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1958-04-22 第28回国会 参議院 農林水産委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月二十二日(火曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————   委員の異動 四月十九日委員田中茂穂辞任につ き、その補欠として最上英子君を議長 において指名した。 四月二十一日委員柴田栄君及び植竹春 彦君辞任につき、その補欠として近藤 鶴代君及び西岡ハル君を議長において 指名した。 本日委員近藤鶴代君及び最上英子君辞 任につき、その補欠として柴田栄君及 び田中茂穂君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重政 庸徳君    理事            柴田  栄君            藤野 繁雄君            東   隆君            北村  暢君            上林 忠次君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            関根 久藏君            田中 啓一君            田中 茂穂君            仲原 善一君            堀  末治君            堀本 宜実君            安部キミ子君            大河原一次君            河合 義一君            戸叶  武君            梶原 茂嘉君            千田  正君            北條 雋八君   委員外議員            小山邦太郎君   政府委員    農林政務次官  瀬戸山三男君    農林大臣官房長 齋藤  誠君    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君    農林省畜産局長 谷垣 專一君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選臨時肥料需給安定法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○養鶏振興法案小山邦太郎君外三十  五名発議)   —————————————
  2. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初に、委員の変更について御報告いたします。  四月十九日、田中茂穂君が辞任され、最上英子君が選任され、昨日、柴田栄君及び植竹春彦君が辞任され、近藤鶴代君及び西岡バル君が選任。本日、近藤鶴代君及び最上英子君が辞任され、柴田栄君及び田中茂穂君が選任されました。
  3. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 次に、柴田栄君の委員辞任に伴い、理事が一名欠員になっておりますので、その補欠互選を行います。互選方法は、成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  それでは私より柴田栄君を理事に指名いたします。   —————————————
  5. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 臨時肥料需給安定法の一部を改正する法律案を議題にし、質疑を続けます。御質疑の向きは御質疑を願います。
  6. 北村暢

    北村暢君 まずお伺いしたいのは、肥料二法のうちの硫安工業合理化、並びに硫安輸出調整臨時措置法、これも時限立法でございますが、この法案の施行によって、前の質疑の中でも出ておりますが、まだ相当バルクライン以下の工場がある、こういうふうに言われておるのですが、来年の七月三十一日までということでございますから、この法律の効果によって、どの程度合理化が促進されたのか、これはまあ農林省所管事項ではないわけなんですが、状況をお知らせ願いたいと思います。
  7. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) まずその点につきましては、二つの面から御理解を願いたいと思いますが、一点は、この表にありますように、昭和二十八年から三十二年までの生産伸びが、昭和二十八肥料年度では二百三十七万トンであったものが、昭和三十二年度では三百七十六万というふうに、アンモニア系肥料生産伸びてきました。で、これをわれわれは量産による合理化と言っております。もう一点は、この質的な合理化と、こういう点でありますが、これは一点から言えばコストがどれだけ低下されたか、こういう点であります。これは昭和二十八会計年度生産費は二万三千四百円なのであります。それか三十二肥料年度では、先般申し上げましたように、二万五百円ということになっております。その差額約三千九百円の合理化であります。しかし、これは実質的にはその間におきまして電力費高騰であるとかあるいは石炭費高騰であるとかあるいは労賃高騰であるとか、そういうものが相当この物価指数で御承知のように、激しいのであります。それを換算いたしますれば、さらにより以上のコストにおける合理化かできておるのであります。しかし、そういった値上りのファクターを、ただ単純に算術的に二十八年当時の物価指数を一〇〇にして三十二年を幾らと、原材料、労賃等を換算することも一つ試算としては勘定できますけれども、それだけの算術的な試算では工合が悪い、全体の経済が動いておるのですから、換算しておりませんが、なまの数字で申し上げましても、ただいま申し上げますように三千円がらみの合理化ができておる。一つは量的に合理化する、一つは質的に合理化する、それはコストの低下という結果が出ております。
  8. 北村暢

    北村暢君 ただいまの説明平均だと思うのですが、この平均の二万五百円に達しないところがあるわけですね。それがあと一年ぐらいの期間の間に、この平均に達しないところの生産者の整理というようなことについては、どのように考えておるのですか。
  9. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは、何といいますか、価格は一本でありまするから、どうしても各企業主の努力によってその一本の価格で引き合うように努力するか、脱落して工場を閉鎖するか、この二つ方法があるわけです。その際、政府がどういう指導をし、どういう援助を与えるか、こういう問題が残ってくるわけです。これは、政府が指導いたしましても業界の方でその気になってくれなければ困る、それから援助をしようと思っても、これは財政上の問題がありまして、限度があるというのでありますから、やはり業界でお互いに業界全体の向上をはかるためには、優良な会社が優良でない工場を吸収するなり、あるいはこれを廃止するなら、その廃止の補償を、優良なる会社がある程度見てやる、こういうことが必要になってくるのであります。これは数年前に石炭企業整備が行われたときに、そういう仕組みで不良炭鉱を整理しておりまするが、これなんか一つの例として、私どもでは少くとも来年度の予算編成期までにはちゃんとした案を作らねばならないということで、これは主管は通産省でありますけれども、今私どもの方でもこうやったらいい、ああやったらいいということで、いろいろ議論を戦わしておるのであります。
  10. 北村暢

    北村暢君 もう一つお伺いしたいのは、生産コストにいたしましても、最低と最高の生産費といいますか、価格にしても、この前の説明によりまして、も、非常に差がある。まあ九千円から一方円ぐらいまであるわけですね。こういうような状態の中で、政府価格決定というものか二万五百円、こういうことになれば、合理化をしたところの企業家に対しては、非常に膨大な利潤を与える。この政府価格決定そのものが非常に膨大な利潤を与える結果になる。従って、私どもは一部企業合理化の進まないところがあるために、もし政府がそれを考慮に入れてこの価格決定をしたということになると、そのために一方の企業者に対しては莫大な利潤を与えるし、また、農民にとってはまだまだ安い肥料が買えるにかかわらず、政府価格決意化がこういうふうなことになることによって、高い肥料を買わなければならない、こういうような結果になっておるのじゃないかというふうに思うのです。従って、今の局長説明にもありますように、来年度の予算編成期までに根本的なことを考えよう、こういうふうにおっしゃられておるのだけれども、今申した価格の点について、一体その根本的な考え方をきめる上に、どういうふうに反映していこうとするのか、ここのところは非常に重要だと思うのです。今後の肥料価格決定ということについて、ほんとう農民の立場に立って肥料行政を行わんとすれば、また変った形のものが出てくるのじゃないか。これと関連して、国内価格輸出価格の差というものについて、これは輸出価格国内価格より低いものについては、それだけ利潤が低下するのだ、あるいは出血輸出ということもあり得るのだ、こういうふなこととを言っておられて、これは決して農民の犠牲ではないと、こういうふうに言われるのですけれども、どうもそこのところか納得いかないのは、やはり国内価格というものか、政府価格決定に当って、すでにそういうことが考慮に入れられて高い価格決定されておるということになれば、やはり出血輸出をしたものが、国内価格でカバーされておるのじゃないか。これはだれしも抱く疑問だと思うのです。そういうような点とも関連をして、これは輸出の量からいっても、今後の肥料輸出伸びからいきまして、非常に有望な産業でもありますし、そういうふうな点からいって、この出血輸出国内農民の負担になるというような形になっておる点については、どうしても納得いかないので、来年度の基本的な肥料行政を考える上において、こういうふうな点についてどういうふうに処置されようと考えておられるのか。まだ決定の案というものはないかもしれませんけれども、およその方向でも、一つ説明できたらしていただきたい。こう思うのです。
  11. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 価格決定について、農家にはもっと安く売れる工場があるのに、それを一定平均価格できめておるから、価格決定の仕方がよくない、こういうふうな一点の御質問ですが、これは現在の決定の仕方は、バルクラインの中の工場別生産費加重平均で出ているわけでありますから、農家側から見れば、この価格決定はこれが一番いい、こういうふうに考えます。なぜならば、なるほど安い工場はあります。しかし、その安い工場の量は一定量でありますから、その安い工場コスト一定利潤を加算しただけで、そのままで出せば、ある百姓はその値段で安く買えますけれども、逆に今度は、バルクラインの中でも一番下の、平均より高いコストの晶を買う人は、高い価格で買わなければいかぬことになりますから、これはどうしてもどこかで平均いたしまして、全国農家が一本の値段で仕入れることができるようにした方がいいと思います。そうすると、それをどこで平均するかという問題であります。これは戦時中統制会社のときには、各社生産費を個別に計算いたしまして、いわゆる個別価格で買い入れまして、統制会社平均して、全国一本値段で流しておりました。  それが今、統制会社がありませんから、平均値格生産者売り渡し価格を公定しておる、こういうのであります。消費者側から見れば問題は同じであります。  そうすると、この第一点の問題でありまして、それではコストの低い会社が莫大な利益を得て、それだけが得しているではないか、それを、その会社利益をもたらさすことはおかしいではないか、こういう考え方であります。これは純粋に資本主義的な社会からいえば、それが当りまえであり、そこに資本が集中して、より合理化ができる、こういう見方ができてきます。しかしこれは、ほんとうの純粋の資本主義で、今硫安工業が当面している事態でば、企業合理化というものが過大になって、さらにより合理化して、国内需要を満たして、できるだけ輸出したい、こういう事態でありますから、これは純粋な資本主義というわけにはいかないのでありますから、先ほど申し上げましたように、莫大な利益を得ておる会社コストの高い会社合理化に助力すべき責任かある、こういう考え方政府業界を指導しようとしておるのであります。しかし、これもなかなかむずかしい問題でありまして、資本は高利潤を追求するのでありますから、会社は株式会社でありますから、株主をそういうふうに説得する必要があるわけであります。ですから、政府が号令かけたらすぐ片づくというわけにもいきません。しからば、それではどういう手があるか、国内需要が満てないときには、これは政府相当助成金を出して、国内需要を満たすまでの国出家助成を行うことも、これは認められて参りますけれども、今ば国内需要は満てまして、そうして外国に出すような事態でありますから、これを、国家の助成を要求しても、これは非常にむずかしい問題です。そんなところへ助成するなら、もっとほかに助成するところがあるじゃないかという問題になりますから、どうしても業界の中で、今の利潤の多い会社利潤の少い、あるいは公定価格以下の会社援助する。それは、一つ方法としては、吸収なら吸収いたしまして、いわゆる系列化をはかる、あるいはそうでなければ、一定積立金を作って、事業団を作って、そこで弱小会社合理化していく、こういうことか必要になってくるのじゃないか。そういう点で、今議論をしておるのであります。  さらに第三点の、国内価格国際価格の相違でありますが、これは、国内市場国際市場とは、全然性質を異にしまして、国内的な問題は、公定価格できめればきまりますけれども国際市場はそういうわけにいきません。しかも、これはやはり国際的な資本競争は非常に激しいのでありますから、いわゆるダンピングの問題が出てきます。まさに去年の西独、アメリカ等朝鮮輸出価格ダンピング価格でありました。それはことしの肥料年度、去年の秋初めに朝鮮のやつ、四十七ドル五十セントできまった。その後、この春になってから、エジプトその他に日本から輸出したのは、五十六ドル、七ドルの価格で、日本からわざわざエジプトに持って行った。それは、ヨーロッパ硫安が、ダンピングで全部底をついて、もうなくなったから、今度は日本に余っておるものを要求してくる、こういうことになってくるわけです。ですから、この関係は、国際資本競争でありますから、これは非常にむずかしい問題が出てきます。おそらく中共農業五ヵ年計画が進んでいきますと、私どもは、本肥料年度のような国際市場というものはない、中共需要量がふえても、減るということはない。そうすれば、ヨーロッパ側も昨年のようなダンピングをすることはない。そうすれば、国際価格も正常なところへ戻る、こういうことを期待しておりますか、しかし、これはとういう戦術を外国資本が使うかということは、予測することできません。従いまして、来年、再来年もやはり国内価格よりも安い価格輸出しなければならぬというような事態が出るかもしれません。その際の処置は、この硫安合理化及び硫安会社法硫安輸出会社にこれをかかえさせまして、そうして国内公定価格硫安会社にメーカーは売る。それを今度は輸出価格に応じて売る。そうすると過不足でマイナスが出る。マイナスか出てきますれば、硫安会社赤字になります。その赤字は、長年かかって、値上り利益が出れば償却する。値上らなければ最後は、売った会社が組織しておるわけですから、そこの欠損になる、こういうことになると思います。すぐの問題といたしましては、来年度あるいは今年度、この赤字国内価格に転嫁するかしないか、こういう問題でありますが、これは硫安輸出会社赤字が出るということは、そこへ売った硫安生産会社未収金が立つわけであります。そうしますと、その未収金相当する部分は、硫安生産会社資金操りが悪くなりますから、借金の増になるわけであります。借入金に対しては利子がつくわけでありますから、この利子コストの中に計算され見ますと、これは、硫安輸出の損を国内価格に転嫁するということになります。しかし、それは硫安輸出会社に対する未収金相当する値入金利子分は、コストの計算に織り込まないことにいたしまして、そういうことによって輸出価格の損を国内価格に転嫁しないということを方針としております。しがし、この一番最悪の場合を考えますと、三年たち五年たっても硫安輸出会社の損が償却できないという場合がある。そうしますと、最後にはこれは硫安輸出会社に対する取り立て不能の金額が出てきますから、それが各社の損ということになり、それをそのときにコストに織り込めば、転嫁したことになりますが、それはそのときにはコストに織り込まないということにして、公定価格をきめれば、転嫁されないということになる。さらにもっといって、そういうことにして償却を各社ができても、その償却することをしなければ、それだけ国内価格を安くすることができるのではないかという議論が出てくるわけです。そうしますと、結局、輸出して工場減産態勢に置かないことが、総コストが安くなるのか、この程度数量でこの程度価格ならば国内価格に比べて輸出価格は安くても、これだけの量産をした方がトータルとして安くなるのか、こういうにらみ合せの問題になると思います。現在のところでは、もしかりに中共、韓国、台湾に対する輸出量、これを合せますと七、八十万トンになると思いますが、それを減産いたしますれば、生産制限すれば、コストはうんと高くなりますから、それによってコスト計算すれば、国内公定価格ももっと高くきめなければならないという勘定になると思います。そのかね合せ考慮いたしまして、国内価格よりも十ドル、十五ドルも安くするということになると、みすみす国の財産を捨てるということになりますから、これは許せない。今程度の値開きであれば、一年、二年の間はやむを得ないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  12. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、今の説明によりますと、日本硫安輸出会社が当面の赤字そのものについては未収金借入金等でやっておって、国内価格に直接今のところは影響しておらぬのだ、こういう説明のようでございますが、ところが、この法律は来年までですよ。そうしますと、この硫安輸出会社借入金なり未収金なりの処理が、簡単に一年でできるとは考えられませんから、何年かかかる。こういうことになって参りますと、この処理のための法案の形はどういうふうになるかわかりませんけれども、とにかく延ばさなければ目的を達することができないのじゃないか、こういうふうに想像されますし、それについては、どういうふうな考え方を持っておられるのか。それから、それにいたしましても、輸出の面における価格というものに対してのいわばこの調整橋間としての特殊会社、国策的な会社でもって価格政策に対しての政策的な処置がなされると、ところが今度の改正案によりまして、調整保管というものを事実上打ち切る形で来年までの時限立法において今度の改正をして、実際に出ていた七、八千万か九千万の補助金調整保管による損失補てんというようなことをやらないということの目算に立って今の改正がなされている。わずか来年一年で終ろうとしておるこの時限立法に対して今度の改正を出そうと、こういうことなんですが、実際調整保管による事態は、確かに肥料事情そのものからいえば、需給の面からいえば、局長のおっしゃるように、そういう調整保管の必要がない状態になっておるということもわからないわけではないのですが、今の輸出会社との関係からいって、国内向けのこのものに対しての今までのとってきた助成策というものが、案質的に打ち切られようとしている、こういうような点からして、輸出面における保護的な政策、それから内需面における保護の打ち切りといったような感じか濃厚にあるのですが、しかも、説明によると、需給関係が、調整保管の必要のないような状態になったとはいいますけれども肥料そのもの春肥なり秋肥という肥料の要るときは、言うまでもなく非常に殺到するわけです、需要期というものは。それで、どうしても短期間ではありますが、保管ということが必要である。これに対しては、局長説明では、企業家が各地方ごと保管をして置くのだと、企業の力でやるのだと、こういうことの説明のようであったのですが、それにしても、企業家自身責任でやるということではありますけれども、それがはね返って、やはり農民消費者価格というものに、やはり影響してくるんじゃないか。従来の調整保管をやっていたときと、それをやらなくなって補助を打ち切った場合の消費者価格というものは、やはりこれに影響してくるんじゃないか。こういうふうに考えるのですが……。それからまた、農民側の切実な要求では、需給調整はできているというふうに言うけれども肥料はやはり災害その他によってごく少量ではありますけれども、やはり調整保管をしておく必要があるのだと、こういう要望すらあるわけです。そういうような点からして、この調整保管そのものを全部打ち切ってしまうということについては、私はやはり若干疑問が残るんじゃないか、こういうふうに思うのですが、そういうような点からして、今申しました二、三点について、私の疑問として持っておりますので、一つその点について説明を願いたいと思います。
  13. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 第一点の、硫安輸出会社赤字が、もしこの法律通り来年の七月三十一日で輸出会社法律が廃止された場合にはどう処理されるか、それに関連して、この輸出会社法はこの時限のままでほうっておくのか、改正するのか、こういうお話であります。私どもの方では、こういう制度は、ある程度法規化する必要があると、こういうふうに思っております。しかし、これはわれわれが案を作って、また国会の御審議を願うわけでありまして、その後でなければ結論が出ませんが、もしかりに硫安輸出会社が来年の七月三十一日で切れましても、その赤字清算法人として処理されることになりますから、現在の赤字を将来何年において清算するかということで、それを清算法人に引き継ぐことによって処理はできますから、その点は心配ないと思います。しかし、われわれの方では、何と言いましても硫安あるいはアンモニア系工業は、一つの大きい輸出産業として育成していかなければらなぬ。そうかといって、国内需要国内農業を最優先に扱わなければならない。こういうことは、いつまでたっても変えることはできないと思います。そうしますと、やはりこの輸出許可制度輸出岸統制という制度は、将来にわたって残さなければならないと思います。そこで、この調整保管との関係になってきますが、現在は、国内需要量プラス一割の調整保留をもって需給計画を立てております。昨年の実績表でごらん願えますように、当初の繰り越し予定よりも約十万トン近くの繰り越し数量が出ておるのであります、一割の調整保留をもって。ということは、肥料需要量が、非常に戦後の肥料供給か不足のときの伸び方と、今はもう供給について心配ないのでありますから、しかも相当消費量になっておるのでありますから、伸び方はそう大きい伸び方はないと思います。そうしますれば、供給量について心配ない。そうかといって、この輸出を自由にしておきますれば、われわれが輸出産業としても育成せにゃいかぬと同時に、中共その他の需要量は、中共の水田は日本の十一倍でありますから、これがちょっと肥料を使い出すということになれば、莫大な量が出てきます。中共硫安生産もすでに六十万トンをこえているということを伝えられておりますが、しかし、これが十倍になるということは、日本アンモニア系肥料消費量が二百五十万トン、十倍とすれば二千五百万トン要るということになりますから、そう簡単に生産伸びないと思う。そうすると、やはり相当将来長期にわたって中共硫安需要量というものが出てきます。そういう際に、やはり単に商売で国内需要を無視して積み出されたのでは、国内農業が成り立ちませんから、やはり輸出許可制度というものは厳重にしていかなければなりません。そうすることによって、国内需要輸出との調整が、許可制度によってできます。これを輸出許可制をちょっときつくいたしますと、国内在庫がふえるわけであります。これは非常に需要の弾力性が少いものでありますから、ちょっと供給が余りますれば、値段ががた落ちになるわけであります。ちょっと不足になれば値段が上ります。従って、そこのところの毎月の許可数量をどうきめるかによって、国内価格の安定というものは期することかできるのでありまして、われわれのところでは、今、月未在庫がその月の生産量の半分以下になるという場合には、輸出の許可をいたしません。しかし実際には、先般お配りいたしました表でごらんのように、一ヵ月以上の月末在庫、減っても半月以上の在庫のあるのが今までの実績でございます。それはなぜかというと、やはり配船の手配でありますとか、向うからの送金、どこの国も簡単に輸出為替の許可か出る所は、中共にしても台湾にしても東南アジア諸国にしても、ありませんから、おくれてくるわけであります。そこで、私の方で故意に輸出許可を押えなくても、国内在庫が多い。従って、国内価格は弱含みでありますから、そういう際に、保管を強制的に国の経費をもってやらなくても、いや応なしに保管をせざるを得ぬ。保管せざるを得ぬということになりますと、その資金が出るわけでありますから、資金が出るということになれば、資金の一番潤沢なのは農業団体でありますから、農業団体にそれを渡して資金の融通を受けてもらって、しかし、農業団体は実需期まで農家に渡す必要はないわけでありますから、それまでの金利、倉敷をメーカーから取ることはもう非常に容易でありまして、むしろメーカーの方は資金を融通してもらうために、そういうことの話に先に乗ってくる。こういうことであります。現在のところ、調整保管という制度を強制的にやる必要はない。こういうのであります。しかし、これも先ほど来申し上げますように、隣国の経済興隆のために協力するのに、もっと国内の月末在庫を減らしても、出したがいいじゃないかというような場合が出るかもしれません。そういう場合には、何といいますか、大局的見地に立って、両国の経済をともに興隆させるという場合には、やはり調整保管を義務的に持たす必要があるということも予想されますので、この制度を全然廃止するというわけにはいかぬと思います。そういう考え方でございます。
  14. 北村暢

    北村暢君 最後にお伺いしたいのは、今も説明がありましたように、輸出許可制度との関連で、非常にまあ価格の変動の激しい品物である、肥料はですね。そういう点から言って、調整保管というものは、全然必要ないということはないんだ。そういうような点から、今後の、来年以降のこの肥料需給についての考え方というものは、ある程度わかったのでありますが、ここでお伺いしておきたいのは、私は来年まででこの硫定工業の合理化が促進せられて、とにかく現在相当生産費における差のあるものか整理される。こういうことのようですから、そうしますというと、そこで私はどうしてもやはりメーカーが独占価格を形成する可能性というものが非常に強く出てくるんじゃないか。そういう場合における農民のこの独占価格に対する対抗手段というものは、非常に弱いわけですね。先ほども説明のあるように、ちょっと気を許すというと、輸出許可制度なり何なりというものを、一歩誤まれば大へんなことになる。そういう品物であるという点からして、私は、やはり相当需給安定という点、特に価格の問題から見て、簡単に肥料というものについて自由放任的な方向にはいき得ない性格を持ったものじゃないか。こういうふうに私は感じておる。従って、今後の時限立法として、来年の七月までの時限立法なんですから、先ほども言われておりますように、来年の予算編成期までに、この肥料に対する根本的な考え方というものについて、どうするかということの意思決定がなされるようでございますが、その際には、どうしてもやはり私は農民保護の立場からいって、独占価格に対抗し得る態勢というものを当然農林省としては考えなければならない。これはまあ通産省にそういうことを言うのは無理だろうと思う。少くとも農林省農民のための行政をやっているのですから、肥料企業化に対する、独占態勢に対するやはり対抗手段というものを、相当やはり真剣に考えておく必要があるのじゃないかというふうに思いまするので、この点は、私の意見として申し述べておきますので、別段回答は要らないと思うのですけれども、とにかくそういう点からして、今後の肥料行政決定するに当って、一つ考慮をしておいていただきたいという要望を申し上げて、私の質問を終りたいと思います。
  15. 東隆

    ○東隆君 私は、この肥料輸出関係の問題ですが、これはちょうだいをいたしました資料のうちで、昭和三十一、三十二肥料年度硫安需給表という一枚刷りのものかあるのですが、この中で、硫安の方の輸出の量が、三十二年度ですか、これは八月から十二月までのトータルが二十二万八千トンですね。二十二万八千トン輸出をしておる。それから一月から三月までの間にこれは三十五万トンくらい出しておるのじゃないですか。そういう数字になりますね。それで、八月から十二月までの五ヵ月問は、二十二万八千トン、一月から三月までの問に三十五万トンかりに出る、こういうことになりますと、これは国内における肥料需給関係からいって、使用時期に非常にたくさん出ていくことになる。(「東さん、もう少し大きな声でやって下さい、聞こえないから」と呼ぶ者あり)肥料の使用を非常に要求しておるときにですね、需要が大きくなっておるときに輸出をしておる、こういう数字が出てくるわけです、この表だけを見ますと。そこで、それは在庫あるいは生産量、そういうものとのあんばいにおいて、心配はないというお答えができると思いますけれども、私は、先ほど北村君が言ったように、肥料はこれはおそらく上の方から、六つくらいの会社相当な部分を生産をしておると思う。そうしてその六つくらいの会社でもって、ほとんど独占的な価格を形成するおそれがあるものであると、こういうふうに見ております。そこで、輸出の面においてどちらの方が主になって出すかと、こう申しますと、やはり安い価格でもって生産をする、コストの低い方面がたくさん輸出をする、こういうことになろうと、こう考えるわけです。そんなようなことを考えて参りますと、ここに表われておるところの数字だけつかまえてみますと、農家が必要としておるときに、非常にたくさん輸出をする。しかも、総生産額は、前年度は二百三十八万トンでありますから、ざっとその一割五分くらいに相当するようなものが、一月から三月までの間に輸出されていく、こういう数字が出てくるのであります。私は、これは輸出をする会社が非常にたくさん生産をする、独占的な価格を形成するというような大きなメーカーが輸出をしておる、こういうようなことになろうと思う。従って、これは国内における肥料価格をせり上げていくというような、そういうような形にこればなっていくのじゃないか、こういうことをおそれるのでありますが、そういうことは絶対にないと、こういう解明をしていただきたいと思います。
  16. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは需給計画表で、年度末の繰り越しを硫安について言いますと、十万四千トン、大体月の半分ということで三十二年度は見ておるわけであります。これ以上に在庫を減して許可するということは、各月の状況を見ましても、考えておりません。戦争中、戦後、肥料供給が少いときに、工場在庫がほとんど一万トンとか、二万トンとか、その勘定をいたしますと、これは倉庫には一トンもなくて、コンベアーに乗っている量だけが在庫として計上されるくらいまで、在庫をがらがらにしたことがございます。しかし、そういう状態では、厳重な統制、配給割当がない限り、値段が強含みになるのは当然であります。そういう状態を出すことはいけない。しかしそれかといって、一カ月も、一カ月半もの在庫があれば、かえってこれが金利、倉敷の増になって、やはりこの消費者の方にはね返らざるを得ない、こういうことになりますので、やはり適正在庫を持たすことが一番いいのであります。しかし、適正在庫を割るということは絶対にいたしませんから、御指摘のように、この独占価格を形成して市況をつり上げるということは予想しておりません。なおかつ、この法律では、最高価格肥料審議会にかけて、肥料需給安定法できまっておるのでありますから、これは先ほど北村委員の御指摘のように、この法律も来年の七月三十一日に切れますけれども、やはり残した方がいいと思います。それらの点も、この次の国会には、国会の御審議を得なければならない、こういうことになると思うのでありますが、御心配の点は、理論的にはそういうことは予想できるので、その予想される事態を全部封ずるような手が打たれておるのであります。
  17. 千田正

    ○千田正君 従来あった法律によって、調整保管しておったときの費用ですね、そうした費用ば、大体どれくらいであったのか、政府としてそれに対してカバーしてやっておった費用はどのくらいですか。
  18. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは配付資料の一ページ、二ページに出しております。昭和二十九年度に十二万トン、三子年度に五万トン、三十一年度に七万五千トンで、金額は二ページに出ておりますが三十会計年度、つまり二十九肥料年度分で九千百万、三十一会計年度、すなわち三十肥料年度分で四千三百六十七万円、三十一肥料年度分で五千九百五十五万円こういう金を出しております。
  19. 千田正

    ○千田正君 従来はそういう金が出ておったわけですがね。で、今度法律改正して、こういう費用が要らなくなる。でその要らなくなる場合、こういう費用を肥料調整保管じゃなくて、ほかの農業振興等に対してその金を繰り回そうという、何かの政策をあなたの方では考えているのですか、どうですか。
  20. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) それは三十三年度の予算のときに、表面には出ませんけれども、やはりわれわれの方ではこの金がほかに回せるのだと、こういうことで大蔵省の予算の事務的交渉のときには、当然議題になっているわけです。どこにこの金を何ぼつけたという、そういう割り振りはしておりませんけれども、もっと有効に使いたいと、こういう考え方であります。
  21. 千田正

    ○千田正君 私はそういう面よりも、こういう、これほどの金が、三十三年度には、一応強制保管の面にはなるが、そのかわりそれにかわるべき農業関係の振興の重点的な方面にこの金は回って、よりよき効果をあげる方向にそれは使うべき方策を考えなければならぬ、かような点からまあお尋ねしたのですが、それはあなたの方では、これは考えておるというわけですね。
  22. 上林忠次

    ○上林忠次君 まあ今の大問題は、硫安でありますけれども、そのほかカリ、燐酸肥料ですね。両肥料の状況は、最近はまあ供給が需要をオーバーしている状態ですから、特に強制保管の必要はありませんけれども肥料需給安定法の制定されます際には、これらカリ肥料に対しましても備荒貯蓄ができることを論議されたことを思い返しますし、燐酸肥料は原鉱は外地産であるし、特にカリ燐酸は全部外国製でありますから、一たん為替関係に変化があったりしますと、やはり硫安にがわってまた一割の備蓄が必要になるんじゃないか。現在から考えまして、近き将来のことと想像しまして、そういうような事態がくるのじゃないか。
  23. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) この法律では「硫酸アンモニア及び政令で定めるその他の重要肥料」ということで、今の燐酸なり何なり広げることができることになっていますか、現在は、施行令の第一条で、「政令で定めるその他の重要肥料は、尿素、硝酸アンモニア、塩化アンモニア、硫燐酸アンモニア系化成肥料及び燐硝酸アンモニア系化成肥料」、これだけになっているわけです。ですから今の法律の現在の運用では、アンモンニア系肥料に限られておるわけです。しかし、将来の問題としてそういうものが予想されますから、政令を改めることによって広げることができるという態勢ができております。しかし、すぐの問題といたしましては、結局戦争気構えになって外国の物資争奪戦が起りまして、船腹不足状態が起りまして、外貨事情、船腹事情がいけなくならなければ、御指摘のような点は予想できません。現在そういうことがあるかどうかということは、私の方の判定では、むしろ景気が下り坂になっておりますから、原料の売り込み競争の方が、たとえばカリならカリにしましても、ドイツ、フランスが主流になっていたのが東独、スペイン、ことにアメリカ、最近はカナダと、そういう所がらどんどん売り込んできております。燐鉱石についても、山元の方で売り込みにきておりますから。しかも船腹は一時の運賃に比べて半分以下になっておる。ですから、今のところでは、この法律を拡大していくという予想はつけておりません。
  24. 上林忠次

    ○上林忠次君 この需給安定法ができるときに、外へ輸出するために、日本硫安の製造工場の腐朽した設備ですね、それをどんどん復旧して、生産量を多くして輸出するならば、製造数量の多くなった結果として、コストの引き下げということのため、だいぶ農林省の手直しがあったんでありますか、果してあの時期からどういうような硫安工場に対しまして設備の更新ができておるのか、あるいは設備資金として融資が行われたか。それが、結果として生産量も増加するしコストが下っていると、どの程度下っているのか、そういうふうな大ざっはなことでありますけれども、その状況をお話ししてく、れませんか。
  25. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは最初に北村委員から御質問かありまして、御説明申し上げましたが、一面から言うと、昭和二十八肥料年度のアンモニア系窒素肥料生産は、二百三十七万トン、三十二肥料年度は三百七十六万トンで、百四十万トン近くの増産になっておる。一方、このコストの点から申し上げますと、昭和二十八肥料年度生産費が二万三千四百円、それか昭和三十二肥料年度生産費が二万五百円、約二十九百円下っておるわけです。このためにはやはり開発銀行なりそのほかの資金が相当出炭ておりますか、二十八年から三十二年の、見込みを入れまして、財政資金、すなわち開発銀行その他の金が約三十五億出ております。一番余計出たのは三十年度に十一億出まして、三十二年度では約八億余り出す予定になっております。
  26. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  27. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記を始めて下さい。  他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。(「なし」と呼ぶ者あり)  別に御意見もないようですが、討論は、終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  臨時肥料需給安定法の一部を改正する法律案を、原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   [賛成者挙手〕
  30. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 多数でございます。よって本案は、多数をもって原案辿り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  なお、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     柴田  栄  関根 久藏     田中 啓一  雨森 常夫     堀本 宜実  北條 雋八     田中 茂穂  仲原 善一     秋山俊一郎  千田  正     上林 忠次  藤野 繁雄     堀  末治
  32. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) これをもってしばらく休憩いたしまして、午後一時に再開いたします。    午前十一時五十九分休憩    —————・—————    午後一時四十四分開会
  33. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 委員会を再開いたします。  養鶏振興法案小山邦太郎君外三十五名発議、参議院先議)を議題にいたします。  この法律案については、去る四月九日の委員会において提案理由及びその内容について説明を聞いたのでありまして、本日は、この法律案の審査を行います。  ます、質疑に入ります。御質疑の向きは御質疑を願います。
  34. 北村暢

    北村暢君 まず、畜産局長にお伺いしますが、養鶏の関係の国営牧場と地方の牧場との関係について、どの程度の機構をもってこの養鶏振興ということに対して措置を講ぜられておるのか、その状況をちょっと説明をお願いいたします。
  35. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 現在、鶏を中心といたしまして、鶏の専門の種言牧場が全国に国の種畜牧場といたしましては四カ所ございます。それぞれのブロックを分けまして、あるいはそれぞれの品種につきまして、品種致良をやっておるわけでございます。さようにいたしまして、その種畜牧場から出て参りましたところの、改良されました優秀な種鶏は、これを都道府県の種畜場に配付をいたします。さようにいたしまして、都道府県におきまして、さらにこれをふやして、必要な種卵を、秘鶏種卵を民間の種鶏場に回して、そしてその種鶏場からその種卵として孵卵場へ行く、そして孵卵場から孵化されましたひなか農家へ行く、こういう順序に相なっております。
  36. 北村暢

    北村暢君 その機構は、そういうふうになっておるのだろうと思うのですか、青森と大宮ですか、それから岡崎に熊本と、こう四カ所あるわけですね。
  37. 谷垣專一

    ○政委員(谷垣專一君) もう一カ所ございます。兵庫。
  38. 北村暢

    北村暢君 兵庫にありますか。この五カ所の種畜牧場で、今おっしゃられたような系統をたどって品種改良をやっておる。これは理屈的には非常によくわかるのですけれども、従来の五カ所の種畜牧場、それから都道府県の種畜牧場こういうもののつながりで民間までそれか流れていくということになりますと、系統は一応そういうことだろうと思うのでありますが、一体どの程度にその改良か進んでいるのかですね。鶏の数も相当多い。この提案者の資料によりましても、四百万からの農家が養鶏をやっておるということでございますから、そういう広範な養鶏に対して、この国営牧場、県営牧場の品種改良が、どの程度に進捗しておるのか、その程度の問題についてお伺いいたします。
  39. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 御存じのように、わが国の家畜の改良増殖、系統家畜改良増殖の進展の程度から申しますと、これは先輩諸君の努力でありますが、鶏に関しましては、他の家畜に比しまして、一番すぐれた系統的な改良が行われている、こういうことが言えるのであります。お手元に御参考に配付いたしておきましたのですが、この養鶏振興に関しまする資料の中にも出ておりますが、たとえば昭和九年におきまする全国の一羽当り産卵個数は一年間に百二十九個でございましたか、これが現在約三百個近くに上ってきております。これは非常な実は躍進でございまして、この一事を見ていただきましても、鶏に関しましては相当程度の改良増殖か行われておるということが言えるかと、かように存じます。
  40. 北村暢

    北村暢君 改良増殖は確かに進んでいるようですがね、これは、まだまだ部分的にいえば、非常に進んでおるところがあるわけですね、ですから全体の平均では百九十七くらいまでいけば相当改良が進んでおると、こういうふうに見て差しつかえないと思うけれども、私のお伺いしたいのは、この畜産行政の面から見て、今までやって参りました改良というものが、主として民間で自主的にやられてきておる、こういうふうに見て差しつかえないのじゃないかと思う。特段の、この何といいますか、手段によってやっておるのではなくして、民間か自主的にやってきておるのではないか、こういうふうに想像するのです。そうして、今度の養鶏振興法というものが出まして、この意図するところの都道府県知事の、何といいますか、監督下に置いて、改良増殖をやる、孵化場等の届出等もやるというようなことになっておるようでございます。か、そういう積極的な行政手段というものを講ぜずに、これだけ振興してきたというふうに思うのですけれども、この振興の程度が、もっと行政的な積極手段をとると、相当程度の改良ができる、こういうことが、見通しとして可能なのかどうか、こういうことを実はお伺いしたいのですよ。
  41. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 日本の養鶏の改良増殖の過程におきまして、国が果しました役割は、やはり改良増殖の根本をやってきて参っております。家畜の改良増殖の中におきまして、特に鶏に関しましての国の機関が、大量増殖をいたしましたその功績は、私は、非常に大きいものだと考えております。現在民間のみにそれか行われておるというだけではないのでありまして、鶏の改良増刊、系統改良という問題の基本は、国によって行われてきた、かように考えております。今後におきましての鶏の改良の問題でありますが、これは、今やっておりますような国の施策を進めていくというような系統の鶏を全農家に勧めていく、この方策を推進していく必要がある、そういう意味におきましては、この御提案になっておりますような、種鶏の検査あるいは孵化場の登録、あるいはそれによりまするところのいわゆる保証されました手段による孵化というような規制は、これは非常に大きな改良上の効果を上げる、かように考えている次第であります。
  42. 北村暢

    北村暢君 県営の鶏専門の牧場というのは、各県ごとにあるのですか、各県には必ずあるのかどうなのか、ある県とない県とあるのか、その点はどういうふうになっておりますか。
  43. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) これは県によりまして、他の家畜と別個に種鶏場と申しますか、県の種鶏場として鶏専門にやっておって、そのほかの家畜もまた別個の牧場でやっておるというようなものが、各県にございます。今各県で専門にやっているのは約二十くらいあろうかと思います。その他の県におきましても、やはり鶏というものは重要な対象になっておりまして、他の家畜と一緒にしてはおりますけれども、各県それぞれ鶏は自分の種畜場には持っている、こういうことになっております。
  44. 千田正

    ○千田正君 局長に伺いますが、養鶏が日本において奨励された歴史というのは、非常に古い歴史を持っているにもかかわらず、今日まで一つの体系をなした、本日提案されているような法文の内容のような、養鶏を主体とした特殊の機関がなかったのか、あっても相当普及し過ぎて、大してやらなくてもいいという考えで今日まできているのか、この法律が出たために、それによって拘束されるということであっては困るというような考え方も、あるいはないとも限らない、なぜ今まで、ほかの家畜がどんどんいろいろな農林省の指導のもとに育成強化されてきているにもかかわらず、鶏の面だけが今日まで、しかも歴史が古いにもかかわらず、今日このような法案を出さなければならないような状態に放置されたか、これはどういうわけですか。
  45. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 先ほどお話し申し上げましたように、日本の家畜の改良増殖、優良家畜の増殖をしていくという点におきましては、鶏は実は一番首位に属すべきものであろうと思います。過去の国立の種畜牧場、当時は種鶏場と申しておりました。それを中心にいたしましての品種改良の努力は、他の家畜よりも飛び抜けて、隔絶した形において現在までやっております。しかも白色レグホンのごときものも、むしろもう日本特殊鶏といっていいような形になっている、こういうような状況でございまして、従いまして、その優良な家禽が、それぞれの県の種畜場あるいは民間の種鶏場を通しまして各農家にいっております体制は、これは他の家畜よりもむしろ整備されておる、こういうことかと考えております。ただ、他の家畜にありまする家畜改良増殖法のごときものと、鶏のごときものは、若干扱いか異になって参る可能性があるわけであります。今までも実は各県では県条例によりまして、この鶏の検査等をやっておる、中にはもちろん種鶏場の登録あるいは強制的な性格までも持ったようなものもございますが、各県では、それぞれ条例でやってきたわけであります。ただ、そのやり方等が、やはり各県のそれぞれの状況によって異なっておるところかございまして、そのような面についての改善を加える必要がある、こういうことでございます。
  46. 千田正

    ○千田正君 鶏卵の輸入というものは、終戦直前までは今の中共地区から相当多量に低廉な鶏卵が輸入されておったのですが、将来、たとえばただいまの中共地区あたりと貿易が盛んになってくるというと、必然的にこういうものの輸入ということも考えられ、同時にまた、国内においてそれに対処した一つの方針を立てなければならないと思うのです。そういう観点に立っても、何かしら農林省の指導で、品質のいいものであるとか、あるいは鶏卵の価格の、安定というような、こういう問題を相当研究する必要があるのじゃないか、この法案が出て、これによって、そういう面においての十分な対処方針というものができるのですか。
  47. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) ちょっと今聞きとれなかったのですが、価格安定のための対策がこれでやれるかと、こういうお話でございますか。——鶏及び鶏卵の価格安定の問題は、これは事の性格上、非常にむずかしい問題があるかと思います。戦前に比しまして非常に変っておりまするものは、いわゆる加工的なもの、具体的に申しますと、マヨネーズの形が多かろうと思いますが、マヨネーズというような、一種の保管をして加工していくというようなものの生産量、あるいは需要量が非常に急速に伸びております。これはやはり鶏卵といたしまして動いていきまするものに対する一つの安全弁と申しますか、そういうものが非常に強くなっております。これは戦前の状況から比べますと、非常にこの点の違いがある、あとは菓子に使いますとか、いろんなあれはございまするけれども、やはり消費が急速に伸びておる、これはまあ国民の所得の問題もございましょうが、食生活の改善等から見まして、御指摘のように日本の国民の食料としては、前から非常になじみの深いものでありますので、これが非常に躍進をしておるということであろうかと思います。御指摘は、この法案そのもので、価格調整ができるかという問題でございますが、この法案を拝見いたしますと、この中でそういう需給調整、あるいは価格調整が、結果的になると思いますが、そういう問題に対して、何らかの補助助成をしようというような条文があるように見受けます。これは、具体的にどういうふうなやり方をやったらいいかということは、これにはうたってございませんが、何らかの適切な方法が見つけ出されるということを予定してのこの法案であるかと思います。なお、中共からの、戦前におきまする向うからの安い支那たまの輸入がございまして、現在このいわゆる新鮮卵と申しますか、皮つきの卵と申しますか、こういうものは、中共からは輸入の禁止品目になっておりますので、戦前のような形におきまするような中共からの圧迫は、政策的には現在遮断されておるということが言えるかと思います。
  48. 千田正

    ○千田正君 中共からのあれは、しかし、それは将来のことですから、現在はそうであるかもしれないけれども、必ずしもなまでだけ卵は輸入しないので、御承知の通り中共地区、上海、青島、天津地区においての卵の輸出に当っては、なまばかりではなく乾燥して、粉末として輸出しておるわけです。そういう面においても、日本ではある程度戦前は関係があるのですね。今のところは禁止という状態であるからけっこうでしょうが、私は、なぜ価格の問題を言うかといいますと、せっかく農家だとか、私の県のように東北の僻陬の地であると、卵の値段が高くなったから鶏を飼おうと思って飼い出して、ようやく生み出したころ、鶏卵の値段が下ってしまって、結局えさ代にもならなかったというので、途中でやめてしまう、そういうことが多いのですね。ただし、それは五羽とか十羽くらいの程度ですから、比較的そういう損が表立って見えませんけれども、これは数を集計しますと、相当数になるわけですね。だから、せっかくこういう法案が出て振興するためには、一応ある程度の最低価格を堅持するような方策等は、農林省あたりに考えていただかないというといけないんじゃないか、私はそう思うのですが、これは需要と供給関係もありますので、すぐにどうというわけにはいきますまいけれども、せっかくできた以上は、やはり今までは条例でやっていたけれども、今度はある程度法律によって規制されるのではないかというふうに、農民やなんか考えないように、真剣になって、それを爼上に上せて十分に効果あるような方針を立てていただきたいと思いますが、そういう点において、何かあなたの方ではお考えになっておるようなことありますか。
  49. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 今例示的に御指摘になっております卵価の最低価格のようなものの何か指示、あるいは保証というようなことがきないかというお話でございましたが、現在のところ、私たちは実はそこまで考えていないわけでございます。ただ、この法案の前半にうたっておりますように、信用の持てまする種鶏及び信用の持てました検査をされました種鶏から生産された卵を孵化さしていって、そういう登録をされまして、安心をした形でひなか農家の方へいくという形にこれかなるわけでございますので、従来ややもいたしますと、必ずしもそういう点において十分な対策がとられていなかった点、これにつきましては、各農家に一応安心のできる、国の優良であると認めましたその系統が、各農家に入る一種の保証的なものができ上ったということは、確かにこれで言えるかと思うのであります。価格そのものの調整をどうするかという点につきましては、これは非常にむずかしい問題でございます。ただ、これのもう一つの問題といたしましては、こういうような届出制、あるいは登録制というような形になりますというと、年間を通じましてのひなの孵化数というなものか、春秋におきましてかなり的確に全国的につかめる、これが一つのやはり計画的にというと語弊がございますけれども、全体を通じましての一つのそういうような需給調整に必要な資料としては、十分これは役立ち得るものであろうか、そういう点が一つの手がかりになると思います。あとは、農家としては優秀なひなを保証された形において入手することができる、こういう点におきまして、農家としましては安定した形になるものだと、かように考えております。
  50. 東隆

    ○東隆君 先年、養蜂振興法ですか、養蜂——ハチですね。養蜂振興法か出たときに、私は、ハチは家畜にも入りませんし、それから家禽にも入らないし、これは独立したものだし、それから将来非常にこれを振興しなけりゃならぬ、こういうような要請もあったので、従って、養蜂振興法という形でもってこれが出て参りました。私は、今回の場合は、養鶏だけでなくて、やはり家畜全般を含めた法律を出す方が意義があるのではないか。それは、鶏の方は非常に進んでおりますけれども、あとの七面鳥であるとか、あるいはアヒルであるとか、家禽鑑別であるとか、まあいろいろなものがありますか、そういうようなものは、これはやはり相当進めていかんけりゃならぬものだろうと思う。ところが、非常に進んでおるものだけ取り上げて、そうしてそういうものをほったらかしにすると、また別なものをこしらえんけりゃならぬと、こんなような問題が出てくるのじゃないか。こう思うのですが、提案された小山さんの方では、おそらくそういうような点について、いろいろお考えになった節があろうと思いますから、その点、お伺いいたします。  それから局長さんの方からもう一つ農林省の方では、たとえば豚だとかそういうような小家畜を含めて、一応振興法、そういうようなものも考えんけりゃならぬと思うのですが、家禽とあわせてどういうふうにお考えになっておるか、そういう点をお伺いいたします。
  51. 小山邦太郎

    委員外議員小山邦太郎君) ただいまの御質問でございまするか、実は私がこの提案者全体とも御相談をいたしました際には、大かたの方が、ひとり養鶏だけでなしに、小家畜全体を盛ったらどうか。一方、酪農のようなやや大規模なものはこれは別に取り扱っても、中小農家に対する対策としては、ひとり養鶏だけでなしに、いま少しく、資金がたんと要らない、しかも回転率の早い、調整もおのずから道をもってすれば、必ずしも予算措置ばかりでなくとも、その価格調整もできる。いわんや、予算においても相当考慮を払ってもらうならば、この法律を通じて中小農家経済的にも恵むことが多いばかりではなく、また需要者に対しても、この振興によって栄養給源を豊富に育成、埼養いたしていきますから、これは消費者、生産者ともによろしいので、その精神からいうと、ひとり養鶏だけでなしに、小家畜にも及ぼしたらという御議論がありまして、その御意見と同様に、今度はさらに少し狭めましても、その精神で参りますならば、やはり七面鳥、アヒルその他にまで及ぼす方か願わしいことと、こう考えたのでございまするが、一方、大蔵省それから農林省等の、これが実施に当りましては、当局の意見を無視して進むわけにも参らないので、ある程度の連絡をとって進む場合に、やはりまあ不十分ではあっても、一歩ずつ、一つ手のつくものからやっていきたい。そうして漸次これを一つ次に改良を加えるなり、あるいはそこに法律改正を付加するなり、さような広い意味においての目的を達するようにいたしたい、こう考えております。とりあえずは、まず一番——いろいろの方面から考えまして、これで足りるというわけではありませんか、やりやすい——やろうと思えはやりやすい、それから若干組織の面から申しましても連絡もとれている。国の種鶏改良の点においては国立種畜牧場を使用する。さらに各県にもそれぞれ養鶏に関する改良施設かあります。また実績も、先ほども局長からお話の通り、他のものに比較して進んでいると、こういうことでございまするが、しかし、進んでいるとは言いなから、先ほど千田委員から御質問のありましたように、まだまだ決して油断できない。今は禁止しているからということで、眠っているようなことで安心しているようではいかぬ、内外の事情はどう動いていくかわからぬ、もっと自由にということになれば、安いものが上海からも入ってくるであろうし、需要者の立場からいえば、その安いものを輸入を防止しておるということは、必ずしもいいことではない。従って、それやこれやを考えると、もっともっと改良を加えて、他のものから比較すれば、政府相当にやっておる、その実績か上っているとはいうものの、まだまだ一年に三百億くらい……、難の数も多いので、それがもう少し普及されてくれば、同じ労力と、同じえさで、より多くの生産物が上ってくるということは、生産者のためにも仕合せであるし、消費者のためにも仕合せである。従って、これはどこまでもその改良の面に、もうこれで事足れりとせずに、一つ力を入れていただきたいということで、昨年あたりからも訴えたのですが、どうももう相当進んでおるような調子であったが、予算もさっぱり取っていない。ことし初めて二千万の予算を取って、わずかに五つと申されるうち、大宮にその種難改良の手を伸ばしたということでございまするか、これは力さえ加えるならば、必ずその実績を上げるということがもう目に見えておることでありますので、皆様のお力をちょうだいして、是非一つその目的を達したい。  さらに価格の安定については、一面需要の喚起、何と申しましても、日本人はわずかに八十くらいしか食っておらぬ。アメリカ人であるならば四百、その他ヨーロッパにおける弱小国家といえども平均二百をこえておる。日本人も二百くらいのものは、ことに子供といわず、おとなといわず、もうすべての日本の食糧にマッチしておるものでございまするから、非常に親しまれておるこの卵を、より多く栄養給源として一つとれるようにしたい。そういうふうに、一方一つ需要の面を喚起して、そして価格維持に当る。マヨネーズなども最近において非常に多く使われるようになりました。これも確かに価格維持の面には役立っておると思いますが、さらに万一の場合には、マヨネーズ業者だけでもって十万箱くらいは保管するようでございますが、あるいは十五万箱に近来はなるかもしれません。非常の場合には、これはもう一年中常に上り下りか季節的にあります。これらのときに、一つ組織をもっていたして、冷蔵保管のようなことに政府が若干の助成政策をとるならば、農家もみすみすあまり安く売るということもないだろう。あまり安くないから生産も継続できる。それがあまり安くなると、すぐひねって難を殺してしまいますから、今度は極端に高くなる。そしてそこに自然に需給調整ができておるからというのか、今までの液府の、まあそんなに心配しなくとも、あいつは高くなれば自然にふえますし、安くなればひねって、自然に自然調節をやりますからというので済んだようですが、そんな消極的な政策でなしに、もっと施策の上に、生産者にも、消費者にもいい方途を講ずる道はないだろうか。それにはいろいろ、とりあえずは一方において需要の喚起、他方においては冷蔵保管の道をもってする、これに対する予算措置をとってもらいたい。これにことしすぐという……、この法律、この三十三年度の予算ではどうかわからませんが、そこで皆様の一つお力をちょうだいして、強い希望をむしろ加えて、その目的を達成するようにお願いをいたしたいと思って、先ほど来御質問を拝聴いたしておりますと、みんな私どもの願いとするところをお尋ねをいただいておるようでまことに仕合せと思っております。
  52. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 東議員からの小家畜につきましてなぜやらないかという……。
  53. 東隆

    ○東隆君 小家禽と、それから小家畜に分けて……。
  54. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) という御質問でございますが、御存じのように、この家畜につきましては、家畜改良増殖法というのがほぼ御提案になっておりますこの法案の内容と相対応するものであろうかと思います。これは種付あるいは人工授精の方法、種畜の検査というような問題を相手にしておるわけでありまして、これは大家畜から始まりまして中小家畜にも当然やっておるはずでございます。ただ鶏を中心といたします家禽の方はそういう形と態勢が違っておりますのっで、今までは改良増殖という形において実際の種鶏場、あるいは県の種畜場とのつながりにおいてそれが行われておる、こういうふうになっております。  それからなお種禽の問題でありますが、確かにこのほかに七面鳥であるとかアヒルであるとかいう問題があるのであります。しかしこれは、鶏に比べますと格段と需要度が数からいいましても少いものであろうかと思います。従いまして現在対象として取り扱って参りますのにば、今までのような、アヒルなり七面鳥の改良という形をやってそれで十分ではないか、かように考えております。
  55. 東隆

    ○東隆君 私は、その今の場合に、やはりもう少し範囲を広げた方がいいのじゃないか、家禽振興法というような、そういうような意味を含めた方がいいのじゃないか、こんな気がいたします。これは私の意見ですが。  そこで、今度はPRなんですが、PRをやる場合にその主体を、どういうようなものに向けるかという問題、私は養鶏組合を、農業協同組合でもって特殊なものをこしらえられると、これはなかなかむずかしい問題じゃないか、それでやはり農協だの何だのそういうものを対象にして進められると思うのですが、別に何か組合のようなものをこしらえられてそうしてやる、そんなような御意思があるのですか。これは提案者の方から一つお伺いします。
  56. 小山邦太郎

    委員外議員小山邦太郎君) これはなお、政府補助その他の対象については審議会等にも諮問されることであろうと思いますので、現に農協あたりも相当にこれを取り扱っておりますので、この点はもちろんその方面にも力を入れていただかなければならぬと思います。また漸次、今は総合的にいろいろ考えておるのも、ある時期においては必要であろうと思いますが、またある時期においては、だんだんに専門化しまして、専門的に指導していくことが大事ではないか、従って畜産までみな農協でやってよいものを、畜産組合がすでにできておるように、あるいは畜産組合の中かあるいは、養鶏組合のようなものが、農業協同組合のもとに養鶏を主としてやるようなものの協同組合ができる、これらは政府の指導にまかせたいと、こう考えております。もっぱらその方針を決定するのは、審議会において業界及び知識経験の方のお集まりによって御決定をちょうだいすることを期待しておるような次第でございます。
  57. 東隆

    ○東隆君 私は、農林省に注意をしておいていただきたいことは、蜂のような場合には転飼というようなことが行われておる、そうして結局府県の方から北海道の方に持っていったり、ちょっと蜜資源がある場合に移動養蜂をやる、そんなような場合にはやはり組合みたいなものを作らなければうまくいがないんじゃないが、こんな考え方を持ちますが、鶏やその他の小家禽、こういうようなものを考えたときに、これはもう一定の場所でやっていく、こんなような関係農家が皆やるのですから、従って、別に組合を組織する必要もないし、農協が中心になって飼料その他を十分に世話してやっていく、こういうふうな態勢で持っていけるのじゃないか、こういう考え方を持っておりますので、これは将来の問題でしようけれども、お考えを願いたいと思います。
  58. 安部キミ子

    安部キミ子君 提案者にお尋ねしますが、御承知のように、もう解散も近いこのまぎわに、きょうでもないでしょうが、お出しになりまして、本格的に今から審議するということになるんですが、本国会に参議院が上って、衆議院が通過するという見通しがおありなんでしょうか。
  59. 小山邦太郎

    委員外議員小山邦太郎君) ぜひ衆議院でも通過さしたいということで、早くに出しましたのですが、他の重要法案がありまして、だんだんに延びてしまっては参りましたが、まだ望みなきにあらず、こう考えております、こちらは幸いに御了解をちょうだいし、また修正するものがあるならば修正し、希望をつけるものは希望をつけていただいて、とにかく通さしていただきたい。衆議院もあす、あさってありますから、向うも霜害対策で、しばらくやらないということになっておったのを、きのうあたりから、きのう、きょう、あすあたりまだやるようですから、少し早目に通るならば必ずしも見込みなしにあらず、こう考えます。不幸にしてこちらだけ通って向うへ送り込んでも、それが審議を尽し得なかったという場合にはどうなるか、この見通しは、私はここで皆様方の熱心な先ほど来の御意向を伺いますと、また当局もこれを聞いておりますから、この際これが通れば、必ず私は政府みずからがやらなければならない、参議院の有力な皆様方の御意見を伺って、そうしてそれを白眼冷祝して運営もできますまい、必ず政府はやるであろう。従って、どっちへころんでも、ここは通していただくということになれば、大きな実を結ぶ、こう考えているので、あげて皆さんの生殺与奪、将来の発展いかんはお力によるものである、こう考えている次第でございます。
  60. 安部キミ子

    安部キミ子君 たれが提案しようとも、いいものはいいものとしてね、私どもも真剣に区取り組むわけなんですが、こういう法案ば、私ども社会党でもいい法案として異存はないと思います。まだ正式には社会党の意見は聞いておりませぬけれども、それでこの提案者のお名前を見ますと、発議者のお名前が自民党の皆さん、それからそれに賛成なさっている方々が自民党の皆さんですね、いわば自民党の議員立法なんですね。そこで私ちょっと意外にこう思いますことは、これは自民党の皆さんがこの法案か必要だとお考えになれば、当然政府提案としてお出しになるのか当りまえだったし、それからまた党の政策、自民党の政策としても、当然こういう法案が出されてしかるべきだと思うんです。それから、いい法案であれは社会党といえども反対するわけはないのですから、どういうわけでその政府提案としてこれが出されなかったか、まるで何かサル芝居をやっておられるようで、私どもから見ますと、何かこうおかしいのですよ、正直申しますと。その点政府はどういう考えで、こんなに自民党の皆さんが賛成し、国民も要望しておるいい法案をなぜ提案しなかったのか。そして、万一今国会に上らなければ、流れる可能性だってあるわけなんですね。それを今提案者は政府に大へん期待しておられるようですけれども、もしこれを来年度、あるいは次の国会に政府が取り上げぬということであれば、提案者はまたあらためてこの法案を御提出なさる気持かどうか、この点政府及び提案者にお伺いします。
  61. 小山邦太郎

    委員外議員小山邦太郎君) ごもっともでございまして、この問題は、これは私的にわたりますのですが、この問題を考えましたときに、同じく委員であられます清潔さんは、蚕糸業の関係でやはりしばしばお目にかかることがございましたのですが、約三十ばかり申し上げましてご研究をわずらわしたいということでございます。そして、清澤さんにもだんだん御心配をいただいております。それから党の方では、これはそれぞれ研究をいたしましたけれども、ことしは予算の関係で——政府にこれをやらせる方がいいということであったんです、政府にやらせる方がいいということを、皆自民党の仲間はそう言っておりましたが、予算の関係でことしはどうにも政府がそこまで手が伸びない。それから私どもがいろいろ党とも相談し、党がまとまりましたならば、すぐ社会党にも私は公式にお願いをしたいと、こう思っておりましてけれども、予算等の関係がありますので、いま少し時間をというようなお話もあって、それがために私は党の方に一応話をして、参議院で一つ先歳御者議をちょうだいしようということでここへ出したような次第でございます。従って、よいものはみんなで賛成してやってもよろしいという御意見に対しては、まことにありがたいことで、この取扱い方についてはあげてここにいらっしゃる方が皆提案者でありますから、その提案者もさぞすべての御協調を得て進むということには御反対もないことであろうと思いまりす。私はこれを委員長の、取扱い方は委員長も提案者でございますから、おまかせを申し上げたいと思いますが、提案の皆様一応よろしゅうございましょうな、そういうことにいたしたいと思っております。どのようにでも、まあ一応審議を尽して下さい、その取扱いについては委員長におまかせをしたい、かように考えております。いかがでございましょう。
  62. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) ただいまこれは、自由民主党の多くの方々が発議者になり、なお賛成者も多くございますのに、なぜ自由民主党の組織として、政府として出さないか、こういう趣旨のお尋ねであります。きわめてごもっとものことでありますが、今小山さんからお話しになりましたように、実は農林省といたしましては大いに養鶏その他のものを振興いたしたい役目柄でもありますし、おったのでありますが、御承知のように、三十二年度の予算編成が非常に特に農政関係難航いたしました。そこで、予算を伴う法律案でありますので、予算の計上のないものを政府として、あるいは農林省として出すということは、きわめて不合理でありますから、やむを得ず政府として出すわけには参らないと、こういう次第であったのでございますから、御了承を願います。
  63. 安部キミ子

    安部キミ子君 それでは次官にお尋ねしますが、来国会にそれじゃこの法案をもっと研究して、いろいろな不備の点もあるようでありますが、もっと研究なさって政府提案としてお出しになる御意思があるかどうか。
  64. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 今の段階でお答えができますのは、この法案は私は通過さしていただけるのじゃないかと、こういうふうな気持を持っております。しかし、万一この審議の途中において衆議院か解散になりますというような事態になりますれば、まあ参議院の方で御決議になることが有力な御決定になるわけでありますから、私どもも、政府といたしましても、もし不十分なところがありますれば、さらに検討を加えてこういう趣旨の法律案を提出いたしたいと、こう考えております。
  65. 安部キミ子

    安部キミ子君 私、これは最後の質問ですから、委員長まああんまり気にしないで下さい。  今提案者の方も政府の意見を聞かれまして、一応安心されたと思うのです。で、衆議院でも通るのじゃないかと思うと言われますけれどもね、まあそれはまだ解散という事実がない以上は通らないと言われませんから、それは当然な政府の答弁だと思いますが、今悪いところはよりよいものに修正して提案すると、こうおっしゃいましたから、まあ提案者の皆さんもそうしてそのことを望んでおられるし、私個人とすれば——社会党としてはまだ意見を聞いておりませぬけれども、私個人とすれは大へんいい法案だと、こういうふうに考えますので、ぜひとも今度の国会には提案してもらいたい、法案をぜひ出してもらいたいということを要望しまして、以上で終ります。
  66. 小山邦太郎

    委員外議員小山邦太郎君) ただいまのお言葉によって、なお力を得たわけでございまするが、これは政府がやるにも、一応ここで通しておいてもらうということは、一致の力でこの法案が通ったということは、政府に行わしむる上にも、またもっと正常化して、ぜひ衆議院を通す上にも、これはそうしなければなりませぬが、衆議院の力は全然見込みなしにあらず、政府は、もしここでこれだけの御熱意があればやりたいという、その熱意を示す方途としてはやはり通していただき、そこに意見を加えていただくということが一番よい方法であるようにも思いますので、提案者としてはあまり固執をするようなことを申し上げるのは非礼になりまするが、一つお含み下すってよろしくお願いいたします。
  67. 北村暢

    北村暢君 法案の内容ですが、法案の内容について、ちょっと先ほどの私の質問と関連してお伺いしたいのですが、この要綱を見ますと、先ほど畜産局長の答弁では、国のこの改良の施策は非常にまあ有効にいっているのだと、そのために品種改良は相当進んでいるのだと、こういうふうにおっしゃられたのですが、その点はそうだと思いますが、この法案の内容では、都道府県知事が改良増殖のための定期検査をやることになっているわけなんですが、この定期検査の対象外になるものは、国、都道府県の種畜牧場、試験研究機関において生産した卵を孵化しているものは、これは検査から除外することになっているわけです。従って、先ほどの畜産局長説明ですというと、国、県、それから民間というふうに系統的に非常にうまく行っているように言われたのですけれども、こういう検査がやはり除外をして、残るものを都道府県知事が伝染性の疾患なり遺伝性の疾思というものに対して定期検査をするということなんですが、これの、何といいますか、事業の量ですね。これはどのくらい分けてなるものか。この検査のために膨大な人を要するのか。相当な数に上るんじゃないかと思いまするので、私はさっき聞きたかったのは、そこを聞くために前から続いて聞いておったんです。それですから、これは畜産局長の方がらでもいいし、提案者の方からでもいいですが、お答え願いたいと思います。
  68. 小山邦太郎

    委員外議員小山邦太郎君) 都道府県の現在行なっておるのは、それぞれ都道府県において手数料その他若干の補助のある所もありますが、大かたがたでまかない得ております。従って、やはり同様の趣旨をもって進めたい。本来ならば、国の検査ですべて進めたい、こう考えましたけれども、現に行なって相当成績を上げておりまする県もありまするし、いたずらに国に仕事を集中し過ぎるということもどうか。いずれ、これらはまた研究の種が審議会あたりの問題として残るんではないかと思いまするので、一応このくらいにいたしました。それから、除外したのは、国及び県がみずから行いまするので、病毒その他に対する心配はないと思いまするが、その他のことは、局長その他農林省の当局からお答えを願うことにいたしたいと思います。
  69. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) この中の、国の種畜牧場あるいは都道府県の施設、それから試験研究機関で生産された鶏卵の場合、これらの種鶏検査につきましては、これらの主体か、今申します種鶏検査等を行います主体が、また改良をやります主体であるということから、そのものから流れていきまするところの一般の民間のものに対します種鶏検査とは別個に除外いたしましても弊害はない、こういう観点であります。試験研究の問題の場合は、これはいろいろと改良増殖をいたしまする過程におきまして、民間に出すほどまだ固定をしていない、あるいは、まだ劣性があるようなもの等を改良のためにいろいろと研究せなきゃならぬことがあると思います。これらは、他の場合の種畜検査におきましても同様でありますが、除外をされておるわけであります。で、全体の民間におきまする種鶏と、国、県等におきまする種鶏との比率、ちょっとお話があったようでありますが、これはもう格段の想違でございます。国、県はむしろそのもとのものであり、国の種鶏というものはおそらく三千羽、県のものはおそらく五万くらいのものであろう、国全体の種鶏としましては四百万羽ぐらいのことは種鶏として存在している、かようなことでございまして、ごくわずかなものになるかと思います。
  70. 戸叶武

    戸叶武君 提案者の説明におきましても、鶏卵の需給調整のための助成ということが強調されておりまして、養鶏振興法案要綱の第五にもそれが述べられておりますが、今、養鶏の問題で一番前題になるのは、やはり価格の問題と、もう一つは飼料の価格の問題だと思うんです。今、養蚕の問題でも、それから酪農の問題でも、特に乳価の問題でも、そういう問題が非常に重点的に取り上げられておりますが、特に養鶏をやっている人たちがどこでもこぼすのは、合成飼料が非常に高いということです。まあそういう点において河野君がやっている日本飼料なんかも相当恨まれている方なんで、政府が出せないのはそういうところにひっかかりがあるのじゃないかと思われるぐらいですが、いろいろな点で、やはりこの飼料の問題に対しても、どれだけ需給調整をやる可能性が政府にあるか。政府でどうも態度がふらふらしているので与党の方の一部で圧力をかけようというくらいな気持で柔軟作戦でやっていられるかと思うが、(笑声)とにかくいいことはいいのでありますが、政府が特に養鶏の問題に対する、今ではどこでもやはり飼料で悩んでいるのですから、そういう問題に対して具体的な対策をとっているかどうか。もう乳業の問題も、乳価だけをたたいているのが問題なんだか、問題は、飼料を安くしなけりゃ、酪農問題も伸びないし、養鶏も伸びないのですが、政府は、それに対してどういう態度をとって、今後どういう態度をもって臨むのか、その点明らかにしていただきたい。
  71. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 御存じの通り政府といたしましては飼料需給安定の法律に基きましての対策を講じておるわけであります。そのほかに、この鶏に関しまする配合飼料等に関しましての品質保全のための検査をいたしておる。これも法律に基いてやっておる。あるいは、えさの、飼養管理のために種々なる指導、たとえば、いわゆる牧草をどの程度にこれに利用ができるかというような研究並びに資料、あるいはそのほかの新しい飼料、今までの魚粉のようなものに代りまするフィッシェソリューブルに関しましての生産の指導というような新しい飼料に対しまする資料を出しておる、かようなことに相なるかと思います。御存じのように、配合飼料あるいはいわゆる流通飼料のかなりの部分が養鶏の飼料になっております。従いまして、これらの飼料全体の対策といたしておりまする政府の対策というものは、その重要部分が養鶏のための対策、かように考えられるのではないかと思っておるのであります。御指摘のように、鶏の主要な飼料でありますトウモロコシ、これは非常に順調に輸入を見ておる、価格も割安になっておる、こういう状況であります。
  72. 戸叶武

    戸叶武君 配合飼料の問題で政府がいろいろ考えているというような答弁でありますけれども、一般の養鶏家は、今千三、三百円するのがせめて千円以下になればもっと楽になるのだが、ということを至るところの養鶏者から訴えられるのでありますが、この数年来、西欧諸国並びにアメリカ等においては、今までにないような養鶏の飛躍的な発展をしておるのであり、特にスイスのような山国においては、傾斜面あるいは宅地を利用して非常な大規模な養鶏の鶏舎建設が進んでおるので、私たちがスイスのいなかを旅行してみても、これは市営住宅でも、よくもあの傾斜面にできたと思われるほど大規模な鶏小屋かできているというような状態でありますが、日本でやはりだれでも養鶏に取りついていながら、すばらしい飛躍ができないのは、やはり金にかえる面でいろいろな困難がひそんでいる点、それから今の飼料の問題、そういうところにあると思うのですが、特に東京の近在の農協等でも反省しなくちゃならぬのは、出荷組合というようなものが完成されているところが非常に少くて、汽車や電車でもってやみ屋さんが運んでくるのが大部分というような非常に乱雑な形、これはいずれも小規模な人々の経営にまかしておって、その組織化ということが十分されていないせいもあると思うのですが、こういう問題に対して、農協なんかが今まで米の供出関係にだけ動員されて、こういう面までの努力というものが非常に少いと思うのですが、農林省では今までそういう面にどういうような指導をしてきたか、それをお答え願いたい。
  73. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) この卵の共販体制という問題につきましては、御存じのようにここ十数年来、農協の共販運動として指導して参り、また農協自体もやっておるわけでございます。御存じのように、東京に入って参ります鶏卵のおそらく三分の一程度のものは全販等の組織によって入っておる、まあこういうような状態でございます。そのほか各地方とも農協の組織によりまする出荷の組織ができております。で、これらに対しまして、荷作りの方法、あるいは品質の統一というような形におきましての共販の指導を随時やっております。そういうようなことであります。
  74. 戸叶武

    戸叶武君 イギリス等にデンマークの鶏卵なんかが相当伸びたのは、やはりいつ何日に生んだというしるしがみなゴム印で押してあって、その新鮮度がわかって、その信用というものが非常に購買力を増大していったと思うのですが、日本で卵を買うと、実際に腐った卵やいろいろなものを買わされる場合がある。それから冷房装置関係の倉庫があるからといっても、そういう点で非常に買うものが、よく、くろうとのものはそういう被害を受けないだろうが、非常に損害が買う場合にある。そういうものに対して、その信用度を高め、購買力を増大するに必要な処置なり指導というものは、共販や何かの面で農林省は今までどういうふうに指導しているか、伺います。
  75. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) ロンドン市場に出回りまする——あすこに近接いたしておりますデンマークあるいはオランダ等のようなやり方にまでいきますれば、これは非常にけっこうかと思います。日本におきましても、現実に特殊な種鶏場から、あるいは養鶏場からはそういう形のものは出ておりますが、それがまだ全国的な形になっていないのは残念でございます。たとえば汚卵がありますとかいうようなものを改善をしていく、あるいは粒の問題を統一していく、その他荷作り包装、あるいは新鮮度というような問題につきましては、それぞれ指導をいたしておりまして、全国各地におきましてそのような出荷の一つの共進会を開く、またそれを東京に集めまして、全国統一いたしましたそれの成績をとりましての指導をするというようなこともいたしまして、商品価値を高めていくようにいたしたい、かような考え方で進んでしおるわけであります。
  76. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 全体の目的といいますか、趣旨につきましては一応小山さんの御説明で了解するのであります。ただ、内容がきわめて広範なんですね。それでねらうところといいますが、重点を置くところがどこにあるかという疑問なんであります。言いかえますと、今の食糧の全体の状況から見ても、この際に鶏卵の増産をうんと推進しよう、こういうのですか。大体需給関係は、漸次もちろん需要もふえ、供給もふえてきておって、一応のバランスはある、しかし養鶏事業の合理化をはかるのだというようなところに重点を置いておられるのか、あるいは大体今の需給状況から見て、むしろ供給が過剰ぎみである、従ってここにあるように需給調整の施策、そういうところに重点を置いていくという意味にこれを見るべきか。非常に内容が広範なんで、いずれもけっこう、それぞれ取り上げればけっこうですけれども制度としてどこをねらうか、この現在の段階でですよ、こういう点を一つお聞かせを願いたい。
  77. 小山邦太郎

    委員外議員小山邦太郎君) 大体の趣旨において御賛成をとちょうだいいたしておりますあなたに、私から申し上げるのもいいがかと思いますが、これは大体二つをねらいまして、やはり増産を主体にしたい、そうして増産のためにはまず品種の改良によって、同じえさと同じ能力で生産を高める方途を講ずる、そうすれば卵の生産費がそう上らない、むしろ下って、そうして供給量は増す、ここのところが一つのねらい。それから積極的には、まだそれどころではない、日本の食生活改善の上にはもっともっと増していいのじゃないか。従って、大局的にはずっと上昇線をどんどんたどっていかしたいものである、これがねらいですけれども、それの目的を達するには価格が安定して、生産者もそう大きな利益はなくても、損のないようにしていくことが必要である。従ってその点は価格安定ということをやはり同じ重さをもって進めたい、けれどもそれには方法はどうするかというと、方法は、先の方法は、種鶏の改良は国立、県立いろいろの手をわずらわして、さらに孵化業者をして、安心のできる優良なひなを養鶏家に渡すことによって、養鶏家は経営上の安心と、そうして計画生産ができていく、それから、けれども今度価格の面はどうして調整するか。増収の一途をはかるのであるか、生産の方も登録制度でなく、届出制度にいたしますから、ひなの生産高がわかる、そうするとおよそ改良されたひなによってこの産卵量も想定できまずから、これは少し多過ぎるなと思うときには若干その面で調整もできょうが、さらに進んではこの貯蔵及び新需要の関拓と申しますか、そういう方面で一ついたしたい。そこで新用途を、販路を拡張するということはこれは他の宣伝やその他はできますが、貯蔵等に対しては、養鶏家の貯蔵に対するものは若干政府予算を求めまして、そうして保管料の方で補助するような道を請じたいものであると、こんなふうにも考えておるのでございます。しかし、まだその点に対する予算は当面の何はその目的を達し得ませんので、これは臨時議会あたりに一つ御予算をちょうだいいたしたいと、政府に要望いたしたいと、こう考えておる次第でございます。
  78. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 これまで先ほど局長の言われましたように、鶏の改良増殖については長年農林省も努力されてきて相当の成果が上がってきておると思うのでありますが、この案を見ますと、孵化業者、それからその事業場というものは一応その何といいますか、対象になっております。これは現在の孵化業者なり、その事業場というものが何と申しますか必ずしも適当なひなを出しておらない。むしろ不良なものがあるといいますか、思わしくないものが多いと、こういうことのように一応理解されるのですけれども、現実にそうなのかどうか。たとえば事業場というものを登録制度にして一定の基準を与える。その基準にパスしないものは一応落第ということになるのでしょう。そういうことをしなければならないような現実なのかどうか、その点あるいはこれは政府の方からお答え願ったらいいかと思います。どちらからでもけっこうであります。
  79. 小山邦太郎

    委員外議員小山邦太郎君) それでは私からごく簡単に。これはやはり千四百ばかり孵化業者があるようでございまするが、そのうちには優劣おのずからありまして、そうしてその優劣によって自己の繁栄にすぐ影響するものもございましょうが、それよりも養鶏家に対する影響というものが相当でありますので、これは養蚕に対して種の方のあれでは取締りでございますが、この方はもっぱら取締りというよりは助長策を講じまして、そうして国でも県でもよい品種を普及させようというその目的は養鶏家の経済をねらってでございましょうが、それに協力する意味において養鶏孵化業者によりよい信用のあるひなを供給するようにさせる、それには決して強制ではなしに登録でいって漸次その水準に持っていこう、こういうねらいでございます。現在それでは非常に悪質なものが多過ぎるからこうするのだと、悪質という言葉は当らないかもしれないが、まだ研究の余地のあるものが残っておる、こういうふうに思われるのでございます。足りないところは……。
  80. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 少しこまかくなりますけれども、種鶏検査にパスした鶏から生産された種卵である旨の証明をやるわけですね。こういう証明というものが、私よく実際を知らないのですけれども、果してその可能なものかどうか、法律上のこれは証明ですね。一体この卵というやつがこの検査に合格した鶏の卵だということを証明しなければならない、そういう公けの証明というものが果してできて、それが正しく処理されるに適格であるかどうか、その点であります。ちょっと疑問があるのでありますが……。
  81. 小山邦太郎

    委員外議員小山邦太郎君) 技術的なことでありますから一つ農林省から。
  82. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 今御指摘の点は非常にむずかしいと思いますが、種鶏検査そのものは脚帯と申しますか、足のバンドをつける、番号をつけるということで可能かと思います。あとは問題は卵だろうと思います。種鶏検査をいたしましたそれから出て参る卵をどうするかという問題だろうと思います。で、これの確認はそれぞれの種鶏業者から出荷いたしまするところの卵の数あるいは卵そのものに対しましてマークを入れる。先ほどのロンドン市場における卵の問題がありましたが、種鶏卵の場合は、種卵の場合はそういうことは可能だと思いますが、そういう形で、そしてそれを受け取って参ります鶏卵業者の登録をいたしますから、自後の策といたしましては、あとに至ってそれが間違っておるという事態がございますれば制裁規定はあるわけでございます。そういう形におきましてこれを施行して行くということになろうかと思います。あるいは提案者の方にももっといい案があるがもしれませぬが、卵の確認などの問題につきましてはそういうことになろうかと思います。
  83. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 その卵には一応何か判を押すという操作は必要なんですか。  それから最後でありますが、先ほど政務次官もお答えになった点でありますが、本法案を見ますと、検査の関係にいたしましても、登録の関係にいたしましてもこれは相当事務的な、必然的に施行上の予算を伴うと思う。それからこの法案の大きな内容であります奨励的な施設それから価格調整といいますか、需給調整のための施設、これらはそれぞれ相当の予算を伴うことを内容にする法案であります。従って先ほどお答えのように、政府としては三十三年度にはこの法律を施行するだけの必要な予算がないと、従って政府としては提案ができなかったというお話でございますが、やはりこの法案の趣旨はそれぞれけっこうだといたしましても、必然的に裏づけになる予算がどういう規模になるかということが非常に大事なことであろうと思う。従ってやはりこれはそういう費用、予算の裏づけと見合って検討さるべき性質のものではないか。こういう法案ではなかろうか、かように思うのでありますが、趣旨がよいから、ともかく予算は別として、これだけは出しておくという行き方は、従来緑風会といたしましては、予算を伴う法案の議員提出といいますか、そういうものはできるだけこれは控え目に考えるべきことは、一貫した考え方がこれまで、現在もあるわけでございます。特にこの法案が、こう予算を不可欠にするように思われる法案ですから、その点は自民党におかれましても——特にこれが参議院から出ておるということもやはり問題の一つにもなろうかと思います。慎重にお考えをいただくべき性質のものではなかろうかと思います。  それからいま一つ、先ほど戸叶さんの質問に関連した問題でございますが、私非常に大事な問題だと思います。従来長年養鶏の仕事というものは農家の副業的な考え方相当やって参ったと思うのであります。しかし、今後を考えますると、もちろんそれは農家の経営の改善の観点から大事なことでありますけれども、やはりもっと規模の大きいある程度企業的なスケールの養鶏事業というものを考えていく必要かありはしないか。この法案のねらいば、そういう点においても何らかはっきりしてかかりませぬというと、いろいろ助成の施設があるわけですね、たとえば養鶏経営に対する施設の改善に対して補助金を出すとかという場合の対象を考えましても、これだけじゃちょっと見当が実はつかなくなる、あるいはそういう点は今後の調査研究に待つ問題かもわかりませぬけれども、もし提案者に何らかのお考え方があればもう一度伺っておきたいと思います。
  84. 小山邦太郎

    委員外議員小山邦太郎君) お説の通り予算を伴うものは、議員の方でできるだけ遠慮してするようにというお話もありました。一応昨年あたりも考えておったのですが、どうも遠慮しておったのでばいつまでも政府がやってくれない、そこで十分ではありませぬが、まずいつまでたってもさっぱり動かないよりは、少しずつでも予算をとって頭を持ち上げる方が農民のために、また広い意味においての養鶏家、また他面食生活改善を求めておる方の消費者のためにもよかろう、こういう意味で若干の予算は、これを行うには事業計画というものを持たなければならない、このうしろにおよそ一億六千と書いてありますが、これらはそれぞれ今後運営の上において御研究をわずらわしまして、その金をどこへ重点を置くかということは、審議会かできた上においてその方面でも御研究を願いまして、審議会に対しては各方面からの要望を集約して、そこで万全の措置を講ずるようにお願いいたしたい、こういうように考えております。
  85. 北條雋八

    ○北條雋八君 この畜産の収入はほとんど六〇%以上を占めておる、この養鶏の生産額か約一千億ということでございますが、この内訳は鶏肉と鶏卵と鶏ふんということにこれで見ますとなっておりますが、どのぐらいの割合でありますか、それをちょっと伺いたいと思います。鶏肉というものはどのぐらいの比率になっておるのか、伺いたいと思います。
  86. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 一千億と申しますのは、ごく大ざっぱな推定数字になっておりますか、卵が約七百五十億ぐらいになろうかと思います。あと鶏肉と鶏ふんということになっておりますが、鶏ふんがどのぐらいになりますか、ちょっとわかりませんが、一千億のうちの約七割五分程度のものが鶏卵、あとが鶏ふんと鵬肉、こういうことになっております。
  87. 北條雋八

    ○北條雋八君 鶏肉はあまり重きを置かないでもいいということで、この十八条に鶏卵だけの価格安定ということを考えられたのですか、鶏肉も入れるべきものじゃないかというふうに考えるのでありますが、その点はあまり鶏肉は生産額が大したものでないからそれを特にはずされたわけでございますか、その点をちょっと伺いたいと思います。
  88. 小山邦太郎

    委員外議員小山邦太郎君) 御質問の通り最初鶏肉も入れたのでございますか、それから鶏ふんの方ば、およそ一羽で五貫匁の鶏ふんが大体出るようでございます。それを四千五百万羽ないし五千万羽に掛けますと、価格はそのときによって多少違うであろうと思いますが、数量は出ます。そこで鶏肉の問題はなかなか実際問題として、これは初めて出す法案としては複雑になるから、追ってにしようじゃないかというような御意見もありまして、その後だんだん提案者の中にも、また他の委員の方からも今日以上に将来は鶏肉が大事になるのだ、従って鶏肉は相当重きを置くべきであるという御意見も伺っております。近くそういうものにまで及ぶようにいたしたいものであると考えております。
  89. 北條雋八

    ○北條雋八君 もう一点ちょっと伺いたいのでありますが、先ほど梶原委員からの御質問かあったのでございますが、この孵化業者の事業場についての登録ということは非常に必要なことだと思うのでありますが、この五条を見ますと、この「当該事業場の所在地を管轄する都道府県知事に登録を申請することができる」というふうにあります。これは「申請しなければならない。」というふうにむしろした方がいいんじゃないかというふうに私は考えますが、この点はいかがでございますか。
  90. 小山邦太郎

    委員外議員小山邦太郎君) これは取締りに重きを置くというよりは、むしろ助長政策でいきますので、その点から申しますと、やや徹底を欠くようでございますが、進んでその標準まで自分の事業形態を改善して、そうして漸次百パーセント登録のできるように奨励助長でいきたい、とかく法律をもって、さもなくも先ほど千田委員のお言葉にも窮屈になるというような考えを与える云々という一部には考えも出てはおりはしないかというようなお言葉もあったのであります。こういうような経済問題もありますし、助長で進みたいということで考えておるわけでございます。
  91. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 次に、この法律案は議員の発議にかかる、予算を伴う法律案でございますから、国会法第五十七条の三、本院規則第五十条第二項の規定によりまして、この際内閣の本法案に対する意見を求めます。
  92. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 政府のこの法案に対しまする考え方は、御承知のように予算を伴っておりますので、三十三年度の予算上にはこの種の法律に適用すべき実質的予算が計上されておりません。従って直ちにこの案に賛成するというわけには参らないのであります。しかし、国会において御決議ありますれば、この法律の実施をいたすために今後努力をいたしたいと、こういうふうに考えております。
  93. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  94. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記つけて。  他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおあり方のは賛否を明らかにしてお述べを願います。(「なし」と呼ぶ者あり)  別に御意見もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。養鶏振興法案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  97. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 全会会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  なお、本案を可とされた方は、順次、御署名を願います。   多数意意見者署名     柴田  栄  堀  末治     関恨 久藏  秋山俊一郎     雨森 常夫  堀本 宜実     戸叶  武  田中 茂穂     仲原 善一  藤野 繁雄     東   隆  北村  暢     河合 義一  北條 雋八
  99. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時二十九分散会