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1958-04-11 第28回国会 参議院 農林水産委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十一日(金曜日)    午前十時五十五分開会   ―――――――――――――   委員の異動 本日委員田中茂穂君辞任につき、その 補欠として関根久藏君を議長において 指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     重政 庸徳君    理事            藤野 繁雄君            堀  末治君            上林 忠次君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            植竹 春彦君            関根 久藏君            田中 啓一君            仲原 善一君            堀本 宜実君            前田佳都男君            東   隆君            大河原一次君            北村  暢君            千田  正君            北條 雋八君   国務大臣    農林大臣臨時代    理       石井光次郎君   政府委員    農林政務次官  本名  武君    農林大臣官房長 齋藤  誠君    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君    水産庁長官   奥原日出男君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○漁業制度調査会設置法案内閣提  出、衆議院送付) ○農林漁業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  漁業制度調査会設置法案(閣法第六六号、内閣提出衆議院送付)を議題にいたします  この法律案は、去る三月二十日の衆議院会議において全会一致をもって原案通り可決され、当院に送付、即日、当委員会に付託されました。  この法律案については、過般の委員会において提案理由の説明を聞いておりますので、本日は、法律案審議を行います。  まず、質疑に入ります。御質疑の向きは御質疑を願います。  なお、石井農林大臣臨時代理が御出席になることになりますから、大臣に対する御質疑は、その節お願いいたします。
  3. 千田正

    千田正君 ただいま議題になっております漁業制度調査会設置法案につきまして、特に私はお尋ねいたしたいと思いますが、この調査会存続期間は、大体、委員の参加する年数と同じように、二ヵ年という程度ですか、それとも、もっと区長く存続期間を目標として置いてあるのかどうか、その点は、どれぐらいの期間を置こうというのですか。
  4. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 漁業制度調査会存続期間に関しましては次の漁業権更新期昭和三十六年に参るのでございます。そこでわれわれとしましては、現在の漁業権及び漁場調整に関しまする法制を、その前一年には施行をしておく必要があろうと、かように考えるのでありまして、そこで、そういう意味におきまして、それまでにこの委員会結論を出したい、一応二ヵ年間でこの調査会使命を達成し得るように努力をいたしたい、かように考えております。しかしながら、何分にも漁業に関しまする基本的な制度に関しましては、御承知のように徳川時代浦浜制度から今日に至りました長い間の沿革と、その沿革に根ざしましたところのいろいろな微妙な欠陥というものがあるのでありましてそういうものについての結論を出しますことが、あるいは部分的にはその二ヵ年間に漏れるものが出てくるんじゃないか、かようにも考えるのでございましてその際におきましては、さらにあらためてこれを延長するというふうなこともあり得るかと、かように考えておるのでございますが、一応われわれとしましては、ニヵ年間結論が出るように努力をいたしたい、かように考えております。
  5. 千田正

    千田正君 この制度を設ける、まあ制度に関するところの調査会でありますが、漁業制度調査会の最大の目的というものは従来の漁業制度に対する改善、あるいはその他のことが重点になろうと思いますが、そのうちで、ただいま長官が触れた二ヵ年間で結論を出そうとするその問題は、何と何にしぼって、大体この調査会としての基本調査をやるという考えを持っておられるか、はっきりした点をお答え願いたいと存じます。
  6. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 今日の漁業権及び漁場調整、また漁業者組織いたします協同組合組織というものについては、いろいろな問題点を持っておるのでございます。沿岸漁業総合利用ということを推進していきますことが、これが沿岸漁村の進歩をはかるためには最も大事なことであるのでありますが、しかし、今日の共同漁業権及び区画漁業権というものにつきまして漁業権者であります漁業協同組合というものが割拠している等々の理由のために、管理及び行使機能を、果して十分に果しているかどうか。漁業権管理行使を適切にしていくためには、漁業協同組合機能につきまして経済面におきまする機能漁業権管理行使面における機能というふうなものを、今後どういうふうに組み合せ、あるいは分化させていくべきであるか、さらにまた、組合由身の設立あるいは内部の構成等について、今の協同組合原則に立っておる自由制というものが、どの程度これを再検討さるべきであるか。また沖合いの進歩した能率のある漁業沿岸漁業との間の調整をはかっていく、こういうことのために、現在の漁業調整制度というものが、果してうまく動いているかどうか、そういうところあたりに、いろいろな問題があるわけでございます。また、許可制自身につきましても、御承知のごとく一方において許可制に伴いますいろいろな弊害もあるのでございましてそこで許可制自身についても、いろいろな再検討を加えていかなければならない問題が多々ある次第でございます。それらの事項に関しまして、まず当面政策的に最も要請されておりますのは、沿岸漁業振興である、かように考えるのでありまして、それらの点に関しまする結論をまず急いで取り進めて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  7. 千田正

    千田正君 大へん広範にわたる問題だろうと思うので、私、制度調査会を設置することはけっこうであるが、これを重点的にしぼっていかないというと、この会を設立した趣旨が十分に達成されないのではないか。ただいま長官からお答えになった漁業権管理行使の問題、あるいは漁業協同組合あり方等に関して考えましたときでも、一体漁業には、非常に組合が多過ぎる、もうあらゆる業種組合が相当多数協同組合の名のもとに作られておりますが、こういうものは一応統合りして、何らかの形において数をある程度制限していかなければ、末端の漁業者、いわゆる漁民にとっては相当の負担がかかってくるのではないか、こういう問題に対しても、あなた方の方としては、この制度調査会を設けたことを機としまして、こうした問題についての根本的な改革をやる意思を持っておるのかどうか、この点はどうなのですか。   ―――――――――――――
  8. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 議事の途中でありますが、この際、御報告しておきます。  本日、田中茂穂君が辞任され、関根久賎君が選任されました。   ―――――――――――――
  9. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 組合統合の問題はこれは地域的な統合と、それから業種的な統合と、両方あろうかと思うのであります。地域的な問題に関しましては、今日の漁業協同組合の実に五七一一%というものが市町村未満の地域を――その区域といたしておるのでございます。先ほどもちょっと申し上げましたように、今日漁業協同組合昭和八年の法律の改正によりまして従来の漁業権管理機能のほかに、協同組合としての機能を持ちましたので、ある程度地区が広く、そうして組合員が多数であり、事業壁が多いということが望ましいであるのにかかわりませず、一方において漁業権管理をしているということが、ともすれば組合地区統合ということを阻害しておる傾向が非常に顕著である、かように考えるのでございます。それからもう一つ業種間の統合の問題に関しましては、底びきその他の特殊の漁業に関しまして業種別協同組合がだんだんできて参っておるのでございます。これに関しましては、もちろん当該業種間において共通の利害もあり、団体を構成する必要もあろうかとも認められるのでございまするけれども、そういうものがあることによて、地区の単位の漁協の力というものが非常に微弱に相ならざるを得ない実態になっておるのでございます。そこで、ここら辺につきまして、もう少し根本的にやはり何らか対策を講ずる必要があるのじゃないか。そこら辺の問題も当然調査会の重要なる審議事項一つとして検討をいたして参りたい、かように考えております。
  10. 千田正

    千田正君 さらに第二条の「漁業生産に関する制度」というのは、どういう問題を指しておられるのか、たとえば水産物の流通経済の問題あるいは魚価対策、そういうことを根本的に考え直していくとするならば、ただいま当委員会審議中の農林漁業金融公庫等に関する金融制度等に対しても、いろいそ関連する問題がありますので、この第二条の「漁業生産に関する制度上、これは一体何を指してこの審議の対象にされるのか、その点を伺いたいと思います。
  11. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 「漁業生産に関する制度工という言葉で観念いたしておりますもの、漁業権制度及び漁場管理に関します制度、さらに漁場管理と当然非常に関係を持っておりますが、漁業調整に関する制度、そういうふうなことを意図いたしておるのでございます。しかしながら、当然それらの制度に関する欠陥を追及し、かつ沿岸漁村振興とあわせて検討をするというこつとでなければ、とうていそれらの結論が出て参らないのでございまして、そういう意味におきまして、関連いたしまして、ただいま御指摘のありました流通面あるいは金融面等に関しまする検討というふうなことをいたさなければならないのじゃないか、かように考えております。
  12. 千田正

    千田正君 この制度そのものは、私は悪いとは初めから考えておりませんが、重点的にしぼって、ただいま長自のおっしゃられるところの沿岸漁業振興ということを中心考えた場合においては、何といっても、非常におくれておる、この漁民の立て直しということが、基本的な考えだろうと思うのですが、それには、やはり魚価の維持ということが重大な問題になってくる。で、魚価安定ということ、せっかく漁獲してきた価格のものが、いわゆる大量にとれば大量貧乏といって、腐らして、肥料にしても売れない、どうにもならなくて、そのまま打ち捨てられると、あるいは不漁になれば不漁になったというて、あすからも飯が食えないといって、叫び海をあげている。これは、従来における漁民の習性であったわけですね。これを何とかして、ある程度の水準に引き上げ、そうして漁家経済が成り立つような、沿岸漁民が、かりに不漁であった場合においても食っていける、大漁であった場合にも、貧乏しないように、一つ安定政策というものを」、はっきり考え直さなければならない。むしろ、そこに私は重点があると思うのですが、これに対しては、組織の上においては協同組合というものがあるけれども、その協同組合が運営していく上においてやはり経済的な基盤というものを、はっきり握らなければならない。その経済基盤の確立ということが、やはり漁獲してきたものを、生産物価格安定ということ、そうして生産に寄与する幾多の資料、材料というもつのが、安定した価格のもとに入手できて、そうして漁獲ができる、そういうところに基点を置かなくちゃならないと思うのですが、この制度においては、そういう点において特に重点的に考えられるかどうか、その点はどうなんですか。
  13. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) ただいま御指摘のありました魚価対策というふうな観点から見ました沿岸漁業の安定の基本的政策というものに関しましては、漁業制度調査会におきましては、基本的な制度を取り上土げるのでございまして従いまして一方において調査会における検討を進めるとともに、当面緊急の事態に対処してそれぞれ打つ手を打って参らなければならないのではないか、かように考えるのでございます。そこで、漁業生産に関する制度ということの内容については、先ほどお答え申しにげた通りでございますが、一言にして申し上げますれば、沿岸漁民のために、沿岸漁場を確保していくと、そういうことによって、沿岸漁村の安定をはかっていくと、こういう意味を持っておるのでございますが、と同時に、またもう一つの大きな調査審議事項の柱でもありまする漁業者共同組織改善に関する事項に関しましては現在の漁業協同組合制度の再検討ということが、非常に大きな問題と相なろうかと思うのであります。で、その内容といたしましては、漁業協同組合共同販売あるいは共同購入信用事業等を推進されるにない手となり得るように、組織の強化をはかっていくという意味におきまして、ただいま御指摘のありました流通面におきまする安定政策実施の第一線の組織としていろいろな検討が加えられることに相なろうかと、かように存ずるのでございます。しかしわれわれは漁村安定政策を、この基本的制度結論が出るまでの間、たな上げをする考えは毛頭ないのでございまして、一方において制度検討の中に、当面しておりまするいろいろな問題の処理を反映させりつ、同時に一方において、それぞれ、予算あるいは現行の法制によりまして、着々といろいろな仕事をいたして参りたい、かように考えておるのでございます。たとえば、浅海増殖の本年度におきまする飛躍的な拡充にいたしましても、あるいはまた漁業共済事業実施ということにいたしましても、われわれの希望したような形では成果を結びませんでしたが、とにかく、流通面相当手を仲ばし得るような経費が計上され、実施に移されるというような点に関しましても、それぞれすべてこの柱は漁村の安定というものから出ているのでございまして、これを当面しておりまする漁政の最重要事項として、それぞれ具体的に実践していきたい、かように考えております。
  14. 千田正

    千田正君 私は、最も重要な点は、今後の沿岸漁民にとって大きな影響がくるだろうと想像されるのは、国際漁場締め出しという問題、これは御承知通り、先般来国際会議におきましても、公海の自由な操業というものを、ある程度制限されかかってきている、さらに大陸だなというような問題が、これまた遠洋漁業にとって大きな打撃になってくる、こういうしわ寄せが、結局遠く海洋に行っていたその仕事がやれなくなるというと、必ずもう沿岸に帰ってくる。当初、終戦後においては、日本漁業政策の大綱としまして、沿岸から海洋へと、海洋からさらに遠く遠洋へという一つのスローガンを掲げて、日本水産行政としては、そういう一貫した姿の上に立ってきたのでありっまずけれど、も、最近の国際事情考えてみるというと、もうすでにそでういうことは望まれなくなっている。御承知通り李承晩ラインがしかれ、あるいは北洋漁業の問題にしましても、日・米・加の漁業一つの制約にしましても、あるいはアラフラ海の問題にしても、公海の自由であるべきにかかわらず、原子爆弾核実験等によって日本漁場というものは狭められてきている。狭められてきているがゆえに、やはり遠くへ行っていた人たちがやっていけなくなれば、結局、沿岸に戻ってくる。そういう大きなもう漁業の転換期にきているのじゃないか、私はそう思うのです。そうして同曲に、たとえば今度の北洋漁業の問題にしましても、日ソ間の条約は去年と同じように果して結べるかどうかということは、非常に疑問があるが、去年よりも十分にとれないというようなことになれば、当然北洋船団に対するところの圧縮という問題が出てくるし、それに伴うところの漁船なり漁民なりというものは、結局、遠くに行けないから沿岸へ戻ってくる。ここにまた魚価に対する問題が起きてくる。魚価というものにしぼっていかなければならない。こういう問題が今後も続々出てくると思うのですね。そういうことに対する調整あるいは整理という問題が、重大な問題になってくるのであって、やはりそういう問題もあわせてこの基本政策として当然考えられなくちゃならないと思いますが、その点に対しては長官はどういうふうに考えますか。  たとえば、先般も当参議院の予算委っ員会において、各派議員から、特に北洋漁業中心にしまして問題が提起されたときに、一体ソ連の方で承知しなかった場合は、水産庁は、あるいは農林省は今度の漁業に対しては強硬にでも実行するのか、北洋船団を出漁さして、あくまで日本公海漁業というもの、言本既得権というものを実行するのかという質問が、各派議員から出ているのです。岸総理大臣は、何とかして必ずまとめるということは言っていますけれども、今ソ連側の強硬な態度から見まして必ずしも私は去年と同様な状態に結ばれないだろう、あるいは本年結ばれても、来年、再来年という将来に対しては非常に、不安定な状況に置かれるだろう、そうしますというと、必然的に北洋漁業にしましてもあるいは太平洋の漁業にしましても、あるいはシナ海漁業にしましても、当然調整し、整理してそうして一応の日本水産あり方というものをはっきり今度立ち直さなかったならば、もうお互いに競争して貧乏して、苦しんで倒れていくという姿が、今後の漁村の姿ではないかと私は思いますので、根本政策としてそういう問題を今度の調査会で本気になってやるつもりかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  15. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 国際漁場の問題が即沿葦漁業の問題であるという認識については、われわれも同様に考えておるのでございます。その最も典型的な例は北洋漁業でございまして、これは決して資本家漁業ではないので、あれに出ることによりまして、沿岸の過剰な操業重圧ということが緩和され、あれが縮小することによってふたたび沿岸に対する圧迫になってくる、こういうことは明らかであるのでございます。そこで、これに対する対策といたしましては、われわれは、もちろん一方におきましては関係国との交渉によりまして、日本国際漁場に対する漁場をできる限り確保する努力をする、こういうことに努めておるのでございまして、現在の日ソ交渉状況も御承知通りでございます。ところで、それでは現在の沿岸においても相当過剰な操業重圧がある。さらにまた、こういうふうに国際漁場から帰ってくるものに対する措置をどうするかということに関しましては、われわれはまずできる限り沖合い漁場にこれらの行く先を求めるということに努めなければならない、かように考えるのでございます。で、現在北千島沖合いにおける試験操業実施しておるのでありますが、これもまたそういう意味において一つの安全弁をとにかく求め、漁場収容力を調べたい、こういう観点に立っておるのでございます。またシナ海のアジ、サバ漁業に関しましても、李ラインで締め出されましたまき網等漁場沿岸にできる限り遠ざけて、そして釣その他の方法によって多数の漁業者が末長くあそこで操業できるような調整をぜひはかって参りたい、かようなことで、目下かねてから御承知のような棒受網と釣との間の調整等についての検討を部内で進めておる次第であるのでございます。しかし同時にまた、今度の調査会におきまして、先ほども申し上げましたように、沿岸漁場をやはり沿岸漁民のために確保していく、そこに入ってくる能率的な進んだ漁場はこれは沿岸漁民との間に、ただいま申し上げましたような趣旨において、調整をできる限りはかっていく、こういうことに徹して参りたい、かように考えるのでありまして、そういう点の問題が、この調査会におきまして現在の漁場計画の再検討あるいは漁業調整委員会制度の再検討というふうな形においてさらに進めて参りたいと、かように考えております。
  16. 千田正

    千田正君 いずれも重要な問題でありまするが、これを二ヵ年もかかって結論を出すということでは、とうていこれは容易なことではない、むしろ緊急を要する問題ではないか、漁業制度調査会がかりに設置されましても、許可免許状等に関する問題は、二ヵ年であるからつ、その間にじっくり懐石に調査しよう、それは一両わかりますが、現実におきましては、ただいまのような国際漁場締め出しが、当然沿炭庫漁民にしわ寄せしてくる、そうするというと、日本水産業というものの再検討をしなければならない、これは緊急な問題だろうと思うのですま。この設置法案によると、二ヵ年かかってじっくりやろうという考えを、方には持ちながら、一方ではそうした緊急の問題を即時に片づけていかなければならぬ、こう思うのですが、この点はどう考えるかという問題と、それから調査会委員が二十五人以内で組織することになっておりますけれども、これの選出一体範囲は、どんなことを考えておられるのか。学識経験者という点は、毎年漁業やなんかので、同じような人ばかり出てきて実際審議の経過を見るというと、必ずしも実行に移るような審議をされていないじゃないかというふうにわれわれ考えるのであって、委員選出に対しましても、もう少し新しい感覚と、ほんとうに実行できるような委員を選んでもらいたい。それでこの二つの点お伺いしたいと、思います。
  17. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 先ほども申し上げましたように、われわれは調査会に対しましては、基本的に制度検討を求めるのでございまして、当面いたしております緊急の問題に対する処理につきましては、ただいま漁業調整上で起っております北千島あるいは束シナ海の問題について申し上げたのでございますが、これはすぐ今年中に直ちにこの問題の何らかの解決を求めなければならない、かように思うのでございます。また、沿岸漁業振興面におきまして起っておりますいろんな嗣題に関しましても、基本的制度解決を待つまでもなく、着々とこれが実現に努めて参りたいと思っておるのであります。幸いにいたしまして今年度の予算は、不満足ではございますうが、そういう方面におきまして若干の前進を受けることができましたことを喜んでおる次第でございます。  第二のお尋ねの委員選出範囲及び基準というものに問関しましては、われわれはこれが選出のバツク・グラウンドになります部門につきましては沿岸漁場及び漁村実態に明るく、かつこれの制度的な検討のにない手となるような人、及び国際的なあるいは沖合い遠洋操業に関する状態に通暁しておられて、同時にまたその制度の持っておる現在の矛盾に明らかな人、及び漁業協同組合、これが事業の推進及び制度的な欠陥等についての問題を十分、になっていただける方、こういうふうな範囲において真に学識経験者として十分期待できる人を選定をいたしたい。かように考えておるのであります。従って、これが委員の人選に当りましては、地域的なあるいはまた漁業部門間のバランスをとるということは、これはわれわれとしては厳につつしんで参りたい、実にこれだけの大仕事をやっていただけるのにふさわしい方を、そういう観点から選定をいたして参りたい、かように考えております。
  18. 千田正

    千田正君 ややもすれば漁業ボスと称せられる人たちが、非常に漁政――日本水産業界におきましては強い権力を持っておるために、一面においては沿岸漁村の中に住んでおるところの小さい姿の漁民人たちを救い上げなければならない、そういう意味からいいまして、この漁業制度調査会使命は、今後とも大きな役割をしなきゃならないと思います。それで、ボスの暗躍にあやつられないようなしっかりした指導と管理を私は要望しますが、大臣がお見えになりましたから、私は大臣にお伺いいたしたいと思うのは、ただいま水産庁長官にお尋ねしてお答えを得たのでありまするが、おそらく今度の日ソ漁業の問題を契機としまして、日本漁業あり方というものは考えなくちゃならないのじゃないか。ということは、国際漁場というものはだんだん締め出されてきつつある、はっきりいえば、戦後における日本の国民の生き方というものは、もう領土において縮小された今日においては、海より以外に日本民族の発展する方向がないのじゃないか、こういうので、戦後において海へ海へとやっていった結果が、結論においては李承晩ライン締め出しであり、あるいはアメリカ、カナダの漁場締め出しであり、ブルガーニン・ラインその他においてソ連からの締め出しなり、北洋漁業の問題、あるいは太平洋におけるところの核実験におけるところの締め出し、あらゆる面においてもう日本漁場というものは縮小されておる、こういう際に、一方においては沿岸漁民の生活の確立のために、こういう制度を設けなきゃならない。まず第一に私は大臣にお伺いしたいのですが、今日ただいまのところ、赤城農林大臣がイシコフとの会談の間にわずかに獲得したものは、カニ漁に対するところの話し合い、今日いまだもって北洋漁業の木筋に入っていない。一体いつになったらこの問題は解決するか、漁期はもうきておる、やれなかったら強硬突破してでも日本公海の安全操業の原則に立って、北洋船団を出漁させざるを得なくなってくる、そういう当面の問題について、大臣はどういうふうにお考えになっておりますか、その点を特にお伺いいたしたいと思います。
  19. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 赤城農相が出かけまして、なるべく早く北洋漁業の問題を片づけたい、サケ、マス問題を片づけたいと思って一生懸命努力いたしておるようでございますが、御承知のように向うには政変があったりいたしましたためにおくれた点もあり、ようやくこのごろ本筋の話をやりかかっておるという段階でございます。昨年ですと、もう今ごろは出漁しておったという状態でございまして、非常に私どもも気が気でないのでございますが、新聞で報道されただけで、昨日からの様子はまだ公電がきておりませんのでよくわかりませんが、経過はあの通りであろうと思います。昨日からきょうにかけてまた話が進み、きょうイシコフ漁業相との間で向うの考え方の最後の腹というようなものも出てくるのじゃないか、こういうふうに思うております。ここ数日のところが一番大事なところであろう、私どもの方には参っておりませんが、顧問で行っている連中は、十四、五日ごろには向うを立ってこようか、ということは、それまでに大よその話をつけなければならない、またつき得るというような心持で話を進めておるのだろう、こういうふうに思っております。私どものこの話を待っておるのは、オホーツク海の問題も禁止というような問題に入らないで、それから全般の数量においては、こちらの申し出通りにはかりにいかぬといたしましても、ソビエトの申し出はあまりに過少であるというようなこと等での折衝でいくんじゃないかというふうに思うておりますので、ただいまそういうふうな話がつかなかった場合は自由出漁するとか、あるいはその他の強硬な手段をとるとかいうようなことを言う段階でもないと思っておりますので、赤城農相、高碕代表等の、一生懸命な働きをして、われわれのところへ報告のくるのを待って、その報告によってわれわれの腹もきめなくちやならぬときもあるかもわかりませんが、いい意味解決することを期待して待っておる状態であります。
  20. 千田正

    千田正君 まあわれわれといたしましても、そのいい意味において妥結することを望んではおるのですが、昨年と比較しまして、だいぶん話し合いの妥結がおくれておる。で、ここ一週間かりにおくれても、また相当の出漁の準備その他に対してもおくれていく。当然私は、かりに今月中に妥結しましても、それだけ漁期の延期というものに対しては、日本側は強く主張しなければならないのじゃないか。今までソ連側の要求というものは、漁獲量を制限し、さらにまた漁期というものに対して一つの期限つきの条件を出しておるのです。で、おくれればおくれただけこっちはやはり期限の延期というものを強く主張しなければならないと思うのですが、その点については、十分にそれを主張し得るだけの確信を持って進められるかどうかということを、一応伺っておきたいと思います。
  21. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) サケ、マスの漁期の問題に関しましては、規制措置の討議をいたしておりまする段階におきまして、ソ連側は七月一ばいを期限とするということを提案をいたしたのでございます。で、これに対しまして、日本側といたしましては八月十日の現在の漁期の最終期というものは、これは絶対に確保しなければならぬということを強く主張をいたしたのでございます。で、ソ連側の提案に対しましては、ソ連側は昨年の日本操業状態から二十日で全部引き揚げたので、七月末にしても大した支障ないじゃないかということを申しておるのでございますが、しかし、ソ連側が意図いたしておりまする根拠でありまする未成熟魚がその当時とられるということに関しまして、われわれの科学的な、収集いたしましたデータによりますと、いささかもそういう不安はない次第であるのであります。そこで、サケ、マスの回遊状況から考えてみますれば、八月十日という現行の漁期の最終期を確保するということで大体実態に合うのではないか、かような考えを持っておるのでございまして、目下そういう主張を、強くソ連側と話し合いをいたしておる、こういう状況にある次第でございます。
  22. 千田正

    千田正君 もう一つは、先般ゼネバの国連主催の海洋会議において大陸だなの問題が一応決定した――決定したというより投票において日本が敗れた。その件につきまして、私は予算委員会で外務大臣に質問したのでありまするが、あの大陸だなが、日本側の主張の敗れたことによりまして、従来、日本と豪州政府の間の紛争解決の手段としまして国際司法裁判所に訴えることになっておった、これはまあ御承知通り国際法に基くというと、相手方の了解を得てへーグの裁判所に訴えることになっておりますが、これに対しては豪州側も了解しておったわけです。ところがあの大陸だなが設定されるということになりますというと、あの制限が強く要求された場合に、今まで日本側が要求しておったところの裁判に対するところの訴願権というものは、一方的に失われるおそれがあるのじゃないか。外務省の見解は、今まで訴えておったところの訴願権というものは継続すると、またがつての大陸だなの法律が決定しない前の権利は、ある程度既得権として主張できる、こういう見解に立っておりますが、最近の国際海洋法学者等の議論を結論から言いますというと、一応今度のいわゆる国際海洋法によって決定された大陸だなの決定権というものは、かりに国連に持ち込まれてそして日本側の主張が敗れたとするならば、日本側の既得権というものは喪失するおそれがある、こういう問題が起きとております。これに対しまして、日本既得権が喪失せずに、今後とも豪州との間のあの問題の解決に対して訴願権が当然継続できるかどうか、また継続させなければならないが、かりに喪失するようなことがあったとするならば、日本側が豪州の真珠貝採取という問題に関しては、今後、今までのような方法ではとれなくなってくるのじゃないか。そうすると、日本漁業に対するやはり一つの大きな損失であるとわれわれは考えざるを得ない。大臣としましては、この見解に立って、将来の方針というものをどういうふうに考えられるか、その辺のお考えを伺いたい。
  23. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 大陸だなの問題が海洋会議日本の主張した方向からだんだん離れてきておる、まことに残念に思うております。また、これは委員会の途中でありますけれども、私は、なお強い主張を本会議に持っていき、またこれによって各国の問の了解を得て、われわれに同調者をよけい作るという努力をすべきでありますが、大勢は、なかなかいい方にないと思います。さっそく問題になりますのは、今お話しになりましたアラフラ海の真珠員採取の問題でございますが、真珠貝の漁業の問題でありますが、これけ今度の話によりまして、沿岸国が、すなわちオーストラリアが排他的の権利を持つということになりましても、当然ほかの国のここにすでに権利を持って仕事をしておったという、すなわち今日の場合は日本でございますが、日本に対しましては、この委員会通りました原案の注釈にも、沿岸国はその権利を尊重しなくちゃならぬという注釈がついておるのでございますから、私どもの考えでは、当然としてオーストラリアが日本のやり方を全面認めないというようなことは言えないことに規定上からもなると思うのであります。また、岸総理とメンジス蔵相との剛に話し合いをした問題もありますので、実際上には多少の、いろいろ折衝で数量の問題等においてだんだん日本に不利だと思われるようなことも起ってくると思いまするが、これは話し合いで日本操業は続けていけるはずだと思いまするし、もし不幸に、ただいまお話のように、万が一向うが権利を認めない場合はどうするか。そういうときはやはり訴えの方法をとって、そして解決をするかという問題になりますと、日本との話し合いでおさまるところがなく、向うがあくまで日本を今度かりにいかぬというような問題が起りましたら、訴訟の道を私どもは当然とれるものと思います。必ずそういう方法によってこの権利を守らなくちゃならぬと思うのであります。その前段として、話し合いで相当な仕事をやれるのじゃないか。その次に、今この規定が成立するといたしました後としましても、第一番にとるべき方法じゃないか。そうしていかないときは、もちろん訴訟の道もわれわれは権利を保有しておく、こういうことになろうかと思います。
  24. 千田正

    千田正君 もう一つは、この大陸だなの問題が決定しますと、非常に大きな問題があるのは、この日韓間の問題、いわゆる李承晩が今まで勝手なラインを引いて主張してきましたあの李承晩ラインが、かりにある程度ラインが縮小されるとしましても、韓国のあの通りのやり方ですから、相当これはやはり大陸だなという問題を中心としまして向う側が主張してくるというと、日本の今までの漁業考えあわせまして、相当これは窮屈な問題になってくると思う。それに対する見解はどういうふうに持たれておりますか。
  25. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 韓国にも当然その問題が起ると思うのでございますが、ただいまのところにおいて、韓国と日本との問に話し合いが近く始まる段階までようやくきたのでございますが、こういう問題が当然起ってくれば、大陸だなの定義にはまる問題で話し合いをしなければならないということになりますると、これは李ラインの中の問題は、主として漁業の問題からきておるのは、これは御承知通りでありますから、今後、あすこの漁業をどうやっていくかという問題について、予備交渉の時分にもしきりに問題になりました。李ラインというものはこれは漁業の問題だと、魚族保護とかいろいろなことを言う問題が向うの主張でございましたが、これは李ラインとわざわざ言わぬでも、漁業問題としてわれわれは解決しようじゃないかということになっておりましたので、今度の本会議のときの一つの大きな問題として話し合いにだんだんなっていくと思います。ただし、ただいまのところでは、大陸だなの問題は直接は関係はないじゃないかと思うておりまするが、今のような方向で話し合いを進めていき、そうしてこの漁場をどうやっていくかということを、双方の立ち得るように、向うの権利も尊重しながら、日本の今までのやり方等についての理解を求め、そうしてできるだけの仕事をここでやっていくようにするのが、これから先の本会議一つの大きな仕事だと思っております。そのように努力したいと思っております。
  26. 千田正

    千田正君 先般、ゼネバの海洋会議において、ソ連側が非常に公海の自由という問題で、公けの海におけるところの自由操業の尊重ということを原則として、海洋におけるところの核実験禁止ということを議題に持ち出したのですね。そういう観点を持っておるならば、そういう考えソ連自体が持って、おるならば、なぜ北洋の漁業に対して公海の自由の原則を認めないかと、こういう面を日本側は強く主張すべきではないか。海洋会議においてソ連一つの国是としまして海洋におけるところの自由の原則を主張して、海洋において、公海において、アメリカ、イギリスその他ばかりでなくて、いわゆる原子力を持っておる国が公海において核実験をするのはけしからんと言ってソ連が核実験禁止を海洋法の中に入れようとその努力をしておるならば、日本側が今日北洋漁業において公海におけるところの漁業の自由を主張しておる立場からいって、ソ連側日本側の北洋漁業におけるところの要求を拒否する理由がないじゃないか、理論的には。そういう意味からいいましても、このHソ交渉において強く私はソ連側の反省を促してもいいじゃないか、それくらいのいわゆる国際法的な理念をもって今度の場合にもぶつかるだけの力を日本側も持っていいじゃないかと思うのですが、大臣はどう考えられますか。
  27. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) ソビエト側のオホーツク海においての、公海問題についての言い分は、公海の自由というものは一つも自分たちは反対はしないんだ、これはサケ、マスの魚族保存だという点のみなんだ、だから日本の船が自由に航行されることを一つも妨害もしない、まあ漁業の中でもカニは御承知通り昨年通り自由におとり下さい、サケは昨年十二万トン――昨年通りならばよろしいということにわれわれも賛成したというのだから、決して公海の自由に反対するわけではございません。日本公海の自由論に対しては、そういう言い分をされておるようです。まあこれにはいろいろ言い分は、われわれあるのでございますが……。オホーツク海におきましての問題、これは両方が魚族保存というならば、両方から、委員会組織しておるんだから、それによって日本側の各専門家その他の意見も聞き、あなたの方の側の意見も出して、そうしてそれでどうしてもここがいかぬというならば、そのときの問題で……、われわれは永久にここで漁業をやっていきたい、サケ、マスの漁業を続けていきたいのだ。それを如害をしようということは言わないのだけれども、ソビエト側のいわゆるオホーツク海の公海の自由論と、それからそこには自分たちの船も出ていかないからお前たちの船も出てくるなと言われるのですが、向うはそのかわりもっと近くへ寄ってきたところで領海内で自由にとれるので、わざわざ遠くまで出ていかないでもいいのですから、これはあたりまえのことです。そういうところの心持ちつのいき違いと、それから公海の自由論と、それから魚族の保存ということについては、日本側はもっとあなた方の想像以」に熱意を持っているのだ、しかし、その意味からしてもされを押える必要けないということで、しきりにやっておりますわけで、あなたのお話のつような心持も強く含んで話をしておるはずだと思いま出す。
  28. 千田正

    千田正君 それで、今まで長時間大臣ともいろいろ論議をしましたが、結局のところ、国際的な問題として将来この大陸だなの問題にしろ、あるいは公海におけるところの核実験の問題にしろ、いろいろな問題を含んで国際的な舞台で活躍する場面が非常に今後大きくなってきておる。それに対処するように日本側も国内においての、農林省としましては――この資源保護ということを掲げて、各国とも今後は主張してくるだろうと思うのです。その資源保護に対して――やはり場当日本側の主張を強くするためには、国内における研究機関の拡充強化ということと、そうしてまた、国際的の分野において日本の主張を強く貫くだけの準備が必要だろうと思います。にもかかわらずに、実際においては水産庁のその方面の予算、研究機関その他の調査機関の予算は、きわめて私はふさわしくない少額の予算であると思いますが、今後、これは臨時的にも追加して、今後の問題に備えなければならぬと思いますが、大臣と、してその意思ありやいなや、伺いたいと思います。
  29. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 御承知のようにいろいろこれから先、国際的な問題もだんだん多くなってくる、日本漁業が外へ外へと伸びていけばいくほど、いろいろなところの問題が起ってくると思うのでございますが、まあこれにつきましての調査というものが、どんな場合でもいろいろな仕事を大きくやるには、大事でありますが、われわれといたしましても調査をできるだけやって、そうして実行に当りまして違算のないようにするということは、当然努めなくちゃならぬのでございます。今日の予算は、ただいまお話のように非常に少いじゃないかということでありますが、技術会議その他の予算等いろいな面で相当の準備ばいたしておりまするが、またできるだけの仕事をやらしていきたいし、将来は、この漁業問題だけでないのでござざいますが、私が政府におってこういうことを言うと、それなら予算をもっと盛ったらいいじゃないかということになるかもしれませんが、各方面の調査方面に対する予算措置等がまだまだ不十分でございます、これはだんだんとふやしていって、ぜひいろいろな場面にぶつかってあわてないようにするように、今後努力をいたしたいと思っております。
  30. 千田正

    千田正君 だいふ暗間もとりましたが、最後に一点伺います。  先般来、国際漁業の問題の一つとして、ラッコ、オットセイの問題が出たのでありますが、これは国内措置を早くやらないと、すでにラッコ、オットセイがイルカとともに接岸している今日、この食わなくちゃならないという状態に追い込まれた沿革漁民のうちで、生活の苦しい漁夫はやむを得なく国際法を無視してまで、あるいは国内法の措置を無視してまでも、捕獲せざるを得なくなってくる。これは何としても早くこの漁業転換をやらなければならない。ところが、現実において私はまだ十分その転換が進んでいない、こう思うのです。そうして間もなく、もう漁期に入ってきている。多少でも日本側の国内法に縛られておるし、国際条約はもちろんのこと、国際条約で海上捕獲を禁止されている今日において、どうしても生活に困った漁夫がかりにラッコ、オットセイを捕獲した場合において、この責任は漁夫そのものでなく、て、日本政府の責任になってくる。国際間のいわゆる信義からいけば、国際信義を破るものは言本であるということで、日本政府がかぶらなければならない問題だ。だから国内措置としては、一日も早くその転換をしなければならない。転換の方法においては、いろいろ水産庁長官はわれわれに声明しております。声明しておるが、その進捗ぶりを見ると、むしろ船を持っておるある程度転換できるだけの人に対しては、転換の方法を講じているのが、転換できないほんとうにあしたからでも別の方法で食っていかなければならない連中の方には、その手が仲びていない。ところが、捕獲するというのは、そういうやむにやまれないで苦しい立場にあるところの漁夫がやるのでありますから、そういう人々を一日も早く救い上げない限り、この問題は必ず国際的な問題として、日本側が向うから非難されるところの、あるいは信義を破る国として日本が非難される立場に置かれる。そういうことをわれわれは考えましたときに、一日も早く問題の解決をしなければならない。この善処方を大至急やってもらいたい。その進捗ぶりは一体どうか、方針はどうかという点と、もう一つは、先般来太平洋上において行われたところのイギリスのクリスマス島周辺における核実験によってこうむった日本側の損害の賠償についてはどう進んでいるか。並びに最近行われるところのアメリカの核実験に対して、日本側、ことに漁民その他に及ぼすところの影響があるものと思われるとろのアメリカ側核実験に対して、過去の核実験に対しての損害の賠償並びにまさに行われ上うとしているところのこの問題に対しては、大臣として、どういうふうに考えておるか、この点にしぼってお話をしていただきたいと思います。
  31. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 初めのイルカ漁業仕事の転換の問題でございますが、これは第一次の融資の指令も出し終っております。どうして補助するか、補助要綱等も決定したのでございますが、だんだんとこれは進んでいくものと思います。なお、その進行状況を詳しく政府委員からあとで申し上げます。  それから第二の、クリスマス鳥の実験につきましては、賠償の要求を出し、また、今今後行われる問題については、抗議中でもありますが、損害が起ればもちろん賠償を要求するという方針でおります。これにつきましても、政府委員から補足説明をさせます。
  32. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) イルカ漁業者の転換に関しましては、ただいま御指摘のございましたように、食うに困ってオットセイの密猟をやるという連中が、むしろ低い階層に多いということも、容易に想像されるのでございましてそこで、一番当初考えましたのは、三十トン以上の代船を、三十トン未満の船を持っておる者について建造させまして、それに対して廃船交付金及び建造補助金あるいは漁具の補助金等を交付する、こういう方針を立てておったのでございますが、ただいまもお話がございましたように、必ずしもその全部に三十トンの代船の建造を期待することは無理だという事情から、船の機関の換装、あるいはまたそのまま漁業をやめる者に対する対策等もあわせて取り上げまして、そしてそういうことのために若干遅延をいたしましたけれども、すでに方針も決定をいたしております。大蔵省との間に残っておりました問題も一つあったのでありますが、それも最近完全に解決をいたしました。そこで、ただいま大臣からお話がございましたように、すでに金融公庫から、まず第一次に金融ベースに乗るものに対する融資を決定して、これを金融機関に対して指令も出しておる次第でありまして、今後、代船の建造あるいは機関の換装等の進むに応じまして、補助金もどんどん出せる運びに相なろうかと、かまうに考えておる次第でございます。  次に、太平洋におきでまする原水爆の実験についての日本政府の立場については、もう御承知通りでございます。今具体的に額を申し上げる過程には至っておりませんけれども、クリスマス島につきましては、すでに要求を出し、また近くエニウェトクで行われますアメリカに対しましては、一方において抗議を申し述べるとともに、これによって起りまする損害については、われわれとして賠償を要求することをアメリカにもすでに申し出ておる次第でございまして、これによりまして善処いたして参りたい、かように考えております。
  33. 千田正

    千田正君 最後に要望だけ言っておきます。  大臣は、まあ今度臨時にやっておられるのですが、今、長官からお話のありましたいわゆるラッコ、才ットセイの転換資金ということは国際条約におきましては、もう日本の海上の猟獲をしないでくれ、海上で猟獲をやめてくれ、そのかわり、皮代として一五%日本側に渡すから、海上猟獲をする漁師の人たち漁業転換並びに日本政府の十分なる監督のもとに、海上猟獲を禁止してもらいたい、その費用の分として年々一五%の皮代を日本側によこすというのでありまして、これは日本のいわゆる国民の税金から善処しなければならない金ではないのであります。海上猟獲をしないという約束のもとに、その代償としてよこされる金なんだから、私は、日本側の政府として、条約を結んだ以上は、その入ってくる金の範囲内において、政府が十分に監督指導し、かつまた、漁民が転換して、海上猟獲をしないような万全な策を期さなければならない。そういう意味で、私は今、長官のおっしゃったのは一つの方法としてはけっこうですけれども、それは資力のある人は、ある程度それで一応転換の方向にいけると思います。資力のない者は、これでもう漁師をやめるのだ、海上猟獲をやらないのだ、やらないかわりに、何かの方法で生きていかなければならない。ところが、密猟をやろうというのはこういう人たちの方が多いのでありますから、食えないやつの方が多いのだから、これをやめさせて、そうして国際信義に基く日本の政府の立場を明らかにしなければならないのが、現今置かれているところのいわゆるイルカ漁業に対する対策だろうと私は考えます。これはあくまで日本の国民の税金を出せというのではなくて、これをやめてもらいたい、そのかわり皮代として日本に上げますというその金の中で処置する問題でありますから、これは万全を期してやってもらわなければいかぬ、これは強く要望いたします。そうして、またこの問題等をも含めまして、今度漁業制度審議会というものは、国際漁業の行き詰りが、やがては沿岸漁業への大きな影響に立ち返ってくるので、この制度の根本的な政策を審議するに当りまして、そういう国際的な分野を十分に御研究の上に、万全の策をとってもらいたいということを、特に私はこの法案の審議に当りまして、大臣並びに政務次官、長官に強く要望いたしまして私のきょうの質問は終ります。
  34. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 大臣がお見えになりましたので、時間もないそうでございますから、大臣にだけお尋ねをいたしたいのでありますが、皆さん御承知通り、現在の日本の周辺というものは、先ほどからの千田委員からの話もありました通り、海の方が非常に窮屈になって参りまして、また、問題も非常にたくさんに出て参っております。私どもは、かつて三十七年から八年にかけまして、この重大な問題が将来起ってくるということも予想されますし、国内、国外ともに多事でありますので、水産の行政機関といたしまして、水産省を設置しろという声が非常に強くなりまして、その提案を当時の水産委員会審議いたしておったのでありますが、ちょうど行政機構改革の問題の起った当時でもありましたし、時期尚早といったようなことから、遂に日の目を見なかったのであります。ちょうどただいま石井農林大臣は、行政管理庁の長官も兼ねておられますので、好都合でありますが、かような海に関する問題が非常に大きくなって参りまして、ことに海洋法の国際会議等において決定される問題は、ことごとく日本に不利な面が多い、ことごとくとも言えませんが、ほとんど日本の主張に反するようなものが多いのであります。従いまして今後これらによって生ずるトラブルもかなり多いのじゃないか、北洋の漁業にいたしましてもしかり、また、日・米・加三国の問題にいたしましても、またさらに北洋の漁業にいたしましても、本年どうにか妥結を見ましても、また明年起り、明後年にも起るといったような気配もございまして、非常に重大な時期に到達していると思います。そこで、最近に至りましては、水産というものばかりでなく、いわゆる海洋を含めた問題として、海洋省の設置といったような声もあるのでありますが、こういう点につきまして、石井行政管理長官を兼ねている農林大臣に対しまして、どういう御意図を持っておられますか、お伺いしたいと思います。
  35. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 水産の非常な重要性ということは、もうかねてからいわれまして、今のお話のような話も絶えず今までも聞いている問題でございます。そういう直を聞き、また実際の問題もあわせまして、現在の農林省の中の水産庁、こういうことに落ちついているわけでございますが、私どもの考えは、まだ結論から申し上げますると、水産省の設置ということまで考えないのでございます。と申しますのは、機構がややともすれば拡大される。なるべく簡素にして能率の上るような方法をとるべきだという上戸これは当然なことでありまして、年中そういう心持をもって行政機構全般、定員の数等にも思いをいたしていかなければならぬのでございますが、今の情勢、非常に問題は広範にいろいろ起つてくる、またこれから先の進展という問題、狭められた場所にかわってもっとほかに強く伸びていくという問題も、日本としては考えなければならない問題だと思うのであります。現に、話だけでまだ一向進まないのでありますが、タイの国と共同で漁場を設置しようとかいうようなこと、こういうような問題が起ってくると思います。そのためのいろいろな調査研究また実際に当っての十分な力を持たなければならぬわけでございますが、これは今の水産庁の中を、質においても大いに充実いたしまして、そして御要望に沿うように、そして各方面の知識は審議会等において受け入れまして、これの実行にどんどん進んでいくということで、今のところ、水産省までいかずに、水産庁でやっていきたい、こういうふうに思っております。
  36. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今、石井大臣のお話では、そういうお考えを持っておらぬということでございますが、私どもといたしましては、かつて水産委員会がつぶれ、また水産庁が内局として水産局になろうとしたときに、非常な抵抗をいたしまして、これをどうにか食いとめたということは、水産庁を作った趣旨は、これは水産省を設置するところのいわゆる橋頭堡である。これを拡大強化して水産省に持っていこうという意図が、業者の間にもあったわけでありますが、今もってそういう時期に到達しておりませんが、繰り返し申しますように、非常に問題は、われわれの将来伸びんとする海が非常な大きな問題の場面となっております今日、単に水産という問題ばかりでなく、海洋という問題も引っくるめた一つの行政機構を作る必要がだんだん深まってきているのじゃないかというふうに考えますので、今直ちに作るとか、作らぬとかいうことは、御答弁を期待いたしませんけれども、こういう面について、内外の要請から、この漁業制度調査会を設置するゆえんもそういうところにあるのでありまして、特に今後大きな問題として御考慮いただきたい、かように考える次第であります。それからその他の問題につきましては、時間もないようでありますからつ、あとで質問をいたしたいと思います。
  37. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 午前の審議はこの程度にいたしまして、しばらく休憩いたします。午後二時から再開いたします。    午後零時十五分休憩    ―――――・―――――    午後二時四十分開会
  38. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 委員会を開会いたします。  漁業制度調査会設置法案議題にし、質疑を続けます。  御質疑の向きは御質疑を願います。
  39. 東隆

    ○東隆君 私は、最初に委員長にお伺いをしますが、私どもの方のいろいろの法案を審議する場合に、設置法に関係をする法案は大てい内閣委員会にかけておるわけでありますが、これは漁業制度調査会設置法と、こういって付則で、付則の二項で水産庁設置法の一部を次のように改正すると、こういうふうにして、実のところを言うと、これは常識から言うと、内閣委員会にかけるべき筋合いのものでないかと、こう考えますし、聞くところによりますと、衆議院の方で、これは内閣委員会の方でもって審議をされている。こういう経過になっておりますから、参議院の方の議運でいろいろな問題があったろうと思いますが、委員長承知だろうと思いますので、その点を一つ御説明を願います。
  40. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 今、東委員から御意見があった通り衆議院では内閣委員会にかかっておるのでありますが、参議院ではこの本農林水産委員会にかかってきたので、その間の事情はとくと承知いたしておりませんけれどもが、この本委員会審議を面してきたので、その通りやるべきものだと思ってやっております。
  41. 東隆

    ○東隆君 委員長がおっしゃったことから考えますと、議運の方で決定をして、こちらの方に議区長から差し回してきたから、あまり疑問もいだかないでおやりになった、こういうわけでありますが、私は先般のたばこ耕作組合法、こういうものを考えましてあれは大蔵委員会でもって審議をされておる、ところがこちらの方に申し入れをして、そしてある程度の成果を得た、成果は得たと思いますが、しかし、もし参議院の方で農林水産委員会にかけるべきが至当だといって議運でもって決定をすればこちらの方でお受けになって、そして何も検討を加えないでお受けになってお進めになるおつもりですか。
  42. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) その点は、従来の慣行で、設置法は内閣委員会に皆かかっているのですが、私個人としての見解は、農林省に関する今度かかっておる食管の経理部を置く設置法にしろ、それからまた今これから審議いたします漁業制度調査会設置法案、まあこういった法案としても私個人とすれば、私は当然農林水産委員会審議する方がこれがほんとうじゃないかという見解を持っております。その方が、いわゆる専門的のそういう知識の人が当委員会には非常に多いし、それが私個人とすれば当然じゃないかと、かように一方では考えております。
  43. 東隆

    ○東隆君 私は、委員長の答弁は非常に満足なんですが、しかし、私もそういうふうにするべきじゃないかと思いますが、院の今までの習慣として設置法関係は内閣委員会でもってやる。こういうふうになっておりますんで、この間非常に関係のある問題、そういうものについては委員長は今後合議をするとか、あるいはその問題について特に説明をやっておるのでございますが、そういうようなものについてこの委員会に相当お諮りになって説明、あるいはそういうような機会を作るように今後やっていただきたい。こう思うのです。と同時に、私は委員長があまりお考えなくこのままやりましても、しかし、これは将来いろいろな問題でもって争い、争いというと語弊がありますけれども、他の委員会との関係でむずかしい問題を起す場合ができてくる。それから私の言うの、ぜひやりたいというような場合に、それをやらさないように、そういうような事態も起きてくると思う。ということを、よくお考えになって、そうして善処をせられたい。こう思うわけです。その点をどうぞ。
  44. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 状況判断を十分そのおりおりにいたしまして善処いたしたいと思います。
  45. 東隆

    ○東隆君 私は、それではこの漁業制度調査会設置法に関連をして質問をいたしますが、この漁業制度調査会設置法の、この「設置」と書いてありますが、これは設置の目的であろうと思いますが、この場合に「漁業事情の推移にかんがみ、漁業に関する基本的制度改善に関する重要事項を調査審議する」と、こういうばく然と、これは抽象的な言葉で表現をされております。で、一方この水産庁設置法の中身を見ますと、これは設置法の第八条で、非常にいろいろな種類の審査会あるいは調整審議会その他の委員会がたくさんあるわけです。そこで、これはほとんど漁業に関連をしたところのものであって、こういうばく然とした「漁業に関する基本的制度改善」と、こういうふうなことになりますと、これは各般のことにまたがってくるようにも考えますし、それから今回の場合はここにあげてあるところのものは除いております。小範囲にとどめるようにも見えますし、いろいろ疑問が出て参るわけであります。そこで、この設置法によってどういうことを御論議になっておるか、その中身をお聞きしたいわけであります。
  46. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 午前中の審議におきましても、ただいまお尋ねに相なりました点についてお尋ねいただいたのでございますが、まず設置法の第一条の「漁業事情の推移にかんがみ、漁業に関する基本的制度改善に関する重要事項を調査審議するため、」こういう表現を用いました気持を申し上げたいと存ずるのでございます。で、それは御承知のように、現在の漁業法は昭和二十四年に制定されまして二十六年にこれに対しまする制度の切りかえが行われたのでございますが、この現行漁業法は、明治年間から引き続き実行して参りました漁業権に関しまする基本的な制度というものに関しまする制度の切りかえをねらいまして、制定実施を見たのでございます。しかし、その後におきます漁業事情というものは、あの当時に比べましては、いろいろ推移がありましたことはもう御承知通りであります。一方において国際的環境についての変化もございますし、また漁業内部におきます進んだ漁業と、おくれた沿岸漁民との相剋摩擦というものについても一そう何らか基本的な対策を講じなければならない、こういうふうな状態に相なって参りましたし、また沿岸漁村がますます窮乏いたしておりましてしかもあの現行漁業法でねらいました漁村の民主化及び協同組織化というものもまだ不十分であるというふうに、その間にいろいろ事情の推移があり、不十分な点があったのでございます。そこで、第二条で申し上げておりますように、「漁業生産に関する制度及び漁業者の協同組織改善に関する重要事項上、これを取り上げなければならないと、かように考えておるのでありますが、漁業生産に関する制度と申しまするのは、漁業権及び漁場管理並びに漁業調整に関しまする制度でございまして、これにつきましてはまたお尋ねによってお答え申し上げまするが、またいろいろ現在問題を包蔵いたしているのでございます。また、漁業者の協同組織に関しましても、一方におきまして漁業協同組合漁業権管理主体であり、また同時に経済行為の機能を達成するように、昭和八年の法律改正によりまして、二元的な使命を持っているのでありますが、そのいずれの面におきましても、必ずしも今十二分にその機能を発揮しておらない、この二元的な機能自身がそれぞれの機能の達成に支障を来たしているのじゃないか、こんなふうな点もあるのでございましてそういうふうな事項を調査審議を願うという意味におきまして、この調査会を設置することにいたしたのでございます。
  47. 東隆

    ○東隆君 そうすると、大まかに見て、漁業法とそれから水産業協同組合法、この二つを中心にして調査を進めると、こういうふうに理解してようございますか。
  48. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) それとともに、水産資源保護法という法律もございます。これも当然重要な検討事項の対象になるかと存ずるのでございます。しかしながら、われわれ必ずしもこの三つの法律だけに限定するわけには参らないのでございまして、たとえば先ほど申し上げました漁業に関しまする国際環境のいろいろな変化、目下審議されておりまする海洋法の問題、そういうふうな問題にも当然調査会は視野を広くして、制度をいかに変えていくかということも考えなければならないと、かように考えております。
  49. 東隆

    ○東隆君 この設置法によりますると、この漁業制度調査会は相当恒久性を持つたもののようにも考えられますが、調査をする範囲のものでもって早急にきめなければならぬものもありますし、それは長い期間にわたってやらなけれ場ばならぬものもございますが、これを臨時的なものにしないで、ここに現われておるように、何か水産庁の付属機関として恒久性を持たせるようなものにされた意味はどういうところですか。
  50. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 正面から水産庁設置法の改正でやらないで、単独立法を持ちまして漁業制度調査会を設置する、こういうことにいたしましたゆえんのものは、必ずしもこの調査会を今後恒久的に残すというよりも、当面一応の目標を置きまして、その間に審議結論を出したい。しかしながら、どうしても残る問題については、さらにあとに問題を残す、残しても調査会審議を継続する、そういう意味を持っておるのでございます。しかしまた一方、閣議決定等によってこの調査会を設立することにいたしませなかったゆえんのものは、この調査会がある程度、ただいま申しましたような恒久的な性格を、半恒久的な性格を持たさなければならないということに基いておる次第でございます。われわれといたしましては、昭和三十六年度に現在の漁業権の更新時期が参るのでございまして、その時期の一年前には漁業権あるいは漁業調整あるいは漁業許可制等についての制度の改正を要するものがあれば、それを一応立法しておく必要があるかと思うのでありまして、一応それまでの間に最も緊急を要しまする沿岸漁村振興、さらに言葉を足しますれば、沿岸漁民に対しまして漁場総合利用を確保して、そしてすぐれたる漁業沿岸漁民の零細な漁業を食つてしまうというふうなことのないような安全組織をそこに考えたい。そういうことを少くともこの二年ぐらいの間に結論を得て制度の立法に資したい。こういう趣旨でございます。しかし御承知のごとく、沿岸漁業に関しまする基本的制度というものは、その端を徳川時代浦浜制度から発しまして、今日までまたそれぞれあるべくして今日の状態に至っておるのでございまして、これをいろいろな問題を余すところなく一挙に解決するということは、なかなかこれも困難であろうかと、かように存じておるのでありましてその際においては、その二年の期間がたちました後におきましても、あるいは調査会をさらに引き続き活動させるというふうな必要も起つて参ろうかと、かように考えておるのであります。一応二年間で結論を持ち出すということで努力をいたして参りたい、かように者えております。
  51. 東隆

    ○東隆君 この調査会組織の而でお聞きをいたしておきますが、委員二十五人以内、こういうことになって、会長は農林大臣が任金をする、こういうことになっておるように思いますが、そういうふうにして、そうして専門委員を置き、一つ調査会のグループは、これはどういうような機構でもっておやりになるつもりですか。上の方に委員会があつて、その下に専門委員が所属して、そしてこの調査会をおそらく専門委員が担当して、そして調査を進めると、こう思いますが、そういう機構で、そして委員会でもって研究のいろいろな題目を与えてみんなにやらせるのか、それとも役所の方であらかじめいろいろな問題を出されて、そうしておやりになるのか、機構がどういうふうな形にこの構成ができるのか、その辺少しお話を願いたいと思います。それから問題は、その機構によって委員のいろいろな選び方がまたきまつてくると思います。上の方で決定をしてしまつて、そしてただ農林大臣に答申をするような形のものならばそういうものもありましようし、それから、もう少し調査の方面を徹底的にやつて、過去の歴史から調べてきて、そしてまた魚価の経済調査とか何とか、そういう基本的なものをずっと進める、そして今お話しになつたように、共済制度の方面なんかもありますし、いろいろな方面が、漁業制度としては、ものすごくたくさんあると考えられますが、そういうような多方而にわたるとすれば、これは普通の予算なんかでできるものでもないし、従ってどの程度のお考え方であるか、及び機構はどんな機構一になるのか、その辺をお話願いたい。従って委員学識経験者から任金をする、こういうようになっておりますが、どんな方面からか、具体的に、もし例をあげられるならば、それをお聞きしたい。
  52. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 調査会委員は、大きく分けまして二つ、さらにややその中を分類いたしますと、三つのこれが背景になりまする基盤に応じて人選を考えなければならない、かように考えております。すなわち、一つ漁業生産に関する事項であり、それからもう一つ協同組合組織及び機能拡充に関する問題であるかと思うのでありますが、漁業生産に関する問題に関しましては、これは漁業権及び漁場管理利用、さらに漁場調整、こういう問題が第一のグルーブである。それからさらに第二のグループといたしましては、遠洋及び沖合い漁業、これに対しまする許可制及びそれらと漁業の間の内部の調整、そんなふうな問題がもう一つのグループであろうかと思うのでございます。で、それぞれにつきまして、真に学識経験を持ち、地域的な、あるいは部門間のバランスをとるというふうな意味における人選は絶対にしない、こういうことに徹して人を選んで参りたい、かように考えておるのでございます。ただいま会長についてのお話が出ましたが、会長は、委員の互選によって選んでいただく、こういうことにいたしたいと考えておるのでございます。また専門委員につきましては、これはそれぞれの部門について、やはり調査会としての議決には参加しないが、専門的な観点から意見も述べ、また調査をする、こういう方々を当然期待しなければならないと思うのでございまして、まあ一つの例をあげますれば、たとえば調査会としましては、その機能を果します上におきまして、現在の漁村実態というものも、さらに掘り下げて調べなければならない、そういう意味において、漁村運動家というふうな方にそういう方面の専門委員になっていただく、あるいはまた協同組合機能を達成いたしまするために、あくまでも金融というものを円滑にするのにはどうしたらいいか、金融ベースに乗る協同組合を育成するという観点から、そういう方面の専門の人に参加していただく、こういうようなこともあろうかと思うのでございまして、しかしこれらはいずれも、単に専門的事項についての学識を調査会に提供するという立場にとどます方であつてけつこうなんじゃないか、かように考えておる次第でございます。調査会の内部の組織といたしましては、いずれ調査会委員がおきまりになりましてから、中で御相談をいただいてきめることであるのではございまするが、結局中におきまして部会の組織を講じなければならない、かように存ずるのであります。そこで骨頭に申し上げましたこれが背景に相なりまする三つの漁業基盤というものに応じまして、三つまたは二つの部会を作り、しかも通常ありまする部会の決議をもって調査会の決議とするということでなしに、部会で検討いたしましたものを、それぞれ調査会の本会議におきまして、常にその間の調整をとつていく、こういうふうなことに運営をして参らなければならないかと、かように考えておりまする次第でございます。
  53. 東隆

    ○東隆君 そうすると、この漁業制度調査会委員というのは、これはちょっと何からいくと、デイグリーが少し高い人、それから専門委員というのは、それよりも少し低い人というと語弊がありますけれども、二段がまえになって、そうして部会を二つないし三つこしらえる。その場合に、上の方の委員を分けてやはりそれぞれその部会に所属をするわけですか、ただ専門委員だけが所属をするわけですか。そして決定をするときに、部会で決定をしたものを、直ちに本会議で決定するんじやなく、部会に出ているものを本会議でもって決定するんだ、こういうお考えですから、部会に所属をさせる方がいいか、させない方がいいか、ちょっと問題があろうと思いますけれども、その辺のところはどういうお考えですか。
  54. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 委員は、それぞれ部会に分属をする、こういうことに相なろうかと思うのでございます。もちろん中には総務的な観点から、全体の統轄にのみ当り、部会に所属をしない方も一、二あるいは出てくるかとも存じますが、そこで、ただいま部会の決議をもって調査会の決議としないということを申し上げましたのは、実は漁業権制度の問題、あるいは漁業協同組合の問題、これは相互に非常に関連があるのでございます。従いまして部会の決議を直ちに本会議にかけて調百会の結論だ、こういうことにすることは、これはむしろ避けた方がいいのでありまして、部会で検討されて一応結論が出れば、それをさらに総会に持ち寄りましてそうしてそこで各部会の意見を調整をしました調査会としての結論を出す、こういうふうな運びにいたすべきかと、かように考えましてその意味を申し上げたのでございます。
  55. 東隆

    ○東隆君 相互に関係のある仕事であるために、総会を開いてそうりしてそこで決定をする、こういう関係はよくわかるのですが、部会に所属をさせることによって、委員を部会に所属させることによつ、て人の人選がこれはだいぶいろいろな面で片寄つてくるし、非常にここでもって決定をされてきた事項つが、実は非常に何といいますか、漁業制度、あるいは漁業法の改正、あるいは水産業協同組合の改正等に当つて非常に問題が現にある点ですつね、こういうようなものつにとつて実は決定的なものが出てくるのじゃないか。だからそこでもって決定した――調査会で決定された事項が、直ちに水産庁がそいつを取り上げるような形になるのか、これはなかなか問題があろうと思う。そこで、調査会委員の中に、農林省の、たとえば水産庁長官が中にお入りになるのかどうか。そういうような問題が、これはだいぶ会の性格に関連をしてくると思う。諮問程度の形になって出てくるのつか、この会でもって決定をしたこと即――水産庁の設置法によって決定した組織なんだから、そこで決定したことは直ちに水産庁でもってそういう方向に法案その他の問題はやらんけりやならぬ、こういう問題が出でくると思うのですが、そこで決定をされた事項がどういう効果を持ってくるか、この点一つ政府が原案を作成をする場合に、どの程度の圧力を持つ決定事項か、これはちょっと問題があろうと思う。私はこの調査会そのものの性格がよくまだのみ込めないので、そういう疑問が出てくるのつですが、その点はどうですか。
  56. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 調査会委員に関しましては、これは役人は委員として内部に参画をしない。ただこれに関する庶務は水産庁において行いまして事務の整理に当るだけだ、かように考えております。で、あくまでもただいま申し上げましたような基準に従いましてしかるべき入を選びましてその方々に自由に、潤達に議論をしていただく、かように期待をいたしておる次第でございます。そこで、調査会の決定された事項については、役所としてはどういうふうに扱うのか、こういうことに関しましては、調査会は当然農林大臣の諮問に対して御答申をいただくのでございます。あるいはまた必要があれば積極的に建議もいただくことができるのつでございます。農林省及び水産庁といたしましては、の答申及び建議を尊重いたしまして、必要なる法律改正その他の施策の準備をする、こういう運びに相なるのでございます。
  57. 東隆

    ○東隆君 今、お話しになつた建議、あるいは諮問に対する答申、そういうようなことは、実は条文の中に書かれてありませんので、非常に疑問を起したわけでありますが、調査会は多分その程度のものだろうと、こう思っております。  そこで私は、それにしても、人選という方面においてその専門委員と、それから委員の人選というの、これは非常に重大なことになろうと思うのですが、日本の国は東西に長いというよりも、南北に長くてそして非常に漁業の形も違つておりますし、そんなような関係で、地方からおそらく選び出すということも出ましようし、専門委員になりますると、これは非常に恒常的な、常にそこにいて臨時じやなくて、常勤のような形でもって専門委員の人にはやつてもらわんけりやならぬじゃないか、こんなようなことも考えるのですが、委員は適当な機会に集まればいいのですけれども、専門委員の方は、これは常勤制度みたいな、そんな形でもって進められる考え方ですか。
  58. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 専門委員に関しましては、これも委員と同様非常勤としてお働きいただく。必要があれば、もちろん旅費も予算の上に組んでおりまして、地方の御視察等もお願いすることもあるかと存じますが、しかし身分の上におきましては、ただいま申し上げましたようなことに考えておるのでございます。  そこで、現実にまあいろいろ事務を処理する、あるいは資料を分析するというふうな必要が起つて参りますれば、これは委員なり、専門委員なりの御指示をよく伺いまして、役所の方でそういう事務の整理に当らせるということにいたせば十分ではないか、かように考えております。
  59. 東隆

    ○東隆君 水産庁長官は十分だと、こう言われておるのだけれども、せつかく会をこしらえられて、そして事務局はこれは水産庁の中にもちろん置かれると思いますが、専門委員はこれも非常勤、それから委員はもちろん非常勤、こういう形で、日ごろは私は水産庁でもって指図をしてやるというような形にしちやならぬのじゃないかと思う。はなはだ心細い調査会が設置されるような気がしてなりませんが、これはせっかくこしらえられるのですから、中身をもっと充実させて、そしてりつぱな専門委員を置き、そしてその人に、地方の調べをする必要があるならば、どんどん行って調べてもらって、そして本格的に結論を出すような、そういう運びにしないと、皆非常勤で、そして事務局に働いておる人が、手紙を出すような、そんな仕事くらいやつておったのじや、これは本物にならぬと思うのですが、はなはだ今のお話では、心細い調査会のような気がしてなりませぬが、水産庁長官はこの程度のもので十分に目的を達し得るとお考えになりますか。
  60. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 今日水産庁におきましては、たとえば中央漁業調整審議会、こういうふうな委員会も持っており、あるいはまたこれは法律には基づいておりませんが、漁業共済制度調査会というようなものを作りまして、漁業共済制度についての本質的なあり方について検討いたしておる次第でございます。で、水産庁のそれらの委員会の動きを見ておりますれば、結局その委員の方の人選、その委員の方の持っておられる学識経験の内容、迫力というものが、その調査会をうまく動かす、かように考えるのでございまして、必ずしも常勤化しまして、それぞれの専門において、別に本職をもって十分その方面に働いておられる方を役人というシステムの中に拘束するというふうなことにしなくてもよろしいのではないか、かように考えておるのでございます。従いまして問題は、委員及び専門委員の人選についていかに適格者を選ぶか、こういうところに私はあるかと、かように与える次第でございまして、それにつきましてはわれわれできる限り、単なるバランスというようなことには全然とらわれないで、真にそれにふさわしいお方に出ていただく、こういうことにいたしたいと、かように考えております。
  61. 東隆

    ○東隆君 私の質問はこれで終ります。
  62. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この調査会は大体において漁業法、それから水産業協同組合法及び先ほどお話になりました水産資源保護法といったようなものの中に含まれておるものを大体の中心としておやりになるのだと思うのですが、そのほかにも範囲を広げておやりになるのですか。
  63. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) この調査会で取り上げまする基本的制度と申しまするものは、ただいまお述べになりました三つの法律に現在においては規定されておる内容のものに相なろうかとかように考えております。しかし、もちろんその審議に当りましてはその法律だけに限定するわけには参らない、いろいろな広い範囲において検討を進めていかなければならないことも先ほど申し上げた通りでございます。
  64. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ここに掲げてありますところの現在の沿岸漁業が非常に窮屈な状態にある、これらを是正していかなければならぬ、伸張させにやならぬというような趣旨でありますが、この振わざる状態一つの原因としてやはり水質汚濁の問題があると思うのです。これは現在経済企画庁において立案をされてわれわれもその草案を拝見しましたけれども、これでは全く水産資源の保護に資するような防止法案になっておらぬ。こういう問題も、今、社会党からこれを出そうというような腹案もあるかに新聞なんかで聞いておりますが、これは政府において相当強力に力を入れていかなければ、どこから出てもこれはものつにならない、特に水産資源の問題について非常な大きな影響のある問題であり、また一般、農業におきましても、あるいは厚生関係の問題につきましても、その他工業関係につきましてもこれは非常に問題がある、こういう問題も取り上げて研究する意図があるか。  それからもう一つは、水産増殖の問題でありますが、これもわれわれがかねてから、水産増殖、あるいは沿岸漁業振興といったようなものに対する基本法を作れということをしつきりに要望をいたしておりましたが、これまた今もってその目鼻がついておらぬ。こういうものは、今度できる制度調査会において早急にこれを検討しなければならぬ問題だと思いますが、水産庁はそういう問題を諮問するつもりがあるかどうか、またその答申にそういうものが出た場合にはそれに対して熱意をもっておやりになる意思があるかどうか、その点をとお伺いしたいと思います。
  65. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) この調査会に対しまする諮問、当然包括的かつ総合的な問題の提示の仕方をいたすことに相なろうかと、かように思うのであります。しかし、その内容の具体的な課題といたしましてただいま御指摘でありました水質汚濁及び水産増殖、こういうことも当然包含をして検討をしていかなければならないと、かように存ずるのであります。ただ、この二つの問題につきまして、一方において調査会におきまして基本的な制度についての検討をいたしまする一つ内容にも相なりまするが、同時に、当面緊急に処理をしていかなければならない、法制的にあるいは予算的に調査会結論を待つことなく、直ちに解決すべきものは取り上げて実行に移さなければならない、かような性格をも非常に持っていると、かように思うのであります。従いまして、そういう点につきましても十分露悪して努力をいたしたい、かように考えております。
  66. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 まだいろいろありますけれども、時間の関係もあるようですから、またの機会に質問することにいたします。
  67. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  69. 千田正

    千田正君 けさからこの問題についていろいろ各委員から御質疑がありましたが、私はざつと見たところが、こう抽象的に見えるようでありますけれども、現実において今後の漁業制度あり方に十分なメスを入れるという正長官の御説明でありましたから、それに期待をいたしますが、先ほど委員及び秋山委員からも申されたようにですね、速急にやらなくてはならない問題が相当あると思います。それから二年間かかってみつちり考えて、万全を期さなければならない問題と、こういう二つの問題がありますので、急がなければならない問題に対しては即時着手していただきたい、そうしてこの法案の内容を、先ほど御説明になつた通りでやるとすれば、一日もすみやかに効果あらしめるように希望いたしまして、この法案に賛成いたします。
  70. 東隆

    ○東隆君 私は、社会党を代表してこの法案に賛成をいたします。  この際申し上げておきたいこと、この調査会そのものの機構その他から考えて、相当力を入れなければ所期の目的をなかなか達し得ないのではないか、こういう杞憂がございますので、この点大いに一つ政府の方ではお考えになってそうして実質的にりつぱな調査会を設立していただきたいと思います。これだけつけ加えて賛成をいたします。
  71. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私、自民党を代表いたしまして本案に賛成するものでありますが、各委員がお述べになりましたように、この漁業制度は、終戰後、いわゆる農地の解放といったような事態と似通った漁業制度の大改革をやりまして、そうして七、八年を経過いたしているのでありますが、その間にいろいろとまた部分的に改正はしましたけれども、根本的に、先ほどからお述べになりましたような問題が、手を入れなければならぬものがたくさんあります。ことに国際問題は御承知のような状態になって参りまして、大きな広い視野のもとにこの制度考えなければならぬのであります。この漁業関係の、かような調査会とか、審議会とかいうものが、ここにも掲げてありますように、三つも四つもありますが、場合によりましては、それらの委員がダブるのではないかという感じもいたします。そうしてそれらの人が審議していきます上に、水産庁といたしましても相当熱意を一入れて、これを進行させませぬというと、だらだらになりまして、ややもすれば作つただけの問題になりはしないか。ことに三十六年度に漁業権の更新等があるので、それまでに何とか片づければいいというようなことでは、当面の問題について非常に足踏みをするような形にもなると思いますので、私はこの制度が確立されますならば、直ちつにその調査会を開いてやつていっていただきたい。ことにこの予算を見まするというと、七十数万の予算でありまして、これでは十分の期待がかけられないのでありますが、初年度の予算といたしまして、いたし方ないといたしましても、できるだけ効率的にこれを活用されまして、そうしてほとんど漁業制度の根本的な問題に触れて、りつぱな制度を確立されるように要望いたしまして、本案に賛成をいたします。
  72. 上林忠次

    ○上林忠次君 緑風会を代表いたしまして、本案に賛成をいたします。  戰後日本の農山漁村の收入が大きく縮減されております、生産量が減つておりますこの際に、まあ海面の状況を見ますと、国際的な条約とか、あるいは戰後の漁獲量、漁場のコンデイシヨンがすつかり変つてきた。日本の資源の大きな水産資源として、将来の水産業に大きく目を向けながら、この日本水産業の大きな発展に努力するべき時期が来ているじゃないかと、さような点からこの調査会ができまして、遠洋あるいは近海、あるいはこの大陸だな、このたなにおける漁獲の関係漁業関係、これをしつかり再検討してもらつて、ますます資源を豊富にキヤツチできるようにお願いしたい。この意味におきまして、今回のこの調査会の着想は大へんいいものと存じます。その意味で大賛成いたします。
  73. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 他に御発言もないようですが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   『異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。漁業制度調査会設置法案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  75. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 全会一致でございます。ようて本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきでものと決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成その他臼後の手続につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。上ってさよう決定いたしました。  なお、本案を可とされた万は、順次、御署名を願います。   多数意見者署名     堀  末治  田中 啓一     秋山俊一郎  仲原 善一     雨森 常夫   堀本 宜実     前田佳都男  千田  正     北條 雋八  藤野 繁雄     東   隆  上林 忠次     北村  暢
  77. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案議題に付し、質疑を続けます。  速記をとめて下さい。   [速記中止〕
  78. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記を始めて下さい。  本日は、これをもって散会いたします。    午後三時三十四分散会