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1958-04-03 第28回国会 参議院 農林水産委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月三日(木曜日)    午前十時三十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重政 庸徳君    理事            柴田  栄君            藤野 繁雄君            清澤 俊英君            上林 忠次君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            田中 茂穂君            仲原 善一君            堀  末治君            堀本 宜実君            安部キミ子君            東   隆君            大河原一次君            河合 義一君            北村  暢君            梶原 茂嘉君            千田  正君   委員外議員            青山 正一君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   参考人    東京中央卸売    市場長     飯田逸次郎君    新宿青果株式会    社社長     内田秀五郎君    東京水産物卸    売人協会会長  寺田 省一君    全国販売農業協    同組合連合会常    務理事     小林繁次郎君    大日本水産会副    会長      伊東 猪六君    主婦連合会副会    長       三巻 秋子君    全国青果仲買人    組合連合会会長 江澤任三郎君    京浜地区水産物    仲買人組合連合    会会長     北村 宮藏君    全国青果小売商    連合会会長   大澤常太郎君    東京魚商業協同    組合理事長   塩澤 達三君    東京大学教授  川野 重任君    日本食料新聞社    社長      井原  昇君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○中央卸売市場法の一部を改正する法  律案内閣提出)   —————————————
  2. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまから農林水帳委員会を開きます。  中央卸売市場法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、予定の通り、お配りしておきました参考人一覧の順序に従って、参考人意見を伺うことにいたします。  参考人にはお差し繰り御出席いただき、ありがとうございました。なお、参考人に申し上げますが、時間の都合上、御陳述は十分以内に御要約願います。  また、委員各位参考人に対する質疑は、そのつどお願いいたします。  なお、青山委員から、本日、委員外発言を求められておりますが、これを許すことにいたします。  東京中央卸売市場長飯田君。
  3. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) では、私から開設者側としての、今回の改正法律案に対し接しての考え方を御説明申し上げたいと存じます。  まず、今回提案されました改正案内容は、名称使用制限と、取引方法制限、それから卸売人純資産額と、この三点に限られておるのでありますが、この内容自体につきましては、いずれもまことにもっとも規定でありまして、特にこれに対しましては、われわれとしては賛成の意を表したいのでありますが、ただ、法改正の今度のあり方というものにつきましては、かなり大きな意見等を持っておるのであります。  今回、東京都議会からも、中央卸売市場法改正に関する意見書が、内閣総理大臣それから農林大臣あて提出されておりますし、また、衆議院議長さん、それから参議院議長さんに対しても、それぞれ陳情書が出されておりますが、これは、開設者側としての意見を代表したものでありますので、とれを中心に御説明を申し上げたいと思います。  かねてから、われわれ開設者側は、中央卸売市場法全面的改正ということを強く要望して参ったのであります。それは申し上げるまでもなく、この中央卸売市場法が制定されましたのが大正十二年、すでに三十有五年もたっております。その間には、社会情勢の変化、あるいは生鮮食料品取引形態の推移というような点等々から、やはり、この中央卸売市場あり方について根本的な検討を加えて、全面的改正お願いしたいということを常々から申し上げておったのでありまするが、今回の改中正が、わずかに先ほど申し上げました三点にのみとどまっておるということは、いかにもその場の応急的な、まあ言葉が過ぎるかもしれませんが、こうやく貼り的な改正に過ぎないということについて、われわれは非常な不満を持っておるわけでありますが、これはまた、いずれあらためて早急に全面的検討お願いいたしまして御検討をいただくことにいたしましても、なお、この機会にぜひとも御考慮をいただきたいというのが次の三点でございます。  第一点は、開設者に対する権限、いわゆる業界の方に対する監督権限委譲の問題であります。これは、一昨年の中央卸売市場法改正されました際に、開設者の持っておりました卸売人に対する権限の大半が、農林大臣に移行いたして参ったのであります。これは、われわれもその当時強く反対意見を表明したところであります。御案内のように、特に卸売人に対する監督権限の中枢的なものとして、卸売人認許可及び取消し、それから財務監査権限は、あげて農林大序に移行しておるのであります。開設者には、法的にはそういう権限がないということになっております。かような関係では、開設者といたしましては、卸売人に対する監督の十全を期しがたい、また、はなはだ失礼ではありまするけれども農林当局全国にわたっての監督を常時せられるということは、事実上、非常に困難な問題がありはしないか、それよりもむしろ開設者なりその都道府県知事権限委譲していただいて、そうして農林大臣は、後見的な監督権限、いわゆる開設者に対する後見的な監督権限というような方策を確立していただくことが、最も実情に即した監督が行われ得るのではなかろうかと、われわれは深く信じておるようなわけであります。従いまして、今回の改正に際しましても、そういう点について十分の御配慮をいただきたいというのが第一点でございます。  それから第二点は、類似市場に対する規制強化の問題でございます。これも三十一年の改正の際にも意見提出いたしておいたのでありますが、従来は、中央卸売市場指定区域の中においてさえ、これと類似した市場がほとんど野放し的に放置されておる。とれが中央卸売市場のいろいろの機能を阻害するということから、これに対する規制お願いをして参ったのでありまするが、三十一年の法改正によりましては、これが届出という制度が採用せられ、さらにまあ若干のそれに対する監督権規定されては参りましたけれども、やはりそれの設置ということにつきましては、自由であります。法のやはり精神は、中央卸売市場一定指定区域というものを限りました以上は、その指定区域の中においては、公共団体の行う中央卸売市場というのが全面的に生鮮食料品の取扱いをするようなのが本則ではなかろうかと、われわれは考えておるのであります。それが現在のように、自由に設置されるというようなことになりますると、その機能を著しく阻害するおそれがあるのであります。特にはなはだしいのになりますと、中央卸売市場の軒先に、中央卸売市場に寄生的にそういうものが設置されまして、そこでかなり自由な取引が行われて、中央卸売市場の中における厳正な取引による価格形成というものが乱されるおそれが多分にあるのであります。従いまして、われわれといたしましては、指定区域中央卸売市場指定区域内においては、類似市場の新たなる開設を禁止するという御方策お願いをいたしたいというのと、もう一つは、既存の類似市場につきましても、整備をし得るような措置お願いをいたしたい、これが第二の点でございます。  次に第三点でございますが、これは信用準備金制度を設けていただきたい、こういうのであります。これは、今回の法改正によりまして、卸売人健全経営のために純資産額という制度が設けられましたことは、まことにわれわれとしては妥当だと考えております。これによって卸売人が財政的に健全化されるということに対して、大きなわれわれは期待を持っておるのでありまするが、遺憾ながらとれによって純資産額を割った者で、しかも六ヵ月以内に復元の見込みのない者は、もう当然取り消しをするという非常に強行規定に相なっておるわけであります。これもやむを得ないととだ、あるいはまた健全化をはかる意味において当然だと思いまするが、しからば、取り消しあと事後措置をどうするかということであります。私ここで申し上げるのは、はなはだあれでありますが、東問題では非常に苦しい経験を経ておりまするけれども取り消しをしたあと事後措置というものの何らかの裏づけがなくしては、軽々に取り消しをするということが非常にむずかしくなるわけであります。そのためには、あらかじめ各卸売人の方々からある一定歩率によって準備金を積み立てさせておきまして、そうしてこういうような場合には、すぐそれによって支払いをしていくというような事前の措置が講ぜられなければ、せっかく純資産額ということによって卸売人の不健全なものを整理していくという強硬手段が行われたが、規制されたにもかかわらず、そのあと事後処理裏づけがないということは、まことに私としては遺憾な点だと思うのであります。これは、かねてから農林省当局にもわれわれ強く御要望を申し上げておきまして、原案には入れておっていただいたのでありまするが、それが……
  4. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 飯田君、もう時間です。
  5. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) はい。——なくなりましたのでありまするが、この際、ぜひ一つその制度を追加していただきたい、かように深く考えておるのであります。  以上、開設者側としての意見を申し上げた次第であります。
  6. 青山正一

    委員外議員青山正一君) 二点ばかりお聞きいたしたいと思いますが、ごく簡単に。先ほど市場長から、権限を全部農林省に取られて非常に不都合である、こういうふうな御意見がありましたのですが、私は、むしろ類似市場の問題を解決したり、あるいはたとえば大阪ならば相当大阪の付近に衛星都市が多い。吹田とか堺とか茨木とか、あるいは伊丹とか西宮とか、そういった市場を、全面的にいろいろな問題を解決していくためには、むしろ大きく京阪神地区とかあるいは京浜地区農林省でそういう大きな場所を開設しちゃって、そうして類似市場の問題とかそういった問題を解決していった方がいいのじゃないかと、こういうふうに、私は、むしろあなたと反対意見を持っておるわけなんですが、それに対する御意見はどうか。  それからもう一つは、先ほどお話の中に述べられておりましたのですが、一月二十一日に、開設者——これは六大都市の開設者が全部そろうて出したかどうか知りませんが、政府意見書を出しておる。その意見書の中に、前渡金とか奨励金を全面的に禁止せよ、こういうふうなことを何か規定してもらいたいというような意見書を出されたわけでありますが、これは、出荷者に対してのみですか、それとも仲買いとか小売の面を全部含んでのことなんですか、その点をお聞きしたいと思うのです。というのは、業務規程の中に、仲買人とかあるいは小売人奨励金について、業務規程規定してあるわけなんですが、その点の関係は一体どうなっておるのですか。その点二点だけお聞きいたしたいと思います。
  7. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 最初の類似市場の問題でございますが、これは、ただいまの御意見では、一部市とかいうものに限らずに、相当いわゆる広範囲にわたっての観点からこれを規制すべきじゃないか、こういうようなお言葉でございますが、まことにごもっともだと存じまするが、それは、むしろ私といたしましては、いわゆる中央卸売市場指定地域の範囲の問題が、もし御足都市がたくさん存在するというものならば、それを含めたものとして指定をされていくことが必要であって、そうしてそれが指定された以上は、その中においては、類似市場というものは今後十分規制されていくというふうに持っていくのが、法の建前からいってもいいのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。  それから第二の前渡金奨励金の禁止の問題でありますが、今回、改正の中に、取引方法制限について、業務規程で定めることができるという一項を入れていただくことになりました。これは、われわれがかねてから要望しておったのであります。特に対滝地関係におきましては、前渡命奨励金というようなものが非常に出ておりまして、過当競争が行われておるわけでありますが、それに対して、ぜひともある程度のやはり規制を行うことが必要ではなかろうかというようなことから、それの根拠法法規の中に入れていただきたいというのが、主たるわれわれの考え方であったのでありますが、小売仲買人に対するいわゆる完納奨励金というものが別途出ております。これについては、われわれとしては特に今回は問題にしていなかったのでありますが、というのは、すでにこれについては、業務規程の中で、完納奨励金については都知事——われわれで言えば都知事承認を得なければならぬということになっておりますが、そこで十分われわれとしては規制がし得るのではないか、しかし、産地方面への今申し上げたようなものは、そういうような規制的なものがないので、この際、そちらの方の法的根拠をいただきたい、こういう考え方でございます。ただし、小売仲買人に対する完納奨励金につきましては、そういう制限規定業務規程にありまするけれども……。
  8. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 簡単に願います。
  9. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) その率等については、十分に考慮しなければならぬと、かように考えます。   —————————————
  10. 清澤俊英

    清澤俊英君 議事進行について。一人々々今のような答弁をしておりましたら、これはなかなか終えないと思う、われわれもある。だから、これはあと参考人として呼ぶ必要があるならば呼んで、そこで明日からの審議で一つ疑義を質すようにしまして、きょうは青山さんだけは前からの関係もあり、委員外発言を求めておられるから、それは終らしていただいて、あとはみんなそういう方針でやるようにお諮りいただきたいと思います。そうでないと、きょう十何人終えないと思います。そうしてあと参考人を呼ばぬでやるということになれば、われわれも一つやってみたいと思うものがありますから、それはどうやるのですか。議事進行上お取計らいを願います。
  11. 千田正

    千田正君 今の清澤委員の御質問に対しては、私も賛成なんですが、と同時に、参考人の方が非常に多数でありますので、参考人の方が御意見を述べられる場合は、特に重点的に、参考人個人の御意見の重点的なところをしぼって述べていただかないというと、なかなか時間が食うだろうと思いますから、委員長からもし皆さんにお諮り願って、お差しつかえなかったら、委員長からもお願いしたいと思うのですが。
  12. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  13. 重政庸徳

  14. 重政庸徳

  15. 内田秀五郎

    参考人内田秀五郎君) ただいま中央卸売市場長より概略お話のありました通りでありますが、私といたしましても、本法の改正案提出には非常に賛意を表するものでありますが、ただ意見として一言述べてみたいのは、類似市場の問題でありますが、さきに改正されたところの二十一条、二十二条、二十三条には、監督の道が十分開いてあるのてありますが、それ以来の監督が非常におくれている、ただ届け出っぱなしで、それを受けているままであると思うのでありますからして、これらの監督に対しましては、一そう強化していただきたいということを、この機会に述べておく次第であります。なおまた、今度の改正の問題におきまするところの中央卸売市場業者の、業務の適正かつ健全なる運営を確保するための道をお開きいただいた措置、または公正妥当な取引の厳守のために、前渡金やあるいは奨励金支出制限を加えるということは、非常に好ましいことでありますが、現在のこの取引状態をこのままでおきましては、前渡金の廃止ということは、どうしても集荷政策上困難があると思うのであります。こういろような競争のあります点から、非常な困難がありますのでありますから、これを廃止いたしまするのには、適当な制度の上でこれをお設けをいただくようにいたさなければ、なかなか業者の自粛あるということを、この機会に申し述べておきたいと思うのであります。  なお、奨励金の問題でありますが、奨励金の問題に対しましては、先ほど市場長からも申し上げましたように、東京では、東京業務規租の十条によって加事承認を受けた額というものがあるのでありますが、その額にとどめておけばよろしいのでありまするけれども競争の点からいたしまして、その額にとどまらないというような関係があるのであります。これは、もっとも買出人のみの規定でありまして、産地の方の奨励金のことは、十条には加わっておりません。そういうわけでありますが、産地にも出ている、なお、業者方面に対しても奨励金以外の支出規制しなければ、会社の弱体になりますことは免れない現状であるととをお伝え申し上げます。  それからなお、卸売人の健全なこれも発達を確保するため、かつ信用度を増すための純資産基準制度をお定め下さいますことは、これはまことにありがたい次第でありまするが、との弱小会社、と申しては言葉が過ぎるかもしれませんけれども、こういう卸売人に対するところの機宜の行政措置規定であり、また、各卸売人の過度の競争下において、きわめて緊急たこれは制度であることを、私どもは喜んでおり、公益免許の企業の上から見れば、これまた当然の監督権手段であると思うのであります。しかし、この卸売人の正しい資産計上が、良心的に、また監督上の手が少しもゆるまないでいくならばいいけれども、そおらく行為達成は、これは法規ができてもこれを厳重にやらなければ、あっちをくぐり、とつちをくぐり、相当これが達成は困難な状態にやはりあるのではないか。一貫してこの監督を実行するようなことにならなければ、予期の効果というものは上らないのではないか、こうなりますことを心配しておることを一つ申し上げるのであります。それから、これはよけいないことかもしれませんが、付則6に、「純資産額増加計画提出したものについてはこの法律の施行の日から起算して二年を経過する日まで、」と、ころありまするけれども、これはあまり長きに失し過ぎやしないか。一年程度にとどめるか、もら少し短縮をしても、長くすれば必ず増加計画ができるというようなことは、これは、私どもが各市場現状を見るところでは、長ければできるということはむずかしい状態にあることを、一つ申し上げておく次第であります。  それから、これは先ほど市場長から申した通り、私も東京都知事——他開設者は皆市長さんでありますけれども東京知事開設者であり、監督者であり、しかも特別行政区の二十三区というものを包容して、七つの木場、分場、その他また十三の配給所監督し、その他の、まあ魚類部はありませんが、青果部だけでもそういうような状態にあるものを監督しておるのでありますので、東京都知事にこの権限委譲ができなければ、委任の形で、まかしてやらしてみたら、とれまたかえって実情をよく知っており、手も十分にそろえることもできるので、これがまた監督農林大臣がやっていただくといろふうの、第二次にしていただいて、第一次を知事に委任するかどうかということを……。一つ開設者でなく、知事に委任して、知事開設者であるからして、こういうことをつお考えを願ったらどうかということを、この機会に申し上げてみたいと思うのであります。私の意見といたしましてはこれだけであります。   —————————————
  16. 重政庸徳

  17. 寺田省一

    参考人寺田省一君) 今度の中央卸売市場法改正に関する意見でございますが、今度の改正点につきましては賛成でございます。  ただ、改正運用並びに従来の法律運用につきまして、同時にまた法律運用上における考え方につきまして、意見を申し述べたいと存じます。水産関係卸売業者といたしましては、とかく法律改正が自分らの関係から起る問題に起因はしないその他の関係のことから法律改正が云々されるという点につきますては、私どもとしましても十分気をつけなければならないとは思いますが、同時に遺憾とするところでございます。特にたびたびの改正になりますというと、市場法全体に対する信用が傷つけられやしないか、同時に、市場そのものに対する信頼度を薄くするのではないかという点を、非常に憂慮するものでございます。この点、十分御検討いただいておると思いますが、そういう感じを持っておりますことを申し上げておきたいと存じます。同時に、現存の市場状況から、われわれとしても反省をするところが多いのでありますが、従前戦後の異常な混乱時代がありまして、その当時の情勢でやむを得なかったもので、今日弊害考えられているものが十分改め尽されていないと私ども考えるものであります。同時に、その混乱時代を乗り切るために、とかく御売業者しわ寄せが行われた。そしてそのしわ寄せを改めるのに、卸売業者としては生産者に対する荷主としての関係仲買人小売商一般消費者に対する売り手としての関係、そういう点からも遠慮をしなければならないような弱い立場にもありますし、さらに開設者農林特等中央政府の御監督のもとに、きわあて手足を縛られるようなことも起るのであります。  特に申し上げておきたいことは、類似市場関係が現在野放しになっております。これは中央市場における業務にいそしむ者としては、はなはだつらいところでございます。また、つらいと言うと、今度は逆に市場信用にも響くというような、非常にジレンマに陥る関係もございます。従いまして、これらの点は、われわれの方も十分自成しておりますが、運用の面につきましても十分お考えをいただきたいことでございます。  今度の具体的の改正点に関連して、われわれの感ずるところを申し上げますと、改正の第一点であります名称の問題でありますが、これは市場関係の保護の規定だと存じますし、まことにけっこうでございますが、ただいまも申し上げましたように、法律運用におきまして卸売業者育成強化という点についても十分御配慮を願いたい。特に手続簡素化、何かというと許可、認可、届出、報告こういうものが非常に多いのであります。これらの負担はなかなか実際の衝に当る者としては繁雑にたえません。これらも決してそういうことが悪いというのではありませんが、何とか手続の繁雑を簡略にしていただきたい。同時に、先ほども申し上げました類似市場対策についても、根本的な運用面における御措置をお考え願いたい。  それから次に、改正第二点に関連いたしまして、取引方法に関する制限の問題でございますが、これは提案理由説明を拝見いたしますと、指摘されております通り前渡金及び奨励金弊害を生じている状況がある。こう言われております通りで、われわれの方といたしましても、何とか是正の必要りを率直に認めておるものでございますが、ただ、前渡金につきましては生産者関係がございます。で、これは前渡金を急にやめますというと、直ちに影響が起って参るということを憂慮いたします。従いまして、やめるようにしてこれはやめる方法を講じていただきたい。やめられるようにしていただきたい。こういうことが念願でございます。また奨励金につきましては、これは前渡金とは性質が違うのでありますが、これも開設者当局並びに政府当局におかれましても、十分一つ対策を講じてお考えを願いたい、御指導を仰ぎたい、こういうのでございます。さらに各市場開設者改正規定もゆだねられておるようでございますが、格間設地ごとにそれぞれの歴史がありますし、それぞれの沿革もございます。これを無視しては、中央卸売市場の健全な運営が望めないことは御承知の通りでございます。従いまして、開設者権限も確認をしていただくと同時に、また生産者、消費者の両面に対する実情に即する指導監督も望ましいと存ずるのであります。  さらに第三点につきましては、卸売人純資産額についての規定でございまして、これはかような点まで御心配をわずらわすことを恐縮しておりますが、中央卸売市場におきましては、御承知の通り、建物も開設者の建物を借りておる、資産の充実ということにつきましては、非常に困難がある、従いまして、この面から信用準備金の自主的な積み立てということも、われわれとして便宜実行して参ったことでございますが、市場信用の増強という上から、これらのことも必要だと思います。今度の法律改正にはございませんが、そしてそれは運用の上において、指導において補完していくという御意見のように承わっておりますが、実際問題として、これが積み立てできるように、同時に、また税制関係とか、あるいはその他の政府の取締り関係と、それから農林当局開設者当局の取締り関係とが食い違いの起らぬように、そして、そのために実際の仕事をやっていく上から困難を生じないように、十分に御配慮を願いたいと存じますし、特に信用準備金については、実際面において実行できるように御配慮が願いたいと思うのでございます。  以上、簡単でございますが、われわれの気のついておる点だけを申し上げた次第であります。   —————————————
  18. 重政庸徳

  19. 小林繁次郎

    参考人小林繁次郎君) 私からは、青果の生産者の立場から意見を申し上げたいと思います。改正の三点について、それぞれ申し述べてみたいと存じます。  第一点の中火卸売市場名称の使用制限の問題でありますが、これは施行規則にも従来あったものを、本法に取り入れられた問題でありまして、妥当な措置でありますし、何ら問題はないと思います。  第二点の卸売業務取引方法制限の問題、これは御趣旨としまして、卸売人過当競争を防止する、業務運営の適正健全化をはかるという趣旨からしました、法案としては全く適切だと思うのであります。ただし、すでに参考人の方々が申し述べられておりますように、これを実施する際に、いかなる内容において、さらにそれをいかなる具体的方法によって実施をするかという点につきましては、なかなか問題があり得る点であろうと存じます。たとえば出荷者に対する前渡金奨励金の問題、あるいは売買参加者に対する奨励金の問題等がございます。前渡金等につきましては、青果の場合におきましても、生産者方面からこれを要請するような場合もあるのでありますが、しかし、全体的に判断をいたしますと、やはり一見生産者に対するサービスであるかのごとくして、実は生産者を拘束をするというような点もないわけではございませんので、これは、かねてこういう点が廃止をされて、それぞれ正常な取引がされることを、われわれとしても要請をしておった点でございます。生産者に対する奨励金の問題、これも今後業務規程を定められて措置をされる際に、全廃をされるのか、あるいは一定の度合いはこれを認められて、要するに、不公正に、過当に競争的になることを規制をされようとするのか、その辺の具体的取りきめについて問題が残って参ると存じます。さらにこのことは、当然にうらはらの関係におきまして、卸売人の手数料の問題と関連をいたしておるというふうに、われわれは考えております。従いまして、全廃ないし一部規制等によって合理化される分につきましては、当然に出荷者に対する手数料の軽減の問題となってその結末がつけられるようになるべきものであるというふうに、われわれとしては考えたいと考えております。さらに、売買参加者に対する奨励金の問題、これも生産者に対する場合と同様に、全部をやめられようとするのか、あるいは現在のように、一定度合いはこれを認めて、それ以上の過当なる不都合な、勝手なやり方を禁止されようとするのか、これも生産者に対すると同様に、一つの問題点になって参ると思います。要するに、これらの問題につきましては、先ほど申し上げますように、どういう内容のものとして設定をするかということと、具体的にそれを確実に実施せしめる方法が伴いませんと、従来とも、一部にはそういう規制があるわけでありますが、それが必ずしも励行されてない実態にかんがみまして、その点について特段の御配慮をわずらわしたいということを、特に申し上げておきたいと思います。さらにこの際、これらの問題に関連しまして意見を申し上げたい点は、先ほども申し上げますように、現在の卸売人の現行手数料なるものは、実際問題としまして、出荷者の負担になっておるわけであります。従って、これを財源といたしまして措置されておりました従来の奨励金等の問題が、適切に合理化をされていくということになった場合におきまして、その合理化された分の帰属の問題につきましては、出荷者に帰属せしめられるような措置を、当然考えていただきたいということが第一の問題であります。少くとも、卸売人健全化をすることは非常にけっこうでございます。住産者のみが犠牲をこうむった形において措置があるようなことは、万々ないようにお願いをしたいということであります。  それから第二の点としましては、卸売業務の適性健全化という問題につきましては、従来とも行政指導等、いろいろ措置され、苦心をされておることは、われわれも承知をいたしておるのでありますが、根本的に申し上げるならば、やはり格卸売人が、そういう事態に追い込まれざるを得ないような状況に現在置かれておるところに問題があるのではないかということが、われわれの立場からしましても考えさせられるのでございます。この問題は、市場におきまする卸売人の単複問題等のむずかしい問題にも関連はいたすと思いますが、少くとも現在それぞれの市場別に現実の実体があるわけでありますからして、この実体に即して打開の道は見付け得るのじゃないかということを強く考えさせられておりますので、これらの点につきましても、今後のこの取引規制の問題の実施に関連しまして、御考究を願いたいということを、特にお願いを申し上げたいと思います。  第三点の卸売人純資産額を定める規定の問題でありますが、これももちろん適切な措置考えるわけでありますが、これまた、ともすると従来単に資力信用があるものでなければならぬというふうに、非常に明確を欠いた規定によって不十分であった点を、この規定によって非常に明確化することは、非常な前進であろうとは存じますが、しかし、これまた現在の過当競争に追い込まれておる実情が、基本的に問題でありますので、先ほども申し上げました点とあわせて、この点については、やはり抜本的な指導、深みのある指導を、御措置お願いすることが必要だろうと存じております。  以上、要約いたしまして、本改正案全体は、きわめてけっこうと存じます。ただ問題は、実施面においてこそほんとうの困難がありはせぬかということを心配をいたすものであります。従って、今後それらの実施面におきまして、農林省あるいは開設者等、各関係者の一段の御努力をお願いして、これに関連する民間のそれぞれのものに十分理解、協力をさせ得るような御措置を、特段にお願いを申し上げておきます。  以上、申し上げて私の意見といたします。   —————————————
  20. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 大日本水産会会長伊東猪六君。
  21. 伊東猪六

    参考人(伊東猪六君) 私は、中央卸売市場へ出荷する魚介類の生産者の立場から意見を開陳したいと思います。  今度の改正案となっております三つの点につきましては、第一と第三の問題につきましては意見はございません。  第二の問題になるわけでございまするが、いろいろ参考書類や何かを拝見いたしてみますというと、この取引方法規制するという点については前渡金それから奨励金といったような画が公正取引を邪魔をしておる、従って、これを規制しなければならないというのが要点であるように思うのでございます、そこで、この奨励金とかあるいは歩戻金というような面につきましては、これは漸次なくしようということなのか、あるいはすぐなくしょうと、いう意味なのか、どちらかわかりませんが、私といたしましてさは、これは荷主に戻る奨励金でありましようとも、あるいはこれが仲買人あるいは小売人へ返る完納奨励金でありましょうとも、これは即時やめていただくべきだ、かように存じます。前渡金の問題についてでございますが、この前渡金という言葉が、はなはだどうも誤解を招くおそれがあるのでございますが、私が申し上げますのは、この魚の生産者に対するところの資金の融通、こういう面において申し上げたいと、かように存じます。従来から私ども業者としましては、昔は御承知の通りに点市場に相談に行って資金を得ていたのでございますが、魚市場から金を借りておったならば仕切りは、二様に書かれる、こういう点から、そういう問屋の金を使っておったならばうだつが上らぬ、一日も早くこれから逃げなければならぬというので、心ある者はこれに工夫をし、努力をして、問屋の金は使わないように、こういうことにやってきたものでございます。ところが、大正の十二年に中央卸売市場法が制定せられまして、これに基いて御承知のように中央卸売市場が発足いたしまして、三十年になりました。りっぱに機構も確立をしておりまするし、また、私ども業者の立場といたしましても、この市場から借りた金を踏み倒そうだとかいったような考え方の者もございませんし、また市場といたしましても、当然その今の魚をピンはねをするのだ、こういったような不都合な取引があろうはずがございません。そこで、まだ日本全体の魚市場といたしましては、多少そういう所もございますか知りませんけれども、少くとも中央市場法に基いて設立されておりますところの中央市場には、公正なる取引が行われているわけでございます。従って、私ども業者の立場からしますというと、漁業金融の一端をこの市場でしょっていただきたい、こういう希望を持っております。そこで、今度の規制がどういうふうな規制方法をおとりになるか知りませんけれども、私は、むしろ魚の生産者に対するところの資金の協力ならば、もう少し積極的に援助していただくべきではないかと考えております。この方法につきまして、現在の市場組織では、それが、今言ったように、市場を混乱に陥れる、こういう疑いがあるならば、工夫はあると思っております。それに対するところの腹案も、多少は持っておりますが、御審議も願いたいと考えますが、時間もございませんので、御質問がございましたら、他日またその問題は述べさしていただくといたします。  それからもう一つ、この市場法改正には関係はございませんが、平素、漁業者として希望いたしております問題がございますので、あわせてお願いを申し上げます。これは例の卸売人の員数の問題とか、あるいは卸売人の手数料の問題、荷おろし料の問題あるいは諸掛り、今改正されんとするところの取引方法の問題といったような面は、これは直接生産者と重大な関係がございますので、従いまして、こういうようなものをおきめになる場合において、これを単に開設者とあるいは市場業者との間でお話し合いでおきめになるということでなしに、どうしても、これは生産者の代表あるいは消費者の代表、学識経験者といったような、市場業者はむろんのことでございますが、打って一丸としたところの委員会を組織して御審議願いたい。これは単なる申し合わせでなくして、中央卸売市場法改正に際しまして、成文化してもらう、こういうことをお願い申し上げたいと存じます。  以上をもちまして、私の意思といたします。   —————————————
  22. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 次に、主婦連合会会長三巻秋子君。
  23. 三巻秋子

    参考人(三巻秋子君) 消費者の立場から一言申し上げます。  一家の家計をあずかっております主婦は、その家計費の中に占めております毎日の食料費というものは、わけても魚介類、野菜、くだもの等の生鮮食料品支出に占める率というものが大へん大きいために、私たちの毎日の買物は、大部分がこの対象に当っているようなわけでございまして、このための関心は大へんなものでございます。従って、この生鮮食料品の流通が円滑であるかどうか、また消費者価格が適正かつ安定しているかどうかということが注目の的でございます。主婦連合会では、今年度の大きな仕事の一つといたしまして、全国の流通機構のあり方、物価の調査を計画いたしました。全国組織で消費者はがっちりと結ばれておりますだけに、常に生産地からの声も聞かされておりますし、また卸売価格が下ったのに、小売が一向に下らないというようなことも、疑問を持って見ておりました、ただみたいに買わされてきた野菜や、くだものが、八百屋さんの店先ではずいぶん高くなり、一個十五円、二十円というリンゴになるのを見て、いなかの主婦は大へんなげいておりました。生産地で豊作、豊漁で、運賃をかけて運ぶよりも、飼料にするなり排ててしまった方がましだというような考えさえもございます。豊作貧乏を訴えられているときに、需給のバランスからいうならば、消費者の方にきて値下りすべきものが、下っているはずだのに下らないというような、こういうことがあるということは、何がもって適正価格であるかということが考えさせられます。こういうときに、集荷業務会社なり、そういう万般の流通機構に当るものが、価格維持のためにどういうような集荷量の調整をするんだろうかというようなことも、私は疑問に思うわけでございますが、価格決定が、生産者には安くつき、消費者には高過ぎるという現状は、結局、大ざっぱに見まして、消費者価格を一〇〇といたしますと、農家の手取りが三五から四五%というようなことになって、中間の流通経費ということがあとの大部分だということを聞いております。このような流通において、しかも生鮮食料品の特性から、組織的な集団取引が行われまして、中央卸売市場がその中核として運営されまして、直接その都市消費者の利益と大きな関係を持ちますだけに、その市場の価格水準や取引条件が、その他の広範囲な地域にまで影響を及ぼしまして、中火卸売市場が適正でかつ健全に運営されているかどうかが、消費者の全体の利益につらなる問題といたしまして、重大な関心を示すものでございます。何とか安くなる方法はないものかと、主婦連合会では市場見学もいたしましたし、業者との懇談会もしてみましたが、そのときの業者の一人は、仲買人や卸売が多過ぎるのだということを言っておりましたのを思い出します。腹雑多岐にわたる中間機構のあり方、近くは東〇倒産問題などを見ますにつきまして、市場法の根本的検討を要する必要を感じておりますときに、今回、中央卸売市場法の一部改正に関します法律案提出は、むしろ、おそきに失したのではないかと思います。  その提案理由説明によりますと、法案のおもな内答は、卸売業務にかかる取引方法制限に関する規定を新設し、これによって卸売人間に行われている過度の競争を防止し、卸売人業務の健全性をはかろうとしております。また、その第二には、卸売人純資産額に関する規定を新設し、卸売人の財務を健全にし、その信用強化をはかろうとしております。この二点と思われますが、中央卸売市場の運営の適正化りために、これらの改正は必要であり、適当だと思います。しかしながら、消費者の立場から言いますならば、一利一害があって、まだ骨抜きだとも考えられますし、また過当競争を排除して、大企業への吸収、弱少業者の圧迫ではないかというようなことを考えますときに、まあこれも現在の経済の趨勢からはやむを得ぬではないかというような感じもいたします。この法案の趣旨を正直に受け取りますならば、卸売人の間の過度の競争による弊害を防止しまして、卸売人業務の健全性がはかられるばかりでなく、これによりまして生ずる中間経費の節減が、必ず消費者価格の低減を招くように運営の万全を期していただくことが必要ではないかと存じます。今、少し中間経費の不健全の問題点を拾ってみますと、まず手数料でございますが、これは条例でもって青果物最高一割、果物八%、魚六%というような、かかる規定になっているそうでございますが、この中で数量扱いをして利潤をかせぐあまり、産地への買いたたきが、荷受機関、売買業者、仲買というようなところまでリベートとなって、荷を引くことに終始するというありさまになったことを裏返して言いますならば、手数料が多過ぎるんではないかと言えましょう。卸売人の費用構成比率を見ましても、その示す割合は三〇から四〇%を占めておりまして、いかにむだなところに金が流れているかという一事を見ても、不明朗さがわかります。類似市場という使用許可権にまつわりますまた貸しやボスの介在は、特に批判の的でございます。固定資産税が不要であって、使用料はただみたいで低廉であり、しかも人件費のみがかかるというような恩典のあるこの業界が、赤字経営者の相当出ておるという経理の乱脈は、結局、自業自得であり、ひいては生産者と消費者に災いをもたらされるということは明らかでございまして、厳に適正化に踏み切るべきだと存じます。  最後に苦言を申し上げますならば、とかく官庁の機構いじりは、よくなったためしはございません。たとえば最近の牛乳の定安対策を見ましても、消費の拡大を主眼としておりながら、いかにも業界安定のみに終ろうとしておりますようなわけで、今回もすっきりした姿に改善することは大へん歓迎いたしますが、そのむだ排除が形を変えたむだにならぬように、十分の監督の必要があろうと存じます。今回の案は、ただ業界の赤字対策、弥縫策で、その損を税金でカバーすることがないように、経理内容をよく監督して、しっかりとつかむべきだと存じます。この結果——この法の施行によりまして、集荷の熱意が見られず、物が値上りするということのないように、重ねて集荷方法にも万全の対策を立てていただきたいと思います。法ができましても、その法を守る業者並びにそれを守らせようとする官庁の覚悟がなければ、とうていこれは万全を期し得ません。主婦連合会は、今後大いにその点については監視するつもりでございます。要は、生産して喜び、売って楽しく、買ってよかったという明るい公明な市場でありますように、市場対策のみならず、十分流通全般の改善につきまして努力され、価格の安定、中間経費の節減、消費の増進に意を用いられんことを願うものでございます。消費者は、だんだん合理化教育を受けまして、このごろは身についたような消費者になりかけておりますので、あまりに勝手なことをなさるようでございますならば、自分たちの手でもって生協を作り、最短距離を選ぶ道もできると思いますので、そうならないうちに、十分機構を改善されんことを望むものでございます。   —————————————
  24. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) まだ少し時間がありますので、参考人に対して御質疑があれば御質疑をお願いします。
  25. 安部キミ子

    安部キミ子君 私ちょっとおくれまして、前者の方々のお話を聞かなかったんですが、先ほど伊東さんから、大へんいい腹案があるようなことをおっしゃいましたので、ちょっとその点聞かせていただきたいと思います。
  26. 伊東猪六

    参考人(伊東猪六君) 簡単に説明いたしますと、中央卸売市場金融公社といったようなものを作りまして、そうしてこの中央卸売市場の金融のバツク機関にしたい、かように考えまして、漁業者の立場からばかりでなしに、中央卸売市場の扱い品のあらゆるものに対する金融機関の背景を作ってほしい、こういうつもりでございます。
  27. 安部キミ子

    安部キミ子君 もうちょっと具体的に何か、それでどういうふうにするか、もうちょっと具体的に。
  28. 伊東猪六

    参考人(伊東猪六君) これは漁業者の立場を中心に考えたわけではございますが、ともかくこの卸売人に資金があるわけがない。こう言うのは、はなはだ卸売人に対して失礼になるかも存じませんが、卸売人は、結局委託されたところの荷物を販売して、そうして仕切りを出せば、それの手数料を取って自分の方の経費になるわけだから、生産者に対してお金をお貸しになる余裕はないはずだ。それがあるのはどういうわけだということであるならば、これは、まさしくこの生産者の扱うところのものが、そこでそれだけの販売があるということが、一つの、何といいますか、信用になっていると思う。その信用というものは、卸売人信用生産者が作っているんではないか、かように考えますので、その信用生産者に戻していただいてもいいんじゃないか。理論はそういう理論です。しかし、事実は必ずしもその通りに……、それでは卸売人が借金をして、そうしておいて金を融通してやるということまでは、御配慮が願えない、かように考えますので、中央卸売市場法に基くところのこの業務に対する金融公社式のものをこさえてもらっておいて、そしてそれから漁業資金を一つ貸していただくと、それに対する取り立ての責任を卸売人が持っていただけばいいじゃないかと、かように考えておるわけであります。
  29. 安部キミ子

    安部キミ子君 その公社の資金ですね。その資金はどこから出されますか、どういうふうに。
  30. 伊東猪六

    参考人(伊東猪六君) 今申し上げましたように、これは市場業者、それから生産者並びに国家の協力によらなければならぬので、政府に半分出資していただくと、それから市場業者とそれから生産者とが相寄って持つ。並びにその金融機関の信用度によりまして債券を発行する、こういうことで融通資金を作ったらどうかと、こういうふうに考えております。
  31. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいまの各参考人の方のお話を聞いておりますと、大体法案には賛成だと、こういうお説で、同時に、それにつきますことが、下手間違ったら大混乱に入るとか、あるいはそれが一大障害を来たすとか、こういうことを必ず言うておられるのです。だから、問題はその混乱等が起きないという前提に立って賛成していられるのか、こういうものが起きるという前提に立って賛成しておられるのか、その点がはっきりしておりません。あまりに態度がおかしいと思うのですね。私らよりは業者である皆さん方の方が、こういうものをやってもなかなかうまくいかないのだと、こうおっしゃる立場と、それからまあやり方一つによってはうまくいくのだと、こういう立場では、だいぶ法案をわれわれが取り扱う上に、そこに取扱い方が違って参るのであります。だから、どっちがほんとうなのか、実際困っておりますので、その点をもっとそういうような、大部分がそういうお話のように聞いておりますが、ありましたら、もっと確信のあることを一つ表示を願いたいと思う。
  32. 内田秀五郎

    参考人内田秀五郎君) それではお尋ねに当るか当らないか知りませんが、私の気持を申し上げたく存じ上げます。私の考えておりまして、申し上げたことはですね、これは、法の建前はけっこうであるが、この自粛の上で業者間に非常に困難があると、これもまああやふやなお話にお聞き取られるでしょうが、事実がそうでありますからして、この制度のできました上、実行に移るということに対しては、やはりどうも開設者関係、その他農林省関係監督というものが厳重になってこなければ、業者間では、どうしてもなかなか運営上自粛が困難であるというような気持を申し上げておったわけであります。
  33. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは内田さんばかりではないのです。伊東さんも前渡金の問題で、今も言うておられるそういう問題が全くなくなったと、こういう場合に、現実においてやっていけるのか、いけないのか、今までの習慣で。  あるいは東京市場区長の飯田さん、あるいは石井さんに伺いますが、この法案ができて、あなた方は法律通りに完全にやっていける自信がおありになるかどうか。ことに私は飯田さんからはっきり聞いておきたいことは、この純資産の問題で、これこれの場合には業務を停止する。停止した後に負債になる今社でしょう。その場合の整理の問題が東〇のような問題にならないでできますか。具体的に申しますが、墨田青果はそのような状態に入っています。墨田青果をすぐこれを停止してあなた方収拾していけますかどうか、はっきりそれを出して下さい。
  34. 伊東猪六

    参考人(伊東猪六君) 今お尋ねのございました点について、前渡金がなくなっていいかどうかと、こういうお尋ねでございましたと思います。前渡金という名前はよくないが漁業生産のために出しておられる資金を、今すぐとめられてしまったら、船はとまっちまうと思います。従って、これをかりに私は今お願い申し上げたように、これはもっと積極的に助長していただきたいと、こういう議論でございますけれども、どうしてもとめるというのならば、時間をかけてとめてもらわないというと、方法はつかないと思います。
  35. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 今回、純資産額が設定せられましてそれによってそれに達しないものは営業の停止、また六ヵ月間にそれが回復しないものは取り消しをするという、まあ非常に強硬な規定が入ったわけでありまするが、先ほども私御説明を申し上げましたように、こういう取り消しをするのは、ただいまの御質問の通りでありまして、多くの負債を持ってそうなるわけでありまするから、その跡始末の問題が一番大きな問題だと思います。従って、この純資産額を完全に運営していくためには、先ほど申し上げましたような信用準備金制度というようなものを設定しておいて、そうして事前にそういうものを確保しておく、こういうような制度が併行して行われなければ、これは非常にむずかしい問題だと私は考えておるのであります。それで、特に信用準備金制度のことを、この際、つけ加えておいていただきたいというようなことを申し上げた次第であります。
  36. 清澤俊英

    清澤俊英君 運用が非常にむずかしいということと、責任を持ってやっていけないということとは別なんです。私は、やっていけないという結論が出るのか、ただ運用がむずかしいというばく然たるもので済むのか、その点をお伺いしているのです。
  37. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) まあそれの最も典型的な例が、これはまあ皆さん方に非常に御心配をかけました東〇の問題でございますが、非常に御苦労をかけてなかなか解決ができなかったわけであります。やはり私は、取り消しというものが強行されるためには、どうしてもそれの跡始末をする制度的なものが、絶対的に必要だと考えております。
  38. 大河原一次

    大河原一次君 飯田さんにちょっとお伺いしたいのですが、あなたの方で要望されておりますこの類似市場の整備ということを要求されているようでありますけれども類似市場の整備というこの整備の形ですね、どういう形の整備が望まれているか。と同時にあわせて、この整備からくる派生されるいろいろな問題も予想されることができるのですが、そういう結果というものに対して、どういうふうに考えておられるか、その点を一つお聞かせいただきたいと思います。
  39. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 類似市場の整備につきましては、まず中央卸売市場と同じような一つ監督規制ができるような方策が講じられたいということが一つ。それから、既存のものについても必要に応じてあるいは何といいますか、閉鎖を命令することができるとかというようなこと、それからこちらからの合併といいますか、そういうようなこと、それから今の中央卸売市場の中へ合併させるとか、あるいはまあいろいろの点が考えられると思うのでありますが、現在まあ類似市場に対する閉鎖の命令は、新しく中央卸売市場を置くときには、その開設する前に閉鎖命令を出すことができるということが一つあるわけでございますが、開設後において、そういうものができることを極力抑制していく、場合によっては閉鎖を命じていくことができるというようなふうに持っていっていただくことが必要であろうかと考えます。
  40. 寺田省一

    参考人寺田省一君) 先ほどからいろいろお話が出ましたが、中央卸売市場の今度の法律改正は、私たち賛成でございますが、今後の運用において十分御注意を願いたいというのが趣旨でございます。ただいまお話の出ております類似市場の問題につきましても、現在の憲法のもとにおいては、おそらく取締り一本ではむずかしいのじゃないだろうかというふうに考えます。従って、中央卸売市場の正常な業務の育成発展ということを主として、それによってやっていただくのか一番いいと考えるものでございます。むしろ、問題にすると、かえって類似市場を奨励するような結果になることを一番おそれるものでございます。従って、政府当局におかれましても、あるいは開設若御当局におかれましても、取締り一本でなく、育成強化方法考えていただきたい、それによって他の仕事とは、十分りっぱに独立してやっていけるし、公共性を発揮できる。近年の中央市場対策としては、別に政府から補助育成の御措置がございません。開設者当局におかれましても、格別のそういう御処置を伺っておりません。従って、中央市場育成強化対策を考えていただいて、そうして自然に健全なる業務の運営ができるようにしていただくことが望ましい、かように考えるものでございます。
  41. 大河原一次

    大河原一次君 関連しまして。これと同じような、今述べられたようなそういう整備のあり方について、小林さん、全般連等の立場から言って、今述べられたような整備の形について、好ましいことであるというふうに考えられて、別に不便を感じられるということはないわけですか。
  42. 小林繁次郎

    参考人小林繁次郎君) 実態からしまして、類似市場の問題は非常に困難が伴っておるようです。しかし問題は、私の考えておりますのは、中央市場のりっぱな運営をするということで、とにかくそれを中核にして問題を進めていくのが大事だと、こういうように私は考えております。
  43. 東隆

    ○東隆君 私は、先日名古屋の方の市場を見て参りましたが、問題は、やはり生産者出荷者の組織が非常にまずいということです。小林さんもおられますけれども、結局、協同組合が扱っておるものは青果物その他。くだものなんかはようございますけれども、蔬菜面なんかになって参りますと、ほとんどタッチしていない。従って名古屋のような場合には、地元の者が個人で持ち出してきておる、こういうような物が多いわけです。旅荷が非常に少くて、そして地場の者がめいめい勝手に出しておる、こういうような形のものが非常に多くて、これがまた混乱を起すもとになっておるようです。そこで問題は、やはり出荷者の組織の問題が、これは非常に大きな問題になってくると思う。昔は農会なんかがありまして、あっせんの形でもって土ものをほとんどやっておる。そういうような機関がなくて、出荷組合その他のような形でもってできておる。こういうようなものが、一定の統率のもとに行われないために、出荷そのものにおいていろいろな問題が出てくる。ことに金融の問題になりますと、私は、市場とのつながりでもって金融をされたんでは、永久にりっぱなものにならぬと思う。出荷者自身がやはり金融を考えなければならないので、その面については、やはり協同組合のような組織を作って、そのものに別なところから資金を流す、生産物金融もやはりそういうような意味でもって流す、こういうような形でもって進んでいかなければ本物にならぬ。それからまた市場そのものも、今のようなやはり営利を目的にしたものによって郷売機構ができておったのでは、これは問題にならぬ。やはり——この法律はどちらかというと、大正十二年にできておりますから、目的もはっきり掲げてありませんし、市場そのものの性格というものが、やはり自由主義の花をとってありますから、従って、そこまで制限を加えておりませんけれども、今の段階になってきたら、やはりもう少し公共性を持った機構に作り上げていかなければならぬ、そんなような考え方から見ますと、先ほどの伊東さんのお話しになった金融の面におきまして、適正、公共的な低利資金を結局出し得るような体制と、こういう考え方でありまするけれども、あの場合においても、出荷者前渡金でもって生産物金融を出すというような考え方は、私はあまりいいものでなくて、市場そのものにおける金融、これを低利資金をもってやり得る、こういうような形にして、そうして実際における出荷者生産者、これは別途な自分たちの組織を通して金融を受ける。しかもその金融は、今度の改正においては、やはり協同組合のようなものをしっかり作れば、低利資金も流れていく、こういうような体制に、私は今度の改正がもっていけるのじゃないか、こういうふうに考えているわけですが、そういう点はどうですか。これはだれかお答えを願ったらいいと思うのですが……。  それからもう一つ小林さんに、こういう点はどうかという問題は、都市近郊の協同組合というものは、穀菽農業やそれから酪農、そういうようなものももちろんありますけれども、しかし蔬菜だの何だのというようなものを扱っているのですから、そういうような地帯における協同組合というものを、もっと組織化した形で全国的に統制をする考え方がありませんかどうか、そういう点をお尋ねしたいと思います。
  44. 小林繁次郎

    参考人小林繁次郎君) ただいまの東さんの御指摘、特に系統の協同組合等の青果物に対する現況等については、まさしく御指摘のような点が多分に反省をされるわけであります。しかし一方、青果物の生産面は非常に進んで参りまして、政府の方面のいろいろの指導等も加わって、適地適地、あるいは畑作振興というようなことで、非常に生産を増してきていることは実態でございます。その結果として、先ほども消費者側からのお話がありましたように、ともすると豊作のために、非常に手痛い目に生産者があうというようなことも事実でございます。そういう事態の推移は、今までともすると農業協同組合等でも青果物等に対して不徹底な態度しかとり得なかった点が、強く生産者から要請されまして、最近ではそういう態勢が逐次非常に活発になって参っております。地方の要請もありますので、われわれの方としましても、青果物並びに畜産物等につきまして、あらためて三カ年計画を樹立しまして、その第一年度に差しかかる、こういうような状態になって参っているわけであります。従いまして、今お話しがありましたようなそれらの生産面の金融の問題、あるいは販売上の金融の問題というのは、当然に系統の金融をもってこれをまかなっていくということが、その案の中身にも相なっておりますので、われわれとしては、そういう点は今後ますます助長推進をして参りたい、こういうふうな考えでございます。従いまして、そういうふうなことが進んで参りますれば、各市場における荷受機関に対して、それぞれある程度計画性を持った出荷の調整等も、われわれの自力において可能なだけのことをやりまして、荷受機関の方としても集荷の上においての経費が軽減できる、従って、経営全体にも相当の好影響をもたらし得る、こういうことにも相なろうかと考えております。そういうふうなことで進んで参っておりますことを、この際、申し上げておきたいと思います。
  45. 寺田省一

    参考人寺田省一君) ただいま水産関係前渡金のことについてお話がございましたので、実情を申し上げたいと存じます。  水産関係におきまして前渡金がまことに多いのでありますが、これはわれわれも悩みとするところではございまするけれども実情を申し上げますと、漁業者が漁船をもちまして出漁する場合に、金融機関から金融を受け得るのは、その全額ではございません。六割とか七割とか、人によって、あるいは漁船、あるいは漁業の種類に応じて違って参ります。そういたしますと、その残額をどうしても何か調達しなければ出漁できないというのが実情でございます。従いまして、その金融については、漁業の場合では漁獲物を担保にするというような意味合いから、どうしても取引先に金融を仰ぐ、こういう実情になっておりますので、これはどういう方法で参るのがよろしいかは別といたしまして、今日、前渡金をとめますと、先ほどお話の出たように、漁業の実行が非常にむずかしくなる、こういうことを懸念いたすものでございます。その対策としてどういうふうにするがよいかは、これはいろいろ御議論も御意見もあるところと存じますが、さしあたりすぐ強度の規制をされますと、漁業に影響が及ぶことを懸念する、こういう意味でございますので、実情を申し上げておきます。
  46. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ここで休憩いたしまてす。    午後零時二分休憩    —————・—————    午後一時五十二分開会
  47. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 委員会を再開いたします。  重ねて中火卸売市場法の一部を改正する法律案を議題にいたします。午前に引続いて、参考人意見を伺うことにいたします。なお、参考人に申し上げますが、時間の都合上、御陳述は十分以内に御要約願います。全国青果仲買人組合連合会会長江澤仁三郎君。
  48. 江澤仁三郎

    参考人江澤任三郎君) 今度の中央卸売市場法改正案は、当初の農林省の原案によりますると、確か十項目ぐらいにわたっておったのでございます。この改正に至りました原因は、東〇神田青果株式会社の問題に起因するものでありまして、市場関係業者間においては、これがために東〇改正案とさえ取りざたされておったのでございます。ところが、このたび国会に提案されました改正案は三項目にすぎず、当初、農林省が企図しておられました市場信用準備金制度等の大部分が削除されておりますことは、かえって奇異の惑を抱くとともに、なおさら改正の意義を喪失したものと存ぜられます。私ども仲買人といたしましては、当初より、このたびの改正につきましては、主として卸売人の問題であり、直接に関係のないことでございますので、正直なところ、あまり関心を持っておりませんでした。むしろ、何か問題が起るごとに、御自分の御立場を擁護するための御都合主義でかような小刻み的な改正をすることには、反対をいたしておったのでございます。大正十二年、中央卸売市場法が施行せられまして以来三十余年を経過し、これが制定当時に比べ、社会的、経済的情勢の変動に伴い、市場の性格にもはなはだしい変革を生じている実情からいたしまして、全面的な改正を希望しておるものでございます。たまたま一昨年中央卸売市場運営協議会が設置されまして、法改正についての審議をいたし、この答申に盛られましたる大部分は実現を見られませんで、一部の改正があったのみでございます。従いまして、かような一部的な改正をせずに、現状に即応するよう根本的に改正し、流通の合理化と機構の不備欠陥を是正する全面的改正を要望するものでございます。大体、中央卸売市場開設の目的は、国内の生鮮食料品を、中央卸売市場という大きなパイプを通じて、公正な妥当な評価によって、適正迅速に消費者に流すことであることは論を待ちません。このことから考えますると、類似市場の問題でありまするが、運営協議会の答申にはなかったのでありまするが、前回の法の改正において法制化されましたが、私どもといたしましては、当時の農林省考え方としては、一応届出制によって類似市場の実態を把握し、当然これを収容または買収の形で整備することが立案の趣旨であったと思っておりましたところ、二カ年を経過いたしました今日、依然として放置されておりますことは、かえって結果的には公認をした形になったのでございます。かようなことは、中央卸売市場を軽視される原因であり、せっかくの中央卸売市場の発展を阻害するものであり、全く中央卸売市場の目的とは、相反した結果となっておるのでございます。かような点から申しましても、今回、この改正案が通過をいたしましたとしても、次期国会には、ぜひとも全面的改正が必要であることは申すまでもございません。なお、改正に当りましては、学識経験者の方はもとよりでございますが、生産者、消費者代表はもちろん、私ども業界の代表を加えて、委員制度を作り、十分意見の聴取をするように希望いたします。  なお、今回の改正の三点のうち、第一は、名称の使用の問題を規定いたしたものでございますが、これは別にいたしまして、第三の卸売人純資産の件につきましては、行政指導で処置できるように考えまするので、私どもといたしましては、第二の問題について申し上げたいと存じます。  卸売業務にかかる取引方法規制に関する規定の新設についてでございますが、提案理由説明によりますると、卸売人の間における競争が過度にわたり、出荷者方面及び仲買人小売人等の売買参加者に対する前渡金及び卸売業務の健全性を確保する上に弊害を生じている実情であるので、法律によってこれを規制せんとするものであると伺いましたが、これこそ全く中央卸売市場の実態を御理解願えないものと、はなはだしく残念に存じます。かりに東〇問題にいたしましても、複数により、過度のかような結果によるものとは私ども考えておりません。もちろん多少のことはありましょうが、社長並びに責任者である重役各位の運営の誤まりであり、もしさようであるならば、全般的に卸売会社は、説明の趣旨のように、不成績でなければなりません。現に東京に二十数社の青果卸売会社がございますが、過半数は良好な成績をあげておりますことからいたしても、私どもには、その点、不明なところがございます。出荷者に対しまする前渡金、あるいは未払金等につきましては別にいたしまして、また小売商に対する奨励金のことにつきましては、小売商の代表の方々から御意見の御発表もありますので省略をさせていただきまして、仲買人の立場から申し上げるならば、仲買人の使命は、需給による価格の調整の機関でありますことはもちろんでございまするが、卸売人との協約に従いまして、三日目ないし四日目の支払いを励行すると同時に、組合を結成して代払い制度を実施し、また、代払い制度を実施しておらないところにおいても、連帯保証制度をとり、代金支払いの最終の責任を負っておるのでございます。一万、買出人に対しましての回収につきましては、各都市を通じまして、平均して二十日ないし一カ月を要します。この間の融資もいたしておるのでございます。従って、多数の組合員中には、回収不能による貸し倒れ等のため、落伍者を生ずる場合があるとはいいましても、全組合員をもってこれが補てんをいたしておる実情でございます。卸売人に対しまする代金決済の機関としてきわめて重要なる役割を果しており、また、市場の経済機構として最も重点的な存在でございます。  以上申し上げまして、私どもの受けておりまする奨励金は、完納奨励金でございまして、卸売人に対する支払い保証的なものであり、単なるリベート式のものではございません。国家や地方自治体におきましても、税金を完納いたした場合には奨励金支出しており、納税組合には完納奨励金の意味で事務費補助をいたしておる通りでございます。この点につきましては、卸売人はもちろん、開設者も十分御承知のことでありますので、今さら法の上に条項を新設する必要はなく、現行業務規程の範囲において実施することが当然と考えられます。  幸いこの機会でございますので、お願い申し上げたいことは、中央卸売市場の設備拡充に伴う国家的施策として、補助金の交付、並びに起債のあっせん等、財政的措置お願い申し上げたいこと、監督官庁として農林省及び開設者は、監督規制のみに重点を置かれておりまするが、市場業者の自主性を認められるとともに、これが維持育成をお願い申し上げたいと存じます。  われわれ市場業者として、中央卸売市場信用保持につきましては、私ども全国中央卸売市場に所属いたしまする青果仲買人組合の仲買人は、毎年の総会におきまして、また、機会あるごとに自省し、申し合せをし、お互いに中央市場の中枢機関としての自覚を持って、法規を順守し、監督官庁の指示を守ることはもちろん、実質的に経済的機能的向上に努め、他の市場業者と協調を保って、市場信用の保持に努めまするとともに、生産者、消費者の信頼を得て、ますます市場の発展に努力いたしますことを誓っておることを御了承いただきたいと存じます。今後とも御指導、御鞭撻をお願い申し上げまして、意見といたします。   —————————————
  49. 重政庸徳

  50. 北村宮藏

    参考人北村宮藏君) 御配付いただきました改正案中央卸売市場法の一部を改正する法律案要綱の第二を拝見いたしますと、取引方法規制、第三条改正の項で、「開設者は、中央卸売市場における業務の適正かつ健全な運営を確保するため必要があるときは、業務規程をもって卸売人の卸売業務にかかる取引方法出荷者に対する前渡金奨励金、売買参加者に対する奨励金等)に関する制限を定めることができることとする。」と書かれておりますが、私ども水産物仲買人の立場から申し上げますと、これは出荷者に対する前渡金奨励金制限しようとした抱き合せ規定であるかのごとき観念を持たざるを得ないのであります。私ども仲買人のまことに遺憾とするところであります。  今回の法改正が、最初の意図から後退して、あとからかような項目が付加されましたことについては、すでに先般本委員会の諸先生方が御西下の際、大阪市場における業界首脳部との懇談会の席上、私ども六大都市水産物仲買人組合連合理事長、清久辰治氏より、十分意見を具申してありますので、仲買人への奨励金支出の妥当性については、御認識下さり、本改正案提案理由の誤謬は、少くとも水産仲買人に関する限り、御了承下さいましたことと確信いたしているものでありますが、しかし、私はこの機会に、いま一度皆さまによく御認識していただきたいことのまず第一は、今回の改正案提案理由の中に、現在の中央卸売市場における状況を見ますと、卸売人競争が過度にわたり、出荷者方面及び仲賢人等、売買参加者に対する前渡金奨励金支出が過度に行われ、適正な価格形式及び卸売業務の健全性を確保する上に弊害を生じているとして、市場法改正案第二条第二項に「卸売ノ業務ニ係ル取引方法ニ関スル制限」として、仲買人に対する奨励金までも制限するがごとき印象を与えておりますが、以下、この仲買人に対する奨励金の正当性について申し上げます。  第一に、過去におきましても現在におきましても、卸売人から仲買人に対し、卸売の業務に支障を来たすがごとき奨励金、並びにその他のサービスを受けたことはありません。卸売人仲買人の代金決済並びに奨励金につきましては、開設者が、業務規程をもって規制しておりますので、仲買人に対する奨励金等の過度の支出によって、卸売人業務に支障を与えた事実も、水産物の流通面においてはございません。御承知のごとく、中央卸売市場の健全なる運営と発展は、卸売人仲買人との間におけるそれぞれの立場の順守でありまして、すなわち卸売人は集荷に専念し、仲買人は、消費を背景として適正なる評価とみずからの危険負担において買入れ、かつ、開設者の定めた規程によって代金の決済を行なっているのであります。この代金決済がスムーズに行われ、それによって、卸売人をして出荷者に対する仕切金が早期確実に支払われる、この潤滑油的操作をもって、水産物の流通秩序が確立せられているのでございます。仲買人は、前述の通り、諸種の困難と、開設者からの制約を受けているのでありまして、たとえば兼業の禁止、代金決済方法取引方法、営業場所等の諸制限をもとにいたしましても、なお仲買人は、買受代金を卸売人に対し二日目、または三日目決済を行なっております。  一方、仲買人取引先の決済は、かなりの部分が相当長期にわたっている実情でありまして、卸売人仲買人の間における奨励金は、かかる相関関係に基いて、両者の共存共栄をはかるために、開設者の許可を得て授受されているのであります。  以上土述べました結論といたしましては、本改正案第二項は、あえて新設しなくても、右の理由により、現行法律下の業務規程運用によって万全を期することができるのでありますから、これは、できれば削除していただきたいのでございます。  なお、一言申し述べたいことは、公共の福祉に関係する水産物の流通機構の中で、しかも諸種の制約下に、きわめて重要な役割を果しておるのでありますから、妥当な取締り、監督規制もけっこうでありますが、やはり、一方におきましては、保護育成策、たとえば仲買人への金融制度改善等を講じていただきたいのでございます。  最後に付け加えますが、本改正案のごとき部分改正でなく、われわれが常に要望しております市場法の全面的、抜本的改正お願いして、私の意見といたします。   —————————————
  51. 重政庸徳

  52. 大澤常太郎

    参考人大澤常太郎君) 今回の中央卸売市場法一部改正法案に対しまして、私の意見を申し上げます。  第一に、中央卸売市場という名称の使用を制限する規定の新設には、私は賛成をいたします。  第二に、卸売の業務にかかる取引方法制限に関する規定の新設については、その中で、売買参加者の奨励金に触れておりますが、小売商は、これに対して重大な関心を持つものであります。よって、以下、小売商が受けている奨励金について、その実情を申し上げ、十分御認識を得たいと思います。  まず第一に、奨励金の出されている理由から申し上げます。組合員が毎日市場で仕入れる青果物は、その口数が多く、また荷作りなど各種各様にわたっていて、非常に繁雑であります。その繁雑な組合員の仕入れ代金を、組合は一括して代払いをもって売手である卸売会社に完済をしております。これには、組合員の大きな努力と出費が伴い、さらにはいろいろな損害が起るのであります。それを代償する意味をもって奨励金は出されております。組合員は、卸売会社と組合との取引協約に基いて、商品を仕入れてから三日目にその代金を支払っております。従ってわれわれに対しては、他の業種のように、長期の信用取引という特典はありません。時節柄、組合員は三日目支払いを行うことに非常な苦心を感じておりますが、業界発展のために、組合はあえてそれを励行させております。奨励金は、組合員にこの三日目支払いを励行させるための奨励方法でもあります。従って、三日目支払いがおくれた場合には、この奨励金はもらえません。  次に、三日目代払い制の功績について述べますと、現在の卸売会社は、取扱い高に比較して、自己資本金がきわめて少いのであります。これに対して、われわれの組合は資金援助の意味をもって、取引保証として、戦後から、各市場の卸売会社に対して、組合員一人につき三千円、合計約一千五百万円の金額を、会社に無利息で融資をしてきました。また、各市場の卸売会社に対して、その希望に基き、組合または組合員個人の立場から、総額約一千数百万円の金額を出資しております。もしこのような資金の少い卸売会社取引代金が、迅速に回収されなかったとしたらどうでありましょう。それは、直ちに産地への送金に支障を来すことになるでありましょう。現に組合の出先機関である私ども各支所は、その属する市場の特に弱体卸売会社に対しては、その日の組合員の取引代金を一括して見込み、その総額を前払いをし、または即日あるいは翌日払いをして、これに協力を行なってきておるのであります。従って、三日目代払い制による迅速完全回収が行われずして資金を銀行の融資に仰ぐとしたら、その金利はけだし莫大なるものとなって、多くの卸売会社経営は、きわめて困難なものとなるでありましょう。それだけではない、非常に数多く、しかも雑多な買出人を相手にして卸売会社が個々の取引をするとしたら、それに要する手数と費用は、非常に大きく、また、多額な不良焦げつきが起るでありましょう。このことは、戦前の青果市場における個人問屋時代の状況によって明らかであり、当時これら問屋が、いわゆる帳面大尽の多かったことによって指摘できることであります。その意味からいって、この三日日代払い制は、中央卸売市場の経済運営に根幹をなすものであると信じます。  また、組合の代払い実施に伴うおもな出費については、七千名組合員の複雑な取引を代払いするために働いている組合の職員は神田の市場だけで百名以上いて、全市場では多数に上り、その人件費は大きいのであります。また、これに要する事務所の費用も相当額に上っております。  次に、代払い実施による組合員の協力について申し上げて見ますと、組合員の中には、営業不振に陥って、仕入代金の支払い不能者も当然出てくるのであります。代払い制をとる以上、そのものの分も組合は完全に支払い、売手側にいささかの迷惑をかけておりません。また、町の商戦は激しくなってきておるので、必然的に貸し売りが増加し、そこに貸し倒れがふえてきておるのであります。支払いが三日目、貸し売りは長期になるとすれば、組合員は、その資金を補うために金融を受ける必要が生じ、これに利息を支払わなくてはなりません。商売が大きくなれば大きいほど、その額は上回っております。現にわが組合の青果商信用組合だけでも、代払いを実行するために、約二億円の金を放出しております。このほかの市場信用組合、銀行から受けている融資は、相当額に上るものであって、その利息は大きなものであります。  次に、奨励金の一部は次のごときことに使用されております。組合員に三日目支払いを励行させるためには、その営業を発展させなくてはなりません。これがために、組合は奨励金の一部を次のごとく有効に使用しております。組合員の指導研究の一部、組合員の産地視察費の一部、青果物の消費宣伝の一部。特に一言お断わりしておきますが、今、江澤さんからのお話もありましたけれども東京に限っては、仲買人との取引にも代払いを実施いたしております。  次に、奨励金の経過について申し上げます。東京の各青物市場では、明治十二年ごろから大正時代にかけて、歩戻し頭銭と称して、買出人に対して取引高の二分を出しておりました。これが、小売商にとって買い出し費用の助けとなって、長年の間、市場の慣習となってきたのでございます。これが、昭和四年の九月、歩戻しは、当時の堀切市長さんより、支払完納奨励金として公認をされました。その後、昭和二十二年の十月に、戦後、青果物が統制から自由取引に復元をするに際して、卸売会社と組合との間に取引の協約が成立し、奨励金は再び東京都知事より公認をされ、現在に至っております。  第三の、卸売人純資産額に関する規定の新設について申し上げます。中央卸売市場信用を保持し、その発展を期するために、今回の改正案が、卸売人の経営を健全な姿に置こうとする施策には賛成でございます。これを前提として希望をすることは、卸売会社の中には、資産は少いが、産地並びに買出人に対して大きな信用があり、健全な営業を続けているものがあるのでありまするから、これらに対しては十分考慮をして、その措置を決定すべきであると思います。また、現在の小さく弱い卸売会社の中には、統制下、青果物の責任集荷という重責を負わされて、これを無理に果した結果、大損失をこうむり、現在に至っておるものがございます。しかし、これに対して当局からは、かつて何らの財的援助も得られなかったのでありまして、これが、これらの会社にとつて、今日、純資産額の少い大きな原因となっているのでございます。よって、これらの卸売会社に対しては、資産再建計画の期間をなるべく延長をして、大いに育成をしてやるのがほんとうであると思うのでございます。  以上をもって、私の意見を終ります。   —————————————
  53. 重政庸徳

  54. 塩澤達三

    参考人(塩澤達三君) 今回の中央卸売市場法の一部改正に際しまして、第一の、名称の問題は、これはたいへんけっこうだと私は思っております。  第二の、奨励金の問題につきましては、代払い制と関連をいたしておりまするので、もし、これをいたずらにやめることになりますと、市場内の金融上にも大きな支障があり、また、この制度をやっていることによって仲買人方面の信用も維持されておるというような実情にありますので、これをいたずらに廃止することに対しましては、反対意見を持っております。  それから第三の、卸売人信用強化するため、その財務の健全性を保持しようというのがねらいのようでありますが、卸売人信用強化賛成ですが、今回の財務の健全化だけでその目的が達成せられましょうか。財務の健全化も必要かも存じませんが、この際、卸売人信用強化策としては、むしろこの際、開設者監督強化と責任の分担がより必要だと存じます。いろいろ卸売会社に事故の起きます原因は、代表者の責任ではありまするが、事故の発生は、突如として使用人方面からもいろいろな問題が起きるのであります。それらをうまく運営していくために、経営者が非常な困難に陥ることも間々あるように聞いております。それらのものを、開設者監督強化と責任の分担ということによりまして相当防ぐことができるのじゃないか。それには、開設者に予算外義務負担を負わしむることが必要だと存じます。予算外の義務負担をいたすことになりますと、これは生産者も安心して出荷することができますし、それから、また、開設者がそういう責任を負うことになりますれば、積極的な監督強化される結果になりまするので、卸売人信用強化するには、やはり開設者の予算外義務負担という制度が生まれることが、一番適当ではないかしら。ただ単なる計算上の資産がふえたとか減ったとかいう問題で、卸売人信用は保持されるものではないと私は思います。なお、生鮮食料品は、加工、貯蔵が困難ではありますが、最近のように水産物の加工品が急に増加して、水産物の七〇%を占めるような現在におきましては、現在の中央卸売市場法でよいのか。現在は、大メーカーは、製品を市場へも出荷するが、また、直売もしておりますので、近き将来、水産物の流通過程に大きな変化が起きるのではないかと、ひそかに心配をしておるのであります。なお、現在の中央卸売市場が、最初、御承知のように、消費市場として出発したのでありまするが、現在では、集散市場としての機能を持つようになりました。従って、市場は非常な混乱を来たしておるのであります。よって、今日の臨時的立法処置でなく、この際、卸売市場法の根本的改正正を考慮していただきたいと思います。  以上、簡単でありますが、私の意見でございます。   —————————————
  55. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 東京大学教授川野重任君。
  56. 川野重任

    参考人(川野重任君) 私は、いわば第三者の観点から、法律案において問題になっている諸点についての意見を申し上げたいと思います。  改正の趣旨は、卸売人の間における過度の競争による弊害の防止ということのようでありますが、これについては、まず、なぜ過度の競争が起きているかということを考えなければいけないかと思います。私は、第一には、卸売人の数が多いにしろ少いにいたしましても、数が制限されているということが一つの条件、第二には、その手数料が一定であるという点、この二点を基礎にして競争が激しく行われるというところに、根本の原因があると思うわけであります。従いまして、過度の競争を防止する、あるいはそれからくる弊害を少くするというためには、単に卸売人の資格を厳正にする、あるいはその数を減らすというだけでなしに、その手数料の点についても合理的な判断を加え、これを、そのときどきの事情において漸次修正を加えていくということがなければ、この過当競争弊害というものは防止できないのではないか。逆に申しますると、卸売人の数を減らしますると、過当競争がなくなるかと申しますと、かえってその競争が促進されるという面がある。少くとも手数料というものが一定であれば、数が少くなればなるほど、独占的になり得るわけでありますから、その独占をねらって、その途中の過程において競争が激しくなる、こういうように考えるわけであります。  従いまして、ここにあげられました三つの点の改正につきましては、いずれにおきましても私は賛成でございます。ございますが、その運営上、若干の点に注意しなければならないのじゃないか。特に第二の点でありますが、取引方法制限に関する規定、これについては、まず開設者がいかなる基準をもってこの制限規定を設けるかということでございますが、これについては、利害関係人はもちろんのこと、第三者を含めまして、この過当競争弊害を真に除去するという建前の上において、不断にこれを検討するということが必要ではないか、こういうふうに考えます。それから第二には、各種の奨励金あるいは前渡金のごときを縮減する、あるいはこれに厳重なる監督を加えるという趣旨のようでありますが、こういうものが現在出ていることは、ある意味におきましては、私は現在の手数料の中において、それを大きく見ますると出し得る余地があるということを示すものにほかならないのじゃないか、そうすれば、当然手数料の合理化というものについて具体的な措置が必要であろう、こういうように考えるわけであります。それから第三には、以上の点をにらみ合せまして、この卸売人に対する監督というものが、一そう徹底して行われることが必要じゃないか。そうしませんと、数が少くなればなるほど、過当競争が激しくなるという面を持つ、それをカバーする監督強化、さらに手数料の合理化という点について、一段と考慮を望まれるのではないか、こういうように考えます。   —————————————
  57. 重政庸徳

  58. 井原昇

    参考人(井原昇君) 私は、第三者的立場で、今まで私ども市場の内外を通してながめて参りました中央市場の実態、真相ということから、お話を申し上げたいと思います。それによって、本法改正案についての諸先生の御判断の資料に供したいと思います。  私は、市場経済の実際面について申し上げるのでありますが、まず第一の名称の問題については、別に異議ございません。賛成でございます。  次に第二の卸売業務にかかわる取引方法制限に関する規定の新設でございますが、この点の政府提案理由説明によりますると、生産者並びに販売参加者に対する前渡金あるいは奨励金が過度に支出されている、そのことによって卸売人の経営が非常に不健全になっている、その原因になっていると申されておりまするが、これは奨励金内容そのものについて検討が不足のために、玉石混淆、一視同仁に見ているために、そのような御意見が出たのだろうと思うのであります。奨励金と申しましても、青果と魚類とにおいては、若干その趣きを異にしておるのでありますが、青果部門においては、市場経済の根幹をなしているのは、卸売人に対する数百、数千の仲買、小売人の一折代払い保証制度の確立であります。これによって卸売人健全経営を阻害しているどころか、卸売人の発展を大いに助長援護してきたものと見られるのであります。そうして、この支払い保証に対して、その代償として奨励金が出されているということなんでありますが、要は、この奨励金市場経済の面から、はたまた社会通念から妥当かどうかということであると思うのでありますが、私は、代払い保証制度確立のもとにおける奨励金は、まことに妥当であると断ぜざるを得ません。  また一面、生産者方面に対する問題でありまするが、前渡金奨励金——先ほどから午前中も各代表者が申されました通り生産者に対する前渡金は現在の卸売機構においては、なかなか一朝一夕にこれを取りやめるというようなことが困難なことは、御承知のことと存じます。しかしながら、その奨励金というもの、生産者に対する奨励金の大部分が、有力な生産者、有力な出荷団体のみに限定されている。弱小の個々の生産者に対しては、これが支払われていないという不公平な面も一応あるのであります。それから、いわゆる生産地におけるボス、要するに生産者団体、出荷団体を踏み台とするボスが横行して、中央市場取引の不明朗の原因をなしている。この事実は見のがし得ないところであります。これに対して、在来、農林当局も何ら手を打っておらなかったということはまことに私どもとしまして潰憾にながめているのでございます。市場卸売人に対してのみ規制措置を講じまして、悪徳生産者ボスに対しては、何らの抑制もしてこなかったということであります。大体、生産者団体と卸売会社とは、受託取引契約を結びましてその際、奨励金の取りきめも行なっているのでありまするが、このようなボスは、その取りきめられた一定奨励金以上に、随時会社に対して傘下の団体の圧力をもって、圧力を利用して、そうしていろいろな名目で金銭を強要していることは事実であります。具体的な例をここで申し上げてもけっこうでありまするが、差しさわりがあるようでしたら、ちょっと遠慮いたします。とにかく、各市場とも卸売人が非常に集荷競争に狂奔しているその弱点に——盲点といいますか、それにつけ込んで、食い込んで、盛んにボスが暗躍する、まことに目にあまるものがあるのであります。私どもも、職業柄幾たびかこの事件について議論を戦わしたのでありまするが、実際問題としては、いかんともなしがたく、現状においてもますますその傾向が濃厚であるということをここに申し上げることは、まことに残念に思うのであります。たとえばここに一つの具体例を申し上げますと、いろいろボスもございますが、その代表的な悪徳生産者のボスといいますと、かの有名なミカンの生産県である愛媛県の何がし、これなどは、自分がその工場を経営しておる、清涼飲料水の工場を経営しておるのです。その工場から生産する飲料水、いわゆるジュースですね、これを卸売人に強引に押しつける。ところが、青果の卸売人は清涼飲料水屋ではありませんから販路を持ちません。そのために泣く泣く原価を割って処分しております。かつてその昔マホメットは、左手にコーランをかざし、右手に剣を擬して布教をした。どうですか。中央市場にもまだこのようなマホメットがおります。そうして左手に卸売人が垂ぜんおくあたわざるところの伊予のミヵンをひっさげて、かざして、こちらにはジュースですよ、縁がないのです、青果会社には。ジュースを買え、買わなかったらミカンやらぬぞ。泣く泣くジュースを引き取って損をしている。しかしミカンをもらうから、それで若干カバーができる、こういう状態です。まず市場の青果会社に行きましたら、いつでもジュースはございます。もっぱら接待用に使われております。まあ自家消費です。売って損をします。そのようなことが現在行われておるのでありますが、こういったことについて、農林省も一考の価値があるのではないかと思います。まあとにかく幾ら当局市場取引規制を声を大にして叫びましても、かような悪徳生産者ボスに対して何ら手を打たないならば、中央市場取引の公正明朗化ということは、とうてい期待し得ない現状でございます。しかしながら、また一面、進歩的な有力生産者団体もございまして、青森県のリンゴ協会のごときは、まことにりっぱな考えを持っておるようであります。そのリンゴ協会の石岡代表は、このように言っております。産地として奨励金はむしろやめてもらいたいのだ、これあるがために産地の紛争が絶えないと言うのです。生産者としては、公正な競売が一番望ましいことであって、わずかばかりの奨励金をもらっても、全くしょうがないんだ、公正なせりによる公正な仕切金をもらいたい、幾ら歩面しをもらっても、ちょっとぼんこつをやられたらそれでおしまいじゃないか、こういうことです。この言たるや、現在の市場取引の一端がうかがえて、なかなか含蓄がある言葉であろうと存じます。公正取引の場であるべき中央市場の現在の取引の実際は、不公正、不明朗な面も多々あるのであります。この点、特に御留意をお願いしたいと存じます。卸売人生産者に対する仕切書の改ざん、これは、大阪中火市場においては最もはなはだしく行われておるのであります。これは、卸売会社自体、卸売人自体、責任者が声を大にして叫んでおるのであります。かつて本委員会の諸先生方と大阪中央市場業者の代長者とのこの問題についての意見の交換会がありましたが、その席上においても、われわれはどうしても仕切金を改ざんしなきゃやっていけないのだ。これはどうもやりたくない、悪いことはしたくないけれども、現在の卸売機構においては、自衛上やむを得ないんだ。これはもう公然の秘密である。公然の秘密とはどうかと思いますが、白昼公然とこれを行なっておる。まことに清ない事態であるということを申しております。ですから、この懇談会に御出席なされた先生方は、この間の事情をよく御存じと存じます。それから、こういった点に対して、開設者あるいは農林当局が、厳然として監督のいすにすわっておるのでありまするが、いまだかつてこの問題について当局の指導監督ということの効果について、あるいはやろうとしたかもしれませんが、気持はあるのでしょうが、何ら依然として効果が現われてない。まことに遺憾であります。鈴木課長、御存じですか。これを要するに、東京青果——まただいぶバラエティになりますが、脱線しますが——これを要するに、東京青果都あるいは大阪魚類仲買い小売は、市場経済の面について、非常に貢献をしておったということなのであります。この奨励金を最も有効適切に使っておるのが、東京の青果都仲買小売商組合、大阪の魚類仲買いであります。残念ながら、まだ東京魚類部仲買組合は、奨励金はもらっておるけれども、何ら支払い保証もしておりませんし、代払いもしておりません。こういったものと、りっぱに保紙代払い制度をやって、その代償として受け取っておるその奨励金を、当局は、まことに残念ながら、玉石混淆してお考えになっておるように見られることは、残念であります。いずれにしましても、この第二項の奨励金の問題は、買い方に関する限り、代払い支払い保証制度のもとにおける奨励金は、市場経済上絶対に必要であり、また、妥当であるということを申し上げたいと思います。  それから第三の卸売人純資産額に関する規定についてでございますが、当局提案理由説明によりますると、現在の卸売人の財務状況は、過度の競争その他により、きわめて憂慮すべき状態にある云々と申されておりますが、まことにしかり。しかしながら、その憂慮すべき状態が生ずるに立ち至ったその主たる原因である過度の競争という根源について、まず改善策を考えられなければならないのにもかかわらず、これをさておいて、過度の競争というこの原因を、よってもって生じたその憂慮すべき結果についての処理方策が、この純資産改正条項であると解されるのでありまするが、私は、過当競争によって生じた結果の処理策よりも、その過当競争という根源を断つのが先決ではないかと考えておるのであります。この点については、ただいま川野教授も申されておりますが、卸売人の経営不安の最大の原因を放任して卸売人が左前になったら、首を締めちゃう、これが今度の改正案のねらいのごとく見られますが、いかがですか。終戦後、怪しげな卸売人を無制限当局は許可したのであります。その始末に困って、そうして今度は各卸売人に対して、いわゆる責任数量というものを押しつけた。そうしてその責任数量に達しない者は、片っ端から首を切ったのです。そうしてその資格を失った人たちは、不本意ながら泣く泣く市場を追われたということであります。このような卸売人の整理は、徳川時代の切り捨てごめんと何ら異なるところがございません。しこうして、辛うじて今日まで残った卸売人の中にも、当時のその責任出荷による出血の痛手をかかえて、いまだに難渋な経営にあえいでいる卸売人が数社あるということは、農林省の発表の通りでございます。この卸売人を、農林当局は、憂慮すべき経営不安な状態にあると、本案提案に際して説明されておりまするが、この卸売人の財務不良は、何も今に始まったことではありません。これは初めからなんです。この内容は、初めから農林省開設者もよく知っておるものですから、何とかしなきゃならぬということから、在来しばしば次官通達あるいは局長通達を発しまして、卸売人の整備統合ということを、実は年中行事にやってきたのであります。ただし、結果は何もあげておりません。まことにお気の毒な次第であるけれども開設者にも農林当局にも、この通達は出すが、通達の趣旨を実現せしめるだけの行政能力がなかったということなのでありまして、そのままじんぜん無為にして日を送った結果が、いかがですか、昨年の夏、東〇という、ああいう大事件が勃発したのであります。そうして農林当局東京都も、こうごうたる世論の指弾を受けたのであります。よく業界に精通しておりますもちろん監督官庁である農林省開設者も、これはたまらぬ、今これだけの不良の会社があるのだ、だからこれは東〇に続くものがすぐ現われるぞ、これは大へんだという、自分の立場擁護ですね、私ども考えますと。そうして、さような不安におびえた農林当局……
  59. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 時間がなんですから、簡潔に。
  60. 井原昇

    参考人(井原昇君) すぐ終ります。農林当局のその御心痛のほどは、まことにお察し申し上げるのでありまするが、その御心配が、この純資産額規定という形においてここに提案されたものと了解しております。しかしながら、私どもの納得のいかないのは、一定額の純資産を割った卸売人に対しては、業務停止を命じ、六カ月以内に資産内容の改善ができなければ、許可を取り消すという、この点であります。市場における卸売人業務停止は、実質上の破産宣告であります。かかる破産宣告を受けたような会社が、六カ月以内に資産の改善が果してはかり得るかどうかということは、常識をもってしても判断できるのであります。まずその資産の増加の方法としては、減資か、贈与、あるいは増資かの方法ありとしても、破産に等しい会社に、一体だれが融資をしましょうか、そんな奇特の人は、今どきございませんでしょう。まず、これはできない相談であると断ぜざるを得ません。しこうしてその結果は、前に述べましたように、農林当局伝尿の宝刀であるところの切り捨てごめん、こういうことになる。これは火を見るよりも明らかであります。許可の取り消し。幸か不幸か、現行中央市場法には、一銭の予算の裏づけもございませんから、お前らは商声に失敗したのだから、市場から出て好けといって追っ払ってしまう、一文の補償なしに簡単に追い出し、監督官庁としては法規通りやったのであるから、責任もなく、非難の対象にもならないというのが、この法改正のねらいであると断ぜざるを得ない。新憲法下、これが政治であり、これが行政でありましようか、この点、まことに残念に思うのであります。現行法は、卸売人として「資力信用ヲ欠クニ至リタルトキ」「其ノ許可ヲ取り消ス」とありますが、監督当局に行政能力があれば、この条文で十分今までに卸売人の処理、整備統合もできたはずと存ずるのであります。社会通念をもってしても、資力信用のいかんは判断できるはずであります。しかながら、百円持っている間は卸売人として認めてやっても、しかしお前の財布の中が九十円になったらもう追い出すぞということで、法律で数字をはっきり限定しなければ、手の打ちようがないのだというのが、この改正のねらいと思うのであります。当局の行政能力を端的に証明する具体的な実例を、ここに申し上げざるを得ないことを、はなはだ残念に思うのでありますが、実は、東京中央卸売市場江東分場卸売人で、五年あるいは七年前の生産者に対して仕切金を払っておりません。そうして三年間も株主総会を招集いたしておりません。資本金の六倍の借金をしょっております。銀行の取引は停止されております。代表重役は刑事告訴されております。そしてなかおつ、全重役は仮処分されて、出社不能の状態であります。裁判所の任命する弁護士が、今業務を代行している。こういう卸売人が、現在東京中央市場のどまん中に存在している。まことに珍無類の卸売人と言わざるを得ない。これなどは、別に現行市場法卸売人の欠格条正項の第十条の「当該卸売ノ業務ヲ為スニ足ル資力信用ヲ缺クニ至リタルトキ」というような条文を検討せずとも、何ぴとといえども、一目瞭然、社会通念をもってして、かかるものは農林大臣公認の卸売人の資格ありとは考えられないと思うのであります。しかも昨年においては、埼玉県当局は、この会社に対して危いから、みな出荷をしてはいけないという通牒を出している。また、本年の二月八日付の毎日新聞朝刊の記事によりますと、千葉県当局も、県下四万戸の農民に対して、これはもうすでにはっきりしているから、名前を申し上げますが、墨田青果を名指して、出荷してはならないと通達を発しております。この卸売人については、昨年十月の本委員会におきまして、清浄俊英先生並びに青山正一先生から、農民の財産擁護の立場から、東京飯田中央市場長に峻烈な御質問をなさいましたことは、御承知でございましょうが、当時、飯田場長は、実にふてぶてしくも、この卸売人を、業績向上しつつありと弁護的答弁をしておるのであります。生産者すらだめだと言って、生産県当局が出荷してはいけないよと、農民に注意書を出しているかような卸売人すらも、拱手傍観ならまだしも、これを弁護している。まことに私ども不可解にたえないのでございます。
  61. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 井原さん、結論を願います。
  62. 井原昇

    参考人(井原昇君) もう少しで終ります。  要するに、かような不良な卸売人すらも弁護しておりますけれども、いざ東〇事件のような事態が発生しますと、何ら実質的な解決能力がないというのが開設者であり、農林当局でございます。東〇の問題のごときも、もっぱら他力本願で、残存三社に三拝九拝して尻ぬぐいさせようとしている状態であります。実に笑止千万その極に達しております。今ここに、この問題の卸売人に対して生産者から、仕切金未払いについて、切々たる手紙が私のところにこのようにきているのでございます。これはたくさんございますから、たくさんは読めませんが、一、二御参考までに申し上げますと、(「読まないでいい」と呼ぶ者あり)それじゃこれはやめます。それからこの会社社長で長きにわたって都会議員として有名なかの糟谷磯平氏でありまして、長年にわたる都会議員たるの顔がものを言って、あるいは東京都もどうも手のつけようがないのじゃないかというふうにも考えられますが、かくのごときはまことに残念千万であると思うのであります。農林当局は本改正案提案理由説明におきまして、卸売人に対して一昨年、三十一年九月本法一部改正以来、卸売人の整備統合、類似市場監督取引改善について特段の措置を行い、市場運営の適正化の努力を重ねて今日に至った、と提案理由の中に言っておられますが、農林当局の言われる、その特段の措置とは何ぞや、と言いたいのであります。言うところの卸売りの整備統合をどこでどのようにやったか、類似市場監督とは何をやったか、取引改善については何をやったか、全く何も特段やっていないということなんであります。それ言うがごとき特段の指導を行なっていれば、東〇問題などは絶対に起らなかったし、墨田青果その他のごとく生産者からボイコット通告を受けるがごとき、あるいは農林当局の権威を著しく失墜させるがごときことは起らなかったわけであります。かく感じきたりますと、農林当局は現行法において行政指導ができなかった、ということが明らかな次第でありますので、立法措置としてははなはだ拙劣であり、不本意千万でありますが、多数の生産者の利益の擁護と、中央市場の権威保持のために、不本意ながら本改正案賛成する次第であります。   —————————————
  63. 清澤俊英

    清澤俊英君 大澤さんにちょっとお伺いいたしますが、先ほどあなたのお話の中に、現在の卸売市場の経済状態が非常に弱くなったという点について、戦争の時代から終戦の直後にかけて無理な集荷等を言いつけられて、それが原因して非常にそういうものがふえたというようなお話があったと思います。これは井原君からもただいまそういうようなお話がありましたが、先般来それがだいぶこの委員会でも問題になりました際に、東京都の業務担当者は、そういう事実はありません、こう言われておるのですが、そこに非常に大きな食い違いがありますので、あまりこまかくお話していただかんでも、大体のみ込んでおるのでございますから、どれどれの会社、名前をあげるのがいけませんでしたら、三つとか四つの会社はそういうことで現在困っているというようなことをお知らせ願いたいと思います。
  64. 大澤常太郎

    参考人大澤常太郎君) 今の質問にお答えいたしたいと思います。東京都の当局が、今お話のようにそういう事実はないということを申されたそうですが、その当時の責任者はおりませんから、都としては忘れてしまったのではないでしょうか。相手の方は忘れてしまっても、ひどい目に合った人は覚えております、ひどい目に合った方は忘れませんから。特に戦後の荷物の不足の際といいながら、集荷競争をさせられたことは事実です。私どもも荷の少ないときは、産地へ行って出荷のお手伝いをしました。これは当然のことですが、ただそのやり方に無理があったと思う。たとえばその地域の配給人日が百万あると、その百万の人口に対して、従来からの大きな会社も小さな会社も同じように割当をされた、数字を幾ら幾ら、ここに私は無理があったと思う。それがためにどうしても割り当てられた数量の集荷ができない、できなければ首になってしまうたものですから、それで悪いことだけれども無理をした、何しろ買い出し部隊が産地へ行って高く買う時代ですから、どうせ公定価格で荷物を入れるということはなかなかあの当時はできないのです。それですから無理な仕入れをいたしまして、数量だけを間に合せた、ここに無理があった。ずいぶん梅ぼしなんかの会社でも、とんでもないような高い値段で買ってきて、その数量を間に合わしたということのために、がたがたになってつぶれちゃった会社もあります。だから今のあなたが東京都にお尋ねになりまして、そういう事実がないというのは、忘れちゃったんじゃないですか。
  65. 清澤俊英

    清澤俊英君 その当時価格が統制であった、従って買い出しは当時をわれわれはふり返ればすぐわかる。非常に高く買ってきてそうして統制に回さなければならない。従ってしぶとい卸売りさんは三分の一あるいは半分やみで売って償っていくが、少し正直にやっていた者は、原価を割って配給していかなければならぬ。こういうふうな事情で非常に困難な状態になったということも聞いておるのですが、そういう事情はどうなんですか。
  66. 大澤常太郎

    参考人大澤常太郎君) 今おっしゃるようなことはあったと思います。私ら実は立川の在方の方に現在住んでおります。戦争のときにあの辺は、ちょっと横道べ入りますが、私が自分の近所の土地を買ったときは坪八円でした、大根が十円で売れました、やみで売れば。そういうようなことで非常に物ほしさに、もう奥さんがだんなさんのジャケツを持ってきたり、とっておきの一升酒を持って百姓のところへ参りまして、そうして手がないのっで、畑に取りにいけない、台所が忙がしいのだからという、それじゃ台所を私が手伝っておきますから、どうかおイモを掘ってきて下さいといって、品物ほしさに値段にかかわらずそういうことをやった時代ですから、そういうことはありたと思いますね。
  67. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで井原さんにお伺いしますが、井原さんだいぶ重大な発言なさったと思いますが、これはあなたの発言は、うっかり聞いておりますと、非常に正直なまじめな御発言であったと思いますが、これは農業協同組合という農民の組織体からみれば、非常に侮辱を受けたということになります。従ってあなたの御指摘なさったミカン業者というものは、大体名前がはっきりわかるでしょう、具体的に出していただいた方が、私ははっきりしていいと思うのであります。だから何の何がしということをはっきりしていただくと同時に、そういうことがただジュースだけでなくて、ほかにもあるのかないのか、そういう迷惑はただジュースを売られた人だけが迷惑を受けているのか、一般の卸売人等が、そういうことがしばしばあってそうして困っているのか、これは農協に対するわれわれの一つの、これからの共同出荷とか、その他のものを協議していきます上に非常に重要性がありますので、これはかつて東〇事件を審議しておる際に、奨励金等がたまたま地方ボスによって不当な要求を受けて生産農民にいかない、強要せられているというようなこともありまして、非常に不快に感じておった際でありますから、一つその点を明らかにしていただきたい。
  68. 井原昇

    参考人(井原昇君) 非常に強大な生産者団体の組織の上にのっております人でありまするから、市場に対する発言権が相当大きいのであります。御承知の通り卸売会社は荷物をもらわなければ営業は成り立ちません。荷がほしいばかりに無理をきく、無理のきかない会社は全部指定から除外されております。東京、横浜を通じて現在七社だけがいわゆるその指定卸売人となりまして、他の十数社の卸売人は全然出荷を受けておりません。そういう状態であります。ただここでお名前を申し上げてもよろしいのですが、まあおわかりでございましょう、申し上げなくとも。いかがですか、先生。もう一人きりおらぬのですから、それに続くものはあとにありません。続いてもはるかに段階が違いますね、格が。ですからその程度で御勘弁願いたいと思います。
  69. 清澤俊英

    清澤俊英君 それはあなたはそういうふうなことを言っておられるけれどもね、それは非常に抽象的で問題になりませんです。あったらはっきり言って下さい。それほど指摘すべきものであるならば、何の何がしだということをはっきり言うていただきたい。
  70. 井原昇

    参考人(井原昇君) 愛媛県青果連会長桐野忠兵衛先生であります。
  71. 青山正一

    委員外議員青山正一君) ただいま井原君から人の名前を指定されたわけでありますが、この中央市場の問題に関する限り、そういった問題はいろいろあろうと思いますから、この際そういった名前の発表だけは一つ御注意願いたいと思います。そこで私ごとに江澤さんなり、大澤さんに御質問申し上げたいと思いますが、この奨励金制限規定に関する問題として、農林省では、卸売人競争が過度にわたるため、仲買いとかあるいは小売等の奨励金支出が非常に多い、こういうふうに断定なすっておられますが、そういうふうな事実があるのかないのか。たとえば業務規程に定められておる歩卒以上に取っておる事実があるのかないのか。たとえば経済局長の言葉では業務規程にきめられている率ならばよろしいが、それにプラスするところのアルファというものがある。そのプラス・アルファは、これは正規以外のものであるから制限すべきだ。これはもっともなことだろうと思いますが、そういうプラス・アルァァというものがあるのかないのか、その点について仲買い側と小売り側から意見を聞きたいと思います。
  72. 江澤仁三郎

    参考人江澤任三郎君) 今青山先生からのお話でございますが、先ほども私申し上げました通り、現業務規程にうたわれておりまする奨励金の程度で、それ以上のプラス・アルファの点につきましては、これは各年ごとに多少の相違がございますために、そういうお話が出るのだろうと思う。大体におきましては業務規程できめられておりまする場合、その他の代払い費用と補助金というようなことはございますけれども、特段によけいなアルファというものはあるとは思っておりません。
  73. 大澤常太郎

    参考人大澤常太郎君) 背山さんの今の質問にお答えしたいと思いますが、奨励金は公認のものでございますから、これははっきりしております。そのほかのことは、これはもうやみ取引あるいはサービスでございますから、必ずあるとも言えません。ない所もありましょうし、多少はサービスいたしておる所もあるかもしれません。これは全体的によくまだ調べておりませんからわかりませんが、ある所もあるし、ない所もある。これだけ申します。
  74. 千田正

    千田正君 ただいま青山委員の質問に対しまして、江澤さんと大澤さんからお答えがありましたが、そもそも本日この委員会を開いて皆さんにおいでを願って、われわれが質問する、こうした問題が起きたのは、先ほどから皆さんがよく御存じと思いますが、神田市場における東〇の破産問題から起きておる。開設者であるところの東京都は、当委員会において参考人として来られて、説明の際に、その破産状態に陥った最大の要点というものは過度のいわゆる前渡金その他の支払い、すなわち産地における集荷の困難なために、業務規程以上のいわゆる過度の前渡金や、あるいは奨励金を支払わなければ集荷ができなかった。そういうために価格の維持あるいはその他を逸脱しまして、そういう行動をしたためについに破産しなければならない状況に立ち至った。こういう説明開設者はしております。それが事実であるとすれば、ただいまあなた方お二人からおっしゃった、あるいはあったかもしれぬではなくて、現実にそういうことが行われたために東〇は破産したのであるという、断定したことを言えるかどうかという面を、もう一度はっきりお答えを願いたいと思います。
  75. 江澤仁三郎

    参考人江澤任三郎君) ただいまの御質問でございますが、青山先生からの御質問は、私ども初め小売商の方に出ている奨励金、いわゆる完納奨励金業務規程で定められている以外に、プラス・アルファがあるかと、こういう御質問でございましたので、私どもはそう申し上げました。今のお話でございますると、産地に対しまする前渡金、あるいは寄付金と申しますか、そういうものが不当に出ていたということは、これはあり得たと思います。私どもも承知はいたしております。しかしこれによりまする焦げつき、そういうことによって不測の損害を受けたということももちろんございましょう。で私どもの申し上げておりますのは、これはまあ生産家に対しまする問題でございまして、中央市場の発展の上からいきにましても、生産者から御出荷を願わなければなりません。しかしながら私ども関係業者の一人でございますので、あげて集荷に対しては会社に対する協力態勢はとりたいと思う。従って私どもは代払い制あるいは最終的の保証までして、一銭もわれわれに対する貸倒れ金のないように努力をいたしております。こういうことです。ただし東〇さんの問題が前渡金の、あるいは寄付金の供与によりまして多額の出費があったといたしましても、それのみが東〇さんの今度の倒産になった原因ではない。いろいろそれも一つの原因ではあったと思いまするが、私ども社長初め重役の方々が、要するに卸売人としての運営の欠陥が大きかったと、かように思っております。
  76. 大澤常太郎

    参考人大澤常太郎君) 今の江澤さんのお話で大体おわかりになったと思うのですが、余分なことをちょっと申し上げさせていただきたいと思います。江澤さんおっしゃる通りだと思います。御案内でしょうが、五、六年以前の東〇の営業成績は日本一だったんです。東京一、日本一の売り上げをしておった、非常にはなやかでした、五、六年前は。それがわずかな間にあんな工合になった。それは会社の内情で必要以上の金を払ったり、インチキがあったり、いろいろな訴訟が起ったりしておりますから、皆さんおわかりだと思う。要するに会社の重役間におけるいろいろな円満が欠けておったり、それからまたその他会社関係ない方面に相当金を使ったり、それがために部下の統一が欠けたり、まあいろいろなことで産地信用もなくなって、ああいうような結果になったんだろうと思います。出費はむろんあったでしょうが、それは特に金を借りて返すのに利子を払ってもこれは仕方ありません、無利子で貸す人はありませんから。高いとか安いとか言っても押しつけて金を貸した人はないと思う。実は私どもの組合でもあそこに一千五百万円ばかり貸してある。大体私どもの組合で貸しておる平均利子は二銭七厘です。あすこに三銭ぐらいで貸してあると思いますが、そういうようなことですから、私ども関係では、組合ではそんな高い利子では貸しておりません。それから、あの会社が増資をするたびに、資本が足りないんだから、一つぜひ出資をしてもらいたいというようなことで、私どもの組合は持っておりませんが、組合員が個人であすこへ出資をしました金が、増資のときに二百十九万円ばかり出しております。それから今度の閉鎖によって個人的の貸金がどのぐらいあるかというと、二千五百万円しかない、小売屋でわずかな零細な金を持っている者が、中には大きい者もありますけれども、その取引をしている売手がきて、きょうここで五十万円貸してもらわないと、あした荷がとまってしまうから助けてくれというようなことで、しまいには重役の方が気がなくなってしまつて、職員が総出で金を借りて歩いた、だから多勢の被害者が出た。私どもの組合だけで二千五百万円、組合員が今度貸倒れになってしまった、組合として千五百万円、そのほかに増資のときに出資をしましたのが二百数十万円、利子をとったとか何とかというのは、貸した一部の人であって、多くの人は東〇のために、生産者と同様に、非常な迷惑をこうむっておる。よろしゅうございますか。
  77. 千田正

    千田正君 そこで東京大学の川野教授にお伺いしたいんですが、午前と午後を通じまして、今度の皆さんからの御意見をただした三点のうち、第一点は、大体皆さんは御賛成である。それから問題はこの第二点、いわゆる生産者の場合、あるいは販売に携わっておる業者の立場の人たち等の、あらゆる関係面を通じまして、過度の競争防止ということは、これは理論的にはそうあってほしいわけですが、生産者側、農業協同組合その他の方面からいえば、こうした生産者に対する過度の前払金その他はやめてもらいたい、こういう強い要望がありました。また、ただいま仲買人の方々あるいは小売の方々が、青果、魚類とも通じまして市場の実際の維持をしておるのは、卸売人よりもむしろ仲買人であり、あるいは小売業者の人たちの団体がとにかく代払い等をしまして、その市場の運営を円滑にしておるんだ。こういう立場に立っておるのだから、この問題は慎重に考えなければならぬ。こういう両方の、生産者と、また市場において販売その他に従事しておる方々の代表の意見でありますが、あなたの先ほど意見の中に、過度の競争を防止するためには、手数料の合理的な判断によって防止する方法考えなければいかぬ、これに対しまして、具体的な何か御意見がございましたら承わっておきたいのであります。たとえば手数料の合理化という問題にしましても、一面は生産者に対する問題、片方には、やはり消費者の立場を考えつつ、市場の運営を円滑にさせるためには、この制度が是であるか非であるかということは、今度われわれが審議するに非常に重大な問題でありまして、ところが、幸いにしてあなたが、これは一応合理的な方法によって解決するめどを見出さなければいかぬじゃないかという御意見でありますが、その合理化の具体的な御意見がございましたならばお述べを願いたいと思います。
  78. 川野重任

    参考人(川野重任君) 私も、ごく理論的、一般的にしか考えられませんので、お答えになるかどうかしりませんが、この奨励金その他の形において現われる競争については、二点があると思います。それは、一つは、かりに奨励金の方に問題を限定いたしますると、有力な出荷者に、いわゆるボーナス的な意味で奨励金をやるというのが一つ。それからもつう一つは、もっと一般的の奨励金をやる、前の場合には、いわば大規模出荷によるコストの節減、というものに対する見返りとして出すという意味は、私は大いにあると思います。第二に、一般的に出す前渡金の利子を、出荷団体、荷受人が引き受けるという意味におきましては、一種の奨励金考えてにもよろしゅうございますが、そうついうものは、言ってみれば手数料の中から一部を割り戻すという形になりますから、従ってこれは手数料の実質的な引き下げという意味を持つ、こういうふうに私は考えられます。そこで、その点からいたしますると、少くとも手数料の中から一部を割り戻し得る余地があるというふうに、全体としては考え得るのではないかという点が一点です。従ってこの点については、経理の内容の具体的な検討が必要でありますが、ごく一般的、常識的に考えましても、手数料はコストに大体私は見合うべきものだと思います。コストは取扱数量の増減によって大いに変ってくるものであります。八%もしくは一〇%という手数料が、取扱数量のいかんに関係なく、それが保証されるという点において、大量に集めれば非常に利益になるという性格を持っている。少量しか集まらなければ成り立たないという性格を持っている。そこで勢い大量に集めようということを努力する。自由競争の場合でありますと、大量に集めれば、おのずから今度はコストが下ってくるということになるわけでありますが、この場合においては、この手数料がきめられているという限りにおきましては、よけい集めれば集めるだけ得だという関係が出てくる。そこで私は、過当競争の根本原因がある、こういうふうに考えております。従ってこれを防止するには、形式的に何を出すな、かにを出すなというよりは、むしろコストに見合った手数料を、漸次事態に応じて検討し直していくという点が根本ではないかというような感じがいたします。いろいろサービスの手を封じましても、私は、何らかの形によっていろいろな裏の道が幾らでも出てくると思います。そうしますと、それを追っかけることについては、もっと根本の、コストと手数料とをマッチさせるように不断の検討が必要じゃないか、こういうふうなことを感じます。
  79. 千田正

    千田正君 今の川野教授のおっしゃる理論的な考え方、なるほど出荷者に、ある面においてはボーナスの意味で見返りにして、あるいは一般的に出す前渡金奨励金という意味で、現状を破らない立場において渡していいんじゃないか、合理的に考えるべきだというお考えですが、先ほど日本食料新聞の井原さんのお話のような、今のお話は、公的な出荷機関、たとえば農業協同組合であるとか、全販連であるとか、いろいろな公的な生産者の共同の出荷の面においてなされる場合においては、非常に合理的に、また理想的にいくと思いますが、さもない場合において、いわゆる各産地にはそれぞれ大なり小なりボスがいる。このボスが独断に独占する結果は、結局零細な生産者にはそうした恩恵がいかないんじゃないか、あるいは及ぼさないんじゃないか。こういうきらいがあるのじゃないかと思いますが、そういう点の欠陥はこういう面において救われるか、ただいま川野さんのおっしゃったような面で救われるかどうか、という疑点を私は生じてくるんですが、その点について何かお考えでございますか。
  80. 川野重任

    参考人(川野重任君) 私の発言の理解についてちょっと誤解があるように思いますので、訂正さしていただきますが、奨励金のいわば経済的な意味について私は申し上げたわけでありまして、それを政策的に今認めることがいいかどうかということについて、それを是認するという立場ではないのであります。それを一般的に制限なさるのはもちろんけつこうだ。特に奨励金的なものは差別的に出し得るということから、非常に不明朗な関係が生じ易いという点からいたしまして、私はむしろ反対考えております。その訂正を一つさしていただきます。  それから御質問の、かりに奨励金と前波金というものを認めた場合に、という前提でありますが、大きな出荷者は利益をするが、小さな出荷者においては行き渡らぬのじゃないかというお話ですが、これは出荷奨励金前渡金考えるにしても考えなくても、いずれの場合も大きな出荷者がやはり出荷のコストが安く上り、小さな出荷者がコストが高くつくという点において差が出てくる、という関係が裏返しになったに過ぎないと私は思います。従って、おっしゃる通り、いずれの場合におきましても、大きな出荷者は利益をし、小さな出荷者は損をするということは、もうまぎれもなくあるということをと私は信じます。だからこそ出荷団体としましては、やはり大規模の出荷の方向に持っていかなければならぬ。そこに私は大規模出荷の進む根拠もありはしないか、こういうふうに考えます。これは一に市場の問題というよりは、むしろ出荷団体がその市場制度に適応するという形において、自主的に考えなければならぬ問題じゃないか、かような気がいたします。
  81. 青山正一

    委員外議員青山正一君) 最後に塩澤さんに一点承わりたいと思いますが、先ほど開設者が予算外の義務負担の制度を持った方がいい、こういうふうにおっしゃったわけなんですが、これはあなたにとっては他由の石かもしれませんが、たとえば東〇の問題などが起きた場合においても、こういうふうな制度が特に必要だ、こういう意味合なんでしょうか。  それからもう一点は、先ほど魚の面は、生産加工の面が七〇%占めている、根本的に流通の過程に変化を来たしている。もう二十五年、三十年この中央市場法になってからたっているわけなんだから、そこで、たとえばこういうふうな考え方はどうなんでしょう。最近魚の面で生産者市場進出が非常に多い。たとえば魚ソーセージあるいは冷凍品とかあるいは鮭鱒に関する限り、そういった物が殆んど漸次定価売りになっている。そうなると、中央市場法というもので、せりによって仲買が値立てをしてその市場が形成されている、そういうふうな面をやはり根本的に改正しなければならぬというふうな理論にもなるわけなんですが、その点の工合を一つ説明願いたいと思います。
  82. 塩澤達三

    参考人(塩澤達三君) やはり市場卸売人の健全な発達をさせるのには、開設者が責任をもって推薦をしなければならない、従ってそれを認可させなければならぬ。そういう場合に一応開設者も予算外義務負担をするのだということになりますれば、そういたずらに卸売人の認可ができないのじゃないか。またできたものに対しましても、これは卸売人として十分の監督を行わなければならぬ。東〇事件にいたしましても、結果的から見ますれば非常な大きな問題でありますが、あれもにわかに起きた問題ではなくて、いわゆる平素の監督が十分に行き届いておらなかったということだと思うのです。そういう点から開設者としては、やはり自分も責任の一端を分担する意味におきまして、卸売人信用を高める上からいきましても、私は予算外義務負担くらいなことは、こういう公共施設においては当然やるべきじゃないか。一方の先ほども申し上げたようなふうに、資産の増減というようなことだけでは防ぎ得ない。やはり問題は非常に複雑で、いろいろなところでいろいろな問題が起きたのを、上手に卸売会社がカバーして、他に知れないようにこれを処置しておるというようなことがしばしばあったのであります。そういう点はいすれどこかへできものが出てくるということでありまして、これらに対する平素の開設者監督というものが、もっと行き渡るようにするのには、自分も万一の場合には予算外義務負担をするのだというような制度が確立することが、一番卸売人信用を高める上に必要じゃないかしらん、かように思うのであります。  それから第二の物の流れでありますが、現在大メーカーは市場べも出しますけれども、指値で結局せりの機能がほんとうに行われておらない。御承知のように、せりは需要供給の関係を完全に反映する、という意味において価格形成の上で必要なんですが、それはやはり生鮮食料品の漁獲の量が、直ちに価格に影響するということなんですが、現在のように七〇%も加工品が多くなって参りますと、そういうものを扱っておる大メーカーは、一定の指値がこなければ売らない。そうしてなまの方でありますと、これを貯蔵いたしますれば、倉敷も金利も日減りもありますので、泣く泣く売ってしまわなければならない。ところが大企業の方は一向そんなことには驚かないで、生産価格というものができておりますから、その生産価格に合ばえ売るし合わなければ売らぬ。こういうのが市場の現在のように思っておりますが、それが市場に全部かかるならばまだいいのでありますが、現在におきましてはそうでなく市場外におきましてもどんどん取引されておる。極端にいえばカン詰をせりにかける必要があるか、同じようなふうにこの規格が一定して、そうして生産コストも厳密に計算されておる品物が、今のような市場のルートを通らずにもっと近道を通っていく、魚屋は私ども関係者でありますが、市場へ参りますので市場で買うという習慣になり、また他に回って買うというようなことはいたしませんのでありますが、どうしてもこれらの品物がやはり市場に流れていくなら市場に流れていくとか、あるいは他の販売方法をするなり、いずれにいたしましてもいろいろなルートを流れるということは避けるようにいたしませんと、まあわれわれとして今一番に心配しておることは、やはりエンゲル係数の問題でありますが、米の方はもう御承知のような価格であるので、せめて水産物なり蔬菜なんかが、もう少し公共な安い価格で消費者に供給される制度考えていかなければならぬ。それで今の市場法で果してそういったような幾つかの問題を解決できるかというと、私はできぬと思うのです。そういう点から今回のこういう法の一部改正でなく、この際一つもう開設以来長いことたって、いろいろな弊害もいろいろな利益も十分検討されておる、しかも加工品がかように多くなっておるというときに、やはりそういうことをそろばんに入れまして、全面的な市場法改正ということが私としては望ましいので、こういうことだけでは、今皆さんの御心配しておるような、その生産者に迷惑をかけない、その他に迷惑をかけない卸売人ができるとは私は思えないので、私は実はさっきそういったようなことを申し上げたのであります。
  83. 千田正

    千田正君 今の塩澤さんから市場の問題に対しては、相当全般的に市場改正をしなければ、ほんとうの市場の経営ができないのではないかという御意見は、われわれ持っておりますが、特に今度の場合は、神田における東〇の破産とついうものが一つの火の手として上ってきておりますが、これに準じましておそらく内容検討したならば、まだほかにも数社が同じような運命をたどるであろう、というようにも察せられる節もありますので、農林当局としましては、そういう問題が起らないうちに、一応の補強的な改正として今度の問題が出てきたと思う。それで私は日本食料の井原社長さんに伺いますが、東〇の問題は一応これで、すでに皆さんも心配し、われわれも心配しておるが、さらに同じような問題は大なり小なり市場を通じて起きてくるのじゃないか、こういう杞憂を持っておるわけです。もしそうだとするならば、多少の補足的な改正などでは間に合わないじゃないか、こういう点もわれわれは考えられるわけです。それでそういう点において現在の市場内において、東〇ほど大きくなくても大なり小なり同じような運命をたどるのじゃないかて、という杞憂を感じておるところの会社は相当ありますか。
  84. 井原昇

    参考人(井原昇君) 相当はございません。確実に危ないと世間から定評を受けて、先ほど申し上げました通り生産者からもボイコットをやられておるというような会社は一社ございます。その他弱小会社が二、三社ございますけれども、おのおの鋭意再建に尽しておりますので、そういった不安は近い将来には起りそうなこともありません。ただし最もはなはだしい不良会社一社は、おそらく近い将来東〇に続くものと見られております。これは自他ともにそう考えておるのじゃないでしょうか。(「自他ともにじゃ大へんだ」と呼ぶ者あり)
  85. 清澤俊英

    清澤俊英君 塩澤さん、ちょっとお伺いしますが、これはこの問題とちょっと別ですけれども、今のあなたのお話と非常に関連が深いと思うのですが、最近五大漁業会社ですか、たとえば日魯だとか大洋だとかというような大きな漁業家が五つとか七つ寄りまして、そうして芝浦で漁港を作ると申し集散地を作るのだということで、実はそのうしろには一つのそういう大メーカーによる市場を作るのだと、こういうので東京都と非常にもみ合っているというようなうわさを聞いているのでありますが、そういう事実があるのですか。
  86. 塩澤達三

    参考人(塩澤達三君) 事実がございますが、先日の都議会におきましては、続継審議ということになりまして、まだ実現の運びにはならぬのでありますが、その点で私どもとしては心配しておりますることは、市場機能が幾つにも分散されるようなことがありましては相ならぬとこう思いますので、現在の東京中央市場というものが、先ほども私が申し上げましたように、消費市場として生まれた。ところが現在においては東京都民の消費でなくして県外からたくさん来ている、いわゆる集散機能を持ってきておる、こういうふうに拡大してきておる。その集散市場機能の一環として、今のような新しく水面を埋め立って、ああいう施設を作るということは必要だとは思いまするけれども、しかしそれはあくまでも中央市場と離して考えられないものでにあって、中央市場業務の一環として、そういうものがいわゆる集散市場機能を持つ上においては必要だと思いますが、今度のは別個に五大メーカーによってもくろまれておりますが、これはむしろ場所があれば、今の中央市場と併置していくということが必要だ。これを独立してやると今言ったいろいろな分散が行われまして、正常なルートが乱されるおそれがあるんじゃないか、こういうことを相当心配しております。
  87. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで市場あり方について非常に塩澤さん心配しておられるが、そういうものができますと、結局各漁港や各海域に存在する漁区で、水揚物の買い占めが行われるんじゃないか、そういう所で。そうして今言ったような加工七〇%といったような独占価格の中で、たとえばサンマがうんととれた、非常に安いんだからそれをその漁港でどんどんさらい上げて、一つの独占価格を作っていく、というような危険性を感じておられませんか。ということといま一つは、かりにそういう特別の施設がまあ単独ででき上らぬとしましても、現在東京築地市場におきましては、日水が入りましたとかあるいはその他二、三の大きな独占資本体系の人が、卸売人に変貌していると思うのです。こういうことが全部行われましたら、ひとりでに中央市場なるものの機能が、独占的価格のための形成市場になる危険性をお感じになっておらぬかどうか、この二点一つお伺いしておきます。
  88. 塩澤達三

    参考人(塩澤達三君) 今のそういうものができる、そのもの自体を考えますれば、それは僕は反対すべきものでもないと思います。そういうものができることは。しかしそれはあくまでもやはり配給のルートを乱すようなことのつないようにするためには、中央市場との関連を十分持っていかなければ、それだけで機能を上げるということになりますと、これはおそらくその品物の操作の上からいっても、非常に大きな中央市場に影響を与える。かように思いますので、なとえばそこで集荷したものが、中央市場というものを全然無視してどんどん他に流れていくということになりますと、またぞろ今の中央市場は元の消費市場に変ってくる。そうしてしかも水産物は三〇%しか取扱えないというようなことになりますと、これはもう卸から仲買いに対しまして、非常な大きな影響を与えると思います。それから今、大部さんなんかの資本はは〇の資本によって動いておるとか、あるいは中央魚類の関係は日水がバツクになっておるとか、その他いろいろありまするのでありますけれども、しかしやはりあれはそういうものの資本を仰いでおりますけれども卸売人には卸売人としての独立した機能を持たせて、それに多数の量が扱えるようになりますれば、自然手数料等も下げまして、そうしてその配給区域を限定いたしまして、その間に適当に配給できるんじゃないか。そういうことのできるようなことをするために、先ほど申し上げましたように、卸売市場法改正してもらわなければそういうことはできないんじゃないか。どうしたって今の、制度を二つ置きますれば、品物は非常な偏在を来たしそれによって牽制されることが大きい、こういうふうに思う。
  89. 安部キミ子

    安部キミ子君 川野先生にちょっとお尋ねしますが、市場法というものが従来あって、いろいろの不備の点から今日また改正するという問題になったと思うんですね。今この法案では新しい三点を目がけてまた改正してよいものにしようと、こういうふうに出されているわけですが、しかしこの改正案でも、ほんとうに流通面が円滑に合理化されて、生産者と消費者がいわゆる相互平等の立場に立つ、完全なものであるとは私思われないと思うのです。今の制度ではまだまだ不完全だと思います。と申しますのは、私先日広島に調査に参りましたときにも、消費者の方、それから仲介の方、生産者の方、それから小売業者の方の御意見を聞きましても、それぞれ御議論がございまして、これはなかなか根が深いということを感じたわけなんですつが、先生はどうですか、学者の立場から一体どうしたら、もっと根本的なつ問題の改革が必要になると思うのですが、どうしたらいいとお思いになりますか、その一点だけ。
  90. 川野重任

    参考人(川野重任君) これは一点だけですがなかなかむずかしい一点でして、(笑声)まあ法律改正がごく大ワクをきめることにとどまらざるを得ないのじゃないかと思いますが、そういう意味ではお話の三点、言ってみますと、市場の中に入っておる卸売人は、その市場に入り得た限りにおきましては、とにかく独占的な地位を持っていると、しかも、それには取引手数料のいかんにかかわらず一定の手数料がもらえるという地位にある。ところがその中においてお互いに競争すると、その競争の結果不合理の取引をする者は、ときに非常に迷惑を関係者にかけると、だから中に入る卸売人というものはなるべく優良な分子に限って、それも競争の場を少し制限してやろうと、こういうふうなことは必要だと思うのです。これはさっきも申しましたように、根本的になぜそういう競争が起ってくるかということについて考えますると、やはり一割ないし八分という手数料がきめられた川時期と、今日におきましては出荷の数量も出荷の仕方も非常に私は違ってきていると思う。ですから再三申し上げまするように、手数料のやはり合理化を、その市場の出荷の状況、格荷受会社の卸売業務の遂行に必要とされる費用というものについての関運において、合理化をはかっていくことが一つ。  それから業務規程による制限事項についても、これは開設者が単独に何か考えるというよりは、やはり私は、消費者を含めまして第三者的な意見をもよく加味して、この運用考えることが必要じゃないかと、本日ここで御審議になっておりますのは、いわばその前、こう言っては失礼でありますが、法仲的な前提をお作りになるのでありまして、最も根本の問題は、それをいかにして有効に生かすかという運営の仕方にあると、それについてやはり特に従来は非常に弱かった消費者の声というものを、強く出すことが必要じゃないかと、こういうふうに考えます。
  91. 安部キミ子

    安部キミ子君 そうしますと、先生の今のお話のようなことで対処すれば、今日の流通面の不備は完全といわなくとも、大体解決できるという前提に立ってのお話ですか。
  92. 川野重任

    参考人(川野重任君) 流通面とおっしゃいますと非常に問題が多いのでございまして、本日の議題である中火卸売市場の問題に限定すると、大体そういうことになると思います。
  93. 仲原善一

    ○仲原善一君 東大の川野先生にお伺いしますが、先ほどのお話の中で、過当競争を防止する根元についてのお話がありまして、その一つは手数料の合理化ということで、この点については千田委員からの御質問で大体詳しく了解できましたのですが、もう一つ残っておりましたのは、多分こういうことのようでした。御発言の中に、卸売業脅の数が少くなるとかえって過当競争がふえる、という意味の御発言があったと思いますが、その点われわれしろうとが考えますと、荷受業者が多い方がかえって過当競争がありはしないかという、そういう一般的な感じを受けるわけですが、その辺についてのもう少し詳しい御説明がいただければと思います。
  94. 川野重任

    参考人(川野重任君) これはどうも理論的にしか申し上げられませんが、過当競争と申しますのは、競争する相手方が数が少ければ、相手の手のうちがよく見えるわけですね。従って相手の出方によってこちらの出方も変えていくと、虚々実々の戦争が繰り広げられるわけですが、そういうようなのが私は過当競争の一般的な姿だと思います。それが成り立つゆえんは、一ぺんそこでその競争に勝ちますと独占的な地位を築き上げると。たとえば一定の航路におきまして船会社は相手を破りますと、独占的にその航路のお客さんを吸収すると、それと同じようにこの場合におきましても、荷そのものは集まってくる、しかも手数料は一定いたしておりまするから、独占的な地位をかち狩れば、これは非常に有利な地位に立つことは、火を見るよりも明らかなわけですれ。そういう点におきまして相手が少くなればなるほど、相手の手の内に応じた競争をしよう、こういうことで過当競争の激しくなる可能性は十分にありはしないかと、こういうふうに考えます。ただその競争の仕方がおそらくまあいろいろな手を用いまして、一般の資本主義的な、商品においてあるいは広告宣伝の方法をやる、あるいは各種のサービスをすると、いろいろな形があると思いますが、競争そのものはやはり私は激しくなると、こう見なければいかぬのじゃないかと思います。
  95. 仲原善一

    ○仲原善一君 まあただいまのお説を今度逆の方から見ますと、過当競争を防止するためには、かえって荷受業者を多く入れた方がいいというような結論になりそうに考えますが、必ずしもそうではないのでしょうか。その点をまあ単数制、複数制の問題で非常に重大な問題を含んでおると思いますので、その点ちょっと伺いたい。
  96. 川野重任

    参考人(川野重任君) 私の考えでは、おっしゃる通り、理論的にはそういう可能性もあると思いまするけれども監督強化という点からしますると、なるべくこれは少い方がいいと、それから会社が大きければ大きいほど、一般的には能率的な運営ができるはずでありますから、そういう点におきましてもなるべく少い方がよろしい。けれども少くした以上は当然能率が上ってコストが安く上る、つまり手数料が少くて済むわけでありまするから、その点についての手を加えるということが必要じゃないかと、その点で監督が十分にいけば、これはかなり理想的な姿として考えていいのではないかと、こう考えます。
  97. 安部キミ子

    安部キミ子君 私先ほど先生に質問したねらいは、なるほど今度の市場法改正でだんだんよくなっていく、しかし今の制度を前提としてまあいろいろ手を加えても、根本的な流通面の合理化ということは解決されないのじゃないか、こう思うのです。で、そういう点からいわゆる消費者と生産者が、まあそう言うと大へんな失礼のようですけれども、利益とか何とかいう面じゃなくて、国民的な立場に立てば、こういう制度ではどうにもならないのじゃないか、どのように化粧してみてもほんとうの化粧にはならないのじゃないかと、こういうことを私はこの間の会でつくづく感じたわけですよ。根本的に直さにゃいけぬじゃないかと。それは先日も〇東の話が出まして、社長さんがいろいろ陳情に来られて、再建するということをいろいろ言われました。なるほど本人を前にしてそれは救ってあげたいと、それで今までの名誉とその地位を保たせてあげたい、いうような個人的な感情はありますよ。しかしそういうことをしていろいろあたたかい手を差し伸べても、それらの根本的な解決にはならぬのですよ。制度自身に私は欠陥があるのじゃないかと、今日のこの制度ですよね、というふうに考えまして、根本的な問題として学者の立場から、先生はどういうふうに考えておられるかということが聞きたかったのです。それは学者ですから、利害関係抜きにしてお答えいただきたい。
  98. 川野重任

    参考人(川野重任君) 御質問の趣旨が、中央卸売市場といったふうの形は、そもそも問題解決の手段にならないと、こういうふうのことなら、これはなかなか大問題でして、ちょっと私もお答えいたしかねますけれども、ただ中央に荷を持ち寄りまして、それにせりで一定の手数料を関係者に認めて、売買を即時行うということは、生鮮食料としましてはどうもやむを得ない制度じゃないかしらということで、むしろこれを直していくということに重点を置いた方がいいのではないかと、問題の最終的な解決としてどういうことを考えていらっしゃるか知りませんけれども、事、中央卸売市場に関する限り私はそう考えております。しかし流通機構一般の問題になりますと、これはもう非常にたくさんございまして、おっしゃる通り、この市場法改正一つの問題を解決するにすぎないということは、否定し得ないと思います。
  99. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 本日はこの程度にいたします。参考人の方々には長時間にわたって御苦労でございました、厚く御礼申し上げます。  これをもって散会いたします。    午後四時一分散会