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政府委員(小熊孝次君) お手元に配付してございます経済
基盤強化のための
資金及び特別の
法人の基金に関する
法律案要綱によりまして、ただいま大蔵
委員会に
予備審査のため付託されております本
法案につきまして、概略御
説明申し上げたいと思います。
まず、この
法律の
目的でございますが、御承知のように昭和三十一年度の決算上の剰余金が非常に多額に上ったわけでございます。で、この決算上の剰余金は、普通から申しますと翌々年度におきましてその三分の一を下らざる金額というものは、これは国債の償還に充てられる、その他揮発油、道路の整備に充てられる、それから交付税の精算、そういうものに充当されるほかは、一般財源として
使用することができるわけでございますが、御承知のように昨年度からの国際収支の悪化、それに伴うところの各種の対策、こういうものに関連いたしまして、三十三年度におきましてこれを一般財源として
使用してわが国の経済に刺激を与えることは好ましくない、こういうような見地から、この
法案が提出されておるわけでございます。で、その
法律の
目的は、ここに書いてございますように、経済
基盤強化
資金の
設置、それから農林漁業金融公庫、日本輸出入銀行並びに別に
法律で定めるところにより設立される中小企業
信用保険公庫、日本貿易振興会及び日本労働協会の特別の基金に充てるための政府の出資並びにこれらの
資金及び基金の適正な管理、
運用等に関し、必要な
事項を定め、もってわが国の経済の
基盤の強化と健全な発展に資することを
目的とることでございます。で、このうち最初の経済
基盤強化
資金でございますが、これは、一般会計に設けられますところの
資金でございます。金額といたしましては、四百三十六億三千万円のうちの二百二十一億三千万円がこの経済
基盤強化
資金に充てられるわけでございます。この
資金の
設置でございますが、これは、将来におけるわが国の経済
基盤の強化に必要な
経費に充てる財源の一部を確保するため、昭和三十三年度においてこの
資金が
設置されるわけであります。それから
資金の
使用の
方法でございますが、
資金は、将来における道路の整備、港湾の整備、科学技術の振興、異常災害の復旧または産投会計への繰り入れに要りする
経費の財源に充てられるわけでございますが、この場合には、あらためて予算をもって、国会の御議決を得た上で
使用する、こういうことになるわけでございます。
それから次の項目が公庫等の基金の
設置でございますが、残りの二百十五億というものが五つの特別の
法人に対しまするところの出資と、こういうことになるわけでございます。
まず、農林漁業金融公庫に対しましては、同公庫が補助の
対象とならない
土地改良事業に対してなす貸付金の利子の軽減に充てる財源を
運用によって得るための非補助小団地等
土地改良事業助成基金に充てるために、六十五億円を出資することにいたしております。
それから中小企業
信用保険公庫に対しまして、同公庫の保険事業の損失を埋めるための保険準備金に充てるために、同じく六十五億円を出資することにいたしております。
それから日本輸出入銀行に対しまして、同行の東南アジア開発協力のための国際的機構に対する出資及び当該機構の
設置に至るまでの間におきまして、将来、当該機構の出資に振りかえることができるような、そういう
性質の国際的協力による投資の財源に充てるための東南アジア開発基金の
設置をいたしますため、これに五十億を出資する、こういうことにいたしております。
それから日本貿易振興会でございますが、これは別途
法律を出しまして、今国会におきまして御
審議を願っておるものでございますが、この日本貿易振興会の事業の運営のために必要な
経費の財源を
運用によって得るための基金に充てるために、二十億円を出資する、こういうことになっております。
それから一番最後は、これもまた別途
法案を提出いたしまして、御
審議を願っておるわけでございますが、日本労働協会を作って、そして同協会の事業の運営のために必要な
経費の財源を
運用によって得るための基金に充てるため、十五億円を出資することにいたしております。
次に、基金に属する現金の管理及び
運用等でございますが、この出
資金は、いずれも先ほど申し上げましたように、たな上げ
資金でございますので、これを
資金運用部に預託する、こういうことにいたしております。すなわち
法律によりまして、それを義務づけておるわけでございます。
それから口に書いておりますところのものは、これは日本輸出入銀行の場合でございますが、先ほど申し上げましたように、東南アジア開発協力のための国際的機構に対する出資に充てられるわけでございますが、そういう場合には、
資金運用部への預託を回付されまして、そちらの出資に振り向けられることになります。また、その国際的機構ができないまでの問におきましても、先ほど出し上げましたような投資の財源に充てそ、こういうような場合におきましては、
資金運用部への預託金が回付されて、そちらの方に振り向けられる。ただ、この場合におきましては、たな上げ
資金の性格もございますし、それから、この出資なり、投資というものは、国際間のものでございますので、
内閣におきまして方針を決定いたします。その決定に従いまして、大蔵大臣が出資なり投資の
運用をする、こういうことになるわけでございます。
それから
資金軍用部
資金に頂託いたしましたところの基金に属する現金は、しからばどういうふうにして処理されるかという問題でございますが、これは利子を生みますので、その利子によっていろいろな用途に使われるわけでございます。
農林漁業金融公庫は、非補助小団地等
土地改良事業助成基金の
資金運用部への預託利子から、当該事業
資金の貸付利子の引き下げのために
使用した額を差し引いてなお剰余があるときは、これを基金に組み入れなければなくない。こういうことになっておりますが、この組み入れられた額を限度といたしまして、将来また不足いたした際には、それをおろして
使用することができることになっております。ただ、元本の六十五億円というものをくずすことはできないことになっております。
それから輸出入銀行は、これは別途勘定を設けて経理されておるわけでございますが、損益計算上の利益が生じたときは、これを同勘定の積立金として積み立てる。それから損失が生じたときは、積立金を取りくずして損失を埋めるというような
規定になっております。
それから基金の取りくずしの制限でありますが、公庫等の基金は、先ほど申しましたように、農林漁業金融公庫は、一応剰余が生じた場合は、これを基金に繰り入れることになっておりますが、その繰入額を限度といたしまして、不足の場合は
使用することができますが、そういうことを除きましては、この基金を取りくずしてはならない、こういう
規定を置いております。中小企業
信用保険公庫の場合におきましては、これは保険の基金でございますが、これが損失を生じた場合にくずすということはやむを得ない、このような
規定になっております。その他、この
法律の
施行に関し必要な
規定を設けるとともに、
関係法令に必要の改正を行なっているわけであります。
以上、簡単でございますが、
補足説明を終りたいと思います。