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1958-04-01 第28回国会 参議院 農林水産委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月一日(火曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重政 庸徳君    理事            柴田  栄君            藤野 繁雄君            清澤 俊英君            鈴木  一君            上林 忠次君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            田中 啓一君            田中 茂穂君            仲原 善一君            堀  末治君            堀本 宜実君            安部キミ子君            東   隆君            大河原一次君            河合 義一君            北村  暢君            梶原 茂嘉君            千田  正君            北條 雋八君   委員外議員    亀田 得治君   政府委員    大蔵省主計局法    規課長     小熊 孝次君    農林政務次官  瀬戸山三男君    農林省農地局長 安田善一郎君    林野庁長官   石谷 憲男君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   法制局側    参     事    (第二部長)  菊池 三郎君   説明員    林野庁林政部林    政課長     家治 清一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方自治法第百五十六条第六項の規  定に基き、輸出品検査所支所の設  置に関し承認を求めるの件(内閣送  付、予備審査) ○分収造林特別措置法案内閣提出) ○農林水産政策に関する調査の件  (経済基盤強化基金農業に関する  件)   —————————————
  2. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、輸出品検査所支所設置に関し承認を求めるの件(閣承認第三号、内閣提出予備審査)を、議題にいたします。  この件、去る三月二十六日内閣から予備審査のため当院送付、即日当委員会に付託されました。  まず、提案理由説明を求めます。
  3. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) ただいま議題になりました輸出品検在所支所設置について、御説明申し上げます。  農林省の所掌しています指定輸出農林水産物輸出検査は、従来輸出品取締法に基き、小樽、東京、静岡、神戸門司輸出品検査所と横浜、名古屋、岡山、長崎の四支所において実施してきたのでありますが、本年二月一日から施行されました輸出検査法は、従来の輸出品取締法自主検査建前とするのに対して、強制検査建前とするものであります関係上、ここに検査の円滑な実施をなし、輸出関係業者の便益をはかるためには、さらに神戸検査所のもとに大阪検査所と、門司検査所のもとに鹿児島検査所とを増設する必要に迫られましたので、今回、両支所の開設をはかることといたしたいと存じ、地方自治法第百五十六条第六項、の規定に基き、御承認を求める次第であります。  何とぞ御審議の上、妥当なる結論を得られたいのであります。
  4. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 本件の審議は後日に譲ることといたします。   —————————————
  5. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 分収造林特別措置法案(閣法第一四五号、内閣提出参議院先議)を、議題にいたします。  この法律案については、過般の委員会において提案理由説明を聞いたのでありますが、本日は、まず補足説明を求め、続いて審査を行います。
  6. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 分収造林特別措置法提案理由につきまして若干補足説明をさしていただきます。  分収造林と申しますのは、普通の場合、他人土地造林者地上権を設定いたしまして造林を行い、過疎木を伐採集荷いたしまする際に、造林者土地使用者の二者、または、土地使用者造林者費用負担者の三者の間で、その収益を一定の割合で分け合うことを建前とする造林方式でありまするが、この方法によりますると、民間資金の導入に相当の期待がかけられるわけであります。このように、分収造林方式期待がかけられますのは、この方式が、民有林造林事業に、所有者以外の者の資金を導入する方法として最もよく適合しているからでありまして、今後、造林地域拡大計画通りに実行いたして参ります上に、ぜひともその積極化をはかる必要があると思うのでございます。しかしながら、分収造林につきましては、現在種々の隘路と障害があるのでありまして、これらを積極化いたしまするには、それらの障害を取り除く措置を講ずる必要があると思うのであります。  まずその第一は、信用のある機関に積極的な契約締結あっせんを行わせるようにすることでございます。民間資金による分収造林は、一部の地方を除きますると、いわば日新しいものでありまするために、自然の成り行きにまかせておきますると、容易に契約成立の動機が生まれにくい、こういう状況にあるわけでございまするので、ぜひとも信用のある機関契約締結あっせんをしてもらうようにする必要があるのであります。それには都道府県知事に分収造林の適地を調査してもらいまして、さらに進んで、その林野所有者造林希望者または費用負担希望者との間に、分収造林契約締結されまするように、あっせんをして行うようにすることが最も効果的であるように思うのでございます。  その二は、適正かつ完全に契約締結されるように、契約基準を示してやることであると思うのでございます。分収造林契約は、数十年の長い期間におたる契約でありまするので、その間、種々事態の起ることが予想され、いかなる事態にも対処し得るように、遺漏ない契約締結させるようにする必要があるのであります。また、分収造林の公正な発展を期待いたしまして適正な契約締結させるようにする必要もございます。そのためには、契約書に記載すべき事項はもちろんのこと、分収歩合等、特に必要と認められます事項につきましては、その決定方法までも明らかにいたしました基準を定めまして、都道府県知事契約締結あっせんをしていく場合におきまして、その基準に従って契約締結されるように指導していくことが必要であろうかと思うのでございます。  その次は、契約履行に関して紛争が起りました場合に、その紛争解決するためのあっせんをしてやることであります。繰り返して申し上げまするように、分収造林契約は、きわめて長期間契約でございまするために、育成かつ処分までの期間を通じますると、種々紛争が起りやすいのでございます。一たん紛争が起りました場合には、公正でしかも権威のある機関紛争解決あっせんをいたしまして、契約履行を確実ならしめるようにすることが必要であり、そのことが、同時に契約当事者安心感を与えまして、契約締結の促進にも役立つことになると思うのでございます。具体的には、知事にその役割を担当してもらうようにすることが望ましいと思うのでございまするが、知事が適切かつ迅速に紛争解決あっせんを行うためには、契約当事者から、あらかじめ契約内容を届けさしておくようにすることも必要であろうかと思うのでございます。  次は、三者契約によりまする分収造林の、造林者として適当と認められます者に、それに応ずる態勢を整えさせることが必要であります。法律案の第一条に規定されておりまするように、分収造林契約には、土地所有者造林者及び襲用負担者の三者によりまする契約と、そのうちのいずれかの二者によりまする契約とがあるわけでありまするが、三者契約によりまする場合の造林者は、他人資金を受け入れまして造林を行うものでありまするから、確実な基礎と十分なる機構を持つ者でなければならないと思うのでございます。その意味で、都道府県森林組合系統機関等が適当であるように思われるのでありまするが、全国的に見てみますると、必ずしもその受け入れ態勢が十分であるとはいえない現状でありまするから、なるべくすみやかにその能勢を整えさせるようにすることも必要であろうかと思うのでございます。  次は、分収造林契約に基きまして植裁された共有樹木分割請求を認めないようにすることでございます。分収造林契約安定性を確保いたしまするとともに、契約当事者相互権利関係を明確にいたしまするためには、分収造林契約に基いて植栽されました樹木を、契約当事者全員共有にいたしまして、伐採収穫するまでその分割を認めないようにすることが望ましいのでございます。ところが、民法第二百五十六条によりますと、各共有者は、いつでも共有物分割を請求することができることになっておりまして、分割をしないという特約をする場合には、五年以上の契約はできないことになっておりますので、この規定適用を排除する措置を講ずる必要があるのでございます。  次は、地方公共団体所有いたします林野につきまして、分収造林契約締結いたしまする場合に、住民投票をしなくて毛済むようにするわけであります。地方自治法第二百十三条第二項によりますると、地方公共団体条例で特に重要財産として指定しているものにつきまして、十年以上の長期にわたる独占的な使用を許可する場合には、住民投票によらなければならないことになっておりまするが、一々住民投票を必要とすることになっておりますると、事実上、民間投資による分収造林契約を結ぶことができないことになりますので、分収造林契約性質から見まして、少くとも分収期間が五十年までのものにつきましては、住民投票を行わなくてもいいようにする必要があるのでございます。  次は、分収造林契約に基きまして、土地所有者及び造林者の分収いたしますいわゆる分収所得が、山林所得であることを、法人費用負担者となって支出いたします費用が、税法造林費としての取扱いを受けるものであることを明かにすることであります。この法律案に基きまして推進しようとしておりまする分収造林は、契約当事者全員の協議によりまして経常方針が定まることになるものでもありますし、契約に基きまして植栽されました樹木は、契約当事者全員共有として、全員が共同して危険を負担するようにしようとするものであります。土地所有者及び費用負担者の分収所得は、その性質山林所得として取り扱うべきものでありますし、費用負担者負担いたします費用も、現実には造林費そのものでありますが、見方によりますと、土地所有者の分収所得不動産所得でもあるように見えますし、費用負担者の分収所得利子所得ないし配当所得にも見えないことはないのでございます。まった、費用負担者負担する費用も一般の出資と同じように見られるおそれもありまするので、現にそのような危惧のために契約締結をためらう者が少くない現状でありますので、この際、土地所有者及び費用負担者の分収所得山林所得であることと、費用負担者負担いたします費用造林費そのものであることを明らかにする措置を講ずることにしたのでございます。  分収造林を促進いたしまするには、大体以上の措置が必要であると考えるのでございますが、これらのうちには、法律によらなければ解決できない事項と、指導通達によってその目的を達することができる事項とがあるのでございます。ただいま提案中の分収造林特別措置法は、法律によらなければ解決のできない事項ばかりを規定したものでありまして、第一に、都道府県知事に分収造林契約締結あっせんをさせるようにした。第二に、分収造林契約にかかる共有樹木につきまして、民法第二百五十六条の共有物分割請求規定適用を排除することにした。第三に、地方公共団体がその条例で特に重要な財産として定めておりますものであっても、五十年をこえない期間契約であれば、住民投票を行うことなしに契約締結ができるようにした。この三点が本案の内容になっております。  税法関係事項は、その内容が、山林所得造林費という解釈にすぎませんので、法律規定しなかったのでございますが、分収所得につきましては、長い将来のことでもありますので、特に所得税法政令を改正して山林所得に該当するものであることを明確に規定いただくことになっております。法人費用負担者となって負担いたします費用が、税法造林費として取り扱われるものであることにつきましても、法律施行後、国税庁から通達を出してもらうことになっておりますので、十分にその目的を達することができると考えております。ただ、法案規定があまりにも簡単でありますために、法律規定をごらんいただきましただけでは、必ずしも運用方法等がはっきりしないうらみもありますし、先刻申し上げました必要な措置の中にも、指導通達によって措置すべき事項もありますので、法律施行と同時にこれらの事項を総括いたしまして推進要項等を定めまして、法律運用に遺憾のないようにいたしたいと考えているような次第でございます。  大へん不十分でございますが、これをもって補足説明を終らせていただきます。
  7. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまから審査を行います。まず質疑に移ります。御質疑の向きは、御質疑を願います。
  8. 千田正

    千田正君 この法案の中で、特にここに明記してありますところの土地所有者並び造林者あるいは費用負担者、この二者の等分は権利として認めているわけでありますが、その場合に、先ほど御説明になったいわゆる課税対象、これは相当長い期間かかるわけでありますので、課税対象という場合におきましては、三者同一課税負担をしなければならないということになるのですか、どうですか、その点を伺いたい。もちろん先ほどの御説明の点はわかりますが、これが伐採して売却された場合に、山林所得としての所得割合によって税金は納めなければならないということはわかりますが、長い間の課税対象になる場合において、あるいは土地所有者税金負担しきれない場合も起るおそれもありますし、また造林者の場合で税金負担できない場合もないとは限らない、そういうような場合の調整措置は、どういうふうに考えられますか。
  9. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) お話のように、この三者の契約の場合におきましても、あるいは土地所有者造林者の二者の契約の場合におきましても、長い間の契約でございますからして、従いまして、契約にそれぞれ具体的の内容につきましての約定をいたしておったといたしましても、その間に、自分自身都合等によりまして、なかなか必要な経費負担ができかねるというような場合は、これはなくはないと思います。たとえて申しますと、造林者造林費負担するという場合におきましても、なるほど契約締結いたしまして、いわゆる新柄をいたす場合のその費用は、その時の状況で支出したといたしましても、その後の手入れ、保育の費用負担できかねるというような場合がもちろんあるのでございます。また、土地提供者の場合におきましても、いわゆる自分所有に関連をいたします固定資産税のようなものにつきましては、当然土地所有者の長きにわたる負担ということになるわけでございますが、そういうものもある時期以降におきまして、必ずしも負担ができかねるというようなことは、実はあると思うのでございます。そこで、そういう意味合いにつきましては、結局何としても自分負担すべき費用負担をやりかねるというようなことになりますというと、費用負担割合によってきめられておりまするいわゆる分収の中で、自分に属する分収権というものを処分をしなければならぬというような場合も出て参りますので、そういうことにつきましても、私どもも一応長い間の問題でもありますから、実はあらかじめ予測をいたさぬわけではないのでありますが、ただ、そういうふうな場合を除きますというと、最後の伐採収獲をいたします場合のいわゆる所得税でございますが、これにつきましては、ただいまの補足説明でも申し上げましたように、これをいわゆる山林所得として取り扱う、それぞれの分収歩合に応じまして得られる所得というものは、それ自体がそれぞれの山林所得だというようなふうに取り扱われるべき内容を明確化しておきさえすれば、いわゆる自分の山に自分造林いたしました場合と同じ扱いに相なるということでその点の不安というものは、私どもといたしましては、この分収造林実施をします上に、まず取り上げておく必要があるということで、先ほど申し上げましたように、政令によりましてその内容を具体的に書き上げておくという措置を実は研究をいたしておる、こういう状況でございます。
  10. 千田正

    千田正君 その趣旨はわかりましたが、しからば、たとえば農業におけるところの農地におけるように、土地所有者が何かの事故のためにその土地を手離さなければならない、たとえば遺産相続あるいは自己の財産処分等によって、土地を買却しなければならない、こういう問題が起きた場合、優先権を、たとえば今の農業耕作のように、この造林者もしくはこの費用負担者に優先的にそれを売りつけるとか、あるいは譲渡するとか、そういう優先権を認めるかどうかという問題、これは何しろ五十年以内ということだと、父祖三代にわたるいわゆる長い期間のことでありますから、あるいは財産を喪失する場合も起るでありましょうし、いろいろな問題が起きてくると思う。そういう場合に、土地所有者土地を手離すという場合ですね、今までの契約しておったほかの二者に対して優先的に譲り渡すとか、あるいは何かの方法を講じなかったならば非常に不安定だと、こう思いますが、その点はどうなんですか。
  11. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 御説の通り事情によりまして土地そのものを譲り渡さなければならぬという事態も起きますと同時に、造林者あるいは費用負担者が、これまた同じような事情によりまして、契約によって約定いたしましたいわゆるこの自分の当然負担すべき経費の支出を継続して実施できないというような場合も出てくることは、先ほど申し上げた通りでございますが、私どもといたしましては、その場合におきましては、やはり持分権の譲り渡しということによりましてこの分収造林契約それ自体契約期間中存続させていきたいということに考えておるわけでありまして、いわゆる持分権を譲り渡します者が、そのときの事情によりまして、たとえばその土地所有者の場合におきまして、造林者にそれを譲り渡すという場合も出てくると思いますし、あるいは費用負担者におきまして、それを土地所有者に売り渡すという、いわゆる契約当時者の譲渡もありますし、そのほかにもそれ以外の第三者持分権譲渡をさせなければならないような場合も出てくるように考えておるわけであります。
  12. 千田正

    千田正君 私の心配するのは、第三者に、いずれかの三者のうちの権利第三者に、話し合いがつかないで、あるいは何もしなくて、実際において火急の場合、第三者に譲り渡す場合が起る、こういう非常にトラブルの原因を私は心配するのです。その場合、往々にして自分らが知らないうちに第三者の高利貸であるか、あるいはその他の者に権利が譲り渡された場合に、必ず紛争が起きてくる、そういう意味において、対抗できるだけのはっきりした法文を盛られますかどうか。
  13. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) この持ち分譲渡いたすというような場合におきましては、いわゆる契約当事者のそれぞれの了解を得た上でないというと、持ち分譲渡はできないということに契約内容で約定させるということで、私どもといたしましては、できるだけ適当なる者に持ち分譲渡ができるように指導していきたい、かように考えておるのであります。
  14. 大河原一次

    大河原一次君 簡単な点ですが、自主契約と申しますか、土地所有者とかあるいは造林者という方々の自主契約ということにこの法案重点を置くのか、あるいはまた、第三者の、いわば役所やなんかのあっせんによる契約という方に重点を置くのか、そういう点、ちょっとお聞かせ願いたい。
  15. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) この分収造林という方式によりまして造林を行なって参りたいという考え方と申しますのは、この造林を進めて参ります基本的な方式とは必ずしも考えておらぬわけであります。やはり、造林を行なって参ります基本的な方式といたしましては、現在やっておりまする補助金の交付だとか、あるいは長期融資というようなものを前提にいたしまして、自力で造林をいたすという方式が、あくまでもこれは造林推進基本方式と考えておるわけでありますが、そういう方法をかりにとるといたしましても、どうしても自分自身の力で造林ができかねるというような対象地が、大ざっぱに申し上げまするというと、今後、造林地域拡大をはかって参ろうと考えております約三百万町歩土地の中で、五十万町歩ばかりあるわけでございまして、まあそういうものにつきまして、分収造林という方式造林を取り進めていくことが適当じゃないかと、かように考えておるわけでございます。そこで、一体この分収造林対象になるものでございますが、これはあくまでもその土地所有者が分収造林でやっていきたいという希望を持っておる土地というものをまつ先に拾っていくことは、これは当然でございます。次に、もう一つの問題といたしましては、森林法規定によりまして、伐採後二ヵ年以内に造林をしなければならないと、まあこういうことになっておるわけでございますが、この二ヵ年たちましても造林をいたさないものにつきましては、森林法に基く森林実施計画という計画の中で、造林対象樹種方法等を指定しまして、造林の義務づけを行うという措置をいたすことになっておるわけでございまするが、そういう措置をいたしたといたしましても、なおかつなかなか造林されていかないというようなものにつきましてはむしろ積極的に分収造林を、跡地造林をされるように、特に強力にあっせんを進めて参りたい、こういうことでございます。  この土地の方の関係はそういうことでございまするが、一方それに対しまして、造林をする者、あるいは費用負担をする者というものが、かりにない場合におきましては、これはむしろそこに合わして、そういうものを探して、そうしてあっせんをするということになると思いまするし、それから、むしろこの造林者あるいは費用負担者というものが多致ございまする場合には、その中から優先順位を設けまして、知事あっせんに基いて、土地所有者との間に契約締結が促進されるようにあっせんをする、まあこういうふうな考え方を持っております。
  16. 大河原一次

    大河原一次君 私がちょっとこの法案に対して心配の点は、この資料をいただいたのを見ますと、この用材主要用途別消費量ですが、二十五年から三十一年まで出ておるのですが、このうち建設用材として使われているのが、三十五年の場合は五千四百万石であったやつが、三十一年度には五千七万石で、大した上昇はないのですが、パルプの場合ですね、パルプの場合は一千百万石であったやつが三十一年度においては三千万石になっておる。このパルプ上昇率を考えた場合に、こういう法案ができることによって、今後のパルプ資本の、何と言いますか、進出というものが、相当強く大きくなってくるのではなかろうか、こういう点を考えますときに、前にも農林大臣や次官から農業政策が出されましたとき、やはり今後の農業を考えた場合に、すなわち過小農脱却ということが、まあそういう言葉は言われなかったけれども、いわゆる農業生産基盤を拡充しなければならないという建前からいっても、同時にまた過小農からの脱却ということを考えるときに、やはり、今当面の問題としてはそういう過小農から抜け出るために、やはり地元増反というものを考えなければならない、こういうことなんです。そこで、心配なのは、こういうパルプ資本がどんどん出てくるということの中から、やはりあっせんあるいはまた自主契約という中に、いわゆるパルプ資本の進出によって地元増反が、阻害されるのではないかという懸念を、私は持つわけなのですが、そういう点については、もちろん契約に当っていろいろそういう点も考慮されると思いますが、心配される点は、そういうことなのですが、そういう心配は起さなくてもいいのかどうか、そういう点をお聞かせ願いたいと思います。
  17. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) お話のように、こういう措置をとることによりまして、パルプ資本等のいわゆる産業資本というものが山村地帯にまで投資の対象を求めて進出をする、進出しやすくなるという御懸念も、一応の御懸念ではなかろうかというふうに考えておるわけでございまするが、実は、この差し上げました資料でごらんいただきまするように、確かにお話のごとく建築材等の消費の伸びに対しまして。パルプ用材の消費の伸びというものは、近年著しく増大いたしておるという傾向にあるわけでございまして、従いまして、終戦後、特に外地から引き揚げて参りましたこれら関係の資本が、内地の山に向いましてさまざまな所を通じまして、原木加工の道を開いておるという実情は、その通りでございます。ただし、私どもとしましては、こういうふうな措置によりまして、いわゆる土地までも兼併する、そういう特殊な離業資本によって山村の地域の土地までが兼併されるということは、むしろ積極的に排除して参りたい。むしろ何と申しますか、共有という関係のこの契約に基きまして、植栽された樹木共有関係を明確にすることによりまして、少くとも土地の提供者自体も、いわゆる共同経営の担当者の一人だということに、具体的に内容規定をいたしますると同時に、さらに、一循環を経ましてその次の造林段階に再会をいたしました場合におきましは、これはあくまでも自力造林対象地として、その後の造林事業を続けて参るという措置を聞きたい、こういうような考え方であるわけでございます。私どもは、特にそういう資本の進出によりまして、土地が兼併されましたり、あるいはさまぎまな形によりまして収奪が行われるというようなことを、むしろ積極的に防いでいく方法といたしまして、こういう道を聞くことの方が、むしろ望ましいじゃないか、かように考えておるわけでございます。
  18. 千田正

    千田正君 もう一つ聞きたいのは、これからこの法案ができます場合、現在でも、いわゆる入会権その他の問題ですね。山林の問題については非常な紛糾を起しておる所が方々にあるのです。この法律が出たことによって、今まで紛糾していた事態に対して、何らかの決定権を与えるかどうか。それからもう一つは、損害の場合、たとえば山林火災が生じた場合、そのときの損失を受ける者は、経営の負担者なりあるいは造林者であるのですね、実際は。土地は消耗するわけじゃありませんから。山火事等によって膨大な今まで造林したものが一ぺんにして失われた場合におけるところの損害の負担はだれがやるのかという点、三者との共同で負担するのですか。それとも造林者あるいは負担者がその損害を負担しなければならないのか。
  19. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) お説のごとくに、確かにこの入会権のございます森林につきましては、非常に各種なトラブルが、現に起っておるものもございますし、非常に起りやすい内容のものであるということにつきましても、私どもは同感でございます。大体、今回のこういう措置によりまして、今後分収造林が進んで参るという場合におきまして、どのくらいの地域対象を考えるかと申しますと、五十万町歩そこそこのものが、この事業の対象になるのではなかろうか、こういうように考えておるわけでありまして、そのうちの半分は市町村有林あるいは部落有林というものであり、残りの半分が大体私有地、私有地の中におきましても、いわゆる中間地帯以奥の個所にございます。多くの場合、在村の比較的規模の大きい山林地主の所有しておるものになるのではないかと思うのでありまして、従って、二十五万町歩何がしというものは、少くとも市町村有林である部落有林であるという意味におきまして、ただいまの御質問の問題点に触れて参るように思うわけであります。そこで、私どもといたしましては実は入会権の存続いたしております部落有林というものが、一番日本の森林の中でも荒廃しておる、従いまして、そういう所にこそこういう方式による造林のようなものが入っていかなければならぬし、また、入るべきではなかろうかと、かように考えておるわけでございまするけれども、実態は、必ずしもそういうわけになかなかいかない。現に名義上の所有者でありますものと実際の所有者というものが、非常にかけ離れておるというような実態もございますし、私どもといたしましては、非常に慎重に考えなければならぬことでございますので、少くとも権利者が完全に意見の一致をみましてまとまった以外には、やはり分収造林契約対象にはいたさないというような考え方で進んで参るということでございます。  それから後者の問題につきましては、御説の通り、やはりしばしばの場合において天災をこうむる、人災をこうむるというようなことがあるわけでございまして、一応その起りました災害が契約当事者の責に帰するような場合におきましては、契約に基きまして、特約のない限りにおきましては、当該当事者の損失ということになると思うのでございまするが、それが正大災の場合におきましては、契約当事春全部がその持分に応じまして損失を受けるということに理解いたさなければならぬと、かように考えておるわけであります。ただし、火災につきましては、御存じの通り国営火災保険の制度もございますので、保険に加入しておりますれば、その損害填補の額が、持分に応じまして分割して払われると、こういうことに相なろうと思うのであります。
  20. 千田正

    千田正君 ちょうど政務次官が見えておりますから、これは一つ農林行政の一環として聞きますが、たとえば、ただいま北海道の根釧地区、あるいは内地において青森の北上地区において、国営開墾を行なっておりますが、その開墾の予定地あるいは開墾として決定した土地内に、こうした分収林等がある場合においては、いろいろな問題が起きてくると思うのです。ということは、今までもいわゆる林野庁の管轄下にあるところの国営林野のものを、国営開墾するという場合においては、そうトラブルが起きないが、その広範囲における何方町歩という国営開墾をやる場合に、その開墾の予定地の中に、たとえば部落有林であるとか町とか村の所有地もしくは個人の所有地が点々として点在した場合、国営開墾の目的を達せられないために、いろいろな、土地収用令に準ずるような意味において強制買い上げのような問題が起きてくる、そういう問題が起きないかということを、私はこの際、非常に杞憂を持つのですが、せっかく分取造林をやっても、五十年の長きにわたっていく。国の一つの方針として国営開墾をやらなければいかぬと、こういうような場合——今の場合は一応そういう所を避けてこういうあれをやると思いまするけれども、将来、日本のこの領土の狭い所において、日本の食糧増産その他の問題から、あるいは開拓行政の面からいきまして、こういう所を買収しなければならないというような問題が起きさてきた場合における調整の方法をどう考えるか、これを、一応次官から承わっておきたいと思います。
  21. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 先ほど長官から御説明を申し上げておりますように、現在、この分収造林の特別な法律対象と一応考えておりますのは、先ほど大河原委員からもその点に触れられたと思うのでありますが、農耕地がまだまだ日本の農村状態では足りませんので、地元増反等については、圧迫を、この点については受けはしないかというような大河原委員の御質問でございました。その点については、先ほど長官からも御説明申し上げましたように、現在予想いたしておりますのは、いわゆる開拓予定地、開拓適地というような所を除いて、しかも森林を育てなくちゃならないような所が放置されておる、こういう所をこういう特別な措置を講じて、森林を造成したい、こういうことでありますので、今の段階においては、それがかち合うというようなことは、一応考えておりません。しかしながら、将来の問題として、あるいは国の情勢の変化等によって、今、千田さんからお話になったようなことが出ないとは限らないと思います。がしかし、それは今予定いたしておりますのは、できるだけそういう開拓適地になるような所は避けて計画を進めていくのでありますから、そういう問題はあまり起らないとは思いますけれども、将来の問題となりますれば、それはそのときによって調整をはからなければならない、こういうふうに考えるよりほか仕方がないのじゃないかと思います。
  22. 柴田栄

    ○柴田栄君 分収造林で一応計画されておりますのは、約五十万町歩というのですが、その所有別等を想定しておられますが、大体のこのまあ計画は初めから見通しがないといっては大へんあれですが、この法律適用によって、ほぼ計画通りあるいはまあ土地の取得あるいは資金あるいは引き受け者等で、見通しがありますか。ありますかというと大へんどうも計画がずさんなように見えて悪いですが、大丈夫できそうですか。
  23. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 実は、この土地の提供者と申しまするか、そういうものが一体五十万町歩といっておるが、現実にあるだろうかという問題と、それからあるいは造林者費用負担鞍になる者があるだろうかというまあ問題だろうかと思うのでありますが、土地所有者につきましては、みずから造林し得る者はみずからの力で造林をしてもらうという方針をとるわけでございます。従って、みずからの造林の困難だというものがその対象になる、その中でも、みずから進んで土地の提供者になろうという者が優先的になるということでございまするけれども、私どもの見込みといたしまするというと、先ほど申し上げましたように、おおむね対象地の半分というものは、これは市町村有林であり、その他の公有林であるという状況でありまするし、おおむね五十万町歩程度のものは逐次契約が進んでいくのではなかろうかというように、大ざっぱに考えておるわけであります。それから造林者あるいは費用負担者についての見込みでありまするけれども、これまた一一について当ったわけではございませんが、あるいは農山村地域にございまする既存の団体あるいは地方公共団体法人あるいはこの造林のために新たに組織される組合、個人というようなものの最近のこの分収造林に対しまする関心等からいたしますれば、これまたこういう法律によりましてさらに一そう分収造林をしやすくする道を開くことによりまして、私どもといたしましては、その機運が一そう上昇して参るというように実は考えて、おおむね昭和五十五年度までには五十万町歩余の目標というものは、双方の当事者たるものに結びつきを考慮に入れまして、おおむねでき上るのではなかろうかと、かように考えておるわけであります。
  24. 柴田栄

    ○柴田栄君 そういう計画については十分の見通しを持っておられるに違いないと私たちも想像いたしておりますが、実際に当りまして、たとえば対象地を、増強する意味において、新しく造林する場所を拡張していくというような考えが主体になるのじゃないかとは思うが、実際問題として、人工植栽地の伐研地等でも、それこそ時の経済情勢、所有者の経済情勢等からいって、再造林がむずかしいといったような場合に、一応対象にされていないが、運用においてはそういうものも対象として考え得るかどうか、その辺はどういうふうにお考えになっておりますか。
  25. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 御承知のように、現在の私ども計画的に進めておりまする造林事業は、いわゆる今まですでに人工林にいたしましたものを切りましたあとの再造林、さらにこの造林地域拡大いたしまするために、天然生林の切り跡でありまするとかあるいは散生地あるいは未立木地、原野の一部といったようなものに対しまするいわゆる地域拡大のための造林、こういうようなふうに大きく分れるように思うのでございまするが、一応、この分収造林によりまして進めて参ります対象も、おおむねのところただいまお話のございましたいわゆる造林地域拡大をはかって参りまする処女造林地域対象にしておるわけでございまして、再造林の場合は、あくまでも原則は自力造林でやっていこうということに考えておるわけでございますがしかしながら、と中しましても、お話の通りに再造林地域でございましても、再造林をする資力等が不十分だということによりまして、分収造林による契約希望するというようなものは、決してこれは排除しないという考え方であるわけでございますが、指導の方向といたしましては、ただいま申し上げた通りでございます。ところが、一方この分収造林事業対象に取り上げておりまする森林法に基きまする植栽義務で不履行者の土地でございます、これは、大体昭和三十二年度末現在におきまして約四万五千町歩ぐらいのものがあるわけでございますが、この問題につきましては、それが地域拡大造林でありましょうと、再造林でありましょうと、もちろんそういう区別なしに、分収造林による造林あっせんを進めて参るということにいたしていくわけでございます。
  26. 柴田栄

    ○柴田栄君 この造林契約者につきましては、いろいろ地元の組織法人であるとか、あるいは自治体あるいは地方の団体あるいは木材を利用するような画の資本等いろいろな対象があると思うのですが、そういう場合に、何かあっせんする場合の順序というようなものは考えておられるかおられないか。
  27. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) この土地の提供者でございますが、土地の提供者が自分はどこそこのだれだれと造林契約をいたしたい、こういうような積極的な希望がある場合におきましてはむしろ、やはり土地提供者希望を取り上げるということにいたすべきものであることは、当然であると思うのでございまするが、具体的に取り上げられるこの相手方のないような場合におきましては、実は、あっせんをいたしまする場合に、一つの基準を設けて、その基準に従って知事あっせんをするということにいたすべきではなかろうかと、かように考えておるわけでございましてその順位といたしましては、もちろん造林を行いますのに十分なる作業能力を持つ、さらには、いわゆる共同経営者としての能力を持つという条件が先行することは当然でございまするけれども、農林業者の組織いたしまする法人だとかあるいは地元の市町村民の組織いたしまする団体、市町村あるいは学校設置者こういうところにまず第一の順位を置きまして、あっせんをいたしたい。次に、やはり同じような条件のその地元の農林業者、こういうふうに考え、引き続きまして林産物の生産あるいは加工の業務を営むものでありますとか、あるいは木材を、原料もしくは資材といたしまして使用する事業を営むもの、こういうような順序であっせんをして参りたい、こういうように考えておるわけであります。
  28. 柴田栄

    ○柴田栄君 第二条に、「適正な分収造林契約締結されるように」というふうに規定されておりますが、「適正な分収造林契約」というのは、具体的にどういうことになるのですか。
  29. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 「適正な分収造林契約」ということになりまするというと、このいわゆる契約内容につきまして、一つの基準を設けまして、これに基いて指導をするという、いわゆる契約内容の問題にも関連すると思うのでございまするが、その大要は、この法律案の第一条の一号から六号にわたって定めておりまする内容を備えておることが、当然の要件でございます。同時に、この収益分収の割合が、造林に要する費用の見込額及びその負担区分、近傍類似の地帯その他経済事済を参酌いたしまして、明確に定めなければならないということになっておることが、次の一項目であると思うのであります。さらに、契約期間地上権の設定期間あるいは費用負担区分、造林方法、それから前生樹、後生樹——植栽をする前からあった木、あるいは植栽いたしました以降に、自然に生えた木——の取扱い、伐採処分の時期と方法、収益配分の方法処分予定価格の算出の方法といったようなものにつきましては、漏れなく、明確に定められておるというようなこと、それから地上権及び集荷の持分権は、契約当事者全部の同意がなければ、これを処分することはできないような定めがされておるというようなこと、地上権は、それに伴う義務とともにでなければ、これを処分することはできないということも、同時に定められておるということ、契約の変更及び解除の原因となるような事項が明確に定められておるというようなこと、そういうような内容を持ちましたものが、いわゆる「適正な分収造林契約」の内容をなすというように、私どもといたしましては考えておるわけでございましてそういう内容を持たしめるように、具体的に、都道府県知事あっせんいたしまする場合に、あわせてそれを指導するというように考えておるわけであります。
  30. 柴田栄

    ○柴田栄君 そういう場合に、一番むずかしい点、問題になるのはやはり分収歩合の問題じゃないかと思うのですがね。これには、一応、当事者間で話し合いをして、妥当なところを決定されるという原則ではあろうが、あっせんする場合に、都道府県の知事等では、その地方事情、あるいは具体的に言えば、現在でも分収造林が、国においても、官行造林あるいは部分林等で行われておる、民間相互でも行われておるというような実績等が相当にあるはずですから、そういうものをにらんで、ある程度のめどをもってあっせんされるということの方が、非常にやりやすいというような気がするが、そういう一応の目標というようなものは、何といいますかな、基準として、参考にでも示されるというような考え方はないですか。
  31. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) その点は、なかなかむずかしい問題だろうかと思うのでございまするが、従来、自然発生的にとり行われて参りました分収造林の分収の歩合というものを見てみますというと、必ずしもこれは経済的な基礎の上に立って、計算の上できめられたような内容のものではなくて、その地方々々の慣行なりあるいはさまざまな当事者間の力関係というようなものによりまして、千差万態というのが現状であるようであります。極端な例を申しまするというと、一・五対八・五ないしはその逆というような極端な例もあるのであります。これは、やはり分収歩合の決定の考え方は、先にも申し上げましたように、要するに造林に要します費用の見込額が一方の基礎になる、一方におきましては、近傍類似の地帯というようなものが基礎になりまして、そのほか、さまざまな経済事情等がこれに加わって、適切にきまらなければならないということになると思うのでございますが、いわばこれらのものにつきましては、その契約の場所々々によって違うべき性質のものだということが言えると思うのでございまするけれども、これをきめて参りまする場合におきまして、一番むずかしい要素は、いわゆる伐期における収穫量を予定し、そのときどきのいわゆる木材の価格を推定をいたしていかなければならぬというように、いわば非常に長い先々の問題について、現在見通しをつけて、計算上の参考資料にしなければならない、こういうことがございますので、一点々々につきまして、この分収歩合というものを具体的にきめるということが、非常に問題があると、こう思うわけでありまして私どもといたしましては、一応、国内の平均的なところにおきまして、従来とられて参りましたような造林樹種を、これまた同じような意味合いにおける平均伐期において収穫をいたす、こういう場合において予想せられるいわゆる伐期収穫というものを前提にいたしまして、計算をいたしてみますと、大体土地の提供者と造林者との間の分収率というものが、四対六ぐらいになるわけでございまして、さらに条件がいい場合におきましては、上地提供者の側に多くして、条件が悪い場合におきましては、造林者の方に割合が高まってくる、こういうことになるのは、これは当然だろうと思うのであります。従いまして、それがきわめて平均的なものであるという程度を示しまして、そういうものと比較検討しながら、適当な分収歩合というものが当事者間できめられるように指導して参ったらいいのじゃなかろうかというように考えているわけであります。ただし、北海道の場合におきましては、御承知のように、比較的造林条件が、内地に比べましてよくないこと等の関係も手伝いまして、先ほど申しました四対六の比率は、むしろ三対七の比率になるということが常識的ではなかろうか、かように考えているわけであります。
  32. 柴田栄

    ○柴田栄君 そこで、国有林で担当しておられる官行造林の場合と、あるいは国有林を開放して造林をさせておられるいわゆる部分林の場合とが、あまりアンバランスでなく調整されて、双方を通じて、造林が促進されるということでなければならぬと思っておりますがね、その辺について、何か特に御調整をなさるというお見込みですか。
  33. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) お話のように、現在約三十万町歩の官行造林地というものがあるわけでありまして、そのほかに、いわゆる国の土地に地元の市町村の造林をいたしておりますいわゆる部分林が、約五万町歩あるわけであります。官行造林の場合におきましては、その分収の比率は五対五であります。部分林の場合におきましてはリミットが一応設けられておりまして、いわゆる一対八の分収率ということが限界になっているわけでありまして、その限界内で三対七、四対六というふうになるわけでありますが、最近設定いたしております官行造林の場合におきまして、最高比率の二対八をとっているというのが普通でございます。そこで、一体今後の問題といたしまして、官行造林事業というものは私どもといたしましては、おおむね拡大造林をいたしまする場合におきまして、公共的な性格を持った地域の造林に、この対象を求めていったらよいのではないか。それからこの法案によりまして推進をはかろうといたしております分収造林は、いわば一般的の経済地域と申しますか、比較的造林のしやすい所とか、その他さまざまの保安上の制約のない対象を求めていたしたいということで、おおむねの地域区分ということはいたしておるわけでございますけれども、それを、かりにそうであるといたしましても、現在の五分々々の官行造林の場合におきます分収歩合というものが、一体妥当であるかどうかということにつきましては、いろいろと議論の分かれるところじゃないかと、かように考えておるわけでございますが、一応、沿革的に申しまするというと、決してこれは市町村のために特に国有林野事業が手厚く援助しておるという経緯にはなっておりませんけれども、現実の面からいたしまするというと、五分々々の官行造林契約というものは、ある程度まで市町村援助の機能の形をいたしておるということも言えるのじゃないだろうか。現在の官行造林法に基きましては、御承知のように、従来の市町村有林だけが対象でありましたものが、部落有林までその対象を延ばし、これらに介在いたしておりますものにつきましては、一般の私有林も官行造林事業対象になるということに相なっておりますが、この介在をいたしておりまする私有林の場合につきましては、一応、官行造林契約は四対六で運営をいたしておるというのが現状でありまして、分収造林事業を推進いたして参ろうとするこの段階におきましては、官行造林事業の分収歩合につきましても、地帯的な区分とあわせまして、十分に研究をする必要があろうか、かように考えておるわけであります。
  34. 柴田栄

    ○柴田栄君 もちろん造林促進の一つの手段としてお考えになっているわけですから、造林計画に入れて、分収造林が補助の対象になると考えて当然だとは思いますが、それは差しつかえないでしょうね。
  35. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) もちろんこれは現行の普通造林の場合の補助と同じ考え方で、その対象にしていきたい、かように考えております。
  36. 柴田栄

    ○柴田栄君 これは、民間投資を増強するという考え方からすれば、公庫融資については、これは条件として公庫融資の対象としないということも、実ははっきりしておいていただきたいという気がいたします。その辺はどうなんです。
  37. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) お説のように、現行のやり方によりますというと、補助事業におきましても、自己負担分の八割までは公庫融資が受けられるということになっておるわけでございますが、私どもといたしましては、お話のごとく、公庫融資の対象には、今後この事業をやって参らないということで、取り運んでいきたいと考えております。
  38. 柴田栄

    ○柴田栄君 分収造林者のそれぞれの所得税法の特別な取扱いあるいは法人税についての特別な取扱い等をお考えになっておるという話ですが、本法案には、この点が明確にはなっておらぬようですが、これは、何か特別の措置がされるのですか。
  39. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) これは、新しく特例事項として法律規定をするということには相ならなかったのでございますが、所得税法の問題につきましては、この法案の成立と同時に、所得税法政令の上に、その旨を具体的に明記をするということでございますし、法人税につきましては、国税庁長官の通達でこれを明記するという了解でございますので……。
  40. 千田正

    千田正君 その点に関連して。今の柴田委員のお尋ねの点は非常に重大なことでして、なぜかというと、国税庁の末端の税務署の吏員なんか、十分にそのことを知悉することなしに課税することが往々にあります。そういう非常に納税者から見ればまことに不当なことであると考えるほど、問題がたびたび各地に発生してきている。ですから、この法を施行するに当りましては、その点を明確に規定するか、あるいははっきり大蔵省、国税庁をしてそういう通達を徹底するようにしなかったら、必ず将来問題が起きてくる。その辺のことを明確にできるということをはっきりしてもらわなかったなら、通達だけで、それで下の徴税に当るところの末端の税務署員の連中がわからないで、勝手な、ということは考えないけれども、従来のような考えでやったなら、この法案は生きてこないと私は思うのですが、その点をはっきりする意思があるかどうか。
  41. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) その通りでございまして、実は、所得税法関係につきましては、とにもかくにもこの契約が非常に長い期間にわたる関係もありまするので、やはり法律事項として明定をする方がむしろ妥当だというような、いわば提案までの経緯も実はあったのでございますが、政令段階ではっきりいたすということは、これは明瞭に相なっておりますので、その辺のことについては、今後いざこざのないようにしていきたいと考えます。
  42. 柴田栄

    ○柴田栄君 先ほどもお話がありましたが、現在行われておりまする民間の、あるいは地方庁と所有者あるいは三者等で、分収林の形というものは非常に千差万別だということですが、せっかく分収造林の特別措置法が生まれるとすれば、既往の乱雑な分収林の契約を、契約当事者が、本法に従っていわゆる適正に契約を画して、本法によりたいというような場合、そうさせるというような措置について、特に積極的に何かお考えになっておりますか。
  43. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) この法案適用を受けますいわゆる契約は、あくまでも法案の第一条に規定をいたしてありますような内容を備えておらなければならぬことはもちろんでありますが、同時に、やはり本法施行の日以降に締結されるものでなければその適用を受けない、こういうことに相なるわけであります。しかしながら、お話のごとく、既往におきましても自然発生的にさまざまな形態の分収造林というものは現に行われておるわけでございまして、私どもといたしましては、本法施行の日以後に、これらのものにつきましては一たん解約をいたしまして、あらためて本法にのっとって契約をいたしまして、あくまでも本法の適用を受けしめるというふうに指導をして参りたいというふうに考えておるわけであります。
  44. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 この分収造林契約によりますと、造林者の方が有利なようなふうに思えるのでありますが、これは見方にもよるわけでありましょう。内容にもよりましょう。が、一応、補助といたしましては一般補助があり、あるいは融資がある。そこで造林契約履行するわけでありますが、一番疑問に思いますのは、分収造林契約されて、どういう方法で施業を行なっていくかということなんですね。たとえば樹種でありますとか、どの面積にはいかなる樹種を植栽するかという施業案、施業案を組んでいきますことが、双方に利害のない、たとえば農林省あるいは都道府県等の公共的な立場に立った人たちが施業案を組んで、その施業案の通りにやらすという計画でなければならぬと思いますが、その点はどうなんですか。
  45. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 先ほどもちょっと御説明申し上げました中に触れたと思いますけれども、いわゆる対象地、どの土地に対しまして分収造林を行なっていくかという対象地につきましては、一応、これは事柄の順序といたしまして、都道府県におきましてその対象地を調査をいたしまして、これを公表するということにいたしたいと、かように考えておるわけでございます。それに対しまして、その土地所有者が、だれと契約をしたいという相手方がある場合におきましては、そういう関係で自由に結んでいく。ところが、そういう格別の者のない場合におきましては、一定の基準に従いまして、あっせんして参るということになろうかと思うわけであります。そうして、双方の、あるいは三人の間に話し合いがつくということになりまするというと、そこで、次には、この契約の段階に入るわけでございまするが、その場合におきまして、この法律案で申します分収造林は、決していわゆる借地林業じゃない。一定の地代を払いまして、そうして借地をいたしまして、いわゆる造林者が企業的に経営する、いわゆる借地林業という形態のものではなくて、それぞれ当事者の、いわゆる共同経営という形で、あくまでもこの仕事を進めていきたい、そのようなふうな内容ですべてを規律して参りたいということで考えておりまするので、当然、ただいまのお話のように、どのような施業をやって参るか、どういう樹種を植えて、どういう手入れをやって、どういう時期に、どういうふうにやっていくかというような意味合いの、いわば一種の林木地代に関しましての取扱い方法というものは、施業の方針ないしは経営の方針ということで、関係者全部の話し合いの上で、それがきまる。しかも、そのきめられたものにつきましては、それを契約内容に具体的にうたう、こういうことでやって参りたいと考えております。それから、ただいま非常に造林者に手厚いんじゃないかというお話があったのでございますが、この場合におきまして、いわゆる造林者に対しまして交付いたします補助金のようなものでございますが、そういうものは、分収歩合をきめます場合の計算の上からはのくということでございます。要するに、自己負担で出しましたものだけにつきまして、分取率をきめます場合のいわゆる経費を見ていくということでいきたいと考えておりまするし、この分収造林事業対象になりまするものにつきましては、補助残分についてさらに融資で見るということはいたしたくないというのが、私ども運用の方針でございます。
  46. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 今の場合に、たとえば土地所有権者がその契約を行いまするときに、造林者の施業だけでは気に入らない。たとえば利害関係のない人たちが公正な施業案を作って、その施業案にのっとって今後施業をするのだということがよいと思うのだが、そういうあっせん、あるいは仕事の世話ですね、指導というものは、考えておるかどうかという質問なんです。
  47. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) この法律案によりましては、さきにも申し上げましたように、大体四つの場合の契約の形が考えられるわけでございますが、そのうちの三つは、やはりそれぞれ二者契約でございますが、最後の一つの場合は、いわゆる二者契約でございまして、土地のいわゆる提供者、それから費用負担者と、造林者ということになるわけでございます。むしろ、私どもといたしましては、一番近代的と申しまするか、安心のいく方法といたしましては、ただいまの三者契約のものを大いに進めていくことではなかろうかと、かように考えておるわけでございますが、今の経営方針と申しまするか、あるいは施業方針と申しまするか、そういうもつのにつきましては、それぞれの当事者の合意の上できめられる。このきめられたものが、果して文字通りその方針にのっとって実行されるかどうかということになりますると、いわゆる三者契約を進めまして、その場合の造林者に適当な者を選ぶということが、一番願わしい方法になってくるのじゃないかと思うわけでありまして、私どもといたしましては、この三者契約の場合の造林者といたしましては、現在、県それから森林組合、あるいは森林組合連合会、あるいは農協、こういうものを実は考えておるわけでございますが、必ずしもこれらも十分安心をいたしまして、双方から信頼を受けて、その後の管理に当っていけるような主体でもないということは、現状をもっていたしますれば、むしろ、そういうふうに申し上げた方が適切じゃないかということでございますので、これも、それらに対しまして、費用負担者からも、土地所有者からも、信頼されてまかされるいわゆる造林者というものを、私どもといたしましても、育成するように考えて参ることが、今後、この仕事を伸ばす上において必要ではなかろうか、かように考えておるわけであります。
  48. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 それでは、別の角度から、今の問題に近い問題を伺いたいと思いますが、分収造林契約をやって費用負担は、植樹者といいますか、つまり造林者負担をするということになって、そうして樹木の植栽、あるいは保育、あるいは管理の義務がそこで生まれてくるだろうと思うのですが、その場合に、保育、管理の義務を怠って、たとえば私の方に実例がありますが、分収歩合は、一応、四対六の契約をいたしましたが、途中で早魃にあって枯れた、その場合に、間植をしない、補植もしないで放任をする、あるいは管理義務をやらない、下刈りもしないというままに放任をされる、そこで、注意をいたします、注意をするが、その年はもう時期おくれになって、それがためにこうむる損害というものは、相当後年には、おびただしい金額に上ると思うのであります。そういう、ひどく怠慢がありますれば、これは契約の中の条正項違反でございますから、問題が起ってくると思いますが、しかし、そこまで追及できるかどうかということは、長い間の期間でありますので、十分な保育、管理ができ得ないままに放任されたという確認を、一体だれがするのか、当事者問でやはり裁判をしなければならぬとか、あるいは五十年後にその価格によって、分収の比率によってその収益がきめられるわけでありましょうから、そのときまで待てないで問題が起ってくる、将来、問題が起ることを予測して、その前にそういう障害が発生したときに、判定を行わなければならない場合が相当あると思うのでありますが、そういうものの判定は、一体どういうことで行いますか。
  49. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) やはりお説の通りのことが、長い間の契約期間中には確かに発生しやすいということは考え得るわけでございまして、要するに、造林者契約に基きまして、適切な保育、管理をいたしておるかどうか、一応、相手方から非常に不十分だというような問題をめぐりまして紛争が起きてくるというようなことは、しばしば考えられるわけであります。そういう場合におきまして、やはり私どもといたしましては、この締結の場合のあっせん者でありました知事に対しまして、そういう種類の紛争解決のためのあっせんも同時にやってもらう、こういうように考えておるわけでございます。
  50. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 これは造林者に対する独占的な使用許可という言葉が使われておりますが、これは、今の契約を完全に施行するという問題とは、若干意味が違いますが、造林者というものにあまり権利を多く付与し過ぎておるというようなきらいがあるのではないかと思うのですが、これは現実に私の方の地方でも、問題が起つております。そうして、その問題が長引いて、その長引いておる間に伐期がきまして、結局、分収歩合の取り方について、また、支払い方についての裁判を提起しなければならぬという現実が起っておるわけでありますが、こういうものが使用権を独占するということは、きわめてこれは——まあ、当然経費を投入して造林をやっておる業でありますから、当然独占的な使用権というものを許可するということは、これは当然だと思いまするけれども、そういうことで土地所有者権利を主張する機会が非常に少い、この法律を見まして少いと私は思う。土地所有者というものは、一体自分土地所有という、つまり自分所有権というものを確認し、また、それを擁護し得る制度が、どこにありますか。この法律案の中で、どこでそういう土地所有者というものの保護をすることが規定してありますか。
  51. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) これは、あくまでも合意に基きまして、この契約を結ぶ場合、土地の提供者、造林者というものの結び付きが行われて参るわけであります。こういうことであるわけでございまするけれども、とにかく長い期間にわたりましての問題でございまするから、双方から見て、必ずしも契約内容に明確にうたっているようなことが遵守されておらないというようなことは、しばしばあると思うわけでございまして、そういう場合におきましては、あくまでもやはり都道府県知事に両者の紛争解決あっせんをしてもらうということの建前をとっておるわけでございますが、ただし造林者等の場合におきましても、たとえばその怠っておるということがその経済上の変化等によりまして、やろうにもやれないのだというふうなことに相なっておるといたしまするならば、それをいつまでもその契約造林者ということにいたしておくことにつきましての適否の問題が起きてくるということになるわけであろうと思うわけでありますが、そういう場合におきましては、造林者持ち分というものの譲渡を他の善良なる第三者に売り渡すようなことも、もちろんこのあっせんの過程におきましては、とって参りたい、そういうように考えておるわけであります。
  52. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 善良の者に売り渡しをする、売り渡しをすると申しましても、現実の問題は、そうなまやさしいものではありません。また、知事あっせんをすると申しましても、知事あっせんなんというのは、何の権利があってあっせんするのですか、ただあっせんというだけのあっせんなのであります。これを聞かぬといえばそれまでなんです。一つの権利を、正当なる権利を主張するということを、立法の建前から言うと、保護をしてやらなければ……、私は、造林者に独占的な使用を許可するということだけでは、物足りない感じがする。もう一つ、私はその意味では、持ち分分割という立場から考えてみまするならば、民法二百五十六条第一項による分割請求が、安定性を確立するために許されない、こういうことなんで、これは安定をする、その事業を安定せしめるために分割をしない、こういうことなのであろうと思いますが、これは一応は考えられることなのだが、しかし、所有権という一つの財産なんだ、その財産というものを分割することができない、他にいろいろな都合で分割をしなければならぬ問題が、私は起ってくると思うのでありますが、そういうことの請求をすることを禁止されるということは、土地所有者というもののつまり権利というものを拘束をすることにはならないか、こういうふうに思うのであります。つまり、今の先の問題、独占的使用を許可しておるが、共有物という——共有物に違いないが、それを分割して、自分所有権としての売買なり、あるいは譲渡なり、あるいは契約が完全に施行されておらないということにおいて、自分が他の者にこれを譲渡してそして管理をせしめようとする場合に、それを認めないということは、造林者だけに有利なふうに解釈されるのであります。そういうきらいはございませんか。
  53. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 確かにそういうきらいも全然なくもないのでありまするが、いわゆる共有権の分割請求というものが、契約の中途に行われますと、分収造林契約というものは成立しなくなるという建前の上におきまして、こういう措置を実はとったのでございます。
  54. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 この法案法律的の効果といいますか、これは民法共有に関する規定を排除するという点が一つと、それから第二段として、地方公共団体住民投票に特別の規定を設ける。この二つが法律的な効果であろう、後段の地方公共団体の点はしばらくおくといたしまして、共有に関する民法規定を排除するという、この法律案の持っている唯一の条項だと思いますが、これに関連して私は聞きたいのだが、大体分収造林契約の各条項の規定は、私法的な規定だと思います。私法的な規定——民法的な規定である、そうしますと、ここに示されている形以外の各種の分収造林関係が現在もあるわけです、将来もあるわけですね、その場合に、一体、分収造林契約であって民法の二百三十六条ですか、これは適用されるものと適用されないものとあるわけですね、一体、そういう区別が現実につくのですかどうですか。
  55. 家治清一

    説明員(家治清一君) お答え申し上げます。この分収造林契約の定義、第一条の定義に該当いたしておりますものは、分収造林契約と本法では呼んでおりますが、お言葉のように、これ以外にもいろいろな形の契約はございましょうけれども、それは、この定義に該当しない分は、分収造林契約ではない、それで、この定義に該当する分収造林契約でございますと、やはり第三条の規定によりまして、民法共有物分割に関しまする規定適用が排除されておりまして、つまり、適用がある分とない分とはないのであります。全部定義に該当する分収造林契約につきましては、共有物分割規定適用されない、こういうふうに考えております。
  56. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 一応形式的には了承するのですが、この法案に掲げられている分収造林契約ですな、この項目はきわめて簡単だが、現実は相当複雑だろうと思うのです。そうしますと、これがこの法律に言うところの分収造林契約だ、これはそれとは違うのだという区別は出ていないと思いますがね、そういうことは、はっきり出てきますかね、それは一体だれがそれを区別しますか。
  57. 家治清一

    説明員(家治清一君) お話しの通り割合に抽象的な定義でございますので、これに該当するかしないかというのは、区別の基礎になるものが、それほど明確ではございませんけれども、比較的顕著に考えられますのは、分収の割合とそれから立木供与の割合が等しく定められている、それからその植林された樹木共有になっているというような点が、これは民法の特例との関連におきましては、区別の要点であろうと考えられます。ちょっとこの定義の解釈は、分収造林契約であるかないかという点の認定をするということになりますが、これは、実際指導というものは、都道府県知事指導すべきだと思いますので、一応、行政的に、都道府県知事が、該当するかどうかということを判定すると思いますが、もちろん最終的に民法規定適用があったかなかったかということになると、これは最終的には裁判所ということになると思います。
  58. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 この財産権は、私は物権的の性格のものだろうと思います。そうしますと、やはり当事者以外の第三者ですね、第三者がはっきりしない、こういうことですね。知事さんはわかっているかもしれぬが、一般の者はわからない。これは三十年、五十年にわたる財産権に関連する問題なんです。いろいろな関係者というものが現われてくるに違いない。そういうときに、これは法律に基く分だ、隣のものは別のやつがある、しかも片方は、分割の請求ができて、片方はできないのが、しかもその判定というものは、きわめてあいまいであって、区別がつかないというふうなことで、果していいのでしょうか、何かそれをはっきりする必要があるのじゃないですか。
  59. 家治清一

    説明員(家治清一君) 先ほど申し上げましたように、契約上はっきりしなくても、この定義の上で、分収造林契約であれば、第三条が働くとお答え申し上げたのでございますが、指導といたしましては地方長官でございますけれども契約の面の中で、共有の立木の分割はしないんだ、分収までは分割はしないんだということは書くように、これは都道府県において指導をして参りたいと思います。ただし、そうしましても、その契約書自体は、一般に公表されるものではございませんから、第三者に対する対抗力といいますか、公信力というものはございませんけれども、それは基本的には、やはり分収造林契約で作り上げましたものを登記させる、たとえば立木登記をさせるとか、あるいはそれに従いまして共有の登記をさせるというような指導が、これの裏づけとして行われる方がいいと思います。行われなければならぬと思うのでございますが、ただ、一挙に登記というものを前提にはできませんので、おいおいと実情がそれに合うように指導していきたい、こういうふうに考えております。
  60. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 私は、その指導の問題じゃないかと思うのですが、それはさておいて、それからもう一点、この契約で、民法分割請求の条項を排除しないという特約を設けることはできるのですか。できないのですか。
  61. 家治清一

    説明員(家治清一君) やはりこの場合は、三条がいわば強行的な規定と考えておりますので、これに違反する特約を結びましても、その特約は相手方には対抗できない、こう考えております。
  62. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 私ちょっとそれはふに落ちないのですが、これは大体私法上の契約内容である、その当事者がこの法案の各条項を一応書きまして、そうしてある条件のもとにおいて、民法共有物分割のことを留保している、それは無効だというふうなことは、とうてい考えられないのですが、もう一度一つ、なぜそういうことはよろしくないか、現在それが相当行われている、なぜそれがよろしくないか。
  63. 家治清一

    説明員(家治清一君) 現状は、私が承知しております限りでは、実はそれぞれの契約当事者が、分収権を掌握するといいますか、確保する意味においては、でき得れば立木も共有にしておきたいのでございますが、ただその場合に、現在の民法規定ですと、それをいつでも相手方から分割の請求ができる、あるいは分割請求をしない特約を結ぶといたしましても、民法規定によって、五年をこえてはいけないということになっておりますので、どうしても共有ができない、共有するとかえってこわれるというので、共有にしてないのが現在の実態だと承知しております。それでお話のように、まあしかしいろいろな事情もございましょうから、共有分割請求権は留保しておいて、それで共有にはしておこう、つまり本法案の第三条の適用を排除した分収造林契約を結んだ場合、それが当然にその分は部分的に無効になる、こういうふうに思いますが、私は、やはりその留保せられた分に関しては、一応契約としては無効であって、やはり第三条によって分割請求権はなくなっている、今までの法案の立案の過程等を通じてそういうように解釈をいたします。
  64. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 まだ私疑問がありますから、これは一応留保しておきます。
  65. 千田正

    千田正君 関連して。今、梶原委員の御質問の点ですが、参議院の法制局は来ていないですか。一応その疑点のところを私も法制局の見解を聞きたいと思いますから、この点を聞かしていただきたい。
  66. 東隆

    ○東隆君 私はこの問題を考えたときに、非常に疑問がたくさん出てくるのですが、主として評価の問題、これは、分配に関連する評価の問題になってくると思うのです。そこで普通、農業の場合だったら、地主と小作人の関係でもって解決がつくと思う。ところがこの場合には、費用負担者が入ってきておる、従って、地主と小作人と、それから資本家と、こういう三つが入ってくるわけですが、小作人に相当するものは、実は森林組合であるとか、あるいは県であるとか、そういうようなものがなるわけです、この場合は。そこで、問題は、どういうことになるかというと、非常に小作人に相当する造林者が強くなる、こういうことは、先ほどの堀本氏の話によって想像がつくと思うのですが、そういう場合に、私は、耕作者に相当しておる造林業者というものは、地元から出なければならぬと思うのです。地元の人がやることによって、初めてりっぱな仕事ができると思う。その場合に、なぜその地域の者がやりいいような体制にしていくことを考えられないのですか。先ほど柴田さんが質問されたのですが、農林漁業金融公庫の金が出ないのです。それをなぜ使わせないのですか。そうすると、造林業者と、それから資本というものが一つになって、そうしてそれにプラス補助金の形でもってりっぱなものができ上るのじゃないか。従って、この分割の場合における立木の分配をした場合に、それの所有は、そこの部落の者が、大部分の分け前を受けることができるという形が出てくると思う。私は、そういう形で進めていくべきであって、これが今度は全然別のものになってくると、県その他がやらないとすると、パルプ会社との問題になるのじゃないか、資本を出して、そうしてやらせる、こういう費用負担するということになりますと、今度は、造林業者とそれから費用負担者の間の分配の問題になってくる、その場合における率その他の問題は、これはなかなかむずかしい問題だと思うのです。  そこで非常に問題になるのは、費用負担者の問題が、これが実は非常に大きな問題になってくる、資本家に相当するその部分のものが、非常に大きな問題になって、それは単にその費用が、借入金の形でもって、金利だけ払うのならいいのだけれども、この場合においては、将来における立木の評価をした者から、それを分け前をとるのだ、こういうことになりますから、従ってこれは非常に困難な問題になるわけです。ことに今度は、費用を出したところのものが、パルプ業者であるとかその他のものになりますと、これは最後の伐採の場合において、それを買い受ける者、買受人とこれが一致してくるわけです。それから結局、分収をする場合の当事者との間に、これは一致をしてくるわけです。そうすると、評価の問題が、これは非常用に困難な問題が起きてくる。で、林業は長いものですから、一年きりでもって決済をするものでなくて、非常に長い期間を通してやるのですからで、対象は、地主の方は、これは個人の場合もあり得るかもしれませんが、部落有林とか、その他という関係ですから、これは、相当長期なものと考えておるのです。それから造林者は、その地元の者ならば、これはそこで生きているものですから、これも一応の考え方がある。資本家の方は営利会社その他のものがなり得る可能性が非常に多い。もし金融公庫の金を出さなければ、そういうような形が出てきて、非常にこの三者の間が困難になってくるだろうと思う。そこで、できるだけ、問題は、造林業者と資本家を一つにするという問題がある。あるいは地主と資本家を一つにするという形でもって、分収の割合を二つにして解決をするような方法、この場合が出てくると、そういうような場合におけるやり方は、これはまた、おのずから分配の率が違ってくる、だから、土地所有者をAにして、造林業孝をBにして、それから費用負担者をCにした場合に、コンビネーションが、これはいろいろなものが出てくると、そういう場合における率を考えていかなければならぬし、大へんむずかしい問題が出てくると思うのです。それから、先ほど出てきた、たとえば、途中でもって、干魃でもって枯れた、これは私は、干魃収入がある場合には、これはプラスの収入になるけれども、また植林をしなければならぬということになると、マイナスの収入になる。プラス、マイナスの場合、どういうふうにしてやるか、こんなような問題がたくさん出てくるのですが、この問題を考えてきたときに、非常に混乱した問題が起きてくるので、評価上の問題で、どういうふうな問題が、たくさん予想されるかということを考えると、大へんむずかしい問題があると思うのです。それで、率ではっきりと、初めから分けるのですか、それとも、どういうような分け方をするのですか。その三つの関係ですね、最初は二つの関係で見る場合もありますので、たとえば、私の言ったBとCとの分け方をすると問題が出てくる。そういうような場合におけるいろいろな関係説明をしていただきたいと思います。
  67. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 最終成果を伐採いたしまして、そうしてこれを金にかえると、そしてこれを分けると、そういうときに、非常に問題が起りやすいことは、お説の通りでございます。従いまして、このいわゆる適正なる契約として、契約内容に定めておられるように、指導すべき事項の中に、この契約に基きまして植栽をされました樹木の伐栽あるいは売り払いの時期、あるいはその方法それから収益を配分いたします場合の方法というものを、明確に規定するということが、私は、一番重要な事項の一つになるように思うわけでございます。それと同時に、一体、売り払います場合の予定価格というものの立て方を、一つ基準化しておくということが、これまた非常に問題になるわけでございまして、売り払いの価格の立て方いかんによりましては、そのときに予想される価格というものも、実は、いろいろと違いが出て参るということの懸念を防ぎますために、これまた契約内容に取り入れるべき事項といたしまして、私どもは、むしろ、所在の、もよりの市場の価格を基準といたしまして、適正にこれを算出するということの内容を、契約にうたっておくように指導すべきではなかろうかと、かように考えておるわけでございまして、これは、いずれもこの売り払いの時期なり、売り払いの方法なり、売り払います場合の価格の算定の方法なりということが、やはり一番問題になります事項の一つであることの懸念と、それに基く配慮によるものであるわけであります。そこで、おっしゃるように、今さまざまな形体というものが、実は考えられぬわけではございませんので、この法律によりましても、大体四つの場合が考えられるということでございますけれども、一番多く考えられます場合は、土地の提供者と造林者との間の二者契約、それから土地の提供者と造林者と襲用の負担者との間の三者契約というものに、大体しぼられてくるように思うわけです。そこで、これらのものにつきましては、ただいま申し上げましたように、それぞれのものが負担をいたしまする費用というものの割合に基きまして、最終成果でありますところの分収の割合というものをきめて参るということで、いわゆる分収割合をきめていくわけでございまして、これは契約の当初に、分収の割合というものがきまるわけでございます。そこで、一応、一番明確を欠きますのは、造林者でありますものの負担というものの内容でございまするが、費用負担者と造林者が同一人であります場合におきましては、これは非常に明確になるわけでありますが、両者が分れております場合の造林者負担内容というものは、非常に不明確になるということでありますけれども、これらの場合におきまして、必ずしも直接的に出費いたしますものだけが、経費というふうに考えるわけではございませんので、これらの仕事をやっていきます場合の人件、事務費のようなものまでも、当然出費すべき経費として考えまして、そういう出費割合に基きまして、それぞれの分収割合というものがきまって参るということに相なろうかと思うのであります。同時に、ただいまこの農林漁業金融公庫の長期資金等の借り入れを、造林者であるものにいたしまして、いわゆる二者契約を進めて参る、ないしは、この土地所有者でありますものに対して、そういう道を開きまして、これまた二者契約の道を一応開いてやるというようなことも、実は考えられぬわけではないのでございますけれども、私どもといたしましては、むしろ、おおむね範囲の定まっております造林に対しまする国の資金というもの以外に、新たなる資金造林事業のために投入してやるということは、いわば分取造林の促進のねらいの一つでもありまするので、補助金を交付いたしました対象に対しまして、さらに長期融資をあわせ考えるということは、この際は、むしろとるべき方策でないというように考えておりますることと、もう一点は、実を申しまするというと、現在の造林のための長期資金は、償還期が二十年以内、据置期間五カ年以内という長期的なものには違いがございませんけれども、投資いたしました対象が、成果いたしました場合に、これをもって支払うという性格のこの造林投資の事業に対しましては、必ずしも現在の長期資金の投資条件というものに、適確に相応しておらない、いわゆる第一回の旱魃収入も入らないうちに全額の償還をいたさなければならないというようなことが、いわば現在の融資の条件でございまするので、いわゆる地元の造林省たるべき者がそういった融資を受けまして、みずからが造林者になるということのためには、よほど融資条件というものを緩和して考えなければ適切でないというようなことも相からみまして、ただいま申し上げたような方法で進めていくことにいたしているわけであります。
  68. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ここで、しばらく休憩いたします。    午後零時二十九分休憩    —————・—————    午後二時三分開会
  69. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 午前に引き続いて、分収造林特別措置法案議題といたします。質疑を続けます。御質疑の向きは、御質疑を願います。
  70. 東隆

    ○東隆君 午前中にお聞きをしたことに対して、金融の方面で、金融公庫の資金、政府の財政投融資関係資金を用いないことによってどういう結果が現われてくるかというと、当然相当高い金利の資金を使わんけりゃならぬ。普通の市中金融ですね、これを使わんけりゃならぬという当然の結果が出て参る。従って、資金負担をする者は、これは将来を見越して十分にやり得るところの能力があるものでなければ、資金を出すわけに参らぬわけで、そういうようなことから、選択をされて参って、非常に範囲が狭小なものになってくる、こういうおそれがある。やはり何かファンドのようなものを作り上げてそうしてやっていくとか、いろいろなことを考えていかなければ、将来の造林、植林、そういうような問題を進めていくためにも、普通の農作物のような、一年でもって収穫を上げるようなものでありませんから、従って、そういう長期計画を考えていかんけりゃならぬ、こう思うのですが、そういうようなものについて考えないで、ただ助成金があるから、そっちの財政投融資の方は使わないのだ、こういうふうに割り切って考えるのは早計だと思う。長期であればあるほど、低利の、そうして長期資金を用意してそうしてやると、こういうことを考えなければ、私の考えているように、造林をする者が、地元の者がこいつをやる、そうしてそこから収益を上げて、いく、こういうようなことは永久にできなくて、農山村を通じて、農民の所得というものがみんな他に奪い去られていくというような結果になってくると思う。従って、山村に居住をしている者の収入が増していくその財源は、これは単に耕地ばかりから出てくるものじゃない。酪農をやって、そしてそっちの方からの収入も考えんけりゃならぬし、それから林業の資源というものは、これは非常に長期にわたるけれども大きな基本的な私は資源になると思う。そういうようなものと同時に、農村におけるところの資本の蓄積というものは、こういうようなものによって初めて——金で貯金をするのではなくて、林業というものを中心にして、資本の、財産の蓄積、そういうようなことが行われていくのでありますから、そういう面から考えてみても、私は何とかして地元の者がその利益を享受し得るような態勢を作り上げていかなきゃ、これは本物でないと思うのです。せっかくこういうような分収造林特別措置法というものをこしらえてお考えになる場合に、私はもう少し国家が——単に助成金というのは、これはもう一般造林に対して与えられるものですから、そこで、この制度をこしらえるのならば、それ以外に金融の道を開く、そういうことを考えていかなければならない。それには利子補給の道だの何だの、そういうようなものが付帯して——こいつは相当考えられるわけです。そういう道をはばんでしまえば、これは一体どこへいくかといえば、農村の中にはこなくて外にみな出てしまう、こういうおそれが多分にあるわけです。そういうようなことが起こさないように、なるべく農村の者が働いたら、働いただけのものが蓄積をされていく、こういう面を私は考える場合には、助成金も結局どっちに助成されるかといえば、決して農村の者には落ちてこない。そして単に、助成金に相当するものが、山のただ人夫賃だの何だのの形で入ってくるかもしれないが、それ以外に入ってこないわけです。だから、この面を一つ何とか生かすために考えていただきたいと、こう思うのです。それには、助成金以外に、金融の措置を講ずることによって、助成金そのものも農村に落ちる、山村に落ちる。それから金融そのものは、結局そこに住んでおる者が造林者としての役割を果せば、十分活用できる、こういう形ができてくる。助成金だけでやっておったら、おそらくその助成金はその地元の人夫賃くらいにはなるかもしれない、しかし、それ以外、はみんな外へ出てしまうのですから、私は、その関係をここではっきり割り切れるように一つ考えるためには、やはり金融の道を考えて、そうして地元の者が造林者として十分にやり得るような態勢を作り上げていかないと、これは本物ではない、こういう考え方なんです。その点は、やはり依然として助成金を出すのだからもうこれ以上はやらないのだ、こういうお考えになりますか。私申し上げているのは、なるべくその山に住んでおる者に蓄積されていくというような、財産がその山に住んでおる者の所有になるというような、そういう形、これこそ私は正しい山村における政策になると思うのですが、そういうような意味で、どうもお話とだいぶかけ違っておるようですから、その点、一つわかるようにお答えを願いたいと思います。
  71. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 御存じの通りこの造林推進措置といたしまして、実は新植費に対しまする——一般造林の場合でありますが、新植費に対しまして国が三割、都道府県の義務負担一割という補助金の交付を実はいたしておるわけであります。そのほかに、低利の実は金融措置を行なっておるわけでございますが、この長期低利と申しましても、実は林業の経営の実態からいたしまするというと、必ずしもその実情に沿うような融資条件に相なっておらないというのが現在の公庫資金の融資条件でございます。一応補助金を受けまして造林をいたしまする場合の自己負担分の八割に相当するものにつきまして融資される場合は、年利六分五厘といっておりますが、全然補助金なしで自力で融資を受けてやるという場合におきましては四分五厘というのが現在の公庫の融資条件に相なっておるわけでございます。そこで、一体こういう融資条件のもとにおきまして金を借りて造林事業を行い得るという者について、かれこれ研究をいたしてみまするというと、この林業の育成部門だけの採算以外で採算をとるといったような特殊ないわゆる法人、いわばこれは単なるそれは自己生産部門の材料供給にすぎないといったような意味合の林業経営をやるような法人でありまするとか、あるいは相当大規模な循環経営のできますような森林所有者の憎む林業経営、こういうものでないというと、なかなかその金融の対象に乗ってこないというのが現状であるわけでございまして、かりにこれらの林業に投ぜられます資金の大体利率を五分五厘ないし六分に考えて参りました場合に、さきに申し上げました都道府県の義務負担分を加えまして、新植費四割の補助に対しまして大体一割五分くらいな補助率に相当するような条件の融資をしておるというのが現状であるわけであります。そこで私どもといたしましては、そういうような実態から考えまするというと、ただいまの御質問の特別ないわゆる融資措置というものを補助金の上に考えるという場合の対象は、おおむねの場合におきまして、今申し上げるようないわゆる林業以外の面であわせて採算をとるという意味合いのものでありまするとか、あるいは大規模な循環経営のできるような森林所有者の林業でありますとか、そういうものに限定をされて参るというふうに考えざるを得ないわけでございます。そこで、この分収造林の場合につきましては、かりにそういう人が造林者になり、あるいは費用負担者になるという場合におきましても、助成対象にして参るということになりますというと、ただいま申し上げたような、さらにその上に融資のことまでもつけ加えて考えることは適当でないんじゃないかという結論を実は持っているわけであります。それとあわせまして、午前中の御質問に対しましてもお答え申し上げましたように、できるだけ外部の資本を入れてくるということになりますというと、やはりその特別な融資の道を部外で設けるという考え方は、必ずしもとることの適切さを欠くじゃないか、かようにも考えているわけでございます。ただ、こういった場合におきまして、要するに、都道府県知事がこの分収造林契約締結あっせんいたしまする場合の順序といたしましては、私どもは、あくまでやはり地元中心で、いわゆる地元の公共団体でありまするとか、あるいは地元民の組織いたしまする団体、そういうところを第一の順位に取り入れてあっあんをいたしたいというふうに考えておりますることは、特に地元民の場合でありますというと、この行います造林に対しまして、出します補助金と合わせまして自家労力というもので造林者に実はなれるわけでございます。そういうような方法によりまして、できるだけ地元の人たちの労力というものがそこに、何といいますか、固定をされまして、将来の地元林業の繁栄のために役立つような方法をまず第一に考えたい。そういうようなあっせん優先順位というような中でこそ地元の対策は考えるべきであって、一般的な助成の上にさらに融資の道を講ずることによりまして地元の対策を考えるということは、現在の融資条件からいたしますると、なかなか困難であるということで、以上のように申し上げているわけでございます。
  72. 東隆

    ○東隆君 土地改良その他のようなものは、これはもちろん土地改良をやることによって、その年から収益を上げ得る、こういうような関係がありますけれども、そういうようなものには助成金と、それから融資の道が講ぜられる、そうして、林業の場合には助成金だけで融資の道が講ぜられない、こういうようなことになりますると、地元の者が仕事を進めるときに、非常に長期であればあるほど困難性がある。長期だからそこで助成金を出しているのだ、こういうお話だろうと思うんですけれども、しかし、助成金プラス融資、こういう形で、その融資に対しては、将来分割をして支払いをしていく、こういう体制ができれば、可能でないような所も可能になってくるわけです。また、そういうような所こそ今まで放置されているような所じゃないか。ことにたとえば奮発して、学校林というんですか、何というんですか、学校なんかの基本財産を作るために都落の者が非常に骨を折って、そうしてそのやったものが何年かたって、非常に効果を発揮したなんという例はたくさんあるわけです。ああいうような形をもう少し、何といいますか、合理的なものに、合法的なものにし上げていく、私は分収林のようなものを、やはりその中に——その考え方を入れるべきじゃないか、こういう考え方なんです。私の思っていることは。従って、外から来てやるというような場合には、将来それが生長した暁には、パルプの原材として買い受けようとか、そういうような考え方がなければなかなかのってこないと思うんです。非常に高い金融を、市中銀行の金利のようなものを使ってやるはずがないんですから、従って。パルプ会社でも何でも原料を扱う方でもって一定の計画のもとに施業策を立ててやるとか、そういうようなことになってしまうのじゃないかと思うんです。そういうようなのは、これはもちろん別途に考えなければならぬけれども、こういう場合における、特に部落有林やそういうようなものが荒廃をしておる。こういうような場合には、私は、もう少し部落のものの所有にその蓄積されたものが帰する、こういう形を作り上げるために何かその足りないものがあると思う。それはやはり金融じゃないかと思うのですが、そういうものを考えて、そして合理的な形でもって——林野庁のお考えは何もそのなんでしょう、山村の繁栄をやはり考えておられるでしょうから、そういう方面に重点を置かれる施策、そういうものを第一にして、そして金融の道を考えなくてもどんどんやれるものは、これは第二、第三でいいじゃないかと思うのです、自分でやれるものは。しかし、自分でやり得ないけれども、こうやれば確かにやれるんだと、こういうようなところの部落有林野だの、何だのが放置をされている。こういう考え方なんです。だから、もう一つお考えになっていくべきじゃないかと思う。必ずしもそこから上るところの収益でもって払わなければならぬというそういう考え方じゃなくて、そこの部落のものがそいつに対して払おうという態勢があれば、当然出して差しつかえないものじゃないか。それは造林のために使う資金だと、こういうことになれば、ほかのものでもって十分に払っていくと、こういうことになれば、蓄積されたもの、担保物だの何だの、そういうようなものが別途にあれば、何も問題じゃないと思う。いろいろな関係でもって金融の対象にはなり得るのじゃないか。専業そのものが金融の対象になり得るし、そうしてしかもその方面が開発されていく、こういうことになろうと思う。一応そこからはえてきて大きくなってきた木を売るまでは一つも収益がないのだから、金を借りたって払う道がないじゃないか、こういう考え方でやれば、非常に木なんというものは、長くかかるのですから、そいつは普通の商業ベースのような金融でやれるはずがない。そういう点をもう一つ考えて、そうして金を借りるときに必要な条件というものは、そういうそこで生産されるところの材木だの、立木だの、そういうようなものをめどにしないで、もっともう少し対象を広げてくれば、金融の道が私は十分に考えられると思う。そのことによって、部落全体を一つの財布として考えていっても、何も違いがないのですから、そういう考え方で、もう少し部落そのものが一つの法人として、個人じゃなくて法人として一つの人格を持っておるというような考え方で見ていただけば、そういう金融の道はできると思うのですが、どうですか、その点は。
  73. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 私の方といたしましては、こういう取扱いを進めていこうと考えておりましたのは、いわゆる分収造林の場合でありまして、その他いわゆる一般造林の場合におきまする再造林なんかにつつきましては、ただいまお話のように金融の道をむしろ十分に活用することによって、その再造林を考えてもらいたい、こういうふうに実は考えておるわけであります。そこで、この機会にあわせて申し上げまするというと、たとえば、一般に再造林の場合等におきましては、むしろ、この補助による助成の対象としてこの造林事業を考えるよりも、一般の金融措置によって事柄を解決すべきものではないかというような議論もあるわけでございまするが、その場合におきましても、あくまでも循環経営ができる森林所有者ということに相なりませんというと、金融のいわゆる対象にならないという考え方のもとに、私どもはそれをのけましたのは、再造林の場合といえども補助金交付の対象にいたしておるというふうな実は現状であります。ただいまの御質問の趣旨は、おそらく循環経営ができるといったような場合においては、何も助成をしたからといって、金融の道をふさぐ必要はないじゃないかという御議論ではないかと、かように考えるわけでございまするが、現在のこの農林漁業金融公庫の業務方法書によりましても、そういう場合の道を実はふさいでおるわけではないのでありますが、できるだけ外部資本の導入ということを考える必要から、こういう措置を進める意味からいいまするというと、やはり物事の優先順位といたしましては、これ以外のものについて、当然金融措置をしていくべきものに対して、優先的に金融措置を考えて参る。こういう意味指導事項というふうに御了解をいただけたらけっこうと思うわけであります。もちろん、この循環経営ができますような場合におきまして、補助金対象になりましたものが、さらに同時に融資対象になるということも、余力があれば、これは考えられぬではない、かように考えるわけでございますが、一般的に申しますというと、ただいまのような順位で融資の問題は考えて参りたい、かように申し上げておるわけであります。
  74. 東隆

    ○東隆君 少しくどいようですけれども、私は外部から資本を導入することによって、国の資金であるとかあるいは協同組合関係資金でありますると割合にいいんですけれども、しかし、それが銀行であるとかというような資本になったり、あるいは資本家が出すというような、そういう形になりますと、非常に違った形のものになる。そこで、外部資金の導入ということについて、何も反対するものじゃない、しかし、その資金性質そのものによって、そこに蓄積されるものが、結局それの分配の場合に、分け前が、外部資本の分へたくさんいきますから、従って、その場合に所属が違ってくるわけです。国の場合とそれからいろいろの場合と違ってくるわけです。その場合を考えているんで、長期にわたってそうして費用を分担する、そこで費用を分担されると、それから造林者との間の分配が問題になってくるわけです、この場合は。そこで、金利だの何だのの計算ではなく、今度は分配になるわけです。場合によったら造林者そのものは先に補助金だの何だの、賃金だの何だのもらっているかもしれない、地元の者がですよ、かりにやったとすると。そうすると、今度は立木に対するところの分け前というのは非常に少いものになる。たとえば造林側が取るべきものを、——かりに一〇とすると、それの分け前はたとえば造林の方は一・五ぐらいで資本を出した方が八・五取らなければならない、こんなような形ができてくるかもしれない。それはどういうことかというと、土地を提供した者と資本を提供した者とあって、そして、中の造林者というものは、単に労力を提供すると、労力というものはどういうことになるかというと、そのつど支払われる、普通の場合は。だから立木の分け前をするときには非常に少いものになっちゃう、計算していけば。形とすれば非常に大きな形になりますよ。山持ちとそれからなにとの関係が三と七、あるいは四と六ということになる。その七なり六を今度は資本と、それから造林者というのは労働者になってしまいますから、その場合の分け方によって非常に違ってくる、そういう面で、労働に対する面はもう十分にその長い年間に支払われてしまうのですから、そこでその労働に対するものがみんな芸蓄積されて、そして費用を分担したものの分け前の基礎になってくるわけです。だから、従って、立木を分けるときには、非常に資本を出して費用分担した方が大きく取ってくるのは、これはもう当然の話です。そういう形になってくると、どういうことになるかというと、長い年間に造林の労働をやった面は、結局労働賃金をもらう、こういうことだけになってしまう。だから、資本に対する分け前というものが、長い間金利も何ももらわなかったかもしれないけれども、最後の場面によって分配をするときには、非常に違った形になってくる、こう見るのが、これが至当じゃないですか。私はそういうような意味で、A、B、C、と、こう分けてきて、そしてAとCが固定的なもので、だんだん、だんだん大きくなっていって、そしてまん中のBに相当する造林業者というものは、これは長い年間の労働賃金を前渡ししていくと、こういう形でもって計算をすると、だから、最後のときには、分け前をもらうときには、ほとんどもらわない形だから、これはしかしほかのは、たとえば県だとか森林組合だとか、そういうようなものがやるのだと、こういう今お話もありましたが、そういう場合には、これは施業者で、費用分担者とみんな一緒になってくる。だから、造林を担当する者その者は、結局何かといえば、地元の者はやはり賃金労働者と、こういうことにしかならぬと思う。だから、そういう意味で私は地元の者がですね、働いたら働いた者に対しての賃金はもちろんですけれども、その賃金が実は蓄積されていって、そして分担をするときにそこの所有になってくる、そういう態勢を作り上げることが山村の繁栄のもとになる、こういう考え方なんです。だから、少し考え方が違うかもしれませんが、しかし、それを生かしていくことがほんとうの山村繁栄の道じゃないかと、こうまあ考えるわけです。
  75. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) ただいまの御質問の要点は、こういうことだと思います。結局、費用負担者造林者土地の提供者という三者契約という場合におきまして、いわゆる造林者というものは、実質的に負担するものが非常に少いのだから、従って、最後の取り前が非常に少くなる。それでは地元の繁栄にならぬじゃないかと、こういう御質問だと思うわけでございますが、もし自己負担分というものが持てる場合におきましては、三者契約でなしに二者契約になる場合が非常に多いわけです。ところが、なかなか自己負担分というものが調達しにくいというので三者契約の方が、いわゆる費用負担者というものが別に出てくるということになるわけであります。そこで、私どもはやはりそういった場合におきまして、地元の繁栄の立場を十分に考慮いたそうといたしますと、やはり地元民の組織いたしまする団体等が造林者になりまして、そして補助金と自家労力によって造林をすると、そういう意味造林者になる。そうなればただいまのお話のように、十分に大きな取り前を持ついわゆる造林者になり得るわけです。ところが、そういった場合でも、なかなかそれだけでは不十分じゃないか、やはり何か融資の道を講ずるだけの余地を残しておいたらいいじゃないかという御質問に対しましては、現在の公庫の融資状況をもっていたしますると、こういう場合の融資につきましては、非常にまあ問題があると、たとえば、いま少し金利が低く償還の期間というものを長く置いてというような特殊金融の道が開けて参りますというと、こういう場合の助成策の一つになると思うわけでございますが、現在は、そういうことになっておらない。従いまして、こういう場合におきましては、むしろそういう方向じゃなくて、ただいま申し上げるような地元民の労力と補助金によって当然造林者となり得るような道を開くということの方が、むしろ実情に合う適切な方法ではないかと、かように考えておるわけでございます。
  76. 東隆

    ○東隆君 次官もおられますが、金融公庫法の一部改正も日程に上っておるわけです、お出しになったかどうか、そいつは知りませんけれども。そうして、その融資の関係、そういうような中味も当然考えていかなければならぬのですが、私が今まで申し上げたことは、これは林業そのものの発展ということよりも、やはり山村を裕福にしていかなければならぬと、山村はもう林業資源だけがこれが基本になっているのですから、その林業の資源をよその方にたくさん分け前がいってしまうような、そんな形で山村が発達するはずがないので、そこで、助成金を投入する、しかし、金融の道を講じていなければ、その助成金というものは、結局どちらの方に分けられていくかといえば、結局、資本を出したものにそれがみなくっつけられていくわけです。プラスされていく。そこで、自まかないの資本がない以上は、そいつに国が金融的な援助をすると、そういうことによって、できるだけ地元のものが所有する面が多いような配分をしなければいかぬと、こいつを第一義的に考えていかなければ、山村にいる農民を働かすだけ働かして、そうしてそれの果実は全部持っていってしまうと、そういうやり方は、それは非常に林業があまりに企業的な採算の対象にされてしまう。そうして山村自身というものの所属にならぬ。これはまあ次官はそういう点を、私今まで質問を申し上げた点、そういうふうにしなければ、山村というものは発達しないのだという点ですが、今、林野庁の方で説明されたようなことで山村は精選するのだと、こういうふうにお考えになっておられれば、これは別ですけれども、どうですか。
  77. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) この分収造林法律によって山村、まあ疲弊した山村の振興をはからないか、こういうまあ御趣旨のようでありますが、この法律自体、それを目標にしておるというものでもないのです。しかし今、東委員からお話のあることは、将来は大いに検討をしなければならないと思います。ただいま林野庁の長官から現在の状態についてお話を申し上げましたが、御承知の通りに山林経営は少くとも四、五十年以上の経営をしてその収穫を得るというのが、これは実情でありますから、従って、相当の資金力と申しますか、経営能力がなければ、なかなかこの目的を達成することは事実上困難であります。でありますから、この部面についても、たとえば山村地帯の部落等を対象にしてどうかという、あるいは融資の問題をお話になりましたが、現在の金融公庫の制度、これをまあ改正してやれば、将来改正するということになれば別でありますけれども、今の状態では、御承知の通りに最も長期にしても二十年、四分五厘で二十年の償還というような融資をいたしておるわけでありますが、四、五十年もかかる山林経営についてそういう融資では、これはなかなか目的を達成するわけにいかない、こういう現状を長官は御説明を申し上げたのであります。そこで四、五十年も償還の期限を延ばしてそういうことをやるかどうかについては、もう少し検討を要すると思います。お説のようなことは、政治家としては当然考えなくちゃならないことでありますが、ただいま、これを直ちにそういうふうに実行いたしますということについては、もう少し研究を要すると、かように考えます。
  78. 東隆

    ○東隆君 四、五十年を要するというものもあろうと思いますが、今までの分収林のいろいろな形のものの中には、非常に短期のものもあるわけです。薪炭備林なんか考えたときには、これはそう長くなくてもいいし、林野庁の方で目的とされておるものが、もし、パルプの資源、こういうようなことを考えておられるんならば、話はまた別になってくる。そいつのためにこれをやるんだというんならば、これはもうはっきりしてきますが、そうじゃなくて、山村で荒廃しているものを造林をして、そしてそれを有効適切に林魔物に仕上げていく。そして、そこに住んでおる者の収入をふやしていく、こういう形の中にこの分収林の措置方法を導入していくためには、やはり金融の道を講じてやった方がいいじゃないか。農村における金融というのは、これはみんな、どちらかというと信用関係のものが多いわけなんです。土地を担保に金を借りるわけにも参りませんし、従って、そこに住んでおる農家の信用というものの結集したものでもって金を借りるよりほかに方法がない。将来伸びていくだろうという立木を対象にして金を借りるわけには参らぬ。だから、林業の経営をもしその住民がやるという場合に、将来できるだろうという立木を対象にして金を借りようというのは無理な話。だから、やはり、そこに住んでおる住民の信用力の結集を対象にして金を融通するよりほか方法がないわけです。だから、共同でもって金を借りるという態勢のものは、これは金融公庫が当然そういう面をも分担しなきゃならぬ。新しいそういう科目ができてくるんですから、そいつを金融公庫の中に入れればいいわけです。それを入れないで、そして、できないから、できないからといっても、造林の事業には、それでは金融の道は、政府の低利資金がいかないのです。あくまで助成金だけでもってもう切り離す、こういう考え方は、これは非常に間違いだろうと思う。パルプの材料を提供するためにこの法律をこしらえたと言うのならば、私は何も言う必要はないけれども、そうおっしゃっていないんですから。
  79. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 地方々々によって樹種がいかなるものが適するかということについては、これは専門家の検討を要する問題であります。ただ、ただいま御審議を願っております法律は、最初に提案理由等においても御説明を申し上げましたように、そういう荒廃した山地があるが、その所有者等の資金その他によってこれに植樹をして、そして、いわゆる森林経営をする能力のない場合、他の能力のある個人あるいは団体等によってそれを利用する。そうして森林を経営して、日本の森林資源を確保すると同時に、その人々の利益を図ろう、まあこういう趣旨のものでありますので、一般の制度のほかに、これの足らないところを補完するという趣旨の立法を考えておるわけでありますから、今お話のような点も、もちろん別に考慮しなきゃならないと思いますけれども、この法律自体のねらいとしては、重ねて申し上げて失礼でありますが、そういう今日放置されておる、と言うと少し言い過ぎますが事実上利用されておらない所を、この新しい制度を創設いたしまして、そういう荒廃した土地を利用して造林を促進しようと、こういう趣旨でありますので、多少東委員のお考えになる点とは違っておるかもしれませんが、まあ御了解を得られると思うんです。
  80. 東隆

    ○東隆君 私は、この前、例の広葉林の幼木を伐採するのの関係法律が前の国会に通過した、あの関係や、それからこういうものを見ますときに、一連の林野庁のものの考え方は、もちろん国有林を中心に、あるいは大きな造林業者、そういうようなものを対象にされておるように考えられて仕方がない。山村の開発、山村の発展、そういうようなことは、私は、法律の使いよう、と言うと語弊があるけれども、でき方によって非常に違ってくると思う。それで、この法律は、そういう面については非常に同情も何にもないように考えられて仕方がない。山村の発展をやっぱり考えなきゃならぬ。その場合に、先ほど言った金融の道ぐらいは開くことによって、そうして指導をもう少し徹底させることによって、山村が開発できる、こういうチャンスがこの法律案の中にあると思う。私は、そういう道を開いても、そんなに林野庁としては御損のいくような仕事じゃないと思います。そこで、そいつは何かといえば、金融の使い方なんですから、公庫の資金林野庁の方面では御遠慮をされておるようでありますが、十分にあの金を使い得るような形にこれは直していくべきだ。それは、いろいろな形でもって使い道がふえていっておるのですから、何もそんなに心配をすることはないと思う。ことに政務次官はそっちの方面を一つ強力に進められれば、私は、十分に達成される、この国会においても達成される機会があると思う。私は、そういうふうに考えますので、あまりこれ以上くどくど申しませんが、そっちの面を一つ開拓してほしい、こういうことなんです。
  81. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ここで、午前の委員会における梶原委員の質問に対し、当院法制局の意見を求めます。法制局第二部長菊池君。
  82. 菊池三郎

    ○法制局参事(菊池三郎君) 第三条の「分収造林契約に係る共有樹木については、民法第二百五十六条第一項の規定は、適用しない。」、この規定につきまして、分前の特約ある場合に、この民法の二百五十六条一項の規定はどうなるのか、こういう御趣旨のように承りまして、その点につきましてお答えいたしたいと思います。  民法の二百五十六条は、「各共有者ハ何時ニテモ共有物分割ヲ請求スルコトヲ得但五千ヲ超エサル期間分割ヲ為ササル契約を為スコトヲ妨ケス」、こういうように規定しております。この規定意味は、共有者相互の関係につきましては、分割禁止の特約がある場合、あるいは分割につきまして何ら定めをしていない、こういう場合に、共有者の一方から分割の請求ができると、こういう趣旨の規定と考えられるのでございます。従いまして、分割の特約がしてあるという場合には、二百五十六条の規定それ自体は動いてこない、こういうふうに考えられます。分収造林特別措置法の三条では、この規定適用しない、こう書いてありますが、分割の特約をしております場合には、この造林契約において特約をしております場合には、従って——民法の二百五十六条は、分割の特約ある場合を指しているわけではないのでありまして、造林契約で特約のある場合には、この規定は動いてこない、こういうふうに考えられます。
  83. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 議事進行の問題ですけれども、法制局の御出席を発言されたのは千田先生であります。私の質問に関連してお述べになりました。もう一度繰り返していただくとけつこうでありますけれども、若干の疑問がありますので……。先ほど政府の午前中の御答弁と相当の食い違いがあるように思うのであります、後ほどまたお伺いいたします。おそれ入りますけれどももう一度一つ繰り返しを願います。
  84. 菊池三郎

    ○法制局参事(菊池三郎君) 民法の二百五十六条の規定は、もともと共有権利関係というものは、民法建前といたしましては、物一個の所有権が数人に分属している、こういう関係でございまして、民法の面からいたしますと、ある所有権に基く物の利用、改良というような面からいたしますと、数人が共有しているということは、その利用、改良の面においていろいろな制約がついてくる、また処分にいたしましても多くの制限がついて参りますので、民法の面からは、なるべくそれを分割いたして、単独な所有権の対象にいたすということを考慮いたしておるものと思われるのでございます。従って、二百五十六条では、そういう共有関係について分割をしないとか、あるいは分割の特約がない、こういう場合に、その共有者の一方から分割請求を求めることができる、こういう趣旨に解されるのでございます。従いまして、そういう規定適用しないとこの法律の三条で書いてございますが、それは、分割の特約のある場合は、もともと二百五十六条の規定関係しておらないのでありますから、この三条では、造林契約におきまして分割特約をしておる場合には、入っていない、こういうことになるというわけでございます。
  85. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 民法の解釈につきましてはお話の通りかもわかりません。この法案民法規定を排除する条項を入れた立法の趣旨ですね、これは、分収造林の成果を確保するために共有の場合においては分割を認めないのだ、分割せしめないのだ、そういう趣旨でこの条項を設けた、従って、特約的に当事者の間である条件のもとに分割を認めるというふうな条文は、この法律のこの規定に触れて、それはよくないのだ、効力がないのだという政府の見解であったように実は記憶するのであります。今のお話ですと、民法規定においても特約的な契約ができるのだ、従ってこの分収造林契約においても共有共有だ、しかし、その持ち分分割については、たとえば十五年までは分割しない、十五年先になれば相当情勢も変るし、造林の管理経常についても変ってくるのだ、そのときには一つ分割を考える。これはまあ一つの例ですが、そういうこともあり得るわけです。そういうことは、一体認められるのか認められないのかということが、一つの朝の私の質問であったのであります。参議院の御見解では、それは可能だというふうに今伺ったのでありますが、それからもう一つ実は問題があったのであります。その問題が一つと、いま一つは、この分収造林契約というものは、一応契約の骨子はある、しかしながら今お話のように、いろいろの契約内容が、この骨子に関連してあり得るわけなんですね。従って、いわゆる分収造林という概念の中には、この法律で示しておるもの以外のものがあり得るわけなんです。その場合には、やはりこの法律の示すところではないけれども、通常の観全心としては、分収造林ですね、造林をやってあとで一つ収益を分けようじゃないかという契約等があり得るわけなんです。現在でも相当分収造林契約によって造林が行われておるであろうと私は思います。また、政府の方でもそういう説明であったものであります。そうすると、世の中にそういう契約はたくさんあるわけですね。一般第三者は、果してそれがこの法律にいうところの契約なりやそうじゃないかわからない。ところが、民法のこの条項というものは私法であって、しかも物権的な、一つの権利義務的な関係第三者に対していろいろあるわけなんです。たとえば持ち分譲渡を受けるとか何とかいろいろある。そういう客体に対して、民法のこの条項の適用を除外するということが、立法的に正しいかどうか、これが私の朝の一つの疑問なんです。それと今の特約、二つあったわけです。後段のやつは一応法制局の御見解は理解したわけなんですけれども、前段についての御意見がもしありますれば、参考のために向いたい。
  86. 菊池三郎

    ○法制局参事(菊池三郎君) 法律的に考えますと、この造林契約は、やはり私法上の契約であろうと考えられるわけです。従いまして、この法律施行前にも現在これに該当するものがあるという点は、これが私法契約であるところからして、かなりあるということも想定されるわけでございます。従って、個々の現在あります契約が、これに該当するものが出てくる、そういう場合に、この三条との関係がどうなるか、こういうことはやはり一応問題になる事項ではなかろうかと思えるわけでございます。ただ、この法案には、付則で、「この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三条の規定は、同日日後に締結される分収造林契約に係る共有樹木について適用する。」こういうように書いてございましてこの法律以後の分について、この三条を適用すると、こういうように書いてございます。従って、現在すでに契約がなされているものについては、三条の規定はすぐにはかぶってこないように手当がしてございますので、この私法上の契約に三条がすぐあらゆるものにかぶることのいいか悪いかと、こういう問題につきましては、まあこの法律が出て、この法律公布後のものがそうなると、こういうように今解釈すれば、私法上の契約につつきましても問題はあろうかとも思いますけれども、手当はしてあるのではなかろうか、こういうように考えられるわけでございます。
  87. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 私の質問とちょっとお答えがそれておるのでにあります。この法律施行前の問題ももちろん問題ではありますけれども、私の言うのはそうじゃなくして、施行前もそういう契約はたくさんある、今後もたくさん出てくる。いわゆる広い意味の分収造林契約が出てくる。その中で、この法律で指示しているといいますか、指摘している分、この分だけについて民法の該当条文の適用を排除すると、こういうわけです。一体この契約は、この法律の一条でいう契約なりやいなや、そういうことが一体どうしてわかるか、何かそれを保護されるとか、あるいは何かあれば別ですよ。しかし僕は、たとえばこの契約に基く共有持ち分の譲り受けを受けた、そういう場合、利害関係になるわけですね。これは一体この法律でいう一条に該当する契約なのかどうかという判断というものはできないのじゃないか。従って、こういう性質のものに、そういう性質のものにですよ、第三条のような私法上の基本的な法律ですね、民法にいうその適用を除外するというような考え方といいますか、やり方は、立法論として適当ではないのではないかという——少し意見になりますけれども意味合いの質問を申し上げた。それは大丈夫なんだ、心配ないのだという御説明をいただければ、私は満足をするのであります。先ほど言われました場合においても、これが施行前の契約であるか、施行後の契約であるかなんということは第三者にはわかりっこない。一々契約を児なければわからない。しかも、その契約によって民法上のあの条文が適用されるかされないかということが分かれてくる。これはどうも普通の行政的な法律であれば別ですけれども権利義務に関する法律なんですね、内容的に見ますと。従って、そこのところが、私としては、相当重要な問題じゃないかと思う。一体、たとえばこれは施行される前にできた契約なのか、施行後の契約か、これだってわかりっこないですよ。そういうものに持ってくることに、どうも私はぴんとこないのです。何か非常に適正ならざる立法のような感じがする。分収造林自体はいいのであります。これはこれでけっこうだと思う。ただ、そこへ民法を持ってきた点がふに落ちない、こういうことを申し上げているのであります。
  88. 菊池三郎

    ○法制局参事(菊池三郎君) 個々の契約が、果してこの法律規定しているところの契約に該当するかどうか、それは何で見るか、こういうことでございますが、これは具体的には、個々の契約内容と、この法律規定とを照らして判断してきめるよりほかにはないんじゃなかろうか、こういうように思います。ただ、この造林契約をいたします場合に、当事者がこういう法律の出ているということをあらかじめ承知している場合には、この問題はあまり問題にはならないだろうと思うのですが、全然法律を知らない、こういったような場合に、契約条項を個々に判断して、この法律に該当する契約であるかどうかということを判断するよりほかにはなかろうかと思います。で、しからばこれはだれがその判断をするか、こういうことになりますが、最終的には裁判所が判断するよりほかないんではないか、争いがあります場合においてですね、裁判所が判断するよりほかないんではなかろうか。ただ裁判所へいく前におきましても、この法の二条に、「契約締結あっせん」というような規定もございまして、契約締結する際に、この法律に準拠したものということがわかることが多いのではなかろうかとも思いますが、最終的には、争いがあります場合には裁判所の判断を仰ぐというよりほかにはなかろうかと思います。
  89. 千田正

    千田正君 今の問題に関連して。  この法律は、われわれ農林委員会としても、私ばかりでなく、各同僚議員も何とかすっきりした姿で出したいというような希望があるのですよ。そういう意味で協力しているのです。ただ、その希望があって、裁判所でなければ判断がつかないものであるとすれば、ちょっと困るのじゃないか、すっきりした姿で、少くとも参議院の農林委員会において、この審議が通過して、これを衆議院に送らなければならない、そういう場合に、やはり疑義のあるものはただして、政府提案が法的な問題が起らないような法律というふうにして出さなければならないという点から、われわれもあなたに御足労願って伺っているわけです。しからば、どうしたらいいかという問題になってくるのです。林野当局は何か考えておられますか。これに一応いわゆる国の財政の面から助成をしておるとか、補助金を出しておるとか、こういうことがはっきりしていれば、そういう問題は起らぬのじゃないですか。その見解はどうなんですか。この法案の裏づけとして。
  90. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 一応、運用の面といたしまして、この法律に基く分収造林契約につきましては、これを都道府県知事に届け出るという指導をいたしたい、そういうことで分別をしていきたい、こういうことでございます。
  91. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連。これ、民有地でも分収林の契約ができるのですね。それから先にお聞きしたい。民有地でもできるのですね。
  92. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) もちろん民有地についてやることになるわけであります。
  93. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこで、その所有権なるものに対して、他に異議があるものだったら、これを、このまま知らないところで契約ができてしまって、異議があるものがあとで問題にしようとしたときは、これはどうなるのですか。今の問題も、これは梶原さんの言われた問題も、部落共有林などには相当長い習慣による特約があると思う。そういうようなものを、部落の場合は三分の二の承認を得るとか何とかいう問題がありますから、それはかりに消えるとしましても、他の部落等と所有権が、先般も質問したような工合で、錯綜している、こういうものが知らぬうちにとっとっとただ登記面の契約だけで、登記正面の所有権だけでずっと契約ができ上って、あとで問題が起きるというようなものを解決するのは、どこで解決するのですか。そういう紛糾は非常に多いと思うのです。
  94. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) これは午前中にも御説明申し上げましたように、一応あっせん者としての知事あっせんをいたしまする前提といたしまして、分収造林を行うべき予定地についての詳細なる調査をいたしまして、それを公表するということをいたすわけでありますから、その土地にからむさまざまな所有権等の紛争の問題は、その際にはっきりして、そういうことを避けるということにいたしております。
  95. 清澤俊英

    清澤俊英君 この知事の問題は第二条ですか、知事は分収造林契約についてのあっせんの申し出のあった場合にはするのですから、申し出のなかった場合は、この分収造林契約というものは成立しないのですか。知事あっせんを頼まぬで、分収する契約をしても、これは契約にならぬということですか。
  96. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) これは、あくまでも造林を相当とする土地につきまして、土地所有者が分収造林でやることを希望するというものについて取り上げることが、これがおおむねの場合であります。そのほかは、例の森林法に基きます造林の義務違反者の土地に対しましてこれを行うということでございまするからして、特別にそういう申し出がない、造林に対する義務違反の事実もないというものにつきましては、この分収造林対象地には取り上げない、こういうことになっております。
  97. 清澤俊英

    清澤俊英君 そういう場合には、分収造林対象にならないと、こう言われるのですか。
  98. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) この法律によりまして進めようといたしておりまする分収造林対象にはいたさない。こういうことでございます。
  99. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 関連して。そうすると、知事があくまでもあっせんしたやつでなければ対象にしない、こういうわけですか、これは。各個人々々が参加して、こういうふうにしてやるという契約ができても、知事を中に入れない限りはやらぬということですか。
  100. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) そういうことではございませんので、ただ、知事は促進をするためにあっせんをするということでございまするからして、格別に知事あっせんによらないで自由な契約ももちろんあるわけでございます。
  101. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 それも承認するということですか。
  102. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) この法律で言っておりまするような内容の整ったものであれば、そういうことになると思います。
  103. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 もちろん、それは内容が整わなければできないわけだ。
  104. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の問題、これは重大だと私は思うのですが、知らないうちにずっと自由に契約してしまう。それができるというのです。ちょっと頭の進んだやつは、いろいろなことを知っていますよ、ところが、えてして、ことに特約的な古い習慣的なあれをもっていっておる農民は、そういうものは割合無知なんです。無知のものの虚をついてぱっと契約してしまう、こういうような場合が出てきたときの、それを防備する何ものもないので、やはりさっき梶原さんが言われたように、この法案のこういうものを契約できたら、まあ、四十日間ぐらいの期間を置いて公示して効力を発生すると何とかいうものがないと、非常に私は危険なものが出てくるのじゃないかと思うのです、自由契約ができざるとしたら。そういう点、どうお考えですか。私は必ずあると思う。あとでおれは知らんでいたのだが、あんなことせられてしまったというようなことがあるだろうと思います。
  105. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 実は、まあ現在までさまざまな事情の結びつきがありまして、いわゆる分収造林というものが現に行われておる、こういうわけでございますので、そういうものに対しましては、一々こちらの方でどういう措置をするすべもなかったわけでございますが、まあこの法律によります分収造林は、それだけに、いわゆる紛争の起らぬような、しかも本人の希望に基く土地につきまして、それをせられるということにいだつしたわけでございまして、おそらく、この法律に基く分収造林契約等によりまして、今後のそういった種類の自由な結びつきの場合に起りますような紛争というものは避けられるのではないかというように考えております。
  106. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 よく理解できないのでありますが、別の問題になりますけれども土地所有者契約の当事者にならぬ場合があるのですね。これは一体どういう場合で、どういう必要から、そういう場合が起ってくるのでしょうか。
  107. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 造林者であります者が地上権を持っておるというような場合には、そういう場合があり得ると思います。
  108. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 条文の字句で、はなはだ恐縮でありますけれども共有の条項の第一条の五号ですか、第一号または第二号だけに限定して、第三号、言いかえますと、費用負担者の場合が入っておらないのは、これはどういう理屈でしょうか、はなはだ字句で恐縮であります。当然、第三号の場合が入るべきじゃなかろうかというふうに思われるのですけれども、そうじゃないでしょうか。
  109. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) おそれ入りますが、第三号でございましょうか。
  110. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 第一条の第五号の共有に関する条正項ですね。共有に関する条項に「第一号又は第二号の契約事項実施により植栽された樹木は、各契約当事者共有とすること。」と、こうあるのですね。ところが、第三号を見ますと、「費用負担者」ということを第三号が書いておるのですけれども、この場合には当然入るのじゃないでしょうか。これは費用負担者という者が入っておらないのが建前ですか。
  111. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 費用負担者造林者となることはないという建前でございます。
  112. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 そうしますと、契約者は常に造林者とそれから土地権利者ということであって費用負担者は入らない。だから、午前中のお話だと、三位一体が正常な姿のように伺っていますけれども費用は出すけれども共有権利を持って、あと分収の分け前といいますか、分収の利益を受ける、こういう意味合いで分収造林契約というものが三人ででき得ると、こういうのじゃないんですかな。
  113. 家治清一

    説明員(家治清一君) 条文の関係の整理をいたしましたときには、実は五号の方で植栽するというの、これは一号と二号でそれぞれ植栽の義務が掲げてありまするので、それを受けて「第一号又は第二号の契約事項実施により植栽された樹木は、」ということで書いたつもりでございます。それで、お話のように費用負担者契約当事者になっておる三面契約、あるいは費用負担者を一応対象とする、一方の契約当事者とする二面契約、相対契約も当然ございますが、それはいずれも一号ないし二号の造林者の義務を経て植栽されている、こういうことで書いておりまして、あと「各契約当事者共有とする」ということは、一号、二号に必ずしも限定されたつもりではございません。
  114. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 条文の読み方で、はなはだ恐縮でありますけれども、すらっといきますと、今度は土地を提供する、それから造林をやる、それの管理をやる、それから費用が大へんであって資金を提供する、その三つで、三つの権利関係といいますか、権限関係で木ができる。従って三者が共有関係に入る。これは私きわめて自然な実態であろうと思う。ここで、一号、二号の契約でできた木は、契約当事者共有となりますと、資金の者はオミットされても、これでいいのですよ、読み方としては。が、何か不十分な感じがしますな。
  115. 家治清一

    説明員(家治清一君) 今の点はオミットはされません。費用負担者が入っております場合は、オミットをしないつもりでおります。ちょっと説明がうまくなかったと思うのですけれども、一号、二号の契約ではございませんで、一号、二号の契約事項実施によって植栽された木云々ということでございますので、費用負担者の場合は、ここへ書いてありますように、二号の方へ出すか、一号の方へ出すか、とにかく必要な経費は、これはもちろん三号で出す義務がありますから出すわけでございます。従って、共有関係も、契約の当事者、「各契約の当事者」と書いてございますので、当然費用負担者が加わっておれば、費用負担者共有になる、分収の権利者になるのでございますけれども、植栽された樹木云々という引っ張り方は、一応植栽の関係を書いておりますのは一号と二号でございますので、それで引っ張った、こういうことでございます。
  116. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 これ以上申しませんけれども、一号、二号だけじゃできないのです。一号、二号だけじゃ木ができない。そこに金が入って三号といいますか、これが入ってできる。これが前段の書き方のように思うのです。一号、二号だけではできないのです。そこに資金といいますか、これが入ってきて初めて分収造林というものができる建前になっておるように思われる、私には。だからすらっと言えば、ここでむしろ一号、二号と書けば、金を出した人はこれは共有関係から別だということになるんであります。そういう場合があっても私はいいと思うのですよ。無理に共有関係にしなくてもいいんであって、金を出した人に対しては、別な方法で払ってもいいし、もしそれが当然入って三者で分収をやるのであれば、条文の書き方に疑義はありはしないかということを申し上げたのであります。それ以上申し上げません。
  117. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) この文字をちょっと見ますと、今、梶原さんがお話のようにちょっと見えますけれども、第一条の五号でありますか、問題は、「各当事者」というのと、それから「樹木」というのをつなげる文章でありまして、この分収造林契約によって植栽された樹木所有権と申しますか、それは、それに関係する各当事者の共有である、こういうことを表わしておるのでありますから、どうかそういうふうに一つ御了解を願いたいと思います。ただ、この方は余談でありますか、この「共有」という文字を特に使いましたのは、実は、先ほどどなたからか御質疑がありましたが、所得税の問題がありまして、私、税制全般のことはもちろんよく知りませんが、立案の過程を申し上げて御参考に供したいと思うのでありますが、この分収造林について、こういうことを法律規定しなくとも、お互いの話し合いによってやれば、これはできる相談であります。しかし、そこに何らかのこの制度による方が利益がある、あるいは便利である、こういうところがないと、いわゆる荒廃地を造林するということがきわめて困難でありますので、そこにある程度の制度上の利益を与えなくちゃならない、それには所得税のある程度の軽減だとか、先ほど来問題になっております分割の問題、それから地方自治法住民投票の点、こういうところを緩和しなければならないところがこの法律案としてのねらいでございます。そこで、実はこの法案内容において所得税の軽減についての規定を設けたいというのが、立案過程における話し合いでありましたけれども税法について各種の特別立法によってそれぞれ税法を動かすということは、税法の体系あるいは税制の体系から言うておもしろくないという強い意見もあったのであります。それももちろんありますので、ここに樹木に対する共有の明文がありますると、他の税法関係所得税法関係から——先ほど政令でその点はきめると申し上げましたが——当然にその税法適用になる、こういう仕組みになっておるのでありますから、この点を、共有というところで表わした、こういういきさつでありまして、このねらいは、先ほど当初に申し上げましたように、あるいは二当事者あるいは二当事者が出てくるわけでありますが、その契約当事者共有になるんだという、実は三当事者あるいは二当事者の共有になるんだということをここに表わしておるのでありますから、御了承願いたいと思います。
  118. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 私もこの共有関係と税制がどういうところでどういう関連をもって、今次官が言われたような効果が出るのかよく存じません。検討したいと思います。今のこの法律の一つのねらいと申しますか、効果、これが税関係にある、これは私はもっともなことと思います。何らかある効果を、こういう分収造林という制度にもたらすということは、これは非常にけっこうなことだと思います。ただ、共有関係をそこに持ってきますということが、その趣旨に沿う場合と、そうじゃない場合とがあるであろうと思う。何分にも三十年、五十年、正長きにわたるその間に、いろいろの事情の変化、相続も行われるであろう、山の管理、経営も、相当木が多くなっていけば、おのずから変るかもわからない。おやじから子供が二、三人相続をして共有関係に入った。おれは一つ自分持ち分をもらって、自分自身で一ぺん一つ経営してみたいという場合もあるかもわかりません。従って、最後まで分割を認めないのだということが、この制度の一つのねらいであって、そういう人々にプラスをもたらす場合だけというふうには、必ずしも言えないのじゃなかろうかと思います。  それから、これは先ほどの法制局の見解との関連でありますけれども農林省の方の御見解と、参議院の法制局の考え方で相当違うのであります。その点を一応念を押しておきたい。午前中のお話では、この分収造林計画において、共有関係に、その分割についての特例といいますか、こういうことを設けることはできないのだという御答弁であったのでありますが、果してその通りかどうか、もう一度お伺いしたいと思うのであります。  なおつけ加えまして、これは契約でありまするから、適時契約内容を変えるということも、これはもちろん可能だと思います。それから契約を解除するということももちろん可能だと思います。それから持ち分譲渡もおそらく自由であろうと思いますけれども、そう考えていいかどうか。この民法分割の条項を排除した趣旨から、それはともかくできないのだというふうに解釈できないわけでもないですね。午前中の農林省の御答弁じゃできないわけでもないのだけれども、果してどうかという点を一つお答えを願いたい。
  119. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 先ほど私は約三つの、ある程度の利点を与えるということを申し上げまして、それが必ずしも利点でない場合もありゃしないか、こういうのがお尋ねの第一点であります。もちろん法律でありまして、一般的に適用するのでありますから、多くの場合利点だという考え方で立法いたすわけであります。従って、法律適用いたしまして、個々の問題に当りまして、あるいは千差万別の事態でありますから、必ずしもそれが利点でないという場合もあり得ると思いますけれども法律は一般に適用するものでありますから、多くの場合、これが利点である、こういう考え方に立って立法し、条文を作っておる、こういうことであります。  それから、しばしば問題になりました第三条のいわゆる分割規定の排除の問題でありますが、これは先ほど法制局からの御意見もありまして、なるほどそういう御意見も、民法、民事規定でありますから、ある程度なるほどというところもあるわけであります。あるわけでありますが、この立案者、提案者といたしましては、実は先ほど午前中に家治林政課長からお答えにいたしました通り考え方をもって提案をいたしております。というのは、御承知の民法の二百五十六条でありますか、共有分割規定でありますが、共有というのは、民法の場合において、これは一つの例外でありまして、できるだけ共有というもの、法律関係が錯綜するような事態は避けたいというのが、この民法規定であります。でありまするから、そういう共有の状態の場合には、いっでもその共有の当事者は、その共有分割を請求することができる、これが民法の大原則でございます。しかしながら、そういういつ何どき分割されるかわからない状態では不安定であるから、その当事者の契約によって「五年ヲ超エサル期間内」においては分割の請求ができないのだという契約もできる、こういう特例をただし書きによって規定いたしております。しかしながら、これが民法の原則でありますけれども、その次の二百五十七条でありますか、これによって、今のいわゆる分割請求規定を排除している規定がございます。これは御承知だと思いますけれども、あるいは一体をなしている家屋の共有、それから隣接地帯の、両方にまたがっております障壁と申しますか、へいというようなもの、こういうものは性質上簡単に分割のできるものでないから、従って、共有は、原則としてあまりよくないんだという考え方から、これを排除する。そういうものは簡単に分割を請求されちゃ困る。また従って、分割請求規定を排除する。この二つの場合について二百五十七条が規定しているわけであります。従って、この二百五十七条に対して、いかに民事関係でありましても、当事者間の契約によって、これを、この二日五十七条を、さらに排除するということはできないものと解釈をいたしているのであります。第三条は、そういう趣旨によってここに立案をいたしております。  この立案が適当であるかどうかということについては、これはもちろん多少意見を異にしている人もあると思うのでありますが、この分収造林法を制定いたして、そうして相当長期にわたり、まあこれは樹種によってあるいは三十年、あるいは四十年、五十年となると思うのでありますが、この特別な制度によって、先ほども申し上げましたように、造林計画を促進しようという、そういう趣旨の立法でありますので、その間において、民法の普通の原則の、いつでも分割ができるんだ、こういう不安定な状態においては、いわゆる分収造林のこういう特別な契約はなかなか進行しないであろう、その目的を達成することが少くなりはしないかと、こういう意味におきまして、その安定状態を作るために、共有規定いたしております先ほどの規定に基いて、そういう共有分割民法の原則を排除するんだ、こういう趣旨の規定をここにいたしているのであります。しかしながら、その場合において、民事上の問題だから、先ほど梶原さんもお話になりましたように、当事者が承諾すればいいんじゃないか、こういうことも、先ほど申し上げましたように、それほど強くそういう意見を排除しなくてもいいんじゃないか、こういう考え方も成り立たないわけではありませんけれども、くどいようでありますが、提案者といたしましては、これは先ほど法制局の方からも御説明がありましたが、この規定は、もちろん今後この法律が制定された後に約束されます契約適用されるのでありますから、こういう法律内容を知って、これはそう簡単に分割ができるものじゃないのだ、こういう趣旨のもとにこの分収契約がなされるのでありますから、必ずしもいわゆる個人の意思を法律によってむげに排除することではないと、私はそう解釈をして、そういう見解に立ってこの法律の立案をいたしております。でありますから、こういうものである、これは相当長期にわたる計画に基いて、途中においてぐらぐらしないんだと、そういう趣旨の契約に基いて、荒廃地を大いに造林をして進めてもらいたい。こういうねらいでありますので、多少と申しますか、法制局の先ほどのお考えとは違いますが、提案者の考え方をここに明確にいたしたいと思います。
  120. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 私は、立法趣旨のことを伺っておるわけじゃないのであります。解釈論でありまして、どう解釈するかということであります。立法的の御趣旨はわからないわけではありませんが、そうだとすれば、そういう立法をしなければならぬ、次官の言われるような趣旨にならないのじゃないか、こうも私は言いたい。たとえば分収造林契約は、これは契約は自由であって、だれでも自由にできるわけであります。そのやり方について一つの規制をする法律を作れば、それは別であります。それは自由になる。だからいろいろの形のやつがあり得るわけです。十年間一つ分割せずにいって、それから先一つ分納可能のことにしようじゃないかということも可能なんです。それはこの法律ではとめることはできない。また、当然民法適用を受けていこうじゃないかという分収造林契約がこれは可能ですね。それもこの法律は何もこれは抑えていない。従って、次官はそう言われますけれども、そういう契約はどんどん行い得るわけなんです。たまたまここで、どうなんですか、持ち分分割しないという契約をした場合に、初めてこの法律に言うところのあれになるのですか、分収造林契約になるのですか。もしそうだとすれば、この民法適用しないのだという条項がなくても、当事者の契約でそれがはっきりしているということになるのじゃなかろうか、こう思うのであります。午前中はそういう特例を設けることは、この法律上できないのだという趣旨のお話があった。それは、おそらくこの解釈は私は明らかに間違いであって、これは自由にできる、こう解釈することがこれは常識的に正しいと思う。これはどこにも禁止していないのですから。たとえば何か別の条件があって、それに該当するやつはこうこう、これはわかります。これは何もないのですから。従って、分割についての特約をかりに作っていっても、どの条項によってそれがその契約が無効になるかは、私には考え得ないのです。次官の言われる立法論とこの現実の条文とは合っていないじゃないか、こういう解釈がはっきりするのでありますから、もう一つ御説明を願いたいと同時に、この法律契約だということになりましても、それはあとで随意に変えることができるであろう、また契約を解除することもできると思いますけれども、それはそれでいいですか、どうですか。
  121. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 契約自体については、この法律規定しておる以外は、民法規定によって従うわけでありますから、いわば契約の原則によってあるいは解除ができる場合もあります。そういうことは考えられるわけであります。  それからこの第三条の規定の趣旨は、私は先ほど述べましたが、これがいいか悪いかについては、先ほど申し上げましたように、ある程度の異論があるわけであります。ただ、先ほど分割の請求は許さない、特約もこの場合においては排除しておるのだ、こういうふうに言いましたが、何と申しますか、持ち分譲渡、こういうことは御承知のように先ほども長官から御説明申し上げたように、これを禁止しておるわけではありませんから、そういう事態はあるいはしばしば起り得るだろう、こういうふうに考えておるわけであります。
  122. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 これ以上は議論になるかも知れないが、どうも次官の御解釈をすなおに、この条文を見まして、実は私初めてこの条文にお目にかかって、どうもそういうふうには、残念ながら読めないのであります。ここでは一応いろいろ条項をあげて、これはこういう条項を含んでいる契約を言うのだというだけなのですね。そしてその契約については、民法適用を排除する。これだけである。従って、何も分収造林計画について、こうあるべきであるとか、こういう条項がなくてはいかぬ、こういうものはあってはいかぬじゃないかという分収造林契約内容といいますか、そういうものは何も取り上げておらない。契約の条項だけ並べて、これは基本的なことですけれども、しかも本法の骨子だけあげている。ほかにたくさんそういう契約はあり得るが、たまたまその一つだけをあげてきて、そして民法のあれは適用しない。だから当事者としては自由にどういうこともできるわけですね。だから今年はこれだけやって、しかしどうも情勢が変ってきたので、一つ適当に持ち分分割も考えようじゃないかということが当事者として当然できる。それはどこでも押えてないから、当然できる。そうすれば、初めから一つこういう条件で分割を相談しようじゃないかと、これは契約の自由ですから、集まって相談してそうやることも、これはりっぱな分収造林契約です。この法律に言うあれじゃないかもしれませんが、それは当然可能です。そういうことをしておいて、一たびこれができれば、分割はできないのだというわけではないのですね。初めから分割のことを規定している契約がいかぬというわけでもない。それは認めるということですね。一体そうすると、三条の適用される、言いかえると、民法の該当条文が排除される契約内容というものは、どういうものかという一つの疑問が出てくるわけです。たくさんある中で。こういう点が、次官の言われる立法趣旨とこれとでは合っていない。しかも、この法律は行政上好ましいとかどうとかというのでなく、それは個人々々の、特に所有権に関連する権利義務の関係で、それは何十年にも及ぶものである。それだけに、そういうところは、この法律としてはその焦点をはっきりしておくことが必要じゃなかろうか、各個人の権利義務に関することですから。造林政策の問題は、これはそれとして一つあるのですけれども、この法律のねらっていることは、端的にせんじ詰めれば、民法のあれを排除するほかには見当らない。さっき言われました税の関係どもあるらしいですが、それはそれとして、はっきりしたいと思います。それをのけますと、ほかにない。しかもそれが非常に重要な点でありまして、解釈上、これははっきりしてかかることが必要だと思うのであります。場合によりますれば、政府の法制局の御意見も一つお伺いすることが必要になるかとも思います。
  123. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  124. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記を始めて。  本件は、本日はこの程度にいたします。   —————————————
  125. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 次に、経済基盤強化基金農業に関する件を議題にいたします。  経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案を問題にいたします。  この法律案は、今国会に政府から提案され、当院においてはただいま予備審査のため大蔵委員会に付託されております。この法律案は、農業関係するところが大きく、御要求の次第もあり、ただいまから問題にして、当局の説明を聞くことにいたします。  なお、この問題について亀田議員から、委員外発言を求められておりますから、この際、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないものと認めます。
  127. 小熊孝次

    政府委員(小熊孝次君) お手元に配付してございます経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案要綱によりまして、ただいま大蔵委員会予備審査のため付託されております本法案につきまして、概略御説明申し上げたいと思います。  まず、この法律目的でございますが、御承知のように昭和三十一年度の決算上の剰余金が非常に多額に上ったわけでございます。で、この決算上の剰余金は、普通から申しますと翌々年度におきましてその三分の一を下らざる金額というものは、これは国債の償還に充てられる、その他揮発油、道路の整備に充てられる、それから交付税の精算、そういうものに充当されるほかは、一般財源として使用することができるわけでございますが、御承知のように昨年度からの国際収支の悪化、それに伴うところの各種の対策、こういうものに関連いたしまして、三十三年度におきましてこれを一般財源として使用してわが国の経済に刺激を与えることは好ましくない、こういうような見地から、この法案が提出されておるわけでございます。で、その法律目的は、ここに書いてございますように、経済基盤強化資金設置、それから農林漁業金融公庫、日本輸出入銀行並びに別に法律で定めるところにより設立される中小企業信用保険公庫、日本貿易振興会及び日本労働協会の特別の基金に充てるための政府の出資並びにこれらの資金及び基金の適正な管理、運用等に関し、必要な事項を定め、もってわが国の経済の基盤の強化と健全な発展に資することを目的とることでございます。で、このうち最初の経済基盤強化資金でございますが、これは、一般会計に設けられますところの資金でございます。金額といたしましては、四百三十六億三千万円のうちの二百二十一億三千万円がこの経済基盤強化資金に充てられるわけでございます。この資金設置でございますが、これは、将来におけるわが国の経済基盤の強化に必要な経費に充てる財源の一部を確保するため、昭和三十三年度においてこの資金設置されるわけであります。それから資金使用方法でございますが、資金は、将来における道路の整備、港湾の整備、科学技術の振興、異常災害の復旧または産投会計への繰り入れに要りする経費の財源に充てられるわけでございますが、この場合には、あらためて予算をもって、国会の御議決を得た上で使用する、こういうことになるわけでございます。  それから次の項目が公庫等の基金の設置でございますが、残りの二百十五億というものが五つの特別の法人に対しまするところの出資と、こういうことになるわけでございます。  まず、農林漁業金融公庫に対しましては、同公庫が補助の対象とならない土地改良事業に対してなす貸付金の利子の軽減に充てる財源を運用によって得るための非補助小団地等土地改良事業助成基金に充てるために、六十五億円を出資することにいたしております。  それから中小企業信用保険公庫に対しまして、同公庫の保険事業の損失を埋めるための保険準備金に充てるために、同じく六十五億円を出資することにいたしております。  それから日本輸出入銀行に対しまして、同行の東南アジア開発協力のための国際的機構に対する出資及び当該機構の設置に至るまでの間におきまして、将来、当該機構の出資に振りかえることができるような、そういう性質の国際的協力による投資の財源に充てるための東南アジア開発基金の設置をいたしますため、これに五十億を出資する、こういうことにいたしております。  それから日本貿易振興会でございますが、これは別途法律を出しまして、今国会におきまして御審議を願っておるものでございますが、この日本貿易振興会の事業の運営のために必要な経費の財源を運用によって得るための基金に充てるために、二十億円を出資する、こういうことになっております。  それから一番最後は、これもまた別途法案を提出いたしまして、御審議を願っておるわけでございますが、日本労働協会を作って、そして同協会の事業の運営のために必要な経費の財源を運用によって得るための基金に充てるため、十五億円を出資することにいたしております。  次に、基金に属する現金の管理及び運用等でございますが、この出資金は、いずれも先ほど申し上げましたように、たな上げ資金でございますので、これを資金運用部に預託する、こういうことにいたしております。すなわち法律によりまして、それを義務づけておるわけでございます。  それから口に書いておりますところのものは、これは日本輸出入銀行の場合でございますが、先ほど申し上げましたように、東南アジア開発協力のための国際的機構に対する出資に充てられるわけでございますが、そういう場合には、資金運用部への預託を回付されまして、そちらの出資に振り向けられることになります。また、その国際的機構ができないまでの問におきましても、先ほど出し上げましたような投資の財源に充てそ、こういうような場合におきましては、資金運用部への預託金が回付されて、そちらの方に振り向けられる。ただ、この場合におきましては、たな上げ資金の性格もございますし、それから、この出資なり、投資というものは、国際間のものでございますので、内閣におきまして方針を決定いたします。その決定に従いまして、大蔵大臣が出資なり投資の運用をする、こういうことになるわけでございます。  それから資金軍用部資金に頂託いたしましたところの基金に属する現金は、しからばどういうふうにして処理されるかという問題でございますが、これは利子を生みますので、その利子によっていろいろな用途に使われるわけでございます。  農林漁業金融公庫は、非補助小団地等土地改良事業助成基金の資金運用部への預託利子から、当該事業資金の貸付利子の引き下げのために使用した額を差し引いてなお剰余があるときは、これを基金に組み入れなければなくない。こういうことになっておりますが、この組み入れられた額を限度といたしまして、将来また不足いたした際には、それをおろして使用することができることになっております。ただ、元本の六十五億円というものをくずすことはできないことになっております。  それから輸出入銀行は、これは別途勘定を設けて経理されておるわけでございますが、損益計算上の利益が生じたときは、これを同勘定の積立金として積み立てる。それから損失が生じたときは、積立金を取りくずして損失を埋めるというような規定になっております。  それから基金の取りくずしの制限でありますが、公庫等の基金は、先ほど申しましたように、農林漁業金融公庫は、一応剰余が生じた場合は、これを基金に繰り入れることになっておりますが、その繰入額を限度といたしまして、不足の場合は使用することができますが、そういうことを除きましては、この基金を取りくずしてはならない、こういう規定を置いております。中小企業信用保険公庫の場合におきましては、これは保険の基金でございますが、これが損失を生じた場合にくずすということはやむを得ない、このような規定になっております。その他、この法律施行に関し必要な規定を設けるとともに、関係法令に必要の改正を行なっているわけであります。  以上、簡単でございますが、補足説明を終りたいと思います。
  128. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまの説明に対して、御質疑の方は御発言を願います。
  129. 亀田得治

    委員外議員(亀田得治君) 大へん法案等の審議で忙しいときに、委員外発言を許していただきまして、感謝いたします。  問題は二つあります。一つは解放農地に関する訴訟の問題です。これは最近に新しい現象といたしまして、旧地主から、解放を受けた農民に直接訴訟が出てくる、こういう形態が若干新しく出てきております。今までは、御承知のように国なりあるいは農業委員会等を相手にして、いわゆる行政訴訟、こういう形態で農地訴訟が起されていたわけですが、最近の現象として、今申し上げたような事態が起きてきておる。そうすると、形式上は行政官庁が訴訟の当事者にならないで、とにかく民間の旧地主対小作、こういう形式の訴訟になってきておるわけです。中味は、しかしこれはあくまでも農地解放という行政行為そのものを非難している訴訟なんです。で、今までですと、当然農林省なり、あるいは府県等が、そういう農地訴訟に対して積極的に若干費用も持ち、訴訟が負けないようにという努力をされておるわけですが、今度のやつは新しいそういう形式でありますので、これは農民からすでに農林省にも陳情がいっておるわけですが、農林省としては、どういうふうに対処をしてくれるのか、その点について考え方等がきまっておりましたら、まずお聞きをしたいと思います。
  130. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 亀田先生が御指摘の事件につきましては、昨年の暮ごろから発生しまして、全部じゃないかもしれませんが、農林省に報告され、検討をして、慎重善処をいたしたいと思っております。報告件数は現在までに九件ございます。大阪府下でございます。この問題に対しまして、政府特に農林省の対処の仕方及び考え方はきまっておるかいかがかという御質問でございますが、この種の事件の訴訟は、訴訟を提起をする者がおればやむを得ませんが、私どもは、旧地主という方々が、個々の事件として提起される場合におきましても、いわんや集団的にこれをなされる場合におきましては一そうのことでありますつが、望ましいことではないという見解をまず持っております。  それから、どうしてこういう訴訟の提起の仕方が、従来の農地解放に関しまするいろいろな意見を持っておる方が、国、都道府県を相手として行政訴訟を、あるいは旧地主の所有権の確認の訴えにおいて、あるいは農地買収処分無効確認の訴えの形において提起されておられましたのが普遍であったのに対して、旧地主の解放せられた農地について、買受け人を相手方にする自作農創設をした農民を相手方として訴訟を提起したか、こういうことについて研究をいたしました。目下のところ、私ども農地改革によって解放されました農地について、取得時効の時期が迫っておりますので、時効中断の目的で、そういう提起の仕方をしたものであろうと、一応推測をいたしておりますが、他面、法的に知識の不足等の状態を利用しまして、農民の欠席裁判を——被告の農民でありますが——を利用して、有利に事態を展開しようとする意図もあるやにうかがわれるのであります。そこで私どもとしましては、農地改革による農地解放は、すなわち国、都道府県の旧地主からの買収処分は有効であるという前提に立ちまして、共同被告人である場合には、従来の場合であればもちろんのこと、買受け人である農民を相手方とする訴訟に対しましても、必要に応じまして、当該訴訟に参加をする、これは法的手続になるのでありますが、または、その訴訟事件に関しまして、可能な限りの援助をする方法を、慎重に、期を失せずまた研究いたしまして、その方法としまして、裁判所からの連絡をよくしていただくようにしたり、常時民事調停、農事調停の協議会をやっておりますので、そこでしましたり、農地事務局、県庁の担当部課において、そういう案件の提起される状況、された進行の状況、これを常時把握するような措置をいたしまして、訴訟上必要な援助を、解放農地を買い受けた農民に対していたしまして、農民の方にできるだけの措置を講じたいと思っているわけであります。
  131. 亀田得治

    委員外議員(亀田得治君) おおよその考え方はわかりましたが、先ほど九件というお答えがありましたが、その人数等はわかりませんか。私が現に知っておるのでも件数としては一件であって関係農民が約四十各裁判所へ呼ばれておる、こういうのがあるわけです。人数がわかりましたら、それをお答え願いたいことと、それからそういう同じ種類のやり方の訴訟を起すことを前提にして、内容証明が旧地主から旧小作人に相当数大阪近郊では出ておるわけです。それの報告等なり資料等がありましたら、お答えを願いたいと思います。
  132. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 私が九件と申し上げましたものは、確実に亀田先生の御指摘になったケースに当てはまらないものが入っておる場合があるかと思いますが、その九件は、昨年の暮ごろから発生した大阪市束住吉区における関係面積約三町五反の関係、原告数約二十名、弁護士さんは南利三さんほか四名という報告を受けておりますが、関係農民数といたしましては、その二倍半の約五十一名の方の場合と承知いたしておるのであります。
  133. 亀田得治

    委員外議員(亀田得治君) それは九件の中の一件ですね、今御説明になったのは。
  134. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) ただ被告が、御指摘になりましたように、解放農地を買い受けました農民だけを相手方としない共同被告、すなわち国、農林省、大阪府知事をも共同被告にしたのが二件、国、大阪府知事、農民を共同被告としておりますもの五件、大阪府知事と農民を共同被告としておりますもの五件でございますので、場合によりましては、御指摘の農民だけを被告とする場合にはこのそとにあると思います。
  135. 亀田得治

    委員外議員(亀田得治君) それはわからないのですか。
  136. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) まだ詳細の報告を取っておりません。
  137. 亀田得治

    委員外議員(亀田得治君) まあ大体その程度で概況はわかるわけですが、これは相当ともかく関係農民の数が多く予想されるわけです。そして新しいこういう形ですから、これはおそらく地主連盟等で検討をされてこういう行動をとられておるかと思いますが、やはり現在の農地制度を守るそういう立場からするならば、今の段階で、こういう問題が波及しないように、やはり農林当局としては断固たる態度で臨んでもらいたいと考えておるのです。従って、先ほども局区長からの説明の中にお話がありましたが、農民を個人にして誹訟を起せば、農民としては毎度毎度法廷等に引っぱり出されるのを非常にきらいます。だから、初めのうちは土地は大事だからと思ってがんばっていたって、そのうちにうやむやになるおそれもある、また、そういうところをつけ込んで多少金でも出すからというような話になりますと、くずれてくる、そして農民だけの問題じゃないわけですね。私からこんなことは説明するまでもない、農地改革全体が、そういう事例がたくさんあっちにもこっちにもできれば、やはり制度そのものの問題に発展していくと思う。それから中には悪質なのは、なれ合い的な訴訟というものもあるかもしれない。被告の方がほんとうに防御方法を出さなければ、裁判所の方としても勝たさなければならないということになるかもしれない。そういう問題であります。で、大阪で初めて顔を出してきている問題ですが、ぜひはっきりとした態度をお願いしておきます。そこで、大阪の関係農民の諸君が、大阪府なりあるいは京都農地事務局にも陳情し、せんだって農民組合の統一大会のあったときにも、東京にまで来て大会に訴え、農林省にも陳情したわけですが、京都事務局で若干お聞きした意見では、大体勝つ見込みのあるものには訴訟に参加してやろう、いやしくも役所が参加して負けるようなものはどうも、といったような感じを与えるような態度が、若干あるわけですがね。私は、むしろこれは実際は逆だと思っているのです。放っておいても勝つようなものは、農民団体にやらしておいてもいいんであって、まあ多少いろいろ法律適用上の判断の問題で、いろいろ疑わしい点があるといったような問題に対してこそ、これはやはり政府自体が責任をもってやった仕事なんですから、最後の勝ち負けは別として、ともかく最後まではめんどうをみてやる、これが私は大原則でなければならないと思うのですね。何かちょっと逃げ腰のような感じを与えることが、それがずっと伝わっていきますと、どえらい妙な言い方に末端にいくとなってしまう、大体うわさというものはそういうものですが、だから私は、先ほど局長も必要に応じて訴訟に参加する、またそのほかのものについても可能な援助を与える、こういう趣旨の二つ分けておっしゃっているのですがね、こういうふうに見つけますと、ああだいぶん態度が弱い、こういうふうに、やはりとられやすいと思うのですよ、これは。だからこれはそうじゃなしに、ともかく行政行為を非難する、そういう訴訟であることは実質的にはっきりしているのですから、これは全部農林省が一つ受け持って、最後までがんばるということにしてもらわないと……。そのお答えをもらおうと思って、私はきょう実は来たのですからね。
  138. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 亀田先生の御希望と御意見はよく拝聴いたしましたので、農地解放の主体となりました法律に基いて、主体となりました農林省も責任を回避することでなしに、適正に措置するように、特に京都農地事務局における何か発言があったようでありますが、勝ちそうなやつは参加したり応援するが、負けそうな見込みのやつは参加したり応援を避けるという態度でなしに、参加し、または援助する場合はどういう場合が適当であるかということの方で、勝ち負けの見込みというようなことで取扱いが変らないように、態度が変らないように、よく部内に申し伝えます。  さらに必要に応じ、適当にと申しましたのは、時期の点もありますし、内容自体もありましょうから、回避したり、弱気を起す意味じゃなしに処理することを前提として申ましたのですが、農民自身の御尽力もお願いをしなければ、気がつかない場合もありましょう。あわせまして、その強力さ、適正さということについても、農民組合その他の御尽力、あるいは農業委員会、都道府県農業会というほかの関係団体が適切に処理して下さるということもありましょう。いきなり国が出てくる場合と、あとで知って出てくる場合と、態様はいろいろありましょうが、気持は、以上申し上げたようにしたいと思っております。
  139. 亀田得治

    委員外議員(亀田得治君) そういう多少でも例外は、私は設けれない問題だと思います。と言いますのは、本来ならばこれは国の農業委員会、それを相手に起してくるべき訴訟なのです。筋道がそういう常識的な線で起されておる訴訟であれば、いやでもこれは国が参加しておるわけですね。今まで、だから私はそれとの比較から見ても、相手が筋道をちょっと変えてきたからといって、そこをこちらとして、二、三の回答をとるということは許されぬと思うのです。で、これは総理大臣でも農林大臣でも、農地問題そのものに対しては、決してもう過去やったことに対して疑いを持つような態度はとっておらないのでしてね。この前の農地補償問題についても、これは態度がはっきりしておる。これはうらはらの問題ですよ。だから、そういうわけですから、これは全部国として参加をしてそうして国のやったことがくずされないように努力するんだというふうに、私はやってもらいたい。農林大臣がおられたら、私はほんとうは十分この点は責任をもってお聞きしたいところなのですが、どうなのでしょうか。
  140. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) だから繰り返してお答え申し上げるのでありますが、亀田先生の御意見と御希望を拝聴いたしましたので、その趣旨に沿いまして事例が新たに出て参りましたから、それに応じまして、農地解放の当時者でありました農林省が委任をいたしております都道府県を含め、また政府は法務省というものも入ると思いますが、他の共同被告となった場合と同じ気持で、差をつけないようなことで、今後研究の上、やっていきたい、こういうふうに思います。
  141. 亀田得治

    委員外議員(亀田得治君) 大体表現の仕方は多少抽象的ですが、大体お気持はわかったようですから、一応この程度にしておきます。重大問題ですから、大臣がお帰りになったら、再度機会を一つ見つけたいと思うのですが、そこで、これは農林省でそういうお気持になって下部の行政機関指導されましても、やはりそれに対する人的並びに財政面の裏づけをしてやらないとだめなのですね。で、そういうことがこれは予算はすでに通ってしまっているあとですが、もっと考慮する余地が何らかの方法でないのかどうかということをお聞きしたいのです。これは時間がありませんから、こまかいことは言いませんが、たとえば大阪では、農地関係訴訟が御承知のように今国一多いのですね。しかも、ずば抜けて多いのです。現在でも六百五十三件あるわけです。まあそういう意味では相当私どもも世話になっているわけですが、その中でも束住吉区の西部農業委員会関係、この一つの農業委員会関係だけで百七十一件、件数にしてある。もう区内の農民は、ほとんど訴訟に引っぱり出されている格好なのです。そうしてまた、先ほど申し上げたような個人訴訟が起きてくるのも今まで訴訟をかかえておる地区においてやはり多いわけです、比例的にどうしても。ところが、その農業委員会に対する国が出すところの費用ですね、委員の手当とか、あるいは職員の数の基準とか事務費とかそういったような問題、大体これは一律なんですね。これはまあ積算の基礎を作る場合には、一つ一の単価というものを出されるわけでしょうが、それが大阪府にきて末端に配付される場合でも一律なんです。ところが、こういう東住吉区の西部農業委員会といったような所へ行って見ると、これは大へんな費用になっているんです。そういう紛争自体農業委員会がかかえておるだけでなしに、そういう場所ですから、いわゆるこの転用の問題とかそういう問題が非常に多いんです。これは十分な調査をしないでやれば、そこに汚職事件とかいろいろなことが起りますから、やはりみんな調査をするということにしないと、やはりこれはいかぬわけです。そういう費用を含めると、ずいぶんな金額になっておる。国からくる費用が何かはんのわずかなもの、全体に使われておる費用の。こういう点については、何かもう少し考慮する余地がないのかどうか。非常にむずかしい訴訟になりますと、京都事務局等にもお世話にはなりますが、同時に、やはり地元でほかの農地問題の詳しい弁護士を入れる事件もあります。そういう事件なんか非常な費用になっておる。これは農地改革に関連して起きておる問題なんでしてね、いやさらに先ほど申し上げたような新しい問題が、またこういう所に付加されていくわけですが、予算上、何かもう少しめんどうを見るような方法ですね、そういう点は、考えられないでしょうか。それから京都事務同等に対しても、そういう訴訟関係費用としてもう少しめんどうを見るような方法ですね、そういう点について。
  142. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 農地訴訟関係経費といたしましては、昨日御可決をして下さいました本年度予算の中には、本省から農地事務局、都道府県の交付金を含めまして、千六百二十五万五千円の予算が組んでありまするので、御指摘の点もよく考えまして、それの都道府県への配分に当りましては、都道府県別の訴訟件数、訴訟の審級、また、経費が要る時期とその事業の経過状態はどうであるか等を勘案しまして、適切を期したいと考える次第であります。まず成立しました予算の範囲内で運用いたしまして、その後は、また適切にと思っております。
  143. 亀田得治

    委員外議員(亀田得治君) 私まあ詳しい資料などもらっておるのですが、これは別にしましょう。  じゃそういう一つ考え方で、ぜひ具体的にですね、まあどうせ満足なことはできないと思いますが、幾らかでも国のそういう農地問題に対する考え方等がわかるような配分をしてやってもらいたいと思います。  それからもう一つの問題は、滋賀県の愛知川ダムの問題です。これは非常に数年前から紛争解決しないままできている問題ですが、現在までにどの程度国費がこのために出されているのかお開きしたい。
  144. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 三十一年度までに一億五千四百二十五万五千円、三十二年度には一億五百五十万円、三十三年度予算においては一億七千万円の経費を予定しております。
  145. 亀田得治

    委員外議員(亀田得治君) これは御承知のように、刑事事件がこのダムの問題では二つ過去において起きている、これは局長もよく御存じの通りです。最初の刑事事件の跡始末もついておらない、これは官庁側から起されて、結局こちらの人が被告人になって、最後にはそれは無罪放免、こういうことになった事件ですが、それに対する跡始末がついておらない。そういう状態の中で、さらに今度は土地改良事業計画の公告に対する異議申立書を地元の農民の人が出した、農林大臣あてに。ところが、それがいつの間にか第三者によって異議申立書が取り下げられたという、きわめて奇怪なこれは文書偽造の事件です。こういうものがさらに起きてきている、これは結局犯人がわかって、それは起訴になっております。そういうわけで、このダムに対して反対派の諸君から見れば、非常なこれはやはり感情的に刺激しているわけです。いやしくも農林大臣あてに出した書類を、賛成派の諸君が取り下げる、印鑑等を偽造して。そういうふうな点が一つあります。それから受益地帯の状況等も私ども聞いておりますが、それほどこれは積極的じゃない受益地帯もそれからこれは最も大事なことは、この昭和二十八年の十月二十八日に官庁側と地元の村の人たちとの間で、契約書ができている、その写しは持っておりますが、これは水没住民の了承を得た後取り運ぶ、こういうふうな覚書が作られているんです。結局これが、この覚書が問題になって、刑事事件が起きたわけですが、刑事事件としては、それは協約に基くものではないということで、無罪になったわけです。無罪になったのだから、従って、覚書というものはこれは生きてくるわけです、こういう覚書があるので。従って、農林省としても、従来非常に慎重にやられてきたことは、私たちも知っているわけですが、私が特に質問したいのは、最近の農地事務局では、ダムの賛成者が相当ふえてきた、こういうことを盛んにおっしゃっております。なるほどそれは覚書があっても相当ふえてきた、だから覚書に大体近いのではないかというふうなことを、盛んにおっしゃるんですね。一説によると、それは三分の二だ、こういうふうに京都事務局では言うわけです。ところが、実際に村に住んでいる人たちは、だれとだれとが反対でだれとだれが賛成だということは、これははっきりしているわけです。そうして一人々々当ってみれば、集計もちゃんと出るわけです。賛成者と反対者の人数並びに関係面積というものも、これは圧倒的に反対している人が多いんです。賛成者の人はどちらかというと、別に村にそう関係の深い人でない人、あまり農業ということに執着を持っていない人とか、どうなってもいいのだという人、そういう人が多いわけです。そういうものをできるだけ拾い上げて頭数だけを若干そろえている。そういうものと全然質的に比較にならぬわけですね。しかも実際は、私は人数からいっても三分の二なんかになるはずがないと思う。反対者の諸君は、署名があるわけですから、せんだってももう一度判を押し直してみたところが、やつぱり大体、多少は違っております、去年とは、だけどそんなに賛成、反対が逆になっているような状態では絶対ないのです。これは資料もあなたの方へせんだって、留守でしたが、出してあるはずですが、私はそういう状態の中で、毎年々々こういう予算を組んでいくことは、農林省としてもあっちこっちたくさんお金が要るのに、はなはだこれは国費のむだづかいだと私は思うのです。こんな問題をずっとこうやっていってもなかなか最後は格好がつきませんよ。だから、ぜひ再検討をするようなことを、思い切っておやりになった方が早いのじゃないか。そのかわり工事の場所なんかは多少違ってくるかもしれません。こちらの諸君だって、ともかく家、田畑全部水につかってしまうというようなことじゃなしに、もうちょっとそこを考えてくれ、こう言っているのであって、まあ場所が変れば設計のし直しなり、あるいは建設のための地盤等の関係費用等が余計かかるとか、そういう点が予想されるかもしれません、しかし、それは了解を得てやるのであれば、こんな少しずつ毎年々々費用のむだ食いをするよりも、経過は、私は、そういう面から見てもいいのじゃないかと思うのです。で、京都事務局にもどうしてこういう状態で先の見込みのないのに、ただ少しずつやるのか、再検討したらどうなんですかと——一時は、この一月でしたか、そういう考えもちょっと局長としてはしゃべっておったようですが、そう行っておりません。これは、時間が先方に行けば行くほど、両方とも引っ込みがつかない状態に、深みに落ち込んでいくと思う。だから再検討するのであれば、やはりこの辺が時期だと思っているのですが、どうでしょうか。
  146. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 国営土地改良事業は、昭和二十六年に地元から申請がございまして、その後、御指摘のような紆余曲折を経まして今日に至っておるわけでございますが、亀田先生のような立場で事態を認識し、将来に対する態度をそうとった方がいいというお考えの方もおありとは思いますが、私どもは、なお公共事業であるこの事業につきましては、事業計画がすでに法的には確定いたしておりますが、計画の無効の訴えが出ておるのでございますけれども、なお、地元でも協力を促し、考え方を変えて事業を推進していただくならば、事業の本格的着工完成に同意をしていただくならば、これは非常にありがたいことである、こういう意見も持っておりますので、その間の公的な面なり、社会の実際的な立場なりにおいて、甲という意見と乙という意見、ここのあうんのところをよく調整して、むやみに強権ばかり発動するということは本旨ではございませんので、円満に今後解決するように努力をしたいと思います。
  147. 亀田得治

    委員外議員(亀田得治君) きょうの問題、実はもう少しいろいろあるんですが、委員長がおっしゃるような委員会状況でありますので、またあらためて近いうちに機会を一つ与えていただくことをお願いして、きょうはこの程度で……。大へんありがとうございました。
  148. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 私から農地局区長にお尋ねいたしたいと思います。土地改良基金制度についてお尋ねいたします。大体六十五億を資金運用資金に入れて、その利子を土地改良事業の非補助事業に使う、こういう建前になっておるように承知いたしておりますが、その利子が一年に幾らか、それからその相手で利子補給をして、何分の利子にして貸し付けるのか、そうすると、その事業量は一年にどれだけぐらいできるのか、まず第一番にそれをお尋ねいたします。
  149. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 委員長の御質問の六十五億は、資金運用部に預金をいたしますと、六分の場合と五分五厘の場合とございますが、また初年度は、いつごろ政府が預託をするかということにもよりますが、かりに初年度は九カ月と見ますれば、当然六十五億に六をかけるわけですから、二億九千五百万円になるわけでございます。この基金は、その運用益によりまして、三十三年度のみならず、将来もこの基金運用を六十五億でやります限りにおきましては、農林漁業公庫の非補助土地改良事業の融資額、昨年は五十五億、三十三年度は六十五億でございますが、その融通金の五分金利になっておりますが、土地改良基金のこの特別勘定から五分のものを、利子を一分五厘引き下げまして、三分五厘でいきたいと思っておるのが目下の方針でございます。なお、その利子低下の財源になります運用益と申しますか、それは初年度で申しましたので、多少誤解があるといけないので申し上げますと、三十四年度以降は、年間まるまる頃かっておるわけでありますから、以下年々三億九千万円になるわけであります。これによりまする利子低下をするもとの事業量は、三十三年度は二十五億六千五百万円くらい、約二十六億、三十四年度は三十二億六千五百万円、約三十三億、三十五年度以降は三十九億六千五百万円、約四十億、四十億の公庫の貸付に対しまする利子の低下をしていったら、一応この基金が回転していくのではないだろうかということで、目下そういう概算をいたしておるわけであります。
  150. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) その三分五厘は、この補助金に換算したならば、どういう年限で貸すのか。それからそれを補助金に換算したらどのくらいの補助金を支給したと同じぐらいになるのか、それを簡単に一つ。
  151. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) これは公庫資金の利子の引き下げでございまするから、貸しつけました金と、金利を引き下げておる期間は、公庫の規定によりまして、十五年償還、据置三年と予定したもので運営していきたいと思っておるわけであります。なお、先ほど申しました計数によりますれば、十三年から十五年間に、逐次事業がふえていきまして、十五年償環でございますから、漸次事業量がふえてきまして、十五年たったところで回収されてきますので、自後自転ずるのにちょっと欠けるところもあるかと思いますが、ぴっちり合わぬ場合、不足するか、若干余る。でありますから、まあ多い方と思って十五年回転を考えておるわけであります。補助費につきましては、まあ団体営灘排事業は、原則としては補助率四割、そのうちのポンプは五割でありますとか、団体営でありますが、耕地整備として、御承知の予算項目に出ておりまますものは、区画整理、暗渠排水、客土、農道とありますので、補助率が違いますので、ちょっとあれでございますが、三十八億円の予算では、九万五千町歩くらいの事業量が出ますので、六十億円くらいの融資ですと、九万町歩くらいの事業がやれる、農道は別でありますが、そんな比較になるわけであります。
  152. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 僕が質問するのは、三カ年据置、十五年を三分五厘で貸しつけると、多少はむずかしい問題かもしらぬが、補助率ですると、補助をしてもらうとすれば、三割くらいの補助をもらったら同額になるか、四割くらいの補助をもらったら同額になるか、その点を聞いている。
  153. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 三分五厘でありますと、その三分五厘にいたしまする一年分の事業量に引き充てる融資をどのくらいするか、言いかえますると、団体営耕地整理に着手しました事業を、従来の補助率によって推進して参りました年数との比較におきまして、従来通りの程度の事業量をやるか、もっと大きくして早く完成せしめるかによりまして、多少修正勘案をして比較しなければならぬことはございますが、三分五厘でございますれば、私どもは、運別方法を加えて申せば、普通で三割の補助と、補助残を六分五厘の公庫融資で行うものに大体匹敵するものと考えます。さらに、これが農協資金の一割前後の融資が加わります場合や、ある事業地域は補助事業で行い、また他の一連の事業地域は、従来の五分の非補助融資事業を交えて、一つのまとまった地域の事業をやった場合とでは、これまた比較して、おおむね同等として取り扱う。補助率が違いますが、一般的に申しまして、補助と補助残融資を六分五厘にする限りにおきましては、おおむね三割補助の場合と匹敵すると思います。しかし、最近いろいろの意見も聞いたり、実態を調べました結果からいたしますと、相当長期にかかる仕事をいたしておりますものは、それにつながる団体事業は、補助の部分で一応一単位を完成する場合があるのと、次のつらなる単位のものを、五分融資でやる場合、農協資金等で協調融資でやる場合等々がありまして、非補助で五分融資くらいでやっているものが一、こういうような割合で全国的に達観できるのじゃないか。まあそういうふうにかりに見ますと、これは四割補助のような作用——四割の補助の場合とやや均衡がとれるようなふうに思います。
  154. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) いや、私はそうは考えぬのです。それは事業主体の意思に従うべきもので、大体三割弱くらいに該当すると思う。そういうことになりますと、ここで私は一つ考えてもらわねばならぬ、またそうやってもらわねばならぬと思いますることは、あくまでこの低利の非補助融資事業として採用するものは、施行主体の申請と、その施行主体の同意によってやる。だから、補助事業でやろうという出講を抑えて、この融資でやれというような方策はとってはいかね、こういうことです。従ってですね、どんどんこの申請が——まあ農民が、土地改良区が、この運用の妙、非常に早くできるというようなことを知ってくると、全国で非常な申請ができてきますが、そのときは別として、県にずっと割り当てて、そうしてそれを消化さすというような行き方は、これは困ると思う。こう私は思うのです。特に北海道等は四割五分の特に補助金制度になっておる。だからこういうことから考えると、まあ普通に考えると、北海道ではこの方式はちょっとごめんこうむりたい、こういうことが出てきておる。それからまた県によって、三割に該当するけれどもが、いわゆる今まで補助金でやる四割事業よりも、急速にできるから——これは急進にできるからといっても、きまっておりはしない、この貸付を、うんと貸し付けた場合日に初めて急速にできる——急速にできるからうんと貸し付けてもらうと、この方式でやろうという所も実はある。それからまたこれは困ると、やはり補助金で事業を進めていこうと、こういう考え方の所もあるのです。まあそういう状況でありますために、あくまで私は、事業主体のこの申請と同意、自主的な選択によってこの方式を私は進めてもらいたいと、こういう考えでおるのですが、局長のお考えを承わります。
  155. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 土地改良事業は、特に団体営事業におきましては、土地改良法に従いまして補助金が申請される事業におきましても、申請を土地改良区の、法による所定の同意が要るのでございます。いわんや、公庫の標準融資は、低利——利子を低くするといたしましても、金を借りるのでございますから、憤りたくないという人には借すわけにいきませんし、当然に、お使い願いたい、そうして事業も推進していただきたい、こう思っておるところから申しましても、やはり地元の土地改良に基く同意・申請によってやるべきことだと考えておる次第でございます。六十五億から生み出される運用益で、それがなければ公庫の予算——公庫法に従いまして、また、その業務規程に従いまして、五分の標準融資の制度しかない現状では、こういうような事業に比較的お勧めしたい、まあこういうことはございますが、強制をする意思はございません。そのために予算面でも約一億二千二百万円の、標準融資を指導する予算を計上して、今後強制でなしに、申請、同意の上に立ちまして、標準融資が円滑に使われることを期待する措置を加えておる次第でございます。
  156. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 私、重ねてここで申し上げておきますが、これは非常にいい、新しい方式で、単位事業の推進に関しては、非常ないい方式が生まれてきたと確信いたしておりますが、前に申し上げましたように、あくまでこれは自主的なもので、しかもこのくらいな金は、二、三年たって、この方式が農民によくわかれば、この消化のためには金が足らぬようになると私は考えておる。ところがそうなった場合に、初めて割当というものが生じてくるので、そこまでいかぬ範囲内においては、この割当を各県にするというようなことは、一つやめてもらいたい。もちろんどっちが利益か、指導は十分してていただきたいが、その点を重ねて申し上げておきます。
  157. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) まあ委員長のおっしゃいまする割当というような方法と、その意味、やり方がわからないわけでもございませんが——まああわせて十分にはよくわからないのでございますが、団体営灌排事業と耕地整理事業に対する補助金を、従来通り申請に応じて実施して参り、又特殊地帯農業振興法の、六つ、ないしは離島関係を入れて七つの特殊地帯農業振興法による地帯の事業計画との関係、あるいは補助率との関係等を見まして、まあ県別に一種のワクを作っては、出講が多いので、供給と需要との関係を調整しておるのでありますが、そういう円滑に補助金を消化し、さらに三分五厘の非補助融資による事業資金を消化し、残りはまさに五分でも、五分の標準融資でも、早く受領したいというところの御申請、御希望に応じて融資するという、この三段階を円滑に処理する上において、まあ軽い意味に、まず配分して、取ってみる、やってみる、気を引いてみるというような意味でありますが、そういうことは、必ずしも悪いとは今は考えておらぬのであります。しかし、なお県庁、土地改良区、その他学識経験者のお方々の御意見も伺いまして、実行初年度でございますから、経験を豊富に持つ。そうしてこの制度を守り立てて、二年、三年目以降、だんだん制度的なものにも持っていけるならばいくというふうに、そういう意味において何らかの奨励措置としての割当と申しますか、気を引いてみる、誘ってみる目安がないといけませんので、まあそういう意味では、さきに申し上げました申請と同意のもとに、強制はしない、こういうことを堅持しつつ、いかがかと思っておるのでございます。
  158. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) それはね、局長の間違いで、局長はそう考えておらぬでも、割当をして、たとえて言えば一千万円の事業をやりたいというのに、どっちか補助金で五百万円やろう、あとの割当を五百万円やる、そういうふうにした場合においては、県庁の諸君は、末端の諸君は、この割当のそれを消化しようと思うと、割当の融資でやれというようになる。だから、これはあくまでそういうことをさせぬでもこれは消化できるのだから、あくまでこのままある所にやらぬでもいいのだ。だから、よく説いて間かせすることは、指導することはいいけれども、割当ということになってくると、ややもすると、じゃない、ほとんど私はそういう結果になってくるだろうと思う。それをおそれるから申し上げておるのです。そういう意味で、私は割当制ということは当初からやるべきではないということを申し上げておるのです。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  159. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  160. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記を始めて。
  161. 堀末治

    ○堀末治君 今の局長のお話も、委員長の質問と局長の答弁はよくわかるのですが、ただ私ども心配するのは、昨年閣議でなるべく補助は整理する、こういう閣議決定がなされて、そうしてことしの農林予算の第一次査定にはいろいろな補助がぱすぱす切られてきた。それがためにずいぶん問題が起ったことは私が申し上げるまでもなく農地局長もともとと御承知のことでございますが、そんなことで、今度のこれが一種の補助を打ち切るときの何かのテスト・ケースのようなことで考えられて、そうしてもしこれがだんだんよくいけば漸次補助を打ち切ってこの方に切りかえていく、こういうような底意が一体ないですか。
  162. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 政府全体としましての小川他等土地改良基金の設置そのものにつきましては、沿革的に見まして底意はないものと思いますが、できまして運用を研究しまするに当りまして以降の諸問題といたしましては、公庫によりまする金融を考えまして、その金融の金利を三分五厘といたしますと、災害復旧の場合に三分五厘の例があり、造船利子補給の三分五厘の例がございますが、日本の市中金融ベースはもちろんのこと、資金運用資金寺からきまする政府金融、制度金融、その面から見ましてもノーマルな問題ではないという説も一部にございます。他方、委員長から御指摘になりました何割の補助くらいに匹敵するかは比較はむずかしいのでございますが、補助が二割の農道で補助残の融資を六分五厘でしますと、全部を五分の融資でやってしまうという場合とも照応し得るということは机の上では出ないわけではございません。そこで、かりに土地改良事業を小規模で農民の田畑に近い個人的性質が比較的ある場合に補助は切りたいという説がないわけではないと思います。それはむしろ今後のことと思いますが、農林省といたしましては三十二年度までにやって参りました農林漁業公庫の非補助の五分の融資事業は五十五億ワクがありましたが、四千億しか消化いたしておりません。また各種の農業地域、土岐改良事業の建設費の状況、また農業生産基盤としてその土地と水の調整をするこの対象需要は、目下手がけておりますものだけでも、団体営灌排で二十万町歩、特殊農業地帯の振興計画で土壌改良事業をやると一応立っております計画でも九万七千町歩、団体営畑瀧では十四万町歩必要だろうと思っておりますが、そのうち四万六千が計画が立っておるというようなふうで、必要と認められますもののうちで計画が立っておりまする面積の半分以下でありますし、いわんや三十二年度まで、また三十三年度の予算を補助予算で事業の進捗度を見ましても三割、必要な改良面積の半分以下である、計画面積の三割程度しかいっておりませんので、まだ今後十年は将来の施設の老朽化を考えなくても補助も増し、低利融資も増すことが必要だと思っておるのであります。
  163. 堀末治

    ○堀末治君 そうすると、私今お尋ねしたのに長い御説明を承わりましたけれども、私は実際この土地改良のことは、ようやくこのごろ少し聞いて、全然しろうとですが、実はこの法律が立案されて、あなたの方と大蔵省といろいろ御折衝して、何かこう要綱のようなものを作られた、第一次、第二次あたりを作られたことを聞いておりますが、その第一次あたりに作られた要綱のようなものは、どうして漏れたのか私知りませんけれども、北海道の土地改良の連中が手に入れて、それをしさいに調べてみると、どうしても補助を打ち切るというようなふうに読まれるということで、それではまことに北海道のような高額の補助をもらって、土地改良をやっているところとしてはとうてい将来土地改良ということはできないから、ぜひそういうことでないように補助は補助、これはこれと、別にやってもらいたいということを要望して私のところに来たんですが、その後承わるところによれば、だんだん要綱のようなものは直されて、そうして大体満足のできそうな要綱になったということを聞いているのであります。しかし、北海道のごとき、あなたは御承知の通り、三年ごとには冷害がある。その冷害を防ぐには何としても土地改良にしくものはない。こういうことをあなたの方でも認めて、現に寒冷地農業対策地帯を作って、農林省はそれらに必要な立案をしている最中でありまして、その主としての対象は北海道でありまして、北海道としてはこの土地改良というものに全力をあげてやっている。そんなようなときに、もしもここでこの補助を打ち切られるというようなことになると、北海道の土地改良というものはとうていやれない。融資してやるということもこれはけっこうでございましょうけれども、しかし北海道の農家は一戸当り六十万円くらい皆借金を持っているというようなことで、なかなかとてもその負担にたえられないということは、私よりもあなたの方でよく御承知の通りでありますから、なるべくならば、おそらく今後十年間にはそういうことはないだろうといいますが、そういう補助を打ち切って、そちらの方に移行していくんだというような考えがないのなら、説明は長く要りませんから、そういう考えは持っておらないと、端的にはっきり言っていただくことを私は希望いたします。
  164. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 限られた財政ワクの中でも補助予算は減らしたくない。伸ばして、ワクも増加いたしまして、補助事業の遂行を増加せしめるように持っていきたいと思いますし、あわせまして土地改良基金ができました以上は、三分五厘の低金利によります非補助事業も推進しまして、それが可能……それを受け入れて事業をやろうというところは、それによりまして推進をしたいと思いますが、さらにそれだけでは十分なお答えでないかと思いますので、補足いたしますと、補助事業はすでに前年度から引き続いて実施をしているものの継続事業は優先的に、当然補助事業であります。新規事業でも、従来予算面に出ております各種の事業で出講があって、とかく補助がいきにくかったところなどは重点的に補助金を配付すべきものである、また国、県経営等々と関連する団体営事業につきさましても、両総用水等からは半分くらい補助金で、半分くらいは五分でもいいから融資でもって、何しろ早く末端の事業効果を出すようにしたいという御希望も、私どもに申出もございますが、ポンプ、その他必要な水路等工事種類や農民負担等を考えまして、緊要なものを優先し、その他のものは打ち切らないように、それよりは比較的後順位にしながら一年の予算だけを考えずに継続して年々補助金と融資がある、こういうことを考えてその予算ワクと資金ワクの範囲内で適切に運用していきたいと思っておるわけであります。
  165. 堀末治

    ○堀末治君 もう一つ、私あなたのお言葉どうも頭が悪くてピンとこないのですけれども、(笑声)北海道のようなああいう後進地、ことに寒冷地でありまして、土地改良をやらなければどうしても農地にならないという、そういうようなわけですから、とにかく北海道あたり、これは北海道ばかりではない、全国ですが、土地改良が完成するまで、いわゆるこの補助制度は打ち切らないで完成するという方針をかたく、だれか、ともかく農地局長のあなたがまず堅持していただくことを特に希望いたしまして、私の質問をこれでもって終ります。
  166. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 北海道において補助を打ち切る気はございません。
  167. 北村暢

    ○北村暢君 私はこの非補助小団地等土地改良事業助成基金というのは、三十二年度の予算説明の当初にお伺いしたときには、補助の対象にならない小団地、こういうふうに理解しておった。従って国営あるいは県営の事業の付随する団体営であるとか何とかいうものではなしに、非常にそういう今までの補助対象にならない小団地に対して、低利資金で融資をするのだと、こういうふうに私ども説明を聞いておった。そういうふうに理解しておった。ところが、今の話を聞いているというと、補助を打ち切る、そして融資に切りかえるというようなことも出ているようですから、これは私は非常に当初の私の聞いたのは間違いなのか、当初そういう考え方であって、後に今農地局長がるる説明をされたような形に変ったのか、この点を一つはっきりしていただきたい。
  168. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 北村委員の最初言われました小団地等土地改良基金の融資対象はどんなものかについては、北村委員の御理解されたときのその内容は私はよく知りません。年々補助金は計上されておるわけでありますが、一年度限りにおいては補助金のワクというものがございまして、打ち切るというよりそれをもって終りとすると、自然に補助が交付をし尽すということがございますが、そこで補助の対象とする事業についても、三分五厘をお使いになる方、またおすすめしてお使いになる方、そういうところには土地改良基金による利子の低下を期したいと思っております。
  169. 北村暢

    ○北村暢君 今の農地局長、どういうふうに言われたかと言いますけれども、これは大臣が農業政策の基本の最初のときに言っていることなんです。私どもは今までのその土地改良で、たとえば二十町歩以下のところは補助の対象にならないというようなことで、土地改良の補助金ももらえなければ、それかといって普通の利子の金ではとても自力で土地改良はできない、というものがまだ非常にたくさん残っておるわけです。そういうようなところの今までの非補助のところには、今度は生産基盤の確立のために低利資金を融資するんだ、こういうふうに聞いたんです。従って今まで補助金対象になっていなかったところに出すんだ、特にそういうふうに理解しておった。そういうふうな説明を聞いておったんだけれども、そうでないということになるというと、これはまた大へんなことなんです。それからまたもう一つは、今、農地局長の言われている点をずっと聞いてみますというと、この資金運用等についてもいろいろ論議されたようでございますが、初めからこの国労、県営の事業の付随する団体営事業に対して、これを切りかえるということが最初に考えられたようでございます。この考え方と、当初の大臣の説明したものと非常に違っているんじゃないかということを一つ私は感じておるんです。それが違うということになるというと、どうも私は今の説明では納得ができないことが一つと、それからこの融資の対象になるものを希望するものにはやるんだという点からいって、今までの団体営の事業の速度を早めるために、重点的にこれを使っていく、そうして従来の国営事業の速度と、それから団体営の速度とあわせて土地改良の効果を上げる、こういうことも私はわからないわけではないんです。わからないわけではないんですが、そういう面に使うことが主たる目的のためにこの融資というものに切りかえられるところは切りかえて、補助金重点的に有効に使っていくんだ、こういうふうに考えられているようですが、そうだとするならば、一方は融資に切りかえるところが出てくる、そのまた補助金を有効に使う、これはそういうような考え方があるようでございますけれども、そうだとすれば、初めからこの非補助の土地改良、今まで補助の対象になっていなかったところの土地改良、自力でもできない、こういうほうられておる土地改良に対しては金がいかないことになるんじゃないかというような感じがするんです。前の一度、考えられておる要綱の案を見ましたけれども、その第一番目の団体営の、国営並びに県営事業に付随する団体事業、これに第一義的に融資をして、その残ったもので単独のものをやるんだ、こういうようなことになっていたようでございます。そうしますと、最初の標題にある非補助小団体等というものが、その標題と中身とが非常に異なってくるんじゃないかというふうに感じておる。この点についてもう少し了解のいくような説明をしていただきたい。
  170. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) まず第一は、大臣の説明でございますが、施政方針的なことを申された場合と、政務次官であったと思いますが、農林省といたしまして予算の説明を申しましたときに触れておりますが、さらに二月二十日の衆議院農林水産委員会における石田衆議院議員の質問に対する答弁、また二月十三日の予算委員会分科会における川俣衆議院議員の質問に対する答弁について見まするというと、北村委員の御指摘のような答弁はいたしておらないようであります。また非補助融資というものは、非補助というのは、補助金があるワク内で補助事業として採択する場合は補助事業になりますが、まあ補助には、年々補助金にはワクがございますので、補助金交付対象に本年度ならなかったという場合に、補助金は交付されない場合、補助金なしで政府の公庫融資事業によりまして公庫の資金を利用して、それで事業をする、そういう場合をも含めて言っておるのでございまして、補助予算が計上してあるときは補助を受け得る可能性がある、そういう事業種類というものは全部除くことは当初から考えておらないのでございます。
  171. 東隆

    ○東隆君 それで、この資金が、土地改良関係に対してプラス・アルファになると、こういうことを農地局長、言い切ることができるのですか、この分だけは。
  172. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 言えると思います。なぜかと申しますと、これがなければ、公庫の五分の非補助融資しか目下は低利融資はございませんから、そのものを三分五厘にして農民の負担を軽くしていく場合については、まさにその通りだと思います。
  173. 東隆

    ○東隆君 本年度の土地改良の予算が、前年度とほぼ同様と、こういう前提のもとにプラス・アルファになると、こういうふうな説明の方がいいと思うのですが、その場合、今年度における土地改良の総予算というものは、前年度とほぼ同じになっているのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、どうですか、その点。
  174. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 団体営灘排事業の補助予算と耕地整備の補助予算はおおむねお話のようでございます。それとの関連で見まするというと、土地改良を必要とする面積と計画立てておる面積との関係でも、予算、資金ともに足りませんから、事業効果を促進する、早く発揮させるよう低利の非補助融資の制度ができることは悪いことじゃないと、こう思っております。
  175. 東隆

    ○東隆君 今までの土地改良の場合において、国営、それから都道府県営、団体営、この関係は、私はある程度一定の比例がなければならない。それと同時に計画に関連性がないと効果が上らないと思う。ところが、中身をしさいに考えてみますと、国の分は特別会計、あるいは公団、そういうようなものができておりますし、非常に強化されているけれども、ところが、都道府県営のもの、あるいは団体営のもの、そっちの方面の伸展といいますかは私は停頓しているのじゃないか、かえってマイナスになってきているのじゃないか、こういう感を深くするのでありますが、その点はどういうふうにお考えですか。
  176. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) おおむねお話の通りでございます。ただ、国営が特別会計を中心にしましたり、また予算も、編成するときに地区別にもよく検討してつける。一般会計の国営分等において最近は若干ながらも事業の進捗があります。また、ただいま申し上げましたように、おおむね補助は前年度と同じで、低利非補助融資をさらに一つつけ加えたいということがございますが、国営付帯県営とかその他の県営事業、また北海道でいえば道営事業、この分は二億ぐらいのものを予算が組まれておるところでございまして、まあ中くびれになっておると申しますか、そういう点も理想的な観点からいえばあります。今後努力をしまして各種事業を並進して早期効果の達成ができますように、予算、資金の確保に努めたいと思っております。
  177. 東隆

    ○東隆君 実は今まで大蔵省と農林省関係で、私は土地改良なんかでもって、いつも大蔵省にしてやられていると言うと語弊がありますけれども、そういうような面があると思うのです、それは、たとえば積雪寒冷地帯の関係でもって小団地の仕事をやる、そういうようななにができて参りますると、土地改良総体のワクから減らしてはならないにかかわらず、減らされていくというような問題も出てきておる。まあいろいろな問題が出てくるわけです。で、今回の場合もどうもそのおそれが非常にあるのじゃないか、ことに今の中の方が少しくびれておると、こういうようなところにこの制度がそこに補給をされると、こういうおそれが非常に多いと、こう考えるのですが、それは端的にいえば補助金でやる仕事はだんだん減っていくと、こういうふうな現象になって現われてくると、こう思うのですが、この点はどうですか。
  178. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) いろいろ申されました結論は、遺憾ながら東委員と私は必ずしも同一でございません。以上申しましたような予算、資金現状でございますから、国営の進捗度を早め出した新制度もまた、予算、資金の確保に……末端の団体営小団地の非補助低利融資事業を新たに初年度ですか、本年度から設けたこともありますので、上と下と申しますか、国営と団体営の間のはさみ撃ちで、その円滑な早期完成事業施行の欠陥を今後つきまして、その事業の伸びるように、予算、資金の確保を努めるべきだと、努めたいと思っております。
  179. 東隆

    ○東隆君 もう一つ、実はこの関係は、これは大蔵委員会でもって審議をされるわけです。従ってこの農林委員会でもって実は相当関心があるのですけれども、そいつが大蔵委員会に反映をしないと思うのです。そこでもう少し農林省の方で取扱いのいろいろな手続、その他あるいは大蔵省との交渉の経過、そういうようなものについて相当各委員は明らかにしておきたいと思っておるのじゃないかと、こう思うのですが、そういう点を一つもう少し資料その他によって明らかに説明をしていただくような機会を作っていただきたいと、こう思うのですが、そうして本日はもうだいぶおそくなっておるのでありますから、私はそういうふうな取り計らいを一つお願いします。
  180. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  181. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記つけて。  本日は、この程度にいたしまして散会いたします。    午後五時三十四分散会