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1958-06-07 第28回国会 参議院 法務委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月七日(土曜日)    午前十時三十七分開会   ―――――――――――――   委員異動 五月二十九日委員海野三朗辞任につ き、その補欠として赤松常子君を議長おいて指名した。 五月三十日委員亀田得治辞任につ き、その補欠として岡三郎君を議長おいて指名した。 五月三十一日委員大川光三辞任につ き、その補欠として石原幹市郎君を議 長において指名した。 六月三日委員佐野廣辞任につき、そ の補欠として松野鶴平君を議長おい て指名した。 六月六日委員岡三郎辞任につき、そ の補欠として亀田得治君を議長おい て指名した。 本日委員井上知治君、藤原道子君及び 山口重彦辞任につき、その補欠とし て大川光三君、横川正市君及び永岡光 治君を議長おいて指名した。  出席者は左の通り。    委員長     青山 正一君    理事            大川 光三君            一松 定吉君            棚橋 小虎君    委員            石原幹市郎君            小林 英三君            赤松 常子君            亀田 得治君            永岡 光治君            横川 正市君            辻  武壽君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   説明員    警察庁長官   石井 榮三君    警察庁保安局長 原 文兵衛君    警察庁警備局長 山口 喜雄君    法務省刑事局刑    事課長     河井信太郎君    法務省刑事局公    安課長     川井 英良君    法務省矯正局長 渡部 善信君    厚生省公衆衛生    局防疫課長   田波 幸男君    厚生省社会局生    活課長     加藤 威二君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選 ○検察及び裁判の運営等に関する調査  の件  (売春防止法等運営に関する件)  (全逓信労働組合幹部逮捕並びに  釈放問題に関する件)  (報告書に関する件)   ―――――――――――――
  2. 青山正一

    委員長青山正一君) 本日の委員会を開会いたします。  最初に、委員異動について報告いたします。六月六日付岡三郎辞任亀田得治選任、六月七日付井上知治辞任大川光三選任。   ―――――――――――――
  3. 青山正一

    委員長青山正一君) 理事補欠互選についてお諮りいたします。  去る五月三十一日、大川光三君の委員辞任に伴いまして、理事が一名欠員となっておりますので、この際、その補欠互選を行いたいと存じます。互選の方法は、先例によりこれを省略して、委員長から指名することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 青山正一

    委員長青山正一君) 御異議ないと認めます。  それでは私から大川光三君を理事に指名いたします。   ―――――――――――――
  5. 青山正一

    委員長青山正一君) 次に、継続調査事件といたしまして、売春防止法等運営に関する件を議題といたします。  まず、売春防止法全面施行後の売春実情取締り状況取締り対策補導処分運用処理見通し婦人補導院の開設についての諸問題、業者従業婦転廃業保護更生関係施設運営状況売春潜行化に伴う性病対策等について、それぞれ関係当局から御説明願いたいと存じます。最初に、原警察庁保安局長にお願いいたします。
  6. 原文兵衛

    説明員原文兵衛君) 警察庁の方から売春防止法全面実施後、四月一日以降の取締り状況について概要を御説明申し上げます。  四月一日以後、売春防止法全面実施になったのでございますが、警察といたしましては、各都道府県警察本部におきまして、それぞれその実情に沿った取締り態勢を整えまして、取締りに当って参ったのでございますが、本年四月中の売春関係事犯取締り状況は、総計で千七百十七件、人員で千五百十四人の違反者が出ておるのでございます。ただし、これは売春関係事犯総計でございまして、しかし、売春防止法違反といたしましては、四月中千百五十八件、人員で千三十二名となっております。そのうちの婦女自身勧誘売春防止法でいう第五条違反事犯につきましては、件数で五百十二件、人員で五百十人の検挙を見ておりますが、その府県別状況のあらましを申し上げますと、やはり六大都市のある府県が圧倒的に多いのでございます。五百十人の検挙らち、警視庁が二百一人、大阪府が百七十一人、神奈川県が…十二人、兵庫県が二十四人、北海道二十二人、福岡県が二十一人、京都府が七人、その他の県で三十二人という数字が出ております。これらの要保護女子に対する措置といたしましては、刑事手続が取られるほか、御承知のように、婦人相談所または婦人相談員に通報して保護更生措置に遺憾のないように努力いたしておるのでございますが、法務省の方からお話があると思いますが、東京大阪、神戸、札幌、福岡京都等の二十二の地方検察庁におきましては、保護更生相談室設置されまして、それらの相談室婦人相談を受けて、あるいはここから相談所へその措置をゆだねられるという場合も非常に多くなっております、  次に、売春防止法を適用いたしました売春助長行為事犯はどのくらいになっておるかと申しますと、件数で六百四十六件、人員で五百二十人の検挙を見ております。その大要を申し上げますと、売春防止法第六条違反、すなわち売春周旋とか勧誘とかの違反がこれが一番多くて二百五十七件、百九十四人になっております。第七条の違反困惑等による売春これが十五件の五人。売春の対償の収受等、第八条違反でございます、十一件、三人。売春をさせる目的の前貸等、第九条違反が四件ございます。次に売春をきせる契約、第十条違反、これが五十九件、三十四人。売春場所提供、第十一条違反二百三件、百五十七人。売春きせる業、すなわち管理売春と称しておるものでございます。完全な売春業を営むことであります。第十二条違反に当ります。これが九十六件、百二十六人。売春関係に対しての資金提供、第十三条違反が一件、一人というふうになっておるのでございます。  そこで、三月三十一日一ぱいでもって転廃業したいわゆる旧赤線青線業者違反状況はどちであるかと申しますと、旧赤線青線業者違反は現在までのところ、まだ比較的少いということが言えると思うのでございます。  売春きせる業、すなわち管理売春の例をとってみますと、総件数で九十六件、百二十六人の違反者が出ておるのでありますが、そのうち旧赤線青線業者違反者は二十三人でございまして、大体まあ総件数の二割程度しか現在、までのところまだ出ておりません。従いまして、一般的に今のところは旧赤線青線業者はまだ非常に自粛しておると申しますか、違反にならないように気をつけている。従って、事犯も少いということが言えると思うのでございます。  警察関係取締り状況概要を申し上げまして、また、御質問でもございましたらお答え申し上げます。
  7. 青山正一

    委員長青山正一君) 次に、河井法務省刑事局刑事課長にお願いいたします。
  8. 河井信太郎

    説明員河井信太郎君) 全国地方検察庁におきまして、売春防止法が施行されましてから二ヵ月間、五月三十一日までに主として管内の警察から送致されました売春防止法違反事件の総数は、受理が二千四百十人という報告になっております。これは二ヵ月間でございますから、先ほど原局長の御説明になりました数とは一ヵ月のズレがあるわけでございます。そのらち起訴いたしました者が九百二十八人、不起訴になっております者が五百二十八人、残り処分未済、こういうことになっております。その内訳を申し上げますと、五条違反、いわゆる勧誘でございますが、この受理が千三百八十四人、起訴が四百七十九人、不起訴が四百四十七人、その次は六条違反周旋、これが受理が四百七十一人、起訴が二百六十八人、不起訴が四十一人、それから七条違反困惑売春、これが受理が二十一人、起訴が三人、不起訴が三人、その次は十条違反売春をさせる契約受理が二十七人、起訴が十人、十一条違反場所提供受理が三百七人、起訴が八十九人、不起訴が二十人、それから十二条違反売春をさせる業の違反というのが、受理が百九十七人、起訴が七十九人、不起訴が十六人、十三条の資金等提供、これが受理が三人というふうな状況に相なっておるのでございます。従いまして、ニカ月間状況を見ますと、いわゆる五条違反勧誘というのが圧倒的に多く出てきておるという状況になっております。次に、この処分をいたします場合に、裁判所に公訴を提起いたしまして、いわゆる補導処分の請求をいたし、これについて裁判所婦人相談所に収容する補導処分言い渡しをいたしましたものが、五月三十一日現在までで、全国で九件、九人ございます。そのうち一人が判決確定し、あとはまだ言い渡し後、控訴期間が経過いたしておりませんので、未確定の状態にある者が八人、これはすべて大阪地方裁判所におきまして言い渡しになっておる事例でございます。大体概要を申し上げますと、以上の通りでございます。
  9. 青山正一

    委員長青山正一君) 次に、渡部法務省矯正局長にお願いいたします。
  10. 渡部善信

    説明員渡部善信君) 婦人補導院整備状況につきまして申し上げます。ただいま刑事課長からお話し申し上げましたごとく、現在、補導処分確定いたしました者は、大阪で一名だけでございます。なお、未確定でございますが、確定を待っております対象者が、人名大阪にあるのでございます。その他の地方では、現在この処分を受けた者は、判決を受けた者は一人もない模様でございます。現在、補導院は、大阪は、和歌山の刑務所の一部に分隔いたしまして、婦人補導院分院設置いたしております。それから東京ほ、栃木の刑務所の一部にこれまた分隔をいたしまして、東京婦人補導院分院設置いたしております。それから九州は、麓の刑務所の一部を分隔いたしまして、福岡婦人補導院分院設置いたしておるのでございます。いずれも予算を、大体四十万円から八十万円の予算を計上いたしまして、この分院整備をいたしたのでございますが、いずれも完成いたしまして、収容者の入ってくるのを待機いたしておる状況でございます。人員の点は、院長並びに分院長教務課長教官等をいずれも任命いたしまして、この職員整備につきましては、婦人を主として職員に充てるようにという御要望もありますし、また、それが適当だと考えておりまするので、さような点を考慮いたしまして、先般とりあえずのところ、矯正施設内の婦人職員らち婦人補導院に適する者を選考いたしまして、二十四名につき特別研修を実施いたしまして、いずれもこの研修を終えておるのでございます。かような職員を充てまして、今後この補導院運営をいたしたいと存じておる次第でございます。ただ、これは仮の分院でございまして、本院の整備につきましては、いずれも目下その整備に急いであるわけでございますが、東京におきましては、府中刑務所の近くでございますけれども、そこに目下建築を急いでおります。この問題にからみまして、最近、府中地元から反対の陳情がありまして、目下この地元との折衝をいたしておるのでございますが、この状況について御説明申し上げたいと思うのでございます。この東京婦人補導院設置につきましては、その場所をいろいろと物色いたしたのでございますが、なかなか適当なところがない。ちょうど府中刑務所耕転地刑務所の近くに約一万五千坪ばかりあるのでございます。その一部を分隔いたしまして、そこに設置するととをきめたのでございますが、この問題につきまして、の五月の十五日に公布になりまして、さっそく、その五月の十五日に今度補導院長に任命になりました鈴木管区長、それから矯正局総務課長、それから経理部営繕課長と、それから地元刑務所長とが、府中市長をたずねまして、そして、との婦人補導院設置について御了解を受けに御説明に参ったのでございます。その際、市長の方からは、これは刑務所のようなものではないので、この必要性については十分われわれも認めるし、また、その設置については協力しなければならない立場にある、あるいは地元の方で多少反対があるかもしらないけれどもよくこの施設内容を認識してもらえれば、了解のつくことであろうということで、大体、市長の御了解を得たのでございます。そとで、さっそく、その地所の測量にかかりまして、今、外べいの建設をいたしておるところでございますが、その間におきまして、五月二十三日でございますが、地元代表者の方が府中刑務所に見えまして、一体婦人補導院というものができるそうだが、どういうものができるのかということでございました。府中刑務所の方で、この婦人補導院性格その他につきまして、いろいろ御説明を申し上げまして、さようなものができるものならば、よく帰ってからも地元の人に説明しようということで、大体御了解を得て、二十三日はお帰りになったのであります。明けまして二十八日でございますが、これは五月の二十八日に、実は設置場所の前に小学校があるのでございます。その小学校校長先生、そうしてPTAの会長さんが、府中刑務所にお見えになりました。いずれも婦人補導院設置について、いろいろ地元の人は心配しておる、どういうものができるのか、よく聞かしてくれということでありました。これまた、同じように婦人補導院性格説明いたし、また、こういうものを作るのだということを申し上げまして、一応御了解を得てお帰りになったのでございます。で、それにつきまして、みな心配しておるから、との問題について地元代表者の有力な人たちに、一応説明会を開いてよく説明をしてくれという御要望がありました。市のごあっせんを得まして、この六月の四日でございましたが、府中刑務所地元代表者の方々十二名お集まりを願うことにいたしまして、御案内を差し上げたのでございますが、お集まりになりましたのは、たしか八名であったと思います。その席へ私も参りまして、それから院長に充てられております鈴木管区長、それから局の者と、それから管区の者も帯同いたしまして、その席に参りまして、いろいろと御説明を申し上げたのでございます。一応こちらの御説明を申し上げましたところ、それでは、PTAの総会を開くことになっておるので、一応その席にこの問題を諮ってするかもわからない、いずれ今後も折衝することになるだろうから、その際には来て説明をしてくれるかということでございました。何べんでもお伺いいたしますから、どうぞ御連絡を願いますということで、この会合は終ったのでございます。これが現在の府中補導院の問題に関しましての経過でございます。  私、皆様方お話を聞いておりまして、この婦人補導院についての非常な危惧の念をお持ちになっていらっしゃる、と申しますのは、婦人補導院ができると、一体、そこらの辺を変な者がうろうろするのじゃなかろうか、それが学校の方の近くにありますので、すぐ学校生徒たちに悪い影響を及ぼすのじゃなかろうかということを非常に御心配になっておるようでございます。なお、学校の校舎の中から婦人補導院の中がうかがえるようなことになりはしないかということも御心配になっておるようでございます。そこで、婦人補導院が今度新しい売春防止法の精神に基いて、刑務所のようなものじゃなくて、ほんとうに明るい婦人更生を期する新しい構想でできるものであるということを申し上げ、また、内容におきましても明るい補導院を作ることに努力をいたしておるということも申し上げたのでございます。  なお、この場所小学校の前の敷地になっておりますので、その点を考慮いたしまして、実は前の方は官舎敷地に充てまして、あとの方にずり下りまして、その敷地を選定いたしておるのでございます。お手元に配付しております図面をごらんになっていただきたいと思うのでございますが、前の方には官舎を建てまして、直接さようなところに触れないように実は考慮いたしておるのでございます。今後もいろいろと地元との間の折衝があると存ずるのでございますが、十二分に地元の方の御了解を得まして、との婦人補導院の設立をいたしたい、かように存じておる次第でございます。  なお、大阪の方の新しい婦人補導院は、現在大阪刑務所の一部でございますが、もと老人刑務所として指定したところを改造いたしてすることにいたしております。この点は、地元の方から別に反対もございません、今まで老人刑務所としてやっておったのを改造いたしますので、この点は問題なかろうと思っております。ただ、福岡の方で多少この敷地について問題があるのでございます。これはもと駐留軍の方で接収いたしておりました松原地区接収地を解除いたしまして、そこに建てる予定をいたしておるのでございますが、これにつきましても、地元の方からこれについて、ほかの場所を選定してほしいということを言うてきておるのでございますが、これにつきましても、今後、補導院性格をよく御説明申し上げ、地元の御了解を得て設立いたしたいというふうに考えて目下折衝中でございます。  以上でございます。
  11. 青山正一

    委員長青山正一君) 次に、加藤厚生省社会局生活課長にお願いいたします。
  12. 加藤威二

    説明員加藤威二君) 売春業者転廃業状況並びに従業婦に対する施策について御説明申し上げます。  お手元資料を差し上げてございますが、売春業者転廃業状況でございますが、これを一万八千六百二十四名の売春業者について調査いたしましたところ、旅館に転じた者が一番多くて二七・九%、料理店が一四・四%、喫茶店飲食店が八・六、貸席、茶屋が八・四、カフェー、キャバレーは六・二こういう順序になっておりまして、大体水商売に転じた者が七割程度という数字になっております、  次に、従業婦転廃業後における状況でございますが、これを四万六千名ばかりについて調査いたしましたところ、帰郷したというのが一番多くて五〇・八%、就職が一八・三%、結婚が一一・六、保護施設に収容された者〇・九というような状況になっております。帰郷が半数をこえておるという一応の調査になっておりますが、ほんとうに帰郷したのかどうかという点については、若干疑問のある者も相当あるようでございますが、一応調査の上では、こういう数字になっております。なお、最近の状況といたしましては、一たん帰郷したけれども、やはりうちにおれなくなったということで、出てきて婦人相談所相談に来る、あるいは結婚したけれども、どうもうまくいかぬということで、婦人相談所相談に来るというようなケースがふえつつあるという状況でございます。  それから、その婦人従業婦就職状況、その就職の職種の内訳をその次の欄で書いてございますが、そういたしますと、芸妓が一番多くて二五・四%、それから飲食喫茶店女給が一八・六、カフエー、キャバレー、バーの女給が一五・三、料理屋女中が一一・四、旅館女中が九・四、こういう順序になっておりまして、やはり従業婦就職先水商売関係が八割程度ということになっております。  それからその次の表でございますが、これは婦人相談所における相談受付調査でございます。これによりますと一番右の欄を見ていただきますと、下から三番目のことしの三月に相談受付件数が一番多くて千七百三十八件、それから二番目が二月でございまして千三百七十九件、それから売春防止法が全面的に施行されました四月になりまして若干減りまして千百六十七、こういう数字になっております。結局、三月それから二月、こういう時期に赤線青線が集団的に廃業いたしましたので、それに伴いまして婦人相談所相談に来たという女性も三月、二月が圧倒的に多く、四月には若干減っておるという傾向になっております。それから相談所に参りましたその経路も、本人自身で来たというのが一番多くて二千九百五十四、それから警察から送られて来たのが二番目で千五百三十六、それから三番目が福祉事務所から来たというのが千百六十五、四番目が地方検察庁で、千三、こういうような順序になっております。  それから、そういう受け付けました従業婦についての婦人相談所における処理状況でございますが、一番下の欄をごらんになっていただきますと、家庭へ送還したというのが一番多くて千二百六十九、それから職業の方は、就職あっせんが九百六十九、自営相談バ五十六、それから三番目がずっと右にある収容保護、これが七百二十九、それから婦人相談員保護指導にゆだねたのが四番目で四百九十三、福祉事務所に移送いたしまして、生活保護その他措置をしたというのが三百三十五、こういうような状況になっております。  それから、その次の資料でございますが、婦人相談員経路別受付人員、これも婦人相談所と大体同様でございます。一番右の欄をごらんになっていただきますと、月が一番多くて二千九百十四、二月が二番目で二千八百九十、三番目の四月が千四百九十九、こういう状況になっております。  それから、下の欄は婦人相談員経理状況でございますが、これも大体婦人相談所処理状況と同様でございます  それから、その次の資料でございますが、これは昭和三十二年度に婦人更正出資金貸付制度を創設いたしたわけでございますが、その貸付状況でございます。その貸付を行いましたのは、そこの一番左の欄にありますような二十六の都県でございます。その他の県におきましては、三十二年度は、不婦人更生資金貸付予算を組まなかったのでございます。しかし、三十三年度におきましては、大半の県が予算措置をするという予定になっております。予算額は二千四百三万円でありまして、そのらち国庫補助が千七十万円、予算がそれだけ計上されまして、現実に使われましたのがその次の欄で、千五百二十五万、国庫補助にいたしまして六百八十二万、貸付内訳でありますが、生業資金が一番多くて二百七十三件、千二百六十一万、次が支度資金の百八十件、二百六十万、それから技能修得の三件、生活資金の三件、こういうことになっております。  生業資金支度資金を、さらにどういう仕事につくために金を借りたかということを調べてみますと、生業資金につきましては、百八十八件について調査いたしましたところ、飲食店をやるというのが一番多くて四十七件、それから屋台飲食をやるのが二十九件、洋裁が十八、物品販売店が十七、行商が十六、酒場が十四というような順序になっております。  それから就職支度資金でありますが、それを百五十八件について調査いたしましたところ、酒場の女になるために必要ないろいろな衣類とかそういうものを調達いたすための金を借りるというのが四十一件、次が女工になるのが二十八件、飲食店に勤める、そのために金が要るというのが十七件、旅館女中が十五件、一般の店員が十二件、こういうような順序になっております。  それから、最後に婦人保護施設状況について一言御説明申し上げておきます。  婦人保護施設につきましては、三十二年度におきまして四十七カ所の施設を作るということにいたしたのでございます。このうち、現在までにすでにできましたのが二十七施設、これがすでにできまして開所いたしております。残りの二十カ所につきましては、目下工事中でありまして、そのうちの大半は六月末ごろまでには一応竣工するであろうという見通しでございます。私どもも目下その工事を急ぐように督励いたしております。ただ、このすでにできました二十七施設状況を見ますと、必ずしもその保護施設に入ってくる女性が多くないのでございまして、その点、県の当局も頭を悩ましておるようでございます。私どもといたしましては、まだこの婦人保護施設ができたばかりでございまして、一般に周知徹底されていないという関係もあると存じますので、今後、できるだけその広報宣伝ということに努めるとともに、地方検察庁、あるいは警察と十分緊密な連絡をとりまして、そういった地検とか警察検挙いたしました、しかも起訴するに至らないという者につきましては、できるだけ保護施設に送ってもらう。積極的に送ってもらうような措置をとりまして、できるだけ収容保護をはかっていきたい、かように考えております。
  13. 青山正一

    委員長青山正一君) 次に、田波厚生省公衆衛生局防疫課長にお願いいたします。
  14. 田波幸男

    説明員(田波幸男君) いわゆる売春婦の性病がどれくらい蔓延しておったか、あるいはこれからどうなるかということでございますが、最初に、過去における赤線地帯の女たちの性病の罹患率につきましては、ことしの一月から本年の三月にかけまして、いわゆる転廃業をする婦女子のうち三万六千人ばかりを対象にいたしまして、性病の健康診断を行なった成績があるのでございます。それによりますと、大体、三万六千七百六十二人のうち七千四百八十八人が性病をもっておったということになっております。これは約二一%に相当しておるわけでございます。その内訳を申しますと、九%が梅毒、それから淋病が一一%、それから軟性下疳が一%、第四性病はございません。大体このようなことになっておったわけであります。まず、これが以前の赤線地帯の婦女子の性病罹患率である、こう考えて差しつかえないと存ずる次第でございます。  それでこの性病が四月一日以降どう動いてきたかというようなことにつきましては、まだ実は十分な資料がございませんので、今のところはっきりしたことは残念ながら申し上げられないのでございますけれども東京都で一つの参考といたしまして行いました――これは警察の方から回って参ります婦女子の検診の成績が出ておりますので、申し上げますと、ことしの一月には四百十八人のらち六十人の患者があったわけでございます。率にいたしますと、約一四・四%、それが二月に入りますと、四百二十五人のうち八十七人、二〇・四%、それから三月には一八・一%、それから四月には二一四・%五月には一八・四%、こんなことになっております。まだ時日の経過したのが短かいものですから、病気の性質上何とも言えぬところもございますけれども、まあこの成績だけで見ますれば、過去の成績とそう違わない、性病がふえたという、これだけで結論を下すのははなはだ早過ぎるとは思いますけれども、まあ大体似たような成績が出ておる。このような結果になっております。
  15. 青山正一

    委員長青山正一君) 関係当局からそれぞれ一応の御説明がございましたが、御質疑の方は御発言下さい。
  16. 小林英三

    ○小林英三君 さっき局長でしたがね。補導処分を受けた人が全国で一人で未確定の者が大阪関係で八人ということで、そこでその前に言った課長の話では九人と聞いたのですが、その全国補導処分を受けた者が九人と聞いたのですが、大阪関係が八人、これは同じ説明であったのですが、お二人のお話が食い違っているのですか。私の聞き方が違っているのか。はっきりして下さい。
  17. 渡部善信

    説明員渡部善信君) 補導処分判決を受けました者は全国で九名でございます。そのうち一名が確定いたしまして、補導院に入所いたしております。八名はまだ確定いたしませんので、目下確定を待っている状況でございます。
  18. 小林英三

    ○小林英三君 それが未確定のやつが残りの八人というのですか、大阪
  19. 渡部善信

    説明員渡部善信君) さようでございます。
  20. 小林英三

    ○小林英三君 わかりました。
  21. 大川光三

    大川光三君 最初に、ただいまの小林委員の発言に関連しますが、補導処分確定いたしました一人はどこの補導院に収容されておりますか。
  22. 渡部善信

    説明員渡部善信君) これは大阪裁判所判決を受けた者でございますが、目下・和歌山の分院の方に収容いたしております。
  23. 大川光三

    大川光三君 そこで補導院のことについてまず伺いたいのでありますが、先ほどの御説明によりますと、東京大阪福岡の三カ所で設置予定されております補導院のうちで、東京関係府中における補導院の建設地について地元反対がある。そこで、補導院性格等を十分説明をして地元了解を得つつあるんだという御説明でございますが、私はその事前に当局地元に対して十分なる了解を得られなかったという点は一応遺憾に思います。しかし、補導院性格から考えまして、これを他の拘置所、刑務所扱いにされること自身が非常に残念である。遺憾である。そこでこれはあくまでも補導院というものはこういう性格を持っている。いやしくもその婦女子の保護更生をはかる、そうして職業補導あるいは生活保護、医療等を施すあたたかい意味の施設であるんだということをあくまでも地元了解を求められたい、これを希望いたします。と申しますのは、一体補導院に収容して婦女子を保護更生さすということは、これはひとり当局の手だけではいかぬのでございまして、一般世人がこれに十分なる了解を与え、世人の協力を得なければ、ほんとうの意味での保護更生の目的は達せられない、こういう意味からいたしまして、十分ただいまの補導処分の意義なり、補導院の計画を十分に地元に徹底するような了解を求められたい。場合によってはわれわれ自身もその説明の衝に当ってもいい、かように考えておりまするから御了解を願いたいと思います。  そこで、いま一つ、これは先ほどの御説明によりますと、大阪の場合には老人刑務所を改造するんだ、とこういうことですが、老人刑務所というのは一体どこに置かれているのですか。
  24. 渡部善信

    説明員渡部善信君) 府中に設けます東京婦人補導院地元反対の問題につきまして、いろいろ御心配をかけますこと、まことに申しわけないと思っております。われわれといたしましても、仰せのごとくこの補導院ほんとう地元の協力なしにはとうてい成果は得られないということは十分承知いたしておりますので、十分に了解を得まして、今後の設置の遺憾なきを期したいと思っております。結局、地元には婦人補導院がいかなるものであるかということに十分御理解がないために、いろいろ御心配になっておるように私は考えますので、十分御理解を受けられれば御協力は得られるものと確信をいたしておりますので、今後とも努力をいたしたいと考えております。  なお、ただいま大阪の方の婦人補導院の問題でございますが、これは老人刑務所であったのでありますが、ほとんどこの施設は、もとは海軍の衛戌刑務所であったのであります。ちょうど堺の刑務所の東北の方に当るところにあった所でございますが、それがこの終戦と同時に大阪刑務所の方に移管がえになって参りまして、そこを使う予定であったのでありますが、ほとんど使わずに、当時職員の宿舎が非常に払底しておりましたので、その刑務所職員の宿舎に改造いたしまして、それに充てておったのでございます。それを今度職員の宿舎を別に作りまして、そこを改造いたしまして、婦人補導院に充てるという構想で今準備中でございます。
  25. 大川光三

    大川光三君 その点が実は私、非常に遺憾に思うのでありまして、府中の場合でたまたま地元反対運動が起るということは、世人の常識はこれは拘置所の一種、刑務所の一種だという観念が払拭されておらない、その折から大阪でたまたま老人刑務所の跡を使うのだということ自身が、多少当局としてはお考えにならなければならない点じゃないか、また、婦人補導院性格から申しまして、私はかつての刑務所の跡を改造するといえども、そういう場所をお選びになるということは決して適当じゃないという考えでありますから、その点についての意見を同います。同時に、これは福岡の場合でございますが、進駐軍が使用しておった跡だということがたまたま地元刑務所視されることは、結局地元反対にあわなければならないという心配がありますので、御意見を伺っておきたいと思います。
  26. 渡部善信

    説明員渡部善信君) 大阪婦人補導院がもとの刑務所施設を転用するということにつきまして、仰せのごとく、もと刑務所であったものを使うということにつきましては、いろいろと仰せのような考え方を皆持つことをほんとうに私も遺憾だと思うのでございますが、実はその施設刑務所とは申しますが、外べいがないのであります。今は板べいでございまして、普通の住宅と少しも変らぬくらいの板へいでかこまれておる所でございます。今申し上げましたごとく、現在は職員の宿舎に使っておりますので、さようなごつい感じは全然ないのであります。もちろん中は鉄格子が入っておるところもございますので、この点は改造いたしまして、さようなごつい感じのないように改造いたしたいと思っておるのでございます。なお、これは未完成の刑務所であったものでございますかう、作業場等も実はないのであります。そこに実科教室等も増築いたしまして、婦人補導院にふさわしいものに作り変えたいと思っておりますので、いずれまたごらんになっていただきたいと思いますが、刑務所臭のない補導院にいたしたいと目下努力中でございます。
  27. 大川光三

    大川光三君 先ほど本年四月一日売春防止法完全実施以来の売春関係事犯取締り状況並びに業者並びに従業婦転廃業状況について当局から一応の御説明を伺ったのでありますが、特にそのうちで第一に伺いたいと思いますることは、今後の売春取締対策いかん、こういう点であります。  御承知の通りに、四月一日以降における新聞、雑誌等の報道によりますると、依然として巧妙な方法で売春は行われておる、たとえば、コール・ガール制による旅館売春、秘密会員制による売春、あんまによる売春、つつもたせ的売春あるいはポン引きの暴力化、管理売春の蠢動等がしばしば報道されておりますが、かような売春手段が複雑巧妙に向っておるということは想像にかたくないのでありますが、これの複雑巧妙なる売春に対して、当局はいかなる対策をお持ちになっておるか伺いたいのであります。
  28. 原文兵衛

    説明員原文兵衛君) 四月一日売春防止法全面実施後の取締り状況の概算は先ほど申し上げたのでございますが、その数字は、昨年の売春関係事犯取締り状況数字と比較しまして、ややむしろ少いという状況でございます。それでは少いということは、警察の方でそれだけ力が入ってないんじゃないかという御疑問もあるかと思いすすが、全国警察におきまして売春防止法全面実施に備えまして取締り態勢もそれぞれ強化してございます。警視庁におきましては、新聞等にも出ておりますが、売春取締対策本部というようなものを設けまして、集中的に相当強力な取締りを実施しておりますし、また、他の府県等におきましても、それぞれ主管課の人員等を増強するとともに、特に旧赤線あるいは青線業者の集団的におりましたような所轄警察署の売春等に関するいわゆる風俗事犯の係、課等を増強いたしまして、あるいは定員等で押えられております面もございますと、他の方の警察署でそういうものの少いところから人員をさいて強化するというようにいたしまして、少くとも昨年よりは本年の方が取締り態勢におきましても、また、取締りの実施におきましても強化してやっておるのであります。ただ、四月中の統計の数字によりますと、ややという程度でございますが、昨年より減っておる、まあその原因はいろいろございましょうと思いますが、やはり売春防止法というものができたので、みんなやはり気をつけなければならないんだ、少くともその気持は相当続いておるんではないかと思うのであります。ただ、ただいまお話のございましたような、あるいはコール・ガール制とか、あるいはまた、暴力団が介在する事犯であるとか、いろいろな態様のものが、確かにそれほど数はまだ多うございませんが、やはり見受けられるのでございますが、警察といたしましては、そのようないろいろな抜け道も行われつつあるということを前提といたしまして、やはりこの取締り態勢をゆるめずにやっていかなければならぬというふうに考えておりますと同時に、特に暴力団との結びつきというものにつきましては、一番悪質でもあると思いますので、その点には最大の力を注いでおります。四月におきまして暴力団関係者が含まれている売春の助成犯というものが二十五名の暴力団をそれによって検挙しているわけです。おそらく将来やはりこの暴力団というものが介在しての悪質な、組織的な売春助成犯というようなものがふえるということは考えなければならぬと思います。さらに最近は、警察官の私服の取締りのような場合に、ひもと言いますか、数人の男が妨害をしたり、あるいは警察官に対して公務執行妨害をするという事犯も散見しておりますので、特に暴力団介在の売春助成犯というふうなものの増加を徹底的に防がなければならない、強力に今後も取り締って参りたいというふうに考えております。
  29. 大川光三

    大川光三君 ただいまの御説明で、実は私はがっかりしておるのであります。と申しますのは、売春防止法が完全実施をされるということで、一般世人は翌日からでも売春はなくなるのだというような考えをする人が多い。これは多少無理な注文かもしれませんが、少くとも当局の立場で、売春防止法完全実施後においては、やや事犯が減っているのだと、こういうことは私は説明にならぬと思う。実際事実はそうかもしれませんけれども、少くとも売春防止法の目的から考えて、売春自身を根絶するという目的に向って進まなきゃならぬのに、やや減少したというふうではちょっと受け取れない。現実はそうかもしれません。そこで、今後の取締りいかんということが問題になってくる。もちろん法をくぐるような複雑巧妙な手段が多いのでありますから、それにはそれに対処したような対策を立てていかなければならぬと考えますが、その点に関する御意見をお伺いしたい。
  30. 原文兵衛

    説明員原文兵衛君) 確かに事犯が、売春防止法全面実施後一件もなくなると申しますか、激減することはもちろん好ましいことでございます。われわれといたしましても、売春防止法がいわゆる抜け穴でもって有名無実になっては、これは大へんなことでございますので、先ほど申し上げましたように、特に各都道府県警察取締り態勢も強化いたしますし、また、どういうような方面に抜けて行くであろうかというようなこともいろいろと研究もいたしまして、取締りに当ってきているわけでございます。先ほど申し上げましたように、旧赤線青線業者、一応売春防止法によりまして転廃業いたしました業者自体の違反というのはきわめてまれでございまして、ただ前から、そういう業態があったときから、やはり行われておりましたような、何と申しますか、もぐりとか、もぐり売春あるいは町で街頭に立って客を引くとかいうようなストリート・ガール式のものというようなものの数か必ずしもそう減っておりませんので、これはまことに遺憾なことでございます。従いまして、さらにわれわれの方としても、現在の取締り態勢をいささかもゆるめることなく、取締りを推進していきたいというふうに考えております。
  31. 赤松常子

    赤松常子君 私一、二渡部さんにお尋ねしたいのでございますが、先ほどの御説明の中で、福岡補導院の問題でございます。で、この前の婦人補導院設置法の審議のときに、もう私ども繰り返し繰リ返しこの補導院性格というものは、教育的な意味を多分に持って、明るく、刑務所的なそういう暗い性格がないようにということをしばしば要望したわけでございます。  ところが、せんだって――二月の末でございましたが、私たまたま佐賀県の麓に参りまして、あそこの女子刑務所を、たまたま少し時間がございましたから、寄って見たわけでございます。そうすると、驚いたことには、そこの所長さんが、福岡補導院のできるまでは私の方のこの女子刑務所売春婦の収容に予定されている、で実はその準備をしている、こういう所長さんのお答えでございまして、非常に私驚いたわけです。それで繰り返し、この前、補導院の審議のときに私どもは口をすっぱくして申しておりながら、別個のところに建てるならまだしも、ほかのところを利用するならまだしも、この麓の女子刑務所福岡補導院のかわりに使われようとしてその準備に一生懸命だと、こういうお答えなんです。そういうふうな御指令があったのでしょか、いつごろ福岡補導院はできるのでしょか。私実は驚いたわけです。どういうわけですか、ちょっと御説明いただきたい。
  32. 渡部善信

    説明員渡部善信君) 仰せのごとく、この婦人補導院出発に当りまして、新しいもので行きたいのは、われわれとしてもほんとうに希望いたしておったのでございますけれども、法案の関係からいたしまして、実施と同時に新しいものを作るということはどうしてもできませんので、新しいものを作りますのには、やはり最小限度六カ月はどうしても要るのでございます。その間一体どうしたらいいかということの問題にたちまち当面いたしますので、その間まことにこれは仰せのごとく、刑務所を使うということはわれわれといたしましても不本意なことでございますが、やむを得ず麓の刑務所の一部を改造いたしましてそれに充て、早急に新しい施設を作るように努力いたすつもりで、麓の刑務所の一部を改造いたした次第でございます。ただ申し上げますように、麓の刑務所の中ではございますが、職員は特別に補導院のために研修をいたしました者を充てたわけでございまして、この刑務所職員をそのまますぐ使うというわけではないことを一つ御了解をいただきまして、建物は刑務所でございますが、中身は婦人補導院の明るい趣旨で運営していきたい、こういうつもりでおります。
  33. 赤松常子

    赤松常子君 いつごろ福岡補導院はできるのでございましょうか。
  34. 渡部善信

    説明員渡部善信君) 十一月ごろには作りたいと思っております。
  35. 赤松常子

    赤松常子君 ほんとうに一日も早く完成して、そういう刑務所生活をさせないようにしていただきたいということを特に要望いたしておきます。それからその次には、山口県の実情でございます。まだ養老院の一室を借りて――それは徳山市の実例です。この間私参りまして、一体どういう実情か市の人に聞いてみたのです。そうすると、なかなか予算が回りませんのでといって、養老院の施設を借りて、そこに二人ぐらい収容されている。去年の暮れでございました、私山口県に参りまして、県知事に会って、特に山口は岸首相の出て一おられる県ですから、どこよりも模範的に早くやっていただきたいと要望いたしておいたのですが、そのときに、県知事もやるとは言っておられたのでございますけれども、この間の実情は一向進捗しておりません。それから、これはここで申していいかどうかわかりませんけれども、私が県知事に強く要望したことを、その後、革新系の県会議員に県知事さんが当って、お前さんがいろいろな資料赤松にくれたから、赤松が県知事に文句を言ったといって、江戸のかたきを長崎でとられて、自分のしていないことをそういうふうに曲解なさって、それをついての間私が聞きまして、どうも私、山口県の実情というものが十月に行ったときとつい最近行ったときとちっとも進展していない、との点を今後調査していただきたいと思っております。  それから、その次に一つ、二つ、婦人相談員の適格、不適格、これは厚生省の関係でしょうからあとでお伺いすることにして、ついでにあなた様に伺っておきたいんですが、この前の国会で、どら毛警察署長が各地でそういう売春業者、今は売春業者はいないはずになっておりまずけれど、飲食店業者の人々と非常に深いつながりを持っている、それからそういうことのないように、つまり抜け道を教えられないようにということを申したときに、まあ一つの例といたしまして、福島県のことを例にあげたわけです。たまたま、今の飯坂の警察署長さんはそういう点はございませんようでしたけれど、その前の署長さんは、非常に売春業者と妙な関係がおありになって、何か、私今ちょっと新聞の切り抜き持って参りませんで、的確なことが申し上げられませんけれど、その後、福島県会で問題になりまして、前の警察署長さんが飯坂と別の、前任地においての時代に売春婦の怪死事件があったんです。ところが、その検挙もなさらない、それで、その売春婦の死んだ葬式には署長さんが霊前に花輪を贈っていらっしゃる、こういうことが県会の質疑で明らかになったのでございまして、まあこれは過射たことではございますけれど、こういうふうに、まだまだ警察署長がそういう業者と非常に深いつながりがあって、何か断ち切れないくされ縁がある。それで先ほどからおっしゃるように、検挙しなければならない問題が手がついていない、検挙してもそれがルーズに扱われる、そういう実例が多く見受けられるわけでございます。もっと私詳しく調べて御報告もしたいととが沼津の実は警察でもあるわけでございます。そういうふろに、警察関係者とこよいう業者とがまだまだはっきりとしていなくて、古いつながりがずるずると今に引きずられていて、正しい法の適用ものがれている、見のがされている、そういうことが私の耳にも入っておるわけでございます。どうぞこういう点を、一そう明確に峻烈に御指導願いたい、これを私は深く要望いたしておきます。
  36. 原文兵衛

    説明員原文兵衛君) ただいまのお話警察庁の保安局長でございますが、私からお答えいたします。福島の事例というのは、私は実は存じておりませんので、その点は失礼さしていただいて、一般的に申し上げたいと思いますが、警察はやはり御承知のように、管内のいろいろな業者等とも、これは防犯とかあるいはいろいろな警察の万般にわたる仕事がございますので、もちろん顔見知りになったりすることは、また、それもなければ仕事にならない点もございます。ただしかし、特に売春防止法の実施というようなことになりますと、警察のやり方がとかく――もしも誤解を招くというようなことがあってもこれは大へんなことでございますので、この実施になる相当前から、全国の都道府県警察本部によく申してございます。また、それぞれの本部ではそれぞれの警察署にも申して、いやしくもこの防止法の警察取締りに当っていささかも誤解を招くことのないように十分な注意をしてやると同時に、人員配置の面におきましても、一つの警察署で非常に長くやっておる風俗関係の担当の人たち等におきましては、ややもすると何と言いますか、やはり顔見知りになっておる点もないでもないというようなこともありまして、取締りがしにくいというようなことがあってはいけないという観点から、各警察署の防犯係、あるいは保安係というような担当の係の人員についてまで適材適所でもって、この際あまり一カ所に長い間おるような者のある場合は、警察署を変えるというような措置までも講じて、そういうような懸念のいささかもないようにしなければならぬという、一方で強力に指導して参りますとともに、実際の人員配置の点等においても、実はいろいろと考慮を払って参っておるわけでございます。将来に向いましてもいささかでもそういう、かりにまあ誤解にしてもそういうことになりますと、これは非常に悪い結果にもなりますので、一そう注意をして参りたいというふうに考えております。
  37. 赤松常子

    赤松常子君 婦人相談員の任命数がまだ全部になっていないように聞いておりますが、その一点と、それから適格、不適格の問題がだんだん現われておりまして、私のところにもいろいろ問題が持ち込まれておる例がございますが、私の要望したいのは、婦人相談員の適格者を任命していただきたいという一点でございます。また、婦人相談員の活動も非常に最近活発でございまして、東京都ではフルに忙しくなっていらっしゃるようでございますので、そういう定員の問題も十分なっておるかどうか、その一点も伺っておきたいと思います。
  38. 加藤威二

    説明員加藤威二君) 婦人相談員の定員でございますが、全国婦人相談員の定数は四百六十八名でございます。現在すでに任命をみておりますのが四百四十六名で、まだ二十二名の欠がございます。これにつきましては、私ども終始関係府県に厳重に申し入れをいたしまして、至急に充足するようにということを再三申し入れております。この二十二名の欠員の大どころを申し上げますと、大阪府が九名、北海道が五名、熊本が五名、あとはまあ一、二名程度の欠でございます。大阪は、一応府は五月中に補充をしたいということを申しておりますが、まだ若干時日がおくれておるようでございますが、早急に任命するようにさらに督励いたしたいと考えております。熊本も五名の欠がございますが、これも六月より県一名、五名市に一名置きたいということを言っております。一応欠員のある府県に対しては厳重に督励をいたしまして、それでも置かないところには一応必要のないものと認めまして、さらに定員を増してくれと要望しております府県にこれを回していこうという工合に考えております。  それから適格、不適格の問題でございますが、これは仰せの通り婦人相談員が適格であるかどうかということが、婦人相談員の実を上げます上に非常に関係があります。ただ、これは、法律上都道府県知事が任命権者になっておりますので、私どもに具体的に、どこそこの婦人相談員が非常に工合が悪いというようなことが耳に入りますれば、積極的にその府県当局に話をいたしまして、その更迭をはかっていくというように努力いたしたいと、かように考えております。
  39. 一松定吉

    ○一松定吉君 厚生省の方にちょっと伺いますが、売春防止法を厳格に実施することによってますます密淫売というものがその数を増加することは、これはもう自然の趨勢であると私は思う。それと同時に、病毒がますます伝染が激しくなるということも、これまた自然の道理であろうと思うのでありますが、この厚生省から御提出になりました各府県並びに市の梅毒、淋病、軟性下疳等の表を見ますると、ちょうど梅毒の検診をいたしました人の数が三万五百九十三で、そうして、そのうちで結局この病気のある者が六千百五十六人、こういうことになっておりますが、これを検診を受けた人と病毒のあった人との割合をしてみますと、ちょうど四人に一人ずつぐらいの割合になるようで、こういう病毒を持った者があるということがこの表に現われることになるんです。それから淋病の方にいたしますると、ちょうど八人に一人の者が淋病にかかっておるということが計算上現われるんですが、こういうようなことを、将来どういうようにしてこれを防ぐかということが、一番大事な国民の健康保持の方法であろうと思うんですが、そういうことについて、厚生省はどういう考えを持って、この病毒を絶滅ということとまでいかぬであろうが、その数を減少するということについてお考えになっておりますか、これを一つ、その方法についてお答えを願いたい。
  40. 田波幸男

    説明員(田波幸男君) この売春防止法が実施されまして以来、性病対策といたしまして、今まで行われていたところの売春婦の集団的な検診というようなことが困難になってくるわけでございます。ほかの面につきましては、大体同じように進められると存じます。従いまして、この売春婦の集団治療にかわるべき方法ということを私どもとしては考えなければならないのでございますが、これにつきましては、接触者調査と申しておりますけれども、医師の届出によりまして、その患者がどこから性病に感染してきたかということを追及するというような方法で、感染源についてはその追及並びに治療を進めていきたいと存じておる次第でございます。それから最近は、淋病にいたしましても、梅毒にいたしましても、治療法が非常に進歩いたしました。昔のように長時日を要するということがなくなり、割に短期間になおるようになりました。この治療の方の、うつった場合には早く治療するようにというような一つの衛生教育でございますが、その面を強く推進すると同時に、もし費用の点でそういうような治療が受けられない者に対しましては、無料治療をするというような線を、在来以上に強化いたしまして、それによって性病の減少をはかっていきたい。このように考えておる次第でございます。
  41. 一松定吉

    ○一松定吉君 それは、それらの患者であるということがわかって、それを診断することによってあなたのおっしゃるような結果が見られる。私のお尋ねしたいのは、こういう患者がだんだんふえるんです。今までのような検診の方法が、表に現われた業者というものがないんだから、だれでもひつつかまえて検診するわけにいかないから、だんだんそういう病毒の保有者がふえる。そのふえたことをどういうようにしてこれを減少せしむるとかいう方法を何か厚生省は考えておりますかと聞くのです。それが一番大事なんです。
  42. 田波幸男

    説明員(田波幸男君) 業態者の性病をいかにして減少させるかという御質問でございますが、これは今のところ、警察の方からいろいろと連絡がありました者につきまして、性病がありました場合は、直ちに治療するという方法をとるということでございます。それ以上に衛生当局としまして、売春婦を、性病予防法の規定によりまして治療するという方法が、今のところ、ちょっとないのでございます。
  43. 一松定吉

    ○一松定吉君 そうすると、売春防止法というものを実施することによって、国民にはますます病毒が蔓延して、非常に悪くなるということについて、厚生省もそれ以上の治療の方法は考えていないんですか。ただ警察から送ってこられた者についてのみ検診するとか、病毒の発見をするということであれば、警察が婦女子について、これを調査することのできない婦女子が多いんだが、それで見ると、厚生省という、保健衛生に特別な責任を持っている官庁として、警察から送ってくるだけの者についてのみ病毒があるかないかを調べて、それ以外の者は方法がないとうこととになると、厚生省の保健衛生をつかさどっている官庁としての責任が、あまりに責任を尽しておらぬように僕は思うんだが、そういうことについては考えちゃいないの。それを承わりたい。
  44. 田波幸男

    説明員(田波幸男君) 今、私それだけと申しましたが、先ほど申し上げましたような接触者調査というような方法によりまして、感染源を追及していくということも、同時に行うわけでございます。それから国民全般の性病ということになりますと、この売春防止法の施行に伴いまして、もちろん婦女子の数は非常に減ってきていることは事実だろうと思います。それからもう一つは、非常に方法が巧妙にはなっているではありましょうけれども、何と申しますか、接客回数と申しますか、そういうものが非常に減少してきている。実数の減少、接客回数の減少ということによりまして、感染の機会というものが、またこれは減少してくることと存じますので、そういうような非常に有利な面もございますので、売春婦の中に性病がどのくらい強く蔓延していきますか、その速度とかいうようなことはわかりませんですが、その二つのかね合いによりまして性病の蔓延ということが起るわけでございます。それにつきまして、もう少し時間をかしていただかないと、どのくらい蔓延していくかということ、あるいは減少していくかということは、ちょっと判断のできかねることでございます。
  45. 一松定吉

    ○一松定吉君 売春をする者について、警察等から手入れをして検挙せられたじぶんに、その人間の身体検査をやるというようなことで病毒があるかないかということがわかる。同じ売春をしておっても、警察がこれを検挙のできないような方法で売春をしておるような人間、あるいは警察から逮捕されないような人間でそういうことをやっておる者が、次から次に病毒を染伝せしむるというようなことについて、それじゃもう何も方法は、厚生省としては考えておりませんか。それがなければ、この売春防止ということをやっても、病毒は年々歳々ふえる一方だということになって、厚生省は手も足も出ないということになる。私は非常にこれは重大な責任を感ずるんだが、その点について何か考えはないか、こういうことを聞くんです。
  46. 青山正一

    委員長青山正一君) 田波課長、答えられますか。
  47. 田波幸男

    説明員(田波幸男君) 先ほど申しました接触者調査というような面を強化しましてその点は解決していきたい、こう存ずる次第でございます。
  48. 一松定吉

    ○一松定吉君 もう一ぺん言って下さい。
  49. 田波幸男

    説明員(田波幸男君) 接触者調査でございます。
  50. 一松定吉

    ○一松定吉君 接触者というのは、つまり売春したということが発見されてっかまって、お前の相手方はだれかということが接触者ですか。
  51. 田波幸男

    説明員(田波幸男君) いや、そうではございません。つまり性病にかかった患者を医師から届け出てもらいます。その場合、患者がどこからうつってきたか、こういうことでございます。
  52. 一松定吉

    ○一松定吉君 わかった。そうすると、性病患者について、お前はだれと接触した。それがためにこういう病毒がうつったかということを聞いて、それから次から次へさかのぼってやる、こう言うのだね。
  53. 田波幸男

    説明員(田波幸男君) そういうことです。
  54. 一松定吉

    ○一松定吉君 そうすると、それはつまりそういう売春をしたという人間が検挙されたときに初めて発見されることであって、検挙されないときには、次から次に蔓延するということについて非常に広がる、それを私は心配しているので、今言う通り、接触した人はだれかといって、次から次に調べて、その梅毒、淋病のある人をもとにして調べあげたということは、どれだけ蔓延しているかということは、完全にわからないのだから、それではいけない。完全にわかるような方法を厚生省としては何か考えていませんかと聞くのです。それがなければなくてけっこうです。
  55. 青山正一

    委員長青山正一君) ちょっと一松さん、他日の委員会で医務局長を呼んで、上司の方を呼んで御説明願った方がいいと思います。
  56. 一松定吉

    ○一松定吉君 いやそれは、私が答弁できませんからと言えばそれでいい。答弁しているから尋ねている。
  57. 田波幸男

    説明員(田波幸男君) それでは局長に一つお尋ね願います。方法としては非常にむずかしいと思います。
  58. 一松定吉

    ○一松定吉君 いや、それじゃよろしい。それじゃ委員長、これは非常に重要な問題ですから。
  59. 青山正一

    委員長青山正一君) それじゃ他日の委員会でまたお尋ねいただきましょう。
  60. 一松定吉

    ○一松定吉君 そこで一つ、これは警察庁保安局防犯課のこしらえたこれですが、これをちょっと承わってみたい。これに検挙件数検挙人員という表がありますね。この検挙件数検挙人員という表のところを見ると、全部ですよ、検挙件数の方が多くて、検挙人員の方が少いのは、これはどういうわけですか。
  61. 原文兵衛

    説明員原文兵衛君) お答えいたします。一人でもって二つの事件を起すというのが比較的あるのであります。こういう事件につきましてはその関係でございます。
  62. 一松定吉

    ○一松定吉君 これはまあそれでよくわかりました。その点を明らかにしておかぬというと、検挙件数の方がいつも多くて、検挙人員の方が少いからおかしく思うのだ。  それからいま一つ伺っておきたいことは、この売春した婦女を逮捕したとか、つかまえたというときに、これに説諭をして、今回だけは不問に付するから、将来そういうことをしてはいかぬというような不起訴処分でもしているのでありますか、その点はどうですか。
  63. 原文兵衛

    説明員原文兵衛君) 現在は、検挙した者は全部検察庁の方に送っております。検察庁の方のあと処分は、また別でございます。警察の方から検察庁の方に送っております。
  64. 青山正一

    委員長青山正一君) じゃ河井刑事課長から一つ説明を…。
  65. 一松定吉

    ○一松定吉君 その送られた方はどうしておりますか。
  66. 河井信太郎

    説明員河井信太郎君) 先ほど御説明申し上げましたように、不起訴処分も、大体たとえば五条違反につきましては起訴と同数ぐらいございます。しかし、これはいわゆる一松先生よく御存じですが、起訴猶予――犯罪の証明は十分あるが、起訴しないというのと、証拠が不十分であるというのと両方ございますから、たとえば勧誘につきましては、警察から送致を受けました者が千三百八十四人、これは二カ月間でございます、五月末現在までで。そのうち起訴いたしました者が四百七十九人、不起訴が四百七十七人、こういう数字になっております。この不起訴の四百七十七人の中には犯罪の証明は十分あるが、今回は許すというのと、起訴するに足るだけの証拠がないというのと両方含めた数字でございます。
  67. 一松定吉

    ○一松定吉君 それはわかっております。つまり証拠が十分でないから不起訴にするというやつと、証拠はあるけれども、情状を酌量して起訴猶予にするというその区別があるのはこれはわかっているが、私が言うのは、証拠は十分あるけれども、情状を酌量して不起訴にするという者の比例はどういうふうになっているか、それを承わりたい。
  68. 河井信太郎

    説明員河井信太郎君) それの内訳は、今手元資料がございませんので、必要があれば全国から取り寄せてお答えいたします。
  69. 一松定吉

    ○一松定吉君 それは詳細なことは、何も詳細にこまかに数字で争らのじゃないが、ただ、私の言うのは、情状酌量すべき者は、今回だけは見のがしてやるが、将来はするなということでよく説諭して不起訴にするという、血あり涙ある方法を取っているのかどうか、その点がただ眼目なんだ。そういう意味において、将来もしついででもあってお調べの折は、そういう点を一つ御注意の上、一つ調べてもらいたい。やはりこれは、こういうような売春業であっても、やむにやまれずやって、それがためにやっている現行を逮捕されたとかいうような者については、気の毒な者もおるのだ。そういう者についてはやはり血と涙をもって、そういうことを将来はしちやいかんのだ、二度、三度やって、それでも聞かなければ、あとはこれは起訴して厳罰に処するというような方法でやらないと、あまりに今までやっておったようなことで、にわかに四月一日から実施されるということで、彼らがにっちもさっちもいかないというような境遇に陥ることはあまりかわいそうだから、そのことを申し上げたのです。  それからこれを調べてみると、何か新潟についての表はないね、厚生省。新潟が一体人を検挙して人を調べるとか。栴毎、淋病を調べるということはこれにはないね、これを見ると。それから、梅毒の方から見ると、愛知が一番多くて、山梨が次で、福岡がその次、大分がその次で、それから静岡がその次で、京都がその次、それから神奈川がその次で、石川がその次で、こういうように表に表われている、梅毒がね。で、淋病の方は、福岡が一番で、二番が大分で、三番が群馬、四番が山口、五番が静岡、六番が東京、七番が佐賀、入番が三重、九番が熊本、十番が神奈川というようなふうに出ている。やはりこういうような表に現われたことを基準として、その病気の蔓延を防ぐとかというような方法を、特にその数の多い府県には指令をして注意をさせるというような方法をおとりになっておるのですか。もしくは、ただこれはこう表に現われておるだけであって、どこが多いな、どこが少いなというようなことくらいで厚生省としてはやっておるのですか。その点を伺ってみたい。
  70. 田波幸男

    説明員(田波幸男君) それは、多いところには特別な注意は喚起するつもりでございます。ことに都市部がもちろん問題になりますが、そういう点については、性病の予防ということについて特に注意を喚起しておりますし、また、したいと思っております。
  71. 一松定吉

    ○一松定吉君 それからちょっと今あなたに、ついでだが、この前、私がこの局部検診ということはやめにゃいかぬということをこの前私は言うていますが、あなたは、このときの関係者だかどうだかわかりませんが、局部検診をするということは、婦人のある意味から言えば、人権のじゅうりんですわね、そういうようなことをせぬで、局部検診をやめて、梅毒、淋病等の発見の方法があるということを私は申し上げている。そういうことはその後、厚生省で御研究になっておりますか。やはりそれは研究はしませんか。そのままですか。その点を一つ。
  72. 田波幸男

    説明員(田波幸男君) 梅毒につきましては、必ずしも局部の検査は必要といたしません。しかし、淋病については、これはどういたしましても局部の検査が必要かと思います。皮内反応につきまして、いろいろ皮内に注射しまして、その反応によって淋病を診断するという方法もいろいろと研究されたそうでございますけれども、いまだに成功を見ていない現状でございます。
  73. 一松定吉

    ○一松定吉君 それはあなたがわからぬので、やはり医務局長の方がいいのじゃないか。それはよければ医務局長についでにお尋ねすることにして、あなたはもうこれ以上追及ぜぬことにするが、どうだ。
  74. 田波幸男

    説明員(田波幸男君) 医務局長へでも……。公衆衛生局長の方からでも……。
  75. 一松定吉

    ○一松定吉君 それではこの程度でやめます。私はよろしゅうございます。
  76. 青山正一

    委員長青山正一君) 売春防止法の円滑かつ万全なる実施につきましては、なお検討すべき幾多の問題が今後に残されているわけでございますが、本件についての本日の調査はこの程度にとどめまして、次に移りたいと存じますが、いかがでございましょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   ―――――――――――――
  77. 青山正一

    委員長青山正一君) 次に、検察行政の運営に関しまして、全逓幹部逮捕並びに釈放問題を議題といたします。  ちょっと関係以外の方、御退席願います。  この件に関し、御質疑の方は御発言願います。なお、との席には、石井警察庁長官、川井法務省刑事局公課長山口警察庁警備局長この三人の方がお見えになっております。
  78. 亀田得治

    亀田得治君 時間がだいぶんおそくなりましたので、要点をしぼってお尋ねをしたいと思うのです。この全逓の幹部に対する逮捕、こういう問題は、最近の岸内閣の非常に反動的な労働政策、そういうものの一つの現われであると私ども解釈しております。そういう観点に立った広範な徹底的なこの問題の取り上げ方というものは、また別の機会にいたしたいと思いますが、本日、特に私どもがお尋ねもし、追及もいたしたいのは、警察当局なり、検察当局が最近全逓の諸君に逮捕状を請求した。それに対して、結局裁判所は任意捜査でいくべきだということで、検察官の拘置請求の段階においてすべきこの検察当局の意向というものを退けておる。ところが、それにもかかわらず、相変らず警察なりあるいは検察庁が同じようなことを繰り返しておる。で、私はこういうやり方というものは、おそらく第三者の国民が見ておれば、何か警察というものが意地になっているのではないか、そうして自分の出すところの請求が何回却下されたって同じようなことを続けておる。また、ある意味においては、警察なり検察官というものは裁判所というものを無視しておるのではないか。自分の意向、主観的な考えというものは、これは官庁として警察なり検察庁が持つことはあってもよろしい。しかし、それの最高の判断というものはやはり裁判所がやる。ところが、その裁判所があちらこちらで数回にわたって一つの考え方というものを出しておる。そういうことに対して全くそれを何か無視するような態度を見ようによってはまたとっている。そういうことで、この全逓幹部に対する強制捜査の問題というものは非常な私問題であると考えておる。本日は、実はその点に重点をしぼつてお聞きをするわけですが、一応その順序といたしまして、三月二十日の全逓事件につきまして、これは数回にわたって検察当局が手入れをしておるわけですが、その全貌につきまして、総括的に一応状況報告してもらいたいと思うのです。これはもちろん事件の内容なり、そういうことについての詳しいことを今報告求めるわけでは去りません。逮捕者の人数、その日時、あるいは東京大阪、名古屋、三カ研に分れておりますが、その場所並びにその強制捜査の請求に対する結果、これを大体大まかなところでいいですから、一応その点の御報告をお願いしたいと思います。
  79. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 三月の十三日、三月の二十日、三月二十七日にわたりまして、勤務時間内の職場大会を実施いたしましたことに伴う郵便法七十九条違反の容疑事件であります。  東京の場合におきましては、東京の中央郵便局における三月二十耳の事件を中心としまして捜査を進めておるのであります。この事案は、午前二時ごろからいろいろな郵便物の取扱いに従事しておりました者約四百名近い数であったと思います。これらの人々がごく数名を残しまして、ほとんど全員が郵便局を離れまして、神田方面のあらかじめ用意してありますところの旅館に行ってしまった、従って、中央郵便局は当夜から翌日の午前中にかけてほとんどがらあきの状態になったという事案でございます。この関係で五月十日の日に郵便法七十九条違反の容疑をもちまして、郵便局二カ所、組合事務所五カ所、個人の自宅十二カ所、合計十九カ所の家宅捜索を実施いたしております。五月十三日から十四日にかけまして、さらに十七日にも追加がございまして、合計二十三名逮捕令状を執行いたしております。
  80. 亀田得治

    亀田得治君 日時別に言って下さい。場所別と……。
  81. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 場所別といいますのは……。
  82. 亀田得治

    亀田得治君 名古屋も入っておりますね。
  83. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 今申しておりますのは東京だけであります。  それから五月二十八日から二十九日にかけまして十名令状を執行いたしております。さらに六月二日に一名逮捕いたし、さらにその後六名逮捕いたしております。全部で四十名に東京関係はなっておる、かように考えております。  それから名古屋の関係につきましては、やはり三月二十日の勤務時間中の職場大会に関係をいたしまして、五月十日に郵便局一カ所、組合事務所三カ所、個人の私宅三カ所、合計七カ所の家宅捜索を実施いたしております。これは建造物侵入及び郵便法違反容疑でございます。十三日の日に、九名につきまして逮捕状を執行いたしております。それから二十六日に二名の者を逮捕いたしております。これは郵便法七十九条違反関係と建造物侵入及び公務執行妨害の容疑で令状を執行いたしておるのであります。大阪の場合は、三月十三日都島の郵便局において実施されました勤務時間中の職場大会に際して公務執行妨害の事案が起っております、これが一つ。さらに三月二十日の勤務時間内の職場大会に際しまして行われた事案について捜査をいたしております。五月十日に建造物侵入並びに郵便法七十九条違反関係で、組合の事務所三カ所、個人の私宅六カ所一合計九カ所の家宅捜索を実施いたしております。五月二十九日に十二名の者につきまして建造物侵入、公務執行妨害の違反容疑をもちまして逮捕令状を執行いたしております。  大体が以上でございます。東京関係で逮捕令状を執行いたしましたもの四十名、名古屋の関係で令状を執行いたしましたもの十一名、大阪関係で令状を執行いたしましたもの十二名、こういうように御報告いたします。
  84. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっと聞き漏らしたのですが、大阪の家宅捜索は何日でしたか。
  85. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 五月十日でございます。
  86. 亀田得治

    亀田得治君 その家宅捜索の理由は郵便法違反ですね。
  87. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 東京、名古屋、大阪、それぞれ若干違っておりますが……、
  88. 亀田得治

    亀田得治君 いや大阪だけです。
  89. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 大阪の場合は、建造物侵入並びに郵便法違反容疑であります。
  90. 亀田得治

    亀田得治君 大体の強制捜査の模様はわかりましたが、そこで、私はまず今度の捜査に当っての検察当局の法律適用の問題です。私どもの考えでは、郵便法七十九条というものはこういう際に適用されないのだ。これは相当な労働法学者でもそういう解釈を持っております。これまでに前回の二十八国会でも、私ども国会で論議もしたところです。政府側と私たちとの考え方は必ずしもこれは一致しておらない。おらないけれども、七十九条が制定されるときには、これは労働運動には適用されないんだ、こういうことをはっきり国会でも答えておる。だから、政府がただ論拠としておるのは、その後公労法ができて、そうして公労法の十七条によってストライキ権が公企体の職員については禁止されたから、従って、この七十九条のストライキに対しても適用されるんだ。こういうところに持っていっておるようなんです。しかし、これははなはだ筋の通らない、公労法がなるほど十七条でストライキ権は禁止しておりますけれども、まあこういう禁止自体が実はILOあたりでも問題になっておるきわめてこれは不評判な条文ですが、まあしかし一応これはある。あるといたしましても、それでは十七条に違反した場合に公労法はどうするか、という場合に、これは決して刑事上の問題にまでは持っていかない。こういう考え方が十八条等との関連においてもはっきりこれはしておるわけです。公労法によってストライキは違法性を帯びたんだということを政府はいうんですが、その違法性というものは、刑事罰をも含むような意味での違法性ではこれはない。条文自体からこれははっきりしておるわけです。してみれば、その前年に郵便法七十九条というものが制定されたときに、これは労働運動に対しては適用しない、こういっておる以上は、公労法ができたからすぐ七十九条を労働運動に対しても適用していくと、この考え方というものは非常なこれは間違いがある。少くともとれは大きな疑問があるわけです。学者間においてもこれは非常に意見が分れておるわけです。だからそういう問題について、たとえ意見が合わないとしても、そういう疑義のあるような問題について、一つの事件として扱う場合に、私は強制捜査をやるかやらぬかということは相当考慮の余地があると思うのですね。そういう点についての検討をどれほど検察当局なり、警察の方ではされておるのか、自分たちがそういう解釈を一たん出したから、もうあくまでもそれで押し切っていくんだ。そういう単純なる考え方なのか、あるいはその後、日本の労働法学者等を呼んで、そうして真剣にこれは検討されたのかどうか、その点を一つお聞きをしたい。こういうふうな疑問があるままでやっていって、最後に、これが裁判所等で、警察なり検察当局の解釈は無理だ、そういうことになった場合の責任というものは、一体だれがとるんです。私がとりましょうという人はおるかもしれません。おるかもしれぬが、それは責任のとりようがないのです。社会的な問題というものはすでに事前に起ってしまっておるわけなんです。三年、四年先になってそれが無理であったということになったって、責任のとりようがないわけです、実際問題として。そういう点について、ほんとうにこの問題が、国会閉会後皆さんの方で、われわれの留守の間にいろいろなことがどんどん進められたわけですが、実際は再度十分検討されてかかっておられることなのかどうか、まず、これは長官にその点をお聞きしておきたいと思う。
  91. 石井榮三

    説明員(石井榮三君) 現行郵便法が制定されましたのは、たしか昭和二十二年でございますが、当時は、現業公務員は争議行為を禁止されておらなかったのでございます。従いまして、郵便職員の争議行為は正当なものとされ、かりに郵便法七十九条違反の行為がありましても、労働組合法第一条二項でございますかによりまして、違法性を阻却し、刑事責任を免れるということに相なることは、これは理の当然でございます。従いまして、当時現行郵便法が制定されます際の論議におきましては、政府としましては、そういう意味における答弁をしたものと思うのでございます。ところが、ただいまお話にもありました通り、現在におきましては、その後においていわゆる公労法が制定されまして、公労法十七条によりまして、郵便局の職員の争議行為は禁止されたというふうに事情が変って参っておるのでございます。そうなりますと正当な、許されない争議行為によりまして郵便法七十九条の条項に該当するような行為が起りました場合には、これは違法なるものとしまして、郵便法七十九条の適用があるものと解するのが正当であろうと、かように考えるのでございまして、    〔委員長退席、理事一松定吉君着席〕 私ども法務省、あるいは最高検察庁と十分連絡をとりまして研究をいたしました結果、こういう結論に到達いたしたのでございます。
  92. 亀田得治

    亀田得治君 公労法の十七条というものは、これも本来憲法上の問題すらこれは疑義のある条文なんです。そうして、また、世界の立法からいったって、これはきわめて不評判です。だから、そういう条文ですから、こういうものはきわめて例外的な規定なんです。そう解釈すべきなんです。ですから、これは厳格に解釈していくべきなんです。これは当然です。皆さんがこういう政治的な問題にならなければ、おそらくそういうふうに解釈されると思うのです。だから、そうすれば公労法十七条、十八条というものが、それでは禁止規定に違反した場合にどれだけの違法性をそれに認めておるかということは、これもまた厳格にこれは解釈すべきなんです。公労法がストライキ禁止規定に対して罰則をもって臨むのだという精神であればですね、これは公労法自体の中に、最後の方にそういう罰則規定というものは出てこなければいかぬわけなんです。これは普通の法律はみんなそうなるでしょう。何か一つの行為を禁止する、禁止のしっぽなしの場合もある。これは一種の訓示規定だ。ところが、禁止に反した場合には罰するというふうにいく場合には処罰規定というものをおくわけなんです。公労法の場合には、その中間をいっておるわけなんですね。処罰まではこれはいっていかぬ、事柄の性質上処罰まではいっていかない。ただ、身分上のいろいろな処置はできるようにしよう。それも、これは例外的な規定と当然見るべきなんですから、厳格にその考え方というものは守っていくべきなんです。だから、そういうわけですから、公労法ができたから、ともかく七十九条制定当時においては、正規の労働運動には適用されないといったものが直ちにそれが適用されてくるのだ、こういう解釈は非常に無理がある。おそらくこれは裁判所に行けば、こんなものは敗れますよ。これは後ほど私は、この逮捕の問題についてお尋ねするわけですが、裁判所だって若干法律の規定自体についてそういう疑いを持っているのです。持っているから、皆さんの勾留請求に対しても簡単には応じないという点が私は伏線として必ずあろうと思う。これは法律家の常識ですよ。そういう点が今の答弁を聞きましても、相変らず三月に私ども委員会で論議したときと少しも変っておらない。どういう労働法学者の意見を聞いてみたとか、そういうこともないようですが、そういう政府部内の者だけで、何とかこいつを一つ引っかけてやろうじゃないかとか、そんな立場だけからの研究をすべきじゃないのです、こういろ問題は。ざっくばらんに、いろいろな傾向の労働法学者もあります。あらゆる傾向の労働法学者の意見を聞いて、そうして私はもっとその堂々たる説明ができるように要求したいのですが、一体そういうことは全然なされておらないのでしょうか。これほど世間の人が注目している問題について、そういう努力をされておるのかどうかだけ、一つまずここでお聞きしたい、長官から。
  93. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 郵便法七十九条の問題につきましては、われわれといたしましても慎重に検討をいたしまして、そうして違反の容疑があるという結論に達して今回の事件の捜査に着手いたしたのであります。法務省とも十分検討いたしました。また、法務省におきましても、おそらく各方面のそういう御意見等についても御参考にされたことと思うのであります。  なお、先ほどの御質問の中に、郵便法七十九条は労働組合運動には適用がないのだというように、この郵便法制定当時の委員会おいて政府委員が答弁をしたというようにおっしゃいましたが、これは当時の速記録等を調べてみましても、正当な労働組合運動には適用がないという説明をいたしておるのであります。で御承知のように、労働組合法の一条二項の規定によりまして団体交渉その他の正当な行為であれば、刑法三十五条の規定によって違法性を阻却するという一つの原則が立てられておるわけであります。従って、当時全逓につきましては、争議行為が認められておったのでありますから、その正当な争議行為として行われた場合には、労働組合法の一条二項の規定が働きまして違法性を阻却すると、こういうことになるのでありますが、全逓がいわゆる争議行為が禁止されております場合におきましては、この労働組合法一条二項の規定が発動して違法性を阻却するということにならないわけであります。従って、そういう結果といたしまして、いろいろの刑罰法規が規定されております場合には、その刑罰法規の個々の条文の構成要件を充実する場合におきましては、犯罪が成立する容疑が出てくるというのは、これは法律の解釈として当然そうあるべきことではなかろうかと、かように考えております。
  94. 亀田得治

    亀田得治君 私そんなことを聞いておるのじゃない。そういう解釈は何べんかあなたの方で繰り返しておるのです。だから、そこは水かけ論になるから、そういうことを今繰り返して聞こうとしているのじゃないのです。第一、正当性云々ということを言いますが、これにもいろいろ段階があるわけですね。段階がある。はっきり言えば、この公労法でストライキ行為というものを正当でないとしたのは、これは半分だけ正当性を奪ったのです、半分だけ。そういうようにこれは解釈すべきなんです。また、解釈する余地があるわけなんです。だから、そこの前提にも皆さんとの違いがあるので、そこで私がお聞きしておるのは、法務省の方でも、今の説明によりますと、各七面の御意見等もお聞きになってやっておるでしようというような意味のことがあった。ですが、あれから想像すると、警察としては、やっておらぬようです。法務省としては、そういうふうな検討をこの問題についてされておるのですか。法務省内部だけの問題ですか。公安課長からお願いします。
  95. 川井英良

    説明員(川井英良君) 全逓のいわゆる職場大会闘争に基く職場離脱が刑罰法令上いかなる評価を受けるかということにつきましては、これは今回の闘争で初めて問題になったわけではございませんので、御承知の通り、かなり前からかような闘争が行われて参ったのであります。私どもといたしましては、さような闘争に対しましていかなる刑罰法令が問題になるかということにつきましては、かねて、先ほどから警察庁の方から御説明がありましたように、ともに研究を重ねて参ったわけでございまして、こつ然として今回の闘争に対しまして郵便法七十九条を適用して捜査に着手した、こういうわけではございません。ただ、私どもの研究でございます。で、あるいは不十分なところがあろうかとは存じますけれども、一応法務省におきまして研究いたしました結論のようなものにつきまして、ざっと御報告いたしたいと思います。
  96. 亀田得治

    亀田得治君 手続を聞いているんですよ。課長内容はお互いに意見の食い違いがあることはわかってるんだよ。外部の学者の諸君などの意見なんかも聞いて検討しているかということを何回も聞いているんです。
  97. 川井英良

    説明員(川井英良君) いかなる学者にいかなるときにどういうふうな質問をしたかということを、今ここでこまかく一つ一つ申し上げる資料は持ち合しておりませんけれども、少くともこの問題に関する日本国内並びにかような問題について言及しておる資料につきましては一通りのものを当りまして、その一つ一つにつきまして、積極説あるいは消極説あるいは中間説といわれるようなものを分類いたしまして、しかも、従来政府がとっておりましたいわゆる統一解釈と申しまするか、有権解釈というふうなものを加味いたしまして、現在のような結論をやはり正当と認めて維持しているわけでございます。
  98. 亀田得治

    亀田得治君 まあ、この問題が起きてから特に再検討をされたということがどうもないようです。私はこれははなはだ不満だと思うんです。で、いろんな意見があることはこれはもう当然なことなんですが、結局、警察なり検察当局に都合のいいような意見だけを整理した、そういうそれは結果です。私たちが要求しているのは、もっと基本的に、こういう問題の起きているときだから、反対の意見の学者の人の考え方もずっとこう聞いてみて、そうして措置をすべきじゃないかということを申し上げておるんですが、その点、はなはだ態度としては不満です。そこで、この七十九条という問題について、政府の一応説明によると、相当自信を持っておるような説明なんです。ところが、五月二十八日に大阪で十二名ですか、十二名逮捕した。この場合には、郵便法七十九条というものを避けておる。そうして逮捕状に書かれておる理由は、住民侵入と公務執行妨害、こういうことになっておる。これは一体どういうことなんです。場職大会そのものが七十九条違反だということで、三月以来政府がやかましく言っておる。そうして、同じ二十八日に東京大阪、名古屋、一斉に逮捕しておる。大阪だけが七十九条が適用できないという理由をはっきりしてもらいたい。そんなに自信のあるものなら、それでやったらいいでしょう。どうしてそういうことになっているのか。これは一つ長官から、おそらくこういう報告は聞いていると思うが、そうしてまた、これは一斉検挙ですから、おそらく中央で統一的に指令をしているに違いない問題ですが、どうしてそういうことになっているのか、はっきりしてもらいたい。
  99. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 私から先に……。大阪の問題につきましては、東京大阪、名古屋でそれぞれ今回の職場大会の事案について捜査をいたしたのでありますが、これは、それぞれ各地の事情が違うわけであります。また、警察庁におきまして統一的に郵便法七十九条でやるようにという指示もいたしておりません。これは、各警察でそれぞれの事態に対してそれぞれの一つの条文適用の問題を検討して行なっておるわけでありまして、特に大阪におきましては、この公務執行妨害の事案が明かでありましたので、逮捕状は、その公務執行妨害をもって令状を請求して執行しておると、こういう状況でございます。
  100. 亀田得治

    亀田得治君 逮捕状は公務執行妨害で求めたが、調べは郵便法違反のところを調べておると、そういう意味ですか。
  101. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) そうでなくして、家宅捜索につきましては、建造物侵入と郵便法七十九条違反の容疑で家宅捜索をいたしております。逮捕状につきましては、公務執行妨害をもって令状を執行しておる、こういうように申し上げたのであります。
  102. 亀田得治

    亀田得治君 家宅捜索と身柄の逮捕、こういうものが条文が違ってくるというような、こんなばかなことはないですよ、普通。根拠となる法律に対する自信がない証拠なんです、これは。で、おそらく何でしょう、私その前にちょっと一つ聞きますが、大阪、名古屋のこの逮捕ですね、同じ二十八日の逮捕、これは、やはり中央からこの日にやれと、東京でもその日にやるから大阪も名古屋もその日にやれと、こういう指示をされたものと私ども承わっておるんですが、そういう事実はありますか。
  103. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 五月二十九日の逮捕につきましては、そういう指示はいたしておりません。
  104. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、これは偶然に同じ日になったというのですか。
  105. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 五月十日の日の家宅……。
  106. 亀田得治

    亀田得治君 五月二十八日です。選挙終了後のやつですね。
  107. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) それは、東京、名古屋、大阪それぞれ……。
  108. 亀田得治

    亀田得治君 日が違いますか。
  109. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 違っております。家宅捜索の日が五月十日になっておると……。
  110. 亀田得治

    亀田得治君 ああ、そうですか。そこで、大阪の場合を、私、これは直接自分の地元ですから、詳しく一々調べた。ところが、ある者は住居侵入、ある者は公務執行妨害、こうなっておる。ところが、住居侵入というのは、結局、全逓の幹部の人が、自分たちが平生出入りしておるその職場に出入りした、そういう問題なんですね。それは、管理者が何かちょっと言うたかもしれぬが、大したことも言うてやせぬ。それから公務執行妨害というのは、職場大会が組合の指令によって行われるからそこへ行こうじゃないか、そう言うただけだ。それに従って出で行った。ある者は、その課長の了承を得て出て行っている人もたくさんある。そういう事例もたくさんありすす。それだけのことなんです。こんなことが一体住居侵入とか公務執行妨害になるのですかね。これではうっかりひとの家へ入ったりあるいはちょっと勤め人の人を食事にでも誘い出す、そんなことすらできないようになりますよ。私ははなはだ非常識なような事例を出しますが、そんなことでも大阪における住居侵入や公務執行妨害になる。なぜそんな無理なことをするかというと、郵便法七十九条について、大阪や名古屋の検察当局は自信がない、自信がないが、しかし、一斉に東京でやったからこちらでもやるということでやるのだが、やるためには何か名目をつけなければならない、そこでこんな無理やりな名目をつけておる。この大阪だけが、ほかの地区のやつは全部郵便法七十九条であるのに、大阪だけがそれをはずして、そして無理やり、ほかの条文を持ってきてやっておる。しかも大阪でも家宅捜索をする段階は郵便法七十九条があったわけです。ところが、身柄をつかまえるときに七十九条をはずしてしまっておる。んなことで、一体この捜査の対象になっておる人が納得すると思いますかね。長官は、こういろ大阪の適用条文の違っておる点、これをどういうふうにあなたは解釈されておるか、長官一考えを聞きたい。これは全体を見渡してみてはなはだ不穏当でしょう。どういうふうに考えておりますか。
  111. 石井榮三

    説明員(石井榮三君) 先ほど警備巴長がお答えしましたように、大阪の場合につきましては、捜索は建造物侵入並びに郵便法七十九条違反容疑でやっておるのでございますが、関係者の逮捕の場合には、建造物侵入、公務執行妨害、暴力行為等処罰に関する法律違反で逮捕いたしておるのでございます。名古屋の場合は、逮捕の場合には建造物侵入、公務執行妨害容疑で逮捕いたしておるものもありますし、また、捜索の場合には、建造物侵入及び郵便法違反容疑で捜索を実施しておる、そういうふうにそれぞれのところところによって事情が違いまするがゆえに、それぞれの執行する場合の根拠法も違っておるということになろうかと思うのでございます。特に大阪の場合のお尋ねでございますが、捜索は建造物侵入並びに郵便法七十九条違反容疑でやっておきながら、実際の身柄の逮捕の場合には郵便法七十九条関係が抜げておるのはおかしいじゃないかという御質問でございますが、郵便法七十九条違反容疑で捜索をしてみた結果に基いて、その容疑が他の個所と違て、大阪おいては容疑が薄かったということで、結局はっきり根拠となり得る建造物侵入、公務執行妨害並びに暴力行為等処罰に関する法律に基いて逮捕した、かように考えるのでございます。それぞれの場所における実情と異なりますので、それに基いて捜査当局としましては、捜査の段階に応じて必要な手続をとっておるということはこれは当然のことでございますので、そういう差異が出てくることは当然の結果ではなかろうかと思います。   ―――――――――――――
  112. 一松定吉

    理事(一松定吉君) ちょっと報告することがあります。委員異動について報告をいたしますが、六月七日付で藤原道子君が辞任いたしまして、その補欠として横川正市君を選任いたしました。山口重彦君が辞任いたしましてその補欠として永岡光治君が選任せられましたので、御報告いたします。   ―――――――――――――
  113. 永岡光治

    永岡光治君 ただいま郵便法七十九条を中心に質問が展開されておるわけですが、私も大阪と名古屋のこの事件について、逮捕事件がありましたので実は参ったわけですが、名古屋では勾留開示の公判が開かれまして、その際に弁護士団その他から追及されております。当時の裁判長でありました村元さんとかおっしゃっておりましたが、名前はあるいは違っておるかもしれません。七十九条、これは問題じゃないのだということはっきり裁判長言っておるわけです。そういうものを問題にしておるのじゃありません。こういうような事例を考えてみましても、これはただいま亀田委員が質問いたしましたように、非常に検察陣営の中でもあるいは司法関係の中でも大きな疑義を残しておると思うのです。そこで、先ほどからいろいろ質問を承わっておりますと、七十九条違反という問題は、正当な労働行為、つまり罷業権があった場合にはこれは適用の阻却の原因になる、しかし、そうでない場合には適用されるのだ、こういうような趣旨のようであります。それであるならば、私はさらにこれを追及して参りたいと思うのですが、今日まで、公企労法ができましてからあるいはまた、罷業権が禁止されましてから相当長い期間が経過いたしておりますが、そのつど御承知の通り、これに類似した職場大会がなされておる。しかも長時間にわたる職場大会が従来認められております。それがどうしたものか、政府の反動性が強くなるに従いまして、三時間が二時間になり、二時間が一時間になり、一時間が三十分になって、今日は三十分以内は全然問題にされていない、こういうことを見ましても、これは労働運動に適用されることはおかしいと見なければならぬと思うのであります。第一、同じ職場大会をやることについて、一つの郵便局なんかを例にとってもはっきり言えると思うのでありますが、郵便の職員もおる、貯金の職員もおる、保険の職員もおる、庶務会計の職員もおるわけであります。同じ職場大会を行なって、たまたま郵便職員であるというので七十九条違反にひっかかるというのは、私は明らかに大きな問題であると思うし、そういう点から考えましても矛盾しておると見なければならぬと思います。もし七十九条を労働運動にかけるということであるならば、これは当然貯金なり保険なりあるいは庶務会計というものも問題にしなければならぬと思う。貯金なり庶務会計の職員が問題にならずに、七十九条違反が郵便職員だけにある、そこに大きな問題があると思うのでありますが、そこをどういうふうにあなた方解釈されておるか、その点明確にしてもらいたい。なぜ七十九条が郵便職員だけに適用されなければならぬか。同じ労働運動であるにかかわらず、郵便職員に七十九条が限定される、そういう精神は私は片寄っておる、矛盾しておると思うのでありますが、矛盾しない理由がどこにあるのか、その点明確にしてもらいたい。
  114. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 御承知のように、これは郵便の業務に従事する者についてだけ適用のある条文でございます。簡易保険あるいは郵便為替、いろいろの仕事を郵便局でやっておられますが、その中でやはり郵便という仕事が一番国民生活に最も基本的に密接な関係を持っておるものであり、なおかつ、これは独占的に行われておる事業、郵便局において独占的といいますか、全くほかで行うことができない仕事であります。それだけに郵便の業務に従事する人につきましては、こういう規定があるものと思います。貯金の業務あるいは簡易保険等の業務につきましては、それぞれとれに似たような仕事をほかの企業体において行うことが認められておるわけであります。ただ、郵便という仕事は、国家が行い、郵便局以外には絶対に行い得ないようになっておるということで、郵便の業務に従事しておる者についてこういう特別の規定があるのではないか、かように考えております。
  115. 永岡光治

    永岡光治君 それならば一体、御承知の通り東京都内、全国には相当多くの郵便逓送会社というのがあるわけですね。取り集めをしたり、配達をするわけです。それから私鉄においても郵便を運んでおります。それから現に、若干の僻陬の地にはなりますけれども、郵便の請負をさしております。それらの諸君はこれについて取扱いをしなくても処罰を受けないのです。それでは、そういう郵便が重大なら、なぜあなた方は禁止しないのですか。なぜそれが適用にならないのですか。矛盾するじゃありませんか。どういうわけですか。
  116. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) この郵便物運送委託法により委託を受けた場合には、郵便法七十九条の適用がないというようにおっしゃいましたが、その点は私どもはちょっと違った見解を持っております。
  117. 永岡光治

    永岡光治君 労働争議の適用はないのですよ、これは。いま、もう一回申し上げますが、日本郵便逓送株式会社、これは全国約三千名職員がおる。しかもこれは都市通信を取り扱っている非常に重要な分野を持っている職場の人です。これが罷業を行いましても全然適用はありません。七十九条は適用ありません。ないのです。あると言うなうその例を私は示してもらいたい。それから、私鉄におきましても運んでおります。飛行機も運んでおります。しかし、それは労働争議によって、そうして郵便を停止いたしましても、七十九条の適用はありません。それから、さらにこの請負をいたしておる人があります。船、それから馬、そり等々で、これは僻辺の地にもなりましょうが、そういう諸君につきましても、そういう労働争議によって郵便の取扱いを停止いたしましても、適用はないのであります。あなたが重要だというならば、なぜそれらの諸君にそれを適用させないのか、矛盾があるでしょう。だから、労働運動には適用さすべきものじゃないのです。あなたがあるというその理由はどこにあるのですか。
  118. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 私の申したことを少し誤解されておるのじゃないかと思うのでありますが、私の申しましたのは、そういう郵便物運送委託法により委託を受けております者が郵便物の取扱いをしない、あるいは遅延させたというような場合には、七十九条の適用がありますということを申し上げたのであります。もちろん、そういう人々が正当な争議行為をすることが認められておりますような場合におきましては、これはさっきの労働組合法一条二項の問題が出て参りますけれども、建前としては、郵便法七十九条というものは、個人が個々の場合にする場合ももちろん、あるいは集団的に行われる場合ももちろん、広く両者の場合に適用があるということを申し上げたのであります。
  119. 永岡光治

    永岡光治君 私の言うのは、あなたはまだよくわからないと思うのです。私の説明の仕方もまずいのだと思うのです。あなたは郵便が大切だから、それだから幾ら労働行為であっても、それはもう郵便職員であるから適用になるのだ、こういうことを言っているから、その精神が、しかし、民間の場合考えたっておかしいじゃないですか。逓送会社、あるいはその他の請負の全社等を考えるとおかしいじゃないですか。もしあなたのその精神で貫くならば、当一然日逓の諸君についてもそういうことを適用するという、そういうもののが出てこなければおかしいじゃないですか。貯金、保険は軽い、郵便は重いという、そういう理論を推し進めるならば、民間といえども、何といえども、当然これは七十九条違反、労働争議だろうと何だろうとやるべきだ、こういう根拠がなくては成り立たぬ、こういうことを言っている。もちろん今あなたが民間についても、労働争議でない場合についてこれは適用になる場合がある、それは労働争議でないから適用がある。従って、郵便職員の場合でも、労働争議の場合にはこれは適用していけないのであって、特に普通の場合の、いわゆる民間で行われている、特に労働争議でない他の意図を持つたというところの、ことさらに何か起らせようという意図を持った場合は、これが適用されると、こう解釈されるのが筋道なんであります。そうでなければ、成り立たないということを私は言っているわけです。もしあなたの理論で進めるならば、民間だって全部これは禁止しなければならぬ、そういうことを私は今申し上げているわけで、この七十九条を適用されるということは非常に大きな問題があると思う。こういうように考えなくてはいけないのだ、こういうわけです。
  120. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 郵便物運送委託法によって委託を受けました場合には、郵便法七十九条の問題がありますほかに、御承知のように、郵便物運送委託法二十一条によって郵便物を運送しない場合の罰則の規定があることは、これは御承知だと思います。  私の申し上げておりますのは、郵便法七十九条というのは、個々人が自分の考えでやった場合にも、あるいは、それが集団的に行われた場合におきましても、両方の場合に適用がある。ただし、ほかに何かその違法性を阻却するような理由が、法律上の理由があれば、その阻却する理由のある場合には、この七十九条違反にはならないということを申し上げているわけです。従って、全逓の労働組合につきましては、争議行為が一切認められておらないのでありますから、違法性を阻却する理由がないわけであります。そういうわけで適用があるということを申し上げているわけであります。
  121. 永岡光治

    永岡光治君 ですから、これは水かけ論になりますかう、あとに譲りますが、だからこそ、そういう問題については公労法によって処断するということになっておる。これは違法な行為だかう七十九条、刑事責任を問うという形では適用にならないのです。七十九条を適用しないからこそ、ここに公労法で処分規定が出てくるのは、そこにこの公労法の精神が生かされておる、その辺を十分考えなければならぬ。これはお互いに水かけ論になりますから、この程度にとどめまして、いずれにいたしましても、あなた方は罪人を作ろう、面子にかけても罪人を作ろう、何回公訴を却下されても、とにかく罪人を作ろう。世論は、また却下、こういうことになっておる、こういう表現を新聞でも使っておりますが、こういう点は、やはり反省してもうわなければ困ると思います。これは水かけ論になりますかう、あとにいたしますが、他に譲りたいと思います。
  122. 大川光三

    大川光三君 ただいまの郵便法七十九条と公労法の関係でありますが、永岡さんの言われるように、水かけ論でおさめるものじゃないと思う。私はやはり法律論として、結局七十九条の方は、ことさらにとこに郵便物の扱いをせぬとか、遅延をした場合にのみ、この法律は生きているのであって、その後に公労法ができ、十七条ができたのでありまするから、不当労働争議による郵便物の遅滞とか、あるいは扱わなかったということは、これは含まないのだという、これは法律解釈が成り立つと思う。おそらく、裁判所もそういう解釈を私はとると思います。そういう点は、むしろ当局がなお十分検討される余地が十分あると思います。いかがですか。
  123. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) その点につきましては、先ほどから私どもも慎重に検討いたしました結果を申し上げておる次第でございます。  公労法十七条に違反して争議行為が行われた場合には、十八条によって解雇されるという規定がございますが、十八条の規定だけが適用されるのだとおっしゃると、ちょっとそこはやはり問題がある。十七条に違反して争議行為をした場合には、やはり民事上の損害賠償責任という問題が起れば、そういう問題も出て参りましょうし、ほかに刑罰法規違反の問題があれば、刑罰法規違反の問題が出てくる、私どもはそう考えておる。その辺が考えの違うスタートになるようでございますが、私どもはそういうように考えておる次第でございます。
  124. 大川光三

    大川光三君 いわゆる、疑わしきは罰せずで、このことは特に当局が慎重にさらに研究されることを私は望んでおきます。
  125. 亀田得治

    亀田得治君 ただいまの大川委員かうの御意見、私は、ほんとうに党派にとらわれないで、こういう問題はもっと慎重に検討してもらいたいと思います。それを何か、とにかく一ぺん自今の解釈を立ててしまうと最後までそれで押していく、はなはだ私はそういう態度が気に食わぬ。それで、この強制捜査の問題ですね。現在でもこれが継続されておる。私は、もうこの段階にきたら、あっさりおやめになったらどうかと思っているんです。で、根拠法規についての問題はありますよ。皆さんの方は、これは法律違反だ、刑罰法規違反だというふうにお考えでしよう。ところが、一方じゃそうじゃないという。その点の争いはありますが、それは別として、たとえそういう刑罰法規違反があるとしても、証拠隠滅なり、あるいは逃亡のおそれはない。裁判所がこの関係者についてたびたび結論を出しておるんですね。検察官の方かう準抗告をされましても、それがさらに却下されておる。こういう事態にまでもうすでにきておるわけなんです。そうなれば、私は、警察なり検察官としては、もう少しざっくばらんな態度をとってもういたいと思う。もうあくまでもひっくくってやっていくのだ、それじゃいけませんよ。何回も一段上の機関がいうてもそれを聞かない。これでは、私は、もう現在の裁判機構なり、よく政府の方が言う法秩序だとか、それそのものを警察の人が何か無視しておる、軽んじておる、こういう印象すらも与えておるのです。まるでこっけいな話です。これはもう区々たる、いや前に出した人とあとから出しておる人と事情が若干違うんだとか、そういうことは、私は法律家だからよくわかる、もちろん一人々々について事情が違うことは。そんなことじゃなしに、もっと大局的に見て、ことまできたら、基本的なこの問題の扱い方は別として、ともかく捜査の方針としては任意捜査でいく、こういうふうに警察庁長官なり検察当局が、私は、割り切ってものを考えるべきだ。その方がこの問題を注目しておる諸君の常識にも合うわけなんです。その点について、長官の忌揮のない御意見を私は聞きたいと思う。
  126. 石井榮三

    説明員(石井榮三君) お説まことにごもっともでございます。捜査は、任意捜査によって目的を達成し得るならば、これが望ましいのでありまして、強制捜査というものは、必要やむを得ない場合にのみ行うべきである、それが人権を尊重するゆえんであります。捜査のあり方として当然かくあらねぼならぬ、かく私は日ごろかう考えておるのであります。今回の全逓関係の捜査にいたしましても、一般組合員の方々等につきましては、事情をいろいろお聞きしなければならぬということがありまして、ずいぶん多くの方に御迷惑をかけたことになっておりますが、努めて任意出頭を求めて事情を聞くということに終始したというふうに聞いておるのでございます。何度呼び出しをお願いしましても、出頭に応じていただけない、しかもかなり重要な関係の立場にあられた方というような方、あるいは出頭に応じられても事実を述べていただけないというような方については、やむを得ず、証拠隠滅等のおそれもあるので、逮捕して捜査をしなければならぬということに相なったものと私は考えておるのでございまして、しからば、逮捕して一応所定の期限が切れて、さらに勾留請求をして却下された、却下されたらさらに準抗告の申し立てをしておるというのはしつこいじゃないかというお尋ねもございますが、この点は、検察庁の方の関係でございますので、私が、ここで一存でかれこれ申し上げるのはいかがかと存じます。それぞれの捜査の状況にかんがみまして、さらに身柄を拘束して取調べをする必要がある場合には勾留請求をいたすのでございます。それはいずれの場合におきましても、必要最小限度にとどめなければならぬことは申すまでもないところでございます。私ども警察関係の捜査の根本といたしましては、絶えずこの点につきましては、私は第一線の諸君に要望いたしておるのでございまして、あくまで捜査は、任意捜査を建前とすべきものである。必要やむを得ない限度において強制捜査をするという根本方針は、今後とも十分第一線の諸君に徹底させたい、さように考えております。
  127. 一松定吉

    理事(一松定吉君) 石井長官に尋ねたいが、新聞の報ずるところによると、証拠隠滅のおそれがないから、再逮捕することは必要としないというようなことで却下しておるということが新聞の報道になっておるが、そうじゃないのか。
  128. 石井榮三

    説明員(石井榮三君) 裁判官が、もはやこれ以上拘束して取り調べる必要がないではないかということで勾留請求を却下されておるのでございますが、それは、今までにすでに多数関係者を取り調べた状況、またさらに、拘束して調べた状況、また、この事件が発生しましてから今日まで、相当長期間にわたって、任意捜査によってかなり証拠は収集できておるのではないか、従って、もうそれ以上身柄を拘束してまで捜査をしなくてもいいんじゃないか、足りない点があるならば、任意捜査で続行していっていいのではないかという裁判官の判断であろうと、かように私は想像いたしております。
  129. 一松定吉

    理事(一松定吉君) 郵便法の七十九条の適用がないんだ云々ということではなくて、これ以上拘束して取り調べる必要がないからというようなことを、私は承知しておるが、そうじゃないのか。
  130. 石井榮三

    説明員(石井榮三君) 逮捕状がすでに発布されたことから考えましても、裁判官としましても、七十九条違反の容疑ありと考えて逮捕状を出ざれたものと、私は、かように考えるのでございまして、さらにそれを所定の期限が切れたのに対しまして、勾留請求をしたのに対して却下をされましたのは、先ほど申しましたように、今までの関係の捜査によりまして、相当に証拠収集ができておるのではないか、だから今後さらに若干不足があるとしても、それは身柄拘束をしないで、任意捜査によって、この足らざるところを補足してもいいのではないかという見解のもとに、裁判官は勾留請求を却下されたものと、かように私は考えておるのでございます。
  131. 一松定吉

    理事(一松定吉君) そうすると、七十九条の適用の有無で、裁判所が拘束しないのでなくて、もうこれ以上捜査の必要はないから拘束する必要はない、こういう理由かね。今まで裁判所が準抗告というものを却下した理由を今聞いておる。
  132. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 申し述べます。「本件資料によれば被疑者の逮捕前においてすでに長期間にわたり任意捜査による証拠の蒐集が行われ、また多数の被教唆者に対し被疑者の本件教唆行為に関する取調がなされた現在においては、改めて被疑者を拘束してまでその取調をする必要が乏しいものと思料される。」こういうのが理由でございます。従って、七十九条の問題には全然触れておりません。
  133. 一松定吉

    理事(一松定吉君) そうすると、今の争点には触れちゃいない、こういうわけだね。その点について、亀田委員
  134. 亀田得治

    亀田得治君 そこで、私は、今、争点の方じゃなしに、強制捜査の点を、今、だから問題にしておる。で、これはすでに行政処分も郵政省で出ておる問題ですね。もちろん、この行政処分、これに対しては、私ども不当だから、それは、関係の労働組合でも適当な措置をとっておられるでしょうが、この調べというものはちゃんとできておるんですよ。だれが見たって、職場大会に行った、そんなことはみんなはっきりしておる。これは、当然行く権利がある。従来の慣行からいったって当然だ。指令でこれはやっておる。この指令は警察にも入っておるし、そうして行ったこともこれはみんな見て知っておるわけです。だから、あとは、問題は法律的な判断だけなんですよ。そういう問題を郵便法七十九条にするかしないか、判断だけなんです。そんなものは、逮捕してみたって、おそらく、こんな不当弾圧だからというので、おそらく私は黙秘権を使う人が多いと思う。都合が悪いから黙秘権使うんじゃないんです、これは。おれたちは、そんなこういうことで取調べを受ける理由がない、逮捕までされる理由がない、こういうことで一言半句も言わぬ人が相当あると私は思う。ところが、そうであっても、皆さんの方では問題にしようと思えばこれはできるわけなんです。いやしくも郵政大臣がそういったような点がわからないで行政処分をやっているわけじゃないでしょう。だから、そういう問題なんですから、私は強制捜査なんというものは、これはいかなる面から見たって必要がないんです。こんなものは今起訴したって当然いずれは無罪になりますよ。だからそうじゃなしに、そういうふうに考えてみると、結局もうこれはただいやがらせ、弾圧、そういうことに結論が出てくるわけなんです。警察はそんなつもりはないというかもしれぬが、全体の印象から見たらそういう印象を与えておりますよ。それではあれを逮捕してみたからといって、どれだけの材料が皆さんの方に手に入ったか、私はほとんど入っていないと思うのです。逮捕したってせぬだって、実質的には同じようなことなんです。そこまでよく私は考えてほしいと思う。  それからこの逮捕のやり方で一番けしからぬのは、大阪の場合は一人々々聞きましたが、ともかく大阪の場合には事前捜査がなかった。本人に対していきなり逮捕状を持ってきてぽかっと引っぱって行った。普通なら呼び出しをかけて、来てもらって、そうしていろいろ少しそこで問答をやって、それから実はこういうふうに逮捕状が出でいるのだ、これで普通はいくのです。ところが、大阪の十二名に対しては、全然そういうことをやらない。いきなりぽかっと逮捕した。事前の呼び出しも何もないのです。少くとも大阪の場合。しかも根拠法規がさっきいったようなきわめてあいまい、これはもう不当逮捕ですよ。こんなことは裁判所にかかってみたら結局勾留が認められない。そんなようなものをどんどん乱発してどうするんです。それは検察庁は、警察側も、この事件ではほんとうに威信を落しておりますよ。そういうことにまだ皆さんの方じゃ気がつかぬのですか。おそらく私はついておると思う。ついておったらもうこの辺でさっぱり、どうもこの問題についての強制捜査という方針が間違っておったら間違っておった、そのことをはっきりして、そうして新しい角度で私は進んでほしいと思う。ところが、ゆうべでも、新聞によると、さらに追加して検察官から拘置の請求を出しておりますね。もう児戯にひとしいですね。今まで何とか主任の検察官としてやってきた人は最近入院されたようですが、おそらく私はこれは頭に来ているのだと思うのですよ。そして上の方からはやれやれという、やってみるとこれが却下される。深沢さんですか、何とかいう人が入院された。だれだってそういう状態になるでしょう。だから私はこの辺で、やはり自分の意見が通らなかったら通らなかった、であとは、任意捜査まで私はすぐ打ち切れと、皆さんの立場に立って考えればそこまでは申し上げられませんが、強制捜査ははっきり打ち切ってもらいたい。むちゃなんです。その点の考え方を、実際は法務大臣や、もっと最高の責任者にこれは聞きたいものですが、おられないから仕方がありませんが、まあ警察庁長官に、これは直接は警察庁長官が指揮するわけじゃありませんが、しかし、あなたの意向というものは、やはり検察官にも響くわけですから、そこの考え方を聞きたい。それから法務省の公安課長の意見を一つざつくばらんに私は聞いておきたい。  それからもう一つは、これは要求ですが、大阪で郵便法七十九条でいろいろな家宅捜索をやって書類を持っていった。ところが、現在では郵便法七十九条の疑いというものが、人を逮捕する段階では取れてしまっておる。私は、当然押収した書類というものはこれは不当押収だと思う、検察官なり警察のその行動自体から判断できますから、あれは至急返してやってもらいたい、要求しておきます。その点に対する、すぐ返してくれるかどうか、これも一つお聞きをしておきたい。
  135. 石井榮三

    説明員(石井榮三君) 先ほどお答えいたしました通り、およそ捜査のあり方といたしましては、任意捜査によって目的を達成し得る限りその行き方であるべきでございます。本件に関しましてもその方針に変りはないわけでございまして、必要最小限度において強制捜査をいたすべきものと思います。この事案も相当捜査が進展いたしておりますので、おそらく今後は、強制捜査というような必要もまずなくなるのではないかと、かように感じておりますが、第一線でやっておりますことで、私はそのやったことの結果の報告を聞くだけでございます。現在の段階が、関係各事案すべてどの程度まで捜査が進展しておるかというようなことにつきましても、詳細、正確にはまだ承知をいたしていない点もありますので、今ここで断言的なことを申し上げることはできないと思いますが、先ほど来申し上げます通り、基本的な考え方といたしましては、捜査はあくまで任意捜査で、可能な限りはそうあるべきものだ、必要やむを得ない限度においてのみ強制捜査をするべきである、こういう原則を今後とも第一線の捜査官に十分徹底きせるということはお約束できると思います。  なお、大阪におきまして捜索したもので、もはや必要がないものもあるようだということでございますので、そういう点も、十分第一線の方に連絡をいたしまして、今後の捜査上必要のないものは至急返還するように措置をさしたいと、かように考えます。
  136. 川井英良

    説明員(川井英良君) おしかりを覚悟の上で同じようなことを申し上げるわけでございますけれども、この事件の捜査は警察庁長官の言われる通り、任意捜査を原則といたしまして、例外として強制捜査を行なっていくという、およそ犯罪捜査についての原則からはずれるものではないと私も信じております。そこで、この捜査のいきさつをごらん下さいましても、今まで取調べをいたしました参考人並びに被疑者の数は百何十名に達しておるわけでございまして、その中から勾留の請求を、これは東京の中郵事件だけに関して論じておるわけでございますが、その中で逮捕並びに勾留の請求を取ったと申しますのは、先ほど警備局長が言われましたように、そのうちの四十名ということになっておるわけでございます。もちろんこの量の問題から、ああだこうだという結論はすぐには出ませんけれども、私どもの方におきましても、なるべく、任意捜査で片づくものは任意捜査でやりたい、それから捜査の目的を達するために、まことにやむを得ざる措置といたしまして、できる限り小範囲におきまして強制捜査を行うという原則は、やはり検察官といえども堅持しておるものと私ども考えておるわけでございます。  それから先ほど亀田委員がおっしゃいましたように、それは被疑者一人々々について事情が違うのだから、ある者については任意捜査でよかろうが、ある者については強制捜査、あるいは段階に応じて、今の段階においては任意捜査で捜査の目的を達するけれども、その次の段階に至りましたならば、強制捜査の方法によらなければ証拠が固まらないというようなことを言うだろう、そういうことはよくわかっておるのだということで、万々御承知の上での御質問でございますので、結局またそれについて同じような答弁になるわけでございますけれども、やはり捜査はその時期に応じまして、また、被疑者の地位なり、その犯罪において犯しました役割なりというようなことに応じまして、あるいは強制捜査、あるいは任意捜査ということはまことにやむを得ざる措置だと私ども考えているわけでございます。さようなわけにおきまして、最初は任意捜査の段階でございましたけれども、だんだん事件が進んで参りまして、この段階に至りまして、ある者については強制捜査によらなければ捜査の目的が達成しがたい、こういうよらな結論になりまして、検察官においてかような措置をとっておると、かように申し上げざるを得ないのでございます。
  137. 亀田得治

    亀田得治君 どうもそういう一般論をごちゃごちゃと私は何も聞いているのじゃないのです。この事件について、何回もこういう検察官が、繰り返して勾留の請求を要求し三それがけられてきておる、それならば本ら検察官が強制捜査したいという気持は変える必要はないでしょうが、しかし、事態がそうなっておるならその方針は打ち切る、それが正しいのじゃないか。そうでなしに、いつまでもあんなことをやっておるのはいかにもめめしいし、それからまた、見ようによっては何とかしてこれを引っくくってやろうというような感情に走っておるような感じを与えるし、それからもう一つ大事なことは、これは一体警察官や検察官というものは、裁判所というものを何と考えているのだろうと、法律のことをよくわからない一般大衆はそういうことを考えますよ。これは現にそういう印象を与えておるのですから。そういうことを法律をみずから扱っておる人が反省する必要があるのではないでしょうか、一般論なんかどうでもよろしい。あなたとしては、一課長程度では、そういうでかい問題についてはちょっとお答えできないというなら引き下ってもらってういいのだ、引き下ってもらってういいのであって、そんな何かつべこべ一般論を述べて、今後もそういう方針を継続していくのだという、こんな印象を与えるような答弁は、この際きわめて不適当です。警察庁長官の方は、先ほど多少含みのある言葉で答えている、私はそれが常識だと思う。ゆうべ出されたような、あんなものは裁判所はとりつこないのです。わかっておる段階で、あなたがそんなことをおっしゃっておるのは、まあ何と申しますか、ちょっと場所柄をわきまえぬものです。もっと上の人に聞いてくれとか、そういうことならわかる。そういう一体この段階で、今までのような方針を続けていいかどうか、それをあなたに聞きます。ちょっとわからぬというならわからぬ、それでいいのです。具体的に聞いておるのです。何度も請求したのがけられて、その段階においてどう対処をすべきか、どうですか。
  138. 川井英良

    説明員(川井英良君) この事件の捜査がかような段階に到達いたしまして、今後、検察方針といたしまして、いかなる方針をとって進んでいくか、言いかえて言うならば、捜査の方針を変えるかどうかという根本的な御質問でありますならば、私よりももっと適当な者がおるだろうと思いますので、さように御承知おきを願いたいと思います。私、本日、御了解を得まして出て参ったわけでございますので、ただいまの御質問につきまして私の考えているところをお答えいたしたいと思います。これもまた私法律に定めておりまするところの、当りまえの手続を述べるわけでございますけれども、検事は、勾留の請求必要ありと信じて勾留の請求をいたしまして、裁判官が罪証隠滅のおそれなしと、かようにいたしまして請求を却下したということでございます。ちょっとつけ加えてよけいなことでございますが、先ほど委員長の御質問の中に、七十九条違反については裁判所の決定は言及していないのかというような趣旨の御質問があったわけでございます。これは全然言及していないわけではなくて、先ほど警備局長が要旨を読まれたその前提といたしまして、検察官が出しました本件資料によりまして、昭和三十三年三月二十日午前二時三十分ごろから同日午前九時ごろまで、東京中央郵便局員多数が職場を離脱して、ことさらに郵便の取扱いをしなかったのは、被疑者等の懲悪によるものであり、右は被疑者と他の者との共謀によるものと推認ざれた。しかし、勾留をして取調べをする必要がないものと認める。こういうようなことになっておるわけでございます。従いまして、七十九条違反など全然問題にはならないのだと、こういうわけではなくて、罪証隠滅のおそれがあるかどうかということが、検察官の考え方と、当該この決定をいたしました裁判官との間の意見の食い違いというふうに私ども考えておるわけでございます。従いまして、私ども検察官、犯罪捜査の責務を負わされている者といたしましては、これが犯罪を成立し、しかもこの犯罪を捜査することが自分に課せられた任務であるといたしますならば、法律にきめられた手続に応じまして、でき得る限りその目的を達するために、忠実にその手続を踏んでいくということもまた私どもの立場としては、まことにやむを得ざる立場だと、かように考えるわけでありまして、おっしゃること、そのお気持は私にももちろんよくわかるのでございますけれども、私どもの方の側におきましては、また、私どもの側の方の理由があるわけでございまして、その辺御了察をたまわりたいと思います。
  139. 一松定吉

    理事(一松定吉君) 課長亀田君の尋ねるのはそういうことじゃない、こういうような世論がやかましい、疑いのある問題であるから、この程度おいて捜査を打ち切ってはどうか、それができるかできぬか、こういう質問なんだから、それは私にはわからぬということでいい、それだけ答えればいい。
  140. 川井英良

    説明員(川井英良君) それは私にはちょっとわかりません。
  141. 一松定吉

    理事(一松定吉君) それだけでいい。
  142. 永岡光治

    永岡光治君 先ほどの答弁の中では、任意出頭に応じなければ逮捕する、こういうことに受け取れたのですが、それはどうもおかしいと思うのですよ。事実来てくれと言うので行っておりながら、事実向うへ行くと直ちに逮捕状を示して手錠をはめてしまう、それは私答弁とは食い違いがある。第一、裁判所の判事の方で勾留申請を却下したというのは私は当然であろうと思うのでありますが、しばしば申し上げておりますような、少くとも組合幹部の段階についてずっとやっているようでありますが、御承知のように、組合の幹部というものは、組合の成規の大会によって、決議され、その決定によって役員を任命された者であります。逃げも隠れもいたしません。しかも自分としては七十九条違反にはならないという確信をもっているわけでありますから、どういう所でも堂々と述べる気持があるわけでありますから、逃げも隠れもしないのは当然だと思う。しかもそれは住所地不定かというと、これもそうではない、身分は公務員ですから、どう考えてみても、これは逃亡のおそれのありようはずはない、それならば証拠隠滅のおそれありやということになりますと、事件はあなたのお話にありましたように、三月の二十日、今月は六月に入っている、ほんとうに証拠隠滅のおそれがあるならば、もうすでになくなっているのであります。これははっきりすると思う。そうしてまた、組合の幹部ですから、一人や二人強制勾留してみたところで、あと役員はたくさんいるのですから、組合運動というのは組織で運営されているのですから、そういった組合運動というものを絶えず頭において、あなた方があらゆる問題を判断しないところに、今日のような非常に大きな問題が起きていると判断しているのです。ですから逃げも隠れもしないのですから、当然逮捕状を出して、そうして堂々と、必要があれば任意出頭を求めてやるべきだと思う。この意味では、もうすでに何回も判事の方から却下されているのです。実例が示しておりますように必要がないと思う。ですから、どうですか、この辺で強制逮捕をしないということができるのかできないのか、当然私はそういう方法でなしに、もう必要がありとするならば、任意出頭でけっこうだと思うのですが、この点についてはっきりしたお答えが出ていないのです。
  143. 一松定吉

    理事(一松定吉君) 永岡委員に申し上げますが、今刑事局公安課長の答弁では、今亀田委員の御質問で、私は課長という立場で、それに対して捜査を打ち切る、打ち切らぬというような意見を発表することはできないからという答弁ですから、とれ以上の答弁は、当該責任者を呼んで質問するようにしては……もっと上の方の。そうしたうよかろうと思う。今永岡君の公安課長に対する質問も、その程度にとどめておいて、さらに責任者を呼んで質問することにして、本件については本日の御質問は……。
  144. 横川正市

    横川正市君 私は二、三点お聞きしたいと思うのですが、一点は……。
  145. 一松定吉

    理事(一松定吉君) 横川君に申しますが、答弁ができないようなことではいかぬから、責任者を呼んで聞くということの程度おいて……。
  146. 横川正市

    横川正市君 家宅捜索を五月の十日に行なっておるわけなんですが、その家宅捜索を行う場合、これは今度の場合もそうですが、ほかの関係もあろうと思うのでありますけれども、たとえばアパートなんかに居住しておる者が全然不在の場合、あなたの方では、どういうふうな手続をとってその家宅捜索を行なっておるのか、この点をお聞きを申し上げたい。  それからもう一点は、これは私は、今度の場合はあなたの方で、事案について相当捜査をされておる結果でありますから、その捜査の内容については明らかだと思うのでありますけれども、その中で、事件というものを起させるような要因を管理者側が持っておった場合に、あなたの方では、これに対してどのような取調べを行うかという問題なんです。たとえば、昨年のたしか三月の二十三日ですか、国鉄の手当不払いから起った全国的な職場大会によって相当程度当時の交通状態が麻痺をしたという事件があります。このときのあなたたちの見解というのは、そういうような事件が誘発する原因というのは、これは当局側にあるのだから、事実上機関車がとまり、それから環状線がとまるという事実はあったけれども、これに対しては、捜査をあるいは事件として取り扱うことはしなかった、こういう事例があったわけでありますが、今度の場合は、あなたの方でも御案内のように、調査の段階で明確に出ておると思うのでありますが、あのような指令を出さなければならなかったこの原因というのは、管理者側の当時の取扱いに相当大きな原因があった、こういうふうに私どもは事件の内容というものを知っておるわけなんですが、そういう原因を与えた側について、あなたたちは、どういうふうな見解をとっておられるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  147. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 第一点につきましては、刑事訴訟法百十四条の規律に基きまして、ほかに立会人を求めてやる場合がございます。ただし、かぎがかかって部屋があかない場合は、すた出直すよりしようがないと思いますが、そうでない場合は、刑事訴訟法の規定に基きまして、隣の人とか、あるいは公務所の人とかの立ち会いを求めて家宅捜索はできるような規定がございます。それによる場合もございます。  それから第二の点につきましては、これは犯罪に伴ういわゆる情状の問題であろうかと思いますが、昨年の国鉄の場合におきましては、今おっしゃいましたような理由によりまして、事件として立件しなかったというわけのものではないのでございます。その点は御了承願います。
  148. 横川正市

    横川正市君 今度の場合はどうです。
  149. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 今度の場につきましては、別に特にそういう事情を考慮しなければならないものがあるというようにも考えておりません。私の申し上げましたのは、昨年の国鉄の問題につきましては、何か給料不払いという事案が突発的に起ったためにああいう事案になったので、それで事件として捜査、立件をしなかったというのではございませんということを申し上げたのでございます。
  150. 横川正市

    横川正市君 昨年の事件は明らかにそういうふうに新聞でも報道されておったし、あれだけの事件が起ったにもかかわらず、処分者が一名も出なかった、こういう結果からいって、私はあなたの今言っている見解というものは、きわめてこれは不適当だと思う。それから今度の場合は何か知らなかったというふうに言われておりますが、これは私は、相当事件の当事者を調べておりますあなたの方の考え方としては、あるいは調べた結果としては非常に手落ちがあった、こういうふうに思うのです。ですからこの点は、またさらに別途私の方でいろいろ問題を提示して次回に譲りたいと思います。それから前段の問題ですが、私はこの捜索に当る場合、あなたが前段に言ったように不在の場合で適当な代理人がおらなかった場合には、他日にこれを譲って捜索をするというのが建前だと私は思うのでありますけれども、今度の場合、アパートで全然不在になっておるところです。このアパートの立会人してはまことに不適格な人を選んだどうかわかりませんが、私は非常に適格な人を選んで、そうして家宅捜索を行なったという事実があるようでありますから、今度の家宅捜索を行った事実について、次回までに、どういうふうにやったかを明確に一つ当員会に報告ができるようにしていたきたい、この二点だけ注文を出しておきます。
  151. 一松定吉

    理事(一松定吉君) それでは、本日この程度おいて審議をやめまして、次回においては、本日の保留になりました亀田君並びに永岡君の質問に対する責任ある答弁をするように関係だ出頭を求めることにいたします。   ―――――――――――――
  152. 一松定吉

    理事(一松定吉君) 次に、報告書についてお諮りいたします。検察及び裁判の運営等に関する調査、閉会中継続事件につきまして、調査未了の旨の報告書を提出することにいたしたいと思いますが、さよう決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 一松定吉

    理事(一松定吉君) さように決定いしました。  それでは、報告書内容につきましては、委員長に御一任を願います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 一松定吉

    理事(一松定吉君) 本日は、これにて散会いたします。    午後一時四十七分散会