の一環といたしまして、国家公務員秘密保持に関する問題を調査することにいたします。  それでは御質疑の方は御発言下さい。
  4. 亀田得治

    亀田得治君 最初企画庁の方にお尋ねいたしますが、新聞で例の官庁スパイ事件といわれておる問題につきまして、あなたの庁の矢島、林という両君が逮捕されているわけですが、まあ問題に入る前に、お二人の方のポストというものと、企画庁にお勤めになっていた年限、そういったものについてちょっとお聞きしておきたい。
  5. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) ただいま御指摘の二人の企画庁内部における職務でございますが、まず、林計画官の方は、現在私ども経済企画庁総合計画局計画官という職務を持っております。担当は、この計画局の中におきましては課が一つ計画課というのがございまして、それ以外には……ちょうど大蔵省で申しますと、主計局主計官に当るような格好職務でございますが、それぞれ仕事を分けまして、計画官において担当いたしておるのであります。そのうち貿易関係並びに技術の関係仕事担当いたしておるのであります。それから矢島君の方は、鉱工業関係仕事担当いたしておりまする調査員でございます。
  6. 亀田得治

    亀田得治君 調査員ですか。
  7. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 正確に申し上げますと、専門調査員でございます。
  8. 亀田得治

    亀田得治君 お勤めばどれくらいになるのですか。お勤めになったのは……。およそでいいです。
  9. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 正確な年は覚えておりませんが、大体二十二年か三年ごろに、経済企画庁の前身でありますその時分の安定本部だったと思いますが、そこに勤めることになったのであります。
  10. 亀田得治

    亀田得治君 最初に、経済建設五カ年計画要綱についての問題点という方の文書についてお尋ねいたしますが、これが一つ問題になっている文書ですが、これの作成された理由はどういうことだったのでしょうか。私もここに持っておりますが。
  11. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 五ヵ年計画経済政策要綱についての問題点という資料についてのお尋ねでございますが、御承知通り政府におきましては、前にいわゆる経済五カ年計画を作ったのでありますが、その後御承知通り、非常に経済の情勢が変って参りまして、この計画が必ずしも実態に合わないというふうな状況にもございましたので、特に企画庁の、私どもの方の、当時計画部でございますが、――におきましては、経済五カ年計画の改訂について、いろいろ研究をやって参っておったのであります。その問におきまして、各国の経済計画調査をいたしましたりしておったのでありますが、たまたまそのときに、社会党の方におきまして、この五ヵ年計画経済政策要綱についての発表がございましたのであります。そこで私どもの方におきましても、これを検討をしようということになったのでありまして、計画部中心といたしまして、関係担当官等が寄りまして、それぞれこの要綱に盛られております事項等について検討をいたしました。それを大体まとめたものがただいま御指摘の五カ年計画経済政策要綱についての問題点という資料でございます。
  12. 亀田得治

    亀田得治君 社会党の五ヵ年計画の、結局まあ批判書のような内容のようですが、作成されたのはいつでしょうか。
  13. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 大体昭和三十一年の十二月初めごろでございます。
  14. 亀田得治

    亀田得治君 十二月の二十日とか聞いているのですか。
  15. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 実は二つ資料がございまして、一つは十二月の十一日、それからもう一つが十二月の二十日でございます。
  16. 亀田得治

    亀田得治君 その二つは違うわけでしょうo
  17. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 大体内容は違いございません。十一日に作りましたものをある程度その後、さらに十一日のものに検討を加えまして、多少変更しましたのが二十日のものでございます。
  18. 亀田得治

    亀田得治君 大した変更はないわけでしょうね。
  19. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) さようでございます。
  20. 亀田得治

    亀田得治君 それからこれは直接にはどこに配布されたものでしょうか。
  21. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 実はただいま申し上げましたような趣旨で私どもの方で作成いたしましたので、これは計画部のこの研究に当りました担当者を主体にしまして、大体部内に配布しております。
  22. 亀田得治

    亀田得治君 この文書には、いわゆる役所などで私どもよく秘と判こを押したものがあるのですが、そういうものはついておるのですか、いないのですか。
  23. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) そういう印はついておりません。
  24. 亀田得治

    亀田得治君 こういう事実はおそらくお知りでしょうが、ちょっと確かめてみたいのですが、昭和三十一年の十二月一日刊行の、これは経団連から出しておる「経営者」という雑誌に、やはり社会党の五ヵ年計画批判として大体同じようなものが事前に載っていた、こういうことをお知りでしょうか。
  25. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 承知いたしております。
  26. 亀田得治

    亀田得治君 その「経営者」は十二月一日に刊行になっているようですが、実際に発刊されたのはいつごろでしょうか。
  27. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) はっきりいたしてはおりませんが、大体半ばごろではないかというふうに見当をいたしております。詳しくは一つ発行者と……。
  28. 亀田得治

    亀田得治君 通例から言うと、日付よりも早いのじゃないですか。
  29. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 通例大体半ばごろだと思います。
  30. 亀田得治

    亀田得治君 日付よりも早いのじゃないですか。半ばというのは十一月の半ばですか、十二月の半ば、どっちの意味ですか。
  31. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 十二月の半ばごろじゃないかと思います。これは実ははっきりしたことは……。
  32. 亀田得治

    亀田得治君 さらに日経連の月報にも同じような記事が載ったはずですが、その点はお知りでしょうか。それは別個なものですか。
  33. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 日経連発行の分が「経営者」ということです。
  34. 亀田得治

    亀田得治君 ああそうか、わかりました。  そこで肝心なところをあなたにこれからお聞きしたいわけですが、この文書をあなたの方としては、秘密という問題に関連してどういうふうに考えていたのですか、お聞きしたいのです。その当時の考えを言って下さい。今問題になったからあれこれということでなしに……。
  35. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) この文書につきましては、先生も当然お気づきであると思いますが、この五ヵ年計画経済政策要綱についての問題点という文書には、ほかの文書と違いまして、実は経済企画庁のたとえば計画部とか何部というような部の名前もつけてありません。この点につきましては、これは日本国内におきます政党の作られましたものについて官庁として批判をするということはまあどうかと思うというふうな事情がございまして、これはどうもそこのところははっきり境目はむずかしいのでありますけれども、一応検討をいたしましたのは、企画庁計画部中心に各担当官が相寄りまして検討いたしたのであります。これは計画性格総合性を持っておりますので当然でございますが、そこで一応まとめましたのがこの問題点でございます。従いまして、これは官庁として、たとえば上から命令されて作ったというふうなものではございませんで、ただたまたまその時期にいろいろ経済計画勉強もいたしておった時期でありますので、一つの題材として検討いたしたという趣旨のものでございます。従いまして、そういう事務上の参考資料という意味で作ったのでございまして、まあそれがあまり外部経済企画庁として作ったというふうなことが出るのは必ずしも好ましくないというふうなことで、部内にだけ資料を配布したという趣旨でございます。
  36. 亀田得治

    亀田得治君 これは計画官中心になっていろいろおやりになったもののようですが、何か集まって討議をして、そうしてそれらの意見を集約していった、そういう形で作られたものなんですか。
  37. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) さようでございます。
  38. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、特にどなたが責任者ということになっておるものでもないわけですか。
  39. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 一応これは非常に各部面にこの政策要綱はわたっておりますので、貿易とか、鉱工業とか、その他いろいろ各部門担当官が寄ってやったのでありますか、それを取りまとめるという格好におきましては、ここに列席いたしておりますが、吉植参事官取りまとめ担当いたしております。特別な責任者というようなかたい音心味のものではございません。
  40. 亀田得治

    亀田得治君 事務的な取りまとめ吉植さんかおやりになったというふうなことのようで、いわゆる官庁文書、ともかくも部も何も書いてないし、そういう感じのするものではないのですね。こんな何も書かない文書なんて第一ないでしょう。官庁の所属も年月日も何もない。
  41. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) これは御指摘のように、形式的に見ましても、ほかの文書とはだいぶ性格は違っておるのであります。
  42. 亀田得治

    亀田得治君 そこで、これはどうなんですか。秘密とも何も判こを押してないのですが、押すのを忘れたものなのか、あるいはもう内容自体がそういうものなんで、特に秘密扱いする必要もないものなのか。私の秘密と言っておるのは、国家公務員法百条における秘密ですよ。ともかくもお互い研究したのだから一応まとめておくが、政党関係もあるから、ほかに見せたくない、そういう意味秘密はそれはどこにでもありますよ、お互いわれわれは。だけど、この国家公務員法でいうのはこれは処罰ですから、処罰の対象になるような何か非常に重大な意味を持った秘密なのかどうか、そこの非常に微妙なところですが、お聞きしたい、率直に。
  43. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 御質問の点のいわゆる秘密文書についての秘の印でありますが、これは実は押し忘れたのではなくて、押す必要を認めないということでそういう処置をとらなかったのでございます。従いまして、ただいま申し上げましたような趣旨で、これが作成されたものでありますので、当然そういう秘扱い処置をとるための判こを押すということをやらなかったのでございます。
  44. 亀田得治

    亀田得治君 この点について、あなたの部下が逮捕される前に、警察の方から、この文書について何か問い合せ、かあったでしょうか。あったとしたら、どういう問い合せがあって、それに対して、あなたの方はどういうふうにお答えになったか。その日時等も、御記憶があれば明らかにしてほしいと思います。
  45. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 警察の方からやはり問い合せばございましたのですが、ただいま列席いたしておりまする私ども太田計画課長が出頭いたしましたので、お許しを得まして、計画課長の方からお答えいたします。
  46. 太田亮一

    説明員太田亮一君) この点について御説明いたします。昨年暮れに、牛島君の自宅と、それから職場の方と、両方捜索を受けたわけでございますが、その後、本年に入りましてから、二月の初めごろ、数回にわたりまして書類の性質について聞かれたわけでございます。で、これは当時、局長あるいは参事官、そちらの方には連絡がございませんでしたので、私だけが参って説明をしております。
  47. 亀田得治

    亀田得治君 それはどういうふうに聞かれて、あなたはどういうふうなお答えをしているわけですか、文書件格について。
  48. 太田亮一

    説明員太田亮一君) 警察から質問がございましたのは、一つは、内部でのいわゆる秘密文書、これは内部での取扱い上の問題でございまして、公務員法秘密の問題ではございませんが、秘密文書取扱いがどういうことになっているか、それから若干の資料につきまして、これが秘密文書に当るかどうか、こういう点の質問でございました。
  49. 亀田得治

    亀田得治君 だから私のお聞きしているのは、今の企画庁における秘密文書の一般的な取扱いについては、あとから若干聞きますから、そこの部分じゃなしに、つまり五カ年計画要綱についての問題点というこの文書ですね、これについての性格は聞かれているに違いないわけです。それに対してどうお答えになっているのか、おそらく私は、その点がもう決定的になって、警察が手をつけたものだと思うのです。
  50. 太田亮一

    説明員太田亮一君) 今、参事官の方からも御説明申し上、げましたが、資料性質といたしましては、純然たる内部的な検討資料でございまして、外部発表する意思をもって作ったものではございません。で、この取扱いにつきましては、ここに計画局とも、あるいはいつ作成したという日付もつけておりませんように、かえってそういうものをつけますというと、目をつけられる形になりますので、正式の企画庁での文書といいますか、意見を表わすような形で、外部にとられますというと、われわれとして、単に事務的に検討したものでありますので、その点誤解を招くおそれがある、こういうことでわざとその辺の表示はいたしませんでした。ただ、取扱いの上から申しますというと、いわゆる訓令によります秘密文書の中では、一番程度の軽い部外秘ということであろう、こういうことでございます。これを部外秘としますそのやり方については、ここに表示をいたしておりませんので、これは内部資料だからということを、集まって検討いたしました最初に、そういう話し合いをしております。その形で皆が承知をしておる、こういう形でございます。
  51. 亀田得治

    亀田得治君 先ほど檜垣さんが、大体性格をおっしゃったわけですが、あなたも今、それと同じような内容のことをおっしゃっているわけですが、ただ、官庁政党のそういう政策批判したものだから、外から知られたくない、そういういきさつを……、それだけのものであって、実質そのものが、これが外部発表されたら非常に何か障害が起るとか、そういうものではこれはないと私は思うのです。  それから、その辺の説明警察の方に十分なされたのかどうか、いわゆる部外秘というものが、全部処罰しなければならないというような、そんな重大なものではないでしょう。
  52. 太田亮一

    説明員太田亮一君) ただいまお話のございましたように、この内容につきましては、先ほど参事官からも申し上げましたように、役所名前として出るのはまずいということだけわれわれは考慮しておりました。で、これが個人の名前でかりに出たとすれば、その内容としては、何といいますか、客観的にわれわれとしては、別に恥かしいとか、非常に内容的にお粗末だから困るとか、そういうことは考えておらなかったのだと、そういう点は、私どもからも説明をいたしております。
  53. 亀田得治

    亀田得治君 それでよくわかりました。それで企画庁における秘密文書の一般的な扱い方ですね、この点、ちょっと御参考にこの際聞いておきたいと思います。それはどういうふうになっておりましょうか。だれが認定をして、そうして形式的にはどういうふうな表示とか……・。
  54. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 経済企画庁におきましては、秘密の保全に関する訓令というのが昭和二十八年五月十五日、これは審議庁時代でありますが、審議庁訓令第一号として出ているのであります。それに基きまして、それぞれ各局におきましても、また、実際に実施する面において、詳しい手続等をきめているのでありますが、この訓令によりますと、大体秘密文書につきましては、担当の上司――局長あるいは課長等においてこの認定をいたしまして、それに基いて必要に応じて判を押すというふうな格好手続をいたします。  文書につきましては、秘密文書取扱い担当官というものが次長――次官でありますが、事務次官の方から指名がされると、その担当官において、この文書取扱い保管責任を持って当るという格好処理をいたしておるのであります。
  55. 亀田得治

    亀田得治君 局一課長認定して判を押すというふうにおっしゃったわけですが、認定権はそっちにあって、認定されたあとの何か文書扱いですか、後段の御説明は。ちょっと意味がよくわからないのですが。
  56. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 認定されまして、たとえば、文書を印刷するというふうなことで資料等ができますと、秘密にもいろいろと種類がありまして、まあ程度の高い秘密的なものと、それほどでないのとがございますが、その事項内容によりましてその責任者の方で認定をいたしまして、それに基いて、たとえば文書を作るというふうな場合等には、それぞれの秘密程度文書保管の仕方とかいうふうなものが違っておるのでありますが、それについては保管責任者というものが指名されて、その統括のものとに各局保管をやっていくということになっておるのであります。
  57. 亀田得治

    亀田得治君 大体わかりましたが、そういう処理のための規定というものは、慣例でなく、ちゃんと規定されているわけでしょうな。先ほど訓令とおっしゃったが、ずっと細部の点まで……。
  58. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) さようでございます。
  59. 亀田得治

    亀田得治君 これは、まあ明日でもいいですが、参考資料をいただきたいと思います。お願いをしておきます。
  60. 青山正一

    委員長青山正一君) 檜垣参事官に申し上げますが、ただいま亀田君から申し入れの資料、当委員会まで明日でも御提出願いたいと存じます。
  61. 亀田得治

    亀田得治君 それから次に、例の「経済企画庁七%モデルの検証」というもう一つ文書、これについて若干お聞きしたいんですが、これはどういう理由で作成がされたものでしょうか。
  62. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) この七%モデル作業でございますが、これも先ほど来御説明申し上げておりますように、計画部におきまして、新しいまあ経済計画を作る作業準備を、この三十一年ごろから始めておったのでありますが、その間におきまして勉強――研究グループの間でいわゆるモデル作業というのをやってみようと。その場合に、これはまあ非常に日本経済の伸ばし方、いろいろ説があるのでありますが、一応その当時では七%程度この日本経済を伸ばすのが適当ではないかというふうな意見等もありましたので、一応それを中心としまして、七%で経済伸びとすると、どういうところに問題点があるか。特に交通とか電気、その他いろいろ、いわゆる隘路部門がその当時問題にされたのでありますが、それを中心としましてこの作業をやってみまして、それがまとめられたものがこの参考資料でございます。従いまして、何と申しますか、最近できました長期経済計画一種準備作業というふうな性格のものでございます。
  63. 亀田得治

    亀田得治君 私も内容を若干拝見しましたが、内容政府の方針をここに書くとか書かぬとか、そういうことじゃなしに、全く純粋にこの経済分析をやっておる、そういう趣旨のものだと思いますが、いかがでしょう。
  64. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 御指摘のように、たとえば現在できましたこの長期経済計画では、すでに御承知のように六・五%というふうなこの成長率がままっておるのでありますが、これは経済審議会等中心としまして、私どもと共同で検討いたしまして、この六・五というのがきまったのであります。そういうふうに政府あるいは関係機関において、このきまったものに基いて、また、各産業部門ごと作業をやり、できました長期計画とは違いまして、一種勉強といいますか、七%でやったらどういうふうなところに問題が起るかというふうなことを研究を期する意味において作ってあるのでございます。
  65. 亀田得治

    亀田得治君 わかりましたが、そこで当時は、これは三十五年度の経済計画目標にしての作業であったというんですね、そうでしょう。
  66. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 御指摘のように、当時は一応政府できめたものといたしましては、いわゆる経済自立五カ年計画でございまして、これは昭和三十五年度を目標としました計画になっておりますので、それとのいろいろまあ比較をするというふうな作業の必要もありますので、三十五年度といろいろ比較検討をしたということになっております。
  67. 亀田得治

    亀田得治君 そうしてその後、目標年度政府の方では三十七年に変えておるね。だから、そういう関係からいきますと、まあ分析自体は、もちろんその時点に立っての分析としては、今でもこれは参考になるものなんですが、三十七年度を目標に変えておるものですから、これを幾らか政策的にすく役立たせるにしても回りくどい道を通らなければいかぬわけですね。すぐこれをもっていくというわけには私はいかぬと周り、これを作った当時よりは、まあこれが無用にはならないでしょうが、そういう意味では作ったときよりも若干何といいますか、資料なり、参考文献としての価値というものは、私は非常に少くなっておると思いますが、その点はどういうふうにお考えでしょう。
  68. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) お話のように、現在できております、いわゆる長期経済計画昭和三十七年度を目標年度としておるものでありまして、従いまして、直接この七%のモデル作業とは関係はないのでありますが、ただまあこの作業をやりますときに、いろいろ計算をやるのでありますが、これは過去の統計資料等を使いましてそれをもととして数学的な式等を使いましてやりますので、この七%モデル作業を作りましたときに、そういうもので作業をやったのでありますが、そのいわゆるトレーニングが、やはり新しい計画においては相当役には立っておるのでありますが、ただ、この七%モデル作業自体は、現在からみると一種勉強作業であって、特別に日本経済計画との関係においてはあまり関係はないと思います。
  69. 亀田得治

    亀田得治君 そこで、この文書秘密の判などを押してないわけですが、この点はどういうふうにお考えになってるでしょうか。
  70. 太田亮一

    説明員太田亮一君) 今お手元にお持ちになっておるんでございましょうか。もしそうでございましたら日付をお知らせ願えるとけつこうだと思いますが。と申しますのは、この資料は後になりまして一部を除きまして公表いたしております。従いまして、その時期によりまして取扱いが変っておりますものですから、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  71. 亀田得治

    亀田得治君 これには、私のやつには日付がついておりませんがね。問題になっておるのは、一番初めのそういう日付の入っておらぬやつなんじゃないんですか。
  72. 太田亮一

    説明員太田亮一君) これは私どもの方で、むしろ問題となる可能性のあるというものは、これは七%モデル作業と銘打ったものでは実はございませんで、この七%モデル作業という名前をつけましたのは、これがもう発表に近くなりまして、一応何か適当な名前をつけなければということで、こういう名目を付したわけでございます。当初は内部的には、最初十一月に作業を始めましたので、十一月作業と申しておりましたし、それから後になりましてから、先ほど御指摘がありましたように、最終年度昭和三十五年度ということで計算をいたしておりましたので、昭和三十五年度計画参考資料というような名前で中間的なものは作られております。で、今のお話のありましたようなやつを、ちょっと日付が入っておりませんので内容が特にわかりかねますが、その形になって参りましたものは、もう発表の時期によほど近くなってできたものではないかと心得ます。なお、新聞記者に対しましては、昭和三十二年の一月二十五日に記者クラブの方に資料を渡しまして説明をいたしております。
  73. 亀田得治

    亀田得治君 なるほどいろいろ変ってきてるようだが、そこでかりに七%モデル作業と申し上げることにして、この文書について、最初のやつかあとのやつかその点はいろいろあるようだから私もよくわかりませんが、警察で今問題になってるのがどれかわかりませんが、どれにしろ、この七%モデル作業文書について先ほど御説明がありましたような、企画庁の規則に基く秘密の指定、従って、それに基いて次官がいろいろ手続をちゃんとして、そうして秘密扱い手続をした、こういう事実はあるんですか、ないんですか。
  74. 太田亮一

    説明員太田亮一君) これがだんだんまとまって参ります段階で、いろいろこういった作業をやっておりまするというと、当然新聞記者の方々から非常に注目をされるわけであります。一番最初の海のものとも山のものともつかぬ時分はかえって大丈夫なわけでございまして、そういう意味で一月に入りました時分からの文書につきましては、中間的な資料でございますが、大体部内限りという表示をして印刷物の肩へくっつけまして、そして部外秘取扱いをしておるんだということをはっきりわかるようにしております。そしてそれが発表になりましてから、発表になりました分については従って全部その取扱いはやめる、ただ、その作業の中で一部、これはできがまずいといいますか、十分検討が済まなかったので、発表された部分に落してあるところがございます。七%モデル作業ということがございますが、全分野をカバーしておりません。その中から雇用問題とか、農業の関係でありますとか、財政金融部門とか、そういうものはみんな抜けております。それらに関係することはいたしておりません。
  75. 亀田得治

    亀田得治君 一応部内限りという判が途中で押されたようですが、判を押したわけですね。
  76. 太田亮一

    説明員太田亮一君) 判をできてから押しませんで、ただ、印刷の際に同時に表示を、ガリ版で一緒に書いたのです。
  77. 亀田得治

    亀田得治君 それはどういう程度秘密なんですか。ただ、まあ作業が完成すれば発表するというような前提があったようなもののようですから、何もこれを見られたら処罰まで持っていかなければならぬような重大な秘密というふうには、ちょっと御説明からは受け取れないのですが、その当時はどういうお気持だったのでしょう。
  78. 太田亮一

    説明員太田亮一君) 私から申し上げますが、大部分のものにつきましては、発表まで取扱い注意といったような感じでございます。従いまして、発表になりましたと同時に、その部門につきましては、全部部内限りの取扱いは解除になったのでございます。ただ、一部分につきましては、これは途中で作って参りました時期には切り離して、別冊にして実は作っておりました。その部分だけは公表いたしませんので、ずっと残っておるわけでございますが、その意味は、主としまして検討不十分のために出すのには適当でない、こういう程度のものでございます。そういった残された未発表のものにつきましては、先ほど来御説明申しましたように、経済計画そのものが一十七年度を目標という形で新しくスタートいたしまして、そうすれば当然あっても無意味なものになる、こういう形でございます。
  79. 亀田得治

    亀田得治君 大体実態がわかってきましたが、そこでこれが警察の問題一になっておりますが、警察考え方を芸干認めるとしても、どうなんでしょうか、このためにあなたの方の企画庁という役所が非常に何か迷惑を受けた、被害を受けた、行政運用上障害を起した、そういったようなことがあったのですか、ないのですか。
  80. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 御指摘のような、そういう事実は私どもの方ではないと考えております。
  81. 亀田得治

    亀田得治君 そうすれば、こういうことについて当面しておる官庁自体が、何も警察に申し出てこないのに、警察だけがこれを秘密だろう秘密だろうということで、そうして同じ役所でありながら役所の者を逮捕する、ちょっと私ども文書の実態を知れば知るほど非常に納得いかぬ。だから私はほんとうに官庁の隠しておくべき秘密を漏らして、そうして何か損害を与えた、そういうことならそれは当然皆さんの方からも、あるいは場合によっちゃ申し出るかもしれぬだろうし……、そうでないこういう事案のようですが、これは当然私は上司としては、こういう問題の扱いはもう少し慎重に願いたいということで警察当局に申し出るべきものだと思うのですが、そういう点の御努力等は、企画庁としておやりになっているのでしょうか。
  82. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 実は本日列席をいたしておりませんが、海外に出張いたしております私ども局長の方から、そういう申し出はやってございます。
  83. 亀田得治

    亀田得治君 局長からおやりになっているようですか、ともかくあなたのところの一番の責任者は、相当政治力もあるわけですからね、もっと局長なんかにまかさないで、これはあなた官庁が侮辱されているようなことですよ。だからそこは一つ局長の帰りを待つのじゃなしに、もう少し努力をしてもらいたいと思うのです。  それから次に、農地局の方の問題に移りますが、これも最初にちょっと早野さんのポストなり、勤務年限なり、ちょっとお聞きしたい。
  84. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 亀田委員のお尋ねに簡単にお答え申し上げます。早野正夫という名前事務官でございます。三十年の三月一日に、通産省に籍がありましたものから農地局の総務課へ入るようになりまして、総務課の課長補佐級、当時は班長の下にある調査班の班員であります。主として当時の事情に応じて、公団法の、特に愛知用水公団法制定事務について、なかんずくそのうち財務、会計、人事等について企画立案折衝の事務に当っておったのであります。その後、三十年八月六日に愛知用水公団法が成立をいたしましたのですが、その成立に照応いたしまして、早野君の担当事務は、公団設立準備業務に移りまして、会計給与規程、退職給与、旅費規程、人員採用計画、予算、資金計画等の事務を取り扱っておったのであります。公団法の成立とともに、農林省には愛知用水公団監理官というのができまして、監理官は一人であるわけでありますが、事務が非常に複雑なために、総務課の身分にある者を適任者として公団の監理官の事務の補佐をやらさしておったという立場におって、本事件に移るようになったのであります。それから三十年の十月一日に一特に省内の取扱い上の組織でありますが、監理官単独では適当でないので、官理官を補佐するものを加えて、実施上公団監理室というのを作りました。身分上はもちろんポストがございませんから、総務課の職員ということになっております。内部の業務命令の形におきまして公団監理官付を発令いたしましたが、それは三十年十一月九日であります。公団監理官は、農地局は三部と総務課がございますが、三部には属しませんので、局長に直接属しておるのであります。補佐官は総務課の職員が、今申しましたような取扱いによりまして補佐しておられる補佐員でございます。その後、三十一年十二月十六日に、農地局の事務分掌及び組織の細目に関する規程を明らかにきめることにいたしましてきめまして、人事院等とも打ち合せまして、愛知用水公団監理官補佐、班長となっておりました。三十二年八月十六日まではそのままその職務に従事しておりましたが、その後、八月十六日以後、農林経済局協同組合部組合検査課に兼任をさせまして、定員の関係をもちまして、本務は農地局の総務課の職員でございましたが、実質上は組合検査課に勤務をいたしておったのでございます。その組合検査課に併任をせられました以後、公団事務には関係いたしておりませんでした。かわりました意味を、蛇足かもしれませんが申し上げますが、組合検査等の事務に従事するに適任であろうから、将来組合検査官になる候補者として経済局に割愛をしたのであります。
  85. 亀田得治

    亀田得治君 御詳細御説明いただいて非常によくわかりましたが、そこで、農林省の場合には、秘密の問題に対する内部扱い規程、これはどういうふうになっておるでしょうか。
  86. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 農林省固有の事務処理の規程といたしましては、昭和十八年十一月一日にきめましたものをそのまま継続適用いたしておるのでありますが、名称は農商省処務規程というのでございます。そのうちに機密文書扱いを含めました文書の接受、発送取扱いの要領及び文書自身を親展文書とその他のものに分ける、その他とは普通文書でございます。さらに文書に目をつけませんで、普通事務処理をどういうふうにするかということをきめてあります。  それから、およそ文書というものはどういうふうに処理するか、繰り返して申し上げますと、事務処理するには文書をもって原則とするが、文書をもって行わない場合もあります。それは、たとえば特に急速を要するものとか、軽易なものとかいう、口頭をもつて処理することもあることを規定しておりまして、さらにこの規程上の機密文書取扱いについても書いてありますが、農林省は、亀田先生の御質問に対してどうしておるかといえば、私はその農商省処務規程だけで行なっておるのではないと思います。公務員法趣旨に応じまして実質上行なっておりましたり、秘密扱いをするものとか、秘密文書であるとするものを、それぞれ法令に基いて、その権限あると申しますか、職務があると申しまするか、というものの局課長あるいは官房長、その源はすべて法律及び大臣から譲られておると思いますが、そういう意味の権限ある責任者がきめて取り扱うということも、この文書処理規程以外にもあると思います。その次は、慣行上、公務員というものの、また、官庁というものの性質上から、一般常識的に慣行とでもいった方がいいと思いますが、そういうものによって処理している扱いと、こう三様あるといえばあると思います。
  87. 亀田得治

    亀田得治君 なかなか複雑なようですが、昭和十八年の十一月一日の処務規程ですか、あれはずいぶん古いものですが、こういうものは実際生きておるのですか。
  88. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 生きております。十分にこの各条において実施が行われておるかという点につきましては、少し乱れておると思います。
  89. 亀田得治

    亀田得治君 そごの辺のニュアンスですが、規程は廃止しない以上はそれは存在はしておるだろうが、それが生きておるかということなんです。実際みんながそれを守ってやっておるのだというふうにはなっていなかったので、この問題が起きてから、いろいろ慣行なり、そういう古いものを引っぱり出したりして、そうして、こういう問題について何もなかったというのじゃちょっと格好が悪いからというようなことで、ちょっと、そのために、しまわれていたものが引き出されてきたというふうな感じの、それが実態なんじゃないでしょうか。だから大体規程じゃなしに、何かやられていたとしたら、むしろ一種の慣行的なものでやっておったというふうに解釈する方が実態なんじゃないですか。
  90. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 第一の御質問の、生きているかどうかという点は、御質問意味も明確でございませんので、規程が存在し、適用さるべく存在しておるとこういう意味では、牛きておると思います。また、事実上、これが過半適用されなくて、慣行的なようなことの方が一般的であったかと申しますと、私はそうではないと思います。
  91. 亀田得治

    亀田得治君 昨年早野さんがお調べを受けたときに、全農林の組合の幹部の方が、官房の秘書課長に、農林省における秘密という問題について面会を求めて、意見を聞いておる。そのときには、農林省では秘密はないというふうに断言されたわけでもないのだろうと思いますが、非常にそういう点については消極的な御意見のようであったらしい。ところが、今度の事件が再度起きまして、四月十四日に、また、組合の幹部の諸君が面会したところが、今度はさきの説明とは非常に違ってきて、秘密というものを非常に厳格にまたおやりになっているような趣旨説明に変ったらしいのです。おそらく局長もそのことはお聞きになっているだろうと思いますが、やはりこの問題が起きてから、至急にいろいろ秘密に対する意思統一ということを部内でおやりになった、それまでもばく然には大体あるでしょうが、そういうことなのじゃないですか。
  92. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 今お述べになりました秘書課長と労働組合とのこと、その再度にわたること、その前者と後者と差があるらしい、まとめて打ち合せたのはその後ではないか、いずれも私はさだかでありません。
  93. 亀田得治

    亀田得治君 この点はその程度にしておきましょう。  そこで、警察でいろいろ文書が問題にされておりますが、その中の一つとして、農林大臣の引継資料というのが一つ問題になっているようですが、その点についてだけちょっとお聞きしておきますが、問題の引継資料は、河野農林大臣から井出農林大臣への引継資料のようです。その点は間違いないですね。
  94. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) その通りでございます。作成期日は、その印刷物にも書いてありますように、三十一年十月作成のものであります。
  95. 亀田得治

    亀田得治君 実際に引き継ぎが行われたのはいつなんですか、十二月のように聞いているのですが。
  96. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 日付まではっきりしませんが、大臣がおかわりになったときであったと思いますから、そのあとで、十二月であったと思います。
  97. 亀田得治

    亀田得治君 引継資料の作成がさっき十月とおっしゃったのじゃなかったでしょうか。
  98. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 大臣引継資料は、上司からの指示もあり、また、積極的に職員が職務に精励する意味におきまして、まず、事務当局がまとめる部分があり、指示を受けてまとめる部分がありまして、大臣が事務引き継ぎをされる前に作成をいたしまして、引継資料と申しますか、引き継ぎ事項の記載文書と申しますか、それを大臣の御承認を得まして、必要な事項は大臣がさらに自分でつけ加えられまして、事務引き継ぎをなさいますので、資料作成の方が前でございます。
  99. 亀田得治

    亀田得治君 それは資料作成がもちろん前でなければ、引き継ぎできないわけでしょうが、先ほど十月に作成されたと言われたのですが、引き継ぎまでに通常そんなに期間があるのですか、十二月の作成じゃないですか。
  100. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 作成の十月は確かでありますが、引き継ぎされた時期は、ちょっとうっかりしまして、ただいま明確でございません。
  101. 亀田得治

    亀田得治君 あるいは引き継ぎの年月日、十月に作成が確実なら、私の方がこれは不正確かもしれません。  その次の問題は、せんだっての勾留開示公判等におきましても、十二月一日から十日までの間に引継資料が紛失した、こういうことを検察側の方から言われておるわけなんです。で、本人は絶対にこれはもう否認しているのです。文書がなくなったということだけでおれをそんな逮捕することあるかという、それはだれかほかの者が盗んでいるかもしれぬし……。そこでお聞きしたいと思うのですが、こういう引継資料というものは何部くらい通常お作りに――一部作るものですか、その辺はどうなんです。
  102. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 大臣引継資料は、官房で省内全体のものをまとめまして作るものでございまして、まだその慣例も前から現在も続いておりまして、部数はおそらく百部以上だと思います。それには官房の担当課が、次官、官房長の委任を受けまして、あるいは形式的な手数を加えれば、引き継ぎされる前大臣の指示によりまして、それぞれの正当な機関が課長段階まで委任を受けまして、そして作成部数を決定して配布先も決定する。その配布先の目安は大体課長以上ということであります。これを早野君が勤務をいたしておりました部署について申し上げますと、監理官はその課長と同じと見て下さってけっこうであります。課長補佐には、官房作成として取扱い責任者である官房の方からは渡らないのが原則であります。しかし、取扱いに注意をしましたりすれば、課長補佐級まで、希望があったり、勤務の参考上にしたりすれば、特にその職員の担当事務がかなり取り上げられて、引き継ぎ事項になっておる場合は作成者、配布者のところにおきまして渡すことがあります。そういうふうになっております。   〔委員長退席、雨森常夫君着席〕
  103. 亀田得治

    亀田得治君 その百部にはもちろん何か判こが押してあって、そして渡した先というものは何か控えがとってあるものでしょう。
  104. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 一般的にそういう原則にはなっておると思いますが、早野君に関係して問題にされましたこの場合は、控えがとってあるようであります。それは官房総務課であります。
  105. 亀田得治

    亀田得治君 とってあるとしたら、こういう問題になっているのですから、あなたもごらんになっているのでしょうが、それは早野君に普通とは違って何か渡したというふうなことにはなっているのですか。
  106. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 作成者及び配布の責任者からは、早野君には渡さなかった。本人が総務課へ出向きまして、希望して、もらいたいというので、監理官の、課長補佐的な立場にありましたので、渡したそうであります。その間の事実は私は知りません。
  107. 亀田得治

    亀田得治君 じゃ渡したということが文書に残っているのですか。
  108. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 控えに残っておるようであります。   〔委員長代理雨森常夫君退席、理   事棚橋小虎君着席〕
  109. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、問題は、早野君が一部もらった。それをほかへ渡した。警察ではそうおっしゃるわけでしょうが、そういう警察の立場でしょうが、その点は早野君は否認している。それでこれの秘密というものはどういう程度秘密のものですか。従来の慣行等から言って。
  110. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 非常にいろいろな事項が書いてありまして、大体冒頭には、農林省の組織、機構図と配置人員のおもなるものから始まるものでございますので、そういう分と目下の懸案事項、今後処理すべき事項、その中にこういう処理方針ではいかがかというようなものも書いてありますので、こういう各種の事項取りまとめ一つ文書にいたしましたものは、相当な重要な、適法な権限をもって事務処理するという公務以外は――他官庁でもそういう分がありますが、その処理については他官庁でもそういう関係方面がございますが、そういう方へは話すことがありますが、他へは話さないという性質のものであります。話したり渡したりしない、こういう性質のものであります。しかし、ただいま申し上げましたように、農林省の組織法とか設置法、それによります機構とか、人事の発令等におきましては、また、時期が経過しまして、その事項を成規の手続で公表いたしましたり、適当な時期が来まして、国会でそのまままたそれに即しまして御報告申し上げ、御質疑によってお答え申し上げましたりすると、他の取扱い手続によりまして法令もあり、質疑に応ずる答弁とかいうこともありまして、新聞発表ということもありまして、個々に他の方で秘密が解除される。秘密というのは部外へは出さないということで、解除される部分が出てくるものを含んで、そういうものは部外へ出さない、そういうものであります。
  111. 亀田得治

    亀田得治君 厚さはどれくらいのものなんです。
  112. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) ときによって違いますが、問題になっておりますものは二冊でありまして、ページ数をちょっと忘れましたが、五分ぐらいじゃないか、四分ぐらいと三分くらいの二冊になっておると思います。というのは、農地局分は、本来は他局庁と一緒にまとめて一冊にしておるのが例でございますが、農地局分が件数が多かったものですから、農地局分を別冊にして、追録として取り扱ったようですけれども、そういう意味で、二冊になっておるものです。両方を合せれば八分……、メートル法じゃありませんが、八分ぐらいの厚さだと思います。
  113. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、そんなに大部のものでないようです。ともかくも大臣が新たに来られたということで、農林省全体のことを一応お調べ願う。まあその機構から始まるというわけですから、そういう一種の教科書みたいのものですね、農林省では今これこれこれこれの問題があるというようなことで……。
  114. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 形容をもってお尋ねになりますとちょっと答える方法がわかりません、教科書的なものかどうかは。私は教科書とは思いません。
  115. 亀田得治

    亀田得治君 それは教科書の意味内容によるけれども、その個々の農林省の政策等の秘密にすべき問題点とか、そういう点に集中して作成されているとか、そういう意味のものでなく、ともかく農林省として、全体としてこういうふうな状況にあるというふうな意味のものだろうと思うのです。そういう意味でね。
  116. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 引き継ぎの事項の各事項ごとに非常に詳細に書いたものではございません。その基本の要点を書いてあります。
  117. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると農林省としては、もちろんそういうものをほかへは出したくない。これはまあわかります。しかし、それが出たからといって何か障害が起きてくるとか、そういう性格のものではどうもないように思う。たとえば、農林省のことを相当詳しく知っている人であれば、大体それくらいの程度のことはわかっているというようなものじゃないのですか。ただし、ほかには何もこんなことは見せる必要もないし、内部のことだし見せたくもない。その辺のニュアンスはどういうことになるのですか。
  118. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) たくさんの事項が入っておりますので、全部が亀田委員のおっしゃるようなものとは思いません。
  119. 亀田得治

    亀田得治君 現実に何か、こういうふうに早野君は否認しているが、警察が言ったようなことが事実あったとして、そのために実はこういう被害が起きているのだ、それがどこか一部ほかへ渡ったために。そういうことは現実に何かあったのでしょうか。
  120. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) これは農林省としてお答えできるかどうか疑問でありますが、私が公職の立場におって、個人で直接にそういうことを体験したことはないのでありますが、それ以外あるかないかはわかりません。
  121. 亀田得治

    亀田得治君 それ以外にあるいはそれはあるかもしれぬが、大体農地局の系統の方だからまああなたに一応お聞きしておけば大体の想像がつくと思う。私も今お答えになったのが実情であろうと思うのです。そこで、こういう問題になっておる文書、ほかにもあるわけですが、それらが秘密であるかないかという法律的な判断は別として、どうも私は、こういう事件を警察が手をつける場合には、もう少し相手方の官庁責任者の意向等も十分聞いて、そうして慎重にもっとやるべきだ。何も逃げ隠れする立場の人でも何でもないだろうし、むしろ逃げた方がかえってまずいんです。そういう立場のものなんだから、その辺に非常に遺憾の点を私ども感じているのですが、農地局の責任者としても、私はそういう立場からもう少し検察当局の慎重な扱いを要望するような御努力を実はしてもらいたいと思っている。これが警察が言うがごとき秘密だとしても、こういう事件の扱いようが私はあろうと思うのです。ともかく早期本人の家へ出かけて、事前に新聞社の方にも連絡をとって、そうして何か宣伝される。私は、一つ間違ったらこれは官庁に対する国民のやはり信頼の問題にも影響する問題ですし、あとからは早野君、あれは何でもなかったのだということになったとしても、ともかくあの出された新聞の記事というものは、これは国民のみんな頭に残っておる、それからたくさんの公務員が全国におられるわけですが、非常にやはりつまらない興味を感ずると思うのですね。そういう立場から、ぜひ一つ局長さんもいろいろおやりになっているでしょうが、大臣もすくお帰りになることだし、私は選挙戦等の始まる前に、何とかこういう問題を一つ処理してもらいたいというふうに希望を持っているわけですが、あとの法律的な問題は、これはゆっくり私ども研究しますよ。これは検察当局も感情にとらわれないで、大いに御研究願うことはけっこうだと思っているのです、お互いに大舟に乗った気持で。しかし、問題自体は、もう少し、ああいう手荒い方法ではな上に、まあ幸いに早野君の場合は昨日釈放されたということをさっき局長からお聞きしましたから、まあいろいろ局長の御努力もあったのだろうと思いますが、関連事項がたくさん残っているわけですから、十分一つ努力をしてやってもらいたいと思っております。その点の御努力を一つお聞きしておきたいと思います。
  122. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 基本的な考え方は亀田委員と同じであります。それに応じて御期待をされるほど――官庁の信用を害しないよう、公務員でもあり、自由人でもある個人に対する取扱いは特に注意を要する。また、公務員法の何条かという規定を適用しまして、刑事罰の対象となる疑いがあるというので起訴するということなどは、よほど注意してもらいたいと思っております。ただ、私は慣行的であっても、古くから現在まで続いておりましても、農商省処務規程というものがあり、また、公務員法という条章もございますが、その精神もございますので、広い意味の規律には違反しないように公務員は職務を行うべきもの、文書取扱い等はすべきものだと思っておりますが、その部分は行政官庁内部、私の局ならば私の局の私及びその他の職員は注意する必要があると思いますが、刑事罰対象になるようなものは、広い意味の規律に触れるということがあっても、そのうちのどの部分であろうということについては、検察あるいは捜査なされる方の方にも慎重を期せられたい。私の方も研究していきますが、その場合直ちに公務員法で体刑、罰金をくらうような事案としての取り上げ方は注意を要しますし、私どもはまだ結論を持っておりません、今後研究しましょうということをよく注意申し上げまして、また、それに引き続きまして、省全体としての担当者でありますが、秘書課長あるいは直接の上司であるとか監理官、官房長とか文書取扱い上の責任者である文書課長、こういう方面それぞれ同様の見解で、農林省がなお公文書取扱規程、特に秘密文書取扱規程はいまだ十分でないということとか、職員がより気をつけて扱うことを加えまして、慎重を要する、その他若干の意見を申し上げて努力したつもりでおります。
  123. 亀田得治

    亀田得治君 時間が非常に超過しましたから、一応企画庁と農林当局の方に対する質疑はこの程度にしまして、あと法務省関係一つ意見を聞きたいと思いますが、先ほどから私は事実関係を一応皆さんにやはり聞いてもらって、その上でないとやはり正確なお互いの質疑ができないと思うので、お聞き願ったわけですが、まず、最初国家公務員法百条の秘密、これに対してどういう見解を持っておられるか、最初聞きたいと思います。
  124. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) 国家公務員法百条のいわゆる秘密ということにつきましては判例もありますが、なお、法制局中心といたしまして統一解釈と申しますか、政府のお立場を明らかにした解釈を持っております。幸いきょう法制局から野木部長も来ておりますので、まずお許しを得ますならば、法制局の野木部長から統一的な解釈をお示しいただきまして、私から補充して御説明申し上げた方がいい部分があるならば、私から申し上げたいと思います。
  125. 野木新一

    政府委員(野木新一君) 国家公務員法百条、これに伴う罰則にいう職務上の秘密、これにつきましてはいろいろむずかしい問題もあるわけでありますが、先般衆議院の法務委員会で問題になりました際、よく法務省と打ち合せてみて意見を聞かしてくれと、こういうことで先般法務省と打ち合せいたしました。正確に字句、文章をもって確定したという意味ではありませんが、内容的にはお互いに意見を交換して、まずこの辺であるということでありまして、字句のこまかい点についてはあるいは説明のしぶりについてはそれぞれ多少ニュアンスがあると思いますが、骨格においてはほとんど一致しておると思います。それによりますと、一般に秘密というためには、まず当該事項が一定の少数の、あるいは権限ある少数の者にしか知られていないもので、それ以外の、ことに一般社会には知れていない、そういう要件がまずなければならないと思います。しかし、そのほかそういう事実があっても単にそれだけではだめでありまして、それを隠しておくという必要性がやはりなけれ、ばならないのじゃないかということになるわけであります。この百条にいう職務上の秘密もまず両要件を備えて、おるということが必要かと思います。ところで、百条の職務上の秘密につきましては、しからばどんな内容かあるかと申しますと、これはたとえばそれを漏らすと国家の利害に重大な影響がある、あるいは国民の社会生活に非常に大きな悪い影響を与えるとか、そういうようなものからさらに進んで、当該官庁の行政事務のいわば円滑な遂行に害を与えるおそれかあると合理的に認められるようなもの、そういうようなものもこの項にいう秘密に、秘匿する対象の中に入ってくると思います、しかしながら、また他面考えまするのに、秘密というには、いろいろの棟類もあり、その秘密が奪われた事情等によって、あるときは秘密であり、あるときは秘密でないというのもあるわけであります、そうしてそのうちには、その秘密事項内容といいますか、その性質といいますか、そういうことから見て、だれか見てもこれは秘密にしておく必要があるというようにはっきりしておる秘密もありますし、そうでなくて先ほど申しましたように、ある一定のとき、ある一定の条件のもとにおいては秘匿する必要かあるけれども、そういう事情が去ったりすれば必ずしも秘匿する必要がないと認められる事情もありますし、そういうような、ことに後者のようなものは、果して普通の人には秘密であるかどうかということは非常に判定がむずかしいのでありますが、こういうものにつきましては、権限のある人に一応これは秘密として保護するという判定をまかしておきまして、そういう判定の下ったものについては、国家公務員法百条において秘密として漏らしてはいけないというのに当るとするのか最も合理的かと存ずるのであります。その認定する権限はだれに与えるかというと、百条の規定では、所轄庁の長、官庁事務性質上それの事務局長とか課長とかに分掌しておるわけですから、その秘密事項を取り扱う当該の局長、次長、課長等が最もよく適正に判断できるということを認めて、大臣なり、長官などがそういう認定のことを一局長等に行わせる、そういうことも妨、げないと、そう存じております。  大体以上で一応の説明を終ったかと思いますが、なお、こまかい点は法務省の方に補充していただきます。
  126. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) ただいま野木部長から御説明申し上げましたように、骨格におきましては私ども全く同意見でございます。
  127. 亀田得治

    亀田得治君 そこで若干お聞きしますが、いわゆる官庁で秘としておる、これは実質的には秘にする必要もないんだが、しかし、外部から見られたくないといったようなきわめて軽いものもたくさんあるようです、一つ一つ文書……まあ先ほどから相当御検討願ったわけですが、そこで今この問題に入るんじゃなしに、総括的に聞くわけですか、いわゆる官庁で秘といっておるものがすぐそのまま国家公務員法百条の罰則の適用の対象になる秘、これではないと、この点だけははっきりお答えを願えると思うんですか、どうでしょう。
  128. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) 官庁が秘の扱いにいたしておりますもののうちには、今申しましたように、実質的に秘であるべきものと、担当の国家機関としてのまあ委任を受けて、その事項を取り扱っております職務権限のある人か秘の扱いにするという認定をいたしました場合に秘となるものと、かあるわけでございますが、いやしくも国家機関として秘の扱い認定いたしましたものにつきましては、それも含めまして、国家公務員法百条のいわゆる職務上の秘密に当るというふうな解釈をいたしておるのでございます。もとよりいろいろ御指摘のようにニュアンスはございますが、この当該係官が秘密認定をいたします場合には、それには相当の合理的理由が必要であろうと思います。合理的理由もないのに、やたらに文書に秘の扱いというような判を押したからといって、そういうような場合には認定権の乱用と申しますか、そういうようなものがここに含まれないことは当然でございます。しかしなから、乱用にわたらないものであって合理的理由かあります場合において、当該職務権能を有する権限者が秘の認定をいたしましたものについては、それが排除せられますまではやはり秘密でございまして、そのような秘密は、国家公務員法百条によって保護せらるべきものと、かように考えておる次第でございます。
  129. 亀田得治

    亀田得治君 非常に広く処罰する見解をお述べになっているわけですが、それははなは、だしく私は実情に沿わないと思うのです。官庁が何か一つの方針を出す、それは官庁勤めておる者自体としては、それは全部守らなきゃならぬ秘密だけでないです。ほかのことにしたって全部そうです。ただ、それに違反するからといって、それが全部刑罰だ、すぐ百条でいう秘密の方へいくん、だ、こんな解釈はとんでもないと思うのですよ。私はそんなことを本気におっしゃるのだったら、これはずいぶんたくさんあるですよ。何も下の役人だけじゃない。それこそ上から、相当なむしろポストの人にしたってずいぶんそういうことはある。だから、そういう広い解釈を検察当局がされるということになったら大へんな問題になると思う。なるほどそれは、方針に違反すれば、じゃ内部規律としてたとえば懲戒とか秘密にするとか、これはいろんなことがあっていいでしょう、そういうことは具体的に検討して。だけれども、ともかくもう原則として全部入るのだ、こんな私は解釈はとんでもないと思う。しかも先ほど部長の御説明によると、各部課長等認定権を持つことを認めておる、実質的には処罰の範囲というものは局部長の意見によってきまってくることになるわけです。一体人を処罰するのに、ある官庁では強くいく、ある官庁では弱い、全国の官庁全部集めてごらんなさい、これはおそらくアンバランスですよ、必ず。秘密という、国家公務員法百条に秘密と、一つの字句しかないわけだな。それだけでこの複雑ないろんな用象を全部そこへほうり込んでいく、こんな考え方は私は大へんな間違いだと思う。それはどこかに限界かなきゃうそですよ。じゃその限界をどこに引くかということは、これは議論があるでしょう。それは皆さんの方からは、こうこう、こういう基準でいきたいとか、先ほど部長から若干説明されたのは、私は内容的に、その点を実は非常に関心を持って聞いておったわけなんです。国の利害とか、国民の社会生活に対する関係とか、あるいは行政事務の運営の問題とか、そういったように若干例をあげて言われたわけですね。もちろんその三つの事項そのものの解釈もいろいろ幅の広いものです、これは、解釈としては。やはり何かそういうはっきりとした限定がこなきゃいかぬのであって、いやしくも秘とされたものは原則的に全部百条の罰則にはまってくるのだ、そんなことじゃないですよ、おそらく。そんなことを言ったって、実際上そんなあなた処理ができますか。いやしくも人を処罰する方針をきめておいて、大部分はそれが実行できないというふうなそんな見解が、一体これは社会現象そのものに合わないじゃないですか。だからそうじゃなしに、限界点をお互いに研究しましょう。私ども検討しますよ。何も必要以上に秘密を漏らしていいというようなことを言っているんじゃないのです。ただ、役所の秩序の上から秘扱いあるいは部外秘、ともかく外に出さぬようにしておいてくれとかいろんなものかある、そんなものが全部秘になる、そんな見解は絶対これは容認できませんよ、これは。皆さんの方は広くさえ解釈しておけばまあ安全だ、そのワク内へ一応ほうり込んでおいて、あとの生殺与奪はおれの方で処理する、それは便利かもしらぬけれども、その対象になる方はたまったもんじゃないですよ。そんなことを本気に厳格にやるならば、お互いさんだから、一つどここの大臣さんが、だれそれにこういうことをおっしゃった、あれもいかぬはずだから……。こんなことは役所内部でお互いに勤めている者をただけんかさせるだけですよ。そこは私はもっと良識を持って検討をやってもらわなければ困ると思うのですよ。せんだって検事総長に私どもの代表の人が会ってこの点をお話しした、まあこの事件については検事総長の方まではきておらないからまだ十分な検討はしておらないという御意見のようでありましたが、従って、積極的な意見も聞いておらぬわけですがね、刑事局長が、元締めのあなたがそんなおそろしい概念を出されちゃ、私はほんとうにこれは大へんだと思う。十分研究してもらわなければ……。
  130. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) ただいま私が申し上げましたのは、百条の解釈、理論として申し上げたのでございまして、この理論は、私が、私といいますよりか、法制局と打ち合せて、そういうふうに広く解釈しておいた方が便利だというような意味から、そういう結論になっているのではございません。これは亀田委員も御承知のように、最高裁の判例ではございませんが。高裁の判例にも その同趣旨の判例が理論としては打ち出されておるのであります。そういう意味において御理解を願いたいと思うのでございますが、さてそれでは、実際の場合に当ってどうかという点になりますと、それは仰せの通り、ことに認定によって秘密とされている事項につきましては、もとより捜査官憲が、それが秘密であるかどうかということは、認定権者の意見を聞かなければわからぬことでございます。また、文書の上に秘という文字が押してあるからといって、もう当然解除せられているはずのものが秘のままになって、印刷されたままになっているという場合もございましょうし、あるいはまた、いろいろニュアンスがあるわけでございます。また、部外秘というようなものにつきましては、これはまた、私ども先般ここで差し上げました法制審議会の会議録に部外秘という判を押して差し上げました。これは私法務省としては非常に厳格に考えておりますので、そういうのを押したものを差し上げたのでございますが、これは各官庁によりましてそれぞれ御家風といいますか、各官庁のしきたり、慣行もございます。従いまして、そこにおのずからなる合理性、取締り上の合理性というものが、私どもも客観的に納得のいく合理性というものが発見されなければならぬという点につきまして、この点は亀田先生と全く同意見でございまして、今後の研究に待たなければならぬと思っております。しかしながら、理論といたしましては、いやしくも職務権限のある者が国家の安全、あるいは利益、あるいは個人の人権の擁護、あるいは人事管理等の必要といったような、いろいろの目的のために、ある文書を秘と扱い、そしてそれが解除せられてないということでございますならば、それらのもののあるも-のは刑罰の対象外にあるのだという解釈も、国家公務員法百条の解釈として、必ずしも妥当するものではないというふうに思うのでございまして、その点は、実際の運用において遺憾なきを期するということに考えるほかないと思うのでございます。
  131. 亀田得治

    亀田得治君 そんな解釈は、一、二の裁判所が出したかもしれないが、そんなものは実情に合いませんよ。みずから法律を破壊していく裁判ですよ、そんなことは。それなら国家公務員法を、じゃ、どれだけ警察検察が守っているか。だからそれはもっと研究すべきなんです。国家公務員法に、いやしくもああいう規定を設ける以上は、実際はああいう簡単な規定だけじゃなしに、もう少しこれは詳細にすべきなんですよ。実際上ああいうものをたくさん適用するつもりもないので、簡単にされているのだろうと思いますけれども、これは一つ、来国会でも、私どももよく研究しておきますが、もう少しこれはほんとうに実情に合うように検討してほしいと思います。  そこで、先ほどから、二、三具体的な問題を出しておるわけですが、企画庁関係経済建設五カ年計画要綱についての問題点、これは、私は先ほどの法制局の部長の説明からいっても、秘密ではないと思いますが一国家公務員法の百条に当らぬと思いますが、どうでしょう。
  132. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) だんだんとただいま捜査中の、各被疑者の漏洩内容文書秘密性いかんという点に御質疑が出てくると思うのでございますが、これはまだ公判請求をしたというわけでもなし、また、不起訴にしたというわけでもない。御承知のように、ただいま勾留して取り調べ中の案件でございますので、具体的事件にかかわりますことでございますので、従いまして、私からこれを批判するということは適当でありません。また、機会を見まして、こういうものがある程度明らかになりました暁におきまして、御質疑にお答えする機会を得たいと思います。お許しを願いたいと思います。
  133. 亀田得治

    亀田得治君 こういう問題は、疑問が起きたときに、各関係者が皆議論をしたら私はいいと思います。こんな重大な影響のある問題を、検事総長も知らないうちに、ただ、出先の警視庁なら警視庁の係の者だけがやっておる、こんなことは間違いなんです。私はほんとうに手をつけるなら、問題が起きてから秘の概念なんか検討するのでなしに、検事総長なり、法務大臣の方で本気に御検討になって、そして乗り出していく。それくらいにやってほしい問題だと思うので一しかし、まあ問題は起きてしまったものだから、それだけに具体的な問題についての批判は、お互いに私はやったらいいと思います。自分らの意見がどうも間違いだということが、あるいは質疑応答しているうちにわかればいつでも撤回します。何にもとらわれていないのですから。  そこで、経済建設五カ年計画要綱の方は、内容的には先ほど御説明があったような社会党の五カ年計画に対する批判であり、そうしてただ、内部計画官の諸君がいろいろ意見も出し合ったものを事務的にまとめた。そのまま外へ出してもらったって、別にそれが工合の悪いものでも何でもない。そうして現にこれは私の聞いているのでは、経団連の「経営者」に、その当時すでに出ているわけです、私は、公けという点からいったって、この日時の関係が、若干検討の余地があろうかと思いますが、ともかく、若干どっちが先かという点は微妙な点がありますが、私の調査では作成前に出ている。だからそんなものが、内容の実質的な面からいったって、公け性の面からいったって、少くともこの文書なんかはっきりしていると思うのです。これはさっき定義をされた部長さんに一つ聞きますが、あなたの定義からいけば、先ほど三つ文書を出しているのですが、こんなものは問題にならぬ問題だ。微妙な問題をお聞きしたんではお答えにくいだろうと思って、私はこんなものは全く問題にならぬものだけを今お聞きしている。どうでしょうか。
  134. 野木新一

    政府委員(野木新一君) 実は私、おなかをこわしたりいたしまして、ちょっと中座したりした関係上、ちょっと記憶がはっきりいたしませんということと、そうして今現に捜査中の事件でありまして、それに関連する具体的な事案でありますから、やはり抽象的な論議と違いまして、それに対して、今の段階において意見を言うということは、先ほどの刑事局長と同じように、ちょっと避けさしていただきたいと思います。
  135. 亀田得治

    亀田得治君 捜査中であったって、皆さんが幾ら定義を出してもらっても、具体的な事件について、その定義をされた方がどう考えるのか。そうでなければ、そんな定義は信用できませんよ。それで一つだけ、最も明確だと思ってこの点だけ聞いている。これをあなたがおっしゃったからというて、何も捜査に影響するとか、そんなものではないのです。これはどの学者を呼んできたって、なかなか検討の余地のある問題です。そこで、あなたが、そちらの専門なんですから、私ども国会議員として、その意見を聞くのは当りまえなんで、もうちゃんと事態は進展してしまっているのですから、あとは法律判断だけの問題です。何も支障はありません。あなたが白か黒かお答えになったら、それを持って、こちらが裁判所へ乗り込んでいって、部長がこう言うておるから、こうせいなんて、そんなことを何も考えているわけではない。本気にお互いに、これはざっくばらんに検討すべきことです。そういうことをやられた官庁責任者の立場というものを考えてごらんなさい。警察だって間違うことはたくさんある。けさの新聞なんか、読売でしたか、刑事がすりをしていたなんていう、それは間違いは幾らでもあるのですから、お互いに堂々と議論をやろうじゃないですか。これ一つぐらいははっきり答えて下さい。
  136. 野木新一

    政府委員(野木新一君) 抽象的にいって、この問題は非常にむずかしい問題だということは亀田先生御指摘の点で、なお、研究すべき点が非常にたくさんあるだろうという点もまさにその通りだと存じます。ただ最後に、ただいま御要求の事件につきましては、私先ほど申し上げたように、ちょっと記憶が、今印象がはっきりいたしませんし、それにやはり現に具体的の事件になっているわけでありまするから、私の先に言った標準からおのずから先生に判断していただくということは別問題でありまするが、私の口から直接これはこうだと言うのは、やはり現実に捜査中の事件でありますから、この際は差し控えさしていただいた方がよかろうと存じます。
  137. 亀田得治

    亀田得治君 それは上司の方から、こういう問題については答えてならぬというふうに御指示でも出ておるわけでしょうか。
  138. 野木新一

    政府委員(野木新一君) 別にございません。指示は具体的には受けておりません。ただ、私がここで、一個の判断でございますが、やはり現に問題になっている事件について、それはまあそれぞれのところは捜査しておるので、いろいろの事情もあることでありましょうし、ここで私が、先ほど申し上げた抽象的というか、一種の基準を申し上げましたそれに照らしておのずから判断していただくということはもちろん当然でございますが、具体的にそれがどうかということは、やはりいま少し考えさしていただいて、ここではちょっと答弁を差し控えさしていただきたいと存じます。
  139. 亀田得治

    亀田得治君 まあ従来そういうことをおっしゃるくせがあるわけですね。ちょっと何か捜査中なんかがありますとね。しかし、まあそれでも御都合のいいことはおっしゃるのです。どうも、こう言うて警察の立場が悪くなりゃせぬかとかね。そんなものじゃないのですからね。国会なんというのは、もっと大きな、大所高所からこれは議論をしているのでですね。まあ警察が不当に権限を狭められるということならこれはまたいかぬでしょう、そういうことが現実に出てくると。一方が、官庁の人がそれじゃ不当に権利を侵害されていいということにならぬでしょう。まあお答えにならぬものを幾らお聞きしてもこれはむだかもしれぬけれども。ちょっと休憩してもらって、これ、まあ国会もあしたで終るわけですが、私は結末がちょっと不満でありますからね。まああまりほかの問題を聞くわけじゃない、ここだけを私は聞きたいと思っている。一つの法案を審議する場合でも、必ずいろいろな具体例というものを私ども出して、そうしてまあ政府案の見解というものを確かめていっても、普通そんなもの何にも被害がないのですから、はっきりおっしゃって下さい。先ほどのあなたの定義からいけば、その形式面なり、内容面、どっちからいったってそういうものは問題にならぬ問題だと思う。私自体そう思っている。ほんとうに悪いのだったら刑事局長がいらっしゃるのですから、これは捜査してもらわなきゃいかぬ、実際のところ。
  140. 棚橋小虎

    ○理事(棚橋小虎君) 委員会はこれをもって休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      ―――――・―――――    午後二時四十四分開会
  141. 棚橋小虎

    ○理事(棚橋小虎君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。
  142. 亀田得治

    亀田得治君 それでは、私この際一つ仮定的な例をここに出しまして、部長の見解を確かめておきたいと思うのです。たとえば、ある役所があって、そこで非常に社会問題、経済問題などについて研究好きな諸君が若干名いた。その諸君が研究集会を開いて、そうしてまあいろいろ意見を出し合ったわけですが、その結果、一つの冊子にそれをまとめた、整理をしてプリントで若干部数それを作った、そういうものが役所の中にできたと仮定し、そうしてその内容自体も、これは一つ経済問題あるいは社会問題の研究をしておるわけですから、何もそれを外へ出して発表したからといって不適当なものでもない。従って、そういうものですから、もちろんでき上ったプリントの冊子についても、いわゆる秘密とかそういったような表示も何もしてない、そういう文書についての一つ性格をお聞きするわけですが、ところがたまたまそういう冊子ができ上ったその前日に、その研究会に出席をしておりました一人の者が、ほかの雑誌社から頼まれて同じようなものを載せた、従って、その他の雑誌社の世間への発表というものが、まあわずか一日でありますが、先になっていた、こういう条件もつけ加わったと仮定いたします。こういう場合の性格でありますが、私はまあ内容面からいっても、あるいは形式面からいっても、こういうものは国家公務員法第百条の秘密、こんなものじゃ……、もう全然関係ない。のみならず、発表された形式というものが、すでにこっちのプリントかできまする前にほかの雑誌に載ってしまった、そういう条件がつけ加わっておる場合には、公示と、公という面から言っても、こういうものはもう全然秘密ということとは無関係なものである、こういうふうに思うのですが、これは一つ例を仮定して申したわけですが、こういう場合には、どういうふうにお考えになるか、見解を承わっておきたい。
  143. 野木新一

    政府委員(野木新一君) 具体的事件に関連してはどうも意見を申し述べるのは差し控えると申しましたが、今魚田先生おっしゃったような全く仮定的な抽象的な問題を設定しての意見といたしますと、これは一つの純粋の法律論として考えまして、私の意見を申し上げますれば、御指摘のような場合には、経済問題の研究で、別に内容も特にその官庁として秘としておくということじゃない、関係者も全部そういうふうに認識しておる。しかもでき上った結論を書いた文書、その文書が、だれがこう言った、だれがこう言った、だれがああ言ったといったようなことが書いてあると、また、別の問題が一つ加わると思いますけれども、そうでなくて、一つのまとめた文書というようなもので、しかもその官庁で、当該所轄庁の人が、別に秘扱いとすると申しますか、秘の手続をとっていないと、こういうふうな場合におきましては、その事項公務員法百条の秘密ということには当らないのではないかと思います。従いまして、問題は、そういう文書のできる前日にそういうことを雑誌に書いたということ、しかもその書いた内容のことが、今の設例にありますように、普通の経済問題の研究で、別にそれに対しては内容的に特に秘とするということの実益もない、そういうことであったら、前に発表することも、しかもその手続がとられていないというような場合には、別に前日に書くことも、秘密発表をしたということにはならないのであります。それからその後におきまして、雑誌が出てしまった後文書ができて、片方雑誌に論文が載りまして、その雑誌が一般に公刊されてしまった、しかも内容役所で作った文書と一致しているという場合には、御指摘のように、おそらく公示ということにもなって、その意味からも、雑誌の出た翌日にはもう秘密ということではなくなるのではないか、一応そういう関係になると思います。仮定的の議論としては、要するに、御指摘のような場合には百条における秘密ということにはならないのじゃないか。こういうように法律論としては考えます。
  144. 棚橋小虎

    ○理事(棚橋小虎君) 本件に関する本日の調査は、この程度にとどめます。閉会中の調査のための委員会は、五月二十二日以降開会することとし、決定次第御通知いたします。  これにて散会いたします。    午後二時五十二分散会