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1958-03-13 第28回国会 参議院 農林水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十三日(木曜日)    午後一時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重政 庸徳君    理事            柴田  栄君            藤野 繁雄君            清澤 俊英君            鈴木  一君            上林 忠次君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            田中 啓一君            田中 茂穂君            仲原 善一君            堀  末治君            堀本 宜実君            大河原一次君            河合 義一君            北村  暢君            千田  正君            北條 雋八君   政府委員    農林政務次官  瀬戸山三男君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省蚕糸局糸    政課長     保坂 信男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林漁業団体職員共済組合法案(内  閣送付、予備審査) ○繭糸価格安定法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  農林漁業団体職員共済組合法案(閣法策一二九号、内閣送付予備審査)を議題にいたします。  まず、提案理由説明を求めます。
  3. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) ただいま議題になりました農林漁業団体職員共済組合法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  農林漁業団体は、農林水産業生産力増進農山漁民経済的社会的地位の向上をはかり、あわせて国民経済発展に寄与するために設けられた農山漁民団体であり、わが国経済の進展に貢献して参ったことは、今さら申し上げるまでもないところであります。  しかしながら、これらの団体現状を見ますと、必ずしもすべての団体が健全な発展を示しているとは言えない現状であります。  国としましても、これら農林漁業者中核的組織である農業協同組合等農林漁業団体の、農林水産政策上に占める重要性にかんがみまして、これら団体育成強化をはかるため、相当額財政支出を行なって、これが助成をいたしているのであります。  しかるに、これらの団体役職員はこれと同一地域社会にあって、その職能上、常に対比される立場にある市町村職員が、恩給あるいは共済組合制度の恩恵に浴しているにもかかわらず、それと均衡のとれた身分保証がないため、優秀な人材を確保することが保しがたく、このことが、経営不振の団体の発生する一因ともなっているので、この際、少くとも市町村職員が享受している程度年金制度の実施は、ぜひとも必要であると考えられるのであります。  一方、これらの団体関係者にあっても、農林漁業団体役職員共済制度の確立を、自己の出費の増大をもいとわず、熱望して参ったのであります。  従いまして、政府といたしましては、その必要性を認め、現在、これらの団体役職員の大部分が加入している厚生年金保険制度より相当充実した給付内容を有する年金制度を中心とする共済組合制度を設け、これらの団体関係者の永年の要望にこたえるとともに、農山漁民への奉仕に十全を期することといたしたいのであります。  次に、本法案のおもな内容について御説明申し上げます。  第一に、農林漁業団体職員共済組合は、農林漁業団体役職員相互扶助事業を行い、その福利厚生をはかり、もって農林漁業団体事業の円滑な運営に資することを目的とする特殊法人でありまして、本法案は、この組合設立組織運営、業務、経費補助及び監督等に関して必要な事項を規定しようとするものであります。  第二に、この組合は、特別の法律によって設立された農林漁業団体のうち、農業協同組合農業協同組合連合会及び農業協同組合中央会森林組合及び森林組合連合会水産業協同組合及び水産業協同組合共済会農業共済組合及び農業共済組合連合会漁船保険組合及び漁船保険中央会土地改良区、土地改良連合及び土地改良事業団体連合会、都道府県農業会議及び全国農業会議所開拓融資保証協会漁業信用基金協会並びにこの組合使用される役職員をもって組合員とするものでありまして、その団体数は、約二万七千、その役職員数は、約二十六万人であります。  第三に、この組合は、組合員であった期間が二十年以上である者が退職し、五十五歳に達したときに、退職年金組合員であった期間が六月以上二十年未満である者が退職したときに、退職一時金、組合員であった期間が六月以上である者が組合員であった間に疾病にかかり、若しくは負傷したことにより退職した場合において、その退職の時に、その傷病の結果として一定の程度廃疾状態にあるときに、その廃疾程度により、障害年金または障害一時金、組合員であった期間が十年以上である組合員が死亡したときに、その者の遺族に、遺族年金組合員であった期間が六月以上十年未満である組合員が死亡したときに、その者の遺族に、遺族一時金、退職年金を受けている者が死亡した場合において遺族年金の支給を受けるべき遺族がないとき等に、年金者遺族一時金の給付を行うのでありますが、いわゆる短期給付を行わない点が、他の共済組合と著しく異なるところであります。  第四に、掛金及び国の補助についてでありますが、掛金は、大体千分の七十八くらいで、組合員とその組合員使用する農林漁業団体等との折半負担とし、その掛金率は、厚生年金保険における掛金率の二倍余りとなりますが、給付もこれに応じ約二倍となるのであります。次に、給付に要する費用の百分の十五及び組合事務に要する費用の全額を国庫が補助することができることとなっております。  以上のほか、組合会、役員、審査会農林大臣の認可、組合設立手続厚生年金保険との関係等につきまして必要な規定をいたしております。  最後に、この法律施行期日は、昭和三十四年一月一日でありますが、それまでにこの組合設立手続も完了し、この組合も同じくその日に成立することとしております。  以上が、本法案提案理由及び内容の大要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  4. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 本法律案審査は、日をあらためて行います。   —————————————
  5. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 引き続いて繭糸価格安定法の一部を改正する法律案内閣送付予備審査)を議題にいたします。  この法律案については、すでに提案理由並びに法律案内容等について補足説明を聞きましたので、本日直ちに審査を行います。なお、この法律案は、本日午前衆議院農林水産委員会において全会一致をもって原案通り可決されました。  まず、質疑に入ります。御質疑の向きは御質疑願います。
  6. 柴田栄

    柴田栄君 本法案提出は、おそらく現状を基礎とせられまして、従来の措置では足らないということで検討された結果だというふうに考えられるわけですが、ちょうどこの法案提出を契機とするがごとく、糸価が非常に暴落したという事実があるわけですが、その後の糸価推移というものはどんなことになっているか、一応お伺いいたしたい。
  7. 保坂信男

    説明員保坂信男君) ただいま糸価推移についてのお尋ねでございますが、生糸価格につきましては、昨年上期におきましては、おおむね二十万円前後の推移をしておったのでありますが、下期から若干下りぎみになって参りまして、特に十二月以降におきましては、現在の最低価格でございます十九万円におおむね膠着したような状態推移をして参りました。特に、最近三月に入りますころから、先物相場につきまして八月限、七月限等先物につきまして、十九万円の線を下回る相場が現出をいたして参りまして、政府持ち込みが非常に増加いたしますと同時に、政府買い入れ資金がだんだんに減少をして参りますので、そうした先の糸価維持に対する、何と申しますか、不安感等が若干ございまして、先般は八月限、七月限等で十七万円台の相場を現出する状態が出たわけであります。最近、若干それを持ち直しまして、十八万円台の相場先物として出ておるわけであります。当限につきましては、大体十八万九千円台でございますから、水準といたしましては最低価格の十九万円程度でございますが、先物について、さような現状が出て参っておるわけでございます。
  8. 柴田栄

    柴田栄君 おそらく繊維関係は、現状においてはすべて不況であるという影響を、当然生糸等においてもこうむらざるを得ないというのだということはわかるのですが、生糸は、一面において非常に輸出というものが大きな対象になっておるからというふうにも考えられるわけですが、輸出見通しが悪いというようなために、さらに不安を感じさせるということもありはしないかと思うのですが、輸出見通し等は、どんなふうにお考えになっていますか。
  9. 保坂信男

    説明員保坂信男君) 生糸輸出につきましては、昨生糸年度におきましては、生糸において約七万一千俵程度のものが生糸年度として輸出されておったわけであります。そのほかに、絹織物といたしまして、生糸換算で四万数千俵のものが輸出をされておったのでございます。本三十二年生糸年度におきましても、上期におきましてはおおむね前年のスケールで推移をいたしましたが、その後、ただいま申し上げましたような糸価不安の現況でありますので、特に本年に入りましてから、一、二月等は、前年実績から比べまして、非常に低調に推移をして参りました。これは今申し上げましたような糸価先行き不安というような面から、買い控え現象は、相当強く出て参っておりますので、海外からも糸価安定に対する最高、最低価格等決定をすみやかにすること、あるいはそれに対する裏づけを明確にするというようなことが、強く要望をされて参っておるわけでありますが、そういう対策について、私どもも鋭意努力し、検討をしておるわけでございますが、そういう点がはっきりと目安が立つならば、十九万円の価格自体につきましては、海外需要者といたしましても、これが買い手として高過ぎるという声は一切ない現状でございますので、糸価が確実に安定するということであれば、相当買いがつきまして、輸出軌道に乗って参るものと考えておるわけであります。海外有効需要といたしましては——もとより景気の停滞なり、特に繊維産業界不況というような面はございますが、有効需要自体は、海外宣伝需要増進努力等によりまして、潜在需要相当あるということが、輸出関係等の商社の専門的な見方からいたしましても、いわれておりますので、そうした措置が万全を期せられますれば、輸出につきましても相当軌道に乗せて行くことができると考えておるわけでございます。
  10. 柴田栄

    柴田栄君 一応糸価が安定すれば、養蚕家も安心して生産につけるということに相なると思うわけですが、かような不安な状態で、養蚕家計画等も非常に先行きを不安に考えるというふうな状況はないのですか。
  11. 保坂信男

    説明員保坂信男君) 糸価の不安につきましては、現在、すでに御説明を申し上げておりますように、政府特別会計資金といたしましては、現在におきましては三十億の現金と、三十億の借り入れ限度、さらに現金積立金が五億五千万円程度ございますので、六十五億余りの規模におきまして、政府買い入れを行なっておるわけでありますが、現段階におきましては、約二万二、三千俵のものが政府買い入れとなっておるわけでございまして、従いまして、残る資金がだんだんと細って参る実情にあるわけでございます。もちろん、これに対しましては来年度の措置といたしまして、大蔵委員会に御提案申し上げております糸価安定特別会計法の一部改正をもちまして、借り入れ限度を、さらに来年度におきましては、二十億増額するような措置を、あわせてお願い申し上げておるわけでありますが、それにいたしましても、三十二生糸年度の繭の生産相当豊作でありましたことと、さきに申し上げましたような事情によりまして、最近輸出があまりかんばしくないというような事情も加わりまして、さらには三十二年晩秋蚕相当な成績でもありましたので、引き続き三十三年の秋蚕につきましても相当増産傾向が見られるというような関係もございまして、価格の問題につきましては、政府糸価維持対策に大いに業界といたしましても期待をいたしておるわけでございます。もしそういうことが不十分であれば、御指摘のように、糸価、ひいては繭価維持というような点について、いろいろ不安を感ずるというような状態も出て参ることが考えられるわけでございますので、そういう面につきましては、糸価並びに繭価を通じて、農家に対しましても不安のないように、われわれといたしましても最善の措置をとって参りたいということで、せっかく検討をいたしておるわけでございます。
  12. 柴田栄

    柴田栄君 まあ将来相当生糸消費が増加できるという見通しなら、手持ち等消化早期に期待できると思うのですが、現状においていろいろな手を打たれるとしても、そう早急にこれが消化を見て、資金の余裕を見出すことができないというふうに想像されるのですが、そういたしますと、現在すでに二万二、三千俵を持っているのだ、これがなかなか早期には消化できないということになると、現在の六十五億五千万円、その程度では、もうほとんど余力があまりなくなっているのではないかという気がするのですがね。こういう状況推移した場合に、さらに二十億の資金を増すというような、二十億という限定をすることによって、ちょうど御承知通り、この法案閣議決定を見たということで、さらに不安を感じて、思惑等が入って暴落の原因をなしたのではないかとさえ想像される場合に、これだけの措置で、見通しが立つというようなお考えでしょうか。
  13. 保坂信男

    説明員保坂信男君) ただいま御指摘の点は、今の資金状態先行き見通しが立つかというお尋ねでございますが、まあ現実には、本生糸年度の繭の量と、それを製糸家が糸にして市場に供出をいたすわけでありますが、その関係からいたしまして、現在まですでに本生糸年度だけで今お話し申し上げました二万二千俵のうち、昨年度末のものを除きますと、二万七千俵程度が本生糸年度に入ったわけであります。今後、生糸年度といたしましては、三、四、五月と残されておるわけでございますが、その間に、前の量から考えましても、なお若干の数字政府に持ち込まれることが考えられるわけでございます。当面製糸業界に対しましては、こうした事情下にもありますので、四月、五月と若干繭の引き延ばしをいたしまして、当月の生産を規制するような措置を、政府といたしましても、いろいろ御相談申し上げまして、製糸業界自体といたしましては、それらの措置について、最近に具体的に検討をいたされておりまして、近く今月下旬からは調整組合調整規定の発動によって、そういうふうな措置をとられると考えておるわけであります。そういうこととあわせまして、現在の資金量によって若干の繰り延ばしと申しますか、の措置は可能であろうと考えられるのでございますが、さらに春蚕のでき高がどういうふうになりますか、いろいろ、例年災害等もございますので、それらの事情等をも将来見合せまして、なお不足するような事態も予想されないではないと考えられます。そういう場合については、十分なる対策検討せねばならないと考えておるわけであります。
  14. 柴田栄

    柴田栄君 これは次官にぜひ一つ決意をもって御検討願いたいと思うわけですが、この法案改正は、もちろん大体の見通しを立ててはやっておられると思うわけですが、不安を与えるということが、かえって措置をとってマイナスになるというようなことも考えられるわけでございまして、いずれ政府がてこ入れをして、妥当な価格を維推しつつ養蚕を振興していこうという意図から出たものであると、われわれ考えるわけですが、そういう建前からして、不安のないように、十分な対策を考究されなければならないと思うのですが、それらについては、御決意はありましょうか。
  15. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) この問題については、当委員会、また衆議院農林水産委員会におきまして、非常に御心配をいただいております。もちろん製糸業界、あるいは今お話がありましたように、繭の生産農家についても、ある程度の不安をかもしておることは事実でございまして、この事態を収拾するといいますか、安定させなければならないのであります。そこで、先日の委員会におきまして、ちょうどああいう暴落的な糸相場が出ました翌日でありましたか、関根委員からも御質疑がありまして、私どもの所信の一端を申し上げておいたのであります。政府といたしましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、現在の六十五億の資金のほかに、さらに二十億の借り入れ限度を増加する改正案をお願いいたしております。今お話のように、現在約四十億の買い入れをいたしておるのに、さらにかりに二十億増加いたしましても、あと四十億ぐらいで、今のような推移で、解決ができるかという問題については、いろいろ議論があるわけでありますが、農林省、あるいは政府といたしましては、事態推移を見ながら、それに対する対策を立てよう、しかし、そういう事態推移を見ながら対策を立てると申し上げても、ただその場になってから対策を立てるということでありませんので、せっかく今御審議を願っております——きょうは糸価安定の審議会も別の場所で行われておりますが、そういう意見等も勘案いたしまして、さらにまた、これはまあ自由民主党、社会党に限らず、両党とも非常に心配してもらっておりまして、この際、資金額の増加二十億のほかに、政府決意を正式に表明する必要がありはしないか。こういう御意見が出ております。そこで私どもといたしましては、きょうの糸価安定審議会結論等も勘案いたしまして、政府部内におきまして検討を加え、必要があるとなれば、閣議決定等措置を講じて、この安定の目的を達したい。こういう考えで今進めておるところでございます。
  16. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) これはやはり時間の問題もあるので、すみやかにやってもらいたいということをお頼みしておきます。
  17. 千田正

    千田正君 次官お尋ねいたしますが、あるいは課長さんでもいいですが、お隣りの中国が最近非常に養蚕業に力を入れておる。そうして東南アジア市場等においては、日本の糸と競争しても負けないだけの品質のものも出てきつつある。やはり安い糸を相当供給してきておるために、日本の糸が東南アジア等においては、どうも従来のような売れ行きが思わしくない。それから一番買い手であったアメリカでも、園内における化繊その他の国内産業を守るために、日本生糸に対して相当輸入制限をやっておる、こういうような状況下において、さらに国内においては中小企業等の整備に従って、大企業であるところの大会社製糸業ども操短せざるを得ない立場に置かれておる。こういう非常に八方ふさがりの環境下において、ただいま糸価維持法改正が出てきましたが、これは農林省やわれわれのみならず、日本経済政策それ自体に抜本的な改正を加えなければ、将来先細りになっていくのじゃないか。たとえばわれわれはこういう糸価安定法を農民のために、生産者のために作っても、これを取扱うところの中小企業者あるいは貿易の分野におけるところの市場開拓、そういう点が十分でなかったならば、これはもう毎年々々かかえ込んで、相当苦しんでいかなければならない、こういうふうに、私自身は、この先の杞憂を持っておるのですが、それに対してどういう見通しを持っておられますか、一応承わっておきたい。
  18. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 御承知通り生糸需要及び国際貿易と申しますか、輸出の問題は、いわゆる化学繊維等の新しい繊維類の発達によりまして、これは相当の打撃を漸次受けておることは事実でありまして、それが今日の事態の大きな原因であろうと思うわけであります。しかしながら、私どもはほんとうはしろうとでありますけれども、いろいろ専門家意見を聞きましても、生糸には生糸の別なよさがある。このよさを発揮することによって、まだまだこの需要が必ずしもそう停滞するものじゃない、こういう見通しを持っておるわけであります。そこで、今お話がありましたように、中共産生糸というものは、だんだん力を入れておりますから、だんだん発展するという傾向にあるわけであります。私ども専門家意見を聞いておりますのは、現在のところでは、その品質程度、あるいは需要先が主として欧州ということになっておるそうでありますが、現在のところでは、まだ日本産の生糸中共産生糸が競争と申しますか、相反するという程度にはなっておらないそうであります。しかしながら、中共においてももちろんいろいろ研究をされるでありましょうから、それは将来にそういう場合を予想して、日本としては対策を講じなくちゃならない、こういう考えを持っております。一面におきましては、この生糸については国内需要、それから主としてアメリカの方の輸出需要と、こういうふうになっておりますけれども、今後は、やはり使用と申しますか、品質とその使用方法について、専門家は現在も続けておりますが、もっとそういう面において工夫研究して、その需要を促進する、需要を増大する、こういう道を開く努力をしなければ、なかなかこの問題は、安閑としたことではいけないのであろう、こういう考えをもって、せっかく進めておる。こういう状況であります。
  19. 千田正

    千田正君 政務次官のお考えと、私も同様に考えておるのですが、それで、アメリカ側が受け入れなかった、あるいは将来とも難関はなかなか突破できないとすれば、貿易のこれから対象になるところのマーケットの開発ということは、これは当然もっと積極的にやらなくちゃならないということと、国内におけるところの、かりに十万ポンドいけなくて、今度五万ポンドしかいけなかった、五万ポンドかかえなければならないという問題が起きてきたときに、それをいかにして国内消費に振り向けるか、国内需要並びに生産というものに対して、これは通産行政と一致しまして、中小企業の援助とともに、国内使用ということを考える。ところが国内においては御承知通り化繊産業という近代産業というものは、われわれのそういうものに対する一つの大きな敵といっては語弊がありますが、ライバルとして現れてきておる今日ですから、容易ならざる段階にあると思う。少くとも国内需要の点だけにおいても、十分に政府としては通産及びその他の官庁側と十分に御協議いただいて、その善処する方法考えていただきたい。そうしないと、毎年々々ストックをかかえて、財政上のやりくりをやっていかなくちゃならない非常に苦しい立場に追い込まれると同時に、これは生産者に対しては大きな影響を及ぼすと考えますので、特にそういう点に留意されることを要望しておきます。
  20. 清澤俊英

    清澤俊英君 現在滞貨と称するものはどれくらいあるのですか。滞貨には保管会社、それから政府手持滞貨、外地における滞貨市場滞貨、こういうもつのを全部まぜてどれくらいありますか
  21. 保坂信男

    説明員保坂信男君) 概略の数字を申し上げますと、現在政府に手持ちいたしました数字は二万二、三千俵でございます。保管会社が現在持っております数字が約三千八百俵でございます。市場在庫は、国内における市場在庫は約二万俵程度でございます。横神——横浜、神戸の問屋筋その他工場在庫等を含めまして、アメリカ在庫は約二万俵といわれております。
  22. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで、今これから製造していくという繭はどれくらいありますか。これから年度がわりの五月までの繭の在庫量はどれくらいあるのですか。
  23. 保坂信男

    説明員保坂信男君) 繭の在庫量は、今詳細に記憶いたしませんが、大体一月末で、工場の繭在庫は前年同期に比しまして約一五%くらいの増加になっておりまして、それが通常の場合は生糸年度がかわりますから、すなわち六月から新規年度でありますが、その場合に、通常五、六十万貫のものが通常の年度でも新規年度に繰り越される実情になっておるわけであります。それから考えまして今後おおむね毎月その程度の繰り越し在庫といたしますと、月間二万俵余り生産になると考えられます。
  24. 清澤俊英

    清澤俊英君 これはほかから入った数字で、どこで見つけたかわかりませんが、私の聞いている範囲では、これからの在庫が約八百五十万貫。
  25. 田中啓一

    田中啓一君 そんな見当でしょう。
  26. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは大体そのくらいでいいのじゃないかと思っておりますが、それで二月分、この買い掛けは今ずっと進んでおりますから、従って二月に入ってのこれからふえる買い上げ量、保管料等のお見込みはどれくらいになっておりますか。それから四、五の手持ち滞貨が、買い上げその他も全部入れて、どのくらいありますか。どういう御予定になっておりますか。それらの目安ついておりますか。
  27. 保坂信男

    説明員保坂信男君) 二月の政府買い上げは、実績が出まして、これは約六千五百俵であります。それから三月の一日からただいままでの数字が約二千六百俵であります。いずれもこれらを含めた数字が、先ほど申し上げました現在の二万三千俵程度政府買い上げ数量に、結果として相なったわけであります。  今後どのように買い入れが進むでありましょうかということでありますが、三月におきましては、これはこれからのことでありますから、的確にはわからないのでありますけれども、おおむね上期の今までの趨勢等から考えまして二月の実績程度に近くいくのではないかというふうに考えております。そのあと、先ほど申し上げましたように、製糸業者といたしましては、一応、三月の下旬——現在では二十五日からと想定をされておりますけれども、それと四月、五月は、若干生産の調整をいたしますので、従いまして、市場に出回る数量としましては、若干抑制をされて参りますので、その間に入ります数字は、その点から考えますと、ずっと減少するのではないかというように考えます。
  28. 清澤俊英

    清澤俊英君 どうもかなわぬですね。大体三月だが、十日までの間に、きょうは十三日としましても、二千六百俵、そうすると、これから三月一ぱいを見込みますと、五千俵と見込んでいいわけですね。この率でいけば、大体五千俵と見てよい。そこで四、五になりますと、それがまた押して出て、一万近く毎月出るのではないか、何か業者の方では、一万五千ぐらい出るのじゃないかというように見ていますが、どういう予定でそれを見ておられるか。と申しますことは、現在で、さっきの二万三千、これは玉糸も全部入って二万三千俵と、こういっているわけです。これが買い入れ金が大体四十三億円ぐらいになっていますね。そうしてこの法案が通ってワクが二十億余り……、あとは四十二億ばかりとなりますね。前のやつが六十五億五千万ばかりあるのですから、四十二億ぐらいしかない。それがこれ以後に使われると、三月五千の、四、五、毎月一万ずつ二ヵ月というと二万五千。そうでしょう。これは大体それで予算を使ってしまう。使用後少したって、ごちゃごちゃしているうちに新繭が出る、こういうものが出てくる、そこが私は重大問題だと思う。今どんな買い入れの計画を持っておられるか、これをまず明確にしてもらわぬと工合が悪いと思う。三月はどれぐらい買うのだ、四月は大体どれぐらい買うのだ、五月はどれぐらい四買うのだと、非常にどうもこっちは何だか楽観したお話を聞いているけれども、そう簡単にいかないと思うのだが、こういう数字でいきますと……。どうお考えになるのですか。資金も頭を打つことはわかっておる、五月に入れば、繭の資金は。
  29. 保坂信男

    説明員保坂信男君) ただいまお話のございましたように、三月におきましてはすでに現在で二千数百俵になっておりますので、二月が実績は六千五百程度でございましたから、三月におきましてはおおむねその程度買い入れる可能性が強いであろう、従いまして、あと四手俵あまりは政府に入る可能性があると考えます。ただ私が申し上げましたことは、ただいま製糸業界の方で検討されておりますのは、製糸家中小企業安定法によります調整組合におきまして、二十五日から約三割程度、数量にいたしまして二万俵程度の操短をいたそう、こういうふうに進められておりますので、それが確実に実効が上るといたしますれば、先生の御指摘のように、その後一万俵あるいは一万五十俵入るであろうという向きは、市場に対する供給として減じて参るでありましょう。そういうことから考えまして、これはゼロとは考えられませんが、若干の受け入れでその操短が徹底いたしますれば、その後は、政府に入るのは減少するのではないかと、こういうふうに申し上げているわけであります。
  30. 清澤俊英

    清澤俊英君 それでも、若干は減るでしょうけれども、今現在は六十俵を目安にしておる、こういうお話ですが、四—五は大体しからばどれぐらい見込んでおられますか、若干……、三千俵になるのですか、二割の操短をやって三千俵減ってくるのですか、それとも輸出が急にふえてきて、需要が急に増大してきて、そう買い入れないでいいというはっきり目安がついておるのか、そうでなかったら、よくよくの場合でも六千俵……、約五千俵近くは買い上げてもらわなければならぬ、こういう数字が出てきますね、二割減らしたとしても、三月の実績から見て。そうすると、これだけでも一万約四千から五千俵、二割操短しても買い上げなきゃならぬ。もう資金は全く枯渇してしまう、あとはどうにもできないということになっちゃう。そうして生産が減りますれば、従って、繭の手持ちが今度はふえてくる。そうこうしているうちに新繭が出る。そうして糸の値は御承知通り、先ほど御説明通り先行きは下っておる、七月は下っておる。適格品でも座操糸などでは、何か市場で十六万五千円ぐらいに売っておる、こういうものが残っておる。そうしますると、必然にまあ糸というものが下る傾向にあることはわかります。そこでお伺いしますのは、そうだったら、新繭の出回り期における糸価安定は、農林省としては、どうしても十九万円から二十三万円の、やはり今までの線を堅持せられるおつもりなのかどうか。そういう情勢の中でこれが繭価協定が成立するかどうか、お見通し、はっきりしたところを聞かして下さい。
  31. 保坂信男

    説明員保坂信男君) ただいまお尋ねのいろいろな事情の心配もございますので、政府糸価安定特別会計資金の側といたしましても、今後の三月等における見通しが、かりに今申し上げましたような実情で推移するか、あるいはそれよりももっとふえるか、いろいろな事情も今後十分勘案をいたしまして、先ほど政務次官お話にもございましたように、政府として糸価維持に対する資金の手当なりあるいはほかの具体的な方法なりを検討して、その措置を打ち出すことが考えられるわけでございますが、同時に、業界といたしましても、これが制度の維持について自主的な協力といたしまして、生糸生産の操短というような面にも努力されておりますので、四月、五月等につきましては、若干需給は改善をしてくる。特に具体的ないろいろな対策について、現在は目下資金状況がどういうふうに推移するか、どういう手当が行われるかということの一挙一動によって横浜、神戸等の取引所の相場というものが敏感に反映しておるわけであります。そういう点がかりに固まって参りますならば、海外における買い控え等も終息をいたしまして、需要期にも入りますことでもありますから、買いに出られるというようなことをあわせて考えて参りますと、その推移によって改善をしていくようになるのではないか。それには、もちろん政務次官のおっしゃられたような、必要な場合には具体的な対策を講ずることは前提になろうと考えるわけであります。
  32. 清澤俊英

    清澤俊英君 今あの操短のやり方はもうきまったんですね。そうして操短でそれをやっていくということは、生糸業者の方で自主的にきめておったんですね。だから操短はわかっています。操短しても手持ち繭を全部つぶすということになると、それをやっても月間二万三千俵くらいは出てくる。二万三千俵はどうしても作る。それだけで、その操短のあとの機械で。そうすると、これは労働組合の手合いが言うているのですが、三月二十五日、いわゆる年度、月がわりの計算でも、二十五日から三十日までですかの三月切りで、それだけで二千俵はどうしても買い上げをしてもらわなければならぬはずである。これは大体合っているだろうと思うのです、あなたのお話と。そうして二、四月になれば、どんなことをしても一万俵以上買ってもらわなければならぬ実情に追い込まれる、こういう心配をしているのです。それはまあ労働組合の心配でありますから別としまして、あなたのおっしゃることをそのまま聞いたとしても、言われるがごとく、この年度がわりまでに糸の需給関係が好転して、上るとはどうしても私は見れない状況じゃないか。業界一般はそう見ていないのじゃないか。どうもそこのところが楽観に過ぎて、われわれ安心できない、こういう問題が残ります。今度は六月からは買い入れ資金はない、七月になれば新繭は出る。言われるごとく楽観していいんですか。それはそれぞれ見方ですからどうでもいいのですが、そういう楽観は許せないと思うのです。いま一度はっきりしていただきたいと思います。
  33. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 決して楽観しておるわけじゃない、非常に心配しておるのです。心配いたして、今、業界の操短であるとかいうようなことも、とにかく先行き安値が出やせぬかということでありまして、これは商売でありますから、言うまでもなく海外においても国内においても買い控えをしているという状況が、ある程度あるのであります。それが因となり果となって売り急ぎをする、早く政府に買ってもらおう、こういう事態が最近起って、ああいうことになっておると思うのでありますが、そこで、あくまでも価格維持をしようという決意をいたしておりますので、その線がはっきりして多少——先ほども申し上げましたように先般の十七、万幾らというものがだんだん盛り返しておりまして、十八万幾らになっておる状況でありますから、糸価がその程度安定帯にくれば、先行き安くなるという輸入面の、何と申しますか、考え方が変ってくる。そうすると、ある程度輸出増進するであろうし、また、国内需要も安定するということになれば、さらに伸びるであろう、こういう見方もいたしておるわけであります。そういう各般の要素を勘案して、その推移を見ながら、そして先ほど申し上げましたように、資金の面における不安のためにその安定が得られないというようなことがあってはならないから、そういう状況を見ながら、必要だとすれば、さらにそのてこ入れをするという措置を、今検討を続けて、そういう決意をしようと、こういうことでありますから、御了解願いたいと思います。
  34. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは政府の希望じゃないのですか。繊維は生糸だけでなく、かえって他の繊維の方が下っておる。だからこの際、生糸までが安定線を割りましたら、他の負い目にあっている繊維に非常に影響があるのだから、政府としてはそういう線を希望してやっておられるのじゃないか。先日も何か新聞を見ますと、今日出ている毎日の市況相場の十九万円というやつは、これはあまり新聞などに実勢を発表すると、非常に輸出影響があるから、一応発表だけは十九万にしておこうじゃないか、こんなことで出ているのだというように、新聞にも出ておりました。それからけさ何気なしに日経を見ますると、「心細い生糸輸出、安定法の不安たたる」と、こうあるのですが、そのたたる理由はどうかといったら、十九万に価格安定をしているから問題が生じると、こうなんです。だから現実としては、もっと糸を下げんければならぬのだ、それがためには、不況対策の根本策に対しては、蚕糸大会を開くとか何とか言うて、糸自身の値下げをやらなければ、この不況対策はないのだ、価格安定で幾ら買い上げてみても、それはできないのだ、他の繊維との競合上、割高になっているのだから。こういうさなかなんです。それだから私は心配するのである。そういう全体の空気の中で、政府で言うておられることは、先行きがどうのとかこうのとか、自分の希望じゃないですか。希望をはずれた側の空気が、ずんずん輸出を押しておりますとき、そういうお話だというと、何ともわれわれは納得しかねるのです。と申しますことは、おそらくそうおっしゃるあなた方としましては、本年の価格審議会に御諮問なさるときは十九万円の最低、二十三万円最高を打ち出して、御諮問をなさるおつもりなんですか。それから先聞いていきましょう。
  35. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) もちろんそういう考えであります。これで、これはまあ議論をいたすわけではありませんが、なるほど生糸以外の繊維品は、御承知のように相当不況と申しますか、になっておりますが、これはまあ他の繊維にいたしましても、好況のときもあり不況のときもあり、非常に波があるわけでありますから、今不況だから直ちに糸価もくずして、もう少し低いところに安定させなくちゃならぬということには、私ども考えておりません。安定法はあくまでもそう高くもない安くもないというところで安定さしていこう。先ほど糸政課長から申し上げましたように、たとえばアメリカの業者などは、何も特に安いことを望むのじゃなくて、一定の安定した糸価を見せてもらいたいという要望も私は聞いておる状態でありますから、価格の変動があるということが、たとえばアメリカ等における業者の、ざっくばらんにいって、商売がやりにくい、こういうことなんだと思いますけれども、特に安いことを——これはまあ商売でありますから、安いことはいいのでありますけれども、安かったり高かったりすることは非常に困るのだ、こういう状況でありますので、これは相当恒常的な価格維持をするという趣旨の安定法であることは申すまでもないわけでありますから、他の繊維産業の非常な波に従って、糸もその波に応ずるという考え方は、現在のところ、しておらないのでございます。十分今お話のようなことも、もちろん心配はいたしておりますが、他の繊維の景況に従ってこれを全部もう見捨てるのだ、あるいはこれは望みがないのだという考えは、今持っておらないわけであります。
  36. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと向きを変えてお伺いします。輸出絹織物は、大体輸出の糸に対して何割ぐらいの割合になっているのですか。何割ぐらいの割合で出ているのですか。絹織物として出ました金高じゃありませんよ。糸量としてどれくらいに当っておりますか。
  37. 保坂信男

    説明員保坂信男君) ただいまお尋ねの、絹織物の糸換算の数量でありますが、これは先般お手元にお配り申し上げました、蚕糸業に関する統計資料の二ページの上欄にございますが、三 ○—三一年の推移を見ますと、絹織物は生糸換算にして相当な伸びを示しておるわけであります。三十二年度におきましても、これが約五万俵をこえる程度数字に、絹織物としては相当な伸長率を示しておるわけであります。生糸の面は三十二生糸年度はまだ残りがありますので、はっきりはわかりませんが、七万俵にあるいは本年は届くか届かないかという程度だと思いますが、絹織物の方といたしましては、昨年から比べて三割ぐらいの伸長になるのではないか、こういうふうに考えております。
  38. 清澤俊英

    清澤俊英君 ところが、その輸出絹織物の自粛をやって、三割操短、約三〇%の操短をやっておる。それでふえることはおかしいのですね。何のために操短をやっているのです。
  39. 保坂信男

    説明員保坂信男君) 生糸自体といたしましては、輸出に向うもののほか、内需といたしましての国内向けのものも相当量あるわけでございます。大体、従来のペースで参りますと、三十万俵の生産のうち二十万俵は内需でございまして、その中の四万あるいは五万俵が輸出絹織物として輸出向けに生産されておるわけでございます。内需の方は、一昨年から比べまして、昨年の実績も若干これは下っています。従って、内需全体としても若干下りぎみでありますが、その中で、輸出絹織物の部分につきましては、伸びておる、こういう実情に相なっておるわけでございます。
  40. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますというと、安定価格としては十九万円——二十三万円の限度でこの安定価格を支持していかれる、こういうことははっきりしました。そこで、実際繭価協定をやって、買うときに、問題が出やせぬか。このときに実質上の問題として、これがいろいろ政府等のあっせんによって、一応値段がきまりましても、繭価が協定できて、きまりましても、実勢がこのままであったならば、果して全部買うか買わないか、これは問題になる。いやでも買えというところまでいってはいないのだから、非常に買い控えをしてきやせぬかという危険がある。あまり買い控えをされたら大へんだ、この心配はありませんか。  第二番目は、その際に、政府としては、購繭資金というものを製糸家に、昔のように思い切り出していただけるかどうか。出さないで、今までの例で参りますれば、地銀から融資を受けるのであります。従って、地銀が、その値段では当分買えないから、内金だと称して、七割もしくは八割を支払って、なかなか相場が上らないということになりまするというと、盆勘定になってもそれがもらえない、こういう不安はないでしょうか。今までそういう例がしばしばあったのです。これにはどういう御処置をとっていただけるか。これが出ないとは私は考えられない。無理な相場を一応作ってみても、実勢が、今言った通り、内需も減っておる。アメリカには現に一万俵の手持ちがある。市場にも手持ちがある。政府買い上げもたくさん持っている。保管も持っておる。また保管資金もなくなっておる。こうした悪条件の中で、思い切ってどんどんと先足のないものを買うかどうかということなんです。もし二割か三割買い控えられたら、それは自然的に大問題が出ると思うのです。私はそれを聞きたいのです。  最後に、それに対する政府のほんとうの腹がどこにあるのか。購繭資金を出してやらせる。なるほど一部には、農協等を通じて乾繭の保管の方法もあります。それにしても、徹底的にそれをやらせる。今、現在そういう品物がない、乾繭する道具、昔の道具、施設を持っている所はほとんどないと思うのです。手放している。これがなかなか間に合わない。そうすれば、自然に逆に、今まではやみで高売りをすることができたのが、今度は安売りしていかなければならぬ。農民はみな投げ売りしていかなければならぬ実情が出やせぬか。表はりっぱなものができても、現実はそこへ追い込まれるのではないかと考えますときに、全く杞憂にたえないのであります。その点に対するはっきりした、閣議で、ただいまも決定して、そのときは臨機の処置をとる、こう言われますが、次官も知っておいででしょう、今度の二十億のワクをつける、これも現金じゃ出せないのだ。ほんとうは審議会では、二十億の現金がほしかったのだ。ところが、それがどうでもだめなので、これを何とかつけなかったならば、どうもアメリカに悪い影響があって、そうして、だんだんと先を見越されて、値段が下っていく危険性があるから、一つ何とか買い入れるというワクをつけてくれ、これは買い入れですから、利子がつくのか、その点は後ほどお伺いしたいと思っております。こうしてやっとつけてもらった。それが三月には、現在、資金も絶えるから、それまでにいってああいう別ワクをつけてもらってやっておるのだが、大蔵省がうんと言って聞いてくれるかどうか。しかも、実勢が、特別購繭資金製糸家に回すか、農協に回すか知らぬけれども、そういうことをして繭の協定の価格維持するものを、一日か二日でばたばたときめてくれる自信がございますか。私は、自信はどうもこの間の様子では、ないと思う。次官、自信がありますか。もし、自信がおありならば、一つ大蔵大臣に来てもらって、はっきりしてもらわなければ、これは問題にならぬ。事実、それはできますか。
  41. 保坂信男

    説明員保坂信男君) 清澤先生の御指摘のように、かりに現状のままで、なお相当の糸が政府に入り、春繭が増産になるという場合におきましては、御指摘のような不安なしとしないと考えるわけであります。要するに、先ほど来お話が出ておりますように、政務次官お話しになりましたように、そういう事態に対処いたしましては、政府といたしましても、われわれ事務当局といたしましても、十分資金繰りの強化等の面について努力をいたす考えでおるわけでございます。万一、最低繭価を割るというような事態に対処いたしましては、もちろん、お話もございましたように、乾繭共同保管というような形も出て参ると思うわけであります。それらの資金は系統資金により、さらに利子等については、政府で補給をいたすことに相なっておるわけでございますが、できる限り、そういう事態に到達する以前において、必要なる措置を講ずるようにして参りたいと考えておるわけでございます。
  42. 清澤俊英

    清澤俊英君 くどいですから大体やめますが、さっき申し上げました今までずっとやっておられたような地銀関係資金繰りで、糸屋は買うと言っても、銀行が貸さない。この場合、長期にわたるようなときは、何か御処置をとっていただけますか。これは危険な割引支払い、ひどいときは三割ぐらい押えられることがある。盆勘定でやってもらったということがあります。それじゃ、糸の景気がよくて、側からどんどんと抜け買いに入ってきて、そういう状態になるのです。いわんや、抜け買いどころの騒ぎではない、全製糸家が一割五分か二割買い控えをしたときに、そのとき、そんなものが出てきたら、抜け買いどころの騒ぎじゃない。おそらく農民は急いで売り逃げをやるのじゃないか、生繭をもって。
  43. 保坂信男

    説明員保坂信男君) 先ほど来繰り返し申し上げておるわけでありますが、要するに、相場というようなことも、資金不安でございます。そういう点の対策ということは、最も必要の場合に具体的に講ずるという決意に立つ必要があるわけであります。そういうことが可能になれば、市況もそのことのみによって動いておるのが現状でありますし、海外買い手が安く買いたたくがために動いておるのでは全くない現状でありますから、そういう措置によって改善いたしたいと思うのであります。従いまして、そういうことになりますれば、製糸家生産した生糸現金化されるということによって、資金が還流して、購繭資金も円滑に回るという形に実現されることが望ましいというふうに考えられるわけであります。万が一そういう場合に、安値で、繭が余つて、農民が安売りをしなければならないという事態に対処する方策といたしましては、現在も繭糸価格安定法によりまして、乾繭共同保管の措置がきめられておりますので、そういうことをも考慮して、万全の態勢を考えていきたいというふうに考えております。
  44. 清澤俊英

    清澤俊英君 私はこれで質問終りますが、この問題非常に重大でありますから、政務次官一つ大臣とよく相談してきて、次期までにはっきりした御返事を、御回答をお聞きしたい。これで私は質問終りますが、これは非常に重大問題ですよ。だから、こうして、こうやりますと言ったって、それは大蔵省がふんふんと言って出すか出さぬか、これは重大問題だ。いま少しはっきりしたそういう想定の上に……。やはり農民にそこへいって恨まれないような一つ方策を考えていただきたい。わしら、選挙でも始まれば、これまことに得なんですけれども、このままで行って質問応答を読み上げれば、全部社会党当選しちまいますけれども、それじゃつまらない、それじゃ何にもならぬから、一つはっきりしてあれをしていただきたいと思います。
  45. 北村暢

    ○北村暢君 ちょっと基本的なことでお伺いしたいのですが、農林経済局の統計調査部から出ている日本の農業の動向と見通しという統計の資料がある。これによりますと、繭の価格というものが値下りをした、今度の三十二年度の下期でですね。今までの売手市場から買手市場に変った。そしてこの問題は非常に注目すべき問題である。こういうことを言っているのです。そしてその結論の、今後の見通しのところでは、糸価は安定するだろうと、こういうような見通しをつけているのですがね。これは今出ております特別会計の問題と繭糸価格安定法の一部改正と、これから見ますと、この見通しはあまり合っていないようですが、ここで私お伺いしたいのは、これだけのてこ入れをして、輸出生糸保管会社に投資をする、あるいは特別会計で二十億、こういうことで糸価を安定させる対策を今ここでやろうとしているわけです。繭の価格の安定は、ちょっと今の説明をお伺いしましたが、現実に下っておるという事態に対して、どういうふうに……。今度のこの糸価の安定は、これで一応できるとして、繭の価格安定は、どういうふうに現実に今対処しているのか。この点を一つお伺いしたい。
  46. 保坂信男

    説明員保坂信男君) 御指摘のございました資料につきましては、おそらくは下期のアウトルックによる資料ではないかと思いますが、昨年からの下期におきましては、お話のございましたように、従来から見ますと、繭価は若干下っております。しかし、最低価格千四百円から考えますと、大体千五百円程度には維持をされておりますので、そう極端な値下りとは考えられないのでありますが、それが買手市場になるかどうかというような点につきましては、繭は相当増産されて参りまして、もうこれは製糸家生産の能力から考えますと、当面予想される程度の繭の数量でありますならば、かりにこの春繭が豊作であったとしましても、それを消化するだけの能力は、先般来の企業整備をいたしましても、十分あると考えられるわけでございますが、ただ、生糸需要の面が伸びませんと、そういう面で御指摘のような状況が出て参るおそれがあるわけでございます。糸価安定の中における繭価安定という問題につきましては、この糸価安定制度自体がいろいろ政府が買うことを通じて、その間の需給調節をしまして、糸価の安定を通じて繭価安定をはかるというシステムになっているわけでございます。生糸を買っただけで十分である場合のことが想定されまして、三十年の改正のときに、繭の乾繭共同保管の制度がつけ加えられたわけでございます。そもそもは、この生糸を直接政府が買うということの終局の目標は、一つには輸出増進ということ、一つには農家経営の安定ということが法律目的にもうたわれておりますように、それによって繭価の安定をはかって、農家経営を安定させるということがねらいであるわけであります。繭で持ちましても生糸政府がたな上げをいたしましても、いずれにいたしましても、その需要供給の間の調節作用としては、段階の違いはございますが、農家に対しましては同じ効果を持つと考えられるわけであります。今回のように売手市場から買手市場にあるいは転換をするのではないだろうかというような事情がだんだん出て参りますると、その間に、直接的に乾繭共同保管というような制度が活用されるという現象になって参ろうかと思うのであります。現在まで、その制度が開かれましてから、乾繭共同保管の事態は一度も生じなかったわけでありますが、それがそういう状態に変わって参りますると、御承知のように総合対策として活用されるという結果に相なろうかと考えます。
  47. 北村暢

    ○北村暢君 それから基本的なことからお伺いしたいのですがね。今もらいました資料によりましても、桑園面積は長期計画によってこれをふやそうとしているわけですね。それからまた反当りの生産量も集約化すればふえてくる。非常にふえてくることになって計画されているわけです。従って、生糸生産量も相当増産される計画になっているのですがね、私は、その今までの生糸の一番問題は、やはり輸出でありますがね、この輸出が織物としては相当伸びているのですが、やはり糸としては相当アメリカが大部分ですが、減っている、そしてまた、今後の見通し等においても、相当宣伝もし、何もしているが、なおかつ輸出が思わしくそう簡単にはいかないのではないか、こういうふうに思われるのです。で、見方が違えば、いやそうじゃなしに、輸出はまだまだ伸びるのだということになれば、これは違ってくるのですがね。一応私ども見ているというと、輸出という問題について非常に問題があるのではないか、こういうふうに考えられるのです。そうしますというと、一方においてそういう政策をとっているのに対して、輸出が思わしくないという傾向にきますと、どうしても、ここでやはり糸価安定に政府がどんなにてこ入れをしても、おぼつかないような状態になってくるのではないかという心配が、私どもはするのです。そこで、やはり政策としてここで蚕糸関係の問題を基本的に検討し直す必要があるのじゃなかろうか、こういうふうに感ぜられるのです。そういう点についての——これは五カ年計画その他から説明したと言えばそれまでなんですが、私どもが、今こうやって相当大きなてこ入れをするのですが、そのてこ入れが、今後相当てこ入れが続かないというと、維持できないのじゃないか。特別会計にいたしましても、今の買い入れにいたしましても、このてこがだいぶ将来において負い切れない事態になるのじゃないかという感じがする。従って、蚕糸業の振興と安定対策の矛盾という点について伺っておきたいと思います。
  48. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 今、ある程度の長期計画と、現在の事態との関係を中心にして、御意見なり、お尋ねがあったわけでありますが、その通りだと思います。そこで、私どもが農業政策の長期計画を立てますときには、これは申し上げるまでもなく、日本の経済に大きな寄与をいたしております多数の農業者の生活の安定をはかるための各般の方策を、計数的にも計画を立てるわけであります。できれば、養蚕関係は申し上げるまでもなく、先ほど来議論になっておりますように、各種の科学技術の進歩によりまして、自然、繊維との対抗するものが出てきますから、その大きな影響を受けてくるわけであります。しかしながら、現在においてはなおかつ日本農家経済をよくするには、繭を作らなければならない。イモを作らなければならないといういろいろな要素をできるだけ伸ばそう、こういう計画をやっておるわけであります。しかしながら、現に事態が起っておりますように、必ずしも養蚕関係についてはそう計画通りにいくかどうかは、常に反省と申しますか、深甚の注意を払って事態に対処しなければならない、こういうふうに考えております。そこで、一応増反計画というものも出しておりますけれども、現在必ずしも反別の増加をはかろうという政策を強行しようとは思っておりません。むしろ反収を上げるといいますか、反収を上げる方に重点を置いて、生産コストの切り下げをしながら、農家収入の増收をはかる。こういうところに——その他の科学繊維あるいは世界の需要状況等をにらみ合せますと——そういうところに重点を置くべきものである、こういう考え方でやっております。今お話通りに、養蚕関係については、そうかといって今不況であるから、あるいは将来はさほど望みがないから、直ちに切りかえのできるという性質のものでありませんので、これを一時ある程度伸ばしながら、ほかの農家経済に寄与する、あるいは日本経済に寄与するというような面に、だんだんこれを切りかえていって、養蚕について非常な打撃を受けるというような事態にならないような農業政策を進めていかなければならないというふうなことである。そういう点については、十分な注意を払いながら、政策を進めていかなければならない。こういうふうに考えております。
  49. 北村暢

    ○北村暢君 私は質問を終りますが、ただ、今、政務次官の言われることで大体了承はいたしますが、やはり役所のセクトとか何とかでもって、私は、この問題を処理されては非常に困ったことになると思います。これは農民は増産せいということでやりますというと、増産ということで一生懸命作る。しかも、換金作物としては非常にいい作物ですから、糸価を安定するということになれば、作りたがる作物ですよ。しかも、これは転業するといっても、なかなか簡単にいかない作物でありますし、やはり相当長期な見通しをもって、増産をやるにしても反当りの収量ということを重点に置いて、面積はふやさないようにする、こういうような指導をなされないと、これは誤まっていると大へんなことになりますので、基本的に農家にしわ寄せにならないような形の政策というものを真剣に考えいただく必要がある。これを一つ要望として申し上げておきます。  それからもう一つは、先ほどは糸価安定ということでもって、繭を安定するという形、システム人をとっておるが、これはもちろんその通りで、わかります。わかりますが、非常に弱いところは、何といっても先ほど清潔委員指摘しているように、農家へしわ寄せがくるということは、今までの例から見て、はっきりしているのです。ですから、生糸相場がちょっと狂えば、大問題としてこの委員会でもすぐとり上げられますけれども、繭の価格ということになると、ちょっとのんびりしてくるのです。これは、従来の例からいってその通りなのです。私はやはりそういう見通しというものからいって、やはり農林省なんですから、生糸なり、絹織物の生産者ももちろんですけれども、まず農民ということを念頭に置いた蚕糸の政策というものを重点的に行われるよう、この点を、希望意見として申し上げておきます。
  50. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 繭の共同保管、これはもとはだいぶやっておったのだが、最近においては、繭の共同保管が重んぜられないようになった結果、共同保管の設備が現在なくなってしまっているのではないかと思っておりますが、糸価安定法によって、もし繭の共同保管をするということであったならば、現在保管をするに足る完全な倉庫がありますか。もしあるとしたらば、どういうような所に、どういうふうなあんばいに配置されているか。養蚕地帯にまでそれが配置されているか。もし繭で保管するならば、だいぶ違い所に保管しなくちゃできないような気がするが、そういうふうな保管、あるいは輸送というような点について、共同保管に対する対策があれば、それを承わりたいと思います。
  51. 保坂信男

    説明員保坂信男君) 御指摘の乾繭共同保管の施設の所在につきましては、ただいま手元に資料を持ち合せませんので……。かつて最近時におきましても、この制度が開けまして以後、三十年に改正でできたわけでございます。その後いろいろ事情を調査しておるわけであります。そういう資料は、あとからまたお届けしたいと思います。農協の倉庫なり、あるいは製糸、工場の倉庫なり、乾繭共同保管に適する倉庫の実情等については、一応調査をいたしておるわけでございます。そういう事態に対処いたしましては、御指摘通り十分万全を期して指導をいたさなければならないというふうに考えております。
  52. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連して。ただいま乾繭の問題が出ましたが、これは予算の範囲で許されているのですね、保管は。予算はどのくらいついているのですか。
  53. 保坂信男

    説明員保坂信男君) 予算は、先ほど来議論になっております来年度二十億増額いたします至り体の規模の中で処理をすることになっているわけでございます。
  54. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、おかしいじゃないか。その三十億が、糸の買い入れをやって……。乾繭の予算というのです、私は。
  55. 保坂信男

    説明員保坂信男君) 一応、来年度の特別会計予算の予定といたしましては、百万貴を乾繭共同保管の予定で、金利、倉敷の補助等については、一億三千万程度であったと思いますが、そういう想定で一応組まれているわけでございます。その以上になる場合は、資金の中で補助金操作をいたすわけでございます。
  56. 清澤俊英

    清澤俊英君 それはスズメの涙というやり方で、先ほど私の言うたような事態にはほとんどきかぬのと、今、藤野さんが言われる方々にある施設は壊滅して、ないと思います。私は、不可能の現状だと思いますので、これは十分一つ次官もお調べ願って、そうしてその場合の、さき申しましたような対策に対しては、一応腹をきめた対策をお願いします。
  57. 田中啓一

    田中啓一君 ちょっと関連しまして。実は、乾繭倉庫の運用の問題なんであります。今まあ糸政課長の答弁した通りになっているわけでありますが、先ほど清潔さんからの御質問にもありましたように、実は製糸会社に対しては、十九万円を割れば政府は幾らでも買い入れるという制度を、現在とっておるわけであります。それからまた、繭の出盛り期には、支障なく、製糸会社が繭の生産者からどんどん繭を引き取って代金を払うように、また、いわゆる繭代金の融資等についても、毎年々々多大の配慮を払っておるわけであります。それが不十分だということは、むろん現実においてあり得ると私は思っております。もっと力を入れた方がいいと思っております。そこで、そもそも乾繭倉庫の制度というものは、そこまで政府が徹底的に、糸についてその価格維持をはかるという制度をとらないで、どうしても繭の買いたたきを食うとか、あるいは値段を渋ってなかなか払わないというようなことがあって、どうしても養蚕業者が共同して対抗して、そういう不利な条件では繭は渡してやらない、おれがみずから保管する、そしてそれについて政府から融資のあっせんを受けるとか、あるいはまた、乾繭倉庫を作るについては、補助金とかあるいは設備資金の融資を受けるとかいうことをして作ったものなんですね。そこで、今これを両方やらなければいけないのかどうなのかという問題なんです。御承知のように、この安定法は、繭糸価格安定法なんで、糸さえ安定しさえすれば、繭はほうっておいてもよいのだというものでは決してない。これは、むしろあくまでも、主点は、御質問にもありましたように、繭の安定の方がそれは死なんです。その方が主力なんです。繭を安定するのは生糸でやるのが有利なんだというのが、この法律の主眼だと思う。だから、能率的なように思いますが、もうちっと配慮したならば、繭を百姓は持って、こいつで一つ製糸家と対抗してやらなきゃならぬということは、これは行政措置で、蚕糸局の勢いでやれそうなものだと思うのですが、私は、ここまでくると、そこらの一体実情はどういうものだか、これは、むしろ私は、ここで糸政課長をとっちめる気持は一つもないが、農林省の問題よりも、いろいろ蚕糸については国会で非常に議論にもなり、またそれが推進力でこういう法律もできたり、またしておるわけですから、みんなで考えなければならぬことだと思うのですが、一応どんなふうに印象を持っておられるか。政務次官からでもけっこうなんですが、ざっくばらんに。
  58. 保坂信男

    説明員保坂信男君) ただいま先生からお話のございましたように、先ほども申し上げたのでありますが、繭糸価格安定制度は、糸を通じて農家経営の安定をはかる。すなわち繭価の安定をはかるということが大きな目的であると思います。お話のございましたように、繭で保管いたしますと、品質も低下をいたしますし、いろいろ障害も出て参りますので、できればそういう観点からいたしましても、糸をもって保管する方が長期的に価値も安定するし、政府の施策としても適切であるという建前から、これが行われておると考えるのであります。乾繭共同保管につきましては、御承知のように政府が契約をいたしまして、その乾繭共同保母がされて、なお一年間たって、三月三十一日まで過ぎてなお売りさばけないというような事態の場合に、その後に政府が引き取るという形の契約をもって保管が行われるという建前を、現在とっておるわけであります。そういう方法でありますと、繭の損粍とかいうような問題も生ずるかと思うのでありますが、そういうことがありましても、必要な事態に対処いたしましては、御指摘通り農業協同組合なり農民の組織の場において製糸家に対抗する意味からも、繭の共同保管ということは当然考えられるわけでございます。それ自体、系統資金をもっておそらく実施されるということでありますので、なお自主的にその間の操作をやるといたしますと、いろいろと金利の負担なりという問題が、農家の負担に加重されて参りますので、その間の助成の意味では、政府が金利、倉敷等を、助成を補助金として出すという形をとつておるわけでございます。そういう形でなしに、自主的にやることについても、もとより歴史的にもあるいはあったことと思いますが、不可能ではないと思いまするが、そういう面からの負担が、この制度に乗る場合よりは、自主的な場合には、いろいろ問題が農家の負担の面で出て参ると考えるわけでございます。制度があります以上、その制度を利用して実際行われるという形にされるのが望ましいのではないかと考えております。
  59. 田中啓一

    田中啓一君 それで、私の個人的の意見意見といたしまして、一つ研究すべき問題じゃないかと思います。ことに、繭、生糸の問題というのは、当委員会というのは、非常に実際的の論が行われて、まことに私は板についておると思うのですよ。従って、こういう問題は、ほんとうにわれわれ一つ共同研究でもして、能率の上る方法で将来やっていく、要するに非能率なことをやれば、どこかで国民経済に負担をかけることになるのであります。でありますから、一つの資料といたしまして、現在どれほどの乾繭倉庫があり、十分の保存設備にたえるような倉庫というのは、どれくらいの面積があって、どれくらいの保管ができるのか、また、そこの保管技術、これは常時技術者を置いておくのもやっかいなことだと私は思っているんですが、そういうようなものはどんなことになっておるのかというようなことの資料を一つほしいのですが、大へん今蚕糸局は、生糸価格の安定で日も足らざる状況で、今すぐ出せというのじゃありませんが、これがひとかたつきましたら、一つそういうような資料を作つておいていただいて、研究をお互いにしたらどうだろうというふうに思いますので……。
  60. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連して。今、糸政課長、あなたこの糸価安定法が、繭が先だ、こう言われた。それはうそです。一番先出ましたときは生糸安定法です。糸価安定法ができた。そこでわれわれがわあわあ、わあわあと言うて、繭という字をつけた。それを具体的にして、繭価を先に決定することが正当だけれども、それがとうとうそうはいかないで、仕方なく繭という字が一つついたんだから、これ打ち上げになりますというので、ようやく今日まできたが、ただいま私が御質問しておりましたり、心配して、腹をきめて次官から御返答願うような不満は、その当時からあった。これは一つ歴史において考え直していただきたい。あなたそれは知らなかった……。今の製糸協会におられる青柳さんと、農林大臣は根本さん、これは間違いなしなんです。
  61. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 本日の審査は、この程度にいたします。  本日は、散会いたします。    午後三時二十二分散会