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1958-03-19 第28回国会 参議院 農林水産委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十九日(水曜日)    午後一時五十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重政 庸徳君    理事            柴田  栄君            藤野 繁雄君            鈴木  一君            清澤 俊英君            上林 忠次君    委員            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            田中 啓一君            仲原 善一君            堀  末治君            堀本 宜実君            東   隆君            大河原一次君            河合 義一君            北村  暢君            千田  正君   国務大臣    農林大臣臨時代    理       石井光次郎君   政府委員    農林政務次官  瀬戸山三男君    農林省畜産局長 谷垣 專一君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (家畜及び食肉価格に関する件)   —————————————
  2. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまか農林水産委員会を開きます。  家畜及び食肉価格に関する件を議題にいたします。  この件について、堀本委員その他から質疑の御要求がありますので、この際、御質疑を願うことにいたします。
  3. 堀本宜実

    堀本宜実君 畜産振興政策の根本問題につきましては、いずれ機会があろうと存じますから、そのときに譲ることにいたしまして、本日は、食肉等畜産経済の最近の実情からお伺いをいたしたと思うのであります  政府は、有畜農業創設事業、中小農の振興事業等で、家畜の貸与、それから酪農振興法その他の諸政策と相待って、農業経営の方式が転換されまして、飛躍的な畜産伸展が最近はかられておりますことは、農業者といたしましては、一応喜びを感じておるのでありますが、特にこの畜産経済の中でもいろいろございます畜力の利用とか、あるいは廐肥の利用とかありますが、一番経済的な効果の大きいものは、やはり乳や肉をいかに価値づけるかということが、一番畜産振興の中では大きい問題でなければならぬと思うのであります。そこで、これは非常に肉の相場なんというものは、年間上下がございますが、特に、本年の下期に至りまして下落の一途をたどっているように、統計上からも見えます。最近下りかかっているという状況のように伺うのでありますが、その状況について御説明を一応お願いしたいと思います。
  4. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 最近の肉の卸売相場が若干下ってきていることは事実でございます。数年の肉の相場状況を見ますと、二十九年の終りぐらいから相場が下りまして、大体三十年は、ある程度の底になっております。三十一年から相場が強含みになっておりまして、卸しの状況、東京卸しの状況から見ますと、昨年の四月、五月ぐらいが相場としては一番高い相場を示しております。大体、昨年一ぱいは順調な状況で高値を続けておる。今年に入りまして、少しそれが弱含みを持っております。そういう状況で、この相場が最近少し下り始めてはおりますが、この数年を達観いたしますると、必ずしも低い状況ではございません。むしろ価格といたしましては高い水準にあるわけでございます。今年に入りましてから、それが弱含みを持ってきた、こういう大体の状況でございます。
  5. 堀本宜実

    堀本宜実君 これは出荷の時期あるいは出荷場所等によりまして、少し違っておるようでありますが、全国的平均で一応弱含みを持っておるということでありますが、私は、当然暖かくなりまする気候になりますると、今までも例年そういう相場を持っておるのであります。ただし、おととし三十一年には、二月、三月の候にかなり上っておるのではないかと思っておりますが、そういうことでありますから、必ずしも今下っておる相場が、暖かくなって内の相場が下るという通例の下り方ではない、この下ろうといたしておりまする弱含みの材料は、かなり急激に下る様相を呈しております。それは、特に生産者の肉が下っておる。これは生産者もあるいは中間卸も、あるいは小売もの統計を総合された御答弁であったかと思うのでありますが、実際に地引を回って見ますると、また地方からの陳情等も聞きますと、実際問題としては、生産者の肉が一番下るのですね、いつの場合でも。そうして、これはあとで申し上げますが、肉の特性から考えますと、卸に案外響かない。生産者下落が直接消費者影響をするかといったら、あまりしないんですね。それが食肉の特質だと私は思っておりますが、そういうような考え方から考えますと、食肉輸入をしておるということが、これに影響を持つのではないか、こういうふうに私は思うのであります。そこで、外国から輸入いたしておりまするものは、昨年度二万七千トン入れたということを聞いております。本年は二万二千トンだということを聞くのでありますが、この数字に間違いございませんか。
  6. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 今年度に入りましてからの肉相場の若干の弱含み、これは何が原因であるかということは、いろいろと議論がありまして、御存じのように、肉のいろいろな需給推算等が十分行われたものがございません。従いまして、業界方面でありますとか、これにいろいろと関係をしておるような諸君の話を総合して私たちも判定する以外に、今のところ適切なものがないわけですが、やはり、これはことしの暖冬気候が非常に暖かくて寒さが少かったということ、あるいは全体の景気の後退というようなまの、案外そこらのところが非常に大きい原因を、私は、占めておるのではないかというように推察をいたしております。ただし、これは今年度から新いくこういうものの需給の予察をいたしますが、まだ的確なそういう資料が、どの方面にもございません状況でございますので、単なる推測ということになりますが、そういうふうな点が強く響いておるのではないかと、私たち考えております。で、肉の輸入の問題でございますが、これは昨年たしか二万五千トンくらいだったと思います。その程度のものが昨年入ったわけでありますが、これは、従来の輸入に比べますと、非常に飛躍的な数字になっております。——失礼いたしました。輸入数字は肉すべてを入れますと、大体昨年一ぱいで二万七千トンになっております。で、ことしどのくらい入れるかということは、まだ見当がついておりません。御存じのように食肉輸入自由制、自由な貿易の格好になっておりますので、どの程度のものか、計画的な数字としては、はっきり出て参らないのであります。昨年のこの数字は、それ以前の輸入数字から比べますと、約十倍程度に昨年一年で飛躍的に上っておる状況でございます。
  7. 堀本宜実

    堀本宜実君 これは、いつも申すことでありますが、国内需要供給原則に立って、必要だから入れるというのでなしに、全く放任状態外国の肉を入れるという、自由承認制で入れるということが、一躍十倍もの多額の肉の輸入を見るのではないかと思うのであります。私は、暖かくなって肉の需要が減ってくるから、暖冬異変で肉が下ったという説も、もとよりありましょうけれども、去年の同時刻、今ごろを考えてみますと、必ずしもそうでもない現象が現われておりますので、そうとばかり断定もつきません。二万七千トンといいますと、牛にいたしますと百貫の牛ならば十三万頭に匹敵すると思うのであります。これは私の計算違いかもしれませんが、成牛百貫の生体貫の牛ならば十三万頭に匹敵する牛の量ではないかと思うのであります。ずいぶんたくさんの量が自由承認制で、いつでも随時入ってくるという態勢に立たされておりまする農家畜産農業というものの脅威というものは、私はけだし大きいものがあると、こう思うのであります。そこで、わが国経済の基本的な立場から考えましても、輸出を増進いたしまして外貨の獲得をはかって、輸入は必要なもののみに限って、外貨の流出を防ぐというのが、大体わが国経済原則でなければならぬのであります。また、農業形態からいいましても、畑地振興意味からいいましても、畜産振興意味からいきましても、私は、こういうものをこのまま放任しておくということは、よくないことと思うのでありますが、これらにつきまして、畜産局農林省といたしましては、どういうお考えを持っておいでになりますか。この輸入肉につきましては、最近中共からも入ろうといたしております。戦前は御承知のように、輸入されますと、中共の肉が八〇%を占めたものでありますが、この近い所の中共の肉が入ってくるということになりますと、もっと大きい脅威を直接受けるのであります。今のこの頭数に直して十三万頭にも近い肉が、無制限に何らの障害なく入ってくるという現実の姿を、農林省はどういうふうにお考えになっておられますか。
  8. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) ちょっと数字を訂正さしていただきます。先ほど二方七千トンと申しましたが、正確には二万五千トンでございます。この肉の輸入の問題は、実は昨年二万五千トン、三十一年に二千七百トン、三十年に千四百トン、二十九年に一千トン、二十八年に百トンというふうに、この三十二年以前の数字は、実はそれほど大きな数字ではございませんでした。従いまして、この程度のものが国内畜産あるいは食肉影響を大して与えたとは考えられませんが、昨年の急に二万五千トンというふうに、非常に一挙に膨大な数字が入りましたところに、違った形の問題が提起されてきたと思っております。ただ問題は、御存じのように昨年これだけのものが入りました理由には、国内需要が非常にふえたということ、そうして国内におきまする肉資源、牛が相当に倒されました。子牛さえもがどんどん倒されるという実は状況であったのであります。統計上から見ましても、ほかのものが増加しておるにもかかわらず、牛につきましては減少の数字を示しておるというような状況で、いわば国内資源というものが、かなり食われたという状況であったわけであります。で、これがそれだけ強い需要があったのでございます。従いまして、昨年のこの外国からの肉の輸入というものは、一面にはそれらの国内におきまする肉資源そのもの屠殺ということ、それを防いだという意味効果があったろうと思います。もちろんこれが国内価格にある程度影響を及ぼしたということも想像できるのでありますが、ことに、入れましたものが上物ではなく、かなりすそ物の肉でございましたために、国内におきまする馬のようなもの、あるいは廃牛というようなもの、そういう下肉の相場がこれによりまして冷やされたいうことは確かに言えると思います。  また、中共の肉の問題でございますが、これは現存のところ、家畜防疫関係家畜伝染病関係をもちまして、中共輸入禁止区域に指定いたしております。従いまして、中共からの肉の輸入というものは、そういう根拠に基きまして、現在全然輸入を見ていないわけでございますが、ただ、最近の中共との輸出入のバランスの問題等で、輸入いたしまする品物等関係上から、あるいは国内におきまする業界と従来からの中共肉等に対しまして経験のあるような関係もございますし、また、何と申しましても近場関係がございますので、国内で、かなり熾烈に中共肉輸入の要望があったのです。しかし、私たちの方といたしましては、現在の状況では、家畜伝染病予防の建前から考えまして、まだ中共の肉を輸入する、そのような段階ではないと、伝染病予防という立場から考えておるような次第であります。中共の肉を除きましても、外国から主として豪州、ニュージーランドからこのような多量の肉が入ってきておりまして、これが、先ほども申しましたように、国内畜産資源の過度な屠殺という形におきまして影響を及ぼすのに対して、緩和する役割を果したということは言えると思いますが、ただ、これがそういう適切な国内需給調整の安全弁として動いていくという面のみがあればけっこうなんでありますが、これが行き過ぎまするというと、やはり国内価格等に非常に影響を与える、そのような観点から、こういう趨勢が続きますれば、需給調整上何らかの措置をとる必要が生じてくるかとも存じております。
  9. 堀本宜実

    堀本宜実君 今年今までにない実績、すなわち前年度の十倍もの輸入があったということは、日本における資源枯渇を補うために必要であった、こういうことが一面認められておるということを言われるのでありますが、これはこういうことに原因するのです。動物というものが非常に先安の傾向を見ましたときには、たくさんの飼料を与えて、そうして投資をして、しかる後に安く売り放さなければならぬようなことになることをおそれて、小さい間に処分をするから、この資源が急に枯渇をするのであります。農業といえども飼うことが本態ではなくして、農業経営の基軸としての家畜の価値の存在というものを高めるための、また農業経営を助けるため家畜を飼育し、また肉畜を飼うわけであります。それが非常に安い価格でたたかれると、大きくしておいて、そしてなお盗人に追い銭のように、飼料を入れて後、困る事態になることをおそれて、小さいまだ食欲の少い、飼料の少い間に処分していくのであります。それがために、急激な思わざる資源の不足を来たした。これは何といっても、経済白書を見ましても、農業白書を見ましても、堅実な足取りで伸展をいたしておりますのは、御承知のように畜産であります。また、上昇カーブを描いて非常に飼育戸数は増加をいたしているのであります。何といいましても、この価格の安定を期する政策を持たなければ、私は、畜産振興にもなり得ない、こういうふうに考えております。それが、今のように自動承認制で、二万五千トン、日本頭数に引き直しますと、私の計算では十三万頭に匹敵すると思います。十三万頭といえば、大したものであります。少くとも日本の全消費量の二割に相当する肉であろうと私は思います。これがしかもまだ無制限にこのまま放任されるということになりますると、芽を出しかけました日本畜産に非常に悪い影響を及ぼすのであります。そういうことがわかっておられるはずだと思いますので、これに対しまする断固たる処置をとって、畜産振興のために、十分な方法を講ずべきもう時期にきているのではなかろうか、こういうふうに私は思うのであります。一つ考えを伺います。
  10. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 家畜が倒される理由には、いろいろあろうかと思いますが、三十一年には役肉用の牛が二百七十万頭ありましたものが、三十二年の私どもの調査では、二百五十九万頭くらいに減っている状況です。それまではいつも牛はふえておりましたが、そういう状況になっております。これは、どういう理由で倒されたかということについては いろいろ原因があろうかと思いますが、そういう数字になっております。それで、この輸入調整をどういう形でやるか、これは確かに非常に大問題だと思います。肉を生産いたしまする農家の手から、それが市場に出て参りまして、あるいは小売のところに回り、消費に入りまするまでにおきまする流通経路につきましては、ほかの品物の場合は非常にはっきりした形で出ている場合が多いのでありますが、肉の場合には、なかなかその流通過程におきましてまだ合理化する余地が非常に多いと思います。国内におきまする食肉生産から消費に至りますまでの流通過程合理化ということになると、海外から入りまする輸入のその関門における調整という問題と、この二つのものが相待ちまして、初めて国内生産のある程度の地についたもの、あるいは消費拡大等が有効に行われることと考えておりますが、それらの問題をにらみ合せをいたしまするというと、そのときに応じまして難易がいろいろ生じております。たとえば国内の問題におきましては、家畜取引の改正問題、合理化問題、あるいは屠殺場の問題、あるいは枝肉市場の問題、あるいはそれが消費者に渡りますまでの販売経路の新しい方法が可能か等、すべてこれから解決をし、あるいは合理化をしなければならぬ部門が非常に多いのであります。それに比べますと、この輸入の問題を、たとえば外貨割当制にいたしますとかというようなやり方は、手段といたしましては、行政的に割合に簡単な手順で済むわけであります、ただ、そういうような方法輸入のところでいたしまするにつきましては、海外との通商関係の問題でありますとか、あるいは国内におきまする貿易の上からきますところのいろいろな問題等をにらみ合せをいたしましてやっていく必要があろうかと思います。ただ、昨年のように二万五千トンというようなかなりの量のものが入って参りまして、また、それに非常に未熟な輸入業者の手が入りまして、そのために輸入業者自体も、あるいはそれを受け取りました食肉業者の間にも、かなりの混乱があったわけでございます。そういうようなこと等から考えまして、何らかの調整措置が必要ではないか、こういうふうに私たちも今考えておるわけであります。これは自主的な方法考えられるでありましょうし、あるいは政府外貨割当というような方法も、一つ方法として検討いたさなければなりませんでしょうし、まあ輸入調整いたしまする強弱の問題は別といたしまして、何らかの措置を上る必要があると、私たちのところでは考えております。
  11. 堀本宜実

    堀本宜実君 畜産局の方で——農林省の方で、調整の必要があるということをお認めになったようでございますので、今後御研究を願いたいと私は思う。このまま放任していくということはあり得ないことだと思うのでございます。そこで、資料をお願いしたいのですが、輸入された数量、それから価格がわかれば価格、あるいは輸入商社一覧表というようなものを、できれば御提出を願いたい。これはあとでけっこうでございますから、あれば一つ作ってほしい。将来の問題もございますのでお願いを申し上げる、こういうふうに思います。  最後に、もう一つ私は申し上げておきたいと思うのでありますが、食肉価格の推移の状況等を見ましても、これは大へん取引が複雑なんです。そこで、枝肉販売にしようという考えで、大阪では枝肉販売を許可をしたということであります。大阪枝肉販売を始めたことであろうと思います。明日われわれは大阪卸売市場視察に参りまして、枝肉販売の実況を見てきたいと思いますから、ここで御説明を伺う必要はないのでありますが、私は、こういうことを申し上げてみたいと思うのでありますが、生産者価格は非常に変動が多いのですね、肉というものは。生産者という肉を作るものの変動はすばらしく変動を多くするものなのであります。ところが肉を市中で販売する、消費者小売りをする場合は、あまり下ったということを聞かないのですね、これは大衆の消費の面と生産者の面とは、それだけ鋭敏に共通していないというようなふうに私は考えます。どうしてそういうふうに影響しないのかというと、下ったにもかかわらず、その最後販売価格影響しないということは、取引が複雑だからであります。これを改善されようとする行為は、まことにけっこうなのでありますが、また、これらに対します本質の問題につきましては、いずれ視察をして後に御意見を伺い、われわれの意見を申し述べたいと思うのであります。ただ、流通販売面の改善が必要だということについての抱負があれば、この際、承わっておきたいと思いまするし、また、先年市場法の改正があり、また市場取引の強化や枝肉市場等の開設で、そういう必要のあることを政府みずから、農林省みずから自認をしておりますことは、よくわかるのでありますが、それをあわせて、前の国会で通過をいたしました環境衛生法が、食肉最後価格をきめ得る段階にあると思うのであります。これら環境衛生法と、また枝肉販売、あるいはそういう流通面取引上から起ってくるこれの法律との関連の問題、これを一体どう処理していくつもりでおられるのか、伺っておきたいと思うのであります。
  12. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 農家から消費者の手に渡りますまでに、食肉の場合——ほかの品物でもそういうことはあると思いますが——かなりいろいろな経緯をたどっております。この食肉というものの性格上、また日本におきまする小売形態上、肉の規格というものがはっきりいたしておりません。従いまして、一例を申し上げますれば、小売価格と申しましても、百匁の肉を買いました場合に、その中に、ほかの肉を混ぜること、これは何も牛と称しまして豚を入れる、馬を入れるという意味ではございません、同じ牛肉でも一切れか二切れほかの下肉を入れて、値段は同じ値段というようなことが非常にあり得る、そういうものでございます。規格がそういう意味で、はっきりとまだできていない、そういう関係がございまするので、なかなか値段のところ、それが末端におきまする値段のところできめます場合、はっきりした実体がなかなかつかみにくいことがございます。そういうような問題もございますが、とにかく国内取引の問題につきまして、多くの問題があることは事実でございます。農家の所から消費者の所まで参ります場合に、家畜取引一つ考えましても、あるいは今御指摘になりましたような枝肉市場の問題にいたしましても、ずいぶん取引の問題がございまして、それぞれにおいて国民の需要がふえ、あるいは消費形態が変つていきますにつれて、合理化が進んでいくものと期待いたしております。環境衛生法の問題でございまするが、環境衛生法によりまする組合は、現在のところ、まだ食肉に関しましてはできておりません。従いまして、この環境衛生法によりまする食肉価格の統制というような問題は、これは現在のところありませんので、将来どういうふうになりますか、中小企業法律との関係等におきまして、どういうふうに調整するか、これは今後の問題に残されておるわけでございます。
  13. 清澤俊英

    清澤俊英君 今、堀本さんから資料を要求せられましたが、あれに付け加えて、各商社と入った場所、月別の輸入量をつけてもらいたい、それが一つ。今一つは、農家手払いの大体成牛価格がわかりましたら、歴年の表を一つちょうだいいたしたい、資料まとまりますか。
  14. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 輸入商社別数量というものは、あるいはこれはちょっとできがたいかも存じません。それ以外のものは用意をいたします。
  15. 清澤俊英

    清澤俊英君 あれは成牛価格は、これはあなたの方でなくて統計の方でありますか、卸、小売、それはありますから要りませんが、成牛の方を……。  それからいま一つお伺いしたいことは、三十一年から三十二年にわたりまして、急に十倍ふえていったというのですね輸入が。これは、そうしますと国内の牛をつぶす量がよほど減ってくるのではないか、こう思いますが、そうしますと、先ほどお伺いしますと、三十一年二百七十万頭から二百五十九万頭に減った、こういうことで、約十一万くらい食いつぶしになっている。これは生産が間に合わなかったのか、従来よりふえたのか、生産が間に合わないので、なお在来のものをこれくらい減らしたのか、こういう数字になるそこのところを、ちょっとわかりませんので、それらの点を明らかにした資料がありましたら、ちょうだいしたい。
  16. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) これは和牛の数字を見ますと、大体ずっと例年増加しているわけでありますが、三十年二百六十三万頭が三十一年に二百七十一万頭、それが三十二年度におきまして二百五十九万頭というふうに、数字が下っております。馬は毎年この数年減ってきておりますが、たとえてみますと二十九年に百二万頭、三十年に九十二万頭、三十一年に八十八万頭、三十二年に八十一万頭というふうに、漸次下ってきております。この趨勢は、非常にこの食肉需要が多いために、それだけ倒されたものかどうかという問題でありますが、牛の場合は、確かにそういうことははっきりと言えると思うのです。従来からずっと伸びてきておりますし、また、生産を下げる原因は見つかりませんので、生産はあったが、実際のそのものを食ったというふうに考えられております。馬に関しましては、数学的に出ておりますように、逐年減少形態をとっております。馬をそのときに急激に屠殺してたくさん食ったかどうかという推定は、これだけからはできません。ただ、三十二年の状況では、三十一年もそうですが、三十一年、三十二年、馬も大いに食ったということは、これは言えると思います。言えると思いますが、牛と違いまして、例年頭数は減ってきておりますから、食ったとは言えますけれども、牛のような食い方ではなかった、こういうことが言えるのじゃないか。従いまして、牛なんかの例ではっきり出てきておりますように、三十一年、三十二年の間にこういうふうに減っておりますし、また、輸入が今のように二万五千トンも入ってきているわけでありますから、大いに食ったということになります。肉の需要が大いにあった。なぜそんなに入れたかというのでございますが、あの当時の国内肉相場が非常に高くて、海外相場が非常に安い状況でございました。こちらから買い進みましたので、相場がだんだん近づいてきましたけれども、それで商社がいわば非常にあせった形で輸入したというふうに考えております。
  17. 清澤俊英

    清澤俊英君 問題は、鮮魚の値段が、これはこれからの問題になりますけれども、全水産物の七割くらい加工になっている。そして非常に価格が安定すると同時に、高値になった。従って、なまの水産品というものが三割くらい、これは割合に近海物が安値を呼んでいるが、大体そういうような関係上、肉を食った方がいい、経済的の関係上、肉の需要も年々増大していることは事実だろうと思いますが、だが、一年に十三万頭分、二万七千トンも急に増大するというのは、どうも何かそれは原因があるのじゃないかということと、一番問題になるのは、先ほど堀本さんが言っておられるように、成牛値段が下った。これは現実らしいのです。私もまだ深く調査をしてみませんから、はっきりは言えませんが、相当下っただろう。これは戦前には非常に船舶などの貯蔵する設備が非常によくできておりました関係上、多量の小兵の鶏卵並びに生肉等を貯蔵する。そこにもってきて岡山等を中心にして生牛が入ってくる。それを博労が回してくる。そういう場合には、国内の生牛等の手持ちが農民になくなって、割合に値段が上っているものが入ってくる。そうして値段の高い子牛が全部行きわたって、いよいよ肉になるという時分になりますと、生肉が入って参りましたりして、値段が下げられる。値段が下ってくると、それを買いつぶして倉庫に入れる。結局そうしますると、値段の高いときにつられて子牛を飼って、いよいよ売るときには下げられる、こういう市場操作が始終繰り返されている。戦前の様子がそれなんです。それに近いものが出てやせぬか。こういう危惧があるのです。一年に二万五千トン、十万頭、十三万頭分もぽっと入ってくる。そうすると、市場の表は何ら卸の値段小売値段も変りはないが、ただ、生産者の持ちます、農民の持ちますものが、商売上非常にうといまた機関もない農民だけが、その操作の中に巻き込まれて、いつでも不安定の中に、高値につられちゃ牛を飼い、せっかくのときには安くたたかれる、これを繰り返しておったら、畜産行政というものはできない。先ほどもちょっとお伺いしますと、中共貿易で鶏肉並びに鶏卵が入ってくるというので、最近ちょっと本年あたりは飼育羽数などが減ったのじゃないですか。鶏卵の価格なども下った関係上、ちょっと出回りも減っているのじゃないですか。これは聞いただけで、まだ実際には、農民には、忙がしいので当ってもみませんが、確かにそうだと、こういうようなことも言うておるのですから、だから、これは一つのそういう操作を商社にやらせないように、畜産局としてはもう万全のやはり腹がまえで立っていただけませんでしたら、せっかくの基本農政として立てられました先ほど堀本さんの言われるような画期的な農政の根本を、私は、根本からこれはぶちこわすものである、農民の信頼を失わしめて失望させるだけの話だ、こう思いますので、いずれまたそれらの資料をちょうだいして検討して、次にいま一度質問さしていただきたいと思いますので、私の質問は、きょうはこれで終ります。
  18. 北村暢

    ○北村暢君 まず第一点としてお伺いしたいのは、この肉の輸入価格は、国内のこの価格と比較してどういうふうになっているか。それから品質はどうか。それからお伺いしたい。
  19. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 価格は、だいぶ初めのころと、輸入いたしました終りの方とで、違っておりますから、一がいに言えないと思いますが、また、肉の種類によりましても違っておりますので、一がいには言えないと思いますが、当時の状況から申しますと、輸入いたしました当初の場合は、国内相場八十円くらいのものが、五十円ないし六十円くらいで入っていたと思います。その後、この相場の向うの現地の買付値段も高く、いろいろなことで値幅はだんだん狭まってきている、こういうことでございます。  それから品質の問題は、これは、向うは冷凍をいたしましたもの、しかも豪州とニュージーランドとは若干違いますが、豪州の方は品質がよかったと思いますが、ニュージーランド物はうんとすそ物を入れております。たとえば乳牛は年とった老廃牛というようなもの、かなりすそ物が入ってきております。まあそういう状況で、こちらの方と比較いたしますと、やはりそういう老廃牛馬というようなものに割合に競合性が生じてくる、そういうことじゃないかと思います。約二万五千トンの、これはもう冷凍したものでありますが、一年に全部消費されるというふうには私たち考えておりません。若干そいつは延びがあると思っております。
  20. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、先ほど説明を聞いておりますと、二万五千ドンという大量の輸入がなされたのですが、これは国内肉資源が非常に倒されておる、そこへこの輸入がふえたのだ、こういう説明のように伺いましたがね、この輸入については、畜産局は何らかそういう国内資源の減少に伴う行政措置として輸入を奨励したことによって入ってきたのですか。それとも、これは業者の自主的な形で入ってきたのか、どうなんですか。
  21. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 私の方は別に輸入を特に奨励するということはいたしておりません。ただ、やはり肉の相場がこういうように非常に高い状況でございますので、海外のそういう業者の諸君が、そういうものを輸入する計画を立てたのであります。で、一つ商社がやると、われも彼もという格好になってきた。そのために、私たち考えましても、やはり過剰を輸入であったと思います。それで、多くの商社がそれに従っていって、海外相場をつり上げる。こういうふうに、少し昨年の食肉輸入というのは、乱調子であったことは事実だと思います。私たちの方でも、もちろんこの海外食肉の問題というものは、あまり扱った商社がございませんので、いろいろと様子を聞きにくる場合は、もちろんございます。その場合には、いろいろな話を、私たちのわかっている話をいたしております。特に国内状況から見て、輸入を奨励したという形ではございません。
  22. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、先ほどから説明を聞いているというと、そういう輸入、二〇%にもわたる輸入をして、しかも生産者価格が下って、生産農民に対する影響考えられておるときに、何らかの処置をしなければならない、こういうことをおっしゃっておられるが、畜産局としては、外貨の割当その他でという御説明がありましたけれども、的確にそれじゃ輸入を規制する方法というのは、具体的にどういう方法があるのか。また、しようとする与えがあるのか、これを一つ明確に伺いたい。
  23. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 二万五千トンという数字は、国内におきまする大よそ一年間の食肉の一割でございます。大体一割でございます。二割と、こういうお話でございましたが、大体一割、そのくらいの見当になっております。  それからこれをどういうふうの形で調整するかという今お話でございますが、これは一番強いやり方ということになると、外貨割当の方式になると思います。しかし、外貨割当の方式ということにつきましては、これは関係方面とも相当やはり折衝を要する問題であろうと思います。その他、いろいろな方法考えられると思います。たとえば今あっせんをしながら、民間の食肉需要——食肉業者ですか、需要、実需の諸君を集めまして、協議会を今結成させております。そこらのものを結成させましたゆえんのものも、海外から、国内食肉の事情のよくわからない商社が買いつけておりまして、それを実需者につなぎます場合に、非常な問題がある。私たち、また、国内生産を見ておるもの、あるいは商社を見ておるものの立場から見ましても、無統制にそれが入ってくる場合は困る。実需者ももちろん困る。従いまして、そういう協議会を実は私の方は慫慂してきたわけでありますが、国内生産というもの、あるいは消費状況等、そういうものもにらみ合せまして、大体の見当を民間において立てていく。そしてそれが輸入業者等に、この程度のものならまだいいのじゃないかというようなことの、自主的な統制が可能であるような、そういう協議会を作らしたわけであります。そういうものの活用も、これは考えられる、こういうふうに考えております。
  24. 北村暢

    ○北村暢君 この外貨の割当は、これは通産なり、何なりが持っているわけですから、これを農林省外貨の割当まで直接やるわけじゃもちろんないわけです。そこで、この点についても、畜産局が相当しっかりしないと、この方法では、簡単にはなかなか規制をするということはできない。今協議会でやると、こういうふうに言われましたけれども、先ほどお伺いしたように、質の点から言っても、価格の点から言っても、まあ国内肉というようなものになると、これは相者嗜好というものがは——食べものですから、嗜好というものが入ってくるのは、これは当然です。ですが、食べてみて、あまり差がなく、値段が安いということになると、これはもうどうしても入ってくる可能性というものは、強力な統制機関というか、統制の処置という方法がないのですから、自主的ということになれば、そういうものが入ってくる可能性というものは、私は、やはりあるんじゃないかという心配は、これで払拭できないんじゃないかと思います。そこで、これはやはり畜産局としても行政指導をする上においても、やはり何らかの方法というものを早急に立てなければ、これは生産者の意思に沿うような形にはなってこないんじゃないか、こういうふうに思うのです。ですから、先ほどから各委員が言われているように、そういう面からいろいろ法律を見ましても、畜産関係にこの輸入を規制したりなにするような方法のあるような法的根拠のあるものは一つもない。ですから、おそらく行政措置しかないわけですから、そうだとするならば、やはり畜産局生産農民ということをまず土台に置いたところの考え方で、輸入の規制なり、何なりというものをやる、これは当然一つ考えてもらわなければならない。ですから、これは今直ちに回答をもらうといっても、これは無理な話ですから、こういう事態になってきて、関係方面の声も非常に強くなってきているのですから、この意思を早く体して、畜産局はすみやかに何らかの対策を出すべきだと、こういうふうに思うのです。  私は、質問はこれで一応打ち切りますが、なお、いろいろの資料を求められておりましたが、私も、もう一つ資料をつけ加えてお願いしたいのは、国内生産者価格と卸売価格、それから消費者価格の最近の動き、それから輸入したものの輸入価格と、それから消費者価格というもの、一つ価格の動向について資料を出していただきたい。そういうことを要望して、質問を終ります。
  25. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 海外からの輸入が、非常な勢いであるかどうかということは、やっぱり海外状況考えなければいかぬと思いますが、これは豪州、ニュージーランド等、かなり今年の見通しとしましては、輸入余力が少い見通しでおります。従いまして、これほどの多量のものが、二万五千トンというような多量のものが、果して今年も容易に入ってくるかどうか、そう簡単には、私は結論ができないと考えております。そのほかの地域はございますけれども、先ほど御質問がありましたような中共でありますとか、この近辺は、むしろ家畜伝染病予防立場から、輸入禁止地域にいたしておりますので、それほど容易に多量のものが入ってくるというふうには、私は、現実問題として考えておりません。ただ、おりませんけれども、やはり国内に対しまするいろんな影響等を考えまして、何らかの調整措置をとる必要はあるのではないか、かように考えておる次第であります。
  26. 東隆

    ○東隆君 私は、先ほどお話になった協議全会ですね、協議会をこしらえられるようですが、それの構成はどういうことになりますか。協議会をこしらえられるというのですが、その構成の中に、どういうものが入ってくるのですか。
  27. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) これは民間の団体でございます。民間の、肉を需要いたしまするもの、食肉業者、あるいは加工いたしまするために肉を需要いたしますもの、そういうものが協議会を開く、こういうことでございます。
  28. 東隆

    ○東隆君 われわれとして問題にしているのは、生産者とそれから輸入された肉との間に問題があるんで、それで、やはりこの協議会というようなものを作られるのは、これは何かその協議会に対して、ただ単に諮問とか、そういうようなことをなさる意図ですか。
  29. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 別に諮問といいますか、そういう諮問機関という意味でやっておるわけではございません。もちろん実際の実需の諸君が集まっているわけでありますから、いろいろな事情等を、私たちは聞くということはあろうと思いますけれども、むしろ、今のような形における輸入では、業界自体が非常な混乱を来たす、インポーターの方から申しましても、輸入はいたしましたが、それをさばく道につきまして、全然確信のない形で輸入をしておると、それが非常な混乱を起した原因じゃないか、そういうような意味から、民間の諸君がそういう協議会を作りまして、何らかの自主的な調整をやりたい、こういう考え方でありまして、私たちも、それは一つ方法であろうと、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから生産者輸入肉の問題、農家輸入肉の問題は、これはかなりその間に距離があるのであります。農家の牛の値段というものは、直接的には、いわばその仲に入りまする家畜商等が値段をつけるわけであります。で、やはりこれは家畜取引の現在のやり方というものを、たとえば農協がもう少しその仲に腰を入れるとか、あるいは家畜市場というものをもっと活発に合理化して使うとかいうような問題から始まりまして、この全流通過程においてのいろいろな問題が入ってくると思います。で、輸入肉の問題と農家の牛の価格の問題には、私は、かなりの距離がある問題だと思っております。先ほど来お話がありましたように、農家におきまする牛の価格が、食肉として売りまする牛の価格が買いたたかれる、これは、現実に経済的にこういうものが入りましたために、そういうところへ影響しておるということもあろうと思いますが、それ以上に、中間に立ちまするいろいろなそういう機構が、そういうことに籍口してやつておるということも考えられる。直接に経済的にこの輸入いたしました肉と、農家が売却いたしまする牛の価格というものとのつながりは、これはいろいろな問題を究明していかないといけないんじゃないか、かように考えております。
  30. 東隆

    ○東隆君 実は、私は輸入したものでもって作ったコンビーフを食べたことがある。コンビーフをカン詰でこしらえたそれを食べたことがある。それから輸入したそのものを加工業者がもてあまして、そうして販路を求めておることも実は知っている。そこで問題は、外国から入ったものは、冷凍されて相当貯蔵がきくんです。これが実は非常に問題になる。国内において調節をする場合に、もちろん国内のものを冷凍し、あるいはその他の形でもってやる場合には、価格調整になるけれども、外国から入ったもので国内価格調整をやられたんじゃ、これはもうとんでもないことになるわけです。そこで、私どもが考えなきゃならないのは、外国から入ってきたものは、急場の需要を満たすために入れるんですから、従って貯蔵されちゃ困るわけですね。そういう考え方に立つべきだろうと思うんです、少くとも生産方面から見たときに。それで、生産者とそれから輸入物の間には相当距離があるというようなお話ですけれども、実は、これは非常に距離はないんであって、直接生産者価格に響いてくる。これほど敏感に響いてくるものはないと思う。生鮮食料品であればあるほど敏感に響いてくるんで、ただ困ったことは、向うの方が貯蔵ができるような態勢に持ってこられるんで、その間で多少距離がどうとかこうとかという問題が出てくると思うんです。私は、そういうような意味で、国内でもって適正な価格を、もし農林省食肉の面でもって形成されると、こういう考え方ならば、やはり割当制を、強行突破して、一つそいつを獲得するのが一番いい方法である。こいつをやらないで、商人の利益を上げるということを目的に入れたんでは、これは業者が混乱するのが当りまえであって、そっちの根を絶たないでもって、混乱を防ぐために協議会をこしらえても、これはお話にならぬ。それで、その協議会はどういうことかといえば、結局、輸入価格でもって入ってきたものを、損をしないようにそいつを使って、そして、おそらくほとんど大部分は加工の方面に用いるだろう。それで、販路を求めたと言う先は、病院やその他の他大きな所で、しかも経済力がない、それで安い肉を必要とすると、そういうような方面に持っていったようですけれども……。そういう面があるわけです。だから、私はそういうようなことを考えてくると、もう少し農林省は強腰になって、そして割当制をやると、こういう考え方に立つことが必要だと、こう思うわけです。それから問題は、私は、肉の輸入よりも、飼料輸入ということをまず第一に考えんきゃならぬと思う。安いえさを輸入するということ。もし高いえさを輸入するというのだったら、これはもう肉も入れてもらっちゃ困る。こういう問題が私は関連してくると思う。肉が安いから、飼料は高いから、そこで肉を入れるんだと、これでは農村はつぶれてしまいますから、生産方面はつぶれてしまう。先ほどお話になったように、おそらく乳牛がふえていけばいくほど、半分は雄牛が生まれてくるわけです。そうすると、その雄牛は、たいてい農家はもう小さなときにつぶしてしまいます。しかし、肉資源というものを十分に考えていき、そして肉が相当な価格に維持されるということになれば、金切り牛として去勢してそれを養っていくでしょう。別に肉資源の方に振り向けていく。これがまた成り立っていく。そういうような過程が行われてくるわけです。だから、国内におけるところの少くとも農家の手取りの、何といいますか、肉価格ですね、そういうものは、ある程度のものを維持するということを考えないで輸入なんかさせられたら、これはもう国内においてはジリ貧の形になってくる。こういうことはもう当然の話です。そういうような意味で、もし国内でもって消費をする肉の一〇%が二万五千トンだというなら、国内における総体の肉の必要量というものは二十五万トンなんだから、その二十五万トンに必要な雄牛の肉の資源は、年々あるいはそれ以上に生産をする態勢をやはり作っていかなきゃならぬ。そういうものは、今の牛の頭数やそれからその他のものを考えていって、相当考えなきゃならぬことじゃないか。今問題になっておるのは、生肉としてやるんじゃなくて、加工する方面のものが非常に多いのですから、従って、加工の面を考えてくると、どういうことになるかというと、割当制を敢行しなきゃならぬというのは、おそらくカン詰となったものが入ってくるよりも、冷凍のものが肉資源として、加工の原料として入ってくる、入れる、こういうようなものについて考えることは、これはある程度必要かもしれません。国内において生産する。そういうような面があって、輸入カン詰とそれから肉資源のカン詰用のもの、こういうようなものは、やっぱりそういうような点を考えなきゃならないので、単に加工業者ばかりの集まりを開いて、あるいはそれに関連した者の集まりを開いて協議会をこしらえて、そうしてそこでもって出てきた意見に従って、業者はこれくらいの需要があるというわけで輸入をする、このようになったら、えらい目にあう、こう思いますが、そういう点をかね合せて、私は、やはり農林省がこの際確固とした立場に立って、そうして割当制をあくまで維持するという方向に突っぱる、こういう覚悟をきめていただきたいと思うのです。この点一つ
  31. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 海外からの肉は、加工に向いておるものがかなり多かったと思いますが、現実には、すでに東京では生肉として私たちの口にも入っておるわけであります。豪州肉等につきましては、生肉として小売店で売っておるわけであります。もちろんこの輸入問題につきまして、国内農家生産等をにらみ合しまして、何らか調整する必要があるとは考えておりますけれども、ただ、この問題がすぐに割当制のところまでいくかどうかということとは、実は、私たちまだ結論的には、いろいろな問題を検討すべきだと考えております。また、よしんばそういう問題がありましても、割当制云々の問題は、慎重に扱う必要があろうかと思います。とくと一つ検討さしていただきたい。割当をいたすということがわかれば、これはどの場合でもそうでありますが、非常に輸入はふえます。その制度をとる以前に、そういう問題がふえるという実情にございます。こういう問題は、よく御趣旨のところを考えながら、慎重に検討いたしたい、こういうふうに存じております。それからなお、私たちも、肉そのもので輸入いたしますよりも、必要ならばえさというような形、また、国内生産をうんと伸ばしていって、需要に見合うというように、伸ばしていきたいと考えております。おいおいそういうふうに進んでおると考えておりますが、ただ、安い肉で人ってきますこと自体は、これは考えようでありますが、やはり使いようとその量の問題だろうと思っております。それによって需要が拡大されるという面もございますので、やはりそれの使用方法と重いかんの問題、こういうふうに考えております。
  32. 東隆

    ○東隆君 次官も来られておりますから、私は、輸入をするならば、まず飼料輸入すべきである、食糧を輸入するよりも飼料輸入した方がいい、肉を輸入するのならば穀物を輸入した方がいい、こういう考え方です。これはどちらかといえば、結局、蛋白資源の方がずっと価格も高いし、それから穀物であるとか、そういうようなものは、これは太陽熱とそれから葉緑素ですか、土壌でもって構成されるものですから、従ってこういうものは、これは農民が自分でやれるものなんです。そこで、もう一つ高級のものと、こういうことになって肉だと、こういうことになるのですが、そういうようなものは、これはむずかしい問題だけれども、実は国内でもって生産の方向に進んでいるのですから、そういう生産の過程において、私は一番最下等にあるところのえさを輸入すると、こういう考え方を立てるべきであろう、畜産のこれは私は振興の根本的な柱になるだろうと、こういう考え方をいたしております。それで、なるべく肉は入れないことと、仕方がなければ穀物を入れる、その場合でも穀物よりもえさを入れる、こういう態勢をとる、こういうことです。  それから、今割当制はどうもだいぶ畜産局長困難のようなことを考えられておるのじゃないかと思うのですが、これは閣議でもってやはり決定をされて、そうして割当制の中にこれはぶち込んでこないと、これは農林省と通産省の、何というか、力のその開きを示すところのものでないかと、私はこう考える。農林省が弱ければ、これは割当制にならぬし、通産省が強ければ、割当制でなくてAA制になる、こういうものだろうと思うのです。で、輸入するものは、これはたいていもうかるものなのです。輸入商でもって損をしておるものはおらぬ。しかし、輸出をしておるものはたいてい損をしておる。輸出商というのは、これは貿易をしさいに調べてみればよくわかる、輸出をするものは結局損をする。損をしておるしわ寄せがどこにいくかというと、生産者の方にそいつがみなしわ寄せになってくる。それで輸入するものはもうけておるというのは、国内でもって需要があるから、それで海外から安いものを持ってくるわけです。向うで余っているものを持ってくるのですから、従って、そいつは必ず安い価格で入ってくる。それを国内で高い価格でもって売りつけるものですから、これはもうかる。そういう関係がこれははっきり出ておるのです。そこで、輸入するものについては、これは結局国内における生産者の犠牲においてなされておるのだと、こういうことをこれは農林省は当然考えていかなければならぬ。そういう見地から考えて、そうして農林省に少くとも関連するような品物輸入については、農林省は、これをできるだけ割当制にすると、これくらいの考え方でもって強力に一つ進めていただきたい、こう思うわけです。
  33. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 肉の輸入問題でいろいろ御意見があったようでありますが、昨年度、特に前年度に比べて約二万トンくらい多く輸入されたので問題が起っておると思うのです。そこで、今根本的な考え方としてお説がありましたが、農林省といたしましては、かねがね御議論になり、また、私どもも主張しておりますように、日本の農村といいますか、農林業者の生活の安定を守る政策を強硬に推進させると、こういう措置をとっておりますので、今問題になっております肉の問題についても、考え方としては、その線でいきたいと思っております。そこで、特に畜産と申しますか、こういうものについては、ますます強力にこの振興をはかりたいという時代でありますので、肉の輸入によって、そういう農村に大きな打撃を与える、肉の生産者に対して打撃を与える、こういうことは、できるだけ避けなければならないことは当然であります。まあしかしながら、ただいま農林省あるいは通産省どっちが力が強いか、農林省も相当力が強いのでありますが、しかしながら、事は申し上げるまでもないことでありますけれども、これはまあ農林行政ばかりではございません。単に農林行政だけを考えますと、大いに腕をふるって直ちに割当制にいたしたい、こういう考えも出るわけでありますけれども、まあ豪州あるいはニュージーランドから肉を輸入しておりますが、まあこれにかかわらず、やはり輸出入の問題がありますので、これは通産省は必ずしも輸入業者の利益をはかる、それのみに観点があるとも思いませんし、また、外交関係におきましては、やはり現在AA制になっているものを直ちに割当制にする、そういうことも相当外交上あるいは通商関係影響があると思います。でありますから、先ほど畜産局長も御説明申し上げたと思いますが、この問題は、先ほど申し上げましたように、また、皆さん御主張の趣旨に沿って、慎重に検討して対策を講じたいと、こういうふうに御了解を願いたいと思います。
  34. 上林忠次

    ○上林忠次君 次官からの御説明もありまして、今さら蛇足になるかもしれませんけれども、自動承認制というのはいつからなったか知りませんけれども、従来一千トンかそこらしか入らなかったのが、去年に限って二方五千トンも入った。どうもその点、承認制の時期もまだ聞いておりませんけれども、今農林省でやっておりますこの畜産奨励の大きな線を、今実現しつつあるのでありますが、とにかく安い肉が外国にあるのだという限り、自動承認制なんというものを置く限りは、これは日本畜産業の将来はさびしいものだ、畜産を奨励しながら、そういうような自動承認制で肉類を入れるというのは、一つ農林省政策の欠陥じゃないかと考えているのであります。なぜ去年特に入ったのか。自動承認制にだいぶ以前からなっているのに、去年まで入らなんだというなら、またそこに理由が何かあるべきでありますけれども、去年に限ってうんと入っている。これは永久に、今年も続くのじゃないか。肉の値段がどのくらいになっておりますか、まだ何も聞いておりませんけれども、輸入肉が安いのは当然だと思っておりますが、それに対して、今、東委員の御意見のように、飼料を買うたらいいじゃないかとおっしゃいますけれども、飼料も相当高いものだと私は想像いたしております。天然の飼料を買うて、日本で飼養した肉はどうしても高くなるのだ。それは外国では草類を相当主要原料にしている、主食にさしている。日本では土地が狭いので、草地もないので、牛を飼うにもほとんど濃厚飼料を使うておる。しかも高いものになっている。従って、外国の肉と比較しますならば、永久にこれは太刀打ちができないんじゃないか。あるいは永久と申しませんでも、もう少し日本畜産業が合理化されて、大きな肉資源ができるまでは、これはとてもいかぬと考えているのであります。私は、まだ去年の食肉のあの大きな輸入は、だからどういうふうな原因でああいうような現象が出たのかわかりませんけれども、とにかく、これは日本畜産資源の拡充ということから考えますならば、何とかこれは統制しなくちゃならぬじゃないか。外貨を割当する、しかもその外貨を割当して、安くして入った肉というものは、これはカン詰用か特定の用途に向けるというような措置をとらなくちゃいかぬじゃないか。このままでは、こういうような混乱を年々起すことになるのじゃないかと思うのであります。もう少しこまかく、去年のああいうような現象が起きたのはどういうような原因なのか、はっきり聞かないとわからないのでありますが、畜産局長から、もう少しこまかく私らが納得できるように話していただきたい。
  35. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 肉の輸入がAA制、自動承認制になりましたのは、二十七年からでございます。二十七年からずっと自動承認制をやっておりまして、先ほど来申し上げましたように、当初は百トン、あるいはその後千トン程度、それから二千トンということでいっておったのでありますが、三十一年のときには二千四、五百トンくらいふえております。それから三十二年になりましてそれが二万五千トンというふうに、まあ非常に膨大な数量が入っているということになっております。全然外国からの輸入がなくていいかどうかという問題になりますと、これは、私は少々のものが入っておってもいいんじゃないかと思っております。むしろ、国内との問題の調整作用を一つやっていくことかできると思います。ただ、こういうふうに急激に多くのものが一ぺんに入って参りますと、これは非常に混乱を起しまして、国内に対しまする影響も非常に強いと思いますので、何らかの調整をする必要がある、こういうふうに考えておるわけであります。戦前の日本の場合も、これは主として中国からの肉でありますが、相当な数量が入っております。やはり一、二万トンのものが毎年入っておりますというような状況でございます。国内資源需要に見合いましてふやしていくということでありますが、これは、もう当然私たちやらなければならぬと思っておりますし、また、そういう努力を続けたつもりでございますが、ただ、需要が急速に伸びました場合には、国内のふやすべき資源そのものに食い込んでくるという状況が出てくるわけでございます。それがたしか三十二年、三十一年の国内資源の減少という形になって出て参っております。やはり逐次伸ばしていく方向に持っていく必要がありはしないか。輸入の問題が、全然輸入しないのがいいというふうにも、私たち考えておりません。何らかの調整は必要だ、なぜ急激にこんなにふえたかという問題でございますが、これはやはり国内需要が非常に大きくて、相場が非常に高くなったということが一番の原因だと思います。それにいろいろと業者の思惑もあったかと思います。と申しますのは、三十二年、昨年から中共肉の輸入というような問題が、世上伝えられ、あるいはそういう問題に引っからみまして、商社が実績をとるためにやったというような説をなす人もございます。しかし、中共の肉輸入問題は、これは肉そのものの輸入というよりも、私たち立場からきますところの、家畜伝染病予防という立場から、禁止区域になっておりますので、そういうことはないのでありますが、ただ民間では、中共肉輸入の問題は非常に喧伝されまして、そういうものも実績かせぎだというようなことを考えたのじゃないかという説をなす方もございます。まあそういうことで、これがどういう理由かということになりますと、いろいろな見方があると思います。根本的には、非常な国内需要が旺盛であったということだと思います。
  36. 上林忠次

    ○上林忠次君 国内需要の旺盛になった原因と、もう一つは、中共肉の輸入の将来、それに対する実績をかせぐということで思惑へ走ったということがおもな原因らしいのですが、そういうようなことが続かないように、このままでいったら、ますますやはり今年も同じような状態になるのじゃないかということを、私は心配しておるのであります。それがひいては日本畜産界のこれからの発展に阻害を及ぼすということになりますので、どうしてもこれはチェックする機関がなくちゃいかぬ。まあ日本の肉の加工業に限っては輸入肉を使わせるとか、何とかそこに用途の上で差別をつけて、その輸入によって足らぬ分は、日本生産肉で補うていくというようなことになると思いますが、この用途を区分するとか、とにかく、農林省か通産省にチェック・ポイントを作りまして、適度にこれを抑制していかないと、日本畜産業に大きな影響を及ぼすのじゃないかと考えるのであります。先ほども申しますように、どうしても濃厚飼料日本で飼育しておりますものは、外地に比べて当分の間高い、何とか、草地の造成とかいろいろなことで農林省が施策を講じておりますけれども、もう少し資源が安価に得られるようになるまでは、もう少し保護してやらなければいかぬのじゃないか。このままでいくなら、せっかく畜産界の拡充強化をはかっておりましても、そこへブランクができるのじゃないかと考えておりますので、真剣にこれは一つ考えていただきたいと思っております。
  37. 鈴木一

    ○鈴木一君 年々国内需要が伸びていますから、計画的にこれを処理するということはなかなかむずかしい、かえって計画をやったがために消費者価格が上ったり何かして、消費者にまた迷惑をかけるというようなこともあると思いますが、少くとも、ここまで畜産行政がくれば、毎年の需要計画というふうなものについて、国内において供給し、それからまた輸入はどの程度ぐらいするのだというようなめどは、大体つけて仕事にかかったらどうだ。今のところ、お話を聞いておると、全く野放しで、前の総理の吉田さんの、出たとこ勝負だというような感じを受けるのですが、これじゃちょっと国内畜産を圧迫するのじゃないかというような懸念も、不安も出てくるのは、私はやむを得ないと思います。局長の説明では、決してそんなことはない、だいぶ距離が遠いのだというようなお話ですけれども、必ずしも私たちそう思いません。もう少し、むずかしいことであるかもしれませんが、需要の伸びることを計算に入れながら、需給計画というようなものをあらかじめ定めておく、それで輸入なんかも規制していくというような考えでなければ、畜産の今の問題は解決しないのじゃないか。いきなり、今、東さんの言うように、割当制まで持っていってしまえば、これは問題ないと思うのですけれども、農林省がだいぶ弱そうですから、そこまで持っていけなくても、需要計画ぐらいは畜産局でお立てになったらどうか、そういうように思いますが、いかがでしょうか。
  38. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) まあこれは、私たちの方でも、もちろん需給の推算というものはいたさねばならぬと思います。従来も需給推算というものはいたしております。ただ、これに対してどの程度の正確度を持たせるかというところに、実はいろいろ悩みがある、こういう問題の一つといたしまして、来年度の予算に豚肉の生産量予察の事業を開始いたしたいと思っております。一番豚が需給の谷間といいますか、需給のピークが激しく移り変りがございますので、まず豚の生産量予察を三十三年度から始めて参りたい、逐次こういうものの正確な計画、あるいは推算のできるようにいたしたい、かように考えております。
  39. 鈴木一

    ○鈴木一君 畜産は非常にむずかしいと思います。生きものを扱っているのですから。しかし、谷垣さんなかなかシャープなセンスを持っておられるし、(笑声)同時にまたそれがゆえに悩みも多いだろうと思うのですね。ですから、あまり悩まないで、多少問題があっても強引にやるだけの、何といいますか、腹をもって畜産行政に私は臨んでもらいたいと思う。いろいろ今後畜産の問題は出てくると思いますが、谷垣さん自身インテリであるがゆえに、その悩みがどうも行政の運営に出てくるような気がするので、大いに私は悩みはけっこうですけれども、悩んだ上は、一つ断固実行するというような、強い信念をもってやってもらいたい。別に答弁は要りません。
  40. 大河原一次

    大河原一次君 先ほど食肉輸入の問題でいろいろ質問があり、説明もあったのですが、先ほど委員の方からも飼料輸入であったならばというような話もあったし、いろいろあると思うのですが、現在は、食肉輸入という問題だけに限ってみれば、いろいろわれわれも幅の広い線で考えていいと思うのですが、しかし、僕は日本経済と、それから今後の日本経済をどうして伸ばしていくかという、こういう基本的な問題に触れて、その中で、こういう食肉輸入という問題を考えてみたいと思うのですよ。御承知のように、日本の鉱工業生産のものすごい伸びというものがある中に、一面反対に、農家経済の現状というものは全く大きな開きをしている現状なんですよ。特に今後の日本貿易輸入というものを考えたときに、あるいは輸出というものを考えたときに、日本は鉱工業生産は盛んに伸びておるが、実際は原材料というものはほとんど外国から持ってきて、それを加工してどんどんと盛んにしているわけだ。従って、東委員が輸出の問題について、もうからないということは、向うから原料を持ってきて、それを加工してやっているから、幅のある利益をもうけることができないわけですね。しかしながら、一面、今問題になっている食肉のような問題、あるいは農産物というような問題は、これは原料がかからないんですよ。農家の方がみずからの手によって作っているし、それからまた畜産の方も、先ほど来いろいろ触れられておりますけれども、みずからの手によって畜産をどんどんやっているのですから、そういったようなものは、自分の手によって作ったものを、それを加工して向うに輸出をするならば、うんともうかるはずですよ。同時に、農村の方から考えれば、農村の振興ということを考えれば、この農村加工の輸出というものは、僕は相当今後有利な立場に立っていくと思うと同時に、このことによって日本経済を大きく発展せしめることもできるでありましょう。そういう条件に立つわけなんです。ですから、こういうことを考えましたときに、少くとも食料品であるとか、農産物というものは、原則的にはこれは輸入しない方向に……。現状としては、いろいろの面においてやむを得ない点もあろうかと思います。現状としては。しかしながら、今日以後の日本経済の伸びを考えた場合には、そういう金のかかる原材料を向うから持ってくるよりは、そういう日本のいわゆる自家製品といっても差しつかえないような、自分の手持ちのものを原料として、そうしてそれを輸入する。こういうことによって日本経済の伸びが可能になってくるわけなんですよ。特に食糧の面においてはそうでありましょう。日本農家の経営を伸ばして、あるいは生産力を増強せしめることによって、そのことによって、一面は全体としての日本経済の伸びを見、一面には農家経済の発展を見ることが必要である。こういうことを考えたときに、私としては、先ほども言ったように、少くとも食料品、農産物というものは、これは原則として輸入をなるべく控え目にする。こういう建前でいくべきじゃないかと思うのですが、たまたま今食肉輸入の問題で、これはわずかの問題であるかもしれませんけれども、日本農家経営、日本全体の経済の伸びを考えたときに、そういう現在の鉱工業のような立場と違うのでありますから、私はそういうことを考えるべきだと思うのでありますが、そういう点についてちょっと……。幸いに石井大臣が見えたから、伺いたいんですが、一応あなたから御説明願いたいと思います。私はそういう考えを持っておるが、あなたの考えはどういう考えですか。
  41. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 御指摘のように、国内生産、ことに農業生産でできますもの、これはできるだけ国内生産需給のバランスを取っていきたい、これはもう私たちもその通りに考えております。そういう意味で、今後におきまして畜産の増産計画も実は立てているわけでございます。   —————————————
  42. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 委員会の途中でありますが、石井農林大臣臨時代理からごあいさつを申し述べたいとの申し入れがありますので、ここで申し述べていただくことにいたしますから、御了承願います。
  43. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 昨日、赤城農林大臣がソビエトと漁業折衝のためにモスクワに向って出発いたしました。留守中私が農林大臣の代理を命ぜられたわけであります。私、はなはだ農林水産に対する知識が乏しいのでございまするが、国務大臣として、全般的にわたりましてできるだけのことを留守中にいたして、皆さま方の御支援によって、議会にかかっておりまする問題はもちろん、農林省の各問題につきまして、留守をちゃんとあずかって行って、赤城君がモスクワで心配なく仕事ができるように、留守中やっていきたいと思います。どうか皆さま方の院内外における御支援を特にお願いいたしましてごあいさつといたします。   —————————————
  44. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 質疑を続けて下さい。  それでは、私もちょっと一言局長に質問してみたいと思いますが、私の記憶では、第二次余剰農産物のあれがあったと思う。そうして一昨年だったか、五億の金を芝浦並びに大阪の屠牛市場に融資して、そうしてそれは食肉販売、せり市場を目的として融資したように記憶いたしておりますが、それはどうなっておりますか。開設をしておるとすると、その効果が現われているかどうかということを御質問申し上げます。
  45. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) この余剰農産物の見返りの金で、すでに枝肉市場の建設、冷蔵庫、それから枝肉を売りますところの市場でございますが、それの建設をいたさせることにいたして、融資をいたしております。ただ、東京の芝浦につきましては、これは第二次余剰農産物のものではございませんで、その前年に農林省の方から補助金という形で出ております。余剰農産物ではございません。約四千万くらいの補助金を出しております。余剰農産物といたしましての見返り円を融資いたしましたのは、横浜、大阪、名古屋、福岡、広島、四日市、それに畜産加工を含めましたものといたしまして、札幌、それから千葉、群馬の農協でやっております高崎ハムヘの融資、これだけを見返り円で融資をいたしたわけであります。そのうちで、枝肉市場以外のものにつきましては、それぞれ施設ができ上っておる、あるいは会社が設立されまして、動こうとしている。一部北海道の札幌に関しましては、敷地の決定がおくれておりますが、これも遠からず決定を見ることと考えております。そのほかの芝浦、大阪等の枝肉市場でございますが、大阪はすでに枝肉市場といたしまして、中央市場法にのっとりまして、従来ありました関係会社が、二つの元受会社に整理されまして動いております。それから近く名古屋も同様の出発をすることになっております。その他福岡、あるいは四日前、広島、横浜というように、逐次動いていくことと思っております。東京の芝浦に関しましても、その後施設の竣工がおくれておりまして、延び延びになりまして、この三月一ぱいに施設が竣工する予定になっております。芝浦の竣工いたしました施設を使いまして、これを中央市場法に準拠したやり方で公開の取引、せりをやらせるように、強く申し入れをいたしておりますが、現在のところ、東京の芝浦に関しましては、大阪ですでに実施いたしておりまするような、はっきりした形で中央市場法に準拠するやり方というところにまで成案が至っておりません。東京都の方にきびしく督促をいたしておりますが、業界の整理という問題が含まれておりますので、現実問題としてそこまでいっておりません。で、都の方といたしましては新しく業者の全部を集めました団体を作り、それに融資をいたしまして、取引は公開の取引をするようにしたい、代金決済も今までの無期限のようなもの、あるいは延べ取引が通常でありましたものを、一定限度にまで縮めてやる、こういうような程度の案を示しまして、それで今動こうとしておるようでありますが、今申したようなことでは、中央市場法に準拠するという当初の建前にそぐわないものがありますので、それを実行するように、東京都の方に督促をいたしておる、こういう現状でございます。
  46. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) これはいわゆる成牛価格消費者の肉の価格成牛は下げても、いわゆる消費者の肉の価格というものは下らない。これは公開市場、いわゆる中央市場法による市場の開設ということがこの問題の根本的なものであろうと私は思うのです。すでに二カ年を経過しております。だから農林省は、畜産局長は、これをすみやかにやらねば改善の余地がないと私は思う。一つ、いつごろ実効が上がる見通しを持っておられますか。
  47. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 大阪は御承知のようにすでに出発いたしております。名古屋も最近に出発いたすことになっておりますから、それぞれの各地の施設が竣工いたしますと、今のような従来の業者を整理いたしまして元受会社という形をとって進んで参ることになると思います。東京都に関しましては、先ほど来申しましたように、その点の督促をいたしておる、こういうことでございます。
  48. 清澤俊英

    清澤俊英君 だめだという話ですね。私のところに入った情報では、もう新たな機関を持った会社組織に変更されて……、これは渡部君には言ってあるのだが、問題はあなたの言ったそういう貸付であるとか、何とかいうことで、今の会社を整理して、大阪のような形にすると、将来回収金が入らない。その額が現在五千万もある、それを非常に悩んでいるというのだが、そういうものは考慮してやらなくちゃ、希望するような会社を作れないのではないか。そこまでの踏み入った形で整理しようと考えておられるのかどうですか。
  49. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 従来の延べ取引をいたしておる代金の回収ができていないものが、どの程度あるかということは、確実なものはわかりません。五千万ということは——おそらくもう少し金額は大きいものになると思います。五千万以上の、もっと大きなものになると思います。数億のものになると思いますけれども、それは、個々の取引をいたしておるものの間の滞納いたしたものでございますから、それの計算等はできていない状況のようでございます。  それと、もう一つ問題になりますのは、その点は会社というものにいたしますれば、今の代金決済の問題あるいはその他の営業上のいろいろな点などが問題になるであろうと思います。
  50. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは、おそらく卸売会社ができてしまえば、因縁が切れるから、わざわざ返すようなことはない。結局欠損になると思う。こういうことを心配して、そういう踏み切りはつかないと言っているが、やはりそこまで踏み入って、国が少々犠牲を払っても、正常な取引ができるような方法を講ずる努力をするという腹がまえを、農林省は持っておるかどうか。それが実際だとすれば、なかなか完全な、委員長が言うようなことは、できないと思う。卸売会社を作ったが、今までの旧債はたな上げしてしまって、いつ取れるかわからないということになったら、これはこしらえっこないと思う。そういうガンがあったら、そのガンを——農林省として画期的な一つ方法をとるわけですから、これはやり方があるのではないかと思う。だから、もうちょっと踏み切った方法を提示して、正常な取引方法ができるような労力をする必要があるのではないかと私は思うが、どうですか。
  51. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 旧債をどうするかということの問題は、これは大問題だと思っております。思っておりますが、しかし、それを個々の商売の滞っている債権債務の関係、これを会社ができた場合にどういう形でこなすか、従来の取引の経路のままで、債権債務が消滅しておるわけではございませんので、そういうことで調節できるか。あるいはそれを全部会社にたな上げする形で持っていくか。今後の取引の場合にそれをやるか。また、旧債と申しても、実際上は取れなくなって、黙っていていいものも中にあると思います。また中には、今の取引の慣行から申しますと、どうせ根が延べ取引であるから、そのかわり売買の代金は高く売りつけるというような、いわゆる危険も見込んだような商売をやっておるものもある。そういうことがございまして、旧債の整理という問題に関しては、これは業者自体でも十分に考えるべき問題であると、私は考えております。
  52. 清澤俊英

    清澤俊英君 その問題は、取引の流通の問題を本気に解決する気ならば、国が少しくらいの犠牲を払ってやるという腹がまえがなかったら、これはできない。中央市場法の改正が今出たが、大事なところは全部目がない。目を抜いてある。ほんとうの事務的なところを少しばかり変えてきて、その流通が直るという考え方であったら、これはとんでもない間違いです。これは現憲法で保障されているところの人の権限をそれこそ相当奪うようなことをやるわけですから、補償の意味合いでも相当の額を投げ出すぐらいの農林省も腹がまえを持たなければ、そういうあれなんかはできないと思う。それが踏み込んでいくという私の言い方になる。それは今の小売店と卸屋の関係などにつきましては、卸屋の専属小売店というようなものにまで変革している。そういう業態がたくさんある。それがつぶれてしまったら金の回収がつかなくなる。そこに問題が、悩みがあるのじゃないか。だから、それが解決すれば、割合に早い解決を見ることができると思うが、私どもの郷里に近い所に業者の知己がおりますので、これらの人たちからいろいろ聞いておるのであります。だから、もう少し踏み切った考え方で整理してもらうようなことを考えられないだろうか。ただ何も一銭も出さないで、お前のものを取り上げて、こうせい、ああせいということは、それは少しばっかりうま過ぎた話だろう、こう思われるのです。そうは簡単にいかないだろう、私はそう思うのですが、もっとそういうふうにお考えになりませんですか。これはやっぱり局長あたりが本気になって考えて、そうして大臣らを動かしてそれをやらせるぐらいの腹がまえがなくちゃ片づきませんよ。私はそうだと思います。
  53. 北村暢

    ○北村暢君 今の問題に関連して。芝浦はそういうふうに行政指導でそういう努力を重ねているということは説明されましたが、尾道のような、頑強に公開のせりを拒否しているような所は、これはさじを投げたのかどうか、ちょっと関連してお答え願いたい。
  54. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 芝浦の問題からお答えいたします。旧債務は、これは非常に重要な問題で、私たちは慎重にその問題の対策を考えております。救済のやり方にはいろいろあると思います。業者同士の話し合いで済むというのが、これは本来の救済のやり方だろうと思います。ただその問題に一時に資金が滞るということがございましょうから、それに対する融資その他の処置、はこれはやはり必要である、そういうふうに考えます。  それから尾道の問題でございますが、これは枝肉の取引ではございません。家畜取引の問題であります。尾道に関しましては、これは漸次せりに持っていかせるという形で、すでに一日におきましては百頭のせりをまずやります。あとは現在正札の取引で、正札をぶら下げてやっている、こういう段階になっております。法律の命じておりますように全部せりにやる、もしくは入札制度をやるように、強く県当局の方に申しております。県当局の方もその線で指導しておる、こういうのが現在の状況であります。
  55. 田中啓一

    ○田中啓一君 芝浦の枝肉取引の問題は、ここで畜産局長を責めておってもなかなかいかぬと私は思う。また事態もなかなか畜産局長のお調べになっている、また折衝になっている間接の話を聞いているだけでは、なかなかこれはよくわからない。そこで、この問題はすでに枝肉取引をやるということで、何しろ四千万円というなけなしの金も設備に出している次第なんでありますから、これはやはり責任者の東京都を呼んで、適当な機会に、一体どういう次第で、東京都はどうするつもりなんだ、こういうことを一ぺん一つ明らかにしてみたらどうであろうかということを私は考えますので、なかなか当委員会多忙でありますけれども、一つ委員長、適当なときにお取り計らいになって、この問題だけは一つ明らかにいたしたい、かように思うのであります。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 本日は、これをもって散会します。    午後三時五十五分散会